Google、カスタム地図作成ツール、マイマップをGoogleドライブに追加

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誰でも簡単にカスタム地図が作れるGoogleのマイマップツールはかなり前から公開されている。しかし、たまに誰か他の人が作ったカスタム地図を見て気づく以外には、このツールの存在はあまり知られていない。今日(米国時間7/1)、GoogleはマイマップをGoogleドライブの「新規」メニューに追加した。スプレッドシートやスライドに並んでマイマップが表示される〔そこに表示されない場合は「その他」のサブメニューに表示される〕。

この変更でマイマップの存在があまねく知られるようになるわけではないだろうが、マイマップのユーザーが作成した地図をドライブに保存するのが簡単になった。

Googleはすべての生産性ツールをドライブに集約しようとしている。

CreateMenu

なおGoogleは最近、マップ関係のいくつかのプロダクトの終了を発表した。この中にはモバイルデバイスを利用して外出中の社員を管理するMaps CoordinateやMaps Engine(2016年終了)が含まれる。またGoogle Earthのエンタープライズ版、Google Earth APIも今年いっぱいで提供が終了する。

つまりGoogleのプラットフォームでカスタム地図を作りたければマイマップを使えということなのだろう。

Googleが解説しているとおり、マイマップにGoogleフォームなど他のドライブ製品からのデータを埋め込むのは簡単だ。また作成した地図はドキュメントなどと同様、 共有したり、ドライブの検索ボックスから検索したりできる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

各種非営利団体/事業に活動の基盤としてのカスタムSaaSを提供し使わせるClassyが$18Mを調達

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さまざまな非営利活動の資金募集を助けるClassyが、Mithril Capital ManagementやSalesforce Venturesなどから1800万ドルを調達した。

サンディエゴに本拠を置くClassyは、資金募集活動のほかに、イベントの管理や、慈善など各種の社会事業団体の、寄付者とのコミュニケーションを助ける。そのSaaSの利用は有料だが、利用する団体は自分の目的に合わせてカスタマイズでき、キャンペーンをほんの数分で立ち上げることができる。

ファウンダのScot Chisholmによると、昨年合衆国の非営利団体が集めた3600億ドルのうち、オンラインで調達したものはわずかに10%だ。90%もの高い率が、オフラインのドタバタ劇で集められていることが、彼がClassyを始めた動機というか理由だ。

Chisholmは2006年にアメリカ癌協会(American Cancer Society)の資金募集を手伝ったのだが、組織内に資金募集活動を専門的に行う‘班’を作ってお金を集めてまわる当時の標準的なやり方にフラストレーションを感じ、自分独自のやり方で行こうと決意した。それは、FacebookとPayPalとEventbriteを組み合わせたようなサービスだった。

しかしそれはたちまち古めかしくなったので、ChisholmはCraigslistの広告部門にいたデベロッパを雇った(彼はのちにClassyの技術担当VPになった)。その彼にベーシックなアプリケーションを作ってもらい、2011年に三人の友人、Pat Walsh、Marshall Peden、Joe Callahanと共にClassyを立ち上げた。

その後Classyは、Oxfam(飢餓救済)、The World Food Program(食糧援助)、National Geographic(地理学普及)など1500あまりの社会事業に利用され、数百万ドルの資金を調達した。

“Classyがないころは、寄付をPayPalのフォームで行っていたが、それはまったく人間味がなくて機械的だった。その非人間的で機械的なイメージがあるため、多くの団体がオンラインへの移行をためらった”、とChisholmは語る。

非営利団体のサイトに個人が登場し、個人としてお話をするようにして、人間味を持たせ、かつ、寄付行為をできるかぎり単純にした。それによりClassyを利用する団体は、平均でそれまでの3倍以上の金額を集めることが、できるようになった。

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一口の寄付の額は、全ユーザ平均で90ドルだ。そしてこれまでで最高は、昨年末に某水族館に篤志家から贈られた75000ドルだった。

今回のラウンドを担当したMithrilのAjay Royanは、こう語る:

非営利の金集めの古典的なやり方は、政治家の選挙戦とほとんど同じだ。統括委員会があり、地域の委員会があり、あちこちにオルグ役がいる。でも実は、世界中各地に極小だけど強力な関心共有グループがいて、彼らを表舞台に出すことによって活動は短時間でグローバルに広がる。そしてコネクションとコミュニティと透明性の要素が形成されるのだ。

たとえば退役軍人たちによる災害救助団体Team Rubiconは、2011年にClassyのユーザになる前には、1年の収入が50万ドル足らずだった。しかし今年の彼らは、最終的に200万ドルを超えそうなペースだ。しかも自前のデベロッパは一人も雇っていない。すべてClassyのホワイトレーベルSaaSからだ。

Classy自身には社員が80名いる。今回の資金は技術チーム15名を三倍の45名にし、サービスの供用を合衆国全域に広げるために使われる。

“社会事業や非営利事業が一般の産業のように第一級のテクノロジを利用できるようになるまでに、あまりにも長い時間を要した。彼らの事業がテクノロジの利用によって活動の実効性と効率を上げれば、世界中の社会問題をよりはやく解決できるだろう”、とChisholmは述べている。

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オペレータや管理者の次の行動に結びつくネットワークデータ分析を行うKentikが$12.1Mを調達

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顧客企業のネットワークの稼働状況をクラウドから調べて報告するKentik(元CloudHelix)が今日(米国時間6/30)、1210万ドルのシリーズAラウンドを完了したことと、メインのSaaSプロダクトKentik Detectを、ステルスを脱して一般公開したことを発表した。そのSaaSは、“ネットワークのトラフィックをリアルタイムで分析して、ユーザの対応行動に結びつくようなインサイトを与える”、とされている。複数のネットワークにまたがる分析もでき、その数やサイズを問わない。

このラウンドはAugust Capitalがリードし、First Round Capital、Data Collective、Webb Investment Network、Tahoma Ventures、Engineering Capital、そして多くのエンジェル投資家たちが参加した。同社のこの前の資金調達は、2014年9月に獲得した310万ドルのシード資金だった。

ユーザにはYelp、Box、Netflix、Facebookなどの大物が顔を揃え、Kentikのネットワーク分析サービスは毎日、数百億件のデータレコードを処理する。同社のサービスは、インターネット上の非常に多様なデータから有意な情報を得たい、と願う企業からの支持を得つつある。

“ネットワークオペレータの最大の痛点が、具体的な対応行動に結びつくような可視性(actionable visibility)を得ることだった”、と、Kentikの投資者でNetflixのグローバルネットワーク担当ディレクターDave Temkinは述べる。“これまでは、超大規模なWeb企業しか、それに関して進展できるための十分なリソースを持ち得なかった。Kentikは、ネットワークを運営している者なら誰でもアクセスできる、手頃なソリューションを作った”。

Kentikのプレスリリースは、同社のプロダクトが企業の活性化に寄与する、と述べている:

“Kentik Detectは大量の原始データからクェリの答を高速に得ることによって、つねに先読み的なアラートをリアルタイムで行う。それによりネットワークの制御を担当しているオペレータは、ネットワークのその時点における状況を正しく理解し、問題の根本原因を解き明かし、推測ではなく現実に基づいて成長のための計画を樹立実行できる”。

“ネットワークが大きさと複雑さを日に日に増していくにつれて、データの取り扱いと、必要とされる分析も複雑性を増し、規模だけでなく対応を要する問題も、従来のネットワーク管理ツールでは対応できないものになっていく”、そう語るのはKentikの協同ファウンダでCEOのAvi Freedmanだ。彼は曰く、“弊社は、インフラストラクチャのすべてのデータに対するワンストップの総合的なインテリジェンス・ショップを目指したい”。

インターネットのトラフィックはますますグローバル化して、それと同時に量も膨大になっているから、Kentikはその分析をできるかぎり簡素化しようとしている。企業が大量のネットワークデータを処理しようとするとき、Kentikがそれを助ける。そのデータの総量は、2016年にはゼタバイト(一兆ギガバイト)を超える、と予想されている。

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部屋の写真を立体画像化して、いろんな家具を置いてみれるRooomy、本来は不動産屋の販促ツールだが…

