Microsoft、過去最大の組織再編―セクショナリズムを一掃し、ハードウェアとクラウド・サービスに集中へ

今日(米国時間7/11)、Microsoftは過去最大の組織再編を実施した。CEOのスティーブ・バルマーが発表した人事異動では、事業部門の長が全員、新しい職に就くこととなった。また相当の規模の研究組織のトップもOS、エンタテインメント、モバイル事業の強化のためにそれらの部門に異動を命じられた。

Windows Phone事業部の責任、テリー・マイヤーソンはOS部門の長に異動。Windows部門の共同責任者で次期CEOの有力候補と目されるジュリー・ラーソン-グリーンはエンタテインメント事業部へ、Bing始め各種オンライン・サービスの担当だったチー・ルーはアプリケーションとサービス・エンジニアリング担当にそれぞれ異動となった。

これほどの大規模な組織再編はMicrosoftの歴史上かつて例がないものの、意外ではない。

バルマーがOSの天才でSurfaceの開発を成功させたスティーブ・シノフスキーを切ったことは、近く大きな動きがありそうだと予想させた。シノフスキーはWindows事業部に絶対的に君臨しており、他の事業部との合併を拒否したのだという。シノフスキーの辞職後、バルマーは「全社的意思統一と事業部間の協力が必要とされている」という長文のメモを社内に回した。

Microsoftでチーフ・ソフトウェア・アーキテクトを務めたレイ・オジーは在職当時、プロダクトを統合するアプローチを強く主張したがバルマーはWindows部門の独立を主張するシノフスキーにに軍配を上げた、オジーは世界はポストPC時代に向かっていると考え、クラウド・サービスを主唱、Microsoftの主要なクラウド・サービス、Windows Azureの開発を強力に推進した。AzureはポストPC時代のMicrosoftの生き残りのカギを握る存在になっている。今や主要な対立は「パソコン対それ以外」ではなく「パソコン対クラウド」になっている。

MicrosoftはモバイルではAppleとSamsungに脅かされ、クラウド・アプリとOSではGoogleの後塵を拝している。今回の組織再編は、エンタテインメント分野などでの今までの強みを生かしながらクラウド分野での競争力を抜本的に強化する必要があることを認識したものだろう。またユーザーのオンライン化が進むにつれてMS Officeの売上が減少する可能性に対処しなければならない。

Microsoftはこうした主要な事業部門に惜しみなく人材を投入することとした。たとえば研究部門の責任者、Rick Rashidは古巣のOS部門に戻され、Windowsのイノベーションの推進を求められている。

Microsoftは近年、多くの戦略的分野でライバルに水をあけられてきたが、やっと巻き返しに出ることになったもようだ。モバイル戦略の失敗からiOSとAndroidの独走を許し、Windows 8の人気もいま一つ盛り上がらない。コンピューティング環境がデスクトップからモバイルにますます移行していくトレンドを考えると、Microsoftの将来にとってはWindows OSよりむしろWindows Phoneのほうが影響が大きいかもしれない。ところがIDCの統計によると、今年の第1四半期のスマートフォン市場におけるシェアはAndroidが75%、iOSが17.3%であるのに対してWindows Phoneは3.2%と一桁台に留まった。

MicrosoftのOSのモバイル化はそれでなくても遅れて2010年になってWindows Phone 7として登場したが、2012年の秋にはカーネルを一新してWindowsPhone 8としたため、初期のユーザーはアップデートできないプラットフォームに取り残される破目になった。

こうした過去の混乱をふまえてバルマーは社内向けメモで「われわれは事業部の寄せ集めであってはならない。われわれはワン・カンパニーの元に結集しなければならない」と檄を飛ばした。

バルマーはこれに続けて「一連のデバイスのファミリー、サービスのファミリーを構築する戦略が求められている。…ゲームから業務までユーザーの一日の生活をすべてまかなえるような決定的に有効なデバイス・ファミリーの提供に成功したテクノロジー企業はまだどこにも存在しない。ここにはソフトウェア、ハードウェア、サービスのすべてにわたって膨大なイノベーションの余地とチャンスがある」と述べている。

バルマーが特に名指したデバイスの「ファミリー」は、「スマートフォン、タブレット、パソコン、〔タブレットとクラムシェルの双方に使えるウルトラブック〕2-in-1、テレビのセットトップボックス」などだ。このうちではMicrosoftはSurfaceタブレットの開発には成功しているものの、スマートフォンではOEM(主としてNokia)に頼っている。Surface同様にスマートフォンを始めとするデバイスを独自に開発、販売する必要性がますます高まっている。

ここでMicrosoftの新組織とその責任者をリストアップしておこう。

  • Terry Myers:すべてのデバイスのOS
  • Qi-Lu:アプリケーションとサービス
  • Julie Larson-Green:Xboxをはじめとするコンシューマ・デバイス
  • Satya Nadella:クラウド・サービス
  • Kirill Tatarinov:ダイナミクス、新テクノロジー
  • Eric Rudder:調査研究
  • Tami Reller:マーケティング
  • COO:Kevin Turner
  • Tony Bates:事業開発(M&A)

Microsoftは企業内官僚制と事業部間のライバル意識の強さで有名だ。バルマーは「ワン・マイクロソフト」を合言葉にこの長年の欠陥の一掃についに乗り出したようだ。「ワン・マイクロソフト」はこれまでのような単なるスローガンから組織再編の原理に高められることになった。今日の発表はおそらく第一歩であり、ここ数ヶ月さらに改革が続くものと思われる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


OS X用の初の高品質3DスキャナーソフトSkanectがOccipitalから

[筆者: Stephanie Yang]

3Dスキャンのソフトは、これまでWindows用がAppleのものより優れていたが、今日(米国時間7/10)はOccipital Inc.がOS X用のSkanectを発表して、その状況を変えようとしている。

最初フランスのManCTLが開発したSkanectは、Appleのコンピュータの上でMicrosoftのKinectやASUSのXtionのような安価なセンサを使って3Dスキャンができる。OccipitalはManCTLを今年の6月に買収した

ハイエンドのグラフィクスカードがなくても簡単迅速安価にカラー3Dスキャンができる、とSkanectは自慢している*。アプリケーションと、カメラのセンサを利用して3D画像を作り、それをすぐに印刷や共有できる。Occipitalのマーケティング部長Adam Rodnitzkyによると、Skanectの月間ユニークアクティブユーザ数は約3000だそうだ。〔*: サンプルページ。〕

Skanectの最新リリースには、テクスチャマップのモデルをOBJやPLY形式でエクスポートする機能がある。このほか、エクスポート時におけるデテールレベル(詳細度)の調整、VRMLによるエクスポート、ハイエンドのグラフィクスカードなしでマシンのパフォーマンスをアップ、などの新機能も盛り込まれた。これらの新機能は当面OS Xバージョンのみだが、Rodnitzkyによれば、Windowsバージョンも“もうすぐ”対応、ということだ。

Occipitalは2011年に、 Foundry Groupが仕切る最初のラウンドにより700万ドルを調達した。同社はRedLaserや360 Panoramaも作ったが、前者はeBayが買収した

Skanectには、商用利用とエクスポートのできない無料バージョンと、99ユーロの有料バージョンがある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アメリカ連邦地裁、反トラスト法裁判でAppleに有罪判決―「電子書籍価格操作の共謀と実行で中心的役割」

Appleとアメリカの有力出版社による電子書籍の価格操作の共謀容疑に関して すべての出版社はすでに司法省と和解し、Appleだけが法廷闘争の道を選んでいた。Reutersによれば、今日(米国時間7/10)、 ニューヨークのマンハッタン連邦地裁はiBookstoreの価格操作に関する反トラスト法違反の容疑に関して有罪の判決を下した。また判決で検察側は消費者に代わって損害額を査定し、Appleに賠償を求める裁判を起こすべきだと命じられた。

アップデート: われわれはAppleの広報担当者から以下の声明を受け取った。

Appleはeブックの価格を操作するために共謀したことはなく、この事実に反する訴追に対してあくまでも戦う。2010年にiBookstoreをオープンした際、われわれが目的としたのは、消費者により大きな選択の自由を提供し、当時市場で強く求められていたイノベーションと競争を実現し、 出版産業におけるAmazonの独占的地位を打破することだった。われわれは何ら不正な行為をしていないので、今回の判決に対しては控訴する。

2012年4月に司法省はAppleと出版業界の主要6社を反トラスト法違反としてを訴追した。これに対してAppleは「司法省の主張は根本的に誤りであり、馬鹿げている」と反論した。

出版社6社(ペンギンとランダムハウスの合併により現在は5社) はすべて和解に応じ、Appleだけが法廷闘争の場に残った。EUでのこれに類似したeブック関連の反トラスト法訴訟ではAppleは欧州委員会に対して「有罪を認めないまま和解」の道を選んでいる。

“Appleは価格操作の共謀と実行において中心的な役割を果たしたと認められる

2010年にiBookstoreが発表された際、Appleはストア側ではなく出版社側が価格を設定する、いわゆるエージェンシー・モデルを導入した。Amazonが巨人であり、Appleは新参で、出版社はAmazonによる市場支配を恐れていた。紙の本でもeブックでもAmazonは自ら価格を設定していた。そこで出版社側はAppleに市場シェアを奪い返させ、利益率の向上を図ろうとした。出版社は新刊書についてAmazonの9.99ドルではなく、12.99ドルあるいは14.99ドルに設定した。この値上げに伴ってAppleはiBookstoreだけでなくKindleStoreその他あらゆるeブックストアで同一の価格とするよう出版社に要求した。

Denise Cote判事は「Appleはこの共謀とその実施において中心的役割を果たした。Appleは好機を捉えてきわめて巧妙に動き、エージェンシー・モデルの採用によって誕生したばかりのeブック市場における価格を上昇させた。一部の例では上昇は50%以上にも及んだ」と判示した。PaidContent判決の全文がある。.

Wall Street Journalによればペンギン・グループとハーパー・コリンズは当初Appleの価格設定に反対したが、結局同意した。 出版社はAmazonの価格決定権を奪うためにAppleのiBookstoreを利用し、これに成功した。AppleのKindleコンテンツ担当副社長、Russell Grandinettiはこの訴訟で「出版社はKindleストアからコンテンツを引き上げると脅した。AmazonはやむなくAppleと同様のエージェンシー・モデルに切り替えざるを得なかった」と証言した。

この判決で関連する出版社とeブックストアは向こう2年間、同様のエージェンシー・モデルの採用を禁じられた。

(写真:Casey Hussein Bisson

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple、新iPhone向けスローモーションビデオ機能 “Mogul” を開発中か

昨今、あらゆる有能なスマートフォン・プレーヤーは、時間とリソースを投入してカメラゲームに参入しているようだが、Appleも例外ではない。9to5MacのMark Gurmanの最新記事によると、iOS 7ベータ版に潜むコードの断片から、Appleは “Mogul”と呼ばれるカメラ機能を開発中であると推測され、120フレーム毎秒のビデオを撮れるものらしい。

これは現在のiOS端末が撮影可能なビデオとは大きくかけ離れている。Appleは、iPhone 5のビデオを”最大30フレーム毎秒“と説明しており、今年のWWDCのプレゼンでは、iOS 7ではその限界を60フレーム毎秒まで押し上げることを約束した。その結果は? 鮮明でスムーズなビデオが期待できる。YouTubeで120fpsのビデオを見れば(正確な比較でないことは承知の上)、iPhoneで将来何が可能になるかのヒントは得られるだろう。

ただし、この機能をすぐに利用できることは期待しない方がよい。9to5チーム必死の努力にもかかわらず、新機能を現行ハードウェアで動かすことはできなかった。これは、Mogulが次期iPhone向けだということを示すサインだと彼らは捉えている。

Mogulが登場する頃、Appleのライバルたちはカメラ能力という点で、はるか先を行っているかもしれない。SamsungのGalaxy S4、NokiaのLumia 920、HTC Oneの3台は、増えつつあるスローモーションビデオ撮影可能スマートフォンの中でも最新の機種群だ(前者の2つは120fps、HTCは未発表)。さらには、NokiaのLumia 1020という、驚異の41メガピクセルカメラを塔載した機種もあり、旧機種の808 PureViewから想像するに、実にすばらしいビデオが撮れることだろう。

もし記事の通り、AppleがそのMogul機能をいつの日か世に出すなら、ライバルたちの通った道を追いかけることになる。しかし、Appleにとって問題は多くないと私は予想している。iOS愛好家たちは、同じく後発だったパノラマ機能の時と同じようにこれにハマり、Mogulはスローモーションビデオを今後スマートフォンの必須機能にするかもしれない(真面目な話は私は、誰かがVineかInstagramもどきのスローモーション専用アプリを作ってくれて、人々が転ぶところを撮れる日を待ち焦がれている)。

こうしてモバイルカメラに様々なオプションが増えることは、消費者がiPhoneやLumiasで決定的瞬間をとらえるチャンスが増えるということだ。しかし、スマートフォンカメラ戦争はすでに一部のカメラ会社に重くのしかかっており、高機能カメラ携帯が脆弱なコンパクトデジカメの価値を下げる中、ビジネスの維持に苦闘している。

Nikonはその典型例だとBloombergは言う。木村眞琴社長は「カメラ以外の消費者製品」によって衰退するコンパクトデジカメの売上を埋め合わせることを示唆した。一部にはこれを、Nikonがスマートフォン参入を検討していると解釈する向きもある。かつて、画像の革新はカメラ専門会社に始まり、他の消費者向けガジェット市場に降りてくるものだった。この流れが逆になるのは何年先だろうか。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


低価格プラスチックiPhoneのビデオと写真がリークか?

Appleは今年中に低価格iPhoneを発売すると言われている。部品代を下げるために通常の金属およびガラスに代えてプラスチック筺体を採用するという。ここへ来て、Androidハイエンド端末の模倣製品を作っているTechdyというサイトが、新iPhoneのプラスチック筺体と画面部分を入手したと言っている。

初期製造プロトタイプのリークとされる写真には、白くて滑らかなプラスチック筺体が写っており、Techdyによると、Samsungなどの他社製スマートフォンに使われているものよりずっと高級な質感だという。前面はわれわれの知るあの愛するiPhoneと似ており、黒のデザインはカラーバリエーションの中でも共通になると思われる。

この低価版iPhoneと目される端末の裏面はわずかに丸みを帯び、現バージョンのiPod touchを思わせる。実際にはやや厚目だが、これは携帯通信アンテナや光センサー等の追加部品を場所を考えれば当然だ。Appleはこの世代のiPod touchにカラーバリエーションを採用しているが、これは類似デザインの低価格iPhoneを作る準備だったのかもしれない。

iPhone 5とリークされたプラスチックiPhoneとの比較写真を見ると、現行iPhoneよりわずかに厚く見える。画面サイズは同じで、他に唯一の外見的な違いは端末下部のスピーカーグリルが2つから1つに減っていることだ。

Techdyは、この端末のAndroid版クローンをすでに販売しているので、十分眉に唾をつけて受け取る必要がある。しかし、これまで低価格iPhoneに関して言われてきた話ともよく一致しており、間違いなく魅力ある端末ではある。もしAppleが、旗艦iPhoneより安く、ライバルの最上位機種より見た目も良いプラスチックiPhoneを発売することができれば、今年のスマートフォン地図は大きく書き変えられるかもしれない。Techdyのフォトギャラリーでは、新iPhoneとおぼしき端末のあらゆる角度から見た写真を見ることができる。要チェックだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Appleが画期的イアホン・テクノロジーの特許を取得―ユーザーの耳道形状に合わせて音質がカスタマイズされる

今朝(米国時間7/4)、アメリカ特許商標局がAppleに対して興味ある特許を認めたAppleInsiderが報じた。

最近のiPhoneとiPod付属のイアホンは多少改良されているものの、全体としてAppleのイアホンはあまり上出来とはいえない。個々のユーザーの耳道の形状に合わせて音質がカスタマイズされるという今回の特許は画期的なイアホン・テクノロジーとなる可能性を秘めている。

いささかSFっぽく聞こえる特許だが、概要としては、ユーザーの耳の電導や音の反響のスペクトルなどの情報をセンサーで収集し、それに基づいてイアホンから出力される音のレベル、バランス、イコライザーの設定、ノイズ・キャンセルなどを最適化するのだという。

これによって小型のイアホンが持つ不完全なシーリングという問題に効果的な対処ができるということだ。またこの特許にはイアホンの装着状態が不適切な場合にユーザーに注意を喚起する機能が含まれている。つまりイアホンを耳に入れなおすよう求めるのだろう。

Appleはこれまでもイアホン・テクノロジーの改良に努力してきたが、ホームランといえるほどのプロダクトは生み出していない。この特許が実際の製品に応用されれば革命的な改良となるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iOS、モバイル広告のシェア拡大。AT&TはiPhoneの王座陥落(Velti調べ)

AppleのiOSは、モバイル広告の市場シェアを一段と確固たるものにした。モバイル広告会社のVeltiが報告した。同社によるとAppleのシェアは2012年5月の59%から2013年5月には64%へと増え、新たなインプレッションの大部分をiPhone 5が獲得している。iPhone 5のシェアはこの1年間で7.4ポイント増え、iPadも3.7ポイントを加えたが、iPod touchは大きく後退した。

しかしiPhone全体では15%成長し、これは旧モデルのおかげで結果的にiOS全体の数字を押し上げた。AppleがiPod touchの不調を補う以上にシェアを伸ばしたのは、iPad miniのおかげだ。Samsungもシェアを伸ばしたが、ライバルAppleとは比較にならない。今後数ヵ月間市場は不安定になるとVeltiは予測しているが、これは9月に発売が噂される新しいiPhoneを期待しての買い控えによるものだ。もはやこれ年中行事となっており、モバイル広告におけるAppleの長期的支配には、さほど影響を与えないことを数字が示している。

もう一つ、iPhoneに大量の広告を送り込んでいるキャリアにも大きな変化が起きている。具体的にはかつて支配していたAT&TはVerizonにその地位を明け渡した。これはキャリア業界にとってはビッグニュースだ。Sprintも2012年5月よりシェアを落としているとVeltiは言う。T-Mobileのシェアはほんのわずかだが、データは5月までしかカバーしていないので、同社の新サービス “UnCarrier” の利用者が増えれば変わってくる可能性がある。

昨今多くのモバイルアプリを支えている広告を自分はあまり見たくない、という人たちに残念なニュースがある。広告主はより大きな広告ユニットへと切り換え、小さなものを捨てつつある。Veltiの分析によると、フルスクリーンの侵入型広告、および300 x 250、728 x 90の広告サイズが揃って伸びている一方で、iPhoneの320 x 50広告は利用が減っている。モバイル広告にとって大きいことは良いことのようだ。少なくとも広告主たちはそのように学習している。

モバイル広告レースに勝つことは、デベロッパーにとって極めて重要な指標であるモバイルアプリの利用と売上で優位を続けるAppleにとって、重要な鍵だ。これはiPhoneを消費者にとってふさわしい商品にするためのサイクルの一部でもあるので、Appleはリードを広げたことを喜んでいるに違いない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Appleが「消えるベゼル」の特許を取得―iWatchに応用か?

AppleInsiderによれば、Appleはユニークなベゼルの特許を取得した。これは超小型(iWatchなど)のデバイスのベゼルにタッチ機能を与えるだけでなく、タッチスクリーンの周囲に必要に応じてベゼルを出現させたり、消したりできる。

このテクノロジーにはどういう用途が考えられるだろう? たとえばiPad miniの場合、Appleはハードウエア全体の大きさを最小限にしながらスクリーンのサイズは最大限にしようと努力した。ベゼルが大幅に縮小された結果持ち歩きにはたいへん便利になったが、狭いベゼルのおかげで、スクリーンに触れずにiPadminiを持つことがたいへん難しくなっている。そのためユーザーはひんぱんに誤タッチに悩まされている。

今回の新特許を利用すれば、ベゼル部分の反応と見かけを変えることにより、コンテキストとユーザーのタッチ行動に応じて、デバイスにベゼルを出現させたり消失させたりできる。たとえばベゼルの1部分をさまざまな色で光らせたり、完全な透明から完全な不透明まで種々に変えたりできる。つまりベゼル部分に今まではまったく異なった高度な機能を持たせることができるわけだ。

このスマート・ベゼルはガジェットにさまざまな新たな可能性をもたらす。たとえばビデオの再生の場合にはベゼルを完全に消して、すべてをスクリーンとして使うことができる。フルスクリーン・モードはまず最初に考えつくこのテクノロジーの応用だ。

その他、スマートウォッチのような超小型のデバイスに必要に応じてベゼルを付け加えたり、消したりできる。Appleは最近“iWatch”を商標として日本、メキシコ、台湾などの出願している。おそらく近い将来、製品がリリースされるだろうが、そのスクリーンはiPodnanoより大きくははならないだろうから、ベゼル・テクノロジーの応用にうってつけだ。

超小型のスクリーンの面積を最大限に利用したい場合、アプリごとにベゼルのサイズと位置を変えることができる「消えるベゼル」は大きな効果を上げるはずだ。Appleの特許は取得から実際の製品になるまでかなりの時間がかかるのが普通だが、この特許はいち早く実用化される例となるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple、日本でiWatchを商標登録 ― 冷静に、待ち続けよ

憶測の渦はおさまらない。Bloombergの報道によると、AppleはiWatchの商標を ― また ― 登録した。今回の申請先は日本で、対象範囲はハンドヘルドコンピューターおよび腕時計デバイスで、日本の特許庁には6月3日に申請されていたが、先週初めて公表された。これはロシアの新聞で、先月同社がロシアでiWatchの商品登録を申請したと報道されたのに続くものだ。

では、Appleがこれを作っているのは間違いない、そうだろうか? かもしれないが、私の意見は噂製品に終る方に傾いている。大手家電メーカーが未来の商品名を商標登録することは日常茶飯事だ ― 計画のはるか先にあったり、PowerPointのプレゼンだけに存在する商品のことだ。一方、もしAppleが実際スマートウォッチを発売するとしたら、そのタイミングは〈いつでも〉いい。

テク系メディアは今のAppleについて、喉から手がでるほどブレークスルー製品が欲しい会社と書き立てているが、Tim CookのAppleがJobsの脚本から大きく離脱しているのでない限り、この会社はiWatchに関して〈待ち〉の姿勢を取り続けるだろう。クパチーノは優れたイノベーターとしてよく知られており、後から見ればいつもその通りかもしれないが、Appleのイノベーションの定義は、〈初〉であることの方が稀だ。

iPodは最初のMP3プレーヤーではなかったが、1.8インチのハードディスクを初めて活用したことが決定的だった(「ポケットの中に1000曲」)。iPhoneは最初のタッチ式スマートフォンではなかったが、静電容量方式とフィンガーフレンドリーなUIを採用し、購入と同時にデータ通信を可能にしたことが〈決定的〉だった。同様に、iPadはあらゆる意味で最初のタブレットコンピューターではなかったが、どう成功したかは誰もが知っている。この会社は、「ノー」と言える能力を拠りどころに後発製品を作ってきた。

少なくとも「まだ」と言える能力によって。

Apple CEOの最近の発言にヒントがある。D11カンファレンスでCookは、Appleがスマートウォッチや他のウェアラブル技術を手がけている可能性について語った。「眼鏡も腕時計も着けたことのない若者にが着けたくなるようなものは存在しない。少なくとも私は見たことがない」

もちろん「私は見たことがない」とは、Appleの数あるライバルからまだ市場に出ていないという意味かもしれない(PebbleやSonyその他大勢の会社には失礼)。あるいは、CookはまだAppleの研究開発部門で作られているのを〈見たことがない〉のかもしれない。一つ私が確信しているのは、Appleはテクノロジーの弱点 ― スマートウォッチのバッテリー寿命やUIに留まらない ― が克服されない限りiWatchの出荷を認めないだろうということだ。それにはまだしばらく時間がかかるかもしれない。

Appleファンボーイ諸君、冷静に、待ち続けよ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


批判や悪評の多いiOS 7のアイコン, しかし一般ユーザには圧倒的に好評

iOS 7は、ブログや評論家やTwitter上などでは好悪両様の評価をされているが、でもInput Factoryが作ったモバイルの集票ツールPolarで行った消費者調査によると、一般ユーザにはきわめて好評である。たとえばシステムアイコンの好感度では、およそ2対1でiOS 7の方がiOS 6よりも好まれている(回答者総数46401)。

これらの数値はWWDCで発表されたiOS 7のすべてのアイコンに集まった票の総数を表しているが、おもしろいのは、単にiOS 7のアイコンが好きというだけでなく、こっちを選ぶという強い選好度を表していることだ。たとえば電話のアイコン(上図)では、80%がiOS 7を選び、残る20%が旧デザインを選んでいる。メッセージアプリのアイコンにいたっては、84%対16%でiOS 7の圧勝だ。

iOS 6はリマインダ、Safari、ゲームセンター、カメラ、電卓などでは勝っているが、でもそれらのiOS 7との差はいずれも微差だ。

iOS 7はまだ出てから間もないし、これまではOSの新バージョンに採用された新機軸に関しては賛否の分裂があった。FacebookのWebサイトやモバイルアプリの小規模なデザイン変更も、大騒ぎを巻き起こしたが、しかしFacebook上のユーザのエンゲージメントやユーザ数の増加率に、そのことが負の影響を及ぼすことはなかった。

今後もiOS 7のUIのデザイン、とくにアイコンをめぐっては、当分のあいだ激しい論争が続くだろう。でも今回の調査結果が示すのは、一般ユーザの多くが感じていることと、少数のうるさい連中の意見や批判とは、それぞれ別世界のものであることだ。Polarで投票した人たちの多くは、新デザインを断固支持しているようだ。今後もっと大規模で本格的な消費者調査をやっても、彼ら一般消費者に意見や感想を表現する機会を与えた場合の結果は、今回のPolarの結果とほぼ同じになるだろう、とぼくは感じる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、iOS 7ベータの新バージョンを配布。iPadサポート、ボイスメモ復活

Appleは今日(米国時間6/24)iOS 7の新しいベータ版をデベロッパー向けに公開した。ビッグニュースはiPadバージョンが入ったことだ。AppleがiOS 7を発表した時、iPad版はiPhoneの数週間後になると言っていたが、あの約束は守られた。iPad版はiOSデベロッパーとして登録していればデベロッパーチャンネルを通じて入手できる。

他に新ベータのユーザーから報告された情報としては、ボイスメモの復活がある。最初のベータでは落とされていたが、記事によるとAppleは先のバージョンでは準備ができていなかっただけなので今回入ったのは当然とのこと。インターフェースとアイコンは全面変更され、予想通り、前バージョンの画面を支配していたスキューモーフィックなマイクはなくなり、コントロールやUIはフラット化された。9to5Macによると、Siriに新しい声が加わり、コントロールセンターなどに細かい修正が入った。BGRに新しいボイスノートのインターフェースの画像がある。

iPad版iOS 7ベータには、iPhone版とはインターフェースが異なる部分ある。一般にAppleは、タブレットの大きい画面用に様々な要素を仕立て直すが、今回もそれは変わらない。9to5Macに届いたスクリーンショットを何枚か載せておく。サイトに行けばAppStoreの画面なども見られる。


[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


来年の発売に向けてAppleが4.7インチと5.7インチの大型iPhoneをテスト中か? 廉価版はこの秋にも登場へ

Reutersの報道によれば、Appleは来年のiPhoneのアップデートに向けて大型スクリーン・モデルの実験を行なっているという。4.7インチ、5.7インチの両モデルがテスト中ということだ。またAppleは廉価版のiPhoneも準備しており、Reutersはこちらは来月にも生産が開始されるとしている。廉価版はプラスチックの筐体の色を調整する必要が生じたためリリースがスケジュールより多少遅れるようだ。

廉価版iPhoneは8月にフル生産の態勢に入り、9月に発売開始となる。Appleはこのデバイスについてクリスマスシーズンを含めた四半期に2000万台の販売を見込んでいる。Reutersの記事は最近われわれが聞いた各種情報と符合するところが多い。

かなりの確度で予測してきたMing-Chi Kuoは、廉価版はiPhone 5と同じ4インチ・スクリーンだが筐体がプラスチックになり、ボディーの色のオプションが増えると予測していた。Reutersはこれに加えて「価格は当初99ドルだが、発売時期は丸1年ほど延期になる可能性がある」と指摘している。

廉価版のiPhoneの情報は信頼性の高い情報源が一致して伝えるので確度は高いだろう。しばらく前からAppleがファブレット、すなわちGalaxy Noteのような大型スクリーンを備えたiPhoneを開発中だとする情報も流れていた。 しかしファブレットなどの前に、Appleのフラグシップ機、iPhone 5の画面が4インチのままで、Galaxy S4などのライバルと比較して一周遅れになっていた。

大型画面iPhoneの開発は廉価版の開発ほど進捗していないようだ。Reutersのある情報源は、「われわれが生産開始にこぎつけるまでにはまだ紆余曲折があるだろう」とj語っている。AppleはOEMメーカーと協議をしているが、生産や発売の開始のスケジュールはまだ白紙状態だという。

AppleのCEO、Tim Cookは最近のAllThingsD D11カンファレンスで「(画面の大型化に伴う)バッテリー駆動時間、画質、色彩の再現性などへの副作用が解決されればそういうモデルを発表するかもしれない。一部のユーザーが大型画面モデルを望んでいることは知っている」と認めた。過去にもAppleの厳しい社内テストに不合格だったために発表前に消えていった製品は多数ある。Appleが大型画面モデルをテスト中だというのはおそらく事実だろうが、実際に市場に出るかどうかについては現在なんとも言えない。しかしタイミングとしては製品ラインに今日のReutersの記事にあるような大幅なアップデートが加えられてもいい頃ではある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


社会貢献を強調するApple, アプリは世界を変えると中編ビデオで訴える

Appleが今日ポストした、かなり長い、10分近くのビデオは、同社のプラットホーム向けのアプリが世界中で利用され、人びとの生活に大きな変化をもたらしている、と訴求している。それは、これまでのAppleのコマーシャルとはずいぶん違う視点だ。これまでは、平均的な消費者の生活が、アプリによってちょっと便利になりますよ、といった軽い短編ばかりだった。

このビデオはもっと視野が大きくて、一部の人びとの生活に重要な変化が訪れることを描いている。テーマとしては同社の最新のテレビコマーシャル“Our Signature”と同類だが、後者のようなAppleの製品作りにおける指導的原理ではなく、実際のケーススタディを強調している。そしてもちろん、サードパーティのデベロッパに光を当てている。彼らの、少数民族文化の保存努力や、医療技術の大きな進歩への貢献など、取りあげるにふさわしいものを、あらためて取りあげているのだ。便利なお買い物リストを簡単に作れますよ、という世界ではなくて。

(出典: 9to5Mac)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleの電子書籍シェアは20%。OS X版iBooksは追い風になるか

Appleが秘かに米国内での電子書籍市場シェアを伸ばしていたことが、現在進行中の電子書籍価格協定訴訟の証言で明かされた。現在同社は米国内電子書籍販売の20%を占めているという(MacRumors発)。これはかつて市場ウォッチャーが推測していた数字の約2倍であり、Amazonの圧倒的な力とは比較にならないものの、Appleがデジタル書籍分野でかなりの位置を占めつつあることを示している。

ニュース全体はAppleにとってマイナスの内容で、同社は政府の主張から自らを守り、iBookstoreに失敗の絡印が押されないよう戦う必要がある。しかしiBookビジネスにとっては良いニュースだ。この秋Mac版iBooksアプリが次期OS X、10.9 Marvericksで提供され、デスクトップでも電子書籍がサポートされれば、さらに成長が見込める。

iBooksがデスクトップにやってくれば消費者も喜ぶ。クロスプラットフォーム戦略は、Amazon、Nook、Koboなどが大きな成果を上げている。MacがサポートされてもAppleデバイスを使っていない人々は取り残されるので、どれほど利用が伸びるのかは不透明だ。しかしiBooks成長の陰に、益々大きくなるAppleの教育界での存在があることは想像できる。iBooksに関連するプロモーションでは、教科書が大きくとりあげられている(WWDCでのOS X版iBooksの展示でも同様だった)。

Mac版iBooksが革命を起こすとしても、それはiPadで読んでいた本の続きを読めるからではない。モバイル端末よりパソコンで本を読みたいと思う人は殆どいないからだ。しかし、教育市場での意味は大きい。インタラクティブ教科書は、様々な面でiOSよりもOS Xで使う方が理にかなっている。長文のメモを取ったり、複数のウィンドウで別々の本を開いたり、複数の情報ストリームを得られることなどパソコンが有利な点は多い。

iBooksは、消費者向け電子書籍プラットフォームの押さえとしてもよくできているが(Appleはより完全なエコシステムを主張できる)、真の永遠の価値は恐らく教育にある。そこではAppleが他のプラットフォームに対して確実に優位性をもっている。他社は電子教科書を作っているだけだが、Appleはそれを正しく実行し、すばやく広げるための教育の血統を持っている。おそらくそれがiBookstoreの成長を支えているのだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


iOS 7でAppleはQRコードを容認 ― ただし目的達成の手段としてのみ

AppleはWWDCのキーノートで、近距離無線通信(NFC)を一笑に付したが、同じくらい(それ以上?)に冷笑されている技術であるQRコードを、こっそりと採用した。AppleはiOS 7にQRコードリーダーを内蔵した。そう、OSレベルで。しかしそのやり方には、QRコードの存在は少々目障りであり、自社テクノロジーを推進するのに都合のよい道具ではあるが本気で持ち上げたり推奨するつもりはない、という明確なメッセージが表れている。

iOS 7のQRコードリーダーはPassbookアプリに内蔵されている。サービス全体を説明するためのPassbookカードには、新たにコードスキャン機能が組み込まれている。Passbookの初期画面からワンタッチで利用でき、iPhoneのカメラを使って印刷あるいはウェブに表示された四角いバーコードを読み取ると直ちに認識する。しかし、次に起こることを見ればAppleが全面的にQRコードに改宗していないことがわかる。

あらゆるQRコードを平等に扱い、どんな情報でも実行するリーダーを作ることは十分簡単だっただろうが、Appleは汎用ツールを欲しくなかった。だからPassbookアプリのQRコードリーダーは、Passbookのパスにリンクしていないコードをスキャンしようとすると、その目的に関する非常に明快なメッセージを発信する。親切なタレコミ人が送ってくれたスクリーンショットが上にある。

統合の目的は明白だ。Appleはこれを、ユーザーがPassbookコンテンツをできるだけす早く簡単にライブラリーに追加できる方法の一つと考えていて、そのための障壁はできるだけ減らしたい。しかし、QRコードそのものは目的を達成するための手段にすぎない。究極の目的はユーザーがPassbookをもっと使うようになることであり、QRコードは単なる道具だ。実際、QRコードを厳密にPassbookパスだけに制限することは、汎用技術として利用しようとするとはるかに有害だ。大量のiOSユーザーがQRコードをPassbookと関連づけようとするだろうから、その種のコンテンツ提供していないコードには不満さえ感じるだろう。

これを、AppleがメインのカメラアプリでQRコードをサポートする前兆と考える向きもあるだろうが、期待しない方が良い。Appleは自らの目的に合致する技術を選り好みするので、もっと良い方法が見つかるか、Passbookが十分な勢いを得るために必要なくなれば、捨てられるかもしれない。少なくとも、これでQRコードがブームになることはない。Appleは永遠にこれを、Passbookを補助する下位ブランド技術として扱うだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Apple経営陣、昨年の組織変更を反影してWWDCでの息はぴったり

昨日行われたAppleのWWDCキーノート講演は、私にあることを印象づけた。経営陣たちがかつてないほど、CEO Tim Cookに安心感を持ち、息が合っているように感じたことだ。昨日のAppleほど、キーノートやイベントがスムーズに進行することは稀であり、アンサンブル・キャスト方式(複数の幹部がそれぞれ機能説明や発表を行う)がこれほど無理なく安心感を与えながらテンポ良く進み、成功することもめったにない。

Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長で、iOSおよびOS Xの責任者であるCraig Federighiが、iOS、OS Xに関するこの日最大のニュースと共に、今年のキーノートのスポットライトを奪ったと指摘する向きもある。Federighiは間違いなくこのショウのスターとして際立っていたが、全幹部が魅力的かつ安心感のあるプレゼンテーションを行ったという事実は、決して普通のことではない。

これは、Appleが昨年末に会社のトップ組織を入れ替え、Scott ForstallとJohn Browettが会社を去り、Jony Ive、Eddy Cue、Federighi、およびBob Mansfieldが新たな役職について以来、初のイベントだった。Federighiは、Forstallの職務を引き継いだのに加え、AppleのデスクトップOSの開発を率いている。

Appleは、社内の工業デザイン部門とソフトウェアデザイン部門の新しいレベルの協調関係について明言していたが、その証拠はiOSとOS Xの新しいソフトウェアだけでなく、発表のテンポとやり方にも表れていた。CookがAppleを率いるようになって以来、経営チームが最も団結していたと言ってもよい。ともあれ、この新たに再編されたより結束の強いと思われるApple経営チームから、まだまだ多くのイノベーションが生まれることを予感させるエネルギーがそこには漂っていた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Apple新製品にはJony Iveビデオ。「複雑な世界に秩序をもたらすiOS 7」

Appleは昨日、WWDCにて次世代iOSの発表を行った。発表を受けて、Jony Iveによる7分間のiOS 7紹介ビデオが公開されている。

「真のシンプルさというのは、無用なものを削ぎ落したとか、装飾を廃したというようなところから生まれるのではありません」とIveは言う。「複雑さの中に秩序をもたらしてこそ、シンプルさが実現されるのです」(bringing order to complexity)とのこと。

WWDCのステージ上でも言っていたように、iOS 7はiPhone上で実現される最大の変化となる。それでAppleとしても実際のリリースの前からiOS 7についていろいろと情報を流しているというわけだ。但し、新OSのベータ版を動作させているさまざまなデバイスを見る限り、どうやら賛否両論がありそうだと感じる。

たとえばFacebookはほんのちょっとした変更を加えただけで、反対の声が大きく巻き起こるというのが常となっている。Appleが採用する今回の変更は、ほぼ「全て」の面にわたっているのだ。

Iveによる今回のビデオは、今後いくつも行われる大規模マーケティングキャンペーンの第一弾となるものだろう。Appleはこれからしばらく大幅に変更したiOSのメリットを訴えかけるキャンペーンを張るに違いない。秋のiOS 7登場前に、TVのスポット広告やオンライン広告が種々登場することになるだろう。

まずはカクテルでも飲みながら、Sir Jonathan Iveの格調高い紹介ビデオでも見ていることとしようではないか。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


本日アナウンスされたiOS 7、新たな機能をスクリーンショットで確認してみる

WWDC 2013の舞台にて、iOS 7が正式にアナウンスされた。見た目の部分でかなり大きな変更があるようだ。もちろん新たに生み出されたり付け加えられた機能も多くある。正式版のリリースはまだ数カ月先だが、本日公開された開発者版を早速いろいろといじり始めているBrian Roizenが数多くのスクリーンショットを投稿してくれている。WWDCの舞台上で行われたデモで、新しいOSの方向性は理解できたという人も多いことだろう。しかし詳細なスクリーンショットも、いろいろと参考になるところがあるはずだ。

ノートアプリケーションにある紙の質感などの部分に、以前からの「skeumorphic」デザインが少々残っているようにも感じるが、しかし全体的にはシンプルになったスタイルと「フラット」デザインが特徴だ。またマルチタスクトレイは大幅に使いやすくなった様子。また各種設定をまとめて行えるコントロール・センターも非常に便利そうだ。ボトムトレイからダブルクリックで呼び出す現在の設定機能にはいろいろと不便な点があり、不満をおぼえていた人には朗報となる。

全体的に言えば、これまでよりもモダンでクリーンなエクスペリエンスを提供するOSになると言える。カレンダーやメール、サファリなどのコアアプリケーションの外見によって感じる変化も大きそうだ。基本的な機能オプションのみを常に表示し、細かな機能を提示することでデザインをごちゃごちゃさせることがなくなっている。但し新しい通知パネルには「Today」、「All」、そして「Missed」などのペーンが新たに用意されることとなり、ひと目で全体を見るという方向からは変更になったようだ。こうしたところの使い勝手などをチェックしてみたいものだ。

ちなみに、一般向けのiOS 7のリリースは秋に予定されている。これからしばらくの間で変更点も多数あることだろう。しかし全体的なルック&フィールについては、本日明らかになったものと大きく変わらないものと思われる。これまでと比べると大きな変化であるのは間違いない。一般利用者の評価がどうなるのか、注目して行きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


HTML5アプリの高速化フレームワークを提供するFamo.usが今年のWWDCで紹介された

Appleはこれまでも、WWDCのキーノートで、同社とゆかりのあるデベロッパやパートナーを取りあげてきた。今日(米国時間6/10)の最大の勝者は、Andreessen Horowitzが投資しているAIのスタートアップAnkiだと思うが、ほかにも印象に残ったのはFamo.usの短いデモだ。ここは昨年秋の本誌主催Disruptカンファレンスでローンチしたスタートアップだ。

そのデモは、かなり短かった。それはOS X Mavericksの発表で、Safariの改良を説明したときだ。Safariのパフォーマンスをほかのブラウザと比較しながら、AppleのCraig Federighiが、「ではここで、とっても電力を食う重いWebサイトを開いてみよう」、と言った。それがFamo.usのホームページで、Famo.usのJavaScriptフレームワークをデモするためにいろんな成分のテーブルを表示している。そのときFederighiは、Famo.usのときはCPUの電力消費メーターの針が約半分ぐらいのところまで上がることを見せた。そのウィンドウをiTunesの背後に隠すと、針は下がった。

Famo.usのプラットホームは、HTML5アプリの高速なレンダリングが売りだから、そのデモとしては物足りない。でも、多くの聴衆に、AppleがFamo.usに注目していることが分かっただけでも、すごいことだ。

Famo.usの協同ファウンダでCEOのSteve Newcombに、今日のWWDCでAppleがFamo.usを取りあげた理由について聞いてみた。彼は、よく分からないけど“前からAppleとの仲は良いし、彼らがうちを高く評価していることの表れだろう”、とだけ言った。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「iTunes Radioだって?」PandoraとSlackerは感銘を受けていない

Appleは、長らく噂されていたApple iRadio、ではなくiTunes Radioを今日のWWDCで発表した。新しい音楽ストリーミングサービスの概要はわかったが、明白な疑問が一つ。PandoraやSpotifyなど既存のインターネットラジオやオンライン音楽サービスにとってこれは何を意味するのだろうか。

そこで私は、Pandora、Rdio、Slacker、およびSpotifyにメールで意見を尋ねた。Spotifyは回答を拒否し、Rdioは何らかの発表を準備中とのことだったが、あとの2社は短い声明を送ってくれた。大きな驚きはなく、あの恐怖の「正当性」という単語も1回登場する。ともあれ、彼らがなぜこのニュースに脅威を感じていないかについての興味深いトークが展開されている。

まず、Pandoraの声明:

Appleの新機能は、iTunesをすでにラジオ機能を持つ他の音楽ストリーミングサービスと対等にする進化だ。当社は過去13年間ラジオを再定義することだけに集中し、他を寄せつけない知的財産、パートナライズされたプレイリストの提供に関する豊富な体験、およびあらゆるプラットフォームで利用できる普遍性の恩恵に預かってきた。Pandoraなら2億人を越える登録ユーザーが、いつでもどこでも大好きな曲と簡単につながることができる。

そしてこちらがSlacker CEOのJim Cady:

結局人々は音楽をレンタルしたいのだろう。

Appleがついに音楽ストリーミング分野に乗り出したことは、われわれがSlackerで2010年以来、世界の音楽ライブラリーをどの端末からでも聞けるサービスを提供してきたことの正当性を実証する。Appleは優れた製品を作るが、Appleのエコシステムに入っていない人は使えない。囲い込みはリスナーのためにならないので、Slackerはユーザーに自分のコンテンツをアクセスする真の自由を与えることの重要性を信じている。iOSであれ、Android、Windows、スマートテレビ、Xbox、あるいは車載情報エンターテイメントシステムであれ。

さらにSlackerは、独自の人間的アプローチをコンテンツプログラミングに取り入れ、ABC、ESPNスポーツのニュースやWeather Channelの最新情報を盛り込むことによって、音楽に留まらないユニークなパーソナライズド・エンターテイメントを実現している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)