Google、AMPページに新しい広告タイプを導入。うっとうしいフライングカーペット広告も

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AMPは、Facebookの高速読み込みシステム、Instant Pagesに対するGoogleの回答であり、Googleのモバイル検索結果ページで最初に使用されたが、現在は多くの製品に統合されている。AMPのリーチ数が増えるにつれ、パブリッシャーはそのページに様々なタイプの広告を出したくなるのは当然だ。現在は基本的な広告にしか対応していないが、今日同社が発表したところによると、近々AMPに3種類の広告タイプが加わる。スティッキー広告、フライングカーペット広告、およびコンテンツと同時にロードされるAMP Ads for AMP Pagesだ。

879969b8-1380-11e6-914c-7526e061c35dAMP adsはおそらくAMPページに載せる広告にとっていちばん理想に近い。なぜなら、AMPページ自身と同じ速さで読み込まれるように作られているからだ。この広告はAMP記事のロード時間を速めるために作られたAMP HTMLだけで書かれている。

スティッキー広告は、記事をスクロールしても画面の上端か下端に居続ける。AMPページ以外ではごく一般的で、比較的邪魔にならない。

残念なことに、近々AMPプロジェクトに、ここしばらくの間で最も迷惑な新しい広告タイプが登場すること。それはフライングカーペット広告。ページのスクロール動作を乗っ取り、代わりに大きな広告をスクロールさせる

バブリッシャーは、通常の画像やその他のコンテンツの表示にこの「フライングカーペット」効果を使うことができる(NY TimesのSnow Fallの効果にやや似ている)。

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Googleによると、AMP内の広告はこれまでのところ非常に好意的に受け取られている。AMPを使用しているバブリッシャーの80%以上は、視認性が高まったと言い、90%以上はクリック率が上がり、その殆どが収益も上がったと言っている。

まだAMPがごく初期段階であることは言っていくべきだろう。例えば今週、SlateおよびThe Atlanticの両誌は、AMPがサイト訪問者に占める割合は約4%にすぎないと言った。一部のパブリッシャーは、GoogleがAMPを検索エンジンのランキング指標としてどう使っているのかわからない、と不満を訴えていた。

これまでAMPページで利用できる広告フォーマットが限られていたために、利用をためらうパブリッシャーもいたが、Googleはそれに対応しようとしている ― たとえそれが、われわれ読者にとってフライングカーペット広告と戦うことを意味しているとしても。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、AdWordsを大幅改訂

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GoogleのAdWordsが大きく改訂される。検索の巨人は今日(米国時間5/24)、同社の広告ツールにいくつかの変更を施し、モバイルへの適合性を高める。

今回強調されている位置に関連したモバイル検索は、他の検索と比べて50%早く伸びているとGoogleは言っており、Google.comおよびGoogleマップを横断する新たなローカル検索広告を導入する。

この他にGoogleは、「スポンサー付きピン」を導入する。これは、地図上に企業ロゴが表示されることを意味しており、例えば、一番近いWalgreens店舗を見つけやすくなる。(Googleは同様の機能を日本のGoogleマップで提供しているが、他の市場には展開していない)。

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一連の変更は、「店舗への来客を増やすため」だと、Googleの広告およびコマース担当SVP、Sridhar Ramaswamyは言う。Googleは「地元の在庫情報をこれらのビジネスページで提供する」と彼は言っている。

AdWordsのテキスト広告が拡大され、ユーザーがリンクをクリックする前に見るコンテンツが増えた。25文字の見出しは30文字に、35文字の説明文は80文字へとそれぞれ拡大される。プレビュー情報を増やすことによってクリック率が20%上昇すると同社は言っている。

Googleは、広告の画像を強化した、”responsive ads for display”[適応型ディスプレイ広告]を導入する。広告の外観が、ユーザーの見ているコンテンツに合わせて変化する。

広告の入札手順も変更される。今後数ヵ月のうちに、広告主は端末の種別毎に入札を調整できるようになる。これは、広告がモバイルで表示された時とデスクトップで表示された時とで支払う金額を変えられることを意味しており、クリック率にも影響する。

広告はGoogleのビジネスにとって常に最重要部分だ。今回の変更によって、広告主が今以上に多くのお金を同サービスに投入することをGoogleは期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユーザーは、FacebookとMessengerとInstagramに1日平均50分費している

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Facebookの「アプリファミリー」戦略は大成功を収めている。中にはInstagramをFacebookに組み込み、チャットをメインアプリに残すと予想する人もいたが、Instagramを独立のままにし、Messengerをコンパニオンアプリとして分離させたことで、これをどこでも使えるユーティリティーに留まらない、完全な中毒アプリにとして確立させた。

今日(米国時間4/27)の2016年Q1決算会見でMark Zuckerbergは、「今、世界中の人たちは一日平均50分以上、Facebook、InstagramおよびMessengerを使っている…これにWhatsAppは含まれていない」と語った。これは、世界でこのどれかのアプリを使う人たち全体の話であるとFacebookは私に念を押した。

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去る2014年7月にZuckerbergは、アメリカのユーザーは1日に40分間同サービスを使っていると言ったが、今や範囲を全世界へと広げた上で数字は伸びている。広告収益企業にとって、自社アプリで費やされるその膨大な時間は、計り知れない数の広告ビューを意味する。しかしそのビジネスモデルは、Facebookが人々をできる限り長い時間滞在させようとする動機づけにもなる。

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Image Credit: Asaf Hanuka

Facebookは果たしていつ、自ら作り上げたソーシャルネットワーク絶対勢力の影響力を真剣に考え始めるのか、それが問題だ。

ある程度の数のフィードを読み、写真をシェアし、メッセージを送ることによって人々はつながることができるが、その利用はいくばくかのドーパミン ― 永遠に満足することがなくても新しい情報を消費する興奮 ― を求める終りなき探究になることもある。デジタルで非同期なつながりに頼るのは簡単だ。外へ出かけるためにメンタルなエネルギーを消費しなければならなかったり、電話機を置いて人と顔をつき合わせて話すよりも。

そしてFacebookのOculus部門がバーチャルリアリティー用ヘッドセットを発売すれば、デジタル世界のために物質界を見捨てる問題も起きる。

Facebookは、ミームがいかにネットワークを駆け抜けるか、あるいはFacebookの利用がいかに人々の感情に影響を与えるかを研究するための専任部門を持っている。しかし、われわれの目玉から年間約60億ドルを稼ぐようになった今、「つながること」によって「自己」が失われる害を最小限にするために何ができるかを考える時だろう。

[画像提供:Facebook Addiction

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

広告を見せて携帯電話料金を安くするUnlockdが、1200万ドルを調達

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携帯電話料金を安くするスタートアップ、UnlockdがシリーズAラウンドで1200万ドル調達した。

スマートフォンのロック画面に広告を表示するスタートアップ以前にも紹介してきたが、 Unlockdのビジネスモデルはいくつか重要な点で異なる。まず、名前が暗示するように、広告はスマートフォンをアンロックした〈後〉にだけ、(短時間)表示される。

CEO・共同ファウンダーのMatt Berrimanは、広告がロックスクリーンだけに表示されていると、「[消費者が]見たことを保証できない」と言う。一方、ユーザーがスマホを使いたい瞬間に広告をポップアップさせると、ユーザーにうるさがられる危険があるが、ユーザー体験の確保は最重要であるとBerrimanは言う ― もし広告や特典に興味がなければ、フリックして消すことができる。

Unlockedは、携帯電話会社と提携している店でも他社と一線を画している ― 広告を見る代わりに携帯電話料金を割引くことができる。この魅力はオプトインする(安くなるなら!)消費者にとって明白であり、Berrimanによると顧客当たり売上が減少している通信会社にとっても価値があるという ― 「競争によって売上は圧迫されている」。

Unlockd Demo Video from Unlockd on Vimeo.

