欧州のロケット打ち上げは新型コロナですべて延期

数日前に3月下旬の打ち上げは予定通りとされていたが、Arianespace(アリアンスペース)は16日、フランス領ギアナにある欧州の宇宙基地、ギアナ宇宙センターでのオペレーションを一時停止するという難しい決断を下したと発表した。これには3月24日に予定されていた複数の衛星を打ち上げるヴェガロケットミッションや、4月14日に予定されていたソユーズロケットのファルコンアイミッションなどが含まれる。

Arianespaceは「フランス政府が決めた対策に完全に対応する必要があること」が、打ち上げ一時停止を決めた主な理由としている。同社はまた「従業員や(打ち上げ施設がある)地元の人々の健康を守る」ために今回の措置を取ったとした一方で、予定されている打ち上げの準備に必要なセキュリティは維持する。

シャットダウンし、そして安全に再開できる状況になったときにいつでも対応できるように、フランス国立宇宙研究センターは宇宙船と積荷をスタンバイモードにしておくために、Arianespace、そしてロケット打ち上げ側と荷主側のあらゆる企業と協力している。再開時期に関する情報はないが、現状を踏まえればそれは当然の措置だろう。

他国の宇宙当局やロケット打ち上げ企業はまだ特に影響は受けていないようだ。 SpaceXは3月15日に打ち上げを予定していたが、技術的な理由で中止になり、早ければ週半ばにも再設定されそうだ。一方、中国の長征ロケットは今日打ち上げが予定されている。そしてULA (ユニテッド・ローンチ・アライアンス)はSpace Force通信衛星の3月26日打ち上げに向けて予定通り準備を進めているようだ。

画像クレジット: Sergei SavostyanovTASS / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米政府が新型コロナ検査サイトをVerilyと構築、トランプ大統領はGoogleと勘違い

米国時間3月13日のホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領はGoogle(グーグル)と協力し、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症のチェックサイトを構築していると発表した。

しかし後に、これはトランプ大統領の勘違いだと判明した。サイトを構築しているのはグーグルではなくVerilyだ。開発は初期段階で、まずベイエリアにてロールアウトされる予定だ。進捗状況はこちらのサイトで確認ができる。

以下は、修正前の記事の内容となる。参考程度に掲載しておく。

詳細は明かされていないが、ユーザーが症状を入力し、追加のテストが必要かどうかを判断するのがサイトの狙いのようだ。トランプ大統領によると、グーグルでは1700人のエンジニアが開発に関わっているという。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策コーディネーターことDobbie Brix(デビー・バークス)氏によると、ユーザーは新しい検査用ウェブサイトにログインし、アンケートと危険因子に関する項目を記入し、その後に「ドライブスルーテスト」へと案内される。

なお、グーグルがどのようなデータを収集するのか、あるいはログインが必須となるのかは不明だ。グーグルとの連携は、ホワイトハウスが立ち上げたWalmart、CVS、Walgreensなどを含む、大規模な民間部門との連携の一部である。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

新型コロナで揺れるプリンセス・クルーズが過去のデータ漏洩を認める

クルーズ客船を運行するPrincess Cruises(プリンセス・クルーズ)は、横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセスを含む同社の2隻の船で新型コロナウイルス感染が確認された後、全世界で運航を停止せざるを得なくなったが、さらにデータの流出も確認された。

3月初旬に公開されたと思われるPrincess Cruisesのホームページ上の投稿によれば、2019年4月から7月までの4カ月間に、社員や乗組員、来客者などの個人情報を含む多数のメールアカウントへの不正アクセスが発見されたという。

Princess Cruisesによると氏名や住所、社会保障番号、政府ID(パスポート番号や運転免許証番号など)に加えて、金融や健康に関する情報もアクセスされた可能性があるという。

また、どれだけの顧客のデータが影響を受けた可能性があるかは「明確ではない」と同社はいう。

Princess Cruisesは、2019年5月に同社のネットワークで不審な動きがあったことを発見したと述べているが、なぜ情報漏洩の公開にほぼ1年かかったのかは不明だ。

なお、同社はTechCrunchからの質問に対する回答はない。

Princess brandを所有する世界最大のクルーズ客船運行会社であるCarnival(カーニバル)は今週、新型コロナウイルスのパンデミックが宣言された後、18隻のクルーズ客船を一時停止すると発表したことで、株価が30%以上も下落した。また同社は、日本だけでなく最近ではカリフォルニアでも、新型コロナウイルスに感染した数十人の患者を乗せた船をめぐる事件に関係している。

Princess Cruisesは、どの部門でデータ侵入を許したのかは明らかにしなかった。ヨーロッパのデータ保護規則に違反した企業には、年間売上高の最大4%の罰金が科せられる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

第36回スペース・シンポジウムは新型コロナウイルスの影響で開催延期に

米国時間3月30日から4月2日に開催される予定だった第36回Space Symposium(スペース・シンポジウム)は、新型コロナウイルス大流行の影響により、正式に延期された。新しい日程に関する予定は発表されておらず、Space Foundationの主催者は今後の日程について関係者と協力し、次のステップは「追加発表する」と伝えている。

コロラド州で開催されるこのイベントは宇宙業界、政府、そして一般の宇宙コミュニティの有力メンバーが一堂に会する宇宙に焦点が当たる最も重要なイベントになるだろう。今週初めに世界保健機関(WHO)によってパンデミックだと公式に定義されたCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の現状を考慮すると、イベントの延期は驚くものではない。

Space Symposiumがイベントを延期したのは当然の判断だが、主催者がリモート会議やバーチャル会議への変更ではなく、「スケジュール変更」を選択したのは興味深い。年に1回のイベントで得られるメリットの多くは、優秀な参加者同士が直接顔を合わせたり、偶然会うことで得られるもだ。そのような意味でも、今回の決定は最も理にかなっている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

NASAも新型コロナウイルスを考慮して宇宙飛行士の健康管理対策を強化

NASAは標準的なプロトコルとプロセスを補強して、最初の民間乗員宇宙飛行プログラムに参加する宇宙飛行士の健康管理を徹底しようとしている。COVID-19の可能性から保護するように設計された追加の対策を実施すると、Business Insiderが報じた。NASAの標準的な慣行では、すべての宇宙飛行士に対して、地上でのあらゆる病原体に感染する可能性を下げるよう、飛行に先立って対策が施されることになっている。そして現在、特に新型コロナウイルスのリスクに対処するため、特別な措置が講じられている。

Business Insiderのレポートによれば、民間の乗務ミッションに先立つ標準的な2週間の検疫に加えて、追加の対策が実施される。今のところ4月、5月、6月のいずれかに予定されているSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船への乗船に際して行われることになっている。そこには、表面洗浄と消毒、社会からの隔離、手洗いなどの方策について、さらなる強化が盛り込まれている。これらはすべて、CDC(米疾病予防管理センター)が推奨する一般向けの予防策に沿ったものとなっている。

またNASAは、宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏やBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏がフライトに先立って訓練を受けている施設の見学ツアー開催を止めている。さらに、潜在的なウイルスへの曝露を制限するため、NASAのスタッフに対しても、何らかの病気の可能性に気づいたら、自宅待機するよう指導している。

宇宙に旅立ったり、そこで仕事をする人の健康は間違いなく最も重要だ。NASAの手順には、実際のフライトに至るまでの広範な検査と監視が含まれており、ウイルスなどの招かれざる客を宇宙空間に連れて行かないようにするという点において優れた実績を誇っている。新型コロナウイルスは、こうしたNASAの予防策に対して新たな課題となる可能性もある。とはいえ、COVID-19はミッションに参加する宇宙飛行士がこれまでどおり回避しようとしている一般的なウイルス性の疾患に対する健康管理と、機能的に大きく異なるものにはならないだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FacebookがCOVID-19と戦うWHOなどに21.6億円を寄付

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月13日に、新型コロナウイルス感染症の全世界的救援努力を支援するため、その四半期利益のごく一部である2000万ドル(約21億6000万円)を寄付すると発表した。

この超巨大ソーシャルネットワークのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によると、1000万ドル(約10億8000万円)をUnited Nations Foundation(国連財団、UNF)とWHO(世界保健機構)のCOVID-19 Solidarity Response Fund(COVID-19連帯対応資金)に寄付し、さらに1000万ドル(約10億8000万円)を米国の疾病管理予防センター(CDC)の基金であるCDC Foundation(CDC財団)に寄付する。後者は数週間後に寄付受け入れ機関であるFacebook Fundraiserを立ち上げる。

ザッカーバーグ氏は、寄付に続きがあることを匂わせて「近くそのほかの寄付も発表する」と述べた。同社は今週、いくつかの理由で一部の契約社員は在宅勤務ができないと声明を出している

また3月13日には中国のライドシェア大手DiDi Chuxing(ディディチューシン、滴滴出行)は、同社の国際市場におけるドライバーと配達員のために特別救援金1000万ドル(約10億8000万円)を寄付すると発表した。

Josh Constine(ジョシュ・コンスティン)

中国のテック大手Alibabaの創業者がアメリカに50万の検査キットと100万のマスクを贈る。新型コロナウイルスは世界を統一する『インデペンデンス・デイ(独立記念日)』のイベントか?

Jack Ma Foundation(ジャック・マ財団)

50万の検査キットと100万のマスクを寄付することにより、私たちはこの難局でアメリカの人たちと手をつなぐ。

シアトルの二大テク企業Microsoft(マイクロソフト)とAmazon(アマゾン)は今週、それぞれCOVID-19 Response Fundへの100万ドル(約1億1000万円)の寄付を申し出た。それらもまた彼らの四半期利益のほんのひとかけらにすぎない。Google(グーグル)のチャリティ部門Google.orgとGoogleの社員たちは救援努力に100万ドル(約1億1000万円)あまりを寄付し、この検索大手は2500万ドル(約27億円)分の広告クレジットを世界保健機構と政府機関に寄付すると発表した。

先週はFacebookも、より多くの人びとがウイルスに関する正しい情報にアクセスできるために、世界保健機構に無料広告を提供すると発表している。

世界中の国々がこの新しいウイルスとその症状や拡散状況を知ろうと務めている。現在、このウイルスは全世界で13万2000名以上に感染している

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramはその拡散力を生かして正しい新型コロナ対策の伝達にひと役買う

Instagramは常にたくさんの人が利用しているという特徴を生かして、ホーム画面を新型コロナウイルス予防情報のニュースページにしてしまった。一部の国ではそこに、WHO(世界保健機構)とその国の保健衛生機関などへのリンクとともに「新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散防止のために、保健衛生関連機関からの最新の情報をチェックしよう。厚生労働省へのリンク」といったメッセージが表示される。

Instagramのスポークスパーソンによると、これらの注記はウイルス被害の大きい国から順に表示しているという。

またCOVID-19関連の拡張現実エフェクトは、合法的な保健衛生機関とのパートナーシップで作られたもの以外は検索できない。これはウイルスに関する不正確な情報や、無神経なジョークの拡散を防ぐためだ。Instagramはすでに偽情報をファクトチェッカーに送っており、新型コロナウイルス関連の検索結果上部には公的保健医療機関のリストがある。

この緊急事態への集中を維持するためにFacebookは、ARによる顔写真フィルターを始めるために2016に買収したMSQRDアプリを閉鎖した。このアプリを4月13日に利用できなくなるが、その技術はすでにFacebookやInstagramに完全に統合されている。

一方Snapchatは、パートナーが偽情報を共有するのを禁じ、同社のクローズドなプラットフォームだけを利用している。それはFacebookといったオープンなプラットフォームを悩ませている、ニュースデマを防ぐためだ。SnapchatはDiscoverのパートナーであるテレビ局や新聞社、通信社(NBCのStay Tuned、Sky News、The Wall Street Journal、The Washington Post、CNN、NowThisなど)などがシェアしている健康情報を強調表示しており、以下のようなものがある(ただし、モバイルでしか見られないコンテンツもある)。

  • Washington Postには手の正しい洗い方の説明がある。
  • WSJはCOVID-19の世界的拡散の様相を説明している。
  • 英国のSkyNews Explainsは自分を隔離する方法を列挙している。

現在、多くの人が伝統的なニュース媒体よりもソーシャルメディアを頻繁に見ることをよく知るソーシャルプラットフォームの賢明な取り組みだ。Instagramの月間ユーザーは10億人あまりで、Snapchatは1日のユーザーが2億人を超えている。彼らには重要な情報を広める力があり、新しいかたちの緊急放送システムとして機能することができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Airbnbが新型コロナ対策でキャンセル料なしの対象を拡大するポリシーを発表

世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大している現状への対応として、Airbnbは特定のエリアの予約に限定して、キャンセル料を課さないとするポリシーのアップデートを発表した。Airbnb経由で中国本土、韓国、イタリア、米国で予約していた宿泊客は手数料なしでキャンセルできる。

Airbnbのニュースルームページに詳細があるが、米国における宿泊に関しては、3月13日以前に予約したもので、チェックイン日が4月1日までのものにこのポリシーが適用される。この期間設定は合理的なようだ。というのも、米国の現状について把握していない人の予約をカバーしていて、州やコミュニティがすでにとっている社会活動や移動規制をめぐるほとんどの対策の期限とも合う。またAirbnbはニュースリリースの中で、今後も状況を注視すると述べていて、これは状況によっては適用範囲が変わるかもしれないことを意味している。

上記の国に加え、Airbnbは欧州のシェンゲン圏に予約をしていた米国のユーザー、そして下記の理由で予約をキャンセルせざるを得ない世界中のゲスト並びにホストにキャンセル料なしを適用する。

  • 関係する政府や健康当局が実施する疾病コントロール制限を遵守するため
  • COVID-19流行に関連する医療または病気コントロール規制を守るため
  • COVID-19流行でフライトや地上の交通運輸がキャンセルされたため
  • 医療機関や衛生当局によってCOVID-19感染を診断されたり感染が疑われたりしているため

これは称賛すべきキャンセルポリシーで、新型コロナウイルス感染拡大によって旅行計画の変更を余儀なくされるあらゆる人を対象にしたものだ。海外旅行を考えている人は、Airbnbそしてその他の予約も再考することになりそうだ。

画像クレジット: Carl Court / Staff

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルは6月のWWDCをオンライン開催に、新型コロナ懸念で

米国時間3月13日、Apple(アップル)は他の大手テクノロジー企業の動きにならい、6月に開催される毎年恒例のWorld Wide Developers Conference(WWDC、世界開発者会議)の通常開催をキャンセルすることを発表した。近年サンノゼで開催されていたような大規模なイベントではなく、同会議をオンラインのみの形態にシフトする。アップルはこの決定の主要因として「現在の健康状況」を挙げている。

シニアVPのPhil Schiller(フィル・シラー)氏はニュースリリースの中で「私たちは6月のWWDC2020を、世界中の何百万人もの開発者のみなさまに、革新的な方法でご提供いたします。開発者コミュニティ全体に新しい体験をもたらすことになるでしょう」と述べている。「現在の健康が懸念される状況は、私たちにオンラインキーノートとセッションを含む完全なプログラムを提供する新しいWWDC 2020形式を求めています。もちろん世界中の開発者コミュニティ全体にすばらしい学習体験を提供いたします。今後数週間のうちに、完全な詳細を発表いたします」

2020年で31年目を迎えるこの会議は、その多くで新しいハードウェアの発表を行い、それに伴ってiOSやmacOSといったソフトウェアの最新機能を紹介する、開発者と消費者の両方にアピールする大きなイベントになっていた。現在公開されている公式グラフィックはMacBookがフィーチャーされているが、おそらく新しいノートブックの登場を示唆しているのだと思われる。冒頭の基調講演以外に、会議は開発者向けの数日間のワークショップで構成されている。これまでずっとアップルは、ライブストリーミングされたコンテンツを含むワークショップのビデオを、開催後に提供してきた。現段階での発表は、同社が6月にそれらにどのようにアプローチするつもりかを示すものだろう。

WWDCに関する発表は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴って延期、再構成、キャンセルされた一連のイベント(MWCやGoogle I/Oなど)に続くものとなる。米国時間3月12日にカリフォルニア州のサンタクララ郡は、近くのサンフランシスコにならい1000人以上の集会を禁止した。最新のレポートによれば、サンノゼがあるサンタクララ郡では、48人の新型コロナウイルス感染症確定患者と1件の死亡が報告されている。

同郡は1週間前の時点で集会禁止を否定していた。だが、サンタクララ郡の保健局担当者であるSara Cody(サラ・コディ)氏は、今週始めの記者会見で「新しいデータによれば、5日前に明らかになったものよりも広範なコミュニティ内での広がりが見られるため、病気の広がりを遅らせ、公衆を保護するために、より多くの行動をとる必要がある」と述べていた。6月の状況を知ることはできないが、Appleの動きはすべての関係者にとって明らかに最も理にかなったものだ。Appleは、イベントのキャンセルにより失われた収益を補填するために、サンノゼに拠点を置く複数の組織に対して100万ドル(約1億1000万円)を提供することも約束している。

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(翻訳:sako)

SaaS株も8%安で弱気領域に近づいたが、まだパニックには及ばない

株式市場は内外ともさんざんだったという記事を先ほど書いたところだ。新型コロナウイルス、COVID-19の脅威が続く中で原油安というダブルパンチを受けて米国の主要経済指標はすべてダウンした。しかしテクノロジー系企業に強いNasdaqの下げ幅は最小で、7.29%下げの7950.68ドルにとどまった。

ただ留意すべきポイントがある。テクノロジー業界は全体としては他の米国の株式指標ほど下落しなかったが、肝心の部分、つまりSaaSおよびクラウド企業の株価の下げ率はダウ平均やS&P 500を上回った(Bessemer-Nasdaq指数)。

実際、クラウド企業をバスケットにしたBVP Nasdaq Emerging Cloud指数は8.28%下げの1134.51ドルで引けた。これは2019年10月の水準に戻ったことを意味する。 バスケットの揺れを考えても、この指数は過去52週の安値をわずか7%上回るに過ぎず高値から21%も下げている(Financial Timesによる過去52週のデータ)。

伝統的基準でいうと、弱気相場と分類するためには最近の高値から20%下落していなければならない。SaaSとクラウドの株はまだここまで達していないが「調整(correction)」の局面には入っている(最近の高値からの10%の下げを「調整」という)。他の主要な指数は弱気相場をわずかに上回っているが、明日、3月10日にはほぼ間違いなく弱気相場になっているだろう。残念ながらここに落ち込んだのはSaaSが最初だ。

ただし(まだ)慌てる必要はない

SaaS株の値動きが警戒すべき領域に近づいたのはわずか3日前だ。私の記事(Extra Crunch)にはTwitterでかなりの反発があった。SaaSの成功に賭けている投資家には私がこのカテゴリー自体をディスっているように感じられたようだ。実際はその反対で、SaaS企業の株価は依然として十分に高い。投資家が他業種の株以上にSaaS株を売るということも考えられない。

このカテゴリーの企業が史上最高値をつけたのは2月中旬頃、わずか数週間前だが、今はSaaS株の見通しに対して、(少なくとも)短期的な楽観主義は減じた。しかし、今日の暴落は広範囲に及んだものの、株価売上高倍率(PS Ratio)を見ると、さほど悪くなってはいない。たとえば、

  • Atlassianは7.87%下げたが、株価売上高倍率は23倍もある(YChartsによる)。
  • Slackは6.13%下げたが、株価売上高倍率は21.24倍だ(これもYCharts)。

だからといって、SaaS企業が今日受けた打撃がなくなるわけではない。多くのSaaSスタートアップは、このカテゴリーのリーダー企業の株価が下がったことを見て深刻な痛みを感じたに違いない。しかしSaaSのトップ企業の運営は順調であり、その地位がゆらぐ気配はない。カテゴリー全体を見渡しても株価は十分高い水準にある。なるほど調整が入ったことは確かだが、今のところそれだけだ。もちろん今日のような下げが何度も続くようなことになれば心配し始めねばならない。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】YChartのPS比では、IBMは1.381、Oracleは3.986、Microsoftは8.634となっている。

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滑川海彦@Facebook

キャデラックが新型コロナ感染拡大で初EVの発表を中止

Cadillac(キャデラック)は新型コロナウイルス感染拡大の懸念から、ブランド初の電気自動車(EV)となる中型SUV「Lyriq」の発表を中止した。

GMのラグジュアリーブランドであるキャデラックは、4月2日にロサンゼルスで開催するイベントでLyriqを披露する予定だった。

過去に流行を引き起こしたSARSやMERSウイルスの仲間で、コロナウイルスの一種である新しいウイルスが原因の病気COVID-19をめぐっては、政府や企業が世界中でテックやビジネス、自動車関連のイベントの中止を余儀なくされている。ジュネーブ国際モーターショーやバルセロナのMWC、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルなどが中止となった。

「十分に注意を払うために」イベントは中止される、とキャデラックは声明文で述べている。

声明文は以下の通りだ。

ご存知のとおり、米国でのCOVID-19(新型コロナウイルス)をめぐる状況は悪化し続けている。いくつかの州は緊急事態宣言を出し、感染者の数は増え続けている。

十分に注意を払うために、4月2日のカリフォルニア州ロサンゼルスでのキャデラックLYRIQ披露を中止するという難しい判断を下した。我々は現在、今後の計画について検討中で近くアップデートする。最優先事項はメディアの招待客や従業員の安全だ。GMのメディカルセキュリティと連携を取りながら状況を注視しており、米疾病予防管理センターや世界保健機関(WHO)の勧告に従っている。

Lyriqは、GMが今後2年以内のマーケット投入を計画しているEVの1つだ。GMは新しい電動アーキテクチャを使って製造・販売するEVの包括的な計画を3月4日に発表している。新アーキテクチャは Buick(ビュイック)、Cadillac、Chevrolet(シボレー)、GMCを含む同社の全ブランドのあらゆるプロダクトに使用される。一連のEVには、コンパクトカーから産業用トラック、大型のプレミアムなSUV、高スペックな車両まで含まれる見込みだ。

この「Ultium」と呼ばれるモジュール式のアーキテクチャは19種のバッテリーとドライブユニット構成、容量50kWh〜200kWhの400Vと800Vの電池パック、フロント・リア・全輪ドライブ構成に対応する。

1月に発表された電動自動運転車でシェアリング用のCruise Originは、今後発表される新しいEV戦略における初の製品だった。その次にキャデラックのLyriqが公開され、5月20日にGMCのHummer EVが続く予定だった。現在のところHummerのイベントは中止になっていない。

画像クレジット: GM

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ対策にもなるImmutouchは手が顔に触れようとすると振動するリストバンド

新型コロナウイルスの時代、我々は顔に手を触れる誘惑に耐えなければならない。ウイルスはそうやってドアノブやその他の場所から、人の粘膜に移り感染させるからだ。幸運にもSlightly Robot(スライトリー・ロボット)というスタートアップが、別のタイプの有害な接触を防止するリストバンドをすでに開発していた。「抜毛症」と呼ばれる体毛を引き抜く衝動に耐えられない病気のためのリストバンドだ。

そこで先週、Slighly Robotはそのウェアラブルデバイスを改造し、Immutouch(イミュタッチ)という顔に手を触れると振動するリストバンドを開発した。加速度センサーが1秒に10回手の動きを検知する。初期設定で行ったキャリブレーションに基づき、Immutouchは指が目や鼻や口に近づくと振動して知らせる。専用アプリを使えば汚れた手を下ろす努力の進捗を追跡することができる。

最終目標は、振動を避けるために顔に触りそうになった手を下ろすパブロフ反応を養成することだ。脳が振動という負のフィードバックを学習し、顔に手を触れたいという欲求を無視するように嫌悪条件を訓練する。

「COVID-19のような大きな問題に対しては、全員が大小を問わずそれぞれの役割を果たす必要がある」とSlightly Robotの共同ファウンダー、Matthew Toles(マシュー・トールズ)氏は言う。「我々3人は、たまたまこの問題への取り組みに適した資質があったので、最低でも挑戦してみることが義務だと感じた」

Immutouchリストバンドは今日から50ドル(約5200円)で売り出され、すぐに出荷する準備ができている。顔に触れる可能性が高い方の手首につけるか、抑止効果を最大にするために両手につけてもよい。

「これで儲けるつもりはありません。商品は材料や組み立て出荷作業など、ほぼ原価で販売しています」と共同ファウンダーのJustin Ith(ジャスティン・イス)氏は言う。投資家へのリターンを生むことを義務付けられているベンチャー支援企業と異なり、Slightly Robotは2016年にワシントン大学から受けた少額の助成金で設立されそれ以来自己資金で賄われている。

Slightly Robotの共同ファウンダーたち。左からJoseph Toles(ジョセフ・トーレス)氏、 ジャスティン・イス氏、マシュー・トールズ氏

Immutouchを創業したのは、我々ならすばやく開発できるとわかっていたので、やる義務があると思ったからです。3人ともシアトルに住んでいるのでこの大流行に対するみんなの反応を、深い懸念と恐怖をもって見てきました。父は自己免疫疾患のために免疫抑制剤を服用しなければなりません。60代後半で免疫不全を抱える父のためにも、父と我々家族周辺のコミュニティを清潔で安全にすることに全力を尽くすつもりです」とイス氏は話してくれた。

Immutouchリストバンドの校正方法

ウェアラブル警告デバイスを使って抜毛症の症状を軽減する研究によると、Immutouchの使用は効果が期待できるという。ミシガン大学の研究者らは、振動によって長期的および短期的な抜毛行為が減少したと報告している。イス氏は、利用者が実際に警告を聞き入れて我慢することで自らに正しい習慣を植えつける必要があること、また横になっているときには有効ではないことを認めている。ImmutouchはかつてのPavlokのような喫煙やFacebook中毒をやめさせるために電気ショックを与えるデバイスほど過激なことはしない。

いずれAppleなどのメーカーが、すでに持っているウェアラブルデバイスを使って自身を訓練する安価あるいは無料のアプリを開発するかもしれない。しかしそれまでの間、イス氏はImmutouchが少しでも注目されることで「大量生産することで価格を下げ、もっと手に入りやすくする」ことを願っている。

Twitterなどの迅速に情報を共有する近代テクノロジーであれば、20秒間の手洗いといった適切な注意喚起を出すことで新型コロナウイルス蔓延を遅らせられる。しかし、トイレに行く前、最中、行った後に触り続けているスマートフォンを顔に押し付けるような行為は、過去の世紀のパンデミックにはなかった感染経路を作り出しかねない。だからこそ、流行の原因を取り除くために誰もが自分の役割を果たすことで、我々の医療システムの崩壊を防ぐ必要がある。

最後にイス氏は「このような大流行は、各個人がどのように地域社会に影響を与えるのか、また自分が感染者にならないことの責任を改めて認識させるものだ」と言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ感染拡大が中国における企業向けテックの持続的成長を後押し

こんにちは。TechCrunch中国まとめニュースにようこそ。本記事では中国のテクノロジー情勢を巡る最新情報とそれが世界に与える影響について、ダイジェストでお届けする。今週、新型コロナウイルスのビジネスへの影響について警鐘を鳴らすSequoia Capital(セコイアキャピタル)のメッセージが中国を含む世界中のテクノロジーコミュニティの隅々まで届いた。

Sequoiaの「最も順応性の高い企業が生き残る可能性が高い」という見解に共感する向きは多い。しかし「困難な状況を永続的な成功へのチャンスに変える」という希望を持つ人もいる。

筆者は2週間前、中国の民間企業と政府がいかに協力して感染拡大を封じ込めたか、それがテック業界を一時的に後押しする力になったことについて書いた。筆者は今週、多くの投資家や創業者に対して、これまでに起きた変化のうち持続するものはどれか、その理由は何かを取材した。

B2Bの台頭

ビジネスツービジネス(B2B)の分野は、最近になってオンライン消費者ビジネスが飽和に近づくまで、中国ではほとんど話題にならなかった。だが今COVID-19の感染拡大が、かつて退屈だった分野に予期せぬ活気を与えている。投資会社Yunqi Partnersの分析によると、その分野にはバーチャル会議、オンライン教育、デジタルヘルスケア、サイバーセキュリティ、電気通信、ロジスティクス、スマートシティなどが含まれている。

1つ挙げるとすれば、在宅勤務にリモートコラボレーションツールを使用する機会が明らかに増えた。Dingtalk(ディントーク)、WeChat Work(ウィーチャットワーク)、TikTok(ティクトク)の姉妹にあたるLark(ラーク)、米国のZoom(ズーム)など、この分野をリードする仕事用アプリのダウンロードが公衆衛生上の危機の中で指数関数的に増えている。企業活動が通常モードに戻り、ブームが吹き飛べばすぐに消え去ると主張する人もいるが、行動の変化が持続すると言う人もいる。

他の作業コラボレーションサービスと同様に、Zoomの利用は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中国で急上昇し、アプリインストール全体で1月下旬の180番から2月下旬の28番へと急上昇した。データ:App Annie

「人はいったん身につけた新しい習慣を変えることに消極的だ」と、香港のMindworks Ventures(マインドワークスベンチャーズ)のパートナーであるJoe Chan(ジョー・チャン)氏は指摘する。ウイルスの発生は中国の大衆にリモートワークを教える効果があったと同氏は信じている。

「対面の会議とZoomを使った会議の両方にメリットがあるが、社会規範に依存する。関係構築にはフェイストゥフェイスで会う必要があると考える人もいるが、そのような見方をしない人は会議を持つ機会がより少なくなる。感染拡大はパラダイムシフトの機会となる」

だが変化はゆっくり

企業向けビジネスの成長は、SARS流行の際に中国で活性化したeコマースなどの消費者向けネットビジネスに比べれば目立たないかもしれない。サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、クラウドコンピューティング、ヘルステック、物流などの企業向けサービスなどは消費者から見えづらいからだ。

「消費者行動の変化に比べると、企業による新技術採用はゆっくりと進むため、新型コロナウイルスがもたらす新世代のB2BイノベーションへのインパクトはSARSの時ほど迅速かつ広範ではない」とChina Growth Capitalの投資担当副社長であるJake Xie(ジェイク・シエ)氏は語った。

同氏はまた「感染拡大による新たな機会はこの分野に地道に投資してきた企業にのみ開かれている。企業向けサービスのライフサイクルは長く、資本集約的なインフラが必要とされるからだ。日和見主義者はチャンスをつかめない」と述べた。

消費者行動の変化に関しては、屋内に閉じ込められた高齢者への食料品配達の増加など、影響は短期的かもしれない。「感染拡大がアプリにもたらす唯一の利点は、より多くの人々にサービスを試してもらえることだ。だが、そのうちのどの程度が以降もアプリを使い続けるだろうか。オフラインで病気にかかる心配があるから人々はそうしたアプリを使い続けるはずだ、という主張は実証されていない。ビジネスの強みは、ユーザーが何かを安く手に入れたり便利になったりする機会を提供するなどして、長期にわたってユーザーの問題を解決することだ」と、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場予定の中国のシェアハウススタートアップであるDanke Apartmentの会長のDerek Shen(デレク・シェン)氏は語った。

政府の要請

企業向けサービスの隣接分野である政府機能活性化のための大規模テクノロジーも、感染拡大の過程で牽引力を見せている。中国の民間企業は、地方当局と協力して、人々の動きの追跡、マスクを着用する人を対象とした顔認識能力の強化、非接触型の消費者体験の開発などに取り組んでいる。

政府にサービスを売り込むハイテク企業は、ユーザーデータの扱いに関して透明性を欠くという批判があることを認識している。しかし民間企業にとってとても魅力だ。国との契約が長期的に安定した収益を生むだけでなく、特定の公共向けプロジェクトへの関与が、企業の社会的責任として要求される可能性があるからだ。ウイルスの感染拡大に伴い、あらゆる規模の中国のハイテク企業が、金銭による寄付から一般の人々への情報提供ツールの開発に至る努力まで、さまざまな取り組みを急いで行っている。

一方、政府も緊急事態管理において民間部門の助けを必要としている。中国の著名な歴史家Luo Xin(ルオ・シン)氏がポッドキャスト「SurplusValue」の最近エピソードで痛烈に指摘したように、公衆衛生危機に最も効率的かつ効果的に対応した例のいくつかは、政府ではなく民間のオンライン小売業者によるものだった。JD.comや物流会社SF Expressは、感染拡大の中心地に救援物資を届けている。

とはいえルオ氏は、一部の地方自治体による中央集権化傾向が民間の取り組みを妨げている兆候にあると主張している。たとえば一部の政府機関は、国の大手ハイテク企業が開発した、容易に入手可能な実証済みの技術インフラを使わず、危機管理システムをゼロから開発しようと試みて失敗している。

画像クレジット:Tencent Conferences

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(翻訳:Mizoguchi

今、スマホを抗菌ハンドワイプで拭いていない者たちへ!

COVID-19危機が広がる中のわずかな慰めは、我ら適度な細菌恐怖症の者たちは、自分がささやかなスーパーパワーの持ち主であるかのように感じ始めていることだ。先週国を横断するフライトをした私は、ハンドワイプを取り出してスクリーン、トレイテーブル、アームリストなどあらゆるものを拭ったが、誰からも好奇の目で見られることはなかった。

私は数多くのカンファレンスやトレードショーに出かけて、たくさんの人と握手をしなくてはならない(最近では肘をぶつけ合うようにしているが)。その後スマホをいじる。何年か前に私はPurell(消毒薬)のボトルをやめてウェットティッシュに切り替えた。理由は2つある。

  1. 手指消毒剤は汚れを塗りつけているように感じる。おそらくこれも奇行だと思われるだろうから、各自思った通りに行動して欲しい。
  2. 私はスマートフォン(パソコンも)にしょっちゅう触る。バッグの中にWet Onesなどの抗菌ハンドワイプを入れずに家を出ることはまずない。そうそう、2019年のトラベルギフト10選にも入れておいた。

端末を損傷することを恐れている人は、心配無用だ。この手のことには厳しいAppleはMac、iPad、iPhone、iPodなどを対象とした 「How to clean your Apple products(Apple製品のクリーニング方法)」のページで、抗菌ワイプを使ってもよいと言っている。

【日本語版中:Appleの日本語ページには現時点で以下の記載はない】

70%イソプロピルアルコールワイプまたはClorox Disinfecting Wipesを使ってディプレイ、キーボード、その他のApple製品の硬い表面を優しく拭うことができます。漂白剤は使わないでください。開口部に湿気が入らないように、またいかなるApple製品も洗浄液に浸さないでください。布地や革の表面には使用しないでください。

最近のiPhoneにはIP67またはIP68等級の防水防塵性能がある。Lightningポートに湿気を検出すると「充電できません」と表示される。ポートを濡らすことは避けるのが一番だが、ありがたい警告だ。

というわけで、拭いて、拭いて、拭きまくろう。もちろんまだ買えればの話だが。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド通信事業者が新型コロナウイルスの予防情報を共有

インドの通信事業者は、国内で40数件の感染例が検出されたことを受けて、COVID-19こと新型コロナウイルスの感染拡大についてユーザーへの警告を開始した。

Reliance Jio、Airtel、国営のBSNLの加入者は、米国時間3月8日の日曜日に電話を発信する際に、ヒンディー語と英語での警告を受けた。同国で「caller tune」と呼ばれているこのメッセージは、通常の発信音の代わりに再生される。

録音されたメッセージは、「せきやくしゃみをしているときは、必ずハンカチやティッシュで顔を守ること。そして、石けんで定期的に手を洗いなさい。顔、目、鼻には触れないように。せき、発熱、息切れがあれば、1メートルの距離を保つこと。必要であれば、すぐに最寄りの医療センターを訪れるように」と伝えている。

事情に詳しい情報筋がTechCrunchに語ったところによると、インド最大の通信事業者であるVodafoneも、警告メッセージの実装を開始した。一方、Airtelは警告の範囲を広げようとしているという。この計画はインドの保健・通信当局によって監督されている。

世界中の多くの産業に深刻な影響を与えてきた新型コロナウイルスは、インドでもいくつかのビジネスと生活を混乱を生じさせ始めている。太陽エネルギー関連の企業や製造業、製薬会社は、いずれも中国から原料を調達しており、政府に支援を求めている。

インド国内ではこれまでに43例の感染が検出され、うち3例は完治している。

米国の大手企業数社の最近の動きにならい、インドの一部企業も従業員に在宅での勤務を奨めている。NoidaとGurgaonの従業員の1人が新型コロナウイルスへの陽性反応を示したため、金融サービスのスタートアップであるPaytmは先週、オフィスに来ないよう促した。

チェンナイに本社を置くクラウドサービス企業のZohoは、十分な注意を払い在宅勤務するよう全従業員に呼びかけた。ITコングロマリットのTech Mahindraも、同様の動きをみせている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

欧州議会も新型コロナ対策で基礎疾患のある職員に在宅勤務を推奨

情報筋やTechCrunchが入手した電子メールによると、欧州議会は新型コロナウイルス感染拡大によるリスクを考慮して、基礎疾患を抱える職員に自宅から働くよう通告した。

欧州委員会は先週、欧州防衛機関と欧州連合理事会で職員の感染を確認した。前者の感染者は最近イタリア北部から戻り、後者はベルギーで市中感染したと報道されている。

3月8日に欧州議会職員宛てに送信されたメールでは「基礎疾患を抱える全職員が在宅勤務すること」を認めている。

これより前には、感染拡大のリスクが高い地域に旅行した議会の職員に対しては帰国後に14日間、自己隔離するよう指示を出していた。電子メールの中では、リスクの高い地域としては中国、香港、マカオ、韓国、シンガポール、イラン、日本、イタリア北部がリストアップされている。

メールにある高リスク地域にはまた、小規模の「ローカルクラスター」も含まれている。具体的には、フランスのオアーズ、オートサボア、モルビアン、オーラン、そしてドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州のハインスベルクからの帰国でも自己隔離を求めている。

「過去14日間にそうしたエリアや発生地域に滞在していた場合、帰国から14日間は自宅から出てはいけない」というのが職員向けの最新の通達だ。「これは帰国後にすでに職場に戻った人にも適用される」

旅行後に14日間在宅勤務した職員は職場に戻ることができる、とされている。ただし「完全に症状がないこと、そして家族全員が感染していないこと」としているという条件がある。

さらに電子メールでは、体調の優れない職員は自宅で自己隔離すべき、というガイダンスを繰り返している。インフルエンザのような症状はないものの働けるほど体調が優れているわけではないという職員には「在宅勤務を希望する」よう促している。

議会の中心的な機能に関係しない活動は3月3日から3週間中止され、感染が確認されている地域からの訪問も受け付けない。

欧州委員会職員向けの3月8日に送信された新型コロナに関連する別のメールでは、委員長のJohannes Hahn(ヨハネス・ハーン)氏が、手の衛生を保つこと、訪問ではなくビデオカンファレンスにすること、「握手やキスをしないこと」といった予防策を講じることの重要性を繰り返し述べている。

「我々自身を守るために、予防策を実行して欲しい」とハーン氏は記している。「症状のある職員は家から出るべきではないという原則を再度確認して欲しい」

このメールによると、イタリアの欧州委員会職員は引き続き在宅勤務のオプションが与えられる。ハーン氏は「各国の対策により特殊な状況にある職員にはフレキシビリティーが必要だ」としている。

イタリア北部の感染地域から帰国した職員もまた「帰国から14日間は在宅勤務する」ことになる。しかし、この通告はさかのぼっては適用されない、ともメールにある。感染地域から戻って先週職場に復帰した人で、職場に来てもいいと言われた人にも適用されない。

「帰国後14日間は、健康状態を監視することを推奨する。何か症状が出てきた場合、家にいるべき」というのが最新の呼びかけだ。

委員会職員向けに宛てたメモでは、先週感染が確認された職員についても言及されていた。

「同僚やその他の人を守るために必要な予防策は、すでに先週とられたことを強調しておきたい。今後も同様の措置をとることを約束する。我々は皆社会の一部であり、今後さらに同僚が影響を受ける事態は排除できない。ゆえに、注意深くかつ理解を持ってこの状況に対応して欲しい」とハーン氏は書いている。

このメールではまた、名前は伏せながらも、子供1人の感染有無を確認するテスト結果を待っている欧州のとある学校が、2日間閉鎖されることにも触れられている。結果が陰性であれば学校は今週再開するが、ハーン氏は「当然のことながらこのようなケースではフレキシブルな勤務ができる」と付け加えている。

対象を拡大して在宅勤務を促す計画があるかどうかなど、TechCrunchはCOVID-19対策の取り組みについて欧州委員会にさらなる問い合わせを行っている。

画像クレジット: picture alliance / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米株式市場で初のサーキットブレーカー発動、S&P 500が7%安で自動的に15分間取引停止

世界では新型コロナウイルスへの懸念が引き起こした混乱が続いている。

3月9日朝、米国の株式市場ではS&P 500の下落が7%に達したために、いわゆる「サーキットブレーカー」が落ちた。これは市場の混乱を避けるために組み込まれた自動的な取引停止システムだが、実際に作動したのは今回が初めてだ。

寄り付きから市況は売り一色だった。取引開始後数秒でダウは872.42ドル(S&P 500はNasdaqは90.16ドル(6.96%)下げて1205.58ドルとなった。

S&Pがさらに下落して7%に届いためシステムは自動的に15分間取引を停止した。S&P指数でサーキットブレーカーを落とす場合、7%の下落で15分間の停止、13%でさらに15分間延長、20%で終日停止となる。取引開始の鐘がなって30分後にはダウは6%割り込んで1571.87ドルとなった。

ニューヨークの株式市場で史上初めてサーキットブレーカーが作動し、15分間取引が停止された。これは(S&P 500指数の)下落が7%に達したため。次は13%下落、その次は20%(でサーキットブレーカーは落ちる)。

世界の市場では、日本市場が約5%、中国(上海総合指数)が3%、オーストラリアが7%以上、韓国が4%を超えて下落した。英国ではロンドン市場とFTSE Russelが7%を超えて下落している。

他の経済指標の低下もひどいものだ。原油価格もダウンしているし、米国国債利回りは最低を記録している。暗号通貨でさえ今日は大幅安だ。bitcoinは8000ドルを下回っており、他の暗号通貨の価値も下がっている。

スタートアップに影響が及ぶまでにはまだ少し時間がかかるだろう。しかし、あらゆる企業の価値が低下する場合、関連するスタートアップ、それどころか競合するスタートアップの価値さえ低下せざるを得ない。2019年にきわめて楽観的な展望による会社評価額で巨額の資金を調達したスタートアップにとって、評価額が低下すれば大惨事だ。

また、ベンチャーキャピタルと未公開株式に対する最大の資金の出し手に対する影響も考えねばならない。原油価格の大幅ダウンはオイルダラーを原資にして投資ファンドに巨額の資金をつぎ込むことを困難にする。オリガルヒと呼ばれるロシアの新興財閥や中東の王族からの出資はすでに保留にされている可能性がある。そうであればSoftBankのVision Fund 2成立の可能性をさらに狭めるものだ。

過去数年、ミレニアル世代ために豪華なレストランや郊外のゴルフコースなど金のかかる産業が軒並み苦境にあるとジョーク混じりで報告されている。ベビーブーム世代は国債と金持ち階級を強化し、大きな犠牲を払って戦争をした挙げ句、株式を暴落させているのではないか。どっちもどっちだ。

ともかく市場の現場はこのとおりだ。SaaS株でさえ寄り付きで4.84%安だった。

画像:Mario Tama / Getty Images News

【Japan編集部追記】S&P500は7.60%安(2746.56ドル)で引けている。アメリカYahooのS&P 500

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滑川海彦@Facebook

Facebookが価格釣り上げ防止のため医療用マスクの広告を全面禁止に

米国時間3月6日の金曜日にFacebookは、同プラットホーム上での新型コロナウイルス関連の混乱を制限するための新たな試みとして、マスクの商取引と広告を禁じると発表した。

Facebookのプロダクト・マネジメント担当ディレクターであるRob Leathern(ロブ・レザーン)氏は、Twitterで「弊社はCOVID-19を注意深く監視しており、人びとがこの公衆衛生上の危機感を悪用していることを目にしたら、ポリシーを適宜アップデートする。今後、この変更を展開していく」と述べた。

Rob Leathern:マスクを売る広告と商用リスティングを禁ずる。(以下、上記と同じ)

またFacebookのスポークスパーソンも「マスク販売の広告と商用広告を一時的に禁じている。弊社のチームはCOVID-19の状況を注意深く監視しており、人びとがこの公衆衛生の緊急事態を悪用しようとしていることを目撃したら、ポリシーに必要な更新を行う」とTechCrunchに説明している。

Facebookは、品不足や早い者勝ちであるかのように人々を促す医療品の広告を今後すべて制限する。また、COVID-19の「治療」や予防を保証している広告も同様だ。さらにFacebookは近日中に、広告の制限だけでなく新型コロナウイルスをテーマとするグループやページを、同社のアルゴリズムによるレコメンドからブロックし始める。

新型コロナウイルスへの恐れが世界を席巻する中、オンラインのプラットフォームは不当な価格の釣り上げや間違った健康情報の防止に奔走している。Amazonは消毒剤やマスクなどの非常に高い定価を根絶しようとしているし、EbayはN95とN100のマスク、手の消毒剤、そしてアルコール拭きの出品をすべて禁じた。このオンラインオークションサイトは「COVID-19」や「新型コロナウイルス」などの言葉を悪用している出品も拒否している。

米国時間3月4日に、民主党のEd Markey(エド・マーキー)上院議員はAmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に公開書簡を送り、同サイト上で「価格の不当な釣り上げや透明性の欠如の報告が絶えない」ことに対する懸念を表明した。

マーキー氏は「何人(なんぴと)たりとも、恐怖や人間の苦しみを自己の利益機会にしてはならない。特にオンラインの小売業者には、新型コロナウイルスの急激な発生のさなかにおいても消費者を保護する特定の責任がある」としている。

関連記事: 政治的利益を狙いネット上で新型コロナウイルスに便乗する動き

今週初めにFacebookは、同社のプラットフォーム上の新型コロナウイルス関連の検索には、世界保健機構(WHO)と国内の保健機関からの情報を含むポップアップが自動で表示されると発表した

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Facebookの企業努力に関する最新情報で次のように述べている。「状況が流動的なので、我々は保健医療に関する国の機関とWHO、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)そしてUNICEFのような機関と協力して、新型コロナウイルスに関するタイムリーで正確な情報を入手していく。WHOに対して新型コロナウイルス対策に必要な数の無料広告とその他の現物支援を提供している」

同社はまた、生命に危険が及ぶような新型コロナウイルスに関する間違った情報の削減に向けて、広告や陰謀説、科学的根拠のない治療法などを削除することにも力を入れている。Facebookがマスクの広告停止を決めたまさにこの時期に、国の保健機関は、人びとにマスクの購入を控えるよう促している。健康な人は着用の必要がないことと、マスクの需要がそれを最も必要とする医療従事者への供給を圧迫しているからだ。

画像クレジット: hris Ratcliffe/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スタンフォード大学が新型コロナ懸念で教室での授業を中止

オースティンで開催されるはずだったSXSWカンファレンスSaaStrといったこの数日間における大型イベントのキャンセルに続き、カリフォルニア州パロアルトのシリコンバレー中心部に位置するスタンフォード大学は、米国時間3月6日の金曜日遅くに、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大していることをうけて、冬学期最後の2週間、対面での授業を中止すると発表した。

スタンフォード大学 の声明の中で、同大学の教務副教授であるPersis Drell(ペルシス・ドレル)氏は、スタンフォード大学は冬の学期試験に向けた2週間の授業を中止し、「実行可能な範囲で」オンライン形式の授業に移行すると発表した。

また、大学教授たちには政府から従来と同等のオンライン形式の教材を提供する方法の考えるように促されており、冬学期に行われるすべての試験はリモートで提供される予定だ。この方針は、3月9日月曜日の授業から直ちに実施される。

さらにスタンフォード大学は、毎年開催されていたAdmit Weekendを中止する。Admit Weekendでは、入学希望者が学部課程への進学先を最終的に決める前に、週末にヤシの木で囲まれたキャンパスを訪れて、学校についてさらに詳しく学ぶはずだった。また、キャンパスツアーも中止になっている。

スタオンフォード大学はまた別のメモで、2人の学生が新型コロナウイルスの「汚染環境に滞在した」ため、隔離されていることを認めた。同大学は、現時点においてどちらの学生も同ウイルス感染に対して陽性反応を示していないと強調した。

サンフランシスコのベイエリアでは、新型コロナウイルスにさらされる可能性のある人数が増えている。スタンフォード大学は世界的に大流行している新型コロナウイルス対応の先頭に立っており、今週にはこの感染症を検出する独自の検査法を開発したことを発表していた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

新型コロナ対策でY Combinatorもデモデーをオンライン化する

シリコンバレーを代表するスタートアップアクセラレーターのY Combinatorが新型コロナウイルス、COVID-19に対する懸念から2020年のデモデーはオンラインで実施すると発表した。TechchCrunchはこれまでもデモデーを報じている。このイベントでは、100以上のスタートアップのデモにアメリカと世界のベンチャーキャピタリスト、ジャーナリストが参集してきた。

Y Combinatorはブログで「オンラインではデモデーのすべての側面を再現することはできないが、ファウンダー、投資家に最高の体験を提供すべく最善を尽くす」と述べた。この発表によれば、第30回のデモデーは事前に録画され、米国時間3月23日に投資家に公開される。

長い歴史があるデモデーは、独特の魅力があるイベントだ。Y Combinatorのアクセラレータークラスに参加したスタートアップのファウンダーたちにとって、この日は体験の頂点になる。大勢の聴衆が詰めかけ、小切手帳が開かれ、嵐のようにキーボードを打つ音がひびく。ファウンダーたちは何度も投資の申し出を受けるだろうし、ツイートされることも間違いない。リモート開催は残念ながらこうした興奮の一部を捨てることになる。

Work Life Venturesのファウンダー、Brianne Kimmel(ブリアン・キンメル)氏は、「YCに参加することができたスタートアップに対する投資家の意欲は高く、数十社の有望なスタートアップにはデモデーの数週間前にはすでに資金が提供される」と述べた。キンメル氏はYCの2016冬学期のクラスに参加しており、過去4回のデモデーには投資家として参加した。

「YCデモデーは初期段階のスタートアップエコシステムの頂点だが、多くの投資家はファウンダーがステージに登場するはるか前に支援したいチームを選び、支援している」とキンメル氏はいう。

キンメル氏は2019年のデモデーに先立ってTandemに投資した。2020年もすでにプロジェクト管理プラットフォームのAccordに投資しているという。

Y Combinatorはデモデーのオンライン化にともない、プレゼンのデジタル化以外にも、「各チームの経歴、背景をまとめた文書を追加し、プレゼンテーションスライドにアクセスできるようにする」という。また投資家とファウンダーチームが一対一のオンラインミーティングを実行することを支援するソフトウェアも提供する。

ベンチャーキャピタル、Fifty Yearsの創立パートナーであり、自身もY Combinatorの2012年夏学期のOBであるSeth Bannon(セス・バノン)氏は「ファウンダーはその投資家と今後10年間付き合っていかねばならないかもしれない。それを判断するには人と人との直接の対面が非常に重要だ」という。

バノン氏はTechCrunchのインタビューに対して「デモデーではごく数時間のうちに100人以上と直接話し合うことができた。とえはいえ、(オンライン化は)YCにとって正しい決断だと思う。ファウンダーとスタートアップコミュニティの安全を確保することが最優先だ。困難な決断を下したYCを称賛したい」と語った。

Handle(YC 2019冬)のCEOであるChris Woodward(クリス・ウッドワード)氏は「デモデーの当日に直接投資家に会えないことは打撃だと思うファウンダーもいるだろう。しかしデモデーの後に投資家とのもっと長いミーティングを設定するよいチャンスだと考えたほうがいいと思う」と語った。

他のテクノロジー系の大型カンファレンスも、新型コロナウイルス問題から開催をキャンセルしたりオンラインイベントに移行させたりしている。 米国時間3月5日に、B2Bソフトウェアを紹介するJason Lemkin(ジェイソン・レムキン)氏のカンファレンス、SaaStrが2020年9月に延期されると発表された。 アクセラレーターである500 Startupsもデモをオンライン化。参加チームのプレゼンはリアルタイムでストリーミングされるという。これらの決定は投資機会を完全に奪うことなくアクセラレーターを機能させていくことが狙いだ。

「過去15年間、スタートアップへの投資家はYCに参加したすべてのチームをサポートしてきた。今回のクラスでも同じことになると信じている」とY Combinatorは記事を結んでいる。

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滑川海彦@Facebook