Twilioがアドオンのマーケットプレースを開設…サードパーティ製の有料APIを便利に利用できる

LONDON, ENGLAND - DECEMBER 08:  Co-Founder & CEO at Twilio Inc. Jeff Lawson during TechCrunch Disrupt London 2015 - Day 2 at Copper Box Arena on December 8, 2015 in London, England.  (Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch) *** Local Caption *** Jeff Lawson

通信APIのプロバイダーTwilioが今日(米国時間5/24)、アドオンのマーケットプレースを立ち上げた。

既製のアドオンに使えるものがあれば、TwilioのAPIを使って自分のアプリやサービスに強力なメッセージング機能を実装したいと思っているデベロッパーは、より容易にその願いを実現できる。

TwilioのCEOで協同ファウンダーのJeff Lawsonは、“Twilioのマーケットプレースはまだ始まったばかり”、と語る。彼によると、Twilioはすでに、デベロッパーが自分のアプリケーションに通信機能を実装するためのビルディングブロックを数多く提供しており、デベロッパーはそれらを、ほかのベンダのAPIと組み合わせることもできる。“しかしマーケットプレースからアドオンを入手できれば、さらに少ないコードでより多くのことができるようになる”。

課金はアドオンを提供しているパートナーたちに代わってTwilioが一括して行い、デベロッパーは彼らのサービスに一度のAPI呼び出しでアクセスできる。今パートナーは18社いて、その中にはIBM Watson, NextCaller, WhitePages Pro, Mobile Commons, Payfoneなどがいる。IBMがWatsonのサービスをサードパーティのプラットホームから提供するのは、これが初めてだ

Lawsonによると、誰もが自由にこのマーケットプレースに自作のアドオンを出品できるが、その前にTwillioが各作品を徹底的に精査する。そしてそのほかの類似サービスと同様に、Twilioが売上の25%を取る。

そして、これらのアドオンの使い方だが、Lawsonによると、当面は3種類の基本的な統合方式がある。まず、“電話番号検知方式”のアドオンは、ボットなど受け取り拒否のリストに載っている番号をチェックできる。また“メッセージ検知方式”のアドオンは、メッセージのテキストを調べて悪い感情などをチェックする。そして三つめの“記録検知方式”は、音声電話を録音して、それに対する感情分析や、テキストへの書き起こしサービスを行う。

これらのアドオンはTwilioのProgrammable SMS, Programmable Voice, そしてTwilio Lookupサービスで利用できる。

同社は今日、登録ユーザー数(デベロッパー数)が100万に達した、と発表した(ただしアクティブユーザーの数は不明)。

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MicrosoftがSkypeを企業のiOSとAndroidアプリにSDKで提供…Skype正規ユーザー企業は無料で使える

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MicrosoftのSkypeが、企業にとってさらに使いやすくなった。木曜日(米国時間5/19)にMicrosoftが立ち上げた、同社提供のSkype for Business SDKは、iOSやAndroidのデベロッパーが自分のモバイルアプリにSkypeのメッセージングとオーディオ、ビデオ機能を実装できるためのSDKだ。これでアプリが簡単にコミュニケーション機能を持つようになり、デベロッパーはアプリ本来の機能の設計や実装に集中できる。

こういう、どんなアプリでも簡単にメッセージング機能を持てるというAPI的SDK的サービスは、本誌TechCrunch主催のDisruptコンペで優勝したLayerや、もっと最近ではチャットツールのSendbirdなどがある。Microsoftがねらうのは、主に大企業だ。

Skype for Business SDKをアプリに実装した企業は、Skype for Business ServerやSkype for Business Onlineなど、既存のインフラストラクチャを使い続けることができる。ただしその企業が自己サーバーの上にUnified Communicationsをデプロイしていたり、あるいはMicrosoftのクラウドのユーザーであるかぎり、だ。またSkype for Business SDKを採用した企業は、既存のネイティブクライアントを使って彼らの顧客と話すこともできる。

ただしこのSDKのプレビュー期間においては、“リモートアドバイザー”機能の利用に限定される。つまり、モバイルフォンやタブレットを使ってリモートの顧客と対話し、チャットや電話、ビデオチャットなどをやりたい企業、という意味だ。

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実はこの機能は、Microsoftの今年のBuild 2016カンファレンスでデモされた。そのとき同社は、MDLIVEが作ったテレヘルス(telehealth, 遠隔医療)アプリを使った。そのアプリの中で医師たちは、ビデオチャットを利用して患者にケアのやり方を教えた。そのほか、診療記録や検査結果の共有、メッセージングを送る、などもデモされた。患者は医師とのチャットを予約し、約束の時間にリアルタイムでチャットできた。

相手がお医者さんなら、文字通り“リモートアドバイザー”だが、医療以外にも用途はある。たとえば金融アドバイザーやカスタマサービスなど、さまざまな企業アプリがありえるだろう。

Microsoftによると、Skype for Business ServerやSkype for Business Onlineのユーザーである企業は、このSDKを無料で利用できる。

SDKのダウンロードはここで

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チャットにも音声にも対応、Googleがバーチャルアシスタントを発表

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Googleは本日、年1回Mountain Viewで開催しているGoogle I/O開発者カンファレンスでバーチャルアシスタントツール「Google Assistant」を発表した。

これはGoogle Nowとできることが似ていて、Google Nowのアップグレード版のようだ。質問に答えることやその質問に関連した別の質問にも回答することができる。Googleは会話を把握し、適切な答えを返すことができるということだ。Googleはこのサービスを会話ベースのユーザーインターフェイスを持つ新プロダクトに導入する。Googleの独自のチャットボットアプリAllo、そしてAmazon Echoの対抗馬であるGoogle Homeにも搭載される

「アシスタントとは何かと考えると、会話ができるアシスタントが思い浮かびます。私たちはユーザーに双方向のつながった会話をしてほしいと考えています」とCEOのSundar Pichaiは言う。

Google Assistantはチャットにも対応する。ユーザが複数の質問をしても、Google Assistantはそれぞれの質問を理解し、適切な回答をするという。Google Nowがとても賢いチャットボットになった印象だ。これはGoogleにとって重要な道筋だ。より多くのサービスが会話ベースのインターフェイスやAIを駆使したコンシェルジュサービスに注目している。

Google Assistantの直接の競合相手はAlexaやSiri、そしてHoundのようなバーチャルアシスタントだろう。ユーザーが何かを検索した時、どんなことでも回答を返すことができるバーチャルアシスタントとしてブランドを確立することにGoogleが真剣になったことを示していると言えるかもしれない。

Google Assistantのユースケースの例を挙げる。Google Assistantのユーザーは、チャットか音声で、Googleに「『ゼロ・グラビティ』の映画監督は誰か?」と聞いたとする。次に関連した質問、例えば「その監督が撮影した他の映画は?」を尋ねると、Google Assistantはその質問にも回答することができる。Google Assistantは特定のタスクなら実行することも可能だ。例えば予約時間の変更やカレンダーのリマインダー通知の設定などだ。

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Google Nowのアップグレードに過ぎないと思うかもしれないが、それでもこれはGoogleにとって重要な動きだ。Googleは自社の検索機能を全ての端末とインターフェイスに導入したいと考えている。それはFacebookのメッセンジャーボットのような会話ベースのユーザーインターフェイスもAlexaのような音声を使ったインターフェイス、そしてGoogleの代名詞的な検索エンジンで使用する一般的な検索クエリも含まれる。

「端末を超えてどこでも使用できるアシスタントであると考えてください」とPichaiは言う。「コンピューターは電話を超えて進化します」。

Googleがこの分野に参入したのは遅くなかったかどうかというのは重要な問題だ。Houndはびっくりするようなバーチャルアシスタントを発表し、Facebookも自社のバーシャルアシスタントのアプリ開発に力を入れ、さらにバーチャルアシスタントの他の構成要素のために開発者プラットフォームを構築している。Googleは、自社の強力なAIツールと卓越したバーチャルアシスタントを構築するために何年もかけて収集したデータを活用することで勝負を挑む。Googleはデータの扱いで知られている企業だ。

Googleは(他の検索インターフェイスも)新たな端末に裾野を広げようとしているが、Googleはそれと同時にマネタイズする方法も探さなくてはならないだろう。Googleの「クリック単価」は広告の価値を示していると言えるが、ここ数年の間その価格は下がり続けている。モバイル端末からのクエリを増やすことでGoogleはその埋め合わせをしようとしているが、ビジネスを継続的に成長させるためには新たな広告商品を作る必要がある。

会話ベースのインターフェイスは検索における新たなプロダクトだ。Googleはそれに伴い新たな広告商品も構築することになる。幸いなことにGoogleは検索の広告商品を何十年にも渡って制作してきた経験があるので、このプロダクトに付随する新たな広告商品が近い将来登場する確率は高いだろう。

本日Googleは、他にもAlexaの競合製品となるGoogle Homeを発表した。これは、Google Assistantを搭載する音声認識インターフェイスだ。商品の検索に特化したAmazonや人を探せるFacebookのように個別分野に注力する競合他社に打ち勝つため、GoogleはGoogle Assistantの性能を高めること、そして新たなインターフェイスを含め、どこからでもGoogle Assistantを利用できるようサービスの対応を進めていくだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

スマートフォン全盛期で固定電話は絶滅したか?ノー! 現代の家族用電話機IlyがKickstarterで資金募集中

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スマートフォンの世界的なブームにより、コミュニケーションがますます個人化していく中でInsensiは、家族のメンバーと容易にコミュニケートできるための、まったく新しいデバイスを開発してきた。その、Ilyと名付けられた製品はいわば現代版の陸線電話(固定電話)で、子どもや高齢者でも、使い方を人に教わらずに簡単に使える、というものだ。今Ilyは、Kickstarterで149〜199ドルで‘買える’。

同社は1月の本誌主催Hardware Battlefieldコンペに出た。Ilyは、タブレットでも電話機でもない。それは、キッチンやリビングに置いて毎日対話する何か、だ。Amazonの音声サービスAlexaもサポートしている。

前面には8インチのタッチスクリーンがあり、このデバイス専用のソフトウェアが動いている。カメラ、マイクロフォン、スピーカー、近接センサー、さらに温度計や空気の質センサーもある。

でもメインの用途は、今うちにいない最愛の人びととのコミュニケーションだ。タップするだけで呼び出せて、絵やビデオメッセージ、テキストメッセージなどを送れる。子どもたち、親たち、祖父母たちのどんな形の対話でも大歓迎だ。

なお、ブラウザーはまったくないから、子どもたちが見ているものを気にする必要がない。

Ilyを持ってない義父や義母はどうしよう。同社は近くiPhoneとAndroidのアプリを出すから、スマートフォンで彼らとコミュニケートできる。FaceTimeと違ってAndroidとiOSの両方で使えるし、Skypeと違って登録の必要がない。このモバイルアプリで、写真の共有もできる。Ilyの上で家族写真のストリームを作れるから、孫たちが祖父母の写真をたっぷり見ることができる。その逆ももちろん。そのストリームにスマートフォンから写真をアップロードすることもできる。

Insensiの協同ファウンダーでCEOのIlan Abehasseraに最初にインタビューしたとき彼は、従来のKickstarter的やり方はだめだ、と言った。大量のお金を集めて、生産が遅れ、設計も変わる。出資者をがっかりさせる。

これまでのKickstaterの失敗を繰り返したくないIlyは、生産を10か月前から開始し、資金募集キャンペーンが終わったらすぐに発送できるようにしている。つまり、支援者が品物を受け取れるのは、この夏だ。

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デベロッパーが自分のアプリ/アプリケーションのメッセージングの暗号化を数時間で実装できるTwilio/Virgil Securityのパートナーシップ

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[筆者: Kate Conger]
通信の暗号化を自分でセットアップするのは、かなり難しい。これまで、メール用にPGPをセットアップしたり、オフレコのチャットをPidginで実装したことのある人なら、それが面倒で苦労の多いプロセスであることをご存知だろう。しかし幸いなことに、暗号技術者たちはそれをもっと容易にしようと努力している。そして彼らとのパートナーシップにより、アプリケーション/アプリのデベロッパーは自分のプラットホームに暗号化を、より簡単に組み込めるようになるだろう。今日(米国時間5/3)は、クラウドベースの通信プラットホーム〔通信APIのプロバイダー〕Twilioが、デベロッパーが強力な暗号化を自分のメッセージングサービスに組み込めるために、Virgil Securityとパートナーする、と発表した。

TwilioのAPIを利用すればデベロッパーは自分のアプリケーションにテキストメッセージングや音声通話、音声チャットなどの機能を容易に加えることができるが、それと同じようにVirgil Securityはデベロッパーが、自分のプロダクトにエンドツーエンドの暗号化と暗号鍵の管理機能を加えられるようにする。両社のパートナーシップによってデベロッパーは、自分のチャット機能に暗号化を、ほんの数時間で統合できるようになる。

Virgil SecurityのファウンダーDimtry Dainは曰く、“あらゆるデベロッパーを暗号技術者にしたいんだよ。Twilioはこれまでの努力によって、あらゆるデベロッパーを通信の専門技術者にしてしまった。Virgilはそれと同じことを、セキュリティに関してやってきた”。

悪い人たちや政府機関などによる、セキュリティとプライバシーの侵犯が日常化している今日では、強力に暗号化されたメッセージングアプリへの需要が高まっている。Facebookがオーナーである人気のメッセージングサービスWhatsAppは、エンドツーエンドの暗号化を4月に開始した。同じ月に、Viberもその後を追った。どちらも、暗号化システムの自社開発に数年を要した、と言われている。Twilio-Virgilのパートナーシップにより、スタートアップはほんの数時間で、自分たちのアプリケーション/アプリに暗号化メッセージングの機能を加えられるだろう。

もちろん、Virgil Securityの暗号化プラットホームを数百もの企業が利用するようになれば、同社の主張するセキュリティがますます重要になる。エンドツーエンドの暗号化は、正しく実装されれば、ユーザーのメッセージのコンテンツは、二つの‘エンド’(送信者と受信者)以外の者には解読できなくなる。メッセージングサービスのプロバイダにすら、それは解読できない。そしてこの、セキュリティの重要性があるからこそ、DainはVirgilの暗号化プラットホームをオープンソースにして、誰でもいつでも監査できるようにしているのだ。

Twilioは、同社のクライアントの多くが、同社のIPメッセージングサービスの中で暗号化を実装するものと期待している。Twilioの役員たちによると、とくに最近では医療と金融業界で強力なセキュリティへの需要が増加している、という。どちらも、データのセキュリティを確保することが法的にも要請されている業界だ。

しかしもちろん、Twilioのそのほかの顧客たちも、これからは自分のメッセージングシステムにエンドツーエンドの暗号化を加えることができる。“そのためには、(自分のアプリケーションの)ちょっとした再実装が必要になる”、とTwilioのCarl Olivierは語る。“でもこれは、事後実装できるものの典型だね”。

TwilioはIPメッセージングへの暗号化の導入を重視しているが、今後はIoTデバイスの真正証明という大きな用途があり得る。また今のUberは、運転者から利用客へのテキストメッセージングを暗号化していない。AppleのSMSメッセージングアプリは、デベロッパーが手を加えることができないのだ。

Twilioは、Virgil Securityの暗号化技術をデベロッパーが自分のアプリケーション/アプリに統合するためのチュートリアルを、GitHubから提供している。

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一台のスマートフォンで仕事用と個人用の番号を持てるMastがSamsungとパートナーしてGalaxy S7などに搭載へ

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一台のスマートフォンが複数の電話番号を持てる、というアプリMast Mobileが、Androidでもローンチ、ただし対応機種はSamsungのGalaxy S7, S7 edge, Galaxy S6, そしてGalaxy S6 edgeのみだ。

そのためSamsungは同社に金額非公開で少数株主投資を行った。またMastによると、同社はSamsung Knox Cloud SDKと初めての商用の統合を行い、デバイスのセキュリティを確保した。

本誌TechCrunchのライターJohn Biggsは、Mastを〔髪型の〕マレット(mullet)とみたいだと書いた。ちょっとひねりすぎの比喩だが、けっこう当たっている。たしかにJohnの言うようにそれは、“前髪は仕事用、後ろはパーティー用”だ。

言い換えると、Mastを使えば、一台のスマートフォンで自分の個人的な番号と仕事用の番号の両方を受信できる。つまり、仕事をしているときでも自分の個人用の番号が使えるし、また、どっちにかかってきたかが分かるから、適切な対応ができる。

MastのCEO David Messengerは前身がVirgin Mobile USAの役員で、彼によると、“ビジネスの新しい形を作りたかったんだが、それと同時に、個人が自分のコミュニケーションを管理できるようにもしたかった”、という。

Samsungから話があったのは昨年だそうだ。そのとき彼のチームはiOSをやっていたが、Samsungもおもしろい、と思った。海外展開の機会にもなるし、またKnoxのようなエンタープライズツールもある。

Messengerによると、フリーランスの人たちや、“ギグ・エコノミー”(gig economy)のそのほかの参加者たちのような、個人のユースケースだけでなく、企業にもMastを使うべき十分な理由がある。機能としてはすでにPBXをサポートしているし、仕事用の入呼を営業のデータベースに自動的にログすることもできる、と。

Mastは、必要ならスマートフォンも提供するが、しかしMessengerによると、モバイルのネットワークアクセスを再販したり、デバイスをレンタルするサービスは、原価でやっている。“うちの本来のビジネスはソフトウェアのライセンスだけだ”、と彼は語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Skype for Web(ブラウザーで使えるSkype)がアップグレードされモバイルや固定電話にもダイヤルできる

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Microsoftがオーナーとなった大人気のコミュニケーションソフトウェアSkypeは昨年Webアプリケーションがリリースされ、ブラウザーから利用できるようになったが、今日(米国時間3/14)は多くの新しい機能が発表され、先輩のデスクトップバージョンやモバイルバージョンと肩を並べる域に近づいた。中でもありがたいのは、モバイルの電話や固定電話にダイヤルできる機能だ。また今度からは、Webバージョンでも、Skypeのユーザーでない人を会話に加えることができ、さらに通知機能を導入、そしてSkypeの中で直接、YouTubeのビデオを見られるようになった。

Microsoftによるとこれらの新しい機能はユーザーの要望に基づくもので、とくに要望の多いものを最初に実装した。

モバイルや固定電話を呼び出すためには、ほかのバージョンと同じく、有料ユーザーであるか、またはSkypeクレジットが必要だ。そしてサインインしたら、電話をかけるタブをクリックして相手を選び、そしてダイヤルする。

一方、YouTubeビデオを見るのはビデオ再生ボタンをクリックするだけだ。ビデオは、音量や全画面表示など、何でもコントロールできるが、YouTubeを見るために新しいウィンドウやタブを開かなくてもよい。それはSkype for Web(WebバージョンのSkype)のURLの扱い方が変わった(改良された)ためで、ビデオだけでなくWebページの画像だけを見ることもできる。下図は、夕食に関する会話の中で、レシピの例としてYouTubeの料理ビデオのURLを片方の会話者が紹介している:

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Skypeのユーザーでない人を会話に入れる機能も、ほかのバージョンには前からある。Skypeの敷居を低くするために考えられたこの機能により、招待された人はSkypeをダウンロードしたりアカウントを作らなくてもSkypeユーザーとのチャットに参加できる。

Skypeも今ではSlackなどの新人に追われているから、こうやって口コミでSkypeの利用が広がるような機能を導入したのだ。Slackは、職場でのメールの利用を減らし、コミュニケーションを気軽なチャットですませるために、利用企業がどんどん増えている。そして今では電話的な音声通話機能も加えて、Skypeと直接競合するまでになった。

なお同社によれば、Skype for Webに新たに加わった通知機能は、ユーザーが別のアプリケーションを使っていたり、ブラウザーの別のタブを見ているときでも、入呼があれば通知してくれる。

Microsoft曰く、新しい機能は向こう数か月でどんどん次々発表していくが、今回はその最初の部分である、と。

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Slack上に顧客とコンタクトするためのSlackウィジェットを作るSlaask

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あなたは顧客が好きだ。あなたはSlackが好きだ。Slackでお話することが好きだ。Slackで顧客とお話することが好きだ。あなたはサンドイッチが好きだ。どうやって、以上すべてを結びつけようか(サンドイッチを除いて)。Slaaskがある。

Slaaskとは、当然、Slack-as-a-serviceだ。作った人は、Alexis Lewalleと“元プロの騎手”Remi Delhayeだ。彼らはイーストコーストのエンジェルたちからささやかな資金をもらっているが、プロダクトはまったく新しい。でもすでに、一日あたり7000あまりのビジターがいる。

“新しいスペースを作っているんだ。そのために、Slack上のサービスをSlackで作ったのが、ほかと違うところだ”、とLewalleは語る。

最初は、顧客とのコミュニケーションにIntercomやZopimなどを使うことも考えたが、今自分たちがSlackを使っているのなら、その中で顧客とのチャットをやった方がよい、と気づいた。

でもそれって、すでにやってる人も多いのでは? いや、まだ、そんなに多くないそうだ。

Slaaskは今のところ無料で、チームは統合をもっと簡単にすることに取り組んでいる。ぼくも自分のWebサイトで試してみたが、現状でもたしかにシンプルだ。 たった1行のコードを書くだけで、あなたのWebサイトとSlackにおもしろいツールが加わる。ついでにサンドイッチも統合してくれたら、彼らの会社に入りたいよ。

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ウォンテッドリー、社内向けグループチャット「Sync」の法人利用を早くも無料に

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ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが1月から提供している社内向けグループチャット「Sync」。サービスローンチから1カ月のSyncだが、法人向けのプランの完全無料化を発表した(当初は無料プラン以外に月額で600円、1200円のプランを用意していた)。あわせて、チーム機能とクラウドサービス連携機能の提供を開始した。

チーム機能を使えば、特定のプロジェクトなどに参加するメンバーに限定したチーム(グループ)でのチャットが可能。またクラウドサービス連携機能では、Google Docs、Dropbox、Evernoteと連携。各サービスの共有用URLをSync上に展開すれば、URLをクリックする前に内容が自動展開され確認できるという。

「ローンチ1カ月で無料化」の意図は?

法人向けサービスをローンチ1カ月で無料化するというのもあまり聞く話ではない。良かれ悪かれ当初の予定とは異なる状況になっているのではないかと想像するのだけれども、ウォンテッドリーCTOの川崎禎紀氏は「無料にすることで、Syncを利用する企業やユーザーを増やし、Wantedlyをよりアクティブに使ってもらうことが、中長期的にみてプラットフォーム全体の価値を高めると判断した」としている。

とはいえこの無料化の背景にはビジネス向けチャットツールの市場の過熱ぶりもあると見ていいんじゃないだろうか。SlackやChatWork、さらにはFacebook MessengerやLINEといった本来コンシュマー向けに提供されているツールまで、ビジネス領域で活躍するチャットツールの競争は激しくなるばかり。最後発のプロダクトとして有料のままサービスの差別化をするのが難しいと判断したとしてもおかしくはない。

川崎氏は「Wantedly Admin(Wantedlyの法人向け採用支援サービス、要はもともとのWantedlyの法人ビジネスだ)を利用している企業にはスタートアップも多い。有料の社内向けチャットサービスを使わずに済むよう支援したいという点もある」とも語っていた。この言葉をそのまま捉えるのであれば、単体でのマネタイズからWantedly全体での満足度向上のためにビジネス的にはピボットしたとも考えられる。補足しておくが、僕はクローズドベータ版のSyncを利用した経験がある。今回グループチャット機能も実装されたことで、ユーザー体験だけで言えば決して先行サービスと大きな差が付くモノではないと思っている。

Syncのユーザー数は非公開(サイト上では「1万5000社が利用する」となっているが、これはあくまでWantedly Adminの利用企業数だ)。「Wantedly全体と比較するとまだ少ない数字だが、チャットサービス特性もあってよりアクティブかつ継続的に使っているユーザーが多い。3分の1はWantedlyを利用しておらず、NPOや、社労士事務所、学生団体、フリーランスの集団など今までリーチ出来ていなかった属性が増えているのを実感している」(川崎氏)。今後はセキュリティ面やアカウント管理機能を強化するなど、大企業も含めた利用を促すという。

ビジネス向けツールの口コミサイトも

またウォンテッドリーでは2月12日に新サービス「Wantedly Tools」をローンチしている。同サービスはコミュニケーションツールやプロジェクト管理ツールなど、主にビジネス用途のツールやシステムを紹介しあう口コミサイト。Wantedlyにアカウントを持つ企業が利用するツールの情報を投稿している。

投稿は1プロダクトにつき数百件というものもあるようだ。その規模はさておき、ビジネスツールに特化した「Product Hunt」といった様相を呈しており、プロダクトを比較して導入したいユーザーなどには参考になる情報も多いと思う。たとえばコミュニケーションツールのカテゴリでは、「Sync」導入企業の意見も読むことができる。

Wantedly ツール

「Wantedly Tools」

どんなアプリにもチャット機能をつけられるSendbirdはデベロッパーの苦労を減らす

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John Kimと彼のチームが、ご近所のママたちを結びつけるコミュニティアプリケーションSmile Mom を作ったとき、ある問題にぶつかった。そのアプリにメッセージング機能を持たせようとしたけれど、既製のコンポーネントやサービスには良いのがなかった。

結局自作したのだが、そうするといろんな友だちが、自分のアプリに使いたいと言い出した。そこでKimたちは、消費者アプリからデベロッパーソリューションに看板を変えて、汎用APIのあるメッセージングサービスSendbirdを作った。それは、デベロッパーが自分のサービスに簡単にチャットを加えられるための、SDKだ。彼らは会社を作ってY Combinatorで勉強し、今日(米国時間2/12)公式にローンチした。

Kimはゲーム専門だったから、‘チャット機能があれば…’という問題を、かねてから痛切に感じていた。今ゲームはほとんどモバイルだから、プレーヤーたちのコミュニケーションが重要なニーズになる。とくにゲーム製品の多いスタジオでは、複数のゲームにまたがるコミュニケーションが重要だ。複数のゲームに、連続感が生まれるのだ。AゲームからB ゲームへ、簡単に移行する。プロのゲーマーだったKimは、彼の最後のスタートアップ、ゲームスタジオPaprika Labsを2012年にGREEに売った。

Kimは語る、“ソーシャルゲームを作ってるとき、チャットを二度も作ったことがある。しかしどのゲームでも毎回それを書くのは、たいへんだ。まるで、毎回々々、車輪を再発明してるみたいだからね。チャットはアプリの重要な機能だけど、スタートアップはデベロッパーの数も限られているから、アプリ本体の開発にすべての労力を取られてしまう”。

最初、Sendbirdは中小企業対象と思っていたが、Parseの協同ファウンダーIlya Sukharの話を聞いてからはエンタープライズにも注目するようになった。実は、ケータイにSMSしかないころから、企業はいつも消費者とテキストでコミュニケーションしていたのだ。

エンタープライズを相手にすれば、小さなアプリデベロッパーを相手にするよりも、大きなビジネスができるかもしれない。Sendbirdは有料会員制で、そのチャットサービスのユーザー数に応じて課金される。また、面倒なサポートは有料になる。

Kimの悟り: “技術が消費者製品から企業向けに広がっていくのが、進化の自然な方向だ。だから、今のわれわれは正しい路線に乗ってると思う”。

どこかで聞いたような話だな、と思ったら、2013年にTechCrunch Disruptで優勝したLayerの、2200万ドルの資金調達だ。.Sendbirdと同じような業態だが、チャットの機能はかなり違う、とKimは主張する。たとえば、同じルームでチャットできる人の人数は、Sendbirdでは無制限だ。

Layerにも、月間アクティブユーザー数を無制限にするプランはある。ほかにも、Twilioが同様のサービスをリリースするなど、コンペティターはけっこういる。

Sendbirdは、社員が15名。出身は韓国だ。今はサンフランシスコだが、それは、今後世界展開をしたいためと、B2Bのスタートアップがサンフランシスコに多いからだ。サンフランシスコは“食物連鎖の上の方だからね”、とKimは言う。サブプライム住宅ローンの危機以来、韓国ではスタートアップの立ち上げが難しくなってることもある。

Sendbirdが使われているアプリは、今340ある。その全ユーザーは各月で約200万だ。今同社は、Slackなどのように、ボットの統合化を進めている。つまり、いろんなサードパーティサービスをボットとしてアプリのメッセージング部分にくっつけるのだ。メッセージングから、いろんな機能を呼び出せるようになる(メッセージングを閉じずに)。

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広レンジWi-Fi規格HaLowは、IoTの進化の次の当然のステップだ

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[筆者: Jim Hunter]( Greenwave Systemsのチーフサイエンティストでテクノロジーエヴァンジェリスト。)

Wi-Fi Allianceが最近発表した待望のWi-Fi HaLowスタンダードは、IEEE 802.11ahワイヤレスネットワーキング技術を実装したプロダクトのための通信の、新しい規格だ(HaLowはMicrosoftの人気ビデオゲームの名前と同じように発音する)。

HaLowはWi-Fiを900 MHzバンドに拡張し、今標準の2.4 GHzよりも大きなレンジ(到達範囲)を提供し、壁などの障害物も通るので、スマートホームのセンサーやウェアラブルなど低電力消費のIoTアプリケーションの利用域を広げる。

HaLowは、IoTの進化における、当然のような次のステップだ。“あらゆるものにIPを(IP on Everything)”は、これまでのIoTの進化を推し進めてきたスローガンだったが、HaLow にはそのトレンドを指数関数的に拡張する可能性がある。HaLowは電池で動くWi-Fi IPデバイスならどんなものでも実現可能にし、IoTの長年の夢を現実化する。 IPデバイスが使えるようになると、スマートホームに進出したい個人起業家や既存企業の、大きな障碍が消える。

物理層のプロトコルブリッジやゲートウェイの必要性、それらに伴う先行的経費(価格、単純性、使いやすさ等)が、長いあいだ、リテイラーやサービスプロバイダや消費者の前に立ちはだかっていた。HaLowでは、ブリッジングデバイスが要らなくなる。メーカーの消費者用ネットワーク機器に、HaLow機能があるだけでよい。

HaLowは、電力供給ラインに接続されていない900MHzデバイスの電池寿命を最適化する。それを謳う技術は過去にもいくつかあったが、どれも中途半端だったから、私もあえて用心して言うが、Wi-Fi AllianceとIEEEが今802.11ahに関して行っているものは、今後の中心的な通信規格として広く採用されるだろう。

ここまで楽観的なことが言えるのには、理由がある。たとえば:

  • デベロッパーから見れば、ほかのIPデバイスとHaLowデバイスは同じであり、とくに違いがない。デバイスやブラウザーやアプリケーションの通信スタックが、同じようにシームレスに動く。
  • IPベースの通信は、世界でもっとも信頼性があり、幅広く普及しているコミュニケーションネットワークのプロトコルである。
  • 大衆的なワイヤレスルータを作っている企業はつねに、自分たちの製品や技術を、IPベースの通信の最新のIEEE規格をいち早くサポートするよう、進化させている。HaLowに関しても、その勤勉ぶりは同じだろう。
  • 大衆的普及により、802.11 ahの無線通信技術はコストが急激に下がり、新しいIoT製品を開発しようとする者にとって、おいしい好機になる。

ただし、用心すべき点もある:

  • 低電力消費のデバイスはスリープサイクルが必須だから、それと良好な応答性とのあいだにはトレードオフがある。製品とその目的によって、最適の妥協点があるはずだから、HaLowの実装においてもそれを見つける苦労が伴う。
  • HaLowの規格そのものは、応用機器間の完全な互換性を保証していない。A社製の電球で使えたコントロールが、そのままB社製の電球でも使えるためには、業界の明示的な協調努力が必要だ。HaLow自身に共通のデータモデルがあるわけではない。低電力消費のデバイスのためのIPメッセージ通信の、規格らしきものはあるようだが、それは、今後のもっと大きなIoTの相互運用性を担うものではない。
  • 広範な採用には時間がかかるから、消費者市場が臨海質量に達するまでは、メーカーは消費者が手を出しやすい低価格な製品の開発と販売で苦労するだろう。
  • IPの文字がどこにも見当たらない多様な通信技術が氾濫している…ZigBee, Z-Wave, Bluetooth, INSTEON,などなど。したがって今すでに、HaLowでない製品があちこちで大量に使われている。それらが一晩で消えてしまうことは、期待できない。

こういった注意点や欠点はあるものの、HaLowの到来はすばらしい。これによって既存の技術がその可能性の幅を広げ、文字通りあらゆる物が、全世界的に共通の規格で結びつくようになる。今、テレビやラップトップやスマートフォンやタブレットが、全世界的に結びついているように。IoTの今後の進化とともに、このことの重要性は、誰もが過小視できなくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Slackのクールなコミュニティが見つかるサイトHamster Pad(Slack上のSNSだ)

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あなたは、スロベニアのWebデベロッパーかな?。それともフランスのiOSプログラマー?。悲しみを癒やす友だちがほしい人?。そんな人はHamster Padに行ってみよう。Matt Schlichtと友人のAdam McKennaが作ったこのサイトは、Slackのコミュニティを数百も集めている。プログラミングのためのお部屋もあれば、ライターのための部屋もある。

Schlichtは語る: “これまではHamster Padみたいなのがなかった。ぼくたちはSlackのAPIをそのまま使って、このプラットホームの上に完全なソーシャルネットワークを作り始めた。誰でもチャットを加えられるし、誰でもチャットに参加できる。誰かと友だちになったら、その人たちが今やっているチャットが分かる”。

“Slackのエコシステムは、APIを公開したばかりの2007年のFacebookにとてもよく似ている。今のSlackは一日のアクティブユーザーが200万いるが、2007年のFacebookほどでかくはない。しかしそれでも、機会は同じだ”。

このサービスはかなり簡単だ。サインアップしてから、いろんな‘部屋’(room)をクリックする。その部屋に招待されたら、そこの人たちとお話できる。Hamster Padは、余分なことを何もしない。たくさんのクールな部屋を一箇所に集めて、それらに関するちょっとしたデータを提供するだけだ(今オンラインしてる人の数、友だちが今どんな議論に参加しているか、など)。

Schlichtと彼のチームは、bitcoinのフォーラムZapChainも作った。こちらもやはり、いろんなコミュニティを一箇所に集めたサイトで、ヒトはヒトと話をしたい生き物である、というコンセプトをベースにしている。誰かぼくにA/S/Lしない?

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“非エンジニア向けSlack”を開発するOneteam、ニッセイ・キャピタルから約2億円の資金調達

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非エンジニア向けのコミュニケーションツールを開発するOneteam。2015年5月にサイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施した際、プロダクトの一部の機能のみを提供していた同社が間もなくサービスを一般公開するという。それに先かげて1月26日、同社はニッセイ・キャピタルを引受先とした総額約2億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今後は人材の強化や東南アジア地域を中心としたマーケティングを強化する。

Oneteamが開発するのはビジネス向けのコミュニケーションツール「Oneteam」。「各トピックに紐づくリアルタイムチャット」「各種クラウドサービスの連携と横断検索機能」の2点が大きな特徴だという。

僕らが取材などでコミュニケーションをとるスタートアップの話を聞くと、多くが(主に開発時の)コミュニケーションツールとしてSlackやChatWorkを使ってるのだけれども、Oneteamは冒頭でうたったように非エンジニア向けのコミュニケーションツールだ。トピックごとにリアルタイムチャットが可能な構造のため、ほかのコミュニケーションツールに比べてストレスなく履歴を追うことができるのだという。

一方で五月雨式にメッセをやりとりできるSlack等は、着席してリアルタイムに内容を確認できるエンジニアには最適であり、競合ではなく想定ユーザーが違うサービスというのが同社の認識だ。そういえば以前の取材で、Oneteam代表取締役の佐々木陽氏は、「非エンジニア向けの、GithubとSlackを組み合わせたようなツール」といった説明をしていた。

コンセプトは「手のひらにチームを持ち歩く」。コミュニケーション機能だけでなく、チームを知るプロフィール共有機能なども備えている。

同社は2015年2月の設立。サイバーエージェント・ベンチャーズから約6000万円の資金を調達してサービスを開発。東南アジア地域をターゲットに提供(プロフィール共有機能を「Profike Book」として切り出して先行リリース。利用企業は800社・海外比率は85%だという)してきた。2016年1月からは一部企業にOneteamを試験的に提供開始。2月中にもオープンベータ版として公開する予定だという。

相手および相手のスマートフォンの状況を知らせてくれる連絡先管理アプリケーションのMyState

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「電話をかけるのに良いタイミングはいつなのか」という、古くて新しい問題を解決するための、新たなソリューションが出てきた。その名をMyStateという。iOS版およびAndroid版のアプリケーションで、よりスマートな連絡先管理アプリケーションといった外観だ。各連絡先の隣に表示されるアイコンが、連絡しようとする相手の現在のステータスを表示するようになっている。

インターネットと電話が融合するような環境となって、電話をかける前に相手の都合がわかるようになるのではないかと言われてきた。しかし昔ながらの電話回線に加えてさまざまな環境こそ実現されたものの、プラットフォームをまたがる便利なソリューションが未だ登場していないというのが現状だ。そのような状況をなんとかしたいとするのがMyStateで、留守電にしかつながらないということのないように、解決策を提示しようとしている。

「まず解決しなければならないのは、相手の状況がわからないという現状です」と、MyStateの共同ファウンダーであるAssaf Pney-Elは言っている。「電話をかけても話し中だったり、会議中の相手の邪魔をしてしまったりすることがあるでしょう。結局は話もできず時間の無駄となり、また相手にとっても迷惑な出来事となってしまうのです」。電話機自体は大きく真価してきた。しかし上に記したような問題は全く解決されていないのだ。なかなか連絡がとれずにいらいらした経験は誰にでもあることだろう。

MyS-Auto-Indicators-1024x609-2MyStateは、電話をかける前に相手の状況を知ることができるようにして、問題を解決しようとするものだ。電話をかけようとした相手が話し中の場合、相手が話し中でなくなった時点で通知してくれるような機能もある。また、相手方にもこちらが電話をかけようとしているのだということを通知するようになっている。

iOS版およびAndroid版の双方ともに、自分のステータスは手動で設定することができるようになっている。さらにAndroid版では、相手の話中を検知したり、あるいは電話機がサイレントモードないしマナーモードになっていることも通知してくれる。さらにバッテリー残量がほとんどないようなケースも通知してくれる。こうした機能は、将来的にiOS版でも実装していくつもりなのだとのことだ。

「私たちのファウンダーのひとりが、ひっきりなしに割り込み電話を受けるのをみてMyStateのアイデアを思いついたのです。こちらが通話中であることを通知できれば、緊急ではない電話は控えてもらえるのではないかと考えたのです。うまく機能すれば、割り込んでくる着信は本当に緊急の要件のもののみになるはずだと考えたのです」とPney-Elは言っている。

個人間のやりとりに使ってもなかなか便利そうだが、しかしMyStateはビジネス用途も視野にいれているようだ。顧客と企業をより効率的につなげる可能性があると考えているのだという。

今後の展開を見込まれて、MyStateはアメリカおよびイスラエルの投資家から650万ドルの資金を集めている。資金はB2Bモデル構築のために使われる予定なのだそうだ。消費者を相手とする、コールセンターサービスの効率化を目指しているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Skypeのグループビデオ通話がモバイルでも可能に…今年が同社の“10周年記念”

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Skypeは創業10周年を記念して今日(米国時間1/12)、モバイルデバイス(Android, iPhone, iPad, Windows 10)上の無料のビデオ通話を発表した。MacとPCのデスクトップでは2年前からあった機能だが、モバイルはまだだった。

Skypeによるとこの機能は、数週間以内に、モバイル上の数億のユーザに提供される。まだ正確な日程は発表されていないが、事前登録フォームに自分のメアドなどを記入して登録すれば、初期バージョンを試用できるようになる。

登録すると、グループ通話機能のセットアップの完了をお知らせするメールがやがて来る。その初期アクセスバージョンがアプリのベータバージョンなのか、インストールしておけば正規公式バージョンに自動的にアップグレードされるのか、そのへんはまだよく分からない。

同社は、10年間の成長の軌跡を数字で挙げている。2006年のローンチ以来、今では7億5000万あまりのモバイルユーザをサポートするまでに成長している(タブレットを含む)。その成長率は2年弱で10倍にも達し、モバイルのコミュニケーションアプリとしての人気が一貫して衰えていないことを示している。

Skypeはここ数年で、いくつかの改良を重ねている。それはデスクトップのビデオ通話だけでなく、ビデオメッセージングや、リアルタイムスピーチ、メッセージングの即時翻訳、同社独自の絵文字、などなどだ。しかも今では、誰でもチャットに参加できる(Skypeを使ってない人でも)。またSkype for Businessは、Microsoftの古いコミュニケーションツールLyncを置換する。

過去10年間でSkypeの無料通話時間は、全世界累計で2兆分近くに達する。モバイル上のグループ通話により、この数字は今後もさらに大きくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

まだまだ健在だったRay OzzieのチームコミュニケーションツールTalkoをMicrosoftが買ってSkypeに統合

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Microsoftが、会議用の便利な機能を揃えたモバイルメッセージングアプリTalkoを買収する。このアプリを作ったRay Ozzieは、2010年までMicrosoftのChief Software Architectだった人物。Microsoftによると、買収の対象はTalkoの技術とチーム、買収の条件(価額等)は公表されない。Talkoの社員はSkypeに加わり、Talko自体は閉鎖される。しかし、Ozzieが再びMicrosoftに加わることはない。

開発に数年を要したTalkoは、2014年にローンチし、従来の会議電話をVoIPによるクラウドベースの会話でリプレースすることをねらっている。ライブの会話を録音でき、ほかにも、会話内にブックマークを作れる、ユーザにタグをつける、後から会話内に非同期でフォローアップメッセージを吹き込み、それを共有できる、などの機能がある。

Microsoftの発表によると、Talkoの技術と人材を獲得したことによって、SkypeとSkype for Businessの機能および能力を“強力に”拡大する。一方TalkoのWebサイトには、アプリとサービスを2016年3月に完全に閉鎖する、とある。それまでに既存のユーザは、過去の会話(音声、テキスト、写真)をエキスポートできる。

Talkoのどの機能がSkypeに統合されるのか、に関してはまだ発表がない。チームが知識と能力をSkypeのチームに持ち込む、という言い方だけだ。

Microsoftへの身売りを決めた理由について、Talkoは率直に語っている:

“…コミュニケーションアプリは全体としては成功しているが、個々に見ると二極化している。ごく少数のアプリがヴァイラルな成長を遂げている一方で、その他大勢は成長のないニッチに落ち込んでいる。Talkoには高い価値と利用の楽しさがあると信じており、チームはこれまで、ユーザの要望に逐一応じてきたが、利用者は熱心なニッチにとどまっている。もっと大きなインパクトを与えうるアプリだと、われわれは信じているので、そろそろやり方を変えるべき時だ。”

Lotus NotesのファウンダOzzieがMicrosoftに会社を売るのは、これが初めてではない。前は2005年にGroove NetworksをMicrosoftに売り、その後MicrosoftのChief Software Architectになった。

ZDNetによると、これはMicrosoftの、今年の20個目の買収である。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

このところ大企業づいてきたSlackが、彼らの便宜のためにユーザグループ制を導入

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Slackが成功した最大の理由は、社内コミュニケーションの円滑性と透明性を高めたことにある。今度はそのエンタプライズメッセージングサービスが、User Groups(ユーザグループ)を導入することによって、より大きな集団のコミュニケーションを支えようとしている。

この新しい機能では、通知をたとえば特定の部課だけに送ることができる。社内の技術者だけ、とか、カスタマサービスの連中、マーケティングの連中などのユーザグループを設定して、そのグループ全体に瞬時に通報できる。このところ大きな企業の全社的な採用を目指しているSlackにとってこのグループ制は、それを支える骨格の一つだ。この機能が使えるのは、有料プランのユーザのみである。

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このグループ制の導入と並行してSlackでは、初めてサインオンしたユーザを、設定に従って自動的に特定のグループに入れることができる。たとえば新社員たちがSlackを使い始めるとき、この機能があればアドミンの面倒な作業も不要になる。

また、Slackのアクティブなユーザグループのすべてを、PingやOneLoginなどのSSOプロバイダを伴うActive Directoryにマップできる。これにより、多数のグループをSlackに加えることが、簡単にできるようになる。

全社員が毎日のようにSlackを使うようになると、これらの機能がきわめて重要だ。今や170万もの人たちがSlackを使って、毎日チャットしている。

ところで、任意の時点でそのときSlackを使っている人はどれだけいるか? 答は100万名である。うち、有料ユーザは47万名だ。

これらの機能はすべて、大企業顧客を増やしたい、彼らのニーズに奉仕したい、というSlackの意欲の表れだ。今では、eBayやSpotifyもSlackのユーザなのだ。

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会議の準備・進行・記録・反省をわかりやすい文書構造で支援するSolidが無料の公開ベータ中

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大きめの企業のための会議支援/会議管理アプリケーションWisemblyを作ったチームが、今度は小企業向けに小さな会議をサポートするSolidをローンチした。

Wisemblyの協同ファウンダRomain Davidは語る: “Solidのアイデアは前からあった。Wisemblyは10人から15人ぐらいの会議を想定しているが、もっと小さな企業の小さな会議を助けたい、と思った”。

というわけで、今では、Wisemblyという企業に、大企業向けのWisemblyと、小企業向けのSolidという二つのプロダクトがある、という状態になった。社名とメインの製品名が同じのスタートアップは、よくある。

Davidは述べる、“会議の準備なんかしない会社が多いし、過去の会議の記録がないことも多い”。ではどうやって、会議の準備や記録を容易に定型化したらよいだろうか? まず、GoogleやOffice 365のアカウントでSolidにサインアップする。Solidはカレンダーからすべての会議を取り出す。会議以外のイベントは無視される。

そうすると、今後の会議の予定が分かるから、事前に準備ができる。それぞれの会議について、準備がどこまでできてるかも分かる。具体的には、こんなインタフェイスだ:

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事前に、目標と議題を記入する。各議題項目には注記をつける。注記の中には、行動や実施の項目を、できるかぎり記入する。並び順を変えるのはドラッグ&ドロップで簡単にできるし、全体の構成は上図のように自動的にできる。会議に合った構成なので、空のWord文書を前にして途方に暮れることはない。

会議が始まったら、ノートを取り、ほかの文書を加え、要所々々で時間/時刻を記入する。会議が終わったらレポートをSlackやEvernote、メールなどで配布できる。もちろん、レポートはすべて、Solid上で見ることができる。

Solidは会議に要した時間も記録するので、どれだけ効率的に会議ができたかを反省することもできる。今は、無料の公開ベータだ。今、iOSアプリも作っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

セキュリテイー万全のコミュニケーションツールSymphonyがGoogleらから1億ドルを調達

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Symphonyはセキュリテイーが万全なクラウドベースのコミュニケーションプラットフォームだ。Symphonyは本日、Google,Incと他複数の投資家から累計1億ドルを調達したことを発表した。

先週、Wall Street Journalが最初に Googleがこの投資ラウンドに参加すると伝えた。検索大手の他にも、Lakestar、Natixis、Societe Generale、UBS、そして前回のラウンドでも出資しているMerus Capitalが参加した。

当初は5000万ドルの調達を予定していたが、投資したい企業からの要望が多く、最終的に予定額の倍を調達することになったとSymphonyのCEOであるDavid GurleはTechCrunchに話す。

昨今の株式市場は気まぐれなもので、いつもクラウドサービスに対して歓迎ムードだったわけではない。しかし、Symphonyのサービスを気に入る投資家は多かったようだ。「市場の移り変わりは速く、多くの人は慎重になっていますが、そのような状況にも関わらず、投資家のおかげで、私たちが望んでいた金額より多くの資金を調達することができました」と彼は言う。「私たちが行っている事業の有用性の証明するものでもあります」と話す。

Gurleは、Symphonyが資本市場から出資を求めるのはこれが最後になるだろうと話す。創業から1年ほどしか経っておらず、資金調達ラウンドも2回しか行っていない企業としては異例のことだ。この世で確かなことは死と税金徴収だけと冗談を言いつつ、今のところはそのような計画を立てていると彼は話した。

「資本市場に戻らなくても良い状況にあります。今のところ資本は十分にあり、とても有利な状況です」と彼は言う。

Symphonyは複数のウォール街の投資銀行から、2014年の秋に6600万ドルを最初の資金調達ラウンドで得ている。このラウンドは彼らの主軸である金融サービス向け以外にも拡張するための資金調達だったとGurelは話す。

「私たちは当初から全てのビジネスユーザーが選ぶコミュニケーションプラットフォームになりたいと考えてきました」とGurleは言う。最初に金融サービス向けから始めたことで、どの業界でも通じるコンプライアンスとセキュリティーの基準を設定することができたそうだ。

そして、今回Googleが出資を決めたことも興味深い。Google Venturesではなく、Google, Incが投資しているのだ。Googleがソーシャルの領域で苦戦し、Google+が忘れられたサービスになりつつあることは誰もが知っていることだ。

Googleは他社を物色しているのかもしれない。Symphonyは安全なコミュニケーションツールを提供するだけなく、MicrosoftのSkypeやLyncに対抗するための力になるかもしれない。また、Symphonyは便利なコンテンツのトラック機能を兼ね備えている。これは、例えばSymphony内のハッシュタグやキーワードをフォローしたり、さらにはTwitterといった公開されているSNSのものもフォローでき、Googleにとって魅力があるのかもしれない。

Symphonyは今回調達した資金を売上とマーケティングの拡大に使う計画だ。これまで同社は、従業員130名中100名が開発者と開発に重きを置いていた。開発の人材を強化するとともに、次の12から18ヶ月の間で主にセールスとマーケティングの人材を採用し、従業員の数を倍にする予定だとGurleはいう。

計画には、今後ヨーロッパでの存在感を強めること、そして来年、日本とオーストラリアにオフィスを開設することも含まれている。Symphonyは条件が会えば他社の買収を1つ、2つ検討したいとし、また市場の減速へのリスクヘッジとしてまとまった資金を銀行に温存する予定だ。

Symphonyのプロダクトは誰でも無料で利用できるが、法人レベルのセキュリティー機能を利用するには、法人版のツールを購入する必要がある。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

インターネットは過剰と過密による窒息死を防ぐためにHTTPからIPFSへ大改造すべきだ

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[筆者: Amber Case](位置対応ソフトウェア企業GeoloqiのCEO、同社は2012年にEsriが買収。過去にSXSWiやTEDでキーノートスピーカーを経験。 Calm Technology: Designing for Billions of Devices and the Internet of Thingsの著者。)

IPFSはまだ、シリコンバレー界隈でもよく知られていない技術だが、オープンソースの人たちのあいだでは口コミで急速に広まりつつある。多くの人たちが、インターネット上のファイル転送やストリーミングのスピードを大きく高速化する技術として、IPFSに注目している。

でも私から見れば、それは単なる高速化技術ではなくて、実際はもっと重要な技術だ。IPFSによって、Webサイトはコンテンツやサービスの起点となる中心的なサーバが不要になり、インターネットのアーキテクチャを抜本的に変える良い機会になると思われる。しかしそのためには、業界が未来に関して抱える自己矛盾を早期に(間に合うタイミングで)解決する必要がある*。〔*: 一点サーバ主義はボトルネックだが今の利益の源泉、など。〕

それではまず、背景事情から説明しよう。

なぜWebは遅くて脆くて何でもすぐなくなるのか

IPFSは新しい、ピアツーピアのハイパーメディアプロトコルで、今のWebを支配しているHTTP(Hypertext Transfer Protocol)を補完、もしくは置換する規格だ。HTTPにはこんな問題がある: どこかのWebサイトを訪れるとき、ブラウザはそのサイトをサーブしているコンピュータに直接接続することになり、サーバが遠くにあって転送処理が大量の帯域を消費するときでも、それは変わらない。

データの転送が複数のネットワークにまたがる場合は、データのプロバイダは各ネットワークで課金され、帯域を浪費する。しかもHTTPでは一度に一つのコンピュータからファイルをダウンロードし、複数のコンピュータから同時に少しずつダウンロードすることができない。

そのため今日のわれわれは、遅くて高価なインターネットを我慢し、しかも合衆国などでは最後の1マイルを提供するキャリアの貪欲と、加速度的に増加するモバイルデバイスからの接続リクエストに苦しめられる。その結果今のインターネットは、遅くて高価なだけでなく、信頼できない。HTTP転送は、何かの事情でリンクが一つ切れただけで、転送は完全に断たれる。Webページやメディアファイル(画像、ビデオなど)のロードが遅いとき、その犯人はたいてい、HTTPチェーンを構成するリンクのひとつだ)。

IPFSでインターネットを改造する

IPFS(InterPlanetary File System)(惑星間ファイルシステム)は、J.C.R. Lickliderのヴィジョン“intergalactic” Internet(“惑星間”インターネット)に触発されて、Juan Benetが構想した。10代でメキシコから合衆国に移住した彼はスタンフォード大学でコンピュータ科学の学位を取り、その後自分の会社を興したが、それは2013年にYahoo!が買収した。その後Y Combinatorに在籍した彼は昨年Protocol Labsを作ってIPFSの普及活動を開始し、20年間既成事実のようにのさばってきたプロトコルを置換する、という謙虚な*目標を掲げた。〔*: 謙虚な…大事業を“ささやかな”と形容するようなジョーク。〕

ピアツーピアの分散ファイルシステムであるIPFSは、すべてのコンピューティングデバイスを同じファイルシステムで結びつける。Juanによると、それによってIPFSは、HTTPの欠点のいくつかを取り除く。中でもとくに重要なものが二つある:

Juanは語る: “IPFSでは、アドレスとしてコンテンツを指定し、起点のサーバを指定しない。コンテンツは特定のサーバ上ではなく、どこかに恒久的に保存できる。そのコンテンツを、ユーザにとても近いところに保存してサーブできるし、極端に言うと同じ部屋の別のコンピュータでもよい。指定するアドレスがIPではなくコンテンツになると、データを特定のホストに縛られずに検証できる。単一のサーバを指定するHTTP方式では、それが信頼できないホストかもしれない。ユーザのデバイスがそのコンテンツを一度持てば、それを無期限にキャッシュすることもできる”。

IPFSはHTTPベースのインターネットにつきまとっていたセキュリティの問題も解決する。コンテンツをアドレスし、コンテンツにサインインするIPFSベースのサイトでは、DDoS攻撃が不可能である。また、Webサイトが突然落ちるという、従来からよくあるダメージを減らすためにIPFSでは重要な公共的コンテンツをアーカイブし、重要な情報を容易に(分散的に)保存できる。

IPFSによってインターネットが、われわれが理想としてきたシステムに成長できる。

IPFSの究極の利点は、コンテンツの分散配布だ。言い換えるとコンテンツへのアクセスが、特定のサービスの調子の良し悪しに左右されない。オフラインでのアクセスも可能だ。“IPFSでは、WebサイトやWebアプリケーションに特定の起点サーバというものがない”、とJuanは説明する。“それらは、Bitcoinのネットワークが分散しているように分散できる”。まさにそれこそが、今のHTTPには逆立ちしてもできないことであり、とくにそれほど接続性の良くないネットワーク(すべての途上国)や、大都市圏以外の地域にとって恩恵だ。

2月にアルファでリリースされたIPFSを、今多くのアーリーアダプター(初期的採用者)たちが実験している。たとえば9月8日にはNeocitiesが、メジャーなサイトとしては初めてIPFSを実装した。それはInternet Archiveからの分散Webの呼びかけに応えたものだ。今や、Webサイトがどんどん減っている。長い年月の間にサイトのオーナーたちが、それらを放棄し、無メンテないし閉鎖してしまうからだ。インターネットという、記憶/記録の集大成が、崩壊しつつある。IPFSの今後の普及が早ければ、恒久的なコンテンツやサービスが増え、崩壊を最小限で食い止められるだろう。

しかし、“ピアツーピア”という言葉を聞いただけでびびってしまう大企業が、Neocitiesの例に倣って、未実証のプロトコルを採用するだろうか? この点に、最後の問題がある。

IPFSがインターネットビジネスの将来にとって重要である理由

私の次の本でも説明しているが、インターネット上のコンテンツはますます、そこから得られる利益よりも制作と配布の費用の方が上回るようになりつつある。そのためメジャーなインターネット企業でも、コンテンツの需要にいち早く応えるのが難しくなっている。Akamai、Google、Amazonなどの大企業では、大量のエンジニアを、このたった一つの問題への対応に投入している。

でも、最悪の状態が訪れるのはこれからだ。低価格のスマートフォンの大普及により、全世界のコンテンツ消費者の全員が次の10年間でオンライン化する。そして物のインターネット(Internet of Things, IoT)が何十億ものデバイスをインターネットに接続することによって、インターネットの過密と、それによる性能劣化はさらに激化する。

かなり前から緊急に必要になっているのは、私が小さなシンギュラリティ(micro-singularities)〔Wikipedia〕と呼んでいるものに対するヘッジだ。その超ミニシンギュラリティにおいては、ヴァイラルなイベントが突然何10億ものインターネットユーザをフリーズし、システム全体が窒息する。これに自然災害やそのほかの緊急事態が絡めば、文字通り人命に拘わるだろう。

Netflixは最近、ストリーミングのための大規模なピアツーピア技術の実験を開始した。これだけ大きくてユーザ数も多い企業が、早くから、よりスマートなコンテンツ配布方法を探求していることは、希望の兆候かもしれない。NetflixやYouTubeのような帯域大食らいの人気サービスは、IFPSで改造されたインターネットの上で、より一層栄えるだろう。そしてコンテンツをサーブするために要する時間と費用も、激減する。

IPFSでネットワーク上のサービスが良くなるだけでなく、IPFSによってインターネットが、われわれが理想としてきたシステムに成長できる。その理想は、現在のプロトコルでは絶対に実現しない。世界中の人びとを(オフラインにおいてさえ)本当に結びつけ、人間の現状が恒久的にそしてコンスタントに進化し、誰もが望むような未来が実現していく。そんな理想は。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa