「5円チョコが売れないECを変えたい」BASEとWebPayの創業者が語る”決済の未来”

スタートアップ業界を取り巻く旬のキーワードを読み解くイベント「TechCrunch School」。3月24日には、オンラインでの売買に欠かせない「決済」をテーマに、先日LINEの傘下に入った、クレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」創業者の久保渓氏と、近日中に新たな決済サービス「PAY.JP」の提供を表明している、BASE創業者の鶴岡裕太氏が登場した。

2人をリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設した会員制スペース「TECH LAB PAAK」に招き、TechCrunch Japanの増田覚が司会を務め、オンラインにおける決済という処理が抱える課題について語ってもらった。

LINEの買収で何が変わる?

久保氏は、API形式でクレジットカード決済機能を提供し、開発者がサイトやアプリなどに簡単に決済機能を組み込めるようにするサービス、WebPayを2013年5月に立ち上げ、提供してきた。

同社は2015年2月、モバイル送金・決済サービスを提供する「LINE Pay」を通じてLINEに買収されることを発表した。スマートフォンでの購入の広がりという大きなうねりにチャンスを見出していることが、買収に同意した大きな理由だったという。

現に、久保氏が会場で「スマホでものを買ったことのない人は?」と尋ねたところ、ほぼゼロという結果だった。「僕自身もそうだけれど、机に座っていて目の前にPCがあるのに、なぜかスマホでものを買ったりする。これって大きな習慣の変化だと思う」(久保氏)。検索などに時間のかかるPCに比べ、スマホは導線が短く、楽で、リアルタイムな購買体験を提供できる可能性がある。そこに、LINEと組む意味があると考えているそうだ。

「WebPayとLINE Payが組んで何が変わるの?」という率直な質問に対し、久保氏は「世界が変わります」と答えた。

「これまで、ものを買う行為って、土日など時間のあるときにやっていた。それが、スマホの決済が変わることで、空き時間、ほんの30秒あれば買うといったことが可能になる。決済という行為が、ストレスなく、リアルタイムで一瞬で終わるような世界を目指しています。安全で、ユーザー自身が意識して渡すと同意したとき以外は個人情報を渡さないという、エンドユーザーにとって理想的な世界の中で、モノやサービスを享受する体験ができる世界というのが、LINE PAYの提供する価値」(久保氏)。

これまで通り、開発者向けのWebPayも継続していく。ただ、WebPayがどちらかというとものやサービスを提供するマーチャント、サービス事業者向けのサービスだったのに対し、LINE Payではコンシューマーの視点に重点を置くことになる。

「決済がインフラだけで満足してもらう時代って、2014年で終わったと思っています。使いやすさや便利さも含め、使ってくれているサービス事業者の売り上げにどれだけ貢献できるかが決済事業者にも求められる時代です。マーチャントを向いて商売するだけでなく、一般のコンシューマーも見てサービスを提供していかなくてはならない。購買行動を全て設計するのが決済事業者」と久保氏。LINEが抱えるユーザーベースを基に、その人たちが買いたいものを最も買いやすく、心地よい導線を設計して、欲しいときにすぐ買える決済サービスを提供して、売り上げに貢献していきたいという。

ちなみにLINEによる買収の別の効果が、「門前払いがなくなりました」(久保氏)ということ。ある会社と新たにパートナーとなりたい、話をしたい、という時に、相手側も積極的に高いモチベーションで関わってくれるようになったそうだ。

「決済はうまみのないビジネス」

一方、「PAY.JP」の名称で決済ビジネスへの参入を表明した鶴岡氏だが、意外にも「決済って、あまりうまみのないビジネス。ビジネス的なうまみという観点なら、もっと他にいいビジネスがある」と述べる。

この点には久保氏も賛同する。しっかり、堅牢にやらなければいけないビジネスの性質上、導入までのリードタイムが3カ月程度かかることもざらにあり、「全部、3〜4カ月遅れで数字が出てくる」(同氏)。従って、いわゆるWebのスタートアップの感覚からすれば、決済ビジネスのスピード感は非常にゆっくりなのだそうだ。

「でも、決済業界に対する明確な課題意識があって、その課題を解決するために必要なことをやりたいんだ、という形であれば、カード会社も協力してくれるし、耐えられると思う」(鶴岡氏)。久保氏も、「N年コミットするつもりでやるのかどうかがすごく重要。僕はWebPayをやっていて、資本主義社会の根幹を自分が担えるかもしれない、というくらい、社会に触れ合っている感覚がある。自分たちが資本主義社会のインフラ、プラットフォームとして、社会を一歩前進させるところにコミットしているんだという信念があって、N年がんばろう、というのがあれば、すごくやりがいがある」と述べる。

5円チョコが売れないECサイト

鶴岡氏が抱いているその課題というのは、「今の決済が、過去のオフラインでの決済のプロセス、形式の影響をあまりに受け過ぎていること」だ。

例えば、インターネット上で1つの決済を処理しようとすると、間に非常に多くのプレイヤーが挟まることになる。「僕、これってすっごい無駄だなと思うんですよ。既に、Bitcoinのように二者間で直接お金をやり取りできる手段もあるし、自分の与信枠を与えるというやり取りだってできるのに、そうなっていない。そうした効率の良くない部分をPAY.JPで変えていきたいと思っています」(鶴岡氏)。

究極的には、オフラインの世界と同じような価値の交換スキームをオンラインでも実現するのが同社のミッションだという。

「オフラインだと、モノを売る人と買う人の2者だけで価値の交換が完結するわけですよ。でもひとたびインターネットが間に入るとそうはいかない。今、ECサイトで5円チョコって売れないんですよね。手数料がそれ以上にかかるので。だから、負担なく5円チョコを売れるECサイトができるように……つまり、手数料を誰か事業者が代わりに負担して『無料』にするのではなく、本質的に手数料のないスキームというのを構築できないかと考えています」(鶴岡氏)。

久保氏も、「決済のシステムでは、1980年代の仕組み、下手をすると1970年代後半の仕組みが動いている。そこでは、1つのトランザクションを処理するために原価として5円、10円という手数料がかかってしまい、それ以下にはできないんですよね。『オフラインを引きずっている』ってそういう意味です」と述べた。

「左手にクレカ、右手にスマホなEC体験は20年後に爆笑される」

1990年代、インターネットが広がりECサイトが生まれ始めた時期に、そうした過去のシステムとWebとを無理矢理つなげた仕組みによって、今の決済の仕組みは何とか保っている。とはいえそろそろひずみが来ており、トランザクションの仕組みを2010年代の今の技術に置き換えていくことができれば、原価を引き下げ、コストのかからない決済ができるのではないかと期待しているという。

鶴岡氏は、「今は、左手にクレジットカードを持ち、右手にスマホ持って番号を打ち込んで決済をしていますけど、20年後の人がこの姿を見たら爆笑すると思うんです。いろいろな方法で個人を特定できるこの時代において、オンラインにおいてもクレジットカードというものを使うのがなんかすごく効率が良くないなと思っていて、そういうところで『与信枠』というテーマを追求したいと思っています」と述べた。

これからの決済手段、「一回は多様化」?

