レビューを書かなくてもいい簡単な製品評価方法をAmazonがテスト中

Amazonが、ユーザーからのフィードバックとして従来のレビューよりも簡単なワンタップ評価(One-Tap Rating)をテストしている。それはレビューを書くほどの時間や元気や関心はないけど、その製品に関する意見を共有したいという人たち向けだ。簡単なものでも、ユーザーからの評価があればほかのショッパーたちは助かる。

ワンタップ評価はその名のとおり、1回タップをして星印の数による評価を残すだけだ。レビューのタイトルや内容を書かなくてもいい。

しかもワンタップ評価は、その製品のページだけでなく、自分のOrders(注文履歴)のところや、ログインしたときのホームページ上にあるお勧め品のところからも実行できる。入力はとても簡単で、星の数で評価してグリーンのチェックマークでそれを確認するだけだ。

ワンタップ評価の星の数が製品の全体的評価の星数の計算に加わるのは、「Amazonで購入済み」の場合だけだ。また、あとからレビューや写真やビデオを加えてフィードバックを充実することもできる。

amazon ratings test

この新しい機能は、なるべく多くの消費者からフィードバックを集めるための手段だ。レビューを書くのは面倒、という人は結構多い。またレビューだけよりは、本当にその製品を買った人からの本当の評価に近い格付けが得られるだろう。最近のレビューには、お金をもらって書いてるのもあるから。

この「よいしょレビュー」は、Amazonのポリシーに反しているだけでなく、出品者や出店者の方でも長年、取り締まりの努力をしてきた。報酬つきのレビューを単純に禁じたり、何度も訴訟罰金、売り手のアカウント停止などの対抗策を講じてきた。しかしそれでもなお、Amazon上の評価を上げることを商売にしている、いかがわしいサービスは後を絶たない。今でも、痩せ薬やBluetoothヘッドフォンなど、異様に評価の高い製品がAmazon上に存在する。

本物の顧客からの本物のレビューだけになれば正しい評価が得られるけど、悪者をレビューの世界から一掃する名案がAmazonにはない。

今度の新しい評価方法は、ウェブとモバイルアプリの両方で、世界中で行われている。現時点では全員ではなくて、一部の消費者がテスト対象になっている。Amazonは、これが実験であること、本格的なローンチでないことを強調している。

Amazonのスポークスパーソンによると「顧客がフィードバックを容易に残せて、しかもショッパーが本物の顧客からの本物の評価を幅広く得られる方法を、目下テストしている」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国の大企業はプライバシー規制の国による統一を求めている

オンラインのプライバシーに関しては、カリフォルニア州が米国で最も厳しい法制を敷こうとしているが、一方で一部の大手企業は各州別ではなく国レベルの規制を望んでいる。

これに関しAmazonやAT&T、Dell、Ford、IBM、Qualcomm、Walmartなど、各業界の指導的企業のCEOたちが、業界の主要ロビー団体ビジネスラウンドテーブルを通じて議会の指導者たちに公開書簡を送り、オンラインのプライバシーに関し行動を起こすよう訴えている。

書簡では「今や議会が行動を起こし、消費者が自分の権利と保護について、互いに整合性のない州法のパッチワークがもたらす混乱に直面しないようにすべきである。さらに、規制の全体像がますます断片化し複雑化している現状が、デジタル経済における米国のイノベーションとグローバルな競争力に被害をもたらしている」と述べられている。

この書簡の付属文書として、今年の年末に発効するカリフォルニア州のプライバシー規制が添えられている。

関連記事:カリフォルニア州で画期的なデータプライバシー法が成立

そのカリフォルニア州の法案には、重要な要求として以下の項目が含まれている。

  • 企業は集める情報の種類とその用途、およびそのデータを共有するサードパーティを開示しなければならない。
  • 企業は消費者から公式の要求があればそのデータ削除しなければならない。
  • 消費者は自分のデータが売られることをオプトアウトでき、企業はそれに対しサービスの料金やレベルを変えて報復してはならない。
  • しかしながら企業は、データの収集を許されるために「金銭的報奨」を提供してもよい。
  • カリフォルニア州当局には違反に関し企業に罰金を科す権限がある。

企業が国の規制でもって州の主導権を奪いたいとプッシュするのは、各州によってバラバラな規制に正しく対応することが非常に困難だからだ。しかし、カリフォルニアの自動車メーカーの例にも見られるように一番厳しい要求に従えばいいとする見方もある。そのほうが単純明快かもしれない。

しかも、今回書簡に連名した企業の多くが、ヨーロッパでGDPRが成立したために、すでに厳格な規制に準拠している。

関連記事: WTF is GDPR?(GDPRとは何か?、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Shopifyが倉庫自動化テックの6 River Systemsを約480億円で買収

急速にアンチAmazonとなりつつあるショッピングテクノロジー開発のShopifyが、倉庫の自動化と管理テクノロジーを開発する6 River Systemsを4億5000万ドル(約480億円)で買収し、販売サプライチェーンとしてさらに進化する。

これは、Shopifyが6月に開始したフルフィルメントネットワークサービスの効率化を加速させる買収となるだろう。

この買収により、ShopifyはKiva Systems在職中にAmazonのロボティクス事業を手がけた専門家を戦力にすることができる。Kiva Systemsは、後にAmazonに買収された。

ShopifyのCEO、Tobi Lütke(トビー・リュトケ)氏は声明で次のように述べている。「Shopifyは、これまでさまざまな商取引の課題に取り組んできたのと同じ方法でフルフィルメントに取り組む。それは最高のテクノロジーをまとめて誰もが競争力を高められるようにすることだ。我々は6 River Systemsと協力して、世界中のあらゆる規模の企業にテクノロジーと業務の効率化を提供する」。

この買収は、6 River Systemsに投資していたMenlo Ventures、Norwest Venture Partners、Eclipse Partnersなどの投資家によって承認された。買収金額は現金と株式で計4億5000万ドル(約480億円)。一定の条件に従って、6 River Systemsの従業員と創業者にShopifyのクラスA株式、およそ6900万ドル(約73億8000万円)相当が割り当てられる。

Shopifyは声明の中で、この買収は同社の2018年の収益に重大な影響を与えることはないと述べた。同社の支出の増加は、営業経費が1000万ドル(約10億7000万円)、無形資産償却が800万ドル(約8億5000万円)、株式報酬が700万ドル(約7億5000万円)で、計2500万ドル(約26億7000万円)と見込まれる。

Shopifyは、6 River Systemsの年間売上は2020年には3000万ドル(約32億円)になると予測している。

画像:6 River Systems under a license

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(翻訳:Kaori Koyama)

AmazonがスマートテレビコントローラーFire TV Cubeの第2世代を発表

9月6日にドイツ・ベルリンで開幕したヨーロッパ版CESともいえるコンシューマーエレクトロニクス展であるIFA 2019で、Amazon(アマゾン)はFire TV関連プロダクトを20種類以上発表した。最大の注目は第2世代のFire TV Cubeだろう。これはAlexa搭載のスマートテレビコントローラーで、米国、英国、日本ではすでに予約注文受け付け中だ。

一方、Fire TV EditionをOSとして搭載したプロダクトも15種類発表された。なかでもAnkerのFire TV Editionサウンドバーが注目を集めている。Editionを搭載した製品にはOLEDスクリーンのスマートテレビも含まれる。

今回の発表は、AmazonがFire TVのハードを大幅に強化するものだが、この背景にはアメリカのスマートテレビ市場ではAmazonを抑えてRokuがマーケットリーダーとなっているという事情がある。

ただしAmazonの発表によれば、 各種Fire TVデバイスには世界で3700万人の月間アクティブユーザーがいるという。これはRokuが第2四半期の決算で発表した3050万人より多い。スマートテレビは家族で利用することが多いが、ストリーミングのためには両社とも1家族は1アカウントしか取得できないので比較的正確な比較になっているはずだ。

本日ベルリンで発表されたFire TV Cubeは、現行製品に比べて大幅なアップデートとなっており、Alexaを搭載リモコンが付属することで初のハンズフリーFire TVを実現している。

All new Fire TV Cube side

Amazonによれば、新世代Fire TV Cubeは6コアのCPUを搭載しており、パフォーマンスは現行モデルの2倍で、Dolby Visionと4K Ultra HDコンテンツをレイテンシーなしに最高60fpsの速度で再生できる。またLocal Voice Controlを搭載し、「Alexa、右にスクロール」といった日常よく使われる音声コマンドの実行速度が最高4倍にスピードアップしている。新しいCubeには遠隔音声認識機能が搭載され、部屋に大勢の人がいて騒がしい場合でもユーザーの声を正しく聞き分けられるという。

今回、Cube互換プロダクトとして、スマートテレビ、サウンドバー、動画・音声のレシーバー、衛星放送チューナーなど関連製品多数が披露された。【中略】

Fire TV Cube Couch

Amazonはサードパーティのプロダクトに搭載するOS、Fire TV Editionの拡大にも力を入れており、Skyworth、Arcelik、TPV、CompalなどがEdition搭載の製品15種類を発表した。中でも注目はJVCのUltra HD、HDR対応のFire TV Edition搭載4Kスマートテレビだろう。英国では349ポンドで発売されることになっているが米国など他の市場での扱いについては情報がない。

Grundig OLED Fire TV Edition display

スマートテレビ以外での注目Edition搭載プロダクトはAnkerから発表されたNebulaサウンドバーだ。これはFire TV EditionをOSとして組み込んだスマートスピーカーで、スマートテレビのインターフェイス、4K Ultra HD、NFCによるAlexa音声コマンド、Dolby Visionなどをサポートする。

Nebula Soundbar – Fire TV Edition 4

Ankerのサウンドバーは米国では229.99で予約を開始している。その他カナダ、英国、ドイツでも販売されるが、他地域でどうなるかはまだ情報がない。

米国市場におけるスマートテレビへの組み込みOSのシェアでは、Roku OSがトップだ。米国のスマートテレビの3台に1台以上はRoku OSを採用している。今回、IFA 2019でAmazonがEdition OSの普及に力を入れてきたのは、Rokuに対抗する意味合いが強い。Amazonの国際市場におけるネットワークはRokuよりはるかに強力だ。Amazonは今後、Fire TV Editionの国際展開に全力を挙げるものと予想される。

【Japan編集部追記】日本での発売は2019年11月5日から、価格は1万4980円で予約受け付けはこちら。ページ左上に「互換性確認」のポップアップがある。テレビ、A/Vレシーバー、サウンドバーについてブランド別に互換性の有無を確認できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

世界のスマートスピーカー市場でグーグルはバイドゥに抜かれて3位に後退

Canalysの最新の調査報告書によると、世界のスマートスピーカーの市場は今年の第2四半期に55.4%成長し、2610万台が出荷された。トップは変わらずAmazon(アマゾン)で、この四半期に660万台を出荷した。しかしGoogle(グーグル)は、中国のBaidu(バイドゥ)に抜かれて3位に後退した。BaiduのQ2の成長率は3700%と大きく、450万台を出荷してGoogleの430万台を抜いた。

中国の市場は全体として倍増し、同四半期に1260万台が出荷され、アメリカの合計610万台の2倍になった。米国市場は全体として前四半期よりも2.4%とわずかに減少した。

Baiduの同四半期の成長は、積極的なマーケティングと売出しキャンペーンに依るところが大きい。中でもとくにスマートディスプレイの人気が高く、全売上の45%を占めた。

CanalysのリサーチアナリストCynthia Chen(シンシア・チェン)氏はこう述べている。「ローカルネットワークのオペレーターたちが最近この種のデバイスに強い関心を持つようになっている。スマートディスプレイで競合他社の少ないBaiduにとってこのことが大きく幸いし、オペレーターたちの市場をほぼ独占した」。

一方、GoogleはQ2にNestのブランド変更をしたことがマイナス要因になった、とCanalysは言っている。

Googleが消費者の関心を再燃させるためにはスマートスピーカー製品群の刷新が必要、とこの調査報告書は示唆している。そういえばGoogle Homeデバイスはローンチ以来一度もアップデートされず、2016年当時の空気清浄機のようなスタイルに今でも満足している。そしてGoogle Home miniは、色が変わったことが話題になった程度だ。

むしろGoogleの最近の関心は、デバイスのメーカーによるGoogle Assistantの技術の統合より容易にすることに向けられ、またスマートディスプレイへのフォーカスが増していた。

対してAmazonはEcho系列のスピーカーをこれまで何度もアップデートし、Alexa対応デバイスをEcho SpotやEcho Showなど画面のあるデバイスにも拡張し、また従来からの声だけの製品もEcho Plus、Echo Dot、Echo Autoなどと多様化してきた。時計や電子レンジにもEchoが載った。まるでそれは、音声コンピューティングの公開実験みたいだ。

それでもAmazonとGoogleはどちらも、Q2には焦点を米国以外の市場に移してきた、と報告書は言っている。たしかに、Amazonのスマートスピーカーの出荷は50%がアメリカ以外であり、それは前年同期に比べて32%増えている。Googleはアメリカ以外への出荷が全体の55%で、前年同期比42%の増だ。

table ifnal final

3位までを占めるAmazonとBaiduとGoogle以外でトップ5に残るのは、Alibabaの410万台とXiaomiの280万台だ。そしてApple(アップル)のHomePodを含むその他大勢は計370万台だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

IMDb TVの無料ストリーミングサービスがモバイル端末にやってきた

IMDb TVは、今年はじめにAmazon傘下のIMDbが開始した広告支援型無料ストリーミングサービスだ(当初はFreediveと呼ばれていた)。このほど同サービスがモバイル端末で利用可能になった。iOSとAndroidのIMDbアプリがアップデートされ、ユーザーは今も増え続ける映画やテレビシリーズのライブラリをストリーミングできる。

IMDb TVを公開する前、同サイトはトレーラー、著名人のインタビュー、短編シリーズなどでビデオコンテンツを実験してきた。しかし今日の消費者は、定額サービスを契約するよりも一流コンテンツを無料で見ることへの関心が強い。IMDb TVのライバルであるWalmart(ウォルマート)傘下のVuduの「Movies on Us」やTubi、The Roku Channelなどがすでに無料サービスを提供している。

IMDb TVはサービス開始時点で「Fringe)(フリンジ)、「Heroes」「The Bachelor」「FBI 失踪者を追え!」などのテレビシリーズや、ハリウッド映画の「アウェイクニング」「フォックスキャッチャー」「メメント」「モンスター」「ラン・ローラ・ラン」「イリュージョニスト」「ラストサムライ」「トゥルー・ロマンス」などを提供した

この夏には、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズ、MGMスタジオなどと新たな契約を結んで作品ラインアップを拡大した。

その結果、「はじまりへの旅」「ラ・ラ・ランド」などの作品がサービスに加わった。後者はこの夏同サービスで最も多くストリーミングされた映画のひとつになった。ほかに追加された人気タイトルには、「ザ・エージェント」「プラクティカル・マジック」「ROCK YOU!」「ドライヴ」「マックス」「ミートボール&キャシー」「Mr.ズーキーパーの婚活動物園」「ネバーエンディング・ストーリー」などがある。。

さらに最近ではパラマウントやLionsgate Televisionとの契約によって、「世界にひとつのプレイブック」「アデライン、100年目の恋」「白鯨との闘い」、テレビシリーズの「ザ・ミドル 中流家族のフツーの幸せ」などがIMDb TVにやってきた。

IMDb TVのユーザー数は公表されていないが、Amazon Fire TVとの統合による恩恵を受けている。

今年、Fire TV担当副社長のMarc Whitten(マーク・ウィットン)氏は、Fire TVユーザーによる無料広告支援型サービスの利用は前年比300%以上増えたと語った。IMDb TVは、Fire TV画面の「アプリとチャンネル」欄にアイコンが置かれ、Prime Videoアプリの無料チャンネルとしても利用できることで、今後も利用が伸びていくことを期待している。

アップデートされたiOSおよびAndroidのIMDBアプリは、今日から公開される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オラクル控訴で米国防省1兆円規模のJEDIクラウド入札勝者発表は延期

賞金が100億ドル(約1兆580億円)の場合Oracle(オラクル)の執念深さは見上げたものだ。米国防省が計画しているJEDIクラウドの調達プロセスについて、1年以上にわたってOracleは考えられるかぎりの法的手段を使って抗議を続けてきた 。しかしそのつどプロセスに問題があることの立証に失敗している。先月もOracleの訴えを連邦裁判所は棄却したが、それで諦めるOracleではなかった。

Oracleは米国を代表するコンピューティングサービスの1つだが、自分たちの利益が不当に脅かされていると感じれば泣き寝入りする会社ではない。特に連邦政府の調達が100億ドル規模とあればなおさらだ。米国時間8月26日に発表された訴訟は連邦請求裁判所(Federal Claims Court)の上級裁判官、Eric Bruggink(エリック・ブルッギンク)判事の判決に対する控訴だ。今回、Oracleの主張は1社の総取りとなるようなJEDIの調達プロセスそのものが違法だとしている。

Oracleの主席法律顧問、Dorian Daley(ドリアン・ダレイ)弁護士は声明で次のように述べている。

JEDI入札訴訟において、連邦請求裁判所はJEDI調達プロセスが違法であると判断したにもかかわらず、Oracleが当事者適格性を欠いているという極めて技術的な理由により訴えを棄却した。連邦調達法は、特定の必須の要件を満たしていないかぎり、JEDIのような単一勝者による調達を特に禁止している。

裁判所は判決付属意見で国防省がJEDI調達においてこの必要要件を満たしていないことを明確に判断した。また意見は、調達プロセスに多くの重大な利益相反が存在することも認めている。こうした利益相反は法律に違反し、国民の信頼を損うものだ。前例を形成すべき重大な例として、我々はOracleに当事者適格がないという結論は、法解釈として誤っていると信じる。判決意見自身がいくつもの点でプロセスの違法性を認めており、我々は控訴せざるを得ない。

昨年12月にOracleは連邦政府に対し、100億ドルの訴訟を起こした。この訴えは主にAmazonの元社員であるDeap Ubhi(ディープ・アブヒ)氏の調達プロセスへの関与が利益相反だとするものだった。アブヒ氏は国防省のプロジェクトに参加する前にAmazonで働いており、国防省の調達プロセスのRFP(仕様要件)を起草する委員会で働き、その後Amazonに戻った。国防省はこの問題を2回調査したが、いずれも連邦法の利益相反であった証拠はないと結論した。

先月、裁判所は最終的に国防省の結論に同意し 、Oracleは利益相反ないし利益相反が調達に影響を与えた証拠を示すことができなかったと判断した。 ブルッギンク判事は次のように述べている。

当裁判所はまた次のように結論する。すなわち調達プロセスを検討した国防省職員の判断、「組織的な利益相反は存在せず、個別人物における利益相反は(存在したものの)調達プロセスを損なうような影響は与えず、また恣意的その他合理性を欠くなど法の求める要件に適合しない要素はなかった」という結論に同意する。このため原告の訴えを棄却する。

OracleはJEDI調達のRFP仕様書が公開される前からあらゆる方法で不平を鳴らしてきた。ワシントン・ポスト紙の記事によれば、 2018年4月にOracleのプレジデント、Safra Catz(サフラ・キャッツ)氏はトランプ大統領に会ってJEDI調達の不正を訴えたという。 キャッツ氏はこのプロセスはクラウド事業のマーケットリーダーであるAmazonに不当に有利となっていると主張した。AWSは2位の Microsoftの2倍以上のシェアを誇っている。

その後OracleはGAO(会計検査院)に対しても検査要請を行ったが、GAOはRFP作成プロセスに問題はなかったと結論した。この間国防省は一貫して利益相反を否定し、内部調査でも違法性の証拠は発見されなかったと結論している。

トランプ大統領は先月、マーク・T・エスパー国防長官に「調達プロセスが不当にAWSに有利だ」という主張を再度調べるよう命じた。その調査は現在続いている。国防省は4月にAmazonとMicrosoftの2社をファイナリストとして発表した。8月末までに勝者を指名するはずだったが、抗議、訴訟、調査が続いているためまだ決定できない状況だ。

問題が困難である理由のひとつは調達契約の性格そのものだ。国防省向けクラウドインフラの構築は、10年がかりとなる国家的大事業であり、勝者となったベンダー(ただし契約には他のベンダーを利用できるオプトアウト条項も多数存在する)は100億ドルを独占するだけでなく、連邦政府、州政府が関連するテクノロジー系公共事業の獲得においても極めて有利な立場となる。米国のすべてのテクノロジー企業がこの契約によだれを流したのは不思議ではないが、いまだに激しく抗議を続けているのはOracleだけだ。

JEDI調達の勝者は今月発表されることになっていたが、上述のように国防省の調査及び各種の訴訟が進行中であるため、勝者を発表ができるまでにはまだ時間がかかるだろう。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】GAO(Government Accountability Office)は「政府説明責任局」と直訳されることもあるが、機能は日本の会計検査院に当たる。日本の会計検査院が憲法上の独立行政機関であるのに対しGAOは議会付属機関であり、連邦支出に関して民間からの検査要求も受け付ける。連邦請求裁判所(Federal Claims Court)は連邦政府に対する民事訴訟を管轄する。連邦裁判官のうち65歳以上で有給退職した裁判官が復職して事件を担当する場合、Senior Judgeと呼ばれる。上級裁判官と訳されることが多いがむしろ「年長、高齢」の意味。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ルクセンブルク当局がアマゾンAlexaのプライバシーに懸念があり

Amazon(アマゾン)の欧州におけるデータ規則遵守を率先して調べる、ルクセンブルクのデータ保護委員会は、Alexa AI音声アシスタントの録音の人間によるレビューについて、プライバシー上の懸念を抱いている。

当局の広報はTechCrunchへの電子メールでこの件についてAmazonと協議していることを認め、「秘密保持義務があり、現段階ではこれ以上踏み込んだコメントはできない」としている。この件についてはロイターが先に報道した。

我々はAmazonにコメントを求めている。

Amazonブランドの一連のEchoスマートスピーカーからサードパーティのデバイス(話す冷蔵庫奇妙な形のテーブルランプなど)に至るまで、さまざまなハードウェアに搭載されているAmazonのAlexa音声AIは、処理と保存のためにクラウドに音声データを流す録音機能をアクティベートするトリガーワードを拾うために、絶えず聞いている。

しかしながら、トリガーワードによる音声AIのアクティベートは本来意図していなかったものになりがちということが示されてきた。複数人が暮らす家庭で使われているデバイスでは、意図した話しかけだけでなく周辺のあらゆる音声を録音しているリスクがつきまとう。

要するに、AIが意図的なやり取りと、ふと耳にする類のことを区別できないということは、AIは本来立ち聞きするものであることを意味している。だからこそ大きなプライバシー問題となっている。

Amazon、AppleGoogleを含むテック大企業が、異なるアクセントや環境での音声認識のパフォーマンスを向上させるなど、質の確保を目的に音声AIがとらえた音声スニペットの部分を人間を使ってレビューさせていたということが最近明らかになり、こうした懸念は高まりつつある。これは、実際の人間がかなりセンシティブな個人データを聞いてるということを意味する。

今週初め、AmazonはAlexaスマホアプリの設定でユーザーが音声スニペットをオプトアウトできるオプションをひっそりと加えた。音声スニペットはAmazonの品質管理のために人間がマニュアルでレビューするかもしれず、この人間によるレビュープログラムはAlexaユーザーに事前に知らされていなかった。

ポリシーの変更は、特に欧州において音声AIユーザーのプライバシーへの関心の高まりを受けたものだ。

先月、GoogleのAIアシスタントユーザーの何千もの録音がベルギーのメディアにリークされ、そこでは録音の中の一部の人物を特定できた。

ドイツのデータ保護当局はその後、Googleに音声スニペットのマニュアルレビューを止めるよう命じた。

Googleは欧州全域で人間によるレビューを一時停止し、欧州の主要データ監視機関であるアイルランドのDPCはTechCrunchに対し、この問題について「調査中」だと語った。

また別件では、アップルの業務請負人がSiri音声のレビューに関与していると英国の報道機関にプライバシー問題を提起した後、Appleもつい最近Siriスニペットの人間によるレビューをグローバルで一時停止した。

Googleアシスタントスニペットの人間によるレビューを止めるよう介入したハンブルグのデータ保護当局は、欧州の他のプライバシー監視機関にAppleAmazonの名前を挙げて言語アシスタンスシステム提供者のチェックと、適切な対処の実行を優先するよう促した。

Amazonのケースでは、欧州の監視機関による精密な調査がすぐに行われそうだ。

この記事執筆時点で、音声AIスニペットの人間によるレビューを、一部の地域もしくはグローバルで一時停止していないのはテック大企業3社のうちAmazonだけだ。

報道機関向けの声明文でAmazonは「ユーザーが人間による音声レビューをオプトアウトできるようAlexaの設定を変更した」としている。

我々は顧客のプライバシーを真剣に考えていて、我々のプラクティスと手順を絶えずレビューしている。Alexaに関しては、新Alexa機能を開発するのに使われる音声録音をオプトアウトするという選択肢を顧客にすでに提供している。オプトアウトした顧客の音声録音は、かなり少数のAlexaリクエストの人間によるレビューを含む、監視下におかれた学習ワークフローからも除外される。我々はまた、プラクティスをより透明にするため、顧客向けに情報を今後アップデートする。

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(翻訳:Mizoguchi)

FedExがAmazonとの地上配達契約を終了へ

FedEx(フェデックス)はAmazon(アマゾン)との地上配達サービスに関するパートナーシップを、現在の契約が今月に終わった後に終了することを、Bloomberg(ブルームバーグ)に対して認めた。FedExがAmazonとの契約を更新せずに打ち切るのはこれが2件目で、6月にはエクスプレス航空便でも契約の終了が発表された。

今回の契約終了は、FedExが最大のオンライン小売店のAmazonに対し、より規模の小さなエクスプレス航空便に加えて地上での配達を実施しないことから、より大きな意味を持つ。FedExは以前に、2018年12月31日までの1年間で、Amazon関連の配達からの売上が全体の1.3%にも満たないと認めていた。

Amazonは配送用の航空機を増やすなどその輸送能力を大幅に拡大しており、またラストワンマイルの輸送用に車輪付きの配達ロボットも導入している。さらにEコマースの巨人である同社は最近、自社の物流ニーズに対応できる配達スタートアップ企業に資金を提供し、支援するためのDelivery Service Partnerプログラムを開始した。同社はここ数年、自社の契約したラストワンマイル用の配達サービスへの依存を増しており、また外部契約においてもFedExからUPSやUSPSへの業務の割り当てを増やしていた。

FedExは、エクスプレス契約の終了がAmazonとの関係において他の影響を与えなかったことを強調し、また国際部門や他のビジネスユニット(地上配達を含む)が影響を受けなかったことも伝えた。同社はAmazon以外のEコマースの需要を指摘し、「Eコマース分野で数千の事業者にサービスを提供する」ために意図的にネットワークを構築したいとした。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazonの顔認識技術による監視網

ACLU(米国自由人権協会)は我々に、昨年「Amazonの従業員が、同社の顔認識技術を売り込みむために、ICE(米国移民・関税執行局)の担当者と会った」という情報を教えてくれた。Amazonの副社長Brad Huseman(ブラッド・ヒューズマン)氏は後に「政府は最高のテクノロジーを採用すべきだと考えている」と語っている。そして先月には、Amazonが全国の警察と(カメラ付きドアホンである)Ring製品を使った「永続的な監視ネットワーク」の作成で提携したことを、Motherboardが明らかにした

耳タコだろうが、言わせてほしい「一体どうした、Amazon?」と。

Amazonの株主技術系従業員倉庫従業員、そして顧客たちのいずれもが、(顔認識技術の)RekognitionをICEに対して売り込むことへ抗議の声を上げている。特に500人を超えるAmazonの技術系従業員が抗議書簡に署名している。だがAmazonの経営陣はいまのところ、彼らに対して誠意を持って対応して行くようには見えない。

その代わりにAmazonは「Facts on Facial Recognition with Artificial Intelligence(」(人工知能による顔認識の事実)ページで、彼らの技術で唯一問題となるのは偽陽性(本当は違うものを間違って認識してしまうこと)の可能性であると自分自身を擁護している。そして及び腰で中途半端に以下のような提案をしているのだ「公共の安全と法執行のシナリオの中で、Amazon Rekognitionのような技術は、一致の可能性のある対象を絞り込むためにのみ使用されるべきです。顔面認識ソフトウェアは自律的に使用されるべきではありません」。

だが技術的な懸念は、オーランドにおけるRekognitionのパイロットプログラムが中止されたことからも、現実的なものなのである。しかし私は、テック企業たちが、バグを修正したりその技術を意図通りに動作させたりすること以上の部分には、まるで責任を持っていないかのように振る舞う態度に、うんざりしているのだ。その意図そのものが問題であることもあるからだ。

「私は、新技術の悪い使い方に対して、社会が免疫反応を獲得すると考えていますが、そのためには時間がかかるでしょう」とJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は語っている。今のところそれが現実だ。しかし当然のことながら、社会が免疫反応を獲得していない当面の間、悪用については特に慎重になるべきだ。さらに大切なことは、世界で最も裕福な人物は、新しい技術に対する社会の反応をより良く導いていく際に、自分自身の重要な役割を放棄してはいけないということだ。

問うべきは、Rekognitionの技術的な問題が解決できるかどうかではない。真に問うべきは、社会のあらゆる場所に存在するパノプティコン型(監視されている側はどう監視されているかがわからず監視する側は全方向を監視できるタイプの監獄)監視を可能にするために、政府や法執行機関にRekognitionを販売することが、世界のどの社会にとっても良いことかどうかということなのだ。「現在合法であるならば、大丈夫な筈だ」とか「民主主義制度が私たちを害から守ってくれるから、技術痛の私が将来のことを心配する必要はない」と言う態度は、危険な知的怠惰なのである。

現実には、法律は新技術への対応が非常に遅く、私たちの制度はますます硬化して麻痺している。なにしろシリコンバレーは他の文脈であなたに語りかけるのにあまりにも熱心だからだ。私たちの「免疫反応」を彼らに頼ることは、意図的な過失となる。もちろん、火のような技術は良いことにも悪いことにも使用できる。しかし雨季に比べて危険性の高い季節には、私たちは火に対して遥かに注意深くならなければならない。そしてそれに応じてリスク評価を調整するのだ。テック企業たちが、彼らの生み出すリスクに対する責任を取りたがらないことは、単なる心配のレベルを超えている。

既に触れたように、テック企業に対する、唯一の本当の、少なくともリアルタイムのチェックは企業自身の従業員によって行われるものだ。そのため、AWSの従業員たちが会社のポリシーに反対するのを見ることは心強いことである、だがAmazonが誠意をもって彼らに対応することを拒否するのではないかということが心配される。世界は、ベゾス氏とAmazonが、自社の技術の危険性に関する重要な質問を避けながら、他の部門に手渡してしまうことよりも、ましな対応をしてくれることを期待している。

Facebookには別の危険な物語がつきまとう。今では信じられないかもしれないが、それほど遠くもない昔には、彼らは広く尊敬され、信頼され、愛されてさえいたのだ。AmazonやFacebookのような会社に対する反発は、最初は過激派からのちょっとした難癖のように見える。だが時に、その苦情の小石たちは合わさって、突然軽蔑の地滑りとなって襲いかかるのだ。そうしたテックラッシュ(テクノロジーに対する反発)が、これまでのヒーローを徹底した近代的悪役へと引きずり下ろしてしまう前に、Amazonが光を見出すことを願っておこう。

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(翻訳:sako)

Amazonへの米政府からのデータ提出要請が増加

Amazon(アマゾン)は、米政府からのデータ提出要請が2019年上期は2018年下期よりも増えたことを明らかにした。7月31日に密かにウェブサイトで公にしていたAmazonの透明性レポートの最新データによると、同社が受け取った要請の数は14%増え、捜索令状は35%近く増えた。

この数字には、Amazon Echo音声アシスタントサービス、Kindle、Fireタブレット、ホームセキュリティデバイスから収集されたデータが含まれる。レポートでは、Amazonがおおよそ5件のうち4件の割合でデータの一部または全てを提出したことが明らかになっている。

しかし、Amazonが受けた法的な要求の件数はわずかに減っている。

Amazonとは別に、年間営業利益のかなりの割合を占めるクラウド事業Amazon Web Servicesについてもデータを明らかにし、それによるとクラウドに保存している顧客データに関して受けた要請件数は77%増え、捜索令状の数は減った。

司法省が定めたレポートに関するルールにより、Amazonはコンシューマー、そしてクラウドの両方で0〜249件の国家安全リクエストがあった、とした。

プライバシー擁護者からのプレッシャーにもかかわらず、Amazonは最後まで透明性レポートを出さなかったメジャーなテック企業の1社だった。同社は最終的に圧力に屈し、告発者エドワード・スノーデンが米国国家安全保障局と世界の情報収集当局による大規模な監視を明らかにした、かなり機密性の高い文書をリークした数日後に初めてデータを明らかにした。

Amazonは当時、そして最近までその主張は続いていたが、NSAのいわゆるPRISMプログラムには「参加したことがない」と話していた。このプログラムでは政府が、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、そのほかいくつかのテック企業からデータを入手することができる。

しかしTechCrunchは、Amazonが数週間前にそうした文言を透明性レポートから削除したことに気づいた。そのことについてAmazonに問い合わせたところ、同社の広報は「変更は単にいくぶん古いレポートだからだ」と話した。

イメージクレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonは8月いっぱいでダッシュボタンを廃止

それは単純なアイデアのように思えた。コーヒーとか洗剤とか、同じ品物をAmazonから定期的に買う人は、その注文を家にあるボタンひとつでできたら便利ではないか。ボタンを押す、それだけだ。

そこでAmazonのダッシュボタンが生まれた。2015年のエイプリルフールの前日に発表されたから信じない人もいた。それは結局、嘘ではなかったことになる。

Amazonはすでに今年の早期からダッシュボタンの販売をやめている。そして今度は、そのサポートもやめるのだ。ユーザーへのメールでAmazonは、ダッシュボタンデバイスが2019年8月31日で機能を停止すると告知している。

なぜだろう?そもそもそれをすでに売ってないし、今実際に使っている人もとても少ない。Amazonの社員がCNETに、最近の数か月でボタンを使用頻度がとても減った、と言っている。

Amazonのアプリやウェブサイトの画面上でプッシュする「バーチャルダッシュボタン」は健在だし、自動再注文サービスも残る。それは、洗濯機に洗剤注文ボタンが付いていたり、コーヒーメーカーが自分で豆を注文するような仕組みだ。これまでの、商品別の物理的ボタンがなくなるだけだ。

ダッシュボタンは、Amazonの事業としては挫折したが、でも最初からいろんな人が独自の遊び方を考案していた。Amazonがインターネット上の目的を自由に設定できるボタンを発売してからは、外出時に自分の行きつけのスターバックスに好きなコーヒーを自動的に注文するボタンを作った人もいる。

家にダッシュボタンがあって、それをどうしたらよいかわからない人は、そのボタンをAmazonのリサイクル事業に送るよう、Amazonは勧めている。送料と廃棄の手間はAmazonがもつ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Alexaが複雑な質問に答えるための新しい方法をAmazonが開発

AmazonのAlexa AIチームは、ややこしい質問の扱いを大幅に向上させる新しいトレーニング方法を開発した。チームリーダーのAbdalghani Abujabal氏は、ブログでこの新しい方法を詳しく紹介している。通常は競合する2つの方法、テキストベースの検索とカスタムで構築されるナレッジグラフを組み合わせたものだという。

Abujabal氏は「ノーランの映画でオスカーはとったがゴールデングローブを逃がしたものは?」という質問を例として挙げている。この質問に答えるには多くのことが必要だ。「ノーラン」が映画監督のクリストファー・ノーランだと特定し、彼が監督した映画を見つけた上で(結果のリストを作るにはノーランが「監督」という役割であることも推測する必要がある)、オスカーを獲得した作品リストAとゴールデングローブを獲得した作品リストBをクロスリファレンスで調べて、リストAにあってリストBにない作品をつきとめる。

このような難しい質問に適切に答えるために、この方法ではまずできるだけ網羅的なデータセットを集める。最初はノイズの多い(すなわち、不要なデータばかりの)大量のデータセットだが、そこからアルゴリズムを使って自動でナレッジグラフを構築する。このアルゴリズムは研究チームが作ったオリジナルのもので、ゴミを取り除いて有力と考えられる結果にたどり着くためのものだ。

Amazonが考え出したシステムは、表面上はわりあいにシンプルだ。というのも、2つのわりあいにシンプルな方法を組み合わせている。まず基本的なウェブ検索で、例えばGoogleに「ノーランの映画でオスカーはとったがゴールデングローブを逃がしたものは?」と入力したのと同様に、質問の全文を使ってウェブをクロールし結果を見つける(実際の研究では複数のウェブエンジンが使われている)。次にランク付けされた上位10ぺージを調べ、識別された名前と文法ユニットに分解する。

こうして得られた結果のデータセットに加え、Alexa AIは文の構造の中で手がかりを探してフラグを立て、上位のテキストのうち「ノーランが監督したインセプション」というような重要な文に重みづけをし、それ以外の文は軽くする。こうしてアドホックのナレッジグラフが構築され、この中を評価して「コーナーストーン」(よりどころ)が特定される。コーナーストーンは基本的には、検索されたもともとの文字列に含まれるいくつかの語とよく似ている。これを取り出し、質問に対する実際の答えの出典として中間にある情報を見るのではなく、コーナーストーンにフォーカスする。

アルゴリズムは、残ったデータを最終的に重みづけしてソートし「インセプション」と正しい答えを返す。Amazonのチームは、テキスト検索だけにフォーカスする、あるいはカスタムのナレッジグラフを単独で構築する複雑な最先端のアプローチよりも、実はこの方法は優れていることを発見した。チームはこのアプローチをさらに改良できると考えている。難しいトリビアで議論が白熱したときに、スマートスピーカーに聞けば解決できようになるかもしれない。Alexaユーザーにとっては楽しみだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazonがフラッシュメモリーを使用するクラウドストレージ企業E8 Storageを買収

AmazonがイスラエルのストレージスタートアップE8 Storageを買収した。このニュースは最初ReutersCNBCGlobes が報じ、TechCrunchが確認した。これらの記事によるとE8のチームと技術は、テルアビブにあるAmazon Web Servicesセンターへ引っ越しする。

E8 Storage自身の言葉によると、同社はフラッシュメモリーを使ったストレージハードウェアの製造にフォーカスし、競合製品よりも高速なパフォーマンスを提供する。同社の人材と知財等をAWSがどのように利用する気か、それはまだ分からないが、同社のメインの事業の一環になることはほぼ確実だ。

AWSが今年行った買収には、データセンターのワークロードを最適化してそのオペレーションを効率化するバンクーバーのTSO Logicと、災害時にデータのリカバリを助けるイスラエルのCloudEndureが含まれる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSがマイクロソフトに続き中東・バーレーンに新リージョン開設

Amazon(アマゾン)のクラウドサービス部門AWSは米国時間7月30日、バーレーンに中東リージョン(Middle East Region)を開いたと発表した。中東はクラウドプロバイダーにとって新興市場だが、今度の新リージョンはこのクラウド大手の継続的拡張の一環だ。今日のニュースのすこし前にはMicrosoft(マイクロソフト)が、その中東データセンターをアブダビとドバイに置く、と発表した。

AWSのCEOアンディー・ジャシー(Andy Jassy)氏は昨年のAWS re:Inventで、クラウドは世界のさまざまな部分で成熟段階が異なる、と指摘した。そして当然ながらAmazonは、新興市場に進出してクラウドインフラストラクチャ市場におけるリードを広げたいと考えている。ジャシー氏はre:Inventで次のように語っている。

「米国のエンタープライズや公共部門はクラウドの採用の初期的段階だが、米国以外はさらにそれより1年ないし3年は後れている。だからそこでは、メインストリームのエンタープライズの多くが、クラウドへのアプローチをこれからやっと計画するという段階だ」。

AmazonはAWSの拡張を、中東の企業を助けることと見ている。これまで、米国やヨーロッパなどで、クラウドサービスにより、企業のデジタル化を助けてきたのとちょうど同じように。

今度の中東のリージョンはアベイラビリティーゾーンが3つある。この独特のAWS語は、その中に一つ以上のデータセンターを抱える地理的区域のことだ。同社の声明文は、次のように説明している。「各アベイラビリティゾーンごとに独立の電力系、冷房設備、そして物理的セキュリティが確保される。そして冗長性を持った超低レイテンシーのネットワークで接続される」。

Amazonは、これが継続的拡張の一環だ、と言っている。また今後数年以内に、インドネシアとイタリアと南アフリカに計9つのアベイラビリティゾーンを設ける、とも。

関連記事: Microsoft’s first data center regions in the Middle East are now generally available(Microsoftの中東初のデータセンターリージョンが供用を開始、未訳)

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSのテキスト音声変換エンジンはニュースキャスターのような話し方をする

最新の機械学習技術のおかげで、テキスト音声変換エンジンはこの数年間で大きく進歩した。以前はコンピューターがテキストを読んでることがすぐ分かったが、最近はそれも変わりつつある。Amazon(アマゾン)のクラウドコンピューティング部門AWSは今日(米国時間7/30)、テキスト音声変換を行うニューラルネットワーク用のモデルをいくつかローンチし、その中にはテレビのニュースキャスターの喋りを真似るものもある。

同社の発表声明はこう言っている。「音声のクォリティーは確かに重要だが、もっと人間的にリアルな合成音声を作ることが、これまでは忘れられていた。たとえば、話し方のスタイル。人間なら、ニュースキャスターとスポーツキャスターと大学の先生の話し方スタイルを聞き分けることができる。またほとんどの人間が、状況に応じて話し方を変える。メッセージがいちばんよく伝わるような、話し方を選ぶのだ」。

ニュースキャスターふうの話し方スタイルは、Joanna(ジョアンナ)とMatthew(マシュー)という名前までついた二人のアメリカ人の声で提供され、USA TodayとカナダのThe Globe and Mailの協力により、実際にニュース原稿の読み上げに使われている。

それは、こんな喋り方だ:


このニュース読み上げ用テキスト音声変換サービスはAmazon Polly Newscasterと名付けられ、AWSの長年のテキスト音声変化に関する研究の成果だ。AWSはそのエンジン本体をNeural Text-to-Speech Engineとして提供している。このエンジンはGoogleのWaveNetなどと変わっているものではなく、今11の音声を提供している。イギリス英語が3人、アメリカ英語が8人だ。

たとえばこれは、女性(女声)のアメリカ英語の例だ:

今のフェイクニュースの時代においては、ここまで本物の人間のようなロボットの音声がニュースキャスターのように喋ったりすると、賛辞よりもむしろ問題を感じてしまうかもしれない。ただしほとんどの場合は、ニュースを人間が読もうとロボットが読もうと大差ないだろう。ユースケースはニュース以外にもいろいろありそうだ。それにAWSが提供したサンプルを聞いたかぎりでは、以前の、長く聞いていると気分が悪くなりそうなロボット音声よりも、ずっと長く聞いていられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSがSlackなどにシステムアラート用チャットボットを提供

AmazonのクラウドコンピューティングサービスAWSは米国時間7月25日、AWS Chatbotのベータローンチを発表した。それはSlackやAmazon Chimeなどのチャンネルに忍び込んで、ユーザーのAWSリソースに問題が起きたことを伝える小さなお喋り屋さんだ。

いまどきのDevOpsチームは、たいていSlackなどのツールを使っているから、前からチャットボットを構築できるすべてのツールを提供していたAWSがそのようなサービスをローンチしなかったことがむしろ意外だ。

ボットはAmazon Simple Notification Service(SNS)につながり、ユーザーはそれをそのほかのAWSサービスに統合する。今そのリストに載っているのは、Amazon CloudWatch、AWS Health、Budgets、Security Hub、GuardDuty、そしてCloudFormationだ。AWSのサービスだったら何でもとはいかないが、ユーザーのAWSデプロイメントをウォッチする機能がほとんど揃っている。

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AWSのプロダクトマネージャーであるIlya Bezdelev(イリア・ベズデレヴ)氏が、今日の発表声明にこう書いている。「DevOpsのチームはコミュニケーションのハブとしてチャットルームをよく使っている。チーム内の会話だけでなく、彼らが運用しているシステムとの対話にもチャットが利用される。ボットはそのような対話のための便宜を提供し、重要な通知の配布や、ユーザーからシステムへのコマンドのリレーに利用されている。オペレーションレベルのイベントや通知さえも、チャットルームから来るようにしているチームが多く、それらがチームの全員に見えて次のステップを議論できるというチャットルームの特徴が好まれている」。

ここでもしかしAWSの流儀に漏れず、AWSのチャットボットが動くようになるためには、セットアップに多少の手間を要する

しかし当面は、すべてのコミュニケーションが一方通行のようだ。Slackにアラートが来ても、少なくとも現状のベータでは、AWSへのコマンドをプッシュバックすることはできない。このチャットボットは、お喋りは好きだけど、聴くのは苦手らしい。でも一般公開されるころには、もっと成長しているかもしれない。

画像クレジット: Thomas Cloer/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSの成長率はやや鈍化したがAmazonのために金の卵を産み続ける

先週のAzureと同じく、AWSも米国時間7月26日の決算報告で成長率の鈍化を報告した。それは昨年の49%に対して、本年今期は37%だった。総売上高は昨年のQ2の61億500万ドル(約6630億円)から今期は83億8100万ドル(約9100億円)に増加した。年商としては330億ドル(約3兆5800億円)という驚異的な額になる、AWSだけで。つまりそれは、それでも成功している企業の一部門の売上にすぎないのだ。

でも、本体のAmazonもうれしいはずだ。今四半期AWSは同社の総収入の13%を占め、Amazon全体を引っ張るほどの勢いになっている。しかし多くの点でこれはいいニュースであると同時に、加速を続けている市場でMicrosoftとAmazonの両者がやや減速したことは奇妙だ。それでもなお、両社のクラウドインフラストラクチャ市場の支配は続いている。

Amazonは市場のほぼ33%をコントロールし、Microsoftはほぼ16%。アナリストによって数字に若干の違いはあるが、AWSのマーケットシェアはMicrosoftのほぼ倍である。しかし現時点では、2位以下の中でシェアが2桁の企業はMicrosoftだけだ。

両社の成長率の低下は、単純に大数の法則かもしれない。つまり、この2社のように大きくなりすぎると、成長市場においてもかつてのような高い成長率を長期的に維持することが困難になる。

Moor Insights & Strategyの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は「これはいわゆる大数の法則であり、売上が大きくなりすぎると高い成長率の維持は困難になる。それでもAWSの売上は、2位から5位までを合わせた額より大きい」とコメントしている。

市場が成熟すると成長は自然に鈍化し、市場がどれだけホットでもAmazonが40%台の成長を維持することはできない。でも、その売上高は依然高く、AWSはAmazonの成功の大きな要因であり続けている。

関連記事:AWS remains in firm control of the cloud infrastructure market(AWSはクラウドインフラストラクチャ市場のトップの座を譲らず、未訳)

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米司法省は巨大IT企業の独禁法違反に対する調査に着手

米司法省は、世界最大級のIT企業がどのようにして今の立場を確立したのか、またそのビジネス手法が競争を阻害したり、消費者に不利益をもたらしていないか、反トラスト局が調査中だと発表した。

米司法省は、その声明の中で「検索、ソーシャルメディア、オンラインの小売サービスについて、消費者、企業、起業家が表明している広範な懸念」について考察することになると述べた。

この言い回しは、明らかにAlphabet(Googleの親会社)、Facebook、そしてAmazonを念頭に置いたものと考えられる。

先週、そうしたIT企業の代表者が議会に招集され、各社の方針や慣行について証言した。その際、彼らのビジネス手法について、議場のあちこちから威圧的な批判が注がれた。

Amazonは、データ収集と自社ブランドの商慣行について詰問された。Googleは、広告ビジネスと検索結果の操作について、またFacebookは、現在の事業と計画中の事業について、その視野と拡張の範囲など、あらゆることを厳しく問われた。

そのような状況を受けて、米司法省が行動を起こそうとしているは当然のことだろう。

「有意義な市場ベースの競争という規律がなければ、デジタルプラットフォームは消費者の要望に応じることなく活動するものになってしまうでしょう」と、反トラスト局の司法次官補、Makan Delrahim氏は述べた。「当局の独占禁止法の調査では、こうした重要な問題を追求します」。

米政府は、その効果には疑問があるとしても、すでにかなり特別な措置を講じて、巨大IT企業を追い立ててきた。今月初めにFacebookは、FTC(連邦取引委員会)との同意条項に違反したとして、50億ドル(約5400億円)の罰金を科されている。

この金額は、これまでIT企業に対して突きつけられたものとしては最大のものだったが、Facebookの収入と比べれば取るに足らない金額であり、同委員会の一部の委員がFacebookに対して課すことを狙っていた懲罰を骨抜きにしたものだった。

FTCは、Mark Zuckerberg氏本人に説明責任を負わせることと、Facebookの活動を制限するための行動に力を入れることを望んでいた。Facebookの方針では、プライバシーと個人データの保護に関して不十分であると、多くの上院議員が考えているからだ。

「もしFTCが、法律に違反することで利益を得ている企業にスピード違反の切符を手渡している警察官と同じようなものだと見られているなら、Facebookやその他の企業は、ますます事業を拡大し続けるだろう」と、コネチカット州出身の民主党上院議員、Richard Blumenthal氏と、ミズーリ州出身の共和党上院議員、Josh Hawley氏は、今月はじめ、FTCに宛てた共同書簡で述べている。

関連記事:米連邦取引委員会がフェイスブックに制裁金5400億円のゆるい罰

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AdobeのプロトタイピングツールXDがAlexaを統合

このところ人気が増しているプロトタイピングとデザインのツールAdobe XDに、Echo DotやEcho Showなどの上のAmazon Alexaによる音声体験をテストする機能が加わった。そのサポートは昨年10月に発表されたXDの音声プロトタイピングツールをベースとし、Adobeの初めてのAlexaスキル、すなわち制作中のプロトタイプをテストするためのスキルもある。

音声テクノロジーに関するAdobeの最近の調査によると、ユーザーは確かに音声テクノロジーを使うことに関心があるが、しかしこれまでのXDはWebやモバイルが中心だった。しかしAdobe自身も、最近の数か月で音声アプリの構築にいくつかの投資をした。また長年通常のアプリを作り慣れているデザイナーやデベロッパーも、音声アプリを任されることが多くなっている。そこで彼らのためには、使い慣れたツールで新しい音声アプリのテストができたほうがいい。

今回の統合に含まれるのは、上述のテスト用のAlexaスキルのほかに、音声プロトタイプをAlexaへエキスポートしプレビューするためのXDのAlexaプラグインだ。Adobeの音声UI/UX担当ディレクターMark Webster(マーク・ウェブスター)氏は「自分が作っているプロトタイプを実機の上で体験すると、投資家などがデザイナーやデベロッパーの意図をよく理解できる。それだけでなく、EchoなどのAlexaデバイスの上で音声プロトタイプを体験できれば、デザインについてより具体的な議論ができるようになる。そして部分的手直しも、製品開発のサイクルを一からやり直さずにできる」とコメントしている。

XDの音声サポートの初期的な段階はとても素朴で、単語を理解したら、それに対応して話をするだけだ。初歩的な機能をデモするにはこれでよくても、本物のデバイスでスキルをテストすることの代わりにはなりえない。

でも今後は、ほかの音声アシスタントもサポートされるのではないだろうか。当面は、Alexaだけだが。

XD Amazon Alexa Plugin 01

関連記事: Adobe XD now lets you prototype voice apps (Adobe XDで音声アプリをプロトタイピングできる、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa