AIプラットフォーム運営のABEJAが42.5億円を調達

AIプラットフォーム「ABEJA Platform」などを展開するABEJAは6月29日、9社の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額で約42.5億円を調達したことを明らかにした。

今回ABEJAに出資したのは以下の企業だ。

  • PNB-INSPiRE Ethical Fund 1投資事業有限責任組合(既存投資家)
  • NVIDIA Corporation(既存投資家)
  • 産業革新機構(既存投資家)
  • SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合
  • ダイキン工業
  • TBSイノベーション・パートナーズ2号投資事業組合
  • トプコン
  • 日本郵政キャピタル
  • 武蔵精密工業株式会社

ABEJAは2012年の創業。当初よりディープラーニングを軸とするAIを活用したプラットフォーム「ABEJA Platform」の開発に取り組んできた。様々な業界、顧客に合わせたソリューションを提供しており、AIの本番運用を支援した企業数は100社を超えるという。

昨今自社ビジネスへのAI活用に関心をもつ企業も増えているが、人手や時間、コスト、データ、社内プロセスなどが課題となり、実運用まで至らないケースが多いのも現状だ。そこでABEJAでは過去の開発実績やノウハウをオープンなプラットフォームとして提供している。

ABEJA PlatformではAIのビジネス活用で必要となる「取得」「蓄積」「学習」「デプロイ」「推論・再学習」という5つのプロセスにおいて、インフラや周辺システム等を利用できる環境を整備。AIの実装および運用において大幅な省力化・自動化を見込めるのが特徴だ。

またこのABEJA Platformを利用して、各業種に最適化した特化型SaaS「ABEJA Insight」も運営。現在は小売・流通業界製造業界インフラ業界を対象とした3サービスを手がけている。

ABEJAは今回調達した資金をもとにAI運用システムの拠点を整備し海外展開を加速するほか、ABEJA Insightの対象業界を拡充する方針。またさらなる成長に向けて研究開発やそれに紐づく知的財産活動の強化、AI領域の専門人材の採用など組織体制の強化に取り組むという。

ドローンで設備点検や災害対策を効果的に、ブイキューブロボティクスが12億円を調達

企業や自治体向けにドローンを活用した業務用ソリューションを提供するブイキューブロボティクス。同社は6月29日、Eight Roads Ventures Japan、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、Drone Fundから総額で約12億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

調達した資金をサービス開発投資や組織体制の強化に用いて、さらなる事業成長を目指す方針。合わせて7月1日より社名をセンシンロボティクスへ変更することも発表している。

以前Drone Fund代表の千葉功太郎氏に日本のドローン市場について聞いた時、インフラ検査などB2B領域でのドローンの活用が大きく発展していくという話があった。インフラの老朽化などが進むとより多くの人材が必要になる一方で、今後国内の労働力人口が減っていくからだ。

ブイキューブロボティクスが展開しているのは、まさに設備点検や災害対策、警備・監視といった業務における課題を、ドローンなどのロボティクス技術を活用して解決する事業。たとえば主要サービスのひとつである「リアルタイム映像コミュニケーションサービス」では、ドローンで撮影している映像を、遠隔かつ複数の拠点でリアルタイムに共有する。

災害が発生した際やインフラ周りの設備点検をする際も、共有された映像を見ながらコミュニケーションをとることで、現場に人が近づくことなく状況判断や意思決定を行えるのが特徴だ。

その他にも機体や搭載するカメラ、定期メンテナンス、部品交換、ドローン保険など“ドローンを業務に活用する場合に必要となるもの”をパッケージ化したサービスや、ドローンを用いて太陽光発電施設の点検に関する一連の業務を自動化する「SOLAR CHECK」などを提供している。

ブイキューブロボティクスは2015年にブイキューブの子会社として設立。2016年にもグロービス・キャピタル・パートナーズとツネイシキャピタルから資金調達を実施している。

モバイル管理サービス運営のアイキューブドシステムズが4億円調達——財務強化でIPO目指す

法人向けにモバイルデバイス管理(MDM)サービスを提供するアイキューブドシステムズは6月29日、総額4億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。引受先はNCB九州活性化ファンドジャフコと、経営陣、個人投資家など。ジャフコは2014年にも3億円を出資した既存株主。同年6月のTNPパートナーズからの1億円調達以降、アイキューブドシステムズにとっては4年ぶりの億単位の調達となる。

アイキューブドシステムズが提供する主力プロダクトは、企業でスマートフォンやタブレット、ノートPCなどのモバイルデバイスを安全に、かつ効率よく活用するために必要な環境を実現するためのプラットフォーム「CLOMO」。デバイス管理のMDMに加え、モバイルアプリケーション管理(MAM)や情報漏えい対策、セキュリティ強化などの機能を備えた、いわゆるエンタープライズモビリティ管理(EMM)のためのサービスだ。

働き方改革の推進もあって、モバイルデバイスやクラウドの活用により場所を選ばずに働ける環境が整う一方、ビジネス用途のデバイスの盗難・紛失対策や、ウイルス・マルウェア対策、企業内ネットワーク接続時の認証などセキュリティへの対応が企業には求められている。またOSやハードも多種多様で大量のデバイスを、ITポリシーに基づいて効率的に管理・運用できなければ、モバイル活用によるビジネスメリットを運用負荷が上回ってしまう。

こうした背景から、MDMおよびEMMプロダクトの市場は拡大している。中でもCLOMOは日本国内では数年にわたってトップシェアを誇るプラットフォームだという。

アイキューブドシステムズ代表取締役の佐々木勉氏は、シェア拡大の理由についてこう述べる。

「外資系ベンダーが提供するEMM製品と違って、CLOMOでは必要な機能に合わせてそれぞれのサービスを利用できる価格体系を取っている。また我々は福岡を拠点にした開発メンバーが、サービスを独自に開発。他社の提供するOEM製品ではプラットフォームが単一でない場合も多いが、当社では一貫したプラットフォーム上で提供している。このため、スケーラビリティが高く、デバイスの運用規模に合わせて利用しやすいのではないか」(佐々木氏)

このスケーラビリティの高さは、同社にとっても、顧客が利用するデバイス数に応じて収益を得やすいというメリットがあるようだ。

「企業が求める品質に応えるために改良を続け、かつiOS、AndroidなどモバイルOSのメジャーバージョンアップ対応にも投資しているほか、災害などによる障害発生時のリカバリー時間が1時間程度と短いこと、稼働状況を常時確認できる『StatusDashboard』を公開するなど、サービス・品質向上に力を入れてきたことで、顧客の継続率は高い」と佐々木氏は話している。

資金調達については「4年前の調達では製品開発に投資したが、今回は財務基盤の強化が主な目的だ」と佐々木氏は説明する。今回同社では、第三者割当増資と同時に資本金を減資、利益余剰金の累損解消に充てた。IPOを視野に、財務の健全性を確保したいとの思惑からだという。

