Netflixが独立系モバイルゲーム開発会社Boss Fightを買収

Netflix(ネットフリックス)は、テキサス州の独立系ゲーム開発会社であるBoss Fight Entertainment(ボス・ファイト・エンターテインメント)を買収したことをブログ記事で発表した。買収の金銭的条件は明らかにされていない。Netflixにとってこれで3件目となるゲーム会社の買収は、このストリーミングサービス企業が推し進めているゲームへの取り組みの一環だ。

Boss Fightは、Zynga Dallas(ジンガ・ダラス)とEnsemble Studios(アンサンブル・スタジオ)の元従業員によって、2013年に設立された。Netflixは、同スタジオのジャンルを超えたゲーム構築の経験が、Netflixユーザーにますます多くのタイトルを提供していくために役立つと述べている。Boss Fightのチームはダラス、オースティン、シアトルにある現在のスタジオで活動を継続していく予定だ。

「Boss Fightの使命は、プレイヤーがプレイしたい場所で、シンプルで美しく、楽しいゲーム体験を提供することです」と、Boss Fight Entertainmentの創設者であるDavid Rippy(デヴィッド・リッピー)氏、Bill Jackson(ビル・ジャクソン)氏、Scott Winsett(スコット・ウィンセット)氏は、声明で述べている。「広告のないゲームを、定額サービスの一部として提供するというNetflixの取り組みは、我々のようなゲーム開発者が、収益化を気にすることなく、楽しいゲームプレイの創造に集中することを可能にします。このような早い段階でNetflixの一員となり、自分たちの好きなことを続けながら、Netflixにおけるゲームの未来を一緒に形作る手助けができることに、私たちはこれ以上ないほどワクワクしています」。

3月初め、Netflixはフィンランドのモバイルゲーム開発会社であるNext Games(ネクスト・ゲームス)を総額6500万ユーロ(約87億円)で買収すると発表した。この無料でプレイできるモバイルゲームのパブリッシャーは、すでに「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」や「The Walking Dead(ウォーキング・デッド)」など、Netflixの最大の人気作に関連するタイトルを開発している。この買収は、2022年第2四半期に完了する予定だ。

また、2021年9月には「Oxenfree(オクセンフリー)」のようなストーリー重視のタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社のNight School Studio(ナイト・スクール・スタジオ)を、Netflixは買収している。この取引の金銭的条件は明らかにされていない。Night School社の幹部は、同スタジオが「Oxenfree II」をはじめとするNight Schoolのタイトルに、引き続き取り組んでいくと発言していた。

今回の買収は、Netflixの動画カタログを補完するためにゲームコンテンツを充実させるという大きな戦略の一環である。

「私たちはまだ、Netflixメンバーシップの一部としてすばらしいゲーム体験を構築している初期の段階にあります」と、Netflixのゲームスタジオ担当バイスプレジデントであるAmir Rahimi(アミール・ラヒミ)氏は、声明で述べている。「世界中の開発者とのパートナーシップや、優秀な人材の雇用、そして今回のような買収を通じて、私たちは楽しくて深い魅力のある多彩なオリジナルゲームを、広告なし、アプリ内課金なしで、世界中の数億人の会員に提供できる、世界クラスのゲームスタジオを構築したいと考えています」。

Netflixは、2021年末に「ストレンジャー・シングス」をテーマにしたタイトルやカジュアルゲームを含む初期ラインナップを発表して以来、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

それ以降、Netflixは他にもいくつかのタイトルを展開してきた。「Arcanium:Rise of Akhan(アルカニアム:ライズ・オブ・アカン)」「Asphalt Xtreme(アスファルト・エクストリーム)」「Bowling Ballers(ボウリング・ボーラーズ)」「Card Blast(カード・ブラスト)」「Dominoes Café(ドミノ・カフェ)」「Dungeon Dwarves(ダンジョン・ドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story(ヘクステック・メイヘム:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー)」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピー・ストリート)」「Shooting Hoops(シューティング・フープス)」「Teeter (Up)(ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」などだ。先週初めには「Shatter Remastered(シャッター・リマスター)」と「This Is A True Story(真実の物語)」という2つのゲームを追加し、ラインナップを拡充している。Netflixはまた「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」という初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトルも予告している

同社は第4四半期の決算説明会で投資家に対し、これら初期のゲームの提供開始は、消費者が新サービスに何を求めているかを、よりよく理解するための準備であると説明している。ゲームのパフォーマンスについては、まだ詳細を明らかにせず、各ゲームタイトルのデイリーアクティブユーザーとマンスリーアクティブユーザーの両方が「増加」していると述べるに留めた。また、Netflixは、将来的にさらに大規模なゲームIPのライセンスを取得することに前向きであることも示唆している。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflixがさらに2つのゲームを追加、初のFPSゲームも近日リリース予定

ストリーミングサービスのNetflixが、ゲームラインナップを再び拡充した。2タイトルを追加し、米国時間3月22日から配信が始まっている。新作は「Shatter Remastered」と「This Is A True Story(真実の物語)」というタイトルだ。両タイトルとも、iOSおよびAndroidユーザー向けの配信が始まっている。Netflixはこれとは別に、初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトル「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」も予告している。

新作ゲーム第1弾の「Shatter Remastered」は、ニュージーランドのデベロッパーPikPokが開発したレトロな雰囲気のレンガ崩しゲームだ。今回の製品は、ニュージーランドの開発会社Sidheが2009年にPlayStation 3で発売したゲーム「Shatter」のアップデート版だ。新しくなったモバイル最適化版は、グローバルリーダーボードを採用し、世界中のプレイヤーとハイスコアを競うことができる。

画像クレジット:Netflix

2作目の「This Is A True Story(真実の物語)」は、世界に安全な飲み水が確保されていない場所があることへの関心を喚起するゲームだ。このゲームは、Frosty PopがCharity Waterと共同で開発したものだ。Charity Waterは開発途上国の人々に清潔で安全な飲み水を提供するために活動する非営利団体である。このゲームは、サハラ以南に住むアフリカの女性が、家族のために水を得るために日々奮闘する実話を紹介している。実際の取材や体験をもとに創られたこのゲームの中で、プレイヤーは風雨を乗り越え、密猟者を捕まえ、ヤギと仲良くしながら、手描きの風景を探検していく。

「Into the Dead 2:Unleashed」については、Netflixは具体的な発売時期を明示せず「近日登場」としている。「Shatter Remastered」と同じく、PikPokが開発したタイトルだ。本作は、ゾンビアクションゲーム「Into the Dead(イントゥ・ザ・デッド)」の続編にあたる。ゲームでは、プレイヤーはゾンビの脅威をかわしながら、危険なエリアを越えていかなければならない。このゲームには、複数のチャプター、ステージ、チャレンジが含まれ、プレイヤーは武器、銃器、爆発物などを次々にアンロックすることができる。

画像クレジット:Netflix

Netflixの他のゲームと同様に、ユーザーはiOSとAndroidのNetflixアプリから新タイトルに移動する。Androidでは、Netflixアプリのメインナビゲーションにあるゲーム専用のタブなど、いろいろな場所でゲームを見つけることができる。iOSでは、ゲームは専用の列で紹介されます。ゲーム自体はNetflixのインフラではなく、各プラットフォームのアプリストアから提供されているが、Netflixのユーザーのみがプレイすることができる。インストール後、ゲームを開始するには、Netflixのアカウント情報を使って認証するよう促される。

Netflixは、2021年末に「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」をテーマにした複数のタイトルやカジュアルゲームなどの初期ラインナップを発表し、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

その後、Netflixは「Arcanium:Rise of Akhan」「Asphalt Xtreme(アスファルト:Xtreme)」「Bowling Ballers(ボウリング ボーラーズ)」 「Card Blast(カードブラスト)」「Dominoes Cafe」「Dungeon Dwarves(ダンジョンドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピーストリート)」「Shooting Hoops(シューティング フープス)」「Teeter (Up) (ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」 など、複数のタイトルをリリースしている(カタカナ名称はNetflix公式ページ掲載のもの)。

関連記事:Netflixが他では有料のRiot Games LoL音ゲー「Hextech Mayhem」を含むゲームを2作追加

画像クレジット:Netflix

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(文:Aisha Malik、翻訳:sako)

ウクライナのゼレンスキー大統領主演ドラマ「国民の僕(しもべ)」、米ネットフリックスが再放送

ウクライナのゼレンスキー大統領主演ドラマ「国民の僕(しもべ)」、米ネットフリックスが再放送―同氏を大統領に押し上げた作品

米ネットフリックスが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が主演を努めた人気ドラマ「国民の僕(Слуга народу:Servant of the People)」の米国における再配信を開始しました。

国民の僕(しもべ)は、さえない歴史教師の政治批判が隠し撮りされ、ネットでブームになったことから、あれよあれよという間に大統領に……というストーリーから始まるコメディ・ドラマシリーズです。

このドラマのストーリーをなぞるように、ゼレンスキー氏は大統領選に出馬して当選し、現在も苦境のウクライナを率いていることは、もはやおなじみかとおもいます。

この作品はもともと、ウクライナでは2015年から2019年まで放映されていたシリーズ。アメリカのNetflixでも以前に配信が行われていました。今回は、その配信が再開されたかたちとなります。

一方でネットフリックスは、ロシアにてそのサービスを停止しています。また国民の僕はYouTubeでも視聴することが可能で、こちらでは自動翻訳による日本語字幕も利用できます(再生リストはこちら)。

コメディアンから大統領へと転身し、自ら前線に立ちウクライナを鼓舞するゼレンスキー氏の出世作となった本ドラマ、今だからこそチェックしておきたいものです。

(Source:the VergeEngadget日本版より転載)

Netflixが同一世帯以外のアカウント共有に追加料金を試験導入

Netflix(ネットフリックス)は、会員が同一世帯の人以外とサービスを共有する場合、追加料金を支払わせる新しいオプトイン機能のテストを開始する。この機能では、Netflixの正規料金を下回る料金で最大2つの「サブアカウント」を追加できる。この新しいオプションはまずチリ、コスタリカ、ペルーでテストされ、今後数週間かけてこれらの市場で展開される。同社は、この機能が全世界の会員に展開されるかどうか、またいつ展開されるかは明らかにしていない。

