デロイト トーマツが日本における科学技術領域研究成果の事業化および産学連携を支援

デロイト トーマツが日本におけるサイエンス・テクノロジー領域研究成果の事業化および産学連携を支援

デロイト トーマツ グループは2月4日、日本におけるサイエンスおよびテクノロジー領域の研究成果の事業化および、そのための産学連携の支援に向けて、グループ横断のバーチャル組織「デロイト トーマツ サイエンス アンド テクノロジー」(DTST)を立ち上げ、サービスを開始すると発表した。

主に起業を目指す研究者、企業の科学技術部門、研究開発型スタートアップといった科学技術の担い手やその事業会社や大学、また、政府機関や金融機関、VC、企業のオープンイノベーション組織など産業振興に関連する者などを対象にサービスを提供する。

近年、新型コロナウイルス感染症、気候変動、高齢化といった社会課題が既存の経済社会やビジネスに深刻な影響を与えており、その解決のためにサイエンスとテクノロジーの領域を起点とした新しい価値の創造が求められている。

日本の場合、アメリカや中国に続き、研究開発費が世界で3番目に大きく、その投資額も近年増加傾向にあり(経済産業省産業技術環境局:令和元年9月「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」)、そこから多数のイノベーションを生み出していくことが肝要とされるものの、事業化まで到達するのは一部のシーズに限られているのが現状という。

  1. 経済産業省産業技術環境局:令和元年9月「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」

    経済産業省産業技術環境局:令和元年9月「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」
  1. 経済産業省産業技術環境局:令和元年9月「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」

    経済産業省産業技術環境局:令和元年9月「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」

こうした現状を打開するため、DTSTは、科学技術とビジネスの双方に精通したハイブリッド人材による一気通貫の支援を提供する。最先端の科学技術成果のポテンシャルを理解し、その速やかな事業化に結び付けるために、約150名が多様な専門性を活かして複眼的・創発的なアドバイザリーサービスを行う。

これら約150名は、理系大学院、科学技術研究機関、大企業の研究開発部門などの出身者で、現在は同グループのプロフェッショナルとしてプロジェクトマネジメント、経営戦略、知財戦略、マーケティング、M&A、IPO、会計監査などのビジネス領域の業務に従事しているハイブリッド人材という。

DTSTは、社会や産業のニーズを考慮したマーケットインの観点から研究シーズに着目しながら事業化を支援。例えば、2050年ゼロエミッション達成に向けた様々な環境エネルギー関連の技術開発、少子高齢化社会における効率化向上に向けたAI、ブロックチェーン技術の活用、ワクチンや再生医療等製品の開発といったバイオ産業の推進、防災・防犯に向けた衛星通信技術の開発や新素材開発のための宇宙空間の活用促進といった、中長期的な社会課題解決を担う研究シーズを対象に次のようなサービスを提供する。

官公庁向け:イノベーションエコシステム形成支援

政府・自治体などの科学技術振興に関する調査研究、プラットフォーム形成、アクセラレーションプログラム・研究開発支援プログラムの企画立案・運営を実行。地域の特性や周辺自治体の戦略と整合しつつ、当該地域の持続的な経済発展に貢献できるイノベーションエコシステムの形成を支援する。

大学・大学発サイエンス・テクノロジー系スタートアップ向け:研究シーズの事業化戦略策定・実行支援

研究紹介をビジネス戦略に落とし込み、提案先の探索から提案支援、その後のビジネス拡大までの企画立案から実行支援まで、その研究シーズに合ったイノベーション創出を支援する伴走支援を中長期的な観点で提供する。

大学や研究機関で創出されたシーズを、科学技術とビジネスのハイブリッド人材がその研究をしっかりと理解した上でビジネスの視点で目利きし、研究紹介のビジネスプランへの変換、マーケティングリサーチ、出口戦略策定支援、知財・財務会計アドバイザリー、アライアンス先候補選定からその実行支援を行う。

中小企業・大企業向け:新規事業開発支援

新たな成長の芽を作るために、新技術による新規事業開発の伴走支援、政府や自治体戦略との整合、大学・大学発サイエンス・テクノロジー系スタートアップとの連携などを支援。事業企画の立案から事業化段階でのバリューチェーン構築、事業ローンチ後のフォローまで、一気通貫したビジネスプロデュースにより、新技術を社会実装して社会課題を解決するサポートを実施する。

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患者の負担を軽減する液体生検を用いた白血病遺伝子検査提供のLiquid Mineが資金調達

患者の負担を軽減する液体生検を用いた白血病遺伝子検査提供のLiquid Mineが資金調達

Plug and Play Japanは2月3日、東京大学医科学研究所発のスタートアップLiquid Mineへの出資を発表した。

Liquid Mineは、「最先端の遺伝子解析により、より多くのがん患者一人ひとりに最適な治療環境を提供する。」をミッションに、リキッドバイオプシー(液体生検。Liquid Biopsy)を用いたゲノム検査「MyRD」を提供する東京大学医科学研究所発のスタートアップ。患者個人に合わせたテーラーメイド医療(オーダメイド医療)を通じて、白血病患者の長期生存率向上、がんの克服を目指している。

白血病の検査としては、骨髄生検という手法が一般的なものの、非常に強い痛みを伴うため患者の肉体的・精神的・経済的負担が大きいという課題がある。一方Liquid Mineの提供するソリューションは、患者モニタリング期の骨髄生検を侵襲性の低いリキッドバイオプシーに代替することで、これら患者の負担軽減に貢献するという。

市場展開として、日本のみならず海外でもがん検査の新たなスタンダードとなる可能性を持つことから、世界に事業展開できるスタートアップに投資しているPlug and Play Venturesは、同社が目指すがんゲノム医療のポテンシャルを感じ、出資を決定した。

Plug and Playの投資部門Plug and Play Venturesは、世界にビジネスを拡大していく可能性を持つ日本のスタートアップに対し、事業領域を問わず投資を行っている。投資件数において世界で最も活発なベンチャーキャピタルのひとつでもあり、DropboxやPaypal、Lending Clubなど多数のユニコーン企業を輩出してきた。

2020年は162社のスタートアップに投資を実施したほか、ポートフォリオ企業から12社がExitを果たし、新たに4社がユニコーンとなった。

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Beyond Next Venturesが日本初の研究領域対象「起業版サーチファンド」開始

Beyond Next Venturesが日本初の研究領域対象「起業版サーチファンド」開始

Beyond Next Venturesは2月1日、「0→1」事業創造を支援する仕組みとして「起業版サーチファンド」の運用を新たに開始すると発表した。大学・企業などの技術シーズ事業化を後押しするサーチファンド型スキームは、国内初の取り組み。2023年末までに5社以上のスタートアップの設立を目指す。

また専用サイトよりウェブエントリーを行った者にメールで説明会を案内するとしている。

一般にサーチファンドというと、経営者候補(サーチャー)が投資家と連携し、既存産業の優良企業より案件の探索・買収を実行し、経営に参画するという手法を指す。国内においては中小企業の後継者不足を解決するひとつの手法としても注目を集めているという。

これに対してBeyond Next Venturesが運用する起業版サーチファンドは、それら事業買収モデルではなく、同社によるバックアップの下、経営者候補(サーチャー)が大学・企業などの技術シーズの法人化に関わり、経営者として「0→1」の事業創造にコミットすることを支援する仕組みとしている。

大学・企業などの技術シーズには毎年数兆円規模の研究資金が投入されているものの、事業化して成功する事例はごく少数とされており、その主な要因のひとつが「経営人材不足」にあるという。

研究者が研究成果を事業化したい時、「外部人材を投入する」または「自ら経営を担う」が代表的なパターンとなっており、ビジネス経験の少ない研究者の場合外部人材投入のパターンで企業の事業経験者などを経営陣に迎え入れるほうが成功確率を高められるとしている。

しかしBeyond Next Venturesによると、そういった人材が創業初期になかなか見つからず、研究者自ら事業プランを練り、研究活動と同時に法人化に必要な膨大な業務を行おうとして、つまずいてしまうケースが数多く存在しているそうだ。

同社は、起業家になりたい方(経営候補人材)がより挑戦しやすい仕組みを提供することで、経営人材の発掘・育成と研究成果の事業化促進を実現させ、研究資金を社会に還元していくエコシステムをさらに活性化させるとしている。

経営者候補(サーチャー)が受けられる支援

  • 創業および成長資金の確保:創業資金、創業後の継続投資
  • 有望な技術シーズとの出会い:有望な技術シーズリストの提供、ネットワーク提供、伴走支援
  • 専門領域に即した支援:知財評価・取得、事業および投資採算性評価、事業モデル策定ほか
  • 創業および成長支援:メンバー採用、規制対応、アライアンス、海外展開ほか

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細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)は1月29日、同社運営のイノベーションC投資事業有限責任組合(イノベCファンド)より、細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーに出資したと発表した。

2013年5月設立のAFIテクノロジーは、細菌・微生物を生きたまま不純物から抽出できる技術を用いた機械を開発しており、この分離技術は食品製造業の衛生管理分野での活用が期待されているという。

従来の食品衛生管理は、食品製造工程で滅菌処理した後、細菌が本当にいないかどうか培養することで検査しているが、同社の技術により細菌を抽出しリアルタイムで観察可能となる。これにより細菌検査の正確性の向上と作業時間の大幅な短縮が期待できる。

日本では、2021年6月から食品業者にHACCAP(ハサップ)基準に合った製造・調理工程の衛生管理となるよう「最適化」「見える化」することが求められる。細菌検査の重要性が増す中、検査の正確・迅速性を向上させる同社の技術は食品衛生管理の一助になり食品の安全・安心につながるとしている。

細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

イノベCファンドは、シード~レイターステージのベンチャー企業を対象とする、2018年8月に京都信用金庫とFVCが共同で設立したファンド。京都信用金庫営業エリア内で独創的な技術、サービスやビジネスモデルで地域経済の活性化に資するベンチャー企業を出資対象とし、当該企業の成長および社会課題解決等の実現に寄与することを目的としている。本件のAFIテクノロジーへの出資により、イノベCファンドからの出資は、合計17社となった。

FVCは、京都に本社を置く独立系ベンチャーキャピタル(VC)。地域のベンチャー企業を支援するための「地方創生ファンド」と事業会社のオープンイノベーションを促進するための「CVCファンド」に取り組んでいる。また資金を投入するだけでなく、長期的な事業継続に向け、事業育成、人材育成、事業コンサルティングなどの支援を行っている。

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レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)は1月28日、レーザー測位スキャナ(LiDAR)を活用して屋内における人の位置を測定できるシステム「ひとなび」を手がけるHULIXに対し、1億3000万円の投資を実行したと発表した。

HULIXは、今回の資金調達によりシステムの改良を行うとともに、プロダクトマーケットフィット(PMF。Product Market Fit)の検証を進め、更なる事業開発を加速化させる計画。

同社事業は、特に現在のようにコロナ禍で人の動きを把握する必要性が高くなっている状況において、社会実装する意義が大きいと判断したため、OUVCは同社に対する投資を決定した。OUVCからは取締役を派遣することで、ハンズオンで支援を継続していく。

HULIXは、人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組む大阪大学情報科学研究科・山口准教授の研究成果を基にして、2020年7月に設立された大阪大学発のスタートアップ企業。大阪大学の起業支援施策である「起業プロジェクト育成グラント」の採択案件として、阪大・OUVCの全面的なバックアップのもと、人流空間解析プラットフォーム「ひとなび」の事業化に取り組んできた。

また同社は、LiDARを組み込んだオリジナルエッジ機器の開発を進めており、実証フィールドでの取り組みも進めているという。レーザー測位スキャナ(LiDAR)の点群データから、リアルタイムに人やモノを抽出し空間時系列データへと変換するAIエッジ技術を保有し、こちらも研究開発を行っているそうだ。

ひとなびは、LiDARを活用して屋内における人の位置を測定できるシステムで、大規模空間で不特定多数の人の流れを把握できるという特徴を有している。阪大独自のセンシング技術により、空間に「目」と「知能」を与え、高度な空間理解と空間制御を実現しているという。

また同システムを活用すると、大型商業施設内での消費者行動の分析や混雑状況の可視化や予測が可能になることから、三井不動産と連携し、同社運営の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)では、歩行者の軌跡からリアルタイムで混雑状況を予測したり、消費者行動を分析する実証実験を開始している。

なおひとなびは、施設の様々な場所に設置されたセンサーからのデータを基に人の流れを把握しているため、個人情報を取得せずにフードコートや施設内の混雑状況の分析できるとしている。

OUVC2号ファンドは、2015年に設立されたOUVC1号ファンドの後継ファンドで、大阪大学のみならず他の国立大学の研究成果も社会実装する目的で2021年1月1日に設立された。同案件はOUVC2号ファンドの第一号案件となる。

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カテゴリー:ソフトウェア
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大学VCの慶應イノベーション・イニシアティブが2号ファンドを103億円で募集終了

大学VCの慶應イノベーション・イニシアティブが2号ファンドを103億円で募集終了

大学ベンチャーキャピタル(VC)の「慶應イノベーション・イニシアティブ」(KII)は1月25日、2号ファンドの募集を総額103億円で1月22日に終了したと発表した。中小企業基盤整備機構をはじめとする追加出資者の参加により、2号ファンドの総額は1号ファンドの約45億円から2倍以上に拡大した。

KII2号ファンドへの追加出資者(有限責任組合員)

  • 機関投資家、金融機関:中小企業基盤整備機構、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行、極東証券、三菱UFJキャピタル
  • 事業会社:エーザイ
  • 起業家:金當一臣氏

2号ファンドは2020年1月より運用を開始し、2021年1月25日現在5社に対して投資を実施済み。20〜25社程度への出資を計画しているという。

投資対象は、慶應義塾大学をはじめとする大学や研究機関などの優れた研究成果を活用したスタートアップ。シード・アーリーステージからリード投資家として支援を行っていく方針としている。

KIIは、スタートアップへの投資育成を通じて日本が誇る大学などの研究機関の技術や知的財産といった優れた研究成果の社会実装を推進し社会貢献の一翼を担うと同時に、VCファンドとして高い収益性を確保し持続的なイノベーションエコシステムの構築に取り組んでいくとしている。

KII2号ファンドの概要

  • 名称:KII2号投資事業有限責任組合
  • 投資対象:慶應義塾大学をはじめとする大学、研究機関等の成果を活用したスタートアップ企業
  • ファンド総額:103億円
  • 運用期間:2020年1月24日より10年間(最大2年の延長可能性あり)

KIIでは、2016年7月に開始した約45億円の1号ファンドより慶應義塾大学の研究成果を活用した企業や卒業生が設立した企業19社に対して投資を実施。代表的な投資例としては、2020年12月に東京証券取引所マザーズに上場した創薬ベンチャーのクリングルファーマや、日本で最初にデジタル治療薬として承認されたCureApp、2020年に最も企業価値が増加した未上場企業である次世代バッテリー製造のAPB、2020年12月に人工衛星の実証機を打ち上げた宇宙ベンチャーのSynspectiveなどがある。

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人気の次世代音声SNS「Clubhouse」がクリエイターへの支払い計画を発表、Andreessen Horowitz主導の新ラウンド準備中

音声によるライブチャットを利用したSNSであるClubhouseは新しい資金調達ラウンドを準備していることを確認した。ただし具体的な金額は明らかにされなかった。シリーズBラウンドをリードするのはAndreessen HorowitzでパートナーのAndrew Chen(アンドリュー・チャン)氏が担当する。この発表の直前にThe Informationが「Clubhouseは評価額10億ドル(1038億円)で資金調達中」という記事を公開していた。TechCrunchは今回のラウンドの評価額、調達予定額を確認しようとしている。それと別に我々は、Cubhouseがサブスクリプション、チップ、チケット販売などにより、クリエイターがプラットフォームで収入を得る機能を導入する計画を確認している。

シリーズBラウンドによる資金はこの「クリエイター助成プログラム(Creator Grant Program)」にも充てられる。Clubhouseブログによればのプログラム「プラットフォーム上で人気を得つつあるクリエーターをサポートする」ための仕組みだという。Clubhouseのモバイルアプリはセレブや政治家などをクリエイターとして引きつけることに驚異的な成果を挙げている。クリエーターが収入を得られるようにすることは現在のクリエーターの関心を持続化させると同時に、新たな関心を刺激してメンバーへの参加を促すのに役立つことは間違いない。YouTubeやTikTokでインフルエンサーのようになれるというのは魅力的な可能性だ。

もちろん、ユーザーの収益化と同時にClubhouse自身の収益化も追求されるはずだ。今のところ、このプラットフォームはすべてのユーザーに無料で提供されており、ユーザーに課金するプラン、方法はまだない。広告もサポートされていない。メンバーがクリエーターに支払いを行う方法が追加されれば、Clubhouse自身がその一部を手数料として保持する機会が得られるはずだ。

クリエイターのための収益化機能の開発スケジュールは、現時点ではまだ十分に厳密に決定されていないようだ。Clubhouseは3つの分野(チップ、チケット、サブスクリプション)について「この数カ月間 」に最初のテストを開始すると述べている。YouTubeなどのクリエーターに収益化の機会を提供するPatreonのような機能をClubhouseプラットフォームに組み込むことを考えているのかもしれない。この中で「チケット」は独特で、座談会形式のClubhouseイベントと相性の良いオプションだ。チケットの導入は バーチャルイベントを開催したい企業などがClubhouseを利用することを後押しする可能性がある。

同社のアプリは今のところiOS版のみだが、Android版の開発を開始し、ニーズの急増に対応できるようバックエンドのスケーリングにも投資する。人材の獲得、不正利用を検出し排除するためのツールの開発にも力を入れていくと発表した。Clubhouseは、過去に悪用の防止に関して失敗があったと批判されたことがあったので開発のこの側面には各方面の関心が集まるだろう。同社はまたユーザーグループ(アプリの用語では「クラブ」)を検索、表示する方法の改良も行う。

Clubhouseがホストしている公開のクラブ「タウンホール」でファウンダー、CEOのPaul Davison(ポール・デビッソン)氏は同社には週あたり200万人のアクティブユーザーがいることを明らかにした。また現在同社の投資家は180を超えるとと述べていることも注目だ。シリーズB段階のスタートアップにしては大きな数だが、その多くは小規模な独立投資家で投資も少額だろうと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

VCのSuperChargerがEdTechのバーチャルアクセラレーター開始

パンデミック以前は総合ベンチャーキャピタルはEdTechに興味を示さなかった。教育分野をターゲットとするスタートアップはベンチャー資金をあまり調達できない状態が数十年続いた。新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が始まってから1年以上経った今、この分野には才能ある人材が殺到し、スタートアップは損益分岐点達成からユニコーンへ、さらに株式上場の可能性まで視野に入るようになっている。

こうした勢いを背景に、アジアを中心に国際的ネットワークを持つベンチャーキャピタルであるSuperCharger Venturesは、アーリーステージのEdTech向けアクセラレーターを立ち上げた。米国時間1月11日にオンラインでスタートする12週間のプログラムには6つのスタートアップチームが参加している。

SuperChargerがアクセラレーターを開催するのは、これが初めてではない。同社は過去にフィンテックのアクセラレーターを3回実施している。SuperCharger Venturesの共同ファウンダーJanos Barberis(ヤノス・バルベリス)氏はこのピボットの理由は非常に単純だと語った。つまり銀行だという。

バルベリス氏によれば、新型コロナにより多くの銀行が支店の営業を続けることが困難になっており、フィンテックサービスの需要が激減したという。同氏は「現在、銀行にはイノベーションに取り組むための余裕がありません。こういうときに真っ先に削減されるのはイノベーションです」と語った。

こうした状況で同社はEdTechにピボット(未訳記事)したが、フィンテックのアクセラレーターを運営した経験から重要な教訓を得ている。つまり継続的な収入源を得るためのB2B(企業向け事業)の重要性だ。

バルベリス氏は「B2B事業は収益を得る上での安定性、健全性があるので重視しています。つまり健全な収入源です。現在、投資家が投資を決める要因は健全な収入の有無だと思います」と語った。

たしかにバルベリス氏の主張に異議を唱えるのは難しい。しかしQuizletCourse HeroApplyBoardといった現在のEdTechユニコーンの多くはコンシューマ向け、つまりB2Cだ。教育機関は多数ありしかも非常に細分化されているため、エンドユーザーをターゲットとするほうがマーケティング上有利になるためだ。少なくとも米国ではそうだ。

しかし理論的にはB2BビジネスはB2Cより容易に多数のユーザーを獲得する可能性を秘めており、新型コロナの蔓延はB2B移行というトレンドを加速している。バルベリス氏は「国際的に知名度を高めることも重要です。また(国際市場では)教育機関の細分化が米国より少ない場合があります」と述べた。

アクセラレーターに参加しているスタートアップは、B2B市場の開拓だけでなく、アジアとヨーロッパ市場への拡大にも焦点を当てることが求められている。

バルベリス氏は、ヨーロッパと(中国を除く)アジア市場はどちらもEdTech分野に需要と供給のギャップがあり、十分にビジネスチャンスがあると考えている。ヨーロッパでは企業は大学によるデジタル学習を求めている。アジアでは、中国外の市場が有力であることを投資家に実証する必要があると考えている。ヨーロッパにはすでに需要があり、アジアには需要を生み出すチャンスがあるわけだ。

同氏は当面、米国と中国をターゲットから外している。両国にはすでに多数のスタートアップが存在し市場が飽和状態にあると考えているためだ。

SuperChargerのEdTechのクラスは、通常のアクセラレーターモデルに準じている。ただし教育機関との提携や短期間で実効を上げる(B2BのEdTech事業の需要は夏季に集中的に発生する)方法など、教育事業の特性に合わせた内容が含まれている。

SuperChargerは資金を提供しない。サービスの対価はスタートアップの株式の1〜2%だ。これは会社評価額として7万5000ドル(約780万円)から10万ドル(約1040万円)程度と見積もられている。アクセラレーターはデモデーでクライマックスを迎える。この際、総額1500万ドル(約15億6000万円)から2000万ドル(約20億8000万円)程度のベンチャー資金を調達できると考えている。

TechCrunchでも報じたNextView Venturesをはじめ、アクセラレータープログラムを開催してビジネスの成長支援し、パンデミック下でもシード分野の活気を維持しようとするベンチャーキャピタルは多い。

上記しているようにSuperCharger Venturesはフィンテックに焦点を当てたアクセラレーターを3回実行し、49社が卒業している。フィンテックは過去に十分活況を呈しているセクターだったが「この分野は飽和したため(EdTechに)ピボットした」とバルベリス氏は述べた。

最初のクラスには208チームの応募から以下の6チームが選ばれている

  • Axon Park:ファウンダーはTaylor Freeman(テイラー・フリーマン)氏ら。仮想現実を利用して医療専門家にパンデミック下の個人防護具使用手順等の職業訓練を行う。ターゲットは企業、政府、大学。
  • BSD Education:共同創業者はChristopher Geary(クリストファー・ギアリー)氏、Nickey Khemchandani(ニッキー・ケムチャンダニ)氏。8歳から18歳までの生徒向けのテクノロジー学習カリキュラム。このスタートアップはカリキュラムの提供以外に、教師向けの専門的トレーニングとオンライン学習のプラットフォームを提供する。
  • Dijital KolejZeynep Dereli(ゼイネップ・デレリ)氏とFerruh Gürtaş(フェルー・ギュルタシュ)氏が創立。自由な時間に再生できる非同期学習と特定時間に実施される同期学習のハイブリッドによるオンライン教育モデルの構築。
  • NewcampusWill Fan(ウィルファン)氏、Fei Yao(フェイ・ヤオ)氏の創立。ジム(会員性運動クラブ)の学習版と位置づけている。企業におけるリーダーシップ育成に焦点を当てた生涯学習のプラットフォーム。
  • Ringbeller:ファウンダーはCJ Casciotta(CJ・カシオッタ)氏。インタラクティブなビデオレッスンを利用して子供たちにソフトスキル(創造性、親切心など)を教える。
  • RoybiElnaz Sarraf(エルナズ・サラフ)氏、Ron Cheng(ロン・チェン)氏が創立。STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野で子供向けテーマを教えるAIロボットの構築。

関連記事:NextView Venturesがスタートアップ向けリモートアクセラレーターを開始

カテゴリー:EdTech
タグ:VCアクセラレータープログラム

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)を運営するpaizaは1月8日、計7社のベンチャーキャピタル(VC)との提携とともに、各VC投資先のスタートアップ向け「VC投資先スタートアップ向け割引プラン」の提供開始を発表した。

提携VCの7社は、ジャフコグループ(JAFCO)、Coral Capital、インキュベイトファンド、東大IPC(東京大学協創プラットフォーム開発)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)、Bonds Investment Group、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)。

登録者数38万人(2020年7月時点)のpaizaユーザーとマッチングを図ることで、スタートアップで慢性的な課題となっているITエンジニアを中心とするIT人材不足解消を支援する。

同社は、VC7社が投資するスタートアップ企業向けに、報酬料を最大50%引きしてIT人材の紹介を実施。paiza登録者は、大手VC投資先である優良スタートアップ企業の求人情報を入手でき、スタートアップ側はpaiza登録済みIT人材に自社の採用情報を届けることができる。

paiza登録者の特徴は、「プログラミングスキルチェック」によって6段階のpaizaランクを獲得している点にあるという。専門知識のある人事担当者がいない、もしくはあまり採用に時間をかけられないスタートアップにおいても、求職者のスキルを簡単かつ的確に見極めて採用可能としている。

またpaizaでは、転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」から将来的に日本発のグローバルIT企業が生まれることを目指しており、今後も国内全体のIT人材不足解消に向けてサービスを強化していくとした。

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

スタートアップは、事業そのものの不確実性が高いことから、経験豊富なIT人材の就業先として選択されにくいのが実情という。DXの流れから各産業でIT人材のニーズは高まり続けており、スタートアップが優秀なIT人材を採用することは極めてハードルが高い状況にあるとしている。

paizaは、高い成長が予測される未上場のスタートアップを見極めて投資を行うVCの中でも、特にIT領域に強みのある7社と提携。「paiza」に登録する38万人のIT人材に対して、VC投資先スタートアップの求人情報を提供し、両者のマッチングを促進する。これによりスタートアップの成長のボトルネックにもなっているIT人材不足解消を支援する。

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大阪大学ベンチャーキャピタルが約95億円規模の2号ファンド設立、大阪大など国立大学発スタートアップ支援

大阪大学ベンチャーキャピタルが約95億円規模の2号ファンド設立、大阪大など国立大学発スタートアップ支援

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)は1月4日、2021年1月1日付でOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)を設立したと発表した。投資対象は大阪大学ならびに他の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ企業。ファンド規模は約95億円(2021年1月1日時点の予定。2021年4月末までに増額予定)。

  • ファンド名称:OUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)
  • ファンド規模:約95億円。2021年1月1日時点の予定。2021年4月末までに増額予定
  • 運用期間:2021年1月1日~2032年12月31日(最大3年の延長可能性あり)
  • 投資対象:大阪大学並びに他の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ企業
  • 有限責任組合員:大阪大学、国内金融機関・事業会社
  • 無限責任組合員:大阪大学ベンチャーキャピタル

OUVCは、2015年7月にOUVC1号ファンドを設立し、大阪大学の研究成果を活用したスタートアップ企業37社・約73億円(2020年12月末時点)の投資を実行。今回、OUVC1号ファンドで培ったノウハウを応用し、大阪大学のみならず他の国立大学の研究成果も社会実装する目的で、後継にあたるOUVC2号ファンドを設立した。

国立大学で生まれたイノベーションの芽を成長させるべく、資金面のみならず、事業戦略立案や経営管理体制の構築、人材採用支援、事業開発支援など、あらゆる面で投資先企業を支援していく。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:大阪大学大阪大学ベンチャーキャピタルVC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

大混乱の2020年からスタートアップが学べること

覚えているだろうか、ベンチャーキャピタリストの開業がニュースになった頃を。あるいは、Zoomに投資していたのがアナーバーの男1人だけだった頃を(ウソじゃないよ)。この数カ月間はかつてない忙しさで、スタートアップの成長ぶりや注目のIPO、新たな資金調達など年末になってもニュースは途切れることがない。

活況の強気市場の中でも、私は若きスタートアップたちがどうしているかを振り返ってみたかった。本誌のAlex Wilhem(アレックス・ウィルヘルム)記者と私はPichbookが提供したデータに没頭し、果たして次のDoorDashes(ドアダッシュ)やAirbnbs(エアビーアンドビー)が最初の資金調達をするのかを見極めようとした。

答えはといえば、シード資金投資は花開いたがその様相は複雑だった(未訳記事)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、民間投資家にとってどの魅力的なスタートアップの基準が大きく変わった。そしてその変化は一部の分野や人々にリスクとなってふりかかった。

2人の投資家が次のようにその力学を説明している。

FreestyleのJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏

シード投資の金額は、「次のDoorDashを逃すわけにはいかない」と考えて早期に動いた大型ベンチャーキャピタルによって釣り上げられたと私は考えます。資金が豊富な大型VCは、2倍、3倍、10倍になりうるスタートアップの勝者を引き当てるためにそれなりの現金をつぎ込むべきだと考えているようです。

Eniac VenturesのNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏

直接人と会うことができないので、投資家は「自分たちのソーシャルの輪とすでに繋がりのある」「証明された」起業家に投資することに安心感を覚えます。

この長期的な視野の偏狭は、この時期女性ファウンダーが除外されたことを意味している。ベンチャーキャピタルの社交サークルは殆どが白人男性だからだ。分野別に見ると、eコマースとEdTech(教育技術)にとっては良い時期だったが、旅行、娯楽分野には厳しかった。

こうしたデータはスタートアップ世界に一種の不協和をもたらす。シード投資がかつてないほど活発で豊作だといっても、これは一部の人にとって良いニュースでも、そうでない人にとっては悪いニュースだ。景気と不景気が同時に成り立つというのは覚えておくべき警告だ。

Red, orange and pink sheets of paper on edge on blue background in wave pattern to mimic fire

画像クレジット:Getty Images

Edtech(エドテック)2021年最大の課題

EdTechのような年(未訳記事)を経験したセクターは他にない。この分野は全世界で100億ドル(訳1兆350億円)の資金を集め、リモートラーニングはツールから必需品へと変わった。

2020年私が書いたお気に入りのエドテック記事を以下に挙げる。

そしてTechCrunchに書いた今年最後の記事(未訳記事)で私は、リモートラーニングの普遍化は新規ユーザーに間違いなくブームをもたらしたが、この分野が早く簡単にスケーリングしたことでイノベーションを起こす機会は限定されたかもしれない。

来る年向けて私から贈る最大の助言はこれだ。

2020年のエドテックにとって柔軟性と根性は生き残りの戦術であり、利益と成長そしてなにりよも、私たちが学習するための必要なテクノロジーにとって「これだ」という瞬間をもたらした。新しい年を迎えるにあたり、この分野は短期的修正という思考を捨て、偏狭的視野から広く長い視野へ進化しなくてはならなくなるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

宇宙スタートアップのための1兆6570億円の小切手帳

宇宙スタートアップへの投資は確率に反する行動だ。それは時として必要になる詩的センスでもある。本誌のイベント、TC Session: Space 2020の中で、TechCrunch記者の何人かがどんな種類の資金が宇宙に注ぎ込まれているのかを詳しく分析した。

  • ある人は、宇宙スタートアップへの投資は経済不況に関わらず落ち込んでいない、なぜなら政府の介入によって予算に余裕がある(未訳記事)からだと考えている。空軍予算160億ドル(約1兆6570億円)を管理する人物は、スタートアップに基地に来て欲しい(未訳記事)と思っている。
  • 3人のVCが、宇宙のゴミと持続可能性、および宇宙での製造のメリット(未訳記事)について語った。

現在ベンチャーキャピタルのDCVC所属でPlanet Labsの共同ファウンダーだったChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏による次の発言はよく知られている。

私たちはまだSFの未来に住んでいません。自由に飛び上がってごみを拾い持ち帰ることはできないのです。それはとてもとても大変なことで、おそらく5年先になると思いますが、私たちが支援してこの目で見たいとことの1つです。

アンクル・サムが宇宙に浮かんでいる画像。左肩の上に空軍のロゴが見える。

2020年にいなくなったスタートアップを思い出してみる

スタートアップを立ち上げるのはいつでも難しいが、パンデミックによる予期せぬ展開によって、2020年は多くの企業があまりうれしくない最後を迎えることになった。そこで、TechCrunch年末恒例の一環として、2020年に失われたスタートアップに敬意を評したい。

私のまとめは以下の通りだ。

  • これは楽しいリストではない。失敗はつらいが燃え殻をかき分ければ教訓の1つか2つを見つけられる。たとえば?ビッグネーム、ビッグな計画、そして膨れ上がる資金は実際に金を稼ぐ代わりにはならない。
  • リストには、短編ビデオアプリのstrong>Quibi、法務テックのスタートアップ、Atriumはじめ、ウイルス蔓延とともに破綻した多くの旅行スタートアップが入っている。
  • 一部の企業は新型コロナのために失敗したが、多くの場合根本的なビジネス欠陥やひび割れがパンデミックが始まるずっと以前から見え隠れしていた。

TechCrunch周辺

TechCrunch’s Favorite Things of 2020

Gift Guide: Last-minute subscriptions to keep the gifts going all year

Video: TechCrunch editors choose their top stories of 2020

今週のニュース

TechCrunchにて

米大麻業界回復でラッパーのスヌープ・ドッグの投資ファンドCasa Verde Capitalが103億円調達

寄付やボランティアなど現在の社会に対して行うべき活動を教えてくれるプラットフォームactionable

Letterhead wants to be the Shopify of email newsletters

ユーザー数5億人に迫るインスタントメッセージアプリTelegramが2021年に広告プラットフォーム導入

バイデン政権は新たな暗号資産の法制化でこの世界を変えることができる

Extra Crunchにて

With a $50B run rate, can anyone stop AWS?

Looking ahead after 2020s epic M&A spree

Dear Sophie: What’s ahead for US immigration in 2021?

The built environment will be one of tech’s next big platforms

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画像クレジット:Vlada Maestro / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

D3 LLCがバイオ/創薬やデジタルヘルス/ヘルステック特化型1号ファンドを30億円規模で組成

D3 LLCがバイオ/創薬やデジタルヘルス/ヘルステック特化型1号ファンドを30億円規模で組成

D3 LLCは12月24日、30億円規模の1号ファンド「D3バイオヘルスケアファンド1号投資事業有限責任社員」のセカンドクローズを行ったと発表した。

投資対象は、バイオ/創薬、デジタルヘルス/ヘルステックを中心に、広く医療健康への貢献を志すスタートアップ企業。また、日本にとどまらず、世界に通用し海外市場まで視野に入れうる企業の支援を重視する。

同ファンドでは、「日本発・世界の医療健康に貢献」をミッションに、サイエンス・ビジネス双方の専門性を持つメンバーが、投資・経営支援に取り組む。

これまでに同ファンドには、新規事業創造を通じて医療健康への貢献を志す日米の大手事業会社4社がLP(有限責任組合員)として出資。LPと投資先の積極的な連携は、戦略コンサルティングにて一定以上の戦略構築の経験を積んだメンバーが触媒する。

また同ファンドからは、すでに、新モダリティのバイオ創薬、医療機関向けSaaS、新規機能性素材を用いた製品開発などに取り組むスタートアップに出資しており、2021年より投資活動を加速する。

2017年創業のD3 LLCは、ヘルスケア領域特化の、投資・事業・コンサルティング会社。「世界の医療健康への貢献」をミッションに、有望な科学技術シーズや事業アイデアへの資金提供(Discovery)に留まらず、経営者と伴に、有意義なプロダクト・サービスの創造とそれらを顧客に届けるためのビジネスモデルの構築(Development)を通じて、科学技術・アイデアの社会実装(Deployment)を志している。

ベンチャーキャピタルに関しては、投資の数を目的とせず、バイオヘルスケア領域のグローバル・スタンダードにも従い、少数の投資先に丁寧な支援を行うとしている。

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Beyond Next Venturesの2号ファンドが総額165億円で最終クローズを完了

Beyond Next Venturesの2号ファンドが総額165億円で最終クローズを完

Beyond Next Venturesは12月8日、産業革新投資機構(JIC)などからの出資を受け、同社が無限責任組合員として運営する「Beyond Next Ventures 2号投資事業有限責任組合」(BNV2号ファンド)を総額165億円の規模でファイナルクローズしたと発表した。

BNV2号ファンドは、同社のふたつ目の基幹ファンド。主に、大学・研究機関の有する優れた技術シーズを基にしたシードステージのスタートアップや、企業が有する有望技術のカーブアウトスタートアップなどへの投資を実施。2020年12月現在ですでに26社の投資先企業の成長を支援している。

2018年10月のファンド設立後、独立行政法人中小企業基盤整備機構からの出資などを経て、今般、JICなどからの出資を受けて、総出資約束金額165億円の規模でその組成を完了することとなった。

同社は、「起業家と共に、大学等の高度な技術シーズを実用化し、新産業創出とチャレンジする人材を多数輩出することにより社会に貢献する」ことをミッションとして掲示。BNV2号ファンドのファイナルクローズを踏まえ、今後も日本を中心とした研究機関における高度な技術シーズを起業家とともにひとつでも多く実用化し、グローバルなマーケットを狙っていける技術系スタートアップを支援することで、新産業の創出をさらに加速していく。

産業革新投資機構(JIC)は、2018年9月、産業競争力強化法改正法の施行に伴い、従来の株式会社産業革新機構から株式会社産業革新投資機構に商号を変更し発足した投資会社。IoT、ビッグデータ、AIなど、新たな情報技術の社会実装が世界で加速する中、投資に適したガバナンス構造と迅速で柔軟な投資判断により、長期・大規模な成長投資を中心としたリスクマネー供給への要求に応える新たな組織として誕生した。

Beyond Next Venturesは、大学などの研究機関で革新的な技術の開発に取り組む研究者やテック系のスタートアップ企業経営者・起業家と共に新たな産業・イノベーションの創出に取り組む。

  • スタートアップ投資:事業化~成長支援までにわたる投資経験と運用実績を有する。2020年12月時点で47社への投資実績があり、2015年2月に設立した1号ファンドおよび2018年10月に設立した2号ファンドを合わせて計220億円のファンドを運用
  • 事業化支援プログラムの企画・運営:「BRAVE」において、革新的な技術の事業化を目指す研究者や起業家に対して、経営人材候補とのマッチング、事業化実現のための知識・ネットワーク・成長資金を提供。東京都からの委託を受け、創薬・医療系スタートアップの起業や成長を支援するプログラム「Blockbuster TOKYO」も運営
  • シェアラボの運営:ライフサイエンス領域のスタートアップがより低コストで実験などを行えるシェア型ウェットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」を東京都中央区に開設
  • 経営チーム組成、共同創業支援:「Innovation Leaders Program」「Co-founders」など、経営人材を求めるスタートアップや研究者と、経営参画・起業したいビジネス人材を、Beyond Next Venturesが保有する人材ネットワークを活用してつなぐことで、強固な経営チーム組成・共同創業を支援

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都心にシェア型ウェットラボ開設、スタートアップ育成にかけるBeyond Next伊藤氏の思い
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いきなり50億円の1号ファンドを組成、最大手VCを辞めてBeyond Next伊藤氏が独立した理由

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矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成、女性の社会活躍の支援も

矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成。女性の社会活躍の支援も

Yazawa Venturesが11月24日、ベンチャーキャピタル「Yazawa Ventures1号投資事業有限責任組合」の組成を発表した。投資先は事業を立ち上げたばかりのシード期に特化しており、1件あたり1000万円~1500万円前後での出資を想定している。

投資家には日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏、ウィズグループ代表の奥田浩美氏などが名を連ねている。今後も出資者を募集し、2021年5月までにファンド総額7億円以上を目指すという。

矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成。女性の社会活躍の支援も

代表の矢澤麻里子氏はニューヨーク州立大学を卒業後、シリコンバレーのVCでデューデリジェンスやファンドレイズを経験。国内ではサムライインキュベートでシニアアソシエイトを務めたのちに、アメリカの企業支援大手Plug and Play JapanのCOOと務めるなど、国内外のスタートアップ企業に長年携わってきた。

2019年に出産を機にPlug and Play Japanを離れたものの、「スタートアップへの投資を通じ、経済活動をより良いものにするメガベンチャーを輩出することで、かねてより課題とされる日本のGDP成長率や労働生産性の低さの抜本的改革を目指したい」という思いから、新ファンド設立に至った。

投資領域は、企業や組織におけるDXや業務効率化を含めた働く環境を構造から変革するスタートアップ、およびテクノロジーを軸にした「個」の多様な活躍を推進するスタートアップ。

また、国内のVCの女性比率は海外に比べて低く、矢澤氏のように国内で女性VCが代表を務めるケースは珍しい。女性の社会活躍を後押しすべく、課題解決に向けたヘルスケアや教育といったスタートアップにも積極的に投資していく予定だ。

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エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

ミクシィは12月4日、エンターテインメント業界におけるDXを、投資活動を通じて推進するファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」の設立が完了したと発表した。投資対象は、ライブエンターテインメントの分野でDXを進めるスタートアップ企業など。今後同ファンドを含め最大100億円規模の投資を予定している。

また今回、同ファンドの第1号案件として、アバターテクノロジー企業の米Geniesの第三者割当増資を引き受けたことを発表した。今回の増資によりGeniesは、エンジニア、デザイナー、営業・管理部門の人員拡大、および各種プロモーション施策を強化し、3Dアバターユーザーの獲得を加速させる。

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

Geniesは、世界最大のアバターテクノロジー企業であり、プラットフォームを超えて使用できるデジタルアイデンティティの創造を推進している。Geniesは、国際的に有名なアバター広告代理店業とソフトウェア開発キット(SDK)の開発を通じて、社会や文化の中でアバターを迅速に普及させるための基盤を構築。

また現在までに、この技術をグッチ、フリトレー、GIPHY、リアーナ、ショーン・メンデス、ジェニファー・ロペス、ジャスティン・ビーバーなど多くの企業やタレントが採用。

さらに、安室奈美恵、ダニエル・ウー、MIYABIなどの著名人とのコラボレーションなど、1年間のアジアでの実績を経て、Geniesは東京をアジア本社とすることを決定した。Geniesは、3Dアバターやデジタルグッズにより、人々の可能性を広げていくことを目指す。

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

なお、バンダイナムコエンターテインメントは11月20日、Geniesとの資本業務提携を発表している。同社は、これまで培ってきたキャラクターIP(知的財産)やゲームにおけるノウハウおよびバンダイナムコグループの玩具など幅広い事業への展開力と、Geniesが持つアバター事業のノウハウや著名人とのネットワーク、それに紐づくファンベースなどを掛け合わせることで、キャラクターIPを使ったアバターおよび着せ替え用デジタルグッズの展開、フィギュア化など、デジタルとフィジカルを融合させた新しいアバター事業を展開し、世界中にアバターの魅力を届けるとしている。

ミクシィは、新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツや音楽、演劇などライブエンターテインメント分野は深刻な打撃を受けており、現在もコロナ禍前と同様に開催することは困難な状況にある点を指摘。こうした中で、無観客ライブを実施しネットでの有料配信により収益化を図るなど、テクノロジーを活用した新しい取り組みも行われており、今後さらに、DXによる新たな体験価値の提供が期待されているという。

同社は、「エンタメ×テクノロジーの力で、世界のコミュニケーションを豊かに」を中期経営方針に掲げ、エンターテインメント領域での事業成長に注力。この方針の下、同ファンドは投資活動を通じて様々なライブエンターテインメント分野のDXを推進し、投資先との協業などによる同分野での新事業創出を目指す。

同ファンドを通じて、これまでリアルの場でしか楽しめなかったエンターテインメントにテクノロジーの力をかけ合わせ、離れた場所でも楽しめる新たな形を創り出すことで、多くの方に豊かなコミュニケーションを届けていく。

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i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

i-nest capital(アイ・ネスト・キャピタル)が運営・管理する「i-nest1号投資事業有限責任組合」は12月4日、11月27日の追加募集で運用総額を73億円に増額し、ファンドの組成完了を発表した。

i-nest capitalは、エンターテインメント&ライフスタイル領域を中心に新産業の創造や社会課題の解決を目指すベンチャーキャピタルで、2019年12月9日に1号ファンドを設立。今回、新たに有限責任組合員として加入したリコーリースからの出資を受け、運用総額73億円で組成を完了した。

  • 名称:i-nest1号投資事業有限責任組合
  • 運用期間:10年間
  • 運用総額:総額73億円(組成完了)
  • 運営者(無限責任組合員):i-nest1号有限責任事業組合(LLP)
  • 主な投資家(有限責任組合員):中小企業基盤整備機構、NTTドコモ、パワーソリューションズ、東京貿易ホールディングス、みずほ銀行、みずほ証券プリンシパルインベストメント、リコーリース

投資領域は、エンターテインメント&ライフスタイル領域を中心に、新産業の創造や社会課題の解決に取り組むスタートアップを幅広く支援。

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

投資額の25%を大きな投資倍率を目指すシード投資に充当。会社設立前から情報収集・関与し、有望案件を選択。また投資額の75%を、アーリー・ミドル・レイターそれぞれが1/3ずつ構成するように割り当て、投資回収時期を分散。マイルストーン投資により有望案件への投資比率を積み上げ、有望案件(一定条件などをクリア)に対しては積極的に追加投資を実施している。

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

投資実績

  • セキュア:監視カメラやAIを活用した顔認証等による入退管理システムなど、各種セキュリティ機器およびセキュリティシステムの設計・開発・コンサルティング・販売レンタルサービス・施工・保守を提供
  • カバー:自社開発したVTuber配信システム「ホロライブ」を活用し、日本発で最先端の二次元エンターテインメント体験を提供
  • emotivE:人と通じ合うコミュニケーションAI技術「OMOHIKANE」を活用した企画・開発・サービスを提供
  • スキマワークス:飲食・物流業界に特化した、超短期のスキマ時間に働ける単発アルバイトマッチングサイト「スキマワークス」を運営
  • ユートニック:動画や音源、マガジンやチケットなどのコンテンツを収録したデジタルトークンの発行・管理プラットフォーム「utoniq core」を提供
  • THECOO:アイコンとコアファンをつなぐ、会員制ファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」を運営
  • 奇兵隊:新興国を中心として200ヵ国以上に展開する寄付型クラウドファンディングプラットフォーム「Airfunding」を運営
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シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

ベンチャーキャピタルファンドを運営するKVPは12月2日、長野泰和 代表取締役社長によるマネイジメント・バイアウト(MBO)を実施し、親会社であるKLabが保有するKVP株式の買い取りを12月1日に行ったと発表した。これに伴い、社名も「ANOBAKA」(アノバカ)に変更した。シード期のスタートアップ対象VCのファンド運営を通して、より積極的に投資活動を行い、今後は投資という枠を超えた取り組みにも挑戦する。

シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

同社は2016年5月よりシード期に特化したベンチャーキャピタルとして活動を開始。これまで80社以上のスタートアップへの投資を実行し、その成長をサポート。「日本の起業の裾野を広げ、『夢や情熱を持つ人が、だれでもチャレンジできる社会』を実現するため、より投資活動を積極的に行い、さらには、投資という枠を超えた取り組みにも挑戦していかなければならない。」との思いから、親会社であるKLabと協議の上、MBOを実施し、独立に至ったという。

今回のMBOに伴い社名も「ANOBAKA」(アノバカ)に一新。世の中から「常識はずれ」「ありえない」といわれるような夢やアイディアや人の中に、いつか世界を変えるような力があるはずという。

「成功するのは優秀なやつではない、勇気のあるやつだ」という想いをモチーフとして「Empowering Mad Dreams」をビジョンに掲げ、ひとりでも勇気のある「あのバカ」の夢の実現に邁進していきたいとの願いを、新しい社名とスローガンに込めているとした。新たなビジュアルのアイコンとなっているのは無骨な石。世の中が気づかないような「原石」たちの中に光を見つけ、勇気を与え続けるという願いを込めているという。

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シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

マネーフォワードのグループ会社マネーフォワードベンチャーパートナーズ(MFVP)は12月1日、シード・アーリーステージのスタートアップを支援するアントレプレナーファンド「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)の1号ファンドの募集を総額30.4億円で完了したと発表した。

「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)概要

  • 名称:HIRAC FUND1号投資事業有限責任組合
  • ファンド総額:30.4億円
  • 投資対象:国内外のシード・アーリーステージのITおよびテクノロジー企業全般
  • 無限責任組合員:マネーフォワードベンチャーパートナーズ(マネーフォワード100%子会社)

同ファンドは、主にテクノロジーによる社会課題解決を目指すシード・アーリーステージのスタートアップを対象としたアントレプレナーファンド。企業の急成長を牽引してきたスタートアップ起業家や経営陣など25名以上に加え、金融機関や事業会社、教育機関などがLP(リミテッドパートナー)として参画している。

同ファンドは、2020年7月の発表以降、WRAY、ワークサイド、TENTIAL、Go Visions、サロウィンへの出資を実行済み。今後も、創業間もないスタートアップ支援をさらに強化していくとしている。

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独立系VC「ANRI」が4号ファンド投資先において女性起業家比率を20%まで引き上げると発表

独立系VC「ANRI」が4号ファンド投資先において女性起業家比率を20%まで引き上げると発表

独立系ベンチャーキャピタルANRI(代表:佐俣アンリ氏)は11月24日、4号ファンド投資先において起業家が女性である企業の比率を最低でも20%に引き上げるとの投資方針を発表した。

ANRIは、多様なバックグラウンドを持つ人々が関わり合う環境や、異質な他者の存在に想像を働かせ、そして受け入れる姿勢が、従前には不可能であった様々な課題を解決する糸口のひとつであると信じているという。

この信念のもと、スタートアップ業界におけるダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(機会均等)を推進する取り組みのひとつとして、現在運用中の4号ファンド(ANRI4号投資事業有限責任組合員)では、全投資先のうち女性が代表を務める企業の比率を最低でも20%に引き上げるとの投資方針を明らかにした。

代表の佐俣アンリ氏によると、今後ANRIの社会に対する責任をより明確にし、20%という数字をきっかけに取り組みを進化させるという。

また同社はダイバーシティ&インクルージョンの取り組みとして、まずはジェンダーから取り組みを始めるものの、今後はLGBTQ+、障がい者など多様な生き方をスタートアップという手法を通じて支援するとしている。

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物流とトラックレンタルの巨人Ryderがベンチャーキャピタル事業を立ち上げ

フロリダを拠点とする海運、物流、トラックレンタル会社のRyder System(ライダーシステム)が5000万ドル(約53億円)のベンチャーキャピタルファンドを立ち上げた。これは戦略的には奇妙な動きのように見えるかもしれないが、実際のところは約3年間の投資活動の集大成だ。

Ryderが独自のベンチャーファンドを創設する動きは、新型コロナウイルスの蔓延をスタートアップ投資を始める機会として利用する米国企業の間でもトレンドとなっている。多くの人が仕事を見つけるのに苦労しているにもかかわらずだ。

同社の幹部によると、これはRyderのような企業にとって不可欠なものだという。同社はかつて、最高でも60億ドル(約6300億円)という「静かで小さな業界」で新しいテクノロジーへの投資を経験してきた。Excelスプレッドシートが最先端の技術だと考えられてきた業界で、(同社のファンド規模は)新しい技術開発を促進する非常に大きな金額だ。

揺るぎない基盤を持つ企業を成り上がり者がバックミラーに捉える前に、技術革新で先を行く必要性を認識しているのはRyder Systemだけではない。

業界分析を提供するGlobal Corporate Venturingのデータによると、2020年上半期に368社がスタートアップ企業に最初の投資を行った。これは20年前の最後の企業投資ブームとその崩壊からの大きな変化だ。その際、テクノロジー業界に最後に投資し始めたのは大企業だったが、資金を最初に引き上げたのも大企業だった。

また、コーポレートベンチャー活動へ初めて取り組む投資家の数は、企業による投資が以前盛り上がった2019年第3四半期に、177社が新たにベンチャーキャピタルに投資を行って以来の急増で、ほぼ2倍となった。

Ryder Systemは、ベンチャーキャピタルのAutotech Venturesおよび企業のイノベーションを支援するアクセラレーターであるPlug and Playとリミテッドパートナーとして協力してきたが、5000万ドル(約53億円)の新ファンドは、ベンチャーに向けた最初の直接投資ビークルとなる。

「私達は取締役会とCEOから、業界が直面するディスラプションに目を向け始め、航海する方法をよりよく理解するための戦略的指示を受けました」。Ryderのエグゼクティブバイスプレジデント兼新製品開発責任者であるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏は述べた。「誰もがブロックチェーン、自動化、電気自動車、自動運転車、アセットシェアリングの概要についての読みものに目を通していました」。

輸送と物流は歴史的にテクノロジー業界とあまり接点がなかった。だがグローバルにつながったモバイルデバイス、改良され小型化されたセンシング技術、車の自動運転化、顧客からの配達需要の増加により、ジョーンズによると「静かで小さな業界」を一気に対応へと急き立てた。

「我々のこの限られた業界で、利用可能なテクノロジーにより業界に破壊をもたらす絶好の機会が訪れました」とジョーンズは述べた。「そして当社がその破壊に直面するなら、その最前列に立ちたいと思います。それを脅威ではなく機会に変えたいと思います」。

Ryderでは可能な限り柔軟性のある投資構造を構築することに重点が置かれているようだ。

Ryderのベンチャーキャピタルはディールへのコミットメントに上限を設けていない。唯一の確固たるコミットメントは今後5年間で5000万ドル(約53億円)を使うことを目指しているということだ。

ジョーンズ氏によると、同社はラストワンマイル配送、アセットシェアリング、電気自動車、自動運転車、次世代のデータ、分析、機械学習などのテクノロジーに投資する可能性が高いという。しかし、そういった分野にさえ、Ryderは自社(の投資先)を制限したくないと考えている。

「当社は他の考えにも思いを巡らせます。おそらく当社はすべてについて考え抜いたとはいえません」とジョーンズ氏は語った。

ジョーンズ氏とともに働く会社の投資チームには他に4人いる。フリート管理の最高技術責任者であるRich Mohr(リッチ・モール)氏。同社のサプライチェーンビジネスの最高技術責任者であるKendra Philips(ケンドラ・フィリップス)氏。投資家向け広報および企業戦略担当副社長のBob Brunn(ボブ・ブラン)氏。同社の財務責任者を務めるMike Plasencia(マイク・プラセンシア)氏だ。

ジョーンズ氏によると、彼らはCEOとCFOに報告し、さまざまな事業部門の社長と潜在的なポートフォリオ投資について話し合う予定だ。

ポートフォリオ内の企業は、同社にとっての潜在的な戦略的価値と経済的なリターンの可能性の両方で判断されるとジョーンズ氏は説明した。

スタートアップにとってはRyder Systemの5万人の顧客にアクセスする可能性が生まれることを意味する。「(Ryderが)スタートアップの技術をテストしたり証明したりする場を提供できること、(スタートアップが)Ryderの効率性改善をサポートできることは、双方にとって大きなメリットがあります」とジョーンズ氏は述べている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Ryder Systemベンチャーキャピタル

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images under a JB Reed license.

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(翻訳:Mizoguchi