アイキューブドシステムズでは4月1日より、取締役CFOに元スカイマーク代表取締役社長、前エアアジア・ジャパン副社長を務めた有森正和氏を、社外取締役にジャフコ九州支社長の山形修功氏を迎えている。

佐々木氏は「財務戦略についてさまざまな経験を持つベテランがCFOとして合流したことに、非常に期待している」と発言。今後さらに経営体制を強化し、上場を目指す構えだ。

またプロダクトについても、MDMサービスの付帯機能強化のための開発に投資するということだ。

「CLOMOのMDM製品では、モバイルでも働く時間が制限できる『ワーク・スマート』機能を取り入れるなど、アプリでも働き方改革の実現を支援してきた」と佐々木氏は語る。

「働き方改革実現に向けて、今後ユーザーの行動データを集める仕組みも作ることで、CLOMOを理想の形へアップデートしていきたい」(佐々木氏)

Instagramストーリーで人気楽曲がBGMで利用可能に――世界の4億ユーザーに順次拡大へ

退屈なビデオや写真も適切なBGMがあると驚くほど魅力的になることがある。5月上旬にTechCrunchがスクープしたところだが、Instagramでは人気の楽曲をストーリーのサウンドトラックに使えるよう準備を進めていた。 今日(米国時間6/28)、InstagramはiOSとAndroidアプリでこの機能を正式に導入すると発表した。当面アメリカを含む6カ国でスタートする。

Facebookが大手レコード・レーベルと交渉を進めた結果、ユーザーはBruno Mars、Dua Lipa、Calvin Harris、Guns N’ Rosesなどを含む多数のアーティストの数千の楽曲が利用できる。 この機能のリリースでInstagramストーリーは魅力を増しただけでなく、著作権交渉で出遅れたSnapchatに差をつけ、若い層に人気の音楽志向のビデオ共有サービス、Musical.lyと対抗できるようになった。

Instagramは月間アクティブユーザー数が10億人となったことを発表して1週間後の今日、Instagram Storiesの1日当たりアクティブユーザーが昨年11月の3億人、1年前の2.5億人からさらに増加し、4億人を超えたと発表した。つまりInstagramストーリーはライバルのSnapchatの全アプリと比較して6倍のスピードで成長していることを意味する。Snapchatは2017年第4四半期から2018年第1四半期までの半年で1日あたりアクティブユーザーが1300万人増加し、1億9100万人に届いたのに留まった。.

前第4四半期にSnapchatは評判の悪いデザイン変更のせいもあり、成長率は過去最低を記録している。一方Instagramストーリーは着実にユニーク・ユーザーを伸ばした。Highlights、Superzoomは人気を得ているし、公開投稿を再共有する新機能も評判がよい。Instagramでは昨年9月にトータルで5億人の1日当たりアクティブ・ユーザーがあったとしている。それからすると、もともとSnapchatが発明したフォーマットであるものの、今やInstagramユーザーのほとんどがストーリーを使っているといえそうだ。

Instagram Stories Music

あたらしいMusic機能を利用するとユーザーは自分のストーリーに人気曲のBGMをつけることができる。この機能にアクセスするにはビデオなり写真なりを撮影した後、ソング・スティッカーを選択する。ユーザーは曲名、アーティスト名で検索できる他、気分、ジャンル、あるいは「今人気の曲」を探すこともできる。曲を選択したらコンテンツに応じて特定の部分をスニペットとしてサウンドトラックに付加する。あるいは、iOSユーザーの場合、Musicシャッターというモードを使うこともできる。これは撮影を行う前に曲を選択し、曲に合わせて撮影するという方法だ。この機能は今後Androidにも追加される。今回Music機能がスタートしたのはオーストラリア、ニュージーランド、フランス、ドイツ、スウェーデン、イギリス、アメリカの66カ国だが、すぐに世界各国に拡大される。

フォローしている相手がMusic機能を利用したストーリーを見た場合、楽曲のスティッカー(スタンプ)をタップすると曲やアーティストについての詳しい情報が得られる。今のところこれはアーティストのInstagramページや音楽ストリーミングサイトにはリンクしていないが、そうなればさらに便利だろう。【略】

Instagramは私の取材に対し、「アーティスト他の著作権者は楽曲の利用に応じてロイヤリティーを受け取る」と確認したが、詳細について明かすことは避けた。Facebookはすべてのメジャー・レーベルと多数のインディー・アーティストと著作権のライセンス契約を結んでいる。Facebookでは has since ユーザーが一部の著作権のある楽曲を投稿のサウンドトラックに利用できるようにしたことを発表し、ヒットチャート上位の曲で「口パクパク」が楽しめるLip Sync Liveをスタートさせている。

この新機能でいちばんの注目点は、利用できるようになった「数千曲」の内容だろう。本当にユーザーが使いたい人気曲が含まれているのでなければ失望を呼ぶことになりかねない。一方、Music機能が強化、拡大されればアーティスト、レーベルにとってかっこうのバイラルなプロモーションのチャンネルとなる。素敵な曲がサウンドトラックにあればつまらない内容で画面がぐらぐら揺れるクリップもインディーのミュージックビデオのように見えて思わず最後まで見てしまうということになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「LINE Pay 店舗用アプリ」公開、夏から決済手数料の無料化も

LINE Payは6月28日、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」において、国内でのキャッシュレス・ウォレットレス化を進めるためのコード決済普及施策を発表した。

具体的な取り組みとして、QRコード決済に対応する「LINE Pay 店舗用アプリ」の提供を本日より開始。2018年8月からの3年間は同アプリの決済手数料を無料化することに加え、ユーザー向けインセンティブプログラム「マイカラー」制度のアップグレードについても明かしている。

本日公開されたLINE Pay 店舗用アプリは、中小規模の事業者などでも気軽にコード決済を導入できる事業者向け決済アプリだ。特徴はQRコード決済に対応できる「レジ機能」に加えて、店舗アカウントと連携することで友だちとコミュニケーションがとれる「メッセージ配信機能」を備えていること。

これらの機能によって、店舗では初期費用をかけずにアプリ上でQRコード決済を導入。再来店のきっかけとなるキャンペーンの案内やクーポン送付などの販促施策も打てるようになる。なおメッセージ配信機能ではアカウントの友達となった顧客へ月に1000通までメッセージを送ることが可能だ。

そしてLINE Payではこの店舗アプリを通じて初期費用のハードルを下げた上で、事業者にとってもうひとつのネックとなりうる決済手数料の無料化も行う。

対象となるのは2018年8月1日から2021年7月31日までの3年間。電子決済利用の際に店舗側が負担する決済手数料をLINE Pay 店舗用アプリに関しては無料化し、0%で提供する方針だ(同アプリから加盟店の加入手続きを行い、生成されたIDを利用してアプリ上でQRコード決済を行った取引が対象)。

この施策によって、これまで初期費用や決済手数料が障壁となってQRコード決済に踏み切れなかったような事業者がどこまで動いていくのだろうか。

なおLINE Payでは本年度中にスマートフォンおよびLINE Payで支払い可能な箇所を、国内100万箇所まで拡大していくことを目標に設定。その実現に向けて同日、国内約72万箇所の加盟店を展開するJCBの「QUICPay」との提携も発表している。

 

LINEが旅行の比較検索・予約サービス「LINEトラベル」を公開

2017年に開催されたカンファレンスで、「LINE」が全てのショッピングの入り口となる「LINE Commerce gateway」というコンセプトのもと、「LINEショッピング」と「LINEデリマ」を発表していたLINE。

あれからから約1年がたった本日、LINE Commerce gatewayに新たなサービスが加わるようだ。LINEは6月28日に開催しているLINE CONFERENCE 2018にて、旅行の比較検索・予約ができる新サービス「LINEトラベル」を発表した。

LINEトラベルは行き先や人数、日程などを入力することで、人気旅行サイトから最安のプランや自分にあったツアーを探せるサービス。外部アプリの追加インストルーは不要で、LINE上から直接LINEトラベルへアクセスできるのが特徴。たとえば友達とLINEでトークをしている間に旅行の話がでたら、そのまますぐに宿泊施設を探すといったことが可能だ。

現時点でカバーしているのはホテルの比較のみで、10月から航空券、12月からツアーの比較にも対応する予定。連携する旅行サイトも年内には250を超える計画だという。

またLINEトラベルでは既存のサービスでは分断されがちだった「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の体験をシームレスにつなぐことを目指す。

同サービスのLINE公式アカウントからオススメの旅行情報や旅番組と連動したスポット情報を配信。LINE上で航空チケットや旅先のホテルの検索や比較をし、最もお得な旅行プランを立て、旅行の思い出シェアまでもできるサービスを構想しているようだ(2018年秋頃を目処に実装予定とのこと)。

午前中には「CASH」を運営するバンクが新たに立ち上げた旅行サービス「TRAVEL Now」を紹介したばかりだけど、この領域でもまだまだ新しいサービスが立ち上がっていくのだろう。

なおLINEトラベルでは2019年度の流通総額1000億円を目標に、引き続き機能改善やコンテンツの拡充を行っていくという。

Google Calendarで‘今会社にいないよ’を指定すると自動的にミーティングを拒否

Google Calendarがアップデートされて、より便利になった。今日(米国時間6/27)の同社の発表によると、Google Calendarには新たに“Out of Office”(今社内にいない)という機能が加わり、並行して各自の在勤時間を設定できるようになった。在勤時間によりほかの人たちはあなたのいる/いない時間が分かり、在勤時間外ならGoogle Calendarがあなたに代わって自動的にミーティングを断る。

まず、Web上のGoogle Calendarでイベントを作ろうとすると、“Out of Office”というエントリータイプ(指定項目)があるので、それをセレクトできる。

たとえば休暇にデートを予定しているなら、そのイベントに“Out of Office”をマークできる。その間に誰かがあなたをミーティングに召集したら、Google Calendarが勝手に断る。

この機能は、GmailのVacation Responder(休暇中自動返信機能)を補うものとして、ユーザーが長年要望していた

今後はイベントのタイトルからイベントのタイプを自動的に検出して、“Out of Office”を自動的に指定するようになるそうだ。

さらに新しい機能として、Google Calendarの中で在勤時間を指定できる。

これまでの指定では週のすべての日に通用する在勤時間を画一的に指定していたが、今度からは一つひとつの日にちについて指定できる。

またGoogle Calendarは、ユーザーの過去のスケジューリングパターンに基づいて在勤時間を推定し、アプリの「設定」で“〜〜でよろしいか”と聞く。

小さな変化だが全体としてGoogleは今、ユーザーの利便性向上に力を入れ始めている。

最近同社は、ユーザーがスマートフォン中毒やゲーム中毒などになるのを防ぐために、いくつかの時間管理機能を導入してきた。

たとえば5月に行われたデベロッパーカンファレンスGoogle I/Oでは、Androidユーザーのための時間管理コントロールを発表し、その中には、親が子のスクリーン時間をFamily Linkを使って設定する機能もある。

YouTubeユーザーのビデオの見過ぎを防ぐ強制中断機能すらある。

またGmailやGoogle Photosなどでは、機械学習とAIを使って、メールの重要性順の判断や、写真の編集を自動化し、ユーザーの時間節約に貢献しようとしている。

Google Calendarのこの新しいツールは、今G Suiteのユーザーが利用できる。一般ユーザーが利用できるのも、遠くないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クックパッド、料理道具やうつわを作り手から直接買えるマルシェアプリ「Komerco」公開

最近はあまりやっていないのだけど、以前はスーパーやコンビニで買った惣菜や冷凍食品をわざわざお気に入りのうつわに移してから食べたりしていた。おそらく味自体が変わることはないのだけど、なんとなくその方がテンションがあがるし、美味しくなるような気がするからだ。

僕のどうでもいい個人的な話はさておき、クックパッドが6月26日に公開した「Komerco(コメルコ)」は、料理をするなら道具道具やうつわにもこだわりたい、という人にとってピッタリなサービスと言えそうだ。

Komercoは簡単にいうと、クリエイターが出品した料理系のクラフト作品を買えるマルシェアプリ。クラフト作品のマーケットプレイスでは「minne」や「Creema」などがあるが、その料理系アイテムに特化したサービスだと考えるとわかりやすいかもしれない。

Komercoに並ぶのは、クリエイターが自ら手がけたこだわりの作品のみ(製作者かプロデューサーでなければ出品できない)。提供開始に合わせて100名を超えるクリエイターが参加し、約1500品が出品されている。

僕もアプリをざっと見てみたが、食器やプレートだけでなく包丁やまな板、鍋といった調理器具、エプロンなど作品の種類も豊富だった。

ユーザーはこれらの作品をKomerco上で購入できるほか、作品のストーリーを紹介する記事コンテンツ「コメルコバナシ」を楽しめる。一方のクリエイターにとっては料理を楽しみたい人に自分の作品をアピールする新たなチャネルとなりうる。

ショップの開設や出品の登録はクリエイター専用のアプリから各自が行う。月額利用料や出品料は無料で、作品が売れた際に15%の販売手数料が発生する仕組みだ。

なおクックパッドでは同サービスのリリースに際して「『料理道具やうつわなどモノとの出会いをきっかけに、料理がもっと楽しくなる』という体験を、Komercoの提供を通じて広げていき、毎日の料理を楽しみにする人を増やすことを目指します」とコメントしている。

今後はクックパッドのレシピを参考にしながら、Komercoで買った調理器具を使って料理を作り、同じくKomercoで買ったうつわに盛り付けて楽しむ、といったユーザーも増えていくのかもしれない。

“ググって調べる”ではなく“LINEで気軽に相談” ーージラフが通信やインフラ領域にLINE相談サービス拡大へ

格安スマホに興味はあるけれど、わざわざ店舗に行ったりいちいち比較サイトなどで調べたりするのは面倒——そんなユーザーがLINEのチャットを通じて、気軽にスマホの乗り換え相談をできるサービス「携帯かえるくん」。

6月15日にジラフが「ズボラ旅 by こころから」にならって開発した同サービスは、10時のリリース直後からユーザー登録が増え、すぐに数百人に到達。対応キャパシティの限界もあり当日16時時点で新規の受付を一時停止していた。

そしてジラフは6月22日、携帯かえるくんの新規受付を再開することを発表。合わせて複数のLINE相談サービスを水平展開する「かえる群構想」を明らかにした。

ジラフ代表取締役社長の麻生輝明氏によると、携帯かえるくんには当初の想定を超えて約800名からの相談申し込みがあったという。新規の受付を一度停止して以降は、相談があったユーザーの対応を進めつつ、急ピッチで体制を整備してきた。

相談内容については「かなりおおざっぱなものが多く、ユーザーは単純に安いものを求めつつも、実際にはほかにも要望がある」そうで、ユーザーごとに提案内容もバラつきがあるとのこと。相談を聞いてみると「今の携帯料金を自覚してる人は少ない」ともいう(そういえば僕自身も毎月いくら携帯料金を払っているのか、大ざっぱにしか把握していない)。

数百人のユーザーとやりとりを重ねる中で、LINEを活用した相談サービスに可能性を感じたということなのだろう。ジラフでは今後このモデルを格安スマホだけでなく、プロバイダーやポケットWiFiといった通信回線の乗り換え、電気やガスの乗り換えといった他の領域にも広げていく方針を発表している。

「可能性を感じているのは潜在ニーズの大きさ。(格安スマホの買い替えだけでなく)おそらくほかの領域もそうだろうなと。特にいわゆるモバイルでの比較領域はリプレイスする余地があるとずっといわれていて、(LINEを用いた相談サービスが)それに相当するものになるのではないかと考えている」(麻生氏)

確かにこの話については思い当たるふしがある。近年さまざまな分野で比較サイトやレビューサイト、体験ブログ、まとめサイトのようなものが登場し、ひとまずググればたくさんの情報がでてくる時代になった。

ただ、PCであればまだしも、スマホから同じような流れで気になるトピックを検索し、ひとつひとつ比較サイトなどで情報を見比べて意思決定をするというのは、「正直面倒」だと感じる人も多いのではないだろうか。

もはや検索するのですら面倒くさいと思う人や、検索して調べるほどではないという潜在顧客に対して、気軽に、かつズボラに相談できるチャネルを作るというのは一定のニーズがありそうだ。冒頭で紹介したズボラ旅だけでなく、少し仕組みは違うもののLINEも自社で恋愛やダイエットの相談ができるチャットサービス「トークCARE」を提供していたりもする。

最近では格安スマホの登場、通信や電気などの市場自由化・サービスの多様化、シェアリングエコノミーサービスの普及などによって、安くスマートに消費する選択肢が格段に増えた。これらの選択肢を認知してはいるものの、消費スタイルの転換にまだ不慣れな潜在層をジラフでは「スマート消費潜在層」と定義。LINEの相談サービスを複数展開することで、意思決定のサポートをしていく狙いだ。

まずは体制を整えながら、7月前半にプロバイダーやポケットWi-Fiなど通信サービスの乗り換えに関するサービスを、同月後半には電力・ガスの乗り換えに関するサービスをリリースする予定。麻生氏いわく「カカクコムの比較を代行してくれるようなイメージ」だという。

もちろん人員体制の構築やコスト構造を含め、このモデルにもまだまだ未知数な部分はある。麻生氏も「契約の最後のクロージングまでとなると現状は検証しきれてない」と今後の課題をあげる(各サービスのマネタイズについては制約時の送客手数料を想定していて、現時点でユーザー課金等はまだ考えていないそうだ)。

ただこのスマホ時代において、そして日本国内ではLINEがインフラとなっている時代において「自分であれこれ検索するよりも、ひとまずLINEで相談してみる」というスタイルが、多方面に広がっていく可能性は十分にありそうだ。

テクノロジーで水産養殖の課題解決へ、ウミトロンが9.2億円を調達——IoTでエサやりを最適化

テクノロジーの活用によって水産養殖の課題解決を目指すUMITRON(ウミトロン)は6月21日、産業革新機構、D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家を引受先とする第三者割当増資により約9.2億円を調達したことを明らかにした(実施したのは6月8日)。

ウミトロンの設立は2016年。JAXAにて人工衛星の研究開発に従事した後、三井物産で農業ベンチャーへの新規事業投資や事業開発支援をしていた藤原謙氏。大学大学在学中に超小型衛星開発に携わり、三井物産やメタップスで働いていた山田雅彦氏。グリーやメタップスでエンジニアとして活躍していた岡本拓麿氏の3人が共同で立ち上げた水産分野のスタートアップだ。

現在はシンガポールに本社、日本に開発本部を持ち、IoTや衛生リモートセンシング、AIなどの技術を使って持続可能な水産養殖の仕組み作りに取り組んでいる。

ウミトロンが現在展開しているのは、データをもとに魚のエサやり(給餌)を最適化するIoTサービス「UmiGarden(ウミガーデン)」だ。

ユーザーは生簀にウミガーデンを設置後アプリにユーザー情報を登録しておく。するとセンサーによって飼育状況が自動でモニタリング・記録され、得られた魚群データを解析すればエサやりの最適なタイミングや量が把握できるようになる。

ウミガーデンではスマホを通じて遠隔からエサやりをコントロールできるので、リアルタイムで量を調整することも簡単。エサ代はもちろん、生産者の負担を削減する効果もある。2018年6月には愛媛県愛南町と技術検証のための研究契約を締結。ウミガーデン20台を養殖生産者に提供し、エサ代の削減と働き方改革に向けた実証実験に取り組む計画だ。

ウミトロンによると現在の水産養殖において給餌が事業コスト全体の50%以上を占め、生産者の利益を圧迫する要因になっているという。加えて過剰な給餌は海の富栄養化や赤潮の原因にもなるなど、海洋資源にも影響を及ぼすそうだ。

同社では今回調達した資金をもとに既存サービスの事業基盤と研究開発体制を強化していく方針。世界中の養殖ノウハウを集積したコンピュータモデルを開発・提供することで、水産資源の持続可能な生産環境の構築を目指す。

あなただけではない。米国成人の40%がニュースは誤情報だと思っている

最新の調査結果は、誰もがすでに知っていることを浮き彫りにした。人々は伝統的メディアを以前ほど信じていない。ソーシャルメディアのことはもっと信じていない。そして、共和党支持者と高卒以下の学歴の人たちを含む一部の層が、自分たちの読むものの正確性を最も疑っている。

The Gallup/Knight Foundationは、無作為に集めた米国人1440人を対象に、米国の成人がどれほど誤情報を信じているか、主要インターネット会社は誤情報の拡散防止にどれほど責任を持っているかに関する最新調査結果を公開した。

