来日中のDuolingo CEO、安価で手軽な語学検定アプリ提供でTOEICもディスラプトする予定と明かす

2週間前に日本語版をローンチして話題の語学学習サービス「Duolingo」(デュオリンゴ)の創業者でCEOのルイス・フォン・アン氏が来日中で、東京・六本木で話を聞く機会があった。ルイスは1979年、ガテマラ生まれの連続起業家。カーネギーメロン大学のコンピューターサイエンス学部の准教授でもあり、人間とコンピューターが協力することで大規模な課題を解くシステムについての実装や論文で、数々の受賞歴がある。

TechCrunch Japan読者なら彼の名前をreCAPTCHAの発案者として覚えているかもしれない。ユーザー登録画面などでランダムに歪曲された文字列が表示されることがあるが、CAPTCHAと呼ばれるこの仕組みを、古文書のデジタル化というOCRだけで処理できない問題に結び付けるというのがreCAPTCHAだ。古文書の3割ぐらいはかすれや日焼けによる変色などで機械的に読み取りができないが、人間ならかなり読み取れる。CAPTCHAによって無駄に浪費される人間の脳時間(コンピュテーション)を有効活用するというのがreCAPTCHAのアイデアだ。ルイスが創業したreCAPTCHAはグーグルに2009年に買収され、今や10億人以上が解読作業に参加したことになるという。

そのルイスが、2011年に新たに起業して取り組んでいるのがDuolingoだ。Duolingoは一見単なる言語学習アプリ(サービス)だが、実際にはreCAPTCHA同様に大規模に分散した人間の労力を集約することで、アルゴリズム的なアプローチがうまくいかない課題を解決するというアイデアがベースにある。外国語学習産業という大きな市場を、翻訳という別の市場と結び付けるのがDuolingoのミソで、学習者は無償で外国語学習ができる一方、Duolingoは学習者の訳文作りという学習を活かして安価な翻訳サービスを提供できる。先日のシリーズCも含めて、すでに3800万ドルほどの資金を調達している注目株だ。

CNNのスペイン語版はDuolingo 100%

もうDuolingoに登録して試した人も多いかもしれないけど、ぼく自身は半年ほど前に英語版サービスでフランス語を学習するというコースを試してみた。ただ、どうして大学でフランス語の成績が「可」だったぼくが一所懸命に翻訳するろくでもない英文の訳文が、対価を生むような翻訳市場と結び付くのか良く分かからなかった。これは「reCAPTCHAと同モデル」と想定したことから来る誤解だったようだ。

ルイスによれば、Duolingoには学習コンテンツと翻訳コンテンツという2種類の明確に別々のコンテンツがあるそうだ。reCAPTCHAの印象から「言語学習の課題を解くと、知らず知らずのうちに翻訳作業に協力していた」というモデルかと想像していたけど、実は参加者は明示的に翻訳作業を参加することになるという意味で、だいぶreCAPTCHAとは違うモデルなのだそうだ。

2013年10月にはCNNやBuzzFeedと提携。CNNが提供しているスペイン語コンテンツは100%、Duolingoによる翻訳だそうだ。BuzzFeedについては、スペイン語、ポルトガル語、フランス語が全部Duolingoによる翻訳で、すでに毎日かなりの量の有償翻訳を行っているという。翻訳すべきコンテンツを持っているパブリッシャーからの収益が得られるので、Duolingoは学習者に対しては無償でサービスを提供でき、2、3年で黒字化できるだろうとルイスは言う。

翻訳すべきドキュメントはWikiのように参加者が書き換えられる。徐々に翻訳していき、一定の人が個別の訳文にOKを出したら、そのセンテンスの翻訳は完了となる。翻訳すべきコンテンツはユーザーの嗜好や実績などを考慮したアルゴリズムによって、各ユーザーにリコメンドされる。CNNのニュースのように速報性が必要なものは優先順位が高いとか、コンテンツ自体の評価が高いものが優先されるという風になっているそうだ。残り1行で翻訳が完了するコンテンツも優先されるなど、リコメンドのアルゴリズムは随時改善しているという。

「良いコンテンツ、短いコンテンツほど早く翻訳されます。CNNの例だと、平均800語のコンテンツは6時間で翻訳されます。翻訳料金はボリューム次第ですが、一般の翻訳料金の相場が1語あたり7〜8セントのところ、Duolingoは2〜4セント程度と半額程度です」

すでに収益を上げるモデルがあるものの、現在のDuolingoのフォーカスはパブリッシャー集めではなく、語学学習サービスとしての、より大きな成功という。

「現在、Duolingoのユーザー数は約2500万人。うち85%がモバイルで、Android、iPhoneが半分ずつ。いずれのプラットホームでも、多くの国で教育分野ナンバーワンアプリとなっています。ユーザーの30%が北米、30%が南米、30%がヨーロッパで、残りがその他の地域という分布です。まだアジアはこれから。中国語で英語を学ぶ、日本語で英語を学ぶという教材が登場したところです。日本語版のローンチは2週間前で、日本では2万7000ユーザーとなっています」

「ちょっとおもしろい数字があります。北米では公立学校で外国語学習している人の数より、すでにDuolingoで学習している人の数のほうがすでに多いんですね。すでに教育アプリでは2位に圧倒的な差を付けていて、オンライン語学学習サービスでは1位に成長しています。ですが、オンラインで語学を学習するといったとき、誰もがDuolingoの名前をすぐに思い浮かべるかと言えば、そんなことはありません。まだ誰もが認知するブランドにはなっていない。そうなるのが今いちばんの目標ですね」

進化する教材とコミュニティ

現在、Duolingoの教材にあるのは18言語。必ずしも2言語について両方向の教材が存在するわけではなく、「日本語→英語」のように一方向しかない言語の組み合わせもある。今のところDuolingo上で英語話者が日本語を学ぶことはできない。

年内には75コース、言語数にして30程度になる見込みという。入力メソッドが必要なアジアの言語を入力方法と合わせて教える教材の開発というのは、まだこれからのチャレンジだとルイスは話してくれた。

ちなみに、いま日本語で英語を学習すると、英文の直訳のような和文が課題に出てきて面食らう。「私の父は私の母を愛しています」というようなものだ。そもそも日本語がヘンだ。文法的にはあり得なくはなくても、こんなこと言うやつはいない。これには次のような事情があるようだ。

Duolingoには、まず全ての教材の元となる英語で書かれた例文集がある。新教材は、まずこれの翻訳をするところから作る。次にユーザーのアクティビティのメトリックスを取って、どこで躓いてるのか、どこで多くの学習者が間違えるのかといったデータやリアクションから、問題の追加、削除、順序の入れ替えなどを随時行っていくのだという。利用者は不自然な訳文について、コメントしたり議論したりといったこともできる。

単に間違った問題を排除するという以上のこともやるという。たとえば複数形よりも先に形容詞を学んだグループのほうが、成績が良いか? といったA/Bテストを1000人規模で行うなど、データドリブンなアプローチを採用しているのだとか。

「どういう方法が成功しているのかを大規模に検証もできますし、すでにDuolingoは学習効率が高いというデータもあります。Duolingoでの34時間の学習が、大学の1学期相当という報告があります」

コース教材はボランティアが作成しているが、バイリンガルのボランティアからの申し出は、これまで4万件に及ぶという。ボランティアは、なぜ自分がその言語教材作成に適格なのかを説明する必要があり、こうした申請の中から、特定言語の組みあせについて4、5人を選出して、彼らに教材のメンテを任せるのだそうだ。

TOEFLなど語学検定ビジネスをディスラプトしたい

翻訳市場でのマネタイズに加えて、もう1つ、収益モデルという意味で興味深いのが、今後1カ月程度で「Duolingo Test」と呼ぶ標準テストをローンチ予定という話だ。

「Duolingoでは毎日感謝のメールをたくさん受け取っています。その中でも多いのが、次のようなメールです。“これまで英語学習は高価だったけど、Duolingoのおかげで英語ができるようになった。とても感謝しています。でも今は別の問題があるんです。英語ができるようになったことを証明したいんですよ”。そこでわれわれは半年ほど前から標準テストについて検討を始めました」

特に需要の高い第二言語としての英語についていえば、TOEFLのように標準化された検定試験というものは存在しているが、ルイスは、この市場はディスラプトされる潮時だという。

「Duolingoとスマートフォンによって言語学習ができるようになった人は途上国にも多い。こうした国だと、TOEFLの200ドルとか300ドルといった検定料は月給に相当する額。原価はそんなにかかるわけがないので非常に高い。しかも、大都市に住んでなければ試験会場に行くのに数時間かかることもあります。いま、Duolingo Testという名前でベータテストをしているアプリがあります。これは受験料が20ドル、時間も20分あればスマートフォンだけで受験できる語学検定です」

現在、一般的な英語の検定が2時間とか4時間と長時間に及ぶのに対して、Duolingo Testが20分と時間が短いのは受験者のレベルに応じてリアルタイムに出題の難易度を変えるアダプティブなテストだからだそうだ。第1問目は中位のレベルの問題を出し、正解を続ける限りレベルを上げていき、逆に受験者のレベルが出題より低いと判定されれば難易度の低い問題群から出題するという方式だ。ちなみに同じくアダプティブテストで受験者の特定ジャンルの知識レベルを計るスタートアップに米東海岸のSmartererというのがあるけれど、彼らは最短10問、120秒程度で人事採用に必要な検定試験が可能だと言ってたりする。

短時間でテスト可能というと、逆に精度が気になるところ。Duolingoが内部的に行ったテストではDuolingo Testの結果とTOEFLのスコアの間には高い相関があることが分かっていて、「普及には数年かかると思うが、これは普及すると思う」とルイスは話している。日本ではTOEFLよりTOEICがメジャーだという話をしたら、モチロンそれは知っているし、TOEFL同様にディスラプト対象だねという答だった。まあ、20世紀前半に生まれたマークシート方式という古い技術を受験生に押し付けてるようじゃディスラプトされて当然だね。

一方、スマフォだとチートが簡単にできそうだが、「チート対策はカメラをオンにして動画と音声を撮ることを考えています」という。

「テスト結果だけではなく、録画データも人間が見るという方式です。実は今のオフラインの検定には受験コストの問題だけではなく、チートの横行という問題もあります。替え玉や賄賂がまかり通ってる国もあるんです。途上国には賄賂が日常の光景というところがあって、すでに検定に300ドルも払ってるのだし、もう100ドル試験官に払っちゃえよ、ということになりがちなんですね。Duolingo Testでは録画した動画をオンラインで発行する検定証につけておくことで、たとえば企業の採用担当者が見られるようにするということも考えています」

Duolingoは1カ月以内にAndroid版を出し、その後にiPhone版もリリース予定という。

スピーキング対応は、非同期型で?

Duolingoの一部の教材にはスピーキングも含まれているが、会話練習のコンテンツへのニーズが強いそうだ。こうした声に応えてDuolingoでは1年ほど前から会話練習モジュールを計画しているという。

「たとえば、学習者同士をペアにマッチングして動画チャットするというのが自明のアイデアです。ただ、この市場を少し調べてみて、すぐに赤信号がともりました。動画チャットによるモデルは全然上手く行っていないんですね、みんなやったほうがいいというんですけど」

「このジャンルだとVerblingが最大規模ですが、トラフィックで言えばわれわれの50分の1程度。結局、話すことがないのが問題なのです。ほとんど話せない外国語で、見ず知らずのヒトと話すというのはハードルが高い。初心者だと、挨拶をして名前を名乗ると終わり。もう話すことがなくなるんです」

「だから単なる動画チャットをやろうと思いません。何か違うことをやろうと思っています。リアルタイム性がダメなんじゃないかと思うんです。タイプするのかしゃべるのかは別にして、リアルタイムに応答しなくてもいいチャットやメッセージングのようなものがいいのでは、と考えています。非同期の会話です。ほかにも、2、3の単語から完成形のセンテンスを作って提案するような機能を付けるといったことを検討しています」

語学である必然性はないので、ほかの教育分野への進出も

Duolingoのように学習者と課題を結び付ける学習プラットホームというのは、なにも外国語学習にだけ適用できる問題でもない。ルイスは「今後、ほかの教育分野に進出するかもしれない」と話す。

「(reCaptchaのときと違って)Duolingoを(Googleなどに)売る気はないですね。理想的には成長を続けて、言語に関わることは全部やりたいのです。翻訳や検定もそうですし、マイナー言語の保存ということもやりたいです。それから、ほかの教育分野に参入するかもしれません」

「もちろん全てではないでしょうけど、今後、スマフォ経由で非常に幅広い教育というのがなされるようになると思います。それはたぶんMOOCsのようなものではありません。1時間の動画を見て学習する、というモデルではなく、Duolingoのようにゲームのようなものでしょう。5分とか10分、列に並んでるときにちょっとやるというようなもの。それがスマフォネイティブなモデルでしょうね。言語以外だとプログラミングはいいですね。Codeacademyなどは、すごくいいサービスで好きですが、アプリじゃないですよね。プログラミングをスマフォネイティブで学習するということは、まだ誰もやっていません」

確かに、MOOCsは結局のところ放っておいても教科書で学習をする高学歴で勉強熱心な先進国の人々がコースを受ける主体で、しかもコースの終了率が極めて低いという話がある。

「語学である必然性はなく、ほかのジャンルにも参入する可能性はありますが、言語学習にもプログラミング学習にも共通する特徴があります。それは、この2つが学校外でも学習するものという点で、これは重要です。教育というのは、もう100年以上も変わってなくて、これからディスラプトが必要な分野でしょう。教師の役割というのは、学生の前であれこれしゃべるということから、質問に答えるというように変わっていくと思います。ただ、われわれは早い時期に学校向けのソリューションはやらないと意識的に決断したのです。なぜなら、学校のことを考慮にいれると、カリキュラムとの齟齬が大きいと使われないし、いろいろ問題が出てきます。その点、外国語もプログラミングも学校でも学校外でも学習するものです。われわれは学校が何をやってるかなんて気にしません。学校よりもはるかに速いペースでイノベーションを起こすためにも、意図的に外国語学習を選んだのです」


知育電子ブロック工作のlittleBitsに、プログラマブルAuduinoモジュールが登場

知育的要素も併せ持つ玩具であるlittleBitsが、自分の子供の頃にもあればよかったのにと想像する大人たちも多いことだろう。このlittleBitsが、さらに「ウラヤマシイ」ものへと成長した。Arduinoと連動するようになったのだ。

littleBitsについては何度も記事で取り上げている。ひとことでいえばLEGO風のDIYエレクトロニクスキットだ。それぞれのブロックが、スピーカーや光センサー、あるいは点滅するLEDライトなど、独立した電子的コンポーネントとなっている。それらのブロックを繋ぐことにより、プログラミング無用でさまざまな電子デバイスを製作することができる。

たとえば誰かが部屋に入った時に鳴るブザーを作りたいととしよう。まず電源ブロックと、モーション検知ブロックを繋ぐ。そしてモーション検知ブロックとブザーブロックを繋ぐ。これで完成だ。ブザーの代わりにLEDで通知するようにしたい場合はどうするか。単純にブザーブロックをLEDブロックと入れ替えるだけで良い。

「プログラミング無用」が、littleBitsの手軽さを支え、人気を集める原因ともなってきていた。「誰でも」、littleBitsをいろいろと組み合わせるだけで、電子工作を体験することができたわけだ。

しかし、「プログラミング無用」は、実のところ「プログラミング不能」という意味でもあった。littleBitsのブロックがもつ以上の機能を実現したいような場合(たとえば何かの動きを検知した場合、それが木曜日である場合のみブザーを鳴らす、等)、littleBitsでは実現することができなかったのだ。

そんなわけで、littleBitsとArduinoを組み合わせることはできないだろうかと考えた人も多いようだ。littleBitsは確かに素晴らしいできなのだが、使い込んでいくうちに限界を感じるようにもなり、次のステップに進みたくなったりもするのだ(Arduinoボードを使って、ハンダ付けなども必要な本格的電子工作に進む人も多い)。

そうした利用者の声もうけて、lilttleBitsはArduinoモジュールの提供を開始した。littleBitsの手軽さも活かし、ハンダ付けなどは必要のない仕組みとなっている。ハンダ付けなしに手軽に利用できるが、しかしこのモジュールはプログラマブルなのだ。さまざまな周辺知識を身につけておく必要はなく、簡単にプログラミングの楽しみを持ち込むことができる。モジュールに搭載されているmicroUSBポートを経由して一般的なArduino IDEと繋いで作成したプログラムをアップロードする。

既にlittleBitsキットを持っているのなら、このArduino-At-Heartモジュールだけを用意さればよく、価格は36ドルだ。またlittleBitsを持っていない人のためには、Arduinoモジュールと、他8種類のブロック(バッテリー、スイッチ、サーボ、コントロールダイアル)などが同梱されたArduino活用スターターキットが89ドルで提供されている。

ちなみにlittleBitsはこれまでに1560万ドルを調達している。直近では昨年11月のシリーズBにて1100万ドルを調達した。

以下に、Arduinoサイトの紹介ビデオを掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H


音声認識で英語が学習できるブラウザ・ゲーム、Spell UpがGoogle Chrome Experimentで登場

Googleはベータ版一時的プロジェクトとして新たなサービスを提供するのが得意だが、今日(米国時間5/13)はChrome Experimentの一環としてSpell Upという英語学習アプリを公開した。これは音声認識と音声合成を用いてユーザーの英語の上達を助けるブラウザ・ベースのゲームだ。

初級から上級までさまざまなレベルが用意されており、ユーザーはどのレベルから始めることもできる。このゲームの主な目的は語彙力を高めることで、Spell Upという名前もそこから来ている。

ユーザーはブラウザが表示する単語を正しく発音しなければならない。表示された綴りから抜けているするアルファベットを推測したり、綴り変えから正しい単語を推測したりするモードもある。答えはすべてマイクに音声で入力する(私が試したところではこのアプリは英国英語の発音を好むようだ)。

このアプリははロンドンのGoogle Creative LabのXavier Barradeをリーダーとして開発された。最近のChromeの音声認識/合成テクノロジーの進歩が存分に利用されている。

昨年GoogleはChromeでWeb Speech APIを、今年はそれを利用した音声合成をそれぞれサポートした。これによってデベロッパーはユーザーが音声でデータを入力し、それに対してアプリが音声で応答するアプリを開発することができるようになった。Spell Upはこのテクノロジーを利用している。

つまりSpell Upは面白いゲームであり教育アプリであると同時に、音声認識、合成などブラウザ・ベースのテクノロジーがネーティブ・アプリの開発環境に負けず、大きく進歩していることを示すデモの役目も果たしている。またこのプロジェクトが若く、国際的なユーザー層をターゲットにしていることも興味深い。

Barradeによれば、Spell Upはゲームデザイナーと英語教育関係者の協力によって開発されたという。最近の教育アプリはデベロッパー、ゲームデザイナー、教育者の三者の連合が必須となっているようだ。このアプリは主としてデスクトップとAndroidのChrome向けに開発されており、iPhone、iPadで実行すると音声入力が無効になるのでユーザーは回答をキーボードからタイプしなければならない。

現在このアプリは英語だけが対象だが、他の言語にも拡張されれば、英語国における外国語教育にも大いに有益だろう。

Macのノートでしばらくプレイしてみたが、たいへん面白かった。ただし音声認識の反応はやや遅く、私が発音したアルファベットを完全に誤解したことも一度ならずあった。しかし私の子供は喜びそうだし、こういうアプリのためならいくらネットを使ってもらっても構わない。

下はGoogleによる紹介ビデオ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


子どもたちがプログラミングを学べるiPad上のヴィジュアル言語Hopscotchがシードで$1.2Mを調達

次世代のプログラマを育てる、と称するシステムは、今やとても多い。その一つ、ニューヨークのHopscotchが今日(米国時間5/8)、v2.0の発表とともに、昨年8月に120万ドルのシード資金を獲得していたことを公表した。

そのシード資金を出したのは、Resolute VenturesCollaborative FundKapor Capital、それに挙名されていない投資家数社(数名)だ。資金はチームの増員とコミュニティの立ち上げ、そしてアプリのバージョン2の構築に使われた、と協同ファウンダのJocelyn Leavittが言っている。

Hopscotchの特徴は、モバイルデバイスに絞っていることだ。具体的にはiPad。子どもたちはiPadの上で、Hopscotchのグラフィカルなプログラミング言語をドラッグ&ドロップしてプログラミングを学ぶ(上図)。同社はこの言語を“iPadプログラミング言語”と呼んでいる。つまりScratchに似ているけど、ただしiPadsオンリーなのだ。

Leavittはこう説明する: “Hopscotchでは、カラフルなコードブロックをドラッグ&ドロップしてルーチンを作る。それらのルーチンを保存しておき、いろんなオブジェクトにくっつけたり、あるいはiPad上のいろんなイベントによって起動できる(たとえば“iPadを揺すった”、“iPadが大きな騒音を聞いた”、など)。そこでたとえば、手を叩くたびに熊さんが宙返りをするプログラムを作れる。

“Hopscotchはオブジェクト指向プログラミング言語だが、ヴィジュアルな言語だ。ヴィジュアルだから、文字をタイプしていくプログラミング言語のように誤字の心配がない”。

Apple App Storeに出てから1年経つが、これまでに作られたプロジェクトは150万あまり、そのために5700万のコードブロックをコンパイルした。創業は2011年で、これまで百か国あまりの教師や子どもたちに使われてきた。ユーザ数は公表していない。

今度の新バージョンでは、エディタの部分と、プログラムが動くステージの部分を一つの画面にまとめた。また、関数やサブルーチンに相当する”abilities”(アビリティー)というものを導入した。これでユーザは、より高度なプログラミングの概念を用いてアプリケーションを作っていける。

子どものプログラミング教育とその分野での競争について、Leavittはこう言う: “ヴィジュアルプログラミング言語は何百もある。人気があるのはScratchとAliceとBlocklyだ。でもそれらは大学のプロジェクトがほとんどだから、競合他社とは呼びたくない(BlocklyはGoogleだけど)。というか、実はScratchを作りMIT Media LabでScratch 2.0を作ったJohn Maloneyは、私たちのアドバイザーだ”。

“モバイル上の‘子どものためのプログラミング’アプリも最近いろいろ出てきたけど、その多くは、問題が次々と難しくなるパズルみたいで、全然プログラミング言語ではない。つまりそれらは、子どもたちがそれを使って、何かを創造できるツールになっていない。Hopscotchは、それを使ってデジタルトイ(toy(s), 玩具)を作れるデジタルトイだ。21世紀のLegoね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オンライン学習プラットフォームのUdemyが日本に来る―3200万ドルを調達して国際展開へ

オンライン学習プラットフォームのパイオニアの一つ、UdemyがシリーズCラウンドで3200万ドルの資金を調達した。このラウンドをリードしたのはNorwest Venture Partnersで、既存の投資家、Insight Venture PartnersMHS Capitalも参加している。これで調達した資金の総額は4800万ドルとなる。

EdXCourseraなどが提供する大学の講義をオンライン化したようなEliademyに似ている。

Udemyのコースの内容はアカデミックな知識の伝達というより、職を得やすくする技能、技術の講習に集中している。またUdemyは企業内研修のプラットフォームとしての利用にも力を入れている。

CEO Dennis Yangによれば、今回の大型資金調達は、コンテンツの強化と同時にアメリカ以外の地域への国際展開にあてられるという。

「われわれはオンラインではすでに世界のあらゆる地域にユーザーがいるし、英語以外の10カ国語に対応している。今回の資金調達は実際に現地で活動を開始するためのものだ。われわれは現在アメリカで行っているのと同様のビジネスを世界各地に拡張していきたい」とYangは語った。

われわれのインタビューに対してYangは現在すでに受講者の60%はアメリカ以外から来ていると明かした。この1年でUdemyの売上は300%以上成長したが、これにも国際的な需要の高まりが貢献しているという。

2010年のスタート以来、Udemyの受講者は延べ300万人、講師は8000以上になるという。現在までに作成されたコースの数は1万6000に上る。

Udemyのユーザーの多くは無料コースを受講しているが、Yangによれば無料ユーザーの15%がやがて有料コースを受講するようになるという。有料コースの場合、講師が受講者を独自に集めた場合、Udemyは料金の3%を手数料として得る。ただしUdemyの既存のユーザーが受講した場合、料金は講師とUdemyが50:50で折半する。

