CubeFitのTerraMatをスタンディング・デスクの下に隠しておくと立ったままストレッチができる

椅子を発明する前の人間は、立ってることが多かった。でもその後は、座ることが多くなった。しかし今でも、ほとんど一日中、立ってる人はいる。そんな人たちのために、TerraMatは作られた。

TerraMatはまるで、猫のおもちゃが自分の足元にあるみたいだ。立ったままでストレッチやエクササイズやマッサージができるための、いろんな凹凸がある。これを作った二組の夫婦は、オフィスのインテリアデザイナーと、個人教授のトレーナー、そして二人のエンジニアのチームだ。

その一人、Gerald Zingrafは、毎日7時間あまり、硬い平らな床の上でスタンディング・デスク(立ち机)を使っていたので、脚の血管を損傷した。

“そこで、立ってる状態で運動ができ、脊椎の圧迫や脚の疲労を防げるために、TerraMatを考えた”、と彼は語る。“ぼくは専攻が機械工学で、トレーナーの協同ファウンダーは、筋肉の平衡失調や姿勢障害について詳しかった。何十時間も試作とテストを繰り返して、TerraMatが完成した”。

チームは10万5000ドルの資金を調達し、Kickstarterでも10万8000ドルを集めた。今彼らは、シンプルなスタンディング・デスクも作っている。

“一発屋で終わりたくはないね。人びとが仕事中でも健康を維持できるための、さまざまな製品を提供していきたい”、と協同ファウンダーのCamille Arnebergは語る。TerraMatを使って立ったままストレッチやマッサージをして気持よくなるための、‘ツボ’のようなポーズが10種類ある。

長時間座ることに疲れて立つことを選んだ人は、TerraMatを使うと良いかもしれない。立ってばかりいた昔の人にも、こんなものがあれば良かったのにね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

90秒で相手に興味を持たせるピッチとは―、投資家からCEOへのアドバイス

【編集部注】Vitaly M. Golombは、HPのベンチャー投資部門HP Tech Venturesで、世界各地の企業に対して投資を行っている。以下は、企業を成長させる上での彼のアドバイスをまとめた本『Accelerated Startup』から、Golombが大好きなピッチに関する箇所を抜粋したもの。


私がイベントで話す姿を見たことがある人は、恐らく私のピッチに対する興奮や情熱についてご存知だろう。素晴らしいピッチはビジネスのさまざまな場面で役立つと私は信じていて、それこそが私のピッチに対する熱い思いの理由なのだ。企業のCEOであるあなたは、日夜ピッチし続けることになる。90秒間の短いエレベーターピッチ。デモデイやコンテストでの3〜6分間のピッチ。さらには至高の目標である、VCのオフィスで30〜60分間に渡って自分たちが関わってくるであろう未来について説明するためのピッチ。素晴らしいプレゼンターになるためには、それなりの鍛錬が必要になってくるし、私もピッチの練習には十分な時間をかけるよう勧めている。だからといって、練習不足が完全なる失敗に終わったピッチの言い訳になるわけではない。

まず、ピッチとは何なのかについて考えてみよう。個人的には、ピッチとは人に具体的なアクションを起こさせるための話だと私は考えている。聞き手から何かを引き出したいからピッチをするのだ。求めているものはアドバイスかもしれないし、相手のビジネスかもしれないし、(私たちがこの章でフォーカスすることになる)投資かもしれない。今後何を求めてピッチをするかに関わらず、CEOのあなたは既にたくさんのピッチをしているということを知っておいてほしい。恐らく起業しようとしたときには、スタートアップと呼ばれる狂気の沙汰のようなものを始めるのが意味あることだと、友人や家族、パートナーを説得したことだろう。当時働いていた会社の上司にも、パートタームで働く許可をとるためや、退職の意を伝えるために、それと似たようなことをしたはずだ。

「アクションを起こさせる」というのが極めて重要なポイントだ。もしも、相手にアクションを起こさせる助けにならないような事項がピッチの内容に含まれていれば、そんなものは取り去ってしまった方が良い。例えば90秒間のエレベーターピッチと、28章で触れた紹介の目的は全く同じで、ミーティングを設定するということだ。早口で膨大な量の情報を読み上げたところで、ミーティングのチャンスは与えられない。ピッチの目的はビジネスの全てを説明することではなく、相手の興味をひいて、相手がもっと知りたいと感じるのに十分なくらいの情報を共有することだ。

また、ほとんどのピッチはステージのようなものの上で行われる。物理的なステージがない場合もあるが、それでも概念的なステージの上に立っているということには変わりない。そしてステージ上で行われる他のことのように、あなたのピッチはパフォーマンスなのだ。もしもあなたのビジネスがその日ステージに立った企業の中で1番だったとしても、プレゼンターのあなたが自分の靴ばかり見て、ボソボソと話し、ただスライドの内容を読み上げているような具合では、投資家があなたの会社に興味を持つことはない。

会社が成長するにつれて、アクセラレーターのデモデイやスタートアップコンテストなどで、3分程度のピッチを行う機会も増えてくるだろう。ここでのゴールも相変わらず、ミーティングを設定することだ。しかしこの段階では、それ以外の目標もいくつか浮上してくる。もしもあなたの会社が大手のよく知られたアクセラレータープログラムに参加しているとすれば、恐らくあなたの会社は優秀なのだが、ここにはあるひとつの問題がある。それは、あなたの会社以外に、数百とはいわずとも数十社のスタートアップが同じステージでピッチを行うということだ。彼らは全員しっかりと準備を行い、資金調達する気満々だ。するとここでは、何百というピッチがステージ上で行われる中、自分たちの企業のことを聞き手に覚えてもらえるくらい目立たせる、ということが新たなゴールなってくる。デモデイの終わりには、投資家のノートがさまざまな企業の情報でいっぱいになる。その中で、あなたの企業の名前に丸印とドルマークが付くようにしなければいけないのだ。

全てのピッチはコンテストだと思い、競争に勝ち抜いて優勝賞品を獲得するんだという気持ちで毎回取り組んでほしい。つまり、ピッチ前にはリハーサルを行い、完璧に準備して、戦いに備えてしっかり休むようにしなければいけない。ところで、ここでの優勝賞品とは何を指しているのかというと、これこそさっきから繰り返し触れている投資家とのミーティングだ。賞品として巨大なホットドッグが贈られるホットドッグ早食いコンテストのような感じもするが、やるだけの価値は間違いなくあるので安心してほしい。ミーティングでは、恐らく20分程度でまたピッチをすることになるが、もしも投資家が内容を気に入り、活発に質疑応答が行われれば、1時間近くまで時間が長引くこともある。

それでは、次はピッチの内容についてだ。まずピッチでは、聞き手の注目を集めなければいけない。あなたが話をしているときも、彼らは手に持った携帯電話で、恐らくTwitterをチェックしたりメールを読んだりしていることだろう。もしも途中で耳にしたことに彼らが興味を持って、そこから注意を払いだしても、それまでの内容は全く伝わっていなかったことになる。これは残念ながらよくあることだ。そのため、聞き手の注目を集めるような内容からプレゼンをスタートしなければいけない。プレゼンの中で最も重要なポイント、それはトラクションだ。会社の調子はどうか?ユーザー数はどのくらいか?会社の成長率は?売上は?といった質問に対して目を見張る数字を持って答えることができれば、投資家はサービス内容自体に即座に興味は持たなくても、少なくともあなたのピッチに注意を払うようになる。もしも継続的に毎週50%成長している企業があれば、私はノートに手を伸ばし、後ほどミーティングで詳しく説明してもらおうと思う。そのくらいシンプルなことなのだ。

その次の内容は、あなたのスタートアップがやろうとしていることについてだ。顧客は誰なのか?どんな問題を解決しようとしているのか?このふたつの質問に答えられないような事業は、投資家側も評価のしようがないので気をつけてほしい。20章で伝えた通り、はじめは小規模なグループをターゲットにした方がやりやすい。その人たちがプロダクトを手放せなくなるくらいになってから、顧客を増やしていけばいいのだ。つまり、現在サンフランシスコ市民の3分の1があなたのプロダクトを使っていて、今後世界中に展開していく予定だという方が、現在世界中で20万人の人が使っていますというよりもずっと投資家の注意をひきやすい。ユーザー数という意味ではこのふたつは同じだが、そこから予想できることやプロダクトのストーリーは全く異なる。ターゲット層を一部の地域やもっと狭いグループの人たちに絞ること自体は全く恥ずかしいことではないが、きちんとプレゼンの中でそれを説明するように。

これでトラクションと市場がカバーでき、ユーザーにとってなぜ自分たちの取り組んでいる問題が重要かという説明もできた。次は、現在その問題に対してどのような解決策が存在するのかについて考えたい。というのも、あなたが全く新しい市場を発掘する可能性は極めて低い。Uberは新しい交通手段を発明したわけではなく、当時のタクシー業界を見て「ひどい状況だな。これなら俺たちがやったほうがうまくできそうだ」と考えたのだ。そこで現状の解決策について説明することで、あなたの会社が取り組んでいる問題が解決に値するものなのかというのを示すことができる。もしもあなたが解決しようとしている問題で困っている人がいないとしたら、残念ながらそれはビジネスにはならない。実は競合に関しても同じことが言える。競合企業が1社もないということは、そこには解決すべき問題が存在せず、市場もないため、ビジネスが成り立たないのだ。

ここまでの内容がうまくまとめられていれば、聴衆は椅子から身を乗り出してあなたの話を聞いていることだろう。市場について理解し、ターゲット層が抱える問題にも共感できた彼らは、あなたが問題をどう解決しようとしているのか知りたくてしょうがなくなっている。そこで、提起された問題と提供しようとしている解決策が、どれだけピッタリ合っているのかについて説明するようにしよう。私が気に入っている痛み止めとビタミン剤の比較をもとにこの意味を説明したい。もしもあなたの解決策が顧客にとって「あればいいな」というくらいで、ストックが切れてもわざわざ買い足さないようなものであるとすれば、あなたのビジネスには問題がある。逆に、私はAdvil(アメリカで販売されている痛み止め)のボトルが半分くらい空いただけでも、会社帰りに薬局に寄ることが多い。つまり、ビタミン剤ではなくAdvilのような解決策を目指し、聞いている人にもそれが伝わるように説明しなければならないということだ。

信じられないかもしれないが、私がここまでに説明したことは全て90秒のピッチの中に詰め込むことができる。エレベーターピッチよりも長く時間がとれる場合は、解決策の部分に時間をかけて聞いている人に強い印象を与えるようにしたい。もしも20分もの時間が与えられていれば、ライブデモも含めるようにしよう。ライブデモをやるには時間が足りないとしても、スクリーンショットを2、3枚挿入しておくだけでかなり効果がある。いずれにしろ、投資家が知りたいのは、あなたが具体的にどう問題を解決しようとしているかということなのだ。

VCが投資したいと思えるような内容にするために、次のパートは全て市場規模の説明にあてられる。市場規模は大きくなければならない。さもなければVCはあなたの会社に投資しようとは思わない。市場がどのくらい大きいか、そしてどのくらいの速度で成長しているかをここでは説明しよう。実際のところ、その時点での市場規模よりも、どのくらいのスピードで市場が拡大しているかのほうが重要だ。というのも、既に成長が止まった巨大市場に参入する場合、サイズの大きな競合企業から顧客を奪いとらなければいけないため、多大なお金や信頼性が必要になってくる。その一方、毎年100%の成長を続けている市場でトップの座につけば、自分たちの仕事をきっちりこなすだけで、会社も同じようなスピードで成長できることになる。

その次がビジネスモデルだ。どのように新規顧客を獲得し、どのように収益を生み出そうとしているのか?どうやって顧客候補を見つけ出し、どのくらいの時間とコストをかければ、実際にその人たちを顧客にできるのか?新規顧客を獲得してから損益分岐点に達するまでにどのくらいかかるのか?顧客生涯価値(LTV)はどのくらいか?といった問いへの答えを中心に説明していく。ここまでで市場規模とビジネスモデルについて説明したので、3年でどのくらいの売上規模になる予測なのか?その頃にはどのくらいの社員数が必要なのか?といった内容をまとめた資金計画もここに含めておこう。

この時点で投資家が間違いなくもっと知りたがっているのが、マネジメント層についてだ。まとまった金額を投資しようとしている彼らが、会社を率いている人たちにその適正・能力があるか知りたがるのももっともだと言える。もしもあなた自身やあなたのチームが、以前スタートアップをエグジットまで導いたことがあれば、大げさなくらいそれを打ち出した方が良い。さらに、以前Budweiserに勤めていて、ビールの売上増加に繋がるプロダクトをローンチしようとしているなら、前職との関係性を明確にすべきだ。また、何かの分野で世界でもトップクラスの専門性をもっており、博士号など具体的な事実でそれを証明できるならば、それも大々的に宣伝するようにしよう。時間の限られているピッチでは、このパートにあまり時間をかけないほうが良いかもしれないが、少しでも時間に余裕があればぜひ含めるようにしてほしい。投資家は、あなたの会社の成功の可能性を、トラクションとチームをもとに推測しているということを忘れないように。アイディアだけでは足りず、それを実行できるかどうかに全てがかかっている。チームに関するこのパートでは、それまでに説明したアイディアを実行する上で最適な人員が揃っているかどうかということを、聞き手に伝えることが目的なのだ。もしも最適な人が揃っているかに関して少しでも疑いがあるようであれば、ピッチは一旦ストップしてもう一度採用を行った方が良いだろう。

以上が、あるひとつのことを除いた、ピッチに関するアドバイスの全てだ。そして最後に残されているとても重要なパートが、クロージングだ。ピッチの終わりに、なぜ自分がそこにいるのかについてもう一度説明するようにしよう。「私たちには、生鮮食料品の購入の仕方を変えるすばらしいテクノロジーがあるだけでなく、業界での豊かな経験を持ったこのビジネスに最適な人材が揃っています。目標調達金額は200万ドルです。連絡先はスクリーンに表示していますので、詳細について知りたい方は私までメールでご連絡ください」というクロージングであれば、簡潔かつ必要なことが全て伝えられていて完璧だ。

ピッチ時の話し方に関連し、ボディランゲージについても少し触れておきたい。私は個人的に、1対1での指導を行っているプレゼンのコーチを雇うことを強く勧めている。アクセラレータープログラムに参加していれば、ピッチ指導もその内容に含まれていることが多いが、(まだ)そのようなプログラムに参加していなくても、あなたのピッチを間近で見て、指導してくれるような人を探した方が良い。自信をにじみ出させ、堂々とした姿勢で、ハキハキと話しながら聞き手とアイコンタクトをとるというのは、ピッチでは極めて重要であると同時にマスターするのはそこまで難しくない。練習あるのみだ。

投資家の中には、困ったことに事前に資料を送ってほしいと依頼してくる人もいる。今までに素晴らしいプレゼンテーションを見たことがある人であれば、スライドはあくまでペースを守る手助けをしたり、プレゼンターが言っていることを視覚的に補助したりするだけで、資料の中にプレゼンの全ての内容が含まれているわけではないことにお気づきだろう。もしもあなたが資料を事前に送ったとしても、投資家は恐らく内容を完全にはつかめないため、通常私はミーティングで顔を合わせるまでスライドは送らないように勧めている。この問題への対策のひとつが(もしも投資家が遠く離れた場所に住んでいるときのことを考えると、対策を立てておくにこしたことはない)、2種類のスライドを準備しておくということだ。ひとつは実際にピッチを行うときのためのもの、そしてもうひとつは、エグゼクティブ・サマリー(事業計画の概要)として、ピッチの雰囲気が読んで伝わるようなものとして準備しておくと良い。

ピッチの準備をするときには、アルバート・アインシュタインがかつて言った、「簡潔に説明できないのは、十分に理解していないからだ」という言葉を心に留めておいてほしい。あなたの事業領域に関する専門知識を持ち合わせていないかもしれない、部屋いっぱいに集まった投資家に対して、会社のことをうまく説明できないようであれば、いちからやり直しだ。


【編集部注】本記事の引用元である、今年発売されたVitaly M. Golomb著『Accelerated Startup』は、KindleiBooks用の電子書籍とハードコピーとして販売されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

水中ドローンGladiusは4Kのビデオカメラを搭載、海水の塩分も平気だ

最初のドローンは空を飛んだ。そして今度は水中だ! このGladiusは、要するに遠隔操縦する潜水艦で、深さ100メートルまで潜れて4Kのカメラ〔==オプション〕で撮影できる。

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ぼくはプロトタイプを見たけど、とってもハンサムだ。大きくて黄色い双胴式のモンスター、とも呼べるこの野獣は、スマートフォンに接続されるリモコンでコントロールし、半ばテザリングされている。すなわち、条件が良ければ最大500メートルまでの遠隔操縦ができる。

最小限の構成は、ドローン本体と1080pのカメラ、30メートルの繋留ロープ、そして一種のリピーターとして動作する“Wi-Fiブイ”だ。ビーチで使うことが前提だが、でも、どこからでも海に放り込むことができる。初期支援者には599ドル、4Kモデルは799ドルだ。“四次の自由度”を持つ、とされており、深く潜って海底で亀や冷蔵庫に会える。

今住んでるブルックリンが暖かくなったら、本格的なレビューを書こう。しかし、見た感じでは、とってもクールでお利口そうだ。ビーチで楽しむのもよいし、ブルックリンのゴーワヌス運河で錆びた銃を見つけるのもよいかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

かつては誰もが移民だった―、移民の子孫の視点から見た現在のアメリカ

ここ数年の間、世界は怒りで溢れている。まともに見えた国がヨーロッパ大陸から自らを切り離し、慈悲深く見えた国境警察が怒りで震え、移民は仕事を奪い、人を殺し、ドラッグや暴力事件を持たらすような存在だと言われている。

何かが間違っている。

移民賛成派の意見として、全体の数を比較すれば、移民よりもアメリカ生まれの人の方が犯罪率が高いという事実が知られている。一方反対派からは、全てを決定づけるように見える複数の凶悪事件についての話を聞くことが多い。さらに、アメリカやイギリスの労働者の苦境についても知っておかなければいけない。移民は実際にその国で生まれた人から仕事を奪っているのだが、ホワイトカラーの人たちはその影響を理解できていないのだ。『Chaos Monkeys』の著者であるAntonio Garcia-Martinezが、その様子をうまくまとめている。

青い州(民主党支持者の多い州)の人たちが、トランプや国境沿いに壁を作るという彼の発言を支持する、労働者階級の赤い州(共和党支持者の多い州)の人たちを馬鹿にするのも当然だ。というのも、ホワイトカラーにはH1ビザと言う名の壁が既に存在し、彼らはこのビザのおかげで、インド工科大学や精華大学の卒業生と職探しで張り合わずにすんでいるのだ。FacebookやGoogleのオフィスの前に、まじめで実力のある中国人やインド人のエンジニアが大挙する様子を(アメリカのHome Depotの前に集まるメキシコ人の様子のように)想像してみてほしい。無料のスペアリブを頬張っている甘やかされた社内のアメリカ人よりも低い賃金で同じ仕事をする覚悟が彼らにあるとしたら、不法移民に対する社内のエンジニアの意見はどうなるだろうか?

赤い州の人々が求めているのは、青い州の人々に与えられているような、移民労働者の制限という保証なのだ。

いつものように、政治的な意見は先を見据えた理想ではなく、権力や私欲をもとに決められてしまう。ホワイトカラーは、既に自分たちが守られているからこそ、移民を受け入れることに賛成しているだけで、Home Depotの外に列をなすメキシコ人たちを自分たちの生活を脅かす存在として(正しく)認識しながら、ルイスビルやデモインで生活する、高卒の配管工や土木作業員のことなど気にかけていないのだ。

誰もが正しいようで、誰もが間違っている。移民労働者の苦境とは無縁のハイテク業界は、プログラマーや海外のデータセンターに関しては、政府の気前の良さに頼り切っている。本来であれば、Home Depotの前に停められたトラックの中にいる男性から、Uberに乗ってGolden Gate(サンフランシスコのベイエリアにある橋)を渡っている女性まで、全ての人が現状を吟味し、移民に手を差し伸べなければいけないはずだ。

究極的に言えば、移民は国に変化をもたらす必要不可欠な存在だ。人口は高齢化し、文化は変わり、新しいテクノロジーが昔の問題を解決していく。市民に受け入れられた健全な移民制度を通じて入国してきた熟練・非熟練労働者、難民、外国人居住者がその全ての変化において、私たちを支えてくれるのだ。自分たちの問題を外から来た人たちになすりつけるというのは、人類の大きな失敗であり、これは暗黒時代から何度も繰り返されてきた。私たちは、自分と違う人を恐れると同時に必要としているのだ。だからこそ”よそ者”に対する恐怖心を払拭しなければならない。

この問題を短期的に解決するために、私がアドバイスできることはひとつかふたつしかない。まずひとつめは、自分のルーツや生き方を見つめ直し、自分と同じ道を進んでいる人に手をさしのべるということだ。例えば、私の祖父母はポーランド人とハンガリー人だ。これまで私は、自分なりのやり方でこの2国を発展させるために全力を尽くしてきた。両国の経済や各業界のエコシステムは既にかなり発達しており、私の手助けなどいらないということは重々承知しているが、彼らは依然投資や世界からの注目を必要としているため、私にもできることがある。

世界中に起業家精神を広めるというのも問題の解決に役立つだろう。数週間前に私が出会った、デンバーを訪問中のキューバ人起業家グループは、アクセラレーターについて知るためBoomtownを訪れた。男性・女性の両方から成るこのグループは、逆境や政治的陰謀に立ち向かって、キューバにネットインフラを構築しようとしているのだ。彼らは若い企業の成長を支えるアクセラレーターの仕組みを気に入ったようで、恐らくこの経験から新たな可能性に気づくことができただろう。私はせめてもの手助けとして、彼らを5月に行われるDisruptに招待した。

キューバ出身の起業家たちと出会って1番驚いたのは、ザグレブやアラメダなど世界各地の起業家と彼らの間にはかなりの共通点があるということだ。全員が明確なビジョンを持ち、変革を起こすために努力する覚悟ができていた。全員が苦境に屈さず、前に進もうとしていた。彼らは仕事を奪うためにアメリカにいるのではなく、仕事を生み出すためにここにいる。彼らは国家を崩壊させようとしているのではなく、悪人を排除して、善者を支えようとしている。そして彼らは、母国と世界の問題の両方を解決しようとしているのだ。

彼らは移民ではなく人間だ。ある場所から別の場所へと移り住みながら、少々の悪とそれよりもずっと多くの善を移住先にもたらしている。彼らは歩みを止めず、諦めることもないため、受入国は移民を抑え込むのではなく、彼らのエネルギーを有効活用するべきなのだ。

数年前ピッツバーグで行われた結婚式に出席した際に、私がポーランド人の血をひいていると知った年上の友人からある話を聞いた。その話の主人公は、1900年頃にワルシャワからグダンスク経由でアメリカに移住してきた、当時8歳、10歳、14歳の少女3人。鍛冶工で酒飲みの父親と一緒に彼女たちは海を渡り、体調不良と寒さで震えながらニューヨークにたどり着いた。そこから一家は陸路で炭鉱で有名な地域へと進み、最終的にピッツバーグに住み着くことに。父親は鉱山で働き、娘たちは学校へ通っていたが、ある日娘たちが家に戻ると、そこには父の姿がなかった。

父親は娘たちを残してポーランドに戻っていたのだ。実は父親はポーランドから妻を連れてこようとしていたのだが、娘たちはなぜ父が書き置きも残さずにいなくなったのかわからず、残されたお金もすぐに底をつきそうな程だった。結局彼女たちは、裁縫や清掃の仕事をしながら、長女が次女の面倒を、次女が三女の面倒を見ながら生活を続け、時間の限り学校へも通った。移民で溢れる近所の人たちの助けもあり、彼女たちは徐々に自立していく。しかし、彼女たちが知らないうちに両親はポーランドで亡くなっていたため、両親宛の手紙が戻ってくることはなかった。森に住む少女たちの貧しく、不安に満ちた破滅的なこの物語は、バッドエンドを迎えようとしていた。

しかし、話はここから好転する。

彼女たちはそのまま成長を続けて結婚し、かつては隅に追いやられていた新しい世界で自分たちの生活を築くことができたのだ。ピッツバーグにあるKościół Matki Boskiejの洗礼盤に浸りながら泣き声をあげる赤ん坊のように、彼女たちは目の前で次々と起こる出来事にショックを受けながらも、生き抜くことができた。父親は(もっと娘たちのことを考えた去り方があったとは言えるが)アメリカであれば彼女たちが無事に生きていけるだろうと考え、ポーランドに残した妻を迎えに行ったのだった。娘たちが住む世界は、彼が去った世界ほどは危険にあふれておらず生存の確率はずっと高いと考えた父親は、移民の流れに娘たちを託し、それが功を奏した。

話の最後に「三女が僕の祖母なんだよ」と言った私の友人は、現在ピッツバーグでエンジニアとして働くアメリカ人だ。

かつては誰もが、遠い場所から何も持たずにアメリカにやってきた移民だったのだ。だからこそ私たちの後に続く人のことを怖がってはいけない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

モジュール構造の本格的な電子工作を容易にできる補助ボードAtomoがクラウドファンディング中

Raspberry PiやArduinoでいちばん難しいのは、いろんな部位の具体的な配置だ。どちらも、ボード本体とインターネットがあれば、たくさんの楽しいことができるすぐれものだが、でもプリンターとか画面など、ほかの部位を加えたらさらに楽しい。問題は、それらの部位の置き方まとめ方だ。そこで、Atomoが助けてくれる

このモジュールキットは香港のメイカーJonathan Bufordの作で、製造大手のArrow Electronicsが採用した。

“AtomoはArduinoに代わるもの、あるいはRaspberry Piのアクセサリだ”、とBufordは語る。彼は、エレクトロニクスの広範なノウハウのない者でもRaspberry Piの複雑なプロジェクトを作れることを、期待している。

モジュールはいろいろあって、I/Oボード、ネットワーク拡張ボード、大きなプロジェクト用の電源ボードもある。たとえば下図のプロジェクトは、I/Oアダプターを4つと電源をPiに接続している。このやり方なら、本格的なロボットや水耕栽培装置などの、本当におもしろいプロジェクトの回路を、チーズの塊ぐらいのサイズで作れる。

このキットは初期支援者には39ドルで、発売予定は6月だ。パッケージを複数買って、大きな構成を作ってもよい。

“コントローラーはすべてRaspberry PiのHATの規格だから、Piのプログラムを書いてコントローラーをアップデートできる。あるいはAtomoそのものをHATにしてもよい。そうすればROSのロボットを作るなど、本格的な電源とI/Oとリアルタイムのコントロールを必要とするプロジェクトを、Piが処理またはインタフェイスできる”、とBufordは書いている。

これなら、Raspberry PiやArduinoのロボットが人類を支配することも可能だね。

 
 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Analyticsのセキュリティとプラバシー保護が心配ならPiwik Proを使ってみよう

Webサイトを立ち上げたら、Google Analyticsを使ってビジター数を調べたりするよね。でもそんなとき実は、Googleやそのほかの連中に、そのデータやユーザーへのアクセスを与えてるんだ。もちろんプライバシーは保護されるから、そんなにひどい状況ではないが、でもあなたのWebサイトやWebアプリケーションが特別に機密性の高いものだったら、どうかな? そんなときは、Piwikや、今度出たPiwik Proを使うべきだ。

Piwikは完全に無料でオープンソースのアナリティクスソフトウェアで、その点では1999年ごろから広く使われているアナリティクスツールWebalizerに似ている。そしてPiwikの企業向けバージョンがPiwik Proだけど、こっちもなかなか良い。Piwikはポーランド語で“little beer”という意味らしいね。

Maciej ZawadzińskiとPiotr Korzeniowskiが作ったPiwik Proは、ポーランドの誇りとも言えるプロダクトで、セキュリティ意識の高い人びとのあいだで人気がある。最近ではWarsaw Equity Groupから200万ドルの資金を調達して、新たに“マーケティングの機能を充実し、データの機密性を重視する企業にデータの完全なコントロールと、プライバシー関連規制へのコンプライアンスを提供する”、という。

Zawadzińskiは曰く、“Piwik Proには総合的なマーケティング機能を持たせるつもりだ。それらは、Webとモバイルのアナリティクスやデータ管理のプラットホーム、タグの管理、そしてコンテンツのパーソナライゼーション(個人化)などだ。これらのマーケティング機能によって企業や団体には完全なデータ保護とプライバシーのコンプライアンスが提供される。オンプレミスでも、あるいはクラウド環境においても”。

Zawadzińskiはポーランドでは初めてのブログ広告のプラットホームを創始し、Piwik Proに丸賭けする前には企業を二つ売った経験がある。KorzeniowskiはHPとKPMGで仕事をした。彼らは現在、Hewlett-PackardやAccenture, オランダ政府, 欧州委員会などにアナリティクスを提供している。

200万ドルといえば、ポーランドでのスタートアップへの投資としては大きい方だ。ぼくはこのところずっと、ヨーロッパに注目していたけど、中欧では資金調達が楽ではない。でも同社は今度の資金調達で、ポーランドと中部ヨーロッパの市場で大きく前進していけるだろう。彼ら曰く、なんといっても、プライバシーはとても重要だから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Nintendo Switchのメモリを覗く/書き込むハッカーツールPegaSwitchが一般公開

Nintendo Switchが本当にハックされたのか、と世間が騒いだ翌日(米国時間3/14)、プログラマーたちのグループがPegaSwitchをリリースした。この“ツールキット”を使えば、無署名のコードをSwitchの上で…一定の制約はあるが…実行できる。完全なジェイルブレークではなくて、ジェイルブレークのきっかけになりそうな概念実証だ。

LiveOverflowと名乗るそのハッカー集団の一人は、“これで個々のファンクションを呼び出せる。まだ本格的なプログラミングはできない”、と言っている。“でもシステムを調べていくための入り口としては十分だ。恒久性はないし、任意のコードを実行できるわけではない”。

このエクスプロイトを試すには、自分のマシンの上でこのプログラムを動かし、Switch用のDNSサーバーをそのマシンのIPアドレスにセットする。SwitchがWi-Fiに接続しようとすると、それはそのマシンに捕(つか)まり、とてもシンプルなシェルからメモリに自由に何でも読み書きされるようになる。これまでのジェイルブレークならコードは本物の署名されたプログラムのように動くが、これはSwitchの脳を勝手に覗き込んでいるだけだ。

この方法で海賊版のゲームをプレイしたりはできない。このエクスプロイトは、いつシャットダウンしてもおかしくない。でも、Switchの内部に関心のある人にとっては、とてもおもしろいツールだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Nintendo Switch、ハッカーがジェイルブレークの概念実証を公開

無害だが重要と目される概念実証qwertyoruiopzというハッカーが公開した。Nintendo Switchで任意のコードを実行できる疑似ジェイルブレークだ。何が面白いかって? Switchで使用しているブラウザーのバグのために、 iOS 9ユーザーが利用していたのと同じジェイルブレークをSwitchで再利用できることだ。

ジェイルブレークのコードはここで入手可能であり、「メモリー内のあらゆるものを上書き」できるコードを送るウェブサーバーからなる。従来のような形で実際にSwitchをジェイルブレークするわけではなく、可能であることを示すだけだ

実に巧妙な手口だ。Nintendo Switchには隠されたWebKitブラウザーがあり、captive portalを使ってWi-Fiと接続するときに使用される。つまりSwitchはホテルやコーヒーショップでメールアドレスやコードを入力してログインするときには必ずブラウザーを呼び出す。この振る舞い ― SwitchのOSのほかの部分では起こらない ― のために、Switchに悪意のあるコマンドを送り込んで、いくつかのごく基本的な機能にアクセスすることができる。

CVE-2016-4657と呼ばれるこの侵入方法は、「Apple iOS 9.3.5以前のWebKit」に適用可能であり「リモートアタッカーは細工したウェブサイト経由で任意のコードを実行したりサービスの停止(メモリー破壊)を起こすことができる」。これはiOS向けのハックではなく、保護されていないバージョンのWebKit…例えばSwitch、が動作しているシステムなら何でも対象になる。

念のために言っておくと、近々Switchで海賊版のゼルダをプレイできるという意味ではない。Xbox 360やPS3の大規模なハッキング以来、ゲーム機のジェイルブレークや侵入方法を公開することは非常に難しくなった。署名のないコードを実行したり、海賊版ゲームをプレイしたりするための非常に粗野で扱いの難しいツールはいくつか存在するが、ゲーム機メーカーがシステムをほぼ完全なレベルまで強固にしていることは間違いない。しかも、ダウンロード版ゲームの普及のおかげで、海賊版タイトルを不法インストールしたりディスクに焼くことはますます難しくなっている。つまるところ、ゲームコンソールをコントロールすることこそが、MicrosoftやNintendoやSonyの収益手段なのだ。

今のところこのジェイルブレークにできることは殆どないが、Switchをさらに探究する道を広げることにはなる。Nintendoはそれを許すわけにはいかない。よって、おそらくこのSwitchジェイルブレークはNintendoがアップデートを発行してすぐに消滅するだろう。しかし、ソフトウェアの自由世界の知的訓練として、メーカーが固めに固めりコードを引き裂いて、真新しいデバイスのおいしい中心部に触れるのがいかに簡単(あるいは困難)かを知るのは楽しいものだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

人間インストラクターに代わって電脳靴下がダンスの正しいステップを教えてくれる

人類がロボットに支配される時代になり、彼らとの社交も強要されるなら、そこにはダンスも含まれるだろう。そんなときわれわれにダンスを教える方法として、モーターを詰め込んだソックス(靴下)以上に優れたものがありうるだろうか?

デザイナーのPascal Zieglerは、ダンスをするペアにステップを教えるために、そんなすごいウェアラブルを作った(上図)。要するにそれは、振動するソックスだ。その作り方と使い方はここにあるから、振動モーター2基とセンサーとArduinoボードを用意すれば自分用に一足作れる。そして振動するタイミングをアプリが教えるから、正しい足の位置が分かる。フィードバックループがシステムをコントロールして、ユーザーにフォックストロットやマンボ、チャールストンなどの踊り方を教える。

Zieglerは曰く:

ソックスに圧力センサーと振動モーターを装備して、ペアのダンサーの足の動きをモニターしガイドする。これらをコントロールするアプリケーションはAndroidスマートフォンの上で動く。足が特定の位置に来たときに、振動によってステップを指示する。ここはかかとで前進、などと。ユーザーが間違えたり、音楽と同期しなくなったら、負帰還を与える。このソックスをはいていても、数分ぐらいは間違えずに踊ることが可能だ。

このソックスの名目上のミッションは、インストラクターの長時間の注視なしで、新人ダンサーに教えることだ。ひまができたインストラクターは、ほかのことができる。たとえば2001 Space Odysseyにおけるビッグカップルのダンス決戦の準備をしたり、あるいはあなたがそうだったように、ブルックリンのベイリッジの心の狭い連中から逃れてビッグシティの生活を体験したいと思っている、すでに大人なのに混乱している若い女性を助けたり。

Zieglerはさらに語る、“目標はダンスのレッスンそのもののクォリティーを上げることだ。ダンス教室では、たくさんの新しいステップを短時間で教わる。彼らにとっては、先生が教える理論的な動きを、音楽とリズムに合わせた実際のダンスステップに翻訳することが、難しい場合が多い。しかしダンスの先生には十分な時間がないし、生徒には一対一で教わるほどのお金がない。何度練習してもうまくいかないと、双方に不満が溜る”。

そこで、ソックスにハンダ付けをしてDancing Kings and Queensをかけ、Electric BuggalooでもElectric FugでもElectrified Mashed Potatoでも、何でもできることを見せつけてやろう。でもソックスのアンペア数が、低いことは期待できないだろうな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

陽気なキャンディカラーの3D肝臓プリントモデルが、腫瘍に立ち向かう医師たちを助ける

肝臓は素晴らしいものだ。クラッカーにペーストしても美味しいし、敗血症からあなたの血液を守ってもくれる。しかしこの奇妙な臓器を手術するためには、少しばかりの幸運と十分な準備が必要とされる。有り難いことに、更に良い準備手段が現れた。

ここ数ヶ月の間、ポーランドのクラクフにあるヤギェウォ大学医科大学の医学生、Jan Witowskiは、医師向けの、肝臓の3Dモデルを作成してきた。それを医師が手術の前に眺めることで、様々な不測の事態に備えることができるようにするためだ。彼はそのプロセスに関する論文を書いている。彼の作成したモデルの例を以下に示そう。

このモデルは、肝臓の内部にある特に厄介な腫瘍を表している。Witwoskiの3Dモデルは、肝臓を内部の循環系と一緒にプリントするだけではなく、外科医が直面する可能性のある様々な潜在的問題を可視化する。このことによって、外科医による腫瘍の摘出を容易にすることができる。

「私たちはこれらのモデルを、通常の手段をとることのできない、複雑な腹腔鏡手術を手助けするものとして作りました」とWitowskiは言う。「そうした手術は、手術中に起き得る合併症や血液の損失を低減することが重要なので、更なる可視化が必要とされているのです。外科医たちは、手術をある時点で臓器の中で何が起きているのかを実際に見ることはできません、そして内視鏡を用いているために実際に肝臓に触れて腫瘍の感触を確かめることもできないのです。彼らはモデルを手術中に見て、腫瘍が大きな血管からどれくらい離れているのか、あとどれ位切除する必要があるのか、などを判断することができます」。

WitkowskiはCTスキャンデータを使い、STLモデル(3次元モデル)を作成し、PLAフィラメントを用いる標準的な3Dプリンターで印刷を行った。彼は「肝臓の実質部分」を構築し、それをシリコン材料と組み合わせることで、外科医が肝臓の内部を見るだけでなく、その重量や形も知ることができるようにした。

「3Dプリントモデルは、患者の解剖学的構造の空間的関係に対して素晴らしい可視化を提供します。腫瘍の大きさや、周囲の血管や肝臓表面への近さを把握することが容易になります。また他の利点として『モデルを感じる』可能性を挙げることができます。実際に触ることができることで、手術の計画をより高いレベルで練ることができます、従来の仮想的に画面上で表現された視覚化よりも、物理的なモデルはよりリアルなものとして使うことができるのです」と彼は言う。

ということで、次にあまりにも沢山のマイタイを飲みすぎて、肝臓が悲鳴を挙げたときには、Witkowskiが文字通りバックアップしてくれる(またはモデルを作る)日が来るかもしれない。

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(翻訳:Sako)

SonosのサウンドバーPlaybaseはテレビの下に置いても目立たない薄さを誇る

テレビを壁にかけている人たちは、オールインワンのサウンドバーをよく使っているが、テレビは台の上にあるべしという、今や少数派の頑固者はどうだろう? 高級オーディオ専門メーカーのSonosはこれまで、この人たちを無視してきたが、このほど、やっと風向きが変わったようだ。

そのPlaybaseないしPLAYBASEと呼ばれる製品は、オールインワンのワイヤレススピーカーで、テレビの下に置くようなデザインだ。この699ドルのデバイスは厚さが58ミリで、スピーカーは中域用が6基、ツイーターが3基、ウーファーが1基、系10基収まっている。デジタルアンプも10台内蔵している。Sonosのそのほかの製品と組み合わせて、低音を効かせたサラウンドにもできるし、テレビやゲーム機などの音をそのまま鳴らしてもよい。

Sonosは、部品的にはテレビ用スピーカーも音楽用スピーカーも同じ、と言っているので、Apple MusicやSpotifyやムービーなどの音も、これで聴いてください、ということ。ただしデジタルオーディオの入力は一つだ。電源ケーブルもある。

家庭用のワイヤレスオーディオといえば長年、Sonosが定番だったし、今度のデバイスが、あの上出来のPlaybar(壁掛けテレビ用オールインワン)を上回るものではない。Playbaseは最大荷重が75ポンドだから、おばあちゃんちの古いCRT以外は、どんなテレビでも乗せられるだろう。Sonosの製品としては、マニアのワイヤレス音楽から、一般家庭用のメディア製品にも手を広げたという意味で、興味深い。

Playbaseは今日発表されたが、発売は4月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Pixel 2.0 Arduinoボードには1.5インチのOLEDスクリーンが載ってるからウェアラブルのゲーム機なども作れる

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この小さなPixel 2.0は要するにArduinoボードに1.5インチという小さな128×128のカラーOLEDスクリーンをくっつけたものだ。このままでウェアラブルに応用できるし、このArduinoボードから直接スクリーンにアクセスできる。これまでのような、後からスクリーンを半田づけして、うまくいくよう神様にお祈りする電子工作からの卒業だ。

このちっちゃいかわいいボードはKickstarterで75ドル、発売は6月だ。完全にオープンソースだから配線図を詳しく見られるので、いろんな応用製品を作れる。SDカードのスロットがあるからゲームやビデオなどのデータを保存できるし、Arduino SDKを使えばスクリーンのグラフィクスをプログラミングできる。

すでに目標額の5000ドルは突破しているから、製品化はほぼ確実だ。

これは、ボストンのRabid Prototypesが作ったPixelボードのバージョン2だ。同社のNeutrinoと呼ばれるハイスピードなArduinoボードには、ライトやモーターなど、もっといろんなDIY要素が載っている。昔のアーケードゲームがこのPixelで動けばめっちゃ楽しいだろう。画素密度も、そんなにちゃちくはない。今すでに、不安な要素はない、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

10ドルのRaspberry Pi Zero Wは最初からWi-FiとBluetooth内蔵の超便利なラズパイだ

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5ドルのRaspberry Pi Zeroが出たときには、みんなが大歓迎して、ありとあらゆるものにそれをくっつけようとした。1GHzのシングルコアのCPUで動く超小型ゲーム機が作られたり、Pi専用のアドオンボード(ブレークアウト基板)Hatをいろいろ作って、ロボットやセンサーを動かす人たちもいた。そして今度からは、Wi-FiやBluetoothのドングルを使わなくても、それらすべてができるようになった。

その10ドルのPi Zero Wは、ワイヤレスを内蔵したZeroだ。mini-HDMIとmicro-USBのポートがあり、Hat用の40ピンのヘッダもある。コンポジットビデオやCSIカメラのコネクターもある。

Raspberry Piを作ったEben Uptonはこう書いている: “ほとんどの場合、ハブは必要だから、汎用のコンピューターとしてはこの方が使いやすい。Bluetoothの周辺装置を使いたい人にとっては、USBのポートだけあっても嬉しくないからね。しかもこれなら、いろんなIoTアプリケーションの実験ができる”。キーボードやマウスも、ワイヤレスを使えるから便利だ。

Pi Zero Wには使いづらい面も多少はある。ZeroもZero Wも同じLinuxコンピューターだが、Zeroはとても小さいからデスク上などには実装しづらいだろう。しかしIoTには格好で、先輩のArduinoにも劣らない。なお、フルサイズのUSBポートがないと、初心者は困るかもしれない。

Wには、シャーベットカラーのケースがついている。ケースはボードによくフィットしており、ピンやポート用の切れ込みもある。カメラ用のリボンコネクタもある(下図)。

Wi-Fi内蔵のマイコンが10ドルは、かなりの労作である。しかもこんな小さなボードが年月とともにさらにどんどん小さく(そして強力に)なるのも、快挙だ。ぼくはツイートの自動化と印刷をPiにやらせているが、何かがおかしくなったら、簡単に交換できるのも気軽で良いね。Piファンが作ったこのビデオを見てみよう。とにかく、すばらしい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Kinetiseはビジュアル開発ツールの限界を補って、ソースコードをユーザーに提供…より自由で柔軟な開発が可能に

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モバイル開発は、暖冬の湖で薄氷を踏むような世界だ。React Nativeと悪戦苦闘して氷上で脳を負傷するか、またはドラッグ&ドロップのエディターを使って一つのプラットホームの湖底に永久に閉じ込められる。でもしかし、デベロッパーのKinetiseが、両者の良いとこ取りを提供しようとしている。

Kinetiseについては数年前から、AndroidやiOSのアプリを直接書くことに代わる、おもしろいやり方として、本誌でも何度か取り上げているが、でも同社は最近、自分たちのソリューションが、強力なのに大きなITチームが尻込みすることに気づいた。そこで作者のPiotr Pawlakはあっさりと、1499ドルのソースコードダウンロードオプション*を加え、ブラウザー上で視覚的に作ったアプリのコードをユーザーが得られるようにした。〔*: 同ページQ&Aより: QUESTION: What do I need the Source Code for and how much does it cost? ANSWER: Source code for your application allows adding new features outside of Kinetise Editor. The cost is flat of $1,499 per application. Downloading is unlimited for selected application. 〕

なぜそうしたのか? 要望が多かったからだ。

“自分たちが作っているアプリの、ソースコードがほしい、というデベロッパーやスタートアップのファウンダーが、とても多かった”、とPawlakは語る。

ソースコードがほしい理由は、いくつかある。たとえば、データの保存のされ方が分かれば、セキュリティのチェックや対策ができるだろう。ひとつのビジュアルツールに閉じ込められたくない(自分でコードに自由に手を加えたい)、という理由もありえる。とにかく、ソースコードをデベロッパーにダウンロードさせることによってKinetiseは、Microsoft Accessのような閉じた世界から、Visual Studioに近い自由な世界へ変わった。

出力されるソースコードの言語は、iOSではObjective C、AndroidではJavaだ。これなら、Kinetiseから送られてくるコードをさらに拡張したり、手直しすることも、容易にできる。

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[1. ドラッグ&ドロップのエディターでアプリの機能を作る 2. ソースコードをダウンロードする 3. 必要ならそのネイティブコードを書き換える]

ソースコードを入手できるアプリケーションビルダーは、これが初めてではない。これまでにも、Dropsourceなどがあった。でもKinetiseは、複数のデータソースにアクセスしたり、Webアプリケーションからデータにアクセスするための、堅牢なAPIも提供している。だから途中からドラッグ&ドロップ方式のエディターを放棄して、そのアプリの開発をソースコード上で継続することができる。あなたの労作が、途中でゴミ箱に捨てられるおそれは、なくなった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネットのあちこちを探しまくって目的のコード片を見つけてくれるDeepCoder、プログラマーの生産性は上がるか?

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ぼくはプロのプログラマーではないけど、でも彼らを真似て、多くのコードをStackOverflowのQ&Aからもらっている。Flaskに認証を加えるやり方は? そんなの簡単。sendmailのシャットダウンの仕方は? ほら、これさ。そして、今やインターネット上のすべてのコードのおかげで、ロボットが年俸18万ドルのプログラマー並に優秀だ。

そのシステムはDeepCoderと呼ばれ、コードのコーパスを検索して仕様どおりに動くコードを構築する。すでにプログラミングのコンペに‘参戦’したこともあり、またコードではなく、複雑なプロダクトを作るための大きなデータセットを見つけることもできる。

彼らのペーパーより:

たとえばIPSシステムを作るためには二つの問題を解決しなければならない。最初に、その問題の解になりそうな適切なプログラムの集合を見つける。そして次は、手元の要件に照らしてそれらのプログラム集合をランク付けする。どれが、今抱えている問題の解として使えそうか? この二つの問題はどちらも、問題の具体的な内容に依存している。したがって、プログラムを組み立てていくための最初の重要な決定は、ドメインスペシフィックな言語を選ぶことだ。

 

このシステムは使ってるうちに次第に賢くなり、どんな場合にどんなコード片が良いのかを、自分で見分けるようになる。そして、そうやって‘学習’を重ねるたびに、ユーザーはプログラムをより早く書けるようになる。

ケンブリッジ大学のMatej BalogとMicrosoft ResearchのAlexander L. Gaunt, Marc Brockschmidt, Sebastian Nowozin, Daniel Tarlowがこのプロダクトを作り、その使い方に関するペーパーを共著した。ただし、このようなシステムを使って、小さなコード片から大きなプロジェクトを構築することはできない。そういうのを、‘ないものねだり’と言う。

こういった、既存のコードの切り貼り再利用は、多くのプログラマーが実際にやっていることだから、ディープラーニングの優れた応用と言えるだろう。データベースの更新のようなシンプルなCRUDアプリケーションには、十分に使えると思う。入社したばかりの初心者プログラマーにやらせる仕事がなくなる、と言えるかもしれない。でもAIロボットが地球と人類を支配して、人間の仕事が完全になくなってしまうのも、悪くないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MIT、電力を小出しにできるスマート電源を開発

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MITの研究チームは、小型電子機器がエネルギーを「すする」ことのできる電源を開発した。電気を一定の流れではなくパケットにして送り出す。

ほとんどの電源装置は一定の電圧を供給する。これは、センサー等の常時電力を必要としない小型デバイスにとっては一般に効率がよくない。MITのMicrosystems Technologies Laboratoriesは、電力を要求に応じて供給し、それ以外は「休止」状態になる電源を作った。

「一般に電源コンバーターは、実際に電流を供給していない間も電力を消費している」と元MTLに所属していたArun Paidimarriは言う。「このため、例えば静止電力がマイクロアンペアなら、負荷電力がナノアンペアでも、マイクロアンペアの電流を消費することになる。このコンバーターは広い範囲の電流で効率を保つことが可能だ」。

コンバーターは最大3.3 V の入力を0.9 Vに降圧する。「これらのエネルギーのパケットに基づいて動作する。電源コンバーターの中には様々なスイッチと、インダクター、コンデンサーが入っていて、基本的にこれらのスイッチをオン/オフしている」とPaidimarriは言う。

これは、センサーがオンになり、何かの状態をチェックした後オフになれることを意味している。これが何度も繰り返されれば、IoTデバイスは極くわずかな電力(センサーと計算に必要なだけ)しか使わないですむ。

実に賢い解決策だ。要するに、デバイスがセンサー以外何も使っていなければ、少量のエネルギー「パケット」だけを供給する。デバイスが通信を行うときは「1秒間に100万パケットを供給する必要があるかもしれない」。つまりデバイスの低消費電力部分のみを動かし、高エネルギー部品は必要な時だけ活動させることができる。研究チームは最終的に50%の省電力を見込んでおり、実現すればIoTデバイスを限られたエネルギーで動作させることが容易になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

出版業界の未来

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私はDigital Readerのエディター、Nate Hoffelder氏が好きだ。彼は業界にこびない数少ないブロガーの1人だし、文章に余計な装飾を施すこともない。彼の主張は、本は素晴らしい、出版業界は破滅に向かう、書くことは非常に重要だ、というものだ。

だからこそ、彼がChip McGregor氏の主張を批判したときは嬉しかった。彼の主張とは、今後は本がモバイルに直接配信されるようになり、メインストリームの出版社がいよいよ変革に本腰を入れ始めるにつれて、インディーズ出版からユーザーが離れていく、というものだ。McGregor氏の主張のなかには正しいものある ― スマートフォンで読む電子書籍は今後ますます普及するだろう。でも、間違いも多い。

最初の間違いとは何か。彼は、Barnes & Nobleがベストセラー作品だけを集めた小規模の本屋を開店すると信じている。McGregor氏はこう主張する:

Barnes & Nobleはベストセラー作品だけを取り扱う小規模な本屋を開店するだろう。これに関する内部情報を持っているわけではないが、Amazonが従来型の本屋を始めようとしている今、B&Nもマーケットシェアを取り戻すための何らかの策を考えなければならない。

ほかに適当な言葉がないのでハッキリと言うが、B&Nはすでに死んだ。大規模ストアを構え、その中にあらゆる種類の本やぬいぐるみなどを詰め込むという彼らの戦略は失敗したのだ。コーヒーを飲みたい、または雑誌を無料で立ち読みしたいという欲求がなければ、B&Nに足を運ぶ理由などない。その点、電子書籍の誕生によって独立系の本屋は助けられ、大型本屋は破壊されたといえる。しかし、新作や中古本、そして子ども向け書籍を扱う小規模の本屋チェーンという姿を想像することはできるが、B&Nがその役割を担うとは思えないのだ。

加えて、彼の主張のなかにはインディーズ作家が大規模のパブリッシャーに戻ってくるというものがある。でも、そうはならないと思う。McGregor氏は自身のブログポストの中で、パレートの法則に従えば収益の80%は20%のライターから生まれると書いている。パブリッシャーが意思決定をするとき、彼らが持っているのは不完全な情報だけだ。それを考えれば、彼らがその20%のライターを特定することができるという考えは馬鹿げていると言わざるを得ない。

そうではなく、今後は多種多様な作家たちがインディーズ作家としての道を選ぶことになるだろう。メインストリームのパブリッシャーとしてではなく、インディーズとして成功した作家の代表例がEliot Peper氏だ。他にもたくさんいる。また、McGregor氏は99セントという超低価格なインディーズ本の価格設定にも懐疑的な見方をもっており、そういった価格設定はこれから衰退していくだろうと述べている。しかし、それも起こりそうもない。99セントの価格設定は、収益を伸ばしたり、Amazonのランキングをあげる方法としては賢いやり方だ。その価格設定をやめることは、すなわち、多くのインディーズ作家の死を意味する。

これまでに述べたことを要約する。McGregory氏の主張のなかには賛同できるものもある。モバイル・オンリーという考え方は今後も広まっていくだろうし、キリスト教SFなどのニッチなテーマは衰退していくだろう(McGregory氏は、「近年では、キリスト教SF小説をいまだに取り扱っている出版社は数えるほどしかいない。出版社の多くは、少数の人々にしか受け入れられない宗教色の強すぎる本を扱うのではなく、クオリティの高い文学小説や、広範な人々に受け入れられる女性に関するストーリーを取り扱うようになった。サスペンス系の小説を扱っているところもある」と述べている)。だが、B&Nやインディーズ作家に関する彼の意見には反対だ。伝統的な出版業界の外側では、物事が上手くまわっている。何か新しいことしたいという気持ちさえあれば、近年の出版業界の慣習に従うことなく、それを達成することも可能なのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

尻尾を振るRoombaに注目―IEEEが効果的インターフェイスだと重視

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IEEEは2013年の面白い研究のビデオを発掘して公開した。Roombaに取り付けたふわふわした犬の尻尾は面白いだけではなかった。インターフェイスとして役立つというのだ。

この研究はAshish SinghとJames Youngによるもので、ロボット掃除機のRoombaに尻尾を装着すると内部状態を知らせるためのコミュニケーションに非常に役立つとしている。たとえばすばやく尻尾を振っている状態は「万事OK」だが、ゆっくり左右に動かしているなら「問題あり」という具合だ。

「工場で運搬に従事しているロボットから家庭内で利用されるロボット、PackBotのような汎用ロボットまであらゆるロボットがこのテクノロジーでメリットを得る」とYoungは語っている。

ロボットに尻尾を取り付けるのはどんな場合に適当だろう? ロボットの内部状態を知らせるという目的であれば、ディスプレイやスピーカーを追加するより尻尾を追加したほうがはるかに安上がりだ。もちろんこれは将来ロボットがあらゆる場所に存在するようになりわずかなコスト削減も全体としてきわめて大きな影響をもたらすという前提にもとづいている。

しかしそうした実用性とは別に、おもちゃ市場をみれば、ごく単純な鳴き声や笑い声を挙げるだけで愛着が大きく高まることはファービーや恐竜ロボットのプレオ、最近ではハッチマル〔生まれてう~も〕の例でも明らかだ。

この研究を行ったマニトバ大学のチームは、ロボットが人間に情報を知らせるために「視覚的手段」を備えることが重要だと指摘している。これにより人間は「手遅れになる前に」ロボットの内部状態を把握できる。このチームはまた人間のロボットに対する共感(empathy)についても研究しており、人間がロボットに対する共感を動画と現実で比較した。その結果、人間は動画に現れるロボットに対するよりも現実のロボットに対して強い感情移入をする傾向があることが判明したという。

〔日本版〕IEEE Spectrumのページは、「Roombaがロボット掃除機だということは分かっているが、観察していると、ときおり掃除機としては不可解な行動する。Roombaについてはさほど大きな問題ではないだろうが、ロボティクス一般として考えると(重要だ」とロボットと人間のコミュニケーションを改善する必要性を述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MakeTrumpTweetsEightAgainは、政治的ツイートを8歳児の落書きに変える拡張機能

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あの男の政策に賛成であろうとなかろうと、一つはっきりしていることがある。誰かのツイートを小三が書いたように見せるのは実に楽しい。Daily Showの面々がChrome/Firefox用プラグイン、MakeTrumpTweetsEightAgainで証明した。

この拡張機能は実にシンプル。緊急な地政学的問題に対する冷静に熟考された回答等トランプのどんなツイートも、「フォースの覚醒」にハマっている8歳の甥っ子ウォーカーの落書きに変えてしまう。ChromeとFirefoxのみで動く(Safariユーザーは運がなかった)。万一政治をテーマに深刻な話がしたくなったときは、いつでもオフにできる。

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政治にまつわるChrome機能拡張はこれが初めてではなく、最後でもないだろう。オバマ前大統領のバージョンもあったし、政治の話題をブラウザーから完全に排除するフィルターさえある。テクノロジーは膨大なデータをまき散らすだけでなく、フィルターする能力にも長けているようだ。

結局のところChrome機能拡張は大衆の意見をどちらの方向にも揺さぶらない。読者の中には、この国の大統領は(Amazon配信のドラマ)Just Add Magic[邦題:まほうのレシピ]を真に受けて見ている視聴者の心を持っていると私に言いたくてうずうずしている人もいることだろう。私のアドバイス? Twitterを完全に見えなくするChrome機能拡張を作るくこと。全員ずっと気分が良くなることうけあいだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オーダーメイドのインソールを作るWiivvが$4Mを調達して靴にも進出

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本誌主催Hardware Battlefieldで人気者だったWiivvがシリーズAで400万ドルを獲得し、買収も行った。たかが履物屋さん、と馬鹿にしてはいけない。

でもしかし、同社はただの靴屋ではない。ファウンダーのShamil HargovanとLouis-Victor Jadavjiを軸とするWiivvのチームは、3Dプリントで作ったインソールを売っている。これまでに作って売ったインソールは1万足だ。今年は注文生産(注文3Dプリント)による靴も売るつもりだ。

そのシステムは、きわめて独創的だ。自分の足に合ったインソールが欲しい人は、Wiivvのアプリを使って足の写真を数枚撮り、それを同社のサンディエゴの工場に送る。すると5日後には、注文誂えのインソールが届き、足が疲れない、足が痛くない、膝に負担をかけない、毎日を送ることができる。ぼくみたいに足底に慢性の炎症のある人間は、良いインソールの有り難みを痛感するだろう。Wiivvの全過程〜工程は、きわめてすっきりと合理化されているようだ。

同社がこのたび買収したESolesには、足の3Dスキャンデータが5万人ぶんあるので、それらを活用するともっと正確なオーダーメイド靴を作れる。同社はとても正しい道を歩んでいるから、その未来はとても明るい、と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))