「ソーシャル・ブックマーク」に未来はあるか。20万ユーロを集めてMinilogsがサービス展開中

Deliciousの言葉を見ると、多くの人が「Web 2.0」を思い出すことだろう。Yahooによって買収されて、結局放棄されるまで、「クラウド」サービスの典型として大いに人気を集めたものだった。それまではあくまでも個人のものであった「ブックマーク」を公開することにより、ブックマークをする人自身も、そしてブックマークされる側にもメリットが広がっていったのだった。

以来10年ほどの月日が流れ、現在「ソーシャルブックマーク」系サービスを立ち上げようと考える人は少なくなったかもしれない。しかし、情報にリンクして、そしてそれを共有するというのは「ウェブ」というものの基本的魅力のひとつだ。そしてソーシャル性を持ち込むだけでなく、ビジュアル面でも工夫したPinterestは大成功となり、ここから刺激を受けているスタートアップもある。

刺激を受けて、自分たち独自の魅力を訴えようとするスタートアップのひとつにMinilogsがある。パリ発のサービスで、まずは20万ユーロの資金を集めてサービスをリリースした。

キャッチコピーによれば「大好きなものを保存して、再構築して、みんなと共有するためのベストサービスです」とのこと。このサービスではビデオ、音楽、地図、およびスライドなどをブックマークすることもでき、それぞれを「minilogs」と呼ばれるまとまりにしてプレイリストとして扱うこともできる。自身でプレイリストを楽しむこともできるし、そしてもちろん共有することもできる。

ところで今は2013年であり、Minilogsに用意されたのはもちろん「共有」機能だけではない。たとえば投票したり、フォローしたりというTwitterのようなソーシャル機能も備わっている。ただウリの機能は、独自にインプリメントしているプレイヤー機能ということになるだろう。登録したコンテンツがそのままプレイリストとなる。他のサイトにエンベッドすることもできるのが面白い。フランスの新聞社であるLe Figaroも利用しているようだ。

「この十年、リッチコンテンツがウェブ上に溢れるようになってきました。しかしそうしたコンテンツを保存しておいたり、編集してリミックスして活用する手段というのはあまり出てきていないように思うのです」と、Minilogsの共同ファウンダーであるJean-Philippe Coutardが言っている。「Pinterest(およびそのクローン)は、ビジュアル系コンテンツを扱うサービスを提供していますが、写真を共有するのに使われているだけというのが現状です。ビデオや音声、地図やスライドなども同様に扱えるようにすべきではないでしょうか。Minilogsは現状と理想の橋渡しをするものです。すなわち、ブックマークしたページに含まれるあらゆるコンテンツタイプを扱えるようにしたのです」。

他に同様のサービスが「出てきていない」というのは言い過ぎではある。ビデオや音声をブックマークしておくサービスというのは山ほどある。しかしMinilogsは、ブックマークした内容をさまざまな場所で再利用できるというメリットがある。「ページの中にどのようなタイプのコンテンツがあるのかを意識することなく、ただリンクをシェアするという意識だけで簡単に情報共有ができるようになっているべきだと思うのです」というMnilogsの主張は正しいものだろう。今後の発展が期待できるサービスかもしれない。

ただ、思い出すのはDeliciousのこと。そもそもそうした方向性を持ったサービスであったのだった…。

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(翻訳:Maeda, H)


地球の全上空を気球群で覆いインターネットアクセス格差をゼロにするGoogle Xの”おばかプロジェクト”

Google Glassや自己運転車を生み出した秘密っぽいラボGoogle Xが今日(米国時間6/14)、その最新プロジェクト、気球を使用するインターネットアクセスを発表した。インターネットにアクセスするために通常の地上線も衛星回線も使えない、というへき地向けの技術だ。Googleは今週初めから気球のテストを開始しているが、提供するインターネットアクセスのクォリティは3Gのネットワークなみで、気球たちはニュージーランド上空の成層圏風に乗って航行したそうだ。

前から噂は聞いていたが、Google Xのそのほかのプロジェクトと同じく、何か夢のように漠然とした感触をおぼえた。気球は自由にどっかへ飛んでいくんだから、大事故、または少なくとも行方不明の気球という結果しかイメージできなかった。

突拍子もないアイデアであることはGoogleも承知しているので、このプロジェクトは”Project Loon”〔仮訳: おばかプロジェクト〕と名付けられた。それでもGoogleは、このプロジェクトを通じて、気球を風に乗せて航行させる方法と、高さを変えることによって風を選び、それによって操縦する方法を見つけた、と考えている。一つの気球が飛んでいっても上空に必ずもう一つの気球があるためには、Googleは地球の上空全体を気球で覆わなければならない。Googleによれば同社はこの問題を“複雑なアルゴリズムと大量のコンピューティングパワーを駆使して解いた”、という。Googleは風に関するNational Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)のデータを利用して、気球の航路を予測する。

テストには気球を30個使用し、ニュージーランドの50名ほどのテスターたちは地上でこのサービスを利用した。テスターたちが使用した特殊なアンテナにより、気球が20キロメートル以内にあるときには接続できる。

Google、とりわけ会長のEric Schmidtは、かなり前から、インターネットにアクセスできない地球の総人口の2/3をなんとかしなければならない、と力説していた。Googleによれば、Project Loonはこの問題の解決をねらっている。ジャングルや多島嶼地域や山岳地帯などでインターネットアクセスが楽にできるようになるだけでなく、Googleはこの低コストな気球網によって、地球上のどんな極貧地域でもすべての人がインターネットを利用享受できるようになる、と考えているようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


クラウドファンドのギターで曲を作った16歳のミュージシャンがクラウドファンドでアルバム制作

Rafael AtijasのLoog Guitar(ルーグギター)は、その報道を本誌が終えた2011年の初めごろにはKickstarterの目標額を軽く超え、大人気の中で発売された。それは、本誌のレーダーがとらえたKickstarterプロジェクトの中では、初期の成功例の一つだ。その後も人気は続き、しかもこの三弦の楽器を使って録音し、アルバムを作る人まで現れ始めた。

その好例が、16歳のシンガーソングライターPip Blomだ。彼女はアルバムの全曲をLoogを使って演奏し録音した。そのすべてをBandcampで聞けるが、彼女はアルバムを売って得たお金で、オランダのVlielandで行われるバンドキャンプTeenage Kicksに行くつもりだ。つまり、クラウドファンドのプロジェクト(三弦ギター)が、今度は学生のクラウドファンドプロジェクト(音楽)を支えている。クラウドファンディングが、連鎖するのだ。

音楽はとてもチャーミングだし、録音も良い。Pip自身は、グラストンベリー(Glastonbury)のフェスティバルに出たいと思っている。選ばれたら。

このクールなご縁が、クラウドファンディングの力を見せつけている。Rafaelは、子ども用の楽しくて安いギターを作りたくて、インターネットの上の親切な人びとに頼った。そして今度はPipが、そのギターでコードを学び、すてきな曲を作り、自分の夢を追おうとしている。こうやってインターネットの上のクラウドソーシングからは、ちょっとしたきっかけで人と人とのご縁が生まれ、新しい世界が切り開かれる。クラウドファンドが動かす社会的なエンジンは、創造性のエンジンでもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


6月20日、FacebookはRSSリーダーを発表か?!(プレスイベントを開催)

Google Readerがまもなく運用停止となるこの時期、Facebookがハッシュタグ機能の提供を開始した。そんな中、6月20日にプレス発表が行われるという謎めいた招待が届いている。Facebook上での「トレンドトピック」に関連するイベントのようだが、もしかするとフル機能を備えたRSSリーダー系プロダクトが発表されるのかもしれないと、評判になっている。

トレンドトピックを活用するものであっても、あるいはRSSリーダーであるにしても、いずれにしてもFacebookに蓄積される「シェア」情報が活用されることになる。人気ニュースはFacebook内でシェアされ、さらに広まっていくことになる。

今回のFacebookからの招待状につき、最初に言及したのはABC NewsのJoanna Sternだ。招待状には「小さなチームで大きなアイデア実現に向けた作業を展開中です。コーヒーと一緒に新プロダクトについての情報もご提供いたします」と記されている。ちなみにこの招待状は、通常のように電子メールで出されたものではなく、郵便を使って送られている。そして招待状には意味ありげにコーヒーカップの痕がある。コーヒーカップ痕といえば、コーヒーを飲みながら新聞をよんだとき、よく新聞の上に残ってしまうものでもある。

Facebookに集まっている情報をすべて入手するという方法はない。多くの情報が限定共有されていて、それをすべてすくい取るというようなことはできないのだ。しかしFacebook側は、そのすべての情報を検知することができる。匿名性を維持しながら広告にターゲティングデータを利用するのと同様にして、プライバシー問題に配慮しつつも、どういった情報が最も共有されており、またどのような層に広がっているのかという情報を活用していくことができる。

Facebookとして、そうした情報を活用しつつ、そして外部からの情報も内部に取り込んでいくRSS関連サービスを実現するのではないかとみられているのだ。投稿時に利用できるようになったハッシュタグとあわせて、さらに多くの情報を分類整理して、一層広く活用するための準備が整いつつあるように見えるのだ。

以前はいろいろな人から集まってくる情報を有効に活用する方法はあまりなかった。しかしついに今週、ハッシュタグの登場で活用の幅が広がった。Facebookのブログには次のように書かれている。「ハッシュタグはほんのスタートに過ぎません。あらに興味のあることについて、他の人がどんなことを言っているのかを発見しやすくする方法を提供していきます。それによって、これまで以上に人と繋がることができるようになります。今後、数週間ないし数ヶ月のうちに、さらなる機能をリリースしていく予定です」。

当然、次の一歩はニュースを効率的に扱うようにすることだろうと思う。絶対に間違いないと、個人的には思っている。ただ、今のところオフィシャルな確認は全くとれていない。

実際のところ、コンテンツ購読のための標準技術として利用されてきたRSSを活用できるようにするのかどうかはわからない。外部の情報ソースを指定して、指定したフィードを購読するというのは手間もかかるし、平均的Facebook利用者にとっては余計なサービスと受け取られる可能性もある。しかし、熱心なインターネット利用者からは歓迎される機能ともなり得るだろう。

しかしIngrid LundenがTechCrunchの記事に書いているように「RSSフィードに関係しそうなコードがFacebookのGraph APIに登場してきている(ディベロッパーでFacebookコードに詳しいTom Waddingtonが発見した)。RSSフィードとFacebook IDと結びつけ、RSS中のタイトル、URL、更新日時などを取得するコードもある。そしてそれに続くエントリ部の記述、および登録者情報もコーディングされている」。このコードはおそらく新プロダクトに関係するものなのではないかと思われる。但し、これは利用者自身のポストをRSSフィード化するものであり、RSSリーダー的な機能を持つものではないという可能性もある。

もしFacebookがRSSリーダー機能を提供するのだとすると、タイミング的にはパーフェクトだと思う。GoogleによるGoogle Readerサービスが終了する直前のリリースということになるのだ。20日に発表すれば、利用者にサービス乗り換えの時間を十分与えることができるだろう。

あるいは新プロダクトは、Facebook内の人気アイテムをRedditのようにリスト化して表示するというようなものなのかもしれない。そちらの方が、全ての利用者に対して簡単に価値あるサービスを提供することに繋がるのかもしれない。

いずれにせよ、既存サービスの単なるコピーではないことを期待している。Facebookに集まる情報を活用した、Facebookだからこそ提供できる、ニュース活用サービスを提供して欲しいものだと思う。

とにかくニュース関連のプロダクトというのは、Facebookにとって「大きな進歩」となり得るものだ。Facebookは、「自分の知り合い」、「利用者自身が興味のあるモノや情報」と繋がるためのサービスを提供してきた。ニュースとは、いわば「他の人が関心を持っている情報」だ。「繋がる」チャネルが増えることになるわけだ。サービスをリリースすれば、Facebook上での滞在時間もまた増加することになるだろう。より多くの情報を提供するようになり、そしてニュースとして流される情報に関連する広告を流す機会も増えることになる。自分の関心だけでによるのではない、さまざまな情報を提供してくれることにもなるわけだ。

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(翻訳:Maeda, H)


正規の科学もWeb化したい: Mozillaがそのための運動組織ScienceLabを立ち上げ

Mozillaが今日立ち上げたプロジェクトは、これまでこの団体が得意としてきた標準規格周辺のプロジェクトとはやや趣が違う。そのScienceLabと呼ばれるプロジェクトは、オープンサイエンス運動のリーダーKaitlin ThaneySoftware CarpentryのファウンダGreg Wilsonが長となり、“世界中の科学者がオープンなWebを利用して科学の未来を作りだしていく”ことを支援する。プロジェクトは、Alfred P. Sloan Foundation(スローン財団)がスポンサーしている。

“Webを作ったのは科学者たちだが、そのオープンなWebはまだ、科学の実践を、メディアや教育やビジネスなどそのほかの領域を変えたほどには変えていない”、MozillaのMark Surmanはこう主張する。

現在の学術評価のシステムは、悪名高い”publish or perish”(発表するか消え去るか)という言葉にも見られるように、知識は研究論文によってのみ広まる、という観念の上に立脚している。しかも論文はなるべく、学者村において“ステータスの高い学術誌”に載った方がよい。この状況に対してMozillaが当然考えるのは、“これだと科学者たちは永遠にWebとそのオープンでコラボレーション的な特質を学習や共有の場として利用しない”、ということだ。

彼らがプロジェクトの目的として記しているのは、“今あまり実績や評価が良いとは言えないデジタル的ネットワーキング的な科学研究の領域を大きく押し広げ、Webが科学に対してなし得ることをさらに遠い未来的視野まで探究する”ことだ。

プロジェクトが最初に取り組むのは、学生や学者たちへのデジタルリテラシの啓蒙だ(まだインターネットもWebも知らない研究者がざらにいる)。また、研究者たちに基礎的なコンピューティングスキルを身につけてもらう。そして何よりも重要なのは、これまでオープンなWebを作ってきた方式ややり方を、科学の未来を作るためにも応用できるという認識を、対話の活性化を通じて広めていくことだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


知らない間にハッカーがWebカメラであなたの写真を撮ってしまうかもしれない

ラップトップのWebカメラにテープを貼って、外部からののぞき見を防いでいる人がいるよね。でもそれは、妥当な行為なのだ。

今日(米国時間6/13)登場したハッキングのデモは、ブラウザからWebカメラを操作してユーザの写真を撮る(そして盗る)。もちろんユーザの承認なしで。

実際にはユーザは承認をしているのだが、そのことを自分で知らないだけだ。

セキュリティコンサルタントのEgor Homakovが概要を説明しているが、このハックはいくつかの昔からあるトリックを駆使してFlashの事前承認要件を回避し、ユーザの明示的な許可なしでカメラやマイクにアクセスする。

簡単に言うとそのデモは、CSS/HTMLの高度なトリックを多量に使って、Flashの許可プロンプトを透明な層の上に表示し、その今や見えない”Allow”(許可する)ボタンの上にユーザがクリックしそうなもの…ビデオの”Play”ボタンなど…を置く。

このテクニックそのものは、クリックジャック(clickjacking)と呼ばれ、前からある。ぼくはこれまで、そういうものについて書くことを避けてきたが、それは、知る人が少なければ被害の広まりも少なくて、実害を受けるまえに対策も可能だ、と思うからだ。でもクリックジャックなどはすでにハッカーたちのあいだで、あまりにもポピュラーだ。Adobeのセキュリティブログは、そのバグは2011年に退治した、と示唆している。“いかなるユーザアクションもFlash Playerプロダクトのアップデートも不要”、だそうだ。

しかしそれでも、その虫はまだ生きている。MacのChromeで試してみたが、ユーザの目に見えるプロンプトはいっさいなしで、Webカメラが操作される。IE 10でそれに‘成功’した人もいる。しかしSafariとFirefoxの最新リリースにはパッチがあてられているようだ。カメラが操作された証拠にLEDが点灯するが、ほとんど一瞬だから気づかない人が多いだろう。

そのデモはここにあるが、女性のセミヌード写真などが使われているので、職場では試さない方がよいだろう。それに、あなたの写真が確実に撮られてしまう。作者はそれを保存していないと言っているが、でもここ以外のサイトでは、その保証はない。

あなたのブラウザで許可ボックスが表示されずにPlayボタンをクリックすると、あなたの写真が撮られ、そのブラウザはテスト不合格となる。許可ボックスが表示されたり、クリックがブロックされたら、あなたは安全だ(少なくともこのハッキングに関しては)。

では、何がそんなに問題なのか? あなたが、自分にとって“なじみの”サイトを閲覧していたとしよう。でもその、信用の置けるサイトから3〜4クリック先で、兎の穴に落ちてしまった。何かおもしろそうなものの上のPlayボタンを、思わずクリックしたら、意外や意外、Webカメラの上のLEDが光り、その2秒後には自分の撮れたての写真が画面に出ている。何がそんなに問題なのか? それはもしかして、そのときの自分の手かもしれない……。

幸いにも、こんないたずらから身を守るのは比較的簡単だ。Webカメラにテープを貼る方法は少々格好悪いけど、知らない間にTumblrにあなたの恥ずかしい写真が載るよりは、ましだろう。Firefoxのユーザなら、NoScriptのようなプラグインを使える(信用できるサイトでのみ無効にすればよい)。

うーん、NSAがPRISMでこのハッキングを使うことも、ありかな?

[*NoScript的なエクステンションはChromeにもあるが、まだ読者にお勧めできるほど良いものを見つけていない。]

上の覗き見の画像はRobert Montalvoの提供、Creative Commonsのライセンスによる。

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GoogleはInternet Explorer用のChrome Frameを引退させて来年1月にサポートを打ち切り

Googleが、Internet Explorerの古いバージョンでGoogle ChromeのJavaScriptとレンダリングエンジンを動かすためのオープンソースのプラグインChrome Frameを引退させる、と発表した。同社は、Internet Explorerの6や7がやっと衰退に転じ、多くのユーザが現代的なブラウザを使い始めていることを、理由として挙げている。

GoogleはChrome Frameを2009年にローンチして、企業が従来どおりInterenet Explorerを使いながら、自分たちのWebアプリケーションを現代的なフレームワークへ移行できるようにした。そのときGoogleは、それによってデベロッパは、ユーザを現代的な技術に向かわせると同時に、古いアプリケーションとの互換性も維持できる、と主張した。

デベロッパが自分のページにタグを付けておくと、Internet ExplorerはChrome Frameに切り換える。Chrome Frameがなければ、そのインストールページへリダイレクトする。

Chrome Frameの引退日は2014年の1月で、それ以降はGoogleからのサポートとアップデートはなくなる。

もちろんGoogleは、Chrome Frameに依存している企業に現代的なブラウザへの切り換えまたはChrome for Businessをチェックすることを推奨している。後者のページには今では、アドオンによる古いブラウザのサポートもある。Chrome Frameはオープンソースだから、誰かが拾い上げてサポートを続ける可能性が、なきにしもあらずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


競争の激しいメッセージングアプリ–グローバルな利用を支えるのは移民たち

メッセージングのアプリなんて世界に一つだけあれば十分、と思いがちだが、しかしWeChat、Line、WhatsAppなどなどの現況を見るかぎり、メッセージングアプリはまるでかつての列強各国のように世界を分割して支配し、国により地域によってそのリーダーが異なるのだ。KakaoTalkは韓国を支配、WeChatは中国、Lineは日本、そして合衆国にはダントツのリーダーがいない。

もう一つおもしろいのは、これらのアプリの“本国”以外での成長ぶりだ。アプリの動向を調査しているOnavoによると、それには世界中に拡散している移民が影響している。

つまり移民たちは自国の言葉と文化をその国に持ち込んでいるだけでなく、アプリも持ち込んでいるのだ。

同社が主張するその理論は、合衆国市場における各アプリの使用状況を調べた結果に基づいている。Onavoの二種類のデータ圧縮/管理アプリは、ユーザ数が数百万に達する。それらのアプリのデータの“入り”と“出”を調べると、どのアプリがどの時間帯に使われているかが分かる。

そこから分かったのは、たとえば合衆国に住む海外のメッセージングアプリのユーザは、そのアプリの母国に結びついた国際通話アプリや、辞書アプリ、翻訳アプリなどを利用する頻度がとても高い。だからその人たちは、最近の移民の第一世代だと思われるのだ。

KakaoTalkのユーザはそのほかの韓国製アプリ、たとえば韓国のテレビドラマを見られるVikiを利用する人が多い。合衆国のWeChatのユーザは、中国のソーシャルネットワークRenRenや中英辞書やQQの利用回数が非常に多い(合衆国平均の50〜60倍)。

日本を支配しているLineは、日本のiOSユーザの69%が月に一度以上使用しているが、合衆国市場にはあまり浸透していない。しかしそれでも、合衆国のLineのユーザは、同時にWeChatやKakaoTalkの利用回数が合衆国平均の10倍前後多い。

WhatsAppはシリコンバレーのメッセージングアプリだが、インドで78%のシェアを握っている。同アプリが今月達成した新記録として、一日の入信メッセージ数が100億を超えた

合衆国のWhatsAppのユーザはインドのテレビアプリNDTVや、Bollywood Music Radio、同じくBollywoodの音楽アプリSaavnを利用する回数が合衆国平均の6〜7倍多い。

WhatsAppに次いでインドで人気の高いメッセージングアプリViberの合衆国ユーザは、イスラム教の祈祷アプリAthanの利用回数が合衆国平均の9倍多い。またヒンズー語のラジオアプリRaagaは8倍、Bollywood Music Radioは7倍多い。

移民たちがこれらのアプリの利用を母国以外にも広げているのなら、そのことは、世界中に散らばる外国移民の数が歴史的にもっとも多い中国のアプリデベロッパにとって、追い風となるだろう。

[各行の合計が100%を超えるのは一人で複数のアプリをインストールしているため]

*原注: PingerはすべてのiOSデバイス(iPhone、iPad、iPod touch)を合わせると合衆国のシェアはこの表の倍となり、トップとなる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Sony、精彩を欠くスマートウォッチをデベロッパーに解放

2012年の慌しい日々の中、まだPebbleがKickstarterで驚くべき金額を集める前、Sonyは静かに独自のAndroid互換スマートウォッチを発売した。大方の意見によると出来はよくなかったようだが、だからといってSonyはこれをゴミの山に捨てたわけではない。

Sonyはデベロッパー・コミュニティーの力を借りて、あの小さくて奇妙なガジェットに新しい命を吹き込もうとしている。同社はOpen SmartWatchプログラムを立ち上げ、デベロッパーがカスタムファームウェアを開発することをを期待している。

ウェアラブル・ガジェットの世界に注目していない読者のために言うと、Sonyは件のSmartWatchを昨年発売したが、評価はまちまちであった。コンセプトは実にわかりやすく、Android塔載スマートフォンと同期してメッセージや通知を表示すると共に、数多くのカスタムメイドSmartWatchアプリが走るというものだった。Androidという土台を持つこのSmartWatchは、その後湧いて出てきたPebbleその他の模倣製品の強力バージョンだといえる。

SmartWatchの問題の殆どはソフトウェアに起因していたと思われる(Sonyがパッチやアップデートを提供し続けていることは評価できる)。このSony製品はスマートウォッチの中でも美しく、そのスペックも深夜の熱狂的機械いじりに最適だ。Sony作成部分を取り除き、ハッカーたちはほぼ白紙状態で開発をスタートできる。Sonyは優れたファームウェアが出てくれば、取り上げて紹介する予定だ。

このプログラムを成功させるべく、SonyはArduinoコミュニティーにも声をかけ、スウェーデンのマルモでハッカソンを開催して、不安なデベロッパーたちにSmartWatchとその能力を浸透させようとしている。ただし、例によって落とし穴もある。殆どの人々が目を向けていないデバイスに新境地を開拓するということは、Google Playストアに出回っている200本近い互換アプリケーションの利用を断念することでもあるからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


イギリスの課外プログラミング学習支援団体Code ClubがCodecademyらの支援で世界へ開く

Codecademyは過去2年間、とても大きな話題だった。そして今、そのオフラインモデルが登場してきた。イギリスのボランティアたちが率いる、学校の課外活動ないしクラブ活動としてのプログラミングクラブを支援する団体Code Clubが、最近立ち上げたオープンソースのフレームワークCode Club Worldにより、世界中のすべての子どもにプログラミングを学ぶ機会を与えようとしている。これは、教材とボランティアをセットで提供することによって、放課後のプログラミングクラブを世界各地で運営しよう、というプロジェクトだ。

GoogleとCodecademyとMozillaが支援するこのプロジェクトは、最初のプログラミングクラブをルクセンブルグとキエフで展開する。

Code Club Worldは、母体であるCode Clubの英語教材を使用し、それらをGitHub上のページから提供する。そしてそれらを、地元のプログラマやデベロッパたちがその国の言葉に翻訳する。プログラミングクラブの創設と運営のための、ガイドブックもある。

Code ClubのファウンダClare Sutcliffeによると、自分の国でもCode Clubをやりたいという希望が、世界中から殺到している。しかし、“Code Club自体はイギリス国内を対象とする小さな組織なので、外国の人たちまでは支援できない。でも当団体の活動は小さな島国に限定されるべきものではない。Code Clubの初めての誕生日にイギリス国内のアクティブなプログラミングクラブが800を超え、デベロッパとプログラマのコミュニティによりグローバル展開のためのフレームワークCode Club Worldができたことは、とても喜ばしい”。

Codecademyの協同ファウンダZach Simsは、こう付け加える: “Code Clubが世界に開かれたことは、すばらしい。ぼくたちはプログラミングが子どもたちに与える影響を、Codecademyで毎日のように至近距離で見てきた。だからCode Clubの世界展開には、たいへん期待している”。

Code Club Worldは、各学期ごとの学習プロジェクトを作ってそれらをGithubにポストする。最初の対応言語はフランス語とブラジルポルトガル語とウクライナ語とトルコ語だが、今後徐々に増えていく予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Twitter、ツイートの分析データを全ユーザーに無料で提供

Twitterは、ユーザーのツイートに関する相当詳しい実績、分析データをAdsダッシュボードで提供開始した(TNWより)。これは、より多くの人々(個人を含む)にTwitterのAdsプラットフォームを認知させ使用させることが目的と思われる。新しい無料分析ダッシュボードを使うと、誰でも自分のツイートに関するお気に入り、リツイート、返信の数などの実績データを見ることができる。「Best/Good/All」に分けたランキングも表示できる。

私がかなりダメなTwitterユーザーであることを教えてくれたのはともかくとして、サードパーティーのツール等を使わずにリーチやエンゲージメントの状況を知りたい人には最適のツールだ。Twitterについて知っていると思っていたこと、例えば、お気に入りや返信の数では良い成績のツイートが、リツイートに関しては全くダメ、あるいはその逆の場合等を明らかにしてくれる。

全データはCSVでダウンロードできる。また、ツイート中のリンクを何人がクリックしたかもわかるので、Twitterによるエンゲージメント促進効果を正確に測定したい人にとっては実に有用だ。これらすべてがマーケターにとって宝の山に見えるが、私のダッシュボードに集計されたデータにはいくつか不足している点もあった。

これらは以前、Twitterに広告の出稿を予定している企業ユーザーに提供されてきたものだが、広告部門が持っているデータを全員が利用できるようにするのは、全体の売上計画に好影響を与える良い方法だ。個人ブロガーや「ソーシャルメディア専門家」たちは、安定的収益という意味ではさほど大きくはないが、積み重なればTwitterの売上増につながるだろう。

本機能を利用するには、ads.twitter.com に行ってTwitter認証した後、ページ上部の「Analytics」をクリックすればよい(Twitterの広告サインアップ手続きは必要ない)。
[訳注:訳者のアカウントには 「Analytics」が表示されなかったので、まだ全員に行き渡っていないのかもしれない]

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、3Dプリンターと消耗品のショップを開設―新テクノロジーのメインストリーム化を後押し

Amazonは先ほど3Dプリンタとそのサプライやアクセサリ、参考書専門のオンラインショップオープンした。これで小規模な3Dプリンタのメーカーもメインストリームに乗り出す足がかかりが得られそうだ。

このウェブストア(というのか何と呼ぶのか知らないが)ではAfiniaやFlashforge(Makerbotのデッド・コピーだ)が売られている。また本家のMakerbotも中古品が1点出品されている。要するにあまり専門的知識のないユーザーに直接に売り込むチャンネルができたということのようだ。それはそれで大いに結構。

オフィスサプライの大手チェーンストアのStaplesがCube 3Dプリンターを売り、Toys “R” Usが香港の巨大アヒルの3Dプリントされたミニチュア・カスタマイズ版を売る世の中だ。3Dプリントはすでにわれわれのポップカルチャーの一部を占めるようになってきた。しかし一般ユーザーにはまだまだバズワードとして効き目があるので、Amazonのような機を見るに敏な大企業がちょっとしたコーナーをオープンしたのも不思議ではない。

いやはや。3Dプリンターもメインストリーム化したものだ。私はプログレ・ロックのファンだったが、父親に「それを何曲か選んでくれ」と頼まれたときに、もはやこの音楽ジャンルがそれほどプログレッシブな存在ではなくなったことを知った。3Dプリンティングにも同様の事態が訪れているようだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


来年の発売に向けてAppleが4.7インチと5.7インチの大型iPhoneをテスト中か? 廉価版はこの秋にも登場へ

Reutersの報道によれば、Appleは来年のiPhoneのアップデートに向けて大型スクリーン・モデルの実験を行なっているという。4.7インチ、5.7インチの両モデルがテスト中ということだ。またAppleは廉価版のiPhoneも準備しており、Reutersはこちらは来月にも生産が開始されるとしている。廉価版はプラスチックの筐体の色を調整する必要が生じたためリリースがスケジュールより多少遅れるようだ。

廉価版iPhoneは8月にフル生産の態勢に入り、9月に発売開始となる。Appleはこのデバイスについてクリスマスシーズンを含めた四半期に2000万台の販売を見込んでいる。Reutersの記事は最近われわれが聞いた各種情報と符合するところが多い。

かなりの確度で予測してきたMing-Chi Kuoは、廉価版はiPhone 5と同じ4インチ・スクリーンだが筐体がプラスチックになり、ボディーの色のオプションが増えると予測していた。Reutersはこれに加えて「価格は当初99ドルだが、発売時期は丸1年ほど延期になる可能性がある」と指摘している。

廉価版のiPhoneの情報は信頼性の高い情報源が一致して伝えるので確度は高いだろう。しばらく前からAppleがファブレット、すなわちGalaxy Noteのような大型スクリーンを備えたiPhoneを開発中だとする情報も流れていた。 しかしファブレットなどの前に、Appleのフラグシップ機、iPhone 5の画面が4インチのままで、Galaxy S4などのライバルと比較して一周遅れになっていた。

大型画面iPhoneの開発は廉価版の開発ほど進捗していないようだ。Reutersのある情報源は、「われわれが生産開始にこぎつけるまでにはまだ紆余曲折があるだろう」とj語っている。AppleはOEMメーカーと協議をしているが、生産や発売の開始のスケジュールはまだ白紙状態だという。

AppleのCEO、Tim Cookは最近のAllThingsD D11カンファレンスで「(画面の大型化に伴う)バッテリー駆動時間、画質、色彩の再現性などへの副作用が解決されればそういうモデルを発表するかもしれない。一部のユーザーが大型画面モデルを望んでいることは知っている」と認めた。過去にもAppleの厳しい社内テストに不合格だったために発表前に消えていった製品は多数ある。Appleが大型画面モデルをテスト中だというのはおそらく事実だろうが、実際に市場に出るかどうかについては現在なんとも言えない。しかしタイミングとしては製品ラインに今日のReutersの記事にあるような大幅なアップデートが加えられてもいい頃ではある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


社会貢献を強調するApple, アプリは世界を変えると中編ビデオで訴える

Appleが今日ポストした、かなり長い、10分近くのビデオは、同社のプラットホーム向けのアプリが世界中で利用され、人びとの生活に大きな変化をもたらしている、と訴求している。それは、これまでのAppleのコマーシャルとはずいぶん違う視点だ。これまでは、平均的な消費者の生活が、アプリによってちょっと便利になりますよ、といった軽い短編ばかりだった。

このビデオはもっと視野が大きくて、一部の人びとの生活に重要な変化が訪れることを描いている。テーマとしては同社の最新のテレビコマーシャル“Our Signature”と同類だが、後者のようなAppleの製品作りにおける指導的原理ではなく、実際のケーススタディを強調している。そしてもちろん、サードパーティのデベロッパに光を当てている。彼らの、少数民族文化の保存努力や、医療技術の大きな進歩への貢献など、取りあげるにふさわしいものを、あらためて取りあげているのだ。便利なお買い物リストを簡単に作れますよ、という世界ではなくて。

(出典: 9to5Mac)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


パーソナルニュースリーダーのVingowが「自動ニュース要約」機能を開始

Vingowは好みのタグを登録(SNSアカウントから分析してリコメンドも可)しておくと、それに関連したニュース記事を配信してくれるサービスだ。2011年末にβ版をリリースして以降、順調に成長しており、現在は約7万人がこのアプリを利用している。

このVingowが新たにニュース記事の自動要約機能の提供を開始した。自動要約といえば、今年3月にYahoo!が買収したSummlyや4月にGoogleが買収したWaviiが有名どころだろう。だが、これらのサービスは日本語には対応していなかったため、アプリ上で日本語のニュース記事を自動要約することは初となる。

Vingowの要約文は3つの文で構成され、本文中から重要な内容を抽出し、合計200字程度で表示してくれる。どのように要約文を構成しているのかは詳しく教えてもらうことは出来なかったが、元々Vingowが使用している本文抽出エンジンを利用し、文章の特徴的な箇所をスコア付けすることで、どの部分が重要かを判断しているようだ。

日本語は英語と違い、単語と単語に区切りがないため言語処理は難しいが、今のところ全体の記事に対して約70パーセントは上手く要約できているとVingowを運営するJX通信社代表取締役社長の米重克洋氏はいう。※記事下部に実際の要約文を掲載した。

米重氏は今回の要約機能によって、モバイルでの情報収集を効率化したいという。モバイル環境からのインターネット・トラフィックは、世界全体で15パーセントを占めるほどに成長してきており、大画面のPCに比べ小さな画面で情報量の少ないモバイルでは、今後ますます効率化が求められている。

モバイルだけではなく、単純にニュース記事の要約・短縮は重要視されているようで、英紙ファイナンシャルタイムズも先日、ニュースを短文で発信する「FastFT」をローンチするなど、ここ最近はこうしたトレンドが目立つように思える。

Vingowのユーザー数は直近2カ月で250パーセント成長しており、今回のアップデートにより、さらに成長を加速させていきたいと米重氏はいう。テストユーザーの利用実績では要約機能を追加後、アプリで読む記事本数が数倍に増えているそうだ。

今後は本文抽出エンジンの改善をするとともに、いくつか新しいアップデートを予定しているとのこと。

※実際の要約文

「FacebookがとうとうTwitter式ハッシュタグを導入する–さらに新機能を準備中」

“私が「友だち限定」の投稿にハッシュタグを含めたとすると、そのハッシュタグ検索で記事を読めるのは私の友だちに限定される”

“ハッシュタグ検索結果やハッシュタグ・フィードから直接あらたな投稿ができる”

“「ハッシュタグをクリックするとそのハッシュタグを含むニュースフィード中のコンテンツを読むことができるようになる」と述べている”


WebRTCとWeb AudioとWebGLのパワーを見せつけるためにオープンソースのPongクローンをGoogleがローンチ

Googleが今日(米国時間6/12)、PongゲームのクローンCube Slamを、オープンソース立ち上げた。ブラウザの上で、友だちやコンピュータと対戦できる。そのこと自体はあまりエキサイティングでもないが、しかしGoogleはこのゲームを、WebRTCとWeb AudioとWebGLのデモとして作ったのだ。

多くの人、とくにデベロッパにとって、WebRTCは、ブラウザ上でできるプラグイン不要のビデオ会議を意味しているが、しかしCube Slamはこの通信技術を使って、プレイ中にライブのビデオとオーディオのストリームを友だちの仮想スクリーンに映し出す。

とりわけ重要なのは、このゲームがWebRTCのRTCPeerConnectionRTCDataChannelを使って、オーディオとビデオと“ゲームの同期を維持するためのあらゆるデータ”を、二つのマシン間で送受していることだ。WebRTCのこの二つの部位は、これまで知らなかったデベロッパが多いと思う。

Googleの主張によるとCube Slamは、“ RTCDataChannelを使った初めての大規模なアプリケーションであり、そのAPIはWebSocketに似ているが、しかしデータをRTCPeerConnectionのピアツーピアリンクで送る”。

明らかにここでGoogleが見せたいのは、WebRTCのパワーだ。すでにWebSocketに関しては同様のことを実験作Racer Chromeでやっている。そしてまた同時に、WebGLとWeb Audioで何ができるかも、見せつけたいのだ。

このゲームのインフラストラクチャはGoogleのCompute Engineがホストし、そのコードはここで入手できる。

今Cube Slamを動かせるのはデスクトップのChromeとChrome OSだ。今年後半にはAndroidのChromeでも遊べるようになる。ただし今でも、chrome://flagsのメニューで”WebRTC Android”を有効にすると、Android上で試用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleの電子書籍シェアは20%。OS X版iBooksは追い風になるか

Appleが秘かに米国内での電子書籍市場シェアを伸ばしていたことが、現在進行中の電子書籍価格協定訴訟の証言で明かされた。現在同社は米国内電子書籍販売の20%を占めているという(MacRumors発)。これはかつて市場ウォッチャーが推測していた数字の約2倍であり、Amazonの圧倒的な力とは比較にならないものの、Appleがデジタル書籍分野でかなりの位置を占めつつあることを示している。

ニュース全体はAppleにとってマイナスの内容で、同社は政府の主張から自らを守り、iBookstoreに失敗の絡印が押されないよう戦う必要がある。しかしiBookビジネスにとっては良いニュースだ。この秋Mac版iBooksアプリが次期OS X、10.9 Marvericksで提供され、デスクトップでも電子書籍がサポートされれば、さらに成長が見込める。

iBooksがデスクトップにやってくれば消費者も喜ぶ。クロスプラットフォーム戦略は、Amazon、Nook、Koboなどが大きな成果を上げている。MacがサポートされてもAppleデバイスを使っていない人々は取り残されるので、どれほど利用が伸びるのかは不透明だ。しかしiBooks成長の陰に、益々大きくなるAppleの教育界での存在があることは想像できる。iBooksに関連するプロモーションでは、教科書が大きくとりあげられている(WWDCでのOS X版iBooksの展示でも同様だった)。

Mac版iBooksが革命を起こすとしても、それはiPadで読んでいた本の続きを読めるからではない。モバイル端末よりパソコンで本を読みたいと思う人は殆どいないからだ。しかし、教育市場での意味は大きい。インタラクティブ教科書は、様々な面でiOSよりもOS Xで使う方が理にかなっている。長文のメモを取ったり、複数のウィンドウで別々の本を開いたり、複数の情報ストリームを得られることなどパソコンが有利な点は多い。

iBooksは、消費者向け電子書籍プラットフォームの押さえとしてもよくできているが(Appleはより完全なエコシステムを主張できる)、真の永遠の価値は恐らく教育にある。そこではAppleが他のプラットフォームに対して確実に優位性をもっている。他社は電子教科書を作っているだけだが、Appleはそれを正しく実行し、すばやく広げるための教育の血統を持っている。おそらくそれがiBookstoreの成長を支えているのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


選挙直前のイランで大規模なフィッシング攻撃が行われている–目的は不明

Googleによると、今イラン発でイランのユーザに宛てた、メールによる大規模なフィッシング行為が行われている。Googleによれば、犯行は約3週間前に始まり、政治的な動機によるものと思われる。イランの次期大統領を選ぶ選挙は金曜日に予定されているが、フィッシングの洪水はその約3週間前に生じたといえる。

Googleによるとその‘作戦’は数万名のイラン人のアカウントをターゲットとし、実行者は2011年の11月にやはり、同じくイラン人ユーザをターゲットにした連中と同一のようである。2011年のときには、同社はイランの全ユーザに対して警告を送り、ハッカーたちがオランダのSSL証明機関DigiNotarを毀損したので、自分のアカウントが健常であることを確認せよ、と求めた。

しかしGoogleが言うように、今回の犯行はずっとシンプルで、ユーザをGoogleの偽のサインインページへ誘導し、ユーザ名とパスワードを盗む、という手口だ。盗んだ情報で何をする気か、それはまだ分からない。

一部の報道によると、今現在イランではGmailにアクセスできなくなっている。ただしこれは、未確認の情報だ。でもイランには過去にも、GmailやYouTubeなどGoogleのサービスをブロックした人たちがいる。だから、選挙に先だってGoogleのサービスへのアクセスが遮断されたとしても、それほど意外ではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 7でAppleはQRコードを容認 ― ただし目的達成の手段としてのみ

AppleはWWDCのキーノートで、近距離無線通信(NFC)を一笑に付したが、同じくらい(それ以上?)に冷笑されている技術であるQRコードを、こっそりと採用した。AppleはiOS 7にQRコードリーダーを内蔵した。そう、OSレベルで。しかしそのやり方には、QRコードの存在は少々目障りであり、自社テクノロジーを推進するのに都合のよい道具ではあるが本気で持ち上げたり推奨するつもりはない、という明確なメッセージが表れている。

iOS 7のQRコードリーダーはPassbookアプリに内蔵されている。サービス全体を説明するためのPassbookカードには、新たにコードスキャン機能が組み込まれている。Passbookの初期画面からワンタッチで利用でき、iPhoneのカメラを使って印刷あるいはウェブに表示された四角いバーコードを読み取ると直ちに認識する。しかし、次に起こることを見ればAppleが全面的にQRコードに改宗していないことがわかる。

あらゆるQRコードを平等に扱い、どんな情報でも実行するリーダーを作ることは十分簡単だっただろうが、Appleは汎用ツールを欲しくなかった。だからPassbookアプリのQRコードリーダーは、Passbookのパスにリンクしていないコードをスキャンしようとすると、その目的に関する非常に明快なメッセージを発信する。親切なタレコミ人が送ってくれたスクリーンショットが上にある。

統合の目的は明白だ。Appleはこれを、ユーザーがPassbookコンテンツをできるだけす早く簡単にライブラリーに追加できる方法の一つと考えていて、そのための障壁はできるだけ減らしたい。しかし、QRコードそのものは目的を達成するための手段にすぎない。究極の目的はユーザーがPassbookをもっと使うようになることであり、QRコードは単なる道具だ。実際、QRコードを厳密にPassbookパスだけに制限することは、汎用技術として利用しようとするとはるかに有害だ。大量のiOSユーザーがQRコードをPassbookと関連づけようとするだろうから、その種のコンテンツ提供していないコードには不満さえ感じるだろう。

これを、AppleがメインのカメラアプリでQRコードをサポートする前兆と考える向きもあるだろうが、期待しない方が良い。Appleは自らの目的に合致する技術を選り好みするので、もっと良い方法が見つかるか、Passbookが十分な勢いを得るために必要なくなれば、捨てられるかもしれない。少なくとも、これでQRコードがブームになることはない。Appleは永遠にこれを、Passbookを補助する下位ブランド技術として扱うだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google App Engineがバージョンアップ, いよいよクラウドサービスに本腰

GoogleのGoogle App Engineが今日(米国時間6/12)から1.8.1となり、たくさんの新しい機能が盛り込まれた。中でもとくに注目すべきは、待望の検索APIとプッシュツーデプロイ機能だ。後者はGitのpushコマンドのようにコードをリポジトリにプッシュする。

これらの新しい機能は、Googleがクラウドサービス市場にいよいよ本格的に参入すると暗黙裡に宣言したような、多忙なGoogle I/Oからの必然的な流れだ。今回の発表までGoogleは、Google Cloud Platformについて沈黙していた。しかし一般公開した今では、毎週のように新機能を発表し、これまでバラバラに存在していた各種Web機能の新たな統一を推進している。

今日はGoogle App Engineに関しても、同様の趣旨のアップデートが行われた:

検索 API: リリースから約1年になる検索APIをGoogleはプレビュー段階へ移し、一般公開に備えている。この検索APIを使ってデベロッパは、プレーンテキスト、HTML、アトム、数値、日付、地理的な位置など、各種の構造化データを、自分のアプリケーションの中でGoogle的に検索できる。本誌が先週報じたように、Googleはその操作とストレージに対する課金を開始する。料金表は、ここにある。料金は、一般公開に向けて変わるかもしれない。

ソースのプッシュツーデプロイ(Push-to-Deploy): App Engine は新たにPythonとPHPのアプリケーションの展開をGitのツールを使ってサポートする。したがってデベロッパはアプリケーションの展開をGitのリポジトリにプッシュするときと同様に、容易に行える。

Google Cloud Storageのクライアントライブラリ: App EngineからGoogle Cloud Storageへのアクセスが、Cloud Storage Client Libraryのプレビューリリースにより改良される。Googleのブログ記事によると、そのクライアントライブラリにはFiles APIの機能性の多くが含まれ、それらがなお一層ブラッシュアップされてデベロッパの良質な利用体験を保証する。将来的には、重複を防ぐためにFiles APIは非推奨となる。Cloud Storage Client Libraryは、今後もアップグレードされる。

タスクキュー: この、要望の多かった機能により、デベロッパはタスクを迅速に任意のTask Queueに入れてしまえる。アプリケーションの本流がブロックしないので、リクエストの処理がより効率的になる。

データストア: Googleによると、Google Cloud Datastoreには二つの重要な変更が行われた。まず、デフォルトの自動IDのポリシーが散在型になった。またNDBライブラリが’DISTINCT’クェリをサポートする。

1.8.1の新機能とバグフィクスの完全なリストは、Googleのリリースノートにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))