Yangによれば、今回の資金調達で実施する国際展開のターゲットとなる地域は、イギリス、ドイツ、スペイン、ブラジル、日本だという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


クラスの先生と生徒たちがリアルタイムでコミュニケーションできるGoogle Classroomが招待制ベータへ, 宿題の作成管理も楽に

 

教師が学校のクラスで使う良質なソフトウェアは、前から求められているが、まだ十分なレベルには達していない。そしてGoogleがついにこのほど、先生たちが宿題を作り、その結果を集め、出来栄えを調べるツールのベータを立ち上げ、教師と生徒たちとのコミュニケーションの充実と良質化を助けようとしている。

その、Classroomという名前のアプリケーションは、GoogleのApps for Educationの一環で、DocsとDriveとGmailを利用して宿題の作成と結果追跡を、手作業でやるよりも相当楽にしてくれる。要するにGoogleがやっているのは、Docsなどのツールをすでに上手に便利に使いこなしている人たちのやり方を、アプリケーション化したものだ。このような大型建材が揃っていて、しかも多くのユーザがすでにいるぶん、そこらのスタートアップがゼロからこんなサービスを立ち上げることに比べると、Googleは相当有利だ。

このClassroomツールには、クラスの生徒たちとのコミュニケーションツールも含まれているので、先生たちは、何かを発表する、質問を投げかける、生徒からの反応に対応する、などのコミュニケーション行為をリアルタイムで行える。しかも、利用は無料で、Googleはユーザデータを使用しないし、広告も表示しない。それらは先週発表された新しいポリシーに即している。

いまのところ(ベータだから)Classroomは招待制のみだ。このプレビューバージョンに招待されたい教育者は、Googleに申し込むこと。試用期間は1か月だが、9月には一般公開されるから、新学期(アメリカは9月より)には間に合いそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


‘子どもたち’の教育から‘その子のため’の教育へ–初等教育の変革を目指すAltSchool

教育は、テクノロジの導入による大きな変化と旧状破壊をまだこれから経験すべき、取り残された産業の一つだ。iPadの登場や勉強のコンピュータ/ネットワーク化、教育的なゲームの利用、などにより変化のきざしはあるが、でも物理的な学校や教室は旧態依然のままだ。K-8教育と学校の構造改革を志向するAltSchoolは、この状況を変えようとしている

Max Ventillaが作ったAltSchoolは、テクノロジの支援により子ども中心の教育を行う新しい学校だ。この学校は、あらゆる学科において子どもたちの学習能力は個人差が激しい、という前提から出発し、その個人差を“成績”という形で等級化するのは、子どもの成長にとって百害あって一利なし、と断ずる。この学校では、カリキュラムはあくまでも各個人のためのカリキュラムであり、それを同校では“プレイリスト”と呼んでいる。

上のビデオは、サンフランシスコ近郊Dogpatchにある、AltSchoolの最初のクラスルームを紹介している。今は5歳から10歳までの生徒達20名がいて、5-7歳、8-10歳の二つのグループに分けられている。通常は一人の教師が8名の生徒を受け持つが、全生徒で行う活動もいくつかある。学校の実際の建物は、大きなワンルームの部屋が遊び用、勉強用、などに仕切られた形になっている。

“1900年代からタイムトラベルしてきた人が今の世界を見ると、学校だけは変わっていない、と思うだろう。でもそれは、良くないことだ。子どもたちも世界も変わっているのだから”、とVentillaは言う。

AltSchoolにおける、クラスルーム、先生たち、そして生徒たちの様子を、上のビデオでご覧いただきたい。また下のビデオでは、この学校のビジョンや今後の方針について、Ventillaにインタビューしている。

そして来週行われるDisrupt NYには、VentillaとAmplifyのCEOとニューヨーク市の教育長Joel Kleinがステージに立つ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スマホでコントロールする教育玩具ぬいぐるみ人形ロボットでConnected Sparksがクラウドファンディング中

エイリアンのロボットLykaちゃんがIndiegogoに着陸しまして、地球の子どもたちにテクノロジと科学と工学(エンジニアリング)と環境について教えるためのキャンペーンをやっている。

このプロジェクトは、ニューヨークでマルチメディアを活用する教育テクノロジと玩具の開発をやっているConnected Sparksの、最初の製品だ。

はるばる宇宙の彼方から地球にやってきたロボットのLykaは、自分の惑星が気候変動で荒廃してしまったのだ。このプロジェクトはTribeca Film InstituteTFI New Media Fundから初期の資金の一部を得ており、Tribeca Film FestivalのTFI Interactiveプログラムでプロトタイプが紹介された。

同社のそもそもの発端は、2011年にニューヨークで行われたTechCrunch Disruptのハッカソンだった。そのときは、マルチメディアクリエイターとしてすでに有名だったLance Weilerがプレゼンを行い、それがその後、Lykaの宇宙の旅へと育っていった。

その後Weilerは、子どもたちの教育と娯楽のための会社を作りたいという構想をあたため、Connected Sparksのローンチにこぎつけた。同社はPenguin Random Houseとの契約で一連の絵本を作り、その主人公Lykaのぬいぐるみ人形も売っている。絵本に付随するモバイルアプリで、そのロボットを動かすこともできる。

Connected Sparksが究極的に目指しているのは、センサを搭載した玩具をいろいろ作って、それらの家、家族、学習、遊びなどの…教育的な…場面を作っていくことだ。“人形という物理的なものと、ロボットというデジタルなものの合体が、最高におもしろい”、とWeilerは言っている。

Indiegogoで得られた資金は絵本シリーズの今後の開発と、教育メディア製品系列の拡大に充てていく。

その資金による最初の絵本とぬいぐるみ人形(ロボット)は、オーストラリアで5月に発売の予定だ。二冊めは9月。いずれも、製品の市場調査を兼ねている。

上記二つが成功したら、今年の11月には北米でもリリースする予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


電子版レゴブロックのlittleBitsとNASAが連携。宇宙を身近にする「Space Kit」を発売

「宇宙」ほど人々の興味を惹きつける存在が他にあるだろうか。テレビ時代の現在にあって、マーズ・ローバーの活躍やElon Muskの発言などは誰もがよく知っている。そのような時代背景もあって、モジュール組み立て式電子玩具を提供するlittleBitsがNASAと協力することになったのだろう。両者の提携により生み出されたのはlittleBitのSpace Kitだ。価格は189ドルとなっている。

実際に手に入れるまで、littleBitsで何ができるかを理解するのは難しいかもしれない。しかしいったん手に入れれば、組み立て式キットであるlittleBitsのの自由さや拡張性の高さに、きっと夢中になるに違いない。これほど効果的に電子工作の楽しさを教えてくれるものに出会ったことはないと言っても良いほどだ。モジュールは機能毎に色分けされていて、何をどのように繋げば良いのかを直感的に理解することもできる。

「littleBitsの各モジュールはブロック状になっていて、これを組み合わせてさまざまなものを作り出ことができます。さまざまなブロックを組み合わせて、無限の変化を楽しむことができるという意味では、レゴと同様のものだと言うことができます」と、最近TEDでも話をしたファウンダーのAyah Bdeirは述べている。「ただし、ただ組み立てて形を作るのではなく、そこにエレクトロニクスを加えて、“機能する”ものを作り上げたのです」。

littleBitsを使って一晩で作ったスピーカーモジュール

売上額などについて詳細なデータはもらえなかったが、この「21世紀のブロック型おもちゃ」は「70ヵ国、2000を超える教育機関などに対して、数十万台を売り上げています」とのこと。オープンソースライブラリーを活用して、「無限の組み合わせが可能なのです」とのことだった。

littleBitsが公式にリリースされたのは2011年のことだった。これまでにTrue VenturesKhosla VenturesFoundry Group伊藤穰一ニコラス・ネグロポンテJoanne Wilsonなどから1560万ドルの資金を調達している。元々は音と光を組み合わせて遊ぶツールだった。

