たった5.99ドルの食事をレストランから宅配するClub Feastが約3.6億円を調達

食事宅配をより手頃な価格で提供するアプローチのスタートアップ、Club Feastは、General Catalystが主導するシードファンディングで資金350万ドル(約3億6000万円)を調達したと発表した。

同社は、Atallah Atallah(アタラ・アタラ)氏、Ghazi Atallah(ガジ・アタラ)氏、Chris Miao(クリス・ミャオ)氏によって設立された。基本的なコンセプトはいたってシンプルだ。レストランのデリバリーを一皿5.99ドル(約623円)で購入できる、つまり、他のデリバリーサービスで見つかるどの食事よりもおそらく安い(同社のサービスはそれに加え、2ドル(約208円)の配達料と、1食だけの注文の場合は1ドル(約104円)の手数料を請求している)。

以前にレストランリワード会社「Seated」を共同設立し、Club FeastのCEOを務めるアタラ・アタラ氏によると、同社はレストランと協力して、5.99ドルの価格で提供できる食事をいくつか選択しているという。一方、ユーザーは週ごとの食事プランにサインアップし、少なくとも24時間前に注文する。そうすれば、レストラン側は料理の購入量を正確に把握できるので、先回りして計画を立て、効率的かつ経済的な方法で料理を作ることができるというわけだ。

「当社は彼ら(レストラン)と協力して、ユーザーに合った価格で食事を作ることができるようにしています」とアタラ氏は述べている。さらに、Club Feast とそのパートナーは、すべての注文を事前に行うことで、オンデマンド配送を最適化するための高度なアルゴリズムを構築することなく、最適なルートを計画することができるとアタラ氏は指摘している。「最高のソリューションが最もシンプルなものであることもあります」。

Club Feast CEOのアタラ・アタラ氏 Image Credits: Club Feast

もちろんそのためには、より多くのプランニングと、ユーザーからの前もってのコミットメントが必要になる。しかしアタラ氏は、ミールクレジットは週単位で購入することができるが、いつでも一時停止や使用が可能であることを指摘している。また、アタラ氏はClub Feastをオンデマンド・フードデリバリーの直接の競合相手とは考えていないことを示唆した。その代わりに、急な注文や特別な日にはDoorDashやUber Eatsを使い続け、通常の食事にはClub Feastをより手頃な価格で利用することを提案している。

「当社の価格帯では、平均的なユーザーは月に8回注文しています」と彼はいう。「(変わらぬサイズの同じ市場を争うのではなく)パイ(全体)をもっと大きくするのはどうでしょう?」

アタラ氏は、Club Feastは、サイドメニューやデザートを追加することで、プラットフォーム上での食事の選択肢を多様化していると付け加えた。そして、いずれはもう少し豪華な食事のためにより高い価格を導入する可能性もあるが、彼は、「それが5.99ドルのコンセプトに影響を与えないようにしたい」と語っている。

同社は現在、サンフランシスコとサンマテオで配達を行っており、The Halal Guys、Kasa Indian Eatery、HRD、Kitavaなどのレストランと提携している。今回の新たな資金調達により、ベイエリア全域とニューヨーク市への拡大を計画しているという。

General CatalystのマネージングディレクターであるNiko Bonatsos(ニコ・ボナトソス)氏は声明の中で次のように述べた。「パンデミックにより、フードデリバリー業界の著しいギャップががむき出しになりました。レストランと消費者の両方にとって、より手頃な価格で食事を提供できるようにするというClub Feastのミッションを支援できて光栄に思います」。

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カテゴリー:フードテック
タグ:フードデリバリー 資金調達

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自動運転ロボのStarship Technologiesが17.7億円調達、今夏までに100の大学で事業展開へ

1年前、Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は大学のキャンパスの学生やいくつかの住宅街の住人にブリトーやピザを届ける自動走行ロボットを数百台持っていた。

新たに1700万ドル(約17億7000万円)の資金を獲得した同社は、事業を展開する欧州や北米を新型コロナウイルス(COVID-19)が襲って以来、車両台数を5倍に増やした。新型コロナは同社にも苦痛とカオスをもたらした一方で、レストランがテイクアウトや配達のみのモデルに移行したため需要が増えた。同社は現在、自動走行ロボットを1000台所有している。

同社は2020年に、2021年夏までに100の大学に事業を拡大することを計画していると語った。この数字は現在の15という数字からはかなりの飛躍だ。それでも同社はロケーション、配達走行のボリューム、車両サイズ、従業員数などあらゆる点で成長している。同社の従業員は現在400人だ。事業を展開するキャンパスを毎月増やしていて、対面授業が再開したときに始動する。

米国時間1月26日に発表された同社の最新の資金調達には、TDK VenturesやGoodyear Venturesといった投資家が参加した。これにより累計の資金調達額は1億200万ドル(約106億円)になった。バリュエーションは非公開。また、同社はカリフォルニア大学ロサンゼルス校とマサチューセッツのブリッジウォーター州立大学に事業を拡大したことも発表した。

画像クレジット:Starship Technologies

Skype(スカイプ)の共同創業者Ahti Heinla(アーティ・ヘインラ)氏とJanus Friis(ヤヌス・フリス)氏によって2014年に創業されたStarship Technologiesは2017年に配達5000回を達成し、この数は2021年1月には100万回に成長した。また、同社は大学のキャンパスや英国ミルトン・キーンズのようなコミュニティ以外の町にも事業を拡大し、ここには5000世帯が暮らす英国ノースハンプトンエリアやカリフォルニアのマウンテンビュー、モデストなどが含まれる。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Starship Technologies資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Starship/Copyright Don Liebig/ASUCLA

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルがインドのハイパーローカル配達サービスDunzoを41億円の資金調達ラウンドで支援

Google(グーグル)が新たにまた一社、インドのスタートアップに小切手を書くことになった。昨年、世界第2位のインターネット市場に投資するための100億ドル(約1兆357億円)のファンドを発表したAndroidメーカーの同社は米国時間1月19日、以前にも支援したインド南部のバンガロールを拠点とする企業、ハイパーローカル配達スタートアップDunzoの4000万ドル(約41億円)の投資ラウンドに参加すると発表した。

設立して5年のDunzoによると、Google、Lightbox、Evolvence、Hana Financial Investment、LGT Lightstone Aspada、AlteriaなどがシリーズEの資金調達ラウンドに参加しており、これにより現在までの調達額は1億2100万ドル(約125億円)に達したという。

Dunzoは、バンガロール、デリー、ノイダ、プネ、グルガオン、ポワイ、ハイデラバード、チェンナイを含むインドの十数都市で、その名を冠したハイパーローカル配達サービスを運営している。ユーザーは、食料品、生鮮品、ペット用品、医薬品から、近所の店やレストランからのディナーまで、数種類のカテゴリにわたる幅広いアイテムにアクセスできる。

業界の推計によると、インドの小売売上高全体でeコマースが占める割合は3%未満だという。インド国内の売上の大部分をけん引しているのは、国内の何万もの市町村や村、スラム街に点在する家族経営の小さな商店や、その他の近隣の店舗だ。

ある意味では、Dunzoはインドでのeコマースとデリバリーのあり方を再考していると言える。これにより、AmazonやWalmartが所有するFlipkartだけでなく、Swiggy、Zomato、BigBasket、Grofersなどの、食料品・日用品のローカル配達スタートアップにも挑戦することになる。また、多くの人がDunzoを利用して、ノートパソコンの充電器や財布、弁当箱などのランダムな品物を、街中のある地点からピックアップして別の地点に移動している。

Googleの副社長、Caesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は声明の中で、「業者のデジタル化が進む中、ダンゾは中小企業のデジタルトランスフォーメーションの実現を応援し、事業回復を支援しています」と述べている。「当社のIndia Digitization Fundを通じて、インドの革新的なスタートアップ企業と提携し、すべての人に利益をもたらす、真に包括的なデジタル経済を構築することに尽力する所存です」。

Dunzoの共同創業者兼CEOであるKabeer Biswas(カビール・ビスワス)氏は、同社は年間GMV(Gross Merchandise Value、流通取引総額)ビジネスを約1億ドル(約103億円)にまで成長させたと述べている(GMVは以前は、多くのeコマース企業が成長を示すために頼っていた人気のある指標だったが、スタートアップの成長を測るには無意味な方法の一つといえる。ほとんどの組織はGMVを使わなくなった。さらに、スタートアップがGMVを使う場合、伝統的には収益性からまだ程遠いことを意味していた。Dunzoの場合はそうである)。

「Dunzoの組織目標は、2020年にかつてないほど消費者の共感を呼びました。業者やユーザーが同社のプラットフォームに頼り始めたすべてのことに驚いています。私たちは、持続可能なユニットエコノミクスと資本責任でハイパーローカルビジネスを構築する方法のプレイブックを書いていると心から信じています。チームとして、ローカル業者がユーザーとの距離を縮め、国内で最も愛される消費者ブランドの1つを構築できるように、これまで以上に注力していきます」とビスワス氏は声明で述べている。

Googleは昨年、Jio Platformsに45億ドル(約4659億円)を出資しており、最近では、ソーシャルニュースアプリのDailyHuntとGlanceを支援した。Glanceは、Androidユーザーのロックスクリーンにコンテンツを表示する方法を積極的に拡大している広告大手InMobiグループの一部だ。TechCrunchが今月初めに報じたように、Googleはまた、地元のソーシャルメディアShareChatと協議中でもあり、単独でインドの同スタートアップに1億ドル(約103億円)以上を投資する可能性がある。ShareChatに対するGoogleの関心については、以前にも地元のメディアEconomic TimesとET Nowによって報じられている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:Google インド フードデリバリー

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(翻訳:Dragonfly)

UberがフードデリバリーPostmatesの自律型宅配ロボット部門のスピンアウトを計画中

Uber(ウーバー)の新たなスピンアウトが進行中だ。

Uberが2020年に26億5000万ドル(約2752億円)で買収した食品宅配スタートアップ企業のロボット部門Postmates X(ポストメイツ・エックス)は、計画に詳しい複数の関係者によると、別会社として分離するために入札で投資家を募集しているという。

新会社はServe Robotics(サーブ・ロボティクス)と称されるが、これはPostmates Xが開発した黄色と黒の自律的な歩道配達ロボット「Serve(サーブ)」の名称にちなんだものだ。最近、ウェストハリウッドで食品を配達するために同地域のデリバリー食料店であるPink Dot(ピンクドット)と提携したこのServeロボットは、新会社の目玉になる可能性が高い。

この件について、Uberはコメントを拒否している。

投資家に向けて提案されているこのスピンアウトが完了すれば、Postmates Xの責任者でServeプログラムを率いてきたAli Kashani(アリ・カシャニ)氏が新会社を運営することになるだろう。Anthony Armenta(アンソニー・アルメンタ)氏は新会社のソフトウェア部門を指揮し、Aaron Leiba(アーロン・リーバ)氏はハードウェア部門を担当する、つまりPostmates Xと同じポジションを維持することになる。

UberはServe Roboticsの筆頭株主として、この新会社との商業契約を維持する。引き換えに、Serve Roboticsは知的財産と資産を取得することになる。この取引に詳しいある関係者によると、Uberは新会社の約25%の株式を保持するために協議を行っているという。

Serve Roboticsという名称の法人はまだ存在しない。しかし、ウェブサイトのドメイン「serverobotics.com」は2021年1月6日に登録されている。

Uberの利益までの道のり

Uberは2019年5月に公開市場に上場した後、事業の合理化を進め、2020年は新型コロナウイルスによる圧迫を受けてそれを加速させた。今回のスピンオフも、この合理化に基づく事業戦略に沿ったものになるだろう。

2年前、Uberは配車サービスやマイクロモビリティから物流、公共交通機関、食品配達、そして自律走行車や空飛ぶタクシーのような未来的な乗物にいたるまで、交通に関する産業全体にわたり事業を展開していた。しかし、同社のDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOは、黒字化に向けて会社を押し進めていく中で、この「動くものなら何でも」というアプローチを解体してきた。

2020年には、UberはLime(ライム)と複雑な取引を交わして、電動スクーター / 自転車シェアリングサービスのJump(ジャンプ)を事業譲渡した。また、貨物運送事業であるUber Freight(ウーバー・フレイト)の5億ドル(約520億円)相当の株式を売却し、自動運転部門のUber ATG(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)と、空飛ぶタクシーとして計画されていたUber Elevate(ウーバー・エレベート)から身を引いた。

Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATGを買収したが、それはJumpとLimeの件と似たような構造の取引だった。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わなかった。代わりにUberはATGの株式をAuroraに譲渡し、Auroraに4億ドル(約415億4000万円)を出資して、統合された会社の26%の株式を取得した。

同様に細工された取引で、Uber Elevateは2020年12月にJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)に売却された。

Uberが投資を続ける分野の1つにデリバリーがある。同社は、デリバリーサービス「Uber Eats(ウーバー・イーツ)」の需要が急増していることに好機を見出し、この分野に置ける地位を強化するために買収する企業を探し始めた。Uberは料理宅配サービスのGrubhub(グラブハブ)を買収しようと試みたが失敗し、欧州の大手企業であるJust Eat Takeaway(ジャストイート・テイクアウェイ)に敗れた。

結局、UberはPostmatesの買収に落ち着き、2020年7月に26億5千万ドル(約2151億8000万円)相当の全額株式交換によってこのデリバリースタートアップを買収することで合意。取引は2020年12月に完了している。

Serveは親しみやすいロボット

Postmatesが歩道配送ロボットへの探求を本格的に始めたのは2017年、同社がカシャニ氏の起ち上げたLox Inc.をひっそりと買収した後のことだった。同社の研究開発部門であるPostmates Xで責任者を務めるカシャニ氏は、「なぜ2ポンド(約907グラム)のブリトーを2トンの車両で運ばなければならないのか」という疑問の答えに着手した。

Postmatesは2018年12月、最初の「Serve」と名付けられた自律型配達ロボットを公開した。その第2世代(デザインは変わらないが、LiDARセンサーが異なるほか、わずかなアップグレードが施された)は、ロサンゼルスで計画されていた商用化に先立ち、2019年夏に登場した。

Postmatesはパートナーと協力するのではなく、自社の配送データを使って、歩道ロボットを設計と展開する基礎を作ったと、10月に開催された「Mobility 2020」イベントのTCセッションで、カシャニ氏は語った。

「データを見てみると、配達の半分以上が近距離であることがわかります。それなら問題なく、これらのロボットが実際に配達を完了させることができます」と、カシャニ氏は当時、自律型配達ロボットの実用化について語っている。

Postmates Xは、同社の過去の配送データを利用してシミュレーションを開発し、それをServeロボットの設計に利用した。このシミュレーションによって、チームは必要とされるバッテリー容量や荷物室のサイズなどの機能を決定した。

このロボットは、Postmatesの配送事業のほんの一部に過ぎない。しかし、同社が商業的に事業を展開しているロサンゼルスとサンフランシスコの2都市では、新型コロナウイルスの感染流行が非接触配送の需要を煽り、ロボットへの関心が高まっているという。

カシャニ氏は2020年10月に、このロボットはロサンゼルスで何千もの配達を完了し、同市のウェストハリウッドにまで地域を拡げる準備をしていると語っていた。その拡大は昨年末、ちょっとした意外性とともに開始された。Serveロボットは、Pink Dotの店舗のシグネチャーカラーに合わせて、鮮やかなピンク色に変更されたのだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:UberPostmatesフードデリバリー

画像クレジット:Ouster

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イタリア地裁がDeliverooの配達員ランキングアルゴリズムに対し「差別的」と判決、賠償命令

イタリアの地裁は、3つの労働組合が起こした訴訟において、純粋なアルゴリズムによるマネージメントに打撃を与えた。ボローニャ裁判所は、オンデマンドフードデリバリープラットフォームDeliverooで使用されていた評判ランキングアルゴリズムは、地元の労働法に違反してギグ配達労働者を差別したと裁定した。

先にイタリアで報道されたこの判決は、Deliverooのランキングアルゴリズムは、労働を留保する場合に法的に保護された理由を明確に区別しなかった — 例えば、配達員が病気だった、あるいは、保障された権利に基づいてストライキを行使しているなど、法的に保護された理由で働いていないのか、それとも、当初自ら示したほど生産的でなかった、など、もっとささいな理由だったのか区別がないので、配達労働者を差別したとしている。

イタリア労働総同盟(Italian General Confederation of Labour; CGIL)は声明の中で、ボローニャ裁判所の判決を「デジタル社会での、労働組合の権利と自由の征服において画期的な転換点」と呼んだ。

判決についてDeliveroo社にTechCrunchがコメントを求めたところ、同社の広報担当者からこのような声明が送られてきた。

「この判決は、Deliverooがイタリアや他の市場ですでに使用していない、過去の予約オプションモデルに関するものです。ライダーは、いつ働くか、どこで働くか、少しの間、または望む限りの時間など、選択する完全なフレキシビリティを持っています。予約システムというものはなく、仕事を受け入れる義務もないということです」。

「ライダーが望むフレキシビリティを提供するために、私たちは自営業(モデル)を提供しているのです。すべてのアンケート調査で、ライダーは圧倒的に何よりもフレキシビリティを重視していると示しています。最新の調査では、80%以上の確率でした。現在Deliverooは、自営業のライダーとして働くための申込を毎週何千も受理しており、英国内ではライダーの数を倍増させました。昨年、英国では2万5,000人だったライダーの数は、5万人に増えています」。

DeliverooイタリアのゼネラルマネージャーであるMatteo Sarzana(マッテオ・サルザーナ)氏から声明を得たAnsa.itによると、裁判所はDeliverooに対し、申請者に5万ユーロ(約630万円、プラス訴訟費用)を支払うよう、そして同社のウェブサイト上で判決を公開するよう命じたという。これに対し同社は、裁判官の裁定に留意するものの、賛同はしていないこと、さらに、ランキングアルゴリズムとリンクされているシフト予約システムは、もはや市場で使用されていないことを強調した。

「旧システムの公平性は、裁判の過程で客観的かつ現実的な差別の事例が一つも出てこなかったことからも確認されています。裁定は、具体的な証拠のない仮説と潜在的な評価にのみ基づいている」とサルザーナ氏は声明の中で付け加えた(イタリア語からの翻訳)。

オンデマンドデリバリーアプリで知られる同社は、本拠地イギリスでも法的課題の数々に直面している。(自営業の配達人としての)ギグ労働者の分類に関しての問題や、ライダーの団体交渉権に反対しているためだ。

英国の下院議員Frank Field(フランク-フィールド)氏が2018年に主導した調査は、(ギグの)「柔軟な」労働モデルを20世紀の造船所になぞらえ、Deliverooが生成する二重労働市場は、一部のライダーにとっては非常にうまく機能するが、他の者たちには非常に悪いと言っている。

ボローニャ裁判所の判決はまた、大規模な「自営業」労働力をアルゴリズムを使って管理する他のギグプラットフォームに対する数々の法的異議申し立てがここ数ヶ月の間、ヨーロッパで提訴されていることからも注目される。

この中には、昨年夏にオランダでUberの自動化された意思決定に対する異議申し立てを行ったUberドライバーのグループが含まれており、汎EUデータ保護法に言及している。

配車サービス会社のOlaも同様の課題に直面しているが、自営業者の労働力を管理するツールとしての技術的な監視とデータ使用が対象になっている。

これらのケースに関する判決はまだ係争中だ。

同時にEUの議員は、大規模なオンラインプラットフォームがアルゴリズムによるランキングシステムがどのように機能しているかについての情報を規制当局に提供することを義務付ける新法を提案している。AIによって動く巨大企業に対し、より幅広い社会的な監視を可能にすることを目的としたものだ。

プラットフォームのアルゴリズムの監視と説明責任を可能にするこの動きは、透明性の欠如と、自動化された決定がバイアス、差別、搾取を拡大する可能性についての懸念に応えるものと言える。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Deliveroo フードデリバリー 差別

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(翻訳:Nakazato)

ライドシェアから食品の配達まで、Boltが欧州やアフリカでの事業拡大に向け190億円調達

欧州全域で新型コロナウイルス感染の大規模な第二波が広がる中、食品や人々を自動車やスクーター、そして最近では自転車で移動させるオンデマンドネットワークを構築しているエストニアのスタートアップ企業が、資金調達の大規模なラウンドを発表した。

ライドシェアから食品の配達まで、交通サービスを40カ国200都市で展開しているBolt(ボルト)は、エクイティラウンドで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を調達した。同社CEO兼共同創業者のMarkus Villig(マーカス・ヴィリグ)氏は、この資金が事業地域の倍増と、欧州で最大の電動スクータープロバイダになるために使われるとインタビューで語っている。

現在は約5000万人の顧客がBoltのサービスを利用しており、ヴィリグ氏は世界各地のUber(ウーバー)との差別化を図るために、主に2つの分野を中心に事業を構築してきた。1つは強力な資本効率、同氏がいうところの「倹約」。そしてもう1つは、ロンドンやパリ、そして近々事業が開始されるベルリンなどの都市とともに、新興市場向けのサービスに重点を置いていることだ。

「今回のラウンドは、新型コロナウイルスの圧力にもかかわらず、まだ前回のラウンドで調達した資金のほとんどが銀行に残っている状態で初めて行った資金調達でした」と、ヴィリグ氏は語っている。「これは当社の倹約家ぶりを示しています。ロックダウンのため、我々は望んでいたほど攻めることはできませんでしたが、財務的には2021年に向けて非常に良い状態になっています」。

今回のラウンドはD1 Capital Partnersが主導し、Darsana Capital Partnersも参加した。D1は2020年になってから、超大手スタートアップ企業の成長ラウンドで大きな活躍を見せている。メガネ大手のWarby Parker(ワービー・パーカー)、ゲームエンジンメーカーのUnity(ユニティ)、自動車販売ポータルのCazoo(カズー)、フィンテック企業のTransferWise(トランスファーワイズ)などに投資しており、その評価額は合計で数十億ドル(数千億円)に達している。

ヴィリグ氏はBoltの評価額を明らかにしなかったが、GMV(総流通額、Boltのプラットフォーム上で取引された総額)の1.5倍の倍数に近いと述べ、GMVの0.5倍に近い評価額と見られる「他の」輸送分野の企業よりも、最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)に近いと語った。

彼はまた、Boltが現在、年間約20億ユーロ(約2530億円)のGMVを上げていることを認めた。彼のほのめかした計算によれば、評価額は35億ユーロ(約4420億円)程度ということになる。私が上げたこの数字に対し、ヴィリグ氏はコメントしなかったが、異を唱えることもなかった。

参考までに挙げると、2020年の5月にBoltは1億ドル(約104億円)あまりの資金を調達した後、19億ドル(約1970億円)と評価された。当時は3000万人のユーザーを抱えていると言っていたので、約半年で2000万人のユーザーを加えたことになる。

同社の成長は、Uberのように短期間で積極的に、そしてその結果として、非常に多くのコストをかけて、事業を構築してきた企業と比べると対照的で興味深い。Uberは複数の市場や製品分野で成長を遂げてきたが、最近ではその中のいくつかが売却されている。他の例としてはこれこれこれをご覧いただきたい。

当初はTaxify(タクシファイ)として設立されたこの企業は、比較的規制が緩い新興市場で数年間、配車送迎サービスを中心としたビジネスをゆっくりと成長させてきた。2019年にBoltと社名やサービス名を変更した同社は、ロンドンのような都市での事業開始や、主に電動スクーターを中心としたマイクロモビリティへの移行など、その戦略をより高いギアへと蹴り上げた。現在、同社にとって最大の市場となっている国名のリストには、それらのミックスが反映されている。ヴィリグ氏によれば、それは英国、フランス、南アフリカ、ナイジェリアであるという。

とはいえ、その積極的すぎる動きがすべて順調に進んだわけではない。最初の起ち上げに失敗したロンドン(Wired記事)は、ライセンスを取得するために抜け道を利用しようとしたら規制当局が早急に対応し、会社はすぐに焦げついてしまった。そしてこのことは、ヴィリグ氏にとって今後も肝に銘じるべき教訓となった可能性もある。

このような事業の変化があっても、新たな投資や成長の方法を検討する際に、ヴィリグ氏が目指していることは、変わらぬ質素な精神で会社を運営し続けることだと、同氏は語っている。そしてこれはBoltがスクーターの新型モデル(Boltブログ)を発表、炭素削減に取り組む(Boltブログ)というニュースに、潜在的に異なる役割を与えることになる。

彼は、特にユーザー数と使用量の大幅な減少が見られた大企業では、非常に多くの雇用が失われた年に、Boltは誰も解雇していないことを指摘した。

それは確かに興味深い。多くの企業が「ジグ」を選択するとき、どの企業がどのように「ザグ」を選択するのだろうか。

フードデリバリー事業はその一例である。UberがPostmates(ポストメイツ)を買収したり、Just Eat Takeaway(それ自体が大きな合併)がGrubhub(グラブハブ)を買収したりと、この業界では現在多くの統合が進行中だ。それと並行して、規模を拡大しようとするとあまりにもコストがかかることを発見した多くの小さな企業が、次々と撤退している。そのような状況の中で、Boltは16カ国33都市でBolt Foodsを展開しており、2021年にはさらに多くの都市での展開を計画している。

「ほとんどの人が気づいていないのですが、食品の分野は私たちが最も楽観視しているところです」とヴィリグ氏はいう。「現在、私たちは毎日のようにレストランを追加しています。ドライバーが乗客だけでなく食べ物を運ぶという供給側を含め、多くの面でコストの相乗効果があります。これまでは自動車をベースにしたサービスだったため、自動車運転免許を持たない人はお断りしなければなりませんでしたが、今では自動車運転免許を持っていない人にも、スクーターや自転車で商品を運ぶ仕事を提供できるようになりました。今までできなかったことを、提供できるようになる。それが意味するものは、ドライバーを見つけるためにお金を使う必要がないということです」。

ヴィリグ氏によれば、2019年以降でさえも、Boltは食品業界に参入して「ラッキー」だったという。すでに人気のあったレストランにも、ウイルスの流行による新たな波が押し寄せ、店内で食事する客が全体に減少したり、閉鎖を余儀なくされているからだ。「彼らはみんな、副収入を得ることに熱心で、新しいプラットフォームを試してみたいと思っていました」とヴィリグ氏はいう。

濁っていたり厳しいように見える市場でも、先を見通そうとするその意欲こそが、今回の投資家を呼び寄せたのだ。ヴィリグ氏は、すでに多くの投資家と話をしていたので、2021年に備えてラウンドを閉じることは理に適っていたと述べている。

D1 Capitalの創設者Dan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は声明の中で次のように述べている。「欧州とアフリカで市場をリードするモビリティ・プラットフォームを構築し続けているBoltとパートナーを組むことに興奮しています。チームは困難な1年の間に信じられないほどの成果を上げ、何百万人ものユーザーに安全性、柔軟性、そして優れた価値を提供し続けています。我々は新型コロナウイルス流行後のBoltの成長機会を楽観視しており、今後数年間にわたるイノベーションへの投資としてチームをサポートすることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアフードデリバリー

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:TechCrunch Japan)

初期投資家がDoorDashを高評価、10倍の成長が見込めると期待

フードデリバリー会社のDoorDash(ドアダッシュ)が今週鮮烈な市場デビューを果たし、多くの人々に困惑をもたらした。紛れもなく急成長はしているものの、採算が取れていない同デリバリー会社は雇用慣行をめぐって幾度となく炎上しており、他のギグエコノミー企業と同様、そのIPOは多くの経済問題を未解決のままにしている

それではなぜ、2019年に6億6700万ドル(約693億円)、パンデミックによる超成長期のはずであった2020年最初の9か月間に1億4900万ドル(約155億円)の損失を出した会社が、公開市場で投資家から558億ドル(約5兆8000億円)の評価を受けているのか。気でも狂ったのだろうか?

Saar Gur(サール・ガー)氏がその答えを知っているという。アーリーステージのベンチャー企業、CRVで長年ジェネラルパートナーを務めているガー氏は、シード、シリーズA、シリーズBを含む初期の資金調達ラウンドでDoorDashに小切手を切っているが、この小切手の元になった多くのCRVファンドは利益となって戻ってくると我々も踏んでいる。簡潔に言うと、同氏の意見は偏ったものではない。同氏と今日電話で話した際、DoorDashは今後利益を生むどころか、現在の10倍もの規模になると同氏は見込んでおり、非常に興味深い話を聞くことができた。以下の会話は長さの関係上論点を明確にするためにも、多少の編集が加えられている。

TC:DoorDashにシード資金を提供されていますが、DoorDashのことはガー氏が見つけたのですか?それとも同社のチームがCRVに売り込んだのですか?

SG:DoorDashのCEOのTony Xu(トニー・シュー)氏を自ら探しに行きました。[デリバリーサービスのライバル会社である]Postmates(ポストメイツ)は2年半から3年早く事業を開始していましたし、創業者も良いとは思ったのですが、投資するまでにはいたりませんでした。もう一社、パロアルト市で一時期話題になっていたアダムという非常に強気な起業家が経営していたFluc(フルック)という企業があり、チームと会う機会がありました。私は食品ビジネスに携わっており、私の妻は食品起業家でFraiche(フレッシュ)という自家製ヨーグルトのチェーン店を手掛けていることもあり、多くの飲食店オーナーを知っていたのでとても興味があったのです。

そこで、パロアルトのユニバーシティアベニューにあるOren’s Hummus(オレンズ・フムス)のジェネラルマネージャーをしていた友人のミスティにメールをしてみました。「Flucへの投資を考えているんだけど、彼らって実際にどんな感じ?」と訊いてみると、「Flucのチームはまずまずで、技術的にも競合他社より優れている部分はあるけど、本当の意味で我々の問題を理解してくれるわけではない。スタンフォード出身の数人が始めたDoorDashと話してみたら?」と彼女からアドバイスをもらいました。

投資のスキルということでもありませんが、Fluc[後に創設者は立ち去った]への投資に対し確証バイアスに陥ることなく、方向性を変えたおかげでDoorDashチームを探し当てることができました。パロアルトのFraicheで初めて彼らと出会った瞬間から、相手の言いたいことが手にとるようにわかる、ぴったりな感覚がありました。

TC:何について話したのですか?

SG:チームは初日から物流会社を構築するということについて話をしていました。例えば同社はOren’s Hummusのケースをよく理解できていたのですが、当時この店はかなり人気があり、客席には限りがあったものの店内には大きなキッチンを備えていました。そこで[共同創業者兼CEOの]シュー氏と[共同創業者からVCに転身した]Evan Moore(エヴァン・ムーア)氏は「席数が限られていてキッチンが大きいという人気のコンセプトを好む顧客をターゲットにして、キッチンと直接統合することでフロントスタッフとのやりとりが不要になるようにしたい」と言ったのです。

当時PostmatesはiPhoneを手に入れるために列に並ぶというようなサービスから、Fraicheを含む食品デリバリーサービスの会社に転換していましたが、どちらにしても誰かを店舗に送り、実際に注文をして待たなければなりません。一方でDoorDashはキッチンにiPadを置こうと考えたのです。

TC:CRVはUber(ウーバー)を逃したと言っていましたよね。Travis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が貴社から去って、Benchmark(ベンチマーク)に向かってしまったと。契約書にサインするまで放してもらえなかったようですが。UberはDoorDashのような企業になれた、またはなるべきだったと思いますか?私はまだDoorDashが創業される前の2011年にカラニック氏に会いましたが、その時同氏はUberは食品やその他様々なものを運ぶ物流会社だと言っていました。現在のDoorDashの圧倒的な市場シェアを考えると、Uberはデリバリー事業に参入するまでに時間がかかりすぎたと思いますか?

SG:当初Uberは飲食とは全く関係ない事業で、配車サービスを変わらず続けていました。UberのシリーズAのプレゼンテーション資料にはタクシーをつかまえようとする男の写真が載っていましたし、飲食に関するビジョンは一切ありませんでした。少なくとも私はそう記憶しています。しかし時と共に、Uberは何でもやるようになりました。

DoorDashはパロアルトでローンチしましたが、多くの企業がサンフランシスコで事業を行っていたため、トニーとチームは次にサンフランシスコを目指すべきか、または別の都市にするべきかを決めなければなりませんでした。私も多くの議論に参加しましたが、その結果サンノゼに焦点をあてることにしたのです。

ほとんどの人は知らないと思いますが、サンノゼはアメリカで10番目に大きな都市で、サンフランシスコよりも他の中堅都市やアメリカ郊外の都市によく似たレイアウトをしています。これは戦略上とても重要な決断だったと思います。当時、[より大きな競合の] Grubhub(グラブハブ)やSeamless(シームレス)が密集した都市での成功を証明していました。サンノゼや郊外でそのビジネスモデルが成功するかはよく分かっていませんでした。

TC:明らかに投資家たちはDoorDashが築き上げたものに対して非常に好意的に感じており、昨日は株価が急上昇しましたね。Bill Gurley(ビル・ガーリー)氏と同様に、出資者によって資金を集め損ねていることに不満を感じていますか?従来型のIPOは崩れてしまっていると思いますか?

SG:私はLehman Brothers(リーマン・ブラザーズ)の投資銀行チームでキャリアを開始しました。そこでIPOのプロセスを見てきたので、企業が価格に基づいて資金を取り損ねてしまったことへ不満を感じるのは理解できますが、戦術的な課題としては予測が非常に難しいということです。個人投資家の手に渡れば市場がどうなるかはわかります。

DoorDashの資金調達は始まったばかりなので今後がとても楽しみですし、5000億ドル(約52兆円)以上の企業になる可能性があると思っています。将来とても有望です。今回の資金調達イベントに関しては、銀行家にとって市場全体のどこに着地するのかを知るのはとても難しいと思うので、私は他の人ほど否定的ではありません。

TC:5000億ドル(約52兆円)とは大きな数字ですね。この数字はどう算出したものですか?

SG:フードデリバリーだけ見ても、DoorDashの郊外市場シェアは60%以上に成長し、米国全体の市場シェアは52%を超えており、フードデリバリーで市場を制覇したと言って問題ないでしょう。[中国のショッピングプラットフォームである]Meituanやその他世界規模のフードデリバリー事業を見てみると、DoorDashが現在の道を歩み続けるとすれば、それだけで1000億ドル(約10兆4000億円)の価値を生み出せるということになります。

しかし、私にとってもっと大きな話は、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)が手紙を届けるのに2週間かかっていましたが、FedExの登場によりそれがすごく遅く感じるようになったということです。USPSのネットプロモータースコアはFedExが登場するまでとても高かったのです。インターネットのダイアル回線も同じことで、ブロードバンドの登場までは素晴らしいサービスに感じられました。

画像クレジット:CRV

 

消費者は即時性を望んでおり、ボタンを押すと25分以内にアイスクリームや牛乳、その他様々なものが届くという魔法のような能力を好むのです。そこから商品の幅を広げて行くことができます。例えば12月にはMacy’s(メイシーズ)と提携しているため、シャツやワンピースを購入すると製品が1時間後には自宅に届くようになります。このビジョンを実現するためにDoorDashが構築したインフラを見ると、同社はむしろAmazon(アマゾン)のようにも感じられます。

夢のまた夢のようなビジョンですし、ましてやライドシェアやUberの本業とは程遠い事業体です。

TC:DoorDashとAmazonを比較されていますが、Amazonはより資本集約的なビジネスで、多くのハード資産を持っています。DoorDashもその方向に進むと思いますか?また、DoorDashはどのような買収に興味があると思いますか?

SG:DoorDashは常にテクノロジーを第一に考えています。DoorDash Driveはまだあまり理解されていない製品ですが、これは独自の配送ネットワークを展開するつもりのない企業を支援するものです。例えばWalmart.comで食料品を注文すると、DoorDashがこのための配達を担います。Macy’sは1時間以内の配達を希望していますが、DoorDash Driveがこれを可能にします。またDoorDashは現在、自社のドライバーによる配送と共にエクスペリエンス全体をコントロールしたいと望む大規模チェーンに対して、純粋なSaaSビジネスのような製品も提供しています。[サンドイッチチェーンの]Jimmy John’s(ジミージョンズ)はDoorDashソフトウェアを活用し、自社のドライバーを用いて注文と配送ビジネス全体を運営しています。

DoorDashにはAWSのようなソフトウェアビジネスの要素もあれば、[DoorDashが所有、運営し、今年の夏に展開したコンビニエンスストアの]Dashmart(ダッシュマート)のように資本集約的な要素もあります。7-Eleven(セブンイレブン)やその種のものを買収する可能性があるか否かに関しては、先月[デリバリースタートアップの]goPuff(ゴーパフ)がBevMo(ベヴモ)を買収したのを見ましたが、そうすべき理由がまったくないことはありません。Dashmartを通し、彼らは人々がすぐに手に入れたいものの多くをデータに基づいてすでに把握しています。

TC:DoorDashはゴーストキッチン市場にも参入し、サンフランシスコの南に位置するレッドウッドシティに施設をオープンさせました。これは大きく展開されていく可能性があるのでしょうか?

SG:間違いなくその可能性はあります。DoorDashのデータを活用すれば、[顧客の近くにいられるよう]Long John Silver(ロングジョンズシルバー)や Taco Bell(タコベル)のような新店舗をわざわざ作る必要がないと知ることができますし、その場合レッドウッドシティのキッチンを利用すれば良いわけです。通常なら1時間かかる配達を15分でできるようにする方法を浮き彫りにしたデータをすでにお見せすることもできます。同社はこういったコンセプトにおける収益拡大を促進しています。

他にも、例えば起業家が「パロアルトにはピザ屋がないからそこを狙って『Saar’s Pizza Company』を立ち上げよう。費用対効果を考えると、イートインスペースを備えた店舗や建物なんていらないね」といった具合にデータを役立てることができます。

TC:一方で、DoorDashとの提携に際して、その手数料の高さにレストランオーナーから不満の声も出ているようですが?

SG:私自身レストランを経営した経験があるからこそ言えることですが、ウォートンのMBAを持っている私の妻にとってさえ経営における数字を把握するというのはとても難しいことです。味方がいないような気分にもなりますし、中小企業を経営するというのはとても大変なことです。DoorDashによって増分収益を得ることができていて、限界利益の概念を理解できているのであれば、食品のマージンで儲けることができ、キッチンのキャパシティもあるということが把握できるため、物を売り続けても問題ないということになります。

これこそがDoorDashがクイックサービスの上位50のレストランのうち約45店と契約できている理由です。これはかなりの数字であり彼らがうまくいっていなければ、彼らがこれほど長くサービスを利用したり、このパートナーシップに大金を投資したりするわけはありません。

ただし、もちろん価格の高さに驚かれるというのは常について回るでしょう。

TC:クイックサービスやゴーストキッチンなどは非常に効率的なシステムのため、それによって家族経営の飲食店などが淘汰されてしまうのではという懸念もあります。これに関してはどう考えていますか?

SG:私たち人間は社会性を求める存在であり、誰かと食事を共にするという習慣がなくなるとは思えません。実店舗とオンラインショップを両方持つ小売店のように、より賢いブランドは[オフラインとオンラインの両方を持つように]なると思います。よりスマートなコンセプトはチャネルを越えてブランドを構築する方法を理解していくことでしょう。私は世の中のパブやThe French Laundry(フレンチランドリー)などのレストランがポストコロナの世界で再び調子を取り戻すと信じています。多くの人々がこういった体験を心待ちにしているからです。

TC:DoorDash自体はどのようにして黒字化していくのでしょうか?

SG:実際よく見てみると、この夏DoorDashは利益を出しています。それどころか同社はCOVIDで影響を受けた中小企業を支援するため1億2000万ドル(約125億円)を捻出しているため、これさえなければむしろ結構な額の現金を生み出しているはずです。

DoorDashのような会社では大きなビジョンを掲げて採用を進める必要があり、同時に高度な数字による裏付けも求められますが、シュー氏は常に正確な数字を算出し非常に定量的な目標を設定することができています。また新しい市場では[成長中のため]利益を上げられていませんが、古い市場での利益だけでなく、新市場で時間の経過とともに利益がどのように拡大していくのかを示したコーホート分析が存在します。

既にいつでも成長から利益を得ることにフォーカスを切り替えることもできますが、それは同社の戦略ではありません。

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カテゴリー:フードテック
タグ:フードデリバリー インタビュー

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(翻訳:Dragonfly)

超迅速に食品配達を行うことしかわかっていないデリバリースタートアップDijaが21億円を調達間近

TechCrunchが入手した情報によると、Deliverooの元上級社員が設立した英国のスタートアップDijaは2000万ドル(約20億9000万円)の資金を調達した。

​複数の情報源によると、ラウンドはまだ完了していないが、元IndexとLocalGlobeのVCであるOphelia Brown(オフィーリア・ブラウン)氏が設立したアーリーステージのベンチャーキャピタルであるBlossom Capital(未訳記事)が主導しているという。​他に誰が候補に挙がっているのか明らかではないが、非常に競争が激しく、このスタートアップは複数の一流ファンドからオファーを受けていたと私は理解している。​Blossom CapitalとDijaはコメントを避けている。

コンビニエンスストアとデリバリーの分野で活躍しているDijaは、Deliverooで長年上級職を務めたAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏とYusuf Saban(ユスフ・サバン)氏によって設立された。

メノラシナ氏は以前、大手テイクアウトデリバリー企業のCorporate Strategy and Developmentのディレクターを務め、それ以前はいくつかの役職を歴任していた。彼はまたイタリアでInstacartスタイルの食料品配達企業であるEverli(旧Supermercato24)を共同設立し、Just Eatでも働いていた。

サバン氏はDeliverooのCEOの元チーフスタッフで、投資銀行モルガン・スタンレーでも働いていた。

つまり2人とも、スタートアップからスケールアップまでの食品物流業界での経験豊富な人物だ。​メノラシナ氏とサバン氏はDeliverooのシリーズD、E、Fの資金調達ラウンドにも貢献した。

​一方、Dijaの詳細はほとんど明らかにされていない。「ダーク」コンビニエンスストア・モードを利用してコンビニの商品や生鮮食品のデリバリーを提供を行う。人口の多い都市部にハイパーローカルフルフィルメントセンターを建設し、超迅速なデリバリーを行うことくらいしかわかっていない。米国のAccelやSoftBankが出資するgoPuff、あるいは英国のスタートアップWeezy(未訳記事)のようなものだ。

​とはいえ、このモデルは試されたすべての場所でまだ証明されたものではない。しかし、Dijaが良いスタートを切る資本集約的なレースになる可能性が高い。もちろん、パンデミックの中、誰もが食料品をオンラインで購入するようになっている。つまりこれまでと同じく、成功するかどうかはタイミングがすべてだ。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Dija食品配達配達資金調達

