1カ月ほどで家を建てる住宅建築ロボットのDiamond Ageが58.6億円を調達

ほんの数カ月前に800万ドル(約9億4000万円)の資金調達行ったばかりのDiamond Age(ダイアモンド・エイジ)が、シリーズAで5000万ドル(約58億6000万円)を追加調達した。3Dプリントとロボット技術を利用して住宅建設を大幅に安くすることで、住宅購入をより手頃なものにするというのが同社のミッションだ。

自らを「フルスタックロボットスタートアップ」と称する同社は、新しい家を建てる際の半分以上の手作業を置き換えるためのツール群を開発している。ロボットという要素を加えることで、これまで9カ月かかっていた住宅建築が、1カ月ほどで可能になるという副次的な効果もある。同社は現在、外装、内装、屋根構造のコンクリートをプリントできる3Dプリントシステムに加えて、26種類のエンドオブアーム型ロボットツール(ロボットアームの末端に装着してさまざまな仕事をこなすアタッチメント)を開発している。

今回の資金調達ラウンドは、科学駆動型イノベーションに注力するPrime Movers Labが主導した。Prime Movers Labは特にエネルギー、交通、インフラ、製造、人間能力拡大、アグテック(アグリテック)などを革新するスタートアップに注目している。シード投資家のAlpaca VC、Dolby Family Ventures、Timber Grove Ventures、Gaingelsは予定以上の投資を行い、Signia Venture Partnersも加わった。創業者たちにとって最も心強いのは、このラウンドの20%が住宅建設業者や土地開発業者であったことだろう。潜在顧客がスタートアップに投資するのは、常に良い兆候だ。

前回の資金調達以来、 Diamond Age は技術を大幅に進歩させ、今では2000平方フィート(約190平方メートル、約56.2坪)の平屋をプリントして建てることができるようになった。それが投資家たちを感心させ、評価額の火種に油を注いだことは間違いない。同社は最初のスケールアップ版システムと、フルスケールの3ベッドルーム+2バスルームの住宅を、予定より4カ月早く11カ月で納入した。このことによって、同社はとある全国規模の住宅メーカーと初めて契約を結んだ。この契約について、創業者たちは今のところ詳細を明らかにしていないが、この発表も近いうちに行われることだろう。

Diamond Ageの共同創業者Jack Oslan(ジャック・オスラン)CEOは次のように語る。「手頃な価格の住宅建設は、世界規模で人々に影響を与えています。初めて家を購入する人の平均年齢が20歳代半ばから30歳代半ばに移行したことで、賃貸物件に対する需要が高まりました。このため『質の高い住宅』を求めて賃貸市場の競争がますます激化しています。次世代の住宅購入者が最初の家に早く住めるようにすることは、住宅のエコシステム全体に貢献することができます」。

Diamond Ageは、ロボットプラットフォームの拡張を継続し、住宅建設に関する初の商業契約を締結するために調達した資金を使用する。同社はすでに規模を2倍に拡大し、さらにエンジニアリングと製作の人材を加える予定だ。これにより、Diamond Ageは住宅メーカーやデベロッパーと提携し、住宅建築をオンデマンド商品化し、住宅購入者が住宅を設計する際に、より多くの選択肢を提供することができるようになる。

Prime Movers LabのジェネラルパートナーであるSuzanne Fletcher(スザンヌ・フレッチャー)氏は「Diamond AgeのFactory in the Field(ファクトリー・イン・ザ・フィールド、現場の工場)システムは、建設現場に自動化をもたらし、住宅建設業界における大規模な労働力不足を補うものです」と述べている。「ジャックと彼のチームは、予定より早く重要なマイルストーンを達成し、分譲住宅の建設方法を変革していましたので、Prime Movers Labが同社のシリーズAを主導することは容易に決断できました」。

画像クレジット:Diamond Age

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

沿岸部などに住む人のために正確に住宅のリスクを予測する保険会社Kin Insuranceが約94億円調達

カリフォルニアの家とネブラスカの家では、保険のニーズが異なる。Kin Insurance(キンインシュアランス)は、データとテクノロジーによって、保険に加入しにくい家の最適な保険加入方法を判断できると考えている。

シカゴを拠点とする消費者直販の住宅保険会社Kin Insuranceが400万ドル(約4億6000万円)を調達してから数年が経つが、CEOのSean Harper(ショーン・ハーパー)氏はTechCrunchに、1100億ドル(約12兆6400億円)の住宅保険市場のうち、半分の住宅は異常気象や火災にさらされる地域にあると語った。

「そういう場所に移住する人が増えているため、大きな保険需要があります」とハーパー氏は付け加えた。「米国には、防波島やこれまで洪水が度々起こっている平野のような、住むべきでない場所があります。しかし、そこに住むことを選択すると、保険は高額になります。技術の特殊ソースを使うことで、郡は広大で、すべての家を同じ筆で描くべきでないということをうまく理解できます」。

Lucas Ward(ルーカス・ワード)氏、Jason Heidkamp(ジェイソン・ハイドカンプ)氏、Sebastian Villarreal(セバスチャン・ビラレアル)氏と共同で会社を設立したハーパー氏は、従来の保険会社は、どの家がリスクがあり、どの家がそうでないかを判断するのに必要なデータを持っていないため、往々にして大胆な価格設定になり、結果として引受額が高くなると説明する。

しかし、データを使ってリスクを正確に見積もることで、Kin Insuranceの引受額は常に最安値とは限らなくとも平均すると結果的に安くなる。これは、同社がリスクの細分化に優れており、代理店のようにテクノロジーを使ってコストの一部を排除しているためだ。代理店を通して保険を販売する場合、継続的に保険料総額の20%のコストがかかると同氏は推定する。

また、ハーパー氏は、50年前はローカルの代理店を持つことが理にかなっていたが、テクノロジーの進歩により、保険会社が消費者に直接アプローチすることができなくなり、電子メール、テキスト、チャット、電話などで同様の顧客サービスを提供することができるようになったとも話す。

2021年4月にシリーズCで8000万ドル(約92億円)の資金を調達したKin Insuranceは、特別目的買収会社Omnichannel Acquisition Corp.と合併して上場する予定だった。しかし1月、同社はこの取引を進めないことを決定したとハーパー氏は述べた。

「株式公開の市況が良くなかったことも理由としてあります。SEC(米証券取引委員会)の手続きを踏みましたが、テック企業にとって1年前のような市場ではありませんでした。将来、再びテック企業にとって良い市場になるときが来るでしょうし、Kinも上場するでしょう」と同氏は付け加えた。

同社が非公開にするかどうかを決定する間、非公開を選んだ場合に備えてベンチャーキャピタルは列をなしていた。

同社は3月1日、シリーズDラウンドで8200万ドル(約94億円)を調達したと発表したが、ハーパー氏は1億ドル(約115億円)で正式にクローズすると予想している。QED Investorsが同ラウンドをリードし、既存投資家のCommerce Ventures、Flourish Ventures、Hudson Structured Capital Management Ltd.(HSCM Bermuda)、Alpha Edison、Allegis NL Capital、Avanta Ventures、August Capital、そして新規投資家のGeodesic CapitalとPROOF.VCも参加した。ハーパー氏によると、Kin Insuranceはこれまで株式で1億3300万ドル(約152億円)、負債で5000万ドル(約57億円)を調達した。

同社は、急成長を遂げているインシュアテック企業の1社で、同社の保険料は2020年の2500万ドル(約28億円)から2021年には1億500万ドル(約120億円)に増加し、それに伴い新たな資本が集まっている。その成長軌道は2022年も続き、2022年の保険料は2億5000万ドル(約287億円)超に達するとハーパー氏は予想している。

この1年で保険料が増えたのに加え、同社は従業員数を2021年初頭の250人から450人にまで増やした。

同社はすでにフロリダ、ルイジアナ、カリフォルニアで事業を展開していて、ハーパー氏によれば、この3州だけで250億ドル(約2兆8700億円)近い保険市場となっている。今回の資金調達で、2022年さらに6州に進出できるという。同社はマーケティング、データサイエンス、テクノロジーへの投資にも注力する予定だ。

「保険金請求に関するデータが増えれば、引受額の精度が向上します」とハーパー氏は付け加えた。「それが、従来企業と当社の引受方法の大きな違いであり、その違いを広げたいのです」。

画像クレジット:Kin Insurance / Kin Insurance co-founders Lucas Ward and Sean Harper

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

3Dプリントで「弾力性とエネルギー効率の高い住宅」を建てるICONが213億円調達、評価額は約2300億円に近づく

3Dプリントで家を作るICON(アイコン)は、Tiger Global Managementがリードするラウンドで1億8500万ドル(約213億円)を追加調達した。TechCrunchの独占情報だ。

この資金調達は、2021年8月に発表されたICONの2億700万ドル(約238億円)のシリーズBの延長線上にあるという。

オースチンに拠点を置く同社は、今回の資金調達について認めたものの、バリュエーションなどの詳細についてはコメントを拒否した。しかし、取引に詳しい匿名の情報筋はTechCrunchに対し、同社の評価額は「今や20億ドル(約2300億円)に近づいて」おり、一部の既存投資家も追加で資金を投入したと語った。

広報担当者は電子メールでこ「私たちは、世界クラスの投資家、役員、あらゆるレベルの組織と引き続き提携する機会をとてもうれしく思っています」と述べている。

これまでの投資家には、Norwest Venture Partners、8VC、Bjarke Ingels Group(BIG)、BOND、Citi Crosstimbers、Ensemble、Fifth Wall、LENx、Moderne Ventures、Oakhouse Partnersなどが含まれている。これらの投資家のうち、どこが今回の延長ラウンドに参加したかは明らかではない。今回の資金調達で、ICONは総額4億5100万ドル(約519億円)を株式で調達したことになる。

ICONは2017年末に創業。2018年3月のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト、毎年3月にオースティンで行なわれる大規模イベント)期間中に、米国で初めて許可された3Dプリントの家を発売した。350平方フィート(32.5平方メートル)の家のプリントには(25%の速度で)約48時間かかった。ICONがあえてコンクリートを素材に選んだのは、共同創業者でCEOのJason Ballard(ジェイソン・バラード)氏がいうように「地球上で最も弾力性のある素材の1つ」だからだ。

同社は前回の資金調達時、米国とメキシコの全域で、3Dプリントによる住宅や建造物を20数軒引き渡したと発表した。その半数以上は、ホームレスや慢性的な貧困状態にある人々のための住宅だ。例えば2020年、ICONは非営利団体のパートナーであるNew Storyとともに、メキシコで3Dプリントによる住宅を納入した。また、テキサス州オースティンでは、非営利団体Mobile Loaves & Fishesと共同で、長期にわたりホームレスとなっている人々のための住宅を完成させた。

2021年初頭には、テキサス州オースティンのデベロッパー3Strandsのために、米国初の3Dプリント住宅を販売し、住宅市場の主流に躍り出た。

そして2021年10月、ICONは、米国最大の住宅メーカーの1つであるLennarとの提携を発表した。Lennarは投資家として、ベンチャー部門を通じてスタートアップのLENxに投資している。両社が「これまでで最大の3Dプリント住宅のコミュニティ」と表現する100軒の住宅を建設する計画で、2022年中に着工する予定だ。ICONのロボット工学、ソフトウェア、高度な材料が用いられる。

ICONは、その3Dプリント技術により、従来の建築方法よりも早く、廃棄物も少なく、設計の自由度が高い「弾力性とエネルギー効率の高い住宅」を実現できると宣伝している。米国では多くの都市で深刻な住宅不足に陥っている。手頃な価格の住宅、特にオースティンのように住宅価格の中央値が過去1年間で46%も上昇したような市場では、その必要性がこれまで以上に顕著になっている。

今週初め、Homeboundは、Khosla VenturesがリードするシリーズC資金調達ラウンドで7500万ドル(約86億円)を調達し、その技術で住宅在庫不足に対処する独自の取り組みに着手したことを発表した。

画像クレジット:ICON

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

住宅事業者向けクラウド型住宅ローン業務支援システムのiYellが35億円のシリーズD調達

住宅事業者向けクラウド型住宅ローン業務支援システムのiYellが35億円のシリーズD調達

iYellは2月9日、シリーズDラウンドとして、第三者割当増資による合計35億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、フィデリティ・インターナショナル、ソフトバンク、三井住友信託銀行(CVCファンド「Sumi Trustイノベーションファンド」)、SREホールディングスなど合計15社。累計調達額は約76億円となった。

調達した資金により、テレビCMなどのマス広告を活用したマーケティング活動への投資を行い、住宅ローンプラットフォームをマーケットに浸透を図る。また、住宅ローンの効率化にとどまらず、住宅購入や住宅関連分野の課題解決へと広げていくために、事業の拡大を狙ったM&Aを実施するという。

さらに、社会課題解決にも着手し、昨今問題となっている、住宅ローンの不正を未然に防ぐために、不正の疑いのある情報を検知するシステムや個人情報漏洩事故を防止するデータ送信クラウドシステムの開発に対しても投資を行う。住宅事業者向けクラウド型住宅ローン業務支援システムのiYellが35億円のシリーズD調達

日本では、住宅事業者が住宅購入相談とともに住宅ローン相談・手続きサポートを行っており、本業ではない住宅ローン手続きで業務が逼迫しているという。また、住宅事業者は住宅ローンの専門家ではないため、ユーザーと金融機関の最適なマッチングを行うのが難しいことも課題となっている。

これに対してiYellは、住宅事業者向けクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を提供。いえーる ダンドリは、住宅・不動産会社のアナログかつ煩雑な業務の多さやブラックボックス化された住宅ローン審査による住宅販売機会の損失などの課題に対して、(住宅・不動産会社の)業務削減・売上増加といった事業成長を支援するという。

住宅・不動産会社に対する住宅販売の増加につながる住宅ローン業務支援を通じ、エンドユーザーの希望に沿った最適な住宅ローン提案や手続きのサポートを行う。住宅ローンの知識と金融機関などのネットワークを保有する「専門家」がクラウド化された独自テクノロジーを活用して、シームレスで安心・健全な借入プロセスを実現するとしている。

2016年5月設立のiYellは、金融機関・住宅事業者・エンドユーザーが抱える住宅ローンの課題を同時に解決するため、「国内最大の住宅ローンテックベンチャー」を標榜。住宅ローンのマーケットプレイスを軸としたiYell住宅ローンプラットフォームを構築している。現在では、全国数百行の金融機関、数千社以上の住宅事業者が参画するプラットフォームへと成長しているという。

【コラム】屋上レンタル、米国の不動産所有者は5Gキャリアと手を結ぶべきだ

5Gインフラを敷設する動きが活発になり各社の競争が激しくなるに連れ、レストラン、ホテル、住居用建物、さらには病院や教会の屋上までもがインフラ敷設場所として注目されている。5Gテクノロジーを人口密度の高い地域に確立したいと考えるテレコミュニケーション会社にとって、こうした屋上は急速に重要な不動産ターゲットとなりつつある。

事実、次世代のワイヤレス展開から得られるリース収入は、今後5年間で、米国内のリース収入の大きな部分を占めると考えられており、不動産所有者や事業主にとって大きなチャンスとなる。

バイデン政権は、5Gインフラの拡大を国の主要課題として位置付けている。1.2兆ドル(約137兆円)のインフラ投資法では、農村部やサービスが十分行き届いていない地域でも高速回線を利用できるようにするための財源として650億ドル(約7兆4000億円) が確保されている。5Gは他のワイヤレステクノロジーと比べて高速で大容量のデータを処理できるが、カバーできる範囲は最大で 約1500フィート(約457メートル)と、ぐっと狭い。

5G テクノロジーは、次世代ワイヤレスネットワークとしてはアンテナが短いため、既存の建物の屋上に敷設するのに非常に適している。

大手ワイヤレス通信プロバイダーに加え、5Gの展開競争には新たにケーブル会社やビックテック企業も含まれている。これらの企業は、5Gマクロおよびスモールセルサイトを配備するために、合わせて2750億ドル(約31兆円)を投資すると予測されている。必要な量の配備を効果的かつ効率的に行う唯一の方法は、既存の建物を利用することである。言い換えれば、5G競争を乗り切るには、屋上配備戦略の採用が鍵になるのだ。

歴史的に言って、ワイヤレス通信市場は不動産所有者やその他の事業主にとっては厳しい市場だった。ワイヤレスキャリアとタワー企業が長期契約を結んでおり、不動産所有者にとって有利とはいえない状況になっていたのだ。

多くの地域では、新しいタワーを立てることに強い反対の声があり、さらに建設、ゾーニング、許可プロセスには時間がかかる。しかし、5G テクノロジーは、次世代ワイヤレスネットワークとしてはアンテナが短く、既存の建物の屋上に敷設するのに非常に適している。現在5Gキャリアにとって、ワイヤレスに関する不動産要件を満たすには、タワー企業より大手不動産業者のほうが、迅速に効率よくソリューションを提供してくれる相手となっている。

屋上配備戦略は、5Gキャリアにとっても不動産所有者にとっても互いにメリットがある。キャリアは使用量の多い地域でできる限り迅速にインフラを配備するという目的を達成することが可能であり、一方不動産所有者は、屋上からリース料を得、すでに所有する不動産を新たな方法で収益化するという経済的利益を得ることができる。

不動産所有者の経常利益に与える影響と、30年リースで生み出されるであろう利益は相当なものであり、不動産所有者は資本へアクセスしやすくなる。さらに不動産所有者は、5Gキャリアに屋上を貸すことで使用料を得ることができるだけでなく、高速回線への接続という意味で、テナントにより質の高いサービスを提供することもできる。

5G展開競争で問題になっている事柄

米国にとって、競争に遅れを取らず国際的な競争力を保つためにも5Gインフラの展開は非常に重要である。5Gは高速での接続、キャパシティの増加、ゼロ遅延をもたらすが、5Gにより期待されるのは、自動運転車や遠隔医療の拡大、製造や農業の効率化、サプライチェーン管理の改善まで、さまざまな事業サービスを可能にするイノベーションの推進である。

これらのイノベーションから生み出される利益すべてを考慮すると、5Gは2025年までに米国のGDPのうち、1兆5000億ドル(約170兆円)以上をもたらすと予測される。

またバイデン政権は、5Gテクノロジーとユニバーサルブロードバンドを、地方に暮らす人々に経済的な平等もたらす手段と考えている。政策声明によると、農村部では都市部と比較して信頼のおけるインターネットの利用が10分の1に限られているとのことである。

最近バイデン大統領が署名したインフラ投資法においては、大統領も国会も農村部におけるブロードバンドインフラへの投資を優先し、十分サービスが提供されていない地域でのインターネットへのアクセスを拡大し、デジタル上の分断を是正したい考えだ。このため、農村部の不動産所有者は5Gインフラの展開からより多くの利益を得ることができるだろう。

強力な5Gネットワークを米国内に確立するには時間がかかるだろう。5Gプロバイダーやワイヤレスキャリアと手を結ぶ不動産所有者は、5Gテクノロジーのサイバーセキュリティにまつわる考慮事項について、しっかり情報提供を受け、それを理解しなければならない(これらの考慮事項が、提携の足かせになると考える必要はない)。というのも不動産所有者は5Gインフラを自身の不動産に配備し、そこからのワイヤレスネットワークを入居者に提供することになるからである。

最近2,300人以上のリスク管理者および他の責任者を対象にAonが行った調査では、サイバーリスクは現在のそして将来予想される世界的リスクの第一位として位置付けられた。5Gが普及し接続性が高まることは確実である。つまり、サイバーセキュリティ業界は機械学習や人工知能を改善しそれを広く活用し防御を強化する必要があるのである。

また最近では、不動産業界におけるサイバーセキュリティ強化を促進するためのガイダンスやフレームワークを提供する Building Cyber Securityといった組織も立ち上げられている。

不動産所有者が効率よく屋上を収益化し5G競争に参画するには、政府や民間企業が5G敷設要件の審査をタイムリーに行うことも含め、引き続き迅速な5Gインフラの配備に向け協力して作業を進めていく必要がある。

これに加えて、州や地域レベルでも、5Gアンテナの敷設に関するゾーニングや認可プロセスを改善する作業をもっと進める必要がある。多くの州議会がすでに州民の利益になる5G戦略を策定するための法案を検討中であり、これにより、不動産所有者にも新たな機会が提供されることが見込まれる。

5Gの競争を促進するためは、より多くの政策や技術的な作業が必要だが、不動産所有者が利益を手にする機会は、目の前に手に取れる形で存在している。新型コロナウイルス感染症によって経済的打撃を受けたレストラン経営者やホテル業者が立ち直ろうとする中、屋上の収益化は、店を閉じるしか選択肢がなかった状態との違いを生み出すことになるだろう。

編集部注:本稿の執筆者James Trainor(ジェームズ・トレーナー)氏は、FBIのサイバー部門の元アシスタントディレクターで、Aonのシニアバイスプレジデント。Rick Varnell(リック・ヴァーネル)氏とMatt Davis(マット・デイビス)氏は、いずれも5G LLCの創設者であり、プリンシパル・パートナー。

画像クレジット:skaman306 / Getty Images

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(文:James Trainor、Rick Varnell、Matt Davis、翻訳:Dragonfly)

ZillowがFaceTimeのSharePlay機能を追加、通話中に家族や友人と一緒に物件を閲覧できるように

不動産テックのZillow(ジロウ)は、iOS 15のiPhoneおよびiPad版アプリをアップデートし、SharePlayに対応したことを発表した。iOSユーザーは、グループでFaceTime通話を開始し、SharePlayを有効にしてZillowのフォトギャラリーを閲覧することで、通話中の全員が物件を見ることができる。

「米国人はZillowサーフィンをするのが大好きで、そのほとんどは誰かと一緒に物件を探していますが、新しい方法でそれができるようになりました」とZillowは述べている。「iPhoneやiPadでZillowアプリを使って家を探している人は、家族や友人、不動産エージェントと一緒にシームレスな同期体験で、売家や賃貸物件を検索・閲覧できるようになりました」。

Zillowによると、ユーザーの86%がパートナーや配偶者、同居人と一緒に住宅を閲覧しているとのことで、実際に一緒にいられない場合には、この新機能は理に適っていると言えるだろう。また、ZillowのCTOであるDavid Beitel(デビッド・ベイテル)氏は「不動産業者にとっても、顧客とつながるすばらしい新たな方法」だと述べている。

この機能を利用するには、各参加者が、iOS / iPadOS 15.1以降を搭載したiPhoneまたはiPadでZillowアプリを起動する必要がある。ユーザーは、Zillowでさまざまな場所を検索し、コンテンツが同期された状態で購入・賃貸可能な物件を閲覧することができる。ライバルの不動産アプリであるRedfin(レッドフィン)は、10月に同様の機能を導入している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Zillow

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

「家がない」15億人が抱える問題の解決を目指すJupe

「音楽フェスの参加者のためにグランピング用のテントを作っているわけではありません」。Jupe(ジュープ)の共同創業者でCEOであるJeff Wilson(ジェフ・ウィルソン)氏は、同社のビジョンをこのように力説する。「現時点では、食料は流通の問題で、衣類についてはほぼ解決されています。しかし、世界にはまだ適切な家を持てない人々が約15億人存在します。地球上の大きな問題を解決したいのであれば、これは取り組む価値のある問題です」。

Initialized(イニシャライズド)のGarry Tan(ギャリー・タン)氏とY Combinator(ワイコンビネーター)のメンバーはウィルソン氏に同意したらしい。彼らはシードラウンドでJupeに950万ドル(約10億8000万円)を投資した(Jupeに数カ月間のシェルターを提供したといったところか)。この資金は、Jupeのチームを強化し、住むところのない人に住居を提供するというミッションを継続するために使われる。現在までの予約注文は300件以上。多数の地域に同社のJupeシェルターを出荷し始めたところだ。

Initializedの創業者でマネージングパートナーであるギャリー・タン氏は次のようにコメントする。「Jupeの夢であるユニバーサルな自律型住宅があれば、最終的には地球上のどこにいても、衛星を介してインターネットに接続し、快適に暮らせるようになります。世界はこれを待ち望んでいました」「彼らは世界で初めてのハードテックとソフトウェアプラットフォームを構築しています」。

Jupeのミッションは確かに控えめなものではなく、創業者のウィルソン氏は風変わりで個性的だが、それをやり遂げるだけの情熱とマッドサイエンティスト的な雰囲気を持つ。

ウィルソン氏は最近のインタビューで「米国における平均的な家庭の100分の1の体積とエネルギーを使って生活しようと考え、1年間ゴミ箱に住んでいた」と語り、そこから話題を変えてJupeのアイデアを思いついた経緯を話してくれた。「私は環境科学の博士号を取得しています。気候変動で人類の活動は影響を受けています。Jupeのユニットは、基礎工事も電力網への接続も不要で、特定の土地に縛られることがありません。Jupeは年間15億人もの人々に影響を及ぼす住宅危機を解消するためのステップです。Jupeのユニットは、従来の仮設住宅や移動式住宅に比べて、十分の一のコストと期間で生産可能で、15倍効率良く出荷できます。ユニークなデザインですべての人にしっかりとした滞在場所を提供します。インターネット付きのね」。

現在、サンフランシスコのSoMa(サウスオブマーケット)の真ん中で、Jupeのユニットの1つに住んでいるというウィルソン氏は、次のように説明する。「今回の資金調達ラウンドを主導したギャリー・タン氏は「Universal Autonomous Housing(ユニバーサルな自律型住宅)」という言葉を作ってくれました。まさに私たちがやっていることを示す言葉です」「今のところ、自然の中でオフグリッドかつハイデザインの快適な体験を楽しみたい人がJupeを利用しています。長期的には、技術を発展させて、都市に住むことを望まず、広大な土地でコミュニティを作って暮らしたい人たちを対象にします。将来的には、数週間、数カ月、生まれてから死ぬまでJupeのユニットで暮らしてもらえるようにしたいと思っています」。

ウィルソン氏がMVPと称するJupeシェルターの現行バージョンは、シェルターの中核技術を使って製造されたシャーシの上に、アルミニウム製の外骨格を組み上げた頑丈な構造である。強風にも耐えるが、主に5~27℃の温暖な気候で使用されることを想定している。

「次のバージョンではハードトップが導入され、春夏秋冬などの温度変化がある環境で使用できるようになります」とウィルソン氏。「既存の構造では大雪に耐えられません。コロラドに設置したものは、冬は撤去する必要がありました。しかし、これは進化の過程であり、Jupeは創立間もない企業です。私たちは成長を目指しています。2020年4月に最初のJupeを作ってから、すでに700万ドル(約8億円)程度の収益を計上しています」。

価格決定モデルは教えてもらえなかったが、ウィルソン氏は「それは関係ない」と主張する。同社は、Jupeのネットワークを構築して敷地の区画にJupeを設置し、その区画を貸し出して収益を50対50で分配したいと考えている。

「多少のライセンス料を除けば、初期費用はかかりません。私たちの予約プラットフォームに(区画を)掲載して、ホットスワップ(アクティブ状態で機器を交換すること)で運用します。土地のJupeが古くなったら、私たちが交換をしに行きます。車の下取りのようにね。最新の技術を導入したJupeに交換して、古いものは別の用途に使用します」とウィルソン氏は説明する。「Just add land(必要なのは敷地だけ)。これが私たちのスローガンです」。

現状、最大の課題は、技術面を担当できる適切なCTOを招へいすることだ。同社は、技術プラットフォームを発展させていくために「(技術面で)創業者レベルといえるほどのCTO」を求めている。

「とにかくとんでもなく良い人材が必要です。世の中にはスマートではない人がたくさんいますが、私には本当に優秀な人材が必要なのです。15年以上の経験、スタートアップ企業と大きなチームを管理・成長させてきた人材を求めています。ソフトウェアの面で非常に優秀で、インテグレーションの面でも多くの経験を有する人材です。Jupeはガジェットであり、デバイスですから」とウィルソン氏。「見つけるのは大変だと思いますが、大金と自社株を用意して、競争力があり、私が持つビジョンの実現をサポートしてくれる人を獲得する予定です」。

ウィルソン氏の大胆なビジョン……Jupeは何億もの人に家を提供したいと考えている。

「みんなが火星に行きたがっているのは知っていますが、まだ地球を諦めるべきではありません」とウィルソン氏は締めくくる。「会社の評価なんてどうでもいい。私は残りの人生でこれをやりたいのです。優れた人間性を持つ最高の人材が必要です。一緒にミッションを達成しましょう」。

画像クレジット:Jupe

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

英国、2022年から新築住宅・オフィスにEV充電器の設置を義務づける

英国政府は、2022年から英国のすべての新築住宅およびビジネスに電気自動車(EV)充電ステーションの設置を義務付けると発表した。この新しい施策は、毎年14万5千カ所の充電ポイントを追加することで、英国でのEV普及を促進することを目的としている。

「これにより、人々はEVの未来に備えた新築物件を購入することができ、また、英国内の新しい店舗や職場で充電ポイントを容易に利用できるようにすることで、今日のガソリン車やディーゼル車の給油と同じように簡単に利用できるようになります」とプレスリリースには記されている。

英国政府はすでに25万台以上の充電ポイントの設置を支援しているが、この新ルールにより、初年度だけで50%以上の増加が見込まれる。スーパーマーケットやオフィスビルなどの建物に加え、10台以上の駐車スペースを持つ大規模な改築も対象となる。ただし、設置場所の仕様や出力など、ルールの詳細はまだ公表されていない。

英国の野党である労働党は、ロンドンと同国の南東部には「イングランドとウェールズの他の地域を合わせたよりも多くの充電ポイントがある」と指摘し、新法はその点で役に立たないと主張している。また、低・中所得者層がEVをより購入しやすくなるような条項も含まれていないと、BBCは報じている。

英国政府は、予定よりも10年早い2030年までに化石燃料車の販売を完全に禁止することを目指している。同国政府は以前、英国内のEV充電インフラ整備に5億ポンド(約769億円)を投じる用意があると述べていた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Steve Dent、翻訳:Dragonfly)

工場製の壁、床、屋根パネルを現場で組み立てるモジュラーホームビルダーCoverが約68億円調達、テスラの様式にならう

現在、モジュラーホームの設計に取り組むスタートアップが数多く存在する。中でも興味深いのは、ロサンゼルスに拠点を置く創業7年のCover(カバー)だ。同社によると、壁、床、屋根のパネルをすべて工場で製造した後、標準的なトラックで輸送し、現場でクレーンを使わずに組み立てるという。

建物の骨組みには軽量のスチール、天井にはアルミを使っている。パネルがゴムの複合材でできているのは、創業者でCEOのAlexis Xavier Rivas(アレクシス・シャビエル・リバス)氏が説明するように「乾式壁材の設計は製造や輸送に適したものではなく、とても脆い」ためである。

明らかに、これらの建物をどのように設計するかについて多くの考察がなされてきたようだ。例えば、同社ではすべての給排水衛生設備と電気配線を天井に設置しており、オーナーは新しい配線や配管を設置する際、天井を開けるだけで済む。

奇妙に聞こえるかもしれないが、同じ目的を達成するために、壁に一連の穴を開け、それらを補修して塗り直すことに比べると、それほど違和感はない(また、現在不足している配管工や電気工のような職人の助けも必要ない)。

他の使用素材としては、床や外装に使われている天然の木や木の複合材がある一方、堅牢な表面のカウンタートップや浴室の床には多孔性がない。これは衛生的であることを意味しており、世界的なパンデミックからの回復に伴い、住宅オーナーにとってますます重要な要素となっている。

Coverに関して言えば、その主要な焦点、そして将来性として、迅速な組み立てとカスタマイズの両方があることを考えると、材料の組み合わせ方は当然、一層重要性を帯びてくる。

リバス氏が語るプロセスの仕組みは、顧客が同社と協働して設計を作り上げる、というものだ。現時点では、その設計は1200平方フィート(約111.5平方メートル)以下の平屋建てユニットに限られているものの、エネルギーの浪費を最小限にするために窓をどこに配置すべきかなど、さまざまな要素が考慮されている(またリバス氏は、Coverが作る窓はLEED認定を受けており、住宅は気密性が高く、エネルギー効率が大幅に向上していると指摘する)。

Coverは合意された設計を事前に設定されている価格で採用し、パーツのエンジニアリングに着手する。価格には許可手数料、都市に支払う手数料、基礎工事費用、そして家自体の費用が含まれている。例えば400平方フィート(約37.2平方メートル)のスタジオ(ワンルーム)で20万ドル(約2280万円)、600平方フィート(約55.7平方メートル)のワンベッドルームユニットで25万(約2850万円)ドル、1200平方フィートの寝室が3つある住居で最大50万ドル(約5690万円)という設定だ。

いささか驚くべきことに、基礎工事が完了すれば30日間以内の建設と設置が可能でなり、同社が当初顧客に約束する120日という期間より短縮されるという。

また、必要な許可が得られない場合は100%の返金保証を提供する他、構造に関する生涯保証と、それ以外については1年間の保証を設けている。

これらの建物は「腐食することはありません」とリバス氏。「シロアリに食べられることもないでしょう」。一方、顧客が新しいエアフィルターを必要としている場合は「私たちが交換します」。

トロントで育ったリバス氏は、大学で建築学を学んだ後、Coverを設立する前に短期間、複数の建築会社を渡り歩いた。SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のエンジニアをこのミッションに引き寄せることができたことを誇りに思っているリバス氏は、今週初めに交わした会話の中のさまざまな場面で、Coverのプロセスをこの自動車メーカーのプロセスになぞらえた。

類似点を見出しているのは同氏だけではないようだ。Coverは2021年10月下旬に、Gigafund(ギガファンド)が主導するシリーズBラウンドで6000万ドル(約68億円)を調達したことを発表した。Gigafundは、SpaceXに大きく賭けた2人の元Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)投資家によって設立された投資会社だ。

今回のラウンドには、Valor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)とFounders Fundが参加しており、どちらもSpaceXとTeslaの初期投資家でもある。他にも、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)、Lennar(レナー)、Fifty Years(フィフティ・イヤーズ)、AngelList(エンジェルリスト)の共同創業者Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、Lowercase Capital(ローワーケース・キャピタル)の創業者Chris Sacca(クリス・サッカ)氏、Marathon Asset Management(マラソン・アセット・マネジメント)のCEOであるBruce Richards(ブルース・リチャーズ)氏、Dropbox(ドロップボックス)の共同創業者Arash Ferdowsi(アラシュ・ファダウシ)氏など、著名な投資家が多数名を連ねている。

確かに、全国的な住宅と建設の不足を考えると、Coverが建設しているものへの需要は少なくない。実際、Coverのセールスチームについて尋ねられたリバス氏は、非常に多くのインバウンド関心があり、現在「1人の時間の3分の1がセールスに費やされている」と述べている。

人々がどのようなものを注文しているかについて、リバス氏は同社の顧客の傾向を次のように語っている。引っ越してくる家族(年老いた親や大学から戻ってくる子ども)を受け入れるため、自宅とは別にホームオフィスを作るため、あるいは賃貸収入を増やす方法を確立するため、という目的が多くを占めるという。

さらに、これまでに建設した約20軒の裏庭つき住宅に加えて、現在総額7500万ドル(約86億円)を調達している同社は、大規模な複数階建て住宅と複数世帯向け住宅の建設を始める意向を強く抱いている。

現在稼働している2万5000平方フィート(約2322.6平方メートル)の倉庫から、10万平方フィート(約9290平方メートル)の工場に移転することで、さらに多くのパネルを生産できるようになるとリバス氏は話す(そこに6000万ドルの一部が注ぎ込まれている)。

実際、すべてが計画どおりに進めば、近いうちに既存の顧客でも、すでに購入した家をCoverアプリを使って容易に拡張できるようになるという。同氏の話を聞くと、それは簡単なことのようだ。

「アプリを起動して、追加したい部屋をクリックし、予約して、オンラインで支払いをすれば、2〜3日でリノベーションが完了します」。

これはElon Musk(イーロン・マスク)氏がその名を馳せる、一種の開幕戦のようなものだ。さて、Coverがうまくやり遂げるかどうか、注目してみたい。

画像クレジット:Cover

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

工場製の壁、床、屋根パネルを現場で組み立てるモジュラーホームビルダーCoverが約68億円調達、テスラの様式にならう

現在、モジュラーホームの設計に取り組むスタートアップが数多く存在する。中でも興味深いのは、ロサンゼルスに拠点を置く創業7年のCover(カバー)だ。同社によると、壁、床、屋根のパネルをすべて工場で製造した後、標準的なトラックで輸送し、現場でクレーンを使わずに組み立てるという。

建物の骨組みには軽量のスチール、天井にはアルミを使っている。パネルがゴムの複合材でできているのは、創業者でCEOのAlexis Xavier Rivas(アレクシス・シャビエル・リバス)氏が説明するように「乾式壁材の設計は製造や輸送に適したものではなく、とても脆い」ためである。

明らかに、これらの建物をどのように設計するかについて多くの考察がなされてきたようだ。例えば、同社ではすべての給排水衛生設備と電気配線を天井に設置しており、オーナーは新しい配線や配管を設置する際、天井を開けるだけで済む。

奇妙に聞こえるかもしれないが、同じ目的を達成するために、壁に一連の穴を開け、それらを補修して塗り直すことに比べると、それほど違和感はない(また、現在不足している配管工や電気工のような職人の助けも必要ない)。

他の使用素材としては、床や外装に使われている天然の木や木の複合材がある一方、堅牢な表面のカウンタートップや浴室の床には多孔性がない。これは衛生的であることを意味しており、世界的なパンデミックからの回復に伴い、住宅オーナーにとってますます重要な要素となっている。

Coverに関して言えば、その主要な焦点、そして将来性として、迅速な組み立てとカスタマイズの両方があることを考えると、材料の組み合わせ方は当然、一層重要性を帯びてくる。

リバス氏が語るプロセスの仕組みは、顧客が同社と協働して設計を作り上げる、というものだ。現時点では、その設計は1200平方フィート(約111.5平方メートル)以下の平屋建てユニットに限られているものの、エネルギーの浪費を最小限にするために窓をどこに配置すべきかなど、さまざまな要素が考慮されている(またリバス氏は、Coverが作る窓はLEED認定を受けており、住宅は気密性が高く、エネルギー効率が大幅に向上していると指摘する)。

Coverは合意された設計を事前に設定されている価格で採用し、パーツのエンジニアリングに着手する。価格には許可手数料、都市に支払う手数料、基礎工事費用、そして家自体の費用が含まれている。例えば400平方フィート(約37.2平方メートル)のスタジオ(ワンルーム)で20万ドル(約2280万円)、600平方フィート(約55.7平方メートル)のワンベッドルームユニットで25万(約2850万円)ドル、1200平方フィートの寝室が3つある住居で最大50万ドル(約5690万円)という設定だ。

いささか驚くべきことに、基礎工事が完了すれば30日間以内の建設と設置が可能でなり、同社が当初顧客に約束する120日という期間より短縮されるという。

また、必要な許可が得られない場合は100%の返金保証を提供する他、構造に関する生涯保証と、それ以外については1年間の保証を設けている。

これらの建物は「腐食することはありません」とリバス氏。「シロアリに食べられることもないでしょう」。一方、顧客が新しいエアフィルターを必要としている場合は「私たちが交換します」。

トロントで育ったリバス氏は、大学で建築学を学んだ後、Coverを設立する前に短期間、複数の建築会社を渡り歩いた。SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のエンジニアをこのミッションに引き寄せることができたことを誇りに思っているリバス氏は、今週初めに交わした会話の中のさまざまな場面で、Coverのプロセスをこの自動車メーカーのプロセスになぞらえた。

類似点を見出しているのは同氏だけではないようだ。Coverは2021年10月下旬に、Gigafund(ギガファンド)が主導するシリーズBラウンドで6000万ドル(約68億円)を調達したことを発表した。Gigafundは、SpaceXに大きく賭けた2人の元Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)投資家によって設立された投資会社だ。

今回のラウンドには、Valor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)とFounders Fundが参加しており、どちらもSpaceXとTeslaの初期投資家でもある。他にも、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)、Lennar(レナー)、Fifty Years(フィフティ・イヤーズ)、AngelList(エンジェルリスト)の共同創業者Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、Lowercase Capital(ローワーケース・キャピタル)の創業者Chris Sacca(クリス・サッカ)氏、Marathon Asset Management(マラソン・アセット・マネジメント)のCEOであるBruce Richards(ブルース・リチャーズ)氏、Dropbox(ドロップボックス)の共同創業者Arash Ferdowsi(アラシュ・ファダウシ)氏など、著名な投資家が多数名を連ねている。

確かに、全国的な住宅と建設の不足を考えると、Coverが建設しているものへの需要は少なくない。実際、Coverのセールスチームについて尋ねられたリバス氏は、非常に多くのインバウンド関心があり、現在「1人の時間の3分の1がセールスに費やされている」と述べている。

人々がどのようなものを注文しているかについて、リバス氏は同社の顧客の傾向を次のように語っている。引っ越してくる家族(年老いた親や大学から戻ってくる子ども)を受け入れるため、自宅とは別にホームオフィスを作るため、あるいは賃貸収入を増やす方法を確立するため、という目的が多くを占めるという。

さらに、これまでに建設した約20軒の裏庭つき住宅に加えて、現在総額7500万ドル(約86億円)を調達している同社は、大規模な複数階建て住宅と複数世帯向け住宅の建設を始める意向を強く抱いている。

現在稼働している2万5000平方フィート(約2322.6平方メートル)の倉庫から、10万平方フィート(約9290平方メートル)の工場に移転することで、さらに多くのパネルを生産できるようになるとリバス氏は話す(そこに6000万ドルの一部が注ぎ込まれている)。

実際、すべてが計画どおりに進めば、近いうちに既存の顧客でも、すでに購入した家をCoverアプリを使って容易に拡張できるようになるという。同氏の話を聞くと、それは簡単なことのようだ。

「アプリを起動して、追加したい部屋をクリックし、予約して、オンラインで支払いをすれば、2〜3日でリノベーションが完了します」。

これはElon Musk(イーロン・マスク)氏がその名を馳せる、一種の開幕戦のようなものだ。さて、Coverがうまくやり遂げるかどうか、注目してみたい。

画像クレジット:Cover

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

数週間を1〜2日で、オンデマンドの家庭用修理サービスを提供するPuls Technologiesが約17億円調達

家に住んでいると、必ず何かが壊れるもの。そして、誰に連絡すればいいのか、修理費用を負担できるのかを把握するのは難しい。そこで、Puls Technologies(パルス・テクノロジーズ)の出番となる。

Hanaco Venture Capital(ハナコ・ベンチャー・キャピタル)から1500万ドル(約17億円)の出資を受けたPulsは、カリフォルニア州リバモアを拠点とし、モバイルアプリを使ってオンデマンドの住宅修理サービスを提供している。また、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの家電製品を対象とした、月額約29ドル(約3300円)からの家電製品保証オプションを開始し、住宅保険市場も狙っている。

Pulsは、予測アルゴリズムを利用して技術者と仕事をマッチングさせることで、手間をかけずにタイムリーに修理を行い、通常は数週間かかるところを1〜2日で完了させることができる。同社は、米国の20都市で7000人以上の審査済みの技術者と連携している。

同社は当初、2015年に携帯電話の修理サービスとしてスタートし、2020年にビジネスモデルを会員制に転換する経営転換を行ったと、PulsのCEOであるGabi Peles(ガビ・ペレス)氏はメールで語っている。

従来の住宅保証サービスに関して顧客から寄せられる年間数千件の苦情を目の当たりにしただけでなく、米国人の61%もが予期せぬ出費として1000ドル(約11万3900円)も確保する経済的余裕がないことを知り、家電保証を狙うことにしたのだそうだ。

「高額な料金、細かい文字、費用のかかる問題の除外、作業員の派遣の遅れなどが、従来の保証プランの限界を表しています。Pulsは、ユーザーがリーズナブルな価格で、ほとんどの家庭用電化製品に対してより多くの保証を得ることを可能にします。また、技術者の体験を向上させ、1日にアクセスできる仕事の量を増やし、アップセルやクロスセルによる収入の機会を提供することで、新規ビジネスを促進するプラットフォームを提供することにも取り組んでいます」とペレス氏は述べている。

以前の経営体制では、Pulsは2018年に遡って5000万ドル(56億9600万円)のラウンドを含む9600万ドル(約109億円)を調達した。今回の1500万ドル(約17億円)は、同社の新たな経営陣のもとでは最初のものだとペレス氏は述べている。

Puls Technologiesのアプリ(画像クレジット:Puls Technologies)

同社は、過去1年間で従業員数を約2倍の60人に増やすなど、過去6カ月間で100%成長した。その中には、世界的な大流行により、人々が家で過ごす時間が長くなったことで、家の修理の必要性が高まったことに関連した需要もあったという。

ペレス氏の説明によると、平均的な冷蔵庫のドアの開閉回数は1日20回だが、家にいる時間が長くなると100回以上になり、ドアの修理依頼が増加するそうだ。

Pulsは、今回の資金調達を機に、40都市以上に拠点を拡大し、2022年末までに従業員を100名以上にする予定だ。

一方、Hanaco Venture Capitalのゼネラルパートナー兼共同設立者であるLior Prosor(リオール・プロソール)氏は、Pulsは、市場規模が大きいだけでなく、何十万もの異なるサービスプロバイダーによって断片化されている米国の住宅修理・メンテナンスサービス市場を狙っているとメールで述べている。

その状況のせいで、技術者と住宅所有者の両方がサービスを受けられずにいる。技術者は自分の仕事を向上させるためのツールを持たず、住宅所有者は精彩を欠いたサービスを受けなくてはいけなくなっているのだと彼は付け加えた。Pulsは、スケジュール管理、価格設定、請求書作成、顧客サービスを行うことで、技術者が顧客に専念できるようにする。

「私たちは、2020年に向けて、会社のオペレーティングモデルの変革をさらに推し進める絶好の機会を得ました。私たちは、Pulsの資産を活用して、インシュアテック市場で最高のホームケア企業を構築できるというガビ氏のビジョンに強い確信を持ちました」とプロソール氏は語る。

「この事業は、持続可能な成長軌道を示す、増加していてエキサイティングな事業指標を牽引している新しい会員制商品や保証商品の導入によって、明らかな転換期にあります。同プラットフォームは、費用対効果が高く、プロジェクトベースの仕事と『クリック& フィックス』サブスクリプションサービスの両方において、製品市場への適合性が証明されており、保証と住宅保険の新商品も期待されています」と付け加えた。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

3Dプリントの家を建設するICONが228億円獲得、月や火星の基地建設も計画

3Dプリンティングロボットを使ってホームレスの人々のための1世帯住宅を作る。米航空宇宙局(NASA)と協力して月面、ひいては火星にインフラや居住環境を構築するための建設システムを開発し、北米最大の3Dプリント建築物になるとみられるテキサス州の軍事部門の兵舎を納入する。

これらは、テキサス州オースティンに拠点を置く建設テックスタートアップICONが取り組んできたことのごく一部だ。

そして同社は2021年8月下旬、シリーズBで2億700万ドル(約228億円)という巨額の資金調達を達成した。

筆者はICONについて、2018年10月に同社がシードラウンドで900万ドル(約9億9000万円)を調達して以来取り上げてきた。3年も経たないうちにこのマイルストーンに到達したことを見るのはかなりクールだ。

シリーズBラウンドを主導したのはNorwest Venture Partnersで、他に8VC、Bjarke Ingels Group(BIG)、BOND、Citi Crosstimbers、Ensemble、Fifth Wall、LENX、Moderne Ventures、Oakhouse Partnersが参加している。この資金調達により、ICONの純資産合計は2億6600万ドル(約293億円)に達した。同社は評価額を明らかにしていない。

ICONは2017年後半に設立され、2018年3月のSXSW(サウスバイサウスウエスト)の際、米国で初めて認可された3Dプリント住宅をもってローンチした。その350平方フィート(約32.5平方メートル)の家のプリントに要した時間は、約48時間(25%のスピード)であった。ICONは意図的にコンクリートを材料に選んでいる。それは、共同創業者でCEOのJason Ballard(ジェイソン・バラード)氏が語ったところによると「コンクリートは地球上で最もレジリエンスに優れた材料の1つ」だからだ。

それ以来同社は、米国とメキシコに20を超える3Dプリントの住宅や建築物を届けてきた。これらの住宅の半数以上は、ホームレスや慢性的貧困状態にある人々のためのものである。例えば、ICONは2020年、非営利パートナーのNew Storyと提携してメキシコに3Dプリント住宅を建設した。またテキサス州オースティンで、慢性的なホームレスに提供する一連の住宅を非営利団体Mobile Loaves&Fishesと協働して完成させた。

同社は2021年初めにメインストリームの住宅市場に参入し、テキサス州オースティンのデベロッパー3Strands向けに米国初になるという3Dプリント住宅販売を行った。4軒のうち2軒は契約が結ばれている。残りの2軒は8月31日に発売予定である。

そして先頃、ICONは「次世代」Vulcan建設システムを公開し、住宅の新たな探求シリーズを披露した。シリーズ第1弾となる「House Zero」は、3Dプリンティングに特化して最適化設計されている。

ICONによると、同社独自のVulcan技術は、従来の工法より迅速で、無駄が少なく、設計の自由度が高い「レジリエンスとエネルギー効率に優れた」住宅を実現するという。新しいVulcan建設システムは、最大3000平方フィート(約278.7平方メートル)の住宅や建築物を3Dプリントすることができ、以前のVulcan 3Dプリンターより1.5倍大きく、2倍高速になっているとバラード氏は説明している。

ICONは世界的な住宅危機とそれに対処する解決策の欠如に突き動かされている、と同氏は会社設立当初から主張してきた。3Dプリンターやロボット、そして先進的な材料を利用することは、手頃な価格の住宅の不足に取り組む1つの方法である。この問題は、全国的に、そしてオースティンにおいて、悪化の一途をたどっている。

ICONの将来計画のリストには、社会、災害救援、そしてよりメインストリームの住宅を提供することなどが盛り込まれており、さらにはNASAと共同で、月、やがては火星にインフラや居住地を作るための建設システムを開発することも含まれている、とバラード氏は語る。

ICONはまた、NASAと2つのプロジェクトを進めている。先にNASA、ICON、BIGによるMars Dune Alphaの発表が行われた。ICONはこれまでのところ、壁システムの印刷を完了し、現在は屋根に取りかかっている。また、NASAは、ICONの3Dプリントで作られる火星の最初のシミュレーション居住地に住むミッションのクルーを募集中だ。このミッションは2022年秋に開始される予定である。

プロジェクトOlympusは、未来の月探査のための宇宙ベースの建設システムを開発し「別の世界に人類の住まいを想像する」ICONの取り組みを象徴するものとなっている。

「私たちの目標は、次の10年のうちにICONテックを月に届けることです」とバラード氏は語る。

バラード氏はTechCrunchの質問に対して「2020年8月の3500万ドル(約38億5700万円)のシリーズA以降で起きている最も重要なことは、3Dプリント住宅や建物に対する需要の急激な増加です」と答えている。

「この単一の指標は、私たちにとって大きな意味を持ちます」とバラード氏はTechCrunchに語った。「人々がこうした家を求めることは必然的なことなのです」。

「住宅不足に取り組むためには、世界は供給を増やし、コストを削減し、スピードを上げ、レジリエンスを上げ、持続可能性を高める必要があります【略】これらはすべて、質と美しさを損なうことなく行うことが必要です」とバラード氏は付け加えた。

「そのようなことを可能にするアプローチはいくつかあるかもしれませんが、それらすべてを実現できる可能性を秘めているのは、建設スケールの3Dプリントだけです」。

バラード氏によると、ICONは創業以来ほぼ毎年400%の売上増を記録し、目覚ましい財務成長を遂げている。同社のチームは2020年の3倍になり、現在100人以上の従業員を擁している。来年中には規模が倍増する見込みだ。

共同創業者たちと次世代Vulcan建設システム(画像クレジット:ICON)

シリーズBの資金は、3Dプリント住宅の建設の促進「急速なスケールアップと研究開発」、さらなる宇宙ベースの技術の発展、そして「住宅問題に対する持続的な社会的インパクト」の創出に充てられる、とバラード氏は語っている。

「私たちはすでに初期段階の製造を立ち上げており、3Dプリント住宅の需要を満たすために、その取り組みをアップグレードし、加速しているところです」とバラード氏。「今後5年間で年間数千世帯の住宅供給を実現し、将来的には年間数万世帯の住宅を供給できるようになると考えています」。

今回の資金調達の一環としてICONの取締役会に加わるNorwest Venture PartnersのマネージングパートナーJeff Crowe(ジェフ・クロウ)氏は、ICONの3Dプリンティング建設技術が「米国および世界中の住宅不足に多大なインパクトをもたらす」と考えていると語った。

クロウ氏によると、先進的なロボティクス、材料科学、ソフトウェアを組み合わせて堅牢な3Dプリント建設技術を開発することは、そもそも「非常に難しい」ことだという。

同氏はEメールで次のように述べている。「制御された環境で1台か2台のデモユニットを製造するだけではなく、さまざまな地域で、信頼性と予測可能性を備えた、美しく、手頃な価格で、快適で、エネルギー効率に優れた住宅を何百、何千台も生産できるような技術を開発することは、さらに困難です。ICONはこれらすべてを実現しており【略】ブレイクアウト、世代間の成功につながるすべての要素を備えています」。

画像クレジット:ICON, Lake/FLATO Architects

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

リモートワークが当然のものになる中、一等地のプレミアムな長期賃貸物件を提供するUkioが約9.9億円調達

多くのスタートアップ企業がこの10年間、Airbnb(エアービーアンドビー)に似た、思いつく限りあらゆるバリエーションのサービスを提供しようとしてきた。しかし「Ukio(ウキォウ)」は、リモートワークが一般的になってきた今、増え続ける賃貸住宅の競合他社と規制当局の間をすり抜ける方法を見つけたと考えている。

Ukioは、地元の不動産オーナーと協力して、都市の一等地でターンキー方式(すぐに入居できる出来上がり物件)のプレミアム体験を提供し、1カ月以上のレンタルサービスを提供している。初期の結果は期待できる。

スペインのバルセロナを拠点とするこの会社は、2020年初めに設立され、現在、バルセロナとマドリッドの間に100戸以上のアパートメントを所有し、95%の稼働率を維持している。

米国時間9月23日、ヨーロッパのトップ投資家から900万ドル(約9億9300万円)の大規模なシードラウンドを発表し、2022年には大陸の6つの首都に700以上のアパートメントを展開する計画だ。まずは次にリスボンに展開し、続いてロンドン、ベルリンがその候補地となる。

共同設立者でCEOのStanley Fourteau(スタンレー・フォーチュ)氏によると、Ukioのこれまでのゲストは、2種類のユースケースにほぼ均等に分けられるという。1つは、現地で仕事を見つけ、最終的には永住目的の住宅へ移る予定の長期滞在者だ。今のところ、このグループは6カ月以上滞在する傾向にある。

Airbnbで長年ディレクターを務めたフォーチュ氏によると、リモートワークや分散型の仕事が主流になったことで、短期賃貸以上のものを求めるデジタルノマドタイプのグループも増えてきたという。もう半数のこのユーザーグループは、これまで2〜3カ月程度の滞在が多い傾向にある。

その市場機会を示すために、彼はGartner(ガートナー)のレポートを引用し、リモートワーカー層が2021年末までに全労働者の31%にまで拡大する可能性があると述べている。しかし、TechCrunchの読者はこの数字を少し控えめだと感じるかもしれない。例えば、私が3月にExtra Crunchのために調査したプロップテックの投資家たちは、将来的にはオフィススペースは贅沢なものになり、より多くのワーカーが好きな場所に住み、ヨーロッパの多くの都市で知られているような、娯楽やコミュニティのための楽しい「第3の居場所」がある拠点に住むようになると述べている。

関連記事:近隣小売り店舗への回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

Ukioは、このような人口動態の変化に対応しようとする唯一のスタートアップというわけではない。「Blueground(ブルーグラウンド)」「Sonder(ソンダー)」「Sentinel(センチネル)」「Zeus(ゼウス)」など、数多くの著名なスタートアップが存在する。では、Ukioは何が違うのだろうか?

「Ukioは、物件のレンタル、家具の設置、管理を行い、ゲストの体験全体を監督しています。私たちの垂直統合型アプローチにより、Airbnb(ピアツーピア・マーケットプレイス)のようなプラットフォームへの供給を専門化させることができます。これは、グローバルなホテルチェーンがBooking.comへの供給を専門化させるのと同様です」とフォーチュ氏は説明している。

このアイデアは、Airbnbに在籍していた時に、長期レンタルに対するユーザーのニーズが同社のプラットフォームモデルに合わなかったことから生まれた。「Airbnbでは、ホストコミュニティとの関係を強化し、そのコミュニティを成長させることに重点を置いています」と同氏は語る。もしAirbnbがUkioのような垂直統合型の賃貸事業を作るとしたら「既存のコミュニティと競合することになり、彼らとの関係が損なわれる可能性がある」という。

今日では、都市で最も魅力的な長期賃貸物件は、Airbnbに掲載される前に借りられてしまったり、需要が満たされる前にプラットフォームから取り上げられてしまったりするそうだ。一方、Ukioが運営するアパートメントは「今後もずっとそのコミュニティの一部であり続けるでしょう」と述べている。

Ukioは、不動産オーナーとの関係も、重要な拠点に堀を作るための手段だと考えている。「私たちは、7年から10年の賃貸契約を結び、テナントを完全に管理します。これらの契約は、空室率を回避し、管理コストを削減することで、オーナーの収益を最適化します。また、Ukioは利回りを保証し、煩わしさのないソリューションを提供しています。ビジネスとしては、ターゲットを絞った働きかけよりも、Ukioとの提携を希望する家主からのインバウンドリクエストの方が多く、来年の成長に向けた強力な供給パイプラインを持っています」と語る。

ここで、彼が長期的な差別化につながると考えている点について、より詳細に説明しよう(簡潔に言い換える)。Ukioは、200項目におよぶプロセスを経て候補となるマンションを選び、一等地にある最高のマンションオーナーとのみ取引を行っている。その多くはシングルユニットで、Sentinelのようにビル全体を利用するスタートアップよりも、都市全体でより多く組み合わせ展開が可能になる。また、Bluegroundなどのようなテンプレート化されたアプローチではなく、各ユニットが独自のデザインを採用している。多くの競合他社は、ホストが自分のユニットを提供・管理するプラットフォームが中心だが、Ukioはすべての物件を管理する社内チームを持っている。また、Zeusのような最も直接的な競合他社の多くが米国に焦点を当てているのに対し、Ukioはヨーロッパに焦点を当ててスタートしている。

技術面では、供給獲得ツールに加えて、高い稼働率を維持するためのダイナミックな価格設定モデルや、設置や導入のコストを削減するための社内設計システムとカタログを使用している。Ukio製品に特化した共同設立者であるスタンリー氏の弟、Jeremy(ジェレミー)氏は、Zynga(ジンガ)、EA、Headspace(ヘッドスペース)、そして最近ではKnotel(ノッテル)での重要な役割を担ってきた過去10年の経験を持っている。

物理的な製品を中核とする企業として、Ukioは、新型コロナ関連の規制だけでなく、現地の規制強化のリスクに直面している。フォーチュ(スタンリー)氏は、この問題を認めながらも、Ukioの会社の特殊なモデルは、長期滞在の地元の人々に多用されているため、対処するのに適していると主張している。この段階で大きな問題となるのは、Ukio社の他にも資金力のある競合他社がいることだ。彼らは将来のリモートワーカーを惹きつけるために、何度もビジネスモデルを調整するに違いない。

このように、迅速なスケールアップの必要性が、今回の大規模なシードラウンドの背景にある。このラウンドには、フランスのベンチャー企業Breega(ブリーが)がリードし、Heartcore(ハートコア)とPartech(パーテック)が参加し、エンジェル投資家としてCoverwallet(カバーウォレット)の創業者であるIñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)氏やTravelperk(トラベルパーク)の創業者であるAvi Meir(アヴィ・メイル)氏などが参加した。

画像クレジット:Ukio

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(文:Eric Eldon、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Apple Storeのデザイナーが共同設立者となったJuno、アパートの持続可能な建設に約22億円を調達

より持続可能で手頃な価格のアパートを建設することを目的とする不動産テックJuno(ジュノ)が、シリーズA資金調達ラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。

Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Real Estate Technology(リアル・エステート・テクノロジー、RET)ベンチャーズが共同で資金調達を率いた。これにより同社の調達額は2019年の開始時点から合計で3200万ドル(約35億円)に上る。JLL Spark(JLLスパーク)、Vertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)、Anim(アニム)、K50(Kフィフティー)、Foundamental(ファンダメンタル)、Green D Alumni Ventures(グリーンDアルムナイ・ベンチャーズ)もシリーズA投資に参加した。

Junoの共同設立者でCEOのJonathan Scherr(ジョナサン・シェル)氏は、サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップ企業が「ゼロからの開発に向けた初のOEMエコシステム」を構築し、オール電化施設を建設することを計画していると述べた。

同氏はTechCrunchに次のように話す。「私達は住宅開発を製品開発のように扱い『製品化』と呼んでいます。リピート価値のある建物を作ることにより、継続的な改善を実現して効率を上げるツールとシステムを作ることができます。建物が1回限りの文脈で検討、設計されたら、1つのプロジェクトから次のプロジェクトへの学びが途絶えてしまいます」。

Junoの製品化は、ある意味もっと一般的に使用される言葉「プレハブ工法」に似ていると考えることができる。プレハブ建設会社Katerra(カテラ)は失敗したがAbodu (アボドゥ)Mighty Buildings(マイティー・ビルディングス)を含めコースラが支援し付帯住宅や戸建て住宅にさら重点を置いたこの分野の他の多数の会社は資金調達して成長を続けている。また、ノースカロライナ州に拠点を置くPrescient(プレシャント)もプレハブ工法により集合住宅とホテルを建設している。

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オースティンプロジェクトのレンダリング(画像クレジット:Engraff Studio / Juno)

Junoの理論は「製品化」を通じて、設計のタイムラインの短縮、推定やスケジューリングの精度上昇「大幅に加速」した建設プロセスなどにつながるツール、システム、プロセスを作ることができるというものである。それにより、シェル氏は米国中の人々のためのより手頃な価格の住宅オプションを実現できると述べる。また、Junoはその設計プロセスの進捗が従来の不動産開発より60%速いと主張している。

同業他社と同じく、Junoは従来の建築方法よりはるかに持続可能な手法を謳っている。

「今日の建設ごみは、米国の全都市ごみの2倍あります。Junoのシステムはその設計、サプライチェーン、建物の建設に効率を生み、廃棄物とエネルギー使用量を減らします」。低炭素、完全木造建物、木材の露出増加(Junoは抗菌性と話す)、ガスをまったく出さない建物などを特徴とする。

都市部ではオール電化の建物に重点が置かれ、クリーンエネルギー生成へのロードマップが確立されたため、Junoの居住システムは集合住宅ユニットにおける内包カーボンのネットゼロ目標に向けて前進しているとシェル氏はいう。

シェル氏は元々Apple Storeのデザイナーであった BJ Siegel(BJ・シーゲル)氏と、現在同社のアドバイザーを務めるChester Chipperfield(チェスター・チッパーフィールド)氏とともにJunoを創設した。チッパーフィールド氏は、以前Tesla(テスラ)のグローバルクリエイティブディレクター、Appleのスペシャルプロジェクト統括、Burberry(バーバリー)のデジタル部門長を務めていた。シェル氏はベンチャー投資家や多数の会社のアドバイザーとしての経験がある。

「1999年にBJ (シーゲル)はAppleのリテールプログラムのコンセプト・アーキテクトとして、リピート価値のある建築環境のアイデンティティを作り出す方法を考えていました」。とシェル氏は語る。「それによって、彼とAppleの同僚はAppleのリテールを、サプライチェーン分散化に基づくAppleの製品として考えるようになったのです」。

(左から右)共同設立者でアドバイザーのチェスター・チッパーフィールド氏、共同設立者でCEOのジョナサン・シェル氏、共同設立者、設計部門長のBJ・シーゲル氏(画像クレジット:Juno)

父親が不動産開発業者のシェル氏によると、Junoは同じようなモデルを基に作られた。複製可能な「より良い」住宅を設計することにより、会社が「サプライチェーンを構築し、これまで不可能であった方法で学習システムの基礎を築く」ことを目標に掲げる。

Junoは米国の都市に大規模なオール電化木造アパート群の初の国内網を築くことから始めた。Swinerton(スワイナートン)Ennead Architects(エネアド・アーキテクツ)と提携し、そのモデルを実現している。このスタートアップ企業はその最初のプロジェクト、イーストオースティンでのアパート建築にも着工した。現在400棟を開発中である。イーストオースティンの建物は2022年にオープン予定。Junoはシアトルとデンバーでも開発を計画している。

今後同社はその新たな資本を使って製品を作り、最初のプロジェクトのコホートに着手し、さらに多くの開発業者と関わり続けることを計画している。

Junoの投資家は同社の事業と計画について当然楽観的である。

コースラ・ベンチャーズのパートナーであるEvan Moore(エヴァン・ムーア)氏は、普段は不動産開発会社、建設業者、建築家には投資しないと述べた。

「しかし強いチームが重要な業界で劇的に他とは違う製品に取り組んでいるなら、支持するでしょう」。と彼はメールで回答した。

ムーア氏は、これまでアパートは消費財で、使用されることにより価値が得られるという事実にも関わらず、アパート開発は製品主導ではなく資金主導の業界であったと付け加えた。

「顧客体験を第一に考えて建物を設計する機会は山ほどあります。Appleがアパートを建てたら?私からすると、それはみなさんが作り出したい体験とは逆方向に作用するもので、それをサポートする構成要素、サプライチェーン、システムを設計し、制約となる費用の中で作業することを意味します。野心的な考えですから、実験するに値します」。

Comcast Ventures (コムキャスト・ベンチャーズ)社長のSheena Jindal(シーナ・ジンダル)氏は、アメリカの住宅ストックがますます老朽化し不足しており、家を購入することが難しくなっていると指摘する。同社はすべての人が手頃な価格の住宅を手にするに値すると考えているという。

「初めてJunoのチームに会った時、第一原理アプローチに強い印象を受けました」と、ジンダル氏はメールで回答した。「Junoは集合住宅の生産で何が壊れていたか根本的に理解し、その設計およびOEMソース戦略をもって早期にバリューチェーンに焦点を当てて真正面から取り組みました。Junoはバリューチェーンの既存のプレイヤーに取って代わるのではなく、提携しているのです」。

画像クレジット:Engraff Studio / Juno

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

家賃支払いを代行、借り手に支払いの柔軟性をもたらすJettyが約25億円調達

家賃を支払う際に賃借人に柔軟性を与えることを目的としたフィンテック企業であるJetty(ジェッティー)は、Citi(シティ)とFlourish Ventures(フローリッシュ・ベンチャーズ)が共同で行う資金調達ラウンドで2300万ドル(約25億3700万円)を調達した。

今回の資金調達により、Jettyの2016年の創業以来の調達額は7800万ドル(約86億500万円)となった。今回の成長ラウンドに参加した他の投資家には、Credit Ease(クレジット・イーズ)とK5が含まれる。これまでの支援者には、Farmers Insurance Group(ファーマーズ・インシュアランス・グループ)、Khosla(コスラ)、Ribbit Capital(リビット・キャピタル)などがいる。

ニューヨークを拠点とする従業員100名のこのスタートアップは、消費者がオンラインや店頭で利用する機会が増えている「今買って、後で払う」(BNPL)モデルに似たサービスを提供することで、賃借人が家賃を滞納しないようにする方法を考え出した。

簡単にいうと、借り手は家賃の支払い期限が来たら家賃を支払うことができ、その月の24日までに、一括または分割でJettyに借りたお金を返すことができるというものだ。その際、金利や遅延金は発生せず、借り手のリスクプロファイルに応じて15〜25ドル(約1650〜2750円)の月額利用料を支払うことになる。借り手が決められた期間内に返済できなかった場合、翌月の借り増しはできない仕組みになっている。

この月額料金は、家賃が期限内に支払われなかった場合に発生する可能性のある遅延金よりも「はるかに低い」と、共同創業者兼CEOのMike Rudoy(マイク・ルドイ)氏は語っている。

「平均的な賃借人の給料の約50%は家賃に充てられています。つまり、家賃は賃借人にとって最大の支出なのです。だからこそ、ペナルティを受けないように、期日までにお金を用意できるような柔軟性を提供する、何らかの金融サービス商品があると期待されているのです」と彼はいう。

この商品は、実際のBNPLというよりも、従来のBNPLの従兄弟のようなものだと彼は語っている。

ルドイ氏は「当社が賃借人に代わって月初に家賃を全額支払うことで、不動産管理者は必要なときに必要な資金を得ることができます。賃借人は24日間、自分のニーズに合ったスケジュールで返済することができます」と説明してくれた。

Jetty Rentを立ち上げるために、同社は大手不動産投資・開発・管理会社であるCortland(コートランド)と提携し、複数の物件の居住者を対象にベータ版を提供してきた。

そして今回、一般向けに提供を開始したということだ。Jetty Rentは、同社のプラットフォームの中で最も新しい製品で「低コスト」の賃借人保険や敷金返還サービスも提供している。

「この会社のミッションは、賃貸住宅をより手頃で柔軟なものにすることです。また、当社は金融サービスのプラットフォームであり、当社が提供するすべての製品は、不動産管理者と賃借人の両方に価値を提供することを目的としています」とルドイ氏はいう。

Jettyは、今回の動きにより、Insurtech(インシュアテック)から金賃業者へと進化しているとルドイ氏はいう。同社は、Cross River Bank(クロス・リバー銀行)を通じてローンを提供している。

ルドイ氏はTechCrunchに対し「Jettyはこれまでインシュアテック企業と考えられてきましたが、私たちはこのビジネスにさらなる信用力と融資力をもたらすために取り組んでいます」と述べている。

ルドイ氏によると、同社が3つの商品すべてを不動産管理会社に提供していることが、同社の競争力の源泉になっているという。

「これは、同じ空間や問題をターゲットにしている他の金融サービス企業とは異なるものです。敷金の代替商品とフレキシブルな家賃商品の両方を同じ屋根の下に持っているのは、当社だけです。そのため、不動産管理者にとっては、統合や導入の観点からも当社を選択することが非常に容易になります。またそれは、賃借人にとっては、複数の異なるサービスを目にしなくてすむということでもあります」と彼はTechCrunchに語っている。

賃借人はすべての製品の代金を支払い、物件管理者は製品の展開におけるパートナーとなる。

現在、同社は全国で220万戸以上の賃貸住宅を運営する不動産オーナーや管理者と契約している。同社のマーケティング担当副社長のAlex Vlasto(アレックス・ブラスト)氏によると、2017年に不動産パートナーネットワークの構築を開始して以来、Jettyは契約戸数が前年比で平均193%の伸びを示しているという。Cortlandの他にも、AMLI Residential(AMLIレジデンシャル)などとも提携している。

Flourish VenturesのマネージングパートナーであるEmmalyn Shaw(エマリン・ショウ)氏は、米国人の70%以上がその日暮らしな生活をしていると指摘している。

「安定した住宅は、彼らが経済的な安定を得るための重要な要素です」と彼女はいう。

ショー氏は「単一のソリューションに留まらず、賃貸保険や敷金の代替、さらには家賃の柔軟性など、豊富で差別化された金融サービスを提供しているのはJettyだけです」と付け加えた。

「独自の消費者インサイト、差別化された価格設定、消費者のロイヤルティ向上により、Jettyは大きな競争優位性を獲得しています。さらに、Cortlandのような一流の不動産管理会社を通じた消費者へのアプローチは、他に類を見ないものです」とショー氏はメールで述べている。

最近になって、賃借人の生活を楽にするための新しい技術を考え出した他のスタートアップも資金を調達している。アパートを「インタラクティブなコミュニティ」に変えることを目指しているスタートアップSugar(シュガー)は、最近250万ドル(約2億7500万円)のシード資金を調達した。また、自動物件検査プラットフォームを構築しているスタートアップのRentCheck(レントチェック)も、先日260万ドル(約2億8600万円)のシードマネーを調達した。

画像クレジット:Indysystem / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

世界中の環境テックベンチャー対象の助成プログラムを英Founders FactoryとスロバキアのG-Forceが展開

英国のテックアクセラレーターFounders Factory(ファウンダーズファクトリー)はFounders Factory Sustainability Seedプログラムの立ち上げで欧州の同業と力を合わせる。スロバキアのブラチスラヴァに拠点を置きつつ広範に活動しているG-Force​(GはGreenからとっている)との提携のもとに立ち上げたプログラムは気候テックのスタートアップへの投資と振興を目的としている。

プログラムは世界の温室効果ガス排出を削減し、循環型経済への移行を加速させ、持続可能な住宅供給や製造のソリューションを生み出し、また気候に優しいモビリティ、食糧生産、二酸化炭素・メタン回収・貯留に対応できるスタートアップの起業家に​投資する。

主にブラチスラヴァ以外で活動しているG-Forceとともに展開するこのプログラムは、遠隔と対面のサポートを織り交ぜた「ハイブリッド」方式で展開される。世界の環境テックベンチャーがプログラムに申し込んで参加できるように、との意図だ。

Sustainability SeedプログラムでFounders FactoryのパートナーとなるG-Forceは財務面で、Boris Zelený氏(ボリス・ゼレニー、AVASTに14億ドル[1540億円]で売却されたAVGを創業した人物だ)、Startup GrindのMarian Gazdik(マリアン・ガズディク)氏、そしてアーリーステージ投資家のPeter Külloi(ピーター・キューロイ)氏やMiklós Kóbor(ミクローシュ・コーボー)氏を含む多数の東欧の投資家によって支えられている。

プログラムに選ばれたスタートアップは最大15万ユーロ(約2000万円)のシード投資、Founders Factoryチームによる6カ月のサポート、潜在的な顧客やパートナー、法人、投資家への紹介を受けられる。

Founders FactoryのCEOであるHenry Lane Fox(ヘンリー・レーン・フォックス)氏は次のように述べた。「起業家が創造を得意とするディスラプトを促進することで、すべての人にとってより良い、そしてより持続可能な未来を形成することができます。G-Forceとの提携で、Founders Factory Sustainability Seedプログラムは世界にポジティブな影響を与えるベンチャーの育成とサポートを約束する主要プレシードプログラムになります」。

G-Forceの共同創業パートナーであるMarian Gazdik(マリアン・ガズディク)氏は「Founders Factory Sustainability Seedプログラムとの提携での我々の野望は、G-Forceを欧州の中心を拠点とする世界クラスの持続可能なイノベーションハブにすることです」と述べた。

アイデアを進展させて、レーン・フォックス氏は「これまでは1つの法人パートナーと組み合わせるのが当社のモデルでしたが、この特異なケースではエンジェル投資家のグループをまとめて紹介し、純粋な金融投資家との取引にすることができます。これは実際にこの特異な部門にうまく合うと考えています。我々はまた、そうした企業がプログラムを最大限活用できるよう、早い段階でより多くの資金を提供します」と筆者に語った。

ガズディク氏は、英国ではなく欧州を拠点とすることでEUの助成プログラムを利用することができる、とも付け加えた。

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画像クレジット:G-Force team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

所有する家具を活用しプロが部屋をバーチャルでデザインしてくれるPancakeが約3800万円調達

すでに家にある家具を活用し、デザイナーの新鮮な目で空間をデザインするホームデザインプラットフォームを開発するPancake(パンケーキ)が、35万ドル(約3800万円)のシードラウンドを獲得した。

コスタリカ出身のMaria Jose Castro(マリア・ホセ・カストロ)氏、Roberto Meza(ロベルト・メザ)氏、Alfred Enciso(アルフレド・エンシソ)の3人は、在宅勤務に移行して部屋の空間を飾る必要に迫られた自分たちの経験をもとに、2020年に会社を立ち上げた。デザインサービスは高額であるため、誰もが利用できるものではなかった。

Pancakeは、部屋をデザインするインテリアデザイナーとユーザーの関わり方を再構築しており、ユーザーは自分の部屋のスペースのレンダリング画像を手に入れることができる。ユーザーは、ウェブサイト上でデザイナーとのオンラインセッションを予約し、部屋の寸法と写真を提供する。

 

次にデザイナーが、空間のレンダリングと、デザインとその方法を説明する資料を用意する。また、持っていない塗料や家具が必要な場合は、Pancakeがユーザーに購入できる場所を教えてくれる。このサイトの将来的な機能として、家具販売業者との連携も予定していると、カストロ氏はTechCrunchに語っている。

メザ氏はこの会社を「ファニチャー・アズ・ア・サービス(サービスとしての家具)」と呼び、すでにあるものを再利用して、そこで働き、住み、楽しむことができるような健康的で持続可能な空間づくりを主眼としている。それは一見難しいことのように思えるかもしれないが、世界的なパンデミックでみんなが突然同じ空間で一緒に過ごすようになると、人間関係というのは、好きな空間にいるときの方がより良くなるものだと彼はいう。

「私は建築におけるウェルネスを仕事にしていますが、Pancakeではそれを実現したかったのです。些細なことが余裕を生み、気分を良くしたり、もしくは悪くしたりすることがあるのです」。と彼は付け加えた。

Pancakeは今回の資金調達により、プラットフォームをさらに発展させ、エコロジカルフットプリント計算機などの新機能を追加して、顧客が自分のデザインがどれだけサスティナブルなのかを確認できるようにする予定だ。また、同社は透明性の高い価格設定を誇りとしている。デザイナーとの平均的な2時間のセッションは199ドル(約2万1800円)で、ペンキや新しい家具などのアイテムが必要な場合は、デザイナーがそこに予算を追加する。

今回のシードラウンドでは、OkCupid(オーケーキューピッド)の共同設立者であるChristian Rudder(クリスチャン・ラダー)氏がリードインベスターを務めている。同氏は、通常、シード段階での投資は行わないが、Pancakeが短期間で成し遂げた進歩に感銘を受けたと述べている。この中には、ソーシャルメディアプラットフォームでのマーケティングテストも含まれており、立派な投資効果が得られたと付け加えた。

一方、Pancakeはこれまでに100回以上のデザイナーセッションを行い、紹介や家の中の別の部屋のデザインも希望するリピーターが増えてきているという。パンデミックで4カ月間中断したにもかかわらず、前月比で平均200%の収益増を達成したとメザ氏はいう。今後は、2022年のシリーズAラウンドに向けて、ブランドと収益モデルの構築を進めていく予定だ。

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画像クレジット:Pancake

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人気スマートホームセキュリティ製品の遠隔操作で解除できる欠陥を研究者が発表

あるサイバーセキュリティ企業によると、人気の高いスマートホームセキュリティシステムに、セキュリティを完全に解除できる脆弱性があることがわかったという。

サイバーセキュリティ企業Rapid7(ラピッドセブン)は、Fortress Security Stor(フォートレス・セキュリティ・ストア)の「S03」に脆弱性を発見した。Fortress S03は、Wi-Fiを利用してカメラ、モーションセンサー、サイレンをインターネットに接続し、モバイルアプリを使ってどこからでも自宅をリモート監視できるホームセキュリティシステムだ。

また、このセキュリティシステムは、無線制御のキーフォブを使って、玄関の外から家の防犯装置を作動 / 解除することもできる。

しかし、Rapid7によると、このシステムには認証されないAPIと、簡単に傍受できる暗号化されていない無線信号を使用しているという脆弱性があったという。

Rapid7は、セキュリティ研究者がバグを修正するために企業に与える標準的な期間である3カ月間を経てもFortressら連絡がなかったため、米国時間8月31日にこれら2つの脆弱性の詳細を公にした。Rapid7によれば、Fortressにeメールで知らせてから1週間後、同社がコメントを出さずにサポートチケットを閉じたことからのみ、Fortressが認識したことを確認できたとのこと。

FortressのオーナーであるMichael Hofeditz(マイケル・ホフェディッツ)氏は、TechCrunchが送った数通のメールに、開封はしたものの、返信はしなかった(メール開封確認機能からそれがわかった)。Fortressの代理としてマサチューセッツ州の法律事務所であるBottone Reiling(ボットーネ・レイリング)から送られてきたメールでは、この主張を「虚偽で、意図的に誤解を招き、名誉を毀損するもの」としているが、虚偽であると主張する具体的な内容やFortressが脆弱性を改善したかどうかについては言及していない。

Rapid7によると、Fortressの認証されないAPIは、サーバーがリクエストが正当であるかどうかをチェックすることなく、インターネットを介してリモートで問い合わせることが可能だという。住宅所有者の電子メールアドレスを知ることができれば、サーバーはデバイスに固有のIMEIを返し、そのIMEIを使ってシステムをリモートで解除することができると、セキュリティ研究者は述べている。

もう1つの欠陥は、セキュリティシステムと住宅所有者のキーフォブの間で送信される暗号化されていない無線信号だ。電波が適切に暗号化されていないため、Rapid7が試したところ、これを利用して「arm(防犯作動)」と「disarm(防犯解除)」の信号を捕捉し、それらの信号を再生して送信することができたという。

Rapid7のArvind Vishwakarma(アルヴィンド・ヴィシュワカルマ)氏によれば、住宅所有者はパスワードの代用として、長くてユニークな文字列を持つ+タグ付きの電子メールアドレスを追加することができるとのこと。しかし、無線信号のバグについては、Fortressが対処するまで、住宅所有者ができることはほとんどない。

Fortressは、この脆弱性を修正したのか、もしくは修正する計画があるのかを明らかにしていない。Fortressがハードウェアを交換することなく、脆弱性を修正できるかどうかも不明だ。Fortressが自社でデバイスを製造しているのか、それとも他のメーカーからハードウェアを購入しているのかということもわかっていない。

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画像クレジット:D. Babbage / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モバイルアプリでアパートの住人を安全・効率的につなげるSugarが約2.7億円のシード資金を調達

アパートを「インタラクティブなコミュニティ」に変えることを目的とするスタートアップ企業Sugarが、250万ドル(約2億7400万円)のシード資金を調達した。

今回の資金調達には、MetaProp、Agya Ventures、Concrete Rose、Debut Capital、The Community Fund、Consonance Capital、Lightspeed Scout Fund、Jason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏のLAUNCH Syndicateなど、多数の投資家が参加した。また、SquareFootのCEOであるJonathan Wasserstrum(ジョナサン・ワッサーストラム)氏、Ben Zises(ベン・ジセ)氏、Diran Otegbade(ディラン・オテグバード)氏、Oleksiy Ignatyev(オレクシー・イグナティエフ)氏、Zillowの取締役でありSequoia Scout FundのメンバーでもあるClaire Cormier Thielke(クレア・コーミエ・ティエルケ)氏などのエンジェル投資家も参加した。

ちんたいそこで彼女は、不動産投資グループや不動産管理会社と提携し、近所の人々とのつながりを絶たれて孤立していると感じているアパートや住宅地の住民のために、アプリを作った。

「ほとんどの住宅用アプリは挙動がいまいちで、今風でなく、使いづらいものばかりだ。家賃の支払い、不動産管理者との連絡、ドアの解錠など、簡単であるはずの作業が煩雑で面倒だった」とディッコ氏は語る。

CEO兼創業者のファティマ・ディッコ氏(画像クレジット:Sugar)

その上、隣人とのつながりがなく、孤立していると感じることは、居住者が出ていくことやネット上でのネガティブな評判の原因にもなり、最終的にはビルのオーナーの収入減にもつながりかねない。

そこでディッコ氏は、居住者同士がただ交流できるだけでなく、鍵なしでドアの解錠ができたり、メンテナンスの依頼、家賃の支払いなどができるアプリの開発に着手することにした。このプラットフォームは、パンデミック関連のユースケースを超えて広く成長していった。現在、このスタートアップはさまざまな規模の住宅地、不動産投資グループ、Airbnbによる賃借、ホテル、その他の種類の住宅用地といった顧客を世界中に有している。

Sugarのプロダクトは2つの要素で成り立っている。1つは居住者向けのモバイルアプリ、もう1つは建物のオーナーや管理者向けのウェブベースのダッシュボードだ。モバイルアプリは、建物のオーナーや管理者に直接販売される。不動産管理者も、管理用ダッシュボードにアクセスして、居住者のエンゲージメント指標を把握したり、ポートフォリオ内の物件のオンライン評価やレビューを確認したりすることができる。

ディッコ氏によると、今回の資金調達に先立ち、Sugarは前月比で「一貫した」成長を遂げ、ローンチからわずか4カ月で6桁のARR(年間経常収益)を達成したという。現在、SugarはEquilibrium Real Estate Investment Group、CGI Investment group、Apartment Management Consultants (AMC)などの初期顧客のポートフォリオ内にある特定の物件への展開を開始している。これらの企業は、米国22州で655件の不動産と15万部屋のドアを管理している。

また、Sugarは、7万8000戸以上の住宅を管理し、居住者のエンゲージメントを高めようとしているBozzutoなどの大手不動産管理会社と90日間のパイロット契約を結んだとディッコ氏は語っている。

ディッコ氏によると、ドアの鍵なし解錠のハードウェア製品をコミュニティ・エンゲージメント・ダッシュボードに統合できることが、Sugarの差別化のポイントだという。

「当社のコンシューマー向けアプリは引き寄せる力があり、ユーザーとオーナーにメリットがある。Sugarは、プラットフォームの利用率を高めるためには、アクセスコントロールが最も重要な機能であると考えている」と述べている。「本プロダクトはハードウェアに接続することができ、ユーザーはアプリ内からドアのロックを解除したり、デジタルキーを共有したりすることができるため、製品の導入が進み、コミュニティポータル内でのエンゲージメントが向上するだろう」。

また、建物の既存のハードウェアやソフトウェアのスタックに統合できることも大きな差別化要因であると述べている。スタンフォード・ビジネス・スクールに入学する前、ディッコ氏はProcter & Gambleでシニア・プロダクト・エンジニアとして数年間勤務していた。その時、古い問題を解決するために新しいソリューションを考案するということにワクワクしたという。

2020年は2名だったSugarのフルタイムの社員は、現在9名となっている。今回の資金調達では、エンジニアリングとセールスの両方で重要な人材を採用する予定だ。

Agya VenturesのKunal Lunawat(クナル・ルナワット)氏は、同社がディッコ氏の「粘り強さ、推進力、優秀な人材を惹きつけ、評価する能力」に感銘を受けたと述べている。

「誰もが住宅のコミュニティについて語っているが、それを具体的に解決するプラダクトを作っている人は誰もいない」と彼は語る。「コミュニティに焦点を当てることは、Sugar社の理念の中心であり、だからこそ、世界有数の不動産管理会社の多くが彼らのソフトウェアに集まってきているのだろう」。画像クレジット:Sugar

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

温暖化でリスクが高まる山火事に備える家屋強化のマーケットプレイス「Firemaps」にa16zが出資

世界中の国々を山火事が襲っている。カリフォルニア州は史上最悪(この比較級を毎年のように使っている気がする)の山火事に対処中であり、州北部ではCaldor fire(カルドア・ファイアー)などの火災が起きている。一方、ギリシアをはじめとする地中海の国々は数週間に渡る消火活動の結果巨大な火災を鎮圧した

気候温暖化が進む中、米国だけでも数百万世帯が山火事の高リスク地域に位置している。保険会社と政府は家屋所有者に対し、いわゆる「hardening」(ハードニング、耐火性強化)を実施するよう緊急な圧力をかけている。火災に遭った際に家屋が損害を免れる可能性を最大限に高め、それ以上災害を広げないための対策だ。

サンフランシスコ拠点のFiremaps(ファイアマップス)は、事業規模を急速に拡大し、複雑で時間のかかる手続きをできる限り簡易化することで、家屋ハードニングの問題を解決する、という壮大なビジョンを持っている。

会社は数カ月前(2021年3月)に創業したばかりで、ドローンを装備した作業員を山火事の高リスク地域にある家屋に派遣する。作業チームは20分以内に、センチメートル単位で物件の高解像度3Dモデルを作成する。そこからハードニングのプランを構成し、同社のマーケットプレイスに参加している業者に入札依頼が送られる。

ドローンで家をスキャンした後、Firemapsは建築物と近隣物件の高精細CADモデルを作成する(画像クレジット:Firemaps)

始まったばかりだがサービスはすでに好調だ。同社ウェブサイトに登録した数百人のホームオーナーに加えて、数十人がドローンによるスキャンを終えており、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)のAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は同社の550万ドル(約6億円)のシードラウンドをリードした(Form D申請書によるとラウンドは4月ごろ実施された)。ラウンドにはUber(ウーバー)CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、Addition(アディション)のLee Fixel(リー・フィクセル)氏も参加している。

Firemapsを率いるJahan Khanna(ジャハン・カンナ)氏は都市工学の長い経験を持つ弟とRob Moran(ロブ・モラン)氏の3人で会社を共同設立した。カンナ氏は初期のライドシェアリングスタートアップ、Sidecar(サイドカー)の共同ファウンダー兼CTOで、モラン氏は同社の初期従業員の1人だった。3人は気候問題にどう取り組むかを繰り返し研究しながら、今ここににいる人たちを助けることに焦点を当て続けてきた。「人類が(気候に関する)一定のしきい値を超えてしまった今、私たちはこの問題を制御する必要があります」とカンナ氏は言った。「当社はそのソリューションの一部です」。

過去数年間、カンナ氏兄弟はカリフォルニアにソーラー施設かソーラー利用の家屋を作ろうとしていた。「誰と話した時にも驚いたのは、カリフォルニアには何も建てられない、なぜなら燃えてしまうから、と言われたことでした」とカンナ氏は言った。「それが転機でした」。2人は火災ハードニングについて調べるうちに、何百万というホームオーナーが、手軽で安い選択肢を必要としていることを知った。それもできるだけ早く。

家を火災に強くする方法は何十とある。家から1〜2メートル以内に耐火ゾーンを作るのはその1つで、花崗岩の砂利を置くことが多い。天井裏の換気口や排水溝、家の羽目板などを耐火性で高温に耐えられるようにすることもそうだ。これらの方法の価格はさまざまだが、一部の自治体や州政府は、助成金プログラムを設けて、ホームオーナーがこうした改善にかけた費用の一部でも取り戻せるようにしている。

Firemapsの3Dモデルで描かれた家にハードニングの代表例と価格が表示されている(画像クレジット:Firemaps)

同社のビジネスモデルはシンプルだ。選別された契約業者は、Firemapsのプラットフォームに掲載料を支払う。カンナ氏は、同社がドローンを使った家屋の総合的モデルを提供するので、契約業者は自分で現地視察をすることなく入札に参加できる、と考えている。「業者はすぐに取りかかれるプロジェクトが手に入るので、取得コストは事実上ゼロです」とカンナ氏は言った。

長期的に「当社の事業上の仮説は、プラットフォームを作り、このような家屋のモデルを作ることには本質的な価値がある、というものです」とカンナ氏は言った。現在同社はカリフォルニア州でサービスを開始し、2022年の目標は「このモデルを反復、スケール可能にして週に何百もの家屋をスキャンすることです」と彼は言った。

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画像クレジット:Firemaps

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook