ソフトバンクが支援する韓国EdTechスタートアップのRiiidがLangooを買収して日本での拡大を目指す

韓国に本社を置きAIを活用するEdTech企業のRiiidが、日本のディストリビューションパートナーであるLangooを買収して日本での事業拡大を目指す。

Riiidは直近のラウンドである2021年5月のシリーズDでソフトバンク・ビジョン・ファンド2から1億7500万ドル(約195億8000万円)を調達し、その後この買収を実施した。Riiidはこの資金で海外進出をさらに加速していくと述べていた。

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Riiidの日本でのパートナーであるLangooは、TOEIC対策アプリのSANTAを日本のiOSのApp Storeで提供している。SANTAの後継アプリであるRiiid Tutor(リドチューター)は、Riiidが日本のiOSのApp StoreとGoogle Playストアで公開している。Riiidによれば、Riiid Tutorアプリは韓国と日本で250万人以上のユーザーにダウンロードされたという。日本で公開された2019年4月に、Riiid Tutorアプリは公開から1週間でAndroidの教育アプリの売上トップになった。

Riiidの共同創業者でCEOのYJ(Young-Jun)Jang(チャン・ヨンジュン)氏は「Riiid Tutorを日本で成功させてきたLangooの卓越した能力が買収の主な理由です。Riiidの強みは、地域や言語、分野に関わらずあらゆるところで我々のテクノロジーを生かせるスケーラビリティと能力です。今回の投資によって我々は日本市場をさらに広く獲得していきます。この買収はRiiidのAIテクノロジーを世界のマーケットに広め、世界中の学習者を支援する無機的戦略の第一歩です」と述べた。

Riiidの広報担当者はTechCrunchに対し、日本は最大の教育市場の1つで旧来型の対面の教育システムに今も依存している日本のEdTech業界には大きな成長の可能性があると述べた。担当者はさらに、日本市場に浸透した後は中央アジアや東アジアなど他の海外市場へ進出していくと述べた。

矢野経済研究所のレポートによると、2020年の日本のリモート学習業界は前年比22.4%増の約2880億5000万円規模と推計されている。

Riiidは今回の買収を通じて日本のユニットを立ち上げ、日本におけるマーケティング、セールス、B2B事業開発を進めていく方針だ。日本市場でのリモート学習に取り組む。

同社は日本でTOEICや英会話指導のサービスを提供してカスタマーベースを広げていくという。

Riiidは米国の拠点としてシリコンバレーにRiiid Labsを開設し、2020年以降、グローバルマーケットに積極的に進出している。広報担当者によれば、ベトナムと台湾でもユーザーを獲得し、最近ではインドを拠点とするAIベースのEdTech企業と提携した。さらにカナダにも研究開発拠点を開設する予定だという。

TOEIC対策のモバイルアプリだけでなく、エジプト、トルコ、UAE、ヨルダン、サウジアラビアで2021年前半にConnectMe Educationとの提携でACT対策のモバイルアプリをリリースした。2021年にはKaplanとの提携でGMAT対策のベータ版を発表し、まず韓国市場をターゲットにする。2022年第1四半期には教員に形成的評価と学習のプログラムを提供するAIベースのソリューションであるRiiid Classroomをリリースする計画だ。Riiid Classroomの主な機能には、個人のパフォーマンスの分析、生徒1人ひとりの弱点に応じた授業の提案、ドロップアウトの分析、タスク管理などがある。

RiiidはK-12、高等教育、企業向けにAIベースのオンライン教育ソリューションを提供している。2014年に創業し、韓国、米国、英国、カナダ、ブラジル、ベトナムにおよそ210人の従業員がいる。

画像クレジット:Riiid / Riiid

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(文:Kate Park、翻訳:Kaori Koyama)

アップルが小学生向けの新しいコーディングアクティビティガイドを発表

Apple(アップル)は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けのいくつかの新しいリソースを公開した。この新しいガイドは、Appleのコーディングカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡張する。今回のロールアウトは、教育関係者や家庭が早い段階で生徒にコーディングを紹介できるようにすることを目的とした、テックジャイアントの「Everyone Can Code」イニシアティブの一環だ。

Appleの教育・エンタープライズマーケティング担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は、声明の中で次のように述べた。「コーディングとアプリデザインは、アプリ開発者になるかどうかにかかわらず、学生が批判的かつ創造的に考えるために必要なリテラシーです。Appleは現在、幼稚園から大学までの学習者向けにコーディングリソースを提供しており、みなさんにインクルーシブでユーザーが利用しやすい、すばらしいアプリの設計に挑戦してもらいたいと考えています」。

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「Everyone Can Code Early Learners」ガイドでは、幼稚園から小学校3年生までの生徒が、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。例えばAppleは、生徒たちがダンスの動きを通してコーディングコマンドについて学べるとしている。また、社会性と情動の学習のために、心を落ち着かせるためのテクニックを生徒たちに話してもらう課題もある。

またAppleは、教育関係者に、新しい1時間のインクルーシブ「アプリデザイン」アクティビティセッションを試してもらうよう勧めている。この新しいレッスンは、アプリをデザインする際に、インクルージョンとアクセシビリティの重要性を忘れないよう、教師が生徒に指導することを支援しようとするもの。セッションは基本的に、生徒がアプリの作成方法について批判的に考えることを促すようになっている。このレッスンでは、生徒たちが情熱を持って取り組める問題を特定し、その解決策を計画することを助ける。

Appleは、同社のSchoolworkアプリの中で「イグジットチケット」と呼ばれるアンケートツールのサポートも追加している。これは、教育者が授業中または授業後に生徒の反応やエンゲージメントを測るための質問を行い、生徒の様子を確認するための方法だ。また、教師は生徒のSchoolworkアカウントをより簡単に作成できるようになった。

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドは、Swift Playgroundsアプリ内で利用できる。このガイドは、英語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ノルウェー語、スペイン語で提供を開始しており、今後さらに多くの言語に対応する予定だ。Appleは、Everyone Can Codeプログラムを長年にわたって拡大し、より多くの年齢層が利用できるようにしてきた。2019年、Appleは「Everyone Can Code Puzzles」という、生徒がコンセプトを試してみることを目的したプログラムを提供開始した。2020年、同社は「Everyone Can Code Adventures」という、より高度なアクティビティを行う新しいプログラムを公開した。

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画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

児童向け探究型プログラミング教室のアルスクールが2250万円調達、プログラミング教材「アルスパーク」開発

児童向け探究型プログラミング教室のアルスクールが2250万円調達、プログラミング教材「アルスパーク」開発

探究型キッズプログラミング教室「アルスクール」を展開するアルスクールは10月4日、総額2250万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家の日本ベンチャーキャピタル、またラッコ、ZEIN、そのほか国内企業および個人投資家。調達した資金は、教室の展開を行うアルスクール事業の拡大、プログラミング教材「アルスパーク」の開発、マーケティングおよび人材の採用に投資する。

アルスクールは、探究学習、アクティブ・ラーニングでプログラミングを学び、プログラミングスキルだけでなく様々な非認知能力を向上させる、新しい形のプログラミング教室という。児童の「おもしろい!」を大切に、少人数制でそれぞれに合わせたレッスンを提供。エンジニア、起業家、アーティスト、どんな未来にも大切な、テクノロジーを使って価値を創造するスキルを伸ばすとしている。

2018年の設立以降、自由が丘校、中野TCS校、中野校、恵比寿校、福岡西新校の5教室とオンライン校の計6校を展開し、のべ400名以上の児童が参加したという。

また同社は2021年8月、実際に児童とプログラミングを学んできた経験をもとに、児童が楽しめ、かつ教室事業を運営する方が使いやすいプログラミング教材アルスパークの提供を開始した。Scratch(スクラッチ)をベースに、徹底的に学びやすくした教材という。

 

インドのEdTech大手Byju’sの最新ラウンドでの評価額は約2兆円

国際的な事業展開を進め、また積極的にM&Aの機会を模索しているインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が、大型の新規投資ラウンドの一環として3億ドル(約333億円)を調達した。

調査会社ToflerがTechCrunchに提供した資料には、今回のラウンドでのByju’sの評価額は180億ドル(約2兆円)とあり、2021年6月の165億ドル(約1兆8338億円)より増えている。165億ドルという評価額で、Byju’sはインドのスタートアップエコシステムにおける中心的な存在であるフィンテック大手Paytm(ペイティーエム)を追い越した。

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Oxshott Capital Partnersが新ラウンドをリードし、XN Exponent、Edelweiss、Verition Master Fund、IIFL、Time Capital Advisorsなどが参加した。

今回の投資は、Byju’sの評価額を210億ドル(約2兆3333億円)に押し上げそうな大型の投資ラウンドの一環だとTechCrunchは理解している。

Byju’sの広報担当は現地時間10月4日、コメントを却下した。

今回の資金調達は、Byju’sが2022年のIPO(新規株式公開)に向けて投資銀行とやり取りしている中でのものだ。TechCrunchが8月に報じたように、一部の投資銀行はByju’sが2022年に上場する場合の評価額として最大500億ドル(約5兆5505億円)を提示した。Byju’sの創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・ラヴェンドラン)氏は9月のインタビューで「IPOはあり得る」と認めていた。

パンデミックが始まって以来180億ドル(約2兆円)を調達した同社は、その資金のかなりを企業買収に使った。2021年初めに同社は、センター200カ所超を抱え、最大の高校生向けコーチング機関の1つであるAakashを10億ドル(約1111億円)近くで買収した。Byju’sはまた、Great Learningと米国拠点のEpicを、それぞれ現金と株式による10億ドル超の取引で買収した。そして9月にはキッズコーディングプラットフォームのTynkerを2億ドル(約222億円)で買収したことを明らかにした。

ラヴェンドラン氏は9月、Byju’sが引き続き合併・買収の機会を模索していると述べた。こうした買収により、同社は積極的にサービスを拡大し、より有意義な方法で海外マーケットにうって出ることができると語った。

Byju’sは大学レベルや修士レベルのコースを追求している学生をサポートしており、近年はあらゆる学年の生徒向けにサービスを拡大してきた。Byju’sアプリの家庭教師はピザやケーキなど実生活にあるものを使って複雑な問題を教えている。

インド政府が数カ月にわたってロックダウンを敷き、学校を閉鎖することになったパンデミックにより、Byju’s、そしてUnacademyやVedantuなど他のオンライン学習スタートアップは成長を加速させた。

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の教育弾圧の犠牲者たち。企業が閉鎖に追い込まれる中、何百万人もの学生、親、教師が前進への道を模索

中国のEdTech企業は、2021年の初めまではウォール街やベンチャーキャピタルの寵児となっていた。しかし今では、次の始まりを見据えるだけの支払い能力を持ち続けることができるだろうかと思案している。

一連の包括的な規制の中で、中央政府は何十億ドル(約何千億円)もの価値がある教育と試験準備産業に破壊的な打撃を与えた。この値は、国の都市部の中流家庭のスケジュールと財布の両方の総体価値である。

最もインパクトのある政策は2021年7月に導入されたものだ。そこには、国の中核的な公立学校のカリキュラムに特化し、成功を左右する高校や大学の入学試験に照準を合わせた営利目的の個別学習指導サービスの禁止が含まれている。また、生徒が授業に参加できる時間への制約も設けられており、平日の授業時間は午後9時までに制限され、週末は課外授業のみが認められるとしている。

この規制は、中国の大手EdTech企業に壊滅的な影響を及ぼしている。New Oriental Education and Technology Group(NYSE:EDU)の株価は前年同期比で86%下落し、ライバルのTAL Education Group(NYSE:TAL)の株価は、2月に史上最高値を付けて以来93%以上下落した。そうした企業の収益の50%から80%近くが個別学習指導、つまり現在は禁止されている活動からのものだ。その経営陣たちは、10億ドル(1000億円)規模のタイタニックを沈む前に立て直すという不本意な課題に直面している。

7月に打ち出された営利目的の個別学習指導の禁止措置は多くの注目を集めたが、世界で最も人口の多いこの国では、教育を受ける意味を再構築することを意図した政策が絶えず氾濫している。以前は大きな優先順位を与えられていた英語教育が、今では行政のカリキュラムの中で後回しにされている。オンラインでの外国人教師の雇用が禁止されたことで、国内で最も人気のあるEdTech企業の中でも、彼らがどうやって生き残るのかについて案じるところが出てきている。親と家庭教師が直接協力し合ってこの規則を回避しようとするケースに備えて、規制当局はオンラインやホテル、カフェ、個人宅などの未登録施設での個別指導も禁止した。

私たちが今、目にしているのは、関係者すべてにとっての広範な混乱の様相である。子どもの教育の未来のための計画を練り直す親たち、アンダーグラウンドに移動する教育者たち、そして限られた時間と資本を使い果たす前に企業のビジネスモデルを徹底的に見直すことに必死になっているEdTech起業家たち。教育をめぐる需要と供給の経済力はほとんど変わっていない。今問題となっているのは、規制がこれらの力をどのように振り向けようとしているかである。

中国語には無数にあると思われるような慣用句の組み合わせが存在するが「上有政策、下有对策」大まかに訳すと「統治者は規則を作り、臣下はその抜け道を見つける」という表現ほど、政治経済の議論に一貫して適用できるものはほとんどないだろう。最近の規制がこの国の教育産業を覆しつつある中、多くの人々が今問いかけているのは、その抜け道をどのような形で、どこで見つけることができるかということだ。

中国の子どもたちの競争の危機

今日の中国では一様に、取り締まり、抑圧、規制改革が継続的テーマとなっているが、最近の教育政策の大部分は、中国の人口危機のレンズを通して理解することができる。5月に発表された2020年の国勢調査データにより、多くの悲観論者が予想していた以上に出生率の低下が深刻であることが明らかになっており、家族への負担を取り除き、ベビーブームを促進することに対し、当局者たちの緊迫感が高まっているようだ。

すべての子どもたちが成功できるわけではない。それでもその親や、しばしば高齢の2組の祖父母を扶養することを期待されている子どもたちは、非常に競争の激しいシステムのなかに置かれている。多くの家族は、子どもたちがそのペースについていけるように、増え続ける時間とお金を投資しなければならないという義務感にとらわれ、身動きが取れないと感じるようになっている。北京に住む母親のYi(イー)氏(仮名)はこう説明する。「私は何百万という親の中の1人ですが、子どもが優秀になる助けになることを期待して、子どものための特別な教育に多額のお金を投じてきました。しかし、誰もがこうした教育を受けていれば、結果として以前と変わらないということになるでしょう。ただ家族の経済的負担が大きくなり、子どものストレスが増大するだけです。ですから、私はこれらの学校を閉鎖するという政府の決定を支持します」。

中国の人口危機はまた、同国の指導者たちに対し、職業的および技術的な熟練労働者が不足する可能性を示しており、世界で支配的地位にある製造業超大国の長期的な存続を脅かしている。教育政策の立案者たちは、この国のエリート大学における数少ない貴重な場所を確保しようと奮闘する親や子どもたちへの圧力を緩和することを追求しながら、教育制度の見過ごされがちな部分をより強調し、改革することによって、職業訓練や職業の魅力を高めることも目指している。

EdTech崩壊後の破片の拾い上げ

米国上場のEdTech大手企業の価値が一夜にして消えていくのを目の当たりにして、米国の金融メディアは当然のことながら業界の将来に関する問題に焦点を当ててきた。しかし、そのような企業とそこに留まっている従業員たちの運命は、他の企業よりも依然として楽観的に見える。

流動資産のライフラインにアクセスできないより小規模な企業にとっては、破綻が唯一の選択肢となっている。それは、かつて北京や上海の高級ショッピングモールの主軸を担っていた、高級語学研修センターWall Street Englishの中国子会社にも当てはまる。新型コロナウイルスの感染拡大、そして英語を母国語とする人々の採用と定着を難しくしている渡航制限といった継続的な衝撃に揺れる中、これらの新しい規制は救済資金を提供し得る顧客と投資家の両方に脅威を与えている。その余波を受けて、同社は突如として事業を閉鎖した。

このような突然の廃業は、特に経営破綻が絡んでいる場合、従業員にとって特に深刻な問題となる可能性がある。中国のホワイトカラー産業では、レイオフは実際のところ、中国の労働法のために退職した従業員にとっては小さな棚ぼたに等しい。ほとんどの場合、従業員は1カ月分の給与に、その従業員が当該企業で働いてきた各年の1カ月分の給与を上乗せした額の退職手当を受け取る。従業員を迅速かつ最小限の摩擦で解雇しようとして、企業がさらに寛大なパッケージを提供することは珍しくない。

しかし、企業が突然の崩壊に直面したとき、従業員も顧客も一様に責任を負わされることになる場合が多い。Wall Street Englishで10年以上営業の仕事をしてきたある女性は「船がゆっくり沈むときは、たくさんの救命ボートが利用できます。しかし時として、ボートがあまりにも速く沈むために、救命ボートに乗ることさえできないこともあります」と説明する。彼女のケースでは、会社の破産手続きが進む中で、自分の在職期間がささやかな支払いの最前線へと導くことを彼女は望んでいる。しかし、米国に上場しているあるEdTech企業の退職金は2000人民元(約3万4400円)にすぎないとうわさされており、自分が受け取るべき未払い賃金を受け取ることさえできたら自分は幸運だと思うだろう、と彼女は話している。

バーチャルで教えていた欧米の教育者にとっては、混乱が支配的なテーマになっているようだ。北京に拠点を置くオンライン教育のスタートアップ、Whales Englishで働いていたあるイギリス人教師(私たちは彼を「Ed(エド)」氏と呼ぶことにする)は、約3週間の不安の嵐のような状態を経験した。同社は、海外のフリーランスの教師を雇って中国の子どもたちにリモートの英語クラスを提供している多くの企業の1つだが、7月の規制はもはや法律に準拠していないことを物語っていた。

エド氏によるその出来事の説明によると、同社は7月28日まで拡大、広告、雇用を続けていたが、その後経営陣は新しい教師の雇用をすべて停止すると発表した。8月7日までに、Whales Englishはすべての新しいコースを中止し、すでに始まっていて支払い済みのものも終了することになると教師たちは知らされた。また、親たちは前払いしている授業をできる限り利用しようと急いだため、教師たちは自分たちのスケジュールを可能な限り解放するよう促された。

この頃、北京本社のスタッフの約3分の2近くがレイオフされたといううわさが流れ始め、会社の意向に反して、親や教師がWhalesのオンラインプラットフォームを迂回するための緊急時対策を講じ始めたとエド氏は話す。8月18日、エド氏が当局からの最新の命令があるのではないかと感じたことに呼応するように、すべての授業が直ちに中止されることがエド氏と他の教師たちに伝えられた。

会社の一貫性のない情報伝達に苛立ちを感じながらも、エド氏は自分の恩恵を尊重している。彼の報告では、自分の仕事に対して適時に全額が支払われ、すでに転職して日本の学校で教師の職に就いているとのことだ。

中国の有名なEdTech企業の1つであるVIPKidの教師向けの、1万4000人以上のメンバーからなるFacebookグループでは、エド氏のようなストーリーがありふれた光景となっている。しかし多くの教師にとって、中国のEdTechプラットフォームが提供する柔軟性と規則性は簡単には代替できない。新型コロナウイルスのパンデミックが親にさらなる育児のプレッシャーを与えていることから、教育や教職の経歴を持つ多くの人々は、こうしたプラットフォームを利用して生計を立て、子どもと一緒に家で過ごしてウイルスにさらされることを制限している。同等の仕事を見つけるのは難しいかもしれない。

だからといって、教師たちが何もしようとしていないわけではない。抜け穴がある一貫性のない執行は、不法な性売買や不法移民労働と違わず、個別指導や他の教育サービスのグレー市場を生み出している。需要は変化していないものの、規制によって大企業はこのようなビジネスに直接関与することを避けざるを得なくなった。そのため、取引はアンダーグラウンドで行われ、労働者(この場合は教師)には法の保護なしにフリーランスになる以外の選択肢はほとんどない。

親、行政そしてチャイニーズドリーム

教育弾圧に対する親たちの反応は、富と階級に沿ったものだった。以前と同じような課外補習を続けながら規則に公式的に準拠するために、教育技能と資格を持った在宅「ナニー」についての報道がすでに流れ始めており、月に3万人民元(約51万6500円)という額が支払われているという。例によって、新たな抜け道が見つかるのを待つだけということだ。

中国の裕福でつながりの深い家庭の多くにおいて、新しい規制は子どもたちの教育計画をほとんど変えてはいない。この記事のために話を聞いた何人かの親たちの間では、長い間、中国の教育制度を回避することが主な目的の1つとなっていた。これは中国に数多くあるインターナショナルスクールの1つに受け入れられることで達成され得るものだ。そこでは国際バカロレア(IB)カリキュラムが、国の厳しい入学試験を回避して海外の大学に入学するための準備を整えている。

成功と特権の恩恵により、子どもたちを海外の学校に行かせることができた人たちもいる。場合によっては、これは自分自身と彼らの富を移動させることも意味する。「より多くの親にとって、海外で勉強させることが最善、あるいは唯一の選択肢のようです」と引退した元企業幹部のGao(ガオ)氏(仮名)は説明する。同氏は現在米国に住んでおり、娘も米国で学んでいる。

最も裕福なエリート層から中産階級の層まで、共通のテーマがあるようだ。中国が歴史的に経済の奇跡を成し遂げた時代に成人した親たちにとって、社会的にも経済的にも進歩することは、可能であるとみなされるだけでなく、単に仲間と歩調を合わせるという観点から期待されるものでもあった。そして進歩が期待されるなら、停滞は失敗を意味する。停滞が失敗であれば、後退は破滅的である。

経済成長が鈍化し、習近平国家主席が「共同繁栄」を掲げ、高等教育より職業訓練と産業訓練が強調されている中、一部の親たちは、自分たちの夢が中国の新しい戦略に反することを認識しつつある。「行政の広範な目標があるにしても、自分の娘が高等教育を受けられなくてもいいと思えるでしょうか?答えはノーということになります」と上海在住の母親、Li(リー)氏(仮名)は率直に語った。「考え方を変えるには時間がかかります。少し利己的かもしれませんが、それは真実です。私は教育の平等を強く支持していますが、それは私の子どもが幸運な子どもの1人となる場合に限られます」。

お金の話ばかりしていると、ある言葉が表すものに対する子どもの機会を逃してしまうことを多くの親が心配していることは、あまり具体的に見えてこない。倫理、向上心、教育、社会階級を含む「素质(素養)」という言葉である。北京の教師Guo(クオ)氏(仮名)にとって、娘のために心配しているのはこの要素だ。「社会は職業労働者を必要としており、そうした人は大学に通う人よりも多くのお金を稼ぐことができることは承知しています。ですが、たとえ娘の収入が少なくなるとしても、私は彼女に大学に通って欲しいと思います」。彼にとって、自分の子どもが受ける教育や将来の収入は、彼女が成長する社会の中では副次的なものだ。「(専門学校生は)怠惰、喫煙、飲酒、不品行で知られています。娘が学校で作る友達は、彼女が一生持つ友達になります。私は娘に質の高い友達を持って欲しいのです」と彼は続けた。

中国の規制当局が教育だけでなく、国の最も困難な課題に対処するために多くの中心的な機関を見直す中、かつて抱いていた期待が今は根本的に変化する必要があることを多くが認識しつつある。しかし、あらゆる不確実性の中にあって、変化しそうにないことは、自分自身、家族、そして野望を前進させる意欲と工夫である。結局のところ、当局は絶えず規則を作り、国民は常にその抜け道を見いだすであろう。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Elliott Zaagman、翻訳:Dragonfly)

英語を母国語としない人がその発話能力を確立し自信を持てるようにするBoldVoice

Anada Lakra(アナダ・ラクラ)氏とIlya Usorov(イリヤ・ウソロフ)氏は米国に移住した当初、自分たちの声を伝えることに苦労した。彼らは英語を知っていたし、理解していた。しかし、話す時になると、アクセントがハードルになった。例えばウソロフ氏は、ロシア生まれの両親が自らを主張しようと奮闘し、そのことが仕事の機会を制限してしまうのを目にした。一方、エール大学に入学したばかりのラクラ氏は、自分の発言をもう一度と言われてしまうことが頻繁にあった。

「自分自身を明確に表現することができるだろうか?理解してもらえるだろうか?影響力を持てるようになるだろうか?」とラクラ氏は自問したことを振り返る。「自分のアクセントの発音により、完全な自分ではないように感じさせられました。そして私は、自分のパーソナリティをいくらか失ってしまいました」。

これは、米国に住む約6500万人の英語を母語としない人々の多くが、程度の差こそあれ経験した問題だろう。2人は、仕事や信頼、人間関係を築く上でアクセントが障害になると考え、共同創業者として協力してソリューションを構築した。

ラクラ氏とウソロフ氏はこのほど、英語の発音を洗練させるアクセントコーチングアプリ「BoldVoice」をローンチした。ニューヨークに拠点を置くこのスタートアップは、現在Y Combinatorの2021年夏バッチを通過中で、プレシードラウンドで約60万5000ドル(約6600万円)を同アクセラレーターとXFundから調達した。

ハリウッドがEdTechの要件に適合

BoldVoiceは特定のユーザーを念頭に置いている。紙の上で英語を学んだが、人との会話や交流に助けを必要としている非ネイティブの英語話者だ。

同スタートアップは、従来俳優を支援してきたハリウッドアクセントのコーチが指導する短編ビデオを使ってコンテンツを配信している。カリキュラムは3つの「P」を軸にした構成だ。「Posture(姿勢)」は、英語の「R」をスペイン語の「R」と比較しながら身体的な感覚をサポートする。「Phonology(音韻論)」は母音と子音。「Porosity(多孔度)」はアクセントの音楽性である。これまでのところ、プラットフォーム上には2人のハリウッドアクセントおよび方言コーチ、Ron Carlos(ロン・カルロス)氏とEliza Simpson(エリザ・シンプソン)氏が在籍している。

「俳優が新しい役のアクセントを覚えるのと同じ方法を基にこのアプリを構想しています。すぐに覚える必要があるような環境で修得する方法です」とラクラ氏。「自宅で学ぶ人に同じ統制とプロセスを提供したいと考え、音声言語と方言の訓練を受けたハリウッドアクセントのコーチや、言語学の学位を持つアドバイザーを採用しています」。

同社は短編ビデオにとどまらず、今後は製品に人工知能(AI)を組み込むことを計画している。ユーザーが音声を練習すると、BoldVoiceが音声サンプルを記録してアルゴリズムに入力し、時間の経過とともに、ユーザーの苦手な分野に合わせたエクササイズを推奨できるようになるというものだ。同社は現在、オープンソースソフトウェアを使用しているが、将来を見据えて独自のAIアルゴリズムの開発を進めている。リアルタイムのフィードバックは偉業と言えるだろう。

BoldVoiceプロダクト

サインインのプロセスはいたってシンプルだ。ユーザーは、アクセントの確実性に関する目標の設定、英語の習熟度の説明、母国語の特定の他、改善したいと思う場面(職場から社会環境まで)を指定する。また、1日10分間の発音練習をするよう求められるが、拒否することもできる。

BoldVoice(TechCrunchによるスクリーンショット)

受講者にはサブスクリプションを通じてアクセス可能なレッスンプランが提供される。料金は月額10ドル(約1100円)または年額70ドル(約7700円)で、1時間あたり200ドル(2万2000円)にもなるプライベートアクセントコーチによる個人指導よりも利用しやすいと謳われている。現在、無料の体験版は1週間の無料試用版のみとなっている。

BoldVoiceは1カ月ほど前にサービスを開始して以降、1000人のユーザーを獲得している。ユーザーの大半はインドや中国出身、あるいはスペイン語を話す人々だ。同社はこれらのコアユーザーを中心に「極めてパーソナライズされた」コンテンツの作成にフォーカスしており、それに向けて相当な仕事に取り組むことになりそうだ。インドでは、1万人以上が121の言語を使用し、憲法で22の言語が公式に認められている。

フクロウが見ている

BoldVoiceは、Edtechサブセクターにとって重要な時期に、言語学習スタートアップの混み合った市場に参入しようとしている。言語学習のユニコーン企業Duolingoが今週上場予定で、他の消費者Edtech企業に黄金の光を投じるかもしれない。同社はすでに、株式公開を控えて予想価格帯を引き上げており、自信に満ちた動きだ。BusuuやBabbelなどの企業も、言語学習の領域を切り開くことに成功している。

しかしラクラ氏は、既存の語学学習アプリがアクセント市場で勝利したとはまだ思っていない。同氏は、言語を学ぶことは語彙や文法を暗記することであり、アクセントを学ぶことは舌の訓練を通して口を鍛えることだと説明する。BoldVoiceが注力している後者は、他の企業にとってはまだ優先度が低いように思われる。

同氏の認識は正しいようだ。Duolingoは、読み書きのリテラシーに優れているが、その発音への取り組みに関する有効性の研究はまだ発表されていない。Duolingoは初期に、ユーザーが会話を練習するのを助けるチャットボットをローンチしようとした。しかしこの機能は要望が高かったものの、ユーザーの80%が使わなかったために失敗している。同社CEOのLuis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏はこの反応について、消費者に会話の練習をさせることの難しさを浮き彫りにしたものだと考えている。

Duolingoは現在、音声認識テクノロジーに関連するチームへの投資に加え、M&Aの機会も視野に入れている。BoldVoiceも同様にバイトサイズのコンテンツと上昇機運を有しており、Duolingoの動機づけのミッションに対して、自社の自信のプロダクトを持ち込むことになるかもしれない。

補完的ではあるが競争の激しい環境は別にして、BoldVoiceの前に立ちはだかる課題は、センシティブな分野で活動することにあるかもしれない。発声[発話]能力というのは、アイデンティティに欠かせない要素だ。BoldVoiceは人々を助けることと、人々を形作るものを消し去らないことのバランスを取る必要がある。

ラクラ氏は、バランスを取ることができると考えている。ユーザーに対する彼女の認識は絶えず進化し続けている。

「人前で話すときのヒントや、会議への参加方法、丁寧にフィードバックする方法などについて、さらに情報を得られたらすばらしいという意見がユーザーからすでに寄せられています」と同氏はいう。これらの要望はすべて、プロフェッショナルな英語環境でどのように文化的、言語的に英語を使用するかに関するものだ。そしてBoldVoiceは、コーチと協力して、発音を超えて、ケイデンス、プロジェクション、イントネーションに至るコンテンツを生み出そうとしている。

「私たちはBoldVoiceを、人々が適切な方法で話すのを助けるだけでなく、自分のいうことすべてに自信を持てるようにするツールにしたいと、強く思っています」。

BoldVoiceの共同創業者であるイリヤ・ウソロフ氏とアナダ・ラクラ氏。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

経済産業省が中学高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン・プログラミング・ロボット・AIなど

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など経済産業省は9月29日、デジタル技術に精通した人材を育てるため、中学校と高校のパソコン部、プログラミング部、ロボット部、AI部などのデジタル関連の部活動を活性化・高度化させ、生徒のデジタルスキルの向上をはかる目的で、産業界を中心としたデジタル関連部活の支援のあり方を検討すると発表した。

経済産業省は、10月に「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」を設置し、教育界、産業界の有識者、デジタル庁、総務省、文部科学省、文化庁などが参加して論議を進め、2021年度内に提言を取りまとめる予定としている。

中学高校では、デジタル技術に高い関心と能力を有する生徒たちが集まっているものの、顧問の教師にプログラミングはじめ専門知識や経験がないことが多く、そのために活動は限定的となり、十分な指導ができないのが現状とされている。一方、産業界には、CSR(社会的責任)の意識の高まりや、将来の日本の競争力を見据える立場から、中学高校のデジタル関連部活を支援したいという意欲がある。2020年に経済産業省が発表した「中学・高等学校等の IT 関連部活への支援に関する調査研究」報告書によれば、調査対象となった企業の約半数が、そうした支援を行いたいと答えた。また、「教育委員会や学校と産業界をつなぐ仕組みを作ってほしい」という声も産業界から出ているとのことだ。

10月5日に第1回検討会が開かれ、12月、3月にもそれぞれ開催される予定。第1回の傍聴予約はこちらから委員の名簿はこちらで公開されている。

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など

産業界に対するアンケート結果(「中学・高等学校等の IT 関連部活への支援に関する調査研究」報告書)

アルゴリズムで学習者の理解度に合ったSTEM教育を行うNumeradeのショート動画サービス

現在、注目を集めるEdTech分野の起業家たちは、テストの技術や情報保持の在り方など、現代の学習に関連するほぼすべての要素について、その構造や影響を再定義しようとしている。しかし、最も人気のある製品は、一見シンプルなもの、つまり、オールマイティな個別指導なのかもしれない。2018年に設立されたEdTech企業、Numerade(ヌーマレイド)は、拡張可能かつ高品質な個別指導に挑戦し、1億ドル(約110億円)の評価を受けたばかりだ。

方程式や実験の仕組みを解説する短編動画のサブスクリプションを販売するNumeradeは、アルゴリズムを使って学習者の理解の仕方に合わせた説明を行う。共同設立者であるCEOのNhon Ma(エヌホン・マ)氏によると、コンテキストで説明する非同期型のコンテンツに焦点を当てることで、高品質な個別指導を手頃な価格で提供することが可能になるという。

「本当の教育には、視覚と聴覚だけでなく、生徒が実際に学習する際の言葉で伝えるというコンテキストも含まれます」とマ氏。Numeradeは、Wolfram AlphaのようなロボットQ&Aやステップバイステップの回答プラットフォームではなく、実際に科学をソリューションに統合してユーザーに伝えるプラットフォームにしたいと考えている。

7月下旬、NumeradeはIDG Capital(アイデージーキャピタル)、General Catalyst(ゼネラルカタリスト)、Mucker Capital(マッカーキャピタル)、Kapor Capital(カパーキャピタル)、Interplay Ventures(インタープレイベンチャーズ)などの投資家や、Margo Georgiadis(マーゴ・ジョージアディス、Ancestry(アンセストリー)の元CEO)、Khaled Helioui(ハレド・ヒリオリ、Bigpoint Games(ビッグポイントゲームズ)の元CEOでUber(ウーバー)のエンジェル投資家)、Taavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス、Wise(ワイズ)の創業者)などの戦略的投資家が参加するラウンドで、評価額1億ドル(約110億円)で2600万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。

マ氏は「同期型の個別指導には需要と供給のメカニズムの縛りがあります。優秀な家庭教師の時間は限られていて、割増料金を要求されることもあり、全体的に市場の供給側の制約になっています」と説明する。一部の企業では、効率化のために複数の生徒を1人の教師に割り当てるグループレッスンオプションも採用されているが、マ氏は「これは本当に時代遅れで、教師の質を損なうものだ」と考えている。

ライブ授業やWolfram Alphaのような答えを教えるだけのシステムを避けてきたNumeradeだが、第3の選択肢として動画を採用した。動画はEdTechの分野では目新しいものではなく、現在は主に、CourseraやUdemyなどの大規模オープンオンラインコースのプロバイダーや、MasterClassやOutschoolなどの「エデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントを合わせた造語)」プラットフォームが動画を利用している。Numeradeは、教師または教育者主導で「Fundamentals of Physics(物理学の基礎)」の第2章にある問題を中心に動画を作成しようと考えている。

Numeradeの動画で学ぶ学生(画像クレジット:Numerade)

Numeradeには、基礎的な知識を得るためのブートキャンプの動画、手順に焦点を当ててその知識をスキルに変えるステップバイステップの動画、これらの情報がどれだけ理解できたかを評価するクイズという3つの主要製品がある。

しかし、このスタートアップの真の狙いは、どの学生にどの動画を見せるかを決定するアルゴリズムにある。マ氏は「深層学習」や「コンピュータビジョン」「オントロジー」といった言葉を使ってアルゴリズムの仕組みを説明するが、つまりは教育動画にTikTok並みの特殊性を持たせ、ユーザーの過去の行動を利用して、学習スタイルに合うコンテンツを適切に提供したい、ということだ。

Numeradeは、ステップ・バイ・ステップの動画で脳が問題のパターンや多様性を理解することで、最終的には答えをよりよく理解できるようになると考えている。同社のアルゴリズムは主にクイズで利用され、あるトピックに対する学生の成績を確認し、その結果をモデルに入力して、新しいブートキャンプやクイズをより適切に提供できるようにする。

「当社のモデルでは、まず学生の強みと弱みを理解し、次に関連する概念的、実践的、評価的なコンテンツを表示して、主題に対する学生の知識を構築して学生の成長と学習をサポートします。アルゴリズムは、動画の構造化データを解析し、学生ごとのニーズに合わせた教育スタイルを提供することができます」とマ氏。

現在のところ、Numeradeのアルゴリズムは予備的なもののようだ。ユーザーが自分に合うコンテンツの恩恵を受けるためには、有料会員になって、十分な利用履歴を稼ぐ必要がある。それができたとしても、学生が前回のクイズで間違えたコンセプトを再表示する以外に、このアルゴリズムがどのようにその学生に合うコンテンツを提供できるのかは明らかではない。

Numeradeの計画も野心的な前提の上に成り立っている。すなわち、学生はコンセプトを学びたいのであって、先延ばしにしていた宿題を終わらせるために急いで答えを知りたいのではない、というものだ。マ氏は、Numeradeの動画の視聴時間はその動画の長さの2~3倍にもなり、これは学生が単にスキップして答えにたどり着くだけでなく、コンテンツと向き合っていることを意味している、と説明する。

Wolfram Alphaに対抗しようとしているのはNumeradeだけではない。過去1年間、Quizlet(クイズレット)やCourse Hero(コースヒーロー)といったEdTechのユニコーン企業は、AIを搭載したチャットボットやライブ電卓に多額の投資を行ってきたが、Course Heroの手法は主にNumeradeのような企業を買収することだった。これらのプラットフォームは、テクノロジーを駆使した個別指導のセッションでは、人間関係の構築や時間ではなく、スピードとシンプルさを優先すべきだという考えに基づいて構築されている。週に一度、数学の家庭教師のところに行くことを嫌がる学生でも、数学試験の数時間前の真夜中に、丁寧に答えを説明してくれるプラットフォームを利用するかもしれない、という考えだ。

アルゴリズムの進化があまり進んでいるとはいえず、競争も激しい分野にもかかわらず、Numeradeの新しい投資家と、収益をもたらす能力は期待がもてる。具体的な内容は明かされていないが、マ氏によると、同社は年間経常収益が8桁(日本円では10億円)目前だという。現在の加入者ベースで少なくとも1000万ドル(約11億5000万円)以上の年間収益を上げていることだ。マ氏は、Numeradeの最大の競争力は「視点」だと考えている。

「商業的なSTEM(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)教材に対するよくある批判は、モジュール化されすぎている、というものです。教科書では物理を単独で教えています」とマ氏は話す。「私たちのアルゴリズムはそうではありません。私たちはSTEMを連動したエコシステムとして扱います。数学、物理、化学、生物学の概念は全面的に関連しているのです」。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍で加速する大学中退をチャットボットで防ぐサービスのEdSightsが約5.6億円を調達

Claudia(クラウディア)とCarolina(キャロライナ)のRecchi(レッキ)姉妹がEdSightsを創業したとき、2人は道しるべとなるような大きな問いかけを自分たちにした。

「自分の指先でどんなデータでも集められる魔法の杖がある申し分のない世界で、大学生が中退しないようにするために私たちは何を理解すればいいのでしょうか」。クラウディアはそう語る。共同創業者の2人は最初の数年間をかけてデータポイントを理解しようとした。学生を適切なリソースに結びつける手助けをするのか、あるいは心配事を聞いてそれを意思決定者に伝えるのかといったことだ。そして結局、大学生との効果的な関わりとタイムリーなデータ収集の両方ができるサービスとして、チャットボットを活用することにした。

このチャットボットは、コロナ禍におけるもろさから大きな影響を受けた。2020年、EdSightsは学生を引き止める方法を模索する大学に対してこのサービスの販売を開始した。特に、コロナ禍でキャンパスがロックダウンされ、学生が以前よりも孤独になってしまったという事情からだ。

2020年にEdSightsのプロダクトはチャットボットによってそのあり方が明らかになった。学校のマスコットを使ったチャットボットは相手に合わせた質問やメッセージを学生に送信し、学生の最大のストレスは何かを把握する。その後、金銭や食料の支援、警備といった大学のさまざまなリソースにつなげる。EdSightsはコロナ禍で基本的なコミュニケーションができなくなってしまった世界各地の大学にこのサービスを販売した。

米国時間9月27日、EdSightsはAlbum VCが主導するシリーズAで500万ドル(約5億5700万円)を調達したと発表した。Album VCはPodium、Andela、Degreedの初期の投資も主導したVCだ。EdSightsの今回のラウンドには他にLakehouse、Good Friends、CheggのCEOであるDan Rosensweig(ダン・ローゼンズヴァイク)氏、GSV VenturesのDeborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏も参加した。今回の調達で、これまでに発表されているEdSightsの調達額は800万ドル(約8億9100万円)となった。

新たな資金は勢いがある中で調達された。EdSightsは具体的な数字を明らかにしていないが、年間の売上が6倍に成長したと発表している。2020年5月時点の顧客数は16だったが、現在は大学や教育機関など70になっている。創業した姉妹の1人のキャロライナは、同社は「黒字化が目前」でこれ以上従業員を雇用しなくても黒字になるだろうと述べた。同氏は、成長の新たなゴールを考えるとあと1年2カ月で黒字になるだろうと予測している。

画像クレジット:EdSights

EdSightsにとっては、同社が提供する可視化の機能をベースにしてアクションを起こさせることができるかというのが常に課題だ。よく知られているように大学はお役所仕事で新しい取り組みや迅速な行動が妨げられ、このことがEdSightsの投資収益率に悪影響を及ぼす恐れがある。共同創業者の2人は、学生のデータを得ることで大学は学生の需要に応じてリソースを効果的に使い、的外れの別のサービスに費やすコストを削減できると反論する。

キャロライナは「大学はお金の使い方が非効率で、どういうときに非効率な使い方が発生するかを私たちがまさに明らかにしていると思います。これが、データが重要であると私が考える理由です。高等教育を最適化する新たな段階に来ています」と述べた。

しかしEdSightsの計画は相談に乗ることだけではない。最終的には、メンタルヘルスの専門家や金銭面のリソース、就職支援など需要の多いサービスも提供したいと考えている。

キャロライナは「ある程度の規模に達しきちんと理解した後で、教育機関では支援できない分野について我々は何をすればいいでしょうか。何かができる人は他にいるでしょうか。そして私たちにそれができるでしょうか」と述べた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

学生に無償でプログラミングを教えるLABOTの「CODEGYM Academy」に渋谷区も後援を表明

学生に無償でプログラミングを教えるLABOTの「CODEGYM Academy」に渋谷区も後援を表明

プログラミング学習サービスCODEGYM(コードジム)を運営するLABOT(ラボット)とNPO法人CLACKは9月28日、2021年5月より福岡市などの後援で実施してきた学生向け無償プログラミング教育支援プロジェクト「CODEGYM Academy」(コードジムアカデミー)に、新たに渋谷区が後援を表明したことを発表した。また、現在第2次募集を行っている。

LABOTは、日本で初めてISA(学資ローンに代わる所得分配契約。在学中は授業料の支払いが免除され、就職後に所得に応じた支払いを行う制度)を採り入れたコンピューターサイエンスとプログラミングのオンラインスクール。2021年5月からはNPO法人CLACKと共同で、コロナ禍で勉学や就職に苦悩する高校生、大学生を対象に「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を実施。同社によると、無償のプログラミング教育を提供し、現在503名の学生が受講しているという。

教材には、ハーバード大学が提供するコンピュータ・サイエンス科目「CS50’s Introduction to Computer Science」を使用している(LABOTは、翻訳コントリビューターとしてハーバード大学CS50の日本語版翻訳プロジェクトをCC BY-NC-SA 4.0ライセンスのもと日本語化・無償公開)。またこのプロジェクトには、GMOインターネットグループやスマレジをはじめ、アクセンチュア、HR Brain、Googleなど17社ほど企業の協賛がある。

第2次募集の概要は以下のとおり。

  • 募集人数:最大1000名(最少催行人数150名)
  • 受講料:スポンサー企業による支援により無償。PC、インターネット接続環境、副教材などの実費は受講者が負担。入校にあたり1万円の保証金の支払いが必要だが、退校・卒業時に全額返金する。また修了確定者は199ドル(約2万2200円)を支払うことで「CS50」履修証明書が取得できる
  • 応募期間:2021年9月1日〜9月30日午後11時59分59秒
  • 適正検査:2021年10月2日実施。高校数Ⅰ/ 数A相当の知識水準の論理思考問題を含むウェブテスト
  • 内定通知:2021年10月9日予定

開催期間は2021年11月6日から2022年3月末。毎週土曜日の9時から19時にオンライン授業が行われる。

応募対象は、家庭環境、学歴、性別、人種、国籍に関わらず、プログラミング学習と新たなキャリア習得に強い意欲のある日本全国の学生。ただし外国人は日本国内での就労資格を持つ人。コロナ禍で学業、進路、キャリアに影響を受けている、また家庭環境などの経済的事情を抱えている2023年卒、2024年卒予定の大学生、短大生、高専生、専門学校生、高校生など。2020年3月以降2021年9月末までに新型コロナによる経済的理由で退学した、または進学を諦めた人も含まれる。また10月2日のテスト、10月16日の入学オリエンテーションも参加必須となっている。

締め切りまであと1日。詳しくはこちらをどうぞ(ページ下部にまとめられている)。

アマゾンがコンピュータサイエンス教育プログラム「Future Engineer」をインドで開始

Amazon(アマゾン)は、コンピュータサイエンスプログラム「Future Engineer(フューチャー・エンジニア)」をインドに拡大する。これにより、世界第2位のインターネット市場であるインドは、同社が「子どもからキャリアまでのコミュニティプログラム」を提供する5番目の市場となる。

Amazonは、現地時間9月28日に開催されたバーチャルカンファレンスで、インドの学生にコンピュータサイエンスのコース(ロボット工学、人工知能、機械学習など)を教えるための教材、奨学金、インターンシップ、メンターを提供するとともに、教師にもリソースを提供すると発表した。

同社はこのフューチャーエンジニアプログラムを通じて、Code.org(コード.org)などのプレイヤーと提携し、十分な教育を受けられていない、あるいは過小評価されている子どもたちや若者にCS(コンピュータサイエンス)教育の機会を提供する。Amazonによると、このプログラムは主に6年生から12年生までの生徒を対象としている。

「インドでは年間100万人の学生がCSエンジニアリングコースに登録していますが、十分な教育を受けていない、過小評価されているコミュニティの学生の貢献度は比較的低いです。その理由としては、CS関連の仕事に触れる機会が少ないこと、コミュニティ内に刺激的なロールモデルがいないこと、興味深いカリキュラムにアクセスするための言語の障壁などが挙げられます。また、政府系の学校では、CS教育を行うためのリソースが限られています」と同社は述べている。

Amazonは、インドの教師や学生のコミュニティに合わせて調整し、複数の地域言語で提供しているというこのフューチャーエンジニアを、1年以内に7つの州の900以上の公立学校で10万人以上の学生に提供することを期待している。

TechCrunchは12月に、Amazonが世界第2位のインターネット市場でこのプログラムを開始する予定であると報じた。

関連記事:アマゾンがインドでコンピュータサイエンス教育プログラムの開始を計画

「インドでは、十分な教育を受けていないコミュニティの学生は、特にコンピュータサイエンスの分野の教育を受けることにおいて、不公平な障壁に直面しています。すべての若者が、そのバックグラウンドにかかわらず、質の高いコンピュータサイエンス教育を受けられる環境にあるべきだと考えているため、アマゾン・フューチャー・エンジニアの構想をインドで実施できることを大変うれしく思います」。と、Amazon India(アマゾン・インディア)のグローバルシニアバイスプレジデント兼カントリーヘッドであるAmit Agarwal(アミット・アガルヴァル)氏は述べている。

「私たちは、コンピュータサイエンスのカリキュラムを、生徒が使いやすい言語で身近に感じられるようにし、適切なスキルとツールを身につけてもらうことで、生徒のキャリアの可能性を広げることを目指しています。学生たちが自信とスキルを身につけて、テクノロジーソリューションの責任ある創造者となり、自分自身と周囲のコミュニティのために、より良い未来を築いてくれることを願っています」と述べている。

これまでに65億ドル(約7200億円)以上をインドに投資してきた米国の大手eコマース企業Amazonは、数年前からインドの教育分野を開拓してきた。2年前には、インドの名門技術系教育機関への入学を目指す学生の支援を目的としたアプリ「JEE Ready(JEEレディ)」を発表した。JEE Readyは、現在は「Amazon Academy(アマゾンアカデミー)」に改称されているが、無料のオンライン授業を提供し、模擬テストで生徒の成績を分析している。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

児童向けのオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOは9月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からの融資による総額5600万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のW ventures、また三井住友海上キャピタル(MSIVC2020V投資事業有限責任組合)、個人投資家複数名。

調達した資金は、コンテンツ強化やマーケティング強化、「youtube時間を運動時間に」をコンセプトとする運動動画見放題の新サービス「へやすぽTV」(月額980円)の開発にあてる。今後は、年齢・ステップに応じたクラスの新設や、種目特化ニーズに応じたコースの拡充を行うとともに、児童たちがよりのめり込んで参加できるサービスに仕立てるという。

2021年4月設立のPAPAMOは、「運動との出会いを最高にする」をミッションに、へやすぽを提供している。へやすぽは、週に1回30分の児童向けオンライン運動教室という。鉄棒や球技など児童がつまずきやすい種目の基礎力や運動感覚を、おうちにいながらゲーム感覚で育めるとしている。

へやすぽでは、「運動神経」を分解し、誰でも「できた!」を味わえる300種類以上の豊富なメニューと、キャラクターからのミッションをクリアするとストーリーが前に進むゲーミフィケーションが組み込まれたレッスンで、成功体験を積みながら、運動能力を育むという。また、親子で参加することで、親子関係の構築騒音にも配慮しており、マンションの方も安心して参加できるとしている。児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

幼少期の運動体験は、生涯の運動習慣・健康に影響することから、へやすぽとへやすぽTVは、どんな児童も運動習慣をつけられ、運動が好きになれる、そんな運動との出会いを届けるという。

学習支援プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テスト実施までのフローを一元化

  1. 学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

モノグサは9月22日、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」(Android版iOS版)の「小テスト機能」をアップデートしたと発表した。Monoxer上で作成したBook(問題集)をそのまま小テストとして使えるため、記憶定着からテストにおける確認まで、Monoxer上で完全に一元化できる。

これまでのMonoxerでは、先生が児童・生徒に憶えてもらいたい項目をBook(問題集)として作成し、その確認のための小テストは別途作成をする必要があった。今回のアップデートにより、学校や塾の先生方にとってより手間がない形で、記憶定着から確認テストの実施までのフローをサポート可能となった。

2021年4月に正式リリースした小テスト機能は、児童・生徒が学んだ内容をMonoxer上で小テストにし、AIが自動採点するという機能。多くの学校・塾では、先生が紙のテストをプリントアウトおよびコピーし、生徒に解かせた後に採点して、点数を集計している。膨大な時間が割かれていることから、同社は、このプロセスをMonoxerを活用し小テスト機能としてデジタル化した。

Monoxerでは、手書き入力や音声認識など機能を利用することで先生は様々な形式のテストを作成し、採点をすべてAIに任せられるという。作成する小テストは、配点・制限時間・難易度の設定が可能。択一問題から英単語や漢字を入力する問題まで、これまで紙でできていたテストから、デジタルならではのもの作ることも作成できる。

また、Monoxerにおける学習履歴・記憶度と小テストの結果を比べることで、一夜漬けなのか、日々の学習の成果なのかわかるため、長期の目標に対しても正しく進捗を把握できるという。学習履歴とテスト結果を紐付けることで、生徒や保護者に対して、結果だけでなく、プロセスも共有可能となっており、先生、保護者、児童・生徒の三者間でより強固な関係性を構築できるとしている。学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

Monoxerは、児童・生徒におぼえてほしい内容を先生が登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題が自動で作成されるという、記憶定着のための学習プラットフォーム。生徒は作成された問題をスマホ・タブレットのアプリで学習可能な上、個別の習熟度・忘却度に応じて、リアルタイムで問題の出題頻度や難易度が調整される。このため、児童・生徒それぞれのレベルにあった学習が実現できるとしている。

また、遠隔でも生徒の学習状況・定着度がわかるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行うことが可能という。

 

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が使い放題になる「Studyplusブック読み放題」発表

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始スタディプラスは9月15日、勉強記録・学習管理サービス「Studyplus」(Android版iOS版)において、学習参考書など電子教材が使えるデジタル教材プラットフォーム「Studyplusブック」を発表した。同プラットフォームでは、月額980円(税込)で参考書200冊以上を利用できる「Studyplusブック読み放題」、紙版を購入すると電子版を提供する「Studyplusブックコード」の2サービスを提供する。提供開始時期は、2022年1月(一部サービスは2021年11月より先行リリース予定)。

「Studyplusブック」プラットフォーム

Studyplusブックでは、Studyplusの本棚に並ぶ書影から、そのまま電子教材ビューアを開くことが可能。ビューアは目次機能、ページめくり、見開き表示、拡大縮小など標準的な機能を搭載。ビューアの利用を終了すると、ビューアを開いていた時間をそのまま勉強時間として記録できる。

また通常のビューア以外に、一問一答形式の教材に対応する「暗記チェック機能」も提供予定(一部の教材のみ対応予定)。問題に対する回答が確認できるほか、問題ごとに正誤記録を残せるため、「間違えた問題だけをやり直す」「正答率から自分の理解度をチェックする」といった使い方も可能。音声再生機能、しおり機能も採用している。

対応環境(2021年9月時点)としては、iOS 13.0以上、Android 7.0以上としているが、ウェブブラウザー対応も予定しているという。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

またStudyplusブックは、個人はじめ学校や塾などでの法人利用にも対応し、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」と合わせて利用可能。これにより、学校や塾をはじめとする教室で「Studyplusブック」のスタディログに基づいた指導を実現できるとしている。

なお、スタディプラスが2019年9月から提供している電子参考書サービス「ポルト」は、Studyplusブックに統合する。単独サービスとしてのポルトは段階的にサービスを終了する予定(スケジュールはサービス内で告知予定)。

月額980円で参考書200冊以上が使い放題の「Studyplusブック読み放題」

Studyplusブック読み放題は、月額980円(税込)で電子版の学習参考書200冊以上が使い放題になるサービス。前身である「ポルト」から引き続いて18の出版社が参画する予定。

提携出版社(2021年9月時点)は、アルク、旺文社、学研プラス、KADOKAWA、河合出版、かんき出版、京都書房、研究社、講談社、新興出版社啓林館、水王舎、スタディカンパニー、世界思想社教学社、Z会ソリューションズ、第一学習社、東京書籍、ブックマン社、山川出版社。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

対象の紙版参考書を購入すると、電子版も利用可能となる「Studyplusブックコード」

Studyplusブックコードは、出版社と共同で電子版教材の普及に取り組むサービスで、対象の紙版参考書を購入すると、Studyplus上で利用できる電子版(Studyplusブック教材)を提供する。Studyplusブックコードを導入することで、これにより、デジタル参考書と紙版とを用途によって使い分けられるようになる。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

これまでの発行コード数は30万コード以上で、全国約550の学校がブックコードを利用しているそうだ(前身であるポルトコードからの実績。2021年9月時点)。Studyplusブックコード提携出版社(2021年9月時点)は、京都書房、Z会ソリューションズ、第一学習社、山川出版社。2022年度にさらに提携出版社を拡大予定。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

マイクロソフトがEdTech戦略の強化を目指してオンラインと対面の個別指導プラットフォーム「TakeLessons」を買収

Microsoft(マイクロソフト)は2021年1月に同社のオンラインコラボレーションプラットフォームであるTeamsについて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で多くの学校が一部、または完全にリモートになったことにより利用者の増加が加速し、1億人以上の学生に利用されていることを公表した。そしてここにきて、教育市場における地位を今後も拡大するために買収を実施した。

MicrosoftはTakeLessonsを買収した。TakeLessonsは学生が音楽や語学、学術的なテーマ、職業訓練、趣味といった分野の個人教師とつながり、個人教師はオンラインや対面で提供するレッスンの予約や管理をするプラットフォームだ。

買収の条件は不明で、TechCrunchは取材を続けている。サンディエゴに拠点を置くTakeLessonsはこれまでに、LightBank、Uncork Capital、Crosslink CapitalなどのVCや個人投資家から少なくとも2000万ドル(約22億円)を調達した。TakeLessonsは自社サイト上でこの買収を認めるQ&A形式の短い記事を公開した。この記事によると、当面はこれまで通り運営し、これまで以上に多くの世界中の対象者に向けてプラットフォームを提供するとしている。

買収の時点でTakeLessonsを利用しているアクティブな学生や個人教師の人数は不明だが、関連する数字を挙げると、オンライン個別指導大手の1つであるヨーロッパのGoStudentは2021年前半に17億ドル(約1870億円)の評価額で2億4400万円(約268億4000万円)を調達した。Brainlyなどのオンライン指導企業も数億ドル単位の評価額となっている。

TakeLessonsの調達額がそれほど大きくないところを見ると、評価額はもっと低かったと思われる。買収はMicrosoftにとってインフラを手に入れ、マスマーケットのオンライン教育にもっと積極的に参入する準備のきっかけとなるものだが、他の大手プラットフォームと直接対決していく可能性もある。

現在TakeLessonsは音楽(これが同社のスタートだった)、語学、学術的なテーマ、テスト対策、コンピュータのスキル、手芸など幅広いジャンルの指導を提供している。2006年に創業し、地元で対面指導をする個人教師とつながるためのプラットフォームとして出発した。その後、オンラインレッスンにも進出し、ビジネスを補完している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大でオンラインレッスンに大きくシフトし、現在では同社のプラットフォームで提供されているサービスの大半がオンラインでの指導のようだ。レッスンは引き続き1対1で提供されているが、学生は同社のライブプラットフォームを利用してオンラインのグループレッスンにも参加できる。

世界中で起きているオンライン教育へのシフトが、Microsoftが大きなチャンスがあると見る理由だろう。

世界中の多くの学校が外出禁止や隔離中になんとかリモート学習をしようと急遽オンライン学習のプラットフォームを求め、教育者と家族、学生はさまざまなツールを使うように(そしてお金を払うように)なった。そうした中でMicrosoftはTeamsをこの分野のトップにすべく躍起になっている。

マーケットにおけるMicrosoftの牽引力(と多くの投資や買収)がすでに長年あった中で、こうした動きが続いてきた。

しかし現在の状況下で新たな激しい競争が起きている。例えばGoogle Classroomや、ビデオレッスンのような特定の目的に絞ったソリューション(Zoomが顕著な例)などの台頭だ。他にもレッスンや宿題の計画を立てるアプリ、数学や語学、科学といった特定のジャンルに関してクラスでの学習を補強するオンラインのオンデマンド指導などもある。

プラットフォームにできるだけ多くの機能を取り入れて囲い込み、ユーザーが他のアプリに行かないようにして多くの価値を提供するのがMicrosoftのやり方だ。したがって筆者は、同社がさらに買収をしてもっと多くの機能を提供し、同社の教育用ツールでまだ提供されていないサービスをすべてカバーしようとするだろうと予測している。

(例を挙げよう。筆者の子どもの学校ではオンラインレッスンにTeamsを使っている。その理由の1つは、学校のメールシステムにOutlookを使用しているからだ。学校は宿題の計画に別のアプリを使わないと発表した。先生は宿題を出したり管理したりするのに、これからはTeamsを使う。この学校のように予算が厳しければ、1つのアプリでできることなのに2つのアプリに支払いをしないのは当然だ。子どもたちには評判が良くない。これが、Microsoftが推進するプラットフォーム戦略だ)

TakeLessonsは学校を対象とした教育の戦略と近い位置にある。確かに、個別指導のクロスセルのチャンスがあると思われる学生とその家族は大勢いる。しかしTakeLessonsはマスマーケットを対象としたサービスも提供し、何かを学びたい人すべてに開かれている。Microsoftの教育関連製品をすでに使っている人たちだけが対象というわけではない。

オンライン学習を補完したい学生(これはオンライン個別指導の市場として大きい)だけでなく、何か新しいことを学びたい生涯学習者や消費者、プロフェッショナルも対象になるという点に注目だ。1人で家で過ごす時間が増えたこの1年半は特に学びへの関心が高まっている。

こうしたことから、TakeLessonsにはMicrosoftの世界における新たなチャンスも考えられる。

米国時間9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とMicrosoft傘下のLinkedInのCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が今後についてオンラインプレゼンテーションを配信した。このプレゼンでは教育、特に職能開発が強調して語られ、LinkedInが新しいラーニングハブを導入することが明らかにされた。

LinkedInは教育ビジネスの構築に長年取り組んでいるだけでなく、自社プラットフォームにもっと囲い込んでビデオが活用されるようにすることも目指している。

TakeLessonsのようなサービスは一石二鳥になるかもしれない。LinkedInのこれまでの教育コンテンツは「ライブ」のオンラインレッスンに特に結びつくものではなかったが、今回の買収はLinkedInが次にしようとしていることとの橋渡しになることも考えられる。

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画像クレジット:Imgorthand / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

ユニコーン企業のオンライン学習プラットフォームQuizletがIPOを準備中

10億ドル(約1099億円)と評価されてから約1年、人工知能で動く個別指導プラットフォームに変わったフラッシュカードツールのQuizlet(クイズレット)は新規株式公開を計画している。この件に詳しい人物によると、Quizletの株式公開の準備はかなり進んでいる。直近の求人情報では、同社は「IPOを目指すのにともない、財務システムとプロセスの構築をサポートする」上級職の人材を求めている。

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TechCrunchへの電子メールで、サンフランシスコ拠点のQuizletはコメントを却下した。同社は具体的な売上高や、収益をあげているかどうかなどについて多くを語らなかった。まだ未公開である同社は2020年、売上高は年100%成長していると述べた。ウェブサイトでは、月間の学習者は6000万人で、2018年の総数から1000万人増えたとしている。

Quizletはシェアするのも使うのも簡単なプロダクトで大規模なビジネスを構築した。同社の無料のフラッシュカードメーカーでは学生が試験に備えるためにトピックの学習参考書を回すことができる。そうした知見はQuizlet Plusにつながっている。Quizlet Plusは同社のサブスクプロダクトで、年額47.88ドル(約5300円)で個別指導サービスを含むその他の機能にアクセスできる。

同社のCEOであるMatthew Glotzbach(マシュー・グロッツバッハ)氏によると、Quizlet LearnというQuizletの個別指導部門は最も人気のサービスだ。学習者がシステムを使っているとき、Quizlet Learnは学習者がどこで間違えたのか、そしてどこで進歩したのかを常に査定する。

「明らかにこれは人間に取って代わっておらず、またそこに近づいてもいませんが、参考書を提供して正しい方向を示し、正しい場所で時間を費やせるようにサポートできます」とグロッツバッハ氏は話す。「目標を定めるのをサポートすることでさえ、学習における重要なステップです」。

直近では同社は、人気の教科書の問題セット向けのステップバイステップの解答ガイドを提供する「説明」の立ち上げを発表した。この機能は「専門家によって書かれ、検証されて」おり、「学生が演習し、学習したことを自分で応用できるよう、練習問題で根拠と思考過程の理解」をサポートすることを目的としていると声明文で説明した。全面的なブランド変更の中で、同社はまた不運な前任者からQを取り戻した

Quizletの新規株式公開に向けた静かな歩みは、ゆっくりとしたものだが着実だった。同社は15歳だったAndrew Sutherland(アンドリュー・サザーランド)氏によって2005年に創業された。2015年までは事業は自己資金で賄われた。その後、YouTubeの幹部だったグロッツバッハ氏が2016年に加わった。同社にはまだCFO(最高財務責任者)がいないようだが、これは株式公開しようとしている企業にとっては珍しいことだ。

Quizletはベンチャーキャピタル6200万ドル(約68億円)の大半をグロッツバッハ氏のもとで調達した。現在、同社の投資家にはGeneral Atlantic、Owl Ventures、Union Square Ventures、Costanoa Ventures、Altos Venturesなどがいる。

Quizletの株式公開の追求は、他のEdTech企業が市場の受容性をこの部門で示している中でのものだ。例えばDuolingo(デュオリンゴ)も消費者向け教育の会社だ。ただしQuizletが幅広い学習内容になっているのに対し、Duolingoは1つの分野にフォーカスしている。Duolingoは7月に株式公開し、現在は始値を上回る1株あたり169.75ドル(約1万8660円)で取引されている。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ユニティとアールティが「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発、10月より無料公開予定

ユニティとアールティが「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発、10月より無料公開予定リアルタイム3Dプラットフォーム「Unity」を展開するユニティ・テクノロジーズ・ジャパン、ロボット分野の技術開発と高度人材育成を行うアールティは9月9日、ロボット入門者向け教材「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発したと発表した。「Unity」上でROS(ロボット・オペレーティングシステム)対応ロボットの操作性を高めることを目的としたもの。ユニティの産業向けサイトUnity for Industryにおいて、2021年10月上旬に無料公開する予定。

この教材では、UnityからROS対応ロボットへの指令の出し方や、ロボットに搭載された各種センサーの値やロボットの状態の可視化の方法などが学べ、ロボット操作用のUI開発の足がかりになる。入門用としてわかりやすい解説を行うために、アールティが培ってきたエンジニア教育教材や研修のノウハウなどが活かされているとのことだ。学習後は、Unity Asset Storeなどで公開されているアセットを使って、オリジナルのUI制作にも活用できるという。

教材中のシミュレーションでは、アールティが開発し製造・販売しているRaspberry Pi搭載の左右独立二輪方式小型移動プラットフォームロボット「Raspberry Pi Mouse」のデータが使われている。将来は、この実機の操作が行える教材も公開される予定。

Unityは、ゲームなどのリアルタイム3Dコンテンツの開発運用に広く使われているが、製造業やロボット産業でも活用されている。ロボット開発のためのシミュレーションでは、リアルな周辺環境やロボットの動きが求められるが、Unityは、そうしたリアリティある環境が特徴となっている。

同社は、これまでにもUnity Robotics Hubを通じて、ROSとUnityを接続するための各種のパッケージやサンプルをオープンソースソフトウェアとして提供することで、ロボット開発の効率化に取り組んできたという。

今回この教材を通して、「ハードウェアになじみの薄かったソフトウェアエンジニアにはハードウェアを身近に感じてもらえることを、ハードウェアエンジニアにはUnityによる可視化やUIの広がりを体験し、より使いやすいインターフェイスをロボットに装備できるようになることを期待しています」とユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは話している。

UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編は、一般公開に先立ち、2021年9月16日に東京都墨田区で開催されるROS開発者会議「ROSCon JP 2021」のアールティ出展ブースにおいて、開発画面の一部が公開される予定(チケット販売は終了)。

N予備校が量子計算入門を9月15日19時開講、高校生以上からすべての者が量子コンピューターのアルゴリズムを無料で学べる

N予備校が「量子計算入門」を9月15日19時開講、高校生以上からすべての者が量子コンピューターのアルゴリズムを無料で学べる

ドワンゴは9月8日、教材・生授業・Q&Aをスマートフォンに最適化したオールインワン学習アプリ「N予備校」(Android版iOS版)において、「量子計算入門」を2021年9月15日に開講すると発表した。料金は無料。講師は、社会人のための数学教室「すうがくぶんか」の内場崇之氏。また監修を電気通信大学教授の西野哲朗氏が行っている。

受講の際は、N予備校にログイン後、ホームのサイドメニューの課外授業欄から
「数理科学」→「量子計算入門」→「量子計算入門」の順に選択する。

「量子計算入門」の特徴

  • 数学的側面を重視:量子コンピューターに関心があるものの、数学的な部分にハードルを感じて取り組めなかった人のために、生放送での授業や補講を通じ、数学的側面について、必要な部分を基礎的なところから丁寧に解説する。難しいものは具体的な例を挙げることで親しみを持てるようにするなど、数学に苦手意識がある人にも取り組めるような構成を採用
  • トピックを基本的な部分に限定:量子コンピューターについては多くの話題がある中で、代表的な話題に絞って基本的なトピックを解説
  • 電気通信大学の西野哲朗先生が監修:日本における量子コンピューター研究の先駆者の1人である西野哲朗教授が監修。また、生放送授業の初回と最終回には、特別ゲストとして登壇する

「量子計算入門」の授業スケジュール(授業は各回とも19時開始)

  • 初回特別講義(9月15日)
  • :「量子計算入門」ガイダンス(特別ゲスト:西野哲朗先生)
  • 第1講(9月22日): 量子ビットとは?
  • 第2講(9月29日):量子ゲートとは?その1
  • 第3講(10月6日):量子ゲートとは?その2
  • 第4講(10月13日):量子回路で足し算しよう
  • 第5講(10月20日):量子計算のテクニック(量子フーリエ変換)
  • 第6講(10月27日):15を素因数分解してみよう!その1
  • 第7講(11月10日):15を素因数分解してみよう!その2
  • 第8講(11月17日):量子機械学習に親しみを持とう
  • 第9講(11月24日):量子アニーリングとは?
  • 第10講(12月1日):量子アニーリングを使って最適化をしてみよう!
  • 最終回特別講義(12月8日):今後の展開について(特別ゲスト:西野哲朗先生)

従来のコンピューターでは計算量が多く解くことが難しかった問題を、短時間で解けるようになる可能性を秘めた次世代コンピュータとして、量子コンピュータの開発が世界各国で進んでいる。

量子コンピューターは、その計算原理に「量子力学」で扱われる微小な領域での物理現象を利用しており、現在のコンピューターの情報の最小単位である「ビット」とは異なる「量子ビット」と呼ばれる新しい情報単位を使って計算している。

2019年のGoogleの研究チームによる実証実験では、53量子ビットの量子コンピューターが用いられ、現在も実用化に向けたさまざまな取り組みが多くの企業や研究機関によって進行している。今回の「量子計算入門」では、このような量子コンピューターが実行するアルゴリズムの入門的な部分を、高校生でも取り組めるような形で提供する。

N予備校は、ドワンゴが独自開発した、授業、教材(問題集・参考書)、Q&Aシステムが1つになった学習アプリ。学費(料金)は、クレジットカード・キャリア決済の場合月額1100円(税込)。

インターネットを活用することで、いつでもどこでも学習を進めることが可能。ライブ配信の生授業では、コメント機能を使って挙手や質問が行えるなど双方向の参加型授業を受けることができる。またアーカイブされた映像授業では、ノートを取る時に一時停止したり、わからなかった所は何度も見返すことができたりと、自分のペースで学べるとしている。また大学受験の授業では、実力派予備校講師陣、プログラミングでは、現役エンジニアが講師を務めるという。

100万人以上の学生が参加するインドの海外留学プラットフォームLeapが約61億円調達

サンフランシスコとベンガルールに本社を置き、インドの学生が海外で適切な大学を見つけたり、入学試験の準備をしたり、またビザやローンの確保を支援している創業2年目のスタートアップ企業Leap(リープ)は、米国時間9月8日に、複数の著名なEdtech支援者から新たな資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達したと発表した。

Leapは、Owl Ventures(オウル・ベンチャーズ)が主導する新しい資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達した。今回のシリーズCラウンドには、ベンチャーファンドの出資者として有名なHarvard Management Company(ハーバード・マネジメント・カンパニー)も参加している。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイヤ・キャピタル・インディア)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加しており、2021年3月のシリーズBに続くもので、Leapの累計調達額は7500万ドル(約82億7000万円)を超えることとなった。

Leapの共同創業者であるArnav Kumar(アルナブ・クマール)氏は、TechCrunchの取材に対し、同社が、EdtechとFintechが交差するカテゴリーに位置づけられると語ってくれた。Leapは、インドの学生が海外で入学するのに適した大学を見つけるのを支援し、さらに、留学して生活するためのビザと資本を確保することも支援している。

このスタートアップが開拓しているのは、とてつもなく巨大な市場だ。

毎年、何十万人ものティーンエイジャーや若者が、高等教育を受けるためにインドから異国の地へと旅立っている。Sequoia Capital IndiaのマネージングディレクターであるAshish Agrawal(アシシュ・アグラワル)氏は「インドの学生の海外で勉強したいという願望は、これまで以上に強くなっています」と述べている。

しかし、彼らはさまざまな問題に直面している。その中には、異国の地に降り立った後に現れる問題も含まれている。

彼らは現地でのクレジットヒストリーがないため、ローンやクレジットカードなどのさまざまな金融サービスを利用することができない。もしくは、少なくとも割増料金を支払うことを強いられている。銀行などの金融機関にとっては、外国人客を相手にするとリスクが高まるため、料金が高くなるのだ。例えば、米国に留学しているインド人学生は、13%以上の金利でお金を借りており、これは、現地の学生の2倍近い金利を支払っていることになる。

Leapは、彼らが生成したインド国内でのデータ(代替データと派生データ)を評価し、学生に適正な金利でローンを付与することで、その金融面での問題に取り組んでいる。

しかし、金融は同社が提供するサービスの1つに過ぎない。このスタートアップは、学生が国際的な高等教育を受けられるようにするための、より広範なインフラとも呼ぶべきものを提供できるよう積極的にサービスの拡大を進めている。

Leapは、100万人以上の学生が参加し、学生同士がアドバイスをしたり、方法を模索したりすることができるコミュニティを構築している。Leapによると、コミュニティが過去1年半の間に6万人以上の学生の留学を手助けし、秋には最も好調なシーズンを迎えたばかりだ。

左からヴァイブ・シン氏とアルナブ・クマール氏(画像クレジット:Leap Finance)

前回の取材以降、Leapはさまざまな面で力強い成長を遂げているとクマール氏はいう。そのコミュニティは成長し(毎月10万人の学生が加わっている)、試験準備アプリはますます人気を博し、中核となる金融サービスも急成長しているという。

さらに、留学生が海外の大学に入学した際に、インターンシップの準備や獲得を支援するサービスを拡充することで、留学生が直面するもう1つの課題解決に努めている。

今回の資金調達により、Leapは中東や東南アジアなどの国際市場への進出を計画しており、学生が20カ国で高等教育を受けられるよう支援していくと、以前ベンチャーファンドのElevation Capital(エレベーション・キャピタル)で副社長を務めていたクマール氏は述べている。

「Leapは、学生のための卓越した留学プラットフォームになることを目指しています。海外教育市場は断片的であり、1つですべてが完結するソリューションというのは存在しません」と、Owl VenturesのマネージングディレクターであるAmit Patel(アミット・パテル)氏は声明の中で述べている。

「学生にとっては、どこから準備を始めればよいのか、どの大学をターゲットにすればよいのか、教育費をどのように捻出すればよいのか、非常に混乱していると思われます。Leapは、このような学生の準備や資金調達のニーズをすべて満たす、包括的なプラットフォームを構築しています。Owl Venturesは、Vaibhav(ヴァイブ)氏、Arnav(アルナブ)氏、そしてLeapチームとのパートナーシップを深め、1人でも多くの学生に海外留学を実現していきたいと考えています」と彼は述べている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】音声認識が子供のために使えるようになった、今こそ活用する時だ

音声認識テクノロジーが、ようやく子どもたちのためにも使えるようになった。

1999年に私がScholastic Education(スカラスティック・エデュケーション)で同僚たちと音読支援プログラムのREAD 180(リード・ワンエイティー)を作ったときは違っていた。当時私たちは音声対応アプリの導入を考えていた。子どもがコンピュータープログラムに向かって読むと、流暢さと識字能力をリアルタイムでフィードバックする。そして教員は生徒の進歩状況を受け取る。

残念ながら私たちのアイデアはテクノロジーの20年先を行っていたので、音声認識機能を省いたREAD 180の開発を進めることになった。ドットコムバブルの絶頂期でさえ、教室向け音声認識はまだSF世界の産物だった。

人工知能や機械学習を使っても、騒がしい教室の周囲雑音を遮断するために必要なテラバイトのデータを作ることはできなかった。また、大人よりも声の高さやしゃべるパターンの多い子どもたちの複雑な音声を把握したり、さまざまな方言や訛りを認識し、何よりも、システムを使う子どもたちの予測不可能な行動を操るまでには進化していなかった。

Scholasticでは、子どもたちに彼らの知らない何かを習得しているとは言いたくなかったし、実際には正しいのに何かを間違えたと幼い生徒たちに感じさせてしまうことの奥深い意味を私たちは理解していた。

時は過ぎて今。音声認識は子どもたちの発話を認識、理解して、異なる訛りや方言にも対応できるところまで進歩している。たとえばダブリン拠点のSoapBox Labs(ソープボックス・ラボ)は、にぎやかな校庭や教室で聞こえてくる子どもたちの多様な声をモデルにした音声認識技術を開発した。テクノロジーの高い精度と性能のおかげで、小学校教員はこれを使って生徒の進歩を高い規則性をもって測ることが可能になり、個人にあわせた指導方法をとれるようになった。

こうした進歩は、この上なく重要な時期にやってきた。

パンデミック前においてさえ、経済的に恵まれない家族の子どもたちの80%以上が、小学4年生の読み方習熟度に達していなかった。熟練した教育者から1年間切り離され、大人向けに作られたテクノロジーやデジタル格差と戦いながら、生徒たちは例年の87%しか読み方を習得できていない、とMcKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は報告している。春季の学校閉鎖によって、彼らは平均3カ月分の学習機会を失った。

想像できるように、読み方能力の欠如は有色人種生徒の多い学校で顕著であり、読み方スコアは過去の平均の77%でしかない。

生徒たちが教室に戻ってきた時、音声認識は教育に革命を起こせる。リモート学習や家庭でのエンターテインメントも含めて、子どもたちがテクノロジーとやり取りする方法を転換することによって変わる。音声を利用した読解、さらには数学、言語のプログラムが、子どもたちの習熟度の測定や基本知識の習得における事務的作業を肩代わりすることによって、現場は専門的作業に専念できるようになる。

例えば音声認識を使って生徒の読み方の進歩に関する有益な観察を定期的に生成し、パターンを見つけたり改善の必要な部分を特定したりできる。教師は音声対応ツールが生成した進捗や評価データを見て、それぞれの生徒にあった学習方法を適用し、失読症などの障害を見つけたり、必要な時に介助できるようにスケジュールを組むことができる。

音声利用読書ツールを使うと、授業時間中にすべての生徒が音読してフィードバックを受けることができる。こんなことは教師1人では実現不可能だった。例えば25人のクラスで生徒1人につき15分を費やすと、1人の教師の時間を6時間以上占める、毎日。この種の個人観察と評価は、新型コロナウイルス(以前から)教師にとって永遠の課題だった。自宅学習が導入され、生徒たちが教育的にも情緒的にも過去に類を見ない問題を抱えて学校に戻ってくることで、問題はいっそう深刻化している。

音声認識技術には、教室の公平性を高める可能性もある。人間による読み方能力の評価は、結局のところ極めて主観的であり、評価者の偏見によって最大18%の偏差が見られたという最近の研究報告もある。現在利用可能な子ども中心で精度の高い音声認識は、訛りや方言によらずどの子どもの声も理解することで、人間の必然的な偏見を排除することができる。

今後数年のうちには、このテクノロジーがあらゆる教室で授業の一部となり、年少者の読み方(および数学や言語)能力を高めるようになるだろう。教育者は、この技術をより戦略的に自らの授業に取り入れられることに気づくだろう。そしてこれは、新型コロナ時代に切実に求められているものへの期待を大きく高める。それは読解能力を著しく改善し、世界的な読み書き能力問題に、深く本格的に取り込むことのできるテクノロジーだ。

編集部注:本稿の執筆者Mergery Mayer(マージェリー・メイヤー)氏は、Scholasticで教育担当プレジデントを25年間務めている。

画像クレジット:Flashpop / Getty Images

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(文:Margery Mayer、翻訳:Nob Takahashi / facebook