Unlockdと組むことで、携帯電話会社は消費者の望む低料金を提供し、広告収入を通じて割引き分(それ以上の可能性もある)を賄うことができる。同サービスは昨年秋にオーストラリアで提供を開始し、2016年初めに米国で、Sprint傘下のBoost Mobileが月額5ドルの割引きを始めた。米国の広告主には、既にStarbucks、Lyft、Huluらもいる。

次は英国とアジアへの進出を計画している。同社は年内に5つ以上の海外市場で活動する計画だ。Berrimanによると、同社は各国の通信会社と独占契約を結び、広告販売は自社で行っている(プラットフォームはAndroidのみに対応)。

シリーズAラウンドには、以前からの出資者であるPLC Venture、Peter Gammel Sam Mostyn、およびLachlan Murdochと、新たな投資家、Radek Sali(Swisse Wellness CEO)およびGereg Roebuck(carsales.com.au CEO)が参加した。Unlockdはこれまでに合計1700万ドルを調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブランドのためのInstagramは終わった

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【日本版編集部注:Steve Feinerは、東南アジアのオンライン生花配達サービス、A Better Floristのファウンダー・CEO。】

先週Instagramはニュースフィードのアルゴリズムを変更した。投稿は時間順には表示されず、「ユーザーの興味のあるコンテンツ、投稿者との関係、および記事の適時性に基づいて」並び替えられるようになった。

これがどういう意味かといえば、何をいつ見せるかは、Instagramが選ぶ ー 事実上Facebookのニュースフィードと同じになった。

この変更は、ユーザーのフィードを最適化する方法とされているが、実際には広告コンテンツを制御する力をInstagramに与えている。「平均して、ユーザーはInstragramフィードで約70%の記事を見逃している」とInstagramの共同ファウンダー・CEO、Kevin Systromは言う。「重要なのは、ユーザーが見る30%をできる限り最良の30%にすることだ」。確かにそれは真実だが、間違えてはいけない、Instagramはこれを収益化のために行おうとしている。

Facebookが気にする理由

Instagramの親会社であるFacebookは先日、Q4の売り上げ58億ドルを発表し、前年比51%の成長だった。Facebookの伸び率は40%以上が続いているが、この成長率を維持することは並大抵ではない。

Facebookの過去の成長率を当てはめると、次の四半期には20億ドル、1年後の四半期には30億ドルを上乗せする必要がある。

最近の決算会見でFacebookのCFOは、「Facebookの中核機能が売り上げを押し上げている」と語った。この成長は、ユーザー当たり平均売り上げの上昇によるものであり、ユーザー数の成長ではない。この成長を、Facebook本体で維持していけるのだろうか?

Facebookは来年の現四半期に、累積30億ドル以上成長する必要がある。ユーザー数の成長率を、過去の実績である13%とすると、ユーザー当たり平均売り上げは33%伸びなくてはならない。Facebookが2012年Q1以来、すでに、途上国で4倍、米国・カナダで5倍以上成長していることを踏まえると、Facebookにそれは可能だろうか?果たしてFacebookは、ユーザー当たり平均売り上げを、これも飽和状態になるまでにどこまで伸ばすことができるのだろうか?

そこで、Instargramのような新しい分野での収益化が重要になってくる。eMarketerによると、Instagramの売り上げは2015年に6億ドルに達し、2016年には149%成長すると予測されている。これがユーザー数の伸びによるものでないことは明らかだ。149%のユーザー成長は、来年だけで6億人の新規ユーザーに相当する。

ブランドへの影響

ここにInstagramが関わってくる。過去数年間、何千というブランドがInstagramに参入した。そこが最も消費者を引きつけるソーシャルメディアと気づいたためだ。Instagramが収益化を始めると何が起こるか?最も摩擦の少ない道はFacebookと同じ道をたどり、オーガニックなリーチを制限することだ ー これは以前Facebookで見てきたストーリーだ

では、Instagramの素晴らしいコンテンツを作ることに多大な投資をしてきたブランドはどうなるのか?主要ブランドは、かつて無料だったメディアに金を払う予算を持っているが、ブログショップなどの小さな店舗はそう恵まれてはいない。

もしあなたのビジネスが、チャンネルとしてのInstagramに強く依存しているのなら、顧客獲得には完璧に編集した写真だけではなく、べらぼうな値札がついてくることを覚悟したほうがいい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Verizon、「supercookie」を使った広告ターゲティングでFCCと和解。罰金135万ドルを支払う

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連邦通信委員会(FCC)は今日(米国時間3/7)、Verizon Wirelessと合意に達したことを発表した

FCCは、Verizonによる’Unique Indentifier Header’[’supercookie’ として知られている]の使用について調査を続けていた。supercookieは永久的な識別子として、ユーザーがcookieを削除した後も追跡を続けることができるしくみだ。調査員によると、Verizonは2012年12月から広告追跡にsupercookiを使用していたが、2014年10月までそのことを公表していなかった。

和解の結果、Verizonはsupercookieiの使用を中止しなくてもよいが、罰金135万ドルを支払う(参考までに直近四半期のVerizonの売上は343億ドル)。さらに同社は、ユーザーに対してこのデータを第三者と共有する前にオプトインの機会を与え、自社の広告ターゲティングに使用する場合には「オプトインまたはオプトアウトの同意」を得る必要がある。

Verizonの広告への野望は最近拡大中で、おそらくそれはAOL(TechCrunchの親会社)を買収したためだろう ― 同社は既にユーザーデータをAOLと統合する計画を発表している。

Verizonの広報担当者から以下の声明が送られてきた:

Verizonは顧客にそのデータの使い方に関する選択権を与え、明確で完全な情報を提供して当社サービスに関する判断に役立てることに全力を尽くす。過去一年間に当社は広告プログラムにいくつか変更を施し消費者の選択肢をさらに増やしてきた。今日のFCCとの和解はそれを認識している。今後もどんなプログラムとサービスが適しているかを顧客が判断するために必要な情報を提供していく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、広告主が20万社に急増

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Instagramは今日(米国時間2/24)、月間アクティブ〈広告主〉が20万社に達したことを発表した

比較すると、Facebookは1年前に200万社のアクティブ広告主がいると発表し、Twitterは14万 13万社と言っている。おそらくInstagramの数字で最も注目すべきなのは、このFacebook傘下の写真共有サービスに、6月にはわずか数百の広告主しかいなかったという事実だろう。

成長の大部分は海外だ ― Instagramの広告プログラムは5ヵ月前に全世界に拡大され、同社の事業開発およびブランド開発責任者、James Quarlesは、広告主の75%が米国以外であると私に話した。

例えば、Instagramによると、ドイツのスーパーマーケット、Reweは、キャーンペーンの結果、広告記憶が37%改善した。またブラジルのEコマース会社、PetLoveは、キャンペーンによる1インストール当たりのコストが、他のオンラインチャンネルより30%低かった。

Quarlesが、Instagramは広告主が消費者とつながりその行動に影響を与える最適な場所であると指摘するのは当然といえる。最近のユーザー調査によると、回答者の60%が商品やサービスについてInstagramで知ったと答え、75%がInstagramの投稿を見た後で行動を起こしたと言っている。

これは広告主にとって良い知らせだろうが、こうした広告の増加はInstagramのレギュラーユーザーにとってはどうなのか? 目に入る広告の数は増えるのか?

Quarlesによると、必ずしもそうではない ― 広告主が増えることは広告が増えることを意味するとは限らない。むしろ、大企業や多様な広告主が増えることでユーザー体験は改善されるかもしれない。なぜなら、自分の関心に合った広告が表示される可能性が高まるからだ。彼は、表示される広告の数は「Instagramで過ごす時間に比例」しており、Instagramは企業が「自身のビジュアルな声」を発見し、広告が高品質で効果的になるよう協力している、と言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「GIFアニメのGoogle」、Giphyは評価額3億ドルで5500万ドルのラウンド完了

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GiphyはいわばGIFアニメの世界のGoogleだ。今日(米国時間2/16)、Giphyは5500万ドルのシリーズCラウンドを完了した。資金調達後(post-money)の会社評価額は3億ドルに上った。

今回のラウンドをリードしたのはLightspeed Venture Partnersで、General Catalyst Partners、RRE、Betaworks、Lerer Hippeau Ventures、CAA他、既存のGiphyへの投資家も参加した。

Giphyが正式にローンチしたのは2013年で、その目標は、Google風に表現すれば「世界中のすべてのGIFファイルを検索し、発見し、共有する」ことだった。実際、Giphyは多くの点でGoogleを見習っており、このシステムではユーザーはタグを付してGIFファイルをウェブにアップロードすることでGiphyから検索可能になる。またGiphyには検索機能をもつネーティブ・モバイル・アプリも存在する。

