Shopifyは多くの富を生み出し、元従業員を創業者や投資家にする

Shopifyの最高技術責任者Jean-Michel Lemieux(ジャン・ミッシェル・レミュー)氏と最高人材責任者Brittany Forsyth(ブリタニー・フォーサイス)氏は2021年4月、それぞれの役割から退くことを明らかにした。最高法務責任者のJoe Frasca(ジョー・フラスカ)氏も同社を去る予定で、3氏はいずれも2021年6月で任期を終える。今後のチャプターではスタートアップへのアドバイスや投資、ローンチに関心があるようで、元Shopifyの役員や社員にも同じことをする人が増えている。

設立から15年、従業員7000人を擁し、オタワに拠点を置くShopifyのような規模の企業にとって、時価総額が1300億ドル(約14兆1350億円)というのは驚くことではない。それでも、Shopifyが生み出した莫大な富の恩恵を受けて、同社の元従業員たちは、かつてないほどのカナダの起業家エコシステムに影響力を持つことに目を向けている。

例えば、Shopifyの元最高製品責任者で、2020年10月に同社を去ったCraig Miller(クレイグ・ミラー)氏を見てみよう。同氏はすでに、フルタイムで働きながら、クリーンテクノロジーとカナダに焦点を当てたいくつかのベンチャーファンドに投資を行なってきた。現在は、資金と時間の両方を「大きな社会的影響を与えることができる」と考える個人企業に出資している。

その中には、個人事業を運営するためのツールを提供しているHousecall Proや、二酸化炭素回収を手がけるPlanetary Hydrogenのような気候変動対策に取り組むスタートアップも含まれている。

ミラー氏は、自身の時間はShopifyの元同僚を含む創業者に引きつけられていると語る。「資金調達は重要ですが、資金を投じようとする人はすでに十分すぎるほどに存在しています」と同氏はいう。そのため、同氏の持つ価値のほとんどは、スタートアップの規模を拡大する方法についてチームと話すことに注がれている。「企業を大きく成長させる方法を心得ている人、1億ドル(約109億円)から1000億ドル(約10兆8740億円)以上の企業を目にした人、そして製品を数百万人のユーザーに拡大する方法を熟知しているような人は極めて限られています」。

このような高度成長を経験した人は世界的に見てもあまり多くはないが「基本的にロールモデルが存在しない」カナダでは特にそうだと同氏は指摘する。

ミラー氏は自らを自身の置かれた環境の産物と捉えており、Shopifyが従業員を非公式ながらも積極的に教育していることを示唆している。

「私が最も好きだったことの1つは、私たちがどれだけオープンであったかでした」とミラー氏。「すべての従業員はロードマップを把握し、コードを見ることができ、データにアクセスすることができました。【略】私たちは、取締役会でのプレゼンテーションを会社全体で共有することもできました。そうすることで、すばらしい会社を作る方法に関心のある人たちがその貴重な情報を留め置くことができました」。

多くの人が知識を書き留めるペンを取り出していたようだ。Shopifyを去って自分たちのビジネスを立ち上げた人たちの中に、Michael Perry(マイケル・ペリー)氏がいる。同氏は2020年、忙しい家族をまとめるMapleというアプリを構築するためにShopifyを去った。また、Helen Tran(ヘレン・トラン)氏は2017年にShopifyを離れ、美容やパーソナルケアのブランド向けのソフトウェアを開発するJupiterを立ち上げた。Andrew Peek(アンドリュー・ピーク)氏は投資顧問会社Delphiaを設立。スタートアップAfterwordを運営するEffie Anolik(エフィー・アノリック)氏は、バーチャルとオフライン両方の追悼サービスの計画を支援している。

創業者の1人で誇り高きShopify出身者のArati Sharma(アラティ・シャルマ)氏は元製品マーケティング担当ディレクターで、Shopifyを「特別な場所」と呼び、多くの人にビジネスのスケールアップの方法や、Shopifyに特化した手法を伝授している。

Shopifyはカナダで最初にその規模を築き上げた企業であることから「この規模の企業をどのように運営すべきか」についての「固定的な考え方」がなく「過去の戦略に従う」こともなく、従業員が判断すべきことが多かったと同氏は語る。

シャルマ氏は、自身の会社Ghleeの立ち上げに照らして、経験から学べることには限界があることを認めている。Ghleeはトロントに拠点を置くスキンケアブランドで、2019年にローンチした。「Shopify社内でゼロから立ち上げる機会はありましたが、創業者の座に就くことはまったく新しいことです」と同氏は振り返った。

しかしミラー氏と同様、シャルマ氏も「文化と商業がいかに深く関わっているか」など、多くの教訓をShopifyで学んでいる。

同氏はまた「(Shopifyに)元創業者として参加していたとしても、あるいはそこで働いている間に起業家的なバグを見つけたとしても、いかに多くの従業員が自分のビジネスを運営しているかは注目に値する」と述べている。

Shopifyで働き続けながら事業を運営する人もいる。例えば、Atlee Clark(アトリー・クラーク)氏はPika Layersという子ども服の会社を設立し、フルタイムの取締役を務めている。

退職後に投資会社を設立したケースもある。元製品担当VPのAdam McNamara(アダム・マクナマラ)氏は現在、Shopifyの元同僚Joshua Tessier(ジョシュア・テシアー)氏とともに、影響力のあるエンジェルファンド、Ramen Venturesを運営している。

特に注目すべきは、シャルマ氏自身が積極的なエンジェル投資家であることだ。2021年初めにはBackbone Angelsと呼ばれる10人の投資家集団を共同で設立し「スピードに合わせて最適化し、来るべき取引に迅速に対応する」ことを目指している。

Backbone Angelsのメンバーは全員女性だ。いずれもShopifyの元従業員で、退職予定の最高人材責任者ブリタニー・フォーサイス氏も含まれている。キャップテーブル(資本政策)に参加する女性投資家や非バイナリ投資家の数を増やすことに注力しており、そうすることで取締役会の今後の見通しや企業の構築方法が変わると考えている。

Shopify(同社の株価は2020年中に急上昇したが、最近下落に転じている)の恩恵もあり、資金調達の機会には事欠くことはなさそうだ。

シャルマ氏は夫と共同で投資を始め、これまでに30あまりのスタートアップに出資しており、2021年だけで9つの投資が行われたという。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

カナダのOMGはニュースレターモデルでローカルニュース存続の危機を救う

地方のニュースは過去20年、散々な状態となっている。インターネットの台頭が新聞やローカルテレビ局による長期にわたるニュースや案内広告の独占を打ち砕き、その一方でFacebook、Nextdoor、Citizenのようなソーシャルネットワークが近所の近況情報で読者の関心をますます集めている。新聞は休刊し、ジャーナリストはごっそりといなくなり、あらゆることがカバーされない「ニュース砂漠」が増えつつある。

と同時に、オンラインメディアで現在、クリエイター革命が進行中だ。特にローカルジャーナリズムにとって適切と思われる斬新な方法では、オーディエンス構築、コミュニティ、そしてサブスクが一体となっている。これらの新しい一連のツールは、空洞の時代を経て最終的にローカルジャーナリズムの再構築を可能にするのだろうか。

Overstory Media Group(省略形は表現力豊かなOMG)は、ソフトウェアツールとビジネスモデルがローカルニュースの方程式を大きく変えたと確信している。カナダのニュースサイトDaily Hiveの元編集長Farhan Mohamed(ファルハーン・モハメド)氏によって共同創業され、現在同氏が率いているOMGは10のローカルニュースブランドを運営し、フルタイム従業員30人を雇用している。同社は持続可能で、あえていうが儲かるアプローチをローカルメディアに提供している。

「子どもだったころ、私は自分の電子メールニュースレターを持っていました」とモハメド氏は回顧した。「私はギャップを目にしました。私の周辺で起こっていることを誰も私に伝えていませんでした」。自力で運営するのがどんなものなのか感触を得るため、同氏はHotmailを通じてニュースレターを出し、やがてローカルジャーナリズムのモダンな世界へと移行した。そして同氏が目にしたのは悲惨なものだった。「ユーザーエクスペリエンスはひどく、ストーリーも最悪でした。普通の人がどうやってこんなことをしているのかさっぱりわかりません」と同氏は話した。

同氏はローカルニュースがコミュニティにとって何を意味するのかという基本とともに初めからやり直すことにチャンスを見出した。「私はニュースやジャーナリズムというより、コミュニティ構築分野の出身です」と語った。読者がこうしたニュース運営の当事者になれる現代のインターネットテクノロジーを使ったモデルがあると感じた。

モハメド氏は最終的にAndrew Wilkinson(アンドリュー・ウィルキンソン)氏とつながった。ウィルキンソン氏は零細のインターネット事業を買収して拡大し、その一方で元々の創業者が手を引けるようにするファンドTiny Capitalを運営している。同氏は、ブリティッシュコロンビア州ビクトリアでの出来事をカバーするCapital Dailyというニュースレター主導型のメディアを創設した。Capital Dailyはかなりの勢いで何万もの購読者を獲得した。数十万人しか住んでいない地域でだ。

モハメド氏とウィルキンソン氏はOMGの設立で力を合わせ、Capital Dailyモデルをより多くの出版媒体に拡大し始めている。2人はテックスタックを中心に据えたPicoを設立した。同社は4月に650万ドル(約7億1000万円)のシードラウンドをクローズしたばかりで、新しいブランドに切り替えるための成長とブランドの筋書きもデザインした。

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それぞれの新しいブランドの目標は、可能な限り早く収支をトントンにすることだ。「我々はブランドを持続可能なものにするのにどれくらいかかるかについてモデルと予測を持っていて、ブランドに合わせてモデルを微調整しています」とモハメド氏は話した。「おそらく持続可能な状態に持っていくのに12カ月ではなく、10カ月、あるいは9カ月かかります」。同氏の目標は野心的だ。2023年までに50のブランドとジャーナリスト250人を獲得したいと考えている。「100のブランドを獲得できるかもしれないとも思っています」。

OMGは筆者が「筋書き」と名づけたものを持っている一方で、あらゆるブランドがまったく同じものにならないことを理解している。各ブランドがどのように構築されるべきか、どのくらいの頻度で新しい記事が配信される必要があるかについての基礎的なストラクチャは持っているが、各ブランドが獲得した新しいオーディエンスのユニークなニーズに応えるという点でフレキシブルでもある。

ジャーナリストにとって、同社のアピールポイントは安定性と成長へのフォーカスだ。「あなたは編集権限を持っていて、すべきことをするだけです」と同氏は話した。コミュニティの構築とグロースマーケティングに関して「我々はあなたをサポートできます。我々は何がうまくいくか、知っています」。おそらくジャーナリストにとって最も価値あることは、同じ道を歩んでいる他の記者のコミュニティであり、記者はコミュニティや購読者ベースを拡大するにつれ似たような問題に直面している。

OMGはこれまでのところカナダのブランドに特化し、バンクーバーやビクトリア、フレイザー・バレー、カルガリーといった都市をカバーしている一方で、同社のモデルをカナダ外に輸出する機会も手にしている。「米国、東南アジア、欧州の人たちとやり取りしました」とモハメド氏は話す。

明らかに現時点で、ローカルニュースの分析には特定の皮肉がともなう。何十年にもわたる不着火、出版帝国遺産の瓦礫の中での過度に楽観的な成功する夢、といったものだ。しかしOMGは仕掛けを持っていて、今回は少し違うかもしれない。

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nariko Mizoguchi

マーケター向けプラットフォームのUnbounceが自動コピーライティングのSnazzy.aiを買収

Unbounce(アンバウンス)は、カナダ・バンクーバーのスタートアップで、マーケターが自動化されたランディングページを作る機能で知られている。現地時間5月19日午前、同社は自動コピーライティングのアーリーステージスタートアップであるSnazzy.ai(スナジー・ドット・エーアイ)を買収して、新たな特色を加えた。両社とも買収条件を明らかにしていない。

Unbounceの最高戦略責任者であるTamara Grominsky(タマラ・グロミンスキー)氏は、会社はUnbounceユーザーが顧客を売上へと転換するのを助けることに焦点を当てており、Snazzyが加わることで、GPT-3人工知能技術に基づく優れたテクノロジーを手に入れたと語った。

「現在、当社では、マーケターがコンピューターを使ってコンバージョンの真の可能性を引き出すためのコンバージョン知識ソフトウェアの開発に注力しています 【略】 Snazzyには、特にコンテンツ作成とコピー制作の分野で当社の戦略を加速してくれることを大いに期待しています」とグロミンスキー氏は説明した。

グロミンスキー氏は、ランディングページの管理を任され、コピーライティングを含むさまざまな業務に責任をもつマーケティングゼネラリストがこの製品の真のターゲットだと指摘する。「Unbounceの平均的顧客は専門のコピーライターではないので、1日中コピーを書くことはありません。私たちがマーケティングゼネラリストやマーケティングの広い範囲の責任を持つ人について考えているのはその点です」と彼女は言った。

Snazzyの共同ファウンダーであるChris Frantz(クリス・フランツ)氏は、この技術は人々にスタートを切らせることが第一で、必要に応じて結果は微調整できるという。「いつでも最もむずかしいのは、最初の1行、最初の1ページに最初の何ワードかを書く部分です。Snazzyはそれを完全に取り除きます。結果はいつもすばらしいコピーになるとは限りませんが、何度でもボタンをクリックしてやり直せるが良いところです」と彼はいう。

フランツ氏は、この分野の競争は非常に激しいため、Unbounceのように大きなプラットフォームソリューションの一部になることで、ずっと早く市場を作れると彼と共同ファウンダーは考えたと語った。

「私はUnbounceの未来に対するタマラさんのビジョンが大好きです。彼女は非常に野心的なビジョンを持っていると思います。プロセスのごく早い段階で彼女は私の心を掴みました。同時に、この分野には数多くのライバルがいるので、Unbounceのように長年のマーケティング経験とコミュニティの厚い信頼をもつ会社と組むことは大きな差別化になります。当社のオーディエンスをさらに拡大する非常に強力なバネになると思っています」。

Snazzyは、ランディングページからGoogle広告のコピーまで、あらゆるタイプのコピーを書くために使える。会社は2020年10月にアルファ版を公開し、すでに3万社の顧客がおり、Unbounceはそれを自社の顧客に変換することを望んでいる、とグロミンスキー氏はいう。Snazzyユーザーにとってはうれしいことに、UnbounceはSnazzyを今後もスタンドアローン製品として継続しながら、今後そのテクノロジーをUnbounceプラットフォームに組み込んでいく計画だ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがご近所とつながる新機能「Neighborhoods」をカナダで提供開始

Facebook(フェイスブック)はご近所とつながったり、近所レベルのローカルニュースをキュレートする新機能の提供を始める。意外性のない「Neighborhoods」という名称の新機能は現在カナダで提供されており、間もなく米国のユーザーも試せるようになる。

TechCrunchが以前報じたように、Neighborhoodsは少なくとも2020年10月から技術上は使えるようになっていたが、使用はカナダ・カルガリーのリクルートされたユーザーに限定されていた。

Neighborhoodsでは、Facebookユーザーは別の専用サブプロファイルを作って、そこに趣味やカスタムの自己紹介を登録できる。自分で作ったご近所や現在地近くのご近所に参加して、置き配泥棒や最近の子どもたちについて文句を言ったり、あるいはNextdoorでやるようなことができる。

Nextdoorがモデレーションでかなり頭を悩ませていることを認識しているFacebookは、Neighborhoodsを「関連性があり、優しいもの」にするためにコメントや投稿をレビューするNeighborhoods専門のモデレーターを配置する、と話す。Neighborhoodsの中では、代理を務めるユーザーが会話をまとめたり始めたり、ときに軽いモデレーションをしたりするようだ。ブロック機能もついている。

プライバシーに関して、そこはFacebookだ。NeighborhoodsはFacebookから独立したアプリではなく、当然のことながらターゲット広告を表示するためにあなたのご近所での活動を共有することになる。

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タグ:Facebook広告SNSカナダ

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラがカナダ企業の特許を使い安価で環境に優しい新バッテリーを開発中

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2020年9月にTesla(テスラ)のBattery Dayのステージに立ったとき、リチウムイオンバッテリーの価格を半分にすると約束し、ニッケル金属電極を作る際の汚れた、そして複雑な過程を最初から作り直すことで価格を抑制できると主張した。

「溝を掘って、溝を埋め、そしてまた溝を掘ってと、とてつもなく複雑です」と同氏はイベントで述べた。「それで我々は全体のバリューチェーンに目をやり、どうやってこれを可能な限りシンプルにできるのか、と言いました」。

関連記事:イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言

最もシンプルなルートにはカナダの小さなバッテリースタートアップ、あるいは少なくとも同社の特許出願が含まれているようだ。

公開記録によると、Battery Dayの2週間前、Teslaはトロント近くに拠点を置く小さな会社Springpower International(スプリングパワー・インターナショナル)から数多くの特許出願を計3ドル(約330円)で購入した。

それらの特許出願の1つは、Teslaの上級副社長Drew Baglino(ドリュー・バッリーノ)氏がBattery Dayにカリフォルニア州フリーモントにある同社工場に設けられたステージで描写したものに似ている、イノベーティブなプロセスの詳細をつづっている。特許出願の購入は、特許そのものが最終的に2021年1月認められたとき、特許にはSpringpowerの記載はなく、Teslaに発行されたことを意味する。

電気自動車バッテリー向けの電極製造は従来、かなりの量の汚染水を生み出す。電極材料1トンを製造するのに、アンモニアや金属粒子、有毒な化学物質を含む4000ガロンもの汚染水が出る。Springpowerのプロセスは費用のかかる水処理を排除し、賢くも薬液を再循環させる

バッリーノ氏のプレゼンテーションでも、水を再利用し、排水を作らない手法が述べられた。事業費の75%以上の抑制に加え、同氏は次のように述べた。「当社はまた、同じプロセスをリサイクルされた電気自動車とグリッドストレージバッテリーから出る金属粉の消費に持ってくることができます」。

TeslaはSpringpowerの知的財産以上のものを獲得したようだ。Battery Dayの1週間前に、Springpower Internationalのウェブサイトは1つのホールディングページに変わった。それから数カ月して、何人かのSpringpowerの研究者は彼らのLinkdInプロフィールを変えた。それからするに彼らは現在、Teslaで働いているようだ

Springpower InternationalのCEOであるMichael Wang(マイケル・ワン)氏はコメントの求めに応じず、同社の電話交換台へのコールにも応答がなかった。同氏のLinkedInのページには現在、Teslaのスタッフ(バッリーノ氏含む)からの何十ものアップデートが表示されている。

電話で連絡をとったSpringpower Internationalの上級役員はTeslaによる買収を認めも否定もしなかったが、TechCrunchにTeslaの広報チームを案内した(Teslaは広報担当者を置いておらず、同社に送ったメールに返事はなかった)。

Springpower Internationalは、部分的には中国のバッテリー会社Highpower Internationalによって、Springpowerの子会社の研究部門として2010年3月に深圳で創業された。しかしHighpowerは6カ月もせずして、Springpower Internationalのテクノロジーが商業化から程遠いと判断して10万ドル(約1090万円)の投資を取り消してSpringpower Internationalと手を切った。

カナダ政府が出資したプログラムの「客員起業家」であるJames Sbrolla(ジェームズ・スブローラ)氏が、創業されて間もなかったSpringpower Internationalを指導するために介入した。同氏は同社が少額の補助金を、そして最終的に2018年に340万カナダドル(約3億円)の持続可能テクノロジー賞を獲得するのを手伝った。しかし同氏は2020年後半以降、Springpower Internationalの誰とも連絡をとっていないとTechCrunchに語った。

スブローラ氏は同社が買収されたかもしれないと聞いても驚かなかった。

「スマートな人たちのグループです。それについて疑う余地はありません」と同氏は話した。「Springpowerのもののようなテクノロジーは環境への負荷の削減で大きなメリットがあります。そして大企業を引きつけることでずっと早く、そしてより簡単にスケール拡大できます」。

ありそうなことだが、Springpower InternationalがTeslaによって買収されたのなら、2019年に同じように密かに買収された別のカナダのバッテリー会社Hibarを含む12社ほどの企業の仲間入りをしたことになる。

マスク氏はリチウムイオンバッテリーの専門的な部分に関しては長らく国境の北に目を向けてきた。2015年にTeslaはカナダ・ノバスコシア州にあるダルハウジー大学の主任バッテリー研究者で教授のJeff Dahn(ジェフ・ダーン)氏と5年間の独占的パートナーシップを結んだ。ダーン氏の名は同社の数多くのバッテリー特許に掲載されており、2021年1月に同社はダーン氏とのパートナーシップをさらに5年間更新した。

マスク氏は自社バッテリー生産を実現し、現在のサプライヤー(パナソニック、LG化学、 CATL)への依存を小さくしようと取り組んでいる。「いま当社はこのプロセスを手にしていて、独自の電極の設備を北米に建てようとしています」とバッリーノ氏はBattery Dayで述べた。

マスク氏はTeslaの新しいバッテリーテクノロジーの複合的なメリットによって2万5000ドル(約270万円)の車両が実現するかもしれない、と付け加えたが、あまりに多くをすぐには期待しないよう警告した。「こうしたアドバンテージを実現させ始めるのにおそらく1年から18カ月、完全に実現するのに3年ほどかかるでしょう」。

おそらくそれまでにSpringpower Internationalの役割はもう少し明らかになるだろう。

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タグ:TeslaバッテリーSpringpower Internationalカナダ電気自動車イーロン・マスク

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

チャットボットアプリの開発をもっと簡単にするツールのBotpressがシリーズAで16.2億円調達

Botpress(ボットプレス)は、カナダ、モントリオールのアーリーステージスタートアップで、デベロッパーが会話ベースアプリを開発するのをもっと簡単にしたいと思っている。タイプしたりクリックやタップをする代わりに、人間が話すことでやり取りできるアプリのことだ。同社は米国時間4月28日、1500万ドル(約16億3000万円)のシリーズAラウンドをDecibelとinovia Capitalのリードで完了したことを発表した。

「私たちは人間レベルのデジタルアシスタント機能を大衆に広めるために、デベロッパーが会話形AIアプリケーションを開発するのに必要なツールを提供しようとしています。【略】これは、従来のグラフィカルユーザーインターフェースの代わりに人間の言語をユーザーインターフェースとして使用するソフトウェアを開発、使用するための新しい方法です」とBotpressの創業者でCEOのSylvain Perron(シルヴァン・ペロン)はいう。

同社は、デベロッパーがこの種のアプリケーションを開発する際の複雑さを取り除くためのオープンソースツールキットを作った。「デベロッパーが私たちを選ぶのは、通常のソフトウェア開発のワークフローを変えることなく会話型AIを作るために必要なツールを提供しているからです」とペロン氏は説明した。

数年前、ペロン氏はボットアプリを作ろうとしたが、助けてくれる適切なガイドを見つけられなかったので、自ずからソリューションを作ろうと決心した。2017年にツールの最初のバージョンを公開して以来、世界で10万以上のデベロッパーがこのオープンソースのツールキットを使っている。その中にはFortune 500企業も数多くある。

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Decibelで投資責任者を務めるJon Sakoda(ジョン・サコダ)氏は、この会社はそんな大企業の関心を、自分たちがその企業を支援するビジネスへと変えているという。「現在、商用のオープンソースのソリューションは存在しており、多くの会社が有償で利用していますが、多くのオープンソース企業が成功する現状で、クラウド・プロダクトの需要が高まっているのがわかると思います。そして今回の出資によってBotpressは、ターンキークラウド製品の開発に投資できるようになると信じています」とサコダ氏はいう。

Botpressの魅力は、デベロッパーがノートパソコンで1時間以内にボットを作れることだと彼はいう。しかし、クラウドプロダクトを使うことで、開発したボットの展開とスケーリングにまつわる複雑さのレイヤーをもう1つ取り除くことができる。

同社はモントリオールおよびケベックシティにオフィスがあり、現在25名の従業員がいる。今回の資金で、2022年にはチームのサイズを3倍にする計画だ。その際、多様性と包括性が雇用の重要な目標だとペロン氏は話す。

「規模が大きくなる時、間違いなく包括性の高い会社であり続けることが重要だと社内で話し合っています。特にこのスピードで大きくなる時には、容易に非包括的なやり方になりがちなので、私たちにとってそれは常に念頭においている方針であり、正しく遂行していることを確認するために大きな努力をしています」と彼は言った。

会社は初期の段階からリモートで、ケベックシティにオフィスを開いたのはちょうどパンデミックが襲ってきたときだったので、ほとんど使う機会がなかった。ペロン氏は、オフィスに戻れるようになった時にはハイブリッド方式を取るつもりだが、出社するかどうかは従業員に任せると述べている。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

カナダのリーガルテックClioが約119億円を調達しユニコーンに

弁護士がクラウドベースのテクノロジーを使ってより効率的に業務を行うのをサポートしているソフトウェア企業Clio(クリオ)が現地時間4月27日、T. Rowe Price Associates Inc.とOMERS Growth Equityが共同でリードしたシリーズEラウンドで1億1000万ドル(約119億円)を調達したと発表した。

本ラウンドでブリティッシュコロンビア州バンクーバーを拠点とするClioの評価額は16億ドル(約1733億円)となり、ユニコーンステータスを獲得した。Clioの前回の資金調達は2019年9月で、そのシリーズDでは2億5000万ドル(約270億円)を調達した。最新のラウンドにより世界で「初の法務管理ユニコーン」となった、とClioは主張する。創業した2008年からの累計調達額は3億8600万ドル(約418億円)となった。

創業者でCEOのJack Newton(ジャック・ニュートン)氏は、2008年の不況のときに独立弁護士や小さな弁護士事務所が事業運営で苦労しているのを見て、Rian Gauvreau (ライアン・ゴーブロー)氏とともにClioを立ち上げた、という。歴史的に法務管理ソフトウェアは小さな弁護士事務所向けではなく企業を相手とする事業向けのサーバーベースのソリューションに限定されていた、とニュートン氏は話した。Clioはそれを変えるために設立された。

Clioの共同創業者ジャック・ニュートン氏とライアン・ゴーブロー氏(画像クレジット:Clio)

「MicrosoftのWindowsが数十年前にいかにPCのためのOSを定義したかということとよく似ていて、Clioは法律事務所やその顧客のためにクラウドベースで顧客中心のデザインのソフトウェアプラットフォームを開発しました」とニュートン氏は話した。

同社のプラットフォームは、クラウドベースの法務管理、顧客の獲得、法務CRMソフトウェアを提供する、弁護士のための「オペレーティングシステム」として機能することを目的としている。同社は世界100カ国に15万超の顧客を抱える。Clioを使っている弁護士の多くは小さな弁護士事務所所属か独立しているが、同社はLocks LawやKing Lawのような大手にもサービスを提供している。

業界特化型SaaSのClioは法律の専門家がより生産的になり、事務所を大きく育て「法律サービスをさらにアクセスしやすいものにする」のをサポートしているとニュートン氏は述べた。同社はまたクライアントが弁護士を、あるいは弁護士がクライアントを簡単に探し出せるようサポートすることも目指している。

画像クレジット:Clio

同社の財務状況についてニュートン氏は口を閉ざし、2019年の資金調達以来「爆発的」に成長してきた、とだけ述べた。この成長は新型コロナウイルスのパンデミックと、パンデミックによるあらゆるもののデジタル化によって加速した。現在の評価額は「相応」で「完全な」審査プロセスを経て成し遂げた、とニュートン氏は付け加えた。

Clioは、多くの場合において従来ペンと紙に頼っていた産業に向けたコアテクノロジーの構築にフォーカスしてきた。同社はまた法律テクノロジーを弁護士が使いやすいよう安価なものにすることも目指してきた。

変化は少しずつではあるが、新型コロナによって弁護士はどのように事務所を運営し、いかに法律サービスを顧客に提供するかについて根本的に再評価することを余儀なくされた、とニュートン氏は述べた。

「多くの事務所が、新型コロナでチームがバラバラになる中で、顧客データを事務所に保存することはもはや選択肢ではないと認識しました」と付け加えた。「過去にテクノロジーの受け入れをためらっていた弁護士や法律専門家は突然この新しい現実をすぐさま受け入れることを強制されました。このテクノロジー面での変更は危機対応である一方で、永続的な変化でもあります」。

2018年にClioは初めて買収した。ロサンゼルス拠点の法律テックスタートアップLexicataだ。ニュートン氏によると、Clioは新たに調達した資金でさらに買収する計画だ。同社はまた、引き続き同社のプラットフォームと戦略的提携にも新たな資金を注入する計画だ(同社は最近150以上のアプリと提携した)。

当然のことながら、Clioはスタッフも採用する。具体的には、プロダクトとエンジニアリングのチームを強化するために現在600人の従業員数を40%(250人)増やす計画だ。

「今後数年で当社は、法律サービスが提供される方法を完全に再定義し、クラウドという方法で法的支援へ誰でもアクセスできるようにします」とニュートン氏はTechCrunchに語った。「今回の資金によって計画を促進し、既存の顧客にさらに多くを提供できます」。

Clioは特にEMEA(欧州、中東、アフリカ)のマーケットで成長しており、現在は英国とアイルランドにフォーカスしている。

OMERS Growth Equityのマネージングディレクター、Mark Shulgan(マーク・シュルガン)氏は、同社がClioを何年もの間追いかけてきた、と声明で述べた。

「Clioは明らかにマーケットをリードする法務テック会社としての地位を確立し、今後数十年にわたって成長するでしょう」と話した。

カテゴリー:リーガルテック
タグ:カナダClio資金調達ユニコーン企業弁護士

画像クレジット:McIek / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

半導体IPのカナダ企業Alphawave IPが英国で上場へ、本社も移転

Alphawave IPは、半導体の回路にフォーカスしているグローバルの半導体IP会社だ。5Gデータネットワークが展開され、家庭から産業、自動走行車両まであらゆるものを動かし始めるときに、半導体の回路は重要なものとなる。

それゆえに、トロントで創業した同社が評価額45億ドル(約4842億円)でロンドンでの上場を計画しているというのは興味深い。同社はBlackrockとJanus Hendersonから5億1000万ドル(約548億円)を調達した。また、同社は上場の一環として本社を英国へと移す予定だ。

Deliverooの評価額が英国でのIPO後に悲惨なものになったこともあり、Alphawave IPの動きは英国のテック株式リストウォッチャーに歓迎されている。

CEOのTony Pialis(トニー・ピアリス)氏は「当社は事業を成長させるために英国に来ることを選びました。英国は驚くべきテクノロジーと半導体産業のエコシステムを持っています。知識、経験、そして人材の蓄積が英国にはあります。我々はコネクティビティの専門家です。創業チームは20年以上にわたって一緒に働いていて、半導体イノベーションと投資家のために大きな価値を創造することにおいて長い歴史を持っています」。

Alphawave IPの上場は、別の英国拠点のディープテック会社である半導体設計のArm Holdingsが米国の会社に売却されようとしている中でのものとなる。Arm Holdingsの売却は英国の国家安全保障上の懸念から調査が行わることになり、遅延している。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Alphawave IP半導体カナダイギリス新規上場

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

小規模事業者がAmazonと競合できるようにする同日配達プラットフォーム「Tyltgo」

Tyltgo(ティルトゴ)は、レストランや小規模事業所がAmazonやHelloFreshなどが提供している同日配達サービスと簡単に競合できるようにしたいと考えている。このほどシードラウンドで230万カナダドル(約1億9800万円)調達したカナダ企業Tyltgoは、ホワイトラベルのUber Eatsのようなものだ。事業所をギグエコノミーの配達人と結びつけ、事業所のブランド下でのオンデマンド配達プラットフォームを提供している。

「自社のことを購入後体験の会社だと考えています」と共同創業者でCEOのJaden Pereira(ジェイデン・ペレイラ)氏はTechCrunchに語った。「消費者は直接事業者のプラットフォームにいき、そこで注文します。ですのでエクスペリエンス全体を通じて購入したブランドとやり取りしているような感じになります。当社のメッセージやノーティフィケーション、追跡ページ、配達はすべて業者のブランドにカスタマイズされますが、Tyltgoによって動いています」。

パンデミックによる外出禁止令が出ている間、Amazonのようなeコマース大手がかなりリーチを広げたのとあわせ、プロダクトを配達する必要性は同日配達を期待する社会を作り出した。Tyltgoはそうした現実の中に排他性があることに気づいた。小規模事業者は時間やリソースが限られているという事実だ。そして同社はイノベーティブなテックとギグエコノミー配達人でもって状況を改善することに乗り出した

2018年7月、ペレイラ氏はウォータールー大学で勉強しながら同級生でデベロッパーのAaron Paul(アーロン・ポール)氏と共同で会社を設立した。ペレイラ氏は自身、アルバイトで配達を行い、その一方でShopifyで消費者相手のサービスを構築した。ペレイラ氏とポール氏は真の問題は事業者が安価な価格で同日配達を提供するのに苦戦していることだと認識し、2019年10月にB2Bへとフォーカスをシフトした。

2019年12月から2020年12月にかけて、Tyltgoの売上高は2000%成長した、とペレイラ氏は話す。同社は2020年を2人で迎えたが、その年の終わりには9人に増えた。ここには、Uber Eats Canadaマーケットプレイスオペレーションの元責任者Joe Rhew(ジョー・ルー)氏、Goldman Sachsに買収されたフィンテック企業Financeitでエンジニアリングのディレクターを務めたAdnan Ali(アドナン・アリ)氏が含まれる。

VCファームTI Platform Management、Y Combinator、エンジェル投資家Charles Songhurst(チャールズ・ソングハースト)氏からの資金により、Tyltgoは2021年の売上高成長率1500%を予想する。同社の目標は、チームを拡大してAPIとアプリベースのプラットフォームを開発し、オンタリオ州で事業者を100社増やすことだ。

ペレイラ氏はTyltgoがもともと花屋、そして時々薬局にフォーカスしていたが、レストラン業界からの需要が新たなターゲットである食事キット配達につながった、と話した。

完全に計量された材料と調理法の案内で料理の難しい面をカバーしている食事キットのサービスは、その前から人気を獲得しつつあった。パンデミックに見舞われたとき、HelloFreshやBlue Apronのようなサービスはさらに成長した。レストランは店をオープンし続けるのに苦戦し、多くの店が温めるだけ、あるいはすぐに食べられるレストラン品質の食事を配達することになった。

グローバルの食事キット配達サービスマーケットは2027年までに約200億ドル(約2兆1616億円)に達すると予想されている。中でも、温めて食べるだけというオプションがかなりの割合を占める。Tyltgoは業界の成功を頼りにしている。すでにGeneral Assembly PizzaやCrafty Ramenといったレストラン、グローサリーストアやオーガニック農園の従来型の食事キットサービスとの提携を確保した。

ペレイラ氏は、花や食事キットという「準生鮮業界」での取り組みは同社にとってチャレンジであり、差別化要因だと話した。配達するものにもよるが、Tyltgoは商品の鮮度を維持できる時間を決め、その時間に合わせてドライバーをマッチする。同社はまた、数多くの配達を配達人の車両のサイズに合わせて割り当てる高度な車両管理プラットフォームを導入した。

「初期においての最も困難な部分は、商品にダメージを与えることなくそうした鮮度維持時間をマッチさせることでした」とペレイラ氏は話した。「ロジスティックでは、交通状況や気象状況、他のすべてを考慮しなければなりません。しかし35件の配達を行うのに8時間の配達時間があります」。

もう1つの課題は、ギグエコノミーの中で展開しながらTyltgoが宣伝する最高品質のサービスを確保することだ。信頼できる配達人の選択はTyltgoの業務のスピードを時に緩やかなものにしたが、同社はエラーの上限値を低く維持できる場合にのみ対応能力を拡大させる。

「当社は、配達に対応する能力がなく期待にも応えられないと考えれば、事業者をサービスに引き込みません」と同氏は述べた。

Tyltgoの食事キットへのフォーカスが長期的に事業拡大へとつながるかどうかはさておき、プラットフォームそのものはしっかりとしている。ペレイラ氏の目標は、同社がすべての小売業の部門での購入後顧客エクスペリエンスの一部になることだ。ここには配達に加えて顧客サービス、ブランディング、決済への業務拡大が含まれる。

「当社がこのサービスを行っているのは、小規模の実在店舗小売業者の多くが世界のAmazonと競うことができるようになるための時間やリソースを持っていないということが主な理由です。当社は小売業者の手に力を与えることができるようになりたいのです」とペレイラ氏は述べた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Tyltgo配送ギグエコノミーカナダフードデリバリー

画像クレジット:Tyltgo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドキッチンスタートアップJustKitchenがカナダのTSX Venture Exchangeに上場へ

クラウドキッチンのスタートアップであるJustKitchenは米国時間4月15日木曜日の朝、トロント証券取引所(TSX)のVenture Exchangeの取引を開始する。すでに同社は3000万ドル(約33億円)の評価額で800万ドル(約8億7000万円)を調達しており、普通株式による直接上場を行う。

JustKitchenによると、これは北米で最初ではないにしても、クラウドキッチン企業として初期に上場した会社の1つとなる。同社は2020年に台湾で事業を開始し、現在はカナダで法人化され、香港、シンガポール、フィリピン、米国にも進出する計画だ。TSX Ventureは、業種によって一定のしきい値に達するとメインボードに移行できる、スタートアップを含む新興企業のためのトロント証券取引所のボードだ。

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「これは市場に参入するための非常に便利な方法で、特にゴーストキッチン業界ではアーリーステージであり、多くの滑走路があります」と、共同創業者兼CEOのJason Chen(ジェイソン・チェン)氏はTechCrunchに次のように語っている。「私達はできるだけ早く事業を開始し、市場に進出する必要性を感じていました」。

JustKitchenのIPOラウンドには、(2020年同社のアクセラレータープログラムに参加した)以前からの投資家であるSparkLabs Taipeiや、トロントの投資機関、リテール顧客などが参加した。チェン氏によると、JustKitchenの発行済み株式の半分以上は同社の役員、取締役、従業員が所有しているという。

JustKitchenがTSX Venture Exchangeへの上場を決めた理由の1つは、チェン氏がカナダの資本市場と密接な関係にあることだ。同氏は投資銀行家として勤務した後、台湾に渡ってスタートアップを立ち上げた。またJustKitchenの役員の中にも、TSX Venture ExchangeのLocal Advisory CommitteeのメンバーであるDarren Devine(ダレン・ディバイン)氏をはじめ、カナダの資本市場で活躍している人が数名いる。

これらの要因のため、JustKitchenの今回のボードへの上場は自然な選択だったと、チェン氏はTechCrunchに語った。その他の理由としては、企業が一定の基準(時価総額や純利益率など)をクリアすれば、自動的にTSXのメインボードに進めることや、他国での二重上場が容易であることなどが挙げられる。JustKitchenも、米国のOTCQBとドイツのフランクフルト証券取引所に上場する準備を進めている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:JustKitchenゴーストキッチンカナダ新規上場台湾

画像クレジット:JustKitchen

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少ない計算機資源で機械学習モデルをエッジで展開するためにDeepliteが6.6億円のシード資金を調達

機械学習アプリケーションを展開する際の問題点の1つは、高い計算能力を必要とし、コストがかかる傾向があることだ。モントリオールに拠点を置くスタートアップのDeeplite(ディープライト)は、モデル全体のサイズを縮小し、より少ないリソースのハードウェアで動作させる手段を提供することで、この状況を変えたいと考えている。

カナダ時間4月13日、同社は600万ドル(約6億6000万円)のシード資金調達を発表した。ボストンを拠点とするベンチャーキャピタルのPJCがこのラウンドを主導し、Innospark Ventures、Differential Ventures、Smart Global Holdingsが参加した。またSomel Investments、BDC Capital、Desjardins Capitalも参加している。

DeepliteのCEOで共同創業者のNick Romano(リック・ロマーノ)氏によると、同社の目標は、実行に大量の計算能力と大量のメモリを必要とし、速いペースで電力を消費する傾向のある複雑なディープニューラルネットワークを、少ないリソースでより効率的に実行できるようにすることだという。

「私たちのプラットフォームは、そうした学習モデルを新しいフォームファクターへと変換し、制約のあるエッジハードウェアに展開することができるのです」とロマーノ氏は説明する。それらのデバイスは、携帯電話やドローン、あるいはRaspberry Pi(ラズベリーパイ)のような小さなものにすることも可能だ。つまり、開発者は、現在のほとんどのケースでは不可能な手段でAIを導入することができるのだ。

同社が開発したNeutrino(ニュートリノ)というプロダクトは、モデルの展開の仕方や、モデルを全体のサイズを小さくし実運用に必要なリソースを削減するために、どの程度の圧縮を行うべきかを利用者が指定することを可能にする。基本アイデアは、極めて限られたリソースの下で、機械学習アプリケーションを実行しようというものだ。

最高製品責任で共同創業者のDavis Sawyer(デイビス・ソーヤー)氏は、同社のソリューションが活躍するのは、機械学習モデルが構築されてトレーニングが終わり、実運用の準備が整った後だという。ユーザーはモデルとデータセットを提供し、より小さなモデルをどのようにビルドするかを決めることができる。そのためには、許容範囲内で精度を多少落とす可能性もあるが、主に行われるのは、圧縮レベルの選択(すなわちどれだけモデルを小さくするか)だ。

「より安価なプロセッサーへ展開できるように、圧縮することでモデルのサイズを小さくすることができます。中には、200MBが11MBになったり、50MBが100KBになったりする事例もあります」とソーヤー氏は説明する。

PJCで今回の投資を担当しているRob May,(ロブ・メイ)氏は、チームならびに、スタートアップが開発しようとしている技術に感銘を受けたという。

「AI、特に深層学習をリソースに制約のあるデバイスに展開することは、AI人材やノウハウが乏しい業界で幅広い課題となっています。エッジAIが主要なコンピューティングパラダイムとして成長し続ける中で、Deepliteの自動化されたソフトウェアソリューションは、大きな経済的利益を生み出すでしょう」とメイ氏は声明の中で語っている。

この会社のアイデアは、モントリオールにあるインキュベーターTandemLaunch(タンデムローンチ)にルーツがある。Deepliteは2019年半ばに会社として正式に立ち上げが行われ、現在の従業員は15名だが、2021年中にその数を倍増させる予定だ。会社を創業するにあたり、創業者たちは多様性と包括性のある組織を作ることを重視していると、ロマーノ氏はいう。

彼は「私たちは、確実に多様で包括的な方法で、適切な人材を見つける戦略を採用しています。それが組織のDNAなのです」と語る。

この先可能になったときには、モントリオールとトロントに従業員同士のハブとなるオフィスを設置する予定だが、オフィスに出社する必要はない。

「私たちがすでに議論済ですが、基本的にはみんなが自由に出入りできるようにし、かつてのように大きなオフィススペースを必要とするとは考えていません。皆、自分の都合に合わせて、リモートやバーチャルで仕事をすることができるようになります」とロマーノ氏はいう。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Deeplite機械学習資金調達エッジAIカナダ

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

カナダ最高裁が炭素税を支持、関連スタートアップの爆発的な増加に期待

カナダ最高裁判所は2021年3月第4週、政府による炭素排出に課税する計画を合法であると裁定した。気候変動に焦点を当てているこの国のスタートアップにとって極めて大きい意味を持つ決定だ。

この裁定は、約2年にわたった法廷闘争に終止符を打ち、温室効果ガス排出削減技術を開発するカナダのスタートアップに対する投資と商業支援の基盤を作るものだと、世界最大級の公益事業・石油化学企業の投資家や起業家は述べている。

「炭素にかかる費用の増加は、カナダを脱炭素のブレークスルー技術のスケールアップや炭素捕捉などのソリューションの展開、産業の電化、電気分解による水素生成などの重要拠点にする可能性があります」と、大手エネルギー企業を代表してスタートアップを支援するファンドに関わる投資家はいう。

この2018年温室効果ガス価格づけ法案は、Justin Trudeau(ジャスティン・トルドー)首相が推進するカナダ気候政策の中心をなすものだ。同法案は全州が従うべき最低基準価格を設定しているが、州はさらに高い価格を設定することもできる。これまでに同国の13州のうち7州が、国の設定した「最低税額」を設定している。

その価格は1炭素トン当たり30カナダドル(約2620円)だが、2030年までに170カナダドル(約1万4830円)まで上がることが決まっている。この数字はカリフォルニア州民が州の炭素価格プランの下で支払う金額より少し高く、Northeastern Regional Greenhouse Gas Initiative(北東地域温室効果ガスイニシアチブ)が設定している炭素価格の約4倍だ。

画像クレジット:Gencho Petkov / Shutterstock

この計画では、カナダ政府が課税した金額のほとんどが、温室効果ガス排出を削減するプロジェクトや技術の支援、および業界の持続可能な取り組みの推進に用いられる。

「気候変動は現実です。これは人間の活動による温室効果ガス排出が原因であり、人類の未来に深刻な脅威をもたらします」と、最高裁判所のRichard Wagner(リチャード・ワグナー)長官が判決文に書いた。

アルバータ州、オンタリオ州、サスカチュワン州の3州では、温室効果ガス政策の合法性に対する異議申し立てがなされており、アルバータ州では訴えが最高裁判所に持ち越され、国の価格政策の施行を停滞させていた。

障壁が取り除かれたことで、世界の起業家や投資家は、この炭素政策がカナダのスタートアップの未来を直ちに後押しすることを期待している。

「これは政府による根本的な支援と多額の資金調達の可能性を意味しています。気候変動緩和に取り組むテック企業の意義を立証、支援するであろう分野別開発に向けた包括的支援を望むなら、政府がその重要性を公言し、金の心配はいらないと言ってくれるほどすばらしいことはありません」とBeZero CarbonのファウンダーであるTommy Ricketts(トミー・リケッツ)氏はいう。「カナダのスタートアップにとってこれ以上の条件はありません」。

カナダ炭素税の恩恵を直接受ける企業の中には、廃熱発電を含む脱炭素プロジェクトを進めているKanin Energyや、現在、Xprize炭素コンテストに参加中で二酸化炭素をエチレンに変換する方法を研究しているCERT、おなじく二酸化炭素変換技術に取り組んでいるSeeO2などがある。

地熱技術のQuaiseとEavorや、カナダの輸送産業の電化に焦点を当てている企業も後押しを受けるだろう。

さらに別の分野では、Panetary Hydrogenのように水素生成と炭素捕獲を組み合わせることで海洋の脱酸に寄与しようとしている会社も好影響を受けるだろう。

「スタンドで売られるガソリンのことを考えてみてください。そこには追加料金がかかることになります」と世界最大級の石油・ガス会社のベンチャー部門で働く投資家が非公式な発言として語った。「クリーンなエネルギーは、間違いなく価格が下がります。そしてこの税金の行き先を考えてみてください。そのほとんどは政府によるクリーンエネルギー技術や気候変動技術会社への資金提供に使われます。つまり、炭素排出削減分野のスタートアップは二重に恩恵を受けるのです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:カナダ二酸化炭素

画像クレジット:Getty Images under a Roberto Machado Noa license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウェブの変更をスキャンするVisualpingが2.2億円を調達、ワクチン接種状況なども検出可能

バンクーバーで起業し、トロント証券取引所に小さな会社を公開したSerge Salager(セルジュ・サラガー)氏は、数年前その会社を買いたいという大金持ちの買い手に声をかけられた。うれしく思う反面、この買い手が他には誰と交渉しているのか気になって、サラガー氏は、買収の可能性がある他のターゲットについての価格や機能の変更情報や求人情報などのニュースを、ウェブ上で夢中になって探した。

サラガー氏の懸念は正しかった。その買い手はライバル会社を買収したのだ。だが良いこともあった。このことでサラガー氏は新しいビジネスアイデアを思いついたのだ。それは、ウェブを横断して変更された情報を追跡するために、既存のものよりもはるかに優れたサービスを作ることだった。

こうしてVisualping(ビジュアルピング)が誕生した。16人の従業員を抱える6歳のこの会社は、インターネット全体の変更をモニタリングしている。現在150万人のユーザーを獲得しているが、そのうちの何割か(数字は非公開)のユーザーは、フォローしているウェブページやキーワードの数に応じて、毎月のサブスクリプションフィーを支払っている(1日2回までの検索は無料、最多で1日667回までの検索は月額97ドル、約1万600円がユーザーに課金される)。

ジャーナリストたちには、取材対象となる人物や企業を追跡するのに役立つサービスとして好評だ。法律事務所は、変化する規制やその他の情報を把握するためにこのツールを利用している。また、Apple(アップル)の従業員は、会社に対してどこで何が言われているかを把握するために使っている。

ユースケースはほぼ無限にあるが、Visualpingの持つ優位性は、その明らかな使いやすさにある。ユーザーが、監視したいページや、ページの一部のスクリーンショットやキーワードを指定するだけで、サイトが変更されたり、どこかにキーワードが出現したことを、Visualpingがメールで知らせてくれる。

Visualpingはブラウザの拡張機能を提供しており、今夏にはモバイルアプリもリリースする予定だという。そのVisualpingもまた、パンデミックの恩恵を受けている企業だ。実際、Rite Aid(ライト・エイド)やCVSのような企業のサイトを延々と更新し続ける代わりに、Visualpingを使って新型コロナウイルスの予防接種の実施状況を確認する人が増えている。これは最近このスタートアップをWSJ、CNBC、Fox Newsなどが取り上げたことが大きい。

一方、他のデータ企業と同様に、Visualpingはユーザー求めに従って生成している情報に機械学習を適用することで、常に賢くなり続けているとサラガー氏は主張する。例えばあるページのバナー広告が変更されたときにはアラートを出すことはないし、またユーザーが大幅な価格変更を追跡している場合には、Visualpingはその価格変更が一定の閾値を満たすまでは、アラートの送信を控えることができる。

もちろん、データにはプライバシーの問題がつきものだが、この点についてサラガー氏は、Visualpingはデータ保護とプライバシーに関するEUの法律であるGDPRに完全に準拠していると主張している。

サラガー氏はまた、将来的にはGoogleのように顧客の検索傾向に基づいてターゲット広告を提供することも考えられるが、Visualpingを知ってもらえる企業が増えてきたこともあるので、現在は新たな エンタープライズ製品の構築に全力を注いでいるという。このビジョンは投資家たちにも支持されていており、サラガー氏は、Visualpingが2020年12月にカナダのファンドであるMistral Ventures、そしてN49PとAngelListシンジケートから200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を獲得したことを初めて公にした。

これは莫大な資金ではないが、Visualpingが生み出している収益を考えれば、今後2年間を乗り切るのに十分な資金だと彼はいう。ではそのあとは?私たちはサラガー氏に、将来的な提携を考えているかどうか、また、前の会社で起きたことを踏まえて、買収交渉に応じるかどうかを聞いてみた。

彼はどちらの質問にも率直に「はい」と答えた。彼はVisualpingが「Dropbox(ドロップボックス)のような公開企業になる」というシナリオもあるが(Dropboxも消費者向けのサービスを提供していたが、後にビジネス向けのサービスを拡大した)、もう1つ考えられるのは「Googleへの統合です」と付け加える。「私たちの製品はGoogle Alerts(グーグル・アラート)とは非常に相性が良いと思っていますので、Googleによる買収も狙い所の1つかもしれません」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Visualping資金調達カナダ検索

画像クレジット:Visualping

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)

カナダのコーヒーチェーンTim Hortonsが中国事業拡大でTencentなどから資金調達

カナダのコーヒーとドーナツのチェーンTim Hortons(ティムホートンズ)は中国事業向けに新たな資金を調達した。この投資ラウンドはSequoia Chinaがリードし、中国におけるTim HortonsのデジタルパートナーであるTencentとEastern Bell Capitalが参加した。Tim Hortonsは2年前にブームを迎えていた中国のコーヒー産業に進出した。

Tim Hortonsは最新の調達額を明らかにしなかったが、ソーシャルメディアへの投稿で資金はさらなる店舗展開、デジタルインフラの構築、ブランドプレゼンスなどに使うとした。

中国のソーシャルメディアエンターテイメント大企業Tencentは2020年5月に創業57年のTim Hortonsに初めて出資した。当時、両社のタイアップは  Tencentの最大のライバルであるAlibabaへの対抗措置だとみられていた。Alibabaは米国のコーヒー大手Starbucksが中国で事業を展開し、デジタル化を進めるのをサポートするために提携していた。

Tim HortonsのWeChat親会社とのコラボレーションは同じようなものだ。同社はこれまでのところ、インスタントメッセンジャーの中で動く軽量アプリの一種であるWeChatミニプログラムを通じて会員300万人を集めている。中国の若い消費者にアピールするために、Tim Hortonsは中国最大のゲーム会社であるTencentとeスポーツがテーマのカフェを開いた。

中国で事業を展開して2年が経つTim Hortonsは主要10都市150店舗を開き、店頭レベルでは黒字になっていると話す。2021年はさらに200店舗超を追加し、今後5年で中国で1500店舗を展開する計画だ。

コーヒーデリバリースタートアップのLuckinのドラマティックな躍進凋落は中国のコーヒーマーケットの見通しを前面に押し出した。Luckinや他のコーヒー会社をめぐる投資の熱狂にもかかわらず、米国やドイツのような国に比べると中国ではコーヒーを飲む習慣はあまり浸透していない。一方で、中国のコーヒー消費量は世界平均2%を優に上回る15%という割合で急増していて、Dongxing Securitiesの2020年レポートによると、2025年には1兆人民元(約16億円)のマーケットに達すると予想されている。

カテゴリー:その他
タグ:Tim Hortons資金調達カナダTencent

画像クレジット:Tim Hortons via Weibo

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Clearview AIの顔認識技術はカナダでもプライバシー侵害で違法

物議を醸し出している顔認識技術のClearview AIが、カナダ人の写真を断りなく無許可で収集したとして、同国政府直属のプライバシー監視団体から有罪を宣告された。

ニューヨークに本社のある同社は1年前に、30億以上の人の顔の写真を集めたと主張し、警察など法執行機関との関係を自慢して、派手に報道された。しかし同社はソーシャルメディアのサイトを同じく無許可でスクレイピングして大量の批判を浴び、FacebookやLinkedInやTwitterなどは同社に停止命令を送り、それを止めさせようとした。

カナダのプライバシー委員会(Office of the Privacy Commissioner)は声明で、調査の結果Clearviewは「個人の知らないうちに、あるいは個人の同意を得ずに、きわめて機密性の高い生体情報を収集した。」しており、同スタートアップは「カナダ人の個人情報を不適切な目的のために収集、使用、および開示したものであり、同意によって適切に提供することができないもの」と述べている。

Clearviewは反論し、カナダのプライバシー法は適用されない、なぜなら同社はカナダとの「現実的で実質的なつながりがない。スクレーピングした画像は一般的に公開されているものであり、同意は必要ない」と主張している。

これは、同社の法廷闘争の続編になる。というのも同社はすでにイリノイ州で、バイオメトリック保護法違反で集団訴訟に直面している。その州法は2020年に、Facebookに対して5億5000万ドル(約578億7000万円)の罰金を支払わせることとなった。

カナダのプライバシー監視当局はClearviewの主張を退け、カナダ人への情報収集の中止や以前に収集した画像のすべての削除などの勧告に同社が従わなければ「他の行動を取る」と述べている。

Clearviewは2020年7月に、その技術をカナダの顧客に提供中止を発表した。しかしながら、すでに王立カナダ騎馬警察とトロント警察が同社の技術を使用していやた。

「Clearviewがやっていることは大規模な監視であり、違法だ」とカナダのプライバシー委員会のDaniel Therrien(ダニエル・テリエン)氏はいう。「これは個人のプライバシーの権利を侵害するものであり、社会のすべての構成員に広範な害を及ぼす。これはまったく受け入れられるものではない」。

Clearview AIの弁護士であるDoug Mitchell(ダグ・ミッチェル)氏は次のように述べている。

「Clearview AIの技術はカナダで利用できず、カナダでは運用されていない。いかなる場合にもClearview AIが集めるものはインターネット上の公開情報のみであり、それはカナダの情報保護法PIPEDA(Personal Information Protection and Electronic Documents Act)により明示的に許可されている。連邦控訴裁はプライバシーに関する裁定で、「一般に公開されている情報は広い意味での一般市民が利用できアクセスできる情報である」と述べている。ここには、これと異なる基準を適用すべき理由は存在しない。Clearview AIは、カナダでの活動を許されているGoogleなどの大企業と同じく、公開データを集めている検索エンジンにすぎない」。

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タグ:Clearview AIカナダ顔認証プライバシー

画像クレジット:Design Cells/Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

自動運転トラックで食料・生活雑貨などを運ぶGatikがカナダ小売大手Loblawと提携

「中距離」専門の自動走行車両スタートアップGatik(ガティック)は、顧客がオンラインで注文したグローサリー、食料や生活雑貨、日常品などをWalmart(ウォルマート)のために輸送するのに自動運転ボックス型トラックを使用している。そして現在、GatikはシリーズAで2500万ドル(約26億円)を調達し、小売大手Loblaw(ロブロー)との提携の下、カナダに進出する。

Gatikは米国11月23日、トロントに配置する5台の自動運転ボックス型トラックが2021年1月からLoblawの商品輸送に使われると発表した。共同の試験事業として、全車両にセーフティドライバーが乗り込む。トロントエリアで10カ月にわたって走行するこのトラックは、カナダでは初の自動運転配達車両となる。

「多くのカナダ人がオンライングローサリーショッピングに目を向けるようになっていて、当社のサプライチェーンをより効率的なものにする方法を模索してきました。中距離の自動走行車両による配達は素晴らしい例です」とLoblawのデジタル担当上級副社長Lauren Steinberg(ローレン・ステインベルグ)氏は声明文で述べた。「今回の展開により、トロント内の店舗のPC Expressオンライングローサリー注文の需要に対応するために、当社の自動化された商品選別施設から1日に複数回商品を出すことができます」。

自動走行車両を使って配達する他の企業と異なり、Gatikは消費者をターゲットとはしていない。その代わり、同社は大型の配送センターから小売店舗へと商品を運搬するのに自動走行トラックを使っている。Loblawとの事業では、GatikはFord(フォード)のTransit 350ボックストラックに冷蔵設備、リフトゲート、そして自社の自動走行ソフトウェアを搭載する。

「小売事業者はロジスティック業務における最大の非効率性が中距離の商品輸送にあることを知っています。自動化された商品選別施設と小売店舗の間の距離が典型的なものです」とGatikの共同創業者でCEOのGautam Narang(ゴータマ・ナラン)氏は声明文で述べた。「それこそがGatikが取り組み、成功している分野であり、当社が顧客にすぐさま価値を提供できる理由です。Loblawのサプライチェーンの重要な問題を解決すべく提携できることをうれしく思います」。

Gatikの「中距離」B2BへのフォーカスはWalmart、そしてGatikのシリーズAラウンドを共同でリードしたWittington VenturesInnovation Endeavorsといった投資家を引きつけた。既存投資家のDynamo Ventures、Fontinalis Partners、AngelPadとともに、FM CapitalとIntact VenturesもシリーズAラウンドに参加した。同ラウンドはLoblawとの提携と一緒に発表された。Gatikの累計調達額は2950万ドル(約31億円)になる。

同社は調達した資金を北米での業務の増強、そしてカリフォルニア州パロアルトとトロントの施設での雇用に充てる計画だ。小売事業者との提携と車両配置の拡大を進めている、とナラン氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GatikLoblawグローサリー自動運転資金調達カナダ

画像クレジット:Gatik

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(翻訳:Mizoguchi

代用肉バーガーのImpossible Foodsがカナダのファストフードチェーンに進出、北米事業を拡大

カナダで一部の高級バーガーレストランに進出したImpossible Foods(Business Wire記事)が今度は、同じくカナダの大衆的ナショナルファストフードチェーンであるWhite Spot、Triple O’s、Cactus Club CafeそしてBurger Priestに新メニューを投入する。

どの名前も米国に住む私には聞きなれないものだが、カナダで暮らす読者のみなさんにはおなじみだろう。カナダも、QdobaやWahlburgersそれにRed Robinなら私も知ってる。そしてカナダの人は、これらのチェーン店でもImpossible Foodsをベースにしたメニューを買うことができる。

2016年にニューヨークのMomofuku Nishiでデビューして以来、Impossible Burgerは全米3万店のレストランで提供され、1万1000の食料品店で販売されている。

シリコンバレーで生まれた食肉代替製品のメーカーであるImpossible Foodは、アジア以外で初となる外国市場であるカナダが、米国に次ぐ2番目に大きな市場になると期待している。

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カテゴリー:フードテック

タグ:Impossible Foods Impossible Burger カナダ

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米テック企業のモラルが損なわれている今、カナダは正しい価値観の中でテックを構築するのに最適の場所だ

拠点であるシリコンバレーが生み出す輝きや利益など、米国のテック産業は最近まで科学、発展、起業家精神といったもので米国を素晴らしい国にしているまぶしい存在だった。しかしテック大企業に対する世論は驚くほど急激に厳しいものになった。否定的な見方が2015〜2019年の間に17%から34%に倍増した(Pew Research Center記事)。懸念材料は多く、そこにはプライバシー、労働者の待遇、マーケットプレイスの公正さ、広告入り媒体の惨状、パブリック・ディスクロージャー(公共政策に関わるような報道や発言)の悪意などが含まれる。

しかしこれらの背後に1つの大きな問題がある。業界が成長、利益、パワーに貪欲で、従業員や顧客、社会全体の住人を人間として適切に扱わなかったことだ。プロダクト、企業、エコシステムは人々によって人々のために作られているということを心に留めておかなければならない。そうしたものは社会の価値を反映する。そして現在、米国の価値は酷い状態だ。

筆者2人は、マイクロプロセッサーやエレキギターを生み出した米国に対し多くの尊敬の念と愛着を抱いている。我々は米国でテックキャリアを追求することができたが、度重なる誘いを断って母国カナダに留まることを選んだ。もし、一部の人のための自由やインクルージョンではなく、多くの人のための公平、ダイバーシティ、社会の進歩に活用されるテクノロジーを構築したいのなら、カナダは絶好の場所だと我々は考えている。

正確にいえば、米国のテック大企業はあまりにも多くの資金、パワーを持ちながら、さほど責任を負っていない。トップのテック企業は明らかにイノベーションの恩恵を最大限に受けているが、社会的コストにはほとんど目を向けていない。テック大企業は素晴らしいものを作っている。しかし彼らはまた暮らしを崩壊させ、プライバシーを侵害し、自社のプラットフォームを乱用している。

筆者2人はテックは物事を良くするものだ、という時代に育ってきた。今日のテック大企業の一部も同様だ。テック大企業4社のCEOがつい最近、議会で証言した。彼らは独占禁止法違反の疑いで質問攻めにあったが、その様子を見ていた人の多くが、そうした企業に関連する他の害について考えていた。その害とは、税金逃れ、プライバシー侵害、データマイニング、監視、検閲、虚偽の拡散、有害な副産物、従業員福祉の軽視などだ。

しかし業界の問題はプロダクトそのものではない。あるいは、それらを作っている人々でもない。テック労働者は、働いている企業よりもかなり進歩的な傾向にある。例えばFacebook(フェイスブック)のスタッフはDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の投稿に対して仕事をボイコットして反対の姿勢を見せた。

テック大企業の問題には、米国が対応に苦慮している問題が凝縮されている。テック大企業の財務諸表にも反映されている経済格差、テック業界がマイノリティや優秀な移民を擁するのを阻む人種差別的な政治などだ。

我々は特に、トランプ政権のH-1Bビザ保有者の機会を取り上げるという最近の動きに衝撃を受けた。家族が何年も離れて暮らした後のビザ発行禁止と反移民レトリックであり、これは世界中からのIT専門家やエンジニア、プログラマー、研究者、医師、起業家、未来のリーダーつまり米国の現在の繁栄を築いた才能ある新規転入者たちをもっと受容力のある国に送ると判断したものと受け取れる。

そうした受容力のある国の1つが、筆者が居住し働いているカナダだ。カナダは長らく移民を受け入れてきたが、近年は米国で不快な思いをしたり必要とされていないと感じている優秀な人材をすくいとる政策で長年続いていた頭脳流出の問題を転換させた。カナダにはGlobal Talent Streamという移民プログラムがある。これはイノベーティブな企業が専門スキルを持った外国人労働者をすばやく採用できるようにするものだ。トロント、モントリオール、ウォータールー、バンクーバーといった都市は、トランプ政権になってからテック関係の雇用創出で北米をリードしている。雇用の創出は、国際的なテック大企業による前哨部隊設置、そして物事をカナダ流に行うソフトウェアデベロッパーのOpenText(オープンテキスト、筆者の1人が共同創業者だ)やeコマースの大企業Shopify(ショピファイ)といったカナダ企業(BNN Bloomberg記事)によるものだ。

「カナダは素晴らしい。試してみて」。ShopifyのCEOであるTobi Lütke(トビー・ルトケ)氏は最近Twitter(ツイッター)で不満を抱いている米国のテックワーカーに呼びかけた(Bloomberg記事)。

しかし素晴らしいのは政策だけではない。根本的な価値観についてもそうだ。カナダはダイバーシティが理論的にも(移民政策に表れている)、現実にも(バンクーバーやトロントの街を歩けばわかる)かなり浸透している。我々はパーフェクトではない。しかし対処する必要がある問題の認識においてはしっかりと導かれ、当然成功してきた。そしてカナダの社会契約は協調的で包括的だ。

つまり、それは自己負担のない公的医療制度を意味し、さらには持続可能性、共同責任、資本主義の共同的な取り組みを意味する。カナダ連邦政府と州政府はパンデミック期に零細事業者やテック人材を支えようと刺激的な賃金補助や助成を大胆に打ち出し、称賛されてきた。一方で米国政府の対応はといえば、エリートに公金が注ぎ込まれてきたことが今になって明らかになっている。

米国のテック企業はモラル的に狂っていて、これはかつてシリコンバレーが意味して価値観の中で暮らすことを望む才能ある人々の逸失につながる。富、自由、選ばれた少数の人のためではなく、包容性、ダイバーシティそして多くの人のためという価値観だ。カナダは米国モデルに代わる1つの選択肢にすぎない。しかし多くのテック業界求人があり、ベストでかつ国境を超えただけのところにある選択肢だ。

より多くのテック難民が米国を離れて態度を明確にすることになっても驚きではない。

【ゲストラーター紹介】
Tim Bray(ティム・ブレイ)氏はブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー在住のソフトウェアテクノロジスト。Amazon Web Serviceで副社長を務め、Distinguished Engineerでもあった。

Iain Klugman(イアン・クルーグマン)氏はオンタリオ州ウォータールーにあるイノベーションハブ、 CommunitechのCEO。Tech for Good Declarationの賛同者。

画像クレジット:kuriputosu / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi