GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

Cruiseは新たなエクイティラウンドで20億ドル(約2080億円)を調達し、評価額は300億ドル(約3兆1200億円)に上昇した。また、投資家およびパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わった。

GMやホンダなどの機関投資家も、Cruiseの自動運転技術が商用化に近づいているとして追加で投資した。

Microsoftの資本も重要だが、少なくとも両社の見方によればこのパートナーシップはCruiseにとって対等で長期的な価値がある。長期にわたる戦略的パートナーシップの下で、CruiseはMicrosoftのクラウドおよびエッジコンピューティングプラットフォームであるAzureを利用して自動運転ソリューションを大規模に商用化する予定だ。

自動運転車を手がける企業が商用化、つまり自社の技術を広く提供することを目指すとなると、堅牢なクラウドコンピューティングプラットフォームが必要だ。人や荷物を運ぶ多くの自動運転車を運用すると膨大な量のデータが生成され、自動運転車企業にとってはクラウドサービスにかかるコストが増大する。

CruiseとMicrosoftのパートナーシップは、両社にメリットをもたらすことを狙っている。Cruiseはクラウドサービスを低コストで利用でき、Microsoftは(まさに自動運転車のような)機械学習とロボティクスを実用化し大規模に展開するために必要なワークロードを扱うエッジシステムのテストを実施できる。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は発表の中で「デジタルテクノロジーの進化は私たちの仕事や生活のあらゆる面を再定義しています。人やモノの動きについても同様です。CruiseとGMが選んだクラウドとして、私たちはAzureのパワーを活かして両社が成長し自律輸送の主流となるよう支援していきます」と述べている。

米国時間1月19日の発表によれば、パートナーシップはGMにもおよぶ。Microsoftは今後GMのパブリッククラウドプロバイダーとして、GMがデジタル化の取り組みを加速しデジタルサプライチェーン全般にわたって業務を効率化するよう支援する。

パートナーシップによってCruiseは電動自動運転車の商用化を加速できる。また、GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「GMは2025年までに全世界で30車種の電気自動車を投入し、新たなビジネスやサービスを創造して成長するにあたって、クラウドコンピューティングの果たす役割はますます大きくなると認識しています」と述べた。

関連記事:GMの自動運転車技術子会社Cruiseが商業化に向けデルタ航空元幹部を採用

カテゴリー:モビリティ
タグ:CruiseGM資金調達MicrosoftAzure

画像クレジット:Cruise

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(翻訳:Kaori Koyama)

The Station:CES 2021のトレンドとUberの新しいスピンオフ

2021年1月第3週のモビリティ関連ニュースをお送りする。

なお、私(Kersten Krosec)はTechCrunchのモビリティ担当編集者になった。役職の変更によって、責任とミッションも大きくなった。TechCrunchの「未来のモビリティ」に関する記事を拡大するために、今後はフリーライターからも多く寄稿してもらうつもりだ。Mark Harris(マーク・ハリス)氏は調査報道記者でこれまでにも素晴らしい記事を本誌で発表しており、今後は定期的に登場する予定だ。ハリス氏は法律文書や提出資料の中からニュースを掘り出す才能がある。2019年のTesla(テスラ)の関税に関する記事や、Elon Musk(イーロン・マスク)氏のラスベガスループプロジェクトの乗客輸送能力を推計した記事などがある。

今後、輸送部門にもっと多くの顔を加えられることを楽しみにしている。

CES概要

Mercedes-EQ MBUX Hyperscreen(画像クレジット:Mercedes)

バーチャル方式だったこともあるかもしれないが、自動運転テクノロジーは2021年のCESで以前ほどの中心的役割は果たさなかった。

代わってCESで注目を集めたテーマは、インフォテイメントと先進運転支援システムが中心だった。また2020年から続くトレンドとして、巨大なスクリーンがいくつか登場した。上の写真にあるMercedes Hyperscreen(メルセデス・ハイパースクリーン)もその1つだ。

Pioneer(パイオニア)、Harman(ハーマン)、Panasonic(パナソニック)の3社は、車内にオーディオとビジュアルのテクノロジーをさらに取り込むための未来製品を紹介した。たとえばHarmanは、車内のインフォテイメントシステムをコンサートホールや録音スタジオやゲームセンターに変える3つの新しい「体験コンセプト」を披露した。

Panasonicは英国のスタートアップであるEnvisics(エンヴィジクス)と提携し、乗用車、トラック、SUV向け次世代ヘッドアップディスプレイの共同開発・商品化を行うことを発表した。ヘッドアップディスプレイ(HUD)はショーのあらゆる場面で目にした。このテクノロジーは新しくはないが、最近の技術進歩によってシステムの能力が急速に進化し、ダッシュボードに組み込みフロントガラスに画像を投影することで、ナヒゲーションや各種のアラートを通じてドライバーを支援する。

画像クレジット:Envisics

GM(ゼネラル・モーターズ)はおそらく、バーチャル2021 CESで、少なくとも輸送分野で最大の存在感を示していた。同社は、電動ワゴン車をはじめとするプロダクトとサービスを市場に出すための新たなビジネスユニットであるBrightDrop(ブライトドロップ)を発表する場としてこのショーを選んだ。ただし、それだけではない。

GMはこの機会を利用して、近日発売のChevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルト EUV)を先行紹介した。GMのハンズフリー高速道運転支援システムであるSuper Cruise(スーパー・クルーズ)を搭載するほか、Cadillac Celestiq(キャデラック・セレスティーク)のダッシュボードと新しいロゴまで採用した。一連の発表の意図は明らかだ。GMは世界に(そして株主に)同社が電気自動車および繋がる車のテクノロジーに対して本気であることを示そうとしている。

GMの数多くの発表は見逃しようがない。そこにはeVTOL(電動垂直離着陸ドローン)もあった。対照的にMobileye(モービルアイ)の発表はあまり目立っていなかったが、間違いなく注目に値する。

GMはCES 2021でコンセプトを2つ披露。自動運転シャトルとパーソナルeVTOL(画像クレジット:GM)

Mobileyeは、自動運転車のテストを多くの都市に拡大する計画の概要を話し、その内容は以前発表した計画と変わらなかった。

私の目を引いたのは、Mobileyeのプレジデント兼CEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が会社のビジョンと進捗について話した内容だ。

まとめると、Mobileyeは自動運転技術の開発と展開に3本の柱からなる戦術をとり、完全自動運転スタック(カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長化センシングサブシステムを含む)をREMマッピングシステム、およびルールベースの責任感知型安全論(RSS)運転方針と組み合わせる。

MobileyeのREM地図作成システムは、同社のテクノロジーを搭載した100万台近い車からクラウドソーシングで集めたデータから高精度地図を作り、ADASや自動運転システムの支援に使うものだ。シャシュア氏は、現在Mobileyeのテクノロジーは世界中の地図を自動的に作成することが可能で、毎日800万km近く、累積10億km近くの走行データを集めていると語った。

Mobileyeは現在開発中の新しいワンチップのLiDARシステム製品の詳細も公開し、2025年に市場に出す予定だ。そのLiDARはIntelのシリコンフォトニクス技術を使用する予定だが、注目されるのはMobileyeがカメラベース技術で知られているためだ。なお、Mobileyeはカメラファーストのアプローチを捨てるわけではない。Mobileyeは、技術的・ビジネス的に最良のアプローチは、カメラファーストシステムを開発しLiDARとレーダーを冗長化のためのアドオンとして使うことだと信じている、とシャシュア氏は説明した。

要約すれば、Mobileyeは自動運転技術を商品化して大衆に届けるための資金とネットワークを有しているということだ。

本誌の輸送関連のCES記事を以下に挙げる。

メルセデス・ベンツが高級EVセダンEQSの湾曲56インチ「ハイパースクリーン」発表
GMが配送業者向け新事業部起ち上げ、商用EVバンと電動アシスト付きパレット発表
自動運転技術のMobileyeが数カ月以内に東京など世界4都市にテスト地域を拡大
ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開
ホログラフィックディスプレイのEnvisicsがパナソニックと提携、車内AR技術実現を加速
BMWが次世代「iDrive」のインフォテインメントシステムを先行公開
Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与
エアタクシースタートアップArcherが電動飛行機生産で自動車メーカーのフィアット・クライスラーと提携

Uberで新たなスピンオフが準備中

Postmatesのロボット、ServeはOusterのカメラとライダーを採用している(画像クレジット:Postmates)

無人デリバリーが2021年に躍進するという私の予言を覚えているだろうか?どうやら私が正しいこともあるらしい。

Postmates XはUberが2020年に26億5000万ドル(約2760億円)で買収したオンデマンドデリバリースタートアップのロボティクス部門であり、Serve Roboticsという名の別会社になるために出資者を探している。

Serveと聞いて思い出す人がいるかもしれない。黄色と黒に塗られた歩道自動走行デリバリーボットで、Postmates Xが開発してパイロットテストを行った。このロボットは、最近Pink Dot Stores(ピンクドットストアーズ)とウェストハリウッドの配達で提携しており、新たなスタートアップの中核となる可能性が高い。

私はこの計画の重要な詳細についていくつか情報を得ているが、まだ確定はしていない。Uber
は新会社の株式を持ち続ける。本件に詳しい情報筋によると、Uberの持ち分は当初は少なかったが、その後約25%へと跳ね上がった。

会社を率いることになるのはAli Kashani(アリ・カシャニ)氏で、現在Postmates XのトップとしてServeプロジェクトの責任者を務めている。Anthony Armenta(アンソニー・アルメンタ)氏が新会社のソフトウェア部門を率い、Aaron Leiba(
アーロン・レイバ)氏がハードウェアを担当する。いずれもPostmates Xで務めたのと同じ職だ。

新しい情報が入り次第続報する予定だ。

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キャデラックが贅沢な空の旅を提供する1人乗り電動垂直離着陸ドローンのコンセプト公開
UberがフードデリバリーPostmatesの買収を完了

カテゴリー:モビリティ
タグ:CES 2021Uber

画像クレジット:Sony

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

タクシー配車サービスの「DiDiモビリティジャパン」が52億円調達、ソフトバンクグループとのシナジー強化

タクシー配車アプリの「DiDiモビリティジャパン」が52億円調達、ソフトバンクグループとのシナジー強化

DiDiモビリティジャパンAndroid版iOS版)は1月18日、ソフトバンクとDidi Chuxing(滴滴出行。ディディチューシン)より総額52億円の資金調達を1月15日に完了したと発表した。

今回の資金調達により、PayPayをはじめとしたソフトバンクグループ企業とのシナジー強化、乗客の移動の利便性向上および、タクシー事業者の営業効率や売上の向上を実現する新たなプロダクト開発、日本におけるタクシーアプリのさらなる浸透に向けたマーケティング投資を行い、日本の消費者とタクシー業界の方々へ新しい価値の提供を目指す。

DiDiモビリティジャパンは、日本においてタクシー事業者や関係省庁などと連携し、革新的なタクシー配車プラットフォームサービスを提供することを目的として、ソフトバンクとDidi Chuxingからの出資により2018年6月設立。2018年9月より大阪でタクシー配車サービスを開始し、現在は北海道、東京、神奈川、大阪、福岡、沖縄など14の都道府県でサービスを展開している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)Didi / 滴滴出行DiDiモビリティジャパンPayPay日本(国・地域)

台湾3Drensがフリートオペレータによる車両使用の効率化を支援

3DrensのIoTモビリティマネジメントプラットフォームは、車両がどこにあるかをフリートオペレーターが追跡できるだけでなく、ビジネス上の意思決定に役立つデータを生成する。同社は本社がある台湾で事業を開始した後、東南アジアに進出した。現在、CESのTaiwan Tech Arenaに出展している3Drensは、新型コロナウイルス(COVID-19)による物流需要の増加に焦点を当てている。たとえば同社の技術は、小規模なeコマース小売業者が大規模なプラットフォームから配送車両の未使用容量をレンタルできるようにするために、使用される可能性がある。

3Drensの顧客にはレンタカー、配車、食品配送の事業者がいる。2017年に設立された同社の最初のクライアントの1つは、主に観光客向けにサービスを提供する電動スクーター会社だった。同社はスクーターに3DrensのIoTボックスを設置し、スクーターが事故に巻き込まれたり、ユーザーが料金を支払った時間を超過したりした場合にアラートを送信するようにした。またスクーターの走行頻度が高い場所のヒートマップも生成され、人気のある会場やアトラクションとの提携が可能になった。

3Drensのプラットフォームは、ロジスティクスサービスが配送に適した車種を選んだり、最適なルートを予測したり、注文が完了した後の帰りのドライバーに新たなタスクを割り当てたりするのにも役立つ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:3DrensCES 2021ロジスティクス台湾

画像クレジット:3Drens

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

フォックスコンと中国Geelyが提携、次のテスラを目指し自動車メーカー向けに電気自動車、自動運転車、シェアリング車を開発

将来の電気自動車、自動運転車はApple(アップル)の主要サプライヤーであるFoxconn(フォックスコン、鴻海科技集団)と、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding Group(チョーチアン・ギーリー・ホールディング・グループ、浙江吉利控股集団)によって製造されるのかもしれない。
両社は、自動車メーカー向けの受託製造に焦点を合わせた合弁会社を設立することで合意しており、特に電動化、コネクティビティ、自動運転技術、およびシェアリングを目的とした車両に注力する。それぞれが、新合弁会社の株式の50%を均等に保有する。両社が発表した声明によると、取締役会は5人で構成され、Foxconnは会長を含む3人、Geelyは2人を選任するという。

今回の合意は、両社が自動車メーカーからの委託製造で、より大きな役割を担うようになったことを受けてのものだ。今週の初め、Geelyは中国の検索大手Baidhu(バイドゥ、百度)による、電気自動車生産会社の設立を支援することを発表した。Baiduがスマートドライブ技術を提供し、Geelyは自動車の設計・製造を担当する。一方Foxconnは、経営が苦しい中国の電気自動車スタートアップBytonのM-Byte SUV製造を支援する計画を発表している。

Geely Holding GroupのDaniel Donghui Li (ダニエル・ドンホイ・リー)CEOは、世界の自動車産業は大きな変化を迎えていると語った。彼は、Geelyが「変化を積極的に受け入れ、アライアンスを構築し、リソースを相乗的に活用して、ユーザーのみなさまにとってのより大きな価値を創造しなければなりません」と語り、Foxconnの専門知識が自動車業界の変革と進化のための重要な知見を提供するだろうと付け加えた。

新しい合弁会社は、自動車メーカーやライドシェア事業者に対して車両全体、部品、インテリジェントドライブシステムなどの、自動車エコシステムプラットフォームに関するコンサルティングサービスを提供して行く。Geelyは自動車分野での設計、エンジニアリング、研究開発、インテリジェント製造、サプライチェーンマネジメント、品質管理などの経験を提供し、一方Foxconnは、製造とICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)のノウハウを提供する。

新会社の目的は、自動車メーカーたちが、業界ではCASEと呼ばれているコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化技術に基づく、革新的で効率的な新しい製造プロセスやビジネスモデルへの移行を加速するための支援を行うことにあると、両社は述べている。

次のTesla(テスラ)を目指す企業や、自動運転車の商業化を目指す企業がここ数年で多数誕生しており、このFoxconn-Geely合弁会社には、候補となり得る顧客の長いリストができている。自動車を大量生産するための主要な障害の1つは、工場を建設して稼働させるために必要な数十億ドル(数千億円)資金である。こうした資金の必要性が、多くのEVスタートアップ企業に、特別買収目的会社(SPAC)と合併して株式公開企業になることを促している。Canoo(カヌー)、Fisker(フィスカー)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Nikola Corp.(ニコラ・コープ)といった企業が、白紙小切手会社とも呼ばれるSPACと合併している。

Foxconn Technology GroupのYoung-way Liu(ヤンウェィ・リュー、劉揚偉)会長は今回の提携を、自動車産業と情報通信技術(ICT)産業の協力の歴史におけるマイルストーンと呼んでいる。

「Foxconnの世界をリードする研究開発技術、インテリジェント製造、ハードウェアとソフトウェアの統合能力によって、両社は非常に補完的なパートナーシップを生み出すことができます、これにより私たちはより良いサービスを提供し、様々な顧客の多様なニーズを満たすことが可能になり、最も先進的で、最速で、費用対効果の高いフルバリューチェーンの自動車生産サービスプラットフォームを提供することができます」とリュー会長は語り、さらに、このパートナーシップは自動車産業の発展に大きな変化をもたらすだろうと付け加えた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:FoxconnGeely自動運転EV

画像クレジット:SAM YEH/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

米政府がタッチスクリーンの不具合でテスラ車15.8万台にリコール要請

米国の安全監督機関は、タッチスクリーンの操作を不能にする恐れのあるメディアコントロールユニット(MCU)の欠陥を理由に、15万8000台の車両のリコールをTesla(テスラ)に要請した。この欠陥は、米幹線道路交通安全局(NHTSA)の数カ月間にわたって調査によって判明した。

同局の欠陥調査室は、MCUの欠陥は後方カメラ、曇りとり、霜とりなど機能の設定操作を不能にしたり、さらには信号インジケーターを有効にしたときや高度運転支援システム「オートパイロット」を起動したときにドライバーに音で知らせるチャイムを止めてしまう可能性があるため、安全上の問題と判断した。MCUが突然故障することは、Teslaフォーラムでも長年の話題になっていた。

欠陥の原因は、クルマに搭載されているフラッシュドライブのメモリーストレージがいっぱいになるためだと調査員は結論づけている。唯一の解決策は、その部品を物理的に交換することしかない。対象となるのは、2021年から2018年の間に生産されたModel Sセダンと、2016年から2018年の間に生産されたModel X SUVだ。

Teslaにコメントを求めたが、まだ返事はない。だが同社は、報告にあった情報をNHTSAに提出している。すべてのユニットはメモリー装置の容量が限られているため、この問題は避けられないとTeslaはNHTSAに対して認めている。Teslaは、2020年から2028年にかけて行うMCU交換の週あたりの予測数を示す独自の統計モデルを提出した。報告によれば同社は、欠陥のあるMCUの交換率は2022年初頭にピークに達し、2028年に完全に交換が完了するまでの間に次第に低下してゆくと見積もっている。

対象車両にはNVIDIA Tegra 3プロセッサが搭載されており、そこに8GBのeMMC NANDフラッシュメモリー装置が組み込まれている。この8GBのメモリーの一部が、車両を発進させるごとに消費される。eMMC NANDのメモリーセルは、ストレージの容量がいっぱいになると正常に機能しなくなり、マイクロコントローラーユニットの欠陥を引き起こすとNHTSAは話している。

このeMMC NANDフラッシュメモリーの寿命は、書き込みと消去の回数(P/Eサイクル)によって決まる。寿命に達した後は、メモリー不足でMCUは異常をきたす。調査員たちは、この8GB eMMC NANDフラッシュメモリー装置の予想寿命は、P/Eサイクル3000回と判断した。その後は、eMMC NANDフラッシュメモリーがいっぱいになり、機能しなくなる。1日あたりの使用率は1ブロックあたり1.4回。それが積み重なり、わずか5〜6年でP/Eサイクル3000回に到達するとNHTSAはいう。

同局は、Teslaにリコールを開始し、該当車両のすべてのオーナー、購入者、ディーラーに安全上の欠陥がある旨を通知し、部品交換を行うよう公式に通達した。

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タグ:Teslaリコール

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:金井哲夫)

Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与

Sono Motorsは、ソーラーカー用に開発した技術をもっと広く普及させたいと考えている。そこで同社はまず、自動運転のシャトルバスサービスであるEasyMileとパートナーシップを結んだ。

ドイツのスタートアップSono Motorsは、バーチャルで行われているCES 2021で米国時間1月12日にプレゼンテーションを行い、同社の自動車ボディ用ソーラーパネルの技術をライセンス提供したい、と述べた。EasyMileは政府機関や大学、一般企業などに電動車による自動運転シャトルバスを提供しており、Sono Motorsのソーラーボディパネルを使用する最初の企業になる、とSono Motorsの共同創業者でCEOのLaurin Hahn(ラウリン・ハーン)氏は述べた。発表では、同社の次世代ソーラー電気自動車Sionも紹介された。

Sono MotorsのEVであるSionは、遠目からだと黒い塗装のコンパクトカーのように見える。しかし近くで見ると、車両のエクステリア全体が、ガラスの代わりにポリマーに組み込まれた数百の太陽電池から構成されている。

Sono Motorsのソーラーインテグレーション担当上級マネージャーであるArun Ramakrishnan(アルン・ラマクリシュナン)氏によると、この技術により同社の車両は市場で現在利用可能な他のどの技術よりも軽く、頑丈かつ安価で効率的になるとのこと。また、このソーラーインテグレーション技術は、クルマ以外にも活用できるという。

ボディパネルは、他社の自動車のボディパネルに比べて軽量で、ポリマーのコーティングによりセルが裂けることを防いでいる。これらのソーラーセルが太陽光をエネルギーに変換し、クルマのバッテリーに保存する。ソーラーセルは運転時と駐車時に使用でき、ミュンヘンの平均的な天候だと1日の走行距離を約35km延長する。

ハーン氏によると、その目的は充電インフラへの依存度を下げることだという。

画像クレジット:Sono Motors / スクリーンショット

ソーラーパネルは、従来の充電方法に取って代わるものではない。しかし、プラグを差し込む頻度を減らすことができる。Sono Motorsによると、Sionにソーラーパネルを搭載したことで、ドイツにおける毎日の平均通勤距離10マイル(約16.1km)を走ったとして、充電の必要性が1週間に1回から4週間に1回になったという。

Sono Motorsは米国時間1月12日に、この技術のユースケースの1つであるソーラーパネルを搭載したトレーラーを披露した。トレーラーはプロトタイプで、1日に最大80kWhの発電能力がある。

「大きな可能性を想像してみてください」とラマクリシュナン氏。この技術は冷蔵トラックやその他の車両にも利用できるという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Sono Motors太陽光発電電気自動車CES 2021

画像クレジット:Sono Motors

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GMが配送業者向け新事業部起ち上げ、商用EVバンと電動アシスト付きパレット発表

GMはFedEx(フェデックス)をはじめとする法人顧客に、電気自動車とコネクテッド製品のエコシステムを提供する新事業部を立ち上げた。これは同社が電気自動車メーカーの主導的な企業となるために、270億ドル(約2兆8000億円)を投資する野心の最新の取り組みだ。

「BrightDrop(ブライトドロップ)」と呼ばれる新事業は、バーチャルで開催されたCES 2021の期間中、米国時間1月12日に正式発表が行われた。まずは航続距離250マイル(約400km)の「EV600」と呼ばれる電動バンと、「EP1」と名づけられたポッド型電動パレットの2つの主要製品からスタートする。

BrightDropは他の製品も念頭に置いており、複数台のEP1電動パレットを輸送できる中距離車両や、緊急配送用車両などのコンセプトも開発中ということが、12日に発表された。

画像クレジット:GM

だが、この取り組みは車両のみにとどまらない。GMは商用車市場にEVのエコシステムを提供するためのソフトウェアツール群も開発している。また、販売とサービスをサポートするためのディーラーネットワークを構築し、商用車の顧客が充電インフラを設置するのを支援する計画だ。

GMによると、ウェブサイトやモバイルアプリからアクセスできるクラウドベースのソフトウェアプラットフォームは、ユーザーに最適な配送ルートやその他のフリート管理機能など、業務改善に役立つ情報を提供するという。電動バンとパレットには、位置監視、遠隔からのバッテリー状態チェック、リモート解錠 / 施錠など、より便利に顧客が車両を監視・管理するために設計された様々なコネクテッド機能が搭載される予定だ。

画像クレジット:GM

BrightDropはこれまでOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)、OnStar Guardian(オンスター・ガーディアン)、GM Defense(GMディフェンス)の起ち上げにつながったGMの社内組織であるGlobal Innovation(グローバルイノベーション)からスピンアウトした最新の「スタートアップ」だ。BrightDropのCEO兼社長には、Redpoint Ventures(レッドポイント・ベンチャーズ)のアントレプレナーインレジデンスだったTravis Katz(トラビス・カッツ)氏が就任した。

BrightDropのアイデアは、GMのグローバル・イノベーションのチームが、電子商取引の成長と新型コロナウイルスの感染拡大によって悪化したオンライン配送に対する消費者の需要を評価していたことに端を発する。

「最初の1マイル(約1.6km)から文字通り最後の5フィート(約1.5m)まで、配送と物流における需要と課題について知れば知るほど、電動化、モビリティアプリケーション、テレマティクス、車両管理などの分野におけるGMの専門知識を活用し、企業がよりスマートで持続可能な方法で商品やサービスを移動できるようにする機会であることが分かってきました」と、GMのグローバイノベーション担当副社長のPam Fletcher(パム・フレッチャー)氏は、発表前のメディア向け説明会で語った。

GMの予測によれば、この機会はかなり大規模なものだ。2025年までに、米国における小荷物配達、食品配達、リバースロジスティクスの市場機会は、合計で8500億ドル(約88兆円)以上になるとGMは見積もっている。世界経済フォーラムによると、都市部でのラストマイル配送の需要は2030年までに78%増加し、世界の上位100都市で配送車両の36%増加につながると予想されている。この需要増加によって、配達による二酸化炭素排出量は30%以上増加すると予想されている。

EP1

画像クレジット:GM

同事業部の第一弾製品は「EP1」と呼ばれる近距離の荷物搬送を目的に開発された電動アシスト付きパレットだ。このパレットは、たとえば倉庫から配送用バンまで商品を何度も往復輸送するために使うことができるだろう。2021年初頭に発売 が予定されている。

EP1には電気ハブモーターが内蔵されており、最高時速3マイル(時速約4.8km)までの移動が可能。ポッドの速度は、これを押すオペレーターの歩く速さに応じて調整される。

GMによると、EP1は狭い空間で操作することを想定して設計されており、約23立方フィート(約650リットル)のカーゴスペースを持ち、最大200ポンド(約91kg)の荷を積むことができる。ポッドの内部には調節可能な棚板とロック可能なドアが備わり、輸送中の積み荷にリモートでアクセスできるようになっている。

FedExは先日、EP1の試験的プログラムを完了した。GM によると、FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)の宅配業者はEP1を導入したことで、1日あたり25%増の荷物を安全に取り扱うことができたとのこと。

BrightDropとFedEx Expressは、今四半期中にも米国の主要都市で試験的な運用を実施する予定だ。

EV600

画像クレジット:GM

この電動宅配バンは、GMのEV戦略の中核となる「Ultium(アルティウム)」アーキテクチャをベースに設計・製造された車両。2021年末よりFedExに最初の納車が始まる予定だ。BrightDropでは、2022年初頭より受注を開始し、より多くの顧客にEV600を提供できるようになると予想している。

EV600は、一度の満充電で250マイル(約400km)ほどの距離を走行可能になる見込みだ。120kWのDC急速充電器を使えば、1時間の充電で最大170マイル(約274km)の距離を走行できるとGMはいう。

内部に備わる荷室の容量は600立体フィート(約1万6990リットル)以上と広大で、荷物を安全に保つためのセキュリティシステムが付属する。運転席には対角13.4インチのフルカラーインフォテインメントスクリーンや、フロントのスライド式ポケットドアを装備。ワイドなキャビンはウォークスルーが可能で、荷室との間には自動で大きく開くドアが備わる。

この商用電動バンには、前後のパークアシストや自動緊急ブレーキ、車線逸脱警報など、GMの乗用車に見られる多くの運転支援技術が標準装備されている。さらに前方衝突警報、先行車との車間距離表示機能、歩行者検知ブレーキ、自動ハイビーム切り替え機能、高精細な後方視界カメラなども標準で装備される。

顧客がさらなる安全機能を求めるのであれば、後方の横方向から迫る車両を検知して自動的にブレーキを作動させるリアクロストラフィックブレーキ、ブラインドスポットを監視して危険があれば自動で操舵を補助するブラインドゾーンステアリングアシスト、後退時の自動ブレーキ、車両の周囲を映し出すHDサラウンドビジョン、後方歩行者検知警報、カメラに加えてレーダーも併用することで全速度域で作動するエンハンスドオートマチックエマージェンシーブレーキなどもオプションで装着可能だ。


関連記事:キャデラックが贅沢な空の旅を提供する1人乗り電動垂直離着陸ドローンのコンセプト公開

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMFedExロジスティクスCES 2021電気自動車

画像クレジット:GM

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(翻訳:TechCrunch Japan)

キャデラックが贅沢な空の旅を提供する1人乗り電動垂直離着陸ドローンのコンセプト公開

GMは米国時間1月12日、Cadillac(キャデラック)ブランドの電動垂直離着陸ドローンのコンセプトを公開した。これは(もし市販化が実現すればの話だが)オーナーが1人だけ贅沢な気分で空中をクルージングするために設計されたものだ。

バーチャルで開催されたCES 2021年で、GMが基調講演を行った際に、自律走行車と一緒に公開されたこの1人乗りのeVTOLは、同社初の空中モビリティに向けた試みだ。これは単なるコンセプトであり、実際の製品になる可能性は低い。しかしこれらのコンセプトは、企業がデザインや製品の方向性を示すものであり、電気自動車や自律走行車に関しては、GMがその技術に投資する意思があることを証明している。

「我々は電気駆動技術と自動運転技術の進歩によって、個人の空の旅が可能になる世界に備えています」と、GMのグローバルデザインを統括するMichael Simcoe(マイケル・シムコー)氏は、そのプレゼンテーションの中で語った。「これは、時間が最も重要であり、利便性が何より優先される瞬間のためにデザインされたコンセプトです」。

画像クレジット:Cadillac

キャデラックのeVTOLコンセプトは、搭載する電気モーターが90kWhの出力を発生し、4つのローターを駆動させ、乗員を屋上から目的地へと運ぶことができる。また、空と空および空と地上間の通信機能も装備している。

シムコー氏によれば、同社はさらに多くのコンセプトを計画しており、その中には「オーナーと特別な人のために設計された豪華な2人乗りの機体で、落ち着いてリラックスしながら、より親密な旅のために演出された多感覚に訴える体験を楽しめる」ものも含まれるという。

このコンセプトは、シムコー氏が説明するように自動運転とキャデラックのラグジュアリー性が「そう遠くない将来に」どのようなものになるのかを世界に示すものだ。

もちろん、これらのコンセプトは、GMがいかに交通機関の未来に本気で取り組んでいるかを伝えるためのものでもあり、その中心は電動化、自動運転技術、コネクテッドカーサービスだと考えられている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMCadillaceVTOLコンセプトモデルCES 2021自動運転

画像クレジット:Cadillac

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(翻訳:TechCrunch Japan)

エアタクシースタートアップArcherが電動飛行機生産で自動車メーカーのフィアット・クライスラーと提携

都市交通向けの電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するArcherは、自動車メーカーのFiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のエンジニアリング、デザイン、サプライチェーンおよび材料科学における専門知識を活用するために、同社と新たな提携関係を結ぶ。ArcherはeVTOLの量産を2023年に開始し、2021年の早い時期での機体初公開を目指している。

今回の新たな提携により、FCAはArcherのeVTOLのコックピット設計に貢献する情報を提供することになり、また自動車事業での何十年にもわたってドライバーのために空間を設計してきた豊富な専門知識でも貢献する。Archerの機体は電気モーターを搭載し、最高時速150マイル(時速約240km)で最大60マイル(時速約97km)飛行できる。同社のeVTOLは静粛性と効率性を重視して設計されており、FCAとの連携により、大量生産と持続可能性を実現するために製造コストの低減に向けた取り組みが進められている。

最終的にArcherはFCAの協力を得てプロセスの効率化を実現し、eVTOLを市場に投入することで、エンドユーザーが手頃な価格で利用できる健全なビジネスを実現することを目指している。パロ・アルトを拠点とするArcherは、将来的には世界中の都市でエアタクシーサービスを提供するために、最終的には年間「数千機」のeVTOL機を生産できるレベルまで生産規模を拡大したいと考えている。

共同創業者のBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドスタイン)氏が率いるArcherは、Airbus(エアバス)のVahana eVTOLイニシアチブで重要な役割を担ったチーフエンジニアのGoeff Bower(ゴエフ・バウワー)氏といった業界の重鎮が参加し、2021年初めにウォルマートのeコマース事業の現社長兼CEOであるMarc Lore(マーク・ローア)氏(ウォルマートに買収された際に同氏はJetの共同創業者兼CEOだった)の支援を受けて、ステルス状態からスタートした。

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タグ:ArchereVTOLエアタクシーFiat Chrysler Automobiles

画像クレジット:Archer

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開

2020年のCESで最大のサプライズの1つとなったSony(ソニー)の「VISION-S(ヴィジョン・エス)」プロトタイプセダンは、ショーが終了した後も消え失せることはなかった。

米国時間1月11日に開幕したCES 2021で、ソニーが公開した一連の新しい動画の中に、再びVISION-Sの姿を見ることができた。そのうち2本の動画には、VISION-Sがオーストリアの私設コースと公道を走行している様子が映し出されている。だが、3本目の長いビデオ(記事の最後に掲載)では、ソニーがこのプロトタイプをどのようにして設計・開発したのか、そしてそのパートナーやボディの下に隠れたいくつかの技術について、より多く光が当てられている。

画像クレジット:Sony(スクリーンショット)

重要なことは、VISION-Sのプロトタイプがソニーにとっては単なる出発点に過ぎないということだと、このプロジェクトのパートナーの1つ、自動車製造受託会社であるMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)のFrank Stein(フランク・スタイン)社長は語る。約9分におよぶこのビデオの中でインタビューに応じているスタイン氏は、ソニーとMagna Steyrのパートナーシップが今後も継続することを示唆しており、このプロトタイプが一過性のものではないかという憶測を払拭させるような発言をしている。

ソニーのウェブサイトに、詳細な情報と一緒に掲載されているこの動画は、同社とその多くのパートナーが1年の間にこのクルマの開発をさらに進めてきたことを示している。

動画に登場するソニー執行役員の川西泉氏によると、ソニーは360度の認識を可能にするために、車両に搭載されているセンサーの数を40個に増やし、そのセンシング能力をどこまで高められるかの実験を行ったという。また、そのコネクテッドビークルの安全・安心を検証するシステムも作成してきたと、同氏は述べている。

下の写真で見られるダッシュボード全幅にわたる長さのディスプレイには、中央部分に5つのタイルが配置されており、それぞれカメラ、設定、ナビゲーション、音楽、ビデオというラベルが付けられている。

画像クレジット:Sony/screenshot

動画を見ると音声アシスタント、ジェスチャーコントロール、ビデオゲームなどのエンターテインメント、車両のソフトウェアをワイヤレスでアップデートする機能、5G接続、車内カメラを使ったドライバーモニタリングシステムなど、他にもいくつかの機能が追加あるいは開発されていることがわかる。特に、ソニーのウェブサイトで詳しく説明されているカメラが興味深い。

車内に装備されたToFカメラは、乗員の状態を認識・確認するために使われる。後部座席に寝ている乗員を検知すると、自動的にエアコンを制御し、その座席の周囲を最適な温度に調整するという。このシステムは日常的に使用することで進化を続け、運転者の好みの温度や音楽、走行ルートなどを学習する。実際の走行データを活用し、車内をより快適な空間にしていくと、ソニーは述べている。

このビデオには、Bosch(ボッシュ)やContinental(コンチネンタル)、ハンガリーの自動運転スタートアップ企業であるAIMotive(エーアイモーティブ)、ソフトウェア会社のElektrobit Automotive(エレクトロビット・オートモーティブ)、フランスの自動車部品サプライヤーであるValeo(ヴァレオ)、通信大手のVodafone(ボーダフォン)、ドイツの自動車部品メーカーであるZF Group(ZFグループ)など、VISION-Sに関わるパートナーがずらりと登場する。他にも地図作成会社のHERE(ヒア)、NVIDIA(エヌビディア)、BlackBerry(ブラックベリー) / QNX、Qualcomm(クアルコム)などの企業がパートナーとして参加しており、いつかソニーが開発したクルマを一般消費者が購入できる日が来ることは、まず間違いないだろうと思えてくる。

「(ソニーのビジョンの1つとして)『人に寄り添う』ということをテーマに掲げているので、そのための1つのツールとして、モビリティは存在するだろうと思います」と、ソニーのAIロボティクスビジネス担当執行役員の川西氏は動画の中で語っている。

関連記事:なんとソニーが自動車「Vision-Sセダン」を発表

カテゴリー:モビリティ
タグ:Sony電気自動車、VISION-S、CES 2021

画像クレジット:Sony

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転技術のMobileyeが数カ月以内に東京など世界4都市にテスト地域を拡大

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は自動運転車両プログラムを拡大する。数カ月以内に少なくともさらに4都市でテスト車両を走らせる計画で、この4都市はデトロイト、パリ、上海、東京だ。

Mobileyeの最高経営責任者兼社長、Amnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏は米国時間1月11日、バーチャルで開催されているテックトレードショー2021 CESで当局から許可がおりればニューヨーク市の公道でもテストを開始すると述べた。

現在開発中で2025年にマーケット投入予定の新しいLiDAR SoC(System on Chip)プロダクトについての詳細とともに明らかになったテストプログラム拡大は、自動運転車両テクノロジーの商業化を目指すMobileyeの野心を表している。

テストを展開する国や都市の選択は2つの要素に基づいている。Intelの上級主席エンジニアでMobileyeの自動運転車両スタンダード担当副社長Jack Weast(ジャック・ウィースト)氏によると、顧客と規制環境だ。

「米国ではメジャーなOEMはデトロイトにあり、だからこそ我々はシリコンバレーではなくデトロイトでクルマを走らせるのです」とウィースト氏はインタビューで語った。そしてパリにはPeugeot(プジョー)とRenault(ルノー)、日本にはトヨタと日産がいると付け加えた。「都市の選択は、顧客が直接テクノロジーを体験できる機会を持てるよう、顧客の近くに車両を展開することと大いに関係がありました。というのも、当社が完全な自動運転システムを供給するとしてもOEM顧客は当社の今後の事業において重要な部分であり続けると考えているからです」。

同社によると、テスト車両はすでにデトロイトの路上を走っている。Mobileyeは最初のテスト車両を2018年にエルサレムで走らせ、その後2020年にミュンヘンでも展開した。

同社は、自動運転車両テクノロジーの開発と展開においてすべての自動運転スタックを組み合わせた3つの戦略を持っている。テクノロジーはカメラをベースとした冗長センシングサブシステム、レーダー、LiDARの技術を組み合わせたもの、そしてREMマッピングシステム、ルールベースのResponsibility-Sensitive Safety (責任感知型安全論、RSS)ドライビング規約だ。MobileyeのREMマッピングシステムは、ADASと自動運転システムをサポートするのに使われるHDマップを作成する技術を搭載した100万台近くの車両を利用することでデータをクラウドソースする。シャシュア氏はMobileyeのテクノロジーが毎日800万キロメートル近くを追跡することで世界の地図を作成でき、これまでに10億キロメートル完了したと話した。

この戦略により、2025年までに商業ロボタクシーサービスを立ち上げて展開し、また消費者の乗用車にこのテクノロジーをもたらすことができるとも述べた。

Mobileyeは衝突回避に役立つコンピュータービジョンセンサーシステムのデベロッパーとして、自動車業界のニッチな分野を長らく支配してきた。2018年に同社はサプライヤーとしてだけでなくロボタクシー事業の展開にもフォーカスを拡大した。そして現在、同社はコンピュータビジョンテクノロジーに現在Intelと共同開発しているLiDAR SoCで増強することで、自動運転車両テクノロジーを乗用車にもたらそうとしている。

Mobileyeはすでにロボタクシー向けのLiDAR供給でLuminar(ルミナール)と提携している。しかしMobileyeはLiDAR SoCについて、2025年までに乗用車向けに提供できるようになると踏み込んで述べた。自社開発のLiDAR SoCのマーケット投入の準備が整ったらLuminarとの提携を打ち切るとはシャシュア氏もウィースト氏も言わなかった。

Mobileyeはカメラベースのテクノロジーで知られているため、Intelが専門とするシリコンフォトニクスファブを活用するLiDARは注目に値する。しかもカメラ第一のアプローチを捨てたわけではない。テクノロジー上、そしてビジネス上の最良のアプローチはカメラ第一のシステムを開発し、LiDARとレーダーを冗長性のためのアドオンとして使うことだとMobileyeは確信している、とシャシュア氏は説明した。

「カメラサブシステムを持っているということがポイントです。カメラベースなので、コンシューマーが手にできる価格水準です。なので横展開が可能な考え方となります。この横展開の考え方は、レベル4がユビキタスなものになるまで、真に持続可能な解決法です」と同氏は述べた。

カメラ第一のアプローチが後にどのように受け入れられるか、その例として同氏はGeely Autoとの高度ドライバーアシスタンスシステムのための長期的で大量の契約を挙げた。LiDARとレーダーは、マーケットが整えばさらに高度なオートメーション能力をサポートするために追加される。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Mobileye自動運転東京CES 2021

画像クレジット:Screenshot/Mobileye

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(翻訳:Mizoguchi

BMWが次世代「iDrive」のインフォテインメントシステムを先行公開

BMWは米国時間1月11日、CES 2021で「iDrive(アイドライブ)」システムの未来を我々に初めて垣間見せてくれた。iDriveは、2001年に登場した4代目「7シリーズ」で初めて採用されたBMWのインフォテインメントシステム。今回の発表では、その20年におよぶ歴史を振り返るなど、主として過去に焦点を当てているが、近々発売される「iX」の巨大なディスプレイで正式デビューする新システムについても、これまでよりもう少し詳しい情報と画像が明らかにされた。

ひと目でわかるのは、リフレッシュされてカラフルになったディスプレイのデザインだ。BMWが用意した資料を見ると、全体としては馴染みがあるレイアウトを踏襲しているため、現在BMWに乗っているドライバーは慣れるまでそれほど長い時間を要することはないだろう。

BMWは最近のアップデートで独自のパーソナル音声アシスタントジェスチャーコントロールを導入しているものの、センターコンソールに備わるiDriveのノブがなくなるわけではない。とはいえ、デザインの変更もいくらか施されているようだ。しかし、明らかにBMWは、今すぐ物理的な操作装置をなくすつもりはない。

画像クレジット:BMW

このアップデートの背後にある全体的な哲学は「モビリティ体験をより安全に、より快適に、より便利に、より多彩に」するために、コネクテッドカーの可能性をより活用できるシステムを提供することだと、BMWは述べている。

ここで論点となるのは、今やクルマは、無数のセンサーとコネクティビティのおかげで、ドライバーよりもはるかに多くの情報にアクセスできるようになったということだ。それが新しいiDriveのデザインに影響を与えているとBMWはいうが、まだ詳細を発表する段階には至っていないらしい。しかし、BMWが公開した資料を見る限りでは、全体的なレイアウトはどことなく見覚えがあるものなので、BMWの現行モデルに乗っている人であれば、すぐに使い方を習得できるだろう。

画像クレジット:BMW

「次世代のBMW iDriveは、急速に増大しているBMWとドライバーの関係を新たなレベルに引き上げます」と、同社はこの日の発表で述べている。「この新しいシステムは、アナログ技術とデジタル技術の間を巧妙につなぐ架け橋となります。そしてこれは、車内で利用可能な機能の数とその複雑さがますます増加する中、新たなパラダイムシフトの到来を告げるものです」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:BMWCES 2021

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

中国の検索大手のBaidu(バイドゥ、百度)が、その自動車への野望を、単なるソフトウェア提供から生産へと広げている。同社は中国時間1月11日、中国の自動車メーカーGeely(ギーリー、吉利)の協力を得て、電気自動車(EV)製造会社を設立することを発表した。過去10年ほど中国のインターネット検索市場を席巻してきた百度がスマートドライブ技術を提供し、一方スウェーデンのVolvo(ボルボ)との合併(ロイター記事)が間近に迫っているGeelyが自動車の設計と製造を担当する。

新たなEV製造会社の設立は、中国のインターネット業界の先端企業がEVスペースに参入することを意味している。2020年11月には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴)と中国の国営自動車メーカーSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで、電気自動車を生産するというニュースが流れた。ライドシェア企業のDidi(ディディ)とEVメーカーのBYD(比亜迪汽車)が共同開発した配車サービス用モデルは、すでにIdeanomics(PR Newswire記事)のような顧客を獲得している。一方、中国におけるTesla(テスラ)への挑戦者であるXpeng(シャオペン、小鵬)、Li Auto(リ・オート)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)などの株は、この1年順調に上昇傾向にある。

Baiduの自動車への注力は、検索広告収入に依存するビジネスを多様化するための試みの一環である。ByteDance(バイトダンス、北京字節跳動科技)のニュースアグリゲーターToutiao(トウティァオ、今日頭条)や短編動画アプリDouyin(ドウイン、抖音)などの新しいメディアプラットフォームには独自の検索機能が搭載されており、Baiduのような伝統的検索エンジンのシェアを徐々に侵食している。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)が示したところによれば(WeChat記事)、中国ではショートビデオサービスが、インターネット検索ではウェブ検索エンジンに次いで2番目に人気のあるチャンネルとして浮上しており、ソーシャルネットワークや電子商取引よりも先を行っている。

Baiduは2017年から自動運転に積極的に取り組んでいる。「スマートドライブのためのアンドロイド」と呼ばれるそのApollo(アポロ)エコシステムは、100社以上の製造業やサプライヤーのパートナーを集めてきた。Baiduはまた、自動運転のテストに熱心で(未訳記事)、最近ではロボタクシーの一群をロールアウトした(South China Morning Post記事)。

新会社はBaiduの子会社として運営され、Geelyが戦略的パートナーとなり、ApolloやBaidu Maps(バイドゥマップ)などのBaiduの各部門が機能を提供する。新会社は車両設計、研究開発、製造、販売、サービスなどの自動車産業チェーン全体をカバーする。

BaiduとGeelyの提携がApolloの運営にどのような影響を与えるかは不明だが、Baiduは発表の中で「AI技術業界全体でのオープンなコラボレーションの精神を堅持し、エコシステムのパートナーと緊密に協力してインテリジェントトランスフォーメーションの新しい波を押し進めるよう努力します」と約束している。

Baiduの共同創業者であり最高経営責任者であるRobin Li(ロビン・リー、李彦宏)氏は「Baiduは、インテリジェントドライブの未来をずっと信じており、過去10年間でAIに多額の投資を行い、世界クラスの自動運転サービスのポートフォリオを構築してきました」と述べている。

「私たちは、スマートトランスポーテーション、コネクテッドカー、自動運転に関するBaiduの専門知識と、大手自動車メーカーでありEVメーカーでもあるGeelyの専門知識を組み合わせることで、新しいパートナーシップが将来の乗用車への道を切り拓くものと確信しています」。

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タグ:BaiduGeelyEV自動運転

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:sako)

GMの自動運転車技術子会社Cruiseが商業化に向けデルタ航空元幹部を採用

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転車技術子会社であるCruise(クルーズ)は米国時間1月8日、デルタ航空の元最高執行責任者であるGil West(ギル・ウエスト)氏を採用し、早期の商業化へ動くと語った。

2020年にデルタ航空を引退したウエスト氏は、Cruiseの最初の最高執行責任者となる。この発表は、Cruiseが自動運転車の公道でのテストを人間の安全オペレーターの同乗なしで開始してから1カ月以上経った後に行われた。テストはまだサンフランシスコの限られた地理的エリアと市内の混雑の少ない地域の1つで実施されている。だがそれでも同社にとっては1つのマイルストーンであり、乗車に対し料金を請求できる商業ベースのシェアードサービスの開始許可を確保するために必要なステップと見られている。

ウエスト氏は、年間160億ドル(約1兆6600億円)の予算を持つ巨大なグローバルオペレーションを12年以上動かした経験を携えてCruiseにやって来た。同氏は在職中、デルタの1株当たり利益を前年比15%以上増加させ、ノースウエスト航空との合併統合を主導した。

2018年までGMの社長(未訳記事)で、現在はCruiseのCEOを努めるDan Ammann(ダン・アマン)氏は、ウエスト氏の大企業でのカスタマーエクスペリエンス、オペレーション、安全性での実績が「Cruiseに完璧に合っています。私たちは自動運転技術の商業化への旅を始めるからです」と述べた。

Cruiseは2019年末までにいわゆる「無人」車両を使用した商用サービスを開始する(未訳記事)ことを目指していたが、そのスケジュールを後ろ倒しにした。他の自動運転車会社数社が自動運転車を利用した配車サービスの立ち上げの計画を延期した後の決定だ。Cruiseは、商用サービスを開始する新たな予定日をまだ発表していない。最初の商用サービスはサンフランシスコで提供される。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドとT. Rowe Price & Associatesが投資するCruiseは数百台の自動運転車を保有しているが、ほとんどの場合、まだ人間のセーフティオペレーターが同乗している。Cruiseは2020年11月、5台の自動運転車を使用して無人運転テスト(人間のセーフティオペレーターが運転席にいないテスト)を開始した。同社の残りの車両は、人間の運転手が同乗するこれまでのテスト向けであり、その一部は地域のフードバンクに商品を配達するために使われている。

カリフォルニア州の自動運転車のテストを規制する機関であるカリフォルニアDMVは2020年10月、Cruiseに対しサンフランシスコ内の特定の道路で運転手が同乗しない5台の自動運転車をテストできる認可を与えた。Cruiseは2015年以来、安全ドライバーが同乗する自動運転車をテストする許可を保有している。

Cruiseは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から自動運転車による州内での乗客輸送に関して許可を取得した。CPUCは2020年末に規制を変更し、適切に認可を受けた企業が自動運転によるシェアライドの料金を請求することを認めた。

CPUCのウェブサイトの情報によると、CruiseはCPUCからの認可適格のために、30日間無人運転をテストしたというデータを提示する必要がある。

ウエスト氏はその30日間が終了したときに採用される。同氏はCruiseのすべての商業運営を担当する。その中には数百台の車両の管理と顧客サービスが含まれる。

「Cruiseは生活を変え、輸送の現状を打破する方法をリードしています」とウエスト氏は声明で述べた。「私の生涯で、自動運転への移行ほど運輸業界での大きな変化はありません。私はこのような機会のためにキャリア全体を作り上げてきました」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Cruise自動運転

画像クレジット:Cruise

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(翻訳:Mizoguchi

メルセデス・ベンツが高級EVセダンEQSの湾曲56インチ「ハイパースクリーン」発表

3年前、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、従来の自動車業界を躍進させるインフォテインメントシステム「MBUX(メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」を発表した。

このシステムは鮮明なグラフィック、直感的なUIと音声アシスタントを備えており、スマートフォンの使用感に近く、ピクセル化された画面や、現代のインフォテインメントシステムの多くに見られる乱雑なデザインからようやく脱却したものだった。

メルセデスは米国時間1月7日、MBUXの次のイテレーションである56インチの湾曲したスクリーンを発表した。MBUX Hyperscreen(MBUXハイパースクリーン)は、メルセデスの電気自動車ブランドEQのフラッグシップセダンである2022年モデルのMercedes EQS(メルセデスEQS)にオプション設定される。オンライン開催のCES展示会に先駆けて発表されたハイパースクリーンは、8CPUコア、24GB RAM、46.4GB/秒のRAMメモリ帯域幅を備えており、1台の多機能カメラと光センサーを利用して、画面の明るさを周囲の照明条件に適合させることができるという。

これらの技術はすべて、最大7人まで個別に対応できる直感的なインフォテインメントシステムを提供することを目的としている。メルセデス・ベンツのCTOであるSajjad Khan(サジャド・カーン)氏によると、ハイパースクリーンの背後にあるソフトウェアにより、システムは継続的に顧客をよりよく知っていくことができ、車の乗員がどこかをクリックしたり、スクロールしたりする必要がないように設計されているという。

「MBUXハイパースクリーンは、クルマの脳と神経系の両方です」とカーンは声明で述べている。

Mercedes-Benz EQSのMBUXハイパースクリーン(画像クレジット:Mercedes-Benz)

湾曲したスクリーンは、ガラスのハウジングの下に複数の個別のディスプレイが配置されているが、カバープレートは、反射を低減し、清掃を容易にするために傷に強いケイ酸アルミニウムの2層コーティングで保護されている。メルセデスはまた、万が一の衝突に備えて、スクリーンの破損ポイントをあらかじめ設定して設計したとのこと。

湾曲したスクリーンの両側には、スクリーンに組み込まれた2つの物理的な通気口がある。

画面の見た目や大きさはさておき、際立つのはUIや操作方法だ(といっても、明確にしておくとまだ本当にテストしたわけではないが)。メルセデスは充電、エンターテインメント、電話、ナビゲーション、ソーシャルメディア、コネクティビティさらにはマッサージ(タイプミスではない)に関する情報をスクリーンのフロントに配置することを選択した 。これは、メニューをスクロールしたり、これらのオプションを見つけるために音声アシスタントを使用する必要がないことを意味している。

ドライバーのパターンを学習したシステムのソフトウェアがユーザーを促すので、サブメニューに入っていく必要がなくなる。ナビゲーションマップは常に中央に表示されており、そのすぐ下には電話やエンターテイメントのためのコントロール、または状況に応じた機能が配置される。

メルセデスは7日の発表中に、システムのソフトウェアと、そのスマートな機能を強調した。たとえばドライバーがいつも特定の曜日に帰宅途中に特定の人に電話をかけている場合、システムはその行動を予測し始める。タイミングを合わせ、その相手の名刺が連絡先とともに出てきて、保存されていればその人の写真も表示される。その日の夕方に他の誰かがEQSを運転していた場合は、このような提案は行われない。

Mercedes-Benz EQSのMBUXハイパースクリーン(画像クレジット:Mercedes-Benz)

ドライバーはシステムのより深いレベルで設定を変更したり、他の機能にアクセスしたりすることができる。助手席の乗員は「co-driver display」(コドライバー・ディスプレイ)と呼ばれる専用の画面セクションを持ち、ドライブ中に画面を操作することができる。一部の市場では、Bluetoothヘッドフォンを使用して移動中にビデオを視聴することも可能だ。カメラに制御されるインテリジェントロックコンセプトにより、ドライバーが助手席のディスプレイを見て気が散るのを防ぐことができるという。

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タグ:Mercedes-BenzCES 2021

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(翻訳:Nakazato)

ホログラフィックディスプレイのEnvisicsがパナソニックと提携、車内AR技術実現を加速

Envisics(エンヴィシクス)の創業者兼CEOであるJamieson Christmas(ジェイミソン・クリスマス)博士は、ホログラフィック技術を使って車内体験に「革命を起こす」ために3年前にスタートアップを立ち上げた。そしてこの度、その使命を達成するためのパートナーを得た。

英国を拠点とするホログラフィック技術のスタートアップである同社は、米国時間1月8日、Panasonic Automotive Systems of America(PASA)と、自動車・トラック・SUV向けの新世代ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display、HUD)を共同開発し、商品化することで合意に達したと発表した。PASAはPanasonic Corporation of North America(パナソニック ノースアメリカ株式会社、PNA)の一部門であり、Tier1(ティア1)自動車サプライヤーだ。ヘッドアップディスプレイは車両のダッシュに組み込まれたユニットで、フロントガラスに映像を投影し、ナビゲーションやその他の警告をドライバーに提供する。「パナソニックHUD」と呼ばれるHUDは、Envisics社のホログラフィック技術を採用することになる。

今回の契約は、2021年にオンライン開催されるCES展示会に先立ち発表されたもので、Envisics社の5000万ドル(約52億円)のシリーズB資金調達ラウンドと、その技術がキャデラックの電気自動車Lyriqに搭載されるというニュースに続く。この資金調達ラウンドでは韓国のHyundai Mobis(現代モービス)、米国のGeneral Motors Ventures(ジェネラル・モーターズ・ベンチャーズ)、中国のSAIC Ventures(上海汽車集団のベンチャー部門)、米国Van Tuyl Companies(バン・タイル・カンパニー)からの投資を含め、Envisicsの評価額は2億5000万ドル(約260億円)以上となった。

Envisicsの技術の基盤は、15年以上前にクリスマス博士が、光の速度を電子的に操作することにより、ケンブリッジ大学で博士号を取得した際に開発されたものだ。このプロセスにより画像を立体的に見せることができると、博士は最近のインタビューで説明している。同社は250件以上の特許を取得しており、さらに160件を申請中だという。

クリスマス博士は、同社はもっぱらホログラフィーの自動車アプリケーションに焦点を当てていること、そしてその第一世代はすでに15万台以上のJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)車に搭載されていることを付け加えて語った。

クリスマス博士は、今回の契約は、パナソニックの光学設計の専門知識と、Tier1サプライヤーとしてのグローバルなリーチをEnvisicsの技術と組み合わせることで、ホログラフィを広く普及させることを目的としていると述べた。両社によると、Envisics社の技術を用いた自動車の量産は2023年を予定しているという。

「これは当社の事業計画の一環でした。シリーズBの資金調達ラウンドは、事業を拡大し、市場への参入に向けて前進できるようにすることを目的としていましたから」とクリスマス博士は語る。「その一環として、市場に製品を提供するために協力できるティア1とのパートナーシップを約束していました」。

「これはそれらの契約の最初のものです」と彼は付け加え、Envisicsがさらに大きな目標を持っていることを示唆した。

クリスマス博士によると、それが意味するものは、高解像度で広色域のヘッドアップディスプレイであり、現実に重ね合わせて表示できる大きな画像であるという。この技術は、同時に複数の距離の情報を投影することもできる。

「これにより、非常に興味深いアプリケーションへの道が開きます」とクリスマス博士はいう。”短期的には、ナビゲーションや車線の強調表示、安全アプリケーションなど、比較的単純な拡張現実アプリケーションになるでしょう。しかし、自律運転のようなものに目を向けると、エンターテインメントやビデオ会議のような他の可能性の領域が開けてきます」。

彼は、暗い道に拡張された情報を重ね合わせて、道がどこに向かっているのか、どんな障害物がそこにあるかもしれないのかを明確にするような暗視アプリケーションにも利用できると付け加えた。

関連記事:車載ホログラフィック・ディスプレイ開発の英国Envsicsが約53億円調達、Jaguarランドローバーへの搭載目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Envisics資金調達ヘッドアップディスプレイ / HUDARCES 2021ホログラム

画像クレジット:Envisics

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(翻訳:Nakazato)

GMがEVへの本気度を示す新ロゴを発表、ウェブサイトも刷新

General Motors(ゼネラル・モーターズ)はロゴを変更し、ウェブサイトを刷新し、新たに「Everybody In」マーケティングキャンペーンを立ち上げた。電気自動車の浸透を加速させることに真剣であるという、モダンで迅速、そしてインクルーシブな組織への同社のトランスフォーメーションを示す取り組みの一環だ。

これらの変更は、米国時間1月11日からバーチャルで開催されるテックトレードショー2021 CESへの参加を発表するのにともなって明らかにされた。同日から新しいウェブサイトになる。

「115年の歴史の中でGMがロゴを変更するのは今回が5回目で、おそらく1964年以来最も革新的なものです」と同社のマーケティング責任者Deborah Wahl(デボラ・ワール)氏は米国時間1月8日の記者会見で述べた。すべて大文字のGMロゴは、ゼロエミッションできれいな空を連想させるソフトな青いグラデーションの小文字「gm」に変わった。そして「m」の下には下線があり、これはGMの基礎をなすUltiumバッテリーアーキテクチャーを示している。mの周辺の空白部分は電気プラグのようにも見えるとワール氏は話した。

「楽観的で、エネルギーと活気があり、当社の未来に対する見方を反映しています」と同氏は語った。「当社でしっかりと受け継がれてきたものに、見て取れる一貫性と信頼という重要な要素が加わっています。しかし全体的に真にGMに人間性を与えようとしており、実際、このブランドアイデンティティプロジェクトは、これが従業員16万4000人を表すことを知っている当社のデザイナーチームがリードしました」。

2021年1月に立ち上げたGMの新しい広告キャンペーンのサーファーのベサニー・ハミルトン氏

この取り組みはロゴの変更、そして著作家のMalcolm Gladwell(マルコム・グラッドウェル)氏、サーファーのBethany Hamilton(ベサニー・ハミルトン)氏、ゲーマーのErin A. Simon(エリン A・シモン)氏、Peloton(ペロトン)のサイクリングインストラクターCody Rigsby(コーディ・リグスビー)氏の短い出演とともに普通の人々が登場する新しい広告以上のものになることを意図している。同社が動きの遅い遺産的な自動車メーカーから、すばやく動き、技術を中心に据え、そして次世代車の所有者にアピールする自動車メーカーへと真に進化したことを示すのが狙いだ。

GMはインスパイアしたいと考えている。ロゴやウェブサイトの変更は変身の始まりを意味する。

もちろんこの変革を支えるのは資金やリソースだ。GMは2020年11月、今後5年間で電気自動車と自動運転テクノロジーの開発に270億ドル(約2兆8000億円)を注ぐと述べている。これは石油・ディーゼルへの投資より35%多く、プロダクトをより早くマーケットに投入するためのものだ。

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タグ:GM電気自動車

画像クレジット:GM

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(翻訳:Mizoguchi

米運輸省道路交通安全局がテスラ車に対する急加速の訴えはドライバーのミスが原因と判断

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla(テスラ)の4車種が関与する意図しない突発的な加速(Sudden Unintended Acceleration、SUA)の報告は、ユーザーのミスによるものであると判断した。

NHTSAは、Brian Sparks(ブライアン・スパークス)氏が2013年以降に製造されたすべてのModel S、Model X、Model 3のリコールを要請した直後の2020年1月に、このクレームの調査を開始した。同局は提供された232件のSUAに対する訴えと、14件の他の苦情、利用可能な衝突データすべてを分析した。

NHTSAの欠陥調査部門は、スパークス氏が指摘したSUA関連の事故はすべてドライバーが原因だと判断した。そのため66万2109台の車両を正式に審査し、リコールの可能性があるというスパークス氏の訴えを否定している。

「アクセルペダル部品、モーター制御システム、ブレーキシステムには、引用された事故のいずれかに寄与するような故障の証拠はありません」と、報告書は記載されている。「ペダルの誤操作の可能性を高める設計要因の証拠はありません。対象車両におけるSUAの電子的原因を指摘する理論は、システム設計とログデータに関する不正確な仮定にもとづいています」。

Teslaは以前、請願書を「完全な虚偽」と呼び、スパークス氏を同社の空売り業者だとしてこの主張を否定していた。

「私たちはドライバーが自分の入力に反して加速したと主張するあらゆる事例を調査し、入手したあらゆる車種の事例において、クルマが設計通りに動いていたことを確認しました」と、Teslaは述べていた。「つまり、ドライバーが加速するように指示した場合にのみ加速し、ブレーキをかけたときに減速または停止するのです」。

NHTSAの調査では、Tesla独自の調査結果が裏付けられた。米TechCrunchはTeslaにコメントを求めており、返信があればこの記事を更新する。

関連記事:テスラが「意図しない加速」の訴えは「まったくの虚偽」と主張

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結局、テスラがModel Yの廉価な標準レンジモデル販売を決定

Tesla(テスラ)はModel Yのより廉価な標準レンジモデルの受注を開始した。2021年初め、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOはこの車のリリース計画を保留するかのように思われていた。

Electrekによる最初の報道によれば、テスラはウェブサイトを更新し、Model Yの標準レンジモデルを4万1990ドル(約436万4000円)からの価格で追加しており、これは現在同社が販売している長距離モデルより9000ドル(約93万5000円)近く安い。Model Yの標準レンジモデルは後輪駆動だが、高価で長距離移動が可能なパフォーマンスバージョンは全輪駆動となっている。

この廉価モデルは、長距離バージョンの326マイル(約540km)と比較して244マイル(約390km)の短いEPA航続距離が設定されている。

テスラは約2年前、2021年春にModel Yの標準レンジモデルの生産を開始する予定だと述べていた。しかし2020年7月にマスク氏は、低走行距離が「許容できないほど短い(EPAで250マイル以下)」ため、このモデルをウェブサイトから削除したとツイートしていた。

最新のテスラウェブサイトでは、Model Yにも7人乗りのオプションが用意されている。

 

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