楽天Edyがウェブ明細にようやく本格対応、家計簿アプリが便利になりそう

えっ、今まで対応してなかったの? という感じだけれど、プリペイド型電子マネー「楽天Edy」の利用履歴が、ウェブから気軽に取得できるようになった。楽天Edyの利用履歴はこれまで、楽天EdyアプリもしくはFelica/パソリが使えるPCから、直近6履歴(!)だけしか確認できなかったのだ。本日24日から、「楽天スーパーポイントがたまる設定にしている楽天Edyカードおよびおサイフケータイ」に限り、楽天Edyのサイトから最大4カ月分の履歴が閲覧できるようになった

Edyでウェブ明細が閲覧できるようになったことは、家計簿アプリのユーザーにとって朗報だろう。銀行口座やクレジットカード、電子マネーの入出金記録を自動取得する家計簿アプリについては、EdyのID情報を登録すれば明細データを自動取得できるようになるからだ。

Edyの発行枚数は8700万枚と、同じプリペイド型電子マネーのSuicaの4557万枚(2014年1月時点)やWAONの4210万枚(2014年6月時点)と比較すると倍近く多い。主要コンビニをはじめとする全国38万以上の加盟店で使えるので、家計簿アプリユーザーとしては出金の入力がグッと便利になりそうだ。

24日には、さっそくマネーフォワードが楽天Edyのデータ自動取得に対応した。今後、Edyのデータは手入力することなく、食品や日用品などのカテゴリーに自動分類される。マネーフォワードのユーザーは、出金履歴を自動入力してくれる便利さのあまり、現金支払いをクレジットカード払いに切り替えるユーザーが増えているらしいが、今回の連携でEdy利用が進み、ますます現金支払いの頻度が減りそうだ。マネーフォワードはクラウド型会計ソフト「MFクラウド会計」でもEdyのデータ自動取得に対応している。

入出金記録を自動取得する家計簿ソフトとしてはこのほか、「Moneytree」がEdyへの対応を表明。Zaim創業者で代表取締役社長の閑歳孝子も、「ユーザーからの要望が多く、まもなく対応したい」と話している。

【追記 18:00】MoneytreeもEdyに対応した。


Grouponのロングテールを広げたDIYツールDeal Builder、待たれる国際展開

【抄訳】

Grouponは、ビジネスを拡大して単なる安売りクーポンだけでなく、地域商業にも手を出していきたい(Apple Payがその機運を作るだろう)。そしてそれによって、オファーの成長を維持したいのだ。そのための努力の一環としてGrouponは、2月に立ち上げた、お店がクーポン企画をDIYできるツールDeal Builderをアップデートする。お店はこのツールを使えば、オファーをアップロードするところまで自分でできるから、Grouponの営業がいなくてもよい。

今回のアップデートで、これまでDIYの対象外だった、しかしGrouponの最大のカテゴリーでもあるレストランが、企画を自作〜アップロードできるようになった。またレストランだけでなく一般的に、企画中の品目数、写真、テキストなどを前よりも増やせるようになった。つまり、1)お客さんがいろいろ選べる、2)画像がきれい、3)説明文が魅力的、以上によって利用する企業とお客さんの両方を増やしたいのだ。

これまでDeal Builderで最人気のカテゴリーは、写真、自動車、美容と健康、レジャーと運動(フィットネスなど)、小売とショッピングだった。

しかし今のGrouponは売り出し企画の半分以上が合衆国以外という世界企業なのに、Deal Builderが使えるのは今だに北米地区だけなのだ。

Grouponによると、Deal Builderがローンチした2月以降は、それを使って25000の売り出し企画が作られた(2-8月)。今年のQ2の決算(4-6月)では、全世界24万件のオファーのうち北米が10万5000だから、Deal Builderは北米地区の1割強の売上に寄与しているものと思われる。

またこのツールにより、(最初のねらいどおり)人力営業が割に合わない小さなお店や、あまり頻繁にセールをできないお店もGrouponを利用するようになっている。Deal Builderで作られたオファーの95%が、Grouponの新規ユーザなのだ。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


PayPal、デジタル商品の販売にBitcoinを利用可能に

ウェブの重要な販売業者やプラットフォームにおけるBitcoinの勢いが加速している。

数週間前、PayPal傘下のBraintreeがデベロッパー向けに、Bitcoinベースの取引きを可能にした際にほのめかしていた通り、PayPalは、デジタル商品の売り手によるBitcoinの利用を可能にした

PayPalはかなり前からBitcoinに興味を示しており、eBayのCEO John Donahoeはかつて、Bitcoinは同社の将来にとって「重要な役割」を果たすと発言していた。今やOverstockからWikipediaまで、大物プレーヤーがこの暗号化通貨を取引きや寄付の手段として取り入れるており、PayPalも一歩踏み入れた形だ。

BitPay、CoinbaseおよびCoCoinとの提携によって、PayPalは同社の売り手がデジタル商品の取引にBitcoinを利用できるようにする。ただし、これは、PayPalのデジタルウォレットにBitcoinが加わるわけではなく、また当面は北米のみで利用できる。まだ、小さな一歩だ。

「デジタル通貨業界は非常に大きな支持を受けた」とGoCoinのCEO Steve Beauregardは言った。

PayPalは、紹介手数料の形で取引き売上を得る。これは支払いの世界ではよく見られる方式だ。

「PayPalは仲介者の役割を担うが、料金は売り手と支払い処理業者に任されている」と、PayPalの競合他社情報・経営戦略担当シニアディレクターのScott Ellisonは語った。

数週間前のTechCrunch Disruptで、BraintreeのCEO Bill Readyは、Bitcoinを支払い手段の一つとしてSDKに加える、と話した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


数百万ストア開設の第一歩に–STORES.jpがフォロワー機能を導入

先週アドオン機能の提供で大企業や中堅企業向けにサービスを拡大すると発表したばかりのオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。ショップオーナーの拡大施策の次は、そのショップのユーザー拡大のための施策を実施する。同社は9月17日、STORES.jpにフォロー機能を導入した。

この機能は、Twitterや各種SNSにある「フォロー」と同様に、STORES.jpのオンラインストア同士でフォローしたり、STORES.jpのIDを持つユーザーがお気に入りのストアをフォローしたりすることができるというもの。フォローしたストアの更新情報はタイムライン形式で閲覧できるため、お気に入りのストアの新着商品などを時系列に閲覧することができるようになる。利用にはSTORES.jpのIDが必要となる。なお、IDを作ると、自動的にストアが開設できる状態になる。

ブラケット代表取締役の光本勇介氏

STORES.jpは、どうしてECなのにフォロー機能を導入したのか? ブラケット代表取締役の光本勇介氏は、これが「STORES.jpのストア数を大きくジャンプさせるための施策になる」と説明する。

1人1アカウントの世界を目指す

光本氏はSTORES.jpを開始した頃から、「FacebookやTwitterのように、STORES.jpのストアのアカウントを1人1つずつ持つようにしたい」ということを語っていたのを覚えている。

現在STORES.jpのストア数は12万件。確かに数字的にはすごいのだけれど、当初語っていた1人1アカウントの世界はまだ遠い。そこで、まずはフォロー機能でお気に入りのストアの更新情報を閲覧できるといった利便性を提供することで、ID(STORES.jpはIDがあればいつでもストアをオープンできる)やトラフィックを増やし、最終的にストアの拡大を狙うという。

IDを利用するメリットは何もフォロー機能に限った話ではない。ユーザーがSTORES.jpで作られたストアで商品を購入する際、IDを持っていなければ買い物の都度配送先の住所や氏名を入力する必要があったのだが、IDと紐付けて保存すれば、一度入力した配送先情報をすべてのストアで自動入力できるようになる。

最近ではSTORES.jp同様にオンラインストア構築サービス「BASE」を展開しているBASE代表取締役の鶴岡裕太氏が、国内のストア数を30〜40万店舗、海外あわせて100万店舗といった具体的な数字の目標を各種イベントやインタビューで語っている。光本氏はこういった数字を意識しているようで、「(フォロー機能の導入は)40万店舗を市場の天井にするか、何百万店舗にするかの勝負の始まり。まずはSTORES.jpのカルチャーを作らないといけない」と語った。


モバイルブラウザZurfではページ上に付箋紙を貼り付けてソーシャルなおしゃべりができる

【一部要約】

オンラインショッピングを“ソーシャル”にする試みが、これまでいろいろあった。ChromeやFirefoxのプラグイン、それにブラウザのオーバレイもあったが、…うまくいったものが一つでもあったのか、そのへんが、あやしい。

今年のTechCrunch Disrupt San Francisco 2014に登場したZurfは、考え方が違う。彼らのコンセプトはちょっとおもしろいし、いくつかの問題を解決している。

Web上の小売の品目を分類し共有するサイトは、PinterstやWanelo、Fancy、Fab、Polyvoreなどを筆頭にたくさんある。でもZurfが着目したのは、商品のリンクをSMSなどで共有する古いタイプのユーザがまだ多いことだ。古いとは、ソーシャルネットワーク以前、ソーシャルメディア以前、という意味だ。

しかしそのやり方は面倒だし、管理が困難だ。そこでZurfは、この問題を解決するために、モバイルデバイス上でソーシャルなショッピングが簡単にできるツールを作った。

Zurfが作ったのは、画面上のアイテムに簡単にマークをつけることのできるAndroidおよびiOS向けのブラウザだ。マークは下図のように付箋紙に似ていて、これをzNoteと呼んでいる。WebブラウザとしてZurfを使う決心をしたら、ユーザはどんなWebサイト上でも、好きなアイテムを長押しすれば、zNoteでマーキングできる(画像に小さなアイコンが表示される)。そのzNoteにメッセージを書いて友だちに送れば、そのページのリンクも同時に送られる。

その友だちもZurfをインストールしていれば、リンクはプッシュ通知で直接Zurfアプリへ送られ、通知のアクションとしてマークしたページが自動的に開く。マークとしてつけたzNoteは、友だちが開いたページ上にもある。そのzNoteをタップすると、友だちはあなたのメッセージを読めて、同じzNoteの上で返事を書き送ることができる。

友だちがZurfをインストールしてなければ、リンクはSMSやメールで送られる。そして通常のブラウザでそのページが開くのは当然だが、なんとその上で、zNoteをリードオンリーで見られる。Zurfをインストールするとき、Smartbannersやモバイルのオーバレイを使うオプションがあるので、そのお友だちもzNoteと対話できるのだ。

Zurfはダウンロード〜インストールするだけで、アカウントの取得などはないから、新しいアプリをインストールしたり、ブラウザを変えたりするのにビビる人でも、比較的気安くユーザになれるだろう。ブラウザというより、友だちとだべりながらショッピングできる新しい通信アプリ、と言うべきか。

Zurfがおもしろいのは、あくまでもインラインで、つまりそのページ、その品物の上でマーキングできることだ。別途、特殊なウィンドウやダイアログやポップアップ等が現れたりしない。Pinterestなど別のページへ行かされたりもしない。協同ファウンダのShahin Shadfarは、ユーザを自社のページ上に滞留させるこの機能は、企業側も気に入るだろう、と言っている。

ぼくは、さらに一歩進んで、企業がホワイトレーベル的にZurfを使うようになれば、新しいアプリやブラウザをインストールするユーザの負担〜気重さがなくなって、理想的にZurfの利用を普及できるのではないか、と感じた。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Twitter、「Buy」ボタンを実装していよいよコマース分野に本格参入

レポートや噂にあった通り、Twitterがいよいよコマース分野への進出を果たしたようだ。

同社のコマース分野への進出は、TicketmasterのCEOであったNathan Hubbardと招き入れ、コマースチームの運用を任せたときから現実的なプランとなり始めたものと思われる。以来、この分野におけるスペシャリスト達の採用を続けてきた。さらにはBuy Nowボタンのモックアップなども出てきた。そして夏を過ぎ、いよいよホンモノの登場となったようだ。

Twitter社も公式ブログにて「Buy」ボタンのテストを開始した旨をアナウンスしている。同社によると、このテストは「ごく一部のアメリカ人利用者を対象(対象範囲は今後拡大していく予定)」としているのだそうだ。テスト対象となっている利用者は、もちろんTwitterから直接に商品の購入ができるようになっている。ツイートで何か良さそうなプロダクトが紹介されていれば、「buy」をおせば詳しい情報が表示され、そして支払い方法や商品の送り先を入力して購入することができる。この情報はもちろん暗号化されていて、再利用のために情報が記録されるようになっている。これをすべてTwitter内で完結することができ、ツイートを見ながら何度かタップをするだけで、商品購入ができるようになるわけだ。

テストはモバイルアプリケーション上でまず開始されているが、デスクトップ版にも導入予定であるとのことだ。

このBuy機能の実現にあたっては、ソーシャルショッピングのサービスを展開しているFancyや、デジタルコンテンツの販売を行なっているGumroad、エンターテインメント系のコマースサービスを展開しているMusictoday、そして支払いサービスを提供しているStripeなどと提携している。プロダクトの提供者としてはアーティスト(Demi Lovato、Eminem、Pharrell)、非営利組織(Donors Choose、Glide、RED)およびバーバリーやホームデポなどの小売サービスなどが対象となっている。

Gumroadのファウンダー兼CEOであるSahil Lavingiaは、Twitter上でのコマース機能の提供について1年以上も前から話を続けてきたのだそうだ。「実現可能性ということではなく、いつ実現するのが良いだろうかというような話をしてきした」とのこと。もちろんこのGumroadも販売を行うサービスのひとつに含まれている。Lavingia曰く、Stripeを活用した音楽販売などに非常に有効だろうと考えているとのこと(他の分野でも魅力的なコマースサービスとなるよう、いろいろと考えているところだそうだ)。購入時はすべてがTwitter自身のサービスであるように見え、レシートを見るまでは他のサービスが介在しているようには見えないものとなっている。

さらにLavingiaは、商品購入が「とてもシンプルに、かつ簡単に行えるということには非常に大きな意味があるのだ」としている。「Twitter内購入の仕組みにより、簡単かつ迅速なプロセスがさらに広まっていくだろう」と述べている。

Twitterは「ショッピングをモバイルデバイスから簡単かつ楽しみながら行うことができるようにする最初のステップです」と述べている。購入できるプロダクトは、さらに拡大していくこととなるのだろう(マーケットプレイスの提供にも興味を持っているらしいという噂もある)。

こうした動きは、直接的な収益向上のにも繋がるし、またコマース分野が育っていくことになれば、コマース関連サービスのTwitter利用頻度も上がるだろうし、また広告活動もより活発になっていくだろう。

ちなみに、Facebookの方もコマースプラットフォームの構築に動いているという話もある。

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(翻訳:Maeda, H


味気ないネットショッピングをプロの店員がいる「本物の」ショッピング体験に近づけるEdgecase

Edgecaseは、ネットショッピングを、もっとフレンドリーに、もっとお利口に、そしてできれば、お客のニーズをよく理解し商品知識も詳細豊富なプロの店員さんがそばにいるような、体験にしたいと願っている。

同社はこれまでCompare Metricsという名前だったが、今日(米国時間8/26)からEdgecaseと名前を変えて、サービスの内容もアップグレードする。

Edgecaseのねらいを理解するための補助線として協同ファウンダでCEOのGarrett Easthamは、ネットショップのコンバージョンレート(conversion rate, 実買率, CR)は物理店のそれにくらべてものすごく低い、という話をした。そしてその原因は、ネットショップを本物の商売人ではなくてデータベースの技術者が設計しているからだ、という。

同社のプロマネでマーケティングも担当しているVP Lisa Robertsは、ネットショップでは商品についてブランドとサイズと値段ぐらいしか分からない、消費者が商品について得る情報が貧しすぎる、と言う。最初から買うものが決まっている人は、それでもよいかもしれないけど、ネット上をぶらぶらしながら何かを見つけようとしている人、つまりウィンドウショッピングをしている人にとっては、買い気をそそるものがない。

そこでEdgecaseは、ネットショップの経営者に、消費者にはもっとましなナビゲーション体験を提供せよ、と迫るのだ。まず、お客が欲しがっている物に関するもっと詳しい商品情報を受け取り、それに対し、人間が語りかけるような言葉で応答する必要がある。お客がブランドとサイズだけをお店に伝えるのは、楽しいショッピング体験とは言えない。物理店でなら「これよりもちょっと短くて黒のカクテルドレスが欲しいの」、と細かく具体的に言える。あるいは、「今度友だちの結婚式で着るの」とか、「卒業式に何を着たらいいかしら?」と、プロの店員を信頼しながら、おすすめを待つだろう。Edgecaseではこういった雑多な情報を、ネットショップに伝えることができる(下のデモビデオを見ていただきたい)。

Edgecaseを利用しているネットショップには、買い物体験を良くするための、そのほかの工夫もある。たとえば、指定を変えると結果がすぐに出るから、消費者は今回の買い物において自分が正しい方向に進んでいるか、あるいは脇道にそれたかが、すぐにわかる。また指定項目のどれかに『これは絶対』をマークすると、その指定にかなっているけど、ほかの(重要度の低い)指定は満たされていない物を、その後の候補から消さない。好きなのを見つけたけど、それを言葉で指定できないときには、『こんなの』というボタンをクリックすると類似商品をみんな見られる。

Edgecaseはこういう細かい情報処理を、機械学習と人力を併用して行う。詳しい商品情報はショップから提供されるが、同社のアルゴリズムはそれらをいろんな概念でくくり、整理し、そして人力スタッフは、人間的な言葉でそれらのデータが買い物客に伝わるようにする。

Edgecaseはさらに、EndeccaやSolarなどの、既存のeコマース検索ツールも利用する。アプリのモバイル化も、今進めている。

Edgecaseの顧客は、Crate & Barrel、Wasserstrom、Urban Decay、Golfsmith、Kate Somerville、Rebecca Minkoffなどだ。中でも化粧品のUrban Decayの場合は、CRが16%上がったそうだ。

同社はAllegro Ventures、Austin Ventures、Floodgate、Hurt Family Investments、Mack Capital、それに多数のエンジェル投資家たちから800万ドルを調達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


bento.jpは単なる弁当デリバリー屋にとどまるつもりはない

「単なる弁当デリバリー屋にとどまるつもりはない」。bento.jpを運営するベントー・ドット・ジェーピー社長の小林篤昌は創業当初、こう語っていた。その言葉通り、いよいよ弁当以外の商材を扱うこととなった。オイシックスと協業し、主菜と副菜が20分で作れるレシピと食材の献立セットを期間限定で配送する。ランチタイムに自転車で弁当を届ける配送網を、16時以降の「空き時間」に有効活用する狙いだ。売り上げは両社でシェアする。

サービス名称は「KitOisix by bento.jp」。8月25日から29日までの16時以降、bento.jpのアプリ内から2人分の主菜と副菜のセットを注文できる。メニューは日替わり。初日となる25日は、主菜が「豚肉のこっくり照り焼き」、副菜が「ほくほく!ツナポテト」となっている。価格は配送料込みで1400円、配送エリアは弁当と同じで渋谷区と港区の一部エリア。注文から40分以内に届く。

bento.jpはスマートフォンで注文してから20分以内に弁当が届くサービスとして、2014年4月にサービスを開始。iPhoneアプリで住所や電話番号、メールアドレスなどを事前に登録した上で注文すれば、20分以内に自転車で指定の場所に弁当を届けてくれる。現在は常時10人以上のスタッフで配送する体制を整えている。

今後は自転車の配送網を有効活用すべく、食以外の商材も扱っていきたいという。ちなみに小林は、7月に福岡で開催されたイベント「B Dash Camp 2014」において、弁当以外の商材として「医薬品」を候補に挙げている。薬が欲しいタイミングでは家から外に出るのが困難なためだといい、実現すればニーズはありそうだ。

消費者が必要なモノやサービスを必要な分だけ即座に購入できる「即日配達ビジネス」は、GoogleやAmazon、eBayといったアメリカのIT業界の巨人が続々と参入している分野だ(関連記事:GoogleやAmazonも参入、熾烈を極める米国の即日配達ビジネス、日本の可能性は?)。

日本ではヤフーも参入。東京・豊洲地区の実店舗と提携し、Yahoo!ショッピングで注文してから2時間以内で商品を届ける「すぐつく」の実証実験を5月に開始した。同社執行役員の小澤隆生は5月、札幌で開催されたイベント「IVS 2014 Spring」で「大赤字」と赤裸々に語りつつ、その狙いを明かしている。(関連記事:ヤフーが大赤字でも「2時間配送」にこだわる理由)。ベントー・ドット・ジェイピーも「数時間配送」のネットワークを強化していくようだ。

photo by
David Rader II


ドローン配送のPrime AirにAmazonは本気だ―NASAの宇宙飛行士など多数の人材獲得

ドローンを利用して注文から30分で配達するAmazonの野心的プロジェクト、Prime Airに重要な動きがあった。Prime Airはマーケティングのための話題作りなどではないらしい。Amazonは最近宇宙航空工学の分野における重要人物を何人もスカウトした。この中にはNASAの宇宙飛行士やMicrosoftの研究者、さらにはGoogle Earthの元となったスタートアップ、Keyholeの共同ファウンダーまで含まれる。

AmazonがこのタイミングでPrime Airにテコ入れを図る理由は何だろう?

Jeff Bezosはは昨年のクリスマスを控えた時期にCBSの60 Minutesのインタビュー中で派手にドローンによる配達計画、Prime Airを発表した。インタビューしたベテランのレポーター、Charlie Roseはドアをくぐった先にPrime Airのドローンが鎮座しているのをみて「これはなんと!」と驚きの声を上げた。

多くの専門家はCBSの報道に疑問を抱いたHacker NewsなどはPrime Airは「ベイパーウェア」、つまり単なる話題作りのためのプロジェクトで現実性はないと批判した。またFAA(連邦航空局)もPrime Airに友好的ではない。去る6月にFAAhはPrime Airを名指しでドローンを商業的配送に利用することをを禁止した。

しかし、今回の人材スカウトを考えるとそうした否定的な見方には疑問符がつく。

スカウトされた重要人物

7月にAmazonは機械学習の専門家で、Bingの精度を劇的に改善したMicrosoftの研究者チームのリーダー、Paul ViolaをPrime Airのサイエンス担当副社長として採用した。LinkedInのページによると、ViolaはBingの広告チームも指導し、売上を大きく増大させるのに貢献したようだ。

もう1人の重要人物はPrime Airのシニア・マネージャーに採用されたAvi Bar-Zeev,だ。Bar-ZeevはGoogleが買収してEarthに作り変えたスタートアップ、Keyhole, Inc.の共同ファウンダーで、その後Microsoftでさまざまなバーチャル・リアリティーや拡張現実プロジェクトに関わった。また2013年には短期間だがAmazonに勤務して独自のタブレットの開発に協力した。それがPrime AirプロジェクトでAmazonに復帰した。

Prime AirはBoeingLockheed MartinMIT Space Propulsion Labから航空工学の専門家を採用している

またNASAの宇宙飛行士、Neil Woodwardもテクニカル・プログラム・マネージャーとして参加している。Woodwardはドローンの試験飛行、安全・リスク管理、許認可手続きなどを担当している。

Prime Air担当副社長のGur Kimchi(Googleが買収するまでクラウド・カーナビ・サービスのWazeの取締役だった)とPrime Airプロジェクトの共同ファウンダー、Daniel BuchmuellerFast Companyがプロフィールを掲載)も引き続きプロジェクトを指揮する。

腕力でスピードアップを狙う?

もちろんドローン配達がいつかは合法化されることになるのか不明だし、されるとしてもまだ長い時間がかかるだろう。しかしAmazonは断固としてプロジェクトを推し進める決意のようだ。

そのために、Association for Unmanned Vehicle Systems Internationalというドローンの利用促進を訴えるNPOの法律顧問だったGielowを公共政策チームのリーダーに据えてドローンの合法化運動を組織する準備を進めている。

また現在、Prime Airはシアトルとイギリスのロンドン、ケンブリッジで人材を募集中だ。これだけ力を入れているプロジェクトが単なるベーパーウェアとは考えにくいようだ。

アップデート: 8/20, 8 PM ET: Avi Bar-Zeevが自分のブログにこの記事に対するコメントをアップして、Amazon に復帰することを決めた背景を説明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


旅行者に海外商品の輸入代行を依頼するBackpack

欲しい薬が国内で手に入らず、個人で輸入するには非常に高くついてしまうようなケースがある。そうしたとき、その商品を扱っている国に渡航する人に頼んで買ってきてもらったりすることはよくあることだ。話は薬に限らず珍しいハムや、あるいは場所によってはiPhoneなどが対象となることもあるだろう。こうした仕組みをシステマティックに行おうとするのがBackpackというサービスだ。商品を手に入れたい人と、商品を安く運んでくることができる旅行者を結びつけようとするサービスだ。

このBackpackは、Y Combinatorが支援するスタートアップで、購入者は海外製品を安く手に入れることができるようになる。購入者は商品を持ってきてくれる旅行者に手間賃を含めた代金を支払う。

商品のオーダーはBackpackのサイトからAmazonやEbayを検索して指定するか、あるいは商品リンクを示すことで行う。旅行者に支払われる手間賃は商品のサイズなどによって変化する。共同ファウンダー兼CEOのFahim Azizによると、複数の商品を取り扱うことで、旅行者側の取り分は250ドルにもなるケースがあるとのことだ。

サイトにアクセスすると、まずTravel(旅行者)かShop(購入者)かを選ぶようになっている。Shopの方を選ぶと商品を探して購入依頼を出すことになる。尚、商品を指定する際には条件や、販売国を指定することもできるようになっている。欲しい商品の指定が終われば、条件にかなう商品を提供できるTravel側の利用者が名乗りをあげることになる。こうして売買が成り立つわけだが、支払いはBackpackのエスクローの仕組みを利用して行う。

支払方法としてはPaypal、小切手、銀行振込などに対応している。

ちなみにサイトでTravelを選ぶと、旅行をする日と場所が共有されることになる。Shopを選んだ人の商品購入地指定が合致する場合、旅行者に希望商品がある旨の通知が送られることとなる。旅行者側は、自分のステータスに合致する商品があった場合、そのリクエスト商品を受け付けるかどうかにつき、6時間以内に返答することとなっている。Azizによれば、現在のところは3分の2程度の商品リクエストが受け付けられているそうだ。利用者が増えればより多くの商品リクエストが受け入れられるようになるだろうと見込んでいる。

このBackpackがスタートしたのは2月のことだ。主な利用者はバングラディッシュで、徐々に中国にも広まりつつあるところであるとのこと。サービスを開始して1週間のうちに、86ヵ国から7万の閲覧があったとのことだ。そして毎週15%ずつの伸びを示してもいるそうだ。

尚、本サービスについては元GoogleのNash Islamからのアドバイスも受けて、買い手がいる国を訪問する旅行者がいる場合にのみサービスを提供する方針をとっている。しかしそうした制限にもかかわらず、中国や南米、あるいはヨーロッパにもサービスの提供地域を拡大しつつあるのだそうだ。

ちなみに何か問題が生じたい場合、Backpack側にて問題に対処するというのが基本方針であるようだ。しかしいまのところは、保証方針などはサイト上に明示されてはいない。

「商品デリバリーのサービスの亜種であると考えている人もいるようです。しかし私達のサービスはさらなる可能性を含むものだと思うのです」とAzizは言う。「単なる購買サービスではなく、より多くの可能性を含むものだと考えています」とのことだ。

世界中に利用者が増えるような事態になれば、サービスの有用性は増すこととなる。サービス事態はシンプルなものであるが、可能性を含むものであるということもできるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


お店のショーウィンドウのマネキン人形と商店街の買い物客がBLEビーコンで対話…イギリスで実用テスト始まる

ショーウィンドウの中のマネキン人形が、通りすがりの買い物客のスマートフォンに商品情報を送る、という試みがイギリスの3つの小売店で行われている。

そのための基本技術VMBeaconについては、今年の初めごろにご紹介したが、それはマネキン人形やそのほかの商材が、消費電力の少ない室内用Bluetooth(Bluetooth Low Energy, BLE)送信機を持つことによって、これまでのいわゆるウィンドウショッピングを‘クリックをして買い物をする’行為に変えてしまうのだ。

店主はまた、展示物と買い物客たちとの対話的なやりとりの記録を、あとで分析できる。ただし、アプリ(Iconeme)のユーザは、お店と共有してもよい個人情報(年齢、性別、居住地域など)を事前に限定できる。

VMBeaconIconemeを作っているスタートアップが、今日から実際の店舗でのテストを開始した。テストに参加したお店は、アバディーンのHouse of FraserのOnline Store(←物理店舗の名前だ)、ロンドンのHawes & Curtis、そしてキングストンアポンテムズのBentallsだ。いずれも、同社がパートナーしているイギリスと合衆国の小売企業のお店だ。

まず最大の問題はIconemeのユーザアプリ(iOSまたはAndroid)をダウンロード〜インストールしてもらうことだ。だから完全にオプトインマーケティングだが、普及浸透に時間はかかっても、スパムとして嫌われるおそれはない。

ユーザが、VMBeaconを発しているマネキン人形から50メートル以内に接近すると、自動的にアラートが着信する。送られる情報は、その服の素材、アクセサリ、値段、Webサイト上で買えるためのリンク、店内にそれがある場所など、何でもよい。もっと詳しい写真や情報を送ってあとで見てもらってもよいし、友だちとシェアしてもよい。別の特売品やサービス企画の情報へのリンクがあってもよい。

ABI Researchの最新の調査によると、Bluetoothのビーコンが使えるデバイスの市場は5年後に6000万台に達する。その低電力送信装置が当面の市場としてねらうのは、やはり小売企業であり、消費者サイドのメディアとしてはスマートフォンがメインだ。この技術により、地域のモバイルマーケティングチャネルが構成されることになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「色で服を選ぶ」ニーズはあるか? ファッションECサイト「IROYA」が資金調達

洋服を選ぶ基準はブランドやデザイン、価格などさまざまだが、「IROYA(イロヤ)」は毎月設定する「色」に応じて、国内外の有名ブランド品から1点モノの古着までを販売するECサイトだ。東京・渋谷にはリアル店舗も構えていて、例えば「黄」の月には黄色いアイテムだけが並ぶ。ECサイトと店舗はデータベース連携していて、ユーザーは1点モノであってもどちらからも購入できるようになっている。

ファッションECといえばブランドやカテゴリー、検索で商品を探すものがほとんどだが、果たして、色で服を選ぶニーズはあるのか? この点についてIROYA代表取締役の大野敬太氏は、「色は購入決定のすべての要因にはならないが、ブランドを知らなかったり、気分で商品を買う人のタッチポイント(入り口)になる」と説明する。会員数は非公表だが、毎月のECサイトや店舗での購入リピート率は「1〜2割」といい、これまでの流通総額は「数千万円程度」に上る。

8月11日には、金額は非公表ながらも、ニッセイ・キャピタルに対する第三者割当増資を実施したことを発表した。これに先立ち6月には、はてなやバイドゥ、DeNAなどでエンジニアを務めていた水野貴明氏を取締役兼開発統括担当として、auのINFOBARのUIを設計したことで知られる奥田透也氏を社外取締役兼クリエイティブ統括担当として迎えるなど、チーム強化を図っている。

今後は、ユーザーが頻繁に閲覧する商品の色に合わせたコーディネートを提案するアプリを投入し、売上拡大を図る。IROYAが扱うアイテムはすべてRGBデータがタグ付けされていて、「赤寄りのオレンジ」や「ピンクがかった赤」などの色による精密なソートが可能となっている。コーディネート機能では、白のトップスに関しては「ピンクがかった赤」よりも「赤寄りのオレンジ」が似合うといった「左脳的なアプローチ」で提案するとともに、自社のスタイリストによるチェックで精度を上げていくという。


カード決済のSquareが出前サービスのCaviarを9000万ドル前後で買収

今日(米国時間8/4)、Squareはフード・デリバリー・サービスのCaviarを買収したことを確認した。以前から両社が交渉中であるという情報が流れていた。

われわれは先月、SquareがCaviarを1億ドルで買収交渉中という記事を掲載した。Re/CodeNew York Timesも今週、買収が実現するだろうと報じたが、買収価格は株式で9000万ドルだとしている。

TechCruchはSquareとCaviarに問い合わせを行ったが両社とも「契約の詳細については発表できない」と回答してきた。

Caviarは最近増えているオンラインで食事を配達してもらえるサービスのスタートアップの一つだ。 多くの出前サービスがすでに出前を行っているレストランを対象としているのに対し、Caviarは独自の配達ネットワークを用意して、まだ出前を行っていないレストランを対象としているのが特色だ。今回の買収で、Caviarは今年に入ってSquareが開始した食事の注文サービス、Square Orderと連携し、これに出前機能を追加することになるだろう。

Square Orderは料理を持ち帰り用に注文するアプリだ。Squareでは当然ながら注文と配達のギャップを埋める方策を探していたはずで、独自の配達インフラを持つCaviarは格好の相手だった。

Caviarはこの4月に1300万ドルの資金調達ラウンドを実施したばかりだから、大いにスピーディーなエグジットとなった。最近、ベンチャーキャピタルはフード・デリバリーに多大の投資を行っていることが注目される。

この数ヶ月でMuncheryが2800万ドル、Postmatesが1600万ドルSpoonRocketSprigがそれぞれ1000万ドルの資金を集めており、フード・デリバリー業界の競争は激しさを増している。Caviarがいち早くSquareの傘下に入ることを選んだのは賢明かもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


GoogleやAmazonも参入、熾烈を極める米国の即日配達ビジネス、日本の可能性は?

編集部注:この原稿は内藤聡氏(@satoruitter)による寄稿である。内藤氏はEast Venturesアソシエートで、海外のテクノロジー情報を発信するブログ「シリコンバレーによろしく」を書くテクノロジー・ブロガーだ。

昨今、ベイエリア(サンフランシスコからシリコンバレーを含む一帯)ではオンデマンド系のプロダクトを目にする機会が増えてきました。オンデマンド系のプロダクトとは、消費者が必要なモノやサービスを必要な分だけ即座に購入・利用できるといった形式のビジネスで、P2Pの低価格タクシー配車サービスのuberXや、家事代行サービスのHomejoyなどが代表的な例です。また、消費者のみならず、労働者(サービス提供側)も必要な時に必要な分だけ働けるということが、この分野をオンデマンドと呼ぶ所以になっています。

そんなオンデマンド系ビジネスの中でも、とりわけオンデマンドECの分野が注目を集めており、InstacartやPostmates、SpoonRocketなどのスタートアップからGoogle、eBay、Amazonといった大手企業までがこの分野に進出しています。

今回は、米国におけるオンデマンドEC分野の主要プロダクトを紹介した後に、この分野の今後と、日本での可能性について言及していきたいと思います。

オンデマンドECとは?

オンデマンドECとは、注文された商品を最短で1時間以内(フード系であれば数十分以内)、遅くとも当日に配達するといったビジネスを指します。食品、日用品、料理のデリバリーなどが主要な分野です。

ベイエリアでオンデマンドECが台頭した背景

ベイエリアでこの分野のプロダクトが台頭してきた背景として、ベイエリアの不便な消費環境とスマートフォンの普及の2点が考えられます。

まず、ベイエリアの消費環境ですが、日本の都市部のように徒歩圏内にコンビニやスーパーが存在しないので、日々の買い物がとても億劫に感じます。食品や日用品は大量に買い貯めすることが主な消費習慣で、必要に応じてコンビニでちょこっと何かを購入するといったことができません。また、日用品をAmazonなどで購入する際も、日本のように物流インフラが整っていないため、通常配達で数週間、Amazonプライムでさえ在庫の場所によっては到着までに数日かかるのが当たり前です。

食事に関しても、日本の都市部のように少し歩けば美味しい飲食店が見つかるといった地理的環境ではないため、外食ひとつをとってもそれなりの移動を必要とします。それゆえ、自宅にいながらデリバリーを利用して食事を取る、いわゆる中食のスタイルが日本以上に好まれているように感じます。上記のような環境的な不便さを解決するための手段として、現在オンデマンドECが多くの人に受け入れられつつあるのです。

次に、スマートフォンの普及がオンデマンドECの台頭要因になったという点です。ユーザーがモバイルを通じて時間と場所を問わず商品を閲覧・注文できるようになったことや、配送状況をリアルタイムでトラッキングできることなど消費者視点の利便性向上はもちろんありますが、それ以上に労働者側の人間が1人1台モバイルを持つようになった時代背景が大きな要因であると考えます。

オンデマンド系のサービスは、配達を仕事とするパートタイムのスタッフが好きな時間に必要な分だけ働くといった仕組みが主流です。そして、彼らはタイムカードを切る代わりに、専用のアプリを立ち上げることで仕事を開始します。このように、彼らがスマートフォン経由で注文を受け取り、商品を配達するというサービスを提供できるのは、多くの働き手がスマートフォンを所有している今の時代だから機能しているのだと考えます。上記のような端末の普及がオンデマンド系のプロダクトの提供を可能にした大きな要因と言えるでしょう。

オンデマンドECの主要分野は食品、日用品、料理

続いて、オンデマンドECの分野における主要プロダクトを紹介していきます。なお、オンデマンド系のサービスは、自分で在庫を持つ形式(リテイラー型)と、在庫を持たず自前のスタッフが商品を配達する形式(ロジスティック型)がありますが、ここでは一括りでオンデマンドECとします。

Instacart

Instacartは、食品の分野に特化したオンデマンドECです。注文が入ると、Shoppersと呼ばれるパートタイムのスタッフがSafewayやWhole Foodなどのスーパーに出向いて商品を購入・配達してくれるというもの。最短1時間以内で配達してくれる上に時間指定もできるため、主婦を中心に人気を集めているアプリです。1時間以内の配達だと送料が$5.99(約600円)、2時間以上であれば$3.99(約400円)といった価格設定。年間$99(約1万円)のInstacart Expressに加入することで$35(約3500円)以上の買い物の送料が無料になります。Instacartは通常の料金より30%程度水増しして販売し利益を上げているという意見もありますが、現在は店頭価格と同様の価格の商品を見かけることが多く、各リテイラーから売上に応じてコミッションを取る形式に変更したのかもしれません。

Postmates

Postmatesは、近所のレストランやスーパーの商品を何でも最短で1時間以内に配達してくれるデリバリーサービスです。他のプロダクトと違い24時間利用できます。Postmates側がレストランのメニューやスーパーの商品等の情報を収集しており、ユーザーはその中から欲しい商品を選ぶだけで注文を完了させることができます。欲しい商品がPostmates上にない場合は、メモ形式で商品名とその説明を文章で記入し注文することが可能。商品はPostmateというメッセンジャーバイクに乗ったスタッフが配達します。料金は1回につき$5(約500円)の基本料に加え、購入額の9%と移動距離から計算された追加手数料がかかります。

WunWun

WunWunは、どんな商品でも基本的に無料で配達してくれるデリバリーサービスです。現在はマンハッタンとブルックリンでのみサービスを提供しています。注文を受付ける最低購入金額は$10(約1000円)。ビジネスモデルは、商品を購入したリテイラーや、その商品のメーカーにコミッションフィーを請求するといったもの。

Google Shopping ExpresseBay Now

Google Shopping ExpressとeBay Nowは、電化製品やアパレルなどの商品を最短で1時間以内に配達してくれるオンデマンドECです。Instacartが食品に特化しているのに対して、GoogleとeBayは、Best Buy(家電)やOffice Depot(オフィス用品)、Walgreen(ドラッグストア)、Uben Outfitters(アパレル)などで販売されている日用品を取り扱っています。Googleは1回の配達につき$4.99(約500円)で最低購入金額は要求しない一方、eBayは1回の配送料は$5(約500円)で、$25(約2500円)から注文を受け付けています。

AmazonFresh

AmazonFreshは、食品のデリバリーサービスです。大手で唯一、生鮮食品・加工食品の分野をカバーしています。年間$299(約3万円)のAmazonFresh会員に加入することで、無料で商品を即日配達してくれるといったもの。最低購入額が$35(約3500円)に設定されていますが、本やDVDといったAmazonで販売している通常の商品も合計額に加算できる仕組みになっており、食品以外の商品も抱き合わせて購入させたい狙いが伺えます。今後は、ローカルのレストランや食品小売店(パンや惣菜等)の商品の販売をマーケットプレイス形式で拡大させていくようです。

CaviaZestyDoorDash

オンデマンド系ECの分野で、特に注目されているのがフードデリバリーです。各プレイヤーが各々の基準でレストランをキュレーションし、その店舗のメニューを宅配するといったもの。Caviaは地元の人気レストラン、Zestyは健康志向のメニューを提供しています。また、多くのサービスがサンフランシスコ(ベイエリア北部)で提供されている一方で、DoorDashはサンノゼやパロアルトといったサウスベイ(ベイエリア南部)に特化しており、地理的に差別化を図っているようです。

SpoonRocketSprigMunchery

キュレーション型のものとは別に、自前でシェフを雇う、もしくはシェフと提携して料理を提供するプレイヤーも存在します。SpoonRocketは、日本のbento.jpのようなサービスで、自前で製造した料理を注文から最短15分以内で配達するといったサービスをランチの時間限定で提供しています。料理の選択肢は4つしかなく(内容は毎日変更)、価格は送料込みで一律$8(約800円)。Sprigも同様に、食材にこだわった料理を注文から最短で20分以内に届けるサービスをランチとディナーの時間に提供しています。またMuncheryは、一流シェフの料理を自宅で楽しめるというコンセプトのもと、有名シェフと提携して$10(約1000円)前後の料理を調理・配達しています。『俺のフレンチ・レストラン』のデリバリー版と説明すると分かりやすいかもしれません。

オンデマンドECの今後と日本での可能性

上記のように、現在では食品、日用品、料理といったジャンルを中心に数々のプレイヤーがオンデマンドECの分野でサービスを提供しています。そして今後も、主に以下の3つの形式でスタートアップが新たにこの分野に参入する余地があると考えています。

1つ目は、提供する商品を特定の分野に絞ることで品揃えの幅を広げ、ユーザー体験を向上させる形式。アルコールの販売に特化したMinibarDrizlyが良い例です。

2つ目は、同業者がまだカバーしていない地域でいち早くサービスを開始し市場を獲得する形式。サービスの提供地域をサウスベイに絞っているDoorDashや、シアトルに特化しているPeachなどが良い例です。

3つ目は、購入方法に差別的要素を加えるといった形式。例えば、深夜帯の配達に特化したものや、共同購入を可能にさせるスタートアップが出てくるかもしれません。

一方、日本でオンデマンドEC系のビジネスがスケールするのかといった点も気になるところです。先述したように、日用品や食事を購入するのが億劫な米国ベイエリアとは違い、日本ではコンビニやスーパー、レストランが充実しており、いつでも徒歩圏内で必要な食品や日用品、おいしい食事を手に入れることができるため、この手のサービスにおいて、日本に米国ほど強い需要はないかもしれません。

しかし、既存のコンビニやスーパー、一部のレストランがデリバリーのサービスを提供していることから分かるように、買い物に行く時間や労力を節約したいビジネスパーソンや高齢者、主婦などが一定数存在するのも事実です。コンビニや近所のレストラン、またネットスーパーとは異なった形のユーザー体験を提供することができれば、日本でも評価額$1B(1000億円)には届かなくとも数百億円規模のビジネスになる可能性は十分にあると思います。Muncheryのように、行列のできるレストランの料理をハイエンド向けに提供するフードデリバリーや、人口密度の高い日本の都市部では、配達よりもテイクアウトに特化した事前注文型のECなどに需要がありそうです。

日米問わず、今後もオンデマンドECの分野から目が離せません。


「LINE MALL」の定額配送はユーザーの心理的ハードルを下げる

新品・中古に関わらず、あらゆる商品をスマートフォンで売買できるフリマアプリ「LINE MALL」が30日、離島を含む全国一律でサイズ別の定額料金で配送できる「LINE配送」を開始した。ファッション通販を手がけるフェリシモとの提携により実現した。例えば、3辺の長さの合計が60cm以下の送料は全国一律で650円。佐川急便やヤマト運輸で東京から北海道まで送った場合と比べて500円近く安くなるわけだが、本質はユーザーの心理的なハードルを下げるところにありそうだ。

LINE MALLは出品者が送料を全額負担するため、販売価格に送料を上乗せした金額で出品する仕組み。購入者としては、地域ごとに異なる宅配業者の料金表をチェックして送料を計算しなくて済むので便利だが、出品者からすると、配送先が遠くなるほど送料がかさみ、その分の収益が少なくなるわけだ。

一方、LINE配送は誰に売れても送料が変わらないので、あの見にくい配送料金表とにらめっこして値付けに悩む必要もなくなり、出品時の心理的なハードルが下がりそう。レターパックライトやクロネコメール便といった安価な配送方法も選べるので、商品のサイズに応じてLINE配送と、これまでどおり一般の配送サービスとを使い分けるのがよさそうだ。

心理的なハードルが下がるのは出品者だけではない。LINE配送を利用する出品者は取引成立後、日本郵便の「ゆうパック」で神戸市にあるフェリシモの物流センターあてに着払いで商品を送り、物流センター内で購入者の配送先情報を印刷した伝票に貼り替えて出荷する。物流センターを中継することで、出品者と購入者が個人情報をやりとりしない「匿名配送」が可能になるわけだ。購入者は出品者に直接住所を教える必要がなくなるので、今まで以上に安心して取り引きできるかもしれない。

LINE MALLは2013年12月にサービスを開始。現時点での月間流通総額は非公表だが、アプリのダウンロード数は約200万件。スマホ向けフリマアプリの競合としては、メルカリやFril(フリル)がある。メルカリは7月に400万ダウンロードを突破し、月間流通金額は「10億円を大幅に超える」ことを明らかにした。一方、女性に特化したフリルも7月、アプリのダウンロード数が150万件に達し、月間流通総額が5億円を上回ることを発表した。LINE MALLは年内にも企業による出品を開始し、事業拡大を図る狙い。LINEは今後、物流センターで他社のチラシを同封する広告ビジネスも視野に入れているという。


Appleが本の内容解析サービス、BookLampを極秘で買収した理由

〔アップデート〕「Appleはアイダホ州Boiseに本拠を置く本のビッグデータ解析のスタートアップ、BookLampを買収した」というTechCrunchの以下の記事に対し、Appleは「われわれはときおり小規模なテクノロジー企業を買収するが、通例、その目的や将来計画については論じないこととしている」という定形をコメント寄せ、事実上、買収を確認した。

別の情報源によると買収金額は「1000万ドル以上、1500万ドル以下」 だという。

BookLampの主要なプロダクトはBook Genomeプロジェクトで、選択、分類、検索などに役立てるため、自然言語処理テクノロジーを用いて本の内容を解析するサービスだ。BookLampのテクノロジーはAppleのiBooksサービスのユーザー体験を強化するために役立てられるのだろう。

BookLampチーム:(左から)Matt Monroe、Sidian Jones、Aaron Stanton、Dan Bowen

買収に先立ってBookLampは地元投資家から90万ドルを調達していた。BookLampはAppleの最初のアイダホ州での買収となったもようだ。一時AmazonもBookLampに関心を示し交渉を行っていたらしい。結局Amazonは別の本のディスカバリー・エンジンであるGoodReadsを買収した。

Book Genomeプロジェクトとは?

BookLampが有名になったこのプロジェクトは多数の小説の内容をスキャンし、読者が読んで好んだものに似たスタイルや内容の小説ないし著者を推薦するというものだ。このスキャンはテーマ、プロット、内容も抽出でき、推薦や検索の精度を向上させるのに役立てることができる。AppleがBookLampを買収した大きな要因はeブックの検索、推薦能力でAmazonに対抗したかったからだろう。

TechCrunchは2011年にBookLampを紹介している。当時BookLampは「われわれは本のPandoraを目指す」としていた。つまり多数の本をスキャンしてその内容を数値化し、類似性を判定して推薦に使うテクノロジーの開発だ。昨年、CEOのAaron StantonはBook Genomeプロジェクトについて、われわれは毎週4万冊から10万冊の本をスキャンしていると語った。

BookLampのテクノロジーがどう働くのか例を見てみよう。上のスクリーショットはDigital Book WorldがBookLampのテクノロジーを利用してスティーブン・キングの『呪われた町(Salme’s Lot)』の内容をビジュアル化したものだ。‘吸血鬼、超自然現象’、‘葬儀/死 ’、‘家庭、家庭環境’、‘苦痛、恐怖/ 否定的感情’などが要素として抽出されている。

下は同じくスティーブン・キングの『キャリー』の分析。

BookLampは小説の内容について、たとえば性的コンテンツの表現の程度や表現されている場所を特定するなどの解析もできる。下はDigital Book Worldが掲載したBookLampのデータによる官能小説の大ベストセラー、50 Shades Of Greyの分析だ。最初はおとなしく始まるがやがて強烈にエロティックなシーンが現れる。一番下は『愛しの伯爵と秘密のひとときを』(His Mistress By Morning)の分析で、ところどころにエロティックなシーンがあるものの全体としてはピューリタン的だ。 真ん中はペントハウス誌に寄せられた体験談という体裁の短篇集、“Letters To Penthouse XXVIII”で、まちがいなく全編ノンストップのエロだ。

読者が自分の好きな小説を選ぶとBookLampはその内容をスキャンして「本のDNA」を抽出し、それに基づいて読者が好みそうな小説を推薦する。たとえば『ダビンチ・コード』のファンには『テンプル騎士団の遺産』を推薦するという具合だ。両者は‘カトリック教会’、‘歴史/学問の世界’、‘戦略的計画’‘図書館’などの要素が共通している。

iBooksの強化に向けて

Appleが自社のeブック・プラットフォームの強化のためにBookLampを利用する方法はいくつか考えられる。

まず最初にAmazon X-Rayのような機能を提供するためにBookLampが使えるだろう。X-Rayは登場人物を始めとして特定の単語が本のどこにどれほど登場するかをグラフィックに示してくれる。これは本を詳細なカテゴリーに分類したり性的、暴力的コンテンツの有無や程度を判断したりするのに大いに役立つ。ペアレンタル・コントロールには必須の機能だ。現在AmazonはX-RayをKindleデバイスだけでなくiOSのKindleアプリにも提供している。

また「本のDNA」を抽出するテクノロジーはeブックの個人出版が盛んになった場合、市場性を判断し、適切にカテゴリー化するのに役立つだろう。

しかしもっとも有用ななのは、もちろんiBooksへの推薦機能の導入だ。

現在AppleのiBooksにはユーザー別のカスタマイズ機能があまりない。App Storeと同様のベストセラー・チャートはあるが、「これを読んだ人はこちらも読んでいます」という推薦機能はない。信頼できる推薦機能はユーザーをつなぎとめ、繰り返し購入させるのに非常に有力なツールだ。

AppleとAmazonのeブック戦争でBookLampはAppleの秘密兵器として活躍しそうだ。

この記事はDigital Book Worldの図へのクレジットを正しく入れるためにアップデートされている

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


カフェインのイヤリングはいかが?―Amazon、カスタマイズできる3Dプリント製品ストアをオープン

Amazonは3Dプリント製品のストアをオープンした。このストアでは消費者はサイズ、色、素材、デザインの一部などを好みに応じてカスタマイズすることができる。取り扱い分野は宝飾品、エレクトロニクス製品、おもちゃ、ゲーム、インテリア製品、キッチン用品などで、MixeeSculpteo、3DLTなど多数のパートナーが製品を提供する。

Amazonは「このストアのデビューによって、従来よりはるかに柔軟に消費者の要求に応じることができるようになる」としている。Amazonのマーケットプレイス販売部門のディレクター、Petra Schindler-Carterはプレスリリースで「3Dプリント製品ストアはオンライン通販のパラダイムシフトの開始を告げるものだ。製造業は消費者の要求にこれまでよりはるかに機敏に対応することができる」と述べた。

ストアのオープンにともなってAmazonは3Dプリント製品を消費者が簡単にカスタマイズできるツールもリリースした。このウィジェットでは、基本的なデザインを選択し、色や素材(プラスティック、金属など)を指定すと360°全周方向から3Dでプレビューができる。また顧客は厚さ、直径などデザインのいくつかの部分をカスタマイズできる。

分野や素材によって価格はさまざまだが、安い製品の場合は30ドル台だ。

多くの主要国で最大級の小売企業であるAmazonが、消費者が直接カスタマイズ可能な3Dプリント製品の販売を始めたことは、製造業そのもののターニングポイントとなる可能性を秘めている。受注生産や小ロット生産の製品は3Dプリンターを利用することで製造コストが劇的に下がる。3Dプリント・テクノロジーが今後も発達を続けるなら、カバーされる製品の分野も加速度的に広がっていくだろう。

今のところAmazonは予めカタログに載せた製品しか販売しない。Shapewaysのようにユーザーがアップロードしたデータを3D出力するサービスは提供していない。しかし将来は、その方向へのドアも開かれるかもしれない。

〔日本版〕 カット写真は分子モデルアクセサリーで、写真はカフェインだというが、砂糖、ドーパミン、アスピリンなどいろいろなオプションがある。イヤリングとネックレスがあり、サイズは大中小、素材はナイロンかステンレスが選べる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


AmazonのFire Phoneを使ってみた…まさにeコマース王Amazonのためのスマホだ

先月発表されたAmazonのFire Phoneは、同社初のモバイルハードウェアだ。従兄弟(いとこ)のKindle Fireタブレットと同様、OSはAndroidの独自フォークを使用、 Amazonの大きな、どんどん成長しているコンテンツライブラリのすべてに、簡便にアクセスできる。

外見的には高級品っぽくて、AppleやHTC、Samsungなどの代表的機種と比べても見劣りしない。iPhone4や4Sに似て、前面と背面がガラス、そして縁(ふち)を構成する曲面状のプラスチックは、AmazonのeリーダーKindle Paperwhiteのような、スムースでしっかりした印象を与える。

Kindle Fireのインタフェイスに慣れている人は、Fire Phoneのカルーセル状のホーム画面にすぐ親しめるだろう。ユーザは自分が最近使ったアプリやコンテンツを、簡単にスクロールできる。カルーセルの下には、通知が表示されたり、あるいはAmazonのストアにある関連コンテンツのリンクがある。また、下の方からスワイプすると、アプリをグリッド状に並べた‘ふつうの’ホーム画面のレイアウトになる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Fire PhoneのDynamic Perspective(動的パースペクティブ)機能は、デバイスの前面にある4基の赤外線カメラを使用して、まるで3Dのような、奥行きのある物や画面を表示する…もちろんユーザの視線の角度に応じて立体像は変わる*。これをいちばん多く使うのはロック画面で、いろいろなシーンのセレクトをアニメのジオラマのような感覚で行える。また本機をユーザが手に持ったときの角度(傾斜)に応じて表示内容が自動的に変わる、“peek”(覗き)と呼ばれる機能もある。ただし、この動的パースペクティブ機能を巧みに使いこなしているサードパーティアプリは、まだあまりないようだ。〔*: 余計な訳注…3Dで上から下から横から物を見られる=表示する機能は、何よりもeコマースで生きる!〕

Amazon Fire Phoneのもうひとつの目立つ機能が、Fireflyだ。これはボリュームロッカーの横にある専用カメラ用のボタンを押して起動する。ざっと試してみたが、カメラがとらえた、ほとんどどんな製品でも、それをAmazonで買うといくらで買えるか、を表示してくれる。ぼくが試したのは、本各種、DVD各種、CD各種、歯磨き、オフィス用電話機、手を消毒するスプレー、…これらすべてが、すぐに認識された。ただしこれらはどれも、表面にその商品のラベルがある。まちを歩いている人を撮って、その人が着ている服の値段を調べるのは、まず無理だろう。でも、それすら、数か月後には可能になるかもしれない。なぜならFireflyのSDKがやがて、サードパーティのデベロッパに提供されるからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


“スーパーサイヤ人的経営者”が手がけるメルカリ、ダウンロード数は400万件に

先週福岡で開催された招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」にて、スマートフォン向けフリマサービスの元祖「Fril」を手がけるFablicが月間物流総額4億円、アプリダウンロード数150万件という数字を発表していた。これだけでもわずか2年で大きな市場を築いたと思うのだけれども、後発の競合サービス「メルカリ」を展開するメルカリがダウンロード数でその2倍を超える数字を発表している。

メルカリは7月22日、フリマアプリメルカリが400万ダウンロードを突破したことを発表した。これに合わせるかたちでデザインのリニューアルも実施している。リニューアルはiOS版から進めており、Android版についても近日中にリニューアルする予定だという。

メルカリのリリースは2013年7月2日。1年を経過した7月時点での月間流通金額は10億円を「大幅に超える」(同社)とのこと。1日の出品数は10万点以上になっている。5月にはテレビCMも放映しており、こちらも奏功したそうだ。同社の発表によると、ダウンロード数は400万件に上るという。

Frilがユーザーを基本女性に限定している一方で、メルカリはユーザーを限定していない。実際のところメインユーザーとなっているのは地方在住の20代〜30代女性だそうで、流通しているのは女性向けのファッションアイテムが中心。そのほかにも男性向けのファッションアイテムからスマートフォンゲームのデータ(運営ポリシー上は問題ないそうだ)まで幅広いアイテムを扱っている。僕も2カ月ほど前にとあるブランドのブーツを出品したのだけれど、数秒で「いいね」が複数つき、10分以内には購入のやりとりをするに至ったので、そのスピードには正直驚いた。同社は現在仙台にカスタマーサポート部隊も設置しているそうだ。

今回のリニューアルでは、アイコン、レイアウト、色調等の全面を刷新している。ユーザーの個人ページについても、より商品の魅力を引き出せるデザインに変更したとのことだ。

「スーパーサイヤ人」な起業家の戦い方

さて、冒頭で紹介したB Dash Campのセッションの中で、登壇者らがメルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏に言及したところがあったので、少しご紹介したい。

メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏

モデレーターを務めたモブキャスト執行役員CCOの福元健之氏が、登壇したアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、Fablic 代表取締役社長の堀井翔太氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏に対して「大手が競合として攻めてくる中で、こういうことされると嫌なことは何か、脅威となるのは何か」と質問した際のことだ。

当初登壇者の3人は、共通して「上場企業や大きいプレーヤーは脅威だが、その隙間を狙っている、その会社ではできないことをやっている」と回答していたのだが、そこから鶴岡氏が「上場企業より、進太郎さん(山田進太郎)や木村さん(Gunosy代表取締役の木村新司氏)のようなスーパーサイヤ人がいることが脅威。そういう人は一気に来る(事業を展開する)」と語った。堀井氏もこれにうなずき、「強くてニューゲーム(ゲームクリア後に、レベルなどを引き継いだ状態でゲームを1から始めるという意味)な起業家」という表現をしていた。

山田氏は、大学在学中に楽天に参画。「楽オク」の立上げなどを経験。さらには卒業後にウノウを設立し、「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」といったサービスを開発。同社をZyngaに売却した経験がある。また木村氏も、ドリームインキュベーターにてコンサルやベンチャー投資を手がけた後にシリウステクノロジーズの取締役に就任。ヤフーによる買収の前に同社を離れてアトランティスを設立。2011年にグリーに売却した経験を持つ。

いずれにしてもイグジットの経験もある起業家だ。彼らは若いスタートアップがプロダクトを少しずつブラッシュアップし、口コミでユーザーを集めつつ徐々に市場を作っていく中で、大規模な調達をしてテレビCMを展開するなど、ダイナミックな資金調達、そしてその資金の投下を実行している。マンガ「ドラゴンボール」で言うならスーパーサイヤ人になって一気に戦闘力を高めて勝負に出ているといったところだろうか。

実際Frilのほうがメルカリよりも1年早い2012年にサービスを開始していたし、Gunosyにしても、同社のニュースリーダーアプリ「Gunosy」に競合するスマートニュースの「SmartNews」よりも100万件以上ダウンロード数が少なかった時期があるが、テレビCM放映後の現在はほぼ同じ程度ではないかと木村氏は話していた(ちなみにSmartNewsのテレビCMに関しては、同イベントの別セッションで登壇したスマートニュース取締役の鈴木健氏に質問が飛んだが、明言されなかった)。スーパーサイヤ人的経営者の山田氏はスマートフォン向けフリマのマーケットをどこまで拡大できるのだろうか。同社は現在手数料無料でサービスを提供しているが、いつからマネタイズに向かうのかも含めてその動向に注目したい。


Amazon、月額$9.99で読み放題サービスを提供するKindle Unlimitedを正式スタート

Amazonが公式にKindle Unlimitedの開始をアナウンスした。電子書籍およびオーディオブックの「食べ放題」サービスだ。

これはまさに「書籍版Netflix」といったサービスで、KindleおよびKindleの動作するデバイスにて60万点にものぼる電子ブックや、あるいはAudibleのオーディオブックを楽しむことができる。

さまざまなベストセラー作品が対象に含まれていて、Diary of a Wimpy Kidシリーズやハンガー・ゲーム三部作、フラッシュ・ボーイズなども読むことができる。

また『灯台へ』や『猫のゆりかご』といった古典作品や、Kindleオンリーで提供されるさまざまな作品群もサービスの対象となっている。

オーディオブック化されているものについては、読んでいる位置を同期しながら文字と音声を切り替えて楽しむことができるのも大きな魅力だ。

何冊でもライブラリに加えることができるようになっていて、Amazonのサイトでは「Read for Free」という新しいボタンが表示される。著者との間でのロイヤリティの割り振りなどについての情報はまだ入っていない。

これはビデオ見放題のサービスであるAmazon Prime Videoとも似たところのあるサービスだ。有名なベストセラー作品も多く対象となってはいるが、対象作品となっているものの多くは、Unlimitedにて新たな読者開拓を狙う、ニッチな作品が多い。ただしメジャー出版社であるいわゆる「ビッグファイブ」も、いくつかベストセラーや有名作品をUnlimitedの対象作品として提供している。出版社との間での利益配分がどうなっているのかにも興味がわくところだ。Unlimitedサービスには多くの人が登録するものと思われ、出版社としてもそれなりの利益配分を求めているはずだ。

ちなみにOysterなどにとっては悪夢のような出来事と言って良いかもしれない。Amazonのような業界リーダーが読み放題サービスに参入することで、小規模な競合サービスなど蹴散らされてしまうことが予想される。そうしたある意味での「問題点」はともかく、たとえばインディーライターとの関わりを考えても、Unlimitedサービスは大いに注目に値するだろう。

訳注:英文オリジナル記事の方には、プレスリリース文書も添付されています。

原文へ

(翻訳:Maeda, H