フェイスブックがエンド・ツー・エンド暗号化の全面導入を「2023年中まで」延期

Facebook(フェイスブック)改めMeta(メタ)が、エンド・ツー・エンド暗号化を同社の全サービスに全面展開することを「2023年中まで」延期する。このことは、同社の安全部門のグローバル責任者であるAntigone Davis(アンティゴン・デイビス)氏が英国のTelegraph(テレグラフ)紙に寄稿した論説記事によって明らかになった。

Facebook傘下のWhatsApp(ワッツアップ)には、すでに2016年からエンド・ツー・エンド暗号化が全面的に導入されているが、ユーザーがメッセージデータを暗号化する鍵をユーザーのみに持たせるこの機能は、同社の他の多くのサービスではまだ提供されていない。つまり、エンド・ツー・エンド暗号化が提供されていないそれらのサービスでは、メッセージデータを公権力に提供するよう召喚されたり令状が発行されたりする可能性があるということだ。

しかし、Facebook創業者のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のデータ不正利用スキャンダルを受けて、2019年にはすでに「プライバシー重視のプラットフォームへと転換させる」取り組みの一環としてエンド・ツー・エンド暗号化を同社の全サービスに全面導入する計画であることを発表した。

ザッカーバーグ氏は当時、エンド・ツー・エンド暗号化の全面導入の完了時期について具体的な日程には言及しなかったが、Facebookは2021年初めに、2022年中には全面導入が完了する予定であると示唆していた。

それがこの度、同社は、2023年中の「いずれかの時点」まで完了する予定はないと発表した。明らかに先送りされているようだ。

デイビス氏によると、今回の延期は、子どもの安全に関わる捜査を支援するために情報を法執行機関に提供する能力を同社が保持できるようにして、安全性を確保しながらエンド・ツー・エンド暗号化を実装することに時間をかけたいと同社が希望しているためだという。

デイビス氏は次のように語る。「当社でもそうだが、ユーザーのメッセージにアクセスできない状態で、テック企業が虐待問題に立ち向かい続けることと法執行機関の重要な任務をサポートし続けることをどのように両立できるのかという点については、今も議論が続いている。プライバシーと安全性のどちらかを選ばなければならないような状態にしてはいけないと当社は考えている。だからこそ当社は、適切な方法でこの技術を導入するために、強力な安全対策を計画に盛り込み、プライバシー分野や安全分野の専門家、市民社会、政府と協力している」。さらに、同社は「プロアクティブな検知テクノロジー」を使用して不審なアクティビティを特定することに加え、ユーザーのコントロール権限を強化し、問題を報告する能力をユーザーに付与する予定だと同氏はいう。

Facebookが2年以上前に「全サービスへのエンド・ツー・エンド暗号化導入」計画を公に発表してからこれまで、英国を含む西側諸国の政府は、最高レベルの暗号化を全サービスに全面導入する計画を延期または断念するよう同社に対して強い圧力をかけ続けている。

英国政府はこの点で特に、Facebookに対して苦言を呈してきた。内務大臣のPriti Patel(プリティ・パテル)氏は、Facebookのエンド・ツー・エンド暗号化拡大計画は、オンラインの児童虐待を防止する努力を阻害するものになると、公の場で(繰り返し)警告し 、同社を、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の制作と配信を防ぐ闘いにおける無責任な悪役であるとみなした。

したがって、Metaが今回、英国政府ご贔屓の新聞に論説記事を寄稿したのは偶然ではなかったのだ。

Telegraph紙に寄稿された前述の論説記事の中で、デイビス氏は「エンド・ツー・エンド暗号化を展開するにあたり、当社は、市民の安全を確保する活動に協力しつつも、暗号化されていないデータの組み合わせを用いて各種アプリ、アカウント情報、ユーザーからの報告をプライバシーが保護された安全な状態に保つ」と述べ「この取り組みにより、すでに、子どもの安全を担当する当局機関に対し、WhatsAppから極めて重要な情報を報告することができている」と同氏は付け加える。

デイビス氏はさらに、Meta / Facebookは過去の事例をいくつも調査した結果「エンド・ツー・エンド暗号化をサービスに導入した場合でも、重要な情報を当局機関に報告することができていた」との結論に達したと述べ「完璧なシステムなど存在しないが、この調査結果は、当社が犯罪防止と法執行機関への協力を継続できることを示している」と付け加えた。

ところで、Facebookのサービスにおいてすべてのコミュニケーションがエンド・ツー・エンドで暗号化された場合に、同社は一体どのようにして、ユーザーに関するデータを当局機関に渡すことができるのだろうか。

Facebook / Metaがそのソーシャルメディア帝国において、ユーザーのアクティビティに関する手がかりを集めている方法の詳細をユーザーが正確に知ることはできない。しかし、1つ言えることとしてFacebookはWhatsAppのメッセージ / コミュニケーションの内容がエンド・ツー・エンドで暗号化されるようにしているが、メタデータはエンド・ツー・エンドで暗号化されていないということだ(そしてメタデータからだけでも、かなり多くの情報を得ることができる)。

Facebookはまた、例えば、2016年に議論を呼んだプライバシーUターンのように、WhatsAppユーザーの携帯電話番号データをFacebookとリンクさせるなど、アカウントとそのアクティビティを同社のソーシャルメディア帝国全体で定期的にリンクさせている。これにより、Facebookのアカウントを持っている、あるいは以前に持っていたユーザーの(公開されている)ソーシャルメディアアクティビティが、WhatsAppならではの、より制限された範囲内でのアクティビティ(1対1のコミュニケーションや、エンド・ツー・エンド暗号化された非公開チャンネルでのグループチャット)とリンクされる。

このようにしてFacebookは、その巨大な規模(およびこれまでにプロファイリングしてきたユーザーの情報)を利用して、たとえWhatsAppのメッセージ / コミュニケーションの内容自体がエンド・ツー・エンドで暗号化されていたとしても、Facebook / Metaが提供する全サービス(そのほとんどがまだエンド・ツー・エンド暗号化されていない)において、誰と話しているのか、誰とつながっているのか、何を好きか、何をしたか、といったことに基づいて、WhatAppユーザーのソーシャルグラフや関心事を具体的に把握できる。

(このことを、デイビス氏は前述の論説記事で次のように表現している。「エンド・ツー・エンド暗号化を展開するにあたり、当社は、市民の安全を確保する活動に協力しつつも、暗号化されていないデータの組み合わせを用いて各種アプリ、アカウント情報、ユーザーからの報告をプライバシーが保護された安全な状態に保つ。この取り組みにより、すでに、子どもの安全を担当する当局機関に対し、WhatsAppから極めて重要な情報を報告することができている」)。

Facebookは2021年の秋口に、WhatsAppが透明性に関する義務を遂行しなかったとして欧州連合から多額の罰金を科せられた。WhatsAppがユーザーデータの使用目的と、WhatsApp-Facebook間においてそのデータを処理する方法について、ユーザーに適切に通知していなかったことが、DPAの調べによって明らかになったためだ。

関連記事:WhatsAppに欧州のGDPR違反で約294億円の制裁金、ユーザー・非ユーザーに対する透明性の向上も命令

FacebookはGDPRの制裁金に関して控訴中だが、米国時間11月22日に、欧州の規制当局からの求めに応じて、欧州のWhatsAppユーザー向けのプライバシーポリシーの文言を少し変更することを発表した。しかし、同社によると、ユーザーデータの処理方法については、まだ何の変更も加えていないとのことだ。

さて、エンド・ツー・エンド暗号化そのものに話を戻すと、2021年10月、Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏が、同社によるエンド・ツー・エンド暗号化テクノロジーの応用に関して懸念を表明した。このテクノロジーはオープンソースではなく、専有テクノロジーであるため、ユーザーはFacebook / Metaのセキュリティ方針を信じなければならず、同テクノロジーのコードが本当にそのセキュリティ方針を順守しているかどうか、独立した第三者が検証する術がない、というのが同氏の主張だ。

ハウゲン氏はさらに、Facebookがエンド・ツー・エンド暗号化をどのように解釈しているのかを社外の者が知る方法がないことも指摘し、同社がエンド・ツー・エンド暗号化の使用を拡大しようとしていることについて「Facebookが本当は何をするつもりなのかまったくわからない」と述べて懸念を表明した。

「これが何を意味するのか、人々のプライバシーが本当に保護されるのか、私たちにはわかりません」と英国議会の議員たちに語ったハウゲン氏は、さらに次のように警告した。「これは非常に繊細な問題で、文脈も異なります。私が気に入っているオープンソースのエンド・ツー・エンド暗号化製品には、14歳の子どもがアクセスしているディレクトリや、バンコクのウイグル族コミュニティを見つけるためのディレクトリはありません。Facebookでは、社会的に弱い立場にある人々を標的にすることが、この上なく簡単にできてしまいます。そして、国家政府がそれを行っているのです」。

ハウゲン氏は、エンド・ツー・エンド暗号化の支持については慎重に言葉を選んで発言し、エンド・ツー・エンド暗号化テクノロジーは、外部の専門家がそのコードや方針を厳正に調査できるオープンソースで対応することが望ましいと述べた。

しかし、Facebookの場合は、エンド・ツー・エンド暗号化の実装がオープンソースではなく、誰も検証できないため、規制当局による監視が必要だとハウゲン氏は提案した。ユーザーのプライバシーをどの程度確保するか(したがって、政府当局などによる潜在的に有害な監視からの保護をどの程度確保するか)、という点についてFacebookが誤解を招く指針を打ち出さないようにするためだ。

「私たちはプライバシーを保護し、危害の発生を防ぐ」という見出しの下で書かれた前述のデイビス氏の論説記事は、Metaが「外部の専門家と引き続き協力し、虐待と闘うための効果的な方法を構築していく」ことを誓う言葉で締めくくられており、英国議会の議員をなだめることによって、Facebookが一挙両得を狙っているように感じられる。

「Facebookはこの取り組みを適切な方法で進めるために時間をかけており、当社のすべてのメッセージングサービスでエンド・ツー・エンド暗号化を標準機能として導入することが、2023年中のある時点までに完了する予定はない」とデイビス氏は付け加え「Facebookはユーザーのプライベートなコミュニケーションを保護し、オンラインサービスを使用する人々の安全を守る」という、具体性のない宣伝文句をまた1つ発して記事を締めくくった。

英国政府は間違いなく、Facebookが今回、規制に配慮を示しながら非常に厄介な問題に関する記事を公に発表したことについて、喜ばしく思うだろう。しかし、同社が、パテル内相などからの長期にわたる圧力を受けて、エンド・ツー・エンド暗号化の延期の理由を「適切に導入するため」だと発表したことは「では、非常にセンシティブなプライバシーに関する問題という文脈において、その『適切』とは何を意味するのか」という懸念を強めるだけだろう。

もちろん、デジタル権利の擁護活動家やセキュリティの専門家を含むより大きなコミュニティも、今後のMetaの動向を注意深く見守っていくだろう。

英国政府は最近、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の検知または報告、作成阻止を目的として、エンド・ツー・エンド暗号化サービスにも応用できる可能性があるスキャニング/フィルタリング技術を開発する5つのプロジェクトに、およそ50万ポンド(約7700万円)の税金を投じた。「代替ソリューション」(プラットフォームにエンド・ツー・エンド暗号化を実装する代わりに、スキャニング / フィルタリング技術を暗号化システムに組み込むことによってCSAMの検知 / 摘発を行う)を開発することによって、革新的な方法で「テクノロジーにおける安全性」を確保するよう閣僚たちが求めたためだ。

したがって、英国政府は(ちなみに現在、オンライン安全法案の制定に向けても動いている)、子どもの安全に関する懸念を政治的な圧力として利用して、暗号化されたコンテンツを、エンド・ツー・エンド暗号化の方針のいかんに関わらず、ユーザーのデバイス上でスキャンすることを可能にするスパイウエアを実装するようプラットフォームに働きかける計画のようだ。

そのようにして埋め込まれたスキャンシステムが(閣僚たちの主張とは相容れないものの)堅牢な暗号化の安全性にバックドアを作ることになれば、それが今後数カ月あるいは数年のうちに厳密な調査と議論の対象になることは間違いない。

ここで参考にできるのがApple(アップル)の例だ。Appleは最近、コンテンツがiCloudのストレージサービスにアップロードされる前に、そのコンテンツがCSAMかどうかを検知するシステムをモバイルOSに追加することを発表した。

Appleは当初「当社は、子どもの安全とユーザーのプライバシーを両立させるテクノロジーをすでに開発している」と述べて、予防的な措置を講じることについて強気な姿勢を見せていた。

しかし、プライバシーやセキュリティの専門家から懸念事項が山のように寄せられ、加えて、そのように一度は確立されたシステムが(著作権下のコンテンツをスキャンしたいという市場の要求だとか、独裁政権下の国にいる反政府勢力を標的にしたいという敵対国家からの要求に応えているうちに)いや応なく「フィーチャークリープ」に直面する警告も発せられた。これを受けてAppleは1カ月もたたないうちに前言を撤回し、同システムの導入を延期することを表明した。

Appleがオンデバイスのスキャナーを復活させるかどうか、また、いつ復活させるのか、現時点では不明である。

AppleはiPhoneのメーカーとして、プライバシー重視の企業であるという評判(と非常に高収益の事業)を築いてきたが、Facebookの広告帝国は「利益のために監視する」という、Appleとは正反対の野獣である。したがって、全権力を握る支配者である創業者が、組織的に行ったプライバシー侵害に関する一連のスキャンダルを取り仕切った、Facebookという巨大なソーシャルメディアの野獣が、自社の製品にスパイウエアを埋め込むようにという政治的な圧力を長期にわたって受けた結果、現状を維持することになれば、それは自身のDNAを否定することになるだろう。

そう考えると、同社が最近、社名をMetaに変更したことは、それよりはるかに浅薄な行動だったように思えてくる。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アップルが新コーディングプログラム開始のためBoys & Girls Clubs of Americaと提携

Apple(アップル)は、全米の子どもたちやティーンエイジャーにコーディングの機会を提供することを目的とした新しいプログラムを開始するためにBoys & Girls Clubs of America(ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ)と提携した。Appleの「Everyone Can Code」カリキュラムを使用して、Boys & Girls Clubの子どもたちやティーンエイジャーは、活動の中にコーディングを取り入れることになる。Appleによると、この新しいコラボレーションにより、生徒たちはアプリのデザインと開発の基本を学び、創作する機会を得ることができるようになる。このプログラムは、批判的思考と創造的な問題解決に焦点を当てる。

この新しいプログラムは、まずアトランタ、テキサス州オースティン、ワシントンD.C.、フロリダ州マイアミ・デイド郡、ノースカロライナ州ウェイク郡、シリコンバレーなど、10の地域で開始され、その後、コーディングの機会を全国のクラブに拡大していくことを目標としている。すでに、ニュージャージー州アトランティックシティ、シカゴ、デトロイト、テネシー州ナッシュビル、ニュージャージー州ニューアークでサービスを開始している。

画像クレジット:Apple

「Boys & Girls Clubs of Americaと協力して、何千人もの学生に革新的なテクノロジーの体験を提供してきました、そして、私たちは、Swiftによるコーディングを国内のさらに多くのコミュニティに提供するためこのパートナーシップを拡大することをうれしく思っています」とAppleの環境・政策・社会的イニシアチブ担当副社長であるLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏は、今回の発表に関するプレスリリースの中で述べた。

この最新の取り組みは、AppleのRacial Equity and Justice Initiative(人種的公平と正義のイニシアチブ)を支援するCommunity Education Initiative(コミュニティ・エデュケーション・イニシアチブ)を通じたBoys & Girls Clubs of Americaとの既存のパートナーシップに基づいている。

Appleの「Everyone Can Code」カリキュラムの最新の拡張は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けの新しいリソースを発表してから2カ月後に行われた。最近発表されたガイドは、Appleのカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡大するものだ。「Everyone Can Code Early Learners」ガイドによって、幼稚園から小学校3年生までの生徒は、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。

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同社は、Everyone Can Codeプログラムを年々拡大し、より多くの年齢層で利用できるようにしてきた。2019年に、Appleは学生がコンセプトを試してみることを目的としているEveryone Can Code Puzzlesというプログラムを開始した。2020年、Appleは、より高度なコーディングアクティビティを行うプログラムEveryone Can Code Adventuresを開始した

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Metaがメッセージのエンド・ツー・エンド暗号化導入延期にともなう安全性に対する取り組みを説明

Meta(旧Facebook)は先日、同社のメッセージングサービスにおけるエンド・ツー・エンドの暗号化の導入を2023年中へと延期する計画を発表した。これは、この変更によって虐待者が発見されなくなるのではないかという児童安全擁護団体の懸念を理由としている。同社は米国時間12月1日、エンド・ツー・エンドの暗号化の導入と並行して、被害防止の必要性にどのように取り組むかについて詳細を発表した。

暗号化されていないプライベートメッセージをスキャンして悪意のある行動パターンを検出する技術はあるが、エンド・ツー・エンドで暗号化された環境ではそうはいかない、とMetaは説明する。同社はその代わりに、人工知能と機械学習を利用して、ユーザーのプロフィールや写真など、暗号化されていない部分を調べ、悪意のある行動を示す他のシグナルを探すことを計画している。例えば、大人が新しいプロフィールを設定して、知らない未成年者に連絡を取ろうとし続けたり、多くの見知らぬ人にメッセージを送るようになったりした場合、同社は介入して対策を講じることができる、とブログには書かれている

Metaは最近、未成年者が所有するアカウントの保護を強化するために、FacebookとInstagramのアカウントをデフォルトで非公開または「友達のみ」にするなど一連の策を実施した。また、2021年に入ってからは、成人のInstagramユーザーが、まだフォローしていない10代の若者に連絡を取ることができないようにする機能を導入した。さらにMessengerでは、機械学習を利用して開発された、疑わしい行動を発見するためのアドバイスや、他のユーザーをブロック、報告、無視、制限するなどの行動をとる方法を示す安全通知をポップアップで表示するようになった。過去1カ月間で、このアドバイスは1億人以上のユーザーに読まれた。Metaによると、このような機能は、エンド・ツー・エンドで暗号化された環境でも機能するとのことだ。

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同社はさらに、受信箱を通じて誰が自分に連絡を取ることができるかをよりコントロールできる、ユーザー向けのさまざまな機能を挙げている。リーチ範囲の拡大を求めるクリエイターは、コントロールを少なくしたいかもしれないが、不正使用やスパムをフィルタリングしたいと思うだろうし、プライベートアカウントを持つ人は、連絡を知り合いだけに完全に制限したいと思うかもしれない。その他のメッセージング機能では、画像や動画をぼかしたり、メッセージングリクエスト(知らない人が始めた会話)からのリンクをブロックしたりすることができる。

Metaはまた、2021年初めに報告機能の変更を行い、報告フローの中に「子どもを含む」という選択肢を追加することで、児童搾取規則に違反するコンテンツの報告を容易にし、報告をより身近なものにしたと述べている。その結果、報告件数が前年比で50%近く増加したという。メッセージが報告されると、会話の一部が復号化され、警察やNCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)への児童搾取未遂の報告など、行動を起こせるようになる。Metaによると、児童搾取の画像を再共有することは、たとえ怒りに任せたものであっても有害であることをユーザーに警告し「報告して、共有しないで」というキャンペーンを開始した。

同社は、規制当局からの問い合わせや、エンド・ツー・エンドで暗号化された環境で児童搾取が増加することを懸念する児童安全擁護団体からの反発に対応するため、すでにこれらの手順や計画の多くを明らかにしていた。しかし、Metaは、ユーザーの非暗号化データのスキャンと既存のレポート機能を組み合わせることで、メッセージが暗号化されていても、不正使用に対して行動を起こすことができると主張している。実際、エンド・ツー・エンドの暗号化がすでに採用されているWhatsAppでも、この方法で不正使用の検出に成功している。WhatsAppは最近、過去の事例を検証した結果、問題のチャットがエンド・ツー・エンドで暗号化されていたとしても、法執行機関に情報を提供することができただろうとも述べている

暗号化されたメッセージングに関する問題は、Metaが規制当局からその展開を許可されるべきかどうかということだけではない。Metaの本日の投稿は、E2EEによってユーザーの安全を確保することができなくなることはないと主張しているように見えるが、Metaの元従業員は最近、同社が「馬鹿馬鹿しいほど早いスケジュール」でE2EEシステムへの移行を計画していたことを非難している。このことは、E2EE環境での保護のためのロードマップや計画がなかったために、子どもの安全保護が明らかに悪化していたと理解している子ども安全チームのメンバーの辞任につながった。従業員のDavid Thiel(デイビット・ティール)氏がTwitterで指摘した具体的な問題はMetaの投稿では解決されておらず、暗号化された通信を可能にしつつ、ユーザーにとって真に安全な環境を作るために必要なことを単純化しすぎている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagramのアダム・モセリ氏、 10代のメンタルヘルスについて上院で証言

Instagram(インスタグラム)の責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、子どもや10代の若者のオンラインの安全性に関する一連の公聴会の一環として、初めて上院で証言する。The New York Timesによると、モセリ氏の公聴会は米国時間12月6日に行われる。

モセリ氏の公聴会は、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党)が、Facebook(現Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に手紙を送り、彼かモセリ氏のどちらかが上院の公聴会に参加するよう要請したことに端を発する。

モセリ氏は、上院議会への出席のニュースを受けて動画を投稿した。彼は、10代の若者のオンラインでの安全性に対する懸念が高まっていることを話し、10代の若者のアカウントをデフォルトで非公開にしたり、若者が目にする広告の種類を制限したりするなど、Instagramが若いユーザーを保護するために行ってきた過去の対策を紹介した。

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「これらの問題について、比較的近いうちに議会で話すつもりです」とモセリ氏は語った。「これらは重要な問題ですが、私たちは共通の目標を持っています。私たちは皆、若い人たちがオンラインで安全に過ごして欲しいと願っています」。

9月にInstagramが10代の少女に危険な影響を与えていることを知っていたという報道が流れたとき、上院商務科学運輸委員会はそれを重くみた。委員会はまず、Facebookのセキュリティ部門のグローバルヘッドであるAntigone Davis(アンティゴン・デイビス)氏に質問したが、上院からの直接の質問には答えなかった。その数週間後、委員会はFacebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の証言を聴取した。ハウゲン氏は「Facebook Papers(フェイスブック・ペーパーズ)」として知られる何千もの内部文書を流出させた元シビックインテグリティプロダクトマネージャーだ。ハウゲン氏はこの証言で、Facebookはユーザーの安全よりも利益を重視していると上院に訴えた。

「Facebookが、私や他の議員、一般市民に対して完全に透明性を保とうとせず、若者のメンタルヘルスや依存症に関する重要な情報を隠しているように見えることに失望しています」と、この公聴会を主催する上院委員会の議長を務めるブルメンタール上院議員は書いている。「私が8月の手紙でInstagramと10代の若者に関する具体的な情報を求めたとき、Facebookは、ハウゲン氏が直接反論した明らかに回避的で誤解を招くような回答をした」。

2021年10月、Snap(スナップ)、TikTok(ティックトック)、YouTube(ユーチューブ)の幹部から話を聞いた後、再びInstagramの代表者から話を聞くために委員会は開催される。思春期の摂食障害の発症とInstagramの関連性について委員会が関心を示していることを考えると、モセリ氏は、Instagramが10代の少女に与える影響についてMetaが行いリークされた内部研究について質問されることが予想される。

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The Wall Street Journalが入手し、後にMeta自身が発表したこの内部研究によると、Instagramは10代の女の子の3人に1人のボディイメージの問題を悪化させ、10代の女の子は不安や鬱病の増加をInstagramのせいにしていることがわかった。自殺願望のある10代の若者の間では、6%のユーザーが自殺で死にたいと思ったきっかけをInstagramだとしている。さらに、調査対象となった10代の女の子の32%が、自分の体に悪い印象を受けたとき、Instagramがその気持ちをさらに悪化させたと報告している。

これらの文書が流出した直後、モセリ氏はInstagramがInstagram Kids(インスタグラムキッズ)の構築を一時停止することを発表した。Metaには、13歳未満のユーザーが親の承認した相手とチャットできるMessenger Kids(メッセンジャーキッズ)などの製品がすでにある。

「この体験を開発する必要性を支持しますが、このプロジェクトを一時停止することにしました」とモセリ氏は書いた。「これにより、保護者、専門家、政策立案者、規制当局と協力し、彼らの懸念に耳を傾け、10代の若者のオンライン経験にとってこのプロジェクトの価値と重要性を示すための時間を得ることができます」。

しかし、批評家たちは、Metaが責任を持ってInstagram Kids製品を構築する能力があるかどうかについて懐疑的だ。2021年11月に発表された調査によると、Facebookは広告ターゲティングのために10代の若者を監視し続けていると言われている。

「あなたかアダム・モセリ氏が証言して、記録を整理し、議会のメンバーや親たちに、あなたがどのように子どもたちを守るのかという計画を示すことが緊急かつ必要です」とブルメンタール上院議員はザッカーバーグ氏に書き送った。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックがケニアで最も未成年者の性的搾取が横行するSNSであることが判明

新たに公表されたDisrupting Harmレポートによると、ケニアにおいてインターネットを通じた未成年の性的搾取が、他のどのサイトよりもFacebook(フェイスブック)で横行していることが判明した。この大手テクノロジー企業のプラットフォームは未成年にとって極めて危険なものになっている。

インターポール、ユニセフ・イノチェンティ研究所、子どもに対する暴力撲滅に関する活動がまとめたこのレポートにより、2020年の東アフリカ諸国における未成年者に対するオンラインでの性的搾取や性的虐待に関する事例の90%以上がFacebookを起因とするものであることが判明した。このレポートは、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)のデータ、未成年者やその両親、警察機関、法定代理人との面談に基づいて作成されたものである。

Facebook以外に、WhatsApp、Instagram、YouTubeも児童の性的虐待に関する画像や動画が広く所有、制作、配信されるプラットフォームとして言及されているこのレポートは、NCMECのデータを受けて公表されたものである。そのデータによると、2020年1年間にFacebookが報告した児童の性的虐待の画像は世界全体で2000万件以上にのぼるが、これは2番目に件数が多かったGoogleの37倍であったという。その後に行われている調査でも、Instagramが10代の少女のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼしていることが判明したため、Instagramの親会社であるMetaも、現在中断している13歳未満の未成年者を対象としたInstagram Kidsを開始する計画について熟慮している。

自社のプラットフォームから未成年者の搾取を排除するためにどのような取り組みを行っているかについてMetaからコメントを得ようとしたが、この記事を発表する際の期限までにコメントを得ることはできなかった。

NCMECのCyberTiplineレポートによると、全体的には、ケニアの児童に対するオンラインでの性的虐待も、6%増えて1万4434件となっている。CyberTiplineは、未成年者の性的搾取に関する事例を報告するための一元的なシステムである。ケニアは東アフリカで唯一、同国の犯罪調査局(DCI)の人身売買防止・児童保護課(AHTCPU)やインターポールの国際児童性的搾取データベースを通じてNCMECの報告システムに直結している国である。

同レポートには次のように記されている。「WhatsAppとFacebook(またはFacebook Messenger)は、児童が最も標的にされるソーシャルメディアやインスタントメッセージアプリであった。その理由はおそらく、FacebookとWhatsAppがケニアで最も人気がある2つのソーシャルメディアプラットフォームであり、子どもたちが多くの時間をオンラインで過ごす場所だからである」。

AHTCPUの責任者であるMueni Mutisya(ムエニ・ムティシャ)氏は、TechCrunchの取材に対し、同課がサイバー情報に関するレポートを毎日22件受け取っていると答えた。ケニアでは、新型コロナウイルス感染症が世界的にまん延し始めたあとに記録された事例が増大しており、これもソーシャルサイトの利用に起因する状況であると同氏はいう。

同氏は次のように述べている。「ソーシャルメディアによって、オンラインでの児童の性的搾取と性的虐待(OCSEA)の共有、作成、配信が拡大した。搾取者が若者をだまして、自分自身の露骨な画像を提供させたり、過度に人を性の対象として見る文化のえじきにしたりすることが格段に容易にできるようになった」。

このソーシャルメディアの勢力レポートによると、WhatsAppはFacebookとYouTubeに次いでケニアで人気のあるソーシャルアプリである。これまでに、ケニアの人口の4分の3以上がインターネットにつながっており、FacebookやWhatsAppといったサイトに容易にアクセスできるようになっている。

犯罪者が児童を食い物にする方法が変化しているように思える状況下で、このレポートを作成するにあたって面談を行った被害者の半数以上が、性的なコンテンツの要求はオフラインではなくオンラインで行われたと言っており、未成年者の5人に1人が直接のアプローチを受けている。少年と少女のどちらもオンラインで同程度のリスクに直面しているという事実を報告している調査によると、オンラインでの性的搾取という危険に最もさらされているのは12歳から17歳の未成年者だった。

犯罪者は一般的に被害者の知っている人物であることが判明しており、プレゼントや金銭(性的な恐喝)を利用して、犯罪者に会ったり、画像や動画を共有したりするように未成年者を誘導していた。勧誘は一般的にFacebook(またはFacebook messenger)、WhatsApp、YouTubeを利用して行われる。InstagramやByteDanceのプラットフォームであるTikTokを挙げる者も少数いたが、ほとんどの者はゆすられたり脅されたりして、わいせつなコンテンツを提供させられたり、わいせつな行為に関わらされたりしている。

同レポートにはさらに、ケニアが児童に対する性的虐待の商業的ライブストリーミングの発信地になっていることを国外の法執行機関が明らかにしたことも示されている。Google検索エンジンのトレンドから、ケニアの性犯罪者はティーンエージャーとの性行為、ティーンエージャー同士の性行為、児童や乳児との性行為を題材にした画像や動画を探し求めていることが判明した。安全保障当局のレポートによって、国々を移動する外国の児童性的犯罪者にとってもケニアはホットスポットであることが明らかになっている。

性的な目的で子どもにオンラインで身づくろいをさせる行為もソーシャルサイトで横行している。この行為は、虐待のコンテンツを作成・提供するように操る意図を持って行われているものであり、直接子どもに会ったり、児童を虐待したりする意図はまったくない。これは、現在のケニアでは犯罪行為とはみなされないOCSEA(児童に対するオンラインでの性的搾取と性的虐待)の1つの形態であると同レポートには記述されている。犯罪者を告発する際の根拠となる法律は、児童を性的なコンテンツにさらした加害者を罰するコンピューター不正使用法と児童ポルノを刑事罰の対象としている性犯罪法のみである。

同レポートは次の点を指摘している。「ケニアにおいて、間もなく成立する、オンラインでの身づくろいに対処する児童法案2021(Children Bill 2021)の条文は、児童に会うことを目的としたオンラインでの身づくろいしか対象としていないため、例えばオンラインプラットフォームで性的なコンテンツを送るように犯罪者が児童に求めた場合には適用されない可能性がある」。

現在、立法府の承認手続きが進められているこの法案は2020年に提出されたものである。2週間前に国会議員がこの新しい法律に対する提言を一般に募り、先ほど述べた抜け穴を埋めるチャンスが到来した。

同レポートは次のように述べている。「性的虐待がオンラインで発生する行為である身づくろいを禁止する条文が依然として盛り込まれるように願っている」。

この種の犯罪には、国境を超えて行われるという性質があるため、ケニアは犯罪者の行動を追跡したり、犯人を検挙したりできるように国際機関や地方自治体と綿密な連携を行っている。ケニアのDCI AHTCPUも国の通信規制当局と連携して、この種の犯罪の性質を一般大衆に警告したり、報告を行うことを推奨したりしている。

ムティシャ氏は次のように語る。「インターネット犯罪には国境を超えて行われるという性質があるため、DCI AHTCPUはOCSEAとの戦いをサポートするために、国内や国外の戦略的パートナーと手を組んでいる。国境を超えるOCSEAの事例が発生した場合には、我々はインターポールを利用して通知を発令する」。

「英国高等弁務官事務所の国際渉外官や(ケニアの)米国大使館のFBI法務専門職員およびケニアにおいて同等の役割を担う人々と綿密に連携し、オンラインで虐待を受けた被害者のために正義を求め、犯罪者を追跡していく。これは、社会への啓蒙や学校訪問によって実現する教育、意識の向上と鋭敏化に加えて行うものである」と同氏はいう。

Disrupting Harmの執筆者たちは、同レポートに記された調査結果が、児童に対するオンラインでの性的虐待に関する戦略を導入するための指針となることを願っている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Annie Njanja、翻訳:Dragonfly)

欧州のデジタル規制の再改定でフェイスブックの態度が変わる可能性、内部告発者フランシス・ホーゲン氏が欧州議会で証言

Facebook(フェイスブック)の内部告発者Frances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏は、先に行われた英国と米国の国会議員の前でのセッションの後、欧州議会で洗練された証言を行った。

ホーゲン氏のコアメッセージは、大西洋の両側で発せられたのと同様の深刻な警告だった。「Facebookは安全より利益を優先し、個人、社会、民主主義に悪影響を及ぼす有害コンテンツの増幅を無視することを選んでいる。そして、欧州の規制監督は、こうした無責任な運営を行うプラットフォームを統制し、責任あるものにするために不可欠であり、立法者たちがソーシャルメディアに規制を課すことに一刻の猶予もない」。

Facebookの内部告発者として(これまでで)最も注目度の高い人物であるホーゲン氏は、欧州議会から非常に好意的な反応を受けた。議員たちは、同氏が時間を割いてくれたことや、彼らが同氏の「勇気」と表現する、懸念を公に表明してくれたことへの感謝の言葉を惜しまなかった。そして同氏が発言する前や、約3時間にわたるプレゼンテーションと質疑応答の最後にも、同氏を称賛した。

議員たちはさまざまな問題について同氏に質問した。最も大きな関心が寄せられていたのは、新たに導入されるEU全域のデジタル規制が、不安定なプラットフォーム大手に対して、効果的な透明性と説明責任をいかに最大限にもたらし得るかということだった。

Digital Services Act(DSA、デジタルサービス法)は、欧州議会議員の知性の前に置かれている。欧州委員会の提案に対する修正の検討と投票が行われており、この過程で同法案が大きく変化する可能性もある。

一部の議員が行動広告の全面禁止を求める動きを見せたことなどを受け、コンテクスチュアル広告のようなプライバシー保護に配慮した代替手段が法案に盛り込まれた。あるいは最近支持を得た別の修正案では、ニュースメディアをプラットフォームコンテンツの削除から除外するよう求めている

蓋を開けてみると、ホーゲン氏はこうした修正案に好意的ではないことがわかった。しかし、この規制を総じて支持すると同氏は発言した。

DSAの全般的な要点は、信頼できる安全なオンライン環境を実現することに置かれている。そして本日のセッション中に発言した多くの欧州議会議員たちは、ホーゲン氏が欧州議会で発言することに世界的な注目が集まっていることを受けて、EUの警笛を吹く街頭演説的なオポチュニティを捉えた。Facebookの(さらに)別のパブリシティ危機の真っただ中にある中、デジタル規制が審議中であるだけでなく、採択に向かって急速に進んでいる進歩的な状態であることを知らせるものだ。

Facebookの内部告発者は政治的エゴを満たすことに快く応じてみせた。EUがプラットフォーム規制に真剣に取り組んでいることに「感謝する」と述べ、EUはDSAにより「グローバルなゴールドスタンダード」を築くオポチュニティを有していると示唆した。

とはいえ、同氏は2021年10月に行われた別の証拠審議の際にも、英国議会で同様の表現を用いている。そこで同氏は、同国のオンライン安全法について同じように熱弁を振るった。

ホーゲン氏は欧州議会議員たちに対し、Facebookは「データを使ってごまかす」ことに並外れて長けている、と英国の立法者たちに警告した内容を繰り返し、Facebookのプラットフォーム上で起きていることに関するデータを提出することを単純に要求するだけのような甘い法律を通過させてはならない、と議員らに印象つけた。むしろFacebookは、データを引き出して監視監査を生成するのに使用するクエリの詳細に至るまで、同社が引き渡すデータセットのすべてについて説明を求められるべきだということだ。

法制化においてこのようなステップを取らなければ、EUの新しいデジタル規則に大きな抜け穴ができ、Facebookはチェックマークを付ける構図を描くのに必要なあらゆるクエリを実行して、選択的に自己利益的なデータを提供することでうまく乗り切るだろう、とホーゲン氏は警鐘を鳴らした。

Facebookのように信頼できないプラットフォームでも規制が効果を発揮するためには、市民社会組織や外部の研究者たちの幅広いエコシステムからの多層的で動的かつ継続的なインプットが必要だと同氏は提言した。新たに発生してくる弊害を掌握し、法律が意図した通りに機能していることを確保するためだ。

AIがもたらすインパクトに関して求められている説明責任を真に果たすためには、現在DSAが提案している「吟味された学識者」だけではなく、より広範な分野の外部専門家にプラットフォームデータを提供することで、監視に対する広い視野を持つべきだと同氏は強く要請した。

「Facebookがデータで偽ることは明らかです」と同氏は欧州議会で語っている。「DSAの導入を奨励します。Facebookはデータを提供する際、その取得方法を示す必要があります【略】データを引き出すために使用したプロセス、クエリ、ノートを開示することが極めて重要です。これを確認できない限り、提供された情報を信頼することはできません」。

ホーゲン氏は単に警告を発するだけではなかった。同氏はさらに賛辞を重ね、欧州議員たちに次のように伝えた。「欧州がこれらのプラットフォームを規制する上で重要な役割を担うことを強く信じています。欧州は活気に満ちた、言語的に多様な民主主義国家だからです」。

「言語的にも民族的にも多様な4億5000万人のEU市民のためのDSAの権利を獲得すれば、世界に向けたゲームチェンジャーを創出できます。ビジネスのオペレーションに対する社会的リスクの評価を各プラットフォームに義務づけることで、構築するプロダクトやその構築方法の決定は、利益の最大化だけに基づくものではなくなります。言論の自由を保護しつつ、リスクに対処する体系的なルールや基準を確立し、透明性、監視、執行がどのように機能すべきかを世界に示すことができるでしょう」。

「プラットフォームは自社がどのような安全システムを持っているのか、それらの安全システムがどのような言語に対応しているのか、言語ごとのパフォーマンスを明らかにしなければなりません。これを確実にすることが、深刻に、切実に求められています」と同氏は続け、包括的な情報開示の必要性に関する自身の主張を具体化した。「正直なところこれは欧州人の大多数にとって危険なことなのだろうか?と思われるかもしれません」。

ホーゲン氏によると、このようなアプローチは、そのプラットフォームが稼働するすべての市場と言語にまたがる弊害に対処する上で必要な「言語に依存しないコンテンツ中立的なソリューション」をFacebookに迫ることで、欧州を超えた規模のメリットをもたらすという。

Facebookの(限られた)安全予算における偏り、つまりどれだけの予算が英語圏の市場に向けられているのか、そして / または規制を恐れている少数の市場に向けられているのかという点は、Facebookの非常に多くの内部文書が漏洩したことで増幅された核心的な問題の1つである。そして同氏は、FacebookのAIモデルに状況に応じた透明性を持たせることで、強力なプラットフォームがどのように運用されているのか(そして何を優先するのか、何を優先しないのか)というグローバルな公平性の欠如に対処できると提言。そのためには一般的なパフォーマンス指標に加え、市場、言語、安全システム、そしてターゲットを絞ったコホート単位においても、詳細な情報が必要になると指摘した。

安全性を体系的な要件としてFacebookに取り組ませることは、欧州全域の市場でプラットフォームが引き起こす問題を解決するばかりでなく「世界の脆弱な地域に住んでいて、あまり影響力を持たない人々のために声を上げることにもなる」と同氏は主張する。そして次のように言い添えた。「世界で最も言語的な多様性に富む地域は、往々にして最も脆弱な地域であり、欧州が介入する必要性を抱えています。欧州は影響力を有しており、そうした地域の人々のために真に力を発揮できるのです」。

ホーゲン氏の発言の多くは以前の証言や記者会見でもお馴染みのものであった。一方、質疑応答では多くのEU立法者たちが、有害なコンテンツの増幅というFacebookの問題がマイクロターゲット / 行動広告(当議会で活発に議論されている)の全面禁止により解決されるのではないか、という論点に同氏の声を引き込もうとした。これによりアドテックの巨人は、背後にある人々の情報をデータ駆動型操作を通じて利益を得るために使用することができなくなるだろう、ということだ。

これについてホーゲン氏は異議を唱え、規制当局が決定するのではなく、人々が自分でターゲティング広告の有無を選択できるようにすることを支持すると述べた。

全面禁止の代わりに、同氏は「特定の事柄や広告は【略】実際に規制される必要があります」と提案し、規制の対象となる領域の1つとして広告料金を挙げた。「現在のシステムはヘイトを助成しています。つまり、ヘイト的な政治広告を掲載する方が、そうではない広告を掲載するよりも5倍から10倍安いのです。それを考えると、広告料を均一にする必要があると思います」と同氏は説明した。「ただし、特定の人をターゲットにした広告を規制すべきであるとも考えています」。

「ご存じかどうかわかりませんが、特定の広告について100人のオーディエンスをターゲットにすることも可能です。それが悪用されていることはまず間違いないと思います。政治広告に過剰にさらされているのはどのような人かを分析したところ、驚くことではありませんが、最も影響を受けているのはワシントンD.C.の人々で、それは極端に過度な露出状態です。私たちは月に何千もの政治広告について話し合っています。ですから、特定の人々を彼らの認識なしにターゲットにするメカニズムを持つこと【略】は容認できないと私は考えます」。

ホーゲン氏はまた、Facebookはサードパーティのデータソースを利用して、広告ターゲティング目的でユーザーのプロファイルを充実させていることに言及し、その利用を禁止するよう主張した。

「プロファイリングとデータ保持に関して、サードパーティのデータを取得することを許可すべきではないと思います。Facebookはクレジットカード会社やその他の形態と協働していますが、これは彼らの広告の収益性を根底から高めています」と同氏は述べ、次のように付け加えた。「データソースと連携する際にはその都度承諾する必要があると思います。人々は、Facebookに自分たちのデータの一部があることを知ればとても不愉快に感じるはずです」。

しかし、行動広告ターゲティングに関しては、全面禁止の支持を慎重に避けている。

それはこのセッション中に生じた興味深い波紋だった。この問題にはEU内部でモメンタムがあり、それにはホーゲン氏自身の内部告発が地域の立法者たちのFacebookに対する懸念を増幅させた結果としての影響も含まれていた。そしてホーゲン氏はそれを喚起するのに貢献したかもしれないのだ(しかしそうしないことを選んだ)。

「ターゲット広告に関しては、人々がどのようにターゲティングされるかを選択できるようにすべきであると強く提言します。そして、人々に選択を強要するダークパターンを禁止することを推奨します」と同氏はある回答の中で述べている(しかし「ダークパターン設計」のようなシニカルで多面的な要素に対し、規制当局がどのようにして有効な法律を作ることができるのかについての詳細には触れていない)。

「プラットフォームは、そのデータをどのように使うかについて透明である必要があります」と同氏は自身の提案のすべてを包含する本質を伝えてから、次の提案を繰り返すことに依拠した。「すべての政治広告に均一の広告レートを提供するようプラットフォームに義務づけるポリシーを公表すべきであることは、私が強く提唱するところです。政治広告でヘイトを助成すべきではありません」。

行動広告を禁止することに反対する同氏の主張は、規制当局が完全に包括的なプラットフォームの透明性を達成することに集約されている(むしろそれに依存している)ようだ。それは、Facebook(およびその他の同業各社)が人々のデータを使って実際に行っていることの正確な実態を提示できること、つまり、ユーザーがそのようなターゲティングを望むかどうかについて真の選択ができるようにすることだ。したがって、全面的な説明責任の遂行が重要な意味を持つ。

しかしセッションの別の局面で、それは子どもたちがFacebookのようなプラットフォームによるデータ処理に本当の意味で同意できるかどうかを尋ねられた後だったが、ホーゲン氏は、子どもはもちろんのこと、大人たちも、Facebookが自分たちのデータで何をしているのかを(現時点で)理解できているのか疑問であると主張した。

「自分がどのような情報をトレードしているのかを子どもたちが理解できるかということに関してですが、大人である私たちはほぼ間違いなく、何をトレードしているのかを理解していないと思います」と同氏は議員たちに語った。「アルゴリズムに何が含まれているのか、子どもたちにインフォームドコンセントが与えられるような形でターゲット設定されているのか、私たちにはわかりません。インフォームドコンセントが与えられているとは思えませんし、子どもたちの能力も限られています」。

これを踏まえると、同氏の信念、つまり「前述のような包括的な透明性は可能であり、すべての大人が操作的な行動広告を受け入れるか否かの判断を真に情報に基づいて下すことができるデータ駆動型操作、という普遍的に包括的な構図を描き出すだろう」との考えは、何というか、やや希薄に見える。

ホーゲンの論理、すなわち、規制当局がユーザーに提供されているあらゆるものについて不適切 / 不正確に伝達すること、および / または規制当局がユーザーに自らのリスクと権利に関する適切かつ普遍的な教育を保証していないことを含む、根本的な透明性の欠如に対して同氏が提案した解決策に従うならば、データ駆動型の搾取が(今まさに法律に組み込まれているフリーパスで)続いていくリスクがあることは確かであろう。

ここでの彼女の議論は一貫性に欠けているように感じられた。行動広告を禁止することに対する同氏の反対、そしてそれゆえに、ソーシャルメディアの操作的な有害性を助長する1つの根本的なインセンティブに対処することに反対している同氏の主張は、論理的というよりむしろイデオロギー的なものであるかのようだ。

(確かに、世界中の政府は同氏が主張しているような高い機能を備えた「完全な」監視機能を緊急に導入することができるという信念の飛躍は必要なように思える。とはいえ、同時に同氏は、何週間もかけて立法者たちに対し、プラットフォームは非常にコンテキストに特化した、データが詳細に記述されたアルゴリズムマシンとしてしか解釈し得ないものだと強く訴えてきた。同氏が今回の質疑応答で述べたようなFacebookの「驚くべき」データ量を考えれば、目の前にあるタスクの規模の大きさはいうまでもない。Facebookからデータを生の形で取得した場合、規制当局にとってあまりにも膨大すぎることが示されている)

これはおそらく、権利の専門家ではなく、データサイエンティストに期待される視点でもあるだろう。

(前述のような、行動広告の禁止に対する同氏の即座の拒否は、害が流れてそれが感じられるマシンの外にいるのではなく、ブラックボックスに内通してアルゴリズムやデータを操作することに専念してきたプラットフォームのインサイダーに見られるような、一種のトリガー反応といえよう)

セッション中の別の場面で、ホーゲン氏は、ソーシャルメディアの問題に対する唯一の万能薬として徹底的な透明性を求める自身の主張をさらに複雑にした。EUがこのような複雑な問題の施行を最大27の国家機関に任せることに対して警告を発した。

もしEUがそうするなら、DSAは失敗するだろうと同氏は示唆した。代わりに立法者たちに助言したのは、Facebookレベルのプラットフォームを包み込むために必要だと同氏が指摘する、非常に詳細で階層化された動的なルールの実施に対処するための中央EUの官僚機構を作ることだった。同氏はさらに、自身のような元業界のアルゴリズムの専門家たちがそこに「居場所」を見つけ、彼らの専門的な知識への支援や「公的な説明責任に貢献することによる還元」が推進されることを提唱した。

「アルゴリズムが実際にどのように機能し、その結果がどのような結果をもたらすのか、これらの分野の正式な専門家の数は、世界的に見て非常に少ないのが現状です。この分野に修士号や博士号はありません。そのため、分野に携わる企業の1つで働き、社内で実地訓練を受ける必要があります」と同氏は説明し、さらに次のように付け加えた。「この機能を27の加盟国に委譲した場合、1つの場所でクリティカルマスを獲得できなくなることを、私は深く懸念しています」。

「十分な専門家を確保し、それを広く分散させることは、非常に難しいでしょう」。

プラットフォームが人々の目をたやすく欺くことを防ぐためには、利己的なデータセットや「脆弱な」AIの中の悪質な詳細を明らかにする必要があると立法者たちに警告する声が非常に多い中、広告に個人データを使用しないなどの単純な制限を規制当局が実際に設定することにホーゲン氏が反対していることは、教訓的であるように思える。

同氏はまた、規制当局はプラットフォームがデータを使って実行できることに制限を設けるべきか、および / またはアルゴリズムに使用できるインプットに制限を設けるべきかについて、欧州議会議員らから直接質問を受けた。この質問に対しても、同氏は制限ではなく透明性を優先した(しかし他のところでは、前述のように同氏は、広告プロファイリングを充実させる目的でFacebookがサードパーティのデータセットを入手することは少なくとも禁止すべきだと主張している)。

結局のところ、このアルゴリズムの専門家のイデオロギーには、データ駆動型ソフトウェアマシンのための効果的な規制を考え出す方法について、ブラックボックスの外で考えることに関してはいくつかの盲点があるようだ。

民主主義社会がデータマイニングテクノロジーの巨人たちからコントロールを奪い返すためには、ある程度の急ブレーキは必要なことかもしれない。

したがって、ホーゲン氏の最大のアドボカシーは、デジタル規制を致命的に台無しにする抜け穴のリスクに関する極めて詳細な警告であろう。ここでのリスクが多元的であるという点で、同氏は間違いなく正しい。

同氏はプレゼンテーションの冒頭で、もう1つの抜け穴の可能性を指摘した。立法者たちに、ニュースメディアのコンテンツをDSAから除外しないよう求めた(これも議員たちが検討している修正案の1つだ)。「コンテンツ中立性のルールを作るのであれば、本当に中立でなければなりません」と同氏は主張した。「何も選ばれず、何も除外されないということです」。

「現代の偽情報キャンペーンはいずれも、システムを操作することで、デジタルプラットフォーム上のニュースメディアチャンネルを不当に利用していくでしょう」と同氏は警告した。「プラットフォームがこれらの問題に取り組むことをDSAが違法とする場合、私たちは法の有効性を損なうリスクを負うことになります。実際、今日の状況よりも状況が悪化する可能性があります」。

質疑応答の中でホーゲン氏は、いわゆる「メタバース」の構築に向けて計画されているFacebookの方向転換に照らして、規制当局が直面するであろう新たな課題について議員たちからいくつかの質問を受けた。

関連記事:ザッカーバーグ氏は110兆円規模のフェイスブックを「メタバース」企業にすると投資家に語る

これについて、同氏は議員らに対し「非常に懸念している」と述べ、家庭やオフィスでのメタバース供給センサーの普及によってデータ収集量が増加する可能性に警鐘を鳴らした。

同氏はまた、Facebookがワークプレイス用ツールの開発に注力していることが、ビジネスツールに関して従業員がほとんど発言権を持っていないことを考えると、オプトアウトが選択肢にさえならない状況をもたらすのではないかという懸念を表明した。これは人々が将来、Facebookの広告プロファイリングと、生計を立てることのどちらかを選ぶというディストピア的な選択に直面する可能性を示唆している。

Facebookが「メタバース」に新たな焦点を当てたことは、ホーゲン氏がFacebookの「メタ問題」と呼んだものを浮き彫りにしている。これはつまり、同社が現在のテクノロジーによって生じた問題を終わらせて修復するよりも「先に進む」ことを優先しているということでもある。

規制当局はこのジャガーノート(圧倒的な力を持つ存在)に対して、安全性に重点を置いた新たな方向性を計画させるためのレバーを投入しなければならない、と同氏は強調した。

​​画像クレジット:BENOIT DOPPAGNE/BELGA MAG/AFP / Getty Images under a license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

プッシュ通知を送るだけのアプリ「Push it」が5カ国のApp Storeでナンバー1になった理由

Push itと呼ばれる、友達に「プッシュ通知」を送る機能を持つ新しいアプリがアプリストアのナンバー1アプリになっている。このアプリには2つのスクリーンショットしかない。1つは大きく赤いボタンで、もう1つは「送信中」というテキストが書かれた黒と赤のスクリーンだ。このアプリをインストールした人々の多くはこのアプリをまだ使用することができていない。それなのに、このアプリが5カ国でナンバー1になっているのはなぜなのだろう?

わかったのは、Push itが、Snapchatプラットフォームアプリ、Sendit(ARゲームや匿名Q&Aの機能を持つ)を作った人々が作り出した最新のアプリであることだ。

画像クレジット:fullsenders

Push itがなんであるのかを理解するには、この会社のオリジナルアプリであるSenditについて知る必要がある。

Senditは若い層を中心に人気のアプリで、ゲームをしたり、友達と会話をするのにこのアプリを利用するSnapchatユーザーを着実にひきつけている。Sensor Towerのデータによると、現在までのところ、Senditは世界中で900万回ダウンロードされ、300万ドル(約3億4000万円)近くの個人消費を生み出している。

Senditは、SnapchatがSenditの最大のライバルであるYOLOとLMKを一時停止したことを受け、最近新たに何百万人ものユーザーにインストールされた。このYOLOとLMKの2つのアプリは、これらを使用していた男の子が他の匿名のユーザーにいじめられ自殺したことから、その男の子の母親が裁判所に訴え、提訴の対象になっているのだ。Senditもやはり友達に自分が誰であるかを明かさずに質問するよう促す「何でも聞いて」ゲーム、といった匿名の機能を提供しているが、いまのところYOLOとLMKのような運命に陥らずにすんでいる。

Senditについての否定的なレビューの中には、やはりいじめについて言及したものがあるが、Snapchatはまだこれに対する措置を講じていない。TechCrunchがSnapchatに対し、未成年に対する匿名アプリをめぐるポリシーについて尋ねたところ、同社はプラットフォームの安全性を世界的に統括する責任者を採用したところであり、アプリのエコシステムとポリシーを見直しているとのことだった。

さらに、Senditのユーザーの一部は、このアプリは友達が絶対にしていないはずの質問を表示するボットを使用していると信じているようだ。

あるユーザーはアプリストアのレビューで次のように書いている。

このアプリはランダムにフェイク/自動化された質問を送ってくる。例えば、私と私の友達は全員20台中頃なのだが、全員がまったく同じ、「あなたは人間不信に陥っていますか?」「宿題を写すとしたら、誰が一番よい相手ですか?」といった質問を受け取ってっている。

こんなレビューもある。

受け取った質問の中には、私が知っている友達からのものではないと確信を持っていい切れるものがある。これがフェイクなのは間違い無く、AIからのものだと確信している。それらは誰も質問しないような、「ゾンビだらけの世の終末に生き残りをかけて自分のチームを作るとしたら、そのチームのメンバ-に誰を選びますか?」といったランダムで安っぽい質問だ。ばかばかしいし、こんな質問は誰もしない。本物のアプリを作るべし。

Senditの創設者である Hunter Rice(ハンター・ライス)氏は、ボットは関わっていないと述べている。また彼はSenditがティーンエイジャーに受け入れられているのは、匿名性によるものだという考えに異議を唱えている。

「私たちのユーザーがSenditに惹きつけられているのは、すばらしいAR体験のためです。私たちが当社の使命と感じ目指しているのは、友達との会話を盛り上げるの際の摩擦を低減する新しい方法です。私たちは非常に魅力的なフォーマットをこれらのARゲームを通して発見しました。これがSenditの背後にあるマジックであり、Senditがここまで成功している理由です」とライス氏は説明する。

今日、Senditは「Never Have I Ever」「Truth or Dare」など、若い層に受けるゲームを提供している。Senditではユーザーが「私とお似合いなのは誰だと思う?」といった質問をすることができたり「告白ー誰を好きか言ってください」「適合性試験」など、ティーンエイジャーが友達と話したがるような内容が反映されたものを提供している、

同様に、ライス氏によると、新しいアプリPush itも会話をはずませる新しい方法を提供するということである。

ただし、これは、Snapchat向けの有望なARレンズゲームやQ&Aではなく、直接友達のiPhoneに通知を送るというベーシックなツールだ。

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「私たちはSenditを通し、これらのARでのやり取りの中にすばらしいフォーマットを見つけました。そして、これは順調に進んでいます。そこで、これと同じ仕組みを別のフォーマットを使って複製しようと考えました」とライス氏はいう。

アプリストアの必要最低限のことしか書かれていないリストでははっきりしないが、この新しいアプリはベーシックなフォロワー / フォロウィングモデルを提供しており、ユーザーはアプリで、自分をサブスクライブしている人全員にプッシュ通知を送ることができる。これらのフォロワーはSenditと同様、その通知に反応して、一対一の会話を始めることができる。

ライス氏らは、このコミュニケーションスタイルが、友達グループやクリエーター、ブランドにも受け入れられるのではないかと考えている。

Push itを使用する場合、このアプリはユーザーのiphoneにあるアドレス帳データベースへの完全なアクセスを求める。またこれはテキストメッセージで友達を招待するツールも提供する。招待が必要な友達の名前の横に「OK」ボタンが表示され、それを押すと、友達を招待するためのテキストが作成される(アプリがテキストを送る相手をユーザーのアドレス帳にある人々の名前からランダムに選択するのかどうかは、はっきりとはわからない)。

プライバシー保護への機運が高まりを見せるなか、アプリ招待スパムはびこる現状を受け、SMSベースの成長メカニズムは一般的に良いものとは捉えられていない。しかし幸いなことに、Push itは友達に自動テキストを送るのではなく、ユーザー自らが友達にテキストを送るよう促すだけである(ただし、このアプリのプライバシーポリシーは、ユーザーの個人情報を使ってなにが行われているかについての不安を和らげる効果はありまない。ポリシーを読むと、データがマーケティング目的で使用され、Push itのベンダーやビジネスパートナーと共有されるのは明確である)。

このアプリはユーザーに熱心に5つ星レビューをねだってもくる。ユーザーが星のアイコンをタップすると、ポップアップウィンドウが表示され、アプリストアでPush itを5つ星評価をしたユーザーには「特別なメッセージ」を送ることを約束してくる。

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Push itのiOSアプリは10月後半にアプリストアで公開されたが、Sensor Towerのデータによると以前は「プロジェクトレッド」という名前のもとで準備が進められていた。昨夜の時点(米国時間11月3日)で、オーストラリアやカリフォルニアを含む一部の市場で利用可能になっている。このアプリがすでにナンバー1になっているのを見ると、そのローンチが、発売前マーケティング、あるいは今や当たり前の手法となったグロースハックに大きく依存したものなのではないか、という疑念が湧いてきてしまう(こちらの記事も参照して欲しい。春のチャートのトップを占めるPoparazzi(ポパラッチ)、このアプリがナンバー1になったのはグロースハックによる)。

関連記事:米App Storeトップに華々しく登場、作られた完璧さが並ぶInstagramのアンチを謳う新SNS「Poparazzi」

しかし、ライス氏はこれを否定している。

「Push itにまつわる熱狂は、すべて自然発生的なものです」とライス氏はいうが、それでも同社がソーシャルメディアを使ってアプリの発売を宣伝したことは認めている。例えば、現在Push it のインスタグラムのアカウントには約3万2000人のフォロワーがいる。

しかし、Sensor Towerのデータによると、Push itはすでに記事執筆時点(米国時間11月4日)で、5つの国で急速に拡散しており、米国、カナダ、バミューダ、アイルランド、ノルウェーでナンバー1になっている、と同社はいう。また英国、オランダ、オーストラリア、フィンランド、ニュージーランドでもトップ10に入っている(これらの国の多くは、Push itのInstagramインスタグラムには発売市場としてリストされていない、ということに留意すべきである)。

画像クレジット:fullsenders

Push itがナンバー1であることに違和感があるのは、まだ利用可能になっていない地域(記事執筆時で米国の大半の州を含む)では、このアプリは基本的に機能しないからだ。ユーザーは、アプリに対しユーザーネームを請求することができるが、それだけである。そしてユーザーは自分の地域でアプリが使えるようになるのを待たなくてはならない。

ライス氏によると、段階的な展開戦略をとっているのは、Push itが確実にトラフィックを処理できるようにするためであるが、これによって多くのユーザーの間に混乱が生じているようである。Instagramには「ちょっと、これいつから機能するの?」とか、「これ、一体なんの役に立つわけ?」とか、「超混乱してて、大爆笑」といったコメントが寄せられている。

「私たちは、ユーザーができる限り最善の体験をできるようなスムーズなかたちでアプリを展開しようとしています。全員がアプリにアクセスできるようにしたいですし、すぐにそのようになります。でも、私たちのサーバーが確実に機能し続けるようにしたいとも思っています」とライス氏は述べた。

Push itとSenditは、サンタモニカに拠点を置くFullsenders, Incの10人からなる小さなチームが作っている。同社は資金調達先を公開していないが、TechCrunchでは、関与しているエンジェル投資家の少なくとも1人を正しく推測することができた。

Push itの今後の試練は、アプリストアで現在のような高いランクを保てるかどうかである。自然な手法で、あるいはそうでない方法でダウンロード数を増やすにしても、新しく登場したソーシャルアプリが、高いランクを維持することは通常難しいとされている。また、未成年や10代前半の子ども向けのソーシャルメディアに今後規制がかかること予想されるが、Push itはそうした規制への対処にも取り組まなくてはならない。Push itに弾みがついた場合は、プライバシーポリシーと収益モデルを再考することも必要だろう。

ただし、当分の間Push itが収益を得ることはない。

「私たちは現在、とにかくすばらしいコミュニティを作り、ユーザーが関与したいと思うようなすばらしい機能を築きたいと考えています。そして、私たちが価値ある製品を提供できれば、当社に最もふさわしいビジネスモデルを思いつくことができると思います」とライス氏は述べた。

Push itはiOSにのみ対応している。

画像クレジット:fullsenders

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

NetflixがiOSのキッズユーザー向けにショート動画機能提供へ、まずは英語圏で

Netflix(ネットフリックス)は2021年初め、アプリ内でTikTok(ティックトック)のようなFast Laughs機能を立ち上げ、コメディ番組や即興お笑いスペシャルなどを会員に紹介する短編のおもしろい動画を提供してきた。そして今、アプリ内にあることが明らかになったKids Clipsを使って同様の機能を子ども向けに開発中で、今週中に提供を開始することを認めた。

この機能は、デベロッパーSteve Moser(スティーブ・モーザー)氏が発見したもので、Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じた。モーザー氏は、NetflixのiOSアプリ内でこの機能に関する記述を発見したことをTechCrunchにも明らかにした。アプリのコードに記載されている説明によると、この機能は、若いユーザーが「テレビ番組や映画からの、面白くて、くだらない、音楽的な短編クリップ」を視聴するための方法だ(この機能の以前のバージョンでは「クリップ」を「ビット」と表記していたようだが、その後変更された)。

Netflixは TechCrunchにこの機能の存在を認め、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、英国、およびその他のすべての英語圏で今週から提供されると述べた。また、スペイン語圏のラテンアメリカ市場ではスペイン語の吹き替え、ブラジルではポルトガル語の吹き替えで提供される予定だという。

Netflixは以前、短編ビデオコンテンツに目を向けたのは、扱うコンテンツを会員に「楽しく、早く、直感的に」紹介するディスカバリー機能をより機能させるためだと説明していた。しかし、大人向けの既存のFast Laughs機能とTikTokアプリとの間には、顕著な類似点がある。どちらも縦長のフルスクリーンのビデオフィードと、右側に積み重ねられたエンゲージメントボタンを備えていて、ユーザーは反応を示したりやシェアしたりすることができる。しかし、TikTokとは異なり、大人のユーザーはコンテンツにコメントできない。その代わり、おもしろいコンテンツをNetflixの見たいものリストに追加できるボタンが用意されている。

新しいKids Clips機能は少し異なる仕組みになっている、とNetflixはTechCrunchに語った。

画像クレジット:Netflix

Kids Clips機能は、TikTokのような縦長のビデオフィードを提供する代わりに、タブ内ではなくフルスクリーンのウィンドウに表示される横長のビデオを表示する。クリップは自動再生されるが、保護者は設定でこれを無効にすることができる。クリップのセレクションは毎日更新され、予告編ではなく、Netflixの既存の番組を中心にキッズカタログの全コンテンツから選ばれる。ただし、子どものプロフィールに特定の成熟度設定がされている場合は、キッズクリップ機能はその設定を反映したものになるとNetflixは説明した。

展開するにあたり、この機能は10〜20個のクリップに限定され、画面の右上にクリップの数を示すカウントダウンが表示される。

Netflixの担当者は、この新しいクリップ機能によって、子どもたちが新しいコンテンツを発見したり、お気に入り作品の再視聴につながったりすることを期待していると話した。

画像クレジット:Netflix

この機能の目的は、主にカタログのディスカバリーに関連しているかもしれない。だが、TikTokのような動画アプリがモバイルデバイス上でユーザーの時間をより多く獲得していることも事実だ。例えば2020年のあるレポートによると、米国では、4〜15歳の子どもたちの1日の利用時間がYouTube(ユーチューブ)の85分に対してTikTokは80分と、YouTubeとほぼ同じであることがわかった。

Netflixがソーシャルメディアからアイデアを借りるのは今回が初めてではない。Netflixは以前「Previews」という独自の「Stories」機能を追加し、ユーザーに新しい番組や映画を紹介していた。

Kids Clips機能はiOSでのみ展開され、現時点ではまだ「テスト」とみなされている、とNetflixは述べた。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、iOS 15.2開発者ベータ第2弾で「メッセージ」アプリに子供向け新安全機能を搭載

Apple(アップル)は、iOS 15.2の2回目のデベロッパーベータをリリースし、メッセージAppの新機能「コミュニケーションセーフティー」のサポートを開始した。この機能が2021年初めに発表された際は、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)検出技術の新機能と並んでのことだった。同時に発表されたCSAMは物議を醸し、反発を受けて延期された。

一方、このメッセージAppの新安全機能は、子どもたちがオンラインコミュニケーションを上手に使いこなせるよう、親がより活発な、情報に通じた役割を果たすのを支援することを目指している。メッセージAppは、デバイス上の機械学習(ML)を利用して画像の添付ファイルを分析し、共有されている写真が性的に露骨なものかどうかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、Appleが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、読み込む必要はない。この機能はデフォルトでは有効になっておらず、ファミリー共有機能の中で、保護者がオプトインするようになっている。

メッセージスレッドの中にセンシティブな写真が発見された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これはセンシティブな写真かもしれません」というラベルが表示され、クリックするとその写真を見ることができるリンクが表示されるようになっている。子どもが写真の閲覧を選択すると、詳細情報を示す別の画面が表示される。ここでは、センシティブな写真や動画について「水着で隠すようなプライベートな体の部分が映っています」「あなたのせいではないけれど、センシティブな写真や動画はあなたを傷つけるために使われる可能性があります」というメッセージが子どもに伝えられる。

注目すべきは、Appleがコミュニケーションセーフティー機能について、当初の計画に比べていくつかの変更を加えたことだ。同社は当初、13歳未満の子どもがメッセージAppで露骨な画像を閲覧した場合、親に通知する予定だった。しかし、その通知システムが子どもたちを危険にさらす可能性があるとの批判を受け、Appleはこの機能を削除した。

このコミュニケーションセーフティー機能は、現在、iOS 15.2のベータ版で提供されている。Appleがこの機能を正式にリリースする予定は今のところ不明だ。

編集部註:9to5Mac.comによると、上記の通知システムは特定の状況で機能するため Appleは削除したという。iOS 15.2 beta 2での機能の実装では、子どもがよりコントロールできるようにすることに重点を置いており、Appleは現在、年齢を問わず、子どもが助けを求めたい場合には信頼できる人にメッセージを送るという選択肢を与えているが、その判断は、画像を見るかどうかの判断とは完全に切り離されているとのこと。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

家族と幼児教育者をつなぎ、子育ての多様な支援も行うラーニングポッドサービス「Guardians Collective」

子育てを楽にする技術的なソリューションの必要性に異議を唱える人はほとんどいないだろうが、その需要に実践が追いついていないのは明らかだ。子育ては大変で、子どもがボタンを誤って食べてしまったときや、リモートでの授業の間うつ病の初期症状が出たときなど、さまざまな瞬間にサポートが必要だ。親が直面する問題の多様性は、顧客サービスにとって悪夢のようなものなのだが、それこそが創業者のSaurabh Kamalapurkar(サウラブ・カマラプルカール)氏がGuardians Collective(ガーディアンズ・コレクティブ)を構築することに強い思いを抱く理由だ。

Guardians Collectiveでは、少人数の家族を集め、その家族と早期学習・開発プログラムでの勤務経験があるか、州の認可を受けてデイケアを運営している専門家である幼児教育者とを引き合わせる。この会社の使命、そしてより大きな目標は、正式なデイケアに頼らざるを得なかった家族にとって、幼児教育者をより身近な存在にすることだ。同社は早朝や深夜も含めたピア・ツー・ピアの学習を、サポート付きで提供している。

米国時間11月5日、Guardians Collectiveは、Impact America Fund(インパクト・アメリカ・ファンド)とGary Philanthropies(ゲイリー・フランソロピー)が参加し、Reach Capital(リーチ・キャピタル)がリードした、350万ドル(約3億9700万円)のシード投資ラウンドを発表した。

私の見解では、Guardians Collectiveは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行初期段階から話題となった「ラーニングポッド」というトレンドに新しい風を吹き込んでいる。マイクロスクール、パンデミック・ポッド、スモールグループ・ラーニングと同義のこの言葉は、学校での学習を代替または補完する目的で、個人指導員とペアを組む同年齢の子どもたちの小さな集団を指す。この傾向は、低所得層の生徒にとっては脅威であり、結果的に学習教材へのアクセスにさらに大きな格差が生じることになると批判されている。

Reach Capital(リーチ・キャピタル)で投資を担当したChian Gong(チアン・ゴン)氏は、Guardians Collectiveは単なる学習ポッドではなく、他の保護者とのWhatsApp(ワッツアップ)グループでもないと考えている。

「WhatsAppはすでに知っている人同士をつなげるものですが、Guardians Collectiveでは3〜5家族と幼児教育者が安全な空間に集まり、他では聞けないような質問をすることができます」とゴン氏は言った。「何千人もの子どもたちと接し、同じ年齢の子どもを持つ他の家族との対話を導くことができる教育者の知恵や洞察力、共感を得ることができるのです」。

画像クレジット:Guardians Collective

ゴン氏は、このプラットフォームの魅力は、専門知識、コンテンツ、コミュニティが一体となっていることだと考えている。ベンチャー企業が出資する幼児分野のスタートアップであるWinnie(ウィニー)は、親が近くのデイケアや幼稚園を探すのに利用できるチャイルドケアのマーケットプレイスだ。KaiPod Learning(カイポッド・ラーニング)は、ホームスクールをしている子どもたちに、地元の、補完的で、社会的な学習拠点を提供するために、数百万ドル(数億円)の資金を調達した

これらのスタートアップ企業は、それぞれ実行方法や戦略が異なるが、子どもたちの能力を高めるためのリソースへのアクセスを提供するという点では同じビジョンを持っているようだ。

Guardians Collectiveの戦略には、より多くの幼児教育者にプラットフォームに参加してもらうことも含まれている。ほとんどの州では、デイケアセンターを運営するためにはライセンスを取得する必要があり、その価格や偏見が、実際にそのプロセスを踏める人に影響を与えることを考えると、これは政治的な問題だ。このスタートアップは、免許を持っていないが何世代にもわたって子どもたちをサポートしてきた人たちと、品質保証のバランスをどうとるかを考えているところだ。

「多くのシステムでは、これらの人々を教育者とは呼びません」とカマラプルカール氏はいう。「しかし、彼らはただのおむつを交換する人なのではなく、教師でもあるのです」。教師の組織は、非同期型の仕事に参加するという考えに同意しており、Guardians Collectiveでは、40人の教育者を募集したところ、数日で470人の応募があった。

これまでにデトロイト、ニューオーリンズ、アラスカ、ナバホ・ネイション、オクラホマ、カリフォルニアのセントラルバレーなどで暮らす家族がGuardians Collectiveのアプリを利用している。カマラプルカール氏は、顧客の半数以上が低所得者であると述べている。このスタートアップでは、利用したい家族に手頃な価格を提供するために、スライディングスケールを用いたサブスクリプションモデルを採用している。

ベンチャー企業の資金を得たGuardians Collectiveは、ユーザーの維持と新たな成長への期待のバランスを取る必要がある。ベイエリアでは700以上の家族が同社のプラットフォームを利用しているが、2020年初頭からの全国的な成長率は16倍に達している。また、ユーザーの維持率は94%で、平日は94%のユーザーが毎日アプリを利用しているとしている。

カマラプルカール氏が注目している大きな指標は、家族が何について話しているのか、どこで会話が行われているのか、メッセージの何パーセントが有益な方法で回答されているのか、という捉えどころのないものだ。

「規模の拡大とは、利用者の数だけでなく、利用者にとって私たちのサービスが何を意味するのかということです」と彼は語った。

画像クレジット:Lisitsa / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】オンラインプラットフォームには子供たちを危害から守る責任がある

Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏による、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに与える影響に関するメッセージは明確だった。Facebookの調査によると、英国のティーンエージャーの13%が、Instagramが自殺の考えを誘発したと回答し、女性ティーンエージャーの17%がInstagramは摂食障害を悪化させると語った。

こうした数値は、しかし、ネットを利用するティーンエージャーの安全全般にかかわる問題の一部でしかない。

ある調査によると、 50万人以上の性犯罪者が日々インターネットで活動していると推計されている。2020年には2170万件の児童の性的搾取が、全米行方不明・被搾取児童センターのホットラインに報告された。何者かがインターネットを通じて搾取を目的に児童と連絡を取った際に発行されるオンライン誘惑レポートは前年より97%以上増加した。

オンライン性犯罪者の報告は増加しているが、ネット上の搾取行為の歴史はNetscape(ネットスケープ)に遡る。

わが家に最初のパソコンが来たのは1999年だった。私はNeopets(ネオペッツ)やGaia Online(ガイアオンライン)などのゲーミングプラットフォームを使い始めた。その後すぐにMyspace(マイスペース)とTumblr(タンブラー)で自分の考えを投稿したり他のユーザーと交流したりするようになった。オンライン世界が拡大すると、私はプリティーンを偽る成人男性と遭遇した。17歳の少年と「つきあい」始めたのは、私が12歳の時だった。もちろん誰にもこのことは話さなかったが、主としてそれは恥ずかしかったからだ。自分が「育成(grooming)」されていることなど知らなかった。性的暴力に関わる仕事を私自身が始めるまで、そんな言葉が使われるのを聞いたこともなかった。

育成は狡猾で、馴染みのないティーンエージャーは気づかない。育成によって信頼と精神的つながりを構築することで児童を操り、利用し、虐待できるようにする。その行為とは、たとえば年長のティーンエージャーが児童やティーンエージャーにウェブカム撮影を頼み、徐々に回転ポーズをとらせたり服を「可愛らしい」ものに着替えさせることや、デジタル「友達」がサイバーセックスを強要することだ。時として性犯罪者は、年齢を偽ることで写真や性的履歴などの個人情報を入手し、その情報を自らの享楽の武器にすることもある。

つい最近になって私は、自分のCSAM(児童席的虐待コンテンツ)がインターネットに出回っていることに気づいた。私の動画は今でも何者かの携帯電話やハードディスクでほこりを被っているかもしれない。そしてある日、Discord(ディスコード)やTelegram(テレグラム)のプライベートチャンネルでシェアされるのかもしれない。

インターネット上のティーンガールとしての個人的経験は、私が非営利のオンライン身元調査サイトを構築し、誰もが自分の話している相手に暴力行為歴があるかどうかを、理想的には対面する前に、調べられるようにするきっかけの1つだ。最近当サイトでは、最低13歳のユーザーから当サイトの公開情報データベースを利用できるようにすることを決定した。子どもたちがネット上で虐待されるのを完全に防ぐことはできないかもしれないが、少なくともオンラインで出会う人物に悪い行為の履歴があるかどうかを知るためのツールとテクノロジーで武装させることはできる。

もちろん、身元調査は安全を守る兵器の1つにすぎない。人は自分の名前や身元を偽ることがよくある。子どもが育成される時、あるいは大人が子どもを虐待する時、犯罪者は往々にして匿名で孤立して秘密裏に行動する。

オンラインで待ち受ける危険を避けるよう、子どもたちを教育することが重要である理由はそこにある。love bombing(ラブ・ボミング / 大げさな愛情攻撃)や極端な嫉妬、要求の限度を広げるといった早期の赤い旗に気づかせる教育も必要になる。他にも私たちは、若者たちに健全で安全で合意に基づく関係とは何かを、赤ではなく「緑の旗」とともに伝えることもできる。

子どもたちの教育に取り入れられる実用的スキルにもさまざまな種類がある。シェアする写真や誰のフォローリクエストを承認すべきかを慎重に選び、オンラインで知り合った人物と現実世界で会う時には大人を連れて行くことを教えるべきだ。

周囲の大人たちが、オンライン出会いやインターネットでの会話の危険性について、常に率直に話し合っていれば、子どもたちはリスクを認識する方法を学習する。これは深刻な心的外傷を防ぐ上で大きな役割を果たす可能性がある。ネット上の安全に関する会話は、性教育と同じく、親たちに任せられることが多くいが、親たちは子どもたちが学校で教えられていると思っている。この種の会話の進行は簡単ではなく、オンラインカルチャーに馴染みのない親にとっては特にそうだが、親たちは情報を探して自ら学習することが絶対に必要だ。

ホーゲン氏が指摘するように、オンラインプラットフォーム側にも責任がある。各プラットフォームに信頼と安全の部署が設けられたのは比較的最近であり、学習、改善すべき点がまだ数多くある。

多くのデジタルプラットフォームにおいて、コンテンツモデレーター(コンテンツ検査担当者)は人材不足、低賃金、訓練不足だ。オンラインプラットフォームは、利益より保護を有線し、自らのプラットフォームを安全に保つ責任を持つ人々のさらなる教育と心の健康の維持にもっと投資すべきだ。問題のあるコンテンツについて考えるために必要なツールと時間を安全管理チームに与えることによって、効果的かつ注意深く任務を遂行できるようになる。

インターネットは悪用につながる環境を作る可能性をもっていると同時に、若者たちに警告の前兆と世界の現実について教える強力なツールでもある。ネット上で話している相手に関する情報を入手できるように武装させることもその1つだ。

事後措置によって悪事と戦うことは、刑事司法制度からプラットフォームモデレーターまで、出血している傷口をバンドエイドで覆うようなものだ。性的虐待を事前に防ぐことは子どもたちに対する最良の保護だ。ネット上で起きる潜在的危害の責任を負うことによって、プラッフォームであれ政治家であれ親であれ、私たちは全員にとってより安全な世界をつくり始めることができる。

編集部注:本稿の執筆者Kathryn Kosmides(キャスリン・コスマイズ)氏は性的暴力被害の克服者で身元調査の非営利団体、Garboのファウンダー。

画像クレジット:JGI/Jamie Grill / Getty Images

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(文:Kathryn Kosmides、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

Instagramでの10代のメンタルヘルスに関する情報暴露の影響は、Facebookだけではなく、今も続く。米国時間10月26日、YouTubeとSnap、TikTokのポリシー担当者が、子どもたちとオンラインの安全性について議会で議論した。SnapとTikTokが主要な技術系の公聴会に登場したのは初めてのことだ。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

上院の国消費者製品安全委員会が開催したこの公聴会では、この話題に触れるのは時間の半分程度にとどまった。委員会の共和党メンバーは、TikTokの幹部との貴重な時間を、同社と中国政府との関係をめぐるプライバシーの懸念についての質問に絡めようと必死だった。


このような逸脱はあったが、公聴会では、3人のポリシー担当者が、議会で審議されている具体的な政策案について、イエス / ノーで答えるよう求められるなど、有益な場面もいくつか見られた。公聴会では、Snapのグローバルパブリックポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)、TikTokのパブリックポリシー担当副社長兼責任者のMichael Beckerman (マイケル・ベッカーマン)、YouTubeで政府関係およびパブリックポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)が証言を行った。

YouTubeとTikTokの両社は、米国においてオンラインプライバシーに関する包括的な法律を制定することを求め、ベッカーマン氏は、国家的なプライバシー法の法的枠組みを「遅きに失した」と評価した。また、3社とも、親は子どもや10代の若者のオンラインデータをすべて消去できるようにすべきだという意見で一致しており、スタウト氏は、Snapchatのデータは仕様上消去されるようになっていると指摘している。しかし、Snapchatのプライバシーページには、同社が位置情報データを「どのくらいの精度で、どのサービスを利用しているかによって異なる期間 」保持することができる旨記載されている。

Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(マサチューセッツ州)は、自身もTikTokで人気を博しているが、公聴会では、彼が「21世紀のプライバシー権利章典」と呼ぶ、子どもたちのための権利を主張した。マーキー氏は、自身が提案した児童オンライン保護法(COPPA)の改正案について、若いソーシャルメディアユーザーの保護を強化すると述べた。この法律は、テック企業が13歳から15歳までのユーザーのデータを明示的な同意なしに収集することを禁止し、未成年者の個人データを簡単に削除できる「削除ボタン」を導入するとともに、ソーシャルメディアのプラットフォームが収集できる情報の種類をより広範囲に制限するものだ。

マーキー氏は、COPPAの変更を支持するかどうかについて、各企業の担当者に質問した。TikTokを代表してベッカーマン氏は、同社はこの提案を支持するが、プラットフォームがユーザーの年齢を確認するための標準的な方法も、それ以上ではないにしても、同様に重要であると考えていると述べた。

SnapはCOPPAの提案にコミットしなかった。そして、マーキー氏はスタウト氏がテック企業が具体的な内容にコミットすることを拒否する「古いゲーム」をしていると揶揄した。YouTubeは、過去にCOPPA違反でFTC(連邦取引委員会)から1億7000万ドル(約193億円)という歴史に残る罰金を科せられたが、明確な約束はせず、マーキー氏のスタッフと「建設的な」話し合いを行ったことを強調した。

公聴会では、マーキー氏とブルメンタール氏は、2021年9月に再提出した「KIDS(キッズ・インターネットデザイン安全法」も強調した。この法案は、16歳未満のオンラインユーザーを、オートプレイ、プッシュアラート「いいね!」ボタンなどのエンゲージメントを高める機能から保護するものだ。また、16歳未満の子どもを対象としたインフルエンサーマーケティングを禁止し、プラットフォームに対し、有害なコンテンツを若いユーザーに提供した場合の報告システムの構築を義務付けるものだ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

グーグルで18歳未満やその親が検索結果からの写真データ削除を申請可能に

Google(グーグル)は、18歳未満のユーザーとその親が、同社の画像検索結果から写真を削除することを申請できる機能を導入する。

この新しいプライバシーオプションは、Googleが2021年8月に発表した多くの変更点の1つで、18歳未満のユーザーをより厚く保護するために先行導入される。この他にも、アップロードされた動画をデフォルトで非公開にしたり、開封動画などの「過度に商業的な」YouTubeキッズコンテンツを無効にしたり、排除したりすることが計画されている。

関連記事:グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化


18歳未満のユーザーまたはその親や保護者は、このリクエストフォームに必要事項を記入して、検索結果に表示される画像の削除をGoogleに依頼できる。その際「現在18歳未満の個人が写っている画像」を削除して欲しいと明示し、個人情報、画像のURL、検索結果に表示される検索クエリを示す必要がある。

Googleは、すべてのリクエストをレビューし、フォローアップのために必要に応じて確認のために追加で質問するという。問題のある画像が削除されたら、同社から通知が来るため、待たされたままになることはない。

米国をはじめとする多くの国では、オンライン上の「忘れられる権利」を扱う国内の法的枠組みが存在しない。強力なプライバシー規制の金字塔として広く知られているEUの包括的ルール「GDPR」では、写真を含むある種のオンライン識別情報の削除を要求する手段が用意されている。

Googleの新しいリクエストツールは便利で、世界中で利用可能だが、GDPRが定める要件には及ばない。Googleの場合、写真の削除を要求するには、対象となる人物が18歳未満でなければならない。GDPRはさらに進んでおり、画像がアップロードされた時点で本人が未成年であった場合、本人の要求に応じて画像を削除することをインターネット企業に義務付けている。

Googleが発表した上記の画像削除オプションをはじめとする一連の変更は、米国で同社や他のテック企業に対する規制当局の監視が厳しくなっていることを反映したものだ。10月26日には、YouTubeは上院商務委員会で同社の動画プラットフォームを利用する若くて脆弱なユーザーを保護する取り組みについて証言し、最近発表した変更点をアピールした。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

YouTubeが2021年11月から「低品質の子ども向けコンテンツ」の収益化を停止するとクリエイターに警告

YouTube(ユーチューブ)は、同プラットフォーム上で「子ども向き」(made for kids)を謳っているチャンネルに対し、否定的行為や態度を奨励する、あるいは過度に商業的であるなど、質の低いコンテンツを制作している場合、近々収益化を停止すると発表した。同社は以前、この種のコンテンツは専用アプリのYouTube Kidsに採用されなくなることを警告したが、11月からYouTubeはさらに、新しい収益化ポリシーの適用を開始する。これはクリエイターのYouTubeパートナープログラムの参加資格に影響を与え、資格喪失にもつながる可能性がある。


YouTubeが未成年者保護を強化する計画を最初に発表したのは2021年の8月で、今後のアップデートのいくつかは近日施行される規制に直接対応する他、法律の要求を超えるものもある、と語った。当時YouTubeは、13歳から17歳のユーザー向けビデオのデフォルト設定を「非公開」に変更し、未成年ユーザーには休憩や就寝のリマインダーを有効にし、ティーンエージャーや子どもの広告ターゲティングするための「興味や関心」のデータの利用を中止すると語った。変更には、子ども向けコンテンツに特化してい制作しているクリエーターに対する警告もあり「過度に商業的」なコンテンツを同社の低年齢小児向けスタンドアローンアプリ、YouTube Kidsから除外する計画であると記載されている。

関連記事:グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化

今回の行動の前に、いくつかの消費者擁護団体がYouTubeと関係規制機関に対してこの種のビデオをやめさせるよう圧力をかけ、YouTubeはコンテンツと広告の境界を曖昧にしたと指摘していた。また、一部のクリエイターがこの種のコンテンツ制作を支援するブランドとの関係を公表していないことにも言及した。

しかし、何が子どもたちにとって適切かに関する規制やガイドラインがない中、YouTube最大のクリエイターの1人は、Ryan ToysReview(現在はRyan’s World)の億万長者、Ryan Kaji(ライアン・カジ)くん(8歳)という現状がある。同チャンネルは商業主義とおもちゃの開封儀式に強く特化している。

8月にYouTubeは、視聴者の製品購入を誘発するコンテンツや「商品の過剰な収集や消費に焦点を当てたコンテンツ」をYouTube Kidsから削除すると語った。そして今回、YouTubeは低年齢視聴者を対象とするチャンネルや「子ども向け」として分類されているその他のチャンネルも、低品質なコンテンツを公開すれば収益化中止の危機に直面する可能性があると警告した。

これには、ネガティブな行為や態度を助長するコンテンツ(いじめ、不誠実な行い、他社への尊敬を欠く行為、危険な行為、不健康な食習慣、等々)や、教育的内容にみせかけるコンテンツ、理解を妨げるコンテンツ、扇情的または誤解を招くコンテンツ、子どものキャラクターを不適切に利用するコンテンツなどが含まれる。最後の例は近年特に問題となっており、Peppa Pigのようなキャラクターを子どもにふさわしくない状況で登場させるビデオがある)。

関連記事:YouTubeが子ども向け/子どもが登場する悪質ビデオの排除基準をより具体化

画像クレジット:YouTube

11月からYouTubeは「子ども向け」に指定されたチャンネルあるいは子ども向けコンテンツを頻繁に制作するチャンネルのために、上記の品質原則を念頭に置いて拡張された収益化ポリシーの施行を開始すると発表した。

もしクリエイターが低品質のコンテンツを作れば、この原則に則って、YouTubeパートナープログラムから除名あるいは参加が拒否される可能性がある。低品質の原理に当たるその他のビデオも、広告が制限あるいは禁止される場合がある。まず、否定的行為を助長するビデオから適用を開始するとYouTubeはいう。他にも質の悪い「子ども向け」コンテンツに重点を置いたチャンネルも審査の対象になる、と同社は付け加えた。

こうした不適切に関する原則は、コンテンツがYouTube Kidsに適しているかを決定する因子として、すでに利用されており、広くYouTubeアルゴリズムに情報提供されている。しかし、収益化ルールの変更は、コンテンツクリエイターが実際何を作るかを決めさせるはるかに強力な道具だ。

YouTubeは、収益化ルール変更の影響を受ける可能性のあるチャンネルのクリエイターには、変更が施行される前にメールが送られると言っている。また、すぐに影響を受けなくても低品質な子ども向けコンテンツを作っているチャンネルは、広告主向けの警告に黄色いアイコンが付加される。同社は、新たなポリシーの影響を受けるチャンネルの数は明らかにしていない。

反対に、質の高いコンテンツの原則に適合するコンテンツは、今後YouTubeアルゴリズムに推奨されることが多くなり、YouTube Kidsアプリにも採用されるようになる。

質の高いコンテンツの原則には、子どもたちの正しい行いを育むコンテンツ、向学心と好奇心を刺激するコンテンツ、創造性、遊び、想像力を育成するコンテンツ、現実世界の問題との関わりに焦点を当てたコンテンツ、多様性、公平性、包括性を奨励するコンテンツなどがある。

今回の発表は、テック企業が自社サービスを利用する未成年の幸福に関して果たしている役割に対する監視の高まりを受けたものだ。すでに、 GoogleとYouTubeInstagram(インスタグラム)、およびTikTok(ティックトック)は、低年齢ユーザーの安全とプライバシーを重視した改訂を発表している。YouTubeは新しいペアレンタル・コントロールも導入した。また、今週Snap(スナップ)とTikTokは、議会聴聞会に召喚されている。

YouTubeは、今後も各種原則の再評価と改訂を続けていくと言っている。

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米国会議員がSnap、TikTok、YouTubeに対して子供と安全に関する公聴会を開催
YouTubeが10代と10代の子を持つ親向けペアレンタルコントロール機能を導入へ

画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国会議員がSnap、TikTok、YouTubeに対して子供と安全に関する公聴会を開催

議会はこれまで、同じ企業の寡黙で場馴れした経営陣たちを何度も何度も呼び出してきたが、今回はハイテク業界の中でも重要な顔ぶれである2つの企業に新たに注目しようとしている。TikTok(ティックトック)とSnap(スナップ)だ。

米国時間10月26日火曜日には、上院の米国消費者製品安全委員会の議員たちが、この2社とYouTube(ユーチューブ)の政策担当者に、それぞれのプラットフォームが脆弱な若いユーザーにどのような影響を与えるかについて質問する予定だ。Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、自らの正体を明かした直後の2021年10月初旬に、同委員会で同様の問題について証言している。

公聴会の模様は、米国時間10月26日午前7時(日本時間10月26日午後8時)から放映される予定で、Snapのグローバル・パブリック・ポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)氏、TikTokのパブリック・ポリシー担当副社長のMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏、YouTubeで政府関係およびパブリック・ポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)氏が証言を行う。

公聴会は、委員長であるRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(民主党・コネチカット)が主導し、ソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える悪影響に焦点を当てる。ブルーメンソール議員は「FacebookとInstagram(インスタグラム)に関する衝撃的な報道は、若いユーザーに有害な影響を与え、真実性や透明性を欠いることから、ビッグテックによる子どもへのアプローチに深刻な懸念を抱かせるものです」と述べ、Instagramが10代の若者に与える危険性に関する報道を、より広範なソーシャルメディアに結びつけた。小委員会の幹部であるMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー)は、TikTokのプライバシーに関する問題に特に関心を持っていることを示唆している。

摂食障害、ハラスメント、いじめ、オンラインの安全性、データのプライバシーなどのテーマが取り上げられ、小委員会のメンバーが順番に3社のポリシー担当者に回答を求めていくことが予想される。また、この議員グループは、オンライン上の子どもや青少年を保護するための法案についても議論する予定だが、公聴会でどの程度解決案が提示されるかは未知数だ。そうした解決策の候補としては、16歳未満の子どもたちのために新しいオンライン保護を提供するKIDS法(Kids Internet Design and Safety)などがあり得る。ブルメンソール議員と同じ民主党のEd Markey (エド・マーキー)上院議員が、先月この法案を再提出しているからだ。

現在、ソーシャルプラットフォームが関与している社会的危機は、子どもや若者の精神的健康に限られるわけではないものの、共和党と民主党がともに訴えている問題だ。理由の1つは、珍しく双方の政治的主張に重なりが多い、批判対象であることだ。両党とも、テック系の大企業を何らかの形でコントロールする必要があるという点では一致しているようだが、その理由についてはそれぞれ異なる側面を強調している。保守派にとっては、プラットフォームから消去されるコンテンツに関して、これらの企業があまりにも多くの決定権を持っていることを問題視している。一方民主党側は、過激な表現や誤った情報などのコンテンツが放置されてしまうことを心配している。

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米国時間10月26日の公聴会では、アルゴリズムが有害なコンテンツをどのように増幅させるかについても検討されるだろう。ソーシャルメディア企業は、通常そのアルゴリズムの仕組みについては秘密にしているため、今回の公聴会は、こうした企業がどのようにユーザーに対してパーソナライズされたコンテンツを提供しているかを、一般の人々が知ることのできる貴重な機会となる。理想を言えば、この2、3年の間に米国議会が開催した、しばしば長く繰り返し行われた技術関連の公聴会を通して、私たちはこの種の事柄について多くのことを学んできたはずだ。しかし無知で無関係な質問をする議員と、何時間もメディアトレーニングを受けて回避術を身につけた技術系幹部の間に通常期待できるのは、いくつかのささやかな新情報だけだ。

今回の公聴会にはFacebookは登場しないが、同社やInstagramに関する最近の情報が、同日に行われる公聴会に反映されることが期待される。証言を行うソーシャルメディア企業3社は、Facebookのリーク文書ならびに、そのデータに関して月曜日(米国時間10月25日)に行われたさらなる報道に対する世間の反応に注目している。

Instagramが10代のユーザーに与えるリスクを認識しているという最初の報道が流れた直後に、TikTokはウェルビーイングガイド、より優れた検索ブロック、センシティブな検索語に対するオプトイン警告などの新しい安全対策を導入した。先週Snapは、家族に焦点を当てた新しい安全ツールを発表し、子どもがプラットフォームを使って何をしようとしているのかを、親がもっと見ることができるようにした。この2つのソーシャルネットワークは、Facebook、Instagram、Twitterなどのプラットフォームに比べて若いユーザーに偏っているため、強固な安全ツールがより必要とされている。公聴会に先立ち、YouTubeは、どのような子ども向けコンテンツが収益化の対象となり得るかについての自社の変更を発表するとともに、子どもを中心としたその他の安全対策についても強調した。

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画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

インスタグラムが潜在的に有害なコンテンツを見続けるのをやめるよう10代ユーザーを「誘導」する機能の導入を約束

インスタグラムが10代ユーザー対象に潜在的に有害なコンテンツを見続けるのをやめるよう「誘導」する機能の導入を約束

rilueda via Getty Images

Instagramは、10代のユーザーが潜在的に有害なコンテンツを見続けるのをやめるよう「誘導」することや、休みを取るよう促す仕組みを導入すると約束しました。

Facebook(Instagramの親会社)のグローバル担当副社長で元英国の副首相ニック・クレッグ(Nick Clegg)氏は、米CNNやReutersの取材に対して、10代のユーザーを保護するためにさらなる努力をすると表明し、2つの施策を説明しました。おりしもFacebookと関連サービスに障害が発生して長時間にわたりユーザーに不便をもたらし、批判が高まっている最中のことです。

新たな施策の1つは、10代のユーザーが同じコンテンツを何度も見ていて、それが彼らの幸福に繋がらないとシステムが判断した場合、他のコンテンツを見るように促すというもの。それ以上の具体的な内容には言及されていませんが、必要であれば規制も含めて、Facebookのアルゴリズムに「責任を持たせるべきだ」とも述べています。

またクレッグ氏は「take a break」(休みを取れ)と呼ばれる機能を導入し、10代の若者らにInstagramの利用をただ単に休むように促す予定だとも付け加えています。

これら2つがいつ導入されるかのスケジュールは明らかにされていないものの、ここ最近Instagramが未成年者保護に取組む動きを見せていたことは事実です。今年8月にも年齢未登録のユーザーは利用停止として、サバ読みや詐称はAIで検出する方針を発表しています

Facebook社は以前、子ども向けのサービス「Instagram Kids」の計画を進めてきましたが、人権団体や低年齢のSNS利用はいじめなどを助長することを懸念する方面からの批判が相次ぎ、一時的に中止に追い込まれています

またThe Wall Street Journalは、Instagramが若年層、特に10代女子のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが明らかになったというFacebookの社内文書を報道。たとえばInstagramにより3人に1人が体型コンプレックスを悪化させたり、不安やうつ病を増やしていたとの調査結果がリークされていました。

FacebookやInstagramが今後も成長を続けるためには、若い10代ユーザーの確保が欠かせないはず。次々と若い世代向けの保護策を打ち出すことで風当たりが弱まるのか、今後の展開を見守りたいところです。

(Source:ReutersCNNEngadget日本版より転載)

アップルが小学生向けの新しいコーディングアクティビティガイドを発表

Apple(アップル)は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けのいくつかの新しいリソースを公開した。この新しいガイドは、Appleのコーディングカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡張する。今回のロールアウトは、教育関係者や家庭が早い段階で生徒にコーディングを紹介できるようにすることを目的とした、テックジャイアントの「Everyone Can Code」イニシアティブの一環だ。

Appleの教育・エンタープライズマーケティング担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は、声明の中で次のように述べた。「コーディングとアプリデザインは、アプリ開発者になるかどうかにかかわらず、学生が批判的かつ創造的に考えるために必要なリテラシーです。Appleは現在、幼稚園から大学までの学習者向けにコーディングリソースを提供しており、みなさんにインクルーシブでユーザーが利用しやすい、すばらしいアプリの設計に挑戦してもらいたいと考えています」。

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「Everyone Can Code Early Learners」ガイドでは、幼稚園から小学校3年生までの生徒が、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。例えばAppleは、生徒たちがダンスの動きを通してコーディングコマンドについて学べるとしている。また、社会性と情動の学習のために、心を落ち着かせるためのテクニックを生徒たちに話してもらう課題もある。

またAppleは、教育関係者に、新しい1時間のインクルーシブ「アプリデザイン」アクティビティセッションを試してもらうよう勧めている。この新しいレッスンは、アプリをデザインする際に、インクルージョンとアクセシビリティの重要性を忘れないよう、教師が生徒に指導することを支援しようとするもの。セッションは基本的に、生徒がアプリの作成方法について批判的に考えることを促すようになっている。このレッスンでは、生徒たちが情熱を持って取り組める問題を特定し、その解決策を計画することを助ける。

Appleは、同社のSchoolworkアプリの中で「イグジットチケット」と呼ばれるアンケートツールのサポートも追加している。これは、教育者が授業中または授業後に生徒の反応やエンゲージメントを測るための質問を行い、生徒の様子を確認するための方法だ。また、教師は生徒のSchoolworkアカウントをより簡単に作成できるようになった。

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドは、Swift Playgroundsアプリ内で利用できる。このガイドは、英語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ノルウェー語、スペイン語で提供を開始しており、今後さらに多くの言語に対応する予定だ。Appleは、Everyone Can Codeプログラムを長年にわたって拡大し、より多くの年齢層が利用できるようにしてきた。2019年、Appleは「Everyone Can Code Puzzles」という、生徒がコンセプトを試してみることを目的したプログラムを提供開始した。2020年、同社は「Everyone Can Code Adventures」という、より高度なアクティビティを行う新しいプログラムを公開した。

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画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

中国の教育弾圧の犠牲者たち。企業が閉鎖に追い込まれる中、何百万人もの学生、親、教師が前進への道を模索

中国のEdTech企業は、2021年の初めまではウォール街やベンチャーキャピタルの寵児となっていた。しかし今では、次の始まりを見据えるだけの支払い能力を持ち続けることができるだろうかと思案している。

一連の包括的な規制の中で、中央政府は何十億ドル(約何千億円)もの価値がある教育と試験準備産業に破壊的な打撃を与えた。この値は、国の都市部の中流家庭のスケジュールと財布の両方の総体価値である。

最もインパクトのある政策は2021年7月に導入されたものだ。そこには、国の中核的な公立学校のカリキュラムに特化し、成功を左右する高校や大学の入学試験に照準を合わせた営利目的の個別学習指導サービスの禁止が含まれている。また、生徒が授業に参加できる時間への制約も設けられており、平日の授業時間は午後9時までに制限され、週末は課外授業のみが認められるとしている。

この規制は、中国の大手EdTech企業に壊滅的な影響を及ぼしている。New Oriental Education and Technology Group(NYSE:EDU)の株価は前年同期比で86%下落し、ライバルのTAL Education Group(NYSE:TAL)の株価は、2月に史上最高値を付けて以来93%以上下落した。そうした企業の収益の50%から80%近くが個別学習指導、つまり現在は禁止されている活動からのものだ。その経営陣たちは、10億ドル(1000億円)規模のタイタニックを沈む前に立て直すという不本意な課題に直面している。

7月に打ち出された営利目的の個別学習指導の禁止措置は多くの注目を集めたが、世界で最も人口の多いこの国では、教育を受ける意味を再構築することを意図した政策が絶えず氾濫している。以前は大きな優先順位を与えられていた英語教育が、今では行政のカリキュラムの中で後回しにされている。オンラインでの外国人教師の雇用が禁止されたことで、国内で最も人気のあるEdTech企業の中でも、彼らがどうやって生き残るのかについて案じるところが出てきている。親と家庭教師が直接協力し合ってこの規則を回避しようとするケースに備えて、規制当局はオンラインやホテル、カフェ、個人宅などの未登録施設での個別指導も禁止した。

私たちが今、目にしているのは、関係者すべてにとっての広範な混乱の様相である。子どもの教育の未来のための計画を練り直す親たち、アンダーグラウンドに移動する教育者たち、そして限られた時間と資本を使い果たす前に企業のビジネスモデルを徹底的に見直すことに必死になっているEdTech起業家たち。教育をめぐる需要と供給の経済力はほとんど変わっていない。今問題となっているのは、規制がこれらの力をどのように振り向けようとしているかである。

中国語には無数にあると思われるような慣用句の組み合わせが存在するが「上有政策、下有对策」大まかに訳すと「統治者は規則を作り、臣下はその抜け道を見つける」という表現ほど、政治経済の議論に一貫して適用できるものはほとんどないだろう。最近の規制がこの国の教育産業を覆しつつある中、多くの人々が今問いかけているのは、その抜け道をどのような形で、どこで見つけることができるかということだ。

中国の子どもたちの競争の危機

今日の中国では一様に、取り締まり、抑圧、規制改革が継続的テーマとなっているが、最近の教育政策の大部分は、中国の人口危機のレンズを通して理解することができる。5月に発表された2020年の国勢調査データにより、多くの悲観論者が予想していた以上に出生率の低下が深刻であることが明らかになっており、家族への負担を取り除き、ベビーブームを促進することに対し、当局者たちの緊迫感が高まっているようだ。

すべての子どもたちが成功できるわけではない。それでもその親や、しばしば高齢の2組の祖父母を扶養することを期待されている子どもたちは、非常に競争の激しいシステムのなかに置かれている。多くの家族は、子どもたちがそのペースについていけるように、増え続ける時間とお金を投資しなければならないという義務感にとらわれ、身動きが取れないと感じるようになっている。北京に住む母親のYi(イー)氏(仮名)はこう説明する。「私は何百万という親の中の1人ですが、子どもが優秀になる助けになることを期待して、子どものための特別な教育に多額のお金を投じてきました。しかし、誰もがこうした教育を受けていれば、結果として以前と変わらないということになるでしょう。ただ家族の経済的負担が大きくなり、子どものストレスが増大するだけです。ですから、私はこれらの学校を閉鎖するという政府の決定を支持します」。

中国の人口危機はまた、同国の指導者たちに対し、職業的および技術的な熟練労働者が不足する可能性を示しており、世界で支配的地位にある製造業超大国の長期的な存続を脅かしている。教育政策の立案者たちは、この国のエリート大学における数少ない貴重な場所を確保しようと奮闘する親や子どもたちへの圧力を緩和することを追求しながら、教育制度の見過ごされがちな部分をより強調し、改革することによって、職業訓練や職業の魅力を高めることも目指している。

EdTech崩壊後の破片の拾い上げ

米国上場のEdTech大手企業の価値が一夜にして消えていくのを目の当たりにして、米国の金融メディアは当然のことながら業界の将来に関する問題に焦点を当ててきた。しかし、そのような企業とそこに留まっている従業員たちの運命は、他の企業よりも依然として楽観的に見える。

流動資産のライフラインにアクセスできないより小規模な企業にとっては、破綻が唯一の選択肢となっている。それは、かつて北京や上海の高級ショッピングモールの主軸を担っていた、高級語学研修センターWall Street Englishの中国子会社にも当てはまる。新型コロナウイルスの感染拡大、そして英語を母国語とする人々の採用と定着を難しくしている渡航制限といった継続的な衝撃に揺れる中、これらの新しい規制は救済資金を提供し得る顧客と投資家の両方に脅威を与えている。その余波を受けて、同社は突如として事業を閉鎖した。

このような突然の廃業は、特に経営破綻が絡んでいる場合、従業員にとって特に深刻な問題となる可能性がある。中国のホワイトカラー産業では、レイオフは実際のところ、中国の労働法のために退職した従業員にとっては小さな棚ぼたに等しい。ほとんどの場合、従業員は1カ月分の給与に、その従業員が当該企業で働いてきた各年の1カ月分の給与を上乗せした額の退職手当を受け取る。従業員を迅速かつ最小限の摩擦で解雇しようとして、企業がさらに寛大なパッケージを提供することは珍しくない。

しかし、企業が突然の崩壊に直面したとき、従業員も顧客も一様に責任を負わされることになる場合が多い。Wall Street Englishで10年以上営業の仕事をしてきたある女性は「船がゆっくり沈むときは、たくさんの救命ボートが利用できます。しかし時として、ボートがあまりにも速く沈むために、救命ボートに乗ることさえできないこともあります」と説明する。彼女のケースでは、会社の破産手続きが進む中で、自分の在職期間がささやかな支払いの最前線へと導くことを彼女は望んでいる。しかし、米国に上場しているあるEdTech企業の退職金は2000人民元(約3万4400円)にすぎないとうわさされており、自分が受け取るべき未払い賃金を受け取ることさえできたら自分は幸運だと思うだろう、と彼女は話している。

バーチャルで教えていた欧米の教育者にとっては、混乱が支配的なテーマになっているようだ。北京に拠点を置くオンライン教育のスタートアップ、Whales Englishで働いていたあるイギリス人教師(私たちは彼を「Ed(エド)」氏と呼ぶことにする)は、約3週間の不安の嵐のような状態を経験した。同社は、海外のフリーランスの教師を雇って中国の子どもたちにリモートの英語クラスを提供している多くの企業の1つだが、7月の規制はもはや法律に準拠していないことを物語っていた。

エド氏によるその出来事の説明によると、同社は7月28日まで拡大、広告、雇用を続けていたが、その後経営陣は新しい教師の雇用をすべて停止すると発表した。8月7日までに、Whales Englishはすべての新しいコースを中止し、すでに始まっていて支払い済みのものも終了することになると教師たちは知らされた。また、親たちは前払いしている授業をできる限り利用しようと急いだため、教師たちは自分たちのスケジュールを可能な限り解放するよう促された。

この頃、北京本社のスタッフの約3分の2近くがレイオフされたといううわさが流れ始め、会社の意向に反して、親や教師がWhalesのオンラインプラットフォームを迂回するための緊急時対策を講じ始めたとエド氏は話す。8月18日、エド氏が当局からの最新の命令があるのではないかと感じたことに呼応するように、すべての授業が直ちに中止されることがエド氏と他の教師たちに伝えられた。

会社の一貫性のない情報伝達に苛立ちを感じながらも、エド氏は自分の恩恵を尊重している。彼の報告では、自分の仕事に対して適時に全額が支払われ、すでに転職して日本の学校で教師の職に就いているとのことだ。

中国の有名なEdTech企業の1つであるVIPKidの教師向けの、1万4000人以上のメンバーからなるFacebookグループでは、エド氏のようなストーリーがありふれた光景となっている。しかし多くの教師にとって、中国のEdTechプラットフォームが提供する柔軟性と規則性は簡単には代替できない。新型コロナウイルスのパンデミックが親にさらなる育児のプレッシャーを与えていることから、教育や教職の経歴を持つ多くの人々は、こうしたプラットフォームを利用して生計を立て、子どもと一緒に家で過ごしてウイルスにさらされることを制限している。同等の仕事を見つけるのは難しいかもしれない。

だからといって、教師たちが何もしようとしていないわけではない。抜け穴がある一貫性のない執行は、不法な性売買や不法移民労働と違わず、個別指導や他の教育サービスのグレー市場を生み出している。需要は変化していないものの、規制によって大企業はこのようなビジネスに直接関与することを避けざるを得なくなった。そのため、取引はアンダーグラウンドで行われ、労働者(この場合は教師)には法の保護なしにフリーランスになる以外の選択肢はほとんどない。

親、行政そしてチャイニーズドリーム

教育弾圧に対する親たちの反応は、富と階級に沿ったものだった。以前と同じような課外補習を続けながら規則に公式的に準拠するために、教育技能と資格を持った在宅「ナニー」についての報道がすでに流れ始めており、月に3万人民元(約51万6500円)という額が支払われているという。例によって、新たな抜け道が見つかるのを待つだけということだ。

中国の裕福でつながりの深い家庭の多くにおいて、新しい規制は子どもたちの教育計画をほとんど変えてはいない。この記事のために話を聞いた何人かの親たちの間では、長い間、中国の教育制度を回避することが主な目的の1つとなっていた。これは中国に数多くあるインターナショナルスクールの1つに受け入れられることで達成され得るものだ。そこでは国際バカロレア(IB)カリキュラムが、国の厳しい入学試験を回避して海外の大学に入学するための準備を整えている。

成功と特権の恩恵により、子どもたちを海外の学校に行かせることができた人たちもいる。場合によっては、これは自分自身と彼らの富を移動させることも意味する。「より多くの親にとって、海外で勉強させることが最善、あるいは唯一の選択肢のようです」と引退した元企業幹部のGao(ガオ)氏(仮名)は説明する。同氏は現在米国に住んでおり、娘も米国で学んでいる。

最も裕福なエリート層から中産階級の層まで、共通のテーマがあるようだ。中国が歴史的に経済の奇跡を成し遂げた時代に成人した親たちにとって、社会的にも経済的にも進歩することは、可能であるとみなされるだけでなく、単に仲間と歩調を合わせるという観点から期待されるものでもあった。そして進歩が期待されるなら、停滞は失敗を意味する。停滞が失敗であれば、後退は破滅的である。

経済成長が鈍化し、習近平国家主席が「共同繁栄」を掲げ、高等教育より職業訓練と産業訓練が強調されている中、一部の親たちは、自分たちの夢が中国の新しい戦略に反することを認識しつつある。「行政の広範な目標があるにしても、自分の娘が高等教育を受けられなくてもいいと思えるでしょうか?答えはノーということになります」と上海在住の母親、Li(リー)氏(仮名)は率直に語った。「考え方を変えるには時間がかかります。少し利己的かもしれませんが、それは真実です。私は教育の平等を強く支持していますが、それは私の子どもが幸運な子どもの1人となる場合に限られます」。

お金の話ばかりしていると、ある言葉が表すものに対する子どもの機会を逃してしまうことを多くの親が心配していることは、あまり具体的に見えてこない。倫理、向上心、教育、社会階級を含む「素质(素養)」という言葉である。北京の教師Guo(クオ)氏(仮名)にとって、娘のために心配しているのはこの要素だ。「社会は職業労働者を必要としており、そうした人は大学に通う人よりも多くのお金を稼ぐことができることは承知しています。ですが、たとえ娘の収入が少なくなるとしても、私は彼女に大学に通って欲しいと思います」。彼にとって、自分の子どもが受ける教育や将来の収入は、彼女が成長する社会の中では副次的なものだ。「(専門学校生は)怠惰、喫煙、飲酒、不品行で知られています。娘が学校で作る友達は、彼女が一生持つ友達になります。私は娘に質の高い友達を持って欲しいのです」と彼は続けた。

中国の規制当局が教育だけでなく、国の最も困難な課題に対処するために多くの中心的な機関を見直す中、かつて抱いていた期待が今は根本的に変化する必要があることを多くが認識しつつある。しかし、あらゆる不確実性の中にあって、変化しそうにないことは、自分自身、家族、そして野望を前進させる意欲と工夫である。結局のところ、当局は絶えず規則を作り、国民は常にその抜け道を見いだすであろう。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Elliott Zaagman、翻訳:Dragonfly)

アマゾンが子供向けのインタラクティブな小型プロジェクター内蔵ビデオ通話デバイス「Amazon Glow」を発表

米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)は新しいインタラクティブデバイスのAmazon Glowを発表した。離れている大切な家族などと子どもがビデオ通話で交流できるようにしたいと考える家庭向けのデバイスだ。競合製品には同様にビデオで家族がつながることを主に狙うFacebookのPortalデバイスシリーズがあるが、Amazon Glowは画面を通じたつながり以外の機能も搭載して差別化している。テクノロジーを活用してデバイスの前にインタラクティブに操作できるプロジェクター映像を映し出し、ゲームやアート、パズルなどのバーチャルなアクティビティを楽しんで、人と対面しているような感覚を与える。

これを実現するために、Amazon Glowには没入型プロジェクション、センシング技術、ビデオが組み合わされている。市場にある他のスマートスクリーンとは異なり、Glowは小さなテレビのような外観ではない。8インチのディスプレイが縦に立っていて、ディスプレイの前にはタッチ操作に対応する19インチの空間がプロジェクターによって作られる。このプロジェクター映像の空間で、バーチャルゲームをプレイしたり、離れた場所から各自のタブレットで参加する家族とアクティビティを楽しんだりすることができる。

ゲームは、デバイスに同梱されている専用マットの上でプレイする。

画像クレジット:Amazon

Amazon Glowを使って子どもは仲の良い人とチェスやチェッカー、釣り、神経衰弱などのゲームを楽しめる。子ども向けの本を選んで一緒に読んだり、デジタルの鉛筆、クレヨン、ブラシ、スプレー缶でお絵描きをするなどの楽しみ方もある。離れている人とデジタルで遊ぶことを、まるで同じ部屋にいるかのように感じさせようとしている。

Amazon Glowで実際の物体とデジタルの遊びを組み合わせる楽しみ方もある。例えば、子どものお気に入りのおもちゃをスキャンしてデバイスの前の平面にプロジェクターで映し出し、オリジナルのジグソーパズルにすることができる。子どもはスキャンしたものの映像を叩いて壊し、パズルにする。あるいは、紙に描いた絵をスキャンし、家族の手を借りてアートワークに変えたり、スキャンした絵にデジタルで描き足したりすることもできる。

「Glow Bits」も同梱される。これはデバイスと連携して操作するように作られた実際の「物体」だ。最初のGlow Bitsキットはパズルゲームのタングラムで、子どもは実物のピースを使ってパズルを解き、離れている家族は自分のタブレットの画面でデジタルのパズルピースを使ってプレイする。

画像クレジット:Amazon

Glowの発売時には、子ども向けエンターテインメントの人気キャラクターと遊べるスペシャルアクティビティが用意される。「アナと雪の女王」のアナとエルサ、ディズニー&ピクサーの「トイストーリー」のウッディとバズ、マテルの「バービー」や「ホットウィール」、ニコロデオンの「スポンジ・ボブ」や「ドーラといっしょに大冒険」「セサミストリート」のエルモやゾーイなどが登場する予定だ。

Amazon Glowは離れている人ともっと親しくつながっていたい家庭を主なターゲットにしている。親のどちらかが頻繁に出張したり、祖父母が離れて暮らしていたりする家庭で使われることになるだろう。コロナ禍で感染防止のために家で長い時間を過ごす時期であることからも有用と思われる。

Amazon Glowで子どもが任意の相手と通話をすることはできない。保護者が最初に、子どもが通話できる連絡先をあらかじめ承認してAmazon Glowを設定する。このようにして保護者はデバイスの通話先を家族や信頼できる友人だけに制限できる。そして保護者はいつでもデバイスに備え付けられている物理的なプライバシーシャッターを閉じてカメラやマイクを無効にできる。

また、Amazon GlowはAlexaデバイスではないため、音声やビデオの記録が収集されることはない。位置情報データや描いたものを追跡したり保存したりすることもない。

ただしAmazonはプロフィールの設定やアクティビティの履歴を保存し、Glowに付属するAmazon Kids+サブスクリプションで利用できる関連性の高いアクティビティやコンテンツを紹介する。

画像クレジット:Amazon

デバイスの価格は299.99ドル(約3万3000円)だが、早期アクセス期間は249.99ドル(約2万8000円)で提供される。マット、マットケース、タングラムのBitsの他、1年間のAmazon Kids+サブスクリプションが付属する(Amazon Kids+は子ども向けの本、映画、テレビ番組、教育アプリ、ゲーム、そしてAlexaの子ども向けプレミアムスキルを無制限で利用できる有料サービス)。

Amazon Glowはまだ販売が広く開始されているわけではない。

購入希望者は、www.amazon.com/glowで早期アクセスプログラムへの参加をリクエストする必要がある。Amazonは、最初のデバイスは米国の顧客に数週間以内に発送されるとしている。

開発者は2022年前半に公開される予定のSDKへのアクセスを申し込むことができる。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

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「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi