スマートロックAkerun開発のフォトシンスが35億円調達、アクセス認証基盤とビル管理入館システムも発表

フォトシンスは8月4日、都内で記者発表会を開催した。同社はスマートロックの「Akerun」を軸に主にB to B向けにキーレスセキュリティシステムを展開しているスタートアップ企業。同社によると都内でのAkerunの普及率は特に高いとのこと。

全国では66万件を超えるアカウントが登録されており、サービスインからわずか4年で都内ではオフィスワーカーの7.4%がAkerunを使ってドアの開閉を行っているという。ちなみに1日の開閉回数は98万回を超えるとのこと。

そして同社は本日、第三者割当増資とデットファイナンスにより35億円の資金調達を発表した。調達先は、農林中央金庫、NTTドコモベンチャーズ、31 Ventures(三井不動産)、LINE、凸版印刷、BBSPグループ、Scrum Ventures、常陽グループ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、日本政策金融公庫、新生銀行、みずほ銀行、常陽銀行。

詳細は追って記載する。

横浜DeNAベイスターズとKDDIが「バーチャルハマスタ」無料トライアル実施、スマホ・PC・VRデバイス対応

横浜DeNAベイスターズ KDDI バーチャルハマスタ SteamVR

横浜DeNAベイスターズとKDDIは8月4日、先端テクノロジーを活用して、自宅にいながら球場の雰囲気を味わい、試合観戦を楽しみ、選手を応援できる野球場「バーチャルハマスタ」の無料トライアルを実施すると発表した。実施日は8月11日「横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース」(午後5時~試合終了まで)。

バーチャルハマスタは、バーチャル空間上にもうひとつの「横浜スタジアム」の一部を構築したもので、観客は自宅からスマホやPC、VRデバイスを使って来場(アクセス)できる。オリジナルのアバターを使って「バーチャルハマスタ」内を自由に動き回りながら、多くのファンとコミュニケーションを取ることができ、一緒に横浜DeNAベイスターズを応援するなど球場の雰囲気を楽しめる次世代型のスポーツ観戦が可能としている。球団OBやゲストによる試合の生解説や限定企画も実施予定という。

バーチャルハマスタへのアクセスには、クラスター提供のバーチャルSNS「cluster」の無料アカウント作成と、利用するデバイス用の「cluster」アプリのインストールが必要。clusterアプリはiOS版Android版Windows版macOS版が用意されている。またVRデバイスを利用する場合は、clusterアプリに加え、「SteamVR」のインストールも必要となる。

インストールなど終了後、「バーチャルハマスタ 横浜DeNAベイスターズVS阪神タイガーズ」イベントページにアクセスし、イベントページ下部の「会場に入る」ボタンをクリックするとイベントに参加できる。

今後、横浜DeNAベイスターズとKDDIは、au 5GやIoTを活用した「スマートスタジアム」構築に加え、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響などによる、プロ野球を取り巻くさまざまな環境下においても、持続可能なファンコミュケーションの在り方を合わせて検討する。

またバーチャルハマスタの機能拡充を進め、先端テクノロジーを活用した、プロ野球における次世代型スポーツ・エンターテインメント体験の創出を通じて、国内スポーツの発展に貢献していく。

  • 実施日: 2020年8月11日「横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース」。開場 17:00/開演 18:00~試合終了まで
  • 利用料金: トライアルのため無料
  • 動作環境: クラスターの「推奨環境」参照
  • 利用方法: クラスター提供のバーチャルSNS「cluster」の無料アカウント作成、利用するデバイス用の「cluster」アプリのインストール後、「バーチャルハマスタ 横浜DeNAベイスターズVS阪神タイガーズ」イベントページにアクセスし、イベントページ下部の「会場に入る」ボタンをクリックする
  • clusterアプリ: iOS版Android版Windows版macOS版
  • VRデバイス: 「SteamVR」のインストールも必要

Snapchatが動画に音楽を付けられる新機能を今秋展開、TikTokユーザー取り込み狙う

Snapchat(スナップチャット)がTikTok(ティクトク)を狙っている。Snapchatは米国8月3日、ユーザーがスナップ(動画)に音楽を付けられるTikTok似の新機能のテストを開始すると発表した。トランプ政権がデータプライバシーの懸念から中国テック企業の禁止を検討しているためにTikTokユーザーは代わりのアプリを探していて、Snapchatは新機能でそうしたユーザーの一部を取り込めるかもしれない。

TikTokユーザーが代替アプリを確保するにつれByte(バイト)、Triller(トリラー)、Dubsmash(ダブスマッシュ)、Likee(ライキー)などのアプリがアプリストアのランキングで順位を上げている。Instagram(インスタグラム)もまたTikTokユーザーのニーズを満たすために音楽を取り込んだReelsという機能を立ち上げた。

Snapchatの場合、ユーザーはSnapが約束している「しっかりとした」音楽カタログから音楽を選び、ビデオを撮る前後に追加できる。これはWarner Music Group、Warner Chappell、Universal Music Publishing Group、NMPAパブリッシャー会員、Merlinなど音楽産業パートナーとの提携によるものだ。こうしたパートナーがSnapchatアプリでの音楽使用のライセンスを与える。

新しいスナップを音楽付きで受け取った人は、スワイプしてアルバム画像や曲のタイトル、アーティスト名を閲覧できる。そして「Play This Song」リンクも利用できる。クリックすると、スニペットではなくユーザーがSpotifyやApple Music、SoundCloudといったお気に入りのストリーミングプラットフォームで曲をフルに聴けるようにするLinkfireのウェブビューが開く。

これはTikTokとは異なる点だ。TikTokでは、ビデオクリップの「サウンド」リンクをクリックすると、同じ曲を使った他のビデオクリップを特集するページにジャンプするだけだ。しかし、人気のミュージッククリップを制作したアーティストにユーザーを完全につなげる機能がTikTokになくても、ユーザーはお気に入りのTikTokアーティストをストリーミングサービスで追跡していたため、TikTokのパワーはヒットを生み出し続けてきた。

ただSnapchatは、音楽機能でファンがアーティストや音楽とさらに深い関係を築くことができると話す。親しい友人向けのツールであることも影響力があり、強みだと語った。これは主に、若いユーザーが友達から友達へのレコメンデーションに価値を置くからだ。Snapchatは今では米国の13〜24才の90%にリーチしていて、この割合は Facebook、Instagram、そしてMessengerを合わせたよりも大きいとSnapchatは話す。13〜34才でも75%にリーチしている。TikTokは世界に多くのユーザーを抱えるが、Snapchatは公開されているデータをもとに、同社の米国人ユーザー数はTwitterとTikTokの合計よりも多いと主張する。

新機能に関連して、Snapchatの広報担当は「当社は絶えず音楽産業と関係を構築しており、アーティスト、レーベル、ソングライター、出版社、ストリーミングサービスなど音楽エコシステム全体が我々との提携に価値を見出せるようにしている」と述べた。

Snapchatは新機能を今秋、英語圏マーケットで展開するとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Virgin Orbitは2度目の軌道上での打ち上げでNASAのために11の衛星を運ぶ

Virgin Orbitの軌道への打ち上げの最初の試みは、打ち上げ後の飛行の中断で終わってしまったが、早くも次の試みためのペイロードを契約している。それはNASAの科学衛星11基で、米国の大学が設計、生産し、NASAが選択したものだ。Virginによると、この2度目となる打ち上げは、積荷を完備した状態で、2020年末までに行う予定だという。

計画どおりの結果を得ることなく中断した最初の打ち上げは、おそらく軌道高度への、空のLauncherOneロケットの再利用可能な飛行を目指していた。その後、Virgin Orbitのチームは事故原因の徹底的な調査を行なった。現在ではその調査も終わりに近く、同社はブログで、ミッションを終わらせたエラーの原因がLauncherOneのロケットエンジンに液体酸素を供給する高圧管の破損だった、と述べている。それはロケットを駆動する燃料燃焼のために必要な部品だ。

Virginによると、調査はあと少しで完了するが、この小型衛星打ち上げ企業の声明によれば、将来同じ事故が起こらないようにするための技術的対策には確信があり、その実装も開始しているという。

NASAはVirgin Orbitにとって初めての顧客の1つであり、当然ながらVirginは失敗した最初の飛行の目標を確実に達成するために、2度目の試みもペイロードというリスクがない状態でやりたいと申し出たが、NASAは次はペイロードがあっても問題ないだろうと述べている。

これはVirgin Orbitと彼らの計画への大きな信頼を表している。また宇宙への打ち上げ事業の標準から見ても、年末という目標は相当野心的なものだが、同社によると、技術的な詳細と問題解決についてはすべて標準に準拠するつもりだが、発表したスケジュールを守っていくという。

Virgin Orbitは、その正規事業としての打ち上げも早く顧客に提供したいと願っている。同社のその計画では、747輸送機の改良機にロケットを装着し大型ジェット旅客機が飛ぶあたりの高度に機が達したら、ロケットを飛行機から切り離してエンジンに点火し、それより先の宇宙に小規模なペイロードを運んでいく。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

動物性ではない生マグロ代用品を開発中のKuleana、寿司職人に焦点

Impossible FoodsやBeyond Meatのように、植物性の肉の代替品を製造している企業は、消費者の想像力と財布を掴んでいるが、これまでのところシーフード業界にはそれに続く企業は見当たらなかった。

画像クレジット:Getty Images under a https://www.gettyimages.com license.

現在、Y Combinatorの夏のコーホート(プログラム)参加中のスタートアップであるKuleana(クレアナ)は、シーフード業界で泳ぐことを目指している。

Wild Type、Finless Foods、Shiok Meatsなどが手掛ける新規事業は、生きたマグロやサーモン、エビを使用した細胞ベースの代替品を開発しており、Good CatchやOcean Huggerは独自のマグロの代替品を提案しているが、Kuleanaは寿司用の生マグロを再現することで差別化を図りたいと考えている。

Kuleanaの共同創業者であり最高経営責任者のJacek Prus(ヤチェク・プルス)氏によると、それはほんの始まりに過ぎないという。同社は最終的に、マグロ、サーモン、その他の魚介類に代わるベジタリアン向けの製品を作りたいと考えている。

「生のマグロはまだ誰もうまく事業化したことがありません」とプルス氏。「私たちは動物性ではない生のマグロ、そしておそらくサーモンを作ろうと思っています」と続ける。

プルス氏は、テキサス大学オースティン校で動物倫理の授業を受け、食品業界に興味を持った。オースティンで5年過ごしたあとにヨーロッパに移り住み、ProVeg Internationalと呼ばれるインキュベーター施設の設立を手伝っていた。

そこで同氏は、Ron Shigeta(ロン・シゲタ)氏と出会う。シゲタ氏は、食品科学分野で長年研究者、技術者、起業家として活躍し、以前はIndieBioで最高科学責任者を務めていた人物だ。さらにシゲタ氏は、バルセロナを拠点とする食品科学研究者のSonia Hurtado(ソニア・フルタド)氏に連絡を取り、3人でKuleanaを立ち上げた(のちにシゲタ氏は退職)。

フードアクセラレーターでの経験は、大学時代まで肉食一辺倒だったプルス氏に代替タンパク質の基礎知識を与え、より風味豊かな魚の代替品を開発する方法を考えるきっかけを作った。

Kuleana

Kuleanaのサンプル製品(画像クレジット:Kuleana

「Kuleanaのマグロは、鉄分や藻類の油、さまざまなタンパク質をミックスし、独自の方法で成形している」とプルス氏は述べている。Good Seed Ventures(グッド・シード・ベンチャーズ)から最初に5万ユーロ(約624万円)のシード資金を調達したKuleanaは、3Dプリント技術を使わずに生の魚の味や食感を再現できるような足場材料(培養肉を生成する土台)を開発している。同氏によると、通常の製造技術では見た目も味も「調理済み」になってしまう可能性があるという。同社は市場に参入するために、米国の寿司職人に焦点を当てている。

「私たちが発見したのは、魚介類の60%は家庭外で食べられていて、生の魚介類の場合はそれよりもさらに割合が高いということです。私たちは外食産業のルート開拓に重点を置いています」と語る。

年内には、Kuleanaが寿司の巻き寿司やポケ丼のマグロの代替品として、高級なマグロのロース肉と競合する価格で一部の店舗で販売されるかもしれない。

Kuleanaはすでにバルセロナとサンフランシスコで2回の味覚テストに成功しており、同社は最近の投資家向けのメモで、同社のベジタリアン用マグロの代替品である5万ポンド(22.6トン)以上の注文の意思表示があったと主張している。

「ツナの味が一番難しいのではなく、食感が重要なのです。競合他社は押し出し成形でプロセスをフォーマット化していますが、それではうまくいきません。私たちがこのバイオ技術で実践しいることは、世界で最も優れたアプローチの1つであると確信しています」とプルス氏。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

トランプ大統領がTikTokは「ホットなブランド」、買収金額の一部は米国政府に入るべきと発言

米国時間8月3日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、Microsoft(マイクロソフト)によるTikTok買収交渉開始を祝福し、契約の可能性に関する態度を変化させた。米国時間7月30日に、TikTokは米国拠点企業に売却されるよりも禁止される方がいいと発言した後、トランプ大統領は週末にかけて意見を変えた。TikTokは中国拠点企業で様々なアプリやサービスを所有しているByteDanceの傘下にある。

マイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏と週末に話した電話が大統領の考えを変えたようで、マイクロソフトは買収交渉の継続を1日に公表する運びとなった。

そして本日、トランプ大統領はTikTokを巡る米国企業とByteDanceの契約を支持することを表明(C-SPAN動画)し、買収金額の一部が米国政府を潤すこと期待していると語った。

大統領は以前から経済の基本概念の理解に苦しんできた。例えば、誰が関税を払うか(The New York Times記事)についてなどだ。それにしても、トランプ氏が事実上推奨している民間企業2社間の契約で、金額の一部を受け取ることを期待していると発言するのは現実離れしている。

彼の考えをもっと深く理解するべく、本誌は大統領がマイクロソフトのナデラ氏と電話で話したことに関する質問に答えた今朝の説明の要点(C-SPAN動画)を書き起こした。

実りある会話だった、彼から電話があり、私がどちらなのか、いやどう思っているかを尋ねられた。そして私はそう、安全保障上、中国にコントロールされるわけにはいかない。あまりにも重要であり、侵略的すぎる。絶対にいけない。そしてこう言った。マイクロソフトかどうか、私は気にしない。大企業、安全な企業、非常に米国らしい企業が買うべきだ。

おそらく全部を買う方が30%買うより簡単だろう。なぜなら、30%で何ができるのか?誰が名前を手に入れるのか?この名前はホットだ、ブランドとしてホットだ。それで誰が名前を取るのか?2つの会社が所有していたら、どうやってそれができるのか?だから私の個人的意見は、30%を買うより会社全体を買う方がいい。30%を買うのは複雑だと思う。

それで、えー、彼にはゴーサインを出した。やってみていいと。そして日付を決めた。私が決めた。9月15日頃、その頃彼らは米国で廃業しているだろう。しかし誰かが、マイクロソフトでも他の会社でも、彼らを買えばそれはおもろいことになる。

もし買うなら、価格がいくらであっても金は会社の所有者にいく。重要なのは、事実上、それは中国だということであり、だから金額のかなりの部分は合衆国財務省にいくべきだと私は言った。この契約を実現させようとしているのは我々だからだ。たった今、我々が与えない限り、彼らはなんの権利も持っていない。だから、もし我々が彼らに権利を与えるのなら、金はこの国に入らなくてはならない。

これは、大家とテナントの関係に少し似ている。そう、賃貸契約がなければテナントには何もない。だから、いわゆる「権利金」か何かを支払う。しかし合衆国はかなりの金額を払い戻されるべきだ。合衆国がなければ、先方は何も得られなかったからだ。少なくとも30%に関わる部分については。

だから、彼にこう言った。我々は契約を、えーおそらく契約が結ばれることになると思う、これは大切な財産、これは大切な財産だ。しかし、合衆国の承認を受けない限り、それは大切な財産ではない。

そういうわけで、マイクロソフトまたは他の誰かが会社を買収しない限り、適正な契約を結ばない限り、TikTokは9月15日に閉鎖されることになる。その場合、財務省がそう合衆国財務省が、多額の金を得る必要がある。多額の金を。

画像クレジット:Doug Mills-Pool(opens in a new window) Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

遺伝子検査のHelixが新型コロナ検査体制拡大に向け米国立衛生研究所から約35億円獲得

米国立衛生研究所(NIH)は、Rapid Acceleration of Diagnostics(RADx、診断迅速化)プログラムの最初の受益者を発表した。サンマテオに本拠を置くHelix(へリックス)が連邦政府から3300万ドル(約35億円)を受け取ることになった。Helixは2015年創業のヘルステックスタートアップで個人の遺伝情報から得られる洞察に注目している。同社はRT-PCR法を用いてSARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)の存在を検出する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査も開発した。

資金は、新型コロナ検査の規模を拡大するHelixの取り組みを支援するために使用される。同社は今秋までに、1日当たり10万回のテストを達成し、その後スループットキャパシティ(単位時間当たりの処理量)をさらに拡大することを狙う。Helixの検査は2020年7月初めにFDAのEmergency Use Approval(EUA、緊急使用承認)を取得して以来、米国全体で利用可能になった。同社の検査は翌日に結果が出る。

Helixは第2のタイプの検査もEUAに申請した。これはNGS(DNAまたはRNA配列解析技術の1つ)検査で、より多くの検査量に対してより高いスループットを提供するとともに、偽陰性をなくしウイルスの存在を正確に検出する感度の良さを持ち合わせる。この検査は、承認されればということだが、RADxプログラムが最終的な目的とする今よりはるかに大規模な検査体制をHelixが実現するための鍵となる。

現在承認申請中の2つ目の検査システムは、1日当たり最大2万5000件を処理できる。この検査システムはサプライチェーンの負担を軽減する方法を使用している。

画像クレジット:Helix

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(翻訳:Mizoguchi

Eコマース運営などを手掛けるheyがオンライン予約システム運営のクービックの全株式取得、hey本体も資金調達

STORESキャッシュレス化やEコマース対応なDXを支援するデジタルストアプラットフォーム「STORES」​を開発・運営するヘイは8月4日、オンライン予約システム「Coubic」(クービック)を開発・運営するクービックの全株式を取得し、グループ化することを発表した。今後クービックのサービスは、STORESブランドに統合される。

Coubic併せて本体のheyも資金調達を実施し、財政基盤のさらなる強化を図る。具体的には、米投資会社のBain Capital、香港投資会社のAnatole、米金融機関のGoldman Sachs、米決済会社のPayPal、YJキャピタル、および既存株主であるWiLなどを引受先とする第三者割当増資によって、シリーズEラウンドをクローズした。調達金額は非公開。調達した資金は、スタッフの数を従来の200名規模から400名規模に倍増させ、開発とサービスの強化を進める計画だ。

ヘイ代表取締役社長の佐藤裕介氏はプレスリリースで「今回の資金調達とクービックのグループ化を通じて、コロナウイルスの感染拡大と事業者の みなさまの営業自粛にまつわる課題を解決するためにリリースしてきた、売上金の早期出金 やオンラインストア開設サポート、ビデオ会議サービス「Zoom」との連携によるオンライ ンレッスン予約の簡易化などのニューノーマルに対応した個人、中小事業者向け機能の展開 をより加速していきます」と語る。

また クービックの代表取締役社長を務める倉岡 寛氏は「heyへの参画で、heyとクービックの仲間で、さらに『めんどくさい』ことが減り、楽しみによって駆動される経済に支えられた社会となることに貢献していきたいと考えています」とコメントを寄せている。

ウェザーニューズが台風など荒天時の商品需要を予測する在庫最適化エンジンを発表、「いなげや」に試験導入

ウェザーニューズが荒天時の商品需要を予測する日本初の在庫最適化エンジンを発表、「いなげや」に試験導入

ウェザーニューズは8月3日、今夏の台風シーズンに備え、小売・製造事業者向けに荒天時における商品の急激な需要変化を予測する日本初の在庫最適化エンジン「PASCAL」(パスカル)を独自開発したと発表した。8月21日からスーパーマーケット「いなげや」で試験導入を開始する。

PASCALは、台風・大雪など荒天時の消費者行動を予測する在庫最適化エンジン。小売・製造事業者が保有する販売数や購買客数のデータと、ウェザーニューズの日々の気象や体感、荒天時のデータを基に構築されており、荒天時の来客数や、商品需要をカテゴリー・品目ごとに予測可能。日々の気温・体感の変化に伴う商品需要も予測でき、平常時から利用できるとしている。

また、8月からPASCALを搭載した商品発注支援サービスの提供を開始する。同サービスは、台風接近など荒天時の消費者行動を加味した7日先までの商品需要と来客数を「特需」「増加」「並」「減少」「特減」の5段階で判定。これにより、事前の備えによる食料品や防災品の「特需」や、台風接近時の来客数の「特減」を事前に把握することが可能になるという。

ウェザーニューズが荒天時の商品需要を予測する日本初の在庫最適化エンジン「PASCAL」を発表、「いなげや」に試験導入

さらに8月21日から、いなげやに商品発注支援サービスを提供する。いなげやでは、台風や大雪などの気象ニュースをもとに商品を送り込む場合、実際の影響が異なる場合があることや、影響を受ける店舗を把握できるタイミングが直前になり、メーカーとの調整が間に合わないことが課題となっていたという。同サービスの試験導入により、まずは実験店舗にて荒天時の来店客数や商品需要予測を活用し、店舗への最適な送り込みや、食品の廃棄ロス・発注のチャンスロスの軽減を狙う。

ウェザーニューズが荒天時の商品需要を予測する日本初の在庫最適化エンジン「PASCAL」を発表、「いなげや」に試験導入

ウェザーニューズはPASCALをプロモーションや荒天時の計画配送、計画生産など製造、小売業に向けのシステムに搭載し、様々なサービスに展開していくほか、自動発注システムとの連携も計画。小売・製造事業者が有するビジネスデータや既存システムと気象データを連携させることで、サプライチェーンにおける収益の最大化、廃棄ロスの最小化、気候変動リスクへの適応を目指す。

オフライン広告プラットフォーム「Bizpa」が正式版を提供開始、検索、見積もり、発注をワンストップで

ビズパは8月4日、全国のオフライン広告商品の検索から発注までをワンストップで行えるプラットフォーム「Bizpa」を正式版として提供することを明らかにした。2019年11月からベータ版をしており、取り扱い広告商品は700媒体、27,000点を超えている。具体的な広告媒体は、屋外の看板やデジタルサイネージ、紙媒体や店舗内ポスター、交通広告などのオフライン広告。10万円以下の広告商品が80%以上で、主な顧客や中小企業やスタートアップ企業とのこと。

Bizpaこれまでオフライン広告は、実際の掲載料が不明瞭だったり、デジタルサイネージの場合は掲出する時間や期間で掲載料に大きな差があるなど適正価格を知ることが難しかったほか、電話やFAXを使った在庫確認や見積書取り寄せ、発注などの業務も付随していた。Bizpaはこれらをまとめて解決するSaaSだ。

同社は今後は、取扱商品の拡充やプラットフォームのシステム強化を進めていく。具体的には、広告媒体のデータ充実、マッチング精度向上、クリエイティブ補助機能などを実装する予定だ。また商品数は、2020年内に4万点、2021年内に10万円を掲載を目指す。

同社は、2018年12月設立のスタートアップ。代表取締役兼CEOの石井俊之氏は、2006年に東証マザーズ上場、2016年に東証一部に上場したラクーン(現・ラクーンホールディングス)の創業メンバーの一人(ラクーンの創業は1993年、会社設立は1995年)。取締役副社長として執行部門を統括し、B2Bマーケットプレイス事業、B2B決済事業、子会社社長などを歴任した人物だ。

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.7.26~8.1)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月26日~8月1日の情報をまとめた。

JCBAとJVCEA、暗号資産の20%申告分離課税や少額非課税制度の導入等税制改正に関する要望書まとめ

一般社団法人「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」は7月31日、一般社団法人「日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」と共同で、2021年度税制改正に関する要望書を取りまとめ公開した。

毎年、JCBAは業界団体として自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」に参加し、暗号資産の税に対する要望を行ってきた。今回は、2021年度税制改正にあたり、暗号資産交換業および暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAと共同で、税制改正が求められる事項を整理してまとめた。両団体は、暗号資産市場の活性化、決済利用の促進を図り、関連産業の発展を期待し、以下の通り税制改正に関する要望を要望骨子として公開した。

  1. 暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する
  2. 暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする
  3. 暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する

暗号資産取引における所得は、現在の税制では原則として雑所得に分類される。雑所得は、給与所得など各種所得と合計した金額に課税される総合課税となる。また、累進課税のため所得額に応じて税率が上がり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)という高い税額になる。雑所得は、損をしても、給与所得や不動産所得のようなものと損益通算することもできなければ、翌年に繰り越すこともできない。

両団体は、2020年5月より暗号資産が金商法の枠内での規制を受けたことから、株やFXなど他の金融商品先物取引等同様に20%の分離課税とするなど、税制の公平性・中立性が担保されるよう要望をまとめた。

なお、今回まとめられた「2021年度税制改正に関する要望書」は、JCBA公式サイトにて公開しているので、誰でも閲覧できる。

FIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細が明らかに

携帯電話(スマートフォン)の電話番号を搾取する「SIMスワップ」という詐欺手口をご存じだろうか?

近年、海外ではSIMスワップ詐欺が社会問題になっているという。SIMスワップは、携帯電話のSIMカードを強制的に切り替え、電話番号を乗っ取るという手法の詐欺。その手口は単純で、犯人は新品のSIMカードを用意し、電話会社に携帯電話を紛失したとウソの申告をする。電話会社に申告を信じさせた上で、新たに用意したSIMカードに、ターゲットとなる電話番号を紐付けさせて、その携帯電話を乗っ取るというものだ。

乗っ取り後は、携帯電話内に登録されているサービスをチェックし、ネットバンキングや暗号資産取引所口座、暗号資産ウォレットなど、金目のサービスを見つけては、パスワード再設定を試み、アカウントを乗っ取る。これらのサービスの多くは、SMS認証によるワンタイムパスワードで本人確認を行うことから、パスワードの変更が容易で、各種サービスにログインが可能になってしまうという。ログイン後は、犯人自身の口座等に資産を送金し、SIMスワップ詐欺の完了となる。

NEM.io財団(NEM財団)ブログによると、2018年から2019年にかけて、SIMスワップによる詐欺で米国だけでも5000万ドル(約53億円)以上の暗号資産がスマホの暗号資産ウォレットから盗まれたと推定されている。

NEM Symbol

NEM財団ブログおよびSymbol公式サイトは7月31日、NEM財団と提携するイスラエル・リトアニアの通信関連スタートアップFIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話の「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細を明らかにした

FIX Networkは、携帯電話のSIMカード上に秘密鍵とトランザクションを保護できるソリューションを提供するために設立された企業。NEM財団は、2019年11月に発表した「NEM Foundation Update: November 2019」のパートナーハイライトにて同社を紹介している。

NEM Symbol

同社の技術は、ブロックチェーンベースのセキュリティプロトコルを実装した上で、既存の携帯電話インフラを活用し、SIMを介した携帯電話加入者のための新しいプライバシー、セキュリティ、管理、安全性のソリューションを提供する。そのアーキテクチャーにより、携帯電話事業者は加入者のSIMカード上に秘密鍵を保管することで、デジタルID管理、暗号試算ウォレット、個人データファイアウォールなどのサービスを加入者に提供できるようになるという。NEM財団は、2020年3月11日にFIX Networkとパートナーシップを締結したことも報告している。

FIX Networkが提供する最初の製品「FIX ID」は、携帯電話加入者の最も貴重なデジタル識別子である電話番号を保護し、SIMスワップなどの不正行為を防止する。同サービスは、エンドユーザーアプリによって管理され、加入者が所有するグローバルな電話番号を通じて参加者を識別し、ユニークなデジタルIDとして機能する。電話会社は、FIX Networkを介して、暗号資産ウォレット、ネットバンキング、ID管理などのサービスを提供できる。

FIX IDソリューションを管理するセキュリティポリシーの初期実装は、ブロックチェーンベースではないが、今後FIX NetworkのソリューションはNEMの次期バージョンであるSymbolと統合され、ブロックチェーンベースになる予定だという。

NEMの次世代バージョンSymbolのローンチは、4月に発表されたロードマップによると、2020年11月中旬から下旬の予定だ。

NEM Symbol

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

暗号資産取引所「bitFlyer」を運営するbitFlyerは7月30日、Brave Software International SEZCと共同開発する、オープンソースの次世代高速ブラウザー「Brave」(ブレイブ)内で使用できる暗号資産ウォレットについて、その詳細を発表した。Brave Software International SEZCは、Braveブラウザーを開発・提供するBrave Softwareの子会社だ。

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

両社は7月9日に業務提携について合意し、Braveブラウザーの暗号資産ウォレット領域におけるパートナーシップ契約を結び、暗号資産ウォレットを共同開発することを発表した。今回の発表でbitFlyerは、サービス提供開始は2020年11月頃を予定していることを明らかにした。

Braveブラウザーは、広告ブロック機能を標準装備し軽快な動作や匿名性を実現するとともに、暗号資産イーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンBAT(Basic Attention Token)を用いたBrave Rewardsの仕組みを搭載。ブラウザー利用者はBraveが許可した広告を見ることで報酬としてBATが得られる。ただし2020年8月現在、日本では、改正資金決済法を遵守するためにBATではなくBATと対価のBATポイント(BAP)が使用されている。

これに対して、bitFlyerが開発する暗号資産ウォレットのサービス提供開始以降は、bitFlyerに口座を持つユーザーはBraveブラウザー上でbitFlyerアカウントとの連携が可能になる。金融庁が認定する暗号資産交換業者のbitFlyerのアカウントを連携することで、BAPではなく暗号資産BATを報酬として受け取れるようになるわけだ。

受け取ったBATは、Braveブラウザー上でコンテンツ(サイト)制作者にチップ(投げ銭)としての送金も行える。付与されたBATは、bitFlyerで売却し日本円に換金することも可能だ。これで、海外でBreveブラウザーを使用しているユーザーと、いよいよ同じ環境になる。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

Brave Softwareの日本法人Brave Software Asiaは、オフィスオープンを記念して、7月30日にオンラインイベント「Brave Software Asia Office Opening Party」を開催した。イベントは、Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)が司会進行となり、改めてBraveブラウザーについての紹介が行われ、Braveの日本展開について語られた。イベントではbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)も登壇し、その場でBraveブラウザーの暗号資産ウォレットサービスについて詳細が報告され、今回の発表へとつながった。

Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)とbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)

Braveは、何を問題としているのか

オンラインイベントは、JavaScriptの生みの親であり、Mozilla(Firefox)の共同創設者でもあるBrave SoftwareのCEO、Brendan Eich(ブレンダン・アイク)氏のビデオメッセージによる挨拶からスタートした。

Braveが目指す世界は、インターネットの再構築。現在のインターネットが抱えている問題を解決するために、Braveを設立したという。

インターネットの大きな問題点としては、まずコンテンツの質を指摘する。現在の表示回数が増えるほど広告収益がアップする仕組みは、コンテンツのクオリティーよりもページビュー数(PV)に重きを置くものが増え、結果、フェイクニュースや人の目を引くゴシップニュースなど、質の低いコンテンツが氾濫する状況を作り出してしまったという。PVを稼ぐためには何でもする昨今の迷惑系動画配信などもその例の代表ではないだろうか。

また、ユーザーを特定することで広告単価がアップする現在のネット広告は、広告トラッカーといったプライバシーを侵害する仕組みを作り出してしまった。トラッキングや非効率な広告システムは、ユーザーが意図しない通信を不用意に増やし、無駄な通信費用を発生させる結果にもつながっている。その費用は無視にできないほど増加していることもBraveは指摘する。

プライバシー保護と、暗号資産BATが得られるBrave Rewards

Braveはこれらの問題を解決するべく、消費者を中心としたインターネットの再構築に立ち上がったのだという。

その答えが、Braveブラウザーが作り出しているエコシステムなのだ。Brave Softwareは、高速でプライバシー保護機能を備えるWebブラウザーに、ブロックチェーンのデジタル広告プラットフォーム機能を統合する。基本は広告の表示やトラッカーをブロックし、軽快な動作や匿名性を実現する。その上で、Braveが許可した広告を見ることで報酬として暗号資産BATが得られるBrave Rewardsという仕組みを備えた。

ブラウザー利用者は、広告を見なくてもいいし、自分の意思で見て報酬を得てもいい。Braveブラウザーは、1時間に何回広告を表示させるかといった、その頻度もコントロールできる。これらは、オープンソースソフトウェアとして開発されているブラウザーを基礎としている点も特徴的だろう。

コンテンツクリエイターにチップとして寄付できる

また、報酬として得たBATを自分の気に入ったコンテンツクリエイターにチップとして寄付できるのも大きな特徴だ。この仕組みは、これまで広告収入がメインだったクリエイターが、チップを得るためによりよいコンテンツを作ることに専念できる仕組みとなる。

エコシステムに暗号資産を活用することで、マイクロペイメントの仕組みを導入できるようにもなる。たとえば、漫画を描くクリエイターは、漫画の一コマを1円以下の価格で切り売りするといったことも暗号資産では可能になるということだ。

広告を見て得られる報酬が暗号資産であるという仕組みは、従来のスマホコンテンツのような課金をすることもなくなるため、消費者、クリエイター双方にメリットがある。BATは暗号資産取引所に上場されている暗号資産であることから、もちろん課金システムにも対応することはできる。

Brave Softwareは、これら報酬などの仕組みで新しいビジネスモデルを構築しようとしているのだ。ユーザー、パブリッシャー、広告主のためになる新たなWeb環境を作り直すことで、消費者を中心としたインターネットの再構築を目指している。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

これらBraveブラウザーの輪の広がりは、インターネット上のエコシステムを本気で変えてしまうだけの潜在的な可能性があるのではないだろうか(筆者の個人的な感想だが)。

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安く長く住むワーケーション特化の宿泊予約サービス「Ellcano」の事前登録スタート、3泊以上の連泊が対象

Cansellは8月4日、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」(エルカノ)の事前登録を開始した。サービス開始は9月を予定している。事前登録で5000円ぶんのポイントをプレゼントするキャンペーンを実施するほか、GoToトラベルキャンペーンにも対応を予定とのこと。

また、宿泊施設の掲載も本日より募集開始する。同社とこれまで取引があった宿泊施設に対しては先立って案内を進めており、すでに一定数が参画を決定しているとのこと。

同社は2016年1月設立のスタートアップ。主力事業はこれまで、社名からも想像できるように「キャンセル」に特化した内容だった。ホテル予約の売買サービス「Cansell」を運営しており、ホテルの宿泊予約をした人がやむを得ずキャンセルしなければいけないとき、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるサービスを展開していた。

売却するユーザーは、通常通りホテルに宿泊代金を支払うが、Cansellを使って宿泊権利を売却して代金を受け取ることで、トータルの負担額を減らすことができる。また、購入者は通常より安い料金でホテルに泊まれるというメリットがある。

しかし現在、新型コロナウイルスの感染拡大と消費者の自粛傾向が強まり、観光・宿泊業界は壊滅的な打撃を受けている。そもそもの宿泊人数が減っているうえ、海外から観光客の長期滞在なども当面見込めない。Go Toトラベルによって少し持ち直した業者は出ているが、1日あたりの感染者数だけを喧伝するマスコミやワイドショーの風潮も相まって、終了期間は決まっていないながらもGo Toトラベル自体のイメージは地に墜ちている。

生き方、働き方、知識不足、思考停止、緊急事態など個人のさまざまな事情はあるものの、十把一絡げな自粛ムードをマスコミやワイドショーがこれ以上醸成してしまうと、コロナ禍で2020年第2四半期(4〜6期)にすでに大打撃を受けている観光・宿泊業界は、年内にも多くの業者が操業停止や廃業に追い込まれてしまうだろう。となると、ワクチンや特効薬の開発が進んで新型コロナウイルスの蔓延が終息しても、業界自体の復興に相当な時間かかり、さらにチャンスを逃してしまう。いま観光・宿泊業界にとって必要なのは、なんとかして持ちこたえるための施策と、それに賛同してくれる消費者だ。

Cansellは観光・宿泊業界のコロナ禍問題を打開すべく、従来サービスをベースにしながらも切り口の異なる新しいサービスを開始した。それがテレワーク・ワーケーション需要を取り込むことだ。コロナ禍で大手企業やネット企業、スタートアップ企業ではテレワークがさらに浸透しているが、一方で自宅に仕事場を確保できない、そもそも自宅で仕事したくないというニーズも高い。夏休みの旅行が自粛ムードで中止になった家庭もあるだろう。

同社こういったニーズに着目して、ホテルに長期滞在してテレワーク・ワーケーションにい使うという需要を喚起するため、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」をリリースすることになった。特徴は、長期で旅行や出張、ワーケーションで宿泊施設を予約する際に、予算などを直接宿泊施設にリクエスト・予約できる点。

各腫ホテルの予約サイトなどでは、長期滞在時であっても通常の1泊の宿泊代金×滞在日数と掲載されてしまうケースが多い。そのため、長期滞在プランがあらかじめなどが用意されていないと、なかなか手を出せない料金になってしまう。一方でコロナ禍のご時世、宿泊施設にとっては長期滞在してくれるなら、多少安くても泊まってほしいニーズがあるのも確か。

Ellcanoでは、宿泊希望者から予算などの希望条件を宿泊施設に直接リクエストできるようにすることで、双方が納得できる料金・条件での長期滞在を実現する。具体的には、3泊以上の長期滞在に特化、予算はリクエスト形式、複数の施設に一括リクエストという特徴がある。目的地が決まっている場合は、場所と予算、滞在日数を伝えるだけで複数のホテルなどからマッチングしてくれる。

体調管理、マスク着用などの感染対策を施したうえで、到着後数日はホテルや旅館の館内や食事を楽しみつつテレワーク、感染症の症状がでなければソーシャルディスタンスを意識して観光という、働き方、楽しみ方も生まれてくるのはないだろうか。

「TikTokの日本事業について現時点で変更なし」とByteDance Japanが表明

米国と中国の貿易摩擦や中国の国家安全法に関連して、中国のByteDanceが所有しているショートムービーサービス「TikTok」の米国事業の買収の動きが加速している。

この件についてTechCrunch Japanは、日本法人であるByteDance Japanに日本の事業展開について質問したところ「日本におけるTikTokの運営について現時点で変更の予定はありません。今後ともみなさまが安心安全に楽しめるより良いプラットフォームとなるよう尽力してまいります」という回答を得た。日本政府が対応を決めかねている現状もあり、日本のTikTokerは当面はそのままサービスが使えるようだ。

また、ByteDance Japanは米トランプ大統領の買収容認発言以降のByteDance本社のTikTok広報担当者からのステートメントも併せて回答した。

TikTok is loved by 100 million Americans because it is a home for entertainment, self-expression, and connection. We’re motivated by their passion and creativity, and committed to continuing to bring joy to families and meaningful careers to those who create on our platform as we build TikTok for the long term. TikTok will be here for many years to come.”

TikTokが1億人の米国人に愛されているのは、エンターテインメント、自己表現、他人とつながりるためのホーム(媒介)となっているからです。私たちは、ユーザーの情熱と創造性によってモチベーションを高め、長期的にTikTokを構築しながら、私たちのプラットフォームで創作する人々や家族に喜びを、そして有意義なキャリアをもたらし続けることを約束しています。TikTokはこれからも何年もここにいます。

2020年の変化に人は適応し始めているがAIは苦労している

2020年は、すべての産業がその前進のシナリオを新型コロナウイルス(COVID-19)に照らして再考することを迫られた年だ。公民権運動、大統領選挙、その他の数え切れないほどの大きなニュースが続いている。人間たちは、新しい生活様式に適応しなければならなかった。私たちはこれらの変化を受け入れ始め、新しいパンデミックルールの下で、人生をどう生きていくのかを理解し始めたところだ。人間がそのように落ち着きつつある一方で、AIは適応に苦労している。

2020年におけるAIトレーニングの問題とは、突然私たちが、社会的および文化的規範を変えたことだ。私たちがこれらのアルゴリズムに教えてきた真実の多くが、その真実性を失ってしまった。とりわけビジュアルAIは、それがまだ手に入れていないアップデートされた文脈に沿った、新しい生活様式を即座に解釈することが求められている。

アルゴリズムは新しいビジュアルデータへの適応を続けている最中であり、対象を正確に識別する方法を理解しようとしている最中だ。ビジュアルAIがアップデートされていくにつれて、不正確なトレーニングデータセットと既存のオープンソースモデルを修正できるように、AIトレーニングプロセスにおける定期的なアップデートの、新たな重要性の確立も必要としている。

コンピュータービジョンモデルは、新型コロナウイルスの時代になって私たちが出会った新しいシーンや状況の描写に対して、適切なタグを付けることに苦労している。カテゴリーが変わったのだ。例えば、息子が傍らで遊んでいる在宅勤務中の父親の画像があるとしよう。今でもAIは、それを「レジャー」または「リラクゼーション」として分類する。横で子供が遊びながら仕事をしている様子が、この時期の多くの家庭で見られる光景だとしても、AIがそれを「仕事」や「オフィス」と識別することはない。

画像クレジット:Westend61/Getty Images

より技術的なレベルでは、私たちは世界の異なるピクセル描写を物理的に抱えている。Getty Imagesでは、私たちはAIに「見る」ための訓練をしてきた。これが意味するのは、アルゴリズムが画像を識別し、その画像のピクセル構成に基づいてそれらを分類し、何がそこに含まれているかを決定できるということだ。私たちの日常生活のあり方が急速に変わることが意味するのは、カテゴリーやタグもそれにともなって変える必要があるということだ。例えば「掃除」を考えてみよう。

考えてみて欲しい。今や「掃除」には、視覚的にはきれいな表面を拭く行為も含まれるようになったのだ。これまでのアルゴリズムは、掃除といういうものは、とっ散らかった状況がまず必要だと教えられていた。これはとても異なるもののように見える。これらの再定義されたカテゴリパラメータを取り入れるために、システムを再トレーニングする必要があるのだ。

これは小さなレベルにも関係している。誰かが小さなワイプでドアノブを掴んでいたり、車の中に座った人がハンドルを拭いているかもしれない。かつては些細だったことが、今では人々が安全を確保しようとする際に重要なものになっている。適切にタグ付けされるように、こうした小さなニュアンスをもキャッチする必要がある。そうすることでやっと、AIは2020年の私たちの世界を理解し始め、正確な出力を生成することができるようになる。

マスクと手袋をした中国人女性。在宅命令が発令される中、買い物に行く前に車内の清掃と消毒を行っている。画像クレジット:Chee Gin Tan/Getty Images

現在AIのまた別の問題は、機械学習アルゴリズムはマスクをした顔を識別および分類する方法の模索を、まだ続けているということだ。顔は、顔の上半分だけまたは2つの顔(マスク付きの顔と目だけの顔)として検出されている。これにより不整合が生じ、顔検出モデルの正確な利用が妨げられることになる。

前進するための1つの方法は、マスクの上である顔の上部のみが与えられた場合のパフォーマンスを向上させるために、アルゴリズムを再トレーニングすることだ。このマスクの問題は、サングラスをかけている人や横顔から顔を検出するなどの、従来からの顔検出の課題に似ている。今ではマスクも一般的なものになった。

撮影場所:ダルエスサラーム/タンザニア 画像クレジット:Rodger Shija/EyeEm/Getty Images

こうしたことからわかるのは、コンピュータビジョンモデルが止まることなく進化し続ける私たちの社会の風景を本当に「見る」ことができるようになるまでには、まだ長い道のりがあるということだ。こうしたことに対抗するためには、堅牢なデータセットを構築したい。そして、顔が遮られたり覆われたりする可能性がある無数のさまざまな方法に対して、説明ができるようにコンピュータビジョンモデルをトレーニングするのだ。

この時点で、私たちはアルゴリズムが顔と見なすもののパラメーターを拡大している。それは食料品店でマスクを着用している人なのか、日常業務の一部としてマスクを着用している看護師なのか、または宗教的な理由で自らの顔を隠している人なのか。

こうした堅牢なデータセットを構築するために必要なコンテンツを作成するときには、意図していないバイアスが増える可能性があることに注意する必要がある。AIには常にある程度のバイアスが存在しているが、今やニューノーマルを反映したバランスのとれていないデータセットが、私たちの目の前にあるのだ。例えば他の人種に比べて、マスクを着けている白人の画像が増えている。

これは、厳格な在宅命令のために、写真家たちが自分のコミュニティ以外へのアクセスが制限され、被写体を多様なものにできない結果である可能性が高い。この主題を撮影することを選んだ写真家の人種に関連している可能性がある。もしくは、新型コロナウイルスがさまざまな地域に及ぼした影響のレベルの違いによるものかもしれない。理由がどのようなものであるにせよ、こうしたバランスのとれていないデータセットがあることで、アルゴリズムは他のどの人種や民族よりも、マスクを着けている白人をより正確に検出できるようになる。

データサイエンティストやモデルを利用してプロダクトを開発する人たちの、社会規範の変化に照らしてモデルの正確性をチェックする責任が、さらに重要なものになっている。トレーニングデータとモデルの定期的なチェックとアップデートは、モデルの品質と堅牢性を確保するための鍵だ。その重要性がこれまでになく高まっている。もし出力が不正確な場合には、データサイエンティストはそれらを素早く特定し、軌道修正することができる。

私たちの現在の生活様式が、見えている範囲での未来でも継続するだろうということにも触れておこう。こうした理由から、トレーニング目的で利用しているオープンソースのデータセットには、注意する必要がある。データセットは変えることができるし、そうすべきだ。変更できないオープンソースモデルには免責事項を記載する必要があるため、どのプロジェクトが古いプロジェクトのトレーニングデータから悪影響を受ける可能性があるかは明らになる。

システムによる理解が求められている新しいコンテキストの識別は、ビジュアルAIを前進させるための最初のステップだ。次に、より多くのコンテンツが必要である。周囲の世界に対する、多様な視点からの、より多くの描写。そしてこの新しいコンテンツを蓄積する際には、新しい潜在的なバイアスと、既存のオープンソースデータセットを再トレーニングする方法を検討しよう。私たちはみな、矛盾や不正確さをモニタリングする必要がある。コンピュータービジョンモデルの再トレーニングの恒久化と専業化が、2020年にAIを活かす鍵なのだ。

【編集部注】著者のAndrea Gagliano(アンドレア・ガリアーノ)氏は、Gety Images(ゲッティ・イメージズ)のデータサイエンス責任者であり、コンピュータービジョンと自然言語処理に重点的に取り組んでいる。彼女は倫理的AIプロダクトの開発のために、Getty Imagesの科学者、エンジニア、プロダクトデザイナー、ビジネスリーダーたちの教育を主導している。

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(翻訳:sako)

TikTok売却で中国のネットユーザーが「売国奴」と ByteDanceのCEOを非難

たとえTikTokが最大のマーケットであるインドを失っても、米国で抗い難い困難に直面しても、ByteDance(バイトダンス)はグローバルなテクノロジー会社にとなるという野心を失ってはいない。しかし中国の一部の人々は、北京拠点のByteDanceが米国の要求に応じ過ぎだと非難している。

ByteDanceは降りかかってくるさまざまな困難にも関わらず、8月2日遅くに投稿した声明で「グローバル化した企業になるというビジョンをこれまで通り追求する」と述べた。

米国の議員や世論を動かそうと何カ月も取り組み、TikTokは不本意ながら2つの譲歩に至った。「CFIUS(対米外国投資委員会)によるTikTokの米国事業の強制売却、または米国でのTikTokアプリを禁止する大統領令の可能性に直面した」とByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(張一鳴、チャン・イーミン)氏は8月3日、従業員に宛てたレターの中で説明した。

TikTokの件は目まぐるしく動いている。この記事の執筆時点で、Microsoft(マイクロソフト)がTikTok買収で米国当局と協議していることを認めている。先にDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、米国企業による中国所有のアプリの買収は支持しないと話していた

中国側では、ByteDanceが「米国でTikTokアプリの提供を続けるための障害を取り除くのをサポートしてくれるテック企業と予備的協議を始めた」と張氏はスタッフに語っていた。このコメントは、TikTokの米国ゼネラルマネジャーであるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏の、TikTokは「どこかに行くつもりはない」という言葉をフォローするものだ。

張氏はレターの中で不満を堂々と述べた。「CFIUSの結論には同意しない。なぜなら当社は常にユーザーの安全、プラットフォームの中立性、透明性を守ってきたからだ。しかし、現在のマクロ環境の中での彼らの決定は理解する」。

怒れるネット市民

しかしByteDanceの対応は明らかに中国の一部の人の賛成を得ることができなかった。中国の人気ミニブログプラットフォームであるWeibo(新浪微博)では、数百人もの匿名ユーザーが張氏のレターについて投稿し、同氏を「売国奴」「米国擁護者」「臆病者」などとなじった。

「意見が一方通行の中国と違って、議論が許される米国を称賛するのに張一鳴は慣れている。そして今、彼は平手をくらった。彼はなぜ米国と議論しないのか」。この厳しい批判には3600以上の「いいね」がついた。

2010年初めからの張氏のWeibo投稿に言及するコメンテーターも現れた。それらの投稿はリベラルに偏っていて、こうした投稿によって同氏は「パブリックインテレクチュアル(公的な知識人)」ランキング入りした、と一部の人には映っている。インターネット愛国者はそうした人々を無知で西洋価値の崇拝者とみなし、「パブリックインテレクチュアル」は近年、軽蔑的な言葉として考えられている。

「中国人ソーシャルメディアユーザーの一般的な見方は、今回の件は米国・中国貿易戦争の一環としてのしっぺ返し策であるというものだ。またTikTokが成功し、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)といった米国プラットフォームにとって脅威となっているために、こうした事態になったと考えている」とAppInChinaのCEOであるRich Bishop(リッチ・ビショップ)氏は話した。同社は海外のアプリやゲームの中国でのリリースをサポートしている。

張氏のWeiboアカウントは現在一時凍結されている。これはおそらく、怒った愛国者たちが張氏の投稿に流れ込むのを防ぐためだろう。

オンライン上での感情がどれくらい中国社会を代表するものなのか、あるいはそうした動向が政府が雇ったコメンテーターによる操作なのかを見極めるのは難しい。インターネット上の怒りに比べると、中国政府は比較的、状況を甘受している。外務省の報道官は定例会見でTikTokに対する米国の主張を「いちゃもん」をつけていると否定した(CGTN記事)にすぎない(米政府はまだTikTokが国家保障の脅威であるという主張を支える確たる証拠を示していない)。

結局、中国で大々的に事業を展開している米国インターネット大企業が少ないため、中国政府はそれほど報復措置を取れない。

業界からは同情

中国のスタートアップや投資家はByteDanceに対して同情的だ。もしマイクロソフトによる買収案が進めば、TikTokにとっては最悪の結果とはならないかもしれないと考えている。

「彼らは動きが取れない」とSOSVが支援するクロスボーダーのアクセラレーターでChinacceleratorのゼネラルパートナーであるWilliam Bao Bean(ウィリアム・バオ・ビーン)氏は話した。「規則が急変する状況にある。消費者はおそらくTikTokを利用し続けたいはずで、マイクロソフトによる買収は使用継続を可能にする1つの方法だ。しかしByteDanceが真に望むものだとは思わない」。

AppInChinaのビショップ氏は、マイクロソフトの中国政府に対する対立的でない態度を指摘した。「どちらのサイドにとってもいい結果だと思う。もちろんマイクロソフトはTikTok買収でかなり恩恵を受ける。ByteDanceはそれなりの対価を受け取る。同社と中国政府はマイクロソフトに対して割に友好的だ」。

テック業界は、TikTokが珍しい存在であることをよく知っている。対抗措置は中国企業の米国進出、おそらく他の欧米マーケットへの進出にも萎縮効果をもたらすが、そもそも中国から欧米諸国に進出するインターネット企業はそう多くはない。

「中国のために構築されたソリューションのほとんどは、西洋諸国で人々が抱える問題を解決しない」とバオ・ビーン氏は述べた。

WeChatの親会社Tencent(テンセント)が示しているように、積極的な買収と数多くのヒット作で中国のゲームはおそらく西洋諸国で最も受け入れられているものだ。小規模のデベロッパーは、中国の企業であることを「表に出さない」戦略に頼っている。

米国に上場しているとある中国インターネット企業のCEOは「我々はメディアのインタビューを受けないようにしている」と匿名を条件に語った。

「問題は萎縮効果ではなく米国、カナダ、オーストラリア、インドなどで機会を失うことだ。ヨーロッパで成功するチャンスもまた小さくなり、リスクは増大している」と匿名希望のCEOは述べた。

「これから世界に出ようとする中国企業が目を向けられるのは東南アジア、アフリカ、南米だけになる」。

画像クレジット:DuKai photographer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Metro BankがP2P金融会社のRateSetterを約17億円で買収

従来型の銀行がフィンテックを買収することは目新しいことではなく、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の中でこの傾向が続くと予想される。同様の動きの最新版は上場企業のMetro Bank(メトロバンク)からのもので、同社は米国時間8月3日にP2P金融会社のRateSetterを最大1200万ポンド(約16億6000万円)で買収すると発表した。

英国の規制当局の承認を待って、Metro BankはRateSetterを250万ポンド(約3億5000万円)の初期価格で買収し、完了後12カ月後に最大50万ポンド(約6900万円)の「追加対価」を支払う。さまざまな業績基準を満たした場合、Metro Bankは買収から3年目に追加で900万ポンド(約12億5000万円)を支払う。

取引が3段階に分けられ条件付きであることは、M&Aにおいては必ずしも珍しいことではないが、これはP2P融資ポートフォリオのリスクを反映している可能性が高い。なお今回の買収には、RateSetterの株主が保有するRateSetter Australiaの株式は含まれていない。

2010年に設立されたRateSetter(未訳記事)によると、75万人以上がこのプラットフォームを通じて投資あるいは借入を行い、40億ポンド(約5538億7000万円)の融資が発生したという。2019年3月31日を区切りとする会計年度において、同社は3300万ポンド(約46億円)の収益、800万ポンド(約11億1000万円)の税引き前損失、4200万ポンド(約58億2000万円)の総資産を報告した。

Metro BankによるRateSetterの買収は無担保融資を増やし、ひいては利益を増やすという戦略の一環であるという。興味深いことに、同社は今後もRateSetterを独立したプラットフォームとして運営し、RateSetterブランドとMetro Bankブランドの両方でローンを提供する予定である。

しかし、RateSetterにとっては1つの大きな変更点がある。Metro BankはRateSetterのプラットフォームを介して、すべての新規無担保個人ローンの資金に同社の預金を使用すると述べている。つまり、将来のRateSetterの融資はMetro Bankのバランスシートに記載される。とはいえRateSetterは、既存の同社の投資家に代わってRateSetterのローンポートフォリオと「Provision Fund」を引き続き管理し、一方でMetro Bankは「これらの既存のローンの信用リスクを負わない」と表明している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルのワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds」が日本でも20日発売開始

Google Pixel Buds

グーグルは8月4日、ワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds」の日本発売を発表した。8月20日発売予定で、Google ストア価格は税込み2万800円。1回の充電で連続5時間の音楽再生が可能で、ワイヤレス充電ケースを使えば24時間まで稼働できる。また防⽔性能はIPX4となっている。

Pixel Budsは、Bluetooth 5.0接続に対応。Google Pixel Buds専用としてカスタム設計した12mmダイナミックスピーカードライバーにより高音質を実現したほか、パッシブノイズリダクション機能を搭載。下部の通気孔が圧迫感を軽減し適度に環境音を拾うことで、周囲の状況を常に把握しやすいよう配慮しており、「アダプティブ サウンド」が周囲にあわせて音量を自動調整するため、手動で音量調節をする必要はないという。

会話の際には、内蔵センサーとマイクが環境音の中からユーザ-の声を認識し、クリアな声で会話を行える。左右イヤホンには搭載されたそれぞれ2つのマイクを搭載してり、会話の音声が最も聞こえやすくなるよう強調する。さらに、モーション検出用の加速度センサーおよびジャイロスコープがあご骨の振動を介して音声を検出するため、ランニングなどの風の強い状況でもクリアな音声を実現できるとしている。

また音楽再生・通話・Googleアシスタントの操作が可能な静電容量式タッチセンサーを採用。左右どちらのイヤホンでも、タップで再生と一時停止、スワイプで音量を調整できる。デュアルIR近接センサーを利用した装着検知機能により、自動での音声再生・一時停止が可能。

Pixel Budsは内蔵バッテリーにより、⾳楽再⽣時最長5時間、 通話時2.5時間の利用が可能。ワイヤレス充電ケースで充電を行うことで、⾳楽再⽣時最長24時間、 通話時12時間まで稼働可能となる。ワイヤレス充電ケースにイヤホンを⼊れて10分間充電すると、最⻑2時間の⾳楽再⽣または最⻑1時間の通話が行えるようになる。

防水仕様はIPX4となっており、雨の日や汗をかく運動でも利用しやすい。

左右各イヤホンのサイズは20.5×19.5×18.2mmで、重量5.3g。ワイヤレス充電ケースのサイズは63×47×25mmで、ケースのみ重量は56.1g。イヤホン収納時の重量は66.7g。カラーバリエーションは、Clearly White、Almost Black、Quite Mintの3色。ワイヤレス充電ケースは、USB-C充電ポートを搭載し、Qi規格に対応。

Google Pixel Buds

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グーグルがAndroid 10搭載の最新スマホ「Pixel 4a」を日本発売、秋には5G対応「Pixel 5」リリース

Google Pixel 4a

グーグルは8月4日、Android 10搭載の最新スマートフォン「Google Pixel 4a」を発表した。Google ストア価格は税込み4万2900円。日本では、8月14日から予約受付を開始し、発売日は8月20日に発売。またGoogle ストアで扱うものはSIMフリー版にあたり、別途ソフトバンクでも提供予定となっている。さらに、価格6万500円からの5G対応版Pixel 4a、Pixel 5を今秋にリリースすることを明らかにした。

Google Pixel 4aは、最大解像度1080×2340(FHD+)ピクセル・443ppiの5.81型OLED(有機EL)ディスプレーを搭載。筐体にはポリカーボネート製ユニボディ、またカバーガラスにはCorning Gorilla Glass 3を採用している。サイズは69.4×144×8.2mmで、重量は143g。メインメモリーは6GB(LPDDR4x)、ストレージは128GB。バッテリー容量は3140mAh。

CPUには、ミドルクラスのQualcomm Snapdragon 730G(2.2GHz+1.8GHz、オクタコア)、グラフィックス機能としてはAdreno 618(CPU内蔵)を採用。Google Pixel専用に開発された「Titan M」セキュリティモジュールも搭載している。

背面カメラは12.2MPデュアルピクセルで、オートフォーカスおよび手ぶれ補正機能搭載。絞り値f1.7、視野角77度。前面カメラは8MPで、固定フォーカス。絞り値f2.0、視野角84度。また背面カメラは1080p(30/60/120FPS)、720p(30/60/240FPS)、4K(30FPS)の動画撮影が可能。前面カメラは1080p/720p/480p(それぞれ30FPS)の動画を撮影できる。

インターフェイスはUSB 3.1 Gen1 Type-C。SIMはナノSIMおよびeSIM。

 

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Pixel 4a/5はグーグル初の5G対応スマホに

驚きだ。Google(グーグル)の廉価版Pixelデバイスの最新版は、次世代技術を採用する最初の2機種のうちの1機種になるという。これは確かに奇妙な戦略だが、時にロードマップはそのようになることもある。Pixel 4aに関する詳細はこの記事で読むことができる。これは非常にベーシックな新製品だが、従来製品と比べてバッテリー駆動時間が延び、ハードウェアの制限があるために画像処理に重点を置いている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

コンコルド超えマッハ3超音速旅客機の設計をVirgin Galacticが発表、ロールス・ロイスがエンジン担当

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、既存の民間宇宙船よりも少し地球に近い場所で飛行する、高速の民間航空機の開発という目標に向かって前進している(Virgin Galactic特設サイト)。初代コンコルドが達成したマッハ2(時速約2470km)前後の平均巡航速度よりも速い、マッハ3(時速約3700km)を超える速度での飛行を計画している。

この音速旅客機のコンセプトデザインは、同社が世界有数の航空機エンジンメーカーであるRolls-Royce(ロールス・ロイス)との間で締結した覚書に基づくもので、両社の新たなパートナーシップによって実現した。ちなみにロールスロイスは、唯一の超音速民間航空機であるコンコルドのエンジン製造メーカーだ。

なお、Virgin Galacticは5月にNASAと提携し、民間航空会社の乗客のための高速・高高度のポイント・ツー・ポイント旅行に向けて取り組むことを発表済みだ。この計画では、最終的にはコンコルドの巡航高度である6万フィート(約18km)以上を飛行し、1回のフライトで9人から19人を乗せることができる。キャビンは基本的にビジネスクラスまたはファーストクラススタイルの座席とサービスを各乗客に提供するようになる。デザイン上のもう1つの重要な要素としては、持続可能な次世代の燃料を使用し、より環境にやさしい運航を実現する点だ。

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いくつかの点でこの音速旅客機は、NASAの超音速研究機であるX-59 Quietと同じ目標を持っている。まず、どちらも高マッハのポイント・ツー・ポイント旅行の開発を追求することで、業界全体を盛り上げることを目的としている。Virgin Galacticはその目的の1つとして「ベースラインとなる『持続可能な技術と技術』を提案することで『他の航空業界での採用を促進する』役割を果たす」と説明している。

同社の製造子会社であるSpaceship Company(スペースシップ・カンパニー)は、スタートアップ企業であるBoom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)とパートナーシップを結び、この超音速民間旅客機の開発で協力体制を敷く。なおBoom Supersonicは、10月の自社イベントで超音速旅客機「XB-1」のプロトタイプを発表し、テストを開始する予定だ。最近ではロールス・ロイスとの新たなパートナーシップも発表され、Boom Supersonicが製造予定の55人乗り民間旅客機「Overture」のエンジンの設計と製造をロールス・ロイスが担当する。

画像クレジット:Virgin Galactic
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(翻訳:TechCrunch Japan)