決済をめぐるプレイヤーは多様化している。方やApplePayがあり、日本ではSuicaという存在がある他、ID決済の可能性もあるなど混沌とした状況だ。今後、決済手段はますます多様化するのだろうか?

この問いに対し久保氏は「一回は多様化すると思います。WebでさまざまなAPI標準がうわーっと出てきてREST APIに収束したのと同じで、一回は決済も多様化して、どこかでマジョリティが使っている良いものに集約される流れになるのではないか」と述べた。

一方鶴岡氏は、「決済という仕組みの中で、最強の立場にあるのがビザとマスターで、そこが変わらなければ言うほど大きく変わらないと思います。その意味で、これからの10年、20年で、あの立場に立つもの、入れ替わるものが出てくるかどうかが面白いポイントだと思っています」と言う。

取り残された領域にテクノロジの力を、「Airレジ」の取り組み

セッションの後半には、リクルートライフスタイルの執行役員、大宮英紀氏が登場し、POSレジの機能を提供する無料アプリ「Airレジ」について紹介した。2013年11月にリリースされてから、Airレジの導入件数は当初の予定を上回るペースで伸び、今や10万アカウントを突破。クラウド関連サービスとも連携を広げている。

Airレジというアプリをリリースした目的について、大宮氏は「テクノロジや環境が変わっていく中で、取り残されている領域がある、それを変えたいと思って数人で始めた」と振り返る。Airレジというプロダクトを通じて、それと意識することなく、テクノロジをうまく活用できるようにしたかったのだそうだ。

飲食店や小売店鋪、サービス業などの場合、店舗を開くには相応のイニシャルコストが必要になる。同じ金額をPOSレジに投じる代わりに、Airレジでまかない、マーケティングなどほかの部分に力を入れることで、中小企業の成長を後押ししたいという。


Apple、箱入りiOSデバイスを設定するための特許を申請


Appleが新たな特許を申請した(via Patently Apple)。これは新しいiOSデバイスをさらに簡単に使い始めるためのもので、箱から出す前に、ユーザーが既に持っているデバイスの設定を移し替えることができる。これが実現すれば、アップグレードの面倒が緩和され、新たに手に入れiPadやApple Watchと共にiOSユニバースを広げることもいっそう簡単になる。

新しい特許に書かれているパッケージには「Tap here」というシールが貼ってあり、ユーザーが手持ちの端末で軽く叩くべき場所が示されている。すると箱の中の新品デバイスは、BluetoothかNFC等の短距離無線通信手段を使って通信を開始して設定、ロック画面の画像、ユーザー情報さらにはダウンロードすべきアプリのリスト等を、既存の端末から箱の中の端末へと転送する。

Appleの発明には、箱入りデバイスの複数の電力モードに関する記載もある。「完全無電力状態」は、例えば工場から小売店あるいは配送センターへの移動時に用いられ、「低電力状態」はユーザーの既存デバイスから、設定するためにフル電力モードへ移行することを促す要求を受け付ける。

特許はまだ続き、箱入りデバイスが、恐らくタイマーあるいは内蔵加速度計が検知した動作をきっかけに、”discovery messages”を発信する状況についても説明されている。これは、箱入り商品が家に持ち帰られた後、既存の所有デバイスに設定手順に関する通知をするために使うことができる他、店内での購入時にも利用できる旨が書かれている。つまり、客が店の棚からiPadの箱を取り出した時、その人のiPhoneに「ショッピングカートに追加してください」というメッセージを送ることができる。

さらには、2つの端末間での通信を利用して、箱入りデバイスが実際に購入されたものであることを最初に検証し、もし盗まれたものであれば初期設定をロックできることも示唆している。例えば店のスタッフから承認通知を送ったり、郵送の場合なら出荷前に登録アドレスを承認するためにも使える。

この特許の、小売販売や端末設定体験に関する範囲の広さや与える影響の大きさは驚くばかりだ。昨年の第3四半期に出願されたばかりであり、今後の製品に適用される可能性は十分にある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


1500社の工場やデザイナーを結んでものづくりを支援するプラットフォーム「ツクリッテ」

 

フリマから家事手伝い、クラウドソーシングまで、ネットを使ってモノやリソースをマッチングするプラットフォームは数多く出てきている。エンファクトリーが手がける「ツクリッテ」は工場やプロダクトデザイナーをマッチングすることで、ファッションアイテムや小物などのものづくりを実現するプラットフォームだ。

エンファクトリーはオールアバウトの1事業として2005年にスタートしたECサイト「オールアバウトスタイルストア(現:スタイルストア)」がその母体。2011年にオールアバウトから新設分割してオールアバウトエンファクトリーを設立。2013年に社名をエンファクトリーに変更。現在はイード傘下となっている。

エンファクトリーではこれまでいくつかの事業を展開しているが、前述のスタイルストアでは、同社がセレクトした商品のほか、開発協力をした商品などを販売しており、これまでに1500社の工場やプロダクトデザイナーなど、ものづくりに関わる人たちをネットワーク化してきたのだそうだ。

そんなものづくりに関わる人たちをマッチングするのがこのツクリッテ。あるつくり手が「こういったノウハウ・商品を持っている人を探している」となったときにこの1500社の中から、依頼すべきつくり手を探すことができるという。

つくり手の紹介ページ

ツクリッテでは、ただやみくもにつくり手を検索する、というサービスではないないそう。コーディネーターと呼ばれる識者が間に入ることで最適なつくり手をマッチングしてくれるそうだ。「もの作りの業界は閉じていて、誰がどんなことをできるのか分かりにくかった。実はスタイルストアの出店者に対しては個別に人を紹介するようなことは4年ほど前からやってきた。それをプラットフォーム化したのがツクリッテだ」(エンファクトリー執行役員副社長清水正樹の清水正樹氏)

エンファクトリーでは初年度30件のマッチング、1万社のネットワークを目標に掲げる。また今後はスタイルストアをはじめとした販路の拡大など、幅広くものづくりに関わる企業を支援していくという。


リブセンスが越境・CtoCコマースを展開するwajaを子会社化

リブセンスは3月25日、wajaの発行済株式の71.7%を取得して子会社することを発表した。

wajaは自社にフルフィルメント機能を持ち、CtoC・越境ECの「waja」などを展開。wajaは世界60カ国のバイヤーが現地で仕入れた商品を販売する。

取得株式は429個。議決権ベースで71.7%。取得額は3億9300万円。同社は現在メディア向けのブリーフィングを開催している。詳細は追ってレポートする予定。


見落とされているApple Payの本当の価値

編集部注この原稿は濱崎健吾氏(@hmsk)による寄稿である。濱崎氏は開発者向けクレジットカード決済サービスを提供する「WebPay」の開発者。WebPayは2015年2月にLINEの子会社であるLINE Payに買収されている

SuicaやEdy、WAONなどICカード、あるいはケータイやスマホのおサイフケータイで当たり前のように決済をしている日本人の私たちにとっては、2014年9月のWWDCでのApple Payの発表は拍子抜けだったかもしれない。また新たなNFCを使った決済の1つにすぎない、おサイフケータイと何が違うのか――、そうした記事を多く見かけた。

ネット決済が革新的に変わる

確かにiPhoneのおサイフケータイ対応が発表されたわけでもないから、日本市場から見ると特におもしろみがないように見える。

しかし、Apple Payには見落とされている大きな価値があると私は考えている。それはオンラインの非対面決済にある。レジ打ちの現場での対面決済ではなく、むしろ非対面の決済こそがApple Payの最大の活用の場となり、オンライン決済、ネット上の決済が革新的に変わっていくだろうと思う。そして、これは日本市場にとっても重要な意味を持つ。こういう問いを考えてみてほしい。「SuicaでECサイトの買い物ができますか?」と。

この記事では改めてApple Payの発表を振り返りながら、そこで多くの人が見逃していただろう重要なポイントを説明したい。

ティム・クックが唯一、甲高い声でアピールした点

Apple Payの発表はあっさりしたものだった。iPhone6/6 plusと、Apple Watchを前後に置いたApple Payの初お披露目の中、洋服屋のレジでの短い動画の後にティム・クックが”That’s it!”と声をあげた。短いのでもう一度と同じ動画を流して“It is so cool!”とレジでの決済の体験を革新するかのような紹介をしていた。

ティムが発表の中であんなに甲高い声を出したのはここだけだったので、ここがApple Payの最も本質となる部分であると誰もが認識したことだろう。

加えて、技術的には指紋認証とNFC、Secure Elementと呼ばれるチップ内にカードの代替となる情報を保存するのでセキュアであり、さらにSDK (API)も公開し誰もが自分のアプリケーションに組み込めることにも触れた。

また、AppleはApple Payによる一切の取引に感知しないので、山ほどいるiPhoneオーナーの動向を観察することもないという点も強調していた。

さらに、様々な発行会社のカードがPassbookに結び付けられるようになり、様々な店舗で使えるようになると、その数を強調し、いつものWWDCらしく開場に拍手を呼び起こしたところでApple Watchへの話題へと移り変わっていった(直近の2015年3月9日の発表会でもApple Watchを使った決済体験の様子も含め、その数の増加を印象づけるように語っていた)。

「新しいいい感じの対面の決済方法が出るからよろしくね」とでも言っているのだと、聴衆は受け取っていることだろう。

直後にウォールマートをはじめ、店舗での決済にApple Payを使えないようにし、独自の決済方法をユーザーに提案するという動きもあり、世の注目はさらに対面の決済の方を向いていってしまった。

しかし、筆者はじめ決済に関わる人間の受け止め方は違った。われわれには少しだけ裏側が分かっているため、恐ろしいことに気がつくのである。それは、セキュリティとAppleの関与の仕方だ。

長らく決定打のなかったカードのセキュリティ

ウェブ上で誰もがクレジットカードで決済を行うようになって久しいが、決済の世界にとってセキュリティは常に重要な課題だ。15、6桁のカード番号と4桁の有効期限、3、4桁のCVC(セキュリティコード)だけの情報で誰もがネット上で決済を行えてしまう。これだけの数字群では別にどこかの会社のミスでカード情報が漏洩しなくても、もともと漏洩しているようなものだ。50年を越える歴史がありながら、とティムも嘆いていた。

購入者にとってはカードの不正利用に遭遇することは滅多にないかもしれないし、カードホルダーは常に守られる側にあるので、大したことではないと思われるかもしれない。しかし、不正利用による損害というのは、カード会社、もしくは販売者が常にその損害額を被る形となっている。その被害総額は、実に100億円近くにものぼっている。(日本クレジットカード協会による調査)。

年々減少傾向にはあるものの、今もカード会社と不正利用の戦いは続いていて、いくつかセキュリティを高める手段がある。

アメリカでは主にカードに結びつけているカードホルダーの住所(Billing Addressと呼ぶ)を、日本やヨーロッパでは3Dセキュアというカード会社や決済代行業者が準備する別サイトに遷移してパスワードによる認証をするといった追加の手段はある。しかし、Billing Addressは入力項目が増える上、他者が知り得る情報であり大してセキュアにもなっていない。3Dセキュアはたまにしか使わないパスワードを要求されるため、これは決済を利用する事業者にしてみれば無視できない離脱ポイントとなってしまう。何故、善良な購入者が不正利用回避のために手間を負わねばならないのか。こうしたことから、クレジットカード決済の世界では数字だけによる決済の不正利用を防ぐ決定打がない状態が続いている。

そこに現れたのがApple Payだ。Apple Payは、本物のクレジットカードの情報を保存しない。カード情報の代わりにトークンを使用する。しかもその代替するトークンでさえ丁重に守るという強固な仕組みとなっている。その上、指紋による認証とiPhoneが揃っている前提で行われる決済なので、これは今までと違う次元で本人確認が行われているということでもある。購入者の負担が減って、セキュアになっているというのは、この問題がずっと解決されていなかったことを考えると魔法と言っても過言ではない。

そして、実はカード情報を代替するトークンの仕組みはApple独自のものではない。

Apple Payでは Visa,、MasterCard、 American Expressのカードが使えるとロゴが見せられていたが、元々それぞれのカードブランドが展開を準備していたセキュリティ向上のための施策なのである。

加えて、本来その代替トークンはクレジットカードのICチップに埋められ(厳密にはカードのICチップに埋められている情報とApple Payで用いられるトークンは異なるものである)、レジの端末にかざしたり、挿し込んだりすることで決済が可能になるものだったのだ。つまり、Apple Payによる決済を受け付ける端末は既にカードブランドが準備していたものを使うのだ。

カードブランドはApple Payの普及とともに、自ら準備していた端末が世に広がり不正利用の抑制が実現され、自分たちが準備してきた仕組み以上に不正利用に強い決済方法が利用されるのだから、泣いて喜ぶに決まっている。

Appleが決済を感知しないこと

Appleは決済のトランザクションについて感知しないことを平然と述べていたが、決済業界からすると、これはわけが分からない。誰が決済の処理を行うのか。

カード決済が行われる仕組みは複雑すぎて、また別の記事が書けてしまうボリュームなので割愛するが(手前味噌だが弊社ブログの記事を参照されたい )、カード決済を行うには、カード会社へ決済のリクエストを送り、購入者ともやり取りを行い、販売の管理を行う「販売者」というポジションが必要になる。

しかし、Appleが決済を感知しないとなると、彼らは販売者や決済代行業者になるつもりがないということを示す。順当に行くと、アプリケーションに組み込むお店や開発者がその役割を担うことになるのだが、それぞれが独自にカード会社と接続して決済機能を準備するとは考えにくい。

発表の中でこれは触れられなかったが、誰がカード決済を行うのかという問いに対する答えは、開発者向けのApple Payのドキュメントページのトップに行って知ることになる。Appleはこの部分の処理を、Stripeをはじめとする決済代行業者に譲っていたのである。

つまり、AppleはApple Payという仕組みを提供するが、その仕組みを使った決済の世話は他社に全部任せてしまうということだ。

逆にStripeをはじめとした決済代行業者は、これまで抱えてきた分はもちろん全てのユーザーにApple Payによる決済という選択肢を提供できるようになった。素晴らしい決済方法がいくらかの開発で自分のサービスを更に良くしてくれるのだから喜ぶほかない。筆者が開発、運営に携わっているWebPayでも技術的な検証は終えており、日本でクレジットカードがPassbookに結び付けられたのなら、すぐにでもユーザーに提供していただろう。

ちなみに現状のIn App Purchase(アプリ内課金)やApp Storeでの決済はAppleが販売者として決済代行業者を通しているかは定かではないが、どこかのカード会社や銀行に接続して決済を行っている、ということも付け加えておこう。

突如、決済業界にデビューして独自のポジションを築いたApple

こうしてAppleはウェブの決済において、カードブランド、カード会社、決済代行業者、販売者、購入者の全てに喜ばれる仕組みを生み出し、突然決済業界に独自のポジションを築くことになった。

Appleはカードブランドが販売者から徴収しているフィーの一部を、カード会社とシェアしているという噂もある。これが事実なら、Appleは誰もが喜びスケールしていくApple Payの普及によって淡々と儲けられることになる。

セキュリティを中心に決済におけるユーザー体験も向上したこの仕組みは、今はまだiOS向けアプリに留まるが、いずれウェブ上では当然の選択肢となるだろう。もしかしたらラップトップでの決済を手元のiPhoneで行う、なんてことが実現しているかもしれない。ラップトップでオンラインショッピングをしているときに、iPhoneで指紋認証をしてPassbookに登録してあるクレジットカードを使って購入する、ということだ。そうなれば、ウェブの便利すぎる決済体験を対面でも行いたくなるだろう。その準備はAppleが発表している通り、山ほどサポートされている店舗のレジで待ち構えてくれている。オンラインで多くの人が使い始めたApple Payは、対面というオフラインの世界にも一気に広がっていくのだろう。


メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


月次売上400%増の物流アウトソーシング「オープンロジ」、IVPとコロプラ千葉氏から6000万円を調達

オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏

2014年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2014」のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれたオープンロジ。これまで自己資本でサービスを展開してきた同社だが、3月4日にインフィニティ・ベンチャーズLLP (IVP)およびコロプラ取締役副社長の千葉功太郎氏(個人投資家として)を引受先とする総額6000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

今回の増資に伴い、IVPの小林雅氏が社外取締役に就任するほか、元アエリア取締役で弁護士ドットコムやクラウドワークスの監査役を務める須田仁之氏が監査役に、不動産会社のスター・マイカ代表取締役会長の水永政志氏が経営顧問にそれぞれ就任する。

オープンロジは2013年12月の設立。代表取締役社長の伊藤秀嗣氏は雑誌のオンライン販売を手がける富士山マガジンサービスの出身で、創業期から同社のロジスティクス(物流)網の構築に携わってきた人物。2014年10月に物流のアウトソーシングサービスの「オープンロジ」を開始した。

このサービスは、ECを手がける中小企業や個人事業主をターゲットにしたもの。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上で登録し、提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、オンラインで商品の入出庫といった管理が可能になる。出庫時には倉庫にて梱包の上、配送までを行ってくれる。

大手ECサイトでは独自にロジスティクスのシステムを持ったり、物流事業者と個別に契約したりするが、中小規模のECサイトではそういったことをするのは難しい。オープンロジは物流事業者と独自に提携。そのスペースを商品数の少ない中小規模ECサイトが利用できるようにしている。シンプルな操作で入出庫できるウェブと、通常の宅配サービスと比較して安価な価格設定が強みとなっている。

ニーズにぴったりはまった—売上は1カ月で400%増に

サービス開始から5カ月程度だが、伊藤氏いわく「ターゲットとして想定していた中小規模のEC事業者や副業でECを手がけるような個人事業主のニーズにぴったりとはまっている」とのこと。ベースの金額はまだまだ小さいとは言え、2015年1月から2月で比較すると売上高は400%増加している。「黒字化にはまだ時間がかかるが順調なペースだ。切実なビジネス課題があったところをうまくとらえられたのではないか」(伊藤氏)

オープンロジでは今回の資金調達をもとに、人材採用や経営基盤の強化を進める。伊藤氏いわくサービスは好調だが、まだまだ運用上の課題も多く、その改善にも注力するという。「物流の業務は複雑で、実際に人が動くので、ピッキング、パッキング、配送などそれぞれの過程でいろいろなトラブルが発生する。(さまざまなECサイトが利用することもあって)商品も画一化されていないため、ある程度想定して動いていても、実際に運用しないと気付かない課題も多い。今まさに運用改善の最中だ」(伊藤氏)

同社では今春をめどに、海外発送にも対応する予定。またその後はAPIを公開して、ECサイトの構築サービスなど、各種の企業と連携していくとしている。また年内にも億単位の資金調達を検討。IVPも「事業の進捗を見て数億円の追加投資を行う予定」としている。


40億円調達のラクスル、クラウドソーシングを使ったチラシ制作の新サービス–リアルワールドと連携

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

先日40億円の大型資金調達を発表したばかりのラクスル。同社は3月3日、東京・虎ノ門で事業構想発表会を開催。クラウドソーシングを活用したチラシ印刷の新サービス「ラクスルデザインラボ」を発表したほか、今後の事業戦略を語った。

資金調達の発表の際にも話していたとおり、1年で登録会員が5倍にまで成長したというラクスル。会員の9割は100人未満の中小企業ということもあって、ただ印刷機を効率化して安価なサービスを提供するだけでなく、チラシを集客ツールと定義して、「印刷を通じて集客の支援をしている」と説明する。

クラウドソーシングと印刷を組み合わせた新サービス

そんなラクスルが本日から提供するのがラクスルデザインラボだ。このサービスは「デザイン制作」と「印刷前デザイン比較」の2つの機能があるのだが、まずデザイン制作パートでは、ユーザーの要望(テキストや手書きのイラストにも対応する)をもとに、クラウドソーシングでネットワーク化されたデザイナーが複数のデザイン案を提案する。

複数のデザインが集まれば、今度は印刷前デザイン比較を行う。クラウドソーシングでネットワーク化された主婦や学生などにどのデザイン案がいいかアンケートを実施して、どういったエリアのどういった属性のユーザーに好評だ、という情報を取得できる。「これまでは事後にしかできなかったチラシのデザイン評価が事前にできる。インターネットらしいアプローチだ」(ラクスル代表取締役の松本恭攝氏)

サービスはリアルワールドと連携しており、デザイナー、アンケート回答者はともにリアルワールドのクラウドソーシングサービス「CROWD」の会員だという。

ラクスルではこのラクスルデザインラボのほかにも、オンラインで申し込めるポスティングサービスの「ラクスルポスト」も提供。これらのサービスによって、チラシのデザインから印刷、さらには折り込みチラシやポスティングまでをワンストップで実現できる体制を作った。同社ではこれを集客支援プラットフォーム「チラシラクスル」と銘打って展開していく。

今後は地方需要にも対応

中小企業の支援をうたうラクスルが今後注目するのは「地域経済の活性化」。東京や愛知、大阪といった都市部以外に拠点を持つ企業は日本全体の約8割。行政や商工会議所に働きかけ、これらの企業との連携を図るという。また、地方の印刷会社との提携を拡大し、雇用創出に寄与するとした。

将来的には日本全国だけではなく、世界進出ももくろむ。「ラクスルの使命は商売革命。ベンチャーの立場から商売を変えていく」(松本氏)。同社では今後早期の100万会員達成を目指す。


Amazon、1時間配達サービスをマンハッタン全域に拡大


Amazonは、1時間配達をマンハッタン全域で提供開始した。

昨年12月、オンライン小売の巨人は、マンハッタンの非常に極られた非常に高級な地域に対して1時間配達を約束した。今日(米国時間2/17)、Amazon広報はMashableに対して、同サービスがマンハッタン全体で利用可能になったことを確認した。

この1時間配達サービスは、Amazon Prime Nowと呼ばれ、午前6時から深夜0時まで2時間配達は無料で、1時間配達は追加料金7.99ドルで利用できる。Prime Nowは、ペーパータオル、シャンプー、書籍、おもちゃ、電池、その他日用品の購入に適用される。

Prime Nowサービスは、Amazon Prime Nowという専用アプリを通じてのみ利用できる。

AmazonがPrime Nowをどのように拡大する計画なのかは明らかでないが、オンデマンド業界がAmazonの翌々日配達サービスを侵略しつつあることは明らかだ。

特にニューヨークでは、WunWunや、PostMate等のサービスが、「なんでもオンデマンド」サービスを手頃な価格で提供している。Amazon Prime Nowのマンハッタン参入によって、巨人も同じリングに登ろうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


DittoのEndless Eyewearは、メガネを何度でも取り替えられる定額サービス


スタートアップのDittoは、顧客が自分にぴったりのメガネを見つける手助けをすることが目標だ。そのために最近同社は、「デザイナーメガネのNetflix」とも言える新しいプログラム、Endless Eyewearをスタートした。

定期利用者は月額料金を払い、メガネを1つ選んで配達してもらう。もし気に入らなかったり飽きたりした時は、いつでも自由に交換できて返送料金もかからない。サングラス用と、度付きメガネ用の2つのプランがある ― そしてもちろん、度付きプランには毎回新しいレンズが含まれている。

Endless Eyewearは50以上のブランドを提供し、レイバン、オークリー、バーバリー等も含まれていると同社は言っている。さらに、きずや摩耗などの保険も含まれる。

共同ファウンダー・CEOのKate Doerksenは私へのメールで、このアイデアは彼女がDittoの顧客と繰り返し対話する中で生まれたと言った。

繰り返し聞かされたのは、われわれが「一回限り」ジレンマと呼ぶようになった話で、人はメガネを1つしか買えない ― たとえ複数のスタイルが欲しくても、という意味だ。もし「一回限り」ジレンマを解決できれば、より多くの人たちを引きつけられることを私たちは知った。いくつかのフォーカスグループや調査を実施したところ、驚くほどポジティブな反応を得た。

Doerksenはこのプログラムを、Rent the Runwayの新たな無制限プランとも比較した。月額料金を払って、様々なファッションアクセサリーを次々と使えるサービスだ。

ちなみにDittoは、昨年秋にシリーズAで500万ドルを調達した。同社初の大きなイノベーションは、「バーチャル試着」テクノロジーで、ウェブカメラや携帯電話カメラを使って顔の3Dモデルを作る。ユーザーはそれを使って様々なメガネを試着し、気に入ったものが見つかればDitto経由で購入できる。

Doerksenは、従来からの購入モデルも継続する、なぜなら「このビジネスには常に顧客がいるから」だと言っていた。

Endless Eyewearの料金は、サングラスが19ドル/月、度付きメガネが29ドル/月。詳細は同社のブログで読める。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Apple Pay、9月から米国行政サービスで利用可能に


Apple CEO Tim Cookは、今日(米国時間2/14)行われたサイバーセキュリティーと個人プライバシーに関するホワイトハウス・サミットで、Apple Payが9月から連邦行政サービスで利用できるようになることを発表した。まず国立公園の入場料などから始め、将来は社会保障や退役軍人向けサービス等も対象にする計画だ。

「9月から多くの行政機関サービスでApple Payが利用できるようになることを嬉しく思う。例えばみなさんの好きな国立公園の入場料の支払いにも使える」と、スタンフォードのイベントで行われた10分間のプレゼンテーションでCookが語った。「また、われわれは政府職員向けに発行されたクレジットカードやデビットカードをApple Payで利用できるよう調整中であり、このテクノロジーを州と国両方の社会保障や退役軍人年金等の福利厚生サービスで利用するための取り組みを、大手銀行やネットワークと進めている」。

この発表はAppleにとって極めて重要だ。Apple Payが個人の世界から、公共サービスへと拡大されることを意味するからだ。Cookはさらに、Appleが米国政府と密に協力して、市民のプライバシーを守るためにパスポートや運転免許証のデジタル化を含むデジタル個人認証への移行をスムーズに行っていくことも話した。

今回の動きによって、CookはApple Payが単なるクレジットカード代わりよりもずっと大きなものになる可能性を示そうとしており、この取り組みにおけるAppleの真の狙いは、もはや「モバイル支払い」という言葉では十分に説明できないのかもしれない。

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Amazonが企業等の”あげます”ページを無料でホスト…うまく使えばマーケティングの人気者に

Amazonが今朝(米国時間2/10)発表したセルフサービス型のツールを利用すると、誰もが“あげます”(giveaway, 無料進呈)コーナーをセットアップできる。誰もがとは言っても、Amazonの場合は、著作家やマーケターや企業やブロガー、商業者などがプロモーションのために利用することが多そうだ。

品物の発送はAmazonの梱包発送機能を利用して行われるが、その品物はAmazonの扱い品目の中から選んで指定してもよい。

“あげます”のホストは、そのルールなどをテキストで書く。それは、クイズの問題、無料進呈の対象者数、などだ。

セットアップが終わるとAmazonがリンクをくれるので、それをいろんなところで提示できる。Webページ、ソーシャルメディア、メールなどなど。

その品物をAmazonで買ったとき以外は、このAmazon Giveawayサービスの利用に関して費用は発生しない。

Amazonのルールでは、一つの“あげます”コーナーで最大50個までの景品等を提供できる。その総額は5000ドルまで。だからコンピュータなど高額なものをAmazonの商品の中から指定することは、できない。

基本的にはシンプルなテンプレートページが与えられるだけだが、そこに載せるUIや画像などは多少のカスタマイズができる。たとえばGIF画像によるアニメとか、その企業のTwitterアカウントへ行くボタンなど。

クイズに正解したりしてその品物をもらえることになったら、アドレス等を入力するためのウィンドウが出る。当たらなかったら、こんなメッセージだ:

一般人も利用できるサービスだが、今日の立ち上げで勢揃いしたのはAmazonのパートナー企業ばっかりだ。彼らはソーシャルメディア上で#AmazonGiveawayというハッシュタグを利用できる。ただし、このハッシュタグをすでに使っているマーケターも一部にいるから、やや混乱を招くかもしれない。

現在Amazon上にある“あげます”コーナーの一覧は、ここで見ることができる。Amazonはこれからもこのサービスを、Twitterなどのソーシャルメディアサイトで宣伝していく、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アートシューズ(アートをプリントした靴)のBucketFeetが$7.5Mを調達…ソーシャルメディアマーケティングの成功例

ファッションとテクノロジの合体が進んでいる。今ではいろんな企業が、テクノロジを利用して独自のファッションブランドを構築しようとしている。

このほどシリーズAで750万ドルを獲得したBucketFeetの場合は、作品を発表する機会を求めているいろんなアーチストの作品を利用して、靴の新しいブランドを作っている。ふつうのeコマースと違うのは、同社は自分のスタジオやポップアップショップがあるだけでなく、製品をNordstromやBloomingdale’s、Lord & Taylorなどの物理店でも買えることだ。

世界中のアーチストがBucketFeetのアーチストを志願でき、選ばれた作品がBucketFeetの靴にプリントされる。製造と販売はすべてBucketFeetが行い、アーチストは頭金250ドル以上をもらえる。歩合は売れた靴一足につき1ドル、初期ロットは約1000足だ。BucketFeetの協同ファウンダRaaja Nemaniによると、初期ロットは売り切れることが多いので、アーチストは採用された1作品につき、最低でも1250ドルもらえる確率が高い。

Nemaniによると、これまで1作品でアーチストが獲得した額の最高は2万ドルだった。

BucketFeetはNemaniが2008年に金融業界から足を洗って世界旅行をしているときに発想した。彼はそのとき、友だちのアーチストで写真家のアルゼンチン人Aaron Firesteinから一足の靴をもらったのだが、それは白のConverseの上にFiresteinがスプレイペイントで絵を描いたものだった。その後Nemaniは旅先の至るところで、その靴のことを聞かれた。

“彼らは靴のブランドを知りたがったのではなくて、その靴の背後にあるストーリーに興味があったのだ”、とNemaniは言う。

その後二人は、2011年の春にシカゴでBucketFeetを立ち上げた。アーチストたちのネットワークはどんどん拡大し、今ではほぼ12000名の登録アーチストが、自分の作品が靴にプリントされる機会を待っている。

BucketFeetは作品を選ぶ過程にソーシャルメディアを利用している。だいたい一人のアーチストにソーシャルメディア上のフォロワーが2000人おり、全体ではBucketFeetのアーチストに24000万あまりのフォロワーがいる。彼/彼女らが気に入った作品はリツイートなどで広まるから、いわばアーチストたちはBucketFeetの靴の、“売り込み大使”のような役を演ずることになる。それにまた、どういう層に気に入られたか、というマーケティング上の情報も無理なく得られる。

BucketFeetはこれまで合計1330万ドルの資金を調達し、最新のシリーズA 750万ドルはJumpstart Venturesがリードし、Yunsan、Gordon Segal、Crate & Barrelの創業者らが投資に参加した。

BucketFeetについて詳しく知りたい人はここへ

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。


Amazon、実店舗へじわりと一歩―パーデュー大学に自社社員を配置したストアをオープン

Amazonはアメリカの大学キャンパスで地歩を固めようとしている。今日(米国時間2/3)、Amazonは自社社員を配置した最初の実店鋪を華々しくオープンさせた。パーデュー大学に開設されたAmazon@PerdueではAmazonの社員がアイテムの注文と引取の応対に当たる。大学教科書のセールスに役立つのはもちろんだが、このストアは事実上、カタログセールスショップとして機能する実店舗であるという点に大きな意味がある。

このAmazonストアにはパーデュー大のロゴを表示するpurdue.amazon.comという専用ポータルが用意され、学生は各講義の教科書を特別価格で購入できる。こうしたアイテムは注文すれば翌日にはストアに届いている。また学生は自分のデバイスからアイテムを購入し、Amazon@Purdueを送り先に選ぶことができる。ストアに注文した品が届くとメールで知らせてくれる。ストアではカウンターのAmazonの社員またはセルフサービスのロッカーを通じてアイテムを受け取る。

Amazonはこの春にはキャンパス内の別の場所にさらにストアを開設する計画だ。同時にパーデューの全学生に対して教科書の無料翌日配送を行う。

利便性、価格に加えてキャンパスと一体化させたAmazonのブランディング戦略は巧妙だ。大学に売上の一部を支払うことで場所を確保すると同時に大学のカリキュラムと一体化したセールスが可能となる。しかもこのストアは「ありとあらゆる商品を備えたコンビニ」として機能する。学生としてはわざわざ遠くの実店舗に足を運ぶ理由が大きく減るだろう。

このストアが予期どおりに機能するなら、アメリカの大学生の消費行動に大きな変化が起きる可能性がある。Amazonはすでにカリフォルニア大学デービス校、マサチューセッツ大学アマースト校とも提携関係を結んでいる。パーデューの試みは第一歩に過ぎない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


2周年を迎えたメルカリ、ダウンロード数は1000万超に

メルカリが運営するフリマアプリ「メルカリ」が2月1日に1000万ダウンロードを突破した。同社は2013年2月1日に「コウゾウ」の社名でスタートしたが、まる2年での達成となる。またこれにあわせてインフォグラフィックも公開している。さらに人員拡大に伴い、3月にはオフィスを六本木ヒルズに移転する。

メルカリ代表取締役の山田進太郎氏

メルカリはスマートフォンで自分の持つファッションアイテムや家電などを撮影して商品の価格を設定して出品し、他のユーザーに販売できるフリマアプリだ。Fablicの「Fril」など先行するアプリがある中で2013年7月にサービスを開始。2014年3月には14億5000万円の大型資金調達を実施して5月にテレビCMを実施。9月には米国に進出、さらに10月には23億6000万円を調達すると同時にテレビCMの第二弾を実施。11月には東京・お台場にて、2万6000人が参加するフリーマーケットも開催した。

テレビCMをきっかけに好循環

インフォグラフィックを見るとあきらかだが、テレビCMの効果は顕著で、CM実施月以降のダウンロード数は大幅に伸びている。メルカリ代表取締役山田進太郎氏は、「テレビCMで(ダウンロード数の折れ線グラフの)角度が5月に上がっているが、それ以降も上がっている。第二弾のCMについても同じ」と語る。CMによって認知率が上がり、安心感も出てくる。それが検索やダウンロード数に反映され、さらにはユーザーが多くなるほどに商品数も購入希望者も増え、結果として「出品したらすぐ売れる」という好循環ができあがっているそうだ。

1月27日時点での累計出品数は約6296万品。1日の平均出品数は数十万品で、1年前の約8倍という数字だ。キャンペーン時には、1分あたり最大出品数3409品という数字を記録したそうだ。また販売のスピードも速い。売れた商品の20%が出品から1時間以内に取引成立している。

出品される商品をカテゴリ別に見ると、レディースファッションやベビー・キッズ用品、コスメ・香水・美容といった女性向け商品が約半数を占めるものの、エンタメ・ホビー、メンズファッションと幅広い。

メルカリでは、商品名やブランド名などの検索結果を保存しておけるので、そのキーワードを検索するために1日複数回アプリを立ち上げるユーザーが多いそう。それもあってユーザー1日あたりの平均滞在時間は43分と非常に長い。山田氏は「(ブランド名などを)ウォッチしている人が結構多い。よくAmazonや楽天との違いを聞かれるが、メルカリは『何かないかな』といったウィンドウショッピング感覚で使われている」と説明する。

DAU(1日のアクティブユーザー)やMAU(月間のアクティブユーザー)について山田氏に聞いてみたのだが、「非公開。ただしかなり大きい数字」とのことだった。こちらはすでに公開されている額だが、月間流通総額は数十億円。複数の業界関係者の話では、すでに月間流通総額で60億円超という数字も聞く。山田氏は、「在庫を持つ一般的なECとフリマを同じように考えるかは別として」と前置きしつつ「トランザクションで言えば、楽天、Amazon、ヤフオクというグループがあって、次にあるZOZOTOWNなどがある。その次のグループくらいにはなっている」と語る。

米国展開は今後半年で本格化

社員数は米国を含めて130人。そのうち約60人がカスタマーサポートを担当している。また米国のスタッフは20人程度で、こちらもカスタマーサポートが中心。プロジェクトマネージャーやデザイナーは在籍するものの、基本的には開発は日本に集中している。米国ではこれまでシェアオフィスに入居していたが、2月からは独自にオフィスを構えるそうだ。

米国でもダウンロード数や出品数などは順調に伸びているということだが、これまではカスタマーサポートの拡充や想定される詐欺などトラブルへ対応など、体制作りに注力してきたそう。今後半年をかけて本格的にサービスを展開していく。山田氏も米国拠点を中心に活動することになる。米国では競合サービスのPoshMarkなどが先行しているとのことだが、「(競合を)そこまで参考にしているわけでもない。どちらかというと、米国で受け入れられるものをどう作るか。機能を真似するというものでもない」(山田氏)という。またすでにヨーロッパなどでのリサーチも開始したが、「まだ視察レベル」だそうで、こちらは1年ほどかけてサービス展開の是非から検討していく。

メルカリは「シェアリングエコノミー」のサービス

米国での競合の話をPoshMarkなのかeBayなのかと聞いて聞く中で山田氏が語ったのは、メルカリが個人にフォーカスした「シェアリングエコノミー」のサービスだということだった。他のフリマアプリはさておき、日本ではヤフオクの置き換えではないし、米国ではeBayの置き換えではない、個人間の新しい市場を開拓したと説明する。

シェアリングエコノミーというキーワードだと、UberやAirbnbといった急成長を遂げたサービスが思い浮かぶが、個人間売買も同じような規模のニーズがあると山田氏は語る。「知り合いでシェアリングエコノミー系のサービスをしている人間もいるが、すごい伸びている。メルカリは決済と流通がしっかりしていたから日本で始めたが、5年後、10年後を見ると途上国でもフリマアプリは普通に使われているんだろうな、という世界観がある。その中でメルカリが使われているポジションを考えている。自動翻訳が実現すればクロスボーダーな取引も加速する。その時のトランザクションは大きい。そこを取っていく」(山田氏)

また詳細は明かされなかったが、新規事業やサービス拡張、人材採用など、今後数カ月で同社からいくつかの発表を予定しているとのこと。「結構面白いものが出てくると思う。これでさらに加速できる」(山田氏)


「STORES.jp」開設ストアが20万店突破、フォロー機能で増加ペースが4倍に

専門知識がない人でも無料でネットショップが作れる「STORES.jp」のストア数が、20万店を突破した。2012年9月にサービスを開始して以降、ストア数は毎月5%程度の右肩上がりを続けてきたが、2014年9月にリリースした「フォロー機能」によってストア数が急増。9月以降は毎月15%以上の伸びをキープしていて、対前年比では270%の成長だという。

フォロー機能とは、特定のストアの最新アイテム情報を、STORES.jpの自分のページで受け取れるようにするもの。お気に入りストアの新着アイテムを逃さないようにする、「買い手」のための機能だ。それがなぜ、ストア数の拡大につながったのか。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長によれば、こういうことらしい。

「ストアをフォローする際には、STORES.jpのIDを取得します。それがきっかけでSTORES.jpのことを知り、それまで買い手だった人が『自分も開いてみようかな』となり、ストアオーナー側になることが増えています。感覚的には、ブログの閲覧者が気付いたら書く側になっていた、というような動線です。」

ブログの読み手が書き手に転じるのは、それなりにハードルが高そうに思える。ただ、ことショッピングというジャンルでは、「ストアを持つ行為に興味が無い人が少ないので、まずはトライしていただけることが多い」と光本氏は話している。「フォロー機能のリリース前後では、毎月のストア純増数に4倍くらいの差がある」。

あくまで「ストア数」がすべてではないが、参考までにSTORES.jpの競合として挙げられるBASEの店舗数は約13万店。また、流通額は桁違いに違うものの、大手ECでは楽天市場が約4万店、Yahoo!ショッピングが約19万3000店と、STORES.jpの方が多かったりする。

STORES.jpは20万店突破を記念して、これまでの歴史と現状がわかるインフォグラフィックを公開している。それによれば、一番売れているストアの年商は約2億円、ストアオーナーの最高齢は92歳といったことがわかる。ちなみに、年商約2億円のストアは、自分のブランドを立ち上げたクリエイターが立ち上げたもので、92歳のおじいちゃんは手作り感満載のパッチワークを売っているそうだ。


本人に代わってプレゼントを選んでくれるキュレーションサービスのSpoil

Y Combinatorの支援するSpoilは、プレゼント選びのためのコンシェルジュサービスを目指すものだ。プレゼント選びで無駄にあれこれ悩む必要もなくなる。

仕組みを知れば、面倒くさがり屋の人はきっと大喜びすることだろう。あるいは無味乾燥な感じがして寂しく感じる人もいるかもしれない。利用する際には、Spoilのサイトでプレゼントを送りたい相手(友達、知人、身内など)について、興味などの個人情報を入力する。すると指定したジャンルに詳しい人物が、あなたに代わってプレゼントを選び、そして送ってくれる。

この際、プレゼントする側もいったい何が送られるのかはわからない。商品について自分で選べるのは価格帯だけだ。価格帯は35ドル程度のお手軽なものから、500ドルの「本気」なところまでがカバーされている。価格には商品自体の価格とキュレーション費用、消費税および配送料が含まれている。値段が高くなるほど豪華なプレゼントになる。

Spoilの共同ファウンダーであるCristian Asenjoは、このSpoilを「ギフトカード」のように考えることもできるだろうと述べている。すなわちいくら分で、そしてどの店で使えるギフトカードを送るのかはプレゼントする側が選ぶが、受け取った側が実際に何を買うかは予め指定することはできないというわけだ。

Spoilのサイトを訪問すれば、直ちにプレゼントを贈るための手続きが始まる。まずプレゼントの大分類(「I love you」、「Thank you」など)を選ぶ。そして受取人の性別を指定して、相手が興味を持ちそうなジャンルを選ぶ。テキスト入力は最低限におさえられていて、これは直ちにモバイル版もリリースできそうな感じだ。

4ヶ月前にサービスを開始して、500件のプレゼントを扱ったのだそうだ。返品された件数は10件未満であるとのこと。商品のキュレーションは現在のところ6名で行なっているが、さらに人員を増やしてより広い範囲でのキュレーションが行えるようにしたいと考えているとのこと。

共同ファウンダーのCharles-Eric Gascon曰く、バレンタインデーに向けて利用者層の拡大を目指しているところだそうだ。これまで扱ったギフトについても、70%がカップル間のものであったらしい。現在のところ、アメリカにおける(発送はアメリカおよびカナダに対して行なっている)最もメジャーな価格帯は50ドルから100ドルとなっている。利用者を増やすことで、よりサービスの真価が問われることになる高価格帯でのニーズも高まってくると期待しているところだ。

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(翻訳:Maeda, H


敵にグリッターを送る

今、ネットの世界で起きている最大のセンセーションがこれだ。

ShipYourEnemiesGlitter.comは、現在Flippaオークションにかけられていて、 入札価格は6万1000ドルに上っている。

初めて「グリッターの何か」についてネットで聞いた時、私は極力無視しようとした。良くてショーン・パーカーの新しいスタートアップの名前。最悪なら…ああ、これだ。

ShipYour EnemiesGlitter.com[敵にグリッターを送る.com]は、まさしくその名の通りのことをする。誰かにグリッターを送り、あわれな標的が封筒を開くと、全く予想だにしていなかった彼または彼女は文字通りのグリッター爆弾をあびせられ、回復不能なショックを受ける。

オーストラリアのSEOの神童Mathew Carpenterが作ったこのウェブサイトは、たちまちバイラルに広がり4日間で250万ビューを稼いだ。そして、サービスだけではなく、ウェブサイトが実に面白い。FAQをチェックされたし。

Carpenterのささやかなプロジェクト(数時間で2200件の注文があった)は、需要の重さに耐えきれなかった。注文フォームは取り下げなくてはならなくなり、今は、ひとりで、積み残された注文を捌いている。これはつまり、グリッター爆弾が今から数ヵ月後にやってくるかもしれないという意味だ。覚えておくように。

一方でCarpenterはTechCrunchに取材に対して、自らの小さなサイドプロジェクトがバイラルになったことに「感動した」と答えた。それはそうだろう。1件10ドルで売上が2万2000ドル、加えてサイトのオークション販売で何がしかを手にすることになる。グリッターと封筒のコストは殆どない。

ちなみに「グリッターされる」ことがどういうものか知りたい人は、この動画を見ればよくわかるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


クラウドファンディングのIndiegogoが完了プロジェクトのためのコマース(販売)機能を提供

Indiegogoが今日(米国時間1/6)発表したInDemandと呼ばれる機能により、作者は自分の製品を、同サイトにおけるクラウドファンディングが終了したあとに、引き続いて売ることができる。売り方は予約販売の型式となり、クラウドファンディングのあとでも同サイトのプラットホームを利用して、その上で、顧客を管理できる。

また作者は、クラウドファンディング終了後に追加資金を募集できる。IndiegogoのSEO機能やプロモーションのプラットホームを利用して、すでに終わったプロジェクトのその後の情報を広めることもできる。これらの機能は、クラウドファンディングに成功したプロジェクトならどのプロジェクトでも利用できる。

同社はこの機能を、Bluesmartthe Coreなどのプロジェクトを通じてテストしてきた。もうすぐ、Indiegogoの全ユーザに公開される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))