「ブルドーザーと掘削機のAirbnb」Dozrが190万ドルを調達

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工事業者間で重機の貸し借りができるプラットフォームのDozrが、シードラウンドで250万カナダドル(米ドル換算で190万ドル)を調達した。

カナダのオンタリオ州にあるKitchenerを拠点とするDozrを利用すれば、掘削機やスキッドステアローダー、ドローン、産業用ロボットなどをレンタルすることができる。器材を単体で借りることもできるし、その器材を操作できる免許を持ったオペレーターも一緒にレンタルすることも可能だ。

2015年に創業のDozrはすでに2000社以上の顧客を抱え、同社のマーケットプレイスには合計で5000万ドル相当にものぼる器材がリストアップされている。

今回のシードラウンドは、Fairfax Financial Holdings Ltdの傘下であるFair Venturesからの単独出資だ。

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Dozrのアプリを利用すれば、同業者から設備をレンタルすることができる。

Fairfaxのグループの中には、保険業および再保険業を手掛ける会社がある。その中のひとつ、Federated Insuranceは実際、Dozrのプラットフォーム上で重機のオーナーに対して保険を販売しているのだ。

現状はカナダ市場にフォーカスしているものの、Dozrの投資家たちは将来的なアメリカ市場への進出も期待しているところだ。

より短い期間の目標としては、今回調達した資金を利用してプラットフォームに新しい機能を追加する予定だとしている。さらに、セールス、マーケティング、プロダクト、エンジニアリング部門の人員を強化する。

Dorzの創業者は全員、建設業界での経験を持ち、さらに全員が家族のメンバーでもある。KevinとTim Forestell兄弟、そしてKevin Forestellの妻のErin Stephensonだ。

プラットフォームに追加される予定の新機能は、ビデオのアップロード機能だ。重機をプラットフォームにリストアップする際に、一緒にビデオもアップロードできるようになる。

「ビデオの要素をDozrに加えることによって、レンタル時や返却時の器材のコンディションを見ることができます。実際の仕事の現場において、その器材がどのように使われていたのかということも見ることができるのです」とKevin Forestellは話す。

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Dozrの共同創業者たち。Tim Forestell、Erin Stephenson、Kevin Forestell。

映像を利用することで、器材のコンディションを「キーキー音」などから判断することができるかもしれない。また、保険会社にとっても利点がある。レンタル前に撮影したビデオを利用すれば、レンタル中の故障や事故の原因が貸した側にあるのか、もしくは借りた側にあるのかをはっきりさせることができるからだ。

同社は現在、PCとモバイルのブラウザで動作するマーケットプレイスを提供している。だが、今回のシード資金によってモバイルアプリの開発にも着手する予定だ。

Fair VenturesのGerry McGuireは、シェアリングエコノミーのコンセプトは建設業界や重機業界にも通用するとの判断からDozrへの出資に踏み切ったと話す。

産業設備は高額であり、かといって仕事を受注した時に設備がなければ困ってしまう。産業設備のユーザーは常にこのような選択を迫られているとFair Venturesは話す。

「設備を購入することを選択した場合、設備の稼働率の問題に向き合わなければなりません。それを考えれば、過剰設備のレンタルを可能にし、設備が必要でありながらそれを購入することを望まない業者のニーズを満たすことは道理にかなっていると言えるでしょう」と彼は語る。

Yard Club、 Getable,、EquipmentShareなど、米国市場においてDozrと同じく産業設備のマーケットプレイスを提供するスタートアップが彼らの競合となる。

Dozrは、器材のオーナーに直接提供する保険や、器材と併せてレンタルできるオペレーター、そしてなにより、長い間この業界で荒波を乗り越えてきた創業者たちの経験こそが、これらの競合とDozrの違いだと話す。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

 

農産流通基盤「SEND」運営のプラネット・テーブルが4億円の資金調達、“農業×FinTech”の挑戦も

プラネット・テーブルのメンバーら。中央が代表取締役の菊池紳氏

プラネット・テーブルのメンバーら。中央が代表取締役の菊池紳氏

農産流通プラットフォーム「SEND(センド)」などを運営するプラネット・テーブルは8月31日、SBIインベストメント、Genuine Startups、Mistletoeを引受先とした第三者割当増資により総額4億円の資金調達を実施したことをあきらかにした。評価額、出資比率等は非公開。同社はこれまでに2015年3月にGenuine Startupsと個人投資家から3500万円のシードマネーを調達。同年12月にサイバーエージェント・ベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズなどから総額約1億円のシリーズAの調達を実施している。

プラネット・テーブルは2014年5月の設立。代表取締役の菊池紳氏は外資系金融機関、コンサル、投資ファンドなどを経験したのちに起業した。農林水産省のファンド「農林漁業成長産業化支援機構」の立ち上げにも携わった。

SENDの登録飲食店は1000件、生産者は3000件以上に

同社は2015年8月から農産流通プラットフォームのSENDの提供を開始した。SENDは農作物、肉類の生産者と飲食店の間での直接取引を実現するプラットフォームだ。飲食店はプラットフォームに登録した生産者が生産する食材などをオンラインで取引できる。特長となるのは、取引のためのオンラインでのプラットフォームだけでなく、食材保管用の拠点を自ら持ち検品から配送までも自前で行っている点だ。

サービス開始から1年で登録飲食店は1000件、登録生産者数は3000件を突破した。また8月には東京都・目黒区にこれまでの10倍(約200平方メートル)の物流拠点「GATE Meguro(ゲート メグロ)」を新設している。この拠点と後述の物流機能の強化により、これまでの東京都心部(渋谷、広尾、恵比寿、六本木など)から、西東京、川崎、横浜北まで配送エリアを拡大するとしている。

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シェアリングやIoTを導入

今回の調達を受けて同社が進めているのは、いわゆる「シェアリング」モデルやIoTの導入による物流機能の強化、そして農業×FinTech領域への参入だ。

シェアリングに関しては、地域の生産者をネットワーク化し、トラックを共有して地域の集荷を行うモデルを導入するほか、中小配送業者の有休資産を活用したサービスの試験運用を行う。通常生鮮食品の配送は夜中が中心。それ以外の有休時間での配送を依頼できる配送業者をネットワーク化していく。

また、IoTスタートアップなどと組み、物流過程の滞留時間や温湿度変化といった物流ロス要因の可視化を進めるとしている。「物流ロスを減らし、物流によるモノの劣化を防ぐ。品質劣化の原因を追うと製造者の責任になりがちだが、物流の責任になることもある。それを可視化していく。売り手と買い手、どちらとも組んだプラットフォームでないとできない話だ」(菊池氏)。具体的な取り組みについては間もなく発表があるとしう。

今後は「Square Capital」ライクな生産者向け金融サービスも

先ほど「農業×FinTech」と書いたが、プラネットテーブルでは今後、生産者向けの決済やファイナンス支援サービスを手がける。菊池氏は、マーケットを改革するためには商流や物流だけでなく、お金の流れが変わらないといけないと語る。では農産取引においてのお金の流れを変えるというのはどういうことなのか。

生産者には、収穫期や出荷期においては人件費をはじめとした早期支払があったり、作付や生産拡大向けた資金需要があったりと、業界独自の資金ニーズがある。そこにたいしてプラネット・テーブルは金融機関と組み(実際、プラネット・テーブルでは複数の金融機関系VCからの支援を受けている)、独自の決済サービスを提供していくほか、、ファイナンスの支援をしていくのだという。

この話を聞いて思い出すのは、決済サービスのSquareが米国で提供している「Square Capital」というサービスだ。このサービスは、Squareを導入する小売店が事業拡大のための資金をSquareから借り受け、売上の一部から返済していくというプログラムだ。このプログラムをSquareが提供できるのは、小売店の売上や財務状況をビッグデータとして持ち、それを活用して独自の与信機能を持っているからに他ならない。

SENDは生産者と購入者、両方の情報を持っている。これを利用することでSquareと同じように生産者の財務状況を把握し、最適なファイナンス(の支援。自ら出資するのではなく、金融機関を繋ぐ予定)を行えると考えているようだ。「流通が見えるということは、お金の流れも見えるということ。(SENDも売買データから需給予測をしているので)売れることが分かっているのであれば、現物(生産物そのもの)で資金回収するというのでもいい」(菊池氏)

同社では今期中(2017年3月末まで)にもこれらの取り組みを進め、将来的にはプラットフォーム丸ごとをアジア地域にも展開したいと語る。また6月に発表していた生産者向けバックオフィスツールの「SEASONS!」については、当初7月頃の正式リリースを予定していたが、「ユーザーからのヒアリングを行って機能やUI/UXを改善しており、10月にもリリース予定」(菊池氏)としている。

スペースシェアの「スペースマーケット」が約4億円を調達して開発・営業を強化

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球場からお寺からオフィスの会議室まで、空きスペースを1時間単位で貸し借りできるマーケットプレイス「スペースマーケット」。サービスを運営するスペースマーケットは8月29日、オプトベンチャーズ、リクルートストラテジックパートナーズ、みずほキャピタル、SBI インベストメント、オリックスを引受先とした約4億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

スペースマーケットは2014年1月の設立で、同年4月にサービスを開始した。現在のスペース数は8500箇所で毎月順調に増加しているという。ユーザー数は対前年比で300%増加の3万人。これまでの成約件数は非公開だが、現在7割弱がパーティーでの会場探しに使われているという。それも首都圏で、15人未満の比較的小さな規模のものが中心だ。

また最近では、これまで提供してきたマーケットプライスに加えて、コンシェルジェが会場手配からイベント企画までをサポートするエンタープライズ向け事業も拡大。企業のサンプリングやマーケティング、リクルーティングのための場作りなどにも利用されているという。件数ベースではプラットフォーム経由での案件が7割程度を占めるが、現在はこのエンタープライズにも注力している。加えて直近ではピザハットベネフィットワンとも提携。利用用途や機能を拡大しているほか、民泊事業も開始。法制面の整備に合わせてサービスを拡大していく予定だ。

スペースマーケットでは、今回の調達を元にして開発および営業、マーケティング人材を強化。プラットフォームの利便性を高めると同時に、積極的なマーケティング施策を展開していく。具体的な開発内容としてはまず、AIを活用したレコメンド機能を開発するほか、ボットによる24時間体制のカスタマーサポート、最適なレンタル価格の提案機能、多言語・他通貨決済への対応などを進める(これは2020年の東京五輪や、将来的な海外展開を視野に入れたものだそう)。

これに加えて地方自治体などとの連携も強化する。「『入場料×365日×人数』しか売上を出せず、観光施設を生かしきれていない地域も少なくない。その体制を変えていく。各種パートナーと連携することで、企画や送客なども行っていく」(スペースマーケット)。同社では2019年時点で5万箇所のスペース提供を目指す。

Airbnbが新たに8億5000万ドルを調達、評価額は300億ドルに

LONDON, ENGLAND - AUGUST 03:  The Airbnb logo is displayed on a computer screen on August 3, 2016 in London, England.  (Photo by Carl Court/Getty Images)

ユニコーンのテクノロジー企業で、シェアリングエコノミーの申し子であるAirbnbはデラウェア州に再び多額の資金を調達すると報告した。

TechCrunchは、Airbnbが7月28日付で提出した28ページの書類に、レイトステージの資金を追加する計画が記されていることを突き止めた。1年ほど前、Airbnbは16億ドルを調達しているが、Equidateの情報によると、同社は新たに8億5000万ドルを金庫に加えるという。

8億5000万ドルは多額の資金だが、Airbnbにとって最大のラウンドではない。昨年、AibnbはVCラウンドでも最大級となる、15億ドルを調達した。この追加資金で、最も評価の高いテクノロジーユニコーン企業の順位で同社を5位から4位に押し上げ、潜在的な評価額は300億ドルとなった。

今年は大型資金調達が相次いている。UberはサウジアラジアのPublic Investment Fundから35億ドルのエクイティラウンドを実施した。そのラウンドの後にはさらに11億5000万ドルをレバレッジド・ローンで調達している。

レイトステージであっても、Airbnbはどのくらいの資金を得るかに注意しなければならない。エクイティが多すぎれば初期の投資家の持分を希薄化する。また、デットで調達しすぎた場合は、評価額が急落した時に投資家に悪影響が及ぶことになる。デットはエクイティより前に支払う必要のある資産クラスである。

AirbnbはIPOを戦略的に引き延ばす行動を取ってきた。Airbnbは投資家の持分を希薄化せずにグロースするため、先月デットファイナンスで10億ドルを調達した。

Airbnbの以前の評価額はおよそ270億ドルだった。このラウンドは確かに多額だが、Airbnbがこれまで行ってきた希薄化を阻止する戦略から離れたわけではない。報道によるとAirbnbは出資額のいくらかを辞退しているため、8億5000万ドルは控えめな金額だという。 The Wall Street Jounalによると、Airbnbには受け取らなかった資金があり、Airbnbの評価額を340億ドルに押し上げる提案を辞退した。

また、WSJによると、 投資家は同時に2億ドルの株式を社員から買い戻す計画を立てているという。株式の買い戻し施策は、レイトステージの企業がプライベート企業でいるため、そして初期の社員に報酬を与える意味合いでよく行われれることだ。買い戻し施策は、ベンチャー投資家ではなく、社員のために行われることであって、通常、普通株にしか適用されない。

優先株を持つ株主からの圧力を回避するため、初期の投資家の株式を買い戻す必要がある。Sequoiaは2009年、Airbnbが61万5000ドルを調達したシードラウンドでリード投資家を務めた。PitchBookによるとSequoiaは投資を実施するにあたり、XIIファンドを使っている。その後Airbnbの投資もそのファンドから出資している。このファンドは2006年に設立されたものだ。

Airbnbは現在、地元、そして海外でも訴訟の最中だ。最近では、サンフランシスコ市がAirbnbに物件を掲載する前にホストの提出内容を認証することを求める法案に関して、Airbnbはサンフランシスコ市を訴えた

TechCrunchはAirbnbとこの調達に関わる企業に連絡を取っている。情報が入り次第記事を更新したい。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

東南アジア拠点のフリマアプリCarousellが3500万ドルを調達

Southeast Asia based Carousell raises1  35M for its social commerce app   TechCrunch

Carousellはユーザーが品物を掲載して個人間売買できるアプリだ。Carousellを運営しているのは創業4年目のシンガポール発のスタートアップで、現在、東南アジアにおいてアプリを展開している。CarousellはシリーズBラウンドで新たな国への進出とプロダクト開発のために3500万ドルを資金調達した。

Carousellは、整い始めたシンガポールのスタートアップエコシステムから芽を出したスタートアップの内の1社だ。Carousellを創業したNUS(シンガポール国立大学)卒業生のLucas Ngoo氏、Marcus Tan氏、Siu Rui Quek氏ら3人は20代前半は「一般的な」仕事に就いていた。加えて、このシリーズBラウンドはシンガポール発のスタートアップにとって確実に注目に値する(そして最大の)ラウンドである。

当ラウンドは以前からの出資者Rakuten Venturesに率いられ、Sequoia(東南アジアの取引を担うインドのファンド経由)、Golden Gate Venturesと500Startupsが参加している。Carousellは以前の2014年のシリーズAラウンドで600万ドル2013年のシードラウンドで80万ドルの資金調達をしている。新たな調達ラウンドを早い段階から検討していたことが垣間見える。

実際、昨年12月TechCrunchは、CarousellがシリーズBラウンドで5000万ドルに近い額を出資者から調達しようとしていると記事で伝えた。当時、その記事に関してCarousellのコメントを得られなかった。そして、今回に関してもCEOのQuel氏はその記事に関しては「既存投資家の支援が得られることを非常に嬉しく思っています」と述べるに留まった。

Carousellのアプリは「私たち自身が抱えている問題を情熱を持って解決するプロジェクト」としてシンガポールで開始したとQuek氏はTechCrunchのインタビューで語った。簡単にCarousellを言い表すとiOS、Androidアプリ経由のモバイル版クレイグリストだ。写真をアップロードできる機能を持ったチャットスタイルのインターフェースを採用しており、品物の売買に興味のあるユーザー同士を結びつける。個々のユーザーが自ら販売、支払いの管理を行い、今のところCarousellはサービスから収益を得ていない。

Southeast Asia based Carousell raises 35M for its social commerce app TechCrunch

Carousell上には既に3500万の品物が掲載されており、1分間に70個の品物が新たに掲載されている。アクティブユーザーは平均で17分間アプリ内を回遊しているとCarousellは説明する。(これは悪くない数値だ。Facebookグループの3つのアプリFacebook、Instagram、Messengerでは、ユーザーは平均で1日50分間利用していると先日Facebookは公表した)。

Carousellは現在、シンガポール、香港、台湾、マレーシア、インドネシアの5カ国でサービスを提供している。さらにシェアを拡大する計画もあり、現在、重点を置く東南アジア以外の国への進出も含まれるとQuek氏は語った。

「Carousellが解決している問題はグローバルなものです」とQuek氏は説明した。「Carousellの事業は本質的に地域に縛られないものです。(Carousellが進出を予定している)次の市場は東南アジアの外であり、進出に向けて準備を進めています」。

