Snapchatが自分のアニメ動画を作成できるBitmoji TV提供へ

Snapchat(スナップチャット)で最も人気があるが活用しきれていない機能が2020年にようやくスポットライトを浴びる。来年2月にグローバルでリリースされる機能で、カスタマイズ可能なBitmojiアバターがBitmoji TVと呼ばれるフルモーションアニメシリーズのスターになる。チャットステッカーやマンガ仕立てのストーリーで使われるにすぎなかったBitmojiにとって、大きな進化だ。

Bitmoji TVはユーザーが自分でアニメ動画を作成できる機能で、作成したアニメはディスカバーに表示される。アニメはコピーができない。Bitmoji TVにより、YouTube、Facebook Watch、TikTokなどの多数のショートビデオプラットフォームからの差別化が可能になる。Bitmoji TVでディスカバーのクオリティが向上するかもしれない。現在のディスカバーは、単純に目を引いたりクリックを促すのが目的の、露出度の高い女性、おぞましい画像、その他の衝撃的なコンテンツでいっぱいの写真週刊誌が並んだ書棚のようだ。

Bitmoji TVを利用すると、スター・トレックの宇宙船の乗組員になったり、秘密エージェントになったり、ロボットに恋をしたり、ゾンビになったり、定期的に予定されている冒険にユーザーとその友人のアバターが登場する。予告編のSnapchatは、Netflix(ネットフリックス)のビッグマウス(ネットフリックスのアニメシリーズ)を思わせるアニメーションスタイルのプレビューをリリースした。

TechCrunchは、エピソードの長さやリリースされる頻度、広告を含めるのか、どこかの会社を買収したのか、シリーズ制作のために著名な人材を引き抜いたのかなど、詳細についてSnapに問い合わせた。  Snapのスポークスマンは詳細な回答を控えたが、次の声明を出した。「Bitmoji TVはまだ利用できないが、間もなくのグローバルプレミアに注目してほしい」

Bitmoji TVのSnapchat Showページは2020年2月に発表される。ユーザーはモバイルからこのサイトでBitmoji TVの利用登録をすると、ディスカバーページに目立つように表示したり、新しいコンテンツに関する通知をオンにしたりできる。

SnapはBitmojiの価値を実現する

Snapはここ数年苦しんでいる。主要機能の多くがFacebook(フェイスブック)ファミリーのアプリによって容赦なくコピーされているからだ。Instagram Stories(インスタグラムストーリー)は、ストーリーの発明者からこのメディア形式をを事実上盗み、何年もの間、Snapの成長の息の根を止めた。Facebookはまた、ARフィルターを強化し、より短いメッセージの機能も追加し、SnapchatディスカバーのライバルとしてWatchを始めた。

2年前、筆者はFacebookがBitmojiと競合しないのはクレイジーだと書いた。半年後、Facebookアバターが開発中であることをTechCrunchが最初に報じ、今年オーストラリアでメッセンジャーチャットステッカーとしてリリースされた。2019年か2020年初頭にグローバルリリースを計画している。だが、Facebookの緩慢な動き、Googleの中途半端な参入、Twitterに動きが見られないことなどが、SnapchatのBitmojiにとって幸いした。Snapは今、ついにそのチャンスを捉えた。

「TV」は、実のところ、Bitmojiのルーツへの回帰だ。スタートアップのBitstripsはもともと、髪や服などをカスタマイズしたアバターが登場するマンガを作成するアプリを提供していた。Snapは2016年にたった6420万ドル(約70億円)でBitstripsを買収した。10億ドル(約1100億円)弱でInstagramを買収したFacebookと似たような動きだった。Snapchatがアバターをチャットステッカーとして提供し始めるとすぐに、スタンドアロンのBitmojiアプリが爆発的にヒットした。Sensor Towerによると、Snapchatがメインアプリでアバターを作成できるようになったにもかかわらず、4月の時点で3億3000万回を超えるダウンロードがあった。

最終的に、SnapはBitmojiの用途を拡大し始めた。2017年、Bitmojiは3Dに移行し、SnapのARキャラクターとして使えるようになった。翌年、Snapはグラフィックスを改善し、Snap Kit開発者プラットフォームとBitmoji Kitを発表した。これにより、Snapchatにログインせずさまざまなアプリに組み込むことが可能になり、Bitmojiをプロフィール写真として使えるようになった。すぐにFitbitスマートウォッチの文字盤に登場したほか、Venmoや、Snapchatの物販商品であるTシャツやマグカップでも使えるようになった。競争相手にコピーを許すのではなく、本物を使用させることでコピーを打ち負かすことは賢明な戦略だ。これが「Snapback」と呼ばれている復活を後押した。Snapの株価は2019年の初めの5.79ドルから現在は16.09ドルに上昇している。

Snapの最も優れたイノベーションの1つが、Bitmoji TVの元祖であるBitmoji Storiesだ。毎日のストーリーでは、アバターを主人公にした短いマンガ風の画像をフレームごとにタップできる。Bitmoji Storiesに初歩的なアニメーションが含まれることもあったが、ほとんどのフレームの画像には吹き出しがあった。Bitmojiは、単なるコミュニケーションツールではなく、物語の力を復活させることができた。それでも、十分に利用されていないようだ。

2019年、Snapchatは目覚めた。Bitmojiは10代の若者だけでなくSnapchatの2億1000万人のデイリーアクティブユーザーにとって、Google(グーグル)やKleenex(クリネックス)のようにいつでも使える存在になった。その間抜けなキャラクターはSnapchatにぴったりで、堅く高齢の大手テック企業がそのままコピーするのを難しくしている。

Snapは4月、メッセージング機能内の新しいゲームプラットフォームを発表した。マリオパーティーを思わせるBitmojiパーティーからテニス、シューティングゲーム、料理のコンテストまで、さまざまなゲームで自身のアバターが友達のアバターと対戦できる。Snapはゲームに広告を取り入れ、メッセージング機能を収益化しようとしており、Bitmojiがその取り組みの鍵を握っている。先月、Bitmojiにブランドの服を着せ替えできる機能を立ち上げた。プレミアムの服を販売したり、ブランドからスポンサーシップを獲得したりして、収益化する機会を増やすことができた。

ただ、Bitmojiの独特な人気をフルに活用するために、Snapはその中心にアバターを据え、長期的なユーザー体験を構築する必要があった。ステッカーやストーリー、ゲームは楽しいが、ユーザー必見のコンテンツというわけではなかった。Bitmoji TVが、既存ユーザーの友人をアプリに誘う手段になるかもしれない。誰もが自分のBitmojiをスターだと思うため、Snapのマンガは普通の非人格的なマンガのキャラクターよりも魅力的に映るだろう。

Bitmoji TVの成功は、シナリオの質に大きく依存する。アバターが話のネタになる楽しい状況にいつもいれば、ユーザーは見続ける。だが、Snapの10代のユーザーは、本物でないクズに対して鋭い嗅覚を持っている。押し付けられている、子供っぽい、退屈だと感じた場合、Bitmoji TVはおそらく失敗する。Snapは、エピソード作成のため優秀なハリウッドの人材に投資するかもしれない。

Bitmoji TVの短編アニメのクオリティが高ければ、Snapchatのディスカバーを平凡さから救うことができるはずだ。プラットフォームにはESPN SportsCenterのような強力なブランドがあり、Snapには2500万人以上のユニークビューアーを抱えるオリジナルショーもある。Dead Girls Detective Agency(原題)や、Serena Williams(セレナ・ウィリアムズ)とArnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)の伝記クリップなど、新しく始まるシーズンもある。それでも、ディスカバーとショー(ショーは日本のアプリにはない動画専門コーナー)をスクロールすると、広告主が確実に嫌がる不愉快なクリックベイト(クリックをあおるリンクタイトル)が多数あることがわかってしまう。

Bitmoji TVは、手軽に楽しめる動画を提供するだけでなく、規模の大きいアバタープラットフォームを持っていない競合他社からの参入障壁にもなる。Snapchat Cameosの最近の立ち上げでもそうだったが、同社は最も中毒性の高いユーザーエクスペリエンスがユーザー自身の顔に関連していることに気付いた。Snapchatは、自撮りをコミュニケーションの未来に変えた。Bitmoji TVは、セルフィーをアニメーションで再現し、コンテンツの未来を作り上げる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

2020年のお勧めダークファンタジーはNetflixの「ウィッチャー」だ

Netflixの新しいオリジナル・シリーズ「ウィッチャー」は一見した印象ではHBO製作の「ゲーム・オブ・スローンズ」に対する回答に見える。ハリウッドのトップスター(主演のヘンリー・カヴィルはDCコミックの「スーパーマン」、ミッション:インポッシブル/フォールアウトのウォーカー)で、優秀な特殊効果や激しい戦いに加えてヌードの美女も毎回登場する。

ただある意味「ウィッチャー」は「ゲーム・オブ・スローンズ」のような善悪定かならなぬ陰影ある世界を構築するというより、もっとストレートな ファンタジードラマだ。例えば、(米国のTVドラマである)「ジーナ」(Xena: Warrior Princess)のような方向に戻ろうとしているように思える。シーズン1には8エピソードが含まれており、 ストーリーは十分に複雑で脚本は巧みに書かれている。ヘンリー・カヴィル演じる「リヴィアのゲラルト」は超能力を持った流浪の戦士でモンスターと邪悪な人間を倒していく。

ポーランドのファンタジー作家であるアンドレイ・サプコフスキーの小説日本語訳)が原作で、ゲーム化されて大人気となった後、実写化された。ゲームとは独立の作品だが、小説もゲームも熟知しているライターのDarrell Etherington(ダレル・エサリントン)によればゲーム版の影響は大きいという。小説ではゲラルトは「容貌は醜い」という設定だが、もちろんゲームとドラマではそうではない。

主人公のゲラルトは何らかの霊薬で超能力を与えられたらしい(詳しいことは我々も理解できていない)が、基本的な魔法も使える。トム・クルーズの演じる「ジャック・リーチャー」シリーズの主人公に似た悪孤独な戦士だ。「小さい悪、巨悪、並みの悪、すべて許さない」というのが信念だ。カヴィルの説明によれば「どこに行っても嫌われる。冷酷な男に見えるが実は結構いい奴なんだ」という。

記事末のポッドキャストでエサリントンと話し合ったのだが、当初の重厚さの印象とは裏腹に、実際に飛び込んでみるとコンテンツは新鮮で、むしろ軽快でストレート、ユーモラスなところさえある。ときどき(あるいは意図的に)B級映画的ご都合主義に思える部分もある。これはいかにも筋肉隆々たるマッチョなヒーローに対するセルフパロディかもしれない。セリフ、プロットには矛盾が散見するし、話を進めるために急ぎすぎの部分もあるがこうした軽いタッチがあるためあまり気にならない。

ビジュアルな印象はジョージ・R.・マーティン.の世界観をそのまま移植したかと見えるが、「ウィッチャー」の独自世界構築の努力は称賛すべきでもので、エピソードごとに数多くの相互に絡み合った国、人物が現れる。もっとエサリントンも私もエピソードごとに登場する固有名詞を全部覚えるのは無理だった。しかし登場するキャラクターは脚本家の単なる思いつきではなく、世界各地に残る神話、伝説、フォークロアに基づいており、奥行きが感じられた。

音声コンテンツはアップルのPodcastsに登録されているが、読者の好みのプレイヤーからも再生できる。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

スマホで“権利”をお金に変える「iCash」ベータ版公開、まずは養育費から

「スマホひとつで権利がお金に変わる」をコンセプトにサービスを開発する、Fintech×LegalTechスタートアップのiCash(アイキャッシュ)は12月30日、未払い養育費を対象に、最短1カ月でお金が得られる「iCash」ベータ版を公開した。

「遊休資産」としての権利をお金に変える「iCash」

iCashの創業者で代表取締役の齋木拓範氏は、集団訴訟プラットフォーム「enjin」を運営するClassAction(クラスアクション)で、エンジニア・デザイナーとして従事していた人物。同じくエンジニアで、拓範氏の双子の兄弟である齋木保範氏を取締役CTOとし、ClassActionの創業者で、現在はLegalTech協会代表理事/トップコート国際法律事務所代表弁護士を務める伊澤文平氏が、共同創業者として2人を支援する形で設立された。

iCashが提供するのは、なかなか行使されない権利、つまり「遊休資産としての権利」(伊澤氏)をお金に変えるプラットフォームだ。世の中には、未払い残業代や貸金業者への過払い金、航空機のフライト遅延・キャンセル補償金など、請求するには面倒かつ換金までに時間がかかるため、諦めている人が多い権利がいくつもある。そのうちの1つが、未払いの養育費だ。

日本にはシングルマザーが約120万人いるが、そのうちの7〜8割が養育費を元夫から受け取っていないという。平均年間収入は243万円(2015年厚生労働省調査)と決して高くないにもかかわらず、だ(*脚注)。拓範氏によれば、支払われていない養育費の総額は約3300億円に及ぶという。

養育費が請求されない背景には、働きながら子育てをするシングルマザーに、時間も、余分なお金もないことがある。養育費の回収を弁護士に依頼するとなると、まず適切な弁護士を探すことから始まり、相談のための時間もかかる。また初期費用として、着手金などのお金も必要になる。「回収には短くて3カ月、裁判になれば1年かかる。着手金も20万円ぐらいが相場で、安い金額ではない。しかも必ず費用が回収できるとは限らない」(拓範氏)

iCashは「時間とお金がかからない方法で、養育費を請求・回収できるサービスだ」と拓範氏は説明する。ベータ版として提供されているWebアプリでは、3ステップで養育費の回収ができるようになっている。必要なのは、別居親の氏名・連絡先などの情報と養育費の情報(子どもの数・両親の年収など)、そして養育費の取り決めを交わした書面(公正証書など)の画像データで、スマホからこれらを入力すれば、1つ目のステップは完了だ。

1両日ほど待つと、実際にいくら回収できるか、iCashがプライシングした概算金額がユーザーに通知される。金額に同意して送信するのがユーザーの次のステップとなる。提示される金額は、ステップ1で入力したデータの量が多ければ多いほど、インセンティブが付いてアップする。例えば、別居親の住所と電話番号だけでなく、勤務先の情報も分かるのならば、給与の差し押さえも可能になるため回収しやすくなる上、今後のデータ精度の向上にもつながるからだ。

最後にiCashから、書類が返信用の封筒とともに郵送されてくるので、必要事項を記載してポストへ投函すれば、全ステップが完了。ユーザーは、後は振込を待つだけだ。

もちろん「誰も」何もしなくても入金されることはなく、この後、裏ではiCashが必要書類をユーザーから受け取り、弁護士事務所と連携して別居親へ養育費の請求を行い、回収していく。弁護士からの通知に別居親が応じて入金があれば、ユーザーは引き出しが可能になる。この時に初めて、iCashのシステム利用料として一定の割合の手数料が発生して、その金額を引いた額を現金化することになる(手数料の割合については、iCashで検証中とのこと)。つまりユーザーの初期費用は不要で、相手からの入金があってから手数料を払えばよい、ということになる。

iCashは、子どもを抱えるひとり親から見れば「養育費の請求を簡単にできるツール」となるが、法的な構造としては「養育費の債権を持つ親と弁護士とをマッチング」し、「権利回収/顧客開拓のためのツールを提供」する立場という位置づけになる。

スマホひとつで権利が行使できるサービス目指す

実は、拓範氏、保範氏を含む齋木家の3人兄弟もシングルマザーに育てられたそうだ。大学への進学でも苦労があり、拓範氏は「母にはとてもよくしてもらったが、養育費の問題が解決すれば、もっと楽だったのではないか」と思ったこともあるという。社会問題の解決を打ち出したLegalTechのスタートアップ、ClassActionへエンジニアとして入社したことで、「社会の課題解決で僕らのような人たちを助けられるのでは」と考えるようになり、「それがiCashの開発、起業へとつながった」と語る。

養育費を取り巻く環境には、社会的にも追い風が吹いている。まずは養育費算定表の金額がこの12月に改定され、月額あたり1〜2万円程度の増額となったこと。最高裁司法研修所が2018年度の司法研究にもとづき、2003年の公表以来、15年ぶりに見直したものだ。今後の離婚調停などで目安として使われることになる。

自治体の支援の姿勢も見られるようになっている。例えば兵庫県明石市は、11月に不払い養育費の立て替えを行う方針を発表。立て替え分は市が不払い者に請求することで、養育費が継続して支払われるよう促す施策だ。

また、2020年4月1日からは、改正民事執行法が施行され、債務者の財産開示手続が変わる。これにより、金融機関から預貯金などの情報を取得したり、市町村や日本年金機構などから給与(勤務先)に関する情報を取得したりすることができるようになる。また裁判で判決が出た債権者だけでなく、公正証書などで養育費の取り決めをした債権者が債務者の財産開示を求めることも可能になる。つまりこれは、財産差し押さえ(強制執行)の申し立てに必要な債務者の財産特定が、より現実的な手続きで行えるように変わる、ということを意味する。

こうした流れもあって、iCashではまず養育費の請求権を扱い、今後、ほかの債権についても対象にしていく予定だ。続くターゲットとしては、先に挙げた、未払い残業代や貸金業者への過払い金、航空機のフライト遅延・キャンセル補償金などを想定しているとのこと。伊澤氏によれば、日本の未払い残業代の総額は約4兆2000億円と推定されるという。

iCash調べ

フライト遅延・キャンセルの補償金請求では「AirHelp」という米国発のサービスがあり、伊澤氏らもベンチマークしているそうだ。AirHelpも「出発地・到着地や便名などのフライト情報を入力」「連絡先など追加情報を入力」「航空券などの写真をアップロード」といった簡単な手続きだけで、ユーザーは後は入金を待つだけ、というシステム。iCashと同じく、入力情報を元に連携する弁護士が権利を回収するので、回収できた場合にのみ、ユーザーは手数料をAirHelpへ払えばよい。

拓範氏は今後「支払いデータなどの蓄積により、サービスの確度をよりアップして、将来的には即時入金、ユーザーから見れば『権利の買取』に見えるようにサービスをつくっていきたい」と話す。「スマホひとつで権利の行使ができる世界を目指していく」(拓範氏)

 

*脚注:世の中にはシングルマザーだけでなく、養育費支払い義務が元妻にあるシングルファーザーもいる。iCashはもちろん、未払い養育費を受け取りたいシングルファーザーが利用することも可能だ。本稿では、より貧困に陥りやすい女性とその子ども世帯を中心に、養育費受け取りの背景を説明した。

LuminaryがAlexaデバイスでサブスクベースのポッドキャストを開始

「ポッドキャストのNetflixを作る」ことをミッションとするLuminary(ルミナリー)が、サービスの有料会員を獲得する新たな方法を試している。同社が米国時間12月17日に立ち上げたのは、EchoスピーカーなどのAlexaデバイスで、音声コマンドを使ってポッドキャストのコンテンツをストリーミングできるスキルだ。加えてLuminaryは、Alexaの音声操作でサブスクリプションを提供する最初のポッドキャストサービスになる。

リスナーはAlexaに「Start My Free Luminary Trial」(ルミナリーの無料トライアルを始めて)と呼びかけることで、Luminary Premiumへの1カ月の無料アクセスができるようになる。あるいは「Alexa, Subscribe to Luminary」(アレクサ、ルミナリーを申し込んで)と言えば米国内で月額7.99ドル(約880円)のサブスクリプションをスタートできる。

この施策については反対する人もいて、ポッドキャスト番組をLuminaryから取り下げるケースも多く見られたが、同社は生き延びた。Luminaryのライブラリは成長し、米国時間12月17日の時点で有料の独占ポッドキャストが40種類ほどある。その中には、Trevor Noah、Lena Dunham、Martina McBride、Russell Brand、Team Coco、The Ringer、Roxane Gay + Tressie McMillan Cottomといった大物の番組も含まれる。

これまでLuminaryは、ポッドキャストのネットワークであること、ネットワークの外も含めて一般的にポッドキャストを放送するアプリであることの二股をかけていた。LuminaryのiOSアプリでもAndroidアプリでもウェブアプリケーションでも、有料会員は同社のオリジナル番組だけでなく、そのほかの好きな番組を聴ける。でもAlexaに限っては有料会員のみが対象だ。ただし上記のように1カ月の無料トライアルはある。また独占番組のサンプル回もサインアップする前に聴ける。

有料会員になれたら、Alexaのスキルを使って有料番組を前回停止したところから聴けるし、自分の好きな番組のストリーミングだけでなく、推奨番組を教えてもらえる。Echo Showのように画面のあるAlexaデバイスではアートの作品や説明が映し出される。

音声アプリを設計したのは同社とパートナーしたニューヨークのデジタルエージェンシーのRAINで、ここは音声と会話的AIが専門。そしてLuminaryの初めての音声プラットホームのローンチを手がけた。

Luminaryがデビューしたのは今年の初めだが、すでにそのサブスクビジネスは1億ドル近い投資を得ている。しかし、「無料で広告入りの一般公開番組をLuminaryの有料サービスに惹き寄せるための餌として使っている」と怒っているポッドキャスト制作者も多い。またLuminaryは、完全で正確なアナリティクスをポッドキャストの発行者に送っていなかった(これは後日改めた)。また、大手メディアの一部は番組の取り下げを求めた。具体的には、SpotifyのGimletとParcast、The New York TimesのThe Daily、The Joe Rogan Experience、Endeavour Audio、PodcastOne、Barstool Sportsなどだ。

Spotifyは自分が投資した企業が独自の独占ライブラリを育て、サードパーティのアプリから広告なしで配布されているのだから頭にくるのも当然だ。しかしLuminaryが予想しなかったのは、そのアプリを自分のコンテンツの配布方式の1つとしか見なさないポッドキャストの多さだ。つまりOvercastやPocket Casts、AppleやGoogleのポッドキャストアプリのように。

今回AlexaスキルをローンチしたことによってLuminaryは、有料サービスに注力しやすくなった。ポッドキャストが広告に依存するのでなく、クリエイターが自分の作品に金を払ってもらえる。同社はAlexaをローンチした理由として、スマートスピーカーはモバイルデバイスとPCに次いで3番目に多く、ポッドキャストの聴取に使われているからだと語る。

ちょうどAmazon(アマゾン)も、Alexaデバイスでのポッドキャスト聴取に投資を増やしている。り同社は先週、Echoデバイス上のAppleとSpotifyのサポートを加えたのだ。さらに今では、ユーザーは自分のデフォルトのポッドキャストサービスを指定できる。Luminaryのユーザーは、そんなデバイス内蔵の便利さを享受できない。代わりにユーザーは「Alexa, Open Luminary」(ルミナリーを開いて)と言う必要がある。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「マンダロリアン」シーズン2が2020年秋、Disney+に登場

ディズニーの「マンダロリアン(The Mandalorian)」のシーズン1の最後を飾るエピソード8は、米国時間12月27日からDisney +でストリーミングで視聴きるようになった。プロデューサーのジョン・ファヴロー(Jon Favreau)氏は、この大ヒットとなった作品のシーズン2が、来年の秋には配信されることを、間髪入れずに明らかにした。

ファヴロー氏は金曜日に「マンダロリアン」の続編の予定をツイートしたのだ。そこには、ガモーリアン(Gamorrean)のフィギュアの写真が添えられていた。スター・ウォーズにも登場する、ブタのような特徴的な外見をしたエイリアンの一種だ。ガモーリアンが、スター・ウォーズで最も華々しい活躍を見せたのは、おそらく「帝国の逆襲」だろう。彼らは、タトゥイーンの犯罪王、ジャバ・ザ・ハットの番兵として雇われていた。

「マンダロリアン」にシーズン2があること自体は、すでに周知の事実となっていた。ファヴロー氏が、去る11月に、同作品のエピソード2の撮影を開始したことを明らかにしたからだ。しかし今回のツイートで、あとどれだけ待てば、このストリーミング作品の今後を見ることができるのかがわかった。この作品は、間違いなくスター・ウォーズのオリジナル映画以来、その世界を描いた最高のコンテンツと言えるだろう。

まだこの作品を観ていないという人は、現在、8本のエピソードすべてをDisney+でストリーミングできる(日本ではディズニーデラックスが12月26日から配信を開始した)。このシリーズを楽しむためだけに、1カ月分の料金を払ったとしても、十分元が取れるはずだ。

 

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

フィットネスサブスクのClassPassは資金調達ラウンドでユニコーンを狙う

フィットネスサブスクリプションサービスのClassPass(クラスパス)は、ニューヨークを拠点とする創業7年目のスタートアップだ。新しい資金調達ラウンドでは2億8500万ドル(約310億円)を調達する予定で、企業価値評価は10億ドル(約1100億円)以上になる見込みだ。

Reutersが、分析会社のLagniappe Labs(ラニャップラボ)から入手した有価証券に関する届け出によると、同社はシリーズEで2270万株の新株を発行する予定だ。

TechCrunchは詳細について同社に問い合わせている。

情報筋によると、ClassPassは少なくとも初秋から資金調達モードに入っていた。

Reutersによると、同社はさまざまなフィットネススタジオのクラスを予約するツールの提供から始まり、最近では企業の従業員福利厚生メニューの1つとして売り込んでいる。

Reutersが引用したPrime Unicorn Indexによると、現在のバリュエーションは5億3640万ドル(約590億円)だ。既存投資家には、シンガポールの政府系ファンドであるTemasek(テマセク)のほか、Alphabet(アルファベット)、General Catalyst(ジェネラルカタリスト)、Thrive Capital(スライブキャピタル)、Acequia Capital(アセキアキャピタル)が名を連ねる。

Crunchbaseによると、同社はこれまで投資家から約2億4000万ドル(約260億円)を調達。直近では8500万ドル(約93億円)のシリーズDラウンドを2018年7月にクローズした。

ClassPassは、現在会長を務めるPayal Kadakia(パヤル・カダキア)氏が創業した。同氏は2017年に、同社の前会長兼協力者であり、現在もCEOを務めるFritz Lanman(フリッツ・ランマン)氏に同職を引き継いだ。

ランマン氏は、今年初めに行われた『Fortune』からのインタビューで、同社がこれまでに数々の浮き沈みに耐えてきたことを認めた。当初はニューヨークで月額99ドル(約1万1000円)で無制限でフィットネスクラスが受けられる仕組みを提供していたが、価格引き上げを余儀なくされた。最近ではスタジオごとの申し込み状況とクラスの空き状況に基づいて価格が変動する仕組みを導入した。現在は、ユーザーが月額9〜199ドル(約1000〜2万2000円)払うと、クラスで使えるクレジットが付与される。

法人会員に関しては、現在、通常のクラスや従業員向けにカスタマイズされたプログラムだけでなく、ストリーミングでワークアウトのための音声と映像提供も行っている。ストリーミングのために同社が投資した放送スタジオで、トレーニングのためのオンデマンドビデオ集も開発した。TechCrunchは、2018年にその開発風景を紹介している。

画像クレジット:Thomas Barwick / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyが検証体制不十分として政治広告を「一時停止」へ

2016年の米大統領選の選挙戦(そして、ほぼ間違いなくそのかなり前)から、政治広告は偽情報の取り締まりを目指すソーシャルメディアサイトにつきまとう大きな問題だ。Facebookはほぼ誰も満足しないかたちでこの問題に取り組んでいるが、Twitteは完全に禁止している。

Ad Ageは12月23日の週に、Spotifyが当面の間、Twitterの後に続くと述べた。世界有数の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyは、2020年の大統領候補者レースでは政治から距離を置きつつある。

同社はTechCrunchに対し、その決定を認めた。

2020年初めから、Spotifyは政治広告の掲載を一時停止する。これには、広告掲載プランとSpotifyオリジナル・独占ポッドキャストの政治広告コンテンツが含まれる。現時点では、このコンテンツを責任を持って検証・レビューするために必要な水準の包括的なプロセス、システム、ツールがない。当社は対応能力の改善を続けながら、この決定を再度見直す予定だ。

確かに、自らの限界を知るために言うべきことはある。同社の収益の大半は無料プランのユーザーに表示される広告から得ており、選挙戦が本格化する中で、安定した収益源を一部放棄してまで行った選択は賞賛すべきだ。Spotifyは金額的な影響についてコメントしないと思われるが、Ad Ageが指摘しているように、現在、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)陣営やRNC(共和党全国委員会)などのさまざまな政治組織がSpotifyのプラットフォームに広告を掲載している。

画像クレジット:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ウィキメディア財団がインドが提案する仲介者責任規則に深い懸念を表明

Wikipediaをはじめ、さまざまなプロジェクトを運用している非営利団体であるWikimediaが、インド政府に国の仲介者責任規則の変更案を考え直すよう促している。その変更は大量の企業と5億あまりの人々の情報へのオンラインアクセスに影響を及ぼす。

同団体はインド政府に、仲介者(情報の授受を仲介するサービス)ルールの最新の変更案を公開し、インドではインターネットがどのように統治されるべきかに関し、利害を有する者全員に十分な情報に基づく堅固な議論に参加する機会を与えるべきと求めた。

インドの仲介者ルールに対する政府の改定案は12月に提出され、その後数カ月内に承認されると予想される。その提案によると、インドの電子IT省は仲介者アプリケーション(ユーザー数500万以上のサービス)に、インド国内にオフィスを持ち法律的問題に責任を持ちうる上級役員を置くよう要求できる。

Wikimedia Foundationの法務担当Amanda Keton(アマンダ・ケトン)氏は米国時間12月26日、中間者ルールのインドの改定案は、ユーザーの寄与貢献に依存する公開編集方式で、誰もが新しい記事を書いたり既存の記事を改訂できるWikipediaの事業に深刻な影響を及ぼし、他の団体にも影響が及ぶと述べた。

彼女はまた、そのルールにより非営利のテクノロジー団体に相当量の財務的負担が生じ、またインドのインターネットユーザーの表現の自由を損なうと説明する。Wikimedia Foundationはその懸念を、インドの電子IT省長官であるRavi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサード)氏に伝えた。その書簡を誰もが見られるように、自らのブログにも載せた。

仲介者ルールのインドの最近の変更案はインターネットを地元住民にとってより安全な体験にするために起案され、仲介者は「不法な情報やコンテンツへの公開アクセスを事前に見つけて削除または無効化するための」自動ツールをデプロイしなければならないとしている。

この変更案を懸念する者は多い。今年初めにはMozillaとMicrosoftのGitHub、およびWikimediaの連名書簡により、仲介者に不法コンテンツを事前に排除させるというインド政府の要求は、「(仲介者でなく)不法な活動を行っている悪者を有責とし、企業はそういう行為を知っていたときにのみ責任を負うという、既存の法に盛り込まれた細心の均衡を崩す」と主張した。

このグループはまた、インド政府の案では「インターネットサービスの上の監視の要求が大きく拡張される」と注意を喚起した。GoogleやFacebookなども含まれるインドのいくつかの業界団体も、政府案の大幅な変更を求めている。米国時間12月16日に発行された公開書簡でWikimediaのケトン氏もこれらの懸念を繰り返し、「コンサルテーションに参加した者も一般公衆も、昨年以降はルールの新しい案を目にしていない」と言っている。彼女はまた、最近提案されたルール案で仲介者の定義の範囲が広くなりすぎているのを改めるよう政府に求めている。

インドはWikipediaの5番目に大きな市場であり、先月の訪問者は7億7100万件を超えている。Wikimediaはインド語のWikipediaを拡張するために、人々を招いていろんな事業を行っている。

ケトン氏はインド政府に、オンラインのコミュニケーションに「追跡可能性」を導入する要件を考え直すよう説得した。それがあるとWikipediaの寄与貢献者たちが自由に参加することが困難になるからだ。追跡可能性についてはWhatsAppが、そのような要求に応じたら、どのユーザーも自分のメッセージの暗号化を危険にさらすことになると語った。

関連記事: インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Snopesは独自のクラウドファンディングで2020年の偽情報戦争に備える

2020年はおそらくここ数十年で最も激しく厳しい選挙の1つになると予想される。演説台やステージ上だけでなく、現代政治の真の戦場であるインターネット上でも争われることになる。古くからあるのファクトチェッカーであるSnopes(スノープス)も戦いに身を投じる。Snopesは、クラウドファンディングの導入を試み、真実は二の次になっているインターネットプラットフォームに依存しない運営を目指している。

TechCrunchが同社から最後に聞いた話は、ファクトチェックに関するFacebook(フェイスブック)との提携からの出直しだ。提携は、悲惨という言葉では強すぎるが、機能不全だったとは言える。優先順位が明らかに一致しなかったため、Snopesは自社の将来、特にファクトチェックに興味がない会社からお金をもらわずにミッションを遂行する環境を確保するにはどうすればよいのか慎重に考えた。

新しい計画では、Snopesのウェブサイトのかなりの読者が、何年もの間無料で使用していたサービスに対し少額の現金を支払うつもりがあるか見極める。現在のところ、標準的なノベルティ購入型の支援スキームがある(40ドル=約4400円でシャツとマグカップがもらえる)が、定期購読料金やその他のサポート手段はもうすぐ発表される。

「サイトの開設以来、我々がチェックした対象から見た我々の外観から資金調達の方法まで、すべてが長くゆっくりとした進化のプロセスだった。今回のことも、そのプロセスのほんの一部にすぎない」とサイト開設者のDavid Mikkelson(デイビッド・ミケルソン)氏は語った。「我々は、ただ道に導かれるまま進むだけだ」。

ここ数年で、Google、Facebook、Appleなど、ユーザーに実際にニュースを配信するサイトの近くには道が通っていないことが明らかになった。Snopesを新しい方向に率いたオペレーション担当副社長のVinny Green(ビニー・グリーン)氏は、上記の企業が現在行っていることを「信頼性の劇場」と呼んだ。

「FacebookのPRスタッフの人数が世界中の正式なファクトチェッカーよりも多いという事実は、状況の不均衡を示している」と同氏は述べた。「Apple NewsとGoogle Newsには、オンラインで健全な内容を流す使命や義務がない。流されるコンテンツの信憑性と信頼性の確保に関心を持つ誰かが立ち上がる必要がある。だから我々が立ち上がる。だが、資金とその調達先へのアクセスだけは、我々自身で拡大するものだ」。

そのため、グリーン氏とSnopesのチームは、クラウドファンディングのための独自のインフラを構築した。KickstarterやPatreonのようなものは避け、目的に合ったものを作った。出来上がった仕組みは、他のサイトでプロジェクトを支援している人なら誰でもなじみがあるものだ。Snopesの場合、コミュニティからの資金募集と見返りとしてのノベルティ付与が可能な汎用システムとして機能するように拡張可能になっている。

数日前のキャンペーン開始以来、すでに1000人の支持者を得ており、その半数だけが見返りとしてノベルティを求めた。この初めての取り組みは、口コミで存在を広め、バグを取り除くことを目的としている。2020年初めに定期購読料金のほか、新しいプロジェクトに紐付いた資金調達のオプションが登場する予定だ。

「ファクトチェックを行う組織はあるが、ファクトチェックを行うビジネスは多くない」とグリーン氏は述べた。企業は情報をそのまま流してしまう傾向があるか、Facebookのように「パートナーシップ」に素直に同意する傾向がある。巨大な資金力と影響力のある会社がパートナーシップという形でお金と注意を払ったのだから、偽情報に反対していると主張できるわけだ。

「数十億ドル(数千億円)規模のプラットフォームが、なぜ30の物事をチェックするのに月額3万ドル(約330万円)をファクトチェッカーに払うのか、本当に疑ってみる必要がある。Facebookのファクトチェックパートナーシップの主な目的は、彼らのプラットフォームで虚偽の情報の受け取りや表示を防ぐことではないことは明らかだ。それは二次的、三次的な目的だった。信頼できる情報のみを提示することは、彼らのビジネスモデルに反している」。

トラフィックとフィードバックは、Snopesが世界中の多くの人々に評価されていることを示している。なぜSnopesは自らを直接支えられないのか。

「情報を暴くという点では、2020年は大変なことになるだろうが、プラットフォームのビジネスモデルは改善しないだろう」とグリーン氏は語った。「トラフィックが増加し、従来の測定基準ではより大きく見える。一方、批判や歪曲のない情報をオンラインで消費したいという欲求もあると思う」。

ブラウザ拡張機能も計画されている

そのため、クラウドファンディングインフラがいくつかのことを可能にするとSnopesは考えている。第1に、最近報告されたようなFacebookページの不正なネットワークや、右翼メディアであるEpoch Timesへのリンクが疑われる偽のアカウントなどに関して、調査作業を直接サポートできる。Facebookは12月20日、その不正ネットワークの削除を発表し、「我々の調査によればこの動きは、米国に拠点を置くメディア組織であるEpoch Media Groupと、ベトナムで同組織のために活動する個人とつながりがある」と述べた。

Snopesについては言及されていないが、同社は不正なネットワークについて記述したメールが何百回も開かれたと指摘する。これは問題となっている会社間の関係を理解するヒントになるはずだ。このような調査に関するフォローアップや費用の支援目的で、読者に5ドル(約550円)をチップとして寄付してもらうことは、小さいながらも重要な変化を生み出す素晴らしい方法だ。読者はチップだけでなく情報提供もできる。

第2に、Snopesのスタッフが調査の過程で集めた膨大な情報に基づいて作成されるニュースアグリゲーターを正当化し、強化することができる。「包括的ではないが、アップロードした内容は保証できる」とグリーン氏は述べた。先行バージョンは来年春に立ち上げる。

また、サイトの最新版ウェブアプリの導入や、コミュニティからフィードバックとデータを取得する方法の改善なども計画されている。「我々には20億人のユーザーはいない。我々はユニコーンでもないが、我々にもできることがある」とグリーン氏は言う。

広告収入が枯渇し、サイトが潜在的な資金提供者と敵対関係にある場合、他に選択肢はあるだろうか。Snopesのニュースルームのスタッフは12人以下という非常に小さなビジネスだ。既に20年間にわたって使ったりやめたりを繰り返してきたユーザーなら、もう1つ定期購入を増やす余地があるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

米コスモポリタン誌とGoogleがテレビドラマのコンパニオンアプリ「Watch Party」を提供

Penn Dayton Badgley(ペン・バッジリー)主演のロマンチック殺人ドラマ「YOU ー君がすべてー」のシーズン2が 米国時間12月26日からNetflixで放映される。同時に「Cosmopolitan Watch Party」 と名付けられた新しいプロジェクトも始まった。

Watch Partyのウェブサイトに用意された再生ボタンを番組の再生ボタンと同時に押せば番組と並行した新たな体験が始まる。Watch Partyは画面で見ている番組と密につながったCosmoのコンテンツを表示する。その多くはキャストやスタッフのインタビューだ。

CosmopoiltanのJessica Pels(ジェシカ・ペルス)編集長によると、Watch Partyは同誌がGoogle News Labと共同で開発した。New LabはGoogle News Initiativeという大きな取り組みの一環としてさまざまなニュース編集部とのコラボレーションによって新しい体験を作っている。開発の背景にあったのは「決められた時間に見るより、まとめてイッキ見する」という 最近のテレビ視聴方法の大きな変化に対応することだった。

視聴者は、その瞬間を捉えられなければ会話から取り残されたように感じる。だから我々は視聴者に会話を提供しようと考えた」とペルス氏は説明する。

ペルス氏はWatch Partyの内容についてあまり詳しく語ることをためらった。コンテンツが新しいシーズンの物語の紆余曲折に深く立ち入っているからだ。それでも一例として、バッジリーがシーンに没入するために殺人者の気持ちになろうとするとき、ある楽曲を聴いていると話したことがWatch Partyで見られるかもしれないと語った。

Cosmo Watch Party

Netflixを見ながらスマートフォンを見続けるという考えは誰もが受け入れられるものではないが、ペルス氏によるとすでに多くの視聴者が実行していることをCosmopolitanのトラフィックデータが示している。Watch Partyはテキストとグラフィックスだけのフラットなコンテンツで、ビデオや音声は一切使われていないことも同氏は強調した。

「視聴者は、気にさわるほど番組から気を散らされたくない」とペルス氏。Watch Partyは必要なときだけチェックしてあとは放っておける真のコンパニオン・コンテンツだと説明した。

Google News Labのデータ責任者であるSimon Rogers(サイモン・ロジャース)氏によると、ペルス氏のチームはGoogle Trendsの限定データにもアクセスが可能で、どのキャラクターやキャストメンバーに視聴者が反応しているかを詳しく観察することができるという。News LabはWatch Partyのために専用のコンテンツ管理システムも提供していて、将来も同様の体験に利用できる。

ただペルス氏は次のWatch Partyがどんなものになるかを決めたわけではない。「第2ラウンドを最高のかたちで実施するために最適なパートナーや次のチャンスをどうするかについては、さまざまな可能性を残しておきたい」と同氏は語った。

関連記事:Original Content podcast: ‘You’ gives us obnoxious millennials and their creepy stalkers

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スポーツ経験者採用支援サービスのスポーツフィールドが東証マザーズ上場、公開価格2730円で初値8500円

スポーツ関係者の採用支援サービスとして「スポナビ」「スポナビキャリア」「スポナビバイト」などを運営しているスポーツフィールドは12月26日、東証マザーズ市場に上場した。主幹事証券会社はSMBC日興証券で、公開株数は34万7000株。公開株の内訳は、公募6万5600株、売り出し23万6200株、オーバーアロットメント4万5200株。オーバーアロットメントとは、当初の募集・売出予定株数を超える需要があった場合に実施される株式の販売方法。主幹事証券会社が対象会社の株主から一時的に株式を借り、売出予定株数を超える株式を、募集・売出しと同じ条件で追加販売すること。

同社株の公開価格は2730円。売り買いのバランスが取れずに上場日の12月26日には値が付かなかったが、12月27日に公開価格より5770円高い初値8500円が付いた。12月27日10時15分時点の最高値は10時7分に付けた8790円で、時価総額は69億7300万円。現在、株価を少し下げて7900円前後で推移している。なお上場によって調達した資金は、オフィス拡大のための設備投資、事業拡大のための採用資金、広告宣伝、借入金の返済などに使われる・

スポーツフィールドは、2010年1月設立のスタートアップ。スポーツ人材の採用支援を中心事業とし、現役体育会学生やスポーツ・競技経験のある社会人経験者、引退したアスリートと企業とのマッチングサービスを提供している。

同社の主な既存株主は、代表取締役の篠崎克志氏が35.40%、専務取締役の加地 正氏が18.16%、同じく専務取締役の森本翔太氏が18.16%、取締役副社長の伊地知和義氏が18.16%、取締役CFOの永井淳平氏が3.18%となっている。以下も同社従業員が続き、大株主にベンチャーキャピタルや事業会社が含まれていない。

直近の業績は、2018年12月を決算期とする2018年度(2018年1月〜2018年12月)は、売上高15億1600万円、営業利益1億2400万円、経常利益1億1300万円 、当期純利益は7200万円。2019年度(2019年1月〜2019年12月)の予想は、売上高19億4600万円、営業利益2億600万円、経常利益2億400万円 、当期純利益は1億2700万円。2017年度の当期純利益も4100万円と黒字決算が続いており、順調に成長しているのが見てとれる。

ウィキペディア禁止は違憲とトルコ憲法裁判所が裁定

トルコ政府がWikipedia(ウィキペディア)を禁止して2年半がたち、Wikipedia側の訴えが認められたようだ。トルコの憲法裁判所は今週、Wikipediaを閲覧できないようにした2017年の措置は言論の自由を侵害していると裁定した。

Wikimedia(ウィキメディア)財団は、禁止措置について2017年5月から訴えてきた。今回10対6の評決で訴えが認められ、これによりユーザーが誰でも編集できるオンライン百科事典はトルコで再び利用できるようになる見込みだ。

2017年にトルコは、イスラム過激組織Isisや他のテロリストグループとつながっている記事があるとして、ウィキペディアへのアクセスを完全に遮断する2つめの国となった。こうした動きについてトルコ政府は、オンラインセキュリティの脅威を抑制するための法律を活用した行政上の対策と説明した。

ウィキペディアの創設者Jimmy Wales(ジミー・ウェールズ)氏は「Welcome back, Turkey!(お帰り、トルコ!)」という言葉とともに、トルコ国旗の前での自撮り写真をツイートした。しかし、いつからウィキペディアが再び利用できるようなるのかは示されていない。

「今日の憲法裁判所の裁定は、自由な知識とトルコの人々にとって喜ばしい進展だが、人類史上最大の知識のコレクションを自由闊達に、そしてコラボしながら構築し続けるにはこの他にも脅威となるものがある」と同財団は裁定を祝う投稿の中で書いている。「知識や会話の力を信じる我々にとって今日はいい日だ。この裁定には勇気付けられる。全ての人に知識が開かれている世界に向け、我々は今後も取り組みを続ける」

画像クレジット: James Leynse / Contributor / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

「AVA Travel」にAIホテルおすすめ機能追加、「エクスペディア」との連携で

AI旅行提案サービス「AVA Travel(アバトラベル)」を運営するAVA Intelligence(アバインテリジェンス)は12月26日、ホテル・航空券の予約サービス「エクスペディア」とシステムを連携し、AIによるホテルの個別提案を開始した。

2019年8月にベータ版としてリリースされたAVA Travelは、ユーザーへの質問をもとに、性格や旅行に求めることを判断。旅行先でのんびりしたいのか精力的に動きたいのか、計画的かそうでないか、旅行中は贅沢に過ごしたいのか安く済ませたいのか、行きたいのは買い物なのか博物館なのか、それともスポーツ観戦なのか、といった条件から、どの都市がおすすめかを提案する。

  1. avatravel_top

  2. avatravel_enquate

  3. avatravel_result_c

今回、エクスペディアとのシステム連携により、AVA Travelのサイト内で航空券やホテルの検索・閲覧が可能になった。また、エクスペディアが取り扱うホテルの中から、AIがユーザーごとのおすすめ順で一覧表示。ユーザーは自分に合ったホテルや航空券を、より短時間で、手間をかけずに見つけやすくなった。

実際にログインした状態で、ホテルの一覧表示を試してみたのだが、エクスペディアのサイトではホテルの数が多すぎて、予算やエリア、設備などの条件をかなり絞り込んで、ようやく選びやすくなるところが、AVA Travelでは都市を選び、宿泊日と宿泊人数だけ入力すれば、ほぼ「こういうところに泊まりたかった」という価格帯や雰囲気のホテルがリストアップされるので、かなり楽に選択できそうな印象を持った。毎回細かい条件まで自分で設定してホテルを選びたい人には、従来のエクスペディアのサイトの方が向いていると思うが、何となく自分に合った宿を手早く見つけたいなら、便利だと思えるのではないだろうか。

AVA Intelligence代表取締役の宮崎祐一氏は、今後、エクスペディア以外のサービスとの連携も順次進めていくと話している。海外の現地ツアーやテーマパークなどが申し込める、アクティビティ体験予約サイトとの連携も予定。また国内旅行の提案についても、来春以降展開できるよう、開発を進めているということだった。

英国のデータ保護監視当局がアドテック業界に「冷静に法を守る」よう要請

英国のデータ保護監視当局がオンライン広告システムのリアルタイム入札(RTB)の無法状態に警告を発してから6カ月後、無策の半年間に区切りをつけるために、当局は広告業界に対して「業界の問題」の解決策を講じるよう求めるブログ記事を投稿した。

欧州の法を軽視するアドテック業界に対してICO(プライバシー監視機関)が送ったクリスマス前のメッセージを読んだ一般読者は、当局が「冷静になって自主規制を進めなさい」と言っているように感じただろう。

しかし事情に詳しい読者で、リアルタイム入札が広告ターゲティングのために人々の個人データを高速に取引きするシステマティックでプライバシーをないがしろにした仕組みだと理解している者なら、そんな自主規制こそが、アドテック業界の絶望的な状態を示していると指摘したいだろう。

それゆえに、同じような組織的失敗を要求しているデータ保護当局には失望するしかない。

ICOの技術・革新担当執行役員のSimon McDougall(サイモン・マクドゥーガル)氏(強制執行とはかけ離れた部門に属している)による控えめな内容のブログ記事には、アドテックの無法者たちに対して「業界団体と協力するように」という崇高な助言が書かれている。

申し訳ないが、そんなやり方でプライバシーが守られる方向に動くとは思えない。あるいはマクドゥーガル氏が言う「イノベーションとプライバシーを融合するソリューション」もだ。

法的問題を解決するために彼が業界に求めているもう1つの非現実的な発想は、アドテック業界で働く人たちに「自分たちのアプローチをレビューする」よう上級幹部に「チャレンジ」を求めていることだ。

たしかに、最近、社員の会社内での積極的な活動は流行している。少なくとも、一部の独占的なIT巨人であまりにもスケールが大きくなりすぎて、強大な弁護士団を擁して社会的行動規範に無頓着になっている会社ではそうかもしれない。しかし、英国のデータ監視当局がアドテックのプロフェッショナルたちに向かって、自分の仕事を全うして法を守るのではなく、上司に伺いを立てることを推奨するのは見るに値するものではない。

もしかしたら比較的最近入局したばかりのマクドゥーガル氏は、自ら率いる「技術・革新」部門の視点から現状を読み取れていないのかもしれない。しかし、最近のICOは強力な武器を持っている。たとえばEU一般データ保護規則の枠組みの下では、重大な違反を犯した組織に対して全世界売上の最大4%の罰金を科すことができる。

さらに、違法なデータ処理を停止させる命令を下すこともできる。しかし、運用型広告が引き起こす大規模なプライバシー違反を阻止する何よりもすぐれた方法は、リアルタイム入札に個人データを使わないように規制することだとは思わないだろうか?

これは、オンライン広告のターゲティングをなくそうという意味ではない。コンテキスト的ターゲティングに個人情報は必要ない。そしてトラッキングをしない検索エンジンであるDuckDuckGoはその方法を使って(利益ができるほど)成功している。これは、極めて不気味でストーカー的なやり方を終わらせようというだけだ。そんなやり方は消費者に嫌悪感をいただけれるだけでなく、社会的悪影響も引き起こす。インターネットユーザーの一括プロファイリングは、差別や弱者からの搾取を助長するからだ。

マイクロターゲティング広告もまた、みなさんご存知のように、民主主義と社会に対する攻撃の温床であり、悪質な誤情報の蔓延を誘発する。

社会的影響の大きさは計り知れない。それなのにICOは、アドテック業界に冷静さを求めて任せているだけのようで、強制執行することなく、ただ年に2回「合法性」に関する「懸念」のリマインダーを発信するだけだ。

To wit: “We have significant concerns about the lawfulness of the processing of special category data which we’ve seen in the industry, and the lack of explicit consent for that processing,” as McDougall admits in the post.

すなわち「我々はこれまで業界で見られた特殊カテゴリーのデータ処理の合法性、およびその処理に対する明示的な同意を得ていないことに対して重大な懸念を抱いている」ことをマクドゥーガル氏はブログで認めている。

「さらに我々は、契約条項に頼ってその後のデータ共有を正当化することが法の遵守に十分であるかどうかについての懸念もある。これを適切に正当化したと思われる事例研究をまだ見たことがない」

「しくじった」というトーンだろうか。

ICOのブログ記事のタイトル「アドテックおよびデータ保護に関するディベート--次はどこへ?」も、矛盾をはらんでいる。業界がデータ保護法を遵守するかどうかに、果たして「ディベート」が必要だろうか?

では、ICOが「リアルタイム入札の利用におけるプライバシーを前提とした設計」(これもブログ記事にある大きな提案)の実装を失敗をし続け、その結果、法律違反が続くことになった時、ICOは何を「実際に」やってくれるとアドテック業界は期待できるのだろうか?

ICOの「今後数週間」の計画についてマクドゥーガル氏が言うには、時間をかけて「集めたすべての情報と一年を通じて行った中身の濃い議論をすべて吸収」してからギアをシフトし、「我々に可能な選択肢をすべて評価する」と言っている。

急ぐ必要はない、ということだろうか?

「次の報告」は「2020年早期」に出てくる予定で、そこでICOの立ち位置が決まるはずだ。3度目の正直なるのだろうか。

聞くところによると、その次期報告には「現在進行中の行動すべて」も含まれるらしいので、何もないまま、ということも考えられる。

「リアルタイム入札の未来は今も存続の危機にあり、関連するあらゆる組織の手にかかっている」とマクドゥーガル氏は書いている。あたかも、当局の強制執行には業界の承諾が必要かのようだ。

英国の納税者が、データ保護当局は一体何のために存在しているのか、不思議に思うのも無理はない。今からの数カ月のうちに、なにか方法を見つけることを期待したい。

関連記事:GDPR adtech complaints keep stacking up in Europe

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3Dツールを使いオンラインでリノベーションやインテリアデザインを提供するインドのHomeLaneが約33億円調達

オンラインで家のリノベーションとインテリアデザインを提供するバンガロール拠点のスタートアップ、HomeLane(ホームレーン)は米国時間12月23日、3D視覚ツールを使った独自技術の拡大を目的として新たな資金調達ラウンドで、3000万ドル(約33億円)を調達したと発表した。

シリーズDであるこの資金調達ラウンドは、Evolvence India Fund(EIF)、Pidilite Group、FJ Labsが先導した。既存の投資家であるAccel Partners、Sequoia Capital、JSW Venturesもこのラウンドに参加し、HomeLaneがこれまでに調達した額は4600万ドル(約50億円)に到達した。

HomeLaneは、不動産所有者が新しいアパートや住宅における家具や備品の取り付けをサポートしている。同社はインドの7都市に16拠点の体験センターを所有し、新たな資金を技術インフラの拡大と、8〜10都市への事業拡大に利用する予定だ。

HomeLaneはLivspaceやUrban Ladderといった、他のオンライン家具販売業者や、実店舗と競合する。設立者のRama Harinath(ラマ・ハリナス)氏とSrikanth Iyer(スリカンス・アイアー)氏は、彼らのスタートアップはワンストップショップつまりキッチンからワードローブ、エンターテイメントユニットやシューズラックまで、あらゆるものを販売することと、家の所有者がリノベーションを終えるまでの納期保証とアフターサービスも提供している。

サイトでは不動産の所有者が間取り図をアップロードし、これを元にインテリアデザイナーが商品の提案、見積もり、家具や備品が設置された後の3Dイメージ画像を提供する。

HomeLaneの創設者でCEOのアイアー氏は、このスタートアップはEBIDTA(税引前利益に特別損失、支払利息、減価償却費を加算したもの)における、収益の実現に近づいていると述べた。2018年3月期の売上高は560万ドル(約6億1000万円)、純損失は410万ドル(約4億5000億円)だった。

Accel IndiaのパートナーであるPrashanth Prakash(プラシャンス・プラカシュ)氏は、「我々はHomelaneの現在の成長に非常に満足しており、インドの住宅改良における消費者セグメントの長期的な成長見通しを信じている」と述べた。

 

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

グローバル企業に必須のユニバーサルアクセプタンス

拡大するグローバルビジネスでも、システムが、「.世界」や、「.ОНЛАЙН」など(英語なら、それぞれ「.world」と「.online」)といった拡張子を持つウェブアドレスと互換性を欠いたものだったら、利益を取りこぼしてしまう。このような機会の損失は、このところ増加する一方だ。2017年の調査では、軽く年間100億ドル(約10億9400万円)近くの規模のeコマース市場に相当すると結論付けられていた。しかも、これは控えめな見積もりだ。

画像クレジット:atakan / Getty Images by Chris Mondini

その理由を理解するには、次の2つの事実を考えてみればいい。

まず第1に、通常のラテン系アルファベット類の文字は、世界人口の3分の1をちょっと超える程度の人しか使っていない。その数は、中国語、アラビア語、キリル文字、デバナーガリ文字などを毎日読み書きしている数十億の人々には、とても及ばない。しかも、そうした文字は、人口増加、経済成長、インターネットの普及など、すべてが世界平均を上回っている地域で使用されている。

そして第2に、インターネットのナビゲート方法の革新によって、世界の各地域で使われているさまざまな文字のドメイン名が、世界の大部分で利用できるようになっている。2012年には、いわゆる一般的なドメイン名(よく知られた.comや.eduなどの拡張子を持つ部分)は、わずか22個だった。現在では、その数は1500を超えている。

このようなイノベーションは、たとえば日本のウェブサーファーが、キーボードを全角から半角に切り替えて「www」や「.com」を入力する必要があった時代を、事実上終わらせる。というのも、今やドメイン名全体を日本語で書くこともできるようになったからだ。

この変化は、世界中の急速に成長している市場で非常に重要だ。特にアジアでは、多言語の利用は一般的ではなく、スマートフォンの新規ユーザーが、デジタル化と経済成長の主な推進力となっている。今日でも、すべてのウェブアドレスのうち、漢字で記述されているのはほんの一部に過ぎない。中国標準語を話す人は、世界のインターネットユーザー人口のほぼ5分の1を占めているというのに。

オンライン消費者の次の波とさらに大きく関わってくるのは、新しいドメイン名に加えて、電子メールアドレスも異なるスクリプトで表記され得ること。そうしたメールアドレスを使用してサービスにサインアップしたり、プラットフォームにサインインしたりする人も、今後増えるはずだ。

賢明なグローバルな企業、そしてグローバル化への志の高い企業が、大きな死角をなくすために行動しているのは、そのためだ。多くのソフトウェア開発者や企業のリーダーは、英語圏、または「ラテン系アルファベット」が使われている世界に住んでおり、そういった人々にとって、インターネットは非常にスムーズに機能している。そのため彼らは、あらゆるドメイン名を等しく受け入れるために、ソフトウェアやアプリをアップグレードするための重要なステップを踏んでいない。そのための手順は、ドメイン名と電子メールアドレスに関する「ユニバーサルアクセプタンス」と呼ばれる、一種のベストプラクティスだ。

システムがユニバーサルアクセプタンスに対応していない場合、異なるスクリプトによるドメイン名または電子メールアドレスを使用しているユーザーは、自分のドメイン名や電子メールアドレスを入力しても「有効」と認識されないため、そうしたシステムを利用することができない。これは、大きな機会損失だ。JavaやPythonなどのプログラミング言語には、そのためのコードライブラリが既に存在していて、このようなタスクも「バグ修正」と同様にあつかうことができる。しかし、これは大きな意味を持つ修正となる。

ユニバーサルアクセプタンスの重要性を把握するには、インドのことを考えてみればいい。そこは、インターネットユーザー人口が、地球上で最も急速に成長している地域であり、明確なケーススタディを提供してくれる。

インドでは、全般的にインターネットの普及が進んでいるが、特に田舎ではさらに急速に普及している。インドのインターネットユーザー数は、最近5億人を超え、2020年までには6億2700万人に達する勢いだ。その5分の2のユーザーは農村地域にいる。そしてインドには22の公用語があり、ほとんどのユーザーはモバイルデバイスを使っていることも忘れてはならない。

インドのラジャスタン州で、最近州政府は、6900万の個々の住民にヒンディー語と英語、両方の電子メールアドレスを無料で提供した。それと同時に、オンラインの公共サービスを、ユニバーサルアクセプタンス対応で運営している。すべてヒンディー語でも利用可能となっているのだ。この対応のために、開発者は30日間ほど集中的に取り組む必要があったが、おかげで住民はヒンディー語の電子メールアドレスだけで、一連のオンラインプラットフォームとサービスにアクセスできるようになった。このラジャスタンの住民のうちのいくらかは、読者の将来の顧客になるかもしれない。

Microsoft(マイクロソフト)は、このような互換性を推し進めている企業の1つだ。昨年、同社の電子メールプラットフォームは、インド全土で話されているもののうち、なんと15種もの言語について、電子メールアドレス国際化(EAI、Email Address Internationalization)を達成したと発表した。Microsoft IndiaのCOOであるMeetul Patel(ミータル・ペイテル)氏は、以下のように述べている

「言語がテクノロジーの採用に対する障壁にならないようにすることは、デジタルインクルージョンの達成と成長の鍵です。15種類の言語で電子メールアドレスを記述できるようにすることは、現代のコミュニケーションおよびコラボレーションツールを、すべての人にとってアクセスしやすく、使いやすいものにするための、ワクワクするようなステップです。私たちは、その実現を目指して不断の努力を続けてきました。私たちがしているのは、テクノロジーに人々の言語を使わせることであって、人々にテクノロジーの標準言語をまず学んでもらうことではないのです」。

このようなメリットにもかかわらず、その達成にはまだまだ多くの作業が残っている。世界の上位1000のウェブサイトに関する最近のレビューでは、現在使われているすべての言語の電子メールアドレスを受け付けたのは、わずかに5%程度だった。

ユニバーサルアクセプタンスをサポートするよう、システムを更新することは、さまざまなスクリプトで記述された言語を使う数十億の人々にとって、インターネットをアクセスしやすいものにするための簡単な方法だ。そして、デジタルインクルージョン支持者が大切にする大義ともなっている。一方、新しいグローバル市場を探求するビジネスにとっては、グローバルなオンラインプラットフォームの時代において、直接的なeコマースからシェアリングエコノミーまで、競争力を差別化する重大な要因なのだ。この先行者利益は、数十億ドルに相当する可能性もある。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソフトバンク・ビジョンファンドがインドのメガネ小売Lenskartに300億円投資

オムニチャネルでメガネなどを販売するインドのLenskartは12月20日、事業拡大に向けソフトバンクのビジョンファンドから新ラウンドで2億7500万ドル(約300億円)を調達したことを明らかにした。

資金調達シリーズGラウンドの一環として、設立9年のLenskartの既存投資家の一部が株式を売却するとLenskartの創業者でCEOのPeyush Bansal(ピューイッシュ・バンサル)氏はTechCrunchに対し語った。ただ、その投資家の名前は明らかにしなかった。

ビジョンファンドの投資で、Lenskartの資金調達額は累計4億5600万ドル(約500億円)となる。今回の投資に詳しい人物はTechCrunchに対し、新ラウンドでLenskartのバリュエーションは15億ドル(約1600億円)超となると話した。

メガネやコンタクトレンズ、アイケア製品販売のeコマースサービスとして始まったLenskartだが、近年は実在店舗にも手を広げている。現在、インド国内100カ所余りの都市で500店を超える店舗を展開しているとのことだ。ただ、同社の全売上高の60%超をオンライン販売が占める。

「新たな資金は、テクノロジーインフラとサプライチェーンの改善にあてる」とバンサル氏は話した。「今後の展開でソフトバンク・ビジョンファンドの支援を得られることを嬉しく思う。Lenskartの次のエディションを構築する上で、コンシューマーとテクノロジーに対するビジョンファンドの理解は役立つ」と話した。

業界の予測によると、インドでは視力が悪くメガネを必要とする人が5億人超いるが、実際に視力を矯正しているのは1億7000万人のみだ。

Lenskartはインド国内にかなりの成長ポテンシャルを見出しており、訓練を受けた検眼医があまりいない小さな町や村では特に期待できる。

Lenskartは顧客となりそうなすべての人に無料の検眼テストを提供している。またユーザーがいくつかのメガネを自宅で試し、それから購入を決められるようにもしている。そして同社のウェブサイトでは、3D AIを使ってユーザーがいくつかのメガネをかけてどんなふうに見えるのかを試せるようになっている。

調査会社Euromonitor Internationalによると、インドのメガネ市場は46億ドル(約5000億円)だが、そのほとんどは手付かずだ。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Image

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

米国でHuluがまたダウン

先月の大規模なダウンから1カ月も経たないうちに、Huluが再びダウンした。Twitter(ツイッター)では、Huluのストリーミングに関する問題が報告されている。ダウンは数時間続いたようだ。米国版の記事公開時点では、Huluは何が起きているのかを明確に把握していないようだ。

このダウンは、HuluがLive TVの月額料金を44.99ドル(約4900円)から54.99ドル(約6000円)に引き上げた翌日に発生しており、米国時間12月19日の太平洋時間午後3時30分(日本時間12月20日8時30分)に、Huluはこの問題が解決したと述べている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

サブスクベースSNSのMeWeはプレミアム機能とビジネス版を導入

MeWeは、サブスクリプションベースのSNS。プライバシーを重視し、アンチFacebookを自認する。今回、プレミアムレベルのサービスをリリースし、新たにビジネス向けの製品の売り込みも強化する構えだ。これは、Slackのようなエンタープライズ向けのネットワーキング、コミュニケーションツールに対抗するもの。

MeWeは、自身をソーシャルメディアというコンセプトの初期の提唱者だと自負する社交好きの経験豊かな起業家であるMark Weinstein(マーク・ウェインステイン)氏によって創立された。Facebookに代わるものを標榜し、すでに数百万人のユーザーを集めている。

Elloに遅れてMeWeを立ち上げた際にウェインステイン氏は、Elloが経験している苦難を目撃することでSNSを支配するFacebookに対抗するものを彼自身が作り上げるための貴重な教訓を得ることができたと語っていた。

「Elloが高い目標を掲げて出発し、その後現実に引き戻されたころ、私たちは設計段階でした。彼らは2100万人に刺激を与えたかもしれませんが、サーバーはそれを処理できませんでした。彼らはデスクトップ版しか用意しておらず、そのプロジェクトは時期尚早だったのです」と、ウェインステイン氏は語った。

MeWeは、フリーミアムモデルで運営されており、ニュースフィード、カスタムカメラ、短命のコンテンツ、8GBのストレージ、音声やビデオによるメッセージ、カスタムステッカーなど、すべて無料で利用できる。企業ユーザーは、月額1.99ドル(約218円)を支払うことで追加機能を利用できる。

「ソーシャルメディアは監視資本主義のために発明されたわけではありません」と、ウェインステイン氏は言う。MeWeは発言に関しては比較的寛容だが、ウェインステイン氏によれば、ヘイトスピーチの投稿、暴力の誘発、いじめに関しては、ルールがあるという。それは、「私たちはあなたを検閲するつもりはありません。なぜなら、あなたが話しているのは、私たちが同意するかどうかに関係のない、政治的な見解だからです」というもの。

SNSとしてのMeWeのプレミアム機能とは別に、同社はエンタープライズ向けのコラボレーション用製品も立ち上げた。

ウェインステイン氏によると、エンタープライズ向けツールキットには、すでに数千人のユーザーがいて、ベータ版から脱却したとのこと。機能としては、エンドツーエンドで暗号化されたチャット、Windows 360との統合、タグ付け、アンケート、カスタムカメラ、音声およびビデオ会議、といったものが、一連のサービスとして組み込まれているという。

プレミアムレベルのMeWeは月額4.99ドル(約545円)だ。プロフェッショナル向けのサービスには2段階があり、価格はそれぞれ3.99ドル(約436円)と7.99ドル(約873円)となっている。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

FacebookがクラウドゲームスタートアップのPlayGigaを買収

Facebook(フェイスブック)は、マドリードに拠点を置くクラウドゲームスタートアップのPlayGigaを買収した。PlayGigaを7000万ユーロ(約85億円)で買収する交渉をしているとCinco Diasが報じた翌週となる米国時間12月19日、同社はCNBCに対してこの買収を認めた

Crunchbaseによると、PlayGigaは2013年に設立され、Adara VenturesからシリーズAにて資金調達を受けた。5月に同社CEOのJavier Polo(ハビエル・ポロ)氏がMCV Developに執筆したところによると、同社は通信会社と協力して5G世代向けのストリーミングゲーム技術を開発しているそうだ。これらの技術は、テクノロジー企業がより多くのモバイルゲーマーへとリーチするのに役立つだろう。また、Intel(インテル)のVisual Cloudプラットフォームを利用して、通信会社や通信サービスプロバイダがストリーミングゲームを顧客に提供できるようにする「Gaming as a Service」というプラットフォームも開発した。

PlayGigaの買収は、人気のVR(仮想現実)ゲームことBeat SaberのデベロッパーであるBeat Gamesを買収することに合意した、先月のフェイスブックの発表に続くものだ。

Facebookは、収益源をオンライン広告以外にも広げるため、現在7億人以上の月間ユーザーがいるとされるゲーム事業を拡大している。今年に入って同社は、当初スタンドアロンアプリとして提供していたGamingハブをFacebookのメインナビゲーションメニューに追加した。このハブには、TwitchやInstant Games、ゲーム関連ページからの投稿に対抗するために昨年立ち上げたライブストリーミングサービスも含まれている。

Facebookは、2014年にOculus(オキュラス)を20億ドル(約2200億円)で買収し、今年初めにOculus QuestとOculus Riftの販売を開始。最近ではVR世界でのマルチプレーヤーワールドを実現するFacebook Horizonをローンチした。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter