RightHandが約76億円を調達、白熱する倉庫ロボティクス分野に資金投入

新型コロナウイルス、サプライチェーン問題、人手不足、Amazon(アマゾン)。物流ロボット化に興奮する理由は数多く、そして今も増えている。RightHand Robotics(ライトハンド・ロボティクス)は、ウイルス感染流行によって事態が加速するかなり前から注目を集め、GV、Menlo(メンロ)、Playground Global(プレイグラウンド・グローバル)などの投資家からかなりの資金を調達していた。

そして多くの新規参入者とは異なり、ボストンを拠点とする同社は、そのピック&プレース・システムですでに多くの実働時間を記録している。その中で最も新しいシステムである「RightPick 3(ライトピック3)」は、日本の卸売業者であるPaltac(パルタック)や、欧州でオンライン薬局を展開するapo.com Group(アポ・ドットコム・グループ)を、国際的な顧客として抱えている。

同社は先週、6600万ドル(約76億円)のシリーズC資金調達を発表した。Safar Partners(サファー・パートナーズ)、Thomas H. Lee Partners, L.P.(トーマス・H・リー・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)が主導したこの新ラウンドで、同社がこれまで調達した資金総額は約1億ドル(約115億円)となった。今回のラウンドには、GVとMenloも再び参加した他、Zebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)、Epson(エプソン)、Global Brain F-Prime Capital(グローバル・ブレイン・Fプライム・キャピタル)、Matrix Partners(マトリックス・パートナーズ)、そしてTony Fadell(トニー・ファデル)氏の会社であるFuture Shape(フューチャー・シェイプ)が出資に加わった。

なかでもゼブラは興味深いパートナーだ。同社は自社開発のロボットを提供していることに加え、2021年の中頃には倉庫ロボットのスタートアップ企業であるFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を2億9000万ドル(約335億円)で買収している。

「Zebra Technologiesは、世界中の企業がサプライチェーンをデジタル化・自動化して、現場の労働者を補強できるよう、積極的に投資とソリューションの提供を行ってきました」と、同社のZebra Ventures(ゼブラ・ベンチャーズ)部門でマネージング・ディレクターを務めるTony Palcheck(トニー・パルチェック)氏は述べている。「消費財、小売、物流などの業界の顧客にとって、重要なのは、速く、正確に、安全に、コストを抑えて、注文を処理できることです。RightHand Roboticsは、これらの効率化の達成を支援します」。

今回調達した資金は、雇用、オフィススペースの確保、世界規模でのさらなる拡大など、一般的な用途に充てられる予定だ。

画像クレジット:RightHand Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スタテンアイランドFCのAmazonワーカーの組合投票は2022年3月の予定

計画どおりいけば、来月、2022年3月下旬にAmazonのスタテンアイランドFC(フルフィルメントセンター)の労働者が待望の組合投票を行なう。対面式の選挙は、アラバマ州ベッセマーにある同社の倉庫で行われている郵便による再投票の集大成と同じ3月25日から30日に予定されている。

元ニューヨーク市ニューヨーク区のJFK8倉庫の従業員で、現在はAmazon労働組合(Amazon Labor Union)の議長であるChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏が認めるのは、Amazonがこの投票に関して全国労働関係委員会(National Labor Relations Board、NLRB)と合意に達したことだ。同社はその経過をテキストメッセージで社員に確認し、1カ月以上前から「ノー」と投票することを勧めていた。

それは、今後確実にこのリテール大手の強力な反組合運動となるものの始まりだ。Amazonは2021年4月の投票に向けて攻撃的な戦術をとった。そして結局は、社内メールボックスや「ノーに投票しよう」の看板などが小売卸百貨店組合の異議不服を買うに十分となり、今回の再投票に至った。スタテンアイランドの投票は、JKF8の従業員独自の長期的活動の成果だ。

時間を無駄にするな‼

その巨大な倉庫では2020年に事態が過熱し、ニューヨーク市における新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最初の波が高まっている間、エッセンシャルワーカーの労働条件に従業員たちが抗議した。当時アシスタントマネージャーだったスモールズ氏は、ストライキを率いた日に解雇された。同社は彼のことを、新型コロナウイルス感染症の安全規約に違反したと非難した。噂によると同社は、その直後にスモールズ反対キャンペーンを開始した。

10月にAmazon労働組合は、すでに同社のスタテンアイランドのすべての倉庫を含む投票を推していたが、署名が得られず撤回した。代わりに、今回の最新の投票は同区の最大のFCであるJFK8に集中する。12月にはシカゴのFCのワーカーたちが、倉庫の労働条件に対する反発の盛り上がりの一環として独自のストライキを主催した。

実質的に、この国の2つの異なる場所で大規模な投票が行われるようになったことが象徴的に示すものから、確かにAmazonは逃げられなかった。同社は長年組合の結成に抵抗し、長年の否定的な報道にもひるまず、FCの労働者は公正に扱われていると主張していた。2つの投票までの数週間は大量の激論が続くだろうが、特に激しいのは、リアルで行われるニューヨークの投票だろう。

TechCrunchはAmazonとAmazon労働組合とNLRBにコメントを求めている。

画像クレジット:ANGELA WEISS/AFP/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

倉庫のフォークリフトをロボットで自動化するVecnaが74.5億円調達

倉庫の自動化を急ぐ中で、フォークリフトの存在を無視することはできない。重い荷物を持ち上げるためにはもちろん重機が必要だが、こうしたシステムは事故に巻き込まれることで有名で、米国だけでも毎年数万件のフォークリフト事故が報告されている。

マサチューセッツ州に本社を置くVecna Robotics(ベクナ・ロボティクス)は、パレット移動などのフォークリフト中心の倉庫作業に自動化を導入しようとしている企業の1つだ。パンデミックが米国で流行する直前の2020年1月に実施したシリーズBですでに5000万ドル(約57億2000万円)を調達し、結果資金調達額は6000万ドル(約68億7000万円)を超えていた。この数字は今回のシリーズCで倍以上となった。

(ということで、もちろん)Tiger Global Managementが6500万ドル(約74億5000万円)のラウンドをリードし、既存の投資家であるBlackhorn Ventures、Highland Capital Partners、Tectonic Ventures、Drive Capital、Fontinalis Partnersに加え、新たにLineage Logistics、Proficio Capital Partners、Impulseなどが参加した。

同社は前回のラウンドの資金で、CEOのCraig Malloy(クレイグ・マロイ)氏やCMOのJosh Kivenko(ジョシュ・キベンコ)氏を含むかなりの数の人材を採用していた。この新たな資金が何に使われるのかについて、キベンコ氏は次のように語っている。

世界中で50億台以上のパレットが500万台以上のフォークリフトと500万人近くの手動オペレーターによって動かされているので、自動化された資材ハンドリングには成長の余地が十分にあるのです。今回のような著名で支援的な投資家グループが主導するこの投資を使うことで、工場や倉庫のような資材ハンドリング環境におけるスループット向上への飽くなき要求に応えるために、ロードマップを加速しより迅速に市場にソリューションを提供することが可能になります。

Vecnaによれば、今回の資金はソフトウェアおよびハードウェアの研究開発、注文の確実な処理、事業の拡大に使用されるという。同社が、新型コロナウイルスのパンデミックと広がる人材不足のために、投資家から関心が高まっているロボット企業の1つであることは間違いない。

画像クレジット:Vecna Robotics

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(文:Brian Heater 、翻訳:sako)

ボストン・ダイナミクスの倉庫ロボットがDHLから約17.2億円の業務を受注

2021年3月、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は同社2番目の商用ロボット「Stretch(ストレッチ)」を発表した。箱を動かす見事なHandleコンセプトを元に作られたこのシステムは、同社の先進ロボティクス技術を倉庫・物流の舞台へと推し進めるために作られた。現在、ロボティクスで最も注目されている分野だ。

関連記事:Boston Dynamicsが恐竜的2輪ロボットで倉庫業務をデモ

米国時間1月26日、Hyundai(現代、ヒョンデ)傘下のBoston Dyanamicsは、同社初の法人顧客となる大物企業との提携を発表した。物流の巨人DHL(ディー・エイチ・エル)は、Boston Dynamicsのロボットを北米の事業所に配置する、1500万ドル(約17億2000万円)の複数年契約(両社にいわせると「投資」)を完了した。購入されるロボットの台数は明らかにされていないが、Boston Dynamicsは、今後3年間にわたり、DHL物流センターにロボット「集団」を納入するという。

Stretchは、トラックから積荷を降ろす作業から始める。発表時に製作者たちが主要な部分として強調していた機能だ。その後、他の作業も加えていき荷物処理システムの自動化を推進していく予定だ。

CEOのRobert Plater(ロパート・プレーター)氏は次のように語った。「StretchはBoston Dynamicsの最新型ロボットで、倉庫内の課題解決に特化して作られています。DHL Supply Chain(DHLサプライ・チェーン)とともに当社のロボット集団を展開し、倉庫作業の自動化を進め、そこで働く人たちの安全性を高める取り組みができることを大変うれしく思っています。私たちはStretchがDHLの事業活動に意味のある影響を与えると信じており、大規模なロボット集団が仕事をするところを見るのを楽しみにしています。

この提携は、Boston Dynamicsが現在推進している四足歩行ロボットSpot(スポット)を超えるビジネス目標の土台を築く鍵となる。荷物処理は労働集約的で極めて反復の多い重労働であり、長時間の緊張を強いられ障害点も多い。これは、商業化推進を目論むHyundai傘下の同社にとって大きな試金石だ。

一方、DHLにとっては、肉体労働力確保が困難な時期に、物流作業の一部を自動化できる好機だ。これは、配送事業を侵食しつつあるAmazon(アマゾン)らと競合する中、同社が完全オートメーション化を進めるチャンスでもある。

画像クレジット:Boston Dymamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

倉庫のストレージ密度を高めるロボットシステムExotecが約383億円を調達

フランスのスタートアップExotec(エグゾテック)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のGrowth Equity事業がリードするシリーズDラウンドで3億3500万ドル(約383億円)を調達した。これによりExotecの評価額は20億ドル(約2292億円)に達した。

Exotecは、通常の倉庫を部分的に自動化された物流プラットフォームに変えるための完全なエンド・ツー・エンド・ソリューションを販売している。人による作業の一部を代替するハードウェアとソフトウェアのソリューションだ。

83NorthとDell Technologies Capitalも資金調達ラウンドに参加した。Exotecのこれまでの投資家には、Bpifrance、Iris Capital、360 Capital Partners、Breegaが含まれる。BreegaやBpifranceのLarge Venture fund、Iris Capitalなどは2回目の投資となった。

画像クレジット:Exotec

Exotecシステムの主要コンポーネントは、Skypodsと呼ばれるものだ。この目立たないロボットは自律的に床を動き回る。目指している棚に近づくと、棚を登って容器を取り、それを持って降りてくることができる。地上数メートルの場所に商品を保管できるため、倉庫のストレージ密度を高めるのに特に有効だ。

その後、Skypodは人間のオペレーターが容器から正しい製品をピックアップできるよう、容器をピッキングステーションまで運ぶ。そしてロボットは棚に行き、容器を元のところに戻すことができる。

このシナリオでは、人間はもう倉庫内を歩き回る必要はない。ピッキング、パッキング、そして製品の入出庫の確認に集中することができる。新製品、新しい棚、新しいSkypodを追加する場合、Exotecは可能な限り柔軟に対応するよう心がけている。

新しいラックを追加したい場合、もう一度ゼロから始めることなくインフラを拡張することができる。同様に、ExotecではシステムにSkypodを追加することが可能だ。そして、商品の配送を受けるとExotecはここでもSkypodsを頼りにフルフィルメントセンターに商品を保管する。

SkypodsからSkypickersへ

標準化された容器システムにより、Exotecは1つの容器に複数の製品を収納することができる。その容器の中には18個の商品が入っているかもしれないが、顧客はおそらく全部ではなくその中の1個、2個、3個を求めている。Exotecは注文をまとめるために大きな容器の中の小さな容器を単純に空にすることができないのはそのためだ。

Exotecは、注文プロセスのもう1つのステップから人間を排除するために、新しいロボットを作った。Exotecの顧客はSkypickersを使って、在庫の容器から商品を自動的にピックアップし、出荷準備の整った容器に入れることができる。

動作は以下の動画で確認できる。

「現代における最も重大なサプライチェーンの崩壊を受け、イノベーションの余地しか残されていません」と、共同創業者でCEOのRomain Moulin(ロマン・ムーラン)氏は声明で述べた。「ロジスティクス分野全体に不確実性が満ちている中、最も一般的な課題の1つは継続的な労働力不足です。Exotecは新しい道を切り開きます。それは、人とロボットのエレガントなコラボレーションによって、耐久性のある、はるかに持続可能な方法で倉庫の生産性を実現することです」。

Exotecは、自社製品を人間に完全に取って代わることのできないサービスとして常に位置づけている。同社の倉庫は、人間とロボットの組み合わせで運営されている。しかし、Skypickersのおかげで同社は厳しい労働市場においてロジスティクスで優位性を持っている。

今回の資金調達で、同社は2025年までにエンジニア500人を雇用し、引き続き北米事業を推進する予定だ。最近、GapやGeodisなど北米地域の大口顧客8社と契約した。DecathlonもモントリオールのフルフィルメントセンターでExotecを使用している。

画像クレジット:Exotec

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾン倉庫従業員に組合参加の是非を問う再投票は、2月に郵便投票で実施

全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)は米国時間1月11日、Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫の従業員に労働組合参加の是非を問う2回目の投票について、詳細を発表した。今回の再投票は、USPSの郵便投票によって行われる計画で、2月4日に郵送され、3月28日に集計される予定だ。

2021年、NLRBの第10地域の責任者は、組合結成に反対するAmazonが圧倒的な勝利を収めたことを受け、2回目の投票を行うと発表した。NLRBが発行した通知の中で、同組織は次のように記している。

2021年2月8日に始まった選挙は、雇用主が職場の正面玄関のすぐ外に投票用郵便箱を設置させたり、義務的な会議中に従業員の支持を不適切に調査するなど、選挙手続きに不正な行為が見られたことから、雇用主が従業員の自由で合理的な選択の行使を妨害したと全国労働関係委員会が判断したため、無効となりました。それゆえに、この「第2回選挙の通知」の条件に従って、新たな選挙が行われます。すべての投票資格者は、改正された全国労働関係法(National Labor Relations Act)が、いかなる関係者による干渉からも自由に、自分の思うとおりに投票する権利を彼らに与え、この権利の行使を保護するものであることを理解するべきです。

2回目の投票を行うという判決は、Amazonが敷地内に投票用郵便箱を設置したり、現場周辺に「vote no(反対に投票しよう)」という看板を設置したりしたことが投票を妨害したという小売・卸売・百貨店労働組合(RWDSU)からの苦情を受けて出されたものだ。Amazonはかねてより、組合結成の失敗は同社のフルフィルメントセンターで働く従業員の意思を反映したものだと主張している。

同社の広報担当者は当時「当社の従業員は常に組合に加入するかどうかの選択権を持っており、2022年初めには圧倒的多数がRWDSUに加入しないことを選択しました。今回、NLRBがこれらの票を数えるべきではないと判断したことは残念です」と、TechCrunchに述べていた。

RWDSUは最初の投票の際に、新型コロナウイルス感染の懸念や投票者に対する強制力の可能性などから、直接投票を行うことに疑問を呈していた。今回の投票は無記名投票で行われる。

RWDSUは、1月11日朝に報じられたニュースを受けて、TechCrunchに以下の声明を提供した。

最初の組合選挙ではAmazonの不正行為が結果を大きく汚したため、NLRBはその結果を覆し、アラバマ州ベッセマー倉庫の労働者のために2回目の選挙を指示しました。私たちは、今回の決定が、新たな選挙でAmazonが不愉快な行為を続けることを十分に防止できないのではないかと深く懸念しています。私たちはNLRBに、今回の選挙手続きを労働者にとってより公平なものにすることができるいくつかの改善策を提案しましたが、本日発表された選挙通知では取り上げられていませんでした。労働者の声は、公正かつ自由であるべき選挙をコントロールしようとするAmazonの無制限な力に邪魔されることなく、公正に聞かれるべきであり、私たちは引き続きAmazonの行動に対する責任を追及していきます。

Amazonはこのニュースに対しても「当社の従業員は常に組合に加入するかどうかの選択肢を持っており、2021年は圧倒的多数がRWDSUに加入しないことを選択しました。我々のBHM1(アラバマ州ベッセマー倉庫)で働くチームが再び声を上げてくれることを楽しみにしています」と、TechCrunchに語った。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンの倉庫で働く従業員が、待遇改善を求めてクリスマス前にストライキ

米国時間12月22日、シカゴ近郊にあるAmazon(アマゾン)の2つの施設で働く数十人の倉庫労働者が、1年で最も忙しい時期にクリスマス前のストライキを行い、待遇改善と賃上げを要求した。

「私たちは昇給を見送られ、人員が足りているときでさえ過重労働させられています」。シセロにあるDLN2施設の従業員は、Amazonの従業員団体「Amazonians United(アマゾニアンズ・ユナイテッド)」のシカゴ支部が配信したライブストリームで語った。「約束していたボーナスを受け取っていません。正社員として雇われていたのに、バッジを取り上げられて臨時従業員にされてしまった人もいます。アマゾンはこの場所に安全でない人員を配置し、必要以上に人々を忙しく働かせています」。

午前1時20分から午前11時50分まで働くこれらの労働者は、時給5ドル(約570円)の昇給も要求している。アマゾンがTechCrunchに語ったところによると、ストライキを行った2つの施設、シセロのDLN2とゲージパークのDIL3では、現在の初任給は時給15.80ドル(約1800円)だという。Amazonians Unitedの発言者は、同施設では新型コロナウイルス対策として20分の休憩時間が設けられていたが、これが15分に短縮されたとも述べている。しかし、ウイルス感染流行はまだ終わっておらず、特にオミクロン変異株が広がっている。発言者によると、前日にはシセロの施設で検査を受けた3人の労働者が陽性反応を示したという。

ストライキを起こす前に、労働者たちは自分たちの要求を記載した嘆願書を経営陣に提示したが、それに対する回答が得られなかったため、今回のストライキに至ったと述べている。

発言者は、経営陣からストライキに参加する者は「バッジを置いていったほうがいい」と言われたとも主張している。つまり、もう戻って来られないという意味だ。

民間企業が、ストライキを行った従業員に対して措置を取ることは違法である。しかし、従業員がストライキ後に戻ってみると、スケジュールが空白になっていたり、その日はもう退社したことになっていたりといったことが報告されたため、ストライキ参加者の間では報復を懸念する声が上がっていた。

「当社は、従業員が抗議行動をする権利を尊重し、その法的権利を認識しています。当社では、従業員に一級の給与、他に引けを取らない福利厚生、そして会社とともに成長する機会を提供していることを誇りに思っています」と、アマゾンの広報担当者は、TechCrunchの取材に対して述べている。

アマゾンの担当者は、今回のストライキに参加したことで解雇や停職になった労働者はいないと付け加えた。同社によると、労働者は抗議しても報復は受けないと、繰り返し安心させられたという。

しかし、全米各地でアマゾンの労働者は、同社が労働者の組織化を制圧しようとしていると非難している。2020年、Amazonians Unitedの共同設立者であるJonathan Bailey(ジョナサン・ベイリー)氏は、組織化を行った同氏に報復したことで、アマゾンが労働法に違反していると、全米労働関係委員会(NLRB)に訴えを起こした。ベイリー氏はストライキを組織した後、マネージャーに90分間拘束され、尋問を受けたと述べている。NLRBはこれらの申し立てに価値があると判断し、アマゾンを連邦機関に提訴した。同社は和解し、和解条項の一環として、従業員には団結権があることを、メールや物理的な掲示板で再認識させるよう求められていた。

NBC Newsによると、ベイリー氏の訴えは、2020年2月から2021年3月までの間にNLRBに提出されたアマゾンに対する37件の提訴のうちの1件だったという。しかし、この和解のわずか数カ月後、アマゾンはスタテン島の従業員が休憩室で組合を呼びかける文書を配布するのを、違法に阻止したことが判明した。

アマゾンの社員さえも、同社に対してNLRBに苦情を申し立てている。9月には、新型コロナウイルス感染流行発生時に倉庫労働者を擁護したために解雇された、元シアトル本社勤務のMaren Costa(マレン・コスタ)氏とEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏の申し立てにアマゾンが和解した。この和解案では、アマゾンはコスタ氏とカニンガム氏に失われた賃金を補償するとともに、従業員がアマゾンの問題について発言する権利を改めて通知することが求められた。

しかし、ここ数週間で、緊張はさらに高まっている。米国時間12月10日、イリノイ州エドワーズビルでは、竜巻によってDLI4の施設が破壊され、アマゾンの従業員6名が死亡した。アマゾンでは長年、倉庫内での携帯電話の携行が禁止されていたが、新型コロナウイルス感染流行の際にはこの方針を緩和した。しかし最近になって、アマゾンはこの方針を復活させており、そのため、米国気象局が避難を呼びかける緊急警報を出しても、アマゾンの従業員の中には、致命的な嵐が近づいていることを知る手段を持たなかった人もいた。

全国の施設で働くアマゾンの従業員が報酬や条件の改善を求めている中、この大手電子商取引企業は1年で最も忙しい時期を迎えている。

「私たちは、すべての人がクリスマスプレゼントを手にし、すべての人が荷物を手にすることができるように懸命に働きます」と、シカゴの倉庫で働く労働者は、FOX 32 Chicago(フォックス32シカゴ)に語った。「しかし、わかるでしょう、私たちはただ公平に扱われたいのです。それだけです」。

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

倉庫用ロボットのスタートアップForwardXがシリーズCで約35億円調達

倉庫内に設置されたForwardXのAMRロボット

北京に本社を置き、自律移動型ロボット(AMR)を製造するForwardX Robotics(フォワードX・ロボティクス)は、世界的な事業拡大を目指し、シリーズC資金調達ラウンドの最初のトランシェをクローズしたことを米国時間12月14日に発表した。

同社の最高執行責任者(COO)であるYaxin Guan(ヤクシン・グァン)は、TechCrunchのインタビューの中で、投資家が中国の倉庫業や製造業のロボットメーカーに声をかけている時期に、同社はシリーズCラウンドの残りの資金を調達していると述べた。

今回の新たな投資により、Oracle(オラクル)の元副社長であるNicolas Chee(ニコラス・チー)氏が2016年に同社を設立して以来、ForwardXの調達総額は約1億ドル(約113億円)に達した。同社は、資金調達後の評価額や、シリーズC全体でいくらかき集める予定なのかについては明らかにしていない。

C1ラウンドは、中国の保険会社であるTaikang Life Insurance(泰康人寿)が主導し、Qualcomm Ventures(クアルコム・ベンチャーズ)と、業界のアップグレードに焦点を当てた中国のアーリーステージの投資会社であるStarlight Capital(スターライト・キャピタル)が参加した。

2014年、Qalcommは、インターネット、eコマース、半導体、健康、教育などのモバイル技術を推進する中国のスタートアップ企業に1億5000万ドル(約170億円)を出資することを発表している。

ForwardXは現在、別の大手サプライヤーのチップを使用しているが、チップメーカーの大手が参加することで「5G技術のリーダーと協力して、スマート倉庫や製造プロジェクトでの5Gの使用をさらに進めることができる」と同社は述べている。

今回の資金調達により、中国のスタートアップ企業は、研究開発のタイムラインを加速し、米国などの「主要市場」での展開能力を高め、新しい市場での販売を拡大する計画だ。

現在、同社の収益の大部分は中国からのもので、eコマース大手のJD.com(JDドットコム)や、DHLと提携している物流大手のSF Supply Chain China(SFサプライ・チェーン・チャイナ)が主な顧客となっている。グァン氏によると、このロボットメーカーはこれまでに、JD.comの倉庫で500万件以上のピッキングを行ってきたという。

他の中国のロボットベンチャー企業と同様に、ForwardXも海外市場への進出を着実に進めている。すでに東京にオフィスを開設し、米国支社の設立を予定している他、2022年にはヨーロッパへの進出も計画している。

つまり、Locus Robotics(ローカス・ロボティクス)や6 River Systems(6リバー・システムズ)などの米国企業を狙っているのだ。競合するために、同社のソリューションは「競争力のあるハードウェアコストと、そのソリューションにおける1人当たりに必要なロボット数」により、競合他社よりも少ない初期投資で済むと主張している。同社のロボットは、1台あたり最大1200kgの荷物を運ぶことができる。

ForwardXは、AMRソリューションを販売するだけでなく、自動車送迎のプラットフォームがドライバーの生産性を最適化するために使用しているアルゴリズムのように、ロボットが倉庫内をどのように歩き回るかを決定できるフリート管理システムも売りにしている。

LiDARとディープラーニングを搭載したロボットのおかげで、作業員は歩き回るよりもピッキングに時間を割くことができ、新入社員は倉庫内のどこに何があるかを覚える必要がなくなるとグァン氏は説明してくれた。

中国のハイテク企業は、海外で規制当局の監視を受けることが多くなっている。「ビジネスの観点」から見ると、同氏は米中関係の悪化が同社の米国進出の足かせになるとは考えていない。

「米国では人手がさらに少なくなっているので、物流の顧客が米国で必要としているのはロボットなのです」と語った。

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

AWSが新しいロボットフリート管理支援プログラム、ロボティクスアクセラレーターを開始

AWSのフラッグシップカンファレンス「re:Invent」の開幕にあたり、クラウドコンピューティングの巨人である同社は米国時間11月29日、大規模なロボットフリートの共同作業を支援するアプリケーションを構築するための新サービス「AWS IoT RoboRunner(IoTロボランナー)」を発表した。この新サービスは、Amazon(アマゾン)が自社の倉庫で利用しているようなロボットフリートを運用するために必要な、作業およびフリート管理アプリケーションを構築するためのインフラを提供することを目指している。

また、同社は新しいロボティクスアクセラレータープログラムを発表した。

RoboRunnerは、さまざまなメーカーのロボットと統合するアプリケーションの構築や、アプリケーションのライフサイクルの管理を支援する。AWSは、現在、異なるベンダーのロボットを単一のシステムに統合することは困難であり、企業はロボットを管理するために多くのサイロを抱えていると論じている。

画像クレジット:AWS

RoboRunnerは開発者に対して、フリート全体の集中的なデータリポジトリを提供するとともに、特定の施設内のすべての目的地をモデル化するためのレジストリや、これらのロボットが実行するすべてのタスクを記録するためのレジストリを提供する。

このサービスがターゲットとしているのは、無人搬送車、移動ロボット、ロボットアームなどのフリートを運用している大規模な産業企業だ。

RoboRunnerに加えて、AWSはMassRobotics(マスロボティクス)と共同で、新しいロボティクススタートアップ・アクセラレーター「AWS Robotics Startup Accelerator」を発表した。

AWSのCTOであるWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)氏は、29日の発表で次のように述べた。「今日、成功している商業用ロボット企業は数えるほどしかありませんが、これにはいくつかの大きな理由があります。第一に、実世界の環境はダイナミックで予測不可能であるため、適切なニッチ分野と適切な能力を組み合わせることが難しく、ロボット製品市場に適合する企業を見つけることがなかなかできません。第二に、高度な自律性と知能を備えたロボットを作るには、多分野にわたるスキルが必要であり、そのようなスキルを持った人材の確保は困難です。第三に、ロボティクスは資本集約的であり、センサーやアクチュエーター、機械的なハードウェアがすでに市販されている場合でも、多額の先行投資が必要となります」。

この新しいプログラムは、アーリーステージのスタートアップ企業(売上高1000万ドル / 約11億4000万円未満、調達額1億ドル / 約114億円未満)を対象としている。選ばれた企業は、ロボティクスのエキスパートによる専門的なトレーニングやメンターシップを受けられる他、最大1万ドル(約114万円)のAWSクレジットを獲得できる。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Agility Roboticsが倉庫で働く二足歩行ロボット「Digit」のビデオを公開

Agility Robotics(アジリティー・ロボティクス)が公開した新しいビデオでは、だんだん見慣れてきつつある光景が紹介されている。それは高度な自律型ロボットが、退屈な倉庫作業を行う様子だ。同社にとってこのビデオは、拡散させて世間の注目を集めようとしたものではない。むしろ、Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)のような企業が、派手なパルクールのビデオと高度に振り付けられたダンスセッションの間に挟む、最も基本的なコンセプトの証明のようなものだ。

しかし最終的に、このロボットの開発者たちがターゲットにしているのは、まさに「退屈」「汚い」「危険」の三拍子が揃ったことで知られる作業である。荷物を運搬して往復する動作は、確かにその最初の項目にぴたりと当てはまる。倉庫で働く人たちが、自分たちの仕事をロボットに例えるのには理由があるのだ。

「自動化に関する議論は、少しずつ変化しています」と、AgilityのCEOであるDamion Shelton(ダミオン・シェルトン)氏は、TechCrunchに語った。「自動化は、今いる労働力を維持できるようにするための技術だと考えられています。自動化を導入することによるリスクや雇用の喪失については、多くの議論が交わされていますが、しかし雇用の喪失は自動化の導入を待たず、現実に今、起こっているのです」。

同社が2020年に発表した二足歩行ロボット「Digit(ディジット)」が最も注目を集めたのは、大手自動車会社のFord(フォード)との提携をCESで発表した後のことだ。フォードは現在、このロボットを2台所有しており、長期的にはこの技術を配送に活用することを計画している。

今回公開されたビデオは、Digitをより単純作業に使用するという短期的なソリューションを紹介しようとするものだ。

画像クレジット:Agility Robotics

「Digitのような機械の価値と目標は、その汎用性にあります」と、CTO(最高技術責任者)のJonathan Hurst(ジョナサン・ハースト)氏はいう。「これは人間と同じ環境や空間で働くロボットです。構造化された反復作業に向いています。例えば、『あそこに行けば箱があります。どれがどの箱かはデータベースシステムから指示するので、それをあそこに移動させなさい』というような命令を与えれば、1日に3〜4時間作業した後、また別の場所に移動して3〜4時間作業し、その後、トレーラーの荷降ろしを行うことができます」。

Berkshire Gray(バークシャー・グレイ)が提供しているような、完全に自動化された倉庫を一から構築するのに比べ、Digitの価値はよりプラグアンドプレイなソリューションであることだと、同社は考えている。もちろん、それでもプログラミングは必要だが、Agilityの担当者が現場に出向き、事前に場所をマッピングして、ロボットが反復的な作業を実行することを支援する。

「実際に導入して、お客様の役に立つ仕事ができるという意味において、このような環境では、例えば、A地点からB地点まで移動し、荷物を拾い上げて運ぶ、といった具合に、多くの作業が移行可能であることがわかりました」と、シェルトン氏は述べている。「屋内と屋外では、開発する技術の中核となる部分がまったく異なるというわけではありません。それは単に成熟度の問題です。屋内用の技術はすぐに達成することができたので、最初に導入する場所としては理に適っていると思います」。

画像クレジット:Agility Robotics

Agilityは、フォード以外のパートナーについては発表していないものの「大手物流企業」と協力していると述べている。AgilityはDigitの販売台数も明らかにしていないが、TechCrunchに語った話によると、Digit以前に販売していた数十台の「Cassie(キャシー)」よりも「大幅に多い」とのこと。もっとも、Cassieは実務用ではなく、主に研究目的として販売されていたものだ。現時点で、販売は主にCapEx(資本的支出)になるが、同社はRaaS(Robotics-as-a-Service、サービスとしてのロボット)など、他の機会も模索している。

Agilityの従業員は現在56名で、そのロボットの製造を主に行っているオレゴン州に拠点を置いている(同社はオレゴン州立大学でロボット部門が設立された頃、その一部としてスタートした)。

「2020年12月以降、当社は急速に成長しています」と、シェルトン氏はいう。「オレゴンオフィスに加えて、年内にはピッツバーグオフィスも拡張する予定です。かなりの急成長を遂げています。ロボットの生産量を増やしているので、そのためにかなりの人員を雇用しました。6月には改築した新施設に移ったばかりです」。

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画像クレジット:Agility Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供

物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供初期投資のいらないサブスクリプションで物流ロボットを提供するプラスオートメーション(+A)は8月19日、ZOZOの大規模物流拠点のひとつ千葉県のZOZOBASE習志野1において、「t-Sort」(ティーソート)2ユニットの導入を完了したことを発表した。ロボット280台を含む、大規模2段式ソーティングロボットシステムだ。

この導入は、月額定額制のサブスクリプション型の一貫サービス「RaaS」(Robotics as a Service。サービスとしてのロボティクス)という+A独自の形態で提供された。その特徴を活かし、当初はロボット50台規模からスタートし、課題抽出と改善を繰り返しつつ3カ月あまりで280台という本格稼働を実現させた。物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供

ソーティングロボットとは、物流倉庫で荷物の仕分けを行うロボットシステムのこと。+Aのt-Sortは、ロボットの走行ステージを2段にすることで、限られたスペースを有効活用しつつインダクション数とシュート数を倍増し、単位面積あたりの処理能力を大幅に向上させるというもの。運用にあたっては、+Aの庫内実行システム「+Hub」(プラスハブ)が用いられる。これによって直感的なロボット操作が行え、作業進捗確認や実績の可視化も可能になるという。

+Aは、三井物産と日本GLPの出資を受け2019年6月に設立。2020年9月には物流ソリューションプロバイダーの豊田自動織機への第三者割当増資も実施した。2021年8月19日現在累計ロボット導入台数は1000台を超えるという。

 

物流スタートアップ「souco」が冷凍冷蔵温度帯の荷物向けに全国一律料金の従量制保管サービス開始

物流スタートアップ「souco」が冷凍冷蔵温度帯の荷物向けに全国一律料金の従量制保管サービスを開始

物流スタートアップsouco(ソウコ)は8月13日、物流施設・倉庫の空きスペースを持つ企業とスペースを必要とする企業をマッチングさせるB2Bプラットフォーム「souco」での重量制保管サービス(全国一律料金)において、冷蔵冷凍温度帯の保管プランを追加したと発表した。

同社は、2019年6月にsoucoを正式に開始しており、倉庫提供アカウントと倉庫利用(荷主)アカウントの合計数は2000社超となっているという(2021年6月時点。倉庫提供企業のアカウント数と荷主企業のアカウント数の単純合計数)。

また2021年7月、荷姿がパレット・カゴ台車・段ボールの荷物について全国一律料金の従量制保管サービスを提供開始。今回冷蔵冷凍温度帯での保管プランを追加した。

料金のうち、保管料が1日1パレットあたり150円。入出庫料が1パレットあたり500円。荷姿はパレットのみ。利用にあたっては、soucoに利用相談をすると、soucoに登録されている倉庫から条件に合った最適な保管場所が提示される。利用を決めると、souco提供の入出庫管理システムにより、入出庫の指示・作業実績管理・在庫状況などの情報を一元管理できるようになる。さらに、荷主と倉庫提供者の双方がオンラインで作業ステータスの確認できるという。

souco料金表(抜粋)

souco料金表(抜粋)

サードパーティー・ロジスティクス(3PL)企業や物流事業者は、閑散期には所有している倉庫が空き、繁忙期には足りなくなるという悩みを抱えている。特に最近では先進的物流施設は規模が大きくなっているものの、余剰スペースの転貸や短期の賃貸借などの融通については貸す側と借りる側の直接の情報交換に頼っているのが現状だという。そこでsoucoは、物流施設の空きスペースと、荷主の荷物情報のデータベースを保有し、「1000坪以下の小ロットかつ、1カ月という短期でも」利用できるプラットフォームを提供して、双方の課題解決に努めているとのこと。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:souco(企業・サービス)倉庫(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)日本(国・地域)

倉庫用ドローンがいよいよ本格化

ドローンは、軍用の恐ろしいのを除けばかっこいいし、楽しいし、良いことだらけだ。しかし一般的にクワッドコプターには、その有用性に対して疑問もある。特に消費者製品の場合は、もっぱら趣味と映像撮影用に限られている。

これまでは、農場の監視用や不動産などの分野でのおもしろい使い方はあったが、それらはどれも映像機能の応用だ。しかしカメラと映像処理次第では、いろいろな仕事ができる。最近登場してきたものの中で特におもしろいのは、倉庫用ドローンだ。ドローンというとアウトドアしか想像しない人は「屋内」と「ドローン」の組み合わせに違和感を覚えるかもしれない。

さかのぼるとTechCrunch主催のスタートアップコンペであるDisrupt Battlefieldには、倉庫用ドローンの企業が2社登場した。2016年のIFM(Intelligent Flying Machines)と、それから2年後のVtrusだ。でもそれは、ドローンを倉庫や工場に持ち込もうとするスタートアップの巨大なリストに比べると、氷山の一角にすぎない。

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このリストに最近載ったCorvus Roboticsは、YCが支援するスタートアップで、おそらくその名前はカラスといった驚くほど知恵のある鳥にあやかっている。もちろん、ある種の推理小説のように、殺人を教えてくれるからすではない。少々議論の余地はあるだろうが、同社はその製品を「世界で初めての倉庫用在庫管理ドローン」と呼んでいる。

それでも、おもしろい製品ではある。それは倉庫の中を飛び回ってパレットをスキャンし、在庫を調べる。IEEE Spectrumの記事によると、同社のレベル4の自律ドローンのネットワークは、1時間に200〜400のパレットをスキャンし、飛ぶことは「鳥」にとって重労働であるため合間に充電も行なう。

画像クレジット:Third Wave Automation

倉庫業界には、倉庫の完全自動化という見果てぬ夢がある。この夢に、投資家たちも群がる。Third Wave Automationはこのほど、Norwest Venture Partnersがリードする4000万ドル(約44億円)のシリーズBを発表した。これにはInnovation EndeavorsやEclipse、それにToyota Venturesが加わった。後者は、このベイエリアのスタートアップと組んで自律型フォークリフトを開発している。フォークリフトは、毎年のように人身事故が多いからだ。

関連記事:豊田自動織機と自律型フォークリフト開発のThird Wave Automationが戦略的提携

CEOのArshan Poursohi(アーシャン・プルソヒ)氏はこう述べている。

私たちはあらゆる種類のロボットを開発してきましたが、そのロボットはすべて、どこかの物置に放り込まれています。現在の花形産業Google、私たちの時代のSun Microsystemsのようなテクノロジー企業が主役であり、ロボットはお呼びでないからです。

それでも同社は、2022年末までには100台の倉庫ロボットを販売する予定だ。

画像クレジット:InVia Robotics

一方、同じく倉庫の自動化を志向するinVia Roboticsは、2021年7月末に3000万ドル(約33億円)のシリーズCを発表した。テクノロジー超大手のMicrosoft(M12)とQualcomm(Qualcomm Ventures LLC)がラウンドをリードし、同社の総調達額は5900万ドル(約65億円)に達した。このラウンドには、Hitachi Venturesも参加した。同社によると、パンデミックのおかげで2020年には売上が600%成長したという。

 

今週のロボティクス記事は倉庫だけでまとめようと思ったが、そうもいかない。次はGeneral Electric(GE)の自律ロボットATVerだ。この何でも屋のテクノロジー企業は今、米国陸軍と一緒に自律ロボットの現場テストをしている。ロボティクスの進歩のためには、良かれ悪しかれ、軍による投資の役割が大きい。

GEのロボティクス担当Shiraj Sen(シラジュ・セン)氏がプレスリリースで「私たちのプロジェクトと米国陸軍とのパートナーシップにより、自律システムの重要な進歩を実現しました。このプロジェクトで実現した進歩は、未来の完全自動運転車の実用化を加速するだけでなく、エネルギーや航空やヘルスケアなど、人びとが毎日依存しているその他の産業の自律化をさらに促進するでしょう」と述べている。

Sarcos

といった矢先、今度はSarcosが米国時間8月5日、T-Mobileと提携して後者の5Gの遠隔操作を同社のGuardian XTロボットに行わせると発表した。5Gの低レイテンシーの接続の利点が話題になるときはもちろんロボティクスも引っ張り出されるが、むしろそれは率直に言って、プレスイベントのステージの方がふさわしい話題だ。違いますか、Verizonさん。なぜならロボットは、確実に人びとを楽しませるテーマだからだ。実在するシステムに使われるのも、良い見世物だ。

そのリリースは次のように述べている。

T-MobileとSarcosのコラボレーションは5Gの統合に始まり、T-Mobileの広帯域で低レイテンシーな5Gネットワークが駆動するリモート視聴システムの開発へ向かいます。これにより労働者や管理者、外部の専門家などがリモートのどこにいても、人間のオペレーターが現場で行っている仕事を確認することができる。開発の第2期において、T-Mobileの5Gワイヤレスネットワークの統合により、Guardian XTのテレオペレーションが5Gで可能になり、通信事業者の柔軟性が増して、遠距離からのタスクの実行が可能になります。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ドローン倉庫Third Wave AutomationinVia Robotics資金調達General Electric5G遠隔操作SarcosT-Mobile

画像クレジット:Corvus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

豊田自動織機と自律型フォークリフト開発のThird Wave Automationが戦略的提携

豊田自動織機(TICO)との戦略的提携が発足し、自律型フォークリフトを開発するThird Wave Automation(サードウェーブ・オートメーション)が、投資家からさらに4000万ドル(約44億円)を獲得した。

2018年創業で、カリフォルニアを拠点とするThird Wave Automationは、規制当局に提出したForm Dによると、Norwest Venture PartnersがリードするシリーズBラウンドで4000万ドル(約44億円)を調達した。ラウンドには、既存の投資家であるInnovation EndeavorsとEclipseに加え、Toyota Ventures(トヨタ・ベンチャーズ)も参加した。Norwest Venture PartnersのゼネラルパートナーであるMatt Howard(マット・ハワード)氏は、Third Waveの取締役会に参加する。

Third WaveのCEOであるArshan Poursohi(アーシャン・プルソヒ)氏がTechCrunchに語ったところによると、今回の資本注入は、世界のフォークリフトの3分の1を製造しているTICOとThird Waveの提携をハワード氏が知ったことから始まった。5月に発表されたその提携の下、Third WaveとTICOは共同で自律型フォークリフトを開発する。この機械はTICOの工場で製造され、Third Waveからセンサーと計算基盤が提供される。Third Waveはソフトウェア面を支援する。

チーフロボティシストのMac Mason(マック・メイソン)氏とJames Davidson(ジェームズ・デビッドソン)氏(退社済み)を含むThird Waveの共同創業者3人はロボット工学の分野で長い経験を持ち、Google(グーグル)のロボットプログラムやGoogle Research、トヨタ・リサーチ・インスティテュートなどで一緒に仕事をしてきた。

「私たちは、あらゆる種類のロボットに関わってきました」とプルソヒ氏は話す。「しかし、私たちが作ったロボットはすべて、Googleや、私の場合はSun Microsystems(サン・マイクロシステムズ)が、コアビジネスではないという理由で開発拡大の価値がないと判断したり、その他の理由によったりして、結局クローゼットのどこかに眠っていました」。

そこで彼らは、自分たちの会社を設立し、実際に使えて直ちに必要とされるロボットに取り組むことにした。

「フォークリフトに注目したとき、それは操作性の美しさの問題でした。つまりそれは、そもそも実際に世界と接点を持つことを目的としたロボットでした」とプルソヒ氏は語る。「しかも、数十年単位では測れない時間軸で、実際に作って出荷することができるものです」。

彼らが開発したフォークリフトは、シェアード・オートノミーと呼ばれる方式で動作する。それはこういうことだ。パレットを持ち上げ、移動することができるフォークリフトは、稼働時間の90%は単独で動く。だが、必要が生じれば、すべてのロボットを遠隔操作することもできる。ロボットの操作は簡単だ。ということは、ロボットが何かに遭遇して動かなくなった場合には、Third Waveではなくその顧客の現場の社員が遠隔操作でサポートすることができるわけだ。

「私たちが物流やサプライチェーンの分野で生み出せるインパクトがあります。それはパレットをさまざまな所へ移動させるだけで可能になります。それこそが私たちが取り組んでいることです。私たちの技術の特徴は、非常に早く立ち上げることができ、ブラウンフィールドの環境でも機能することです」とプルソヒ氏は語る。

同社はまだ開発の初期段階にあるが、前進している。今回の資金調達と最近の技術試験完了による勢いで、採用活動を加速し、商業化に集中することができるとプルソヒ氏はいう。同氏は、同社が業界内のサードパーティー物流オペレーターや小売業者20社と活発にやりとりしていると指摘した。

「あらゆる技術的な側面を試み、確かな答えを得ています」とプルソヒ氏は話す。「これからの1年半から2年は、オペレーションチームの規模を拡大していくことになります。そして今、この製品に対する市場の需要は圧倒的です」。

目標は、2022年末までに100台をフィールド(倉庫などの屋内)に投入し、2023年末までにそれを350~400台に拡大することだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:豊田自動織機Third Wave Automation資金調達倉庫自動運転

画像クレジット:Third Wave Automation

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ルービックキューブロボは終わったがPepperは死なず、先週のロボティクスまとめ

思わず二度見してしまった。1億ドル(約110億円)というのはいずれにしても大きな数字だが、5600万ドル(約61億8000万円)を調達したラウンドから2カ月半しか経っていないことを考えると途轍もない。少なくとも、Path Robotics(パス・ロボティクス)が、口でいうだけでなく実際に資金を投入する準備ができていることは確かだ。そして、Tiger Global(タイガー・グローバル)が、この溶接ロボット企業を気に入っているらしいことも。

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この「先買」シリーズCラウンドで、同社は総資金額が1億7100万ドル(約189億円)となり、最も資金力のある建築ロボット企業のトップに躍り出たことになる。だが、そこにはもちろん、かなりの余地がある。世界の建設市場は年間で数十兆ドル(数千兆円)規模と言われている。そして、この業界の美点の1つは、攻めることができる側面がどれだけ多いかということだ。

画像クレジット:Path Robotics

つまり、Pathのこれほどの資金調達は、溶接に留まらない野望を示しているということだ。とはいえ、溶接業では2024年までに米国だけで約40万人の労働力が不足すると言われていることを考えると、最初に溶接のロボット化から始めるのは良い判断と言えるだろう。Tiger GlobalのパートナーであるGriffin Schroeder(グリフィン・シュローダー)氏は、その幕を少しだけ引いて次のように述べている。

コンピュータービジョンと独自のAIソフトウェアを使ったPathの革新的なアプローチにより、ロボットはそれぞれ異なる溶接プロジェクトの課題を感知、理解、適応することができます。この画期的な技術は、溶接のみならず、さまざまな用途や製品に応用でき、顧客に総合的なサービスを提供することが可能であると、我々は考えています。

スタートアップ企業が、早い時期からあまりにも多くのことを引き受けてしまうことには危険がともなう。たとえPathのような資金力のある企業であっても。

画像クレジット:ADUSA Distribution

Verve Motion(ヴァーヴ・モーション)の資金調達ラウンドは、先週のラウンドアップ掲載にぎりぎり間に合わなかった。1億ドル(約110億円)規模のラウンドを主導するのは大変なことだが、1500万ドル(約16億5000万円)だって決して馬鹿にできる金額ではない。ハーバード大学のヴィース研究所(Wyss Institute)に属するConor Walsh(コナー・ウォルシュ)博士の研究室と、同大学のJohn A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences(ジョン・A・ポールソン工学部および応用科学部)で行われている非常に興味深い研究から生まれたVerve Motionは、いわゆるパワードスーツやエクソスーツと呼ばれる筋力強化スーツをてがけている数多いスタートアップ企業の1つである。

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この技術には、移動に問題を抱える人々とブルーカラー労働力という2つの需要層がある。Verveは、少なくとも現在のところは、後者をターゲットにしている。このソフトなエクソスーツは、荷物などを繰り返し持ち上げるような作業を行う職場で、負傷を減らすことを目的として設計されている。率直に言ってこのスーツは「退屈で、汚くて、危険」な業務の革新に非常に適している。

人工知能を研究する非営利団体のOpenAI(オープンエーアイ)からは、ロボット工学チームをひっそりと解散させたという、あまり楽しくないニュースも聞こえてきた。この動きは2020年10月から見られたものの、Venture Beat(ベンチャー・ビート)が米国時間7月16日にそれを報じた。OpenAIのロボット工学チームは、ルービックキューブを解くロボットハンドでよく知られていた。それは魅力的なプロジェクトだったが、どうやら行き詰まってしまったようだ。広報担当者は以下のように述べている。

私たちは、ルービックキューブプロジェクトやその他の取り組みを通じて、強化学習の最先端を進んできましたが、2020年10月、これ以上はロボット工学の研究を続行することはせず、チームを他のプロジェクトに集中させる決定を下しました。その理由は、AIとその能力が急速に進歩しているため、人間のフィードバックをともなう強化学習など、他のアプローチの方が強化学習の研究をより早く進めることができると考えたからです。

画像クレジット:Dick Thomas Johnson Flickr

Pepper(ペッパー)の死を伝える報道は、かつてMark Twain(マーク・トウェイン)が言った「新聞で、唯一信頼に足る事実が含まれているのは広告だけだ」という言葉を思い出させた。それは誇張したものではないかもしれないが、少なくとも公式には否定されている。

とはいえ、ソフトバンクのロボット事業の顔が、同社の期待していたほど成果を上げていないことは依然として明らかであり、少なくとも、同社は振り出しに戻すことに決めている。

Softbank Robotics(ソフトバンクロボティクス)の蓮実一隆CMOは、看板を持った人型ロボットの販売を練り直して継続するという話に加えて「私たちは5年後もPepperを販売しているでしょう」とReuters(ロイター)に語った。これがどういう意味であるかを判断することは難しい。Pepperは、ソフトバンクが買収したフランスのAldebaran(アルデバラン)という企業に由来する確かな血統を持つにもかかわらず、この種のものとしては、特に実用的なロボットではなかった。

少なくとも、ソフトバンクロボティクスでは、デザインの変更などを検討しているようだ。しかし、それだけでは大きな変化は起こりそうもない。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Path RoboticsVerve Motion外骨格倉庫OpenAISoftbank RoboticsPepper

画像クレジット:OpenAI

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

食料品店従業員の腰を守る外骨格のパイロット試験を経てVerve Motionが約16.5億円調達

ここ数年、エクソスケルトン(外骨格) / エクソスーツのカテゴリーが盛り上がっている。これは実に理に適っていると思う。2つの巨大な、そして劇的に異なる潜在的な顧客層があるからだ。1つは、ウェアラブルの支援によってメリットを得られる職種。もう1つは、このような技術が非常に役立つ可能性のある、モビリティの問題を抱える人々だ。

ハーバード大学のヴィース研究所(Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering)と工学応用科学部に所属するConor Walsh(コナー・ウォルシュ)博士の研究室からスピンアウトしたチームによって2020年に設立されたVerve Motionは、現在のところ前者をターゲットにしている。労働集約的な仕事がしばしば負傷につながることを理解するのにたくさんの統計は必要ないかもしれないが、ここでは同スタートアップのサイトから3つほどご紹介する。

  • 連邦労働統計局によると、米国の職場では毎年100万件の背部傷害が発生している
  • 米国のBone and Joint Initiativeによると、背部傷害による労働損失日数は毎年2億6千万日以上にのぼる
  • 「Liberty Mutual Workplace Index 2018」レポートによると、これは米国の事業者にとって年間140億ドル(約1兆5400億円)の直接コストとなっている

画像クレジット:ADUSA Distribution

人々の良識に訴えられないのであれば、せめて彼らの財布に訴えることは可能なはずだ。いずれにしてもVerve Motionは、シードラウンドと、大手食料品流通会社ADUSA(Ahold Delhaize)での試験運用の成功を受けて、新たな資金調達を発表した。シードの調達はパンデミックの最中、フードサプライチェーンで働く多くのエッセンシャルワーカーが日常的に肉体的限界に追い込まれていた時に行われた。

Construct Capitalが主導した今回のシリーズAでは、Founder Collective、Pillar VC、Safar Partners、OUPなどの既存投資家が参加し、同社は1500万ドル(約16億5000万円)の資金を調達した。

共同創業者兼CEOのIgnacio Galiana(イグナシオ・ガリアナ)氏は、リリースで次のように述べている。「今回の新たな資金調達は、当社のソリューションの継続的な開発を促進し、製品に対する需要の高まりに対応するため事業規模を拡大して、これを最も必要としている労働者の方々に製品を提供するためのものです。新規および既存の優れた投資家グループの支援に感謝しています。また、未来の産業労働者のためのソリューションを創造するために、Construct Capitalを迎えることができてうれしく思います」。

Verveの最初の製品「SafeLift」は着用者の動きに適応する布ベースのソフトなエクソスーツで、腰にかかる負担を最大30~40%軽減することができる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:エクソスケルトンVerve Motion資金調達倉庫

画像クレジット:ADUSA Distribution

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

配送センターや倉庫用のロボットを作っている企業に、彼らの顧客企業が自動化を図る理由を尋ねてみると、異口同音に労働力不足や作業のスピードアップを挙げる。しかし迫りくる本当の真実は、ひと言に要約される。「Amazon(アマゾン)」だ。そして、最悪の危機を感じているのが小企業であることは事実だが、このオンラインリテールの市場支配に対して免疫のある者は1人もいない。スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)でもだ。

米国時間7月13日は、このリテール大手の仲間がロボティクスの最新のパートナーシップを発表し、マサチューセッツの自動化企業Symboticとチームを組むことになった。本日の発表で両社はこれまでの協力関係をさらに拡大して、ウォルマートの25の流通センターをロボット化、「数年後」に完了する。

2017年のパイロット事業では、Symboticの自律型ロボティクスプラットフォームをウォルマートのフロリダ州ブルックスビルの流通センターに導入して、仕分けや棚卸し、荷降ろしの増量を狙った。

今回のプレスリリースではウォルマートのサプライチェーン担当執行副社長のJoe Metzger(ジョー・メッツガー)氏は次のように述べている。「今日行われているDXは顧客の習慣の進化にともなうものであり、小売業界の形を変えつつあります。現在と未来の顧客に奉仕するためには、私たちの事業が社員たちに正しいツールと教育訓練を提供し、顧客が求める品物を彼らがそれを欲するときに、比べられないほどの利便性で提供できなければなりません。私たちは今、その過程をエンド・ツー・エンドまで最適化するために、サプライチェーンに対する前例のないほど大規模な投資を行っています」。

ウォルマートはここ数年間、ロボットのパイロット事業に熱心で、一部を実際に採用しようとも考えていた。しかしながら前にも述べたように、現在のところその結果にはムラがある。最も目立つのは、Bossa Nova Roboticsのケースだ。同社のロボットは在庫管理用に採用されたが、突然、契約を打ち切られた。もちろんパイロット事業だったが、小さなスタートアップにとって打撃は大きい。

それに比べると、Symboticには実績がある。同社の顧客には、ウォルマート最大の競合他社であるTargetがいる。ウォルマートには、ロボティクス部門としてKiva Systemsを買収したAmazonのように、独自にスタートアップを買収する手もあったと思われるが、彼らとの関係の現状を見るかぎり、それはハードルが高いようだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:WalmartSymbotic倉庫eコマース

画像クレジット:Walmart

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ヒートアップする倉庫や仕分けのロボティクス、Zebra TechnologiesがFetchを約324億円買収

Zebra Technologies(ゼブラテクノロジーズ)は米国時間7月1日、ベイエリア拠点の倉庫ロボティクス会社Fetch(フェッチ)を買収する意向を発表した。買収額2億9000万ドル(約324億円)のこの取引では、すでにZebraが保有しているFetchの株式5%に加え、残りの95%を取得する。

パンデミックで労働力が不足し、また小売事業者がAmazon支配への抵抗で潜在的な優位を模索していることを受けて、倉庫や仕分けのロボティクスはヒートアップし続けている。そうした中でこの取引は興味深いものだ。最近SPAC(特別買収目的会社)と合併したBerkshire-Greyを含め、大小のロボティクス会社への投資にとってロボティクス業界のヒートアップは大きな原動力となっている。

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Zebraに関していうと、同社はロボティクス分野でかなり攻めている。2020年初めに発表した在庫システムSmartSightのような自前の小売ロボティクスを立ち上げたのに加えて、LocusのようなFetchの直接的な競合相手に投資してきた。Zebraは2020年6月、Locusの4000万ドル(約45億円)のシリーズDラウンドをリードした。

外から見ると、Zebraは1つの統一されたプレイをめぐるマーケットを統合することを模索しているかのようだ。LocusのCEOであるRick Faulk(リック・フォーク)氏は直近の別のラウンドの際に「独立して操業することで最大かつ最高の価値を生み出せると考えています。『Amazon』競合社とされていない企業を助けるために投資したい投資家もいます」と筆者に語った。

フォーク氏は当時、Locusは買収されることに興味はないとも語った。Zebraが積極的にLocus買収を追求していたのかどうかはわからないが、もし今日のニュースが何らかの兆候であるなら、Zebraがどちらのご馳走にも飛びつくことを考えていたのは明らかだ。そしてFetchの多様なモジュラー商品は手始めとしては最適だ。

「Fetch Roboticsの買収は、ワークフローを強化する新しいモードを擁し、ますます自動化されデータで動く環境において当社の顧客がより効率的に操業できるようサポートすることで、Enterprise Asset Intelligenceビジョンと、インテリジェントな産業オートメーションにおける成長を加速させます」とZebraのCEO、Anders Gustafsson(アンダース・グスタフソン)氏は声明文で述べた。「この動きは生産から消費に至るまでのサプライチェーンを最適化するという当社のコミットメントをさらに広げます。FetchのチームをZebraファミリーに迎えることを楽しみにしています」。

FetchのCEOであるMelonee Wise(メロニー・ワイズ)氏は「FetchのチームはZebraに加わって、AMRと当社のクラウドベースのロボティクスプラットフォームを通じてフレキシブルなオートメーションの浸透を加速させることに胸躍らせています。一緒になることで、我々は真に顧客の問題を解決するエンド・ツー・エンドのソリューションを提供するために、正しいテクノロジーを持つ正しいチームを抱えます。顧客が動的に最適化し、梱包、配送、そして製造のオペレーションを全体的に統合するのをサポートすることで、顧客が増大する需要に先んじ、また配達時間を最小化し、縮小しつつある労働力の問題を解決するのをサポートします」。

TechCrunchはさらなるコメントを求めている。買収取引はいつものことながら当局による承認次第だ。第3四半期の取引完了が見込まれている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Zebra TechnologiesFetch倉庫買収

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

3Dビジョン対応の自律型倉庫用ロボットを開発するクロアチアのGideon Brothers

クロアチアのザグレブを拠点とするロボット・AI関連のスタートアップであるGideon Brothers(ギデオンブラザーズ、GB)は、Koch Industries Inc.のベンチャー・成長部門であるKoch Disruptive Technologies(KDT)がリードするシリーズAラウンドで3100万ドル(約34億円)を調達した。DB Schenker、Prologis Ventures、Rite-Hiteもラウンドに参加した。

今回のラウンドでは、Gideon Brothersの既存の投資家も複数参加した。Taavet Hinrikus氏(TransferWiseの共同創業者)、Pentland Ventures、Peaksjah、HCVC(Hardware Club)、Ivan Topčić(イワン・トプチッチ)氏、Nenad Bakić(ネナド・バキッチ)氏、Luca Ascani(ルカ・アスカニ)氏などだ。

今回の投資は、GBのAIと3Dビジョンを活用した「自律移動ロボット」(AMR)の開発と商品化を加速するために使用される。AMRは商品の運搬、集荷、受け入れなどの単純作業を行い、人間はより価値のある作業に専念できるようになる。

また、ドイツのミュンヘンとマサチューセッツ州ボストンにそれぞれオフィスを開設し、EUと米国で事業を拡大する。

Gideon Brothersの創業者たち(画像クレジット:Gideon Brothers)

Gideon Brothersは物流、倉庫、製造、小売業向けの水平・垂直方向のハンドリングプロセスに特化したロボットと、それに付随するソフトウェアプラットフォームを手がけている。理由は明らかだが、パンデミックの際には、サプライチェーンのロボット化の必要性が爆発的に高まった。

GBのCEOであるMatija Kopić(マティーヤ・コピック)氏は次のように述べた。「パンデミックにより、スマートオートメーションの導入が大幅に加速していますが、当社は前例のない市場の需要に対応する準備ができています。そのための最善の方法は、当社独自のソリューションを、世の中で最も大きく、最も要求の厳しい顧客と結びつけることです。当社の戦略的パートナーが抱える真の課題は、当社のロボットがすでに解決しつつあるものです。彼らは我々とともに世界で最も革新的な組織にロボットによる変革をもたらすすばらしい機会を捉えようとしています」。

さらにコピック氏は付け加えた。「このような先進的な業界のリーダーとのパートナーシップは当社のグローバルな活動の拡大に役立ちますが、我々は常にクロアチアのルーツに忠実であり続けます。それは私たちのスーパーパワーなのです。クロアチアのスタートアップシーンは急激に拡大しており、我々はこの国がロボットとAIの大国になるためにさらなる機会を引き出したいと考えています」。

Koch Disruptive Technologies(KDT)のディレクターであるAnnant Patel(アナント・パテル)氏は次のように述べた。「全世界で300以上のKochのオペレーションと生産ユニットを担うKDTは、最先端のAIと3D AMR技術により企業が倉庫や製造プロセスにアプローチする方法を著しく変革するGideon Brothersの技術の独自性と可能性を理解しています」。

DB Schenkerのコントラクト・ロジスティクス担当取締役のXavier Garijo(サビエ・ガリコ)氏は「Gideon Brothersとのパートナーシップにより、クラス最高のロボットやインテリジェント・マテリアル・ハンドリング・ソリューションへのアクセスが確保され、最も効率的な方法で顧客にサービスを提供することができます」と述べた。

GBの競争相手はSeegrid、Teradyne(MiR)、Vecna Robotics、Fetch Robotics、AutoGuide Mobile Robots、Geek+、Otto Motorsなどとなる。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Gideon Brothersクロアチア倉庫資金調達

画像クレジット:Gideon Brothers robots

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi