Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

米国時間5月25日、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は同社の軌道貨物打ち上げシステム初の完全飛行テストを行った。空中打ち上げロケット LauncherOne(ランチャーワン)の輸送機として、ボーイング747を改造した「Cosmic Girl(コズミックガール)」が使われた。Virgin Orbitはこれまでにも、Cosmic GirlとLauncherOneのテストやデモンストレーションを行っているが、全体を通したシステムテストはこれが初めてだった。しかし、テストは予定よりずっと早く、LuncherOneがCosmic Girlから飛び立った直後に終わることとなった。

Cosmic Girlは太平洋標準時正午(東部標準時午後3時)直前に、カリフォルニア州のMohave Air and Space Port(モハーヴェ航空宇宙空港)を飛び立った。操縦はチーフテストパイロットのKelly Latimer(ケリー・ラティマー)氏とコパイロットのTodd Ericson(トッド・エリクソン)氏が担当した。その後飛行機は目標切り離し地点へと飛び、LauncherOneは、予定時刻の太平洋標準時午後12時50分(東部標準時午後3時50分)に輸送機から「クリーンリリース」されたが、そのわずか数分後にミッションは「終了した」とVirginは伝えた。

Cosmic Girlの乗務員をはじめ従業員の安全は確認されたと会社は報告したが、残念な結果であったことは間違いない。それでもVirgin OrbitのCEOであるDan Hart(ダン・ハート)氏とVPのWill Pomerantz(ウィル・ポメランズ)氏は、新たな打ち上げシステムの最初のミッションは往々にして計画通り進まないものであると念を押し、そもそもテストするのはそのためだと語った。

Virgin Oneの軌道飛行テストの飛行計画マップ

それでも同社は多くの有用なデータをこのミッションからから得られるに違いなく、失敗の原因究明に役立つはずだ。ひと度、問題を修正したら、次のテストに向かうことは間違いなく、その時期は思っている以上に早いかもしれない。何故ならVirginは、打ち上げロケットのパイプライン化の取り組みに非常に熱心であり、代替機の飛行準備はほぼ完了しているからだ。

「輸送機を離れた後、LauncherOneロケットはブースターエンジンの点火に成功した。これは当社にとって初めての空中点火の試みだった」とVirgin Orbitが広報を通じて5月25日のミッションについて語った。「その後第一段飛行で異常が起こり、ミッションは安全のうちに終了した。輸送機のCosmic Girlおよび乗務員全員がモハーヴェ航空宇宙空港に無事着陸し、ミッションを終えた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

軌道上で設定変更可能で機械学習に最適化されたXilinxの宇宙規格チップ

宇宙に特化した半導体メーカーのXilinx(ザイリンクス)が開発した、宇宙空間や人工衛星で利用可能な新型プロセッサーは、いくつもの点で世界一を誇っている。宇宙向けとしては初めての20nmプロセスを実現し、演算能力と省電力性を高めている。そして、ニューラルネットワークをベースにした推論アクセラレーションによる高度な機械学習に対応する性能を備えたのも初めてだ。

このプロセッサーはFPGA、つまり基本的にユーザーが設定を変更できるハードウェアなので、必要に応じて調整が行える。機械学習の面では、演算命令実行回数が「深層学習に最適化したINT8のピーク性能」で最大5.7TOPS。これは、ひとつ前の世代と比較して25倍もの性能アップだ。

Xilinxの新しいチップは、いくつかの理由で人工衛星市場で多大なポテンシャルを発揮できる。ひとつには、プロセッサーのサイズが格段に小さくなったことだ。同社がこれまで作ってきた耐放射線チップは65nmプロセスのみの提供だった。つまりこれはサイズ、重量、電力消費量における大幅な改善を意味する。このどれもが、宇宙での使用を語る際に非常に大切な要素となる。何故なら人工衛星は、打ち上げコストと宇宙空間で使用する推進剤の必要量を減らすために、できるだけ小さく軽く作る必要があるからだ。

もうひとつは、書き換え可能であるため軌道を周回するアセットは、必要に応じてプログラム変更をして別の仕事にあたらせられることだ。その仕事に今回、機械学習アルゴリズムのローカルでの処理が加わった。つまり理論的には、例えば雲の密度と気候パターンを追跡するよう設定された地球観測衛星を、森林破壊や鉱物の露天採掘を推論させる衛星に変更することが可能だ。また、市場の需要が大きい地域に衛星を集合させたい衛星コンステレーションの運用にも、大きな柔軟性をもたらす。

Xilinxのチップはどれも、地上で使うものといろいろな点で異なっている。前述の耐放射線性能もそのひとつだ。また、パッケージは分厚いセラミックでできており、激しい振動といった外部からのストレスが加わる打ち上げ時にも、空気がないために放射線や温度の点で過酷な環境にさらされる軌道上でも、確かな耐久性を確保できるように作られている。

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(翻訳:金井哲夫)

NASAのアルテミス協定が宇宙協力に関する新ルールを起案

NASAの月への帰還計画はそれだけでも十分に意欲的だが、同機関はその過程で宇宙における国際協力をより現代的にしようと狙っている。NASAは米国時間5月15日に、自主的なガイドラインのセットである「Artemis Accords(アルテミス協定)の概要を発表した。それは、NASAのパートナーである国や組織が協力して、宇宙の探究と宇宙産業の大きな目的をグローバルに前進させることを狙いとしている。

宇宙はいかなる国家主権の下にもなく、またそれ自身の主権もないため当然ながら無法状態にある。そのためこの協定案も、宇宙法というよりも共有されるべきプライオリティの集合をなるべく明確に書き表したものになっている。既にに多くの国がさまざまな協定や条約に参加しているが、宇宙探検の進歩と、すぐそのあとにやってくるであろう植民や資源採掘などの問題は、既存の体制ではとうてい扱えない。全面的な書き換えが喫緊の課題であり、そしてとりあえずNASAが最初にペンを握ることにしたのだ。

関連記事:ホワイトハウスが新たな「国際月協定」推進を示唆

アルテミス協定は古いルールや協定の重要性を再確認しながらも、いくつかの新しいルールを持ち込んでいる。それらは現段階ではあくまでも一般的な記述であり、具体化のためには今後数カ月ないし数年にわたる協議が必要となる。

ルールとその理由を説明しているNASAの声明は短く、明らかに一般の人向けを想定している。ただしここでは、読みやすくわかりやすくするために箇条書きにまとめた。

最初は新しいと思われるルールだ。NASAとパートナー諸国は以下について合意する。

  • 方針や計画を透明なやり方で記述し、公開する。
  • 「安全区域」を作る位置とその運用の一般的な性質を公開し、抗争を避ける。
  • 国際的なオープンスタンダードを用い、必要なら新しいスタンダードを開発し、実用的な範囲内で相互運用性をサポートする。
  • 科学データを全面的かつタイムリーに一般公開する。
  • 歴史的価値のある遺構や人工物を保護する。例えばアポロ計画の着地点はまだ法的に保護されていない。
  • 軌道デブリの減少を計画的に行う。寿命を迎えた宇宙船は安全かつタイムリーに処分する。

ご想像どおり、これらのどれもが多くの新しい問題を提起する。例えば「透明」とはどういうことなのか? どのような運用をどんなタイミングで公開すべきか? 「歴史的価値」を誰が決めるのか?

今後いろいろなことが長期間にわたって議論されるだろうが、基本的な想定として「秘密主義はいけない」や「アポロ13号の着陸船を盗むなかれ」などのルールは、会話を始めるための良いきっかけになるかもしれない。

Jim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン): 宇宙の探究の新しい夜明けだ! 名誉なことに、本日、アルテミス協定を発表する。月への人間の帰還事業に参加する国際的パートナー全員が共有するビジョンを確立し、原則を設定する。私たち全員が一緒に進むのだ。

一方、この協定は、既存の条約やガイドラインへのNASAの賛意を再確認している。NASAとパートナーは以下を遵守する。

  • Outer Space Treaty(宇宙条約)に準じ、すべての活動を平和的な目的のためにのみ行う。
  • Agreement on the Rescue of Astronauts(宇宙救助返還協定)などの協定に基づき、遭難した宇宙飛行士を助けるためのすべてのリーズナブルなステップを行う。
  • Registration Convention(宇宙物体登録条約)に基づき、宇宙に送られるオブジェクトを登録する。
  • 宇宙の資源の取り出しと利用は、Outer Space Treaty(宇宙条約)の第II、VI、XI条に基づいて行う。
  • パートナー国に「安全区域」について知らせ、Outer Space Treaty(宇宙条約)第IX条に従って調整する。
  • 国連の宇宙の平和利用委員会のガイドラインに基づいてデブリを減らす。

アルテミス計画では2024年に次の米国人男性と初めての女性を月に送ることを目標としているが、そのスケジュールは日増しに不可能の様相を呈している。ミッションはコスト削減のために民間の打ち上げプロバイダーとそのほかの商業的パートナーに前例のないほど大きく依存し、それでいて必要なレベルの信頼性と安全性を維持しようとしている。

関連記事:NASAの月ロケット打ち上げは計画から2年遅れで予算オーバーとの内部報告

画像クレジット:NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トム・クルーズが宇宙での映画撮影についてSpaceXと交渉中か

長年に渡って活躍中のアクションスター、Tom Cruise(トム・クルーズ)氏は、ますます壮大で激しいスタントやアクションシーンを求め続けている。そして、そうしたものすべてを盛り込んだ最高のアクションムービーの集大成として、宇宙で映画を撮影することを目指しているのだろう。Deadlineによると、クルーズ氏がElon Musk(イーロン・マスク)氏のSpaceXと、宇宙で長編映画を撮影する可能性について話し合いを始めており、そこにはNASAも参加しているという。

これはまだ予定に組み込まれたプロジェクトではなく、話を始めたばかりだが、真剣な話し合いが行われているとのこと。この話はクルーズ氏の命知らずの性格からもうなずけるものだ。というのも同氏は、スタントシーンを自ら演じることが多い。「ミッション:インポッシブル」シリーズの、鳥肌の立つような見せ場のシーンのいくつかも、その例外ではない。

そのレポートによると、その映画は「ミッション:インポッシブル」の続編ではないようだが、本当に宇宙空間で撮影されるとすれば、人気シリーズでなくても、十分に聴衆を惹き付けるものになるはずだ。

実際にどうやって撮影するつもりなのか、ということについては何も明らかにされていない。しかしSpaceXは、まさに有人宇宙船を実用化しようとしているところだ。NASAの宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonが、この5月27日に初めて打ち上げられようとしている。これは国際宇宙ステーションに対して、宇宙飛行士を輸送する宇宙船が、通常業務として運行可能になったことを示す最終準備段階のデモンストレーションとなるミッションだ。

SpaceXとNASAは、まさにCrew Dragonを開発するために官民のパートナーシップを締結した。計画では、契約によって他の民間のパートナーも利用できることになっている。NASAが民間業者と官民パートナーシップを結ぼうとしているのは、市場を開放することによって長期的にコストを賄うことができると考えているからだ。SpaceXは既に別のパートナーとの話し合いのもと、Crew Dragonに搭乗するプライベートな打ち上げの予約を募っている。

マスク氏が率いるSpaceXは、現在、完全に再利用可能な宇宙船であるStarshipの実現にも取り組んでいる。それが実際に飛行できれば、船内に撮影スタッフが乗り込むスペースもできるはずだ。実際に人間が搭乗できるようになるのはまだ数年先かもしれないが、将来の有人月面着陸ミッションの契約プロバイダーの1つとして、NASAに選ばれている。すべてがNASAの計画通りに進めば、このミッションは2024年に始まる予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Netflixの『スペース・フォース』の予告第1弾が公開、『The Office』のスティーヴ・カレルが主演

Netflix(ネットフリックス)は、米軍をパロディ風に描いた最新シリーズ『Space Force(スペース・フォース)』の最初のトレーラーを公開した。このプロジェクトは、宇宙に焦点を当てた軍種が公式発表された直後に公開されたもので、実際の米国宇宙軍が発足したばかりであるにも関わらず、このように短期間のうちに洗練された作品のトレーラーが公開されたのは、非常に印象的だ。

シリーズは5月29日(ちょうど、NASAとSpaceXが初の民間宇宙船によるデモ飛行を行い、有人宇宙飛行を再開する予定日の2日後)から始まり、Steve Carell(スティーヴ・カレル)や John Malkovich(ジョン・マルコヴィッチ)、Diana Silvers(ダイアナ・シルバー)、Tawny Newsome(タウニー・ニューサム)、Lisa Kudrow(リサ・クドロウ)、Ben Schwartz(ベン・シュワルツ)が出演する。もしこのトレーラーから 『The Office(ジ・オフィス)』のような雰囲気を明らかに感じたら、それには正しい。同シリーズのクリエーターとなるGreg Daniels(グレッグ・ダニエルズ)を含め、クリエイティブチームの多くが『Space Force』に関わっている。

この雰囲気からこのシリーズを『The Office but with space army』と表現したくなるが、それはスティーヴ・カレルとMicheal Scott(マイケル・スコット)が演じる登場人物がしゃべっているとことから強力に連想させられるだけだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Virgin GalacticとNASAが共同で2点間移動用の超音速機を開発へ

Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)は、米国時間5月5日にNASAとの新しい提携契約を公表した。地球上の2点間移動のための高速航空機の開発が目的だ。NASAはこれまでも、超音速航空機の開発を独自に行ってきた。Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が製造した低衝撃波の超音速試験機X-59はその1つだが、今回のVirgin Galacticとその子会社The Spaceship Company(ザ・スペースシップ・カンパニー)との新たな提携契約では、特に持続可能な高速移動技術を民間および商用航空に適用する道を探る。

Virgin Galacticは、このプロジェクトで幸先のいいスタートが切れると確信している。その理由の筆頭に挙げられるのが、現在が保有している航空機の開発、エンジニアリング、試験飛行を行ってきた実績だ。同社にはWhiteKnightTwo(ホワイトナイトトゥー)母機や、その母機から発射されて大気圏と宇宙の境目まで到達できる有翼宇宙船SpaceShipTwo(スペースシップトゥー)がある。Virgin Galacticのシステムは、通常の滑走路から離陸しまたそこへ着陸できるように構成されている。ロケット推進式のSpaceShipTwoは、地球の大気圏と宇宙との境目をかすめて飛行でき、商用宇宙観光として客を乗せ、感動的な眺めや短時間の無重力体験を提供することになっている。

実際、Virgin Galacticの技術は2点間高速移動に最適なように思える。おそらくSpaceX(スペースエックス)とその建造中のStarship(スターシップ)を使った野心的な計画の数々によって一般に認知されるようになった2点間移動は、超高速で地球上の2点をつなぐという考え方だが、大気圏の非常に高い(現在の民間航空路線の高度よりもずっと高い)ところか、もしかしたら宇宙空間を通ることになる。高高度を飛行するのは、空気が薄く空気抵抗も低いために超高速で飛行できるからだ。例えば国際宇宙ステーションは、地球の周回軌道を90分で1周している。

SpaceXによると、Starshipならニューヨークから上海までの移動はわずか40分だという。今の飛行機なら16時間かかる。Virgin GalacticもNASAも、まだまだ所要時間を語れるような段階には至っていないが、単純に比較するならばSpaceShipTwoの最高速度はおよそ時速4000kmなのに対して、ボーイング747はおよそ988kmだ。

Virgin GalacticとNASAのこの新しい提携は、米国Space Act Agreement(宇宙法協定)に基づくものだ。これはそのさまざまな目標、ミッション、計画指令の達成に役立つとNASAが判断した団体の協力を得るためにNASAが利用するという形の協定だ。具体的にどんなものになるかを想像するのは時期尚早だが、Virgin Galacticはその広報資料の中で「乗客の満足度と環境への責任にを重視した、次世代の安全で効率的な高速航空移動のための航空機の開発を目指す」と述べている。そしてそれは「業界のパートナーたち」との共同で行われるとのことだ。

画像クレジット:Mark Greenberg / Virgin Galactic / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

中国が新型の長征5号Bロケットで次世代乗員カプセルのデモ飛行

中国が新型の長征5号Bロケットを利用した、次世代宇宙船の実証ミッションを打ち上げた。これは、中国の次世代宇宙ステーションの部品の打ち上げにも使用される、新型の長征ロケットの最初の打ち上げでもある。

今回のミッションでは、中国で最新のロケット射場となる文昌(ウェンチャン)から、乗員を乗せない宇宙船が打ち上げられた。長征5号Bは推進力を高める4つのブースターを装備した10基のエンジンを搭載したロケットで、中国にとってこれまでで最も強力なロケットだ。このロケットは第2段がなく、大型のペイロードを地球低軌道に運ぶために特別に設計されている。これはまさに、同国が2022年までの建設を計画している宇宙ステーションの組み立てに必要なものだ。

乗員カプセルは低軌道で短期間の実証ミッションを行うが、現時点では飛行証明の準備段階だ。最終的には、軌道上の宇宙ステーションとランデブーし宇宙飛行士を送り込むために中国が現在使用している宇宙船の神舟と代わることになる。現在は3人乗りだが、最終的には一度に最大6人を輸送することができ、また最終的には月まで宇宙飛行士を運ぶことも可能になる。

これは中国の宇宙開発にとって重要なミッションであり、現在進行中のNASAによる商業有人ミッションと比較すると興味深い。アメリカは5月27日にSpaceX(スペースX)の商業宇宙船が宇宙飛行士を乗せて初のデモ打ち上げを行うという、大きなマイルストーンに近づいている。また同社のCrew Dragonは、構成によって最大7人の乗員を輸送できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAのジェット推進研究所が開発した緊急時用人工呼吸器をFDAが認可

アメリカの食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)が、同局のCOVID-19ガイドラインに示されている緊急時の使用を、NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory, JPL)の技術者たちが新たに設計した人工呼吸器に対して認めた。NASAは昔から頭字語が大好きなお役所なので、この人工呼吸器も早速「VITAL」という頭字語で呼ばれている。それは、Ventilator Intervention Technology Accessible Locally(現地で使用できる人工呼吸器インターベンション技術)の略だ。その設計は、コロナウイルスの危機の間は誰もが無料で使用できる。

JPLが開発した緊急時用人工呼吸器は挿管式人工呼吸器で、鎮静剤を投与した患者の気道のずっと下の方まで呼吸管を挿入して呼吸を助ける。それはもっとも重症のCOVID-19患者用とされ、しかも機器の不足時には、それまでに患者が使っていた正規に承認された人工呼吸器を他に回してから使う、となっている。

NASAによると、VITALのいちばん興味深い点は、これまでの人工呼吸器に比べて部品点数が「きわめて」少ないことだ。だから組み立てもはやく、メンテナンスに時間と専門技術者を要しない。ただし数年間使える従来のハードウェアと違って推奨使用期間は3〜4か月とされ、あくまでもCOVID-19の患者専用とされている。つまり、今後もいろんな医療状況で使用できる一般的な人工呼吸器ではない。

しかしそれでも、NASAのJPLは、FDAの認可を得たことを機に、そのハードウェアの商用生産のパートナーを探している。大量生産により、それを必要とする多くの病院に配布したいのだ。

COVID-19によって需要が増えたため、これまでにもさまざまな緊急時用人工呼吸器が登場している。でもNASAのJPLというと、技術者集団としてのイメージも高いし、もっとも深刻な緊急時用とされているこの製品は、技術的にも優れているものと思われる。

画像クレジット: NASA/JPL-Caltech/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

イーロン・マスク氏が天文観測の邪魔をしないStarlink衛星の新機能を解説

今週開かれたバーチャル記者会見で、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社のStarlink衛星のコンステレーションが夜間の天文観測を邪魔しないようにする新計画の詳細を解説した。マスク氏は、以前、衛星の視認性を低減させるための「サンバイザー」を作るつもりだとTwitterで明かしていたが、その仕組みや以前にSpaceXが試した黒く塗る方法と比較してどうなのか、詳しいことをマスク氏もまだわかっていなかった。

Space Newsの記事によると、SpaceXの新しい「VisorSat(バイザーサット)」のアイデアは、基本的にサンバイザーで太陽の直射光をブロックし、衛星に搭載されている反射率の高いアンテナに光が当たらないようにして、反射光が地上に届くのを阻止するというものだ。その反射光が、夜空の明るい光として見える原因になっている。

将来のStarlinkに追加予定のこの新しいハードウェアは、その他の対策を補完するものでもある。その1つが、打ち上げ後に目標の軌道にのるまで、特に地上から見えやすくなる期間に衛星の向きを変えるという対策だ。全体的なゴールは「1週間以内に衛星を肉眼では見えないようにして、天文学への悪影響を最小限にする」ことであり、コンステレーションによるいかなる影響も科学者や研究者による新発見を妨害しないよう重点的に取り組むことだと、マスク氏は言う。

Starlinkコンステレーションを見えにくくするSpaceXの最初のテストでは、反射しやすい表面を暗い色で覆う方法に重点が置かれていた。テスト当初はある程度の効果が示されたものの、VisorSat方式の方が効果的であり、明るさを少し下げるといった程度ではなく、大幅に低減してくれるものだとマスク氏は確信している。

今のところSpaceXは、次のStarlinkの打ち上げでVisorSatシステムをテストしたいと考えている。2020年に入ってからこれまで、月に1度のペースで打ち上げが行われてきた。だが、このシステムには機械工学上の問題が残されている。太陽の直射光を遮る日よけを飛行中に展開する必要があるのだが、それはまったく新しい装置だ。しかもStarlinkの本来の仕事を邪魔しないよう、日よけの素材は電波を通すものでなければならない。そうでなければ、地上の利用者に低遅延の高速ブロードバンドを提供できなくなってしまう。

これがうまくいけば、その後のStarlink衛星にはVisorSatが搭載されることになる。ちなみに、現在軌道上にある衛星は比較的寿命が短く、それらに対策を施さなくても、ほんの3、4年で運用を終えて軌道から落ちることになっているとマスク氏は話す。そのころには、さらに工学的に進歩した衛星に置き換わっているはずだという。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXはStarship試作機の最後の重要なテストに合格し初飛行へ

SpaceXは、次世代型ロケットStarship(スターシップ)の開発を始めてずいぶんになるが、テキサス州ボカチカで建造中の大型プロトタイプは、これまで「クライオ」と呼ばれる重要なテストになると決まって致命的なエラーに見舞われてきた。これは、宇宙の真空を再現した状態で燃料タンクに最大圧力で燃料を満たすというものだ。だが最新のプロトタイプSN4(シリアルナンバー4という意味)はこのテストに合格し、エンジン点火テスト、そしてそれに続く短距離飛行へと道が開かれた。

SpaceXのSN4プロトタイプは、同社が当初、新型Raptor(ラプター)エンジンの性能を披露するためだけに飛ばした小型の実験機Starhopper(スターホッパー)とは異なり、最終的なロケットの形に近い姿をしている。SN4もStarhopperと同じく、Raptorエンジンを1基だけ搭載していて、実験目的の短距離飛行が可能だ。次期バージョンのSN5は、SpaceXのCEOで創設者のElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、Raptorエンジンを3基搭載し、実際に運用に使われる機体に搭載予定の6基には及ばないものの、軌道に載るデモ飛行に備えた長距離飛行が可能だという。

新しいロケットや打ち上げシステムのテストと開発には、どうしてもトラブルが付きまとう。世界中のどのシミュレーションも、現実の使用条件や物理法則を完全に再現できないからだ。しかし、これまでのStarshipのクライオ試験の段階での失敗は、もっと初歩的な問題によるものなのではないかと彼らは考えるようになった。結局それが、SN1からSN3までを失敗に追い込んだ原因だった。

これでSpaceXは、プロトタイプに搭載した形でRaptorエンジンの地上点火テストが行えるようになり、早ければ今週末にも実施される。その後は、高度150メートルほどの飛行が予定されている。これはStarhopperが実証飛行したときと同じ高さだ。もちろん、軌道までの距離からすれば足下にも及ばないが、これは実物大のロケットが低空でどのように挙動するかを確かめるためのものであり、高高度まで飛行できる、さらには軌道にのることができるプロトタイプの開発につながる鍵をSpaceXに渡すものとなるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

民間弾道飛行での宇宙飛行士の訓練にNASAは期待を寄せる

宇宙を第二の故郷と呼ぶ宇宙飛行士でさえ、初飛行を経験している。NASAは、Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)やBlue Origin(ブルー・オリジン)に委託して宇宙飛行士たちを弾道飛行を体験させ、数々の挑戦的な宇宙計画に備えてもらおうと考えている。これは現在、芽生え始めている民間宇宙飛行業界に新たな巨大市場が開かれることを示唆している。

2020年3月に開かれたNext Generation Suborbital Researchers conference(次世代準軌道研究者会議)で、NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官が演壇に立ち、NASAが現在民間ロケットの利用を検討しているのは、単にこれまでその可能性が存在していなかったからだと話した。

「それは、つい最近まで私たちが国として所有していなかった能力です」と彼は、Space.comの記事の中で語っている。

だが、現在その能力が確かにあると断言もできない。Virgin GalacticもBlue Originも、宇宙との境目をほんのかすった程度の弾道(準軌道)飛行を実証できただけで、試験飛行や商用飛行となると、まったく別の話だ。

関連記事:Virgin GalacticのSpaceShip2がマッハ2.9で宇宙の淵に到達(未訳)

Virginは既にチケットを発売しているが、客を乗せた初飛行の日程は決まっていない。2020年中に行われる公算は大きいが、信頼できるスケジュールを立て、ミッションの成功を記録しない限り、現時点ではただ熱望しているだけとしか見えない。それが宇宙旅行というものだ。その道の99パーセントは、まだ霧の中だ。

だがVirginにせよBlue Originにせよ、ロケットの打ち上げを請け負うその他の企業にせよ、今後数年以内に、ペイロードや人を乗せる能力を持つ宇宙船の弾道飛行を成功させることは間違いない。NASAが彼らの採用に熱心なのは、そのためだ。

それと同じぐらい避けられない現実として、奇妙に思えるのは宇宙飛行士の訓練をすべて地上で行わなければならないことだ。彼らはさまざまなシミュレーターで訓練を行う。いわゆる「嘔吐彗星」や、彼らが大好きなプールでのトレーニングなどだ。それでも宇宙を体験するには、宇宙に行くしかない。

Commercial Crewのデモミッションで最初にISSへ飛行する予定の宇宙飛行士Bob Behnken(ボブ・ベンケン)とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)。Crew Dragon宇宙船のシミュレーターを操作している。

つい最近まで、それは何億ドルもするロケットの先端に乗ってISSまで飛ぶことを意味していた。またはその昔は、オービターや着陸船で月へ行くことを意味していた。

その準備として可能なことはほんのわずかしかないが、ごく限られた中の1つとして、安価で一時的な宇宙飛行がある。それを実現するのが弾道飛行だ。

ロケットで大気圏外に出て、その結果として数分間の無重力を体験できる環境は、訓練や実験や、その他のこれ以外には軌道上でしか行えない活動にはうってつけだ。NASAはその実現を期待しているのだが、まだ実際の契約には至っていない。

VirginやBlue Originなどの企業は、最初の数回の弾道飛行によりチケットの完売をほぼ確実にしたが、宇宙ツーリズムには産業としての実績はなく、また現在のパンデミックやその後に予想される経済の落ち込みにより、そうした高額商品(または宇宙ツーリズムを提供する能力)は深刻なダメージを受ける恐れがある。そのためこうした政府との定期契約は、弾道飛行の提供や支援を行う企業にとっては、ほぼ間違いなく大きな安心となる。

「これはNASAにとって大きな移行ですが、重要な移行です」とブライデンスタイン長官は言う。この移行は、近年の政府事業がそうしているような、単に民間企業への委託を増やすという程度の話でなく、民間飛行を公式なトレーニングに利用するということだ。飛行は徹底的に安全でなければならないが、ISSへの飛行時と同じ厳格な基準に従う必要もないと長官は述べている。

実際にはNASAが運用しない飛行でのトレーニングやテストが増えることで、新しいミッションの準備が促進される。準備が加速されると同時に、その能力を唯一持っていたNASAによる飛行ミッションに依存するこれまでのようなプログラムの煩雑さが低減される。私は、この件に関する詳しい内容をNASAに問い合わせている。新しい情報が入り次第お伝えする予定だ。

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(翻訳:金井哲夫)

宇宙内衛星サービスが成功を見せつけて軌道上の宇宙船操作の記録を破る

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が初めて行うMission Extension Vehicle(ミッション延長用宇宙船, MEV-1)のデモンストレーションミッションの成功が証明され、Intelsat(インテルサット)の衛星の寿命を5年延ばすことができた。そのミッションには、2月25日にノースロップのMEVがインテルサットのIS-901衛星と軌道上でドッキングすることが含まれ、そのあとインテルサットの軌道が変えられて稼働時間を延長できた。

最初のドッキングは2月の終わりごろ行われたが、MEVはそれまでの時間をIS-901の軌道を変えることに費やし、その後インテルサットはさらに、一部の顧客をそれまで使われていなかった衛星に移して、通信サービスに使えるようにした。両社の発表によると、今それは「フルサービス」を提供しており、それが今後5年続く。そのあとMEVは使われなくなっていた軌道に戻って最終的に引退する。そのときMEV−1は再び、ほかのスペースタグ(space tug, 宇宙のタグボート)ミッションで使えるようになり、ほかの衛星のために同じサービスを実行できる。

これは、軌道の持続可能性(サステナビリティー)と宇宙内サービス、および寿命延長の点で画期的であり、とくにNorthrop Grummanはこれをサービスとして提供できるようになる。一方Intelsatにとっては、中断のないサービスを継続できる点で「コストパフォーマンスが良くて効率的」であり、まったく新しい衛星を作って打ち上げなくても顧客のニーズに対応できる、とプレスリリースで言っている。

今、業界には変化が起きつつあり、巨大な静止衛星から、低地球軌道を飛ぶアジャイルな小型衛星の艦隊へ移行して、コストを下げようとしている。今回のような軌道サービスはもう一つのオプションを与えるが、しかし今のところは、新しい人工衛星コンステレーションのスタートアップではなく、レガシーの宇宙産業の衛星事業者にアピールするものだろう。

Northropは、インテルサットの別の衛星のための第二のMEV宇宙船の打ち上げを計画しているから、短期的にも市場性があるわけだし、また将来的には大型宇宙船の経済性を変えてしまうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

提携拡大でNASAが出資するプログラムにおけるPlanetの衛星画像を地球科学者が利用可能に

NASAとPlanet(プラネット)はパイロットパートナーシップを成功させた。その結果、同宇宙機関はPlanetとの契約を延長し、Planetの地球観測衛星の画像をNASAが出資するすべての研究プログラムに提供することになった。NASAは2019年4月に、Essential Climate Variables(ECV)の追跡に取り組む35人の研究者チームに同社の画像を提供する、最初の契約をPlanetと結んでいる。

ECVのトライアルではPlanetの画像が、ヒマラヤでの山崩れなど地球上のさまざまな環境現象を追跡し、洞察を得るのに役立つことが示された。研究者たちが早期警告の兆候を検出する上で重要な要素の1つは、Planetのコンステレーションの高い再訪率、つまり特定の地域を撮影する頻度だった。

Planetのデータは地球全体を少なくとも1日に1回はカバーしており、これには北極のような他の衛星による地球観測範囲にない地域も含まれている。その頻度とカバーする範囲、詳細さは地球科学にかかわるすべての人にとって貴重なリソースとなり、また数十以上のプロジェクトに関わる何百人もの科学者が利用できるようになったことを意味する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

民間初の月面貨物輸送を行うIntuitive Machinesがその着地点と打ち上げ日を決定

民間企業として初めて、NASAに代わって月への科学機器輸送を担当するIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)が、着地点とミッションの目標日付を決定した。同社の月面着陸機、Nova-C(ノヴァC)は、Vallis Schröteri(シュレーター谷)と呼ばれる月面最大の谷への着地を目指している。そこは比較的平坦で十分な太陽光が当たり、着地を妨げる大きなクレーターや岩石はない。

Intuitive Machinesは2021年10月21日の打ち上げを目指しており、不可能だった場合のための予備日も決められている。同社はSpaceXと契約し、Nova-CをFalcon 9(ファルコン9)ロケットでNASAのフロリダ州ケネディ宇宙センターから発射する。このミッションではNASAの科学実験機器(有人月面探査を目指すアルテミス計画準備のための情報収集に使用される)だけでなく、商業貨物もいくつか運搬する。

Intuitive Machinsが本ミッションを与えられた商業月面輸送サービス(CLPS)プログラムの主目的は、NASAがアルテミス計画のための準備を行ったり資材を運ぶパートナーを民間企業の中から探すことにあり、そのパートナーがミッションの費用を負担してくれる他の民間組織を集めてくれることにも期待している。現在NASAは、Jim Breidenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官の下、公民連携を積極的に推進する方針を打ち立てており、宇宙の商業化を通じて費用対効果を追求している。

Nova-Cに積載される主要貨物の1つは、高精度自動着陸システムで、着陸機が月面の障害物を回避するために設計されている。これは2024年(NASAのアルテミス計画が延期されなければ)に人間が再び月面に降りるときにも利用される極めて重要なシステムだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rocket Labが使い捨てElectronロケットのヘリでの空中キャッチに成功

Rocket Labは使い捨て用に設計されたたロケットを降下中に回収する方法を開発している。米国時間4月7日、同社は空中捕捉プロセスのカギとなる部分を実証するためのテストに成功したと発表した。予告なしに公開された動画にはヘリコプターがElectronロケットを空中でキャッチするところが撮影されている。

ロケットは打ち上げ後、大気圏外で衛星を搭載したキックステージ段を切り離し、大気圏に再突入する。回収プロセスのカギはElectronの1段目に誘導システムを搭載して操縦する点にある。これによって再突入角を調整し、1段目が大気との摩擦で損傷することを防ぐ。その後、1段目はパラシュートを展開して降下する。ヘリコプターが降下するロケットを空中でキャッチし、機体から吊り下げてRocket Labの発射基地に戻る。

今回公開されたRocket Lab空中キャッチのテストは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行にともなう社会的隔離の実行が要請される前の3月に実施されたものだ。同社はElectronの1段目と形状、重量が同等のダミーを使い、ニュージーランド沖の洋上でヘリコプターから落下させた。1段目がパラシュートを展開すると2機目のヘリコプターが落下地点に急行し、高度約1500メートルでダミーをキャッチした。

Rocket Labは再突入部分の回収システムのテスト2019年12月に開始していた。打ち上げテストを2019年12月と2020年1月に行っている。どちらの打ち上げでもロケットには誘導とナビゲーションのシステムが搭載され、データが収集された。2度目の打ち上げではロケットには、大気圏への再突入角度を調整して降下速度を遅くするシステムも搭載されていた。

重要なプロセスが意図した通りに機能することが証明されたため、実際に第1段を回収するという次のステップに進むことになったわけだ。Rocket Labではさらに次のステップとして第1段を実際に操縦し、パラシュートを展開させるテストを2020年後半に予定している。ただしこのテストでは空中キャッチは行われない。Rocket Labでは1段目を着水させた後、洋上で回収する計画だ。ロケットは地上施設に戻され、再利用可能な状態に整備される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Relativity Spaceは3Dプリントとクラウドベースのソフトウェアで新型コロナの嵐をやり過ごす

他のどの業界とも同様に宇宙関連の若いスタートアップや企業でも、新型コロナウイルス危機の煽りを受けてレイオフが相次いでいる。しかし、Relativity Space(レラティビティー・スペース)は、なんとかレイオフを回避できた。それどころか、世界的パンデミックにも負けず、新規に従業員を雇用している。RelativityのCEOで創設者のTim Ellis(ティム・エリス)氏は、大型3Dプリントと、クラウドベースのツールとテクノロジーの導入にフォーカスしたことが、会社を苦境に追い込まなかった大きな要因だと話している。

Relativityが間もなく完成させるロケットは、エンジンから胴体、さらにはその中間にあるものまで、ほとんどが3Dプリント部品で構成されるため、基本的にほぼ途切れることなくプロトタイプの製造を進めることができた。Relativityは、航空宇宙と防衛に携わる企業の例に漏れず、必要不可欠な事業と認知されているのだが、相当早い時期から新型コロナウイルスの潜在的な危険性に対処し、従業員の健康と安全を確保すべく手を打ってきたとエリス氏は言う。米国でこの病気が問題視され始めた3月9日、公式な規制や自宅待機の要請が出される以前に、Relativityでは早くも従業員に自宅勤務を勧めていた。

「それができたのは、一部には私たちの自動プリント技術のおかげです。工場にはごくごくわずかな人間しかいませんが、それでもプリンターを動かし続けることができます」とエリス氏はインタビューで話してくれた。「現に今はたった1人で数台のプリンターを見ていますが、実際にプリントが行われています。文字通りワンマン運転です。その一方、この2週間ほどの間に、会社の業務の大半を自宅で処理できるようにしました」。

たった1人の現場担当者で工場全体を管理できる能力は、現在の状況において、競争上、非常に大きな強みであり、同時に従業員の健康と安全を大切に守る方策でもある。エリス氏によると、同社はすでに複数の地域で業務を行っているという。ケープ・カナベラルとフロリダに加えて、ミシシッピ州のジョン・C・ステニス宇宙センターとロサンゼルス本社だ。Relativityではまた、米国内の離れた場所からも数名の従業員がテレワークしている。同社は早くから、全員が一箇所に集まらなくてもデザインや開発が行えるように体制を整えていたのだ。

「私たちはワークフローを円滑にするために、独自のソフトウェアツールを開発しました。それが大変に優れています」とエリス氏。「しかも、ITAR(国際武器取引規制)と複数の暗号プロトコルに準拠しつつクラウドに深く対応した企業ということだけでも、本当に有利なのです」。

自社開発のソフトウェアとクラウドベースのツールに集中したことに加え、エリス氏は、一番新しい資金調達ラウンド 、 2019年10月にクローズした1億4000万ドル(約152億円) のタイミングも、新型コロナウイルス危機への備えに貢献したと考えている。Relativityはレイオフを回避し、新たな求人も開始しただけではない。パートタイムも含め、全従業員に給与を全額支給し続けている。これはすべて、今思えば先を見通したビジネスモデルのおかげなのだが、現在の国際的ビジネス状況におけるこの目覚ましい優位性は、実際のところ単に幸運の賜物だとエリス氏は言う。それでもこれまでのRelativityの回復力は、一部には新型コロナウイルスのパンデミックに起因する大きな永続的変化の現れだと彼は信じている。

「それによって本当に変わるもの【中略】は、国際的なサプライチェーンへのアプローチです」と彼は言う。「もっと多くのものを米国内で生産して、サプライチェーンの過度なグローバル化への依存を減らそうという圧力が高まると思います。私たちがずっと3Dプリンターを使ってきたのは、そのためでもあります。それは、ごくわずかな作業員で、今のような状況下でもロケットの第1段が作れてしまう自動化のテクノロジーというだけではありません。サプライチェーンに関して言えば、限られた数の供給業者と、いくつもの製造方法からなる簡素なサプライチェーンを持つことで、供給業者やサプライチェーンの停止による大打撃を大幅に減らせるのです」。

新型コロナウイルス危機が、2021年に最初の3Dプリントロケットを飛ばすという予定を含めた打ち上げスケジュール全体に、どこまで影響を与えるかはまるで予測できないが、テレワークと社会的隔離指示に難なく添える製造ラインで多くの業務がこなせるとエリス氏は期待している。ジョン・C・ステニス宇宙センターのエンジン試験場といった提携施設が閉鎖されれば、確かに打撃にはなる。だがRelativityの回復力は、この危機的状況が去ったあかつきには、あらゆる種類の製造業の模範となるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

IoT接続用の衛星コンステレーションを展開するMyriotaがシリーズBで21億円を調達

モノのインターネット(IoT)に、人工衛星によるインターネット接続を提供するMyriotaが、HostplusとMain Sequence VenturesがリードするシリーズBのラウンドで1930万ドル(約21億円)を調達した。これにはBoeing(ボーイング)と元オーストラリア首相Malcolm Turnbull(マルコム・ターンブル)氏、Singtel Innov8などが参加した。同社の調達総額はこれで3700万ドル(約40億3000万円)になり、軌道上にはすでに4つの衛星がある。計画では、新たな資金を基に2022年までには衛星数を25に増設する。

