HIKKYが「メタバース・シティ」をテーマにVRイベント「バーチャルマーケット2021」開催、会場と出展企業第1弾発表

HIKKYは11月24日、VRイベント「バーチャルマーケット2021」の会場の公開と出展企業第1弾を発表した。様々な業種の企業が出展することで、バーチャルならではの多種多様なコンテンツが楽しめる。VR機器やPCからVRChat内特設ワールドに誰でも参加できるほか、スマートフォンなどからURLクリックのみで来場できるブラウザー会場も一部用意される。

バーチャルマーケット2021は、12月4日から19日(計16日間)にわたってVR空間上で開催されるイベントで、テーマは「メタバース・シティ」。公開された企業出展会場の舞台は「パラリアル渋谷」と「パラリアル秋葉原」。現実世界の渋谷と秋葉原を再現し、現実とリンクして天候までも変化する。そのうえで来場者が増えれば増えるほど伸びるビルや、リアルとメタバース上の情報がポップアップで浮かび上がる「空間タイムライン」といったメタバース上だからこそできる表現がなされているそうだ。

なおパラリアルとは、「パラレルワールド(並行世界)」+「リアル(現実世界)」を合わせた造語で、リアルとメタバースに並行して存在することを指すという。

出展企業は、コンビニ業界からはローソン、証券業界からSMBC日興證券、テレビ業界からはテレビ朝日と幅広い。そのほかにも東京マルイや小学館集英社プロダクション、大丸松坂屋百貨店、玄人志向、アークシステムワークス、などが発表されている。加えて聖飢魔Ⅱやちぃたん☆といったアーティストやIPそのものの参加もあり、それぞれが独自のVRコンテンツを提供するという。出展企業については今後も追加で発表するとのこと。

出展企業・IP・アーティスト一覧(順不同。11月24日時点)

ローソン/SMBC日興証券/ビームス/テレビ朝日/東京マルイ/小学館集英社プロダクション(おはスタ・ガル学。)/大丸松坂屋百貨店/玄人志向/マーベラス(シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK)/アークシステムワークス/Bauhutte(バウヒュッテ)/COMP/凸版印刷/エイベックス・ピクチャーズ/日本HP/産経デジタル(cachette)/diVRse/CryptoAvatars/LDH JAPAN/バンダイナムコエンターテインメント/独立行政法人情報処理推進機構/一般社団法人病院マーケティングサミットJAPAN/EMIいーめど/タイトー(タイトーオンラインクレーン)/Pimax Innovation Inc./クリクロ/あしびかんぱにー/ServerDNA/日本一ソフトウェア/もにゅめんつ/クリープ/774inc./聖飢魔Ⅱ/ちぃたん☆/やしろあずき/アイマリンプロジェクト/ナギナミちゃんねる/ドスパラ/AKIHABARAゲーマーズ本店/めいどりーみん/オノデン/TSUKUMO/XPR Labs Inc./やおきん/メロンブックス/ゼンリン/MOKURI project/HIKKY (Shanghai) Co., Ltd・喜启虚拟科技(上海)有限公司

ボルボが車内ARを見据え光学オーバーレイのスタートアップSpectralicsに約2.3億円を投資

長らく安全の代名詞とも言われてきた自動車メーカーVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は、ベンチャーキャピタル投資部門のVolvo Cars Tech Fund(ボルボ・カーズ・テック・ファンド)を通じて、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込んでドライバーや乗客に画像を提供する技術を開発している光学・イメージングのスタートアップに投資したことを発表した。

Volvo Cars Tech Fundは、光学機器・イメージングの開発企業であるSpectralicsに200万ドル(約2億3000万円)を投資した。この資金は、自動車の安全性とユーザーエクスペリエンスの向上に貢献する光学フィルムの開発を加速させるために使用されるという。この投資は大きなものではないかもしれないが、Volvoとの関係は、特にその技術が量産車に採用されれば、実りあるものになるだろう。

Spectralicsが開発しているシースルー光学オーバーレイは「多層薄膜コンバイナー」とも呼ばれ、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込むことができる。Spectralicsによると、これによってより広い視野が確保され、極めて重要なのは、それとともに安全なAR(拡張現実)オーバーレイに必要な距離感が得られるという。

車外では、スマートグラス、光学システム、その他のヘッドアップディスプレイなどにも利用できる可能性がある。これは、ARやVR(仮想現実)が、ゲームや消費財の域を超えて、自動車の中に入りつつあることを示す最新の兆候だ。これは間違いなく、自動車メーカーが新車を馬力ではなく、ユーザー体験や提供する技術で差別化するという幅広いシフトの一環だ。

Spectralicsの創設者であるRanBar Yosef(ランバー・ヨーゼフ)氏、Eran Falk(エラン・フォーク)氏、Yuval Kashtar(ユバル・カシュタル)氏、Yuval Keinan(ユヴァル・ケイナン)氏(画像クレジット:Tal Givoni for Spectralis)

自動車内のAR / VRの導入には数々のボトルネックが存在したが、自動車メーカー各社は、車内アプリケーション用にこの技術を開発している企業への投資でリードしていると、Abigail Bassett(アビゲイル・バセット)氏がTechCrunch+で指摘していた

VolvoのSpectralicsに対する投資が十分なシグナルでなかったとすれば、広報担当者はTechCrunchに、スウェーデンの自動車大手である同社がこの技術を自社の車に採用することを検討していると認めた。Volvo Cars Tech Fundの責任者、Lee Ma(リー・マー)氏は声明でこう述べている。「Spectralicsは当社のポートフォリオにフィットしており、彼らの技術は次世代のディスプレイやカメラの標準となる可能性があると信じています」。

Spectralicsは、スウェーデンのイェーテボリにあるアクセラレーター、MobilityXlabの卒業生であり、テルアビブにあるスタートアップと自動車業界の投資家をつなぐモビリティハブ、Drive-TLVにも参加している。Volvoのスタートアップ投資部門は2017年から両イニシアチブに参加しており、最近では、事故検知センサーを開発するMDGoや、車両検査技術開発企業のUVEyeなど、他のイスラエルのスタートアップにも投資している。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ナイアンティック「現実世界のメタバース」構築のために約344億円調達、評価額1兆328億円に

「Pokémon GO(ポケモンGO)」などのゲームを開発する拡張現実プラットフォームのNiantic(ナイアンティック)は、Coatueから3億ドル(約344億円)を調達し、同社の価値は90億ドル(約1兆328億円)に達した。サンフランシスコを拠点とし、Googleからスピンアウトしたこのスタートアップは、この資金を使って「現実世界のメタバース」と呼ばれるものを構築する予定だ。

Nianticの創業者兼CEOであるJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏は、2021年8月以降、メタバース(少なくとも「レディ・プレイヤー1」のようにVRヘッドセットに拘束されるようなもの)を「ディストピアの悪夢」と呼んでいる。VR技術への投資を示すために社名を「Meta」に変更したFacebookとは違い、Nianticは人々を外の世界に近づける技術を開発したいと考えている。2021年11月初め、NianticはAR開発キット(ARDK)「Lightship」を発表した。これは、ARゲームを開発するためのツールを公開するというもので、ゲームエンジン「Unity」の基本的な知識を持っていれば誰でも無料で利用できる。

関連記事:Nianticが「現実世界のメタバース」というビジョン&AR開発者キット「Lightship」を発表、AR体験構築をよりアクセシブルに

「Nianticでは、人間はバーチャルな世界がフィジカルな世界につながるときに最も幸せだと考えています。SFのメタバースとは異なり、現実世界のメタバースは、何千年も前から知られている私たちの世界における経験を向上させるためにテクノロジーを活用します」とハンケ氏は語っている。

今回の資金調達は、Coachella、Historic Royal Palaces、Universal Pictures、SoftBank、Warner Music Group、PGA of Americaといった企業が拡張現実(AR)体験の構築に使用しているARDKの拡張に役立てられる。ARプロジェクトでは、VRヘッドセットのようなまだ多くの人がアクセスできない技術を使うのではなく、主にスマートフォンを使って、人々が外の環境を探索するように促す。例えば、毎日その前を通る壁画があるとして「ポケモンGO」では、ユーザーが作成したポケストップの説明文を見れば、その壁画が実際に何を表現しているのかがわかるかもしれない。Nianticによると、毎月何千万人もの人たちが同社のゲームをプレイしており、登場以来、ゲーム内でプレイヤーは109億マイル(約175億418万km)以上歩いているという。

CoatueのゼネラルパートナーであるMatt Mazzeo(マット・マッツェオ)氏は「Nianticは、3Dの世界地図をベースにしたARのプラットフォームを構築しており、次のコンピューティングの移行期において重要な役割を果たすと考えています。私たちは、このインフラが現実世界のメタバースを支え、インターネットの次の進化に貢献すると考えているため、Nianticとの提携に興奮しています」と述べた。

VRのメタバースはハンケ氏の目には「ディストピア」に映るかもしれない。しかし、他のテクノロジーと同様にARにも問題がないわけではない。Nianticの最新ゲーム「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」は、歩くことを中心にデザインされており、高齢者や障がい者のプレイヤーに疎外感を与えかねない。ポケモンGOには障がいを持つプレイヤーのコミュニティがあるが、Nianticはゲーム内での小さな調整で、移動手段が限られている人でもゲームをより利用しやすくすることができることを主張しなければならなかった。

それでも、NianticのビジョンはMetaのヘッドセットに依存した計画に代わるものだ。アプリ分析会社のSensor Towerによると、依然として「ポケモンGO」は大成功を収めており、2020年には10億ドル(約1148億円)以上を稼ぎ出し、2021年はすでにその収益を上回る勢いだという。しかし、すべてのゲームが愛されているわけではありません。同社は最近「Harry Potter:Wizards Unite(ハリー・ポッター:魔法同盟)」は、アプリ内の消費者支出と全世界でのインストール数が前年比で57%減少したため、終了すると発表された。しかし、独立系の開発者がNianticのLightship ARDKを手に入れれば「現実世界のメタバース」というコンセプトはさらに広がっていくだろう。

画像クレジット:Steve Jennings/TechCrunch / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

VRグローブHaptXが「Metaの試作品は自社デバイスと実質的に同じ」と主張

Facebook(フェイスブック)、つまりMeta(メタ)は米国時間11月16日、新しい触覚フィードバックグローブのプロトタイプを公開した。このグローブは、新世代のAR / VRユーザーに、これまで以上にデジタルコンテンツを身近に感じさせることができると説明している。そして11月17日、同じミッションを持つVRスタートアップのHaptX(以前ここで取り上げたことがある)は、Metaが自社の特許技術と「実質的に同じ」プロトタイプを公開したことを非難する、かなりアグレッシブな声明を発表した。

HaptXのCEOであるJake Rubin(ジェイク・ルービン)氏の声明によると、同氏のスタートアップは長年にわたって「Metaの多くのエンジニア、研究者、幹部」に自分たちの技術を披露してきており、最新のプロジェクトではMetaから相談を受けていないという。「Metaからはまだ連絡を受けていませんが、懸念を解消し、我々の革新的な技術を将来の消費者向け製品に組み込むことができるような、公正で公平な取り決めに向けて、Metaと協力していきたいと考えています」とルービン氏は述べている。

画像クレジット:HaptX

Metaの広報担当者はコメントを控えた。

HaptXのものと、最近発表されたMetaのプロトタイプは、ともにマイクロ流体フィードバックと呼ばれる技術を使用している。携帯電話やゲームのコントローラーには、小さなモーターを使ってブザーやゴロゴロという音をシミュレートする触覚フィードバックが搭載されているが、ユーザーの手全体のより深い感覚をシミュレートするとなると、マイクロ流体フィードバックは、チューブのネットワークを流れる空気の流れを制御するアクチュエーターを使って異なる動作を行い、物を拾うことに関連する感覚や、すべてデジタルでレンダリングされた独特の質感を高度に模倣することができる。

Facebookではこれまでにも数多くのAR / VRのプロトタイプを公開し、最終製品には至らないことが多いが、特定のテクノロジーの最先端をテストする複雑な技術を示してきた。HaptXは長年にわたって法人顧客向けに触覚フィードバックグローブを製造してきた。この技術を小型化するために、グローブの感覚フィードバックを管理するバックパックサイズの空気圧ボックスが必要だった。しかし、これはまだ非常に複雑な技術であり、Facebook、いまとなってはMetaがQuest 2で追求してきたようなメインストリームのユーザーにリーチするには、おそらく何年もの開発期間を要する。

しかし、Metaのチームがこの技術を大幅に進化させたことは明らかだ。Metaの研究ブログ投稿では、こうしたフィードバックコントロールを操るグローブのチップセットである「世界初の高速マイクロ流体プロセッサ」が開発されたことが報告されている。同社の研究者の1人は「目標は、AR / VRインタラクション問題の両面に対応するソフトで軽量な触覚グローブを発明することです。つまり、コンピュータが着用者の手の動きを正確に理解して反映するのを助けること、そして着用者のために圧力、感触、振動などの複雑で微妙な感覚を再現して、仮想オブジェクトを手で感じているような効果を生み出すことです」と詳細に述べている。

Facebookはこれまで、自分たちの製品が大手ハイテク企業に不当にコピーされたと、スタートアップから多くの批判を受けてきた。また、反競争的な行為を行っている、と規制当局からも厳しい調査を受けてきた。

以下は、HaptXのルービン氏による声明の全文だ。

この10年間、HaptXはマイクロ流体による触覚フィードバックの分野を開拓してきました。数々の賞を受賞した当社の技術は、一般紙や専門誌で広く取り上げられており、高忠実度の触覚フィードバックへのアプローチとして、マイクロ流体のユニークな利点を開発し、普及させるためにたゆまぬ努力を続けてきました。また、当社のエンジニア、開発者、投資家の方々の長年にわたる献身により、当社の技術と製品を保護するための業界屈指の特許ポートフォリオを確保しています。

VR業界の他社との交流において、我々は常に業界全体の発展のためには協力が最も重要であると考えています。長年にわたり、当社はMetaの多くのエンジニア、研究者、幹部を招き、当社の画期的な触覚技術のデモンストレーションを行ってきました。

本日、Metaは独自のマイクロ流体式触覚フィードバックグローブのプロトタイプを発表しました。シリコンベースのマイクロ流体触覚フィードバック積層体と空気圧制御アーキテクチャを含むこのプロトタイプのコア構成要素は、HaptXの特許技術と実質的に同じであると思われます。我々は、マイクロ流体触覚の分野における関心と競争を歓迎します。しかし、業界が繁栄するためには、競争は公正でなければなりません。

まだMetaからの連絡はありませんが、我々の懸念を解消し、Metaが我々の革新的な技術を将来の消費者向け製品に取り入れることができるような、公正で公平な取り決めに向けてMetaと協力していきたいと考えています。

画像クレジット:Meta

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

Synamonが「エンタープライズ向けメタバース構築支援サービス」提供開始、プロモーション・ブランディング活用支援

VR/AR/MR企画・開発のSynamonが2.5億円を調達、人材採用・先端技術活用の価値創出を推進

VR・ARを含むXRやメタバース市場の創造に取り組むSynamon(シナモン)は11月15日、「エンタープライズ向けメタバース構築支援サービス」の提供開始を発表した。

Synamonによると、昨今メタバースに対する注目からその活用例が増えてきたものの、「空間構築やユーザー体験設計などをどのように行えばいいかわからない」「プロジェクト全体をどのように企画し、制作をディレクションするべきか不安」といった声があるという。同社は、そうした企業に応えるため、エンタープライズ向けにXR技術を活用したバーチャル空間構築、またそれら空間内での体験設定を行なってきた技術力を活かし、プロモーションやブランディングへの活用を中心に、高品質なメタバース体験の構築を支援するサービスの提供を行うとした。

提供サービス概要

  • メタバース空間構築によるブランディング支援:実在するショールームの再現から架空のコンセプト空間の創出など、バーチャル上に3D CGを活用した自由なメタバース空間を構築し、企業・サービスのブランド価値向上に貢献
  • コンテンツ制作によるイベントプロモーション支援:展示会や自社イベントなど、来場者に向けた記憶に残るコンテンツを制作することで、体験者に驚きや感動を与えるイベントプロモーションを実現
  • XR技術を活用したリアル×メタバースのユーザー体験の創出:VR単体だけでなくAR・MRといったXR技術をかけ合わせ、リアル空間とバーチャルコンテンツを融合した新しいユーザー体験を創出
  • 先進技術の活用や新規事業への立ち上げ支援:AIやNFTなど先進技術との組み合わせや自社アセットを活用した新規事業の検討など、技術調査やビジネス企画の段階からの支援

また、著名IPに関わった経験を有するクリエイターによる監修、外部プラットフォームに依存しないSynamon独自開発アプリ活用などにより企業ブランドの世界観を最大限反映した体験を創出できるという。Oculus Quest2などのXRデバイスのほか、PCやスマートフォンまで含むマルチデバイスに対応可能。同社が強みとするマルチプレイ技術により、複数人が同時共有するメタバース空間において優れたユーザー体験を設計できるとしている。

VRイベント「バーチャルマーケット」を手がけるHIKKYが65億円調達、オープンメタバース開発とグローバル事業展開を加速

VRイベント「バーチャルマーケット」などVRサービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは11月15日、シリーズAラウンドのファーストクローズにおいて、第三者割当増資による65億円の資金調達を発表した。引受先はNTTドコモ。また、両社は2021年10月20日に資本・業務提携を締結したと明らかにした。現在、同ラウンドのセカンドクローズも検討しているが、当該両クローズによる資金調達後も、HIKKYの独立性が維持される予定。

調達した資金は、「オープンメタバースの開発、サービス提供」、またHIKKYの開発するスマートフォンおよびPCブラウザー上で動くVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」(ブイケット クラウド)のエンジンの開発体制強化、「バーチャルマーケット事業の開発体制の強化」「海外展開を含めた事業拡大」などに充当する方針。

なお、HIKKYが提唱するオープンなメタバースとは、以下を実現するサービスという。
・プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境
・オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション
・独自ドメインでオリジナルのコンテンツ展開
・デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス

今後同社は、バーチャルマーケット事業によってつながったクリエイターや、パートナー企業の力を借りながら、自社開発エンジンであるVket Cloudを用いて「オープンメタバース」の開発・サービス展開を行う。また、オープンなメタバースにおいて、これまでの社会では評価されることのなかったあらゆる人の創造性やコミュニケーションが新しい価値として認められ、新たな経済圏とするべく様々なサービスを提供する。

 

プレイも開発も、Manticoreのゲーム制作プラットフォームCoreは「メタバースの入り口」

自称「終わりなきアーケード」のCoreは、90年代のサイバーパンク熱の夢が現実のものとなったようだ。プレイ可能なゲームライブラリでもあり、ノーコードのゲームクリエイターでもある。すべてがネオンライト。この新しいプラットフォームは、誰もが最近話題にしていそうなこのメタバースのビジョンを驚くほど巧みに具現化している。

「マルチバースへのポータル」と謳うCoreは、長年の命題をテストする準備が整っている。構築すれば実現に向かう。RobloxやFacebookのような巨大企業は大規模なプラットフォームを確立しているかもしれないが、Coreはクリエイターにとってもプレイヤーにとっても非常に魅力的な基盤を築いている。

ログインすると、プレイヤーはコアの中心的なハブに移動する。そこはテーマパーク、ハイテクモール、カジノがちょうどよく交差した場所で、エンターテインメントやショッピングは重力の影響を受けずにあらゆる方向に広がっている。巨大なネオンサインに誘導され、プレイヤーは多種多様なユーザー生成バーチャルワールドに飛び込んでいく。服やゲーム内のギアを交換したり、友人を誘って自分と一緒に参加させたりするのも、ほんの数回クリックするだけで実行できる。

Coreが「Fortnite」(フォートナイト)によく似ているとしても、それは偶然ではない。Manticore Games(マンティコア・ゲームズ)が作ったCoreは、FortniteのメーカーであるEpic(エピック)のUnreal Engine(アンリアル・エンジン)で動く。Epicは2019年に同社への1500万ドル(約17億円)の投資ラウンドを主導しており、同プラットフォームはPC向けのEpic Games Store(エピック・ゲームズ・ストア)を通じてのみ提供されている。Manticoreは2021年3月、大手投資家からさらに1億ドル(約114億円)を調達し、クリエイタープラットフォームを公開した。

画像クレジット:Manticore Games

Coreはまだ誰もが知っている名前ではないかもしれないが、メタバースを熱望する人なら克服しなければならない課題の1つをすでに解決している。Coreでプレイしていたとき、ある場所から別の場所への移動の体験があまりにもシームレスで、間違った場所に迷い込んでしまったことがよくあった。これはユーザーのミスだろうと思うが、Deadmau5(デッドマウス)のショーや、肥大化したディストピアの荒れ地、アイソメトリックな海賊ゲームなど、さまざまなポータルを経由して瞬時に移動することは、こうしたゲームに10年以上携わってきた中で、最もシームレスなオンラインマルチプレイヤー体験といえるものだった。

Coreはすばらしい。メタバースのビジョン構築で最も成功した企業の1つRoblox(ロブロックス)に対して際立つ攻撃力を示している。Fortniteと同様、Coreのグラフィックは非現実的ながら、あまりにも非現実的というものでもない。Robloxの13歳以下の層は年齢を重ねている。この層はRobloxが意欲的に構想を練っているファクターだ。そしてそれほど若くないプレイヤーたちは遠からず、より成熟した雰囲気のある新しいバーチャルハウスを探すようになるかもしれない。

野心的なedgelord(背伸びをした思春期の若者のような意味のスラング)なら、Coreの豊富なカスタム衣装やアバターのセレクションに自分が真剣になるような要素を見出すだろう。あるいは子猫になるかもしれない。

画像クレジット:Manticore Games

Deadmau5、メタバースの住人

Coreのコンテンツのほとんどは、UGC、つまりユーザー生成コンテンツである。これは時代を定義するオンライン現象を象徴している、やや新しい呼称だ(頭字語から総合格闘技を連想しても自分を責めないで欲しい)。しかしManticoreには、ミュージシャンやブランドと提携し、テーマを絞ったゲーム内体験を提供する余地も十分にある。

DJとEDMのフェスティバルの常連であるDeadmau 5は先に「メタバースの恒久的居住地」として描かれた広大でカラフルな一連の体験をローンチした。Coreはその大部分がユーザー作成のゲームで構成されているが、エンターテインメントや教育にも適している。一部のユーザーはゲーム開発の講座をホストし始めたと同社のチームは指摘する。

RobloxのLil Nas X(リル・ナズ・X)やFortniteのAriana Grande(アリアナ・グランデ)のような他のバーチャルワールドの最近のショーとは異なり、Deadmau 5をテーマにしたコンテンツはデビューした後もライブのままで、探索の可用性を広げている。Manticoreのチームはこれを、コメディグループPenn and Teller(ペン&テラー)のようなパフォーマーがラスベガスで進行中のショーのためにキャンプする様子になぞらえている。しかしラスベガスと違って、パフォーマーは同時に2つの場所に滞在できる。Deadmau 5は2021年10月半ば、Ethereum(イーサリアム)ベースのバーチャルプラットフォームDecentraland(ディセントラランド)で開催される音楽フェスティバルに参加することを発表した。

筆者は早めの内覧として、Deadmau 5ことJoel Zimmerman(ジョエル・ジマーマン)氏と一緒にこのショーを鑑賞した。同氏は自身のトレードマークである巨大な動物のヘルメット(ネコだろうか?)とサイボーグの天使の翼を身にまとい、一方筆者はメタバースの小さな黒いドレスともいえる地味な黒のパーカーを選んだ。

ジマーマン氏は、Deadmau 5マウスが飾られたゲーミングチェアに座って現実世界でくつろぎながら、Coreの中をあちこち飛び回り、筆者にこう語った。「私がこれに惹かれたのは、すべてがモジュール化されていて、クリエイターたちにより多くのツールを提供しているからだと考えています」。

画像クレジット:Manticore Games

バーチャルコンサートに期待されるように、このインタラクティブなパフォーマンスには、溶けるようなサイケデリック感のあるビジュアル、ミニゲーム、ターンテーブルの耳がついた威嚇的なChain Chump(ワンワン)風マウスなどがそろっている。ジマーマン氏、そしてCoreの共同創業者であるFrederic Descamps(フレデリック・デスキャンプス)氏とJordan Maynard(ジョーダン・メイナード)氏も、筆者と一緒にこのショーを少なくとも10回は回ったが、全員が本当に楽しんでいるようだった。

ある時、筆者は溶岩に落ちたか、巨大な金属の拳の一撃を受けてコンベヤーベルトにぶつかってしまったようで、近くにはDeadmau 5をテーマにした悪役がそびえ立っていた。「死ぬことを疑似体験できる唯一のインタラクティブコンサートになると思います」とメイナード氏。このショーは、視覚的にも楽しく、創造的にもインタラクティブで、最終的にはFortniteのコンサートのようなものになっていた。

Oberhasli(オーバーハスリ)と呼ばれるこの精巧なバーチャル体験は、薄気味悪いジャングルの廃墟から、浮遊する宇宙ゴミでいっぱいの不気味な世界まで、ゲーム開発の経験のないファンたちによるユニークな世界も見せてくれる。Core Deadmau 5のパフォーマンスは10月中旬に行われ、現在はオンデマンドで、EDMをバックにたくさんの要素が詰め込まれた世界に浸りたい人たちに向けて配信される。

画像クレジット:Manticore Games

クリエイターのためのCore

後にDiscord(ディスコード)で行われた電話会議の場では、Coreツアーはあらゆる人に寄り添う形で展開されており、破壊可能な壁の裏の秘密の門を走り抜けたり、ゲームのジャンルを超えて世界を飛び回るような体験が、コードやゲーム開発経験を必要としない、驚くほど洗練されたものに仕上がっていた。Wi-Fi接続が悪かったとしても、ゲームの世界から別の世界へと移動するのにほんの数秒しかかからない。World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)の暗いポータルのようなものを通り抜けて、最後にはアイソメトリックな海賊船で航海に出た。

このWoW(World of Warcraft)に向けた賛同は、おそらく偶然ではないのだろう。デスキャンプス氏は、真剣な長年のプレイヤーにしかできないような、キャプチャされたゲームプレイで構築されている物語風のムービー、WoWマシニマの全盛期への郷愁に満ちていた。デスキャンプス氏とメイナード氏は以前、10年以上にわたって忠実に支持されているファンタジーMMOのRift(リフト)にも関わっていた。(メイナード氏は7人目の従業員だった。)最近では誰もがそのメタバースを称賛しているが、驚くべきことに、この分野において、何年も前から人々を結びつけてきたシームレスなバーチャルゲームの世界にルーツを持つ企業はほとんどない。

画像クレジット:Manticore Games

Coreで何かを作ることがいかに簡単かを強調すべく、メイナード氏は、私たちがプレイできる1人称視点のシューティングゲームを手早く作成した。それはドラッグ・アンド・ドロップのプロセスで、Coreのシステムを使って作られたオリジナルのゲーム内アセットの膨大なライブラリに、おそらく2分ほど入り込むだけだった。いくつかの3Dオブジェクトが用意されており、テンプレート(バトルロワイヤル、レース、ダンジョンクローラーなど)からゲームモードを選ぶと、Coreのモジュール式サンドボックスに組み込まれている洗練されたプレイ可能なゲームにほぼたどり着く。冷たい雪景色や不毛な砂漠の中でのゲーム設定も、ドラッグ・アンド・ドロップと同じくらいシンプルな操作で、環境に広がりを与えてくれる。

ゲームプレイはさておき、Robloxで目にするUGCよりCoreゲームの方が何光年も先を行っているように見えるが、プラットフォームのユーザーはそのことを特に気に留めていないようだ。ビジュアルスタイルやゲームのジャンルの広さも、他のプラットフォーム上の同じようなUGCから抜け出してきた人たちにとっては驚きに値するだろう。

コンテンツを作成するコアユーザーには、Manticoreが「perks」と呼ぶ収益化のオプションがかなり充実している。これには、ゲーム内のコスメティックアイテムの提供だけでなく、プレミアムゲームへの課金、Fortniteのようなバトルパスの販売、サブスクリプションモデルの導入などが含まれている。収益の配分は50対50で、Robloxがクリエイターに渡す25%と比べると寛大だ。また、Coreでは他のモジュール式ゲーム制作プラットフォームと同様に、誰もがクリエイターであり、開発経験は必要ではない

現在のところCoreはPC限定だが、Manticoreは2022年からiOSを含む他のプラットフォームにも展開する予定だ。ゲーム制作はPCに限定されるだろうが、同社は誰もがどこでもCoreのゲームをプレイできるようにしたいと考えている。プラットフォームにとらわれないビジョンは、初期のFortniteや最近のRobloxを確実に後押ししたものだ。

「ゲーム開発はお菓子作りに似ています。非常に正確な手順と技術が必要で、何週間もかけて繰り返し行うものです」とデスキャンプス氏はいう。しかしCoreでは、技術的なことを抜きにして、通常は長引いてしまうプロセスを数分で終わらせることが可能。残りの時間を実験やプレイに充てることができる。

「マリオカートにポータルガンを取り入れたらどうだろう?」というメイナード氏の質問にも、間違いなくその場で答えが出ただろう。

画像クレジット:Manticore Games

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

「Google Labs」の名が復活、AR&VR、Starline、Area 120が新設された「Labs」チームに移動

「Google Labs(グーグルラボ)」の名称が復活した。だが、今度のそれは実験的な製品やサービスを提供する消費者向けのブランドではない。Google(グーグル)のさまざまな革新的なプロジェクトや長期的な投資を1つにまとめることを目的とする組織再編のもとに設立された新しいチームの社内での名称だ。この新チームを率いるのは、Googleのベテラン副社長であるClay Bavor(クレイ・バーヴァー)氏。最近では「Project Starline(プロジェクト・スターライン)」として知られる最先端のホログラフィック・ビデオ会議プロジェクトなど、仮想現実や拡張現実におけるGoogleの先進的な取り組みを指揮している人物だ。

バーヴァー氏は、既存のARおよびVRへの取り組み、未来的なProject StarlineArea 120(エリア・ワントゥエンティー)と呼ばれる社内インキュベーター、およびその他の「将来性の高い、長期的な」プロジェクトを含む新組織を指揮していく。同氏はGoogleのSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEOの直属となる。

2016年に開設されたArea 120は、起業家精神旺盛な人材をGoogleに定着させる方法として構想されたもので、チームがGoogleのデータ、製品、リソースを利用しながら新しいアイデアを試すことができる。

長年にわたり、この組織は数多くのプロジェクトを生み出し、成功させてきた。その中には、新興市場向けのHTML5ゲームプラットフォームで、現在は一部の国でGoogle Chrome(クローム)に統合されているGameSnacks(ゲームスナック)、珍しく外部スピンアウトとなった技術面接プラットフォームのByteboard(バイトボード)、AirTable(エアテーブル)のライバルでGoogle Cloud(グーグル クラウド)に移行したTables(テーブルズ)、A.I.を活用した会話型広告プラットフォームのAdLingo(アドリンゴ)、Google Search(Google 検索)とShopping(Google ショッピング)にそれぞれ移行したビデオプラットフォームのTangi(タンギ)とShoploop(ショップループ)、ウェブベースの旅行アプリでCommerce(コマース)に移行したTouring Bird(ツーリングバード)などがある。

Area 120では現在、職場用の短い動画プラットフォームであるThreadIt(スレッディット)、スペクトルマーケットプレイスのOrion(オリオン)、ドキュメントスキャナーのStack(スタック)などのプロジェクトをインキュベートしている。常に約20のプロジェクトが進行中だが、すべてのプロジェクトが公開されているわけではない。

しかし、以前の組織体制では、Area 120はGoogleのスンダー・ピチャイCEOへの報告系統が3層に分かれており、にも関わらず、ピチャイCEO自身がすべての出口に署名しなければならなかった。また、このグループは、グローバルパートナーシップおよびコーポレートディベロップメント担当プレジデントであるDon Harrison(ドン・ハリソン)氏の下に配置された雑多なグループの中にあった。今回の再編により、Area 120は他の革新的なプロジェクトと一緒に移されることになり、参加しているチームとその取り組みの認知度が向上する可能性がある。

Googleは、新しいグループの名称として「Labs」というブランドを社内で使用しているが、この名称が選ばれた背景には同社の豊かな歴史があり、決して退屈な選択というわけではない。かつてGoogle Labsというブランドは、ベータ版から一般公開に至ることも多いGoogleの対外的な実験に関連するものだった。

2002年から2011年の間に、Google Labsは、Personalized Web Search、Googleアラート、GoogleドキュメントおよびGoogleスプレッドシート、Googleリーダー、Google Shopper(現在のGoogleショッピング)、AardvarkというQuoraのようなQ&Aサイト、Google GoggleというGoogleレンズの前身、Gesture Search for Android、iGoogle、Googleマップ、Google Transit、Googleビデオ、Googleトーク、Googleトレンド)、Google Scholar、Googleソースコード検索、Google Suggest、Googleグループ等々、Googleの中核的な製品やサービスとなる製品を生み出してきた。

Googleの新しい計画は、Labsを対外向けのブランドにするわけではなく、スタッフは(Starlineなどの)プロジェクトチームに採用されることになるが、この組織再編自体は、Googleの大きな賭けのいくつかに向けられる注目を増大させることになるだろう。

また、これまでGmail、Googleドライブ、Googleドキュメント、Google Apps for Work(現在のGoogle Workspace)など、多くの著名なGoogleプロジェクトで製品管理を担当してきたベテランGooglerであるバーヴァー氏がLabsを率いるということは、革新的なアイデアを中核製品に変えた経験を持つリーダーがチームに配置されるという意味である。

スタッフへ向けたアナウンスで、Googleは今回の組織再編が、将来を見据えた新しい投資分野を全社的に起ち上げ、成長させることに重点を置いたものだと説明している。

「この組織の中心となるのがLabsと呼ばれる新しいチームで、テクノロジーのトレンドを推定し、将来性の高い長期的な一連のプロジェクトをインキュベートすることに力を入れます」と、Googleは述べている。

Googleは今回の組織再編を公に発表していない。しかし、社内の関係者からこの動きを聞いたTechCrunchが同社に確認したところ、バーヴァー氏の新しい役職を含め、我々が上述した通りの変更であることを認めた。

「クレイは、拡大した役割を担うことになります。彼の仕事は、当社の中核製品や事業を直接サポートする長期的な技術プロジェクトに集中することになるでしょう」と、Googleの広報担当者は語っている。

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Tencentが初めてメタバース実現に向けたビジョンを語る

Tencent Holdings Ltd.のマーティン・ラウ社長(左)と、馬化騰会長兼CEO(右)(画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg via Getty Images)

Facebook(フェイスブック)がメタバースという新しいバズワードに未来を託そうとしているときに、Tencent(テンセント)がその時流に乗らないわけがない。

現段階では、Tencentのアプローチは、Facebookのメタバース部門への100億ドル(約1兆1400億円)の投資に比べてより慎重であるように見える。しかし、中国のソーシャルメディアとゲームの巨人から少しでも早期のヒントが得られれば、投資家の憶測の材料にはなるだろう。

中国時間11月10日に行われた決算説明会で、TencentのPony Ma(ポニー・マー、馬化騰)CEOは、メタバースに関する同社の考えを初めて明らかにした。

仮想世界をよりリアルに、そして現実世界を仮想体験でより豊かにするものは、すべてメタバースの一部となり得ます。

その後、同社の幹部が順番にこのタグラインに肉付けをしていった。彼らの定義がよく分からなくなる場面もあったが、Tencentのボスたちは「メタバース」に到達するための3つの一般的な「道筋」については意見が一致していた。

現在、中国のインターネット業界では全体的に取り締まりが強化されており、開発中のメタバースにもそれが影を落としかねない。Tencentは、ユーザーエクスペリエンスが「規制の枠組みの下で提供される」限り、中国政府の規制は「メタバースの発展を根本的に妨げるものにはならない」と考えている。

しかし、中国国内のメタバースがまだ初期段階にある今、その規制がどのようなものになるかを知ることは困難だ。

メタバースへの階段

メタバースへの最も明白な道のりは、同社の最大の収益源であるビデオゲームだ。それは、高度にインタラクティブなゲームであったり、1つの共通IPのもとに存在する複数のゲームであったり、ユーザーがゲームを作れるようなインフラなどもあり得ると、マー氏は語った。

これらのアイデアのいくつかは、Epic Games(エピックゲームズ)、Roblox(ロブロックス)、Discord(ディスコード)など、Tencentのポートフォリオ企業ですでに具体化し始めている。そう、Tencentはすべてを自前でやろうとしているわけではなく、戦略的価値を見出すことができる何百もの企業を支援しているのだ。

Tencentのチーフストラテジーオフィサー(CSO)であるJames Mitchell(ジェームズ・ミッチェル)氏は「Epicの例では『Fortnite(フォートナイト)』と『Rocket League(ロケットリーグ)』を一緒に見ることができ、Roblox(ロブロックス)の例では、複数の異なるいわゆるゲーム体験があります」と説明した。

マー氏によると、2つ目の道筋は「ゲーム化され、より多くのプログラム可能な体験をサポートする」ソーシャルネットワークである可能性がある。

そのようなソーシャルネットワークには、一連のツールが必要だ。ミッチェル氏は「3Dグラフィックス機能を提供するもので……サーバーベースのコミュニティを持つもの」そして「ゲーム会社が必要とするUGCやPGCのツールを提供するもの」の両方が必要だと説明している。

「そのため、Meta(メタ)自体やSnap(スナップ)などのソーシャルネットワークは、最も多くの資本を持っていますが、やるべきこともそれなりに多くあります」とも同氏は付け加えた。

さらにもう1つの道として「現実世界での体験を、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)で拡張する」という方法もあるとマー氏は指摘する。

ミッチェル氏は、Discordのような「すでに高度な機能を持つテクノロジーボットが存在する」ユーザー運営のコミュニティは「テキストと画像をベースにしたものから、より没入感のあるビデオをベースにしたものへ」移行する可能性があると考えている。

これら3つの計画を実行するために、Tencentはどれだけの能力を持っているのだろうか?同社は、適切な人材と技術を備えていると考えている。

TencentのMartin Lau(マーティン・ラウ)社長はこう述べた。「(メタバースの)原動力となるのは、やはりソフトウェアであり、ユーザーエクスペリエンスを提供するのに本当に役立つ技術であり、それはエンジンテクノロジーであったり、多数の同時ユーザーに対してより良いリアルな体験や忠実度の高い体験を提供する能力であったり、AI技術であったりします。それらが揃うことで、人によって異なる体験をカスタマイズすることができます」。

同社はメタバースの実現時期については明らかにしなかったが、ラウ氏は「おそらく人々が予想していたよりも時間がかかり、多くのイテレーションを必要とするでしょう」と認めている。

Tencentの将来に、Oculus(オキュラス)に相当するものはあるのだろうか?ラウ氏は、メタバースの実現に向けて「ハードウェアは必要条件ではなく、おそらく補助的な条件になるだろう」と考えている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍・破産申請を乗り越え、VR体験スタジオSandbox VRが約42億円調達、グローバル展開進める

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

新型コロナの影響をまともに受け、ロケーションベースのバーチャルリアリティ(LBVR)スタートアップ各社にとって過去1年は厳しい環境だったが、Sandbox VRはカムバックを果たしただけでなく、さらにグローバルに事業を拡大する計画だ。

Sandbox VRは、フルボディモーションキャプチャとVR技術を組み合わせることで、没入感のあるソーシャルエクスペリエンスを目指している。プレイヤーは別世界に足を踏み入れ、友達と一緒にどこにでも行くことができる。

サンフランシスコと香港に本社を置く同社は、Alibaba(アリババ)やCraft(クラフト)とともに、変曲点にあるスタートアップに資金を提供するグロースファンドを通じて、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)が主導するシリーズBラウンドで3700万ドル(約42億2000万円)を調達したと発表した。

今回の資金調達により、累計資金調達額は約1億1900万ドル(約135億7500万円)となる。同社は7月にオースティン、ラスベガス、上海の3カ所に新店舗をオープンしたばかりだ。

Sandbox VRは、今回の資金調達をもとに、2022年にパラマス(ニュージャージー州)、ロンドン、トロントなど世界各地に新たなロケーションを10店舗オープンする他、法人向けに2店舗、フランチャイズロケーション2店舗を開設する予定だという。

また、社内のスタジオを拡張してコンテンツリリースの頻度を増やし、ソフトウェア開発キット(SDK)を開発してSandboxプラットフォームをサードパーティ開発に開放すると、共同創業者兼CEOのSteve Zhao(スティーブ・ザオ)氏はTechCrunchに語った。また、プレイヤーにとって重荷となるVRハードウェアのバックパックを取り除くためのワイヤレス技術を構築する予定であるとも。

Sandbox VRは、ヘッドマウント型VRヘッドセット、バックパックコンピュータ、モーションキャプチャーセンサー、ハプティックベストなどのハードウェアをプレイヤーが着用する。

画像クレジット:Sandbox VR

ザオ氏はこう語っている。「今後、さらに多くの店舗を展開していくために、社内のスタジオを強化するとともに、SDK(ソフトウェア開発キット)を構築して、まもなくパブリッシングを(サードパーティに)開放する予定です」。

Sandbox VRは、他の競合他社がライセンスゲームで運営しているのとは異なり、独自のゲームと技術を開発しているとザオ氏は指摘する。同社は5つのVRゲーム「Curse of Davy Jones」「Amber Sky 2088」「Star Trek Discovery:Away Mission」「Deadwood Mansion」「Unbound Fighting League(UFL)」を提供している。

パンデミックが発生したのは、同社が予定していたシリーズBの資金調達を2020年初頭に締め切る直前だったとザオ氏は語る。従業員の約80%が退職しなければならず、新型コロナの危機の中で破産申請を余儀なくされたと彼は付け加えた。Sandbox VRは、コロナ禍を経てこれまで以上に強くなっている。2021年の4月にグローバルオフィスを再開した後、その収益は2021年の初めに比べて20倍になった。

a16zのジェネラルパートナーであり、Sandbox VRの取締役でもあるAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏はこう述べている。「パンデミックの最中にスティーブ(・ザオ)と彼のチームが示した気概と強固な意志は賞賛に値するものであり、それが今日、最強の、最も技術的に進んだロケーションベースVRサービスであると当社が信じるものにつながっています」。

ザオ氏によれば、同社は10月時点で全世界で35名の社員を抱えている。Sandbox VRは現在、米国、カナダ、アジアで12のロケーションを運営している。

Verified Market Researchのレポートによると、ロケーションベースVRの世界市場は、2021年から2028年にかけて32.9%のCAGRを示しており、2028年には263億ドル(約3兆3億円)に達すると予測されている。

Sandbox VRは、人々がSFで見るような、可能な限り没入感のある体験をどうやって作り出すかというアイデアから始まった。VRはあくまでも1つのコンポーネントであり、同社のビジネスをVR分野に限定するつもりはないとザオ氏は語る。

テクノロジーを利用して人的交流を拡大することを使命とするSandbox VRは、この先メタバース分野に参入する野心を持っているが、そこに至るまでにはあと3~5年ほどかかると同氏はいう。

「VR業界でイノベーションを続けていくうちに、いずれは物理的な空間のバーチャル化に向かっていくでしょう。いつの日か、プレイヤーが永続的なバーチャルアバターを具現化できるポータルに気軽に足を踏み入れるような感じになるでしょうね」とザオ氏は語った。

画像クレジット:Sandbox VR / Sandbox VR

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

コロナ禍でもマンションの消防訓練ができる管理組合向け防災コンテンツ「VR消防訓練」、横浜消防局監修

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

大和ハウスグループの大和ライフネクストは11月10日、マンション居住者のための仮想消防訓練が行える「VR消防訓練」のサービス提供を開始した。これは、大和ライフネクスト、理経、横浜市との三者連携協定による「次世代型マンション防災コンテンツの共同研究開発」の成果とのこと。

このコロナ禍で、大勢のマンション住人が集まって消防訓練を行うことが難しくなっている。また、いろいろな理由で訓練に参加できない住民も少なくない。横浜市消防局の調べでは、2020年度、横浜市の自治会や町内会で消防訓練が実施された件数は、前年度の6割減だった。VR消防訓練は、そうした状況化でも、人が実際に密集することなく訓練が行える機会を提供する。試験的に導入したあるマンションでは、VR消防訓練の参加者は、従来の形に比べて参加率が5倍に増えたという。

VR消防訓練には、次の3つの特徴がある。

  • いつでも、どこでも、何度でも参加可能:スマートフォンを使ってVR動画を視聴する形なので、期間中は何度でも、各自それぞれのタイミングで見ることができる
  • 消防法に則った訓練内容:消防法で定められた、消火訓練、避難訓練、通報訓練が、横浜市消防局の監修によるVR動画で体験できる
  • マンション管理組合の負担軽減:居住者への案内、参加集計、実施後のアンケートなど、必要な作業はコンテンツに含まれているので、管理組合の手間が省ける

また同サービスは、大和ライフネクストが展開するマンション防災関連サービス「マンボウ」の1つとして提供される。サービス開始時点では、大和ライフネクストが管理を受託するマンション管理組合を想定しているが、今後は広く一般にもサービス提供を行う予定。「オンリーワン防災マニュアル制作サービス」と組み合わせて使うことで、より効果的にマンション居住者の防災力、自助力の向上がはかれると、同社では話している。

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

集英社は11月9日、XR事業開発課を新設し、XR事業「集英社 XR」をスタートしたことを発表した。XRとは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などを含む超越現実(クロスリアリティー)とよばれる技術の総称。「従来の出版事業を力強く下支えしつつ、立体的で躍動感のある新たなメディア展開」を行うとのこと。

集英社では、XRテクノロジーは、これまで作品や雑誌などで提供してきたコンテンツを、より豊かに届けることを可能にすると話している。このXR事業が目指すのは、総合出版社として社内のメディア全般のXR化、XRを軸に新たなパートナーシップをもとにしたビジネスモデルの変革、自社による投資としてのXRシステムの構築運用としている。

XR事業創設にともない、集英社は、事業企画、ネットワークシステム、CM制作、IoTなどを手がけるティーアンドエスと業務提携し、事業企画、クリエイティブ制作、サービス企画、システム開発、プロモーション、先端技術における研究開発などをともに行うとしている。

さらに、アメリカのARソフトウェア開発企業Niantic(ナイアンティック)と、「Pokémon GO」の技術的基盤ともなっている同社のツールセット「Niantic Lightship ARDK」に関するパートナーシップ契約も結んだ。

これらの先進的なAR技術、地球規模でのインフラを活用することで、集英社 XRは、日本をはじめグローバル規模での展開も視野に入れているという。同プロジェクトにおいて「さまざまな企業様とも新しい体験やサービスを創造していきたい」と集英社は話している。

Nianticが「現実世界のメタバース」というビジョン&AR開発者キット「Lightship」を発表、AR体験構築をよりアクセシブルに

「Pokémon GO(ポケモンGO)」の開発で知られるARテクノロジー企業のNiantic(ナイアンティック)は、拡張現実体験の構築をより身近なものにするAR開発キット(ARDK)「Lightship」を発表した。この無料で公開されている技術は、同社のビジョンである「現実世界のメタバース」の基礎を築くのに役立つ。

NianticのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)CEOは、プログラム立ち上げのライブストリームで、以前彼がメタバースを「ディストピアの悪夢」と呼んだ自身のブログ記事に言及した。しかし、Facebook(フェイスブック)が社名をMeta(メタ)に変更し、VRヘッドセットが支配する未来を宣伝している間にも、Nianticは代替案を想像している。それは、仮想世界ではなく、人々を直接結びつけるメタバースだ。

Nianticの既存のゲームは、屋外での活動や新しい人との出会いを重視している。リモートでプレイできるようにパンデミック時代の調整を行う前は、伝説レイドバトルなど、Pokémon GOの特定の側面は、十分な数のプレイヤーが同時に協力しないとプレイできなかった。2017年に伝説レイドバトルがリリースされると、ローカルなDiscordコミュニティが立ち上がり、人々は現実世界でのミートアップを調整して、一緒にルギアやフリーザーを捕まえようとした。

ハンケ氏は次のように述べた。「Nianticでは、人間はバーチャルな世界がフィジカルな世界につながるときに最も幸せだと考えています。SFのメタバースとは異なり、現実世界のメタバースは、何千年も前から知られている私たちの世界における経験を向上させるためにテクノロジーを活用します」。

Lightship ARDKの公開により、デベロッパーは「Ingress(イングレス)」「Pokémon GO」「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」などのゲームの基盤を利用して、新たなプロジェクトを生み出すことができる。また同社は、2000万ドル(約22億6500万円)規模のNiantic Venturesファンドを開設し、Nianticのビジョンに合致する企業に投資する。ローンチ時点で、NianticはすでにCoachella(コーチェラ・フェスティバル)、英国の歴史的王宮を管理する非営利組織Historic Royal Palaces、Universal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)、全米プロゴルフ協会などのブランドと提携しており、彼らは同社のARDKを利用しているという。

このソフトウェア開発キットは、3D、2D、VR、ARエクスペリエンスを構築するソフトウェアであるUnityと統合することで、開発者がiOSやAndroid向けの体験を構築するのに役立つ。ARDKは、NianticのAR機能のトップ3である、リアルタイムマッピング、セマンティックセグメンテーション、マルチプレイヤー機能を提供し、Nianticが何年もかけて開発してきたツールを、新進気鋭のクリエイターが利用できるようにする。

NianticのプロダクトマネージャーAmanda Whitt(アマンダ・ホイット)氏は、この度のQ&Aで「Unityの経験が少しあれば、簡単に使いこなせるようになります」と語った。

この新しいLightship ARDKは、興味のある開発者向けにNiantic Lightshipのウェブサイトで公開されている。

画像クレジット:Niantic

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】生き残りを賭けたフェイスブックの「メタ」への転換

Facebook(フェイスブック)は生き残りをかけて戦っているが、彼らの敵は規制当局の圧力ではない。Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏は、下降しつつあるユーザーベースを守る救命ボートとして「メタバース」に頼り切っている。Facebookの未来が主要ハードウェアプラットフォームを所有することにかかっていることを、彼はずっと前から知っている。

先のFacebookの「Meta」へのブランド転換は、数十億ドル(数千億円)のバランスシートゲームの3イニング目だ。果たして消費者がこれを受け入れ、現実になるのかどうか拝見しよう。Meta / Facebookのすべてが懸かっている。

2016年からVRとARに投資している1人として私は、昨今のビジネストレンドチャンネルをにぎわしている「メタバース」の話題を聞いて、慎重ながら楽観的になっている。果たして今は本当にVRの時代なのか?

世界で最も価値のある会社の多くは、自らのソフトウェアアプリケーションを動かすハードウェアを所有している。Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)は何年も前からハードウェア事業を手がけているし、Google(グーグル)もAndroid(アンドロイド)で堅実なOSビジネスを構築することができた。2014年のFacebookによる数十億ドルのOculus(オキュラス)買収は、ザッカーバーグ氏の真意をあからさまに示すものだったが、実際のピボット(転換)が起きるまでには7年を要した。

Oculus買収直後の数年間、VR(仮想現実)への投資が業界全体で相次いだ。ハードウェアプラットフォームが、Google、Microsoft、Sony(ソニー)、HTC(エイチティーシー)、Steam(スチーム)などから大々的な発表が続いた、こうした投資のほとんどは数年後に捨てられるか打ち切られることとなり、VRハードウェアプラットフォームの選択肢は不足状態になった。

Facebookが攻撃を開始したのはその時だった。Oculus / Reality Labsプラットフォームへの投資を強化して高品質モバイルVRハードウェア機器の開発で革新を起こし、ゲームデベロッパーに資金を投入して、プラットフォーム上の有望なゲームのほとんどを貪欲に買収した。買収を通じてデベロッパーエコシステムを構築するそのアプローチは、あらゆるVRプラットフォームが直面してきた初期コンテンツ不足問題を解決するための長丁場の投資だ。

ザッカーバーグ氏はゲームから手を付けた。それは、消費者の大きな興奮と成長が約束された最古のカテゴリーであり、ヘッドセットの中で消費者の熱狂を心地よく上昇させるからだ。次にザッカーバーグ氏は、VR/AR(拡張現実)をエンタープライブに持ち込み、リモートチームとの実践的3Dコラボレーションを、パンデミック下で分散された社員たちに浸透させようとしている。

幸運なのか実力なのか、彼は予知能力のある戦略家として知られている。ザッカーバーグ氏はこれまで、自分では必ずしも制御できない市場の変化とタイミングに対応して、完璧な戦略を見せつけてきた。

「メタバース」は、すでに「Fortnite」や「Roblox」に存在している。ザッカーバーグ氏は、人々が頭に被るコンピューターを通じた完全没入型体験を望んでいて、年齢層の高いユーザーベースを駆り立てられることに賭けている。

もしFacebookの過去の買収が道しるべになるなら、ザッカーバーグの戦略は成功するだろう。ただしWhatsApp(ワッツアップ)とInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebookの成功した買収先のほとんどは、買収当時すでに成功が約束されていた。「メタバース」に全力を注ぐことは、新しいプラットフォームとパラダイムを作り出すことであるが、そこは30年以上熱狂を促すサイクルを繰り返してきたにもかかわらず、悲しいほど普及が進まない分野である。

バランスシートを見る限り、うまくいく可能性は高い。しかし、今はまだ、隔離された空間に存在する戦略とチャンスのための妙技にすぎない。

編集部注:本稿の著者Jacob Mullins(ジェイコブ・マリンズ)氏はShasta Venturesのマネージングディレクターとして、2016年以来VR/ARに投資している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Jacob Mullins、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・キューバン氏とOculusの元CEOが支援する3D型eコマースを推進するVNTANA

Faceook(フェイスブック)やApple(アップル)が複合現実型ヘッドセットの導入を計画するなど、コンシューマー向けウェブの3D化を推し進めている一方で、世の中のウェブコンテンツのほとんどは、いまだに2Dのままだ。3Dコンテンツが存在する、完全に別世界の「メタバース」を推し進める人もいるが、現在のユーザーがいる場所にリソースを投資したいと考えている既存のウェブプラットフォームにとって、それは難しいことだろう。

VNTANA(ヴィンタナ)は、コンテンツ管理システムを構築しており、eコマースの小売業者がサイト上で商品をきれいな3Dで紹介するのを支援するとともに、ユーザーが拡張現実でモノを見たり、バーチャルで商品を試着したりできるようにしている。2012年に設立されたVNTANAは、長年にわたり3Dコンテンツに注力してきたが、パンデミック前のライブイベントにホログラムを導入することから、今ではウェブ上の店頭に3Dコンテンツを導入することへシフトしてきた。

「消費者が意味のある方法で製品に関わることができるような、インタラクティブな方法を作ることが常に目的でした」とCEOのAshley Crowder(アシュリー・クラウダー)氏は述べている。

同社は、シリーズAで1250万ドル(約14億2200万円)の資金を複数回にわたって調達したとTechCrunchに報告している。このスタートアップの最新の資金調達の支援者には、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Oculus(オキュラス)の前CEO、Brendan Iribe(ブレンダン・アイラブ)、Flexport(フレックスポート)、Anorak Ventures(アノラック・ベンチャーズ)などが含まれている。同社は、2019年に600万ドル(約6億8200万円)のシードラウンドを発表している。

同スタートアップのソフトウェア式には、大容量の3Dファイルを最適化して読み込み時間を短縮し、消費者が新製品をあらゆる角度から見ることができるようにする製品や、eコマースプラットフォームがすでに所有している3Dファイルを活用して、2Dのデジタルレンダリングによるショールーム画像や動画を作成し、マーケティングにかかる時間と費用を節約できるようにする製品が含まれている。また、同社は最近、卸売り管理プラットフォームのJoor(ジョア)やソフトウェアメーカーのPTCと提携し、事業拡大を図っている。

消費者は、同社のソフトウェアを利用することで、購入前に拡張現実(AR)を使って、実際の空間での商品の大きさや外観を確認することができ、返品の減少にもつながると、クラウダー氏は述べている。

Apple、Google、Facebookなどから大きな発表があったにもかかわらず、拡張現実を開発する機会というのは、数年前に関心が高まったときに多くの投資家が予想したよりも限られていた。しかし、VNTANAのような企業は、3Dコンテンツを利用した体験を提供することで、eコマースの小売業者が抱える既存の問題を解決するとともに、AR/VRの未来に向けた準備を整えている。

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(文:Lucas Matney、Akihito Mizukoshi)

MetaがVRヘッドセットなどが並ぶ実店舗をカリフォルニアで計画との報道

ニューヨークタイムズ紙によると、かつてFacebookとして知られていた会社は、Metaへとブランド名を変更する前から小売店を開設する可能性について議論していた。どうやら、実店舗の開設についての議論は2020年から始まっていたらしいが、最終的には何も決まっておらず、このプロジェクトはまだ破棄される可能性がある。しかし、もしMetaが実店舗を開くとしたら、それは完全な小売店ではなく、Reality Labs部門が開発したデバイスを紹介する体験型店舗のようなものになるとされている。

それらのデバイスには、仮想現実ヘッドセットOculus Quest(近日中に「Meta Quest」になる予定)や、主にビデオ通話用に設計されたガジェットPortalなどがある。また、FacebookがRay-Ban(レイバン)と共同開発したStoriesと呼ばれる拡張現実のスマートグラスも展示される可能性がある。タイムズ紙が入手した文書によると、Metaの目標は、店舗で「好奇心」と「親近感」を喚起し、顧客がヘッドセットを試しながら「判断に迷わない旅」ができるような居心地の良い雰囲気を提供することだという。

同じ資料によると、Metaはモダンでミニマリスト的な美しさを持ち、ブランドをさりげなく配置した店舗を想定している。同社は、Facebook Hub、Facebook Commons、Facebook Innovations、Facebook Reality Store、From Facebookなど、さまざまな名称を検討した。最終的にはFacebook Storeに落ち着いたが、会社名が変更された今、それも変わる可能性が高い。

Metaがこの計画を進めた場合、最初の小売 / 体験型店舗はReality Labsのオフィスがあるカリフォルニア州バーリンゲームに設置される予定だ。ただ、タイムズ紙によると、このプロジェクトは最終的には世界中に広がり、さまざまな国や地域に拠点を置くことになるかもしれないとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

Meta(元フェイスブック)がVRフィットネスアプリ「Supernatural」を開発したWithinを買収

Facebook(フェイスブック)が「Meta(メタ)」に社名を変更した翌日、同社はWithin(ウィズイン)の買収を発表した。ロサンゼルスに本拠を置くWithinは「Beat Saber(ビートセイバー)」スタイルのワークアウトアプリ「Supernatural(スーパーナチュラル)」を開発した企業だ。このアプリは、身体の動きをベースにした高負荷のカーディオエクササイズで、バーチャルリアリティフィットネスにおける本物のサクセスストーリーの1つとなっている。

Facebook改めMetaが、VRに関する野望をメタバースのようなものにまで広げようとしていることを考えれば、これは賢明な買収といえるだろう。Supernaturalはまた、新型コロナウイルスの影響によるジムの閉鎖やワークアウトの制約が広がった中で、より多くの人々が家庭用のソリューションに目を向けるようになったことから、この1年半の間に特に注目された商品であることも間違いない。

「Metaとのパートナーシップに私たちは興奮しています。なぜならそれは、私たちがより多くのリソースを得て、VRでより多くの音楽、よりクリエイティブなワークアウト方法、より多くの機能、そしてよりソーシャルな体験を、みなさまにお届けできるようになるということを意味するからです。もちろん、これからも引き続き、毎日新しいワークアウトを提供していきます」と、WithinのCEOであるChris Milk(クリス・ミルク)氏とフィットネス部門の責任者であるLeanne Pedante(リアン・ペダンテ)氏はブログで述べている。

Withinによると、同社のコーチ、コレオグラファー、マネージャーなどの既存スタッフは、買収後も引き続き在籍するとのこと。Supernaturalは、MetaのVR/AR部門であるReality Labs(リアリティ・ラボ)の下で運営されることになるという。

「私たちは、VRフィットネスアプリをサポートするために、将来のハードウェアを強化する方法も一緒に検討し、他の開発者たちがVRに新しいフィットネス体験をもたらすことを奨励します」と、MetaのPlay担当VPであるJason Rubin(ジェイソン・ルービン)氏は、Oculus(オキュラス)のブログで書いている(ちなみにOculusというブランドは、間もなく廃止されることになっている)。「VRではフィットネスが大きな成功を収め、複数のサードパーティによるフィットネス・アプリも成功できると、私たちは確信しています」。

2015年に設立されたWithinは、これまでに5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達しており、最近では2017年に、4000万ドル(約46億円)を調達したシリーズBラウンドを実施している。このラウンドは、Temasek(テマセク)とEmerson Collective(エマーソン・コレクティブ)が主導し、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、21st Century Fox(21世紀フォックス)、Raine Ventures(レイン・ベンチャーズ)、WPP、Macro Ventures(マルコ・ベンチャーズ)などが投資した。

今回の買収の財務的な詳細は公表されていない。

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画像クレジット:Meta/Within

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スマホで撮影した数枚の写真で簡単に3Dモデルが作れるLumaが4.9億円調達

おそらくオンラインショッピングで、商品を回転させて、全方向から見ることができる写真を見たことがあると思う。こうしたものは、製品をあらゆる角度から撮影した写真を何枚も用意して、それらをアニメーションのように再生するのが一般的だ。Apple(アップル)のAR(拡張現実)およびコンピュータビジョングループを離れたエンジニアたちによって創業されたLuma(ルマ)は、これらの課題を解決しようとしている。


同社が開発した新しいニューラルレンダリング技術は、少ない枚数の写真を撮影するだけで、製品のフォトリアリスティックな3Dモデルを生成し、陰影をつけてレンダリングすることを可能にした。その目標は、ハイエンドなeコマースアプリケーション向けの商品写真撮影を大幅にスピードアップするだけでなく、あらゆる角度から商品を見せることでユーザー体験を向上させることだ。そしてすばらしいことに、撮影された画像は実際に3Dとして解釈されたものであるため、どの角度からでもレンダリングできるだけでなく、わずかに異なる角度からの2つのビューポートを使って3Dで見ることも可能だ。言い換えれば、検討中の製品の3D画像をVRヘッドセットで見ることができるということなのだ。

この分野をずっと追い続けてきた人なら、民生用のカメラと初歩的な写真測量技術を使って3D表現を行おうとするスタートアップは繰り返し見てきたことだろう。はっきりいってしまえば、これまでのそうした技術は決してすばらしいものとは言えなかった。だが新しい技術には新しいチャンスがあり、それがLumaの狙う場所なのだ。

Lumaの技術が実際に適用されたデモ(画像クレジット:Luma)

Luma AIの創始者であるAmit Jain(アミット・ジェイン)氏は「何が今までと違うのか、そしてなぜ今このようなことをしているのかを説明するなら、ニューラルレンダリングの考え方が台頭してきたということです。従来、写真測量で行われてきたのは、何枚かの画像を撮影し、それを長時間の処理を経ることで点群を得て、そこから3D構造を再構築するというものでした。最終的にはメッシュを作成することになりますが、高品質な3D画像を得るためには、ノイズの多い実在のデータから高品質なメッシュを作成できる必要があります。この問題は今でも根本的に解決されていないのです」と説明し、この課題がが業界では「インバースレンダリング」と呼ばれていると指摘した。同社は、この課題に別の角度からアプローチすることにした。

ジェイン氏は「点群から正確なメッシュを得ることはできないという前提の下に、別のアプローチをとることにしたのです。オブジェクトの形状に関する完璧なデータ、つまりレンダリング方程式があれば、PBR(Physics Based Rendering、フィジカルベースドレンダリング)を行うことができます。しかし問題は、スタートが写真であるため、そのようなレンダリングを行うには十分なデータがないということです。そこで、新しい方法を考えたのです。クルマの写真を30枚撮って、そのうちの20枚をニューラルネットワークに見せるのです」と説明する。残りの10枚の写真は「チェックサム」、つまり方程式の答として使われる。ニューラルネットワークが、20枚のオリジナル画像を使って、最後の10枚の画像がどのように見えるかを予測できれば、アルゴリズムは、撮影しようとしているアイテムに対するかなり優れた3D表現を作成できたことになる。

非常にマニアックな写真の話だが、かなり大規模な実用的なアプリケーションが作られている。同社の思う通りにもし進んだならば、eコマースストアで物理的な商品を閲覧する方法は、これまでとは違ったものになるだろう。商品写真を、軸の周りに回転させるだけでなく、撮影されていない角度も含めて、あらゆる角度からズームやバーチャルな動きを取り込むことができる。

上の2枚が写真。下の画像はこれらを元にして作られたLumaレンダリングによる3Dモデル(画像クレジット:Luma)

ジェイン氏は「誰もが製品を3Dで見せたいと思っていますが、問題は3Dアーティストに参加してもらって、スキャンしたものに調整を加えてもらう必要があるということです。その分、コストが大幅にアップします」という。そして、これでは3Dレンダリングができるのは、ハイエンドのプレミアム製品に限られてしまうとジェイン氏は主張する。Lumaの技術は、この状況を変えることを約束している。なにしろ3Dモデルのキャプチャーと表示にかかるコストを、1つのモデルごとに数百ドル〜数千ドル(数万〜数十万円)ではなく、数十ドル(数千円)程度に抑えることができるようになるからだ。

Lumaの共同設立者であるAmit Jain(アミット・ジェイン)CEOとAlberto Taiuti(アルベルト・タユティ)CTO(画像クレジット:Luma)

同社はYouTubeのような埋め込み型のプレイヤーを開発し、小売店が商品ページに立体映像を簡単に埋め込めるようにする予定だ。

Matrix Partners、South Park Commons、Amplify Partners、RFCのAndreas Klinger(アンドレアス・クリンガー)氏、Context Ventures、そして多くのエンジェル投資家たちが、このビジョンを受け入れ、430万ドル(約4億9000万円)の資金を提供した。ラウンドを主導したのはMatrix Partnersだ。

MatrixのゼネラルパートナーであるAntonio Rodriguez(アントニオ・ロドリゲス)氏は「次の偉大なコンピューティングパラダイムが3Dに支えられていくことは、よほど事情に通じていない人以外なら誰でも知っていることです。しかし、来るべき3D環境に人を増やしていくためには、手間のかかるオーダーメイドの方法ではスケールアップできないことをきちんと理解しているひとは、Lumaの外にはほとんどいません。写真を撮って送信するのと同じように、私の作品を3Dにする手段も簡単でなければならないのです!」。

その技術がどのようなものかが、以下のビデオで紹介されている。

画像クレジット:Luma

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

FBメタバースのために設計されたハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」、2022年発売予定

Facebook(フェイスブック)は、コードネーム「Project Cambria(プロジェクト・カンブリア)」と呼ばれる新しいハイエンドVRヘッドセットの開発に取り組んでいる。同社は、米国時間10月28日に開催されたConnectカンファレンスで、デバイスを予告した。このヘッドセットは、2022年中に発売される予定だ。FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、この製品は同社の299ドル(日本では税別3万3800円)のヘッドセット、Quest 2とは別の「ハイエンド」製品になると述べた。価格もQuest 2より高く設定されるという。

Cambriaには、他のVRヘッドセットでは実現できない機能が搭載される。このデバイスに搭載された新しいセンサーにより、バーチャルアバターはアイコンタクトを保ち、あなたの顔の表情を反映することができる。同社は、これによりバーチャルでインタラクトしている相手が、あなたの気持ちをよりよく理解できるとしている。このヘッドセットのもう1つの特徴は、複合現実(MR)のエクスペリエンスだ。新しいセンサーと再構築アルゴリズムの助けを借りて、Cambriaは物理的な世界のオブジェクトを、奥行きや遠近感を持って表現できるようになるとFacebookは主張している。

また、Cambriaには新しい光学系が搭載され、視覚的な忠実度が向上するという。Facebookは、2022年にこのヘッドセットのさらなる詳細情報を共有すると約束した。その一方で、サードパーティ開発者がすでにこのデバイス向けのエクスペリエンスに取り組んでいるとも言及した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Facebook

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

ザッカーバーグ氏がフィットネス機器としての「Quest 2」を紹介、「Pelotonのようなものだ」

Facebookは「Oculus Quest 2」をゲーム機以上のものとして認識してもらいたいと考えている。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同社の開発者会議「Facebook Connect」で、Questを「Supernatural」や「FitXR」といったサードパーティ製アプリのフィットネスプラットフォームとして活用するための取り組みを紹介。さらにコネクテッドフィットネス機器として、Pelotonと直接比較もしている。

基調講演においてザッカーバーグ氏は「多くの方が、健康維持のためにQuestを利用していますが、まったく新しい方法でワークアウトすることができます。Pelotonのようですが、自転車の代わりにVRヘッドセットを用意するだけで、ボクシングのレッスンから剣術、さらにはダンスまで何でもできるのです」。

同社は、ハードウェアの分類をさらに進めており、2022年には、Quest 2ヘッドセットをカスタマイズして、エクササイズで使えるようにする「Active Pack」をリリースすると発表した。このパックは、コントローラーにグリップを追加し、ヘッドセットが汗で濡れてしまう問題を解決するフェイシャルパッドを備える。

近年、Facebookはヘッドセットを使ったフィットネスを推進しており「Quest 2」に活動量やカロリー消費量を測定するトラッキング機能を持つ「Oculus Move」というプロダクトを発表している。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)