結果は芳しいものではない。米国人全体では、テレビやラジオ、新聞で見聞きするニュースの39%は人を欺くことを意図していると考えている。ソーシャルメディアを通じて見つけたニュースに関してはさらに悪く考えている。同調査によると、ソーシャルメディアを通じて発見したニュースの2/3が何らかの誤情報であると考えている。

想像できるように、政治的傾向も認識に影響を与えている。共和党員の51%、自称保守主義者の54%が、伝統的メディアを誤情報と認識する傾向が強い。対して民主党員では23%、リベラル派では24%だった。

露出機会も影響を与えている。伝統的ニュースに「大いに」注目していると答えた人たちは、ニュースの37%が誤情報であると答えたのに対して、全国ニュースにほとんどあるいは全く注目していない人たちは、53%が意図的な誤情報であると考えている。

ニュースの効果あるいは効果のなさについての認識に関しては、教育も要因の一つだ。大学院卒資格をもつ人たちは伝統的メディア(テレビ、ラジオ、新聞)の29%が誤情報であると推定した。大学卒は35%、高卒以下の人たちは43%の伝統メディア記事が何らかのレベルの誤情報を含んでいると答えた。

こうした発見に心を痛めているレポーターがいたらは安心されたい。ソーシャルメディアの方がずっとひどい。

Facebookの2015、2016年の選挙介入疑惑のニュースを追っている人には当然のことだが、信頼できる正確な情報を見つける場所としてソーシャルメディアを信頼している人の数は…多くない! 事実、米国成人の65%が眉に唾をつけてソーシャルメディアを読んでいる。

ではこれほど多くの人達が「フェイクニュース」を読んでいる新世界で、いったいわれわれはどうすればよいのか? ソーシャルメディアは伝統的メディアより対処しやすい、と本調査の対象者は考えている。回答者の76%が、インターネット企業は自分のサイトやプラットホームやアプリの記事が誤情報だと断定したら、ユーザーにそのことを警告する義務があると答えた。

事実、過半数をわずかに上回る回答者が、誤情報の識別はソーシャルメディア企業の需要な責務の一つだと言っている。彼らは、「信じるに値する」ニュースをフィードで優先的に流すために、ユーザー調査を利用して質の高いニュースソースを選び、センセーショナリズムや誤情報と戦うという1月にFacebookが発表した方針を思い浮かべたのかもしれない。その行動に勇気づけられた可能性もある。調査によると、70%以上の回答者が、信頼できるニュースソースの記事への注目度を高くするなどの誤情報拡散防止対策について、少なくとも「何らかの効果」が期待できると答えた。

詳細を知りたい読者のために、誤情報に関する研究結果はここで、メディアとソーシャルネットワークの偏向に関する調査結果はここで読むことができる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「位置情報3.0」時代を支えるデータ活用プラットフォームへ、クロスロケーションズが数億円を調達

位置情報データ活用プラットフォーム「Location AI Platform」を開発するクロスロケーションズは6月20日、NTTドコモ・ベンチャーズ、アイリッジ、アドインテより資金調達を実施したことを明らかにした。具体的な調達額は非公開だが、数億円規模になるという。

今回調達した資金をもとにLocation AI Platformの開発体制を強化し、機能拡充や調達先各社との協業に向けたシステム開発を進める。

位置情報3.0時代へ

近年スマホを始めとする新しいデバイスやメディア、テクノロジーの登場によって、さまざまな領域でパラダイムシフトが起こり始めている。

クロスロケーションズが取り組む「位置情報データ」もまさにそのひとつ。同社で代表取締役を務める小尾一介氏は「世の中が『位置情報3.0時代』へと向かっている最中であり、全く新しいデータの世界へ突入しようとしている」という。

位置情報データがビジネスで活用される一例としてイメージしやすいのが、1990年代の後半から普及したGPS搭載のカーナビだ。小尾氏はこのような仕組みを位置情報1.0と説明する。その後スマホの普及で2.0の時代が到来。そして今、日本版GPS「みちびき」の本格運用や各種センサー、IoTデバイスなどの進化によって3.0時代を迎えようとしている。

1.0の時代は地図関係の情報などがメインで、そこに人の要素がでてくることはなかった。それが2.0以降になると、スマホのGPSからとれる位置情報データによって「特定地域にいる人に対して広告を出す」といったことも可能に。今後ビーコンやIoTデバイスが広がることで、位置情報の利用分野はあらゆる産業や公共サービス、家庭、個人へ拡大することも見込まれている。

クロスロケーションズのLocation AI Platformは、各種位置情報やGIS(地理情報システム)関連データを統合し、統計的なモデル化を実行。その上でAIによる特性把握やデータ活用の提案までをカバーするプラットフォームだ。

たとえば出店計画を立てる際や自社に来店する顧客を分析する際に、位置情報データを活用することで「このエリアにはどのような顧客層が普段訪れているのか」「自社店舗にはどのエリアから、どんな顧客が、どれくらい来店しているのか」といったことが分析できるのだという。

さまざまな位置情報データを統合・分析し、新しい発見を

Location AI Platformでは蓄積したデータの解析や統計、モデリングだけでなく、活用方法のレコメンにもAIを利用する計画。位置情報をもとに状況や目的に応じて適切な施策を提案する、といった機能を盛り込んでいく。

小尾氏の話では昨今、地図ナビゲーションやスマホゲーム、スマホ広告など各分野ごとに位置情報が独自の形で活用されてきたようだ。そのためGPSからの緯度経度情報、ビーコンなど特定地点に設置されたセンサーからの情報、携帯基地局の加入者情報など位置情報の種類や形式が別々に。結果として蓄積されたデータを統合的に管理したり、活用したりすることは難しかった。

もちろん各分野で集めた情報はビジネスに活かせるが、「データを重ね合わせることでより新しい発見や価値が生まれてくる」というのが小尾氏の見解だ。

クロスロケーションズはシンガポール発のスタートアップNearと、Google Japanの執行役員やデジタルガレージ取締役を務めた経験を持つ小尾氏ら、現経営陣の合弁により2017年11月に設立された。

Nearはかねてから位置情報データを活用した広告配信プラットフォーム「Allspark」を、日本を含むグローバルで展開。小尾氏は日本事業のアドバイザーを務めていたそうで、日本市場にある程度フォーカスしたプロダクトを作るため、Nearの日本チームのメンバーを中心にクロスロケーションズを立ち上げた。

同社ではNearが保有するデータと、ビーコンなどから取得したデータを持つパートナー企業から集めた情報をLocation AI Platformに統合し、位置情報3.0時代のスタンダードとなるプラットフォームを目指す方針。

今回のラウンドも純投資ではなく、ユニークな位置情報データやプロダクトを持つ3社との協業も含めた資金調達になるという。

BtoBエンジニアプラットフォームを運営するメイプルシステムズが1.4億円調達、間接部門向け新サービスも

客先常駐型のシステムエンジニアリングサービス(SES)業界向けに、エンジニア管理のプラットフォーム「PRO-SESS」を提供するメイプルシステムズは6月20日、第三者割当増資と金融機関借り入れにより総額約1億4000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はベクトルエボラブルアジアオークファンOrchestra Investmentと個人投資家の高野秀敏氏。今回の資金調達は2017年8月に実施した総額1億円の調達に続くものとなる。

またメイプルシステムズでは同時に、PRO-SESSで提供してきた機能の一部を切り出し、いくつかのサービスに分けて提供していくと発表。第1弾としてSESの間接部門業務を一元管理できる「契約管理できるくん」を7月1日にリリースする。

IT業界では、急なエンジニア需要に対応するために、企業間でのエンジニア派遣の仕組みとして、SESが利用されてきた。しかしSESでは、仲介会社がいくつも関わることによるエンジニアのミスマッチや契約の不透明性、多重下請け構造などが問題となっている。

PRO-SESSは、そうした問題を解消したいと開発された、BtoBのオープンプラットフォームだ。エンジニアが所属する企業と顧客企業とを、仲介企業なしで直接結び付ける。

契約管理できるくんは、PRO-SESSの中からSESのバックオフィス業務を支援する機能を分割して提供。SES契約の管理や見積書・発注書・発注請書の作成・送付、勤怠管理、請求書発行などが行える。

メイプルシステムズ代表取締役の望月祐介氏は「PRO-SESSをエンジニアが集まるプラットフォームとして、1年ほどかけてブラッシュアップを進める中で、業務にシステムがより溶け込んでいかなければ使ってもらえないし、エンジニア情報も集まらない、と課題を感じた」とサービスを分割する理由について説明する。

望月氏によると、現在PRO-SESSの契約企業は300社を超え、対象企業のエンジニア数は1万2000人を数える規模となったそうだ。その一方、PRO-SESSに登録されているエンジニアは2000人程度で、登録にまで至っていないエンジニアの数が多いという。

「SESは契約形態が独特で、納品もプロダクトを引き渡せば終わり、とはならない」と望月氏は話す。エンジニアが現場常駐の形で働くことの多いSES業界では、契約期間や勤怠情報の管理・レポーティング、それに基づく請求書発行などのバックオフィス業務が煩雑になりやすい。

SES企業には小さな会社も多く、自社で管理ツールを導入できるところは少ない。こうした業務はExcelやWordを使って、手作業で行われていることがほとんどだ。

メイプルシステムズでは、業界でニーズが高かった、これらの業務支援を切り離してサービスとして前面に出し、契約管理できるくんとして提供。このサービスでは契約・勤怠管理から請求書発行までを一元管理できるため、エンジニアを登録することがバックオフィス業務負荷の軽減にもつながるという。

同社としては、ニーズの高い部分のサービスを業界に浸透させた上で、エンジニア登録を進めてもらい、エンジニア情報の収集も図っていく考えだ。

契約管理できるくんは登録料、月額利用料は無料。望月氏は「顧客企業からSES企業への支払いサイトを縮めるファクタリングの手数料などで収益化を検討している」と話している。PRO-SESSの一連のサービスについても「マッチングでの収益ではなく、案件情報やエンジニア情報の上位表示を有料オプションとして提供したい」とのことだ。

メイプルシステムズは契約管理できるくんに続き、エンジニア探しを支援するプラットフォーム「エンジニアあつまるくん」もPRO-SESSから切り出して、来年1月ごろをめどに正式リリースを予定している。7月の契約管理できるくんのリリースとともに、エンジニアあつまるくんのベータ版提供を開始する。また、今後も数段階にわたり、PRO-SESSから分割したサービスのリリースを行っていくという。

「SES所属エンジニアも、これまでは所属会社や客先へのレポーティングなどをExcelで行っていた。今後リリースするエンジニア向けのサービスでは、それに置き換わるアプリも提供するつもりだ」(望月氏)

今回、シリーズAラウンドの資金調達を完了したメイプルシステムズ。調達資金は「広報とカスタマーサクセスチームの体制強化に充てる」と望月氏は述べる。「今回参加した投資家は、事業会社としての連携に期待している。SES業界における『エンジニアがいない、抱えたい』あるいは『エンジニアを外に出したい』との需要に応えていきたい」(望月氏)

メルカリ、上場初日で時価総額がマザーズ市場トップに——経営陣が展望を語る

ここ数年の国内スタートアップシーンを牽引してきたメルカリが、本日6月19日に東証マザーズ市場に上場した。

2013年7月にリリースされたフリマアプリの「メルカリ」の累計ダウンロード数はすでに1億DLを突破。アプリ内の年間取引高を合計すると、その額は2900億円を超える。そして上場初日、株式市場はそのメルカリを1株あたり5300円と評価した。同価格で算出した時価総額は約7132億円で、マザーズ市場で首位の規模となる。

メルカリは同日、都内にて上場記者会見を開催。代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏、取締役社長兼COO小泉文明氏、米国メルカリCEOのジョン・ラーゲリン氏が今後の展望について語った。

会見のトップバッターとして登場した山田氏は、「これから、社会の公器としての責任に真摯に向き合っていく。メルカリは写真をとるだけでAIが価格を算出するサービスを開発するなど、テクノロジーに力を入れてきた。日本を代表するテックカンパニーと呼ばれるようになりたい」と語った。

「メルカリの強みは、高い成長力とユーザーのエンゲージメント。このサイズになっても年間流通額の成長率は50%。利用時間は5.3時間で、国内ではインスタグラムやFacebookアプリ以上のエンゲージメントだ」と話す山田氏。今後は人、テクノロジー、海外への投資に注力し、「国をまたいで取引ができる世界的なマーケットプレイス」を作っていきたいとメルカリの目標を語った。

日本の成長戦略について語るのは、社長として国内事業を率いる小泉氏だ。同氏は「メルカリの成長にとって重要なのは、ユーザー数の拡大と1人あたりの売上高を拡大すること。そのためにもテレビCMなどを通して40代や50代の認知・利用を向上したい。スポーツ用品など、さまざまなジャンルの商品の取り扱いを増やす必要がある」と、メルカリが現状抱える課題を踏まえて成長の道筋を示した。

もう1つ、小泉氏が会見で強調したのはメルペイを中心としたエコシステムの構築だ。メルペイは、メルカリグループの金融ビジネスの担い手として設立された新会社。まだサービスの詳細は不明ではあるものの、フリマアプリ内の売買で生まれたお金をウォレットに貯め、それをコンビニなどの外部施設やサービスで利用できるモバイル決済機能をつくり、メルカリ独自の経済圏を構築していくという。また、将来的にはユーザーの取引履歴、評価情報など信用情報を活用し、総合的な金融サービスを提供するとした。

米国メルカリを率いるラーゲリン氏は、「メルカリに入ってすぐ、アメリカでも日本と同じように高い回転率で商品が売買されていると感じた。ただ、規模も認知もまだまだ。シリコンバレーで戦っていくためにはチームをさらに強化する必要がある」とアメリカ市場の現状と注力ポイントについて語った。

CAMPFIREとパルコがタッグ——購入型クラウドファンディングを共同運営、新規金融サービスも

購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」などを運営するCAMPFIREは6月19日、パルコと業務提携を締結したことを明らかにした。

7月26日よりパルコが運営する購入型クラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」を共同で運営する予定のほか、新たな金融サービスの創出に向けた取り組みも行っていくという。なお業務提携と合わせて、パルコがCAMPFIREの株式を取得することも発表している(出資金額などは非公開)。

BOOSTERはパルコが2014年に立ち上げた購入型クラウドファンディングプラットフォームだ。もともと両社では2017年12月より、BOOSTERとCAMPFIREを連動させて同一のプロジェクトを支援する取り組みを行っていた。

その結果として目標を大きく超える金額の調達に成功。相乗効果の実証に加え、ビジョンや企業風土の親和性を確認できたことが今回の提携にも繋がっているようだ。

BOOSTERの共同運営にあたって、同サービスの会員やシステムなどをCAMPFIREと統合。プロジェクトの組成やPRを両社で実施するほか、BOOSTERのプロジェクト全案件をCAMPFIREにも掲載し、購入できる仕組みにする。

新生BOOSTERではこれまで以上に幅広い領域で、エンタテインメントを掛け合わせたユニークな商品やサービス、イベントを提供していく方針。プロジェクト実行者には両社の取引先とのマッチング機会を設けるほか、PARCO店舗などリアル店舗を活用した販売促進、サイト制作やリターン商品の制作、問い合わせ対応、配送など業務の代行といったサポートも検討していくという。

CAMPFIREとパルコでは、2020年に両社のサービスを合わせた年間の流通総額200億円の達成を目標に「新商品開発やクリエイター支援、地域活性化など幅広い領域でステークホルダーや世の中に貢献できるサービスに進化することを目指します」としている。

また上述した通り、共同で新たな金融サービスの創出に向けた検証を始める計画。クラウドファンディングとパルコのリアル店舗をかけ合わせ、Webとリアル双方で収集したデータを活用した「成長意欲のある組織や個人向けの金融サービス」の開発に取り組むという。

なおパルコに限らずCAMPFIREでは他社との連携を積極的に進めていて、直近ではワールドと資本業務提携を締結しているほか、幻冬舎と共同出資会社を設立するなどしている。

自然に会話できるAI開発のSELFが東京理科大VCとエイベックスから2.5億円を調達

対話型AI開発を行うスタートアップのSELFは6月18日、東京理科大学ベンチャーファンドとエイベックスを引受先とした第三者割当増資により、2億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

SELFが開発するのは、自動で理解と推測を行い、自然な会話を進めることができるAI会話エンジンだ。ボットや自然言語処理開発者によって開発されたこのシステムは、ユーザーと会話した内容をもとに情報を記憶。これをリアルタイムに応用して新しい情報を提示する。ユーザーとAIとの掛け合い、コミュニケーションがより自然に行えるという。

SELFのAIエンジンでは、単層的なレコメンドサービスやボットサービスと違い、ユーザーから得られたさまざまな情報を各要素へ分解した上で、総合的に会話と情報提示へ結びつける。同社が独自に開発した30万近い会話のライブラリーから、システムが自動で適した会話を選択して、ユーザーとのコミュニケーションを成立させる。

現在同社では、このAIエンジンを活用して、自動でセールスや接客を行う企業向けのマーケティングソリューションや、ユーザーとの会話でグルメやニュースの提案や性格診断ができる個人向けAIアプリ「SELF」を提供している。

SELFでは、今回の資金調達は出資元との実践的なシナジーを見込んだ業務提携を目的としたものと説明している。

東京理科大学とは今回の資金調達後、学生生活をサポートする新規サービスの開発や共同研究、新規技術開発など、サービス面・技術面・人材面での総合的な提携を目指す。

エイベックスには、まずはエイベックスグループが運営するアーティスト育成スクールに、サービスナビゲーション型AIの導入を行う予定だ。AIが会員や入会希望者向けの情報提供を行うことで、サービスの利用促進を目指す。また、今後エイベックスが保有する、音楽コンテンツやエンタテインメントコンテンツに関わるサービスへのAI導入、アーティストやアニメキャラクターのAI化なども進めていくという。

調達資金については、AIエンジンの開発とサービス拡充に充てていくということだ。

レシート買取アプリ「ONE」がDMM AUTOと連携し再開、ガソリンスタンドのレシートを最大100円で買取へ

6月12日のサービスリリース直後から注目を集め、結果的には当日中にレシートの買取をストップすることになったレシート買取アプリ「ONE」。そのONEが少し形を変えてサービスを再開するようだ。

運営元のワンファイナンシャルは6月18日、クルマの即時買い取りサービス「DMM AUTO」と連携し、ガソリンスタンドのレシートの買取を始めることを明らかにした。

サービスの使い方に関しては大きな変更点はなく、ガソリンスタンドのレシートを撮影するだけ。ただリリース時と違うのは、買取の対象となるレシートが1ユーザー1枚までになったことと、買取価格が1枚あたり30円~100円で変動するようになったこと(リリース時は1ユーザー1日10枚まで、買取価格は一律10円だった)。またワンファイナンシャルが買い取るレシートの総数にも上限がある。

同社によると「ビジネスモデルを広告モデルに転換」し、その第一弾としてDMM AUTOが出稿した形になるとのこと。今回買取を再開するのはガソリンスタンドのレシートのみで、もともとのレシートを1枚10円で買い取る方式については再開を検討中だという。

買い取ったレシートに車両番号など車体を識別する情報があった場合には当該情報を収集又は分析の対象とせず、第三者への提供も行わない方針。合わせて「DMMに対してレシート画像や店員情報など、個人を特定する情報の開示や譲渡は一切致しません」としている(個人が特定できないよう加工してレシート画像を譲渡する可能性はある)。

また再開にあたってユーザーから要望の多かった本人確認書類提出を廃止。ただしこれについても今後買取する商品によっては法的な観点から提出を必須とする可能性があるという。

今回ONEが連携するのはDMMのサービス。過去には買取アプリのCASHがDMMの子会社となった例もあるので、もしかしたらと想像する人も多いかもしれないが「今回は特に出資や買収ではなくあくまでサービス間の連携(広告の出稿)」とのことだ。

LINEでスマホ乗り換え相談、ジラフが「ズボラ旅」そっくりな新サービス

LINEのチャットで出発地を伝えるだけ——行き先や予算、宿が決まっていなくてもスタッフがおすすめの旅行プランを考案してくれることで話題を呼んだ「ズボラ旅 by こころから(以下、ズボラ旅)」。

同サービスがリリース後わずか数時間で数千件の相談を集め、パンク宣言をしたのは2018年5月22日のこと。あれからまだ1ヶ月も経っていないが、早くも別の領域でズボラ旅そっくりなサービスが生まれたようだ。

買取価格比較サイト「ヒカカク!」や中古スマホのフリマサイト「スマホのマーケット」を運営するジラフは6月15日、LINE上で格安スマホへの乗り換えについて相談できるサービス「携帯かえるくん」をリリースした。

ズボラ旅のモデルを格安スマホの買い替え相談に持ち込んだもの、端的に言うと携帯かえるくんはそんなサービスだ。コンセプトは「ズボラのりかえ」。ユーザーはLINEで友だち登録をして、現在使っている端末の通信会社と要望を伝えると、チャット形式でスタッフから最適なプランの提案を受けられる。

相談内容としてはオススメの端末や格安SIMの基本的な仕組み、利用料金や買い替えの手順など。スマホの買い替えに関する幅広い相談について、ズボラ旅と同様システムではなく人力で受け答えするという(かえるが対応すると言ったほうが正しいのかもしれない)。

ジラフ代表取締役社長の麻生輝明氏の話では、これまでも格安サイトの比較サイトや診断サービスはあったが、多くのユーザーにとってわかりやすい状況とは言えず課題を感じていたという。

乱立する比較サイトとは違った形で「従来の携帯ショップのように相談できるサービスがあったらいいなと考えていた」ところ、ズボラ旅を見て「これだ!」と思い急ピッチで準備を進めてきたそう。ちなみにズボラ旅の運営元であるHotsprings代表取締役の有川鴻哉氏はジラフの株主。麻生氏によるとTwitter上で相談後、許諾を得て立ち上げに至ったようだ。

なお携帯かえるくんについては、相談料は無料。まずはサービスの検証を進める方針ではあるものの、実際にチャット上で提案したプランにユーザーが加入した場合に、送客手数料を取るような仕組み(アフィリエイトのようなモデル)は検討しているそう。

いずれはスマホのマーケットなど自社サービスへの送客なども視野にいれつつ、現状は「とにかくズボラに相談できるというサービスのフレンドリーさ」をウリに、「悩んだ時にこれを使おうと思いついてもらえる、格安スマホ関連サービスのマインドシェア1位」(麻生氏)を目指す。

サイバーエージェントがC2Cのスキルシェアサービス開始、まずは約100人の著名人がスキル販売へ

近年続々と生まれているシェアリングエコノミーサービスの中でも、個人が持つ知識や特技をシェアする「スキルシェア」はホットな分野のひとつだろう。先日メルカリが「teacha」というサービスをローンチして話題を呼んだばかりだけど、今度はサイバーエージェントがこの領域に参入することを決めたようだ。

サイバーエージェントは6月14日、同社の運営する「Ameba」にてスキルシェアリングサービス「REQU(リキュー)」を開始した。まずは認定する約100名の芸能人や有名人、著名インフルエンサーらがセラー(スキル販売者)として参加。保有する知識や特技をサービス上で販売する。

Amebaは2004年にブログサービスを開始して以降、14年間にわたって著名人から一般ユーザーまで多くの利用者を獲得してきた。「個人の発信力」に対する注目度が年々高まる中で、ブログやSNSで影響力を持つ個人を対象にAmebaのノウハウを活用した、スキル売買プラットフォームを提供するに至ったようだ。

REQUでは販売者が購入者とやり取りをしながら、要望に応じて商品を作成し提供する「オーダーメイド」と、記事やマンガといった作品をコンテンツ単位で販売する「有料コンテンツ」の2種類の形式を備える。

たとえばファッションに詳しいインフルエンサーがメイクや着回しのアドバイスをしたり、著名編集者が手紙の添削をしたり、イラストレーターがオリジナルの似顔絵を作成したりといったものがオーダーメイドに該当するもの。

一方の有料コンテンツはグラビアアイドルがダイエット方法を紹介する記事などがその典型例で、コンテンツプラットフォーム「note」などで有料ノートを売買する仕組みに近いかもしれない。なおREQUで販売する商品の情報はアメブロに埋め込むことができ、ユーザーはブログ記事面から商品を購入できるという。

REQUでは今後オーダーメイドや有料コンテンツ以外にも機能拡充を行うほか、ユーザーからの参加リクエストも受け付け、2019年度中に1万人のセラー獲得を目指していく方針だ。

個人間のスキルシェアプラットフォームに関しては、冒頭でも紹介したようにメルカリがteachaを提供しているほか、「サイタ」や「ストアカ」、「タイムチケット」、「ココナラ」といったサービスがある。

Facebook、思い出を懐かしむ “Memories”ページ を公開

本日(米国時間6/11)Facebookは、家族や友達と過ごした日々を思い出すための専用ページ、Memoriesを公開した。このページは実質的にFacebookの馴染みのある機能「過去のこの日」の拡張コレクション版だ。ほかに友達とシェアした思い出もある。

Memoriesにあるコンテンツは新しいものではないが、専用セクションが作られたことでいつでも簡単に見に行けるようになった。

“Friends Made on this Day”には、過去の同じ日に友達になった人のリストが表示される。”friendversaries”(友達記念日)を祝うスペシャルビデオやコラージュもある。

“Memories You May Have Missed” という頻繁にログインしない人にシェアを進めるコーナーもある。”Recapps of Memories” では季節や月ごとに思い出をまとめた短編ビデオやメッセージを見ることができる。

Facebookは一年前にこの思い出再現機能を初めて提供した。オーガニックなシェアが減少していたため、パーソナルなシェアを推奨する試みだった。

同社はほかにも近況アップデートのカラー背景や、コメント内のGIF対応など、投稿やコメントを増やすためにさまざまな施策を打ってきた。

ほかにもティーン向けメッセージアプリのtbhを買収し、ソーシャル質問 “Did You Know” もスタートした。

しかし最近は、以前ほどFacebookで個人コンテンツをシェアすることがなくなった。Facebook以外にも発表の場があるからだ。

今や人々はSnapchatやInstagram(幸運なことにFacebookはここも所有している)、さらにはこれもFacebookがWhatsAppとMessengerで大きなシェアを誇るプライベートなメッセージチャンネルでも情報をシェアしている。

Memoriesは、Facebookが推進するtime-well-spent[有意義な時間]とも密接につながっている。サイトの滞在時間を犠牲にしてでも、Facebookとの質の高い関係を維持する取り組みだ。

Memoriesには見たいコンテンツを調整する機能もある。思い出によっては必ずしも再会したくないものもあるからだ。

「思い出は極めて個人的なものだと理解している——必ずしもポジティブでないことも。われわれはフィードバックに耳を傾け、人々が正しく制御し、簡単にアクセスできるようにデザインしていく」とFacebookのプロダクトマネージャー、Oren Hodが発表で語った。「これらのコンテンツは各自の個人的体験の一部であることを留意して取り組んでいる。これまでに情報を共有してきた人たちに感謝している」

Memoriesは、デスクトップ画面のニュースフィードの左側か、モバイルアプリ右下の「その他」タブ、通知やニュースフィード内のメッセージなどから利用できる。 Facebook.com/memoriesでも見ることができる。

【日本語版中:いつもの通り、ユーザーによっては利用できるまでに時間がかかることがある】

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook