MetaがWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能に

Meta(旧Facebook)がWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能

Meta

Meta(旧Facebook)は11月10日(現地時間)、同社のコラボレーションプラットフォームWorkplaceとMicrosoft Teamsの連携機能を発表しました。Teams内からWorkpaceのコンテンツに投稿が可能になるほか、TeamsからWorkplaceグループに動画のストリーミング配信が可能となります。

TeamsとWorkplaceを利用しているユーザーは、Teams用のWorkplace連携機能をダウンロードすれば、すでに連携機能を利用可能となっています。ただし、Teamsからの動画ストリーミングに関しては、2022年初めに提供予定とのことです。

Microsoft TeamsのCVP Product & EngineeringであるJeff Teper氏は、「パンデミックから学んだことの一つが、企業は1つのツールだけに頼って仕事をしているわけではないということです。よって、企業が使用しているツールが統合され、相互運用されるようにすることは、この分野のリーダーとしての責任です」と連携の意義を語っています。

MetaとMicrosoftは以前からエンタープライズ製品では協力しており、ExcelやWord、PowrPointなどは、すでにWorkplaceで利用可能です。また、スマートディスプレイPortal Goの発表時には、12月にTeamsのサポートを追加するともしていました。

(Source:MetaEngadget日本版より転載)

フェイスブックがユーザーの政治的信条、宗教、性的指向を広告ターゲットにすることを禁止予定

Facebook(フェイスブック)は米国時間11月9日、個人の健康、性的指向、宗教的・政治的信条などの、潜在的に「センシティブ」な属性に基づいてユーザーをターゲティングすることを、この先広告主に許可しないことを発表した。たとえば「Lung cancer awareness(肺がんの知識)」「LGBT culture”(LGBTカルチャー)」「Jewish holidays”(ユダヤ教の休日)」などが、2022年初頭からターゲット外となるカテゴリーの例だ。

同社はブログに「こうした詳細なターゲット設定オプションを削除する決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」と記し、その上で公民権の専門家、政策立案者、その他の関係者からの意見が今回の決定を後押ししたと述べている。広告収入はFacebookの主要な収入源であるため、広告ポリシーの大幅な変更は大きな副次的影響を及ぼす可能性がある。

Facebookは年齢、居住地、性別(ジェンダー)など、プロフィールに記載されている情報に基づいて、ユーザーをターゲットにすることができる。しかしFacebookプラットフォームが、ユーザーのプロフィールに記載されている性的指向に基づいてターゲットを絞ることはこれまでもしていなかったと、同社の担当者はTechCrunchに語った。この先、削除される広告とは、ユーザーのプロフィール内の関心カテゴリーに基づいて提供されている広告を指すという。

これまでFacebookは、ユーザーのアクティビティに基づいて、そうした関心カテゴリをユーザーのプロフィールに割り当てていた。Facebookのコンテンツにどのように関わったかに応じて、ユーザーには「米国のユダヤ文化」「LGBTの権利」「バラク・オバマ」など、Facebookが「センシティブ」と呼ぶカテゴリーが割り当てられる可能性がある。2022年1月19日から、広告主はこれらのような関心事に基づいて広告をターゲティングすることができなくなる。なお「ロッククライミング」や「編み物」など、センシティブではない他の関心グループは引き続きターゲットとして使われる予定だ。センシティブかどうかに関わらず、そうしたカテゴリーは何万もあるのだ

いまでもユーザーは、デスクトップの「設定とプライバシー→設定→広告→広告設定→広告のターゲット設定に使用されるカテゴリ→興味・関心のカテゴリ」で、自分のプロフィールにひも付けられた関心グループを確認することができる。また特定の関心事に基く広告を見たくない場合は、そこでオプトアウトすることができる。

この広告ポリシーの変更は、Facebookプラットフォームの親会社として新たに社名を変更したMeta(メタ)が、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏がリークした文書に関連した一連の上院公聴会の後、厳しい監視の目に晒されていることに起因している。より多くの文書が報道機関にリークされるにつれて、Metaは一部のジャーナリストの報道が同社の振舞を誤って伝えていると主張し、防御の姿勢を強めている。

とはいえ、Facebookの広告ポリシーは何年も前から問題視されていた。2020年の米国大統領選挙に向けて、Facebookは、作成できる政治広告の種類に制限を設けた。また2018年には、米住宅・都市開発省(HUD)が、家主や住宅販売業者たちが公正住宅法(Fair Housing Act)に違反する行為をFacebookが幇助していた件告発したことを受けて、Facebookは広告の5000以上のターゲティングオプションに対して同様の削除を実施した。その前の2016年には、Facebookは住宅、雇用、クレジット関連の広告に関する「民族的親和性」ターゲティングを無効にしている。これはProPublica(プロパブリカ)のレポートで、そうした機能が差別的な広告に使われる可能性があると指摘されたことを受けたからだ。住宅や雇用に関しては、特定の社会属性に基づいて広告を出すことは違法なのだ。また、ProPublicaの別の報告書によって、Facebookは反ユダヤ的な関心事のカテゴリーに基づく広告ターゲティングも削除している。

また同社は「私たちは、プラットフォーム上でどのように人びとにリーチできるかについての広告主の期待によりよく沿うと同時に、私たちが利用可能にしているターゲティングオプションを広告主が乱用することを防ぐことの重要性に関する公民権専門家、政策立案者、その他の利害関係者からのフィードバックにも対処したいと考えています」とブログ投稿を行っている。「こうした、詳細なターゲティングオプションを取り除く決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」。

Facebookは、データが悪意ある者に悪用される可能性を懸念してこれらの決定を下したとしているものの、このデータが潜在的にポジティブな方向に使用される場合もあるため、一部の関係者を心配させている。たとえばこれまでは「糖尿病の知識」に興味がある人には、コンディションの管理に取り組んでいる非営利団体を紹介することができていたのだ。

それでも、Facebookには、特定のオーディエンスにアクセスするためのツールがまだ数多く残されている。例えばユーザーがiPhone上で広告トラッキングを許可した場合、Facebookの広告主はその情報を広告のターゲティングに利用することができる。また企業は「エンゲージメントカスタムオーディエンス」「類似オーディエンス」などを活用して、ユーザーにリーチすることができるが、その概要については同社のブログ記事で紹介されている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

【コラム】生き残りを賭けたフェイスブックの「メタ」への転換

Facebook(フェイスブック)は生き残りをかけて戦っているが、彼らの敵は規制当局の圧力ではない。Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏は、下降しつつあるユーザーベースを守る救命ボートとして「メタバース」に頼り切っている。Facebookの未来が主要ハードウェアプラットフォームを所有することにかかっていることを、彼はずっと前から知っている。

先のFacebookの「Meta」へのブランド転換は、数十億ドル(数千億円)のバランスシートゲームの3イニング目だ。果たして消費者がこれを受け入れ、現実になるのかどうか拝見しよう。Meta / Facebookのすべてが懸かっている。

2016年からVRとARに投資している1人として私は、昨今のビジネストレンドチャンネルをにぎわしている「メタバース」の話題を聞いて、慎重ながら楽観的になっている。果たして今は本当にVRの時代なのか?

世界で最も価値のある会社の多くは、自らのソフトウェアアプリケーションを動かすハードウェアを所有している。Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)は何年も前からハードウェア事業を手がけているし、Google(グーグル)もAndroid(アンドロイド)で堅実なOSビジネスを構築することができた。2014年のFacebookによる数十億ドルのOculus(オキュラス)買収は、ザッカーバーグ氏の真意をあからさまに示すものだったが、実際のピボット(転換)が起きるまでには7年を要した。

Oculus買収直後の数年間、VR(仮想現実)への投資が業界全体で相次いだ。ハードウェアプラットフォームが、Google、Microsoft、Sony(ソニー)、HTC(エイチティーシー)、Steam(スチーム)などから大々的な発表が続いた、こうした投資のほとんどは数年後に捨てられるか打ち切られることとなり、VRハードウェアプラットフォームの選択肢は不足状態になった。

Facebookが攻撃を開始したのはその時だった。Oculus / Reality Labsプラットフォームへの投資を強化して高品質モバイルVRハードウェア機器の開発で革新を起こし、ゲームデベロッパーに資金を投入して、プラットフォーム上の有望なゲームのほとんどを貪欲に買収した。買収を通じてデベロッパーエコシステムを構築するそのアプローチは、あらゆるVRプラットフォームが直面してきた初期コンテンツ不足問題を解決するための長丁場の投資だ。

ザッカーバーグ氏はゲームから手を付けた。それは、消費者の大きな興奮と成長が約束された最古のカテゴリーであり、ヘッドセットの中で消費者の熱狂を心地よく上昇させるからだ。次にザッカーバーグ氏は、VR/AR(拡張現実)をエンタープライブに持ち込み、リモートチームとの実践的3Dコラボレーションを、パンデミック下で分散された社員たちに浸透させようとしている。

幸運なのか実力なのか、彼は予知能力のある戦略家として知られている。ザッカーバーグ氏はこれまで、自分では必ずしも制御できない市場の変化とタイミングに対応して、完璧な戦略を見せつけてきた。

「メタバース」は、すでに「Fortnite」や「Roblox」に存在している。ザッカーバーグ氏は、人々が頭に被るコンピューターを通じた完全没入型体験を望んでいて、年齢層の高いユーザーベースを駆り立てられることに賭けている。

もしFacebookの過去の買収が道しるべになるなら、ザッカーバーグの戦略は成功するだろう。ただしWhatsApp(ワッツアップ)とInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebookの成功した買収先のほとんどは、買収当時すでに成功が約束されていた。「メタバース」に全力を注ぐことは、新しいプラットフォームとパラダイムを作り出すことであるが、そこは30年以上熱狂を促すサイクルを繰り返してきたにもかかわらず、悲しいほど普及が進まない分野である。

バランスシートを見る限り、うまくいく可能性は高い。しかし、今はまだ、隔離された空間に存在する戦略とチャンスのための妙技にすぎない。

編集部注:本稿の著者Jacob Mullins(ジェイコブ・マリンズ)氏はShasta Venturesのマネージングディレクターとして、2016年以来VR/ARに投資している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Jacob Mullins、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「コピーされて殺された」、ショート動画アプリPhhhotoがフェイスブックを反トラストで訴える

Instagramのかつてのライバル企業が、Meta(旧Facebook)が競合製品のクローンを作成し、最終的に同社のビジネスを消滅させたと、反トラスト法違反の疑惑で訴訟を起こしている。

2014年に登場した「Phhhoto」というアプリは、GIFのような短い動画を作成してユーザーに共有を促すというものだ。聞き覚えがあるとすれば、それは同じ機能がInstagramアプリ「Boomerang」で普及したからだ。その機能は現在、Instagramの主要機能の一部になっている。

新たに提出された訴状(本記事の下部にリンク)によると、Facebookがソーシャルグラフへのアクセスを遮断し、提案された関係の進捗を遅らせ、最終的にはPhhhotoの主要機能である数秒のループ動画のコピーを独自にリリースしたことで、Facebookの行動が独占禁止法に違反したと主張としている。

この訴訟では、メンローパークに拠点を置く弁護士であるGary Reback(ゲイリー・リバック)氏がPhhhotoの代理人を務める。リバック氏は、連邦政府がMicrosoftに対して行った反トラスト法違反の訴訟を成功させたことで広く知られている。この訴訟は結局、巨大ハイテク企業の分裂にまで至らなかったが、同社はコンピュータ事業の一部を開放することを余儀なくされ、その結果は今日のハイテク業界にも影響を与えている。

リバック氏は、Phhhotoの経験は、巨大なハイテク企業が競合他社を買収してそれらの事業を運営し始めることが、なぜ市場にとって有害なのかを示していると主張する。

「この記録は、FacebookがPhhhotoと提携して、Instagramと競合していたであろうこのすばらしい新ソーシャルネットワークを立ち上げていたことを示しています」とリバック氏はいう。Facebookのトップが、この生まれたばかりの競合他社に対して、異例ともいえる積極的なアプローチをとったことをリバック氏は強調しています。

Phhhotoはリリース後、iOSアプリのチャートを賑わせた。話題のソーシャルアプリが注目を集めると、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏をはじめとするFacebookの幹部たちも関心を寄せました。

「2014年8月8日頃、ザッカーバーグ氏は携帯電話にアプリをダウンロードしてインストールし、Phhhotoアプリに自分の端末の電話番号を入力して個人アカウントを作成し、新しいPhhhotoアカウントに自分のプロフィール写真(以下に再現)を投稿した」と訴えている。

訴状には、そのときのレシートとして、彼がそのアプリを試しているときに撮った自撮り写真が含まれている。

画像クレジット:Phhhoto

また、当時Instagramを率いていた同社の共同創業者のKevin Systrom(ケヴィン・サイストロム)氏も、このアプリをダウンロードしてその機能を探っていた。訴訟によると、FacebookはPhhhotoとの提携の機会を提供し始めたが、後に撤回した。

……Facebookの戦略的パートナーシップマネージャーだったHurren(ハーレン)がPhhhotoに接近して「Phhhotoは本当にすばらしい」と主張した。ハーレンはまず、Phhhotoの技術をFacebookのMessengerサービスに組み込むことを提案した。Phhhotoがそれを断ると、ハーレンはPhhhotoのコンテンツをFacebookのユーザーのニュースフィードに組み込むことを提案した。Phhhotoはこのプロジェクトにかなりの投資を行ったが、結局ハーレンは社内での「法律的な会話」を理由に、このプロジェクトを進めなかった。

この関係が実現しなかった後、訴訟では、FacebookがPhhhotoを廃業に追い込むために、アプリ上のコンテンツの発信元を示すInstagramのハッシュタグがあらかじめ入力されていない状態にするなど、さまざまな行動を取ったと訴状にはある。また、Instagramは、Phhhotoをソーシャルグラフから切り離し、競合他社と思われるユーザーがInstagramの友人とアプリ内で接続できないようにした。

Phhhotoの終焉にはドラマチックな瞬間もあった。2015年10月22日、同社がアプリのAndroid版を発表することになっていたその日に、InstagramがBoomerangを発表したのだ。訴訟では、BoomerangのプロダクトマネージャーJohn Barnett(ジョン・バーネット)氏は「熱心はPhhhotoユーザー」とされている。発売当時、TechCrunchはBoomerangがPhhhotoに「疑わしいほど似ている」と指摘していた。

この訴訟では、BoomerangがFacebookの反競争的な取り組みの頂点であり、Phhhoto社の革新的技術を「機能ごと」再現した模倣アプリによって、小規模な企業を事実上消滅させたと主張している。

訴訟によると、Phhhotoは当時、Facebookが他の競合他社に対してどの程度の攻撃的な行動をとっているのかさえ知らず、2018年末に英国議会が同社の内部文書を大量に公開した後に詳しく知ったという。

Phhhotoは、このような事態になっても、Facebookの動きについて発言することを恐れていない。「Boomerangがリリースされるほぼ1年前に、サイストロム氏と彼のプロダクトチームがPhhhotoをこっそり使っているのを見ていました」と、Phhhotoの共同設立者であるChamp Bennett(チャンプ・ベネット)氏は2017年にTechCrunchに語っている

アプリが閉鎖された後、Instagramが独自のクローンを立ち上げたことは「まったく驚きではなかった」とベネット氏は述べている。


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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

MetaがVRヘッドセットなどが並ぶ実店舗をカリフォルニアで計画との報道

ニューヨークタイムズ紙によると、かつてFacebookとして知られていた会社は、Metaへとブランド名を変更する前から小売店を開設する可能性について議論していた。どうやら、実店舗の開設についての議論は2020年から始まっていたらしいが、最終的には何も決まっておらず、このプロジェクトはまだ破棄される可能性がある。しかし、もしMetaが実店舗を開くとしたら、それは完全な小売店ではなく、Reality Labs部門が開発したデバイスを紹介する体験型店舗のようなものになるとされている。

それらのデバイスには、仮想現実ヘッドセットOculus Quest(近日中に「Meta Quest」になる予定)や、主にビデオ通話用に設計されたガジェットPortalなどがある。また、FacebookがRay-Ban(レイバン)と共同開発したStoriesと呼ばれる拡張現実のスマートグラスも展示される可能性がある。タイムズ紙が入手した文書によると、Metaの目標は、店舗で「好奇心」と「親近感」を喚起し、顧客がヘッドセットを試しながら「判断に迷わない旅」ができるような居心地の良い雰囲気を提供することだという。

同じ資料によると、Metaはモダンでミニマリスト的な美しさを持ち、ブランドをさりげなく配置した店舗を想定している。同社は、Facebook Hub、Facebook Commons、Facebook Innovations、Facebook Reality Store、From Facebookなど、さまざまな名称を検討した。最終的にはFacebook Storeに落ち着いたが、会社名が変更された今、それも変わる可能性が高い。

Metaがこの計画を進めた場合、最初の小売 / 体験型店舗はReality Labsのオフィスがあるカリフォルニア州バーリンゲームに設置される予定だ。ただ、タイムズ紙によると、このプロジェクトは最終的には世界中に広がり、さまざまな国や地域に拠点を置くことになるかもしれないとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがクリエイターにアップルの料金を回避できるリンクを提供

Facebookという名前だった企業は、米国時間11月3日、Apple(アップル)の悪名高いプラットフォーム料金を回避する計画を発表した。このところ有力なソフトウェア企業とiOSを開発した企業との間で戦争が続いているが、これはその最新の戦いとなる。Facebookの11月3日の投稿でMetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、同社プラットフォーム上の特定のクリエイターに対して、支払いを直接受けとることができるリンクを提供し、議論の多いAppleによる30%の手数料を迂回できるようにすると述べた。

「メタバースの構築のために、クリエイターが自分の仕事からお金を稼ぐ機会をクリエイターの手に開放することに注力したい。Appleが取引に際して徴収する30%の料金は、その開放を困難にしているため、この度、私たちのサブスクリプションプロダクトをアップデートして、クリエイターがもっと多くを得られるようにしたい」とザッカーバーグ氏はいう。

サブスクリプションの対象となるFacebookページを運営しているクリエイターは、テキストやeメールで新しいプロモリンクを共有し、独自の決済システム「Facebook Pay」で運営される決済ポータルにファンを誘導することができる。また、このクリエイター向けの投稿の中で、Facebookは、以前発表した10億ドル(約1142億1000万円)規模のクリエイタープログラムの一環として、年末までにクリエイターが新規購読者を獲得するごとに、5〜20ドル(約570〜2280)を支給するという新しいボーナスプログラムを発表している。

画像クレジット:Facebook

FacebookのPatreonに似たサブスクリプションプロダクトは、人気のあるFacebookページを持つ人々に、毎月の定期的な支払いで特別な収益化ツールを提供するものだ。現在の申込資格は、1万人のフォロワーまたは250人以上のリターンビューワーに加え、5万件の投稿エンゲージメントまたは18万分間の視聴があることになる。

Facebookは、2023年まではFacebook自身がクリエイターの決済から料金を徴収することはない斗述べているが、この分野に最近熱心になってきた同社としては、導入期の数年間無料にした後、ブームとなっているクリエイターエコノミーで自らも稼ぐ計画をきっと持っているだろう。そもそも同社自身が以前は、30%の手数料徴収を計画していたのだ。少なくとも現在のところ、その計画を引っ込めているようだが。

Appleはこれまで、iOSで提供されるすべての有料アプリとアプリ内課金から、標準で30%の手数料を徴収してきた。この手数料は、Appleにとって莫大な収益をもたらしてきた。しかし2020年末、同社は小規模なアプリメーカーに救いの手を差し伸べ、年100万ドル(約1億1000万円)未満の開発者の手数料を15%に引き下げている。

AppleのApp Store手数料は、多くの大手ソフトウェア開発者にとって大きな悩みの種となっている。2020年「Fortnite」のメーカーであるEpic Gamesは、自らを開発者のために闘う小さな会社と位置づけ、派手なキャンペーンでアプリ内課金をめぐってAppleを裁判で訴えた。本稿執筆時点で9230億ドル(約105兆4241億円)の価値があるMetaは、Appleとの間で行われたクリエイターへの支払いをめぐる新たな戦いにおいても、同様の位置づけをしている。

2021年9月、カリフォルニア州のEpic Games対Appleの訴訟の判事は、Appleが開発者に対して、同社による多額の手数料を回避する外部の支払い方法をユーザーに紹介することはもはや阻止できないという判決を下した。この判決により、Facebookの新たな回避策の道が開かれた。Appleはこの判決を不服とし、2021年10月に、判事の差し止め命令の停止を要求している。

クリエイターへの支払いに関する新たな回避策は、FacebookにとってAppleとの初めての大きな衝突ではなく、Facebookがユーザーの味方に回った初めての例でもない。Facebookは、ユーザーのプライバシーを強化するためにiOS 14に搭載された新しいトラッキング防止機能に脅威を感じ、すべての主要な全国紙に変更に抗議する全面広告を掲載した。表向きにこの行動は、自社ではなく影響を受ける中小企業を代表してのものだった。

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画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookが10億以上のユーザーの顔認識データを削除する

社名を変えてからわずか数日後にFacebookは、この世界最大のソーシャルネットワークが10億以上の人びとに関して集めた、いちばん心配なデータ集合を削除する計画を発表した。

火曜日のブログでFacebookの、その名も新たな親会社Metaは、同社の顔認識システムの部門を閉鎖し、顔を写真とビデオで突き合わせるために使っていた10億あまりの顔認識テンプレートの集まりを削除する、と説明した。Facebookは今後、このシステムにオプト・インしていたユーザーのマッチングを行わない。

Facebookは、写真に名前を自動的にタグ付けするために2010年に顔認識を導入した。この機能はローンチ時に自動的に有効になり、Facebookは2019年にやっと、システムを明示的にオプトインにした。それにより、同社が10億を超える顔認識プロフィールをどうやって編纂していたかも明らかになった。

ブログでFacebookの人工知能担当副社長Jerome Pesenti氏がこう述べている: 「今後に関しても、顔認識技術が強力なツールであるという認識は持ち続けるだろう。たとえば、人びとのアイデンティティを確認する必要があったり、詐欺やなりすましを防がなければならない。しかし、顔認識が役に立つ多くの具体的な事例は、この技術全体に対する懸念の高まりと比較して、その重要性の軽重を秤にかける必要がある」。

Pesenti氏によると、Metaの顔認識を制限するという決定により、顔認識技術を取り巻く環境が不確定になり、ごく一部のアプリケーションしか使えなくなるだろう、という。

現時点では、Facebookの顔認識システムはおそらく、その価値よりもトラブルの方が大きい。米国における、オンラインのプライバシーを規制する多くの提案は、その多くが、特に国のレベルでは仮説にとどまっており、既存の法律では、顔認識技術の利用が一層複雑になるだろう。たとえばイリノイ州のプライバシー法Biometric Information Privacy Act(BIPA)は、一部のテクノロジー大手の動きを制約しようとしている。

今年の初めにはFacebookがBIPAにより、イリノイ州民の写真を同意なく顔認識を使って同定したとして、6億5000万ドルの支払いを命じられた。議論を招いている顔認識企業Clearview AIも現在、同州でBIPAの訴訟に直面している。またFTCは、Facebookの顔認識の利用を欺瞞的なプライバシー実践と呼び、50億ドルという記録破りの、強制力を欠く調停案を提示している。

顔認識から撤退するFacebookの決定は、同社のメタバースをめぐる大きな社名変更と期を一にする象徴的なジェスチャーだ。Facebookのプライバシーとモデレーションの失敗に関するコンセンサスは、同社のビジネスにまったく傷を与えていない。しかし同社の次の章が社名変更であろうとなかろうと、それに続くものは大衆の不信と迫り来る規制だ。

今やMetaという名前で知られるようになった企業が自分を、次のインターネット時代における信頼される奉仕者として立て直そうとしているが、そのためには自身の努力が必要だ。これまでのプライバシーの汚名から、一部の重荷を捨てる試みは、狡猾なそぶりだ。それは、ユーザーの究極の勝利でもある。その突然の心変わりを、誰も買わないだろうが。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Kelly Sullivan/Stringer / Getty Images

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WhatsAppがビジネスAPIをクラウド化して導入を促進

WhatsApp(ワッツアップ)は米国時間11月1日より、新しいクラウドベースのWhatsApp Business API(ワッツアップビジネスAPI)のベータテストを開始する。同APIは親会社Facebook(フェイスブック)のインフラを利用する。クラウドへの移行に伴い、APIとの統合のためのセットアップ時間がこれまでの数週間からわずか数分に短縮されるため、企業はより迅速にWhatsAppのAPIプラットフォームに移行し、メッセージの受信をオプトインした顧客とのコミュニケーションを図ることができるという。

同社はここ数年、ビジネスAPIの開発を着実に進めてきた。これは無料のメッセージングアプリであるWhatsAppが、サービスから収益を得るための重要な手段の1つとするためだ。現在、企業はメッセージごとにWhatsAppに料金を支払っていて、その料金はメッセージの送信数や地域に応じて異なっている。現在は、Vodafone、Coppel、Sears Mexico、BMW、KLM Royal Dutch Airlines、Iberia Airlines、Itau Brazil、iFood、Bank Mandiriなどを含む何万もの大企業が、既存の(非クラウドベースの)APIを採用している。

この旧バージョンのAPIは今後もサポートされ、現時点では新しいクラウドベースのバージョンへの移行を強制する計画はない。

一般的にWhatsApp Business APIを利用する企業は、Zendesk(ゼンデスク)やTwilio(トゥイリオ)などのAPIを顧客のバックエンドシステムに統合する作業をサポートするソリューションプロバイダーと連携する。このようなケースでは、WhatsAppは企業のカスタマーコミュニケーション戦略の一部に過ぎないことが多い。また顧客とのコミュニケーションを、SMSやその他のメッセージングアプリ、電子メールなど、他のチャネルに誘導することもある。しかし、こうしたAPI統合作業は、これまでは数週間、場合によっては1カ月もの時間を要していた。

COVID以前から始まっていたオンラインショッピングへの移行が、パンデミックの影響で加速していることもあり、多くの企業は新しいシステムの立ち上げにそれほど時間をかけたくないと考えている。

新しいクラウドベースのAPIは、技術的な統合プロセスをより簡単に、そしてより迅速に行うことで、統合問題を解決することを目的としている。

新しいAPIのベータテストには、米国のZendesk、ブラジルのTake(テイク)、EUのMessageBird(メッセージバード)など、WhatsAppの既存のソリューションプロバイダーパートナー数十社が参加する予定だ。

ZendeskのMike Gozzo(マイク・ゴゾ)製品担当副社長は声明の中で「クラウドAPIは、私たちのようなサービスプロバイダーとお客様の双方にとって、WhatsAppを使用する際の複雑さを軽減するための大きな一歩となります」と述べている。そして「WhatsApp Clientのホスティングを気にする必要がなくなることで、APIを介して利用可能になる多くのリッチな機能のサポートに集中できるようになります」と付け加えている。

今回の発表は、人びとと企業とつながる方法が変わりつつある中で行われた。WhatsAppによれば、現在毎日1億7500万人以上のユーザーがビジネスメッセージを送信しており、この傾向は特にインド、ブラジル、インドネシアなどの米国以外の市場で拡大しているという。WhatsAppは顧客から、電話システムを運用したり保留にしたりしなければならない1-800番号(米国のフリーダイヤル)を使う代わりに、メッセージングに移行したいという要望を受けている。電話システムは煩わしいものだし、コールセンターは、企業にとっても運営コストがかかる。

WhatsAppが2020年実施した独自の調査によると、ユーザーは通話よりもメッセージングを好む傾向にある。その結果、最大規模の国々のユーザーの75%が、メッセージングを通じて企業とコミュニケーションを取れるようにしたいと答えていることが判明した。また、68%の人が、メッセージで連絡が取れた企業と取引したり、購入したりする可能性の方が「より高い」と答えている。

WhatsAppは、別の場所でもこの傾向を利用している。大きな収益源となっているのは、FacebookのニュースフィードやInstagram(インスタグラム)に表示される、クリックチャット広告だ。これは消費者が広告上のボタンをクリックするだけでWhatsAppで企業にメッセージを送ることができるというものだ。

その一方で、同社はWhatsApp Business Appを使って小規模ビジネス市場にも対応しており、パパママショップのような地元の小さなお店がオンラインを使って顧客とやり取りできるようにしている。2018年にローンチされたあと、現在では全世界で5000万人のユーザーを抱えるまでに成長している。

本日(米国時間11月1日)のクラウドAPIの公開に先立ち、WhatsAppは他のAPIの改善にも取り組んでいた。たとえば企業が受信したメッセージに対してより迅速に対応できるようにしたり、顧客が指定した場合に在庫切れなどのさまざまな種類のメッセージをサポートしたりしている(これまでのWhatsAppのAPIは、たとえばフライトの搭乗券を送信するような「タイムリー」な通知に焦点を当てていた)。

企業からの連絡を受けた顧客には、会話の先頭に情報メッセージが表示され、(完全に暗号化されている)友人や家族とのメッセージとは異なるものであることが伝えられるとのことだ。また顧客は、企業のサポート内容に応じて、さまざまなやりかたで通信を終了させることもできる。企業からの連絡を止めるためにメッセージを送ったり、変更のために会社のウェブサイトにアクセスするだけで、オプトアウトすることができるだろう。だが最も簡単な方法は、アプリ内で企業をただブロックすることだろう。

クラウドAPIは、米国時間11月1日から限定的なベータ版が開始され、厳選されたパートナーが数日のうちに最初の顧客を迎え入れる予定だ。

その一方で、WhatsAppは2022年から、他のソリューションプロバイダーや企業に直接APIを開放する予定だ。

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

フェイスブックの研究者がロボットに触覚を与える皮膚と指先を開発

Facebook AI Research(フェイスブックAIリサーチ)によると、次世代のロボットは「感じる」性能がより向上するという。ここでいう「感じる」とは、もちろん、感情という意味ではない。感触のことだ。AIとロボット研究においては比較的新しいこの分野を前進させるため、同社とそのパートナーは、安価で耐久性があり、信頼できる基本的な触覚を提供する新しい種類の電子皮膚と指先を、我々の機械の友人たちのために作り上げた。

なぜFacebookがロボットの皮膚を研究しているのかという疑問は、AI責任者のYann LeCun(ヤン・ルカン)氏が新しいプロジェクトを紹介するメディアコールで真っ先に取り上げたことで明らかだろう。

おもしろいことに、ルカン氏は「会社がロボット工学に取り組む理由はないようだ」とZuckerberg(ザッカーバーグ)氏が指摘したことから始まったと振り返った。ルカン氏はこれを挑戦と捉えて、ロボット工学に取り組み始めたらしい。しかし、やがて明確な答えが浮かび上がってきた。Facebookがインテリジェントなエージェントを提供するビジネスを展開するのであれば(自尊心のあるテクノロジー企業であれば、そうするのではないだろうか?)、そのエージェントは、カメラやマイクで捉えられる情報を超えた世界を認識する必要がある。

触覚は、それが猫の絵なのか犬の絵なのか、あるいは部屋の中で誰が話しているのかを判断するのにはあまり役に立たないが、ロボットやAIが現実世界と交流しようとするならば、それ以上のものが必要になる。

「私たちはピクセルや外見を認識することに関しては得意になってきました」と、FAIRの研究員であるRoberto Calandra(ロベルト・カランドラ)氏はいう。「しかし、世界を認識するには、それだけでは不十分です。そのためには物体を物理的に認識できるようになる必要があります」。

カメラやマイクは安価で、そのデータを効率的に処理するツールもたくさんあるが、触覚に関しては同じようなわけにはいかない。高度な圧力センサーは一般消費者向けには普及していないため、有用なものは研究室や業務用に留まっている。

2020年にオープンソースとして公開されたDIGIT(ディジット)は、パッドに向けられた小さなカメラを使って、タッチしているアイテムの詳細な画像を生成する。トップ画像はこの「指先」自体が写っているが、これは非常に敏感で、下の画像で見られるように、さまざまな物に触れて詳細なマップを作成することができる。

画像クレジット:Facebook

この「ReSkin(リスキン)」プロジェクトの起源は2009年にさかのぼる。TechCrunchでは、2014年に「GelSight(ゲルサイト)」と呼ばれるMITのプロジェクトについて紹介し、2020年にも再び記事にした。この会社はスピンアウトし、現在は我々が記事で紹介したこの触覚アプローチにおける製造パートナーとなっている。基本的にその仕組みは、柔らかいゲル表面に磁性粒子を浮遊させ、その下にある磁力計で粒子の変位を感知し、その動きを引き起こしている圧力の正確なフォースマップにこれを変換するというものだ。

GelSightタイプのシステムの利点は、磁力計が組み込まれたチップやロジックボードなどのハードな部分と、磁気粒子を埋め込んだ柔軟なパッドであるソフトな部分が、完全に分離されていることである。つまり、表面は汚れたり傷ついたりしても簡単に交換でき、繊細な部分はその下に安全に隠しておくことができるというわけだ。

ReSkinの場合は、任意の形状にチップを多数接続し、その上に磁性エラストマーの板を敷き、各々の信号を統合することで、全体から触覚情報を得ることができるというものだ。較正が必要なので、それほど単純というわけではないが、数平方インチというスケールを超えて動作を可能にする他の人工皮膚システムに比べれば、はるかに単純とも言える。

下の画像のように、小さな犬用の靴に組み込むこともできる。

足に圧力を感知するパッドを付けた犬と、そこら読み取った数値のアニメーション画像(画像クレジット:Facebook)

このような感圧面を備えていれば、ロボットなどの機器は、物体や障害物の存在をより簡単に感知することができる。その際、例えば、その方向に力を加える関節の摩擦の増加に頼る必要はない。これによって介護ロボットは、より優しく敏感に触覚を検知できるようになる可能性がある。介護ロボットが普及していない理由の1つは、触覚を検知できないため、人やモノを押しつぶすことが絶対にないと信頼できないからだ。

この分野におけるFacebookの仕事は、新しいアイデアではなく、効果的なアプローチをより使いやすく、手頃な価格で提供することである。ソフトウェアのフレームワークは公開されており、デバイスもかなり安価に購入できるものばかりなので、他の研究者もこの分野に参入しやすくなるだろう。

画像クレジット:Facebook

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】オンラインプラットフォームには子供たちを危害から守る責任がある

Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏による、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに与える影響に関するメッセージは明確だった。Facebookの調査によると、英国のティーンエージャーの13%が、Instagramが自殺の考えを誘発したと回答し、女性ティーンエージャーの17%がInstagramは摂食障害を悪化させると語った。

こうした数値は、しかし、ネットを利用するティーンエージャーの安全全般にかかわる問題の一部でしかない。

ある調査によると、 50万人以上の性犯罪者が日々インターネットで活動していると推計されている。2020年には2170万件の児童の性的搾取が、全米行方不明・被搾取児童センターのホットラインに報告された。何者かがインターネットを通じて搾取を目的に児童と連絡を取った際に発行されるオンライン誘惑レポートは前年より97%以上増加した。

オンライン性犯罪者の報告は増加しているが、ネット上の搾取行為の歴史はNetscape(ネットスケープ)に遡る。

わが家に最初のパソコンが来たのは1999年だった。私はNeopets(ネオペッツ)やGaia Online(ガイアオンライン)などのゲーミングプラットフォームを使い始めた。その後すぐにMyspace(マイスペース)とTumblr(タンブラー)で自分の考えを投稿したり他のユーザーと交流したりするようになった。オンライン世界が拡大すると、私はプリティーンを偽る成人男性と遭遇した。17歳の少年と「つきあい」始めたのは、私が12歳の時だった。もちろん誰にもこのことは話さなかったが、主としてそれは恥ずかしかったからだ。自分が「育成(grooming)」されていることなど知らなかった。性的暴力に関わる仕事を私自身が始めるまで、そんな言葉が使われるのを聞いたこともなかった。

育成は狡猾で、馴染みのないティーンエージャーは気づかない。育成によって信頼と精神的つながりを構築することで児童を操り、利用し、虐待できるようにする。その行為とは、たとえば年長のティーンエージャーが児童やティーンエージャーにウェブカム撮影を頼み、徐々に回転ポーズをとらせたり服を「可愛らしい」ものに着替えさせることや、デジタル「友達」がサイバーセックスを強要することだ。時として性犯罪者は、年齢を偽ることで写真や性的履歴などの個人情報を入手し、その情報を自らの享楽の武器にすることもある。

つい最近になって私は、自分のCSAM(児童席的虐待コンテンツ)がインターネットに出回っていることに気づいた。私の動画は今でも何者かの携帯電話やハードディスクでほこりを被っているかもしれない。そしてある日、Discord(ディスコード)やTelegram(テレグラム)のプライベートチャンネルでシェアされるのかもしれない。

インターネット上のティーンガールとしての個人的経験は、私が非営利のオンライン身元調査サイトを構築し、誰もが自分の話している相手に暴力行為歴があるかどうかを、理想的には対面する前に、調べられるようにするきっかけの1つだ。最近当サイトでは、最低13歳のユーザーから当サイトの公開情報データベースを利用できるようにすることを決定した。子どもたちがネット上で虐待されるのを完全に防ぐことはできないかもしれないが、少なくともオンラインで出会う人物に悪い行為の履歴があるかどうかを知るためのツールとテクノロジーで武装させることはできる。

もちろん、身元調査は安全を守る兵器の1つにすぎない。人は自分の名前や身元を偽ることがよくある。子どもが育成される時、あるいは大人が子どもを虐待する時、犯罪者は往々にして匿名で孤立して秘密裏に行動する。

オンラインで待ち受ける危険を避けるよう、子どもたちを教育することが重要である理由はそこにある。love bombing(ラブ・ボミング / 大げさな愛情攻撃)や極端な嫉妬、要求の限度を広げるといった早期の赤い旗に気づかせる教育も必要になる。他にも私たちは、若者たちに健全で安全で合意に基づく関係とは何かを、赤ではなく「緑の旗」とともに伝えることもできる。

子どもたちの教育に取り入れられる実用的スキルにもさまざまな種類がある。シェアする写真や誰のフォローリクエストを承認すべきかを慎重に選び、オンラインで知り合った人物と現実世界で会う時には大人を連れて行くことを教えるべきだ。

周囲の大人たちが、オンライン出会いやインターネットでの会話の危険性について、常に率直に話し合っていれば、子どもたちはリスクを認識する方法を学習する。これは深刻な心的外傷を防ぐ上で大きな役割を果たす可能性がある。ネット上の安全に関する会話は、性教育と同じく、親たちに任せられることが多くいが、親たちは子どもたちが学校で教えられていると思っている。この種の会話の進行は簡単ではなく、オンラインカルチャーに馴染みのない親にとっては特にそうだが、親たちは情報を探して自ら学習することが絶対に必要だ。

ホーゲン氏が指摘するように、オンラインプラットフォーム側にも責任がある。各プラットフォームに信頼と安全の部署が設けられたのは比較的最近であり、学習、改善すべき点がまだ数多くある。

多くのデジタルプラットフォームにおいて、コンテンツモデレーター(コンテンツ検査担当者)は人材不足、低賃金、訓練不足だ。オンラインプラットフォームは、利益より保護を有線し、自らのプラットフォームを安全に保つ責任を持つ人々のさらなる教育と心の健康の維持にもっと投資すべきだ。問題のあるコンテンツについて考えるために必要なツールと時間を安全管理チームに与えることによって、効果的かつ注意深く任務を遂行できるようになる。

インターネットは悪用につながる環境を作る可能性をもっていると同時に、若者たちに警告の前兆と世界の現実について教える強力なツールでもある。ネット上で話している相手に関する情報を入手できるように武装させることもその1つだ。

事後措置によって悪事と戦うことは、刑事司法制度からプラットフォームモデレーターまで、出血している傷口をバンドエイドで覆うようなものだ。性的虐待を事前に防ぐことは子どもたちに対する最良の保護だ。ネット上で起きる潜在的危害の責任を負うことによって、プラッフォームであれ政治家であれ親であれ、私たちは全員にとってより安全な世界をつくり始めることができる。

編集部注:本稿の執筆者Kathryn Kosmides(キャスリン・コスマイズ)氏は性的暴力被害の克服者で身元調査の非営利団体、Garboのファウンダー。

画像クレジット:JGI/Jamie Grill / Getty Images

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(文:Kathryn Kosmides、翻訳:Nob Takahashi / facebook

G20が巨大IT企業の税逃れ防止のため法人税率を最低15%以上とする協定に合意

G20が巨大IT企業の税逃れ防止のため法人税率を最低15%以上とする協定に合意

Kirsty Wigglesworth – Pool/Getty Images

10月30日にイタリア・ローマで開幕した主要20か国および地域首脳会議、通称G20は、多国籍企業の世界最低税率を15%以上に設定する協定を結ぶことで合意しました。この協定は主にGoogle、Amazon、Meta(Facebook)といった大手インターネット・IT企業を対象とするもので、これら企業はタックスヘイブンと呼ばれる無税もしくは税率の非常にやすい国や地域(租税回避地への無形資産移転によって、ビジネスをおこなっている国や地域にでの法人税などの納税を回避しています。

2015年の経済協力開発機構(OECD)の試算によると、これらの企業による租税回避によって、全世界で約1000億~2400億ドルの法人税が収められていないと報告されています。

今回のG20での合意は、米国が主導して議論されました。世界の大企業の最低税率を15%に設定することで、企業が租税回避地に利益を移す旨みをなくすことを目的とします。OECDはこの措置により世界銃の企業から合計1500億ドルを得られるようになると述べました、

この協定によって本来得られるはずだった税金が納められるようになれば、各国の政府は公共サービスへの資金や、気候変動やその他の問題にそれらを割り振ることが可能になります。

ただ、合意された15%という最低税率は、先進国の法人税の平均となる約23.5%をはるかに下回る税率です。また影響を受ける企業は100社に満たないと言われ、貧しい国にはほとんどお金をもたらさないと主張する意見もあります。

いずれにせよ、G20各国における法人税回避の現状を打破するのなら、それは各国の人々にとっては良いことと考えて良さそうです。

(Source:BBC News、。Engadget日本版より転載)

Meta(元フェイスブック)がVRフィットネスアプリ「Supernatural」を開発したWithinを買収

Facebook(フェイスブック)が「Meta(メタ)」に社名を変更した翌日、同社はWithin(ウィズイン)の買収を発表した。ロサンゼルスに本拠を置くWithinは「Beat Saber(ビートセイバー)」スタイルのワークアウトアプリ「Supernatural(スーパーナチュラル)」を開発した企業だ。このアプリは、身体の動きをベースにした高負荷のカーディオエクササイズで、バーチャルリアリティフィットネスにおける本物のサクセスストーリーの1つとなっている。

Facebook改めMetaが、VRに関する野望をメタバースのようなものにまで広げようとしていることを考えれば、これは賢明な買収といえるだろう。Supernaturalはまた、新型コロナウイルスの影響によるジムの閉鎖やワークアウトの制約が広がった中で、より多くの人々が家庭用のソリューションに目を向けるようになったことから、この1年半の間に特に注目された商品であることも間違いない。

「Metaとのパートナーシップに私たちは興奮しています。なぜならそれは、私たちがより多くのリソースを得て、VRでより多くの音楽、よりクリエイティブなワークアウト方法、より多くの機能、そしてよりソーシャルな体験を、みなさまにお届けできるようになるということを意味するからです。もちろん、これからも引き続き、毎日新しいワークアウトを提供していきます」と、WithinのCEOであるChris Milk(クリス・ミルク)氏とフィットネス部門の責任者であるLeanne Pedante(リアン・ペダンテ)氏はブログで述べている。

Withinによると、同社のコーチ、コレオグラファー、マネージャーなどの既存スタッフは、買収後も引き続き在籍するとのこと。Supernaturalは、MetaのVR/AR部門であるReality Labs(リアリティ・ラボ)の下で運営されることになるという。

「私たちは、VRフィットネスアプリをサポートするために、将来のハードウェアを強化する方法も一緒に検討し、他の開発者たちがVRに新しいフィットネス体験をもたらすことを奨励します」と、MetaのPlay担当VPであるJason Rubin(ジェイソン・ルービン)氏は、Oculus(オキュラス)のブログで書いている(ちなみにOculusというブランドは、間もなく廃止されることになっている)。「VRではフィットネスが大きな成功を収め、複数のサードパーティによるフィットネス・アプリも成功できると、私たちは確信しています」。

2015年に設立されたWithinは、これまでに5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達しており、最近では2017年に、4000万ドル(約46億円)を調達したシリーズBラウンドを実施している。このラウンドは、Temasek(テマセク)とEmerson Collective(エマーソン・コレクティブ)が主導し、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、21st Century Fox(21世紀フォックス)、Raine Ventures(レイン・ベンチャーズ)、WPP、Macro Ventures(マルコ・ベンチャーズ)などが投資した。

今回の買収の財務的な詳細は公表されていない。

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画像クレジット:Meta/Within

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスクブックの研究者がAIの訓練のために何千時間もの一人称視点の動画を収集

テック企業の多くが目指しているように、ARメガネやその他のウェアラブルに搭載されたAIが人間の目を介して物事を見るようになるのであれば、未来のAIは人間の視点をきちんと理解できるようになる必要がある。自身の視点というのは当然、我々にとっては自然なものだが、意外なことに日常的な作業を映した1人称視点のビデオ映像はほとんど存在しない。そこでFacebookは、数千時間に及ぶ映像を新たなデータセットとして公開するため収集した

Facebookが取り組んだのは、現在最も優れた物体・シーン認識モデルであっても、そのほとんどが三人称視点でのみ学習されているという課題だ。つまりキッチンに立っている場面を見れば、料理をしている人として認識することができても、料理をしている人の視点から見た場合では認識する事ができない。自転車を認識するにしても、自転車が映し出されれば認識できるが、自転車に乗っている人の視点では理解ができないわけだ。我々人間にとっては当たり前のことで、これまで見過ごされてきたことだが、コンピューターにとってはまだ難しい課題なのである。

機械学習の問題を解決するには通常、データを増やすかより優れたデータを得るかのどちらかが必要になる。今回の場合は両方あっても損はないだろう。Facebookは世界中の研究パートナーに協力を依頼し、料理や買い物、靴ひもを結ぶ様子から仲間と遊んでいる様子まで、一般的な行動の1人称映像を集めた。

13のパートナー大学が9カ国700人以上の参加者から何千時間ものビデオを収集。参加者はみんなボランティアで、自身の関与やアイデンティティのレベルをコントロールすることができた。これら数千時間にもわたる映像は、研究チームによって3000時間にまで縮小され、研究チームが映像を見て編集し、手書きで注釈を加え、さらに現実世界では撮影できなかった環境を演出した独自の映像も追加された。この研究論文にそのすべてが記されている

映像はメガネ型カメラ、GoPro、その他のデバイスなどさまざまな方法で撮影されている。研究者の中には、活動している環境を同時に収録した人もいれば、視線の方向やその他の指標を追跡した人もいる。これらのデータはすべてEgo4Dと呼ばれるFacebookのデータセットにまとめられ、研究コミュニティに広く提供される予定だ。

コンピュータービジョンが物体の識別に成功しているものと、1人称映像での識別に失敗しているもの(画像クレジット:Facebook)

「AIシステムが人間と同じように環境と関わり合うためには、AI分野が1人称視点の知覚というまったく新しいパラダイムに進化する必要があります。そのためには人間の目を通したリアルタイムの動き、関わり合い、多感覚の観察の中で、AIに日常生活の動作を理解することを教えなければなりません」と、主任研究員のKristen Grauman(クリステン・グラウマン)氏はFacebookのブログ中で話している。

Facebookは1人称視点での理解力があらゆる分野でますます重要になっていると考えてはいるものの、何とも信じ難いことにこの研究とRay-Ban Storiesのスマートシェードはまったく無関係とのこと(この3Dスキャンは同社のハビタットAIトレーニングシミュレーターに使用されるかもしれないが)。

「弊社の研究では、拡張現実やロボット工学への応用を強く意識しています。特にARメガネのようなウェアラブル製品が人々の日常生活や移動に不可欠な要素になるにつれ、将来AIアシストを実現するためには1人称視点の知覚が不可欠です。もし、あなたのデバイスに搭載されているアシスト機能が、あなたの目を通して世界を理解し、生活から認知的過負荷を取り除くことができたらどれほど有益か想像してみてください」とグラウマン氏はTechCrunchに話している。

世界中から映像を集めたというのは意図的な戦略である。1つの国や文化の映像だけを集めるようでは近視眼的だ。米国のキッチンはフランスのキッチン、ルワンダのキッチン、日本のキッチンとはまるで別物であり、また同じ食材を使って同じ料理を作ったり、同じ作業(掃除や運動)をしたりしても、個人間はさることながら、文化間となれば大きく異なるのは当然である。つまりFacebookの投稿にあるように「既存のデータセットと比較して、Ego4Dのデータセットは、シーン、人、アクティビティの多様性が高く、背景、民族、職業、年齢を問わずさまざまな人に向けてトレーニングされているため、モデルの適用性が高い」のである。

Facebookの1人称視点のビデオとその環境の例(画像クレジット:Facebook)

Facebookが公開しているのはデータベースだけではない。データ収集においてこのような飛躍的な進歩がある場合、あるモデルがどれだけこの情報を活用できているかをテストしたベンチマークを公開するのが一般的になっている。例えば犬と猫の画像があったとして、どちらがどちらかを見分けるというモデルの有効性をテストした標準的なベンチマークが知りたい場合もあるだろう。

しかし今回のような場合はもう少し複雑になる。1人称視点で物体を識別するというのはそれほど難しいことではなく、目新しさや便利さもない。「これはトマトですよ」と教えてくれるARメガネなど誰が必要だろう。他のツールと同様に、ARデバイスは私たちが知らないことを教えてくれるものでなければならないのだ。そのためにARデバイスは、意図、文脈、連動したアクションなどをより深く理解する必要がある。

そこで研究者らは、1人称視点の映像を分析することで理論的に達成可能な5つのタスクを考えた。

  • エピソード記憶:物体や概念を時間と空間の中で追跡し「私の鍵はどこにあるか」といった任意の質問に答えられるようにする。
  • 予測:一連の出来事を理解することで「レシピの次の手順は何か」といった質問に答えたり「車の鍵を家に忘れた」といったことを事前に指摘したりすることができる。
  • 手と物体のインタラクション:人がどのように物を掴み、操作しているのか、またその際に何が起こっているのかを把握することで、エピソード記憶やそれを模倣したロボットの動作に反映させることができる。
  • オーディオ・ビジュアル・ダイアライゼーション:音をイベントやオブジェクトに関連付けることで、音声や音楽をインテリジェントに追跡し「カフェでかかっていた曲は何だったのか」「会議の最後に上司は何と言ったか」といった質問のソリューションに適用する(「ダイアライゼーション」が「言葉」である)。
  • 社会的相互作用:誰が誰に向かって話しているのか、何が語られているのかを理解し、他のプロセスに情報を提供する目的と、複数の人がいる騒がしい部屋で字幕を表示するなどの瞬間的な使用の両方に対応する。

当然、このような活用法やベンチマークに限られているわけではなく、上記の例はAIモデルが1人称視点のビデオで何が起きているかを実際に理解しているかどうかをテストするための初期アイデアに過ぎない。論文に記載されている通り、Facebookの研究者らはそれぞれのタスクについてベースレベルの実行を行い、それを出発点としている。さらにこの研究をまとめた動画には、それぞれのタスクが成功した場合を想定した、非現実的とも言えるような例が挙げられている。

現在公開されているデータは、25万人の研究者が手作業で丹念に注釈を加えたという3000時間ものデータ数にははるか及ばないものの、まだ成長の余地があるとグラウマン氏は指摘する。今後もデータセットを増やしていく予定であり、パートナーも積極的に増やしていくという。

このデータの活用に興味がある読者は、Facebook AI Researchのブログをチェックして論文に掲載されている莫大な数の人々の1人に連絡を取ってみるといい。コンソーシアムが正確な方法を確定した後、数カ月以内に発表される予定だ。

画像クレジット:Facebook

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

FBメタバースのために設計されたハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」、2022年発売予定

Facebook(フェイスブック)は、コードネーム「Project Cambria(プロジェクト・カンブリア)」と呼ばれる新しいハイエンドVRヘッドセットの開発に取り組んでいる。同社は、米国時間10月28日に開催されたConnectカンファレンスで、デバイスを予告した。このヘッドセットは、2022年中に発売される予定だ。FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、この製品は同社の299ドル(日本では税別3万3800円)のヘッドセット、Quest 2とは別の「ハイエンド」製品になると述べた。価格もQuest 2より高く設定されるという。

Cambriaには、他のVRヘッドセットでは実現できない機能が搭載される。このデバイスに搭載された新しいセンサーにより、バーチャルアバターはアイコンタクトを保ち、あなたの顔の表情を反映することができる。同社は、これによりバーチャルでインタラクトしている相手が、あなたの気持ちをよりよく理解できるとしている。このヘッドセットのもう1つの特徴は、複合現実(MR)のエクスペリエンスだ。新しいセンサーと再構築アルゴリズムの助けを借りて、Cambriaは物理的な世界のオブジェクトを、奥行きや遠近感を持って表現できるようになるとFacebookは主張している。

また、Cambriaには新しい光学系が搭載され、視覚的な忠実度が向上するという。Facebookは、2022年にこのヘッドセットのさらなる詳細情報を共有すると約束した。その一方で、サードパーティ開発者がすでにこのデバイス向けのエクスペリエンスに取り組んでいるとも言及した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Facebook

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックのMetaスマートウォッチ、リーク写真にはカメラのノッチが見える


Meta(メタ、つまり、かつてFacebookと呼ばれた会社)は、写真や動画を撮影できるスマートウォッチを開発しているかもしれない。Bloombergは、Apple Watchに似た角丸のスマートウォッチを示す画像を公開した。ただしそこには、フロントカメラのノッチもある。アプリ開発者のSteve Moser(スティーブ・モーザー)氏は、同社のスマートグラス「Ray-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)」の操作に使われるアプリ内でこの画像を発見し、将来的に同アプリがスマートウォッチの操作にも使われる可能性を示唆している。

画像クレジット:Meta

角が丸く、カメラを搭載していることに加え、ステンレススチールのケーシングと取り外し可能なストラップを備えているようだ。また、モーザー氏は、アプリ内のコードから、この時計が「Milan」と呼ばれる可能性があることや、この時計で撮影した写真や動画をスマホにダウンロードできる可能性があることを示しているという。

Bloombergによると、Metaは早ければ2022年にスマートウォッチを発売することを目指しているが、まだ何も決まっていないようだ。さらに、Facebookの親会社となった同社は、異なる時期に発売される3世代の製品にすでに取り組んでいると報じられている。今回の画像に写っているデバイスがそのうちの1つなのか、あるいは発売されるのかどうかも定かではない。しかし、The Vergeも2021年初め、Facebookがフロントカメラとオートフォーカス付きの1080p背面カメラ(手首から外して使うもの)を搭載したスマートウォッチを開発していると報じている。また、心拍計やLTE接続機能も搭載される可能性があるが、それらの機能は3種類のモデルに分散されるかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】フェイスブック「怒りの絵文字」を米証券取引委員会が注視する理由

Facebook(フェイスブック)は新しい名前になったかもしれないが、ブランド名を変えても、同社が社会にとっていかに破壊的であるか、そして自社の投資家にとっていかに有害であるかを示す、最近の複数の情報開示は消えない。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の暴露は衝撃的だったが、驚きではなかった。大量の文章を報道機関や議員、当局に提出する以前、Facebookの選挙のセキュリティ問題を担当していたハウゲン氏によると、Facebookは、例えば、拒食症の可能性を高めるいわゆる「thin-spiration(シンスピレーション)」を10代の少女たちに押し付けるなどの非難すべき行為とともに、そのアルゴリズムが社会や弱者に害を及ぼしていることを一貫して認識していた。

Facebookの内部文書の最近の分析は、Facebookのエンジニアは、「怒り」の絵文字を含む絵文字のリアクションを「いいね!」の5倍の価値があるものとして扱い、ユーザーを惹きつけて利益を上げるために、物議を醸すような投稿を好んでいたことを示している。

これは、単に企業が公共の利益に反して行動し、自社の消費者に損害を与えているという話ではなく、その投資家に反して行動したという話でもある。ホーゲン氏によれば、同社は、安全性への取り組み方からユーザーベースの規模まで、ビジネスの基本的な事実について株主を欺いていた。

このような重要な情報を連続して投資家に伝えなかったことで、Facebookは米国の証券取引法に違反した可能性がある。また、ハウゲン氏は、Facebookが会社の内部調査に関連する重要な情報を隠していたことで法律に違反していると主張し、少なくとも8件の苦情を証券取引委員会に提出している。

一方、2人目の無名の内部告発者は、Facebookがヘイトスピーチや誤情報よりも成長と利益を優先していると主張する宣誓供述書を米国証券取引委員会に提出した。

内部告発が注目を集めているのにもかかわらず、Facebookを規制・抑制するために米国証券取引委員会が果たしうる役割が最重要視されていないのは驚きだ。Facebookはハイテク企業だが、何よりもまず上場企業であり、それゆえに米国証券取引委員会の規制と監視の対象となる。

株式公開後もMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が会社を完全に実効支配できるような奇妙な特殊クラスの株式が含まれていたにも関わらず、2012年のFacebookの新規株式公開を承認したのは、オバマ政権下の米国証券取引委員会だった。さらに、スキャンダラスなデータ会社であるCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が、約3000万人の米国人のFacebookデータにアクセスして悪用したことを知っていたにもかかわらず、それを投資家に適切に開示しなかった件について、Facebookと和解したのはトランプ時代の米国証券取引委員会だった。

過去2年半の間に証券法違反で米国証券取引委員会と和解した企業であるFacebookを詳しく調査するように求めることは、驚くことではなく、合理的なことであり、私たちが証券規制当局に期待することでもある。

バイデン政権が、Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏とLina Khan(リナ・カーン)氏という強力な規制官をそれぞれ米国証券取引委員会と連邦取引委員会の委員長に任命したことは、米国人にとって幸運なことだ。しかし、Facebookをはじめとするビッグテック企業が、経済、政治、日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼすようになったように、これらの企業を適切に規制し、抑制するという課題は、1つや2つの機関では解決できない。

大規模テック企業がもたらす問題や脅威に真に取り組むために必要なのは、政府全体でのアプローチだ。バイデン政権は、競争評議会で良い第一歩を踏み出したが、これは最終的な製品ではなく、最初の切り札でなければならない。また、大規模なテック企業に、フィンテック、通貨、政府との特別契約など新しい市場へのアクセスを与えないことも重要だ。これらの企業は、中小企業や消費者を犠牲に、これらの機会を利用してさらに強力になることはほぼ間違いないからだ。

また、これらの重要な問題については、議会の関与が必要だ。ホーゲン氏が上院の小委員会で証言した同じ日に、下院金融サービス委員会は、米国証券取引委員会の監督に関する公聴会を開催した。ホーゲン氏の扇情的な主張が数日間にわたって報道されたにもかかわらず、公聴会は、Facebookの投資家に対する説明責任を果たす上での米国証券取引委員会の役割について何のコメントも質問もなく何時間も続いた。

この重要な監視の機会が失われたことは、想像力と協調性の欠如を意味している。ビッグテックの危険性に真に対処するためには、すべてのメンバーが、バイデン政権への働きかけを含め、これらの巨大企業に対処するための改善策を考える必要がある。

ホーゲン氏は、フェイスブックから生まれた最初の内部告発者でもなければ、最後の告発者でもない。米国連邦政府が、ビッグテック企業の従業員、株主、下請け業者、さらには創業者が、これらの企業が米国人にもたらす危険性を明らかにするのを黙って見ている時代ではなくなった。

企業の規模、力、そして危険性がましている今こそ、バイデン政権は、大胆に、積極的に、結束して行動すべきだ。そのためには、まず、米国証券取引委員会が、この問題を取り上げ、Facebookを徹底的に調査し、法律を完全に執行することから始める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Lisa Gilbert(リサ・ギルバート)氏は、Public Citizenの副社長。

画像クレジット:Serdarbayraktar / Getty Images

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(文:Lisa Gilbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

ザッカーバーグ氏がアップルのプラットフォームポリシーと手数料は「イノベーションを阻害する」と非難

Facebook(a.k.a Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日の自社イベント、Facebook Connect 2021の基調講演でメタバースの計画について述べた際、Apple(アップル)およびアプリのエコシステム全体に対する明らかな批判を口にした。具体的には、アプリプラットフォームとそれにともなう手数料は「イノベーションを阻害」していると非難し、同時にFacebook自身が手数料を高く維持することについては、成長を続けるVRエコシステムと自社のOculus Questストアへのさらなる投資が必要であることを理由に正当化した。


同氏の発言は、Facebookの広告ビジネスに打撃を与えた、Appleによる最近のアプリ・プライバシー変更を受けたものだ。App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性[ATT])の導入によって、Appleはアプリが他のアプリやウェブサイトを横断して消費者を追跡することを消費者が拒否できるようにした。そしてこの変更によってFacebookの収益が落ち込んでいることを会社は認めている。

関連記事:ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

現在Facebookは、Oculus向けに独自のアプリプラットフォームを構築することで新たな収入の流れを作る可能性に期待してる。デベロッパーが手数料を払う代わりに、収益を得るプラットフォーム。そして、別の会社の気まぐれな戦略変更によってビジネスが破壊されることのないプラッフォームだ。

ザッカーバーグ氏は、今こそこの変化を起こす時であることを強調し、最近彼が「プロダクトを作るだけでは十分ではない」ことを学んだと語った。

「私たちは、将来何百万もの人たちが恩恵に預かることのできる、人々の仕事が報われ、波が高まるにつれ利益をあげられるようなエコシステムを構築する必要があります。消費者だけでなく、クリエイターやデベロッパーにとっても」と彼は言った。「この時期私たちは謙虚でもあります。なぜなら私たちのような大きな会社でも、他のプラットフォームのためにものを作ることがどういうことかを学んだからです。そして彼らのルールの下で生きることは、テック業界に対する私の見方に大きな影響を与えました」とザッカーバーグ氏は続けた。

「何よりも、選択肢の欠如と高い手数料はイノベーションを妨げ、人々に新しいものを作るのをやめさせ、インターネット経済全体を抑制します」とザッカーバーグ氏は付け加えた。

一連のコメントは、AppleとGoogle(グーグル)に直接向けられたものであり、Facebookのプロダクトのほとんどは両社のプラットフォーム上にある。Facebookはアプリ内購入の手数料をApp Storeに払わなくてはならず、例えばユーザーがクリエイターをサブスクライブしたり、バッジを買ったり、ストリーミング提供者に直接チップを渡す場合も含まれる。Apple、Googleともに、小さな会社やメディア・プロバイダーやサブスクリプション・アプリに対しては手数料を値下げしたが、標準の取り分は今も変わらず70 / 30(プラッフォーム / デベロッパー)だ。

App Storeのルールは、Facebookが高い収益を得る可能性のある他のプロダクトを開発することも妨げている。最新のゲーミングサービスが一例だ。

たとえば2020年、iOSでFacebook Gaming(フェイスブック・ゲーミング)を公開した際、同社はAppleのポリシーを激しく非難した。Appleは他のアプリやゲームを中に含むようなアプリを許していおらず、それはサードパーティー・デベロッパーから収益を得る機会を失うからだ。このため、Android(アンドロイド)版ではミニゲームをプレイできるのに、iOSユーザーはFacebook Gamingでストリームを見ることしかできない。

しかし、Facebookの将来にとって本当の懸念は、手を出せないプラットフォームのポリシー変更によって、広告収益が脅かされていることだ。

広告収益は、過去何年にもわたってFacebookが他分野に投資し、アプリを無料にすることを可能にしてきた、とザッカーバーグ氏は指摘した。

「私たちはできるだけ多くの創作と商取引が生まれるように、クリエイターや販売者向けのツールを原価あるいはわずかな料金で提供しています。そして成功しています。何十億人もの人たちが私たちのプロダクトを愛しています」と同氏は強く語った。「私たちのプラットフォームには何億ものビジネスがあるのです」。

現在会社は、メタバースのエコシステム構築にも同じアプローチを取ろうとしている。デバイスを助成したり原価で販売することによって、消費者が手に入れやすくなる、とザッカーバーグ氏は言った。そしてAppleのApp Storeと異なり、Facdbookはサイドローディング(ストア外からのダウンロード)やパソコンへのリンクを可能にすることで、囲い込むのではなく消費者とデベロッパーに選択肢をあたえる計画だとFacebookは言っている(もちろん、多くのデベロッパーは発見してもらうためにQuest Store(クエスト・ストア)で公開することを選ぶだろう。Facebookにこの約束ができる理由はそこにある)。

さらに同氏は、Facebookはデベロッパーとクリエイターのサービス費用を極力低く抑えるつもりだとも言った。しかしザッカーバーグ氏は、会社の次のビジネスモデルへの思いを馳せながら、そうではないケースもあると警告した。新エコシスコムへの投資規模を踏まえると、一部の手数料は高くなるだろうと彼は話した。

「将来への投資を続けるために、一部の手数料を一定期間高く据え置いて、このプログラム全体であまり大きな損がでないようにする必要があります」とザッカーバーグ氏は説明した。「なんといっても、すでに利益をあげているデベロッパーが増える一方で、私たちは将来メタバースの規模が大きくなるまでの何年間、数十億ドル(数千億円)を投資する見込みなのです。しかし私たちは、次の10年間全員で努力を続ければ、メタバースは10億人に達し、何千億ドル(何十兆円)ものデジタルコマースをホストし、何百万人ものクリエイターとデベロッパーの職を支えられるようになると期待しています」。

言い換えると、Facebookの計画は今まで以上にデベロッパーの収益を活用し、独自のルールを決めることで、むしろAppleに似てくるだろうということだ。

画像クレジット:Facebook(ライブストリームより)

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerの音声通話がOculus Questでも可能に

Facebookは、同社のヘッドセット「Quest」を使ったVR体験の参加プロセスを改善したいと考えている。米国時間10月28日に開催された同社の「Connect」カンファレンスで、QuestのユーザーがMessengerを介して音声通話が行えるようになると発表された。この機能は、2021年後半に利用可能になるという。

Questはこれまで、ソーシャルインターフェースに苦戦してきた。2020年、ユーザーにFacebookのIDでサインインすることを義務づけたことは、同社の広報活動に支障をきたしたが、そのおかげでソーシャルワークフローの冗長性を排除することができた。

ユーザーは「Quest」に搭載されたMessengerから直接、通話したり、メッセージを送ったり、自分の「パーティー」に参加してもらうことができるようになる。

2021年初め、Facebookは、Oculusのエコシステム内でのMessengerチャットのサポートを発表しましたが、音声通話は、ユーザーがVRミーティングをより効率的に開催するのに役立ち、また、VR内での入力作業を回避するのに役立つだろう。

関連記事:Oculus QuestでFacebook Messengerが利用可能に、承認前のコンテンツを提供するApp Labの導入も

画像クレジット:Facebook

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ザッカーバーグ氏がフィットネス機器としての「Quest 2」を紹介、「Pelotonのようなものだ」

Facebookは「Oculus Quest 2」をゲーム機以上のものとして認識してもらいたいと考えている。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同社の開発者会議「Facebook Connect」で、Questを「Supernatural」や「FitXR」といったサードパーティ製アプリのフィットネスプラットフォームとして活用するための取り組みを紹介。さらにコネクテッドフィットネス機器として、Pelotonと直接比較もしている。

基調講演においてザッカーバーグ氏は「多くの方が、健康維持のためにQuestを利用していますが、まったく新しい方法でワークアウトすることができます。Pelotonのようですが、自転車の代わりにVRヘッドセットを用意するだけで、ボクシングのレッスンから剣術、さらにはダンスまで何でもできるのです」。

同社は、ハードウェアの分類をさらに進めており、2022年には、Quest 2ヘッドセットをカスタマイズして、エクササイズで使えるようにする「Active Pack」をリリースすると発表した。このパックは、コントローラーにグリップを追加し、ヘッドセットが汗で濡れてしまう問題を解決するフェイシャルパッドを備える。

近年、Facebookはヘッドセットを使ったフィットネスを推進しており「Quest 2」に活動量やカロリー消費量を測定するトラッキング機能を持つ「Oculus Move」というプロダクトを発表している。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

フェイスブック、独自ARフィルター作成アプリ「Polar」発表

開催したAR/VRに焦点を当てたイベント「Connect」で、Facebookはより多くのクリエイターを拡張現実(AR)の世界に呼び込むことを目的とした新アプリを発表した。

画像クレジット:Facebook

「Polar」と名づけられたこのiOSアプリは、Spark ARプラットフォームを利用して、FacebookやInstagram用に独自のARフィルターを作成することができる。ユーザーは、既存のフレームワークよりもはるかに軽い技術的負担で、テンプレートを使いこれらのフィルターを視覚的に簡単に作成することができる。

nstagramが「Reels」プラットフォームを通じて動画をより強力に推進していることから、ユーザーの間でARフィルターへの関心が高まっており、FacebookがクリエイターにARフィルターを売り込むチャンスになっている。

このアプリはまだかなり初期の段階にあるようで、Facebookによると、2021年後半にクローズドベータを開始し、特定のクリエイターを厳選して参加させる予定だという。最終的には、誰もが自分のARフィルターを作成できる無料アプリとして、広く展開していく予定だ。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)