Giphyはスタート以來、飛躍的に成長してきた。これにはGiphyがメディア、サイトの運営者向けに提供する「ライブGIF化」ツールの力も大きい。このツールを使えば独自のコンテンツを簡単にアニメにできる。メディアではライブ中継(グラミー賞、エミー賞など)の際にリアルタイムで共有可能なGIF画像を作るなどしてきた。このような大イベントで検索可能なGIF画像ライブラリーを生成するにあたってはGiphyチームの全員が協力したという。

しかしなんといっても最大の話題はGiphyがSlackやFacebook Messengerといった主要なチャット・プラットフォームにアニメ化テクノロジーを提供したことだろう。

驚いたことに、 Giphyはまだ収益化されていない。それでもビジネスの現状をみれば3億ドルの評価額は納得できる。Giphyには多額の収入を産み出すに足るさまざまな技術とユーザーベースがある。

いちばん明白な収益化の道はアニメの「アドワーズ」となることだろう。Giphyで検索するとアニメ化ファイルが発見されると同時にスポンサーの広告も表示されるシステムだ。われわれはファウンダー、CEOのAlex Chungに電話でインタビューしたが、「Googleが〔アドワーズで〕あれほどうまくやっているなら、Giphyでもうまく行かないはずはないというのがChungの考えだった。Giphyが収益化に路線を切り替えたとき、この検索連動広告が売上の大きな部分を占めることになりそうだ。

しかしGiphyはさらに革新的な収益化の方法をいくつも考えている。

たとえば、もともと収益化が難しいメッセージ・アプリの世界でGiphyが初めて収益化に成功する企業になるかもしれない。

Giphyは現在SlackにTranslateツールを提供しており、Slack,で /giphy (プラス、キーワード)と入力すると驚くようなGIFファイルを発見できる。そこで、たとえば“/giphy hungry”とタイプしてメッセージを共有するとMcDonaldのハンバーガーのGIFのCMが表示される、あるいは“/giphy monday morning”で Starbucksのアニメが表示されるというような応用が考えられる。

こうした手法はGiphyにとって収益化のひとつの手段であるだけでなく、SlackやFacebookにとってもメッセージ・アプリの面白さを高め、利用を増やすという効果があるだろう。ここでGiphyが追求してきたユーザー制作になるGIFファイルを検索可能にするテクノロジーが生きるかもしれない。

Giphy Camは同社として最初のGIF生成アプリだが、たとえばStar Wars、Zoolander、 X-Filesなどの人気ブランドは簡単に多数のGIFアニメを制作してアプリに追加できるようになる。現在のところGiphyはこうした方面から収益を上げようとはしておらず、できるだけ多数の有力なパートナーを得て足元を固めようとしている。

しかしあらゆる人気ブランドにGiphyによるアニメと生成されたアニメを簡単に共有できるフィルターが装備されるようになれば、これをベースにGiphyがなんらかの方法で多額のキャッシュを得るようになるというシナリオは想像に難くない。

Giphyの今回の資金調達は数ヶ月後に予想される収益化の準備のために重要な役割を果たすことになりそうだ。ただしでChungは、われわれとのインタビューでも具体的なスケジュールを明らかにすることは避けた。

Giphyのサイトはこちら

〔日本版〕現在Giphyでhungryを検索すると腹ペコだったり何かを食べていたりするGIFアニメが即座に表示される。こちらはmonday morningで苦しんでいるありさま。GIFが動かない場合、マウスオーバーで再開すると思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、ユーザー15.9億人、売上58億ドルでアナリストの予測を粉砕

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途上国のユーザーと広告費を追い求めるFacebookの成長が止まらない。今日同サービスはユーザー数15.9億人を達成し、2015年Q4決算は、売上58.41億ドル、1株当たり利益0.79ドルでウォール街の予測を粉々にした。前四半期はユーザー数15.5億人、売上45億ドルだった。Q4がホリデーシーズンを含むことを考えても、四半期伸び率29.8%は驚異的であり、前年同期比は51%に上る。

Facebookの月間アクティブユーザー数(MAU)の成長は、対前期比2.58%増で、4.02%という並外れた成長を見せたQ3からはやや減速した。これはFacebookが一部の市場で飽和点に達しつつも、多くの途上国で成長の余地がまだまだあることを示している。

月間ほど派手な数字ではないものの、日間アクティブユーザー数(DAU)はFacebookの発展を占うには優れた指標だ。FaceookのDAUは10.4億人で、Q3の10.1億人から2.97%アップした。DAU対MAU比(粘着率)は65%を維持している。これは、サービスが熟しつつある中でもユーザーの訪問率が落ちていないことを意味している。

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モバイルはついにFacebookの広告売上の80%に達した。Q3は78%だった。総売上のうち56.3億ドルが広告によるものであり、Facebookの古き支払いビジネスは影をひそめた。「モバイルのみ」ユーザーは8.27億人と、前期の7.23億人から13.2%急増した。途上国におけるFacebookが、フルサイズコンピューター世代をほぼスキップして成長している証だ。

[Update: Mark Zuckerberg also released a slew of new stats during the Q4 Earnings call:

  • 1億時間:1日当たりのビデオ視聴時間
  • 10億人:グループに所属しているユーザー数
  • 800万人:Facebook Liteユーザー
  • 5億人:イベントを利用したユーザー
  • 1.23億イベント(2015年)
  • 5000万社:Facebookページを利用している中小規模企業

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Facebookは250万の広告主を擁し、Facebookページを利用する中小企業は前期の4500万から5000万社に増えた。これらのページにはユーザーが何十億ものコメントを残しており、Messengerを消費者と企業を結ぶ新しいコミュニケーションや苦情申し立ての方法にしようとしているFacebookの計画とよく一致している。

アナリストは、Facebookの売上を53.7億ドル、EPS 0.68ドルと予測していたが、Facebookはこうした予測を粉砕した。eMarketerによると、2016年にFacebookは米国ディスプレイ広告で98.6億ドルを獲得すると見られている ― これは米国ディスプレイ広告売上全体の30.6%にあたる。Facebookの株価は、決算報告前の通常取引終了時に94.45ドルだったが、時間外取引では6.7%高の100.71ドルとなっている。

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Facebookはユーザー1人当たり平均売上をQ3の2.97ドルから、25.5%増の3.73ドルへと引き上げた。これは前年Q4の28.1%増にあたる。Facebookは、発展途上の「世界のその他」地域で著しく売上を伸ばし、ユーザー1人当たり1.22ドルは、対前期比、対前年同期比共に29.8%増だった。

FacebookのQ4の設備投資額は6.92億ドル、フリーキャッシュフローは21.4億ドルだった。2015年通年で、Facebookの売上は179.3億ドルと対前年比は驚異の44%増、利益は36.9億ドルだった。

なぜFacebookはこれほど好調なのか?

途上国の収益化が大きな役割を果たしている。去る2012年Q1、Facebookは「世界のその他」地域でユーザー1人当たりわずか0.32ドルしか稼いでいなかった。今はほぼその4倍である。これらのユーザーは、回線速度が遅く、旧式のスマートフォンや多機能電話を使い、購売力も大きくないにもかかならず、Facebookは広告主を説得し、彼らへのリーチに金を出させている。

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決算電話会見でFacebookは、ビデオがエンゲージメントとサイト滞在時間の推進力であることを認めた。Facebookでは毎日5億人のユーザーが80億本のビデオを視聴しており、1日当たりビデオ視聴時間は1億時間に達する。その結果Facebookはニュースフィードにビデオ広告を差し込むことが可能になり、1本ビデオを見た後にはおすすめビデオも表示している。

今期FacebookはInstagram広告からも好調な売上が期待されており、売上に貢献する可能性がある。Messengerが欧米チャットアプリの中で支配を続けていることでも、ユーザーをFacebookファミリーアプリの中に囲い込むことに成功している。

Instant Articleも一役買っている。これは視聴者がニュースフィードの外へ出ることを事実上防ぐもので、ユーザーがブラウザーにニュース記事が表示されるのを待つ間に逃げることがなくなる。読み終った後はそのまま”Facebooking”し続けて広告を見る。

将来Facebookは、Instant Articleのリッチメディア版として、高速表示でユーザーにクリックをためらわせない新たなInstant Adフォーマットを発明してブランドに提供するかもしれない。また先ほどFacebookは、モバイル広告ネットワークをアプリだけでなくモバイルウェブサイトにも拡張することも発表した。こうしてFacebookは、自社サイトに表示する広告を増やすことなくさらに売上を増やすことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、優れたエンジニアリングでVRビデオの読み込みも高速に

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Facebookはいったいどうやって、1日のビデオ表示回数が、18ヵ月の間に10億回から80億回に増えても、サーバーをダウンさせずに済ませたのか。それは、ストリーミング・ビデオ・エンジン、略してSVEと呼ばれている。SVEはFacebookのビデオを小片に切り刻むことによって、アップロードから表示までの遅延時間を10分の1に減らした。また、次世代の360度ビデオやバーチャルリアリティーを高速で読み込むために、新たな幾何学符号形式を発明し、オープンソース化した。

球状のビデオを一般的な正距円筒図からFacebookの仕様で立方体に投影することによって、スマートフォンやパソコン上の360度ビデオはサイズが25%小さくなる。この立方体フィルターはGitHubで公開されている。Facebookは、ヘッドセット用バーチャルリアリティービデオを80%小さくする、ピラミッド画像符号化技術も開発した。

これは、ビデオで好きな方向を見るときでさえ、読み込みを待つ必要がなくなるという意味だ。Facebookはこの新技術を、ビデオのトップ技術者を勧誘するための大胆な取り組みとしてVideo@Scaleカンファレンスで発表した。

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これは、ビデオの拠点を巡るFacebookとYouTubeの戦いにとって極めて重要だ。YouTubeでは、ユーザーが意志をもって視聴するので、多少の遅延も許される。しかし、通常ユーザーはビデオを見るためにはFacebookに来ない。ニュースフィードをスクロールするうちに、思いがけず発見するだけだ。読み込みに時間がかかるようなら、すぐにスクロールして他へ行ってしまう。

Facebookはビデオがソーシャルの未来であることを知っている。乗り遅れれば、山ほどのエンゲージメントを導く中毒性のあるコンテンツフォーマットのチャンスを逃がすだけでは済まない。ビデオ広告は驚くほど実入りが良いが、Facebookはフィードにあまり多くのビデオを流したくない。むしろその戦略は、ユーザーが友人の紹介で発見したビデオを見た後に、関連ビデオとして表示することにある。しかし、待機アイコンが回っている間、フィードを読むのを中断しなければならないようなら、何も始まらない。


インターネットにこれだけ多くのビデオがアップロードされるようになり、Facebookはそれを活用する方法を探している。Facebookは人工知能を使った物体や景色、動き等の認識に飛躍的発展を見せている。

人間がAIにビデオのラベルを手動で教えるのではなく、FacebookのVision Understandingチームは、AIが個別のvoxel(ビデオのピクセル)を識別する方法を探求している。

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もしFacebookがやり方を見つければ、ビデオに何が映っているかを認識し、誰に見せるべきかがわかるようになる。猫が好き? FacebookのAIが猫のビデオを探してくれる。ボールゲームが好き? Facebookがリアルタイムチャットのための新しいFacebook Stadiumにビデオを送り込む。このためなら広告主は何でもする…少なくともFacebookに大枚を払うだろう。

われわれは、人工知能を持てる者持たざる者の時代へと急速に近づいている。FacebookやGoogleのように先端研究開発に十分な資金を投じることのできる大会社は、それをできない貧しいライバルたちから巨大な利益を上げるだろう。YahooやTwitterのような会社は、もしこうしたAI広告技術を構築できなければ、厳しい時を迎えるかもしれない。そして、出来る者にとっては上昇スパイラルだ。

広告を売る、研究開発に資金を投じる、AI広告技術を開発する、さらに広告を売る、さらに良いAI広告技術を開発する、次世代技術を開発または買収する、未来を勝ち取る。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユーザーの愛車をまるごと広告スペースにするWrapifyが毎月100%で急成長中

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車を所有するのには金がかかる。ガソリン、税金、保険、整備費用、その他車関連の出費の項目は無数にある。一部の都市部ではすでに車を持つよりUberやLyftなどの共有経済型の車の利用に切り替えた方が安くつくようになっている。

そこでWrapifyというスタートアップはカー・オーナーが維持費のいくぶんかをキャッシュで取り返せる方法を提案している。半年前に創立されたWrapifyは、車にペイントされるラップアップ広告を掲出したい広告主と車のオーナーを仲介することがビジネスだ。

仕組みを簡単に説明しよう。

Wrapifyの市場は両面を向いている。一方では車に広告を出してもいいと考えるカー・オーナーがリストに登録できるようになっている。オーナーは全車広告、一部広告、パネル広告から希望の種類を選べる。他方では企業などの広告主が掲出したい広告の条件などを指定して登録ができる。

広告掲出契約が成立するとオーナーは車をペイントショップに持ち込んで塗装してもらう。オーナーは広告の掲出期間について月平均450ドルの収入が得られるという。

Wrapifyは専用のスマートフォン・アプリを用意しており、ユーザーの車の移動をモニターする。ユーザーは通勤やショッピングなどさまざまな目的、ルートで車を使う。Wrapifyは単なる移動距離だけでなく、多くの要因を総合して距離あたり広告単価を決定する。たとえば車が人口密集地域を通過したときには単価が高くなる。また交通渋滞などで目立つ場所に長時間停車している(当然注目を集める)場合も単価は高い。

Wrapifyには現在1万人のカー・オーナーが登録しており、メリカの10以上の都市をカバーしている。成長率は毎月100%という高さだ。ア広告主にはeBay、Petco、Harrah’s Resortsのような大企業が含まれる。

興味深いのはWrapify Swarmという仕組みだ。 Wrapifyはアプリを通じて、その名のとおり〔(昆虫などの)大群〕、特定の場所に大量のユーザー車両を集めることができる。Wrapifyから送信されたプッシュ通知を受け取ったユーザーはSwarmへの参加を承諾すると余分のキャッシュを得ることができる。特定企業の広告を掲出した車両が何十台も繁華街を走ったり、パーキングに並んで駐車したりすれば人目を引くこと間違いなしというわけだ。Uberが需要に応じて価格を吊り上げるのと同様、こうした特別のプロジェクトでWrapifyは高い広告単価を得ることができる。

これまでも自動車のラップアップ広告を仲介しようという試みはあったが、規模が小さく、いずれも成功していない。しかしWrapifyは悲観的な見方に対して「われわれはテクノロジー企業である点が〔過去の例とは〕まったく違う」と強く主張している。Wrapifyは最近画期的な進歩を遂げたモバイル・コミュニケーション・テクノロジーをカー・オーナー集めや広告料金の算定に最大限に活用している。

WrapifyはLudlow Ventures、Social+Capital Partnership、Haystack、The LAUNCH
Fundから100万ドルのシード資金を得ており、さらに現在シリーズAのベンチャー資金を調達しようとしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

広告ブロック入門

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Mani Gandhamは、 Instinctive. の共同ファウンダー・CEO。】

広告ブロックに関しては、山ほどの情報が飛び交っている。その人の認識によって、広告ブロックは救世主…あるいは、ますます大きくなる問題だ。どちらの視点もそれなりに正当である。しかし、確かに言えるのは、今後広告ブロッカーの利用が急速に増えていくであろうということだ。

広告ブロックとは何か?

広告ブロックとは、専門的には、ウェブサイトを訪れた際にデータを選択的にダウンロードすることによって、望まない項目が読み込まれることを「ブロック」する行為を指す。殆どの場合対象は広告だが、例えば、埋め込みメディア、ソーシャルウィジェット、追跡ビーコンなど何であってもよい。

そのしくみは?

広告ブロックには、様々なレベルで動くソフトウェアが関与している。通常「広告ブロッカー[ad blocker]」と呼ばれ、ChromeやFirefox等、ブラウザーの拡張機能としてインストールされる。ひとたびインストールされると、大きく2つの方法でコンテンツを選り分ける。(1) (クラウドソースされた)ブラックリストに沿ってドメイン名や項目をチェックし、読み込まれるのを防ぐ。(2) 読み込まれたページをチェックし、標準的な広告サイズの画像や、”sponsored” と書かれたボックス内のテキスト等を、一定のルールに従って項目を削除する。

殆どのサイトは、コードにサードパーティー製のJavaScriptタグが埋め込まれていて、提供者はどのクライアントでも同じドメイン名を使っているため、ドメイン名ブラックリストは極めて効果が高い。ページ内のコンテンツは、ダウンロード後読み込まれる前に広告タグを取り除かれ、広告のレンダリングも行われないため、広告ネットワークはインプレッションが発生したと認識しない。

このソフトウェアは別のレベルで動作することも可能だ。例えば知識のあるユーザーなら、OSの設定を変えて、使用しているブラウザーやアプリケーションに関係なく、どの広告ネットワークとも接触しないようにすることができる。ネットワーク全体(家庭または会社のインターネットルーター)にソフトウェアをインストールして、その場所の全ユーザーに適用できるものもある。Shineのように、携帯キャリアーに直接販売して広告をブロックするソフトウェアもある。

キャリアーレベルの広告ブロックは、米国におけるネット中立性に反するため、普及することは考えにくい。しかし、最近増えつつある”zero-rating” (一部のデータを顧客の課金から除外する。例えばT-MobileのSpotifyストリーミング)は、広告主がデータ通信料金を支払い、ユーザーの帯域コストを負担する可能性を示唆している。これもまた、ネット中立性に違反する可能性があるとして注視されている

なぜ広告ブロッカーを使うのか?

人が広告ブロッカーを使う理由は、大きく分けて4つある。性能、プライバシー、セキュリティー、およびよりよい体験だ。

  • 性能:平均的なページには数十の広告タグが含まれており、広告プロバイダーは概して性能について何も考えていない(数百のタグ、画像、何メガバイトものビデオ等々)ため、それらの読み込みを阻止することでウェブサイトは劇的にスピードアップされる。
  • プライバシー:殆どの広告ネットワークと追跡システム(Google Analytics等)はユーザーの行動や訪問したページに関する情報を収集しており、これがプライバシー問題に発展する可能性がある。広告ブロッカーはこれを阻止して、安全にブラウズすることを可能にする。
  • セキュリティー:ディスプレイ(バナー)広告エコシステムは、未だにオンライン広告で最大の部分を占めており、様々なテクノロジーの寄せ集めと化している。広告ベンダーは、数多くのリッチメディア等を追加して、アニメーション、ビデオ、オーディオその他の要素を含む「インタラクティブ」で「魅力的な」広告を作ろうとしている。このために、広告ネットワークはサードパーティー製のJavaScriptやFlashのファイルを広告枠の中で動作させている。しかし、どちらも悪意のあるコードが走る可能性があり、ユーザーがウィルスやマルウェアに感染することが膨大な規模で起こりうる。
  • よりよい体験:広告フォーマットが単純にバナーからリッチメディアへと進化するにつれ、アウトストリームビデオ(記事の段落間でいきなりビデオが再生される)や画像内バナー(他の画像に重ねて表示されるバナー広告)等によってその侵略度は最大化している。こうした広告は気に障ることが多く、ユーザーが本来読もうとしていたコンテンツの視聴を妨害する。これはマイナスの効果しかなく、広告ブロッカーを使う最大の理由と言って間違いない。

広告ブロックが効かないとき

広告ブロックは殆どがブラウザーのプラグインを通じて行われるため、ウェブサイト上の広告に対してのみ働くのは当然である。AppleのiOSは最近、Safariブラウザー用の広告ブロック拡張機能を認めたため、モバイルウェブサイトでも広告をブロックすることが可能になった。iOS、Android共、広告ブロック機能を内蔵するサードパーティー製ブラウザーの使用を許している。

広告はすばらしいモデルだが、今の実装方法は基本的に間違っている。

ネイティブモバイルアプリおよびデスクトップアプリの広告には、拡張機能がない(ブラウザー用プラグインの影響を受けない)ため現在殆ど影響を受けていない。サイト運営者によって直接埋め込まれたスポンサー付コンテンツ(記事内に自然に書かれていたり、ポッドキャスト内で読み上げられられるメッセージ)も影響を受けない。WSJ.comのNetflix提供記事のようなブティック型カスタム広告はブロックが可能だが、コンテンツの品質が高いためそのままにされることが多い。

ファーストパーティー広告配信はグレイゾーンにあり、基本的にウェブサイト運営者が自身のドメインから広告を配信するものを言う(Facebookウェブサイトの広告がfacebook.comから読み込まれるように)。これはこの種の広告が直接調達されていることを示しており、広告ブロックを回避できる。なぜなら、ドメインをブロックするとサイト全体をブロックすることになるからだ。

広告主の選択肢

広告主は、実際にはあまり影響されない。膨大なウェブサイトへのトラフィックを未だに持っており、ソーシャル、モバイル等、他の多くのチャネルへと広告費を移行している。多くのコンテンツが閉じたプラットフォームやアプリへと向かっていけば、広告はより強く統合され、削除は困難になる。

サイト運営者の選択肢

サイト運営者は最も大きく影響される。なぜなら訪問者が広告をブロックすると広告収入を失うからだ。それを避ける方法はある。例えば、ファーストパーティー広告を使ったり、スポンサー付コンテンツを作成することだが、それには多くの時間の労力が必要であり、広告主が関心を示すような評判が高く大規摸な視聴者を持つ大手サイトでしか通用しない。

中規模のロングテールなサイトはこれを効果的に行うことができない ― 規模や基盤が不足している。ペイウォール(有料制)を試みたサイト運営者もいるが、料金を払うユーザー数は非常に少ない上、非常に質が高いか、独占あるいはニッチなコンテンツがないと成立しない。広告ブロッカーのユーザーに対して、自社サイトをホワイトリストに加えるよう依頼するメッセージを送ったサイト運営者もいたが、殆ど効果はなかった ― 広告ブロッカーを使っていなかったユーザーを喚起した結果、利用者はむしろ増えてしまった。

少額支払いのBlendleや、FacebookのInstant Articlesのように、体験を改善する努力は行われているが、収益状況は堅牢にはほど遠い。実際にうまくいくか維持可能であるかは誰にもわからないが、おそらく将来は、クローズドプラットフォームを通じた分散アクセスや、ウェブサイトによる様々なテクノロジー、より多くのスポンサー付コンテンツ等を組み合わせたものになるだろう。

広告ネットワークの選択肢

広告ブロックは、ウェブサイトベースを主体とする広告ネットワークに主として影響を与えるが、ブロックを回避する技術的方法はいくらでもある。例えば、ドメイン名を定期的に変更する、あるいはサーバー側での広告レンダリング等だ。広告技術は95%がサーバー側で行わており(ユーザーが広告サーバーにつながると、どの広告を出すべきか山ほどの作業を行って広告コンテンツを返す)、残る5%のJavaScriptタグを使ってページ内の広告を表示する部分もサーバーに移動することが可能だ。

広告はウェブエコシステムに不可欠な要素である。

これには大がかりな変更が必要であり、パブリッシングシステムが広告ネットワークと協力して、コンテンツと広告をシームレスにワンパスでレンダリングできるようにするためには、APIの標準化が必要になるだろう。コンテンツ配信ネットワークも、コンテンツが読み込まれる際に自動的にページを書き換えて広告を挿入することで、サーバ側に移行できる可能性を持っている。

アナリティクスについてはあまり語られていないが、同様の影響を受ける。Google Analytics、Chartbeat、MixPanelをはじめとする、広告は配信しないがサイトオーナーが視聴者の行動を分析するのを手助けする数多くのサービスは、重要な視聴者の大部分が見えなくなるために、用をなさなくなる。彼らもサーバー側によるファーストパーティートラッキングに移行せざるを得ないだろう。

まとめ

広告は当分なくならない。広告はウェブエコシステムに不可欠な要素であり、コンテンツや目的地サイトに膨大な成長をもたらしてきた。それは、Google、Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとする無数のサービスが存在している理由でもある。

コンテンツ製作者を補償する方法は2つしかない。直接支払うか、広告と引き換えに無料でコンテンツを受け取るかだ。少額支払いと定期購読については常に革新が起きているが、真実はといえば、あらゆる調査結果が示すように、人々はウェブで配信される典型的コンテンツに金を払う意志がないということだ。記事の価値はわずか数セントであり、少額支払いシステムにとっても摩擦が大きすぎる。1度しか消費されないコンテンツならなおさらだ。

以上を踏まえた上で、今でもオンライン広告は、コンテンツを視聴し費用を負担するための、最も速く、最も受動的で、最も匿名性の高い(直接支払いと比べて)、そして最も普遍的な方法だ。

