Androidのフォーカスモードがベータ段階を終了、新たにスケジューリング機能が加わる

Googleが米国時間12月4日にローンチしたFocus Mode(フォーカスモード)という機能で、Androidデバイスの一連のデジタルウェルビーイング(Digital Wellbeing)ツールが一層充実した。このモードを使うと、ユーザーはソーシャルメディアのアップデートやメールの通知など、集中心を削ぐ雑事雑念を一定時間シャットダウンし、仕事などに集中できる。フォーカスモードは5月に開催されたGoogleのデベロッパーカンファレンスであるGoogle I/Oで発表されたが、これまではベータ状態だった。

Do Not Disturb(おやすみモード)と違って、音や振動を消すとか、ビジュアルな邪魔物をブロックすることはできない。フォーカスモードは、指定したアプリを無効にするだけだ。

このモードを使うにはまず、最も邪魔になるアプリをDigital Wellbeing機能で指定する。FacebookやYouTube、Gmail、ゲームなどがあなたの集中心を奪っているかもしれない。それらのアプリを一時的にポーズにして、通知が来ないようにする。そのアプリを開こうとすると「それはさっきポーズにしたでしょ」と注意される。

ベータテスト中にGoogleは、ベータテスターのフィードバックがフォーカスモードの新しい拡張機能、つまりアプリの一時中断機能の開発につながったとしている。これにより、例えば午前9時から午後5時までの勤務時間など、選択した曜日と時間にアプリ通知を継続的にブロックできる。

フォーカスモードを一時停止するオプションもある。これにより、ブロックされたアプリをしばらく使用し、完全に無効にすることなくフォーカスモードに戻ることができる。さらに、仕事やその他のタスクを予定よりも早く完了した場合、フォーカスモードの設定を変更することなく、その日のフォーカスモードだけをオフにできる。

このフォーカスモードは、Googleがデジタルウェルビーイングを充実させる努力の一環だ。この機能が始まった2018年には、GoogleのPixelスマートフォンだけが対象だった。そしてその後は徐々にAndroid全体広がり、親が子どものアプリ利用を管理するペアレンタルコントロールのFamily Linkなども含まれるようになった。

Googleのデジタルウェルビーイングアプリは、本来のDigital Wellbeingの枠組み以外にもある。その中には、スパム通知をメールボックスに放り込む、クロックをアンロックする、自分でデバイスをチェックしなくても重要な情報がプリントされるなどの機能がある。

Googleが開発したセッティングやコントロールのツールにも、YouTubeの視聴を休憩する、Gmailのオートメーション、Google Homeのダウンタイム時のセッティングなど、ウェルビーイング的なものがある。

Googleによるとフォーカスモードの新バージョンは本日ベータを終えて、デジタルウェルビーイングとペアレンタルコントロールをサポートしているすべてのデバイスへ展開中だ。具体的には、Android 9と10を搭載するスマートフォンが含まれる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Androidのアンビエントモードがまもなく一部のデバイスに配信へ

Google(グーグル)が近く発表する、Android向けのアンビエントモードの噂を聞いたことがある人もいるだろう。同社が最初にこの機能を発表したのは9月で、これはAndroidデバイスを充電中にスマートディスプレイに変えるものだ。今回GoogleはTwitterへの投稿にて、Android 8.0以降を搭載する一部のデバイスにアンビエントモードを順次公開することを認めた。

Googleによると、アンビエントモードはLenovo(レノボ)のSmart Tab M8 HDとSmart Tabタブレット、Nokia(ノキア)のNokia 7.2およびNokia 6.2に展開される予定だという。The Vergeによるとソニーやノキア、Transsion、Xiaomi(シャオミ)のスマートフォンも対象になるが、GoogleのPixelはまだリストに入っていない。

「プロアクティブ(率先的)なアシスタントの最終的な目標は、作業の迅速化、ニーズの予測、およびタスクの迅速かつ簡単な遂行を支援することだ」と、Google アシスタント部門で製品マネージャーを務めるArvind Chandrababu(アービンド・チャンドラバブ)氏は発表の中で述べている。「つまり、アプリケーションベースからインテント(意図的)ベースな方法に移行することだ。今のところ、ユーザーはスマートフォンでほとんどのことができるが、それにはかなりの自発的な行動が必要だ。そこで、我々はそこにたどり着くまでに必要なステップをすべて洗い出してみた」。

これはかなり高い目標だ。これからは、アンビエントスクリーンから数回タップするだけでアラームを設定したり、次の予定を確認したり、屋内のライトを消したり、バックグラウンドで画像のスライドショーを見たりできる。これらのタスクが大いに自発的なな行動を必要とするとは思わないが、Googleはよりプロアクティブなエクスペリエンスを将来的に計画していると伝えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iPad用Photoshopのロードマップを発表、「被写体を選択」は今年中に実装

Adobe(アドビ)は、iPad用Photoshopのリリースに関してかなりの批判を浴びた。多くのユーザーが期待していたほどの機能がそろっていなかったというのがその主な理由だ。多く野ユーザーは、このiPadOS用の最初のバージョンがデスクトップ版のPhotoshopと同じように、フル機能を備えたものになると思っていたのだろう。

アドビとしては、基本的にiPad用のPhotoshopの開発中のバージョンをとりあえずリリースし、その後すこしずつ機能を追加するつもりであるとずっと主張してきた。そして今回、ようやくこの製品のロードマップについて、具体的な予定を明確にした。これでユーザーの不満をなだめることができるかもしれない。

2019年にはもうあまり時間が残っていないが、それでもアドビは今年中にiPad版のPhotoshopにいくつかの機能を追加する予定だ。それらによって日常的な操作体験が改善されるはずだ。まず、「被写体を選択」の機能を実装する。これは、重要な選択ツール「マジックワンド」を省略したことによる問題に対処するのに役立つだろう。数週間前のAdobe MAXでデモした「被写体を選択」機能は、アドビのSensei AI技術と連携して、選択ボックスの中の「被写体」を自動的に選択するもの。すでに、Photoshopのデスクトップバージョンでは利用可能となっていて、驚くほどうまく機能している。画像を合成したりする際に、オブジェクトをすばやく抽出してマスクしたり、移動したりすることができる。この機能だけでも、iPadでうまく機能すれば、プロのクリエーターにとって、かなり効果的なツールになるに違いない。

今年中のリリースを目指しているもう1つの機能は、iPad版Photoshopに最初から組み込まれていたAdobe Creative Cloud用のクラウドドキュメントシステムの、高速化と最適化が施されたバージョンを導入すること。これにより、クラウドドキュメントとして保存されたPSDファイルのアップロードやダウンロードが高速になる。また、プラットフォームをまたいだ作業も、より快適になるはずだ。

2020年に目を向けると、さらに多くの機能がiPad版のPhotoshopに搭載される予定となっている。たとえば、「境界線を調整」ブラシといった重要な要素が追加される。これは髪の毛や毛皮など、細かなテクスチャのあるオブジェクトを精度良く選択できるようにする機能だ。デスクトップ版と同様のクリエイティブな画像合成作業を、iPad版でもできるようにしてほしいと考えている人にとっては、非常に重要な機能の追加となる。また2020年には、色調を調整するためのトーンカーブや、レイヤーベースの非破壊的な調整ツールも追加される。さらに、感圧式のブラシや、キャンバスの回転機能も、iPad版のPhotoshopに追加される予定だ。すでにアドビが、デジタルペイントアプリFrescoで実現しているのと同様のものとなる。