Carousellは国際的な市場拡大に向けて、今年初めには東南アジアでAirbnbの事業を牽引してきたJJ Chai氏をヘッドハンティングした。

東南アジアにおけるEコマースの市場獲得を巡る競争は厳しい。オンライン市場は市場全体の3%未満を占めていると推定される。今年、Alibabaから10億ドルの資金調達を行ったLazadaの他にも東南アジアには各国固有のEコマース企業が存在する。ソフトバンクの支援を受けているTokopedia、インドネシアの小売コングロマリットLippoが運営するMatahari Mallなどだ。一方、ソーシャルネットワーク上で従来の枠に捉われないコマースも成長しており、Facebookも注力し始めている。アメリカの大手SNSは、Facebook Shopの機能と並行するソーシャル決済システムを検証している。これは、東南アジアのユーザーがFacebookの囲いから離れなくても、商品の売買をすることを促すものだ。また、いくぶん奇妙ではあるが、Rakuten Venturesの親会社である楽天はCarousellに似たRakumaという名前のソーシャルコマースアプリを東南アジアで展開している。

「Rakumaを開始したことを知りませんでした」とQuek氏は語る。「子会社のベンチャーキャピタルのRakuten Venturesを通じて楽天から出資を受けています。Rakuten VenturesのCarousellへの出資は本質的に戦略的な意味合いはありません。私たちは独立して事業を運営しており、楽天の戦略的な計画は把握していません」。

厳しい競争の渦中だが、今の段階でCarousellが収益についてあまり考えていないことは驚くことではないかもしれない。Quek氏は、Carousell(と出資者)は将来的にマネタイズを行うだろうが、今すぐそれを行う計画ではないという。現在はアプリをスケールさせることに重点を置いているとのことだ。

Quek氏は、その時が来たのならCarousellが利益を得ることに何ら問題もないと楽観的に考えていることを強調した。

「Carousellのビジネスモデルは、基本的にはマージン率およそ50%の旧来のクラシファイド広告と同じです」とQuek氏は言う。「ビジネスモデルを新たに発明しようとしているのではなく、新たな顧客体験を創造しようとしています。結果的にそれがマネタイズにつながるのです」。

「現在、重点を置いているのは、市場の国際展開、そして競争力のあるプロダクトとエンジニアチームの整備に力を入れて取り組むことです」とQuek氏は補足した。

Carousellには現在90人の社員がいて、そのうち24人はエンジニアだ。Quek氏は今年の末までに、エンジニアの人数を倍にしたいと語った。そのようなチーム体制によって検索の改善、売り手と買い手のマッチング、スパム的な商品掲載を減らすことを狙うと語った。

Carousellの最終的なエグジット戦略に関して、東南アジアで初の注目を集めるIPOになるかと気になるかもしれないが、それに関してコメントは得られなかった。

「私たちはCarousellのエグジットについてあまり議論してきませんでした。私たちが常に大事にしていることは大きなインパクトを生むことなのです」とQuek氏はTechCrunchにそう語った。「Carousellはちょうど動き始めたところです。国際展開が’最も重点を置くことの1つになるでしょう」。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

GoGoGrandparentを使えばスマホがなくてもオンデマンドサービスが利用可能に!

Boy Helping Man Use Cell Phone

2016年は間違いなくオンデマンドの年だ。ライドシェアではUberやLyftが未来の交通手段としての地位を固め、他にもPostmatesの様なオンデマンドのサービスが、ものを「オンデマンド」で注文する、という需要が確かに存在するということを明確に示した、そんな年だ。

しかし問題がある。オンデマンドアプリを使うにはスマホが必要だが、アメリカにはまだスマホを持っていない人が7500万人もいる、つまりこれらの人々はこの生活の仕方を一変させてしまうようなサービスを受ける資格すら与えられていないのだ。

これらの人々は経済力も居住地も様々だが、1つだけ共通点があるようだ。それは、年齢の高い人ほどスマホは愚か、携帯すら持っていない可能性が高くなるということだ。

そこで登場するのがGoGoGrandparentだ。この会社は、Y Combinatorの2016年夏のクラス出身だが、そのミッションとはスマホを持っていない人々でも、Uberの様なオンデマンドサービスを使用できる方法を開発することだ。

この会社が設立に至った経緯はなかなか面白い。共同設立者の1人であるJustin Booogaardは祖母と一緒に住んでいた。祖母は彼がUberをよく使うのを見ており、どうやったら自分も使えるのかを聞いてきた。Justinが、車を呼ぶにはスマホが必要だと教えると、彼女は自分のような人でもUberが使えるような会社を作ってくれと言ったのだ。
 Justinと共同設立者のDavid Lungはそのアイディアを気に入ったが、まずそのアイディアをより公平に検討してみようと考えた。結局のところ、おばあちゃんというのはあなたのすることならなんでも自動的に気に入ってしまうものだからだ。そこで彼らは架空の会社からJustinの祖母に手紙を送りつけ、固定電話や役立たずの携帯からでも、その会社に電話すればUberの配車を手配してくれるというサービスを宣伝した。祖母は実際試してみて、そのサービスがとても気に入り、GoGoGrandparentが誕生した、という訳だ。
面白いのは、このビジネスにおいて、今でも手紙が重要な役割を果たしていることだ。同社によると、手紙というのは古い年代の人々と連絡を取るには素晴らしい方法で、GoGoGrandparentが前週比20%の成長を達成する手助けとなっている。

 

The company can also send texts to loved ones with the status of riders.

移動中の状況を家族にテキストで知らせることも出来る

会社設立当初は、JustinとDavidは文字通りホットラインを設置し、電話を受け付け自分たちのスマホでUberの配車を手配していたが、この方法では今後規模を拡大できないことは明白だった。そこで彼らはTwilioを使って、自動電話サービスを構築した。

まず、オペレーターと話をしてクレジットカードと住所を渡す。そして、もう一度電話した際に全自動のサービスに入り、1を押すと家にお迎えが来る。同社はUberに配車を依頼し、顧客は運転手にどこに行きたいか伝えれば良い。もし、家以外の場所でピックアップして貰いたければ、同社のホットラインに電話して人間のオペレーターと話が出来るようにリクエストすれば良い。システムは前に顧客を降ろした場所を覚えているので、そこをピックアップポイントとしてリクエスト出来る。

GoGoGrandparentは1回の乗車につき13%のコミッションを徴収し、バックエンドのコストをカバーする為の1.80ドルが別途必要だ。同社によると1回の乗車にかかる手数料の合計は平均で大体2.50ドルほどだ。確かに、自分でUberを呼ぶよりは高くつくが、それで移動性を確保できるのであればお安いものだとも言える。

しかしながら、Uberがその気になればこの様なシステムを自分で組み込んでGoGoGrandparentを廃業に追い込むことなど一夜にして出来そうなものだが、なぜそうしないのだろうか。Booogaardの説明によれば、実際彼等はライドシェア専門の会社とこの件について話し合ったそうだが、そこで耳にしたのはこの様な「古い」タイプの人々はUberの顧客中たった3%を占めるに過ぎないということだ。つまりは、Uberは「収穫しやすい果実」に注力し、GoGoGrandparentがUberの為に重労働をしてくれるなら、それは結構なことだと考えているのだ。その間Uberはスマホ世代のさらなる顧客の開拓に精を出すという訳だ。

それでは、同社は将来をどの様に考えているのだろうか。創業者の考えによれば、最終的には同社は非営利団体や市政と組んで、このサービスを設備的に恵まれない人々、つまり必ずしも年寄りではないがスマホを買う余裕のない人々、に提供して行きたいと考えている。また、同社はこのサービスが現在ほとんどの大都市で目にする、いわゆる補助的交通手段(訳注、高齢者や障害者のための予約制交通システム)の代替になるのではないかと考えている。そのような補助的な交通手段は高くつき効率的とは言えないからだ。

最後に、同社は最終的には顧客に他のサービスも提供したいと考えている。それは他のオンデマンドアプリへのアクセス、例えばPostmatesやInstacartかもしれないし家の雑事をこなすHandy、または介護サービスかもしれない。こう言ったサービスを追加することでGoGoGrandparentは収入面で多様化し多くのビジネスチャンスにも恵まれるし、多額の紹介料を手にする可能性もある。

GoGoGrandparentの利用はウェブサイトでサインアップするか電話、(855) 464-6872、へどうぞ。このサービスについて愛する家族に知らせてあげてください、もちろん手紙で

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

確定:DidiがUber Chinaを買収、Uberブランドは継続

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中国のDidi ChuxingとUberの両社は、DidiがUberの中国事業であるUber Chinaを買収することに合意したと認めた。損失を出している両方のオンデマンド交通ビジネスが利益を出す会社になるためだ。少し前からこの合意に関する噂が流れていた。

どちらも両社の独立したブランド、アプリ、ビジネスオペレーションを維持するが、バックエンドは統合するようだ。Didiは「マネジメントとテクノロジー体験、そして両チームの専門性を統合していく」としている。

Didiが発表した財政面での説明では、Uberは新しく統合した会社の5.89%、そして Didi Chuxingの経済的利益の17.7%に相当する優先株を保有する。既存のUber Chinaの投資家で、中国における主要格の検索企業Baiduは、新事業の2.3%を保有することになる。

一方、UberのCEOであるTravis Kalanickにとって、Uberがサービスを展開する市場の全てで勝者になることはできないと認めたのにかなり近い状態と言えるだろう。

「UberとDidi Chuxingは両社とも中国で何十億ドルもの資金を費やしていますが、どちらもまだ利益を確保できていません」と、ブログ投稿に記している。「利益が確保できる体制を構築することは、中国の乗客、ドライバー、都市にサービスを長期にわたって提供するための持続可能なビジネスを構築する唯一の方法です」。

Didi側の公式な発表でも、この取引における正確な金額は明示されていない。Didiは中国において1500万人のドライバー、3億人のユーザーがいるとし、「Uberの少量株主持分を取得することになります」と述べるにとどまった。

しかし、この取引について第一報を伝えたBloomberg によると、DidiはUberのグローバルビジネスに10億ドルを出資するという。参考までに書くと、Uber Chinaはこのセクターで「勝者」になるための全ての指標においてDidiに遅れをとっていた。Didiの方が調達金額が多く、評価額も高い上、彼らの主張によるとUber Chinaより広く普及しているという。

最後のポイントについて両社は議論しあっていたが、今回のニュースを受けて、PRにおける両社の緊張関係は解けたようだ。Kalanickが投稿した別のFacebookポストでは、直接的にDidiの数字と比較していないものの、Uberでは毎週4000万回の移動があり、Uberブログには月に1億5000万回の移動があると伝えている。

直近では、Uber Chinaの評価額はおよそ70億ドルで、Didiの評価額は280億ドルだった。

この取引は、少なくとも1ヶ月前から話し合われていた。もしかすると、それより前からかもしれない。7月の始めにはそのような噂が聞かれていたが、事実確認をすることはできなかった。

また、人事異動もある。 Didi Chuxingのファウンダーで会長のCheng Weiは、Uberの役員会に参加し、代わりにUberCEOのTravis KalanickはDidiの役員会に参加する。

ChengはUberとの熾烈で高額な競争期間を終え、落ち着きのある勝者となった。

「Didi ChuxingとUberは、急成長を遂げる中国経済の中で過去2年間、互いから多くのことを学びました。中国に深く根ざしたテクノロジーリーダーとしてDidi Chuxingは、常にイノベーションの最前線を突き進み、人々の交通手段の未来を構築してきました」と声明で伝える。「このUberとの合意は、モバイル交通業界をより健全な状態に整え、さらに高次の成長につながる持続的な道を開きます。Didi Chuxingは監督期間、ユーザー、パートナーと協力し、私たちの都市における交通、環境、雇用の課題を解決することに全力を注ぎます」。

Didiの会長であるJean Liuは、今回の合意についてDidiがグローバルな野望から遠ざかるものではないとした。

人、車、ライフスタイルをつなげるDidiのオープンなシェアベースのエコシステムには、1500万人のドライバー、3億人の登録ユーザーが参加しています。Uber Chinaの経験と優秀な人材が加わることで、Didi Chuxingは中国の人たちにサービスを提供するにあたり、確固たる地位を築くことができます。Didi Chuxingはまた、海外展開の戦略も拡張していきます。私たちは自国、そして国外のパートナーと協力し、ドライバー、乗客、コミュニティーに対してさらなる価値を創出していきます。

競争関係の行方

今回の発表は、この合意における直接的な影響、そして将来的にUberにどのような影響があるかに関して多くの疑問が浮かぶ。

まず気になるのが、UberのCEOがDidiの役員会にいて、DidiのCEOがUberの役員会にいることで、中国以外の市場における競争環境にどのような影響があるかということだ。Didiは、Uberがサービスを展開する主要地域の競合他社の全てに投資している。Lyft(アメリカ)、Ola(インド)、Grab(東南アジア)だ。現時点で分かっていることは、この中国企業はUberとの合意後も「グローバルパートナーと引き続き協力していく」と言っていることだ。

また、この取引に関してUberの部分的な投資家となる企業がある。Didiの投資家にはAlibaba、Apple、DST、Softbank、Tencentなどが含まれる

さらにこのような事業を構築するにあたり、ビジネスモデルに関しても疑問が湧く。Uberはグローバル市場でサービスを展開するために、何百億ドルもの資金を調達した。Uberは別会社としてUber Chinaを設立し、個別に調達を行ってきた。しかし、何十億ドルを費やしてもDidiとの競争に勝つのには十分ではなかった。

中国生まれのUberのライバルは、サービスを展開する200の地域で利益を出していると最近伝えた。だが、360の地域全てで利益を確保できているのではない。これは規模があっても、利益面で最終的につじつまが合うかどうかは時間が経たなければ分からないということだ。興味深いことに、主要なライバルを飲み込んでしまうことで、競争に伴う割引やマーケティング施策を削減し、投資額が少なくてすむようになる。

これがどのような結果をもたらすかは時間が経たなければ分からないが、Uberが苦戦を強いられている地域で、市場の勝者となるために投資しすぎていると判断した場合においてUberがどのように立ち回るかに関しても注目したい。

Uberは、食品配達などの新たなカテゴリーにも参入していて、荷物であれ人であれ、あらゆるものの輸送手段に対応するワンストップ・サービスとなるための野望に向かう施策を打っている。

Uberは各市場で圧倒的なライバルであると証明してきたが、Uberの戦略変更、そして競合を押しつぶすための投資が見合わないと判断した場合には、競合との合併を選んだことによる影響はどうだろうか?これは、投資額がエスカレートする競争で勝つのが不可能に思えたUberの競合にとって、活路となるかもしれない。交通手段のライバルの1社であるGrabは、Uberとのライバル競争は負け戦ではないという声明をすでに出している

<Uberの声明は原文をご参照ください>

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

中国の2大ライドシェア企業、Uber ChinaとDidi Chuxingが合併か

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中国のライドシェア業界から大きなニュースが飛び込んできた。Didi Chuxingが、ライバルであるUber Chinaとの合併に合意し、競争に終止符を打つようだ。中国で設立予定の合併会社の評価額は350億ドルとなる見込みだ。

この噂は1ヶ月前から聞かれていて、両社とも否定していた。だが、実際に合意に至るようだ。 BloombergWall Street Journalも、情報筋からこの合併に同意したという話があったという。このタイミングは興味深い。何故なら、中国政府は11月1日からタクシー配車サービスを合法にするという規則提案を先週リリースしたばかりだからだ。

大型資金調達を行った後で70億ドル以上の現金を持つDidiは、Uber Chinaのオペレーションを担うUberのグロバールビジネスに10億ドルを出資するとBloombergは伝えている。Uber ChinaとBaiduを含む同社の投資家は、中国に設立する新会社の20%を獲得する。

この合併により、Didiは地球上に存在する全てのライドシェアリング企業に投資したことになる。以前にLyft、インドのOla、そして東南アジアのGrabにも出資していた。

TechCrunchはUberとDidiにコメントを求めている。情報が入り次第、記事をアップデートしたい。

中国のタクシー配車業界で起きた大規模合併は、これが初めてではない。 Didi Chuxing自体もDidi DacheとDidi Kuaidiが、過激なドライバーへの支援金戦争を終わせるために、昨年合併した。合併した会社の評価額はおよそ60億ドルだ。

Uberは何十億ドルも中国で費やしている。Bloombergによると、同社は中国でこれまでに20億ドルの損失を出したという。どうやら、2回目となる合併も同じ理由で行われるようだ。けれでも、その結果は全く異なる影響をもたらすだろう。Uberにとって中国事業を切り離すことは、ようやく上場会社となる道筋に着くことにつながるかもしれない。アメリカ事業は、先月、すでに欧米市場で利益を出していると伝えたが、中国での事業は、多額の資金を費やしているにも関わらず、競合に押されている市場だ。この合併が実行されれば、Uberの事業に対する最大の懸念材料を取り払うことができるだろう。

アップデートがあり次第、更新予定

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

TeslaとUberの意外に多い共通点

WASHINGTON, USA - MARCH 16: Heavy traffic along Interstate 395 during the morning commute in Washington, USA on March 16, 2016. On Tuesday afternoon WMATA announced that it would suspend all of it's Metro Rail service for 29 hours starting at midnight in order to conduct emergency repairs to the system after multiple fires caused by faulty connections. On average 700,000 people use the Metro on any given work day to get to and from work and they had to scramble to find alternate ways to work. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)

Elon Muskの新たなマスタープランにもとづいて、Teslaは新たにカーシェアリング市場へと乗り込んでいく。

Teslaのカーシェアリングというアイディアは新鮮に聞こえるが、自動運転の技術と相まって、Tesla車がシェアリングエコノミーに関する議論の中に登場するのは初めてではない。

2015年のあるイベントにて、Uberの投資家であるDFJでパートナーを務めるSteve Jurvetsonは、UberのTravis Kalanickが、Teslaの自動運転車が2020年までに実現すれば、Tesla製の車を全部買うと話していたことを伝えている

以前、UberとTeslaのパートナーシップが地平線上に見えていた時期があった。Musk自身も、業績発表会でパートナーシップの可能性に関する話題が上がったときに、怪しまれるくらい長いあいだ黙りこんでいた

最近では、Uberは自分たちで自動運転車を開発しようとしているようだ。そして、本日のMuskの発表によると、Teslaも同じことをしようとしている。

「Teslaの携帯アプリのボタンを押せば、自分のTesla車をカーシェアリング用に貸し出すことができます。そうすることで、仕事中や休暇中にも収入が発生し、月々のローンやリース費用を相殺できる、もしくはそれを上回るくらいの金額になる可能性があります」とMuskは自身のポストにつづった。

UberやLyftのような企業は、第一印象よりもTeslaと多くの共通点を持っている。特にUberは、以前から長期的なビジョンと自動運転車の必要性について熱く語っていた。

UberとTeslaは、最初の製品やサービスを、参入障壁がとても高い市場に入り込むのに使っていた。Uberでいえば、ライドシェアリングサービスには、多大な人的資本と規制への強固な影響力が必要だ。Teslaも、何もないところから量産品の車を製造しなければならなかった。

Uberは未だに中国で資金を垂れ流しており、Teslaもコストのかかるギガファクトリーを引き続き稼働させる必要があるものの、両社が設立当初にやろうとしていたことの大部分はうまくいっている。そして2社とも運転手不要の車に対して、強い(そして高くつく)こだわりを持っている。Uberは現在、カーネギーメロン大学をはじめとした有名大学から才能あふれる学生を採用し、自動運転技術の開発やテストにあたろうとしている。

このまま行くと、UberがTeslaと衝突することになってしまうが、これは別に新しいことではない。Teslaは、自動車の稼働率を上げるための方法としてカーシェアリングを利用することで、パズルを完成させようとしているだけだ。両社とも、自動運転車の導入が交通費の減少につながると考えている。

Uberが、現在の市場の外にいるグループにもサービスを利用してもらうためには、コストを低く抑える必要がある。しかし、新たな人たちにサービスを利用してもらうためには、人口密度の低い郊外でもサービスを普及させ、最終的には普通のアメリカ人が車を手放すよう仕向けなければならない。一方Teslaは、電気自動車を普及させ、最終的には必要な電気の量を減らして全面的な二酸化炭素の排出量を減少させるため、運転に関するコストを減らす必要がある。

Uber/Tesla

シェアリングエコノミーの最大のメリットはまだ誰も享受することができていない。表面上は、Uberのような企業が、中産階級のうち以前は仕事のなかった人々に対して収入源を供給している。将来的にカーシェアリングが自動化されれば、移動にかかる費用が減少し、市場の効率性は最大化する。Kalanick自身も過去に、Uberの料金を構成している要素のうち運転手のコストが一番高いと語っていた。ライドシェアリングが車所有の文化を代替するためには、さらなる価格低下が必須条件なのだ。

Uberにとっての自動運転車の必要性は、中国でのマーケットシェアの必要性とは性質が違い、自動運転車はUberに長期的な持続性をもたらす。同様にTeslaは、今の道を進んでも事業継続はできると思われるが、自動運転車への参入で長期的な適合性を保つことができる。つまり、両社にとって自動運転技術は新たな高成長のチャンスであり、それがトップレベルの人材をひきつけ続けることにもつながるのだ。

UberとTeslaにとってカギとなるのは、将来の投資に集中するあまりコアビジネスがおろそかにならないようにするということだ。Muskはマスタープランの中で、短期的に見れば公共交通機関や貨物自動車の開発にチャンスを見出しており、それに取り組むことがTeslaの長期的なゴールへの前進に繋がると明言している。

両社の衝突は当分先のことだが、UberとTeslaが同じ流れに乗っているからといって、それがゼロサムゲームになるということにはならない。Googleや他企業が自動運転技術への投資を行っていくことが、エコシステム全体にとってのメリットとなるのだ。全般的な研究開発費に注視することが、自動運転の業界にいる各社の戦略の内省に繋がる。

Teslaは他社に立ち向かうことはできる。一方他社に勝つかどうかは、未来の交通手段の姿について正しい方向性を選択できるかにかかっている。これから20年先に私たちが、電気自動車を即金で買ったり、燃費の悪いガソリン車での移動に高い料金を払ったりする気持ちになるとは考えづらい。

UberとLyftに現在コメントを求めているので、返答を受け取り次第、本記事をアップデートしたいと思う。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

フードデリバリーのDeliverooがイギリスでお酒の配達も開始

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今年4月の成功に終わった試みに続いて、レストランデリバリー・スタートアップのDeliverooがアルコールの配達に業務を拡大する。ロンドンに本社を置くこの会社は、Majestic Wines、BrewDow、全国にある数多くの個人事業主やその他のワイン商店と提携し、UKでワインとビールのデリバリーサービスをローンチした。

私たちが聞いたところによると、新しいプロダクトは、Deliverooの既存のレストランフードデリバリーサービスと同じ方法を用いている。提携したアルコール飲料の販売主は、タブレットコンピューターとDeliverooのアプリを提供される。そのアプリ上で、販売主が注文の受注や処理を行い、注文商品をピックアップし、近くのDeliverooメンバーのバイクや自転車により商品が配達される。平均配達時間は20分と公約している。

このような、スタートアップの既存のフードデリバリーサービスにアルコールデリバリーを追加する動きは、既存の車両や配送基盤を存分に活用するという面もありつつも、手近に利益を得られる施策を取っているという感覚が大いにある。ことのほか、Deliverooの投資家たち(既存および将来の支援者)は継続的な(そして飛躍的な)成長を要求しているのだろうから。

もしくは単に、最近のUberによる競合サービスUberEatsのロンドンでのレストランデリバリーサービスのローンチ、もしくは噂されているAmazonのUK進出に対して祝杯をあげるうってつけの方法であるのかもしれない。

これはもちろん冷やかしである。ただ、タバコや夜更かし用のお菓子と一緒に様々なアルコール飲料が注文でき、対象地域に1時間以内で配達する「お酒のUber」と言えるロンドンの Bevyは、ほぼ確実に歓迎していないであろう。

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(翻訳:Shino Shimizu)

調査結果:カーシェアリング導入の都市では車の所有数と排気ガスが減少

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世界的に温室効果ガスの排出に最も寄与している物の1つは車だ。特に交通量が多く、人口密度も高い都市の温室効果ガスの排気が大部分を占める。市民全員に自転車や公共交通機関の利用を奨励しても、車を捨てることに納得させることはできないだろう。一方でカーシェアリングサービスは都市に住む人に受け入れられつつある。今回の新しい研究結果は、このようなサービスは環境に良い影響があり、さらに市民にとっても不要な出費を削減することにつながることが示唆された。

この研究(全PDFはこちら)は、カリフォルニア大学バークレー校のTransportation Sustainability Research Center(持続可能な交通機関の研究センター)におけるInnovative Mobility Research (IMR) の調査グループが実施した。特に北アメリカにおける乗り捨て型カーシェアリングに注目し、いくつかの主要都市でサービスを展開していて最大のリーチがあるcar2goを研究対象とした。乗り捨て型カーシェアリングでは、サービスに登録するメンバーは車に乗車したら、別の場所で乗り捨てることができる。トロントの場合、car2goの車は街中の道路、市が提供する「Green P」の駐車場や空港で乗車することができる。

IMRの研究では、カルガリー、サンディエゴ、シアトル、バンクーバー、ワシントンのcar2goのメンバーを対象に調査を行った。自己申告で情報を提示するアンケート調査と、今回の研究のためにcar2goから取得した車のアクティビティに関するデータを組み合わせて研究している。

研究から、車の所有数と運転による排気ガスの両方がカーシェアリングプログラムのある都市で減少していたことがわかった。排気ガスの減少は、運転の全体量が減少したことを反映している。car2goのメンバーは、車を所有している人ほど車を運転していなかった。また、カーシェアリングが提供される前と同じくらいか少ない頻度で公共交通機関を利用していた。回答者の多くは以前より歩くようになったと回答している。

車の所有に関して、乗り捨て型カーシェアリングシステムが導入されてから、少ないけれど無視するには多い数の回答者が、所有していた車を売却したり、そもそも個人で使う車を購入しようと思わなかったということがアンケート結果から分かった。5都市の合計では、都市で走るカーシェアリングの車1台ごとに、4台から9台の車が売却、あるいはそもそも購入されないという形で減少したことが分かった。これが正確なら、都市を走る車の合計数、そして製造、所有や使用、そして廃棄面でかかるコストに大きな変化が起きるだろう。

ここトロントでもcar2goは成果を出している。乗車/降車地点を特定駐車場から、どの住宅街の道でも対応できるように拡張し、さらに4ドアのメルセデスの車を利用対象車に加えた(通常提供している車のほとんどはスマートのフォーツー車だ)。また、TechCrunchの同僚は、シアトルでもcar2goは結構普及していると話していた。

カーシェアリングは、都市に住む人にとって一般的な交通手段になるにはまだ遠いだろう。ただ今回の研究結果は、少人数のメンバーがいるだけでも、都市の健康状態に大きな影響を与えることを示した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ShareGrid、撮影機材のCtoCレンタルサービスが100万ドルを調達

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現役の写真家や映像クリエイターであっても、恐らく撮影機材が家でほこりかぶってしまっている期間が少しはあるだろう。同時に、他の写真家や映画製作者は機材のニーズを感じている。もしもこの状況に素晴らしいビジネスチャンスを見出したとしても、ShareGridがとっくの昔に手をつけてしまっている。同社はこの度、Archer GrayMHS Capitalから100万ドルを調達し、テスト市場からの飛躍を目指している。

ShareGridは2015年のローンチ以降、ニューヨークとロサンゼルス、2箇所のテスト市場で、写真やビデオ関連の職についている人の生活を楽にしている。これまでの鋭敏なアーリーステージ投資で評判のMHSから大部分の資金を受け取り、メディア制作で有名なArcher Grayからも現金を調達したShareGridは、アメリカ中の新しい市場にサービスを展開していく予定だ。

「制作者として、私たちはShareGridのプラットフォームが解決しようとしている、機材レンタルの非効率性や課題を直接体験してきました」とArcher Gray Venturesのパートナー兼代表のVinay Singh氏は語った。

ShareGridのサイトには、現在金額にして1億ドル以上におよぶ機材が登録されており、1万2000人もの写真・映像クリエイターがメンバー登録している。

同社の主な強みは、他のシェアリングエコノミー系スタートアップの強みと近いものがある。機材の所有者は、眠っている機材の有効活用ができ、そこからお金を稼ぐことが出来る一方、借り手もその他の方法と比べて安い価格で機材を利用することができる。

資金調達以外にも、ShareGridは、貸し手と借り手が直接顔を合わせて機材の受け渡しができるShareGrid Hubと呼ばれる拠点についての発表を行っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Lyftが乗車中に音楽が聴けるジュークボックスサービスを開発中か

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Lyftの車に乗り込むたびに、おそらく一度ならずドライバーからどんな音楽を聴きたいか尋ねられたことがあるだろう。あなたも私たち多くがそうするように、特に好みはないと答える傾向があるかもしれない。実のところ好みはあるのだが、いちいち考えたくないとか、あなたのSoundCloundの分かりにくいトラックをドライバーと分かち合う気になれないというのが理由だ。もっと別の方法があれば・・・。

最近Lyftが承認を得た特許によれば、Lyft はドライバーと乗客が乗車中の音楽をスムースに選べる仕掛けを考えているのかもしれない。2014年に出願されたその特許はLyftがドライバー・ジュークボックスを実現するための複数の方法について述べている。この件に詳しい情報提供者によれば、その特許は社内のハッカソンの結果から出願されたものだが、現在は特に何らかの作業が進行しているわけではないということだ。

しかしLyftとはお互いのサービスを真似しあうライバルであるUberは、つい先月ドライバーに流す曲を選択させるアプリケーションに関してPandoraと提携を交わしたばかりである。Uberはまた、乗車中に聴く音楽を乗客に選ばせるためSpotifyとも提携を行った。

Lyftは音楽提携の分野ではまだ何もしていないので、私たちはドライバー・ジュークボックスのようなアプリケーションの登場を心待ちにしている。

特許には、乗車時に乗客が音楽を選ぶシステムやドライバーと乗客の両方が音楽を選ぶシステムなどバリエーションがある。特許にはまた、RdioやSpotifyのようなサービスにまたがる様々な機能についての概要に触れ、ドライバーと乗客の共通の好みに合わせて、そうしたサービスからトラックを選択するオプションについても書かれている。

Lyftの広報担当者はTechCrunchに対して「私たちは様々なアイデアに対する特許を持っています。 それらのアイデアのいくつかは洗練されて実際のプロダクトやサービスに姿を変えますが、いくつかは使われません」と語った。「必ずしも当社の特許が将来の製品と直結するとは限りません」。

Lyft が開発を進めると決めれば、ドライバー・ジュークボックスがどのようなものになるかが明らかになるだろう。

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(翻訳:Sako Hiroshi)

Uber、配車予約の前に運賃を提示することでサージ価格の透明性を上げる

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Uberのアプリユーザーは不明瞭な「2.1x」(あるいは他の倍数)のサージ価格の同意ポップアップをもう見なくなる。Uberは近い内に、事前に運賃を提示するようになる。

Uberは5月にTechCrunchの取材に対してサージ価格を撤廃することはないと話し、 NPRの報道を否定した。だが、その提示方法は変えるようだ。

Uberの価格は今後も需要に伴い変動する。けれども、これからは運賃がいくらになるか事前に分かるようになる。「計算する必要も、びっくりすることもなくなります」とUberは言う。

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uberPOOLでは、2年前から予め運賃を乗客に提示している。そして、このライドシェア企業はあることに気がついた。事前に運賃を提示することでユーザーが再びUberを利用する確率が高まったという。

「乗客が事前に運賃がいくらかを知ることを望んでいるのは明白でした。現在uberPOOLは全世界の乗車の20%を占めています」とUberのニュースルームは伝える。

もちろん、uberPOOLは安価なため、乗客はuberPOOLに乗って節約するためにUberアプリに戻ってきたのかもしれない。乗る前に運賃を示していることが理由ではないかもしれない。

ただ、Uberのプロダクトチームは4月からアメリカとインドのいくつかの都市で事前に運賃を表示する機能を試していたという。uberPOOLが安いからだけでなく、事前に価格がわかることでユーザーが将来Uberを利用する確率が高まるとUberは予測している。

新価格は、旧来の「x(何倍)」のサージ価格と同じような計算方式で算出されているため、特定の場所や帰宅時間など需要が高い時間帯は運賃の総額が驚くほど高くなることもある。

価格は時間帯、距離、交通量、その時間内にある乗車依頼の数、そして近くを走るドライバーの数によって変動する。だが、この機能で実際に銀行口座にどのくらいの負荷がかかるかを正確に知ることができるようになる。

また、乗車中に目的地を変更した場合、ドライバーか乗客がアプリをアップデートする機能を追加した。アプリで更新された価格の通知を受け取ることができる。さらに、Uberのドライバーが地図の道順から離れて高い額を請求したり、突然道が渋滞し始め、違う道を使ったりした場合でも、乗客は最初に同意した価格を支払えばいいので安心してほしいとUberは話す。

夜にバーから転がり出て家路に着く時や町の反対側に行く時、もう稲妻マークやポップアップ画面が出てきて「3x」サージ価格に同意するか聞かれることはない。ホテルやフライトと同じようにUberの価格も変動するものだが、予約する前に正確な価格が分かる。

Uberによると「何万人の乗客」はすでに価格透明性のアップデートを利用できるという。マイアミ、サンディエゴ、シアトル、ニュージャージー、ニューヨークとインドのムンバイやハイデラバードといった大都市の利用者が含まれる。Uberはアプリの価格透明性に関する変更を次の数ヶ月で世界展開する予定だという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

韓国のホームクリーニングサービス「Miso」、Y Combinatorに参加

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韓国のホームクリーニングサービスのMisoはY Combinatorのサマークラスに受け入れられ、今後さらに野心的な成長目標を掲げる。同スタートアップの創業者は今週同キャピタルのアクセラレーター・プログラムに参加予定だ。

MisoはHaksu LeeとVictor Chingにより昨年ローンチされ、顧客はアプリとウェブサイトを通じて次の日の清掃を予約することができる。

Chingはソウルに拠点を置く食品配送のスタートアップであるYogiyoで商品部門の最高責任者を務めた。その後Yogiyoは2014年にDelivery Heroに買収された。ChingはYogiyoを去った後、食品配送で得たスキルを使って新しいことを始めようと考えた。

ChingとLeeによると、韓国のホームクリーニングの市場は50億ドルの規模で、韓国で共働きの家庭が増えているせいでその規模は成長し続けているという。同スタートアップは、プレシードの段階で50万ドルを調達したが、現在毎週10パーセントの歳入増を目標値に掲げている。

Misoは現在ソウルとその近郊都市の仁川、京畿道で利用可能であり、大体1万人の顧客がおり、そのうち700人は週に2回以上サービスを利用している。Misoには1000人の清掃員が登録されており約半数には月に2回以上の予約が入る。

Misoは、伝統的なクリーニング会社に変わるサービスとしてローンチした、ソウルを拠点にする幾つかのスタートアップの内の一つだが、その中には昨年シードラウンドで百万ドルを調達したWaHomeDaeri Jubuなどがある。

通常、清掃会社は会員に会費を求め、少なくとも1週間前以上に予約することを求めていた。また、清掃員はコールセンターまで報告することを義務付けていて、仕事が与えられるまで待つ必要があった。アプリのおかげで清掃員と顧客の両方にとって自由度が増した。

Misoはアプリのユーザーインターフェースとサービスの価格体系を可能な限り単純化することで、他のクリーニングのスタートアップとの差別化を図ろうとしている。同社は伝統的な複雑な料金体系に替わるものとして、現在たった二つのオプション、つまり4時間と8時間のセッション、しか提供していない。多くの既存の代理店においては複雑なアラカルトサービスが採用されており、しかもその料金は基本料金に上乗せして請求される。Misoの顧客も自分のニーズに合った作業を依頼することは出来るが、Misoの清掃員はできるだけ割り当てられた時間内でその要求に応えようとする。

「伝統的に、この業界では4時間と8時間のサービスが提供されてきたが、これまでは家の大きさによっては同じ時間でもより高い金額が請求されていました。私的には、それは納得できません。なぜなら、何れにしても4時間分のサービス料を払っているからです。価格体系の幾つかは、さながら小さいながらもエクセルのスプレッドシートのようです」とChingは言う。

「もし大量の洗濯をしたければ、違った価格表があり、冷蔵庫の清掃も然り。全ては追加料金なのです」Leeが付け加える。「既存の顧客にとってみれば大変煩わしい点であり、我々にとってみればまさにそこをシンプルにしたかったのです」

ビジネスの規模が大きくなるにつれ、Misoの創業者はもっと短い、2時間ほどのセッションを導入したいと考えている。これは小さいアパートに住んでいる人にアピールするだろう。また、当日予約も導入したい考えだ。他のオンデマンドのスタートアップ同様、Misoは成長計画と運営費を持続可能にすることのバランスをとりつつ、一方で契約清掃員が十分予約を貰いMisoのプラットフォームに残るよう取り計らわねばならない。ChingとLeeによると、清掃員は現在、Misoのコミッションを引いた後、大体韓国の最低賃金の60から100パーセントを稼いでいる。(現在、最低賃金は時給6030ウォンであり、それは5.18ドルに相当する。

清掃員はMisoを通じて仕事を受ける前に面接される。また、Uberの様に、同社の顧客は受けたサービスを満点を5つ星として評価する。清掃員の平均評価が高いほど、ますます仕事が舞い込んでくる。

「清掃員が十分仕事を得て、我々のプラットフォームに居ついてくれる、ということに関しては、我々は常に分析を欠かしません」とChingは言う。「その手法を完全にマスターしたとは言いませんが、どこまで行けば大丈夫で、また最初の1、2週間で清掃員がどれくらいのセッションをこなせば我々のサービスに居つくかという事に関しては、明らかにある種の臨界点があるのです」

「それこそが、テクノロジーが企業のイノベーションを手助けできる理由です」と、Leeが付け加えた。「我々は清掃員のスケジュールを予想し、とても効率的に仕事を割り当てることができます。そうすることが我々のプラットフォーム全体の役に立つのです」

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(翻訳:Tsubouchi)

民泊営業「年180日以下」が閣議決定、事業者に影響を聞いた

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政府の規制改革会議が6月2日、個人宅の空室を有料で貸し出す「民泊」について、営業日数の上限を「年間180日以下」とすることを条件に解禁する方針を閣議決定した。今後は所管省庁である厚生労働省と観光庁で営業日数の上限を確定し、2016年度中に法案を提出する。

法的にグレー、黒に近いグレーと言われつつも急速に普及する民泊。今回の閣議決定で個人宅の民泊が解禁される一方で、民泊事業者からは営業日数制限に反発の声が上がっている。どんな影響があるのか? まもなく民泊物件仲介を開始するスペースマーケットCEOの重松大輔氏に聞いた。

――民泊事業への影響は?

民泊事業の発展を阻害するものだと思っている。投資の回収が困難になることで参入事業者が減る可能性がある。営業日数を規制せずに、問題があれば上限を設定するアプローチを取ってほしかった。

――そのほかに問題点は?

住宅の提供者は通常、Airbnbをはじめ複数のサービスに登録して部屋を貸し出している。われわれ事業者としては、他のサービスを通じて貸し出した宿泊日数を把握するのは難しく、どこまで厳密に営業日数を管理できるか不透明な部分もある。

――スペースマーケットとしてはどう対応する?

法律が施行されれば、上限にのっとってサービスを提供する。弊社はスペースの一時貸しが本業なので、民泊施設を(宿泊させずに)会議やパーティーなどの用途で貸し出すことになるかもしれない。

――政府に対して何らかの行動を取る?

(重松氏が代表理事を務める)シェアリングエコノミー協会として意見をとりまとめ、反対意見を表明する予定だ。今までグレーな部分があった民泊が白になったのは大躍進ではあるが、やはり上限規制はよろしくない。

日本は旅館業法上、原則として宿泊業はホテルや旅館に限定されている。家主が不在にもかかわらず、不特定多数の人を対象に、継続的に宿泊費を徴収する場合、営業許可がなければ違法となる。

閣議決定では、住宅提供者や不動産業者がネットを通じて届け出をすれば、旅館業法上の許可なしで部屋を貸し出せるようにするとともに、宿泊者名簿の作成や衛生管理を義務付ける内容などを盛り込んだ。(2日に閣議決定した「規制改革実施計画」のPDF、民泊に関する記述は23〜24ページ)

日経新聞によれば、民泊の営業規制をめぐっては、シェアリングエコノミーを推進する新経済連盟の三木谷浩史代表理事も「過剰規制は不要だ」とコメント。その一方、ホテル・旅館業界からは「宿泊者の安全が担保されない」などと規制強化を求める声が上がっている。TechCrunch Japanが内閣府に確認したところによれば、営業日数の上限は年90日の英国、年60日のオランダなどの例を参考に調整を図るという。

Airbnbが「City Hosts」プログラムを開始、旅行者に現地の体験ツアーを提供

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Airbnbは、一般的な宿泊先や印象に残るホテルに泊まるのとは違う個性的な旅行体験をゲストに提供することで有名になった。現在、Airbnbは旅行体験全体を新しくする方法を検討している。ゲストが現地の生活に触れることができる体験ツアーを専属のガイドと回るサービスだ。

部屋をシェアするサービスAirbnbは、City Hostsという新たなプログラムをプライベート・ベータ版でローンチした。Airbnbのゲストは宿泊先だけでなく、専属のツアーガイドを予約して、宿泊する街に隠された魅力を体験するツアーに参加することができる。プライベート・ベータ版では、サンフランシスコ、ロンドン、ロサンゼルス、パリ、東京のCity Hostsが利用可能だ。

Airbnbは、人々の旅行体験にもっと入り込みたいと考えている。このサービスのインターフェイスはNetflixの画面とよく似ている。ゲストが個別のエンターテイメント体験を簡単に選べるようにしたいという、このプログラムにおけるAirbnbの意図を示している。

現在36の体験コースがあり、私が思うにどれも面白そうな内容だ。サンフランシスコでカイトサーファーと冒険したり、パリ出身のシェフ主催のベトナム料理教室があったり、レコード好きとロンドンのグライム音楽シーンを巡るツアーなどがある。体験ツアーはゲストの人数に応じて支払う。また、Airbnbを通じてツアーが開催される街の宿泊場所を予約する必要がある。予約するCity Hostsによっては、体験ツアーで他のAirbnbのゲストと一緒になる場合もあれば、自分たちだけの場合もある。

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例えば、東京で「Art Luminary」のCity Hostsの体験に行きたい人は、ゲスト毎に250ドルを支払うと、ヨウコさんという現地のアートキュレーターが案内するツアーに参加できる。ゲストは1日およそ3時間の4日間、ヨウコさんと現地のアートギャラリーを訪れたり、アーティストに会ったり、知る人ぞ知るレストランやバーでひとときを過ごすことができる。ほとんどのコストは予約時の金額に含まれている。

このプログラムはまだ実装して間もないが、ユーザーの旅行体験に深く入りこもうとしているAirbnbが、着実にサービスの対象範囲を広げていることを示す。またこのプログラムでゲストは、体験したいアクティビティーに主軸に、いつどこへ旅行するかを選ぶことができるようになる。体験ツアーを予約すると、サイトはその体験ツアーの近くで何泊か宿泊できる場所のリストを提供している。

City Hostsがスケール可能かどうかについては、まだ分からない。Airbnbがこれらの町の興味深いカスタム体験ツアーに投資し、多くの労力をかけてこの施策に取り組んできたのは明らかだが、これを自分の街を自慢をしたい全てのユーザーに開放することになるかどうかは不明だ。ここにある多くの体験ツアーは夏以降からしか利用できないようだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Uberが過去最大の調達、サウジアラビアから35億ドルの出資

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Uber は本日、サウジアラビアの主要な投資ファンドPublic Investment Fund (PIF)から35億ドルの出資を最新ラウンドの一環として獲得したことを発表した。

このライドシェアリング大手にとって今回の資金調達は最大の調達となる。Uberの調達額はキャッシュとデットファイナンスで合わせて110億ドル以上となるが、同社の625億ドルという評価額は変わらない。

Uberのライドシェアリングサービスはアメリカ市場を席巻し、世界展開も積極的に行っている。そして中東地域はUberの今後の発展において鍵となる。

Uberは中東地域でサウジアラビア以外にもエジブトやアラブ首長国連邦でサービスを展開している。それらの国では政府組織と協力し、ドライバーの教育と採用を行っている。Uberによると、この地域には39万5000人以上のアクティブな乗客がいるという。

「サービスをグローバル展開するにあたり、私たちのビジネスにこのような後押しがあることに感謝します」とUberのファウンダーTravis Kalanickは声明で伝える。「サウジアラビアでの経験はUberが乗客、ドライバー、街にとって利益をもたらす好例となります。国の経済と社会の発展に向けてサポートできることを嬉しく思います」。

Uberによると、サウジアラビアのUberへの出資は同国が近年発表した石油と石油関連業界への依存度を減らすVision 2030の内容に沿うものだという。

「高い目標を掲げたこの野心的な計画には、旅行やエンターテインメントといった戦略セクターの活性化、雇用機会の創出、職場での女性の活躍の促進、起業家精神の後押しといった複数の目標があります」とPIFのYasir Al Ruymayyanは声明で伝えている。

しかし、サウジアラビアは女性に運転を禁じていることから批判を浴びていて、人口の半分はそのために交通手段において大きな課題を抱えている。Uberが女性にオンデマンドの交通手段を提供することでサウジアラビアはその課題の解決につながることを期待している。Uberは2014年から同国でサービスを展開し、乗客の約80%は女性だという。

Featured Image: Uber blog

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Aibnb、人種差別主義のホストを追放

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AirbnbのCEOであるBrian Cheskyは、自社プラットフォームで人種差別や他の差別を認めないと伝えた。ノースカロライナのAirbnbのホストが黒人ゲストの予約をキャンセルし、彼女に人種差別的な言葉を何度も送った出来事を受けての発表だった。CheskyはこのAirbnbのホストを永久にプラットフォームから追放したと伝えた。

「ノースカロライナで起きたこの不穏な出来事は許されるものではありません」とCheskyは今日のツイートで発信した。「Airbnbは人種差別や他の差別を許しません。私たちはこのホストを永久に追放しました」。

Cheskyが言及するこの出来事は本当に不愉快だ。ホストは、黒人の予約をキャンセルする理由としてあからさまに彼女の人種をあげた。ホストの物件に宿泊を許可しない理由を伝えるのに、黒人を侮辱する言葉を複数回使用した。いつもだったら記事にホストの言葉を引用するところだが、そのような人種差別的なゴミをここには載せないことにした。

また他にも黒人がAirbnbで予約を拒否され、白人である友人が予約依頼を出すと許可されるといった体験をした複数の人がその詳細を語っている。そのような話は@#AirbnbWhileBlackから読むことができる。また、ハーバードの研究者の調査では、Airbnbホストによる差別が横行していると示す

Airbnbには確かに追放しなければならない人種差別主義なホストがいる。今回のホスト追放がその最初の1件となった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

「日本流ホームシェアリング」を目指しAirbnbとCCCが提携、店舗とオンラインでプロモーション開始

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本日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)Airbnbは、日本でホームシェアリングの普及を目指し、パートナーシップ契約を締結したと発表した。日本を訪れる外国人観光客が急増し、宿泊先の確保として民泊に注目が集まっている。だが、日本でのAirbnbなどの認知率はまだ低く、実際に利用したことがある人もまだまだ少数だ。AirbnbはCCCと協力することで、CCCのカスタマーベースを通じてサービスの普及を目指したい考えだ。

TechCrunchの読者にはお馴染みのサービスかもしれないが、2008年8月に創業したAirbnbは、物件オーナーが所有する空部屋や空き物件をAirbnbに登録することで、他のユーザーに貸し出すことができるマーケットプレイスだ。Airbnbは現在、世界190カ国以上に広まり、登録件数は200万件に登る。2014年5月にはAirbnb Japanを設立し、日本市場への進出も果たした。

AirbnbのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)兼共同創設者のジョー・ゲビア氏は、「日本全国には3万5000件の部屋がAirbnbに登録されていて、日本はAirbnbの中でも急成長している市場の1つです」と説明する。「2015年、Airbnbは日本で500%成長しました。つまり、2015年には130万人以上がAirbnbを使って日本に宿泊したということです」。今回、CCCと組むことでAirbnbは日本市場でさらにホームシェアリングを広めたい考えだ。ゲビア氏はホームシェアリングを広めることによって、地方の地域活性や日本が抱える空室問題の解消に貢献していきたいと話す。

CCCはAirbnbと「日本流のホームシェアリング」を広めるために、マーケティング面で支援する。CCCは全国1400店舗以上の「TSUTAYA」を運営し、共通ポイントサービス「Tポイント」の会員数は5854万人(2016年4月末時点)に登る。そのリソースを活かした店舗でのプロモーションやマーケティング活動を行うという。具体的には本日から代官山 T-SITE、5月31日からはSHIBUYA TSUTAYAの店舗でのプロモーションを開始するという。

私も会見の後「代官山 T-SITE」を覗いてみたところ、屋外広告、そして店舗内に複数あるデジタルサイネージがAirbnbの紹介になっていた。旅行やライフスタイルを提案するAirbnbの書籍コーナーも特設されていた。店舗の外にはAirbnbの宿泊物件に見立てたバンがあり、サービスの紹介を行っていた。

代官山T-SITEでのAirbnbプロモーション

オンラインでは、AirbnbとCCCが共同制作したホームシェアリングを提案する特設サイト「Airbnbホストナビ」を本日より開設している。このサイトは、ホスト向けにAirbnbを紹介するためのサイトのようだ。Airbnbのサービス内容やホストとして自分の物件を登録する方法を紹介する他に、これまでAirbnbで自分の部屋にゲストを迎えたことのあるホストのインタビューストーリーなどを掲載している。まだ詳細は出ていないが、Airbnbに自分の部屋を登録したいと考えるホスト向け説明会も今後TSUTAYAの店舗で行う予定のようだ。

Airbnbhostnavi

会見でCCCの代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏はAirbnbについて「体験してみないとその本質が分かりづらいサービス」とし、それを伝えるにはテレビコマーシャルではなく、別のアプローチでマーケティングを行っていきたいと話していた。CCCは以前にも「湘南 T-SITE」をAirbnbの宿泊先として提供するなどAirbnbとのコラボ企画を行ってきたが、今回の提携ではさらに新しい価値を提供ができることに期待していると増田氏は話している。