アップルとインテルが台湾TSMCの3nm製造プロセスを使ったチップ設計をテスト中と報じられる

2022年のiPad Proプロセッサが最先端の3nmプロセスで製造される可能性が報じられる

TSMC

アップルが早ければ2022年にiPad Pro向けチップに3nmプロセス製造技術を採用する一方で、iPhone 14(2022年モデルの仮称)用のA16(仮)チップは4nmで製造される可能性があるとの噂が伝えられています。

日経新聞の英字メディアNikkei Asia(以下「日経」)報道によれば、アップルとインテルは台湾TSMCの持つ最新世代の製造技術を採用する初の企業となり、両社とも3nm製造プロセスを使ったチップ設計をテストしているとのことです。

さらに日経は、アップルの3nmチップはiPadに搭載される可能性が高いと伝えています。そうした最先端プロセッサを廉価モデルに投入するとは考えにくく、最新版ではMacと同じM1チップを搭載したProモデル向けになると思われます。

その一方でiPhone 14向けのA16にはスケジュールの都合(おそらく製造の歩留まりやリードタイムのため)から、現世代のA14 Bionic(5nm)と3nmの中間にあたる4nmチップが採用される見込みとの趣旨が述べられています。

iPhone 14向けチップが4nmプロセス製造になる見通しは、調査会社TrendForceも伝えていたことです。かたや2021年のiPhone 13(仮)向けチップについては、台湾DigiTimesが5nmプロセスを改良した「N5P」ですでに量産開始したと報じていました

半導体における製造プロセスとは、回路線幅のこと。おおむね10nm、7nm、5nmと数字が小さくなるほど同じサイズのチップに含まれるトランジスタ数が多くなり、性能とエネルギー効率の両方が高まる傾向があります

TSMCの公表したロードマップ表によれば、3nm技術は5nmよりも演算性能を10%〜15%向上できる一方で、消費電力を25%〜30%削減できるとのこと。その一方で、iPhone 13向けA15(仮)に使われると思しき5nm+(N5P)は前世代の5nmプロセスより演算性能が5%、消費電力が10%減るとされています。

以上はあくまでも一般論であり、アップルが独自設計したチップがその数値通りに進化するとは限りませんが、おおよその目安にはなりそうです。

M1チップ搭載iPad Proが発表された当時は「ついにiPadとMacのプロセッサが同じになった」と話題を呼びましたが、ゆくゆくはiPad ProがMacの性能を超えていく展開もありうるのかもしれません。

(Source:Nikkei Asia。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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Apple

アップルがMacのプロセッサをインテル製から自社開発のAppleシリコンに2年かけて移行すると発表してから、1年以上が経過しました。その影響により、今後インテルのノートPC向けCPU市場シェアが大きく落ち込むとの予測が報じられています。

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、M1チップを搭載した4台のMacとそれに続く(Appleシリコン搭載Mac)リリースにより、今年(2021年)のインテルはアップルからの受注のうち50%を失うとのこと。さらに、最終的にはアップルからの受注がゼロになることで、2023年にはインテルのノートPC向けプロセッサの市場シェアは80%を下回るとの見通しが述べられています。

そればかりか、アップルが自社開発した一連のArmベースプロセッサ(Appleシリコン)は、2022年にはインテルのシェアから大きな割合を奪う重要な役割を果たすとの情報筋の予想も伝えられています。

2023年にインテルのシェアが80%を下回るという概算は、具体的にはアップルに供給していた10%のシェアを失う一方で、AMDは10%のシェアを堅持するとの予想から。インテルはWindows PCやサーバー向けのCPU市場ではAMDとの熾烈なシェア争いを繰り広げる一方で、Macは一種の聖域ともなっていましたが、それが消え失せることは手痛い打撃となりそうです。

インテルはそうしたAppleシリコンが自社のビジネスに与える影響を認識しているようで、「Macにできないことがインテル製チップを搭載したPCにはできる」など複数のキャンペーンを展開しています。それに対しては結果的にインテル製CPUを採用した16インチMacBook Proを貶めていることや、MacがPCよりゲーム体験が劣るのはインテルと関係ない他社製GPUによるものではないかとの指摘もありました

現在のM1搭載Macは「低消費電力のわりに高性能かつ低価格」にこそ強みがあり、お金にも消費電力にも糸目を付けないインテル製チップ搭載のハイエンドPCにはピーク性能で及びません。が、32個もの高性能コアや128個ものGPUコアを搭載すると噂される次世代Appleシリコンが登場すれば、プロセッサ市場を一変させるゲームチェンジャーとなる可能性もありそうです。

(Source:DigiTimes。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

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Intelが薄型軽量ノートPC向け第11世代Core新SKU2種と同社初の5Gモデム発表、バーチャルCOMPUTEX 2021で

Intel(インテル)は、2021年のバーチャルCOMPUTEXの基調講演で、薄型軽量ノートPC向けの第11世代Core Uシリーズ(開発コードネーム Tiger Lake-U)新SKU2種を発表した。また、MediaTekとの提携で設計された、同社初の5G製品となるM.2カード型5GモジュールもノートPC用に発表している(Intelは2019年にスマートフォン用モデム事業をAppleに売却している)。

Intelの新チップは、いずれもIntel Iris Xeグラフィックスを採用している。フラッグシップモデルは「Core i7-1195G7」で、ベースクロックは2.9GHzだが、InteのTurbo Boost Max 3.0技術を使えば、シングルコアで最大クロック5.0GHzに達する。もう1つのチップは「Core i5-1155G7」と呼ばれ、そちらのベースクロックは2.5GHz、シングルコア最大クロック4.5GHzとなっている。どちらのCPUも4コア8スレッドという点は変わらない。

インテルの新第11世代チップ比較表

「Intel 5G Solution 5000」と呼ばれるM.2拡張カード形状の5G通信モジュールは、5G NRミッドバンド、サブ6GHz帯、eSIM技術に対応している。Intelは、北米、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、APAC(アジア太平洋地域)、日本、そしてオーストラリアのテレコム業者とパートナーシップを結んでいる。このモジュールは、2021年末までにAcer(エイサー)、ASUS(エイスース)、HPなどのメーカーが製造するノートパソコンに搭載される予定。また、OEMメーカー各社も第11世代Uシリーズチップをベースにした250種類のデザインに取り組んでおり、2021年のホリデーシーズンまでに市場に投入される予定だという。

インテルの新しい5G M.2モジュールのスペック

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

Intel子会社MobileyeがUdelvと提携し2028年までに3.5万台の自動走行配達車両3.5万台を展開

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)が自動走行車両で野心を膨らませ、配達分野に参入しようとしている。

Mobileyeは4月12日、自動走行する多数の配達専用車両に同社の自動走行システムを提供すべく、Udelvと契約を結んだと発表した。両社は2028年までにTransportersという名称の車両3万5000台超を走らせる計画だと述べた。商業展開は2023年に開始する見込みだ。

まずは米国の商用車リース管理会社DonlenがTransporters1000台をプレオーダーした。

今回の発表は両社にとって大きな意味を持つ。自動走行車両配達スタートアップとして創業されたUdelvはMobileyeの自動走行システムを受け入れ「自動走行デリバリーを可能にするハードウェアとソフトウェアの構築」に注力することを選んだ、とCEOのDaniel Laury(ダニエル・ラウリー)氏はTechCrunchへの電子メールで述べた。

「配達する商品の多様性、配達方法のバラエティ、配達のラストマイルと中間マイルの自動化に関連する込み入った複雑な問題を考えるとき、これは解決すべきエンジニアリングの中心的な問題です」とラウリー氏は述べた。「Mobileyeと提携することで、Udelvはリソースと取り組みのすべてをビジネス応用の最適化に注ぐことができ、その一方でMobileyeはすばやく展開するツールを提供します。ウィンウィンの関係です」。

カメラベースのセンサーのデベロッパーとして始まったMobileyeにとって、この提携は新たな事業拡大となる。同社の技術は高度なドライバーアシスタンスシステムをサポートするものとして大半の車両メーカーに採用されている。偏在、車両5400万台超がMobileyeのテクノロジーを搭載している。

「2社の提携はすばらしい組み合わせで、大規模展開ができます」とIntelのシニアエンジアニア主任で、MobileyeのAutomated Vehicle Standards担当副社長を務めるJack Weast(ジャック・ウィースト)氏は直近のインタビューで述べた。「そしてこれはMobileyeのテクノロジーが、すでに発表した分野に加えて商品配達の分野でも活用されるという公式な初実証ポイントとなります」。

2017年に153億ドル(約1兆6742億円)でIntelに買収されたMobileyeは近年、高度なドライバーアシスタンス技術から自動運転車両システムの開発へとスコープを広げてきた。2年以上前に同社は視覚、センサフュージョン、REM マッピングシステム、ソフトウェアアルゴリズムを含むキットを立ち上げる計画を発表した。そして2018年には、サプライヤーとしてだけでなくロボタクシーオペレーターになるという予想外の計画を明らかにした。同社はまた、自動走行のシャトルをTransdev ATS、Lohr Groupとともに欧州で展開することも計画している。Mobileyeは自動走行車両を使った配車サービスを2022年初めにイスラエルで立ち上げる計画も持っている。

最新の契約は、自動運転システムをロボタクシー以外に応用するというMobileyeの野心を示している。

Mobilieye Driveというブランド名の自動運転システムは、SoC(システムオンチップ)ベースの計算、カメラベースの冗長センシングシステム、レーダーとライダーのテクノロジー、REMマッピングシステム、責任感知型安全論(RSS)ドライビングポリシーで構成される。MobileyeのREMマッピングシステムは本質的には、ADASと自動走行運転システムのサポートに使われる高解像度のマップを作成するために、同社のテックを搭載した100万台超の車両を利用することでデータをクラウドソースする。

Udelvは自動運転テクノロジーを自社の配達管理システムに統合するのにMobileyeと協業する。Mobileyeは車両が使用される間はずっと無線のソフトウェアサポートも提供する。

こうした専用車は人間が運転するトラックや配達バンにあるような典型的な機械的特徴を持たない。いわゆるレベル4の自動運転に対応するようデザインされている。SAE(自動車技術者協会)の定義では、レベル4だと特定の状況で人間の操作なしに車両が運転を制御できる。車両はまた四輪駆動で、配達を行う人にとって有用なLEDスクリーンや商品のための特別コンパートメントを備えている。

Udelvによると、駐車場や荷物積み下ろし場所、集合住宅、私道での車両操縦ができる遠隔操作システムも搭載する見込みだという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:MobileyeUdelv自動運転電気自動車Intelロボット配達

画像クレジット:Mobileye/Udelv

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

アンソニー・リン氏が暫定就任から6カ月でIntel Capitalの正式な社長に

Wedell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏がIntel Capital(インテルキャピタル)のマネージングパートナー、そして社長の職を2020年8月に辞した時、Anthony Lin(アンソニー・リン)氏が暫定的に後を継いだ。当時、リン氏が正式にその役割を与えられるのかは明らかではなかったが、6カ月が経った米国時間2月18日、その答えが明らかになった。

関連記事:約240億円の投資を指揮したウェンデル・ブルックス氏がインテルキャピタルの社長を辞任

同社のウェブサイトで公開された、ポートフォリオ企業のCEOたちに送られたレターの中で、リン氏は正式に2つの役職に就いたことにさりげなく言及した。「Intel Capitalのマネージングパートナーと社長に指名されたことをお知らせしたいと思います。過去数年、私は投資委員会のメンバーで、我々の起業家の才能と我々のチームに謙虚に畏敬の念を抱いていました」と書いた。

Intelは何年も支配してきた半導体分野で再び存在感を示すのに苦戦しており、混乱の時期にリン氏は役割を担う。一方、Intelを率いる新CEOには2021年1月にVMwareから戻ってきたPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏が就いている。

Intelの企業投資部門として、Intel Capitalは親会社が将来どこにリソースを投資すべきかを理解するのをサポートできる企業を探している。それがIntel Capitalの最終目標なら、おそらく同社はいい仕事をしてこなかった。Intelはイノベーションに関して競争力をいく分、失ったからだ。

Intel Capitalで以前M&Aと国際投資の責任者を努めていたリン氏は、親会社に正しい方向を示し、またIntelのプラットフォームでイノベーティブなソリューションを構築する新たな方法を見つけるのをサポートするのに投資資金のパワーを使うことができる。

リン氏は2020年が皆にとっていかに困難な年だったかを理解していて、Intel Capitalもその例外ではない。しかし同社はスタートアップ75社に投資した。ここには35の新規案件と以前投資したことのある企業が絡んだ40件が含まれる。同社はまた、多様な創業者がいる企業に投資すると約束している。リン氏によると、そのために新たなベンチャーステージの資金の35%が多様なリーダーが率いるスタートアップに注入された。

さらに同社は全案件の15%を黒人創業者の会社とする5カ年のコミットメントを発表した。その目標に向け進展はあったが、それでも道のりはまだ長い。「2020年末時点で、当社の新規ベンチャー案件の9%、ベンチャー投資資金の15%が黒人創業者が率いる企業のものでした。さらに進めるべきということは承知していて、当社は引き続き多様性あるインクルーシブなチームを励まし、支え、そして投資します」とリン氏は書いた。

社長職を引き継ぎ、同氏には今、大きな困難が待ち受けている。健全な投資をしながら、ゲルシンガー氏がインテルの目標を達成するのをサポートするためにインテルキャピタルの資金を使う必要がある。

カテゴリー:その他
タグ:Intel

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

アクティビストのヘッジファンドマネージャーであるダニエル・ローブ氏がインテル経営陣を酷評、新たなVCファンドを準備中

Daniel Loeb(ダニエル・ローブ)氏のアクティビストヘッジファンドであるThird Pointは、残り少ない2020年の日々に多忙だ。パンデミックで大荒れの年だったがリターンは大きく、Reutersによると2020年12月初めの時点で今年の増加率は最大で12.3%とされている。そして同社は明確に、テクノロジーセクターに今後ますます大きい成長ポテンシャルを見ている。

Asa Fitch(エイサ・フィッチ)氏の記事によると、The Wall Street Journalは、このヘッジファンドがIntel(インテル)の会長であるOmar Ishrak(オマー・イシュラック)氏に毒舌満載の株主書簡を送り(WSJ記事)、最近ライバルたちに大きく遅れを取っているこの米国のチップメーカーには経営陣の大規模な刷新が必要だと迫った。私がTechCrunchに2020年の半導体業界の総括記事(未訳記事)で書いたように、インテルにとって2021年は生きるか死ぬかの年であり、今やアクティビストからのプレッシャーもさらに強まり、同社に対する問題解決の要請もますます熾烈を極めている。

WSJによると、Third Pointは同社の株10億ドル(約1030億円)を買い上げた。ニュースの直後には、強まったプレッシャーで同社の前途が明るくなったという投資家たちの期待により、インテルの株価は5%跳ね上がった。

しかしながら、どうやら上場企業でなくても、資本政策表にアクティビストのヘッジファンドを載せられるようだ。

今朝のFinancial TimesでMiles Kruppa(マイルズ・クルッパ)氏が書いているが、このヘッジファンドは新しいベンチャーファンドを立ち上げるために最大3億ドル(約309億円)が欲しいらしい。調達の完了予定は2021年2月だ。同ヘッジファンドは過去にも、Third Point Ventures部門からさまざまな投資をしているが、アクティビストの大きな賭けとは違って、経済紙の大見出しになるような成果は得られなかった。

過去に同社のベンチャー投資は、テクノロジーとヘルスケアとフィンテックがターゲットだった。投資先は、CrunchbaseによるとSentinelOneとYellowbrick Dataだ。この新しいファンドが無事に資金調達を完了するとしても、投資のステージや対象分野が前と同じになるのか、そこがまだわからない。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:IntelThird Point Ventures

画像クレジット:Larry Busacca/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MobileyeがLuminarと契約、2022年の無人タクシー実現に向けLiDARを供給

センサーの開発を手がけるスタートアップで、上場企業入りを目指すLuminarは、Intel(インテル)の子会社であるMobileyeに自律走行車用のLiDARを供給するサプライヤー契約を締結した。

米国時間11月20日に発表されたこの契約は、長い間自動車業界を支配してきた企業と組み合わされることで期待の星となりそうだ。

このサプライヤー契約は、Mobileyeの中心事業であるコンピューターによる視覚イメージ処理技術の規模とはほど遠いものの、いくつかの試験プログラムを超えて拡大が見込める重要なコラボレーションだ。LuminarとMobileyeは、約2年前から開発契約を結んでいる。今回の新たな契約は、両社にとって次の重要なステップを示すものだ。

Mobileyeのカメラを使ったセンサーは、ほとんどの自動車メーカーが先進的な運転支援システムをサポートするために使用している。現在、5400万台以上の車両がMobileyeの技術を搭載している。しかし、2017年に153億ドル(約1兆5900億円)でインテルに買収された同社は、ここ数年で手を広げ、いまや先進運転支援技術を超えて、自律走行車のシステム開発に向けて動き出している。2年前にMobileyeは視覚認識、センサー融合、REM(Road Experience Management)マッピングシステム、ソフトウェアアルゴリズムを含むキットを発売する計画を発表した。

Mobileyeはそれ以来、自動運転の野心をさらに高めており、業界の一部では、単なるサプライヤーに留まらず、無人タクシー事業に乗り出すという予期せぬ方向に発展するのではないかとみられている。

LuminarとMobileyeの現時点では小規模な契約は、まだ生産契約に過ぎない。LuminarのLiDARは、Mobileyeの第1世代の無人運転車に搭載される予定で、ドバイ、テルアビブ、パリ、中国、韓国の大邱市で試験運転が行われている。Mobileyeの最終的な目標は、無人タクシー事業を拡大し、その自動運転スタック(AVシリーズソリューション)を他の企業に販売することである。MobileyeのAmmon Shashua(アンモン・シャシュア)最高経営責任者(CEO)は、同社が2022年に商業的な無人タクシーサービスを開始することを目標にしていると述べている。

「つまり、この生産契約は基本的に、2022年のサービス開始に向けてMobileyeの車両に装備を整え、同社のカメラソリューションと併用することで、安全性と余剰性を確保する力となるわけです」と、Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は最近のインタビューで語っている。

この「AVシリーズソリューション」の最初の用途は、Mobileyeが自社で所有する車両向けだが、ラッセル氏はその後の機会に興味を持っている。

「Mobileyeは、他のどんな民間の自動運転開発会社ともまったく異なる会社で、まったく異なる戦略を取っています」とラッセル氏は語る。「彼らは何千万もの製品を量産車に搭載しています。つまり、何かを量産するために何が必要なのかを知っているわけです。その波に乗り、量産車の分野に有利な立場として関わることができるというのは、私たちにとって特別な関心事でした」。

Luminarは他にも量産レベルの案件を獲得している。VOLVO(ボルボ)は5月、LuminarのLiDARと認識システムを搭載した自動車の量産を2022年に開始すると発表した。これらを使ってボルボは、高速道路用の自動運転システムを展開する。

いまのところ、LiDARはハードウェアパッケージの一部として、XC90から始まったボルボの第2世代の「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ」をベースとする各車にオプションとして用意されている。ボルボはLuminarのLiDARをカメラ、レーダー、ソフトウェアそしてステアリングやブレーキ、バッテリー電力などの機能を制御するバックアップシステムと組み合わせ、高速道路における自動運転機能を実現する予定だ。

ダイムラーのトラック部門は2020年10月、人間が乗っていなくても高速道路をナビゲートできる自律型トラックを生産するための幅広いパートナーシップの一部として、Luminarに投資したと発表している。

カテゴリー:モビリティ
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(翻訳:TechCrunch Japan)

Appleと別れたIntelが独自のノートPCを発表、ホワイトラベル製品として提供

Apple(アップル)との長期におよぶ有益な関係は間もなく終わるかもしれないが、IntelはいまだにPC市場でかなり大きな立ち位置を占めている。とはいえ、決してそれで満足していい時期ではない (同社はモバイル機器市場の前線でそれを嫌というほど思い知ったはずだ)。

今週、この半導体チップの巨人は、独自のラップトップPC「NUC M15」をデビューさせた。より適切に表現すれば、NUC M15はラップトップPCキットであり、実際にはホワイトラベル製品として展開する。つまり、リファレンスデザインとして提供されるので、小規模メーカーはこれを利用すれば、ゼロからシステムを構築するために膨大な時間と資金を費やさなくて済む。

The Vergeによると、Intelがこの種のリファレンスデザインを製作したのはこれが初めてではないという。同社は最近、同様の目的でゲーミングシステムを作成したことがある。しかし、NUC M15は現行のMacBookに近く、生産性を高めるために設計されたパッケージの中で、高性能であるように設計されている。

NUC M15には2種類の構成が用意されている。Core i7チップと16GB RAMの組み合わせと、Core i5チップと8GB RAMの組み合わせだ。特長としては15.6インチのタッチスクリーンを搭載し、OSには当然ながらWindows 10を使うことになるだろう。

価格や発売時期そしてこのラップトップPCがどれだけ魅力的なものになるかは、すべてこのシステムを最終的な製品に仕上げるベンダーに依る。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インテルが機械学習を管理、構築、自動化するためのプラットフォームcnvrg.ioを買収

Intel(インテル)が、その機械学習とAIの運用基盤を構築するために、スタートアップ企業の買収を続けている。その最新の動きとして、TechCrunchは、Intelがcnvrg.io(コンバージ)を買収したことを確認した。cnvrg.ioは、データサイエンティストが機械学習モデルを構築して実行するためのプラットフォームを、開発し運用している企業だ。このプラットフォームは複数のモデルを訓練し、追跡し、比較し、レコメンデーションなどを行うために使うことができる。

Intelは、私たちからの買収の確認に手短に答え、広報担当者は「私たちは確かにcnvrgを買収しました」と回答した。「cnvrgはインテルの独立系企業となり、今後も既存および将来のお客様にサービスを提供していきます」。そうした顧客には、Lighttrick(ライトトリック)、ST Unitas(STユニタス)、Playtika(プレイティカ)などが含まれている

Intelは、取引に関する財務条件を開示せず、スタートアップの誰がインテルに入社するのかも回答していない。Yochay Ettun(ヨーチャイ・エトゥン)CEOと、Leah Forkosh Kolben(リア・フォルコシュ・コルベン)氏が共同創業したcnvrgは、PitchBookがその評価額を1700万ドル(約17億8000万円)と推定した前回のラウンドで、Hanaco Venture Capital、Jerusalem Venture Partnersなどを含む投資家から800万ドル(約8億4000万円)を調達した。

IntelがAIビジネスを後押しするために、機械学習モデリングの分野でも、別の買収を行った(未訳記事)のはわずか1週間前のことだ。そのときに買収したのは、機械学習モデリングとシミュレーションを実行するための最適化プラットフォームを開発しているSigOpt(シグオプト)だ。

SigOptはベイエリアを拠点としているが、cnvrgはイスラエルにあり、Intelがイスラエル国内に構築した幅広いネットワークに参加する。そのネットワークの人工知能の研究開発の分野にはすでに、2017年に150億ドル(約1兆5700億円)以上で買収した自動運転ビジネスのMobileye(モバイルアイ)や、2019年末に20億ドル(約2100億円)(未訳記事)で買収したAIチップメーカーのHabana(ハバナ)が存在している。

cnvrg.ioのプラットフォームは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドのいずれの環境でも機能し、無料プランと有料プランが用意されている。私たちは2019年に、Coreというブランドで提供される無料サービスの開始に関して(未訳記事)記事を掲載した。これは、Databricks(データブリックス)、Sagemaker(セージメーカー)、Dataiku(データアイク)や、オープンソースフレームワーク上に構築されたH2O.ai のような小規模なシステムと競合するものだ。Cnvrgが想定する前提は、データサイエンティストたちが、実行するプラットフォームの構築や維持ではなく、アルゴリズムの考案や動作の測定に集中できるように、ユーザーフレンドリーなプラットフォームを提供することだ。

Intelは今回の買収について多くを語っていないが、先週のSigOptの買収の際に語られていた理由と同様なものがここにもあるように思える。Intelはそのビジネスを次世代チップ(Intelリリース)周辺に絞り、NVIDIA(エヌビディア)や、より小規模なGraphCore(グラフコア)などにより有効に対抗しようとしている。したがって、特にこれらのチップで実行されるコンピューティング負荷を支援するサービスを提供する、顧客向けのAIツールを提供したり投資を行ったりすることは理に適っている。

私たちが2019年に書いたCoreの無料プランに関する記事では、クラウドでこのプラットフォームを使用しているユーザーならば、Kubernetesクラスター上で実行されるNVIDIAに最適化されたコンテナ上で、それを実行できることを指摘した。それが引き続き当てはまるのかどうか、もしくはコンテナがIntelアーキテクチャー用に最適化されるのかどうか、あるいはその両方なのかどうかは明らかではない。cnvrgのその他のパートナーとして、Red Hat(レッド・ハット)やNetApp(ネットアップ)の名前が挙げられる。

Intelの次世代コンピューティングへの注力が目指すものは、レガシーな運用の減少を相殺することだ。前四半期には、データセンターの事業の減少に引きずられて、売上高が3%減少したことを、Intelは報告している(Intelリリース)。同社は2024年までにAIシリコン市場は250億ドル(約2兆6000億円)を超え、データセンター内で使われるAIシリコンは100億ドル(約1兆500億円)を超えると予測している。

2019年には、IntelはAI関連の売上として約38億ドル(約3990億円)を報告したが、同社はさらに、SigOpt のようなツールがそのビジネスにおけるより多くの活動を促進し、より幅広いビジネスでのAI アプリケーションと組み合わされることを期待している。

関連記事:Intel、Mobileyeを153億ドルで買収―自動運転テクノロジーの拠点をイスラエルに移す

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Intelcnvrg.io買収

画像クレジット:MR.Cole_Photographer / Getty Images

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(翻訳:sako)

四半期決算発表後インテル株が10%も下げた理由、データセンタービジネスの弱さが影響か

第3四半期の決算が報告される季節となった。しかし、すでにいくつかの企業が発表した決算は、株主にとって好ましくないものとなっている。動画ストリーミングの大手Netflixが発表した四半期決算には、株主を失望させる数字がいくつか含まれていたため株価は下落した。米国時間10月22日に四半期決算を発表したIntel(インテル)もまた、株価を下げてしまった。

CPU大手であるインテルの株価は第3四半期の決算データ発表(Intelリリース)の後、市場外取引で約10%下がった。市場では調整済1株当たり利益1.11ドル(約116円)、 収入182億6000万ドル(約1兆9118億円)で、対前年比でそれぞれ5%と22%のダウンだった。今期のインテルは収入で183億ドル(約1兆9160億円)と期待を上回る成績だった。また調整済一株当たり利益でも1.11ドルという目標も達成している。

では、なぜ株価が急落したのだろうか?

急速に浮上(CNBC記事)した見方(Seeking Alpha記事)として、同社のデータセンタービジネスの弱さが影響したというものがある。インテルの事業は、データセンター部門と主力のチップ製造部門に大別される。インテルのデータ部門であるDCG(Data Center Group)の決算結果は、明暗入り混じるものだった。クラウド事業の収入は15%伸びたが、大企業および政府部門の収入は前年同期比で47%もダウンした。この部門は(インテルの表現を借りれば)先立つ2期で連続して30%以上も成長していた。

データ事業の失速は、DCGに大きな収入ダウンをもたらした。市場の期待(Seeking Alpha記事)は62億2000万ドル(約6513億円)だったところ、59億ドル(約6178億円)しか達成できなかった。

インテルはこの原因を、新型コロナウイルスの世界的流行による景気後退に求めている。同社はまた IoT事業(33%ダウン)、メモリ事業(11%ダウン)の不振を、パンデミックの所為にしている。

最近、北米とヨーロッパで新型コロナウイルスが流行が再び拡大し始めた。市場ではこのマクロ経済の不振が、インテルの授業に今後も影響を与えるのではないかと懸念している。そうであれば収入減少はこれまでの予想以上に長く続くことになるだろう。こうした懸念が、四半期決算発表後の株の売りにつながったものとみられる。

決算報告と同時に発表されたガイダンスが、株価下落に影響しているだろうか?ガイダンスには悪材料はなかったため、おそらく影響していないだろう。2020年第3四半期の決算に比べて、ガイダンスは収入利益ともに小幅ながら市場の予測を上回る数字を上げている。インテルの第4四半期ガイダンスでは、収入を174億ドル(1兆8220億円)、調整済み1株当たり利益を1.10ドル(約115円)としている。これに対してアナリスト予測は、それぞれ173億4000万ドル(約1兆81581億円)、1.06ドル(約111円)だった。

つまりインテルの第4四半期のガイダンスの数字は予測を上回るものなので、今回の株価下落の原因とは考えにくい。そうなるとやはり、データビジネスの影響だろうという推測に行きつく。

ある時点で、株価がどのように動くかに関するあまりに詳細なストーリーを作るのは危険だ。しかし今回のケースでは、データビジネスの不振が株価下落の大きな要因となっていることは間違いないだろう。新型コロナウイルスが原因だとする同社の説明に納得するかどうかは、それぞれの投資家のマクロ経済の読みにかかっている。

関連記事:Netflixが第3四半期の決算報告後に株価を下げた理由

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タグ:Intel決算発表新型コロナウイルス

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滑川海彦@Facebook

インテルが人工衛星にローカルAI処理機能を提供、雲を自動的に除去し最大30%の帯域幅を節約

Intel(インテル)は米国時間10月21日、9月2日に太陽同期軌道に打ち上げられた小型衛星PhiSat-1への貢献について詳細を発表した。PhiSat-1には新しい種類のハイパースペクトル熱カメラとMovidius Myriad 2 Vision Processing Unit(VPU)が搭載されている。このVPUは地上にある民生機器の多くに搭載されているが、今回初めて宇宙へと打ち上げられ、大量のローカルデータを扱うことで研究者は貴重な時間と衛星ダウンリンク帯域幅を節約できるようになる。

具体的にはPhiSat-1に搭載されたAIが、科学者たちが実際に見たい地球の画像を隠す雲を自動的に識別する。画像を送信する前にこれらの雲を取り除くことで、衛星は最大30%の帯域幅節約を実現し、地上局と通信できる位置にあるときにより有用なデータを送信できる。

Intel Myriad 2上で動作するPhiSat-1のAIソフトウェアは、ハイパースペクトルカメラを手がけるハードウェアメーカーと協力している新興企業のUboticaによって開発された。過剰な放射線曝露を補正するためにも調整が必要だったが、CERNでのテストではミッションに必要な基準を満たすためのハードウェアの変更は必要はないことがわかった。

エッジコンピューティングが軌道上の人工衛星に適用されるという意味では新しいが、ローカルAIが非常に理に適う利用方法であることは間違いない。企業がセンサーの近くでデータ処理や分析を処理しようとする理由は宇宙でも同じだが、ネットワークへのアクセスのしにくさや接続の質などは異なっている。

PhiSat-1はArianspace(アリアンスペース)の最初のライドシェア実証ミッションの一環として2020年9月に打ち上げられたが、これは小規模なスタートアップ企業に、より低コストかつ小さなペイロードのための打ち上げサービスを提供する能力をアピールすることを目的としている。

関連記事:欧州の打ち上げ会社Arianespaceが衛星ライドシェアに成功、民間企業を含む計53基を宇宙空間に運ぶ

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Intelエッジコンピューティング

画像クレジット:Intel

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(翻訳:塚本直樹)

インテルがNAND事業を韓国SKハイニクスに約9500億円で売却することで合意、Optane事業については維持

世界最大級のチップメーカーであるSK Hynix(SKハイニクス)は米国時間10月20日、Intel(インテル)のフラッシュメモリー事業を90億ドル(約9500億円)で買収すると発表した。インテルは、この取引で得た収益を、人工知能、5G、エッジコンピューティングに集中するために使うとしている。

インテルCEOのBob Swan(ボブ・スワン)氏は発表の中で「インテルにとって、この取引は、差別化されたテクノロジーへの投資をさらに優先させることを可能にし、顧客の成功においてより大きな役割を果たし、株主に魅力的な利益をもたらすことができます。」と述べている。

The Wall Street Journal(WSJ)が、2つの企業が合意に近づいていたことを今週初めに最初に記事にしていた。SK Hynixは、サムスン電子に次ぐ世界第2位のNANDメモリーメーカーになる。

SK Hynixとの契約は、インテルが5Gネットワークインフラの技術開発に集中するために実行した最新の事業売却だ。スワン氏は「この取引によってインテルは世界中の顧客ニーズに最も合った5Gに全力で取り組むことができます」と述べている。なお昨年、インテルは同様の目的でアップルに約10億ドル(約1050億円)でモデム事業の大半を売却している。

取引が承認され、インテルのメモリー事業が閉鎖されたあとは、ソウルに拠点を置くSK Hynixが、インテルのNAND SSDとNANDコンポーネントとウェーハ事業、および中国・大連のNAND製造所を引き継ぐ。なおインテルは、SSDメモリーモジュールを製造するOptane事業については維持する。両社によると、規制当局の承認は2021年後半までに得られる見込みで、インテルのNAND関連の知的財産を含む全資産の最終的な閉鎖は2025年3月までに完了するという。

最終的に閉鎖されるまで、インテルは大連のファウンドリーでNANDウェハーの製造を継続し、NANDフラッシュウェハーの製造と設計に関連するすべてのIPを保持する。

WSJが指摘したように、大連の施設はインテルの中国での唯一の主要なファウンドリーであり、米国政府が中国の技術に貿易制限を課しているため、SKハイニックスに売却することは、その存在感が激減することを意味している。

前述のように、インテルは売却益を「人工知能、5Gネットワーク、インテリジェントな自律型エッジなど、長期的な成長優先事項を推進するために使用する予定である」と述べた。

2020年6月27日を期日とする半年間に、インテルのNAND事業は不揮発性メモリーソリューショングループ(NSG)の収益の約28億ドル(約2955億円)に相当し、同部門の営業利益約6億ドル(約633億円)に貢献している。WSJによると、これが同期間のインテルのメモリー総売上高約30億ドル(約3166億円)の大部分を占めているという。

SK Hynixのイ・ソクヒCEOは、今回の買収によって「事業構造を最適化し、DRAMに匹敵するNANDフラッシュ市場の革新的なポートフォリオを拡大する」と述べている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:DRAMインテルSK Hynix

画像クレジット:Igor Golovniov/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

まだまだ優位を保つIntelの第10・第11世代モバイル向けCPUを知る

まだまだ優位を保つIntelのモバイル向けCPUを知る

テレワークやオンライン学習など、新しい生活様式に欠かせないPC。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行とともに、会社から支給されたり、急きょ中古品を購入したりした人も多いだろう。しかし、そんなPCは低スペックなことがあり、急場はしのげるものの、リモートでの会議・打ち合わせや、資料の写真編集で動作がモタつく、増えた自宅時間を活用してゲームを始めたものの動作がカクツクなど、性能不足が気になってくるはずだ。特別定額給付金の支給もあり、最新PCの購入を決めた人も多いだろう。

そこで、会社や学校などの近くにあるカフェなどで仕事・学業に勤しんだり、女性の場合ならチャットアプリで化粧のエフェクトをかけつつビデオ会議アプリを使ったりと、使う場所や用途を選ばない人気のモバイルノートPC選びに役立つ最新の知識や用語をお伝えしていこう。

第1回はIntelのモバイル向けCPUからだ。

10世代目に進化した、Intelのモバイル向けCPU

簡単な表計算から動画の編集&エンコード、ゲーミングなどまで、PCの性能で最も重要になるCPU。デスクトップPCの世界では、Intel Core iシリーズを超える性能でありながら安価なAMD Ryzenシリーズが注目を集め、シェアを伸ばしている一方、モバイルノートPCではまだまだIntelが優位を保っている。

第10世代Coreプロセッサー搭載PCに貼られているロゴ。シルバーベースのデザインになっている

第10世代Coreプロセッサー搭載PCに貼られているロゴ。シルバーベースのデザインになっている

そんなIntelモバイル向けCPUは、世代を重ねすでに10世代目になっており、この9月3日には第11世代が正式に発表された(後述)。

第10世代は2019年8月に投入され、Intel CPUでは初めて10nmプロセスで製造された開発コードネーム「Ice Lake」(アイス レイク)を皮切りに、従来通り製造プロセス14nmを採用する「Comet Lake」(コメット レイク)、デスクトップに迫る8コア/16スレッド・最大5.3GHzの稼働クロック(周波数)を実現したハイエンドモバイル向けの「Comet Lake-H」を投入しており、第10世代Coreプロセッサーを搭載したノートPCが各社から数多く登場している。

第10世代Coreプロセッサーのイメージ

第10世代Coreプロセッサーのイメージ

  • Ice Lake(アイス レイク): Intel CPUでは初めて10nmプロセスで製造
  • Comet Lake(コメット レイク): 製造プロセス14nmを採用
  • Comet Lake-H: 製造プロセス14nm。最大5.3GHzの稼働クロック(周波数)を実現したハイエンドモバイル向け

第10世代Coreプロセッサーは、Intel CPUとして初めて10nmプロセスで製造されたIce Lakeと、従来通りの14nmプロセスで製造されたComet Lake/Comet Lake-Hの2つのスキームに分かれている。また、これまでのCoreプロセッサーと同様「Core i3」、「Core i5」、「Core i7」のラインナップに加え、「Core i9」が新たに追加され、20を超えるSKU(SKU Numeric Digits)が用意されている。

Ice LakeとComet Lakeの概要

Ice LakeおよびComet Lake/Comet Lake-Hでは、最新インターフェースの「Thunderbolt 3」(USB Type-C)や、次世代Wi-Fi規格の「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)を標準でサポートする点は共通だ。

Ice LakeとComet Lakeの概要

Ice Lakeのブロックダイヤグラム。Thunderbolt 3やWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)がサポートされている

Ice Lakeのブロックダイヤグラム。Thunderbolt 3やWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)がサポートされている

Ice Lake

2スキームのうちIce Lakeの相違点は、Intelの定義上第11世代(Gen11)となる統合グラフィックス機能(iGPU。Integrated GPU)を搭載している点にある。

  • Intel UHD Graphics(Gen11。第11世代)
  • Intel Iris Plus Graphics(Gen11。第11世代)

これらiGPUファミリー自体の仕様は3種類のグレードに分かれており、Intelによると、Gen11 iGPUの上位モデル「Iris Plus Graphics」は、第8世代Coreプロセッサーで採用された第9世代(Gen9)iGPUと比べ、ゲームのフレームレートが最大1.8倍向上しているという。

Gen11 iGPU最上位のIntel Iris Plus Graphicsでは、64基の実行ユニット(Shaders)を搭載している

Gen11 iGPU最上位のIntel Iris Plus Graphicsでは、64基の実行ユニット(Shaders)を搭載している

実際、Gen11 iGPUの最上位で実行ユニット数64基のIntel Iris Plus Graphicsで、Epic Gamesの人気FPSゲーム「フォートナイト」をフルHD解像度、画質(プリセット)「中」でプレイしてみると、フレームレートは40~50fps程度になっていた。ゲームを遊ぶ上で「快適さ」の指標になる数値「60fps」を切ってしまっているため、カクツクことがあるものの、画質設定次第では十分プレイ可能だ。

フォートナイト(クリエイティブ)のワンシーン。Intel Iris Plus Graphicsなら、解像度や画質次第でライトゲームをプレイできる

フォートナイト(クリエイティブ)のワンシーン。Intel Iris Plus Graphicsなら、解像度や画質次第でライトゲームをプレイできる

Ice Lakeのコア/スレッド数は基本4コア/8スレッドで、稼働クロックや、バッテリー駆動時間に影響するCPUのTDP(熱設計電力)に関しては、現在28W、15W、9Wの3つのグレードに分かれており、全12のSKUが用意されている。

また、PC全体の性能に影響するメインメモリーのスピードでは、Ice Lakeの場合DDR4-3200のほかに、LPDDR4X-3733までをサポートしており、Comet Lakeの場合DDR4-2666または、LPDDR3-2133、LPDDR4X-2933よりも高速になっている点もポイントといえるだろう。

Comet Lake

Intel最先端の10nmプロセスで製造され、最新のiGPUなどを採用するIce Lakeと変わって、これまでと同じ14nm製造プロセスを採用するComet Lakeの最大の強化点は、6コアと8コア(Comet Lake-H)を投入した点になる。

6コア/12スレッドをTDP15Wの「Uプロセッサー」で実現しており、ベース稼働クロックは1.1GHzと抑え気味だが、最大稼働クロック5.1GHz(シングル時)、4.9GHz(マルチ時)のスペックを備えている。さらに、TDPが45Wになる「Hプロセッサー」では、6コア/12スレッドを2SKU、8コア/16スレッドモデルを3SKU用意し、それぞれ5GHzを超える稼働クロックを実現している。

また、TDPが7Wとなる超省電力な「Yプロセッサー」を用意しており、U、Y、Hプロセッサーを合わせると18種ものSKUを用意している。

統合グラフィックス機能重視のIce Lake、CPU処理性能重視のComet Lake

2つのスキームに分かれる第10世代Coreプロセッサーだが、そのうちIce LakeはiGPUの統合グラフィックス機能重視といえる。Comet Lakeは、これまでと同じ14nm製造プロセスや、Gen9 iGPUを採用する一方で、超省電力な4コア/8スレッドCPUから、動画の編集・エンコードといったクリエイティブな作業に効いてくる6コア・8コアや、4GHz超えの稼働クロックとなるSKUを数多く用意するCPU処理性能重視といった位置づけと思っていいだろう。

Comet Lakeの弱点といえるiGPUは、NVIDIA GeForceや、AMD RadeonといったdGPU(ディスクリートGPU。外付けGPU)を組み合わせることで、コジマプロダクションの「DEATH STRANDING」(デス・ストランディング)などといった最新の重量級3Dゲームも快適に遊ぶことが可能になる。その分コストはアップするものの、動画や写真の編集・管理から、趣味を活かした動画配信への挑戦や、最新ゲームの高画質ゲーミングなどをノートPCで快適に行うことが可能だ。

第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)が正式発表

Intelは2020年9月3日、モバイル向けCPUとして第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake。タイガーレイク)を発表した。TDPによって「UP3」(12~28W)、「UP4」(7~15W)の2系統を用意しており、計9SKUを展開。競合製品と比べ、実環境のワークフローにおいて、コンテンツ作成が最大7倍、オフィス生産性が20%以上、ゲームストリーミングでは2倍以上の高速化を実現しているという。第11世代Coreプロセッサーを搭載した150機種以上の製品は、Acer、ASUS、Dell、Dynabook、HP、Lenovo、LG、MSI、Razer、Samsungなどから登場予定という。

  • UP3(12~28W): Core i7-1185G7、Core i7-1165G7、Core i5-1135G7、Core i3-1125G4、Core i3-1115G4
  • UP4(7~15W): Core i7-1160G7、Core i5-1130G7、Core i3-1120G4、Core i3-1110G4
第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)

第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)。写真左が「UP3」(12~28W)、右側が「UP4」(7~15W)

Tiger Lakeは、第10世代(Ice Lake)と同じ10nmプロセスながら、新技術「SuperFin プロセス・テクノロジー」を採用した高性能トランジスターを投入。Thunderbolt 4(USB4準拠)やIntel Wi-Fi 6(Gig+)をサポートするほか、モバイル向けとして初めてPCIe Gen 4インターフェイスを採用している。

第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)。Thunderbolt 4(USB4準拠)ほか、モバイル向けとして初めてPCIe Gen 4インターフェイスを採用

チップセットにあたるPCH(Platform Controller Hub)。Intel Wi-Fi 6(Gig+)をサポート

CPU内蔵グラフィックス(iGPU)としては、グラフィックス実行ユニット数96基(最大)を備えるIntel Iris Xe Graphics、または実行ユニット数48のIntel UHD Graphicsを内蔵。パフォーマンスが前世代と比較して 最大2倍向上し、ゲームだけでなく、ストリーミング性能も競合製品と比較して2倍以上高速化したという。

Intel Iris PLus Graphics(Gen11)とIntel Iris Xe Graphicsの仕様比較

Intel Iris PLus Graphics(Gen11)とIntel Iris Xe Graphicsの仕様比較

カーレースゲーム「GRID」をフルHD表示で動作させた際のフレームレート比較。Intelによると、第11世代Coreプロセッサー(Intel Iris Xe Graphics)が58fps、Ryzen 7 4800Uが38fps、第10世代Coreプロセッサー+dGPU「NVIDIA GeForce MX350」が33fpsとなったという

カーレースゲーム「GRID」をフルHD表示で動作させた際のフレームレート比較。Intelによると、第11世代Coreプロセッサー(Intel Iris Xe Graphics)が58fps、Ryzen 7 4800Uが38fps、第10世代Coreプロセッサー+dGPU「NVIDIA GeForce MX350」が33fpsとなったという

さらにIntel Xe Graphicsには、Intel DL ブーストを搭載した、AI推論として初の命令セットも採用しており、最大5倍のAIパフォーマンスを実現しているという。またIntel GNA(Gaussian and Neural Accelerator) 2.0を介したニューラルノイズ抑制、背景のぼかしなども可能。

Intel Evo Platform Brand

Intelは、以下に挙げる内容を含むノートPC向け認証プログラム「Project Athena」第2版についても公開した。Project Athena準拠の製品はIntel Evo Platform Brandのロゴマークが貼付される。EvoベースのノートPCは、年内に20種類を超える製品が発売予定としている。

  • モバイル向け第11世代Core i5/i7およびIntel Xe Graphicsを搭載
  • 8GB以上のメモリー
  • 256GB以上のPCIe/NVMe SSD
  • Thunderbolt 4(USB4準拠)
  • Intel Wi-Fi 6(Gig+)
  • AI(推論)アクセラレーション(Intel DL ブースト + Intel GNA 2.0、OpenVINO、WinML)
  • バッテリー駆動時も安定した応答性
  • スリープ状態から1秒未満で起動
  • フルHDディスプレイ搭載システムにおいて、実際の作業で9時間以上のバッテリー駆動
  • フルHDディスプレイ搭載システムにおいて、30分以内で最大4時間駆動分の急速充電

第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)スペック表

プロセッサーナンバーで性能を見分ける

第10世代CoreプロセッサーにあたるIce LakeとComet Lakeとでは、プロセッサナンバー(数字とアルファベットを組み合わせた型番)の命名規則が異なっている。また第11世代のTiger Lakeは、Ice Lakeの名目規則が引き継がれた形だ。どのCPUが高性能なのか、ひと目で判断できなくなっている点も知っておきたいところだ。

プロセッサナンバーの命名規則

プロセッサナンバーの命名規則

まずIce LakeとTiger Lakeは、「Core i×」の後ろの数字が4桁で、前半2桁がCPUの世代(第10世代または第11世代)、続く2桁がCPUのSKUになる。そして続くアルファベットと数字で統合グラフック機能(iGPU)のグレードを表している。例えば「Intel UHD Graphics」を内蔵するなら「G1」、「Intel Iris Plus Graphics」の実行ユニット数48基なら「G4」、実行ユニット数64基なら「G7」となっている。

基本的に、TDPの違いを表していた「U」や「Y」はなくなったが、新たに追加されたTDP28WのSKUのみ、CPUのSKUの後に「N」が追加され「Core i×-10××NG×」となっている。TDPが分かりづらくなったが、Ice Lakeの特徴となるiGPUのグレードは、ひと目でわかる形だ。

そしてComet Lakeは、これまでのIntel モバイル向けCoreプロセッサーと同じになる。Core i×-10より後ろの数字3桁がCPUのSKUで、末尾のアルファベットがTDPの種別になっている。なお、TDPがデスクトップクラスの45Wになっているクリエイターやゲーミング用途向けのハイエンドの「H」には、末尾に「K」が追加され、オーバークロック機能の「Intel Speed Optimizer」に対応する「Core i9-10980HK」もある。

基本的に、CPU処理性能が高いほどCPUのSKUの数字が大きくなるという点は、これまでと同じと思って問題ない。しかし今後は、プロセッサーナンバーだけで比べるのは止めて、SKUのスペックを確認するようにした方が安全だろう。

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最新ノートPCでIntelモバイルCPU「Core i7-1065G7」とAMD「Ryzen 7 4700U」の性能を確認する

最新WindowsノートPCでIntelとAMDのモバイルCPUの性能を確認する

現在モバイルノートPCで採用されている最新モバイルCPUというと、Intelの「第10世代Coreプロセッサー」、AMDの「Ryzen Mobile 4000」がある。基本的な特徴についてはすでに掲載してある記事の通りだが、実際の処理性能が気になる方は多いはずだ。

ノートPCの場合、同一スペックのCPUでも、メーカーが設定したTDP(Thermal Design Power。熱設計電力)値や、冷却性能でパフォーマンスが若干異なってしまう。そこで、IntelとAMDのCPUをボディデザインで採用している日本HPのノートPC「HP ENVY x360 15」を借り受け、ベンチマークを実施してみた。

日本HPの最新ノートPC「HP ENVY x360 15」シリーズ。お絵描きなどにも最適なペン入力にも対応

日本HPの最新ノートPC「HP ENVY x360 15」シリーズ。お絵描きなどにも最適なペン入力にも対応

日本HPは、CPUにIntel 第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake)を採用した「HP ENVY x360 15(インテル)」と、第3世代Ryzen Mobileを採用する「HP ENVY x360 15(AMD)」を用意している。それぞれ10点タッチ、4096段階の筆圧感知対応の15型フルHD液晶IPSパネルや、タブレット形状にもできる360度回転ギミック、Wi-Fi6などのスペックを備えている最新モデルになる。

Intelモデルのシルバーに対して、AMDモデルはブラックのボディカラーを採用

Intelモデルのシルバーに対して、AMDモデルはブラックのボディカラーを採用

液晶ディスプレイは360度回転。タブレットとしても利用できる

液晶ディスプレイは360度回転。タブレットとしても利用できる

「HP ENVY x360 15(インテル)パフォーマンスモデル」(15-ed0026TU)のCPUは、4コア/8スレッド、ベース稼働クロック1.30GHz、最大稼働クロック3.9GHzの「Core i7-1065G7」。また512GB Optane SSD、16GBメモリー(DDR4-3200)などを搭載している。直販価格は税別13万9800円だ。

  • 「HP ENVY x360 15(インテル)パフォーマンスモデル」(15-ed0026TU)
  • Core i7-1065G7(Ice Lake)搭載。 4コア/8スレッド、ベース稼働クロック1.30GHz、最大稼働クロック3.9GHz
  • 直販価格は税別13万9800円

もう一方の「HP ENVY x360 15(AMD)パフォーマンスモデル」(15-ee0020AU)は、8コア/8スレッド、ベース稼働クロック2.0GHz、最大稼働クロック4.1GHzの「Ryzen 7 4700U」を採用。その他の仕様はIntelモデルと同様で、直販価格は税別12万9800円だ。

  • 「HP ENVY x360 15(AMD)パフォーマンスモデル」(15-ee0020AU)
  • Ryzen 7 4700U搭載。8コア/8スレッド、ベース稼働クロック2.0GHz、最大稼働クロック4.1GHz
  • 直販価格は税別12万9800円

物理4コアと、8コアの差や、ベース稼働クロックに700MHzの開きがあるが、最大稼働クロックは近い位置にある。しかも同価格帯になっている2機種で、CPUやiGPU(Integrated GPU。内蔵GPU)の処理能力を見ていこう。

Adobe製品を使ったテストでは、実稼働クロックの差が顕著に出る結果に

「Adobe Photoshop Lightroom」を使ったRAW現像や、「Adobe Premiere Pro」での4K動画編集、編集動画の書き出しなどといったCPUが重要な処理をいくつか行ったところ、Ryzen 7 4700U搭載のHP ENVY x360 15(AMD)パフォーマンスモデルが高速に処理を完了した。

Ryzen 7 4700Uが物理8コアを採用している点に加えて、シングル、マルチコア動作時ともに実稼働クロックが3GHz台と高いことがポイントといえる。

実際、オールコアに高い負荷をかけ、処理時間に大きく影響する「Adobe Premiere Pro」を使った4K動画の書き出し(4K→フルHD解像度、約13分40秒、ソフトウェア処理)に要した時間は、Intel Core i7-1065G7搭載のHP ENVY x360 15(インテル)パフォーマンスモデルが、28分12秒必要としたところ、Ryzen 7 4700U搭載のHP ENVY x360 15(AMD)は24分4秒で完了している。

HP ENVY x360 15(インテル)パフォーマンスモデルで、「Adobe Premiere Pro」を使って、編集動画を書き出した際のタスクマネージャー

HP ENVY x360 15(インテル)パフォーマンスモデルで、「Adobe Premiere Pro」を使って、編集動画を書き出した際のタスクマネージャー

フリーエンコードソフトウェア「HandBrake」で、約5分間の4K MP4動画をフルHD解像度(プリセット:Vimeo YouTube HQ 1080p60)のエンコードを試したところ、同様の状況となった。

H.265で出力すると、Ryzen 7 4700Uは10分26秒で出力が完了し、Intel Core i7-1065G7よりも11分程度高速だった。

Ryzen 7 4700Uの動画エンコード実行中のタスクマネージャー

Ryzen 7 4700Uの動画エンコード実行中のタスクマネージャー。CPU使用率は100%

Core i7-1065G7の最大稼働クロックは3.9GHzだが、あくまでもシングル負荷時の数値で、動画エンコードなどのすべてのコアに負荷がかかる際の実稼働クロックは1GHz台だったため、この差はやむを得ないところだ。

CGレンダリング系ベンチマーク「CINEBENCH R20」でシングルコアのCPU処理能力を見る

また、CGレンダリング系ベンチマーク「CINEBENCH R20」で、シングルコアのCPU処理能力(スコア)を見てみた。HP ENVY x360 15搭載のCore i7-1065G7は、ベンチマーク実行中に3.34GHz前後の稼働クロックになり、スコアは「398 pts」を記録した。3.72GHz~4GHz前後まで稼働クロックを伸ばしたRyzen 7 4700Uは「464 pts」のスコアを記録。デスクトップ向けと同じく、モバイル向けプロセッサーも、IntelとAMDのコアあたりの性能差はほぼないといえるようになっている。

冷却ファン非搭載でも運用できる第10世代Coreプロセッサー、冷却機構はマストだがクリエイティブ作業もこなせる第3世代Ryzen Mobile

第10世代Coreプロセッサーは、MicrosoftのタブレットPC「Surface Pro」(Core i3/Core i5搭載モデル)に代表される、冷却ファンを装備しない(できない)機種でも運用できる低消費電力(低発熱)な(Stock Keeping Unit)を用意したモバイルCPUといえるだろう。
一方の第3世代Ryzen Mobileは、冷却機構はマストだが、6コア以上の物理コア&高稼働なクロックでクリエイティブな作業もラクラクと行える性能を発揮するといったイメージだ。

最新ライトゲームをiGPUで楽しめる第3世代Ryzen Mobile

AMD Ryzen Mobileが内蔵するGPU「AMD Radeon Graphics」は、高パフォーマンスが特徴とされる。そこで実際のゲーム環境での動作を見るため、新たなeスポーツタイトルとして注目を集めるライトFPSゲームの「VALORANT」や、マイクラ好きにオススメなハックアンドスラッシュ&ダンジョンクローラーRPG「Minecraft Dungeons」を試してみた。

すると、Ryzen 7 4700UのiGPU「AMD Radeon Graphics(Vega 7)」では、「VALORANT」で平均フレームレート179.4fpsを叩き出し、「Minecraft Dungeons」でも30fpsオーバーの平均フレームレートになった。

注目の「VALORANT」。iGPUのAMD Radeon Graphics(Vega 7)なら、画質を上げても余裕で60fpsオーバーを維持できる

注目の「VALORANT」。iGPUのAMD Radeon Graphics(Vega 7)なら、画質を上げても余裕で60fpsオーバーを維持できる (C)2020 Riot Games, Inc. All rights reserved. Riot Games, League of Legends and PvP.net are trademarks, services marks, or registered trademarks of Riot Games, Inc.

IntelのモバイルCPU(Ice Lake)のうち、Core i7-1065G7が内蔵する最上位iGPU「Intel Iris Plus Graphics(64ユニット)」では、「VALORANT」は平均98.5fpsとゲームプレイを軽快に楽しめるフレームレートだった。ノートPCでカジュアルゲームを満喫するなら、第3世代Ryzen Mobileに注目といえるだろう。

Intel Iris Plus Graphics(64ユニット)は30fpsを切ってしまったが、AMD Radeon Graphics(Vega 7)は、30fpsオーバーでプレイ可能だった

Intel Iris Plus Graphics(64ユニット)は30fpsを切ってしまったが、AMD Radeon Graphics(Vega 7)は、30fpsオーバーでプレイ可能だった Mojang (C) 2009-2019. “Minecraft” is a trademark of Mojang Synergies AB

 

約240億円の投資を指揮したウェンデル・ブルックス氏がインテルキャピタルの社長を辞任

Wendell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏が2015年にチップの巨人の投資部門であるIntel Capital(インテルキャピタル)の社長に昇格したとき、後継者として重責を担うことが同氏にはわかっていた。同氏は投資部門を創業以来28年間統括してきたArvind Sodhani(アービンド・ソダニ)氏の後を引き継いだ。同社は8月7日、ブルックス氏が社長を辞任したとの報道を認めた。

ウェンデル・ブルックス氏は、新しい機会を求めてインテルを辞任しました。ブルックス氏の貢献に感謝し、将来のご活躍を祈念いた します」と同社の広報担当者はTechCrunchに対し当たり障りのない送別の言葉を伝えた。

M&Aや国際投資を主導してきたAnthony Lin(アンソニー・リン)氏が暫定的に引き継ぐ。興味深いことに、ブルックス氏が昇格したときもM&A担当だった。リン氏がそのまま就任するかどうかは不明だ。

ブルックス氏がソダニ氏から引き継いだ2015年に、筆者はブルックス氏にインタビューしたことがある。その時は確かに目の前にある仕事に向かう準備ができているように思えた。「会社の実績を積み上げるという重責を担う」と同氏は当時述べた。「これはポートフォリオ企業に戦略的価値を提供する方向に重点をシフトする良い機会だととらえている」

同じインタビューで同氏は自身の投資哲学について、セカンダリーインベスターではなく、リードインベスターとなることを好むと述べた。「リードインベスターはビジネスの仮説、市場へのルート、方向性、スタートアップのテクノロジーに関して、パッシブインベスターよりも深い影響を与えることができる」と語った。「また、影響力を行使するために取締役を派遣したい」と付け加えた。

同社を従来のベンチャーキャピタルと比較すると、投資実績の点では同じかそれ以上であり、さらに戦略的投資家としてのメリットもあると語った。「従来のVCの一部は、企業の組織作りに価値を置いている。当社は戦略的なガイダンスを提供し、組織作りの点では他のVCの役割を補完することができる」と述べた。

同社はこれまで1500社以上に合計129億ドル(約1兆4000億円)を投資しており、そのうち692社はIPOか売却でイグジットした。同社は今年、ブルックス氏のリーダーシップの下、2億2500万ドル(約240億円)を投資した。このうち新規投資は11件、既存のポートフォリオ企業への投資は26件だった。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

インテルとボーイングという米国を支える2本の大黒柱は政府から延命処置を受けるも予後に暗雲

Intel(インテル)とBoeing(ボーイング)。米国工業界を支える2本の大黒柱だ。

Intelは世界最高水準のチップをいくつも製造し、数十年にわたってコンピューターの性能を限界まで高めつつ、時価総額2000億ドル(約21兆2000億円)という組織を維持し、11万人の従業員の生活を支えてきた。一方、Boeing747型機の引退(The New York Times記事)を経てもなお、航空業界のグローバルリーダーの地位を保ち続け、660億ドル(約7兆円)の収益で、900億ドル(約9兆5300億円)の時価総額と15万3000人を超える従業員を支えている。

だが古代ローマの石の柱と同様、これらの柱もかつての機能を支える単なる骨組みと化してしまった。風雨に浸食され、疲労し、崩れかけている。どう見ても、前の世代で頑張ってきたように米国の経済を支え続けるのは無理なようだ。今後もイノベーションの先陣を切って走り続けられるように、米国のこの極めて重要な産業を支持していくのはもう難しい。

この数十年の長きにわたり、米国は産業空洞化の嵐に吹きつけられてきた。まずそれは繊維、消費者向けの小型機器、家電品といった軽いものから始まったのだが韓国、ドイツ、台湾、中国、タイ、トルコなどの輸出主導型の国々が高度な能力を持つようになり、その製造の幅を拡大し、海外にどんどん進出するようになった。

今や、米国工業界の例外主義の象徴である絶対にして最強の二本柱は、根深い脅威にさらされている。とりわけインテルは、最悪の立場にある。次世代の7ナノメートルノードの製品化は2021年に持ち越される(BBC NEWS記事)こと、さらに一部の製造を外注に回すという残念なニュースが報じられると、ウォールストリートに荒波が立ち、わずか2週間でインテルの株価は20%も下落した。台湾のファウンドリー業者であるTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)の技術は、インテルよりも数年進んでいる(Financial Times記事)と信じるアナリストも増えている。

かたやボーイングは、2018年10月に最初の墜落事故を起こした737 MAXの大失敗がいまだ尾を引いている。それだけでも十分にこの企業を弱体化させている(The New York Times記事)が、そこに新型コロナウイルス(CNBC記事)と、国際運輸の崩壊(BBC記事)が追い打ちをかけた。ボーイングの前途は、2年前の予測をはるかに上回る危機に見舞われている。

このスローモーションの大惨事への米国最初の対処策が、経済支援という昔ながらの政策危機ツールだった。インテルは米国の半導体産業の死を最も明確に表しているが、これはインテルに限った話ではない。この穴を埋めようと、米連邦議会は半導体業界に対して大きな奨励策を打ち出した。2週間前、テキサス州選出の共和党のJohn Cornyn(ジョン・コーニン)上院議員は、2020年度の防衛予算法案の補正案に、超党派の幅広い支持(米国議会資料)を得た。これにより、米国のチップ産業推進のために数十億ドル(数千億円)の資金とインセンティブが供与されることになる。

それに対してボーイングは、民間投資家による負債コンソーシアムに資金運用を依頼する(Bloomberg記事)前に、600億ドル(約6兆4000億円)の経済支援を政府に求めていた。だが、ボーイングは米国政府から別の形の支援(Mother Jones記事)も受けている。同社の収益の3分の1は防衛関連だ。つまり、ペンタゴンに大きく支えられているわけだ。製造業者への政府の経済支援は、2020年もまったく問題なく進められることになる。

だが、これの企業へ潤沢な資金を投入したところで、内部に広がる腐食を止めることはできない。どちらも激しい国際競争によって優位性を削り取られてゆく中、企業文化はエンジニアリング中心から利潤最大化型へと転向している。繰り返しになるが、ボーイングはインテルよりはまだ安全だ。Airbus(エアバス)は、イノベーションにおいて以前からそれほど優れていたわけでなく、A380型機のような戦略ミス(BBC記事)もあった。中国の機体メーカーであるCommercial Aircraft Corporation(中国商用飛機)は着実に進歩はいているものの、まだ第一線で戦える企業ではない(Reuters記事)。

これは業界の方針が間違っていたのではなく、米国の産業政策が目を覆いたくなるほど無能だったということだ。

台湾は、その半導体の卓越性を国の経済の要と位置づけた(Harvard Business School記事)。韓国は、K-POPや韓流ドラマといった文化製品を政府の最優先産業に定め(American Affairs記事)、今では世界中で大きな伸びを見せている。なかでも中国が経済発展の基盤として主要産業を支援していることはよく知られているところであり、この3年間は大成功を収めた。例を挙げればキリがない。

その違いは何なのだろう?ひと言でいえば戦略だ。どの成功例を見ても、政府がインセンティブと政策変更によって新規産業の立ち上げを支援し、さらにこれらの産業が、与えたインセンティブに対して確実に利益を戻してくれることになる他に類のない知的財産を築き上げられるように仕向けている。

それに引き換え米国は、常に最悪のタイミングで資金のばらまきを行っている。新規産業の創出を奨励せず、倒れかけた産業に駆け寄り、荒れ地や枯れ木林に現金の肥料をばらまいているのだ。

チップ産業を立て直そうと議会が数十億ドル(数千億円)を投入する一方で、トランプ政権は7500万ドル(約80億円)の量子コンピューター戦略(THE HILL記事)を発表した。米国を高度なコンピューターの開拓に駆り立てようという狙いだ。中国は5G無線技術に数十億ドルを投資している(Bloomberg記事)が、それに対して米国が拠出したのは、農村部の無線通信テストベッドに数十万ドル(数千万円)だ

経済超大国である米国は、単純にあらゆるものが世界最高で、国民は望めば最高の職業に就けるのが当たり前という世界に生きてきた。産業は崩壊することもある。政府の政策はうまくいかないこともある。学校も大学は、教育がまるで非効率になってしまうこともある。だが、この巨大な産業界に太刀打ちできる国など今までほとんどなかったため、そんな問題を気にする者はいなかった。

今や、多くの国々が工業製品や文化製品で大きな競争力を持つようになった。競争力が付いただけではない。彼らはその分野の勝利を確実にするために、全力で当たってくる。台湾はさまざまな不確定要素のために半導体ではあまりうまくいっていないが、素晴らしいのは経済のグローバル化や中国の台頭といった変化を乗り越えるべく、その得意分野を最優先させるよう経済、教育システム、政府を全体的に動かしたところだ。

もちろん、今でも資金や才能を備えた巨大企業であるインテルとボーイングには、まだチャンスがある。しかし米国の製造業界で倒れていった企業の歴史をひとつずつ振り返ると、不吉なデジャブを感じざるを得ない。あのとき、私たちはやり方を間違えた。果たして私たちには、それを正しくやれる素質があるのだろうか?

画像クレジット:Douglas Sacha / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

インテルがインドの通信大手Reliance Jio Platformsに約273億円出資へ

Intel(インテル)は7月3日、Jio Platformsに2億5350万ドル(約273億円)を出資すると明らかにした。インドの大手通信会社Jio Platformsにはここ数カ月、Facebook(フェイスブック)やGeneral Atlantic(ゼネラル・アトランティック)、Silver Lake(シルバー・レイク)などそうそうたる投資家が出資していて、インテルもそのリストの仲間入りを果たす。

米国のチップメーカーであるインテルの投資部門はJio Platformsの株式の0.39%を取得し、これによりJio Platformsのバリュエーションは650億ドル(約7兆円)となる。Jio Platformsの株式を取得する投資家としてはIntel Capitalは12番目だ。Jio Platformsは今年4月以降、株式の25%を売ることで155億ドル(約1兆7000億円)超を調達した。

「素晴らしいエンジニアリング能力を活用して低コストのデジタルサービスのパワーをインドにもたらそうというJio Platformsの目的は、暮らしを豊かなものにする斬新なテクノロジーを届けるというIntelの目的と合致する。デジタルアクセスとデータが事業や社会をより良いものに変えることができると我々は確信している」とIntel Capitalの会長Wendell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏は声明で述べた。

今回の発表の前に、Jio Platformsの親会社であるReliance Industriesを采配するMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏は、彼のデジタル部門への6月18日のサウジアラビアのPFI(パブリック・インベストメント・ファンド)による15億ドル(約1600億円)の投資でもって「Jio Platformsによる資金面での当面のパートナー勧誘は終了となる」と述べていた。

インド最大の資産家であるアンバニ氏は7月3日、「『インド経済の全部門に活力を与え、13億人ものインド国民の生活の質を改善する最先端のテクノロジーにおけるインドの能力を高めるためにインテルとともに取り組む』ことに興奮している」と述べた。

新たな契約は、インドで最も価値の大きな企業であるReliance Industriesの創業4年の子会社Jioに、海外の投資家がさらに機会を見出すことを意味する。Reliance Industriesは通話やモバイルデータの料金割引でインドの通信マーケットに新風を吹き込んだ。Jioの利用者は4億人だ。

調査会社のBernstein(バーンスタイン)のアナリストは先月、Jio Platformsの顧客が2023年までに5億人に達し、マーケットの半分を2025年までに手中に収めると予想している、と述べた。Jio PlatformsはBharti Airtel、そしてVodafone Ideaと競合している。Vodafone Ideaは英国の大企業Vodafoneとインドの億万長者Kumar Mangalam Birla(クマール・マンガラム・ビルラ)氏のAditya Birla Group(アディティア・ビルラ・グループ)との合弁会社だ。

Jio Platformsはまた、音楽ストリーミングサービスJioSaavnやオンデマンドのライブTVサービスJioTV、決済アプリJioMoneyなど一連のデジタルアプリやサービス、そしてスマートフォンやブロードバンドの事業も運営している。Jio利用者はこれらのサービスを追加料金なしで利用できる。

7月2日夜、Jio Platformsは1回のセッションが「最大24時間」で無制限で利用できるビデオ会議サービスとしてJioMeetを立ち上げた。現在有料プランはないこのサービスはZoomにかなりそっくりだ。

先月、アンバニ氏はJio Platformsが調達した資金は、石油と小売の大手企業Reliance Industriesの正味の借入金210億ドル(約2兆3000億円)の返済にあてたと話した。アンバニ氏はRelianceの負債を2021年初めまでに返済すると約束していた。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが6月22日のオンラインWWDCでMacのARMベース移行を発表か

Bloomberg(ブルームバーグ)は、「Apple(アップル)は早ければ今月下旬にもMacのCPU変更を正式に発表する」と報じた。発表は6月22日からオンラインで開催されるWWDCで行われる可能性もあるということだ。アナリストや業界の噂は何年も前から同社がMacのチップをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品に変えようとしているといっていた。

同社はWWDCでこれまで何度もmacOSやiOSなど重要ソフトウェアのバージョンアップの将来計画を発表している。実施に先立ってデベロッパーがソフトウェアを準備するのを助けるためだ。またWWDCは長年にわたって新しいMacBookやiMacなど、多数のMacハードウェアの発表の場となってきた。

ブルームバーグは「ARMベースのMacへの移行計画がここで発表されるなら、デベロッパーへの事前通知になる」と述べている。すぐに利用できるハードウェアの発表ではないが、2021年にリリースされるはずのARMベースのMac向けソフトウェアを準備する時間をデベロッパーに与えるために役立つだろうという。ただしARMベースのMacハードウェアが製造されるのははるか先であるため、発表のタイミングは変わる可能性もあると記事は注意している。

アップルがMacのプロセッサのアーキテクチャを全面的に変更するのはこれが最初ではない。2006年に同社はCPUベースをPowerPCからIntelに変えた。 切り替えが発表されたのは前年、2005年のWWDCだったが、これもデベロッパーに約半年の準備期間を与えるためだった。

ブルームバーグは4月に「アップルはARMベースのMacの販売を来年開始する計画だ」と報じている。アップルはARMアーキテクチャに基づいて、3種類のプロセッサを社内で開発しMacの試作機でテストしているという。同社はARMベースの独自開発のプロセッサをiPhone、iPadなどのiOSデバイスで数世代前から使っている。同社のエンジニアリングの能力は極めて優れており、独自CPUは、Macシリーズで使われているインテルチップよりもはるかに電力効率が高く、ほとんどあらゆる点で優れているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インテルが今年出資したスタートアップ11社、年内に500億円超の出資を予定

半導体の巨大企業であるIntel(インテル)は、世界中の1582企業への投資と、同社の支援を受けて株式公開またはイグジットを達成した692社のポートフォリオ企業における実績を持ち、コーポレートベンチャーキャピタルの中ではハイテク産業で最も多産かつ先見の明がある投資家に数えられる。

同社は米国時間5月13日、新たに11社のスタートアップに1億3200万ドル(約140億円)を出資したことを明らかにした。これらの取引には、人工知能、自立型コンピューティング、チップ設計が含まれ、同社の現在と将来における最も戦略的な優先事項を反映している。

多くのコーポレートVCは彼らの活動とその親企業の活動とを明確に分けており、インテルにも同じことが言えるが、同社は同時にVCのメリットを活用して戦略的関係を広げ、最終的にはM&Aを通じて自社を拡大するための動きを見せている。今月初め、実際に同社はIntel Capitalのポートフォリオ企業であるMoovit(ムービット)を9億ドル(約960億円)で買収した。ただし、以前の投資を考慮し8億4000万ドル(約903億5000万円)に値下げされている。

「Intel Capitalは、私たちの働き方や生活の改善に取り組んでいる革新的なスタートアップを特定し投資しています。最新の各投資はAI、データ分析、自律システム、半導体イノベーションなどの分野における可能性を押し広げていくことでしょう。現在の世界の課題に対してこれらの企業と共に協力して舵を取り、持続可能で長期的な成長を推進していくことをとても楽しみにしています」とインテルの上級副社長兼IntelCapitalの社長であるWendell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏は発表の中で述べている。

スタートアップやベンチャーの投資の世界にとって危機的な時期に行われた今回の取引。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって引き起こされた経済の減速が、その後のテクノロジーファイナンスの減速を意味するのではないかと懸念されている。しかしインテルは年内に3億ドル(約320億円)から5億ドル(約530億円)を投資する予定だと伝えており、過去数か月間に同サイトで取り上げた巨大取引や大型ファンドも考慮すると、この懸念は不要だと論ずることもできる。

発表されたリストには具体的な投資額は含まれていないが、スタートアップ自体が資金調達を発表し、ラウンドサイズの詳細を伝えているケースもある。ただし、これらの報告でもインテルの具体的な出資額は明らかにされていない。

以下が、インテルが投資したスタートアップのフルリストだ。

Anodot
アプリのパフォーマンスや顧客インシデントなどの領域において、機械学習を使用して自律的にビジネスオペレーションを監視。同プラットフォームを用いてこれらのインシデントを監視し、検出と応答時間の高速化を目指している。4月に合計3500万ドル(約37億円)のラウンドが発表されている

Astera Labs
データ中心システムの接続ソリューションに焦点を当てたファブレス型の半導体スタートアップであり、AIなどの領域での計算集中型のワークロードにおけるパフォーマンスの障害の解消を目的とする。PitchBookによると、同社は2週間前に金額未公開のシリーズBを発表し、これまでに600万ドル(約6億4000万円)を調達しているとのこと。

Axonne
コネクテッドカー向けの次世代高速自動車イーサネットネットワーク接続ソリューションを開発。レガシーシステムやプロプライエタリシステムと、高度な次世代アプリケーションのニーズとの融合問題に取り組んでいる。インテルは3月に実施された900万ドル(約9億6000万円)のラウンドに参加した。

Hypersonix
ビッグデータ分析を使用してeコマース、小売、ホスピタリティ分野における顧客の需要を特定し、予測する。Amazonは同社の顧客の1社であり、サプライチェーン部門でHypersonixのプラットフォームを使用している。これには驚く人も多いだろう。HypersonixのCEOによると、eコマース業界の巨人であるAmazonには社内の全部門をカバーする専門分析チームがいないため、サードパーティからサービスを購入する場合があるという。1150万ドル(約12億2000万円)のラウンドは5月の初めに発表されている。

KFBIO
中国を拠点とする同社は、インテルが賭けるバイオテクノロジー業界の1社である。同社は、ビッグデータとクラウドベースのAIを活用した情報を使用し、顕微鏡の代替となるデジタル病理スキャナーを設計、構築している。ここでのインテルの関心と関連性は明らかにプロセッサー寄りだが、これにより同社が今後AIアプリケーションやクラウドコンピューティングアプリケーションにおけるさまざまな領域で力を発揮できる可能性をもたらしてくれる。このディールは4月初旬に終了し、総額は約1420万ドル(約15億円)となった

Lilt
AIを活用する言語翻訳プラットフォームを構築している。これは消費者向けのGoogle翻訳などと競合するものではなく、国際的なウェブサイトやアプリを利用する人々を支援し、そういったコンテンツをより効率的にローカライズするためのものだ。同社は本日、インテルが主導する2500万ドル(約27億円)のシリーズBラウンドを発表した。

MemVerge
重いデータ処理を中心とするアプリケーションのデプロイを簡素化するアーキテクチャーである「インメモリー」コンピューティングに重点を置いている。同社は4月初めに2450万ドル(約26億円)のラウンドを終了している。同社は常にインテルのプロセッサーを業務に用いてきたが、インテルの投資は本日まで公開されていなかった。

ProPlus Electronics
さまざまなチップを大規模に製造する半導体企業のチップ設計と製造をスピードアップする電子設計自動化(EDA)中国スタートアップである。4月初旬にラウンドは終了している。正確な金額は、「数億人民元(数千万米ドル)」であったとのみ発表されており、明らかになっていない。

Retrace
AIを使用して「歯医者の意思決定」を改善する、あまり注目を浴びていない歯科データスタートアップである。同社のウェブサイトによると、他の医療分野にも焦点を当てているようだ。ラウンドサイズや終了日程は不明である。

Spectrum Materials
中国出身の同社は、ガスやその他の資源を半導体メーカーに供給するもう1つのステルス企業である。

Xsight Labs
イスラエルを拠点とする同社は、通常AIや分析アプリケーションに付随するデータ集約型のワークロードを加速するチップセットデザインを構築している。イスラエルには処理能力を多く必要とするアプリケーションの1つである自律駆動にフォーカスした巨大なR&Dセンターがあるため、これは明らかに戦略的な賭けのように見える。同社は2月に2500万ドル(約27億円)を調達しているが、インテルはそのラウンドでは公開されていない。

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Category:VC / エンジェル

Tag:Intel

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(翻訳:Dragonfly)