2020年に予定されている機能のうち、iPad版をデスクトップ版にさらに近付けることになるものとしては、PhotoshopとLightroomの連携が挙げられる。これにより、LightroomでRAWファイルを編集し、そのまま直接Photoshopに切り替えて、連続したワークフローの中で、さらに編集を加えられるようになる。

これらが、アドビが来年中にiPad版のPhotoshopに付け加える機能のすべてというわけではなさそうだ。実際に同社は、公式のユーザーフィードバックツールを使って、ユーザーに機能の追加と改善に関するフィードバックを提供するよう求めている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「体験型小売店+ソフトウェア」RaaSスタートアップb8taの戦略

11月14日(木)・15日(金)の両日、東京・渋谷ヒカリエで開催されたTechCrunch Tokyo 2019。Day1冒頭のFireside Chatには、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)スタートアップ、b8ta(ベータ)CEOのVibhu Norby氏が登壇。「最新ガジェットを試し購入できるリテール・アズ・ア・サービスb8taの戦略」と題して、同社が展開する体験型小売店ビジネスとソフトウェアプラットフォームについて語ってくれた。モデレーターはEngadget Chinese編集長のRichard Laiが務めた。

「リテールは死んだ」時代に小売サービスを始めたb8ta

b8taは米国で、ガジェットやテックプロダクトなどを試したり購入したりできる体験型小売店「b8ta」を展開している。製品を提供する企業側は、b8taが全米20カ所に構えたスペースを借りてプロダクトを展示できる。

b8ta店舗内を紹介する画像

Norby氏は「世界中から探してきた優れたプロダクトを、顧客は使って試すことができる。顧客がどのように製品を使い、どんな経験をしたのか、開発企業にはフィードバックを伝えている」とb8taのモデルについて説明する。

「b8taは2015年の創業以来、4年間でおよそ1500の新製品を市場に出してきた。ハードウェアやエレクトロニクス製品中心にフォーカスしてきたが、プラットフォームをほかのカテゴリにも広げており、(昨年から営業を停止していた)Toys “R” Us(トイザらス)の米国での復活にも関わっている。顧客はフェイク(モックアップや動かないサンプル)ではない製品を体験することができる」(Norby氏)

2015年というと、米国ではオンライン小売が優勢で、マーケットはリテール業界には消極的だった時期だ。Norby氏は「2013年ぐらいから『リテールは死んだ』と言われていて、2015年に小売サービスに進出するというと『なぜ今そんなものを始めるのか』といわれる時代だった」と語る。

「オンラインでは確かにスクリーンでいろいろなことができるが、プロダクトに触れることはできない。リテールで、店舗で何ができるかと言えば、行かなければ分からない体験、例えばスピーカーの音質やブランケットの肌ざわりを体験することができるということだ」(Norby氏)

また「カスタマーリレーションシップが作れない売り方をメーカーも望んでいない」とNorby氏は続ける。「メールなどの通知ではなく、双方向のリレーションシップが持てる方法を、店舗でのビジネスモデルで実現できないかと考えた」(Norby氏)

Norby氏が着目したのは、新しいコンセプトを持ち、誰も見たり触ったりしたことがないようなプロダクトだ。「新製品は続々と出ている。カテゴリーも増えている。20年前にはコストが高くて作れなかったハードウェアが作れるようになった」(Norby氏)

こうしたプロダクトが世に出るときの小売の課題は、その良さ、新しさが伝わりにくいところだ。Norby氏は「日本の小売店でもそうだと思うが、製品が棚には載せられていても使い方が分からなかったり、見て楽しめなかったりする。Googleのスマートスピーカーが置いてあっても『OK Google、○○してみて』といって得られる体験の良さは分からない」と話している。

そこで「いろいろな製品を試してみたい」という声に応えられるビジネスモデルを、リアルな場を持つリテールで実現したのがb8taというわけだ。

リアルな場+顧客の体験まで一貫して提供するRaaS

b8taのソリューションは、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)として提供されている。プロダクトを持つ企業に対しては物理的なスペース提供のほかに、店舗を運用するためのPOSやプロダクトのデータベース、在庫管理、従業員のシフト管理や教育の仕組み、顧客体験の分析レポートなどがパッケージされている。

「ブランドと契約するときには、顧客の体験まで統括できる。お客さまがプロダクトをどう使って、どういう体験をしたのかをレポートして、メーカーに伝えている」(Norby氏)

メーカーがリアル店舗を運営して顧客との接点を持とうとすると、テナント料・家賃や従業員の賃金が固定費として必要になる。これを「アズ・ア・サービス」として提供するb8taは「特に新しい製品では有効だ」とNorby氏はいう。b8taでは、従業員のトレーニングをかなり重視しているという。「1〜2週間かけてトレーニングを行い、プロダクトやブランドに関する質問に答えられるようにする」(Norby氏)

Norby氏はトイザらスとの協業にも触れ、「子どもは実際の製品に触りたがるものだ。だから体験型小売でのエクスペリエンスが合うのではないかと考えた」と話している。米国テキサス州ヒューストンと、ニュージャージー州パラマス(ニューヨーク・マンハッタン近郊)に、間もなく2店舗を開店するトイザらス。子どもが実際に遊べるツリーハウスや遊び場など「細かいところまでこだわって作った」という店舗に「ぜひ来てほしい」とNorby氏は話す。

またb8taでは、おもちゃに続いてアパレル業界への進出も検討しているという。Norby氏は「業界は違っても『試すことができる場』ということでは同じ」として、鏡や壁、スクリーンに情報を表示し、照明にもこだわった“アダプティブ”な試着室を構想していると述べている。「アウトドアウェアにしてもスーツにしても、環境によってどういうものを着ればよいか、どう見えるかは違ってくる。例えば、こうやってステージに上がるときとか」(Norby氏)

リアルなスペースを提供するという点では、店舗がどこに位置しているか、ということも重要なのではないかと思われるが、Norby氏は「期待していなかった場所の店舗がよい店になっている」という。「シリコンバレーで成功するのは分かるけれどと言われるが、実際にはアーリーアダプターはどこにでも住んでいる。どんな人がいるか、というときにどの町かは関係がない」(Norby氏)

現在米国で20店舗を展開するb8ta。Norby氏は数週間後に初の国外店舗となるドバイに出店を控えていることも明かしている。海外への出店には以前から興味があり、いくつかの市場に注目していたそうだが、ドバイには現地パートナーの存在もあり、ビジネス面でもアクセスしやすいことから出店を決めたということだ。

次の市場として、日本はどうかと問われたNorby氏は「まだ発表できることはないが、よい市場だとは思う」と述べている。「リテール業界が強く、銀座などのショッピング街もある。アジアのハブとして、中国をはじめとした観光客も集まり、技術もある。アジアのどこかで出店を、と言われたら日本はよい環境だと思う」(Norby氏)

デベロッパーのトップ1%が全ダウンロード数の80%を占めている

現在のアプリストアのエコシステムは、インディーズデベロッパーにやさしくない。Sensor Towerの最新データによると、全世界で公開されているアプリのトップ1%が、2019年第3四半期の総ダウンロード数296億件のなんと80%を占めていた。これは残りの20%、60億回のダウンロードを残りのデベロッパーで分け合っていることを意味する。

このボトム99%、約78万4080デベロッパーの同四半期平均ダウンロード数は7650回になる。これは、Facebookが四半期中に生み出したダウンロード数(6億8200万回)の1000分の1以下だ。

このデータはさほど驚くに当たらないだろう。なにしろFacebookやYouTubeのようなソーシャルプラットフォームはすでに10億人以上のユーザーを抱えているのだから。しかし、この市場が新規参入アプリにとっていかに偏っているのかは未だに懸念材料だ。公開されているアプリの数が増え続け、競争がいっそう激化していることを考えるとなおさらだ。

同レポートによると、2018年にApple App StoreとGoogle Play合わせて340万本のアプリが公開されていた。これは2014年の220万本から65%増の数字だ。しかし、そのうち1000回以上ダウンロードされたアプリの数は、同じ期間に30%から26%へと減少している。

ゲームだけに絞って見てみると、デベロッパーのトップ1%、すなわち10万8000社中1080社が、全111億回中91億回のダウンロード、82%を占めた。1社平均840万回以上だ。残りの18%、20億回のダウンロードを残りの10万6920社のデベロッパーで分け合った。1社平均は1万8000回のダウンロードになる。

売り上げ金額で見ると格差は一層大きくなる。同四半期の総売り上げ220億ドル中、205億ドルをわずか1526社のデベロッパーが生み出している。一方、残る15億ドルを15万1056社が分け合われ、平均約9990ドルを売り上げた。

ゲームのみの売り上げでは、トップ1%、445社のデベロッパーが全体の95%、155億ドルを生み出し、残りの8億ドルをボトム99%の4万4029社が分け合った。これは1社平均約1万8100ドルにあたる。

こうした傾向が新しいものではないこともSensor Towerは指摘する。トップ1%のシェアはインストール数でも売り上げでもここ数年大きく変わってはいない。つまり、大多数のデベロッパーがごく少数の新規ユーザーと新規インストールを奪い合っている状態だ。

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スケジュールを受信トレイに統合するFront Calendar

Frontは、受信トレイをチーム単位で管理することに取り組んでいる会社だ。昨年Meetingbirdを買収した。つまり、Frontが独自のカレンダー機能を導入しようとしていることに何の驚きもないわけだ。これにより、Front内で会議を管理し、参加者全員にとって都合の良い時間を見つけることができる。

電子メールにカレンダーを統合するのは、まったく合理的だ。Outlookが、受信トレイとカレンダーの両方を扱えるようになっているのには、やはり理由がある。そして、GoogleがG Suiteとして、GmailとGoogleカレンダーの両方を用意しているのにも意味がある。

Front Calendarは、カレンダーのバックエンドとなるインフラとして、Google、またはOffice 365アカウントのいずれかを利用できる。右上隅にあるカレンダーボタンをクリックすると、その日の予定表を開くことができる。

下のスクリーンショットでもわかるように、誰かが送信したカレンダーの招待状を受け取ると設定済のイベントのプレビューが表示される。

さらに広範囲の計画を立てようとする場合、1日だけのビューではもの足りないはず。その際には、カレンダーの表示を拡張して、広大なフルスクリーンを使ってフル機能のカレンダーを表示できる。

1つ付け加えると、Front Calendarは、Meetingbirdのコア機能を復活させている。これは、会議が可能な時間を、ウィジェットとしてメールに挿入できるようにするもの。受信者は、クリックするだけで、その時間帯を了承することができる。

Front Calendarは、GoogleカレンダーやOutlookの代わりとして、十分使えそうに思える。さらにFrontは、人をイベントに招待するだけでなく、マルチプレイヤーコンポーネントを追加したいと考えている。たとえば、イベントを開き、チームメイトにアットマーク(@)を付けて参照することで、イベントのスケジュールを変更できるようになる。あるいは、イベントに自動的にタグを付け、複数の条件に基づいて自動的に調整できるような、高度なルールを設定することも可能となる。

Front Calendarの最初のバージョンは、12月中に利用可能になる予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

人気メールアプリSparkが新デザインに

Readdleの人気メールアプリ、SparkのiOS版とAndroid版のデザインが一新された。Sparkのモバイル版は、これまでインターフェイスがちょっとごちゃごちゃしていた。それが今回のアップデートは、何よりもクリーンなデザインに重点を置き、そこにいくつかの新機能を加えたものとなっている。

まずデザインについて見てみよう。最新のSparkは、シンプルなヘッダーを使用して、ニュースレター、通知、個人のメールといったスマートセクションに分類している。背景がカラフルな角の丸い長方形よりも見た目はすっきりしている。

新しいデザインでは、空白部分も多いが、今回のアップデートでダークモードにも対応した。またスレッドをタップするだけで、そのスレッドのビューが更新されるようになっている。

新機能に関して言えば、まず送信者のプロフィール写真を、できるだけ受信トレイに自動的に表示しようとする。Vignetteと同様、一般的なウェブサービスから画像を引っ張ってくるのだ。たとえば、メールの送信者が、同じメールアドレスでTwitterアカウントを持っていれば、Sparkは自動的にTwitterのプロフィール画像を持ってきて受信トレイに表示する。

メールの受信トレイの扱い方は、人によってだいぶ異なる。そこでSparkでは、メールスレッドの下部に表示するボタンを選択できるようにした。たとえば、フォルダを頻繁に使用する人は、そこにフォルダボタンを配置すればいい。あるいは、そこにスヌーズボタンを置きたければ、それも可能だ。

さらに、iPadOS 13ならではの機能への対応も進んでいる。複数のSparkのインスタンスを、同時に開いておくことができる。たとえば、Split View(スプリットビュー)を利用して、1つの電子メールスレッド内でドキュメントを開き、2番目のSparkウィンドウを開いて別のワークスペースで受信トレイをチェックしたりできるようになった。またiPadOS上のSparkは、フローティングキーボードや、新しいiPadOSならではのジェスチャーもサポートしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルのプログラミング体験集会「Everyone Can Code」が大幅拡張

Apple(アップル)は米国時間11月20日、児童生徒たちにプログラミングを教える事業の拡張を発表した。その「Everyone Can Code」事業のカリキュラムは、小中学生向けのプログラミング入門の部分がより強調され、教師のためのリソースが増え、新たに学習ガイドが加わり、Swift Coding Clubの素材が一新された。それらに加えて12月にはアップル直営店で無料のプログラミング体験会が何千回も開かれて、類似の非営利事業であるComputer Science Education Weekを祝う。

同社によると、カリキュラムのアップデートは日常的な話題を多く取り上げてプログラミングに親近感を持ってもらうことが狙いだ。またSwift Playgroundsの新しいガイド「Everyone Can Code Puzzles」があり、児童生徒たちは40時間の活動を通じてコンセプトを実験し、自分が理解したことを実践してみる。

そのガイドには教師のための手引書があり、問題の答や評価の方法、障害者等向けのアクセシビリティーリソースなどがある。カリキュラムはVoiceOver向けに最適化され、クローズドキャプションのあるビデオや手話のビデオが用意されている。

もう1つの拡張としてアップルは、Everyone Can Create(誰でもクリエイターになれる)のプロジェクトガイドをカリキュラムに統合した。昨年Apple BooksでローンチしたEveryone Can Createにより、教師はアップルの技術を使って授業に音楽や映画の制作、写真撮影などの過程を加えることができる。

さらに同社は、2019年12月1日から15日までプログラミング体験集会であるToday at Appleの回数を増やし、Computer Science Education Weekを盛り上げる。その無料で対話的な体験会は、幼いプログラマーたちにロボットを使うブロック方式のプログラミングを教え、また年長者はSwift Playgroundsを使ってプログラミングのコンセプトやARプロジェクトの制作を学べる。

一部のストアでは学齢期前の児童のためのプログラミング体験会を、小さなお助けモンスターのHelpstersが登場するCoding Labで行う。モンスターはApple TV+の番組のスターで、セサミストリートの作者が制作している。

そのほかの体験会にはApple Distinguished EducatorsやApple Entrepreneur Campのイノベーター、デベロッパー、そしてアーチストも参加する。Develop in Swiftのカリキュラムは、今後も高校や大学の学生が利用できる。

また、今年で7年目を迎えるHour of Code事業への協賛としてAppleは、Hour of Code Facilitator Guideにより、教師や親がSwift Playgroundsを使って体験会を主催できるようにする。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ホスティングの古参LinodeがKubernetes Engineをベータでローンチ

ハイパークラウドの前には、Linode(リノード)やMediatemple(メディアテンプル)、HostGator(ホストゲーター)など、非常にたくさんのホスティングサービスがあり、自分の開発ニーズのためにそれらの仮想プライベートサーバーを手頃な料金で借りることができた。いまではそれらが日常の話題になることもないが、例外的にDigital Oceanは数年前にその低料金でクラウド市場への参入に成功し、現在のデベロッパーに適応したサービスを提供し続けている。当然ながらその適応サービスには、多くの場合コンテナのサポートが含まれるが、実はこのほどLinodeLinode Kubernetes Engine(LKE)を立ち上げた。

類似のサービスと同じく今年で16歳になるLinodeも、そのサービスにより従来よりも多くのデベロッパーが、この種のインフラストラクチャを管理するエキスパートでなくてもコンテナを採用できるようになると主張している。

LinodeのCEOで創業者のChristopher Aker(クリストファー・アーカー)氏は「Linode Kubernetes Engineをローンチして、Kubernetesをどんなデベロッパーでも使えるようにした。持ってるリソースや専門知識が十分でなくても、立派に使える。Kubernetesのクラスターの構成とノードのプロビジョニングと管理を自動化して、現代的なアプリケーションを速く容易に作れるし動かせるようにした。またリアルタイムのオートスケール機能と、無料のマスターサービス(主サービス)、そして直感的なクラウドマネージャーのインタフェイスとオープンAPIにより、デベロッパーは従来の複雑なコンテナ管理をバイパスして自分のイノベーションにフォーカスできる」と語る。

無論このサービスはLinodeのそのほかのツールを統合している。今ではそれは、ブロックとオブジェクトのストレージ、ロードバランシング、などなどのサーバーオプションだ。オートスケールをサポートしており、また高度なユーザーはHelmチャートやTerraform、Rancherなども利用できる。さらに、ワンクリックアプリサポート機能により、頻繁に使うアプリケーションを便利にデプロイできる。

Linodeのサービスは、すでに機能満載の他のプレーヤーで混み合っている市場に参入する。でもコンテナはまだまだこれからの技術だから、さまざまなツールの成長の余地も大きい。Kubernetesのようなツールがある今では、Linodeのような企業でも既存の顧客を超えた領域に進出し、顧客企業はおそらく最初はテスト用のプラットホームとしてツールとサービスを利用、その評価により本番利用にも採用、という過程になるのだろう。もちろん、いきなりLinodeの本番利用でも構わない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookがミーム作りの実験的アプリを公開

実験的な一般消費者向けソーシャルアプリを開発しているFacebookの社内グループのNPEチームが、このチームとしては3つ目のアプリを公開した。ミーム(写真や動画、メッセージ)作成アプリのWhaleだ。現時点では、このアプリでミームを作るために写真をテキストやステッカーで装飾し、ソーシャルメディアで共有したり友達に送信したりすることができる。

新しいコンセプトのアプリではない。同じような機能を持つ画像編集アプリはApp Storeにあふれている。しかしアプリ内購入もサブスクリプションも必要なく、無料で使えるのが利点だ。

Whaleではミームを作るために、まず写真を撮るか、カメラロールから探すか、アプリのストックライブラリから選ぶ。空白、2グリッド、3グリッド、4グリッドのレイアウトが用意されている。絵文字、テキスト、エフェクト、そしてレーザーや渦巻き、膨張といったフィルタを追加して、画像をカスタマイズする。

共有するためのミームだけでなく、切り抜きツールを使ってオリジナルのステッカーを作ることもできる。さらに絵心のあるユーザーのために自由にドローイングできるツールもある。

これまでに公開されてきたNPEチームのアプリのAuxとBumpは米国ではダウンロードできないが、Whaleも同様だ。当面はカナダでのみ利用できる。ただしBumpはフィリピンでも公開されている。カナダは消費者の人口統計とユーザーの行動の観点から米国の代わりに選ばれているのかもしれない。しかしアプリが軌道に乗り短期間でスケールするという点では、ユーザーは少ない。

Facebookは7月にNPEチームの計画を発表し、このチームの目的は新しいアイデアを迅速に実験し牽引力のないプロジェクトを終息させることだと説明していた。Facebookのこれまでのアプリが、新たに登場した他社のアプリ、特にSnapchatやTikTokなどとの厳しい競争に直面する状況の中、Facebookは新しいモバイルソーシャル体験を作るために投資している。現在のソーシャルネットワーキングアプリの市場では、YoloやLMKといったSnapchatプラットフォームのアプリがランキングの上位を占め、HousepartyやMarco Poloなどの新しいビデオチャットアプリも人気だ。

App Storeを調査しているApptopiaがWhaleの公開をいち早く見つけ、The Informationで報じた。App AnnieによればWhaleは2019年11月15日に公開されたが、現時点ではApp Storeのどのカテゴリーでもランクインしていない。

FacebookはNPEチームの個別のアプリについてはコメントしないとしているが、アプリの提供状況については個々のアプリによると以前に述べていた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが開発者コミュニティ用モバイルアプリをローンチ

米国時間11月18日、Apple(アップル)は開発者コミュニティの2300万人を超える登録メンバー向けに、専用のモバイルアプリとしてApple Developerをリリースした。この新しいアプリは、アップルのWorldwide Developer Conference用アプリを拡張・置き換えしたもの。新しいアプリは、WWDCの情報だけを提供するのではなく、技術記事やデザイン記事、開発者向けニュースやアップデート、そしてビデオなど、ほかの関連リソースも含むように拡張される。また、開発者がApple Developerプログラムに登録し、メンバーシップを維持する手段も提供する。

現在、開発者情報はアップルのウェブサイト内の様々な場所や、その他の場所に散らばっている。加えて、さまざまな製品チームから電子メールによるアップデートのかたちで、開発者たちに情報が届いている。こうしたものが、この先は単一の最適化されたモバイルアプリ体験として利用できるようになる。

ローンチ時点のApple Developerアプリには、アップルのDeveloperウェブサイトで見つけることができるすべての情報は揃っていないかもしれないが、提供内容は時間とともに拡大する。例えば、現在アプリ内で技術情報と600本以上のビデオを見ることができるが、Apple Developer Forumsや、地元のアップル開発者プログラムであるApple’s App Accelerators、Design Labs、または Developer Academiesなどと接触する方法は提供されていない。

現在アプリのコンテンツは4つの主要なセクションに分かれて構成されている。Discoverセクションは、開発者情報、ニュース、アップデートを見つけるための場所で、VideoセクションはこれまでWWDCアプリが提供していたビデオを見つけることができる。WWDCセクションはイベント参加者用で、アカウントセクションでは 開発者がアカウントとプログラムメンバーシップを管理できる。

アップルの目標は、アプリを使用して、関連するコンテンツを開発者にタイムリーに提供し、Apple Developerサイトまたはアップルのサイト内に存在することすら開発者が気が付いていないような情報へと導くことだ。また場合によっては、より理解しやすい短形式の教育記事などのように、モバイルフレンドリーなコンテンツも含まれる。

言い換えれば、オンラインの技術論文で読むものと同じコンテンツでありながら、わずかに異なる方法でパッケージングされているかもしれないということだ。今後このアプリは、最近開発者の間で懸念が高まっている、Appleがまだ文書化していないことへ対処するためにも拡張される(アップルのAPI文書が欠けているかどうかを調べるのに役立つ「No Overview Available」というウェブサイトを構築した開発者もいるほどだ)。

アプリの他のセクションでは、開発者は引き続きWWDCのセッションビデオを視聴し、提供されている場合はWWDCスケジュールを確認することができる。また、Apple Developerプログラムのメンバーシップにサインアップまたは更新をすることが可能で、Apple Payまたは他の支払い方法を使用して支払いを行うこともできる。

このアプリのローンチは、アップルが地元のDeveloper Academyやアクセラレーターへの投資を通じて、国際的なデベロッパーコミュニティの育成に注力しはじめたタイミングで行われた。

例えば、過去1年間でインドネシアの開発者コミュニティは、2019年に2つのDeveloper Academy施設を開設した後、メンバー数を60%増やしている。Apple Developer Academy発足の地であるブラジルでは、コミュニティが今年50%成長している。アップルの最初のアクセラレーターラボがあるインドでは、コミュニティが45%成長した。今年、開発者ベースを拡大した他の分野には、英国(40%増)、フランス(30%)、イタリア(28%)、中国(17%)などが含まれている。

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  3. DesigningiPadAppsforMac_Dark

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  6. Discover_WhatsNewIniOSDesign_Dark

  7. Discover

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  9. ImplementingDarkModeOniOS13_Dark

  10. IntroducingMulitpleWindowsoniPad_Dark

  11. News_IntroducingTheAppleDeveloperApp

  12. Videos

  13. WhatsNewIniOSDesign_Dark

  14. WWDC

これらの地域にサービスを提供した際に、アップルはメールよりもアプリを開く傾向がある開発者がいることに気が付いた。これがモバイル向けに最適化されたモバイルフレンドリーな開発者リソースを提供したいとAppleが考えたもう1つの理由だ。その上に同社は、App Storeミニサイトなど一部の人に認知されていない開発者リソースがあることにも気が付いた。これらのすべてのコンテンツをアプリに一元化することで、よりアクセスしやすくなる。

Apple Developerアプリは本日より、世界中のすべての市場でソフトローンチされているが、Apple Developerプログラムのメンバーシップ管理ツールは現在のところ米国限定だ。アップルはこれをバージョン1としていて、開発者のフィードバックを得て拡張することを目指している。

Apple Developerアプリは、Apple WatchやiMessageを含むiOS上で利用できる。

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(翻訳:sako)

カオスエンジニアリングの対象をKubernetesクラスターに拡張したGremlin

10年前にAmazonとNetflixがカオスエンジニアリングを開発した。これは両社のようなネット企業に起きるかもしれないワーストケースを、実際に起きる前にテストする方法だ。両社の社員だったある人物がその実装としてGremlinを立ち上げ、Site Reliability Engineers(SREs)のチームがいなくても大規模プラットホームのテストを実行できるようにした。そしてGremlinは米国時間11月18日、Kubernetesのクラスターに対してもカオスエンジニアリング的なテストをサポートすると発表した。

同社はその発表を今週サンディエゴで行われているKubernetesのカンファレンスKubeConの冒頭で行った。

Gremlinの共同創業者でCEOのKolton Andrus(コルトン・アンドラス)氏によると、そのサービスはKubernetesのクラスターを、エラーを起こさないようにあるいはその可能性を下げるためにテストし構成することが目標だ。彼によると、Kubernetesのクラスターであろうとなかろうと、ライブの環境でミッションクリティカルなシステムを極端に過酷な状況に置いてテストするカオステストが重要とのこと。しかし、しかしそのようなテストには危険も伴う。そこでリスクを最小限に抑えるためのベストプラクティスとして、重要な情報が確実に得られる範囲内でテストの規模を最小にする。

アンドラス氏は「必要最小限のクラスターだけをテストする。そしてそれらの部分にエラーがあったらKubernetesに何が起きるか、実際にエラーを起こして理解する。例えば、スケジューラーが休止したら何が起きるだろうか。目標は人々がいわゆる爆発半径を知ることだ。そして実験を安全に行えるようガイドしていく」と語る。

さらにGremlinは、Kubernetesのクラスターに一連のベストプラクティスで焼きを入れて頑丈にし、エラー耐性を増す。「Gremlinには、この種のテストを実行するために必要なツールはあるが、これまでにとても多くの顧客との対話や彼らの実験から学んだのは、クラスターを本当にフォールトトレラント(エラー許容性)にしレジリエント(エラー耐性)にするためには、クラスターのチューニングや正しい構成が必要なことだ」とアンドラス氏。

Gremlinのインターフェイスは、このようにターゲットに合わせた実験ができるようになっている。テストをしたい部分を指定すると、どこをテストしているかを視覚的に表示する。そして、制御不能の状況になったら、キルスイッチでテストを停止できる。

GremlinがKubernetesをテストしている(スクリーンショット提供: Gremlin)

Gremlinは、2016年にローンチした。本社はサンノゼにある。プロダクトは、フリーミアムと有料制の両方がある。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで2700万ドルを調達している。

関連記事:How you react when your systems fail may define your business(ビジネスの生死を握るのは危機管理だ、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがCortanaをトーンダウン、モバイルアプリ終了へ

Microsoft(マイクロソフト)は今月行われた同社のIgniteカンファレンスで、パーソナル生産性アシスタントCortana(コルタナ)の新たなビジョンを発表した。それは、メールなど日々の生活でもっと便利に使えるようにすることを目指したものであったが、Cortanaを真のSiri、Alexa、Googleアシスタント対抗にするという同社の野望を断念するものだった。そして本日11月18日、もう1つのはしごが外された。マイクロソフトはCortanaのスタンドアロンモバイルアプリを終了すると発表したのだ。

同社はいくつかの地域でiOSおよびAndroidのCortanaサポートを2020年1月31日に終了することを静かに発表した。それ以降Cortanaモバイルアプリのサポートはなくなる。マイクロソフトはMicrosoft Launcherの新しいバージョンを公開する予定で、そこにもCortanaは入っていないと話した。

終了する地域は、英国、オーストラリア、ドイツ、メキシコ、中国、スペイン、カナダ、およびインド。米国の名前はないが、後日サポートがなくなっても驚きではない。CortanaのiOSアプリはApp Storeの生産性アプリランキングで254位にすぎず、Google Playでも145位だ。Sensor Towerの最新データによる。

2020年1月31日以降、ユーザーが作ったリマインダーやリストなどのCortanaコンテンツは、CortanaアプリやMicrosoft Launcherで使えなくなるが、WindowsのCortanaでは引き続き利用できる。また、Cortanaのリマインダー、リスト、およびタスクは最近アップデートされたMicrosoft To Doアプリケーションと自動的に同期し、今後も使用できる。

ここ数年マイクロソフトは、Cortanaの計画を再三後戻りさせてきた。例えばBuild 2018イベントで同社は、CortanaとAlexaの連携を発表した。それはCortanaが音声アシスタントのニーズを自力で満たすだけの力を持っていないことを認めるものだった。そして今年1月、同社のCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、 今やCortanaをAlexaのライバルとは思っていないと語りCortanaベースのスマートスピーカーの計画を終了したことを明らかにした。

「Cortanaは会話形コンピューティングと生産性をすべてのプラットフォームとデバイスにもらたす広大なビジョンの重要な部分である」と同社の広報がTechCrunchに声明で語った。「Cortanaをできる限り便利にするために、生産性アプリのMicrosoft 365との統合を強化し、この進化の一環としてAndroidとiOSのCortanaモバイルアプリのサポートを終了する」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米陸軍が写真測量技術を使って3D航空写真を数分で作成

航空写真は軍事関連では一般的な資産だが、3Dマップは特別な機器がないとすぐに用意することは難しいだろう。しかし、米陸軍工兵隊が提供するこの新しい写真測量技術(Photogrammetry)を使えば、わずか数分で通常の航空写真から正確な3Dマップを作成することができる。

写真測量とは、同じ場所またはアイテムの複数の写真を比較して、その3Dマップを作成するプロセスだ。これはよく知られている方法ではあるが、例えば、最良の結果を生成するにはビデオのどのフレームを使用すべきかといったものには、まだ人間の知性が必要とされる局面がある。

バージニア州にあるGeospatial Research Laboratory(陸軍地理空間研究所)のRicky Massaro(リッキー・マサロ)博士は、この問題を軽減し航空画像を人間の介入なしに、ほぼリアルタイムに正確な3D表面マップへと変換できる、非常に効率的な写真測量法を生み出した。

この画像は深さマップを色で示している。赤いほど高いことが示されている。複数の2D画像を組み合わせることで作成された。

このシステムは、第101空挺団よってテストされた。同団はドローンをケンタッキー州のフォート・キャンベル上空を飛ばし、訓練に用いられる模擬都市のマッピングを行った。また、これは非戦闘目的でイラクにも展開された。つまり、これはどこかの研究室のなかでうろうろしているものではなく、実用に供されており、特許の申請を受けて公表されることとなったのだ。そして現在陸軍はシステムの商用化に向けて調整を行っている最中だ。

「兵士向けであろうと農民向けであろうと、この技術は利用可能な地域に関する情報を、素早く提供することができます」と語るのは、国防総省の商用技術移転組織であるTechLinkのマネージャーのQuinton King(クイントン・キング)氏だ。「そして、マサロ博士の成果を、各企業が自社の製品やアプリケーションにどのように活用できるかを学ぶことをお手伝いできることを、楽しみにしています」。

リアルタイム写真測量技術はLIDARや地上測量マッピングシステムに代わるものではなく、それらと連携して機能するものだ。通常の航空写真から正確な深さを生成することが可能で、大量のデータを中央に送信したり、人間の専門家を関与させたりすることなく、さまざまな状況に適応することができる。詳細に興味がある場合には、こちらで特許出願申請書類を参照することができる

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(翻訳:sako)

GoogleがAndroid MessagesアプリでのRCSサポートを米国にて追加

Google(グーグル)は米国時間11月14日、米国の全ユーザーを対象に、Android MessagesアプリでRich Communication Services(次世代のSMSともいえる)メッセージをサポートすることを発表し、またここ数カ月で少数のユーザーを対象にテストを実施していたことを明かした。

Googleにとって、このRCSの推進はApple(アップル)のiMessages(エンド・ツー・エンドの暗号化はサポートされていない)とより効果的に対抗する方法であり、またGoogleがこのロールアウトをキャリアからほぼ奪ったことで、ユーザーがこのサービスにアクセスする際に電話会社ではなく同社が決定権を持つことになった。英国とフランスでは今年からすでにサービスが開始されており、GoogleはRCSにおいて経験がある。

またGoogleのメッセージング分野における戦略は、少なくとも消費者にとっては混乱したままであり、Hangoutsも未だ広く使われている。少なくともモバイルデバイスでは、これまでSMSクライアントだったMessagesがその役割を引き継ぐことを同社は期待している。他のメッセージングサービスと同様、MessagesでのRCSのサポートでは、Wi-Fiやモバイル通信を介して友人と会話したり、写真や動画を送信したりできる。また既読通知やタイプの通知、通常のメッセージ機能なども提供される。

Googleがサービス展開の主導権を握ったことで、同社はこのネットワークを運営し続ける責任を負うことになり、キャリアではなく同社がこれを独占することへの懸念もある。しかし一方で、通信事業者は自社のRCS展開において混乱を生み出しており、Googleは自ら行う以外の選択肢がなかった。Androidユーザーにとっては、iPhoneに送ったメッセージが緑色(iMessageではない)のバブルが表示されるとしても、これは良いニュースだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

エンタープライズ事業を売却したDockerが新たに40億円相当を調達し新CEOを任命

Dockerの多忙な一日の総仕上げとして同社は、以前からの投資家Benchmark CapitalとInsight Partnersから3500万ドルを調達したことを発表し、さらに、今年3人目のCEOとして長年同社のプロダクト担当最高責任者(Chief Product Officer, CPO)だったScott Johnston氏の任命を発表した。氏は、5月に退任したSteve Singh氏を継いだRob Bearden氏に代わり、Dockerの新CEOになる。

関連記事: Steve Singh stepping down as Docker CEO…Steve SinghがDockerのCEOを退任(未訳)

このニュースの直前にはMirantisが、Dockerのエンタープライズ事業を買収したことを発表した。そのことは控えめに言っても奇妙だが、Johnston氏によればDockerにはまだデベロッパー支援の部分で機会があるという。コンテナ化のためのエンジンとして定評のあるDockerはこれまで、適切なビジネスモデルを見いだせずに苦戦していた。

Johnston氏は声明でこう言っている: 「具体的には、クラウドサービスの拡張に資金を投じて、デベロッパーがアプリケーションの構築に用いる技術を手早く発見でき、アプリケーションをチームメイトやコミュニティと容易に共有できるようにしたい。そしてローカルでもクラウドでもKubernetesのどんなエンドポイントでもアプリケーションを円滑に動かせるようにしたい」。

前CEOのBearden氏はこう言っていた: 「既存のビジネスモデルを慎重に検討した結果、この方向(エンタープライズ事業の切り離し)を決めた。経営陣と取締役会を全面的に分析して得た結論は、Dockerには互いにまったく異なる2つの事業があるということだ。ひとつは活発なデベロッパー向け事業であり、他は成長中のエンタープライズ事業だ。両者で、プロダクトも財務モデルも大きく異なっている。このような分析結果により、会社をリストラして二つの事業を分離する決定に至った。それが顧客にとっても最良であり、Dockerの業界をリードする技術をさらに繁栄させることができるだろう」。

Crunchbaseのデータによると、今日の発表の前までに同社は2億7200万ドルあまりを調達している。そして今回はBenchmarkとInsightが3500万ドルのライフラインを投じて、オープンソースのDockerプロジェクトをベースとするビジネスに、再起の機会を与えようとしている。

関連記事: Kubernates利用のクラウドサービス、MirantisDocker Enterpriseを買収

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

機械学習のパターンマッチングで異変を見つけるモニタリングサービスPacketAI

PacketAIへようこそ。このフランスのスタートアップは、あなたのアプリケーションやサービスに何かまずいことがあったら知らせてくれる。同社は機械学習を使って生のイベントデータを解析し、おかしい点がないか調べる。

PacketAIは、さまざまなレベルでインシデントを捕捉できる。例えば、ユーザーがあなたのデータベースにデータを書き込めないことを教えてくれるし、コンピューターのレイヤ(マシンレベル)で何かがおかしいことも知らせてくれる。

PacketAIは、車輪を再発明しない。モニタリングツールがすでに数多く存在することを、よく知っている。Datadog、Splunk、Dynatraceなどなど。

共同創業者でCEOのHardik Thakkar(ハーディク・タッカー)氏は、「それらのツールは主に、マシンから出てくる情報を人間が理解できるように設計されている」と語る。

PacketAIは、DatadogやSplunk、DynatraceなどのAPIを統合して、生のイベントデータをリアルタイムで分析する。データを何千行もスクロールするのではなく、具体的には銀行の送金がいつもより相当長く時間がかかっていると教えてくれる。

そのため、問題の修復が迅速にでき、失う収益も少ない。

現在同社は各クライアントごとに機械学習のモデルを作っている。しかし計画としては、同じ業種分野の企業が4社か5社がPacketAIを使うようになれば、すぐにその業種のモデルを作るようにしたい。銀行のモデルとか、通信企業のモデルとか、そのように。

同社はすでに、Aster CapitalやBNP Paribas Developpement、Entrepreneur First、そしてSGPAなどから230万ドル(約2億5000万円)を調達している。

PacketAIは、そのプロダクトの最初の実装ですでに数社のクライアントと提携している。2020年の早い時期に、一般的に利用できるサービスになる予定だ。料金は、PacketAIを使ってモニターしたいネットワークのノードの数による。

画像クレジット: Bloomberg

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MozillaはWebAssemblyをブラウザー外でも使えるようIntel、Red Hat、Fastlyと協力

Mozilla、Intel、Red Hat、Fastlyは米国時間11月12日、Bytecode Alliance(バイトコード・アライアンス)の発足を発表した。「WebAssemblyやWebAssembly System Interface(WASI)といった標準に基づいた、新しいソフトウェア基盤の構築」に焦点を当てた新しいオープンソースグループだ。

画像クレジット:Johnathan NightingaleCC BY-SA 2.0ライセンスに基づくFlickr

Mozillaは長い間、WebAssemblyを推進してきた。あらかじめコンパイルされたプログラムを、ブラウザーで実行できるようにするオープンなスタンダードだ。これによりアプリのデベロッパーは、CやC++、Rustなどの言語で記述したプログラムを、JavaScriptに依存することなくネイティブアプリ並みの速度でブラウザー上で実行できるようになる。JavaScriptの場合、特にモバイルデバイスでは構文を解析して実行するのに長い時間を必要とする。

現状では、すべての主要なブラウザーエンジンが、WebAssemblyをサポートしている。FigmaAutodeskなど、すでに実験を済ませ、実際に製品に採用している企業もある。とはいえ、この技術が大々的に採用される日が近いという感じはしない。ほとんどのデベロッパーにとって採用へのハードルは高いのだ。そして今回の発表は、おそらく今年になってからWebAssemlyについて初めて聞いた話のような気がする。

この新しいグループの目標は、もはやブラウザーを超えたところにある。「ウェブブラウザー内の世界での何十年のもの経験を生かし、アプリのデベロッパーとサービスプロバイダーが信頼されていないコードでも、あらゆるインフラストラクチャ、あらゆるオペレーティングシステム、あらゆるデバイス上で、確信を持って実行できる高性能かつ堅牢なプラットフォーム」を確立したいと考えている。ここで重要なのは、ブラウザーの外の世界でも、WebAssemblyの能力を発揮できる環境が十分に考えられるということ。信頼されていないコードのコンポーネントでも、サンドボックス環境内にある信頼されたコードとやり取りすることが可能になるからだ。実際、Mozillaの広報担当者によれば、WebAssemblyは、従来のアプリデベロッパーやウェブ技術者より、むしろこのユースケースに関心のある企業から強い関心を集めているという。そこに、この新しいアライアンスの意味がある。

MozillaがWebAssemblyのフォーマットを発表したときは、MicrosoftやGoogleも、そのグループのメンバーだった。しかし、新たなBytecode Allianceのメンバーにはなっていない。

すでにさまざまなメンバーのコードが、このアライアンスに貢献している。例えば、WebAssemblyとWASIのランタイムとしてはWasmtimeFastlyのLucet、IntelのWebAssembly Micro Runtime、コードジェネレーターとしてはCraneliftなどがある。

「WebAssemblyはウェブを変えつつありますが、さらにWebAssemblyは、ブラウザーの枠を超えて拡大し続け、ソフトウェアのエコシステムにおいて、さらに大きな役割を果たすことができると考えています」と、MozillaのDistinguished Engineer(上級エンジニア)でWebAssemblyの共同開発者であるLuke Wagner(ルーク・ワグナー)氏は説明する。「これは、新しいテクノロジーの夜明けを示す、またとない瞬間です。壊れていたものを修正し、ポータブルかつスケーラブルなネイティブ開発のための必然的に堅牢な新たな基盤を構築する機会なのです。しかし、これが正しい方法で進展するよう、業界の壁を超えて慎重な行動を取る必要があります」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOS 13.2.2でバックグラウンドアプリが突然終わるバグを修正

あなたのiPhoneは最近、バックグラウンドで動いているアプリのシャットダウンがちょっと早すぎると感じるだろうか。もしそうなら、アップデートすべきだ。

アップルは米国時間11月7日にiOS 13.2.2をリリースし、バックグラウンドアプリが突然終わるという問題にパッチを当てている。そのほか2〜3件の迷惑現象へのパッチもある。重要な新しい機能は何もないが、マルチタスクが正常に動くためのアップデートなのだろう。

そのほかのフィックスは以下のとおり。

  • 通話終了後にiPhoneで一時的に電話ができなくなる
  • S/MIMEで暗号化した一部のメールが読めなくなる
  • SafariでKerberos(ケルベロス)のシングルサインオンを使ったときの問題
  • Lightningポート対応のYubikeyを2段階認証に使ったときの充電の問題

このパッチの登場は、iOS 13.2のリリースからわずか数日後だ。それは大量の絵文字を導入し、またiPhone 11とiPhone 11 ProでDeep Fusionによる画像処理ができるようになった。まだiOS 13.2にアップグレードしていない人には、今がいいタイミングだ。ただしiOS 13.3がすでにデベロッパベータだから、間もなく出るのだろう。

いつもどおり、13.2.2へのアップデートは「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から実行できる。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新しいEdgeにはマイクロソフトの大きな思いが込められている

Microsoft(マイクロソフト)は、ChromiumベースのEdgeブラウザーに、いくつかの大きな目標を掲げている。Edge担当副社長Chuck Friedman(チャック・フリードマン)氏は、Edgeで10億人のユーザーを確保したいと考えている。そこに到達して初めてChromeのユーザー数と張り合うことができるのだ。だがその前に、フリードマン氏が率いるチームは1月にEdgeのバージョン1.0を公開しなければならない。

マイクロソフトが自暴自棄になってChromiumを採用したことは周知の事実だ。実際、約2年前にチームに加わったフリードマン氏はそれを実存的危機と呼んでいた。それは、はたしてユーザーは現在のEdgeを使いたいと思うのだろうか?といった疑問から発している。「私が着任したときほとんど全員が、で、我々は何がしたいんだ?といった実存的危機感を抱いていました。それは、なぜEdge?みたいな時期でした。ユーザーがこれを選ぶ理由はなんなのか?重要な問題にうまく対処できるのか?」。その当時、彼はそうした疑問への答を持ち合わせていなかった。そこでチームは、ブラウザー空間に提供できるマイクロソフトならではの価値とは何か、さらにはEdgeには将来的に役割があるのかという基本に立ち戻ることにした。

フリードマン氏は、Edgeのプロダクトチームを担当する以前、Windows 10のユーザーエクスペリエンスのためのプログラム管理チームを統括し、Windows 8のつまづきからの挽回に貢献した人物だ。それを考えると、Edgeがマイクロソフトにとっていかに大切な製品であるかがわかる。

ブラウザー空間には、やらなければならない仕事が山ほどあるとフリードマン氏は言う。「まるで足が生えているかのように、新しい問題の塊が次々に現れます」と彼は私に話してくれた。「なので、過去5年間の問題を解決することではなく、今後5年間の問題を解決するという仕事でした」。そのために彼らは、Edgeに元からあった互換性の問題を克服しなければならなかった。まだ世の中には、少なくとも職場環境には、レガシーなウェブとの互換性が必要だという認識があった。

マイクロソフトを含むブラウザー業界では、誰であれプライバシーが最重要課題であることは明からだ。ネットサーフィンを行う人々のプライバシー問題への意識は一般に高いが、自分自身を守るための手段を持っていないとフリードマン氏は言う。「私たちはそこに辿り着き、ウェブのお約束を認識したのです。世界のあらゆる情報に自由にアクセスできるのは爽快だが、その代償として、その中に自分の個人情報も含まれるとなると困る」とフリードマン氏。そうしてこれも、チームの目標となった。しかし、それらすべての課題を総合して考えたとき(セキュリティーの課題も加わって)、Edgeチームは、これらすべてをマイクロソフト製品全体と調和させるという問題に取り組むことになった。「これはオペレーティングシステムだけの問題ではありません。検索だけの問題でもありません。実際にこれは、完全なMicrosoft 365の話なのです。つまりオペレーティングシステムにセキュリティーと生産性ツールを加えたものです」。

だが、フリードマン氏の話は、私がGoogleのChromeチームから聞いたことと重なる。つまり、現在のウェブは広告のビジネスモデルに大きく依存していて、少なくとも現状では、ウェブでパブリッシングを行っているほとんどの企業では、広告が収益の柱になっているというものだ。そこのバランスを取るのが非常に難しい。マイクロソフトは透明性を高めることで対応しようとしている。「ユーザーは、自分の個人情報がどこにあるかを知っているべきなのに、どのデータが何に使われているのかを知らされていません」と彼は説明する。そのためユーザーには、自分のデータがどのように使われるのかを把握し管理できる能力が与えられるべきだという。

「私たちの業界にも、徹底的なプライバシーの保護と管理が絶対に必要だと訴える人たちがいます。それを求めるユーザーも一部にいると私は思っています。しかし、その中の一部の要素がウェブを崩壊させるとも考えています。そしてそれには、パブリケーションが正当な方法で収益を得る能力を奪ってしまう恐れががります」。さらに彼は、ユーザーのおよそ半数が、通常の広告よりもターゲッティング広告を好んでいて、彼らが不満に感じているのは広告の管理権がないことだと指摘した。

マイクロソフトのブラウザーは、デフォルトでサードパーティーのCookieをブロックするようになっている。そのために、彼らはMozillaと同じホワイトリストを利用しているが、ユーザーが自分のデータを削除できることをサイトが示している場合、そのリストは定期的に更新される。そうすることで、広告業界の多くの企業がユーザーに管理機能を与えるよう促す考えだ。

Edgeはまた、ビジネスユーザーのための強力なツールでもある。そこでチームは、一般の顧客に加えてビジネスユーザーに向けたブラウザーの生産性全体を改善する方法も考え始めている。例えば、そこからCollection(コレクション)のアイデアが生まれた。これは、ブックマークとスクラッチ パッドとリーディング リストのハイブリッドだ。まだ本格的には公開はされていないが、Edgeの試験的なカナリアビルドに実装されていて、フラグを有効化すれば使えるようになる。

また彼らは、ユーザーがよくOffice製品からEdgeにコンテンツをコピー&ペーストしていて、そのためこの機能をもっと強化して欲しいと望んでいることに気がついた。「私たちは、あらゆる素晴らしいウェブエクスペリエンスを有するOffiseの資産を統合することで、連携を強化しようとしています。しかし正直言って、ある程度まで彼らと一緒になって、もっとできるように力を貸す必要があります。Officeのウェブ資産を大幅に刷新できるチャンスなので、とてもエキサイトしています。そこでは、もっと革新的なものが作れます」。

もうひとつ、彼らが注目しているのはタブの管理だ。「タブのカオスは興味深い問題です。それは、いまだに存在します。その問題解決に大きく貢献できた人はいなかったのでしょう」とフリードマン氏は言う。それが実際にどのような形になるかはお楽しみだ。

まだ今すぐには見ることができないがCortanaとの統合もある。それは、今の非Chromium版のEdgeに組み込まれているが、まだ新バージョンに搭載できるまでに成熟していないとフリードマン氏は見ている。ブラウザーには便利なものだが、パーソナルアシスタントは間違いがあってはいけないと彼は言う。新しいEdgeに、それがどのような姿で搭載されるかは、まだわからない。可能性はあると彼は考えているが、現実にどのような形で実装されるかは、いまだ不明だ。

バージョン1.0が出荷された後は、彼らは毎年、2つか3つのメジャーな新機能を追加していく考えだ。おそらく最初はコレクションになるだろう。

フリードマン氏はまた、現在Edgeを利用しているユーザーが多くいることを理解している。その数はおよそ1億5000万人。彼らがEdgeを使っている理由は、Windowsに付属しているからだ。低信頼度ユーザーと彼が表現するその人たちは、新しいEdgeがまったく違う姿をしていたら、わざわざ今とは違うブラウザーをダウンロードするとは思えない。代わりに、iPadなど見た目にずっとシンプルな別のデバイスに乗り換えてしまう可能性がある。

だがマイクロソフトは、明らかに経験豊富なユーザーに向けて、Chromeに取って代わるものとしてEdgeを位置付けている。チームは、そうしたユーザーたちに、できるだけ摩擦の少ない移行方法を提供しようと準備を進めている。そのバランスがとても難しいのだが、フリードマン氏は可能だと信じている。そこには、彼がWindowsのために働いてきた経験が生かされる。

「私の直前の仕事はWindows 10です。Windows 10のためのコアユーザー向けのエクスペリエンスを作り上げるプロダクトチームを率いていました。ある意味、Windows 7と8のコードベースを受け継ぎながら、こう問いました。さて、どうやったらこれらのユーザーを統合して、どちらも新製品に満足してもらえるようになるか。今回も同じようなチャレンジです。数々の異なる分野のユーザーの気持を本気で考えることが重要です」。

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(翻訳:金井哲夫)