Uberは新型コロナによる在宅勤務を2021年9月中旬まで延長

Uberは米国時間2月18日、在宅勤務を2021年9月13日まで延長することを従業員に通知した。

「延長の検討においては、各国が異なる回復ステージにあるという事実、新学年の開始など、最新の科学的データや専門家の意見を参考にしました」と同社のCPOであるNikki Krishnamurthy(ニッキ・クリシュナマーシー)氏は従業員への電子メールに書いた。この電子メールはTechCrunchも内容を確認した。「CommOps、IT、その他の部門の一部従業員がオフィスに出社しなければならないことは理解しています。ですので、所属部門が導入した規則の範囲内で業務を継続してください。ただし、いつものことですが、健康上の懸念を抱えている人に出社は強要しません」。

Uberはまた、可能になったときには新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう推奨している。電子メールの中でクリシュナマーシー氏は、ワクチン接種のためにUber従業員は仕事を休むことができると述べた。

2020年8月に同社は従業員に2021年6月まで自宅から働くことになると通知した。他のテック企業はというと、Google(グーグル)は2020年7月に在宅勤務措置を2021年6月までに延長し、Facebook(フェイスブック)は2020年8月にリモートワーク措置を2021年7月までに延長した。

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新型コロナ後はUberはおそらくハイブリッドな勤務モデルを導入するとクリシュ氏は述べたが、まだ取り組んでいる最中だ。

「オフィスで一緒に働くことにどれくらいメリットがあるか、あるいは生産性やコラボレーション、エンゲージメントを減らすのか、我々はさまざまな面を考慮しています。現況や進捗状況を数週間以内にアップデートします」と同氏は書いている。

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nariko Mizoguchi

カリフォルニア最高裁がギグワーカーを個人事業主に分類するProp 22を違憲とする訴訟を棄却

カリフォルニア州最高裁判所は米国時間2月3日、同州のライドシェアドライバーのグループとService Employees International Union(国際サービス従業員労働組合)が提出した、Proposition 22を違憲とする訴訟を棄却した。

「私たちの声を聞かなかった最高裁判所の決定に失望しています。しかし、生きるための賃金と基本的人権を勝ち取るための私たちの戦いを止めることはできません」と原告の1人であるHector Castellanos(エクトル・カステリャノス)氏が声明で語った。「私たちは、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のように自身の利益を改善するために、民主主義を覆し私たちの権利を侵害する会社から、カリフォルニアの労働者を守るためにあらゆる手段を講じるつもりです」。

本訴訟は、Prop 22は州議会がギグワーカーのための労働補償制度を制定、施行することを困難にしていると主張している。さらに、Prop 22は投票法案は単一争点に限るという規則に違反していること、および何を法案の修正条項とするかを憲法に反して定義していることも主張している。現在Proposition 22の修正には、議会の7 / 8という圧倒的多数を必要だ。

「私たちはカリフォルニア最高裁判所がこのメリットのない訴訟を却下したことを喜んでいますが、驚いてはいません」とProp 22を支持し「Yes on 22」キャンペーンに協力したライドシェアドライバーのJim Pyatt(ジム・パイアット)氏は声明で語った。「私たちはこの判決が、ドライバーを圧倒的に支持してProp 22を通過させた有権者の意志を無にしようとするグループに対して、行動を中止するよう強い信号を送ることを望んでいます。この投票提案はカリフォルニア州の政治的立場を越える60%近い有権者から支持されたものであり、そこには何十万人ものライドシェアドライバーも含まれています。今こそ、カリフォルニア有権者の大多数を、そしてProp 22に最も影響を受けるドライバーたちを尊重するときです。

一方、Uber、Lyftをはじめとする各社はProp 22と同じような法案を他州でも推進する考えだ。UberとLyftのアンチ「ギグワーカーは従業員」のスタンスを考えると、UberとLyftが個別に、他の州や世界で同様の法案を推し進めるといったのも驚きではない。

たとえばLyftは独立請負人としての分類を推進する外部団体を複数設立した。Illinoisans for Independent WorkNew Yorkers for Independent Workがそのうちの2つだ。前者は2020年6月に設立されLyftが120万ドル(約1億3000万円)の資金を提供している。提出資料による。同団体の表明された目的 は「本組織の思想と独立した仕事の価値を共有する立候補者を支援すること」となっている。

しかし本誌が以前報じたように、Prop 22の実現は一部のギグワーカーが従業員の地位を得ようとする戦いの終わりを意味していない。協調した取り組みは2021年も進められており、来たるべき次の立法バトルに備えて準備を続けている。

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberがアルコール宅配サービスのDrizlyを約1150億円で買収へ、Uber Eatsの収益性アップを狙う

Uber(ウーバー)は米国時間2月2日、アルコールデリバリーサービスのDrizlyを買収する計画を発表した。約11億ドル(約1150億円)の買収には株式と現金が含まれており、2021年前半に完了する見込みだ。計画では、DrizlyのマーケットプレイスがUber Eatsアプリに直接組み込まれる予定だが、同社は当面の間Drizlyのスタンドアロンアプリの提供も維持するとしている。

確かに、両社のマーケットプレイスには適合性がある。Uberは基本的なライドシェアと配送技術を提供しているが、Drizlyは同社がUber Eatsをさらに収益性の高いサービスに発展させるのを助けることができる。

「Cory Rellas(コリー・レラス)CEOと彼のすばらしいチームは、Drizlyを信じられないほどのサクセスストーリーに育て上げ、前年比300%以上の利益を上げています」と、UberでCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はリリースで語った。「DrizlyをUberファミリーに取り込むことでDrizlyをUberの利用者に知ってもらい、数年後にはそのプレゼンスをグローバルな拠点に拡大することでその軌跡を加速できます」。

このサービスは米国全土の市場で着実に展開されているが、現地の酒類に関する法律が拡大のハードルとなっている。2021年1月にはアトランタをサービスリストに加え、地元の十数軒の市場や酒屋と提携して配達地域を拡大した。Uber Eatsのように、Drizlyはサービスを提供する市場で地元の小売店と提携している。Drizlyによると、同社のサービスは北米の1400以上の都市におよんでいるという。パンデミックに関連したロックダウンも、アルコールデリバリーの魅力を拡大するための一助となっていることは間違いない。

Crunchbaseによると、2012年に設立されたボストンを拠点とするDrizlyは現在までに1億2000万ドル(約130億円)弱の資金を調達している。その中には、2018年後半のシリーズCで調達した3450万ドル(約36億円)が含まれている。最近では、同サービスはデータ漏洩に見舞われた。2020年7月に公開されたこの出来事では、最大250万件のアカウントが影響されたとみられている。

Uberによると、Drizlyの株主への支払いの約90%はUberの株式で行われ、残りは現金で支払われると予測されている。この買収は、規制当局の承認待ちとなる。

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

UberのAutocab買収を英国の競争監視当局が調査

タクシーやPHVのグローバルトリップマーケットプレイス「iGo」を運営するタクシーと自家用車業界向け予約・配車ソフトのSaaSメーカーことAutocabを買収するUberの計画は、英国の競争監視機関である競争・市場庁(CMA)によって調査されていることが米国時間1月29日に明らかになった。

競争監視機関はこの合併について、詳細な調査を行うかどうかを決定する期限を3月26日としている。

Uberは2020年8月、英国を拠点とするAutocabを買収する意向を発表した。

従来のタクシーや自家用車会社と競合する配車サービスを提供するUberが、Autocabの代替旅行予約市場を閉鎖したり、自社の配車サービスが展開されている一部の市場で閉鎖したりした場合、競争上の問題が生じる可能性がある。

買収を発表した時点でUberは、AutocabによるSaaSとiGoの国際展開をサポートする計画だと述べていた。この動きはまた、配車サービスが新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの間に需要が逼迫していることから、Uberのドライバーが自社のプラットフォーム以外から配送などの仕事を得る機会を増やすことを意図しているようだ。

それにもかからず、AutocabのマーケットプレイスであるiGoとUberの中核的な乗車サービスとの重複は、競争のリスクについての疑問が生じる可能性がある。

CMAはこの合併について、2月12日までにコメントを提出するように求めている

「この取引がもし実施されれば、CMAはEnterprise Act 2002の合併条項の下で、関連する合併状況を作り出すことになるかどうかを検討しており、またもしそうであれば、そのような状況が商品またはサービスに対する英国の市場内の競争を実質的に減少させることになると予測されるかどうかを検討しています。この評価を支援するため、CMAは利害関係者から取引に関するコメントを募集します」。

Uberの広報担当者はこの調査について「私たちは英国のCMAの調査に全面的に協力し、可能な限り迅速に調査を終了できるようにしています。この買収は消費者にとってプラスであり、地元のオペレーターの成長を助け、ドライバーに真の収益機会を提供すると私たちは確信しています」と述べた。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:塚本直樹 / Twitter

企業秘密窃盗で18カ月の実刑判決を受けていた元Googleエンジニアにトランプ前大統領が恩赦

企業秘密を盗んだ罪で18カ月の実刑判決を受けていた元Google(グーグル)のエンジニアで起業家のAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドウスキ)氏が、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領から恩赦を受けた。

米国時間1月19日深夜に発行されたこの恩赦は、レヴァンドウスキ氏が刑務所の独房入りを免れることを意味する。このほか、同氏を含む全部で73人に恩赦が与えられ、70人が減刑された。レヴァンドウスキ氏は2020年8月に刑期を迎えたが、この事件を担当したAlsup(アルサップ)判事は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威が過ぎるまで、刑務所に出頭する必要はないと述べていた。

「私の家族と私は前に進む機会を与えていただいたことに感謝し、そして大統領と私を支持し弁護してくださった方々に感謝しています」と、レヴァンドウスキ氏はTechCrunchに語った。

レヴァンドウスキ氏の恩赦は、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)の共同創設者Peter Thiel(ピーター・ティール)氏やOculus(オキュラス)の創設者Palmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏、裁判弁護士のMiles Ehrlich(マイルズ・アーリッチ)氏とAmy Craig(エイミー・クレイグ)氏、実業家で投資家のMichael Ovitz(マイケル・オヴィッツ)氏など、テクノロジー企業の創設者や投資家によって支持された。他にも、Founders FundのパートナーであるTrae Stephens(トレイ・スティーブンス)氏や、Thiel Capital(ティール・キャピタル)のCOOであり、The Thiel Foundation(ティール財団)の会長でもあるBlake Masters(ブレイク・マスターズ)氏など、ティール氏の組織に関係のある人々もレヴァンドウスキ氏を支援している。

以下は、恩赦を支持した人々の名前を含む、ホワイトハウスが投稿した全文だ。

アンソニー・レヴァンドウスキ:トランプ大統領はアンソニー・レヴァンドウスキ氏に恩赦を与えました。この恩赦は、James Ramsey(ジェームズ・ラムゼイ)氏、ピーター・ティール氏、マイルズ・アーリッチ)氏、エイミー・クレイグ氏、Michael Ovitz氏、Palmer Luckey氏、Ryan Petersen(ライアン・ピーターセン)氏、Ken Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏、Mike Jensen(マイク・ジェンセン)氏、Nate Schimme(ネイト・シンメル)氏、トレイ・スティーブンス氏、ブレイク・マスターズ氏、James Proud(ジェームズ・プラウド)氏らの強い支持を得ています。レヴァンドウスキ氏はGoogleの自動運転技術の開発を主導した米国の起業家です。レヴァンドウスキ氏は民事訴訟から生じた刑事上の起訴訴因に対して有罪判決を受けました。特筆すべきは、判決を下した判事がレヴァンドウスキ氏を「我が国が必要としている輝かしい、革新的なエンジニア」と評したことです。レヴァンドウスキ氏は自分の行動に大きな代償を払い、公共の利益のために自分の才能を捧げることを計画しています。

レヴァンドウスキ氏は、自動運転車業界の中では好き嫌いが分かれる人物である。彼は誰の目から見ても、彼を最も厳しく批評する人の間でさえも、優秀なエンジニアであることは確かだ。彼の勇敢さと危険をいとわない姿勢は、好感が持てる親しみやすい性格と相まって、多くの支持者やライバルを獲得した。

だが、レヴァンドウスキ氏は泥棒のような技術者と誹られ、Uberにあっさりと解雇され、1億7900万ドル(約185億円)の賠償金で破産を余儀なくされた。彼はまた、自動運転車開発初期の先駆的なスターエンジニアとして称賛も受けている。同氏は2009年、内部でProject Chauffeur(プロジェクト・ショーファー)と呼ばれていたGoogleの自動運転プロジェクトの創設メンバーの1人だった。法廷文書によると、彼はProject Chauffeurにおける仕事のために、Googleから約1億2700万ドル(約132億円)もの大金を受け取ったという。

2020年8月にレヴァンドウスキ氏を有罪に導いた刑事事件は、レヴァンドウスキ氏、Uberそして元Googleの自動運転プロジェクトで現在はAlphabet傘下の事業となっているWaymo(ウェイモ)を巻き込んだ数年におよぶ法律大河ドラマだ。

レヴァンドウスキ氏は2016年、 Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏という3人の経験豊富なエンジニアとともにGoogleを退社し、自動運転トラックを開発する企業としてOtto(オットー)を設立。それから8カ月も経たないうちに、UberはOttoを買収した。この買収から2カ月後、Googleはレヴァンドウスキ氏とロン氏に対して2件の仲裁要求をした。Uberはどちらの仲裁でも当事者ではなかったが、レヴァンドウスキ氏との間に結んでいた補償契約に基づき、同社はレヴァンドウスキ氏を弁護せざるを得なかった。

仲裁が進む一方で、それとは別にWaymoは2017年2月、企業秘密の盗難と特許侵害を理由にUberを相手取り訴訟を起こした。Waymoはこの訴訟で、レヴァンドウスキ氏が企業秘密を盗み、それがUberによって使用されたと主張していたが、2018年に和解に至った。

この和解では、UberはWaymoの機密情報を自社のハードウェアやソフトウェアに組み込まないことに合意した。Uberはまた、シリーズG-1ラウンドの評価額720億ドル(約7兆4510億円)に対するUberの株式の0.34%を含む金銭的和解金を支払うことにも合意した。これは当時、Uberの株式で約2億4480万ドル(約253億円)に相当した。

レヴァンドウスキ氏はWaymo対Uber訴訟の被告ではなかったが、彼はすぐに大きな障害に直面することになった。

2019年8月、米連邦地方検事は、レヴァンドウスキ氏がGoogleに勤務していた間に、33件の企業秘密の窃盗および窃盗未遂を働いたとして、単独で起訴した。2020年3月、レヴァンドウスキ氏と連邦地検は司法取引で合意に達し、レヴァンドウスキ氏は33件の訴因のうち、Project Chauffeurに関連する数千のファイルをダウンロードしたことを認めた。これはChauffeur Weekly Update(ショーファー・ウィークリー・アップデート)として知られているもので、四半期ごとの目標や週ごとのメトリクスのほか、プログラムが直面した15の技術的な課題の要約や、以前に克服した課題に関するメモなど、さまざまな詳細が含まれているスプレッドシートだ。

連邦地検は27カ月の懲役を求めたが、レヴァンドウスキ氏は罰金、12カ月の自宅監禁、200時間の社会奉仕活動を求めていた。アルサップ判事は最終的に、自宅監禁は「将来すべての優秀なエンジニアに企業秘密を盗むことを可能にすると判断し、懲役刑をその答えとする」と判断した。

アルサップ判事はレヴァンドウスキ氏に18カ月の実刑を言い渡したが、新型コロナウイルス感染症の流行が収まるまで出頭期日を延期していた。レヴァンドウスキ氏は、Waymoへの返還金75万6499.22ドル(約7820万円)と罰金9万5000ドル(約980万円)を支払うことにも同意した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GoogleWaymoUber裁判ドナルド・トランプ自動運転

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

The Station:CES 2021のトレンドとUberの新しいスピンオフ

2021年1月第3週のモビリティ関連ニュースをお送りする。

なお、私(Kersten Krosec)はTechCrunchのモビリティ担当編集者になった。役職の変更によって、責任とミッションも大きくなった。TechCrunchの「未来のモビリティ」に関する記事を拡大するために、今後はフリーライターからも多く寄稿してもらうつもりだ。Mark Harris(マーク・ハリス)氏は調査報道記者でこれまでにも素晴らしい記事を本誌で発表しており、今後は定期的に登場する予定だ。ハリス氏は法律文書や提出資料の中からニュースを掘り出す才能がある。2019年のTesla(テスラ)の関税に関する記事や、Elon Musk(イーロン・マスク)氏のラスベガスループプロジェクトの乗客輸送能力を推計した記事などがある。

今後、輸送部門にもっと多くの顔を加えられることを楽しみにしている。

CES概要

Mercedes-EQ MBUX Hyperscreen(画像クレジット:Mercedes)

バーチャル方式だったこともあるかもしれないが、自動運転テクノロジーは2021年のCESで以前ほどの中心的役割は果たさなかった。

代わってCESで注目を集めたテーマは、インフォテイメントと先進運転支援システムが中心だった。また2020年から続くトレンドとして、巨大なスクリーンがいくつか登場した。上の写真にあるMercedes Hyperscreen(メルセデス・ハイパースクリーン)もその1つだ。

Pioneer(パイオニア)、Harman(ハーマン)、Panasonic(パナソニック)の3社は、車内にオーディオとビジュアルのテクノロジーをさらに取り込むための未来製品を紹介した。たとえばHarmanは、車内のインフォテイメントシステムをコンサートホールや録音スタジオやゲームセンターに変える3つの新しい「体験コンセプト」を披露した。

Panasonicは英国のスタートアップであるEnvisics(エンヴィジクス)と提携し、乗用車、トラック、SUV向け次世代ヘッドアップディスプレイの共同開発・商品化を行うことを発表した。ヘッドアップディスプレイ(HUD)はショーのあらゆる場面で目にした。このテクノロジーは新しくはないが、最近の技術進歩によってシステムの能力が急速に進化し、ダッシュボードに組み込みフロントガラスに画像を投影することで、ナヒゲーションや各種のアラートを通じてドライバーを支援する。

画像クレジット:Envisics

GM(ゼネラル・モーターズ)はおそらく、バーチャル2021 CESで、少なくとも輸送分野で最大の存在感を示していた。同社は、電動ワゴン車をはじめとするプロダクトとサービスを市場に出すための新たなビジネスユニットであるBrightDrop(ブライトドロップ)を発表する場としてこのショーを選んだ。ただし、それだけではない。

GMはこの機会を利用して、近日発売のChevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルト EUV)を先行紹介した。GMのハンズフリー高速道運転支援システムであるSuper Cruise(スーパー・クルーズ)を搭載するほか、Cadillac Celestiq(キャデラック・セレスティーク)のダッシュボードと新しいロゴまで採用した。一連の発表の意図は明らかだ。GMは世界に(そして株主に)同社が電気自動車および繋がる車のテクノロジーに対して本気であることを示そうとしている。

GMの数多くの発表は見逃しようがない。そこにはeVTOL(電動垂直離着陸ドローン)もあった。対照的にMobileye(モービルアイ)の発表はあまり目立っていなかったが、間違いなく注目に値する。

GMはCES 2021でコンセプトを2つ披露。自動運転シャトルとパーソナルeVTOL(画像クレジット:GM)

Mobileyeは、自動運転車のテストを多くの都市に拡大する計画の概要を話し、その内容は以前発表した計画と変わらなかった。

私の目を引いたのは、Mobileyeのプレジデント兼CEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が会社のビジョンと進捗について話した内容だ。

まとめると、Mobileyeは自動運転技術の開発と展開に3本の柱からなる戦術をとり、完全自動運転スタック(カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長化センシングサブシステムを含む)をREMマッピングシステム、およびルールベースの責任感知型安全論(RSS)運転方針と組み合わせる。

MobileyeのREM地図作成システムは、同社のテクノロジーを搭載した100万台近い車からクラウドソーシングで集めたデータから高精度地図を作り、ADASや自動運転システムの支援に使うものだ。シャシュア氏は、現在Mobileyeのテクノロジーは世界中の地図を自動的に作成することが可能で、毎日800万km近く、累積10億km近くの走行データを集めていると語った。

Mobileyeは現在開発中の新しいワンチップのLiDARシステム製品の詳細も公開し、2025年に市場に出す予定だ。そのLiDARはIntelのシリコンフォトニクス技術を使用する予定だが、注目されるのはMobileyeがカメラベース技術で知られているためだ。なお、Mobileyeはカメラファーストのアプローチを捨てるわけではない。Mobileyeは、技術的・ビジネス的に最良のアプローチは、カメラファーストシステムを開発しLiDARとレーダーを冗長化のためのアドオンとして使うことだと信じている、とシャシュア氏は説明した。

要約すれば、Mobileyeは自動運転技術を商品化して大衆に届けるための資金とネットワークを有しているということだ。

本誌の輸送関連のCES記事を以下に挙げる。

メルセデス・ベンツが高級EVセダンEQSの湾曲56インチ「ハイパースクリーン」発表
GMが配送業者向け新事業部起ち上げ、商用EVバンと電動アシスト付きパレット発表
自動運転技術のMobileyeが数カ月以内に東京など世界4都市にテスト地域を拡大
ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開
ホログラフィックディスプレイのEnvisicsがパナソニックと提携、車内AR技術実現を加速
BMWが次世代「iDrive」のインフォテインメントシステムを先行公開
Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与
エアタクシースタートアップArcherが電動飛行機生産で自動車メーカーのフィアット・クライスラーと提携

Uberで新たなスピンオフが準備中

Postmatesのロボット、ServeはOusterのカメラとライダーを採用している(画像クレジット:Postmates)

無人デリバリーが2021年に躍進するという私の予言を覚えているだろうか?どうやら私が正しいこともあるらしい。

Postmates XはUberが2020年に26億5000万ドル(約2760億円)で買収したオンデマンドデリバリースタートアップのロボティクス部門であり、Serve Roboticsという名の別会社になるために出資者を探している。

Serveと聞いて思い出す人がいるかもしれない。黄色と黒に塗られた歩道自動走行デリバリーボットで、Postmates Xが開発してパイロットテストを行った。このロボットは、最近Pink Dot Stores(ピンクドットストアーズ)とウェストハリウッドの配達で提携しており、新たなスタートアップの中核となる可能性が高い。

私はこの計画の重要な詳細についていくつか情報を得ているが、まだ確定はしていない。Uber
は新会社の株式を持ち続ける。本件に詳しい情報筋によると、Uberの持ち分は当初は少なかったが、その後約25%へと跳ね上がった。

会社を率いることになるのはAli Kashani(アリ・カシャニ)氏で、現在Postmates XのトップとしてServeプロジェクトの責任者を務めている。Anthony Armenta(アンソニー・アルメンタ)氏が新会社のソフトウェア部門を率い、Aaron Leiba(
アーロン・レイバ)氏がハードウェアを担当する。いずれもPostmates Xで務めたのと同じ職だ。

新しい情報が入り次第続報する予定だ。

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UberがフードデリバリーPostmatesの買収を完了

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画像クレジット:Sony

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberがフードデリバリーPostmatesの自律型宅配ロボット部門のスピンアウトを計画中

Uber(ウーバー)の新たなスピンアウトが進行中だ。

Uberが2020年に26億5000万ドル(約2752億円)で買収した食品宅配スタートアップ企業のロボット部門Postmates X(ポストメイツ・エックス)は、計画に詳しい複数の関係者によると、別会社として分離するために入札で投資家を募集しているという。

新会社はServe Robotics(サーブ・ロボティクス)と称されるが、これはPostmates Xが開発した黄色と黒の自律的な歩道配達ロボット「Serve(サーブ)」の名称にちなんだものだ。最近、ウェストハリウッドで食品を配達するために同地域のデリバリー食料店であるPink Dot(ピンクドット)と提携したこのServeロボットは、新会社の目玉になる可能性が高い。

この件について、Uberはコメントを拒否している。

投資家に向けて提案されているこのスピンアウトが完了すれば、Postmates Xの責任者でServeプログラムを率いてきたAli Kashani(アリ・カシャニ)氏が新会社を運営することになるだろう。Anthony Armenta(アンソニー・アルメンタ)氏は新会社のソフトウェア部門を指揮し、Aaron Leiba(アーロン・リーバ)氏はハードウェア部門を担当する、つまりPostmates Xと同じポジションを維持することになる。

UberはServe Roboticsの筆頭株主として、この新会社との商業契約を維持する。引き換えに、Serve Roboticsは知的財産と資産を取得することになる。この取引に詳しいある関係者によると、Uberは新会社の約25%の株式を保持するために協議を行っているという。

Serve Roboticsという名称の法人はまだ存在しない。しかし、ウェブサイトのドメイン「serverobotics.com」は2021年1月6日に登録されている。

Uberの利益までの道のり

Uberは2019年5月に公開市場に上場した後、事業の合理化を進め、2020年は新型コロナウイルスによる圧迫を受けてそれを加速させた。今回のスピンオフも、この合理化に基づく事業戦略に沿ったものになるだろう。

2年前、Uberは配車サービスやマイクロモビリティから物流、公共交通機関、食品配達、そして自律走行車や空飛ぶタクシーのような未来的な乗物にいたるまで、交通に関する産業全体にわたり事業を展開していた。しかし、同社のDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOは、黒字化に向けて会社を押し進めていく中で、この「動くものなら何でも」というアプローチを解体してきた。

2020年には、UberはLime(ライム)と複雑な取引を交わして、電動スクーター / 自転車シェアリングサービスのJump(ジャンプ)を事業譲渡した。また、貨物運送事業であるUber Freight(ウーバー・フレイト)の5億ドル(約520億円)相当の株式を売却し、自動運転部門のUber ATG(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)と、空飛ぶタクシーとして計画されていたUber Elevate(ウーバー・エレベート)から身を引いた。

Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATGを買収したが、それはJumpとLimeの件と似たような構造の取引だった。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わなかった。代わりにUberはATGの株式をAuroraに譲渡し、Auroraに4億ドル(約415億4000万円)を出資して、統合された会社の26%の株式を取得した。

同様に細工された取引で、Uber Elevateは2020年12月にJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)に売却された。

Uberが投資を続ける分野の1つにデリバリーがある。同社は、デリバリーサービス「Uber Eats(ウーバー・イーツ)」の需要が急増していることに好機を見出し、この分野に置ける地位を強化するために買収する企業を探し始めた。Uberは料理宅配サービスのGrubhub(グラブハブ)を買収しようと試みたが失敗し、欧州の大手企業であるJust Eat Takeaway(ジャストイート・テイクアウェイ)に敗れた。

結局、UberはPostmatesの買収に落ち着き、2020年7月に26億5千万ドル(約2151億8000万円)相当の全額株式交換によってこのデリバリースタートアップを買収することで合意。取引は2020年12月に完了している。

Serveは親しみやすいロボット

Postmatesが歩道配送ロボットへの探求を本格的に始めたのは2017年、同社がカシャニ氏の起ち上げたLox Inc.をひっそりと買収した後のことだった。同社の研究開発部門であるPostmates Xで責任者を務めるカシャニ氏は、「なぜ2ポンド(約907グラム)のブリトーを2トンの車両で運ばなければならないのか」という疑問の答えに着手した。

Postmatesは2018年12月、最初の「Serve」と名付けられた自律型配達ロボットを公開した。その第2世代(デザインは変わらないが、LiDARセンサーが異なるほか、わずかなアップグレードが施された)は、ロサンゼルスで計画されていた商用化に先立ち、2019年夏に登場した。

Postmatesはパートナーと協力するのではなく、自社の配送データを使って、歩道ロボットを設計と展開する基礎を作ったと、10月に開催された「Mobility 2020」イベントのTCセッションで、カシャニ氏は語った。

「データを見てみると、配達の半分以上が近距離であることがわかります。それなら問題なく、これらのロボットが実際に配達を完了させることができます」と、カシャニ氏は当時、自律型配達ロボットの実用化について語っている。

Postmates Xは、同社の過去の配送データを利用してシミュレーションを開発し、それをServeロボットの設計に利用した。このシミュレーションによって、チームは必要とされるバッテリー容量や荷物室のサイズなどの機能を決定した。

このロボットは、Postmatesの配送事業のほんの一部に過ぎない。しかし、同社が商業的に事業を展開しているロサンゼルスとサンフランシスコの2都市では、新型コロナウイルスの感染流行が非接触配送の需要を煽り、ロボットへの関心が高まっているという。

カシャニ氏は2020年10月に、このロボットはロサンゼルスで何千もの配達を完了し、同市のウェストハリウッドにまで地域を拡げる準備をしていると語っていた。その拡大は昨年末、ちょっとした意外性とともに開始された。Serveロボットは、Pink Dotの店舗のシグネチャーカラーに合わせて、鮮やかなピンク色に変更されたのだ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

UberがEVを推進する「Uber Green」プログラムを北米1400都市に拡大

Uber(ウーバー)は、ドライバーに電気自動車またはハイブリッド車の利用を促進するインセンティブプログラムを北米1400都市へと拡大した。新たに加わったのは、テキサス州のオースティンとヒューストン、フロリダ州マイアミ、ニューヨーク市などで2040年までに排出ゼロプラットフォームを目指す同社の取り組みの一環だ。

Uber Green(ウーバー・グリーン)と呼ばれるこのプログラムでは、乗客がEVまたはハイブリッド車を指定するオプションを与えられる。ドライバーはUber Green乗車が完了する毎に、乗客が払う1ドル(約104円)の追加料金から0.50ドル(約52円)を受けとる。米国時間1月12日Uberは、同プログラムをUber Passメンバーシップサービスと統合し、「Uber Green」に乗車したメンバーに10%割引を適用すると語った。