画像クレジット:Shelyna Long / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

遠隔操縦宅配カートがロサンゼルスの食料品店で活躍中

ロボットはもはや、大学の研究室やeコマース大手やシリコンバレーでイケイケのスタートアップ御用達のハイテクツールではない。街の食料品店でも使えるようになった。

電動スクーターの遠隔回送で知られる設立1年目のシリコンバレーのスタートアップTortoise(トータス)は、その技術を宅配カートに応用した。同社は、地域の店舗や高級ブランドショップに電動カートを提供する目的で、オンライン食料品販売プラットフォームSelf Point(セルフ・ポイント)と提携した。地元の消費者に、遠隔操縦オペレーターの手で商品を届けるというものだ。

これら2つの企業は、すでにロサンゼルスの3社の顧客に製品を提供している。Kosher Express(コーシャー・エクスプレス)をはじめとする各顧客には、店から半径3マイル(約4.8km)以内の範囲で配達ができるカートを2台または3台が割り当てられている。歩道を自律走行する車両を運用する宅配業者のネットワークモデルとは異なり、食料品店は宅配カートをリース契約で借り受け、保管、充電、注文された商品の積み込みなどは自身で行うことになっている。

Self PointとTortoiseの初の事業は小規模なものだ。しかしこれには、ロサンゼルスの外に拡大できる素質がある。Tortoiseにとってこれは、遠隔操縦式の回送技術をさまざまに応用して水平的に事業展開するという大きなビジョンの検証するという重要な意味を持つものだ。

Tortoiseは、電動スクーターにカメラと電子回路とファームウェアを組み込み、遠く離れた場所からオペレーターがそのマイクロモビリティーを操縦して利用者の元へ届けたり、正規の保管場所に戻すという事業からスタートしている。その同じハードウェアとソフトウェアを利用して、今度は独自の宅配カートを作り上げたのだ。

Tortoiseの共同創設者で社長のDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は、同社の遠隔回送キットは、警備ロボットや掃除ロボット、さらに電動車椅子やその他の生活支援デバイスに応用できると話している。彼はまた、遠隔回送スクーターを作物の監視用に使えないかと農家から相談も受けている。

「現実的な観点から、一夜にしてあらゆる分野に乗り込むべきではないと考えていますが、技術的制約は1つもありません」とシェベレンコ氏は最近のインタビューに応えて話していた。

新型コロナウイルスの流行と、それが顧客の行動に及ぼした影響に動かされたTortoiseの第2幕は、宅配カートに決まった。

「現在は顧客の行動が変化する一世一代の時期なのだと、私たちは咄嗟に悟りました。あらゆるものがオンラインに移行し、人々はそれが自宅に配達されることを望んでいます」とシェベレンコ氏。Tortoiseは2020年5月にこの事業に着手してから、第4四半期には宅配カートの展開に漕ぎ着けた。それは、ハードウェアとソフトウェアと従業員の目的を変更できる、同社のリパーパス能力の賜物だ。

同社はいまも、マイクロモビリティーへの最初の技術適用に関して強気の姿勢を保っている。2020年初め、Tortoise、 電動スクーター配車サービスGoX(ゴーエックス)、技術系インキュベーターCuriosity Labs(クリオシティー・ラボズ)は、ジョージア州ピーチツリーコーナーズにて、ユーザーがアプリでスクーターを呼び出せるという6カ月間のパイロット事業を開始した。スクーターにはTortoiseの技術が搭載されている。利用者がスクーターを呼ぶと、何百マイルも離れた場所にいるTortoiseの従業員がスクーターを遠隔操縦してその人の元に届けるという内容だ。利用後、スクーターは安全な駐車場へ自動的に戻る。そこで、GoXの従業員がスクーターの充電と消毒を行い、適正に消毒されたことを示すステッカーを貼る。

Self Pointとの提携はTortoiseの次なる大きなプロジェクトだが、同社はオンデマンド宅配市場のほんの一切れに集中するだけだと、シェベレンコ氏は釘を刺した。

「速度が遅いので、温かい食事の配達には適しません」と彼はいう。Kiwibot(キウィボット)やStarship(スターシップ)などのスタートアップは、その市場に特化した小型ロボットを提供しているとシェレベンコ氏は補足した。Tortoiseの宅配カートは、大量の食品や酒などの商品の配達に特化している。

「食品産業には大きな間口があります」と話す彼は、自動化技術がいまだ開発途中である現在、遠隔操縦オペレーターと同社のキットの組み合わせを採用すれば、コストが削減できると指摘している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Tortoise配達食品配達

画像クレジット:Tortoise

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(翻訳:金井哲夫)

ゴーストキッチンの動きを探るソフトバンク・ビジョン・ファンド2がOrdermarkに約125億円を投入

「私たちは分散型のゴーストキッチンを構築します」という一文には、無数の投資家を呼び寄せるものがある。Ordermark(オーダーマーク)を支える最高経営責任者Alex Canter(アレックス・キャンター)氏も、そこをよくわかっていた。

29歳のこのCEOは、実際に分散型ゴーストキッチンを作った。そして、ソフトバンクの最新のビジョン・ファンドの説得に成功し、1億2000万ドル(約125億円)の投資を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

「私たちは、Nextbite(ネクストバイト)というこのサービスを通じて、さらに多くの注文がレストランに入る機会を公開しました」とキャンター氏。「Nextbiteは、UberEats(ウーバーイーツ)、 DoorDash(ドアダッシュ)、Postmates(ポストメイツ)にのみ存在するデリバリー専門レストランブランドのポートフォリオです」。

Nextbiteの話を聞いた直後のソフトバンクは、あまり乗り気ではなかった。

最新のビジョン・ファンドの投資家たちが初めてキャンター氏と会ったのは、2019年、Ordermarkが前回の資金調達を発表した後だった。キャンター氏がちょうどNextbiteの実験を開始した時期だったのだが、いまではその事業は同社に大きな収益をもたらすまでになり、2021年には同社の事業の柱になると期待されている。

Ordermarkの先進的な技術プラットフォームと革新的な仮想コンセプトレストランが、レストラン業界を変革すると私たちは信じています」と、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザー)の業務執行社員Jeff Housenbold(ジェフ・ハウゼンボルド)氏は声明の中で述べている。「アレックスとOrdermarkのスタッフは、独立系レストランが直面している問題を深く理解しています。独立系レストランのオンラインでの注文受け付けを最適化し、空いているキッチンで収益を倍増させるという彼らのミッションを支援できることに、私たちは胸を躍らせています」。

これは興味深い方向転換だった。なぜなら同社はGrubHub、PostmatesUber Eatsといったさまざまな配達サービスにオンラインで入ってくるデリバリーの注文を、レストランに代わって一括管理する集中型ハブとしてスタートしているからだ。

キャンター氏は、レストラン事業の新参者ではない。彼の家族は、ロサンゼルスで最も有名なデリカテッセンの1つであり、家族の名前を冠したCanters(キャンターズ)のオーナーだ。そしてOrdermarkは、多種多様なデリバリーの注文で大混乱に陥っているレストランの裏方を助けて管理する企業としてスタートしている。

現在キャンター氏は、1つのレストランブランドの所有者ではなく、15のブランドを運営している。Cloud Kitchens(クラウド・キッチンズ)、Kitchen United(キッチン・ユナイテッド)、Reef(リーフ)などと違い、Ordermarkは新しいキッチンの建設や運営は行わない。その代わりに、準フランチャイズとして機能するよう厳選したレストランの使われずに遊んでいるキッチンスペースを利用している。

Ordermarkの一部のデリバリー専用コンセプトレストランのロゴ(画像クレジット:Ordermark

レストランのコンセプトはほとんどが内部で開発されているが、Ordermarkはセレブのスポンサーも受け入れていることもある。同社のNextbiteサービスは、ラッパーのWiz Khalifa(ウィズ・カリファ)が経営する「大麻でラリった人のためのスナック」が売りのデリバリー専門レストランHotBox by Wiz(ホットボックス・バイ・ウィズ)と提携している。

キャンター氏が立ち上げた最初のブランドは、The Grilled Cheese Society(ザ・グリルド・チーズ・ソサエティー)だ。ロサンゼルスのナイトクラブや、東海岸の個人経営のレストランの空いているキッチンを利用して足場を築き、現在では米国内に100カ所を数えるまでになった。

Nextbiteがどのような成長をもたらすのか、それを示してくれたのは、おそらくHotBoxの成長だろう。キャンター氏によればこのブランドは、10月初めに立ち上げられ、同月末には50の都市に拠点を築くまでに大きくなったという。

Nextbiteは、Ordermarkのデリバリー集約技術がなければ存在し得なかったともいえる。「Ordermarkの技術は、オンラインの注文をデバイスで集約するだけでなく、いくつものブランドもデバイスに集約できるようデザインされています」。

キャンター氏によれば、Nextbiteブランドとしてフルフィルメントパートナーの契約を結んだレストランは、追加の初期費用はほとんどかからず、相応の利益が得られるという。レストランは、Ordermarkのブランドとして受けた注文1つにつき30%のマージンを受け取ることができるとキャンター氏は話す。

Nextbiteのレストランネットワークに加わるには、Ordermarkによる事業の審査に通る必要がある。同社では、異なる地域でもうまくやっていけるレストランか、時々の流行に合わせたメニュー開発ができるか、といった点を参考にする。例えばNextbiteは先日、ホットチキンサンドのブランドを立ち上げたが、それがいくつものデジタルデリバリーサービスで人気上昇中の品目であることを事前に調査していた。

選ばれるのは、OrdermarkのNextbite事業が生み出すデリバリー専門ブランドのスタイルに即したメニューを提供できるレストランだ。

メニュー開発には、デンバーで活躍するシェフのGuy Simsiman(ガイ・シムシマン)が、新メニュー開発責任者として参加している。

「私たちは、拡大できるとわかったものを作っています。そして、適切なタイプのフルフィルメントパートナーを探すために、大量の事前審査を行っています」とキャンター氏。「フルフィルメントパートナーとしてレストランと契約するとき、私たちは彼らを審査し、彼らが行うべきことをトレーニングします。……コンセプトに合致したフルフィルメントパートナーになれるよう、彼らを導くのです。かなり大量のトレーニングを実施します。その後は、品質をモニターするための覆面調査やレビューの調査も行います」。

NextbiteはOrdermarkの事業の未来を担うことになるだろうが、健全性は全体に安定している。同社のシステムを通じて処理される注文の総額は、10億ドル(約1040億円)を超える勢いだ。

「現在は、私たちのレストランが新型コロナ禍を生き延びることにピンポイントで集中しています。そこで私たちにできる最良の方法が、Nextbite事業の収益増にすべてを賭けることなのです」とキャンター氏は、同社の重点は今後どこに置かれるのかとの質問に答えていった。

「Nextbiteは、長い時間をかけて開発してきました。2019年の新型コロナウイルスが流行る前に、私たちはこれを市場投入しています。米国中のすべてのレストランが、新型コロナの打撃を受け、高い創造性が求められるようになりました。客が店に歩いてこなくなった穴を埋める代替手段を、彼らは求めていました」と彼は話す。Nextbiteがその答となった。

カテゴリー:フードテック
タグ:OrdermarkフードデリバリーゴーストキッチンSoftBank Vision Fund資金調達

画像クレジット:Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

野菜をしっかり摂れる置き型社食「OFFICE DE YASAI」(オフィスで野菜)を展開するKOMPEITO(コンペイトウ)は10月27日、いわぎん事業創造キャピタルより追加出資が決定し、総額4億円超の資金調達を実施したと発表した。

OFFICE DE YASAIは、オフィスに冷蔵庫や冷凍庫を設置するだけで、健康とおいしさにこだわったサラダやフルーツ、惣菜などを定期的に届ける食の福利厚生サービス。

資金した調達は、全国への配達エリア拡大に利用。10月より新たに北海道・静岡県・岡山県・沖縄県で配達をスタート、11月からは岩手県・京都府での配達スタートが決定済みで、今後順次エリアを拡大していく。

また北海道では、オリジナル商品として道内産のキャベツ、人参、玉ねぎなどを商品に使用。沖縄県でも、沖縄県産のゴーヤやキャベツなどを使用する。各都道府県内の企業と提携しオリジナル商品の企画・販売を行うなど、今後も地産地消の促進に取り組んでいくという。

OFFICE DE YASAIは、これまで東京を中心に横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡エリアにおいて、新聞販売店や牛乳販売店と提携することで独自の物流網を構築。配達エリアの顧客企業には、同社や提携先のスタッフが直接商品を届ける形で消費期限の管理・集金などを実施しており、顧客企業は管理の手間なく利用できる。またこれまで、提携先を含む同社配達網以外のエリアについてはクール宅急便で商品を届けていたが、今後は配達網を全国に拡大していく。

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

2012年9月設立のKOMPEITOは、「つかい手とつくり手を豊かにする」をミッションとして掲げ、消費者と生産者をつなぐ新たなチャネルを通じ、農産物の流通改革にチャレンジしているスタートアップ企業。

2014年からサービスを開始したOFFICE DE YASAIは、2020年10月時点でスタートアップ企業・大手企業・医療機関など全国累計2000拠点以上に導入。プランは、「オフィスでやさい」と「オフィスでごはん」の2種類を用意している。

またOFFICE DE YASAIで培った商品力や物流網を活かし、2020年には個人宅向けサラダ・スムージー宅配のサブスク「おうちでやさい」サービスをスタートした。

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カテゴリー: フードテック
タグ: OFFICE DE YASAIKOMPEITO食品配達 / フードデリバリー資金調達日本

食品デリバリーが好調を維持する中、GrubMarketが約64億円を調達

テクノロジーを活用して食品の調達と宅配に関するサービスをより使いやすくしてきた企業が今年、急成長を遂げている。新型コロナウイルスのせいでソーシャルディスタンスを確保するよう求められた(または強制された)数百万人の消費者が、ショッピングや外食を控えて人混みを避けるようにしているからだ。

そのような企業の1つであるGrubMarket(グラブマーケット)が本日、次のステップであるIPOを見据えた新たな資金調達ラウンドについて発表した。同社は、農産物やその他の商品を、消費者およびその他の食品再販サービス業者に供給している企業だ。

グラブマーケットは、消費者から農産物やその他の食品および家庭用品などの注文を受けて配達も行うB2Cプラットフォームであり、食料品店やキット食品会社、その他の食品系テックスタートアップ向けに再販用の農産物を供給するB2Bサービスでもある。同社は本日、シリーズD資金調達ラウンドで6000万ドル(約63億5800万円)を調達したと発表した。

グラブマーケットに詳しい筋からの情報によると、同社は利益を出しており、当初は2000万ドル(約21億1900万円)以上調達する計画はなかったが、その評価額は現在、前回ラウンドの2倍に相当する4億ドル~5億ドル(423億円~529億円)に達しているという。

調達資金の出資元は、BlackRock(ブラックロック)、Reimagined Ventures(リイマジンド・ベンチャー)、Trinity Capital Investment(トリニティ・キャピタル・インベストメント)、Celtic House Venture Partners(セルティック・ハウス・ベンチャー・パートナーズ)、Marubeni Ventures(マルベニ・ベンチャーズ)、Sixty Degree Capital(シックスティ・ディグリー・キャピタル)、およびMojo Partners(モジョ・パートナーズ)によって管理されているファンドとアカウント、および以前の投資会社であるGGV Capital(GGVキャピタル)、WI Harper Group(WIハーパー・グループ)、Digital Garage(デジタル・ガレージ)、CentreGold Capital(センターゴールド・キャピタル)、Scrum Ventures(スクラム・ベンチャー)、その他非公開の参加者だ。以前の投資会社にはY Combinator(ワイ・コンビネーター)も含まれている。グラブマーケットはワイ・コンビネーター主催の2015年冬季クラスに参加している。ちなみに、グラブマーケットの前回の資金調達は2019年4月で、評価額は2億2800万ドル(約241億6800万円)、調達額は2800万ドル(約29億6700万円)だった。

創業者兼CEOのMike Xu(マイク・シェイ)氏は次のように語る。「以前話した上場する計画は変わっていない。ただ、民間市場から問題なく資金を調達できていること、昨年から100%の成長を達成していること、現在(コロナ禍の影響で)IPO市場が不安定であることなどを考えると、正確な上場時期については明言できない」。とはいえ、同氏が近い将来の上場を見据えていることは明らかだ。

同氏は電話とメールの両方で「私の起業経歴において唯一の成功判定基準は、最終的に年商1000億ドル(約10兆5900億円)を達成できるかどうかだ」と話してくれた。「この目標を達成するためなら、粛々とハードワーキングを続ける。15年かかろうと50年かかろうと関係ない」。

この言葉に嘘はないと思う。今回同氏に電話をしたのもカリフォルニアでは深夜の時間帯だった。もう少し早い日中で都合のよい時間はないかと何度も尋ねたが無駄だった(食品ビジネスに忙殺されているため、朝の4時半くらいが最も頭が冴えるのだという)。同氏は落ち着いた振る舞いの大変穏やかな人物だが、この見かけに騙されてはいけない。仕事に対する集中力と意欲はすさまじい。

最近は、食品の購入、従来型の食料品店や実店舗の食品市場の話をするときに、食料品配達企業、レストラン配達プラットフォーム、キット食品サービスなど、アプリを使って利用者に食品や調理を届ける企業が話題にのぼることが多くなっている。利益は上げているもののあまり知られていないグラブマーケットは、こうしたあらゆるカテゴリーに属する食品関連企業を下支えする大手企業としての地位を築き上げてきた。今や、食糧生産者と対消費者企業との間の橋渡し役として重要な企業の1つとなっている。

同社は、市場のディスラプション(破壊的創造)と隙間という形のビジネスチャンスを見出した。食糧生産の世界では、配送業をはじめとする昔からの非テック系産業と同じく、昔ながらのやり方で大量の取引が行われている。そこでグラブマーケットは、食糧サプライチェーンのさまざまなセグメントを高速にかつ効率よく接続するソフトウェアを構築し、それを実行するための物流を提供し始めた。

もちろん、この分野はコロナ禍による健康被害がなくても進化しただろうと思われるが、コロナウイルスの発生と感染拡大によって、食料品宅配の需要が増大しただけでなく、食糧サプライチェーンを構成する各業者が、少ない接触頻度で、なおかつテクノロジーの導入によって効率よくやり取りできるようになったことが、グラブマーケットにとって追い風となったのは確かだ。

グラブマーケットのプラットフォームWholesaleWareによる売上高は、昨年の8倍以上に拡大しており、年間「数億ドル(数百億円)の食糧品卸売取引」を管理するまでになっている。

グラブマーケットのテクノロジーを支えているのはその莫大な取引量だ。まさに「規模の経済性」が機能している。同社は、サンフランシスコのベイエリア、ロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、テキサス州、ミシガン州、ボストン、ニューヨークなどで事業を展開しており、全米で21の倉庫を運営しているという。シェイ氏はグラブマーケットをベイアリアとカリフォルニアのその他の地域における「巨大食料品プロバイダー」と呼んでおり、サンフランシスコベイアリア東部の倉庫には226万キログラム以上の冷凍肉が保存されている。

同社の顧客には、500以上の食料品店、8000件のレストラン、2000社のオフィスが含まれており、Whole Foods(ホールフーズ)、Kroger(クローガー)、Albertson(アルバートソン)、Safeway(セイフウェイ)、Sprouts Farmers Market(スプラウツ・ファーマーズ・マーケット)、Raley’s Market(レイリーズ・マーケット)、99 Ranch Market(99ランチ・マーケット)、Blue Apron(ブルーエプロン)、Hello Fresh(ハローフレッシュ)、Fresh Direct(フレッシュダイレクト)、 Imperfect Foods(インパーフェクトフーズ)、Misfit Market(ミスフィットマーケット)、Sun Basket(サンバスケット)、GoodEggs(グッドエッグス)などの有名企業が名を連ねている。こうした企業は、グラブマーケットから供給された食料品をそのまま再販したり、キット食品などの自社製品に加工して販売したりしている。

グラブマーケットの成長の大部分は同社が扱う農産物と同様に有機的な(M&Aに頼らない自律的な)成長だが、その高い収益性を資金源としてM&Aにより成長した部分もある。同社は今年買収したBoston Organics(ボストン・オーガにクス)とEJ Food Distributor(EJフーズ・ディストリビューター)も含め、過去2年で15社ほどを買収している。

とはいえ、グラブマーケットにも成長期の苦しみがなかったわけではない。シェイ氏によると、食糧品配達業界の他社と同様、今年3月から4月にかけてのパンデミック発生時には大いに困惑したという。「一部の地域では1日あたりの配達量を制限する必要があった。また、新規の顧客は対応できるまで順番待ち状態になった」。それでも、B2Cビジネスは、市場によって差はあるが、3~5倍の成長を達成した。5月までには状況が落ち着きを取り戻し、B2B顧客の一部は各都市がロックダウンされた後も戻ってこなかったが、B2Bカテゴリー全体としては概ね回復したという。

グラブマーケットが企業として従量員と顧客の新型コロナウイルス感染を防ぐため非常に積極的な対策を講じている点は興味深い。ウイルス検査の実施がまったく追いついていない状況で、できるかぎり検査を実施するとともに、ソーシャルディスタンスや消毒なども徹底して行った。

「マスクに関しては強制はされていなかったが、広くマスクを配布した」とシェイ氏はいう。

これまでのところ、それが功を奏しているようだ。同氏によると、今年、検査結果が陽性だった従量員は数人だけだったという。4月に見つかった感染者は、検査ではなく(ミシガン州では検査は実施されていなかった)、毎日のチェックによって判明した。ある従業員に感染の兆候があることがわかったのだ。対応は迅速だった。同社創業以来、また食糧品サプライ業界全体で、最も忙しい時期だったにもかかわらず、施設は2週間閉鎖され消毒が行われた。

このような対応は、不正行為によって多くのリーダーたちに対する信頼が失墜しているように思われる時期において特筆すべきリーダーシップであり、グラブマーケットの力強い成長を後押しするものになる。

「急成長と純利益を継続している確かな実績があるグラブマーケットは、食糧品テクノロジーとeコマース分野のシリコンバレースタートアップとしては極めてまれなケースだ」とセルティックハウスベンチャーパートナーの管理パートナーJay Chen(ジェイ・チェン)氏は言う。「4年間で15倍の規模に成長した同社の創造性と資本効率性は、この分野では他社の追随を許さない。マイクは会社を慎重にかつ持続的に成長させるという素晴らしい仕事をした。同社が全米規模で急成長を遂げる時期にパートナーであることを誇りに思うと同時に、同社のSaaSスイートWholesaleWareの衰えを知らぬ勢いにわくわくしている。この分野では最高のSaaSスイートだ」。

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カテゴリー:フードテック

タグ:食品配達 資金調達 GrubMarket

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(翻訳:Dragonfly)

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

「日本全国に料理と飲み物を1箱にしたフードボックス」を届ける「nonpi foodbox」を展開するノンピは9月28日、「ランチプラン」の販売を開始した。配送開始は10月5日で、価格は税抜3000円。

ノンピが、食事をしながら気軽に意見交換ができるランチミーティングをオンラインでも実現できるよう、オンラインランチ会議専用の「nonpi foodbox」を開発。ランチタイム向けの食事(全9種)とソフトドリンク(全2種)を1箱にして、参加者の自宅(指定住所・指定配送日時)にクール便で全国配送を行う(一部地域除く)。

また利用の際は、開催日7営業日前までに申し込む必要がある。幹事から参加者のメールアドレスをノンピに送付すると、同社にて配送先住所や配送時間を収集する。幹事のオペレーションを最小限に抑えると同時に、参加者のプライバシーを守れるとしている。また、費用清算は一括での対応となる。

販売個数は最大1日3000食で、1日500食以上の注文を希望する場合は、事前に問い合わせるよう呼びかけている。

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

食事内容は、つまみやすいデリ6種ほか、同社のマンチーズケータリングでも人気のあるメニュー、ミニバーガー・ラップロール・カルボナーラペンネをセットにした。ボリューム感のあるプランでありつつ、食べやすいサイズにしており、食事だけに集中しずぎず会話の流れを止めないよう工夫したという。

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

またソフトドリンクについては、ノンピが運営するカフェR.O.STAR豊洲店で提供している、人気コーヒーをセット。属焙煎士が生豆の買い付けから焙煎まで自分たちの手で納得いくまで行い、焙煎して2週間以内のフレッシュな豆だけを用いて、1杯分のドリップバッグの状態で届けるとしている。

ノンピ「nonpi foodbox」が法人向けオンラインランチ会議専用の食事配送を開始

  • 料理全9種: 6種のアラカルト(トマトのタルトキッシュ、エビとブロッコリーのサラダ、鶏もも肉のから揚げ、ラタトゥイユ、生ハムとキャロットラぺのサラダ、野菜のピクルス)、ミニチーズバーガー、ラップロール (フムスとキャロットサラダのベジタブル)、カルボナーラペンネ
  • ドリンク全2種: ドリップバッグ入りコーヒー(カップ、スティックシュガー、ミルク、マドラー付き)、お茶

コロナ禍で急速したリモートワークにより、作業効率を優先する反面社員同士のコミュニケーションが最低限の打ち合わせや連絡事項だけになり、何気ない会話や些細なコミュニケーションの必要性を感じるという声も少なくない。

一方で、夜の懇親会の場合お酒が飲めない、プライベートの予定がある、子供がいるなどの事情を考慮する必要がある。

ノンピは、4~5人程度の少人数のランチミーティングなら、限られた時間の中での開催のため、延長されにくいこと、スケジュール調整しやすい点をメリットとして指摘。雑談はじめリラックスした状態でコミュニケーションを取れるほか、気軽に意見交換アイディア出しにも最適な点も挙げている。

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ドイツのDelivery HeroがGlovoの中南米フードデリバリー事業を280億円超で買収、8カ国でサービス拡充を進める

利益率の低いフードデリバリー業界でのさらなる統合が発表された。ドイツ・ベルリンを拠点とするDelivery Hero(デリバリーヒーロー)は、スペインのオンデマンドデリバリーアプリ「Glovo」の中南米事業を買収すると発表した。同社は9月16日、最大2億3000万ユーロ(約282億円)を支払って8つの市場でのサービス展開を始める。

同社は、数週間以内に取引を完了する見込みであると述べており、この取引はGlorovoが事業を展開しているラテンアメリカのすべての国、すなわちアルゼンチン、ペルー、エクアドル、パナマ、コスタリカ、ホンジュラス、グアテマラ、ドミニカ共和国の8カ国だ。

Glovoは今年の初めに、ラテンアメリカの2つの市場からすでに撤退していたが、当時は「配送業者のトップ2社の中で地位を確立できる市場に集中している」と説明していた。なお、同時に中東からも撤退している。

Delivery Heroにラテンアメリカ地域の事業が移管されることで、同社は14の市場を持つち、南欧と東欧にさらに力を入れることになる。利益率の低い配送業界で収益性に疑問を感じていることを考えると、この動きは大きな驚きではないだろう。

昨年12月にGlovoは、「1年以上の時間をかけて」収益性を達成しようとしていることに焦点を当てていると述べていた。しかしそれは、本質的には競合他社との競争に勝ち、運営している場所で支配的なプラットフォームになることを意味し、ユニットの経済性が積み重なっている都市でのみ運営することを意味する。

Globoの共同創業者は「2020年はラテンアメリカの事業が黒字になると予想している」と語っていたが。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が業績を追い込んだのかもしれない。

さらにソフトバンクの数十億ドルとの戦いもある。日本のハイテク投資家であるソフトバンクは中南米を対象とした20億ドル(約2090億円)のファンドを保有しており、オンデマンド配信のスタートアップにも複数の投資を行っている。この地域で競争するためのコストが上昇している可能性が高く、収益性を追求するGlovoの後押しにはならなかった。

Glovoで最高経営責任者(CEO)を務めるのOscar Pierre(オスカー・ピエール)氏は今回の売却について「長期的に持続可能な事業を構築し、当社独自のマルチカテゴリー製品を顧客に提供し続けることができる主要市場に集中することが重要だと考えています」と述べている。「今回の取引により、当社がすでに非常に強みを持つ市場でのプレゼンスを強化すると同時に、大きな成長の可能性と機会がある新しい市場に投資することが可能になります。Delivery Heroは、ラテンアメリカで築いてきたビジネスを次のレベルに持っていくための最高のパートナーだと確信しています。彼らには、この地域をリードするプレイヤーになるために必要なものがすべてがそろっています」と同氏は付け加えた。

今回の売却は、Delivery Heroがラテンアメリカのフットプリントに新たに5つの市場を追加することを意味するだけでなく、これまで2社が直接競合していた、アルゼンチン、パナマ、ドミニカ共和国の3つの市場の競合相手を排除されることを意味する。

これらの重複する3つの市場では、取引の完了と同時にGlovoの事業を直接引き継ぐことになる。ただし、Glovoは2021年3月まで他の事業を継続して運営する。

なおこの取引は、一定の条件を満たし、関連する規制当局の承認を得ることを条件としている。

Delivery HeroのCEO兼共同創業者であるNiklas Östberg(ニクラス・エストバーグ)氏は声明で「ラテンアメリカはフードデリバリー事業にとって『例外的な成長の可能性』がある」と述べている。我々はわずか2年前に、地元ドイツでの事業を競合のTakeaway.comに事業を売却したばかりです。だから、フードデリバリーの分野は、プレイヤーがポジションを競い、彼らが望む収益性を得ることが重要なのです。

同氏はx「ラテンアメリカは、オンライン配信の可能性が非常に高い地域です。Glovoの現地法人を買収することで、革新を推進し、顧客満足度を継続的に向上させ、地域の現地ベンダーをサポートするための取り組みを強化する機会が得られます。当社は長年にわたりGlovoと密接に協力しており、彼らのラテンアメリカでのサービスを当社のグローバルネットワークに組み込んでいることを誇りに思っています。」と語った。

ちなみにDelivery Heroは、食料品配達の分野にも進出しており、8月にはドバイに拠点を置くInstaShopを買収済みだ。新型コロナウイルスの危機の間、ユーザーは通常よりも自宅にいる時間が長いことに気付いたため、食料品の配達は有望視されている。

Glovoはまた、自分自身を「食品配達以上のもの」とうたっている。アプリ内のボタンで、ユーザーは「何でも」の配達を要求できる。もしくは、少なくともその宅配業者がバイクや原付で管理できるものを。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

形などが不細工な規格外の果物や野菜を販売するMisfits Marketが91億円調達

形などが不細工で規格外の農産物を販売する電子商取引プラットフォームのMisfits Market(ミスフィット・マーケット)は米国時間7月22日、8500万ドル(約91億円)のシリーズBラウンドをクローズしたと発表した。この投資はValor Equity Partnersが主導し、Greenoaks Capital、Third Kind Venture Capital、Sound Venturesが参加している。

Misfit Marketは、形の悪い安価な農作物をパッケージにして消費者に届けるサブスクリプションサービスとして事業を開始した。扱うのは、流通業者や食料品店の手に渡る前に農家が廃棄してしまったかもしれない作物だ。なぜなら形の悪い作物は、店に並べたところで結局は捨てられることが多いからだ。

そうした農作物には質が劣るわけではない。ただ、形のそろったものが山積みされた中から、あえてそれを選ぶ消費者がいないという問題があるだけだ。

Misfit Marketは、シリーズA投資を獲得してから取り扱い商品の幅を広げる努力をしてきた。現在は、チョコレート、スナック、チップス類、コーヒー、ハーブ、穀物、レンズ豆、ソース、スパイスも買える。利用者は、週1回配達されるボックスに、これらの商品をお好みでで加えることができる。どれも、通常の小売り価格の20〜25パーセント安い。これらの製品は、週に1日(木曜日)だけ提示され、ボックスに入れることができる。

Misfit Marketの基本理念は、食料品サプライチェーンの数々の構造的な非効率性に着目し、作物を安く手に入れ、節約できた経費を消費者に還元するというものだ。この非効率性には、販売期限の問題も含まれる。一部には販売期限の9カ月も前に陳列しなければならない商品もある。また無駄なミスもある(Misfit Marketと契約しているオリーブオイルのメーカーには、缶のラベルを上下逆さまに貼り付ける悪い癖があった)。

期限が重要になる商品でも、Misfit Marketは消費者に直接届けることができるため、流通業者や食料品店と同じルールに縛られることがない。それにより、物流業務をうんと高速化できる。

今回の資金調達の公表にともないMisfit Marketは、ニュージャージー州デランコに新しい倉庫を開設し、米東海岸、南部、中西部への対応能力が倍になるということも発表した。これにより、アラスカ、ミシシッピ、ルイジアナの各州にも配達の足がかりが広がり、さらにウィスコンシン、ミネソタ、アイオア、ミシガンの各州でのサービスが間もなく開始される予定だという。

画像クレジット:Misfits Market

画像クレジット:Misfits Market

膨大な食品廃棄問題を抱えた食品業界も、非効率のままでいたいと望んでいるはずがない。データ科学の面からこの問題に取り組むCrisp(クリスプ)などのスタートアップもある。私はMisfit Marketの創設者でありCEOのAbhi Ramesh(アビ・ラメッシュ)氏に、今後のサプライチェーンの効率化と、Misfit Marketの継続的な成長を妨げるものは何かと尋ねてみた。

「これだけテクノロジーが発達していながら、廃棄される農作物の量は絶対的にも相対的にも毎年増加しています」とラメッシュ氏。「この5年間と、それ以前の5年間の食品廃棄量を比較しても増えています。これは超長期的なリスクの1つですが、少なくとも私たちが目にしていること、そしてデータが示している食品廃棄物に関する方向性は、食品廃棄物の規模が大きくなっているということです」と語る。

Boston Consulting Group(ボストン・コンサルティング・グループ)の研究によれば、今後10年間の食品廃棄量は210億トン、金額にして1兆5000億ドル(約160兆円)相当となり、これから10年で3割増えることになる。

今回の投資を受け、Misfit Marketは新型コロナウイルスのパンデミックの最中にも急増させた人員の拡充を継続することにしている。同社は3月から400人を雇い入れている。それ以前の3カ月間では150人だった。現在の社員数は総勢750人。男女比も均衡が保たれている(男性51%、女性49%)。幹部チームは30%が女性で、20%は人種が混在している。

Misfit Marketは、総計で1億150万ドル(約109億円)を調達した。
画像クレジット:Misfits Market>

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(翻訳:金井哲夫)

パンデミックの最中に中国の食品配達大手Meituanが10.8兆円の評価額を達成

Meituan(美团、メイトゥアン)の株価は米国時間5月26日に過去最高を記録し、その評価額は1000億ドル(約10兆8000億円)を超えた。

香港に上場するこの大企業は、旅行と輸送もある程度手掛けつつも食品配達に注力している企業であり、評価額がこの記憶すべき大台に乗った中国で3番目の企業となる。Tencent(腾讯、テンセント)とAlibaba(阿里巴巴、アリババ)はそれぞれ2013年2014年にその大台を突破している。

Tencentが支援するMeituanは、第1四半期の売上高が計画よりも減少し、第3四半期連続の黒字の後に15.8億人民元(約239億円)の純損失を計上したが、5月26日には株価が138香港ドル(約1919円)まで上昇した。

全国的なロックダウンが食品配達の必要性を高めたのかもしれないが、中国の消費者たちは新型コロナウイルス(COVID-19)がきっかけで引き起こされた経済悪化の中で、引き締めも行っている。結果として、全体的な食品配達取引は減少している。Meituanはまた、パンデミックの最中に働く配達員たちにインセンティブを支払わなければならず、店舗が潰れてしまわないように補助金を支払わなければならなかった。

希望の兆しも見えている。Meituanの1日あたりの平均取引数は18.2%減少して1510万回になったが、注文ごとの平均価格は14.4%上昇している。これは、従来はオフィスワーカーの習慣と考えられていたデリバリー式の食事が、自宅隔離中の家族にとって当たり前のものになったからだ。第1四半期には、Meituanのフードデリバリーサービスに多数の高級レストランが加わった。それらはパンデミック後の時代でも、高額の注文を引き受け続けるだろう。

しかし現時点では、Meituanの幹部は新型コロナウイルスによってもたらされた不確実性について警告を発している。「残りの2020年では、進行中のパンデミック対策、オフライン消費活動に対する消費者の信頼の不足、および店舗閉鎖のリスクなどの要因が、引き続き当社の業績に潜在的な影響を与えると予想しています」。

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(翻訳:sako)

アマゾンが新型コロナ禍中のインドでフードデリバリーを開始

Amazon(アマゾン)は、インドでオンラインフードデリバリー市場に参入する。地元大手のSwiggy(スウィギー)とZomato(ゾマト)が新型コロナウイルスのパンデミック時代をなんとか切り抜けようと従業員を解雇(未訳)する中での動きだ。

インドに65億ドル(約7000億円)超を投資したeコマース大企業のアマゾンは米国時間5月21日、バンガロールの一部エリアでフードデリバリーサービスAmazon Foodを立ち上げた。元々は昨年開始しようと計画していたが、その後今年3月立ち上げに後ろ倒しし(未訳)、さらにはインド政府が3月下旬に全土に出した外出禁止令によって延期されていた。

立ち上げまでの準備期間、アマゾンは今年初めにバンガロールのいくつかの提携レストランとフードデリバリーサービスのテストを進めていた。

「Amazon」アプリを通じて利用できるAmazon Foodは現在バンガロール郊外のベランダ、ハラルアー、マラサハリ、ホワイトフィールドで展開されている

「『顧客から、必需品の買い物に加えでアマゾンで調理された食事を注文できれば』との要望があった。これは、安全のために外出を控えている現状と密接に関連している」とアマゾンの広報担当はTechCrunchに語った。

「また地元の事業者があらゆるサポートを必要としていることも認識している。厳選されたローカルのレストランと我々の厳しい衛生基準をクリアしたクラウドキッチンに顧客が注文できるAmazon Foodをバンガロールの一部で立ち上げる。顧客が楽しい体験をしながら安全を確保できるよう、最も厳しい安全基準を導入している」と広報担当は付け加えた。このサービスをいつインド全土に拡大するのかについては語らなかった。

同社のフードデリバリー市場への参入は、Swiggyが支援するProsus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)や、今年1月にUber(ウーバー)のEatsインド事業を買収した(未訳)創業11年のスタートアップZomato、バンガロールで事業展開しフードデリバリーを主要事業の1つと位置付けているGoogle(グーグル)が支援するDunzo(デゥンゾー)にとって(未訳)新たな脅威となるかもしれない。

これまでに合わせて20億ドル(約2150億円)以上を調達したSwiggyとZomatoはまだ黒字化できておらず、新規顧客の獲得と既存顧客の維持のために毎月1500万ドル(約16億円)超の損失を出している。

投資会社India QuotientのAnand Lunia(アナンド・ルニア)氏は今年初め「フードデリバリー会社は顧客の大半がサービスを利用するだけの経済的余裕がないため、プラットフォームの料理のコストを助成し続けるより他に方法がない」と話していた。

収益化への道を探し出すのは、米国のように発展した国と違ってインドではかなり難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerの推定では、米国では各デリバリー料理の価格は33ドル(約3600円)だが、同じような料理がインドでは4ドル(約430円)だ。

さらには、マーケットを寡占してきたZomatoとSwiggyは新たな難題に直面している。多くの人が新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンラインでフード注文するのに慎重になっているため、4月だけでSwiggyは従業員2100人超を、Zomatoは約520人を解雇した。両社ともそれぞれのプラットフォームでの注文は今年初めには300万件近くあったが、今では100万件に満たない。

バンガロール拠点のSwiggyはクラウドキッチンのオペレーションと関連事業をさらに縮小した。一方で5月21日に同社は、ジャールカンド州ラーンチーでアルコール飲料の配達を開始している。Zomatoもまた同日からアルコール飲料の配達サービスを提供すると明らかにした。そして両社はつい最近、グローサリーの配達も開始している。

アマゾンは近年、生鮮食品やグローサリーを販売するためにインドでPrime NowとAmazon Freshのプラットフォームを立ち上げ、その過程でいくつかの都市に倉庫を設けている。

画像クレジット: Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uberが新型コロナ禍でさらに3000人解雇、一部オフィスも閉鎖

Uber(ウーバー)は従業員3000人を追加で解雇する。Wall Street Journalが最初に報じている。Uberは45カ所のオフィスを閉鎖し、貨物や自動運転車テクノロジーといった分野の取り組みも見直す。

「難しい決断をしなければならないことはわかっていた。公開会社だからではなく、あるいは株価を守ったり、役員会や株主を喜ばせたりするためではない」とUberのCEO Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は5月18日に従業員に送ったメモの中で述べている。TechCrunchはメモの内容を確認した。「世界中の都市にとって必要不可欠なサービスであるという我々の将来のために、何百万という人々や事業者が我々を頼っているという事実のために決断した。成長、拡大、イノベーションを続けるのに新たな資金や投資家に頼ることが今後はないよう、自立性を確立しなければならない」。

米証券取引委員会に提出された書類によると、レイオフの一環として同社は退職給付金やその他の福利給付で1億4500万ドル(約156億円)を従業員に支払い、オフィス閉鎖では最大8000万ドル(約86億円)がかかる見込みだ。

今回のレイオフの数週間前には、Uberはコスト10億ドル(約1074億円)を節約するために従業員3700人を解雇した。新型コロナウイルス( COVID-19)パンデミックの影響で、同社はこれまでに従業員のおおよそ25%を解雇した。

新型コロナで乗車事業はかなりの打撃を受けている。同社によると、具体的には乗車は80%減った。しかしフードデリバリーは絶好調だ。2020年第1四半期のプラットフォーム利用総額は46億8000万ドル(約5024億円)で、2019年同期比52%増と大きく成長した。

「Eatsの成長は加速しているが、社の経費をカバーできるほどではないことをはっきり伝えておきたい」とコスロシャヒ氏はメモの中に書いている。「Rides事業でそうだったように、我々が取っている行動はEatsの収益化につながると信じている。しかし一晩では無理だ」。

一方、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)とBloomberg(ブルームバーグ)によると、Uberはフードデリバリー事業UberEatsを増強するためにGrubHub買収を交渉中だ。WSJの報道では、Uberが2020年初めに買収の話を持ちかけたが、協議はまだ続いているとされている。Bloombergは買収交渉は2020年5月にもまとまる、と報じている。だが、コスロシャヒ氏はメモでは買収については触れなかった。

主要なサービスを整理するという取り組みの中で、Uberは立ち上げて1年も経たないIncubatorを閉じる。またAI Labsもなくし、シフト業務の労働者をマッチングするために2019年10月に立ち上げたサービスUber Worksの代替も探す。

今回の解雇ではドライバーは影響を受けない。ドライバーは現在、従業員ではなく独立請負業者として分類されている。それでも多くのドライバーが新型コロナ禍の中、手厚い保護と社会保障を求めて声を上げ続けている。先週ドライバーたちは、Uberに対し州の失業者保険基金に拠出するよう抗議活動を行った。ドライバーたちはまた、ギグワーカーを独立請負業者として今後も分類することができるようUberがLyftやDoorDashと共に提案した投票の取り組みを断念することも求めている。

画像クレジット: David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi