トヨタ、ブロックチェーンを自動運転車開発に導入へ――MIT始め多数の企業と提携

Fordが新CEOを任命、経営陣を一新して車作りでの未来志向を明確化させたのと同じ日に、トヨタは次世代テクノロジーの採用に踏み切ったことを発表した。

Fordの人事は自動運転車、電気自動車製造でこれら分野のトップ企業に追いつこうとする努力だが、トヨタ、正確にはTRI(Toyota Research Institute)は自動運転車、電気自動車を現実化する上で非常に重要な選択を行ったといえる。

MIT〔マサチューセッツ工科大学〕のメディア・ラボと協力して、トヨタはブロックチェーン・テクノロジーを専門とする一連のソフトウェア・パートナーと提携したことを明らかにした。ブロックチェーンは分散暗号化台帳テクノロジーで、bitcoinのような暗号通貨のベースとなっている。トヨタはこの提携により、ブロックチェーン・テクノロジーを次世代自動車開発に適用する方法を探るとみられる。

トヨタは消費者が自動運転テクノロジーを信頼することを可能にするソフトウェアの開発を目的としたプロジェクトを複数発表した。これには安全性に関して個々の自動車をモニタリングし必要な情報の配信することや悪意ある試みを排除することなどが含まれる。

トヨタTRIの最高財務責任者で、モビリティー・サービスのディレクター、Chris Ballingerは声明で、.「安全かつ信頼性の高い自動運転車を実現するためには延べ何千億キロもの人間による運転データが必要になる。ブロックチェーン・テクノロジーを用いた分散台帳(distributed ledger)システムは個人オーナー、企業の運行管理者、自動車メーカー間での安全な情報共有を可能にするだろう。自動運転車の安全性、効率性、利便性が広く利用されるようになるという目標への到達を早めることが期待される」と述べた。

当面、自動運転車が走行するつど運転データを共有する点にブロックチェーン利用の努力が集中されるという。自動車共有を容易にし、ユーザーが望めば走行距離ベースの自動車保険も利用できるようなツールの開発が目標だ。

MITのメディアラボでデジタル通貨イニシアティブの責任者を務めるNeha Narulaは声明で 「ブロックチェーン・テクノロジーを用いてユーザーが自らの運転データを確実にコントロールできるプラットフォームを開発するプロジェクトにトヨタが深くコミットすることになったのは喜ばしい。安全かつ信頼性の高い自動運転車の実現に向けてさらに一歩を踏み出すために、業界の他のメンバーもこのプロジェクトに参加するようわれわれは期待している」と述べた。

TRIはMITと提携するにとどまらず、ブロックチェーン分野で有力な他のスタートアップや企業ともコンソーシアムを組む。 BigchainDBは柔軟かつ規模の拡大に対応できるブロックチェーン・ベースの元帳システムの開発で300万ドルの調達に成功している。ベルリンを本拠とするこのスタートアップはトヨタが必要とする分散暗号化データベースを提供する。一方、テキサス州ダラスのOaken InnovationとイスラエルのテルアビブのCommuterzはブロックチェーンを用いたカーシェアリングと関連する支払いなどを処理するアプリを開発する。

さらにトヨタはロサンゼルスを本拠するブロックチェーン・デベロッパー、Gemと提携し、同社がヘルスケア分野で開発した保険アプリを自動車保険に応用する。Gemはブロックチェーンを利用した暗号化元帳により、多種多数の分散した情報源からのインプットを記録し、保険金支払請求の自動処理に役立てるシステムを開発している。トヨタとの提携でGemは個別車両の使用の度合いに基づく従量制保険の開発にあたる。

TRIのパートナー企業には以下の各社が含まれる。自動運転車のテスト走行における運転データの交換のシステムを開発しているBigchainDB(ベルリン)、新しいテクノロジーにより自動車へのアクセスや費用精算を含めたP2Pカーシェアリング・アプリを開発しているOaken Innovations(ダラスとカナダのトロント)、TRIと共同でP2Pカープール方式を開発中のCommuterz(イスラエル)、 Gem(ロサンゼルス)、テレマティクス自動車保険のTIMS(Toyota Insurance Management Solutions)などだ。TIMSはトヨタ、トヨタファイナンシャルサービス、あいおいニッセイ同和損害保険のジョイントベンチャーで、ユーザーに利便性が高いテレマティクス自動車保険を開発している。

画像: chombosan/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動運転車もオープンソース化でカスタマイズの自由度を強調、ステルスを脱したOSVehicleはモジュール構造のホワイトレーベル車を提供

OSVehicle(Open Source Vehicle)はY Combinatorが支援するB2Bの自動運転車企業で、多量の業務用車両を抱える顧客企業に‘ホワイトレーベル’(納車時ノーブランド)の車を複数台作って納める。

‘EDIT’と名付けられたその自動運転車は、顧客がすぐに使い始められる状態で納車される自動運転電気自動車で、モジュール構造なのでデザインは可変、ホワイトレーベルなので顧客が完全に自己ブランド化できる。

1年のステルス期間をようやく脱した同社は、顧客である自動車利用企業が仕様をカスタマイズできる自動運転車が、製品の基本コンセプトだ。自動運転のためのハードウェアや、インターネット接続、ソフトウェアのコード、航続距離、ルックスなど、何でもカスタマイズできる。モジュール方式の利点は、そういうカスタマイズが通常の半分ぐらいの工期と、約1/6の費用でできることだ。

顧客は、自分の国と自分の業種(例:タクシー会社)に合った車を、短期間で確保できる。フードデリバリ、ライドシェア、などなど業種に合わせたカスタマイズが、車の特定のブランドにまったく邪魔されないのだ。言い換えると、ブランドに合わせたカスタマイズではなく、完全にアプリケーションに合わせたカスタマイズが可能だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber騒動を横目に、LyftとWaymoが自動運転車で協力

LyftとWaymoは、自動運転車の技術を共同開発している。これに関する新しいニュースが日曜日のNew York Timesに掲載された。このニュースの内容は双方から確認済だ。元Googleの自動運転車ユニットは、配車サービス会社と協力して、乗用車サービスを介し一般市民に自動運転を提供しようとしている。

Waymoはアリゾナ州で自動運転テクノロジーのパブリックパイロットを開始したばかりだ。この実験では市内で働く人全員に開放されたアプリケーションによって、オンデマンドで家族をピックアップすることが可能だ。利用される車両は社内開発の自動運転テクノロジーが搭載されたクライスラーパシフィカのミニバンである。当初Waymoのサービスは限られているものの、Lyftのようなパートナーを巻き込むことによって、デマンドモデルや効率的なルーティングなどを必要とするビジネス的側面の開発に役立つ。

これは興味深いパートナーシップだ。なぜなら、これはWaymoの既​​存の自動車メーカーとの提携(Chryslerや協議中のHondaとの提携を含む)に対する、更なる別のパズルピースとなるからだ。Waymoは、自動運転サイドの技術パートナーとしての地位を確立している。彼らは必須のサービスプロバイダーではあるものの、必ずしもビジネス全体を支配することに関心のあるプレイヤーではない。Lyftは、Waymoの既​​存の自動車メーカーパートナーに、最終的な利益をもたらすパズルのもう一つのピースを提供し、さらに多くのメーカーを引き付けることを助ける。

Uberも似たような提携関係を結びつつあり、その第1号がMercedes-Benzの親会社であるDaimlerとのものだ。しかしLyftは、自動運転車を社内で製造することに対しては関心を表明していない。その代わりに、既に発表されているGMとのパートナシップを締結している。この提携は、GMが買収した自動運転技術会社Cruiseを使った自動運転車の展開につながる可能性が高い。

これは、Waymoが、多くの人が考えていたよりも、その技術が商用化に近づいている可能性があることを示す最新の動きだ。このAlphabet所有の会社(Waymo)は間違いなく、自動運転の世界では、最も経験が深く、10年近い開発を続けており、実際の運転経験も豊富な企業だ。

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(翻訳:Sako)

Hackathon NY 2017:Val.aiは自動運転車に駐車スペースオークションを行わせる

あなたを降ろした自動運転車はどこへ行くだろう?大都市では、駐車場は高価で、いつまでも駐車場を見つけることができないかもしれない。しかしTechCrunch Disrupt NYハッカソンでは、チームVal.aiが、近くの駐車スペースのためのオークションに自動運転車が参加する手段を開発した。

自動運転車が駐車する必要がある際に、他車によって専有されている近隣の駐車ロットに対し、リアルタイムで入札を行なうことができるという機能だ。もし現在駐車ロットにいる車が、もうすぐ誰かをピックアップに行く必要があると分かっていて、さらにピックアップまでに路上を流している間に使う燃料費よりも駐車ロットを売ったほうが得であると判断した場合には、その入札を受け入れる。入札の勝者はその場所への経路を取得し、その車が駐車場に到着すると同時に、それまで駐車場に居た車両は出ていく。

このようなものを必要とするほど、多くの自動運転車はまだ路上に存在してはいないが、Val.aiのようなテクノロジーは効率的な車両の移動によって、最終的には渋滞と公害の削減に役立つことだろう。このプロジェクトは、Clarifai、ThingSpace、ならびにMapQuestを使用して開発された。

しかしVal.aiには大きな問題がある。ここで行われたプレゼンでは、車両が公共の駐車場をオークションにかけるような前提であるように思われた。こうした駐車スポットを、他の車が十分な支払いを行なうまで専有し続けることは、私的な利益のために、公共資源を不正使用しているとみなすことができる。数年前に、こうしたことを人間の運転する車に対して行おうとしたスタートアップが現れたときに、私たちはこうしたリソースの不正利用スタートアップたちを”#JerkTech“(邪悪な技術)と呼んだ。

公共資産から不公正に利益を得ないようにする前提で、実際にビジネスがチャンスを掴むためには、こうしたリアルタイム入札システムを採用する商用駐車場を別途用意する必要があるだろう。

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(翻訳:Sako)

Intelの自動運転技術ショウルームAutonomous Driving Garageを見学した…シリコンバレーのど真ん中だ

Intelが今週サンノゼに、Autonomous Driving Garageをオープンした。この施設を見ると、そもそもチップメーカーが自動運転に関してビジネスとして一体何をやっているのか、が分かる。この比較的若い事業部門は、すでにいろんなことをやっている。HDマッピング、ワイヤレス接続スタンダードの改良、人と機械の対話モデル、などなど。

ここではこれらのプロジェクトを直接見ることができ、Intelの自動運転部門や人工知能部門のトップと話もできる。彼らはIntelが今やってることや、自動運転を日常的な実用技術にするためにDelphiなどのパートナーと一緒にやってることを、垣間見させてくれる。

Intelのこの新しい施設は、シリコンバレーの中でも、自動運転とAI技術のハブの中心的な位置にある。来たるべき自動運転革命においてIntelは、脇役ではなく主役に立ちたいのだ。そしてこのセンターは同社にとって、その目標を達成するための手段の一つだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

シェイクスピア劇にも熱心なオンタリオ州の地に、自動運転車のテストエリア

カナダのオンタリオ州ストラットフォードに、自動運転車のための新しい指定テストエリアが開設された。ストラットフォードは毎年恒例のストラットフォードフェスティバルの開催地で、フェスティバルではシェイクスピアを始めとする様々な演劇が行われている。州の回りに散在する、6つのテクノロジーセンターで行われている自動運転車の開発に対して、ストラットフォードのテストサイトは、大々的な公道試験に向かう前の中心的役割を提供することになる。

ストラットフォードの比較的近隣にはカナダの一流大学が多く、その中には既に自動運転車の開発が順調に進むウォータールー大学も含まれている。 また州内にある多くの自動車メーカーのテクノロジーハブにもアクセスが容易で、カナダに主要エンジニアリングセンダーを持つ大規模なテクノロジー企業に手を伸ばすこともやりやすい。例えばGoogleはウォータールーにエンジニアリングオフィスを持っている。

公道上での公開試験運転が行わるのかどうかも含めて、ストラットフォードのテスト施設の完全な詳細が分かるのはこれからだ。オンタリオ州の路上での、自動運転車のテストは昨年11月に始まった。このときは多くの技術リサーチプロジェクトの中の、技術テストを許可された限られた小グループによるパイロットプロジェクトとして行われている。

ストラットフォードはこの取引の一環として、公的資金の恩恵を受けることになる。そして市はこの機会を、より多くの企業をエリア内で育成できるチャンスと捉えている。近年のストラットフォードは、デジタルテクノロジー開発を中心とした「スマートシティ」として認識されている。

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(翻訳:Sako)

イーロン・マスク、TEDでトンネル計画を語る――SpaceX、自動運転等の事業も

少なくとも3社のCEO、イーロン・マスクが先週金曜日にバンクーバーで開催されたTED 2017カンファレンスに登場した。上のビデオにその模様が収められている。マスクは注目の新事業、地下トンネルの掘削計画についてビジョンを語った。

マスクは地下トンネルの3Dネットワークによって現在の地上の交通渋滞が大幅に改善されるとしている。マスクはThe Boring Companyの事業計画についてこれまでになく詳しく語った。それによればこの事業を思いついたきっかけはロサンゼルスで交通渋滞に捕まって非常に腹立たしい思いをしたことだったという。

マスクはまたTeslaの将来計画についても語り、貨物運送のために電気トレーラーを開発していることを明かした。また2年のうちに自動運転の電気自動車を実用化すると述べた。マスクはまた火星植民計画についても語り、なぜ人類が地球外に進出することがマスク、またSpaceXにとって重要なのかを語った。

マスクは短いツイートでさえセンセーションを巻き起こす存在だ。マスクのアイディアの実現性に関してはさまざまな評価があり得る。しかしこれまでも新たな思考のきっかけを多数提供してきたTEDの舞台でマスクが将来を語るのを聞くのは実に刺激的な経験だ。

〔日本版〕対談の聞き手はTEDの代表者(オーナー)、キュレーターのクリス・アンダーソン。ビデオにはデフォールトで英語字幕が表示される。

下はマスクのトンネル計画を説明するビデオ。自動車は路上に設けられたエレベーターで地下トンネルに下り、スケートボード式台車に乗って高速移動できる。このトンネル・ネットワークについてはTechCrunch Japanでも詳しく解説している。マスクが最近購入したシールド掘削マシンについてはこちら

マスクの説明によれば、現在の道路トンネルが高価なのは内燃機関を用いて自走することを前提としているため。自動車を電気モーターを用いた台車に載せることで小型化が図ると同時に掘削テクノロジーを改良することでトンネル設置のコストを10分の1以下にすることが可能になるというのがマスクのビジョン。まずロサンゼルスの地下にトンネルを建設したいとしている。

マスクはゲリーというカタツムリをペットにしているが、ゲリーは現在のトンネル掘削機より14倍早く進むという。マスクはさまざまな改良によってトンネル掘削をカタツムリ以上の速度にするのが目標だという。

その後、電気自動車、太陽光発電について説明、最後にSpaceXの宇宙事業について語った。SpaceXは衛星打ち上げロケットのブースター(1段目)を繰り返し洋上の艀や地上基地に垂直着陸させ回収している。また回収したブースターの再利用にも成功している。下のビデオはNROL-76偵察衛星の打ち上げとブースター回収のもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

StreetDroneの自動運転電気カーは‘教材’として教育市場をねらう

自動運転車の話題を至るところで見るようになったが、しかしイギリスの StreetDroneは、それが使いやすい教材としても存在すべきだ、と考えた。必要なセンサーがすべてあり、技術的に完成している製品があれば、研究や学習の素材になるだろう。そこで同社が作ったStreetDrone ONEは、Renault Twizyを改造して一連の自動運転用センサーを載せ、自動運転技術について学べるようにした電気自動車だ。

StreetDrone ONEは、児童生徒学生たちに、自動運転の技術を体験学習できる機会を与える。いくつかのタイプがあって、それぞれセンサーの種類やインターネット接続の有無などが違う。完全装備のStreetDrone ONEには、VelodyneのLiDAR、360度カメラ、低解像度の光学カメラが4基、そしてレーダーとBluetoothとWi-Fiがある。ただし、目的によって構成を変え、それら装備の使う/使わないを指定できる。またモジュール的な設計なので、研究者や児童生徒学生があとから独自のパーツやソフトウェアを追加できる。

この自動車は、いわば自動運転車のRaspberry Piだ。安いから学校などで採用しやすいし、児童生徒学生がいきなり市場にさらされる前に、自動運転車の実物を体験できる。今は予約受付中で、まずイギリスの大学の顧客向けに8月から納車される。

‘教材’以外には、自動運転車の’プラットホーム’への需要に対応しようとする企業もある。たとえばあるサプライヤーはLexusの改造車に一般市販のセンサーを装備して、Nvidiaなどの企業が自動運転車の研究開発事業を、すぐに初められるようにしている。でも学校をターゲットにするのは、賢明な戦略だろう。StreetDroneも徐々に大学やカレッジに食い込み、市場の需要に応えて彼らの教育事業の構築に貢献していくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自動運転車の公道走行試験に関するカリフォルニア州の規則変更に対しAppleが意見書を提出

自動運転車の公道上の試験に関する、カリフォルニア州自動車局(California Department of Motor Vehicles, DMV)の規則変更案に対する意見書を、Appleが提出した。Appleが提出したその公式の意見書は比較的短く簡潔で、この記事の〔原文の〕下に埋め込んだDMV宛の書簡に収められている。書簡の署名は、AppleのDirector of Product Integrity、Steve Kennerになっている。Appleの自動運転車への取り組みを初めて明かした書簡も、彼の署名だった。

Appleの意見書の要点は、報告すべき自動運転解除状態(disengagement)*の定義をより厳しくして、自動運転ソフトウェアをoffにして走行しているときに起きた、報告を要する事故の数を減らす、というものだ。Appleはまた、試験中の安全ドライバーの必要性に関する規則文の記述の明確化と、試験用に使ってもよい車種要件の一部をゆるくすること、および、安全ドライバー不在で試験する場合の代替的停止技術についても述べている。〔*: disengagement, 緊急時等に自動運転機能を解除する(offにする)こと。〕

DMVは、人間の安全ドライバーが運転席にいなくても試験できる、という条件を加えて、試験のやり方を拡大しようとしている。それは、自動運転車による配達業務やライドシェアなどで自動運転を商業的に利用したいと考えている企業にとって、とくに重要だ。

Appleの書簡は、自動化一般、および中でもとくに自動運転に関する同社の考え方を、詳細に述べている。Appleはその部分で、同社は“機械学習とオートメーションに重点投資をしており、多くの分野に自動化システムの可能性があることに励まされている。運輸交通は、そういった分野の一つである”、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleがテスト中の自動運転車、さっそく目撃情報が現る

以前も報じたように、Appleは自動運転車のテストにLexus RX450h SUVを使っている。その様子を示す写真を、Bloombergが公開した。写真は偶然の目撃者により撮影されたもので、車はシリコンバレーのApple施設から出てきたのだとのこと。

使われている車は、Google内のプロジェクトからAlphabet傘下の企業となった、自動運転車開発を手がけるWaymoのものと非常によく似た構成となっているようだ。ちなみにWaymoの本社も、AppleのクパチーノHQと非常に近いところにある。SUVに搭載されているパーツをみると、複数のカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、およびレーダーなどで、いずれも市販品を利用しているようだ。たとえばLiDARはVelodyneの最高級モデルを利用しているようだ。

今回撮影された写真や、DMV文書から判断すると、Appleの自動運転車への取り組みは、Waymo(既に10年以上もこの技術に取り組んでいる)、あるいはUberなどと比べても、非常に初期の段階にあるようにみえる。カスタムパーツを使用していないようにみえる点から判断すると、少なくとも現在のところ、Appleの自動運転車についての興味はソフトウェア面にあると考えて良いのかもしれない。

情報的にはすでに既知のことではある。自動運転車の研究をしていることも、また、どのような車を使うのかもわかっていた。しかしそれを実際に見てみるのは、神話の世界を生きる白鯨を目撃するような興味を感じさせてくれる。

Featured Image: Bloomberg

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(翻訳:Maeda, H

Waymoはアリゾナで一般市民を対象にした公開試験を実施中

Waymoはアリゾナ州フェニックスにおいて限定試験の最中だが、もう既に2か月間、その自動運転車の利用を一般市民に提供している。このAlphabetの子会社は、その自動運転ハードウェアとソフトウェアを装備したFiat-Chrysler Pacificaミニバンを、フェニックス地域に居住する少数の一般人のテストグループへ提供して、市内を自動運転で移動して貰っている。

Waymoの試験は拡大中で、フェニックスに居住する人ならだれでも、テスト利用を申請することが可能だ。このたびWaymoは最初のテスト・ファミリーの1つを紹介したビデオをリリースした。彼らは私たちも感じるであろう驚きを素直に表現している。Waymoの自動運転サービスは単なる「近日公開」ではなく、既に実用的なサービスを人びとに本当に提供しているのだ。

Waymoの短いビデオはまた、このプログラムのもう一つの重要な側面を強調している。テクノロジーや自動運転車そのものではなく、人びとと、人びとが技術へ慣れていく点に光が当てられているのだ。この家族は、彼らがサービスを好む理由のいくつかを挙げているが、本当にありがちな理由だ。例えば父親のTedにとっては朝の通勤ラッシュの苦痛を取り除いてくれること、母親のCandanceにとっては車の予定を細かく管理することなしに10代の子供たちを行きたい場所に送り出せることなどがその理由なのだ。

Waymoはまた、今年の初めから実際の路上に投入されている100台に加えて、自動運転車群にさらに500台のPacificaハイブリッド車を追加することを発表した。それはWaymoによる新しい実績の積み重ねとなっていくが、Waymoは既にGoogleの自動運転車プロジェクトから通算でほぼ10年の自動運転の経験を有している。

しかし、ここで大きなニュースは、Waymoが自動運転車のテストで本質的にUberを大きく引き離したということだ。テクノロジーそのものは既に実用上相当な信頼性を有している(私は両者の自動運転車に乗ってみた)、しかしWaymoはそのCEOであるJohn Krafcikがブログで説明したように「毎日、何時でも、何処にでも、サンフランシスコのおよそ2倍の大きさのエリア」に対して、呼び出せるサービスを提供している。

もし興味があるなら、Waymoはここで申請を受け付けている。彼らの車に試乗させて貰った結果、もし私がフェニックスに住んでいたら、私も間違いなく申請するだろうということは請け合える。

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(翻訳:Sako)

日産、Mobileyeの自動運転プラットフォームに正式参加――クラウドソースのリアルタイム地図搭載へ

今日(米国時間4/25)、MobileyeのREM( Road Experience Management)プラットフォームが再び大きな成功を収めた。日産自動車がREMの開発と採用を助けることで合意した有力自動車メーカーとして3社目となった。このプラットフォームは路上のユーザーの自動車から匿名で収集された情報をベースにリアルタイムで更新される精密な地図を作成する。

日産はBMWVolkswagenと共にREMプラットフォームのメンバーとしてGlobal RoadBookマップを採用していく。これはMobileyeのシステムで、搭載車両のナビゲーションを助けると同時に近く発表される自動運転ソフトウェアをバックアップする。REMを搭載した日産の自動車は地図データをクラウドソースして巨大な地図情報データベースを拡充することに貢献する。これはREMにとって大きなヒットだ。クラウドソースに参加する自動車の数が増えるほど地図の正確性は増す。大量の自動車がネットワークに参加していれば、たとえば路上に何らかの変化があった場合、即座にその情報が地図に反映され、他の車両にも共有される。

日産はすでにMobileyeのREMの開発に協力している。日産のロンドンを拠点とした自動運転のデモにもREMが採用されている。しかし日産とMobileyeの協力関係はREMだけにとどまらない。たとえば日産はMobileyeのテクノロジーをProPILOT ADASシステムに採用している。

Mobileye(と、その買収を決めたIntel)にとって日産のREMプラットフォームへの参加は特に嬉しいニュースだろう。参加する自動車メーカーが増えれば増えるほどプラットフォームの魅力は増大する。Mobileyeのテクノロジーは他の自動車メーカーも巻き込んで、自動運転に関する「事実上の標準」となっていくかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Appleがカリフォルニア州での自動運転車試験の許可を得た

Appleが自動運転車に注力していることは、特に秘密ではない。本日(米国時間14日)カリフォルニア州車両管理局(DMV)は、カリフォルニア州の路上で自動運転車の試験が許可された企業の最新リストをを公開した。この長いリストの最後に載っている名前がAppleだ。

とはいえ、これは明日にでもAppleの車が路上で見られるということを意味しているわけではない。ただ、将来の適当な時点で、同社が実世界での試験を開始できるということは意味している。

特に、Appleが自社の技術とセンサーを搭載した、サードパーティーの車を使用するかどうかは興味を引く点だ。Rumorによれば、Appleは現在、完全な自動運転車そのものではなく、自動運転技術の開発を行っているようだ。

更新情報: TechCrunchはDMVの広報担当者から次のような回答を得た。「2017年4月14日、DMVはApple Inc.に対して自動運転車試験の許可を出しました。この許可は、3台の車両(全て2015年のレクサスRX450h)と、6人のドライバーを対象としています」。これはGoogleが自動運転試験に用いている車種と全く同じものだ。

Appleが最終製品を手にするまでには、まだ何年もかかるだろう。しかし、同社が今でも前進を続けていることが確認できたことは、良いことだ。

また、Appleがカリフォルニアの路上でその車を露出させることを恐れていないことも興味深い。Appleはこのプロジェクトに関しては、いつものような秘密主義ではない。自動運転車を作るには、膨大なデータが必要である。同社はその車両をなるべく早く路上に送り出す必要があるのだ。

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(翻訳:Sako)

GMは自動運転試験車両を米国全土に数百台単位で展開する予定

IEEE Spectrumに掲載された記事によれば、GMはどこよりも大規模な車両群を投入することで、自動運転の世界における競合相手を一気に突き放そうとしている。その数はおよそ300台だ。

FCCへの申請に関する粘り強い調査の結果、1台の車両あたりに10個搭載される車載レーダーユニットの展開に関する、合計3000個分のFCC向け申請があることが発覚した。その後間もなく、GMは同じ型のレーダーを展開する要求書を提出した。数に関する公表は拒否している。そしてその後、ボッシュが異なるタイプのレーダーユニット650個を最大162台の車両に搭載してテストするための申請を行った。こちらも顧客が誰であるかは公表していない。

幸いなことにボッシュはそのレーダーをどこに展開するかは示している。デトロイト、サンフランシスコ、そしてスコッツデールだ。GMの子会社Cruise Automationは、これら全ての場所でテストを行う唯一の企業だ。

正確な数は不明だが、それぞれの車両に2種類のレーダーが混載されるのだろう、また一部のデバイスは予備部品でもあるのだろう。しかし、たとえ控えめに見積もったとしても、少なくとも純粋な路上テスト車両の数で、競合他社に先んじることになる。

FCCはまだ、それらの車両ならびにデバイス運営のための特別ライセンスの承認を行っていない、そのため実際の展開にはまだしばらく時間がかかるだろう。

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(翻訳:Sako)

日本のルネサスも自動運転車用チップに次の成長を賭す、Analog Devicesとパートナー

そのほかのチップメーカーと同様に、日本のルネサス(Renesas Electronics Corporation)も、これからの新しい産業、自動運転車に注力しようとしている。東京に本社を置く同社は今週この都市で行われた見本市で、R-Car Consortiumを発表した。それは、日本やアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国などの企業や大学から技術者や研究者を集めた研究開発集団で、自動運転技術の将来的な高度化を目指す。すでにルネサスは、同社の完全自動運転車のデモを行っている。

同社が最大の強みとしているのは、自動車級/車載級のヘビーデューティーなチップの設計と製造技術だ。それは自動運転車があらゆる運転状況で、しかも長年、正常に機能することを目指している。また同社が自動車の自律化技術でとくに配慮しているのが、サイバーセキュリティだ。それに関し、ルネサスの代表取締役社長兼CEO呉文精の談話を、日本経済新聞が報じている。ルネサスはこの成長機会に完全に集中するために、それまではゲーム機やスマートフォンに向けていたリソースを、自動運転技術の部門へ再配置した。

ルネサスはいくつかの自動車関連技術を追究している。たとえば同社のAdvanced Driver Assistance Systems(ADAS)のためにADIと共同開発している新しいレーダー技術や、自動運転車とADASシステムの両方で使われる前方カメラなどだ。

チップメーカーが自動運転技術に賭けようとしている動きは、ルネサスだけではない。Qualcommは自動車用チップの大手NXPを買収したし、Intelはイスラエルのセンサーとソフトウェア企業Mobileyeを今、買収しようとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBankは日本で自動運転バスの実用化を目指す、商用サービスの開始は2020年を予定

SoftBankは日本で、自動運転バスのプロジェクトに力を入れている。公共交通機関の自動運転技術を開発するために同社が昨年創った会社、SB Drive(SBドライブ株式会社)は、Yahoo Japanが率いるラウンドで5億1000万円(460万ドル)の資金を獲得し、資金的にも潤沢になった。

Yahoo Japanは、Yahooの姉妹会社で、日本のもっとも有力なテクノロジー企業のひとつだが、今回のラウンドでは4億9000万円(440万ドル)を出し、残りをSoftBankが払って筆頭株主の座を維持した。投資後のSoftBankの株式持ち分は51.1%、Yahoo Japanが48.6%である。創業パートナーAdvanced Mobilityが0.3%を保有する。

SB Driveは、公共交通機関にフォーカスした自動運転プロジェクトで、とくに農村部を走る、よりスマートな製品を目指す。来年には公道でテストする予定で、商用走行の開始は2020年を目標としている。

同社によると、すでに“社会的試走”(social trials, 路上運行)は済ませており、今は路線バスと運送用トラックで自動運転技術を試している。そのためにSB Driveは、日本の4つの地方自治体とパートナーしている。

Yahoo Japanは、そのVC部門Yahoo Capital(YJキャピタル株式会社)が資本を提供するだけでなく、重要な戦略的パートナーになる可能性がある。現在の計画では、人気のある地図サービスYahoo MapsとSB Driveをリンクして、天候、渋滞、歩行路、イベントなどの情報を提供して、バスの運行サービスをより充実させる。

西側諸国には大規模な自動運転バスの計画はないが、日本にはそれを必要とする特殊な社会状況がある。SB Driveがとくにねらっているのが、高齢化社会への対応だ。今日、この国の人口の1/4が65歳以上だ。農村部ではこの比率がもっと高くて、また全国的にも、2060年には40%に達すると予想されている。都市部以外では、住民の多くが今後のさらなる援助を必要とするだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

BMWが2021年までに投入する自動運転車はレベル5の自律性能を目指す

BMWは、同社が2021年までに自動運転技術と共に市場に投入しようと考えている車は、レベル3、レベル4、そしてレベル5の能力を持つものになると語った。これは木曜日(3月16日)にベルリンで開催されたパネルの席上で、同社の自動運転担当上席副社長であるElmar Frickensteinによって話された情報として、ロイターが報じたものだ。レベル5の自動運転とは、車両が人間のドライバーと少なくともパフォーマンスの面で同等で、市街地や高速道路を走行する際に車両が人間からの入力を一切必要としないことを意味する。

レベル3と4は、近い将来に、より達成可能なものだと考えられている。レベル3車両にはまだ人間のドライバーが必要だが、人間が介入するのは特定の状況だけで、状況を常に監視し続ける必要はなく、より低いレベルで要請されるように運転を直ちに引き継ぐ必要もない。レベル4は「完全自動」の第1段階で、原則的に行程全体を扱うことが可能だということを意味する。ただ完全に全ての可能な条件や環境に対応できるわけではないというだけの話だ。

今後数年間の自動運転車の配備計画について語っているほとんどの自動車メーカーは、レベル3と4の車両について語っている。例えば2021年に予定されているFordによる自動運転車の投入には、具体的にレベル4の実現が謳われている。BMWによる最先端への到達の決定は野心的なものだが、同社はIntelならびに、Intelによって最近買収された自動運転ハードウェアシステムの子会社Mobileyeと、自動運転技術に関する協業を行っているので、全く何もない状態から始めるわけではない。

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(翻訳:Sako)

自動運転車を混乱させる“罠”を考えたパフォーマンスアーチストJames Bridle

自動運転車に何ができるか、については、本誌もこれまでさんざん書いてきたけど、ときには、できないことの方がおもしろいこともある。技術というものは、その能力とともに、限界を知ることもきわめて重要だ。というわけで今回は、このパフォーマンスアートから教訓をいただこう。

この“Autonomous trap 001”(自動運転の罠001号)は、とても分かりやすい。自動運転システムが最初に学ぶいちばん重要なことは、路上のマーキングの理解だ。これは車線の端だ、これはカープール専用車線だ、などなど。

アテネに住むイギリス人のJames Bridleが、コンテキスト(文脈、状況知)を欠く知識の限界を例示している。人工“知能”が氾濫する今の時代には、われわれはそんな不具な知識に、至るところでぶつかる。

 
スーパーで一山いくらで売ってるような人工知能は、路上のいちばん重要なルールは、車から遠い方の側にある点線〔上図で外側〕は絶対に横切ってはならない、だと知っている。しかしもちろん、その点線が近い側なら、横切ってもよい。

なお、この円はわざと塩で描かれている。塩の儀式的な意味は、“神聖な場所なのでそこから先へ行くな”、という意味だ。あるいは、精霊や悪霊を金縛りにするために、灰や塩をお供えした時代もある。人間をその場に金縛りにするために、塩と呪文を併用することもある。

この実験でも、点線という単純なシンボルが、ターゲットを金縛りにした。この‘知能’の作者に、救い出してもらうしかないね。それとも、祈祷師に頼んで点線の呪いを解いてもらうか。人間運転手が中にいるなら、モアベターだけど。

遠い未来には、自動化システムが世界を支配して、それらの内部情報や設計情報はとっくに失われているかもしれない(Horizon: Zero Dawnをプレイしてみよう)。そうすると、システムが、理解できないおかしな振る舞いをしても、われわれの愚かな子孫たちは原因も対策も分からないのだ。今回の実験の、自動運転車の“罠”も、そのひとつだろう。

自動運転車を急に停止させたり、片寄せさせたり、予期せぬ不具合が生じたりする、いろんな“罠”がありうるだろう。それらから、人間を守れるだろうか? 犯罪目的で人工知能騙しをやるなら、それはどんな犯行だろう? いずれにしても、奇怪な未来が待っているのだ。

とりあえず、BridleのVimeoやブログを今後もウォッチしよう。そのパフォーマンスはつねに、“進化途上”だから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uberの社内文書が流出―、データが示す自動運転車の不安定な走行状況

Recodeが新たに入手したUberの社内文書には、人間のドライバーを必要としない全自動運転車隊の夢に向けた進捗の詳細が記載されている。同文書を見てみると、月次の指標が着実に向上しているとは言えず、むしろ全自動運転技術の実現に向けたデコボコ道を、Uberがガタガタと進んでいる様子が窺える。さらに自動運転テクノロジーに関するUberとGoogleの法廷闘争が始まったことで、デコボコ道という比喩のもっともらしさが増してくる。

ペンシルベニアカリフォルニアアリゾナの3州に広がったUberの自動運転車の走行距離は着実に伸びているものの、乗客のエクスペリエンスに関連した指標は、なかなか安定した軌道を描けないでいる。同社は乗り心地をいくつかの指標に別けて計測しており、そのうちのひとつが”miles per intervention(人間が介入するまでのマイル数)”と呼ばれる指標だ。これは、何らかの理由で人間のドライバーが運転を引き継ぐまでに自動運転車が走行したマイル数を示している。他にも、”critical(クリティカル)”な状況で(人損や物損をさけるため)人間が運転を引き継ぐまでの走行距離や、”bad experience(乗り心地の悪さ)”を感じるまでの走行距離という安全性よりも快適性を見るための指標も使われている。

“miles per intervention”の数値を見ると、Uberは自動運転技術の改善になかなか苦しんでいることがわかる。今年1月のデータによれば、Uberの自動運転車は人間のドライバーが運転を引き継ぐまでに0.9マイル(1.5km弱)走行できていた。2月には1マイル(1.6km)走行できるようになったものの、その後0.71マイル(1.1km)へと走行距離は減り、先週の時点での数値は0.8マイル(1.3km)となっている。

事故を避けるために人間が介入する”クリティカル”な場面の指標を見てみると、数値は上下しているものの、全体のトレンドは上向いていることがわかる。2月の時点で、Uberの自動運転車はクリティカルな局面で人間のドライバーが運転を代わるまでに、125マイル(200km)の距離を走行することができた。翌週にはこの数値が50マイル(80km)まで下降したものの、3週目には160マイル(260km)へと回復。しかしその翌週には再度115マイル(約185キロ)へと下落。最終的に、3月8日の週には196マイル(315km)へと走行距離を伸ばすことができた。

急ブレーキや運転にぎこちなさが見られたときの様子を計測した”乗り心地の悪さ”の指標は、右肩下がりの状況だ。1月半ばには、乗り心地の悪さを感じるまでに4.5マイル(7.2km)走行できていたが、2月には2マイル(3km)に減少し、その後3月の1週目に入っても数字に変わりはない。

Recodeが入手したデータからは、Uberの自動運転技術が思ったように改善していない様子が見てとれるが、測定対象となっている自動運転車が道順を計算して、周囲の状況を学習しながら走行しているということも勘案しなければならない。とはいっても、Uberの自動運転車の安全性や信頼性にまだ大きなブレがあるというのは確かだ。総合的な数値は向上しているのかもしれないが、各指標の不安定な動きを見ると、まだ自信を持って車のハンドルから手を離すことはできないという印象を受ける。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

自動運転車をめぐるGoogleとUberの法廷闘争が過熱、問題の技術者の一人が行方不明

自動運転車の開発をめぐるGoogleのUberに対する法廷闘争が、すでに最初から醜い様相を呈している。両社の弁護士はこれまでの二日間、Uberへ移った元社員〔複数形〕に盗まれたとGoogleが主張する企業秘密の閲覧許可に関して、激しく言い争った。そして今日、Uberの弁護士は法廷で、それらの技術者の一人を見つけることができなかった、と述べた。

Googleの自動運転車部門〔Waymo社〕は、自動化車両の開発で第一級のエンジニアだったAnthony LevandowskiがGoogleから企業秘密を盗み、その後唐突に退社した、としてUberを訴訟した。直後に彼は自分自身の自動運転トラックの会社Ottoを創り、それをUberが6億8000万ドルで買収した

原告企業のWaymoは、Googleの親会社Alphabet傘下の自動運転車企業だ。同社の主張では、2016年の1月にLevandowskiは、セキュリティ対策の施されているリポジトリから14000件の機密文書を無断でダウンロードし、その直後に退社した。同社は、ほかに二人のエンジニア、Radu RadutaとSameet Kshirsagarを、いくつかの文書を無断で持ちだしてから、同じくUberに雇用された、として告訴している。

Radutaは、すでにUberにいない、とUberの弁護士Arturo Gonzalezは法廷で語り、Uberは彼の所在を見つけられなかった、と言った。Waymoの主張によるとRadutaは、同社のメカニカルエンジニアだったが、Uberへ移る直前の昨年7月に、自動運転車関連の文書数件をダウンロードした。

Gonzalezは記者たちに、今後Uberは、この件はすべてGoogleとLevandowskiとの間(あいだ)の問題である、と主張していくつもりだ、と述べた。Gonzalezは、Levandowskiと彼の元雇用主〔Google〕との契約を、引証した。

Uberはまた、同社の社内弁護士の誰一人として、Googleの企業秘密が含まれている法廷提出文書の、元の完全な形を見ることが許されなかった、とWaymoを反撃した。そして両社は、Uberの社内弁護士Nicole Bartow一人だけが、その文書の閲覧を許される、という合意に落着した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))