上場株式の議決権を考える―保有期間に基づく方式を再導入すべきだ

議決権制限株式の善悪についていまさら興奮して議論を始める気にはなれない。株式市場の投資家側は「議決権制限株式はファウンダー側に不当に強い支配権を与えるものだ」と憤る一方、ファウンダー側は「短期の株式保有者の近視眼的行動から会社を守るために必須の制度だ」と反論する。しかし現実に議決権制限株式を発行しているのは比較的少数の会社にとどまる。こうした仕組を採用している有名なテクノロジー企業はGoogle、Facebook、Zynga、Groupon、Snapぐらいだろう。ほとんどのスタートアップは自社に対してはるかに弱い支配権しか持たない。

もっとも議決権制限株式の活用は漸増の傾向だ。Dealogicによれば、2015年にはアメリカにおける174社の新規上場中 27社が議決権制限株式を発行している。2014年には292社中36社だった。

これがなぜ議論を呼ぶのか? 昨年、Institutional Shareholder Servicesが発表したレポートは、「1年、5年、10年、いずれの期間でも議決権制限株式を発行している企業の成績はそうでない会社の成績を下回った」と主張している。最近上場したSnapは無議決権株式の仕組を全面的に採用している。新規上場申請書の中でSnapは「われわれの知る限り、アメリカの株式市場において無議決権株式で上場を試みた会社は他にない」と認めている。

Snapの株価が長期的にどういう値動きとなるかは今後の問題だが、上場の初日には売り出し価格から44%値上がりし、その後16%ダウンするという展開となっている。アナリストは次第に悲観的な見方を強めているようだ。議決権制限株式に懸念を示す者の中にはSEC〔証券取引委員会〕の民主党系委員、カラ・スタイン(Kara Stein)が含まれる。Stein委員は3月9日(米国時間)に「投資家の権利が損なわれている疑いがある」と公に発言した。スタイン委員は「SECは一部の新しい仕組が投資家にとって有害であることを証明すべきだ」と述べた。

SECが代替策を考慮すべきであるなら、保有期間に基づく議決権(tenured voting)だろう。この仕組は以前は多少利用されていたものの、1980年代に事実上禁止されたままになっている。シリコンバレーの一部ではこの仕組の復活を望む声が強まっている。

この仕組ではその名前のとおり、「保有期間(tenure)」がカギとなる。投資家が長期間株式を保有していれば議決権が増える。「もの言う株主」の行動からファウンダーを守ると同時に公開市場の株式保有者にも一定の発言権が確保される。

利点は明らかだろう。AutodeskのCEOを長年務めたCarl Bassは昨年「もの言う株主」と衝突した。当然ながらBassはわれわれのインタビューに対して、「株式の保有期間に応じて議決権が増加する仕組を使えるようにすべきだ」と述べた。「100万株を1年保有している株主よりも100万株を2年保有している株主の方が大きな議決権を持つようにすべきだ」というのがBassの考えだ。

ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzのゼネラル・パートナー、スコット・クーパーもこのアイディアを支持している。彼は「広汎な株式市場改革の一環として良い考えだ。保有期間に基づく議決権は株主の長期的利益と経営陣の利益を調整するために非常に役立つ。議決権制限株式という力づくの解決策よりずっと受け入れやすいはずだ」という。

カリフォルニア大学バークレー校ロースクールの教授Davidoff Solomonはこの仕組が実現されるには「時間がかかるだろう。また誰か率先するものが必要だという。

保有期間に基づく議決権は「〔一般に保有期間が長い〕機関投資家に有利だ。一方でテクノロジー企業の行動はレミング的だ」とSolomonは言う。つまりGoogleが議決権なしの株式を売り出したことがドアを開く結果となり、他のシリコンバレー企業もその後に続いた。保有期間に基づく議決権の仕組も同様で、誰からが先鞭を付ければそれがトレンドになるだろうという。

実現を困難にしているハードルの一つは、上場を取り仕切る証券会社にそのメリットを飲み込ませることだという。Jackson Square VenturessのGreg Gretschは「〔各地で投資家に上場意図を説明する〕ロードショーのプレゼンは30分だ。投資銀行家は貴重な時間を保有期間ベースの議決権などの説明に使いたがらない」と述べた。Gretchによれば、一般的に「投資銀行家は普通と違って見えるものを嫌う。なんであれ―ひも付きだ株式とかとひも付き融資とか―条件付きの仕組は市場ではウケが悪い」という。

有力法律事務所のWilson Sonsiniの弁護士、David Bergerによれば、もう一つのハードルはアメリカの証券取引所に保有期間に基づく議決権の仕組を認めさせることだ。証券取引所は80年代に「保有期間に基づく議決権は不必要に複雑であり、条件が守られていることを正しく確認するのが困難」だとして、すでに定款に明記して実行していた企業を除き、新たにこうした株式を発行することを禁じて現在に至っている。

Bergerによれば、「証券取引所は保有期間に基づく議決権に対して柔軟な考え方だ(Bergerは実際に話を聞いたという)。しかし投資家側の熱意が不足しているのが問題だ」だという。つまり機関投資家のような有力組織は無議決権株式に対して異議を申し立てつつ、一方でそうした株式を大量に購入して利益を上げている。

「 [一部の]企業が [議決権制限株式を]発行していられるのは、そうした企業が例外的に高いパフォーマンスを発揮しており、誰もが少しでも株式を買いたいからだ。機関投資家は議決権制限株式は企業統治の観点から問題があるという―実際にあるだろう。しかし一方で機関投資家は運用成績をアップするためにこうした会社の株式を大量に買い込んでいる」とBergerは言う。

実際、機関投資家のコンセンサスは「ボートを揺らすな」、つまり現状擁護に傾いている。 カリフォルニア州教員年金基金のポートフォリオ・マネージャーの一人は、保有期間に基づく議決権に反対して、昨年の夏、NPRで「株主の株主もまた株主だ. . .こういう状況で 株主間に区分を設けるのは非常に危険な試みだ」と述べている。

SolomonやBergerが保有期間に基づく議決権がトレンドになるためにはSnapくらいの大型で魅力的な上場が必要だと考えるのも無理はない。Snapような上場が毎日あるわけではないことを考えれば、保有期間に基づく議決権が実現するにはやはりある程度の時間が必要かもしれない。

「上場の際にファウンダーが投資銀行に対して〔自分はGoogleのように〕議決権を握っていたいと主張することはよくあるだろう。しかし十に九まで投資銀行は『そんな話をされてもお門違いだ』と答えていると思う」とGretschは言う

画像: OnBlast/iStock/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、上場初日の株価40%急騰―時価総額300億ドルに

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新規上場初日のSnapの株価は売り出し予定価格を40%以上上回って取引が開始された。 ニューヨーク証券取引所(NYSE)の初値は1株当たり24ドルだった。

ここしばらく投資家の期待と焦燥を一身に集めたSnapだったが、今朝の値動きは投資家がいかにSnapの将来に期待しているかを明らかにしただけでなく、ウォールストリートにとっても新規上場の理想的な前例となった。今年はテクノロジー企業の上場の動きが加速しそうだ。Snapにとっては、新規上場で株価が急騰したことはそれ自体で良いことであるだけなく、投資家全員を満足させる結果となった。

昨日、Snapの売り出し価格は17ドル、時価総額240億ドルが予想されていた。17ドルという株価自体、2月にSnap(とウォールストリートの証券会社)が設定した売出し予定価格の上限を上回っていた。Snapは上場によって34億ドルの資金を調達することに成功した。Snapの急成長は同時にコストのアップをもたらしているいるが、この収入は十分にそれをまかなえるだろう。

24ドルをつけた後、株価は一時25ドル以上に上げたが、その後はほぼ安定している。現在の株価による時価総額は300億ドル以上となっている。ちなみにTwitterの時価総額は110億ドルだ。

ここまでのSnapの上場が成功だったことは疑いないが、今後に向かっては複雑な問題を抱えている。複数のレポートはSnapの上場に予定価格を上回る大量の市場資金が流れこんでいることを指摘している。Snapは今後もさらに株式発行によって資金を調達できるだろうが、そのつど今朝のような取引価格のアップを必要とする。上場が成功しているイメージを維持すると同時に投資家にも利益を確保できなければならない。

もちろん24ドルという初値はSnapがかなりの金額を取り逃がしたということでもある。2億株の売り出し価格と取引価格の差は10億ドル以上にもなる。そうであってもSnapの上場は大成功という印象を与えたことは確かだ。

しかしSnapの上場はいろいろな面でかなり異例だ。投資家が購入した株式には議決権が付属していない。つまり投資家はSnapが今後さらに巨大な企業に成長するだろうという期待を買ったことになる。CEOのEvan SpiegelとSnapのチームが長期的にもSnapの運営に成功するだろうという期待だ。共同ファウンダーのSpiegelとBobby Murphyはほぼ完全にSnapの議決権を握っている。つまり2人はSnapの経営にあたってウォールストリートの顔色をうかがう必要はない。しかし株価が好調であれば社員の士気にも新たな人材の獲得にも有利に働くことは言うまでもない。

新規上場による資金調達は資金繰りの健全化と同時に企業買収その他の大型の経営イベントに対する手当でもある。Snapは運営に数億ドルを必要としている。今後5年間で総額でAmazonには10億ドル、Googleに20億ドルを支払う必要がある。Snapは企業買収にも非常に積極的だ。こうしたことからも資金需要はきわめて高い。

将来に向けて残る疑問は、SnapはFacebookがこれまで実現してきたような健全な成長を続けられるだろうかというものだ。Twitterの株価は頭打ちで先行きは不透明だ。Snapのユーザー数の成長は失速し始めている。逆に広告ビジネスは急成長中だ。Facebookのライバルの地位をウォールストリートに認めさせるためには今後いくつかのハードルを越える必要があるだろう。

Snapは上場企業となった。つまりこれまでよりはるかに透明性の高い環境でライバルと広告ビジネスの競争をしなければならいということでもある。Snapは有望なスタートアップとして企業の広告予算のうち「先物買い」の部分を集めることに成功した。しかし今後は広告予算のメインの部分を安定して占めるようになる必要がある。それにはFacebookが提供できないような機能がこれであるとはっきりさせねばならない。ともあれウォールストリートはユーザー数の頭打ちや経営権の偏りといった懸念には目をつぶり将来性に賭けたようだ。

〔日本版〕Snapの値動きはこちらでリアルタイムで表示されている。高値は26ドル、日本時間で午前6時は25ドルちょうど。The Wall Street Journalの記事によればエヴァン・スピーゲルの婚約者でスーパーモデルのミランダ・カーがNYSEでセルフィーを撮影している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ウェブ解析ツールを手がけるユーザーローカルがマザーズ上場へ

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User Insight」「Social Insight」などの解析ツールや、チャットボットを提供するユーザーローカルは2月23日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は3月30日で、証券コードは3984。

ユーザーローカルでは上場にともなって、20万5000株を公募し、20万株を売り出す。ユーザーローカル代表取締役の伊藤将雄氏(15万6000株)、同社取締役の渡邊和行氏(4万株)、同社監査役の中村賀一氏(4000株)が株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは6万700株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は3月10日、ブックビルディング期間は3月23日~3月28日。価格の決定日は3月22日。主幹事証券会社は大和証券となっている。

同社の2015年6月期の売上高は5億2082万円、経常利益は2億1581万円、純利益は1億3584万円。2016年6月期の売上高は7億8388万円、経常利益は3億2720万円、純利益は2億0105万円となっている。

ユーザーローカルは2005年9月に有限会社として創業され、2007年8月に株式会社へと組織変更。代表取締役の伊藤将雄氏は「みん就」の愛称で知られる「みんなの就職活動日記」の生みの親だ。学生時代にみん就を立ち上げた後、出版社を経て楽天へ入社。個人で運営していた同サービスを会社化、楽天へ売却した後にユーザーローカルを設立し、複数のツールを展開してきた。