もちろん、Uber Greenの成否はドライバーこの切り替えを起こさせる力にかかっている。同社は2025年までにドライバーが電気自動車を使うようにするために、8億ドル(約828億5000万円)を準備している。

このほど同社は、プログラムのインセンティブを強化するべく自動車メーカー、充電ネットワーク提供者、およびEVレンタル・運行会社などとの提携を開始した。Uberによると、ロサンゼルスのドライバーはAvis(エイビス)との提携によって電気自動車をレンタルできる。プログラムは2021年中に全世界に拡大される予定だ。

UberはAmple(アンプル)とも提携した。2021年1月からサンフランシスコのドライバーは、Ampleのバッテリー交換テクノロジーを備えた車両をレンタルできるようになる。電気自動車のバッテリーを数分のうちに交換できる仕組みだ。

同社はEVgoとも提携し、同社ライドシェアリングプラットフォームのドライバーが、米国内800カ所以上の充電ステーションを割引料金で利用できるようにした。

Uberのゼロエミッションの目標達成には、ドライバーや乗客にEVを使わせるだけでは足りない。同社は他のプログラムも展開しており、公共交通機関利用者のための移動計画機能がその1つだ。この機能は現在世界40都市以上で提供されており、ユーザーはUberアプリを通じて公共交通機関による移動を計画することができ、駅への歩行経路の案内やリアルタイムスケジュールなども使える。同社は12日、同機能がジョージア州アトランタ、オークランド(ニュージーランド)、ブリスベン(オーストラリア)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、グアダラハラ(メキシコ)、ペンシルベニア州フィラデルフィア、インドのバンガロール、チェンナイ、ムンバイの各都市でも利用できるようになったことを発表した。

Uberは、メキシコシティとロンドンで、ライドシェアリングと徒歩経路案内と市バス、地下鉄、鉄道の乗り換えを組み合わせたマルチモーダルトリッププランナーを提供することも発表した。同機能はシドニー(オーストラリア)とイリノイ州シカゴですでに提供されている。

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Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

Uber(ウーバー)と製薬会社Moderna(モデルナ)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関してさまざまな取り組みを含む提携を発表した。さしあたって決定しているのは、新型コロナワクチンの安全性について信頼できる事実に基づく情報をUberの消費者向けアプリを通じてユーザーに提供することだ。しかし両社は、ワクチン接種予約プロセスにUberを通じた乗車のスケジューリングを直接組み込む「オプション」も検討した。

米国の新型コロナワクチン接種プログラムは、まだ初期段階ではあるが難題に直面している。ここには、ワクチンを最も必要としている人々にタイムリーにワクチンへのアクセスを提供することが含まれる。ワクチン接種プログラムはまた、ワクチンの安全性に関するソーシャルメディア上でのかなりの誤情報拡散とも戦わなければならない。Uberのような利用者が多いアプリは前向きなメッセージと正確な情報を多くの人の目に触れさせることができるため、この取り組みはいいニュースだ。

しかし効果的なワクチンキャンペーンを展開する上でかなり難題となっているものの1つはロジスティックであり、Modernaワクチンの1回目と2回目の接種の予約をとるよう促すことは多くの人が考えていた以上に大きな課題だ。筆者はHealthvanaのCEO、Ramin Bastani(ラミン・バスタニ)氏にロサンゼルス郡との取り組みについて聞いた。同社は患者にタイムリーな情報とワクチン予約についてのリマインダーを提供するためにApple Walletを活用してワクチン接種記録を作るという取り組みを展開している。だが、大半のユーザーがすでにスマホにダウンロードしているUberアプリに乗車予約サービスや予約リマインダーを直接組み込むことは、1回目と2回目のワクチン接種率を高めるのにかなり有効な別の方法となり得る。

Uberはすでに、実際に出かけてワクチン接種を受けるのにともなう壁を下げようと、無料あるいは割引運賃での乗車を提供している。プロダクトレベルの統合は、簡単でユーザーフレンドリーなアクセスを提供することでより効果があるかもしれない。前述の通り、これはまだ協議中のオプションの1つにすぎないが、もしUberとModernaが積極的に実行するとすれば、それは少なくとも両社が方法を見つけるのに真剣であることを意味する。TechCrunchは両社の動きをマークし、このコラボレーションの進展についてはフォローアップするのでご安心を。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberがドライバーと配達員への新型コロナワクチン優先接種を全米50州の知事に要望

パンデミックの中、多くの人たちがライドシェアリングやデリバリーのドライバーに依存していることを踏まえ、Uberはドライバーへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの優先接種を要望している。米国時間12月10日、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、全米50州の知事に書簡を送り、ドライバーと配達員がエッセンシャルワーカーとしてワクチンを優先的に接種できるよう依頼した。

「過去9カ月の間に、彼らは地域のライフラインになりました」とコスロシャヒ氏が書簡で述べている。「医療従事者を病院に運び、自宅に隔離されている人たちに食事を配達し、地元レストランの事業継続を助けています」。

また、コスロシャヒ氏は書簡の中で、ドライバーと配達員の仕事は必要不可欠になったと主張している。だからUberは彼らにワクチンを「早く簡単に無料で」届けたいのだと同氏は書いている。また、Uberはワクチンに関する情報共有にも協力しており、有資格者にワクチン接種を促している。

コスロシャヒ氏はまた「9カ月間最前線で社会を動かし続けてきた後、私たちは全50州の知事に対し、ドライバーと配達要員が早期にワクチン接種を受けられる優先措置をお願いしています」とTechCrunch宛の声明で語っている。「Uberは自らのテクノロジーとロジスティックの専門知識とリソースを活かし、私たちのプラットフォームで働く人たちを保護し、ワクチンをできるかぎり早く効果的に、人々へ届けるためには、できることは何でもする所存です」。

コスロシャヒ氏の州知事宛書簡に先立ち、UberはCenters for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)に書簡を送り、医療従事者以外のエッセンシャルワーカーをワクチンの優先接種対象に含めることを主張している。

Uberによる労働者のために主張は、ライドシェアリングのドライバーと配達員をどう分類するかに関する進行中の戦いの最中に起きている。Uberが長年、ドライバーは従業員ではないと主張しているのに対して、多くのギグワーカーは自分たちが個人事業主に分類されるのは誤りであり、従業員が受ける多くの労働者の権利を得る資格があると訴えている。

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Uberは空飛ぶタクシー事業ElevateをJoby Aviationに売却、最後の夢の事業から撤退

Uber(ウーバー)は空飛ぶタクシー事業Elevate(エレベート)をJoby Aviation(ジョビー・エイビエーション)に譲渡した。同配車サービス企業は、主軸事業に専念して利益を出そうと、いくつもの壮大な構想の事業を売却してきたが、これが最後の1つとなる。

発表された取引は、UberがJobyに7500万ドル(約78億2000万円)を投資し、両社のパートナーシップを拡大するという合弁契約の中の一部だ。2019年に、完全電動垂直離着陸乗用航空機を開発しているUberとJobyは、UberのElevate事業のための車両パートナーとなる契約に署名している。Jobyは、空飛ぶタクシーサービスを2023年までに開始することを約束した最初のパートナーだった。

この7500万ドルの投資は、JobyのシリーズCラウンドの一環として2020年1月に投資され、これまで公表されていなかった5000万ドル(約52億1000万円)への追加投資だとUberは話している。現在までにJoby Aviationは、8億2000万ドル(約854億7000万円)を調達した。Uberは、このスタートアップに対して合計で1億2500万ドル(約130億3000万円)を支援している。

2021年の初めに締結が予定されているこの契約に従い、2つのパートナー企業は、それぞれのサービスを統合して互いのアプリに提供することに合意している。

「高度な航空輸送業は、環境と未来の世代に飛躍的な利益をもたらす可能性があります」と、UnberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は声明の中で述べている。「この契約により、私たちは、この分野の明白なリーダーであるJobyとのパートナー関係を深め、これらのテクノロジーのための市場作りを加速します」。

Jobyは数あるリーダーの中の1つと思われるが、Elevateはたしかに競合他社も利用するベンチマークを確立するなど、この新興産業の形作りに貢献してきた。

「Uber Elevateのチームは、この業界に重要な役割を果たしたばかりでなく、10年以上の経験を活かして大変に優れたソフトウェアツールを開発し、オンデマンドの移動サービスを可能にしました」と、Joby AviationのCEOであるJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート)氏は声明で語っている。「それらのツールと新しいチームメンバーは、私たちの商業サービスの開始を加速する上で欠かすことができません」。

1年前、Uberのビジネスモデルは「以上すべてのアプローチ」と分類できた。つまり、配車サービス、マイクロモビリティー、流通、梱包、食品宅配などを含むあらゆる形態の運送業から収益を上げる戦略だ。新型コロナウイルスのパンデミックとコスロシャヒ氏の収益重視の方針により、Uberはその冒険的な事業を処分し、Postmates(ポストメイツ)を買収(未訳記事)して配達サービスを強化する方向に急ぐこととなった。

現在ではUberは、2020年の一連の取引で手放したマイクロモビリティー、流通、自動運転車の手腕を保ったまま、配車サービスと配達に専念する企業となった。

JobyとElevateの合弁は、2020年結ばれたUberの別の2つの合弁とよく似ている。Uberは、マイクロモビリティーのスタートアップLime(ライム)への1億7000万ドル(約77億2000万円)の投資ラウンドを主導した。この取引の一環として、LimeはUnerのマイクロモビリティー事業Jump(ジャンプ)を買収。Jumpの従業員の大半にあたる400人を解雇した。今週の初めには、自動運転車スタートアップのAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、合弁契約を通じてUberの自動運転部門(ATG)の買収を巡る交渉に同意した。合弁後の両社の評価額の合計は100億ドル(約1兆422億7000万円)となる。

Limeと、そして今回のJobyとの取引と同じく、Auroraも最後の評価額が72億5000万ドル(約7555億5000万円)だったUner ATGに現金は支払わない。その代わりにUberは、AuroraにATGの株式持ち分を譲渡した上に4億ドル(約416億9000万円)を投資し、Auroraは合弁後の株式の26%をUberに渡すことが、米証券取引委員会の資料に記されている。

Uberによると、10月に同社はUber Freight(ウーバー・フリート)事業の株式5億ドル(約521億1000万円)分を、ニューヨークの投資会社Greenbriar Equity Groupが率いる投資家グループに売却した。この取引では、同部門の投資後の評価額を33億ドル(約3439億円)としている。Jump、Evelate、ATGの場合とは違い、Uberは、Uber Freightの株式の過半数は現在も持ち続けている。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberが自動運転部門Uber ATGを売却、購入したAuroraの企業価値は1兆円超え

Sequioa Capital(セコイア・キャピタル)とAmazon(アマゾン)が出資する自動運転車のスタートアップ、Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Uber(ウーバー)の自動運転部門(Uber ATG)を買収する契約で同社と合意した。複雑な契約の結果、合併後の企業価値は100億ドル(約1兆400億円)に達する見込みだ。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わない。Uber ATGは2019年にトヨタ、DENSO(デンソー)、およびSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund(ビジョンファンド)から10億ドル(約1040億円)の出資を受けた後、企業価値が72億5000万ドル(約7550億円)になった。代わりに、UBerがATG持ち株をAuroraに譲渡し、4億ドル(約420億円)を出資する。その結果Uberは合併後企業の26%を保有することになると米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料に書かれている。忘れている人にために書いておくと、UberはUber ATG株の86.2%(完全希薄化ベース)を保有している。Uber ATGの株主は、Auroraの少数株主になる。ちなみに契約が完了すると、Uberと既存ATG株主およびAuroraに継続雇用されるATG従業員を合わせると、Auroraの約40%(完全希薄化ベース)を保有することに注目されたい。

Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は新たに拡張したAuroraの取締役に就任する。

2017年創業のAuroraは完全自動運転用ソフトウェアスタックの開発に注力する企業で、人間のドライバーが運転しなくても車両が高速道路や市街地を走ることのできるテクノロジーに基づいている。AuroraはGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceなど著名なベンチャーキャピタルや投資運用会社、メーカーなどの注目を集めた。理由の一部は創業者であるSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、およびChris Urmson(クリス・アームソン)氏が揃って自動運転業界で豊富な経験をもつベテランだからだ。

アームソン氏はGoogle(グーグル)の自動運転プロジェクトがスピンアウトしてAlphabet(アルファベット)傘下のWaymoとなる前の責任者だった。アンダーソン氏はTesla Model Xと同社のオートパイロットプログラムの開発・製造責任者として最もよく知られている。カーネギーメロン大学准教授のバグネル氏は、Uberの自律研究の立ち上げを支援し、ピッツバーグのAdvanced Technologies Center(先進技術センター)で自律・認知チームを率いていた。

Auroraはまず自動運転トラックを市場に出す計画だ。しかしアームソン氏は、同社がロボタクシーなど他の自動運転スタックのアプリケーションも追求を続けていると付け加えた。Uber ATGとの契約によって、Auroraは人材と運用可能な設備を手に入れる。しかし、契約はほかにも重要な意味が2つある。Uber ATGの出資者、特にトヨタとの関係構築、そしてUberとの提携による巨大ライドシェアリングプラットフォームの活用だ。

「私たちがこの会社をつくるとき念頭に置いていたのはスケールに合わせて作ること。誰もが最高の仕事ができる環境を作ろう、ということです」とアームソン氏は12月7日のインタビューで語った。「そしてそれから素晴らしいチームを探して引き入れる。これは才能とテクノロジーを組み合わせる方法の一つであり、今回はつながりを得ることもできました」。

この発表はTechCrunchの11月の記事を裏付けるとともに、ピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントで操業している1200人のビジネスユニットであるUber ATGが、自分より小さなライバルと合併するという紛れもない大事業の幕開けである。

Uber ATGの社員全員がAuroraに合流するかどうかは明らかになっていない。Auroraでは600人の従業員が働き、サンフランシスコ・ベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州モーズマンに拠点がある。少なくとも幹部の1人、Uber ATG CEOのEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏は加わらない。

アームソン氏は、会社とそれぞれの技術の統合は急がず進めることを強調した。

「今後60日間に私たちが行う最もおもしろいことの1つは、2つチームを1つにすることです」とアームソン氏はいう。「その後、我々が市場に出す最初の製品を加速するテクノロジーは何かを少し冷静に見極め、既存のAuroraチームのものであれ、新しいAuroraチームで作られるものであれ、それを強化して推し進めます。それがアイデアでもコードでもハードウェアでも、市場に出す時間を早めるものであれば」。

会社は人材とテクノロジーの評価をできるだけ早く行う、とアームソンは語った。

Uberの自動運転車の歴史

Uberにとってこの取引は、会社がコアビジネスであるライドシェアリングとデリバリーに焦点を絞りつつある中、未だにスピンオフも売却もしていなかった金のかかる最後の部門を際立たせた。この1年間に、Uberはシェアードマイクロモビリティー部門のJumpを手放し、成長はするも未だ利益を上げていないロジスティクス部門のUber Freightの株を売り、Postmatesを買収した。Uberは、同社の無人空中タクシー事業のUber Elevateの買収を交渉中とも報じられている。

Uber ATGは長期的な金銭的利益が約束されている事業の1つだが、多くの痛みと論争と初期費用が、設立したほぼその瞬間から生まれ出た。

2015年初め、Uberは自動運転車への取り組みを開始し、カーネギーメロン大学のロボティクス研究所との戦略提携を発表した。この無人自動車テクノロジーを共同開発する契約は、Uberが研究所から何十人という研究者や科学者を引き抜く(WSJ記事)という結果になった。1年後、Uberは自動運転トラックのOttoを買収した。グーグルの花形エンジニアだったAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏とグーグルのベテラン社員であるLior Ron(リオ・ルロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏の3名が設立したスタートアップだ。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とルロン氏に対して2件の仲裁請求を行った。Uberはいずれの仲裁の当事者でもなかった。仲裁はうまくいったが、それとは別にWaymoが2017年2月に企業秘密窃盗と特許侵害でUberを訴えた。裁判まで行ったが2018年に和解したその訴訟で、Waymoはレヴァンドフスキー氏が企業秘密を盗み、その後それがUberによって使用されたと主張した。

裁判が終わりUberは開発を加速したが、そのほぼ直後に自動運転試験車の1台が、非常用運転手が運転席にいる状態で死亡事故を起こし、2018年3月に歩行者に衝突して死に至らしめた。業界全体が一時停止し、Uberはテストをすべて中断した。

Uberは2019年春にUber ATGを別会社化した。トヨタ、自動車部品メーカーのデンソー、およびソフトバンクのVision Fundから10億ドルの資金を調達した後のことだ。このスピンオフに関しても、Uberは金のかかる事態に直面する。Uberは11月、ATGおよび「その他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)で2020年9月30日までの9カ月間に3億300万ドル(約315億6000蔓延)の純損失を計上した。Uberは、ATGおよび「その他のテクノロジープログラム」の取り組みで4億5700万ドル(約476億円)の研究開発費が発生したとS-1書類に書いている。

Auroraの価値とは?

Uber ATGを悩ましてきた数々問題の傷跡をよそに、アームソン氏は同社には価値ある資産となる人材といくつかの興味深いテクノロジーがある、と主張する。

「自動車向け次世代ハードウェアを設計するために彼らが行なっていることは非常に興味深いものです」と同氏はいう。「ソフトウェア面で彼らは、予言および予言を認知システムと組み合わせる実に面白いアイデアを持っています」。

この契約に詳しいある人物は、Uber ATGには貴重で有能な中級レベルと初級レベルのエンジニアが在籍しているため、Auroraにとって特に魅力的な買収だと語った。

これはAuroraにとって初めての買収ではないが、最大で最も複雑であることは間違いない。2019年にAuroraは、モンタナ州ボーズマン拠点のLiDAR(ライダー)企業であるBlackmore(未訳記事)とシミュレーションのスタートアップである7D Labsを買収した。Auroraは自社の「no jerks(悪党はいない)」ポリシーと企業カルチャーを喧伝しつつ、何百という新しい人たちを吸収しようとしている。

合併後の統合には数カ月や数年かかることがあり、技術的あるいは戦略的な進捗を遅らせかねない。アームソン氏の考えは違うようだ。

「むしろ、目標実現を加速します」と彼は語った。

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UberがフードデリバリーPostmatesの買収を完了

Uber(ウーバー)は米国時間12月1日、Postmates(ポストメイツ)買収の完了を発表した。このディールは7月に明らかにされていた。情報開示時に26億5000万ドル(約2765億円)だった全株式による買収だ。Postmatesは自前のブランドやフロントエンドを維持しながらUberとは別のサービスとして業務を続ける一方で、ドライバーの共有などバックエンド業務の一部は統合される。

Uberは合体後の組織について、また2社にとって買収が何を意味するのか、ブログへの投稿で詳しい考えを明らかにした。同社はともに働く加盟店のメリットになると考えている。そして正式なディールクローズとともに、加盟店サイドで顧客フィードバックを収集を促進する新たな取り組みも発表した。

Uberはそれを「地域的なリスニングエクササイズ」と呼んでおり、2021年初めから展開することにしている。この取り組みでは、地方のレストラン協会や商工会議所の協力を得てその地域の経営者の懸念を聞き取る。Uberの双方向マーケットプレイスの片方の側との協業を改善するために数年前に同社がドライバーのフィードバックを集めた取り組みと同じようなもののようだ。

加盟店のニーズにフォーカスすることは、現在のグローバルパンデミックを考えるとかなり重要だ。パンデミックでは外出制限や安全のための勧告に従おうと人々は配達を選ぶようになり、Uber Eatsはフードサービスやグローサリー業界において重要なインフラ構成要素となっている。

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(翻訳:Mizoguchi

インド政府がUberやOlaなどのライドシェアサービスにおける手数料率上限を規定

インドでは、OlaUberのようなライドシェア企業は、乗車料金の最大20%までしか取ってはならない。インド政府が米国時間11月27日に発行したガイドラインではそうなっている。特にソフトバンクが投資しているこの2社は重要な海外市場で苦戦しているだけに、この決定はこたえるだろう。

このガイドラインによってインドでは初めて、アプリベースのライドシェア企業に規制が及ぶことになる。また、UberとOlaがともに採用しているピーク時の高料金にも制限がかかる。

ガイドラインによると、OlaとUberおよびそのほかのアプリを利用するライドシェア企業は、最大で基本料金の1.5倍までしか料金を請求することができない。ただし、基本料金の50%を下限とする割引料金を提示することはできる。またドライバーの労働時間は1日12時間を上限とし、企業はドライバー全員に、保険をかける必要がある。

UberとOlaはこれまで、乗車料金のうちドライバーの取り分を公表したことはなかったが、業界の推計では、両社とも乗車料金の最大74%が税引き後のドライバーの取り分だ。新しいガイドラインではそれが、80%以上となっている。

ライドシェアの乗車料金の制限と、ドライバーへの保険の義務化で両社ともに経費が増える。しかも両社はこの数カ月におよぶパンデミック期間中に、コスト削減のためドライバーの数を減らしている。南アジアは多くの巨大国際企業が次の成長市場として惹かれているが、現在のところ過去に前例のない不況に陥っている(Bloomberg記事)。

UberもOlaも11月27日の時点でコメントを出していないが、このガイドラインは両社の足かせになるだけではない。私有の車による共有カー、すなわちカープーリングサービスも認めている。ただしそれには制限があって、市内の乗車は1日4回まで、都市間は週に2回までとなっている。

バンガロールのマーケティング調査およびコンサルティング企業であるRedseerの共同出資者Ujjwal Chaudhry(ウジワル・チャウドリー)氏によると、政府によるこのガイドラインの影響は良い面も悪い面もある。

「ポジティブな面としては、この業界が正式に認められ、また安全規則の改善で、車やドライバーを集める側の企業に対する消費者の信頼が増すことだ。しかし全体的に、このガイドラインのエコシステムの成長に対する影響はネガティブだ。高料金を制限したことによって、現在、50万人いるドライバーの収入は減少し、6000万から8000万いるといわれるユーザーにとっては、料金と待ち時間が増える結果になるだろう」とチャウドリー氏は声明で述べている。

ガイドラインのルールは、ライドシェアを取り巻くそのほかの要素にも触れている。ライダーまたはドライバーに課せられるキャンセル料は総料金の10%を超えてはならない。料金は100ルピー(約140円)を超えてはならない。カープーリングサービスを利用する女性客は車の共有者を女性に限定できる。また事業者はコントロールルームを24時間運用しなければならない。

インドのアプリを使用するライドシェア市場は、OlaとUberが支配している。どちらも自分たちがトップだと主張しているが、両社に投資しているSoftBankによると、インドではOlaがUberを若干リードしているとのことだ。

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タグ:UberOlaインド

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberのアムステルダム拠点社員11名の解雇許可申請を当局が却下

Uber(ウーバー)はオランダ、アムステルダムのEMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)本社従業員11名を解雇する許可申請を、オランダ労働者保険機構(UWV)に却下されたことを正式に認めた。

対象となっている社員らは、2020年にUberが大規模レイオフの一環として提案した早期退職手当を受け入れなかった。

Uberは今年、2020年5月全従業員の約15%におよぶ大規模な世界的レイオフを発表し、アムステルダムに勤務する約200名も対象となった。同社は新型コロナパンデミックによる需要の変化を人員削減の理由だとしている。

先週、オランダの新聞NRCは、Uberは人員解雇の許可申請を却下され、UWVが解雇の根拠がないと判断したためだったと報じた。

記事によると、対象となったUber社員は会社の退職勧告を受け入れるよう圧力をかけられていたという。Zoomによるビデオ通話で退職通知を受けた翌日に社内システムから切り離され、退職手当受け入れを促す通知が毎日送られいぇ、Uberから「あなたたちの職はすでに存在しない」といわれた。

オランダ法では、雇用者は計画的解雇のためにUWVの承認を得る必要がある。しかし今回のケースではUWVが決定を下す前に大部分の対象者が退職を受け入れていた。地元紙の報道によると、対象者の多くは出稼ぎ労働者で、オランダ法による労働者権利を知らなかった可能性があるという。

Uberに質問したところ、同社の広報担当者から以下の声明が送られてきた。

今年当社は、パンデミックの劇的な影響を受け、最終的な復旧の見通しがたたないため、全世界の人員削減という困難な決断を下しました。アムステルダムの当社EMEA本社における人員削減はその一環です。

さらにUberは、退職手当の提案を受け入れなかった11名に対する同社の解雇申請を拒否したUWVの決定に同意していないことを本誌に伝え、決定内容を見直してから進め方を決めると付け加えた。

同社は、対象の約200名に提示した退職手当には、2.5カ月分の給与と年末までの健康保険、再就職の斡旋 およびUberが手当したビザ保有者への追加支援が含まれていた、と語った。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uberオランダ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

配車サービスを提供している都市では性的暴行の発生率が低いとの調査結果

著者紹介:

Min-Seok Pang(パン・ミンソク)博士は、テンプル大学フォックスビジネススクールで経営情報システムの准教授、ミルトン・F・シュタウファーの主任研究員を務めている。

Jiyong Park(パク・ジヨン)博士は、ノースカロライナ大学グリーンズボロ校ブライアンスクールオブビジネスアンドエコノミクスの情報システム助教授である。

ーーー

2010年のUberのローンチ以来、配車サービスは多くの都市で最も主要な交通手段の1つに成長している。配車サービスのおかげで、旅行者は手を振ってタクシーを拾う労力から解放された。幸運にも都市で車を所有することができていたとしても、飲酒運転をする必要がなく、宝くじを当てるほどの確率ともいえる駐車場を探す必要もない選択肢が用意されている。

しかし、急成長を遂げたUberやLyftのような企業は、数々の批判やスキャンダルにもさらされている。このような危機の要因の1つは、ドライバーによる性的暴行やその他の犯罪事件が数多く発生していることにある。しかし、私たちの研究は驚くべき発見を示している。配車サービスは実際、性的暴行の発生を減少させるというものだ。

The Deterrent Effect of Ride-Sharing on Sexual Assault and Investigation of Situational Contingencies(性的暴行に対する配車サービスの抑止効果と状況的偶発事象の研究)」という論文の中で、私たちは2015年のニューヨーク市のUberの取引記録と犯罪報告に関する分析を行った。調査では、Uberの利用数の増加に応じて性的暴行事件が報告される可能性は低くなることが示されている。Uberの利用が1%増加すると性的暴行の認知件数が年間48件も減少するという結果がニューヨーク市で得られた。

私たちの詳細な分析によると、より興味深い知見が明らかになっている。具体的には、次のような交通手段の供給が需要をほとんど満たさない地域や状況において、配車サービスは性的暴行事件の大幅な減少に寄与することがわかった。

  • タクシーを拾える機会が少ない地域
  • マンハッタン以外のニューヨーク市行政区(ブルックリン、クイーンズ、スタテン島、ブロンクス)
  • 非白人居住者の割合が高い地域
  • 夜の時間帯
  • 平日の夜より金曜日や土曜日の夜の方がアルコールを提供する場所が多い地域
  • より多くの犯罪が発生している地域

それでは、配車サービスが性的暴行事件の報告件数の減少につながる要素は何であろうか。端的に言えば、犯罪被害者になりそうな人々をできるだけ早く安全な場所である自宅に移動させることである。

路上でタクシーを待ったり、地下鉄の駅まで8ブロック歩いたり、地下鉄に一人で乗車するというような、夜遅い時間帯には望ましくない状況から逃れる選択肢を配車サービスは提供する。私たちのデータによると、Uberの待ち時間はタクシーよりもかなり短く、都市郊外ではUberの方がより広く利用されている。2015年にはニューヨーク市の外側の区で乗車の約23%をUberが提供しており、これはマンハッタン(12%)のほぼ倍にあたる。マンハッタンから最も遠い地域であるベンソンハースト、クイーンズビレッジ、カンブリアハイツなどでは91%まで増加した。

Uberのモバイルプラットフォームを通じた需要(乗客)と供給(ドライバー)のリアルタイムマッチングがこうした状況を後押ししている。プラットフォームは乗客と運転手の位置を正確に把握しており、乗客と最寄りの運転手を瞬時に照合し、乗客の正確な位置を指示することができる。また、動的な価格設定により、ドライバーは市場の需要に即座に対応することができ、需要と供給の密接なマッチングに役立つ。

このプラットフォームのリアルタイムマッチングと動的価格設定は、配車サービスの犯罪抑止効果がマンハッタン郊外の方で強くなっている理由も説明している。前述の通り、乗客が路上でタクシーを見つけるのは難しい。同様に、タクシードライバーが通りで乗客を見つけるのも困難である。タクシードライバーは通常、空港、駅、ホテルなど人気のある送迎スポットの周囲を車で回ったり、その場所で待ったりするが、郊外でこれをするのは経済的とは言えない。乗客を見つけることが難しいため、ほとんどが人口密集地でサービスを提供する傾向がある。配車サービスはこうした交通輸送のギャップを埋め、犯罪被害者になりそうな人々が自宅まで簡単に移動できる環境を生み出している。

私たちは2005年から2017年の間にアメリカの他の都市でもこの影響について観察し、Uberがそれらの都市でサービスを開始したときに性的暴行事件の報告数が最大6%減少したことを確認した。

では、私たちの調査結果は政策立案者にとってどのような意味を持つだろうか。この研究で示されているのは、公共の安全と交通は相互に関連しており、市民のための信頼できる便利な交通インフラは犯罪を抑止するメカニズムになり得ることである。

例えば、恵まれない人々が住む多くの地域では犯罪が絶えず、公共交通機関も十分に行き届いていない。すでに述べたように、郊外や経済的に恵まれない地域において配車サービスの犯罪防止の役割が大きくなっている。これらの地域の交通インフラを整備することで、防犯をはじめとする多面的な価値を市民にもたらすことができると考えられる。

一部の地方自治体は、交通輸送ギャップの対策としてオンデマンド輸送サービスを開始している。このサービスでは、あらかじめ決められたスケジュールで路線を走るバスの代わりに、乗客はどこでも乗車をリクエストでき、バスがそれに応じて乗客を輸送する。学内の学生のための安全運転プログラムを運営する大学も多くなっている。この種の柔軟な交通システムは、自治体にとってより費用対効果が高いかたちで犯罪抑止の役割を果たすことができる。

顧客や従業員に信頼できる交通手段を提供することを目的とする企業は、ITを活用した交通プラットフォームの恩恵を受けており、新技術系スタートアップがその役割を担っている。例えば、医療機関と主要な配車業者の提携により患者に信頼性の高い移動手段を提供するUber HealthやLyft Healthなどがあり、患者と医療機関とのつながりに貢献している。

配車サービスのドライバーが危険な人物であることもあり得る。彼らが犯罪を犯すことはないと言っているわけではない。しかし一方では、UberやLyftで働く善良な人々によって、罪のない人々から危険な人物を遠ざける機運がもたらされることだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

Uberがトラブル続きだった自動運転技術部門ATGをライバルのAuroraに売却か

18カ月前、Uber(ウーバー)の自動運転部門である Uber Advanced Technologies Group(ATG)はトヨタやデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1047億円)の出資を受けてバリュエーションが72億5000万ドル(約7600億円)になった。そのATGはいま、売りに出ている。競合相手のスタートアップがATG買収でUberと交渉中だ。この件に詳しい3人の情報筋が明らかにした。

Google(グーグル)、Tesla(テスラ)、そしてUberで自動運転技術に携わった3人の業界ベテランによって設立されたスタートアップAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATG買収で交渉している。取引条件などはまだ明らかになっていないが、両社は2020年10月から交渉しており、そのプロセスは進展を見せていると情報筋は話す。

Uberの広報担当は、当社はこうした種の問い合わせには答えない、としてコメントを却下した。Auroraの広報担当は憶測についてはコメントしないと述べた。

交渉は決裂することもあり得る。しかしもしうまくいけば、Auroraの社員は3倍に増え、Uberにとっては短い社歴の間にいくつかの議論の種を抱え込むことになった費用のかかる長期的プロジェクトという荷をおろすことになる。

Uberは「売買」してきた

Uber ATGの売却は、ここ数カ月Uberが配車サービスや配達といった主要事業に注力し、また資金を注ぐことになったスピンオフや他のディールに続く動きだ。2年前の2018年、Uberのビジネスモデルは「上記のすべて的」なアプローチだった。配車サービス、マイクロモビリティ、ロジスティック、荷物・フードデリバリー、そして将来の自動運転ロボタクシーすらも含むあらゆる交通の形態から売上を生み出すことに賭けていた。

Uberが上場してから戦略は変わり、また新型コロナウイルスパンデミックが経済をひっくり返し、人々の暮らしを根本的に変えて以降、その戦略変更は加速した。過去11カ月、Uberはシェアリングマイクロモビリティ部門のJumpをたたみ、成長しているもののまだ黒字化を達成できていないロジスティック部門Uber Freightの株式を売り、Postmates(ポストメイツ)を買収した(Postmatesの買収は2020年第4四半期のクローズが見込まれている)。

Uber ATGは、価値が大きい最後のUberの所有物だ。多くの長期的約束、そしてかなりのコストをUber ATGは抱える。Uberは2020年11月に、 ATGと「他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)が2020年9月30日までの9カ月で3億300万ドル(約320億円)の赤字だったと報告した。UberはフォームS-1の中で、ATGと「他のテクノロジープログラム」の取り組みの研究・開発費用4億5700万ドル(約478億円)が発生した、と述べた。

4人の業界情報筋はTechCrunchに、Uberが今年、自動車メーカーを含む数社にATG売却を打診してきたと語った。また、Uber ATGがダウンラウンドの可能性に直面しており、これがAuroraとの交渉の裏にあるもう1つの動機かもしれない、とも話した。

2017年創業のAuroraは完全自動運転の構築に専念している。車が高速道路や街中の通りをドライバーなしで走行できるようにする技術だ。同社は著名なベンチャーファーム、資産運用会社、そしてGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceといった企業の関心と資金を集めてきた。創業者のSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏も出資している。

アームソン氏は、後にAlphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)となるためにスピンアウトしたグーグルの自動運転プロジェクトを率いていた。アンダーソン氏はTeslaのModel XとAutopilotプログラムの開発・立ち上げを主導したことで最もよく知られている。カーネギーメロン大学の准教授であるバグネル氏はUberの自動運転部門立ち上げをサポートし、ピッツバーグにあるAdvanced Technologies Centerの自律・認知チームを率いていた。

Auroraは零細の新スタートアップから、いまやサンフランシスコのベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州ボーズマンに事業所を展開し、従業員600人を抱える企業に成長した。ボーズマンは、Auroraが2019年に買収したLiDAR企業であるBlackmore(ブラックモア)の拠点だった。LinkedIn(リンクドイン)の記録によると、Auroraの現在の従業員の約12%が元Uber従業員だ。

そうした成長にもかかわらず、AuroraはUberを大株主にもつUber ATGよりもまだだいぶ小さい。Uber ATGは従業員1200人超を抱え、ピッツバーグやサンフランシスコ、トロントなどに拠点を構える。米証券取引委員会に提出された書類によると、UberのUber ATGの持分は86.2%だ。残りの投資家の持分は13.8%となっている。

Uberの自動運転車両テクノロジーへの参入は、同社がカーネギーメロン大学のNational Robotics Centerとの戦略的提携を発表した2015年に本格的に始まった。ドライバーなし車両テクノロジーの開発を共同で行うという提携は、Uberによる数十人ものNRECの研究者や科学者のハンティングにつながった。1年後、社内にAV開発部門を立ち上げ、共同創業者のTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が当時率いていたUberはOtto(オット)という自動運転トラックのスタートアップを買収した。

この買収は最初からトラブル続きだった。Ottoはグーグルのスターエンジニアの1人Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏、それから3人のグーグルのベテラン、Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏らがその年の初めに共同で創業した。そして創業から8カ月も経っていなかったOttoをUberが買収した。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とロン氏に対して仲裁を要求した。どちらの要求にもUberは含まれなかった。この件は決着がついたが、それとは別にWaymoは2017年2月に企業秘密の窃盗と特許侵害でUberに対して訴訟を起こした。Waymoは2018年に和解した裁判の中で、レヴァンドフスキー氏が同社の企業秘密を盗み、それが後にUberによって使用されたと主張した。

和解の中でUberは、Waymoの機密情報をハードウェアやソフトウェアに組み込まないことに同意した。Uberはまた、シリーズG-1ラウンド時のバリュエーション720億ドル(約7兆5000億円)に基づく同社の発行株式の0.34%を含む賠償金を払うことにも同意した。当時、その額は約2億4480万ドル(約256億円)と算出された。

TechCrunchが最初に報じた裁判資料によると、Otto買収の初期にUberは2019年までに自動走行車両7万5000台を走らせ、2022年までにドライバーなしのタクシーサービスを13都市で展開できると想定していた。そうした野心的な目標を達成するのに、Uberは自動運転テクノロジーの開発に1カ月あたり2000万ドル(約21億円)を使っていた。

同社がそうした目標の達成に近づくことは決してなかった。技術的困難、Waymoとの裁判、トラブルに満ちたレヴァンドフスキー氏との関係、そして2018年3月にアリゾナ州テンペで同社の自動運転テスト車両が起こした死亡事故など、ミッションは狂った。

事故を受けて同社はテストを中止し、過去18カ月はより対外的なオペレーションをゆっくりと展開してきた。自動運転車両開発の事業は多額の資金を要することから、Uberはトヨタ、車部品メーカーのデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドルを調達した後の2019年春にATGをスピンアウトすることになった。

公開企業としてUberがデビューする1カ月前にあったスピンアウトは、何カ月もの間、憶測の対象だった。費用のかかる事業を他の投資家と共有し、主要事業の業績と短期的な利益目標にフォーカスするための手段としてみられた。

Auroraは何を得るのか

トラブルはさておいて、Uber ATGはAuroraにとって魅力的な2つの重要かつ重大な要素を有している。人材とトヨタだ。

トヨタは2019年に現金を注入する前にUberに5億ドル(約523億円)を投資している。当時、2社は「Uber ATGの自動運転技術、トヨタの高度安全サポートシステムGuardianの強みを展開する」べく、トヨタのSiennaに自動走行技術を搭載したライドシェア車両の試験を2021年にUberのライドシェアネットワークで始める意向を発表した。

2019年のUber ATGへの投資により、トヨタのUberとの関係は深まった。

Uberが企業秘密窃盗に関する裁判でWaymoと対決している間に、Auroraは華々しく創業された。18カ月の間に同社はHyundai(現代自動車)、Byton(バイトン)、VW Group(フォルクスワーゲングループ)などと複数の提携を確保した。いくつかは立ち消えになったが、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)といった大手との提携も獲得した。いす取りゲームのような変化は、自動運転事業における有望なプレイヤーが多いことを示すものだ。この業界は、よく知られていない事業者や最善の技術とディールを求める移り気な車メーカーで溢れている。

2018年1月にAuroraと提携したVW Groupは2019年6月に、「提携が終了した」ことをTechCrunchに認めた。VW Groupは最終的に、もう1つの自動運転車両テクノロジー開発会社のArgo AI(アルゴAI)に出資した。Argo AIはFord(フォード)からの出資と取引を獲得していた。

現代自動車はAuroraの少数株を保有している一方で、2019年秋に自動運転テクノロジー企業Aptiv(アプティブ)との合弁会社の設立を決めた。AptivとのディールによるMotional(モーショナル)という合弁会社の両社の持分は50%ずつとした。Motionalへの両社の投資総額は計40億ドル(約4200億円)となる見込みだ(エンジニアリングサービス、R&D、IPの合算額を含む)。

それでもAuroraは勝利を収めた。同社は2019年春、Sequoiaがリードし、AmazonとT. Rowe Priceからの「巨額投資」があったシリーズBラウンドで5億3000万ドル(約555億円)を調達した。Auroraの当時のポストマネーでのバリュエーションは25億ドル(約2620億円)だった。直近では、Aurora内ではDavid Maday(デイビッド・メディ)氏の部屋が特に活発だ、と業界筋は話す。Auroraの新しい副社長である同氏は、21年にわたってGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)で事業開発とM&Aを統括した。

Auroraは常に、AVのブレインとなるソフトウェアとハードウェアを組み合わせた同社の完全自動運転技術は特定の車両に限定されないものだと述べてきたが、初期テストで同社はロジスティックではなくロボタクシーへの応用にフォーカスしているようだ。同社は2019年に、長距離トラックへの技術応用についてこれまでよりもオープンに語り始めた。特にBlackmore買収後に、応用により積極的になった。

Auroraは2020年7月、テキサス州に進出し、ダラス・フォートワースエリアでFiat Chrysler Pacificaのミニバンと大型トラックを使っての商業ルートテストを計画していると発表した。まずは少数のPacificaが当地に運び込まれるとされた。同社によると、年末までにトラックもテキサスの道路を走行する見込みだ。

Jumpの先例

よくわかっていないのは、Uber ATGの買収がどういう仕組みになるのかということだ。さらに重要なのは、果たしてAuroraがUber ATGに興味を持ち続けるのか、ということだ。たとえUber ATGのバリュエーションが若干減少したとして、外部からの追加の投資が確保できない限りAuroraの守備範囲を超えるか、Uberが株の一部を所有し続けるような買収構造にするか、となりそうだ。

後者の場合は先例がある。2020年初め、UberはLime(ライム)への1億7000万ドル(約178億円)の投資をリードした。複雑なディールの一環として、Uberは自社の自転車・スクーターシェアリング部門Jump(ジャンプ)をLimeに引き取らせた。

過去において、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏がUber ATGを切り離そうと熱心だという噂は時々あった。しかし新型コロナパンデミックでそれは鳴りを潜め、同氏や他の同社幹部は配車サービスという主幹事業に注力し始め、デリバリーに賭けた。マイクロモビリティ部門とUber Freightのスピンオフに加えて、同社はローカルのライバル企業との競争でコストが増大していた世界各地の事業の多くを売却した。

2人の情報筋によると、Uber ATG売却への関心はJumpのディール後に大きくなった。

ある業界投資家はUber ATG売却を、やや上昇傾向であることの恩恵を受けつつATGを切り離すことができる、Uberにとって興味深いプランBだと表現した。

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タグ:UberAurora自動運転売却

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uber乗車を30日前に予約可能に、お気に入りドライバー指定機能も追加

新型コロナウイルスパンデミック下で消費者を引きつける新たな方法を模索しているUber(ウーバー)は、ユーザーが30日前に乗車を予約し、お気に入りのドライバーを指定できる機能の提供を間もなく開始する。

来週からアプリに登場するUber Reserveという新オプションは、少なくとも乗車の2時間前に配車を予約したいユーザーのためのものだ。2時間以内の乗車の予約ができる「schedule a ride(乗車を手配する)」オプションはそのまま残すとUberは説明した。

「当社の核心のサービスでユーザーの時間を節約しながら、よりフレキシブルにユーザーの暮らしに合うモビリティ機能を構築することで、このアイデアをレベルアップさせたかったのです」とオペレーションリーダーのHolley Beasley(ホーリー・ビーズリー)氏は話した。

画像クレジット:Uber

Reserve機能を使う客にはあらかじめ運賃が示され、乗車に先立ってドライバーがマッチングされる。Uberはまた「お気に入りのドライバー」機能も搭載した。客はアプリにお気に入りのドライバーを加えることができ、Reserve時に「お気に入りのドライバー」から選べる。こうしたお気に入りのドライバーはマッチングで最初に表示されるようにもなる。Uberはドライバーが乗車を引き受けなくても罰則を科されることはないと強調した。

Uberはまた、2つの特典を加えた。客は乗車を予約した時間から15分の遅刻が認められること、それから予約した時間にドライバーが1分でも遅れたら客にUber Cash50ドル(約5300円)を提供してオンタイムを保証することだ。Uber Cashはドライバーの稼ぎからではなくUberから直接提供されるとTechCrunchに語った。

ドライバー向けの保護も追加したともUberは話した。Reserve予約が乗車1時間前にキャンセルされた場合、ドライバーは運賃の全額を受け取る。

UberのプロダクトマネジャーであるGeoff Tam-Scott(ジオフ・タム・スコット)氏によると、この機能は新型コロナ前に開発されていた。しかし新型コロナが拡大するにつれ、既存のスケジューリング機能がより頻繁に使用されていることに気づいた。夏前までには「Reserve機能の開発を加速させようと、総力を挙げて取り組んでいた」と同氏は付け加えた。

Uber Reserveはまず米国の20都市で、プレミアムなUber BlackとBlack SUVで提供される。そして年末までにUber X、comfort、XLといった他の乗車オプションでも利用できるようになる。立ち上げ時に利用できる都市はアトランタ、オースティン、シャーロット、チャールストン、シカゴ、ダラス、デンバー、D.C.、フォートマイヤーズ / ネープルズ、ヒューストン、ラスベガス、マイアミ、ミルウォーキー、ナッシュビル、ニュージャージー、ニューヨーク市、ニューオリンズ、オーランド、フィラデルフィア、フェニックス、シアトルだ。

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タグ:Uber

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナワクチンのニュースでUberの株価が上場以来の最高値を記録

新型コロナウイルスのワクチンの候補が90%有効(The New York Times記事)で、数か月後には市場に出回るというニュースの後、Uberの株価が7.38%上がり、48.18ドルに接近した。

製薬企業のPfizerとBioNTechによる発表が、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けていたさまざまな産業に楽観主義を広めたが、その中にはもちろんライドシェアのようなサービスもある。

Uberの株価上昇は、ワクチンのニュースによるその日限りの高値であるだけでなく、同社が2019年に上場してからの最高の終値だ。また、それが45ドルのIPO価格よりも上で終わったのは、2019年の6月以来のことだ。

Uberの株価は、ギグワーカーを独立の契約業者とするカリフォルニア州の条例が成立した先週以来、上向きに振れていた。UberやLyftなどギグワーカーに依存している企業は、その州条例が否決されたら巨額の構造改革に直面しただろう。

その数日後にUberは第3四半期の決算報告を出し、同社の互いに異なる2つの中核事業のもつれた関係が明らかになった。Uberのライドシェア事業は縮小したが利益を生み、一方のフードデリバリー事業は拡大したが、依然として損失が続いている。

Uberの第3四半期の売上は投資家の期待を満たさず、それにより株価は一時的に下げた。しかし投資家たちが州条例の成立と本日のワクチンのニュースを重視したため、安値は短命に終わった。

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Uberが「ギグワーカーは個人事業主」というカリフォルニアの住民立法を世界展開へ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberが「ギグワーカーは個人事業主」というカリフォルニアの住民立法を世界展開へ

先にカリフォルニア州で、ギグワーカーを個人事業主と分類し続けることを可能にする住民立法案の投票が行われ、その日のうちに承認される見通しとなった。これを受けてUber(ウーバー)は同様の動きを引き続き展開する。ビジネスモデルを守る住民立法というUberの野心は舞台を世界へと移す。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は米国時間11月5日のアナリストとの決算会見で、同社が「Prop 22のような法律を声高に追求する」と述べた。同氏はその後、「これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業する」ことが社にとって優先すべきことだと付け加えた。

「声高に追求する」の内容はやや不透明だ。Prop 22はUberやLyft(リフト)、そしてDoorDash(ドアダッシュ)やPostmates(ポストメイツ)のようなオンデマンドデリバリー企業が支持した。住民立法案を通し、ギグワーカーを従業員として分類するよう企業に強制するカリフォルニア州議会を通過した州法に置き換える動きはかなり費用のかかるものだった。Yes on 22(Prop 22に賛成)キャンペーンに注入された資金は2億500万ドル(約210億円)で、1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

以下、コスロシャヒ氏の考えだ。

最後に、 Proposition 22について。カリフォルニア州でかなりの差をつけて賛成多数となったことを喜んでいます。

この重要な問いについての答えがいま、米国で最も人口が多い州で得られました。カリフォルニアの投票者はドライバーの多くが求めていることに耳を傾けています。ドライバーは新たな福利厚生、保護、そしてこれまで同様のフレキシビリティを求めています。これを前に進めることで、カリフォルニアのドライバーや配達員は最低収入、ヘルスケア加入、事故保障、セーフティ保障の増強が保証されます。これは正しいアプローチだと我々は強く確信しています。物事を改善するために、雇用システムを除外するのではなくギグワーカーの福利厚生を手厚くすべきです。

だからこそ今後、Prop 22のような新しい法律をより一層声高に求めていきます。Prop 22は、ドライバーがかなり重視しているフレキシビリティを維持しつつ、すべてのギグワーカーが求めている保護を追加し、バランスが取れているものだと確信しています。我々が提案した新たな実用的アプローチはドライバーの82%、投票者の76%に支持されました。これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業するのが当社の優先事項となります。

さしあたって、コスロシャヒ氏は同社がProp 22を遵守することに注力すると述べた。Prop 22では企業に、最低賃金の少なくとも120%の収入、業務中の1マイルあたり30セント(約31円)の経費支払い、医療保険、業務中の事故に対する労災保険、差別やセクハラからの保護、自動車事故および賠償責任保険などの保証を求めている。収入の保障と経費の支払いにはドライバーの業務時間が反映され、ライドや配達の合間の時間は考慮されない。

「当社はドライバーに関係するProp 22の実行にかなり集中して取り組みます」とコスロシャヒ氏は述べた。そして、これは運賃の引き上げにつながるかもしれないが、過去の経験からしてライド利用には大きな影響は及ぼさないとの考えを示した。

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(翻訳:Mizoguchi