音楽分野の2018年売上の半分がストリーミングから

ストリーミングが世界の音楽録音物の売上ナンバーワンになろうとしている。このシフトは今年中に確実に実現しそうだ。最新の業界レポートによると、世界の音楽録音物の2018年の売上は、2017年の174億ドルから9.7%増えて191億ドルとなった。特に、ストリーミング売上は、昨年有料のストリーミング部門が32.9%増えたおかげで世界の売上のほぼ半分(47%)を占めるまでになっている。これにより、2018年のストリーミング売上は890万ドルとなり、2019年はさらに増える勢いだ。

世界の音楽マーケットの連続成長は今年で4年目となる。こうした調査を実施している音楽業界の団体IFPI1997年にマーケット調査を始めて以来、最も高い成長率となっている。

有料のストリーミングはストリーミングの売上の大部分を占め、マーケットシェア37%であるのに対し、広告入りのストリーミングはシェア10%だ。

レポートによると、2018年末時点の有料ストリーミングのユーザーは25500万人だった。

一方、物理的ディスクの売上のシェアは24.7%で、10.1%減だった。この部門では、レコードがまだ成長していて、13年連続の成長となり、マーケットシェア3.6%に達した。しかし、物理的フォーマットの全体的な売上が減少傾向にあることに変化はなかった。

ディスク離れが続く一方で、消費者はデジタルに向かっている。

デジタル部門の売上は2018年に21.1%伸びて112億ドルに達した。レポートによると、100億ドル超えは今回が初めてだ。この部門では、ストリーミングが34%伸びて89億ドルとなった(70億ドルが購読ストリーミングだ)。その一方で、ダウンロードは21.2%減少し、マーケット全体の7.7%となった。

レポートでは、38のマーケットで売上の半分超をデジタルが占めている、としている。

興行権での売上とそれに付随する売上(テレビや映画、ゲーム、広告での音楽の使用)は14%で、全体の音楽マーケットにおけるシェアは2.3%だった。

特に北米では、ストリーミングが大きく成長した(33.4%)おかげで物理部門の売上の減少(マイナス22%)を相殺し、売上が14%増とまたもや2桁成長となった。

アジアと豪州の売上は11.7%成長し、欧州を抑えて世界で2番目の売上規模となった。そしてラテンアメリカは伸び率16.8%で、世界で最も成長している地域だ。

売上高の大きなマーケットは、米国、日本、英国、ドイツ、フランス、韓国、中国、豪州、カナダ、ブラジルの順となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

オープンソース開発者支援の「IssueHunt」に企業向けプログラム登場、ソフトバンクなどが参加

オープンソースプロジェクトのための報賞金サービス「IssueHunt(イシューハント)」を運営するBoostIO(ブーストアイオー)は4月3日、同サービスを通じて企業や組織がオープンソース開発者を支援するための支援プログラム開始を発表した。4月1日時点で、ソフトバンク、日本マイクロソフト、LINEをはじめ、計11社がこの支援プログラムへの参加を表明している。

IssueHuntは2018年6月にリリースされた、オープンソース開発者向けの支援サービスだ。GitHubのリポジトリ(プロジェクトのデータベース)に上げられたイシュー(課題、バグ報告など)に対して、誰でも好きな額を報賞金として「投げ銭」でき、イシューを解決した開発者とオープンソース運営者に対して報賞金が分配される。

リリースから8カ月ほどで170カ国のユーザーに利用され、JekyllやMaterial-UIといった世界的に有名なオープンソースプロジェクトや、フルタイムのオープンソース開発者として知られるSindre Sorhus氏らが、参加している。

今回の支援プログラムは、企業および組織によるオープンソース開発者支援を目的としている。IssueHuntを運営するBoostIOが、スポンサーからの資金を受け取り、IssueHunt掲載プロジェクトに報賞金を付与する。

支援対象となるのはIssueHunt上で受け取った報賞金リクエスト。特に、個人のオープンソース開発者が運営するプロジェクトに重点的に支援を行っていくという。支援対象のプロジェクトや開発者に対し、企業・組織やBoostIOから何らかの見返りを求めることはないということだ。

BoostIO代表の横溝一将氏はリリースで「IssueHunt上で報奨金が付いていると、貢献数(プルリクエストの数)が増えるのは実証されており、IssueHunt参加前と比較してプルリクエスト数が6倍、10倍になったプロジェクトも存在する」と説明。

その上で「IssueHunt開発チームは、世界の技術革新はオープンソースが牽引していると確信している。その中心へ、オールジャパン一丸となって大きなウネリを起こしていきたい」と述べ、オープンソース開発者が報われる世界を作るため、企業・組織からのさらなる支援を求めている。

BoostIOは2018年12月、ANRINOWと個人投資家らから総額約1億円を資金調達している。

最適なホテル料金を自動算出する空の「MagicPrice」がフェリーチェホテルグループに導入

空は、同社のホテル料金設定サービス「MagicPrice」をフェリーチェが運営するホテルグループへ提供することを発表した。空は、TechCrunch Tokyo 2017の「スタートアップバトル」で100社超の企業から最優秀賞に選ばれた企業だ。

MagicPriceは、ホテル料金の検討に必要な予約状況などのデータを自動収集・分析して、AIが最適な販売料金を提案するホテル向けレベニューマネジメントサービス。簡単な層だで客室料金のダイナミックプライジングを実現する。自動算出された客室料金は、旅行予約サイトにも自動反映されるのでホテル側の手間も少ない。

フェリーチェは、沖縄、福岡、大阪、東京、北海道に11拠点のブティックホテルを展開するホテルグループ。同社によると「MagicPriceの導入によってホテル運営の効率化を図り、効率化できた時間を客室サービスに「また利用したい」と思っていただけるサービスを充実させていきます。

対話可能な音声広告をテストするPandora

ラジオの広告は、メッセージを一方的にリスナーに放送する。Pandora(パンドラ)の新しい音声広告は、リスナーが声を出して応答することを可能にする。それによって、宣伝されている製品に関するより詳しい情報を得たり、興味がないものについては広告をスキップできる。Pandoraは、リスナーが広告に対して返事をすることの可能な対話音声広告をテストすることに同意したことを明らかにした。そのテストは、サンフランシスコに本拠を置く広告技術会社、Instreamaticの協力によって実施されるもの。今年の後半にはベータ版として開始されることになっている。

ウェブやモバイルの広告なら、インプレッション数(広告がユーザーの目に触れた回数)やクリック数などによって効果を計測することができる。しかし、従来の音声広告はクリックできない。つまり広告主は、その広告を耳にした人のうち、後でどれくらいの人がもっと詳しい情報を求めたかとか、実際に製品を購入したか、といったことを知る由もない。

対話音声広告が、それを変えるかもしれない。このしかけは、ちょうど消費者が音声アシスタントとやりとりするのに慣れてきたころに登場した。たとえばAmazon Echoのようなスマートスピーカーや、Siriを備えたiPhoneのようなスマホを利用することになる。

広告主のメッセージを単に放送するのではなく、対話音声広告は、商品についてより詳しく知りたいかどうか、リスナーに尋ねることができる。たとえば、新しいスマホの広告なら、音声による司令によって、リスナーがその機種の特長について知ることができるようにする。リスナーが、声で広告に応答すれば、より詳しい情報が得られるのだ。あるいは、否定的な応答によって、それ以降の広告をスキップすることも可能となる。

さらにInstreamaticによれば、同社の音声広告プラットフォームはAI技術を利用していているので、顧客は単に「はい」か「いいえ」だけでなく、それ以上の言葉で広告と対話できるという。機械学習や自然言語理解といった技術を使用して、広告がユーザーの意図を理解するのだ。この能力によって、より多くの顧客が広告とやりとりできるようになる。

Pandoraでは、通常は応答できないような状況でも、広告主はリスナーにアプローチできるようになると考えている。たとえば、屋外でランニング中や、ジムで運動中、あるいは運転中や料理の最中といった状況だ。そのような場合には、クリックしたりタップしたり、その他の方法で広告とやり取りすることはできない。

Instreamaticは、対話音声広告に関してPandoraと提携したことを発表したが、Pandoraにとっては、この市場をターゲットにする方法は、それだけではない。

「Pandoraは音声広告に大きく投資しており、エコシステムの促進によって市場を開拓し続けています」と、同社の広告商品管理担当副社長のEric Picardは述べている。

「Pandoraは、消費者向けの広告サービス全般について、包括的な音声ソリューションを開発しています。そこには、私たち自身、つまり「ファーストパーティ」によるものだけでなく、InstreamaticやAdsWizzなどの「サードパーティのベンダー」がプラグインできるようなサービスもあります。私たちが期待しているのは、買主側、つまり広告主や代理店が、「1回作ってあちこちで買う」タイプのソリューションを、他の市場と同様に、音声広告にも求めるようになることです。そしてInstreamaticは、さまざまなサイトにまたがる買主側の音声広告を専門とする最初の会社です」と、彼は説明した。

Instreamaticは、5年前にデジタルオーディオ広告ネットワークとして起業した会社だ。それから、さまざまなツールを開発し、今では音声で作動する広告も実現した。同社は、この機能を他の分野にも応用し、数社に提供している。たとえば、無料の音楽配信プラットフォームAudiomack、ロシア最大のラジオグループの1つGazprom-Media Radio、ヨーロッパのラジオ会社GlobalDAXなどだ。そこでは広告主が、音声プロンプト付きの広告を、TuneInやAccuRadioといったストリーミングアプリに挿入できるようにしている。

Pandoraは、顧客獲得においても非常に優れている。音声で作動する広告についても、かなりのユーザー数を確保し、その現実性を証明できるはずだ。

現在Pandoraは、Instreamaticと協力してそのフォーマットをテストすることに合意しており、AdsWizzのような他のサードパーティのベンダーも今年中にサポートする予定だ。Picard氏は、対話音声広告の大規模なソリューションとしては、これら2社以外には認識していない、という。

つまりサイト運営者は、独自の音声ソリューションを準備するか、さもなくば、これらのベンダーに協力を求めることでしか、この領域に足を踏み入れることはできないことになる。

Pandoraは、音声で作動する広告の戦略について、これ以上の詳細を明らかにしていない。しかし、興味を抱いている広告主を獲得してテストが開始されれば、より詳しいことも明らかになるはずだ。

「音声の時代がやってきました。しかし、音声広告の領域で意味のある消費者の参加を実現するには、まだやるべきことが残っています。それを測定する指標も必要です」と、Instreamatic.aiのCEO、Stas Tushinskiy氏は述べている。「Instreamaticは、この市場で役立つ理想的な広告プラットフォームを提供しているものと信じています。Pandoraと協力して、このAIを利用した技術をリスナーや広告主にもたらすことができることにワクワクしています。そして、こうした新しい体験を実現し、さらにすばやく拡張できるように準備を整えています」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Inbox風電子メールアプリのSparkがAndroidでも使えるように

SparkはこれまでにiOSmacOSでユーザー100万人を獲得した。しかし私が記事でSparkを取り上げるたびに「このアプリがいつからAndroidでも使えるようになるのか」というコメントが数多く寄せられた。その答えは今日(米国時間4月2日)だ。

SparkはPDF Expert、Scanner Pro、Calendars 5、Documentsといった数多くの人気の効率化アプリを手がけてきたReaddleが開発した。電子メールというGmailやMicrosoft Outlookのような大手に独占されている、大きな分野に挑んでいる。

だからこそ、Sparkはパワーユーザー機能やカスタマイズ、コラボにこだわっている。このアプリは無料で利用でき、オプション料金を払うとさらに多くのコラボ機能を利用できる。

GoogleのInboxが今週で終了とあって、リリースのタイミングは完璧だ。もしあなたが受信メールをいくつかの基準で自動的に分類するスマートな電子メールクライアントを探しているのなら、Sparkはうってつけだろう。

まずスマートノーティフィケーションだが、Sparkでは無意味なメールは無視し、重要なものをユーザーにお知らせする。同様に、Smart Inboxではユーザーが重要なメールに専念できるよう、ニュースレターやさほど大事ではないメールを別に仕分ける。

また、それぞれのスレッドはスヌーズでき、あとで送られるよう日時を設定したり、リマインダーをセットしたりもできる。そうした操作のほとんどはメジャーなメールクライアントで利用できるが、同じ機能がSparkにもあることを知っておくのは大事だろう。

Sparkはまた、Frontのようにチームでのコラボ作業を受信トレイでできるようにもする。他のチームメンバーにスレッドを割り当てたり、メールにコメントしたりすることができる。また、Google Docsのように一緒に下書きをすることも可能だ。さらに追加の機能を利用するには1ユーザーあたり月6.39ドルかかる。

いくつかの機能はまだAndroidでは利用できない。クイックリプライやメールテンプレート、チームへのメール付与、カレンダービュー、サードパーティーアプリの統合といった機能を導入すべく、現在取り組んでいる。

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(翻訳:Mizoguchi)

WordPress開発元が生産性ツールのスイート「Happy Tools」をリリース、まずはカレンダーから

WordPress.com、WooCommerce、Jetpackなどのサービスを提供するAutomatticが未来的な生産性ツールのスイートとしてHappy Toolsをリリースする。 Automatticはリモートワークを積極的に取り入れている企業で、世界68カ国に850人の社員がいる。そのため社員のコミュニケーションやスケジュールの調整のために各種のツールを開発して社内で利用してきた。

Happy ToolsはAutomatticが内部で利用してきた一連の生産性ツールをサービスとして提供しようとするものだ。最初のツールはHappy Scheduleといい、名前のとおり、リモートワーカーのスケジュールを調整する。Automatticによればカスタマーサポートは24時間年中無休だという。Happy Toolsの責任者、Matat Wondra氏は私のインタビューに答えてこう述べた。

Automatticの部内ツールをプロダクトとして公開するというアイデアは何年も前からあった。問題はまずどのツールからスタートすべきか、最適なタイミングはいつかを見極める点にあった。我々は1年前に自分たち必要性に迫られてHappy Schedule の開発を始めたが、一般の労働力管理ツールのパズルにも欠けているピースであることに気づいた。

つまり外部で提供されている生産アプリをいくら探しても、柔軟性、使いやすさの点で我々が開発しているツールに及ぶものはなかった。特にAutomatticは世界中に展開しており、こうした広く分散したチームにスケジュールを簡単に管理できるアプリは存在しなかった。グリーンフィールドで、つまりまっさらな状態でゼロからプロジェクトを立ち上げることができた。一般公開という点からいっても長年にわたって親しんできた分野、つまりカスタマーサポートの一環としてHappy Toolsを提供するのは理にかなった戦略だった。

Happy ScheduleはGoogleカレンダーのような現代的なウェブサービスであり、SAPなどが提供するソフトのようなクローズドなアプリではない。たとえば、ドラッグ&ドロップでただちにイベントを作成できる。いちいちフォームに開始日時、終了日時などを入力する必要はない。

しかこれはほんの手始め。Automatticはこの生産性ツールのシリーズをさらに拡充してく計画だ。 将来さらにリモートワーカーのチームの効率化を進めるツールがリリースされるはずだ。同社は典型的なSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のアプローチを採用しており、Happy Toolsの利用プランは1ユーザーあたり月額わずか5ドル。

Automatticはサービスのスタート当初から、これは一連の生産性ツールのスイートとなることを予告しているのは興味深い。Happy Toolsのサブスクリプションをすれば、バラバラのサービスではなく、相互に補完しあう統合的な生産性ツールにアクセスすることが可能になるわけだ。これはGoogleのG SuiteやMicrosoftのOffice 365がメール、ワープロ、表計算、データベースなどを総合した生産性ツールのパッケージであるのと似ている。これはユーザーのエンゲージメント、忠実度を高めるために効果のあるアプローチだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

サイバーエージェントが競輪のネット投票サービスを開始、「AbemaTV」で競輪チャンネル開設も

サイバーエージェントは4月2日、子会社であるWinTicketを通じて競輪のインターネット投票サービスを開始したことを明らかにした。

WinTicket」は競輪のネット投票やライブ映像の視聴・精算ができるサービスだ。オッズや選手データ、レースの開催日情報、過去のレース結果など関連するデータをオンライン上で提供。モーニングやミッドナイト、ガールズケイリンなど全国の競輪場のライブ中継を無料で配信する。

AIや有名タレントによる予想を参考にしながら、初心者でも気軽に参加できるのが特徴。レースを見ながらの投票も可能だ。

サイバーエージェントでは同サービスの提供に合わせて、インターネットテレビ局の「AbemaTV」にて競輪チャンネルを新たに開設することも発表。WinTicket上で番組と連動した企画も実施する予定だという。

同社によると2017年時点で競輪の売上高は約6400億円、オートレースの売上高は660億円と算出されていて、近年インターネット投票の伸びが顕著な領域。そのような背景もあり、これまで競輪にあまり触れることの無かった若い世代にもその面白さを伝えることを目指して今回のサービス提供に至った。

今後WinTicketではオートレースなど他の公営競技にも対応する予定。サイバーエージェントは「『WinTicket』のサービス展開および『AbemaTV』での放送を通じて、公営競技のインターネット投票の促進と新たなファン層の獲得を図ってまいります」とコメントしている。

メールAPIのMailgunが過半数株をThoma Bravoに売却して再びオーナーチェンジ

メールのAPIを提供しているMailgunが、株式の過半数をプライベート・エクイティ企業Thoma Bravoに売却すると発表した。同社はその条件を公表していないが、これは同社の8年の歴史の中で二度目のオーナーチェンジになる。

Mailgunは、デベロッパーが自分のアプリケーションにメールの機能を組み込むためのAPIを提供している。同社のデータによると、そのAPIを使っている顧客は15万社あまりいる。

投資を発表するブログ記事の中でCEOのWilliam Conwayは、これにより同社はその能力を拡大し、製品開発のスケジュールを早めることができる、と言っている。買収される企業がよく言う言葉だ。

そのブログ記事でConwayはこう述べている。「数百万ドルを製品開発に投じてユーザーの能力を高め、メールに関する多くの知見が得られるようにし、顧客に他に類のない体験を提供できるようにする。またユーザーがアプリケーションに組み込んだメール機能のスケーラビリティを高め、強力で安定的な通信機能をアプリケーションに賦与する」。

同社は2010年に操業し、2011年のY Combinator冬季を受講したが、その後の履歴が複雑だ。2012年にはRackspaceに買収され、2017年には単独の非上場企業に戻った。そのときは、別のプライベート・エクイティ企業Turn/Riverが同社に5000万ドルを投資した。今日の株式売却で、Turn/RiverはMailgunの少数株主として残ることになる。

Mailgunの主な競合他社はMailchimpやSendGridなどだ。Thoma Bravoには、これまで主にエンタープライズソフトウェアの企業を買ってきた履歴がある。いちばん最近では、同社はApttusの過半数株を買った。そのほか同社は、SolarWinds、SailPoint、Blue Point Systemsなどにも投資している。

Thoma Bravoは現時点でコメントの求めに応じていない。

関連記事: Email delivery service Mailgun spins out of Rackspace and raises $50M…MailgunがRackspaceからスピンアウトし5000万ドルを調達(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

肉や野菜を注文から30分以内で配送、中国のフードデリバリー業界はMeituanの参入で競争激化

早くて安いフードデリバリーは、中国の多くの労働者の生活を変えるものとなっている。しかし、中には自分で食事を作るのを好む人もいる。そうした人たちは実在店舗で新鮮な食材を選ぶ時間がないかもしれない。そこで中国のスタートアップや大企業は、野菜や肉を玄関先まで届けて忙しい労働者が楽に自炊できるようにしようとしている。

EuromonitorHua Chuang Securitiesが集めたデータによると、中国における昨年の生鮮食品売上は49300億人民元(7300億ドル)で、2012年の33700億人民元から着実に成長している。これらの売買のほとんどは生鮮市場やスーパーマーケットで行われていて、オンラインでの売買は2016年は全体の3%を占めるに過ぎず、成長の余地は大きく残されている。

eコマースのリーダー、AlibabaJD.comはすでに総合オンラインショッピングモールに食品を加えている。これまでに14億ドルを調達したTencentがサポートするMissFreshはこの分野に参入したばかりだ。そしてこの業界は、Meituanの新規参入でやや混み始めている。MeituanTencentが支援しているフードデリバリーとホテル予約の大企業で、昨年、香港証券取引所を通じて42億ドルを調達した。

Meituanのオールインワンアプリとは別の、Meituan MaicaiまたはMeituan食品ショッピングという新しいアプリで利用できるこのサービスは、先週北京に進出する前に、今年1月上海で始まった。この動きは2018年中間決算で食品デリバリーに参入するという発表を受けたものだ。

玄関先まで食品を届けるためのMeituanのソリューションは同業他社のものとさほど変わらない。ヨーグルトから豚ロース肉まで1500もの食品の中から好きなものを選んでアプリのショッピングカートに入れ、携帯で決済をする、とMeituanTechCrunchに説明した。注文を受けるとMeituanはわずか30分以内に配送を開始する。

この素早い配達は、倉庫管理、梱包、配達を目的とするサービス・ステーションのサテライトを地域のあちこちに設けることで実現している。またオフラインハブを設けることで、データを駆使しているこのインターネット企業は周辺に住むユーザーの好みに基づいて倉庫のストックを最適化する。例えば、高所得者向けの住宅地域に住む人たちが食べたり購入したりするものは、おそらく他のエリアに住む人のものと異なる。

Meituanの食品ショッピング業界への参入は、中国人の食のあり方のコントロールをめぐるAlibabaとのバトルをさらに激しいものにしている。AlibabaHemaスーパーマーケットは、半径3キロ以内への30分配達を実現するためにローカルの店を倉庫・フルフィルメントセンターとして使うという、同じような手法で展開されている。何年もの間、Meituanのフードデリバリー部隊は、Alibabaが昨年出資したEle.meと互角の争いを展開してきた。そして最近ではAlibabaMeituanは、客の分析と利用増加を図れる独自のソフトウェアに登録するよう、レストランオーナーの囲い込み競争を繰り広げている。

なんでもアプリになるという最終ゴールの一環として、Meituanは新規株式公開の前振で多くの新たな試みを行なってきたが、それらをすぐに保留にもした。昨年4、バイクシェアリングのMobikeを買収したが、1年もたたずして経費節約のためにアジア全体の事業から撤退した。Meituanはまた、多くの懸念を抱える配車事業の拡大も見合わせている。

しかしグローサリー配達、Meituanの言葉でいえばビジネスは、Meituanの意中にある。この事業を行うためにMeituanは既存のインフラの活用を始めている。たとえば、ピーク時間帯に食品配達をするために同社のフードデリバリーのドライバーを呼び出すというものだ。Meituanが昨年の決算報告で言及したように、食品部門は巨大なユーザーベースと、すでにある世界最大のオンデマンドデリバリーネットワークを抱える都市テコ入れできるかもしれない。

Image Credits: Aleksandar Mijatovic / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi)

満15歳になったGmailに送信日時設定機能などが加わる

Googleは15年前の4 1にGmailを一般公開したため多くの人々がエープリルフールだと思った。しかしGmailの公開はジョークではなかった。当時のウェブベースの無料メールは保存容量が制限されているのが普通で、誰もが容量無制限の信頼できるメールシステムを待ち望んでいた。そのためGmailは驚くべきスピードで成長し、Google最大のヒットの1つになっていく。

というわけで4月1日にGmailは満15歳の誕生日を迎えた(ついでにいえば、4月1日はInboxの最終日であり、4月2日にはGoogle+が閉鎖される)。Gmailブログは誕生日だと告げるメッセージとともに便利な機能をいくつか追加したことを発表した。これにはメールを設定日時に発信できるスケジューリングやメール作成を助けるSmart Composeの強化が含まれる。

今日のアップデートで間違いなく一番役立つ機能はメール送信日時を設定できるようになったことだろう。機能としては比較的単純で、送信ボタンからドロップダウンメニューを開けるようになった。ここで発信する日時を設定できる。これまでは送信ボタンには即座に送信する機能しかなかったため、後で送信したい場合はサードパーティーのサービスを利用する必要があった。この機能がGmailに統合されたわけだ。

面白いことに、Googleはメールのスケジュール機能を「デジタルウェルネス」の強化の一環と位置づけている。G Suiteのプロダクトマネジメントの責任者であるJacob Bank氏はブログで、 「我々は通常の就業時間以外の時間に仕事をすることがよくある。しかし他の人々のビジネスアワーは尊重しなければならない。就業時間ではない時間にメールを送りつけるのはデジタルウェルネスに反する。そこでGoogleではメールが発信される時間をユーザーが設定できるようにした」と書いている。

Smart Composeのベータ版が公開されたのはほぼ1年前になるが、簡単にいえば人工知能を利用したオートコンプリートだ。なにか単語を入力し始めるとGoogleは後続しそうな文を提案する。今回はこの機能がユーザーの過去の文例に応じて自動作成してくれるようになった。たとえば書き出しを「Hi,」ではなく「Hey」で始めるユーザーの場合、Smart Composeはこれを記憶してくれる。またユーザーが特定の話題について頻繁にメールを作成している場合、Smart Composeはそれを記憶して関連のありそうな提案をする。これまで書こうとしている話題とまったく無関係な提案が延々と表示されるのに苛立っていたユーザーには朗報だ。

また今回のアップデートでSmart ComposeがAndroidデバイスで標準的に利用できるようになった。 従来Smart ComposeGoogleはPixel 3でしか利用できなかったが、これがすべてのAndoroidスマートフォンに拡大された。iOS版も近く提供される。

また従来英語だけが対象だったが、今日からSmart Composeはスペイン語、フランス語、ポルトガル語でも利用できるようになった。

画像: S3studio/Getty Images / Getty Images

【日本版注】上記機能はG Suiteにまず導入される。訳者の一般向けGmailではまだサポートされていない。送信日時設定機能が導入された場合、送信ボタンの右側に矢印アイコンが表示され、クリックすると日時設定メニューがポップアップするはず。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クラウド会計システムのfreeeが新元号「令和」への対応を発表

5月1日から使用される新元号「令和」について、クラウド会計システムなどのサービスを提供するfreeeが、対応方針と対応スケジュールを発表した。

freeeのサービスは基本的にすべてクラウドベースなので、ユーザー側での対応を必要とせず、無償かつ自動的に新元号表記に対応する。なお、各種帳票への新元号の対応は、原則として管轄する省庁・市区町村などの対応方針の発表後になる予定とのこと。

サービス別詳細の対応箇所とスケジュール(現時点)

  • 会計freee
    5月以降順次。元号表記のある各種出力帳票を改修。実際には、帳票フォーマットが確定次第の順次対応になる予定。
  • 会計freee
    年内対応予定。インポート・エクスポート機能。
  • 人事労務freee
    5月以降順次。元号表記のある各種出力帳票を改修。実際には、帳票フォーマットが確定次第の順次対応になる予定。
  • 人事労務freee
    5月1日対応予定。入力フォーマットを改修。
  • 申告freee
    5月以降順次。申請書類すべてを改修する。実際には、帳票フォーマットが確定次第の順次対応になる予定。
  • 会社設立freee/開業freee/税理士登録freee
    5月以降順次。申請書類すべてを改修する。実際には、書類変更の発表があり次第の対応になる予定。

LINE Payの「もらえるくじ」は4月も続行、抽選結果は最大で200円相当

LINE Payは、3月31日まで実施していた「春の超Payトク祭」の「もらえるくじ」をルールを変更して続行することを発表した。100円以上の決済でくじが1回引け、当選金額は1円〜200円。もちろん、はずれもある。

前回同様、対象となるのはコード払いだけでない。オンライン、プラスチックカード、請求書、自動販売機、LINEポイント、QUICPay、LINE外貨両替、そしてLINE Payに登録したクレジットカードで支払いにまでに対応する。

最大2000円相当だった春の超Payトク祭からはかなりスケールダウンしたが、コンビニでおにぎり1個や飲料1本の購入など、ちょっとした買い物の際の楽しみが増える。

SnapchatのCEOの妹が文章と音声だけのポルノサイトをスタート

ポルノから写真や動画をなくしたら、新しい利用者を獲得できるだろうか?Caroline Spiegel(キャロライン・シュピーゲル)氏の初めてのスタートアップであるQuinnは、想像力による大人の娯楽を目指している。彼女の兄でSnapchat CEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は、この何年間ずっと、彼のアプリはセクシーな会話をするためだけのものではないと訴え続けてきた。その一方で、キャロライン氏は、セクシーなメッセージと音声専門のウェブサイトを立ち上げようとしている。現在、22歳で大学4年生の彼女は、4月13日にQuinnをオープンするとTechCrunchに伝えた。そこは「嫌らしさを減らし、もっと楽しくしたPornhubの女性専用版」だと説明している。

TechCrunchでは、まだ荒削りな状態のQuinnのプライベートベータ版を覗いてみた。キャロライン氏が私たちに明かしたところによれば、現在すでに、100万ドル近い資金を調達しているという。しかし、次世代の行動パターンを研究し、その結果を応用して彼らが好む製品を生み出した兄の成功例があるために、Quinnの支援に熱心になる投資家が現れてもおかしくない。彼女が逆張りに出たのは事実だ。Quinnには写真が一切ない。

キャロライン氏はこう説明している。「このサイトには視覚コンテンツがありません。音声と文章だけです。すべてがオープンソースなので、利用者はコンテンツや物語などを投稿できますが、掲載する前に、すべて私たちがチェックします」。コンピューター科学を専攻する彼女は、スタンフォード大学で出会った、Greta Meyer氏を含む3人の女性とチームを組んでQuinnを開発している。彼女たちは、大学卒業後にロサンゼルスに転居する予定だ。

彼の理想の彼女の名前がQuinnだったんです

Quinnのアイデアは、深刻な個人的必要性から生まれた。「スタンフォードの3年生のとき、私は食欲不振と、その影響による性的機能不全に陥ったため、休学を余儀なくされました」とキャロライン氏は話す。「私は、性的機能不全の治療法を調べまくりましたが、食品医薬品局が認可した性的機能不全の治療薬は、男性用には30種類もあるのに女性用はゼロでした。がっかりです」

女性たちの間に、いまだに女が快楽を求めることを恥ずかしがる気持があるため、それを与えてくれる製品が欠如しているのだと彼女は考えた。たしかに、ポルノサイトは山ほどあるが、女性用にデザインされたものは少ない。画像に頼らないサイトとなると、さらに少ない。キャロライン氏によれば、写真や動画は体型のコンプレックスを招きかねないが、文章と音声だけなら、誰でもそのシーンの主人公になりきれるという。「視覚情報を使ったポルノサイトのほとんどは、男性の視線を釘付けにするためのものです。主流のポルノの物語はどれも同じ。理想的な女性の体型というひとつの考えに自分をはめる必要はありません」。

その概念が、Quinnというこのスタートアップの企業名に合致している。それは、彼女と仲の良い男友だちが思いついたものだという。「彼は理想の彼女と出会ったと言っていました。その子の名前がQuinnだったんです」

キャロライン氏はRedditとTumblrにへばり付き、Quinnの最初の作家になってくれる人を探した。Redditは文章と過去のコンテンツへのリンクが主体になっているが、そこで展開されているのは変態的な小説や音声コミュニティーだった。Tumblrが12月にポルノを禁止すると、アダルトコンテンツの作家が大量に仕事にあぶれることになった。「私たちの音声コンテンツは、ガイド付きマスターベーションやセックスの盗み聞き、そして朗読です。文字通り、それがすべてです。人それぞれ、自分のリズムがある。でしょ?」とキャロライン氏は、ちょっとエロく笑った。

ブランドを確立するために、Quinnはソーシャルメディアでインフルエンサーキャンペーンを展開している。「快楽を得るのは悪いことでないと、人々にわからせるのが狙いです。自慰行為をカッコイイものにするのにしようとすれば、ハードルはかなり高くなります。そこで私たちは、罪悪感を取り払うことを目指しました。男性よりも、もっと気楽になれるように」。

ビジネスモデルのための調査を行ったところ、キャロライン氏は、若い女性たちにはポルノに金を払うことを恥ずかしがる傾向があることを知った。そこで、Quinnは広告を出すことにした。これは、商業上の機会をもたらすものでもある。利用者にヌード写真やハードポルノの動画を送りつけたりしないため、他のポルノサイトには広告を出しづらかったスポンサーを呼び込める可能性があるのだ。

エヴァンは「とても協力的」

収益が出始めるようになるまで、Quinnは100万ドル弱の資金に頼ることになる。出資者についてはキャロライン氏は明かしていないが、兄ではないと明言している。「兄は私の人生において最高に重要な人間で、いつでもよき相談相手です。私が思いつく限りでは最高のアドバイスをくれます。しかし、それ以外の面で特別に頼ることは決してありません」と彼女は言う。「兄は特に恥ずかしいとは思っていません。とっても協力的です」

「競争相手が大勢います」とキャロライン氏が素直に認めているように、Quinnはできる限り士気を高める必要がある。老舗のPornhub、コンテンツ投稿サイトのMake Love Not Porn、Redditのような自然発生的なコミュニティーなどだ。500万ドルを調達した音声ポルノのスタートアップのDipseaは「胸躍る競争相手」だと彼女は言っている。だが彼女は、こうも話している。「私たちは、もう少しエロチックに振れていますが、彼らの使命を大いに支援します」と。かなり友好的だ。

Quinnの最大のライバルは、旧式ながらよく制度化されたウェブサイトのLiteroticaだろう。ウェブ解析サービスなどを提供しているSimilarのウェブランキングによれば、人気アダルトウェブサイトの第60位、全ウェブサイト中の閲覧数順位は631位であり、月に5300万ヒットを記録している。しかし、ウェブ1.0時代のフォーラムの外観そのままでありながら大量の通信量を誇っているLiteroticaの現状を見れば、Quinnにも大きなチャンスがあると思われる。規則によって、Quinnはネイティブなモバイルアプリを公開できないため、生き残るためにはウェブサイトに全力を傾けるしかない。

しかし、キャロライン氏にとって他社との競争よりも大変なのは、女性たちにQuinn式のポルノを試してもらうよう説得することだ。「男性にとって自慰行為は先天的なものですが、女性には『やってもやらなくても生きて行ける』ものだという観念があります。Quinnは、製品を作るのと同時に、市場も作らなければなりません。そこが怖い部分です」とキャロライン氏は話す。しかし、彼女は次第に高揚してこう話した。「でも、なんと言ってもそこが面白いのです。私が見込んでいるのは、こういうことです。チョコレートを食べたことがない人は何も知りません。しかし、一度食べたら熱望するようになります。ほとんどの女性は、直接的なむき出しの快感を味わったことがありません。(しかし私たちが彼女たちにそれを教えることができれば)それが私たちの力になります」

とりわけ重要なのは、「すべての女性に、それがなんであれ、想像の世界に手を伸ばす権利があることをわかって欲しい」というQuinnの願いだ。「いい気持ちになる資格があるかないかではありません。これを使うためにピラティスをする必要はありません。毎日、正しい食生活に気を遣う必要もありません。私たちの製品の利用には、なんの資格もいりません。私たちの使命は、女性たちに、もっと自分の体と触れ合ってもらって、めちゃくちゃいい気持ちになってもらうことです。快楽と、よいバイブがすべてなのです」

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookでライブ中継されたクライストチャーチ事件を受け、Facebook COOは制限方法を「検討中」

New Zealand Herald(ニュージーランド・ヘラルド)紙に掲載された公開文書で、FacebookのCOOであるSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏はクライストチャーチの2カ所のモスクで50名の死者を出したショッキングな銃乱射事件について、ようやく言及した。ニュージーランド史上最悪の銃乱射事件で、その一部の映像が犯人によってFacebookでライブ中継された。

しかし自らのサイトのテクノロジーが恐ろしい事件の中継に使用されたにもかかわらず、Facebookはその後の2週間ほぼ沈黙を続けた。サンドバーグ氏はこの文書でその沈黙を破り、悲しみの家族と揺れる国家に言及した。文書には同サイトがよりよい対応ができたのではないかという趣旨の文言が含まれていたが、未だにこのような出来事への対応に苦慮している面をうかがわせた。

「多くの人々が、Facebookのようなオンラインプラットフォームがどのようにして悲惨な事件のビデオの拡散に使われたのかを追求しておりそれは当然のことだ」とサンドバーグ氏は書いた。「我々は何が起きたのかを検証し、ニュージーランド警察と密に連絡を取り合い操作に協力していくことを約束する」。

サンドバーグ氏は、同社が再アップロードを識別する技術の開発に取り組んでいることも付け加えた。文書には、具体的な対策やポリシーの計画案は書かれていなかった。

「我々はもっと努力すべきだという声を聞いており、われわれもそれに同意する」とサンドバーグ氏は言った。「このテロ攻撃を受け、当社は3つのプロセスを進めている。Facebook Liveの使用にあたってのルールの強化、我々のプラットフォームでのヘイト行為対策の強化、およびニュージーランド国民への支援。まず、それまでの行動規範の違反などによって、ライブ中継を利用するたの制限を強める方法を検討している」。

FacebookとYouTubeはいずれも、こうしたテロ攻撃の画像拡散にプラットフォームが寄与していることについて広く批判の対象になった。YouTubeは酢馬宅声明を発表し、「当局と協力して取り組む」旨を伝えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookのCEO、投稿コンテンツやプライバシーで規制を求める

編集部注この記事は米国時間330日に掲載された)

Facebook幹部による意見表明が相次ぐ忙しい日だった。Facebookはクライストチャーチでの銃乱射事件に関して沈黙を続けていたが、米国時間330日の朝早くSheryl Sandberg氏がその沈黙を破り、そして今度はMark Zuckerbergマーク・ザッカーバーグ)氏氏が行政や他機関にFacebookが扱うデータに対し規制を強化するよう求めている。彼は、厳しい規制を引き出し、それを吟味していくことを思い描いているようだ。

ザッカーバーグ氏は自身のページとワシントンポスト紙の両方で同時に書簡を公開した。ワシントンポスト紙での掲載は政府関係者に訴えるのに理想的な手段だ。ここ数年集中砲火を浴び続けてきた氏は、主要4分野で外部による監査を厳しくする必要があると述べた。

有害なコンテンツ
ソーシャルアプリが評価される、全体にかかるルールや基準を定める。

公正な選挙
政府が政治広告や問題広告の定義を明確にする。

プライバシー
違反した場合には罰則を科すことができるGDPRスタイルの規制をグローバルで導入する

データポータビリティ
アプリから別のアプリへとデータを移管できるようにする

4つの各分野は、Facebookの最近の履歴を示している。いくつかの論争が一度にFacebookを襲い、Facebookの近年は苦闘と失策に満ちている。議会の前で証言するよう求められるCEOはそうはいない。Facebookは信じられないほどの量のデータを保有・管理していて、ターゲティング広告や対人関係から、ニュースサイクルや選挙に至るまで、全てにおいて主要な役割を果たしている。

私はこの2年間のほとんどの時間を有害なコンテンツや公正な選挙、プライバシーといった問題にあててきた。私が思うに

Mark Zuckerbergによる投稿、2019330日土曜日

Facebook白人ナショナリズム白人分離主義」のコンテンツを禁止することを発表して3日たち、「政治家は、しばしば私にFacebookが言論に対してあまりにも大きな影響力を持っていると言うが、正直、その通りだ」とザッカーバーグ氏は書いている。そして彼は、人々が全ての責任をFacebookに押し付ける前に設置した独立監視委員会など、様々な国の政府との取り組みについて書いている。

1つ考えられるのは、サードパーティーの機関が有害なコンテンツの投稿を監視する基準を設け、そうした基準を企業が守っているか評価することだ」「規制は、何が禁止されるのかベースラインを設け、有害コンテンツを最小限に抑えるシステムの構築を企業に求める、ということになるかもしれない」とザッカーバーグ氏は続けている。

また、選挙での不正操作や政治広告をめぐる規制を強化するよう求めてもいる。米住宅都市開発省は今週はじめ、Facebookのターゲティング広告が公正住宅法に反しているとして告訴している。

しかし、こうしたザッカーバーグ氏の意見表明はいくぶん虚しく響く。というのも、これら4分野で改善を図るために政府のサポートなしにFacebookができることはたくさんあるからだ。

Facebookの有害コンテンツポリシーは長い間紛らわしくて矛盾が多く、そして現実とかけ離れたものだった。たとえば、Infowarsの陰謀論者Alex JonesFacebookから追放されたが、Instagramからは追放されていない。悪者は問題のある投稿を広めるのにソーシャルネットワーク間を渡り歩くことができる。Facebookは傘下の全アプリにポリシー適用を強制すべきで、追放するかどうかを内部で話し合う代わりに倫理に基づいて公に判断すべきだ。そして、最悪の反則者を引きずり下ろすのを調整するために、仲間のソーシャルネットワークとより協力すべきだ。

公正な選挙については、今週Facebookは大きく前進した。すべてのアクティブ非アクティブの政治広告キャンペーンをキーワードで検索できるAd Libraryに収めた。しかし、宣伝につながる政治的記事を従来のキャンペーン広告と横並びにされたくないニュース出版元からの圧力を受け、Facebookはそれらを例外とした。そうした広告はいまだに選挙権を持つ人に影響を与えることができる。それらは別に扱われるべきだが、それでもリサーチのためにアーカイブ化されるべきだ。

プライバシーに関しては、すべきことが山ほどある。改善すべき大きなものとしては、ストーカーを避けられるよう、人々が電話番号を含む検索から完全にオプトアウトできるようにすることが挙げられる。他のユーザーのアドレスブックにあなたの連絡先がアップロードされた時、Facebookがどのようにあなたの連絡先情報を使うのか、さらにコントロールされるべきだろう。

最後にデータのポータビリティだが、Facebookの取り組みは遅々としている。1年前TechCrunchは、他のソーシャルネットワークで友達を探すのにフレンズの名前のリストをエクスポートするのをFacebookがいかに制限しているか、詳細な記事を掲載した。Facebookはそうしたソーシャルグラフを、ユーザーがアプリを切り替えてもコミュニティを保てるよう、真に交換できるようにしなければならない。そうすれば、Facebookをやめることがユーザーにとって実行可能なオプションになり、Facebookはユーザーに真摯に向き合わざるを得なくなるだろう。

そうした取り組みを実行すれば、ザッカーバーグ氏は寛大にみてもらおうとリップサービスをばらまいているわけではないことを当局に示せるだろう。それはひいては、社会に対する姿勢を改める用意ができていると示すことになるはずだ。

イメージクレジット: Chip Somodevilla / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルがアメリカ・ファースト戦略に回帰する狙い

最重要市場の中国ではなく膝元を足固め

米国時間の3月25日に開催されたアップルのスペシャルイベントでは、世界展開を続けてきた同社が久しぶりに、北米や英語圏のユーザーに向けたサービスを中心に発表した。iPhoneの売り上げを語るうえでは最重要市場であるはずの中国、iPhoneユーザーの比率が他国に比べて突出して高い日本は、少し蚊帳の外といえる内容だった。

既報のとおり、Apple News+、Apple Arcade、Apple Card、Apple TV+の4つのサービスが発表された。一部には類似サービスが存在するため既視感はあったものの、どのサービスもアップルらしいUI/UXを備えており期待大だ。サービス開始時期は、Apple News+が米国とカナダのみで提供中、Apple Arcadeが150か国以上で今秋、Apple Cardが米国のみで5月、Apple TV+(新Apple TVアプリ)が5月となっている。

この発表を受けて日本法人であるアップルジャパンは、Apple ArcadeApple TV+のニュースリリースを配信した。これは、残りのApple News+とApple Cardについては近い将来のサービスの開始が国内では決まっていないということを示している。

ちなみに今回のスペシャルイベントは、翌日3月26日にファーウェイがHUAWEI P30シリーズをパリで発表する予定だったので、日本国内のジャーナリストを二分した。正確には、アドビ システムズが3月24日から米国ラスベガスで開催した「Adobe Summit 2019」に一部のメディアやジャーナリストを招待していたので、三分したかもしれない。

スマホ系を中心に国内外で精力的に取材活動を続ける報道関係者にとって、アドビの招待取材は優先順位が低かったかもしれないが、アップルとファーウェイのどちらの招待取材を受けるかは苦渋の決断だっただろう。

フタを開けてみると、日本に関連する発表が少なかったうえ当日から利用できたのはApple News+だけだったので、現地で時間をかけて取材することは難しかったのではないか。むしろその前に、新iPadシリーズや新AirPodsの招待制ブリーフィングを受けて実機を借り受け、いち早く先行レビューを出せた、ひと握りのメディアのほうがメリットは大きかった。

イベント終了後に各メディアがさまざまな切り口でアップルの発表内容を報じたが、日本ではサービスの提供予定が見えないApple Cardへの注目度がひときわ高かったように感じた。TechCrunchのアクセスを見てもApple Cardの記事はダントツの人気だった。イベントに招待を受けた報道関係者も絶賛していただけに、諸事情があるものの日本では当面ローンチされないことは、つくづく残念でならない。

今回、ハードウェアのApple TVがすでに販売されており、ある程度素地が整っていた中で投入されるソフトウェアのApple TV+や、すでに世界展開しているゲームメーカーと組むことで実現したApple Arcadeについては、早い段階で世界各国でサービスを利用できる。

一方Apple New+やApple Cardは、各国の権利関係や法律の問題もあり、全世界で同時、いや主要国で同時スタートさせるのも至難の業だったことは容易に想像できる。世界同時を実現しようとすればスピード感が失われ、コストも時間もかかる。特に重要市場である中国でのサービス展開は、国の仕組みが異なるうえ米中貿易摩擦もあり、困難を極めるだろう。

今回発表された4サービスに共通するのは、利用者にApple IDを使わせれば、あとはハードウェアがなんだろうと構わなくなる点。ハード面、ソフト面で競合他社と消耗戦を繰り広げる必要はなく、アップルお得意の優れたUI/UXと画期的なサービスで勝負したほうが、5年先、10年先の勝ち筋は見えやすい。

iPhoneの高機能化して売上台数を前年以上に積み上げて市場を拡大する戦略から少し方針転換し、まずは膝元の米国と英語圏のユーザーを狙って継続的に収入が見込めるサブスクリプションサービスを導入し、iPhoneに依存しない収益源として事業を確立させる足固めに入ったのではないか。

アップルが唯一の弱点を克服する第一歩に

少し話を戻すと、スペシャルイベントで印象に残ったのは、利用者のプライバシーを徹底的に守る、サブスクリプションサービスを提供する、まずは北米や英語圏でローンチという内容。

アップルは最近、ネット時代の巨大企業としてGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の4社でまとめられることが多いが、ほかの3社と大きく違う点が2つある。1つは、利用者のプライバシー情報を厳格なルールで守っている点。もう1つは売上の大半をハードウェアに依存している点だ。アップルは基幹ソフトウェアとハードウェアの両方を開発している現在では稀有な企業だが、これまでソフトウェアはアップルのエコシステムの中で循環するのみで、外部への波及はApple MusicのAndroid版やiTunesのWindows版など限定的だった。

アップルが公開している四半期の決算データを見ると、Apple MusicやApp Storeを含めたサービス系の売上は上がっているものの、いまのところiPhoneありきの売上であることに変わりはない。

iPhoneの登場ですべてが変わったケータイ業界だが、現在ではハードウェア面のiPhoneの優位性は失われている。ここ数年は新型iPhoneが登場しても、技術的には他社の後追い感は否めない。カメラの数ではファーウェイに敵わないし、被写界深度を測るTureDepthカメラもすぐに真似されてしまった。

ソフトウェア面は、iPhoneやiPadなどの特定デバイス向けに開発しているので互換性の問題は少ないうえ、速度もチューニングしやすい。パフォーマンスの低い旧モデルでは一部の機能をあえて使えなくして快適性を保つというカスタマイズもアップルの自由だ。しかし機能面を見ると、Androidに比べてこちらも優位性は保てなくなっている。革新的だったアニ文字やミー文字にしても、あっという間に他社から同様のサービスが出てきてしまった。

今回、サブスクリプションを前面に押し出したアップルの発表は、こういった状況を踏まえたうえだったと思われる。iPhoneやiPadはこれからも売れ続けるが、いつかそれほど売れなくなる日がくる。アップルはそのXデーを見据えて、3つのサブスクリプションサービスをローンチしたのだろう。

少々強引だが、唯一のハードウェアの発表と言われたApple Cardも定期的に金銭の移動があるという意味ではサブスクリプションサービスに近い。しかも、こちらはアップル(もしくはゴールドマンサックス)の与信チェックをクリアすれば、iPhoneユーザーなら誰もが年会費無料のタダで所持できる点で、ほかのサブスクリプションサービスに比べて間口が広い。

ポイント還元率は、物理(チタン)カードで1%、バーチャルカードを使ったオンライン決済で2%、アップル製品のオンライン決済では3%と既存のクレジットカードの中では高い部類に入る還元率だし、即時キャッシュバックが受けられる点もメリットだ。

しかもアップルは、Apple Cardの使用履歴を含めた個人情報などをサードパーティーには一切提供しないことを明言している。プライバシーの漏洩がとても気になるユーザーにとっては最高の環境を提供しようとしている。

アップルのサブスクビジネスは成功するか

Apple TV+は間違いなくNetflixとの勝負になるが、テレビを含むどれだけ多くのスクリーンにインストールさせられるかがキモになる。となると、早々にAndroid対応も視野に入れるべきだろう。低価格のハードウェアのApple TVも欲しいところだが、Fire TVが担ってくれるのでとりあえず問題はない。というより、Fire TVのApple TV+対応により、ハードウェアのApple TVは役目を終えるかもしれない。

潤沢なキャッシュを社内留保するアップルにとってはたいした額ではないかもしれないが、スピルバーグやJ・J・エイブラムスが監督を務め、有名俳優や女優が出演する映像コンテンツの配信を継続していくには、莫大なコストがかかるので得策ではないだろう。

Apple Arcadeは、携帯ゲーム機としてiPhoneが圧倒的なシェアを保持しているので、成功する道筋は見えている。初期参加のゲームメーカーがキラーコンテンツを投入できれば、大きく盛り上がるだろう。この施策が成功すれば、ゲーム専用機としてiPod touchの復活もあるかもしれない。そして、こちらも市場の拡大にはAndroid展開が欠かせない。

Apple News+日本展開の課題

日本ではサービスインが未定のApple News+の今後の展開はどうだろうか。これまで提供されてきたニュース記事のキュレーションアプリだったApple Newsの対象国は、米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏4カ国しかなかった。このアプリの世界展開を待たずに、アップルは300種類以上の雑誌が9.99ドルの定額読み放題となるApple News+サービスを、米国とカナダのみでスタートさせることに踏み切った。

今後は他国で、特に英語圏以外の国や地域でサービスを実現するには、ニュース記事のキュレーションにその国や地域の文化、言語に精通したスタッフが必要になる。日本に限って言えば、コンテンツの部分ではYahoo! JAPANなど記事を提供している新聞社やウェブメディアは有料記事を含めて条件次第では乗ってくるはず。気になるのは日経電子版として単独でのサービスを提供している日本経済新聞社が、コンテンツを提供するかどうか。

一方、Apple News+の雑誌読み放題部分については導入のハードルは少し低いだろう。日本では、NTTドコモが「dマガジン」として税別400円で200誌以上、楽天ブックスが「楽天マガジン」として税別380円で250誌以上の国内雑誌読み放題サービスを提供している。この中で、dマガジンの後ろで各出版社から雑誌データを集めて納品しているのは、大手出版社のKADOKAWA/ブックウォーカーなので、KADOKAWAを足がかりとして国内出版社と交渉できるだろう。すでに類似サービスにコンテンツを提供している各社が拒否する理由はない。もしくは、米国でApple News+の雑誌読み放題部分のベースになったデジタル雑誌サービスのTextureのように、dマガジンや楽天マガジンの事業そのものを買収するという手も考えられる。

とはいえdマガジンなどは、スマホ契約時の割引のバーターとして加入させる営業手法が封じられたため、最近は加入者がそれほど増えていない。Apple News+の日本ローンチ時は、そのアプリがiPhoneやiPadにプリインストールされると思われるので、わざわざインストールさせるという高い壁は乗り越えられるが、ユーザーに認知させて実際に使ってもらうには相当の宣伝コストがかかるだろう。

UI/UXでは圧倒的なアドバンテージがあものの、1000円前後(9.99ドル)の価格設定では、dマガジンや楽天マガジン、そして無料でニュース記事が読めるYahoo! JAPANや各種キュレーションメディアとの勝負は厳しい。日本では識者が気になるニュースを読めるNews Picksなどの新しいキュレーションメディアの存在感が増していることも考えると、アップルの「中の人」が記事をキュレーションするセンスも問われる。

Apple Cardはラグジュアリー路線を希望

Apple Cardはどうだろうか。まずはUS TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarinoの記事を参照してほしい。素晴らしいセキュリティ機能を備えているので個人的にはとにかく入手したいクレジットカードだ。アップル製品のオンライン決済なら3%の即時キャッシュバックなので、アップルをこよなく愛する人ならもちろん申し込むだろう。とはいえ、10億人超の人口を抱える中国ならまだしも、現金でのやり取りが盛んで少子高齢化が進む日本で仮に導入しても、一部のユーザー向けの小さなビジネスなりかねない。iPhoneを使っている一般層にもメリットを享受できるサービスが必要になってくるが、これもなかなか難しいのではないか。

還元率最高3%は確かに魅力だ。しかし、コード決済の消耗合戦が繰り広げられてる現在の日本では、還元面でのオトク度で訴求するといまひとつインパクトに欠ける。バーチャルカードは、LINE PayやKyashなどがすでに実現しているので新規性はさほどない。

クレジットカードの利用頻度が高い米国なら、入出金の管理まで「Wallet」アプリに任せられるのは非常に便利だろう。日本に限ると、金融機関の口座や証券口座、ポイントカード残高までを一元管理できる、Money ForwardやMoneytreeのほうが使い勝手はいい。そのため、アドオンとしてこれらのアプリの機能がWallet上で使えるようになればベストだ。

Apple Cardの最大のアピールポイントは、物理カードがチタン製で、カード番号やセキュリティコードが記載されていない(磁気ストライプにはカード番号が記録されている)、バーチャルカードの番号とセキュリティコードが毎回変わるので盗用されにくい、というセキュリティの高さ。iPhoneがないとすべての機能を使えないが、そのぶんセキュリティレベルは非常に高い。

米国でも5月からのサービスインなのでこれ以上の詳細は不明だが、Apple Cardは米国以外では一般的なクレジットカードやデビッドカートと勝負するのではなく、ワンランク上のラグジュアリカードとしてアピールすべきではないだろうか。年会費が無料で遅延賠償金が上乗せされない(分割払い時などで発生する通常金利は発生する)という類を見ないカードなので、与信情報(クレジットスコア)でふるいにかければ優良顧客のみに絞り込める。

まずは、Apple Cardを所持できるというステータスを確立し、その上にゴールドやプラチナなどの上位ランクカードを作って、アップル直営店やオンラインストアでの還元率を高めつつ、空港ラウンジのフリーパスといった付帯サービスを充実させていくのはどうだろうか。個人的にはApple Cardの海外展開は、私のようなアップル信者だけではなく、ほかのサブスクリプションサービスでは取り込みにくい中国の富裕層を狙ったほうがビジネスとしては有望だと感じる。

ビジネス版Facebookのチャットで従業員がFAQの答えをすぐに得られるように

エンタープライズチャットアプリケーションの優れた点の1つは、従業員にコミュニケーションのための共通の手段を提供すること以外に、他のエンタープライズアプリケーションとの統合を行えるということだ。米国時間3月29日、Facebookが提供しているエンタープライズ向けコラボレーションとコミュニケーションのアプリケーションであるWorkplaceと企業向けサービスマネジメントクラウドのServiceNowが、共同で新しいチャットボットを発表した。このチャットボットは、従業員たちによるWorkplace Chat内の社内ヘルプデスクの利用が、簡単にできるようにするためのものである。

このチャットボットの長所は、従業員はいつでもどこでも、よくある質問に対する答えを得ることができるということだ。WorkplaceとServiceNowインテグレーションは、Workplace Chat内で行われ、情報部門や人事部門のヘルプデスクのシナリオを取り込むことが可能だ。チャットボットを使用することで、企業は時間とお金を節約することができ、従業員は一般的な問題に対する回答をより素早く見つけることができる。

以前は、この種の回答を得るためには、複数のシステムをナビゲートしたり、電話をかけたり、適切なヘルプデスクにチケットを送信したりする必要があった。このアプローチは、ある程度の利便性と即時性を提供してくれる。

企業は、よくある質問と回答をブレインストーミングして、その結果をServiceNow Virtual Agent Designerを使って実装することができる。ツールには標準のテンプレートが付属しており、高度なスクリプト作成やプログラミングのスキルは必要とされていない。代わりに、技術者以外のエンドユーザーは、事前に用意されたテンプレートを、個々の組織のニーズ、言語、およびワークフローに合わせて調整することができる。

スクリーンショット:ServiceNow

これはすべて、より多くのエンタープライズアプリケーションを自身に統合させたいと考えているFacebookの、戦略の一部である。昨年5月のF8カンファレンスでFacebookは、Atlassian、SurveyMonkey、HubSpot、Marketo(Adobeが9月に47億5000万ドルで買収)といった企業たちと、52に及ぶ統合を発表していた

これは、エンタープライズチャットアプリケーションの大きな流れに沿うものである。すなわち、エンタープライズアプリケーション群を従業員の作業環境の中心に置きながら、アプリケーション同士の切り替えが発生するタスク切換えを極力減らして行こうとする流れだ。この種の統合は、Slackが非常にうまく行ってきたものであり、これまではそれを差別化要因として提供してきたものである。しかしその他のエンタープライズ向け企業も追いつきつつあり、本日のServiceNowとの発表もその一部なのである。

[原文へ]

(翻訳:sako)

Apple Cardの詳細、米国で今夏から使えるアップル製クレジットカード

Apple(アップル)がこのほど開いたイベントの中で会場を最もどよめかせたものの1つがApple Cardだった。ゴールドマン・サックスとマスターカードとの提携のもとに展開される独自のクレジットカードだ。消費者、テックメディア、金融メディア、ウォール街はそれぞれの理由で好奇心をそそられた。

しかしこのクレジットカードがどのように作用するのか、消費者向けの規約、全体的なメリットなど、知りたいことはたくさんある。私は金融専門の記者ではないが、かつて支払い関係の記事は書いていたし、にも増して私は知りたがり屋だ。Apple Cardのメリット(そして警告)はさらに検証するに値する。

ある意味、Appleのクレジットカード業界参入は、テック業界における最大のようやく的なものの1つだった。Appleが、ポイントカードやクーポン、外部のクレジットカード、チケットを利用できるようにするPassbook(Walletアプリの前身)を立ち上げたとき、その先にクレジットカードがあることが極めて明瞭になっていた。

今回、明らかになったAppleの考えは、Appleのクレジットカードサービスについて実質的なバージョン1だ。そう、今回はバージョン1で、Appleはこのコンセプトを新たな機能やメリットでバージョンアップさせていくだろう。

基本

Apple Cardの基本は極めて明快だ。TechCrunchでは基本情報についてはすでに案内したので、ここで詳細は繰り返さない。Apple Cardはバーチャルと物理のカードで、マスターカードを扱うところならどこででも通常の購入、あるいはApple Payでの購入に使える。専用アプリでカード払い内容が自動的にカテゴリー分けされ、どこで使用されたのかを表示する。そして、アプリのデザインは利息や支出、キャッシュバックなどが見やすいものになっている。キャッシュバック率は物理カードの場合は1%で、バーチャルカードの場合はApple Payによる購入で2%、Appleプロダクトの購入だと3%となっている。キャッシュバックは毎日Apple Cash残高に反映されるか、Apple Cashアカウントを持っていない(持ちたくない)場合はクレジットとして毎月カードに反映される。

しかしこうした基本的な情報以上に、このクレジットカードがどんな仕組みになっているのか、知りたいことはたくさんある。ここにいくつかの興味深い情報を紹介する。

物理カードのアクティベートはiPhoneが必要

物理カードのアクティベートはiPhoneに表示されるカードをタップすることでできる。アクティベートは、AirPodのペアリングと似ていて、iPhoneにポップアップでアクティベートのボタンが表示される。現在のベータ版では以下のようになっている。

Apple Cardには遅延ペナルティレートはない

Apple Cardがペナルティレートを適用するといういくつかの報道があったが、これは主にいくつかの規制専門用語によるものだ。ペナルティレートは、期日までに払わないときに金利を増やすことであり、そうした報道は正しくない。Apple Cardには遅延手数料やペナルティレートはない。ユーザーは合意に基づく金利で支払うが、その金利が上がることはない。Appleがクレジットカードに関する支払い遅延の通常報告をすれば、ユーザーのクレジットスコアに影響するだろうが、支払いが遅いからといってAppleやゴールドマン・サックスが金利をあげることはない。

ユーザーに業界で最も低い利率を提供

大方のカード会社(利率はおおよそ13〜24%だ)と同じようにApple Cardも利息を課すが、サインアップしたユーザーにはクレジットスコアに基づき業界で一番低い利率を課す。これは、どうやってクレジットや極めて低い利息オプションを提供するかを考えればさほど驚きではないが、より高い利率を払うのではなく“本当の”スコアが適用されれば、一番低い利率となる。

使用額は銀行口座のACHかApple Cash経由で支払い

請求額を払うのにApple Cashは必要ないが、稼いだキャッシュバックやApple Cashにあるお金を支払いにあてることはできる。

署名の必要がない

物理カードでもアプリでも署名は表示されない。数カ月前にネットワークが変わり、どのクレジットカードでも販売時に署名する必要はなくなった。一部の店ではまだIDの提示を求めるかもしれないが、Apple Cardのシステム内で署名がないというのはその使用を妨げるものではないはずだ。

バーチャルのカード番号を動的に付与できる

おそらく最大のセキュリティ機能は、オンライン上でのApple Payを使用しない購入のためにApple Cardがバーチャルのカード番号を付与できることだろう。カード使用時にカードの情報がアプリに表示されるとAppleは説明したが、どんな情報が表示されるのか具体的ではなかったので下記に示す。

  • 物理カードにはもちろん番号はない。アプリにはカード番号の下4桁だけが表示され、フルで番号を目にすることは決してない。
  • その代わり、アプリ内のカード用にAppleはバーチャルのカード番号とCVVを用意する。バーチャルのものはオンラインやスマホでApple Payを使用しないときの購入に使う。この番号は半永久で、つまり好きな期間使い続けることができることを意味する。
  • しかし、ユーザーはボタンを押してPAN(primary account number=主要口座番号)を新しくつくることができ、これにより新しいクレジットカード番号がいつでも提供される。これは、ユーザーが誰かに自分のクレジットカード番号を教えなければならず、しかし相手を完全に信頼できないといった状況で便利だ。
  • カード番号はマニュアルでのみ再発行でき、自動的には変わらない。今のところ、使用1回のみの番号や、1つの小売のためだけの番号のサポートはない。

カードでの支払いは決済のたびに変わる

ことになるCVVが毎回必要となる。これは今週はじめにZack Whittaker記者が概説したが、さらにセキュリティを強化する素晴らしい機能だ。もしカードがスキムされたりコピーされたりしても、ユーザー以外の誰かがカードをオンライン購入で使うことを困難にする。

私は決済にPrivacyというバーチャルカードサービスを使っている。Bank of AmericaやCitiのようないくつかの銀行やクレジットカード会社も最近バーチャルカード番号を提供している。しかしApple Cardは間違いなく、消費者が簡単な使用インターフェースでバーチャルカード番号にアクセスできるようになり、またより多くの人の目にコンセプトをふれさせる最大の組織になるだろう。

ところで、もしサブスクリプションや継続のサービスにApple Cardを使えば、カードを再発行したときにカード情報を再入力しなければならなくなるのは考えられることだ。しかしかなり多くの小売が、特にカード登録システムを採用しているところはすでにアカウントアップデートサービスを使っている。これらのサービスは、引き続き決済するためにマスターカードから新しい番号を引き出せるので、Apple Card会員側でしなければならないことは何もない。

物理カードの番号はユーザーにはわからない

物理カードは磁気ストリップに固定の番号があるが、ユーザーにはその番号はわからない。アプリにある番号と、磁気ストリップの番号は完全に異なるものになり得るし、それでも全く問題ないことをここに記しておくのは重要なことだろう。ユーザーは物理カードのPANの下4桁を知るのみだ。もしカードをなくしたり盗まれたりしても無料で新しいカードをもらえる。盗難や詐欺の場合にはアプリでそのカードを簡単に凍結できる。

セットアップの方法からするに、Apple Cardでの支払いは、物理カードでの購入をのぞき、毎回生体認証を必要とする。これはApple Payでの支払いに限ってであって、オンラインでのApple Payによる支払いでなければそうではない。個人的には、決済手続きを進めるかどうか、オプションでiPhoneからの確認を必要とするのはクールだと思うが、二度手間のようではある。

バーチャルのPANは自動的にSafariに入る

Apple Cardを入手すると、バーチャルのPANは自動的にSafariに入ってくる。なので、サインアップすると、ユーザーはSafariやiOS、MacでAppleが作るバーチャルカード番号に自動的にアクセスすることになる。あなたが使えるようにカードはそこにある。

物理カードの再発行は無料

一部の人は派手なチタン製のカードの再発行はお金がかなりかかると心配している。手数料はかからない。

当面は1人1口座につきカード1枚

現在のところ、複数の人向け、あるいはシェア向けのカードを出す予定はない。

海外決済時の為替はマスターカードが決定

海外決済手数料はないが、為替はネットワークが決める。レートは固定ではなく、海外通貨でもない。

二段階認証が必須

Apple Cardユーザーはサインアップを設定するのに二段階認証を利用していなければならない。

Androidでは使えない

Apple CardをAndroidで使うというのはあり得ない。まったく馬鹿げているが、そういう質問を受けた。Apple Cardの機能の大半をAndroidで使ったり、そもそもサインアップすることはできない。しかし、もしAndroid端末に切り替えたとしたら、物理カードをそのまま使って支払いをすることはできるかもしれない。ただ、キャッシュバックやセキュリティ上のメリットなしとなれば、だれがそれを実行するだろう?

マーケティング目的でデータを売らない

ゴールドマン・サックスはマーケティング目的でデータを売らない。これはイベントでのスライドで示されていたことだが、いくつか追加の疑問があった。彼らが目にするデータは内部報告のために使われるが、外部のため、あるいは内部でのマーケティング、または広告のためには使用されない。これはサードパーティにもいえることだ。一部の規制当局や運用パートナーはそうしたデータを見たり、データを送ったりする必要があるだろうが、それら全てはマーケティングや広告のためではなく、Apple Card運営に関連するものでなければならない。

キャッシュバック採用の理由

どうしてキャッシュバックなのか?Appleがキャッシュバックのみにすることに関して、私はいくつか疑問を持った。私が話した人の賛同も得られた私の仮説はというと、Appleは最もシンプルで普遍性のある特典構造にしたかった、ということだ。それがキャッシュ(現金)だ。ポイントというのは、その性質上、比較的不明瞭で現金に対するその価値は日々変動する。最初に提供する特典として、Appleはすぐにアクセスでき、銀行に振り込んだり、現金のように使ったりというキャッシュによるものにしたかった。キャッシュバックは比較的競争があり、業界で最も高いキャッシュバック率ではない。

その他Apple Pay関連

以下はApple CardというよりはApple Payのことだが、Payでできるようになることを挙げる。

  • サポートされる媒体やトランジットシステムの数はオペレーターによって異なる。
  • ポートランドでは電車やバスでも使えるようになる。シカゴでも同様の見込み。
  • シカゴではオープンループやVentraカードシステムもサポートする。ポートランドではHOPカードを通じてオープン/クローズドループシステムもサポートする。
  • ニューヨークはいくつかのラインでこの春Apple Payのパイロットを実施し、その後、今年いっぱいかけてラインを追加して展開する。

全体的にApple Cardには、ユーザーが気にするデータの透明性に関してユニークで興味深い部分がある。ユーザーは消費者向けのカードのためにそこら中にあるベストなアプリ(AMEXアプリなど)のライバルとなる、情報豊かで理解しやすいものを手にすることができる。Apple Cardはまた堅牢なセキュリティ機能も備えている。

Apple CardはおそらくAppleにとってかなりのヒットとなるだろう。私はAppleがプログラムのバージョンアップを続けることを願っている。

この記事は交通についての詳細が修正された。

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(翻訳:Mizoguchi)

公園など公共施設の現状調査をクラウドソーシングで行うGoogle系アプリ

Googleと同様にAlphabet(アルファベット)子会社で都市計画をサービスとして提供するSidewalk Labs米国時間3月29日、公共施設観察アプリのCommonSpaceをローンチした。公園の管理者や有志のコミュニティメンバーなどが、このアプリを利用して身近な公共施設に関する観察や所見を入力してまとめ、それらを何らかの活動に結びつけていく。

あるスペースに関心を持った人たちが、そのスペースのためのウェブ上のポータルを作る。まとめ役(オーガナイザー)はその研究事業のパラメータを定義し、何のためにどんなデータを集めるのかを説明する。そしてメンバーはシフト制のグループに分かれて、データを記録していく。目標は、人びとがさまざまな公共のスペースをどのように利用しているのかを発見し、今後の整備事業につなげていくことだ。

SidewalkのシニアエンジニアであるAnanta Pandey氏がブログでこう言っている。「このアプリはデータを、オープンなデータ規格のPublic Life Data Protocol形式で記録するから、いろんな公共施設のデータと比較できる。CommonSpaceアプリで集めたデータは、視覚化や分析を行うツールに容易にエクスポートできる。コミュニティや施設の管理者は、それらのツールの出力を見て、一定のパターンを発見したり、問題点を見つけたり、今後必要な整備事業のための予算獲得説得用の証拠を得ることができる」。なお、Public Life Data Protocolは、ニューヨークの都市計画研究所のGehl Instituteとその創設に関わった市町村や民間パートナーにより策定された。

ただし公共施設のために集めるデータやパラメータにはプライバシーに関わるものもある。Sidewalk Labsはこの問題に関して、それはPrivacy by Designに準じており、とくに、CommonSpaceの視野に入った傍観者や見物人の個人情報は収集しない、と言っている。

昨年の秋にトロントの公園でパイロットテストを行ったこのアプリは、今ではAndroidiOSの両方で利用できる。

画像クレジット: Sidewalk Labs

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ファーウェイ会長が米政府の言い分を負け犬の遠吠えと一蹴

これまでの2年間、変動の激しかったHuawei(ファーウェイ)が、米国時間3月29日の発表では同社の2018年の利益が88億4000万ドル、前年比で25%増加した。しかし昨日は、英国監督機関の報告書が「重大で意図的な欠陥」を指摘した。

Huaweiと中国政府の結びつきをめぐるセキュリティ上の懸念や数々の報道が、同社の利益に負の影響を及ぼさなかったことは確かだが、国際市場での成長は鈍化した。しかし同社は戦闘を放棄しない。昨年のCESでモバイル部門のトップRichard Yu(リチャード・ユー)氏が米国キャリアに噛み付いた話は有名だが、今度は別のトップが厳しい言葉を繰り返した。

Financial Times(フィナンシャルタイムズ)誌のインタビューで、Huaweiの輪番制会長の一人Guo Ping(グオ・ピン)氏が米政府を非難してこう言った。「米政府の態度は負け犬のようだ。我々とまともに競合できないから、Huaweiを中傷している」。

Guo氏はさらに続けて、こう述べている。「米国は国際社会の作法も完全に無視している。各国は米国の利害ではなく自国の利害に基づいて何でも決めるのだ」。一部の国は米政府の呼びかけに応じたが、EUをはじめ他の機関は、露骨な禁制ではなく、より細心の注意をもって同社に接しようとしている。

Huaweiの売上の大部分は消費者製品からだが、今後5Gのネットワーキング機器をめぐる各社の競争が激化するに伴い、禁制が同社の業績にもたらす影響は次第に無視できないものになるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa