米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

米国道路交通安全局(NHTSA)が、同国の電気自動車メーカーであるTesla(テスラ)宛に2通の書簡を送った。1つは同社が「フルセルフドライビング」ソフトウェアのベータ版に早期アクセスするオーナーに、秘密保持契約を要求していること、そしてもう1件は、規制当局がリコールを届け出る必要があるとしている問題を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用したこと、以上の2点を同局は問題視している。

今回送られた書簡は、NHTSAがテスラの先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の自動運転機能や、ソフトウエアの無線アップデートに関連するテスラの慣行について、監視の目を強めていることを示している。

テスラの製造販売する車両には「Autopilot」と呼ばれる運転支援システムが標準装備されている。さらに購入者が1万ドル(約113万円)の追加料金を支払うと、より高度な機能が利用できる「フルセルフドライビング(FSD)」システムにアップグレードすることができる。このソフトウェアは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが繰り返し約束しているように、いつかは完全な自動運転走行が可能になると言われているものだ。

FSDは数年前からオプションとして用意されており、これまで着実に値上げと新機能の追加が行われてきた。しかしながら、現状ではテスラのクルマは完全な自動運転ではない。FSDには、自動駐車場機能「Summon(サモン)」や、高速道路の入り口から出口まで、インターチェンジや車線変更を含めてクルマを導くアクティブガイダンス運転支援システム「Navigate on Autopilot(ナビゲート・オン・オートパイロット)」が含まれる。さらにFSDの最新ベータ版では、高速道路や市街地での運転を自動化するとされている。しかし、これはまだレベル2の運転支援システムであり、ドライバーが注意を払い、ハンドルから手を離さず、常に車両をコントロールできる状態でいることが求められる。

米国時間10月12日付の1通目の書簡では、テスラが先進運転支援システム「Autopilot」で、低照度下における緊急車両の検知方法をソフトウェアアップデートで修正した際に、リコールを届け出なかった理由を説明するよう求めている。NHTSAの見解では、車両の安全性に関わる部分を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用する場合は、リコールを届け出る必要があるとしている。

「テスラも認識しているように、米国の安全法は、自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合、NHTSAに通知してリコールを実施する義務を課している」と、NHTSAは記している。

NHTSAの記述によれば、リコール通知は、メーカーが安全上の欠陥や不適合を知った時点から、または知るべきであった時点から、5営業日以内にNHTSAに届け出なければならないとされている。

「車両の安全性に不合理なリスクをもたらす欠陥を緩和するために無線アップデートを配信する製造者は、それにともなうリコール通知をNHTSAに適時提出する必要がある」と、この書簡は続いている。

同じく10月12日付の2通目の書簡は、テスラがいわゆるFSDのベータ版早期アクセスプログラムに、秘密保持契約を用いていることに言及したものだ。FSDの購入者はすでに料金を支払っているが、テスラはオーナーがベータ版ソフトウェアにアクセスするためには、秘密保持契約を結ぶことを要求している。さらに9月には、マスク氏がさらに別の要件も制定した。それは最新のベータ版にアクセスできるオーナーを選定するために、個人の運転データを使用して安全スコアを算出するというものだ。

「NHTSAは、潜在的な安全上の欠陥を評価するための重要な情報源として、消費者からの報告に依存している。そのため、ベータ版早期アクセスプログラムの参加者が、NHTSAに安全上の懸念を報告することを妨げたり、思いとどまらせたりするような合意は容認できない」と、同局は書簡に記している。

「さらに、特定の情報を公開することを制限する行為は、NHTSAの安全性に関連する情報を取得する能力に悪影響を与える。FSDのベータ版早期アクセスにともなう秘密保持契約が、NHTSAの監督責任の遂行を妨げないことを保証するため、当局はテスラに対して添付の特別命令を発行する」。

なお、マスク氏は今週、Twitter(ツイッター)で、テスラが秘密保持契約の要求を取り下げることを示唆している。

イーロン・マスク氏へ。FSDベータ版の秘密保持契約が解除されました。

Whole Mars Catalog

パンチングロールによる提供を予定しています。

Elon Musk

しかしながら、NHTSAはさらなる情報を求めており、テスラは11月1日までに両方の要求に答える必要があると、同局は述べている。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

Tesla(テスラ)CEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月9日、ベルリンの新しいギガファクトリーで大パーティーを開催し、まばゆい照明とテクノミュージックから観覧車、回転木馬、アーケード、ベジタリアン・フード・トラックまでを揃えた会場で、環境保護団体による訴訟で紛争中の工場における生産開始を発表した。

「私たちは数カ月以内、基本的に11月か12月の生産開始を目指しており、最初の12月中に最初の車両を出荷できることを願っています」とマスク氏がイベントで話し、数千人のファンの喝采を浴びた。「ただし、生産の開始はどちらかというと簡単な部分です。難しいのは大量生産につなげることです」。

量産は週に5000台か「願わくば1万台」とマスク氏はいう。同工場ではModel Y、およびバッテリーセル数百万個を生産する予定だ。Teslaは、300ヘクタールの施設に隣接する50GWh(ギガワット時)のバッテリー工場に58億ドル(約6520億円)を投資する計画を提示しており、マスク氏は年内のバッテリーセル量産開始を約束した。Volkswagen(フォルクスワーゲン)が計画するザルツギッター工場の生産能力は40GWhを予定している。

ベルリン-ブランデンブルクのTeslaギガファクトリー建設は、2年前に例外的な手続きによって当局の承認を得たのち、環境の懸念から最終承認を妨げていた地元の反対にも関わらず、ほぼ完成している。マスク氏の法外なイベントからは、現地の人々を取り込もうとする意図が感じられ、 「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」で、新たな別世界の扉を開くために、独立記念日の祭典を行って土地を貸しているロシア人たちの票を獲得し注意をそらそうとしたクライン市長の漫画的な行動を思い起こさせる。

2021年6月、フィンランドの政党である緑の同盟とブランデンブルク自然生物多様性保護連合は、環境破壊の懸念から工場の塗装部門、鋳造部門、プレス部門の機械試験の即時中止を求める訴訟を起こした。 2020年、複数のNGOが近隣の絶滅危惧種のトカゲとヘビの自然生息地を保護するために差止命令を要求した。

地元民は、オンライン住民協議プロセスで検討されている800件以上の苦情を提出しており、10月14日に締め切られる、とBloomberg(ブルームバーグ)は伝えている。それが過ぎてから環境当局による最終決定が下される。

こうした反対にも関わらず、Teslaの工場が認可される可能性は95%だとブランデンブルク州経済相は言っている。このTesla工場は、現在ヨーロッパ全体から広く雇用しており、ドイツ東部の主要な景気刺激策であると見ている多くの政党が賛成している。

マスク氏は批判派に対し、工場の水の使用は「比較的少なく」、バッテリー生産は「持続可能」であると言って工場を擁護した。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏がテスラ本社のテキサス州オースティン移転を発表

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社の本社をカリフォルニア州パロアルトから、最近テック企業やリモートワーカーが急激に増えているテキサス州オースティンに移転すると発表した。マスク氏はこのニュースを、2021年のTesla, Inc.年次株主総会でアナウンスした。この総会は、例年のようにベイエリアではなく、Teslaのオースティンにあるギガファクトリーで行われた。

また、マスク氏は、Teslaは今後もカリフォルニア州での活動を継続的に拡大し、フリーモントのギガファクトリーの生産量を50%増加させると述べたが、どのようにしてそれだけの生産量増加を実現するかについては詳しく説明しなかった。同工場では現在、年間約50万台のModel 3(モデル3)とModel Y(モデルY)、さらに年間約10万台のModel S(モデルS)とModel X(モデルX)を生産することが可能だ。

Teslaは2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、必要不可欠とみなされない事業を制限して、カリフォルニア州フリーモントにある同社の製造施設を閉鎖するよう命じられたことをめぐり、同州アラメダ郡を提訴し、自分の事業を州外に持ち出すと脅していた。同社はわずか2週間後に訴訟を取り下げたが、マスク氏は確かに気が立っており、こうツイートした。「率直に言って、堪忍袋の緒が切れた。Teslaは今後、本社と将来のプログラムを直ちにテキサス州かネバダ州に移すだろう。もしフリーモントの生産活動を維持するとしても、それはTeslaが今後どのように扱われるかにかかっている。Teslaはカリフォルニア州に残された最後の自動車メーカーだ」。

関連記事:テスラ工場の再稼働阻止を受け「本社と将来の事業基盤をカリフォルニアからテキサスかネバダに移す」とマスク氏

マスク氏は今回の株主総会では、アラメダ郡とのドラマについては触れなかった。むしろ、テキサス州への移転は、労働者にとってよりアクセスしやすい場所にあることが理由の1つだとしている。

「家を買うのも大変だし、遠くから通勤せねばならず大変です」とマスク氏は述べた。「ベイエリアでは、工場の規模を大きくするのには限界がある。オースティンでは、工場は空港からものの5分くらい、ダウンタウンからは15分のところにあります」とも。

同氏は、Teslaはコロラド川に近いオースティンの敷地に「エコロジカルパラダイス」を建設することを計画していると述べた。

イベントの中でマスク氏は、Cybertruck(サイバートラック)に関する最新情報も提供し、2022年末に生産を開始し、2023年には「量産」すると述べた。Tesla Semi(セミ)とRoadster(ロードスター)は2023年末までに生産が開始され、それに続くことになる。

マスク氏は遅延の理由として、継続的な半導体不足を含む複数のサプライチェーン問題を挙げている。

「特にSemiは多くのセルが必要で、たくさんのセル(と)チップを必要とします」と同氏は述べた。

Teslaは2017年にSemiのプロトタイプを、そして2019年にCybertruckを発表したが、両モデルともその後度重なる延期に直面しており、常にサプライチェーンの問題が挙げられている。

関連記事:テスラがセミトラックの発売を2022年に延期、Cybertruckの遅延も示唆

マスク氏が車両生産の状況を説明する前に、株主総会ではさまざまな議案が決議された
Institutional Shareholder Servicesが反対票を投じたにもかかわらず、マスク氏の弟であるKimbal Musk(キンバル・マスク)氏、21st Century Fox(21世紀フォックス)の元役員でメディア界の大物Rupert Murdoch(ルパート・マードック)氏の息子であるJames Murdoch(ジェームズ・マードック)氏が取締役に再選された。

株主会は、2021年12月31日に終了する会計年度におけるテスラの独立登録会計事務所としてのPricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)の任命を批准することを含め、ほぼすべての議題についてTeslaの取締役会の提案を承認した。しかし、投資家たちは3つの提案項目について取締役会の勧告に反した。通常、株主らはTeslaが設定したラインに沿って投票するが、2021年、投資家たちはTeslaの取締役を3年ごとではなく1年ごとに再選に立候補させることを決議した。

また、株主総会では、Teslaが従業員の多様化に向けた取り組みについて、より詳細な情報を公表することを求める決議がなされた。これは、Teslaが、フリーモントにあるEV工場での差別や人種的虐待を容認していたと告発した元黒人契約社員のOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏に、1億3700万ドル(約151億円)の損害賠償を支払うよう命じられた2日後のことだ。

関連記事:テスラに人種差別訴訟で151億円の支払い命令

Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)が出資する責任投資会社Calvert Research and Managementの副社長兼コーポレート・エンゲージメント・ストラテジストであるKimberly Stokes(キンバリー・ストークス)氏は「多様性に富んだインクルーシブなチームがより多くのイノベーションを支えることは、リサーチで明らかになっています」と述べた。「Teslaの2020年DEIレポートには、投資家が同社のパフォーマンスを長期的に同業他社と比較するのに、十分な量的・質的情報がありません。この報告書で1つ明らかになったのは、Teslaの顧客基盤が進化し、より多様化している中で、マイノリティの従業員が過半数を占めているにもかかわらず、テスラのリーダーシップは83%が男性、59%が白人であるということです」とも。

Calvertの提案では、Teslaに対し、人種と性別の包括的な内訳を含む、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みに関する年次報告書の発行を求めている。

画像クレジット:Mason Trinca for The Washington Post / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMは「本当に手頃な価格のEV」でテスラの市場シェアを狙う

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、米国時間10月6日に開催した投資家向けイベントにおいて、フルサイズの電気自動車ピックアップ「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」を中心とした今後のEVポートフォリオを発表した。

GMはこれまでにも電気自動車「シルバラード」を発表していたが、今回の発表では、一部のモデルに固定式ガラスルーフを採用することや、2022年1月に開催されるCESでデビューするといったいくつかの追加情報を発表した。シルバラードは、Ford(フォード)のF-150 LightningやRivianのR1Tに続いて電動トラック(米国で最も売れている車種の1つであるにもかかわらず空席が目立っていた)分野に参入する。

しかしながら、GMがこのトラックをどのように販売し、どのような顧客を想定しているのか、その詳細はまだ明らかにされていない。「GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は、10月6日に行われたメディアブリーフィングで「誰をターゲットにするかは、トラックを見れば一目瞭然です。長年にわたってピックアップトラックに起こってきたマイクロセグメンテーションを見てみると、さまざまなユーザーがいます。我々がターゲットとするピックアップトラックの購買層は1つではありません」と述べている。

GMは自社ブランドであるChevy(シボレー)とBuick(ビュイック)のクロスオーバーに加え、GMC Hummer(GMCハマー)のピックアップとCadillac(キャデラック)のLYRIQ(リリック)クロスオーバーを発表した。これらの車両は、2025年までに350億ドル(約3兆8990億円)を電動化と自律走行技術に投資し、10年後までに収益を倍増させるという同社計画の一環となる。

これらの目標を達成するために、GMがどれ程度苦しい戦いを強いられるかはわからない。他の自動車メーカーと同じく、GMも第3四半期の売上高は惨憺たるものだったが、その理由として半導体の供給不足が続き、製造や車両の納入に支障をきたしていることを挙げている。レガシーな自動車メーカーとは対照的に、Tesla(テスラ)社の第3四半期における売上は非常に好調で、車両出荷台数と過去の台数の予想を上回っている。

しかし、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、テスラの顧客になりそうな人たちの一部を誘い出すために、手頃な価格のEV、つまり「人々にとって本当に手頃な価格のEV」を提供することを強調している。「私たちは、そのような顧客を魅了できると信じています」と述べている。彼女とルース氏は、GMには顧客のロイヤルティ、強力な製造能力、幅広いディーラーネットワークなど、EV市場で有利な立場に立つための利点があると付け加えている。

また、GMは、韓国のLG Energy Solutionsと提携して製造している「Ultium」バッテリー電気推進プラットフォームが、今後発売される車両の競争力を高めると考えている。例えば、電気自動車のシボレー・シルバラードの航続距離は400マイル(約643.7km)だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

米幹線道路交通安全局がテスラのバッテリー管理システム公式捜査の請願を却下

幹線道路交通安全局(NHTSA)は、ネット経由アップデートの欠陥が5台の車の火災を引き起こしたとする申し立てを巡り、Tesla(テスラ)のバッテリー管理ソフトウェアの公式調査を要求した2019年の請願を却下した。

同局が公式捜査を行わない理由の1つは、該当事象の過半数が米国外で起きているためである、と同局のウェブサイトに掲示された文書で述べられている。

NHTSAは評価の一環として、請願書に記載された2012年から2019年のModel SおよびModel X6万1781台に対する59件の苦情申立を検討した結果、却下を決定した。59件の苦情のうち、52件がバッテリー容量の減少を、7件がソフトウェアがアップデートされた後に充電速度が低下したことをそれぞれ主張していた。車のログデータによると、苦情の58%で車両の電圧制限ファームウェアが有効になっていたが、その後のアップデートによって当該車両のバッテリー容量は部分的あるいは完全に復旧したと報告書概要に書かれている。

同局は、最悪の事態が重なって2019年に中国で発生した2件の火災を引き起こしたことは認識している。それらの車両は直近に高速充電処理を完了し、バッテリーは高い充電状態にあり、バッテリー冷却システムが切断された状態で駐車されていた。2台の車には高負荷下で利用されていた履歴もあった。

Teslaのバッテリー管理システムに詳しい筋によると、もし本当に系統的なソフトウェア問題が存在したなら、5台をはるかに越える車が火災を起こしているだろうと語った。そのような稀少な事故は、製造上の物理的欠陥あるいは利用中の物理的損傷が原因である可能性が高い。例えばこの種の火災が発生した中国ではよくあるとNHTSAが指摘する、高速充電されたばかりの車に高い負荷をかけるような行為だ。

米国でも2件火災が起きているが、1件は高速充電の履歴がなく火災発生時に走行中だった車両によるものであり、もう1件は高電圧バッテリーシステムとの関連性がなかった。5番目の火災はドイツで発生し、車両は低い充電状態で長時間駐車されていた。

「米国内で高速充電に関連する事象が起きていないこと、および2019年5月以降同様の事象が世界中で起きていないことを踏まえると、この請願を許可した結果実施された捜査によって、安全に関係する欠陥の通知と改善に関わる命令が発行される可能性は極めて低い」と裁定は結論づけた。「よって、請願書に記載された情報、および安全に関わる潜在リスクを十分に検討した結果、本請願は却下された」。

報告書は、今回の請願が却下されたことに関わらず、将来安全に関わる欠陥が認められれば、同局がさらなる措置をとる可能性があることを示唆している。

NHTSAはこの請願を拒否したものの、これとは別にTeslaのソフトウェア「Autopilot」の捜査を今も継続している。高度な運転支援システムを有効にした車両が、非常灯を点滅させて駐車していた緊急自動車に衝突するなど、2018年以来死者1名負傷者17名を生む事故を起こしたのを受けたものだ。Teslaは10月22日までに詳細なAutopilotのデータを提出しないと1億1500万ドル(約128億5000万円)の罰金を課せられるが、同社の第2四半期の純利益11億4000万ドル(約1273億9000万円)を考えると軽いお仕置きだ。

関連記事:米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

画像クレジット:PIERRE-HENRY DESHAYES/AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

元テスラのCIOが率いる自動車小売プラットフォームTekionの価値が3倍に

1年前、TechCrunchは、元TeslaのCIOであるJay Vijayan(ジェイ・ヴィジャヤン)氏が追い求めている計画についてお伝えした。それは、彼がTeslaで開発に携わったような、エンド・ツー・エンドで自動化されたSaaSプラットフォームを使って、自動車ディーラーを21世紀に連れて行こうというものだ。顧客は、このプラットフォームを使って、自分の好みに合った車を注文することができる。ディーラーは、このプラットフォームを使って、リアルタイムで在庫を把握し、サービス予約のために顧客をシームレスにチェックインすることができる。OEMはこのプラットフォームを使って自社の部品がディーラーのどこにあるかを正確に把握することができる。

関連記事:テスラの元CIOが自動車ディーラー向けクラウドソフトビジネスの成長に向け160億円調達

ヴィジャヤン氏の説明によれば、このソフトウェアを導入することで、ディーラーとOEM企業の双方がコスト削減と効率化を図ることができるという。カリフォルニア州サンカルロスにある彼の会社Tekion(テキオン)も、この流れの重要な引率役を果たしているようだ。

ヴィジャヤン氏によると、同社の収益は2020年の3倍に成長し、Tekionのソフトウェアを使用しているディーラーの州数は28から39に増え、国際的な企業になるための計画の一環として、カナダで最初のディーラーとの仕事を始めたばかりだという。

これにより、シードステージにおける資金調達サイクルの第4ステージシリーズDで同社は2億5000万ドル(約278億円)の資金調達を発表し、評価額は1年前の10億ドル(約1114億円)から35億ドル(約3899億円)に、その資金総額は1億8500万ドル(約206億円)から4億3500万ドル(約484億円)に拡大した。このラウンドはAlkeon CapitalとDurable Capitalが共同でリードしており、その他の投資家には、現代自動車、米国内のいくつかのディーラーグループ、そして以前からの支援者であるAdvent InternationalとIndex Venturesが含まれている。

興味深いことに、2021年9月の新車販売台数を26%も減少させた世界的なチップ不足やその他の部品供給の混乱は、Tekionにとってはプラスの影響しか与えておらず、Morning Brewの最近の記事はその理由を以下のように述べている。

オハイオ州コロンバスにある自動車グループの社長に話を聞いたところ、在庫が不足しているため、チップ不足の前には4時間かかっていた販売が、今では52分で終了しているという。またこの品薄状態は利益を押し上げており、買い手は新品・中古品を問わずより高い価格で購入し、自動車小売業者は在庫が少ないことで営業コストを削減できるというメリットがある。

また、Tekionや競合他社の技術により、販売店は、品薄状態に耐えながら、車を長持ちさせたいと願っている消費者へのサービスをより迅速に行うことができるようになったと思われる。

実際、フロリダ州のフォートローダーデールにあるディーラーは、2020年の第1四半期と比較して2021年の第1四半期に利益が197%も急増したとMorning Brewに語っている。

「供給は少ないですが、需要は多いので、誰もがたくさんの利益を出しています」とヴィジャヤン氏はTechCrunchに語った。「ディーラーもOEMも、かなりのマージンを稼いでいます」。

また、Tekionは「そのような成長の中で非常に強い存在」であり、ヴィジャヤン氏は、在庫が需要に追いつき始める来年はさらに良い年になると予想している。

「来年のある時期には、市場にある程度の調整が入ると思います。そして、当社の技術プラットフォームは、ディーラーとOEMの両方が、どこにビジネスの焦点を当てるべきかという洞察を提供するために学習し、進化し続けるので、この修正をよりスムーズにナビゲートすることができると信じています」。

カリフォルニアとインドのベンガルールに拠点を置くTekionの成長は、大部分は自然なものであるようだ。自動車業界はマーケティングに莫大な費用をかけ、積極的な営業活動を行うことで知られているが、現在1350名の従業員のうち、営業を担当しているのはわずか17名である。「マーケティングには一切お金をかけていませんし、それはほとんど無視できる程度のものです。私たちは口コミで成長しています」。

BMWや日産・ルノー・三菱アライアンスと同様に、Tekionに早くから出資しているゼネラルモーターズと3月に契約を結んだことも、確実に同社に貢献している。

それぞれのフランチャイズが参加するかしないかを選ぶことができるものの、現在、GMのディーラーは、Tekionのホワイトレーベルのディーラー管理ソフトウェアを使用して、顧客がChevy、Cadillac、Buick、GMCブランドの電気自動車を簡単に購入できるようにし始めている。このプラットフォームは、ユーザーが近くのディーラーで特定のGM車を検索し、インターネット上で取引の一部を完了することができるGMの既存のShop. Click. Drive.プログラムに似ているものの、それ以上に優れた操作性を持っていると言われている。

少なくとも、シボレーの副社長は、2021年初めにAutomotive Newsとの会話の中で、このソフトウェアをGMの社内プログラムを「強化」したようなものであり「ゲームチェンジャー」であると表現していた。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Yuta Kaminishi)

テスラに人種差別訴訟で151億円の支払いを命令

Tesla(テスラ)は、カリフォルニア州フリーモントにある同社のEV工場で、差別や人種に関する誹謗を見て見ぬふりをしていたと告発した黒人の元従業員に対し、1億3700万ドル(約151億円)の賠償金の支払いを命じられたと、ワシントン・ポスト紙が報じた。サンフランシスコの連邦裁判所の陪審員は、2015年と2016年に契約社員として働いていたエレベーターオペレーターのOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏に、個人の人種差別雇用訴訟としては最大級とされる判決を下した。

ディアス氏は訴訟の中で「ジム・クロウ時代のような差別」に直面し、人種的な中傷を受けたと主張した。Teslaの従業員は、鉤十字の絵や人種差別的な落書き、侮辱的な漫画などを工場内のあちこちに残し、監督者は誹謗の阻止を怠っていたと主張している。「Teslaの先進的なイメージは、アフリカ系米国人従業員に対する屈辱的な扱いを覆い隠す飾りであった」と判決にある。

賠償金は、精神的苦痛に対して690万ドル(約7億5900万円)がディアス氏に支払われるが、大部分の1億3000万ドル(約143億円)はTeslaに対する懲罰的損害賠償だ。「米国で最も裕福な企業の1つが、自社工場での黒人に対する忌まわしい状況を清算しなければならないというのは、すばらしいことです」とディアス氏の弁護士であるLawrence Organ(ローレンス・オルガン)氏は話した。

「ここまでくるのに4年の歳月を要しました」とディアス氏はニューヨーク・タイムズ紙に語った。「肩の荷が下りたような気がします」。

Teslaの人事担当副社長Valerie Capers Workman(ヴァレリー・ケイパース・ワークマン)氏が判決を受けて書いたブログ記事の中で、同社は訴えを軽視した。「ディアス氏に加えて、他の3人の証人(いずれもTeslaの契約社員ではない)が、フリーモント工場のフロアで定期的に人種的な中傷(Nワードを含む)を耳にしたと裁判で証言しました」と同氏は書いている。「彼らは全員、Nワードの使用が職場では適切ではないことに同意していますが、ほとんどの場合、その言葉は『友好的』に使用されており、通常はアフリカ系アメリカ人の同僚も使用していると思われることに彼らは同意しています」。

Teslaは、ディアス氏の申し立てに対応して、2人の契約社員を解雇し、1人を停職処分にしたと付け加えた。そうした事実は判決を正当化するものではなく、同社は2015年と2016年の時点で「完璧ではなかった」ものの「大きな進展を遂げました」と述べた。同社は控訴するかどうか明らかにしていない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve Dent氏はEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ第3四半期の販売台数は半導体不足にもかかわらず過去最多24万1300台

Tesla(テスラ)は、この第3四半期に過去最多の24万1300台を販売した。世界的な半導体不足の影響で他の米自動車メーカーが販売減となる中で、予測を上回った。

米国時間10月2日の発表によると、Teslaが販売した車両の大半(96%ほど)は比較的新しいモデルのセダンModel 3とクロスオーバーのModel Yだった。販売車両のうち9275台はModel XとSだった。販売台数は第2四半期から20%増え、2020年同期比では73%増だった。

生産台数も増えた。第3四半期に同社は電気自動車23万7823台を生産し、こちらも過去最多となった。

同社のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は販売台数、生産台数で記録を打ち立てたことに対し、同社と従業員への賛辞をツイートした。そして別のツイートでマスク氏は「かなりの困難を乗り越えてきたサプライヤーとロジスティックのパートナーにも大変感謝しております」と書いた。

Teslaの業績は予想を上回った一方で、他の大手車メーカーの米国内の販売台数は落ち込んだ(Teslaの販売台数は世界合計であり、地域別のものは公表していない)。

GM(ゼネラル・モーターズ)が最も大きな落ち込みとなった。同社は10月1日、第3四半期の米国内の販売台数は44万6997台で、前年同期比33%減だったと発表した。同社は今夏、Chevrolet Bolt EVとEUV向けの半導体チップとバッテリーが不足し、いくつかの工場の操業を停止した。それらの工場はその後、再稼働した。

米国での販売減にもかかわらず、GMは「引き続き半導体不足とChevrolet Bolt EVリコールの影響の緩和を図っている」として、調整後の年間売上高予想115億〜135億ドル(約1兆4980億〜1兆2760億円)は維持している。

以前はFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)という名称だったStellantis(ステランティス)の米国の販売台数は18%減った。Ford(フォード)はまだ業績を発表していない。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラのバッテリー生産拠点「Megafactory」がカリフォルニアで着工

Tesla(テスラ)の大型バッテリーシステムMegapack(メガパック)を生産することからその名が付けられた新しい生産施設「Megafactory(メガファクトリー)」がカリフォルニア州で着工した。

これまで未発表だったこのニュースは、ラスロップ市のSonny Dhaliwal(ソニー・ダリワル)市長が、一度削除された後に再度投稿されたFacebookへの投稿で確認された。ダリワル市長は「Teslaの最新の拡張であるMegafactoryの本拠地になったことを誇りに思います」と述べている。「未来のグリーンエネルギーは、私たちのコミュニティで生産されることになります」。

カリフォルニア州北部の小都市ラスロップにあるこの工場は、フレモントにあるTeslaの自動車工場の近くにある。ラスロップには、Teslaの87万平方フィート(約8万平方メートル)の配送センターもある。

Megapackは、Teslaの他のエネルギーストレージ製品と同様に、ネバダ州スパークスにあるGigafactory(ギガファクトリー)で製造されていた。MegafactoryはMegapackに特化した最初の工場となるが、同社のPowerwall(パワーウォール)やPowerpack(パワーパック)など他のストレージ製品の生産が新工場に移行するかどうかは不明だ。

この新工場は、Teslaのエネルギー部門の成長を後押しするものだ。Megapackは、家庭用バッテリーであるPowerwallとは対照的に、ユーティリティースケールのエネルギーストレージを目的としている。太陽光発電所や風力発電所を建設する公益事業者は、余剰エネルギーを蓄えて後で送電するために、発電設備を大型バッテリーと組み合わせるケースが増えている。先週、アリゾナ州の電力会社Salt River Project(ソルト・リヴァー・プロジェクト)は、100メガワット時のMegapackプロジェクトを稼働させたばかりだ。

Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、2021年6月に行われた第2四半期の決算説明会で、これらのストレージ製品に対する「大きな需要」があることを確認し、Megapackは「来年まで基本的に完売した」と述べた。また、Powerwallの需要は年間100万台を超えると推定している。

マスクCEOは投資家に対して、ボトルネックの多くは単に生産能力の問題ではなく、セルの供給と世界的な半導体不足が生産量の上限を生み出していると語った。

「Powerwallには、自動車と同じチップがたくさん使われているので、どちらを作りたいのかという状態になります。クルマを作らなければならないため、Powerwallの生産量は減っているのです」という。

しかし、チップ不足は一向に解消される気配がなく、実際、ホワイトハウスは米国時間9月23日に、テクノロジーおよび自動車産業への継続的な影響に対処するため、半導体メーカーおよび購買担当者との2回目のサミットを開催する予定だ。

画像クレジット:Sonny Dhaliwal

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Yuta Kaminishi)

MITがテスラ車ドライバーは「オートパイロット使用時に注意散漫になる」研究結果を発表

今週末までには、数千人のTesla(テスラ)車ユーザーが、同社の「Full Self-Driving(フル・セルフ・ドライビング)」と呼ばれる機能の最新ベータ版ソフトウェア(バージョン10.0.1)を、公道で試すことになる可能性がある。だが、米国の規制当局や連邦政府は、いくつかの顕著な事故が起きていることを踏まえ、このシステムの安全性を調査している

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テスラの「FSD」や「Autopilot(オートパイロット)」システムは、名前から想像するのとは違い、実際には完全な自動運転が可能なシステムなどではなく、いわゆる先進運転支援システム(ADAS)に過ぎない。マサチューセッツ工科大学(MIT)は、このシステムが実際にはそれほど安全ではないのではないかという懸念を裏づける新しい研究結果を発表した。人間のドライバーが開始させた同社の運転支援システムが解除されるエポックのデータ290件を調査した結果、部分的にこのシステムを使用している場合、ドライバーが不注意になる傾向があることがわかった。

「視覚的な行動パターンは、『Autopilot』の解除の前後で変化する」とこの研究報告には書かれている。「システム解除前のドライバーは、手動運転に移行した後と比較して、路上を見る回数が少なく、運転に関係のない領域に集中している。手動運転に切り替わる前は、視線が道路から外れている割合が大きく、より長く前方に視線を向けて補われることはなかった」。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOによれば、(オプションとして設定されている)FSDソフトウェアを購入したすべての人が、より多くの自動運転機能を約束するこの新しいベータ版を利用できるわけではないという。テスラはまず、ドライバーが十分な注意力を維持していることを確認するために、テレメトリーデータを使って、7日間にわたって個人の運転指標を取得する。このデータは、所有者の車両を追跡する新しい安全性評価ページにも使用される可能性がある。このページは保険にリンクされる。

MITの研究は、ドライバーがテスラのAutopilotシステムを推奨通りに使用していない可能性があることを示すものだ。Autopilotには交通状況に合わせて機能するクルーズコントロールや、自動的にハンドルを制御するオートステアリングなどの安全機能が搭載されているため、ドライバーは注意力が低下し、ハンドルから手を離すことが多くなる。このような行動が起きるのは、ドライバーがAutopilotの機能やその限界を誤解していることが原因である可能性があり、この機能がうまく働くほど、それらの誤解は強化される傾向があることを研究者たちは発見した。タスクが自動化されたドライバーは、視覚的・身体的な注意力を維持しようとすると自然と飽きてしまい、それがさらに不注意を生むと、研究者たちは述べている。

「A model for naturalistic glance behavior around Tesla Autopilot disengagements(テスラオートパイロット解除時の自然な視線の行動モデル)」と題されたこのレポートは、テスラの「Model S(モデルS)」および「Model X(モデルX)」のオーナーの日常生活を、1年以上にわたってボストン全域で追跡調査した後にまとめられたものだ。調査対象となった車両には、CAN-BUSとGPS、そして3台の720pビデオカメラから継続的にデータを収集する「Real-time Intelligent Driving Environment Recording(リアルタイム・インテリジェント運転環境記録)」データ収集システムが搭載されていた。これらのセンサーは、車両の運動、ドライバーと車両制御装置の相互作用、走行距離、位置情報、ドライバーの姿勢、顔、車両前方の景色などの情報を提供する。MITは約50万マイル(約80万キロメートル)分のデータを収集した。

この研究に関わった研究者たちは「自然主義的なデータに基づき、自動運転下におけるドライバーの注意力の変移の特徴を理解し、ドライバーが運転タスクに十分に従事し続けるためのソリューションの開発を支援することができる」という視線行動のモデルを作り上げた。これは、ドライバー監視システムが「不規則な」視線に対処するために役立つだけでなく、自動化がドライバーの行動に及ぼす安全上の影響を研究するためのベンチマークとしても利用できる。

Seeing Machines(シーイング・マシーンズ)やSmart Eye(スマート・アイ)のような企業は、すでにGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Ford(フォード)などの自動車メーカーと協力して、カメラを使ったドライバー監視システムを、ADAS搭載車に導入するだけでなく、飲酒運転や運転障害による問題にも対応している。技術はすでに存在しているのだ。問題は、テスラがそれを使おうとするかどうかである。

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画像クレジット:Bloomberg / Contributor under a license.

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラの「フル セルフドライビング」のベータ版ソフトは運転成績が良い者だけが使える

Tesla(テスラ)のCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏によると、同社は今後、個人の運転データを利用して、議論を呼んでいる同社の「フル セルフドライビング」(FSD)ソフトを購入したオーナーが、より多くの自動運転機能を約束する最新のベータ版にアクセスできるかどうかを判断するために、個人の運転データを使用するという。

米国時間9月16日夜のマスク氏のツイートによると、FSD Beta v10.0.1のソフトウェアアップデートはすでに一部の選ばれたオーナーに公開されているが、9月24日からより広く利用可能になるという。

現在1万ドル(約110万円)のFSDにお金を払っているオーナーは「ベータリクエストボタン」によりベータソフトウェアにアクセスできる。マスク氏のツイートによると、ベータソフトウェアをセレクトしたドライバーは、Teslaの保険計算アプリにより自分の運転行為にアクセスする許可を求められる。

「運転が7日間良好であれば、ベータ版へのアクセスが認められる」とツイートでは述べられている。

Teslaの車両には、「Autopilot(オートパイロット)」と運転支援システムが標準で装備されている。さらに1万ドルを払うと、オーナーは「フル・セルフドライビング」すなわちFSDを購入できる。FSDは、いつか完全な自律走行を実現するとマスク氏が繰り返し約束しているソフトウェア

絶えず値上げが行われているFSDは、その度に機能が増えている。これまで何年間もオプションとして提供されていたが、Teslaの車両は自動運転車ではない。FSDには駐車機能の「Smart Summon」と、オートパイロットにもある「Navigate」がある。これはハイウェイのオンランプやオフランプに導く常時動いているガイダンスシステムで、インターチェンジや車線変更のガイドもする。

最新のFSDベータ版は、高速道路や市街地での運転を自動化するという。しかし、これはレベル2の運転支援システムであり、ドライバーは常に注意を払い、ハンドルから手を離さず、コントロールする必要がある。このベータ版ソフトを使用したオーナーの体験談が投稿されているが、その能力についてはさまざまな意見がある。ある動画では、車両は市街地走行をこなしているが、多くの動画では、曲がり損ねたり、縁石に近づきすぎたり、前に進まなかったり、あるケースでは歩行者に向かって急に逸脱したりして、ドライバーがコントロールしている様子が見られる。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラが規制当局の監視下にある中国でイーロン・マスク氏は同国自動車メーカーを称賛

中国で開催されたWorld New Energy Vehicle Congress(WNEVC)に事前収録で参加したElon Musk(イーロン・マスク)氏は、珍しく原稿どおりのスピーチの中で、中国の自動車メーカーに対して融和的かつ賛辞的なコメントを述べ、米国での発言スタイルとは一線を画した態度を取った。

「中国の多くの自動車メーカーがこのような(EVやAV)技術を牽引していることに大きな敬意を表します」と、後ろの窓にリングライトが映り込んでいる部屋から同氏は語った。もしかしたらクライシスコミュニケーションの専門家がフレームの外にいて、彼に準備した発言を続けるように促しているのではないかと疑ってしまいそうな光景だった。

しかし、おそらくマスク氏に外からの働きかけは必要ないだろう。中国は電気自動車においては世界で最も収益性の高い市場の1つであり、2020年のTesla(テスラ)の売上高全体の約5分の1(66億6000万ドル、約7321億円)を占めている(規制当局への提出書類による)。

米国は引き続きTeslaの最大の市場のひとつだが、同社は2019年に上海ギガファクトリーを開設して「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」を製造するなど、中国での事業拡大を積極的に進めている。Teslaは、EVスタートアップ企業であるXpengXpeng(シャオペン、小鵬汽車)や、検索大手企業のBaidu(バイドゥ、百度)など、中国の自動車メーカーとの競争に直面している。

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「私の率直な見解は、中国の自動車メーカーは世界で最も競争力があるということです。ソフトウェアを得意とする企業が揃っており、設計から製造、そして特に自律走行まで、自動車産業の未来を最も形作るのはソフトウェアです」とマスク氏はメッセージの中で述べた。

世界で最も人口の多い国のEV市場への参入は最初は波乱含みだったが、Teslaはそれを好転させることに成功した。2020年、Tesla Model 3は中国で最も売れたEVとなった。また、Teslaは中国以外の自動車メーカーで唯一、現地法人の完全所有を認められており、同国では前例のない自治権を得ている。それは、マスク氏が過去に公の場で指摘した事実だ。

2020年のBattery Dayイベントで、マスク氏はこう述べていた。「中国に100%自社工場を持つ唯一の外資系メーカーであることは、非常に注目に値すると思います。このことはあまりよく理解されず、評価もされないことが多いのですが、中国に唯一の100%出資の外資系工場を持つことは本当に大きな意味があり、それが多大な利益をもたらしているのです」。

そうは言っても、すべてがバラ色というわけではない。2021年に入ってからは、消費者と規制当局の両方から否定的な報道が相次ぎ、2月には中国政府当局が車両の安全性に関する懸念から同社の幹部を召喚して会議を開いたこともあった(これに対してテスラは「政府部門の指導を真摯に受け止め、事業運営上の欠点を深く反省している」と述べた)。

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その後、4月に開催された上海モーターショーで、Tesla車のオーナーだという女性が同社に抗議する事件が起きた。Bloombergはその数ヵ月後、Teslaがさまざまな悪いPRと闘うために、中国のソーシャルメディアのインフルエンサーや自動車業界の出版物と関係を築こうとしていると報じた。

また、マスク氏はこの事前に録画された挨拶の中で、自動運転車とデータセキュリティに関する質問に答え、それは「一企業の責任だけでなく、業界全体の発展の礎となるもの」だと述べた。この問題は、中国軍がその施設にTesla車を駐車することをドライバーに禁止したというニュースが出た後、特にセンシティブな話題となっている。Tech Wire Asiaが報じたところによると、中国は8月、コネクテッドカーにおけるデータセキュリティの強化を目的とした新しい規制を発表した。Teslaをはじめ、Ford(フォード)やBMWなどの自動車メーカーは、中国国内に現地データストレージセンターを設立する動きを見せた。

「Teslaは、インテリジェントなコネクテッドカーのデータセキュリティを確保するために、すべての国の国家当局と協力していきます」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:JayInShanghai

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

テスラ共同創業者が設立したバッテリーリサイクルRedwood Materialsが事業拡大、バッテリーの材料も生産

元Tesla(テスラ)共同創業者のJB Straubel(JB・ストラウベル)氏がバッテリーの循環サプライチェーンを作ることを目的に興した会社Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)が事業を拡大する。主にリサイクル会社として知られてきたが、同社は米国で重要なバッテリー材料を生産することでサプライチェーンを単純化する計画だ。

そのために同社は現在、10億ドル(約1100億円)かけて新設する広さ100万平方フィート(9万3000平方メートル)の工場のための場所を探しているとBloombergは報じた。工場はリチウムイオンバッテリーの重要な構成要素である陰極箔と陽極箔の生産に特化する。年間生産量は2025年までに最大100ギガワットアワーとなる見込みで、これは電気自動車100万台に使うのに十分な量だ。

しかしそれですべてではない。2030年までに同社は年間のバッテリー材料生産を500ギガワットアワーに増やす計画で、これは電気自動車500万台を走らせるボリュームだ。

こうした数字は驚くほど野心的なものだ。Redwoodがそれをやってのけることができるなら、大半がアジアにある世界最大の材料企業と互角に張り合えることになる。カソードサプライチェーンを米国に集積し、一定割合でリサイクル材料を使用すれば、バッテリーパック生産にともなう二酸化炭素排出を41%抑制するかもしれない、とBloombergNEFは推計した。

画像クレジット:Redwood Materials

Redwoodはリサイクル事業の拡大を計画しているが、リサイクルだけで生産に関するこの数字は達成できない。同社はリサイクルされたバッテリーと、持続可能な方法で採掘された材料からカソードとアノードを生産する、と声明文で述べた。差し当たり、同社はこの新たな冒険のパートナーに関しては沈黙したままだが、今後、提携と事業拡大についての発表があるだろう。

今回のニュースは、何カ月もの間、積極的に拠点拡大に取り組んできた同社の最新の大胆な動きだ。2021年夏の初めにRedwoodは、ネバダ州カーソン・シティの広さ15万平方フィート(約1万4000平方メートル)のリサイクル施設の規模を3倍に拡大する、と述べた。同社はまた、ネバダ州スパークスに立地するTeslaとPanasonic(パナソニック)のギガファクトリーに近い100エーカー(約40万平方メートル)の土地を購入した。このニュースのすぐ前には、シリーズCラウンドで7億ドル(約770億円)をBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のBreakthrough Energy Ventures、AmazonのClimate Pledge Fund、 Baillie Gifford、Goldman Sachs Asset Managementといった主要投資家から調達した。この資金調達によりRedwoodのバリュエーションは37億ドル(約4060億円)になった。

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画像クレジット:Redwood Materials

同社はTesla、Amazon、電動バスメーカーのProterra、電動自転車メーカーのSpecialized Bicycle Componentsとリサイクル取引を結んでいる。Redwoodはリチウムや銅、ニッケル、コバルトなどの重要な材料の95〜98%をリサイクルバッテリーから回収することができる、と話している。

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画像クレジット:Redwood Materials

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラはテキサス州の中絶禁止法に対して声を上げるべきだ

9月第1週目の週末、ある読者が編集部に宛てて、テキサス州が先週可決した中絶禁止法について、なぜテック企業が声を上げるべきなのかを礼儀正しく尋ねてきた。

この読者は「アメリカン航空が中絶と何の関係があるのか」と述べ、企業が中絶賛成派と中絶反対派の両方に対応することは不可能であり、自分たちのビジネスとは無関係な問題に立ち向かうことを求めれば、米国の政治化を助長するだけだとの見方を示した。

この見方は広く受け入れられている。米司法省は米国時間9月10日、この法律に異議を唱える決定を下し、Merrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官が「明らかに違憲である」と表現したことは、その見方を補強するものだ。結局のところ、ローンスター・ステート(テキサス州)で起こったことに反発すべきなのは、企業ではなく議員なのではないか、ということだ。

だが、テック企業、特にTesla(テスラ)が陰から現れ、この法律を打破すべき理由は他にもある。

妊娠中絶の制限が雇用側の医療費増加につながることは事実だが、テキサス州の法律がテック企業に特に大きな影響を与えるとすれば、雇用へのインパクトだ。社会的企業であるRhia Venturesの調査によると、女性の60%が、中絶へのアクセス制限を試みる州で職につくことを躊躇すると答えている。男性は、かろうじて過半数が同じ回答だった。

テキサス州の中絶禁止法はまた、テック企業に警鐘を鳴らす超法規的な執行メカニズムを生み出す。新法は、中絶手術を行った人だけでなく、故意か否かを問わず、女性が中絶をするのを手助けした人を、その中絶と直接の関わりをもつかどうかにかかわらず、私人が訴えることができる。さらに、原告が勝訴した場合、多額の金銭的な見返りを得る。各被告は1万ドル(約1億1000万円)に加え、関連費用や原告の弁護士報酬を負担することになる。

この判例が、消費者のプライバシーなど、テック企業が関わる問題に適用された場合を想像して欲しい。ヒューストン大学法律センターのSeth Chandler(セス・チャンドラー)教授は、米ABCニュースで今週次のように話した。「SB8(中絶禁止法)が開発したレシピは、妊娠中絶に限られるものではありません。人々が好まないあらゆる憲法上の権利に利用することができるのです」。

テック企業は、テキサス州の妊娠中絶の議論に横槍を入れることは、政治的には電線に触れるのと同じことだと主張するかもしれないし、その見方に共感するのは簡単だ。Pew Research(ピューリサーチ)によると、米国の約10人に6人が「すべての場合、またはほとんどの場合、中絶は合法であるべきだ」と答えているそうだが、どちらの側も感情が高まっている。

それでも、企業はこれまでも物議を醸すような問題に対し、自社の価値観を守るために安全を確保しつつも立ち上がってきたし、企業の圧力が有効であることも示してきた。2016年には、Apple(アップル)やCisco(シスコ)、そしてアメリカン航空を含む約70社の大手企業が、トランスジェンダーの人々が自分の性自認に合った公共トイレの使用を禁止するノースカロライナ州の法律を阻止する法的活動に参加した。この法律は「不当な差別」を容認するものであり、企業の多様な労働力を確保する能力を損なうと主張したのだ。厳しい経済的影響に直面し、2017年までにこの禁止法案は撤回された

Lyft(リフト)、Uber(ウーバー)、Yelp、(イェルプ)Bumble(バンブル)などのひと握りのCEOらは、すでにテキサス州の新法に反対する、公的にはっきりとした立場をとっている。一方、Salesforce(セールスフォース)は9月10日、Slackメッセージで従業員に、もし自分自身やその家族が今、リプロダクティブ・ケア(妊娠・出産・避妊などに関するケア)にアクセスできるかどうかを心配しているのであれば、会社は引っ越しを支援すると伝えた。

Teslaのような企業は、同州の政治にさらに大きな影響を与える可能性がある。Elon Musk(イーロン・マスク)氏による同州への移転は、当地のテックシーンにおける関心に火をつけた。テキサス州のGreg Abbott(グレッグ・アボット)知事は、マスク氏の影響力を強く認識しており、新法が成立した翌日には、マスク氏が同州の「社会政策」を支持していると述べた。

スターベースと呼ばれる新都市を建設する計画や、Tesraが地域の電力会社になる計画など、テキサス州で多くの金銭的な利害関係があるマスク氏は、これまでのところ、この法律についての見解を明らかにしていない。この問題について聞かれ「一般的に、政府は国民に自分の意志を押し付けることはまずすべきではなく、そうする場合には国民の累積的な幸福を最大化することを目指すべきだと考えています」と答えた。また「政治には関わりたくない」とも述べた。

その考えは間違っている可能性がある。フロリダ州やサウスダコタ州など、少なくとも7州の議員や幹部が、テキサス州の新法をクローズアップして検討しており、同様の法令を検討していると述べているからだ。

2019年5月には、Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏やBloomberg(ブルームバーグ)のPeter Grauer(ピーター・グラウアー)氏を含む200人近くのCEOが、中絶禁止はビジネスに悪影響を及ぼすと宣言するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告に署名した。広告には「中絶を含む包括的なリプロダクティブ・ケアへのアクセスを制限することは、従業員や顧客の健康、自立、経済的安定を脅かす」とある。

もしマスク氏が、政府は「国民に自分の意思を押し付けることはない」と本当に信じているのなら、連邦政府が長期にわたる苦しい戦いをしている間に、テキサス州でも公の場に立つべきだ。そうすることで同氏が失うものはほとんどなく、得るものは大きい。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

New York Times紙によると、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)はTesla(テスラ)に対し、同社の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の詳細データを10月22日までに提出しなければ、最大1億1500万ドル(約126億円)の罰金を科すと命じた。NHTSAは8月に、Autopilotを作動させたテスラ車が、駐車中のライトを点滅させた救急車両に衝突した事件を調査していることを発表している。同局は当初、2018年以降に合計17人の負傷者と1人の死亡者を出したこのような11件の事故を挙げていたが、先週の土曜日に12件目の事故が発生したばかりだ。

NHTSAは、この電気自動車メーカーに送った書簡の中で、同社の運転支援システムがどのように機能するのかについて、詳細な情報を提供するように指示した。Autopilotが作動している間、人間のドライバーが道路から目を離さないことをどうやってチェックしているのか、また、場所によってAutopilotの機能に制限が加えられるかどうかということを、NHTSAは知りたがっているのだ。連邦政府は長い間、テスラが人間のドライバーにハンドルから手を離させないようにする安全装置を備えていないと批判してきた。数カ月前、同社はようやく「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」のリアビューミラーの上に取り付けられたカメラを作動させ「Autopilot作動中のドライバーの不注意を検知して警告する」ようにした。Autopilotは高速道路での使用のみを想定しているものだが、ドライバーが一般道路でAutopilotを使用することを妨げるような仕組みは何もない。

NHTSAは、Autopilotの詳細なデータに加えて、テスラが米国で販売した車両の台数についても情報を求めている。さらに同社が関与したすべてのAutopilot関連の仲裁手続きや訴訟、Autopilotに関して顧客から受けたすべての苦情についても知りたいとしている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

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画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラのRoadsterの出荷は早くても2023年、イーロン・マスク氏がほのめかす

生産・出荷がずれ込んでいるTesla(テスラ)車両リストにRoadster(ロードスター)を加えよう。​​CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は9月1日、パフォーマンスEVのRoadsterは、以前発表されていた2022年出荷に間に合わないだろうと述べた。「2021年はかなりクレイジーなサプライチェーン不足の年でした。ですので、もし17の新プロダクトの全てが出荷されなくても問題ではないでしょう」とRoadshow見つけたツイートの中で述べた。Roadsterは2023年に出荷されるはずだとマスク氏は付け加え、「おそらく2022年にドラマは展開されない」とも書き込んだ。

Teslaは次世代Roadsterを2017年に発表した。当時、同社は2020年にデビューさせる予定だった。その2020年は同社がスーパーカーについて大した情報を共有することなく過ぎ去った。そして2021年初めにマスク氏はRoadsterの生産が2022年に始まるかもしれないと述べた。Roadsterの生産が実際に始まるかは、大きな「もし」がつく。Tesla Semiの生産を遅らせている世界的なチップ不足は2023年まで続くことが予想されていて、マスク氏のツイートはさらにずれ込む可能性をほのめかしている。

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画像クレジット: Tesla

編集部注:この記事はEngadgetに掲載された。筆者Igor Bonifacic氏はEngadgetの寄稿者。

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nariko Mizoguchi

マスク氏の地下交通システム「Loop」は約束した無人ではなく運転手必須のテスラ「オートパイロット」を採用

正式公開から2週間足らず、The Boring Company(ザ・ボアリング・カンパニー)がラスベガスで運営するLoop(ループ)システムに初のセキュリティ侵害が発生した。

6月21日、Internationl Beauty Show(インターナショナル・ビューティー・ショウ)最終日の午前、地下を走行する同システムのTesla(テスラ)車団に「無許可車両」が侵入したことが、Loopの運営管理者とクラーク郡当局で交わされたメールでわかった。当該メールはTechCrunchが情報開示法に基づいて入手した。

一連のメールには、侵入事件以外にもLoopの運用に関する新たな詳細が記されていた。システムの非Teslaの電気自動車への驚くべき依存、Tesla車両に運転支援システムであるAutopilot(オートパイロット)の使用を許可する計画、および社内でテクノロジーが自律システムではないと位置づけられていることなど。

The Boring Company(TBC)はラスベガス市警察に侵入事件の捜査を依頼した。「無許可車両のドライバーは協力的で最終的にシステム外へと誘導された」とあるメールに書かれていた。

セキュリティ侵害による負傷や死亡はなかったが、TBCにとってなんとも不名誉な事件であることは間違いない。同社は5300万ドル(約58億2000万円)をかけた同システムのセキュリティと安全性をLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)に売り込んでいた。

TBCとLVCCの間で結ばれた経営合意によると、システムは「偶発的、悪意による、あるいはその他の無許可車両のトンネル内侵入を防ぐための物理的障壁」を備えることになっていた。システム進入路の防犯ゲート、地上駅を囲う数十基のコンクリート製車止めポールなどだ。

TBCもLVCCも、本事象に関する問い合わせに答えていない。TechCrunchはいずれかの回答が得られ次第本稿を更新する予定だ。

オートパイロットにチャンス到来

TechCrunchが入手したメール群は、スリルを求めた侵入者以上の情報を提供している。

そこにはTBCがLVCC Loopを走るTesla車の台数を62から70に増やし、Teslaのオートパイロットテクノロジーの使用を許可する計画の詳細が書かれている。これまでTBCは、全車両の運転支援テクノロジーを無効化し、人間ドライバーに操作させている。

新たな運用計画では、7つのアクティブセーフティ技術として、自動緊急ブレーキ、前方・側方衝突警報、障害物対応加速、死角監視、車線逸脱抑制、緊急車線逸脱警報、および2つの「フル・オートパイロット」技術である、車線中央維持と交通量感知型クルーズコントロールの仕様を要求している。

TBCがオートパイロット利用の必要性を説明するためにネバダ州クラーク郡の建築物・防火局に送ったレターをTechCrunchが他のメールとともに入手した。

TBCのプレジデントであるSteve Davis(スティーブ・デービス)氏は、当該機能を無効化することは「実績ある公道仕様技術」から「積極的に安全レイヤーを取り除く」ものであると書いた。デービス氏は「Tesla車でオートパイロットを作動させていたドライバーは、オートパイロットあるいは能動的安全機能を使用していなかったドライバーと比べて走行1マイルあたりの衝突が1/4以下だった」というTeslaの2021年第1四半期安全レポートの記述を引用した。「ここで明らかにされているように、Tesla車のこれらの機能を無効化することは事故の可能性を高めるものです」とデービス氏は書いた。

しかし、幹線道路交通安全局(NHTSA)は先週、いくつかの衝突事故を受けて同テクノロジーの正式な安全調査を開始した。

クラーク郡建築物・防火局責任者のJerry Stueve(ジェリー・スチューブ)氏はメールで次のように返信した。「我々はこの件を検討する予定ですが、『autodrive』(自動運転)という用語の定義とそれに何がともなうかをより明確にしていただければ、当部におけるこの要望の評価に役立つと思われます」。

「『オートパイロット』という用語がしはしば曖昧であり、車両とシナリオによって多くの異なる意味をなしうることに同意します」とデービス氏は返信した。(ここでデービス氏は上司であるElon Musk[イーロン・マスク]氏と意見を異にしているようで、マスク氏はオートパイロットの名前に対する批判に対して、誤解を与え「ばかげている」と反論している)。

「これらは『自律走行車』(autonomous)でも『自動運転車』(self-driving)でもありません」とデービス氏は続けた。「Teslaのオートパイロットと能動的安全機能を利用することで運転中の安全性に新たなレベルを加えることができますが、この機能を利用するためにはいつでもハンドルを取り戻せる十分注意深いドライバーが常に必要です」。

オートパイロットvs自律走行運転

TBCがLVCCに初めてLoopシステムを売り込んだ時の約束と矛盾することもあり、この区別は非常に重要だ。2019年、工事契約署名前に提出した地上利用申請書でTBCは次のように書いた。「Tesla Autonomous Electric Vehicles(AEVs、テスラ自律走行電動自動車)は高速、地下トンネルの乗客を3か所の地下駅まで運びます」。

2019年7月の計画書には「自律走行電動自動車の地下トンネルにおける活用は、既存の建造物や輸送システムに関わる妨害や対立を最小限にする独自の輸送ソリューションです」と書かれている。以来、同社は他の申請書類に同じような文言を使用しており、ラスベガス地域に数十の駅を設置する提案書も同様だ。

2021年1月、TechCrunchはLVCCとTBCの間で交わされた経営合意文書を入手し、そこにはこう書かれていた。「LVCCがPeople Mover Systemを購入した理由の1つはPeople Mover System車両の自律走行する能力にある【略】本契約書は、システムが有人運転を自律走行に切り替え、2021年12月31日までに、価格交渉を前提に、この変更を運用に織り込む意志があることを認識している」。

その期日はほぼ間違いなく守られない。2021年6月、スチューブ氏はデービス氏に次のように話した。「プロジェクトのはじめに話したように、自律走行運用の承認には、大がかりな監視、試験、検証が必要です。このプロセスには非常に多くの時間がかかります」。

それに答えてデービス氏は「私たちが自律走行あるいは自動運転の機能、運用を要求していないことを明らかにさせていただきたい」と述べている。

Loopの中の人間たち

問題は2つある。第1はTeslaのオートパイロットシステムが当面、ドライバーなしでは完全な動作ができないこと。第2は、おそらくもっと深刻で、Loopは国の標準が定める地下輸送システムの安全要求を満たすために、強くドライバーに依存していることだ。その種のシステムの乗客は、モノレールであれ電動車を使う地下的であれ、停電、火災、洪水などの非常時の安全が保証されなくてはならない。

TechCrunchがメールとともに入手したLVCC Loopの設計文書にはこう書かれている。「(我々の)訓練されたドライバーはシステムの安全面で重要な役割を果たします。緊急時にドライバーが乗客を適切に安全な場所に誘導する行動は、主要なリスク軽減措置です」。

TechCrunchが入手したいくつかの文書がこれを裏づけている。火災の際、ドライバーは「乗客の降車を補助し、歩ける乗客を最も近い出口に誘導する。ドライバーは口頭で指示を与える他乗客を身体的に補助すること場合もある」。ドライバーが乗客を率いて歩く場合「頻繁に振り返って全員がすぐ後に続いていることを確認する」。

ドライバーは、手に負えない問題がある乗客の判定と対応に責任を持ち、オートパイロット自体の動作状況の監視も行うとTBCはいう。「Loopにはドライバーが同乗し、能動的安全機能の使用を監督して必要に応じてブレーキや操舵を取って代わる人間が常に存在することを保証します」とデービス氏が6月に述べている。

TechCrunchが入手した数十件の文書と数百通のメールの中に、LVCC Loopの将来拡張の詳細や、TBCが完全自律走行に移行する方法や日程について書かれたものは1つもない。

Loopが米国土木学会の定める自律走行システムの安全原則に合致しているかについての質問に対して、TBCは次のように回答した。「自律走行運用に特有の基準はLVCC Loopには当てはまりません、なぜなら当システムは車両を操作するドライバーを有するからです」。

果たしてTBCがクラーク郡に伝えていることが、あるいはLVCCに伝えていることが、将来のLoopの運行にどれほど近いものなのかを知るには、時を待つしかない。

ちなみに、もしLoopの車両がまだドライバーレスではないのなら、LVCCはせめて全車両がTesla最新のモデルになると期待できるのか?おそらく違うだろう。

Loopのもう1つの要件は、米国障害者法(ADA)を遵守していることだ。クラーク郡担当者への7月のメールで、TBC幹部は、LVCC LoopのためにTesla以外のADA準拠電動車を購入する予定であることを明かした。

メールに具体的モデル名は書かれていなかったが、短距離用鉛酸蓄電池を備え、Tropos Motors(トロポス・モーターズ)の電動多目的車、Able(エーブル)と同じ仕様だ。この件に関してTroposもTBCも質問への回答はない。

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画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラがテキサス州での電力販売を計画

8月中旬にテキサス州の電気規制当局に提出された申込書によると、Elon Musk(イーロン・マスク)氏のTesla(テスラ)は電気自動車、ソーラーパネル、蓄電バッテリー以外にも目を向けていて、いま顧客に直接給電したいと考えているようだ。この申し込みについてはEnergy Choice Mattersが最初に報じた。

2021年8月16日テキサス州の公共事業委員会に提出された申込書は、Teslaの子会社Tesla Energy Venturesのもとに、いわゆる「電力小売事業者」(REP)になるためのものだ。規制緩和されたテキサス州独自の電力マーケットでは、REPは通常、発電事業者から卸電力を購入し、顧客に販売する。現在、REP10社以上が公開市場で競合している。

Teslaはまた、同州でいくつかの実用規模バッテリーの申し込みも提出した。オースティン周辺に立地するギガファクトリー近くにある250メガワットバッテリーとヒューストン近くの100MWのプロジェクトだ。これらのプロジェクトは電力供給会社になるという取り組みとは関連がないが、全体として同社のエネルギー事業の野心的なロードマップを露わにしている。

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想像して欲しい。Teslaが顧客に電気を販売するだけではなく、ブローカー顧客がTeslaのPowerwallやソーラーパネル製品からの余剰エネルギーを電力網に販売できるかもしれないのだ。明らかに、あらゆる家庭を分散型発電所に変えるというマスク氏のビジョンを実現する1つの方法だ。

公共事業委員会へのこの最新の申し込みの6カ月前、前代未聞の大雪によってテキサス州の送電網の大半が何日間も停止し、何百万人という人が氷点下の数日間を電力なしで過ごすことを余儀なくされた。このウィンターストーム後にREP数社が事業をたたんだ。こうした企業は卸電力の価格をメガワットアワーあたり9000ドル(約99万円)にしていた(季節平均価格は約50ドル、約5500円だ)。

ボカチカにあるSpaceXの広大な施設を含め、多くの事業をカリフォルニアからテキサスに移したマスク氏は当時、Twitterでテキサス州の送電事業者を批判していた。

マスク氏は、テキサス電気信頼性評議会は「Rを獲得していない」と述べ、頭字語でR(Reliability、信頼性)に言及していた。

Tesla Energy Venturesは公共事業委員会に、同社のモバイルアプリやウェブサイトの活用を含め、販売促進するのにTeslaの既存のエネルギー部門を使うと伝えた。「具体的には、(Tesla Energy Venturesは)Tesla製品を所有している既存顧客をターゲットとし、モバイルアプリとTeslaウェブサイトを通じて顧客に小売を販促します」と申込書には書かれている。「TeslaモバイルアプリとTeslaウェブサイトに加えて、申込者の既存の『Tesla Energy Customer Support』組織は顧客獲得の取り組みにおいて顧客サポートとガイダンスを提供するよう訓練されます」。

Ana Stewart(アナ・スチュアート)氏がTesla Energy Venturesの社長となっている。スチュアート氏は2017年からTeslaで規制クレジット取引担当ディレクターを務めている。その前は同氏はTeslaが買収したSolarCity(ソーラーシティ)で働いていた。

申し込みの整理番号は52431だ。

画像クレジット:Darrell Etherington

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラのiPhone用アプリが久々の大規模アップデート、機能やデザイン面に多くの改良

Tesla(テスラ)が、iOS向けスマートフォン用アプリのメジャーアップデートを配信開始した。これによって新たな操作が可能になった他、管理機能の改善や、クールなビジュアル面の更新などが行われている。また、このバージョン4.0では、iPhoneのホーム画面に表示するウィジェットのサイズを2種類から選択できるようになった。「Tesla Software Updates(テスラ・ソフトウェア・アップデート)」の説明によると、どちらを選んでも、車名、バッテリー残量、位置情報(または充電施設情報)、ロック状態、車両の画像、情報の最終更新時刻という同じ情報が表示されるようだ。テスラは以前「Today」という機能拡張をiOS向けに提供していたが、今回新たに導入されたウィジェットほど総合的な機能はなかった。

操作面では、車両の起動を待たずに、アプリを開いたらすぐにコマンドを送信できるようになった。また、スマートフォンがクルマのキーになる「Phone Key(フォンキー)」の機能も拡張され、基本的に複数のテスラ車のロック解除に対応した。

ビジュアル面の更新ですぐに気づくのは、車両の3Dレンダリングが新しくなったことだ。充電時の状態を示す画面や、車両各部のコントロールパネル、空調設定の表示にも、新しいアニメーションが追加されている。デザイン的な改善としては「充電」セクションが廃止され、車両が充電プラグにつながれている時に、その情報を表示するようになった。また、アプリ内でスーパーチャージャーの充電履歴を確認できるようにもなっている。速度制限、車両を駐車場の係員に預ける際に制限を加える「バレーモード」、周辺の不審な行為を監視する「セントリーモード」などの設定は、新たに設けられた「セキュリティ」というカテゴリーに移されており、そこではBluetooth、フォンキー、位置情報サービスの使い方のヒントも見ることができる。

要するに今回のアップデートは、テスラのiOSアプリでは久しぶりに大がかりなものとなっている。最近のテスラは、7月にVirtual Power Plant(バーチャルパワープラント)を導入した以外では、主にバグフィックスや改善に注力してきた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Saqib Shahは、Engadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Tesla

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(文:Saqib Shah、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マスク氏が完全自動運転システムは「すばらしいものではない」と発言、単一スタックを問題点として認める

Tesla(テスラ)が「AI Day」を開催してからまだ1週間も経っていない。技術的な専門用語が飛び交うこのライブ配信イベントは、同社が自律走行を実現するために最も優秀なAIおよびビジョンエンジニアを誘致することを1つの目的としていたが、すでにElon Musk(イーロン・マスク)CEOは「完全自動運転(Full Self-Driving、FSD)」技術について、ホットテイクを提供している。

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米国時間8月24日に投稿されたツイートで、マスク氏は次のように述べている。「FSD Beta 9.2は、私が思うに実際にはすばらしいものではありませんが、オートパイロット・AIチームは、できるだけ早く改善するために結集しています。我々は高速道路と市街地の両方で単一の技術スタックを持とうとしていますが、それには大規模な(ニューラルネットワークの)再トレーニングが必要です」。

これは重要なポイントだ。自律走行の分野では、多くの人が同様の発言をしている。Kodiak Roboticsの共同設立者兼CEOであるDon Burnette(ドン・バーネット)氏は、今のところ同社はトラック輸送に特化しているが、それはより簡単に解決できる問題だからだという。最近のExtraCrunchのインタビューで、バーネット氏は次のように述べている。

当社の技術のユニークな点は、特定の目的のために高度にカスタマイズされていることです。トラックの高速道路走行性能と都市部の乗用車の高密度走行性能の両方を、同じスタックやシステムで維持するというような要件が常にあるわけではありません。理論的には、すべての運転、すべての条件、すべてのフォームファクターに対応する汎用的なソリューションを作ることは可能ですが、それはよりはるかに難しい問題です。

TeslaはLiDAR(ライダー)やレーダーを使わず、光学カメラのみを使用しているため、ニューラルネットワークの「大規模な」トレーニングが必要である、というのは決して控えめな表現ではない。

マスク氏のツイートに間違いなく心を痛めているであろうAI・ビジョンチームには同情するが、これは同氏にとっては稀有な、明晰で正直な瞬間だ。通常、私たちはTeslaの自動運転に関するニュースを、特別に微調整されたでたらめメーターでフィルタリングしなければならないが、そのたわ言メーターは「完全自動運転」技術について言及されるたびに激しくビープ音が鳴る。念のため言っておくが、これは「完全」な自動運転ではなく、高度な運転支援であり、将来的にはより優れた自動運転を実現するための基礎となり得るものだ。

マスク氏はツイートのフォローアップとして、FSD Beta 9.3を使用しパサデナからロサンゼルス空港まで運転したところ「はるかに改善されていた!」と語っている。これを信じるべきだろうか?同氏は常に楽観主義者だ。2021年8月初め、マスク氏はTeslaが2週間ごとにカリフォルニア時間深夜にFSDの新バージョンをリリースすると述べていた。そして Beta 9は「隙のない」ものになると約束し、レーダーが会社の足かせとなっていたが、ピュアビジョンを完全に受け入れた今、進歩ははるかに速くなるだろうと語った。

おそらくマスク氏は、FSDシステムに関する悪評が相次いでいることから、その矛先をそらそうとしているのだろう。先週、米国の自動車規制当局はTeslaのオートパイロット機能に関する予備調査を開始し、駐車中の救急車両にTesla車両が衝突した11件の事故を挙げた。なぜ救急車両なのか、それはわからない。しかし、米国道路交通安全局(NHTSA)のウェブサイトに掲載されている調査資料によると、事故のほとんどは日没後に発生している。夜間視力の低下は多くの人間のドライバーに当てはまるが、自律走行の世界でそのような事故は許容できることではない。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)