Amazonがオハイオにロボット・フルフィルメントセンターを開設へ

米国時間7月22日の朝、Amazon(アマゾン)はロボットを利用したフルフィルメントセンターをオハイオ州に開設すると発表した。70万平方フィート(約6万5000平方m)以上の面積を誇る2つの倉庫は、州北部のAkron(アクロン)とRossford(ロスフォード)にそれぞれ設置される。

これらのフルフィルメントセンターはAmazonの他の配送センターと同じように、人間の従業員と配送ロボットによるコラボレーションを提供する。その様子は、最近訪れたStaten Island(スタテンアイランド)のロケーションの記事から参照できる。

Amazonはオートメーションが人の仕事を奪うことについての批判にもなれてきており、今回は2つのスペースが2500以上のフルタイムジョブを生み出すと主張している。また昨年のBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員からの批判に応え、これらの仕事では最低賃金15ドルが支給される。

この新しい拠点は、米国内での1日配送を推奨しているAmazonにとっても役立つはずだ。すでに目標達成のために負担を強いられているとされる従業員が、最終的にどれだけの負荷を負うことになるのかについての懸念は大きい。

今回の2500人の追加雇用により、中西部におけるAmazonの合計従業員業員は8500人となる。なお、2つの倉庫の具体的なスケジュールに関する情報はまだない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

今年のAmazonプライムデーもベストセラーはEcho DotとFire TV Stickか

【抄訳】
Amazonプライム今年もまた、プライムデーでEcho DotやAlexaリモコン付きFire TV Stickのようなロスリーダー(採算度外視の目玉商品)に殺到した。Alexaスマートスピーカーの入門機であるEcho Dotは、3年連続でプライムデーのベストセラーになった。Fire TV Stickも昨年に続いて上位で、この製品はデビューした2016年以来、プライムデーにはグローバルでよく売れている。

Amazonはプライムデーの具体的な数字を挙げないが、Echo DotとFire TV Stickを合わせて、売り出し初日の月曜日には世界中の顧客に「数百万台売れた」と主張している

昨年は、Fire TV Stickだけで「数百万」という言い方をしていた。

このリテイラーは米国時間7月16日、米国の買い物客は月曜日の売り出しで「数百万ドル」を節約した、と言っている。それはEcho DotとThe Fire TV Stickの安売りだけを指すのではなく、そのほかの売上上位である、Instant Pot DUO Plus 60 6 QtやLifeStraw Personal Water Filter、Crest 3D White Professional Effects Whitening Stripsなども含んでいる。この中でInstant PotとLifeStrawフィルターは、昨年のプライムデーでもAmazon以外の製品で上位入りした2つだった。

Echoは7月15日の売り出し品目には入っていなかったが、しかしすでにプライムデーの前から定価の半額24ドル99セントに値下げされていて、プライムデーではさらに、再び22ドルに下げられた。

echo show 5

本日もEcho Dotは22ドルだが、黒(チャコール)は売り切れで、やや明るい色のサンドストーンしかない。

2日目のそのほかの売れ線

  • 画面付きAlexaスピーカーの小型改良版Echo Show 5が49ドル99セント
  • Fire TVエディションのスマートテレビが最安で140ドル
  • Alexaリモコン付きFire TV Stickが14ドル99セント
  • キッズエディションのFire 7タブレットが59ドル99セント(2つで99ドル98セント)
  • Ring Video Doorbell 2が139ドル

プライムデー2日目の値下げ品目一覧表をもある。

【後略】

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

プライムデーの月曜日はアマゾン以外の大手小売業者の売上も64%アップ

Amazon(アマゾン)プライムデーは、もはやAmazonの一人勝ちの日ではない。実はここ数年、すでにそうなっていた。ほかの大手小売業者はAmazonの年に一度のセールイベントに便乗して自社の売上を増やせることに気づき、それを実行してきた。米国時間7月16日に公表されたAdobe Analyticsの最新データによると、7月15日のプライムデーの月曜日に、米国のeコマースにおいて大手小売業者の売上は、月曜日の平均に対して64%と大幅に増えていた。

Adobe(アドビ)のレポートによると、昨年の大手小売業者(年間売上が10億ドル、約1080億円以上)の売上は54%アップで、今年はさらに増加した。

それより小規模の業者も成果を上げた。年間売上が500万ドル(約5億4000万円)未満の小売業者は、月曜日のオンラインでの売上が30%増加した。

Adobeは、2019年のAmazonプライムデーには米国のeコマースの売上が20億ドル(約2160億円)を超えると予測していた。これを達成すれば、年末のホリデー商戦の時期を除くと、2018年9月のレイバー・デーと2019年5月のメモリアル・デーに続く3度目の20億ドル超えとなる。

Amazon以外のサイトでの売上には訪問者のトラフィックが増えたことが大きく影響しており、これが売上の増加の66%を占めている。ほかには、27%がコンバージョンの増加、7%が購入品目の増加によるものとみられる。

Adobeは、月曜日にAmazon以外のサイトで最も割引されたのは電化製品であったことも指摘している。特にスマートウォッチ(12%オフ)、スマートTV(10%オフ)、スマートホーム製品(9%オフ)などのスマートデバイスが割引された。

Adobeのデータは同社の分析事業によるもので、4500以上の小売サイトと5500万のSKUに対する1兆回の訪問の分析に基づいている。Adobeは米国のeコマースのトップ100社のうち80社のトランザクションを測定している。

Amazonは月曜日のプライムデーの成功を報告したが、売上の詳細は公表していない。顧客は米国で「膨大な金額」を節約できたとしている。Alexa対応音声認識リモコン付属の「Fire TV Stick」と「Echo Dot」はトップセールスを記録した。

画像:Emanuele Cremaschi / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazonプライムデーに便乗する競合店が昨年よりさらに増加して300店超に

Amazonのプライムデーと同じ日に売り出しを開催する便乗リテイラーが今年も含めて増え続けている。今年は始まる前にRetailMeNotが、便乗は250店予測した。しかし米国時間7月16日は、今年の便乗リテイラーが減るどころかさらに増えたため、数字を300店あまりに改めた。

プライムデーの2日目、2019年7月16日火曜日にRetailMeNotは、プライムデー関連の安売りをやっているリテイラーは300店あまりを数えたと言っている。昨日の午後には275店だったが、そのときすでに予想の250店を超えている

2018年のプライムデーには、相乗りリテイラーが194店、その前は119店、そして2016年にはわずか27店だった。

Amazonプライムデー便乗リテイラーの規模は大小さまざまで、売り出しの手法も大型値引きやフラッシュセール、送料無料、そのほかの販促企画などなどさまざまだ。そしてRetailMeNotの記事によると、商品のカテゴリーも、そしてリテイラーとしての業態も、あらゆる種類をカバーしている。

中でもAmazonプライムデーの最大の目玉である送料無料は、多くの対抗売り出しが採用した。送料無料になる下限額をさらに下げたり、会員ではない顧客にも無料を適用したりしている。対してAmazonプライムデーは、プライム会員だけを対象とし、会員を増やすことが売り出しの狙いだ。

売り込みメッセージの中では、いかにもeコマースのお客に受けそうな言葉が多く使われている。多いのは「Cyber」(13%の店が使用)、「Black Friday」を「Black Friday in July」(7月のBlack Friday)のように使うのも多い(後者は32%が使用)。しかし圧倒的に多いのはAmazonのもろコピーで、「Prime」は38%の店が消費者へのメッセージで使っている。

