GMの自動運転部門Cruiseがロボタクシーを「どのように」実現するのかを発表

米国時間11月4日の夜、Cruise(クルーズ)の自律走行技術の詳細について語ったエンジニアたちがTesla(テスラ)の名前を口にすることはなかった。あるいはそうする必要もなく、明確なメッセージが伝えられたのだ。

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転部門であるCruiseが、極めて詳細な技術および展開ロードマップを発表した。これは高度な運転支援システムを搭載した車両を含め、人間が運転するどんな車両よりも安全で拡張性の高い自律走行車を同社がいかにして構築してきたかを誇示することを目的としたものである。

イベントでCruiseが自社の技術をアピールしていたのはもちろんだが(当然のことながら才能ある人材のリクルートのためでもある)、同時にこのイベントは自律走行車全般についての議論の場ともなっていた。木曜日に登壇したエンジニアやプロダクトリーダーらは、シミュレーションの利用方法や独自のチップなどのハードウェア開発、アプリや車両の設計などさまざまな要素を紹介してくれた。

「Under the Hood」とブランディングされたこのイベントは、2021年10月に開催されたGMの投資家向け説明会でCEOのDan Ammann(ダン・アマン)氏が、Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)の改良版を皮切りに、数年後には各目的に合わせた自律走行車Origin(オリジン)を何万台も展開して、商用のロボットタクシーや配送サービスを開始する計画を明らかにしたことを受けて開催されたものである。

Cruiseはカリフォルニア州で商業配送サービスの認可を取得したばかりで、さらにドライバーレスのライドヘイリングとして課金できるようになるにはまだもう1つ別の許可が必要だ。それでもCruiseはコストを十分に削減して、迅速にスケールアップしていくことができると考えている。

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その方法は以下のとおりだ。

システムの検証だけではなく、スケールアップのためにシミュレーションを利用する

Cruiseはシミュレーションを多用しており、それは安全性を証明するためだけでなく新しい都市で何百万マイルものテストを行うことなくスケールアップするためでもある。

同社は進出する都市の地図を作成する必要はあるものの、車線変更や道路閉鎖など、必然的に起こる環境の変化に合わせて都市を再マッピングする必要はない。Cruiseが新しい都市に進出する際には、まずWorldGenと呼ばれる技術を使用する。これは「予測できないような道から細部に至るまで」都市全体を正確かつ大規模に生成するもので、これによりエンジニアが新しいオペレーションデザインの領域を試すことができるのだと、Cruiseのシミュレーション部門の技術戦略リーダーであるSid Gandhi(シド・ガンジー)氏は話している。つまりWorldGenは未来のシミュレーションが行われる舞台となるものなのである。

最適な環境を作り上げるため、Cruiseは24の異なる時間帯の明るさや天候などを考慮し、さらにはサンフランシスコに設置されたあらゆる街灯の光を体系的に測定した。

「高忠実度の環境とプロシージャルに生成された都市を組み合わせることで、新しい都市に向けて効率的にビジネスを拡大することができます」とガンジー氏は話す。

そして次に同氏は道路上で自律走行車が収集した実際の事象を、編集可能なシミュレーションシナリオに変換する「Road to Sim」の技術を紹介した。これにより、すでに見たシナリオと比較してテストすることで自律走行車が逆行しないようにするという仕組みである。

「Road to Simでは、知覚から得られる情報と、何百万マイルもの実走行から得られたヒューリスティックな情報を組み合わせて道路データから完全なシミュレーション環境を再現します。シミュレーションができたら、実際にイベントのバリエーションを作成し、車両や歩行者のタイプなどの属性を変更することができます。これは、AV開発を加速させるテストスイートを構築するための、非常に簡単で非常に強力な方法です」。

Cruiseが実際の道路状況で収集できていない特定のシナリオのためにはMorpheusがある。Morpheusは地図上の特定の場所に基づいてシミュレーションを生成できるシステムで、機械学習を利用して必要なだけパラメータを自動入力し、何千もの特殊なシナリオを生成してそれに対して自律走行車をテストするというものである。

「特殊な状況の解決に向けての実地テストは減少傾向にあります。なぜなら滅多に起こらないイベントを適切にテストするために何千キロもの距離を走らなければならず、拡張性に欠けるからです。そのため私たちは、大規模なパラメータ空間をスケーラブルに探索してテストシナリオを生成する技術を開発しているのです」。

テストシナリオには、他の道路利用者が自律走行車に反応する様子のシミュレーションも含まれている。Cruiseのこのシステムはノンプレイヤーキャラクター(NPC)AIと呼ばれており、これは通常ビデオゲーム用語なのだが、この文脈では複雑なマルチエージェントの行動を表現するシーン内すべての車や歩行者を指している。

「Morpheus、Road to Sim、NPC AIの3つの機能が連携することで、まれに発生する困難な事象に対してより確実なテストを行うことができるようになりました。これにより、現在ある特殊な問題を解決できるだけでなく、将来の類似した問題も解決できるという確信を得ることができました」。

ガンジー氏は、合成データを生成することで、Cruise の自律走行車が特定のユースケースをターゲットできるようになると述べ、特に緊急車両の識別や相互作用について言及した。これは、ADAS(先進運転支援システム)のAutopilotが緊急車両との衝突を繰り返しているとして連邦政府の監視下に置かれているTeslaを意識したものに違いない。

「緊急車両は他の種類の車両に比べて稀ですが、極めて高い精度で検出できる必要があるため、当社のデータ生成パイプラインを使用して救急車、消防車、パトカーのシミュレーション画像を数百万枚作成しています。我々の経験では、ターゲティングした合成データは道路データを収集する場合よりも約180倍速く、数百万ドル(数億円)も安くなります。また、合成データと実データを適切に組み合わせることで、データセット内の関連データを1桁以上増やすことができます」とガンジー氏は説明している。

自社開発の2つのカスタムシリコンチップ

10月に開催されたGMの投資家説明会にて、CruiseのCEOであるアマン氏は、Originの計算能力に多額の投資を行い、今後4世代にわたってコストを90%削減し、利益を上げられるようにするという計画を説明した。その際アマン氏は、コスト削減のためにカスタムシリコンを自社で製造するという意向には触れたものの、そのシリコンを使ってチップを製造するということについては表明していない(TechCrunchは予測していたのが)。しかし11月4日、OriginプログラムのチーフエンジニアであるRajat Basu(ラジャット・バス)氏はこの説を実証してくれた。

「当社の第4世代コンピュートプラットフォームは、社内で開発したカスタムシリコンをベースとする予定です。これは当社のアプリケーションに合わせて作られたもので、フォーカスを可能にして処理能力を向上させるとともに、ピースコストと消費電力を大幅に削減しています。コンピュートは安全性の観点からも重要なシステムであり、冗長性が組み込まれています。それに加えて毎秒10ギガビットのデータを処理するAVシステムでは、かなりの電力を消費することになります。当社のMLHチップを使うことで複雑な機械学習パイプラインをより集中的に実行することができ、それにより性能を落とさずにエネルギー効率を上げることができます」とバス氏は説明している。

CruiseのAIチームは2つのチップを開発している。センサー処理チップは、カメラ、レーダー、音響などの各種センサーのエッジ処理を行うもので、2つ目のチップは、ニューラルネットワーク専用のプロセッサーとして設計されており、AIチームが開発した大規模なマルチタスクモデルのような機械学習アプリケーションをサポートし、加速するものである。バス氏によれば、この機械学習加速装置(MLA)チップは、特定のクラスのニューラルネットやMLアプリケーションを解決するのにまさに適したサイズであるという。

「これによりパフォーマンスを極めて高いレベルで維持することができ、当社にとって付加価値のないことをするためにエネルギーを浪費しないようにしています。複数の外部ホストと組み合わせることも、スタンドアロンで動作させることも可能で、最大25Gまでのシングルイーサネットネットワークをサポートし、総帯域幅は400Gに達します。今回量産を開始するMLAチップはほんの始まりに過ぎません。今後時間をかけて消費電力を抑えながら、さらなる高性能化を進めて参ります」。

Cruiseのエコシステム

今回のイベントでCruiseが明らかにしたのは、成功裏にスケールアップするために必要な自律走行車技術だけでなく、未知のシナリオに遭遇したときの自律走行車の判断を検証するリモートアシスタンスオペレーターやカスタマーサービスの他、人々が実際に乗ってみたいと思う車両、カスタマーサポートや事故対応などを効率的かつ容易に処理できるアプリなど、エコシステム全体を考えているということである。

Cruiseのプロダクト担当副社長であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏は同イベントで次のように述べている。「研究開発を愛される製品へと進化させるためには、人工知能やロボット技術以上のものが必要です。安全な自動運転車というだけでは不十分であり、これは長い道のりの最初の一歩に過ぎません。何百万人もの人々の日常生活に取り入れられるような競争力のある製品を構築し、拡張するためには、安全な自動運転という基盤の上に多数の差別化された機能やツールを構築する必要があります。こういった機能をどのように実装すべきかは、特に安全性の問題にまだ頭を悩ませている企業にとっては明白ではないでしょう」。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

GMが船舶用電動モーターメーカーPure Watercraftの株式25%を取得

General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)は、シアトル拠点の電動ボート会社Pure Watercraft(ピュア・ウォータークラフト)の株式25%を取得した。GMの今回の動きは、2025年までに電気自律走行テクノロジーに350億ドル(約4兆200億円)を投資するというコミットメントの一環として、ボートやその他の車両を含むあらゆる電動の乗り物へ関心を広げていることを反映している。

Pure Watercraftは、25~50馬力のガソリンエンジンを搭載したボートのドロップイン代替として使用できる、Pure Outboardと呼ばれる全電動船外モーターシステムを製造している。また、大手ボートメーカーと提携し、はしけ、釣り用ボート、硬式ゴムボート2種など、電動ボートの完成品を販売している。

Pure Watercraftによると、ガソリンエンジンと比較して電気システムはメンテナンスが不要で、化石燃料による汚染もない。また、Pure Outboardでは15%の充電量で、20マイル(約32km)を航行する4時間近い釣りクルーズができる、と同社のウェブサイトにある。

同社は2020年9月、生産を本格化させるべくL37がリードしたシリーズAで2300万ドル(約26億円)を調達した。この9年前に、CEOのAndy Rebele(アンディ・レベレ)氏が会社を設立した。今回のGMの出資により、両社はバッテリー技術の共同開発と商業化を進め「GMの技術をさまざまな用途に統合していく」とGMは声明で述べた。

今回の出資は、道路交通車両や航空機を超えて、従来のガソリン駆動に支配され続けてきた輸送やモビリティの形態に電気技術が向かい始めていることを示す最新例だ。創業10カ月の電動船舶スタートアップArcは10月、複数の新しい投資家を迎え入れるなどし、総額700万ドル(約8億円)を調達した。また、シアトルのスタートアップZin Boatsは電動スピードボートの開発を進めている。

GMは、鉄道や航空宇宙など他のモビリティ産業での自社技術の利用をすでに検討していて、今回の動きは注目に値する。2021年初め、GMはWabtecと提携して水素燃料とバッテリーを使用した電気貨物機関車を開発した。また、Liebherr-Aerospaceとの提携で航空機用の水素燃料電池実証システムを共同開発することも発表した。

画像クレジット:Pure Watercraft

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがHummer EVをベースにした軍用車両を計画、しかし軍導入の保証なし

Hummer H1は軍用トラックをベースにしていたが、いまGM(ゼネラル・モーターズ)はその恩返しをする準備ができているようだ。GM Defenseの社長Steve duMont(スティーブ・デュモント)氏がCNBCに語ったところによると、同社は間もなく展開されるHummer EVをベースにした軍用車両のプロトタイプの製造を計画している。eLRV(電動軽装甲車)では、Hummerのフレーム、モーター、Ultiumバッテリーを米軍の要件に合わせて改造する。

プロトタイプは2022年中に完成する予定だ。しかし、米軍がこのeLRVを使用するという保証はない。陸軍はまだこのようなEVの可能性を模索しており、もしあればの話だが、GMは(ライバルメーカーとともに)正式な要求を待たなけれなならない。選択は2020年代半ばに行われる見込みだ。

軍用のEVは、少なくとも前線で活躍する車両には物流面での課題がある。まず、戦場で充電ステーションを見つけることはできず、電力網に依存しない輸送可能な充電システムが必要となる。デュモント氏は、GMが燃焼式の充電システムを提供できるかもしれないと述べた。また、気温がEVの航続距離に大きく影響することや、迅速な方向転換や修理のために重要な取り替え可能なバッテリーがまだ初期段階にあることも付け加えたい。

軍のEV導入にはメリットがあるかもしれない。燃焼式充電器の必要性がその利点を部分的に相殺するとしても、全体的な二酸化炭素排出量を改善できそうだ。EVは可動部品が少ないため、一般的にメンテナンスが少なくて済む。また、従来の車両では音が大きすぎるような偵察やステルス任務には、EVの静かな動作が非常に役立つはずだ。課題は、これらの利点を最大限に活用しながら、運用スピードを低下させるような欠点を最小限に抑えることだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Steve Fecht for GM Defense

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米議会、自動車に飲酒運転防止技術を義務化

米議会は、バイデン大統領の巨大なインフラ法案とともに、飲酒運転撲滅のために過去最大の後押しをしている。以前の報告にあったように、その条項の1つは新車への飲酒運転防止技術の搭載を義務付けることが含まれていた。現在、Autoblog(オートブログ)が報じたところによると、インフラ投資・雇用法はこの措置をそのまま残して議会を通過し、近日中に大統領の署名が行われる見込みだ。この法案の一環として、自動車メーカーは早ければ2026年までに、飲酒運転を検知して停止させる技術を搭載しなければならなくなる。

しかしまずは、運輸省は飲酒運転を抑制するための最善の解決策を決定しなければならない。具体的には、この法案は「運転者に影響があるかどうかを正確に識別するために自動車の運転者のパフォーマンスを受動的に監視する」ことが求められている。Guidehouse Insights(ガイドハウスインサイト)の主席モビリティアナリストであるSam Abuelsamid(サム・アブエルサミド)氏は、この法案は、GMや日産などがすでに採用している赤外線カメラソリューションに似ているとAP通信に語った。もちろん、飲酒運転の罰則として使用されている飲酒検知器よりも高度なものが必要であることはいうまでもない。

国家道路交通安全局によると、米国では毎年約1万人が飲酒運転による事故で亡くなっている。より高性能なセンサーと、ドライバーの行動を監視するための多くのカメラ技術を手に入れた今、この種の事故を防ぐためのソリューションを検討することは理に適っている。10年以内には、シートベルトのように当たり前のものになるはずだ。

このインフラ法案には、シートに子どもを残したままにしている親に通知するリアシートリマインダーなど、他の安全対策も含まれている。また、議会は自動緊急ブレーキや車線逸脱警報など、多くの新車がすでに搭載している機能も義務化する予定だ。真の自動運転車がいつ実現するかは不明だが、それまでは、少なくとも人間のドライバーは、事故を防ぐための方法が増えることを楽しみにできる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。寄稿者のDevindra HardawarはEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:SoCalShooter / Getty Images

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(文:Devindra Hardwar、翻訳:Yuta Kaminishi)

自動運転ユニコーンMomentaがシリーズCに約567億円を追加、中国AD分野では今年最大のラウンドに

MomentaのCEOであるCao Xudong(カオ・シュドン)氏とGM China社長のJulian Blissett(ジュリアン・ブリセット)氏(画像クレジット:Momenta)

9月にGeneral Motors(GM、ゼネラルモーターズ)から3億ドル(約340億円)の投資を受けた中国発の自動運転ソリューションプロバイダーであるMomentaは、中国時間11月7日、シリーズC追加ラウンドで5億ドル(約567億円)を調達したと発表した。

この新たな資金調達により、同スタートアップのシリーズCの総額は10億ドル(約1134億円)を超えた。Momentaは、GMなどの自動車メーカーやBosch(ボッシュ)などのTier1サプライヤーに先進運転支援システム(ADAS)を提供する一方で、真の無人運転、すなわちレベル4走行の研究開発を行うという、同社が言うところの二足のわらじ戦略をとっている。

このスタートアップには、中国の国有企業であるSAIC Motor(上海汽車集団)、GM、トヨタ、メルセデス・ベンツ、Boschなど、ヘビー級の戦略的投資家が集まっている。機関投資家としては、シンガポールの政府系ファンドであるTemasek(テマセク)や、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYunfeng Capital(云锋基金)などが名を連ねている。

Momentaは、自動車メーカーとの提携により、自社でロボタクシーを開発するという資金のかかるルートを選択した他社との差別化を図っている。その代わりに同社は、自社のソリューションを搭載した量産車のネットワークからデータを得ることを重要視している。Pony.ai(小馬智行)とWeRide(ウィーライド、文遠知行)は最も近いライバルだが、彼らも多額の資金を調達している。

