ザッカーバーグ氏がFacebookによる新型コロナウイルス感染症への取り組みを詳しく説明

マーク・ザッカーバーグ氏は、Facebookならびに彼が家族で運営する非営利団体のチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブが、COVID-19として知られる新型コロナウイルス感染症と、病気に関する誤ったウイルス情報の広がりに対応するために行っていることの概要を、米国時間3月3日夜の早い時間に投稿した声明の中で説明した。

Facebookの対応は、3つの分野に焦点を当てている。正確な情報の提供、誤まった情報報をくい止めること、そして研究のためのデータ(これはFacebookが提供する普通のデータだ)提供である。

Facebookは、正確な情報を提供するために、そのプラットフォームで新型コロナウイルスに関する情報を検索するユーザーに対して、自動ポップアップを介して世界保健機関(WHO)または地元の保健当局サイトへの訪問を提案する。また、情報に関するそうした通知は、世界保健機関が人から人への感染の事例を報告した国にいる、すべての人のニュースフィードに自動的に挿入される。

「進行中の状況を考慮して、私たちは保健省やWHO、CDC、そしてユニセフなどの組織と協力して、新型コロナウイルスに関するタイムリーで正確な情報を入手できるよう協力しています」とザッカーバーグ氏は述べている。「私たちはWHOに対して、新型コロナウイルス対応に必要とされる無料広告枠と、それに相当する支援も提供しています。また、他の組織に対しても、広告クレジットのかたちで多大な支援を提供していますし、必要に応じて追加の支援を提供するために、グローバルな健康の専門家たちとも緊密に協力します」

Facebook上での誤った情報の拡散を止めるために、ザッカーバーグ氏は、グローバルな健康機関によって疑義のある虚偽情報と陰謀説をFacebookから排除し、怪しげな治療法を売り込むことで大衆の不安を煽るような広告を出すアカウントをブロックする、と書いている。

最後にそしておそらく最も議論になる内容として「人々が私たちのサービスを使って、アウトブレイクを封じ込めるためのより広範な努力に、どのように貢献できるかにも目を向けています」とザッカーバーグ氏は書いている。「研究者たちは、ウイルスがどのように拡散しているかをよりよく理解するために、モビリティデータや人口密度マップを含む、集計され匿名化されたFacebookデータをすでに利用しています」という。

匿名化されたデータに誰がアクセスできるのか、ユーザーがそのデータを使用して何を行えるのか、またはウイルスからの脅威が和らいだあとに、どれくらいの期間アクセスが可能なのかという点について、Facebookがどのようにコントロールしていくのかについての疑問は残されている。Facebookは、この記事公開に間に合うタイミングではコメントを返していない。

チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブも、病気の拡大を食い止めるための医学的努力を支援している。ゲイツ財団と協力することで、2つの組織から資金提供を受けた研究者たちは、数日でCOVID-19を引き起こすウイルスのゲノム配列を完全に特定することに成功し、ウイルスに感染した人々の特定が容易になった。

また同じチームは、他の科学者たちがまた別の病原体の場合でも全ゲノムを研究できるようにするIDSeqツールの公開バージョンを作成した、とザッカーバーグ氏はいう。

チャン・ザッカーバーク・イニシアチブが設立資金を提供した医学研究センターのBiohubは、体内のさまざまな細胞タイプをマッピングする細胞アトラス(地図)の開発にも取り組んでいる。一部の研究者は、このアトラスを使用して、新型コロナウイルスが肺をどのように損傷させるかを研究し、ウイルスによって引き起こされる肺の損傷を抑える可能性がある治療法を、特定し評価しようとしている。

「人々の孤独感を和らげ、助け合うためにできることはまだまだあります。そして今後数週間でみなさんと共有できるアイデアにも取り組んでいますが、現時点ではアウトブレイク自体の広がりを遅らせることに焦点を当てています」とザッカーバーグ氏は述べている。「多くの人が困難に向き合っています。私は、病気の人も隔離された人も、そうした人たちの友人たちや家族も、そしてもちろん、いつでも流行の最前線にいる医療従事者のみなさんのことも気にかけています。近いうちに、より多くの進捗情報をお知らせします」

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(翻訳:sako)

トランプの新型コロナ「デマ」発言を巡りFacebookでファクトチェック抗争勃発

ファクトチェッカーは誰がファクトチェックするのか? トランプは新型コロナウイルスを民主党の「新たなデマ」だと言ったのか?

右派パブリッシャーThe Daily Caller(ザ・デイリー・コーラー)がPolitico(ポリティコ)とNBC News(NBCニューズ)の記事に「虚偽」のラベルを貼り付けた問題から、大きな疑問が湧き上がった。The Daily CallerのCheck Your Fact(あなたのファクトをチェック)部門は、Facebookのファクトチェックプログラムに加盟するファクトチェックパートナーであり、Facebook上のリンクに「虚偽」というラベルを添付する権限を持つ。ラベルが付けば、ニュースフィードでのランクも、その投稿者の全体的な露出度も下がることになる。

2019年4月、The Daily Callerをファクトチェックプログラムのパートナーに迎えたFacebookの判断は、批評家の激しい非難を浴びた。同社には、誤りであることが広く認知された記事をいくつも掲載した過去があるからだ。これにより、政治的に偏ったファクトチェックという恐れていた事態が現実になったと信じる人たちもいる。

トランプ大統領は、2月28日の夜、新型コロナウイルスの世界的な大流行を、弾劾とミュラー特別捜査官による捜査、そして自身の第1期の功績を不当に傷つけ批判する目的で仕組まれたリベラル派の陰謀と位置づけた。虚偽の情報です独立系ファクトチェッカーが判定しました。
画像クレジット:Judd Legum

今週、Judd Legum(ジャッド・レーガム)氏のニュースレターPopular Information(ポピュラー・インフォメーション)が指摘したように、Check Your Factは、Politicoの「トランプは新型コロナウイルスを『デマ』と扱うよう集会に参加した支持者に訴えた」と、NBC Newsの「トランプは新型コロナウイルスを民主党の『新たなデマ』と発言」という2つの記事を虚偽と評価した。このファクトチェックの説明には「トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への彼自身の対応について説明していた」と書かれている。

トランプは、集会でこう述べていた(太字は編集部による)。

今、民主党は新型コロナウイルスを政治問題化している。知ってるだろ、違うか? 政治問題化してるんだ。我々は大きな仕事を成し遂げた

【中略】

彼らは弾劾という茶番を企てた。完璧なプロパガンダだ。やつらはあらゆる手を尽くした。何度も何度も挑んできた。なぜなら、こっちが選挙に勝ったからだ。逆転だ。やつらは負けた。逆転したんだ。考えてもみろ。考えてもみろ。これはやつらの新しいデマだ。だが我々は驚くべき手を打った。この巨大な国で「感染患者は」15人だ。早期に動いたから、早期に動いたから、我々はもっとやれた。

【中略】

誰も死んでない。なのに変だろ、マスコミはヒステリー状態だ

トランプがそこで何を言わんとしていたかを、正確に捉えるのは難しい。新型コロナウイルスをデマだと言っているようにも聞こえる。デマの深刻さを心配しているようでもあり、彼の対応への民主党の批判をデマだと言っているようでもある。定評あるファクトチェック機関Snopes(スノープス)は、トランプが新型コロナウイルスをデマ呼ばわりしたという主張を、嘘と本当が混在したものと評価し、次のように述べた。「彼の発言である程度の混乱が起きたものの、トランプは新型コロナウイルス事態をデマだとは言っていない」

結論:虚偽
この情報の中心的な主張は不正確です。
Check Your Factによるファクトチェック
「虚偽:トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への大統領の対応について説明していた」
画像クレジット:Judd Legum

PoliticoとNBC Newsの見出しは、少々行き過ぎたかも知れない。またこれらの見出しは、トランプがこの事態をどう特徴付けているかを明確に表現している。

しかし最大の問題は、なぜThe Daily Callerの判定を他のファクトチェックパートナーが内部監査できないようにFacebookはこのファクトチェックシステムを設計したかだ。

これを問うと、Facebookは責任の所在をはぐらかし、すべてのファクトチェックパートナーは無党派の国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証を受けているため、内部監査の必要がないことを示唆した。この団体は倫理規定を公表しているが、そこにはチェックする者に「できる限り誤りのない作業を行うために、報告、記述、編集において高水準を保つ」ことを求める正確性の基準が含まれている。チェックする者はまた、記事の正確さを判断するための基準に従うことが要求され、「非常に疑わしい」や「見出しが虚偽」といった中間的なラベルを付けることも許されている。今回、The Daily Callerはそれらを使用しなかった。

The Daily Callerを真偽の判定者として相応しくないとは思っていないためIFCNの指針に頼ったと、Facebookは私に話した。またFacebookは、パブリッシャーがファクトチェックパートナーに直接掛け合い、判定の異議を申し立てもこともできると主張してた。だがさらに詳しく聞くと、パブリッシャーが異議申し立てができるのは、その判定を担当したパートナーに対してのみであり、他のパートナーに再判定を依頼したり、最初に付けられたラベルの内部監査を求めることはできないとFacebookは認めた。

これでは異論の多い、または不正確なラベルを撤回させられる余地はほとんどない。倫理規定に違反したファクトチェック団体は、IFCNから除外しFacebookのファクトチェックパートナーの資格も剥奪するべきだ。

たとえFacebook自身が真偽の判定をしたくないにしても、せめて決められた数のファクトチェックパートナーがその役割を果たせる制度を整えるべきだろう。ラベルが不正確だと複数のパートナーが合意したときは、記事のラベルの段階を軽くするか、ラベルを削除する。さもなければ、ひとつのファクトチェック団体の誤りや偏見が、報道機関の仕事全体を抑圧し、人々から真実を奪い去りかねない。

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(翻訳:金井哲夫)

FRBの緊急利下げでテック株は再び暴落

連邦準備制度理事会(FRB)が投資家の信頼を取り戻すための唯一のスイッチを入れた日、投資家たちは米国および世界経済の短期的財政見通しにまだ確信を持つことができなかった。

3月2日、月曜日の急速な回復が、直前の歴史的低調な週をある程度消し去ったあと、火曜日の主要三インデックスは揃って赤信号を灯らせた。

わずかな明るいニュースが急上昇をもたらした3月3日とは対照的に、3月4日の暴落はFRBが0.5%の緊急利下げを行った驚きの中にやってきた。このような突然の利下げは2008年の財政危機以来のことだ。https://twitter.com/levie/status/1234922251570429953?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1234922251570429953&ref_url=https%3A%2F%2Ftechcrunchjp.wordpress.com%2F%3Fp%3D332044%26preview_id%3D332044%26preview_nonce%3D00c8980f1e%26_thumbnail_id%3D332049%26preview%3Dtrue

私は専門家ではないが、利下げは意図された効果を生んでいないように見える

不確実な時期にFRBが何らかの緩和措置をしてくれるのは良いことだが、現実には、市場の予期したタイミング「前」のこれほど急な利下げは、事態を悪化させかねない。

投資家が悲観的になる理由はいくらでもある。航空機による旅とそれに伴う接客ビジネスの出費は、COVID-19感染の脅威によって、急速に削減されている。第1四半期に中国で起きたサプライチェーンの崩壊が、第2四半期にどこまで影響を与えるのか誰にもわからない。しかも米国は、新型コロナウイルスの伝播状況の把握もそれへの対策もまだできていない。

真の原因は定かではないが、株価が下落したことは事実だ。数字は以下の通り。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価): -789.37ドル、 2.96%
  • S&P 500:-86.86ドル、 -2.81%
  • Nasdaq Composite(ナスダック総合指数):-268.08ドル、 -2.99%

逆風はテック業界の巨人たちも襲った。Appleは3%以上下げ、Microsoftは4.8%、Amazonはやや少なく2.3%、そしてFacebookは5.4%と最大の暴落を記録した。

SaaS関連株へのあたりは特に厳しく、取引終了前の数時間に4%近く下落した。BessemerのクラウドおよびSaaS指数も2.9%減で終えた。さほど影響を受けていない会社もある。Slackは約1ポイント下げただけで、Uberは下げた分をすべて取り戻した。

何がこの乱高下を止めるのか、誰にもわからない。

最近のこうした市場の混乱をよそに、建築ソフトウェアのProcoreベンチャーキャピタルの支援を受けているAccoladeのように上場申請している会社もある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleのビデオ会議ツールが新型コロナ対応の一環で無料利用可能に

Googleは、同社のリモートワークツールを社員の在宅ワークを検討している企業向けのブログ記事で、高度なビデオ会議サービスであるHangouts Meetを全世界のG SuiteとG Suite for Educationのユーザーが無料で利用できるようにする、と発表した。

CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、米国時間3月3日のツイートでそれについて発表している。

COVID-19の影響下にある企業や学校がつながりを失わないために、2020年7月1日までビデオ会議Hangouts Meetの利用を無料にする。

ブログ記事では「COVID-19の蔓延により、リモートで仕事をする社員や教育者、学生などが増えているので、我々としては彼らがつながりを維持した状態で仕事ができるようにした。多くの企業が在宅ワークのポリシーを調整して通勤を減らそうとしている中で、私達はグローバルに分散しているすべてのチームが、それぞれいる場所は違っていても、確実に互いに顔を合わせられるようにしたい」と語っている。

Googleによるこの決定のすこし前には、世界最大規模の業界カンファレンスがいくつもCOVID-19を恐れて開催中止になっていた。GSMAのMobile World Congress、FacebookのF8カンファレンス、それにGeneva Motor ShowGame Developers Conferenceなどがキャンセルされている。

関連記事: GDC 2020が中止(もしくは夏に延期)になった

ドアを閉じるのは、カンファレンスだけではない。企業もあらゆる手段を講じてリモートワークを奨励している。Twitterは社員にリモートワークを奨励しており、またStripeやSlack、Squareなども社員に対して会社に出て来ないよう促している。

今回のGoogleによるビデオ会議の無料アクセスは、1回につき参加者250名まで、傍聴者のためのライブのストリーミングは1ドメインにつき最大10万名までとなっている。会議の模様はGoogle Driveに録画保存できる。

これは本来ならエンタープライズ向けの機能だが、Googleは7月1日までは無料としている。

「この試練のときにあって我々は、ユーザーと顧客を真剣にサポートしたい。継続的にインフラストラクチャをスケールして、Hangouts Meetの今後の大きな需要にも対応し、スムーズで安心できるサービスを提供したい」と同社はいう。

真っ先にこの新しいサービスを喜んだのが、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏と彼のTwitterだ。現在、苦境にある最高経営責任者は「Twitterの全世界全社会議を初めて、完全に仮想会議だけで行った。それにはGoogle MeetとSlackHQを使用した」とツイートしている。

全世界的全社会議を完全な仮想会議で行なった。自宅から参加した社員もいる。こんなことは初めてだが、すべて快調だった。GoogleとSlackありがとう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google I/O 2020もまた新型コロナのために開催中止

Googleは、マウテンビューで5月に予定していたI/Oデベロッパー・カンファレンスの開催をキャンセルした。FacebookがF8をキャンセルし、Google自身も4月に予定されていたCloud Nextをデジタルオンリーのカンファレンスに移行した後ではさして驚きとはいえない。

I/Oは2020年5月12日から14日に開催される予定だったが、新型コロナウイルスに対する懸念のためキャンセルされることとなった。Googleは参加予定者にキャンセルを通知するメールを送信した。

【略】

Cloud Nextカンファレンスと異なり、Googleはキーノートやスタートアップのプレゼンなどのセッションをリモートでストリーミングする計画を(今のところ)発表していない。ただしGoogleの声明はその可能性を排除してはいない。

参加者予定者にはチケット料金が払い戻され、2021年のイベントに参加する場合は「チケット購入の抽選」は免除される。 またこのキャンセルによるマウテンビュー近隣地区への経済的影響を緩和するためGoogleはスモールビジネスや生徒のSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリグ、数学)やコンピュータの学習振興を図る団体に100万ドル(約1億1000万円)の寄付を約束した。

Googleが2008年にI/Oカンファレンスをスタートさせて以来、今回が初めてのキャンセルとなる。当初はサンフランシスコのモスコーニ・センターで開催されていたが、会場はマウンテンビューのGoogle本社に近い野外劇場であるショアライン・アンフィシアターに移された。例年5000人前後がこのイベントに参加する。Googleは開発者向けの最新ツールと一般ユーザー向けのプロダクト多数をここで発表してきた。 2019年には、このイベントでPixel 3aも登場した。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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滑川海彦@Facebook

新型コロナの影響で波乱に満ちた株式市場は広い分野で記録的回復

さて株式市場はどうなっただろう?

新型コロナウイルス、COVID-19の感染者が米国で増加していることを懸念して先週の市場は全面安となった。しかし米国時間3月2日の月曜日になると、外国企業を含め米国で上場している企業の株価は回復し、記録的な利益をもたらしている。

先週、新型コロナウイルスの感染によって国際的な経済の減速に対する懸念が高まり、世界的に株価は暴落した。週末も新型コロナ関連のニュースは流れ続け、感染者、死亡者が増え続けていることが報じられた。

しかし週が明けると米国の投資家のマインドは熊(弱気)から雄牛(強気)に変わり、買いが入り始めた。記録的な下げは、記録的な上げとなった。3月2日の市場では、

  • ダウは1293ドル(約13万9605円)、5%強アップ
  • S&P 500は136ドル(約1万4684円)、4.6%アップ
  • テクノロジー系株が多いNasdaqは385ドル(約4万1564円)、4.5%アップ

市場全般の上げ潮に乗り、Twitterは8%アップで引け「もの言う株主」がトップの交代を狙っているというニュースも流れた。

ただし、すべての企業が上げ潮に乗れたわけではない。 いささか驚きだが、ベンチャーキャピタルのBessemerがまとめているSaaS企業のインデックスの上昇はわずか1.5ポイントにとどまった。つまりその前の暴落で失った価値をほとんど取り戻していない。 この傾向が続くようだと、株価が全面的に戻しているという楽観主義をいささか修正する必要が出てくるだろう。つまり上げ潮もジャンルによるのだと考えねばならない。かつて投資家は、SaaS企業は収入と利益の双方を拡大させ続けると期待して空前の高値を出現させた。

暗号通貨関係企業さえ好調で、bitcoinに続いて4%前後アップした。

Nasdaq総合指数は、この1年の高値(史上最高値)と比べるとまだ9%前後低い。 つまりまだ回復の余地があるはずだが、実際そうなるかどうかは市場のみが知っている。ただし下げ一色は終わり、上下する値動きが戻ってきたということ間違いない。

アップデート:この間の乱高下に関連してTechchCrunchでも最近紹介したRobinhoodの運命に留意する必要がある。この無料オンラン株取引アプリは取引が殺到したためにダウンした。アプリが成功したのはよいが、サービスを稼働させ続けるために苦労しているようだ。企業価値が数十億ドル(数千億円)にも達する企業にとってダウンタイムは名誉ではないだろう。

画像:Drew Angerer / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

Googleは新型コロナの影響で同社最大のカンファレンスCloud Nextをオンラインで開催

米国時間3月2日にGoogleは、COVID-19新型コロナウイルスの影響を考慮し、同社主催の年次カンファレンスであるCloud Nextのオフラインでの開催を中止すると発表した。クラウドに特化した同イベントは3万人前後の参加者が見込まれる同社最大のカンファレンスだ。

最近のイベント中止の流れからみて、この発表は大きな驚きではない。数日前には、FacebookがF8デベロッパーカンファレンスを中止している。

Cloud Nextは4月6日から8日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催される予定だった。しかし、Googleは通常行われていたオフラインイベントの代わりに、オンラインイベントを「Google Cloud Next ’20: Digtal Connect」と題して開催する。したがって、基調講演や分科会などは予定どおり行われ、さまざまなエキスパートとつながる機会も残されている。

「イノベーションはGoogleのDNAであり、この強みを活かして2020年もみなさんが没頭し想像をかきたてられるイベントを、移動のリスクなしに実施する」と3月2日の発表内でGoogleは語った。

バーチャルイベントの参加は無料で、カンファレンスのチケットは自動的に払い戻されるとGoogleからの参加者へのメールにある。カンファレンスの予約システム経由で申し込んだホテル予約も自動的にキャンセルされる。

こうなるとGoogleのもうひとつの大イベントである I/Oが気になる。こちらは5月12日から14日にカリフォルニア州マウンテンビューで行われる予定だ。同様に、ライバルともいえるMicrosoftのBuildカンファレンスも5月19日からシアトルで行われる。いずれも両社にとって重要な年間ニュースイベントだが、現状を鑑みると中止になっても驚く人はいないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nvidiaの開発者イベントGTCは新型コロナ懸念でオンラインでのみ開催

Nvidia(エヌビディア)は3週間後に開催予定で、1万人の参加者がサンノゼに集うGPU Technology Conference(GTC)を中止する。この決定を「新型コロナウイルスに対する懸念の高まり」のためだと同社は説明し、可能な限り多くのコンテンツをオンライン上で提供するように努めると述べた。

NvidiaはGTCページのアップデートで「Jensen(ヤンセン)氏は引き続き基調講演を行い、発表内容を共有する。さらに、講演者による話を共有できるように努力する。これらはすべて、オンラインで実施される」と説明している。

GTCは3月22日から5日間。サンノゼのコンベンションセンターで開催される予定だった。イベントには約250社の企業が出展、参加し、GPUやハイパフォーマンスコンピューティングの最新アプリケーションに関する、プレゼンテーションや講演を行うはずだった。

残念なことに、GTCはGame Developers Conference(GDC)Mobile World Congress(MWC)F8といった数多くのイベントと同じ道をたどった。世界中の旅行者が集まることが新型コロナウイルスの温床になっているのではないかという懸念が、その理由だ。

かなりの数の出展者と参加者がすでに参加をキャンセルしたり、参加に疑問を呈していたことは間違いない。すでに多くの企業がさまざまな理由で、海外渡航を制限している。

GTCのイベントパスを購入した者は、誰でも全額払い戻しを受けることができるが、Nvidiaは少なくともプログラムの一部をサルベージしたいと考えている。

同社は今回の決定に関するブログ投稿で「今後数週間のうちにカンファレンスの講演者と協力して、そのオンライン公開を開始する予定だ」と記している。また「さらに、Nvidiaの開発者プログラムに登録していた参加者のために、研究者、エンジニア、およびソリューションアーキテクトと技術的な質問に答えるためのスケジュールを組む予定だ」としている。

コンテンツを含むすべてのアップデートは、GTCの公式ページに今後追記される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米国株式市場で前週下げた株価が早朝取引で一部反転

ダウ平均株価とNasdaq(ナスダック)の指数はともに、1週間の下落を経て反転した。ダウは570.50ポイント高の25,979.86ポイント、ナスダックは112.96ポイント高の8680.33ポイントで取引を終えた。

先週は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と、それがサプライチェーンや企業収益の削減につながるとする各国政府の反応が、投資家心理に大きく影響した。しかし先週末、アメリカではこの病気に関するニュースはあまり多くなかったため、市場の動きは強気に転じている。

Microsoftは、中国メーカーの閉鎖が業績に影響を与えるとのガイダンスを発表した数社のうちの1社だ。実際、医薬品からテック業界に至るまでの産業のサプライチェーンでは、基本的な部品が不足しているために生産量が減少している。

マーケットにおける同様の懸念は、ウイルスが中国以外のほぼすべての大陸に広がったことである。ブラジル、イタリア、ナイジェリア、米国では先週、新たな症例が報告され、米国では初めて2例の死亡が報告された。

ダウ指数が1日で史上最悪の下げ幅を記録してから1週間もたたないうちに、両市場とも上昇に転じた。これにより、現在傍観しているIPO(DoorDash、Airbnb、Asana、Procore、その他)の空気が変わり、さらに他の企業がデビューを準備する余地が広がるかもしれない。

しかし、1日に満たない時間での上昇は回復よりも、安定化という意味が大きい。最悪の1週間からひと段落するのは良いことだが、確信を高めるまでには至っていない。より多くのCOVID-19の検査キットが米国内に出回るようにはなったが、同国が窮地を脱したわけでは決してない。しかし、下落からひと段落したので、次は回復についての話をしたいものだ。

Bitcoinでさえ過去24時間で3%上昇している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GDC 2020が中止(もしくは夏に延期)になった

サンフランシスコのGame Developers Conference(ゲームデベロッパーカンファレンス、GDC)を企画した連中はこれまで慌ただしい日々を過ごしていたに違いないと思うが、米国時間2月28日になってそのチームは、3月に予定されているそのイベントの中止を正式に決めたと発表した。彼らのブログ記事には、できれば夏の終わりごろへスケジュールを繰り延べたいとある。

このところ、このイベントの有力企業スポンサーのほとんどすべてが、新型コロナウイルスをめぐる不安により社員をイベントに送らないと発表した。MicrosoftやUnity、Epic、Amazon、Facebook、Sonyなどはすべて不参加を決めた。GDCの声明はウイルスに触れていない。

GDCの主催企業は、カンファレンスと展示会の前売り券を買った人には全額返済すると言っているが、2020年のGDCが消えてなくなるのではなく、夏の終わりごろにずらしたい、とブログで書いている。曰く「パートナーといっしょに詳細を詰めて、数週間後に我々の計画に関する情報をシェアしたい」そうだ。

GDCは、新型コロナウイルス騒動で中止に追い込まれたテクノロジーカンファレンスの、最新例にすぎない。2月28日にはFacebookが、F8カンファレンスの生出演(オフライン)の部分を中止すると発表したし、さらにその前には、バルセロナで行われる予定だったMobile World Congress(MWC)の中止を、主催団体GSMAが発表した

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ジュネーブ・モーターショーも新型コロナ感染拡大で急きょ中止

ジュネーブ・モーターショーが、新型コロナウイルスによる開催取り止めとなる最新事案となった。スイスで開催されるこのモーターショーは世界最大の車の展示会の1つで、例年さまざま々な国のハイエンドな自動車メーカーが、ニューモデルや斬新なコンセプトを発表する。他のモーターショーと同じくジュネーブ・モーターショーも展示するだけの場ではなく、一般の人も参加できる。

ジュネーブ・モーターショーの開催中止は、GSMAのモバイルワールドコングレス(MWC)、FacebookのF8カンファレンスといった大規模イベントキャンセルに続くものだ。今後予定されているニューヨーク国際オートショー(NYIAS)の主催団体はこれまでのところ、まだ中止は発表していない。NYIASはニューヨーク市で4月10〜19日に開催される。

これらのモーターショーは単に消費者向けに展示をするというものではない。自動車メーカーはショー参加や展示に大金を注いでいる。それぞれのショーで訴えるものを練るのに何年もかけていて、ショーがなければ自動車メーカーは最新モデルやトレンドを発表するために戦略を変更しなければならなくなる。

これまでジュネーブ・モーターショーは参加者らに病気の人を避けるよう呼びかけてきた。しかし最新のスーパーカーコンセプトを見るために人をかき分けなければならないような混み合ったホールでは、無理に近い。

「このようなことになり、残念に思う。しかし全参加者の健康が、我々そして展示者の最優先事項だ。これは不可抗力であり、ショー参加のために巨額の投資をしてきたメーカーにとって大きな損失だ。しかし彼らが今回の決断を理解してくれると確信している」と主催団体会長のMaurice Turrettini(モーリス・タレンティーニ)氏は声明文で述べた。

主催団体は中止作業と損失の計算を行っている。また「すでに販売されたチケットの代金は返金される」としている。

画像クレジット: Wikimedia Commons (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナの影響でアマゾンもGDC 2020への出展を取り止め

GDC(Game Developers Conference)のトップスポンサーによる、サンフランシスコのゲームカンファレンスへの参加の辞退が続いている。Amazon(アマゾン)は米国時間2月28日、同イベントに出展しないことを発表した。

アマゾンはアップデートの中で、カンファレンスで詳細を発表する予定だったニュースを共有するための「グローバルオンラインイベント」を実施することを明らかにした。

Amazon Game Techは、2020年のGDCのダイヤモンドパートナーであり、同カンファレンスのスポンサーが「GDCの成功に不可欠な役割を果たす」ことを示す名称だと、同社のウェブサイトには記されている。現時点で正式に撤退していないパートナーはIntel(インテル)とNvidia、Google(グーグル)だけだ。

Facebook(フェイスブック)、ソニー、Microsoft(マイクロソフト)、Unity、Epic Gamesは 「COVID-19(新型コロナウイルス)」 の感染拡大をめぐる懸念から、同カンファレンスに参加しない。そして今、Amazonが撤退企業に加わった。

TechCrunchは、イベントへの参加を表明している他のスポンサーにコンタクトをとっている。

@beccahalstedtが指摘しているように、赤いスペースの企業は正式に撤退した。

今後、GoogleやAmazon、Intel、Nvidiaが撤退するとしても、驚かないだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

血液検査で新型コロナなどの病原体を特定し最適な治療法を見極める液状生検技術のKariusが183億円調達

「新型コロナウイルスのような新しい病原菌を感染が大流行する前に特定するのがKarius(カリウス)の得意技です」と、最高責任者のMickey Kertesz(ミッキー・ケルテス)氏は言う。彼のこのライフサイエンス系スタートアップは、つい先日、1億6500万ドル(約183億円)を新規に調達した。

この新規投資は、次第に脅威を増すCOVID-19のおかげで決まったように見えるが、同社の技術は、免疫不全の小児患者のための感染症を引き起こす病原体または複合体肺炎、真菌感染症、心内膜炎の潜在的原因の検査にすでに使われていると、同社の説明には書かれている。

液状生検技術は、癌の治療に広く用いられているものだ。患者の癌細胞から流れ出た血液中の微量な遺伝物質の有無から、患者にとって最適な治療法を見極めることができる。

Kariusは、患者の血液サンプルの中の遺伝物質の特定を行うDNAシークエンシングと機械学習技術を活用するためのハードウェアとソフトウェアを開発し、それと同じ原理を応用して血中の病原体を特定できるようにした。

同社の説明によると、人間の体に感染した病原菌は、血中にDNAの痕跡を残すという。これを微生物無細胞DNA(mcfDNA)と呼ぶ。Kariusの検査方法ではバクテリア、DNAウイルス、菌類、寄生虫といった臨床的に意義のある1000以上のサンプルの無細胞DNAを測定できる。この検査によって、無数にある病原菌の中から患者に悪影響を及ぼす恐れのあるものが提示される。

「現在私たちは、採択の段階を通過し、臨床研究によってこの技術が文字どおり人の命を救うものであることが示された段階にあります」とケルテス氏。

初期段階の成功だが、これはソフトバンクを惹きつけるのに十分だった。ソフトバンクは、ビジョン・ファンド2からの投資により同社を支援している。

ソフトバンクは、約束を果たせなかった消費者系スタートアップ(内部崩壊したBrandlessやZume、WeWorkに代表される壊滅的打撃を招きかねない企業)への投資が多すぎ、早すぎる(または遅すぎる)ことで激しい批判を浴びているが、ライフサイエンス分野の投資チームは目覚ましい実績を挙げている。「彼らには経験と専門知識とネットワークがあり、まさにそれが私たちにつながりました」とケルテス氏は、ソフトバンクからの支援を決めたことについて話していた。「彼らは以前、Guardant Healthと10X Genomics(テンエックス・ゲノミクス)の取締役会のメンバーでした」

どちらの企業も、公開市場で成功し、その技術の有効性を証明してきた。その同じ気質をKariusも備えている。同社は、その検査方法の分析的検証と臨床的有効性に関する記事を、同業者の審査を経てNature Microbiology誌に掲載。通常の方法と比較して、感染を引き起こす可能性のある病原菌をより早く、より正確に特定できることを示した。

その技術の有効性が初めて認められたことで新たな投資を獲得した同社は、その検査方法の商品化を急ぎ、技術の有効活用を推し進めつつ、新たな技術の開発を行うことにしている。

彼らが第一に考えている開拓分野に、新しい生体指標の特定がある。これはCOVID−19のような新しい病気の指標になることが期待される。

「人類はまだ、感染症を解明できていません」と、同社の最高技術責任者Sivan Bercovici(シビアン・バーコビッチ)氏は言う。「私たちの技術で特定できない病原体の痕跡について、今後も公共のデータベースにある高品質なゲノムの設計図をさらに取り込み、私たちがダークマターと呼んでいるそうしたグループのデータを個別にまとめて将来に備えています。最大の挑戦は、知らないものを、いかにして知るかです」

Kariusは、血液サンプルの中の病原菌の情報をデジタル化し、機械学習とDNAシークエンシングを使って病原体の指標を認識している。同社は、30万種類以上の病原体のデータが記録されている公共のデータベースを利用しているが、同社で特定できない種類については、そのための識別子も作成している。

1回の費用が2000ドル(約22万円)というKariusの検査は決して安くはない。しかしケルテス氏によれば、外科手術よりも安全で費用対効果も高いという。患者の体に穴をあけて組織を摘出する必要がなくなるばかりか、この技術はすでに100以上の病院と医療機関で使われていると同社は話す。

ここまで達成できたことを受けて、General CatalystやHBM Healthcare Investmentsといった新しい投資企業も、ソフトバンクのビジョン・ファンド、そして前回のラウンドに参加したKhosla VenturesやLightSpeed Venture Partnersなどの以前の投資企業とともに契約したい意向を示している。

「感染病は、死亡原因の世界第2位です。Kariusの革新的なmcfDNA技術は、感染病を正確に診断します。これは、既存の技術では判別できません」とソフトバンク投資顧問のDeep Nishar(ディープ・ニシャー)氏は声明の中で述べている。

画像クレジット:SCIEPRO

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナウイルスがパンデミックになったら何が起きるか?

もし、新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミック(爆発的感染)になったら何が起きるのか? ウイルスが世界中に蔓延したら、どんな悪影響が心配されるのか? 私たちの生活、仕事、社会、そして移動にどんな変化が起こるのか?

ここでパニック映画を想像するのは待って欲しい。パンデミックは国境を封鎖し、壁を築き、すべての航空便を欠航にして、国全体を無期限に隔離することになると考える人がいるようだが、まったくの誤りだ。封じ込め作戦は大流行を遅らせて、対策のための時間稼ぎにはなるが、ひとたびパンデミックになれば、当然のことながら、封じ込めは失敗だったことになり、逆効果とは言わないまでも、それ以上の試みは意味をなさなくなる。

Marc Lipsitch(マーク・リップシッチ)「必読。Peter Sandman(ピーター・サンドマン)とJody Lanard(ジョディ・ラナード)はすばらしい思考を持つ作家だ。これが自分で書けたらよかったのだが。ともかく、合理的な対応が説明されている。政府が実行すべき対策ばかりではない。

「隔離、渡航制限、感染経路の特定、その他の『私たち』に感染しないように『彼ら』を遠ざけるための対策を止めて、私たちがお互いにうつし合わないよう大規模イベントを中止するといった方向転換を図るには何を変えるべきか。パンデミックだと騒ぐだけでは、一般の人々に理解してもらえない」

Kal Kupferschmidt(カル・クファーシュミット)「過去の流行の際に、リスクコミュニケーションの専門家ピーター・サンドマンとジョディ・ラナードに話を聞いた。@MachayIM(この人もフォローすべき)のブログに掲載された論文は一読の価値あり」

焦点は、封じ込めから緩和に移行する。ウイルスが定着してしまった社会で、いかにして感染速度を緩めるかだ。緩和はよく手を洗うといった個人的な対策と、大規模イベントの中止、施設の一時閉鎖、できる限りテレワークや遠隔教育利用するといった複合的な「社会的距離戦略」によって成り立つ。

パンデミックの速度は落ちれば、それだけ医療システムの需要も均一化される。医療機関の許容限度を超えるリスクが抑えられ、ウイルス対策の研究に時間を割けるようになり、ワクチンが開発された暁には、大勢の人たちが救われるようになる。このわかりやすいグラフを含むスレッドを読んで欲しい。

Josh Michaud(ジョシュ・ミショー)「疾病対策センターの指導では、緩和対策を柔軟に導入し、新情報が入るごとに効果を継続的に再評価することを求めている。現状への対応として『標的を定めた、多層的な』アプローチが最適である」

ジョシュ・ミショー「この対策の最大の目標は流行の強度を落とすことにある。流行の曲線を平坦化することで、医療機関と社会経済的な健全性への負担が減る(下のグラフを参照)」

(グラフの縦軸は1日の患者数、横軸は最初の患者発生からの日数、紫の山は対策を行わない場合のパンデミックの状態、斜線の山は対策を行ったパンデミックの状態)

我々メディアは重要な問題として、きわめて流動的で不確実なこの時期に、どのようにCOVID-19の報道をすべきかを問われている。そこで、ハーバード大学のBill Hanage(ビル・ヘイネージ)氏とMarc Lipsitch(マーク・リプシッチ)氏が寄稿したScientific American誌のすばらしい記事『How to Report on the COVID-19 Outbreak Responsibly』(COVID-19の流行についていかに責任ある報道をするか)を紹介したい(実を言うとビルは私の個人的友人だ)。

我々が考えるに、報道は少なくとも次の3つのレベルの情報に区分される。(A)私たちの知識は正しいか、(B)私たちの考えは正しいか、つまり、何が一番起こりやすいかに関する個人的な見解を反映する、これもまた推理、外挿、または学識に基づく解釈に依存した真実に基づく評価、そして(C)意見と推測【略】数日間続いた流行に関する事実は、発見されたばかりの、間違いを含む、または正しく事実を反映していないために誤解を招く恐れのある最新の「事実」よりもずっと信頼性が高い。【略】ずっと起きていることは何か、一定の周期で起きていることは何かを区別することが重要になる。

すべて読んで欲しい。意見記事の筆者として、私は実に安全な立場にある。私が書いているものはすべて、上の分類では(C)に属する。しかし、私が引用している内容はすべて(B)からのものだ。

それには、こんな但し書きがつく。この記事の最初の段落で私は「もし……になったら」と書いているが、その本当の意味は「……になったときには」だ。パンデミックは近づいている。無責任に恐怖を煽っているような言い方だとはわかっている。私は、みなさんに懐疑的になって、いろいろなもの広くを読んで、自分の結論を導き出すよう強くお勧めする。だが、専門家の主張する声はますます大きくなり、無視できない状況にある。ここに、ハーバード大学の伝染病学者Johns Hopkins(ジョン・ホプキンス)氏とバーゼル大学とベルン大学が、パンデミックについて明言したことに関連するTwitterのスレッドを紹介する。

Chris Wymant(クリス・ワイマント)「(助)教授たちの伝染病の蔓延に関する意見をまとめると、コロナウイルスを封じ込められる時期はすでに過ぎている。つまり、パンデミックと緩和の方向に進んでいる(ただし現在の封じ込め対策が無意味だとは言っていない)」

マーク・リップシッチ「世界は、COVID-19の蔓延が封じ込め可能な大発生の段階からパンデミックの段階に移ったと見ている。明らかに次は、どの対策が有効かが問題になる。その対策の分類が役に立つだろう」

怖がることはない。パンデミックを緩和するために我々に実行可能な手段はたくさんある。恐怖心はウイルスそのものよりも危険であることは、容易に想像できる。そうなってはいけない。致死率は大きく騒がれている2パーセントよりもずっと低いであろうことを明記すべきだ。しかもそこには、症状の軽い、診断が下っていない患者は含まれていない。

Helen Branswell(ヘレン・ブランズウェル)「これは決定的な情報であり、COVID-19に対する我々の認識を大きく変える可能性がある。簡単な病気ではないが、現在考えられているほど危険ではない可能性がある」

ヘレン・ブランズウェル「氷山を思い浮かべて欲しい。COVID-19では、死亡または重篤化した患者を見分けやすい。しかし、症状が軽い人は病院にも行かず、検査も受けない。研究者は、そうした人たちを探し出すべきだ。現状をもっと明確に知る必要がある。それに関するデータをお持ちの方はシェアして欲しい。もしなければ、作らなければいけない。

(図:水の上が目に見えるケース、水中が無症状または軽症の目に見えないケース)

60歳未満の人たちは、その率がさらに下がる。50歳未満となると急激に低下する。緩和に関するツイートをもう少し紹介しよう。

Kail Kupferschmidt(ケイル・クファーシュミット)「昨日感じたことを言いたい。COVID-19対策は封じ込めから緩和に移行するに従い、準備のためのチャンスの窓が世界に開かれた。これはどういう意味か?」

まずあり得ないことだが、これまで引用した人たちが間違っていない限り、私たちはみな、ノートパソコンや携帯電話やTwitterやマスメディアを通して集団で見守るという珍しい体験をしながら次の1週間、または1カ月を過ごすことになるだろう。世界にパンデミックが広がる様子は、スローモーションに見えるはずだ。私たちの日常生活は、いずれは何かしら変化することになるだろう(今のオフィスがテレワーク対応になっていないとしても、来年の今ごろはなっているに違いない)。しかし、世界の終焉からはほど遠い。通常に戻るのが意外に早かったねと、驚くことになるのではないかと私は思っている。

画像クレジットJoão P. M. Lima  / Wikimedia Common under a Public domain license.

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(翻訳:金井哲夫)

中国ハイテク企業はこうしてコロナと戦っている

新型コロナウイルス感染症の影響についてはTechCrunchでもたびたび取り上げてきたが、今回、中国のハイテク企業がこの大流行にどのように対処してているかを取材した。また、これが中国以外の世界にとっての意味についても紹介する。

新型コロナウイルス感染症の大流行は中国の社会、経済全般に大打撃をもたらしているが、わずかな救いはテクノロジーが人々の相互の接触を最小限とする手助けとなっている点だ。巨大な人口が自宅で過ごすためにテクノロジー企業がどのような役割を果たしているかにも触れたい。

2002年に中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)は800人近い死者を出したが、これが中国におけるeコマースを立ち上げるきっかけとなった。人々は感染を避けようとして外出を控えることととなり、オンライン通販に頼るようになった。ジャック・マ氏の伝記によれば、Alibabaのオンライン・マーケットプレイス、Taobaoが急成長したのも、ちょうどこのSARS流行期だった。

それから20年近く経ってさらに深刻な新型コロナウイルス感染症が中国の多数の都市をマヒさせている。この中でテクノロジー企業は自らの活動を維持すると同時に生活のライフラインとなり、また新型コロナウイルスを封じ込めるための国や民間の努力を助けようとしている。

データ分析企業のQuestMobileのレポートによれば、中国の市民がモバイルデバイスでインターネットを利用する時間は時間は2020年1月には平均1日6.1時間だったが、旧正月(2020年1月25日前後)には6.8時間にアップし、さらに新型コロナウイルス流行で7.3時間という驚くべき数字に跳ね上がった。これはウイルスの影響で旧正月休み明けにも閉鎖を続けている企業が多いことによる。同時に企業がリモートワークを取り入れつつあることも要因だろう。

以下に紹介するのはテクノロジー企業の努力の例だ。

リモートワークアプリが大ブーム

中国のエンタープライズソフトウェアビジネスは西側に比べると立ち上がりが遅かった。しかし消費者向けオンラインビジネスのプレイヤーが激増するにつれ、テクノロジー系大企業から投資家 までいっせいにエンタープライズ部門に目を向けるようになった。 ここにきて新型コロナウイルスの流行により何百万人ものオフィスワーカーが家に閉じ込められることになったため、リモートワーク向けアプリがブームとなっている。

全国的に学校、大学が閉鎖されたことで、Sensor Towerのデータによれば、オンライン教育ビジネスも同様の活況を呈している。

リモートワーク・アプリのメジャー・プレイヤーはAlibabaのDingTalk、Tencentの WeChat(微信)、 ByteDanceのLark. Appで、 Sensor Towerのレポートによれば、2020年の1月22日から2月20日の期間でDingTalkの14倍をはじめとして、以下のとおり著しい伸びを記録している(対前年同期比)。

DingTalk: 1446%

Lark: 6085%

WeChat Work: 572%

AlibabaはWeChat(微信)に対抗しようとして失敗した後、2014年にDingTalk(釘釘)をスタートさせたが、2020年2月に入って突然急成長し、中国におけるiOSアプリの首位に躍り出た。2019年8月時点の発表ではユーザーは1000万人以上ということだったが、現在は登録ユーザーは2億人以上だという。

新型コロナウイルス感染症の流行でiOS無料アプリのダウンロード数トップとなったDingtalk (Sensor Tower)

WeChat(微信)のエンタープライズ版、WeChat Work(企業微信)は2016年に生まれ、DingTalkの後を追い、当時iOSのダウンロードで2位となった。2019年12月にはWeChat Workには250万社、6000万人以上のアクティブユーザーがいると発表された

BytedanceがLarkをリリースしたのは2019年と新しい。上記2つの巨大サービスに比べれば小型で、 2月上旬までは300位台だった。しかし新型コロナウイルス流行後、Larkは爆発的に急成長した。LarkはTikTokの中国国内版であるDouyin(抖音)に広告を出し始めた。Douyin(抖音)はショートビデオの人気が高まると同時に企業マーケティングの寵児となりLarkに大きな注目が集まるようになった。一方、WeChatは月間ユーザー10億という巨大なサイズに達しているものの収益化には踏み出していない。

問題は新型コロナウイルスによる突然のブームが、維持可能な安定した市場に結びつくかどうかだ。DingTalkとWeChat Workは、あまりに急激なユーザー拡大のためにたびたびシステムがクラッシュしている。両サービスともこれほどの規模のユーザー殺到は予期していなかった。 また多くの企業は新型コロナウイルスの流行が収束すればリモートワークから従来のオフィスに出勤する勤務体制に戻ると予測される。

実際、「在宅勤務時間中はウェブカメラを常時オンにしておくこと」といったプライバシーの侵害につながるような要求をする企業もあるため、在宅勤務は社員からは評判が悪いことが多い。 またDingTalkは最近スタートさせたオンライン学習クラスに思わぬ反撃を受けている。旧正月休みが延長されたと思ったらオンライン学習クラスで勉強させられることになった生徒たちが一斉にアプリに一つ星の低評価をつけている。

マスク着用と国民監視システム

ウイルスの拡散を防ぐために多数の自治体が公衆の前に出るときはマスクを着用することを人々に義務付けたが、これは中国で一般化している監視カメラによる顔認証に重大な障害となっている。しかし、顔認証に代わる虹彩認証などの新しいテクノロジーが導入されつつある。

私が取材した旅行者によれば、駅で列車に乗る際、セキュリティゲートでいちいちマスクを外す必要はなかったという。マスクをしていても個人が特定できるならプライバシーを重視する立場からいえば大きな問題だ。しかし当局がそのような進化した生体認証行うようになったのか、ウイルスの流行で一時的にセキュリティを緩めているのかは不明だ。【略】

デジタル記録の活用

中国政府はClose Contact Detector(濃厚接触検知器というウェブベースのアプリを開発し公開した。ユーザーは氏名、身分証番号、電話番号を入力することでデジタル化された移動情報にアクセスすることができる。たとえば航空機で感染者の3列以内に座っていたことが確認されれば「リスクあり」と判断される。これは感染拡大防止に役立つだろうが、一方では「政府がここまで詳しい個人の旅行データを持っているのなら、なぜもっと早く流行の封じ込めに役立てなかったのか?」という深刻な疑問も生んでいる。なぜ流行が拡大し始めて数週間も経ってからこのサービスが公開されたのだろうか?

もちろん中国の膨大な人口と無数の政府機関の存在を考えると実名で登録されたビッグデータを横断的に処理することが極めて困難な問題を引き起こすことは予測できる。新型コロナウイルスの流行は中国政府によるビッグデータの処理の努力を加速しているようだ。旅行許可のデジタル発行の多くは膨大なユーザー数を考慮してWeChatを利用している。【略】

写真:新華社

デマと戦う

感染症の流行はデマの温床となる。Dxy.cn (丁香园)は医療関係者を対象としたオンラインコミュニティで新型コロナウイルス関連の情報の迅速なファクトチェックの提供を目的としている。また中国全土のマップで流行の現状をリアルタイムで確認できるようにしている。

Yikuangは独立のデベロッパーとアプリレビューサイトのSspai.comが開発したWeChatベースのサービスで、新型コロナウイルス感染症の流行地域を示す。データは自治体の公式発表に基づいており、近隣で感染があったかどうかがわかる。

上海の高等学校の生徒によって始められたブログは世界中の諸機関による新型コロナウイルス情報をまとめたもので、中国の多数の若者が参加してサービスを拡充している。

食事とエンターテインメント

全国的な社会のロックダウンは当然ながらオンラインエンターテインメントにブームをもたらす。QuestMobileのデータによれば、ショートビデオ市場は1日当たりのアクティブユーザーが5億6900万人に達した。流行以前の4億9200万人から大きく増加している。多くのミュージシャンがコンサートが不可能にあったため、ビデオストリーミングによるバーチャルコンサートに切り替えている。同様に映画も上映館の閉鎖によりオンライン封切りを行っている。

中国の都市の多くがレストランでの外食を禁じたため、料理宅配サービスが肩代わりを余儀なくされている。飲食店の口コミサイト、Meituan Dianpin(美団点評)が運営するで宅配サービスではコンタクトレスと呼ばれる人的接触を避ける宅配システムを作った。これは料理を入れたロッカーで、注文した顧客はロッカーを開いて料理を取り出すことができる(下のツイートの動画参照)

画像:ROMEO GACAD/AFP via Getty Images

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滑川海彦@Facebook

新型コロナウイルスの流行で2020年のPC出荷台数は減少へ

新型コロナウイルスの流行によって、2020年に全世界で出荷されるPCの台数は、少なくとも3.3%、多ければ9%減少する可能性があると、調査会社Canalysが、米国時間2月20日の夕方にこれまでの予想を修正するかたちでクライアントに報告した。

画像クレジット:Drew Angerer/Getty Images

報告によると、PCの出荷台数は、2020年の第1四半期に10.1%から20.6%の範囲で減少するという予測となっている。第2四半期にも影響は続き、出荷台数は8.9%(Canalysによるベストケースのシナリオ)から23.4%(同ワーストケースのシナリオ)の間で減少することが予想されるという。

ベストケースのシナリオでは、新型コロナウイルスが流行しても、2020年に3億8200万台が出荷されるとしている。これは、2019年の3億9600万台と比較して3.4%の減少だ。

ワーストケースの場合は、落ち込みはもっと大きくなり、2020年の出荷は、約3億6200万台となる。2019年より8.5%減少だ。

「ベストケースのシナリオの場合、生産レベルは2020年4月までにフル稼働の状態に戻ると予想しているので、前半の2つの四半期にメーカーから販売店への出荷が受ける影響が最も強くなります。第3四半期および第4四半期には市場も回復すると考えています」と、Canalysは述べている。

「したがって、世界のPC市場の出荷台数は、2020年には前年比で3.4%の減少に留まるのです。内訳は第1四半期は10%、第2四半期は9%の減少としています。PC市場での供給は、第3四半期までに正常化されると考えます。1年単位では、Canalysは、2021年以降には、世界のPC市場が徐々に回復し始めると予想しています」

ワーストケースのシナリオでは、2020年6月までは生産レベルがフル稼働状態には戻らないと仮定している。「このシナリオの仮定では、中国における生産および需要レベルの回復には、さらに時間がかかり、その結果として第2四半期にも、第1四半期と同程度の影響を見込んでいます。市場が回復するのは、2020年第4四半期までかかると見ているのです」

いずれのシナリオでも、最も大きな影響を受けるのは、世界最大のPC市場の1つである中国だ。最悪のシナリオについて「このシナリオでは、2020年には中国市場が大きな影響を受け、2019年と比べて12%も減少し、その後の安定化にはさらに長い時間がかかります。2021年の予想は、ベストケースのシナリオと比較して、出荷台数で600万台ほど低く見積もっています。中国の2021年から2024年までの予想CAGR(複合年間成長率)は6.3%となっています」と、Canalysは述べている。

中国は、生産とサプライチェーンのグローバルハブだ。新型コロナウイルスの影響を封じ込めようとして、まず旧正月の公式な祝日を延長した。その後、厳しい移動制限を課して市民の安全を確保しようと努めてきた。「これにより、オフラインの小売の流通が大幅に減少し、消費者による購入が劇的に減少しました」と、Canalysのアナリストは述べた。

新型コロナウイルスの流行は、部品の供給不足ももたらしている。たとえばプリント基板やメモリなどは、中国だけでなく他の市場でも不足している。「同様にチャンネルパートナーも、この2週間で主要なPCベンダーから通告を受けています。それによると、PCの出荷と交換部品の調達に、最長で14週もかかるということです。これは、パートナーの所在地にもよりますが、通常の配送に要する時間の3倍にもなります」と、Canalysはいう。

「アジア太平洋地域の技術ベンダーとチャンネルパートナーは、COVID-19(新型コロナウイルス)の、突然の流行に対処するという、予期していなかった課題に直面しています。今回の危機は、1月中旬の段階でも、まったく予想されていませんでした。ほとんどの指導者が2020年に予想していたのは、政治的な不安定と自然災害による混乱で、伝染病ではありませんでした」と、Canalysのアナリスト、Sharon Hiu(シャロン・ヒウ)氏は、また別のレポートで述べている。

今回の流行はスマートフォン、自動車、テレビ、スマートスピーカー、ビデオゲーム機など、かなり多くの産業に影響を与えている

Apple(アップル)の主要な製造業者あるFoxconn(フォックスコン)は、米国時間2月20日、2020年の収益は武漢の新型コロナウイルスによって影響を受けると述べた。同社によるとインド、ベトナム、メキシコの工場はすでにフル稼働しており、他の国々での生産拡大を計画しているという。

2月のはじめにアップルは、2020年3月までの四半期には、収益の見通しを満たせそうにないと発表した。その原因は、iPhoneの供給の制約と、中国における店舗の閉鎖による需要の低迷にあるという。

アップルは、広く噂されている低価格版iPhoneの本格的な生産のスケジュールを延期すると予想されている。その一方で、既存のモデルの在庫は、4月あるいはそれ以降まで品薄になるという予想を、米国時間2月19日にNikkei Asian Reviewが公表している

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

北京モーターショー2020も新型コロナウイルス影響で延期

新型コロナウイルスの感染者数が7万1000人を超えた現状を受け、北京で毎年開催されるモーターショーが延期となった。

4月21日に開幕される予定だった北京モーターショー2020は、新型コロナウイルスへの懸念から中止または延期されることが懸念されていた最新のイベントだ。同イベントの公式ウェブサイトによると、新たな日程は今後発表される予定だという。

2月初旬にMWC(モバイル・ワールド・コングレス)は、2月24日から27日まで開催される予定だったバルセロナでのイベントを中止した。しかし延期されたイベントのほとんどは、ウイルスの発生地であり感染者(現在までに7万人以上)の大多数が居住している中国でのものだった。また、世界中の多くの自動車メーカーが部品を中国のサプライチェーンに依存しているため、新型コロナウイルスは中国や海外の自動車産業を混乱させている。

米国時間2月17日のニューヨーク・タイムズの報道によれば、中国政府は共産党による年次総会を延期する可能性があるという。他に延期されたイベントとしては、Credit Suisse Group AGのアジア投資会議や、4月19日に上海で開催予定だったF1レースである中国グランプリなどがある。中国グランプリのプロモーターであるJuss Sports Groupは、中国自動車モーターサイクルスポーツ連盟(CAMF)と上海市体育局との協議を経て、イベントの延期を要請した。

完全電動車両のモータースポーツイベントであるFormula Eも、3月21日に中国の三亜で行われるレースを延期した。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルが新型コロナウイルスによる製造と売上への被害で収益の予測を下方修正

米国時間2月18日、Apple(アップル)は2020年1月に行った決算報告時の財務見通しはもはや無効であると発表した。同社は、投資家宛ての書簡で、中国の大部分を襲い世界経済にも影響を及ぼしている新型コロナウイルスの被害により「3月四半期としていた収益に関するガイダンスの達成は期待できない」と述べている。

アップルはこの書簡で、以前前のガイダンスは「中国の春節休暇が終わる2月10日以降の売上における最良の予測に基づいていた」と述べている。その後、中国における仕事への復帰が人為的に遅らされ、新型コロナウイルスが予想以上に手に負えないことが判明したため、同社のガイダンス変更はむしろ当然と思える。

同社は、変更の理由を2つ挙げている。1つは「全世界へのiPhoneの供給が一時的に制限されてしまう」ため。Foxconnにおける生産回復の遅れからも当然理解できる。またiPhoneの需要についてアップルは、ウィルスにより「中国国内のアップル製品の需要」が影響を受けていると話している。最近の四半期でアップルは健全財政のためにハードウェアをそれほど重視していないが、それでもiPhoneによる収益に比べれば、新しい部門であるサービスの売上は、まだまだささやかなものだ。

アメリカのハードウェア企業であるアップルによる疾病対策のための寄付金は、以前に発表した額の倍になっているそうだ。

今回のアップルの発表に対する投資家たちの動きで、製造と売上の多くを中国に依存する他の企業の今後も占うことができる。アップルの株価が急落すれば、不安が広がって、投資家が危ないと見なした他の企業の株も下がる。逆に、投資家たちが製造と販売に対する短期的妨害と見なすものをアップルが振り払えれば、他社の株もそれほど値崩れしないだろう。

それにしても、シンガポールが経済成長率を切り下げ、アップルもその仲間入りをした今となっては、世界経済に対する新型コロナウイルスの影響は、ささやかなものでは済まないだろう。

アップルがガイダンスを変更したのは、これが初めてではない。同社は1年前にも貿易摩擦により予想を下方修正した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソニーも新型コロナウイルス感染拡大懸念でMWC出展取り止め

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス、MWC)への出展を取りやめる企業が相次ぐ中、Sony(ソニー)が同様の措置を取ることになった。

「お客様、ビジネスパートナー、メディアのみなさまそして社員の安全を最優先し、スペイン・バルセロナで開催されるMWC Barcelona 2020の出展と参加の取り止めるを決定しました」というプレスリリースをソニーは出した。

MWCは2月24日から27日にバルセロナで開催されることになっている。

予定していたプレスカンファレンスは2月24日午前8時30分(中央ヨーロッパ時間)にYouTubeのXperia公式チャネルを通じてリモートで開催する、とソニーは発表している。

「この困難な時期、みなさまのご理解とサポートに感謝しております」とも付け加えた。

ここ数日、Amazon、Ericsson、LG、NVIDIA、ZTEといった多くの企業が新型コロナウイルス感染拡大の懸念からMWC出展・参加を取り止めると発表した。

世界保健機関(WHO)は2020年1月、国際的に新型コロナウイルス感染拡大が懸念されるとして公衆衛生上の緊急事態を宣言した。

この記事執筆時点で、ウイルス感染と死亡のほとんどは、ウイルスが最初に確認された中国国内でおこっている。湖北省武漢市で最初に症例が報告された。

ZTEXiaomi(シャオミ)を含むいくつかの中国テック企業は、新型コロナウイルス感染の懸念からMWC参加に際して、中国からの社員移動を制限し、参加前の一定期間、社員が自己隔離を実施するといった変更を加える、と明らかにしていた。

2月9日、MWC主催者のGSMAもまた出席者を守るために厳しいルールを発表した。湖北省からの参加は禁止し、中国からの参加者はMWCの14日前に中国外に滞在していたことを証明する必要がある、というものだ。

また、参加者は新型コロナウイルスの影響を受けた人と接触していないことを自己証明する必要がある、とGSMAは述べた。

2019年のMWCには198カ国から11万人が参加した。

GSMAは「さらなる対策も検討中で、我々は今後も状況を注視し、場合によっては追加措置もあり得る。我々はすばやい対応が求められる、刻一刻と変わる状況と戦っている」とも語った。

MWC参加者数はここ数年10万人を超えていたが、2020年のMWCではこれまで参加してきた企業が移動を再考せざるを得ない状況に直面しており、参加者数の減少が予想されている。

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(翻訳:Mizoguchi