「Prime」の変形を使う巧妙な手口もある。たとえば手芸材料店のJoann Fabricsは「Primo Days」を使っている。化粧品のULTAは「Primer Days」には50%の値引きと言っている。そして家具インテリアのWest Elmは「Reasons to Love West Elm, (Primarily) Today」(今日があるからWest Elmが好き)だとさ。

米国のeコマース市場はすでに、Amazonの売り出しのインパクトを感じている。Adobe(アドビ)によると、大手リテイラーはふつうの月曜日に比べて売上が64%増加したそうだ。そして同社の予想では、2019年のプライムデーは最終的にアメリカのeコマースの総売上を20億ドル(2000億円)あまりに押し上げる。

さて、市場全体や競合店のことは、このようにいろいろわかってきたが、肝心のAmazonにとってこの大売り出しは、彼らの期待どおりにペイしているのだろうか。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonが高音質のEchoスピーカーを来年発売か

Bloomberg(ブルームバーグ)の記事によると、AmazonはSonos(ソノス)のデバイスやアップルのHomePodといったハイエンドのスピーカーと同じ土俵で戦うEchoスピーカーを出そうとしているようだ。記事中の情報源によれば、スピーカーは来年リリースされると見られ、Echoの既存モデルよりも大きく(上の写真はEchoシリーズ用サブウーファーのEcho Subで、これに似たものになるようだ)、ツイーターを4つ内蔵して音質を向上させるという。

もちろん、Echoシリーズの成功の要因である音声アシスタントのAlexaも利用できる。Bloombergは、開発中であると以前に報じられたAmazonの音楽ストリーミングサービスの高音質版に適したスピーカーになるようだとしている。

この動きによってAmazonとパートナーとの関係にも影響が生じるかもしれない。Sonosなどは直接の競合になると考えられるからだ。Sonos OneやSonos Beamなど、Sonosの最近のスピーカーはAlexaの音声コマンドを利用できる。EchoデバイスもSonosもマルチルームストリーミングとスピーカーのグループ化に対応している。Sonosは、価格は高いものの、Echoよりも優れた音質を提供してきた。

SonosはIkea(イケア)と提携してスピーカーを販売する計画で、Symfoniskラインが8月にリリースされる予定だ。スマートスピーカーは市場が大きく、大小を問わず多くの会社が注目している。Amazonは手頃な価格で高音質の製品も出せれば、優位に立つことができる。

音質を重視しない方には、AmazonはAlexaを搭載したホームロボットも開発している模様であることをお伝えしておく。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AmazonのAlexaスキル開発キットがヒンズー語をサポート

Amazonの音声アシスタントのユーザーは、もうすぐヒンズー語でAlexaに話できるようになる。Amazonの米国時間7月16日の発表によると、デベロッパーのためのAlexa Skills Kitにヒンズー語の音声モデルを加えた。またAlexaのデベロッパーはこれまでインドで発表した自分のスキルを、ヒンズー語対応にアップデートできる。

Amazonは先月の機械学習と人工知能のカンファレンス「re: MARS」で、「流暢なヒンズー語をAlexaに加える」と発表した。それまでAlexaが理解できたのは、ヒンズー語混じりの英語、ヒングリッシュのコマンド少々だけだった。Alexa担当のヴァイスプレジデントでトップのサイエンティストであるRohit Prasad(ロヒャット・プラサド)氏はインドの通信社IANSに、Alexaにヒンズー語を加えることは「コンテキスト的にも文化的にもそしてコンテンツの面でも難題だった」と言っている。なぜなら、インドで使われている方言やアクセントやスラングがあまりにも多様だからだ。

英語とともに、ヒンズー語はインドの公用語のひとつだ。Googleの音声アシスタントもヒンズー語をサポートしている。Citi Researchによると、Amazonのマーケットシェアは約30%で、メインのコンペティターであるウォルマート支援のFlipkartと同じぐらいだ。

画像クレジット: Amazon

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

プライムデー初日にアマゾン労働者と人権団体が抗議

Amazonの1年で最大のセールスイベントの初日、Amazonの労働者と活動家たちは抗議活動を行なっている。抗議はサンフランシスコ、ミネソタ、ニューヨーク、シアトル、そして欧州のいくつかの都市で展開される。

従業員主導の最大のデモは、Amazonの倉庫労働者が労働条件や賃金、福利厚生、企業カルチャー全般について抗議しているミネソタ州シャコピーで展開されている。

「主にイスラム教徒で、東アフリカからの移民であるそうした労働者は、怪我を少なくするための人間らしい労働環境や、臨時雇用ではなくフルタイム雇用、昇進に関する平等な機会を求めている」とクライメートジャスティスを代弁しているAmazon従業員のグループは数日前にMediumに書いた。「こうしたFC労働者は我々Amazon Employees for Climate Justice(AECJ)にサポートを求めている」。

ミネソタの倉庫の労働者が組織を結成するのはこれが初めてではない。3月に労働者は労働条件の改善を求めて3時間のストを行なった。昨年は祈りのための時間と、ラマダンで絶食している間のノルマの緩和を要求した。

「Amazonの労働者は、このプライムデーにJeff Bezosに向けて強力なメッセージを発信している。人よりも利益を重視するのをやめるときだ」と国際食品・商業労組のトップMarc Perroneは今日の発表文で述べた。「プライムの翌日配達を促進する最近の動きにより、Amazonの労働者は危険なスピードで不可能な需要をこなすことを強制されている」。

しかしながら、そうした批判は“彼らの都合よく働くためのトリックだ”とAmazonの広報は話した。Amazonは、すでに組合が求めていることは全て提供している、としている。昨年10月、Amazonは米国内の労働者を対象に、全ての倉庫労働者の最低賃金を時間15ドルに上げたが、多くの人は十分でない、と語った。

「今日のイベントに参加しようとしている人たちは単に知らされていないだけとしか考えられない」と広報は話した。「企業として我々は、米国内Amazonの全施設で働く25万人もの臨時雇用者に安全で質の高い労働環境を提供しようと懸命に努力している」。

そして広報は、いかにそうした従業員がオペレーションにとって重要か、またいかに彼らが友人や家族にAmazonで働くよう勧めているかについても語った。

「我々の支払いや福利厚生、職場を、米国中の他のメジャーな企業と比較することを勧める」。

サンフランシスコでは、Bay Resistancneのオーガナイザー、San Francisco Rising、そしてJobs with Justiceが移民税関捜査局(ICE)とのつながりを断つよう求めて市内にあるAmazonのオフィスの外で抗議した。グループはまた、顔認証テクノロジーRekognitionの法執行機関やICEへの提供をやめるよう求めた。この目的は、米国中で摘発を行なっているICEとのつながりを断つことをAmazonに求めた27万人の署名が入った請願書を届けることにある。一部の人は抗議のために集まったが、Amazonがオフィスに入れさせなかったために請願書を届けることができなかった、と主催者は語った。

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「これまで繰り返し言ってきたし、今後もそうあると固く信じているが、企業や政府機関は既存の技術、そして新しい技術を責任持って合法的に使用する必要がある」とAmazonの広報は話した。「許容されるAIの使用や誤使用の派生的な影響について、政府により明確に示してもらう必要があり、我々はこの件について法制化のフレームワークを提案した。政府にさらなる明確化と法制化を望んでいて、今後も我々の考えを示し、提案していきたい」。