そんなlittleBitsにNASAがアプローチしたのは2012年のことだ。宇宙開発について、より多くの人に知ってもらうきっかけを探してのことだった。技術系の学位取得を目標としない人にもロボットやエネルギー、あるいは通信設備などについての基礎的な理解をしてもらおうという、全米的な動きの一環であったわけだ。

littleBitsには「SPACE KIT」、「SYNTH KIT」や「BASE KIT」ないし「DELUXE KIT」などがあり、磁石接続式のモジュールがいくつか入っている。モジュールは「power」、「input」、「wire」、そして「output」の4種類に大別され、そのそれぞれにいろいろなモジュールが用意されている。たとえば「wire」には「double AND」や「double OR」がのモジュールがある。「output」には「fan」、「ブザー」などのモジュールが用意されている。さらに「SPACE KIT」にはNASAの科学者が記したサンプル回路についての説明書も同梱されている。サンプルにはたとえばオリジナルのウェイブ・ジェネレーター、スターチャート、人工衛星軌道計算ツール、マーズ・ローバー模型などの作り方が記載されている。

「他にもいろいろなところからパートナーシップの申し入れがありました。しかし、人間の本質にも関係のある宇宙をテーマにするNASAと組むことにしたのです。多くの人が宇宙に興味を持っています」とBdeirは言っている。「宇宙への興味を、より具体的に理解して、宇宙的な発見と私たちの日常の間の架け橋となりたいと考えたのです」とのこと。

これからもNASAとの協力関係を深めていく予定だとのこと(来るべき宇宙旅行時代に備えるのだ)。ハッカソンやワークショップもあちこちで開催していく予定にしており、より多くの人に科学技術の面白さを感じて欲しいと願っているとのことだ。

個人的には、ぜひとも7歳のときにこれが欲しかった。これを手にしていたら、きっとと同じような道を歩むことができたと思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H


クラウドソース言語学習のDuolingoがiOSアプリで日本語版、中国語版の英語コースをスタート

人気のクラウドソース型言語学習サービスのDuolingoがiOSアプリをアップデートした。Version 4.0にはいろいろ新機能が含まれているが、もっとも重要な点はアジア地域のユーザーに対応したことだろう。

新バージョンには日本語話者、中国語話者のための英語学習コースが含まれている。日本人、中国人向けに他の言語の学習コースも準備されており、近く公開されるということだ。

現在Duolingoのアジアにおけるユーザーベースはそれほど大きくない。Duolingoのユーザーは北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパがそれぞれ30%ずつを占めている。

今回のアップデートでドイツ語話者、ヒンディー語話者のための英語、ロシア語話者のためのドイツ語、ドイツ語話者のためのフランス語のコースもそれぞれ追加された

多言語対応の進化と同時に、今回のアップデートでは学習に大幅にゲーム化が取り入れられた。ボット(コンピュータ)との対戦がデフォールトだが、他の学習者と競争することができるマルチプレイヤー・モードもある。私の取材に対してDuolingoのファウンダー、CEOのルイス・フォン・アン は「これらの新機能は当面iOSのみで提供される。われわれは新機能はひとつのプラットフォームで試し、うまくいくとわかったら別のプラットフォームに移植することにしている」と語った。

その他今回のアップデートでは学習の進捗度が詳しく分かる統計が追加され、UIのデザインがわかりやすくなった。

〔日本版〕Duolingoのファウンダー、ルイス・フォン・アンはreCAPTCHAの発案者。DuolingoはAppleのアプリ・オブ・ザ・イヤーを受賞した他、今年2月にはTechCrunchのCruncie 最優秀教育スタートアップ賞を受賞している。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


モバイルは途上国の識字率をめざましく向上: UNESCOの調査報告より

UNESCOの最新の報告書によると、モバイルデバイスは途上国における識字率の向上に貢献しうる可能性があり、しかもそれは今では、世界のほぼすべての人口に普及しつつある。それにまた、この件に関しては高価なタブレットやスマートフォンは必ずしも必要なく、むしろeブックリーダーはフィーチャーフォン上のものが多く使われている。

この報告書は、エチオピアとガーナ、インド、ケニア、ナイジェリア、パキスタン、およびインドの計5000名に対するアンケート調査の結果だ。“物理的な本が乏しいところでも、携帯電話は豊富にある。携帯電話は今でも主にごく基本的なコミュニケーションのために使われているが、しかしそれでも、いちばん簡単な携帯電話ですら長文のテキストへのゲートウェイだ”、と述べるこの報告書は、その作成にNokiaが協力している。同社は今でも、売上の相当部分がフィーチャーフォンなのだ。また、アジアとアフリカを対象とするモバイルの読書プラットホーム(無料の)Worldreaderも、この調査に協力した。

発行日が偶然にもWorld Book Dayと同じ日だったこの調査報告は、国連のデータを引用しつつ、世界の60億あまりの人びとが携帯電話を常用しているので、68億と言われる世界の総人口が、可能性としては読むための素材にアクセスできるのだ、と述べている。

回答者の18%は、eブックのプラットホームは携帯のデータ料金が高くて利用できない、と言っている。報告書によれば、Worldreader Mobileはデータを圧縮しているので1000ページの本のダウンロードに2~3セントしかかからないそうだ。データ料金が気になる18%に対して、50%はまったく気にならないと答えている。

携帯を使って読むことに熱心なのは、とくに女性である。携帯で本などを読む機会は、女性が男性の6倍に達する。モバイルで読書をしている人の77%は男性だが、読む時間は女性の方が多くて一か月に約207分、男性はわずか33分だ。調査対象となった親たちの1/3は、携帯電話を使って子どもに本を読んでやる機会がよくある、と答えている。

しかしまだ、おもしろいコンテンツが少ないという問題があり、回答者の60%は、それが携帯電話で何かを読むという行為の障害になっている、と答えている。Worldreader Mobile上のクリック数がいちばん多い人気コンテンツは、一位がロマンス(恋愛小説)、次位が宗教に関する本だ。もっとも多い検索語は、Harry Potter、Romeo and Juliet、Animal Farm、そしてTwilightだった。

Worldreaderは、元MicrosoftとAmazonの役員だったDavid Risherと、スペイン(バルセロナ)のビジネススクールESADEの元マーケティングディレクターColin McElweeが、2010年に創設した。同社の目標は、今年の終わりまでに100万人以上のモバイルユーザに同社の無料のeブックへのアクセスを提供することだ。

写真はWorldreaderのFacebook Pageより。

〔重要な訳注: 原文のコメントによると、携帯上の読書時間一か月207分は、207時間の間違い。…このコメントも、間違いのような気がするが(報告書原文[PDF]のp30(物理ページではp26)を見てください)。〕
〔余計な訳注: 携帯電話の常用による識字率の向上を、読書(既製の長文テキストを受動的に読むこと)のみに結びつけるのは、あまりに短絡的・視野狭窄的ではないでしょうか…。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Codecademyがサイトのデザインを刷新; 中上級コース, 職業的プログラミング教育にも進出

ニューヨークで2年前にスタートしたCodecademyは、今ではオンラインのプログラミング入門教育の代名詞だ。

その間同社もさまざまなことを学び、そして今日は、新しいデザインのWebサイトを立ち上げ、入門段階だけでなく中上級のプログラミング教育もできる新しいフレームワークを導入した。

それはある意味で同社の、職業教育としてのプログラミング教育、に向けての第一歩、と言えるかもしれない。つまりそれには、有料の教育サービスによる、プログラミングの特訓クラスやコースワークが含まれ、またプログラマやデベロッパにとって、オンラインでプロフェッショナルな教育を継続的に受けられる“プログラミング教育のワンストップショップ”という性格も持つ。

同社の協同ファウンダZach Simsはこう語る: “いちばんとっつきやすいプログラミング入門サイトとしてスタートしたが、今では入門レベルよりやや上の、プログラミングのより高度な概念も教えていきたいと思っている”。

Codecademyの累積受講者は2400万を超えているが、同社は今、卒業後の彼ら新人プログラマたちの、スキルや職業などの現状を調べている。

Simsによると、新しい中上級コースは、生徒各自がAirbnbのサイトを自分で一から構築する、という課題を軸に展開される。それは、これまでの入門初等教育のやり方とはまったく違う。

SimsがCodecademyのブログに書いているところによると、新しいカリキュラムの最初のコースには、“コードブロック”というものの体験的実験的学習、Webページの各部分を実行時に動的に変化させる方法、そしてWeb開発で使われるプロフェッショナルな技術用語の学習などが含まれる。

同社によると、生徒たちはこの新しい教育フレームワークを利用して、新しい社会的および職業的機会をつかむことができる。またそれは、大学や企業、雇用者と被雇用者のネットワークなども仲間に入れた、より広範な職業教育と雇用創出のためのフレームワークを作っていきたい、とする同社の大きなビジョンの、実現に向けての第一歩でもある。

Codecademyは今、世界中の教育者たちに働きかけて、正規教育へのプログラミング科目の導入を進めている。すでにシンガポールとイギリスとマレーシアでは、中学でのCodecademy方式の採用が決まった。とくにイギリスでは中学と高校の両方で、Codecademyのコースが正規カリキュラムに導入される。

これからのCodecademyは、プログラミングの学習者だけでなく、Web開発やプログラミングの職や人材を探している求職者/求人者などからも共有される、人材バンク的な性格も持つようになる。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


積み木のようなブロック(キューブ)を並べて中国語を覚えるChineseCubes

外国語を勉強するためのアプリやサービスはたくさんある。でも拡張現実(augmented reality, AR)と、サイコロのような小さなブロックと、Webカメラを使って中国語を教えてくれる学習セットは、とても珍しい。それが、これからご紹介するChineseCubesだ。

ChineseCubesは、台湾の大手出版社Locus PublishingのCEO Rex Howのアイデアから生まれた。この149ドルのキットには40のキューブと、ほかに“コマンドキューブ”が含まれている。使い方は、まずコマンドキューブをカメラの前に置き、いくつかの言語キューブを並べる。するとシステムが、正しい中国語の世界が作られたかをチェックする。中国語の学習はキューブとドリルと対話的なソフトウェアを使って行い、言葉や文の組み立て方を学んでいく。

このシステムは、言葉のいちばん基礎的初歩的な部品を組み立てて文を作る(上図)ことにより、中国語の書く、聞く、話すを教える。このやり方で学習者は4か月で2500のフレーズを覚える、とされている。新聞を読むには十分な語数だ。またARシステムを使って、中国語で書かれた児童書を読み、フレーズやビジネス用語を速習することもできる。WindowsとOS X対応だが、iOS用のアドオンもいろいろあり、Androidバージョンももうすぐ提供される。

ぼくも試してみたが、けっこうよくできているし、確かに学習効果はある。デスクの上にキューブを置いといて、毎日いくつかを並べてみる。それが、短時間のレッスンになる。印刷された文字やコンピュータの画面を見るのと違って、学びながら自分の手でキューブを持つ、動かすという“触感”があるので、楽しいし、高価な外国語学習コースより優れているかもしれない。とくに、手の動き、体の動きを伴うところは、子どもに適していると思う。まるでLegoで遊びながら中国語を覚える、という感覚だ。中国語を遊びながら覚えるのが、すごい。

このキューブ方式は、外国語学習のベストの方法だろうか? キューブそのものに、ちょっとこじつけ感があるから、もっと自然にのめりこめるような、没入的な方法がほかにあるかもしれない。でも、自分の経験から言っても、遊びは学習を持続させるための最良の方法であり、このキットは少なくとも、その最良の方法の一つを提供しているとは言える。退屈なものになりがちな言葉の勉強を、学ぶ側と教える側の両方にとって楽しめるツールに変えたことは、なかなか頭が良いね。

〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


一人のプログラマを育てることが教育の革命を起爆する–教育系スタートアップの最新動向

[筆者: Jon Auerbach]

編集者注記: Jon Auerbachは、UdacityThe Flatiron Schoolに投資しているCRVのパートナーだ。

読者の中にはもしかして、これまでの20年間、WiFiも何もない山奥の洞窟で寝ていた人がいるかもしれないので、まずそんな人のためにニュースを: 合衆国の教育制度は今、複数の戦線から攻撃されていて、とくに、強力な起業家精神の勃興によってその形を根こそぎ変えられようとしている。

それがとくに顕著なのは、高等教育の分野だ。今の大学は、教育とは無関係な客寄せ装置への支出の軍拡競争を、もうこれ以上は無理と思えるほどの規模にまで膨張させている。フットボールスタジアムの新設、寿司が山盛りのカフェテリア、…しかしそうやって学生たちを集めても、彼らの多くは学費を払う能力がないか、あるいは卒業して世に出たとき借金を返済できるほどの仕事がない。

学生たちの奨学金の未返済額は1兆1000億ドルに達しているが、大学卒業者のほぼ40%は失業者または低賃金労働者だ。2010年に16~24歳層の失業率は19.6%に達し、労働統計局が1947年に失業率の調査を開始してからの最高値を記録した。今度アミューズメントパークへ行く機会があったら、そこの労働者の4人に1人が学卒であることに思いを致そう。

これまでは、教育はスタートアップや起業家にとって、立入禁止の聖域だった。そこは学校の集合と、変化とイノベーションを拒む管理人たちで占められていた。しかしここ数年、二つのことにより、本物の機会が生まれ始めている。ひとつは、教育という体制が全身的な疾患に蝕まれ始めたこと。第二は、ソフトウェアの大衆化によって、教育のイノベーションを目指す草の根の運動が始まっていることだ。

教育という体制が全身的な疾患に蝕まれ始めたこと。そしてソフトウェアの大衆化により、教育のイノベーションを目指す草の根の運動が始まっていること。

教育をオーバホールしに来た最初の新勢力は、Khan Academyのような企業で、教育的なコンテンツを若い世代にわかりやすい形で制作し提供した。Khan Academyの、短い、一口サイズの学習単位は、余暇時間などにいつでも自由に見られるビデオで提供され、YouTubeでも人気になった。

二番目にやってきた起業家軍団は、個々のビデオではなく、大学のコース(課程)全体を最初から最後までオンラインで提供するMOOCだ。UdacityCourseraUdemyなどのサイトが、好きな時間に受けられる長時間授業を、多くの場合無料で提供した。そしてここ数年はプログラミングの分野でもCodecademyなどのサイトが、プログラミングができるようになることを新年に誓った多くの老若男女にプログラムの書き方を教えている。人気トップのCodecademyには、立ち上げから48時間で97000名がサインアップした。

以上のような企業はすべて、今のアメリカの教育にある大きな欠陥を補(おぎな)おうとしている。2013年のAdvanced Placement(AP)では、コンピュータ科学(Computer Science, CS)で試験を受けた者がわずかに30000名強だった。それはAP受験者全員の1%にも満たない…グラフィックデザインとほぼ同数だ。CSがこれだけ少ない原因の一つは、CSの教育を受けたことのある教師が中学高校でとても少ないことだ。そこで、指導教師が一人もいなければ、高校でCSに関心を持った子がいても、CSがその高校の正式の受験科目になりにくい。ミシシッピ州では、昨年のAPでCSを受験した子が全州でたった一人だった。

そこで現れた第三のスタートアップ勢力が、今では、濃密で集中的な対人教育により、実用的なCS教育の不足を補おうとしている。私が最近投資したThe Flatiron School本誌記事)や、Turing Schoolなどが、短期の,集中教育で生徒たちを教えている*。そこに集まるのは強い動機を持った生徒が多く、その多くは今現在、技術系でない仕事に就いている人たちだ。そういう人たちが、短期間、昼も夜もプログラミングの勉強に打ち込んでいる。その短期集中教育を終えた生徒たちには、企業で明日からでも仕事ができる技術的スキルが身についているので、就職率がきわめて高く待遇も良い。Flatironは、就職率ほぼ100%と自称している。〔*: 原文コメントではMakerSquare, HackReactor, Flatiron School, DevBootcamp, App Academy, Launch Academyなどが‘推奨校’として挙げられている。〕

この第三のタイプの学校(第一第二のように仮想ではなくてリアル)は、社会の大きな需要に応えている。このような実用的職業教育は、21世紀の高等教育の新しい教え方の口火をきるだろう。しかもこれらの学校は、今では仲間も多い。Flatironのファウンダの一人、Avi Flombaumは、スピーチなどでよくこんな話をする: Harvard(ハーバード大学)は1636年に、明日の聖職者を育てるための職業訓練校として始まったのだ。

〔訳注: この記事はアメリカにおける教育のイノベーションをあえて三つのタイプに限定して挙げているため、読みやすくて分かりやすいが、この記事から漏れ落ちている重要な動向もいくつかある。原文のコメントをお読みになることを、おすすめしたい。〕

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Pixarなども顧客とするクリエイティブ教育のDigital-Tutorsがデベロッパ教育の大手PluralSightに買収

【抄訳】

PluralSightはソフトウェアのプロフェッショナルたちのための教育訓練企業として2004年に創業、2008年にオンライン化したが、近く、クリエイティブ方面の教育訓練サービスDigital-Tutorsを4500万ドルで買収する、と発表した。

Digital-Tutorsを買収することによってPluralSightには、これまでなかったメディアやデザイン関連のコースがおよそ1500ほど加わる。現在のPluralSightには、プロのデベロッパ向けの教育訓練モジュールが3000あまりある。

このところソフトウェアの教育訓練という業種分野には合従連衡のブームがあり、買収等を通じて、今までよりも大きくなって市場を有利に支配したいという動機が伺える。買収に動くのは主に、これまですでに資金状態が良くて大きくなっていたところである。

ソフトウェア技術の世界は技術の革新や変化が常時激しいので、プロたちもコンスタントに勉強せざるをえない。そこで情報技術のための教育訓練サービスが、ビッグビジネスになるのだ。Global Industry Analystsの予想によると、ソフトウェアと情報技術に関してプロたちを教育訓練するための支出は、2015年には1070億ドルに達する。

PluralSightと似た動きを見せているのが、今月初めにカナダのオンラインプログラミング学習サービスCompilrを買収したLynda.comだ。Lyndaもオンライン学習サービスの大手だが、これまで同社になかったプログラマ~デベロッパを育てるコースを、この買収により手に入れたのだ。

“この業界の最近の傾向は、投資家にとっても、また市場の顧客にとってもより明確で分かりやすい業態に脱皮することだ”、とPluralSightのCEO Aaron Skonnardは語る。“今はMOOCが注目を集めているが、その多くは収益化で苦労している。そして、財務基盤が堅固で良いアイデアを持っているところが、そうでないところを取り込んで、より肥大しようとしている”。

PluralSightにとってオクラホマシティのDigital-Tutorsは、ここ8か月で4つめの買収だから、上述のSkonardの言葉も真に迫っている。Digital-Tutorsの顧客には、PixarDreamWorks Animation、 and Rockstar Gamesなどの企業や、大学、そして個人のプロフェッショナルたちが顔を揃えている。なお、今回の買収により両社の既存のユーザは、お互いに相手企業の教材に現在の料金のままでアクセスできる。Digital-TutorsのファウンダでCEOのPiyush Patelは、Pluralのクリエイティブ担当VPになる。

PluralSightがこのところ総額1億ドル近くを投じてかき集めた4つの買収企業のうち、残る3社は、デベロッパにオープンソース関連のコースを提供しているPeepCode、スクリーンキャストを利用してプログラマを教育していたTekpub、そして企業のITスタッフを育てるTrainSignalだ。

【後略】

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12週間で年収7万ドルのプログラマを育てるニューヨークの職業訓練校Flatiron Schoolが$5.5Mを調達

あなたは人に、職業としてやっていけるほどのプログラミング技術を、12週間で教えられるかな?

ニューヨークのFlatiron School*は、それができると考えている。ここで学んだ者の98%がデベロッパとしての仕事に就いているので、それは正しいのだろう。同校がこのほど550万ドルの資金を調達した。〔*: プログラミング専門の私立の職業訓練校。〕

ここ数年、こういう“ブートキャンプ”(新兵訓練所)的なコースがあちこちで流行(はや)っているが、Flatiron School(ニューヨークの初めての高層ビルFlatiron Buildingにちなんだ名前)は3か月の集中的なトレーニングで、これまでコードを1行も書いたことのない者をプロフェッショナルなプログラマに変える。

ただし、クラスの開始日までに生徒は、4週間最大150時間の予習をこなさなければならない(計16週となる)。クラスが始まったら、月曜日から金曜日まで、朝9時から午後6時までの缶詰め状態になる。

これまでの1年半で、Flatiron Schoolが受け入れた生徒数は250名(現在の学期を含む)だ。これは大きな大学の一回の講義に集まる学生数とほぼ同じだ。

生徒数が少ないのは人気がないからではない。同校のファウンダによると、入学OKとなるのは応募者の約10%だ。

ではなぜ、資金を調達したのか? 10%ではなく、もっと多くの生徒を受け入れたらよいではないか。

校長のAdam Enbarはこう言う: “うちが資金を調達したのは、ほかの企業とは逆に、成長を遅くするためだ。生徒数を増やせばもちろん学費収入は増える。うちも、それをしようと思えばできる。しかしわが校はあくまでも、質にこだわる。そのために資金が必要だったのだ”。

でも、世の中の高級品は概して高い。Flatironのコースは現在、iOSとRuby(Web開発)の二つだが、どちらも12週間で授業料は12000ドル、つまり週に1000ドルだ。卒業後にFlatironの就職斡旋を受け入れて仕事に就いたら、同校が雇用主企業から得る謝礼金の一部として4000ドルが還付される。そして同校によると、彼らの初任給は最低でも70000ドルだそうだ。

でも、12000ドルのブートキャンプに行ける人しか良いプログラマになれないなんて、ばかげている。そこでFlatironはニューヨーク市の奨学補助事業を利用して、年収50000ドル未満の家の者も受け入れている〔学費が市の補助事業から出る〕。今のところ、同校の卒業者のうちの26名が、このタイプだ。

同校から世に放たれたプログラマたちの、その後はどうだろうか?

“卒業生の現況はつねにチェックしているが、解雇された者は一人もいない”、とAdamは言っている。

今回の資金調達ラウンドはCRVとMatrix Partnersが仕切り、Box Groupが参加した。それはFlatironの初めての外部資金導入だ。

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オンライン学習の大古参Lynda.com, デベロッパ需要増の時流を無視できずプログラミング実習のCompilrを買収

オンライン教育/学習の大手老舗Lynda.com(1995年創業)は、創業18年目にしてやっと外部資金1億300万ドルを1年前に導入したが、今日は(これも初めての?)買収を発表した。これからはデベロッパやデベロッパ志願者も同社の生徒とすべく、カナダHalifaxのオンラインプログラミング学習サイトCompilrを手中に収めたのだ。Compilrはcompiler(コンパイラ)のもじりで、学習者はコードを書くだけでなく、それをWebブラウザの中からコンパイルしてもらい、テストできる*。買収額は非公表だが、2000万ドルぐらいらしい。〔*: 書いたコードをコンパイルして動かしてくれるサイトは、相当昔から、いろいろありましたね。〕

Compilrは今や、Lynda.comの一部である。

Patrick HankinsonとTim SpeedItが創業したCompilrも、今日までずっと、ブートストラップ(自己資本のみ)だったようだ。Lynda.comと似た企業文化と気質だ。しかし外部投資のないことは、Compilrの成長を長期にわたって妨げた要因の一つかもしれない。Hankinsonによると、2012年には35社あまりのVCに投資を断られ、月額10ドルの有料制を導入せざるをえなくなっていた。

その有料制がLyndaでも続くのか、Lyndaはまだ何も発表しないが、既存のCompilrユーザは、これからはLynda.comの上で無料のトレーニングを受けられる。

Compilrは実は、Lynda.comの、初めてではなく二度目の買収だった。最初は昨年のオーストラリアのvideo2brainで、同社の国際展開の一環だった。しかしこちらも、ごく近年の初物だ。

CompilrとLynda.comの相性という問題だが、Lynda.comにはすでに大量の、ソフトウェアやテクノロジ、一般的なビジネスの教育訓練、クリエイティブの業界業種、などなどをカバーする広範なビデオ教材のコレクション(計10万本といわれる)がある。生徒にコードを実際に作らせる/書かせるCompilrは、Lynda.comのオンサイトの教育訓練のレパートリーを増やすだけでなく、デベロッパ/デベロッパ志願者という同社にとって新しい生徒層の獲得も意味する。

その点についてLynda.comの社長でCEOのEric Robinsonは、声明文の中でこう言っている:

“Compilrの買収は、会員にさまざまな分野を学習するための最良の方法を提供するという弊社の社会的献身を反映するものであり、それらの学習方法は、弊社が構築する場合もあれば、今回のように買い入れることもある。プログラミング言語の教習に関しては、市場と需要が成長していることを弊社はかねてから承知いたしており、多様で高品質なコンピュータプログラミングのコースを提供することに本格的に取り組んでいる。これは弊社の学習哲学と整合するものであり、弊社をオンライン教育/学習市場のマーケットリーダーとして維持かつ成長させることを、可能にするものである”。

あの有名人VCはかつて、ソフトウェアが世界を食べているのだから、ソフトウェアエンジニアに対する需要の増加傾向は今後も右肩上がりで継続する、と語った。Lynda.comは、ソフトウェアデベロッパのプロジェクトベースの雇用〔not社員/常雇いベース〕は2012年から2022年にかけて22%増加する、という合衆国労働統計局の数字を引用して、“全職種平均よりもはるかに急速に需要が増大する”、と声明文中で述べている。

Compilrは今12種類のプログラミング言語をサポートしてコースを提供し、初心者と上級プログラマの両方を対象にしている。

Compilrの競合相手は、KodingCloud9 IDECodenvyなどだ。

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言葉をビッグデータ分析して外国語の短期学習法を確立したLingvistが€1Mを調達

エストニアのLingvistが開発している、外国語の適応学習ソフトは、同社の主張によると、新しい言葉を学ぶのに要する時間を大幅に短縮する。その同社がこのほど、100万ユーロの資金を調達した。投資家は、国の投資ファンドEstonian Development Fundの投資部門SmartCapと、北欧を主な圈域とするVC Inventure、およびエストニア内外の数名のエンジェル投資家だ。

わずか1年前にMait MüntelとOtt JalakasとAndres Koernが創業した同社は、その発端がMüntelの経験にある。彼はCERNで数年仕事をしていた物理学者だが、最近フランス語を勉強したいと思った。既存のオンライン/デジタルの言語学習ソリューションをいろいろ調べた彼は、良いものがないことに気づいた。彼は言葉を統計的に分析して語や語句、用法などの出現頻度やそれらのあいだに存在する相関関係を洗い出し、また人間の記憶の過程を最適化することによって、新しい言葉を学ぶために必要な時間を大幅に減らせるはずだ、と考えた。

そこでMüntelはまずプロトタイプを作り、それを自分で使ってフランス語を十分な実用レベルに達するまで勉強した。その結果、200時間でエストニアの国家試験に合格できた。そのソフトウェアをSkypeの初期のエンジニアで今は活発な投資家であるJaan Tallinnに見せたところ、彼は、本格的に企業化することをすすめた。

Müntelはこう語る: “外国語学習の効率が悪いのは、不適切なコンテンツを教材に使っていることと、反復の間隔が最適でないことが原因だ。デジタルの外国語学習ツールも、その多くは、印刷物の教科書で使われていた教え方を依然として使っている。つまり、生徒たちがコンピューティングのパワーを持ったデバイスで勉強しているという事実と、言葉の用例データを記録したり分析する能力がそれらのデバイスにあることを、有効利用していない”。

それらとは対照的にLingvistの外国語学習は、ビッグデータの分析に基づいている。Müntelはは曰く、“大量のテキストを分析して語や用例の出現頻度とそれらの相関関係を把握し、それによって、何からどういう順序で学んでいくのがベストか、というプライオリティを確立する。そしてそれに基づいて、生活や社会の現実に合った、今日的な語彙を教えていく。その順序は画一的でなく、生徒一人一人の能力差に合わせている”。

だからそれはまさしく、外国語の適応学習だが、そこでは学習者一人一人が、今何を知ってて、理解してて、できて、何を知らない・理解してない・できない、かをソフトウェアが判定し、次は何を勉強すべきかを決めるのだ。同社によれば、既存のオンライン学習サイトはどれ一つとして、それができない、と。

LingvistはアクセラレータTechStarsの、最近ロンドンで行われたクラスの卒業生でもある。現在は英語とフランス語の学習モジュールを非公開ベータで動かしており、それへの招待をここで申し込むことができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


VR社員教育のプラットフォームとしてOculus Riftに賭けている会社がある

Oculus RiftとそのメーカーであるOculus VRはFacebookに買収され、それが原因で、MinecraftのデベロッパーMojangのように、同プラットフォームでの開発を見直す人々がいる。しかし、Oculusへの賭け金を倍増する人々もいる。社員教育ソフトウェア開発のTechnology Transfer Services(TTS)もそんな一社だ。

これもまた、エイプリルフールの早出しではないことを確認する必要のあるニュースだったが、そうではないことをTTSのJohn Hooverが保証してくれた。同社は本当に「没頭型学習環境」を開発中で、「バーチャルワールド、インストラクター主導教育、現場固有教育、カスタムEラーニング、およびシミュレーションを組み合わせることによって、社員を効率的に教育する」ものであると、TTS CEOのLou Riveraがメールによるリリースに書いている。

では具体的にそれは何を意味しているのか? 例えば、劣化ウランを処理する工場で働いている人が、危険物を正しく廃棄する方法を学びたかったら、手足や命を危険に曝す代わりに、安全なバーチャル環境で行うことができる。TTSはすでに、発電所シミュレーションのプロトタイプを作って運用しており、新入社員たちは、数百万人の命を危うくすることなく、経験を積むことができている。

もう一つ可能性のある用途:オフィスで動く人たちが、ドアやキャビネット、イス、鉛筆、くずかごなどの危険に、実際遭遇する前に備えるのに役立つかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


DeNAの低学年向け教育事業「アプリゼミ」–タブレット向けにサービス開始

スマートフォンやタブレット向けの知育、教育サービスはネットサービスのトレンドの1つだ。知育アプリを手がけるスマートエデュケーションや教員と生徒向けのクローズドなSNSを提供するednity、先生間の情報共有向けSNSのSENSEI NOTEなど、スタートアップだけでもプラットフォームからコンテンツまで、ありとあらゆるサービスが提供されてる。

そんな中で、ディー・エヌ・エー(DeNA)が通信教育アプリ「アプリゼミ」を3月20日にスタートし、教育事業に参入した。サービス自体は2013年末に発表されていたもとなる。iOS、AndroidそれぞれのOSに対応しており、当初は「小学1年生講座」のみを提供、新1年生向けに算数と国語、さらに小学校低学年向けの英語の3教科を提供する。保護者向けには進捗確認やメールでのお知らせ機能、分単位の学習時間設定といった機能も提供する。

タブレット向けに日々の家庭学習を提供するサービスとしては、ジャストシステムの「スマイルゼミ」(2012年11月開始。専用端末を使用し、1年継続で端末代金無料。月額3600円)やベネッセの「チャレンジタッチ」(3月末提供開始。専用端末を使用し、半年継続で端末代金無料3250円)などが先行する。

これに対してアプリゼミは、端末に依存せず利用可能で月額は980円(アプリゼミサイトから購入した場合。アプリストアからの場合1000円)、さらに4、5、6月はサービスを無料化するなど、サービス利用までの障壁の低さで勝負する。「紙の教材だと、通常月額3000円程度になる。それに比べて印刷代や郵送費といったコストをかけないことで、980円を実現した」(DeNAエンターテインメント事業本部企画推進部アプリゼミ総合プロデューサーの床鍋佳枝氏)

アプリゼミでは、DeNAがゲームなどのサービスで培ったノウハウをもとに、難易度調整やリワード導入などをして、教育とエンターテインメントを組み合わせた「エデュメント」を実現するという。これによって勉強が好きになるだけでなく、自ら取り組み、身にけるというサイクルを作るという。教材は、NHKエデュケーショナルが監修する。

すでに東京都多摩市立愛和小学校など2つの小学校で実証実験を実施したところ、5日間の利用でテストの点数が上昇しており、また学習時間についても想定の半分で終了したことから、「エデュメントを実現することで学習が進んだ。今までの倍以上の分量を学べる」(床鍋氏)と語る。通常は1教科1日10分ずつ学習すれば、1カ月の学習が完了するという。