食事と楽しめるノンアル飲料のD2CブランドYOILABOが2500万円を調達

「世界からお酒の不公平をなくす」をミッションに掲げ、食中酒ならぬノンアルコールの“食中ドリンク”を開発する、福岡発・D2CブランドのYOILABO(ヨイラボ)。ファーストプロダクトとして飲食店向けに展開する「Pairing Tea(ペアリングティー)」は、食事とのペアリングを楽しんで飲めるように開発されたクラフトドリンクだ。

YOILABOは5月14日、福岡拠点のVC、ドーガン・ベータをリード投資家に、ほかエンジェル投資家3名を引受先とした、総額約2500万円の資金調達実施を発表した。投資には下戸のためのコミュニティ「ゲコノミスト」を発足した藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)も加わっている。

YOILABO代表取締役CEOの播磨直希氏は、前職では釣り情報サイトやコミュニティアプリを提供するスタートアップのウミーベ(2018年8月にクックパッドが完全子会社化)に在籍。「起業を目指して全力で取り組める事業を探していた」という。

自身は「お酒が好きでめちゃくちゃ飲む」という播磨氏は、いろいろな事業領域を検討した結果、「人生をかけて取り組める」テーマとしてお酒の世界を選択し、2019年4月にYOILABOを立ち上げた。しかし、そこでストレートに酒類に関わるのではなく、なぜノンアルコールのブランドに取り組むことにしたのだろうか。

「この領域で一番課題を抱えているのは、お酒を飲めない人だ。お酒の不公平があることで、飲める人も飲めない人も、お互いに気を遣わなければならなくなっているのが今の状況。日本人の半分ぐらいはお酒が飲めなかったり、アルコールに弱かったり、お酒の味が好きでなかったりするのに、今あるノンアルコール事業のアプローチはビールや日本酒のイミテートばかり。これらは基本的にはクルマの運転などで飲めない状況にある『飲める人』向けのものでしかない」(播磨氏)

ソフトドリンクもあるとはいえ、ウーロン茶、コーラ、スパークリングウオーターなど、そのラインアップは限られる。「高級レストランの食事とでも合うような、飲まない人もおいしく楽しめる食中ドリンクとして、Pairing Teaを開発した」と播磨氏はいう。

「今回の投資にも加わっている藤野氏やゲコノミストコミュニティ周辺の人に聞くと、『飲めそうなのに』と言われて傷ついたり、アルコールを飲む人と同じ金額を割り勘で払わされて怒っていたりする人がたくさんいる。レストランの店員に『単価の低い客』と見られることも多いが、そもそも払う気があったって、食事にふさわしくて単価の高いドリンクが存在しないので、払えないのが現状なのに」(播磨氏)

Pairing Teaは、ワインや日本酒などでよく用いられる食事とのペアリングの概念を、ノンアルコールドリンクへと落とし込んだクラフトドリンクだ。ワインと同様にマリアージュを考慮し、科学的根拠に基づいて開発されている。茶葉をベースに複数種のスパイス、ハーブ、果汁などをブレンドし、タンニンの度合いや香りなどを食べ物に合わせて選んだ。

最初のラインアップでは、3種類のPairing Teaを用意。オードブルとのペアリングを想定した「FOR ANY DISH」、白身魚料理とのペアリングを想定した「FOR WHITE FISH」、赤身肉料理とのペアリングを想定した「FOR RED MEAT」の3種は、ラインで使うことでフレンチのコースに合うように作られているが、フレンチ以外のメニューでも食事に合わせて楽しむことができるという。

FOR RED MEATを例に取ると、赤ワインのような渋みを持つダージリンからタンニンとマスカットのような香気を引き出し、ハイビスカスの華やかで上品な酸味をプラス。ジンの原料にも使われるジュニパーベリー、カカオを香り付けに加えている。適度なタンニンと程よい酸味が脂をさっぱりさせ、ジューシーな肉料理を堪能できる一杯に仕上がっているそうだ。

価格は飲食店向けの卸売り価格となるため非公開だが、店での販売価格をワインと同じ程度に設定できるようにしているとのことだ。ソフトドリンクと比較すると高価に思えるが「茶葉やスパイス、果汁の配合などにこだわり、かなり手間をかけている」と播磨氏。「D2Cブランドとして、OEMで工場に製造を依頼しているが、本来、小ロットでは受け付けてもらえない量を生産してもらっている」とのことだった。

新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛などもあって、飲食店の向けに開発したPairing Teaの出荷も遅れていたが、6月からの本格展開に向けて、現在、YOILABOでは特別価格での予約販売を開始している。また、今後はコロナ禍の影響も鑑みて、料飲店だけでなく一般向けにも商品を開発中だという。

播磨氏は「飲めない人がこの事業を手がけても良かったのかもしれないが、飲める側だから、飲める側としてできることがあると考えた」と話している。形態としては、サービスや場の提供など、いろいろ検討したそうだが、最も早くアプローチできそうなのが、プロダクトとしてのノンアルコールドリンクだったので、そこから着手したという。播磨氏はYOILABOをテクノロジースタートアップと位置付けており、「直販でデータ収集も行い、ナレッジを蓄積することで、新しい商品やサービスの開発に役立てる」と語る。

「ファーストプロダクトはPairing Teaと名付けたが、お茶だけにこだわっているわけではない。アルコール飲料市場はシュリンクする一方で、ノンアルコールドリンク市場は拡大している。ただし、今あるイミテートだけでは、飲み会など知らない世代が増える中で、拡大する市場をカバーしきれなくなる。飲まない人が食事と楽しめるドリンクとして、真っ先に浮かぶブランドになれるように、調達資金をもとに事業を強化していく。またドリンクだけでなく、サービスや場など、いろいろなアプローチで取り組んでいきたい」(播磨氏)

荷物預かりサービスのecboがレストランキット宅配サービス「ecbo kitchen」で飲食業支援へ

ecboは5月12日、飲食店と全国の食卓をつなぐ「レストランキット」の宅配サービス「ecbo kitchen」(エクボキッチン)を開始することを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大と全国的な外出自粛要請を受け、客足と売上が大幅に落ち込んでいる飲食業の支援と、名店の味を全国どこでも楽しめるようにするという狙いがある。

利用者は専用サイトから加盟店舗が用意したレストランキットを注文するだけ。チーズケーキや焼肉セット、ステーキ食べ比べセット、ポークカレー、サバカレー、生ソーセージなどがラインアップされている。メニューはいまのところ9品目だが、今後順次拡充していくとのこと。

ecbo kitchenの加盟店では、スープや食材を真空パックなどにしてキット化することで全国宅配を可能にする。これまで通販向け商品を作ったことのない飲食店向けには、ecboが持つ宅配商品開発のノウハウを提供するという。ecboで代表取締役社長を務める工藤慎一氏は、ecbo創業前はUber Japanで働いた経験があり、Uber Eatsなどで培ったデリバリーの知見を持つ。

飲食店では来店客減を補うために持ち帰りサービスなどを進めているが、配達可能エリアを考えると商圏がどうしても限られてしまうが、宅配可能なレストランキット化することで、全国どこにでも配達可能になる。事前注文制のためフードロスも回避できる。

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加盟店では独自に通販を展開している店舗もあるが、ecboでは各店のレストランキットを一覧できるECサイトを構築し、利用者から料金を徴収し、店舗に手数料を差し引いた報酬の支払いを担う。ECサイト持たない飲食店にとっては、短期間、低コスト、低リスクで注文から決済までをecboに任せられるので、手軽にお取り寄せグルメ通販を始めることができる。

ecbo kitchenのローンチ時に加盟しているのは、東京・渋谷と恵比寿にある招待制のカレー専門店「6curry」、愛媛・西条を中心に他店舗展開しているピザ専門店の「マルブン・ウチマル・キッチン」、愛媛・西予で飼育から加工、レストラン事業を展開する「ゆうぼくの里」と、兵庫・加古川にある焼き肉店の「焼肉の家 いちえん」、山形を拠点とする日本酒専門店の「WAKAZE」、東京・銀座にあるデザート専門店の「LOUANGE TOKYO」の6店舗。

同社では現在、専用フォームにて飲食店パートナーを募集している。

ecboは現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため主力事業の荷物預かりサービス「ecbo cloak」(エクボ・クローク)と、ecbo cloak加盟店で宅配荷物を受け取れるサービス「ecbo pickup」(エクボ・ピックアッ プ)のサービスを停止中。工藤氏は「国内で新型コロナウイルスが収束してもインバウンド需要が回復するのは数カ月先なので、停止期間中にecbo cloakのサービスやシステムの改良に取り組んでいます」とのこと。

 

浮遊植物アオウキクサから卵白代替品を開発するPlantibleが約5億円調達

米国カリフォルニア州が州全域のロックダウンを発表したとき、Tony Martens(トニー・マーチンズ)氏とMaurits van de Ven(マウリッツ・バン・デ・ヴェン)氏はオランダ・アムステルダムに帰えらずに同州にとどまることを決めた。

そして、Plantible創業者である彼らは、トレーラー2台を運び込んで同社の本部で生活し始めた。本部とはサンディエゴにある広さ2エーカー(約8100平方m)のアオウキクサ(アヒルなどの餌になる植物)の農場だ。

Plantibleは、植物由来のタンパク成分を抽出するために小さな水草であるアオウキクサを使う。このタンパク成分で食品会社が動物ベースのプロダクトを植物ベースのものに変えることができるようになる。ベーキング商品やプロテイン粉末を作ったりする企業、製造過程で卵白をたくさん使う企業にとっては魅力的な選択肢となるはずだ。

Plantibleは乳清や乳製品タンパク質の代替品販売に取り組んでいて、米食品医薬品局(FDA)の承認取得作業の最中だ。「自然の中にあるもので人間が必要とする食材を十分に供給できると我々はかたく信じている」とマーチンズ氏はオフィスとなっているトレーラーで話した。

Plantibleはこのほど企業といくつかの実験を行った。そして「Plantibleはベーキング食材会社や植物ベース肉の販売会社とアオウキクサの抽出物が代替品になることを確認した」とマーチンズ氏は述べた。だがPlantibleは現在の活用方法だけに限定していない。

「我々が目を向けていた部門だけに時間をかけていたら、スポーツ栄養の方のチャンスが逃げてしまう。我々はそこも取りにいきたい」とマーチンズ氏は語った。「当社の可能性を証明する必要がある」。

Plantibleの共同創業者たちが新型コロナウイルスによるロックダウンで寝泊りしているトレーラー

Plantibleは競争が激しい業界に参入している。このところ、ひよこ豆の缶詰の煮汁から作られる液体のアクアファバが、外出禁止による料理ブームの中で再び人気を獲得している。アクアファバは(メレンゲのような)泡立ち度を再現できるかもしれないが、ゲル化(あるいは温めたフライパンに卵を割り入れたときにできるトロリとしながら焼けている外観)は再現できないとマーチンズ氏は指摘する。Plantibleはテクスチャや栄養を損なうことなく卵白代替品になると主張する。

Plantibleにはまた、タンパク質代替品を手掛ける資金潤沢な競争相手がいる。Plantibleが最も競合するベンチャー支援の企業はClara Foods(クララ・フーズ)とFUMI Ingredients(フミ・イングリディエンツ)だ。両社とも卵白代替品の生産を手掛けている。Clara Foodsは卵白を作るのにニワトリの代わりにイーストを使っていて、Plantibleと同様にマカロンやスポンジケーキ、プロテイン粉末といったものを作るのにかなりの量の卵白を使用する事業者に製品を販売している。Clara Foodsはグローバル食材ソリューション企業であるIngredionの支援を受けている。

ライバル企業に勝つには、Plantibleにはスピードと安さ、そしてスケール展開できるオペレーションが必要だ。供給面ではPlantibleはいい位置につけている。アオウキクサは48時間で倍増し、通年の栽培が可能だ。加えて、同社によるとアオウキクサはひよこ豆や大豆、藻類よりも消化しやすいとのことだ。

最もコストがかかるのが抽出作業だ。Plantibleは目下「ラボ規模であり、この規模は本当に金がかかる」とマーチンズ氏は認めた。コストを下げるために同社は、Vectr VenturesLerer Hippeauが共同でリードしたシードラウンドで460万ドル(約5億円)を調達した。他の投資家はeighteen94 Capital(Kellogg Companyのベンチャーキャピタルファンド)とFTW Venturesだ。

Plantibleの共同創業者、マウリッツ・バン・デ・ヴェン氏(左)とトニー・マーチンズ氏

新たな資金を通じて卵白に対し価格競争力を持つ、Plantibleは主張する。現在、卵白液2ポンド(約900g)をつくるのに8〜10ドル(約860〜1070円)かかり、15〜20ドル(約1600〜2140円)で販売されている。

「望まれている食材を生み出すには、最終的には量産できて価格競争力を持つサプライチェーンを展開できるかにかかっている。自然と競争するのは困難であり、我々は高機能で栄養に富んだ酵素を特定することで、できる限り自然を取り込むことにした」とマーチンズ氏は話した。

「自然を活用するほどに、よりスケール展開できるようになる」。シード期のタンパク質代替品会社として、Plantibleが成功するかどうかは販売と生産能力にかかっている。現状ではまだそこまでいっていない。

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(翻訳:Mizoguchi

億万長者を惹きつけた植物繊維で作る代替プラスチック

メルボルンの小さなスタートアップで、2人の起業家がパッケージ業界に大変革をもたらす技術を開発している。

Stuart Gordon(ステュアート・ゴードン)氏とMark Appleford(マーク・アップルフォード)氏は、サトウキビの搾りかすをプラスチックの機能性を持つ紙のような梱包用製品に作り替える技術を開発するVarden(バーデン)を共同創設した。

この技術は、世界で最も裕福な人物のひとりである李嘉誠(リー・カシン)氏の財産管理も行うベンチャー投資会社Horizons Ventures(ホライゾンズ・ベンチャーズ)の興味を引き、彼らは220万ドル(約2億4000万円)の資金を調達した。

今は、新しい梱包技術を世に送り出す好機だ。EUは既に使い捨てのプラスチック製品を禁止する法律を制定し、2021年に施行することになっている。それが引き金となり、NestléとWalmartは、2025年から製品のパッケージに持続可能な素材だけを使うことを約束した。

梱包材が地球上の生物生息域に及ぼした環境破壊は、既に多くの人たちの懸案になっている。だが解決を急げば、消費者や企業に消費行動の変更を押しつけることになり、さらに多くの廃棄物を生み出すだけだ。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的パンデミックによる社会的距離の確保も、それに追い打ちをかける。

「私は二酸化炭素削減を主眼に置いた技術が好きです」とHorizons Venturesのオーストラリア代理人Chris Liu(クリス・リウ)氏はいう。

Intelやデジタル・デザイン・スタジオのFjord(フィヨード)に勤務した経験を持ち、テクノロジーとプロダクト関係の企業幹部を長年勤めてきたリウ氏は、つい最近オーストラリアに移住し、自身も電力会社の電気を使わないオフグリッドの生活を送っている。

西オーストラリア州に住み、国中で荒れ狂った山火事が彼の新居のわずか2km先まで迫るという体験をしたリウ氏には、気候非常事態は最優先事項としてダイレクトに意識にのぼる。

マーク・アップルフォード氏の場合、山火事よりも、彼が愛する海岸に絶え間なく打ち上げられるゴミのほうが切実な問題だった。

バーベキューでビールを飲みながら彼は、後に共同創設者となるステュアート・ゴードン氏に、もし物事を変える力があれば、環境問題の何を解決したいかを語り始めた。そしてプラスチックに行き着いた。

アップルフォード氏の洗濯室で、2人はVerdenにつながる技術の開発を始めた。2015年、洗濯室での初期の努力が少額のシードラウンドをもたらし、最初の製品を一部の顧客に渡してテストしてもらうまでの、長く厳しい道を進むことになった。

ニュージーランドの製造業者Fisher(フィッシャー)とPaykel(ペイケル)になんとか時間を作ってもらい、2人の共同創設者たちは初期のプロトタイプを作り上げた。砂糖の原料であるサトウキビの搾りかすから作ったバガス紙という再生材料を使ったコーヒーポッドだ。

「顧客からサプライチェーンへと、私たちは逆向きに作業をしました。そうして、人々がよく知っている製品を作ることができる材料を選んだのです」とゴードン氏は言う。

製造工程は、一辺が120cmのコンテナに収まるまでに進化した。この中には農業廃棄物を梱包材に変えるVardenの機械がすっぽり入る。

製紙工場のようなローラーは使わず、Verdenのテクノロジーは熱成形で植物性の廃棄物を製品に加工する。その製品にはプラスチックと変わらない特性がある。

こうすることで、植物性廃棄物をバクテリアで分解してプラスチック代替品を作り業者に販売するといった、今ある多くのバイオプラスチックの製造に必要な複雑な工程を省くことができた。

「紙のように見えます。手で半分に破ることができ、そのときの音も紙と似ています。そのままゴミ箱に捨てられます」とアップルフォード氏は話す。

ゴードン氏によれば、同社が製造する容器は、素材としてのプラスチックよりも優れているという。最初に代替を狙う製品は、コーヒーのカプセルだと2人はいう。

「我々がコーヒーに目をつけたのは、それが最も難しいからです」とアップルフォード氏。

そこは巨大市場でもあると、彼らはいう。Vardenでは毎年200億個以上のコーヒーポッドが消費されていると見積もっている。

今回の投資金を使ってVardenは、試験的に契約した企業の最初の注文に応えられるよう生産規模を拡大する。さらに彼らはコーヒーポッドの他に、薬の包装シートなど製品ラインの拡大も図る予定だ。

「パイロットプラントとしては、年間に2000万ユニットが製造できる工場を考えています」とゴードン氏。

彼らは両者とも、彼らの製品が(そして類似のものも含めて)新しい持続可能な梱包材の時代を先導することを期待している。それは、製品寿命のどの段階においても、環境にやさしい製品だ。

「次世代のパッケージングはより良いものになります。植物由来には、サラダでもポテトチップスでも対応できる柔軟性があります。(しかし)次世代の成形パッケージングは私たちのものです。バイオプラスチックはいずれ消えてなくなります」

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(翻訳:金井哲夫)

Impossible Foodsの代替肉バーガーが全米1000店で販売に

4月17日からカリフォルニア、イリノイ、インディアナ、アイオワ、ネバダのスーパーマーケット777店が植物由来の代替肉であるImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)の商品を店頭に並べる。

流通を増やし、製品ラインナップや国内外での取り扱いを拡大するために、同社は3月にクローズした投資ラウンドで5億ドル(約540億円)を調達した。

資金の一部はAlbertsons、Jewel-Osco、Pavilions、Safeway、Vonsといった店舗でのデビューに使われる。

17日にはグローサリーストア計1000店で取り扱われることになる、と同社は述べた。この中には、Albertsons全店、Vons、Pavilions、南カリフォルニアのGelson’s Markets、北カリフォルニアとネバダの全Safeway、シカゴとアイオワ東部、そしてインディアナ北西のJewel-Osco、東海岸のWegmans、ニューヨークとその周辺のFairway marketsが含まれる。

2019年9月の店頭デビュー以来、東海岸、西海岸の購入可能な店において最も売れたアイテムだった、と同社は述べた。

同社の12オンス(約340グラム)パッケージは8.99〜9.99ドル(約970〜1070円)で販売されており、間もなく取り扱い店舗を全米に広げる計画だ。

「我々は常に2020年の小売での取り扱い増加を計画してきた。しかしより多くの米国市民が家庭で食事するようになり、小売と消費者の両方から似たようなリクエストが届いた」とImpossible Foodsの社長Dennis Woodside(デニス・ウッドサイド)氏は声明で述べている。「既に提携している小売店はここ数週間、記録的なImpossible Burger販売を達成している。小売業者とともに販売を全米に拡大するために、可能な限り迅速に取り組む」。

拡大の発表とともに、同社は製造施設のプロセスに対する消費者の懸念を緩和する取り組みを明らかにした。

同社はテレワークができる全従業員に在宅勤務を義務づけ、同社の施設や共同メーカーが運営する施設への訪問や移動を伴う全業務を禁止している。そして職場での新たな殺菌・消毒対策を導入した。

「我々が最優先するのは従業員や顧客、消費者の安全だ」とウッドサイド氏は話した。「全サンフランシスコ・ベイエリアを含む我々のコミュニティやグローバルサプライヤー、顧客ネットワーク、何百万という顧客、そしてこの必要とされる時期に食品製造者に頼っている何十億という人々の福祉に責任を負っていることを認識している」。

同社は製造施設の増設、そしてImpossible SausageやImpossible Porkの広範にわたる商業展開などのために研究・開発を進めていると語った。

Impossible FoodsはこれまでにMirae Asset Global Investments、Khosla Ventures、Horizons Ventures、Temasekといった投資家から13億ドル(約1398億円)を調達している。

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(翻訳:Mizoguchi

どんな植物原料からでもビールを醸造できる技術を開発、Province Brandsが1.7億円を調達

ビール業界には気象に関連した危機が潜んでいるが、Province Brands(プロビンス・ブランズ)という会社は、それを解決すると主張するテクノロジーを掲げ、先ごろ160万ドル(1億7000万円)を調達した。

カナダ拠点の同社は、ビールをあらゆる植物原料から作る方法を開発し、全地球気候変動により拡大する大麦そのほかの穀物の不足のソリューションになると自らを称している。

同社にとってこれはピボットだ。設立当時は自社の技術を大麻からビールを醸造する方法として大麻会社に売り込んでいた。しかし、大麻市場が底割れし始めたのを機に、Province Brandsは醸造業界全体へと訴求対象を広げた。

「大麻産業は長年過大評価されてきた」とProvince Brandsの共同創業者であるDooma Wendschuh(ドーマ・ヴェンドシュー)氏は話す。「2019年中頃からそれが崩壊しはじめた。大麻巨大な資本を要する産業であり、必要な設備を整えるためには途方も無い金額の投資が必要だ」

市場が大麻産業に関心を示さなくなると、Provinceは投資家のところに出向いて、220万カナダドル(約1.7億円)を転換社債で調達した。

「投資家には避けうる損はさせたくなかった」とヴェンドシュー氏は説明する。

Province Brandsの直近のラウンドは2019年のシリーズBで、500万カナダドル(約4億円)を7000万カナダドルの入金前評価額で調達したと同社は表明している。

「このラウンドを完了したことで、Province Brandsの技術、知的財産権、市場機会の魅力が一気に注目されるようになった」と同氏は言った。

既存の機関投資家とエンジェルから得た資金は、同社のテクノロジーをもっと広く売り込むために使われる。大麦などの主要原料の値上げに打撃を受けているビール会社は、Province Brandsの技術を使って自社ブランドの大麻ビールを市場に出すことができるようになる。

同社のCambridge Bay Canadian Hemp Lager(ケンブリッジベイ・カナディアン大麻ビール)は、大麻から作られた初めてのビールであると、Province Brandsの声明に書かれている。原料は大麻とホップ、水、酵母だけで、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(セルロース結合ドメイン)を含んでいないため、アルコールが売られている場所であればどこででも合法的に売ることができる、と同社は言っている。

「我々が大麻からビールを醸造する技術を開発したことによって、あらゆる非デンプン性植物原料からビールを醸造できるようになる」と同氏。「これは、天井知らずの大麦価格に悩むビール会社に変革を起こさせる可能性をもっている」と続ける。

また、「大麦は大規模なビール製造には高価過ぎる場合がある」とも指摘する。

「調達した資金は、当社が12万3000平方フィート(1万1400平方m)の醸造設備建設のフェーズ1を完了し、カナダ保健省から新規の認可を受けるために使用する」とProvince Brandsの共同創業者であるJennifer Thomas(ジェニファー・トーマス)氏は語る。同社はカナダ保健省から2019年に研究開発ライセンスを受けている。

既にProvince Brandsは、いくつかの大手酒造会社と共同で、保有原料から代替ビールを作ろうとしている。ある匿名のテキーラメーカーとは、(テキーラの原料である)竜舌蘭(リュウゼツラン)から作るビールを共同開発している。

資本市場が困難なこの時期に、2カ月以内に資金調達を完了したことは注目に値する。

画像クレジット:Cavan Images / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インスタから料理を注文可能に、レストラン注文プラットフォームと連携

Instagramがロサンゼルスを拠点とするレストラン注文プラットフォームのChowNowと提携し、地元のレストランが投稿する写真やビデオに「フードをオーダー」ボタンとステッカーを追加して料理を注文できるようにする。

両社によれば、ボタンとステッカーはChowNowに直接リンクし、注文のフローを完了できるようにするという。フォロワーは自分のストーリーでレストランのステッカーを共有できるので、拡散が期待できる。

新型コロナウイルス感染拡大により、米国では州政府や自治体の指示で経済活動が大きく制限され、対人距離もとらなくてはならないため、レストランは特に大きな打撃を受けている。

ChowNowの共同創業者でCEOのChris Webb(クリス・ウェブ)氏は発表の中で次のように述べている。「この前例のない感染拡大の中、地域のレストランが存続し、最終的には成長するための支援として、ChowNowは全力でリソースを集中して記録的なスピードで新しいプロダクトとサービスを開始する。Instagramのこの機能は、我々がレストランのパートナーに提供する価値の高い新たなツールだ。レストランの費用負担はない。ほかのデリバリーアプリのような高額な手数料は不要で、レストランは売上と注文を増やすことができる」。

Instagramでは、料理の写真やビデオは特に広く共有される。ユーザーはこの新機能を使って、見つけた料理をすぐ注文できる。

ウェブ氏は、これはレストランにとって優れたマーケティングツールで、店内での飲食はできなくても営業はしていると顧客に簡単に知らせることができるという。

ロサンゼルスのレストラン、Birdie G’sとTallula’sのオーナーシェフであるJeremy Fox(ジェレミー・フォックス)氏は「我々はすぐ配達とテイクアウトのみの営業に変更した。これは全国の個人営業のレストランにとって、きわめて難しい選択だ。ChowNowを店舗のInstagramアカウントとシームレスにリンクでき、しかも注文に対する手数料が課されないので、我々が提供する新しいことをすべて宣伝して、しかもレストランと大切なスタッフがより多くの収入を直接得ることができる」と述べた。

Instagramとの提携はこの2、3週間で開発したとウェブ氏は言う。

「レストランにとって最も重要なことのひとつは、カスタマーベースに対するエンゲージメントと料理の注文についての告知だ。そのためのチャンネルにはInstagramが最も適している。Instagramで料理の写真を投稿し、サイトに誘導するのは簡単だ」(ウェブ氏)。

フォローしている近所のレストランに料理を注文したい人は、ストーリーに付けられたボタンかステッカーをタップするだけだ。するとChowNowの注文システムに移動し、ChowNowに統合されているStripeで支払いができる。

ChowNowはシステムの手数料をとっていないが、注文と決済の仕組みには月額99〜149ドル(約1万700〜1万6000円)を課している。ChowNowは、DoorDashなどの企業やロサンゼルスのJolt Deliveryのような地域の配達サービスと提携して、決済と配達を運営している。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

レストランと納入業者をつなぐプラットフォームのPepperが消費者向け配送に事業転換

新型コロナウイルス感染拡大がレストランに与える影響は言うまでもないが、食品を納入する業者が受けている影響は忘れられがちだ。レストランが休業してしまえば、食品納入業者にはもう納入先がない。そして納入業者は引き続き大量に食品を調達することができる。

一方、一般消費者は食品の確保や、食品を買いに行くリスクをとるか信頼性が低くなりつつある食品配送サービスに注文するかの判断にストレスを感じている。そこで、この分野に参入したのがPepperだ。

Pepperは昨年後半に、レストランと納入業者をつなぐ企業向けプロダクトとしてスタートした。ほとんどのレストランは6社以上の納入業者と取引があり、その1社ずつにメールや留守番電話、テキストメッセージで毎晩発注している。注文受付の確認がないことも多く、レストラン側は注文通りの品物が時間通りに届くのを待っていた。

この業界をデジタル化するために、Pepperはレストランが納入業者の連絡先情報を入力してすぐに発注でき、納入業者がボタンをタップすれば注文を確認して処理に入れるアプリを開発した。

サービス開始から半年が経ち、Pepperにとって状況は劇的に変わった。同社の共同創業者でCEOのBowie Cheung(ボウイ・チャン)氏は、ビジネスを考え直すことになった。

レストランから納入業者への注文に加え、「Pepper Pantry」という消費者向けのポータルを開設し、ユーザーが納入業者に直接注文できるようにした。

ユーザーはプラットフォームの利用料として一律5ドル(約540円)を支払い、精肉、農産物、乳製品などのカテゴリーから食品を選んで家に直接配送してもらうことができる。

もちろん、Pepperと大量の納入に慣れていた業者にとっては、このための対応がかなり必要だった。しかし業者側には、家族や個人に適した量に食品をパッケージするための雇用を創出している。

チャン氏によれば、パッケージの内容量はまだ多いものの、レストランからの発注に比べるとSam’s Clubやコストコで購入するのに近いという。

納入業者は最低注文額を0ドルから150ドル(約1万6000円)の間で設定できる。これまでに納入業者8社がPepper Pantryプラットフォームに参加し、ニューヨーク市周辺(ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット)とボストン市周辺でサービスを提供している。

Pepperはこれまでの調達額を明らかにしていないが、Greylock PartnersのMike Duboe(マイク・デュボエ)氏とBoxGroupから資金提供を受けたことを公表している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

CO2からウォッカを作るスタートアップAir Co.が技術転用で手指消毒液を生産し寄付

大気中から二酸化炭素を抽出し、水と混ぜてウォッカを作る技術を開発したニューヨークに本社を置くスタートアップが、そのすべての生産能力をすべて手指消毒液の製造に振り向け、ニューヨーク市当局の協力を通じて、生産した製品のすべてを寄付することにした。それは、社会的距離の確保や自宅待機の措置が続く中、非常に重要となる出前スタッフを雇用している地元レストランにも届く可能性がある。

Air Co.は、2019年にウォッカの販売を開始したばかりだ。事実上、二酸化炭素の収支が完全にゼロの独自開発の工程(NASAとXPrizeから表彰されている)を採用している。空気中から二酸化炭素を1ポンド(約450グラム)取り出し、太陽光を基本とする再生可能エネルギーを使って水と混合し、純粋なエタノールを生産する。エタノールは手指消毒液の主要な成分でもある。最も効果的な作業を繰り返すことで、通常、60パーセントから95パーセントの濃度のアルコールが生成できる。

Air Co.のCEOで共同創設者のGregory Constantine(グレゴリー・コンスタンティン)氏が電子メールで私に話してくれたところによると、同社は社会を良くするという基本的使命に基づいて設立されたため、新型コロナウイルスのパンデミックに対抗する地元の活動に協力できる方法を考えていたという。そして自然の流れとして、同社の主力製品であるエタノールで、アルコール濃度70パーセントの手指消毒液を作ることを思いついた。

同社は、現在の(分別のない)買い占めにより、大手小売り店やAmazonで手指消毒液が売り切れや品薄になる風潮に乗って稼ごうとしているわけではない。むしろ同社は、生産能力の100パーセントを手指消毒液の生産に切り替えながらも、商品すべてを寄付すると決めている。

当初の生産量は思っていたよりも少ないが、製造方法を変えることで生産量を増やせるとコンスタンティン氏は話している。現在、50ミリリットル入りボトル1000本をなんとか生産しているが、今後も「1週間に1000本のペースで生産を続け、技術が追いつく限り供給量を増やしていく」とのことだ。

私はコンスタンティン氏に、手指消毒液を寄付する相手はどうやって決めるのかと尋ねた。このような慈善事業を喜ぶ団体はたくさんあるに違いない。

「私たちは、寄付したすべての製品を、市の助言に従い直接供給します」と彼は言う。「食事をデリバリーする人たちに我々の手指消毒液を使ってもらうよう、地元のレストランと協力したいとも考えています。バーやレストランは閉店を要請され、ここニューヨークでの外食産業の最前線はデリバリーサービスだけとなるからです」

今回の取り組みのために、彼らは利益を生む事業からまったく別の生産ラインに切り替えたわけだが、いつまでこれを続けるつもりかコンスタンティン氏に聞いてみた。どこまでこの必要性が続くのかは不確かながら、彼らは「できる限り」手指消毒液の生産を続けるという。

「私たちは生産ラインを切り替え、非常に限られた人数で運営しています。私たちの活動によりウイルスが拡散しないようにするためです」と彼は言い添えた。「すべての人と企業の小さな支援のひとつひとつが、こうした困難な時期に実を結びます。私たちはできることなら何でもやる覚悟です」

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(翻訳:金井哲夫)

代替肉のImpossible Foodsが約537億円を調達し製造拡大へ

株式公開会社であるBeyond Meat(ビヨンド・ミート)と競合する代替肉製造の非公開企業Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)は直近のラウンドでおおよそ5億ドル(約537億円)を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドで、9年前の創業からこれまでに同社が調達した資金は13億ドル(約1395億円)になる。

本ラウンドはMirae Asset Global Investmentsがリードし、既存投資家であるKhosla VenturesHorizons VenturesそしてTemasekも参加した。

同社の声明によると、調達した資金は製造の拡大、国内外のスーパーや小売店への納入の増加、新たなプロダクトの商業化のスピードアップに使われる。新プロダクトは植物由来のインポッシブル・ソーセージやインポッシブル・ポークだ。

「我々のミッションは、食糧生産で動物を利用するという世界で最も破壊的なテクノロジーを2035年までに代替のものに置き換えることだ」とImpossible Foodsの創業者でCEOのPatrick O. Brown(パトリック・O・ブラウン)博士は声明で述べた。「それを実現するために我々は今後15年間、毎年平均して生産を倍増させる必要があり、研究やイノベーションにも集中的に投資しなければならない。マーケットは流動的だが、世界の食糧需要は常に存在し、早急なミッション達成が求められている。投資家は我々のミッションに信頼を寄せているだけでなく、世界のフードシステムを変えるプラットフォームに投資する類稀な機会だと認識している」

同社はまた、新型コロナウイルス感染拡大に対応するためにオペレーションを変更している、と述べた。

Impossible Foodsは、テレワークが可能な従業員には在宅勤務を義務化した(4月末まで)。また、同社施設や製造パートナーへの外部からの訪問を制限する。加えて衛生・安全基準を維持するために、製造施設は毎日徹底的に清掃・消毒されるとも述べた。

「直近の資金調達でImpossible Foodsは成長を加速させるためのリソースを手に入れる。COVID-19感染拡大を含め、不安定なマクロ経済学的環境においても成長を続ける」と同社のCFOであるDavid Lee(デイビッッド・リー)氏は話した。

「我々の最優先事項は従業員、顧客、消費者の安全だ」とブラウン氏は述べた。「そしてサンフランシスコのベイエリア全体、我々のグローバルサプライヤー、顧客ネットワーク、何百万という顧客、必要とされるものをつくるために食品製造に頼っている数十億の人々を含む、我々のコミュニティの福祉にも責任を持つと認識している」

資金調達の完了時点で、Burger King(バーガー・キング)はインポッシブル・ワッパーを全7000店で販売することを約束している。またDoorDash(ドアダッシュ)もImpossible Foodsのアイテムを提供するレストランだけを集めた「Impossible Cuisine」カテゴリーを立ち上げた。

2019年のBurger Kingでの販売急増により、Impossible Foodsはオークランドにある施設での製造を4倍に増やした、と同社は述べている。

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(翻訳:Mizoguchi

シェフと企業をつなぐケータリングのマーケットプレイス運営のHungry、評価額約110億円突破

企業と独立したシェフをつなぐケータリングのマーケットプレイスを提供するHungry(ハングリー)は、シリーズBラウンドで2000万ドル(約21億円)を調達したと発表した。同社によると、今回の資金調達で同社の評価額はプレマネーで1億ドル(約110億円)を超えたという。

Hungryの投資家たちも非常に特徴的だ。ラウンドをリードしたのはEvolution VC PartnersとWhole Foodsの元共同CEOであるWalter Robb(ウォルター・ロブ)氏で、彼はHungryの取締役会に加わる。さらにKevin Hart(ケビン・ハート)氏、Jay-Z、Los Angeles RamsのランニングバックであるTodd Gurley(トッド・ガーリー)氏、オバマ政権時代の大統領補佐官だったReggie Love(レジー・ラヴ)、Seattle SeahawksのラインバッカーであるBobby Wagner(ボビー・ワグナー)氏も参加した。

CEOのJeff Grass(ジェフ・グラス)氏によると、彼と共同創業者でCOOのEman Pahlavani(エマン・パラヴァニ)氏と社長のShy Pahlevani(シャイ・パレバニ)氏は、セキュリティ系スタートアップのLiveSafeで働いていたときに、このアイデアを思いついたという。

「LiveSafeでは食事の選択肢が非常に少なく、一番良い選択肢は(ファストフードの)Subwayと(レストランの)Ruby Tuesdayだった」とグラス氏は語る。「我々はもっと本格的な料理を食べたいと思い、 地元のシェフを活用するより良い方法を模索した」。

その結果、HungryはワシントンD.C.、フィラデルフィア、ボストン、ニューヨーク、アトランタに独立したシェフのネットワークを構築し、Amazon(アマゾン)、E-Trade、Microsoft(マイクロソフト)、BCGなどの企業にケータリングを提供している。シェフは全員Hungryによってチェックされ、「ゴーストキッチン」(レストランと結びついていない業務用キッチン)で料理を作り、Hungryのチームが配達する。

「Hungryの料理は、小売店と連携したレストランよりもずっと低コストで調理できる」とグラス氏。「しかし、品質を犠牲にしているわけではない。彼らは最高の料理を作る一流シェフだ。料理の質はレストランよりも高く、はるかに低コストで調理される」と続ける。

同氏は、この低いコストにより同社による社会貢献が可能になると付け加えた。具体的には、Hungryは販売された2食分につき1食ぶんを寄付することになっており、すでに50万食近くを寄付している。同氏は今回調達しった資金を、新しい市場に進出するために使う予定だ。具体的には、2021年末までに23都市への進出を考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンがインドのフードデリバリー市場にまもなく参入か

インドのフードデリバリー市場では、数週間前にUber(ウーバー)が地元大手のSwiggy(スイッギー)とZomato(ゾマト)に敗北したことを認め、撤退した。そして今度は別の新しいプレイヤーが、SwiggyとZomatoの2社が市場の大半を占めている厳しい市場に挑戦する準備をしているという。その新しいプレイヤーとは、Amazon(アマゾン)だ。

画像:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

Amazonは今後数週間以内にインドのフードデリバリー市場に参入する計画だと、情報筋はTechCrunchに語った。このサービスはAmazonのPrime NowまたはAmazonフレッシュの一部として提供され、3月にも開始される可能性がある。

このビジネスがまだ非公開であることを理由に情報筋が匿名を条件として語ったところによると、Amazonは開始に向けてバンガロールにあるいくつかのレストランをパートナーとしてフードデリバリーサービスのテストをしてきた。

ここ数四半期、Amazonはフードデリバリービジネスに取り組んでいて、以前はインドの大きな祭りで10月または11月に開催されるディワリの時期にサービスを開始しようとしていた。これが遅れた理由は不明。

Amazonの広報はTechCrunchに対し「我々はお客様のために革新を起こし、お客様の新しいエクスペリエンスを生み出している。この信念の一環として、常に新しい分野やチャンスを検討し、お客様とつながりを持ちサービスを提供している。今後何か進展があれば発表する」と述べた。

TechCrunchでは、インドのレストランのパートナーとの間で交わされた何らかの合意を確認することはできなかった。インドのレストランの多くはオンラインのフードデリバリー事業者に対し、不満を募らせている

Amazonがフードデリバリー市場に参入するとなれば、Prosus Venturesが支援するSwiggyとZomatoにとっては新たなライバルとなる。Zomatoは10年前に創業したスタートアップで、1月にUber Eatsのインドでの事業をおよそ1億8000万ドル(約195億円)で買収した。

SwiggyとZomatoは両社の合計で20億ドル(約2200億円)以上を調達しているが、まだ黒字にはなっていない。新規顧客の獲得と既存顧客の維持に、毎月1500万ドル(約16億円)以上をつぎ込んでいる。

India QuotientのVC、Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は最近のポッドキャストの中で「フードデリバリー企業の選択肢は少なく、自社プラットフォーム上のフード商品のコストの一部を負担し続けていかなければ顧客の大半は商品を購入することはできない」と語った。

インドで採算をとるのは、米国などの先進的な市場に比べると難しい。バンガロールを拠点とする調査会社RedSeerの試算によれば、米国ではデリバリーの単価は約33ドル(約3300円)だが、インドでは同等のデリバリーの単価は4ドル(約440円)だという。

おそらくこのことが、ここ数年、SwiggyもZomatoもフードデリバリー以外の事業に手を広げてきた理由だ。Swiggyは現在、インド最大のクラウドキッチンのネットワークを運営していると述べており、フード以外の多くの商品のデリバリーも始めている。Zomatoは「Project Kisan」と称して生鮮食品を農家や漁師から直接調達し、レストランに対する食材供給のコントロールを試みている。

Amazonがインドでフードデリバリービジネスを成長させるのは簡単ではない。Swiggyの1社だけで、インドの520以上の都市で事業を運営し、16万以上のパートナーを得ている。

現地時間219、Swiggyは最新の資金調達に関する発表の中で、毎月1万のペースでパートナーを増やしていると述べた。RedSeerによれば、昨年末時点で42億ドル(約4600億円)だったインドのフードデリバリー市場は厳しい状況にあるという。

Amazonは独自のロジスティクスチェーンと地元の多くの店舗との提携により、インドで密度の高い配送ネットワークを確立してきた。

Amazonの動きは、インドでの最大のライバル、Flipkart(フリップカート)が食品小売ビジネスに参入するのと時を同じくしている。Flipkartは昨年、同社の株式の大半をウォルマートに160億ドル(約1兆7300万円)で売却した。FlipkartグループのCEO、Kalyan Krishnamurthy(カリヤン・ クリシュナムルティ)氏が昨年10月にTechCrunchに述べたところによると、同社は食品小売に特化した「Flipkart Farmermart Pvt Ltd」という会社を登記した。

クリシュナムルティ氏は、同社が食品小売に参入するのは「インドの農業や食品加工産業を成長させるための、我々の重要な取り組みのひとつ」だと述べ、すでに多くの小規模農家と提携しているという。Flipkartは新事業にすでに2億5800万ドル(約280億円)を投資している。1月には新鮮な野菜と果物の配送をテストしたと、インドの新聞、Economic Timesに報じられた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

フードデリバリー大手のDoorDashがIPOを非公開申請

米国でのオンデマンド・フードデリバリーの戦いは未だにヒートアップを続けている。米国時間2月27日、DoorDashは証券登録届出書のForm S-1をSECに非公開で提出したことを発表し、現在確認手続き中であると語った。売出し予定の株数やIPO株価の範囲、次のステップの時期などについては何も語っていない。

株式公開は、同社がオンデマンド配達業界の重要な時期に大規模な資金を調達するひとつの方法だ。競合は激烈で全世界で多くの統合が起きている。このニュースのタイミングも、いかにこのビジネスがキャッシュに依存しているかを強調している。一部で米国フードデリバリー市場のトップと見られているDoorDashは、わずか3カ月前の昨年11月に調達ラウンドを終えたばかりだ。調達額は7億ドル(約762億円)で、当時の会社評価額は130億ドル(1兆4160億円)だった。

DoorDashが、カナダ、プエルトリコ、オーストラリアとともに主要な市場としている米国で、同社は市場シェア38%を占めていると言われている。シェア10%のPostmates、20%のUber Eats、伝統的企業であるGrubhubは31%と熾烈な争いを繰り広げており、資金も多く必要だ。この激しい競争は極めて資本集約的であり、DoorDashがUber EatsとPostmatesとの合併を目論んでいるという噂がここ数年出回っている。

しかしDoorDashはそれ以外にも課題を抱えている。数千人の契約労働者との接し方や支払いに関する労働問題のほか、昨年のデータ漏洩問題は、500万人近い顧客、労働者、売り手などに影響を与えた。ほかにも、Scotty Labsを買収して自動運転システムの導入(人間の配達ドライバーの補助または置き換え)を検討するなど技術蓄積も密かに進めている。

IPOを非公開申請することで、まだ「成長」段階にあるスタートアップ(ほとんどが赤字)が、手続き中に世間の監視を受けることなく準備を進められる。SpotifyとSlackが取った手法で、必ずしもIPOにつながらない(両社は上場済み)。WeWorkの申請とその後会社の状態を詳しく公表したしてからのUターンを思い出してほしい。またPostmatesは1年前にIPO申請したが、その後資金調達を行っており、上場は遅らせると言われている。

画像クレジット:Photo by Tibrina Hobson/Getty Images for Los Angeles Times Food Bowl / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フードデリバリー大手のDoorDashがIPOを非公開申請

米国でのオンデマンド・フードデリバリーの戦いは未だにヒートアップを続けている。米国時間2月27日、DoorDashは証券登録届出書のForm S-1をSECに非公開で提出したことを発表し、現在確認手続き中であると語った。売出し予定の株数やIPO株価の範囲、次のステップの時期などについては何も語っていない。

株式公開は、同社がオンデマンド配達業界の重要な時期に大規模な資金を調達するひとつの方法だ。競合は激烈で全世界で多くの統合が起きている。このニュースのタイミングも、いかにこのビジネスがキャッシュに依存しているかを強調している。一部で米国フードデリバリー市場のトップと見られているDoorDashは、わずか3カ月前の昨年11月に調達ラウンドを終えたばかりだ。調達額は7億ドル(約762億円)で、当時の会社評価額は130億ドル(1兆4160億円)だった。

DoorDashが、カナダ、プエルトリコ、オーストラリアとともに主要な市場としている米国で、同社は市場シェア38%を占めていると言われている。シェア10%のPostmates、20%のUber Eats、伝統的企業であるGrubhubは31%と熾烈な争いを繰り広げており、資金も多く必要だ。この激しい競争は極めて資本集約的であり、DoorDashがUber EatsとPostmatesとの合併を目論んでいるという噂がここ数年出回っている。

しかしDoorDashはそれ以外にも課題を抱えている。数千人の契約労働者との接し方や支払いに関する労働問題のほか、昨年のデータ漏洩問題は、500万人近い顧客、労働者、売り手などに影響を与えた。ほかにも、Scotty Labsを買収して自動運転システムの導入(人間の配達ドライバーの補助または置き換え)を検討するなど技術蓄積も密かに進めている。

IPOを非公開申請することで、まだ「成長」段階にあるスタートアップ(ほとんどが赤字)が、手続き中に世間の監視を受けることなく準備を進められる。SpotifyとSlackが取った手法で、必ずしもIPOにつながらない(両社は上場済み)。WeWorkの申請とその後会社の状態を詳しく公表したしてからのUターンを思い出してほしい。またPostmatesは1年前にIPO申請したが、その後資金調達を行っており、上場は遅らせると言われている。

画像クレジット:Photo by Tibrina Hobson/Getty Images for Los Angeles Times Food Bowl / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

各国の中国人コミュニティ向けフードデリバリーのHungryPandaが22.3億円を調達

世界各地の都市で中国人コミュニティ向けのフードデリバリーを手がけるHungryPanda(ハングリーパンダ)は現地時間2月20日、2000万ドル(約22億3000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのは83NorthとFelix Capitalで、この資金は人材の雇用や製品開発のほか、海外、特に米国への進出に使われる。HungryPandaは現在の評価額を明らかにしていないが、5月までに年換算値の業績を2億ドル(約223億円)に乗せることを目標にしているという。

画像:K1 Photography / Getty Images

HungryPandaは英国で創業し、同国のノッティンガムで最初のサービスを始めた。現在は英国、イタリア、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、米国の31都市でサービスを提供している。

フードデリバリーは競争が激しく利幅も少ない。しかし、HungryPandaは独自の地位を築いている。ビジネスオーナーも含め中国語を使うユーザーのためのプラットフォームを構築し、中華料理と食材のデリバリーに集中することで、UberEats、Deliveroo、FoodPandaといった競合との差別化を果たしてきた。AlipayやWeChat Payなどの支払いサービスにも対応し、マーケティングにはWeChatを利用している。

世界中の中国人コミュニティは大きな市場だ。HungryPandaは、英国とニューヨークではすでに利益が出ているとしている。2019年に公表された米国国勢調査局のレポートによると、中国以外に在住している中国人は、中国生まれの人を数えると1000万人、国外移住後の第2世代などを含めると4500万人だという。

HungryPandaのCEOのEric Liu(エリック・リウ)氏は報道発表の中で「83NorthとFelix Capitalの支援を受けて、我々のユニークなサービスをより多くの場所の多くの人に提供できることを喜んでいる。両社の抜きん出た投資経験と、顧客のニーズに正確にフォーカスし2週間あれば新しい都市でのサービスを開始できる我々の手腕によって、我々はビジネスを大きく成長させて中華料理の莫大な需要に応えるための理想的な位置にいる」と述べている。

83NorthとFelix Capitalの両社とも、これまでにほかにもフードデリバリーのスタートアップに投資している。83Northは投資家であり、英国のJust Eatとヘルシンキ(フィンランド)のWoltを手がけている。一方のFelix Capitalは、英国のDeliverooと、すべて社内で調理しているフランスのFrichtiを支援している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

日本発の代替肉スタートアップDAIZ、ニチレイフーズと資本業務提携を締結

DAIZの独自製法により発芽させた大豆を使用したハンバーガー

海外ではビヨンド・ミート(Beyond Meat)やインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)などの代替肉を開発し提供するスタートアップが話題だ。マクドナルドはビヨンド・ミート社製の代替肉を使用したハンバーガーをカナダでトライアルとして提供しており、1月開催のConsumer Electronics Show(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー:CES)では、インポッシブル・フーズは特に注目された企業の1つだったとも言える。

ここ日本でも、日本ハムが「NatuMeat(ナチュミート)」のブランド名で3月にも代替肉市場に参入することや、イトーヨーカドー横浜別所店で、2019年10月に「大豆ミート」の専用売り場を設けたことが報じられている

そんな中、日本発の代替肉スタートアップDAIZは1月29日、冷凍食品大手のニチレイフーズと資本業務提携を締結したことを発表した。出資金額は5000万円。DAIZの植物肉原料と、ニチレイフーズの商品開発力、販売力を掛け合わせ、日本の植物肉市場の拡大を目指す。

DAIZは2015年設立のスタートアップで、大豆由来の植物肉原料の開発、製造、そして植物肉原料を用いた食品の開発、製造および販売を行なっている。

国連が2019年7月に発表した「世界人口推計2019年版」は、地球上の人口は2050年までに約100億人に達すると予測。人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」の時代が到来とも言われており、代替タンパク質としての植物肉の世界市場は9兆円を超えるとの予測もある。

だが、DAIZいわく、味と食感に残る違和感、大豆特有の青臭さや油臭さ、肉に見劣りする機能性といった課題が残っていることが、本格的な普及の妨げとなっていた。同社ではそのような課題を解決し、植物肉の普及を目指す。

DAIZは、独自の栽培法「落合式ハイプレッシャー法」と独自の膨化成形技術で、肉らしい味と食感の再現、大豆特有の異風味の低減、そして機能性の向上を実現した大豆由来の植物肉原料の開発に成功した、と説明。落合式ハイプレッシャー法では、大豆の発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、そして水分などの生育条件にプレッシャーを与える。それにより、酵素が活性化し、遊離アミノ酸量が増加することで、大豆の旨味を引き出しているという。また、独自の膨化成形技術により、他の原料や添加物を何も足さずに、肉の様な食感を再現しているそうだ。同社は九州大学、ならびに京都大学と共同研究している。

DAIZいわく、今回の資本業務提携では、「植物肉の商品ラインナップの拡大、ひいては『第4の肉として植物肉を食す』という食文化の浸透」を目指す。そして、「植物肉の供給量を増大させるため、生産体制確立として設備投資を実行する」予定だ。

ニチレイフーズは「DAIZが研究、保有する『発芽大豆』は、素材が持つおいしさと優れた栄養成分を兼ね備える一方で、既存の植物性たんぱく質の課題である『独特な風味』、『食味、食感の物足りなさ』を解決できる素材だ」と評している。

DAIZは東京証券取引所マザーズ市場への早期の株式公開を目指している。

培養肉開発のMemphis Meatsがソフトバンクなどから176億円超を調達

動物細胞から肉、シーフード、鶏肉を人工的に製造する技術を開発しているMemphis Meatsは、ソフトバンクグループ、Norwest、さらにシンガポール政府が支援するTemasekといった投資家から、新たな資金1億6100万ドル(約176億5400万円)を調達した。

今回の投資を受け、同社の総資金は1億8000万ドル(約197億3700万円)となった。これまでの投資は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏、Threshold Ventures、Cargill、Tyson Foods、Finistere、Future Ventures、Kimbal Musk(キンバル・マスク)氏、Fifty Years、CPT Capitalなど、個人および機関投資家から受けていた。

Memphis Meats以外にも、Future Meat Technologies、Aleph Farms、Higher Steaks、Mosa Meat、Meatableといった企業が、培養した細胞から肉を作る技術を探求している。それによって、世界中の森林破壊と気候変動を増長している畜産業を代替することを目指している。

計算生物学、バイオエンジニアリング、材料科学といった領域での革新によって、企業は従来の農業を置き換えることが可能な技術を商業化する機会を得ようとしている。それにより、食品を生産するための二酸化炭素排出量を大きく削減し、非常に豊かな時代をもたらすことができると、投資家たちは期待している。

「誰が最初に製品を市場に供給できるか」という競争は始まっている。

「業界全体にとって、このような規模の投資は、このテクノロジーが、遠い将来の努力目標ではなく、今ここにあるのだという自信を強めてくれるものです。培養肉が、リーズナブルな価格で市販される、という『概念実証』ができれば、さらに関心を集め、この業界への投資も加速するはずです」と、Good Food Instituteの専務取締役であるBruce Friedrich(ブルース・フリードリック)氏は、電子メールで表明している。「これは、まだ非常に新しい業界であり、注意深く見守ることが重要です。培養肉というアイデア自体は、すでに1世紀近く言われてきましたが、最初のプロトタイプが作られたのは、わずか6年前のことなのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Uberがインドのフードデリバリー事業を現地ライバルのZomatoに売却

Uberは1月21日、インドにおける同社のフードデリバリーサービス、Uber Eatsを地元のライバルZomato(ゾマト)に売却したと発表した。これによりアメリカのライドシェア大手は、2021年の黒字化するために、損失を計上する事業を放棄する。

この2つの赤字企業によれば、契約ではUberがZomatoの9.99%を保有し、EatsのユーザーはZomatoのユーザーになるという。情報筋によると、Uber Eatsのインド事業の評価額は1億600万ドル(約117億円)から2億ドル(約220億円)の間と見なされたようだ。

TechCrunchは2019年12月に、両社の契約はもうすぐまとまると報じた。両社の話し合いを11月に最初に報じたのは、インドの新聞『Times of India』だ。

ForresterのアナリストSatish Meena(サティッシュ・ミーナ)氏によると、ZomatはUberからの買い物があるにもかかわらず、依然として地元のライバルSwiggyに1日のオーダー数で負けている。Prosus Venturesが投資しているSwiggyは、2018年後半に10億ドル(約1100億円)を調達した

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスローシャヒ)氏は声明で「Uber Eatsのインドのチームはこれまでの2年あまりで立派な業績を上げた。彼らの創意と献身を、私は最高の誇りに思う」と述べている。

情報筋によると、Uber Eatsがインドに進出したのは2017年で、インドの事業を売却するという話は2018年後半に始まっている。

続けてコスローシャヒ氏は「今後も、インドはUberにとって特に重要な市場であり、当地のライドシェアサービスへの投資を引き続き行っていく。この分野において、Uberはすでにカテゴリーリーダーである。Zomatoの資本効率の高い成長能力に強い感銘を受けており、彼らの継続的な成長を願っている」と話す。

しかし、業界の推計によると、Uberはインドのライドシェア分野のトップではない。そのタイトルはOlaのもので、インドの乗客数ではUberの2倍あり、カバーする都市の数もUberの約30に対してOlaは110だ。

情報筋によると、Uber Eatsの従業員は希望すればUberに残ることができる。

この発表の最中に、Zomatoの新たな資金調達ラウンドが行われている。創業11年になるこのインド企業は2019月12月に、Ant Financialから1億5000万ドル(約165億円)を調達し、数週間後にはさらに4億ドル(約440億円)の追加投資を求めるという。

Uber Eats Indiaの切り離しは、Uberを助けるだろう。同社は2019年に東南アジアを去ったが、今回もそれと同様にグローバルな損失が縮小する。2019年に数百名をレイオフした同社は、11月に10億ドル(約1100億円)あまりの四半期損失を報告している。Uberによると、2021年には黒字化するそうだ。

Uberは、2019年8月から12月までのUber Eatsのインド事業による損失を1億750万ドル(約118億円)と予想していた。Zomatoも同じく、損失を減らす努力をしている。2018年に同社は各月に4000万ドル(約44億円)あまりの損失を計上したが、Zomatoに投資しているInfo Edgeによると、2019年11月の決算報告ではそれが2000万ドル(約22億円)に抑えられた。

*アップデート: この記事の初期のバージョンでは、Uber Eatsのインド事業の評価額を3億から3億5000万ドルとしていた。現状は、ほぼその半分である。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

京都市大宮・西院エリアで月額約6600円の定額ランチサービスがスタート

イジゲンは1月20日、月額定額制で提携店舗にて毎日ランチが食べられる「always LUNCH」(オールウェイズ ランチ)を京都市中京区大宮エリア・右京区西院エリアで開始したことを発表した。同社はサブスクリプションプラットフォーム「always」(オールウェイズ)を開発・運営する、大分県を拠点とする2013年11月設立のスタートアップ。現在のサービスエリアは、福岡、大阪、京都、東京の4都市で、京都では河原町中心だったサブスクランチサービスが市内西部に拡大することになる。

always LUNCHは、税別月額5980円(税込6578円)で提携店舗で毎日ランチを食べられるのが特徴。2019年に新生銀行調べたビジネスパーソンのランチ代の平均額は568円で、1カ月を平日20日間と考える月あたり1万1400円かかるが、always LUNCHを利用するとランチ代を半分程度浮かせられることになる。

会計はクレジットカードで別途決済されるため、店舗と利用者での金銭のやり取りを省略できるのも特徴だ。利用者は店舗ではスマートフォンの利用画面を見せるだけでいい。同社は、個人経営者や中小企業の「安定した収益を得たい」と意見を取り入れたサブスクリプション型サービスを手掛けており、ランチの定額サービスもその一環だ。

大宮エリア・西院エリアの13店舗あり、詳細は以下のとおり。

  1. 麺屋黒船
  2. 焼肉屋ロマンポップ
  3. カメコーヒー
  4. 創作タイ料理 パッタイ
  5. Brulee
  6. 珈琲専門店トゥールビヨン
  7. ザ・ロッキンハーツ
  8. ブラザーベーカリー
  9. Cafe Chang カフェ チャーン
  10. ほっかほっか亭西院店
  11. Diningみこと
  12. 胡麻屋くれぇぷ堂
  13. 喫茶FRONT

同社は今後の取り組みとして、2月には東京・新宿エリア、大阪・梅田エリアに展開予定とのこと。

昆虫食スタートアップのエリーが東京・表参道に蚕バーガー店をオープン

エリーは1月17日、絹(シルク)の原料となるカイコ(蚕)の幼虫を原料にした「シルクフード」の販売店「シルクフードラボ」を、東京・表参道に1月20日から期間限定でオープンすることを明らかにした。

同社は2025年〜2030年ごろに到来するといわれているタンパク質危機を回避するために、カイコの食品化に注目。タンパク質危機とは、世界的な経済発展によって平均所得が向上し、動物性食品を摂取する人口が増えることで、需要と供給のバランスが崩れることを指す。

海外ではImpossible FoodsやBeyond Meatが大豆など植物由来の原料を使った代替肉が登場しているほか、国内でもBugMoが原料の一部にコオロギを使ったスナックバーなど販売している。さらには、藻の一種であるスピルリナの食用化の研究も進んでいる。

エリーではカイコを加工することで、ハンバーガー、スープ、スナック、ケーキなどをはじめ、主食、副菜、デザート、飲料など最終的には10種類弱のメニュー展開を予定している。単なる代用食ではなく味も追求しており、プロのシェフに意見を求めコクや甘みなどにもこだわっているという。シルクフードラボで提供されるのは以下のメニューとなる。

シルクバーガー

価格:単品1100円、セット1500円(スープ/ポテト/ドリンクから選択)
シルクフードの特徴である深いコクと甘みを生かして開発。同社によると、もう一度食べたくなるような余韻も感じられるという。

シルクスナック

価格:600円
シルクフードの香ばしさを生かしたメニュー。シーズニングに独自ソルトを使用し、風味を存分に引き立てている。

シルクスープ

価格:単品650円(パスタ入り)
シルクフードにミネストローネに加えることで旨味が加わってコクを感じられるとのこと。

シルクシフォンケーキ

価格:500円(カット)
シルクフードのナッツのような風味を味わえる。ホイップクリームとミントとの相性が抜群とのこと。

カイコと聞くと少しびっくりしてしまうが、同社は伊藤忠商事や稲畑産業、キリン、大正製薬などのアクセラレータプログラムへの出場経験があるほか、東大IPCの起業支援プログラムにも採択されている。またシルクフードについては、京都大学と共同研究しているほか、京都大学GAPファンドプログラムから研究費を調達。さらには蚕糸絹に関する科学技術の研究や発明、応用についての助成を受けられる、貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成も受けている。そのほか、京都大学イノベーション事業化プログラム最優秀賞を受賞している。