Amazon労働者との連帯を示すために、一部の活動家は大衆にAmazonボイコットを呼びかけている。これにはAmazon.com、Amazon Prime Video、Whole Foods、Kindle、Audible、Book Depository、Twitch、IMDb、AWS、GoodreadsそしてComixologyが含まれる。

この記事はサンフランシスコでの抗議についての情報がアップデートされた。

イメージクレジット: TechCrunch/MRD

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonプライムデーは米国のeコマース全体を売上2000億円超に押し上げ

Adobe(アドビ)のアナリティクス部門からの報告によると、米国時間7月15日から始まるAmazonの大売り出し「Prime Day 2019」(Amazonプライムデー)は、米国のeコマース市場にまた大きなインパクトを与えることになりそうだ。その予想によると、米国のオンライン売上の計10億ドルあまりを占める上位リテーラー各社の売上は、Amazonプライムデーの間に昨年の60%に対して79%増加する。そしてAmazonプライムデーにより、米国のeコマースの売上が20億ドル(約2160億円)を超える。ホリデーシーズンを除けば、2018年のレイバー・デー(労働者の日)と2019年の戦没将兵追悼記念日と並ぶ三度目になる。

Adobe Digital Insights(ADI)の主席アナリストであるTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏はこう語る。「Amazonプライムデーが人工的なホリデーになるため、Amazonのコンペティターである他の大型eコマースも余禄に与ると考えられる。結局のところ彼らは、Amazonプライムデーに売上が伸びるという経験をすでに5年近く味わっているのだ」。

なお、上の20億ドルはAmazonの売上を含む米国限定の金額だ。

しかしAmazonプライムデーそのものは、かなり国際的に展開されている。今年は初めてアラブ首長国連邦が加わるほか、英国やスペイン、シンガポール、オランダ、メキシコ、ルクセンブルク、日本、イタリア、インド、ドイツ、フランス、中国、カナダ、ベルギー、オーストリア、オーストラリアなどでも並行してこの売り出しが行われる。

Amazonの上位ライバルであるWalmart(ウォルマート)やTargeteBayBest Buyなども本日、独自の売り出しを行う。それにならうかたちで実施する中小のeコマースも少なくない。というか、RetailMeNotの当初の予想記事によると、Amazonプライムデーの日に自店の売り出しをぶつけるリテーラーは250店に達する。昨年それは194店、2015年の初めてのAmazonプライムデーのときはわずか7店だった。

とくにeBayは、やや汚い手でAmazonプライムデーに対抗しようとしている。同社は昨年のプライムデーでAmazonに不手際(サーバーの過負荷)があったことにひっかけて、今年の便乗売り出しを「Amazonをぶっつぶす特売」、すなわちCrash Saleと呼んでいる。

またウェブサイトモニタリングのCatchpointによると、昨年の経験のおかげで今年のAmazonは、プライムデー開始日の東部時間午前10時までは、モバイル、デスクトップともに安定している。ウェブサイトのロード時間は、売り出しがなかった先週と変わらないぐらい速い。

それは、サイトの安定性が大きく向上したためか、それとも、今年は消費者の出足が鈍いのか。昨年はEcho Dotをプライムデーの始まる前から24ドル99セントに大幅値下げするというでっかい目玉があったけど、今年のプライムデーではEcho Dotを22ドルで特売している。結果は、今日の夜までにはわかるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

朗報! YouTubeがFire TVに、AmazonプライムビデオがChromecastとAndroid TVに相互乗り入れ

なんであれ皆が小異を捨て、力を合わせてサービスを改善するのはいいことだ。競争が激しいことで知られるテクノロジー業界にちょうどそういう珍しい現象が起きた。ストリーミングビジネスで冷戦状態が続いていたGoogleとAmazonだが、 YouTubeがFire TV、プライムビデオがChromecastとAndroid TVにやって来ることが発表された。

Amazonnの各種第2世代Fireテレビ、Fire TV Stick、Fire TV Stick 4K、Fire TV Cube、Fire TV Stick Basic Editionに加えてサードパーティーのメーカーがFire TV機能を内蔵したスマートテレビが全世界9で正式にYouTubeアプリのサポートを開始する。AmazonはYouTubeをサポートするハードウェアをさらに拡大する計画だ。YouTube TV、YouTube Kidsも近くAmazon Fire TVでサポートされる。

Google側ではGoogle自身のChromecastデバイスに加えてChromecast、Android TV機能を内蔵するサードパーティーのスマートテレビがプライムビデオをサポートする。さらにChromecast Ultraのオーナーは追加料金を支払うことなく、Prime Videoの4000本のビデオを見ることができる。これは今までAmazonプライムのメンバーだけの特典だった。

現在すでに一部のAndroid TVデバイスではプライムビデオを見ることができるが、今後はサポートするデバイスが拡大される。

このストリーミングの相互乗り入れは以前から要望されていた。正確にいえば何年も前からだ。しかし両社の小競り合いは最近まで続いていたが、この5月には消費者の便益を優先していさかいを棚上げすることに合意したという発表が行われた。今回の進展は5月の合意が実行に移された結果だ。

ストリーミングよ、永遠なれ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazon Alexa対応の車輪付き家庭用ロボ、開発に本腰

Bloomberg(ブルームバーグ)は4月に、Amazonが「ベスタ」(Vesta)というコードネームで家庭用ロボットを開発中と報じたが、今度はそのプロジェクトが継続中と報じている。しかもその記事にはロボットの具体的な詳細もあり、実はAlexaをサポートしていて車輪で動き回るそうだ。友人の天才的イラストレーターに想像図を描いてもらったら、上図のようになった。

「Vestaは今年リリースされるらしいが、まだ大量生産の準備はできていない」とブルームバーグの情報筋は言っている。どんなプロジェクトでも途中で棚上げにされることはあるが、でも同社はこのところ技術者など開発スタッフを増員してリリースを目指しているそうだ。

現在のプロトタイプでは、ロボット本体の高さは人間の腰の高さぐらいで、センサーを入力源とするコンピュータービジョン技術が介助する。ブルームバーグの記事に書かれている社内デモによると、Alexaにありがとうと言うとユーザーのところへやってくる。その機能はEchoデバイスとほとんど同じのようで、呼びかけに応える、タイマー、音楽の再生などができる。

Vestaが実際にローンチした場合の外見は、Kuriが良いヒントになりそうだ。この、Bosch(ボッシュ)の社内的スタートアップであるMayfield Robotics(メイフィールド・ロボティクス)が開発したロボットは昨年閉鎖され、市場には出なかった。Kuriには、ビデオや写真の撮影、ゲームプレイ、家族との対話などができた。

またAmazonはさらに、Sonosに対抗する高品質のEchoスピーカーを来年出すらしい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonは社員再教育に800億円相当を投じ全社員の3分の1を高度な職種に再配置

【抄訳】
米国時間7月11日、Amazonは7億ドル(約800億円)を投じて米国の労働者を再教育し、彼らをスキルのある技術職や非技術職に移動していくと発表した。その具体的な新しい職場は、会社のオフィスやテクノロジーハブ、フルフィルメントセンター、リテールストア、輸送ネットワークなどだ。それによる同社の目標は、2025年までに米国の同社従業員10万名をスキルアップすることで、それはAmazonの全米の労働者の3分の1に相当する。

