マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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マイクロソフトがSurface新製品イベントで発表した「8つの新デバイス」のひとつは、PCでもタブレットでもスマホでもなく、ペンやマウスでもなく、Surfaceなどに貼り付けて使い勝手を向上する「アダプティブキット」でした。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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中身は触覚で手がかりになるバンプラベル(写真)、特定キーを分かりやすくするキーキャップラベル+アプリケータ、どのケーブルをどのポートに挿すか見やすくするポートラベル、SurfaceのキックスタンドやノートPCなどを開きやすくするオープナーサポート

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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キーキャップラベルはこれ。従来から様々な製品が市販されてきた「キートップに貼って特定キーを触覚で分かりやすくする」シールです。

こちらは色分けがない半透明のみ、かわりに○や\など指先で認識しやすい形状を数種類用意します。アプリケータはこのシールをぴったり貼りやすくあわせる補助具。

ただのシールなのでどのキーボードにも、あるいはどんな機器のキーにでも貼れますが、Surfaceアクセサリ扱いなのでサイズがちょうど良いこと、Fキー列などハーフサイズのキー用もあることが利点といえば利点。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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ポートラベルはこちら。色分けのほか、こちらも触覚でわかる手がかりで数組が用意されています。デバイスを持ち上げて側面を覗いたり、ケーブルを間違った端子に挿そうとして困惑することを防ぐ効果。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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オープナーサポートは、ノートPCの天板やSurfaceのキックスタンドなどを開きやすくするための粘着式フック。指を引っ掛けて開くものと、ストラップを結んで引いて開くものがあります。

あらゆるデバイスが薄くツルツルになってゆくなかで、わずかな窪みに指を引っ掛けて開くことを前提にする製品も増えましたが、誰でも簡単に使えるわけではありません。

Surface Adaptive Kit はマイクロソフトのデバイス部門アクセシビリティ ディレクター Dave Dameの指揮のもと、実際に様々な障碍を持つ人々や団体から意見を募り開発したプロダクト。

ひとつひとつはすでに売っているようなものですが、デバイスメーカーであるマイクロソフトが純正として用意することで、より多くの人が見つけやすく入手性が改善すること、他のツルツルなデバイスのメーカーにもこれくらいは用意して当然と追従するきっかけになる点ですばらしい取り組みです。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組みといえば、足でも使える巨大ボタンを備えた Xbox Adaptive Controller は日本でも販売中です。

足でも使えるXbox Adaptiveコントローラ発表。拡張自在なアクセシビリティ製品

単にボタンや十字キーがでかい、床置き対応コントローラというわけではなく、各種のボタンや機能に対して3.5mmアナログ端子をずらりと用意して、市販のさまざまなデバイスを接続できるようにすることで、ユーザーそれぞれに異なるニーズに適応する点が特徴。

マイクロソフトによれば、視聴覚や運動などでさまざまな障碍をもった人は世界で10億人。またいまは無関係と思っていても、ほとんどの人はいずれ何らかの障碍を持つことになります (その前に死ななければ)。

マイクロソフトの最近のマントラ ” to empower every person and every organization on the planet to achieve more. ”、公式訳は「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」が単なるお題目でないこと、「すべての人々」を額面通りのすべてに近づける取り組みがうかがえるプロダクトです。

Surface Adaptive Kit は国内で2022年前半に提供予定。

(Source:法人向け Surface アダプティブ キット – Microsoft Storeマイクロソフト アクセシビリティ ホームEngadget日本版より転載)

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

Anushree Fadnavis / Reuters

テクノロジー業界のトップらが集う招待制のカンファレンス「Code Conference 2021」で、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが昨年のTikTok買収交渉に関する体験談を回想し「これまでに取り組んだ中で最も珍妙な出来事だった」と語っています。

2020年8月、中国のByteDanceが親会社のTikTokに対して、ドナルド・トランプ前大統領政権はセキュリティと国家安全保障上の懸念があるとして、サービスを閉鎖するか、米国企業へ売却するよう迫っていました。TikTokはいくつかの企業との間で売却交渉を進め、その候補のひとつがマイクロソフトでした。

しかし、最終的に売却先として決定、公表されたのはOracleで、マイクロソフトはそこで手を引く結果に。最終的に、TikTokの売却話はバイデン新大統領がトランプ政権下でのTikTok禁止の大統領令を取り消したことでなくなっています。

一連の出来事に関して、ナデラCEOはCodeカンファレンスの舞台上で「まず覚えておいていただきたいのは、もともとはTikTokが我々のところへ来て買収を持ちかけたのであって、我々がTikTokのところに出向いたわけではないということです」と述べました。TikTokはセキュリティサービスを提供できるクラウドプロバイダーと手を組みたいと考えており、自らマイクロソフトにパートナーになって欲しいと連絡を取ってきたとのこと。

さらにナデラCEOは「トランプ大統領からは当初、TikTokの買収に関しておそらくなんらかの考えがあるように感じられていました。しかしある時期にそれが消えてしまいました」と述べ、「そして、私は交渉から抜けることにしました。奇妙なことでしたが、面白くも感じました」と語っています。

一方、今でもあのショート動画アプリを買いたいかとの問いに関しては、明確な返答は避けました。しかし、マイクロソフトには「クラウドプラットフォーム、セキュリティ技術、そして「コードベースを引き継ぐことができるエンジニア」がいて「最も適した立場」だったとして、取り引きが魅力的だったことを認めました。

(Source:GeekWireEngadget日本版より転載)

人身売買被害者の合成データでプライバシーを侵害せずにビッグデータ分析ができる

人身売買に効果的に対処するためには、対処する側がそれを理解する必要があり、最近ではそれは「データ」となる。残念ながら、被害者を知るための便利なインデクスはないが、でもこの秘密情報はいろいろなところで豊富だ。Microftと国際移住機関(International Organization for Migration、IOM)は、本物の人身売買データの重要な特徴をすべて備えているが、完全に人工的な新しい合成データベースで前進する方法を見つけたかもしれない。

各被害者は疑う余地もなく個人だが、人身売買が多い国や彼らが利用しているルートや方法、被害者の行き着く先など、基本的な高レベルの問いは統計の問題だ。トレンドやパターンを同定するためのエビデンスは防止活動にとって重要だが、これら何千もの個人のストーリーに埋もれていて、しかも公開されたくないものが多い。

IOMのプログラムコーディネーターであるHarry Cook(ハリー・クック)氏は、データセットを説明するニュースリリースで次のように述べている。「実際に見つかった人身売買の事件に関する管理データは、可利用なデータの主たる源泉だが、そのような情報は機密性が高い。IOMは過去2年間Microsoft Researchと協力して、そうしたデータを分析用にシェアし、それと同時に被害者の安全とプライバシーを守るという困難な課題において進歩できたことを、うれしく思っている」。

歴史的には、犯罪データベースや医療情報などは大量の編集をするのが常套手段だが、「匿名性を取り去る」この方法は、データを再構築しようとする真剣な試みに対して効果がないことが立証されてきた。現在では数多くのデータベースが公開され、あるいはリークされて、コンピューティングの力を誰もが利用できる時代であるため、編集された情報を極めて信頼できる形で提供できる。

Microsoft Researchが採った方法は、オリジナルデータをベースとして、ソースの重要な統計的関係を保持し、しかし場所・時期・個人等を同定できる情報がない合成データを作ることだ。「Jane Doe」を「Janet Doeman」に書き換えたり、彼女の故郷をクリーブランドからクイーンズに変えるのではなく、データに似通った性質のある10名弱の人たちのデータを合わせて、彼らを統計的に正確に表現している属性の集合をつくるが、それを使って個人を同定することはできなくなっている。

画像クレジット:Microsoft Research / IOM

当然この方法では元のデータの粒度は失われるが、機密性のあるソースと違ってこのデータは実際に使用できる。それはどこかのタスクフォースが分析して「そうか、次の人買いはXXXXで行われるのだ」というタイプの情報ではないが、このデータは直接的なエビデンスに基づいているため、政治や外交レベルで事実の記録として取り上げることができる。これまではもっと一般的に「X国と政府Zはこの件で無視できる」や「共謀している」などと言わなければならなかったのが、これからは確かなデータに基づいて「性的人身売買の36%はあなたの司法圏を通っている」と言えるようになる。

データが一種の強制手段として利用されるという意味ではなく、人間の悲惨のグローバルな交易を、一連のお互いに無関係な出来事の連鎖ではなく、1つのシステムとして理解することは、それ自身に価値がある。そのデータは、ここで見ることができ、その作り方を勉強したい人には、この事業のGitHubがある。

画像クレジット:SEAN GLADWELL / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトはクラウドコンピューティングで自然災害モデルの再構築を目指すが課題は残る

気象予測は難しい分野として知られているが、地球の日常機能の理解のためには、この分野がますます重要になってきている。気候変動により、山火事や台風、洪水やサイクロンなどの自然災害の規模や被害が拡大している。災害がいつ、どこで発生するかを正確に知ること(あるいは数時間前に知らせること)は、被災者の状況に大きな違いをもたらす。

この分野を、Microsoftは、自社のクラウドコンピューティングサービスであるAzureにとって、利益を生むニッチな分野であると同時に、良いことをする機会でもあると考えている。2017年の立ち上げ時にTechCrunchが取り上げたAI for Earthプログラムを通して、Microsoftは一連のサービスを「Planetary Computer(プラネタリー・コンピュータ)」と呼ぶものにまとめた。このプログラムは、物体や動植物の種類を識別するためのAPIを含んでいる。AI for Earthは、科学者などが自らの研究やモデリングにAzureを利用するための助成金を提供しており、このプログラムは、AI for HealthAI for Accessibilityといった他のMicrosoftのクラウドイニシアチブに加わる。

関連記事:AI利用のヘルスケアの実践や研究を支援するマイクロソフトのAI for Health事業

私はこの数カ月間、災害対応のあらゆる側面に注目していたため、Planetary Computerと呼ばれるものの性能はどうなのか、自然災害のモデリングを改善するための障壁はどこにあるのかに興味を持っていた。このプロジェクトのプログラムディレクターであるBruno Sánchez-Andrade Nuño(ブルーノ・サンチェス=アンドラーデ・ニーニョ)氏は、このプロジェクトの野望はこれまでと同様に強いものであると語った。

「目標は、誰もが地球の生態系を管理できるようにするためのPlanetary Computerを手に入れることです。それは災害が起きた時の唯一の有効手段ですから」。このプログラムは「削減、対応、復興」に焦点を当てているが、できるだけ早く決断を下さなければならない「対応」が最も興味深い段階だ。

サンチェス=アンドラーデ・ニーニョ氏は、ここ2、3年の間に、特に環境に関連する領域でAIが驚異的な速さで進歩していると指摘した。「AIは多くの人が考えているほど多くのデータを必要としないのです」と彼は言った。「アルゴリズムに多くの進展がありましたし、私たちは、AIを理解し、非常に効率的な深層学習(モデル)を構築する方法を人々に理解してもらうために、多くの仕事をしています」。

地球システムにAIを適用する際の大きな課題の1つは、モデリングを成功させるために必要な専門分野の数だ。しかし、多くの分野は互いに隔てられており、科学者とAI研究者の間にはこれ以上ないほどのギャップがある。サンチェス=アンドラーデ・ニーニョ氏は、地球が直面する最も困難な課題に立ち向かうために、このプログラムがあらゆる分野の人々を継続的に巻き込む機会になると考えている。

「科学者のコミュニティには、より多くの知識を生み出したいというインセンティブがありますが、モデラーにとっては、良い答えをすばやく生み出したいというインセンティブがあります」と彼は説明した。「どうやって不確実性の中で迅速な意思決定を行えるでしょうか?」。

このギャップを埋める方法の1つが「アップスキリング」と彼が呼ぶ、科学者にAIのトレーニングを提供することだ。「これはすべて、環境分析をより速く、より良く行えるようにするという、同じ戦略の一環です」。特に地理分析分野ほど難しいものはない。「コンピュータは一次元を得意としていますが、近くにある複数のものを扱うのは苦手です」。彼は、もともと宇宙物理学を専攻していたが、GIS(地理情報システム)の「アップスキル」をしたと語った。

高度なAIスキルを身につけるための労力は、ライブラリが拡充し、一般的なAIモデルがうまく動作するようになり、さらにAIモデルを理解するための膨大な教材が用意されるようになったことで減少している。「かつては博士号が必要でしたが、今では10行のコードが必要です」。

そのAIの能力の増大により、人々はAIがあらゆる惑星規模の問題を解決できると信じ始めている。しかし、それは不可能であり、楽観的な見方をするとすれば、少なくとも今はまだ不可能だ。「私たちはAIの誇大広告を減らそうとしています」と彼はいう。「AIとは何かを知らなければ、それを信用することはできません」。このAI for Earthでは、科学者とAI研究者が一緒になってモデルのアウトプットを理解できるように、多くの取り組みで説明可能性を重視している。

このミッションは、関連する政府機関との連携を強めている。最近、AI for Earthは、米国陸軍エンジニア研究開発センターとパートナーシップを結び、同機関の沿岸監視システムの改善に取り組んでいる。

やるべきことが多くても、多くのモデリングの成熟度は高まっている。サンチェス=アンドラーデ・ニーニョ氏はこう言った。「今はまだ、発展途中の段階です。多くのプロセスで、必要以上にアドホックな処理が必要になっています」。良いニュースは、ますます多くの人々がこの分野に足を踏み入れ、点と点を結びつけようとしていること、そしてその過程で世界の災害対応能力を向上させようとしていることだ。

関連記事:テクノロジーと災害対応の未来4「トレーニング・メンタルヘルス・クラウドソーシング、人を中心に考えた災害対応スタートアップ」

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKYI / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images 

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(文:Danny Crichton、翻訳:Yuta Kaminishi)

マイクロソフトがWindows 11に先駆けて「Surface Laptop Studio」と「Duo 2」発表、5つの新Surfaceとアクセサリー

半年ぶりのWindowsのメジャーリリースが目前に迫る中、Microsoft(マイクロソフト)は新ハードウェアを大量に発表した。Surfaceシリーズは、最先端ハードウェアのブレークスルー対して常に刺激を与えてきたわけではないOSのコンセプトを証明するプロダクトだと考えられてきた。

このブランドは、ノートPCやタブレット、そして最近ではスマートフォンといったカテゴリー間の境界線を曖昧にすることにフォーカスし、コンシューマー向けハードウェアの可能性を押し広げる機会をMicrosoftにもたらしている。Surfaceの実績は全体的に見て堅実なものだが、フォームファクターに手を加えるということは、誰もが100%の確率で正しいことをするわけではない。

関連記事:Windows 11の提供開始は10月5日から、マイクロソフトが発表

画像クレジット:Microsoft

2020年の「Surface Duo」は、もちろん、より大きな兄弟機である「Surface Neo」を除けば、この現象の最も良い例の1つだ。この2つのデバイスは、2019年に同じイベントで発表され話題を集めた。大きく期待されていた2つのデバイスは、2つのまったく異なる理由で最終的に失望させられることになった。

Neoは単に発売されなかった。Microsoftが2021年初めにWindows 10Xをその後キャンセルしたことが、最後の釘となったようだ。Duoは発売されたが、その宣伝には応えられなかった。フォームファクターは発売時と同様に興味深いものだったが、会社は他のことに集中することを選択したため、精彩を欠いたスペックを実質的に認めることになった。私はこのプロダクトを1400ドル(約15万4000円)という価格を正当化するには至らない「未完成品」と呼んだ。

画像クレジット:Microsoft

もちろん、Microsoftははっきりと言わないだろうが、新しいSurface Duo 2は、何かをやり直すことを意味するものだ。例えばSamsungの初代フォルダブルのように、私たちが「こうあって欲しい」と願うプロダクトの延長線上にある。スマートフォンの世界では、約10年半の間、モバイルデバイスがずっと採用してきた基本的なフォームファクターを拡張するプロダクトの登場が切望されている。今回のデュアルスクリーンデバイスは、その可能性を示唆するものだといえる。画面の解像度は1344×1892、解像度は401ppiとなっている。Snapdragon 888プロセッサの搭載や、2020年モデルはLTEのみの対応だったが、5G接続が可能になったこともうれしいポイントだ。Duo 2では、(前面の1200万画素に加えて)背面に大型のカメラモデルを追加し、1200万画素のワイドと望遠、1600万画素のウルトラワイドという3つのレンズを搭載している。

画像クレジット:Brian Heater

変わらないのは、価格だ。現在予約受付中で、価格は1500ドル(約16万5000円)からとなっている。

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今回の新製品の中で最も興味深いのは「Surface Laptop studio」だ。このデバイスは、Microsoftがずっと強気で取り組んでいる2in1のカテゴリーを巧みに利用したもので、その名前はSurface StudioとLaptopの両方に敬意を表しており、おそらく両者の違いを分けているものだろう。この製品は、14.4インチのタッチスクリーンが折り紙のようなスタンドに取り付けられており、さまざまな形に配置することができる。基本的には、キーボードケースの上に、タブレットのように動くように設計されたスクリーンを搭載したノートPC(非常にMacBook風なノートPC)だ。また、製品の下側にはマグネットが付いており、同社の新しいスタイラスを取り付けることもできる。

画像クレジット:Brian Heater

この製品は、Appleが長年にわたって追い求めてきたクリエイティブプロフェッショナルをターゲットにしている。Laptop Studioは、第11世代のインテルCore H35を搭載し、i5またはi7の構成となっている。価格は1600ドル(約17万6000円)からで、現在予約受付中だ(日本では2022年前半に発売予定)。

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今回はSurface Go、Pro、Pro Xのすべてがアップデートされている。「Go 3」には新しいIntel Core i3が搭載され、パフォーマンスが最大60%向上される。10.5インチのシステムは400ドル(日本では6万5780円)からで、今後数カ月のうちにLTEオプションも追加される予定だ。「Pro 8」は、13インチのスクリーン、第11世代のインテルCoreプロセッサー、2つのThunderbolt 4ポートを搭載した2in1モデルだ。価格は1100ドル(日本では14万8280円)からとなっている。一方、薄くて軽い「Surface Pro X」は、Microsoft SQ2 ARMチップを搭載し、価格は900ドル(日本では14万2780円)からだ。

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これらすべてのモデルが、より細いペン先、触覚フィードバック、磁気充電機能を備えた新しい「Surface Slim Pen 2」に対応している。価格は130ドル(約1万4300円)。さらに、海から回収されたプラスチックを20%使用した「Microsoft Ocean Plastic Mouse」も登場する。また「Surface Adaptive Kit」は、キーキャップラベル、バンプラベル、ポートインジケータ、デバイスオープナーなどを貼り付けて、デバイスのアクセシビリティを向上させることができる。

  1. Surface-Adaptive-Kit-Hero_under-embargo-until-September-22

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  2. Surface-Slim-Pen-2_under-embargo-until-September-22

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  3. Surface-Pro-X-Hero_under-embargo-until-September-22-1

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  4. Surface-Laptop-Studio-Inking_under-embargo-until-September-22

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  5. Surface-Laptop-Studio-Slim-Pen-2_under-embargo-until-September-22

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  6. Surface-Duo-2-Internals

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全体的に見て、良いバランスだと思う。Surface Laptop Studioは、2in1スペースのもう1つの魅力的な居場所を探っている。それはニッチだろうか?そう、おそらく。しかし、Microsoftはこの種のプロダクトを長く手がけてきたため、その規模に応じた特性を理解している。また、OSのメジャーアップデートといっても、それを推進するためのハードウェアがなければ意味がない。

一方、Duo 2は、最初の頃はうまくいかなかった待望の新製品を改良したものだ。Microsoftは、このデバイスの欠点を率直に述べており、新製品でそれに対処しようとしている。このデバイスがもっと高い価格で提供されるべきだというかなり説得力のある議論をすることもできるが、多くの奇妙なコンセプトの製品(Neoの場合)がそこまで受け入れられなかったことを考えると、このように既成概念にとらわれない製品にこだわっているようなのは良いことだ。

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その他の新しいSurface製品は、Windows 11を見据えたより洗練された製品となっている。複雑なシステム要件が示すように、Microsoftは明らかにハードウェアをアップグレードして欲しいと考えている。

「Microsoft Ocean Plastic Mouse」は、確かに、ハードウェアのアップグレードを推進するためのちょっとしたギミックだ。さらに理想的な世界では、同社のすべての機器が同じような部品で作られているはずだ。海からプラスチックを救い出すことができるなら、それはそれで良いことだと思う。「Surface Adaptive Kit」は、これまで業界をリードしてきたアクセシビリティへの取り組みのうち、消費者向けの製品となる。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

歴代最高性能のSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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秋の新デバイス発表イベントで、マイクロソフトがSurfaceシリーズの新しい製品 Surface Laptop Studio を公開しました。

Surface Laptop Studio は14.4インチのディスプレイ部とキーボード部を二段のヒンジで結び、通常のラップトップモードでも、ディスプレイを手前に倒してペン入力に適したスタジオモードでも使えるクリエーター・デベロッパー向け製品。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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プロセッサは4コアの11世代Core i5 / i7 Hシリーズ、グラフィックはIntel Iris XeにNVIDIA RTX A2000 または3050 Ti、メモリは32GBまで、交換可能なSSDが最大2TBなど、歴代Surface最高の性能を誇ります。

「Laptop Studio」の名称どおり、画面を引き下ろせる構造はクリエーター向けデスクトップの Surface Studio を引き継ぎつつ、下半身は通常のノート同様に使えるスタイルです。

Surfaceラインナップ間での位置付けとしては、2 in 1でありつつキーボード側にも高速なGPUを乗せた大型・高性能モデル Surface Book の後を継ぐことになります。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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Surface Laptop Studio の主な仕様は、

  • 14.4インチ2400 x 1600 (3:2) PixelSense Flow ディスプレイ(最大120Hzアダプティブリフレッシュレート、コントラスト比1500:1、Dolby Vision対応) 10点タッチ、Surfaceペン入力対応
  • 11世代 Core i5 / i7 プロセッサ(4コア Hシリーズ)
  • 16GB / 32GB LPDDR4 RAM
  • 交換可能SSD 256GB / 512GB / 1TB / 2TB
  • USB 4.0 / Thunderbolt 4ポート x2、ヘッドホン端子、Surface Connect端子
  • 1080p HDウェブカメラ、デュアルStudioマイク
  • Dolby Atmos 対応 OmniSonicクアッドスピーカー
  • Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
  • バッテリー駆動時間はi5モデル最長19時間、i7モデル最長18時間
  • 重量は i5モデル 1742.9g、i7モデル 1820g
歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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新製品のペン Surface Slim Pen 2 は、Laptop Studio本体に磁力でドックして充電が可能。

新仕様として内部に振動子を搭載しており、Surface Laptop Studio または Surface Pro 8と利用することで紙に鉛筆で描く感触を再現できるとうたいます。また丸く囲んで選択など Microsoft 365のジェスチャや、Adobe Frescoなどのアプリも触覚フィードバックに対応します。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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通常のノートのようにキーボードを使うラップトップモード、画面を倒してタッチやペン入力に最適化したスタジオモードに対して、画面を手前に引き出した中間形態は、画面が近くゲームや動画鑑賞に最適な「ステージモード」と称しています。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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外付けキーボードを使う場合も、不要なキーボードの分だけ画面が前に出るステージモードが最適。シリーズ共通の独自コネクタ Surface Connect端子を搭載するため、ケーブル一本でSurface Dockにつないで充電・外部画面出力・端子拡張等にも対応します。(Thunderboltでも可能ですが)

Surface Laptop Studio は1599.99ドルから。米国およびカナダでは本日より予約を受け付け、10月5日に発売します。そのほかの地域では2022年に発売予定(日本は2022年前半予定)。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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秋の新デバイス発表イベントで、マイクロソフトがデュアルスクリーン Android端末の新製品 Surface Duo 2 を公開しました。

Surface Duo 2は、手帳のように畳める二枚の画面でマルチタスクに強いAndroid端末の新モデル。

二つ折りやペン対応は初代から継承しつつ、Duo 2は最新世代の Snapdragon 888プロセッサ搭載、5G対応、背面に広角・望遠・超広角トリプルカメラ搭載など、スマートフォンでもあるAndroid端末として全面にパワーアップしました。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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Surface Duo 2の主な仕様は、

  • 5.8インチ1344 x 1892 PixelSense 有機ELディスプレイ x2枚。一枚と見なすときは8.3インチ2688 x 1892 PixelSense Fusion。最大輝度800ニト、DCI-P3 100%広色域、最大90Hzアダプティブリフレッシュレート、HDR、表面カバー素材は最新のゴリラガラス Victus。各種Surfaceペン対応
  • Qualcomm Snapdragon 888 5Gプロセッサ
  • 8GB LPDDR5メモリ、128GB / 256GB / 512GBストレージ
  • 5G対応。eSIM / Nano SIMのデュアルSIM
  • 背面トリプルカメラ。
    広角:12MP、f/1.7, 27mm相当、1.4μm画素、デュアルピクセル位相差検出AF、光学手ブレ補正
    望遠:12MP、f/2.4、51mm相当、1.0μm画素、位相差検出AF、光学手ブレ補正、2倍光学ズーム
    超広角:12MP、f/2.0、13mm相当、1.0μm画素
  • 前面カメラ:12MP、f/2.0、24mm相当、1.0μm画素
  • USB-C 3.2 Gen 2
  • 初代よりわずかに厚くなった5.5mm厚。二つ折り時は11mm
  • 重量284g
  • バッテリーは4449mAh。動画再生で最長15.5時間、通話28時間
  • 指紋センサー
Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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サムスンの折りたたみスマートフォン Galaxy Z Fold / Flip シリーズは、柔軟なディスプレイ自体が継ぎ目なしに真ん中から折れる点が特徴ですが、Surface Duo は二枚が蝶番でつながった「デュアルスクリーン」。

継ぎ目がある見なし大画面というよりも、二つのアプリを左右に表示して使うマルチタスクのプロダクティビティを重視した製品です。

資料を見つつメールやワードやエクセルを編集したり、ビデオ会議の参加者の顔と画面共有を両方大きく表示したり、対応アプリでは左右のドラッグ・アンド・ドロップといった使い方に加えて、Kindleのように見開き2ページ表示になるアプリ、左右にフォルダと中身など二画面に最適化したアプリもマイクロソフト純正を中心に用意します。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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仮に開いた見なし1画面として比較するなら、対角8.3インチは新しい第六世代 iPad mini と同じ。縦横比がやや違うため Surface Duo 2のほうが面積としては微妙に広く、画素数も多くなっています。(326 ppi と401ppi)。

重さはDuo 2が284g、iPad mini 6は293g / 297gと微妙な差はありますが、概ね開いたときは iPad mini 新モデルのサイズと考えて間違いありません。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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画面を畳んだときでも側面に見える「Glance Bar」。充電状態や音量、通知アイコンなどを確認できます。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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本体色は従来の Glacier に加え新たにオブシディアンを追加。カラフルなバンパーも用意します。

Surface Duo 2 の価格は1499.99ドルから。米国など一部の市場では本日より予約を受け付け、10月21日に発売します。日本では2022年前半発売予定。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

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完全新規の Surface Laptop Studio、Pro 3以来の刷新となる Surface Pro 8が発表されたマイクロソフトのイベントでは、小型モデル Surface Go も新バージョンの Surface Go 3が登場しています。

主な更新点は、プロセッサが新しい Pentium Gold またはCore i3になり高速化したこと。そしてWindows 11搭載モデルになったこと。

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

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Surface Go 3の主な仕様は、

  • 10.5インチ1920 x 1280 PixelSenseディスプレイ
  • 2コアPentium Gold 6500Y または4コア第10世代 Core i3-10100Y
  • Intel UHD 615グラフィック
  • 4GB / 8GB RAM
  • 64GB eMMC / 128GB SSD / 245GB SSD (Commercial Channelのみ)
  • オプションでLTE Advanced、Nano SIM / eSIM対応
  • USB-C×1、microSDXCスロット、3.5mmヘッドホン端子、Surface Connect端子、タイプカバー端子
  • 重量 544g (Wi-Fi)、553g (LTE)

Surface Go 2から画面もサイズもそのまま、主に中身を高速化した Windows 11あわせのリフレッシュモデルです。

価格は Pentium / eMMC / 4GB / Wi-Fiの最安モデルが399ドル(日本では税込6万5780円から)。本日より各地域で予約受付を開始します。LTEモデルは米国とカナダで今年12月、そのほかの地域では2022年に発売予定。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

本日開催された米国マイクロソフトのSurfaceイベントでは、Windows 11搭載となる新型Surfaceシリーズが発表されました。

中でも今回の話題の一角となりそうなモデルが、キーボード合体式の2-in-1タイプ『Surface Pro 8』です。

米国での価格は1099.99ドルから(日本では税込14万8280円から)。日本を含む各国で本日より予約受付を開始します。

最大の特徴は、ついに本体が完全新設計となった点。

Surface Proシリーズの12.3インチ・アスペクト比3:2画面をベースとした基本的な設計は、Surface Pro 3から“秘伝のタレ”のように引き継がれてきましたが(Pro 7でのUSB Type-C追加などはあったものの)、今回ついに基本設計レベルから大変更され、合わせて時代遅れ感のあった仕様が一気にアップデートされました。

その本気度は、マイクロソフト側が「Pro 3以来となる大規模アップグレード」とアピールするほど。

正面デザインは変わらずシンプルですが、画面のナローベゼル化により、より見栄え良く

正面デザインは変わらずシンプルですが、画面のナローベゼル化により、より見栄え良く

画面サイズは13インチに若干ながら大型化され、最高リフレッシュレートはゲーミングPC並みの120Hzに。さらに先行するSurface Pro Xのように、ナローベゼル化も進みました。

拡張端子もThunderbolt 4(兼USB Type-C)端子2基を搭載し、心臓部となるCPUはインテルのTiger Lake世代に。インテル提唱の”イマドキの快適PC指標”となるEvoプラットフォームにも準拠しています。

背面側には伝統の無段階キックスタンドを搭載。中央付近に見える端子が2基のThunderbolt 4(兼USB4)です

背面側には伝統の無段階キックスタンドを搭載。中央付近に見える端子が2基のThunderbolt 4(兼USB4)です

さらに別売りペンにはハプティック(触感)デバイスを搭載して、触感上でも紙とペンの書き味に近づけるなど、今後のトレンドともなりそうなアイデアも導入されています。

公開された内部構造図。基本的なパーツレイアウトはProシリーズを継承するものの、冷却機構やバッテリーの大型化が見て取れます

公開された内部構造図。基本的なパーツレイアウトはProシリーズを継承するものの、冷却機構やバッテリーの大型化が見て取れます

技術的な注目点の一つとなるのが、ディスプレイパネルの大進化でしょう。なんといっても目立つのが、最高リフレッシュレートが120Hzという点。これにより軽めのゲームなどでは表示が滑らかになり、視認性が向上します。また、ペンを使った描画などでも遅延(レイテンシ)を削減できます。

Windows 11は必要に応じてリフレッシュレートを高める「動的リフレッシュレート」に対応するため、多くのスマートフォンのように無駄な消費電力を抑えつつ、必要なときだけ120Hz表示を使えます。

サイズは13インチとわずかながら大型化し(Pro 7は12.3インチ)、合わせてナローベゼル化。とくに横置き時の左右側などはかなり狭くなり、外観上も格好良くなっています。

もちろんキックスタンドは第5世代モデルから継承された、スタジオモード(最大限に倒した、ペン入力に適した状態)にも対応。キーボードとの接続端子はSurface Pro Xに似た形状となっています(現状では互換性に関しては不明)

もちろんキックスタンドは第5世代モデルから継承された、スタジオモード(最大限に倒した、ペン入力に適した状態)にも対応。キーボードとの接続端子はSurface Pro Xに似た形状となっています(現状では互換性に関しては不明)

加えてHDR映像ソースに関しても、ドルビービジョンに対応。色表現に関しても、周囲の環境光に合わせて自動で色調整を行なうWindows機能『Adaptive Color Technology』に対応。なお同機能で必要となる環境光センサーは、顔認証カメラ部に搭載します。

解像度は2880 x 1920、画素密度は267dpi。この値はPro 4からPro 7と同じため、解像度は画面実面積分だけの拡大に留まっています。

こうした様々な改良により、公式Blog記事などでは「我々が作った中でも最も技術的に進んだディスプレイ」ともアピールします。

対する大きさと重さに関しては、本体のみでのサイズは287×208×9.3mm(幅×高さ×厚さ)で、同じく本体のみの重量は891g。Pro 7は292×201×8.5mm、775g~790gだったため、とくに重量は100gほど増しています。

心臓部となるCPU(SoC)はインテルのTiger Lake世代へ。合わせて熱輸送機構も高効率化されています

心臓部となるCPU(SoC)はインテルのTiger Lake世代へ。合わせて熱輸送機構も高効率化されています

画面周りと並んで大きなアップデートが、Thunderbolt 4(兼USB Type-C)端子を搭載する点。

CPU側に論理層コントローラーを搭載するTiger Lakeの機能を活かし、数も2基となっているため、これまでのSurface Proシリーズに比べて拡張機器の柔軟性は大きく広がっています。

ただし一方で、昨今のトレンドかUSB Standard-A端子は廃止に。良くも悪くもイマドキのモバイルPC的な割り切りとなりました。

なお電源兼拡張ユニットを接続するSurface Connect端子は、内部解説写真によれば継続採用。現時点では細かな互換性までは不明ですが、このあたりはSurfaceチームらしいところです(なお、他の端子は3.5mmヘッドホンジャックのみ)。

今回は内部に非常に自信があるためか、基本パーツを一覧で見せる写真も。マザーボードの形状などが注目ポイントでしょう

今回は内部に非常に自信があるためか、基本パーツを一覧で見せる写真も。マザーボードの形状などが注目ポイントでしょう

そして、基本的な処理速度の面もTiger Lake採用で強化。とくにGPUはPro 7で採用されたIce Lake(第10世代Core i)より、かなりの、と言って良いレベルでの高速化が期待できます(一方で、企業用モデル『Surface Pro 7+』とは同一世代となります)。

実際の処理速度に大きく影響するTDP値は15~28Wと、いわゆるモバイルノートPCの標準クラス。具体的なモデル名は、一般向けモデルが『Core i5-1135G7』と『Core i7-1185G7』。最廉価モデルでもCore i5となっている点が、ちょっとした(そしてお買い得度的には大きな)トピックです。

搭載GPUはCPU内蔵の『インテル Iris Xeグラフィックス』となります。

なお、企業向けモデルは『Core i3-1115G4』『Core i5-1145G7』『Core i7-1185G7』の3グレード構成です。企業向けモデルはLTEモデム搭載構成も販売されます(コンシューマー向けはWi-Fiモデルのみ)。

なお冷却機構などは、基本的な設計こそPro 7までを踏襲しますが、ヒートパイプなどの部品が順当に大型化している様子が見て取れます。

一部モデルのストレージ(SSD)は企業用のPro 7+と同じく、交換可能な設計。外観レベルでは形状も似ています

一部モデルのストレージ(SSD)は企業用のPro 7+と同じく、交換可能な設計。外観レベルでは形状も似ています

RAMはLPDDDR4Xの8GB/16GB/32GB。Surface Proも最大32GBに対応した点がトピックです。

ストレージは少々複雑で、交換可能タイプのSSDでは128GBか256GB。それとは別に単なる「SSD」があり、こちらは512GBか1TBという構成。おそらく後者は交換不可能な構成と思われます。

バッテリー駆動時間は公称「最大16時間」。バッテリー容量は内部写真で見る限り50.2Wh(11.38V/4414mAh)と、Pro 7の公称43Whより大幅な容量増になりました。

Pro 7の駆動時間は公称10.5時間だったため、容量増加分しっかりと駆動時間が延びたと呼べそうです。

公開された内部レイアウトを見せるための写真は“レイヤー分け”したかのようなタイプも。ただし後半はキーボードである点には留意

公開された内部レイアウトを見せるための写真は“レイヤー分け”したかのようなタイプも。ただし後半はキーボードである点には留意

またテレワークの普及に伴い、カメラも刷新。背面カメラが1000万画素(10MP)へと、解像度が向上しています(現行のPro 7は800万画素)。なおBlog記事では「10MP-4K」との記載もあるため、4K動画の撮影にも対応する模様。

なお前面カメラはPro 7と同じ500万画素でフルHD撮影に対応。Surfaceシリーズといえば、なWindows Hello対応顔認証も継承します。さらにユニットとしてみると、上述した環境光センサーが加わっています。

またマイクに関しては中・遠距離の集音にも対応するマイクロフォンアレイ構成を引き続き採用、内蔵スピーカーはドルビーアトモスに対応します。

専用キーボードはペン収納(兼充電)部を備えたPro X風の新設計に。もちろんキーボードに角度を付けた状態ではペンを隠せます。端子形状もPro Xに似た形となりました

専用キーボードはペン収納(兼充電)部を備えたPro X風の新設計に。もちろんキーボードに角度を付けた状態ではペンを隠せます。端子形状もPro Xに似た形となりました

そしてもう一つの注目点は、本体に合わせて刷新された、専用キーボードとペンです(両方とも別売り)。

キーボードは、Surface Pro X用で評価の高かった、ペン用の収納部を本体接続部付近に搭載する構造に刷新。名称もPro X版に合わせて、『Surface Pro Signature Keyboard』となっています(日本向けはまだわかりませんが、「タイプカバー」の名称が外れました)。

キーボードとペンを装着した状態ではこのような感じに。このあたりの構造はPro Xを見ているかのようです

キーボードとペンを装着した状態ではこのような感じに。このあたりの構造はPro Xを見ているかのようです

そして専用ペン『Surface Slim Pen 2』の特徴は、ハプティック(触感)振動に対応したバイブレーターを搭載している点。これにより使っている際、紙にペンを滑らすような感触をシミュレートします。

これまでのPC用ペンは、いわゆる「紙とペンのような書き心地」を追求すべく、ペン先の素材や画面側の表面加工、さらにはレイテンシ(遅延)の削減などに注力してきました。

しかし今回は「昨今技術改良の著しいハプティック系デバイスを使い、書き心地のシミュレートにより紙とペンの理想に迫る」という、良い意味で想定外の技術によるアプローチとなっています。

さらに描画時のレイテンシに関しても、Surface Pro 8側にも搭載されたMicrosoftの新世代カスタムコントローラーと、Windows 11での改良により、現行世代よりさらに低減。

画面の120Hz化による描画レイテンシ削減と合わせ(画面のリフレッシュレートが上がると、必然的にレイテンシも削減されます)、「これまで以上に自然で滑らかなインクとペンの体験を提供」とアピールします。

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

このようにSurface Pro 8は、OS側となるWindows 11の刷新に合わせて、ユーザー待望のメジャーアップグレードとなった待望のモデル。

実際に主要な特徴を見ていっても、120Hz画面やThunderbolt 4端子をはじめとするパワーアップ度合は顕著。確かにマイクロソフト側が主張する大幅な強化であることは間違いありません。

Surfaceはディスプレイに関しては並々ならぬこだわりを持ったシリーズですが(例えばあまり大きくアピールしていませんが、出荷時色調整の精度なども含まれます)、今回はWin 11で焦点となるはずのリフレッシュレートでライバルとの差を付けることとなりそうです。

そして「ペンを併用するためにSurface Proシリーズを使っている」という層にとっては、間違いなく注目点となりそうなのが、触感フィードバックを搭載したペンの使い心地でしょう。少なくともPC用でのペンとしては他にないアイデアだけに、ペンも使う層によっては、本体以上に見どころともなりそうです。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

【コラム】テック系ワーカーの大多数が反トラスト法の施行を支持

米連邦取引委員会のLina Khan(リナ・カーン)委員長の登場で、ビッグテックの解体が再びワシントンの主要政策論議に浮上した。この問題は超党派的な様相を呈しており、共和党も民主党も同様に、テック業界における独占的な行動を止めることに賛成している。もちろん、立脚点の状況はもっと微妙だ。

Amazon、Apple、Microsoft、Facebook、Googleに事業分割や中核事業からの撤退を迫る5つの超党派法案を米下院司法委員会が可決してから1カ月後、共和党の委員会メンバーらは、ビッグテック企業によるオンライン検閲を阻止する法的手段を米国民に与える新たな法案を提出した。より保守的な政策措置は、ビッグテックによるコンテンツモデレーションの慣行の透明性を高めることも提案している。

ビッグテックの規制方法をめぐる議員同士の争いは、すぐには終わらないだろう。しかし、パンデミックによって加速されたデジタルトランスフォーメーションの新時代を米国が先導する中、連邦議会は、自由市場を維持するにはビッグテックの力が抑制されなければならないという信念で強固な結束を築いている。

現状では、小規模な競合企業も消費者も、今日の近代的な経済エンジンに参加するにあたってはビッグテックに縛られる以外に選択肢はほとんどない。そしてパンデミックを経て、テック最大手5社は、資本主義の歴史ではこれまで見られなかったような驚異的なスピードで成長を続けている

大手テック企業は、事業を分割することになりかねない規制に対して強い反対の意思を示しており、規制改革は研究開発の損失、非現実的な市場の細分化、消費者へのサービスコストの上昇をもたらすことを示唆している。

AppleやFacebook、Amazonなどのビッグテック企業が出資するテック業界団体が委託した調査によると、米国人はテック関連の規制を議会にとって優先度が低いものだと考えている。米国人の最優先事項として挙げられたのは、経済、公衆衛生、気候変動、インフラであった。この調査ではまた、Amazon Primeプロダクトの無料配信のようなオファリングに影響を与える規制には、米国人が反対する可能性が高いことも明らかになった。

おそらく今回の世論調査と、選挙で選ばれた指導者たちの超党派的なセンチメントは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生後、社会が良くも悪くもテック大手への依存を認識し始めたことを示しているのだろう。過去18カ月間、米国の労働者はリモートワークに適応してきた。彼らは、他の従業員とのコミュニケーション、企業の経営、食料品や必需品の購入などに対してビッグテック企業が展開するプログラムを利用している。多くの企業が完全なリモートまたはハイブリッドのワークモデルへの移行を公表しており、この動的な状況が変わる可能性は低い。

この話題に対して、プロフェッショナル、特にテック業界やスタートアップ、スモールビジネスで仕事をする人々の間で関心が高まっている。私たちFishbowlは、その多くがテック業界で働くプロフェッショナルたちに、テック大企業の分割について聞いてみようと考えた。Fishbowlはプロフェッショナルのためのソーシャルネットワークであるため、このような職場の話題について調査を行うのは自然な流れだ。

この調査は2021年7月26日から30日にかけて実施され、この分野の従業員が反トラスト法についてどのように感じているかが調査された。調査ではプロフェッショナルたちに次のように問いかけた。「AmazonやGoogleのような大手テック企業を解体させるために、反トラスト法が使われるべきだとだと思いますか?」。

Fishbowlアプリ上で11579人の認証プロフェッショナルが調査に参加し、イエスかノーのどちらかを回答するオプションを与えられた。調査は、法律、コンサルティング、ファイナンス、テクノロジー、マーケティング、アカウンティング、ヒューマンリソース、教師などを対象に、州および専門業界に分類して行われた。

調査結果は以下の通りである。

画像クレジット:Fishbowl

1万1579人のプロフェッショナルのうち、6920人(59.76%)が回答に応じた。

回答に基づくと、調査に肯定的な回答が最も多かったのは法律のプロフェッショナルで、66.67%であった。コンサルティングのプロフェッショナルは61.97%で、次いでファイナンス(60.64%)がテクノロジー(60.03%)をわずかに上回った。一方、教師の割合は53.49%と最も低かった。ヒューマンリソース(55.65%)、アカウンティング(58.51%)、その他の専門職(58.83%)と続いている。

この調査のデータは、米国25州のプロフェッショナルから集めたものである。イエスと答えた割合が最も高かったのはコロラド州で、76.83%だった。2位は73.17%のワシントン州、3位は69.70%のミシガン州となった。大手テック企業の分割に「イエス」と答えた従業員の割合が最も低かったのはミズーリ州(51.35%)であった。インディアナ州(52.59%)、マサチューセッツ州(52.83%)と続いている。全体的に見て、調査に参加した州の大半は、反トラスト法がビッグテック企業を事実上解体すべきだと考えている。

テクノロジーのプロフェッショナルは、大手テック企業が解体されるべきだと回答した割合が4番目に高かった。ビッグテック企業を解体することで得られるメリットの一部として、スモールビジネスにより多くの機会がもたらされることが挙げられる。テクノロジーのプロフェッショナルや起業家にとっては、新たなプロダクトやプログラム、サービスを立ち上げる好機となるかもしれない。また、高度なスキルを持つプロフェッショナルの雇用を増やす可能性もある。第2のメリットは、データのプライバシーと国家的なセキュリティに関する懸念を軽減できることだ。しかし、大企業を解体することのデメリットとして、研究開発の損失が考えられる。大企業は人工知能、自動運転車、ウェアラブル、ロボットなどに多額の資金を提供している。最終的には、ビッグテック企業の解体は、プロフェッショナルそして一般の人々にとってもサービスコストを増加させる可能性がある。

政策立案者たちがビッグテックの解体方法について交渉を続ける中、ホワイトハウスも動き始めている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は最近、コロンビア大学ロースクール教授のカーン氏をFTC委員長に任命した。カーン氏はビッグテックを強く批判しており、企業の濫用から一般市民を保護し、合併のガイドラインに経済の現実と実証的な学習・執行を反映させることを最優先課題としている。端的に言えば、同氏は合併について懐疑的な見方をしている。

そして7月、バイデン大統領はJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏を司法省反トラスト局長に指名する意向を表明した。カンター氏は、反トラスト法を専門とする20年以上の経験を持つ弁護士で、強力かつ有意義な反トラスト法の執行と競争政策を推進する取り組みの第1人者であり、専門家でもある。

こうしたメンバーの追加により、業界全体で反トラスト法を施行するための積極的なアプローチが行われることが期待される。今後の動きに確実に違いをもたらすことが議会に委ねられよう。

編集部注:Matt Sunbulli(マット・サンブリ)氏は、リモートワークの新時代にプロフェッショナルを結びつけるワークプレイスソーシャルネットワークFishbowlの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Matt Sunbulli、翻訳:Dragonfly)

マイクロソフトがOffice 2021を10月5日にリリース

Microsoft(マイクロソフト)は生産性スイートの次期コンシューマー版であるOffice 2021を10月5日にリリースする。Windows 11の提供開始日と同じだ。以前のOffice 2019と同様、Office 2021は1回限りの購入でWindows、macOSの両方で利用できる。同社のMicrosoft 365サブスクリプションを利用したくない人向けのものだ。

Microsoftは間もなくOffice 2021の詳細を明らかにすることを約束したが、The VergeのTom Warren(トム・ウォーレン)氏の報道で我々は概要を知っている。MicrosoftがCloudにアクセスできない法人顧客向けに9月16日リリースしたソフトウェアの異なるバージョンのOffice LTSCと同じような改善が図られているということだ。その他、アクセシビリティ機能とダークモードのサポートも追加している。また、以前の発表からMicrosoftが少なくとも5年間はソフトウェアサポートを行う計画で、ソフトウェアは32ビットあるいは64ビットのシステムで使えることもわかっている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nariko Mizoguchi

写真やビデオの「出所」データで改ざんを防ぐTruepicがマイクロソフト主導ラウンドで約28億円調達

デジタル画像認証ソフトウェアプロバイダーのTruepic(トゥルーピック)はMicrosoft(マイクロソフト)のベンチャーファンドM12がリードしたシリーズBラウンドで2600万ドル(約28億円)を調達した。

Adobe、Sony Innovation Fund by IGV、Hearst Ventures、そしてStone Point Capitalの個人も同ラウンドに参加し、サンディエゴを拠点とするTruepicの2015年の創業からの累計調達額は3600万ドル(約39億円)になった。

フェイクかどうかを感知するのではなく、特許を取得している「保証された」カメラテクノロジーが本物であることを証明する、とTruepicはいう。同社のテクノロジーは写真やビデオを、その「出所」データ(オリジン、コンテンツ、メタデータなど)で、対象とする受信者に届く前に画像改ざんされないよう暗号技術を用いて保護する。

ダークウェブやソーシャルメディア、あるいは画像の時間やロケーションについてのメタデータを変更できるソフトウェアを介して購入できる偽りの写真や個人情報が増えている中で、同社のソフトウェアは写真がどこで撮影されたのかを認証し、巧みに操作されていないことを証明することができる、と同社は話す。

「我々のアプローチは、撮影された時点でのコンテンツの信憑性を認証するという点でユニークです。この手法は、『出所ベースのメディア認証』とも呼ばれていて、異常や撮影後の編集を感知するものとは異なります」とTruepicのCEO、Jeff McGregor(ジェフ・マクレガー)氏は語る。「フェイクの画像やビデオの感知は実行可能ではなく、スケーラブルでもないと考えています。出所ベースのメディア認証はユニバーサルなオンライン上のビジュアル信頼に向けた最も有望なアプローチです」。

Truepicのカメラテクノロジーはソフトウェアベースで、モバイルデバイス上で動く。マクレガー氏によると、デバイスのカメラで撮影された写真とビデオは、編集されていないオリジナルの画像であることが暗号化されて保証されており、日時や場所などの「信頼できる」メタデータも含まれているという。

13もの特許を持つTruepicのテクノロジーは特に、ますます増えている金融サービス企業の間で人気だと同氏は話す。例えば保険会社はリモートで保険請求を認証するのにTruepicのテクノロジーを使っている。これは新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、対面でのやり取りがとにかく避けられていた初期には特にかなり有意義だった。しかし他にも多くのユースケースがある、とマクレガー氏はいう。

Truepicは正しいことをしているに違いない。同社のテクノロジーはEquifax、EXL Service Inc、Ford Motor Company、Accion Opportunity Fund、Palomarなど100社超に使用されている。

Truepicの売上高は2020年、保険、銀行、クルマ、P2Pコマース、プロジェクト管理、国際開発産業などでの「クライアント数の劇的な成長」のおかげで300%超増えた、と同社は話す。ただ、マクレガー氏は具体的な売上高の公開は却下したため、売上高の300%成長がどれくらい大きかったのか知ることはできない。同社は現在、中核テクノロジーのディストリビューションのスピードに注力しているため、意図的にまだ黒字になっていない、と同氏は付け加えた。

同氏によると、信用できない写真やビデオがかなり広く出回っているため、Truepicのテクノロジーのユースケースは広範にわたる。同社の顧客には、デジタル写真やビデオコンテンツを取り入れており、かつそうしたコンテンツに高レベルの信用度を求める組織が含まれる。例えばTruepicは保険会社、銀行、P2Pコマース、オンラインマーケットプレイス、不動産とフランチャイズの組織、保証プロバイダー、クルマの会社などと協業している。同氏によると、一般的に住宅レンタルやニュースメディア、オンラインデーティング、ソーシャルメディア、eコマース、シェアリングエコノミー、従来型メディアなど、ビジュアルメディアに頼っているプラットフォームを持つ企業はTruepicのテクノロジーの恩恵を受けることができる。

「すべてのデジタルコンテンツのオリジンや信憑性が検証でき、それによってオンラインで視聴するものにより高い信頼を置ける世界をイメージしています」とマクレガー氏は語った。

M12プリンシパルのJames Wu(ジェームズ・ウー)氏は、オンライン上のディープフェイクのビデオや合成メディアの数はねずみ算式に増えていると指摘した。

「悪用され、巧みに操作されたメディアはネガティブな政治論や評判への影響、そして不正請求などにつながりかねません」とウー氏はメールで述べた。「合成メディアの普及は企業、特に確立されたブランドにとって増大しつつあるビジネスリスクであり、Truepicのようなソリューションは企業のエンド・ツー・エンドの詐欺管理戦略において不可欠なものになるでしょう」。

そして同氏は、Truepicは写真やビデオファイルに含まれるデータの完全性を証明する最も信頼性の高い方法であるとM12が考えている証明技術の「パイオニア」だと述べている。

「合成メディアにはかなり投資されてきましたが、コインの裏側、つまり合成メディアが悪用される場合を考えている人はごくわずかです。Truepicはオンライン上の真実性の共有を維持するためのツール提供において先頭を走っています」と同氏は語った。

Truepicは新たに調達した資金の一部を新プロダクトTruepic Lensの迅速なリリースに使う計画だ。Truepic Lensは「産業、ユースケース問わず」サードパーティのアプリで「信頼できる」画像撮影ができるようにする、とマクレガー氏は述べた。

「これはサービスを提供する上で信頼できるメディアを必要とするあらゆる顧客に向けた1つの統合ポイントを作り出します」。

同社はまた、現在展開している旗艦プロダクトTruepic Visionの流通を増やすのにも資金を使う。このプロダクトは、世界中のどこからでも信頼できる写真やビデオの「速攻の」レビューをリクエストできる「ターンキー」プラットフォームだ。

当然のことながら、同社は採用も進める。現在の従業員数は50人で、1年前から約25人増えた。今後18カ月で100人へと倍増するとマクレガー氏は見込んでいる。

画像クレジット:Truepic Lens / Truepic

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがパスワードレス認証を一般消費者向けアカウントにも導入へ

Microsoft(マイクロソフト)は、すべての消費者向けMicrosoftアカウントにパスワードレス認証オプションを導入することで、ユーザーのパスワード離れをさらに推し進めようとしている。

同社は業界の他の多くの企業と同様に、従来のパスワードベースの認証との戦いをしばらくの間続けてきた。脆弱なパスワードや再利用されたパスワードは、推測されたり、自動化されたブルートフォース攻撃の格好の標的となるからだ。

関連記事:Windows 11の提供開始は10月5日から、マイクロソフトが発表

そのため、数週間後に迫ったWindows 11の発売に向けてMicrosoftは、これまで法人顧客のみに提供していたパスワードレス認証オプションを、すべてのMicrosoftアカウントに展開すると発表した。これによりユーザーは、OutlookやOneDriveなどのサービスに、パスワードを使わずにサインインできるようになる。代わりに、ユーザーはMicrosoft Authenticatorアプリ、Windows Hello、セキュリティキー、SMSまたはEメールで送信されるコードを使用できる。

ただし、Office 2010以前のバージョン、リモートデスクトップ、Xbox 360など、一部のMicrosoftアプリケーションでは、引き続きパスワードが必要となる。同様に、現在サポートされていないバージョンのWindowsを使用しているユーザーも、まだパスワードを捨てることはできない。この機能はWindows 10とWindows 11でのみサポートされる。

Microsoftによると、パスワードレス認証は今後数週間のうちに一般ユーザーのアカウントに導入される予定とのことで、まだすぐにはパスワードを捨てられないかもしれない。また同社は、Azure ADアカウントのパスワードをなくす方法にも取り組んでおり、管理者は特定のユーザーに対してパスワードを必要とするか、許可するか、あるいは存在しないかを選択できるようになるという。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

Xboxとスペシャルオリンピックスが知的障がい者のためのeスポーツイベントを初開催

ゲーミング全般がアクセシビリティに配慮する方向にある中、eスポーツはあまりそうではない。一般のスポーツと同じく、そこは本質的に競争世界であり、ある意味で排他的だ。Xbox(エックスボックス)とSpecial Olympics(スペシャルオリンピックス)は、競争とインクルージョンを組み合わせた新たなイベントの共同開催された。

今週、スペシャルオリンピックスのアスリートたちは、Rocket League(ロケットリーグ)、Madden NFL 22(マッデンNFL 22)およびForza Motorsport 7(フォルツァ・モータースポーツ7)のトーナメントで競い合った。賞品は、名声とプライドに加えて、スペシャルオリンピックスのセレブサポーターの1人とプレイできることだ。バスケットボールNBAのスーパースターであるJayson Tatum(ジェイソン・テイタム)、アメリカンフットボールNFLのレジェンドであるJamaal Charles(ジャマール・チャールズ)、女子バスケットボールWNBAのスーパースターJewell Loyd(ジュエル・ロイド)、プロレスWWEのスーパースターDominik Mysterio(ドミニク・ミステリオ)とEmber Moon(エンバー・ムーン)というスーパースターたちだ。

「このトーナメントはeスポーツをよりアクセシブルにし、スペシャルオリンピックスのアスリートたちに新たな競争の場を与える重要な一歩です」とXbox Social Impact(エックスボックス・ソーシャル・インパクト)代表のJenn Panattoni(ジェン・パナトニ)氏が語る。「Xboxは、Xbox Adaptive ControllerやCopilot、音声テキスト変換など、数多くのアクセシビリティ機能とプロダクトに投資してきました。こうような継続した取り組みの目的は、プレイヤーが間違いなく歓迎されていると感じ、Xboxプラットフォームの一員になれることです」。

トーナメントは録画され、今週中に配信されるとともに米国時間9月18日土曜日の「セレブリティーショーケース」でハイライトが放映される。スケジュールはこちらの投稿で確認できるが、Xbox TwitchチャンネルSpecial Olympics YouTubeチャンネルをただ眺めるのもいいだろう。

関連記事:マイクロソフトがXboxやPC用ゲームのアクセシビリティをテストする開発者向けサービスを開始

私がこうしたイベントを取り上げたいのは、ゲーミング世界では長年アクセシビリティが二の次にされてきたからだが、今こうしてデベロッパーやパブリッシャー、パートナーたちの大きな行動によって状況が改善されようとしている。Microsoft(マイクロソフト)のXACがすばらしい例で、最新のゲーム、Ratchet & Clank(ラチェット&クランク)はビジュアル、オーディオ、難易度オプションの装備を一式備えている。eスポーツが多様性をもっと必要としている分野であることは間違いないが、参加しているプレイヤーたちは喜んで協力してきた。スペシャルオリンピックスのアスリートであるJose Moreno(ホゼ・モレノ)氏とColton Rice(コルトン・ライス)氏に思いを聞いてみた。

競技ゲームは前よりアクセシブルになってきたと思いますか?

ライス:競技ゲーミングは間違いなく以前よりアクセシブルになっています。ゲームがアクセシブルになるだけでなく、アクセシビリティによって障がいをもつ多くの人たち競技ゲームのプレイヤーになっています。知的障がいをもつ人たちは常に全力で戦おうとしています。私たちは他のみんながやっているのと同じことをやりたくて、時々そのためにちょっとした力添えが必要なだけです。

モレノ:競技ゲーミングはよりアクセシブルになっていると思います。Microsoftが知的障がいや身体障がいをもつ人たちの利用できる、つまりすべての人たちが利用できるビデオゲームコントローラーを売り出したからです。私は生まれながらのゲーマーなので、eスポーツにおけるアクセシビリティは革新的な出来事です。アクセシブルなゲーミングは私の子ども時代にはありませんでした。今はあらゆる能力の友だちとプレイできて誰もが参加できるのでずっと楽しくプレイしています。

スペシャルオリンピックスのアスリートであるコルトン・ライス氏(左)とホゼ・モリノ氏(右)(画像クレジット:Special Olympics<)

どのように変化を経験していますか?

モレノ:私が思うに、ビデオゲーム業界がより多くの知的障がい者を受け入れるほど、ビデオゲームコミュニティは、私たちが他の人と同じようにビデオゲームをプレイするのが大好きだということを知るようになります。そしてGaming for Inclusion(ゲーミング・フォー・インクルージョン)のようなイベントを通じて、私は競技に参加できるだけでなく、私を歓迎して仲間に入れてくれるゲーマーコミュニティの一員になれました。

ライス:知的障がいをもつ人たちは細部に注意を払うスキルをもっています。何かをすることに集中し、自分にできるベストになるまで練習します、それを楽しんでいる時には特に。そしてゲーミングはその1つです。障がいを持つ人達は学習に時間が必要なだけですが、情熱をもてるものに専念した時、成功するまでやめることがありません。

デベロッパーやパブリッシャーなどに期待することはなんですか?

モレノ:ビデオゲームやコンピューターゲーム全般のデベロッパーやメーカー、パブリッシャーには、ビデオゲームに関わる仕事に知的障がい者を増やしていほしい。知的障がいをもつ人たちはさまざまな役割を果たすことができて、ゲーミング体験を改善するユニークなものの見方を教えてくれます。パブリッシャーとデベロッパーは障がいをもつ人たちから新たな見識を得られます。たとえばストーリーラインに知的障がいをもつ人たちが登場したり、ゲームそのものに出てくることなどです。私たちはこのプロセスにぜひ参加したい。そしてゲーム業界のフォーカスグループに参加したり、クリエイターとして本格的な仕事につきたい知的障がいをもつ熱烈なゲーマーはたくさんいます。

ライス:これらのゲームを作っている企業は、誰もが楽しめる高品質なゲームを作ろうとしています。ゲームをもっとアクセシブルにするためにできることはまだたくさんあります。例えば知的障がいをもつゲーマーが新しいゲームのやり方を学ぶ時、説明が読みにくいとイライラします。何年もプレイしたゲームの新しいバージョンのプレイ方法を知るために何時間もかかることがあります。それは知的障がいをもつ人たちにプレイや競技をする能力がないという意味ではありません。身につけるためにもっと良いアクセシビリティツールが必要なだけなのです。

ゲーム会社がアクセシブルでインクルーシブなゲームを作りたければ、開発プロセスに知的障がいをもつゲーマーを参加させて「読みやすい説明」や初心者向け説明の作成やテスト、あるいはゲームのレベル間のナビゲーションをシンプルにする方法を見つける手助けをしてもらうことだ。ゲーミングはコミュニティを作って取り残されたと感じている人たちとつながることができる。アクセシビリティはあらゆる人たちが楽しむことを可能にする。


この競技やオンラインゲーミングのその他のイベントは、困難な数年の間、スペシャルオリンピックスコミュニティが繋がり続け、アクティブでいるために非常に重要だ。

「スペシャルオリンピックスはMicrosoftと長い間、パートナーシップを続けており、スペシャルオリンピックス活動のアスリートや家族に大きな価値を与えています」と同組織の最高情報・テクノロジー責任者であるPrianka Nandy(プリアンカ・ナンディー)氏は語る。「新型コロナウイルス(COVID-1)パンデミックの中、私たちの大きな心配事はアスリートたちの安全と健康です。彼らはウイルスによる有害あるいは致命的被害を受ける最も弱い立場にあります。パンデミックのために何千という恒例の対面イベントや競技が中止や延期に追い込まれました。これはアスリートたちがチームメイトやコーチや友人たちとつながったり、一緒にいる楽しさを体験するを失ったことを意味します。今も私たちの目標は、スペシャルオリンピックス活動の認知を向上し、私たちの驚くべきアスリートたちの成果と希望と夢を叶えるとともに、ゲーミング・コミュニティにおける知的障がいをもつ人たちに対する姿勢を変え、ゲーミングが誰にとっても楽しくインクルーシブになりうることを常に忘れないことです。

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画像クレジット:Microsoft / Special Olympics

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Solafuneと日本マイクロソフトが衛星画像データを超解像度化する技術コンテスト実施、英語版公開しグローバル展開も開始

Solafuneと日本マイクロソフトが衛星画像データを超解像度化する技術コンテスト実施、英語版リリースしグローバル展開も開始

衛星データ解析コンテストプラットフォームを運営するSolafune(ソラフネ)は9月14日、日本マイクロソフトと共同で衛星データの実用化に向けた「超解像技術」を開発するデータ解析コンテストの開催を発表した。

これは、「市街地の高解像度画像を活用した超解像度画像の生成」を競うもの。衛星などから撮影された地理空間データは解像度が低いために実用化が遅れている。また、高解像度の衛星写真は高額で、なかなか利用が難しい。そこで、Solafuneと日本マイクロソフトは今回のコンテストを実施して超解像技術を募り、そうした課題に取り組むという。

参加者は、Solafuneから提供される1m程度の評価用データを25cm解像度の超解像度画像に向上させ、所定のサイトから投稿する。すると画像評価指標SSIMによって評価され、スコアが比較される。コンテスト開催中は、その暫定スコアがリーダーボードで公開される。上位入賞者は、後に超解像度化に使われたソースコードを提出することになっている(実装の環境や言語に制限はない)。

解像度化の例。左が解像度1m、右が25cm

このコンテストを通して、「衛星データや航空写真などの地理空間データの社会実装が加速することを期待しています」とSolafuneは話している。

コンテスト概要

  • 開催期間:2021年9月14日午前9時〜12月23日午前9時(日本時間)
  • データの提出期限:2021年12月23日午前8時59分(日本時間)
  • 賞金:1位は3000米ドル(約33万円。総額は5000米ドル以上)と日本マイクロソフトからの特典
  • 開催場所および詳細https://solafune.com/competitions/3c7a473f-61f4-472f-a812-92eb07cc4541
  • ハッシュタグ:#MScup

Solafuneは、2020年10月のサービスリリース以降、衛星データや地理空間データの活用をテーマにしたデータ解析コンテストの運営を通して、アルゴリズムライセンス事業を展開。2021年8月には日本マイクロソフトと衛星データのビジネス利用の促進を目的とした協業を発表した。また同社は、今回のコンテスト開催に合わせて英語版をリリース。早期のグローバル展開を見据え、世界中のエンジニアが利用する体制を整えるとしている。

マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作について「サポートは想定されていない」とコメント

マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作は「サポートは想定されていない」とコメントマイクロソフトの最新OS「Windows 11」は10月5日から提供予定の一方で、macOS上で様々なOSを仮想化して動かせる「Parallels Desktop 17」もWindows 11対応を謳っています。これにより、M1 Mac上でもWindows 11を仮想環境で利用できるとの期待を集めていました。

が、MSがM1 Mac上でのWindows 11動作につき「サポートは想定されてない(unsupported scenario)」と回答したことが明らかとなりました。

この声明は、MSの広報担当者が海外テックメディアThe Registerに語ったもの。同誌がParallels Desktop 17をインストールしたM1 Mac上で動かしていたWindows 11仮想マシンが、DevチャネルのWindows Insiderビルドでハードウェア互換性エラーを起こし始めたことをきっかけに、MSに質問したかっこうです。なお、この不具合はParallels Desktop 17のバージョン17.0.1では解決しているとのことです。

The RegisterがM1 Mac+ParallelsでWindows 11の実行がサポートされるかどうかを尋ねたところ、MS側は「サポートは想定されていない」と回答。さらにM1 Macのハードウェア上でWindows 11を直接実行することもサポートされていないと付け加えています。

少なくともWindows 10の動作については、MSとParallelsは公式に協力している可能性も窺えただけに、期待をかけていたM1 Macユーザーには残念なところです。もっとも、これまでMSがM1+ParallelsでのWindows 11動作に関しては(少なくとも観測範囲では)ノーコメントだったこともあり、一方的な期待が空回りしただけとも言えそうです。

The RegisterはWindows 11の正式リリース直前に、一部のSurface Pro XつまりMS謹製ArmベースPCでのバグチェックや、タスクバーが消えたりスタートメニューが機能しなくなるなど既知の問題がまだ残っているとも指摘しています。MSが自社製PCでのバグが取り切れていないなかで、他社のM1 Macに構っている余裕はないのかもしれません。

(Source:The RegisterEngadget日本版より転載)

マイクロソフトがEdTech戦略の強化を目指してオンラインと対面の個別指導プラットフォーム「TakeLessons」を買収

Microsoft(マイクロソフト)は2021年1月に同社のオンラインコラボレーションプラットフォームであるTeamsについて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で多くの学校が一部、または完全にリモートになったことにより利用者の増加が加速し、1億人以上の学生に利用されていることを公表した。そしてここにきて、教育市場における地位を今後も拡大するために買収を実施した。

MicrosoftはTakeLessonsを買収した。TakeLessonsは学生が音楽や語学、学術的なテーマ、職業訓練、趣味といった分野の個人教師とつながり、個人教師はオンラインや対面で提供するレッスンの予約や管理をするプラットフォームだ。

買収の条件は不明で、TechCrunchは取材を続けている。サンディエゴに拠点を置くTakeLessonsはこれまでに、LightBank、Uncork Capital、Crosslink CapitalなどのVCや個人投資家から少なくとも2000万ドル(約22億円)を調達した。TakeLessonsは自社サイト上でこの買収を認めるQ&A形式の短い記事を公開した。この記事によると、当面はこれまで通り運営し、これまで以上に多くの世界中の対象者に向けてプラットフォームを提供するとしている。

買収の時点でTakeLessonsを利用しているアクティブな学生や個人教師の人数は不明だが、関連する数字を挙げると、オンライン個別指導大手の1つであるヨーロッパのGoStudentは2021年前半に17億ドル(約1870億円)の評価額で2億4400万円(約268億4000万円)を調達した。Brainlyなどのオンライン指導企業も数億ドル単位の評価額となっている。

TakeLessonsの調達額がそれほど大きくないところを見ると、評価額はもっと低かったと思われる。買収はMicrosoftにとってインフラを手に入れ、マスマーケットのオンライン教育にもっと積極的に参入する準備のきっかけとなるものだが、他の大手プラットフォームと直接対決していく可能性もある。

現在TakeLessonsは音楽(これが同社のスタートだった)、語学、学術的なテーマ、テスト対策、コンピュータのスキル、手芸など幅広いジャンルの指導を提供している。2006年に創業し、地元で対面指導をする個人教師とつながるためのプラットフォームとして出発した。その後、オンラインレッスンにも進出し、ビジネスを補完している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大でオンラインレッスンに大きくシフトし、現在では同社のプラットフォームで提供されているサービスの大半がオンラインでの指導のようだ。レッスンは引き続き1対1で提供されているが、学生は同社のライブプラットフォームを利用してオンラインのグループレッスンにも参加できる。

世界中で起きているオンライン教育へのシフトが、Microsoftが大きなチャンスがあると見る理由だろう。

世界中の多くの学校が外出禁止や隔離中になんとかリモート学習をしようと急遽オンライン学習のプラットフォームを求め、教育者と家族、学生はさまざまなツールを使うように(そしてお金を払うように)なった。そうした中でMicrosoftはTeamsをこの分野のトップにすべく躍起になっている。

マーケットにおけるMicrosoftの牽引力(と多くの投資や買収)がすでに長年あった中で、こうした動きが続いてきた。

しかし現在の状況下で新たな激しい競争が起きている。例えばGoogle Classroomや、ビデオレッスンのような特定の目的に絞ったソリューション(Zoomが顕著な例)などの台頭だ。他にもレッスンや宿題の計画を立てるアプリ、数学や語学、科学といった特定のジャンルに関してクラスでの学習を補強するオンラインのオンデマンド指導などもある。

プラットフォームにできるだけ多くの機能を取り入れて囲い込み、ユーザーが他のアプリに行かないようにして多くの価値を提供するのがMicrosoftのやり方だ。したがって筆者は、同社がさらに買収をしてもっと多くの機能を提供し、同社の教育用ツールでまだ提供されていないサービスをすべてカバーしようとするだろうと予測している。

(例を挙げよう。筆者の子どもの学校ではオンラインレッスンにTeamsを使っている。その理由の1つは、学校のメールシステムにOutlookを使用しているからだ。学校は宿題の計画に別のアプリを使わないと発表した。先生は宿題を出したり管理したりするのに、これからはTeamsを使う。この学校のように予算が厳しければ、1つのアプリでできることなのに2つのアプリに支払いをしないのは当然だ。子どもたちには評判が良くない。これが、Microsoftが推進するプラットフォーム戦略だ)

TakeLessonsは学校を対象とした教育の戦略と近い位置にある。確かに、個別指導のクロスセルのチャンスがあると思われる学生とその家族は大勢いる。しかしTakeLessonsはマスマーケットを対象としたサービスも提供し、何かを学びたい人すべてに開かれている。Microsoftの教育関連製品をすでに使っている人たちだけが対象というわけではない。

オンライン学習を補完したい学生(これはオンライン個別指導の市場として大きい)だけでなく、何か新しいことを学びたい生涯学習者や消費者、プロフェッショナルも対象になるという点に注目だ。1人で家で過ごす時間が増えたこの1年半は特に学びへの関心が高まっている。

こうしたことから、TakeLessonsにはMicrosoftの世界における新たなチャンスも考えられる。

米国時間9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とMicrosoft傘下のLinkedInのCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が今後についてオンラインプレゼンテーションを配信した。このプレゼンでは教育、特に職能開発が強調して語られ、LinkedInが新しいラーニングハブを導入することが明らかにされた。

LinkedInは教育ビジネスの構築に長年取り組んでいるだけでなく、自社プラットフォームにもっと囲い込んでビデオが活用されるようにすることも目指している。

TakeLessonsのようなサービスは一石二鳥になるかもしれない。LinkedInのこれまでの教育コンテンツは「ライブ」のオンラインレッスンに特に結びつくものではなかったが、今回の買収はLinkedInが次にしようとしていることとの橋渡しになることも考えられる。

関連記事:LinkedInが新ラーニングハブ、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入し変化する時代を先取り

画像クレジット:Imgorthand / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがTeamsのアップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成も

マイクロソフトがTeamsの大幅アップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成機能も

米マイクロソフトはビデオ会議ツール「Microsoft Teams(以下、Teams)」における、今後の機能追加のスケジュールを明かしています。

今年5月に企業向けだけでなく、個人向けにも提供が始まったTeams。また同月には大画面スクリーンや専用カメラ、空間オーディオなどを組み合わせた未来のビデオ会議のコンセプトも披露されています。

さて今回の発表によれば、Teamsにはプレゼンテーションツール「PowerPoint」の画面共有ツール「PowerPoint Live」におけるカメオ機能が追加されます。これはピクチャー・イン・ピクチャーのように、PowerPoint資料映像に自分の顔や上半身映像(動画)を合成する機能で、来年初頭にリリースされる予定です。マイクロソフトがTeamsの大幅アップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成機能もマイクロソフトがTeamsの大幅アップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成機能も

さらに2022年初頭には、AI(人工知能)を利用したスピーチの改善機能「スピーカーコーチ」も導入されます。同機能ではスピーチのペースや出席者に確認するタイミングをアドバイスしてくれたり、あるいは聴衆にチェックインするようにリマインダーを表示したりします。

今月末には、米アップルのCarPlayによる音声での会議参加が可能に。自動車の中からでも、Siriを利用してミーティングに加わることができます。マイクロソフトがTeamsの大幅アップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成機能もマイクロソフトがTeamsの大幅アップデート予告、アップルCarPlay対応やパワポ映像へのピクチャー・イン・ピクチャー合成機能も

照明の自動調整ツールも、数ヶ月以内に導入されます。Teams Mobileのコンパニオンモードも改善され、チャットやライブリアクションなどの機能への簡単なアクセス、さらにカメラなどの接続デバイスのコントロールが可能になります。

Jabra、Neat、Poly、Yealinkなどが提供する、インテリジェントカメラへの対応も予定。AIによる会話者の判断機能では音声だけでなく視覚的な合図も利用し、画面を切り替えられます。また同じ場所にいる会話者をそれぞれのビデオペインに配置する複数ビデオストリームや、会話者のプロフィールを下部に表示する人物認識ツールなども、数ヶ月以内に導入される予定です。2022年に導入されるOutlookのRSVP(簡易返答)機能では、自分が会議に直接参加するのか、あるいは遠隔地から参加するのか、勤務時間にいつ、どこで仕事をできるのかを記入できるようになります。

このように、新機能が次々と導入される予定のTeams。ビデオ会議ツールとしてはTeamsだけでなく、Zoomや米GoogleのGoogle Meetが激しいシェア争いを繰り広げており、今後もさらなる機能改善が業界全体で実施されることになりそうです。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

マイクロソフトが米国内オフィス再開の無期限延期を発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

マイクロソフトが米国内オフィス再開を無期限延期と発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

Stephen Brashear via Getty Images

米Microsoftは9月9日(現地時間)、従業員の米国内オフィスへの出社再開を無期限に延期すると発表しました。もともとは10月4日からの再開を予定していましたが、感染力の強いデルタ株の出現など、新型コロナウイルスの不確実性が増しているため、新しい日付は設定せず、公衆衛生上の指針に基づき安全に再開できるようになった時点で再開するとのこと。

再開を決定した際は、30日間の移行期間を設け、従業員が準備できるようにするとともに、データを確認しつつ、引き続き機敏で柔軟な対応ができるようするとしています。The New York Timesによると、米Microsoftはすべての従業員、ベンダー、ゲストがオフィスに入る際には、ワクチン接種証明書の提示が必要になります。

Microsoftによると、今年は世界中でMicrosoft社員16万人が自宅で仕事をし、2万5000人の新入社員がリモートで入社しましたが、Microsoftに仲間がいると感じるとアンケートに答えた人は過去最高の90%を記録。一緒にいると感じるために、物理的に一緒にいる必要はないことを示していると、リモートワークやハイブリッドワークの可能性を感じている様子。ただし、この前向きな傾向が継続するという保証はないともしています。従業員アンケートによると、ワークライフバランスやチームのつながりに対する満足度は、引き続き課題となっているとのことです。

なお、オフィス再開を延期したのはMicrosoftだけではなく、GoogleAmazonは2022年1月まで延期、Twitterは再開時期を未定としています。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

LinkedInが新ラーニングハブ、無料コース、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、雇用の世界に大きな変化が訪れた。仕事を探したり、ポジションを埋めてくれる人を見つけたり、あるいは単にプロとして成長したりすることは、今や私たちの多くにとって以前と同じものではない。そうした分野に対応するビジネスモデルを構築してきた企業も変化しているのは当然のことだ。9月9日、Microsoft(マイクロソフト)の社会人向けソーシャルネットワーキングプラットフォームであるLinkedIn(リンクトイン)は、時代の変化を先取りした一連のニュースを発表した。

LinkedInは、従業員にプロフェッショナルとしての能力開発などのトレーニングを提供する組織を対象とした、新しいラーニングハブを立ち上げる。また、LinkedInのメンバー向けに40のコースを無料で提供する。足元の変化に対応するためで、ハイブリッド・ワーキングへの適応方法、新しい時代においてより良いマネージャーになる方法、オフィスへの復帰方法、従業員がオフィスビルだけでなく自宅に分散している状況でのファシリティ管理の方法などのコースがある。さらに、労働環境の現状などを考慮に入れ、ユーザーが求人情報を掲載・検索する際に使う詳細な情報に調整を加え始めた。

ラーニングハブは、今年4月に初めてプレビューされ、限定的なベータ版として運用されてきた。9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とLinkedIn社のCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が主催する、仕事の世界の新しいトレンドについて議論する大きなイベントの一環として、このハブがより広く展開されることになった。

LinkedInは長年にわたって教育に取り組んできた。2015年にリモートラーニングプラットフォームのLynda(リンダ)を買収し、自社の教育戦略と専門能力開発のためのプラットフォームとしての戦略と地位を強化した。提携により大量のサードパーティーコンテンツを導入し(例えば、2018年にサードパーティー経由で約1万3000のコースを追加した)、スキル開発の概念を職業上のプロフィールと結びつけ、ユーザーのためにリサーチしたり、インタラクティブなツールを構築したりするなどしてきた。

本日発表した無料コース(10月9日まで無料)は、リモート環境からオフィス環境への移行を始める(あるいは考える)企業にとって役に立つ、時宜を得た動画群だが、より大きなプロダクトである「The Learning Hub」の発表は、その長い旅路の中で、単に誰かの役に立とういう試みではない。現在のLinkedIn Learning Proユーザーは、2022年7月まで、あるいはそれ以上の期間、無料で利用することができるという。これは、ビジネスに特化したサービスを提供し、企業の人事部を強く巻き込み、収益の柱の1つである採用関連を強化するという、同社の大きな取り組みにもつながっている。

学習体験プラットフォーム(LXP)として、LinkedInは独自のラーニングハブを再構築し、360Learning、Coursera for Business、Workday、Cornerstoneなど、数多くのプラットフォームと競争することになる。さまざまな組織が、自社やサードパーティーのプロフェッショナルトレーニングコンテンツを管理するために、そうしたプラットフォームを利用している。また、LinkedInは、雇用動向に関する自社のデータに加え、AIを活用し、組織やユーザー向けにコンテンツをパーソナライズするという。だが、企業の人事チームが求人情報を掲載したり、候補者を探したりするためのプラットフォームでもあるという事実が、このサービスをより安定したものにし、いろんなものが断片的になっている昨今、まとまりがあると感じられるかもしれない。

この点で、LinkedInが採用サービスに新領域を導入することも注目に値する。採用担当者は、仕事がリモート、ハイブリッド、オンサイトのいずれかを示すことができるようになり、近々、仕事を探している人も、新しい仕事に求める条件を示すことができるようになる。また、企業は、予防接種の必要性などに関して、自社の状況をより詳細に示すことができるようになり、物理的なオフィスが開いているかどうかを世界中(従業員、パートナー、顧客、関心のある人たち)に知らせることができるようになる。

こうした新しい領域は、小さなことのように聞こえるかもしれないし、少なくとも、私たちが今日生きていく上での関心事や状況にのみ関連しているように聞こえるかもしれない。だが筆者はそれ以上に注目すべきことだと思う。こうした領域は、LinkedInが考える(そして私たちの多くが感じている)、今日の私たちが仕事というものを捉える際に優先するものが何かを物語っている。このことは、LinkedInが、企業や個人のプロフィールにおける詳細な情報のうち何を、また、採用の際に利用できる詳細な情報というものを、考慮するのか、するとすればどのように、ということついて扉を開く。これは、LinkedInがすでに少し前から取り組んでいることで、6月にはプロフィールに代名詞を追加するオプションをユーザーに提供し始めた。こうしたことが重要なのは、もっと小さな企業が多く存在し、誰かがLinkedInを今の地位から引きずり下ろすよう求める声があるからだ。LinkedInが新しい形式に手を出したり、あるいは別の形式をやめたりするのは、同社がそうした状況に適応しようとしていることを示している。

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画像クレジットAli Balikci / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi