メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

AIチャットを介したメンタルセルフケア・アプリ「emol」(エモル。iOS版。Android版は秋予定)を提供するemolは7月19日、アプリ上で第一生命保険および第一スマート少額短期保険(第一生命グループ)との協業開始を発表した。emolのアプリ上で、第一生命グループによるミレニアル世代向け保険の提供を開始する。

emolは、2020年9月から11月にかけて、第一生命と共同で、AIがユーザーの悩みに合わせて適切な保険商品をレコメンドするというDX実証実験を行ってきた。emolアプリ上で、AIとユーザーとの会話の中に保険に関する話題が出たときに、AIがヒヤリングを行い、適切な保険商品をレコメンドし、ユーザーに第一生命のウェブサイトへ誘導するという内容という。そこでユーザーが第一生命のウェブサイトへのリンクを実際にクリックした割合(クリック率。CTR)を測定したところ、TwitterやFacebookなどSNS広告のCTRを圧倒的に上回ったそうだ。

今回の協業では、emolアプリ上でユーザーがチャットでAIに悩みを話した際に、保険に関連する話題に合わせレコメンドする機能を採用。またemolアプリ上にAIが保険の診断を行う保険の窓口を設置し、いつでも対象の保険についてAIに質問できる場を提供する(emol保険の窓口は後日発表予定)。

第一生命グループは、スマホで契約ができるミレニアル世代向け新ブランド「デジホ」の保険商品として、「所得保障保険」(emolお仕事ほけん)、「コロナminiサポほけん」(emolコロナほけん)を展開する。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:emol(企業・サービス)AI / 人工知能(用語)第一生命保険(企業)保険 / インシュアテック / InsurTech(用語)メンタルヘルス(用語)日本(国・地域)

予防接種などの健康診断サービスも提供するペット保険のWagmo、企業の福利厚生にも採用

ペットケア産業はここ数年ブームだ。ChewyのIPOから、さまざまな新興の獣医系スタートアップに至るまで、VCと消費者のお金がこの分野に大量に流れ込んだ。

Wagmoも、その例外ではない。ペット保険と各種サービスを提供する同社は、Revolution VenturesがリードするシリーズAの投資で1250万ドル(約13億8000万円)の調達を完了した。この投資ラウンドにはFemale Founders Fund、Clocktower Technology Ventures、そしてVestigo Venturesが参加した。またJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏やJim Grube(ジム・グルーブ)氏、Marilyn Hirsch(マリリン・ヒルシュ)氏、David Ronick(デビッド・ロニック)氏、そしてMichael Akkerman(マイケル・アッカーマン)氏らのエンジェルたちも参加した。

同社を創業したChristie Horvath(クリスティ・ホーヴァス)氏とAli Foxworth(アリ・フォックスワース)氏は、それぞれ金融と保険業界出身で、ペット保険にはまだ市場にギャップがあると実感していた。ペット保険の提供企業は、手術や骨折などの大きな緊急事態を対象にしていることが多い。しかしペット、特に私のように子犬を飼ってる人はよく知っているように、基本的なケアは積み重なって大きな額になる。

Wagmoは、通常のペット保険と同じ基本的な補償も提供しているが、ウェルネスサービスも提供しています。ウェルネスプログラムは、予防接種、グルーミング、定期的な獣医師の診察、糞便検査、血液検査など、より基本的なものをペットの飼い主たちに払い戻す

ユーザーの保険料は月額20ドル(約2200円)から59ドル(約6500円)で、レシートの写真がアプリで送られる。そして、対象科目に応じてVenmoやPayPal、あるいは24時間以内の直接送金で保険が下りる。

ここでの前提は2つある。健康な犬であれば、上に挙げた基本的なことをすべて知っていれば、後に大きな問題が起こる可能性は低くなる。第二に、犬を飼うことにともなう最も初期費用は、ワクチン接種、獣医の訪問、糞便検査、グルーミングなどの基本的な費用だ。

そこでWagmoは、保険プランのないウェルネスだけのプランを最初に提供する。ユーザーは最初に必要になるものだけを利用し、後で保険プランへアップグレードすることができる。

Wagmoはウェルネスと保険の両方から収益を得るが、他に大企業への売り込みも行っている。つまり、社員の福利厚生の一環として、ペット保険を採用してもらうのだ。

現在14名の同社チームは、数千のユーザーがいて、パンデミック以来ユーザー数は毎月20%増加している。ウェルネスの支払請求は、これまで3万件処理している。

チームの58%は女性で、黒人とアジア系とラテンアメリカ系を合わせると全ワークフォースの17%になる。

「今後の成長機会を正しく見極めることが、とても重要です。特に大きいのは、企業の福利厚生だと私は思います。最近は、どこから始めるべきか、優先度の高いものは何か、限られたリソースと時間をどう割り当てるべきかを考えて、夜遅くまで起きてることもあります」とホーヴァス氏はいう。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Wagmo資金調達ペット保険

画像クレジット:Wagmo

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スマホカメラとAIを利用して自動車事故の損傷を査定するTractable、最大の市場は日本

保険業界も21世紀の生活に合わせて進化しているようだ。コンピュータビジョンを利用して遠隔地から損傷を鑑定できるツールを開発したAIスタートアップが、多額の成長資金を獲得したことを発表した。

Tractable(トラクタブル)は、自動車保険会社と提携し、ユーザーがぶつけたクルマの写真を撮影して送信すると、その損傷具合を「読み取って」査定するサービスを提供している。同社はシリーズDラウンドで6000万ドル(約66億1000万円)の資金を調達したと発表、その評価額は10億ドル(1102億円)に達したという。

Tractableは、世界の自動車保険会社トップ100のうち20社以上と提携しており、過去24カ月間で収益は600%増加したという。Alex Dalyac(アレックス・ダルヤック)CEOによると「年間売上高は8桁ドル(数十億円)に達する」とのこと。「新型コロナウイルス感染拡大がなかったら、もっと早く成長していただろう」と、同氏は語っている。人々が自宅から出なくなるということは、クルマで路上を走る人の数が格段に減り、事故も減るからだ。

現在のTractableのビジネスは、主に交通事故の損害請求に関わるものが中心となっている。ユーザーは事故で損傷したクルマの写真をスマートフォンのカメラで撮影し、(通常のアプリではなく)モバイルサイトを介して写真をアップロードする。

しかし、同社は今回の資金調達の一部を利用して、自然災害の復旧(特に物的損害の鑑定)や、中古車の査定といった、隣接する分野へのさらなる事業拡大も計画している。また、スマートフォンで撮影された(サイズの小さな)写真を処理・解析するためのAIベースの技術を、より優れたものにするためにも、この資金は使われる。

今回の投資ラウンドは、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)とGeorgian Partners(ジョージアン・パートナーズ)が共同で主導した。これにより、同社の累計調達額は1億1500万ドル(約127億円)に達した。

深層学習の研究者であり、Razvan Ranca(ラズバン・ランカ)氏やAdrien Cohen(エイドリアン・コーヘン)氏とともにTractableを設立したダルヤック氏によれば、同社が特定し解決する「機会」(「事故」と言い換えることもできるだろう)では、自分のクルマに起きた問題として対処する場合、保険会社とのやり取りには時間がかかりストレスになっているという。

最近では、そんな問題により近代的なプロセスを導入する新世代の「インシュアテック」スタートアップが登場しているものの、Tractableがターゲットとする既存の大手保険会社には、そのプロセスを改善する技術が不足していた。

それは、フィンテックを推進するネオバンクと、時代に追いつくためにさらなるテクノロジーへの投資に躍起になっている既存の銀行との間に見られる緊張関係と似ている。

「事故に遭うと、面倒なことからトラウマになることまでさまざまな負担を受けます」とダルヤック氏はいう。「壊滅的なダメージを受け、立ち直るまでにはかなりの時間がかかります。保険会社とのやりとりも多いし、多くの人がやって来て何度も確認しなければなりません。いつになったら本当に元通りになるのかを把握するのは困難です。私達は、画像分類の飛躍的な進歩により、そのプロセス全体が10倍速くなると確信しています」。

このプロセスは現在、保険金請求のための写真撮影に留まらず、Tractableのコンピュータビジョン技術を使って、車両が修理不能になった場合に、どの部品をリサイクルして他の場所で再利用できるかを判断するのにも役立っている。ダルヤック氏によれば、2020年はこのサービスが人気を博し「2019年にTesla(テスラ)が販売した新車台数」と同じ数のクルマのリサイクルを支援したという。

これまでTractableと契約を結んだ顧客企業には、米国のGeico(ガイコ)をはじめ、日本では東京海上日動、三井住友、あいおいニッセイ同和損保など、多くの保険会社が含まれている。また、フランス最大の自動車保険会社であるCovéa(コベア)、英国Admiral Group(アドミラル・グループ)のスペイン法人であるAdmiral Seguros(アドミラル・セグロス)、英国の大手保険会社であるAgeas(エイジアス)も同社の顧客となっている。

現在、日本は同社の最大の市場であるとダルヤック氏はいう。その理由は、高齢化が進んでいることと、その一方で携帯電話の利用率が非常に高いことという2つの条件が揃っているためだという。そのため「自動化は単なる付加価値ではなく、必要不可欠なものとなる」とダルヤック氏は述べている。だが、近い将来には米国が日本を抜いてTractableの最大の市場になるだろうと、同氏は付け加えた。

物的資産や中古車への応用などの新たな方向性は、保険会社との提携だけに留まらず、より幅広いユースケースへの扉を開くことになるだろう。それによってTractableが新たな競争環境に入る可能性もある。同じようなビジネスチャンスを狙っている企業は他にもあるからだ。

例えば、一般的なスマートフォンのカメラを使って住宅の3D画像を作成する方法を確立したHover(ホバー)は、元々は住宅の修理の見積もりをするために開発された技術を、保険会社に販売する方法を検討している。

しかし今のところ、このような商機は十分に大きく、競合他社に勝つことよりも、需要を満たすことの方が重要だと考えられる。

Insight PartnersのMDであり、Tractableの取締役でもあるLonne Jaffe(ロン・ジャフィ)氏は、声明の中で次のように述べている。「Tractableの大規模な加速度的成長は、同社の応用機械学習システムの力と差別化を証明するものであり、それはますます多くの企業に採用されることで改善を続けています。何億人もの生活に影響を与える事故や災害から、世界がより早く回復することを支援するために活動しているTractableとのパートナーシップを、二倍に強化できることを我々はうれしく思います」。