それでも広告ブロックは間違いなく成長しており、それには正当な理由がある。

  • サイト運営者は短期的収益を追求し、コンテンツの質を下げている。
  • 広告主は常により多くの発注を要求し、強いられたエンゲージメントで成功の度合を測定する。
  • 広告ネットワーク(問題の根源)は遅くて重い広告でユーザー体験を損い、基本的なプライバシーと責任を無視している。

しかし暗い話ばかりではない。何よりも、これは完全に解決可能な問題である。広告はすばらしいモデルであり、今根本的に間違っているのはその実現方法だ。広告そのものではなく、どうやって実施するかが今の反発を呼んでいる。

業界の進化と共に、われわれが目にする広告は減り(稀小性が高まり価格と売上は増える)、横柄で目障りなメッセージではなく、整備された受け入れやすい焦点を絞ったコンテンツが増えるだろう。プライバシーを重視し、データの使い道についてユーザーが安心していられるようになる。広告主は、人を楽しませ、ひらめきを与える創造的な作品を作るようになる。バナーはまだ残るだろうが、画像内広告、リッチメディア、およびアウトストリームビデオは消え去る必要がある。

現在一歩進んでいるInstinctiveは、質の高いブランド付コンテンツを見せる広告ユニットをシームレスに配信している。これはユーザー体験を改善するだけでなく、性能を向上させ、エンゲージメントを高め、広告主のブランド認知度を高めるものだ。

広告は今日、間違いなく厳しい状況にある。広告ブロックは業界にとってプラスにもマイナスにもなりうるが、一つだけはっきり言えることがある ― それは切に望まれてきた変化であり、ウェブ全体の未来にとって良い結果を招くであろうということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Notify Nearbyは、ファッションブランドのセール案内やコンテンツを通知してくれる

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店の前を通るとスマートフォンが鳴ってセールが知らされる、という話は誰でも聞いたことがあるだろう(あるいは体験したことも!)。難しいのは、実際に興味を引く有用な、あるいはワクワクするようなメッセージを送ることだ。

Notify Nearbyの共同ファウンダー・CEOのNevin Jethmalaniは、彼自身の体験を語る ― 車で友人の家に向かっている時、Shopkickのおかげで「どこかの知らない会社からプッシュ通知が送られてきた」。

「『これはひどい。アプリをアンインストール理由になる』と思った」とJethmalaniは言った。

そこで彼は、Notify NearbyのいうiPhoneアプリでもっと良い体験を提供しようとしている。アプリは先週公開された(Androidアプリも近々公開予定)。,

どの位置情報ベースアプリでもやっているように、Notify Nearbyはビーコン技術と位置情報を使って近くのバーゲン情報を通知するが、重要なのはユーザーが選んだブランドをフォローできることだ ― 現在アプリに入っているブランドは、トリーバーチ、サックスフィフスアベニュー、およびリーバイス。

設定を済ませたユーザーは、自分の興味を引くファッションブランドをまとめてフォローできる。自ら積極的に情報提供するブランドもあれば、他に掲載したコンテンツをNotify Nearbyが配信することを許可しているブランドもある。

Notify Nearby

このアプリは、無作為にセール案内や通知を受け取る代わりに、ユーザー自ら会社を選んでフォローするため、JethmalaniはSpringとの違いを強調する。彼によるとその違いは、Springが実際に購入可能な商品を紹介する(本誌は以前「購入できるInstagram」と説明した)のに対して、Nofity Nearbyはファッションコンテンツが中心であることだという。

どんなタイプのコンテンツが成功するのかを尋ねたところ、Jethmalaniは「もちろん、プロモーションが最も効果がある、それが人の本性だから。しかし、新製品の紹介、新たな提携、限定品等も強力なコンテンツに成りうる。もし誰かがこのアプリで新製品を発表すれば、ユーザーは大きな魅力を感じるだろう」と語った。

ビーコンは興味深い最新機能だが、現時点で同アプリのビーコンがカバーしてるのは主にニューヨークだけだ(「全米をビーコンで埋め尽くすことはできない」と言っている)。しかし、ビーコン機能がなくても、Notify Nearbyを使ってブランドをフォローし、最新コンテンツを見ることは誰にでもできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Cinematiqueなら、ビデオをクリックしてショッピングができる

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「買い物ができるビデオ」の噂を聞いてから何年にもなる。すてきな色の口紅から、あの気になるブーツまで、お気に入りのテレビ番組やオンラインのミュージックビテオを見ながら、注意を引かれた商品をすぐに買えるところを想像してみてほしい。

そして、トレンドはすぐそこまで来ているようだ。

最近、Interludeは、MGM、Warner Music、Samsung、Sequioa Cpital、Intel Capitalらから1820万ドルを調達したが、そこだけではない。計540万ドルを調達したCinematiqueも、ユーザーがビデオに写るどんな物とでも直接つながることのできるタッチ可能ビデオでこの分野に参入する。

ユーザーは、詳しい情報を知りたい物をビデオ画面でクリック(タッチスクリーンならタッチ)して選ぶ。このビクトリアズ・シークレットのビデオで水着にタッチすれば、直売ページのリンク、価格、および商品説明を知ることができる。クリックした回数分の商品情報が保存され、ビデオの最後(または途中)に表示される。

ブランドは、ユーザーが販売されていない商品をクリックした時にもその商品に関連する追加情報を提供することができる。Cinematiqueエディター(ベータ版)を使っえば、ブランドは既存のビデオをアップロードし、タグを付加して商品情報と購入リンクを登録できる。

上のビデオでは、Tag HeuerとVox Mediaが、シェフの生活を描いた記事体広告を使って、1500ドルのTag Heuer製スマートウォッチを売ろうとしている。しかし、このシェフが作る料理、彼のオートバイ、ランニングルーチン、そしてニューヨーク市に架かる橋の数々までもがクリック可能になっていて、ビデオ内の様々な部分について追加情報を見ることができる。

サイト運営者やブランドは、記事体広告にも、Eコマースサイトにもこの種のビデオを埋め込むことができる。

Cinematiqueは、配信プラットフオームとしても機能する。ただし、CinematiqueのビデオをFacebookやInstagram、Twitter等のソーシャルメディアでそのまま利用することはできないし、YouTubeでもクリック可能状態にはならない。

Cinematiqueの顧客ベースの大半は高級製品ブランドだが、サイト運営者がクリック可能記事体広告コンテンツを使って、ブランドから追加費用を得ようとすることは容易に想像できる。

現在同社は価格体系を公表していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

番組内ビデオ広告のWatchwithが、800万ドルを調達

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Watchwithは、従来の動画の前や途中に入る広告に代わる方法を提供するスタートアップだ。このほどシリーズBラウンドで800万ドルを調達した。

同社の説明によると、この技術はビデオの内容を分析し、その情報を使って「対話型オーバレイ広告」を挿入する最適の位置を見つけだす。こうしてこれらの広告はビデオを中断することなく、(願わくば邪魔することもなく)画面の下端に居座っている。

CEO Zave Vellはこれを、テレビ局がオンラインで収益を上げる方法の一つとして売っている。「誰もプレロール広告は捨てない」が、テレビ局は「新たな素材の組み合わせを見つけようとしている」と彼は言う。この新しい広告によって割込み広告が減るはずだ、と彼は考えている。

果たして誰もがこのオーバレイ広告を、通常のプレロール広告よりも好むだろうか。恐らく人によるだろうが、実はこのフォーマットは既に使われている。一部のネットワークでは 通常のテレビ放送中にこれと似たことをやっている。

FOX In-Program Examples from Watchwith on Vimeo.

「スマホで画面全体をCMに乗っ取られることは、大画面テレビの同じ体験よりはるかに苛立たしい」とVellaは付け加えた。「それはその形状とパーソナルという特性によるものだ。スマホは手の中にある ― どうすればいいのか、よそ見しろって?」

そしてマーケター視点で、単独でなくコンテンツと一緒に見られることで効果は高くなる傾向にあると彼は言う。

Watchwithの顧客には、Fox、NBCUniversal、およびViacomがいる。Vellaは、まずテレビ局と組んだのは、「品質基準が高い」からだと言ったが、他のオンラインパブリッシャーにも門戸を開いている。

同社はこれまでに1300万ドルの資金を調達している。今回の調達ラウンド(一部は当局への報告資料で今年公開された)には、Rogers Venture PartnersとSamsung、および新たな投資家として通信メーカーのArrisが加わった。Watchwithは、Interpublic Groupの元プログラム部門であるCadreonのCEO、Brendan Moorcroftが取締役会に加わったことも発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、iOSでもVRの360°ビデオCMをサポート―全プラットフォームでいち早く収益化を狙う

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マーク・ザッカーバーグは「 拡張現実(VR)こそFacebookの未来だ」と語ったが、その言葉どおり、ザックはニュースフィードのVR化に力を入れているだけでなく、早くも収益化を図ってきた。

広告へのVRフォーマットの採用に当たって、 Facebookは消費者の関心を盛り上げるため、通常では人が行けないような場所の記録を提供しようとしている。こうすることでVRビデオへの自発的なアクセスが高まり、各方面に共有される。こうなればFacebookとしてはフィードに自社のVmaRketingのCMを忍ばせておく効果が出る。

Facebookはこの9月にウェブとAndroidアプリで360度ビデオのサポートを開始していたが、今回ユーザーはiOSでもVRビデオを体験することができるようになった。

Facebookは「没入的ストーリー」となるVRフォーマットのCMをAT&TCoronaNescafeRitz CrackersSamsungWalt Disney Worldのような有力スポンサーからまず受付を開始する。

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こうしたビデオは通常のモニター上でもタップしてドラグすることで周囲360度を見回すことができるが、Samsung Gear VRのような立体視できるVRデバイスを使えば本当の臨場感を得られる。一方でFacebookはニュースフィードに360度ビデオのコンテンツを増やすため、日本のリコー(Theta)を始めGiropticや IC Real Techなどのカメラメーカーに呼びかけて、カメラアプリに「Facebookで共有」ボタンを設置させようとしている。このボタンが普及すれば、ユーザーは録画した360度ビデオをニュースフィードにアップロードできるようローカルで面倒な処理をする必要がなくなる。

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またFacebookはフィルメーカーが高品位な360度コンテンツを制作するためのノウハウを掲載するミニ・サイトを開設し、ガイドラインやFAQなども載せ始めた。世界的なVRビデオ・プロデューサーのChris MilkやAaron Koplin(Vrse)がクリエーター向けに没入的ビデオの効果的な制作方法をプレゼンしているので関心がある読者は訪問してみるとよい。

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全体としてみるとVR普及戦略はFacebookが過去に写真、のちにビデオの投稿を増やそうとして採用した戦略とほぼ同様であることがわかる。Facebookはそのフォーマットでもっともダイナミックで魅力的に見え、ユーザーの関心を集めそうなコンテンツの制作、投稿を積極的に応援している。そこで一般ユーザーブランドが制作する非商業的コンテンツが十分集まった段階で、ユーザー体験を害しない範囲で徐々に広告を挿入していくわけだ。

現在この戦略がVRビデオに対して用いられている。FacebookのニュースフィードにはFelix & PaulBuzzFeedのような有名な有名なビデオ製作者がトップ・メーカーの360度カメラを用いた作品が続々と登場している。

この段階でブランドの果たす役割は大きい。360度ビデオ、VRビデオは制作に金がかかる。インディーの映像作家は、通常のビデオ制作に比べてはるかに多額の資金を調達するために苦労しなければならない。ここでブランドには比較的少額の投資で優秀なビデオに作品を制作させることができるチャンスが生まれる。ただしこの場合でも、作品のCM化はできるだけ控え目にすることが重要だ。

FacebookはYouTubeを始めとする有力ビデオ・プラットフォームと競争していかねばならない。新しいビデオ・サイトは皆「VR時代のYouTube」になろうとして必死だ。Facebookとしては他のプラットフォームで制作されたビデオを再共有するデスティネーション・サイトとなることは本意ではないだろう。しかしセレンディピティ〔偶然の発見〕の魅力に関するセオリーからしても、VRビデオ、360度ビデオに必要なのは、ユーザー体験を阻害するブランドの身勝手な広告化の抑制しつつ、誰も見たことのないシーン(合成された架空の景色でもよい)をできるかぎり広汎に採録してユーザーに推薦することだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HuluとFox、30秒で終わる新CM方式を提供

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Huluは、CMを見ることに耐えられない人たちのために広告無しプランを導入しているが、Fox Networksとの新たな契約によって、広告付きバージョンでもストレスなくHuluを見られるようになるかもしれない。

今週、FoxとHuluは新たなタイプの広告フォーマット「エンゲージメント広告」をHuluに導入することを発表した。この一種の対話型広告を受け入れることを選択した視聴者は、Foxの今シーズンの番組を、CMの数も長さも少なく見られるようになり、CMによる中断は計2分30秒からわずか30秒へと短縮される。

このエンゲージメント広告は、Foxが昨年2億ドルで買収したtrue[X]とい会社のテクノロジーを利用している。同社は現在も独立して運営されており、その広告技術はABC、Viacom、CBS Interactiveを始めとする数多くの主要放送局で使用されている。

エンゲージメント広告自身は、従来の広告で最大の問題の一つ ― 視聴者が実際にメッセージを見ているかどうかがわからない ― を解決するために生まれた。視聴者はその場にいないかもしれないし、CM中にスマホで遊んでいるか、他のことをしているかもしれない。

しかしエンゲージメント広告は、広告主が視聴者の注意を引いたことを保証する。まず対話用画面が表示されビデオが始まる。しかしある時点で、視聴者は先へ進むために画面を操作しなくてはならない。これによって本当に見ていることが証明される。

例えば、牛乳のエンゲージメント広告なら、消費者はチーズを使ったあらゆる素晴らしい料理のレシピの中から一つを選ぶよう促される。自動車メーカーの広告なら、車のどの部分について視聴者が知りないかを尋ねることもできる。

Huluの視聴者は、エンゲージメント広告を見るか、従来型のCMを見るかを、Fox TVの番組開始前に選ぶことができ、もし前者を選べば30秒間広告と対話した後、番組の残りをCM無しで見ることができる。

あるいは、1回目のCM時間の前にエンゲージメント広告を選ぶオプションが提示される場合もあり、その場合も別のFoxの番組に移るまで邪魔をされることがない。エンゲージメント広告は、視聴者が一時停止ボタンを押した時に選択を促すことも可能で、今すぐ広告に注目することと引き替えに番組の残りをCM無しで見るチャンスを提供する。

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Foxは既に、Fox.comおよび同社のモバイルアプリFox Nowでエンゲージメント広告を導入しているが、Huluで利用できるようになるのは初めてだ。

また、Huluに統合されるテクノロジーは、他のtrue[x]顧客も利用可能で、そこには主要な放送局が名を連ねている。もしこの方式がHuluユーザーで人気になれば、Huluの広告支援モデルを改善しつつ、より良い視聴体験を提供できる。つまるところ、視聴者は広告を「プレイ」することを好まないかもしれないが、30秒間の束縛の方が、絶えずCMに中断されるよりは苦痛が少ない。

「あらゆるデジタル広告モデルは物量のために作られている…質の高いコンテンツを求める広告などない」とFoxの先進広告部門責任者で、買収前のtrue[X]ファウンダー・CEOのJoe Marcheseは言う。「エンゲージメント広告最大の特徴の一つは、広告で金儲けをする方法を探すだけでなく、より良い視聴体験を実現しようとしていることだ」と彼は言う。

エンゲージメント広告は伝統的広告よりも高価であり、表示回数ベースではなくエンゲージメント毎に課金される。しかし、表示頻度は減るため、目的はエンゲージメントで売上を増やすことではなく、同じ金額を少ない広告で稼ぐことにある。

なお、エンゲージメント広告を利用したいユーザーがいつもこれを選択できるわけではない ― 少なくとも今は。現在この広告方式は、現行シーズンの番組で、かつ広告主がキャンペーンを購入した場合にのみ利用できる。

開始時点では、10億ドル規模のスナック企業、Mondelēz Internationalが、Swedish FishおよびHallsのエンゲージメント広告をHuluで放映する。

エンゲージメント広告は現在ウェブおよびモバイルのHuluで放映中であり、いずれこのフォーマットは、Huluが動作するどのプラットフォームでもサポートされる予定だ ― ウェブ、モバイルウェブ、モバイルアプリだけでなくApple TVやRokuなどセットトップボックスでも。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、一日のビデオ視聴は80億回、4月の40億回から倍増

Facebookのビデオ視聴時間が飛躍的に伸びている。現在、5億人のユーザーが一日平均80億回ビデオを見ている。4月は一日当たり40億回だった。Mark Zuckerbergが、Facebookの爆発的な2015年Q3決算報告に続く投資家向け会見で発表した。

このデータはあまり正確とは言えないと主張する向きもあるだろう、なぜならFacebookはわずか3秒見ただけでも「視聴」として数えるからだ。しかし7ヵ月間で100%の成長は、測定方法の制約を差し引いても、ユーザーが貪欲にビデオを消費していることを示している。

仮に1回の視聴当たり3秒としても、Facebookは毎日760年分の視聴時間を生み出している。これはFacebookには、デジタルへシフトしつつあるテレビCM予算を呼び込む場所が山ほどあることを意味している。現在テスト中のビデオクリエーターとの収益分配が始まれば、さらに視聴を伸ばすチャンスが増える。

この最新データは、なぜFacebookが、ユーザーがビデオを発見した後、実際に視聴するように仕向ける実験を山ほど行っているかを説明している。同社はウェブおよびモバイルで、推奨ビデオのインターフェースをテスト中だ。そこではFacebookがユーザーについて知っている全情報に基づいて追加のビデオを推奨する。この個人データこそ、Facebookがビデオの発見に関してYouTubeより優位にある点だ。

Facebookは、友達がシェアしたりFacebookでトレンドになっているビデオを、チャンネル別に見られる専用ビデオフィードもテストしている。チームは私に、いずれこのインターフェースが、椅子にもたれてスマートTVでFacebookビデオを見るユーザー体験を可能にすることも考えていると話した。

他にテスト中なのがピクチャーインピクチャーで、ニュースフィードを閲覧しながらビデオを見続けることができ、後で見るためにビデオを保存するオプションもある。

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その一方で、Facebookは他のクリエーターのビデオを盗んでシェアする行為や人々に関わる大きな問題を解決しようと試みている。現在同社は、クリエーターが他人にアップロードされた自分のビデオをブロックしたり、場合によっては収益化できるシステムを開発している。

もし著作権問題が解決できれば、もっと多くの一流ビデオクリエーターを、Facebookがテストしていると先月話していた新しい収益分配プログラムに誘い込める。Mark Zuckerbergは今日の会見で、「ある種のコンテンツの中には、オーナーが報酬を得る良い方法さえあればFacebookにやってくる、というものもある … 最近われわれはこのためのビジネスモデルを発表した。

基本的にFacebookは、トップクリエーターからなる限定テストグループが作った特選ビデオを、同社の推奨ビデオとして見せている。もしこれらのビデオがユーザーをつなぎ止め、もっと多くのビデオ広告を見せられれば、Facebookは広告売上の一部をクリエーターに支払うことができる。

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ビデオは、Facebookの使命、ビジネスどちらの未来にとっても極めて重要な役割を担っている。

会社の目的は、ユーザー同志をつなぎ、彼らが気にかけていることをシェアする手助けをすることだ。今やビデオは一番のシェア方法になりつつある。それは携帯電話に強力なビデオカメラが付き、スマホやコンピューターのストレージ容量が増え、高速モバイルネットワークによってアップロードや閲覧が簡単になったことも理由だ。2005年頃に写真をサポートして成功したFacebookが、今度はビデオの波に乗ろうとしている。

そして収益に関して言えば、ビデオ広告は最も高い料金を約束する。それが与える強烈な印象は、広告主をFacebookに多大な宣伝費を払う気にさせる。もしFacebookがこうしたビデオをいきなりフィードに流せば、ユーザーは反発するだろう。しかし、ユーザー生成ビデオの視聴時間が伸び続ける今、Facebookはあまり波風を立てることなくそっと広告を挿入することができる。

COO Sheryl Sandbergは今日、150万社の中小企業がビデオをシェアしたと言った。その中には費用を使ってビデオを広告に変え、視聴を増やした会社もあるに違いない。そして、今年米国のユーザー1人当たり広告売上が50%増加したことを踏まえれば、ビデオ広告戦略は回っている。

最終的に、もしFacebookがビデオを見る目的地となり、人々が吸い込まれるように見に行く場所になれば、それは彼らの勝利だ。そうなればFacebookは、注目を奪おうとする他のビデオ中心プラットフォームからの攻撃を防ぐと共に、稼いだ金をビデオの後継、バーチャルリアリティー等の戦略に注ぎ込むことができるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeがショッピング広告をスタート

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YouTubeがショッピング向きになる。同社は今日(米国時間9/29)新しい広告ユニット、ショッピング広告を発表した。

Google傘下のビデオサイトはこの数ヵ月間この方向へ動いており、関連コンテンツ(商品を含む)のカードや、広告主が商品データをカードにできるショッピング向けTrueViewを導入した。

「どちらも広告主がショッピング向けビデオを作るための優れた機能だが、ショッピング広告はこの機能をYouTubeの全ビデオで使えるようにするものだ」と同社は言う。

重要なのは、Googleが広告主にはYouTubeで商品を宣伝して消費者がビデオから直接購入できるようにしてほしいと、本気で考えていることだ。

つまり、ユーザーがYouTubeで何かを見ていると、画面の右上隅に情報アイコンが出てくる。アイコンをクリックすると関連カードが表示されその中の商品広告をクリックすると店のウェブサイトに飛ぶ。

これは最近発表されたPurchases On Google[Googleで買う]とは別物で、そちらはモバイル広告主が消費者をGoogleホストの商品ページに転送する。

Googleによると、しくみはGoogle検索のショッピング広告と同様にオークションモデルで、コンテキストと視聴者に応じたターゲティング(広告は自分あるいは今見ているビデオと何らかの関係があるかもしれない)が行われ、広告主はウェブサイトまで到達したクリックにのみ料金を支払う。
YouTubeは、商品ビデオ(レビューやチュートリアル)の視聴はこの一年間で40%成長したと言っている。この種の広告はそれらのビデオを収益化する自然な方法だ。Googleはアドバタイジング週間中にこれを発表したが、テストが始まるのは今秋からだと言っている。

詳細はAdWordsブログで読める

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの広告チーフ “Boz”、「クリックしてメッセージ送信」広告を発表

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今日(米国時間9/22)のTechCrunch Disrupt SF 2015で、Facebookの広告責任者、Andrew “Boz” Bosworthが本誌のJosh Constineと対談し、同ソーシャルネットワークでの広告の現状について語った。

Bozは初めにInstant Articleについて話し、コンテンツが読み込まれるまで6~8秒間待たされていた従来のユーザー体験を、いかに改善したかを強調した。

このサービスが実際にユーザーの再来訪率を高めているかを尋ねられると、まだこの製品は初期段階にありそれは将来改善できる可能性のある領域だと語った。コンテンツの再循環の増加等にも言及し、それらが視聴者の維持に役立つと言った。

次に話題はモバイルへと移った。Bozは、モバイルへの「シフト」は終り、Facebookはモバイルの成長の時代にあると語った。しかし、一部の市場ではデスクトップ傾向が高まっており、今でも絶対的には中心となるプラットフォームである。

メッセージングについてBozは、米国以外で興味深いモバイル利用のトレンドがあると言った。例えば、スペインではユーザーがWeChatを使ってレストランの予約をしている。これはメッセージング分野の持つ大きな可能性であり、モバイルコマースを単純化する上で重要だと話した。

Facebook自身については、Facebookページ経由のメッセージングは対前年比で倍増しており、そこがカスタマーサービスへの問い合わせを受ける主要な場所になっている会社もいくつかあったとBozは言った。

もう一つ興味深い話として、同社は「クリックでメッセージ送信」広告を開発中で、これを使うと企業は顧客に会話を始めされるよう誘う広告を作ることができるとBozは話した。

最後にConstine記者は、Facebookがかつて企業に「いいね!」を買うことを薦めていたが、今は企業が直接ニュースフィード広告を送るようになったことについて尋ねた。

Bozによると、エンゲージメントを測る環境と技術はこの5年間で変化しているが、今でも企業は増やした「いいね!」の恩恵に預ったと信じていると語った。

最後に彼はVR広告について、これまでで最も生活に密着した広告体験を生み出す可能性を秘めていると話した。

Canva Disrupt SF 2015 Boz

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook