テクノロジーの最も「ダサかった」瞬間を振り返る

2021年、テクノロジーは大きく進歩した。mRNAワクチンの普及! 小惑星軌道変更ミッション!物議を醸すノッチ付きの非常にパワフルなノートパソコン!しかし室内農業ロボットに驚嘆したことを思い出すよりも、最も困惑するような出来事を思い出す方が残念ながら簡単だ。

さあ、チューチューチューギートレインに跳び乗ろう。なお、お断りしておくが以下話題にするのは、イーロン・マスク氏が2021年にツイートした内容をまとめたものではない。

(訳注:「チューギー/Cheugy」とはネットスラングだが、基本的には「ダサい」「時代遅れ」「単純」といったニュアンスがある、この記事ではもっぱら「ダサい」に近いニュアンスで使っている。しかし日本語の「ヤバい」が肯定的な意味も否定的な意味も持つように「チューギー」も文脈によって肯定的もしくは否定的な意味を持っている)。


FacebookはMetaへ

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2021年、最大かつ最も愚かなリブランディングは争う余地なくFacebook(フェイスブック)のリブランディングだ。最も知名度の高い企業の1つが無数の人びとに与えた取り返しのつかない決定や損害から目をそらす「メタバース」に焦点を合わせるためにMeta(メタ)に社名を変更した。このようなことは誰も頼んでいないし、誰もFacebookに主導権を握らせたいとも思っていない。

これをBlockしよう

関連記事:元Twitter CEOドーシー氏のSquareが「Block」に社名変更

2021年、歯ぎしりしたくなるようなリブランディングを行ったのは、Metaだけではない。さて、次にご紹介するのは……Block(ブロック)だ。もともとはSquare(スクエア)という会社だったスモールビジネスの王者だが、同社の四角い(スクエアな)カード読み取り装置は有名だった。現在、Blockは、新しい名前とアイデンティティのためにブロックチェーンを利用しているが、どうやらBlockの狙いはそれだけではないようだ。同社によると、それはブロックパーティ(コミュニティ作り)、コード開発、克服すべき障害物、そして「もちろん、タングステンキューブ 」(詳しくはこちら) にも関係しているという。おいおいジャック(BlockのCEOであるジャック・ドーシー氏のこと)ちょっと待ってくれ!H&R Block(H&Rブロック)はすでにBlockを商標権侵害で訴えている。名前はもちろんロゴのブロック、グリーンの配色などが、どれもちょっと似すぎている気がするからだ。そしてなにより税務申告準備で有名なH&R Blockは、中小企業向けの会計サービスや消費者向けのモバイルバンキングなど、Squareの…もといBlockのようなフィンテックサービスも販売しているからだ。どちらが先に手を引くか、落ち着くことができるのかは想像がつかない。

サタデーナイトマスク

「みなさんは腰をおろした方が良いかもしれません、私のいうことで少し腰を抜かすかもしれませんので」このセリフは、マスク氏がサタデーナイトライブ(SNL)内のコント「Gen Z Hospital」で医師役を演じたときのものだが、彼にしてみれば精一杯頑張ったものだろう。イーロン・マスク氏は、彼の後を追って一攫千金を狙っている世界中のファンたちの大部分をうまく騙してきたかも知れないが、結局のところ、このやり方はサタデーナイトライブでは通用しなかった。彼は俳優ではないし、さほどおもしろいわけでもない。世界有数の大金持ちであり、ソーシャルメディア上の主要なセレブであるという大きな力を持ってしても、彼のSNLのホスト役は…独りよがりで、でくのぼうで、退屈で、気まずい不発弾だった。そもそも、なぜ/どのように彼が注目を集めることになったのかには、疑問が残る(とはいえ、私はいつでも彼についてはそう思っているのだが)。

NFTオーナーのみなさん、ご機嫌はいかが?

関連記事:始まる前から終わっていた6人のベストセラー作家によるNFTの世界「廃墟の王国」の顛末

NFTのゴールドラッシュは、普段なら頭のいい人たちに残念なやり方でNFTを導入させようとした。数多くの企業がNFTに関連したプロジェクトを発表した。例えば、ファン作成のストーリー、ゲーム内アイテム、Discord絡みの何か(?)などをトークン化するなどだ。だがこの興味深い、しかし現時点では非常に疑わしい技術に対する、インターネット上での一般的な懐疑的意見を読み取ることができていなかったため、各社は大慌てで、場合によっては発表や噂のわずか数時間後に後退した。文字通り、誰もがダメなアイデアだと言ったはずだ。次の機会があったら質問してみると良いだろう。

ベゾス氏は、宇宙に向けて発射したお金を払ってくれた全員に感謝している

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

Blue Origin(ブルー・オリジン)とVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)による、初の「本物」の宇宙旅行をめぐる執拗な自己満足の騒動は、非常に疲れさせるものだった。ブランソン氏の会社が不透明な運用をしていたことで評判を落としたことや、ベゾス氏が巨大な帽子で不評を買ったことには多少溜飲も下がったが、ベゾス氏にとって最高の見せ場は、倫理的に破綻した彼の巨大企業で世界中の人に買い物をしてもらったことで、彼の自尊心を満たす旅の資金が得られたことを、トンチンカンな感謝の言葉として述べた瞬間だった。「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様に感謝したいと思います。なにしろみなさんが、この費用を支払ってくれたのですからね」。彼はきっと一言一句を本気で言っているのだろうが、だからこそ最悪なのだ(また、ベゾス氏にイメージを台無しにされたカウボーイハットも哀れだ)。

Blue Originのイチャモンが次の月面着陸を遅らせることに

Blue Originは、ライバルのSpaceX(スペースX)にHuman Landing System(有人着陸システム)契約で大敗した後、不適切な行為があったとしてNASAを訴えた。同社の主張は非常に恥ずかしい形で却下されたが(NASAは業界全体を前にして同社を徹底的に非難した)、長大な手続きを経る必要に迫られたことで、2024年に予定されていた有人月面着陸は2025年に延期された。公平を期すために言っておくなら、皆がそうだと思ってはいたが、Blue Originは自身を完璧なスケープゴートに仕立てたのだ。この失態により、NASAとの関係は永久に悪化したかもしれない。これはBlue Originの唯一の資金源がNASAであることを考えると良い知らせではない(もちろん「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様」は別勘定だが)。

OnlyFansの自粛

私たちはOnlyFansが何のためにあるのかを知っているが、とりわけセックスワーカーたちが自分自身で収益を上げることができるプラットフォームを手に入れることができたのはすばらしいことだ。しかし、プラットフォームをにぎやかな場所にしてくれた人たちが、今後は禁止されることが突然発表された。さようなら、お元気で!ということだ。だがその反発はすさまじく、上品ぶった銀行を理由としていたその決定は、納得が得られないまま1週間で覆された。教訓。自分を養ってくれている手を噛んではいけない(健全なファンタジーの一環としてその手が同意している場合は別だが)。

ドナルド・J・トランプ氏のデスクより

トランプ氏のソーシャルメディアとの激しい関係は、ここで扱うにはあまりにも重すぎる問題だが、その中でも知っておくことに価値がある一面がある。それは、短命に終わった「ソーシャル」プラットフォーム「From The Desk of Donald J. Trump」(ドナルド・トランプの机から)だ。この素朴なマイクロブログは、彼があらゆる主要なソーシャルメディア・ネットワークから排斥されたあと登場したが、最小限の機能しか持たず、アクセス数も少なかったために、1カ月も保たずに閉鎖されてしまった。それは明らかに、彼のメディアチームが、今度はMastodonのコードを借りて、次作のTruth Social(トゥルースソーシャル)を作ることに集中するためだった。しかしそれすらも、2021年の後半に私たちが見ることになった必死のピッチデッキやSPACの前段階に過ぎなかった。よく言われるように、最初に大失敗したら、あきらめず失敗して、また失敗せよだ。(訳注:英語には「最初に失敗しても、あきらめず挑戦して、また挑戦せよ」という諺があるのだがここではそれをもじって皮肉っている)。

上院議員が、Facebookの担当者に「フィンスタ(裏アカウント)をなくすと約束して欲しい」と要請

現在、Facebookの内部告発者として知られるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、雇用主だったFacebookから膨大な内部文書を流出させた。その中には、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに悪影響を与えていることを認識していることを示す文書も含まれていた。その直後、Facebookのセキュリティ部門のグローバル責任者であるAntigone Davis(アンティゴーン・デイビス)氏が上院に召喚され、子どもたちのインターネットの安全性について証言を行った。

75歳のRichard Blumenthal (リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党/コネチカット州)は、若者が親に隠した秘密のアカウントを使うことを心配していた。

上院議員は「フィンスタ(finsta、裏Instagramアカウントのこと)をなくすと約束できますか?」と問いかけた。

デイビス氏は辛抱強く「上院議員どの、説明させて下さい。私たちが実際にフィンスタというものを提供しているわけではありません。フィンスタとは、若い人たちがより強いプライバシーを確保したいと思って設定したアカウントのことなのです」と答えた。

Facebookの流出した福利厚生登録動画

2021年1月6日の暴動を止めるために十分なことをしなかったという大量の非難を受ける中で、Facebook(現在の呼び名はMetaだが)で働くのは大変だろう。しかし、福利厚生に加入しなければならない場合でも、Facebookで働くのは大変かもしれない。

ハウゲン氏がリークしたファイルには、かなりひどい内容が記されているが、メタバースの支配者に対する信じられない気持ちを少しでも味わってみたいひとは、このビデオを観て欲しい。Facebookには充実した福利厚生があるに違いない。なにしろ1兆ドル(約115兆円)の巨大テクノロジー企業なのだから。だがこんな振り付けダンスが関わっているとしたら、補助金を受けるだけの価値があるのだろうか?

NFTはゲートキーピングにも向いていない

Bored Apes Yacht Club(退屈している猿のヨットクラブ)とは、Coinbase(コインベース)を愛する人たちの友愛会(フラタニティ)のようなものだ。排他的なギリシャ式友愛会に参加するために会費を払う代わりに、52イーサリアム(出版時には約21万ドル[約2416万円])の「猿のNFT」を購入すれば、クールなクラブの一員になることができる。そう、タレントのJimmy Fallon(ジミー・ファロン)氏、プロバスケットボール選手のSteph Curry(ステフ・カリー)氏、ラッパーのPost Malone(ポスト・マローン)氏もYacht Club(ヨットクラブ)のメンバーだ。ちょうど、あなたが生まれる20年前にBリスト俳優(一瞬売れっ子になったが今ではそうでもない俳優)があなたの大学の友愛会に入っていたようなものだ。しかしそれは単なる猿ではない。派手なイベントや物品などにアクセスできるのがこのNFTの価値なのだ。そこで、ナイトライフ・ジャーナリストのAdlan Jackson(アドラン・ジャクソン)氏は、Bored Apesのパーティーに忍び込むために、巧妙な計画を立てた

結局、ある友人の上司が猿NFTを所有していて、ジャクソン氏にパーティーに参加できるQRコードのスクリーンショットを送ってくれた。しかし門番が、実際のNFTではなく、以前のイベントで使用したリストバンドの有無をチェックしていたため、彼は猿NFT(のQRコード)を持っていたにもかかわらず追い返されてしまった。夜遅くなって、ジャクソン氏は再び入場しようとして…今度はそのまま入場できた。リストバンドも、NFTも、何も必要なかった。排他性といってもそんなものだ!幸運なことに、ジャクソン氏は The Strokes(ザ・ストロークス)のフロントマン、Julian Casablancas(ジュリアン・カサブランカス)氏がステージ上でこんな発言をしているのを目にした「これはアートのようなものだよね?NFTだって?へえ、それって何かな。わかるのは…今夜はたくさんの男どもが集まっているということだけだね」。

こんなことはやめさせよう

もしいまNFTが、金融ソーシャルメディア(これにどうして短い名前がないのか。たとえばFiSoとか?)という投機バブルで吹き上がっているとしたら、その多くは、Gamestop(ゲームストップ)のおかげだ。ミーム銘柄と呼ぶこともできるだろう。テクノロジーの革新、消費者の習慣、エンターテインメントの嗜好の変化に押されて潰された他の多くの凡庸な小売業者と同じように、同社も忘却の彼方に向かっていたかもしれない。しかし、そうなる代わりに、同社はネットの過大な噂の波にさらわれて価格が成層圏まで押し上げられた。その結果、誰が取引の世界の門番になり、誰が金を稼ぎ、誰が最大の敗者になるのかという多くの疑問が生じたのだ。人が煽られるのを見るのは嫌だろうが、煽られて買った人たちが力のない貧乏人のように扱われるのを嫌がる理由も理解できるだろう。これでは誰も勝者にはなれない。しかし、驚くべきことに、この物語はまだ終わらないのだ。株価は2021年1月の成層圏ピークに比べて低いものの、現在でもそれほどかけ離れているわけではない

Spotifyまとめは「ダサい」

はい、はい、Spotifyまとめ(Spotify Wrapped)のシェアを行うことは基本的にSpotifyの無料PRになることはわかっている。しかし「Spotifyまとめ」のコピー文言は、40歳のコミュニケーションスタッフが姪っ子にZ世代(現在20〜30歳位の世代)が好きなフレーズを尋ねたように思える。Spotifyは、Mystic Michaela(ミスティック・ミカエラ)氏というオーラ鑑定士を雇うことまでしていて、音のオーラを生み出すための協力をしてもらっている。その結果は?チューギーだ。

「この1年、あなたの頭の中に住んでいるポッドキャストがありました」とそれはいう。

「あなたはいつも使命を理解していました」。

「他の人たちがみんなNFTとは何かを考えている間、あなたはある1曲を繰り返し聴いていましたね」。

「あなたにふさわしいのはスキンケアと同じくらいの時間のプレイリストです」。

Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)には熱狂的なファンがいる

Theranos(セラノス)の元創業者でCEOだったElizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)は、2021年に4カ月以上にわたり、刑事詐欺の容疑で裁判にかけられていた。しかし、裁判の初日、何人かのファン(間違いではない)が、エリザベス・ホームズに扮して登場したのだ。金髪ならば簡単だ。黒のタートルネックに赤の口紅をつけて、髪を低い位置でポニーテールにすればそれで一丁上がりだ!これでハロウィンパーティーの準備は万端!