 

企業のITのために“アプリケーションのネットワーク”を作るMuleSoftが3月にIPOへ

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Webとクラウドとモバイルの時代の新しいタイプのシステムインテグレーターMuleSoft日本)が、最新の“unicorn”〔評価額10億ドル以上のスタートアップ〕としてIPOをねらっている。同社はNetflixやSpotifyのような企業にもAPIを提供しており、その財務をS-1ファイルで公開している。それによると、IPOは3月という早い時期に行われるかもしれない。

IPOの申請額は1億ドルだが、これは最終決定ではない。

上記のファイルによると、MuleSoftの昨年の売上は1億8770万ドルで、2015年にはこれが1億1030万ドル、その前年は5760万ドルだった。純損失は4960万ドルで、前年の6540万ドルから減少している。

同社はこれまで、15億ドルの評価額で2億5900万ドルを調達している。投資家は、最大株主がLightspeed Venture Partnersの17.1%、Hummer Winbladが15.8%、そしてNew Enterprise Associatesが同社の14.3%を握っている。Morgenthaler Partners, Sapphire Venture, およびBay Partnersも、大きな割合を保有している。

IPOは前から噂されていたが、最近の2年の業績不振で立ち消えになっていた。2015年には新たに上場した企業の業績が悪く、そして昨年は上場した企業がきわめて少なかった

AppDynamicsは今年のテックIPOの先鞭をつけると期待されたが、土壇場でCiscoにさらわれた。今、耳目が集まっているのはSnapだが、こちらは3月の初めに上場すると予想されている

2006年に創業された同社は、本社がサンフランシスコにある。上場はニューヨーク証券取引所で行われ、ティッカーは“MULE”の予定だ。

CrunchBase entry for MuleSoft

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

気軽に試せるファッションECサイト「LOCONDO」がマザーズに上場承認

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靴とファッションの通販サイトLOCONDO.jpを展開するロコンドは本日、マザース市場への上場が承認された。上場予定日は3月7日だ。

ロコンドは2010年に創業し、2011年2月にLOCONDO.jpをリリースした。ロコンドでは「買って試してみて、気に入ったもの以外を気軽に返品できる」をコンセプトに送料無料・サイズ交換・返品無料のサービスを提供している。サービスはUIとUX、梱包、問い合わせの改善を繰り返し、2015年10月に黒字化を達成した。2016年10月にはサイトを全面リニューアルしている。

ロコンドはECサイト事業の他に、「ロコチョク」などブランド向けのプラットフォーム事業などを展開している。ロコチョクは、ロコンドの取り扱いブランドの店舗で欠品があった場合、ロコンドの倉庫からユーザーに商品を直接届けるサービスだ。

ロコンドはこれまでに複数回資金調達を実施し、総額約50億円を調達している。主な引受先には楽天、ジャフコ、エキサイト、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどが含まれる。ロコンドの2016年2月期における売上は約22億2783万円で、経常損失は約2億976万円だ。

以前にもロコンド上場の話を聞いた覚えがあるという人もいるかもしれない。実は昨年11月、日経が2017年3月にロコンド上場のニュースを伝えていた。ただ、その後ロコンドの代表取締役社長を務める田中裕輔氏は、NewsPicks上で「会社としては今後の事業拡大のため、様々な検討はしていますが、現段階で正式に決まっている事実はありません」とその報道を否定していた。

いずれにしろ今回の上場承認で、ロコンドは正式に公開会社として新たなスタートを切ることが決まったようだ。

SnapchatのSnapは来春にも上場へ―時価総額250億ドル(2.6兆円)以上に

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Wall Street Journalの報道によれば、Snapchatの運営会社で最近改名したSnapは上場の準備を進めているという。早ければ来年3月にも実現するかもしれない。上場時の時価総額は250億ドル(2.6兆円)以上になる見込みだ。

Snapの最近の資金調達は去る5月の18億ドルのラウンドだった。同社の1日あたりアクティブ・ユーザーは1億5000万人でリークされた文書によれば2017年には10億ドルの売上が可能だという。この文書によれば、Snapの2016年の売上は2億5000万ドルから3億5000万ドルの間と見積もられている。

Snapはこれまでにも大量の資金を調達しているが、それでもまだ十分ではないようだ。同社は新しいプロダクトをスタートさせるためにさらに資金を必要としている。Spectaclesと呼ばれるカメラ付拡張現実メガネなどのハードウェアの開発にも多額の金がかかる。Spactaclesの価格は比較的抑えられているが、ティーン層以外にもユーザーを広げようとすれば大赤字の元になる可能性がある。Snapはまた買収のための資金も必要としている。BitmojiのBitstripsの買収では「おおまかにいって1億ドル」を必要としている。

上場時の時価総額の250億ドル「以上」というのはなるほど漠然としているようだが、こうした場合の正確な数字は幹事会社が上場時の売り出し価格を決定するまで正確にはわからないのが普通だ。ただしSnapchatにはユーザー数、売上、エンゲージメントその他すべての面で急成長中のイメージがあり、その上場は市場の垂涎の的と見られている。

広告ビジネスの面からは最大のライバルは依然としてFacebookだろう。同社は当初Snapを買収しようとして失敗し、その後膨大なりソースを注いでSnapchatを打ち負かすために機能をコピーしてきた。現在でもInstagramはStoriesが1日あたりアクティブ・ユーザー1億人を獲得したことを自慢している。しかしCEOのKevin Systrom自身、StoriesはSnapchatの機能のクローンだと認めている。

Facebookと競り合っているという現状は、Snapchatが200億ドルという最近の資金調達後の会社評価額を上回る額に向けて成長中であることを投資家に納得させるに十分だろう。今年に入って成功した株式上場は大半が、もともと成功を収めている大企業の株式公開だった。Snapの上場がウォールストリートの関心を引くにはいいタイミングだ。いずれにせよ、Snapが上場すれば、ここ数年で最大の上場イベントになることは間違いない。

Snapでは「財務に関する噂や推測にはコメントしないことにしている」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NewsPicksとSPEEDAの運営元、ユーザベースが東証マザーズに上場承認

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ユーザベースは本日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認されたことを発表した(証券コード:3966)。上場日は2016年10月21日の予定だ。

ユーザーベースが手がけるサービスは、経済情報に特化したニュースキュレーションサービス「NewsPicks」と企業・業界分析を行うビジネスパーソン向けオンライン情報プラットフォーム「SPEEDA」の2つだ。

NewsPicksはソーシャル機能のついたビジネスニュースの共有サイトで、専門家や友人をフォローできるのが特徴だ。2015年3月に新会社ニューズピックスを設立し、NewsPicksの事業を移管している。2016年4月末時点で同社が公開しているNewsPicksの登録ユーザー数は130万人で、その内プロフィール埋め、全ての機能を使用可能な本登録ユーザー数は50万人だ。

もう一方の「SPEEDA」は、ビジネスパーソン向けに世界180カ国370万社の企業情報や金融情報を提供するオンライン情報プラットフォームだ。導入企業は大手銀行を含め500社以上が利用しているという。

2008年4月に創業したユーザベースはこれまでに複数回、資金調達を実施している。2009年8月に、GMO Venture Partners、マネックス証券、リヴァンプ、ジャフコから3000万円の資金調達を実施し、2012年10月には、グロービス・キャピタル・パートナーズを筆頭にGMO VenturePartnersから2億円強を調達。さらに、2014年8月には伊藤忠テクノロジーベンチャーズをリード投資家として総額4.7億円を調達している。この資金調達にはYJキャピタル、講談社、グロービス・キャピタル・パートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、新生銀行、GMO VenturePartners、マネックスベンチャーズが参加した。

日本のLINE、7月の日米上場に向けて目標株価設定―10億ドルを調達へ

A smart phone is shown with messaging app Line in Seoul, South Korea, Wednesday, July 16, 2014. Naver Corp. said its subsidiary Line Corp. that operates a popular mobile messaging app is considering listing its shares in Tokyo or New York. Naver, South Korea's largest Internet company, said Wednesday that Line could sell shares in an initial public offering in both Japan and the U.S. (AP Photo/Lee Jin-man)

日本、タイ、台湾でメッセージ・サービスのメインストリームの地位を確立したLINE Corp.が来月に予定されている東京とニューヨークの証券取引所への上場を控えて、目標株価を発表した。その価格は一株当たり2700円から3700円、つまり26.50ドルから31.50ドルの範囲となっている。

今日のWall Street Journalの記事によれば、LINEがこうした目標価格での上場に成功すれば1120億円、あるいは10億9000万ドル前後の資金を調達できるだろうという。これは2016年で最大級のテクノロジー企業の上場となるもようだ。

最終的な売り出し株価は7月11日に発表される。

LINEのライバルとなる企業には、FacebookグループのWhatsApp、 中国のTencentホールディングスの WeChat、アジアで強い勢力を持つ韓国のKakao Talkなどがある 。ライバルと同様、LINEのビジネスモデルも単なるフリーミアムではなく、アプリ内課金、支払サービスなど多様な方法によって売り上げを確保する努力をしている。

TechCrunchのIngrid Lunden記者が 6月に入ってレポートしたとおり、 LINEが最初に東京証券取引所に上場を申請したのは約2年前だったが、このときは上場は延期された。今回LINEは東証だけでなくニューヨーク証券取引所にも同時に上場する。

先月、LINEは月間アクティブ・ユーザーが2億1800万人で、そのうち1億5200万人がアジアのトップ4市場によるものと発表している。

画像: Lee Jin-man/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twilioが上場、初値は公募価格より60%高い23.99ドル

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Twilioはニューヨーク証券取引所において取引を開始した。ティッカーシンボルはTWLOだ。本日、ニューヨーク証券取引所が開いてから1時間ほどで取引が始まり、初値は23.99ドルとなった。それは、公募価格15ドルの60%も高い価格だ。Twilioの価格は引き続き上昇している。

株価が良い水準を保つことができるのなら、これはテクノロジー業界の企業や投資家にとって嬉しいニュースだ。昨年のテクノロジー企業のパフォーマンスは満足できるものではなかったが、Twilioが強いパフォーマンスを示すことで、他のテクノロジー企業のIPOへの道も大きく開くことになるかもしれない。

Twilioは開発者が自分たちのアプリに音声やテキストメッセージの機能を導入するためのプラットフォームを提供しているが、利益はまだ出していない。昨年の純損失は3550万ドルと報告している。しかし、2014年に8880万ドルだった収益は、2015年に1億6690万ドルまで伸び、強いグロースを示している。

もう1つ今日は、 3人の開発者が証券取引所にてTwilioアプリを開発する「コードジャム」を行う。(このイベントは Twitchでもライブでお伝えする)。TechCrunchのFitz Tepperも現場にいて、午後にでもその様子を撮影した動画を投稿したい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

明日上場予定のTwilio、公募価格を15ドルに設定

LONDON, ENGLAND - DECEMBER 08:  Co-Founder & CEO at Twilio Inc. Jeff Lawson during TechCrunch Disrupt London 2015 - Day 2 at Copper Box Arena on December 8, 2015 in London, England.  (Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch) *** Local Caption *** Jeff Lawson

Twillioは本日、株式公開時の公募価格を1株辺り15ドルに設定すると発表した。これによりTwilioの評価額はおよそ12億3000万ドルとなる。

前回の資金調達ラウンド時に10億ドルだったTwilioの評価額より高い。この価格でTwilioは1億5000万ドルの調達を目指し、さらに150万株を市場に売り出す。以前Twilioが目標としていた12ドルから14ドルの株価より高い価格設定だ。

今年のテクノロジー企業の上場件数は少なく、TwilioのIPOは重要となる。ユニコーン評価を受けたスタートアップは、2016年の閑散としたテクノロジー企業のIPO環境に不安を覚えている(Twilioは今年3つ目のIPO案件)。多くのスタートアップにとって、Twilioが明日の取引で強い存在感を示し、再びIPOへの可能性が開かれることに期待している。

それが起きるようなら、多くのスタートアップが得た真実味に欠ける評価額が現実との整合性を持ち始め、株式公開を決断した際には、投資家に自社が良い投資対象であると説得することができるかもしれない。Twilioはまだ利益を出していない。昨年の収益は1億6690万ドルで、純損益が3550万ドルだった。しかし、2014年には8880万ドルだった収益は堅調に伸びていることを示している。

投資家は評価額が頭打ち、あるいは縮小していて、グロースを利益以上に重要視しているスタートアップに対して慎重な姿勢を取っている。スタートアップに対しての考え方が大きく変わる局面に私たちはいる。現在、ベンチャーキャピタルから調達した資金を燃やし続け、利益よりグロースを際限なく追求する姿勢を公開市場が尊重することはできないという現実にスタートアップは直面している。

IPOをするための意図と理由の全ては、軍資金を築いて新たなビジネスの拡張と構築を続けるためだ。Twilioは開発者ツールで強いビジネスを作り、彼らのインフラの上に他の会社がビジネスを構築するまでになった。しかしそれは同時に、Twilioを使い続けるかどうかは他社の気持ち次第ということでもある。投資家はそういったリスクを勘案しなければならず、Twilioが株式公開し、彼らをどう評価するかを考える時もそれは同じだ。

Twilioは累計2億ドルをベンチャーキャピタルから調達し、Bessemer Venture Partnersが最も多くTwilioのシェアを保有している。直近のIPO申請ではTwilioの28.5%を保有しているとある。Twilioは明日上場予定で、投資家がテクノロジー企業のIPOに魅力を感じ、それがパフォーマンスに反映されるかどうかはその時分かるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

LINE、東証とNYSEの同時上場へ——時価総額は約5880億円

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かねてから噂のあったLINEがついに上場することが決まった。東京証券取引所は6月10日、同社の上場を承認した。

上場予定日は7月15日で、市場区分は未定(東証1部または2部)。ニューヨーク証券取引所にも同時上場する(現地時間の7月14日)。証券コードは3938。上場にともない3500万株(国内1300万株、海外2200万株)を公募。オーバーアロットメントでの売り出しは525万株。発行想定価格の2800円で算出した場合、公募で約980億円を調達することになる(時価総額では約5880億円)。なお、共同主幹事会社は、野村證券株、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券。

LINEのルーツは1999年に設立された韓国ネイバーコム(NAVER Corporation)にある。同社は日本進出に向けて2000年にゲーム事業を展開するハンゲームジャパン(2003年にNHN Japanに商号変更)を設立。また2007年には検索サービスの「NAVER」やキュレーションプラットフォームの「NAVERまとめ」などを展開するネイバージャパンを設立(厳密には同社グループでは2001〜2005年にも日本で検索サービスを展開していた)。2010年にはライブドアを子会社化し、2012年には3社を経営統合。2013年4月には「LINE株式会社」に商号を変更している。商号変更にあわせてゲーム事業をNHN Japan(こちらは新設会社。2013年8月にNHN PlayArtに商号変更)に承継している。なおLINE株式の87%はNAVER Corporationが保有している。

LINE社の事業基盤となるコミュニケーションアプリ「LINE」は2011年6月のローンチ。世界230以上の国と地域で利用されており、サービスの全世界での累計登録ユーザー数は10億人超。3月末時点の月間アクティブユーザー数(MAU)はグローバルで約2億1840万人(前年同期比7%増)、シェア率が高い日本、タイ、台湾、インドネシアでは約1億5160万人(同23%増)。これまでに提供されたスタンプの総数は全世界で25万8000セット以上(2016年2月末時点)、1日あたりの最大送受信回数は24億回以上。2015年度の年間スタンプ売上総額は253億円となっている。

現在はそのLINEのプラットフォーム上でスタンプに加えてゲームや漫画などのコンテンツや販売するほか、広告事業や決済事業を展開。2015年通期の売上額は1207億円(前年通期比40%増)で、サービス別での割合は、コンテンツ41%、コミュニケーション24%、広告30%、その他5%となっている。また直近では、MVNO事業への参入も発表。NTTドコモの回線を使用し、月額500円からの料金設定で、LINEをはじめとしたSNSの通信料無料のプランを提供する予定だとしている。

独調査会社のStatistaによると、2016年4月時点での世界のメッセージアプリのユーザー数はWhatsAppが10億人、Facebook Messangerが9億人、QQ Mobileが8億5300万人、WeChatが6億9700万人、Skypeが3億人、Viberが2億4900万人、それにLINEが続くかたち(Statistaの発表では2億1500万人)となっている。

マッチングサービス「Omiai」のネットマーケティングがマザーズ上場へ

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オンライン広告やマッチングサービス「Omiai」を提供するネットマーケティングは8月13日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月16日で、証券コードは6175。

ネットマーケティングでは上場にともなって、49万株を公募し、108万株を売り出す。ネットマーケティング代表取締役の宮本邦久氏(50万株)、ネットマーケティング取締役の長野貴浩氏(20万3100株)および松本英樹氏が(1万6900株)のほか、ベンチャーキャピタルのRIP2号R&D投資組合(33万株)、DBJキャピタル投資事業有限責任組合(2万株)などが株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは23万5500株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月27日、ブックビルディング期間は8月31日~9月4日。価格の決定日は9月7日。主幹事証券会社はSBI証券となっている。

同社の2013年6月期の売上高は46億9084万円、経常利益は5557万円、純利益は6140万円。2014年6月期の売上高は66億1864万円、経常利益は2億7314万円、純利益は1億2695万円となっている。