Georgian PartnersのパートナーであるEmily Walsh(エミリー・ウォルシュ)氏は、次のように述べている。「Tractableの業界をリードするコンピュータビジョン機能は、顧客の投資利益率と同社の成長を驚異的なペースで促進し続けています。TractableがそのAI能力を、中古車業界や自然災害復旧という数十億ドル規模の新たな市場機会に適用するために、引き続きパートナーとして協力できることをうれしく思います」。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Tractable資金調達自動車事故深層学習画像認識機械学習保険

画像クレジット:Tractable

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フィンテック企業Marqetaの巨額IPOの内実

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

(ささやかなお知らせ:来週、6月14日-6月19日は、Exchangeコラムとニュースレターはお休みとなる。ちょっとした休暇をとって新しいアイデアとともに米国時間6月21日から通常サイクルに戻る予定だ)

The Exchangeは、先週初めに、ほぼ強気のIPO市場を調査し、Monday.com(マンデー・ドットコム)とMarqeta(マルケタ)がここ数日でかなり大きなポイントを獲得したことを指摘した。言い換えるなら、ユニコーン市場は適度に健全であり、これは第3四半期の流動性にとっても良い兆候だ。

しかし、今日は広い視野をとる代わりに、Marqetaの公開だけに絞って考えてみたい。フィンテック企業たちにとって、Marqetaの適切な価格設定と堅調な株価推移は歓迎すべき結果だ。しかし、Marqeta自身は、そのデビューをどのように感じているのだろうか?

そのことを知るために、The Exchangeは、IPOの価格が決定し取引が開始された直後に、同社の創業者でCEOのJason Gardner(ジェイソン・ガードナー)氏に話を聞いた。私の親愛なる友人であり、TechCrunchの上司であるHenry Pickavet(ヘンリー・ピカヴェット)を悩ませるためにも、多くの話題をカバーしつつ文字数を抑えられるように、箇条書きで話を進める。

  • ガードナー氏は、Marqetaのロードショー中に、34時間Q&Aを行ったという。彼はそれを気に入っていた。話の詳細は、同社のIPOとはほとんど関係ないが、CEO自身のことを少し語るものだ。同じ13の質問に答えるのに、何時間もの時間をかけている。私なら気がおかしくなってしまうだろう。
  • Marqetaは、価格を高めに設定し、予想以上に多くの資金を調達した。ガードナー氏によると、同社は特に米国以外の市場では、人工的な成長(買収)を追求していくという。それは理にかなった動きだが、ただし彼は技術の質に対しては高いハードルを設定しているという。ガードナー氏は、技術力の劣る企業は買わないという。もし買ってしまったら買収後に再構築をしなければならなくなるからだ。ドライだね。
  • MarqetaはIPOの1年半前から社内で話し合いを始めていたので、公開企業への移行は比較的スムースだった。私の想像では、ここでガードナー氏が言いたいのは、株式公開をするということは、単に会計上の仕事だというだけではなく、文化的な向上にもつながるということだと思う。このことをもう一歩掘り下げたなら、SPACの価値が多少色あせて見えるだろう。
  • 会社が成長し上場したことで、ガードナー氏にとって何が変わったのだろう?彼の視点が、数カ月単位から数年単位へと、より遠くへと広がったということだ。Marqetaがさらに拡大していく中で、この変化は続いていくだろう。

私がこの記事を書いている金曜日(米国時間6月11日)の午後の時点で、Marqetaの株価はさらに6%上昇している。

Embrokerに何が起きた?

金曜日(米国時間6月11日)の朝に報じたように、世界のインシュアテック市場は、米国でも欧州でも大いに盛り上がりを見せている。その証拠を見つけるのは難しくないが、インシュアテック市場の現在の状況をよく表しているのが、先週の初めに行われたEmbroker(エンブローカー)の1億ドル(約109億7000万円)のラウンドだ。

Embrokerは、サンフランシスコに拠点を置くインシュアテック企業で、企業向けの保険を販売している。その商品は、サイバー保険、ビジネスオーナー保険、プロフェッショナル損害賠償などだ。おそらくそれは、最近、巨額のラウンドを調達したビジネスに特化した別のインシュアテックプロバイダーNext Insurance(ネクスト・インシュアランス)と通じるところがあるのかもしれない。

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インシュアテックという大きなカテゴリーに魅せられたExchangeのスタッフが、Embrokerのスタッフにいくつかの質問を投げかけてみた。ここでは、メールで行われたQ&Aを紹介する(太字はTechCrunch側。各Q&Aはわかりやすくするために多少編集されている)。

高いレベルから見たときに、Embrokerが提供するビジネス保険商品の損害率(ロスレシオ)は、私たちがよく知っている消費者向け自動車保険の損害率と比べて良いのか、悪いのか、それとも同等なのでしょうか?

はい、当社商品の損害率は、消費者向け自動車保険や家財保険などの他の保険商品に比べて大幅に優れています。また、これまでの当社の損害率は、他の確立された中小企業向け商品と比較しても良好です。

新ラウンドの評価額(バリュエーション)を交渉する際に、最近のインシュアテックのIPOが価格決定の議論に取り上げられたのでしょうか?

最近のインシュアテックのIPOは、公開市場での評価額の基準を提供していて、これはこの分野全体にとってすばらしいことです。しかし、私たちはそれを直接の比較対象としては使用しませんでした。なぜなら当社の損害率、リテンション、セールスとマーケティングの効率性は、現在公開している他のインシュアテック企業よりも大幅に優れているからです。

Embrokerが「サイバーリスク保険」を提供していることに興味を持ちました。ランサムウェアに対する市場の関心が高まっている中で、その製品の需要も以前より高まっているのでしょうか?また、それは社内の他の保険ラインに比べて経済的に利益を生むものなのでしょうか?

最近、注目を集めているサイバー犯罪に対する保険金請求を考えると、サイバー犯罪への対応は需要面でも価格面でも急速に成長している保険種目であると考えられます。保険金請求は今後も増加すると思われますが、サイバー領域に関する当社のモデルは、リスクを適切に評価するのに効果的であり、当社のプラットフォームへの投資によって、今後もそのような評価が可能であることを期待しています。

特にスタートアップ企業向けには、技術者向けのE&O(職業賠償責任)保険とサイバー保険をセットにしています。これは多くの創業者が独立したE&Oもしくは迫りくる脅威に対してサイバーポリシーを契約しているからです。

最後に、マーケティング費用がどのように推移しているのか気になります。Embrokerがまだ小さかった頃と同じように、効率的なセールスとマーケティングが行えているでしょうか?

マーケティング費用は毎年大幅に増加していますが、ターゲットとする市場でのシェアが拡大するにつれて、売上高に対する比率は一貫して低下しています。これによって、オーガニックな成長が促進されています。例えば、当社は現在、米国で活動中のVC支援企業の多くから保険をひきうけています。このことで多くの企業から資金調達の際に、当社に保険を依頼しようと思ってもらえるのです。

確かに言葉は多い。だが、このかたまりの中に、重要な情報が詰まっているのだ。Embrokerが自社の経済性をほとんどの上場企業よりも優れていると考えていることは注目に値する。この事実は、私たちがこれまで見てきたいくつかのIPOによって想像するようになったきたものよりも、インシュアテック企業間にはより広い経済的広がりがあることを示唆している。

また、Embrokerは、少なくともセールスとマーケティングの支出に関しては、営業レバレッジを持っている。それは、インシュアテック市場はインテリジェントなビジネス運営が不可能なほどには、混み合っていないことを示しているのかもしれない。もちろん厳しい事態の変化があっても、Tiger(タイガー)やその他からの数億ドル(数百億円)の追加投資で解決できるはずだ。

最後になるが、OKRソフトウェアに関して(詳細はこちら)、Koan(コーアン)は先週、82%の顧客増を報告した。混沌とした市場の中で頑張っている企業にとって、これはすばらしい結果だ。見るべきスタートアップだと思う。

では、1回お休みの後にまた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:The TechCrunch Exchangeインシュアテック

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

スマホでペット保険金を請求できる「アニポス」が約1.1億円を調達、開発運営体制を強化

スマホでペット保険金を請求できる「アニポス」が約1.1億円を調達、開発運営体制を強化

ペット保険金統合プラットフォーム「アニポス」(Android版iOS版)を開発・運営するアニポスは6月9日、プレシリーズAラウンドにおいて、株式発行による資金調達を発表した。割当先は、マネックスベンチャーズ、DGベンチャーズ、山口キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、グロービス、エンジェル投資家。

調達した資金は、同社サービス認知やサービス導入ニーズの高まりに対応し、保険運営会社・飼い主の求めるもの以上のサービスレベルを最短で提供することを目的に、機能開発・サービス開発、サービス改善の加速に投資する。

アニポスは、「全ての人がより良い適切な動物医療を享受し、動物と幸せに暮らせる世界を創る。」をビジョンに掲げ、ペット保険のDXを推進しているインシュアテック・カンパニー。獣医師でもある代表取締役CEOの大川拓洋氏が2019年3月に設立した。

ペット保険金を簡単に請求できるスマホアプリ「Anipos」(アニポス)と、同アプリからシームレスに繋がるペット保険事業者の保険金支払い業務効率化サービスとして、「ANIPOS OCR」「ANIPOS Cloud」を展開している。

また同社は、アニポスアプリでのアップロード明細書件数に応じて、アニポスの資金から公益社団法人アニマルドネーションを通じて、動物保護団体への寄付(明細書で寄付)を毎月実施している。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:医療(用語)保険 / インシュアテック / InsurTech(用語)ペット(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

欧州のインシュアテックWefoxが4倍程度の申し込みを受け約3300億円の評価で715億円獲得

ドイツのスタートアップWefox(ウィーフォックス)が、Target GlobalがリードするシリーズCの資金調達ラウンドで6億5000万ドル(約715億円)を調達した。この資金調達ラウンドで、同社のポストマネーのバリュエーションは30億ドル(約3300億ドル)に達した。Wefoxは、家財保険、自動車保険、個人賠償責任保険などの個人保険商品に注力するデジタル保険会社だ。

「当初調達希望額をはるかに超えました。非常に迅速なプロセスとなり、実質的に4倍程度の申し込み超過になりました」と、共同創業者兼CEOのJulian Teicke(ジュリアン・テイッケ氏、写真右)は筆者に語った。

2019年12月、同社のバリュエーションは16億5000 万ドル(約1815億円)だと報じられた。そして同社は、今回の資金調達ラウンドは、史上最大のシリーズCラウンドの1つであり、より具体的には、インシュアテック企業にとって最大のシリーズCラウンドである可能性が高いと述べた。

「既存の大口投資家のほぼ全員が参加しました」とテイッケ氏は語った。OMERS Ventures、G Squared、Mountain Partners、Merian、Horizo​​ns Ventures、Eurazeo、Mubadala Capital、Salesforce Ventures、Speedinvest、CE Innovation Capital、GR Capital、Seedcampはすべて、今回のラウンドに再び参加した。新しい投資家には、FinTLV、Ace & Co、LGT、および関連するインパクト投資プラットフォームの Lightrock、Partners Group、EDBI、Jupiter、Decisive が含まれる。

「私たちは超多額の資金を調達しただけでなく、非常に短期間で資金を調達しました。すべてのコミットメントを得るのに合計4週間かかりました」と、共同創業者でCFOのFabian Wesemann(ファビアン・ベスマン氏、写真左)は筆者に話した。

Wefoxは、規模が拡大するにつれ開発を反復し、より多くの収益を生み出すことができると信じている。次のレベルに到達するには資本が必要だ。「私たちは、インターネット以前の時代には立ち往生していた5兆2000億ドル(約572兆円)の産業に取り組んでいます。私たちにとってのコア市場で業界をディスラプトする方法を見つけました」とテイッケ氏はいう。

だがWefoxは従来の保険会社と何が違うのか。同社は、消費者に直接保険を販売する会社ではない。ほとんどの保険商品は依然として代理店が販売しており、同社はこれがすぐに変わることはないと考えている。

Wefoxが自社の商品を独占的に販売する700の代理店を抱えるのはそのためだ。また、アソシエイトブローカーとも提携しており、約5000社が同社の商品を販売できる。

「業界の人々は、人間の代理店は死んだと言っているようですが、私たちは、人間の代理店がこれまで以上に重要であると考えています」とテイッケ氏は語る。

2020年だけでも、同社は1億4000万ドル(約154億円)の収益を上げた。同社グループの保険キャリアであるWefox Insuranceを見ると、2020 年に黒字となった。グループ全体では「2023 年までに利益を計上する予定です」とベスマン氏は述べた。

この急速な成長率と黒字への明確な道筋の両方が、Wefoxに野心的なロードマップがあることを示している。リヒテンシュタインでライセンスを取得したフルスタック保険会社として、Wefoxはライセンスを他の欧州諸国に持ち込むことができる。同社は現在 5カ国の市場に進出しており、近々イタリアへの拡大に取り組んでいる。

Wefoxは、新しい市場に加え損害保険、ペット保険、健康保険、生命保険などの新しい保険商品の販売を計画している。もしあなたが保険商品について考えているのであれば、Wefox がすでに取り組んでいる可能性がある。「2021年は約20の新しい保険商品を発売します」とテイッケ氏は述べる。

流通は各国で顧客と向き合う現地代理店が分散管理しているが、保険商品は集中管理されている。同社は、収益性によって商品に優先順位を付け、商品リストを上から1つずつ見ていく。

最後に、Wefoxは管理コスト削減に関して野心的な計画を立てている。同社は、共通のプロセスをアルゴリズムによって処理するべく自動化に投資してきた。現在、同社のプロセスの80%は自動で処理される。新商品を立ち上げる際にはプロセスを適応させる必要があるため、これは終わりのないプロセスとなる。

Wefoxは予防にも取り組んでいる。同社は、まず悪いことが起こるのを防ぐために、パリにAI チームを編成した。保険会社ではいつものことだが、カスタマージャーニーのすべてのレイヤーとステップを最適化して、既存の商品とは一線を画すことがすべてだ。

カテゴリー:その他
タグ:Wefox保険資金調達ドイツ

画像クレジット:Wefox

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなどの新興市場では決済、融資、ネオバンクがフィンテック業界を掌握

ここ数年、新興市場ではテック関連の投資が活発に行われており、エコシステムの成長につながっている。

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなど、これらの市場の一部では、それぞれの地域の傾向や投資に関する包括的な報告が出版社や企業により提供されている。しかし、地域間の傾向や投資を比較対照した報告はほとんどみられない。それも当然だろう。このような作業は骨の折れる仕事である。

そうした中、データ調査機関Briter BridgesとインクルーシブテックのグローバルアクセラレーターCatalyst Fundが発表した報告書は、この3市場の最重要セクターであるフィンテックに対して全体像の提示を試みるものだ。

本報告書「新興市場におけるフィンテックの状況レポート」は、新興市場全体にわたって投資、プロダクト、包括性という3つの指標で評価を行っている。

調査はアフリカ、ラテンアメリカ、インドの177のスタートアップと33の投資家を対象に行われた。ここで使用されているサンプルの規模はごく小さなものであるが、鍵となる所見は非常に印象的である。

それでは中身を見ていこう。

フィンテックは2017年以降、地域全体で230億ドル(約2兆5038億円)を資金調達している

新興市場に向けられた投資意欲はとどまるところを知らない。本セクターは過去5年間、前年比で最大の投資を受け続けている。

3億人を超えるアフリカの成人が、銀行口座を持たない世界人口の17%を占めている。2019年にアフリカ大陸でBranch、Tala、World Remit、Interswitch、OPayによる合計7億7500万ドル(約845億円)超に達する5つの大型取引が行われたことは理解に難くない。2020年は3億6200万ドル(約394億円)に低下したものの、Flutterwave、TymeBank、Kudaなどの企業がこの期間にかなりの額を調達している。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカでは、デジタルユーザーの基盤が拡大し、規制と改革が促進され、中小企業が活況を呈している。アフリカ同様、銀行口座を持たない人の割合は70%と高い。この地域のフィンテック企業はその事業機会をとらえ、NuBank、Neon、Konfio、Clipといった企業が享受するメガラウンドを獲得した。これまでの5年間で、フィンテック系スタートアップは合計100億ドル(約1兆886億円)を調達している。

インドのフィンテック系スタートアップは、2019年だけで48億ドル(約5225億円)という記録的な額を調達したことが報告書に記されている。そして2020年、同セクターは30億ドル(約3266億円)を調達し、CRED、Razorpay、Groww、BharatPeなどの著名な大手企業を含む過去5年間の合計額は116億ドル(約1兆2627億円)に達した。

アフリカの平均シードラウンドは100万ドル(約1億885万円)、インドとラテンアメリカの平均は400万ドル(約4億3540万円)

報告書によると、アフリカでの初期段階の取引は過去5年間で累計16億ドル(約1742億円)以上増加している。特にシードラウンドの平均規模は、2017年の75万ドル(約8250万円)から2020年には100万ドル(約1億885万円)に拡大した。

ラテンアメリカにおける過去5年間の平均シード取引額は約570万ドル(約6億2040万円)であったのに対し、インドでは約460万ドル(約5億円)であった。報告書では、後者のデータはCREDの3000万ドル(約33億円)のシードラウンドにより偏りが生じているとしている。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカはIPOに意欲的で、インドはユニコーンを産み、アフリカはM&Aへ向かっている

2020年StripeがPaystackを買収したことは、その規模とナイジェリアのフィンテック系スタートアップの地元出身というステータスにより、アフリカのM&Aのハイライトとなった。その他に大きな話題となったラウンドには、WorldRemitによるWaveの5億ドル(約544億円)の買収(これは大陸で最大のものである)とNetwork InternationalによるDPO Groupの2億8800万ドル(約313億円)の買収がある。

関連記事:インドのスタートアップは2020年に合計9660億円を調達、記録更新ならずも後半回復

アフリカのフィンテック市場ではメガ買収や7桁規模の未公開取引の数々に注目が集まっているが、ラテンアメリカのフィンテック市場ではIPOへの関心が高い。報告書によると、同地域のフィンテック企業は数回にわたり1億ドル(約109億円)のラウンドを行っており(Nubank、PagSeguro、Creditas、BancoInter、Neon)、M&A活動は希薄だ。しかし、Arco Educacao、Stone Pagamentos、Pagseguroなど、その多くが最近上場を果たしている。

一方、インドには25社を超える10億ドル(約1088億円)企業が存在し、毎年増え続けている。先月には8件新たに誕生した。こうしたユニコーン企業は、Paytmのような既存の企業からCREDのような新しい企業まで多岐にわたっている。

決済、クレジット、ネオバンクがフィンテック活動をリード

報告書によると、この3地域では決済企業がフィンテックへの投資の中心となっている。そのサブセット内では、B2B決済が支配的な位置を占めている。次に資金を得たフィンテックのカテゴリーは、クレジットとデジタルバンキングだ。

アフリカでは、決済スタートアップへの投資がクレジットやネオバンクを上回っている。Flutterwave、Chipper Cash、Wave、Paystack、DPOなどが挙げられるだろう。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカで最も資金を得ているフィンテック企業はネオバンクである。また、3つのプロダクトカテゴリーすべてに20億ドル(約2176億円)から30億ドル(約3266億円)の資金が集まっている唯一の地域でもある。そうした企業には、NuBank、Creditas、dLocalなどが名を連ねている。

インドではトップクラスの資金力を持つフィンテック系スタートアップは決済カテゴリーに属している。しかし、Niyo、Lendingkart、InCredのような9桁のラウンドを調達する企業が、クレジットやネオバンクで注目すべき存在となっている。

投資家は保険、決済、デジタル銀行の将来に期待を寄せている

5年後のフィンテックプロダクトの将来動向については、調査対象となった少数の投資家のほとんどが、保険、決済、デジタルバンキングモデルを選択肢としている。

投資プラットフォームや組み込み型モデルにも関心が集まっている。彼らの関心は農業や送金に向けられておらず、ウェルステックプラットフォームやネオバンクも優先順位が低かった。デジタルバンキングとネオバンキングが投資家の選択範囲の両極にあるのはなぜだろうか?確かなことはわからない。

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報告書の一部では、これらの地域で十分なサービスが行き届いていない消費者のことや、フィンテックスタートアップが彼らにどのようにサービスを提供しているかについて述べられている。また、これらのフィンテックスタートアップがファイナンシャルインクルージョンを促進しているかどうか、どのような機能やプロダクトがそれを可能にするかについても論じている。

そのすべてにおいて、アフリカがラテンアメリカとインドに何年も後れをとっているという明白な事実は、目新しい情報ではない。Briter BridgesのディレクターDario Giuliani(ダリオ・ジュリアーニ)氏に話を聞いたところ、アフリカ大陸がラテンアメリカとインドが現在位置しているところに到達するには5年かかるだろうと語っている。同氏はまた、現段階でインドをより良い市場にしているのは、他の市場のように大陸ではなく、オペレーションが一律的であるからだと付け加えた。

「アフリカの54カ国やラテンアメリカの20カ国よりも、1つの国を管理する方が容易です」と同氏はTechCrunchに語った。「アフリカでは、私たちは『アフリカ』というラベルを使いながら、4~6カ国にわたって言及します。ラテンアメリカでは基本的にブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアの4カ国で大手企業が台頭しています。一方、インドは1カ国です」。

同報告書によると、新興市場のほとんどのフィンテック企業は、作物保険、流通業者やベンダー向けのクレジットライン、KYC、電子商取引決済ゲートウェイ、医療金融、保険といったさまざまな分野に進出しているという。ジュリアーニ氏は、この状況が今後も続くと予想している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:アフリカラテンアメリカインド投資決済クレジットカード保険銀行金融

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

いまビッグテックの評価額はあまりにも大きくて、驚くことさえ忘れてしまう

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

TechCrunch は、公開市場には力を注いではいない。注目しているのはスタートアップだ。しかし、公開テック企業たちは、時に、より広い範囲のテクノロジー市場がどのように機能しているかに関する、興味深い洞察を提供することができる。だから私たちは、すでにIPOにたどり着いた「元」スタートアップたちにも、MVA(最小実行可能注意)と呼べる程度の注意を向けている。

そこで、ビッグテックたちの登場だ。米国では、その名前はよく知られている。Facebook(フェイスブック)、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)だ。そして、2021年第1四半期の市場にスタートアップたちの成長が熱かったことを示す一連の結果の中で、ビッグテックたちも 同様に驚異的な結果を残した。彼らの結果に関する私たちの報告はここここで読むことができるが、それはストーリーのほんの一部に過ぎない。

ご存知の通り、ビッグテックの業績は良好だった ── まあここしばらくはずっとそうだったのだが ── しかし、いつものような決算の数字が氾濫する中で、ビッグテックの最近の業績がいかに評価額に衝撃的な貢献しているのかということが忘れられていた。

Microsoftの2020年3月の株価は、1株あたり135ドル(約1万4800円)程度まで下落した。それが今は252ドル(約2万7500円)の価値があり、さらに上昇へ向かっている。同様にAlphabetは1株あたり1070ドル(約11万7000円)程度まで下がったが、現在、検索の巨人は1株あたり2410ドル(約26万3400円)の価値となっている。

巨大な株価評価の結果として、現在Appleが2.21兆ドル(約241兆6億円)、Microsoftは1.88兆ドル(約205兆5000億円)、Amazonは1.76兆ドル(約192兆4000億円)、Alphabetは1.60兆ドル(約174兆9000億円)、Facebookは0.93兆ドル(約101兆6000億円)の価値がある。5社を合わせると8.4兆ドル(約918兆1000億円)くらいだ。

2017の7月を振り返ってみよう、私はそのとき、彼らの総計額が3兆ドルに達したことを書いている。それが2018年半ばには4兆ドルになって 、そして、その後3年かそこらで、それは再び倍以上になったのだ。

何故だろう?

Yahoo FinanceのMyles Udland(マイルス・ウランド)記者は、そのパズルの一部について先週記事を書いている。ウランド記者の記事より:

そして、ほぼすべての収益のストーリーがこの同じ筋に従っているようにみえるが、データもまたこれが私たちの単なる想像ではないことを裏付けている。これまでの企業の収益はこうした期待値から大きく外れては来なかった。

木曜日(米国時間4月29日)に発表されたRefinitivからのデータは、企業が推定値を打ち破った割合を示したが、木曜日の朝までに判明した結果が、期待を上回った規模は記録的なものだったのだ。

つまり各社の収益は、巷の予測をより頻繁に、そしてより大きな差をつけて、これまで以上に裏切っているというのだろうか?そうだとすれば、最近の株式市場評価に対する懸念は減るものと思われる。そしてそれは、なぜスタートアップたちがヨーロッパ同様に、最近米国でも多額の資金を調達できたのか、なぜ非公開市場の投資家がフィンテックスタートアップに多くの資金を注いでいるのかの理由を説明するのに役立つ。そしてそれがおそらく、Zomatoが公開に向かい、私たちがロビンフッドの公開を心待ちにしている理由だ。

これはまるで、市場に参加している企業たちが、絶好調であるかのような現象だ。ただし、終わらないビジネスサイクルはないし、永遠に続くブームもないことは忘れないように。

インシュアテックの状況

さて、フィンテックの資金調達に関するThe Exchangeの最近の記事や、先々週のインシュアテックスタートアップラウンドに関するまとめ記事に加えて、より大きなフィンテック業界の一部として眺めることができる、インシュアテックのスタートアップニッチに関していくつかのメモをお届けしよう。

今回私たちは、Accel(アクセル)のJohn Locke(ジョン・ロック)氏から、最近さらに増資を行ったThe Zebra(ゼブラ)への投資と、インシュアテック業界についての話を聞いた。

私たちはZebraのようなインシュアテックマーケットプレイスが、2020年非常に多くの資金を調達できた理由を質問した。ロック氏によれば、それは「保険会社たちが[…]ついに市場を受け入れ、市場と統合された消費者体験をデザインする意思がある」こと「比較ショッピング」をおこなう消費者が増えたこと、そして成長と収益の質の組み合わせによるものだという。

ロック氏によると、Zebraは「売上は1億2000万ドル(約131億2000万円)以上で、100%以上の成長を続けています」とのことだ。つまり、その気になれば、いつでも公開できるということだ。

しかし、その点についていえば、公開保険会社のなかには株式市場で弱みを見せているものもいくつかあった。ロック氏はそれを懸念しているだろうか?彼は中立から前向きな姿勢であり、彼の会社は「市場のすべての企業がうまく行くとは考えていないが、それでも『インシュアテック』が、今後10年間は既存勢力から市場シェアを奪い続けるだろうと考えている」という。もっともな意見だ。

そしてAccelは、他社同様に、この分野でさらに多くの取引を検討している。ロック氏は、2021年のインシュアテック投資のベンチャー市場は、2020年よりも「間違いなく積極的です」と語った。

その他のことなど

最後に、私たちが取り上げて来なかったことに関するいくつかのメモを:

  • まず、Productboard(プロダクトボード)が7200万ドル(約78億7000万円)のシリーズCを終了した。なによりまず、それは巨大なラウンドだ。第2に、ご想像通り、その取引を主導したのはTigerだ。第3に、この製品管理ソフトウェア会社(Productboard)は現在、約4000の顧客を擁している。それは大きな数だ。この会社を「これから2年以内にIPOを行う会社リスト」に追加しておいて欲しい。
  • 中国の自転車シェアリングスタートアップHello(ハロー)が米国で公開される。米国時間5月3日に、またこの話題に戻るつもりだが、そのF-1申請書類はここにある。2020年の売上高は9億2630万ドル(約1012億4000万円)となり、売上総利益は1億960万ドル(約119億8000万円)になった、これにより、これまでの累積純損失は1億737万ドル(約189億9000万円)となった。びっくりだ。
  • 先週はDarktrace(ダークトレース)が公開された。私がその会社を知っているのは、私が好きなF1チームのスポンサーだからだが、ついに英国上場企業として私たちの世界にも登場した。そして、Deliveroo(デリバルー)が成功したあと、Darktraceの上場の驚異的な成功によって、英国は1週間前よりもさらに魅力的な上場場所になる可能性がある。
  • そして。ついにドローン配達時代やってくるのだろうか?英国で上場しているベンチャーキャピタルグループDraper Espritが、Manna(マンナ)の2500万ドルのラウンドを主導した。Mannaはアイルランドで無人ドローンを使った食事配達を行おうとしている。「Mannaは、より環境に配慮し、より静かで、より安全で、かつより迅速な配送サービスを貪欲に追求しています」とUKTNが書いている

長く奇妙な1週間だった。さて最後にThe Exchange執筆チームの2人目のメンバーであるAnna Heim(アンナ・ハイム)記者のフォローをお願いしておきたい。オーケー!ではまた来週!

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険株価

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

年金や生命保険を提供するファイナンシャルアドバイザーに特化したプラットフォームの米Signal Advisorsが約11億円調達

Signal Advisorsはファイナンシャルアドバイザーに特化したフィナンシャルプラットフォームを構築しており、General CatalystのBrian Ru(ブライアン・ルー)氏とHemant Taneja(ヘマント・タネジャ)氏が率いるシリーズAにて1000万ドル(約11億円)を調達したと発表した。この資金調達は、2020年にDetroit Venture Partners、Ludlow Ventures、General Catalystなどから調達した600万ドル(約6億5000万円)のシードラウンドに追加されたものだ。

ミシガンに拠点を置くAnnox Capitalの新しい取役員兼マネージングパートナーであるRobert Mylod(ロバート・ミロッド)は声明で「これまでにも、ファイナンシャルアドバイザーの代わりになるような技術に多くの資本が投入されてきました。しかしはるかに大きな可能性となるのは、アドバイザーに力を与える技術を構築することです」と述べている。

SignalはPatrick Kelly(パトリック・ケリー)CEO氏のファイナンシャルアドバイザーとしての経歴を元に設立された。その中でケリー氏はファイナンシャルアドバイザー、特に独立して年金や生命保険を提供するアドバイザーのためのエンド・ツー・エンドプラットフォームの必要性を発見した。同社のソリューションにより、これらのアドバイザーは従来の代理店を通さずに、年金の販売を簡素化することができる。同社の製品はコミッションをリアルタイムで追跡し、キャリアの支払いに先立って支払いを進めることができるという。

Signal Advisorsの共同設立者兼CEOであるPat Kelly(パット・ケリー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「当社が年金商品の販売を開始したのは、現在のアドバイザーにはこの技術に関する優れた選択肢がないからです」「しかし、これは始まりに過ぎません。私たちは独立したファイナンシャルアドバイザーに統合されたプラットフォームを提供したいと考えています。顧客はクライアントのニーズにかかわらず、テクノロジーとサービスによるシームレスな体験を提供することができるのです」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Signal Advisors資金調達保険

画像クレジット:Signal Advisors

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:塚本直樹 / Twitter

従業員2人の企業から2万人の企業まで柔軟な福利厚生の実現を支援するLevelが約29億円調達

従業員への福利厚生に関するより柔軟な方法を企業に提供することを目指しているスタートアップLevel(レベル)は、Khosla VenturesとLightspeed Venture PartnersがリードしたシリーズAラウンドで2700万ドル(約29億円)を調達した。

既存投資家のFirst Round Capital、HomebrewとともにOperator Collectiveと一流のエンジェル投資家も参加した。本ラウンドでLevelのバリュエーションは「9桁」となったと報じられたが、同社は具体的に明らかにしなかった。

2018年に創業され、ニューヨークに拠点を置くLevelは、雇用者と被雇用者が福利厚生を最大限に活用するのをサポートすべく、フレキシブルなネットワークとリアルタイムの請求を通じて「ゼロから保険を再構築」していると話す。

雇用者は、あらゆる治療の費用を100%カバーするオファーなどのように保険プランをカスタマイズできる。同社はまた、保険請求を4時間で処理することができるとうたう。

「従来の保険会社が請求を処理するのにかかる30〜60日に比べると、かなりのスピードです」と創業者でCEOのPaul Aaron(ポール・アーロン)氏は話した。同氏はSquareの最初の従業員の1人であり、Oscar Healthでネットワークチームを率いた経験がある。そして決済業界におけるいくつかの特許を持つ発案者でもある。

Levelはまず雇用者が保障する歯科治療のプランを2019年夏に立ち上げ、その年の秋にベータ版の顧客に提供を開始した。そして現在は眼科のプランも提供している。同社はIntercom、Udemy、KeepTruckin、Thistleなどを含む企業1万社超を顧客に抱え、顧客企業はLevelのプラットフォームを通じて治療の費用を払ってきた。

「保険はわかりにくく、不平等だと感じることが多いものです。ネットワークによって利用できる医療機関が限定され、請求には数週間かかり、思う以上に手間がかかります」とアーロン氏は話した。「保険での支払いは他の商品の購入と同じくらい簡単であるべきだと思います」。

Levelはフルスタックアプローチを取っていて、自動化された査定からリアルタイムの福利厚生分析までエンド・ツー・エンドのツールを構築している、と同社は話す。

「中小企業が充実した福利厚生を提供するのをサポートする」ことを目的に、同社は新しい保険プロダクトを立ち上げる計画だ。充実した福利厚生は通常、大企業だけが提供できる。Levelはまた、雇用者が毎月決まった額を払った後、使っていない福利厚生のお金を取り戻すのをサポートすることも目指している。究極的には、従業員2人という企業から2万人という企業まで、あらゆるサイズの企業がより良い福利厚生を自社の従業員に提供できるようにする一連のプロダクトを展開できるようになるのが最終目標だ。

Levelは、歯科と眼科の自家保険プロダクトでは企業が従業員により広範なカバーを提供できる一方で、企業は福利厚生予算を20%減らせる、と主張する。

「雇用者は福利厚生にかなりの金を使い、雇用者も被雇用者も十分に恩恵を受けていません」とLightspeed Venture PartnersのJana Messerschmidt(ヤナ・メッサーシュミット)氏は声明で述べた。「あらゆる規模の事業者は、人々が給料をその他のことに使えるようにする革新的な福利厚生で人材を獲得する必要があります。Levelははるかに優れた雇用体験を提供し、払うだけの価値があります」。

一方、 KhoslaのSamir Kaul(サミル・カウル)氏は「Square Cashが個人間の決済のためにしていること」をLevelは保険と福利厚生でできると確信している、と述べた。

投資家のFirst Round Capitalは完全保険からLevelに切り替えることで47%節約できたと主張する。そしてThistleはLevelへの切り替えで41%節約できたと話している

カテゴリー:その他
タグ:Level資金調達福利厚生保険

画像クレジット:Level early team:Vikas Unnava, founder & CEO Paul Aaron, Ashley Koh / Level

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動トラックRivianga全米40州で自社保険プログラムを立ち上げ

電動トラックのスタートアップRivianは、米国時間4月15日木曜日にRivian Insuranceプログラムの詳細を発表した。この保険は、同社のデジタル注文プロセスに統合される予定だ。

この保険は当初、40の州で提供される予定だ。「アドベンチャー・ビークル」企業としてのRivianのマーケティングに沿って、顧客は自宅やボート、ダート・バイク、キャンピングカーなどのレクリエーション設備をカバーするオプションもある。同社が保険プログラムを開始するという計画は、1年以上前に求人広告が発見されて初めてリークされた。

この保険サービスが際立っているのは、Rivian車両プラットフォームとDriver+セーフティスイートの統合だ。同社はブログ記事の中で、この統合により「カスタマイズされたデータベースの補償」を提供できると述べている。Rivian Insuranceを選択した顧客には、Driver+の割引料金が適用される。ドライバーはさらに、RivianのActive Driver Assistanceソフトウェアを使用することで割引を受けることができる、別のプログラムも選択できる。

これは、2021年後半に初の電動ピックアップを市場に投入することを計画しているRivianにとって、賢明な動きだ。Tesla(テスラ)と同様に、RivianはRivian Collision CenterとService Centerですべての作業を自社で行うことで、顧客がシームレスな保険プログラムに魅力を感じるようになると考えているようだ。Rivian Insuranceはベテランに続く新規参入者の一例だが、実は大きな利点がある。なぜなら、Tesla Insuranceが利用できるのはカリフォルニア州のオーナーだけだからだ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian保険カリフォルニア電気自動車トラック

画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

中小企業向け保険テックのNext Insuranceが276.8億円を調達、1年足らずで評価額を4428億円超に倍増

Next Insurance(ネクストインシュアランス)は先日、2億5000万ドル(約276億8000万円)の資金調達ラウンドを実施したと発表し、SMB(中小企業)に特化した保険プロバイダーの評価額は40億ドル(約4428億2000万円)となった。同社は前回、2020年9月にも2億5000万ドル(約276億8000万円)を調達しており、その時の評価額は20億ドル(約2214億1000万円)だった。今回の資金調達は、Next Insuranceが2020年12月にJuniper Labsを買収し、さらに最近では2021年3月初めにAP Integoを買収した後のことだ。

Next Insuranceは、さまざまなクラスの労働者を対象に、多数のカテゴリー(労災、商用自動車、一般賠償責任など)にまたがる中小企業向けの保険を販売している。例えば、フィットネス企業や建設関係などを考えてみて欲しい。つまり同社の狙いは、異なるカテゴリーや業界に対応した保険料を設定できるモデルで無数の中小企業を取り込み、時間をかけて他の商品にアップセルすることで、総収入保険料(GWP:gross written premium)をスケールすることにある。

Next Insuranceの新ラウンドと新しい評価額は、インシュアテック分野全体にとって興味深い時期に来ている。テクノロジーを駆使した次世代保険のニッチ分野で早期に公開されたレンタル保険のユニコーン、Lemonade(レモネード)の株価は当初に比べ落ち着いてきた。

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Lemonadeのデビュー以来、Root Insurance(ルートインシュアランス)のIPOも我々は見てきた。この自動車保険スタートアップの場合は、投資家の予想を上回る成長を遂げたにもかかわらず株価が下落し、訴訟を起こされるなど、デビュー以来苦戦を強いられている。MetroMile(メトロマイル)も自動車保険に特化したネオ保険会社で、SPAC主導の組み合わせで上場したが、取引を開始してから若干の不調が続いている。住宅保険に特化したHippo(ヒッポ)は、50億ドル(約5535億3000万円)の評価額でSPACを介して上場する意向だ

これらの数字の中には、オプティミズムもあれば、精彩を欠いた取引結果もある。どのように捉えるかは、人によって異なるだろう。

しかし、Next Insuranceの投資家たちはゴーサインを出している。そして、同社の市場全体が多少混乱していたとしても、彼らの熱意は見当違いではないと信じられる理由がある。

Nextは、前回のラウンド後の半年間でGWPが2倍になったと述べている。それを踏まえると、評価額が2倍になったのはある程度妥当に思われる。個人投資家がGWPの倍率で株を買ってくれたのなら、倍の価格で再調達し、会社が継続的に成長している間にGWPをさらに倍にしない理由があるだろうか。

では現在のNextの規模はどのくらいなのだろうか?2020年2月に同社のGWPランレートは1億ドル(約110億7000万円)に達した。そして2021年の2月には、GWPランレートが2億ドル(約221億4000万円)に達している。つまり、Next Insuranceとの買収取引が発表された時点で約1億8500万ドル(約204億8000万)の有効保険料を計上していたAP Integoの事業を除き、それより数カ月ぶん大きくなっているということだ。

この数字を明確にするために、TechCrunchはNext Insuranceに連絡を取り、GWPを2倍にした時期と、AP Integoとの契約が数字にカウントされるようになった時期の詳細を聞いた。CEOのGuy Goldstein(ガイ・ゴールドスタイン)氏からのメールによると、GWPの2倍という指標は「2020年の数字に関連しており、AP Integoの買収前に算出されたもの」とのこと。つまり現時点で同社は、以前に発表した2億ドル(約221億4000万円)のGWPランレートをはるかに超えていると推測される。

さらにTechCrunchはSPACブームについて触れ、そのような公開市場への急速な道筋を避けるつもりがあるのかどうか質問した。ゴールドスタイン氏はそれに対し「当社は常に選択肢を検討していますが、今のところはビジネスの成長に主眼を置いています」と答えた。

答えは「ノー」ということか。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Next Insurance資金調達保険

画像クレジット:PeopleImages / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

経営者賠償責任保険を扱うCounterpartがテスラ・スペースXの初期投資家などから10.9億円調達

インシュアテックのスタートアップCounterpart(カウンターパート)は、Valor Equity Partnersが主導したラウンドで1000万ドル(約10億9000万円)の資金を調達した。それに加え、Susa VenturesとFelicis Venturesも参加した。Counterpartは、「management liability(経営者賠償責任保険)」市場に注力している。またCounterpartは、Markel Corporationの特殊保険商品部門であるMarkel Specialtyと提携して経営者賠償責任保険商品を提供する予定だ。

これまでOscar(オスカー)、Lemonade(レモネード)、Root(ルート)などのインシュアテックのスタートアップは、個人向け保険に参入してきた。Counterpartによると、3000億ドル(約32兆6000億円)規模の企業向け保険市場に取り組む新興企業はあまり見られないという。

Counterpartは、同様に中小企業向け賠償責任保険を提供している、そして6億3100万ドル(約685億4000万円)を調達したNext Insuranceだけでなく、AIGやBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)などのような大手保険会社とも競合している。

Counterpartは申請書の提出から補償内容の選択、拘束、クレーム管理、損害防止に至るまでのプロセスの多くをデジタル化していることから、米国の一部のホールセール・ブローカーが中小企業の保険加入に利用している。Counterpartによるとこの市場は、保険金請求のコストや深刻度が増加し、プロセスのデジタル化が進んでいないため、保険会社にとっては魅力のない市場になっているとのこと。

創業者兼CEOのTanner Hackett(タナー・ハケット)氏は、声明の中で次のように述べている。「1.2兆ドル(約130.3兆円)規模の保険業界では、デジタル革命が起こっています。当社は、我々が独自の専門性を有する重要な保険分野である経営者賠償責任に、大きなチャンスを見出しました」。

Valor Equity PartnersのパートナーでCounterpartの取締役であるJon Shulkin(ジョン・シュルキン)氏はこう述べた。「Counterpartのプラットフォームは従来の保険会社の範疇を超えており、ビジネス関係者が昨今の非常にチャレンジングな経営環境をナビゲートする際に役立つ洞察力、ツール、サービスを兼ね備えています」。

Valor Equity Partnersは、Tesla(テスラ)、SpaceX(スペースX)、Addepar、そしてGoPuffの初期投資家だった。SusaはこれまでにRobinhood(ロビンフッド)、PolicyGenius、Newfront Insuranceを支援してきた。Felicisは、Hippo(ヒッポ)、Plaid(プレイド)、Credit Karma(クレジットカルマ)に出資している。

関連記事:中小企業向けに保険を提供するHuckleberryがバークシャー・ハサウェイと提携

カテゴリー:フィンテック
タグ:保険 資金調達

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

中小企業向けに保険を提供するHuckleberryがバークシャー・ハサウェイと提携

中小企業向けにさまざまな保険を提供するインシュアテック企業のHuckleberryは、Berkshire Hathaway GUARD(バークシャー・ハサウェイ・GUARD)との提携を発表した。同スタートアップにとって、これはこれまでで最大規模の提携となる。

Bryan O’Connell(ブライアン・オコンネル)氏が共同設立したスタートアップであるHuckleberryは、この1年でいくつか大きな動きを見せた。同社は2017年に、オンラインポータルを介して中小企業に労働者災害補償保険と一般賠償責任保険を提供し、これらの企業が適切な保険を探し出す際の手間を大幅に削減した。

サンフランシスコを拠点とするHuckleberryは2020年、物理的な拠点を倍増させ、サイバー保険、自動車保険、アンブレラ保険など、5つの新しい保険を商品群に加えた。

さらにHuckleberryはニューヨークに移転し、オハイオ州コロンバスにもHQ2と呼ばれるオフィスを開設している。オコンネル氏によるとニューヨークへの移転は、フィンテック分野の人材が急増している同地域でこのスタートアップを位置づけるためだという。

この新しいパートナーシップと過去1年間のHuckleberryの成長により、新たなチームメンバーを迎え入れ、2022年初頭までに100人体制にする計画だ。さらに、Bill Kaper(ビル・ケイパー)氏がCTO(最高技術責任者)として就任した。ケイパー氏はRoot Insuranceでエンジニアリング担当バイスプレジデントを務め、200人以上のエンジニアからなるチームを監督していた。Huckleberryはまた、元JettyのBraden Davis(ブレーデン・デイビス)氏を最高保険責任者に指名した。

同社は2019年12月にシリーズAで1800万ドル(約20億円)を調達しており、これにはTribe Capital、Amaranthine、Crosslink Capital、Uncork Capitalなどが参加している。

新規雇用とバークシャー・ハサウェイとの提携による勢いで、Huckleberryはより高リスクな保険カテゴリーに進出できるだろう。

カテゴリー:その他
タグ:Huckleberry保険Berkshire Hathaway

画像クレジット:Huckleberry

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(文:Jordan Crook、翻訳:塚本直樹 / Twitter

マイアミのAsteyaが小企業オーナーやギグワーカー向け「収入保険」商品を発売、保険に人間らしさをもたらす

フロリダ州マイアミ拠点のAsteya(アステヤ)は小企業オーナーやギグワーカーを対象とした就業不能保険のスタートアップだ。このほど1000万ドル(約10億9000万円)のシードラウンドを終えて開業した。共同ファウンダーでCEOのAlex Williamson(アレックス・ウィリアムソン)氏は、元Bumbleの最高ブランド責任者で、Asteyaを「収入保険」のスタートアップと称している。

発表は2021年2月のBumbleのIPOに続くもので、Bumbleの元幹部たちは、現金を手にしたら自分たちで次のユニコーンを設立できると考えていたのだろう。

Bumble在籍中、ウィリアムソン氏は治療休暇を取得した。「Bumbleが私の医療休暇に対してあれほど寛容でなかったら、就業不能保険が必要だったでしょう」と彼女は語った。

関連記事:マッチングサービスBumbleが1株43ドルでIPO

Alex Williamson氏 画像クレジット:Asteya

同氏によると、米国の雇用主の51%が従業員向けに不就業保険をかけている。残りの49%では、労働者は自分に何かが起きても保護されない。昨今の移り変わりの激しい環境に働く人々は、その多くが中小企業オーナーとギグワーカー、フリーランスだ。Asteyaが最初のプロダクトでターゲットにするのがこのカテゴリーだ。同社は、月額6ドル(約650円)からのかけ金で、最大50万ドル(約5450万円)の一括払い補償を提供する。

病気になり、回復するまで休暇を取る必要があるとき、家賃をどうやって払おうか、その他の定常的支払いをどうするかを心配することは、それ自体が苦痛である。

「財務状態が不安定になると、助けを求めることに集中できなくなります」とウィリアムソン氏がTechCrunchに語った。

就業不能保険に入っていない人が病気になったときは、国に就業不能申請することができる。大きな違いは、就業不能保険は直ちに支払いが行われることで、国の就業不能補償は政府の承認が下りてからしか支払われず、手続きは煩雑で数カ月かかるといわれている。自分で申請しようとした人の多くが承認を得られず、結局弁護士を使う結果になる。そして、その支払金額は、月額数百ドル(数万円)から数千ドル(数十万円)にすぎず、承認されてから6カ月経ってから始まる。

申し込み、そして承認されるまで、Asteyaの就業不能保険では数分しかかからない、と同社はいう。他の多くのスタートアップと同じく、Asteyaは官僚的しがらみで知られる分野に手間いらずのアプローチを持ち込むことで、保険に人間らしさをもたらす機会を見据えている、とウィリアムソン氏は語った。

一般に女性は就業不能保険の保険料が男性と比べて著しく高いため、企業にとって雇用が高くつくことになり、女性求職者にとって不必要な困難が加わる。ニューヨーク州とマサチューセッツ州は、2019年にそのような保険契約を違法とした数少ない州であり、Asteyaはそれに倣い、最初の商品をジェンダーニュートラルにした、とウィリアムソン氏は語った。

同社はManaging General Agent(MGA、総代理店)および仲介のライセンスを保有しており、このMGAライセンスを通じて、保険契約書はすべて保険大手のMunich Re(ミュンヘン再保険)およびLloyd’s of London(ロイズ・オブ・ロンドン)を経由して発行される。簡単にいえば、もしスタートアップが成功しなくても、あなたの補償は影響を受けない。

ウィリアムソン氏の人脈と創業メンバーを考えれば、開業前に資金を揃えられたこともうなづける。そしてBumbleのファウンダーでCEOのWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウルフ・ハード)氏は、エンジェル投資家でもある。

調達ラウンドには、他にI2BF Venters、CapitalFactory、Cap Meridian Ventures、Northstar.vc、Atrum、およびエンジェル投資家のGeeta Sankappanavar(ジータ・サンカッパナバー)氏らが参加した。

同社は今後に向けて、長期就業不能者向けの商品や、既往症のある人たちを対象にした商品を計画している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Asteya保険マイアミ

画像クレジット:Asteya

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンク出資のインド保険プラットフォームPolicybazaarが81.7億円調達、UAEと中東に事業拡大

インドのオンライン保険プラットフォームPolicybazaar(ポリシーバザール)は7500万ドル(約81億7000万円)を調達し、UAE(アラブ首長国連邦)と中東に事業を拡大しようとしている。

CEOのSarbvir Singh(サーブビール・シン)氏は、同社は7500万ドルを調達したが、苦労しなかったとTechCrunchに語った。調査会社Tracxnによると、Falcon Edge Capitalがラウンドをリードし、Policybazaarの累計調達額は6億3000万ドル(約686億円)になった。

ソフトバンクグループのビジョンファンドやTiger Globalから出資を受けている創業12年のPolicybazaarは、州や銀行が支援する保険会社が牛耳っているインドの保険マーケットをひっくり返そうと試みている一握りのスタートアップの1社だ。

Policybazaarはユーザーが保険を比較して購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。従来のエージェントを通さずにウェブサイト上で数十の保険会社の生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、損害保険などをカバーしている。

Policybazaarのウェブサイトのスクリーンショット

人口13億人のインドでは、ほんのわずかな人だけが保険にアクセスしていて、デジタル企業は保険サービスを大衆に提供することの重要さを証明するかもしれないと一部のアナリストは話す。ICRA(インターネット・コンテンツ・レイティング協会)によると、2017年時点で保険商品は人口の3%弱に提供された。

世界銀行によると、インド人の平均年間所得は2100ドル(約22万8000円)だ。その中で保険を購入した人は2017年に50ドル(約5400円)弱を支出したとICRAは推定した。

Bernsteinのアナリストは直近のレポートで、Policybazaarがオンライン保険販売マーケットのシェア90%を握っていると推計した。Policybazaarはまたローンやクレジットカード、投資信託の商品も販売している。1カ月あたり100万の商品を販売していると同社は話す。

「インドは保険浸透不足のマーケットです。そうした中で、Policybazaarのようなウェブアグリゲーターを通じたデジタル販売は同産業の1%以下を担っています。これは成長する余地が大いにあることを示しています」とBernsteinのアナリストはクライアント向けに書いた。

2022年に予定するIPOに取り組んでいるPolicybazaarは、調達した資金をUAEと中東地域での事業拡大に使うと話した。

「Policybazaarはインドのオンライン保険アグリゲーション分野のマーケットリーダーとしての地位を確立する中で、輝かしいイノベーション、実行、そして絶え間ない努力を示してきました。同社が保険会社のために最も効率的な販売チャンネルにいた過去10年で確立した戦略はGCCでマーケットリーダーシップを獲得するための触媒として作用すると確信しています」とFalcon Edge Capitalの共同創業者Navroz Udwadia(ナブロズ・ウドワディア)氏は声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Policybazaarインド資金調達保険ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

保険業界向けコミュニケーションツールのHi Marleyが約27億円調達

もしあなたが保険会社に保険金を請求しなければならなかったことがあるなら、それが楽しいものではないことを知っているはずだ。往々にして電話をかけてオペレーターにつながるまで延々と待たされる。そしてもし自動車保険や住宅保険の保険金を請求しなければならなかったことがあるなら、保険会社やさまざまなベンダーと行ったり来たりのやり取りにかなり時間をとられることを知っているはずだ。

Hi Marley(ハイ・マーリー)は保険契約者とテキストで「シームレス」にコミュニケーションを取る方法を保険会社に提供することで、保険業界のコミュニケーションを近代化することを目指しているボストン拠点のスタートアップだ。同社はSMSプラットフォームを拡大すべく、2500万ドル(約27億円)のシリーズBラウンドをクローズした。

Hi Marleyはそのコミュニケーションチャンネルにクルマの修理やレンタルの企業など他のベンダーも含めている。目標は、保険会社が保険請求をより早く処理できるようサポートするのに加えて、保険契約者を満足させ、他の保険会社に乗り換えないようにすることだ。

CEOで共同創業者のMike Greene(マイク・グリーン)氏によると、同社サービスはアプリのプラットフォームであり、APIでもあり、そして保険会社に「重要な知見を提供するために」GuidewireやDuckといった他の基幹システムを統合している高機能なレイヤーでもある。同社のウェブサイトによると、Hi Marleyのメッセージソリューションは「保険エクスペリエンスに関わる全員を1つのリアルタイム会話で同時につなげる」一方で、保険請求や引き受け、保険契約者サービスやり取りに関するコミュニケーションを合理化することだ。

需要はある。新型コロナウイルスのパンデミックによって多くの人がデジタルに移行せざるを得なくなり、新たなコミュニケーション方法に対する消費者の需要はさらに高まった。2020年Hi Marleyのプラットフォームを活用した保険会社の数は倍になり、ユーザーベースは4倍になったとグリーン氏は話した。現在はAmerican Family、MetLife、Auto-Owners、Erie、MAPFREなどを含む顧客企業40社超と協業している。

「水平展開のチャットソリューションと異なり、当社は保険会社とそのエコシステムパートナーのために全体をカバーするコミュニケーションレイヤーに取り組んでいます」とグリーン氏はTechCrunchに語った。

同氏はこの業界に馴染みがないわけではなく、保険分野で何年も働いた。以前Futurity Groupを共同創業して率い、同社はP&C保険のパフォーマンスのモニターと改善にフォーカスしているソフトウェアとサービスの会社AONに買収された

Emergence CapitalがシリーズBラウンドをリードし、Hi Marleyが2017年以来調達した額は計4170万ドル(約45億5000万円)になった。既存投資家のUnderscore、True Ventures、Bain Capital Ventures、GreenspringもシリーズBに参加し、新規投資家としてBrewer Laneが加わった。

Emergence Capitalの創業者でゼネラルパートナーのGordon Ritter(ゴードン・リッター)氏は、同社が「しばらくの間」保険分野で次のアイコン的産業クラウド企業を探すのに注力してきたと述べた。同氏はHi Marleyの役員にもなった。

「(同氏が2013年に成功的なIPOに導いた企業)Veevaは同じ方法でCRMから、製薬会社を動かす追加のソフトウェアソリューションへと拡大し、我々は引き続き産業全体を動かすことができる特定の分野に特化したソリューションを構築しているスタートアップに積極的です」とリッター氏は話した。

歴史的に保険は必要悪とみなされてきて、純粋に安全とセキュリティのために購入されると同氏は付け加えた。そして今日の環境では「古い」コミュニケーション戦略を使っている保険会社はパフォーマンスが落ち込むと同氏は考えている。

「まさかのときに保険会社とやり取りする体験が、不快というわけではなくても理想的なものではなかった、ということに多くの人が賛成するでしょう」とリッター氏は語った。同氏の家族は保険分野の出身だ。「しかしマイクは無関心やネガティブな評判をひっくり返したいと考えています。マイクは保険を愛すべきものにしようと懸命になっています。最終顧客に便益をもたらすための保険会社とエコシステムの間の新しいコミュニケーションファブリックが必要とされています」。

Hi Marleyは今後、調達した資金を新機能の構築やプラットフォームの拡大、(当然のことながら)新規採用などに使う計画だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hi Marley資金調達保険

画像クレジット:JGI/Jamie Gill / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハイテク株の下落が続く、被害はソフトウェアやインシュアテックも含む広範囲に

米国時間3月5日、これまで高値を維持していたソフトウェア会社の株さえもが下落し、ハイテク株がさらに打撃を受けた。

1年間太陽の下で楽しんできたセクターにとって、最近の取引は市場の崇拝期間に穴を開けるものだ。市場がハイテク株の評価を見直しているというのは早計だが、今回の下落は重要なポイントに達しており、注意しなければならない。

関連記事:再び上昇するSaaSの評価額に何が起きているのか?

この記事を書いている時点で、ハイテク株の多いNASDAQ総合指数は、前回の下落に続いてこの日も1.2%下落している。今や有名になったアークイノベーションETF(上場投資信託)は6.5%下落しており、テックセクターで注目すべき下落銘柄のリストは非常に長くなっている。

市場心理の変化は、最近の結果を見ても明らかだ。ここでは、テック系のNASDAQ総合指数を見てみよう。

NASDAQ総合指数の52週高値:14,175.12
米国時間3月5日のNASDAQ総合指数:12,561.13
変動率:-11.4%

そしてSaaSやクラウド株だけで考えると被害は激化する。この分野を追跡しているBessemer cloud index(ベッセマー・クラウドインデックス)を見てみよう。

ベッセマー・クラウド・インデックスの52週高値:2,884.23
米国時間3月5日のベッセマー・クラウド・インデックス:2,185.62
変動率:-24.2%

簡単に言えば、NASDAQは玉整理に入っており、SaaS株は弱気相場の領域に達しているということだ。両者とも最近の高値維持から大きく転換した。

ソフトウェアだけではない

米国時間3月4日のTechCrunch編集室では、もう1つのネオ保険会社であるHippo(ヒッポ)の株式公開を前に、インシュアテック(保険テクノロジー)株の価値が急落していることを指摘した記事が書かれていた。

SPAC主導によるHippoの株式上場は、ウォームマーケットに着地しないだろう。米国時間3月5日の同時代の企業は以下のようになっている。

Lemonade(レモネード)の52週高値:188.30ドル
Lemonadeの現在の株価:84.72ドル
変動率:-55.0%

Root Insurance(ルートインシュアランス)52週高値:29.48ドル
Root Insuranceの現在の株価:12.38ドル
変動率:-58.0%

MetroMile(メトロマイル)の52週高値:20.39ドル
MetroMileの現在の株価:10.04ドル
変動率:-50.8%

被害は広範囲に及ぶ。最近のIPOの成功事例であるSnowflake(スノーフレーク)は米国時間3月4日、収益が前年同期の8800万ドル(約95億5000万円)から、直近の四半期では1億9000万ドル(約206億円)に成長したと発表した。そして、その株式は翌日、7%以上下がっている。

この評価の変化がほんの一過性のものなのか、それとも風向きが落ち着いた変化なのか、その判断は読者におまかせする。しかし、外部ではまた違った反応が見られる。

スタートアップ企業にとって、これらはすべて悪いニュースだ。2020年には好調だった企業価値が、2021年にその輝きが失われると、後期ステージの価値が圧縮される可能性があり、シリーズAやBラウンドでは成長を続けたスタートアップの上昇傾向が制限されることになるかもしれない。しかし、そのような影響は市場には及ばないため、まだ状況が変わると判断するのは早いだろう。

それでも、すべての個人投資家は、自分たちの案件についてはイグジットに目を向けている。そのイグジットが突然縮小した場合、次の投資では非常に多くの利益を得ることに関心が向く可能性が高くなる。

カテゴリー:その他
タグ:インシュアテック株式市場SaaS

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

旧来の保険代理店にテクノロジーを提供するInsurGridがプレシード投資で約1.4億円を調達

保険代理店は、事務処理や電話による顧客情報の収集に何時間も費やしている。シードステージの新しいスタートアップであるInsurGrid(インシュアグリッド)は、そのような作業の負担を軽減し、もっと容易に代理店が既存の顧客にサービスを提供したり、新たな顧客を獲得できるようにするソフトウェアソリューションを開発した。

InsurGridは、保険代理店に顧客の生年月日、運転免許証情報、保険証券申告書などの情報を収集するためのパーソナライズされたプラットフォームを提供する。このプラットフォームは、代理店の従業員が長い時間電話したり、何度もeメールのやり取りをしなくても、すべての顧客の異なる情報を1カ所で理解できるようにするものだ。これは不動産や損害保険の管理から始まっている。

InsurGridは85の保険会社と統合しており、プロバイダーの代わりにソフトウェアレイヤーを提供する。InsurGridのプラットフォームを使用して、保険会社は顧客に情報をアップロードするように依頼するだけで、数秒で契約者として登録できる。これは本質的に、保険会社が顧客の情報にアクセスし、より迅速に見積もりを提供するために使用できる「生きた名刺ホルダー」となる。

画像クレジット:InsurGrid

より良いサービスを提供することは金銭的な利益になる。InsurGridを利用しているEden Insurance(エデン保険)によれば、プラットフォームを介して情報を提出した人々は、そうでない人よりも、82%高い率で成約に至るという。エデン保険代理店オーナーのJeremy Eden(ジェレミー・エデン)氏は、既存のレートよりも保険料が300ドル(約3万2500円)安いプランを提示できるようになったと述べている。

InsurGridの中心にあるのは、旧来の保険代理店が行き詰まっているという創業チームの主張である。同社の共同創業者で最高経営責任者を務めるChase Beach(チェイス・ビーチ)氏は、米国の年間損害保険料6840億ドル(約74兆1500億円)の大部分が、1万6000の保険会社で働く約80万人の代理業者に分配されていると指摘している。これまでのところ、InsurGridはこれらのうち150以上の代理店と提携している。

インシュアテック企業大手のHippo(ヒッポ)やLemonade(レモネード)、Root(ルート)と同様に、InsurGridに独自の保険を提供する計画があったかと訊かれると、ビーチ氏は今のところ販売周りのプロセスを革新することのみに取り組んでいると答えた。最近株式を公開したかあるいは公開を計画しているこれらの大企業は、まだ成功するために代理店に依存していると、ビーチ氏は語る。

「私たちが保険代理店に取って代わるのではなく、Hippoや大手キャリアと同じレベルのテクノロジーを代理店に提供したらどうでしょうか」と、ビーチ氏はいう。「そして、2021年に競争できるようにデジタル体験を提供したらどうでしょう」。

時間が経つにつれて、保険代理店はファイナンシャルアドバイザーや不動産業者のように「専門家として、プロセスに大いに関わる」役割を担うようになると、ビーチ氏は見ている。

この分野に進出した他のスタートアップには、Gabi(ガビ)、Trellis(トレリス)、Canopy Connect(キャノピー・コネクト)などがあるが、その中でInsurGridを差別化する要因は、ビーチ氏が144年の歴史がある旧来の保険出身であることだと、チームは見ている。この経歴はビーチ氏に、成功に導く効果的なやり方で代理店に販売する方法について、重要な洞察力を与えた。InsurGridは販売から始めているが、将来的には保険に関わるプロセスの他の部分にも拡大していくようだ。

新旧のスタートアップ企業に対抗するため、InsurGridは最近、プレシード投資で130万ドル(約1億4100万円)を調達した。この資金は同社の「弱者のための弱者」になるという目標を達成するために使われると、ビーチ氏は述べている。その投資家には、Engineering Capital(エンジニアリング・キャピタル)、Hustle Fund(ハッスル・ファンド)、Vess Capital(ベス・キャピタル)、Sahil Lavingia(サヒル・ラビンギア)氏、Trevor Kienzle(トレバー・キンツレ)氏などが名を連ねている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:InsurGrid保険資金調達

画像クレジット:Anton Eine / EyeEm / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投資家たちはいまだにソフトウェアが大好きだ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

最近の市場の不安定さにもかかわらず、ここ数四半期の間にソフトウェア企業一般が享受してきた評価額は、すばらしいものだった。米国時間3月5日の記事では、なぜそうなったのか、そして評価額が他のものよりも少々バブル的になっている可能性があるのはどこなのかについて検討した。Battery Venturesの何人かの投資家が書いたレポートでは、その理由を、SaaS市場の中央部が評価額インフレーションのピークを迎えているからかもしれないとしている。

もしスタートアップの成長率が低下している場合に注意しなければならない。しかし、今回の記事では、私は失望や心配の材料の代わりに、いくつかの歴史的に注目すべきデータを持って来て、現代の良いソフトウェアスタートアップやその大規模な兄弟たちが、現在どのようにそのデータに当てはまるのかを示すことにする。

表の解読にあまり興味がない読者のために、時間の節約をすることにしよう。表の一番右上に示されているのは、現在年率10%未満で成長しているSaaS企業は、次の12カ月間の収益の平均6.9倍で取引されているということだ。

これが2011年の段階では、40%以上の成長率を持つSaaS企業の取引額は、次の12カ月の収益の6.0倍だった。景気は変わるが、ソフトウェアの評価額は例外のようだ。

Battery Venturesとの会話からもう1つ紹介しよう。その投資家であるBrandon Gleklen(ブランドン・グレックレン)氏は、ARR(年間経常収益)の定義と現代の市場におけるそのニュアンスについて、The Exchangeに言及した。より多くのSaaS企業が従来のSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)の価格設定を、従量型の価格設定に変更する中で、同氏はARRの定義について細かいことを書くことは避け、ソフトウェアの収益においてとにかく重要なのは、ソフトウェアの収益が長期的に維持され、成長するかどうかであると主張した。これで次の話題に移ることができる。

従量型とSaaS型の価格設定

ここ数週間、公開ソフトウェア企業の業績報告会に、何度も参加している。何度も繰り返し登場するテーマの1つが、従量型価格設定と従来のSaaS型価格設定の対比だ。利用量に基いた価格設定のソフトウェア企業の方が、平均よりも高い顧客定着率のおかげで、従来型の価格設定のソフトウェア企業よりも高い価格で取引されていることを示すデータもある。

しかし、話はそれだけではない。Fastly(ファストリー)のCEOであるJoshua Bixby(ジョシュア・ビクスビー)氏と同社の業績報告後に行ったチャットでは、私たちは従量型課金がより魅力的な場所とそうでない場所の間の、市場の興味深い区別を取り上げて話し合った。ビクスビー氏によれば、Fastlyは、大規模な顧客が従量型の価格設定を好むのは、変動に耐える余裕があり、請求をより密接に収益に結びつけることを好むからだと見ているという。とはいえ、より小規模な顧客は、従来のSaaS型の課金を好むとビクスビー氏は述べている。なぜならそちらは支払額をきっちり予測できるからだ。

私は最近この議論を、Open View PartnersのKyle Poyar(カイル・ポイヤー)氏に投げかけた(同氏は、ここ数週間TechCrunchにこのトピックについて書いているベンチャー業界人だ)。彼は、場合によっては逆のこともあるという、価格が固定されていないことで、開発者が大規模なコミットメントをしなくても製品をテストできることが多いため、中小企業にもアピールできるとの指摘だ。

そのため、おそらくソフトウェア市場では、小規模な顧客たちは、必要量を把握している場合にはSaaS型の価格設定を選択し、まず実験をしたい場合には従量型価格設定を選択するということになるのではないだろうか。また大企業では、支出が収益と連動している場合には、従量型価格への関心が高まる。

SaaSの価格設定の進化は遅々としたもので、決して完全なものにもならない。しかし、みんながそれを本当に考えている。Appian(アピアン)のCEOであるMatt Calkins(マット・カルキン)氏は、価格設定の一般的なテーゼとして、価格は提供される価値以下に留まるべきだと考えている。従量型とSaaS型のトピックを尋ねられて、彼は少しためらったが、現在の価格設定の行われかたについては「完全に満足している」わけではないと答えた。彼は「顧客価値をよりよく代表してくれる」価格設定を望んでいるが、それ以上の発言をすることは拒んだ。

もしこうしたことを考えないまま、スタートアップを運営しているとするなら、この先はどうするつもりだろうか?このトピックについてはこれからも、従量型的なShopify(ショッピファイ)よりも、SaaS型に賭けているBigCommerce(ビッグコマース)CEOとのインタビューのメモを含め、さらに多くの情報をお届けする予定だ。

Next Insuranceとその変化する市場

Next Insurance(ネクスト・インシュアランス)は先週、別の会社を買収した。今回買収したのはAP Intego(APインテゴ)で、このことによってデジタルファーストの中小保険会社であるNext Insuranceには、さまざまな給与計算会社が顧客として加わることになる。Next InsuranceについてはTechCrunchがその成長について何度か書いているので、お馴染みかと思う。例えば、同社は2020年にはプレミアムランレートを2倍の2億ドル(約216億7000万円)に引き上げている。

AP Integoの買収により、ネオ保険会社のNext Insuranceには1億8510万ドル(約200億5700万円)のアクティブプレミアムがもたらされる。つまり2021年の同社は、自然成長を計算にいれなくても、現時点ですでに急成長を遂げていることになる。このNext Insuranceの取引と目前に迫ったHippo(ヒッポ)のSPACは、非公開市場でのホットな話題ではあるが、一方インシュアテックの公開市場における熱は少々失われている。

Root(ルート)、Lemonade(レモネード)、MetroMile(メトロマイル)のような公開ネオ保険会社の株式は、ここ数週間でかなりの価値を失っている。そのため、Next InsuranceやHippoのような(急速なプレミアム成長を支えている多額の資本を持つ、未公開インシュアテックのスタートアップ)企業たちのエグジットの状況は、悪い方向へと変わりつつある。

HippoはSPACを使って公開を行うことを決めた。しかし私は、Next Insuranceは物事がスムーズに進むようになるまで、公開への道を急ぐとは思っていない。同社は2020年9月に2億5000万ドル(約270億9000万円)を調達しており、株式公開を急ぐ必要はない。

その他のことなど

さて他には?1億ドル(約108億円)ARR(年間経常収益)クラブの会員であるSisense(サイセンス)が新しいCFOを採用した。よって、私たちは彼らが今後4~5四半期以内には上場すると予想している。

そして、以下のチャートは、SPAC Alphaから出されて、NASDAQ(ナスダック)、そしてLux CapitalのDeena Shakir(ディーナ・シャキール)氏を経由して引用したものだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険SaaS

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)