発表によると、Amazonが特に欲しいのはデータマッピングのスペシャリストやデータサイエンティスト、ソリューションアーキテクト、ビジネスアナリスト、さらにロジスティクスコーディネーター、工程改善マネージャー、そして輸送運送(トランスポーテーション)のスペシャリストだ。同社のワークフォースと米国の雇用の現況を見るかぎり、これらは過去5年間の雇用増加率の最も高い、そして高度なスキルの職種だ。

Amazon自身のデータによると、データマッピングスペシャリストの過去5年間の雇用増加率は832%、データサイエンティストは505%、ソリューションアーキテクトは454%、セキュリティエンジニアは229%、ビジネスアナリストの雇用は160%の増加だ。また、高度なスキルを持つカスタマーフルフィルメント(顧客対応)の職種は400%の増加となっている。

Amazonの米国のワークフォースは今年30万名に達すると予想され、全世界では従業員数63万名となる。この再教育投資は、ワーカー1人あたり約7000ドル(約76万円)となり、企業の社員再教育事業としてはこれまでで最大である。

資金は既存の事業と新しい教育事業の両方に分散され、また技術的学歴経験のある者とない者の両方に等しく注力していく。新しい社員再教育事業としては、まずAmazon Technical Academyが非技術系のAmazon社員にスキルを付けてソフトウェアとエンジニアリングのキャリアへ移行させる。Associate2Tech事業はフルフィルメントセンターの学卒者を技術職へ移動する。そしてMachine Learning Universityは技術的経験学歴のある者を機械学習へ向けていく。

そのほか既存の事業であるCareer Choice事業(フルフィルメントセンター学卒者の再教育)、Amazon Apprenticeship(見習い制度)、AWS Training and Certificationなども活用する。

【後略】

画像クレジット: Ted S. Warren/AP

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾン、3000機以上のブロードバンド通信衛星の打ち上げをFCCに申請

Amazon(アマゾン)は以前、地球低軌道にてブロードバンドインターネットを提供する衛星コンステレーションのKuiper計画を明かしたが、GeekWireが報じたFCCの申請により、その詳細がすこし明らかになった。申請書では、ネットワークのバックボーンを提供する合計3236機の通信衛星を打ち上げる許可を米通信規制当局に求めている。

アマゾンの申請によれば、この人工衛星ネットワークは世界中の38億人と、アメリカの固定ブロードバンドにアクセスできない2130万人に、より信頼できるアクセスとブロードバンドへの接続を提供する。遠隔地でサービスをうけていない消費者にくわえ、航空機や船舶、車両向けにも移動ブロードバンド接続を提供すると、アマゾンは申請書に記載している。

同様のニーズを同じような方法で提案している企業は他にもあり、SpaceX(スペース)は約1万2000機の衛星ブロードバンドによるStarlinkの打ち上げを模索している。打ち上げ後に3機が交信不能になったのをのぞけば、Starlinkはすでに57機が軌道上に存在している。

しかし人工衛星が天文学者の地上観測に影響を与えるため、スペースXの事業はすでにかなりの議論をよんでおり、また宇宙関連の研究者と産業筋は、ブロードバンド接続を提供する人工衛星が地球低軌道で運用されることによるデブリと混雑を懸念している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ミネソタの倉庫労働者がAmazonプライムデーのストライキを計画

Amazonのミネソタ州シャコピーの倉庫の労働者たちが、大売り出しが行われる7月15日のプライムデーにストライキを計画している。Bloomberg(ブルームバーグ)の記事によると、約100名の従業員が労働条件ないし労働慣行の改善を求めて合計6時間の職場放棄を行う。要求は、臨時雇いを正社員にすること、生産性の義務的割り当て量の緩和などで、特に後者は労働者の安全性にかかわるという。

そのストライキには、数名の技術者も参加して連帯を示す。運動のリーダーであるAwood Centerは労働者の権利擁護団体だ。このほか、サービス産業被雇用者国際労働組合や運転手と倉庫労働者の全国労働組合、ムスリム人権団体ミネソタ支部などが協賛する。

ブルームバーグへの声明でAmazonは「この外部団体の要求はすでに提供している」と主張している。たとえば時給を16ドル25セントから20ドル80セント+福利厚生に上げたことなどだ。また、シャコピーの倉庫の労働者の「平均」90%はフルタイム(正規雇用)だそうだ。さらに同社は、生産性割り当てに達しない人びとの指導育成も行っているという。

Amazonは昨年10月に全労働者の最低賃金を15ドルに上げると発表したが、この上げ幅を不十分とする労働者が多く、賃上げに伴い成績報奨や株式によるボーナスがなくなったことも不満としている。しかし同社は、賃上げの中にそれら報奨等に相当する額も含まれていると主張した。

Amazonの倉庫は米国に100拠点以上あり、この職場放棄がプライムデーのロジスティクスに影響することはないと思われるが、同社の労働条件に対する最新の運動の例として注目に値する。またその労働条件は、一部の国会議員も問題視している。民主党の大統領候補だったBernie Sanders(バーニー・サンダース)氏とElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏は、Amazonの労働条件を選挙演説の重要なテーマとした。例えばサンダース氏は、AmazonやWalmart(ウォルマート)などの大企業の賃上げを義務化する法律を提案し、またウォーレン氏は、Amazonなど巨大企業の分割を主張した。

ブルームバーグの記事によると、労働組合が強いヨーロッパではAmazonの従業員がプライムデーやブラックフライデーなどの重要な売り出し日にストライキを画策することが多い。しかし、大規模な売り出し日を狙ったストライキは米国ではこれが初めてだ。ミネソタではこれの前にも、労働条件の改善を求める3月の3時間ストライキや、昨年はラマダンの絶食期間中における礼拝時間増加の要求などがあった。後者は、アフリカ東部からのムスリム移民たちが主導した

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Alexaの音声記録は無期限に保存するとアマゾンが米議員に回答

Amazonは、Alexaユーザーがバーチャルアシスタントに話しかけた後のAlexa音声記録とデータがどうなるのかという、民主党でデラウェア州選出の米上院議員であるChris Coons氏(クリス・クーンズ)からの質問状に答えた。議員の質問状は、5月のCNETの調査報道を受けてのものだ。CNETは、ユーザーが音声記録をマニュアルで削除しない限りAmazonはそれらを保存し、音声録音のトランスクリプションを無期限に保存するかもしれない、と報道していた。

クーンズ氏のウェブサイトで今日公開されたAmazonからの返答で、同社はCNETの指摘を認め、ユーザーが削除を選択するまでユーザーの音声記録を保存すると説明した。言い換えれば、録音はどの時点においても自動削除されない。

しかし、最初のCNETの報道は、音声記録のテキストトランスクリプトについては「ユーザーには削除するという選択肢はない」として、ユーザーが録音を削除した後もAmazonのサーバーに保持される、としていた。CNETが説明したように、AmazonはAlexaのメーンシステムからテキストログを削除しても、他のサブシステムからは削除しない。議員の質問への回答の中で、Amazonは何を保存し、何を保存していないのか詳細を明らかにした。

トランスクリプトそのものは、ユーザーがAlexaのプライバシーハブダッシュボードを使って音声記録の削除を選んだときに削除される、とAmazonは明確にした。しかしCNETが報じたように、トランスクリプトはAlexaの主要ストレージシステムから削除される。Amazonは、トランスクリプトが他のAlexaストレージシステムに保存されていないことを確かめるための“現在進行形の努力”をしているとだけ言い、トランスクリプトが他でも保存されているかどうかについては明らかにしていない。

音声記録の削除後に他のデータもまた保存されるかもしれないが、これはさほど懸念されることではない。

Amazonはまた「我々はAlexaのレスポンスのオーディオを保存しない」と明らかにした。「しかしユーザーのリクエストへのレスポンスとしてAlexaがとったアクションの記録を含め、顧客のAlexaとのやり取りの記録を我々は保持している」ともしている。

こうしたアクションの記録は、Alexaスキル(音声アプリ)がかかわる場合にはAmazon、またはサードパーティーのデベロッパーにより保持されるかもしれない。

「たとえば、顧客がAmazon Music Unlimitedを購読しているとき、Amazon Freshで注文するとき、UberやLyftに配車を依頼するとき、Dominoにピザを注文するとき、プレミアムなデジタルコンテンツをスキルで購入するときなど、Alexaにリクエストする多くのタイプでは、Amazonそして(または)当てはまるスキルのデベロッパーは明らかに取引の記録を保有しなければならない」。

これは実用的だろう。結局、あなたがUberやピザを頼んだり、購読を始めたりしたとき、受注した企業との間で記録があるはずだとあなたは思うだろう。そして誰もピザ注文の履歴の削除をピザ屋に依頼したりはしない。

Amazonはまた、アラームのリピート設定、Alexaへのリマインド依頼、カレンダーへのミーティングの入力、友達へのメッセージといった種類のリクエストで、音声記録またはデータの削除はされず、もし削除を望めば、Alexaがタスクを実行できないかもしれない、とした。

Amazonはなぜトランスクリプトを使うかについて、Alexaの機械学習システムを訓練・改善するのに役立ち、ユーザーが言ったことやAlexaが聞いたこと、バーチャルアシスタントがどう応じたかについてユーザーに直接ログを提供するため、と説明した。加えて、Amazonはユーザーが話すのをやめるとシステムも録音をやめることを明らかにした。

そしてAmazonはデバイスの短いバッファーについてのテクニカル的詳細に言及した。これは繰り返し書かれていることだが、Alexaは録音して処理するユーザーのオーディオを可能な限り少なくするようにデザインされていて、Alexaに向けられていないオーディオの処理は高くつき、Amazonにとっては価値がない、としている。

議員がAmazonにあてた質問の回答期限は6月30日で、返事の手紙は6月28日付だった。クーンズ氏は期限内に返事があったことを讃えたが、「まだ疑問が残る」と語った。

「Amazonが私の懸念に対してすぐさま応えてくれたことに対し感謝する。彼らの返答はユーザーの個人情報を保護することの重要性とコミットメントへの理解を示すものと確信している」と自身のウェブサイトで述べた。

「しかしながらAmazonの返答では、Alexaとのやり取りでのユーザー音声のトランスクリプトが、ユーザーが音声の録音を消去した後でもAmazonの全てのサーバーから削除されていない可能性を残している。さらに、このデータがどれくらいの範囲でサードパーティと共有され、そうしたサードパーティが情報をどのように使用し、コントロールしているかは不明だ。人々は自分たちの個人情報がテック企業にどのように使用されているか知る権利がある。私は米国民の個人情報を保護する最善の策を模索すべく、引き続き消費者、そして企業と協力して取り組んでいく」とも述べている。

多くの企業がユーザーのデータを無期限に保存している一方で、テック大企業を調査する議員にみられるように消費者のプライバシーへの関心の高まりは変化を生み出している。例えば、先週GoogleはiOSとAndroidで位置情報履歴が自動的に削除されるように消費者が自分たちのアカウントを設定できる新しい機能の提供を開始した。しかしこの措置は、Googleが何年もユーザーのデータを取り込んだ後のものであり、設定はまだマニュアルで操作しなければならない。

多くの人は、音声アシスタントが少なくとも同様のセッティングを提供すべきと主張するだろう。マニュアルでやることを覚えていなければならない代わりに、音声データを自動消去するようセットする方法の提供だ。

ユーザーの音声データを溜め込んでいるのはAmazonだけではない、と指摘しておくのは意義あることだろう。Googleはまた、音声とオーディオのクリップを、記録のレビューや削除というオプション付きでユーザーのアカウントに保存する。データの保存はデフォルトである一方で、ユーザーが望めば音声とオーディオのアクティビティをオフにできる。一方、AppleはSiriの音声記録を6カ月間保存する。その後、データのコピーを匿名化して最長2年間保存する。

しかし広く言えば、Amazonのレビュープロセスそのものと、ユーザーのプライバシーへの配慮の欠如が問題となっている。

Bloomberg(ブルームバーグ)が最近報じたように、Amazonの社員や契約労働者はレビュー中に記録やアカウント番号、ユーザーの名前、デバイスのシリアル番号にアクセスできる状態にあった。そして彼らは社内チャットルームで、トランスクリプトを作成するのを手伝ってもらったり、面白い録音を一緒に笑ったりするのにオーディオクリップを共有していたことも明らかになった。

言い換えれば、Amazonがいかに消費者のプライベートなデータを尊重すべきかという点において、Amazonにはプライバシー文化はない。これは、Appleの最近のスタンスとは異なる点だ。Appleは部分的なデータの保持の必要性と、高まる消費者のプライバシーへの関心との間のバランスをとることに注力している。

テック大企業がきちんと自らを律することができないという観点から、ゆくゆくは規則が適用されることになるだろう。今や、彼らは私たちがキーボードにタイプしたり、スマホを持って世界中を移動したりするときにデータを集めるだけでなく、彼らは私たちの家の中に存在し、私たちがシステムに直接話すときに私たちや子供たちの話を聞いているのだ。

TechCrunchはクーンズ氏の意見についてAmazonにコメントを求めている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonはサードパーティが売っている製品の欠陥にも責任があるとの判決

米国控訴裁がこのほど、アマゾン(Amazon)にとって痛い判決を下した。この巨大リテイラーは、サードパーティが売った商品についても責任があることになった。今週、フィラデルフィアにある第3巡回区控訴裁判所(United States Court of Appeals for the Third Circuit、12の巡回区に設置されている控訴裁判所の1つ)は、Amazonに有利だった下級審の判決を覆した。

この判決が確定すれば、同社の事業のやり方に大きな影響が及ぶことになる。今Amazonで売られている商品の半分近くは、サードパーティのセラーが売っている。それは前四半期のAmazonの全売上の中で約110億ドルを占める。

この判決はペンシルベニア州の州法に準じている。製品に対する責任範囲は、州によって異なることが多い。原告Heather Oberdorf(ヘザー・オーバードルフ)氏は2016年に同社を訴え、収納式の犬のリードが跳ね返ったために彼女のメガネが割れて、左の目の視力が恒久的に失われたと主張した。

オーバードルフ氏の弁護士がロイターにこう語っている。「控訴裁判所が私たちの主張に同意し、ペンシルベニア州の製品責任法のこれまでの解釈が、Amazonの市場支配力という現実に対応していないと認めたことに満足している」。

Amazonはコメントを発表していないが、上訴もありうるだろう。オーバードルフ氏の傷害の原因が本当に製品の欠陥であったのか、それをあらためて下級裁が判断することになる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウドキッチンの大きな流れの中に見える大きな危機

個人経営のレストランは廃業に追い込まれる。もしかしたら食料品店も。

これは、勢いを増す新しい大きなトレンドを間近に見てきた人たちが、口を揃えて訴え始めている話の要点だ。そのトレンドとは、クラウドキッチン。レストラン経営者のための調理器具が完備された共有スペースで、ほとんどの利用者はクイックサーブを実践している。

この動きは局所的には面白く、また一部の企業には収益性の高い展開に見えるものの、それは仕事を奪い、さもなければ地域社会に代償を求める形で私たちの生活を変貌させてしまう恐れがある。Sequoia Capitalの著名なベンチャー投資家であるMichael Moritz(マイケル・モリッツ)氏は、ファイナンシャル・タイムズに先月掲載された「地元のレストランに嵐を巻き起こすクラウドキッチン」と題されたコラムで、まさにこのことを警告していたように思える。

モリッツ氏は冒頭で、ロンドンを拠点に、低料金の自営の配達業者に近所のレストランから客に食事を届けさせる出前サービスで華々しい成功を収めたDeliverooを取り上げている。対象となるレストランのなかには、Deliveroo自身がロンドンとパリで運営するシェアキッチンも含まれている。

先日、この企業にAmazonが投資したことに関して、彼はこう言っている。「かつては単に世界最大の本屋として知られていた企業が、世界最大のレストラン運営企業になる前触れかもしれない」。

これは、レンストランを経営する人にとっては悪い知らせだと彼は言う。「今のところ、この投資はDeliverooへの単純な肩入れに見える。しかし、小規模な自営のレストランは、エプロンの紐を引き締める必要があるだろう。Amazonは、マルチブランドのレストラン運営企業へあと一歩のところにまで迫っている。そしてそれは、晩餐の場を壊滅させてしまうことを意味する」

よい知らせと悪い知らせ

彼は誇張しているわけではない。シェアキッチンは、今はまだ、飲食系の起業家が新しい事業を立ち上げ成長させる有望な道筋として、とくに食事をテイクアウトする人が増えている昨今、好意的に受け止められてはいるが、困った点も少なくない。それは良い点を圧倒するどころか、悪い方向に作用する恐れもある。

たとえば、昨年、UBSは顧客に対して(キッチンは死んだのか?」と題した報告書を発表したが、DeliverooやUber Eatsといった出前アプリの人気の高まりは、家庭での料理、レストラン、スーパーマーケットの衰退を示唆するものだと述べている。

出前の経済学は、あまりに誘惑的になりすぎたと同行は指摘する。賃金が低いために最初から低コストであり、ドローンが出前を始めるようになれば、その原価中心点は完全に消えてなくなる。しかも、中央集中型のキッチンのお陰で、料理の原価も安くなろうとしている。Deliverooもそのような施設をオープンしようとしているし、Uber Eatsの参入計画も伝えられている(3月、ブルームバーグが報じたところによると、Uberは、調理器具が完備された業務仕様のキッチンを業者に貸し出し、Uber Eatsなどの出前アプリで食事を販売するプロジェクトをパリで試験中とのこと)。

Food Networkのテレビ番組に定期的に登場し、いくつものレストランを開業しては閉店させてきたシェフEric Greenspan(エリック・グリーンスパン)氏は、クラウド・キッチンに関するショートドキュメンタリー番組でこう話していた。「出前はレストラン業界のなかでも、もっとも急速に成長している市場です。売り上げの10%からスタートして、今では売り上げの30%に達しています。さらに(業界の予測では)クイックサーブ・レストランの売り上げは、今後3年から5年の間に50〜60%になるでしょう。これは買いです。しかも、クイックサーブ・ブランドは、1日の売り上げをたんまり増やしてくれる重要な鍵になります」。

グリーンスパン氏はさらに、人々がレストランに足を運ばなくなった時代では、レストラン経営の意味はどんどん失われていると話す。「近年では、実店舗のレストランを開くということは、自分で問題を背負い込むことを意味します。今や(中央集中型キッチンで)、強力な製品が作られている限り、私がそこに立っている必要はありません。品質の遠隔管理も可能です。インターネットなら(Uber EatsやPostmatesなどのマーケットプレイスからログアウトしても)お客さんを怒らせることはありません。実際のレストランをある日突然閉店して、そこへあなたが遠くから車で訪れたとしたら、怒るでしょう。でも、Uber Eatsで(私のレストランのひとつを)探したとき、そこを私がクローズしてしまったために見つからなかったとしても、まあ、そんなに怒らないはずです。他の店で注文すればいい」

大手様のみ歓迎

今のところこのモデルは、グリーンスパン氏にはうまく機能している。彼はロサンゼルスでクラウドキッチンを経営しているが、その所有者には、たまたまUberの共同創設者Travis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏が加わっている。彼は、今のシェアキッチンがもたらした好機を、いち早く掴んだ一人だ。実際、昨年の初め、カラニック氏はCity Storage Systemsというスタートアップに1億5000万ドル(約163億円)を投資したと発表した。この企業は、持てあまされている不動産を、食事の出前など、新しい産業のために再利用する事業に特化している。

同社はCloudKitchensを所有しており、フードチェーンの他にも、個人経営のレストランやフードトラックのオーナーを招き入れ、月額制で設備を貸し出している。追加料金を払えば、データ解析もやってもらえる。

レストラン経営者に向けた宣伝文句は、CloudKitchensは間接費を減らして売り上げを伸ばす、というものだ。しかし同社は、テナントに関するあらゆる種類のデータや顧客の好みなどを、知らぬ間に蓄積している。将来いろいろな形でCloudKitchensの役に立つと思われる情報だ。この業界にAmazonが参入を望んでいたとしても不思議ではない。また、少なくとも中国の強力な競合相手のひとつ(熊猫星厨)が今年の初めにTiger Global Management主導による5000万ドル(約54億円)の投資を受けたことも、驚くにはあたらない。

巨大なビジネスチャンスと思われるものを、抜け目ない起業家が黙って見ているはずがない。キッチンは、投資家の目からすればまったく理に適った対象ではあるものの、しかし、その他の者にとっては、今すぐ飛びついていい万能薬ではない。

波及効果

大変に気になる点は、中央集中型キッチンをうまく回すためには、適正な給与が支払われず、経済状況が大変に苦しいUberの配達員や出前を取り仕切る人たちに依存しなければならないことだ(昨年、Uberの配達員とともにDeliverooの従業員は、「労働者」としての地位とよりよい給与を求めて訴えを起こしたが敗訴した。最近になってEU議会は、いわゆるギグエコノミーの労働者を保護する新しい規則を通過させたが改善は見られない。一方、米国ではUberとLyftが従業員の地位を契約社員にする法律の制定を求める訴えを継続している)。

ニューヨーク出身の起業家で食通のMatt Newberg(マット・ニューバーグ)氏は、ロサンゼルスにあるCloudKitchensの2つの施設と、昨年秋にGVから1000万ドル(約10億8000万円)の資金を調達したKitchen Unitedと、年間契約で業務用キッチンを貸し出しているFulton Kitchensの2つのシェアキッチンを訪れたとき、不吉なものを感じたと話している。

ニューバーグ氏は、彼が見て聞いたことを録画したのだが(下に掲載したのでぜひ見てほしい)、サウス・ロサンゼルスにオープンしたCloudKitchensの最初の施設の状態に驚いたという。

レストランのキッチンといえば、ごった返しているものだ。だがそれは「食べ物と持続可能性を愛する人」によるものだとニューバーグ氏は言う。しかし、彼がシェアキッチンに足を踏み入れたとき、「そうした人間味」は感じられなかった。ひとつには、窓がないことがある(倉庫だから)。さらにニューバーグ氏が言うことには、見るからに低賃金の作業員で溢れていた。彼がざっと数えた限りで「おそらく7坪から8.5坪ほど」の場所に27のキッチンが詰め込まれており、多くの人たちがパニック状態だったという。

「叫び声が飛び交って、オーダーが遅れるごとにサイレンが鳴って、そこらじゅうにタブレットがある状態を想像してみてください」

そしてニューバーグ氏はこう付け加えた。「中に入ると、なんてことだ、ここがロサンゼルスだなんて誰も思わないぞ、てな感じ。まるで爆心地ですよ。軍事基地のようで、画期的に見えて、だけどクレイジーで」。

ニューバーグ氏によれば、CloudKitchensの新しい2番目の施設は、Kitchen UnitedやFulton Kitchensの施設と同じぐらいマトモだという。「あそこ(CloudKitchensの2つめの倉庫)は、WeWorkのキッチン版みたいな感じでした。めちゃくちゃきれいで、サーバーファームのように静かです。やっぱり窓はありませんが、キッチンは上等で大きくなっています」

成長の痛み

CloudKitchensに出したメールの返事は来ないままだが、どのスタートアップにも成長痛はある。おそらく、シェアキッチンの企業も例外ではない。ベンチャー投資家であるモリッツ氏も、レストラン経営者はそれを警戒し続けるべきだと忠告している。ファイナンシャル・タイムズのコラムで彼は、2000年代初頭に、彼の会社Sequoia CapitalがFaasosというケバブのレストランに投資したと書いている。このレストランは、料理を客の家まで出前する計画を立てていたのだが、高い家賃や売り上げなどの理由から頓挫してしまった。

そこで自らを救済する目的で、中央集中型のキッチンを開いてケバブを売ることにした。現在、Faasosはメニューの幅も広げ、インド料理の特別メニューや、中華やイタリアンも、それぞれ別のブランド名で扱うまでになったと彼は書いている。

それは、グリーンスパン氏が従っているものと同じ脚本だ。昨年、Food&Wine誌に語ったところによると、彼の目標は少なくとも6つの出前専用の構想を同時進行させることだという。メディアの有名人であるグリーンスパン氏だけに、Faasosのように、この予定が遅れても問題はないだろう。しかし、無名のフランチャイズや、スター性のあるセレブなシェフもいないレストランの場合、未来はそう明るくない。

モリッツ氏はこう書いている。「鍛えられたレストランやキッチンの運営企業、とくにソーシャルメディアをうまく使いこなせる企業なら、フォロワーを増やし、自分たちを刷新できれば、今でも一部の市場に好機がある。しかし、より規模が大きく動きの速い企業との競争にかかる費用が高騰する前に、素早く立ち回ることが必要だ。Amazonがクラウドキッチンを使って、あらゆる種類の料理のケータリングや、Deliverooなどのサービスを利用した出前を始めるらしいという、単なる予測だけでも、レストラン経営者には胃の痛い話だ。

これは、地域社会のことを気に掛ける人にとっても心配の種になる。

クラウドキッチンでは、これまでになく早く安くテイクアウトを注文できるようになる。しかし、それには代償がある。ほとんどの人間が、まだ想像も付かない代償だ。

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(翻訳:金井哲夫)

Amazonプライムデーコンサートにテイラー・スウィフトが出演、日本時間7月11日午前10時

今年のAmazonプライムデーも楽しみだ。人気のセールが2日間開催されるだけではない。テイラー・スウィフトをメインゲストに迎え、プライム会員だけが視聴できるプライムデーコンサートを実施する。この模様はプライムビデオで日本時間7月11日午前10時から世界に配信される。デュア・リパ、シザ、ベッキー・ジーも出演する。

このコンサートにはいくつかの目的がある。プライムデーの認知度を上げ、プライム会員だけの特典にすることに加え、Amazon Music Unlimitedの加速も狙っている。現在、プライム会員がAmazon Music Unlimitedに新規登録する場合、4カ月99円で利用できる。プライム会員はPrime Musicで200万曲にアクセスできるが、Amazon Music Unlimitedに加入すれば広告なしで5000万曲を楽しめる。

さらにAmazonはコンサートの配信中に、これから公開されるAmazon Originalシリーズの番組を宣伝するつもりだ。オーランド・ブルームとカーラ・デルヴィーニュが出演する「Carnival Row」、ニューヨーク・タイムスの同名コラムが原作の「Modern Love」、エミ一賞受賞の「マーベラス・ミセス・メイゼル」、「トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン」、スーパーヒーロードラマの「The Boys」、アニメの新シリーズ「Undone」などの配信が今後予定されている。

7月15日のプライムデー開始に先立ってコンサートが開催されることにも注目だ。イベントを事前に実施することで、Amazonは新規にプライム会員になる人がプライムデー当日ではなく前もって登録し、会員限定の特典にアクセスするよう仕掛けている。

Amazonのサイトは日頃から大量の処理を扱っているが、プライムデーには必ずトラブルが起きている。例えば昨年は、プライムデー開始時にAmazonが落ちた。プライムデーのランディングページが壊れ、エラーページが多発し、支払いができなくなった。

コンサートは200以上の国と地域にライブ配信され、翌日からは期間限定でオンデマンド視聴ができる予定だ。プライム会員はどのプラットフォームでもプライムビデオでコンサートを視聴できる。Fire TVやEcho Showに「アレクサ、プライムデーコンサートをかけて」または「アレクサ、プライムデーコンサートを見せて」と話しかけて再生することもできる。

Amazonがプライムデーコンサートを開催するのは今回が初めてではない。昨年はアリアナ・グランデを招いてイベントを開催した

Amazon MusicバイスプレジデントのSteve Boom氏は発表の中で次のように述べている。「世界中のプライム会員の皆さまに向けてプライムデーを開催することができ、大変嬉しく思います。プライムデーコンサートは、忘れられないパフォーマンス満載の特別な一夜になると信じています。お買い物とエンターテインメント両方の特典を楽しめるプライムデーを祝うために、様々なジャンルのアーティストたちをこのライブの為に特別にラインアップしました。プライムデーに相応しいこの一夜限りのイベントをお客様とともに祝えることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Echo Show 5はビデオ閲覧を重視する人向けのデバイス

Lenovo Smart ClockがCES開催中に発表されたとき、Echoチームは汗をかき始めたに違いない。シアトルのDay Oneビルの奥深くでAmazonは、LenovoのGoogleアシスタントデバイスにそっくりなAmazonのスマートスクリーンのパイントサイズバージョンであるEcho Show 5のリリース準備を進めていた。

もちろんAmazonは最初のEcho Showと刷新的なベッドサイドモデルEcho Spotで、この分野でGoogleをしのいでいる。しかしGoogleとその仲間たちには、Amazonに追いついて競争を制する手法がある。

Echo Show 5は完全なるナイトスタンド用としてデザインされていない。実際、このプロダクトはビデオの再生やカメラの搭載など、Lenovoのデバイスにはないいくつかの機能を搭載している(どちらの要素も結局は寝室をごたまぜにするようなものかもしれないが)。Show 5がどういう位置付けになるか、特にAmazonがSpotも展開している時、明確にするのは難しい。

丸い形という要素によりSpotはEchoファミリーの中で最も愉快な存在だ。しかしSmart Clockのように、新しいShowは四角デザインで背面がクロスに覆われているなどより洗練されている。5.5インチのディスプレイはSpotの 2.5インチよりずいぶん大きく、Lenovoの4インチよりも少し大きい。ナイトスタンドの上でより場所をとることになるだろうが、しかしそれも少しだけだ。Spotは丸いデザインのため、小さなスクリーンにかかわらずそれなりのサイズだ。

実際、ほとんどの点でShow 5は最新世代のSpotをなくてもいい存在にしている。正直、私はオリジナルのSpotを引き続き販売するだけでなく、同じ130ドルで(ミニShowより40ドル高い)販売を続けると聞いて、少し驚いた。Amazonは年末に向けてSpotの展開を見直すかもしれないが、在庫をその価格で売りつくすことにはならないだろう。

私の考えでは、ビデオ閲覧ができないという点でLenovoのデバイスは負けている。4インチのスマートディスプレイはビデオをみるには理想的ではなく、それはベッドサイドでは不必要な機能だろう。しかしYouTubeの統合はGoogleのスマートスクリーンの最大の強みの一つだ。Lenovoのデバイスではその点が生かせていない。

ShowではAmazonビデオの提供が付いてくる。しかしビデオのいい使用例は他にもある。私の頭に浮かぶのは、セキュリティカメラや赤ちゃんモニターからのライブストリームをみられるようにするという使い方だ。快適なベッドから出ることなく家の内外で起こっていることを映像で確認できるのは大きな魅力となるはずだ。

一方、カメラの搭載は誤りのように思える。Amazonが全てのプロダクトでビデオチャットを推進し続けていることは理解しているが、主に寝室で使うであろうプロダクトにカメラを搭載するのはおそらくその価値以上にトラブルにつながる。物理的なレンズキャップの搭載かわわかるように、Amazonは明らかにそうした要素とプライバシー問題を認識している。上部にあるスイッチを動かすことでキャップでレンズを覆うことができる。

レンズキャップは周辺の大きな黒いベゼルに対し、明るい白色をしている。スイッチのところには、カメラが遮断されたときに赤いマークが現れる。私はテストする間、ほとんどキャップをつけていた。一応、念の為に。

Smart Clockが秀でているのはナイトテーブルのためにデザインされた機能だ。新しいShowにも「Alexa, start my day」といったルーティンを含め、そうした機能は少しある。この文言のあとに、天気や交通情報、カスタマイズされたニュースセレクションなどさまざまな情報が続く。これはベッドから出るように促す素敵なブレンドだ(ニュースは頭からシーツを被りたくなる連鎖反応を引き起こすかもしれないが)。Showにないのは、ゆるやかに覚醒を促す目覚まし機能と、スヌーズ機能、寝ている間にスマホを充電するためのUSBポートだ。

Show 5とSmart Clockのどちらを選ぶかは、どのスマートアシスタントを好むかによる。私の考えでは、Googleのアシスタントが勝るが、どちらもほとんどのタスクをほぼ同じレベルでこなす。そこには、中級のスピーカーを使ったスタンダードのマルチメディアの提供やスマートホーム機能が含まれる。後者については、GoogleがNest Hubでいかに引き続き磨きをかけるか興味深いところだ。

90ドルという価格で、Show 5は10インチのものより比較的安く、Lenovoのものよりは10ドル高い。少なくともLenovoとの価格差は取るに足りないものだろう。簡単にいうと、2つめの目覚まし時計となるスマートホームハブを探しているならLenovoのものがうってつけだろう。もしビデオ再生やビデオチャットが大事であれば、Amazonのものが希望に沿うものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi)

アマゾンがKindle Oasis新モデルに色調変更ライトを追加

電子書籍愛好家にとって、Kindle Oasisに勝るものはない。Amazon(アマゾン)の最新の巨大なデバイスは際立っており、(Barnes &Nobleを考慮しない限り)、Oasisは同社が作ったKindleデバイスの中でも最高だ。私は2017年後半にこのデバイスの最新モデルをレビューした時にも、おおいに楽しんだ。

アマゾンは今回のデバイスのアップデートでもその名声を維持しているが、最新のアップデートは標準的なKindleデバイスと同じく、かなりマイナーなものだ。外観の話をすると、新型のOasisは前モデルから7インチ/300ppiディスプレイやページめくり用の物理ボタンなど、すべての優れた機能を引き継いでいる。

一方、フロントライトによる調色機能は大きな変更点で、日中の目の負担を軽減し、夜にはより眠りやすく色を調整してくれる。用意されたオプションを使えば、1日中自動でトーンを調整することもできる。

正直なところ、これが主な新機能だ。またEインク技術も次世代へと移行しており、解像度は変わらないがリフレッシュレートが向上し、より素早いページめくりが可能となっている(使用感は後日お伝えしよう)。もともと画面更新が遅いEインク技術にとって、このメリットは説明するまでもないだろう。

その他の特徴としては、IPX8の防水に対応(水深2メートルで1時間耐久)し、Audible経由でのオーディオブックのBluetoothによる視聴が可能で、高級感のある金属製の背面素材が採用されている。

2017年モデルと同じく、新型Kindle Oasisは8GBモデルが250ドル(約2万7000円)、32GBモデルが280ドル(約3万円)で販売される(スペシャルオファーなしだともう少し値上がりする)。製品には6カ月ぶんのKindle Unlimitedサービスが付属しており、本日から予約が始まり、複数色のカバーとともに7月24日から出荷される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンのAlexaは地域による違いに機械学習で対応

アマゾンの音声アシスタントのAlexaは大きな課題に挑んでいる。多言語対応の製品として動作するだけでなく、対応している各言語の地域による違いもAlexaが認識できるようにすることだ。

これを実現するためにAlexaはあらゆるバリエーションを完全に学習しなおした。これにはたいへんな時間とリソースを要する。しかしAlexaのAIチームは、音声認識をトレーニングする新しい機械学習ベースの方法を開発した。これにより、既存の言語の新しいバリエーションのモデルを構築しなおす作業は大幅に減る。

North American Chapter of the Association for Computational Linguisticsに提出された論文によると、アマゾンのAlexa Alの上級応用サイエンスマネージャー、Young-Bum Kim氏のチームは、テストに使用した米国、英語、インド、カナダの4種類の英語について、正確さがそれぞれ18%、43%、115%、57%向上する新しいシステムを設計したという。

チームは、ユーザ一がどこでリクエストしたかにかかわらず答えがあまり変わらない場合よりも、あるドメインのユーザーからのリクエストに対する答えが地域に固有のものであることが前もってわかっている場合(近くのレストランを教えて、と聞かれたときなど)に重みをつけて学習アルゴリズムを調整する方法を実装した。

次にAlexaのチームは、地域に固有のモデルを1つに統合し、その言語で場所の影響を受けないモデルも追加した。その結果、前述の向上が見られた。

基本的には、共通の基盤を活用し、答えが大きく変化することについて差異を追加するだけにすれば、あまり手間をかけずに地域によって違う答えを返すようになる。時間をかけてAlexaはもっと賢く、速く、言語面で柔軟になるはずだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)