ランサーズで組織単位の受注が可能に、仕事の幅が広がる「マイチーム」機能

クラウドソーシングサービス「Lancers(ランサーズ)」は12月20日、オンライン上で作成したチームで仕事を受注できるサービス「ランサーズマイチーム」を開始した。国内のクラウドソーシングではこれまで、発注者と受注者で仕事をやりとりするのが主流だったが、オンライン上でチームを作って仕事を受注できるのは日本初だという。

例えば「デザインだけは自信がある」という人が、エンジニアやライター、ウェブディレクターと一緒にチームを作ることで、ホームページやアプリ開発など自分の専門外のスキルが必要な仕事を受注できる。発注者側としては、複数のスキルを要する仕事や、1人の受注者では難しかった規模の大きな仕事を依頼できるのがメリットだ。

チームはプロジェクト単位で作り、知り合いだけでなく、面識がない人も招待できる。仕事はチームを作成したリーダーが発注者に提案し、受注した場合はメンバー全員が報酬金額に同意してからスタートする。納品完了後は、発注者が事前にランサーズに仮払いした報酬金が自動的に各メンバーに支払われる。メンバーはメッセージやファイルをランサーズ上でやりとりして仕事を進めていく。

ランサーズによれば、当面は知り合い同士でのチーム結成が多いと想定しているが、チームでの仕事の実績が増えるに連れて、海外に住む見知らぬ人とチームを組むようなケースも出てくると見込んでいるのだという。


自作コンピューターキットのKano、Kickstarterで10万ドルを目指すも結局は150万ドルを調達

KanoはRaspberry Piをベースとした自作コンピューターキットで、Kickstarterにて10万ドルの資金調達を目指していた。この資金で、2014年夏までに1000台のKanoキットを世に送り出そうと考えていたのだ。しかしこの目標額はわずか6時間で集まってしまった。結局(現在Kickstarterキャンペーンは終了間際だが)150万ドル近くの資金を調達するに至っている。

キットの価格は99ドルで、パーツに分かれた形で送られてくる。コンピューターというのがいったいどうなっているのかと興味をもちながら(ちなみにこのキットのメインターゲットは子供たちだ)、自分で組み立ててみることができる。シンプルなガイドブックがついていて、それを見ながらコーディングの練習をしてみたり、あるいは何か実際に機能するものを作ってみることができるようになっている。

Raspberry Pi単体では敷居が高いようなケースでも、このキットを使えばステップバイステップでコンピュータに親しんでいくことができる。Kanoキットにはキーボード、SDカード、ケース、CASE MOD、OS、ゲームやさまざまな作例、DIYスピーカー、実際にやってみれば何時間分にもなるサンプルプロジェクト集などが同梱されている。

お分かりと思うが、Kanoは単にPiを表面的に再パッケージ化したようなものではない。オリジナルのOS上に独自のKano OSを搭載している。元をたどればDebian Linux(Debian Wheezyディストリビューションを使用)だ。そしてここで動作するScratch風のコーディング環境を備えている。Kanoはこの開発環境をKano Blocksと名づけている。

下にKano Blocksの外観や、PongやMinecraftを制作する様子を示す動画を掲載しておく。

Kanoは世界中の成長市場をターゲットとしており、ガイドブックも英語、スペイン語、アラビア語、中国語版などを用意しており、さらにヒンディー語なども準備しているところだ。

シード資金は友人や家族から集めたもので、初期モデルの開発に充てている。また3人の共同ファウンダーのうちの1人であるSaul KleinIndex Venturesのパートナーであり、そのために同ファームからも若干の資金を調達している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


CrunchBaseデータで見る成功したスタートアップの動向(資金調達額とイグジット額の比較)

(本稿執筆はMark Lennon)

CrunchBaseにも、イグジット関連のデータが蓄積されてきた。成功を収めたスタートアップのデータを詳細に分析して、ベンチャー投資との関連などについて分析してみよう。

まず、アメリカ国内の成功したスタートアップについて見ると、平均で4100万ドルの資金を調達していて、そして2億4290万ドルでのイグジットを果たしている。また、より大きな資金規模でのイグジットを果たした企業は、より多くの資金を調達しているという相関を確認することもできる。ただしファンディングを行う期間の長短により、買収ないし公開というイグジットに繋がるかどうかを示す関連性は認められなかった。

買収と公開という2種類のイグジットで比較してみよう。成功裏に買収された米国スタートアップは、平均で2940万ドルの資金を調達して、1億5550万ドルで売却している。投資家側の利益は7.5倍になるという計算だ(もちろんこれは投資家が全てを所有しているとした場合の計算で、現実的にはあり得ない話だ)。IPOを果たしたスタートアップについては、はるかに多くの資金を受け入れている。しかしそれにともなって多くのベンチャーファンドからの資金を受け入れるようにもなり、リターンについてみれば希釈化の問題もあって一概にはいうことが出来ない。

取り敢えずIPO達成したスタートアップの平均値を出してみれば、調達資金は1億6200万ドルとなっている。最近の大規模IPOもあって、公開時の平均は4億6790万ドルになる。単純に計算すれば、投資家のリターンは2.9倍ということになる(もちろんIPO時点ですべての株式を売却するような投資家はいない)。

今回の分析は、2007年以降、イグジットを果たしかつ投資を受け入れたスタートアップを対象としたものだ。但し、他のデータベースでもそうなのだが、スタートアップとベンチャー投資の関係を示すデータは不十分ないし不正確である場合があることも念頭においておいていただきたい。CrunchBaseは、スタートアップのデータを蒐集する最大級の無料データベースではあるが、それでもやはり不正確な面はあるだろう。

データを見ると、Facebookが最高額となる23億ドルという資金をIPO前に受け入れていて、そして株式公開により、こちらも最高額である約184億ドルを調達している。Twitterの方もIPOにより18億ドルを調達しているが、IPO前の調達額も12億ドルという具合になっている。下の図のサークルにマウスを合わせると、それぞれ詳細なデータが表示さえっるようになっている。

ところで、企業の操業年数というのはイグジットの成否に直接の関係はないようだ。買収された企業の平均操業期間は7年間であり、またIPOを果たした企業はだいたい8.25年ということになっている。繰り返すが、平均がその辺りにあるというだけで、どのくらいの期間でイグジットするのが平均的なのかというトレンドは見えていない。

出資企業がイグジットした件数をベンチャー投資家側から見てみよう。するとSV Angelが首位に立つようだ。他にもSequoia CapitalIntel CapitalAccel Partners、あるいはBenchmarkなどの名前が上がってくる。

CB Insights Venture Capitalの公開しているData Comparisonとも比較してみた。下の表には掲載されていないが、Q3およびQ4期間において、CrunchBaseには255件のイグジットデータが追加されている。毎日のように新しいデータが登録されているのだ。

スタートアップと投資家の関係や、上に述べたような動向が続いているのかそれとも変化の兆しがあるのか。ぜひCrunchBaseのデータを活用して、自分でも確認してみてほしい。2013年11月までのデータはこちらからダウンロードできる。新たな発見があれば、ぜひ教えて頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Hub、夫婦に加えておじいちゃん、おばあちゃんも巻き込む情報共有アプリケーションをリリース

家族でも、あるいは仕事仲間とでも、お互いのスケジュールなどの情報を共有することは非常に難しい。皆がそれぞれ自分の好きなカレンダーやTo-Do管理ツールを使っていて、それぞれの情報をチェックすることがとても難しいのだ。そこに登場してきたのがHubだ。家族間のそれぞれが、今使っているツールを使い続けながら、簡単にカレンダーやTo-Doリストなどを共有するための機能を提供する。

Hubを生み出したのはSimplyUsを作ったのと同じチームだ。昨年の春頃から夏にかけて流行した「夫婦」ないし「カップル」用のサービスのひとつだ。実はこのSimplyUsを作りつつも、実は情報共有は夫婦間のみでなく、家族も巻き込む方が一層便利だと考えていたのだそうだ。

確かに夫婦の予定や各種リストを共有すれば役立つシーンが多いわけだが、たとえばおじいちゃんやおばあちゃんなども巻き込めればさらに便利になることに気付いたわけだ。

たとえば孫と遊びたいと考える祖父母は、両親のスケジュールをチェックしたいと考えるだろう。また子供が成長してティーンエイジャーとなった際には、ちょっとした用事を家族から依頼されるというようなユースケースも考えられる。さらにはベビーシッターやデイケアサービスの職員などのメンバーとして登録することができ、簡単にスケジュールの調整ができるようになる。

こうした利用シーンを念頭において、新しい情報共有アプリケーションとして生み出したのがHubであるというわけだ。さまざまなカレンダーサービスの情報を取り込んで、簡単に情報共有が行えるようになっているのは便利だ。Google Calendar、Outlook、Yahoo、iCloud、あるいはExchangeもサポートしている。

また異なるメンバーによるHubを複数構築できるのも便利だろう。たとえば祖父母と孫、そして両親が参加するHubや、ベビーシッターと予定を共有するためのHub、あるいは夫婦のみでのHubなども作ることができる。サービスはフリーミアムモデルで提供されている。無料版では月ごとに共有できるイベントが5件までで、タスクは10件までと制限されている。

有料モデルを利用する場合、年間申込みの場合は35ドル99セントで、月額の場合は4ドル99セントとなっている。これで無制限にHubを作成でき、またイベントおよびタスクの共有件数に制限もなくなる。また、同一Hubを利用しているメンバーのうちひとりが有料版に申し込んでいれば、そのHubに属するメンバー全員が件数の制限なく情報を共有できるようにもなっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


セカイカメラ終了のお知らせ……開発元・頓智ドット「目指した思想は諦めていない」

TechCrunch 50で華々しくデビューし、一世を風靡したセカイカメラが、2014年1月22日に全サービスを終了する。開発元の頓智ドットが12月17日に明らかにした。同社によれば、サービス終了の理由は、セカイカメラの進化版と位置付けるアプリ「tab」にリソースを集中するためだが、「セカイカメラが目指した思想自体は諦めていない」のだという。

iPad版セカイカメラのスクリーンショット

セカイカメラは、現実の背景に情報を重ねて表示する「拡張現実(AR)」技術を用いたスマートフォン向けアプリ。写真やメッセージを場所に紐付いたかたちで投稿できる。セカイカメラをかざすと、ディスプレイ上では目の前の景色とともに、場所に関連する「エアタグ」と呼ばれる文字や画像などがオーバーレイ表示される。

これまでにダウンロードされたアプリは300万、投稿されたエアタグは150万件に上る。過去に投稿したエタタグのデータはアプリ終了に伴いすべて削除されるが、KML形式でエクスポートできる。エクスポートしたKMLファイルは、KML形式をサポートしているGoogle Earthなどで表示することが可能。

サービス終了の理由について頓智ドットは、同社が手がける「tab」の開発に全リソースを集中するためと説明している。(tabは「行ってみたい」と思ったものをクリップしておけば、近くに来た時にお知らせを受け取れるアプリ。)以下はセカイカメラ終了に際して頓智ドットから得たコメントだ。

セカイカメラが目指していた思想自体を諦めたわけでは決してありません。むしろ、セカイカメラの課題を解決し、より発展させるためにtabをリリースし、リソースをそちらに割いてきました。セカイカメラの終了がこのタイミングとなったのは、1月よりtabのさらなる強化を図るためです。tabが目指すもの、それは「世界の可視化」を通じて、興味の発見や体験をしやすく、そして毎日の生活がもっと楽しくなることです。

セカイカメラを開発したのは、11月に開催したTechCrunch Tokyo 2013の基調講演に登壇してくれた井口尊仁氏(関連記事:「井口さん、Telepathyは本当に作れるんですか?」TechCrunch Japan編集長が自社イベントで切り込む)。

2008年のTechCrunch 50で井口氏が披露したデモ動画では、現実世界にセカイカメラをかざすところから始まり、店や商品、看板などにエアタグがポップアップする様子を紹介するもので、聴衆から多くの喝采を浴びた。その一方で、「面白いで終わってしまいそう」「怪しい」といった懐疑的な声もあった。その井口氏は2012年12月に頓智ドットを退職、2013年1月にTelepathyを創業した。現在はメガネ型ウェアラブルデバイス「Telepathy One」を開発していて、2014年中に製品リリースする予定だ。


「50分議論するだけ」リブセンスとクックパッドが始めた起業家支援の狙いとは

アルバイト求人サイト「ジョブセンス」を運営するリブセンスとクックパッドが、スタートアップを支援するプログラム「STARTUP50」を1月に始動する。米国のインキュベーター「500 Startups」を意識したような名称だが、代表を務めるリブセンスの村上太一社長によれば、その取り組みは意外にも「起業家と50分間ディスカッションするだけ」。村上氏に発足の経緯や狙いについて聞いた。

リブセンスの村上太一社長

STARTUP50では原則、村上氏とクックパッド代表執行役兼取締役の穐田誉輝氏らが起業家と50分間、無料のディスカッションを1回行うのみ。500 Startupsのように投資を前提とせず、起業家の事業プランについて「上から目線でなく」議論するという。「穐田さんは様々なウェブサービスを見てきているし、僕も人材サービス以外の領域も把握しているので、必要に応じて技術面や事業運営のノウハウをアドバイスします。起業家にとって最良の選択肢であれば投資や協業もするというイメージ。とにかく濃い50分間を共有したいです」。

支援の対象となるのは、起業準備中の学生や社会人などスタートアップ段階の起業家。国籍や年齢、性別、学歴は一切不問、事業の領域や規模も問わない。まずは1月8日から2月16日まで、専用サイトからエントリーを受け付け、書類選考や面談を経て3月中に5〜10人の起業家を絞り込む。選考基準は「やりたい度の高さ」。市場性や事業継続性だけでなく、「こんな世界を作りたいというモチベーションを持っていて、それを実現するために行動している起業家」を求める。今後は年2回のペースで起業家を公募していく。

ところでなぜ「50分」なのか。

掲載料0円の成功報酬と採用決定者にお祝い金を支払う求人サイトで業績を伸ばし、2012年10月に当時25歳という史上最年少の若さで東証一部上場を果たした村上氏。順風満帆な道のりを歩んできたようにみえるが、早稲田大学在学中の2006年2月に創業してから2009年頃までは「行き詰っていた」と振り返る。そんな状況の中、元カカクコム社長で当時クックパッド社外取締役だった穐田氏との出会いが人生を大きく変えたのだという。

「ジョブセンスで苦戦していた頃に穐田さんと出会い、50分間のアドバイスを受けたことが、その後の事業成長や史上最年少上場へつながる大きな転機になりました。ひとことで言うと『シンプルにユーザーのことだけを考えろ』というアドバイスなんですが、机上の空論ではなく、穐田さんの経験と実績を踏まえたシンプルな思想が心に刺さったんです。悩んでいる起業家や起業を志す人にもこんな体験をしてもらいたいと、穐田さんに声をかけたのが発足の経緯です。」

投資を前提としないフラットな空気感の「マネーの虎」のようにも思えるSTARTUP50。起業家支援を前提としているため収益目標は設定していない。「目標人数は決めていませんが、とにかく起業家を増やしたいですね。挑戦する人が増えれば日本が良くなりますし、友達も増えますし(笑)。僕がそうだったように、人生に影響を与えたベスト10に入るような出会いが生まれれば。将来的には、流行っているサービスにはことごとくSTARTUP50出身者が関わっているようになればうれしいですね」。


米国最強投資家からのシンプルすぎるアドバイス「会社の運命を自分で決めたいなら、利益を出せ」

日本でもスタートアップに数千万はもちろんのこと、数億円単位の投資が普通に行われる時代になってきた最近。そんな環境の変化が喜ばしくもあり、若手のスタートアップ経営者が羨ましくもある40代に入った中堅経営者でもある私です。今回は米国でもトップクラスの投資会社アンドリーセン・ホロウィッツの創業者が語る、起業家へのアドバイスについて。「利益を出せ」とは、利益どころか売上もさほどない会社が何十億、何百億、時には1000億で売却されるような今の時代に即していない言葉と思われる人も多いかもしれません。そもそも彼の投資会社自体、全く売上のないInstagramに2500万投資して、Facebookへの売却で78億円儲けたそうですし。。思わず「お前が言うな」といいたくなりますが、あえてその彼が改めて問う言葉だけに何かのヒントが隠されているはず?真相はいかに。 — SEO Japan

起業家なら、気難しいベテランのCEOや投資家から「キャッシュが王様」だと言われたことがあるはずだ。ツイッターのIPO関連の記事を読み、「あの爺さん達は、一体何を言っているんだ?」と心の中で呟いたのではないだろうか?ツイッターは、設立から6年が経過した今でも多額の資金を費やしている。キャッシュではなく、ツイッター(製品)が最も重要視されているように思える。

このような状況では、「これが経験則の問題点だ。理解することは出来るものの、分かち合うことが出来ない」と自分に言い聞かせるようにしている。しかし、この名言だけは、根本的に重要であるため、今回は、年寄りの役割を務めさせてもらうことにする。

私が会社を設立し、CEOを務めていた1999年-2000年においては、キャッシュは、王様と言うよりも奴隷のような存在であった。「冒険するか、諦めるか」の二者択一を迫られる時代であった。投資家は、インターネットビジネスなら何でも飛びつき、収益を度外視していた。私は会社を急速に発展させていった。設立してから9ヶ月も経たないうちに、2700万ドル/四半期を集めることに成功した。冒険の真っ最中であり、諦めるつもりはなかった。

その後、ドットコムバブルがはじけ、投資家達は考え方を一変させた。インターネットビジネスを嫌うようになり、自ら資金を得ることが出来ない会社には、投資を控えるようになった。

2年間にわたって四苦八苦し、3名の従業員を解雇し、睡眠時間を取れないほど身を粉にして働いた結果、ようやくキャッシュを得られる可能性を感じる位置まで辿り着くことが出来た。しかし、この時点では、事業運営が、成功するかどうかは微妙であった。手強い競合者に囲まれ、大量の仕事に追われていたが、倒産に追い込まれるほど追いつめられているわけではなかった。それでも、共同設立者であり、取締役会長であるマーク・アンドリーセン氏は、そろそろ利益を上げるべきだと話した。何となく、アンドリーセン氏の指摘は正しいと思えた。

そこで私は、従業員と話し合いの場を持ち、2003年の第2四半期までに黒字化を行い、投資機関にも約束するつもりだと話した。すると、最も優秀な従業員が、この方針を疑問視した。この人物は、現金の減少ペースが早い点、資金が不足している点、そして、すぐに完了しなければならない作業を次々と指摘していった。そして、「無理やり決定を下す必要はあるのか?」と尋ねた。考えをまとめるためには、厳しい質問を投げ掛けなければならない時もある。当時の私の答えは、今、同じ質問を問う起業家に与える答えと同じである:

「まずは、どれだけ従業員を解雇する意思があるのか考えるべきだ。躊躇せずに解雇することが出来るなら、赤字のままで構わない。収益を上げない会社には、資本市場が解雇のタイミングを教えてくれる。我々は、投資家の意見に真剣に耳を傾けなければならない。投資家に嫌われたら、会社はあっと言う間に傾いてしまうからだ。君はどう思うか分からないが、私はこんな方法で会社を運営するのは嫌だ。投資家にあれこれ指示される前に、従業員全員に対して、自分達が正しいと思うことを私は伝えたい。自分の運命は自分で決めたいんだ。」

この従業員は何も言葉を発さなかったが、目を見れば、私の言いたいことが伝わっている点は明白であった。これは、戦略や手法ではなく、自由を求める戦いである。自分達がベストだと思うように会社を作るための自由だ。

その後の5年間、投資家は様々な要求をした。賢明なアイデアもあれば、浅はかなアイデアもあった。私達は真摯に耳を傾けたものの、常に、自分達が正しいと思ったことを実行し、結果を気にしなかった。この会社の運命を決めたのは投資家ではなかった。自分達で運命を決め、自分達で決定を下すことが出来たこの5年の間に、会社の価値は40倍になった。

利益のない巨大な成長を介して、資金を調達している会社は多い。状況によっては、そして、会社によっては、この戦略は功を奏する可能性がある。例えば、ツイッターのような会社には、この戦略は向いている。その理由を二つ挙げる。まず、ツイッターは、今後、多額のキャッシュをもたらすと誰もが考えた、非常に重要な製品を構築している。次に、過去6年間の資本市場は、ツイッターを快くサポートしてきた(2000年から2006年の間とは対照的)。つまり、ツイッターと同じような製品を提供し、この時代に会社を経営しているなら、何もかもうまくいく。

しかし、製品がツイッターほど重要ではないなら、そして、時代の流れが変わったなら、注意が必要だ。利益を上げるまでは、たとえ誤った指摘であっても、投資家に従わなければならない。ある日、投資家が、突然、もうダメだと言ったら、会社は廃業を余儀なくされる。利益を上げれば、投資家からの浅はかな要請に対しては、カニエ・ウェストのように反論しても構わない:

え?何か言ったかい?あんたの意見は聞かないよ。


この記事は、ben’s blogに掲載された「Cash Flow and Destiny」を翻訳した内容です。

文中に出てくる会社とは、彼がVC設立前に経営していたLoudCloudという会社のことです。売上2億円でネットバブル時に無理やり上場したものの、その後、売上が伸びずネットバブル崩壊後にキャッシュを求める投資家との軋轢もあり、相当苦労したようですね。最終的には会社を成長路線に乗せ、2007年にHPに1600億円で買収し大成功したようですが。

記事を読めばわかるように、単純に全ての会社に当てはまるアドバイスでもないですが、Twitter等、圧倒的な将来性を持つ企業を除き、ちょっとした時代やトレンドの変化でその将来性が大きく左右される(つまり大半の)スタートアップ企業には、「勢いで出資を受けて利益が出ないまま突っ走る」行為には大きな可能性も逆にリスクもあることは認識した方が良いのかもしれません。

私の会社は幸運なことに最初から利益が出ていないので投資を受けることなくここまで来ましたが、新規に伸ばしていこうと思っている事業の幾つかは、外部からの投資受け入れも含めて今以上にスケールさせていきたいとは思っていますし。当面は利益優先か成長優先かギリギリの所を突き進んでいきそうな雰囲気ですし、彼のアドバイスを心に留め、成功失敗はともかく後で後悔しない選択をし一歩一歩進んでいきたいと思います。 — SEO Japan [G+]

ユーザーのコンテクストを認識して最適のアプリを選ぶスマート・ロックスクリーンのCoverがGoogle Playで公開ベータ開始

ユーザーの置かれた状況を認識できるAndroid向けスマート・ロックスクリーンのCover限定ベータテストを開始してから6週間になる。今日(米国時間1212)、CoverはGoogle Playストアで公開ベータテストを開始した。Android 4.1以上、当面アメリカ、カナダ、ヨーロッパが対象となる。

Coverではベータテスト開始後、電力消費の削減、位置認識(自動車、家、仕事場)の精度など100箇所の改良を行ったとしている。Coverはこれらのユーザー・コンテクストを認識してそれぞれにもっとも適したアプリをロックスクリーン上に表示するアプリだ。

CoverのファウンダーTodd Jacksonは私の取材に対して「ベータテストの開始時に私が懸念したのはユーザーがコンテクスト・ロックスクリーンという概念を理解してくれるかどうかだった。10月以来、何千人ものテスターに使ってもらった結果はというと、問題なく理解してくれた」と答えた。

Coverはアプリのランチャーではなくあくまでロックスクリーンであるこに重点を置いており、他のランチャーと併用することが可能だ。

ユーザーが手間をかけてカスタマイズした既存のアプリ・ランチャーをオーバーライドしてしまったことがFacebook Homeの失敗の原因だった。既存のホームスクリーンの上に被せられた新しい対話UIであるという点がCoverの狙いだ。

Coverとは何?

Coverの動作の詳細についてはローンチ時に私が書いた記事を参照いただきたい。

念のため簡単に復習する、 Coverはユーザーが自宅にいるのか、仕事中か、あるいは自動車の中にいるかを判断し、それぞれのコンテクストに適したアプリをロックスクリーンに表示する。表示するアプリの選択にはクラウドソース・データを用いる。たとえば多くのユーザーが仕事中はDropboxを多用し、自宅ではNetflixを開くことが多いといったデータだ。Coverはまたユーザーがそれぞれのコンテクストでどんなアプリを利用したかを記憶して学習する。CoverのPeekはアプリ間をすばやく行き来するための便利な機能だ。

CoverのデモとファウンダーのJacksonへのインタビューを再掲しておこう。

スマートフォン中もっとも目立つ場所であるロックスクリーンにCoverを導入したくなるようユーザーを仕向けるためには高い品質が必要だ。それがCoverがAndroidのベータ・システムjを利用した理由だという。ロックスクリーンを変更するようなアプリをインストールするのはハードルが高い。そこでどうしてもユーザーの声の大規模なフィードバックが必要なのだとJacksonは言う。

ベータテストでもっとも大きいユーザーの懸念はバッテリーの駆動時間だったという。Jacksonによれば「バッテリー駆動時間が5%以上減少するようだとユーザーはCoverをアンインストールしてしまう。われわれはバッテリー消費量を5%以下に押さえるために非常に苦労した」と語った。”

公開ベータまでに改良された点はこの他に運動検知アルゴリズムの改良によって車内にいることを検知する精度を高めたこと、KitKatに対応させたことなど100箇所にも上る。

CoverはFirst Round CapitalをリーダーにJosh Kopelman、Harrison Metal Capital、MaxLevchin、Keith Raboisなどの投資家から170万ドルの資金調達を行っている。

ひしめくコンテクスト・ロックスクリーンのライバル

Coverが公開ベータに踏み切ったことで、他のロックスクリーン・アプリのライバル、AviateFacebook HomeWidditなどと正面から競争することになる。近くAndroidのスマート・ロックスクリーンはそれ自身で有力なジャンルを形成するはずだ。

Jacksonは「多くのユーザーがわれわれにGO LauncherNova LauncherEverything.meなどのようなアプリ・ランチャーを作って欲しいと言ってきている」と語った。しかしJacksonは「Androidのパイは日毎に巨大化を続けている。どんなジャンルであろうと優秀なアプリなら十分なユーザーを集めることができるはずだ」と考えている。

デベロッパーは慣れ親しんたUIと大きく異るロックスクリーンやランチャーを作ることにためらいがちだが、ユーザーがインストールするアプリがますます増え、画面また画面、フォルダーまたフォルダーという状況は次第にユーザビリティーの限界に近づいている。

この「アプリの海」を効果的にナビゲーションする方法としてユーザーの置かれたコンテクストを利用したスマート・アプリは近く大きなトレンドとなるに違いない。

Coverのダウンロードはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Instagram、Instagram Directを提供開始(特定の相手との交流が可能に)

ニューヨークで行われたプレスイベントにて、InstagramのファウンダーであるKevin Systromがプライベートな写真共有と、メッセージング風サービスを導入するとのアナウンスを行った。サービスの名称をInstagram Directというのだそうだ。

これまでのInstagramは、公開型のソーシャルネットワークだった。Facebookのように相互に繋がった相手とやり取りをすることを目的とするのではなく、ブロードキャストモデルを基本スタンスとして採用していた。今回、Instagram Directを導入したことで、Instagramでもプライベートなやり取りが可能となる。

すなわちフォローしているユーザー同士での、ある種のチャット風やりとりを愉しむことができるようになるのだ。コミュニケーションのきっかけはもちろん写真ないしビデオからスタートということになる。これはInstagram上で実装されるサービスとして当然のことだ。これまでは「いいね」したり、あるいはパブリックなコメントを送ることしかできなかったが、投稿された写真ないし動画に基いて、個人間のメッセージのやり取りが可能となったのだ。

仕組みについてみておこう。

写真を投稿する際(投稿の仕方はこれまでと変わらない)、写真の上に「Followers」と「Direct」という2つのタブが表示されるようになった。

「Direct」を選ぶと、写真を見てもらいたい友だちを選び、そしてそれぞれにメッセージを送ることができるようになっている。送った相手が写真を開くと、送った相手のリスト画面にチェックマークが表示される。ダイレクトに送った写真についても「いいね」することはでき、その画面でチャットのやり取りをすることもできる。

Direct投稿は、一度に15人まで同時に行うことができる。送信時には送る相手のサジェスションも行ってくれるようになっている。

写真を受け取った場合は、アプリケーションの右上にあるインボックスアイコンからメッセージを受け取ることができる。Directの画面からは1対1ないし、写真が送られたグループの人とのチャットを行うことができる。

Instagram上で相互にフォローしあっている人なら、簡単にプライベートなメッセージのやり取りができるようになったわけだ。フォローしていない相手からメッセージが送られてきた場合には、メッセージはすぐには受け取ることができず、ペンディング扱いとなるようになっている。

メッセージの受信に同意すると、それ以降は当該送信者からのメッセージがインボックスに届くようになる。

ちなみに、最初からテキストのみのメッセージを送ることは出来ない。まず写真を送ってからチャットを開始することとなる。

Instagram上ではこれまでも、ある種のプライバシー設定があった。たとえば特定の利用者をブロックするとか、あるいは自分自身のプロフィールをプライベートにするなどといったものだ。プロフィールをプライベートにすると、フォローの申請を承認して、はじめてフォロワーにコンテンツが表示されるようになっていた。

今回のアップデートにより、プライベートに、より親しい人とのやり取りのみを行うようなオプションが登場してきたということもできるだろう。

また、今回のアップデートにより、エンゲージメント獲得の機会を得たということもできよう。お互いの写真をいろいろと見て回った後には、撮影している写真などをきっかけにして、きっと会話も弾むことになるだろうと思われる。

Instagram Directについてのビデオを下に掲載しておく。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


匿名で「ささやき」をシェアするWhisper、トピックス機能を実装して使い勝手が大幅アップ

Sequoiaなどが出資するWhisperは、匿名で「ささやき」(whisper)を共有するソーシャルネットワーク(secret sharing application)だ。このWhisperが新版のアプリケーションをリリースした。いろいろなトピックス(タグ)を検索してブラウズできるようにしたものだ。また、「ささやき」を簡単に作成できるようにする、新しい仕組みも導入している。

ちなみにWhisperは、写真とテキストを一緒にして、個人的な「ささやき」を共有するためのツールだ。ウェブサイトではPostSecretというものがずいぶん前から存在するが、そのモバイルアプリケーション版といったイメージだ。匿名で「ささやき」を公開できるので、他の人にどう思われるかとか、あるいは個人的な評判に影響を与えてしまうのではないかというようなことは心配せずに利用することができる。

サービスのスタートは今年初めの頃で、そこから急速な成長を遂げている。月間ページビューも、5月時点の15億から伸びて、現在では30億に達している。利用者は、他の人の「ささやき」を閲覧するのに30分以上を費やしている。

最新版では「ささやき」を投稿する際には、システム側で自動的に関連トピックスを検知して、投稿にタグ付けを行ってくれるようになっている。さらに投稿に付加する写真までも自動的に探しだしてきてくれるのだ。もちろん提示された写真が気に入らなければ、他の写真を探したり、あるいは自前のライブラリから写真をアップロードすることもできる。

こうした機能強化により、一層多くの「ささやき」が投稿されるようにもなることだろう。但し、同じ範疇に入る他のアプリケーション同様、Whisperの利用者もコンテンツを投稿するよりも、むしろ他の人の作成した「ささやき」を愉しむ方に軸足をおいている。自分で「ささやき」を投稿することよりも、他の人のひそかな投稿を見ることの方に面白さを感じているわけだ。

これまで、そうした人にとってのオプションは3つしかなかった。新しい「ささやき」から見ていくか、最もポピュラーなものを見ていくか、あるいは近くにいる人の投稿を閲覧するかだ。しかし今回のアップデートにより、自分の興味に基いて見ていくということができるようになったわけだ。

「これまでは膨大なコンテンツを充分に愉しむことができない状態になってしまっていました。興味の持てないものも見ていかざるを得ないという仕組みになっていたのです」と、CEOのMichael Heywardが電話インタビューでこたえてくれた。「利用する人に応じた、それぞれに適したコンテンツを提供する方法を構築することが急務だったのです」。

今回のアップデートで、Whispers内をトピックスによって検索していくことが出来るようになった。閲覧者の興味に応じて、自分の求める情報を追い求めていくことが可能となったのだ。単純なことのようにも思えるが、実のところトピックス毎にまとめて読めるようにするためには、バックエンド部分に相当な変更を加えることとなったようだ。

トピックスの種類としては100万種類もある。どのトピックスに属するのかは、見ている「ささやき」の下に記されている(訳注:いわゆるタグの形式で付加されます)。すなわち、検索した場合はもちろん、偶然であった面白そうなトピックについてでも、該当するトピックスを指定することで同じようなテーマの「ささやき」を追いかけることができるわけだ。

「これまでとは異なる魅力を付け加えることができたと思います」とHeywardは言う。「YouTubeでも、特定のストリームないし人気ビデオしか表示できないようなものだったら今ほどの人気を獲得することはなかったでしょう。私たちもYouTubeのように柔軟なコンテンツ選択メカニズムを導入したわけです」とのこと。

トピックス検索の機能が加えられて、かつすべての「ささやき」にトピックスが関連付けられたことにより、登録されている「ささやき」を外部から利用したくなるケースも考えられるようになた。Heywardも、外部から利用できるAPIを用意するのならば、今回のトピックス機能に関連したものになるだろうと話している。

Whisperはロサンゼルスに拠点をおき、現在の従業員数は30名だ。これまでにSequoia Capital、Lightspeed Venture Partners、Trinity Ventures、ShoedazzleのファウンダーであるBrian LeeおよびFlixsterのJoe Greensteinたちから、合計で2400万ドルの資金を調達している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


プログラミング教育用トイ・ロボットのPlay-i、140万ドルを調達していよいよ来夏より出荷開始

これからは世の中にさらにテックの要素が増えていき、そして仕事でも一層テック系の素養が必要となってくる。それであってみれば、子供たちにコンピューターサイエンスやエンジニアリングを教えていくことが大切だ。と、そういう考えを当然のことだと考える人も多い。しかしアメリカでは10校のうち9校までがプログラミングの授業を行っていない。コンピューターサイエンスやテクノロジーに親しませ、積極的に関わっていくことができるようにするためには、たとえば他の言語を学ぶのと同様に、早期に始めることが非常に大切なことなのだ。もちろん、内容は楽しいものでなければならない。

コーディングのスキルを身に付けるのには時間もかかり、大人になってからではかなり難しくなってしまう。但し、子供を椅子に縛り付けてコーディングの勉強をさせるのもまた難しいことだ。もちろんコンピューターサイエンスの理論を覚えこませようなどというのも無駄に終わる可能性が高い。これに対処しようと動き出したのが、GoogleでConsumer Payments部門の長を務めた経験をもつVikas Guptaだ。子供たちが楽しくプログラミングを学ぶことのできるPlay-iというプロダクト(プログラムでロボットを動かす)を生み出したのだ。

共同ファウンダーにAppleでiPodソフトウェアチームを率いていたSaurabh Guptaおよび,
Frog Designでエレクトロニクスプロダクトおよび玩具のデザインおよび製造を行っていたMikal Greavesを加えて、Play-iの開発を行った。開発にあたっては、子供たちが「遊べる」ものを作ることを心がけたのだそうだ。こうした考えに沿って生まれてきたのがBoとYanaという2つのロボットだ。プログラムで制御できる、インタラクティブなトイ・ロボットだ。

Play-iは昨年、Google Ventures、Madrona Venture Groupなどから100万ドルの資金を調達してプロトタイプの開発を行った。現在もまだ細部を詰めている段階ではあるが、全体的な学習システムはほぼ完成し、ついに商用リリースの目処がたつところまでやってきた。来年には販売を開始する予定で、そうなればiPadで動作するPlay-iを使って、BoやYanaと一緒に遊ぶことが出来るようになるわけだ。

iPad用アプリケーションには、アクションシーケンスや、簡単なコマンドが用意されていて、それを並べてロボットを動作させることができる。たとえば手のようなパーツを叩いたり、あるいは手を振るように動かしたり、握手するような動きを行うことができる。3つのタイヤを備えたBoは部屋の中をあちこちに動きまわることができるし、ライトを点滅させたり、木琴を演奏したり、あるいはYanaを揺らしてライオンのように吠えさせたり、さらにはロボット2台を対話的に動かすことなどができる。実際に動いたり音楽を奏でたりするおもちゃを通じて、自分のプログラムがいったい何を引き起こしているのかということを学習していくことができるのだ。

また、単にロボットが動くのを見て愉しむ段階をこえて成長しても、このPlay-iを楽しめる仕掛けが用意されている。すなわちPlay-iで使うことのできるコマンドは、JavaやPythonなどといったプログラミング言語を用いて作成されたものなのだ。こうしたプログラミング言語を活用して、自分だけのコマンドを作ることもできるわけだ。これにより、さまざまな年齢層でBoおよびYanaとのコミュニケーションを愉しむことができるようになっており、いろいろなレベルでプログラム開発を行っていくことができる。

おもちゃを使ってプログラミングを学ぼうというコンセプトは、このPlay-i以外にも昔から存在するものだ。Play-iについての以前の記事でも指摘されているように、この分野にはCargo-Bot、Move the Turtle、あるいはBee-Botなどの先輩プロダクトがある。比較的新しい分野だとはいうことができ、いろいろなプロダクトが今後も参入してくることとなるだろう。こういうプロダクトに対するニーズも、最近になって生まれてきたものだ。教育会全体としてもSTEM教育に関心があつまりつつあり、それもあって若年層に対するテック教育のためのツールが探し求められるようになった背景もある。この分野は、今後ますます発展していくことになるのだろう。

もちろん共同ファウンダーたちは、このBoとYanaのことをとても気に入っている。しかし一般の消費者が興味を持ってくれるのか、あるいは商品を手にとってみたいと思ってもらえるのかについては慎重な姿勢ももっていた。すなわち11月半ばにクラウドファンディングでのプロジェクトを立ち上げて、一般の人の反応を探ってみたのだ。反応は上々で、しかもアメリカ以外の国の人も関心を持っていることが判明した。

Kickstarterでの31日間のキャンペーンにて、Play-iは目標の5倍となる140万ドルの資金を調達した。また、そのうちの2万6000ドルは、学校や経済的に恵まれない子供たちを対象とした施設に対してPlay-iを寄贈することを目的とした寄付として出資された。出資者はイギリス、カナダ、ドイツ、オーストラリア、インド、フランスなど多数の国にわたり、全体の30%以上がアメリカ国外からのものだった。

プレオーダーの件数も1万を超え、出荷は来年の夏から開始される見込みだ。それまでの期間は、製品の最終仕上げと、販売パートナーの獲得を行っていく予定なのだそうだ。Gupta曰く、Play-iをサイトおよび実店舗の双方を通じて販売していきたい考えであるとのこと。但し詳細についてはまだ決まっていないらしい。

今後もまだまだ新しい情報が出てきそうなPlay-iのホームページはこちら。またファウンダーのインタビュー動画を下に掲載している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


家を「スマート」化するOwl Platform(センサー+ベースステーション+オンラインシステム)

家を「スマート・ホーム」化するのはなかなか大変なことだ。いろいろなハードウェアを導入して、ライトやセンサーなど、さまざまなものを制御するプラットフォームを構築(導入)する必要がある。こうした苦労を可能な限り低減しようとするのがOwl Platformだ。

このプラットフォームは、身の回りにある各種センサーを効率的に管理したいというチャレンジから生まれてきたものだ。システムはセンサー群およびベースステーションから成る。センサーはドアの開閉、水位、温度などを検知することができる。センサーのバッテリー寿命は10年で、ベースステーションとはワイアレスで通信を行い、Owl Platformを形成する。本格的ベースステーション(これまではRaspberry Piを利用していたそうだ)およびオープンソースで開発しているサーバーシステム構築のために、5万ドルの資金調達を目指している。システムはセンサーで検知したドアの開閉やさまざまな環境変化をメールないしテキストメッセージで利用者に通知する。

コンパクトで長寿命のセンサーを開発しました。またこれらを有効に活用するスマートホームシステムの開発も進んでいます。縦横1インチのセンサーはボタン電池(coin cell battery)を利用しており、バッテリー寿命は10年となっています。センサーで検知した情報はオンラインシステムに送られ、家の中で発生したさまざまな事象を即座に認知することができます。システムの設計にあたってはシンプルさを重視しており、届いた製品を開封して15分以内に設定は完了します。

150ドルを出資すれば水センサーおよびドアの開閉センサーがセットになった基本パッケージを手に入れることができる。Pipsと名付けられたセンサーは既に完成していて、Owlシステム全体の完成は2014年7月が予定されている。現段階のものを触って見ることが出来たが、まずはセンサーの小ささと、設定の容易さに驚いた。誰もが必要に感じるプロダクトというわけではないだろうが、DIYの好きなホームオーナーはきっと興味を持つことだろう。身体のデータをさまざまに数値化するプロダクトは既に世に溢れている状況となっている。つぎは家の中にある各種データの数値化(Quantified Home)が進んでいくことになるのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Snapchat、追放されたファウンダーが秘密の訴訟情報を漏洩していると差止め申し立て

「すぐに消えるメッセージ」のアイディアを最初に考えついたと主張する男、Reggie Brownに対してSnapchatは情報漏洩を差し止める仮処分を申し立てた。

今日Snapchatが裁判所に提出した申立書によると、「共同ファウンダーだったが追放された」とされるBrownは秘密の裁判文書を不法にマスコミに漏洩しているとされる。

この申立でSnapchatの訴訟代理人、Quinn Emanuel法律事務所は「Brownは本件訴訟に関連するほとんどすべての文書の公開を禁じる裁判所の保全命令に従おうとしない」と書いている。

Brownは訴訟関連情報を公開したことを認めている(Business Insiderこの宣誓供述ビデオを渡すなど)。「自分には訴訟関連文書を公開する権利があり、今後も公開していくつつもりだ」とBrownが語ったと申立書は主張している。

裁判所が仮処分の申立を認めることになれば、 Brownと弁護人は罰金、法廷侮辱罪その他の罰を受ける可能性がある。また本訴全体を失う危険性さえある。

申立書には「秘密情報が公開されればSnapchatは回復不能の損害を受ける」とある。訴訟文書には将来のビジネスプランや個人情報、数千ページに及ぶ財務情報が含まれているらしい。また申立書にはReggie BrownがGQ誌の独占インタビューを受けることを予定しているとも記載されている。

ちなみにSnapchatの代理人は当初Cooley LLP法律事務所だったが、4月にQuinn Emanuel法律事務所に変えられた。 BrownはQuinn Emanuelはごく短い期間だが、自分の代理をしたことがあるとして忌避を申立てた。数カ月後、裁判所は申立を退けた

ところが最近になって、SnapchatとともにBrownに訴えられている投資家は法律事務所をQuinn EmanuelからDurie Tangri, LLPに変更した。われわれはQuinn EmanuelとDurie Tangriの双方にこの変更の理由を質問中だ。

〔日本版:仮処分の申立書の全文は原文参照〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


出版特化型クラウドファンディング「ミライブックスファンド」がローンチ

ワンモアと大日本印刷(DNP)が5日、出版に特化したクラウドファンディングサイト「ミライブックスファンド」を公開した。クラウドファンディングサービスを手がけるワンモアと、出版物を制作するDNP、出版取次会社が協力し、出版に必要な企画立案から資金調達、流通、制作までに至るプロセスをワンストップで提供する。

出版者(出版社ではなく個人やチーム)は、出版物のテーマやストーリー、必要な資金と募集期間、支援者へのリターンの内容などプロジェクトの詳細をサイト上で告知し、購入希望者による支援を呼びかける。募集期間内に必要な資金が集まれば、支援者へ所定のリターンを提供する。出版者は集まった資金の20%を手数料として支払う。

リターンはプロジェクトによって異なるが、コアなファン向けに限定本を提供したり、新人作家の出版などのプロジェクトに対しては、支援者の名前入りの書籍をプリントオンデマンドで制作したり、限定フィギュアを3Dプリンターで制作したりすることを想定しているのだという。

第1弾プロジェクトとしては、クラウドソーシングサービスを運営するランサーズが、特定の企業に所属せずに働くフリーランスの活動を紹介する書籍を出版する。取材や書籍カバーデザインなどの制作者についてはクラウドソーシングをフル活用し、ランサーズ上で募集する。

プロジェクトの募集期間は12月5日から1月23日まで。目標金額は300万円で、支援金は500円から100万円まで受け付けている。リターンは、完成した書籍への広告掲載や出版パーティー参加権などを用意している。

出版に関するクラウドファンディングといえば、絶版漫画の配信サービス「Jコミ」が作品のPDFセットなどを販売する際に利用しているが、「出版の企画から流通、制作までを一気通貫で手がける出版特化型のクラウドファンディングは日本初」(ワンモア)。ミライブックスファンドでは2015年度までに100件のプロジェクト実現を目指す。

出版者としては、出版物の企画段階からサイト上でプロモーションができるため、出版に伴うリスクを低減できることがメリット。また、取次の協力があるため、書店や電子書籍ストアでも販売されるのも自費出版と異なるところだろう。その一方、販売力のある大手出版社の書籍と異なり、書店でどれだけ売れるかは未知数だ。


満足しなければ全額返金、高級旅館専門の予約サイト「relux」が会員機能をオープン化

「宿泊予約サイトは情報が多過ぎてなかなか選べない」「行ってみたら写真と実態がかけ離れていた」――。旅行にまつわるこんな不満を解消すべく、独自の審査基準で選んだ高級旅館だけを掲載し、しかも満足しなければ全額返金する“満足度保証”をうたっている宿泊予約サイトが「relux(リラックス)」だ。12月2日に、これまで会員登録時に必須だった審査をなくし、会員機能をオープン化した。

reluxが扱うのは部屋や風呂、料理、サービス、雰囲気など100項目からなる独自の審査基準を満たした高級旅館のみ。運営元のLoco Partnersの社員が現地を訪れ、実際にチェックをした旅館だけを掲載している。今年1月にオープンし、11月時点で80件の宿泊施設と契約、年内には100件を超える見込みだ。

これまでは取り扱う宿泊施設が少なかったこともあり、会員登録時に同社による審査を必須としてユーザーを限定していたが、12月2日に会員機能をオープン化。誰でも予約できるようになった。ユーザー数は10月時点で1万5000人、年内に3万人、2014年6月までに10万人を目標に掲げている。

満足度保証を支える機能としては、希望する宿泊地域や料理などに応じた旅館を提案するコンシュルジュデスクをサイト上に用意。「妻の誕生日に部屋から富士山が見える宿に泊まりたい」といったざっくりとした要望にも応えていて、予約者のうち2割以上が利用しているのだとか。

1予約あたりの平均単価は約9万円。「競合サイトよりも3倍以上高い」(篠塚孝哉社長)が、競合サイトの同一プランと比べて最も安い料金を提供する最低価格保証を行っている。滞在して不満だった場合は宿泊費の全額返金に応じているが、「いままでに1件もない」。累計流通総額は10月で1200万円、12月に3000万円に達する見込みだ。

楽天トラベルやじゃらん、一休などの競合サイトと比べた優位性は、宿泊施設から受け取る手数料の高さ。「楽天やじゃらん、一休の手数料率は宿泊代金の10%程度。それに対してreluxは15%」(篠塚氏)。競合サイト比べて予約平均単価も高いreluxは、手数料収入による高い利益率が強みとなっているのだという。

なぜ、強気の手数料を設定できるのか。篠塚氏によれば、一部の超有名旅館を除けば、1年中満室の旅館はごくわずか。そこでreluxは、Facebookや検索エンジンの広告を通じて、競合サイトがリーチできていないという「富裕層」を獲得し、旅館が宿泊予約サイトで取り込めなかった層を送客している。旅館としても稼働率が上がるメリットがあるため、高い手数料を許容しているようだ。

篠塚氏は2007年にリクルート旅行カンパニーに新卒入社。在籍中は大手宿泊施設の企画やマーケティングに携わってきた。2011年にLoco Partnersを創業し、2013年3月にreluxをローンチしたが、そこで感じたのは旅行業界の“常識”に対する疑問だったと話す。

「旅行業界は宿泊施設を“箱”としかとらえない傾向がある。いかに単価が高く、収容人数が多い施設に人を流し込むか、というモデル。それは旅行代理店や宿泊予約サイトでも同じ。良い旅館が埋もれているのが悔しくて仕方ない。reluxは会員に満足度の高い旅行体験を約束し、旅行業界の既存モデルを変革したい。」

Loco Partnersの篠塚孝哉社長


「価格.com」モデルを東南アジアでタイムマシン経営する日本のスタートアップ

海外でヒットしたビジネスモデルをいち早く日本に持ち込む「タイムマシン経営」。ネットバブルと呼ばれた時代には、ヤフーをはじめ多くの企業が米国の成功モデルを輸入して成功したが、近年ではネット業界の国境や時差がなくなってきたせいか、かつてのようにその言葉を聞かなくなった(関連記事:もはや、日本でタイムマシン経営を成立させるのは無理か)。ならばと、価格比較サイト「価格.com」のモデルをインドネシアで展開しようとしているのが、Pricebookという日本のスタートアップだ。

Pricebookは、東南アジアでのネットビジネス経験がある2人が9月に設立したスタートアップ。国内でシード・アーリー投資を手がけるインキュベイトファンドが出資している。

Pricebookによれば、インドネシアはEC市場の伸びが著しく、B2C向け市場規模は2012年で約1040億円、2015年には約3560億円に拡大する見込みだという。同社は、「インドネシアにはEC領域に大きな可能性がある一方で、有力な価格比較サイトが台頭していない」と分析。インドネシアを含む東南アジアで価格.comと同様のポジションを取れると判断し、まずはインドネシアで12月3日にサービスをローンチした。

当初は、携帯電話やパソコンなどの家電を取り扱い、製品のレーティングやレビュー、検索、掲示板、レコメンド機能を搭載。販売店と価格の組み合わせをリスト化し、それぞれの販売店の評価とあわせて掲載する。いくつかあるという既存サービスとの差別化ポイントとしては、「最低価格比較」および「口コミ」の2点を打ち出していく。

Pricebookの辻友徳社長によれば、インドネシアの価格比較サイトは、製品の価格が間違っていることが多々あるのだという。そこで同社は、店舗のECサイトに負荷をかけない範囲内の頻度で価格をクロールしたり、セール情報ページはクロール頻度を上げるなどの施策を実施。誤った製品に基づいた価格については、人力作業で精度を向上させる。東南アジアの高い携帯電話普及率に合わせ、レスポンシブデザインやモバイルアプリの開発にも取り組む。

短期的な目標としては、競争源泉となる製品や価格データ、口コミを蓄積するとともに、SEOを重視してアクセスを集める。2014年中には、店舗から製品や価格のデータを自発的に提供してもらい、最新の価格情報をプッシュ型で配信する仕組みを構築する。「買い手・売り手ともに未成熟な市場なので当面は売上を追求しない」(辻氏)が、将来的には扱う商品のカテゴリーや展開国を増やし、2年をかけて単月黒字化を目指すとしている。


Apple、Twitter分析のTopsyを2億ドル以上で買収。SiriやAppStoreの関連性強化に利用か

Appleは、ソーシャル分析会社のTopsyを買収した。Twitterのデータ解析に特に力を入れている会社だ。The Wall Street Journalによる。契約金額は「2億ドル以上」と思われると同紙は報じている。

Topsyは、Twitterのデータ収集、解析に注力しているいくつかの会社のひとつだ。顧客は2006年以来4250億件以上のツイートにアクセスして、トレンドを感じとることができる。TopsyのTwitterデータ再販におけるライバルには、DataSiftやGnipがいるが、そのトピック・トレンド検索等のユーザー向けツールは、世間でツイートされていることを理解しようとする人々の間で人気が高い。

AppleはすでにTwitterのパートナーであり、iOSとOS Xプラットフォームにログインや投稿機能を組み込んでいることから、買収の目的がTwitterの全データにあるとは考えにくい。おそらくAppleは、Topsyの持つトレンド分析のテクノロジーと技術者を、何らかの形で自社製品に取り込みたいのだろう。

あえて推測するなら、これはAppleがAppStoreとiTunes Storeの関連性エンジンを作ろうとしていることと関係しているかもしれない。自社ストアの検索アルゴリズムにソーシャル信号を加えることによって、検索の関連性を改善し、Appleはユーザーにとってより魅力的で興味深いアプリを表面化できる。複数のソーシャルネットワークを横断してアプリのトレンドを追跡することで、アプリのカテゴリーや品揃えを微調整し、人気アプリをいち早く浮上させられる。

これを先に進めれば、AppleはあなたのTwitterフィードデータを利用して、「一般的」ではなく、より個人的な基準でアプリを推奨することも可能になる。Appleは現時点でこの種の個人的推奨を殆どやっていないが、何事も初めての時はある。

WSJの記事は、iTunes Radio広告とiAdプラットフォームも、Topsyエンジンの恩恵に預かる候補だと指摘している。理論的に、Appleはソーシャルデータを使って、広告主がより関連性の高い視聴者に広告を打てるよう手助けできる。これは、これまで絶好調とは言えなかった、Apple広告プラットフォームにおける売上と関連性を強化するものだ。

Appleは、アプリ検索会社のChompを昨年売収したが、結局使ったのは主にその「カード風」インターフェースだけで、一部が予想していた優秀な発見モデルではなかった。残念ながらこの買収は、AppStoreの検索結果に大きな改善をもたらしていないようだ。また、最近Appleはストア内検索に手を加え、ミススペリングやタイプミスの修正を強化した。

AppleがTopsyのトレンドデータやTwitter生データを使って、Siriの検索を改善しようとしている可能性もなくはない。そうなればSiriが質問された時、Twitterにおけるトレンドトピックや検索結果を利用者に提示できる。

Topsyはソーシャルネットワークに関連して、10件以上の特許を申請している。その中には、予測ベースでソーシャルメディアネットワークをクロールするためのシステムおよび方法や、ソーシャルネットワークから収集したソーシャルメディアコンテンツのカスタマイズ化フィルタリングと分析のシステムおよび方法がある。

Twitterの全データにアクセスできる数少ない会社の1つで、Twitter初の認定パートナーでもあるTopsyが買収されたことによって、残された者たちの市場は変わっていくだろう。

Topsyのチームや製品が何に利用されるにせよ、その強味は巨大データセットのリアルタイム解析にあるので、時間に依存する、あるいは、流れくる情報の影響を受け続ける何かに使われるだろう。これは、Twitterのようなネットワークを流れるデータに対する、Appleの興味の高まりを示すものであり、ある意味で新鮮な考えだ。これまで同社は、この分野にあまり熱心ではなかった。Appleはこの買収をWSJに対して正式に認めた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi facebook


ウィッシュリストサービスを提供するaddwish、180万ドルを調達して本格的米国展開を開始

ウィッシュリストが活躍するシーズンがやってきた。デンマークのスタートアップであるaddwishが、北欧方面で活動するアーリーステージ対象のVCファームであるSunstone Capitalより、180万ドルの資金を調達した。addwishは消費者およびオンラインビジネス企業の双方に使ってもらうためのウィッシュリストサービスを提供している。

addwishにとっては、これが最初の外部資金の調達となる。2008年以来、自己資金による運営を行ってきた。Brian PetersonとKasper Refskou Jensenが共同ファウンダーであり、これまでは他に職を持ちつつ、サービスの運営を行ってきていた。

今回、Sunstoneからの資金を得たことにより、フルタイムでaddwishの運営を行っていくこととなった。まずは来年中に、アメリカのオンラインショップ3000件の参加を目指したいのだとのこと。このアメリカでの展開のためにスタッフを雇い入れたりする予定で、資金はここに投入する予定となっている。

現在のところでは、500以上のオンラインショップがaddwishのウィッシュリストプラグインを利用しているそうだ。消費者側について言うと、日々1000人がサインアップしているのだとのこと。これを近いうちに1日5000人規模にまで持って行きたいと考えている。

尚、本年末までにはヨーロッパと北米をあわせて、2000以上のショップにてaddwishのプラグインが導入されることになりそうだという話もある。こうした動きの中、ウィッシュリスト数はクリスマスまでに25万に達するのではないかと見込んでいる(利用者数の動向が激しいからということで、現時点での正確な利用者数は教えてもらえなかった)。

ところでaddwishは、先週iOSおよびAndroid版のアプリケーションをリリースしている。欲しいものが見つかったときにすぐにウィッシュリストを作成して管理することができる。また友だちや家族間でリストを共有し、ウィッシュリストの中から既にプレゼントとして送ったものを管理することもできるようになっている。

消費者としてaddwishを使う場合、無料でサービスを利用することができる。販売サイトがaddwishのプラグインを利用している場合、その販売サイトの商品を簡単にウィッシュリストに登録することができる。サイト側で対応していない場合や、オンラインで購入できないものなども、マニュアル作業で登録することができる。

そして実は、店舗側もaddwishのプラグインを無料で利用することができる。addwishのビジネスモデルは、ギフトを探して検索する利用者に対してサジェッションを行うのに費用を発生させるというものだ。プロモーションを行うことで、コンバージョンレートは2%程度から一気に15%に跳ね上がるのだそうだ。

ちなみに商品サジェッションはさまざまな段階で行われるようになっている。たとえば特定の商品を検索する場合、タイプする毎にヒットする製品が提案される。最終的にマッチする製品がない場合には、ショップの製品と紐付けされることなく登録され、あるいはぴったりマッチするものがあればその製品が利用者に提示されることとなる。特定プロダクトの検索時のみならず、ギフトを探すあらゆる行動をきっかけとして、さまざまな商品提案が行われるようになっている。

今回の出資について、Sunstone CapitalのパートナーであるChristian Jepsenは次のように述べている。「Sunstoneとしては、addwishの今後に大きく期待しているのです。addwishは消費者とショップの間を橋渡しするプロダクトで、世界中のどこでも通用するものです。これから世界中で利用されるようになる可能性もあります」。今後の発展を楽しみに見守りたいと思う。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Bluetooth経由で紙飛行機を自在に飛行させるするPowerUp 3.0 ― 紙飛行機少年の夢は現実へ

ハイテクとローテクを融合させることには、多くの人を惹きつける魅力があるようだ。たとえばPowerUp 3.0をみてみて欲しい。Bluetooth 4.0を使うことで、極めて普通の紙飛行機が、安価で簡単なスマートフォン制御飛行マシンに変身するのだ。少なくとも制作者はそう言っている。実際のところも、なかなか面白いプロダクトであるようだ。

さて、このPower Up 3.0というのは何物なのか。これは紙飛行機に装着して長時間飛行に耐えるフレームとして機能し、そしてまた推進・ステアリング装置として機能するものだ。Bluetoothのコミュニケーションハブとして、スマートフォンからの指示を伝える。これを装着すれば、紙飛行機をスマートフォンから操縦することができるようになるというシロモノだ。Micro-USB経由で充電を行い、1度の充電あたり、10分間の飛行を愉しむことができる。通信可能距離は180フィート/55メーターで、最高速度は10mphとなっている。

熱烈な飛行機ファンであるメンバーがPowerUp 3.0のプロトタイプを作成し、そしてこのプロトタイプを元に完成形プロダクトを世に問うためにKickstarterに登録することとなった。キャンペーンは土曜日に始まったが、開発者のShai Goiteinによれば、わずか8時間で目標としていた5万ドルを調達することとなったのだそうだ。どうやら世界中の人が、未来は紙飛行機に大きな期待を持っているようだ。

このプロジェクトに参加することにより、リモートコントロールできる飛行機を、安価に手に入れることができるわけだ。もちろん全天候型ではない。雨などに濡れてしまえば、PowerUp 3.0を搭載していようがいまいが、紙飛行機は飛ぶことなどできなくなる。

本稿執筆時点で、資金は13万5000ドル以上が集まっている。15万ドルに達するようなことがあれば、Android版の開発にも乗り出すとのことだ(訳注:訳出時点では16万5000ドル以上となっています)。

PowerUp 3.0の基本パッケージの価格は30ドルだった。もちろん既にこの価格の出資申込みは締め切りに達している。現段階でキットを入手することができる価格は40ドル以上ということになる。価格によって、リチャージャブルパックなどがついてくる。

当初リリースされる予定のiOSアプリケーション(1年以上にわたって開発が続けられている)を使えば、スロットルレバーを使って上昇・下降、そして機体を傾けての方向転換などを行うことができる。方向転換は機体後部の小さなフィンを操作することによって行うようになっている。紙飛行機を飛ばした経験を持つ世界中の子供たちの、自由に飛行機の方向を操作してみたいという願いがついに叶えられることになるのだ。

デバイスはカーボンファイバーで製作されている。充分な軽さで飛行に問題はなく、さらに強度もあって墜落時のショックにも充分耐えることができるはずだ。

PowerUp 3.0の出資者には、来年5月頃にプロダクトが出荷される予定。Goiteinによると、Kickstarterプロダクトを成功裏に終えることができれば、小売店舗でも、来年6月から50ドルでの販売を行いたいとのことだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


食べられるInstagrams登場―Boomfは写真をマシュマロに印刷する

ある調査によると、一種類の食べ物の写真を、たとえばInstagramのフィードで、繰り返し繰り返し見ているとやがてその食べ物に飽きてしまうという。

しかしInstagramの写真自体が食べ物だったらどうだろう?

イギリスのスタートアップがそういう実験を始めた。ユーザーはInstagramの写真をマシュマロに印刷させることができる。

いや、本当の話だ。

ウェブアプリを通じてマシュマロ1個ごとに2ドル払った後、ユーザーはInstagramのフィードから「いちばん美味しそうな写真」を選ぶ。 Boomfはその写真を印刷したマシュマロを届けてくれる。

9個入りの1箱が12ポンド(約19ドル)だ。

もちろん、画質は最高というわけにはいかないが、なにしろ食べられるのだ!

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+