Myriotaは、IoT向けに衛星への直接接続をローコストで提供する。それは主に機器装置類のモニタリングのような産業的利用や、地下水の水位測定のような環境保護活動で利用されている。オーストラリアのアデレードに本社を置く同社は、独自の技術で低コストのIoT通信技術を開発し、それはバッテリー寿命やセキュリティ、拡張性、および費用の点で既存のソリューションに優ると主張している。

今回の資金で同社は、次の2年間ほどで社員を5割ぐらい増やし、国際市場へのさらなる進出を目指したいと考えている。また同社のすべてのプロダクトに、リアルタイムレポート作成を可能にする製品の構築にも注力していく。

Myriotaの拡張プランは既に始まっており、最近は同社と同じく宇宙テクノロジー企業であるカナダのexactEarthを買収した。それにより同社は軌道上の衛星4つと新たな社員、そしてカナダ、米国、ノルウェー、シンガポール、パナマおよび南極にある計6つの地上局を入手した。

Myriotaは、50基のIoT用衛星コンステレーションを作ってグローバルな規模とサービスを提供することを目標としている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Swarmが米国での衛星インターネットサービスに関する承認をすべて取得

2018年に衛星スタートアップのSwarm(スワーム)がFCC(米国連邦通信委員会)の規則に違反して複数の衛星を打ち上げていたことが判明したが、異例の形でステルスモードから抜け出した。規制当局は当時、同社の衛星はほとんどのCubeSat(超小型衛星)よりも小さく、また既存の技術では確実に追跡できないサイズだと主張していた。2年後となる2020年、Swarmは米国で商業サービスを開始するために必要な規制のハードルを、すべてクリアしたと発表している。

2019年にSwarmは、当初のコンステレーションで計画していた150機の衛星と最大600機の衛星を打ち上げる許可をFCCから認証され、衛星から地球へのデータ送信に必要な無線周波数帯を使用する許可を得ていた。さらに同社は英国やニュージーランド、ドイツ、スウェーデン、南極大陸、国際水域での事業を行うための規制当局の承認を追加して得ている。また米国や英国、南極大陸、ニュージーランド、およびアゾレス諸島では地上局の設置許可を得ており、2020年中にはさらに多くの設置許可を得る予定で、すべてが計画どおりに進んだ場合、夏の終わりまでに地上局のネットワーク全体が30拠点に到達する予定だ。

Swarmの最終的な目標は、海上や地上の物流の追跡、農業などのIoTアプリケーションや、地上のインフラが不十分な地域での基本的な通信サービスに適した手頃な価格の衛星インターネットネットワークを世界的で提供することだ。現在、すでに軌道上にある9基の衛星を使ってサービスが開始できる段階にあり、さらに多くの国での運用をカバーするために、規制当局の認可を拡大している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

衛星燃料補給技術のOrbitFabが米国立科学財団から資金を獲得

軌道上の衛星燃料補給技術の実用化が、これまでになく現実的なものとなってきた。この技術は軌道上ビジネスのコストと持続可能性の改善に非常に役立つものだ。 2019年のTechCrunch Battlefieldファイナリストである、スタートアップのOrbitFab(オービットファブ)は、軌道上での燃料補給を実現するために取り組んでいる企業の1つである。このたび米国立科学財団(NSF)の初期ステージ高度技術R&D推進組織であるAmerica’s Seed Fundと、その目標へ向かうための新たな契約を結んだ。

この契約が目的としているのは、2つの宇宙船を接続して燃料を送り込むエンドツーエンドのプロセスを管理するために、宇宙でのランデブーおよびドッキング機能を提供するソリューションの開発だ。OrbitFabは2019年10月に開催されたDisruptで、これを可能にするためのコネクタハードウェアを発表している。現在そのハードウェアはRapidly Attachable Fluid Transfer Interface (RAFTI、迅速着脱可能燃料移送インターフェイス)という名前で呼ばれている。RAFTIは、燃料である推進剤を供給および排出するために衛星で使用されている既存のバルブに代わるものとして設計されている。その狙いは、地上での燃料補給と宇宙での燃料補給(あるいは必要に応じて1つの衛星から別の衛星への移送)の互換性を提供できる、新しい標準を確立することだ。

OrbitFabは既に、国際宇宙ステーション(ISS)まで2度飛行することに成功し、2019年には軌道上実験室に水を供給した最初の民間企業となった。同社は栄光に満足することはない、今回の新しい契約は、2020年夏に同社の試験施設で行われる予定のRAFTIのドッキング技術実証の準備に役立つだろう。

長期的には、これはNSFと結ぶ複数年契約の第1段階(フェーズ1)に過ぎない。フェーズ1に含まれるのは、最初のデモを行うための25万ドル(約2690万円)であり、このデモは最終的には宇宙で行う燃料販売ビジネスの最初の試行につながる。OrbitFabのCMOであるJeremy Schiel(ジェレミー・シエル)氏によればそれは「2年以内」に行われるということだ。

「この試行には2つの人工衛星、すなわち私たちのタンカー(補給衛星)と顧客の衛星が必要です。低地球軌道(LEO)でドッキング、燃料交換、デカップリングを行い、私たちの能力を実証できるまでこのプロセスを何度でも繰り返します」と彼はメールで述べている。

これまで軌道上燃料補給に関する多くの技術プロジェクトとデモンストレーションが行われてきており、業界最大の企業の中にもこの課題に取り組むものがいる。しかし、OrbitFabのアプローチは、衛星の大小や企業の違いを乗り越えて活用できる共通標準を提案することで、シンプルさと実現の容易さを目指している。RAFTIを広く採用されるインターフェースにするために、OrbitFabは既に30の異なるプロジェクトや組織と協力していると述べている。

これが成功すれば、OrbitFabは将来の軌道上の商業的な運用環境を支えることができるようになるだろう。宇宙船が軌道上に達したあとは、そこを周回する燃料ステーションが宇宙船からの需要に応えることができるため、燃料は打ち上げコストにおいてほとんど気にならなくなり、燃料を個別価格ではなくバルク価格で購入することができるようになる。

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(翻訳:sako)