テスト市場のNetflixのスタンダードとプレミアムの会員には、サービス開始時に、同居していない人に対しサブアカウントを追加するオプションが提供される。各サブアカウントは、通常通り独自のプロフィールを持ち、パーソナライズされた「おすすめ」が提供される。しかし、この機能の特徴はサブアカウントにも独自のNetflixのログイン名とパスワードが用意されていることだ。さらに、サブアカウント利用者が自分の名前と請求先情報を使って自分のNetflixサービスを設定する場合、視聴履歴、ウォッチリスト(「マイリスト」)、パーソナライズされた「おすすめ」が引き継がれる。

この機能を実現するために、NetflixはGPSのような位置情報ベースのデータは使っていない。代わりに、IPアドレス、デバイスID、および家庭内のNetflixアカウントにサインインしているデバイスに関するその他の情報など、現在エンドユーザーにサービスを提供するために使用している情報と同じものを活用する。そうした情報を利用することで、Netflixは同一世帯外で継続してアカウントが共有されている場合、それを特定することができる。

新しいサブアカウントを有効にするために、メインアカウントの所有者はコードが記載された電子メールを受け取る。そのコードは、追加のデバイスが世帯の一部であることを証明するために必要となる。

テスト市場において、世帯外の追加ユーザーの料金は、チリで2380ペソ(約350円)、コスタリカで2.99米ドル(約350円)、ペルーで7.9ソル(約250円)だ。これは、Netflixのフルアカウントプランよりも安いが、これまで誰かのNetflixアカウントをタダで共有していた場合はそれより高い。Netflixは、追加ユーザーがサブアカウントの料金をNetflixに対して支払うことはないと述べている。つまり、Netflixからの請求書はこれまで通りメインアカウント所有者に送られる。メインアカウント所有者が追加ユーザーに料金を請求したい場合、その処理と回収はその人次第だ。

Netflixは以前、ユーザーが自分のNetflixアカウントを肉親以外の友人や家族と共有するという一般的な慣習にほとんど目をつぶっていた。実際、当時CEOだったReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は、アカウント共有は新しい人々がサービスの魅力を発見するチャンスであり、「ポジティブなこと」だと話したこともある。「ストレンジャー・シングス」や「イカゲーム」など、Netflixが提供する番組の多くは世界的な人気を博している。一方、同社の真の課題は競争の激化に直面しながらも、会員と収益を増やし続けることだ。例えば、同社の年末の四半期はここ数年で最も低い会員数の伸びとなり特に厳しかった

理論的には、今回の新たな移行オプションによって、追加ユーザーが正規会員になる道を開くことは、Netflixの有料会員数を長期的に増加させることにつながるだろう。しかし、短期的には、他人のアカウントを使用したままでは、追加ユーザーが会員としてカウントされないことに留意する必要がある。

Netflixはこれまで、アカウント共有を喜んで受け入れてきたが、現在の立場は異なる。Netflixの現在の利用規約では、共有は世帯内で行われるべきものであり、世帯間で行われるものではないとしている。また、同社は2021年3月に「パスワード共有制限機能」なるものをテストしており、おそらくより広範な制限措置が課されることを示唆している。

しかし、Netflixはこの新しいテストを制限だとは考えていないようだ。これは1つのオプションで、会員にとって合理的かどうかを確認したいだけだという。ユーザーから反発を受ければ、同社はこのアイデアを棚上げし、代わりに別の方法を試す可能性もある。あるいは会員がこの機能を取り入れれば、より広範囲に展開すると決めるかもしれない。いずれなのかは後からわかるだろう。

「私たちは、人々には多くのエンターテインメントの選択肢があることを理解しています。従って、どんな新しい機能であっても、会員にとって柔軟で有用なものにしたいと考えています。なぜなら、会員の購読料が私たちのすばらしいテレビや映画を資金的に支えているからです」とNetflixの製品革新ディレクターのChengyi Long(チェンギ・ロング)氏はブログ投稿に書いた。「世界の他の場所で変更を実施する前に、これら3カ国の会員向けに2つの機能が機能するかを理解するべく取り組みます」とロング氏は付け加えた。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflix、Disney+の発表を受けても広告付きオプションはまだ計画にないと述べる

Disney(ディズニー)は先週、同社のストリーミングサービスのDisney+に広告付きの定額制を導入する計画を発表したが、Netflix(ネットフリックス)は、自社の顧客向けに同様のオプションを用意することは当面の間、考えていないとしている。今週開催されたMorgan Stanely(モーガン・スタンリー)のテクノロジー・メディア・テレコム・カンファレンス で、NetflixのCFOであるSpencer Neumann(スペンサー・ノイマン)氏は、Netflixは必ずしも広告に反対しているわけではないが、広告付きモデルに傾倒することは「我々の計画にはない」と説明している。

この役員に投げかけられた質問は、Netflixがサービスのエントリープライスポイントを下げる方法として、広告の利用を考えられるかどうかというものだった。そうすれば、Netflixが価格に対してより敏感な市場を含む、よりグローバルな市場で地位を確立しようとする際に、Netflixの競争力を高めることができるだろう。例えば、Netflixが最近会員価格を下げたインド市場などだ。

しかし、ノイマン氏は、Netflixは「長期的な収益の最適化」に注力しており「会員にとってすばらしい体験となるような方法でそれを実現したい」と、同社の現在のサブスクリプションモデルを擁護している。

広告を導入することで、確かにサブスクリプションの料金が下がり、その結果、より多くの登録者が集まるかもしれないが、エンドユーザーの体験が損なわれる可能性もあるというのが、ここでの基本的な考え方のようだ。もちろん、CFOは、Netflixの計画が変更された場合に備えて、少しヘッジをかけ、もし同社が優れたユーザー体験を提供するという目標を達成できる広告付きスペースで活動する方法を見出したら、おそらくそうするだろうとも付け加えた。「決して絶対にないとは言いません」と述べた。

「今現在、私たちはすばらしいモデルと、グローバルに展開できるサブスクリプションビジネスを持っていると考えています」とノウマン氏はいう。「2年前の売上は200億ドル(約2兆3000万円)程度でしたが、今は300億ドル(約3兆5000万円)です。世界のどの地域でも健全な成長を遂げています」と語る。

もちろん、この威勢のいい言葉は、Netflixのビジネスの状況を完全に反映しているとは言えないかもしれない。今日の投資家たちは、たとえそれがサービスに広告を追加して価格を下げることであっても、Netflixがどこまで目先の成長を追い求めるべきか議論しているのである。そして、Netflixは2021年第4四半期の決算で、加入者数の伸びについてウォール街の予測を下回ったばかりだ。同社は当時、この落ち込みは一時的なもので、人気番組 『ブリジャートン家』 の第2シーズンなど、より期待されている番組のいくつかが四半期後半に開始されたことを反映したものだと主張していた。しかし、同社は株主宛ての手紙の中で、ライバルストリーマーとの競争激化が「当社の限界的な成長に影響を与えている可能性がある」と認めている。

現在、Netflixは、HuluやPrime Videoといった古くからのライバルに加え、Disney+、HBO Max、Paramount+、NBCU(NBCユニバーサル)のPeacockといった多くの新しい競合に直面している。

Paramount+とPeacockは、広告付きのオプションでスタートした。HuluはCM付きとCMなしの両方のプランがある。また、HBO Maxは2021年、広告付きサブスクリプションを開始した。そして今、Disney+が参入している。そのため、Netflixは、低価格の広告付きプランを持たないトップストリーマーの中で、ほぼ唯一の存在となっている。Amazon(アマゾン)のPrime Videoが広告を掲載していないのは事実だが、これは非常に異なるビジネスモデルの一部である。Prime Videoは、Amazonの高速配送オプションに代表される他の多くの特典を含む、より大規模で高価な定額制サービスの一部に過ぎないからだ。

一方、Netflixは、一部の市場で値下げとは正反対のことを行っている。代わりに、価格を上げているのだ。米国では、1月にNetflixは、プランによって1ドル〜2ドル(約1116円〜233円)の値上げを行った。今日(米国時間3月10日)、Netflixは英国とアイルランドでも値上げをすると発表した。

ノイマン氏は、この競争がいずれNetflixの広告に対する考え方に影響を与える可能性があることを認めた。

「私たちの計画にはないことですが、他社はそこから学んでいます。だから、他社がやっていることを無視することはできません」と認めた。「しかし、今のところ、それは我々にとって道理にかなっていないことなのです」と語る。

CFOは、カンファレンスでNetflixのビジネスの他の側面についても語った。彼は、ロシアの恐ろしいウクライナ侵攻を受けてNetflixが最近ロシアから撤退したのは、戦争の中で起こっている「本当の人間の苦しみ」を受けてなされた決定であることを最も重要な点として指摘した。しかし、その機会に関連して、ビジネスの観点からは、同国における制裁、規制の問題、決済に関する課題もあり、そこで事業を行うことはあまりにも困難となった。ロシアは、Netflixの収益の1%未満を占めているという。

Netflixの新興ゲーム事業についても簡単に質問されたが、ノイマン氏は、これを非常に初期の段階にあると特徴づけた。最初の12カ月は、ゲームをホストして世界中のアプリストアに配信するためのインフラという意味で「配管を正しくする」ことに集中していた。現在、同社は、ゲームの定着率やプレイ時間、会員が映画やテレビに対してどのような価値観を持っているかを学ぶことに取り組んでいる。

また、Netflixは現在までに約14のゲームをサービス上でリリースしているが、年内には「その何倍ものゲーム」をリリースする予定であり、新しいタイトルをより早く展開する計画を示していると述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Netflixは「栄光のグランプリ」でF1を台無しにしたたのか

2021年のF1に注目していた人なら、Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー「Formula 1:Drive To Survive(Formula 1:栄光のグランプリ)」の最新シーズンはきっとすごいことになると知っている。

うれしいことに、もう間もなくだ。「栄光のグランプリ」シーズン4が3月11日に公開される。Netflixは米国時間3月9日に予告編を公開した。

さて、話はここからだ。

「栄光のグランプリ」はF1に大きな影響を与えた。スポーツに同じぐらいの影響を与える番組は、もしあるとしてもごくわずかだ。

The Guardianによれば、2021年にF1の総合視聴率は40%以上上昇し、米国でこれまでに最も多くF1が視聴された年になった。同サイトによれば、2021年にF1ファンは世界で7300万人増えたと推計されている。

米国人にとってモータースポーツといえばNASCARだったが、2022年にはマイアミがF1のカレンダーに追加され米国で2レースが開催されるほどの熱狂となっている。まさにマイアミらしく、コースレイアウト付近にはビーチクラブもあるようだ。

NetflixのドキュメンタリーシリーズとF1人気を短絡的には語れない。ただ、因果関係ではないにしても、少なくとも相関関係があることはまちがいないだろう。

しかし、このコインには裏面がある。私自身はNetflixのドキュメンタリーシリーズに引っぱられた新米のF1ファンだが、古くからのF1ファンに共通する思いがあることに気づいた。Netflixの番組がF1をダメにしている、というのだ。

説明のために、2021シーズンを簡単に振り返ろう。

メルセデスAMG・ペトロナスはここ10年近くF1の覇者だ。このチームは2020年まで7年連続でコンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ(チームとしての成績)とドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ(ドライバーごとの成績)の両方でタイトルを獲得した。

予定されている大幅なレギュレーション変更に備え、メルセデスはリソースとエネルギーの大半を2022年シーズンに集中させることを決め、ライバルであるレッドブル・レーシング・ホンダがタイトル争いに加わる余地が生まれた。そして実際にそうなった。

レッドブルのファーストドライバーでF1界の悪ガキとも呼ばれるMax Verstappen(マックス・フェルスタッペン)と、ドライバーズチャンピオンのタイトルを7回獲得し多くの記録を保持するメルセデスのSir Lewis Hamilton(サー・ルイス・ハミルトン)はシーズンを通して互角に戦い、多くのレースで1位と2位を分け合った。

最後の4レースを残してハミルトンはドライバーズポイントで遅れをとっていたが、まずはそのうちの3レースで勝った。2021年ドライバーズタイトルの行方は最終戦のアブダビに持ち越された。F1でここまでもつれるシーズンはまれで、ことにメルセデスが絶対王者となってからはそうだった。

最終戦のほとんどの時間帯でハミルトンが先行するが、レッドブルでフェルスタッペンのチームメイトであるCheco Perez(セルジオ・ペレス、愛称が「チェコ」)がハミルトンの頭を押さえ、フェルスタッペンがオーバーテイクするチャンスを作る。セーフティカーが2回入り(1回はバーチャル、もう1回はリアル)、フェルスタッペンはフレッシュタイヤに交換、一方のハミルトンとメルセデスはトップを維持するために古いタイヤのままコースにとどまる選択をした。

(セーフティカーはコース上の障害物などのアクシデントが解決するまでの間に導入される。セーフティカーが入っている間、ドライバーはスピードを落とさなくてはならず、オーバーテイクは禁止されている)

ここで驚きの展開となった。

2回目のセーフティカーはクラッシュによるものだった。規則では、セーフティカーが入っている間に周回遅れの車はセーフティカーを追い越し、実際の順位の通りに並ぶことになっている(周回遅れやタイヤ交換のピットインのために順番が入り乱れることはよくある)。さらに規則では、周回遅れの車がすべて正しい順位に並んでからセーフティカーは次の周回の終了時点まで走り、レース再開となる。

FIAレースディレクターのMichael Masi(マイケル・マシ)はこのルールを無視し、トップのハミルトンと2位のフェルスタッペンの間にいる車にだけアンラップを指示した。さらに、1周早くセーフティカーを退かせた。

つまり、レースはセーフティカー先導のまま終わるべきだった。その終わり方は興ざめではあるが規則通りだ。しかし、そうはならなかった。

フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンは最終ラップでやすやすとハミルトンを抜き去ってこのレースに勝ち、そしてドライバーズタイトルを獲得した。

Netflixから入った新しいファンをとどめておくために運営が演出したのだと感じるF1ファンがたくさんいても不思議ではない。さらにいうと、ハミルトンとフェルスタッペンを拮抗させるためであるかのように思われる「疑問のある」判断は2021シーズンでこれが初めてではなかった。

何であれスポーツの公平性への干渉をうかがわせることがあれば、古くからのファンが動揺するのはもっともだ。

レッドブル・レーシングのChristian Horner(クリスチャン・ホーナー)代表(ちなみに妻はスパイス・ガールズのジンジャー・スパイス)といった人々は、せいぜいが見当違い、ひどい場合には女性に対して嫌悪感を持ちつつも、Netflix効果を享受しているようだ。

前述したように私は「栄光のグランプリ」がきっかけとなったまさに新しいF1ファンなので、確かに見方は偏っている。しかし私はF1が魅力的で複雑でアドレナリンが出るスポーツであることを知った。そういうふうにオーディエンスを魅了するものは、おそらく良いものだと思う。

私はストーリーをおもしろくするためにルールを調整したり曲げたりするのが正しいと考えているのか。断じてそれはない。私はそんなことが確かに起きたと言っているのか。それについてはまったく手がかりを持っていない。

私はただ、3月11日に始まる「栄光のグランプリ」最新シーズンを大量に摂取し、そのエネルギーを2022年のF1にそのまま注ぎ込むつもりだ。ご一緒にいかがですか?

画像クレジット:Netflix

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflixはさらに進化したインタラクティブ・クイズ番組「トリビア・クエスト」でトップ死守を目指す

インタラクティブコンテンツに力を入れているNetflix(ネットフリックス)は、アニメーションによるクイズ番組「Trivia Qeust(トリビア・クエスト)」を4月1日から開始すると3月3日に発表した。Sunday Sauce Productions(サンデー・ソース・プロダクションズ)のDaniel Calin(ダニエル・カリン)氏とVin Rubino(ビン・ルビノ)氏が開発したシリーズは、4月の間、毎日配信され、1日に24問出題される。

Netflixが日刊のトリビアゲームをスタートするのが、我々が今も毎日、自分のWordleのスコアを投稿し、絶対的クイズ王のAmy Schneider(エイミー・シュナイダー)氏が記録を破り、「Jeopardy!(ジェパディ!)」の人気を絶頂にした時と一致しているのは偶然ではない。だからNetflixは「Trivia Crack」というゲームをetermax(エターマックス)からライセンスして「トリビア・クエスト」を開発した。

毎日放映されるトリビア番組にはバイラルで流行する下地がある、ただし人々が連日プレイするだけの注意を引ければの話だ。予告編を見る限り、トリビア・クエストからは子どもっぽさも感じるが、ゲームの問題には「standard(普通)」と「hard(難しい)」があるようだ。そして筆者らは、予告編に出てくる「Avatar(アバター)」問題の答えを知らなかったことを告白しなければならない。予告には任天堂のWiiに関する問題もあったが、正直なところ、Wiiが何か知っている子どもはいるのだろうか?

「Black Mirror:Bandersnatch(ブラック・ミラー:バンダースナッチ)」は、Netflixのインタラクティブコンテンツが躍進した瞬間だったが、公開以来4年近く過ぎている。Netflixがゲーミング(インタラクティブコンテンツのもう1つの形態)に巨額の投資をしている今、どうやらこの会社の関心事はインタラクティブでもう1つの成功を収めることへとシフトしているようだ。

「Black Mirror」のクリエイターたちは、Netflixで「Cat Burglar(怪盗猫ラウディ)」を先週リリースしたばかりだ。トリビア問題に答えていくことで、視聴者はRowdy Cat(怪盗猫のラウディ)がPeanut the Security Pup(警備犬ピーナッツ)(すごい名前ばかりだ)を出し抜いて絵画を盗むのを手伝う。

「Squid Game(イカゲーム)」や「Inventing Anna(令嬢アンナの真実)」といったオリジナルコンテンツの大成功にもかかわらず、Netflixは絶好調とはいえない。2021年、同社加入者数の伸びは2015年以来の最低水準だった。理由の1つは、Disney(ディズニー、現在Disney+[ディズニー・プラス]、Hulu[フールー]、ESPN[イーエスピーエヌ]の親会社)やHBO Max(エイチビーオー・マックス)が成長を続け、Netflixの長年のトップを脅かしているからだ。だからゲーミングとインタラクティブ・コンテンツは、Netflixの将来戦略にとって大きな位置を占めている。

「当社は、みなさんのよく知っている膨大なゲーム資産をライセンスして利用していただくことに門戸を開いています」とNetflix COOのGreg Peters(グレッグ・ピーターズ)氏が前四半期決算発表時に言った。「1年以内にそれが始まるのを見られるでしょう」。Netflixは最近、ゲーム・スタジオのNight School(ナイト・スクール)を買収し、同社の知的財産をもとにゲームを開発した。そして3月2日、同社はゲームの「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」と「Walking Dead(ウォーキング・デッド)」の販売元であるNext Games(ネクスト・ゲームズ)を7200万ドル(約83億円)で買収した。「怪盗猫ラウディ」と「トリビア・クエスト」の出来次第では、今後さらに多くのインタラクティブコンテンツを目にすることになるかもしれない。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixが「ストレンジャー・シングス」や「ウォーキング・デッド」のゲームを開発するフィンランドのNext Gamesを約83億円で買収

ロシアによるウクライナへのいわれのない侵攻を受け、フィンランドがNATOへの加盟を検討する中、フィンランドではまた新たなM&Aが進行している。米国時間3月2日、Netflix(ネットフィリックス)がフィンランドでモバイルゲームを開発するNext Games(ネクスト・ゲームス)を、総額6500万ユーロ(約83億円)で買収することを発表した。Next Gamesはヘルシンキの市場に上場しており、今回の買収は1株あたり2.10ユーロ(約268.1円)で全額現金による株式購入として行われる。この取引はまだ完結していないが、Next Gamesの取締役会はすでにこの取引を承認して株主に推奨しており、2022年第2四半期に完了する予定だ。

今回の契約は、ビデオカタログの補完としてゲームコンテンツを充実させたいNeflixの大きな戦略の一環であり、Next Gamesはまさにうってつけの相手なのだ。モバイル向け無料ゲームを提供するNext Gamesは「ストレンジャー・シングス」や「ウォーキング・デッド」など、Netflixの人気作品に関連するタイトルをすでに開発しているため、両社の絆はすでに強い。今回の契約により、その絆がさらに強まり、Next GamesのIP、人材、アプリ内課金の既存ビジネスがとりこまれるために、Netflixのマージンは、単にブランドのライセンス出しているとき以上に改善されることになる。

Netflixのゲーム担当副社長であるMichael Verdu(マイケル・バードゥ)氏は「Next Gamesは、経験豊富な経営陣と、エンターテインメントフランチャイズに基づくモバイルゲームの優れた実績、そして確かな運営能力を備えています」と声明で語っている。「Next Gamesが戦略的地域と重要な人材市場の中で中核スタジオとしてNetflixに加わり、社内のゲームスタジオの能力を拡大できることをうれしく思っています。ゲーム事業はまだ始まったばかりですが、Next Gamesとともに、世界中の会員のみなさまに喜んでいただけるワールドクラスゲームのポートフォリオを構築していけると確信しています」。

Next Gamesの従業員数は2021年末で120名、直近の年次決算では2020年の売上高は2720万ユーロ(約34億8000万円)となっている。この年の売上の約95%は、ゲーム内(アプリ内)課金によるものだった。今回の買収で、既存のタイトルをさらに充実させ、Netflixのカタログを充実させるための投資を行うことができる。

2013年にNext Gamesを設立し、CEOを務めるTeemu Huuhtanen(ティーム・ホーフタネン)氏は、フィンランドの幅広いゲームエコシステムで育った人間であり、長年にわたってゲームの新境地を開拓する上で大きな役割を担ってきた。Next Gamesの直前には、Angry Birds(アングリーバード)のパブリッシャーであるRovio(ロビオ)の重役を務めていた(当時はまだRovioがアプリストアの中で圧倒的な存在感を示していた頃だ)。その前に彼は約10年間Sulake(スレイク)にいた。約10年をSulakeで過ごし、Habbo Hotel(ハボホテル)(現在はHabbo[ハボ]と呼ばれ、その間に多くの論争を乗り越えた)を開発してオンライン仮想世界の先駆者となった。

ホーフタネン氏は声明で「私たちは、世界で最も愛されているフランチャイズをベースにした、真の、長期的なインタラクティブエンターテインメントを創造し、グローバルエンターテインメントビジネスのパートナーとなるというビジョンの実現に、変わらない焦点を当ててきました」という。「世界最大のストリーミングサービスであるNetflixと手を組むことで、世界中の人々が楽しめるインタラクティブな体験を創造するという当社の戦略を論理的かつ刺激的に継続する機会が得られます。Netflixとの緊密なコラボレーションによる『ストレンジャー・シングス:パズル・テイルズ』は、私たちがともに強力なパートナーシップを築くことができることを証明しています。これは、あらゆる面でスタジオをレベルアップさせ、ともに使命を果たしていくためのまたとない機会です」。

CrunchBaseのデータによると、Netflixは、その規模の割にこれまでわずか5回しか買収を行っていない。Next Gamesは、その中ではゲームに特化した最初の企業だが、その他に買収したものは、視覚効果スタジオ、若年層向けインタラクティブコンテンツメーカー2社、アニメコミックパブリッシャー、Roald Dahlの遺産であり、同社のM&A戦略には、常にゲームの側面があったことは間違いないと思われる。

また、ディズニーのような企業が、自社のストリーミングビデオ・プラットフォームの品揃えを充実させるために、主要なビデオコンテンツを引き上げてNetflixの足を引っ張り続けることができる時代にあっては、これはNetflixが自らのプログラムを充実させる一手段となっている。Next Gamesのような企業の買収は、自社専用の作品を制作または購入し、それをベースに複数の媒体や体験に展開する大きなフランチャイズを構築する戦略を明確にするものだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

Disney+がNetflixのMarvelシリーズを米国などで配信開始、日本では2022年後半の予定

米国時間3月1日、Disney+(ディズニープラス)は、以前Netflix(ネットフリックス)で配信されていたMarvel(マーベル)の実写ドラマの配信と、これらのドラマの追加にともない17歳未満の子どもには不適切と評価されたTV-MAコンテンツの視聴を禁止できる新しいペアレンタルコントロールの導入を発表した。

Disney+によれば、3月16日から米国、カナダ、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドで実写シリーズの「Marvel デアデビル」「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」「Marvel ルーク・ケイジ」「Marvel アイアン・フィスト」「Marvel ザ・ディフェンダーズ」「Marvel パニッシャー」「エージェント・オブ・シールド」を配信する(ただし「エージェント・オブ・シールド」は米国のみ)。

Marvel作品に関するNetflixの権利が3月1日に切れて配信ラインナップから消えたことは、Netflixの1つの時代の終わりを表している。Disney+が登場するまでは、NetflixはDisneyと長年にわたって関係を築いていた。NetflixがDisneyのコンテンツに関して複数年の契約を交わした後、2013年にMarvelはNetflixと組んで最初の4本のスーパーヒーロードラマを製作した。これによりNetflixは「Netflixオリジナル」ブランドとして長年にわたって人気ドラマを配信し、新規ユーザーの獲得につながった。しかしNetflixは2018年と2019年にMarvelドラマの配信中止を開始し、Disneyとの契約終了に至った。そして契約により、中止後も2年間はドラマのキャラクターはNetflix以外の映画やテレビシリーズに登場できないことになっていた。

当初はNetflixの権利が切れた後にMarvelの実写ドラマがどこに行くかは不透明だった。ことに、これらの大人向けドラマは家族向けの配信サービスであるDisney+には合わない。可能性がある考えられたのは、Disney傘下で大人向けコンテンツの傾向が強いHulu(フールー)だ。しかしこれらのドラマが3月中旬からカナダのDisney+に登場することがスクープされ、Disneyは少なくとも一部のマーケットでこれらのドラマをDisney+に取り込む意向であることが明らかになった。ただし米国で配信されるのか、されるとしたらいつからか、どのプラットフォームで配信されるのかは明らかになっていなかった。

画像クレジット:Sarah Shatz/Netflix

また、Disney+は米国でTV-MAに指定されているコンテンツを子どもに見せたくない保護者のためのツールが必要であることも認めた。3月16日から米国のDisney+利用者すべてに対してペアレンタルコントロールのアップデートが求められる。利用者は家族のプロフィールごとにコンテンツのレーティングを選択し、プロフィールをロックするためのPINコードを設定できる。またキッズプロフィールを抜けるための質問も設定できるので、子どもはキッズの利用環境から切り替えることができない(Disney+のグローバル市場ではすでにこのようなペアレンタルコントロールが提供されている。しかし米国のユーザーは新機能として今後RやTV-MAコンテンツの制限ができるようになる。アプリを再起動する際に変更を求められる)。

これらの設定はオプションで、米国の全利用者に対して3月16日以降に初めてDisney+のサービスを利用するときに表示される。利用者がレーティングを設定しない場合は、デフォルトで14歳未満の子どもには不適切とされるTV-14コンテンツに設定される。つまりTV-MAのプロフィールを選択しないと、新たに配信されるMarvelドラマは見られない。

Disneyによれば、TV-MAに切り替えたプロフィールには変更を確認するためにアカウントのパスワードも必要になるという。設定した後はDisney+の大人向け番組を利用でき、アプリの「あなたへのおすすめ」や「トレンド」にも表示されるようになる。

Disney Streaming(ディズニー・ストリーミング)の社長であるMichael Paull(マイケル・ポール)氏は発表の中で次のように述べた。「Disney+には業界で最も愛されるブランドが集まり、これらの実写ドラマが追加されることでMarvelブランドもさらに1カ所で楽しめます。我々は世界中の市場でDisney+が提供するコンテンツを拡大してすばらしい成功を収めており、Marvelの新しいドラマを加えたすばらしいコンテンツと、お客様とご家族が最適な視聴体験を得られる機能を提供して米国でもこれを継続できることをたいへんうれしく思います」。

ペアレンタルコントロールを変更すると今後、大人向けのMarvelコンテンツをさらに配信できることになるが、Disneyは具体的な発表はしていない。

同社によれば、MarvelのドラマはDisney+のその他の全海外市場で2022年後半に公開される予定だ。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Netflixのオープンソースツール「Conductor」の開発者たちがその運用・管理を支援する「Orkes」を発表

Netflix(ネットフリックス)は「Conductor(コンダクター)」というツールを開発・アウトソースすることで、マイクロサービスを取り巻く状況を一変させることに貢献した。このツールは当初、自社の大規模なマルチチャネルでオンデマンドのビデオ・トラフィック(およびそれに対応する複雑なコードベース)をグローバルに扱うために作られたものだったが、後にTesla(テスラ)やAmerican Express(アメリカン・エクスプレス)、GitHub(ギットハブ)、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)、VMware(VMウェア)をはじめとする約150社もの大規模な組織などが、自社のサービスを管理するために採用するようになった。そして現在、Conductorを開発したチームは、Conductorをベースにしたツールのクラウドホスティング版である「Orkes(オーケス「オーケストレーション」の短縮形)」を発表し、同時にこのミッションを推進して、オープンソースのConductorコミュニティの継続的成長をサポートするために、930万ドル(約1億700万円)の資金調達を実施した。

このラウンドは、Battery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)とVertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)が共同で主導し、Mahendra Ramsinghani(マヘンドラ・ラムシンガニ)氏とや Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などのエンジェル投資家や、Amazon(アマゾン)やFacebook(フェースブック)を含むさまざまなテック系企業の名前を明かしていない幹部が参加している。

Orkesは、CEOのJeu George(ジョー・ジョージ)氏、共同CTOのViren Baraiya(ヴィレン・バライヤ)氏 とBoney Sekh(ボニー・セク)氏、CPOのDilip Lukose(ディリップ・ルコセ)氏が共同で設立した会社だ。最初の3人は、NetflixでConductorを一緒に作ったが、その後は別々の道を歩んでいた。ジョージ氏はUber(ウーバー)でシニアエンジニアとして働き、バライヤ氏はGoogle(グーグル)でFirebase(ファイアベース)のエンジニアリングを率い、セク氏はRobinhood(ロビンフッド)で決済の責任者を務めていた。2021年、この3人が再結集し、Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)の卒業生で、ジョージ氏と一緒に働いていたルコス氏も加わり、Orkesを起ち上げた。

Conductorに戻って、その上に乗るツール群を構築した理由は、ジョージ氏がいうように、非常に明確な市場のシグナルがあったからだ。

「私たちはConductorを汎用エンジンとして構築し、多くの企業がこれを使い始めると予想しました。現在、この分野は変曲点にあり、組織はマイクロサービス・アーキテクチャに移行しています」と、ジョージ氏はインタビューに答えている。「しかし、より広い今のアイデアは、その運用を支援し、その上における規模の管理を支援することです」。組織はしばしばハイブリッドクラウド環境で、複数のコーディング言語にわたって作業するため、Orkesのアイデアは管理を支援するための「すぐに使える」一連のツールを提供することだと、同氏は付け加えた。

実際、Orkesが登場する前にHacker News(ハッカー・ニュース)で行われたConductorの長所と短所に関する議論では、一部の環境における実装の難しさが強調され、それを解決する機会も指摘されている。

「企業がマイクロサービスを構築するとき、彼らは選択した言語で構築するわけですが、概して複数の言語を使用することがあります」とジョージ氏は述べ、一般的には少なくとも3つの言語が使用され、時にはそれ以上の場合もあると語った。「ConductorとOrkesのユニークな点は、まったく言語に依存しないことです」。

クラウドサービスに注力したクローズド・アルファ版が好評を得ているため、今回調達した資金は、引き続きOrkesのエンジニアリング・チームと市場参入戦略チームの増強に使用される予定だ。

Orkesの台頭は、オープンソースツールの最近よくあるルートを浮き彫りにする。開発者やエンジニアは、既存の組織で、あるいはプロジェクトとして、自らの実体験に基づく非常に直接的なニーズを解決するための、画期的なツールを構築することに多大な力を注ぐ。そして、それをどのように運用するべきかという開発者の倫理観から、これらのツールを長期的にサポートする幅広いコミュニティを構築するために、オープンソース化するのだ。

同じ開発者が、オープンソース版を使いやすく実装するためのリソースや人材を持たない多くの組織でもより簡単に使えるようにするために、結局は開発に舞い戻り、最も明白で有用なカスタマイズを行うこともよくある。

もちろん、誰でもオープンソースツールの商用版を作ることはできる(非常に成熟した技術では、その上に競合する商用製品が作られることもある)が、そのようなスタートアップ企業の創設者は、概して最初にオープンソースツールの構築をてがけた人物と同じであることが多い。彼らは誰よりも時間と力を注ぎ込んでいて、誰よりもそのツールの可能性と落とし穴を知っている。

そして、投資家も同じ理由からそのような企業を支持したがるものだ。同じテーマに沿った最近の例では、Great Expectations(グレート・エクスペクテーションズ)の開発者たちによるSuperconductive(スーパーコンダクティブ)が、先ごろ4000万ドル(約46億円)を調達した。

Conductorの場合、このオープンソースツールには熟した既存ユーザーがいて、それはOrkesにとって当然ながら顧客となる。しかし、このスタートアップの台頭は、新たな見込みのあるユーザー層への扉も開くことになる、あるいはそう考えることができる。

「Conductorの普及曲線は、私が見た中で最も速いものの1つです。そして、オリジナルの開発チームによる商品化をサポートできることは、私たちにとってすばらしい機会です」と、Battery Venturesのジェネラル・パートナーであるDharmesh Thakker(ダルメシュ・サッカー)氏は声明の中で述べている。「Orkesには、この活気あるコミュニティに、企業レベルのサポートとクラウドサービスを提供するための最適なチームが揃っています」。VertexのパートナーであるSandeep Bhadra(サンディープ・バドラー)氏は、このラウンドで同社の取締役会にも加わっている。

画像クレジット:woodleywonderworks Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflix、短編動画フィード「Fast Laughs」をテレビに導入

Netflix(ネットフリックス)は、短編動画機能「Fast Laughs(ファストラフス)」をテレビの大画面に展開する。1年前に開始されたこのTikTok(ティックトック)にインスパイアされたおもしろい動画のフィードは、これまでモバイルデバイスでのみ利用可能で、Netflixユーザーが観たいと思う新しい番組、映画、コメディスペシャルを紹介する役割を担っていた。

スマートフォン版「Fast Laughs」は、Netflixアプリの目立つ位置にあり、現在は下部ナビゲーションバーの真ん中のボタンになっている。この配置は、TikTokや、今ではInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)のリールといったライバル動画アプリにユーザーのモバイルでの時間を奪われることをNetflixが懸念していることを示しているようだ。

TikTokと同様に、モバイルでの「Fast Laughs」はスワイプ可能な垂直のビデオフィードを提供し、反応、共有、またはコンテンツを保存するボタンが画面の右側にあった。しかし、Netflixの目的はソーシャルプラットフォームの開発ではなく、短いティーザー動画を見たユーザーが番組や映画、スペシャル番組をNetflixのウォッチリストに追加したり、すぐに作品のストリーミングを開始できるようにすることだ。

NetflixのTVプラットフォームでは「Fast Laughs」は少し違った働きをする。

オプトイン機能は、会員ページの6から12行目あたりに表示されるようになる。この場合、ユーザーが何か見たいものを探してスクロールしている時に、短編動画を提供するというアイデアだ。また、携帯電話のようにコンテンツを縦に移動するのではなく、画面右側の矢印からリモコンでクリックすることで、動画を閲覧することができる。

画面下部には番組名とレーティングが表示され「More Info」のボタンをクリックすると、そのタイトルのページに移動することもできる。

画像クレジット:Netflix

この機能は、大人向けコンテンツを紹介することもあるため、子どものプロフィールには表示されない(Netflixは、子ども向けの短編動画機能をモバイルでもテストしていた。しかし、そちらはまだテレビに展開していない)。ただし「Fast Laughs」は、設定されていれば、ユーザーの年齢設定を尊重すると、Netflixは述べてている。

発売当初、TV版「Fast Laughs」には「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ファザーフッド」「キスから始まるものがたり」などのNetflix映画「ビッグマウス」「デッドトゥミー」「私の”初めて”日記」などのTV番組、さらにアリ・ウォン、ジョコイ、ジェリー・サインフェルドなどのスタンドアップ・コメディのクリップが収録される予定だ。

Netflixによると、テレビでの「Fast Laughs」はまだ当面はテストとみなされ、まず米国、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏の市場で展開が開始されるという。これらの展開は2月22日に始まり、今後数日から数週間かけてゆっくりと継続される予定だ。

「Fast Laughs」は、同社が新機能を設計する際にソーシャルメディアアプリからコンセプトを借用した初めての例ではない。2018年、Netflixはプレビュー機能を導入する際に「Stories(ストーリーズ)」形式を採用した。そしてNetflixは、会員がカタログからコンテンツをよりよく発見できるようなアイデアを常に実験している。例えば、2021年、「ランダム再生」というシャッフルモード機能を立ち上げ、Netflixの体験にさらなる偶然の発見を可能にしようと試みた。この機能は、ユーザーの興味やこれまでの視聴行動に基づいて、サービスが好きそうだと思うタイトルを再生するものだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflixがビットコインのボニー&クライド「Bitfinexスキャンダル」を描いた映画制作へ

先にハッキングされて盗まれたとされる36億ドル(約4160億円)相当のBitcoin(ビットコイン)を米司法省が押収したというニュースが流れたとき、我々はいくつかの疑問を抱いた。今回の発表は、政府による暗号資産への介入についてどのような意味を持つのか?このスキャンダルは、長期的に分散型金融の分野に影響を与えるのか?そして最も重要な質問は、いったいどのストリーミングサービスが、ビットコインのボニーとクライドについてのドキュメンタリーを制作するのか?

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少なくとも、疑問の1つは解決した。米国時間2月11日、Netflix(ネットフリックス)は、「FYRE: The Greatest Party That Never Happened(FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー)」や「Tiger King(タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!)」を手がけたChris Smith(クリス・スミス)監督の協力を得て、同社が「史上最大の金融犯罪事件」と形容するこのストーリーを描くことを発表した。スミス監督は、セラノスの没落を描いたHBOのドキュメンタリー映画「The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley」をプロデュースしたNick Bilton(ニック・ビルトン)氏とともに製作総指揮を務める。

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Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)やBilly McFarland(ビリー・マクファーランド)のストーリーと同様に、スミス監督とビルトン氏が使えるネタはここでもたくさんある。犯罪者とされているIlya “Dutch” Lichtenstein(イリヤ・”ダッチ”・リヒテンシュタイン)容疑者とHeather Morgan(ヘザー・モーガン)容疑者(彼女は「Razzlekhan」という名前でラッパーとしても活動していた)は、米国時間2月8日に約12万ビットコイン(現在50億ドル、約5770億円相当)の資金洗浄を共謀した容疑で逮捕された。現在、この夫婦デュオは裁判を待っているが、検察官が逃亡の危険性があると判断したため、保釈は認められなかった。Bloombergによると、リヒテンシュタイン容疑者は「ペルソナ」と書かれたフォルダを保管しており、パソコンには偽パスポートへのリンクがある「Passport_ideas」というファイルがあった。さらに検察官は、「バーナー電話」と書かれたビニール袋が2人のベッドの下から見つかったと付け加えている。実話をベースにした映画がハリウッドを動かし続けるのは、こんな話を作ろうと思っても作れないからだ。

画像クレジット:Nuthawut Somsuk / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Marvin Samuel Tolentino Pineda via Getty Images

Netflixは、「視聴中コンテンツ」に表示される作品を削除する機能がテレビを含むすべてのデバイスで利用可能になったと発表しました。

Netflixのホーム画面に表示される「視聴中コンテンツ」は、途中まで観ていた映画や、テレビ番組を継続して視聴するには便利な機能です。その反面、観始めたものの興味を無くした、あるいは間違えて再生してしまった作品などがいつまでも残り続けて目障りといったこともあります。こうした作品が、簡単に削除可能となりました。

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Netflix

削除するには、視聴中コンテンツにある削除したい作品にカーソルを合わせ、ページのオプションから「リストから削除する」を選ぶだけです。この削除機能、これまでもウェブやモバイル向けアプリでは提供されていましたが、あらたにApple TVやFire TVなどテレビ向けアプリでも利用可能となり、Netflixを利用できるすべてのデバイスで削除可能となっています。ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

(Source:Netflix。Via the VergeEngadget日本版より転載)

Netflixが他では有料のRiot Games LoL音ゲー「Hextech Mayhem」を含むゲームを2作追加

ストリーミングサービスのNetflix(ネットフリックス)は、ゲームのラインナップを再び拡充し、2月1日午後5時(米国東部時間)から全世界で展開を開始する2作品を追加した。新たに加わったのは、Riot Games(ライアットゲームズ)の「Hextech Mayhem(ヘクステックメイヘム:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー)」で、同タイトルはNintendo Switch、Steam、Epic Games Store、GOG.comなどのゲームプラットフォームやマーケットプレイスでも販売されており、他では9.99ドル(約1145円)の有料ダウンロードとして提供されている。もう1つの新タイトル「Dungeon Dwarves」は、カナダのデベロッパーHyper Hippo(ハイパーヒッポ)の作品。同社はClub Penguin(クラブペンギン)の共同設立者であるLance Priebe(ランス・プリーベ)氏が2012年に設立した会社だ。

1日にリリースされるタイトルは、いずれもNetflixにとって新たなゲーミングパートナーシップとなる。

Netflixによると「Hextech Mayhem」はハイスピードなリズム&ランナーゲームで、テスト市場であるポーランド、イタリア、スペイン、ブラジルですでにソフトローンチしていたが、今回、全世界の加入者に向けて提供開始される。注目すべきは、このゲームは、2021年11月に他のゲームプラットフォームでリリースされたばかりのかなり新しいゲームであるということだ。また、Netflixのゲームコレクションに初めて登場するメジャーなゲームフランチャイズでもある。しかし、他で販売されているゲームがNetflixに登場するのはこれが初めてではない。最近追加された「Arcanium: Rise of Akhan(アルカニアム: ライズ・オブ・アカン)」もプレミアムタイトルとして他のプラットフォームで販売されている。

一方、ダンジョンクロウルゲーム「Dungeon Dwarves」は、Netflix会員向けに配信が開始されたばかりだ。これは、Netflixサービスでローンチされた最初で唯一の放置系ゲームになる。

画像クレジット:Netflix

Netflixのユーザーは、他のゲームと同様に、iOSおよびAndroidの同社アプリを通じて新しいタイトルにアクセスすることができる。Android版では、アプリのメインナビゲーションにあるゲーム専用タブなど、複数の場所でゲームを見つけることができる。しかしiOSでは、ゲームはアプリ内で専用の列に表示される。ゲーム自体はNetflixのインフラではなく、各プラットフォームのアプリストアでホストされているが、プレイできるのはNetflixのユーザーのみだ。ゲームをインストールすると、ユーザーはNetflixのアカウント情報を使った認証を求められる。

Netflixは、2021年末に「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」をテーマにしたいくつかのタイトルや、その他のカジュアルなタイトルを含む初期のラインナップを発表して以来、ゲーミングサービスの構築を進めてきた。その後、パズルゲーム、レースゲームオープンワールドストラテジーなど、急速にサービス内容を拡大している。ゲーム自体は、Netflixが自社で開発したものではなく、Frosty Pop、Rogue Games、BonusXPなどのパートナーから提供されてきた。Netflixはこれまでに12のタイトルをリリースしているが、「Oxenfree」などのストーリー重視のゲームで知られるNight School Studiosを買収したことを、今のところ活かせていない。

Netflixは投資家に向け最近行われた第4四半期の決算説明会で、これらの初期ゲーム配信は、Netflixの新サービスに対する顧客の要望をより深く理解するための準備であると説明した。

NetflixのCOO兼チーフプロダクトオフィサーであるGreg Peters(グレッグ・ピーターズ)氏はその際、通話の中でこう述べている。「ここまで来ることができたのは、非常にエキサイティングなことです。というのも、このようなことができるようになるまでに、裏方の配管やすべての技術インフラを構築してきたからです。今後、これらのゲームから、発見パターン、エンゲージメントパターン、パフォーマンス、会員がNetflixサービス上のゲームに何を求めているかを学んでいくことができます」。

とはいえ、Netflixは同社ゲームのパフォーマンスの詳細についてはまだ明らかにしておらず、ゲームタイトルのデイリーアクティブユーザー数(DAU)およびマンスリーアクティブユーザー数(MAU)が「増加している」とのみ述べている。

また、Netflixは、将来的に人々に認知されるような大規模なゲームIPのライセンス取得に前向きであることを示唆しており「今後1年間で、そのようなことがいくつか起こると思います」と述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ネットフリックスの加入者数の伸びは2015年以来の低水準

2021年に「イカゲーム」のような世界的なヒット作を生み出したにもかかわらず、Netflix(ネットフリックス)の第4四半期の収益は、競合他社に対するリードを維持に苦労していることを示している。今四半期の新規加入者数(830万人)は同社の予測(850万人)を下回った。また、2022年第1四半期の加入者数は、2021年の400万人からわずか250万人に減少すると予測しされている(同社によれば、今四半期は「後半になって盛り上がるコンテンツが増えたからだ」からだという)。全体的に見て、2022年は加入者数の増加率が減少傾向にあるが、2015年以降で最も低い増加率となり、パンデミックで急成長した2020年の数字からは約半減している。

画像クレジット:Netflix

同社は株主への書面に「消費者はエンターテインメントに使う時間にいつでも多くの選択肢を持っていました。世界のエンターテインメント企業が独自のストリーミングサービスを開発しているために、ここ24カ月の競争は激化の一途をたどっています」と書き「この競争が(同社の)芳しくない成長に影響を与えているかもしれない」ことを認めた。

Netflixの総加入者数は約2億2200万人だが、(HuluやESPNも所有している)ディズニーのような大規模なコングロマリットは、より積極的なペースで拡大を続けている。ディズニーは2021年末に、Hulu、Disney+(ディズニープラス)、ESPN+の合計加入者数が1億7900万人となり、2023年度までにはDisney+が利用できる国の数を倍増させる予定だ。ディズニーはまた、消費者直販のストリーミングを国際的に展開するために、 International Content and Operations (インターナショナル・コンテンツ&オペレーション)グループの設立を発表した。HBO Max(HBOマックス)も伸びている。同社によると、2020年5月のサービス開始以来、2021年12月が最も視聴された月だったという。

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Netflixは先週、米国とカナダでの利用料金を引き上げることを発表したが、一方で巨大なエンターテインメント市場で6年間にわたり低迷していたインドでは、利用者を増やすために、利用料金を引き下げた。Netflixは、もう1つの新しい収益源であるゲームにも挑戦している。同社は最近、ゲームスタジオNight School(ナイト・スクール)を買収し、大ヒット番組である「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」のような自社IPをベースにしたゲームを開発している。今週の最大のテック記事が物語るものは、ゲームは非常に儲かるということだ。予想どおり、Netflixは2022年にゲームのポートフォリオを拡大すると言っている。

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Netflixが会員を拡大するためのもう1つの新しい戦略は、コンテンツマーケティングだ。同社は2021年12月にTudum(トゥダム)という名のウェブサイトを立ち上げ、Netflixオリジナル作品に関する独占コンテンツを共有するために、Allure(アルーア)、Vanity Fair(バニティ・フェア)、Bitch Media(ビッチ・メディア)などのエンターテインメントジャーナリストや編集者を採用している。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

Netflixのゲームサービスに2タイトル追加、iOSとAndroidの両方で

2021年末、Netflixが新たに始めたゲーミングサービスiOSAndroidの両方でグローバルに利用できるようになり「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」シリーズをテーマとする2作品といくつかのカジュアルゲームが提供された。今回、Netflixはさらに2つのカジュアルゲームを追加、同じくiOSとAndroidの両方で、グローバルで展開された。

1つは「Arcanium: Rise of Akhan」と呼ばれ、Rogue Gamesが開発したオープンワールドのシングルプレイヤーによるカードゲームだ。Netflixによると、このゲームはローグライクゲームとデッキ構築のジャンルを新しいやり方で合わせたようなものだ。目標は、英雄たちのチームを作り、災厄のアハーンを倒し、アルズの世界を破壊から救う旅に出ることだ。チーム内で一人でも堕落してしまうと、ゲームオーバーとなる。

Netflixの新タイトル第2弾は「Krispee Street」で、開発はFrosty Popが担当した。このパズルゲームの目的は、散らばった数百のキャラクターやオブジェクトを見つけ出し、Krispeeのキャラクターと世界に命を吹き込むことだ。このゲームは、Krispeeという人気ウェブコミックをベースにしている。

今回の追加でストリーミング大手のゲームラインナップは現在、「Bowling Ballers」「Shooting Hoops」「Teeter Up」「Asphalt Xtreme」「Stranger Things 1984」「Stranger Things 3」「Card Blast」「Dominos Cafe」「Wonderputt Forever」「Nittens」など12タイトルになる。

Androidでタイトルにアクセスするには、Android向けNetflixアプリの新しいゲームタブをタップし、ゲームが一覧表示される必要がある。タイトルを選択すると、ユーザーは他のアプリと同様にGoogle Playストアに移動し、ゲームをインストールする。一度ダウンロードしたゲームは、Netflixアプリ内またはAndroid端末のホーム画面でタップすることにより、いつでもプレイできる。iOSの場合、Netflixは同様のシステムで、ユーザーはAppleのApp Storeに誘導され、ダウンロードすることができる。

長期的に、Netflixには、他の追加やゲームジャンルでゲームカタログを拡大する計画がある。例えば2021年9月に独立系ゲーム開発会社Night School Studioを買収したが、同社は「Oxenfree」のようなストーリー性のあるタイトルで有名で、Netflixゲームのライブラリーをさらに充実させることができる。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クラウドセキュリティの次の波に取り組むPermiso、11.4億円を調達しステルス状態から浮上

パロアルトに拠点を置き、クラウドインフラのID検知と反応を提供するスタートアップPermiso(ペルミソ)が、1000万ドル(約11億4000万円)のシード資金を得てステルス状態から浮上した。

FireEye(ファイアアイ)元幹部のPaul Nguyen(ポール・ヌエン)氏とJason Martin(ジェイソン・マーティン)氏によって設立された同社は、パンデミックの開始以降、各企業が在宅勤務をサポートするために業務のデジタル化を急いだことから生まれた、クラウドセキュリティの潮流に載ったスタートアップの1つだ。

すでに競争が激化しているこの市場に18カ月遅れて参入したものの、ヌエン氏とマーティン氏は、同社の検知反応製品はクラウドセキュリティの次の波に備える準備が整っていると考えている。このアイデアは、Netflix(ネットフリックス)を含むPermisoのエンジェル投資家たちとの会話の中で、クラウドにおける一番の問題はIDであるといわれたことに触発されたものだ。

ヌエン氏はTechCrunchに次のように語っている「このことから私たちは、IDがクラウドで何が起きているかを物語る要(かなめ)であり、クラウドで検知機能を構築するための基礎でもあると認識し始めたのです」。

Permisoは、クラウドインフラの中で可視化されたIDを提供し、誰が環境の中で何をしているかをリアルタイムに把握できるようにする。これにより、監視対象環境で発生したアクセス、アクティビティ、変化の詳細を簡単かつ効率的に特定することが可能になり、このことは認証情報の漏洩、ポリシー違反、内部脅威を示唆する悪意ある行動や異常な行動を発見するのに役立つと同社は主張している。

「私たちは市場より少しだけ先を行っているのです」とマーティン氏はいう。「私たちの知る限り、クラウド先進企業が自社のために構築しているカスタム製品を除いて、IDを中心としたすべての活動、その環境におけるリソース、およびそれらの相互作用に焦点を当てたものは存在していません」。

Permisoは「専門家によって作られ、非専門家でも使える」ことをウリにしており、クラウドセキュリティ市場でスキル不足が進んでいることを考えると、これは重要なポイントだと述べている。「オンプレミスからクラウドに移行しているチームを見たとき私たちが目にしたのは、英語を話すのと同時に、まったく新しい言語であるペルシャ語を学ぼうとしているような姿でした。それはゼロからのスタートなのです」とヌエン氏はいう。

「何年も前から市場の1%のために開発してきましたが、それでは市場の1%を獲得するにとどまるだけです。今、私たちは残りの99%も狙っています」。

このスタートアップの1000万ドル(約11億4000万円)のシードラウンドはPoint72 Ventures主導し、Foundation Capital、Work-Bench, 11.2 Capital、Rain Capitalが参加した。また、Netflixの元情報セキュリティ担当副社長Jason Chan(ジェイソン・チャン)氏、Databricks(データブリックス)の製品セキュリティ責任者Travis McPeak(トラビス・マクピーク)氏、JupiterOneのCMO Tyler Shields(タイラー・シールズ)氏など、セキュリティ業界のリーダーたちがバックアップしているのも特徴だ。

Permisoは、今回の資金調達により、現在15名で構成されるチームを3倍に増員し、現在の顧客基盤を拡大する予定だ。

「私たちの投資家は皆、クラウドネイティブ問題の中でこのID問題を大規模に解決していますが、他の企業はあと1〜2年はここまでたどり着くことはできないでしょう」とマーティン氏は語っている。

画像クレジット:Permiso

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(文:Carly Page、翻訳:sako)

ネットフリックス「ハイプハウス」が見せるクリエイターエコノミーの闇

私たちはこれまでキム・カーダシアンやパリス・ヒルトンのような有名人を「有名であることで有名」と表現していた。しかし、Netflix(ネットフリックス)のドキュソープ(ドキュメンタリー形式のリアリティ番組)「Hype House(ハイプハウス 〜TikTokスターのリアルライフ〜)」に登場するTikTok(ティックトック)のメガスターたちは「普通であることで有名」だ。このクラスのスーパースターは、有名人の裕福な子弟とは違い、神秘的なアルゴリズムによって、一見すると恣意的な理由で実質的に一夜にしてスターダムにのし上がった。

「20歳で大富豪だよ、何を落ち込む必要があるんだと思うだろ?」と語るのは、1470万人のフォロワーを持つTikTokのスターAlex Warren(アレックス・ウォーレン)氏だ。「とても馬鹿げたことに聞こえるのはわかっているさ、でも、それが苦しいんだよ、落ち込むことが許されていないように感じるんだ」。

「ハイプハウス」では、平凡な10代の若者が、有名人になったチャンスの本質について苦悩し、その名声が登場したときと同様にすぐに消えてしまうのではないかと心配している。「ハイプハウス」は、TikTokで最も長く続いている同名のコンテンツハウスの1つで、ソーシャルメディアのスターたちが一緒に暮らし動画を撮影している。このコンセプトは新しいものではない。YouTube(ユーチューブ)やTwitch(トゥッチ)、Vine(バイン)のスターたちは、何年も前からこのような共同生活のプロジェクトを実験してきた。

Thomas Petrou(トーマス・ペトルー)氏(フォロワー数800万人)が事実上のマネージャーだが、彼は利益の分配は受けていないという。彼は自分のことを「この家のお父さん」と呼んでいるが、それに加えて全員がちゃんと皿洗いをするのを確認するだけでなく、「ハイプハウス」ブランドが維持できるように、毎月少なくとも8万ドル(約923万円)のネット収入を得られるようにしている。彼のインフルエンサーの友人であるVinnie Hacker(ビニー・ハッカー)氏(フォロワー数1290万人)、Jack Wright(ジャック・ライト)氏(フォロワー数880万人)、アレックス・ウォーレン氏(フォロワー数1470万人)といった面々が、500万ドル(約5億8000万円)の豪邸に家賃なしで住んでいる。彼らがすることは、月に一度、「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントに投稿することだけで、継続的なブランドコンテンツ契約によって収益を生み出している。さらにTikTokは、クリエイターたちがプラットフォーム上で誘導したトラフィックに対して直接報酬を支払うようになった。

このNetflixのシリーズは、「ハイプハウス」の一時代の終わりを告げるもので、若きミリオネアたちのおどけた姿よりも、インフルエンサーたちが直面する課題に焦点を当てている。

考えてみれば、このTikToker(ティックトッカー)たちが投稿している動画は、平均的なティーンエイジャーが投稿するものとさほど違ってはいない(大邸宅から投稿していることを除いて)。約2000万人のフォロワーを持つ「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントでは、スターたちが新しいフィルターを試したり、次々に最新のトレンドを取り入れたり、そしてもちろん踊ったりしている。

全8話のシリーズを通して、風光明媚なサンタローザバレーの家には不穏な空気が漂っている。「ハイプハウス」のメンバーの中には、刺激を得られず幻滅を感じているせいで、ペトルー氏が望んでいるほどには頻繁にグループのためのコンテンツを作らない人もいる。あるシーンでは、「ハイプハウス」のメンバーが巨大なビーンクッションに寝そべってコンテンツのアイデアを考えようとしていたのだが、結局思いついた最高のアイデアは「手の込んだ握手方法」を編みだすことだった。きれいな大邸宅に家賃なしで住んでいても、楽しそうには見えない。

一方、アレックス・ウォーレン氏は、ワラにもすがるように、ネット上で思うようには反響を得られていない演出をしている。問題のある家庭環境や足の怪我を抱えながらも、心の休息を取ることに恐怖を感じているのだ。

「この仕事では、投稿をやめるとエンゲージメントが失われるんだ」とウォーレン氏は告白するように説明する。「この仕事には病欠はないんだ。病欠したらフォロワーが減り、つまり収入が減り、それはつまり、自分の仕事を失うことなんだ」。

インフルエンサーのゴールドラッシュ

TikTokのスターダムは、インターネット上のキャリアとして理解されつつあり、突然有名になった子どもたちのブランドとの契約やパートナーシップを支援することを目的とした、何十ものスタートアップ企業が生まれている(もちろん彼らの収益の一部を手にするためだ)。YouTubeでは、初期のクリエイターのほとんどが広告収入で利益を得ていたが、少なくとも初期の頃は、現在のようにマネタイズに注目が集まっていなかった。他のプラットフォームも、TikTokとその最大のスターたちの成功に乗じようと躍起になっている。Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、YouTube(ユーチューブ)は、クリエイターたちがTikTokではなく自分たちのプラットフォームに投稿するようにインセンティブを与えるために、数億ドル(約数百億円)を投じている。

Nikita Dragun(ニキータ・ドラガン)氏(フォロワー数1420万人)は「インフルエンサーとして、私たちの生活全体が、従来の有名人よりも奇妙な台座に置かれています」と番組で説明している。「スポークスマン、活動家、モデル、時事評論家、マネージャー……一度にたくさんのことをしなければなりません」。

クリエイターの収益化が進んでいることは、ほとんどの場合良いことだと思われる。クリエイティブな人びとが好きなことをして生計を立てるのに役立つツールがこれまでになく増えている。LinkedInでさえ、40人のスタッフがクリエイターとの仕事を専門に担当している。しかし一方で、生活のあらゆる面をマネタイズしなければならないというプレッシャーを感じるクリエイターもいる。ウォーレン氏の人気の一部は、同じくTikTokのスターで1360万人のフォロワーを持つガールフレンドのKouvr Annon(コーバー・アノン)氏との関係についての投稿から来ている。しかしウォーレン氏は、2人のプライベートな生活とコンテンツを切り離すのに苦労していて、カメラのないところ(滅多にないが)での2人の関係にも影響を与えている。

TikTokの成長によって加速されたインターネットの時代では、ただ動画を投稿していれば良いというわけではない。それは、自分のプラットフォームが明日死んでしまっても(以前にもあったことだが、Vine[バイン]がそうだった)、自分のキャリアを維持できるように、できるだけ多くの異なる収益源を組み合わせることなのだ。結局のところ、TikTokのスターたちは、TikTok自体から収入の大部分を得ているわけではない。ブランドとの契約、スポンサーシップ、商品の販売、ポッドキャスト、リアリティショー、音楽演技への思いがけない進出など、さまざまな形で幸運を手にしている。

「ハイプハウス」では、登場するクリエイターが自らの凡庸さを自覚していることが強調されている。彼らは、カリスマ性があり、おもしろく、大衆を楽しませるだけの魅力を持っているものの、自分の名声は才能よりも運に左右されていることを知っていて、いつその幸運が奪われるかわからないと心配している。彼らは、家族が離散した故郷に帰らなければならなくなったらどうしようとストレスを感じたり「キャンセルカルチャー」のターゲットになるのではと心配したりしている。

「ソーシャルメディアは数字のゲームだよ。お金はその数字にかかっているんだ」とウォーレン氏は説明する。「もし、僕が出しているものをみんなが見なくなったら、それは僕が何か間違ったことをしているということなんだ、だとしたら何が間違っているのか、どうすればその人たちを取り戻せるのか?」。

TikTokのアルゴリズムの変更のような恣意的な何かが、彼の成長を妨げる可能性があるのだから、ウォーレン氏の不安は杞憂ではない。ソーシャルメディアの爆発的な成長に慣れていたのに、その数字が停滞したり、最悪の場合は急落したりし始めたときには、どのように対処すればよいのだろう?

TikTokのアルゴリズムに対する心配に加えて、コンテンツハウスのビジネスモデルも同様に不安定だ。冒険を始めて以来、「ハイプハウス」は、インフルエンサー仲間で元メンバーだったDaisy Keech(デイジー・キーチ)氏との論争など、数々の訴訟に直面してきた。最近のYouTube動画で、ペトルー氏は訴訟に何十万ドル(何千万円)も費やしたと語っている。「ハイプハウス」では法的な問題には触れられていないが、ペトルー氏は共同体運営のストレスで目が覚めたり、嘔吐したりしたと語っている。このようなコンテンツハウスは、理論的には個々のクリエイターの負担を軽減してくれるはずだ。集団の一員となることで、アイデアのワークショップやビデオの共同制作を行うチームが周囲に生まれ、共有アカウントからの追加収入が得られる。しかしそうなる代わりに「ハイプハウス」では、明確な金銭的合意がないままお互いに頼り合うことが、ストレスをためてしまうことになったように見える。

「私もはしゃいでいるわけじゃないし」

「ハイプハウス」のソーシャルサークルの中には、TikTokで最も多くのフォロワー(1億3300万人)を持つCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏がいる。Forbes(フォーブス)の推計によると、彼女は同プラットフォームで最も高額の報酬を得ているクリエイターでもあり、2021年は1750万ドル(約20億2000万円)を稼いでいる。

Hulu(フールー)が制作した、突然有名になった彼女の家族についてのリアリティ番組で、ダミリオ氏は「私はただ、世界の他のティーンエイジャーと同じように投稿してるだけ」と語っている。「ただSNSに投稿していただけなので……何も」。かつてダミリオ氏がTikTokのバイオグラフィーに冗談で書いたように「大丈夫、私もはしゃいでいるわけじゃないし」というわけだ。

しかし、クリエイターエコノミーの最大のスターである彼女も、そのスター性が持続するかどうかについては疑問を持っている。「The D’Amelio Show」のパイロット版で、彼女は、もし自分が何百万ドル(何億円)も稼ぎ続けられなかったり、自分のライフスタイルのプレッシャーが大きくなりすぎたりしたら、どうしようかと考えていたことを明かしている。

「企業のCEOと電話で話すのは……ちょっと楽しいかな?という感じ」とダミリオ氏はいう。「だから、ソーシャルメディアで何が起こっても、その仕組みを知っているからこそ、マーケティングに進むことができるのです。私はすべてのバックエンドを知っているけど、それはクールなこと」。

1年でほとんどの人が一生かけて稼ぐ金額よりも多くのお金を稼いでいるのに(さらにその子どもが一生で、孫が一生で稼ぐよりも…少なくとも孫の1人がTikTokで大成功しない限り)ダミリオ氏がバックアッププランを持っているのは奇妙なことだ。しかし視聴者にとっては「ハイプハウス」や「The D’Amelio Show」のような番組の目的は、ソーシャルメディアのスターたちを人間として見ることにある。制作チームにとっては、NetflixやHuluを儲けさせることが目的であり、スター自身にとっては、余分な収入を得て、名声を維持・向上させることが目的である……と、ひどくメタ的な話になってしまった。彼らは、その半製品的な弱さを利用して、自分をより大きなスターにするのだ。

おそらくここでの最大の勝者はTikTokかもしれない。それが、このアプリの魅力なのだ。アレックス・ウォーレン氏のように、車の中で生活していた人が豪邸に住むようになれるかもしれない。すべては、あなたの短いビデオクリップが人々に好まれた結果だ。しかし、インターネット上で最も有名な10人の人たちと一緒に暮らしていても、トップは孤独なのだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

ライブツイートされたで発表されるゴールデングローブ賞、Netflixが作品賞を初受賞

今回のゴールデングローブ賞は見逃せなかった、そもそも放送されていないからだ。しかし、あなたはツイートを見たかもしれない。NBCは2021年5月、L.A.Timesの調査により、毎年イベントを開催しているハリウッド外国人記者協会(HFPA)内の多様性の欠如や、一部の会員が賄賂に相当する贈り物を受け取っていた証拠が明らかになったことをうけ、2022年の授賞式を放送しないことを発表した。HFPAは改革を進めており、イベントは、テレビ放送はもちろん、ライブストリーミングも行われず、個人的に開催された。

その代わり、イベントの受賞者は、奇妙な方法でライブツイートされた。

HFPAは、間違いのあるツイートを取り消すことができるTwitterのサブスクサービスを利用したほうがよかったようだ。HFPAのゴールデングローブ賞Twitterアカウントは、ソーシャルメディア上で受賞者を発表する際、グローブ賞受賞者がどのTVや映画の企画で受賞したのか、例えばAndrew Garfield(アンドリュー・ガーフィールド)の受賞が「tick, tick… BOOM!:チック、チック…ブーン!」だったように、定期的に書き忘れていた。また「ウエスト・サイド・ストーリー」の笑い(?)を「最高の薬」と称したツイートは、後に削除され、音楽が最高の薬であることを伝えるために再び投稿されるという奇妙なものだった。それは「笑いは百薬の長」の諺とは異なっている。

とはいえ、イベントは続行された。

HFPAが論争の後に組織を改革しようとしているため、全体的に静かな年であることに加え、受賞したネットワークも、いくつかの注目すべき初受賞や逆転劇があったにもかかわらず、いつものように、その勝利を宣伝していない。

例年であれば、HBOはライバルを一掃したことを喜んで宣伝しているだろう。このネットワークは、HBOの4勝とHBO Maxの2勝を含む、6勝でこの夜をリードした。同ネットワークのテレビシリーズ「キング・オブ・メディア」は、作品賞、テレビドラマ男優賞(Jeremy Strong[ジェレミー・ストロング])、助演女優賞(Sarah Snook[サラ・スヌーク])を受賞した。HBO Maxのコメディ「Hacks」は、エミー賞受賞作「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」(Apple TV+)を抑えて作品賞(コメディ)を受賞し、主演のJean Smart(ジーン・スマート)が女優賞(コメディ)を受賞した。そして、Kate Winslet(ケイト・ウィンスレット)がHBOの「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」でリミテッドシリーズ部門の女優賞を受賞した。

一方、Netflixは、ドラマ映画賞「パワー・オブ・ザ・ドッグ」やドラマシリーズ「イカゲーム」を含むノミネーションでリードしたものの、HFPAが改革を終えるまで同イベントには参加しないとしていた。この決定は、賞での注目すべき初めての出来事についても、自慢しないことを意味している。

Netflixは、オリジナル作品「パワー・オブ・ザ・ドッグ」で、ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を受賞し、ストリーミング配信会社として初の快挙を達成した。この作品は、監督賞(Jane Campion[ジェーン・カンピオン])と助演男優賞(Kodi Smit-McPhee[コディ・スミット=マクフィー])にも輝いている。

また、Netflixの大ヒットTVシリーズ「イカゲーム」が2022年は3部門にノミネートされ、韓国人俳優O Yeong-su(オ・ヨンス)が「キング・オブ・メディア」のKien Culkin(キーラン・カルキン、HBO)と「ザ・モーニングショー」のBily Crudup(ビリー・クラダップ、Apple TV+)を抑えて受賞し、韓国にとって初の受賞につながった。

Netflixも、ツイートではプロジェクト名をクレジットし忘れていたものの「tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!」で、アンドリュー・ガーフィールドが映画(ミュージカル&コメディ)の主演男優賞のトロフィーを手にした。

Apple TV+は「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」のJason Sudeikis(ジェイソン・スデイキス)がTVシリーズ(コメディ)部門の男優賞を受賞し、1勝を挙げている。Amazon Prime Videoの「地下鉄道 ~自由への旅路~」が同部門の作品賞を制したものの、Huluも「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」のMichael Keaton(マイケル・キートン)がテレビ向けリミティッド・シリーズまたは映画で男優賞を受賞し、グローブ賞を1つ獲得した。Amazon Prime Videoの「愛すべき夫妻の秘密」は、Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)が映画部門の主演女優賞を受賞し、注目を集めた。

また、トランス系女優として初めてゴールデン・グローブ賞を受賞したFXの「POSE」のMichaela Jaé Rodriguez(ミカエラ・ジャエ・ロドリゲス)は、ドラマ部門の女優賞のトロフィーを手にした。

20センチュリースタジオ / ディズニーの「ウエスト・サイド・ストーリー」は最優秀作品賞(ミュージカル&コメディ)を受賞し、主演のRachel Zegler(レイチェル・ツェグラー)とAriana DeBose(アリアナ・デボース)はそれぞれ主演女優賞と助演女優賞を獲得した。劇場公開からわずか1カ月でDisney+で配信されたディズニーの「ミラベルと魔法だらけの家」は、アニメーション部門での作品賞を受賞した。

ワーナー・ブラザースの「DUNE/デューン 砂の惑星」では、Hans Zimmer(ハンス・ジマー)が音楽賞のトロフィーを獲得し、Will Smith(ウィル・スミス)が「ドリームプラン」で映画(ドラマ)部門の主演男優賞に選ばれた。非英語圏の作品賞は、日本映画の「ドライブ・マイ・カー」に贈られた。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)