プログラマのアウトソーシングに応えるCodersClanが$820Kを調達…今では大きなプロジェクトでも大丈夫

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CodersClanは、小規模なコーディングタスクを簡単にアウトソーシングするためのマーケットプレースとしてスタートした。しかし今では、開発プロジェクトのまるまる全体のコーディングを同社にリクエストできる。そのCodersClanが、82万ドルの事業拡大資金を獲得したことを発表した。このシードラウンドの投資家は、CrunchFund(本誌TechCrunchのファウンダMichael Arringtonがファウンダ)、Entree Capital(Meerkatにも投資している)、Kima Ventures、それにWixやQuixeyやClarityRayのファウンダたち、インキュベータUpWest LabsThe Junctionだ。

テルアビブに本社のある同社は現在、約6000名のプログラマを抱えている。同社のファウンダたちは、自分たちのアウトソーシング経験から同社を起業するアイデアを得た。そのときは自分たちの小さなスタートアップのために、ある小さな問題を簡単に解決できるコードが必要だった。今だったらStackOverflowなどのフォーラムで質問すれば、誰かが必ず答えてくれるが、当時はちょっとしたコーディングの問題を解決するための、信頼できる場がどこにもなかった。

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CodersClanのようなサービスは、抱えているプログラマの質で良し悪しが決まる。そこで同社は、StackOverflowにおける評判や、GitHub、LinkedInなどのプロフィールから、プログラマを‘審査’する。そして合格となれば、それらの情報に基づいて、顧客のニーズにいちばん合ってると思われるプログラマを起用する。そのコーダーディスパッチャーシステムは、自動化されている。顧客が技術屋でないことも多いので、プログラマと顧客とのコミュニケーションをCodersClan自身がきめ細かく仲立ちする。

CoderClanはJira、Trello、Asanaなどのツールを統合しているので、技術力のある顧客は自分が使っているプラットホームの中から自分のプロジェクトを管理できる。初期のCodersClanは小さなタスクに限定していたので、シリアスなビッグプロジェクトを依頼されることはなかった。でも今では、デベロッパたちはTrelloのようなツールを使って、アウトソーシングで集めたプログラマたちのチームを管理できるから、大きなプロジェクトでも十分に任せられる。

同社のサービスには、今では世界中からの需要がある。いちばん多い仕事はRailsやPHP、Node.js、WordPressなどを使うWebの開発だが、最近ではiOSやAndroidのアプリケーションも増えている。

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新しいプロダクトをビデオだけで紹介するモバイルアプリProduct TV

本誌TechCrunchは、新しいプロダクトに光を当てることがその主な目的の一つだが、そんなサイトは数多くある中で、近年における(Crunchie AwardでBest New Startup賞を取った)Product Huntの成功は、プロダクトの発見だけをサービスするサイトの需要が大きかったことを、示している。

ここでご紹介するTube Centrexもその一つで、ここはProduct TVというiOSアプリを提供している。プロダクトを紹介するビデオを、Webじゅうから集めてきました、というサービスだ。でもそれは、Webアプリケーション/Webサービスではなく、iOSアプリなのだ。アイデアとしては単純だが、ポテンシャルは大きい。なぜなら、昔から言うように、百聞は一見に如かず、だからだ。しかも静止画像よりは当然、ビデオの方が強い。プロダクトの機能や使い方、背後のヴィジョンなども、ビデオならよく分かる。

このアプリを発表しているブログ記事でTube CentrexのファウンダFahad Khanが、新人のスタートアップはPRが難しくて、とくに、専門的な高度なテク系ブログ以外の一般向けメディアになかなか取り上げてもらえない、と書いている。

そこで、Product TVがお役に立ちます、というわけだ:

ビデオがプロダクトを分かりやすく説明していれば、それを見た人はすぐに評価を下せる。だからビデオはクラウドファンディングで出資者を募るのにも向いているし、誰もが、「おっ、いいな、これなら金を出そう」となる。IndiegogoやKickstarterも、プロダクトビデオがあるからこそ、成り立っているのだ。

ただしKhanによると、Product TVはクラウドファンディングのサイトではなくて、“プロダクトのマーケティングのためのIndiegogo/Kickstarterになりたいのだ”、と言う。

Product TVというプロダクトを紹介しているビデオはなさそうだが、要するに、ひとが作ったビデオを見せるだけだから、それほど目新しくはない。ビデオは、提出は自由だが、Tube Centrexのチームがキュレートしたものがあらためてパブリッシュされる。ユーザ(視聴ユーザ)は、”Watches & Wearables”(ウォッチとウェアラブル)とか”Presence & VR”(プレゼンスとVR)のように、カテゴリーを指定できる。

提出ビデオは、なるべく、公式のプロダクトビデオ(オフィシャルビデオ)が望ましい、とKhanは言ってる。公式ビデオがなければ、リビュービデオでもよい。

新製品のビデオに人気が集まるわけでもなさそうだ。ぼくが見たときの視聴者数最上位は、Google Street ViewのHyperlapseビデオで、これは2年近く前のプロダクトだ。Khan自身が、Poduct TVはまだ実験段階だ、と言っているから、今後もっと変るのだろう。

またTube Centrex自身は自分のことを、YouTubeのスターたちや、ラグジュアリーのブランド、ビデオアプリ制作者のためのプラットホームだ、と言っている。

Product TVのiOSアプリはここからダウンロードできる。アプリのAndroidバージョンとWindows 8バージョンの計画もある。

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「Ring」新モデルが4月末に出荷開始、Kickstarterは再び炎上気味

昨年10月に一般販売を開始し、よくも悪くも話題を呼んだ指輪型のウェアラブルデバイス「Ring」に、第2世代モデルとなる「Ring Zero」が登場した。

開発元のログバーの発表によれば、初代モデルと比べてジェスチャー認識精度が300%、ジェスチャー反応速度が10倍に向上し、重量も3分の1(Sサイズで5.4g)に軽量化したという。白と黒の2カラーがあり、価格は1万6900円。初代モデルの269.99ドルから約1万円値下げしたかたちだ。Amazon.co.jpで先行予約を受付中で、4月30日から発送する。

Ringは人差し指につけて空中に絵文字やアルファベット、数字を描くことで、内蔵するモーションセンサーでジェスチャー情報を取得。この情報をBluetooth経由でRingのスマートフォンアプリに送ることで、照明を点灯させたり、テレビの電源をオン・オフにするなど、事前に登録したアクションを実行できる。

第2世代モデルとなるRing Zeroでは、「Maestro(マエストロ)」と呼ぶジェスチャー認識エンジンを搭載。これによって、初期モデルと比べて、ジェスチャーのマッチング率が300%向上したのだという。

初代モデルについては僕も試したことがあるのだけど、操作の「コツ」をつかむまでは、指先のジェスチャーが認識されたのは2割程度。ログバーCEOの吉田卓郎氏によれば、「多少使い方を練習すれば、ほぼ認識される」ということだった。

第2世代モデルの「マッチング率が300%向上」についてはピンと来ない部分もあるが、吉田氏は「一度ジェスチャーの仕方を覚えるとほぼ100%認識する」と話している。それだけに、どれくらい認識率が向上したのか注目される。

Kickstarterのコメント欄が再び炎上

Kickstarterで88万ドル(約9000万円)を集めて華々しいデビューを飾ったRing。その後、デザイン変更や出荷遅延でKickstarterのコメント欄が炎上したものの、昨年10月に無事出荷をスタートした。東京・渋谷の表参道ヒルズに5日間限定でオープンした「Ring Store」には連日1時間待ちの行列ができるなど、その注目度の高さが伺えた。

その一方で、商品を受け取ったユーザーからは厳しい反応も。

Kickstarterのコメント欄には「サイズが大きすぎる」という投稿が相次ぎ、開発元のログバーは購入者にサイズ調整用のアジャスターを無料で送付している。また、YouTube上ではジェスチャー認識率の悪さを指摘する辛辣なレビュー動画が掲載され、Kickstarterの一部の支援者からは集団訴訟を呼びかけるコメントも投稿されている。

こうした声を受けて開発元のログバーCEOの吉田卓郎氏は昨年末、初代モデルに不満を持つユーザーに対して、第2世代モデルを無償提供することを発表。第2世代モデルを希望したユーザーには、4月30日以降商品が届くという。


「太陽光発電スマホ」を実現する仏ベンチャー、NTTドコモVなどから400万ユーロ調達

太陽光発電スマートフォンが早ければ今年中に商用化されそうだ。いわゆるガラケーでは、本体に搭載した太陽電池パネルで充電するモデルが2009年頃からいくつか登場しているが、スマホとなると商用化には至っていない。2008年に創業した仏のSunpartner Technologiesは、タッチパネルに透明な太陽光発電コンポーネントを組み込んで、太陽光発電スマホを実現しようとしている。

スマホやタブレットで太陽光発電を可能にするのは、Sunpartnerが開発する「Wysips Crystal」。マイクロレンズと太陽電池で構成される、薄さ0.5mm、透明度90%のコンポーネントだ。用途としてはフル充電することよりも、いくつかの重要な機能を使える最低限のエネルギーを発電することが主要機能だと、Sunparterは説明する。「例えば10分間太陽光に直接当てれば、待受けを100分、音楽鑑賞を10分、通話を2分行える」。

Sunparterは今夏までに、Wysips Crystal技術を組み込んで生産する液晶メーカーとの提携し、2015年末から2016年初めに最初のモデルをリリースしたいという。すでに携帯電話メーカー数社とは、Wysips Crystalを組み込むことで合意。日本では2014年10月に京セラと提携し、技術的・商用的な観点から評価する取り組みを進めている。

スマホやタブレットでの太陽光発電を実現するWysips Crystalの競合となる技術には、塗布型の有機薄膜太陽電池(OPV)が挙げられるが、「透明度は50%程度でディスプレイに利用できるほどの透明度ではない」とSunpartnerは指摘する。これに対してWysips Crystalは現状で90%の透明度を確保しているので、画面の視野角度が保たれるとアピールする。

スマホ以外には、スマートウォッチやデジタルサイネージ、窓ガラスなどの分野でも2015年に商用化する予定だ。

Sunpartnerは2014年夏以降、800万ユーロ(約11億円)の増資計画を進めていて、2014年12月末には第一期となる400万ユーロ(約5.4億円)の増資を完了。出資額は非公表だが、日本からはNTTドコモ・ベンチャーズが資本参加している。2015年早々には日本に事務所を開設し、国内メーカーとの協業を進めていくそうだ。


ONI Tsukkomi(鬼ツッコミ)は、Webサービスへの本音ツッコミを集めて改善するツール

電話番号にハイフンを入れるなって言っただろ! 入力やり直ーし。エラーメッセージA8602!

というJRの新幹線チケット購入サイトのようなイケてないWebサイトは論外だとしても、Webサイトを使っていて、「これはないんじゃない?」とか「もっとこうしてほしいな」と思わず突っ込みたくなることは良くある。「商品の金額表示が税込みかどうか分からないよ」とか、「何で検索ボックスがこんなに発見しづらいところにあるんだ?」とか、「ボタンをクリックしようとしたら、上からメニューがぬっと出てログアウトしちゃったよ、これ、どうすんの?」とか、「毎回この機能は探さないとたどり着けないのでトップメニューに出しておいてほしい」みたいな話だ。

画面の前でユーザーが小声でつぶやいていそうな声を吸い上げられたら、その声を全部聞いてみたい――。Webディレクターならそう思う人も少なくないのではないだろうか。

今日1月13日にサービス・ローンチしたばかりの「ONI Tsukkomi」(鬼ツッコミ)は、Webサイトに対するユーザーのツッコミを集められるツールだ。ユーザーはブラウザの画面上に直接付箋紙を貼り付けるようにコメントを残せる。Webサイト運営者やディレクター、開発者側は、この付箋をグループ別に分類してまとめたり、CSVやタスク管理ツール(現在はBacklogに対応)にエクスポートすることができる。つまり、「ユーザーからの意見収集→分類→対応・非対応の判断→タスクとして担当者に振り分け」という流れ全体を自動化しているのがONI Tsukkomiだ。

社内レビューと、外部のユーザーテストの2つの用途

ONI Tsukkomiをローンチしたリンクライブ創業者の澤村大輔氏によれば、ユーザーのツッコミ(声)は2種類が想定できるそうだ。1つはWebサイトがターゲットとしている一般ユーザー。もう1つは、社内外の関係者やエキスパートから集める改善ポイントやリクエストの声だ。

ONI Tsukkomiでは大手調査会社と提携していて100万人規模のモニターから性別や年齢、居住地域など条件別で絞り込んでツッコミを回収できる。こうしたユーザーテストは一般に「知り合いに声をかけて、使ってもらったりするんですが、ターゲット層も絞らないといけないし、これが手間。ITリテラシーはどうか、ユーザーの居住地によっては地理的な問題もある。時間も労力もかかる。特にスタートアップだと、やることが山のようにあるので、なかなか労力を使ってできない」と澤村氏。

一方、ONI Tsukkomiは社内関係者や知人・友人からの意見集約ツールとしても使える。ツッコミ用URLを発行し、それをメールで送るだけで回収をスタートできる。企業内での新規サービスを開発する場合、関係部署や役員への社内向け説明と意見集約に付随した業務が多く発生するが、ONI Tsukkomiはここらへんを効率化するツールと見ることもできる。ONI Tsukkomiに集約したツッコミをPowerPoint形式としてレポートを自動生成する機能があるのも、こうした理由からだ。澤村氏は大手ネット企業を含む約20社にベータ版を見せて回ったそうだが、そのときの反応として社内向けに今すぐにでも使いたいという声があったというのも頷ける。

ONI Tsukkomiはフリーミアムで、ツッコミ20個まで、分析者アカウント3つまでの場合は無料。これを超える場合はツッコミ容量に応じて月額9800円から。ツッコミを募る一般ユーザーまで含めてONI Tsukkomiに依頼する場合は、10人で4万2000円からという。

いまの時代のトレンドだと、「ユーザーの声を聞くなんて素人。各種KPIを見たり、ヒートマップを見たりしてサイト改善やCVR改善をする方法はいくらでもある」という意見もあるだろう。最近だとKAIZEN PlatformのA/Bテストや、USERDIVEの動画分析といった高度な解析ツールも出てきている。

これに対してリンクライブの澤村氏は、定量分析でトレンドは分かっても、取るべき対策が見えてこないもどかしさがあると指摘する。自らECサイトを立ち上げて運用していたときの経験から、「CVRが上がらない。でも、何がおかしいんだっけというのが作っている側でも分からない」ということを肌で感じたそうだ。少し意外に思えるのは、澤村氏らがリサーチした範囲では国内外ともに競合サービスが見当たらないこと。データ分析手法が発達して、取れるデータの種類や量が多くなったことから、いまの時代は定量分析側に振れすぎているのではないか、というのが澤村氏の見立てだ。また、「エキスパートな人ほど声なんかいらないというタイプが多い。自分たちで気付いて提示することが大事と言います。だから、こういう方々はONI Tsukkomiを見て、社内のエキスパートから声を集めたいという風に言いますね」という。ただ、ONI Tsukkomiは目的特化ツールとして実装の完成度は高いが、もし社内向け便利ツールにとどまるなら、市場規模的には定量分析によるマーケティング・オートメーションほど大きくないのかもしれない。

澤村氏は1986年生まれの29歳。早稲田大学法学部を卒業後に「3年で辞めて起業する」と周囲に公言して野村総合研究所に経営コンサルとして就職。人事担当者も含めて周囲には「起業したいと言う人は多いけど、実際にするヒトはいない」と本気にしてもらえなかったそうだが、本当に3年で退社。コンサルではなく自分で事業をやりたいという思いから、男性ファッションECサイトを立ち上げて、これを売却。2014年4月にリンクライブを設立したというのが経緯だそうだ。現在はコンサルティングの受託で、共同創業したエンジニアと2人分の食い扶持を稼ぎつつ、「果たして、本当にONI Tsukkomiにニーズがあるだろうか?」というのを確かめるべくプロダクト作りをしているそうだ。このため、モバイル向けとネイティブアプリ向けSDKは後回しにして、最も画面が複雑でツッコミがいのあるPC向けサイトのプロダクトをローンチしたいう。「モバイルなら2倍の料金でも払う」という声もあったそうだが、今はニーズがあるかどうかを見る段階という。

ちなみに、「野村総研退職後にECサイト立ち上げて売却」と聞くと、小さな成功という風に思えるが、本人いわく、多くの反省とともに学びが多かった体験だそう。既存ファッションECサイトがあまりにもファッション好きに向けて作られていることに疑問を覚えて、特別ファッションに興味がない男性ユーザーを想定して作り、それなりにユーザーもついたそうだが、途中でエンジニアに逃げられるという苦い経験も。この反省から、現在はコンサル案件を受託して共同創業者としてエンジニアと二人三脚で走りだしているそうだ。

そうそう、「鬼ツッコミ」という名称について。ツッコミたい読者が多いだろうから聞いてみた。

「いや、ダサいですよね(笑) ドメインとか」と澤村氏も笑うが、モチロンこれは色々考えた末に付けた名前だそうだ。海外展開よりも、まず日本でニーズをつかみたいのが1つ。それから、「少なくとも日本で展開することを考えると、圧倒的に分かっていただける名前」であることも理由。「鬼ツッコミという名前は1度聞いたら皆さん忘れません。“ツッコミ”という用語も全く自然にお使いいただけるんです」だそうだ。


LINE Payで「LINEカツアゲ」が横行する?

12月16日、ついにモバイル決済サービス「LINE Pay」がスタートした。詳しい機能や気になるセキュリティに関する話は紹介済みだが、一部では「LINEカツアゲ」が懸念されている。気軽に個人間決済ができるようになったことで、「お前飛べよ」「いや、持ってないですよ」「おい、小銭の音したぞ」みたいなやりとりをせずに、「スマート」にカツアゲが行われるんじゃないかっていう心配だ。

この点についてLINE執行役員の舛田淳氏に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。「カツアゲ自体は犯罪行為なので、警察に届けていただくべき。LINE Payを使ったカツアゲが起きたとしてもLINEにログが残っているので、リアルなカツアゲよりも足が付く。警察に一網打尽にされるでしょう」。

LINEカツアゲの被害にあった場合は警察に届け出よう。


Product HuntでユーザがCollections(好きなプロダクトのコレクション)を作れる…このサイトの人気機能になりそう

今日(米国時間12/11)Product HuntがローンチするCollectionsという機能は、ユーザが自分の好きなプロダクトをブックマークして共有できる、というもの。Collections(コレクション)を作ったユーザは、それが自分のプロフィールページに載るだけでなく、その日のトッププロダクトの合間に、自分が作ったリストが表示されることもある。

前からあったCollectionsはもっぱら、このサイトの編集者たちや、Nasなどのゲストキュレーターだけが作っていた。そして彼らのコレクションは、特定のテーマに基づいていた。たとえばデザインツールのベストとか、iOS用キーボードの優れものとか。

今度からは、ユーザが自分の好きなもののリストを作れる。ぼくは2014年のベストゲームというコレクションを作り(下図)、背景にマリオのでっかい画像を使った。それはProduct Huntのぼくのプロフィールページにある:

Product HuntのCEO Ryan Hooverによると、同サイトの成長を示す重要な測度の一つが、ここからいろんなプロダクトへ向かうトラフィックの量だ。ユーザがキュレートしたCollectionsは、共有されやすいからこの測度を上げる。つまり共有するのはこのサイトの一つのポスト(記事)だけではなくて、自分が作ったコレクションや、ほかの人が作ったおもしろいコレクションのリンクもだろう。

また、いろんなコレクションがあると、このサイトに来ることがくせになる人、やみつきになる人が増える。毎日のようにこのサイトへ来て、新しいアプリ/アプリケーションに親指アップしたりコメントしたりしている人たちも、これからは別のサービスを使ったり自分のブラウザ上にブックマークフォルダを作ったりしなくても、簡単にこのサイトで自分の好きなものをまとめることができる。また、個別のリンクを書くのが苦手な人(しゃれたリンクテキストを発明するのが難しい)でも、コレクションを作るのなら言葉や文章であまり苦労しない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


議事録から離婚まで、TechCrunchハッカソンで生まれた「○○の再開発」

「り・こ・ん! り・こ・ん!」会場に鳴り響く、大・離婚コール。11月15日、16日に東京・台場のコワーキングスペース「MONO」で開催した「TechCrunch Hackathon Tokyo 2014」での一コマだ。ハッカソンのテーマは「○○の再開発」。24時間の耐久ハックを終えてできたのは、議事録やクラウドファンディングを再定義する実用的なプロダクトから、暗くて面倒な離婚をカジュアル化するというサービスまで。ちょっと長めのレポートになるが、参加を希望していて来られなかった人や、今後ハッカソンに参加したい人のためにも、異様な盛り上がりを見せたイベントの模様をお伝えしたい。

ドラえもんの「ひみつ道具」でアイスブレイク

当日は週末にもかかわらず、140人近くが参加。中には小学5年生の女子もいたが、参加者のほとんどは社会人。チームではなく個人での参加が大半だったせいか、会場には若干の緊張感も見られた。

そんな空気をほぐすアイスブレイクでは、スケッチブックに一筆書きで、自分が最も好きなドラえもんの「ひみつ道具」を描けという指令が。ぐるっと会場を見回してみると、どこでもドアが多い印象。

そのほかにも、もしもボックスやスモールライトがあったり、

特別ゲストとして参加してくれたmasuidriveこと、トレタの増井雄一郎さんは「こえかたまりん」を描いていたり、

もはや一筆書きでもなく「???」といったものまでが描かれていた。

APIを1つ使えばルールは自由

アイスブレイクの頭の体操で空気が和んだ後は、ハッカソンで利用するAPIの説明だ。今回のハッカソンでは下記のAPIのいずれかひとつを使ってサービスを開発することがルール。それ以外は、使用言語や開発プラットフォームは自由。こっそりランサーズに発注するのもアリだ。

・デンソー:NaviCon(スマホで探した場所をカーナビへ送るアプリ)のURL発行など
・エクシング:言語解析API(係り受け・形態素・ポジネガ・感情・感覚の解析)
・HOYAサービス:VoiceText Web API
・セイコーエプソン:MOVERIO BT-200
・朝日新聞社:朝日新聞記事検索API
・楽天:楽天API(楽天市場や楽天ブックス、楽天レシピなどの情報を取得できる)
・構造計画研究所:クラウドメール配信サービス SendGrid
・Gracenote:音楽ソリューションAPI
・KDDIウェブコミュニケーションズ:クラウド電話&SMS API Twillio
・ぐるなび:ぐるなびレストラン検索APIなど
・インテル:Edisonボード、Galileo開発ボード
・シャープ:ネットワークプリント
・ソフトバンクロボティクス:Pepper
・NTTドコモ:ドコモAPI(画像・文字・音声認識、音声合成、トレンド記事抽出など)

アイデア発想のコツは「他家受粉」

各社15分ずつの熱のこもった説明を終えると、次はアイデアブレストの時間。ハッカソンの進行役を務めたリクルートの伴野智樹さんは、そのコツは「他家受粉」にあると話す。

他家受粉とは、他の個体の花粉によって受粉されることを指す言葉。遺伝子の組み合わせが増えることで、種としての適応度が高まる。ハッカソンにおいては、異なるアイデアやコンセプトが専門領域を超えて「受粉」しあうことで、社会環境でのアイデアやコンセプトの適応度も高まるのだとか。

伴野さんが「他家受粉」を促すために採用しているのが、アイデア吐き出しツールとして知られる「はちのすボード」だ。

参加者は、いくつものマスで構成される「はちのす」の中央に、自分が興味のあるAPIを書き、その周辺の「はちのす」にAPIに関連するキーワードを書いていく。例えばTwillioであれば、「メール」「電話」「SNS発信」といった感じだ。

さらに、周りの「はちのす」に、自分が作りたいプロダクトのテーマ、例えば「エンタメ」や「目覚まし」といったキーワードを記入し、そこからそのキーワードを細分化していく。

こうすることで、自分では考えも付かなかったアイデアとAPIの組み合わせが生まれるのと、伴野さん。「イノベーションは意外と、偶然の組み合わせの先にあるんです」。

ぼっち飯、自己紹介、離婚……再発明が続々

はちのすボードを書き終えると、次は「アイデアシート」に記入する。アイデアシートは、今回のテーマである「○○の再開発」を設定し、3行のサービス概要と絵を入れることがルール。利用を検討するAPIも書き込む。

全参加者がアイデアシートを記入した後は、お互いのアイデアを確認するための「アイデアウォーク」。あまり聞き慣れない言葉だが、ざっくり言うと、参加者がお互いのアイデアシートを見て、良いと思ったアイデアに星マークを付けたり、付箋でアドバイスを貼り付けたりするもの。

チームビルディングが後に控えるだけあって参加者が熱心なのはもちろんだが、APIパートナーも外部の知恵を取り入れようと、熱心にアイデアシートを覗きこんでいたのが印象に残った。

ちなみに、最も多くの星を集めたアイデアの1つは「離婚の再発明」というアイデアだった。

お互いのアイデアを確認した後は、いよいよチームビルディングだが、その前に多くの星を集めた「モテアイデア」の持ち主が参加者の前でプレゼンを実施した。

そこでは、特別ゲストとして参加した堤修一さんも登場。iOS方面で著名なエンジニアの堤さんは、500 Startupsに参加するグロース・プラットフォーム「AppSocially」の元開発者でもある。アイデアは、エプソンのスマートグラス「MOVERIO」で相手を見ると、その人がどんな特技や技術を持っているかがわかるというもの。「ハッカソンで初めて会う人同士が神経をすり減らさなくて済む」とアピールしていた。

チームビルディングは、伴野さんの「ナンパしまくってください」という掛け声とともにスタート。

参加者の7割が徹夜でハック

チームビルディングで作られたのは合計32チーム。その後はひたすらハッキング。エンジニア、ディレクター、デザイナーがひたすら手を動かす時間だ。

ハッキング開始から約4時間後には各チームが中間発表。それぞれが独自の「再開発」のアイデアを披露した。

その後はひたすら、ハッキング。

夕食の弁当がふるまわれたあとは、

ハッカソンでよく見るレッドブルの差し入れも。250本のレッドブルタワーは一瞬にしてなくなった。

多くの参加者が近くの「大江戸温泉物語」などで泊まり込んだり、会場の机につっぷしたり、

地べたで寝るなど、ハッカソンならではの光景も見られた。参加者の約7割は自宅に帰らずに開発を続けていたようだ。

朝型、明らかに前日と比べて疲労の表情を色濃く見せる参加者だが、最後の追い込みにむけて作業を続ける。Pepperくんもグッタリしていた。

そしていよいよ、成果発表のときだ。審査基準は「イノベーション」「完成度」「デザイン」の3点。中でも最も重視するのがイノベーション。つまり、革新性と新規性というわけだが、ここでは入賞した5作品を紹介しよう。ちなみに5チームは、11月19日に東京・渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo」でライトニングトークをしてくれた。

CFTraq(クラウドファンディング・トラック)

クラウドファンディングサイトをクローリングして情報を取得するサービス。複数のサイトの情報を一元化できるのが特徴で、各サイトで募集中のプロジェクトを一覧したり、過去の調達額や支援者数の多い順にプロジェクトを表示することができる。プロダクトを開発したsawayamaさんは、「クラウドファンディングのプロジェクトは基本的に公開されているが、情報が整理されていない。個人的にも欲しかった」と話していた。

どこでもドアノブ

世界各国の観光地に行った気分になれるドアノブ風のガジェット。ドアノブを回すと世界各国の映像を表示したり、現地の人とTwillioを通じて音声通話できるというもの。音声通話は観光地のパブリックスペースに電話を設置する。例えばエジプトのピラミッド近くに設置した電話に発信した場合、「おい電話なってるぞ」と気づいた人が出るのだとか。審査員を務めたコイニーの久下玄さんは「誰が世界各国に電話を設置するの? 電源やネットワークは?」と戸惑いながらもアイデアをたたえていた。

loltube

15秒間のニュース動画を作成して共有するサービス。ユーザーはYouTubeから動画のハイライトをピックアップして15秒にまとめる。ゲームのプレイ動画などテキストでは伝わりにくいネタが適しているのだという。投稿された動画を組み合わせてストーリーを作ることもできる。

ギジロク ジョーズ

周囲360度を撮影できるカメラ「RICOH THETA」を使って議事録を作成するアプリ。音声認識で発言を文字起こしし、LINE風のUIで議事録がまとまる。THETAで撮影した画像は顔認識技術を用いることで、誰が何を話したかを特定することが可能。特定の会話の動画を再生できるので、会議の雰囲気も伝わるのだとか。みやこキャピタルの藤原健真さんは、「シンガポールに文字起こしのスタートアップがあるが、日本にはプレーヤーがいない。音声認識できない部分はクラウドソーシングで文字起こしすれば良いサービスになる」と高く評価していた。

密告者

電車内の痴漢を監視するアプリ。痴漢被害にあった女性はアプリを開いてHelpボタンを押すことで、電車内に設置されたGalileo端末からドコモの音声合成APIを用いて「痴漢です」というアラートを流せる。Bluetooth通信で同じ電車に乗っているアプリの利用者全員にメッセージを送ることもできる。通信面ではメッシュネットワークを採用。Bluetoothだけでチャットができるため、インターネットに接続できない地下鉄でも利用できる。蓄積したデータをもとに、どこの路線の何番車両に痴漢が多いか、といったこともわかる。

アグレッシブ離婚
最後に、惜しくも入賞は逃したものの、会場で熱狂的な支持を集めたプロダクトをお伝えしたい。「日本は離婚がタブー視されすぎている」ことを問題視したチームが手がけた「アグレッシブ離婚」だ。ウェブ上で相手の電話番号とコメントを入力するだけで離婚を申し込めるという、まさに「離婚の再開発」といっていいプロダクトだ。

離婚申込み後は、Twillioが承諾を求める電話を代行。人間味のない自動音声で「離婚に承諾する場合は1を、しない場合は2を…」という声が流れるデモでは、会場が大爆笑の渦に包まれた。プロダクトとしてはちゃんと設計されていて、離婚の承諾が得られた場合には、承諾の意思と離婚届を印刷できるネットワークプリントサービスのコードをメールにて通知。近くのコンビニのコピー機で離婚届を印刷、提出して離婚が完了となる。

審査員を務めたリクルートホールディングスの石山洸さんは、「リクルートはゼクシィをやっているが、離婚が増えるともう1回結婚することになる。トランザクションが増えるので、ぜひ流行らせてほしい」と大絶賛(?)していた。

Some photos are shot by joohoun(twilio)


オープンイノベーションの祭典「Mashup Awards10」決勝で発表された気になる6作品!

リクルートホールディングが主催する日本最大級のWebアプリ開発コンテスト「Mashup Awards」が今年も開催された。2006年からはじまったこのコンテストは今年で10回目。8月29日から10月26日までの約2カ月の応募期間中に359作品もの応募があり、その最優秀賞を決定するイベント「MashupBattle Final Stage」が11月19日に「TechCrunch Tokyo 2014」で開催された。ここでは決勝で発表された気になる6作品を紹介する。

MashupBattle FinalStage(決勝)で発表された作品

・作品名:「無人IoTラジオ Requestone (リクエストーン)」 ※最優秀賞
カフェやイベント会場でラジオのようにリクエストを受け付けながらBGMを流せるサービス

メールやTwitterなどからBGMのリクエストを受け付け、タイトルを読み上げ、YoutubeAPIから取得してきた音楽を流す無人ラジオサービス。曲のリクエストだけでなく、例えばイベントの感想などをRequestone宛に送ると、メール文面の雰囲気を言語解析し、VoiceTextAPIを活用して雰囲気に合わせた口調で読み上げ(音声垂れ流し)、雰囲気に合わせた曲をGracenoteAPIのムード情報より選曲し曲をかけることもできる。別の利用方法としては、Edisonの入っているガジェッドのセンサーが外部の環境を検知すると、それをトリガーにして緊急放送などを流すこともできる。(例:地震です。)

 

・作品名:「うまいドライブ
安全運転のためのクルマアクセサリーガジェット「ちゃぶ台デバイス」と「豆腐ちゃんモバイル」

車内に設置された「ちゃぶ台型デバイス」に豆腐をのせ運転。荒っぽい運転をするとちゃぶ台が揺れ、荒すぎると豆腐がひっくり返る。ひっくり返った場所は危険個所としてマッピングされ、メールには豆腐レシピ届く。 ただ、やはり豆腐をのせて運転するは危険なので、豆腐ちゃんモバイル(ガジェッド)を作成。 豆腐ちゃんモバイルは危険な運転をすると顔が光ったり(感情表現LED)、アロマが出たり(超音波噴霧器)する。

 

・作品名:「T☆L Perc!!
人を触って音を出すデバイス(人間楽器)

スマホとウェアラブルデバイスを使い人間パーカッションを実現した作品。Arduinoで作られている。デバイスのホスト部分を持った人が、デバイスの輪を持った人にさわると、人間に電流がとおり音が出る。輪は複数あり、それぞれで鳴る音域が変わる。鳴らす音の種類も、太鼓、ピアノなどスマホ側で変更できる。デモVTRでは女子大生がホストとなり、周りの人を触りながらドレミの歌を演奏していた。

 

・作品名:「Intempo
流れる音楽のリズムに乗って歩けば、乗りたい電車の時刻にちょうどよく到着できるアプリ
出発駅と目的駅を入力し、自動的に表示される候補から乗りたい電車を選択すると、アプリが一定距離内での歩幅や歩数を自動計算して曲を選出する。流れる音楽のテンポ通りに歩けば、出発時刻ちょうどにホームに到着する。GracenoteAPIを活用してBPMデータを取得。歩幅あたりの移動距離などのデータとBPMを照合し、曲を選出している。この作品は、「ホームでの待ち時間をなくす」「駅までの単調な道を楽しくする」という課題解決もしているのだという。

 

・作品名:「ごはんですよ!
ボタンを押すと、登録したスマホを一時的に強制ロックするガジェット

ガジェットのスイッチを押すとBLEが発信され、「ごはんですよ」という画面をスマホ側に強制的に表示し、スマホを使えなくする。電話もできないし、電源も切れないので、あきらめて食事に集中するしかないのだとか。ごはんが終わって、もう一度スイッチを押せば「ごはんですよ」状態が解除される。ガジェットにはBLEが2つ入っており、ONにするものとOFFにする使い分けをしている。NFCを使えばガジェットからスマホに簡単に設定でき、スマホがロックされている間はボタンが赤く光る。

 

・作品名:Tetris 3D Modeller
三次元テトリスをプレイするだけで3Dモデリングができるブラウザアプリ
ゲーミフィケーションではなく、ゲームをツールにした作品。 なので、3Dテトリスを楽しむだけで、5分でペン立て、2分でコースター、2秒でフォトスタンド、1秒で箸置きが作れる。テトリスなので1列揃うと消える(なのでコップは作れない)。時間制約があり、かつ取り消しはできない。微妙な隙間が作品に独特な「ワビサビ」をもたらす。GitHubでソースコードも公開中とのこと。3Dモデルをもっと身近にしたいという想いが込められた作品。

決勝では合計15作品が発表されたが、そのうちの6作品を紹介した。他の作品も気になる方はMashup Awards公式ブログを参照いただければと思う。
【決勝レポート】Mashup Battle Final Stage~全作品紹介~

 

オープンイノベーションの場としてのMashup Awards

最優秀賞を獲得した「Requestone」は、Mashup Awardsらしい特徴を2つ持っているのでその特徴をご紹介したい。

1つ目の特徴はハッカソンで作られた作品ということ。

Mashup Awards10では9つの都市で計11回のハッカソンを行ってきた。「Requestone」はインテルと共催した「インテル Edisonボード ハッカソン」で作られた作品。ハッカソンは、Mashup Awardsの原点である、「Mashupして作ってみた」を楽しんでもらう場であり、参加者が新しい仲間・API・企業と出会う場だ。しかし何よりも重要なことは、偶発的イノベーションが起こる場ということ。日頃から漠然と考えていたアイデアの種が、APIの説明や、参加者との会話などと混ざり合い、偶発的にサービスアイデアという形でアウトプットされる。人に説明するうちになんだか作りたいという欲求が湧き出て、業界調査や、競合調査もせず、ビジネスモデルや、ターゲットすら決めず、自分が面白いと思ったから作る。そんな原始的な欲求から物事をアウトプットする機会であり、作ってみたらまた違う何かを感じることのできるイノベーションの場といえる。

2つ目の特徴は、様々なAPIをMashupして作られていることだ。利用APIは、VoiceTextAPI(HOYA)、言語解析WebAPI(エクシング)、音楽メタデータAPI(グレースノート)、YouTubeAPIなど9種類に上り、それらのAPIとインテル Edisonの連携によって作られている。多くのAPIを利用する作品は少なくはないが、Requestoneは各APIを有機的に機能して組み合わされて作られていることが高く評価され、最優秀賞となった。

最近のビジネス界の旬なキーワードの1つに「オープンイノベーション」というものがある。企業内部と外部のアイデアを組み合わせることで革新的で新しい価値を創り出す、という企業活動を指す言葉だ。Mashup Awardsはオープンイノベーションと言える。自社のビジネスや技術を第三者に利用可能な状態(オープンな状態)にする、「API」を公開している企業が複数参加することで成り立っているからだ。企業は自社APIを、いろいろなエンジニアに「第三者の視点」で利用してもらう場としてMashup Awardsを活用している。

Mashup Awardsでは、企業とエンジニアが対等な立場で接する雰囲気なのも特徴だ。例えば、夜を徹して行われるハッカソン。深夜から早朝まで、参加者に寄り添い、無理難題のような質問にもできるだけ答えようとする企業担当者の姿がある。そして、参加者が受賞をすると企業の担当者も一緒に喜ぶ。参加者が作りたいものを二人三脚で取り組む。そんな共創がオープンイノベーションには必要なのではないか。Mashup Awardsでどのようなオープンイノベーションが行われているのかを知ってもらうために、今年の作品の中でMashup Awardsらしいと思う作品をいくか紹介したが、来年は、ぜひ自ら参加してみてください。


「資金はすべて米国にぶっこむ。日本には残さない」–メルカリとスマニュー、海外でどう戦うか

これまで多くのスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。しかし今年はスマートニュース米App Storeで1位を獲得するなど明るいニュースもあった。

先日のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」では、そのスマートニュースに加え、日本で600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、すでに海外ユーザーを多く抱える対戦脳トレアプリ「BrainWars」からキーパーソンを集め、「世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?」と題しディスカッションした。

モデレーターを務めたのはTechCrunch Japan編集部の増田覚。冒頭で、「そろそろメジャーリーグで日本人選手の先駆けとなった野茂英雄のような存在が、日本のスタートアップ業界にも必要なのではないか?」と問いかけた。果たして、この3社が野茂となるだろうか。まずはそれぞれの海外展開の現状について整理しよう。

米国で10月リリース、いきなり1位になったスマニュー

スマートニュースについて紹介したのは、共同創業者で代表取締役を務める鈴木健氏。同アプリは2年前にリリースされた。機械学習と人工知能でネット上の情報を集めてきて、快適に読んでもらおうというアプリだ。

リリースから25カ月で500万ダウンロードを突破した。UIに多少の変更を加えて10月に米国でリリース。米国のAppStoreのニュース部門では見事1位を獲得した。多くのメディアに取り上げられ、レビューも好評とのことだ。

メルカリ、来年は欧州市場も

メルカリはスマホから簡単に出品・購入ができるフリマアプリで、去年の7月にリリース。取締役の小泉文明氏によれば、ダウンロード数は600万を突破し、月間数十億の売買が発生しているという。出品数は1日10万品目に上る。テレビCMも効果が出ているそうだ。

今年3月に14.5億円を調達してサンフランシスコにオフィスを開設した。米国では今年9月にアプリをローンチ。カテゴリでひと桁台の順位につけているという。「来年はヨーロッパにも進出したい」と小泉氏は語る。

BrainWarsは驚異の海外比率95%!

トランスリミットは1月に設立したばかり。1つ目の製品が「BrainWars」という対戦型脳トレゲームアプリだ。友達と対戦しながら頭を使うゲーム遊ぶと、自分の得意・不得意分野が分析される。現在、16種類のゲームが用意されており、アップデートごとに2〜3のゲームが追加される。米App Storeのゲーム部門で1位を獲得し、アプリは700万ダウンロードを突破している。友人間のクチコミで伸びており、ここまで広告費を一切払ったことがないそうだ。

もう1つの特徴は海外比率の大きさだ。国内のユーザーはわずか4.6%にすぎない。残りの95.4%が海外からのアクセスで、米国と中国が多いものの、「その他」が22.7%とかなり細分化されている。合計150カ国以上で使われているという。代表取締役の高場大樹氏は「ゲームをしていると普通に外国人とあたる。言葉の壁がなく遊べる。同じ脳トレをやっているので頭脳のオリンピックみたいになる」と語った。

海外展開に向けてUIは変更「日本向けはごちゃっとしている」

リリース時から海外を意識し、すでに海外ユーザーが多いBrainWarsは別として、スマートニュースとメルカリは米国に進出する際に、何らかのUIを調整した模様だ。「グローバルに通用するのはどんなUIなのか」というお題に対して、それぞれ興味深い答えが帰ってきた。

スマートニュースの鈴木氏は、「もともと海外を意識しており、普遍性のあるアプリに仕立てていた」と言う。ただし、言語やUIは日本向けに作っていた。例えば日本人向けに少々ごちゃっとしたデザインにしていたが、米国でユーザビリティテストした結果、変更する必要性に気づいたそうだ。「米Flipboardのデザイナーがアドバイザーになってくれて、どういうデザインにしたらいいか議論してリリースした。まずまずUSのユーザーにとっても使いやすいと評判のものに仕上がった」と振り返った。

メルカリの小泉氏もほぼ同じようなことを語った。「UIについては初期のメルカリはすごくごてごてしていて、日本ぽく、東アジアっぽかった。それが日本にウケていたけど、9月に米国でローンチするにあたって、ちょっとださいと感じた。かなり大胆に米国に適応させ、日本を無視したデザインにした」という。すでに日本版も米国版と同じUIになっている。日本人ユーザーが離れていかないか心配だが、「普段、TwitterとかFacebookとかInstagramとか米国製アプリが日本で使われているので付いてこれると思っている」とのことだ。

小泉氏はさらに、「実はGoogleやAppleがアドバイスしてくれる。ここは直した方がいいよって。それを参考にした」とも打ち明けた。意外と細やかなサポートがあるようだ。

米国は世界への近道、初めに押さえないと勝てない

そもそも、なんで最初に米国なのだろうか。アジアという選択肢はないのか? それに対する小泉氏の答えは以下のようなものだ。

「メルカリはC to Cのプラットフォームなので、1社しか独占できない。必ず“Winner takes all”になる。英語圏で他社にシェアを取られたら、そこで終わり。もう勝てない。だから米国に行った。SonyやHONDAも米国で認識されてグローバル企業になった。ヤフオクとeBayを見ても、米国の方が数倍規模が大きい。日本を捨ててでも米国を取るべき。英語圏をとったら世界で勝てる、逆にそこを取れないと厳しい」。

一方で鈴木氏は個人的に米国に行きたかったそうだ。「向こうに行くとテンションが上がる(笑)」と嬉しそうに話す。「十何年か前に行ったときは感激した。いつか米国市場に挑戦したいと思っていた。でも気持ちだけでは会社を動かせない。グローバルに進出するときに米国を通るのは、難しいけど近道。ニュース分野では基本的に世界中の人が米国のニュースを見ている。米国のパブリッシャーとユーザーに愛されるものを作ろうと、会社で説明して、幸運にもうまくいった」。

それぞれ根本の動機は違うものの、世界で勝つには米国市場を押さえなければいけない、という意見は一致している。

ゲームの最高ランクを「神」にしたら大問題に

日米でユーザーの反応に違いはあるのか。BrainWarsの場合は興味深い差異が見られたという。2人で対戦する前と後にスタンプでコミュニケーションをとれるようになっているが、その使い方に違いがある。

「日本人は負けた時、涙マークとかのスタンプだけど、欧米人はグッジョブ!みたいなスタンプを送る。日本は対戦前に笑顔マークを使うが、米国の人はハートマークとか」と高場氏は説明した。

また同氏が、海外展開を試みて初めて直面した意外な問題点もあった。「ゲームの中に『グレード』という称号がある。ヒヨコ、うさぎ、亀とランクが上がっていく。そして最後は神。日本人はAKBに神セブンと名づけたり、神技という言葉があったり、『すごい』っという意味で使う。そうしたらヨーロッパのユーザーから『神への冒涜だ!』と叱られて即刻、取り下げた(笑) 世界の事情をちゃんと知らないといけない。何もかも準備するのは難しいので、問題が起きたらすぐ対処できるようにしている」(高場氏)

米国でオフラインモードはいる? いらない?

小泉氏は基本的に、初期の日本人ユーザーの動きと違いはないと分析した。ただし、ひとつ変わっていたのが「招待インセンティブ」への態度だという。友だちを招待したら◯◯ポイントをプレゼントするというものだが、米国人はこれが思いのほか好きなのだとか。「普通にTwitterとかFacebookとかで紹介してくれる。ユーザー獲得のところは良い意味で驚きが多かった」と振り返る。

鈴木氏も「思ったより反応が良かった」とポジティブな感想を持っている。「米国は車社会だからオフラインモードとかいらないのでは? それよりラジオみたいな音声読み上げじゃないの? とかいろいろ言われていた。でもやっぱり米国はネット回線の環境が悪いのでオフラインモードは受け入れられた」と語る。

ニュースをめぐる環境に違いがあるとすれば、米国の方が「ニュースソースに対するブランド感が強い」ということだそうだ。「だから米国はニュースアグリゲーションよりもCNNなどのパブリッシャーの方が強い。しかしパブリッシャーは日本よりも寛容。米国ではFlipBoardがすでに切り拓いていた。僕らはパブリッシャーフレンドリーなサービスで、スマートモードで発生する収益はすべてメディアに渡す。『まじで?すごいな!』となった」(鈴木氏)

「でも日本ではリリース当初、怒られていましたよね」と増田記者が突っ込むと、鈴木氏も認めた。「2年前にアプリを出した時、僕と浜本だけで、まともにパブリッシャーと話ができていなかった。そこで元アイティメディアの会長・藤村さんに入ってもらって、スマートニュースについて説明してもらって、どんどんいい関係を作っていけた」

海外展開の際は「最初の1人をどう選ぶか」が大事

組織の話になってきた。海外展開に向けて、各社とも組織づくりで意識したことはあったのだろうか。

小泉氏は「最初の1人をどう選ぶか」にかなりこだわったという。「時間はかかるが、最初の数人を間違わないで選ぶこと。いきなり100人とかとるわけじゃない。1人目が重要。それによって次の人も決まる。メルカリは米国でかなり知名度がある人にアドバイザーになってもらった。人づてで会ってもらい、プロダクトを見せると、『クールだ。ぜひ一緒にやりたい』と言ってもらった。いま20人以上にまでなった」

ちなみに現在メルカリの米国オフィスを率いるのは取締役の石塚亮氏。中学時代から米国に留学し、大学卒業後そのままRockYouというソーシャルアプリ会社をシリコンバレーで創業した経験を持つ。創業者の山田進太郎氏が、米国進出を見据えて誘った人物だ。その彼が半ば片道切符で米国を開拓しているという。

「銀河系軍団」を目指すスマニュー、空中分解しないための工夫

スマートニュースはチーム作りのロールモデルが2つあると、鈴木氏は言う。1つはGoogle。そこはなんとなく想像できるが、もう1つはスペインリーグのサッカーチーム「FCバルセロナ」だそうだ。どういうことだろうか?

「僕らのチームつくりのテーマは“日本代表から世界選抜へ”。世界で戦うにあたっては世界選抜が必要で、世界トップの人材を集めたい。あらゆる分野でそういう人材を入れたい。米国は現在サンフランシスコが4人、ニューヨークが2人だが、もっと拡張してグローバルのヘッドクオーターを米国に作る」(鈴木氏)。

“米国における藤村氏”も見つかったという。要はパブリッシャーとの交渉役である。「春に出張したときにRich Jaroslovskyさんと会った。彼はもともとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)で政治記者だった。レーガン大統領とともに来日して昭和天皇に会ったこともある。WSJのマルチメディアの立ち上げにも関わった。そんな彼が米スマートニュースでパブリッシャー担当となっている」と胸を張った。

「でも、銀河系軍団は失敗しがちじゃないですか?」という問いに対して、鈴木氏は自信を持って答えた。「採用を決めたら、日本に2週間くらい滞在してもらう。すごく仲良くなる。あと面接のフローも僕らは相当長い。しっかりとコミュニケーションを取っているので、離職率はいまのところゼロ%です」

スマートニュースの知名度は米国ではまだ低い。なぜ採れるのか? と不思議に思えてくるが、鈴木氏によれば、「米国人は知名度だけで選ばない。プロダクトとビジョンとチームにどれだけ惹かれるか」だそうだ。プロダクトに惚れさせれば、意外な大物を一本釣りできる可能性もあるらしい。

一方でトランスリミットは他の2社とは違い、海外拠点を作らない方針だ。高場氏は「アプリデベロッパーとして世界展開するので、日本1カ国を拠点として多国籍のチームを作りたい。米国で拠点を作らないのかと聞かれるが、まだ日本に7人のチーム。いま米国に作って、管理工数を取られ、マネージメントとかでスピードが落ちるより、日本で地盤を作って海外にはマーケティング機能を置く方がいい」と語る。

アングリーバードなどは1つの国で作ったものをマーケティングで世界に広げた好例だという。「不可能ではないと思ってやっている」と高場氏。

米国は大きなチャンス、「すべてをぶっこむ」

最後の質問は「ぶっちゃけ海外にどれだけ使いました?」というもの。

小泉氏の答えはとても明確だ。「(10月に)調達した24億円は基本的に米国版を立ち上げるための資金。日本でもCMとかでお金は使っていますけど、基本的にはすべて米国にぶっこもうと思っています。日本に残す必要はない。米国を制することができなければメルカリはもう無理だという気持ちで、全部使う」と話した。

12月以降にようやく収益が上がりはじめるスマートニュースも、それらの投下先はグローバル市場だという。鈴木氏は「世界人口の半分がスマホを使う。新聞読む人は減っていき、『初めてニュースを読むのはスマホ』という人が数十億人規模で生まれる。そこに全力で挑戦して、世界中の人たちに使ってもらえるサービスを作りたい」と展望を語った。


TC Tokyoにメルカリ、スマニュー、BrainWarsが登場! 世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?

photo by
Steve Cadman


左からトランスリミット高場大樹さん、メルカリ小泉文明さん、スマートニュース鈴木健さん

600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、500万ダウンロードに達したニュースアプリ「スマートニュース」やリアルタイム対戦型脳トレアプリ「BrainWars」――。3つのプロダクトに共通している点がある。いずれも海外市場を戦いの舞台としていることだ。これらのプロダクトを手がける3社が、「TechCrunch Tokyo 2014」2日目の11月19日に登場することが決まったので、お知らせしたい。

これまで、いくつものスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。そんな中、TechCrunchでも伝えたように、スマートニュースは10月にリリースした英語版が米App Storeのニュースカテゴリーの1位を獲得。米メディア界に豊富な人脈を持つメンバーを次々に採用するなど、人材面でも海外展開を加速していることが伺える。

BrainWarsはリアルタイムでのオンライン対戦が可能な脳トレゲームアプリ。友人や世界中のユーザーとリアルタイムのマッチングを行い、各種脳トレゲームの対戦スコアを競い合える。公開から5カ月で500万ダウンロードを突破し、海外ユーザー比率はなんと95%。米App Storeのゲームカテゴリで1位を獲得している。

BrainWarsを手がけるトランスリミット代表取締役の高場大樹さんは、創業当初のインタビューで「脳トレは非言語コミュニケーション。どこの国の人でも共通の土台で戦える。年齢も子どもから大人までカバーできるので提供範囲も広い」と語っていたが、その狙い通りに海外展開が進んでいるようだ。

10月にはLINEの投資ファンドなどから総額3億円を調達。LINE執行役員の舛田淳さんが「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」と評価するように、海外市場を狙える数少ない日本のプロダクトの1つと言えそうだ。

国内のフリマアプリ市場で存在感を示すメルカリは、今年3月にサンフランシスコに子会社を設立。9月に米国でのサービスを開始した。メルカリ代表取締役社長の山田進太郎さんは、「何から何まで日本と事情が違う」と驚きつつも、1日の出品数が数千件に上るなど、順調な滑り出しを見せている。立て続けに実施した大型資金調達を受け、米国でのマーケティングを本格化していくそうだ。

TechCrunch Tokyo 2014では、スマートニュース代表取締役の鈴木健さん、トランスリミット代表取締役の高場大樹さん、メルカリ取締役の小泉文明さんにご登壇いただき、世界市場で戦えるスタートアップに必要なものは何なのか、といった話を伺う予定だ。

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海外利用が8割超! 画像キャプチャ「Gyazo」に見る、トランスカルチャーなプロダクト作り

「Gyazo」はスクリーンショット画像にURLを付与し、クラウド上に保存できるサービスだ。2011年1月のリリースから約3年で月間ユニークユーザーは375万人、月間アップロード数は1540万件。日本発のサービスでありながら、国別ユーザー比率は日本の14%に対して、北米が33%、ヨーロッパが37%、ロシアが4%と、海外利用がダントツで多いのが特徴だ。有料会員は4500人(1ユーザー月額400円、法人1アカウント月額500円)に上る。そのGyazoを手がけるNOTA,inc.が11月11日、オプトとYJキャピタル、みやこキャピタルから総額200万ドル(約2億円)の資金調達を実施した。

NOTAのCEOである洛西一周さんは、12歳よりプログラミングを始め、2003年度にはIPA未踏ソフトウェア創造事業認定スーパークリエータにも認定されたエンジニア。大学時代の1999年に開発したメモ・スクラップソフト「紙copi」を100万ダウンロード以上のサービスに成長させ、事業売却も果たしている。ジャストシステムに「ネタの種」という製品名でOEM提供したり、一太郎シリーズに同梱されるなど、紙copiシリーズの売り上げは累計で約3億円に上ったという。

ところで、なぜGyazoは海外で強いのか? 洛西さんは、ジャストシステムとの協業での反省が背景にあると語る。「当時、一太郎は技術的にはWordと競っていたのですが、マーケティング的な面で失敗して、結果的には紙copiとの協業も終了してしまいました。これらの動きを見ていたことで、プラットフォームを作るには世界展開が必須ということを痛感し、大学院卒業後の2007年にシリコンバレーに渡り、NOTAを設立しました」。

洛西さんいわく、「Gyazoには紙copiの成功で得たツール開発の技法と、シリコンバレーで学んだプロダクトのマーケティング手法が詰め込まれています」。ここで言うマーケティングとは、グローバルなプロダクトの作り方全体に関わるもので、製品設計(UI)やデザイン、トップページのキャッチコピーなどに影響する。Gyazoの場合、「日本の製品を米国向けにローカライズ(またはその逆)」という視点ではなく、最初から完全に「全世界で勝てるトランスカルチャーの製品をつくる」という発想で開発している。

その発想はプロダクトのコピーライティングにも現れている。例えば、英語では「動詞」を最初に持ってきて、人にアクションを促す、「Call to Action」と呼ばれるコピーを重視。英語のネイティブにしかわからない凝った表現はあえて排除し、どの国の人にも馴染みのある簡単な単語を使っている。NIKEの「Just do it」やYouTubeの「Broadcast yourself」などが典型例だが、Gyazoでは「Capture Everything」や「Share Faster than a Ninja」がそれに該当するのだろう。

「コピーライティングで重要なことは、利用者の口コミを促すことです。ユーザーが他の人に紹介しやすい価値を提示する必要があります。Gyazoの場合は、『Fast』や『Easy』などがこれに当たります。いったん、これらが受け入れられたなら、その価値を増やすために開発もその方針にそって行います。このように提供する価値もコピーもとてもシンプルな言葉になるのが、トランスカルチャー的なプロダクトの特徴です。」

海外利用比率が8割を超えるGyazoは、問い合わせも英語が大半を占めている。こうした問い合わせには、丁寧でもったいぶった表現ではなく、フランクな表現を意図的に使うと、洛西さんは語る。「例えば、ユーザー向けのメールで『Mr』や『would』のような表現は使いません。フランクな話し方はトランスカルチャー文化な人達が得意な方法で、これによって短期に信頼感が醸成されます。むしろ、丁寧な表現は、すぐには打ち解けられないという不信感を生みます」。

Gyazoは、当時AppleでiPhoneの日本語入力に携わっていた増井俊之さんとシリコンバレーで開発した製品。最初から英語版が存在していたが、試行錯誤をしながらグローバルに展開してきたと洛西さんは語る。コピーライティングやユーザーサポートは一例にすぎないが、グローバルに利用されるプロダクトの必要条件といえるかもしれない。

増井さんは、未踏ソフトウェア創造事業で洛西さんのプロジェクトマネージャーを務めた師匠筋にあたる人物。これまではアドバイザリーフェローとしてGyazoの開発と運営に関わってきたが、今回の資金調達のタイミングで、NOTAのCTOに就任。本格的に経営に関わることとなる。

NOTAは米国に登記されているが、実働の拠点は京都。今回、Gyazoに出資したみやこキャピタルの藤原健真さんがTechCrunchに寄稿してくれた「シリコンバレーや東京にできない『地方スタートアップ』の戦い方とは」でも紹介しているが、「地方発」として海外に挑戦するベンチャーは2017年までに1億ユーザーを目指す。


テック業界で人気沸騰! Product Hunt創業者がTC Tokyo 2014にやってくる

Ryan Hoover

TechCrunchの読者であれば、シリコンバレーのテック業界で、いま突然現れて時代の寵児ともてはやされている「Product Hunt」の創業者、Ryan Hooverをご存じの方も多いかもしれない。11月18日、19日に東京・渋谷で開催するイベント「TechCrunch Tokyo 2014」にその彼が登壇することが決まったので、お知らせしたい。

2013年11月にオープンしたばかりのProduct Huntはまだオープン1年にみたない。しかし、すでにY Combinator、Google Ventures、Andreessen Horowitzなど錚々たるVCからシード、シリーズA合わせて700万ドル(約7億円)を調達している注目サービス。テック業界の必読サイトとも言われるまでになっている。

Product Huntには、プロダクトの簡単な説明とURLが投稿されていて、Twitterアカウントで会員登録すれば、イケてると思ったプロダクトに投票したり、コメントを書き込める。プロダクトは投稿された日ごとに分かれていて、投票数が多いプロダクトほど上位に表示される仕組みだ。

パッと見は、投票機能のある掲示板といったところだが、それを言えば、HackerNewsも同じ。Product Huntがスゴいのは、シリコンバレーのVCたちが参加し、日々チェックするサイトというポジションをあっという間に築き上げたことだ。少し読めば分かるが、著名な起業家やVCがコメントしていたりする。

スタートアップで大切なのは、マーケット、チーム、プロダクトだが、最近は、たとえば「モバイル向け動画」のように同一マーケットにあまりに多くのアプリがあふれるあまり、プロダクトそのものについて語る場が少なくなってきているのかもしれない。Product Huntを読んでいると、本当にプロダクトについて語るのが好きで、そこにこだわりを持つ人がシリコンバレーに多いのだということが分かる。

いまやテック系メディアに掲載される前にProduct Huntでプロダクトを発表する例も出てきていて、TechCrunchの競合とも言える。あるいは、Ryan本人がいうように、これはアテンションを寡占してきたメディアに対して、これはアプリローンチというイベントの民主化が起こっている現場なのかもしれない。著名な起業家や本家TechCrunchを含むメディアの記者、VCのパートナーたちまでが毎日のように読んでいるProduct Huntの創業者は、東京で何を語ってくれるのか。ぜひ生の声を聞いてほしい。

TechCrunch Tokyo 2014ではRyan Hooverのほかにも、海外や国内の豪華ゲストに多数参加いただくことになっているが、詳細は随時お伝えしていく予定だ。参加を検討いただけていた方は、ぜひお早めにチケットをご購入いただければと思う。なお、5枚以上から買える団体チケットや、限定50枚の学割チケットも今なら残っているので是非チェックしてほしい。

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iOS 8レビュー:洗練されてユーザー体験は大きく進化―制限緩和はデベロッパーのチャンス

AppleからiOS 8が公開された。 昨年のiOS 7へのアップデートほど劇的ではないが、それでも大幅な改良であり、追加された新機能も多い。新しいiPhone 6でiOS 8を利用するとその真価がよく理解できる。Appleが制限のいくつかを緩和したことはサードパーティーのアプリ・デベロッパーにとって大きなチャンスを開くものだ。iOS 8でもたらされた自由化と新機能は今後iOSエコシステム全体に大きな変革をもたらす可能性がある。以下、カテゴリーごとに紹介していこう。

メッセージ

iOS 8のAppleメッセージ・アプリは他の人気のあるメッセージ・サービスによく似たものになっている。いちいち新しいメッセージアプリをインストールし、登録しなくても今流行の機能がデフォールトで使えるのだから便利だ。

新しいAppleメッセージでは、タップとスワイプで画像、音声、動画が送れる。私が一番気に入った機能は、グループを選択して「ミュート」し、一時的に非表示にできることだ。これはAppleがグループ・メッセージ機能を導入したときから必要だと強く思っていた。私の家族はAppleメッセージの大の愛用者で、仕事中には少々邪魔になるのだ。

また特定のスレッドに自分の位置情報を付加するのも簡単になった。友達や家族の間で居場所を教えあうのがずっと簡単になった。単独アプリのFind My Friendsを使うより便利だ。

写真

写真で特筆すべきなのは検索機能の充実だ。iOS 8では写真やビデオを日時、場所、アルバム名で検索できる。また高度なコンテキスト検索機能が利用できるようになり、たとえば「ある場所で撮ったすべての写真」を検索して表示できる。編集能力も強化され、露光、明るさ、ハイライト/シャドウ別調整などをマニュアルで操作できるようになった。今や写真編集能力はApertureのような単独アプリなみの水準となった。

しかも機能が豊富になっても、複雑なオプションで初心者を迷わせるようなことはない。デフォールトでは高度な編集機能は隠され、自動補正のオン/オフのボタンだけが表示される。自動補正の傾きの補正機能はアマチュアの写真の多くを救ってくれるだろう。

ひとつだけ私を面食らわせたのは、iCloudでの共有はすべてのデバイスの写真を統合してしまうので、どの写真がローカルにあるのかクラウドにあるのかを判別することができないことだ。もちろんこれによってユーザー体験がシンプルになっているわけだが、 iPadとiPhoneで別々のライブラリを管理できないのはちょっと不便な場合もある。

QuickType

Appleのモバイル用ソフトウェア・キーボードはこれまでiPhone登場の当初からほとんど変わっていなかった。今回初めて予測変換機能を取り入れるなど大幅な改良が図られた。予測変換はあまりに便利で、いままでこれなしにどうやっていたのだろうと思うほどだ。メッセージなどの入力の場合、過去の履歴を参照して相手ごとに最適な予測候補を表示するようになっている。本当のところこの機能はもっと早く実装して欲しかった。

サードパーティー・キーボード

ソフトウェア・キーボード関連ではもうひとつ、Appleがサードパーティーにシステム全般で利用できる独自のキーボードの開発を許した点も見逃せない。残念ながらAppleはその手順を「設定」の奥に隠しているため、サードパーティーのソフトキーボードをインストールするのはあまり簡単ではない。もっともAppleはこれによって知識のない初心者がうっかり新しいキーボードをインストールしてまごつくことを防ごうとしているのかもしれない。

いずれにせよ、この機能は大歓迎だ。〔これにともなってジャストシステムはiOS版ATOKのリリースを予告している。〕

ヘルスケア

Appleのヘルスケア・アプリはiPhone自体のモーションセンサー(5sのM7、6/6 PlusのM8)」から取得されるデータも含め、さまざまなデバイスからアップロードされる健康とフィットネス関連のデータを集中管理するハブとなる。またそれらのデータをアプリを通じて特定の相手と共有することもできる。

今のところ私自身はヘルス関連のデータを記録するデバイスをたくさん使っているわけではないが、 それでもサードパーティーのヘルス関連アプリをインストールしたり、データの種類ごとにあれこれアプリを移動したりする必要をなくしてくれた。Apple Watchが登場すれば、ヘルスケア関連のデータは飛躍的に拡充されるだろう。

デベロッパーは収集されたデータを一般ユーザーにわかりやすく表示するアプリを開発するチャンスだ。

ファミリー共有

iOS 8では6人までの家族が単一のiTunesアカウントを共有できるようになった。メインのユーザーはApple IDを使って家族をファミリー共有機能に登録できる。すると登録された家族メンバーは他のメンバーが購入、ダウンロードしたiTunesの音楽やiBookの本、App Storeのコンテンツを自由に利用できる。子供のために特別のApple IDを作ることもでき、両親のクレジットカードが使える。ただし子どもたちの購入には親の承認が必要になる。

またファミリー共有では家族のメンバー全員が写真、カレンダーなどを共有、同期して利用できる。ファミリーといっても別にDNAで親子関係を鑑定するわけではないから、親しい友だちとファミリー共有のグループを作ることも可能だ。その他、ファミリー・メンバーの間で位置を共有したり、「iPhoneを探す」で協力して位置がわからなくなったデバイスを探したりできる。

iCloud Drive

iCloudも強化され、iOS 8のiCloud DriveはDropboxやGoogleドライブに近づいてきた。ドキュメント、ファイルをクラウドに保管するだけでなく、デバイス間での同期も自動的に実行される。つまりあるデバイスで編集した結果が即時に他のデバイスにも反映されるようになった。また同じファイルを目的によって異なるアプリで開くこともできる。

連携

新しい「連携」機能によってデバイス間での作業の連携がより緊密になった。メールを書き、メッセージを読み、ウェブをブラウズするというような作業はiOSデバイスとMacの間でシームレスに実行できる。ただしMac側でこの機能が完全に実現するためにはYosemiteの登場を待つ必要がある(おそらく来月一般公開となるもよう)。しかしHandoffはiOS 8デバイス同士の連携を実現しているので、iPhone 6で書きかけた文書をiOS 8にアップデートしたiPad Airで開いて作業を続けるといったことはすでに可能だ。

Instant HotspotはiPhoneが自動的にホットスポットとなってiPadとMacにWi-Fiを提供する。iPad、Mac側ではWiFiが届かなくなるといちいち接続操作を行わなくてもiPhoneのホットスポットに切り替わる。

Spotlight

Spotlightを利用すると多様な情報源を横断的に検索して答えが得られる。Wikipediaからの結果がすぐに得られるのは特に便利だ。その他App Storeの関連あるコンテンツ、最新ニュース、周辺の位置情報なども検索される。

一見ささいな追加に思えるかもしれないが、iOS 8の有用な新機能のひとつだ。これでiPhoneがモバイル検索ポータルとして大幅に価値を増した。Spotlightはホーム画面の上部からプルダウンするだけで使える。いちいち検索やApp Storeなどのアプリを開く必要がなくなった。

通知と拡張

iOSデバイスの通知センターは必要な情報を見落とさずにすむ便利な機能だが、iOS 8では、メール、カレンダー始めサードパーティー・アプリからの通知に対してもいちいちアプリを開かずに通知センターから直接返信ができるようになった。私の場合、これはたいへんな時間の節約をもたらしている。ロック画面をスワイプしてアプリを開くとInstagram/Twitter/Facebookという魔のバミューダ・トライアングルにはまりんで、とんでもなく時間を無駄しがちだが、通知センターからの返信機能のおかげで、その回数が大幅に減った。

拡張機能はサードパーティーのデベロッパーが、たとえば、ロック画面で下にスワイプするだけでフィリップスのスマート照明を操作するショートカットを作るなど、さまざまな可能性を開くものだ。

音声認識

音声認識はiOS 8で大きく改良された。ユーザーの頭の中を読み取っているのではないかと思うほど正確に音声を認識してテキスト化してくれる。

さらなる成長への期待

iOS 8にはこれ以外にも無数のアップデートが含まれている。上でも述べたとおり、AppleはiOS 8でソフトウェア・キーボードを始めいくつかの重要な領域で制限を緩和した。またApple Payがアメリカでリリースされた。これらはデベロッパーにとっては大きなチャンスであり、今後エコシステムの多方面に影響が出てくるだろう。また来月のYosemiteの公開で「連携」がMacから利用できるようになることも重要だ。

現在iOS 8のアップロードは始まったばかりで、サーバーへの負荷などのため、やや待ち時間がかかっているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


専用デバイスとスマホで車の健康を測るスマートドライブ、8月から実証実験開始

自動車についている「OBD2コネクタ」というものをご存じだろうか。OBDとは、On-board diagnosticsの略で、これは自動車の点検用の規格である。このODB2コネクタを通じて、車速やエンジンの回転数をはじめとした、さまざまなデータを取得できるようになっている。

このOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを差し込み、スマートフォンを経由して車の健康状態や移動の履歴などを取得するといった取り組みを行っているスタートアップが米国で続々登場している。AUTOMATICZubieMETROMILEMOJIODashなどが存在している。ちなみにDashには国内からサイバーエージェントが出資をしている。

それぞれ、コネクタに挿したデバイスからスマートフォンにデータを送信することで、急発進や急ブレーキなどガソリンの無駄になるような運転をした場合に警告を出したり、ドライブの記録をしたりといったことを実現している。

この領域に日本で挑戦するのがスマートドライブだ。2013年10月に設立した同社は、ベンチャーキャピタルのANRIから出資を受けて、現在自動車向けのデバイスと、連携するスマートフォンアプリを開発している。

そんなスマートドライブだが、8月から柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK)の協力のもと、千葉県の柏の葉スマートシティにて1カ月にわたる実証実験を開始することを明らかにした。今回の実証実験では、柏の葉スマートシティエリアの住人約20人が対象となる予定だ。

スマートドライブの手がけるシステムもOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを挿し、スマートフォンへリアルタイムに車の健康状態や運転ログを記録する。

アプリでは、1000以上のエンジンアラートのトラブル内容を閲覧できるほか、運転ログの閲覧、急ブレーキや急発進、走行速度の状況などから、燃費効率を分析し、「ポイント」という形で評価する。

年内にも販売を開始

スマートドライブでは、年内にも個人向けにプロダクトの販売を開始する予定。ただし、ビジネスの中心になるのは、保険会社などにデバイスを卸し、その契約者に使用してもらうといったようなBtoBtoCのモデルになるそうだ。

例えば米国の保険会社Progressiveは、契約者に「Snapshot」なるデバイスを提供している。このデバイスもOBD2コネクタに接続して使用するのだが、急ブレーキなどの回数などをもとに安全な運転をしているかを分析。安全運転であれば保険料の割引もなされるという取り組みをしている。スマートドライブでもこのような形で自動車保険や自動車整備関連の事業者を通じたデバイスの提供を狙う。

また将来的には、個々の車のデータを分析し、ビッグデータによる渋滞予測や交通事故予防などにも取り組む予定だという。


人気沸騰、プロダクト早期情報サイトProduct HuntがiOSにやってくる

Product Huntは、新しいプロダクトやサイトやアプリをどこよりも早く取り上げ、ときには昔日陰者で終わってしまった隠れた宝石も扱う、このところ人気沸騰中もてもてサイトだ。同社はゴージャスで機能を端折(はしょ)らないiOSアプリを近く出す予定で、それはWeb版と同じく、その日のプロダクトのリストがあり、さらにユーザのコメントやプロフィールもある、とファウンダのRyan Hooverが言っている。記事中であなたの名前が言及されていたり、あるいはあなたが書いたコメントにリプライがあると、プッシュ通知をくれる機能もある。

Product Huntは最近の数か月で人気が急上昇し、テクノ業界でメシを食っている人たち全員の必読サイトである、と言われている。

TechCrunchなどのテク系ニュースサイトは、内容が雑多で、速報ニュースやスタートアップのローンチ、投資関連、などなどいろんな分野をカバーしている。しかしProduct Huntは、もっぱら、ほやほやの新しい(あるいはあなたにとって新しい)プロダクトについて雑談や情報交換をする“井戸端会議の場所”である。

今では同サイトは、多くの著名なファウンダたちや、プロダクトのマニア、記者、そして投資家たちすらも、毎日のように読んでいる。投資家たちは、次の大物を誰よりも先に嗅ぎつけたいのだ。

Product HuntのサードパーティアプリProducTind

でもこれまで、Product Huntにはネイティブのモバイルアプリがなかった。

そして最近ついに出たProducTindは、Product Huntの、待ちに待った初のネイティブiOSアプリだ。このアプリはProduct Huntのプロダクト情報とTinder的な投票機能を組み合わせていて、作者のYusuke Matsumura(松村有祐)はAIと機械学習の経験のあるエンジニアだ。彼は現在Tradecraftで勉強中で、今はサンフランシスコに住んでいるが8月には日本に帰国する、と言っている。

彼のアプリは使ってて楽しいけど、ユーザインタフェイスはもっと磨く必要がありそうだ。しかも、近く公開されるProduct HuntのAPIが使える前の作品なので、まだ“親指アップ”をProduct Hunt本体に投票する機能がない。“好き”の投票は、あくまでもこのアプリ内で集計表示されるだけだ。

Product Huntの公式アプリがもうすぐ登場

というわけでProducTindは現時点でMVP(必要最少機能のみ)のようなアプリだが、Product Huntそのもののモバイルアプリが、すぐ近くまで来ている。

Hooverによると、Product Huntのオフィシャルアプリは、David McKinneyAndreas Klingerの協力により作られている。McKinneyはDiscovrFlipcaseを作ったオーストラリアのアプリデザイナー、Klingerはプロダクトの分析や性能測定が専門のヨーロッパの起業家兼デベロッパだ。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

今日からProduct HuntのユーザはiOSアプリのベータの参加者になるための登録ができる。App Storeにアプリが登場するのは8月半ばの予定だ。

Product HuntのiOS公式アプリは、Product Huntの人気をさらに押し上げるだろうか? 楽しみだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


テクプロダクトのためのソーシャルニュースサイトProduct Huntは良い製品を下支えする機会均等の場

Product Huntはまだ小規模な実験だが、テクノロジの世界でプロダクト方面の仕事をしている人たちのあいだで、このところ話題が盛り上がっている。まあ、テクプロダクトのRedditとか、プロダクトのローンチをめぐるHacker Newsと呼べるかもしれないが、でも、どちらもProduct Huntの本当の本質をついてはいない。

Product HuntのファウンダRyan Hooverはこう語る: “最初はぼくの友人たちとシリコンバレーの起業家たちで始めたんだ。日常の会話の中で、よく新製品が話題になる。‘今日ローンチしたあのプロダクト見た?’とかね。それはバレーの井戸端会議の定番の話題だが、かんじんのネット上には、新製品について雑談する場がなかった”。

Product Huntは2013年の11月に、リンクを共有するLinky Dinkのメーリングリストとしてスタートした。Hooverが新製品を指すリンク集を編纂して、それを友だちと共有した。毎日、その日のリンク集というメールがやってくる。それは、こんなメールが果たして一般的に必要とされているかを試すためのMVP(Minimum Viable Product)みたいなもんだった。だから、絶対にスケールしないものの完璧な見本でもあった。

“たった20分で作り、二人の投資家、友だち、そしてプロダクト関連の知人たちに送った。そして、クールなプロダクトを見つけたら教えてね、と書いた”。

昨日なんか、Andreessen Horowitzの連中がたくさんうちに登録したよ

— Ryan Hoover

そのMLのメンバーはわずか200名ほどだったが、フィードバックはとてもポジティブだった。そこでHooverは感謝祭の休日にNathan Bashawとタッグを組み、v1を作った。Bashawはすべてをわずか5日で仕上げた。Hooverは少人数のアーリーアドプターを招待して、改良のためのフィードバックをもらった。それから1週間後に、Product Huntは一般公開のWebサイトになった。

その後、活発なユーザと熱心な読者が徐々に増えていった。Hooverのねらいは前と同じで、Product Huntはクールなプロダクトについて誰よりも早く知りたい人たちのためのコミュニティだ。BufferのDailyBarkBuddyNotifyrも、すべて、テクノロジ系のブログに載る前にProduct Huntに登場した。次のSnapchatや次のAirbnbとも呼べる、今後の大物プロダクトが、続々と、真っ先にこのクラウドソースなサイトに現れるか、それが楽しみだけどね。

Product Huntは見た目もなりふりもRedditやHacker News、あるいは前のDiggにとてもよく似ている。リンクを投稿する。それらをLike(親指アップ)する。コメントも書く。すっきりとしたデザインで無限スクロール、そしてAlgoliaによるリアルタイムの検索。でも、仕掛けが一つある。

一日がプロダクトごとに分かれていて、それらのリーダーボード(ハイスコア表)みたいなものができあがる。たとえば、5月2日のトップは誰だったでしょうか? PredictionIOでした。この方式では、すべてのプロダクトにざっと目を通しやすいし、毎日訪れるのが楽しみになる。Hacker NewsやRedditにようにリンクのリストがたえず変わっていかないから、読みやすい。影響力はあるが忙しい、という人も、短時間で簡単にその日のプロダクトを展望できる。

VCのパートナーたちも、数百名がProduct Huntの登録会員だ。ただしVCには信号送出効果という厄介なものがあるから、彼らはコメントやLike(や親指アップ)を控える傾向がある。毎日のようにProduct Huntを読んでいるパートナーは、Greylock PartnersやSV Angel、Redpoint Ventures、そしてBetaworksの連中だ。Y Combinatorや500 Startupsの人たちも、読んでいる。著名なエンジェルたちも会員だそうだ。本誌TechCrunchのライターの中にも、熱心な会員が何人かいる。

“昨日(きのう)なんか、Andreessen Horowitzの連中がたくさんうちに登録したよ”、とHooverは言った。

Product Huntには新しいMLもあり、会員は数万名いる。まだプロダクトをハントしてくるハンターの方は人が少ないが、でもみんな、すごく活発だ。ぼくが本誌の記事でNotifyrを取り上げたときなんか、コメントはProduct Huntの話ばかりが多くて、かんじんの、Joost van Dijkが開発してiPhoneの通知をMacに送る、クールなかわいいアプリのことが、そっちのけになってた。

今HooverはProduct Huntにフルタイムでかかわっている。ほかに、パートタイムのデベロッパが3名、パートタイムのデザイナーが1名いる。彼が愛してやまない小さなプロジェクトは、徐々に会社っぽくなりつつある。プロダクトやVCなどの業界人だけでなく、今では一般のユーザも、Product Huntの記事を読んでプロダクトの評価を決める人が増えてるらしい。そう語る起業家が、今は多い。

“Product Huntは、プロダクトやスタートアップたちにとっての機会の地平を、格差の大きい峻険な光景から、もっとなだらかで機会均等に近いものに変えつつある”、とHooverは言う。“Notifyrを作ったオランダの無名のガキがProduct Huntのコミュニティから220ものLike(親指アップ)をもらうんだから、すごいよ。今は、App Storeのランクを上げるためなら金を使ってもよい、というデベロッパが多い。自己努力でヴァイラルなネットワークを広げているデベロッパもいる。Product Huntでは、そのどちらも要らない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))