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今日(米国時間6/30)ローンチするRooomyというiPadアプリは、部屋を撮ったふつうの2Dの写真を3Dの画像にして、その中にいろんな家具を置いてみる、その様子をいろんな角度から見る、といったことができる。そこに置くための家具の3D画像は、Design Within ReacAll Modernなど人気ブランドの製品を用意している。

このアプリを作ったLoft-NedSenseは、NYSE(ニューヨーク証券取引所)のEuronextにも載っているヨーロッパの企業で、アプリは不動産屋が客の目の前で商談中の物件を演出するための仮想化ツールとして構想された。

使い方は、まず、不動産屋の営業が部屋の写真をアップロードする。物件一つあたり20ドルだ。アプリは床や壁がどこにあるかを認識し、写真から3Dモデルを作る。画面に表示されたその3Dモデルを見ながら、顧客は候補物件の内部を閲覧する。家具を、いろいろ取り替えてみることもできる。

Before and After

家具は、不動産屋の営業がRoomyの仮想家具の中から自分で選んでもよいし、あるいはLoft-NedSenseに79ドル払うとプロのインテリアデザイナーがあらゆる調度を選んで配置してくれる。79ドルは高いようだが、同社の説明によると、物件の演出のために実際に家具を買って部屋に置くよりは安い、ということだ。虚実あるときは、「実」よりも「虚」の方が安いのだね。

同社は、家具をこのように仮想化するために使う元の家具のメーカーからも、お金をもらう。3Dに仮想化するのは無料だが、そのソファーを顧客が気に入って実際に買ったら、小額の歩合をもらうのだ。画面上の仮想家具をクリックしたら、それを購入できる。

今のところ仮想家具は500種類しかないが、来月までに6000種に増やす、と同社は言っている。

このiPadアプリはApp Storeのここからダウンロードできる。

 

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UberはAPIを利用するアプリからの顧客増殖をねらう、デベロッパへの謝礼は5ドル

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Uberは同社のサービスを呼び出す”Request A Ride”ボタンを、すべてのモバイルアプリに載せたいと願っている。同社はこのほど、デベロッパに対する人参として、ユーザの登録一人につき5ドルの報奨金を提供することにした。地図アプリやレストラン、旅行、ナイトライフ(バーなど)関連のアプリなら、デベロッパにとってかなりの収入になるかもしれない。

デベロッパがUberのAPIを使うためには、ここで登録する。支払は総額が250ドルに達したら行われ、5000ドルを上限とする*。5000ドルを超えてさらに稼ぎたいデベロッパは、Uberのパートナー事業に加わる必要がある。APIからUberを利用するユーザは、最初の乗車(20ドルまで)が無料になる。〔*: 5000ドルを超えたらUberのパートナーになれる、とあるが、意味がよく分からない。〕

UberがAPIをローンチしたのは昨年の後半だが、利用するデベロッパは少なかった。ローンチ時のパートナーは、OpenTableやStarbucks、TripAdvisor、United Airlines. Sinceなどで、その後Foursquare、Hinge、Microsoft、そしてPebbleが加わった。

Uberのユーザの一人あたりの売上は長期的にはかなりの額になるだろうし、類似サービスとの競合もあるから、顧客獲得にこうやって金を使っても長い目で見れば得になる。料金の20%がUberの取り分だから、デベロッパへの5ドルの報奨金はたぶん最初の取り分額に相当するだろう(平均の料金が25ドルと想定して)。

でもUberはこれまで数十億ドルを獲得し、世界でもっとも資金が潤沢なスタートアップのひとつだから、顧客獲得のためのそれぐらいの初期投資は平気だ。むしろ今日のニュースは、その資金を企業の成長のためにつぎ込んでいく姿勢の証だ。相乗りサービスのUberPoolを始めたのも、実質的な低料金化で新規顧客獲得の幅を広げるためだ。

同社は、Lyftなどの類似サービスとの競合があるだけでなく、保有車両を現代化してUberの人気な部分を真似ようとしている既存のタクシー会社とも競り合っている。

この、各種のモバイルアプリが実質Uberアプリにもなる、という孫悟空的な分身増殖ワザが成功したら、もちろん合衆国以外の市場でも当然やり始めるだろう。

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ソニーがヤフーとタッグ、新規事業から生まれた製品を販売する「First Flight」

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業績面では2014年度純損益1259億円の赤字決算から、2015年度純利益1400億円の黒字へと転換の見通しが立ったと発表しているソニー。本業の業績回復に向けて動いている一方で、この1年、積極的な新規事業開拓を行っているのはご存じだろうか?

同社は2014年4月に平井一夫社長直轄のプロジェクトとして「Sony Seed Acceleration Program(SAP)」と銘打った新規事業創出プログラムをスタート。すでに電子ペーパーを使った腕時計「FES WATCH」やスマート電子工作キット「MESH」といったプロダクトを世に送り出している。

そんな新規事業創出プログラム発のプロダクトを紹介し、クラウドファンディングやECを展開するサイト「First Flight」が7月1日にオープンした。サービスの立ち上げにはヤフーが協力。ヤフーが2014年に実施した企業内起業家育成制度「スター育成プログラム」から生まれた新会社のリッチラボがサイトの開発、運営を担当した。

サイトでは、SAPから生まれたプロジェクトについて、プロダクトのアイデアを紹介・提案し、サポーター(支援するユーザー)から応援メッセージやフィードバックをもらう「ティザー」、期間内に一定数以上のサポーターの支持を集めてティザーで紹介・共創したプロダクトを商品化する「クラウドファンディング」、商品化されたプロダクトを広く販売する「Eコマース」の3つの機能を提供する。なおEコマースの機能はYahoo!ショッピング内の「First Flight」にて行う。

サイトローンチ時点には、MESHやFES WATCHを販売するほか、1台で家電ごとに機能を切り替えられるリモコン「HUIS」のクラウドファンディングを実施している。

SAPから生まれた「MESH」

SAPから生まれた「MESH」

1年で400件の企画が集まったソニーの新規事業プロジェクト

「SAPをやって分かったのは、ソニーの中に新しいことをやりたい人がいて、やりたいプロダクトがあるということ」——SAPを統括するソニー 新規事業創出部 担当課長の小田島伸至氏はこう語る。

SAPへの応募はプログラム開始から1年間で400件を超えた。応募されたプロジェクトは「オーディション」と呼ぶ審査に合格すれば、プロジェクトに合わせた予算が用意され、3カ月間そのプロジェクトに専念できる。そして3カ月後に改めて事業継続のジャッジを受けるのだという。製品は既存事業でなければオーケー。ソニーの社員がチームに1人いれば、社外からメンバーを募ってもいい。向上についても、SAP向けの開発リソースを確保できる体制だという。

クラウドファンディングをやって分かった「課題」

すでに世の中に出るようなプロダクトが生まれているが、課題もあった。FES WATCHとMESHはクラウドファンディング(FES WATCHはMAKUAKE、MESHはIndiegogo)を通じて告知・販売されていたが、クラウドファンディングでサクセス(支持・購入者が集まること)して、サポーターには商品が届いても、クラウドファンディングサイトでは、基本的にプロジェクトごとに期間を限定しているため、サクセス後の継続的な情報発信やコミュニケーション、製品のアップデートなどは難しい。

実はこの課題、別の場所でも聞いたことがある。クラウドファンディングを通じての初期のマーケティングや支援者集め、初期ロットの販売はとても大切だ。しかし一般的なその次のステップに向けた機能がなく、また別の「売り場」が必要になる。せっかくできたサポーターとのコミュニケーションだって途絶えてしまう。イベント開催などを前提とした「売り切り」のプロジェクトもあるのでそのプロジェクトの性質次第という話ではあるが。

もちろんソニーには既存の販売チャネルがある。だが小田島氏いわく「『大きいモノをたくさん売る』ものであり、小ロットで売るパスがなかった。そうなると売れるか売れないか分からないのに大量生産をする、ということになる。大きな金額がかかるし、それ以上に販売できるのが1、2年先になってしまう」とのこと。SAPが動き出す中でそんな課題が見えてきた。

スター育成プログラムでヤフーと接点

そういった動きと並行して、ソニーではスター育成プログラムなどを通じてヤフーとコミュニーケーションを取るようになっていた。リッチラボ代表取締役社長の鈴木辰顕氏も「プログラムの中でもハード、ソフトの面でソニーと何かできないかと話していた」と振り返る。「やる気があるエンジニアがいるのにプロダクトを出せない。また外の人に目利きをしてもらいたい。さらにハードウェアでも、ソフトウェアのようにベータを出して開発するということをしたかった」(小田島氏)「モノを作って売ることはヤフーとしても興味があった。それを決済や金融寄りの立場から何かできないかと検討していた」(ヤフー決済金融カンパニープロデュース本部プロジェクトマネージャーの真鍋拓也氏)

そんな経緯もあって、First Flightではリッチラボがサイト開発を担当(決済にはヤフーのFastPayを使っているそうだ)することとなった。IDから決済、販売、物流についてはヤフーのプラットフォームを活用。ソニー銀行もプロジェクトに参加し、決済まわりの調整に尽力した。

First Flightでは今後も継続的にSAP発のプロダクトを掲載する予定だ。「First FlightはSAPで訓練を終えた『見習いパイロット』がクラウドファンディングを使って初めて飛び立つ場。ここからさまざまなプロダクトが世に出て行けばいい」(小田島氏)

First Flightのプロジェクトメンバー。後列左からソニー銀行の中路宏志氏、ソニーの小田島伸至氏、ヤフーの真鍋拓也氏、リッチラボの鈴木辰顕氏、前列は開発を務めたリッチラボのメンバー

30日以内にプログラミング(だけではない)を教えるOne Monthが、190万ドルを調達

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One Monthは、1ヵ月以内で修了する本格的企業向け学習プラットフォームを提供するスタートアップだ。同社は今日、追加シード資金190万ドルを調達したことを発表した。リードは既に出資しているIdea Bulb Venturesと新たに加わったArena Ventures。Conerstone On-Demandも、戦略投資家として本ラウンドに参加した。

Y Combinator出身のOne Monthは、2013年8月に唯一のコースであるOne Month Railと共に羽ばたいた。コースは、Codecademyその他のコンピュータ科学教育プラットフォームと異なり、ユーザーは本当に必要な内容だけを学習するために、個別のウェブページを構築できる。Ruby on Railsのあらゆる細部を学習する必要はない。

One Monthは、昨年6月に77万ドルのシード資金を調達し、以来プログラミング言語に留まらず広い分野へとコースを拡張してきた。例えば、現在One MonthはiOSのSwifty、HTML、およびPythonのコースを提供しており、さらにグロースハッキング、支払いプロセス、ウェブセキュリティー、プログラミングの基本、コンテンツマーケティング等も手がけている。

現在ウェブサイトには、JavaScript、UXデザイン、および「Minimal Viable Product」構築が、近日提供予定コースとして挙げられている。

またOne Monthは、価格体系を変更し、クラス単位ではなく定期購読モデルを提供している。従来ユーザーはクラス当たり最大300ドルを支払っていたが、新しい購読ベースの料金体系では、ユーザーは月額1コース49ドル、あるいは複数コースを月額100ドルで利用できる。

加えて、One Monthはさらに深く従業員教育を行いたい企業向けにOne Month for Teamsのオプションを追加した。

ファウンダーのMattan Griffelは、スタートアップのアイデアを構築するプログラマーを探すことに失敗して苛立った経験からOne Monthを立ち上げた。このたび、One Month Learning Libraryに既にある資源を利用して、無料コースを追加する計画があると言っている。

現在までOne Monthには2万5000人以上の生徒が所属し、修了率は他のMOOC[大規模オンライン講座]と比べて2倍から3倍だと言っている。

One Monthの調達額は合計260万ドルとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeの60fpsビデオがAndroidとiOSアプリにもやってくる

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数か月前にYouTubeはデスクトップで60fpsのビデオをローンチし、その後ライブのビデオストリーミングにも60fpsを持ち込んだ。そして今日からは、60fpsのなめらかなビデオをYouTubeのiOSとAndroidアプリでも見られることになった。

YouTubeのメインのプラットホーム上ですでに見られるものが、モバイルにも持ち込まれるのは、時間の問題でしかなかった。YouTubeによると、60fpsは今やデスクトップとApple TVとPlayStation 3と4でも見られます、ということだ。

60fpsは、過剰仕様かもしれない。それに一部の映画ファンは30や24のフレームレートに固執するだろう。でもゲームファンは60fpsをお目当てにするだろうし、実際すでにYouTube上には60fpsのゲームビデオがたくさんある。それらはもともと、高いフレームレートを前提に作られているのだから。

今では、消費者向けのビデオカメラも高フレームレートをサポートしているものが多いから、720p60や1080p60の投稿ビデオもかなりあるし、企業等からのリリースもある。

今年の初めにYouTubeは60fpsの4Kビデオを導入した。これはスマートフォンやデスクトップコンピュータの最新の機種でも過剰仕様だと思うが、今日発表された60fpsなら、ほとんどの現行機種が対応できるだろう。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Beats 1ラジオを数時間聞いてみて驚いたこと

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  1. 広告が入る – Appleは一度もこれに言及しておらず、彼らがどれほど裕福であるかを考えるとみんな驚くだろうが、時析「Beats 1はAmerican Expressの協讃でお送りしています」等といったメッセージが流れる。
  2. 楽曲セレクションはあらゆる分野にまたがる – ハードコアなドラム&ベース曲の直後に、落ち着いたシンガーソングライターのクルーニング唱法が続き、さらに大音量のロックンロールがガンガン流れる。これを全部楽しむにはかなり多岐にわたるテイストが必要だ。しかしこの多様さに対応できる人なら、曲は全般的にかなり良い。
  3. プログラムは繰り返す – Beats 1の全部がライブではない。一部のコンテンツは様々な時間帯のリスナーに最高のコンテンツを届けるべく、戦略的にかなりの回数繰り返されている。例えば、今朝9時からのZane Loweのショウは今夜9時にも再放送される。
  4. 曲は検閲されている – AppleはBeats 1を家庭にふさわしいものにしたいと考えている。そのためApple社員 Dr. Dreの曲でさえ、好ましくない単語あるいは一節全部にピー音が入る。
  5. 電話でリクエストできる – Appleはフリーダイアルの番号を主要都市向けに用意しており、ユーザーは電話で曲をリクエストできる。何と古風な。
    Screen Shot 2015-06-30 at 3.16.00 PM
  6. Zane Loweは自分の声が大好き – Beats 1の顔であるロンドンのDJは、しばしば演奏する曲にトークをかぶせ、ブランド名を語ったり、自らの選曲を興奮して喜んだり、ツアー日程を言ったり、ユーザーにBeats 1は「ワールドワイド!」と繰り返し念を押す。放送は約100ヵ国で提供されているが、少々仰々しい言い方だ。Twitterには、Loweの割り込みに対する苦情が溢れている。

Apple Musicが得意としているのは、何を聞くべきかをリスナーに教えることだ。これは、何を聞いたらいいかわからない人たちのためのメインストリーミング・ミュージックサービスである。

Apple Musicがどんな感じか知りたい人へ。下のデモビデオをご覧あれ。

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Presumably Zane Lowe’s spirit animal. “I put radio on the Internet!”

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テック業界のヴィジョナリーがインターン生に贈る最高のキャリアアドバイス

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「この部屋にいる誰かは、数十億規模に成長し世界を大転換させる会社を創業することを確信している。90%の人は、最終的にキャリアのどこかで後悔し、他の道を進めば良かったと思うことになるだろう。」
ーSam Altman

Y CombinatorのプレジデントであるSam Altmanは、Internapaloozaのイベントの最後を飾るスピーカーだった。エネルギーに満ちた数千人のシリコンバレーのインターン生は、既に2時間近くも他のスピーカーの話を座って聞いていたにも関わらず、緊張しつつも期待を持って彼の言葉に耳を傾けていた。インターン生向けのイベントはサンフランシスコのParc 55で開催され、Apple、Airbnb、Palantir、Andreesen Horowitz他、数十社の業界を代表する企業を惹きつけた。またシリコンバレーの次世代のリーダーとなるだろう参加者に向けて、これまで得た知恵を伝えようと億万長者、ファウンダー、CEOやベンチャーキャピタリストからのスピーカーが集まった。

お決まりのものから堅実なものまで多様なアドバイスがあったが、私が話を聞いたインターン生の誰もが、それぞれ自分が従いたいと思う特別なアドバイスを持って会場を後にしたようだった。

この夜最も印象深かったスピーカーの話をいくつか取り上げたいと思う。

Mike Curtis ー Airbnbのエンジニア部門のVP

「多少、無駄だと思う仕事でも躊躇わず行うこと」
Curtisは、彼自身が高校生の時に行ったスタートアップでのインターンシップについて話をし、上司に彼の採用を承認してもらうため、プロダクト製作の傍ら、会社の受付として電話応対にも時間を割いていたと言う。そのスタートアップは後にAltaVistaに買収された。

「ついていることを自覚しなければ、幸運を見逃してしまう」
彼が働いていた会社が買収された時、Curtisには選択肢があったという。この買収が自分の人生計画を複雑にしたことについて思い悩むか、東海岸に引っ越して挑戦を受け入れるかだ。Curtisは引越っすことにした。何故なら自分はついていることに気がついていたからだ。

「自分が努力しているのと同程度、会社も努力しているか確認すること」
Yahooのエンジニア部門のVPという慣れた仕事、それも「角のキュービクル席」の職を辞めて、大学を卒業したばかりの人と働くことになるFacebookのエンジニアマネージャーの職を引き受けたことは「キャリア上最も良い選択のひとつだった」と彼は言った。

「エゴを捨てて、常に学びにオープンであること」
大きな組織の評価が高い職を辞め、小さく、リスクのあるキャリアを選ぶのは難しい選択だろうが、Curtisは違う会社に行き「エゴを捨てて、再構築する」重要性を学んだという。

Michael Callahan – After SchoolのCEO

「大学は、現在のテクノロジー業界での職の準備にはあまり向いていない」
Callahanは「誰も教えてくれない本当のこと」と通説の誤りについてを主軸にプレゼンテーションを行った。教師が伝えている「1985年で最も先進的なハイテク思考の基本理念」は、シリコンバレーでのキャリアを歩むのに生徒を十分に整えていないと彼は強く主張した。

「大学で得るべき最も重要なことは、自信だ」
Callahanは学部生の時に学んだコンセプト、教授、授業内容はその内忘れるだろうが、重要な問題を解決することで自信が得られると話した。

「会いたい人を特定し、その人の友達と友達になること」
ネットワークを構築することは簡単なことではないが、積極的かつ戦略的につながりを構築したいのなら、Callahanは最終的に粘り強い行動は報われると話した。

「最初にすべきことは、カルフォルニアに引っ越すこと」
Callahanはシカゴからシリコンバレーに引っ越したことが、これまでの選択の中で最も重要な決断だったと話し、若くても東海岸に行くことを考えている人は、とりあえず行動を起こすべきだと言った。

「モバイル周りの開発の需要はとても高い。特にモバイル開発者」
より具体的なアドバイスとしてCallahanは、何か新しいことを探している参加者に対して「iOSを学ぶ」ことを薦めた。何故なら「会社は互いにモバイル開発者を獲得するために、闘っているからだ」と言う。

「リスクと報酬は比例する」
巨大な組織の安定性に優れた職を得ることはもちろん良いことだとCallahanは言ったが、「もしかしたら、億万長者にはならないかもしれない」と付け加えた。そして「スタートアップのリスクは高いが、その分ポテンシャルも高い」とした。

Ashutosh Garg – BloomReachのCTO

「ベイエリアに来ると、世界がいかに小さいかが分かる」
Gargは、人は他の誰とでも6人以内の仲介でつながるという概念は、ソーシャルメディアとテクノロジーによるつながりの構築が普及したことで正しいものではなくなったと言う。Gargの考えでは、特にシリコンバレーでは、3人以下の人数でつながることができるはずだと言う。

「仕事内容が好きかどうかに関わらず、仕事のオファーが来るように努力すること」
Gargはインターン生に対して「100%の力を出す」ことは常套句に留まらず、インターンから仕事のオファーにつながることに全ての力を注ぐことが重要だと話した。自分がやりたいことでないと判断した後でもだ。

Indy Guha – Bain Capital Venturesのパートナー

「誰かの所為にする人になるな」
自分の成功、失敗、課題は自分のものであることを理解することが成功の鍵だとGuhaは話した。また、若いインターン生に対し、年齢を言い訳にしないことが特に重要だと続けた。

「自分を導いてくれる人が周りにいる環境で得られる職にいつも目を見開いておくこと」
メンターシップは、今回のイベントを通して伝えられたアドバイスに頻繁に登場する内容だった。Guhaは、重要な個人に付いていくこともそうだが、「彼らの一味の一端を担うこと」も重要であると具体的なアドバイスをした。

Isaac Larian – MGA EntertainmentのファウンダーでCEO

「起業家として成功したいのなら、失敗を受け止めること。挫けやすいのなら起業家にはならず、誰かのために働いた方が良い」
Larianは、アメリカに引っ越してきて僅か数ドルしか手元にない状況から、世界でも最大規模のおもちゃ会社を創業した。1人で冒険に繰り出すことは、自分のキャリアにできる最も恐ろしいことの1つであると話し、全員に最適なキャリアではないと聴衆に語った。

「一番になると自分に言い聞かせること。そうしたらお金がついてくる」
Larianは、将来シリコンバレーのリーダーになるだろう聴衆に対し、お金を唯一のモチベーションにしてはならないと言い、自分が最も秀でているとことに集中し、替えが効かないようになることの重要性を話した。

Jen Dulski – Change.orgのファウンダーでCOO

「最も情熱を傾けていることではなく、自分が最も得意とするものが重要」
人生を通しての情熱と才能は代わりが効かないものだ。Dulskiは自身の経験から「レモネードスタンドをやっていた子供が最も営業に優れた人になる」と話した。

「簡単な仕事は受けないこと。目的はおまけに過ぎない」
Change.orgを創業することはDulskiにとって簡単な選択ではなかった。Dulskiは、Yahooで10年働いてからこの決断に至った。Dulskiは若い聴衆に対し、自分が簡単だと思う選択には慎重になるべきだと話した。

「アイディアがあれば話し合いに参加できる。招待を受けるまで待つ必要はない」
Dulskiは、若い人にとって最初のいくつかの仕事で自分の意見を主張することの難しさを理解している話した。しかし、特にスタートアップではインターン生が会社のために発言し、アイディアを共有することも重要であると伝えた。

Sam Altman – Y Combinatorのプレジデント

「キャリアの軌道を早めに正すことが最も重要」
Altmanは20代前半の「ちょっとしたキャリア上の判断」でも積み重なって、人のキャリア形成に多大な影響を与え、その人のキャリアを形作るものだと話した。

「学生を終えた後、富を消費する側から富を生産する側に移る瞬間が来る」
Altmanは人は安全な道を選び、有名企業から有名企業に移ろうとする傾向があることを聴衆に警告した。本当に成功したければ、自分の道を進むしかないということがどこかの時点で分かると言う。

「一回だけ正しく行動すれば良い。ただその一回は本当に全てが正しくなくてはならない」
Altmanは多くの人は、最初に経験した道を進まなければならないと考えていると言った。しかし、突き抜けて成功するためには、たくさん試した中から自分にとって最も正しいと思う道を選び取ることだと話した。Altmanは、若い起業家にとってリスクを取り、自分が得意とする特定の事柄を研ぎ澄ますことが有利に働くと話した。

拍手の長さ(そしてスピーカーの元に駆け寄って一緒に写真を撮るインターン生の数)から、Internapaloozaが何千人もの参加者の関心を引きつけることができたというのは明白だった。

聴衆から自身のインターンの先にある将来への期待が感じられたが、スピーカーは彼らに対して、多くの宿題も与えたようだ。Lyftのインターン生でとても身長の高いBrandon Whiteは(世界で最高の2メートル超えソフトウェアエンジニアですと自己紹介していた)、今夜登壇したスピーカー陣が獲得した成功に衝撃を受け、彼らのアドバイスを聴衆がどのように取り入れることができるか考えさせられたという。

「インターン生の誰もが成功するポテンシャルを持っています」とWhiteは言った。「けれでも、私の質問は、前の世代より成功し、彼らをどのように超えることができるかということです」。

Whiteは、前の世代が間違えたことから学習し、彼らの成功体験を元に始めることが鍵だと思う一方、様々なことへの探求を恐れず、前の世代の知恵に固執しないで全く新しいことに挑戦することも重要なのかもしれないと言った。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Apple Music、iTunesのアップデートでMacにも到来

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Apple Musicは今日(米国時間6/30)、iOS 8.4アップデートと共にモバイルに到着した後、デスクトップにも新バージョンのiTunes経由でやってきた。サービスの出足は上々のようで、24時間ラジオ局Beats 1で、正式スタートの1時間前に、Zane Loweのマイクテストが流れてしまった等ごくわずかなトラブルがあったたけだ。アップデートは迅速かつ安定して行われ、ストリーミングは開始直後から順調のようだ。

デスクトップユーザーは、同サービスを手にするまでずっと長く待たされた ― 徐々に動き始めたのは3 pm PTで、モバイルの公開から約7時間後のことだった。デスクトップアプリケーションのアップデートには、Beats 1、改訂されたApple Music Radioサービス(オンデマンドステーション付)、およびストリーミング楽曲の全カタログから、トラックを検索、追加する機能も含まれている。

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アプリは、App Storeのアップデートタブからダウンロードできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

[寄稿]年間予算は1000万円未満?調査で明らかになったBtoB企業のWebマーケティングの実態

はじめに はじめまして、ガイアックスの中村です。BtoB企業にインバウンドマーケティングの導入を支援したり、「INBOUND marketing blog」の編集長をしたり、自社サービスのマーケティングを担当したりしてい […]

シリコンバレーで勝負できる条件がそろった、FlyData藤川氏が5年目につかんだマーケットフィット

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シリコンバレーで起業した日本人の1人から、ちょっと明るいニュースがTechCrunch Japanに届いた。

ビッグデータ解析関連スタートアップの「FlyData」を率いる創業者の藤川幸一氏が、総額約2億円の追加資金調達に成功して、成長軌道に乗り始めたという。今年2月に活動を開始したばかりのオプトベンチャーズが今回7月1日に情報公開されたラウンドで新規出資したのをはじめ、すでに以前のラウンドで投資しているニッセイ・キャピタルや個人投資家の西川潔氏、新規でドワンゴ取締役の夏野剛氏、クロスカンパニー代表取締役の石川康晴氏ら個人投資家数名やバリュー・フィールド(代表は市川貴弘氏)も今回のラウンドで出資している。

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シリコンバレーで戦うスタートアップとして2億円という金額は決して大きくない。だから、ぼくは今回の資金調達からは、どちらかと言えば次のシリーズAへ向けたブリッジ・ファイナンスというニュアンスを感じた。実際、藤川氏に話を聞けば、創業5年目にしてついに米国内でのビジネスを大きくスケールさせられる手応えを感じているというから、どこかでアクセルを踏み込むのかなと見ている。

photoこれまでのFlyDataは創業2年目の2012年にチームが空中分解してシリコンバレーで1人きりになったり、プロダクトが日本の限られた会社にしか売れなかったりと、何度か苦しい時期があって、「針の穴を通すような生き残り方」(藤川氏)をしてきたという。それがいま、初めて「グローバルマーケットでプロダクト・マーケットフィットをつかんだ」と、成長軌道に乗ったと感じているという。

まだFlyDataは「シリコンバレーで成功した」と言える段階ではないし、これからが本当の勝負というところ。だから藤川氏はTechCrunchのようなメディアで「語る」ことに積極的ではない面もあって、今回の資金調達についても特に何か情報発信しようとは思っていなかったそうだ。このインタビュー記事は、たまたま6月末の週末に東京で行われたSkyland Ventures Fest Tokyo 2015(SVFT)というイベントで、ぼくが藤川氏と立ち話したことがキッカケとなっている。現在進行形であるにしても、そのチャレンジを広くシェアさせてほしいということで改めて藤川氏にSkypeで話を聞かせてもらった形だ。

5年目でつかんだ「マーケット・プロダクトフィット」

FlyDataの創業から現在までを少し振り返ろう。

藤川氏はもともと2009年のIPAの未踏事業でHadoopのミドルウェアを作成するというプロジェクトで採択されたことがあり、それがFlyData創業のきっかけになっている(創業時の社名はHapyrus)。当時藤川氏は、後にヤフージャパンに買収されることになる携帯電話向け位置連動広告のシリウステクノロジーズでプロダクトマネージャーをしていた。昼はプロマネ、夜はIPAのプロジェクトを進める二重生活を送っていた。シリウステクノロジーズがヤフーに買収され、スタートアップのM&Aのダイナミックさを感じて、自らも起業。どうせやるならシリコンバレーでとの思いから、未踏でのプロジェクトを元に会社化した。

日本のVCやエンジェルから約5000万円を資金調達して渡米。著名アクセラレーターの500 Startupsに入ることができ、さらに追加資金調達もできたものの、苦戦した。苦戦の理由の1つは、シリコンバレーにはHadoop関連の競合が多数いたこと。有名投資家によるHadoop関連スタートアップなんかもあって顧客獲得に苦労したという。さらに、「英語ができない、スタートアップのことも分からないという状態でシリコンバレーに来ていた」ことから現地の日本人コンサルタントに入ってもらっていたが、そのアドバイスを巡って共同創業者と意見が対立してしまったという。当事を振り返って藤川氏は言う。

「たとえそれが経験豊富なコンサルタントや投資家であっても、自分が起業したことがない、さらにいうとその時にその事業をやっていない人のアドバイスは所詮アドバイスなんです。それを自分でどう考えて実行するのかは起業家自身が決めること。自分の意思でやっていくしかないんです。どんなにすごい人から意見をもらったりしても」

まだ意味のあるプロダクトが世に出ていない状態だったこともあって意見は割れた。結局、そのコンサルタントと共同創業者は会社を去り、藤川氏は1人だけになってしまったという。

「物を作れない人間だったら、そこで終わっていたと思います。実際、危機的な状況でした。知り合いにはもうダメじゃないか、事業たたむことを考えたほうがいいということも言われたりして。(マーケットフィットした)プロダクトもまだできていなかったんですよね」

「ただ、自分は何とかしてやるという気持ちもあったし、(DeNA共同創業者の)川田さんや、(VCのアーキタイプ)中嶋さんなど、投資家たちは支えてくれました。個人投資家の皆さんに支えられ、500 Startups創業者のデーブ・マクルーアも人に紹介してくれたりして。1人だったけど、1人じゃなかったんですよね」

最初のピボット、そもそもクラウドにデータが存在していないことが課題

Hadoopによるクラウドビッグデータ処理を軸に起業していたが、やがて別のニーズに気付いたという。「そもそもクラウド上にデータがない。これではクラウド上のビッグデータ分析ツールは、お客さん使わないな、と気付いたんです。まずオンプレミスからクラウドにデータを送らないといけないな、と」

この頃にWantedlyで募集をしたところ「グリーンカードを当てて、次週どうしようかというタイミングだった日本のエンジニアがいて応募してくれた」のだそうだ。「さらに未踏出身の貴重な人材で、ラッキーでした。スタートアップはラッキーが必要だなと思っています」。

2012年にオンプレミスからクラウドへデータを移すというプロダクトを作った。ログデータをAmazon S3に入れるプロダクトだ。ただ、これは「面白いけど使われなかった。ユーザーの大きなペインポイントではなかったということ」。ところがこのプロダクトが後への布石となる。

Amazon Redshift登場で走った激震と、再度のピボット

2012年末に突如として追い風が吹き始めた。この年の11月、AWSの年次イベントであるre:inventで大きな発表があったのだ。クラウド上でデータウェアハウス(DWH)を実現する「Amazon Redshift」が発表されたのだ。DWHは大規模データの分析を行う古くからあるエンタープライズ向けのソリューション。IBMのネティーザや、HPのバーティカといった専業ベンダーのソリューションが数千万円とか数億円するところ、AWSはクラウドに入れただけで年額1000ドルで使えるようにしてしまった。しかもサーバがクラウド化したときと同じで、規模拡張の対応が極めて短期間でできるようになった。

藤川氏は、このクラウドのデータウェアハウスの出現を「激震が走った」と振り返る。それまでHadoopがDWHをディスラプトするテクノロジーと見られていたが、DWHそのものが、いきなりクラウドで容易に利用可能になってしまったのだ。HadoopはDWHをディスラプトはしていたものの、MapReduceやHive、Pigといった独自言語の存在など使いづらい面もあった。一方、RedshiftはベースエンジンがPostgreSQLベースなので、基本的に通常のSQLでオッケーなのだそうだ。

まだリリースされていなかったRedshiftだが、FlyDataは再びピボット。500Startupsの助けもあり、数千倍の応募倍率をくぐり抜けて、Redshiftへのプレビューアクセスの権利を取得。翌年2月の一般公開のときには、4日間かけて取ったHadoopとRedshiftのベンチマークをHackerNewsに投稿してバズらせた。

ただ、これも思ったほど上手くいかない。最初はこのRedshift対応プロダクトはHerokuのアドオンとして提供した。手応えがあったものの、Herokuのアドオンは総じて課金が少額だし、さらにそこまで顧客数が増えない。だから、マーケットとしては小さかったという。Heroku利用者は、サービスが大きくなると別のプラットフォームを考え始めるという問題もあったそうだ。結局、国内でゲームやアドテク企業に利用されたものの、アメリカ市場でFlyDataの利用は広がらず。それは、アメリカではログデータをデータベースに直接入れるという文化がなかったことも背景にあるという。

ここでまた別の問題が出てくる。顧客データはMySQLなどのRDBに入っている。これは日米で変わらない。これを、Redshiftのようなカラムナーデータベースにスムーズに入れるのは実は難しい。

RDBとカラムナーの違いは、Excelの表の縦と横を無理やり入れ替えるような話だ。データベースといえばRDBを指すのが一般的だが、これは行指向。ユーザーのレコードを検索して引っ張ってくるようなことは極めて高速に行える。しかし、ユーザー数が増えてテーブル数もそれなりにあるアプリケーションだと、特定フィールドの集計を行うといった処理に時間がかかるようになる。カラムナーデータベースは、文字通りカラム(列)指向で、縦方向のデータ圧縮もしているため、RDBに比べてある種の集計処理が劇的に高速化する。初期ユーザーであるクラウドワークスやSansanなどで10時間かかるバッチ処理がFlyData+Redshift導入で1分程度になった例もあるという。

RDBのデータをカラムナーに移行するには、1度入れ替えをするだけならエイヤでやれば難しくない。ただ、リアルタイムに変更が加えられる巨大なRDBのデータについて、カラムナーのほうも最新にしつつ解析に利用しようとすると、これは自明で簡単な処理ではなくなる。なぜなら変換のバッチ処理に非常に時間がかかるからだ。これをリアルタイムでやるのが「FlyData Sync」だそうだ。

FlyData SyncはRDBの更新処理を監視して、データの変更差分をキャプチャ。このCDC(Change Data Capture)と呼ばれる処理に加えて、マイクロ・ストリーミング・バッチと呼ぶ小粒度のリアルタイム変換技術を組み合わせることで、RDBのデータ解析をリアルタイムに高速にRedshiftで行えるというシステムを実現できるのがFlyData Syncなのだという。

「昨年リリースしたFlyData Syncが大きく伸びていて、とくにアメリカで売れ出しています。すでに売上、顧客数ともにアメリカが大きくなっている。これが出るまで、売上は日本が主流で停滞していましたが、99designs(事例)やSidecarといった著名なテクノロジー企業が利用を開始しています」と、藤川氏はいう。

次のステージへ行くための条件がそろった

シリコンバレーで勝つために必要なことは、資金調達力と、それを成長に変えていく力だというのが藤川氏の見立てだ。このプロダクトはイケるとなったときにガツンと資金調達できるのがシリコンバレーのアドバンテージでもある。

今回の資金調達も、このFlyData Syncが現在MySQLだけに対応しているものを、PostgreSQLやOracle DBに対応するためのエンジニア採用の資金でもあるという。

では、シリコンバレーで大きな投資を受けるために必要なことは?

藤川氏はいくつか仮説を立てていて、FlyData Syncによって最後に残っていた1ピースがそろったように感じているという。

藤川氏が考える必要な条件の1つ目は、創業者の国籍がどうあろうとチームがアメリカ人中心のインターナショナルなチームであること。「アメリカではCEOを変えることも良くあります。そのとき日本人が率いる日本人チームだと立ちゆかなくなる」。米国VCから投資を受けるためには、アメリカの常識に合っていることが大事なので、仕事のやり方がアメリカ流であることも条件だという。メインのチーム、特に本社がシリコンバレーにあって、創業者が物理的にシリコンバレーにいることも大事という。法人登記も米国にあることも条件。なぜなら法律関係の書類が英語(それもデフォルトのデラウェア州設立)でないと、アメリカのVCには理解できないないからだ。日本語が読めないというより、不確定要素を入れたくないのだ。

シリコンバレーで大きな資金調達をするために必要な条件の最後の1ピースは、顧客ベースとお金の流れがアメリカにあること。FlyDataは長らく売上の中心がアメリカではなかったが、これがFlyData Syncが売れ始めたことで変わったという。いま10人いる社員のほとんどはエンジニアで、セールス専業のチームを持たないことも最近の、アメリカのSaaSスタートアップの流儀に従ったものだ。

シリコンバレーで勝てれば、世界で勝てる

なぜ、そこまでしてシリコンバレーにこだわるのか? それはグローバルで大きく勝つために必要なことだという。

「シリコンバレーと、その他の地域の違いは競争の激しさです。シリコンバレーだと1つの分野でも競合が多数で、ホットな分野だと100社くらい競合がいることもあります。日本だと競合がゼロということもある」

「日本のスタートアップで、まず日本で勝ち上がってからシリコンバレーに来るということがありますよね。でも日本で一番になってもシリコンバレーで勝てるかどうか。一方シリコンバレーで一番だと、その他の地域でもあまり例外はありません」

例えば、FlyData SyncのウリであるCDCやマイクロ・ストリーミング・バッチの両方を高いレベルで実装している会社というのはまだ存在していなくて、「いまのプロダクトはグローバルで競合にほぼ勝っている」という実感があるそうだ。しかし、マーケットフィットを探り当てたこのタイミングで一気にアクセルを踏み込まないと、シリコンバレーでは新しい競合が現れてひっくり返される可能性も十分にある。B向け市場では、そういうタイミングで大型資金調達をして走り抜けるという1つの道筋のようなものがあって、FlyDataは、今のところそのパスに乗りはじめたということのようだ。

日本市場で顧客をつかむのはディスアドバンテージ?

メルカリやスマートニュース、KAIZEN Platformなどは、日本国内で顧客をつかみ、大きめの資金調達をしてシリコンバレーに打って出ている。その動向を注目している人は多いだろう。いわゆる大リーグ理論だ。日本のスタートアップがメジャーリーグに行って通用するのかどうか、関係者が注目している。

このアプローチに藤川氏は懐疑的だ。

「日本で大型調達してアメリカに挑戦している人たちもいます。みんな友だちだし、成功してほしいとは思いますが、ぼくの仮説だとこれはなかなか難しいと思います。もちろん、シリコンバレーに来てから競争で勝つことができれば問題ないと思います。でも、それには日本のプロダクトが足かせになる可能性もあります。日本のお客さんからの要求とグローバルなそれとはかなり異なると思っていますので、日本にしっかりとしたお客さんがすでにいるのは、グローバルプロダクトとしてはディスアドバンテージになりかねず、かえって難しい。だから、シリコンバレーで勝ちたいなら最初からシリコンバレーから始めたほうがいい、というのがぼくの仮説なんです」

「そうはいっても日本をレバレッジするポイントはあると思います。FlyDataも日本の資金や人脈、日本の投資家に支えられてきました。それがなければ最初の1年か2年で死んでたはずです。FlyDataでも、日本でうまく行って、アメリカではあまりうまく行かなかったプロダクトもありますが、でもその結果として日本で資金調達ができたりもしています」

グローバルで活躍する日本人起業家のロールモデルに

世界で勝つために、法人もチームもビジネスもアメリカで作る。となれば、いくら創業者が日本人であっても、そもそも「シリコンバレーで勝つ」ことの意義とは何だったのかという話にならないだろうか? 起業家の成功が特定の国に紐付いているべきだなどと言うつもりはないが、藤川氏はどう考えているのだろうか?

「日本人が作った会社が世界的に大きくなることには価値があると思っています。まず1つは日本人起業家のロールモデルになれること。日本の起業家を増やすことになります。もし大きく成功できれば、日本の起業レベルを上げることができる。メジャーリーグが日本のプロ野球のレベルを上げたように、あるいはサッカーでも世界的に活躍する日本人選手のおかげで、日本のサッカーのレベルが上がったようにです。日本の起業環境を良くする底上げになると思います。確かに直接的には日本のGDPを上げるようなことにはなりませんが、日本人起業家であれば、日本でもビジネスをやるでしょうし、日本への投資や日本市場でレバレッジすることはやりやすいはず。シリコンバレーの人たちが日本市場にあまり投資していないのは、単に日本のビジネスが分からないからなんです。日本だけでも、市場は十分大きいはずなので」

「日本人起業家のレベルが上がらない限り、世界で成功したプロダクトが日本から出てくるということが減っていく。日本以外から出てきたプロダクトやサービス、それが日本に入ってくるばかりだと、日本の存在感は減っていくばかりですよね」

FlyData Syncによってプロダクト・マーケットフィットの手応えを感じていて、プロダクトや資金調達の面での不安が少し落ち着いた状態とはいえ、藤川氏はプレッシャーは大きくなっていると言う。「『以前よりはるかにマシな状態』というふうに常に言っています(笑)。でもいつも次のステージに向けてスケールしないと、というプレッシャーがあります」。

FlyDataがビジネスをスケールさせ、数十億円とか数百億円といったレベルでエグジットできるかどうかはまだ分からないが、TechCrunch Japanでは今後も同社の動向をお伝えしていければと思う。

Gmailに百種以上のテーマが追加され、エモティコンに替わる絵文字も登場

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今日、GoogleはウェブベースのGmailサービスをより楽しく使えて、ユーザーが自分好みにするための機能をいくつか追加した。Gmailの見た目と使い勝手をカスタマイズできるテーマを百種類以上追加し、絵文字も利用できるようになった。

テーマは 2008年からGmailに実装されているが、今回の変更点についてGoogleはブログ記事で発表している。テーマは設定の中に埋もれ、Googleはしばらく時代に合った新しいコンテンツを追加したり、アップデートしたりしていなかった。それが今回のテーマの拡充に注目すべき理由だ。

テーマのカタログにはこれまで10数種類程度しかなかった。それも、単色のテーマを入れてだ。新しいカタログにはGmailの選んだハイレゾ画像を多く含む、数百種類の新たな選択肢が増える。中にはGoogleのスタッフが撮影した写真もあると同社は伝えている。

ユーザーは自分のテーマをアップロードすることもでき、ビルトインの編集ツールで、ぼかし、装飾、テキストバックグラウンドといったカスタマイズを更に加えることができる。

テーマはGmailの体験を自分好みにし、メール利用を少し楽しくするためのものだが実用的な側面もある。複数のGmailアカウントを保有する人は、どのアカウントにログインして使用しているかがひと目で分かるように活用することができるだろう。

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またGmailはウェブベースのメールサービスにもっと良い絵文字を追加した。にこにこ顔の絵文字の種類が増え、食べ物、自然、休暇といったカテゴリーの絵文字も追加された。モバイルのテキストアプリやGoogleのHangoutのアプリで利用できるものと似ている。このセレクションは、これまでの絵文字のセレクションを刷新することになる。前の時代から留まったままのチャットエモティコンを思い起こさせるものが遂に更新される。(しばらくアップデートされていなかったのが分かるだろう。)

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マイナーな更新のように思えるが、絵文字は小さな画面でタイプするのが手間となるモバイル端末で素早くコミュニケーションを取るために広く普及している。ユーザーは、モバイルで友人にちょっとした内容を伝えるためにメールアプリでなく、モバイルのメッセージアプリを頻繁に利用するようになった。これは、Gmailが今後若い層を取り込めるかに影響することも考えられる。

現在Gmailもモバイルから利用されることが多い。同社は5月にGmailのユーザーは、2012年の4億2500万人から現在9億人に増加したと伝え、ユーザーの75%はモバイル端末からサービスを利用していると言う。

言葉を変えれば、Googleはこのメールサービスをモバイル端末でも利用しやすくし、最新の絵文字に対応することが必要だったということだ。

この新しいテーマと絵文字は、今日からウェブ版に順次適用されるとGoogleは伝えているが、全ての更新が完了するまで数日かかるという。モバイル版でも新しい絵文字が利用できるかどうかGoogleは明示しなかったが、どこかの時点で追加されなければ意味がないだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Apple Musicはメインストリームを狙う―ターゲットは「何を聞いたらいいかわからない」カジュアルな音楽ファン

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音楽ファンのすべてがDJレベルの知識があるわけではない。その点が音楽ストリーミングで最大の問題だった。なるほど検索窓は設けられているが、その向こうにあるのがレコード音楽の歴史のすべてでは一般の音楽ファンは戸惑ってしまう。次に何を聞いたらいいかどうやって知ったらいいのだろう? 

この点に着目したのが先ほど公開されたApple Musicのたいへんに巧妙なところだと思う。

Apple Musicはユーザーに次に何を聞いたらいいか教えてくれるのだ。

Appleは複雑なテクノロジーを誰でも簡単に使えるようにする能力で並ぶものがない。 使いにくいMP3プレイヤーを洗練されたiPodにした。スマートフォンをiPhoneで実現した。今回もAppleは使いにくい検索窓に代るスマートな推薦手段を用意することで音楽ストリーミングを万人が楽しめるものにしようとしている。

Apple Music For You

Apple Musicには次のような機能がある。

  • それぞれのユーザー向けにカスタマイズされたお勧めの“For You”
  • 新着やトップチャートを集めた“New”
  • さまざまな好み、場面、気分に合わせて専門家が編集する多彩なプレイリスト
  • ユーザーの既存のiTunesコレクションと同期する“My Music”
  • 著名アーティストがホストするBeats 1ラジオ
  • TアーティストやジャンルでカスタマイズできるPandoraスタイルのラジオ
  • 独自のコンテンツがアーティストから直接配信される“Connect”

こうした機能を活用すればユーザーは次に何を聞いたらよいかと空白の検索窓をにらんで悩む必要がなくなる。

つまりApple Musicは音楽の好みを尋ねられて「ああ、音楽は好きだよ。カントリー以外ならなんでも聞くね」などと答える一般的な音楽ファンを想定している。壁一面にCDのカセットが並んでいたり、何箱ものレコードを収集していたりするような熱狂的なファンではなく、通勤の車の中で音楽ファンの友達が作ったミックスCDを何千回もかけるような平均的な人々のためのサービスだ。

Appleがストリーミング・サービスを始めるにあたってもっとも重要な課題は、ユーザーを無料トライアル期間終了後も月額料金を払い続けたいと思う気にさせる点にある。それに失敗すればユーザーはSpotifyやYouTubeのような広告ベースの無料サービスに行ってしまうだろう。

ファン vs 友達ネットワーク

Apple MusicはSpotifyから熱狂的な音楽ファンを奪う試みではない。だからこそAppleはBeats 1もConnectもApple Musicの会員でなくても無料で利用できるようにしている。Spotifyのユーザーは長年かかって作り上げたカスタマイズやソーシャルグラフを捨てることはしないだろう。

Streaming Social

左側のApple MusicのConnectはファンがアーティストをフォローする。右側のSpotifyではユーザーが友達をフォローする。

6000万の登録ユーザー、2000万の有料ユーザーを擁する音楽ストリーミングの王者、SpotifyとAppleの新サービスの本当の違いはソーシャルな側面にある。Apple MusicはConnectを通じてユーザーをアーティストに結びつけようとする。ファンはアーティストの投稿する記事を読んだり、Connect独占で提供されるビデオや楽曲を楽しんだりする。これに対してSpotifyでは友達同士のネットワークが重要だ。好みの合う友達が何を聞いているかを知り、そのプレイリストを利用させてもらったりする。

Apple Music New

こうした差別化は双方にとってきわめて理にかなっている。Apple Musicが「次に何を聞いたらいいかわからない」カジュアルな音楽ファンを主としてターゲットにするのであれば、その友達も大した知識を持っていないに違いない。それなら友達同士でフォローしあってもあまり役に立たないだろう。これに対してSpotifyはもっと深い音楽経験を持ち、十分に知識があるファンが対象だ。こういうファンは別にプレイリストのキュレーターやアーティストから次に何を聞くべきかいちいち教えてもらう必要はない。それよりも好みの似た他のユーザーの動向をモニタできる方が有益だ。

これはAppleにとって賢明な戦略だろう。一般ユーザーの大部分はストリーミング・サービスに馴染みがなく、いきなり膨大な選択肢を与えられても戸惑うばかりだ。Appleはストリーミング・サービスのアーリー・アダプターである熱狂的な音楽ファンに訴えることには重きを置いていない。FM局やPandoraラジオのリスナーで、iTunesで時折曲を買ったりするユーザー、つまり膨大な人数のカジュアルな音楽ファンが対象なのだ。Spotifyの6000万のユーザーも数十億台に上るiOSデバイス、何億人というiTunesのユーザー数とは比べものにならない。

Appleはニッチを狙わない。Apple Musicは単なる音楽ストリーミングではない。メインストリームの音楽ストリーミングたらんとしているのだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

レポート:BtoB 企業で進むソーシャル活用 69%。変化・拡大する Web マーケティングの実態調査

BtoB 企業の Web 担当者 330 名にWeb マーケティングの取り組みに関するアンケートを実施しました。 ソーシャルメディアの活用やマーケティング・オートメーションなど、BtoB 企業をとりまくマーケティングトレ […]

Apple MusicとiOS 8.4公開―日本でも無料トライアル受付中

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Appleがついに音楽ストリーミングに参入する日が来た。今日(米国時間6/30)、Apple Musicがスタートした。このサービスはiPhone、iPadの場合、同時に公開されたiOS 8.4にアップデートすると、ビルトインされたMusicアプリから利用できる。個人なら月額9.99ドル、6人までの家族プランなら月額14.99ドルの料金で膨大な楽曲がオンデマンドで楽しめる〔日本ではそれぞれ980円、1480円〕。最初の3ヶ月は無料トライアル期間なので、このサービスが自分の求めているものであるかどうか、ゆっくり試すことができる。

Apple Musicは6月初めに、AppleのWWDCデベロッパー・カンファレンスで発表された。このサービスにはオンデマンドの音楽ストリーミングに加えて、人間の専門家が作成するプレイリスト、Beats 1を含む24時間ライブ放送のインタネットラジオが含まれる。ラジオは世界的に有名なアーティストや人気DJがホストする。さらにユーザーの既存のライブラリとiTunes Matchを通じて同期する。

Apple MusicはSpotify、Rdio、Google Play Musicなどの既存のストリーミングサービスに対して直接のライバルとなる。既存サービスは先着の利の他に、SpotifyやGoogleなどは広告表示による無料サービスの提供という優位性がある。

しかしAppleはテイラー・スウィフトの1989をストリーミングで提供できる。小さなことのように思えるかもしれないが、これはAppleが人気あるインディーのアーティストを惹きつける力があることを証明するものとして象徴的だ。またApple MusicのConnect機能により、アーティストはファンに対してソーシャル・ネットワークのニュースフィードのスタイルでビデオや楽曲を含む独自のコンテンツを提供することができる。ConnectはApple Musicアプリの一部として提供される。

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Beats 1ラジオもユニークなサービスだ。著名アーティストが自らホストを務める24時間放送のインターネット・ラジオは他のどのサービスも提供できないものだ。また専門家によって作成、編集され、常に最新の状態にアップデートされるプレイリストもAppleのサービスにユーザーを惹きつける上で効果があるだろう。

Apple Musicに参加するには、iOSデバイスで「設定」を開き、「一般、ソフトウェア更新」と進む。Apple Musicをサポートするデスクトップ版のiTunesも今日中に公開される。Android版アプリのリリースは今年の後半になるもようだ。読者のデバイスでアップデートが成功しない場合は、くりかえし試みることだ。Appleのメジャー・アップデートは膨大なトラフィックの殺到のため当初、遅延を生じることがある。

〔日本版〕日本のAppleサイトでもApple Musicの無料トライアルを受け付けている。料金は個人980円、家族1480円。RadioとConnectも提供される。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、Prime Nowによる1時間内配送サービスの提供を国外にも拡大。まずはロンドンを対象に

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Amazonが、1時間で商品の配送を行う「Amazon Prime」のサービスのロンドン展開を開始した。Prime Nowアプリケーションもアップデートされ、「ロンドンの一部地域にも対応」と記されている。6ヶ月ほど前にPrime Nowのサービスを開始して、今回のロンドン展開がアメリカ以外における最初の事例となる。Amazonにしてはずいぶん素早い国際展開であるようにも思える。

現在のところ、Prime Nowの適用範囲はロンドンのゾーン1(ないしはゾーン1の一部)に限られているようだ。ゾーン2やゾーン3の郵便番号を試してみると、サポート圏外となってしまった。しかしゾーン1圏内のSouthwarkの郵便番号を試すと、対象商品について1時間以内配送を行う対象地域である旨が表示された。なお、アプリケーション内には「対象地域は可及的速やかに拡大していく予定です」とも記されている。ロンドンに住んでいる人はamazon.co.uk/primenowにて対応地域か否かをチェックしてみれば良いだろう。

1時間以内配送が最初に導入されたのは昨年12月、マンハッタンにおいての話だった。そこからダラス、バルチモア、そしてマイアミへと対象地域を拡大していったのだった。Prime Nowを利用できるのはPrime会員のみだ。年会費が必要なPrime会員を増やすためのサービスとしての側面もあるわけだ。ロンドンなどの大都市圏においては地域密着型のデリバリーサービスなども誕生してきており、そこに対抗しようとする意図もあるものと思われる。さらにAmazonは出前注文の分野にも進出しつつある。このたびの1時間以内配送サービスの実現は、今後のサービス拡大に向けた一歩と捉えることも可能だろう。

Amazonによると、Prime Nowの配送に対応している製品は「数千種類」に及ぶとのこと。ただし注文額の合計は20ポンド以上である必要がある。切れてしまったキッチンタオルを購入するといった使い方にはむいていないことになる。配送時間体は朝8時か深夜0時までとなっているが、配送時間に2時間以内を指定した場合には追加コストはかからないが、しかし1時間以内を指定した場合には1回につき6.99ポンドの追加費用が必要となる(Prime会員は当日配送ないし翌日配送のサービスを無料で受けることができるようになっている)。

AmazonはPrime Nowのサービスを展開するにあたって、当初は「日用品」(essentials)の提供を行うためのサービスであるとしていた。しかし取り扱い製品は拡大を続け、たとえばロンドン版のPrime Nowでは、Apple TV、Raspberry Pi Model B、HPデスクジェットプリンター、あるいはDaewoo製電子レンジなどのハイテク製品を含む27の商品カテゴリーに及ぶプロダクトが対象となっている。

Prime Nowは結局、「すぐに欲しいもの」をターゲットとするサービスになりつつあると言ってよいだろうか。ホリデーや旅行のためのプロダクト、ないしパーティーやイベントで必要になるもの、さらには忘れていた誕生日の帳尻合わせ製品などがPrime Nowの対象となっているようだ。

なお、配達する人へのチップの支払いも行えるのがなかなか面白いところだ。いつも使うチップの額が設定できるようになっていて、それを配送製品などによって増減できるようになっている。チップはAmazonの支払いと同時に回収されるが「チップとして設定された額はすべて配達人に渡るようになっている」とのこと。また、Prime Nowのサービスに対応すべく、「専任の担当チーム」が働いているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

『ReaRie』個人間中古住宅売買サイト新規制作

パナソニック株式会社による中古不動産紹介サービスポータルサイト『ReaRie (リアリエ)』立ち上げプロジェクト。 ポータルサイトの表層的なデザインから、システムやデータベースの設計、業務フローの設計など多岐にわたってプ […]