Oculus RiftをVRからARに変える音楽トリップ実験

個人デベロッパでも自由にいじれるし、比較的安いOculus Riftは、これまでの企業級/ヘビー級のVRヘッドセットにできなかったことを成し遂げた。それは、気軽に実験ができることだ。

手元に350ドルとプログラミングの能力とおもしろいアイデアを持ち合わせている人なら、誰でも何かができる。10年前のVR製品は、お粗末で低能なヘッドセットに何万ドルもライセンス料を払わないと、触ることすらできなかった。

ここでご紹介するクレイジーな拡張現実(augmented reality, AR)の感覚実験はどうだろう? それもたぶん、ありえなかっただろうね。

(警告: 画面の揺れや色の変化、光の点滅などが激しいので、ある種の障害や病気の人は要注意!)

Mediated Perceptions, 作者: Terence Broad; from Vimeo.

Riftの前面にカメラを2台くくりつけて、リアルタイムのビデオのフィードをで操作すると、びっくりするようなARが映し出される。

曲に合わせてビューを変化させる実験なので、音の高低に合わせて部屋中のものが揺れ動く。ドラッグがなくても、音楽だけでトリップできるのだ。

このような実験を見ると、Riftの最終製品もぜひカメラ内蔵にしてAR対応にしていただきたい、と思う。Oculusのファウンダたちは、最近Facebookに買収されたことによって、どんな贅沢な機能でも盛り込めるようになった、と言っているから、楽しみに待とう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Sony、世界一面白くない製品を発売

Digital Paperをご紹介しよう。Sonyの最新Eインク式タブレットだ。iPadでもあり、Eリーダーでもあり、おそらく月の石でできているのだろう。価格は1100ドルで5月に米国で発売される。あなたが買うことはないだろうが。

13.3インチ、「レターサイズ」のDigital Paperは、一般消費者向けではない。もちろん私のためでもない。Sonyはこれを、膨大な経費予算を持つだまされやすい法律専門家に売ろうとしている。これはメモを取るためのデバイスだ。そのフレキシブルEインクディスプレイは、光学・アクティブ両方のデジタイザー・タッチスクリーンを備え、指およびスタイラスの入力を受け付ける。画面上で直接書類に赤を入れる。ファイルはシェア可能なリポジトリに保存される。

大変残念なことにソフトウェアがサポートしているのはPDFだけだ。

Sonyこの端末を昨年日本で発売した。発売以来、できることはPDF文書の編集と閲覧だけだ。WordとExcelの文書は変換してこのデバイスで閲覧できる。しかしやはりPDFだ。そして、Digital Readerが指摘しているように、テバイスにメールクライアントはなく、追加のソフトウェアをインストールすることもできない。”What you see is what you get.” だ。

デバイスはWi-Fi、2.8GBのフラッシュストレージ、microSDカードスロット、13.3インチ・フレキシブルEインクディスプレイを内蔵し、解像度は1600×1200。バッテリーは3週間持続する。本体はわずか厚さ6.8 mm、重量358グラム ― これはiPad Airの半分以下だ。

Digital Paperは、来たる5月から米国でWorldocを通じて販売される。法律専門家のための文書管理を専門とする米国拠点の企業だ。私は買わないだろう。私は法律専門家ではないし、メモを取るには今後もiPadを使う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ウェアラブルなんてバズワードだ、まずはモノを作って出すべき–古参ハードウェアベンチャーの提言

ウェアラブルなんてテクノロジーの進化の一部を切り取ったバズワードでしかない。ハードウェアベンチャーはまず自らプロダクトを作って世に出して、そしてのノウハウを共有していって欲しい——2008年創業で、すでに古参のハードウェアベンチャーとなったCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、イベントの壇上でこう語った。

これは、3月25日から26日にかけて開催されたイベント「Wearable Technology Expo in Tokyo 2014」での一幕。25日の午後に開催されたTelepathy CEO の井口尊仁氏と岩佐氏のセッションでの話だ。

ウェアラブルはバズワード

イベントのテーマでもあるウェアラブル。セッションの冒頭、井口氏にこの定義について尋ねられた岩佐氏は、この言葉を「あくまでバズワードに過ぎないのではないか」と語る。「NikeのFuelBandやJAWBONEのUP、Google Glassなどが出てきたということをウェアラブルと総称しているだけ。IoT(Internet of Things)もバズワードでしかない」(岩佐氏)。この流れの本質は、「モノ作りのハードルが以前に比べて下がった」ということにこそあるという。

iPhoneアプリを制作するように手軽にとはいかないが、ハードウェアの製造は5年前に比べれば格段にやりやすくなったと説明する岩佐氏。Bluetooth4.0 LEや省電力WiFiといった技術が出てくるという中で、一部の事象だけを切り取った見方が「どうやらウェアラブルが盛り上がってきた」という状況ではないかと続ける。

Cerevoが活動を始めたのは2008年。当時はまだクリス・アンダーソン氏が「MAKERS」を出版していなければ、ウェラブルデバイスも登場していない時代。岩佐氏はなぜハードウェアベンチャーを立ち上げたのか? その一番のきっかけはインターネットとの出会いだったという。

「インターネットに触れて後頭部をガーンと殴られるようなショックを受けて、世界や生活を変えたいと思った。だがもう楽天もヤフーも存在していたし、(スマホ)アプリでも、欲しいと思ったアプリは探せば見つかるような状況。でもハードウェアだとそうでもなかった。僕はネット連動の傘立てとかがあれば便利じゃないかとずっと言ってきた。雨の予報があれば青く光るとか。そんなものはまだ世の中にない。画面で完結しないことのほうがインターネットには多い」(岩佐氏)

「モノを作った人」こそが語るべき

モノ作りのハードルが下がったとはいえ、デバイスの種類によってはその難易度は異なる。たとえばTelepathyのようなアイウェアであれば、Cerevoで受託開発を請け負っても5000万円以上の規模になるという(ただしここは井口氏と岩佐氏の間で見解が違っており、井口氏は「1億円でも難しい」と語る一方で、岩佐氏は最初井口氏に構想を聞いた時点で「8000万円でできる」と語ったと主張していた)。

だがMoffやFuelBandのような、Bluetoothや簡素な液晶の組み合わせであれば、数千万円前半でも製造が可能になってきている。岩佐氏は「実際にはやらないが、仮に『今からFuel Bandのコピー品を作って欲しい』と言われた場合、千何百万円の資金と半年の期間で作れるのではないか。その金額ならエンジェルインベスターからのファイナンスだけでも実現できる」とも語る(なお、セッション後に岩佐氏に確認したところ、前述の金額はあくまで開発費であり、在庫品を抱えるコストなどは別であると付け加えられた)。

ではモノを作ればそれだけでいいのか? 井口氏は「ハードウェアは製品開発だけではなく、製造流通、販売のディストリビューションという課題がある」と指摘する。岩佐氏も、「無給でもいいからアプリ作るというスタートアップと(ハードウェアの製造が)違うのは、金型でも何でも外に出て行くお金がある。そうなるとベンチャーキャピタルやエンジェルからのファイナンスはどうしても必要。身も蓋もないが、1にお金が必要だ」と語る。

岩佐氏は、投資家から資金を獲得する際に聞かれることは、「プロダクトを作れるのか」そして「そのプロダクトは売れるのか」の2つだけだと続ける。「後者に関しては、『分かってくれ』と説得するのは無理なので、ケースバイケースで実証するしかない」と語る岩佐氏。たとえばCerevoは、その売り上げの半数以上が海外なのだが、それは自分たちしか作れないものを作っているからだという。「みんなが『売れる』と思うものものはみんなが作る」(岩佐氏)

だからこそ重要になるのは、もう1つの課題である「作れるのか」をいかに解決するかだという。どこの工場の品質が高い、どこのメーカーのチップが安価か——部品や工場、資金繰りといった泥臭いことにどこまでこだわれるかが大事だという。岩佐氏は「結局はものを作って出せた人だけが話せる。ウェアラブルはバズっている。『未来だ』とも言われるが、ちゃんと商品にして出して、手に持って語るのが大事」と語った。

ノウハウを共有してグローバルで戦え

井口氏は「正直に言うが、ログバー(のRing)だってTelepathyだって、最初に『これをやるぞ』と言ったときは誰も作れなかった。そこで事業計画を書いて、製品計画を書いて、(VCに)持ち込むのはある意味気違いざたではないか」と岩佐氏に尋ねる。

岩佐氏は「自分たちも最初はそうだった」と振り返るが、プロダクトを出した今となっては、「そのノウハウを教えるので、みんな来て欲しい」と語る。井口氏によると、岩佐氏はTelepathyを創業する際に相談した人物の1人であり「貸し借りで言うとめちゃくちゃ借りてる関係」(井口氏)とのことだが、岩佐氏はその“借り”を自分に返すのではなく、「井口さんもプロダクトを出して、プレーヤーになって欲しい」と続けた。

井口氏は、先日米テキサス州オースティンで開催されたSouth by Southwest(SXSW)でも岩佐氏と「グローバルで日本人がどう戦うのか? という点では情報を融通していくべき」と語りあったと振り返る。そしてまた、工場やチップメーカーとの接点作りの難しさにも言及。ベンチャーと彼らがつながることで、より優れた製品が生まれるとした。

早く見たいのはTelepathyのプロダクト

このセッションで一番で印象深かったのは、岩佐氏が「結局はものを作って出せた人だけが話せる」と発言したくだりだった。チップや工場の価格にまで言及した際、井口氏はセッションの趣旨に沿って会話の軌道修正をすべく「カッティングエッジなカンファレンスで、売り掛けとか工場とか資金繰りといった泥臭い話が——」と発言したが、岩佐氏はそれを遮るかたちで「(泥臭い話が)大事です」と断言し、前述の「ものを作って出せた人だけが…」という話をはじめたのだった。

正直なところ、僕はTelepathyがプロトタイプの制作にあたっていくつかのトラブルを抱えている、と複数人の業界関係者から聞いていた。直近のSXSWでのデモも非常にクローズドな形で実施されたとのことだし、今回のセッションでもプロダクトが披露されることはなかった。実はTelepathyについては、ここ最近の開発状況も、井口氏の“泥臭い”努力、苦労も聞けずじまいでいる。

周囲からの話ばかりが聞こえてくる状況だからこそ、きっちりプロダクトを完成させてみんなの前に披露してくれるのを楽しみしている。ビジョンについて語るだけでなく、日本人が手がけたウェアラブルデバイスが本当に世界を席巻するさまを見たい。2013年11月に開催された「TechCrunch Tokyo 2013」で2014年内にプロダクトを発売すると語ってくれたTelepathyの今後を追いかけていきたいと思う。もちろんCerevoも、これから登場するハードウェアベンチャーも同様だ。


Apple、4.7インチ、5.5インチの新iPhoneを早ければ9月にも発表と日経新聞が報道

先ほど日本の有力ビジネス紙、日経新聞日本語版〕が報じたところによると、Appleは4.7インチと5.5インチのスクリーンを備えた次世代iPhoneを早ければ9月にも発表するという。

この記事によれば、量産準備はすでに開始されており、部品供給業者は指紋センサーやLCDドライバー・チップなどの製造に入っている。またLCDの量産は4月-6月四半期から始まるということだ。

Appleはまたディスプレイの大型化に伴い解像度の引き上げを行うという。この情報が正しければ、フルHDがサポートされることになるのかもしれない。

まだ時期が早いのでiPhoneに関する噂を全てうのみにはできないが、 この日経の記事にはいくつか本当らしさを感じさせるところがある。4.7と5.5インチのスクリーン・サイズについては、今年に入ってBloombergWall Street Journalが「大型化したスクリーンを備えた2機種が開発されている」と伝えている。また日経は昨年、「iPhone 5sと5cは日本で9月20日に発売される」と公式発表の前に正確に報道している。

Appleに対しては長らく「より大型のスクリーン」を要求する声が強かった。最近、次世代モデルのスクリーン・サイズは現行iPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5sに共通する4インチを上回ることになるという噂がしきりに流れていた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LGやPhilipsについで、SamsungもBluetooth接続型LED電球をリリース

やはりLGPhilipsによる展開を黙ってみているつもりはなかったようだ。SamsungもBluetooth接続型LED電球シリーズをリリースした。シリーズの名前はSmart Bulbという。スマートフォンやタブレットなどから、照明を直接コントロールすることができる。

但し、このLED電球には、Philipsのように色を変えたりする遊び心を伴う機能は搭載されていない。Samsungとしては、日常で利用されることをより強く意識したということなのだろう。

このSmart Bulbは、明るさを10%にまで下げることができ、また色温度を2700k(arm white)から6500k(cool white)まで変化させることができる。Samsungによると電球の寿命は1万5000時間だそうで、一般的な使用で10年ほどももつことになる。

Smart Bulbラインにはスポットライト型やチューブタイプなども用意されていて、この製品バリエーションはLGやPhilipsにはない魅力として消費者に訴えることとなりそうだ。

製品はドイツのフランクフルトで開催されるLight + Building 2014でお披露目される。価格や出荷時期については今のところ明らかになっていない。但しSamsungの発表によると、これらは商業施設用のみならず消費者向けのシリーズとしても展開していく予定であるとのこと。ほどなくHome Depoなどでも扱われることとなるのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


スマートフォンでビデオ撮影もできるバクテリア観察可能なMicrobeScope顕微鏡

追加ハードウェアを使って、スマートフォンでできることを増やそうとするプロダクトは、いろいろなものが出ている。しかしそんな中でもスマートフォンを顕微鏡にしてしまうこのKickstarterプロジェクトは非常に面白いものと言えるのではなかろうか。微生物の動きをリアルタイムで録画することもできるし、簡単に画像や動画をソーシャルネットワークで共有できる(ひとりで楽しみたい人は、もちろんそうすれば良い)。顕微鏡写真をシェアするなんて、タイムライン上で人気者になることは確実なのではなかろうか。

このMicrobeScopeプロジェクトは終了までの日数をまだ20日以上残しながら、Kickstarterでの調達目標である1万ドルのほぼ5倍にあたる額を集めている(本稿訳出時現在)。MicrobeScopeのマウントを使ってiPhoneないしその他のスマートフォンを接続して、微細な生物などをムービーにおさめることができるのだ。

顕微鏡部本体は800倍の固定倍率となっていて、バクテリアなどサブミクロンレベルでの観察を行うことができる(スマートフォン側のズーム機能を使って、2000倍まで倍率をあげて、回折限界レベルの観察を行うこともできる)。

尚、顕微鏡は倒立型で、観察対象はそのまま上部に置く仕組みとなっている(プレパラートは使えない)。光源は内部にあり、単4電池で光らせるようになっている。

スライドグラスを使った観察ができないので、専門家による使用には適していない。しかしそもそもMicrobeScopeは、趣味で観察を行いたい人や、あるいは子供にミクロの世界を楽しんでもらいたいとして考えだされたプロダクトなので、プロ仕様でないのは欠点にはあたらない(ちなみに、昨年夏にもよりシンプルで、同時に性能的にも劣るIllumoscopeがKickstarterで資金調達を狙ったが、ゴールに到達することはできなかった)。

また、MicrobeScopeの開発者はスライドグラスを使うことのできるものの開発も考えているようだ。但し、もともとは「手軽」な顕微鏡環境の実現を目指しているのだとのこと。曰く「イマージョンオイルやスライド、厳格なピント合わせなどを廃しつつ、高倍率の世界を楽しんでもらいたいと考えているのです」とのことだ。

スライド化して何度も見たいというリクエストには、ビデオを撮影しておいてそれを観察することで対応したいという考えだ。とくにiPhone 5sではスローモーション撮影の機能があり、これにより動きの素早いバクテリアなどでも細かく観察することが可能であるとしている。

手に入れるにはいくら必要だろうか。数量限定で115ドルおよび125ドルというオプションが用意されていたが、これらはすべて限定数を越えてしまっている。現在の入手可能価格は135ドルだ。5月ないし6月からの出荷を予定しているとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


CMUでは負けると悪態をつくスクラブル・ロボットでヒューマン・インターフェイスを研究中

近くロボットがわれわれの生活に入ってくるのは間違いない。介護の必要な人々の世話をしたり、病人をモニターしたり、その他無数の有用な仕事をしてくれるだろう。最近、ちょっと毛色の変わったロボットを見つけた。スクラブルの相手をしてくれるロボットだ。この「ビクター」と名付けられたロボットはカーネギー・メロン大学のクオリティー・オブ・ライフ・テクノロジー・センターで、ロボットが人間の生活に入り込んできたときの心理的な相互作用を研究するために開発された。

このロボットはスクラブル〔アルファベットのコマをクロスワードのように並べて単語を作るゲーム〕を下手くそにプレイする。そして自分が負けるとだんだん機嫌が悪くなり、「ゴルフじゃないんだからな。点の少ない方が勝ちじゃないぞ」などと悪態をつく。

ロボットといえばわれわれは排水管の中を這い進んだり昆虫的マシンとか兵士と共に野山を駆けまわるBig Dogとかを思い浮かべる。しかしビクターはお年寄りやハンディキャップのある人々の遊び相手となるのが目的だ。ビクターにはひとひねりが加えてあって、負けが込んでくると機嫌を悪くして相手を罵倒したりする。しかし勝っているときは自分が並べた単語についてウンチクを傾けたり、無駄話をしたりする。ビクターの開発者は、ダイエットモニターロボットのAutomと同様、ユーザーがロボットと心理的に深くつながりを持てるように性格づけている。ロボットが相手であっても感情的な交流は人々に良い効果を与えるということだ。

それにしても仲間のプレイヤーに悪態をつくスクラブル・ロボットとは未来的だ。

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VRヘッドセット: Oculus RiftよりもSonyが有利

仮想現実(virtual reality, VR)はOculusの発明品ではないが、このところ同社のおかげで関心が回復してきたようだ。

しかし今週(3/16-22)は、新しい仲間が増えた。SonyがVRへの参入を決めたのだ。そこでぼくはここで、VRに関してはSonyはOculusなどよりも断然有利だ、というお話をしてみたい。〔訳注: この記事が書かれた先週末は、FacebookによるOculus買収が発表される前。〕

その前にひと言。SonyとOculusのVR戦争という視野では、明らかに弱小勢力であるOculusの味方をしたくなる。Oculusは、これまでみんながジョークかSFマニアの白昼夢とみなしていたものを真っ先に商品化し、業界大物たちを味方につけることに成功した。でもぼくのようなファンでさえ、その欠点を見て見ぬふりすることはできない。

今、Oculusの周辺にはいろんなことが起きている。彼らのおかげでゲーム業界のVRへの関心が復活し、ここ1年あまり、どこへ行ってもOculusが話題になっていた。彼らの登場はどこよりも早く、たちまち大きな話題になり、一部のビッグネームたちを味方につけた。数万人ものデベロッパに、同社のプロトタイプのヘッドセットをいじくらせることにも成功した。それは、Sonyの競合製品には、真似できないことだろう。今後もPS4オンリーで行く気なら、なおさらだ。だから少なくとも現状では、“仮想現実”といえば誰もが”Oculus”を思い浮かべる。そしてそうであるかぎり、Oculusがつねに話の基準だ。

でも同社には、大きな弱点がある。ヘッドセットは、このハードウェアを構成する式の左辺もしくは右辺でしかない。

つまり、仮想現実というものは、ゲームのキャラクタをコントロールしたり、何らかのインタフェイスをナビゲートするだけがすべてではない。本誌も言ってきたし、ほかの人たちも言ってきたし、OculusのファウンダのPalmer Luckeyさえも言っていたように、入力がVRの乗り越えなければならない最大のハードルなのだ。

キーボードとマウスでいける? ぼくは、靴紐を自分で結べないのでマジックテープでとめる靴を与えられていたころから、キーボードを見なくてもタイプできたし、今や毎日一日中キーを叩いているが、そんなぼくでも、ヘッドセットをつけると相対空間の感覚が失われるので、正しいキーを見つけるのにすごく苦労する。そのおかげで、ヘッドセットから得られるはずの没入感が台無しになってしまう。

ジェスチャーセンサはどうだろう? 将来はそれでいけるかもしれないが、今あるKinectなどは、いらいらがつのるだけの粗悪品だから、とうてい常用する気にはなれない。

ルームランナー方式のこいつなんか、どうかな? うーん、ご幸運を祈る、としか言えないな。

残るのは、コントローラだ。

Oculus Riftには、専用の標準コントローラがないし、あったとしても、コントローラはものすごく多様化するだろう。ValveのSteamコントローラ、SixenseのSTEM、RazerのHydra、なつかしいGravisのゲームパッド。ユーザはいろんなものを使わされることになる。

またこのことは同時に、Oculus Riftのアプリケーションを考えるデベロッパにとっても難問になる。いっそアプリケーションごとに、それに合ったコントローラを提供すべきなのか?

コントローラが多様なら、アプリケーションのコードも多様になり、デベロッパの生産性を苦しめる。毎日、一日中、コントローラのコーディングの囚人になっていたりして。

ゲーマーも、ゲームが変わればコントローラも変わる。ゲームがすべて、そのゲーム専用のコントローラつきのゲームになったら、お値段的にもたいへんだ。いわゆるアーリーアドプターの人たちはそれでも平気かもしれないが、ふつうの人は、350ドルのアクセサリを買うとき、次もまたこんな高いアクセサリを買う必要がある、なんて思いたくないね。

SonyのVRヘッドセットでは、コントローラはたった一種類、Sony自身のMoveコントローラだけだ。あの、昔からある、おまぬけな魔法の杖みたいなやつ? でも、なんと、みんなにバカにされてきたあいつも、仮想現実の時代には息を吹き返す。VRの入力装置としては、あれに勝るものは見当たらない。すごく、良い。デベロッパは、ゲームのタイプによっては、ゲーム機本体のデュアルショックコントローラを使ってもよいが、本格的な没入感をプレーヤーに与えるためには、Moveで決まりだ。

銃にも剣にもなるし、二つで弓と矢にもなる。トリガ使って、手を開く/握る(物を持つ)をシミュレートできる。Sonyによると、同社がVRに取り組み始めたのと、Moveの開発開始時期は同じだそうだ。だから、話は合う。今度のヘッドセットには、Moveコントローラが少なくとも一つはつくだろう。

視界がどーのこーのと比較論をいくら言っても、実際に売れるのは、プラグアンドプレイですぐに遊べる完成品だけだ。Oculusが最初から正規の専用コントローラを提供しなければ、Sonyのおかげで突如Oculus Riftは未完成な製品に見えてしまうのだ。

Oculusも、きっと何かを考えているはずだ。まだ社外秘かもしれないし、デベロッパにも予告してないだろう。あるいは、ベストソリューションの決定過程という下駄を、市場とデベロッパとプレーヤーに預ける気かもしれない。専用の標準コントローラは、その結果に基づいて作られるのだろう。

しかし、どうなるにせよ、これから動乱の数年間が始まる。それは、消費者を含めて全員を巻き込む、どたばたの動乱だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「牛」のためのウェアラブルを提供するSilent Herdsman、300万ポンドを追加調達

「ウェアラブル」が人間だけを対象にしていると思ったら大間違いだ。すべての個体に強制的に着用させることのできる家畜マーケットにおいてこそ、「ウェアラブル」が一層有効に機能するという面もある。

そんなところに着目したのがイギリスのスタートアップであるSilent Herdsmanだ。首輪型のウェアラブルデバイスにて、牛の特徴的な行動を通じて発情期などを感知し、酪農家や畜産農家での管理をより効率的に行えるようにするものだ。

このSilent Herdsmanが、より多くの顧客獲得ならびに成長速度のアップを目指して300万ポンドの資金を調達した。現在はイギリスおよびヨーロッパにて「数百戸」の農場で利用されていて、稼働中の首輪型デバイスの数は「数万台」であるとのこと。

Silent Herdsmanは、2010年にこのデバイスを開発したストラック大学研究室からのスピンアウトで設立されたスタートアップだ。(当時はEmbedded Technology Solutionsという直接的な名前だった)。研究室では2006年から2009年にかけて、Scottish Enterpriseが資金を拠出するファンドからの475万ポンドの資金を得て研究を行ってきていた。

今回の300万ポンドはScottish Equity Partners(SEP)が主導する投資シンジケートおよびAlbion Ventures、Scottish Investment Bank、そしてScottish Enterpriseの投資部門などが出資したものだ。

Silent Herdsmanによると、調達資金は海外での市場拡大および、デバイスの機能向上のために活用していくとのこと。

動作の仕組みは、行動をモニタリングする首輪型デバイスと、特許技術を盛り込んだ分析ソフトウェアを組み合わせて、発情状態などの確認を行うというものだ。首輪型デバイスにて特定の状況が検知されれば、その情報がワイヤレスで基地局デバイスに送られ、そこから農場の担当者(スマートフォンやデスクトップ機)に情報がリレーされる。

飼っている牛全体の管理を容易にし、さらに個々の牛の行動に基づいた適切な行動をより迅速に行えるようにしようとして開発された技術だ。Silent Herdsmanによると健康管理がより効率的に行えるようになり、ミルクの生産量なども増加し、すぐに技術投資分を上回る利益をあげられるようになるとのこと。

SEPのパートナーであるStuart Patersonは、今回の投資にあたり次のように述べている。「現在、世界中には10億頭の家畜牛がいます。そのうち3400万頭がEUおよびアメリカで飼育されています。世界が豊かになり、そして畜産製品への需要は高まる傾向があり、飼育される牛の頭数も拡大傾向にあるのです。こうした傾向の中、Silent Herdsmanにとってのビジネスチャンスは年間で10億ドル以上となっているのです」。

「さらに、Silent Herdsmanの技術を活用すれば、世界的な問題のひとつである食料生産の効率性を向上させることにも繋がります。Silent Herdsmanはイギリス国内のみならず、国際的にもマーケットを広げつつあり、SEPとしてはその流れをお手伝いしたいと考えたのです」。

Albion VenturesのパートナーであるRobert Whitby-Smithも次のように述べている。「Silent Herdsmanの今後の成長プランをサポートする機会を得ることができて大変嬉しく思っています。動物の健康管理関連市場はさらなる成長が見込める分野で、Silent Herdsmanは、独自の特許技術を活用して市場を大きく広げていくことでしょう」。

Silent Herdsmanは現在、イギリス、中国、ニュージーランド、メキシコ、およびヨーロッパなどで特許を取得している。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook株、Oculus Rift買収発表後の時間外取引で下落

ウォール街は気に入らなかったようだ。Facebookがバーチャルリアリティーのスタートアップ、Oculus Riftの買収を発表した後、同社の株価(NASDAQ:FB)は下がっている。現在株価は始値の64.25ドルを下回り、時価総額で15~18億ドル相当を失った。

この下げ幅は、FacebookがWhatsAppの買収を発表した時よりも、明らかに大きいく

今日(米国時間3/24)の株式市場終了から約1時間半後、FacebookはOculus Riftを20億ドルで買収する計画を発表した。世界をよりオープンでつながれたものにするという目標を掲げるFacebookは今、次世代プラットフォームに焦点を当てる位置についた。Oculus Riftは、次の世代を担う可能性を持つバーチャルリアリティーの最前線にいる。

Facebookはモバイル・テクノロジーの導入で遅れをとった。VRが大物になるようなら、これを逃がすわけにはいかない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


速報:Facebookが話題のVRヘッドセット、Riftのメーカー、Oculusを20億ドルで買収

Facebookは拡張現実ヘッドセットRiftのメーカー、Oculus VRを買収することを発表した。価格は約20億ドルで4億ドルのキャッシュと2310万株のFacebook株式によって支払われる。さらにOculusが今後一定の成績を収めた場合には3億ドルのアーンアウト(成功報酬)が支払われる(その条件は不明)。

今日(米国時間3/25)、Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグは「バーチャル・リアリティー・テクノロジーのリーダーであるOculusVRと買収に関して合意に至ったことはたいへんに嬉しい」とする声明を発表した。その中で、次のように述べている。

われわれの使命はよりオープンかつ密接に結び付けられた世界を作ることがわれわれの使命だ。この目的にむかってここ数年われわれはモバイル・アプリの開発に取り組んできた。このぶんやでなすべきことはまだ数多くあるものの、われわれは一層楽しく、有用なユーザー体験をもたらような次のプラットフォームについて研究する時期に来ていると感じた。

そこでわれわれはOculusに注目した。同社はOculus Riftに代表されるような優れたVRテクノロジーによって知られている。Riftを装着すればコンピュータによって生成された新しい没入的な空間を体験できる。ゲーム、映画、あるいは遠く離れた場所を驚くべきリアリティーで体験できる信じがたいテクノロジーだ。われわれはここにいながら他の場所で他の人々と体験を共有できる。Riftを試した人々は皆「生まれて初めてのまったく新しい体験だった」と驚きを口にしている。

ザッカーバーグは「Oculusは今後もゲームへの応用を第一にしていく。またFacebookとは独立の組織として運営される。しかしゲームへの後は他のさまざまな方面への展開を考えている」と述べた。

家にいながらにして、特別席でスポーツの試合を見たり、世界の大学で他の学生たちと教室にいるようにして授業を受けられたり、1対1で医師の診察を受けられたりできるようになったら素晴らしいだろう。これはまったく新しいコミュニケーションのプラットフォームになり得る。この高度な拡張現実を利用すれば無制限の空間を手に入れることができる。友だちとオンライン体験を共有するだけでなく、実世界と同様の生活と冒険を共有できるようになるだろう。

買収手続きは2014第2四半期中に完了する予定だ。Oculusは現在7500台のRiftヘッドセットの注文を受けいる。これらはRift向けにアプリケーションを開発することに関心を持っているデベロッパー向けの開発キットだ。最新のCrystal Cove’プロトタイプをベースにしたモデルは1080Pのフルハイビジョン・ディスプレイと奥行きを感知するをセンサーを備え、さらにリアルな体験が可能になっている。

Oculusはこれまでに9340万ドルのベンチャー資金をSpark、Matrix、Founders Fund、Formation 8、BIG Ventures、Andreessen Horowitzから調達している。 Oculusは最近、3Dゲームの父と呼ばれるJohn CarmackをID SoftwareからCTOに迎え、大いに会社としての格を高めた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ちょっとお洒落な折りたたみ式電動自転車のJiveBike

昨年から、非常に多くの電動自転車が登場してきている。本日紹介するのもそのひとつだ。

名前をJiveBikeという。

一般的な自転車ないし電動自転車と異なり、中央のパイプはかなり低い位置にあり、ここにバッテリーとRaspberry PIを搭載している。ただしそれ以外の点や、または使い勝手については普通の自転車と同じだ。

ちなみにこのJiveBike、折りたたむこともできる。

電動式で折りたためる乗り物(スクーター)については、以前もUrb-Eのことを記事にした。なので「新しいアイデア」というわえではない。しかし電動自転車で、あくまで自転車風の外観を保ち、そして折りたたみができるものというのはそれほどないはずだ。

充電に必要な時間は2時間で、一度の充電で20マイル走行することができる。最高時速は15マイル(25km/h程度)だ。

電動モード、自走(ペダリング)モード、電動アシストモードを切り替えて走ることができる。

スマートフォンマウントもあり、Bluetoothで接続してJiveBikeアプリケーションにてバッテリー残量や充電ステータスの確認を行うことができる。それだけではなく、ルートを設定しておいて、走りながら進むべき方向を確認することもできるようになっている。

なかなか面白そうなのだが、ひとつだけ大きな欠点がある。値段が非常に高価なのだ。現在99ポンド(150ドル程度)でプレオーダーの受付中だが、最終的な支払額は1499ポンド(2500ドルほど)となっている。

プレオーダーはこちらで受け付け中だ。

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(翻訳:Maeda, H


Google、レイバン、オークリーの親会社ルックスオティカと将来のGlass開発で提携

Googleは、イタリアのメガネメーカー、Luxotticaと、将来のGlassフェイスベース・コンピューティング・システムに関する提携契約を結んだ。Wall Street Journalが報じ、TechCrunchがGoogleに確認した。ニュースはLuxottica自身が発したもので、同社はGoogleのウエアラブルの新バージョンを開発し、理論的にそれらは、レイバン、オークリー、ミュウミュウ、アルマーニ、その他多くのLuxotticaサブブランドを冠することになると言っている。

以前Googleは、Glass用に独自の内製処方メガネフレームを225ドル(レンズ別)で提供すると発表した。Luxotticaとの提携は、世界最大級のメガネ製造会社からビッグネームによる支持を得られることを意味している。そしてそれは、同社のアイレベル・スマートデバイスが一般大衆市場に浸透する可能性を持っていることを、批評家たちに納得させるのにも役立つはずだ。

LuxotticaとGoogleは、すでに昨年からGlassプロジェクトで協業してきたが、プロジェクトの結果や、契約の財務的内容については明らかにされていない。しかし、GoogleがGlassの一般販売開始日を明言していないことを別にすれば、これはデベロッパーコミュニティーや業界ウォッチャーに対して、同製品がいずれは店頭で買えるようになることを示す強力な意思表示だ。Google自身、Luxotticaが消費者にアイウェアを販売してきた経験は、同社とパートナー契約を結ぶ決定的理由の一つだったと言っており、TechCrunch宛のメールには、提携の結果Luxotticaとは全Glass互換フレームで協業することとなり、当初は米国市場に集中すると書いている。

Glassを、既存のアイウェアのフォームファクターに直接統合することは、この依然としてかなり未来志向の強い接続デバイスを、一般ユーザーが安心して使えるようにするための大きな一歩だ。私はこの提携が、単に既存のメガネフレームでGlassをサポートする以上の何かを生むことを期待している。あるいは、すでにExplorer(先行Glassユーザー)向けに提供されている処方メガネフレームにブランド名を付けるだけかもしれない。

Google Glassとその一般販売開始時期については、今年中に詳しい情報がわかるはずだ。それはGoogleが誰でも買えるGlass製品を発売すると長らく噂されている時期だ。Luxotticaとのつながりが公になった今、この提携によってGlassがより多くの一般向けニュースに載る機会が増えると予想している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


天候, 土質, 植物の種類などが分かるクラウド制御の自動水やり機Droplet

あなたのおうちはこのところ日に日にスマート(smart, 電脳化)になってるようだから、今日はそんなあなたにスマートな庭師Dropletをご紹介しよう。

スプリンクラーの代わりにDropletを使うと、植物の植わっているところだけ散水してくれるから、水道代の節約になるだけでなく、世界の水資源の保全にも貢献する。

自動掃除機Roombaのやり方を庭の水やりに応用したようなDropletは、クラウド上のソフトウェアにコントロールされる。あなたが花などの植わっている範囲をそのソフトウェアに教えてやると、その範囲にだけ散水をしてくれる。

それだけではなく、Dropletは庭の土の性質や、植わっている植物のタイプを知ることによって、植物の健康を維持できる正しい水の量をコントロールする。

しかも、木々や芝生などの水やり以外に、植木鉢やプランターなどへの水やりや、犬の水容器への水の補充なども指定できる。

このクラウドソフトウェアは、自分のサーバのあるところで、あなたが住んでる町の天候を知る。そして最近よく雨が降ったら水やりを控えるし、逆に日照り続きだったらせっせと水をやる。

こういった、IoTによるスマートホーム現象は、これからブームになりそうだ。おうちがインターネットに接続されるだけでなく、芝生もインターネット接続になってしまうのだ。

今や、掃除を自動的に行う猫トイレもある。道路の側溝を掃除するロボットもね。Modern Familyじゃなくて、本当にあるのよ。

DropletをAmazonで300ドルで買ったら、おたくの屋外用ロボット軍団が、また一段とパワーアップするわね。

[出典: Cnet]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bitcoin ATMが、あなたの町にもやってくる

400台のBitcoin ATMが、近々ドバイの裏道や幹線道路を飾るというニュースと共に、ここ数ヵ月間の暗号化ATMの活発化や、今この世界で起きようとしていることそのものが実に興味深い。

まず、Bitcoin ATMの市場は少々バブル化していると言える。このコンセプトが人々を魅了しているだけでなく、LamassuRobocoinといったメーカーは、ATM製品の在庫確保に四苦八苦している。私がワルシャワで話した2人組の起業家は、2台のATMを発注済みで、いずれ設置する場所がなくなるのではないかと感じていた。彼らがLamassuの順番待ちで滞っている間にも、自然発生する高度武装化エレクトロニクスのごとくBitcoin ATMは出現し続けている。

悲しいかな、それはまだ主流となるにはほど遠い状態にある。AustinのSXSWでデビューしたRobocoinモデルを使うために、ユーザーは電話番号、政府発行IDの写し、顔写真、および静脈スキャン画像を提出しなければならなかった。そしてオーナーは2万ドル以上を機械に投じ、その中に7万5000ドルなりの現金を「浮遊」させておく必要がある。取引を制御するのは気まぐれなブロックチェインなので、購入には5分から15分程度 ― あるいはそれ以上 ― の時間待たされる。

たった今、そこでは激しい軍拡競争が起きている。各ATMメーカーは自社マシンを、疑われることのない都市に設置しては、スクラントンで初めて、とかサウサリートで最高のDogecoinなどと騒ぎ立てている。ドバイにあの大量のATMを設置しようという取り組みが証明しているように、メーカーは可処分所得を持つ人々がBitoinに手を染めてみたいと思うような、比較的裕福な地域をターゲットに選んでいる。

もちろん地元の選択肢もある。例えばSatoshi Squareは、Bitcoinを対面取引できるしっかりした交換所だ。しかし、今はBitcoinゴールドラッシュにとって重要な瞬間の一つにすぎず、ATMのピークはまだ来ていない。どこの街角にも置かれるようになれば、話題になることもなくなるだろうが、それまでの間「初めてBitcoin ATMを使ってみた!」という投稿の連祷をあちこちで見せられることになりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


単純作業のみならず知的遊戯まで人間にとって代わるロボットたち(TIDWRTWHUFOO)

そろそろ人類がバッグなどに加工される時代がやってくるだろうか。TIDWRTWHUFOO(Today In Dystopian War Robots That Will Harvest Us For Our Organs)ではそういう状況に向かいつつあることについて、ずっと警鐘を鳴らし続けている。ロボットどもは人類から心臓を抜き取り、顔を盗み、内臓を抜き取ってしまう。おまけにヤツらは、肉体的ないし精神的な苦痛など全く感じずに、そうしたことを行っているのだ。

今回のTIDWRTWHUFOO。まずは人間そっくりに金属などのパーツを磨くロボットを見ていただきたい。不必要にすり減らないようにする、職人らしい操作が素晴らしい恐ろしい。ロボットが、人間にかわって単純作業を行ってくれるというのなら、それは人間にとってもメリットのあることだ。面倒な仕事はすべて人間にかわって行ってくれるようになるかもしれない。しかしそれは同時に、仕事すらしない人類が、「無駄」なものとして「処置」されてしまうことにもつながるのだ。

仕事がなくなれば、人間はより文化的な活動を行えば良いのではないかと考える人もいるかもしれない。たとえばスポーツだ。ロボットが仕事を行うなら、人間はサッカーやダンスに興じてはどうか。しかしこの分野についてもロボットが台頭している。よく知られているのはNAOだ。シンプルなヒューマノイドロボットで、研究者の間では有名なRobotsLabの開発によるものだ。RobotsLabは、人類に残されたレクリエーションまでロボットのものにしようと暗躍している。

最終的にはロボットは人類を所有物のように扱いはじめるのだろう。バナナのように食べられてしまうことだってあるに違いない。その時代はもうすぐそこまできている。参考までにこの下のiStructを見てみて欲しい。「バランス」というのは非常に微妙なもので、機械には難しいものだとされてきた。しかしもはやこの分野でもロボットは「完璧」に近い能力を発揮するまでになっているのだ。

あるいは、「知的な遊びは人類のものだ」などと寝ぼけたことを言っている人がまだいるかもしれない。それではルービック・キューブの世界最高記録を達成したロボットをお見せしよう。その速度はなんと3秒だ。製作者はDavid GildayとMike Dobsonだ。彼らは人類の生み出した、人類のための楽しみを、自分たちのプライドのためにロボットに明け渡してしまっていることをお伝えしておきたい。恥を知れ!

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(翻訳:Maeda, H


Arduinoを小さなOLEDモジュールに縮小したMicroview–画期的でとても多用途

Arduinoをうんと小型化して、それにとても小さなOLEDディスプレイをつけて使いたいと思ったことのある人、手を上げて。おや、ほどんど全員だね。ここでご紹介するMicroviewは、今Kickstarterに出ている“チップサイズの”Arduinoで、お値段は45ドル。何ができるのか? ありとあらゆることができるよね。

マイクロコントローラと、多種類の入力がある。そしてその出力、すなわちディスプレイをあなたのソフトウェアがドライブする。入力側にいろんなセンサをつければ、どんなに珍妙なプロジェクトでも作れるだろう。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Microviewのプログラミングはいろんな方法でできるが、作者のGeek Ammoはシリアル→USB変換用のプログラマーを10ドルで提供している。小さいからウェアラブルに最適だし、ロボットの脳やセンサシステムにもなる。車やコンピュータやそのほかのツールの、環境データ表示用にもよいだろう。

作者は2012年のNinja Blocksプロジェクトと同じ人たちなので、とっても適任だ。

こういうちっちゃいArduinoは、ぼくも大ファンだ。日頃、大きな基板状のプロダクトばかり見ているから、こんなに小さくてフルサイズのモジュールと変わらない能力があるなんて、ほんとに感動的だ。Kickstarterの目標額はとっくに超えているようだから、8月発売も間違いないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


シュート練習の成績を自動的に記録する、バスケットボール専用のスマートウォッチ登場

バスケットボールが上手だとは言えないが、それでもプレイするのは面白い。熱心に練習していた頃に、Hoop Trackerスマートウォッチがあれば、もう少しましなプレイヤーになれたのかもしれない。このHoop Trackerは一般的なスマートウォッチとは違って、バスケット専用のものとなっている。シュート回数や成功率などの分析を行ってくれるものなのだ。現在は、Kickstarterキャンペーンを展開中。説明によれば、練習時間および消費カロリーといった一般的なものに加え、3ポイント、フリースロー、フィールドゴール成功率なども記録・分析してくれるそうだ。

連続使用でバッテリー持続時間は7時間。重さは65gほどしかない。オフハンド(シュートする側でない腕)に装着して利用する。実際の練習にあたっては、バスケットゴールに「Shot Detector」というハードウェアも取り付ける。これによりシュートが入ったかどうかをチェックするわけだ。これをセットしておくことで、シュートの成否を自分で記録したりする必要がなくなる。リングないしバックボードには当たったものの、ネットを通過しないものをシュート失敗としてカウントしている。すなわちエアボールとなったものは失敗として記録されないことになる。

データ記録の有効範囲は14mほどとなっている。データはHoop Trackerのデスクトッププログラムにも送られる。ここで自分の友人と成績を競ってみることなどもできる。またコーチモードではダッシュボードにて同時に15名までのデータを管理できるようになっている。ダッシュボードにはどのエリアからのシュートが最も入りやすいのかなどのデータが表示される。シュート位置毎の成功率記録をチェックすることもできれば、あるいは一度のシューティング練習セッション中の成功率を過去のデータと比較したりすることもできる。

データは、アプリケーションを使わずともスマートウォッチ上で確認することができる。但し、さまざまな分析を行いたいのであれば、データをネットワークにアップロードしておくのが便利だ。得意なプレイを繰り返して時間を潰すのではなく、練習が必要なポイントを明確にして、より効率的な練習を行うことができるようになる。

Hoop Trackerの目標調達額は10万ドルだ。本Kickstarterキャンペーンでは、スマートウォッチおよびUSBコネクター、シュート検知のためのデバイス、そして検知用デバイスをリングに取り付けるためのポールも含めて99ドルからの価格で入手することができる。キャンペーン後の価格は199ドルを予定しているのだとのこと。キャンペーン成功の暁には、9月からの出荷を予定しているのだそうだ。こうした単一目的のデバイスは確かにニッチなものではある。しかしバスケットボール関連市場は大きなものであるし、またプロの世界に広がっていく可能性もあるだろう。こうしたニッチデバイスも、ウェアラブルのひとつの方向性として広がっていくのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Emberは、56個のLEDで深夜の撮影を改善するiPhoneケース


新機種が出るたびに、iPhoneは夜間の写真撮影が得意になり、人を幽霊のように写さなくなってきた — とはいえ、それも1つか2つのLEDで出来る範囲内のことだ。

では、小さなLEDが56個付いたらどうだろうか。EmberはiPhone 5/5s用のケースで、バックパネルにばかばかしいほど明るい照明を追加してくれる。

「ちょっとまった!」とあなたは叫ぶだろう。「写真を撮るたびにLEDを56個も発光させたらiPhoneのバッテリーがなくなってしまうんじゃないか」。

そうだろう・・・もしEmberが自前の2200mAhバッテリーパックを内蔵していなければ。このためにLED単独よりもケースが少々太めになったが、iPhoneに負担をかけたり充電する必要なしに、連続4時間の照明が可能になった。

開発者のテストによると、このLEDパネルは、iPhoneのフラッシュの約10倍の光を供給する。光量を調節することも可能だ — LED 56個の光がちょっと強すぎる時は。

iPhoneのソフトウェアと連動する代わりに、Emberのライトパネルは物理的スイッチによってオンオフされる。これは内蔵フラッシュと比べてスマートではないかもしれないが、ケースを外して自由に照明をあてることもできる(あるいは、理論的には超明るい懐中電灯にもなる)。

ちなみに、ケースの頂部は取り外し可能なので、サードパーティー製のアドオンレンズを装着可能だ — さらに、もしすてきな写真をとりたいときのために、三脚マウントをつけるためのコールドシューマウントもある。

落とし穴? 多くの気の利いたiPhoneアクセサリーの例に漏れず、これはKickstarterプロジェクトだ — そして目標金額まであと1万1000ドルでキャンペーンの残り時間がわずか42時間ということは、プロジェクトが成立しない可能性もあることを意味している。

“Early Bird” Ember(暖色フィルターと三脚アダプター付)に間に合えば59ドル。これがなくなると価格は79ドルに跳ね上がる — そして一般販売価格は90ドルを予定している。

Emberで撮った写真がどう見えるか気になる人のために、比較写真を下に貼っておいた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


エレベーター内で「魅惑の深海パーティー」開催を目指すDigigage

さて、これは流行するのだろうか。これというのは、テルアビブのDigigageが開発したエレベーター用のデジタルスクリーンだ。エレベーターを使って「乗客を深海に誘う」プロダクトだ。確かにこれがあれば、たまたま乗り合わせた人と過ごす気まずい雰囲気を和らげることになるかもしれない。

このスクリーンは、エレベーターの壁に埋め込むタイプのものだ。このスクリーンに映し出される映像はエレベーターの動きに感応して上下に動くことで、インタラクティブなデジタル壁紙として機能するわけだ。サンゴ礁の海に潜ったり、あるいは浮上していって、現実の世界に出てくることになるわけだ。尚、スクリーンには最新ニュースなどを併せて表示することもできる(メイン画面でも、もちろん海以外のものを表示することもできる)。

かなり大きな仕掛けだが、事業展開の可能性はどれほどのものだろう。Digigageは強気の姿勢を見せている。

「エレベーター市場におけるコンテンツおよび各種情報取り扱いのプラットフォームとして攻勢をかけていくつもりです。たいていのエレベーターに取付可能で、利用者の満足度向上を狙うことができます。新たなコミュニケーションを生み出す可能性もあるでしょう」と、CEOのJonathan Einavは言っている。

プロダクトはまだうまれたばかりで、いろいろと機能改善の余地もありそうだ。今のところは相当に高いビルでなければ面白みが感じられないかもしれない。これまでも高層階用エレベーターを中心に、内部に小さなテレビをつけるという事例はみられた。このテレビを見ていれば、狭いエレベーターの中ながら、他の人との交流を避けて自分の世界に入り込むことができた。そうした小さなテレビの発展形にあたるものであるわけだ。エレベーター・フィッシュをあちこちで目にすることになるのかどうか、今後を見守っていきたい。

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(翻訳:Maeda, H