GMとの提携の場合、Momentaのソリューションは、コンシューマーグレードのミリ波レーダーと高精細カメラを組み合わせたもので、米国ではなく中国で販売されるGMの車両に搭載される。Momentaは最近、ドイツのパートナー企業との関係強化のために初の海外オフィスをシュトゥットガルトに開設したが、これはMomentaの技術が自国の市場以外にも広がっていく可能性を示唆している。

画像クレジット:

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

Cruiseがサンフランシスコで無人運転ロボットタクシーサービスを開始

ゼネラルモーターズの自動運転子会社であるCruise(クルーズ)の従業員は、これからサンフランシスコで運行される人間の運転手が同乗しない自動運転車の初めての乗客になる。一部の一般客も乗ることができるが、運賃はかからない。

Cruiseの共同創業者であり、CTOかつ社長のKyle Vogt(カイル・ボークト)氏は、ドライバーレス自動運転車(AV)に初めて乗車した様子をTwitterで紹介している。

ボークト氏は「月曜日の夜11時頃、私たちは初めて中に誰も同乗していない状態でAVを発車させました」とツイートしている。「これまでは、人間が運転席や助手席に座って実験していたので、これは初めての試みでした。街中を巡航しながら、乗車リクエストを待つようになります。午後11時20分、私はCruiseのアプリを使って、最初の乗車を行うタクシーを呼び出しました。数分後、(「サワードウ」という名前がついている)Cruise AVの1台が私の目の前にきて停車した。車内には誰もいなかった。”start ride”(走り出す)ボタンを押すと、AVはスムーズに車線に入っていきました」。

ボークト氏はその夜、さらに5回乗車リクエストを行ったという。Cruiseがカリフォルニア州自動車局から取得した「ドライバーレス運行許可証」の規定によれば、午後10時から午前6時までの間、最高時速30マイルでしかドライバーレス運行ができないため、乗車は夜間にならざるを得なかったのだ。クルーズは10月初旬にこの許可を取得したが、これにより、人間が乗っていない車両の運行が可能となり、配達サービスに対して料金を請求することができるようになったが、乗客を乗せるタクシーサービスには課金することができない。

Cruiseが人間を同乗させない今回の最初の運行を始めたのは、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏が、Cruiseが2022年までにドライバーレスのタクシーサービスや商用配送運転を開始することをGMは確信していると述べてから約1週間後のことだった。Cruiseは、ロボットタクシーサービスに課金するために必要な、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)からの最終的な許可への申請をまだ行っていない。それまでは、サワードウをはじめとする人間の同乗しないAVに乗ることができるのは、Cruiseの社員と無料乗車の一般市民だけだ。

Cruiseは、特定の一般人も乗れることを認めているが、誰が乗れる資格があるのかは明らかにしていない。またCruiseは、このドライバーレスサービスをまだ一般人には公開していない。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

GMがディーラーと協力してEV充電ステーション4万基を北米で設置

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車の導入を促進するため、7億5000万ドル(約853億円)を投じて充電インフラを整備するという野心的な計画の一環として、北米全域に最大4万基の電気自動車用充電器を設置すると発表した。


このプログラムでは、GMは米国およびカナダの自動車ディーラーに充電器を提供する。しかし、ディーラーは自社の敷地内に充電器を設置するのではなく、適切な場所を特定してインフラの設置を行う。GMは、各ディーラーに最大10基のUltium充電ステーションを提供し、それぞれの地域に配備する。また、ディーラーが充電器を設置するためのインセンティブやその他の資金調達プログラムへの申請を支援するとしている。

GMのEVインフラ担当リードアーキテクトであるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏はTechCrunchに「ディーラーはすでに地元で活動していることが多く、この計画(Dealer Community Charging Programと呼ばれている)でGMはディーラーと提携することにしました」と語った。「ディーラーはすでに地域社会でかなり活発に活動しており、すばらしい関係を築いて地域社会のことをよく知っているので、それを活用しない手はありません」。

新しいインフラは「Ultium Chargers」と呼ばれ、GMの明確なブランド名を持つことになるが、TeslaのSuperchargingネットワークと違ってGMの4万基の新しいレベル2充電器は独自のネットワークではない。ケロス氏は、電気自動車の販売を促進するために、独占的なネットワークを展開することには興味がない、と明言した。

「我々の世界観は、『誰でも参加できる 』というものです。私たちは、海を育てるようにしたいのです」。

GMはまた、EV充電器メーカーのCTEKと共同で開発・製造した家庭用および業務用のUltium Level2スマートチャージャー3種を展開する。このうち2種は11.5kW、残る1種は19.2kWで、間もなく発売予定の電気自動車GMC HummerやCadillac Lyriqへの電力供給に最適だ。これらの充電器は、Dealer Community Charging Programで使用されるが、家庭での使用にも適している、とケロス氏は話した。

充電器にはWi-FiとBluetooth機能が搭載され、より強力なタイプにはカスタマイズ可能なスクリーンが搭載される。また、充電器は負荷を分散することができ、車両へのエネルギーの流れを安全に調整することができる。例えば、住宅に設置した場合、自動車と他の家電製品との間の電流のバランスを取ることができる。

GMのアプリ「Ultium Charge 360」を使えば、充電器の状態を把握したり、充電スケジュールを設定したりすることができ、充電の習慣や履歴などの統計情報を閲覧することも可能だ。このアプリではすでにGreenlots、Blink、FLO、ChargePoint、EVgo、EV Connect、Greenlots、SemaConnectなど北米の7つのネットワークの充電器を検索することができる。GMは、GM車と非GM車の間で充電体験がどのように異なるかについて詳細は明らかにせず、すべてのEVに対応するとだけ述べた。

GMは、コミュニティ充電プログラムの開始に合わせて、来年には充電器の販売を開始する予定だ。顧客は充電器の購入費用をGMファイナンシャル・リースや契約に組み込むことができる。

同社は、2025年末までに全世界で30種のEVを発売するという目標を掲げている。同年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約3兆9810億円)を投資する計画を立てており、その実現に向けて迅速に動いている。

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先の記者会見で、会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「入手しやすい価格のEV、真に手ごろ価格のEVを提供します。またそうした車両は多くの人々にとって唯一の自動車となり、信頼できる充電インフラを必要とするため、当社はエコシステムにも取り組んでいます」と述べた。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】GMC Hummer EVにしびれる。3つのモーターと四輪操舵ですばらしいスピードとハンドリングを実現

11万ドル(約1230万円)のGMC Hummer EV(ジーエムシー・ハマー・イーブイ)は、最高のオフローダーであるとともに、高級セダンの快適さとスポーツカーのスピードを併せ持つ、欲張りなマッシュアップだ。そしてトラックとしての荷台を備える。GM(ゼネラルモーターズ)は、この車をスーパートラックと呼ぶが、そのとおりだろう。

GMのテストコースでHummer EVを運転してみて、いくつかのことがすぐにわかった。まず、この巨大なHummer EVは、十分なパワーと優れた四輪操舵のおかげで、運転が楽しい。次に、インフォテインメントシステムと運転席のメーターパネルは美しいが、非常に込み入っており、時折表示に遅れが生じる。最後に、Hummer EVは、GMの「Ultium(アルティウム)」プラットフォームが、いかに新規性のある機能や特徴を車に持たせることができるかを示す、絶好の例となっている。

GMの広報担当者は、筆者に運転させる前、あまり大きな期待は抱かせなかった。GMは、Hummer EVの運転や操作の仕方についてのみ説明し、具体的な車両の仕様、性能、入手状況などについては答えられないとしていた。カメラの使用は禁止され、筆者の携帯電話にセキュリティテープを貼るほどだった。筆者がHummer EVを運転したのはわずか30分だけで、すべてミシガン州ミルフォードの僻地にあるGMの試験場奥地でのことだ。

留意すべきは、その試走は量産前の車両で行われたということだ。必要なものはすべて揃っているといわれたが、一部の内装材や付加的な騒音防止材など、いくつかの部材が欠けていた。

Hummer EVで岩場を越えたり、未舗装の道路を突っ走ったり、GMの高速テストコースで時速95マイル(時速約153 km)を叩き出したりした。そして、いろいろなことがわかった。Hummer EVは、どこへでも行けて、何でもできるクルマだ。岩場を登ることも、狭い駐車場に入れることも、大人5人とその荷物を快適に運ぶこともできる。3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達し、四輪操舵のおかげで、見た目よりもずっと小回りが利く。

GMCHummer EV、2021年9月25日土曜日、ミシガン州ミルフォードにあるゼネラルモーターズのミルフォード試験場にて(画像クレジット:Steve Fecht for GMC)

四輪操舵が最高

Hummer EVには、楽しい仕掛けがある。この大きな幅広の車は、道路上をのろのろと走り出すが、それはあっという間に軽快な走りに変わる。電気モーターと四輪操舵により、ピックアップトラックよりも軽快に走り、大型クロスオーバー車よりも応答性が良い。つまり、Hummer EVはピックアップトラックではなく、頑丈で幅広のスポーツカーのような走りをする。

往年のハマーは、耐久性のあるトラックのように、圧倒的なパワーが感じられた。このHummer EVもやはり止めることのできない感じがあるが、今では高速道路でも山奥の小道でも同じように快適に走ることができる。購入者は、Hummer EVの性能のために快適さを譲歩する必要はない。過去のハマー(そして現在のJeep[ジープ]や4Runner[フォー・ランナー])は、オフロード性能のためにオンロードでの乗り心地を犠牲にしていたが、Hummer EVでは何も失われていないように見える。あるボタンを押せば、岩場を登り、別のボタンを押せば、ほとんどのスポーツカーを凌駕する走りを見せる。

その公式は、3つの電気モーター+四輪操舵だ。これは秘密の公式というわけではなく、Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも同じ組み合わせが搭載されている。

Hummer EVの四輪操舵のインパクトは簡単には語れない。後輪は最大10度まで舵角を変えることができ、全モデルに標準装備されている。「CrabWalk(クラブウォーク、カニ歩き)」と呼ばれる最も極端な使用例では、四輪操舵により、まるで氷の上のように左右に滑るように動き、5人乗りのピックアップトラックというよりも後輪駆動のフォークリフトのような感覚で走行することができる。

後輪操舵は1980年代に登場したが、当時はスポーツカー以外にはほとんど採用されなかった。しかし、2000年代初頭から再度使われ始め、GMは2002年から2005年までハーフトントラックのSuburban(サバーバン)とSilverado(シルバラード)に搭載していた。現在では、いくつかのセダンに搭載されており、一部のモデルでは2~3度、超高級モデルでは最大10度の転舵が可能だ。これらのシステムは、一部の購入者に向けた高価なオプションだが、Hummer EVでは標準装備されており、その機能と魅力に欠かせないものとなっている。

また、この四輪操舵により、Hummer EVは同等のサイズの車よりもはるかに小回りが利く。転回は速く、バックも楽になり、大型SUVというよりファミリーセダンのように扱えるピックアップトラックだ。回転半径は37フィート(約11 m)で、フルサイズピックアップのシボレー・シルバラードよりもコンパクトカーのシボレー・ソニックに近い。

このシステムを試せたのはほんの数分だけだったが、四輪操舵に慣れが必要ということもなく、タイトな転回を補うために自分のドライビング感覚を調整する必要もなかった。自然に機能し、自然に感じられた。後部座席ではこの違いを感じられるかどうか気になるところだ。

四輪操舵は、デフォルトでアクティブになっているが、オフにすることもできる。高速道路を走行しているときには、Hummer EVの前輪と後輪は同位相で動くため、けん引するトレーラーの揺れがなくなり安定するという(検証する機会があるとよいのだが)。

この四輪操舵機能により、Hummer EVは斜めに走ることができる。クラブウォークを作動させるには、ドライバーが車を止めて、いくつかのメニューボタンをクリックする必要がある。一旦作動させると、前輪と後輪が連動して転舵するようになり、今までにない感覚で車を横へ向かって走らせることができる。ハンドルを左に切れば、車体は左斜めに滑るように移動する。車の前部が左に向くのではなく、車両全体が左に流れて行くのだ。四輪操舵はスピードを出すためのものではなく、駐車やロングドライブを快適にし、見る者を感動させるためのシステムだ。そして、これまでにはない感覚だ。

デトロイトで開催された2021年のWoodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)においてGM社員がHummer EVの能力を示す熱いデモを行っている。その様子は以下の動画をご覧いただきたい。

Watts to Freedom=WTFモード

Hummer EVは、本気を出せば、とんでもない加速を見せる。Watts to Freedom(ワッツ・トゥ・フリーダム、WTF)モードと呼ばれる発進モードはすばらしく、ドライバーは3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達する。これは超絶な速さだ。標準的な車両モードでの普通の発進でも、Hummer EVはスムーズに加速するが、WTFモードのようにドライバーをシートに貼り付けるほどではない。

どのような車でもこの加速があるだけですばらしいことだが、5人乗りのピックアップトラックでそれを実現するのは、さらに衝撃的だ。この四輪駆動のピックアップは、余裕の駆動力によりロケットのような勢いで飛び出していく。これは、テスラのModel X(モデルエックス)など、他の電気自動車からも受けるスタート感覚に似ている。

通常の走行モードでは、Hummer EVのトルクは抑えられているが、それでもなおドラッグレースにも足りる十分な速さがある。加速はモニターされた上で制御されており、このチューニングの精度は評価に値する。

Hummer EVのワイドなボディは、安定した乗り心地につながっている。試験場の裏道でHummer EVを走らせ、砂利道ではテールを振ってみた。アグレッシブなコーナリングでは、車体はしっかりとフラットを保ち安定している印象を受けた。バンクのあるテストコースでも、他の車と同じようにしっかりとした頑丈さが感じられた。トラックの底部に詰め込まれたバッテリーにより、重心は低く保たれ、Hummer EVは、以前のガソリンモデルのようにトップヘビーになることはなかった。

高速周回コースでは、何もしなくても時速90マイル(時速約145 km)に達した。無理をしている様子はなく、アクセルを踏めばあっという間にスピードに乗る。Hummer EVは、ラングラーの35インチ(約89 cm)の巨大なタイヤで道路を疾走し、最高のクルーズを提供する。また、タイヤノイズも気にならない。

Hummer EVは静かではない。アクセルを踏むと、2つの音が聞こえてくる。3つの電気モーターがうなる音と、より鈍重で電気ノイズのように聞こえる人工的な回転音だ。オフロードモードでは、増えたロードノイズをかき消すほど、人工的な音が大きくなる。しかし結局のところ、不快ではないと感じた。これらの音は激しくなく、常にバックグラウンドに溶け込んでいる。GMのエンジニアは、ドライバーが音によるフィードバックを必要とし、無意識のうちに期待していると同社は判断したと説明する。

筆者はHummer EVで数十の大きな岩を乗り越えるボルダリングを試した。乗り越えられたか?もちろん。難なく?そうでもない。Hummer EVは岩の上を滑り、トラクションを維持するのに苦労した。念のためにいっておくと、今回の試走は、GMがビーチボール大の岩を多数敷き詰めたテストコースで行われ、10フィート(約3 m)のセクションを試すことができた。Hummer EVのオフロード性能を結論づけるには、今回の体験だけでは足りないだろう。

工業製品的な使用感

インフォテインメントシステムについては、あまり詳しく見る機会がなかった。それでも、いくつかの発見はあった。1つは、Epic(エピック)のUnreal(アンリアル)グラフィックエンジンのおかげで、このシステムが美しいことだ。ビデオゲーム用に開発されたUnrealエンジンのこの特別なビルドを使用したのは、Hummer EVが初めてだ。このシステムは美しいが、量産前のテスト車両ではラグがあり、入力に反応するまで、常に数秒を要した。これは、画面上でオプションを選択しても、機械的なコントローラー(テレインセレクトのダイヤルなど)を使用しても同じだった。

また、インフォテイメントのデザインは、表示は美しいものの、複雑で込み入っており、いかにも人工的な工業製品のようだ。GMのエンジニアは、大げさなアイコンやメニューを多数使ったインターフェイスにより、画面のグラフィック能力を誇示しようとしたのではないだろうか。グラフィカルな要素は、使いやすさよりも見た目の美しさを重視しているように見える。

GMは、Hummer EVのカメラの性能のデモに熱心だった。車両には18台のカメラが搭載されており、そのうちの数台は車体の下に取り付けられている。これは、不整地を走行するときやトレーダージョーズで駐車するときにドライバーをサポートするためのものだ。これらのカメラは公表されている通りに機能し、一部のカメラには汚れを除去するクリーナーが内蔵されている。

また、GMがエアコンのボタンをタッチスクリーンのメニューに含めるのではなく、物理的なボタンとして残しているのはうれしいことだ。テスラやRivian(リビアン)など、他のEVメーカーは、温度設定ダイヤルやシートヒーター、さらにはベントの向きのコントロールさえもタッチスクリーンに追いやっているが、Hummer EVでは、そうした操作のためにロッカースイッチが並んでいる。

運転席からの視界はすばらしく、ドライバーは、遠くまで見渡すことができる。運転席と助手席の足元と上部には十分なスペースが確保されており、広々としている。後部座席は足元が若干狭くなっているが、それでもワイドボディのおかげで余裕がある。フルサイズSUVといえば、前は広く、後ろは狭いというものだろう。

新しい電動パワートレイン

GMは、Hummer EVのパワートレインの詳細を公表している。Hummer EVエディション1は、ユニボディのフレームに24モジュールのバッテリーシステムを搭載している。これは、GMが2020年3月に発表したUltiumプラットフォームを、同社で初めて採用したものだ。

関連記事:GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

3つのモーターを搭載するメリットはいくつかある。これらの電気モーターにより、ハマーの前後輪両軸に電子制御式のディファレンシャル機構を装備することができ、低トラクション時に効果を発揮する。前輪には「eロッカー」を搭載し、後輪の2つのモーターは物理的には接続されていないがソフトウェアによって仮想的にロックされており、トルクベクタリングにより4輪のトラクションを制御でき、各タイヤの駆動や停止はミリ秒単位で制御できる。

Hummer EVのバッテリーについて、バッテリーが原因で二度のリコールを行ったChevy Bolt(シボレー・ボルト)に使用されているバッテリーパックと同様のものではないかと聞いてみた。GMの広報担当者は、GMはLG(エル・ジー)と共同でセルを開発しているが、Hummer EVのパックはミシガン州デトロイトのブラウンズタウン工場で製造しており、このバッテリーはボルトに使われているものよりも新しいセル化学を採用していると説明した。最終的には、オハイオ州ローズタウンにLGと共同で設立した施設でUltium電池を製造する予定だという。

残る疑問

Hummer EVには、筆者が試乗や使用できなかった機能が満載されている。例えば、GMの自動運転モードの最新版である「スーパークルーズ」では、高速道路での車線変更が可能になった。また、自動でタイヤの空気を抜く機能や、26インチ(約66 cm)の水深でも走行できる機能、100マイル(約161 km)の走行に必要な充電を10分で行う機能なども搭載されているという。残念ながら、ルーフパネルを外したり、いわゆるフランクに収納された状態を見たりすることはできなかった。また、インフォテインメントシステムも詳しく見てみたい。没入感は得られそうだが複雑そうでもある。

GMは、Hummer EVのいくつかの点について公表しておらず、今回の試乗でもほとんど何も明かされなかった。価格の詳細と入手状況は未だ不明だ。EPA(米国環境保護庁)の公式な航続距離評価は未発表であり、牽引力や運搬能力もまだわからない。

日頃から大型トレーラーを牽引している筆者には、Hummer EVは運搬や牽引のために作られたものではないように感じられた。パワーはあるが、ユニボディのフレームとエアサスペンションが、シボレー・シルバラード1500やFord(フォード)F-150よりも低い牽引力を物語っている。Hummer EVの牽引力は、ハーフトン・ピックアップ(8000~1万2000ポンド[約3600~5400 kg])よりもフルサイズSUV(6000~8000ポンド[約2700~3600 kg])に近いと推測している。もしそうであれば、Hummer EVはATV(四輪バギー)や小型ボートのトレーラー、そしてカーゴトレーラーなどは牽引できるということだ。しかしその仕様では、トラベルトレーラーについては小型か超軽量タイプ以外を牽引することはできないだろう。また、荷物を運ぶことがバッテリーの航続距離にどう影響するのかについても不明だ。

電気自動車革命

ここからは実際の状況だ。GMはナーバスになっている。Hummer EVは2020年10月に発表され、2021年秋にはディーラーに並ぶ予定だった。2021年10月現在、自動車産業に影響を与える世界的なサプライチェーンの危機に加え、同社のもう1台のEVであるシボレー・ボルトのバッテリーのリコールに思いの他注力しなければならない状況だ。関係者によると、GMは、シボレー・ボルトにおいて2回のバッテリーリコールを行ったことにより、消費者からの信頼について神経質になっているという。

ハマーのEV劇場の主役は、GMのUltiumプラットフォームだ。GMが2020年にEVの青写真を発表した際には、後輪駆動、前輪駆動、全輪駆動など、バッテリーと駆動ユニットの組み合わせにより19種類の構成で車両を作ることができるとしていた。また、400ボルトと800ボルトのバッテリーパックも用意するとし、このデザインはこのアメリカ最大の自動車メーカーに多くの選択肢を与えることを意味している。ハマーのEVは、そのUltiumプラットフォームの能力を実地で示す概念実証だ。もしそれが、Hummer EVの圧倒的なスピードと優れた操縦性を実現するのであれば、ロードスター、クロスオーバー、または7人乗りのファミリーカーに何が提供できるかも明白だ。

Hummer EVは、GMの仰々しく、注目を集めるスーパー電気自動車として成功している。最新のHummer EVは、これまでのハマーと同様に法外であり過剰だ。GMが何か特別な電動ピックアップトラックを作ったことは、ほんの数分でわかる。大きくて、重い電気自動車でありながら、とてつもないスピード、本格的なオフロード性能、充実した荷室容量など、すべてを備えている。Hummer EVにはすべてが詰まっている。

画像クレジット:GMC

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(文:Matt Burns、翻訳:Dragonfly)

GMのシボレー・ボルトEVのリコール費用はLGがほぼ全額負担

GM(ゼネラルモーターズ)は、何万個ものBolt EVのバッテリーを交換することになるかもしれないが、その費用の大半を負担する必要はなさそうだ。同社は、Chevy Bolt(シボレー・ボルト)EVとEUVのリコールにかかる費用のほぼ全額をLGが負担するという約束を取り付けた。GMは、費用20億ドル(約2270億円)のうち19億ドル(約2155億円)をLGが「補填する」と見積もっている。第3四半期決算でその費用は回収される見込みだ。

「高く評価され、そして尊敬されているサプライヤー」と契約に至ったことをうれしく思う、とGMは述べた。とはいえ、GMがこの契約を責任転嫁のために利用していることは間違いない。同社は、リコールの原因がLG製バッテリーの「製造上の欠陥」であることを強調した。LGは、陽極と陰極-陽極セパレータの問題を指摘し、これらの問題が重なるとバッテリーが発火する可能性が高くなることを突き止めた。

その後、LGはバッテリーの問題に対処し、生産を再開した。しかし、このリコールによる直接的なコストは二次的なものかもしれない。電気自動車の分野では比較的脆弱な両社の評判は打撃を受けた。特にGMにとっては、主力の2つのEVが一時的にでも路上から姿を消すというのは良いことではない。GMのHummer EVと電動ピックアップはそのイメージを回復させるかもしれないが、短期的にはあまり役に立たなさそうだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:GM

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

関連記事
米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告
GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

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GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米GMとGEがEV製造に使われるレアアース材料のサプライチェーン構築で提携合意

自動車メーカー各社がサプライチェーンの変化を先取りしようとしているさらにもう1つのサインとして、General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、EV(電気自動車)やクリーンエネルギー機器の製造に使用されるレアアース材料の供給に関して、General Electric(GE、ゼネラル・エレクトリック)と了解覚書(MOU)を締結したと発表した。

拘束力のないこの契約は、GEのクリーンエネルギー部門であるGE Renewable Energyとのもの。レアアース希土類に加えて、磁石、銅、電気用鋼の供給を改善する方法も検討されている。

当初は、北米および欧州における磁石製造のためのサプライチェーンの確立に焦点を当てた協力関係を構築する予定だという。これは、磁石の主な生産国が中国、ブラジル、インドなどであることを考えると重要なことだ。また両社は、銅や、自動車用トラクションモーターや再生可能エネルギー発電に使用されるリサイクル素材「eSteel」についても、新たなサプライチェーンを検討していく。

今回の合意は、北米の自動車メーカーが重要鉱物の供給において海外に依存することを減らしたいと考えていることを示している。このニュースは、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が、あらゆるものの電動化を進めるにあたり競争力を維持するために、銅やリチウムなどの鉱物資源の国内調達を強化するよう求めてきたことを考えると、先見性がある動きといえる。

そのために、両社は公共政策面での協力も視野に入れており、北米や欧州を中心としたこれらの素材のサプライチェーンの構築を支援する政策を模索している。

GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるShilpan Amin(シルパン・アミン)氏は、声明の中でこう説明している。「EV用素材の安全で持続可能なローカルサプライチェーンは、GMのビジョンである”オール・エレクトリック・フューチャー”を実現するために不可欠です。モーターは当社のアルティウム(Ultium)プラットフォームの最も重要なコンポーネントの一つであり、重希土類および軽希土類材料は当社のモーターマグネットに不可欠な成分です」。

画像クレジット:Jeffrey Sauger for Chevrolet

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMが「米国とカナダのすべての舗装道路」で使用可能になる新ハンズフリー運転支援システムを2023年より導入

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、新しいハンズフリー運転支援システムを2023年に導入する予定だ。このシステムは、運転中に予想される状況の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用できるようになる。

GMは、米国時間10月6日から開催されている2日間の投資家向けイベントで、この新しい「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」システムとそのいくつかの機能を発表した。ただし、GMはこのシステムの価格や使用料金、買い切り型になるのかそれともサブスクリプション制になるのかということは、明らかにしなかった。

GMは2017年に発表したハンズフリー運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」を導入した際と同じように、今度も慎重にゆっくりと展開していく戦略を採るようだ。つまり、この新しいシステムはまず、高級車ブランドのCadillac(キャデラック)の新型車にオプションとして導入され、後にChevrolet(シボレー)やGMCなど、他のブランドでも徐々に利用できるようになるということだ。

関連記事:GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

また、先代のシステムに比べればはるかに少ないものの、当初は利用できる場所が制限されることになる。Ultra Cruise搭載車の発売時には、まずは米国およびカナダの200万マイル(約322万キロメートル)以上の道路で、ドライバーはこのシステムを使用できる。GMによれば、使用できる道路は最終的に340万マイル(約547万キロメートル)にまで拡大される予定だという。Super Cruiseの初期仕様とは異なり、Ultra Cruiseは高速道路だけでなく、市街地や住宅地の道路、地方の舗装された道路でも利用できるように設計されている。

ただし、Super Cruiseがなくなるわけではない。最近では車線変更の自動化や牽引時のサポートもできるようにアップグレードされたこのシステムは、今後もGMの各ブランドのクルマにオプションとして提供される。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムが搭載されている。Tesla(テスラ)の「Autopilot(オートパイロット)」運転支援システムとは異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

この点はUltra Cruiseも同様だ。GMの自動運転グループでチーフエンジニアを務めるJason Ditman(ジェイソン・ディットマン)氏は、記者に向けた説明の中で、Ultra Cruiseがいわゆるレベル2の自動運転システムとして設計されていることを何度も指摘した。その機能はSuper Cruiseよりも信頼性が高く、より多くの道路で利用できるようになるにしても、ドライバーが常に注意を払っている必要があることに変わりはない。

つまり、Ultra Cruiseは「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーという形を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。Ultra Cruiseでは、カメラ、レーダー、LiDARの組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。ただしGMでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

このような仕組みによって、Ultra Cruiseシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行える。

さらにUltra Cruiseでは、フロントガラスの裏側に組み込まれたLiDARも使用する。この次世代システムを作動させるのは、5nmの拡張性が高いコンピューター・アーキテクチャで、これはGMの「Ultifi(アルティファイ)」ソフトウェア・プラットフォームや、車両ハードウェア・アーキテクチャ「VIP(ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」と連携して機能する。

GMは先週、Ultifiという新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェア・プラットフォームを開発しており、2023年から生産が始まる新型車に搭載すると発表した。同社によれば、このソフトウェアは、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになるという。このソフトウェア・プラットフォームは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャであるVIPの上に組み込まれる。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

Super Cruiseと同様に、Ultra Cruiseにも車内カメラを使ったドライバー監視システムは搭載されることになる。さらに、GMはドライバーが必要とする情報を提供する新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を、Ultra Cruise搭載車に採用するとしており、これはドライバーが車両を操作する必要がある時にも使用される。その中心的な装備である「Ultra Cruise Dynamic Display(ウルトラ・クルーズ・ダイナミック・ディスプレイ)」について、GMではドライバーの視線の先に情報を直接表示できる「自由形式のディスプレイ」と表現している。

GMは、駐車時に車載センターディスプレイに表示できるUltra Cruiseアプリも開発している。このアプリは、ドライバーの統計情報、走行履歴などを見ることができるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMは2030年までにサブスクをNetflix級のビジネスにしようとしている

GM(ゼネラルモーターズ)は2021年の車載サブスクリプションサービスの売上が20億ドル(約2230億円)近くに達し、2029年末には250億ドル(約2兆7800億円)とNetflixやPeloton、Spotifyに匹敵する規模になるとの予測を公表した。

GMのクルマは米国とカナダで1600万台走っている。現在その4分の1にあたるおよそ420万台のオーナーが有料サブスクリプションサービスを利用していると、米国時間10月6日の投資家向けイベントのプレゼンテーションで同社のイノベーション&グロース担当SVPであるAlan Wexler(アラン・ウェクスラー)氏が言及した。

同社はサブスク利用者の増加を見込んでいる。特に、2023年に同社のエンド・ツー・エンドのプラットフォームであるUltifiが公開されてサブスクリプションプラットフォームが強化され、Over The Airでソフトウェアをアップデートできるようになったら増加が加速するとの予測だ。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

GMの現在のサブスクリプションプラットフォームは、同社の子会社で車のセキュリティ、緊急サービス、ナビゲーションを提供するOnStarなどのサービスに対応している。

同社によれば、顧客は全般に複数のサービスを選びたいと希望しているという。同社は数千人の顧客を対象とした調査で、45種類の機能やサービスのオプションを提供した。顧客が選択したプロダクトやサービスは平均で25種類だった。

ウェクスラー氏は「我々の調査では、魅力のあるサービスを適切に組み合わせれば、お客様はプロダクトやサービスに平均で月額135ドル(約1万5000円)を支払うつもりがあるとの結果が出ています」と述べた。

GMは2030年までに米国内で3000万台の車にコネクテッドカー技術が搭載され、サービスの市場は800億ドル(約8兆9200億円)規模になると予測している。ウェクスラー氏は、GMは売上をさらに200億~250億ドル(約2兆2300億〜2兆7900億円)増やすことを目指しており、そのうちの60億ドル(約6700億円)は保険、それ以外はワンタイムの購入とサブスクリプションになるだろうと述べた。

OnStarとは別に、GMは2021年4月に公開したアプリベースの車載ナビゲーションソリューションでAlexaの音声コントロールで起動できるMaps+に関心を示している顧客をターゲットにする意向だ。また、法人顧客からも売上を得る大きなチャンスがあると見ている。特に既存のサービスであるOnStar Vehicle Insightsでは、GMとGM以外の車両が混在していても車両を管理できる。

ウェクスラー氏は次のように述べた。「このサービスだけで巨大な市場のニーズに応えられます。数十万台のコネクテッドカーから何百万回、何億マイルもの移動のデータが集まり、こうしたデータがすべて多大な収益化の機会となります。当社は扱うべきデータの量で群を抜いており、これを活用する計画です」。

ウェクスラー氏は、サブスクリプションサービスが同社の「成長の機会と経常収益の基盤」になるだろうと述べた。その詳細や初期のKPIは今後公表されるものと見られる。

画像クレジット:Steve Fecht / General Motors

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

GMは「本当に手頃な価格のEV」でテスラの市場シェアを狙う

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、米国時間10月6日に開催した投資家向けイベントにおいて、フルサイズの電気自動車ピックアップ「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」を中心とした今後のEVポートフォリオを発表した。

GMはこれまでにも電気自動車「シルバラード」を発表していたが、今回の発表では、一部のモデルに固定式ガラスルーフを採用することや、2022年1月に開催されるCESでデビューするといったいくつかの追加情報を発表した。シルバラードは、Ford(フォード)のF-150 LightningやRivianのR1Tに続いて電動トラック(米国で最も売れている車種の1つであるにもかかわらず空席が目立っていた)分野に参入する。

しかしながら、GMがこのトラックをどのように販売し、どのような顧客を想定しているのか、その詳細はまだ明らかにされていない。「GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は、10月6日に行われたメディアブリーフィングで「誰をターゲットにするかは、トラックを見れば一目瞭然です。長年にわたってピックアップトラックに起こってきたマイクロセグメンテーションを見てみると、さまざまなユーザーがいます。我々がターゲットとするピックアップトラックの購買層は1つではありません」と述べている。

GMは自社ブランドであるChevy(シボレー)とBuick(ビュイック)のクロスオーバーに加え、GMC Hummer(GMCハマー)のピックアップとCadillac(キャデラック)のLYRIQ(リリック)クロスオーバーを発表した。これらの車両は、2025年までに350億ドル(約3兆8990億円)を電動化と自律走行技術に投資し、10年後までに収益を倍増させるという同社計画の一環となる。

これらの目標を達成するために、GMがどれ程度苦しい戦いを強いられるかはわからない。他の自動車メーカーと同じく、GMも第3四半期の売上高は惨憺たるものだったが、その理由として半導体の供給不足が続き、製造や車両の納入に支障をきたしていることを挙げている。レガシーな自動車メーカーとは対照的に、Tesla(テスラ)社の第3四半期における売上は非常に好調で、車両出荷台数と過去の台数の予想を上回っている。

しかし、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、テスラの顧客になりそうな人たちの一部を誘い出すために、手頃な価格のEV、つまり「人々にとって本当に手頃な価格のEV」を提供することを強調している。「私たちは、そのような顧客を魅了できると信じています」と述べている。彼女とルース氏は、GMには顧客のロイヤルティ、強力な製造能力、幅広いディーラーネットワークなど、EV市場で有利な立場に立つための利点があると付け加えている。

また、GMは、韓国のLG Energy Solutionsと提携して製造している「Ultium」バッテリー電気推進プラットフォームが、今後発売される車両の競争力を高めると考えている。例えば、電気自動車のシボレー・シルバラードの航続距離は400マイル(約643.7km)だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

GMがEVへの信頼を高めるため、充電インフラへの投資を強化

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、電気自動車(EV)の充電インフラへの投資を7億5000万ドル(約835億円)規模に拡大する。EVの充電に対して不安を抱くドライバーたちの懸念を和らげることが目的だ。

GMは、2025年までに約7億5000万ドル(約835億円)を投じて、公共の場、家庭、職場に充電器を設置し、使いやすくしたいという。この投資は、GMのUltium Charge 360(アルティウム・チャージ360)プロジェクトにも大きな影響を与える。

GMが充電に投資するのは今回が初めてではない。2020年GMは、有名な充電ネットワーク企業であるEVgo(イービーゴー)と提携し、5年間で2700基以上のDC急速充電器を設置することを発表した。

充電設備の充実度は、電気自動車への移行をためらう主な理由の1つとして常に挙げ続けられている。Consumer Reports(コンシューマー・レポート)が最近行った調査によれば、回答者の約半数が「公共の充電ステーションが十分でないこと」がEVの購入を妨げていると答えている。

この資金が、世界の約3000カ所のステーションに2万5000台以上の充電器を設置しているTesla(テスラ)のスーパーチャージャーネットワークのような独自の充電ネットワーク構築に使われるのか、それとも別のパートナーシップに使われるのかは不明だ。GMは投資家説明会で、サブスクリプションやサービスから収益を得る「垂直統合型」のOEMになるという話を繰り返した。また今回の投資が、同社が「Ultium Charge 360」と呼ぶ新しい(サブスクリプション的な)取り組みを支援するものであることも強調した。だが詳細については待つしかなさそうだ。

画像クレジット:GM/EVgo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

GMが2030年までの売上倍増を計画、EV販売でTeslaシェア狙う

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間10月6日、内燃機関車両の利益率を向上させつつ、2030年までに売上高を倍増させ、EV(電気自動車)のマーケットシェアを奪うと明らかにした。EVマーケットは現在Tesla(テスラ)が席巻している。

同日から始まったGMの2日間にわたる投資家イベントで概要が説明された野心的な目標は、さまざまな種類のEVとソフトウェアベースのサービスを販売し、ハンズフリーの先進運転支援システムの新バージョンを含むテクノロジーを提供することで達成される。先進運転支援システムについては、全運転シナリオの95%で機能し、ゆくゆくは米国とカナダのすべての舗装道路で使用される、と同社は主張する。

2030年までに年間売上高2800億ドル(約31兆1967億円)の達成を目指す、と同社は述べた。この数字は、2020年の売上高である1225億ドル(約13兆6485億円)の2倍超だ。同社の広報担当によると、売上高の目標はローリング平均約1400億ドル(約15兆5976億円)をベースとしている。

同社はこの新しい目標を達成すべく、すでに多額の投資を表明した。同社は2020年11月、EVの開発と自動化テクノロジーに向こう5年間で以前の計画に35%積み増した270億ドル(約3兆81億円)を投資すると明らかにした。そして同社は7月に再び額を増やし、2025年までに350億ドル(約3兆8994億円)注入するとした。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

そうした投資はすでに行われつつあり、その最たるものがEVアーキテクチャと次世代EVに搭載するバッテリーだ。次世代EVには今後展開されるChevrolet Silverado、価格約3万ドル(約334万円)のChevroletクロスオーバー、Buickクロスオーバー、Cadillac Lyriq、Celestiqなどが含まれる。

「強固なポートフォリオをみると、入手しやすいEV、真に入手しやすいEVを当社が人々のために提供し、そして彼らが必要とするエコシステムに取り組んでいるという事実がわかります。というのも、多くの人がEVのみを所有するようになり、信頼できる充電インフラを確保する必要があるからです」と会長兼CEOのMary Barra (メアリー・バーラ)氏は記者会見で、いかに同社がマーケットシェアを獲得するか説明する中で述べた。「だからこそ当社はそうした顧客をひきつけることができると確信しています」。

バーラ氏はまた、顧客が同社に対してすでに持っている忠誠心の上に社が成り立っている、と指摘した。ポートフォリオとともに既存の生産能力とディーラーネットワークは優位点であるとも述べた。

「アクセルペダルに足を置く今、当社は多くのものを持っていて、すぐに動くことができます」。

目標を達成するために、2030年までに北米と中国にある工場の50%超をEV生産専用とする、とGMは述べた。

GMの売上高目標はEVの販売と融資に完全に頼っているわけではない。10月6日のマスコミへの説明会で、バーラ氏と同社社長のMark Reuss(マーク・ルース)氏は、新しいUltifiソフトウェアプラットフォームを通じたデジタルサービス、そして商用EVデリバリー会社BrightDrop(ブライトドロップ)やOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)のような新規事業を展開する計画を繰り返し指摘した。

そうしたデジタルサービスと戦略についての詳細は7日も開かれる投資家イベントで概説される見込みだ。乞うご期待。

画像クレジット:General Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがより低コストで航続距離の長いEV用バッテリーの開発施設を建設中

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、ミシガン州ウォーレンのキャンパスに新しい施設を建設している。その目的は、バッテリーのコストを削減しながら航続距離を伸ばす画期的なセル技術を開発することだ。

GMは米国時間10月5日、このWallace Battery Cell Innovation Center(ウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センター)と呼ばれる施設の建設が始まったことを発表した。同社のグローバル・テクニカル・センターの敷地内に建設中のこの新施設は、2022年の半ばに完成する予定だ。敷地面積は約30万平方フィート(約2万7900平方メートル)だが、必要に応じて当初の面積の少なくとも3倍に拡張することを計画しているという。GMはこの施設に「数億ドル(数百億円)」を投資していると述べるだけで、建設費用については明らかにしなかった。

この施設の名前は、2018年に亡くなったGMの取締役で、同社のバッテリー技術に貢献したBill Wallace(ビル・ウォレス)氏から付けられた。同氏は、Chevrolet(シボレー)ブランドから発売されたプラグインハイブリッド車の「Volt(ヴォルト)」の初代および二代目モデル「Malibu Hybrid(マリブ・ハイブリッド)」、そして電気自動車「Bolt EV(ボルトEV)」のバッテリー・システムを開発したチームを率いていた。ウォレス氏はまた、GMとLG Chem(LG化学)R&D(現在のLG Energy Solution)の関係を築いた人物でもある。

すでにGMは、より安価でエネルギー密度の高いバッテリーの開発に取り組んでいるラボや研究開発施設を持っている。この新しいセンターは、同社の化学・材料サブシステム研究開発ラボやバッテリーシステムラボで行われているさまざまな取り組みをすべて結びつける役目を担う。

GMがこの新設で目指しているのは、1リットルあたり最大1200ワット時のエネルギー密度を持ち、コストを少なくとも60%削減したバッテリーを開発することだ。この目標は野心的であり、高尚だともいえるだろう。そしてこれはGMにとって、ラインナップの全車または大部分を電気自動車に切り替えるという計画を発表している他のすべての自動車メーカーと競争するための、重要なステップであるとも考えられる。

現時点において、GMのEVへの転換戦略の基盤となっているのは、Ultium(ウルティウム)プラットフォームとUltiumリチウムイオン電池だ。2020年に公開されたこの新しい電動車アーキテクチャとバッテリーシステムは、コンパクトカー、商用ピックアップトラック、大型高級SUV、パフォーマンスカーなど、GMのさまざまなブランドで幅広い製品に使われる予定だ。

GMは、このUltiumのバッテリーセルを製造するLGエナジーソリューションズとの合弁会社に、50億ドル(約5570億円)を投資する計画を発表している。両社は、オハイオ州北東部のローズタウン地区にバッテーセルの組立工場を設立し、1100人以上の新規雇用を創出するとともに、テネシー州スプリングヒルにも第二の工場の建設を予定している。

Ultiumバッテリーは、レアアースであるコバルトの使用量を減らし、単一の共通セル設計を採用することで、GMの現行バッテリーよりも小さなスペースで高いエネルギー密度を効率的に構成することができると、同社では述べている。

GMのグローバル製品開発・購買・サプライチェーン担当取締役副社長のDoug Parks(ダグ・パークス)氏によると、新設されるウォレスセンターは、将来的により手頃な価格で航続距離が長いEVの基礎となるバッテリーを製造するというGMの計画の重要な部分を占めることになるという。このような画期的な技術は、間もなく市場に投入されるUltiumバッテリーの世代にはまだ見られない。

ウォレスセンターでは、リチウム金属電池、シリコン電池、固体電池など、新技術の開発を加速させることが期待されている。また、このセンターでは、GMがLGと合弁で運営するローズタウンとスプリングヒルの工場をはじめ、米国内ある非公開の拠点を含むGMのバッテリーセル製造工場で用いることができる生産方法の改善にも力を入れていくという。

さらに特筆すべきは、この新施設では、一般的に携帯機器や研究用に使われる小型のリチウム金属電池セルを超えた、自動車に使用できる大型リチウム金属電池セルのプロトタイプを製造できる能力を持つようになるということだ。これらのセルはGM独自の方式で作られ、初期のUltiumバッテリーで使われるパウチセルの約2倍に相当する1000mm程度の大きさになる可能性があるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

元テスラのCIOが率いる自動車小売プラットフォームTekionの価値が3倍に

1年前、TechCrunchは、元TeslaのCIOであるJay Vijayan(ジェイ・ヴィジャヤン)氏が追い求めている計画についてお伝えした。それは、彼がTeslaで開発に携わったような、エンド・ツー・エンドで自動化されたSaaSプラットフォームを使って、自動車ディーラーを21世紀に連れて行こうというものだ。顧客は、このプラットフォームを使って、自分の好みに合った車を注文することができる。ディーラーは、このプラットフォームを使って、リアルタイムで在庫を把握し、サービス予約のために顧客をシームレスにチェックインすることができる。OEMはこのプラットフォームを使って自社の部品がディーラーのどこにあるかを正確に把握することができる。

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ヴィジャヤン氏の説明によれば、このソフトウェアを導入することで、ディーラーとOEM企業の双方がコスト削減と効率化を図ることができるという。カリフォルニア州サンカルロスにある彼の会社Tekion(テキオン)も、この流れの重要な引率役を果たしているようだ。

ヴィジャヤン氏によると、同社の収益は2020年の3倍に成長し、Tekionのソフトウェアを使用しているディーラーの州数は28から39に増え、国際的な企業になるための計画の一環として、カナダで最初のディーラーとの仕事を始めたばかりだという。

これにより、シードステージにおける資金調達サイクルの第4ステージシリーズDで同社は2億5000万ドル(約278億円)の資金調達を発表し、評価額は1年前の10億ドル(約1114億円)から35億ドル(約3899億円)に、その資金総額は1億8500万ドル(約206億円)から4億3500万ドル(約484億円)に拡大した。このラウンドはAlkeon CapitalとDurable Capitalが共同でリードしており、その他の投資家には、現代自動車、米国内のいくつかのディーラーグループ、そして以前からの支援者であるAdvent InternationalとIndex Venturesが含まれている。

興味深いことに、2021年9月の新車販売台数を26%も減少させた世界的なチップ不足やその他の部品供給の混乱は、Tekionにとってはプラスの影響しか与えておらず、Morning Brewの最近の記事はその理由を以下のように述べている。

オハイオ州コロンバスにある自動車グループの社長に話を聞いたところ、在庫が不足しているため、チップ不足の前には4時間かかっていた販売が、今では52分で終了しているという。またこの品薄状態は利益を押し上げており、買い手は新品・中古品を問わずより高い価格で購入し、自動車小売業者は在庫が少ないことで営業コストを削減できるというメリットがある。

また、Tekionや競合他社の技術により、販売店は、品薄状態に耐えながら、車を長持ちさせたいと願っている消費者へのサービスをより迅速に行うことができるようになったと思われる。

実際、フロリダ州のフォートローダーデールにあるディーラーは、2020年の第1四半期と比較して2021年の第1四半期に利益が197%も急増したとMorning Brewに語っている。

「供給は少ないですが、需要は多いので、誰もがたくさんの利益を出しています」とヴィジャヤン氏はTechCrunchに語った。「ディーラーもOEMも、かなりのマージンを稼いでいます」。

また、Tekionは「そのような成長の中で非常に強い存在」であり、ヴィジャヤン氏は、在庫が需要に追いつき始める来年はさらに良い年になると予想している。

「来年のある時期には、市場にある程度の調整が入ると思います。そして、当社の技術プラットフォームは、ディーラーとOEMの両方が、どこにビジネスの焦点を当てるべきかという洞察を提供するために学習し、進化し続けるので、この修正をよりスムーズにナビゲートすることができると信じています」。

カリフォルニアとインドのベンガルールに拠点を置くTekionの成長は、大部分は自然なものであるようだ。自動車業界はマーケティングに莫大な費用をかけ、積極的な営業活動を行うことで知られているが、現在1350名の従業員のうち、営業を担当しているのはわずか17名である。「マーケティングには一切お金をかけていませんし、それはほとんど無視できる程度のものです。私たちは口コミで成長しています」。

BMWや日産・ルノー・三菱アライアンスと同様に、Tekionに早くから出資しているゼネラルモーターズと3月に契約を結んだことも、確実に同社に貢献している。

それぞれのフランチャイズが参加するかしないかを選ぶことができるものの、現在、GMのディーラーは、Tekionのホワイトレーベルのディーラー管理ソフトウェアを使用して、顧客がChevy、Cadillac、Buick、GMCブランドの電気自動車を簡単に購入できるようにし始めている。このプラットフォームは、ユーザーが近くのディーラーで特定のGM車を検索し、インターネット上で取引の一部を完了することができるGMの既存のShop. Click. Drive.プログラムに似ているものの、それ以上に優れた操作性を持っていると言われている。

少なくとも、シボレーの副社長は、2021年初めにAutomotive Newsとの会話の中で、このソフトウェアをGMの社内プログラムを「強化」したようなものであり「ゲームチェンジャー」であると表現していた。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Yuta Kaminishi)

テスラ第3四半期の販売台数は半導体不足にもかかわらず過去最多24万1300台

Tesla(テスラ)は、この第3四半期に過去最多の24万1300台を販売した。世界的な半導体不足の影響で他の米自動車メーカーが販売減となる中で、予測を上回った。

米国時間10月2日の発表によると、Teslaが販売した車両の大半(96%ほど)は比較的新しいモデルのセダンModel 3とクロスオーバーのModel Yだった。販売車両のうち9275台はModel XとSだった。販売台数は第2四半期から20%増え、2020年同期比では73%増だった。

生産台数も増えた。第3四半期に同社は電気自動車23万7823台を生産し、こちらも過去最多となった。

同社のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は販売台数、生産台数で記録を打ち立てたことに対し、同社と従業員への賛辞をツイートした。そして別のツイートでマスク氏は「かなりの困難を乗り越えてきたサプライヤーとロジスティックのパートナーにも大変感謝しております」と書いた。

Teslaの業績は予想を上回った一方で、他の大手車メーカーの米国内の販売台数は落ち込んだ(Teslaの販売台数は世界合計であり、地域別のものは公表していない)。

GM(ゼネラル・モーターズ)が最も大きな落ち込みとなった。同社は10月1日、第3四半期の米国内の販売台数は44万6997台で、前年同期比33%減だったと発表した。同社は今夏、Chevrolet Bolt EVとEUV向けの半導体チップとバッテリーが不足し、いくつかの工場の操業を停止した。それらの工場はその後、再稼働した。

米国での販売減にもかかわらず、GMは「引き続き半導体不足とChevrolet Bolt EVリコールの影響の緩和を図っている」として、調整後の年間売上高予想115億〜135億ドル(約1兆4980億〜1兆2760億円)は維持している。

以前はFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)という名称だったStellantis(ステランティス)の米国の販売台数は18%減った。Ford(フォード)はまだ業績を発表していない。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi