PinterestのARショッピング機能が家具やインテリアにも拡大

Pinterest(ピンタレスト)の新機能は、拡張現実(AR)を使って、家具やその他のインテリア用品が自分の家でどのように見えるかを、消費者が確認できるようにする。同様の技術は、Amazon(アマゾン)、IKEA(イケア)、Wayfair(ウェイフェア)などの大手小売業者や、Houzz(ハウズ)のような住宅デザイン分野の企業によってすでに実用化されている。Pinterestの場合、Crate & Barrel(クレート&バレル)、Walmart(ウォルマート)、West Elm(ウェストエルム)、Wayfairなどの米国の小売業者と協力して、オンラインの買い物客がPinterestアプリの「Lens camera(レンズカメラ)」を使って自宅に仮想的に商品を配置できるようにする。そして、ユーザーが気に入れば、小売店から直接商品を購入することができる。

このインテリアのバーチャルショッピング体験は、米国で8万以上のショッパブルピンで開始され、Pinterestにとってこれまでで最大のARショッピングへの投資となる。

また、これは、Pinterest が過去2年間に発表した「Try On(トライオン)」の3つ目の製品でもある。最初の試みは美容市場で、消費者がさまざまな口紅の色合いやアイシャドウを仮想的に試すことができるトライオン機能で、合計1万4000のショッパブルピンを提供した。Pinterestはまだ、部屋の中に直接商品を置くことはやっていなかった。つまり、ユーザーの顔の上にだけ商品を置いていたのだ。これまでと同じ技術ではないが、Pinterestのトライオン体験はすべて、商品のインスピレーションを購買につなげるという同じ目標を掲げている。

iOSまたはAndroidでこの機能を利用するには、米国のユーザーは、サポートされているホームデコレーションのピンをクリックし「Try in your Space(トライ・イン・ユア・スペース)」をクリックすると、カメラレンズを通してバーチャル製品を見ることができる。ユーザーは、自分のスペースで製品を調整し、価格などの製品情報を閲覧することができる。購入する場合は、再度ピンをクリックし、販売店のウェブサイトのレジに進む。

画像クレジット:Pinterest

このように、消費者の気軽なブラウジングを小売の取引につなげる試みは、Pinterestが長年にわたって力を入れてきたものだ。しかし、同社は、例えば、買い物のインスピレーションとして、静止画像から動画への移行など、さまざまな市場の変化への対応が少なくとも最近までは遅れていた。2021年、同社は遅ればせながら、動画優先のデビュー商品「アイデア・ピン」をリリースしてこの分野に参入し、以来、オンラインインフルエンサーが自分のコンテンツから収益を上げられるようにするためのクリエイターツールに投資している。

Pinterestはまた、家具やインテリアのショッピングのための新しいAR機能で、明らかに市場に先駆けているわけではない。しかし、ARショッピング市場はまだ初期段階だ。この市場では、Apple(アップル)のARKitのように、AR開発者が利用できるツールによって初期の導入が制限されており、時間の経過とともに着実に改善され、エンドユーザー体験が煩雑でなくなってきているのだ。また、アプリメーカーは、ARショッピングを消費者にアピールする方法をまだ探している段階だ。例えば先に、Snapchat(スナップチャット)は自社の AR 機能をアップグレードし、消費者が複数の商品をリアルタイムの価格で一度に閲覧できるショッピング・レンズが追加された

ARショッピングの初期の実験のいくつかは、よりギミック的なものに感じられたが、ARをうまく使えば、小売業者のコンバージョンを増やすのに役立つという兆候もある。そして、このような体験に対する消費者の需要もあるのかもしれない。例えば、2019年のGoogle(グーグル)の調査では、66%の人が買い物の際にARを使ってみたいと答え、ARに対する消費者の関心が示されている。実際の調査やコンバージョンに関するデータはより限定的なものだった。しかし、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は、自社の社内データを引用して、ストアに3Dコンテンツを追加しているマーチャントは、平均で94%のコンバージョン上昇を確認していると共有した。そして、ARで3Dモデルを使用した一部のマーチャントは、最大250%もコンバージョン率が上昇したとShopifyは述べている。また、同社は、Vertebrae(ヴァータブレイ)による2020年の調査を引用し、ARを利用する顧客は利用しない顧客と比較してコンバージョン率が90%上昇することを明らかにした。

一方、Pinterestは、自社のユーザーが「トライオン」可能なピンから購入する確率は、通常のピンの5倍であると述べている。また、2021年の検索クリック数は33.7億回で、ホームデコレーションがサイト内のトップカテゴリーであると述べている。そのため、この最新のARの取り組みは、ARビューティーショッピング機能よりも多くの利用者がいる可能性があるものとなっている。同社は、ビジュアル検索機能の利用が前年比126%増加したことをアピールしたが、総検索数については明確な数字を示さなかった。

「パンデミックが始まって以来、何百万人もの人々が意思決定プロセスの一環として、購入前に試したり、パーソナライズされたレコメンデーションを見たり、情報収集するための仮想およびモバイルオプションを期待しており、これまで以上にデジタルに精通した買い物客が増えています」と、Pinterestのエンジニアリング担当SVP、Jeremy King(ジェレミー・キング)氏は発表で述べている。「これらの行動は、毎日Pinterest全体で起こっています。だからこそ、私たちはAR Try Onのような技術を進歩させ続け、Pinterestを、アプリ内のどこでもインスピレーションから購入まで人々を導くフルファネルの買い物先にするのです」。

同社はTechCrunchに対し、現在、ARショッピング機能を収益化していないと語った。しかし、この取り組みにおける小売パートナーは、すでにPinterestでオーガニックと有料広告の両方の成功を収めているブランドであり、消費者が有機的に商品を発見するための別の方法を利用しようとしている。

ARショッピング機能は、発売当初はiOSとAndroidで米国のみだが、後にグローバル市場にも展開されるとPinterestは述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

MetaがInstagramに3Dアバターを導入、FacebookとMessengerにも新オプションを展開

Meta(メタ)は、同社の3DアバターをInstagram(インスタグラム)に導入し、さらにFacebook(フェイスブック)とMessengerアプリにもアップデートされたアバターを展開することを発表した。これにより米国、カナダ、メキシコのユーザーは、ステッカー、フィード投稿、Facebookのプロフィール画像などにバーチャルな自分を表示できるようになった。

米国時間1月31日のアップデートでは、VRを含むすべてのプラットフォームで、数種類のカラーの人工内耳と耳かけ型補聴器が追加された。また、今回のアップデートではFacebookのステッカー、Messengerチャット、InstagramストーリーズやDMに表示される車いすが追加された。Metaは、アバターがより本人らしく見えるように特定の顔の形を調整することで、アバターの見た目も改善している。同社は、今後もアバターエディターにアイテムを追加していく予定だという。

MetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同氏のFacebookプロフィールに掲載された声明の中でこう述べている。「Metaのアバターは、表情や顔、肌のトーンを増やし、車いすや補聴器なども追加してアップデートされました。デジタル衣類の実験も始めています。アバターは、Quest、Facebook、Instagram、Messengerのすべてで使用できます。いつの日か、表情豊かなものからフォトリアリスティックなものまで、複数のアバターを持てるようになるでしょう。近いうちにもっとシェアできることを楽しみにしています」。

今回のアップデートにより、ユーザーはVRを含むすべてのMetaプラットフォームで同じアバターを使えるようになった。ユーザーがFacebookやMessengerでアバターに加えた変更は、自動的にInstagramにも反映され、その逆も同様だ。ユーザーは、異なるプラットフォーム用に異なるアバターを作成するオプションもある。Metaは、時間をかけて、ユーザーがアバターを場所から場所へと簡単に移動できるようにすることを目標としており、将来的にはこれに関する最新情報を共有する予定だと述べている。

画像クレジット:Meta

また、MetaはNFLと提携し、スーパーボウルに向けてファンがお気に入りチームを応援する方法を提供する。2月28日までの期間中、ユーザーは自分のアバターが着る洋服を通してCincinnati Bengals(シンシナティ・ベンガルズ )またはLos Angeles Rams(ロサンゼルス・ラムズ)を応援することができる。どちらかのチームを選びたくないユーザーのために、ニュートラルな「Super Bowl LVI」シャツも用意されている。

Metaのアバター&アイデンティティ担当ジェネラルマネージャーであるAigerim Shorman(アイゲリム・ショーマン)氏は、今回のローンチについてブログで次のように述べている。「VRとQuestは当社のメタバースビジョンの重要な部分ですが、私たちはメタバースを相互に接続されたデジタルワールドとして捉えており、スマホやパソコンなどのより身近なプラットフォームに加えて、VRとARを橋渡しするものだと考えています。アバターを当社のプラットフォームに展開することは、この実現に向けた初期の一歩です。あなたの新しいバーチャルな自分が、オンライン上であなたの望むように表現されるよう願っています」。

同社は、Snap(スナップ)のBitmojiに対抗する手段として、2020年に初めてアバターを発表し、その後も継続的にアップデートを行ってきた。例えば、Metaは2021年、アバターをよりカスタマイズ可能で多様性のあるものにすることを目的として、目、鼻、ひげ、ヘアスタイルの新しいオプションを発表したが、今回の新しい変更はその一環だといえる。しかし、Metaはこれまでのアバター採用に関する数字を公表していない。

今回のアップデートは、Metaが2月2日に第4四半期および通期の業績を発表する予定であるタイミングで行われた。同社はその際、AR・VRハードウェア部門の業績を初めて公表する予定だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

Spotifyとジョー・ローガン氏が新型コロナ関連コンテンツへの反発に対応

米国時間1月31日、Spotify(スポティファイ)CEOのDaniel Ek(ダニエル・エック)氏は、ブログ投稿の中で、健康に関する誤った情報提供に関して高まっている論争に対応した。SpotifyがNeil Young(ニール・ヤング)氏とJoni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)氏の楽曲を、ポッドキャスト界の巨頭Joe Rogan(ジョー・ローガン)氏との契約へ抗議したことを受けて引き上げた後、同CEOは、Spotifyが「我々のコンテンツをより広く導くための方針に関して、透明性に欠けていた」と認めたのだ。

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エック氏は、Spotifyが、特に新型コロナについての議論を特集したPodcastエピソードにコンテンツアドバイザリを追加するために取り組んでいることを付け加えた。このアドバイザリーは、BBC、ABC、CNNなどのニュースエピソードや、Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏や他の医療専門家のインタビューを掲載した「Covid-19 Hub」にリダイレクトされるようになっている。

「ここ数週間のフィードバックを受けて、私たちは、この前例のない時代を切り抜けるための案内をしてくれている、医学と科学のコミュニティから広く受け入れられている情報へのアクセスとバランスを提供する義務があることが明らかになりました」とエック氏は記している。「これらの問題は信じられないほど複雑です」。

昨晩投稿された10分近いInstagramの動画で、ローガン氏は同社の反応も含めてこの論争に対応している。ローガン氏は、自分の番組が誤解されていると考えており、自分がヤング氏のファンであり、自分の番組について「(ヤング氏とミッチェル氏が)そのように感じているのは非常に残念だ」と指摘している。ヤング氏とミッチェル氏の2人とも、有効なワクチンが開発される前の幼少期にポリオに感染している。

「もし、物議をかもした直後に、私がなにかできることがあったととすれば、異なる意見を持つ専門家をもっと登場させることでしょう」とローガン氏は動画の中で語っている。「確実にそれに対して前向きです。将来的には、これらのポッドキャストで異なる意見を持つ何人かの人々と話をしたいと思っています。見ていてください」と語っている。

彼は「スケジュール管理はすべて自分でやっていて、いつもうまくいくとは限らない」とも付け加えている。ローガン氏は、この番組の魅力は「ただの会話」であることだと説明し、一方で、科学的なコンセンサスがしばしば変化することにも言及している。動画の中では、2020年5月に1億ドル(約115億2000万円)といわれる独占契約を結んだSpotifyに対して、より直接的な謝罪の言葉を述べている。「今回支えてくれたSpotifyに感謝したい。彼らにこのようなことが起きていること、そして彼らがこのことで多くの注目を浴びてしまっていることを非常に残念に思う」。と彼は動画の中で語っている。

2週間前、270人の医学専門家が署名した書簡は、同音楽ストリーミングプラットフォームが「主催するメディアが科学研究に対する国民の信頼を損ない、医療専門家が提供するデータに基づく指導の信頼性に疑念を抱かせる」と非難している。この書簡は特にRobert Malone(ロバート・マローン)博士の最近のインタビューを引用しているが、これは「Spotifyのプラットフォームで発生した違反行為だけではなく、同プラットフォームがこれによって引き起こされている損害を軽減することを怠っていることに関連した例」であると指摘している。

「私は自分たちの方針、開発に情報を吹き込む研究と専門知識、そしてライン内で、幅広い議論と討論を可能にするような方法で、それらを適用する私たちの熱意を信頼しています」とエック氏は書いている。「私たちはこのことを真剣に受け止め、クリエイターとリスナーのために、専門家と提携し、私たちのプラットフォームの機能と製品機能に多大な投資を続けていくつもりです。だからといって、いつもうまくいくとは限りませんが、私たちは学び、成長し、進化することを約束します」と書いている。

この投稿では、Joe Rogan Experienceやその番組ホストについて具体的に言及できていない。また、同社はここ数週間の騒動でどれだけのユーザーがアカウントを取り消したかを明らかにしていない。この番組は以前、反トランスジェンダーとみなされる内容で非難を浴び、Spotify社内の反発を招いたことがあった。

画像クレジット:Antoine Antoniol / Contributor

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アプリ開発プラットフォームのヤプリが新人事制度「lily制度」開始、働き方支援制度を拡充・妊活・不妊治療費の補助も

アプリ開発プラットフォームのヤプリが新人事制度「lily制度」開始、働き方支援制度を拡充・妊活・不妊治療費の補助も

アプリの開発・運用・分析をクラウドからワンストップで提供するプラットフォーム「Yappli」を運営するヤプリは1月28日、従業員に対する働き方支援として「lily(リリー)制度」を導入・施行したことを発表。社員の働き方とプライベートにおける選択肢を増やし、長期的に安心して働ける環境を整え、働き方支援制度をより拡充。新たに妊活・不妊治療の支援制度も導入した。

「Yappli」と「Family」を組み合わせて命名された「lily制度」は、働く時間とプライベートの時間を切り分けることなく、社員とその家族を、自社にとって家族のような存在として大切にしていきたいという思いを込めているという。

ヤプリは、「働くこと」だけを優先し、社員の人生における選択肢や可能性を狭めさせたくないと考え、産休・育休の支援制度や出産立ち会い制度、フレックス制度やオープン勤務など、様々なライフスタイルに合わせた労働環境作りを目指してきた。さらに今回は、長期的に勤務する土台を作るためには、社員に対して妊娠・出産前からサポートが必要だと考え、新たに妊活・不妊治療の支援制度を導入した。

ヤプリは今後も、社員とその家族の暮らしを支えることができる制度をlily制度に追加していきたいとしている。

lily制度(働き方支援制度。抜粋)

妊活・不妊治療

  • 妊活・不妊治療費の補助:1従業員あたり上限50万円までを負担
  • 妊活・不妊治療時の特別有給:特別有給休暇を必要な日数分付与
  • オンライン外部相談窓口の設置:妊活・不妊治療に対する、外部のオンライン相談窓口の設置(希望者へは提携医院の紹介も実施)
  • 妊孕性簡易検査キット割引:AMH検査、精子検査の簡易検査キットの購入費用を割引価格で購入できる(10~15%程度割引)
  • リテラシーアップの取り組み:継続的に社内のリテラシーを高められるよう、妊活・不妊治療に関するセミナーを定期開催。専門機関からの妊活・不妊治療メルマガの配信

妊娠~出産

  • 産前特別休暇:産前産後休業前に、使える特別有給休暇
    ・女性は10日間(体調調整、通院など)
    ・パートナーは5日間(パートナーの産前看護、通院付き添いなど)
  • 出産立ち会い休暇:パートナーの出産立ち会い用に使える3日間の特別有給休暇
  • 保活コンサル費用補助(全額):保育園探し~職場復帰までのコンサル費用を会社が全額負担
  • 出産祝い金:社員または社員の配偶者が出産した場合には、1産児につき10万円を出産祝金として贈呈
  • 復職祝い金:復職への感謝と育児応援として、復帰後に復職祝い金を贈呈

育児

  • フルリモート勤務:育児・介護等で必要な場合は、フルリモートでの勤務が可能
  • シッター費用補助:内閣府ベビーシッター割引券の導入予定
  • 子の看護休暇(特別有給):子どもの介護で必要な場合、子ども1人あたり年5日(上限10日)まで使える特別有給休暇

ユニコーン以上の価値があるWorkplaceにスピンアウトして欲しいVCと、それを手放したくないフェイスブック

Workplace(ワークプレイス)とは、もともとFacebook(フェイスブック)が従業員同士のコミュニケーションの場として作ったアプリである。友人や家族と楽しむためのものとして定着したFacebookと実質的に同じこのツールは、現在700万人以上のユーザーに利用されており、企業の社内コミュニケーションを支援するアプリとして地位を確立している。そして今、この人気を背景にWorkplaceには別の意味での注目が集まっているようだ。

Meta(メタ)に社名を変更する前、Facebookが企業投資家から「Workplaceをスピンオフして、スタートアップとしてバックアップさせて欲しい」という提案を受けていたという事実が浮上した。関係者によれば、この取引によってWorkplaceが独立していたら、少なくとも10億ドル(約1138億ドル)の「ユニコーン」として評価されていたとのことである。

情報源によるとこの話は進まなかったようだが、それは主にFacebook(現在はMeta)がWorkplaceを「戦略的資産」と見なしたからだという。MetaがFacebookやInstagram(インスタグラム)などのプラットフォーム上の広告から得ている数十億ドル(数千億円)に近い売上を、Workplaceが上げているわけではない。しかし、Metaの多様な側面を市場に強調するためには、Workplaceが重要なのだという。規制当局にとって、Facebook / Metaはあまりにも強力すぎるソーシャルネットワークなのであるのに対し、企業組織にとってFacebookは広告を販売する以外にもまだ多くのポテンシャルを秘めている存在なのである。

情報源によると「WorkplaceはFacebook(およびMeta)を大人っぽくみせてくれる」のだという。

MetaとWorkplaceの広報担当者はこの記事へのコメントを控え、何も伝えることはないと述べている。

どの投資家が関係していたかは明らかにされていないが、ある関係者によるとその企業投資家とは、資本注入を目的とした後期の成長ラウンド投資に重点を置く、エンタープライズに特化した投資家だという。

スピンアウトしたWorkplaceに出資しようという彼らのアプローチは、2021年レイトステージの投資家やプライベートエクイティの投資家らが成熟した大規模なテック企業を買収するために活動を活発化させていた時期(今もそうだが)と重なっている。Thoma Bravo(トーマス・ブラボー)は2021年、350億ドル(約3兆9840億円)を調達してこの分野でより多くの買収機会を得ようとしていたと報じられている(そしてそのためにさまざまな投資や買収を行ってきた)。2021年のプライベートエクイティによる買収総額は約800億ドル(約9兆円)に達し、2020年に比べて140%以上増加しているとBloomberg(ブルームバーグ)は推定している。

このペースは2022年も衰えそうにない。その中には、あまり主要ではなく収益性の悪い、どちらかといえば低迷中の資産を合理化してより多くの資本を回収しようと、大手テクノロジー企業に対して事業のスピンアウトを持ちかけるPE企業もある。ちょうど今日、Francisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)はIBM(アイビーエム)のWatson Health(ワトソン・ヘルス)事業を約10億ドル(約1138億ドル)で買収することを発表した

SaaS展開の足がかりを構築

Metaの場合、Workplaceをスピンアウトさせるためには、2つの面での展開が必要となる。

企業面では同社の解体を求める声が上がっている。2022年1月初め、米連邦取引委員会(FTC)がWhatsApp(ワッツアップ)とInstagramの売却を求める訴訟の継続を裁判所が認めた他、報道によるとVR部門が反トラスト法違反ではないかという別の調査も行われているという。一部の投資家や株主にとってこの状況はチャンスだが、Metaにとってはあらゆる資産の保持を正当化するための検討が必要になってくるだろう。

Workplaceはこの数カ月間、重要な岐路に立たされていた。

多くの人材が離職したのである。その中には、1月BREX(ブレックス)のチーフプロダクトオフィサーに就任したKarandeep Anand(カランディープ・アナンド)氏や、ロンドンのベンチャー企業Felix Capital(フェリックス・キャピタル)のパートナーに就任したJulien Codorniou(ジュリアン・コドルニウ)氏というトップ2人の幹部も含まれている。その他多くの人たちも、新たな旅路をスタートさせるため同社のビルを去っていった。

これはMetaのPRの失敗が原因なのではなく、むしろごく自然な現象なのだと私は聞いている。これまでここにいたのはWorkplaceを一から作り上げるために集められた人々だ。同社の製品が成熟し、より明確な焦点を持った今こそ、新たな人員が入社して次のステージに取り組むのに適切な時期であるのだという(私の個人的な意見だが、Workplaceの新リーダーであるUjjwal Singh[ウジワル・シン]氏は、今のWorkplaceを率いるのにふさわしい人物だと感じている)。

しかしそれとはに、Metaが常に世論からバッシングを受けていることで従業員が疲弊しているのではないかという報道もある。Workplaceもこれは人ごとではない。以前Workplaceは最大手のレストランチェーンと大きな契約を結んだと私たちは理解しているのだが、その顧客は昨秋、穏やかでないニュースの数々と「評判の問題」を理由にその発表を控えるよう求めてきたという。

「他のSaaS企業ではありえないことだ」とある人物はいう。

これはWorkplaceを親会社から切り離すための良い理由となったはずだし、スピンアウトへの一歩ともなりえただろうが、Metaはそうは感じていないようだ。

Workplaceは製品として展開された当初から、実は大きな変化を遂げている。

もともとFacebookの「仕事版」として設立されたWorkplace。Facebookの従業員がすでにFacebookを使ってプライベートなグループでコミュニケーションをとっていたのを発展させたもので、Slack(スラック)やその他の職場向けチャットアプリの台頭に対抗する形で登場した。何十億もの人々がすでにFacebookを利用しているのだから、 当然Workplaceに優位性があるだろうというのが同社の当時の考えである。異なる種類のユーザーをターゲットにした新サービスを導入し、広告収益ではなく有料化という異なるビジネスモデルを採用することで、同社にとって新たなビジネスの可能性の扉を開いたのだ。

時とともにWorkplaceの焦点が変わろうとも、この戦略が変わることはほとんどない。もともとWorkplaceは、SlackやTeamsに対抗するためにナレッジワーカーを対象とした他の職場生産性向上ツールとの統合を数多く導入していたのだが、時が経つにつれ、Workplaceは主にモバイルで雇用主とコミュニケーションをとるデスクレスワーカーに支持されるようになったのである。つまり、ナレッジワーカーとデスクレスワーカーの両方に対応するコミュニケーションアプリになることがWorkplaceのスイートスポットとなったのだ。

「Teams、Slack 、Workplaceのどれかを選んでもらうのではなく、両方持っていてもいいのではないかと気づいたのです。他の会社はナレッジワーカーのためのリアルタイムのメッセージングコミュニケーションを扱って、Workplaceはそうではないサービスをすべての人のために提供すれば良いのです」と関係者は振り返る。

そして、これが現在の Workplace の戦略の指針となっている。最近では、Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)の機能をプラットフォームに統合して補完を行っている他、先に、同社はWhatsAppとの新たな統合を発表した。これはすでに最前線のチームに人気があるのだが、今後はWorkplaceでのコミュニケーションのため、より正式なインターフェースとなるようだ。また、MetaのVR事業とPortal(ポータル)との統合やサービス提供も予定されているという。

同社が最新のユーザー数を公表するのは2022年の後半になる予定だが、ある関係者によるとWorkplaceのユーザー数は現在1000万人近くに達しており、Walmart(ウォルマート)やAstra Zeneca(アストラゼネカ)など世界最大級の企業もその顧客リストに含まれているという。

Workplaceはこれまでに独立型製品として販売されていたこともあるが「今後独立型のアプリケーションとして販売されることはないと思います」と関係者は話している。

その代わりに、例えばビジネスメッセージングとWorkplaceを組み合わせて販売したり、Facebookのログイン機能と組み合わせて販売したりと、Metaにはさまざまな可能性が広がっている(CRMのスタートアップであるKustomer買収の背景には、このような企業への幅広い売り込みがあると思われるが、この買収はまだ完了していない)。

Workplaceを手放す準備などもっての他で、Metaはより大きなSaaSビジネスを構成する足がかりとしてWorkplaceを位置づけているようだ。果たしてMetaは独立会社のように、そのチャンスを逃さずに動けるだろうか。それができなければVCが舞台のそでで出番を待っているのである。

画像クレジット:Workplace

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

「クリエイターファンド」はそれほど褒められたものじゃない

2020年の夏、TikTok(ティックトック)は「クリエイターファンド」と称して、米国内のクリエイターに贈与するための2億ドル(約229億3500万円)を用意した。これは当時としてはまだ珍しい手法である。より成熟したプラットフォームのYouTube(ユーチューブ)は、クリエイターの投稿動画で再生される広告の収益をシェアできるようにする、2007年に設立されたパートナープログラムを通じて資金を分配することでクリエイターに報酬を支払ってきた。しかしここ数年、TikTokの人気上昇に対抗するため、各ソーシャルメディア企業が独自のクリエイタープログラムを立ち上げている。YouTubeはショートのために1億ドル(約114億6500万円)のクリエイターファンドを設立し、Snapchat(スナップチャット)はSpotlight(スポットライト)チャレンジへの投稿に賞金を提供、Instagram(インスタグラム)はReels(リール)のクリエイターにゲーム化されたキャッシュボーナスを配布している。

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客観的に見て、大手テック企業が大金を放出しているというのはクリエイターにとって良いことのはずだ。しかし、長年ユーチューバーとして活躍し、最近ではTikTokのスターとなったVidCon(ビッドコン)の創設者であるHank Green(ハンク・グリーン)氏が最近のビデオエッセイで指摘しているように、クリエイターファンドは特段称賛されるべきものではないのかもしれない。こういったファンドはクリエイターの収益を配慮してのものではなく、「独立系アーティストにお金を払っています!」という企業のアピールに過ぎないという可能性もある。

TikTokのようなクリエイターファンドでは決まった一定の資金から支払いが行われているのに対し、YouTubeパートナープログラムでは広告収入のパーセンテージがクリエイターに分配される仕組みとなっている。つまりYouTubeが成長すればするほど、クリエイターに支払われるお金の総額も増えていくということになり、過去3年間でYouTubeはクリエイターに300億ドル(約3兆4374億円)を支払っている(YouTubeのパートナープログラムを通じて、クリエイターは自分の動画に掲載された広告から得られる収益の55%を得ることができる)。一方で、TikTokが成長してもクリエイターファンドの規模が変わることはない。

TikTokのプラットフォームは急速に成長しているのにも関わらず、その結果としてTikTokのクリエイターの収入はむしろ減っているとグリーン氏は主張している。ユーザーが良いコンテンツを投稿しているからこそ、このプラットフォームは成長できているのだという人もいるだろう。こういった巨大なテック企業にユーザーがもたらした価値に対して、これらのユーザーは適切な報酬を得ていないのである。

TikTokの広報担当者はTechCrunchの取材に対し「クリエイターファンドは、クリエイターがTikTokでお金を稼ぐための方法の1つに過ぎません」と答えている。

ブランドとコンテンツ制作者が簡単につながることができる「TikTok Creator Marketplace」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイス)や、ライブ配信中だけでなくいつでもクリエイターがチップを受け取れるようにした機能が2021年1月から開始するなど、新たな取り組みを数多く進めていると同社は主張しているが、当然このようなマネタイズ機能はYouTubeにもある。

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「クリエイターコミュニティの声に耳を傾け、フィードバックを得て、プログラムに参加している方々の体験を向上させるために機能を進化させ続けていきます」と同社はTechCrunchの取材に対して答えている。

TikTokの収益を1年以上にわたって綿密に追跡してきたグリーン氏によると、以前は1000回の再生で5セント(約5.7円)を稼いでいたものの、ここ数カ月は1000回の再生で2セント(約2.3円)になっているという。これはTikTokが成長しているために再生回数が増え、それにともないクリエイターへの報酬が減っているからだと同氏は主張している。

確かにTikTokは、フルタイムのクリエイタービジネス全体に資金を提供するためにこれらのプログラムを作ったわけではない。しかしこの支払い額は、ソーシャルプラットフォームへのクリエイターの貢献度を過小評価しすぎているのではないだろうか。クリエイターファンドがTikTokの長期的なクリエイター向け収益化計画であるかどうかは不明であり、またInstagram、YouTube、Snapchatの場合、これらの報酬はクリエイターに自分たちのプラットフォームを使ってもらうためのインセンティブに過ぎないが、クリエイターは短編動画をめぐる競争において少々疲弊気味のようだ。

他のフルタイムクリエイターもグリーン氏の意見に同意している。英国のテック系ユーチューバーであるSafwan AhmedMia(サフワン・アメッドミア)氏は、2021年4月からTikTokで2500万回以上の再生回数を集めたにも関わらず、112.04ポンド(約1万7000円)しか稼げなかったとツイートしている。YouTubeの米国トップクリエイターであるMrBeast(ミスター・ビースト)もこのツイートに返答し「10億回以上の再生回数」で1万4910.92ドル(約171万円)稼いだと答えている。TikTokは総再生回数を表示しないため、手動で数えない限りわからないようになっており、彼らの計算はグリーン氏の計算よりも正確ではないが、それでも彼らの試算によると、ミスター・ビーストとアメッドミア氏の2人は、再生回数1000回につき2セント(約2.3円)以下の収入しか得ていないことになる。

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クリエイターにとっては一般的に、YouTube、TikTok、Snapchatなどの動画のインプレッション数よりも、ブランドとの契約による収益の方が大きいといわれているが、それでもクリエイターは自分がプラットフォームにもたらす価値に見合った対価を支払って欲しいと願っている。

「TikTokの収益が上がれば、クリエイターの収益は下がる、というスローガンが作れるほどです。あらかじめ決まった額からの捻出ではなく、収益の一定割合を報酬として支払うというのはTikTokにとっては非常に悪いことですが、クリエイターにとっては非常に良いことです。TikTokはPRNewswireなんかで『今後3年間で10億ドル(約1155億円)をクリエイターに支払います』などと発表し、あたかもこれが莫大な金額かのようにして話していますが、実際のところ支払い額は完全にコントロールされており、参加するクリエイターが増えてアプリが成功すればするほどクリエイターの1ビューあたりの収入は減っていくのです」。

TikTokアプリ自体がどれだけの収益を上げているのかは不明だが、親会社のByteDance(バイトダンス)は2021年580億ドル(約6兆6500億円)の収益を上げており、この数字を見ると約2年前に開始した2億ドル(約229億3500万円)のクリエイターファンドがあまりにも小さな数字に感じてしまう。

それでもTikTokとYouTubeを比較するというのは、リンゴとオレンジを比較するようなものである。30秒のTikTokが、20分のYouTube動画の支払い額よりも少ないのは当然だ。YouTubeにはプレロール、ミッドロール、エンドロール広告があるが、TikTokの広告は動画と動画の間に表示される(広告主も日に日に賢くなっており、人気トレンドをみんなと同じように繰り返して普通のTikTok動画のように見せてくるため、ユーザーはしばらくして突然動画が洗顔料か何かを売ろうとしていることに気づくのである)。TikTokの途中で広告が再生されることはなく、あまり煩わしくないユーザー体験を提供している。これに対してYouTubeは広告なしのYouTube Premiumプランを月額11.99ドル(1180円)で提供している。

TikTokもYouTubeに倣ってより多くの広告を挿入して収益を上げ、クリエイターへの報酬を増やすことができるだろう。しかしそれはかなり迷惑な話であり、またTikTokがお金に困っているとも思えない。もう一度いうが、ByteDanceは2021年に580億ドル(約6兆6500億円)を稼いだのである。TikTokのクリエイターファンドは2億ドル。これはTikTokの親会社の収益の0.3%にあたり、その0.3%が複数年にまたがってクリエイターファンドに費やされているのである。

TikTokがクリエイター経済に革命を起こしているというが、実際はクリエイターたちがプラットフォーム上で寄せ集めたオーディエンスを構築し、活用しているというところが正確だ。ただし数字を見ると、TikTokは実際にクリエイターを支援するために十分な資金を一切投入していないのである。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

新規事業開発パートナーのコパイロツト、誰でもプロマネを実践できるSuperGoodMeetingのスタートアップ向けプランを開始

新規事業開発、DX推進などプロジェクト推進支援を行うコパイロツトは、2021年6月に提供を開始した。定例会議・ミーティングを活用して不確実性の高いプロジェクトを最短で成功まで導くクラウドサービス「SuperGoodMeetings(SGMs)」の少人数向けプランを開始した。

同社は、2005年の創業以来、100社以上の企業にプロジェクト推進支援を実施。現在は、主に新規事業開発やデジタルマーケティング、DX(デジタルトランスフォーメーション)など大型プロジェクトの推進支援を行い、そのスキルセットを普及させるためSGMsの開発、提供を行っている。

定例ミーティングを活用したプロジェクト推進支援の経験から生まれたプロジェクトマネジメントSaaS

SGMsは、熟練のプロジェクトマネージャーたちが行っているファシリテーションや会議術を、誰でも簡単に実践できるようにしたウェブサービスだ。定例会議・ミーティングと合わせて利用することで、多様なメンバーを取りまとめ、複雑性の高いプロジェクトを着実にゴールへと導いていく。同サービスには、長年にわたり、コパイロツトで数多くのプロジェクト支援を手がけてきたメンバーの知見やノウハウが盛り込まれている。このサービスでは「プロジェクトの目標は何か」「いつまでに何をすべきか」「今、この会議で何を議論すべきか」を徹底的に可視化する。

会議運営を支援するのはプロジェクトをさらに推し進めるため

コパイロツトではこれまで、数々のプロジェクト推進支援を行ってきた。その経験から新規事業開発などの不確実性の高いプロジェクトにおいては、定例会議・ミーティングをより良い場にすることが、プロジェクトの質を上げることにつながるという仮説を立てている。

「Slackなどの非同期ツールで反応があまりない人がいる場合、その人の性格というよりも、プロジェクトの理解が足りていなかったり、関係構築ができていないことがその原因になっている場合もあります。定例会議で良く交流できていれば。非同期のコミュニケーションも円滑になるのではないでしょうか」と同社共同創業者の定金基氏はいう。そのため、SGMsは定例会議をベースにしたプロジェクト管理ツールとなっている。各自がマイルストーン(中間目標)を立てて、状況を書き込めるようになっており、定例会議で「いま何を意思決定すべきか」の状況把握がしやすく、議論を促す設計になっている。

左から共同創業者の定金基氏、プロダクトCOOの高山道亘氏

ツールの開発のきっかけは、社内にあったプロジェクト推進のための知見を体系的に整理し、メソッドとして社外に広く公開したことだ。そのメソッドを実践するために、Officeなど自由度の高い既存のツールや、その他のプロジェクト管理ツールなどを試したが、プロジェクト推進のための会議運営には特化していなかったため、限界があると感じた。そこで開発されたのがSGMsだ。開発にあたり、よりプロジェクトの参加者がプロジェクト全体の状況を理解し、自律的に動けるようになる環境づくりを支援する設計を意識した。

プロダクトCOOを担う高山道亘氏は「ユーザーのみなさまからは、『資料が点在せず、議事録、タスク、アジェンダが一元管理できた』『参加者のロール(具体的に何をすればいいか)が明確になった』といった声が寄せられています。今後は、よりチームとして使いやすくなるような機能の拡充や、他サービスとのAPI連携も視野にプロダクトを育てていきます。まだまだ一部の方にしかアプローチできていないので、分野・チーム規模に関わらず、プロジェクト推進に関わるすべての方に知っていただきたいですね」とプロダクトの拡張に意欲を示している。

スタートアップなどの少人数向けプランも登場

SGMsは、アカウント数制限なし、1プロジェクトまで無料。これまで有料プランは大規模利用向けの月額8580円(税込)のものだけだったが、2021年11月にスタートアップなどの小さなチームでも導入しやすい月額880円(税込)のプランが追加されている。

また、SGMsを使用したプロジェクト推進コンサルティングパッケージも展開している。

これまで従来のクライアントに導入を推奨してきていたが、広く多くの方に使って欲しいということからプランを拡充している。多様なメンバーで、変化の激しいプロジェクトに取り組んでいる幅広いチームに、ぜひ利用してみて欲しい。

妊娠・子育て中の親と専門家をつなぐ「bloss」Antler主導のプレシードで約1.5億円を調達

blossは、これから親になろうとしている人やすでに親になっている人と、事前に審査された子育ての専門家をつなぐ英国のスタートアップだ。このたび、アーリーステージVCであるAntlerが主導するプレシードラウンドで100万ポンド(約1億5000万円)を調達したほか、シリコンバレーの起業家Narry Singh(ナリー・シン)氏、元サッカー選手のAndriy Shevchenko(アンドリー・シェフチェンコ)氏、英国系ジャマイカ人の起業家Alexandra Chong(アレクサンドラ・チョン )氏などのエンジェルが支援している。今回の資金は、2022年後半にblossアプリをローンチするために使われる。

このスタートアップは、161カ国で9万5千人以上のユーザーと200人以上の専門家を抱え、6カ月前の立ち上げ以来、530%の成長を記録しているという。

blossは、妊婦を対象としたアプリをすでに提供しているtintoなど、この分野の既存のアプリと競合することになる。

同社は、Uberの初期の社員の1人であり、英国の創業チームのメンバーでもあるStephanie Desmond(ステファニー・デズモンド)氏が、パンデミックの最中に第3子を妊娠しているときに創業した。デズモンド氏は妊娠するために何度も体外受精を繰り返していたが、信頼できる専門家のアドバイスが不足していると感じた。つまり、blossは「子育て専門家のUber 」と言えるかもしれない。共同設立者は「マミーインフルエンサー」であり、リアリティ番組のスターであるBinky Felstead(ビンキー・フェルステッド)氏だ。

blossでは、助産師、睡眠コンサルタント、栄養士、児童心理学者などの専門家がマッチングされ、24時間以内に親の質問に答えてくれる。

デズモンド氏は次のように述べている。「人々は助けを求めていますが、どこで助けを得られるのかわからないことが多いのです。インターネットは悪いアドバイスの宝庫なので、私たちは何百人もの専門家へのアクセスを民主化することで、子育てを少しでも楽にしたいと考えています。私の家のキッチンテーブルの周りでブレインストーミングをしたのが始まりでしたが、今では世界中の専門家とユーザーが急速に増加しており、毎月平均88%の成長を遂げています」。

AntlerのパートナーであるOllie Purdue(オリー・パーデュー)氏は、次のように述べている。「ステフ(・デズモンド)は、この初期の期間にビジネスを非常にうまく成長させてくれました。私たちはAntlerの全リソースを投入して、世界中のより多くの親御さんにブロッサムをお届けできることを楽しみにしています。blossは多くの家庭にとって大きな価値のある製品であり、この製品が家族に与えるポジティブな影響を楽しみにしています」。

画像クレジット:Bloss / Bloss founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

ジョニ・ミッチェもニール・ヤングに続き、新型コロナワクチン誤報問題でSpotifyから楽曲を削除

Spotify(スポティファイ)の、Joe Rogan(ジョー・ローガン)氏による頭痛の種が、さらに悪化することになりそうだ。

先週ミュージシャンのNeil Young(ニール・ヤング)氏は、2年前に1億ドルの独占契約を結んだジョー・ローガン氏とSpotify(スポティファイ)の関係に抗議するために、ストリーミングサービスから楽曲を削除することを発表していた。それに続きJoni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)氏も、米国時間1月28日に自身のウェブサイトに投稿し「ニール・ヤング氏に味方する」として、Spotifyから楽曲を削除することを発表した。

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「Spotifyから自分の音楽をすべて削除することにしました。無責任な人たちが他者の命を奪う嘘を広めています」とミッチェル氏は書く。「私はこの問題に関して、ニール・ヤング氏ならびに世界の科学 / 医学界と連帯します」。

世界で最も有名で、最も尊敬されている現役ミュージシャンの1人であるミッチェル氏が、ローガン氏の件でSpotifyから撤退したことで、驚く人はいるだろう。ヤング氏とは異なり、彼女はストリームの質に関しては不満を持っていなかった。

ローガン氏のポッドキャストである「Joe Rogan Experience」(JRE、ジョー・ローガン・エクスペリエンス)は、物議を醸すことで知られている。最近では、ローガン氏や彼のゲスト出演者の多くはトランスフォビアを公然と表明し、マスクは「ビッチのためのもの」なので新型コロナウイルスの感染を減らすためにはマスクを着用しないようにリスナーに呼びかけ、彼の大勢の聴衆にワクチンに対する疑念を広く伝えている

ローガン氏の番組は、世界で最も人気のあるポッドキャストでもある。1回のエピソードに推定で1100万人以上のリスナーが集まり、毎週複数のエピソードがSpotifyにアップされている。

ローガンは、間違った情報を流すゲストを定期的に呼ぶが、その主張が事実であるかどうか確認する努力はしていない。また、新型コロナに関する誤った情報を広めたことでTwitterから追放されたウイルス学者、Robert Malone(ロバート・マローン)博士をゲストに呼んだことで、何百人もの医療関係者が公開書簡に署名し、Spotifyは、パンデミックが続く中、人命を危険にさらすことで利益を得ていると非難している。この公開書簡に触発されたヤング氏は、今週Spotifyを去り、ミッチェル氏も自分のメッセージの中でこの書簡に触れている。

その書簡には「マローン博士は、JREプラットフォームを利用して、新型コロナワクチンに関するデマや、社会的リーダーが国民を『催眠にかけている』という根拠のない説など、裏付けのない主張を大量に広めました」と書かれている。

「これらの発言の多くは、すでに信用に値しないとされています。さらに注目すべきは、マローン博士は、パンデミック政策をホロコーストにたとえた最近のJREの2人のゲストのうちの1人だということです。これらの行為は、不快で攻撃的であるだけでなく、医学的にも文化的にも危険な行為なのです」。

画像クレジット:Vivien Killilea / Stringer / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

全メンバーにとってベストな会議日時を教えてくれるチーム向けカレンダーアプリ「Rise」

チームワークに特化したカレンダーアプリに取り組む新しいスタートアップ、Rise(ライズ)を紹介する。Riseは、あなたが計画していることを確認、あなたのチームが今何をしているかをチェックし、さらに重要なこととして、チーム全体にとってできるだけ都合のよいミーティングをスケジュールするのを助ける。

現在プライベートベータ版であるRiseは、Lachy Groom(レイチーグルーム)、Stewart Buttlefield(スチュワート・バトルフィールド)、Adriaan Mol(アドリアン・モル)、そしてビジネスエンジェルたちの長いリストから300万ドル(約3億4500万円)を調達した。

上のスクリーンショットを見る限り、Riseは多くのカレンダーアプリと同じように見える。しかし、主な差別化機能は、スケジュール管理エンジンで、そのおかげで次の会議の最適な開始時間について考える必要がない。Calendly(カレンダリー)のリンクは必要ないのだ

アカウントを作成すると、Riseはあなたにとっての完璧な1週間を設定するよう求める。つまり、あなたの1週間の青写真のようなものだ。例えば、午前中のミーティングは苦手という人もいるだろう。逆に、ミーティングに適した時間帯を設定することもできる。Riseは、1週間をミーティングタイムとフォーカスタイムに分ける。

チームがRiseに登録したら、コマンドバーを開いて「来週、サムとサラとミーティング」などと入力すれば、新しいミーティングを作成することができる。アプリは自動的に情報を解析し、あなたが他の2人のチームメンバーと新しいミーティングを予定したいことを理解する。

Riseは、すべての参加者の空き時間、タイムブロック、およびプリファレンスをチェックする。裏側では、各時間帯のランキングアルゴリズムがあり、Riseは最も良いランキングの結果を選ぶ。その結果、チームメンバー全員が集中するための時間を取り戻すことができる。

このスタートアップは、SaaS(Software-as-a-Service)方式で、毎月のサブスクリプションを提供したいと考えている。チームはRiseを使い始める前に、自分のアカウントをRiseに接続し、Riseをずっと使っていたらどれだけ時間を節約できたかを見ることができる。

もしRiseが多くの企業にカレンダーを使うように説得できれば、社外の人とのミーティングにおもしろいネットワーク効果が期待できるかもしれない。例えば、Riseを使っている2つの会社の間で、関係者全員にとって適切なタイミングで、Riseが自動的にミーティングをスケジュールしてくれるかもしれない。

Riseを使用していない人とのミーティングのスケジュールに関しては、明白な解決策はない。Calendlyは、忙しい人が空き時間のリンクを共有するための一般的なオプションであり、Riseはこの面でいくつかの既存の競合があることを認識している。

「空室状況をすばやくコピー&ペーストしたり、カレンダーのランディングページを作成したりと、類似の製品にあるような、明らかに追加できることがいくつかあります。しかし、そのような機能を提供するすばらしい製品もすでにあり、本当に10倍の飛躍を遂げるのは難しいでしょう」と、Riseの共同設立者であるRick Pastoor(リック・パストーア)氏は私に語ってくれた。

パストーア氏は「GRIP(グリップ)」というプロダクティヴィティについての本も書いており、オランダで好評を得ている。その著書は75000 部以上も売れている。Riseは、最近出現しているカレンダーのスタートアップの新しい波の一部で、Cron(クロン)、Hera(ヘラ)、Amie(アミー)などと競合することになる。

Riseは、時間管理に関する意見を述べることで、競合他社に差をつけられると考えている。「私たちは、ノブやオプションでいっぱいのコックピットを作りたいとは思いません。私たちは、ユーザーやチームが最も重要なことに到達するのを助けたいのです。そのためには、最初のインプットが必要ですが、実は、スケジュールを指定しなくても、時間管理を確実に把握できるようになれば、すぐにでも、それらを移動させたいと思っています」とパストーア氏は述べている。

画像クレジット:Rise

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(文:Romain Dillet、翻訳:Yuta Kaminishi)

ワシントン州による調査後、「Sold By Amazon」での価格操作に対してアマゾンは2.6億円を支払い、プログラムも終了

Amazon(アマゾン)は、225万ドル(約2億6000万円)を支払い、中断していた販売プログラムを永久に停止しなければならない。同社が実質的な価格操作を行っていたとする、ワシントン州司法長官による調査および訴訟を受けたものだ。

「Sold By Amazon」は基本的に次のような仕組みだった。Amazonがサードパーティの販売者と連絡を取り、商品の最低価格について合意する。Amazonがそれ以上の値段でその商品を売れば、利益を分配する。ある意味、卸売りで大量に仕入れて転売するのとあまり変わらない。しかし、Amazonがストアで商品の価格や見せ方を激しく変えるその手法のために、実際にはまったく異なったことが起こった。

州司法長官室の説明によると、Amazonは結局、他の小売業者に合わせてその商品の価格を上げ、売り手が割引を提供するのを防いでいた。その結果、購入者は、Amazonが好きなように価格を設定できるAmazon自社ブランドの購入に走ることが多かった。

Sold by Amazonに登録されている商品の大半は、価格が人為的に高く設定されたままになっていた。

価格が上昇すると、一部の販売者は、プログラム対象製品の売上とそれによる利益が著しく減少した。価格上昇に直面したネットユーザーは、Amazonの自社ブランド商品、特にプライベートブランド商品を購入することを選択することもあった。その結果、消費者が「Sold by Amazon」プログラムに登録された商品に高い値段を払うか、あるいはAmazonで提供される同一または類似の商品を購入するかにかかわらず、Amazon自身の利益が最大化されることになった。

これは売り手にとって不利な取引に聞こえる。だが、より根本的には、ワシントン州のBob Ferguson(ボブ・ファーガソン)司法長官は、この行為は州の反トラスト法に違反していると主張した。Amazonは店舗かもしれないが、自社の商品も販売しており、問題のサードパーティの販売業者とは競合関係にある。そして、競合する2社が商品のコストをコントロールする密約を結ぶことは、価格操作の定義とほぼ同じだ。

Amazonはファーガソン司法長官の見解に反論し、すべては顧客のためであり、完全に対等だと述べた。また「司法長官の調査とは無関係なビジネス上の理由」でプログラムを停止したと主張している。「私たちはプログラムが合法的であったと強く信じていますが、この問題が解決されることを歓迎します」と同社はTechCrunchに声明で述べた。

それにしても、2018年から拡大していたプログラムが、独禁法当局が嗅ぎ回った直後にほぼ停止してしまうとは、何という偶然だろうか。「調査は2020年3月に開始し、Amazonは6月にプログラムを停止した」と、州司法長官室のDan Jackson(ダン・ジャクソン)氏は述べた。おそらく、単にタイミングの問題だったのだろう。

とにかく、Amazonは法廷で争うよりも、225万ドルの支払い(これは州司法長官室の反トラスト部門の財源に直接充てられる)と、同社がこのプログラムの再開をいかなる形であっても禁じることを求める同意協定に同意した。

「Amazonのような巨大企業が利益を上げるために価格を固定すると、消費者が損をします。今日の措置は、製品の革新と消費者の選択を促進し、ワシントン州および全米の販売者にとって市場の競争力を高めるものです」とファーガソン司法長官は述べた。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokはホロコーストに関する誤情報に立ち向かっているが、反ユダヤ主義は根強い

国際ホロコースト記念日の1月27日、TikTokは歴史的な大惨事と現在も続いている反ユダヤ主義の脅威についてユーザーを教育するためのポータルをDiscover(ディスカバー)ページに開設した。TikTokは、2021年も同様のポータルを設けている。

TikTokのモバイルアプリにあるDiscoverページに移動すると、国際ホロコースト記念日を示すクリック可能なバナーが表示される。このバナーは、ユダヤ人クリエイターによる3つの教育的なTikTokが集められたページに誘導する。クリエイターには、ひ孫の助けを借りてTikTokを制作した98歳のホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)生存者が含まれる。さらに今後は、ユーザーがTikTokで「ホロコースト」や「ホロコースト生存者」などの言葉を検索すると「憎悪や誤った情報の拡散を防ぐために、信頼できる情報源を参照する」よう促すバナーが表示され、ホロコーストに関する多言語ウェブサイトへと誘導される。数カ月以内に、TikTokはホロコーストに関する動画に同様の告知を常設バナーとして追加する予定だ。TikTokは、2020年から連携しているユネスコ(国連教育科学文化機関)および世界ユダヤ人会議と協力して、こうした変更を行った。

この取り組みは、ホロコーストは起こらなかったという誤った陰謀論であるホロコースト否定に直接対処している。しかし、ユダヤ人のTikTokユーザーの中には、プラットフォーム上の反ユダヤ主義は、ホロコーストのコンテンツに関するいくつかのポップアップでは解決できない、より大きく複雑な問題だと考える人もいる。

@livschreiber

Let’s see if this gets taken down. #jewishtok #tiktokantisemitism #antisemites #greenscreenvideo

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

7万4000人のフォロワーを持つスタイリストのLiv Schreiber(リヴ・シュライバー)氏は、2021年11月にユダヤ人デートアプリ「The Lox Club」と提携して広告を出した。その1週間後、同氏は動画を投稿してから毎日、反ユダヤ的なコメントが波のように寄せられていることを紹介する動画を投稿している。

「なぜ反ユダヤ主義が許されるのか理解できません」とシュライバー氏は動画の中で語っている。「なぜ削除されないのか理解できません。TikTok、これは譲れません」。

TikTokでの反ユダヤ主義に関する会話は2021年4月に、ユーザーが鼻などを細長くするフィルターを使いながら、ユダヤ教徒の暮らしを描いたミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の「If I Were a Rich Man」を歌うというトレンドが流行したときに急増した。こうした動きは、TikTokを利用するユダヤ人にとって、ユダヤ人の鼻を誇張した風刺画やその他の有害な反ユダヤ的イメージなど、これまでの固定概念を呼び起こすものだった。

そうしたトレンドがプラットフォームに浸透する中、TikTokは2021年5月のJewish Heritage Month(ユダヤ人遺産月間)を記念するために作成した「#MyJewishHeritage」というタグを通じて、ユダヤ人クリエイターにポジティブな光を当てようと試みた。TikTokはDiscoverページでユダヤ教に関するいくつかの投稿を取り上げたが、自分のコンテンツが宣伝されたクリエイターはTikTokから何の警告も受けなかった。その結果、一部のユダヤ系クリエイターには、突然、反ユダヤ主義的なコメントが殺到した。

TikTokは、2022年の国際ホロコースト記念日ポータルに掲載されたクリエイターには報酬が支払われたと述べている。

@ezzy4prezzy

Reply to @hehehehhehe2

♬ original sound – Ezra811

「TikTokの反ユダヤ主義に関する問題は、あらゆる方面から嫌がらせを受ける羽目になることです」と、3万7000人以上のフォロワーを持ち、政治的な主張を行うTikTokユーザーのEzraはTechCrunchに語った。「極右のアカウント、荒らし者のアカウント、よくわかっておらず意図せず反ユダヤ主義のアカウント、ユダヤ人とイスラエル人を区別できない左翼のアカウントなどがあります。ですので、反ユダヤ主義の取り締まりは、多方面にわたる問題なのです」。

TikTokはプラットフォーム上の反ユダヤ主義を公に非難しているが、新しいポータルの立ち上げのような一般向けの連帯のジェスチャーは、プラットフォーム上で嫌がらせを経験したユーザーにとっては空しく響くかもしれない。また、TikTokがこの取り組みにどれくらいの時間を費やしたかも不明だ。というのも、TechCrunchがホロコースト記念日ポータルに最初にアクセスしたとき(米国東部時間午前3時のリリースから数時間後)、反ユダヤ主義的事案を名誉毀損防止同盟に報告するリンクが機能しなかったからだ。数時間後、この問題は修正されたようだ。TikTokは、リンクが機能しないままポータルを公開した理由についての問い合わせにはまだ回答していない。

TikTokで反ユダヤ主義について投稿している大学院生のStephanie Gurewitz(ステファニー・グレヴィッツ、@shachar.mg)氏は、国際ホロコースト記念日のポータルがユダヤ人に対するホロコーストの影響しか扱っていないことに驚いた。別の記念日であるYom HaShoah(ヨム・ハショア)は、ホロコーストでの600万人のユダヤ人の死を追悼する日だ。しかし、ナチスは障害者、同性愛者、ロマ民族など、社会から疎外された人々も迫害していた

グレヴィッツ氏はTechCrunchに対し「この日は、ユダヤ人のための特別な追悼の日ではなく、国際ホロコースト記念日です」と話した。「今日はホロコーストのすべての犠牲者を悼む日であり、ロマ民族については何も触れられていません。そこに欠けているものがあり、それが問題なのです」。

ユダヤ人クリエイターらは、今日も自分たちの動画に反ユダヤ的なコメントが寄せられていることに触れている。

「TikTokには偏見を持ってやってくる人がいて、それを止めるにはバナーだけでは不十分だと思う」と彼らは語った。

@shachar.mg

Ways that #antisemitism spreads undetected on TikTok #tiktokantisemitism #tiktokalgorithm #jewishtiktok Thank you @criticallens for the screenshots!

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

月間アクティブユーザー10億人のプラットフォームで、コンテンツのモデレーションを行うのは容易なことではない。しかし、ユーザーは往々にして普通のユーザに明白な手段で検知メカニズムを回避している。例えば、セクシュアリティについて話す場合でも、ガイドライン違反のフラグを立てられないように「s3xuality」と書くこともあるだろう(アダルトコンテンツは違反だが、例えば同性愛について話すのは違反ではない)。これと同じ手口は、悪意のあるユーザーが反ユダヤ的なメッセージを送るために度々使っており、TikTokはこれを検出することができない。

「私は、TikTokや他のソーシャルメディアプラットフォームが、重要な原因に注意を集めるためにできることをすることについては、本当にすべて賛成です。あの(ホロコースト記念日)ポータルを見ると、彼らが社内でそれについて行ったすべての会議のことを思い、そのことを私は感謝しています」とシュライバー氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、今はなき「G Suite」のユーザーに無料のGoogleアカウントに移行してもらう予定と発表

2021年1月初め、Google(グーグル)はG Suiteレガシー無料版を使用していたGoogle Workspaceの無料アカウントを廃止すると発表した。Ars Technicaが発見したように、顧客からの反発を受けて、Googleはサポートページを更新し、既存のユーザーに対してより多くの選択肢を提供する予定であると述べている。

現在のGoogle Workspaceは、以前のものとはまったく異なる製品となっている。Googleの生産性向上サブスクリプションパッケージは、現在、主に企業向けに設計されている。同社は、Business Starter、Business Standard、Business Plusといった、SaaS方式によるさまざまなプランを提供している。これらのプランは、1ユーザーあたり月額6ドル〜18ドル(日本での料金は680円〜2040円)となっている。

2006年、GmailとGoogleカレンダーの発足に続いて、GoogleはGoogleアカウントにカスタムドメイン名を追加する機能を提供した。例えば、姓のドメイン名を購入し、それを電子メール アドレスに使用することができる(sarah@myfamilyname.com)。当初Google Apps for Your Domainと呼ばれたこの機能は、もともと完全に無料で、特にビジネス顧客をターゲットにしているというわけではなかった。2012年、Googleはその無料版の提供を停止した。

Googleが、永遠に無料サービスを提供するという義務はない。しかし、G Suiteのレガシーアカウントを10年以上使ってきた、テクノロジーに詳しいGoogleの顧客からこのような反応が出るとは、おそらく同社も予想していなかっただろう。例えば、Hacker News のスレッドには1000件以上のコメントが集まった。

支払いを強要したり、G Suiteのレガシーアカウントを完全に停止したりする代わりに、Googleは第3の選択肢を提供するつもりだ。ある種、告知ページとして機能するサポートページで、同社は次のような段落を追加した。

今後数カ月の間に、Google Workspace以外の有料コンテンツとデータの大部分を、費用のかからないオプションに移行する選択肢を提供する予定です。この新しいオプションには、カスタムメールやマルチアカウント管理などのプレミアム機能は含まれません。このオプションは、2022年7月1日とアカウント停止になる前に評価することが可能です。詳細については、今後数カ月以内にこの記事を更新する予定です。

G Suiteのレガシー無料アカウントの大きな問題は、Googleのエコシステム全体に対してGoogleアカウントとして機能するということだ。メール、カレンダーイベント、連絡先に加え、G Suiteのレガシー無料アカウントを持つ一部のユーザーは、YouTube、Googleマップ、Google Playでの購入、Googleドライブなどでそれらのアカウントを使用している。

つまり、Googleのアカウントはメールの受信箱以上の存在であるため、ユーザーにアカウントをキャンセルするか、支払いを開始するかのどちらかを伝えることは公平ではないということだ。Googleが管理者を脅迫しているように感じられたのだ。

もちろん、G Suiteのレガシー無料アカウントをコンシューマー向けGoogleアカウントに移植しても、カスタムドメイン名で既存のメールアドレスを維持できないことに変わりはない。別のメールアドレスを使うか、別のメールプロバイダを探さなければならない。

最後に、Googleは10ユーザー以下のG Suiteレガシー無料管理者向けに簡単なアンケートを設定した。このアンケートに回答することで、代替オプションへの関心を示し、Googleからの最新情報を受け取ることができるようになる。

画像クレジット:studioEAST/Getty Images / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Disney+は今夏、新たに42カ国と11の地域でサービス開始

Disney+(ディズニープラス)は2022年夏、欧州、中東、アフリカの42の国と11の地域で新たにサービスを開始する。その中には、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などが含まれる。このディズニー公式動画配信サービスは現在、米国、カナダ、英国、日本を含む64カ国で提供されている。ディズニーは、新たな国でサービスを開始する正確な日付や、地域別の価格設定に関する情報を明らかにしていないが、今後数カ月以内に発表される見込みだ。

新たにサービスが開始される国は、アルバニア、アルジェリア、アンドラ、バーレーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エジプト、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、イラク、イスラエル、ヨルダン、コソボ、クウェート、ラトビア、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、モンテネグロ、モロッコ、北マケドニア、オマーン、パレスチナ、ポーランド、カタール、ルーマニア、サンマリノ、サウジアラビア、セルビア、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、バチカン市国、イエメンの42カ国。

そして新たに展開される地域には、フェロー諸島、フランス領ポリネシア、フランス領南方地域、サンピエール島・ミクロン島海外集団、オーランド諸島、シント・マールテン島、スバールバル諸島・ヤンマイエン島、英領インド洋地域、ジブラルタル、ピトケアン諸島、セントヘレナ島が含まれている。

ディズニーは先日、2023年度までにDisney+を展開する国の数を2倍以上の160カ国以上に増やす計画を明らかにした。今回の拡大のニュースはその一環だ。同社は、D2C(消費者直接取引)の動画配信ビジネスを、より多くのグローバル市場に拡大することを計画しており、この推進を支援するために、新たにインターナショナル・コンテンツ&オペレーション部門を設置した。このグループを率いるのは、ディズニー勤続25年のベテラン、Rebecca Campbell(レベッカ・キャンベル)氏だ。同氏はディズニーの動画配信サービスのための現地および地域向けコンテンツの制作に注力するとともに、ディズニーの国際チームを統括する。

関連記事:ディズニーが動画配信事業を再編、国際的戦略のハブとなる新グループを設立

ディズニーによると、2021年度末時点で、Disney+、ESPN+(イーエスピーエヌ・プラス)、Hulu(フールー)の加入者数は合計1億7900万人だったという。同社はDisney+の加入者が、2021年第4四半期に全世界で1億1800万人に達したと述べている。

2019年後半に開始されたDisney+はこの数年、Netflix(ネットフリックス)やAmazon Prime Video(アマゾン・プライム・ビデオ)他複数の動画配信サービスと競合してきた。ちなみにNetflixとAmazon Prime Videoは、いくつかの例外を除いて全世界で提供されている。Netflixは中国、クリミア、北朝鮮、シリアでは利用できず、Amazon Prime Videoは中国本土、イラン、北朝鮮、シリアで利用できない。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

化粧品ECプラットフォームNOINを運営するノインが累計約10億円のシリーズC調達、化粧品業界DXに向けた事業を拡大

化粧品ECプラットフォームを運営する「NOIN」が累計約10億円のシリーズC調達、化粧品業界DXに向けた事業を拡大

化粧品ECプラットフォーム「NOIN」(Android版iOS版)を運営するノインは1月28日、シリーズCラウンドにおいて、累計約10億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Sony Innovation Fundや博報堂DYベンチャーズ、新日本製薬、マイナビなど。調達した資金により、EC事業などで培った独自のデータベースとその分析に基づいた独自ノウハウを基に、化粧品業界DXに向けた事業を拡大する。

NOINは、自分に合う化粧品に、誰でも当たり前に出会えるための化粧品ECプラットフォーム。

テクノロジー・文化の進展により、日常生活で使用するものをネットで購入することが一般的になっているが、化粧品市場におけるオンライン購入率は約6%にとどまっているという。同社は、多くの商品数と販売チャネルの中から自分に合った化粧品と出会うのは至難の業と指摘。その現状を打破するべく「明日の自分に、ドキドキしよう」を理念に掲げ、「自分に合う化粧品に、あたりまえに出会える世の中」を作るため、化粧品メーカーと消費者を最短距離でつなぐ化粧品ECプラットフォームとしてNOINを運営しているという。

NOINでは、バリエーション豊かな商品を展開しており、新商品や気になっていた化粧品の購入をはじめ、メイクアップ術やメイクの悩みを解決するオリジナル動画や記事といったコンテンツ、ユーザーとのコミュニケーションなどを通じて、最も自分に合った化粧品を見つけることができる世界の実現を目指している。

米消費者の2021年ソーシャルメディア詐欺被害額は約888億円、2017年の18倍に増加

米連邦取引委員会(FTC)の新しい報告書によると、ソーシャルメディアで詐欺に遭う米国の消費者が増えており、2021年に消費者は7億7000万ドル(約888億円)をソーシャルメディア詐欺で失い、同年の詐欺被害総額の約4分の1を占めていることが明らかになった。また、この数字は2017年に報告されたソーシャルメディア詐欺被害額4200万ドル(約48億円)から18倍に増えており、暗号資産やオンラインショッピングが関係する新しいタイプの詐欺が流行したためだと、FTCは指摘している。これにより、多くの若い消費者が詐欺に遭うようになり、現在、18〜39歳の成人は、40歳以上の成人に比べて2.4倍多く詐欺に遭っている。

スキャマー(詐欺師)たちは、ソーシャルメディアが詐欺を行うのに最も収益性の高い場所の1つであることを明確に認識している。9万5000人超の詐欺被害者が、最初にソーシャルメディアでコンタクトがあったと答えており、この数は2020年の2倍超、2017年の19倍にのぼる。

画像クレジット:FTC

2021年に詐欺でお金を失ったとFTCに報告した人の4人に1人以上が、詐欺のきっかけとなった投稿、メッセージ、広告を最初に見たのはソーシャルメディア上だったと回答した。連絡方法が明記されていない報告を除くと、2021年の詐欺による損失の26%をソーシャルメディアでの詐欺が占め(7億7000万ドル、約888億円)、次いでウェブサイトやアプリが19%(5億5400万ドル、約639億円)、そして電話が18%(5億4600万ドル、約629億円)だった。しかし、個人の損失額の中央値は、ソーシャルメディア詐欺の468ドル(約5万4000円)に対し、電話詐欺が1110ドル(約12万8000円)と最も多い。

ソーシャルメディア詐欺が最も多く発生しているのは、Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)であることがデータから読み取れる。

オンラインロマンス詐欺の場合、ユーザーの3分の1以上が、スキャマーからの最初の働きかけがFacebookまたはInstagram上でのものだったと報告している。具体的には、Facebookが23%、Instagramが13%だ。これらの詐欺は、一見無邪気な友達申請から始まり、甘い言葉、そして金銭の要求へと続くと報告書にはある。

一方、2021年の投資詐欺の半数以上(54%)は、ソーシャルメディアプラットフォームから始まっていて、スキャマーは偽の投資機会を宣伝したり、人々と直接つながって投資を促したりしている。ここではInstagramがスキャマーに人気で、投資詐欺の36%を占め、次いでFacebookが28%、そしてメッセージングアプリのWhatsApp(ワッツアップ)とTelegram(テレグラム)がそれぞれ9%と7%だった。

そしていまでは投資詐欺の大部分に暗号資産が関わっていることも明らかになった。2021年、FTCに報告されたソーシャルメディア投資詐欺の64%で暗号資産が支払い方法となっている。決済のアプリやサービスが使われたのは13%、次いで銀行振り込みや銀行決済が9%だった。

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ロマンス詐欺と投資詐欺が引き続き金額ベースで最大の被害で、過去最高を記録してもいるが、FTCへの報告数が最も多い詐欺は、消費者がソーシャルメディアで初めて見たものを購入しようとするものだ。ほとんどの場合、被害者はFacebookやInstagramで販売されているものを見て、購入しようとしていた。

2021年にソーシャルメディア詐欺で失ったお金についてFTCに届けのあった報告の45%は、オンラインショッピングに関連するものだった。そのうちの70%近くは、ソーシャルメディア上の広告を見て注文したものの、その後商品が届かなかったというものだった。また、広告から「そっくり」ウェブサイトに誘導され、本物のオンライン小売業者から購入したかのように騙されるというケースもあった。このような詐欺のうち、10件中9件はFacebookとInstagramがプラットフォームとして使われている、とレポートにはある。

オンラインショッピング詐欺の増加は、消費者がお金を失うというだけでなく、eコマースのエコシステム全体とソーシャルメディア企業のビジネスにとっても決定的な意味を持つ。近年、FacebookとInstagramは、オンラインショッピングをサービスの中核とするために多額の投資を行っており、広告主とターゲットとなる顧客を結びつけることを約束している。Meta(メタ)が所有するアプリには独自の「ショップ」セクションがあり、消費者は商品を閲覧して、外部のウェブサイトに移動することなく直接精算することができる。しかし、これらのプラットフォームで紹介されているオンライン小売業者の正当性に消費者が警戒心を抱くようになれば、将来的にソーシャルメディアからの買い物を躊躇するようになるかもしれない。

Metaにとって、消費者の購買行動の変化は、過去数年よりも現在の方が大きな問題となっている。というのも、同社の大規模な広告ビジネスは、消費者が追跡を拒否できるようにしたApple(アップル)のiOSのプライバシー変更によって影響を受けているからだ。広告のパーソナライズ機能の低下による市場の変化を予測して、Metaは自社のプラットフォーム内で消費者のショッピングに基づくより多くのファーストパーティデータを取得できるアプリ内ショップを作成し、収益の多様化を進めている。また、サブスクリプションやチップなど、クリエイターエコノミーからの新しい収入も開拓している。

FTCは、2021年のソーシャルメディア詐欺のうち、投資、ロマンス、eコマースで70%を占めているが、それ以外にもソーシャルプラットフォームに関連した詐欺の種類があると述べている。ただし、報告書ではこれらをカテゴリー別に分けてはいない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

海洋研究開発機構とトリマティス、海中の光ワイヤレス通信で距離100メートル超×1Gbpsの通信速度を達成

海洋研究開発機構とトリマティス、海中の光ワイヤレス通信で距離100メートル超×1Gbpsの通信速度を達成

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は1月26日、深海域での高速光ワイヤレス通信の試験を実施し、100mを超える距離で1Gbpsの通信速度を達成したと発表した。これは、光高速制御などのハードウェア技術開発ベンチャー、トリマティスと共同で行われている海中ワイヤレス通信研究の成果だ。海中でも地上と変わらない速度で通信が可能となり、世界でも類を見ない(2021年12月12日時点)この通信速度が、この分野のパラダイムシフトを招くと期待されている。

海中での通信は、現在は音響通信が一般的だが、その通信速度は数Kから数十Kbpsと非常に遅い。近年ではレーザー光を用いた光通信が注目され、さかんに研究が行われているものの、速度は今のところ数Mbpsクラスの実績(実用化)に留まっている。

JAMSTECは、2008年からレーザー光の海中伝搬統制に関する基礎研究を開始した。さらに海中レーザー通信技術の基礎を確立する研究を開始し、海中環境がレーザー光の伝搬特性や通信品質に与える影響を精査、その原理や条件を明らかにする基礎研究を進め、通信方式の検証を行ってきた。そして2019年からはその成果である海中光学技術にトリマティスの高速光通信技術と光制御技術を合体し、1Gbpsの光ワイヤレス通信試験機を完成させた。

1Gbps光ワイヤレス通信試験機

1Gbps光ワイヤレス通信試験機

試験は、2021年11月27日から29日にかけて相模湾で行われた。実験装置は、無人探査機「かいこう」のランチャーから1Gbpsに変調したパルスレーザー光を送信し、ビークルで受信するというもの。ランチャーとビークルの間を10mずつ離してゆき、通信の成否(誤りのない試験フレームの受信数)、受光強度、伝搬場の環境パラメーターを計測した。その結果、100mを超える距離でも良好な受信が確認された。このときの水深は900m。ランチャーの深度は約699.5m、ビークルの深度は802.9mだった。

この技術を用いることで、海中や海底で計測される様々な状態や現象をリアルタイムで取得できるようになるため、海底資源開発、地震や津波などの防災技術に貢献できる。また、海中移動体や海底構造物といった多様なプラットフォーム間の情報伝達や情報共有がリアルタイムで成立する、ワイヤレス海底センサーネットワークの構築も可能となる。

今後は、光ワイヤレス通信リンクを確立するために必要となる光軸制御やシステムの統合化、小型化、さらには通信品質を担保する符号化アルゴリズムに取り組むとしている。

FB Messengerがエンド・ツー・エンド暗号化チャット体験をアップグレード

Facebook Messengerにデフォルトのエンド・ツー・エンド暗号化機能が全面展開されるのは2023年中とのことだが、Meta(メタ)は米国時間1月27日、Messengerでエンド・ツー・エンド暗号化されたグループチャットや通話を提供する機能が完全にロールアウトされたと発表した。さらにMessengerでは、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットでのスクリーンショット通知が開始され、ライバルのSnapchat(スナップチャット)と同様に、消えていくMessengerメッセージのスクリーンショットを誰かが撮った場合には警告するという、あらたなセキュリティ機能が追加されている。また、ユーザーは暗号化されたチャットにGIF、ステッカー、リアクションを追加することもできるようになった。

エンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)されたグループチャットや通話のサポートは、2021年8月に初めて発表され、Messengerユーザーに、個人的な会話を犯罪者や国家の監視から安全に守る方法を約束した。だが多くの政府は、Messengerが暗号化の取り組みを拡大する計画は、法執行機関の犯罪調査を複雑にするとし、このアイデアに必ずしも賛成していない。それに対してMetaは、E2EEはすでにWhatsApp(ワッツアップ)などのアプリで広く使われており、業界標準になりつつあると指摘して反発してきた。

とはいえ、2021年の発表時には、グループ通話やチャットのためのE2EEは完全にはローンチされていなかった。その代わり、Metaはまず、既存のチャットスレッドがあり、すでに接続されている友人や家族を対象に、機能のテストを開始するとしていた。また、E2EEチャットで動作する配信コントロールのテストを開始し、ユーザーが不要なやり取りを防ぐことができるようにして、誰が自分のチャットリストに入るのか、メッセージリクエストフォルダに入るのか、誰が自分にまったくメッセージを送れないのか決められるようにするとしていた。

数カ月を経て、この機能は世界中のMessengerユーザーに完全に展開され、ユーザーはプライベートな会話でE2EEをオンにすることができる。

近いうちに、E2EEチャットで消えるメッセージをスクリーンショットされた場合、Messengerはユーザーに警告するようになる。これは、Messengerのバニッシュモードですでに提供されている機能と同じだ。バニッシュモードはSnapchatによく似た機能で、メッセージが全員に閲覧されると消えてしまうというもの。誰かがバニッシュモードのチャット(これからはE2EEチャットで消えるメッセージも)のスクリーンショットを撮った場合、通知が送られてくるので、相手に連絡して対処したり、必要に応じて会話をブロックしたり報告したりできる。これらの通知は「今後数週間にわたって」提供される予定だ。

画像クレジット:Meta

さらに、E2EEチャットでは、GIF、ステッカー、リアクションなど、これまでE2EE以外のチャットで使えていた機能も利用できるようになり、そのほかにも特定のスレッドへの返信、キーストロークの表示、転送オプションなどもサポートされる。また、E2EEチャットでも認証済みバッジが利用できるようになり、チャットをする際に、本人アカウントかどうか識別するのに役立つ。また、長押しでメディアを保存したり、送信前に写真や動画を編集したりすることが可能になる。これらの機能は新しいものではないが、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットには新しい機能だ。

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Metaによると、これらの機能はウェブとモバイルを含む全プラットフォームで、すべてのユーザーに提供されるとのこと。しかし、ロールアウトは進行中なので、すぐにすべての機能を利用できないユーザーもいる。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

様々な「あそび&レッスン」のアクティビティをオンラインで体験できる「ホビーズ」運営のhobbysは、オンラインドッグスクール「wandemy」(ワンデミー)を1月26日に開校した。同日より専門家(ドッグトレーナー)によるカウンセリングの受付を開始している(期間限定で無料実施)。犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

近年、ペットとして犬を飼い始める家庭が増加する一方で、飼育のための知識不足などを原因とするトラブルを解決できない飼い主も増加し、飼育放棄や早期転売など新たな問題に発展するケースも増え続けている。hobbysは、wandemyの前身となる「ホビーズオンラインドッグスクール」を展開する中で独自にアンケート調査(実施期間:2021年12月~2022年1月。回答者数:全国220名の犬を飼育されている方)を行ない、「犬種や性格によって問題が様々で、画一的な解決策では十分な対応ができない」「YouTubeなどの動画視聴による知識では、実践ができず効果が発揮されない」「専門家への相談は、場所や費用、時間の制限により利用できない人が多い」という3点が飼い主にとって大きな課題となっていると特定した。犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

そこでhobbysは、ホビーズオンラインドッグスクールで培った500組を超える飼い主とペットへの指導やカウンセリングの実績に基づき、犬種・性格・悩みに合わせてオーダーメイドでカリキュラムを作成できるオンラインドッグスクールwandemyを開校した。

wandemyは、毎日夜22時までの時間帯から好きな時間を選んでLINEで予約でき、オンライン特化型のため全国どこからでも受講が可能。犬の問題行動の解決方法を提供し、愛犬と暮らす上での大切な知識や接し方を情報提供する多面的な指導によって、1人でも多くの飼い主が愛犬と共に幸せに暮らすことができる生活をサポートしたいという。

またトレーニングレッスンでは、飼い主が愛犬と一緒に参加し、ドッグトレーナーから直接指導を受けながら練習・習得できる実践トレーニングを実施する。トレーナーが飼い主と愛犬の様子や関わり方を実際に見ながら、それぞれの状態に合わせて個別に指導する。

各レッスンにはテーマが設定されており、自身のカリキュラムに合わせて必要なレッスンを選んで受講していく。どんな問題行動や関係性改善にも必要な「基礎トレーニング」から、トリックやドッグダンスなどの「応用・上級トレーニング」まで、レベルに合わせてステップアップできるようにしており、愛犬と一緒に成長できるとしている。

wandemyの特徴

  • 愛犬の診断カードがもらえるカウンセリング:実践トレーニングレッスンの受講前に必ず30分のカウンセリングを実施。カウンセリングを受けた方全員に、ドッグトレーナーが診断した愛犬の問題解決・成長ステップがわかる、オリジナルのカリキュラムカードをプレゼント。愛犬に合ったレッスンを選択して受けていくことが可能となる
  • オーダーメイドカリキュラム:犬種×性格×悩み×目標に合わせて、1匹1匹ごとにオリジナルの指導プログラムを作成
  • 経験豊富で実績のある専属ドッグトレーナーによる直接指導と相談対応:多く犬の悩みを解決したドッグトレーナーによる本格的かつ分かりやすい指導を実施。物理的理由や金銭的理由などで専門家への相談や指導を受けることが難しかった方でも、オンラインで気軽にドッグトレーナーの直接指導を受けられる。トレーナーが飼い主と愛犬の様子や関わり方を実際に見ながら、それぞれの状態に合わせて個別に指導を行う。また相談対応では、普段の生活でのちょっとした困りごとや、改善されない理由など、フリートークで30分間じっくりと相談が可能
  • 忙しい飼い主でも続けられる幅広い時間帯:オンライン特化型のため全国どこからでも受講が可能。1回30分1500円(税込)のプログラムを、毎日夜22時までの時間帯(休日や平日の夜間でも受講可)から好きな時間を選んでLINEで予約でき、忙しい方でも隙間時間を使って自宅からPCやスマホで受講できる

オーダーメイドカリキュラムのステップと料金

  • 初回カウンセリング:1回30分1500円(税込)。初めての方は、必ずカウンセリングを受けてもらう。愛犬の性格、困りごと、目標、理想の生活などをヒアリングをし、オンラインで実際に愛犬の状態も確認。カウンセリング後、カリキュラムカードがLINEに届く
  • 実践トレーニングレッスン:1回30分1500円(税込)。愛犬と一緒に参加し、ドッグトレーナーから直接指導を受けながら練習・習得ができる実践トレーニング。どんな問題行動や関係性改善にも必要な「基礎トレーニング」から、トリックやドッグダンスなどの「応用・上級トレーニング」まで用意
  • お悩み相談:1回30分1500円(税込)。愛犬の困りごとや悩みを専門家(プロドッグトレーナー)に直接相談できる

Spotify、新型コロナ誤情報に抗議・宣言したニール・ヤングの楽曲を削除

ミュージシャンのNeil Young(ニール・ヤング)は、広く愛されている自身の音楽カタログをSpotifyから取り下げるという脅迫を実行に移そうとしている。ヤング氏は今週、同社とポッドキャスターのJoe Rogan(ジョー・ローガン)との関係に異議を唱え、Spotifyが少なくとも1億ドル(約114億8000万円)相当の取引で独占権を買ったローガン氏のヒット番組を通じて、新型コロナイルスに関するの誤った情報を広めていると非難した。

関連記事:ニール・ヤング、人気ポッドキャスターによるコロナ誤情報に抗議してSpotifyから楽曲を引き上げると宣言

Spotifyは米国時間1月26日に、TechCrunchに電子メールで送った声明の中で、ヤング氏の行動を確認し、同社はストリーミングサービスから「彼の音楽を削除するというニールの決断を残念に思う」と述べている。

我々は、世界中の音楽とオーディオコンテンツがSpotifyのユーザーに提供されることを望んでいます。そのためには、リスナーの安全性とクリエイターの自由を両立させるという大きな責任がともないます。私たちは詳細なコンテンツポリシーを設けており、パンデミックが始まってから現在まで、新型コロナウイルスに関連する2万以上のポッドキャストのエピソードを削除してきました。ニールがSpotifyから楽曲を削除したことは残念ですが、早く復帰して欲しいと考えています。

ヤング氏は自身の公式サイトを更新し、楽曲を削除する決断の背景にある考え方を説明した。「私は、200人以上の医師が力を合わせて、Spotifyの番組で見つかった命を脅かす危険な新型コロナウイルスに関する虚偽に挑んでいるという記事を読んで、初めてこの問題を知った」と知るし、ローガン氏の番組について名指しで言及することは避けている。

「……Spotifyは事実と異なり、誤解を招く、虚偽の新型コロナ情報を聞いているリスナーのほとんどは24歳で、多感で真実の間違った側に振り回されやすい。これらの若者は、Spotifyが著しく事実と異なる情報を提示することはないと信じている。しかし、残念ながらそれは間違いだ。私はそれを指摘するために努力しなければならなかった」。

公式サイトでヤング氏は、Spotifyが全世界のストリーミング収入の60%を占めている点を指摘している。「他のアーティストやレコード会社がSpotifyのプラットフォームから離れ、新型コロナに関するSpotifyの致命的な誤報をサポートするのをやめることを心から願っている」とヤング氏は「in the name of truth」と歌いながら書いた。

The Wall Street Journalは、Spotifyが1月26日にヤング氏の楽曲を削除する「作業中」だと最初に報じている。SpotifyはTechCrunchに対して、削除作業が進んでいることを認め、ヤング氏の楽曲は「まもなく」同社のサービスに表示されなくなることを確認した。本稿執筆時点では、彼のアルバムや楽曲はまだSpotifyの検索やキュレーションプレイリストに表示されているが、一部の楽曲は再生不可能というエラーが表示されている。

画像クレジット:Spotify

ヤング氏は自身のマネジメントチームとレーベルに宛てた公開書簡(削除済み)の中で、楽曲を引き揚げる意向を表明した。「私の行動は、Spotifyがワクチンに関する偽の情報を広めているためです。広められている偽情報は、それを信じる人々に死をもたらす可能性があります。「本日、すぐに動いて、そのタイムスケジュールを知らせてください」とRolling Stoneが最初にレポートした書簡で彼は書いている。

ヤング氏がストリーミングサービスと衝突するのは、今回が初めてではない。2015年には、Spotifyなどのプラットフォームが自分の録音の質を落としているという苦情を受けて、Spotifyなどから自分の楽曲を削除すると脅したことがある。当時、彼は高音質に特化したストリーミングハードウェアとそれに付随する音楽サービス「Pono」を立ち上げていた。新たな書簡の中でヤング氏は、遠回しにSpotifyのストリーミング品質の低さについて言及し、ファンにとって、彼の膨大なバックカタログをより高い品質で他のサービス見つけることができるのは「利点」だと述べている。

「まもなく、私の楽曲はもっと良い場所で生き続けるだろう」とヤング氏は書き、ファンにAmazonやApple Musicを勧めている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Katsuyuki Yasui)