Amazon、Lambdaをリリース―ステートレスでイベント・ドリブンのコンピューティング・サービス

今日(米国時間11/13)、Amazonはラスベガスで開催中のre:Inventカンファレンスで、ステートレス、イベント・ドリブンのコンピューティング・サービス、Lambdaをリリースした。 事前にコンピューティング資源を一切割り当てる必要がなく、ダイナミックなアプリケーションに特に適しているという。

AWSのCTO、Werner VogelsはカンファレンスでLambdaを紹介した際に次のように説明した。

Lambdaはデベロッパーのプログラミング作業を大幅に軽減する。コードを書き、そのコードが実行されるべきイベントを定義しさえすれば、イベントの生起と共に自動的にコードが実行される。開発時間ばかりでなく運用コストの削減にもつながる。ときおり実行されるだけのプログラムを常時ロードし、作動準備させておく必要がなくなるからだ。Lambdaを利用すれば、実行が必要になるまで一切リソースを消費せず、必要になれば自動的に実行される。

Hacker NewsにLambdaについての体験が早くも現れている。Lambdaに事前のアクセスを許されたプログラマーによると、「Lamdaを効果的に使えるようになるためには少々時間がかかるが、 ひとたび慣れれば、AWSの利用スタイルを大きく変える可能性が見えてくる」ということだ。

Lambdaはプログラムの管理、スケーリング、イベントのモニタリングをすべて自動的に行う。イベントが発生するとミリ秒単位でステートレスなクラウド関数が処理される。また数千のLambda処理が並行して実行可能だ(リソースをいちいち割り上げる必要はない)。

Vogelsは、Lamdaのデザインを「関数(ビジネス・ロジック)、データ(ビジネス・ステート)、相互作用というプログラミングの基本モデルをロジックとデータが相互作用するイベントによって制御するものだ」と説明した。

当面、LamdaはJS/nodeだけをサポートするが、Vogelsは「将来はサポート言語を拡張するかもしれない」と述べた。プログラマーは関数を書き、コンテクストとリソースを定義する。リソースが変化すると、それがトリガーとなって関数が呼ばれ事前にデザインされた通りに実行される。すべては自動的で、個別に制御する必要はない。

最大月間100万リクエスト、320万秒までの計算時間が無料で提供される(ただしユーザーが利用できるメモリーによってこの条件は変化する)。有料版の方式はやや複雑で、100ミリ秒ごと、1リクエストごとにに課金が行われる。

〔日本版〕LambdaについてはAmazonのブログに英文の紹介がアップされている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Red Hatが企業利用に便利なレディメイドのLinuxコンテナプラットホームをローンチ、DockerとGoogle Kubernetesをサポート

アプリケーションのコンテナ化によってエンタプライズコンピューティングの様相が変わりつつあることに対応してRed Hatはこのほど、Red Hat Enterprise Linux Atomic Hostと呼ばれるLinuxコンテナプラットホームをベータでリリースした。

コンテナ化という新しいトレンドによってアプリケーションの配備と展開が仮想マシンを使った場合に比べて効率的になり、迅速になった。それはある意味では一歩進んだ仮想化技術であり、これまでの仮想化技術から余計なものを剥ぎとってリソース効率を高め、迅速な展開を可能にした。

今日(米国時間11/11)ベータリリースされたRed Hat Enterprise Linux Atomic Hostは、企業にコンテナ化のためのレディメイドのスタックを提供しようとするもので、ユーザはこのプラットホーム上で自己のコンテナ技術を構築できる。Red Hatのプロダクトマーケティング担当シニアディレクターMark Cogginによると、これによりISVやそのほかのデベロッパは、いわば保証つきのコンテナを作って動かせるようになる。当然それによって顧客は、自分たちが使っているコンテナがRed Hatの優れた技術で作られているという安心感を得ることができる。もちろん、デベロッパに頼まず企業が自力でコンテナを構築してもよい。

Cogginによると、その基本的な考え方は、アプリケーションと一部のランタイムライブラリと、要らないものを削ぎ落としたLinuxを収めたコンテナを作ること、それによってアプリケーションの稼働に必要なコア的サービスを配布することだ。彼によると、そういう超簡素化されたLinuxを含めることによって、可搬性が増し、展開とメンテナンスと管理が容易かつ単純になる。

これは、今人気の高いコンテナ技術Dockerと競合するものではなく、むしろこのプラットホームもDockerとの協力により内部的にDockerを利用している。またGoogleのKubernetesもサポートされるので、そのオーケストレイションレイヤ(クラスタ管理層)により、コンテナの全ライフサイクルにわたる管理ができる。Cogginによると、Kubernetesに関してはすでに何か月もGoogleと協働しているので、まだ若いシステムではあるが、このRed Hat Enterprise Linux Atomic Hostのスタックに重要な管理機能を提供する。

Coggin曰く、物理サーバは立ち上げに数時間を要し、仮想マシンのセットアップには数分を要する。しかしコンテナのセットアップと立ち上げに要する時間は約10秒だ。アジリティとスピードを重視する企業にとっては、これによりIT部門が各業務部門からのニーズに直ちに対応できるようになり、今日の競争の激しい企業環境において大きなアドバンテージをもたらす。

スピードだけでなく、コストのアドバンテージも大きい。このLinuxコンテナは要らないものをすべて排除して簡素化されているので効率が高く、従来だと一台のサーバ上で10のVMを動かすのがせいぜいだったが、コンテナなら100ぐらい動かせる。データセンターのランニングコストに、大きな違いをもたらすだろう。

ただし、今回のベータの時点ではマルチホストの展開がサポートされず、プラットホームはシングルホストの実装のみだ。したがって複数のサーバを使って実現できるような効率性は、今後の(正規立ち上げ後の)オプションとなる。Cogginは、これはまだ非常に初期的なリリースなので…、と言い訳している。彼は本番立ち上げのスケジュールを明言しなかったが、‘いずれは’(eventually)という言い方をした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、Apple、Googleと比較して自社の本質を的確に指摘

レッドモンドの本社キャンパスで最近開催されたイベントでMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラは、Google、Apple、Microsoftを比較してそれぞれの長所を分析してみせた。

会社評価額でAppleには及ばないがGoogleよりは大きい会社のCEOの発言だけに注目される。ナデラはMicrosoftのCEOに就任して日が浅いにもかかわらず、Nokiaの買収を完了し、クラウド・コンピューティングに向けて巨艦の舵を大きく切ることに成功している。

ナデラはライバルを次のように分析した。

私はApple、Google、Microsoftがそれぞれを何をする会社なのかと考えることがある。それぞれの会社は独特の特長を持っている。簡単な言葉で要約するなら、こうだろう。私の見るところ、Appleの本質は特にはっきりしている。それはティム・クック自身が最近、明快に定義したとおり、Appleはデバイスを売る会社だ。それがAppleの本質だ。Googleはデータの処理と広告の販売を本質とする会社だ。Googleのビジネスはユーザーに不快感を与えずに広告を表示できる能力にかかっており、その点のGoogleの仕事ぶりは文句のつけようがない。

Appleのハードウェア・ビジネスでの大成功は歴史に残る売上と利益をもたらしている。しかしもちろんこの成功は、慎重に考え抜かれた先見性の高いソフトウェア・ビジネス、なかんずく、iPhoneとiPadで作動するソフトウェアのマーケット、App Storeによって支えられている。iPadのローンチが短期間であれほどの成功を収めたカギはやはりApp Storeにあった。来年早々にも市場に投入されるとみられる新たなデバイス、Apple Watchについても、App Storeは決定的な役割を果たすはずだ。

Googleがオンライン広告市場で圧倒的な存在であることは明らかだが、もちろん広告ビジネスがGoogleのすべてではない。その優れた検索機能があって初めて広告を販売できる。もしGoogleが世界の検索市場を支配できなかったとすれば、広告を売ることもできなかっただろう。

しかしこうした事情があっても、ナデラの分析が本質をついていることに違いはない。ナデラは続けてMicrosoft自身の強みについてこう述べる。

さてそこで、われわれ自身の場合についていえば、Microsoftのビジネスとは他の人々にソフトウェアなどのプロダクトを開発する力を与えるところにある。単にわれわれのプロダクトだけが問題なのではない。もちろんMicrosoftにはビジネス・モデル、収益モデルが存在する。しかし私の考えでは、デベロッパーがアプリケーションを開発できるようにするプラットフォームを提供し、また誰であれコンピューティングに関連する人々が所望の成果物を作れるようにする数々のツールを提供するところでこそ、Microsoftが真価を発揮し、本当の差別化を行えるのだと私は考えている。プラットフォームのプロバイダー、ツールのプロバイダーであることこそ、Microsoftの根本的なアイデンティティなのだ。われわれはその意味することろを深く考えねばならない。

さらに簡単に要約すれば、現在のAppleのコア・ビジネスはiPhoneであり、Googleの場合は検索、Microsoftの場合はWindowsとOfficeの販売だ。しかしAppleはiCloud Driveでクラウドに参入を図り、 Googleはクラウドでのコンピューティングと生産性ツールの提供で勢いをつけつつある。Microsoftもこれに似た戦略でAzureクラウド・プラットフォームの普及とOfficeのクラウド化を図っている。

以前の記事でも書いたように、こうした巨大プラットフォーム企業は、多くの場面でライバルの得意分野に参入しようとして戦いを繰り広げている。Apple、Google、Microsoftは3社ともすでに独自のアプリとハードウェアを開発ずみだ。問題はどの会社が過去の強みを活かしながら新分野で競争に勝つ方策を見出せるかという点にある。3社のどれにせよ新分野参入で主導権を握ったものが、この先の10年の競争を有利に進めることに」なりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


営業マン/ウーマンを最新の情報や資料で武装させるShowpadが$8.5Mを調達

ベルギーとサンフランシスコにオフィスのあるShowpadは、営業の人たちに最新の情報や資料を提供しセールスの成功を助けるモバイルファーストのソフトウェアだ。同社はこのほど、新たに850万ドルの資金を調達した。そのラウンドをリードした投資家はDawn Capital、それに、これまでの投資家Hummingbird Venturesが参加した。

すでに年商450万ドルを稼いで安定している同社がさらに新たな資金を導入したのは、アクセルをさらに踏み込むため。とくに合衆国とヨーロッパで成長を加速するためだ。協同ファウンダでCEOのPieterjan Boutenによると、それには、ロンドン支社の開設や、同社自身の営業とマーケティングの強化、そして前から計画している製品開発のペースを早めること、などが含まれる。

2011年に創業したShowpadは、いわゆるITの(企業用ソフトウェアの)消費者化と呼ばれるトレンドに乗っかっているスタートアップの一つだ。とりわけ、モバイルとタブレットとWebアプリケーションが主役で、営業の役に立つマーケティング情報などをクラウドから提供する。営業は、見込み客を前にして、彼らが関心を持つ話をしなければならないが、その素材を各企業の社内サポートスタッフが調製してShowpadのクラウドにアップロードする。

そのほかの機能として、出張時に便利なオフラインキャッシング機能や、社内スタッフと営業とのコミュニケーションのためのプッシュ通知、資料の使われ方をマーケティング部門が知るための利用分析などがある。

Boutenは、Showpadが解決しようとしている問題について、こう説明する: “B2Bの世界では、営業とマーケティングの効果的な協力関係がないところが多く、毎年数十億ドルもの費用が浪費されている”。具体的には、マーケティングが営業を適切な情報や資料でサポートしない、あるいはサポートするためのシステムがない、ということだ。優秀な営業が個人的に、他社製品比較資料などを自前で揃えることはあるが、それらが全社的な取り組みになっていない。だから、情報不足、資料不足で足を棒にする営業が多い。

“一人々々が自分で資料を探していると、そのために最大で週に7時間は奪われてしまう”、とBoutenは言う。“マーケティングは、営業が何で困っているかを、知ろうとしない。とくに、現場で営業と顧客や見込み客とのあいだに起きることに関して、社内スタッフが無知だ。Showpadは、そういう盲点をなくすことができる”。

そして同社の究極の目標は、“営業サイクルの短縮、商談成立の増加、営業活動の加速”だ。

Showpadの今の顧客は500社以上あり、中小企業だけでなく、さまざまな業種の大企業もいる。それらは、iXeroxやIntel、Schneider、Wyndham、Audiなどだ。同社は、2015年の年商100億ドルを目指している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftとDropboxが提携―Office 365とDropboxストレージが高度な相互連動へ

今日(米国時間11/4)、MicrosoftとDropboxは提携関係を結んだことを発表した。その内容はDropboxがOfficeをサポートし、MicrosoftがDropboxのストレージ・サービスをOfficeに連動させるというものだ。これに先だって、Dropboxのライバルでエンタープライズ向けクラウドストレージに力を入れているBoxもMicrosoftのOffice-as-a-serviceソリューションであるOffice 365を取り込んだサービスをスタートさせている。Microsoft自身も最近、OneDriveの無料ストレージ容量を無制限とした。

今回の提携で、両社は近くウェブとモバイル・アプリの双方で、DropboxのアプリからOfficeドキュメントを編集、OfficeアプリからDropbox内のファイルにアクセス、OfficeアプリでDropboxのファイルをリンクで共有という次の3つの機能を提供するという。またDropboxはWindows Phone版のOffice連携アプリを開発する。〔時期については日本版注参照〕

OneDriveを運営するMicrosoftがライバルとこれほど密接に提携するとは驚きだろうか? 必ずしもそうではない。MicrosoftはOneDriveなしでもOffice 365を売ることができる。逆に、Office 365というサービスを膨大なDropboxユーザーの企業や個人に売りやすくなる。電話で取材したところでは、両社ともにDrobpoxに数億のユーザーがおり、有料で利用している企業だけでも8万社に上ることを重視しているようだった。MicrosoftもOneDriveがそれくらい広く普及しているのだったらあえてDropboxと提携する必要はなかったかもしれないが、残念ながら現状はそうなっていない。

Microsoftはすでにエンタープライズ・クラウド・ストレージの事実上の標準となっているDropboxを無視することは不可能だった。MicrosoftがOffice 365をエンタープライズに本気で売り込もうとするならDropboxコミュニティーを抜きに考えるわけにいかないのは当然だ。OneDrive for BusinessはDropboxのために席を詰めねばならない。

BoxのOffice 365取り込みはBox側の一方的なイニシアチブだった。しかし今回の提携ははるかに高度な戦略的提携だ。両社とも今回の提携にともなって「どちらがどちらいくら払うのか?」についてはコメントを避けた。しかしMicrosoftがDropboxに支払うと考えてもよさそうだ。 Windows Phoneは世界でもっとも人気のあるモバイル・プラットフォームというわけではない。MicrosoftはDropboxを保護育成する必要がある。大企業ユーザーがOfficeをクラウドで使いたい場合、これまでは馴染みのあるクラウドストレージのオプションがなかった。今回の提携でそれが存在するようになったことは大きい。

Microsoftが本気でパッケージ版Officeの売上をOffice 365の売上で代替しようと考えているなら選択肢は限られている。MicrosoftはDropboxを買収することもできるが、aQuantiveの買収が結局62億ドルの損失に終わった苦い記憶がまだ新しい。それなら戦略的提携のほうが安上がりで危険も少ない。

上機嫌のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストはDropboxは収益化に成功しつつあると主張する。そうなるかもしれない。ともあれDropboxは、短期的関係かもしれないが、強力な友人を持つことに成功した。

〔日本版〕Microsoftのプレスリリースによると、OfficeとDropboxの連携機能は、まず数週間後に予定されているOfficeのモバイル・アプリのiOSとAndroid版のアップデートで実装される。ウェブ版のDropboxとOffice 365の連携は2015年の前半にリリースされる。Dropbxoが開発するWindows Phone版のスマートフォン、タブレット向けOffice連携アプリの公開は数ヶ月後を予定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


OpenStackは成熟期に特有の諸課題に直面

今急速に成長しているオープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今や200あまりの企業が支えていて、その、ほぼ各年行われるカンファレンスが今年はパリで開催された。今回の来場者は4500名を超えて、これまでで最大のイベントになった。それは、このプラットホームへの関心が大きいことを示しているが、しかし同時にこのプロジェクトは、人気の拡大とともに新しい課題も抱えるようになった。

今日のキーノートでは、何人かのスピーカーが、今の6か月のリリースサイクルは、大企業にとっては追随するのがたいへんすぎる、と述べた。たとえばBMWのデータセンターのStefan Lenzは、“しかも、どのリリースでも重要な変更が多すぎる”、という。彼曰く、“今後はもっと安定してほしいが、現状で使えないということではない”。BMWはOpenStackのクラスタを100ぐらいしか動かしていないが、Lenzによればそれは、半分ぐらいが業務向けで、多くはOpenStackまわりの開発専用に使われている。

今朝のキーノートでは、そのほか数名のスピーカーが同様の不満を述べた。またOpenStackのCOO Mark Collierと常務取締役のJonathan Bryceはキーノート後の記者会見で、その問題には自分たちも気づいている、と述べた。しかし、このプロジェクトを構成するモジュールの多くが成熟期に達している今では、毎回のアップグレードを律儀にインストールしなくてもよい、というユーザがほとんどだ。Collierは、あらゆるオプションをユーザにとってオープンにしておきたいが、次回のリリースは既存ユーザがアップデートをもっと容易にできるための仕組みを導入している、と述べた。

もうひとつの問題はOpenStackのセットアップと日常の運用が、当初の難しさを引きずっていることだ。だから企業ユーザの多くが、OpenStackクラウドの立ち上げを、専門知識技能のあるサードパーティのベンダにお願いしている。しかし、今後のユーザ増加策として重要なのは、それを誰でもできるようにすることだ。

メインイベントと並行して、OpenStackのコントリビュータたちは、”Design Summit”と名づけた会を開いて、今後のリリースの優先事項を検討した。それはOpenStackの各モジュールの担当者が自分たちのロードマップを設定するだけでなく、今年はとくに、モジュール間の調整にも力が注がれた。各モジュールに導入する新機能だけではなく、プロジェクトが成熟期に来ている今では、モジュール間の調整の重要性が増しているのだ。

成熟の兆候として挙げられるのが、OpenStackのエコシステムにおけるベンダ数の増加だ。UbuntuSUSERedHatなどのLinuxディストリビューションがあり、OpenStackクラウドのための仮想ネットワークインフラストラクチャ専門のPLUMgridもいる。だから、投資家たちの視線もベンダたちに集中する。たとえばSwiftStackは先月、シリーズBで1600万ドルのラウンドを発表しMirantisは1億ドルを獲得など、資金調達の発表が最近はとても多い。それに今では、OpenStack関連の買収もある…たとえばCiscoは9月に、Metacloudに飛びついた

以上のように、今ではいろんなことがOpenStackプロジェクトの成熟を示している。最初にRackSpaceとNASAがこのプロジェクトを産んでからその後長年、比較的目立たない存在だったが、最近の2年間で技術の改良と、外部への積極的な情報提供が行われた。参加企業が増えて成熟した今でもしかし、現段階で求められている安定性の実現のために、イノベーションの歩みを鈍らせることは許されないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Joyentがクラウドプラットホーム上のエンタプライズ級のDockerサポートのために$15Mを調達

今日まで、クラウドインフラ企業Joyentは、複数回の資金調達ラウンドにより合計1億2000万ドルを調達してきた。いちばん最近のシリーズD、2012年の8500万ドルが、額としては最大である。シリーズDまで行く企業はそんなに多くないが、しかしクラウドプラットホームプロバイダJoyentは今日、既存の投資家Intel Capital、Orascom TMT Investments、El Dorado Ventures、EPIC Ventures、LGI Venturesなどなどから、さらに1500万ドル(シリーズE)を調達したことを発表した。

Joyentの計画では、この資金は、Dockerとコンテナベースのインフラストラクチャという
最近のトレンドを、同社の機会として生かすために使われる。Joyentはプラットホームとしてのコンテナを10年あまり前から提供しているが、Dockerがクラウドインフラストラクチャの寵児としてもてはやされるようになるまでは、コンテナという技術の知名度はきわめて低かった。

JoyentのCEO Scott Hammondは今日の声明文の中で、次のように述べている: “弊社の顧客は今、我先にとDockerを採用してアプリケーションコンテナを作っている。そして彼らは、この新しい技術をJoyentの、すでに実証済みのインフラストラクチャコンテナの上で使いたいと願っている。アプリケーションコンテナとインフラストラクチャコンテナを組み合わせるという、この特別な技術により、データセンターが完全にディスラプトされ、ビジネスアプリケーションの作られ方と配布のされ方が変わる、とわれわれは信じている”。

Hammondは本誌のメールインタビューで、“市場もやっとコンテナの利点に注目するようになった”、と言っている。しかし彼はまた、今の企業はDockerと競合するようなコンテナ技術には関心がない、とも言う。“そこでうちは、これまでの経験を生かしてJoyentをDockerのコンテナを動かすための最良の場所にしたい”、と彼は語っている。

JoyentはSmartOSと呼ばれる独自のオペレーティングシステム仮想化層を使っている(OpenSolarisとLinuxの仮想化技術KVMを組み合わせたもの)。Hammondによると、この方式ではDockerのコンテナがベアメタルで動くため、“アプリケーションコンテナのためのランタイム環境として最良であり、弊社は、これらのコンテナを、エンタプライズ級のネットワーキングによりベアメタルのスピードでセキュアに動かすためにデータセンターの運用者が必要とする機能を提供する。また弊社のOS仮想化技術は高密度のワークロードを可能にする”。

Joyentは今後も、同社のコアビジネスであるパブリッククラウドプラットホームの提供を続けるが、それに加えて、ベアメタル上のコンテナを管理する必要のあるdevsやopsたち向けに新たなプロダクトやサービスを作っていく。それについてHammondは詳細を語らないが、要は、“Dockerをサポートし統合するためのプロダクトとサービスを開発していく”、ということだ。

ではなぜ、同社は、今というタイミングで増資を必要としたのか? “すべてはスピードのためだよ”、とHammondは言う。“これから技術のシフトが猛スピードで始まろうとしている”。VMWareがデベロッパのテスト環境からメジャーな普及に至るまで数年を要したが、今日の技術はもっと速いスピードで大量普及に到達するだろう。“今回のラウンドで開発をスピードアップし、ディスラプティブな技術の次の大きな波を、それに呑まれるのではなく、それを率先して動かしていく企業になりたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Outlook for Macの新版がリリース。他のOfficeプロダクトは2015年に登場予定

新しいOffice for Mac 2015が話題にのぼるようになってきた。そんな中、先陣を切って新しいOutlook for Macが登場した。まずはOffice 365の利用者に向けてリリースされたものだ。新バージョンではルック&フィールが一新され、アーカイブしたメールの検索がやりやすくなっていて(ローカルにあるものとオンラインにあるものの双方に適用)、全体的なパフォーマンスも改善している。またプッシュメールにも対応している。今回の新版Outlookのリリースと同時に、Word、PowerPoint、Excel、およびOnenote for Macの新版の予定も公式に認めた。来年早々に公開ベータが利用可能となり、第2四半期に正式版がリリースになる予定なのだそうだ。

新しいOfficeアプリケーションがリリースされれば、Office 365の利用者は追加料金なしで新しいものを利用できるようになる。もちろん、安定版ができた暁には、パッケージ版も提供していくこととなっている。

ところで新版のOutlookは、Windowsやデスクトップないしモバイルで利用するウェブ版のアプリケーションに近いものとなっている。個人的にはMac上でOutlookを使う必要性がよく理解できないのだが、企業内メールなどを運用している場合には便利なこともあるのだろう。

いずれにせよ、トータルで見ればMicrosoftがMac上のアプリケーションを提供してくれるのは良いことであると言える。Office系ソフトウェアにもいろいろな候補があるのが望ましい。今年はじめには非常によくできたiPad用のOfficeアプリケーションを提供するなど、MicrosoftとしてもWindows利用者以外へのアプリケーション提供を強化しているようだ。ちなみにWindows版に比べてMac版のOfficeのアップデートが遅れたのは、今回についてはモバイル版の提供を急ごうとフォーカスしたためなのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


OpenStackのストレージプラットホームSwiftによるオブジェクトストレージサービスSwiftStackが$16Mを調達

オープンソースのOpenStackプラットホームの採用がこのところ増加するに伴って、このプラットホームを軸とするエコシステムも成長している。たとえばストレージの分野では、OpenStackのオブジェクトストレージプラットホームSwiftをベースとするオブジェクトストレージサービスを、SwiftStackが提供している。

今日(米国時間10/27)SwiftStackは、B2B専門のVC OpenView Venture Partnersが率いるラウンドにより、シリーズBで1600万ドルを調達した、と発表した。このラウンドには同社のこれまでの投資家Mayfield FundとStorm VenturesとUMC Capitalも参加した。昨年のシリーズAによる610万ドルおよびその前のシード資金を合わせると、同社の総資金額は2360万ドルになる。同社によると、マーケティングや営業のスタッフがほとんどいないにも関わらず、同社の売上は過去1年で4倍に増加した。

OpenStackのSwiftプロジェクトに最大の貢献をしているのが、SwiftStackだ。同社は今回の資金を“企業向けのストレージサービスのスケールアップを手頃なお値段で簡単に提供できるために”使いたい、と言っている。またマーケティングや顧客のエンゲージメント事業にも力を入れたい、と。

Swiftを使うと既存のストレージの再利用ができるし、それだけでなく、安価なコモディティハードウェアを使った社内ストレージシステムとクラウド(パブリックとプライベート)ストレージ併用してデータを保存できる。そのためにSwiftおよびSwiftStackのControllerは、巨大なストレージクラスタの運用を支えるプロビジョニングとレプリケーションとフェイルオーバーとモニタリングなどなどのタスクを、総合的に面倒見る。

SwiftStackもオープンソースなので、顧客に付加的サービスや、Swiftをより使いやすくするためのプロダクトを容易に提供できる。その例が、SwiftStack Management ServiceSwiftStack Controllerだ。SwiftStackは、HPやDisney、Time Warner Cableなども利用している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


サンダー・ピチャイの昇格で、Googleのプラットフォーム統一化は進むのか


これは驚くべき権力委譲である。GoogleのCEO Larry Pageは、様々な中核プロジェクトの作戦参謀としての役割を、副官のSundar Pichaiに譲り渡す。著名なGoogle幹部のひとりであるPichaiは、既に指揮をとっているChromeブラウザー、Chrome OS、Google AppsおよびAndroidに加えて、Google+、検索、マップ、インフラストラクチャー、および広告を彼のポートフォリオに加える。

Pichaiが、GoogleのAndy RubinからAndroidを引き継いだ時、TechCrunchはこの交代を、 AndroidとChromeの新たな統合への兆候であると歓迎した。

Chrome OSとAndroidの両方を別々に持っていることは、急速なスクリーンの巨大化と共に意味をなさなくなっている。

より多くの製品グループをPichaiの下に置くことで、様々なプロジェクトの調和が高まることは容易に推察できることであり、可能であれば統合を進めていくことは明白な目標だ。

Chrome OSとAndroidは今も別々だ。タッチファーストのモバイルに優しいOSを、デスクトップ版と協調させようとしているのはGoogleだけではない。Googleの立場が奇異に感じるのは、そのデスクトップ版が、タッチファーストでモバイルに優しい、二分化されたOS〈たち〉から直接生まれ、配布されているからにすぎない。

Appleも同様の動きを見せ、デスクトップ中心のOS Xと、モバイルファーストのiOSが互いにやり取りできるようにしている。さらに極端なのはMicrosoftで、タブレット優先のユーザーインターフェースを劣化版Windows 7の上に詰め込もうとして、誰ひとり魅することができなかった。その会社はWindows 10というOSで過去の罪を償おうとしている。

Googleが単一のOSと製品ラインを望むであろう理由は明らかだ。OSの関係がスムーズになるほど、ユーザーを様々なデバイスカテゴリーに呼び込みやすくなる。そうすればGoogleの中核サービスである検索やマーケットプレイスの利用が増え、会社に直接あるいは間接的に売上がもたらされる。

念のため言っておくが、モバイルは未来の一部ではない。未来〈そのもの〉である。そしてGoogleのChrome OSプロジェクトは、Androidの端末の数とモバイルOSのデファクト標準であるという事実を踏まえれば、Androidという大きな枠の中で捉えざるを得ない。

Pichaiは、Googleが世界中で使われるテクノロジーを征服するために作ったツールのほぼすべてを、手中にできる立場を得た。果たして彼がどうやって、数々のハードウェア、ソフトウェア、およびサービスから、統合された何かを作り上げるのかは、未知の物語だ。

ささいな皮肉だが、Pichaiの名前はMicrosoftのCEO候補として上がったことがある。代わりに内部の候補者がその座を射止め、Pichaiはほぼ同じ規模の昇進を自社で果たした。

Googleの次期CEOが誰かに賭ける人はいるだろうか? もちろん、もしPichaiが責務に成功すればの話だ。

IMAGE BY FLICKR USER MAURIZIO PESCE UNDER CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon AWSがエンタプライズ向けディレクトリサービスAWS Directory Serviceを開始

このところエンタプライズ指向になりつつあるAmazonは、企業のIT用に使いやすさを際立たせたタブレットFire HDとHDXを出し、その前にはセキュアなストレージサービスZocaloをローンチ、さらにその前にはクラウドから提供される仮想デスクトップWorkSpacesをスタートさせた。しかしAmazonとエンタプライズといえば、その最大の基盤が、クラウドコンピューティングの巨獣Amazon Web Servicesだ。今日(米国時間10/22)同社は、オンプレミスとクラウドを組み合わせたリソースの管理を容易にできるためのサービスAWS Directory Serviceを立ち上げた。このサービスは、AWSのクラウドにシンプルでスタンドアロンなディレクトリが欲しいと思っていたユーザのニーズにも対応する。

この新サービスは、企業のニーズに応じて二つのタイプのディレクトリを提供する。

AWSの顧客の中でもっとも多い、すでに既存のディレクトリを使っている企業には、それらのディレクトリに接続するディレクトリタイプ“AD Connector”が提供される。コネクタが使えるということは、MicrosoftのActive Directoryなどを使っている企業にとって大いに助かる。企業はこれまでと同じやり方で、ドメインのジョインや、ユーザの認証、プリンタなどドメイン上の機器を見つけて接続すること、ほかのネットワークサービスたとえばSQL Serverデータベースにアクセスすること、などができる。

企業が新たにクラウドベースのサービスを導入したときは、オンプレミスのものとは別途に、クラウドベースのディレクトリをセットアップせざるをえないこともある。そんなときに、”AD Connector”が助っ人になる。このコネクタ、ないしゲートウェイ技術はいわば、既存のディレクトリへクラウドからアクセスするためのプロキシだ。しかも今朝のAWSのブログ記事によると、複雑なシンク処理や連結サインオンはいっさい要らない。むしろすべてのコミュニケーションはAWS Direct Connectや、Amazon Virtual Private Cloud内のセキュアなVPN接続を介して行われる。

そこでエンドユーザはAmazonのWorkSpacesZocalo、Windowsが動いているEC2のインスタンスなどにログインでき、しかもそのとき使うユーザ名やパスワードはActive Directoryのアカウントのものでよい。

AWS Directory Serviceのもうひとつのタイプは”Simple AD”と呼ばれる、クラウド上のSambaベースのディレクトリだ。これは、Windowsのドメインへのジョイン、Group Policiesの管理、ディレクトリを利用する複数のアプリケーションへのシングルサインオンなど、AD(AWS Directory)の共通的な機能をサポートしている。このオプションではシスアドやデベロッパがディレクトリのクレデンシャル(アイデンティティ〜認証情報)でAWS Management Consoleにサインインして、リソースを管理でき、Windowsが動いているEC2のインスタンス群を一括してアドミンできる。この場合ZocaloやWorkSpacesも、ディレクトリを利用できる。

Amazonは、どちらのディレクトリタイプもセットアップは簡単だ、と言っている。ただし料金はディレクトリのサイズで決まり、しかも時間制の料金だ…小さなディレクトリはどちらのタイプも1時間0.05ドル、大きなディレクトリは1時間0.15ドルである(合衆国東部リージョン(U.S. East))。なお、料金はリージョンごとに異なる(US West(Oregon)Asia Pacific(Sydney)Asia Pacific(Tokyo)Europe(Ireland))。この料金制は、クラウドを月額や年額ベースで使っているユーザにとって不便だし、予算獲得のための計算も面倒だろう。

どちらのディレクトリタイプも、今日から上記のリージョンで可利用になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleのクラウドプラットホームもついにBaaSを提供へ…Firebase買収でリアルタイム機能を充実

Googleが今日(米国時間10/22)、アプリ/アプリケーションのためのバックエンドサービスFirebaseを買収したことを発表した。データの保存とシンクをリアルタイムで行う、などのタスクをiOSやAndroid、それにWebのアプリケーション向けに提供するので、デベロッパの開発努力を相当楽にしてくれる。今現在の登録ユーザはおよそ11万名のデベロッパで、サービスはそのまま継続し、多様なプラットホームへの対応も維持される。〔*: デベロッパはますます、BaaSの利便性を求める。参考記事: モバイル-クラウドエンタプライズ。〕

ほぼ3年前にローンチしたFirebaseは、Googleに加わったことでサービスの大幅なスケールアップが可能になった、としている。同社曰く: “Googleの技術力とリソースと技術的インフラがあれば、もっともっと多くのことをもっともっと早くできる”。Firebaseのチームはまた、自分たちが今のGoogleにない部分を補う、と見ている。この買収によって、Googleの顧客はアプリケーションを早く書けるようになり、FirebaseのユーザはGoogleのインフラにアクセスできる。

Googleにとってこの買収は技術と人材の獲得が目的のようだが、しかしそれと同時に、Firebaseの10万あまりのデベロッパがGoogleのクラウドプラットホームのユーザになるメリットもある。

GoogleがFirebaseから得た機能の紹介は、11月4日に行われるイベントGoogle Cloud Platform Liveで行われる。買収が完了したのはごく最近と思われるが、買収結果をGoogle Cloud Platformに導入するのは、前から相当早いのだ。

Googleが同社のクラウドプラットホームを充実させるために行う重要な買収は、今回が三度目だ。最初はモニタリングサービスのStackdriveを買収して、それをすぐに統合、そして次は、映画のデジタルプロダクションのための特殊効果をCGIするZyncだった。

これまで、Andrew LeeとJames Tamplinが創業したFirebaseは、2012年のシードラウンドで約700万ドル、2013年のシリーズAで560万ドルを調達している。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


エンタプライズOpenStackのリーダーの座をねらうMirantisが$100Mの巨額を獲得

Mirantisは数年前に、当時まだ無名だったOpenStackに乗り、その後は、各年ごとに高くなるその人気の波に乗ってきた。そして今日(米国時間10/20)同社はシリーズBで1億ドルの資金を調達し、エンタプライズOpenStackのリーダーの地位を目指す旅を、これからも続けて行くことになった。それは、同社の今後の前進のための、十分な額と言えるだろう。

1億ドルはどんな企業にとっても大きいが、同社はしかもオープンソースの企業であり、それまでの二回のラウンドで計2000万ドルしか調達していない。今回のラウンドを仕切ったのはInsight Venture Partners、これにAugust Capitalおよび既存の投資家Intel Capital、WestSummit Capital、Ericsson、SAPが参加した。Insight Venture Partnersの専務Alex Crissesが、Mirantisの取締役会に加わる。

OpenStackは、IaaSを展開するためのオープンソースのプラットホームだ。4年前にRackspaceとNASAの合同プロジェクトとして始まり、IaaSのプロプライエタリな商用プロバイダAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどに対するチェック役のオープンソースプロジェクトとしてスタートした。その後順調に成長して、コミュニティとリッチなエコシステムと活気あるサプライヤーネットワークが形成された。後者にはエンタプライズソフトウェアにおける超大手たちも加わっている。

Mirantis自身は言わないが、同社はEnterprise LinuxにおけるRed Hatと同じようなリーダー的な位置を、OpenStackの世界でねらっているようだ。言い換えるとそれは、OpenStackの企業向けの顔だ。しかしエンタプライズOpenStackはHP、IBM、Cisco、それに、そう、Red Hatなどが大きなパイの分け前をねらっている市場だから、それらに伍していくためには大きな資金が必要だ。たとえば2週間前にRed Hatは、クライアント/サーバから、OpenStackをベースとするクラウドコンピューティングに軸足を移す、と発表した

しかしCEOのAdrian Ionelは競争にひるんでいない。むしろ彼は、OpenStackの世界における自社の優位性を固く信じているように見える。彼によると、OpenStackのルーツを継承して真のオープンソースを提供しているのはMirantisだけである、と。しかも彼によると同社は、OpenStackの実装と運用に関してHPやRed HatやCiscoのチームを指導している立場である。“彼らが好打者だとは思わないが、体がでかいことは確かだね”、と彼は皮肉っぽく言っている。

Ionelは、Mirantisが唯一の本物のOpenStackベンダだ、と自負している。同社よりもさらに本物があるとすれば、オープンソースのソースコード本体、それだけだ、と彼は言う。そして彼によると、多くの顧客は特定のベンダの特定のアーキテクチャに閉じ込められることよりも、ピュアな実装を望んでいる。大手ベンダを選べば、必ずプロプライエタリなものがくっついてくる、と彼は警告する。

Ionelによると、同社は大きな展開で実際にテストされた唯一のOpenStack実装系であり、136社の顧客の中にはWells FargoやOrange、DirectTV、Ericssonなどの有名企業もいる。EficssonはMirantisに投資もしている。彼によると、今回の大きな資金が得られたのは、投資家たちも同社の今後の長寿を信じているからだ。“うちもいずれ、VMwareぐらいのサイズの会社になるだろうね”、と彼は言っている。昨年の月商は100万ドルだったが、今では週の売上が100万だ。つまり、文字通りの急成長である。投資家たちが飛びつくのも、当然かもしれない。2016年にはIPOを検討したい、とも言っている。

そもそもMirantisは、やったことのすべてをオープンソースとしてOpenStackプロジェクトへ還元しているし、またOpenStack本体のアップデート等に100名あまりの技術者を提供している。今社員数が600名で、420名が技術者だから、その中の100名提供は、すごい。

そしてもちろん、今回得た1億ドルは人員増にも使われる。Ionelは、もし資金が得られなかったとしても、エンタプライズOpenStackのリーダーを目指す道を進むことは変わらない、と言っている。お金は、あるにこしたことはないが。

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企業のITを変えた10のトレンド

[筆者: Matt Murphy]

編集者注記: Matt MurphyはKleiner Perkins Caufield & Byersの社員パートナーで、主にモバイルとクラウドインフラ方面の投資を担当している。

企業のITは今、大きな革命期を迎えている。

企業が情報技術を買う、構築する、管理する、その安全対策をするやり方が、今、完全に変わりつつある。クラウドコンピューティングとビッグデータ分析とモバイルの充満、この三者によって、企業ITはそれまでよりも高速になり、効率的になり、運用コストが下がり、そして使いやすくなっている。この変化の過程でテク企業のニューウェーブが出現し、既存の大物企業たちに挑戦している。

ベンチャー投資家たちが今では、かつてなかったほど積極的に、エンタプライズコンピューティングに資金を投下している。この部門は2014年の前半に54億ドルを吸引したが、それも記録的な額だ。このような投資の急増に火をつけたのは、相次ぐ数十億ドル規模のIPO、すなわちWorkdayやPalo Alto Networks、FireEye、ServiceNow、Splunkなど新進IT企業たちの上場だ。

エンタプライズコンピューティングの様相を変えつつある十大要因を、以下に挙げてみよう。

1. クラウドコンピューティング: 大手投資銀行Morgan Stanleyによると、同社の全ワークロードの1/3近くが今ではクラウドで行われている。クラウドコンピューティングがそこまで強くなった原因は、どんなアプリケーションに対しても、ハードウェアの新規購入をせずにリソースの拡張が容易にできることだ。もっと容量が要る? それならクラウドプロバイダが今すぐ提供してくれる。

2. すべてを仮想化: 多様な、それぞれ異なるサーバの集合が、仮想化によって、ランタイムにコンピューティングリソースの単一のプールになる。とくにサーバの仮想化が大きく成功したため、今ではネットワーキング、セキュリティ、ストレージなどあらゆるものの仮想化が始まっている。

3. ITの新しい買い手: 購入の決定がCIOやITスタッフから、営業、マーケティング、財務などなど、現場の各部門へ移行した。スマートフォンやクラウドコンピューティングの成長も、このような“購入の現場化”がもたらしたものであり、これによってITベンダにとって新しい機会が生まれている。新たな買い手たちは、従来のIT部門に比べて、本当に必要なものにははやい決断で予算を割き、また実験も果敢に行う。

4. 会社内でWebベースで行われる営業: Webベースの営業チャネルの成長とともに、クォータを抱えた営業マン/ウーマンなしでビジネスを構築する企業が増えている。それにより、物やサービスが顧客の手に渡るのがはやくなり、また営業活動を始める前に需要がおよそ分かる。

5. “land and expand”の営業モデル:* エンタプライズ向けの企業は消費者ソフトウェアのやり方を真似て、無料の試用やフリーミアム方式を採り入れつつある。それによりユーザ企業は、事前に大きな予算を割り当てる必要がなくなる。無料の味見、価値を納得してから買う、そして価値を認めた顧客だけに注力する営業のやり方は、ベンダ(売り手)だけでなくバイヤー(買い手)にも有利だ。MySQLのようなオープンソース技術がこのやり方を開拓し、今ではPuppet LabsやDataStax/Apache Cassandra、MuleSoftなどの勃興がオープンソースの有利性を実証している。しかし今では、もっと多様なITソフトウェアプロダクトにおいて、フリーミアムモデルの採用が見られる。〔*: land and expand, 買わせるよりも乗ってもらう/住んでもらう(land)のが先、乗り心地/住み心地に納得してもらったら、大規模に売り込む(expand)のも容易。〕

6. エンタプライズワークフローの形の変化: モバイルデバイスが隅々まで普及したことによって、エンタプライズワークフローの効率が上がった。Salesforce.comのCEO Marc Benioffは最近、会社の経営はすべて自分のスマートフォンからやっていると豪語した。この方式は日に日に容易になり、日に日に拡大する。業務上の書類に署名をするというCEOの仕事は、DocuSignのような電子署名アプリを使って行う。スケジュールの変更や、現場の人たちへのルート変更指示などは、ServiceMaxのようなアプリでできる。モバイルアプリは企業のあらゆる種類のビジネス工程の形を変えつつ、それらを自動化している。しかも仕事は前よりもはやく、そして的確だ。

7. 周辺部から中心へ移行したセキュリティ: 私のパートナーTed Schleinが言ってるように、今ではセキュリティの脅威が分散化しつつある。そのため企業は、サーバからエンドポイントに至るまでの、ネットワークのあらゆるレベルで、セキュリティを考えなければならない。またセキュリティの力点は、ネットワークインタフェイスなど境界的部分からデータの保護へと移行した。データをねらう攻撃ベクタの氾濫とともに、新世代のセキュリティ企業(Ionic Security、Illumio、Bromiumなど)が台頭して、新しいタイプのサイバー犯罪に対処している。

8. 競争力を強化するデータというアドバンテージ: ビッグデータ分析によって企業は、大量のデータの、それらの“意味するところ”を理解し、ときにはヴィジュアルに見られるようになった。分析技術が進歩して、企業の経営や操業に関する、従来は見逃しがちだった傾向が分かるようになり、その理解をもとに新しいアイデアも生まれる。たとえばInsideSales.comは、質問や問い合わせをもらった見込み客に5分以内に返答している営業は、そうでない人に比べて、販売成立率が10倍大きいことを見つけた。ビッグなデータ集合を利用する企業は、それによってこのような、それまでわからなかったパターンを見つけるのだ。

9. スピードで競争に勝つ: 企業が勝者になるためには、アプリケーションのパフォーマンスも重要だ。WalmartとCompuwareが行った調査によると、アプリ/アプリケーションのレイテンシが1秒増えると売上は10%減る。そこで、スピードを重視する企業のためのサービスやソフトウェアが増えつつある: Instart Logicはアプリケーションのデリバリを高速化し、AppDynamicsアプリケーションのレスポンスタイムの問題を解決、PernixDataとFusion-ioはフラッシュメモリを使ったストレージによってデータのデリバリを超高速化する。

10. 消費者的なインタフェイス: 消費者たちが大量の時間をその上で費消しているモバイルアプリはどれも、美しくて直感的なデザインを誇っている。今では同じことが、エンタプライズアプリにも求められている。デザインが良くてインタフェイスがフレンドリなアプリ/アプリケーションが、IT国の使いづらい先住者を駆逐しつつある。

エンタプライズプロダクトの選択を企業がトップダウンで決めていた時代が、今、終わりつつある。企業ITは民主化され、そしてその形をすっかり変えられた。このニュースは先住者たちにとっては凶報だが、でもエンタプライズ指向の起業家たちには、膨大な量の機会をもたらしている。

画像: Shutterstock

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マイクロソフトCEO、女性差別発言を再度謝罪、多様化への新たな取り組みを約束

Microsoftは、先週CEO Satya Nadellaが、女性はおそらく昇給を望むべきではない、と発言したことが引き起こしたダメージに対処することによって世間のイメージを修復し、方針を転じる努力を進めている。Nadellaの発言はまたたく間に 彼の音痴ぶりを世界中に広める結果となり、今も謝罪と改革の約束を続けている。

Nadellaは最初の発言を、すぐにツイートで訂正、後に正式撤回した。今日、Nadellaは社内メモの中で、新たな謝罪に加えて、彼がMicrosoftで多様性に関して何を実施しようとしているかを詳しく説明した。

メモの全文はGeekWireが公開しており(TechCrunchはMicrosoftにテキストが本物であることを確認した)一読の価値がある。重要な部分を以下に引用した。

私たちが前へ進めることのできる、そして ― 今すぐ ― 進めるつもりである領域は3つある。

第一に、われわれは同一の仕事には同一の報酬、同一の仕事には同一の機会を与えることに焦点を当て続ける必要がある。多くの社員が、他の社員と同等の報酬を得ているかどうか質問した。私は人事部門に以下のことを確認した。毎年わずかな変化はあるが、Microsoftにおける性別および人種による基本給の違いは(職級、肩書きを考慮した上で)一貫して0.5%以内である。例えば、昨年米国における同一職位、同一職級の女性の報酬は、同一職位、同一職級の男性の99.7%だった。年度や個々のグループによって100%をわずかに上回り、あるいは下回ることがある。しかし、このことは重要な事実を隠している。われわれは、全員が同じ仕事に対して同じ給与を受け取るだけではなく、同じ仕事をするために同じ機会を与えられるよう徹底しなければならない。

第二に、われわれはMicrosoftのあらゆる階級において、より多様な人材を採用する必要がある。最近当社が公表した数字にあるように、Microsoftおよび業界全体には、努力すべきことがある。現在の数字は十分ではなく、顧客が多様でグローバルなこの世界にあっては特にそうだ。この目標を達成するために ― そして特にエンジニアリングにおいて ― 社員の多様化を上級階層へ拡大し、大学その他の採用活動への取り組みに一層努力する必要がある。多様化と包活化の改善は上級幹部全員の目標である。

第三に、包活的カルチャーを育むための教育を、全社員に広げる必要がある。われわれは既にこうした領域の教育と開発を進めているが、あらゆる仕事と行動における、包活的振る舞いをモデル化するための、適切なレベルの説明責任を追求する必要がある。Connect[報告システム]はどう書かれているか、どのように業績フィードバックはなされているか、新規雇用者はどうやって選ばれているか、昇進や昇給はどのように決められるのか等について、われわれはよく考える必要がある。これらの事柄すべてに影響を与える、意識的無意識的両方の思考に焦点を当てる必要があり、D&Iにおける義務化された教育は最高の出発点である。

米国内従業員の給与に関するデータは明るい話題だが、完璧にはほど遠い。Microsoftは多国籍組織であり、社員は世界に広がっている。自国内におけるほぼ完全な給与の公平性は良いことだが、もし他の国々の数字は違うのであれば、早急に改善しなければならない。

Microsoftは、国別のさらに詳しい統計データを出すことが望まれる。そのデータは、世界中の女性が自国における労働状況の理解を深める助けになるだろう。そして、給与の性差が大きいIT業界が理解を深める助けにもなるだろう ― 人々が自分にふさわしい昇給を要求する助けにも。

会社の上級幹部チームに多様性を課すことは、原理的にはすばらしいが、結果を見るまでわからない。これは実証に時間のかかる活動でもあり、その効果を短期間に測ることは不可能だ。教育も、後にならないと効果がでないという点では似ている。しかし、それでも良いアイデアである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


MicrosoftがDockerをWindows Serverでサポート…Docke社にとっても大きな商機

コンテナ技術のDockerは最近のもっともホットなデベロッパ向け技術のひとつで、今では大手のクラウドベンダのすべてが、何らかの形でサポートしている。しかし本来、DockerはLinuxのコンテナをベースとする技術だ。言い換えると、Linuxサーバ上の技術。しかしMicrosoftは今日(米国時間10/15)、Windows Serverの今後のリリースでDockerをサポートする、と発表した

Microsoftのエンタプライズ向けクラウドサービス担当EVP Scott Guthrieが今日の発表声明の中で、“顧客が今日のモバイルファーストでクラウドファーストな世界でイノベーションを志向するとき、そのために必要な柔軟性を提供して行くことはきわめて重要である”、と言っている。

Microsoftの発表によると、Windows Serverの次のリリースでDocker Engineをサポートし、それがコンテナの作成、稼働、およびオーケストレーションを担う。そのDocker Engine for Windows Serverは、Dockerのオープンソースコミュニティが協力して開発され、Microsoft自身も一コミュニティメンバとして参加する。このエンジンのイメージ(バイナリ)もDocker Hub(Dockerのイメージのコミュニティによるメインのリポジトリ)から入手できる。

Microsoftはこれよりも前に、クラウドコンピューティングサービスAzureでDockerのサポートを始めているし、DockerとMicrosoftはAzure上のコンテナオーケストレーションをDockerの次のリリースに統合する作業を進めている。また今日のMicrosoftの発表では、Docker HubがいずれAzure Management PortalとAzure Galleryに直接統合され、“ISVたちとクラウドデベロッパから成るMicrosoftの大きなコミュニティがDockerのコミュニティの最良の成果にアクセスでき、Windows ServerとLinuxの両方で迅速なイノベーションを実現できるようにする”、のだそうだ。

Microsoftが今明らかに気にしているのは、コンテナとポータビリティと、ソフトウェアを複数のマイクロサービスで配布するという、最新のトレンドだ。エンタプライズにおけるWindows Serverのシェアはまだまだ大きいが、バスに乗り遅れるわけにはいかない。Microsoftは”Drawbridge“と呼ばれる独自のコンテナ技術を最近の数年間で開発し、このところ、その名をちらほらと、あちこちで見かけるようになった。今日発表されたDocker移植の件と、このコンテナプロジェクトとの関係は不明だが、 Microsoftは当面、Dockerに賭けることに決めたのだ。その大きな勢いを、無視することはできなかった。

Dockerにとって今日の発表は、Windows Serverを使っている大きなエンタプライズへの今後の進出を意味する。DockerのファウンダでCTOのSolomon Hykesは今日の声明で、“エンタプライズ市場におけるWindows Serverの強さと、それがDockerのプロジェクトに加わることは、Dockerのコミュニティとエコシステムにとって大きな転機となる”、と述べている。

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社員たちの仕事のやり方を可視化するVoloMetrixがシリーズBで$12Mを調達

シアトルのVoloMetrixが今日(米国時間10/13)、Split Rock Partnersが率い、既存の投資家Shasta Venturesが参加したシリーズBのラウンドで1200万ドルを調達した、と発表した。これでVoloMetrixの総資金額は1700万ドルになる。

このサービスを企業が利用すると、社員たちの時間の使い方が分かる。2011年にローンチしたこのサービスは、たとえば営業が顧客とどんな時間の過ごし方をしているか、また社内の別のチームの協働の状況はどうか、などを企業のトップや管理職、あるいは現場の社員自身に教える。データはすべて会社のコミュニケーションシステムから収集され、そして無名化される。

このサービスは会社の稼働状況に関する深い洞察を与えるが、社員個人を特定しない。むしろその考え方は、メールとかカレンダーのイベントなどから集めたデータをもとに、会社が日々の操業をより効率化することにある。顧客企業にはFortune 100企業も多くて、GenentechやSeagate、Symantecなどの有名企業も同サービスを利用している。

VoloMetrixのCEO Ryan Fullerによると、資金調達の主な目的は、需要に応えるための社員増、来年は今の三倍に増やしたい、という。“うちのプロダクトを使っている企業は、営業の活動や彼らと顧客との関係が深く理解できるようになったので営業の生産性を上げることができた、というところが少なくない。また、企業内の仕事のやり方や会議の実質的費用や、社内にはびこる官僚主義が、手に取るように分かるようになった、という声も多い”、とFullerは語る。

同社は上記のような、営業の生産性アップと社内業務の効率化、すなわち無駄な費用をなくすこと、この二点に集中した製品開発に今後は力を入れていく予定だ。そのために収集するデータのデータソースを増やし、とくにコラボレーションまわりのデータを集めたい、という。“今回の投資は、企業に、組織内の仕事の行われ方に関する他に類のない詳細な可視性を与えるという、弊社のビジョンが広く認められた証である”、と今日の発表声明の中でFullerは言っている。

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HP、分社化―パソコン、プリンター事業をエンタープライズ事業から切り離す

HPは 2社に分社化することを決定した。 エンタープライズ向けのハードウェアとサービス部門はHewlett-Packard Enterpriseとなり、CEOはMeg Whitmanが務める。HP Incはパソコンとプリンター、それに3Dプリンターなどコンシューマ向け事業のブランドとなる。CEOはDion Weislerで、Whitmanは会長として取締役会にとどまる。

今回の決定について詳細に説明するプレスリリースによると、この分社化は5年間にわたって実施されてきた抜本的な再編成の一環であり、低迷している収益性の改善が目的だという。またこれにより、日々の業務レベルにおける赤字を減らし、組織をスリム化してより身軽に市場の変化に対応できるようになるとしている。分社化の手続きは2015会計年度中に完了の予定。

分社化によって、それぞれの会社は柔軟に提携先を選べるようになり、市場における影響力を拡大するチャンスが生まれるとしている。つまりエンタープライズ事業とコンシューマ向けハードウェア事業がひとつの屋根の下にあったため、両分野ともに競合しない相手しか提携先として選ぶことができず、選択の余地を狭めていたということのようだ。

今回の決定により、EMCのようなプレイヤーの関心を引くなどエンタープライズ事業に関するM&Aのチャンスが広がった可能性もある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ドローンの商用化は予想より急ピッチ―AirewareはドローンOSとバックエンド・クラウドを構築中

ジェフ・ベゾスが去年、クリスマス商戦を控えて60 minutesのインタビューでAmazonは商品配送のためにドローンを利用することを研究していると発表したとき、大方の反応は「PRのための派手なパフォーマンスだろう」といったものだった。しかしドローンの商用利用は一般に考えられているよりもはるかに急ピッチで進んでいるというのが事実だ。荷物の配達を含めてドローンがビジネスで利用されるようになる日はかなり近い。

向こう10年程度で、ドローンが日常生活でありきたりの存在になることは間違いない。現在では、ドローンといえばまず軍事利用が思い浮かぶが、今後は人手で作業することが困難、危険、コストが合わないなどの場面に広く導入されるはずだ。すぐに考えつく応用分野は捜索、救難、石油やガスなど天然資源の探査、農業、ライフラインの保守、そしてもちろん商品配送などだ。

しかしドローンが広く使われるようになるためには単に機体が進歩するだけでは不十分だとAirwareのCEO、Jonathan Downeyは強く主張する。Downeyは先週マサチューセッツ州ケンブリッジのMIT(マサチューセッツ工科大学)で開催されたEmTechカンファレンスで講演し、ドローン向けOSを開発していることを紹介した。Downeyの会社はさまざまな商用ドローン・システムのプラットフォームとなるべきソフトウェアを作るろうとしている。

Downeyのビジョンによれば、ドローンのプラットフォームには3つのレベルが想定されるという。つまり、オペレーティング・システム、バックエンドとなるクラウド処理サービス、そして各種のハードウェアだ。

Downeyは「われわれは中立のサードパーティーとしてドローン向けOSを提供したい。そのため、自らドローンの開発を行うことはしない。われわれのOSの上に各種のドローンが開発されることになる。その点、Microsoftが Windows OSを提供するだけで自社ブランドのパソコンを販売しなかったことに似ている」と述べた。

MicrosoftのWindowsに似て、DoneyのOSの上にサードパーティーのデベロッパーはさまざまな目的に応じたドローン管理アプリケーションを開発することができる。

ドローン向けに関連するビッグデータ処理を行うクラウド・サービスについては、先月のTechCrunch DisruptでBoxのCEO Aaron Levieがその必要性を論じていた。Levieはドローンが収集する膨大な情報を意味のある有用な情報に加工するビッグデータ処理の分野にBoxが進出する計画があると述べた。

BoxのサービスがDowneyが開発しているクラウドサービスとバッティングするものなのかは不明だが、Downeyは自身のOSとBoxのようなクラウドサービスがオープンAPIを通じて協調動作するのはあり得ることだと述べた。Boxはすでに商用ドローン・サービスのSkycatchとデータ収集処理で提携している。

またDowneyは規制当局やASTM(米国材料試験協会)の標準化委員会と協力して商用ドローンの利用に関するルールづくりにも取り組んでいる。またNASAのドローンによる交通管制システム構想uにも協力している。

Airwareは去る7月にシリーズBのラウンドで2500万ドル万ドルを調達したのを始め、総額4000万ドルの資金を得ている。

今後ドローンが社会的な認知を得るまでには安全性、プライバシーなどさまざまな面でハードルが予想される。

ベゾスがテレビ番組で吹聴した商品の配送に関してはドイツのDHLがドローンを利用する実験を始めたことが報じられている。これは他の手段ではアクセスが困難な離島に医薬品を届けるもので、ドローンの利用として理解が得られやすそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Windows 10、テクニカル・プレビュー版のダウンロード開始―有効期限は来年4月15日

今日(米国時間10/1)、Windows 10 テクニカル・プレビュー版のダウンロードが始まったが、このバージョンは来年のエープリル・フールの日から2週間後には使えなくなるそうだ。つまりWindows 10の製品版はそれよりずっと前に出荷されることを意味するなら、これは良いニュースだ。

しかし必ずしもそう楽観はできないかもしれない。MicrosoftはWindows 10を「来年半ば」に完成させるというスケジュールで動いている。4月というのは「半ば」といえなくもないが、やや早過ぎる気もする。テクニカル・プレビュー版の有効期限終了前に製品版が発表されるわけではないのかもしれない。これから各人各様の推測が飛び交うことになりそうだ。

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〔日本版〕 TechCrunchの別記事で、Alex Wilhelm記者は、「4月15日の前にしたさらに製品版に近い一般ユーザーを対象としたプレビュー版が公開されるはず」と推測している。

また今回Microsoftはプレビュー版ユーザーを対象にWindows Insider Preview Program という本格的なフィードバックのチャンネルを用意している。Microsoftのダウンロード・ページによればWindows Insider Preview Programに参加すると、「Technical Preview に加えて、すべてのプレビュー ビルドを公開と同時に入手することができ、使いやすいフィードバック アプリも用意されています」とのこと。これまでのプレビュー版の公開に比べて、ユーザーからのフィードバックの収集に対する取り組みが積極化していることも注目だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+