しかしこのコスプレイヤーたちは、話を聞いた記者たちが見た限り、みな本気だった。虚偽の血液検査結果を出すことで、人びとの健康を積極的に脅かした会社を経営するという深刻な詐欺罪で起訴されたエリザベス・ホームズを、有罪かどうかはまだわからないものの彼らは心から称賛していた。だが、ひとそれぞれだ。

LinkedIn(リンクトイン)でさえTikTok(ティクトック)のようになりたいと思っている

基本的に、すべてのソーシャル / エンターテインメント・プラットフォームは、縦長のショートフォームビデオを組み込む方法を編み出している。TikTokの直接のライバルであるInstagramやSnapchat(スナップチャット)がこのようなことをするのは、非常に無機的で派生的な感じがするものの、理には適っている。しかし、2021年末になるころには、Netflix(ネットフリックス)、Spotify、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)、Pinterest(ピンタレスト)といった企業までもが試行を始めていた。2022年にはLinkedInも加わる予定だ

プロフェッショナルネットワーキングプラットフォームのLinkedInは2021年、ストーリーを試みたが、Snapchatの丸パクリ機能を統合したInstagramほどの成功は収められなかった。

フリートよさらば

また、Twitterはフリートでもあまり良い結果を出せなかった。この件については、不吉な予感を感じることはできたのではないかと思う。まさにTwitterは、その名の通りフリートな運命を決定付けたのだ(英語のFleetは「束の間の」とか「はかない」という意味を持つ)。短くてすぐに消える動画に参入しようとした同社の試みは、Twitterユーザーの間で大きな反響を呼ぶことはなかった。Twitterユーザーたちは他のソーシャルメディアとは異なる機能を持つ従来のフォーマットを特に気に入っているからだ。すなわちユーザーのフォロー数に関係なく、鋭いユーモア、辛らつな批判、完璧なタイミングのフェイク、時折すばらしいものを垣間見させることができるテンポの速い単語や画像の応酬が好きなのだ。いまさらSnapchatやInstagramのストーリーのようなものを、一体誰がさらに必要としているというのだろうか?特にこの期に及んで、大した工夫もなく、簡単に利用できるものでもない機能を投入しているところは何をしたいのだろうか。

Instagramはウェブ上でティーン向けの安全機能をオンにし忘れていた

2021年7月にInstagramは、ユーザーの安全性を確保するために、これまでの欠点を覆うためのいくつかの新機能を導入した。そのうちの1つの機能は、16歳未満のユーザーが新規にアカウントを作成すると、デフォルトで非公開になるようにするというものだ。しかし、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー州)は、何カ月も前から目の前にあったスクープを発掘してテックジャーナリストたちに恥をかかせた。10代の若者がウェブ上でInstagramのアカウントを作った場合、デフォルトでは公開になっていたのだ。

まあ公平な立場からみれば、Instagramをウェブで使う人はほぼいないだろう。しかし、これはかなり大きな見落としであると感じられたのだ。インスタグラムの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、自分のチームが失敗したことを認めなければならなかった。それ自身かなり困惑させるものだったが、同時に2021年の秋に上院で、10代の安全へのコミットメントを繰り返し主張してきた同社にとっては、憂慮すべき痛恨の間違いだった。

この記事の見出について

もとはDevin(デビン)のアイデアだったが、Amanda(アマンダ)に喜んで賛成してもらえた。まだまだチューギーだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、Amanda Silberling、Ingrid Lunden、翻訳:sako)

【コラム】Web3こそが関心や大きな注目が価値を生むアテンションエコノミーの欠陥を修復できる

不均衡なクリエイターエコノミーや貧弱なセキュリティ、一元的な管理や不満を持つコミュニティなど、Web 2.0の欠陥はここ数カ月間で明らかになった。

まず、Facebookの元プロダクトマネージャーであるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)は2021年10月に、当ソーシャルメディアの巨人は「安全性よりも利益を優先している」と議会で証言した。そしてそれを合図にしたかのように、Facebookの中央集権的なサービスが世界中でダウンした。この障害は非常に広範囲におよび、Facebook自身がサーバーにアクセスすることさえできなかった。

そんな中、不満を抱いた匿名のハッカーが、Amazonが運営する人気ストリーミングサービス「Twitch」の膨大な内部データを公開した。このハッカーは、ソースコードやトップクリエイターの報酬情報とともに、Twitchコミュニティを「オンライン動画ストリーミングの分野におけるさらなる破壊と競争の促進」を企てる「嫌な毒の巣窟」と呼び、改善を呼びかけた。

これらのプラットフォームが成長し、普及し、収益を上げているにもかかわらず、旧態依然とした人々が多くのことを取り違えたことは明らかだ。ネットワーク効果、大規模なスケール、勝者総取りの経済性を重視した中央集権型のWeb 2.0は、もはや社会のためにはならない。

今こそ変化を起こす時だろう。Web3の起業家として、より協調的・創造的でユーザー中心のインターネットを育むオープンなインフラを構築するにあたって、前世代のテクノロジーの根本的な欠陥を解決するのは私たちの役目だ。

Web3がどのように現在のデジタルエコノミーの最も顕著な問題点を解決できるのかを説明しよう。

セキュリティやデータ管理の不備

Twitchは、背景をAmazonの創業者である億万長者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)の写真に置き換えるなどのいたずらに悩まされ続けている。これらのセキュリティ問題は元従業員からの報告にもあったように、常在していたようだ。

中央集権的な組織と共有しているデータはすべて危険にさらされていることがわかってきた。銀行、小売業者、SNSプラットフォームからの個人情報の流出が何年も続いていることからも、インターネット上のものは何であれ、真の意味でのプライバシーを保てるとは考えられない。

Web3は暗号プリミティブに基づいて構築されており、多くの場合オープンソースコードを採用しているため、誰でもコードをレビューすることでプロジェクトに貢献することができる。これによりユーザーのセキュリティが向上し、透明性が競争力につながる。これは、単にプライバシーに基づいているだけではなく、実際にユーザーの価値を守ることにつながる。セキュリティ研究者の@samczsunは、0x、Livepeer、Kyber、Nexus Mutual、Aragon、Curveなどのプロトコルに潜在するエクスプロイトを特定し、失われた可能性のあった価値を数十億ドル(数千億円)分救済した。

相互運用可能な規格の意味するところは、ERC-721ベースのNFTは多数の異なるフロントエンドアプリケーションで取引や閲覧ができ、ERC-20トークンは注目と価値を得るために競い合う金融商品のエコシステム全体にアクセスできるということだ。これにより、プラットフォームにとってはリスクが上がり、セキュリティ侵害があった場合にユーザーの流出につながる可能性がある。

有害性とプラットフォームの説明責任

Twitchのハッカーたちは、違法で不道徳な行為を行ったが、ある点では正しかったと言える。ストリーミングプラットフォームの有害性は増しており、大規模なハイテク企業は問題の大きさに見合った対応をするのに苦労している。だがWeb 2.0の世界では、ストリーマーには実行可能な代替手段がない。YouTubeやFacebook Liveに移行することはできても、それはまた別の有害なアテンション・エコノミーのプラットフォームに置き換えるだけのことになる。

これらの現実は、クリエイターがこれまで以上に力を持つ環境を受けた結果だ。ファンは好きなクリエイターを好きなプラットフォームでフォローし、それがクリエイターに大きな影響力を与える。有害性から逃れるためには、クリエーターはクローズド・プラットフォームから出て、コミュニティとの直接的な関係を通じて自分の運命をコントロールするためのWeb3ツールが必要だ。

またWeb3は、ユーザーとプラットフォーム間の力関係を再調整し、ユーザーは自分のデータをコントロールできるようになる。Spruceのようなデータ管理プラットフォームが提供する相互運用性とポータビリティのおかげで、Web3プラットフォームによってユーザーは簡単に「退場による意思表示」を行い、別のプラットフォームに移行できるようになる。

ConfluxやMoralisのような企業によって、ブロックチェーンや規格を超えた規模拡大が容易になったため、競合他社は機会があればいつでも迅速に行動を起こすことができる。例えば、NFTの取引プラットフォームであるOpenSeaが、どのNFTが取り上げられるかを知った上でインサイダー取引を行っていた可能性があることがユーザーに発覚した際には、Artionのような代替プラットフォームが登場し、NFT市場で認識されている不満の一部を解消した。このような市場の動きに対する迅速な反応は、規模の大きさと閉鎖的なアクセスに依存して新規参入を阻む従来のWeb2.0のエコシステムには存在しないものだ。

しかし、Web3.0はユーザーとの直接的な関係をはるかに超えている。これらのプラットフォームはユーザーが所有し、コミュニティが主体となっているため、コミュニティが自ら節度ある行動をとるような動機付けがなされている。動画配信のケースでは、大切なメンバーを他所に追いやるようなヘイト・レイドを望むコミュニティはないだろう。

Web2.0の世界では、ユーザーはプラットフォームが行動を起こすのを待たなくてはならない。Web3では、ユーザーは内蔵されたガバナンスとモデレーションのメカニズムを通じて行動することができる。Mirrorのブログプラットフォームでは、毎週誰が記事を書いて公開するかをユーザーが投票で決めている。Web3 indexでは、掲載されているプロジェクトが後続のプロジェクトの追加や削除を管理し、エコシステムの健全な成長を確実にしている。

Facebookの内部告発者は、Facebookには2層構造の司法制度があり、有名人は一般ユーザーとは異なる扱いを受けていることも明らかにした。一般のアカウントが利用規約に違反するとペナルティを受けることがあるが、多くのフォロワーを持つアカウントは同じ行為をしても逃げられる可能性がある。

Web3ではこの点も修正され、ブロックチェーンの不変性のおかげで透明性が高まり、検閲にも耐えられるようになった。意思決定はSnapshotのようなツールを使ってオープンに行われ、より広範なコミュニティによって推進される。ガバナンスはブロックチェーン上で行われ、誰もが見ることができる。裏取引や二層構造の司法制度はない(もちろん、投票でそう決められた場合は別だが)。すべてコミュニティ主導で行われるため、方向性や透明性のレベルに納得がいかない場合は、参加者は簡単に去ることができる。

不均衡なクリエイターエコノミー

Twitchのリークにより、トップパフォーマーと一般のクリエイターの支払い額に大きな格差があることが明らかになった。このようなダイナミクスは、プラットフォームと一部のクリエイターのみの間でインセンティブの合意を形成する。少数のクリエイターが収益の大半を占めるようになると、プラットフォームは最も重要なインフルエンサーに注目を集めるようになる。

Web3のパラダイムは、アクセスを民主化し、クリエイターとファンの間のサイロを解消することで、このようなインセンティブのズレを解消する。NFT、デジタルペイメント、トークン、クラウドファンディングといったWeb3のクリエイター向けマネタイズメカニズムは、クリエイターに優しいやり方で条件を平等にする。glass.xyzのようなプラットフォームを利用しているアーティストたちは、魅力的なライブストリームとともにNFTによって、Web 2.0モデルで販売するよりもはるかに優れた方法でコンテンツを収益化できることを発見した。

Web3では、ユーザーは自分のプラットフォームを所有することができ、多くの場合トークンによって調整される。ユーザーはプラットフォームの成長によって直接利益を得られるため、例えばモデレーションのような重要なサービスを提供する動機にもなる。

また、ユーザーはファントークンを購入することで、お気に入りのクリエイターにさらにコミットし、情熱を共有することで、健全なファンコミュニティを育むポジティブなフィードバックループを構築することができる。Rally、Socios(Chiliz上に構築)、Rollなどのプラットフォームは、クリエイターが自分の評判、権威、創造性を仲介者なしで直接収益化できるツールを提供する。これによりクリエーターがプラットフォームとなることで、インセンティブがさらに合致に近づく。クリエイターは関与のルールを定義することができ、利害関係のない第三者に干渉されずに、健全なコミュニティの維持に必要なことを行うことができる。

インターネットのアップグレードは、社会にとって良いこと

社会構造や経済構造の多くが民間企業数社が管理するインフラに依存していることは、間違いなく有害である。また、そのような企業が説明責任を果たさず、変革を約束しても注目が集まらなければ道半ばで終わってしまうようでは、ダメージはさらに大きくなる。

しかしWeb 2.0を完全に排除することはそれほど重要ではなく、社会が切実に必要としているインターネットのアップグレードを行うことが重要なのだ。Web 2.0のツール自体は非常に大きなポジティブなインパクトを持っているが、そこにはトレードオフもある。Web 2.0の構造的な誘引により、責任を負わない柔軟性に欠けるビッグテックによる独占が起こった。Web3は、先行するWeb 2.0の良い点を取り入れ、すべてのユーザーの間でエコノミーとインセンティブを調整することで、インターネットを進化させ、広告モデルの悪影響を回避できる。

文化とコントロールという点では、中央集権的なクローズド・プラットフォームよりも分散型サービスの方が圧倒的に有利だ。Web3は、データのポータビリティと相互運用性によってユーザーに力を与え、自己管理型のコミュニティをサポートするような動機を中心に置き直すことで、コミュニティを育成するためのまったく新しい方法を提案している。

ハウゲンは正しい。「Facebookを解体することが重要なのではありません。進むべき道は、透明性とガバナンスです」。私たちは皆、より良いものを得られるべきだ。そして、透明性とコミュニティのガバナンスを優先するサービス、プラットフォーム、製品こそが、次のデジタル経済の時代に繁栄するだろう。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Doug Petkanics、翻訳:Dragonfly)

Tumblrが「大人向け」コンテンツを巡って再びアップルと闘争中

「Tony the Tiger(トニー・ザ・タイガー)」や「Eugene Levy(ユージン・レヴィ)」のパロディは今すぐ隠すこと。これらをはじめとする数百件のフレーズは、現在、Tumblr(タンブラー)のiOSアプリから排除されている。

現在、自らを「mature(大人向け)」と称したいかなる個人ブログもiOSアプリでアクセスできない。ユーザーには「思わせぶり、あるいは露骨である可能性のあるコンテンツ」のために隠されている旨を説明するポップアップが表示される。Tumblrによると、一部の投稿は、検索機能やおすすめ投稿やフォローしているユーザーのコンテンツを表示するユーザーダッシュボードでも隠されるという。

「私たちがAppleのApp Store(アップ・ストア)に存続し、TumblrのiOSアプリを利用できるようにするためには、慎重に扱うべきコンテンツに関するAppleのポリシーにこれまで以上に厳格に従うよう修正する必要があります」とTumblrは公式ブログで述べている。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrユーザーたちは、iOS版Tumblrアプリが一連のポリシーを守るために禁止したタグの非公式クラウドソースリストを作った。禁止されたタグの中には、繊細なコンテンツに関して潔癖でいようとするプラットフォームとして理にかなったものもあり、たとえば「porn(ポルノ)」「drug(ドラッグ)」「sex(セックス)」などが禁止されている。それ以外は理解不能(あるいは、それについて考えすぎると頭が痛くなる)であり、上にもあげた「Tony the Tiger」や「Eugen Levy」などがある。数字の「69」と「420」も禁止されている。

サイトには多くのTumblrユーザーが集まり、自分たちの体験について匿名で語り合っているが、タグの禁止によって、その会話も実質的に検閲状態にある。stimming(自己刺激行動)という自閉症患者にとって一般的な対処行動に関わるいくつかのタグ、例えば「depression(うつ病)」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「bipolar(躁うつ)」なども禁止されている。

「これらの調整によって、ユーザーが当社のiOSアプリを使って慎重に扱うべきコンテンツをアクセスできるかどうかに影響を与えることがあり、いらだたしいこともあることを理解しています」とTumblrの広報担当者がTechCrunchに伝えた。「現在もっと考慮された解決方法を検討中で近いうちに公開する予定なので、逐次状況をお知らせします」。

元TumblrのiOSエンジニアがsreegs(スリーグス)というブログで、この問題が起きた原因や、効果のないバンドエイドのような解決方法につい説明している。

「レビュー担当者がアプリを動かしてみて、ポルノが見つかればそのアプリは拒否されて、開発者は修正するようにいわれます」とブログに書かれている。そのエンジニアは、おおよそ「5回に1回のアップデート」でそれは起きるが、問題の投稿(スクリーンショットがTumblrに提供される)が削除されると、アプリは公開OKになる、と述べている。

「時おり、Tumblrが特別頑固なレビュー担当者に当たることがあります。ゴーサインをもらうまでにはいくつものポルノ粛清と再提出が必要になります」。同じようなことが今のTumblr iOSアプリでも起きているとエンジニアは考えている。

TumblrはiOS App Storeで承認を得るために、1年近く苦闘したことがある。2018年、TumblrのiOSアプリはApp Storeから削除され、それは児童性的虐待資料(CSAM)がアプリのフィルタリング機構に組み込まれた後のことだった。1カ月後、Tumblrはあらゆるポルノおよび性的に露骨なコンテンツを禁止し、ほぼ直後にトラフィックが29%減少した。それ以来、同プラットフォームのウェブトラフィックは低迷を続けている。

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画像クレジット:SimilarWeb

もちろん、ユーザー生成コンテンツのプラットフォームからあらゆるアダルトコンテンツを排除するのは果てしない無駄な作業だ。

「何かと言いたくなる気持ちもあるんです。Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)はあまりに巨大なので、Tumblrよりも許されることが多いのでしょう」と、その元Tumblr iOSエンジニアは理論づけた。「それとTumblrが2018年の終わりまでポルノをあからさまに許していた歴史とを合わせてみてください。もちろん証明はできませんが、もしTumblrのAppleでの評判というものがあるなら、それは良いものではありえません」。

それとは別に、Tumblrコンテンツは「#rule 34」から「#long post」まで、あれこれのタグを禁止されている。

Tumblrは米国時間12月28日、同社のChangesブログで、iOSアプリで利用できないタグのリストをレビュー中であり、1月までに完了する予定だと書いた。

そして「現在、iOSアプリで繊細なコンテンツを許容することをユーザーが選択できるウェブベースのスイッチを開発しています」と付け加えた。

Tumblrユーザーはしばしば、このプラットフォームをインターネットの荒れ地と呼ぶ。Tumblr自身、あるときApp StoreでiOSアプリの副題に「hellsite (affectionate)」(地獄サイト[愛情をこめて])と書いていたこともある。だったらなぜ使い続けるのか?

「サイトは死んだと思われていますが、この手のことには超簡単な回避方法があるものです」とあるTumblrのヘビーユーザーがTechCrunchに話した。「tab ban」をサイトで検索すればそういう抜け道を見つけるのは難しくないが、常連ユーザーはTumblrの検索機能がバグだらけなことも知っている。「実際、壊れた検索機能はこのピンチに役立っています。使った時の半分は欲しい物を見つけられませんが、Appleも見つけられませんから」。

しかし、TumblrがiOSアプリと検索機能で不足している部分は、アルゴリズムというかそれが欠けていることで補われている。TikTok(ティックトック)、Twitter、YouTube(ユーチューブ)、Facebook(フェイスブック)、Instagramなどのプラットフォームが上院に呼ばれて、彼らの謎の多いコンテンツの扱い方について釈明していた一方で、Tumblrは、昔風のやり方で仕事をしている。フォローしているユーザーのコンテンツを、逆時間順に表示するだけだ。

「正直、収拾不可能な状態でいることが、今はTumblrにとって完全に有利方向に働いていると私は信じています」とその熱心のTumblrユーザーは言った。「そこにアルゴリズムはないので、今でも自分の欲しいままの体験を収集することができています」。

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ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

いつでも家族の思い出を整理・共有できる、プライベートソーシャルアプリ「Honeycomb」

Honeycombの共同創業者Amelia Lin(アメリア・リン)氏とNicole Wee(ニコル・ウィー)氏(画像クレジット:Honeycomb)

Honeycomb(ハニカム)という女性主導のスタートアップが、Stellation Capital(ステレーション・キャピタル)のPeter Boyce(ピーター・ボイス)氏主導によるシード資金400万ドル(約4億5200万円)の支援を受け、家族向けのプライベートソーシャルアプリをローンチする。今回プライベートベータが終了した同アプリは、Facebook(フェイスブック)やグループメッセージといった、写真や動画を見失いやすい、よりパブリックなソーシャルメディアプラットフォームを利用する代わりに、スマートフォンを介してお気に入りの瞬間や思い出を収集し共有する手段を家族に提供する。

注目すべきは、ボイス氏がGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)を去った後に2021年設立した新しい会社Stellation Capitalが支援する最初のスタートアップがHoneycombであることだ。今回のラウンドには、Kyle Lui(カイル・ルイ)氏のDCM、Ben Ling(ベン・リン)氏のBling Capital(ブリング・キャピタル)、Charles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏のPrecursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)、そしてAncestry(アンセストリー)のCEOであるDeborah Liu(デボラ・リュー)氏、Giphy(ジフィー)の創業者であるAlex Chung(アレックス・チャン)氏、Twitter(ツイッター)のエンジニアリングVPで以前はReddit(レディット)で同職務を務めていたNick Caldwell氏(ニック・コールドウェル)などのエンジェル投資家も参加した。

Honeycomb自身は、Udacity(ユダシティ)とOptimizely(オプティマイズリー)の元CEOであるAmelia Lin(アメリア・リン)氏と、Instagram(インスタグラム)の元プロダクトマネージャーNicole Wee(ニコル・ウィー)氏によって共同設立された。共同創業者たちは、プライベートなソーシャルネットワークを通じて家族をつなぐアプリを作ることに着想を得ていたが、当初はSagaという別のプロダクトでアプローチしていた。この最初のアプリは、家族が自分たちの人生のストーリーを記録できるソーシャルオーディオ体験だった。例えば、祖父母が最初に出会ったときの話や、子どもの誕生日の願い事を後で聞くことができるオーディオ日記のようなものだ。

しかし、このアプリは初期多くメディアに取り上げられたものの、必ずしも家族が望んだものではなかった。その代わりにチームは、アーリーアダプターたちから、音声だけではなく写真やビデオも保存したいという要望を聞いていた。そこでチームはこの秋、アプリの方向性を転換し名称をHoneycombに変更した。

画像クレジット:Honeycomb

この新しい体験は、9月にプライベートベータテストがローンチされたところで、家族がお気に入りの写真やビデオを保存し、それをテキストと組み合わせ、一種のデジタルストーリーに仕立て上げる方法を提供する。現時点用意されている体験は必ずしも、例えばiMessage上のグループチャットと比べてはるかに堅牢だとは言い切れないが、テキストメッセージングを使用するときには難しいような、古いシェアに立ち戻るための簡単な方法を提示している。ユーザーはリマインダーを設定して、その日のお気に入りの思い出のキュレーションを忘れないようにすることもできる。この機能は、赤ちゃんが新しいマイルストーンに達するのを見守りながら、毎日何十枚もの新たな写真をスマートフォンに次々とアップしていくような新米の親たちには最適かもしれない。

画像クレジット:Honeycomb

「その日の最高の思い出を整理していく、とても簡単な日課となるように手助けしています」とリン氏は説明する。「お気に入りを選択すると、自動的にこのストーリーに編集され、家族と共有されるだけではなく、このコレクションに永久に保存されます」。ただし、この体験はGoogle(グーグル)フォトやApple(アップル)の写真アプリ、あるいはDropbox(ドロップボックス)のようなユーザーの既存の写真サービスを置き換えるものではない、と同氏は指摘する。

「私はそれを、家族と交流するような、キュレーションされた美しい場所だとは思いません」とリン氏。「そしてFacebookやInstagram(を持つユーザーもいるかもしれませんが)、それは自分の赤ちゃんの写真をまさに公にさらしているように感じられます」。一方、Honeycombはデフォルトでプライベートだ。

「家族だけがここにいる人を選ぶことができる、それはかなり異なる哲学的アプローチだと思います」とリン氏は語り、次のように言い添えた。「ユーザーの写真やデータをサードパーティに販売するようなことはしていません」。

画像クレジット:Honeycomb

Honeycombは、広告で収益化するのではなく、サブスクリプションベースのサービスになるという点でも、主流のソーシャルアプリとは異なる。ただし同スタートアップは今のところ、新しいアプリを軌道に乗せるという観点から無料提供を行っている。

同社は、家族の年配ユーザーをどのようにプラットフォームに取り込むかについて検討を進めている。コンテンツをエクスポートして他の場所で共有できるようにすることも考えられるだろう。一方でチームは、赤ちゃんや子どもの新しい写真という魅力的な要素が、祖父母たちに対して、テクノロジーに詳しくなくても、スマートフォンにアプリをインストールする方法を理解する必要性を促すだろうと考えている。

ユーザーはHoneycombをダウンロードすると、まず基本的な機能セットへのアクセスを得る。しかしそう遠くない時点で、家族や友人と思い出を共有するためのより魅力的なストーリー形式を含む新しいベータ版へのオプトインを促される。(このオプトインは即時には行われないが、すでに展開されていることを同社は明らかにしている。)

AIではなく人間のキュレーションに立ち返り、ユーザーが最高の写真やビデオを見つけられるようにするという発想は、最近では確かに違いのあるアイデアだ。しかし、人々が日々のスナップ写真を整理したいのかどうか、特に「赤ちゃんが生まれた」という話題が消えた後にそうするのかは、依然として未知数である。

画像クレジット:Honeycomb

さらに、AIが役に立つこともある(おそらくスマートAIなら、筆者がアプリで誕生日の写真アルバムを作成した後、カバー写真としておもちゃの写真ではなく人物の写真をフィーチャーすることを知っていただろう)。AIはまた、照明の弱い写真や露光量が低い写真を廃棄することで、ユーザーが写真を自動的に分類することにも貢献する。

一般的にユーザーが望まないことは、自分の「最高の」写真についての最終決定権をAIに持たせたり、自らの生活や自身が重要だと考えていることに関するコンテキストなしにAIがアルバムを作成したりすることだ。そして自動化された「記憶」を通じて、自分たちが忘れたいと思う時間をAIに思い出させたくはないのである。

だが最良の解決策は、AIと手動キュレーションとのバランスを取ることかもしれない。ただしプライベートな社会的環境で行われるものとなろう。

Honeycombは事実上新しいアプリであるため、同スタートアップはユーザー数を公開していない。ただリン氏によると、Sagaから方向転換して以来、エンゲージメントは3倍になったという。

「Honeycombは、私たちの最も基本的かつ長期的な人間の欲求の1つ、家族の思い出をアーカイブし共有したいという願いを実現するためにテクノロジーを利用する、真にミッション駆動型の企業です」と、Stellationのピーター・ボイス氏はこのスタートアップへの投資について語った。「Honeycombはファミリーアルバムを21世紀にもたらす可能性を秘めています。イノベーションの段階的な機能変更の機に熟している、これほど大きな問題空間を見出すことは希少です。家族は、個人に向けた、親密になることを意図したソーシャルアプリの次の進化への準備が整っています。そしてこのチームはそれを構築しているのです」と同氏は付け加えた。

Honeycombは現在7人で構成されているが、この新たな資金を、同社のサンマテオオフィスで直接働くエンジニアを含む雇用に充てる計画だ。約10人の増員を見込んでいる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

TikTokをモデレーターが提訴、生々しい動画の審査業務が精神的トラウマに

Bloombergの報道によると、TikTok(ティックトック)のモデレーターが、生々しい動画による精神的トラウマを理由に、同ソーシャルメディアプラットフォームとその親会社であるByteDance(バイトダンス)を訴えたという。提案されている集団訴訟の中で、モデレーターのCandie Frazier(キャンディー・フレイジャー)氏はこれまで、暴力、学校での銃撃、致命的な転落、さらにはカニバリズムなどが映っている動画をスクリーニングしたと述べている。「(結果)原告は睡眠障害に悩み、眠れた時には恐ろしい悪夢にうなされています」と訴状には記されている。

問題をさらに悪化させているのは、TikTokはモデレーターたちに12時間のシフト制で働くことを要求し、1時間の昼食と15分の休憩を2回取ることしか許さないことだという。訴状によると「膨大な量のコンテンツがあるため、コンテンツモデレーターは、1つの動画につき25秒以内の視聴しか許されず、同時に3~10本の動画を観ることになる」とのこと。

TikTokは、Facebook(フェイスブック)やYouTubeを含む他のソーシャルメディア企業とともに、児童虐待やその他のトラウマになるような画像にモデレーターが対処するためのガイドラインを作成した。その中には、モデレーターのシフトを4時間に制限することや、心理的なサポートを提供することなどが盛り込まれている。しかし、訴訟によると、TikTokはこれらのガイドラインを実施しなかったとされている。

コンテンツモデレーターは、ソーシャルメディアに掲載される生々しい画像やトラウマになるような画像の矢面に立ち、ユーザーがそれらを体験しなくて済むようにする役目を背負っている。大手テック企業にコンテンツモデレーターを提供しているある企業は、この仕事が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性があることを同意書の中で認めているほどだ。しかし、ソーシャルメディア企業は、心理的な危険性を考慮して十分な報酬を支払っておらず、メンタルヘルスのサポートも十分ではないとして、モデレーターなどから批判を受けている。2018年には、Facebookに対して同様の訴訟が起こされている。

フレイジャー氏は、他のTiktokスクリーナーを代表して集団訴訟を起こすことを希望しており、心理的傷害に対する補償と、モデレーターのための医療費支援基金を設ける裁判所命令を求めている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

Snapchat、メタバースに出てくるような顔になれる新レンズをリリース

Snapchat(スナップチャット)は米国時間12月23日、ビデオゲームSims(シムズ)のキャラクターのように見えるARフィルターのAvatar(アバター)レンズをリリースした。もっと、今っぽい表現をするとメタバースに登場するような顔になれるものだ。このレンズを使うには、Snapchatアプリでカメラを開いてSnapchatのウェブサイトにあるQRコードをスキャンする。すると、メタバースでの自分の肌が怖いほど滑らかなのを目にする。そばかすやニキビなどは存在しない。

新しいSnapchatのレンズは、特に同社が拡張現実に全面的に取り組んでいるため、本質的に注目すべきものではない。これは数年来続いているオンとオフを繰り返すバイラルのトレンドの続きだ。過去から判断すれば、おそらくすぐにTikTokに登場する。

関連記事:Snapがより高度なAR体験を可能にするクリエーター向け新機能やツールを発表、年次イベント「Lens Fest」で

Snapchatは2020年8月にCartoon Faceレンズをリリースし、ユーザーは自分のペットを「Disneyfy(ディズニー化)」するのに使えると気づいた。#disneydogというタグはTikTokに飛び火して4090万回の視聴を獲得した。そしてSnapchatは同年12月にCartoonレンズをリリースし、再びバイラルの金字塔を打ち立てた。このレンズでは、以前のレンズよりも人間の顔をよりリアルに再現することができる。

しかし、Snapchatはこのトレンドを若干改良したバージョンを作り続けていて、結局、これらもバイラルになる。人間というのは予測可能なものだ。

2021年6月、ディズニー風のトレンドは、リリース後の最初の週に28億インプレッション(広告が表示された回数)を獲得したCartoon Style 3Dレンズで再び圧倒的な記録を打ち立てた。そして今回、顔だけでなく服も漫画風になるAvatarレンズが登場した。次は、Horizon Worldsで誰かが作ったような、身の回りのものを再現するレンズだろうか。おそらく。

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2021年12月初め、SnapchatはAR技術の祭典であるLens Festを開催した。同社はこのイベントで、200カ国超から25万人以上のレンズクリエイターが参加したと発表した。合計で250万個のレンズが作られ、3兆5千億回以上視聴された。一方、SnapchatのTikTokクローンであるSpotlightは、クリエイター1万2000人の投稿に対して、総額2億5000万ドル(約286億円)を授与した。同社によると、Spotlightの投稿の65%以上がSnapchatのクリエイティブツールやレンズのいずれかを使用しているとのことだ。

Niantic(ナイアンティック)やSnapchatのような企業は、仮想現実よりも拡張現実の方がメタバースを構築するのに適していると考えている。しかし、Meta(メタ)のようなヘッドセット好きのテック大企業にとっても、ARはメタバースで実際に自分自身の姿を見せるのに役立つ。SnapchatのAvatarフィルターは、筆者を非現実的なバービー風に見せるが、それでも、茶髪で眼鏡をかけたどこにでもいる白人女性のように見える私のMeta Horizonアバターよりは、少しパーソナライズされているように感じられる。

関連記事:ナイアンティック「現実世界のメタバース」構築のために約344億円調達、評価額1兆328億円に

ただ、このような自分を目の当たりにすると、何か違和感がある。

Snapchatのレンズの中のアバターは筆者のように見えるが、眉毛は美容師に丁寧に整えてもらったかのように完璧に手入れされている。唇はふっくらとし、リップグロスをつけているようだが、筆者はその日メイクをしていなかった。

VRメタバースでは、自分を表現するアバターが必要だ。そうでなければ、ただの見えない塊になってしまう。バーチャルペルソナを作るのをサポートしようとReady Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)、Spatial(スパティアル)、Genies(ジーニーズ)のようなスタートアップが登場している。しかし、拡張現実では、深く入り込めるようにする方法で現実世界を変化させることが前提となっている。SnapchatのARフィルターはおもしろいが、ARメタバースにアバターは必要ない。そしておそらく、ネット上で自分自身の最高の姿だけを見せることがどれほど危険なことか、私たちはすでに知っているというのは良いことだ。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapchat、メタバースに出てくるような顔になれる新レンズをリリース

Snapchat(スナップチャット)は米国時間12月23日、ビデオゲームSims(シムズ)のキャラクターのように見えるARフィルターのAvatar(アバター)レンズをリリースした。もっと、今っぽい表現をするとメタバースに登場するような顔になれるものだ。このレンズを使うには、Snapchatアプリでカメラを開いてSnapchatのウェブサイトにあるQRコードをスキャンする。すると、メタバースでの自分の肌が怖いほど滑らかなのを目にする。そばかすやニキビなどは存在しない。

新しいSnapchatのレンズは、特に同社が拡張現実に全面的に取り組んでいるため、本質的に注目すべきものではない。これは数年来続いているオンとオフを繰り返すバイラルのトレンドの続きだ。過去から判断すれば、おそらくすぐにTikTokに登場する。

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Snapchatは2020年8月にCartoon Faceレンズをリリースし、ユーザーは自分のペットを「Disneyfy(ディズニー化)」するのに使えると気づいた。#disneydogというタグはTikTokに飛び火して4090万回の視聴を獲得した。そしてSnapchatは同年12月にCartoonレンズをリリースし、再びバイラルの金字塔を打ち立てた。このレンズでは、以前のレンズよりも人間の顔をよりリアルに再現することができる。

しかし、Snapchatはこのトレンドを若干改良したバージョンを作り続けていて、結局、これらもバイラルになる。人間というのは予測可能なものだ。

2021年6月、ディズニー風のトレンドは、リリース後の最初の週に28億インプレッション(広告が表示された回数)を獲得したCartoon Style 3Dレンズで再び圧倒的な記録を打ち立てた。そして今回、顔だけでなく服も漫画風になるAvatarレンズが登場した。次は、Horizon Worldsで誰かが作ったような、身の回りのものを再現するレンズだろうか。おそらく。

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2021年12月初め、SnapchatはAR技術の祭典であるLens Festを開催した。同社はこのイベントで、200カ国超から25万人以上のレンズクリエイターが参加したと発表した。合計で250万個のレンズが作られ、3兆5千億回以上視聴された。一方、SnapchatのTikTokクローンであるSpotlightは、クリエイター1万2000人の投稿に対して、総額2億5000万ドル(約286億円)を授与した。同社によると、Spotlightの投稿の65%以上がSnapchatのクリエイティブツールやレンズのいずれかを使用しているとのことだ。

Niantic(ナイアンティック)やSnapchatのような企業は、仮想現実よりも拡張現実の方がメタバースを構築するのに適していると考えている。しかし、Meta(メタ)のようなヘッドセット好きのテック大企業にとっても、ARはメタバースで実際に自分自身の姿を見せるのに役立つ。SnapchatのAvatarフィルターは、筆者を非現実的なバービー風に見せるが、それでも、茶髪で眼鏡をかけたどこにでもいる白人女性のように見える私のMeta Horizonアバターよりは、少しパーソナライズされているように感じられる。

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ただ、このような自分を目の当たりにすると、何か違和感がある。

Snapchatのレンズの中のアバターは筆者のように見えるが、眉毛は美容師に丁寧に整えてもらったかのように完璧に手入れされている。唇はふっくらとし、リップグロスをつけているようだが、筆者はその日メイクをしていなかった。

VRメタバースでは、自分を表現するアバターが必要だ。そうでなければ、ただの見えない塊になってしまう。バーチャルペルソナを作るのをサポートしようとReady Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)、Spatial(スパティアル)、Genies(ジーニーズ)のようなスタートアップが登場している。しかし、拡張現実では、深く入り込めるようにする方法で現実世界を変化させることが前提となっている。SnapchatのARフィルターはおもしろいが、ARメタバースにアバターは必要ない。そしておそらく、ネット上で自分自身の最高の姿だけを見せることがどれほど危険なことか、私たちはすでに知っているというのは良いことだ。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

性的コンテンツの禁止で揺れたアダルト系SNS「OnlyFans」創業者兼CEOが退任、後任は広報担当者

OnlyFans(オンリーファンズ)の創業者でCEOを務めてきたTim Stokely(ティム・ストークリー)氏が退任することになったと、Bloombergが報じている。後任には、同社の元コミュニケーションマーケティング部長だったAmi Gan(アミ・ガン)氏が就任する。この動きは、OnlyFansにとって不安定な1年の終わりに行われたものだ。同社は8月にそのプラットフォーム上で繁栄しているセックスワーカーを禁止すると発表したが、この決定は1週間後に保留にされた

関連記事:アダルト系SNS「OnlyFans」が性的なコンテンツを禁止する決定を「一時的に中止」

広報担当者を会社のCEOに任命することが奇妙に思えたとしても、それは当然だろう。しかし、報道によると、これはストークリー氏自身の判断だったとのこと。同氏はアドバイザーとして会社に残ることになっている。

「私たちは、このクリエイターエコノミーに対する情熱を共有しながら、机を並べて仕事をしてきました」と、新CEOのガン氏は語る。「私たちの優先事項は、世界で最も安全なソーシャルメディアプラットフォームであるために引き続き全力を注いでいくことです」。

また、ガン氏は同社のsafe-for-work(職場で閲覧しても大丈夫)なストリーミングアプリであるOFTVに投資し、クリエイター向けの新しいツールを構築していくとも述べている。ストークリー氏自身のビジネスバックグラウンドがオンラインポルノであるのに対し、ガン氏はRed Bull(レッドブル)、Quest Nutrition(クエスト・ニュートリション)などのブランドや大麻カフェで働いた経験がある。

TechCrunchはOnlyFansに、このリーダーシップの変化がプラットフォーム上のセックスワーカーに影響を与えるかどうかを尋ねたが、OnlyFansはコメントを辞退した。

OnlyFansは、NSFW(not safe for work、職場での閲覧には不適切な)クリエイターのおかげで繁栄しており、8月には2021年の売上高が、2020年の12億ドル(約1370億円)から大きく増加し、25億ドル(約2860億円)に達する見込みであると発表していた(OnlyFansはクリエイターの収益の20%を徴収する)。しかし同時に、OnlyFansは同社を10億ドル(約1140億円)規模の企業にしたセックスワーカーたちの生活を脅かすような爆弾発言をした。それは、OnlyFansがNSFWコンテンツ(つまり、露骨に性的なコンテンツ)を禁止するというものだった。それが急速に反発を招いた後、OnlyFansはこの決定を保留し、銀行プロバイダーとの問題を解決したと発表している。

それでも、セックスワーカーたちは、プラットフォームから追い出されることを懸念しているようだ。結局、OnlyFansは禁止措置を撤回するのではなく「保留」すると言っているのだ。

OnlyFansのようなプラットフォームがセックスワーカーを排除すると脅すことは、彼(女)らが生活の糧を失うことを意味するだけでなく、彼(女)らをより危険なオフラインの労働環境に追いやることにもなりかねない。

米国議会は2019年に「Safe Sex Workers Study Act(性労働者安全調査法)」を導入し「Fight Online Sex Trafficking Act(FOSTA 、インターネット上の性的人身取引対策法)」など、オンラインでのセックスワークを困難にする法律の影響を調査した。この研究では、セックスワーカーが「オンラインプラットフォームへのアクセスによってもたらされる経済的安定性」を失った後「コミュニティ組織は、セックスワーカーのホームレス化が進んでいると報告していた(いる)」ことが判明した。

OnlyFansにおける変化の可能性は、プラットフォームからプラットフォームへと移ることがどれほど大変なことかを知っているセックスワーカーにとっても恐怖である。Patreon(パトレオン)でさえ、2018年にセックスワーカーをプラットフォームから排除した。同社はポルノを決して許可しないと言っていたが、何年もの間、このガイドラインは厳格に施行されていなかったため、セックスワーカーは同プラットフォームを利用して生計を立てることができていた。

Patreonでは、少なくともクリエイターはサブスクリプション会員のメールアドレスにアクセスできるので、プラットフォームの仲介がなくてもファンベースと連絡を取ることが可能だ。しかし、OnlyFansは、Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)と同様に、たとえ誰かにフォローされても、その人と直接コミュニケーションを取る手段がない。顧客と連絡を取る手段がなかったら、どうやって別のプラットフォームで新しいビジネスを構築すればいいのだろうか?

OnlyFansは、このリーダーシップの変化がセックスワーカーを危険に陥れると暗示してはいないが、NSFWクリエイターの信頼をすでに翻弄してきたプラットフォームにとって、これは重大な変化である。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

没入型ゲームをプレイ・作成したり、それプレイ以外の時間も過ごせる「ソーシャル」なプラットフォームRec Roomが急成長

ユーザーが作成したゲームコンテンツのプラットフォームで大ヒットしたRoblox(ロブロックス)に続き、また別のスタートアップ企業が、没入型体験を目的とした独自のユーザー生成プラットフォームを構築するために、大規模な資金調達を行った。無料でダウンロードして遊べるクロスプラットフォームのソーシャルゲーム会社Rec Room(レック・ルーム)は、1億4500万ドル(約165億円)の資金を調達した。

この資金は、モバイル機器、ゲーム機、PC、VRヘッドセットで独自の体験を生み出すツールの継続的な開発と、それを利用するゲーマーを増やしていくために使用される。なお、対応するOS / プラットフォームは、iOS、Xbox(エックスポックス)、PlayStation(プレイステーション)、Oculus(オキュラス)、Steam(スチーム)、そして8月時点ではAndroid(アンドロイド)となっている。

今回の資金調達は、Coatue Management(コーチュー・マネジメント)が主導し、既存投資家のSequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Madrona Venture Group(マドローナ・ベンチャー・グループ)が参加。同社の評価額は35億ドル(約4000億円)に達している。

この評価額は、2021年3月にSequoiaの主導により1億ドル(約114億円)を調達した際の12億5000万ドル(約1400億円)と比較すると、大幅に上昇している。この間、Rec Roomは非常に印象的な成長を遂げてきた。3月には200万人がゲームをプレイ / コンテンツを作成していたが、現在のユーザー数は3700万人に達しているという。

関連記事:VCたちが新たなRobloxを探す中、VRプラットフォームのRec Roomが約110億円調達

今回の資金調達が行われた背景には、Rec Roomが大きく成長し、規模を拡大していることに加え、VRや没入型体験、そして特にこれらのメディアでユーザーを惹きつけるコンテンツ(またはコンテンツのための手段)を構築している企業が、突如として多くの注目を集めるようになった現在の状況がある(確かに、これまでは不便なVRヘッドセットを使用したり、その他の先鋭的な技術に投資するほど、魅力的なコンテンツがなかったことが問題だった)。

Rec Roomは、いくつかの意味において「ソーシャルゲーム」の会社だ。興味深いことに、Rec Roomの成長の鍵は、ゲームを作成したり、他の人が作成したゲームをプレイしたり、ルームに参加して一緒にプレイしたりする機能(これがおそらく最も明白な「ソーシャル」な側面)だけでなく、ユーザーがゲームプレイ以外の時間を過ごすためによく使われる仮想のソーシャルスペースを提供する能力にある。

Rec Roomは、Facebook(フェイスブック)などの他のプラットフォームにゲーム体験のソーシャルな側面を依存していた他の多くのソーシャルゲーム企業とは異なり、すでにバーチャル結婚式、ビジネスミーティング、よりカジュアルな会合などに利用されているという。これらの活動は、新型コロナウイルスの大流行と、その影響による実際の社会的な会合や旅行が減少した結果、さらにバーチャルな発展を遂げたものと思われる。Rec Roomは、初心者と経験豊富なゲーマーのどちら対しても、多様な体験を提供しているため「Rec Life(レック・ライフ)」というコンセプトは、どちらの層のユーザーにとっても非常に参入障壁が低くなっている。

2016年にシアトルで設立されたRec Roomは、創業から約5年間、他の多くのヒットしたソーシャルゲームの特徴である、急成長と急落を(少なくとも今のところは)避けている。現在は獲得した3700万人のユーザーが、他のユーザーと仮想的に一緒に過ごす「ルーム」でゲームを作ってプレイしている。同社によると、このプラットフォームにはすでに約1200万ものルームが存在するという。

この3700万人という数字のうち、どれだけアクティブユーザーがいるのかは不明だが、Rec Roomによると、毎月のユーザー数は2020年(2020年11月以降)から約450%増加しており、中でもその成長を牽引するモバイルユーザーは、同期間に10倍に増加したという。

「Rec Roomが、ミニゲームの小規模なコレクションから、コミュニティによって構築された何百万もの体験を提供するグローバルなプラットフォームに成長する過程を目の当たりにすることは、すばらしい体験でした。このプラットフォームは、人々が集まって有意義なつながりを築き、コミュニティを構築し、創造性を共有することができる場となっています」と、Rec Roomの共同設立者兼CEOであるNick Fajt(ニック・ファイト)氏は、声明の中で述べている。「やりたいことはまだたくさんあります。私たちは2022年に向けて、より多くの体験を構築し、新しいプラットフォームに拡張し、クラス最高の信頼性と安全性のシステムに投資し、クリエイターツールを拡大し続けることを、非常に楽しみにしています」。

同社は現在、収支の数字を一切公表していないものの、3月には同社のプラットフォームでゲームクリエイターに約100万ドル(約1億1400万円)を支払っていると発表していた。

「Rec Roomが創作した友達と一緒にゲームを作って遊べる世界に、我々は魅了されました」と、Coatue ManagementのMatt Mazzeo(マット・マッツェオ)氏は、声明の中で述べている。「スマートフォンからVRまで、何百万人ものプレイヤーがRec Roomに集っています。デジタルの世界をより楽しく、より没入感のあるものにするチームとパートナーを組めることに、我々は興奮しています」。

画像クレジット:Rec Room

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

LinkedInの中国向け新アプリ「InCareer」のスクリーンショット

2019年、LinkedInが中国ユーザーの電話番号を求め始めたとき、プロフェッショナルなソーシャルネットワークが同国で異なるルールに従わなければならないことは明らかだった。しかし、中国当局が求める実名認証体制を整えるだけでは不十分で、検閲の要求と表現の自由を謳う「西側の価値」を守ることのバランスを取るという難題が山積していることに気づいた。

解決策は「撤退」だった。2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はLinkedInの中国版を終了させると発表した。中国版LinkedInは、携帯番号認証などの特別な要件を除けば、依然として「グローバル」版とほとんど同じように機能していたのだ。2021年12月13日、Microsoftは中国のApp StoreとサードパーティのAndroidストアで「InCareer」と呼ばれるLinkedInの代替アプリを紹介した。このアプリは求人に特化しており、LinkedInの外観を備えているが、中国のMicrosoftチームによるコンテンツ監視が必要になるため、ソーシャルフィードやコンテンツ投稿のオプションがない。ただ、InCareerは、メッセージング機能は維持している。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInはブログの投稿で、この動きについてこう説明している。

中国の会員が仕事や経済的な機会を見つける手助けをすることに成功しましたが、情報を共有したり、把握したりするような、よりソーシャルな側面では同じレベルの成功は見つけられていません。また、中国での事業環境は非常に厳しく、コンプライアンス要件も厳しくなっています。

中国からサービスを撤退した外国の大手ハイテク企業はMicrosoftだけではない。近年、中国は、インターネット企業が収集できるデータ量から国境を越えたデータ移動の方法まで、すべてを規制する新たなサイバー規制を多数導入している。TechCrunchの親会社であるYahoo(ヤフー)は最近「ビジネスと法的環境がますます厳しくなっている」ことを理由に、中国から撤退している。

LinkedInのアプリを使用している中国ベースのユーザーは、InCareerをダウンロードするよう促されるが、ウェブブラウザとVPNを介してフルバージョンにアクセスすることは可能である。しかし、これらの追加フェンスは、すでに中国でのリーチが限られていたプラットフォームからユーザーを遠ざけることになりそうだ。

LinkedInは、主に外国人や多国籍企業や国境を越えたビジネスに従事する中国人ユーザーの間で人気があったが、一方で地元の競合であるMaimai(マイマイ)の方がより知られている。市場調査会社の iResearch(アイリサーチ)によれば、4月には、中国のユーザーが専門的な SNS アプリに費やした時間の 91% が Maimai によって占められているという。

Microsoftの中国におけるもう1つの生き残りサービスであるBingも、最近困難に直面している。ユーザーからの報告やGreatfire.orgによると、12月20日の時点ではオンラインに復帰したようだが、同検索エンジンが12月18日に中国でアクセス不能になっていたという。TechCrunchは、この状況についてMicrosoftに問い合わせている。

検索エンジンを提供する同社が掲示した告知によると、この出来事は、Bingが「中国の法律に基づいて」中国での検索自動入力機能を30日間停止したことにともなったものだという。同サイトがどの法律のことを指していたのかは不明だ。

Bingは2019年、地元のライバル企業であるBaidu(百度)の評判が落ちた際に、中国で一時的に停止していた。当時は、Bingに大量に移行したBaiduのユーザーが米国のサイトをクラッシュさせたのではないかという憶測が飛び交った。

長年放置されてきた海外のテック企業が、中国の法律にキャッチアップしていく姿は珍しいことではない。Apple(アップル)は、関連する規制が施行された数年後に、中国のApp Storeから無許可のモバイルゲームに対する取り締まりを開始した。Bingの停止は、中国では利用者が少ないために長い間注視されてこなかった同検索エンジンが、ついに抜け道である検閲官の神経を逆なでするような自動入力候補機能を閉じるよう命じられた同様のケースといえるかもしれない。

関連記事:Appleが中国で4年放置されていたApp Storeの抜け穴をやっと封鎖

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

TikTokは2022年、世界第3位のSNSになる

最新の予想によると、TikTokがFacebookとInstagramに次いで、世界で3番目に大きなソーシャルネットワークになる。Insider IntelligenceeMarketerから社名変更)によると、2022年のTikTokの月間ユーザー数が7億5500万になると予想している。TikTokの成長率は2020年が59.8%、2021年が40.8%だった。

Facebookは、同社の直近の決算報告によると月間アクティブユーザー(MAU)数は29億1000万で、前年比6%の増だった。Instagramの最近のリークによると、月間ユーザー数は20億を超え、2018年6月の10億という記録的数字をはるかに上回った。

しかし、Insider Intelligenceの予想は同社自身の2022年の予想に基づくものであり、独自の計算方法を使っている。MAUの同社独自の定義は、企業によって異なっていることもありうる。たとえば同社は、カレンダー上の各年で一貫して1カ月に1回以上ログインしているユーザーを数え、そこからできるかぎりフェイクアカウントを取り除く。この方法により、調査のクライアントには、各プラットフォームの有意な比較が提供されることになる。

このような推計方法によると、Facebookの月間ユーザー数は2022年に21億に達し、次がInstagramの12億8000万となる。それに続くTikTokは7億5500万になり、SnapとTwitterを上回る。

画像クレジット:Insider Intelligence

TikTokはここ2年間で、急速に成長している。

アプリに関する情報を提供するSensor Towerによると、2020年第1四半期、App StoreとGoogle Playを合わせてTikTokアプリのダウンロード数は20億回を超えた。App Annieのレポートでは、2020年のTikTokの成長率は325%で、月間の消費時間も他のどのアプリよりも急速に成長した。米国における65%も含め、Facebookを超えている。

またSensor Towerによると中国のDouyinも含めたTikTokのダウンロード数は、ゲームを除くモバイルアプリで、App StoreとGoogle Playを合わせて、Facebook以外では初めて全世界で30億に達している。その間、TikTokの消費者支出額は25億ドル(約2841億7000万円)を超えた。同社はTinderやNetflix、YouTube、Tencent Videoに次いで、この記録を達成したアプリの仲間入りをした。

多くの企業が2021年のTikTokのMAUを10億超と予想していたが、計算方法が異なるInsider Intelligenceはやや保守的だ。しかしその低い予想でも成長は続き、2022年の成長率は15.1%となる。

成長の結果として、TikTokのソーシャルネットワーク全体における市場占有率も上げ潮だ。Insider Intelligenceの予想では初めてTikTokの占有率が20%を超え、2024年には4分の1に近づくとしている。

Insider Intelligenceの主席アナリストであるDebra Aho Williamson(デブラ・アホ・ウィリアムソン)氏は、次のように論評している。「TikTokの急上昇は同じく若者市場を狙うSnapchatにとって特に脅威でしょう。TikTokにTwitterとの類似性はあまりないにもかかわらず、すでにあるプラットフォーム並みの大きさに成長したことには、TikTokのコンテンツが持つ中毒性があらわれています」。

TikTokは今もまだ大きな伸び代があり、Insider Intelligenceによると、2022年は全体で35億7000万人がソーシャルネットワークアプリを少なくとも月に1回は利用するという。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Meta、同社プラットフォームでフィッシング詐欺を行う個人摘発のため連邦政府に提訴

Meta(旧Facebook)は米国時間12月20日、フィッシング詐欺を行っている個人を摘発するために、カリフォルニア州の連邦裁判所に訴訟を起こしたと発表した。同社によると、今回の法的措置は、Facebook(フェイスブック)、Messenger(メッセンジャー)、Instagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)の偽ログインページでログイン認証情報を共有するように仕向けるフィッシング攻撃を途絶させることを目的としている。

フィッシング詐欺は、一見すると正規に見えるが実際には偽のウェブサイトに無防備な被害者を誘い込む。そして、パスワードや電子メールアドレスなどのセンシティブな情報を入力するよう、被害者を説得する。Metaによると、フィッシング詐欺の一環としてFacebook、Messenger、Instagram、WhatsAppのログインページになりすましているウェブサイトが3万9000以上見つかっているという。また、フィッシング攻撃の報告は増加傾向にあり、これらの攻撃に対して法的措置を取るために今回の提訴に至ったとしている。

Metaのプラットフォーム執行・訴訟担当ディレクターのJessica Romero(ジェシカ・ロメロ)氏は「これらのウェブサイト上で人々はユーザー名とパスワードを入力するよう促され、被告らはそれを収集しました」とブログ記事で書いている。「攻撃の一環として、被告らは攻撃インフラを見えなくするよう、インターネットトラフィックをフィッシングウェブサイトにリダイレクトするためにリレーサービスを使用しました。これにより、フィッシング・ウェブサイトの本当の場所、そしてオンラインホスティングプロバイダーと被告の身元を隠すことができたのです」。

ロメロ氏によると、3月にMetaはリレーサービスと協力して、フィッシングウェブサイトをホストしていた数千のURLを停止する作業を開始した。Metaは、今後もオンラインサービスプロバイダーと協力して、フィッシング攻撃を妨害する計画だ。また、セキュリティコミュニティやドメイン名レジストラなどに対して、悪用例を積極的にブロックするよう働きかけているともしている。また、他のプラットフォームでもブロックできるよう、フィッシングのURLを共有しているという。

「この訴訟は、人々の安全とプライバシーを保護し、我々のプラットフォームを悪用しようとする人々に明確なメッセージを送り、技術を悪用する人々の説明責任を高めるための、我々の継続的な取り組みにおけるさらなるステップです」とロメロ氏はブログ記事で書いた。

Metaが同社のプラットフォームでフィッシング詐欺を取り締まるのは、今回の訴訟が初めてではない。同社は11月、シリアとパキスタンの4つのハッカーグループに対して措置を講じたことを明らかにした。これらのグループは、フィッシングリンクを使ってユーザーを操作し、Facebookの認証情報を得ていた。2021年3月にはMetaは、中国の「Earth Empusa」または「Evil Eye」と呼ばれるハッカー集団にも措置を取った。当時Facebookという社名だったMetaは、ハッカーが同社のインフラを使用してプラットフォームを悪用する能力を崩壊させたと述べた。同社はまた、2020年にバングラデシュとベトナムのハッカーに対して同様の措置を取った

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】非営利団体にはソーシャルメディアを改善する答えがあり、ビッグテックにはそれを実現するリソースがある

ソーシャルメディアがメンタルヘルスに与える影響についての議論は目新しいものとはいえないが、この秋、Facebook(フェイスブック)が自社プラットフォームの10代向けのメンタルヘルスに対する悪影響を十分に認識していたことを示唆していた報告が出されたことで、議論は再び世界の注目を取り戻した。

このデータ(およびFacebookがこれらの懸念を無視したという事実)は厄介な話だが、ソーシャルメディアがメンタルヘルスに与える影響を理解することはそれほど簡単ではない。実際、ソーシャルメディアは若者が自分自身や自分のアイデンティティを発見するための安全で肯定的な空間やつながりを提供できるとする強い主張も存在している。

ソーシャルメディアへの怒りがもたらす暗い結論の一方で、こうした利点はあまりにもしばしば片隅へと押しやられてしまう。事実、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、Facebookといった現在の人気ソーシャルネットワーキングプラットフォームは、収益化を最優先事項としてデザインされている。これらのアプリは、アプリのユーザー時間が増えることで広告収入も増えるため、基本的に過度の使用を促すものなのだ。

最近の反発に応えて、Instagramのような場所は厳格に大人用とすべきだと主張する人もいるが、筆者は10代の若者にとって有益なソーシャルメディア環境を構築することは可能だと強く信じている。それは彼らが自己発見をできる場所であり、アイデンティティを自由に探求できる場所であり、暗闇の中で彼らを慰め、彼らが1人ではないことを知る手助けをする場所なのだ。

この未来が反応的な機能だけで育成できるかどうかはわからないが、ソーシャルメディアの巨人には、他の組織や非営利団体と協力して、ソーシャルメディアをすべての人々にとってより安全な場所にできる可能性がある。

広告型かつ非営利型のソーシャルメディアのためのスペースの創出

営利目的のソーシャルメディアが独占しない世界を想像するのは難しいが、独占は必然ではない。広告収入型のソーシャルメディアアプリを完全に排除するのは現実的ではないかもしれないが、テック業界には広告収入に依存しないプラットフォームのためのスペースを作る機会と責任がある。

もし閲覧数、クリック数、広告数が人々の欲求やニーズに対する二次的なものであれば、ソーシャルメディアプラットフォームの仕組みに革命を起こすことができるだろう。他のアプリからのプレッシャーから逃れたり、仲間と交流したり、自分自身が受け入れられる場所を見つけたり、目的はどうであれ私たちはユーザーが自由に参加できるコミュニティを構築することができる。

Ello(エロ)や、LGBTQ+の若者向けのTrevor Project(トレバーブレロジェクト)のソーシャルネットワーキングサイトであるTrevorSpace(トレバースペース)など、広告なしのソーシャルメディアスペースはすでにいくつか存在しているが、それらの規模は小さく機能も少ないため、 Instagramなどのソーシャルメディアアプリに備わる機能に慣れているユーザーを大量に引き付けることはできていない。

また、若者が匿名で自分のアイデンティティを探求できるオンラインスペースも必要だが、ソーシャルメディア企業がユーザーの精神的健康や健康よりも広告支援を優先する場合には、それはほぼ不可能だ。広告主は年齢、性別、行動、アイデンティティに基づいてユーザーをターゲットできるように、ソーシャルメディアに時間を費やしているのは誰かを正確に知りたいと考えているからだ。これは、ソーシャルメディアを自分が何者なのかを知るための手段として使いたいが、あまり慎重には行動できない若いユーザーにとって特に問題となる。

これを克服するためには、業界全体として利益を目的としないソーシャルメディアスペースへの投資を増やす必要がある。ここ数年、テック大手はプロダクトのイノベーションで驚異的な進歩を遂げており、これを、ユーザーが安心して自分を表現したり、協力的なコミュニティを見つけたりできるサイトにも応用できる可能性がある。

Facebook、Instagram、TikTok(ティックトック)、その他の広告付きアプリにはふさわしいタイミングと場所があるが、収益に左右されないオンラインスペースに対する明確なニーズと要望も存在している。どちらか一方である必要はなく、両方のためのスペースを確保するために私たちは協力することができる。

たとえばTrevorSpaceに対しては、私たちは特定の収益目標を達成するというプレッシャーを与えることなく、ユーザーの要望やニーズをよりよく理解するための研究に投資してきた。この調査を通じて、私たちはユーザーが自分のアイデンティティを探求し、自分を表現できる安全な空間を持つことに価値を見出そうとインターネットを利用していることを学んだ。

AIをずっと使用したらどうなるだろう?

より多くの非営利のソーシャルメディアプラットフォームに投資することに加えて、テック企業たちには、その最先端のAI開発を応用することで、ソーシャルメディア上のユーザー体験を改善し、オンラインに時間をかけすぎたことによる精神衛生上のストレスを軽減できる機会もある。

ソーシャルメディアサイトは現在、機械学習を使用して、人々がオンラインでより多くの時間を過ごすことを促すアルゴリズム生み出しているが、機械学習の可能性はそこに留まるものではない。テクノロジーには、人びとのメンタル不調を悪化させるのではなく、メンタルヘルスをサポートする力があることを私たちは知っている。ではAIを使用して、ユーザーにソーシャルメディアを制御できる新しい力を与えたらどうなるだろうか。

AIが、特定の瞬間に本当に必要としているものを見つけるのに役立てたらどうなるのかを想像してみて欲しい。例えばユーザーが笑いたいときには笑えるコンテンツへ、泣きたいときには泣けるコンテンツへとガイドしてくれたり、志を同じくするユーザー間の前向きな関係を築く手伝いをしてくれたり、または、彼らの生活にプラスの影響を与えるスキルや知識を彼らに与えてくれるリソースを提案したりということだ。

今日のソーシャルメディアアプリの大多数は、AIを使用して、私たち向けのフィード「あなたのための」ページ、そして私たちのためのタイムラインを決定している。しかし、もし私たちがAIを使って、ソーシャルメディア上での自分自身の旅をガイドできるようにすれば、根本的に異なる感情体験を育むことができる。それは、単に時間と注意を独占するのではなく、自分自身の欲求やニーズを支えるものなのだ。

これは簡単なことのように聞こえるし、すでに起きていることだと考える人さえいるかもしれない。しかし、最近Facebookの元プロダクトマネージャーFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏の証言によって裏付けられたように、現在私たちが大手ソーシャルメディアで見ているコンテンツは、そのようにはキュレーションされていない。その状況は変わる必要がある。

ソーシャルメディアにおける前例のない革新と研究のおかげで、私たちは私たちの幸福に貢献するサイトを作成するために必要な技術は持っている、あとはその開発に時間とリソースを投資して、非営利アプリが主要な広告利用アプリと共存できるスペースを作ればいいだけなのだ。

将来的には、ユーザーが自身の見るコンテンツやそのコンテンツとのやり取りを制御できるようなAIを、ソーシャルメディア企業が非営利企業と提携して開発する可能性があるが、そのためには両者からの多大な時間投下、投資、協力が必要になるだろう。また、ソーシャルメディア大手は、この分野で切望されている代替アプリが入り込む余地を十分に確保する必要がある。

ソーシャルメディアをすべての人にとってより安全で健康的なものにすることは、The Trevor Projectを含む多くの非営利団体が実現に向けて取り組んでいる目標であり、ソーシャルメディア企業の支援によって私たちはその実現に大いなる助けを得ることになるだろう。

編集部注:著者のJohn Callery(ジョン・カレリー)氏はThe Trevor Project(トレバー・プロジェクト)の技術担当上級副社長。

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(文:John Callery、翻訳:sako)

銃撃や爆破予告、暴力行為を警告するTikTok上の噂で米国各地で学校閉鎖・警戒

TikTok(ティックトック)をはじめとするソーシャルプラットフォーム上で、米国時間12月17日に米国各地の学校が暴力の脅威に直面していることを示唆する、不吉で具体性のない噂が拡散した。多くの学校がこの動きに対応して学校を閉鎖したが、多くの地域の警察機関と少なくとも1つの連邦法執行機関が、この脅威には裏づけがないと発表している。

米国土安全保障省(DHS)は、学校に対する脅威の可能性について報告を受けたことを認識しているが、「具体的で確かな脅威」は見つからなかったと述べている。しかし、同省は「地域社会が警戒を怠らないように」と呼びかけている。

TikTokは16日にこの噂を初めて取り上げ、同社は法執行機関と連絡を取り合っているが「そのような脅迫がTikTokを介して発生したり拡散した証拠は見つかっていない」と述べた。脅迫自体はTikTokに見当たらないのは事実だが、12月17日に暴力行為が行われる可能性があるという恐怖心を煽る投稿が多く見られ、それらの噂が全国的に急速に広まったと思われる。

関連するTikTokのハッシュタグには「I luv you guys pls stay safe on Dec 17(みんな愛してる、どうか12月17日には安全でいてね)」と書かれていた。コメント欄には、この動画の制作者が「(状況を知らず)混乱している人へ、12月17日に米国各地の学校で銃撃や爆破の脅迫があって、私の学校は2回も脅迫されました」と説明している。フォロワーからは、自分の学校で最近起こった爆破予告の話が続々と寄せられた。

TikTokは17日の朝にこの状況を再確認し、FBIやDHSと連携しても、噂の発端となるような信頼性の高い脅迫を突きとめることはできなかったと述べた。

米国各地の学区や警察は、この噂を受けて注意を促す一方で、具体的な脅威が表面化していないことを強調した。フロリダ州リー郡の保安官は、自らもTikTokの動画で、米国の多くの学校が頻繁に受けている爆破予告のような「偽の脅し」をやめるよう呼びかけた。

イリノイ州グレンビュー市の警察は16日、このようにツイートした。「この脅威がイリノイ州の学校に関連しているという信憑性のある情報はありません。グレンビュー警察は、毎日、すべての学校の敷地をパトロールしており、今後もそれを続けていきます。みなさまには、引き続き警戒していただき、不審な行動を報告していただくようお願いいたします」

噂の真偽は定かではないが、カリフォルニア州テキサス州ミネソタ州コネチカット州など、多くの州で17日に学校が閉鎖された。開校した学区では、用心のためにリュックサックを家に置いておくように指示したところもあった。

全米の地方自治体および連邦政府の法執行機関は、引き続き事態を監視している。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokがDiscordサーバーを設置、ユーザー同士が語り合う場に

多くのブランドが、メッセージアプリDiscordを使って、ファンの間にコミュニティ意識を醸成している。ファーストフードチェーンのWendy’s(ウェンディーズ)が6万人以上のメンバーを抱えるDiscordを持てるなら、TikTokのようなバイラルプラットフォームができないことがあるだろうか。

TikTokはDiscordサーバーを作っていることをTwitterで予告していたが、米国時間12月16日に自社のアプリでその事実を認めた。TikTokの新しいDiscordでは、見知らぬ人たちと、TikTokユーザーと語りたいことなら何でも話すことができる。Emily Mariko(エミリー・マリコ)氏のバイラルなサーモンレシピのベストな作り方とか?

「このサーバーは、あなたのためのフィードのようなものです。それはあなたのために作られ、そのコメントのいくつかは刺激的であり、あなたの両親はそれが何なのかわかりません」とTikTokはDiscordの歓迎チャンネルに書いている。Discordのルールには、NSFWコンテンツ禁止、暗号資産(暗号資産)の購入禁止などがある。チャットをする前に、ルールを読んだことをチェックマークのリアクションで示さなければならない。これはスパムを阻止するために、人気のあるDiscordではよくあることだ。また、サーバーのプロフィールに性別の代名詞を表示するオプションもある。

公開時点でDiscordには400人しかおらず、TikTokは「ソフトローンチ」だとTechCrunchに話した。TikTokからのモデレーターは5人で、サーバーが成長し続けると問題になる可能性がある。あるユーザーが言ったように「30万人が同時にチャットしようとしていないときに、(お互いに話す)利点を利用しよう」ということだ。

スパムを防ぐために(これもルール違反だが)、TikTokは「スローモード」という、30秒に1回しかメッセージを送れないDiscordの機能を利用している。しかし、ユーザーはすぐに、メッセージ間の時間制限が適用されないスレッドを作成することで、スローモードを回避した。ほどなくして、モデレーターがスレッドを作成する機能を削除した。

関連記事:Discordがスレッド機能導入、一定時間経つと自動的にアーカイブ化

現在、TikTok Discordの会話チャンネルは、軽い荒らしを除けば、比較的普通のものだ。自己紹介、TikTokの共有、TikTokサポート、サーバーのフィードバック、TikTokサウンドなどのためのチャットがある。「ゲームルーム」すらあり、TikTokのゲームへの関心が高まっていることがわかる。現在、このプラットフォームはTikTok Live Studioというデスクトップストリーミングソフトウェアをテスト中だ。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokは「レコメンド」フィード多様化のため避けたいトピックを選択可能にする予定

TikTok(ティックトック)は米国時間12月6日、アルゴリズムによるオススメを活用した短編動画アプリのメインフィードである「For You」フィードに、新しいアプローチをとることを発表した。同社はすでに、アプリ内でのユーザーのエンゲージメントパターンに基づいて動画を提案するアルゴリズムの仕組みを詳しく説明しているが、特定のコンテンツカテゴリーがたくさん提案されることが「問題」になる可能性を認めている。同社は現在、アプリ上の「繰り返しパターン」を中断させるための新技術の実装に取り組んでおり、また、避けたいトピックを選ばせることで、その問題についてユーザーが発言できるようなツールの開発も進めているという。

関連記事:TikTokが「レコメンド」フィードの仕組みを公開、イメージアップ作戦か

同社は発表の中で「動物であれ、フィットネスのヒントであれ、個人のウェルビーングの旅であれ、何かが多すぎるのは、我々が目指す多様な発見体験にそぐいません」と、説明している。しかし、TikTokがアルゴリズムを多様化するのは、人々があまりにも多くのかわいい子犬の動画を見ることに不満を抱いているからではなく、規制当局がテックを取り締まり、特に10代のメンタルヘルスに関して、チェックされていない推薦アルゴリズムが及ぼす有害な影響に疑問を抱いているからである。

Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の幹部は、他のソーシャルプラットフォームの幹部とともに、議会に呼び出され、どのように彼らのアプリが、例えば拒食症よりなものや摂食障害に関するものなどの危険なコンテンツにユーザーを誘導してきたことについて質問された。

TikTokは、発表の中で「極端なダイエットやフィットネス」「悲しみ」「別れ」をテーマにしたものなど、過度に視聴すると有害となりうる動画の種類に触れている。このような動画に興味を示すユーザーは、おもしろいと感じるかもしれないが、同じような動画をユーザーに繰り返し見せることで、害を及ぼす可能性があることを理解するほどアルゴリズムはまだ賢くはない。もちろん、この問題はTikTokに限ったことではない。自動化された手段によってユーザーのエンゲージメントを高めることだけを目的としたシステムが、ユーザーのメンタルヘルスを犠牲にしていることは、あらゆる面で明らかになりつつある。議会は現在、こうしたシステムが若者にどのような影響を与えるかに最も関心を寄せているが、議論の余地はあるものの、いくつかの研究では、チェックされていない推薦アルゴリズムが、過激な意見に引き込まれかねないユーザーの過激化に一役買う可能性も指摘されている。

TikTokは、ユーザーがこうした有害となりうる種類の動画を視聴し、反応した際に、一連の類似コンテンツを推薦しないための新しい方法もテストするとしている。しかし、制限する動画の種類の例を示しただけで、完全なリストではない。

さらに同社は、ユーザーの「レコメンド」ページがあまり多様でない場合に、それを認識できるようにする技術を開発中であると述べている。ユーザーは実際にTikTokのポリシーに違反する動画を見ていないかもしれないが、同社は「孤独や減量に関するコンテンツなど、非常に限られた種類のコンテンツを見ることは、それがそのユーザーの見るものの大半であれば、マイナスの影響を与える可能性がある」と、述べている。

TikTokが展開する予定のもう1つの戦略には、人々が自らアルゴリズムを指示できるようにする新機能が含まれている。この機能を使えば「レコメンド」フィードで見たくないコンテンツに関連する単語やハッシュタグを選ぶことができるようになる。これは、例えば「Not Interested(興味ありません)」をタップして、気に入らないビデオにフラグを立てることができるTikTokの既存のツールへの追加となる。

はっきりいうと、本日のTikTokの発表は、あくまで計画のロードマップを示すものであり、実際にそのような変更や機能を開始するものではない。その代わりに、同社のアプリとその潜在的な有害作用に関する規制当局のさらなる調査を食い止めようとするものだ。この戦略は、同社自身の議会公聴会とライバルの公聴会の両方で問われた質問によって影響されたと思われる。

TikTokは、実際の導入には時間がかかり、物事がうまくいくまでに繰り返しが必要になると指摘している。

「私たちのシステムが多様な推薦を行うことができるよう、今後も検討を続けていきます」と、同社は述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

米FTCが大手テックのアルゴリズムによる差別と商業的監視に対する規則を検討中

連邦取引委員会(FTC)が、ユーザーを侵害的に追跡したり他の者にそれをさせているデジタルプラットフォームを対象とする規則の検討に備えているようだ。「Trade Regulation Rule on Commercial Surveillance(商業的監視行為に対する規制規則)」は、まだ極めて初期的段階だが、FTCの新委員長Lina Khan(リナ・カーン)氏による最初の大手テクノロジー企業に対する大型規制になるかもしれない。

現在のところ、大統領府総務部の予算概要書に載っているだけだが、FTCが今後の規制の可能性について情報を伝えたことを意味している。リストによると、規則は「粗略なセキュリティ慣行を阻止し、プライバシーの濫用を制限し、アルゴリズムによる意思決定が不法な差別に結果しないようにする」とある。規則の一般公開された草案はまだないし、まだ構想段階の可能性もある。

FTCの広報担当者は「FTCには、その権能のすべてを駆使して有害な商業的監視行為と戦い、米国人のプライバシーを保護する用意がある」というコメントをくれたが、それ以上の話はない。

Brian Schatz(ブライアン・シャーツ)上院議員はこの文書への関心を示し、これに(尚早ながら)取り組んだ機関を褒め称えた。「カーン委員長とその機関が一歩を踏み出し、差別的なアルゴリズムを使っている企業を取り締まろうとしていることは喜ばしい。それは、私たちが絶対に取り組まなければならない課題だ」とシャーツ氏はいう。

本規則の策定はFTC基本法18条の「非公正または欺瞞的な行為や慣行の規制」に準じるものになるだろう。それは、FTCがいろいろな要件や禁忌を定めようとするときの、権限の拠り所となる条文だ。

規則は、ソーシャルメディア企業やインターネットプロバイダーといったあらゆるものの侵食から消費者を守ろうとするさまざまな試みの中でも、特に廃案になったBroadband Privacy Act(ブロードバンドプライバシー法)の系統になるのだろう。

もちろんFTCが規則を無から発明することは不可能であり、いくら規則を作っても、産業の新旧交替や現業界の変化によって、正しい理由で作られた規則が迂回されることも多い。

例えばヨーグルトのラベルに無脂肪とあるのに検査で脂肪が見つかったら、それは当然、虚偽の表示だ。しかし、ソーシャルメディア企業が例によって「あなたのデータはあなたに所有権があります」などといっても、それをダウンロードできなかったり、売ることも、プラットフォームから完全に削除することもできなかったら、それは虚偽の表示だろうか?FTCが規則とガイダンスを改訂して、そういう行為を含めないかぎり、虚偽にはならないだろう。

また「不法な差別」は、アルゴリズムに不正な構成のデータが供給されたことによって、宗教や人種や医療の状態などの保護を要する状況に基づいて、人びとの特定の集団が厚遇されたり非遇されたりする場合にも起きうる。現時点では、人を審査するアルゴリズムに公式の要件はほとんどないのに、データやそのソースは企業秘密であったり、公表や問い合わせから遮蔽されていることも少なくない。FTCの規則はこれを、任意ではなく要件にできるだろう。

そのような取り組みを議会や大統領府などが支えることもあり、カーン氏は、テクノロジー大手に介入する暗黙の権威をホワイトハウスから認められている。大統領府の法務アドバイザーに過ぎなかった彼女が急に国の行政機関のトップになったのも、このような規則制定に対する暗黙の支持があったからだ。

ただし現時点では、FTCのまばたきのようなサインにすぎないが、予算概要書に載っているため2022年に優先扱いになる可能性はある。中間選挙なので、現政権はその力を誇示しなければならない。ただしテクノロジー大手に対する攻撃は現存する数少ない超党派努力の1つであるため、かなりの数の政治プラットフォームがこの話題を取り上げるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

監視委員会、Metaにエチオピアでの暴力を広める役割を検証するよう求める

Facebookが自社の方針決定を見直すために設立したグループである監視委員会は、現地時間12月14日、紛争地エチオピアで起きた誤報の事例を取り上げ、紛争地域でヘイトスピーチや検証されていない情報が自由に広がることを許容することの危険性について警告を発した。

監視委員会は、エチオピア在住のFacebookユーザーがアムハラ語で投稿した、ラヤコボや同国アムハラ州の他の人口密集地での殺人、レイプ、略奪はティグライ人民解放戦線(TPLF)が行っており、ティグライ人の民間人がそれを助けていると主張した記事を検証した。

「このユーザーは、情報源がこれまでの無名の報告書や現場の人々であると主張しているが、その主張を裏付ける状況証拠すら提供していない」と、監視委員会はその評価の中で書いている。

「この投稿に見られるような、ある民族が集団残虐行為に加担していると主張する噂は危険であり、差し迫った暴力のリスクを著しく高めるものです」。

この投稿は当初、Facebookの自動コンテンツ修正ツールによって検出され、プラットフォームのアムハラ語コンテンツ審査チームがヘイトスピーチに対するプラットフォームの規則に違反していると判断し、削除された。この件は監視委員会にエスカレーションされた後、Facebookは自らの決定を覆し、コンテンツを復活させた。

監視委員会は、ヘイトスピーチに関する規則ではなく、暴力と扇動に関するFacebookの規則に違反するとして、投稿を復活させるというFacebookの決定を覆した。その決定の中で、エチオピアのような暴力に満ちた地域で検証不可能な噂が広まることは「ミャンマーで起こったような重大な残虐行為につながる 」と懸念を表明している。

同月には、米国のロヒンギャ難民のグループが、Facebookの参入がロヒンギャ民族の大量虐殺の「重要な変曲点」として機能したとして、Metaを相手に1500億ドル(約17兆円)の集団訴訟を起こしている。ミャンマーでは民族暴力を煽る誤った情報がFacebook上で広く拡散し、しばしば軍関係者によって蒔かれ、同国の少数イスラム教徒を標的とし、排除しようとする民族暴力がエスカレートしたと広く信じられている。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏は、ミャンマーやエチオピアといった国々でアルゴリズムによって増幅された民族暴力と、それに適切に対処しなかったMetaの失敗を、このプラットフォームの最大の危険性の1つとして挙げている。「ミャンマーで見たこと、そして今エチオピアで見ていることは、とても恐ろしい物語の序章に過ぎず、誰もその結末を読みたくありません」と、ホーゲン氏は10月に議会で述べていた。

監視委員会はまた、エチオピアの民族暴力のリスクを悪化させるFacebookとInstagramの役割について、独立した人権評価をするよう命じ、同国の言語でのコンテンツをどの程度抑制できるかを評価するようMetaに指示した。

2021年11月、Metaは、誤報やヘイトスピーチに対するルールの一部の適用範囲を拡大したことを強調し、同国に対して行った同社の安全対策を擁護した。同社はまた、過去2年間に同国での行使能力を改善させ、現在では最も一般的な4言語であるアムハラ語、オロモ語、ソマリ語、ティグリニャ語のコンテンツを審査する能力を備えていると述べている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ツイッターが自動キャプション機能を追加し動画をよりアクセシブルに、日本語含む30以上の言語で

米国時間12月14日より、Twitter(ツイッター)は動画に自動生成キャプション機能を導入する。この機能により、耳がまったく聞こえない、または聴覚障害を持ったユーザーが動画によりアクセスしやすくなる。自動キャプションはウェブ、iOS、Android版で、英語、スペイン語、日本語、アラビア語、タイ語、中国語、ヒンディー語など、30以上の言語で利用できる。

キャプション機能は、Twitterが12月8日からテストを開始した新しいバーティカルフィードで役立つ可能性がある。このフィード方式が一般に展開されれば、同アプリの「Explore(話題を検索)」タブがTikTok(ティックトック)のようになり、動画を含む、アルゴリズムで推奨されるコンテンツが一度に1つずつ表示されることになる。このようなフィードでは、動画にキャプションがついていることが期待される。公共の場でヘッドフォンが手元にない場合でも、フィードを簡単にスクロールできるからだ。

関連記事:他社に続きツイッターもTikTokを模倣、検索タブがビデオフィード化するテスト実施

しかし、TikTokやInstagram Reelsの動画キャプション機能では、投稿前にキャプションのテキストを編集することが可能だが、Twitterではユーザーがキャプションを微調整することはできない。つまり、自動キャプションをより正確にするために、ユーザーがエラーを修正することはできないということだ。

自動キャプションや画像の代替テキストなどのアクセシビリティ機能は、2020年9月についにアクセシビリティ専門チームを創設した後、Twitterがよりフォーカスしている分野だ。この人事配置の変更は、2020年夏に自動キャプションのない音声ツイート機能を試験的に導入した際に、ユーザーから批判を受けたことがきっかけとなった。現在では、音声ツイートと同社のClubhouse(クラブハウス)のライバル機能であるTwitterスペースは、どちらもキャプション機能を備えている

Twitterが動画のキャプションをサポートするのは新しいことだが、同社はすでにTwitterスペースと呼ばれるライブオーディオチャットルームでキャプション技術を使用していた。

Twitterは、キャプションを含むスペースの音声コピーを30日間保存し、同アプリのガイドラインに違反していないかどうかコンテンツを確認するとしている。特定のスペースに違反が見つかった場合、Twitterはそれらの記録をさらに90日間保管し、スピーカーが違反決定に不服を申し立てる機会を提供する。

Twitterとユーザーにとって残念なことに、このプロセスはプラットフォーム上での不正使用の問題に対処するには十分ではない。Twitterスペースのユーザーはこれまで、人種差別的なタイトルのスペースなど、明らかに問題のあるコンテンツを配信され、Twitterがその報告を受けた後も有害なコンテンツはフィードに残っていた。TwitterのコミュニティマネージャーであるSimon Balmain(サイモン・バルマン)氏は最近、この問題に取り組んでいるとツイートしたが、同社のシステムが既存の報告機能や、スペースの音声やキャプションの保管を超えて拡張されるかどうか、あるいはどのように拡張されるかについて、Twitterはまだ詳細を明らかにしていない。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Instagram、リールでのコメント返信可能に

Instagram(インスタグラム)は、投稿へのコメントにリールで返信できる新機能「Reels Visual Replies(リール・ビジュアル・リプライ)」を展開した。これにより、ユーザーがコメントへの返信を選択した際に、返信動画を作成するためのリールボタンを選択できる新しいオプションが表示される。返信動画は、ステッカーとして表示される。

「私たちは、クリエイターがInstagramで築いたコミュニティを愛しています」。Instagramは、この新機能を発表するツイートで述べている。「だからこそ、視聴者と対話するための新機能であるReels Visual Repliesを開始することに興奮しています」。

Instagramの新機能は、リールをより広いソーシャルメディアプラットフォームに統合する。この新機能は、ユーザーが自分のコンテンツに対するコメントに動画で返信できるTikTok(ティックトック)のビデオリプライと似ていることは注目に値する。TikTokは、ユーザーが自分の動画についてより詳細な情報を提供したり、質問に答えたりする方法を提供するために、2020年この機能を導入した。この機能の人気を考えると、Instagramが自社のTikTokクローンに同様の機能を開始したのも不思議ではない。

Reels Visual Repliesのリリースは、Instagramがいくつかの新機能を導入している中で行われた。最近では、年末の「Playback(プレイバック)」機能を新たに導入した。この機能はストーリーのアーカイブを活用したもので、ユーザーは最大10個のストーリーを選択、カスタマイズし、フォロワーと共有することができる。この機能を利用するには、ユーザーが2021年3つ以上のストーリーを投稿しているか、ストーリーズアーカイブをオンにしている必要がある。Instagramがプレイバックの投稿を提案してくれるが、シェアしたい内容を選ぶこともできる。この新機能は現在「数週間のあいだ」ユーザーに提供されている。

また、Instagramは、ユーザーがアプリの問題を報告するためにスマホを振ることができる新機能「Rage Shake(シェイク)」を展開している。振って報告すると、アプリで起きたことを説明し、問題を報告することができる。また、同社は、少なくとも3つの画像または動画を含むカルーセル投稿からアイテムを削除する機能を導入した。カルーセルフィードの投稿は、1つの投稿に最大10枚の写真や動画を組み合わせることができる。今回のアップデートにより、既存のカルーセルからアイテムを削除できるようになった。

また、10分、20分、30分のいずれかでInstagramを休むことをユーザーに思い出させることができる「Take a Break(テイク・ア・ブレイク)」という新機能もテストしている。また、ストーリーに公開スレッドを作成する「Add Yours(アド・ユアーズ)」ステッカーも新たに追加された。この新機能は、他のユーザーのストーリーに対して、プロンプトや特定のトピックに沿って自分のストーリーで返信することができる。

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)