ネットマーケティングは2004年7月の創業。ウェブ広告代理店としてスタートし、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)などを展開。2012年からはFacebookを使ったマッチングサービスのOmiaiを開始。2015年にはそのOmiaiの仕組みを利用したジョブマッチングサービス「Switch.」も展開している。

デジタル素材のマーケットプレイスを展開するピクスタがマザーズ上場へ

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ピクスタのコーポレートロゴ。PIXTA会員のクリエーターがデザインした

写真や動画などデジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を提供するピクスタは8月10日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月14日で、証券コードは3416。

ピクスタでは上場にともなって、18万株を公募し、27万7900株を売り出す。ピクスタ代表取締役の古俣大介氏が5万株、取締役の遠藤健治氏が3万株、同じく取締役の内田広太郎氏が1万3000株、Globis Fund III,L.P.が9万8500株、Globis Fund III(B),L.P.が2万7700株、SocialEntrepreneur投資事業有限責任組合が5万3000株、関西インキュベーション投資事業有限責任組合が5700株をそれぞれ放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは6万8400株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月26日、ブックビルディング期間は8月27日~9月2日。価格の決定日は9月3日。主幹事証券会社は野村證券となっている。

同社の2013年12月期の売上高は7億8232万円、経常利益は4645万円の赤字、純利益は4698万円の赤字。2014年12月期の売上高は10億6876万円、経常利益は9844万円、純利益は9053万円となっている。

ピクスタは2005年8月の設立(当初の社名は「オンボード」)。2006年よりPIXTAを展開してきた。

PIXTAはプロ・アマチュアのクリエーターがPIXTA上に素材を投稿して販売。代金の一部をPIXTAが手数料として徴収し、クリエーターに報酬を支払うというもの。当初は写真に限定してサービスを展開していたが、現在ではイラストや動画など様々なデジタル素材を購入できる。2014年度の数字では、素材点数が983万点、単品販売の月間購入者数の累計は17万人、平均月間単価は5979円となっている。また2014年からは定額制販売も開始しており、2015年度第2四半期時点の契約件数は435件となっている。

アジアを中心にした海外展開も進めており、2013年には英語版サイト(7月)と中国語版サイト(12月)を開設。同年11月にはシンガポールに現地法人、2015年7月には台湾支店をそれぞれ立ち上げている。

「内部統制の有効性に関して確認すべき事項を発見」健康・美容メディア運営のリッチメディアが上場取り消し

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東京証券取引所(東証)は8月6日、東証マザーズ市場への新規上場を承認したリッチメディアの上場承認を取り消した。東証では「同社の取締役会において、予定していた新株式発行及び株式売出しの中止が決議され、有価証券上場規程に定める形式要件を満たさないこととなったため」と説明している。

リッチメディアは「ヘルスケア大学」をはじめとする健康・美容情報を取り扱うメディアのほか、ヘアサロン予約サービス「Kamimado」、ヘアスナップSNS「HAIR」などを展開している。これまでにリンクアンドモチベーションやKDDI、日本アジア投資、みずほキャピタルなどが出資をしている。7月6日に上場が承認され、上場を8月10日に控えていた。

ではなぜリッチメディアは上場の要件を満たせなくなったのか? 同社コーポレートサイトでは、以下のようなアナウンスがされている。

平成 27 年7月6日及び平成 27 年 7 月 17 日開催の各当社取締役会において、当社普通株式の株式会社東京証券取引所マザーズへの上場に伴う募集株式発行並びに株式売出しについて決議いたしましたが、当社内部統制の有効性に関して確認すべき事項が発見され、本日開催の当社取締役会において、当該確認に時間を要するものと判断したことから、募集株式発行並びに株式売出しの中止と、それに伴う上場手続きの延期を決議いたしましたので、お知らせ申し上げます。

なお、今後の上場手続きの再開時期につきましては、当該確認の結果を踏まえ、状況を慎重に見極めたうえで総合的に判断する予定です。

こういったケースはそうあるわけではないが、例えば2012年にはジャパンケーブルキャストが「コンプライアンス体制の有効性に関して確認すべき事項が発見され、当該確認に時間を要するものと判断した」として、同様に上場を取り消している。

リッチメディアの発表では「内部統制の有効性に関して確認すべき事項」があったということなので、財務報告の信頼性や法令遵守などに関わる課題が出てきたと見るのが妥当だろうか。

承認後に上場を取り消す理由とは

ここからはリッチメディアの話ではないが、これまでに上場を承認された会社が上場を見送ることになったケースについて紹介しておく。

まずは雇用や労働に関する課題が上場承認後に見つかるケースがある。上場審査の過程では、コーポレートガバナンスや内部管理体制の有効性などが厳しく審査される。しかしその審査を通過しても、あとから元従業員が「以前にこの会社パワハラを受けた」「賃金の未払いがある」なんて内容のメールやファックスが証券取引所や主幹事証券会社に送ればどうなるだろうか。その体制の見直しが求められるだろう。

また、事業上のトラブルに起因するケースもある。2006年にはゲームオンが上場を取り消しているのだが、この背景には顧客情報流出事件があった。同社は上場の約1カ月前、自社で運営していたゲーム情報ポータルサイトにおいて、新規登録ユーザーに対して、本人のメールアドレスとパスワードに加えて他のユーザーのメールアドレス・パスワードを記載したメールを送ってしまい、3900件近い情報が流出したのだという。これを受けて「内容を確認するとともに、投資家に周知徹底することが必要と判断した」とアナウンスし、上場をいったん取り消すことになった。ほかにも2011〜2012年には、東日本大震災や当時の市場状況を鑑みて上場を中止するというケースもあった。

上場後に株価が上がらない企業を揶揄して「上場ゴール」なんて言うことが増えたが、そもそも上場自体が大変なことを忘れてはいけない。市場と向き合うには信頼性や健全性が求められるということだろう。

フィットネス・モニターのパイオニア、Fitbitが1億ドルで上場申請―ソフトバンクも大株主

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Fitbitは先ほど、証券取引委員会にS-1上場申請書を提出した。

この申請書によれば、ウェラブル・フィットネスデバイスのメーカーは上場によって市場から1億ドルの資金を調達する計画だ(この金額は今後変更される可能性がある)。上場先はニューヨーク証券取引所で、銘柄のティッカーシンボルはFITとなる。

Fitbitの販売累計は2080万台で、昨年1年で1090万台が販売された。その他明らかになった数字。

  • Fitbitの2014年の売上は7億4540万ドル。2013年の2億7110万ドルから大幅にアップ
  • 2014年末のアクティブ・ユーザーは670万人。2013年の同期は260万人
  • 2014年の純利益は1億3180万ドル。2013年は5160万ドルの赤字
  • Foundry Groupが28.9%の株式を保有。True Venturesが22.4%、SoftBankが5.6%(われわれのCrunchBaseによればFitbitの調達資金総額は8000万ドル)。

Fitbitは2008年のTechCrunch50カンファレンスで最初の製品、Fitbit Trackerを発表した。Fitbitは現在フィットネスとヘルス関連のウェアラブル・モニターを6種類販売している( これらのデバイスは歩数を計測して消費カロリーを計算したりする)。またデバイスと連動するウェブとモバイルのアプリを開発しており、バーチャル・コーチなど有料サービスも提供している。

申請書でFitbitはライバルとの競争が極めて激しいことを認めており、Appleウォッチの登場についても触れている。Fitbitは自社の優位点として知名度、製品の多様性、バッテリー駆動時間の長さ、センサーの信頼性、ウェブとモバイル・アプリの優れたユーザー体験、確立された販売チャンネル、マーケティングのノウハウなどを挙げている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

下方修正や不適切な取引などIPOを巡る問題、JPXが異例の対応発表

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日本取引所グループ(JPX)は3月31日、新規公開(IPO)会社経営者による不適切な取引など、株主や投資者の信頼を損ないかねない事例が散見されるとして、異例とも言える対応策を発表した。

JPXが発表したのは次の3点だ。

1.新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応
経営者の不適切な取引について、上場審査を強化
上場申請会社の経営者・社外役員等に対して、不適切な取引防止のための啓発セミナーを実施

2.上場直後の業績予想の大幅な修正への対応
上場時に公表される業績予想について、前提条件やその根拠の適切な開示を要請(上場直後に業績予想の修正開示を行う場合には、それらに関する特に丁寧な説明を要求)

3.上場時期の集中への対応
上場予定時期について、東証における集計及び周知を通じて全体日程を共有し、集中緩和を要請(2014年は年間計80社のうち28社が12月に上場している)

上場から3カ月もたたずに業績予想の大幅な下方修正を発表したgumiを思い浮かべるかもしれないが、同社に限った話ではない。日本経済新聞の報道にもあるように、エナリスの不正会計やジャパンディスプレイの3度にわたる下方修正だって記憶に新しいところ。また2014年11月にはみんなのウェディングが「実体の伴わない売上が含まれていた」なんて開示をしていた。

JPXでは、あわせて日本証券業協会や日本公認会計士協会を通じて、証券会社や監査法人あてに協力の要請を行っている。その文面には以下のような文言が並んでいる。

(日本証券業協会向けに)対応の実効性の確保には、引受証券会社における適切な上場指導及び引受審査の実施を欠くことができません。貴協会では、新規公開における引受審査に際し、経営者の法令遵守に対する意識や、利益計画の策定根拠の妥当性などについて厳正な審査を行うよう引受証券会社に求めておられますので、昨今の動向を踏まえ、引き続きお取組みくださいますようお願い申し上げます。

(日本公認会計士協会向けに)新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応の実効性の確保には、とりわけ公認会計士及び監査法人における適切な監査の実施や不正リスクへの適切な対応を欠くことができません。監査の品質確保を担う自主規制機関のお立場として、監査実務の点検や実効性の確保に引き続きお取組みくださいますようお願い申し上げます。

gumi、100人規模の希望退職者募集へ、ブラウザゲーム2タイトルはマイネットに移管

業績の下方修正、韓国子会社での横領など厳しいニュースの続くgumi。同社は3月27日開催の取締役会で希望退職者の募集について決議したと発表した。

gumiの発表によると、同社はブラウザゲームからネイティブアプリへと主軸のサービスを転換(2015年4月期第3四半期累計でブラウザゲーム売上が連結売上高全体の9.3%にまで低下)しているが、一部でスキルセットの転換や配置換えが遅れているケースもあったため、これを機に他社への転進等を求める社員に対する選択肢として、希望退職を募集することを決定したという。

対象とするのはgumiおよびgumi Westの全社員で、募集する人員は100人程度。2015年4月期第3四半期決算で発表されたグループ従業員(正社員)数は901人だった。募集期間は3月30日から4月17日までで、退職日は4月30日を予定する。また今回の希望退職制度に応じて退職する従業員については会社都合の退職として扱い、特別退職金を支給する。希望者には再就職支援会社を通じた再就職支援を行うとしている。

gumiでは、今回の退職者募集に伴い発生する費用や業績への影響等について、確定次第速やかに開示するとしている。

あわせてgumiでは、ブラウザゲームタイトルの「ドラゴンジェネシス」および「幻獣姫」について、マイネットへの運営移管を行う旨の発表もしている。


gumi、韓国子会社で数千万円規模の横領か–社内調査で事実を確認中

gumiは3月19日、韓国の一部メディアにて、「同社子会社のgumi Koreaで役員による数十億ウォン(数億円)規模の横領がなされた可能性がある」との報道があったことを明らかにした。

gumiによると、横領は子会社役員ではなく子会社従業員の関与の疑いが強いとのことで、金額についても現時点では数千万円程度だと見込まれているという。

同社では現在、社内調査チームを組成し事実確認を進めており、公表すべき事実が確定したら遅滞なくこれを開示するとしている。


gumiの下方修正はスタートアップに何をもたらすのか

2015年4月期 第3四半期決算の開示日前日である3月5日に営業赤字となる大幅な下方修正を発表したgumi。同社は海外展開をはじめとした今後の方針について説明し、代表取締役である國光宏尚氏の役員報酬を6カ月間100%減額(ゼロ円)にするとした。

3Q決算は純利益が2億2500万円の赤字に

gumi代表取締役社長の國光宏尚氏

3月6日に開示された2015年4月期第3四半期業績は、売上高が206億2100万円、営業利益が4億2000万円、経常利益2億9200万円が、純利益が2億2500万円の赤字となった。

gumiは決算と合わせて金融機関から30億円の借入を実施したと発表している。3月6日の株価は前日比500円減で2081円のストップ安。時価総額は603億7900万円となった。

上場前にTechCrunchで取材した際は「クソみたいに小さいIPOはすべきではない」と語っていた國光氏。ソーシャルメディアやオンライン掲示板には、「VCや役員が上場時に株式を売り出していて、何かあると思っていた」「國光氏は報酬ゼロとは言え上場時に12万株を売り出して4億円近くを得ている」「買い支えている株主を見ていないのではないか」など、厳しいコメントが並ぶ。

僕もさすがに上場3カ月でのこの発表には驚いたし、本来「速やかに開示する」とされている下方修正が決算日前日に開示されたことに違和感は感じた。

そのあたりをどう考えているかという話は来週開催の決算説明会でも聞けるはずだ(今日はアナリスト向けのミーティングだけ開催されたようだ)。また同時に、gumiが叩かれていたとしても、ここで終わる訳ではないだろう。

gumiでは新タイトルやパブリッシング事業での業績回復を狙っていると発表している。また業界関係者からは、ゲーム以外の領域、例えば動画などに重点を置いた投資の準備をしているという話も聞こえてくる。

さらに、ゲームであればヒットタイトル1つで大きく流れも変わるはずだ(ヒットタイトル依存の体質がいいかどうかは別として)。2013年、業績不振だったミクシィだって、追い出し部屋を作ってリストラ(同社は「リストラではなく人事異動」と説明している)をしたが、その後ゲーム「モンスターストライク」で業績を大きく回復させている。

今後の新規上場はどうなる?

僕がgumiの業績以上に気になったのは、同社の下方修正が結果的に新規上場にどんな影響を与えるかということだった。

そこで投資や金融サイドの複数関係者に接触したところ、いくつかの話を聞くことができた。

まず1つ、実は昨年後半から上場審査に通らない企業が増えつつあるのだそうだ。ある関係者は「gumiは上場直前の2014年9〜12月時点で業績が下降トレンドに入っていた。そんな状況で主幹事証券会社(野村證券)が東京証券取引所に上場を押し込んだようなもの。そういった背景もあってゲームやウェブサービスに関わらず、公開審査で予実管理の審査を厳しくする傾向にあるようだ」と語る。

ちなみに今回のgumiの件とつながりがあるかは分からないが、野村證券は3月3日付けで公開引受部の人材を含めた人事異動を発表している。

gumiの決算資料。2015年4月期1Q以降、売上は減少傾向に

また別の関係者は「2006〜2007年頃の新興市場に似ている」と振り返った。メンバーズやフラクタリスト(現在は吸収合併ののちユナイテッドに)など、当時名証セントレックスや大証ヘラクレスに上場した企業は、初年度に相次いで下方修正を発表している。

関係者は「当時は事業基盤より今後の成長性を期待して上場するというケースが少なくなかった。だが各社軒並みに下方修正した結果、証券会社の審査が厳格化。2007〜2008年の新規上場数が下がることになった」と語り、来年以降の上場数が減る可能性を示唆した(ちなみに新規上場数は2006年が114社だったが、2007年は68社、2008年は54社と減少している。また2009年は23社と大幅減になったが、これは2008年9月に起こったリーマンショックの影響が大きいとみられる)。

さらに「自戒も込めて言うが、日本のベンチャーキャピタルまわりには浮ついた空気はあったかもしれない」「こういう状況で最終的に損するのは投資家。そうなるとIPO銘柄への信頼が揺らぐことになる」「ゲームセクターに対する市場の見方が厳しくなるのはやむを得ない」「マーケット全体に影響は少ないかも知れないが、IPO時のバリュエーションが下がることは想定される」とそれぞれ語る関係者がいた。

関係者に共通する意見としては、「上場はその企業や彼らに出資したベンチャーキャピタルにとっては1つの出口かも知れないが、ゴールではない。上場すれば、市場や投資家とも向き合わないといけない」ということだった。

すでに証券会社で審査を受けている企業にはまだ直接的な影響はないかも知れない。だが来年以降に上場を目指すスタートアップは、ここからその真価が問われることになりそうだ。


gumiが大幅な下方修正、黒字から一転し営業赤字4億円に

2014年12月、東証1部市場に直接上場したgumi。2013年7月にサービスを開始したスマートフォン向けゲーム「ブレイブフロンティア」はこれまで60カ国以上で配信。ダウンロード数は2015年1月時点で国内500万件、全世界合計2000万件を達成している。

そんな同社が3月5日、2015年4月期業績の下方修正を発表した。修正後の予想は、売上高は265億円(前回予想は309億7200万円)、営業利益は4億円の赤字(同13億2900万円)、経常利益は6億円の赤字(同12億7700万円)。純利益はゼロ(同8億800万円)としている。

海外でブレイブ フロンティアや新規タイトルの売上計画が未達となったほか、 パブリッシングサービスの立ち上がりが遅延したことなどが影響したとしている。今後は既存タイトルおよび新規タイトルでの売上増と海外展開の加速、コストの合理化などを進め、業績回復に努めるとした。

この責任を取るかたちで、gumi代表取締役社長 國光宏尚氏は役員報酬を3月からの6ヶ月間100%減額(つまりゼロ円に)する。同社では3月6日に第3四半期の決算を開示する予定だ。