暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.18~10.24)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.18~10.24)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月18日~10月24日の情報をまとめた。

IBMと米R3、LinuxサーバーIBM LinuxONEにブロックチェーンプラットフォーム「Corda Enterprise」を導入

IBMとビジネス向けブロックチェーンソリューションを提供する米R3は10月22日、ハイブリッドクラウドにおけるブロックチェーン機能とサービスの拡張に関する、新たなコラボレーションの実施を発表した

コラボの一環として米R3は、エンタープライズブロックチェーンプラットフォーム 「Corda Enterprise」をLinuxサーバーIBM LinuxONEに導入。IBM Cloud Hyper Protect Servicesを介し、IBM Cloudとオンプレミスで利用可能なオープンβ「R3 on IBM LinuxONE βプログラム」を11月2日より公開する。一般提供(GA)は、2021年第1四半期を予定している。

プライベート型ブロックチェーンCorda

米R3が開発するCordaは、オープンソースのプライベート型ブロックチェーンプラットフォーム。Corda Enterpriseは、Cordaの備えるスケーラビリティ、相互運用性、取引における秘匿性と同じ仕組みを擁し、かつ専門的なサポートを組み合わせた商用バージョンとなる。

IBMと米R3、LinuxサーバーIBM LinuxONEにブロックチェーンプラットフォーム「Corda Enterprise」を導入

Cordaの特徴は、取引において、ネットワーク内の第三者に対する秘匿性の高さにある。元々は金融取引に特化し、商用利用可能なプラットフォーム構築を目指したコンソーシアムチェーンだが、現在は金融業界に限らず幅広い分野での利用を想定。世界で300社を超える金融機関、規制当局、中央銀行、業界団体、システム・インテグレーターやソフトウェアベンダーにより構成されるR3エコシステムにより、設計・開発を行っている。

前述の通りCordaは、エンドユーザーである金融機関が主導し開発を始めたことから、金融分野のニーズに応えるものとなっている。たとえば、秘匿性においては他のブロックチェーンのように取引を全ノードで共有することはなく、必要なノード間でのみ共有する。取引内容を他社に知られることがない。

また、Corda上で動くアプリケーション(CorDapps)では、異なるブロックチェーン間でのデータのやり取りを実現。スケーラビリティに関しては、トランザクションが発生するごとにファイナリティ(finality)を与える設計により、ブロック生成を待つことなくトランザクションごとの並行処理が可能。

CorDappsは、Androidアプリ開発ですでにおなじみのKotlin(コトリン)、またはJavaでの開発が可能なため、開発者の調達が容易となっている。

ハイブリッドクラウドにおけるサービス

今回のコラボによりIBM LinuxONEとIBM Cloud Hyper Protectサービスは、米国連邦標準規格FIPS 140-2レベル4認証(暗号モジュールに関するセキュリティ仕様を規定)に準拠するワークロード分離暗号化機能「Keep Your Own Key」(KYOK。自分の鍵の保持)、特権ユーザーによる改ざん防止、使用の有無にかかわらず全データの暗号化など、堅牢な機密コンピューティング機能を、顧客に対し選択肢のひとつとして提供する。同サービスにて、業界で最も安全でオープンなビジネス向けパブリッククラウドを目指す。

IBMと米R3、LinuxサーバーIBM LinuxONEにブロックチェーンプラットフォーム「Corda Enterprise」を導入

IBM ZのGMであるRoss Mauri氏は、「ハイブリッドクラウド時代にクライアントに選択肢をもたらすIBMの取り組みにより、ブロックチェーンプロバイダーのオープンエコシステムをサポートします。米R3のIBM LinuxONEへの導入は、ハイブリッドクラウド全体にわたって最も機密性の高いデータ保護をできるようにした、高度に安全な機密コンピューティング機能を活用した画期的な一例です」と、今回のコラボについて述べた。

「この発表は、ブロックチェーンや暗号資産の管理など新興分野におけるLinuxONEとIBM Cloud Hyper Protect Servicesの新しいワークロードを導入するためのエキサイティングな取り組みです。次のステップでは、スタートアップ企業から大手グローバル企業まで、あらゆる規模のクライアントとこの勢いを継続していくことを楽しみにしています」と語っている。

またR3のソリューション導入を検討するIBMの顧客向けに、Corda認定ソリューション・アーキテクトによる戦略・設計コンサルティング、ネットワークとソリューションを迅速に展開できるデリバリー・プール、その他支援センターを準備するという。

この取り組みの一環としてIBMは、IBM LinuxONEのオープン性とセキュリティに裏付けされたハイブリッド・エコシステムのもと、バイヤーとサプライヤーという両者の役割で、業界のエコシステム全体でクライアントと協力し、ネットワークをハイブリッドに進化させることを目標としている。

IBM Servicesは、R3のCorda Enterpriseプラットフォーム向けにIBM LinuxONEのインフラをサポートするとともに、IBMの既存ブロックチェーンサービスやその他サービスをもって、市場にさらなる選択肢を提供していく。

IBM Blockchain Servicesは、組織に価値ある新しいチャネル、戦略的パートナーシップ、成長を加速させるためのリソースにアクセスするためのさまざまな機会を提供していくという。

日本においてR3は、日本や東アジアにおけるCordaの商用導入を促進するために、SBIホールディングスと合併会社SBI R3 Japanを設立。商用化に向けた実証実験やビジネスへの導入の推進、Cordaのトレーニングプログラムなどを提供している。

ブロックチェーンロック、スマートロックによるシェアリング機能搭載の個室ブース「KEYVOX Solo」を販売開始

ブロックチェーン活用のスマートロックシステム「KEYVOX」を提供するブロックチェーンロックは10月21日、アフターコロナの新たなオフィス形態をうたう個室ブース「KEYVOX Solo」を発表した。スマートロックによるシェアリング機能を標準搭載した個室ブースとなっている。

同社は、プライベート型ブロックチェーン(Ethereumベース)を基盤とするアクセス権管理プラットフォーム「KEYVOX」とIoTを組み合わせた、スマートロック製品を展開。新たに個室ブースKEYVOX SoloをKEYVOXサービスのラインナップに加えた。

KEYVOX Soloは、同社スマートロック「BCL-XP1」を個室ブースの鍵として採用。スマホ向けKEYVOXアプリを使い、鍵の管理・予約・決済・チェックインが可能なシェアリング機能を標準搭載している。ブースは、高遮音によりウェブ会議も行える。

ブロックチェーンロック、スマートロックによるシェアリング機能搭載の個室ブース「KEYVOX Solo」を販売開始
KEYVOX Soloは、自社用の個室ブースとして利用時間をスケジュール管理できるほか、事業者向け機能として、時間貸し・一日定額・月間定額などサブスクリプションの設定を用意。オフィスやホテルなどオープンスペースに設置するだけで、すぐにレンタルビジネスが始められる。スマートロックのため、鍵の受け渡し・チェックインなどがアプリのみで対応できるため、ほぼ無人での運用も可能となる。

個室ブースへの入室方法としては、管理者の承認後KEYVOXアプリを使用しスマートロックを解錠するほかに、管理者発行の専用NFCカード(別売)による解錠、PIN番号のテンキー入力による解錠にも対応している。ブース電源は100V電源で稼働し、出力として100Vコンセント4口、USBポート2口を装備、天井に換気扇を2基搭載する。

ブロックチェーンロック、スマートロックによるシェアリング機能搭載の個室ブース「KEYVOX Solo」を販売開始

KEYVOX Solo導入時の料金体系は、コロナ関連補助金や助成金を使った低コスト導入可能な買取プラン(各自治体により助成内容が異なる)、自社利用しながら空き時間をレンタルするプラン、公共の場での貸し出し用途かつKEYVOXの予約アプリKEYVOX Goへの掲載を条件に収益化物件にするレベニューシェアープランの3タイプがある。

スマートロックシステムKEYVOXは、利用者がウォレットに有するトークンでスマートロックを開錠可能。スマートコントラクトにより、利用期間が過ぎれば自動的に鍵が失効するといった仕組みなどを備えている。

同社は、宿泊施設をはじめとする空間管理業務の効率化を推進すべくKEYVOXサービスの機能を強化。これまで宿泊施設のスマートロック化や、コワーキングスペース運用の無人化、ロッカープラットフォーム「KEYVOX locker」などを展開してきた。今後もKEYVOXサービスの機能強化および関連サービスとの連携強化を進めるという。

シミックとサスメド、デジタルセラピューティクス開発支援における業務提携に合意

医薬品開発支援(CRO)事業を展開するシミックと、疾患治療用スマホアプリの研究開発を行うサスメドは10月21日、デジタルセラピューティクス(DTx。Digital Therapeutics/デジタル治療)開発支援における業務提携の合意を発表した発表した。国内DTx市場における治療用アプリ開発から製品化までの包括的なサービス提供を目指す。

両社は、互いの臨床開発の知見とデジタル医療の開発技術を融合させ、国内DTx市場の発展に貢献していく。治療用アプリの開発を目指す国内外の製薬企業やIT企業などを対象に、ワンストップでの治療用アプリの開発支援および臨床試験の受託を開始する。

また、治療用アプリ提供後のサービスとして、患者や医療従事者へのサポート体制の構築、流通・品質管理に関するシステム提供、データセキュリティ対策、資金調達の支援などを含めた新しいビジネスプラットフォームの開発を推進していくことを明らかにした。

シミックとサスメド、デジタルセラピューティクス開発支援における業務提携に合意

医療分野で徐々に浸透しつつあるDTxは、デジタル技術を用いて病気の予防や診断および治療も含めた医療行為を支援するアプリケーションのこと。治療に対する科学的根拠(エビデンス)があり、規制当局による承認を視野に入れ開発されたソフトウェアを意味する用語となる。海外での事例としては、覚醒剤やコカイン、アルコールなどによる依存症患者を治療するためのアプリ、また日本では禁煙アプリや高血圧治療における食習慣コントロールアプリなどがDTxアプリとして開発が進んでいる。

シミックとサスメドは、DTx開発経験を有する希少な企業。両社は、業務提携により、開発戦略コンサル、システム構築および臨床試験のオペレーションなどを包括的に提供していく。プロジェクトのタスクを両社で一元化することで、開発期間短縮やリスクの低減を目指すという。

またその他の役割分担として、シミックグループは同グループが提供するコールセンターや医療機関へのニーズ調査などのサービスを、サスメドは同社が有するDTx開発に関する特許技術を活用し、DTx市場における開発から製品提供後まで、すべての段階で支援が可能な体制を構築していくとした。

シミックは、1992年に日本で初めて医薬品開発支援事業を開始した、医薬品に関する総合的な支援業務を提供する大手CRO企業。その他にも医薬品開発、SMO(治験施設支援)、臨床からGMPに準拠した医薬品製造、薬事コンサルティング、営業およびマーケティングソリューションなどにおける包括的なサービスを提供している。

サスメドは、デジタル医療を推進する研究開発型企業。不眠治療用アプリ開発のほか、医療用アプリ開発の汎用プラットフォーム、臨床開発支援システムおよびAI自動分析システムの提供を行っている。また、医療用アプリやブロックチェーンの医療応用についての各種特許を取得するなど、技術に立脚しデジタル医療を推進している。

2019年には厚生労働大臣、経済産業大臣の認定を受け「ブロックチェーン技術を用いた臨床研究モニタリングの実証」に関する新技術など実証計画(規制のサンドボックス制度)を国立がん研究センターと共同で実施。実証実験では、ブロックチェーンを活用することで、モニターが医療機関を訪問せずともデータの信頼性が保証されることの立証を目指した。

2020年7月に内閣府サンドボックス制度に関する論文「Data Validation and Verification Using Blockchain in a Clinical Trial for Breast Cancer: Regulatory Sandbox」を発表している。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IBMR3サスメドシミックデジタルセラピューティクスブロックチェーンロック

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

デジタルトークン活用のブロックチェーンプラットフォーム「GO BASE」を展開するスマートアプリは10月23日、double jump.tokyoCryptoGamesフィナンシェの3社と共同で、異なるアプリケーションやブロックチェーン間でNFTを相互利用するためのOpen Contents Token共通仕様「Oct-Pass」(Oct-Pass metadata format)を策定すると発表した。

Oct-Passは、誰でも無償で自由に利用できるオープンなNFT共通仕様。同仕様準拠のNFTメタデータを作成することで、アプリ間におけるNFTの相互利用が行えるようにするという。これにより、ゲーム、SNS、マーケット、ウォレットなど異なるアプリや、異なるブロックチェーンをまたいで、NFTで世界がつながる「NFTメタバース」を実現する一助となることを目指す。

また4社は、Oct-Pass共通メタデータ仕様 第0版「Oct-0」(Open Contents Token Spec ver.0)を「www.oct-pass.org」で公開。同時に、業界各社やNFT作成者からの意見募集を2020年11月23日まで実施する。意見募集に基づき、第1版「Oct-1」を策定予定。Oct-1は、ブロックチェーンコンテンツ協会などの業界団体に草稿を提案し、2020年内に標準化をおこなうことを目指している。

また、複数のブロックチェーン上でNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」β版を2020年内をめどに公開する予定。

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

NFT(Non-Fungible Token)は、イーサリアムの技術規格ERC-721に準拠して発行された非代替性トークン。ERC-721は「所有、譲渡、譲渡の委任」を定義する規格であり、NFTのコンテンツ情報はメタデータで定義されている。

このNFTの課題としては、NFTごとにメタデータフォーマットが異なるため統一した取り扱いが難しい点、NFT作成者やアプリごとに個別に対応するためのシステム開発や調整が必要となっている点があるという。

そこで、NFTメタデータの共通仕様「Oct-Pass metadata format」を定めることで状況を改善し、NFT作成者やアプリでNFTの取り扱いを簡便にすることを目指す。

また、イーサリアムのスケーラビリティやトランザクションフィー(送付手数料)の高騰などによるNFTの流動性不全を解決するために、特定ブロックチェーンに依存せず複数のブロックチェーン上でNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」についても提案する。

「Oct-Pass」(Oct-Pass metadata format)

NFTは、特定のプラットフォームに依存することなく、異なるアプリやブロックチェーン環境で表示・利用されることが想定される。この場合、従来のNFTマーケットに対応するためのメタデータだけでは、ライセンスや表示・改変などの許諾、コンテンツごとの性質の表現に対応できないケースが考えられるという。

そのため、Oct-Passでは、basic(NFTの基本的情報。名前、種類、サムネイル画像、発行数など)、contents(NFTのコンテンツ情報と利用や改変に対するライセンス情報)、property(コンテンツの性質などの付随情報)のカテゴリー別にメタデータの共通仕様を定義。ブロックチェーン時代のコンテンツ利用に適したフォーマットを目指す。

Oct-Passに準拠することで、NFTがゲーム、SNS、マーケット、ウォレットなどのアプリやサービスで取り扱いやすくなるとしている。

Oct-Pass API spec

Oct-Pass API specでは、異なるブロックチェーン間でNFTを流通・利用するためのAPI共通仕様を定義。

従来、NFTはイーサリアムなど特定ブロックチェーンの中だけに存在していたが、同仕様に準拠し複数チェーン対応のゲートウェイを実装することで、異なるブロックチェーン上のアプリやサービスでNFTが取り扱いやすくなるとしている。

同API仕様のリファレンス実装として、double jump.tokyo提供のブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」において、NFTマルチチェーンゲートウェイの実証実験を2020年内に開始する予定。

スマートアプリは、暗号資産ウォレットアプリ「GO! WALLET」と、IP・コンテンツ事業者向けブロックチェーンプラットフォームサービス「GO BASE」を運営。ブロックチェーン上で提供されている様々なアプリ・ゲームと、既存IP・コンテンツ事業者とを連携し、ブロックチェーンサービスの経済圏を拡大していくことを目指している。

GO BASEは、「ブロックチェーンサービスの価値を迅速に最大化する」がコンセプトのブロックチェーン事業者向けプラットフォームサービス。特許出願中であるNFT情報の閲覧制限機能も搭載、著作権保護などにも対応した次世代のサービスをスピーディーに事業者に提供するとしている。

double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として2018年4月に設立。イーサリアム基盤のブロックチェーンゲームとして取引高・取引量で世界1位を記録した「My Crypto Heroes」、ブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」などを提供。

CryptoGamesは、ウォレット・イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンカードゲーム「クリプトスペルズ」などを提供。NFTでカードを発行することでユーザーは所有権が証明され、デジタル上でもアナログカードのように自由に取引できる。

フィナンシェは、ブロックチェーン技術活用のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を運営。同サービスでは、夢を実現したいインフルエンサー・アーティスト・アイドル・スポーツチームがトークン(FT&NFT)を発行・販売し、夢を支援したいサポーターを募集できる。

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double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: EthereumOct-Passブロックチェーン(用語)日本

double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

ブロックチェーンゲーム開発・運営のdouble jump.tokyoは10月23日、ブロックチェーンゲーム開発支援プログラム「MCH+」において、ブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応を支援する「Asset Mirroring System」(MCH+AMS)を開発し、ベータ版リリースを発表した。

メタップスアルファ運営のNFTの取引所「miime」(ミーム)と、MCH+AMSを介したNFTの出品・購入を可能にする実証実験を10月26日より開始すると明らかにした。

NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン「イーサリアム」(Ethereum)の技術規格ERC-721に準拠して発行された非代替性トークン。ERC-721は「所有、譲渡、譲渡の委任」を定義する規格で、NFTのコンテンツ情報はメタデータで定義されている。

マルチチェーン対応を迫られるブロックチェーンコンテンツ開発会社

ブロックチェーンゲーム業界で現在主流となっているイーサリアムでは、トランザクションフィー(送付手数料。Transaction fee)の高騰やスケーラビリティの問題を抱えている。それら問題を解決するためにイーサリアム2.0(ETH 2.0)の仕様が日々議論され、将来的に移行することが計画されている。

また昨今では、NFT対応の新たなブロックチェーンが複数登場。今後新しくリリースするブロックチェーンコンテンツは、複数ブロックチェーンを柔軟に利用できることが求められているという状況にある。

しかし、コンテンツ開発会社がマルチチェーン対応を行うと大変なコストがかかることになる。そこでdouble jump.tokyoは、MCH+パートナーが柔軟にブロックチェーンを選択できるように、統一的なアセット情報取得・利用を実現する「MCH+AMS」サービスを開発・提供する。将来的にはセカンドレイヤー技術を採用予定という。

MCH+AMSはイーサリアムのみ対応、LINE BlockchainやDapperlab独自のFlowにも対応検討

MCH+AMSは、イーサリアムのみ対応となっているものの、MCH+パートナーコンテンツの要望に応じて、対応チェーンを拡充させる予定。MCH+AMSの拡張チェーンとして、LINE独自の「LINE Blockchain」、仮想の子猫を取引するクリプトキティーズで著名なDapperlabが独自に立ち上げた「Flow」について、近日中に提供すべく検討を進めているとした。

double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

LINE Blockchainについては、クローズドベータテストプログラムに参加したノウハウを活かし、MCH+既存コンテンツでマルチチェーン化に着手済み。Flowについても、開発者と直接連携を取りながら具体的な実装について検討を進めているという。

ハイブリッド方式ブロックチェーンゲームがオンチェーン前提の外部サービスと連携可能に

現在のブロックチェーンゲームは、オフチェーンとオンチェーンを組み合わせた「ハイブリッド方式」が多く採用されている。

このハイブリッド方式は、トランザクションフィーの大幅削減というメリットがあるものの、オフチェーンで利用されるアセットはオンチェーン上のエコシステム、特にNFT取引所において出品・購入できないという課題を抱えていた。

一方MCH+AMSでは、オンチェーン利用を前提とした外部サービスとの連携が可能。例えば、NFT取引所ではアセット譲渡にかかるトランザクションフィーを低減し、任意の通貨で取引できるようになる。

またMCH+AMSは、同社が策定に参加しているNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」に準拠し、Oct-Passが実現するNFT相互利用をMCH+パートナーは低コストで対応可能という。

double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

メタップスアルファ運営のNFT取引所「miime」とのAPI連携に関する実装実験

double jump.tokyoは、MCH+AMSの外部連携として、メタップスアルファ運営のNFT取引所「miime」とのAPI連携に関する実装実験を行う。実証実験の期間は、2020年10月26日~11月25日。

この実証実験では、まずはdouble jump.tokyoのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)のオフチェーンで管理されるアセットについて、miime提供の「日本円による決済」で出品・購入可能になる。アセット譲渡にかかるトランザクションフィーはかからない。イーサリアム決済も近日対応予定。実証実験後の正式リリースについては、別途発表としている。

double jump.tokyoがブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応支援サービスを発表

MCH+AMSは、マイクリNFTのmiimeとのAPI連携実証実験の結果を踏まえ、年内にMCH+パートナーコンテンツに展開し、対応アセットの拡充を計画。また、エコシステムパートナーとの相互利用を進めていくという。

今後は、NFTだけでなくファンジブルトークン(Fungible Token)を含んだ設計のサポートも開始。すでにマイクリにおいて、ファンジブルトークンを使ったガバナンストークン「MCH Coin」を設計したノウハウを蓄積しており、MCH+パートナーがファンジブルトークンを設計・発行できるようノウハウおよび技術の提供をしていくとしている。

また、インディーズゲームへのサポートも整理。個人開発者がNFTの相互利用を積極的に行えるよう、MCH+機能を利用しやすくするためのUI Kitをオープンソースソフトウェアとして提供予定という。

double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として2018年4月に設立。同社開発・運営の「My Crypto Heroes」は、2018年11月の正式サービス開始初日より、イーサリアム基盤のブロックチェーンゲームとして取引高・取引量・DAUで世界1位を記録。ブロックチェーンゲームの拡大に寄与してきた現在でも、国産トップレベルのブロックチェーンコンテンツとなっている。

メタップスアルファは、ブロックチェーン技術にコミットしたサービスを開発。また世界で唯一、日本円でのNFT取引が可能なマーケットプレイス「miime」を運用している。今後はmiimeのトレード機能を他社にも提供することで、ゲームに限らずデジタルコンテンツのトレード事業拡大を目指している。

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Gaudiyが少年ジャンプ「約束のネバーランド」向けにブロックチェーン活用公式コミュニティ提供

Gaudiyが少年ジャンプ「約束のネバーランド」向けにブロックチェーン活用公式コミュニティ提供

エンタテインメント業界のDXを推進するGaudiy(ガウディ)は10月22日、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された人気漫画「約束のネバーランド」において、ブロックチェーン活用の公式コミュニティサービス「みんなのネバーランド」の提供を開始したと発表した。10月2日からすでに開設・運用を行っている。

また、コミュニティサービスの機能として、ブロックチェーンを活用した分散ID管理のシステム「Gaudiy-DID System」を活用した取り組みの検討も開始する。

約束のネバーランドは、2020年7月時点でコミックス累計発行部数2500万部超という週刊少年ジャンプ連載の人気漫画(2020年6月まで連載)。最終20巻が2020年10月2日に発売され、今後は実写映画の公開やアニメ第2期の放送、画集発売や展示会など様々なコンテンツ展開を予定しているという。

この約束のネバーランドにおいて、Gaudiyはブロックチェーン活用の公式コミュニティサービスの提供を10月2日より開始した。

また今回、「約束のネバーランド」とのプロジェクトとともに、Gaudiyが新たに提供開始したブロックチェーン基盤のID管理システム「Gaudiy-DIDシステム」を活用した取り組みについても、検討を開始。同システムは、すでに大手ゲームIPでも導入されており、現在複数社と活用に向けた検討を進めているという。

2018年5月設立のGaudiyは、「IPコンテンツがライフインフラになる『ファン国家』を共創する」をミッションに、エンターテインメント業界にイノベーションを起こす、ブロックチェーンスタートアップ。音楽・ゲーム・マンガ・アニメ・アイドルなど総合エンタテイメント領域のDXを推進し、日本が誇るIPコンテンツから世界規模のビジネス展開を目指している。ファンコミュニティを中心にIPとファンとのトークンエコノミーを形成するとともに、ブロックチェーン技術を中心としたテクノロジーを活用することで、新たなユーザー体験の創出や既存課題の解決に取り組んでいる。

従来IPコンテンツビジネスでは、ひとつのIPを元に、異なる企業がアニメや漫画・ゲーム・映画などのビジネスを展開してきた。また多くの場合、それらコンテンツは動画配信サービス・マンガアプリなど異なる企業が運営するプラットフォームを通して、消費者へ提供されている。

そのため、各企業やサービスが連携する価値提供が難しく、顧客接点を持つプラットフォームやサービス単体で、取得データを元にした個別最適な価値提供に留まってしまっている。この背景には、「サービス間の連携コストの高さ」がある。

具体的には、連携用システムの開発コストに加え、ユーザーの個人情報を扱うセキュリティ面の対策コスト、継続的な追加開発や仕様変更対応などの運用コストが挙げられる。また、それらを複数の企業間で継続的に連携しながら対応し続けることも必要となる。

Gaudiy-DID Systemは、これらコストを大幅に削減し、関連サービス全体の継続的な連携を支援。その結果、これまでのアニメ・ゲーム・マンガなど単体でのサービス提供から、IPコンテンツを中心とした横断的な顧客体験の提供を実現する

またGaudiy-DID Systemは、ブロックチェーン上で構築された分散型ID(DID。Decentralized IDentity)を利用することで、これまでの中央集権的に管理されたIDとは異なり、個人情報を企業ではなくユーザー自身が管理することが可能。秘密鍵を扱えるウォレット機能と組み合わせることで、低コストで情報の連携を実現する。

  • 開発コストの大幅削減: 連携サービス間で新規仕様を実装することなく、ユーザーがメールアドレスを活用して自身の秘密鍵を管理できるウォレット機能と、ブロックチェーン上で個人のアイデンティティを管理する仕組みをSDKとして提供(UnityやJavaScriptなど各種言語に対応)
  • セキュリティ対策コストの削減: ユーザー自身が個人情報を管理。情報漏洩など、サービス提供側におけるプライバシー保護関連の考慮事項を低減し、企業・サービス間での連携に伴う調整・対応のコストを大幅削減
  • ブロックチェーンを使ったデジタル決済インフラ: ブロックチェーン活用の独自決済システムを導入可能。これにより、中間マージンの発生しない決済を、IPコンテンツ業者が提供するアプリやウェブサービス、リアルのイベントに導入できる
  • クロスメディア施策の運用コストを削減: 特定の決済情報やデジタルコンテンツの保有情報について、DIDを基盤に参照可能とすることで、異なるメディア・異なる企業間で相互連携が可能。新規システムを開発することなく、特定のIPコンテンツのクロスメディア施策を実施できる
  • IPコンテンツの経済圏を構築: 高いセキュリティのもとで実現される決済や、コンテンツに対する消費状況のデータを企業間で連携可能。IPコンテンツのファンによる活動に対して報酬を還元するトークンエコノミーを構築できる

Gaudiy-DID Systemは、IPコンテンツ事業者やプラットフォーマー間の連携に留まらず、多様なプレイヤーが連携し、IPを中心とした新たな価値を提供できる世界を目指している。

例えば、飲食店や個人書店などの中小個人事業者が、DIDに紐づくデータを参照した顧客体験を提供したり、保険・不動産・決済事業者などが、DIDに紐づく信用情報を活用した新たなサービスを提供できたりする世界という。Gaudiyでは、IPコンテンツを基軸とした新しい経済圏の創出を、多様なパートナーと連携しながら実現を目指すとしている。

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学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月11日~10月17日の情報をまとめた。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL」(ポル)を運営するtechtecは10月15日、英ロンドン拠点のAave(アーベ)より資金調達を実施したと発表した。DeFi(分散型金融)によるレンディングプラットフォームAaveの助成金プログラム「Aave Ecosystem Grants」からグラント(研究助成金)を獲得した日本初の企業となる。

techtecは今回の資金調達により、PoLに蓄積された学習者の学習データ「Learning Score」(ラーニングスコア。後述)を活用した、日本発のDeFiプロダクトを構築していくと明らかにした。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

DeFiサービス大手のAaveは、主にレンディング領域でサービスを展開。Aaveは、ユーザーが預金者・借用者として参加できる、金融機関など中央集権的管理者がいない(ノン カストディアル)分散型金融サービスとなっている。預金者は預金により市場に流動性を供給し利息を得ることができ、借用者は固定金利または変動金利による方法で借り入れが行える。また、預金を担保にした借り入れも可能。

その他にも、無担保借り入れが可能なFlash Loans(フラッシュローン)や、自身の持つ与信枠を他者へ移譲するCredit Delegation(クレジットデリゲーション)といった先進的なサービスも提供している。

Aaveは2020年1月のメインネット公開以来、1日あたり1500億円超の流通額を誇る巨大市場を形成するDeFiサービスに成長。8月には、英金融行動監視機構(FCA。Financial Conduct Authority)より、「電子マネー機関」としてのライセンスを取得している。これによりAaveは、法定通貨とDeFiサービスへの直接的な接続が可能となった。

Aave Ecosystem Grantsは、DeFiエコシステムの拡大に取り組むべく、Aaveが2020年4月に開始した助成金プログラム。世界中のブロックチェーン企業対象に資金提供を行い非中央集権志向のプロダクトを育てることで、分散型金融の普及により金融民主化を促進させるのが狙いだ。Aave Ecosystem Grantsは、企業のみならず個人企業家など、あらゆる規模のチームやプロジェクトを対象に支援する。

「学習するほど金融サービスが受けやすくなる」DeFiサービスを構築

techtecは、この助成金プログラムの採択を受け、「学習するほど金融サービスが受けやすくなる」DeFiサービスの構築を進める。

同社提供中のサービスPoLは、日本で初めてオンライン学習にブロックチェーンを導入したeラーニングプラットフォーム。PoLのサービス上で蓄積された学習データは、ブロックチェーンに記録され改ざんが困難な状態で管理されている。techtecは、この学習データを「ラーニングスコア」と呼んでいる。

同社はラーニングスコアを活用し、学歴評価に代わる新たな評価軸を導入した「学習歴社会」の実現を目指している。ブロックチェーンに記録されたラーニングスコアは、真に正しい学習データを蓄積可能なため、学歴の詐称を防止することも期待できるとしている。

助成金により日本発のDeFiサービスの構築を目指すtechtecは、このラーニングスコアをDeFi(Aave)に接続し、学習するほど金融サービスが受けやすくなるサービスの提供を目指す。具体的には、DeFi市場の課題のひとつである過剰な担保率を解消するサービスの提供を行う予定という。PoLで学習することによって蓄積されたラーニングスコアを評価軸とし、DeFiを利用する際の担保率を一部PoLで肩代わりする。

まずはAaveとの接続を行い、Aaveを利用する際の担保率(借りる際の利子率)を通常よりも抑えられるか検証していく。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

techtecは、今回海外から資金調達を行った理由についても明かしている。

これまで日本のスタートアップ(一般の企業も含め)は、日本が高度経済成長期を経てGDP世界第2位にまでのぼりつめたことから、日本国内だけでも「そこそこやれてしまう」状況にあったとtechtecはいう。しかし、日本は中国の後塵を拝しGDPは3位に転落。それでも3位だが、世界のスタートアップに目を向けると、中国はじめインドやシンガポールなどは、最初から世界を意識していることがわかる。また、GDPの伸び率の鈍化を見ても、このまま3位に甘んじていると「そこそこやれてしまう」ことは次第になくなっていくとtechtecは分析。そこでtechtecは、海外からの資金調達にこだわり、あえて世界で戦わなければならない市場を選択したという。

Securitizeがブローカー・ディーラーDTMを買収し、発行から流通市場までカバーするデジタル証券プラットフォームに

デジタル証券プラットフォームを提供する米Securitize(セキュリタイズ)は10月15日、Distributed Technology Markets(DTM)を買収するための最終契約を締結したと発表した

DTMは、米国証券取引委員会(SEC)および米金融取引業規制機構(FINRA)登録のブローカー・ディーラーであり代替取引システム(ATS)提供者。同社は、2020年にデジタル証券(セキュリティトークン)を含む私募証券のプライマリー発行とセカンダリー取引所提供の認可を取得している。今回の買収によりSecuritizeは、デジタル証券の発行から流通市場まですべてをカバーする唯一のデジタル証券プラットフォームとなる。

また、買収の一環としてSecuritizeは、米国の複数の州でマネートランスミッターのライセンスを持ちマネーサービス事業を展開するVelocity Platformの買収予定についても明らかにした。Velocity Platformの買収は規制当局の承認が必要という。買収条件は公表していない。

Securitizeがブローカー・ディーラーDTMを買収し、発行から流通市場までカバーするデジタル証券プラットフォームに

Securitizeは2017年に創業、セキュリティートークン、デジタル証券の発行と管理を行うプラットフォームをSaaSとして提供開始し、資本市場の効率化を目指してきた。同社プラットフォームは、株式、債券、不動産などデジタル証券の組成を可能にし、適格投資家により簡単に所有、管理、取引を可能にする。同社は2019年8月にSECからの認可も得ており、資金調達(STO)用のプラットフォームなども開発。すでに米国を中心に150社以上の顧客企業と契約をしている。

Securitizeはこれまで、Santander InnoVenture(現Mouro Capital)、MUFG、野村ホールディングス、SBI、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズ(SFV)など、世界大手の金融機関から3000万ドル以上の資金調達を行ってきた。また、本格的に日本市場でのデジタル証券事業を展開するために、日本の拠点としてSecuritize Japan(セキュリタイズジャパン)を設立している。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

ブロックチェーン企業CryptoPieは10月12日、印章業創業98年の松島清光堂と共同で、印章文化とブロックチェーンなどデジタル技術を融合させた次世代押印記録システム「Iohan」を開発したと発表した。位置情報や回数、タイムスタンプなど関連情報とともに印鑑の押印事実をブロックチェーンに記録・共有させる特許出願技術を用いているという。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

テレワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みにより脱ハンコが話題に上がる中、非金融分野におけるブロックチェーンの社会実装を推進するCryptoPieは、印鑑のDX化に取り組む。印鑑のデジタル化は、電子印鑑などの普及により徐々に進んでいるものの、現状は印鑑と電子印鑑は二極化し、共存ができていない。CryptoPieは、その共存を目指す。

CryptoPieは印章店として老舗の松島清光堂と共同で、印影をデジタル化するのではなく、印鑑実物とデジタルが共存可能な世界を目指し、Iohanの開発を行ったという。

Iohanは、印鑑による押印事実を、位置情報やタイムスタンプと共にブロックチェーン上に保管できる。押印の履歴管理は、別途専用のスマホアプリによって管理するという。印鑑の押印事実を確保することで、印鑑が持つ「本人の意思表明」という本来の印鑑の使用方法を維持する。

また、Iohanはスマホアプリにより遠隔で押印事実を管理できることから、年老いた実家の両親など遠方の家族が不要な押印をしていないかなどの見守りや、悪徳業者による犯罪行為・詐欺行為の抑制など、さまざまなシーンでの活用が期待できるという。

Iohanは印鑑を廃止するのではなく、古くからの伝統的な印鑑による押印という文化とデジタルと結びつけることを目指した。Iohanの普及を通して、印章業界におけるDX化の課題解決が期待できるプロダクトであると、CryptoPieはIohan開発の思いを語っている。

今後両社は、Iohanをまずは業界内で普及させることに尽力し、印鑑とデジタルが共存する社会を目指す。また、将来は電子契約サービスとの連携も視野に入れ、アナログとデジタルそのものが共存可能な社会の実現を目標とするとした。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

バハマ中央銀行が他国通貨と相互運用可能なCBDCを10月20日にも発行

バハマ中央銀行(CBOB。Central Bank of The Bahamas)は10月14日、一部地域で試験運用中だった同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)「Sand Dollars」(サンド・ドル)の全国展開を10月20日より開始すると発表した。サンド・ドルは、他国の法定通貨と相互運用の計画があることも明らかにした。

バハマ中央銀行が他国通貨と相互運用可能なCBDCを10月20日にも発行
今回の発表は、CBOBとバハマ商工会議所・雇用者連盟(BCCEC)が10月14日に共催したオンラインイベント「プロジェクト・サンド・ドル:バハマの決済システム近代化イニシアティブ」(PROJECT SAND DOLLAR: A Bahamas Payments System Modernisation Initiative)内にて行われた。イベントは、BCCECのFacebookページやZoomにて公開された。

発表によると、バハマ中央銀行のCBDCサンド・ドルは、2019年12月よりエグズーマ島やアバコ諸島など一部試験地区にて導入してきた。10月20日より、バハマの他の地域でも公認金融機関(AFI)を通じて、段階的にリリースしていく。

発表の際、バハマ中央銀行の電子ソリューション担当アシスタントマネージャーBobby Chen氏は、「(サンド・ドルは)現在はバハマ国内でしか使用されていませんが、最終的には他のグローバル通貨との相互運用が可能になるようなソリューションに取り組んでいます」と述べた。

また、Chen氏はサンド・ドルの発表に先立ち、バハマ国民にサンド・ドルを提供する権限が与えられた最初の6つのAFIを発表した。認可されたのは、Omni Financial Group、Cash and Go、Mobile Assist、Kanoo、Money Maxx、Sun Cashの6社となる。

バハマ中央銀行の銀行部門の責任者Cleopatra Davis氏によると、サンド・ドルの大きな特徴は、APIによるカードレスのオンライン機能という。それにより、物理的に事業所に出向くことなく、サンド・ドルにアクセスできるようになる。

そして、もうひとつの戦略的な機能は、サンド・ドルのオフライン機能。

「これは我々がハリケーン“ドリアン”のときに経験した重要なこと。電気がなくても、携帯電話のネットワークがなくても、どうやって取引を続けるのか? オフライン機能は、サンド・ドルのプラットフォームに組み込まれた重要な戦略的機能です」とDavis氏は述べた。

「また、他のウォレットと相互運用可能である必要があります。これは、私たちが取り組んでいる重要な戦略であり、具体的には銀行口座との間でサンド・ドルを移動できるようにします。それにより、CBDCは法定通貨に交換できます」と、相互運用性の必要性についても語っている。

2019年9月にバハマを襲った巨大ハリケーン「ドリアン」により、バハマの銀行ATMは数ヵ月に渡りダウンしてしまうというダメージを受けた。そのとき、携帯電話サービスはわずか数日で復旧したという。その経験からバハマは、自然災害に強い金融システムを必要としていた。バハマ中央銀行のCBDC導入計画は、すでに2018年に発表されていたが、災害によりCBDCの開発は急加速で進んだことになる。

サンド・ドルの開発には、CBDCソリューションを開発・提供するバハマのNZIA Limitedとシンガポールのブロックチェーン企業Zynesisが協力している。

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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: CryptoPieSecuritizetechtecバハマ中央銀行(CBOB)
中央銀行デジタル通貨(CBDC)フィンテック

LIFULL・ゼンリンなどが不動産ID発行システム試用版の公開に向け開発・運営協議会を設立

LIFULL・ゼンリンなどが不動産ID発行システム試用版の公開に向け、開発・運営協議会を設立

LIFULLゼンリン、家賃保証・賃貸保証サービスの全保連、不動産テック特化型VCのデジタルベースキャピタルは10月12日、「一般社団法人不動産情報共有推進協議会」(PROP。Platform of Real Estate Open data Promotion)の設立を発表した。代表理事は松坂維大氏(LIFULL 不動産ファンド推進事業部 ブロックチェーン推進グループ長)。

なお11月5日13:00から設立記念イベントを開催予定としている。

今後は、不動産取引・不動産流通の活性化に向けて不動産情報共有インフラの開発・提供を進めていく。不動産ID発行システムの試用版の公開にあたり、データの登録や活用の実証実験を行うパートナー企業を広く募集。不動産情報の利活用、業務効率化に関心のある事業者であれば参加が可能としている。

不動産取引は、様々な関係者が関与するため、正確で鮮度の高い情報が安心安全かつ効率的な取引の実現のために必要となる。

しかし不動産は、世の中にひとつしか存在していないにも関わらず情報が一元管理されず、様々な企業・場所でデータが重複管理されていたり、記録すべきデータが保管されていなかったりといった問題が生じている。

これら課題解決に取り組むため、LIFULL、ゼンリンらが中心となり、2018年10月よりブロックチェーン技術を活用した不動産情報の共有化を目的としたADRE不動産情報コンソーシアムを設立し、活動を推進。

2019年7月、物件情報の特定・識別を実施するため、不動産IDの開発に着手。2020年4月には丸紅、GA technologiesら新メンバーも加盟。2020年10月に不動産ID発行システムのβ版を公開する運びとなり、今後不動産情報共有システムの開発・運営を組織として行うために、PROP設立に至ったとしている。

PROPは、すべての法人・個人が不動産に関わる情報を自由かつ安全に利用できるプラットフォームの構築を実現し、企業や組織のサービスの効率化や新規創出を促すことで、不動産業界のDXの推進と、エンドユーザーのより良い暮らしや働き方に貢献することを目的に活動するとしている。

カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: 全保連ゼンリンデジタルベースキャピタル不動産IDLIFULL日本

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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.4~10.10)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.4~10.10)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月4日~10月10日の情報をまとめた。

NTT Comがセキュリティインテリジェンスを売買する「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」の実証実験

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月6日、セキュリティ対策に欠かせない情報セキュリティインテリジェンスを参加者間で売買し利活用するプラットフォーム「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」の実証実験の開始を発表した。同実験の参加者を募集する。

NTT Comが開発を進める「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」は、個人で活動するセキュリティエンジニアや企業が独自に入手したサイバー攻撃者のIPアドレスや悪質サイトのURLなど、これまでは入手が難しかったセキュリティ対策に有益な情報となるセキュリティインテリジェンスの売買が、プラットフォーム参加者間で可能となる。

NTT Comがセキュリティインテリジェンスを売買する「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」の実証実験

プラットフォームには、ブロックチェーン技術およびスマートコントラクトが採用されており、安心・安全なセキュリティインテリジェンスの売買が可能な仕組みが実装されている。参加者はセキュリティインテリジェンスを売ることができ、また流通するセキュリティインテリジェンスを購入し、自社サービスなどに利活用できる。

プラットフォームのメリットとして、参加者は取引されるインテリジェンスの流通状態と購入者のフィードバックが確認可能なため、セキュリティインテリジェンスに対する評価および利用状況(人気など)を把握できる。

また、参加者間で相互に情報共有を行えるため、そのままでは利活用が難しいセキュリティインテリジェンスを利用可能にする方法などを学習できる。

実証実験は、プラットフォームのさらなる改善に向け、参加者からのフィードバックを目的に実施される。参加希望者は、専用の応募フォームより申し込み可能。法人、個人を問わず参加できる。

  • 期間: 2020年11月30日~2021年3月31日
  • 応募方法: 応募フォームによる申し込み
  • 参加費用: 無料
  • その他: 参加者には同実験で利用可能なポイントを付与。ポイントを利用し、NTT Comが独自に提供するセキュリティインテリジェンスが購入可能

セキュリティインテリジェンスをビジネスへ展開

グループ会社であるNTTセキュアプラットフォーム研究所は、サイバー攻撃を継続的に収集・解析することで、最新のマルウェア感染の特徴を正確かつ効率的に特定する技術を創出してきた。

しかし昨今では、新たなタイプの攻撃やマルウェアの出現が非常に短いサイクルとなり、攻撃も複雑化するなど、サービスを創出することが単一の技術、単一の企業だけでは困難になっている。

そこで、同研究所はインテリジェンス創出技術の研究開発に着手し、NTTコミュニケーションズらと連携し、セキュリティインテリジェンスを総合リスクマネジメントサービス「WideAngle」へとビジネス展開をする。

一般的なセキュリティインテリジェンスは、サイバー攻撃防御用の情報を示す。同研究所のセキュリティインテリジェンスは、マルウェア感染時の通信先や感染者の通信先にかかわるIPアドレスやURLなどの情報で構成されている。

セキュリティインテリジェンスをビジネスへ展開するためには、悪性と判断した根拠情報や使用用途に関する情報を明示する必要がある。

同研究所では、おとりシステムであるハニーポットを用いて意図的に攻撃を受けて、マルウェアを収集する。ハニーポットへの通信を解析し、マルウェア感染の際に利用された脆弱性の情報を根拠情報として特定するとともに、マルウェア感染を防御するために有効な情報を特定するなど、他社では収集できない悪性サイトURLを特定。さらに、収集した悪性サイトURLを解析し、未知の悪性サイトURLを特定するという。

また、ハニーポットで収集したマルウェアを解析し調査することで潜在的な脅威を解明する。マルウェア感染によって発生する通信を解析し、追加のマルウェアを取得する際の通信先サーバーや、攻撃者が設置した指令サーバーなどを発見し、マルウェア感染の被害を抑制するために有効となる情報を特定することが可能だ。

マルウェアを解析する際に、解析環境におとりのウェブサイト管理者アカウント情報を配置しておくことで(ハニートークンという)、管理下のもとサイバー攻撃者に改ざんさせ、さらに最新の攻撃情報を収集できるという。

こうしたNTTセキュアプラットフォーム研究所で創出したセキュリティインテリジェンスが、NTT Comのサービスに現在活用されている。

今回の「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」による実証実験は、さらにその先にあるセキュリティインテリジェンスの創出方法を検討するものと見られる。

なお、プラットフォームの今後の展開は、同実験の結果を踏まえ、来年度以降の商用化を目指し改善に取り組む予定となっている。

国際決済銀行(BIS)・日銀ほか主要中央銀行がCBDCの基本原則や機能についての報告書を共同発表

世界各国の中央銀行から構成される国際決済銀行(BIS)は10月9日、日本銀行など主要中央銀行7行と共同で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の基本原則およびコアとなる特徴についてまとめた報告書を作成し発表。BIS公式サイトにて、報告書「中央銀行デジタル通貨:基本原則とコア機能」(Central bank digital currencies: foundational principles and core features)を公開した日本銀行仮訳も公開)。

なお同グループは、CBDCの基本原則と基本的な特徴を報告書にまとめたが、発行するか否かについて意見を示すものではないこと、CBDCの実現可能性に関する研究を継続するものの、発行をコミットするものではないことを明示している。

国際決済銀行(BIS)・日銀ほか主要中央銀行がCBDCの基本原則や機能についての報告書を共同発表

報告書の作成は、カナダ銀行欧州中央銀行日本銀行スウェーデン国立銀行スイス国立銀行イングランド銀行米連邦準備制度理事会(FRB)および国際決済銀行によるグループにて作成されたという。

中央銀行は、公共政策の目的の一環として、何百年もの間、信頼できる資金を国民に提供してきた。しかし、世界は暗号資産、ブロックチェーンの登場により変わりつつある。デジタル社会の中で、中央銀行は公共政策の目的を進化させ追求するために、デジタル通貨を国民に提供することの是非について積極的に研究している。

報告書では、いずれの法域においてもCBDCを検討するためには、一定の基準を満たす必要があるとして3つの基本原則を示した。当局はこれらを堅確に満たす必要があることを強調。

またこれらの原則に基づき、将来のあらゆるCBDCシステムが備えるべき基本的な特徴もまとめている。

  • オペレーションの完全性を維持するため、強靭性と安全性を備えなければならない
  • 利便性を有するほか、エンドユーザーが、非常に低いコストもしくは無償で利用できなければならない
  • 適切な基準や明確な法的枠組みによって支えられなければならない
  • 民間セクターが適切な役割を担い、競争やイノベーションが促進されなければならない

同グループに参加した各中央銀行のCBDCを検討する共通動機は、決済手段としての利用という。信頼されるマネーの供給は、中央銀行がその使命を実現し、広範な政策目的を支えるための中核的な方法と指摘。取引目的の現金利用の低下は、人々による中央銀行マネーへのアクセス低下という課題を生むほか、金融包摂、プライバシーにかかる権利についての懸念を高めかねない。現金が引き続き頻繁に使われている法域においても、この点でCBDCは、国内決済システムの強靭性および多様性を高めうるとしている。

またCBDCは、これまで現金では実現し得なかった機会を提供する可能性もあると指摘。利便性と利用可能性を備えたCBDCは、民間マネーの安全性が低い場合にはその代替を果たし、利用者へのプライバシー提供、違法な活動の抑制、財政給付の円滑化、あるいは「プログラマブル・マネー」の供給を実現するとしている。

しかし、こうした機会はトレードオフを伴う可能性があるほか、通貨への信認を脅かすなど中央銀行の任務遂行能力(マンデート)に関わりがない限り、中央銀行にとっては副次的な動機とした。

さらに、CBDCの導入は金融安定への含意を有しており、慎重に評価し管理する必要がある点を指摘。第一にストレス時の「デジタル逃避」の可能性、第二に銀行の資金調達へのより長期的な影響が含まれる点を挙げた。

CBDCの3つの基本原則の目的と内容

報告書は、中央銀行の公共政策の目的に貢献するために、CBDCと支援インフラが必要とする共通の3つの基本原則と主要な特徴を概説する。それにより、国際的な基礎的作業を前進させるとした。

報告書の基本原則は次のことを強調している。

  • 中央銀行は、CBDCを発行することで金融や金融の安定性を損なうべきではない
  • CBDCは既存の貨幣形態と共存し、これを補完する必要がある
  • CBDCはイノベーションと効率性を促進すべきである

中央銀行がCBDCの発行を検討する際に重要な基本原則は、共通の目的から導かれているという。

ひとつ目は、「害をおよぼさない」こと。中央銀行が供給する新たな形態の資金は、引き続き公共政策の目的の達成を支援すべきであり、中央銀行の通貨・金融の安定のための任務遂行能力(マンデート)を妨げたりしてはならない。

ふたつ目は、「共存」である。中央銀行には安定の責務があり、新しい領域では慎重に行動することとする。新しいもの(CBDC)と既存のもの(現金、準備金、決済口座)、それぞれ性質の異なる中央銀行マネーは、互いに補完し合い、公共政策の目的を支えるために強固な民間資金(たとえば商業銀行口座など)と共存すべき。また、中央銀行は現金に対して国民の需要がある限り、現金の提供と支援を継続すべきである。

最後は、「イノベーションと効率性」。法域内の決済システムの効率化を推進するための継続的なイノベーションと競争がなければ、利用者は、安全性の低い他の金融商品や通貨を採用する可能性がある。それは最終的には、経済・消費者に悪影響をおよぼし、金融および金融の安定性を損なう可能性がある。

さらに報告書では、これらの基本原則を満たすために、CBDCの制度、その基礎となるシステム、およびそれらが存在するためにより広範な制度的枠組みを網羅する、14の中核的特徴を特定し、記載している。

これらの基準をしっかりと満たし、同グループが(報告書に)設定した機能を提供するCBDCは、中央銀行が公共政策の目的を達成するための重要な手段となり得るとした。

ただし、中央銀行の懸念材料として、CBDCが銀行の資金調達や金融仲介に与える悪影響の可能性は、法定通貨の不安定化の可能性を含め、常にあるという。

中央銀行によるCBDC発行の決定は、これらのリスクがCBDCの設計に組み込まれたセーフガードと、より一般的な金融システム政策との何らかの組み合わせを通じて管理できるという、十分な情報を得た上での判断にかかっているという。

CBDC発行の可能性は、共通の原則および特徴に関する合意とともに、CBDCに関する将来の国際協力、知識共有および実験の余地がかなりあることを意味している。中央銀行によるCBDCの同時研究開発は、意図しない結果を回避しつつ、G20のロードマップ「CPMI第二次報告書」の一部として、国際送金を改善する方法を探求することもできるという。

CBDCの潜在的な市場構造への影響、金融の安定性への影響、および潜在的な緩和策を理解することは、同グループのさらなる作業領域であるとした。CBDCの詳細については、報告書を一読することをお勧めする。

日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する方針を発表

日本銀行は10月9日、世界的に話題となっている中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての新たな方針を発表。「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を公表した

世界的には、CBDC発行に向けて具体的に動いている国がいくつか存在する。こうした国では、国民の現金使用比率が顕著に低下、あるいは自国通貨や決済に関するインフラが未整備であるため、最新デジタル技術を全面採用しイチから決済制度を構築したほうが効率的など、差し迫った事情がある。

日本にはそのような事情は存在しないため、日銀は、現時点でCBDCを発行する計画はないと明言。

しかし今後、よりCBDCに対する社会のニーズが高まる可能性もあり、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、将来の環境変化に的確に対応できるよう、しっかりとした準備が重要と考えているという。こうした認識のもと、企業や個人の利用を想定する「一般利用型CBDC」について、日本銀行の取り組み方針を示したとしている。

日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する方針を発表

CBDCには、「一般利用型CBDC」のほかに、大企業・官公庁・地方自治体・金融仲介機関など大口金融取引での利用が想定される「ホールセール型CBDC」のふたつの形態があるとされている。

日銀は、CBDC導入時に期待されるCBDCの機能・役割として、「現金と並ぶ決済手段の導入」「民間決済サービスのサポート」「デジタル社会にふさわしい決済システムの構築」を挙げている。

一般利用型CBDCが導入される可能性について日銀は、現金流通高の対名目GDP比率が20%程度と高いことなどから、一般利用型CBDCを導入する必要性は当面生じないとの見方も少なくないと指摘。

仮に将来、暗号資産や民間のデジタルマネーの影響で現金の流通が大きく減少する状況が生じた場合、一方で民間のデジタルマネーが現金の持つ機能を十分に代替できない状況においては、現金と並ぶ決済手段として、一般利用型CBDCを提供することが考えられるという。

ただし、クリーンで偽札も少ない銀行券に対し一貫して高い信頼が寄せられており、日銀は現金に対する需要がある限り、現金の供給についても責任をもって続けていくとした。

また、現金の流通が現状のままの場合においても、決済システム全体の安定性・効率性を高める観点から必要であれば、民間決済サービスをサポートするためにCBDCを発行することが適切となる可能性があるという。現状、暗号資産を決済手段とした場合、ボラティリティの影響が大きく実用的ではないとされていることから、法的に問題のない安定したステーブルコインの登場が望まれているが、その代替案として一般利用型CBDCの利用も考えられる。

これらに加え、より広い観点から、日銀がCBDCを発行したうえで、民間事業者の創意工夫により様々なサービスを上乗せして提供することなどが、デジタル社会にふさわしい安定的・効率的な決済システムの構築に繋がる可能性も考えられるとした。

一般利用型CBDCの発行形態と基本的特性

一般利用型CBDCを発行する場合は、「間接型」の発行形態が基本であり、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造を維持することが適当であるとした。

また、日銀は「間接型」の一般利用型CBDCに必要な基本的特性についても言及。

まず、CBDCを誰でも使えるものとするため、決済や送金時に利用する端末、カードなどの利用対象者を制限することがないよう、簡便性や携帯性に関する設計面を工夫した「ユニバーサルアクセス」が必須であるとした。

CBDCを安心して使えるものとするためには、偽造抵抗力を確保し、各種不正を排除するよう、「セキュリティ」を高める取り組みが必要である。また、CBDCは、エンドユーザーが24時間365日、常に利用できる「強靱性」を持った仕組みも必要となる。システム障害や通信障害を想定しオフライン環境下でも利用できる仕組みを確保することも、自然災害の多い日本においては重要なポイントになる。

さらにCBDCには、現金と同様に決済のファイナリティ(支払完了性)および「即時決済性」が求められる。多数のユーザーによる高頻度の決済を迅速に完了させるためには、システム面での十分な処理性能と将来の利用増加に備えた拡張性が必要となる。

運用システムについては、民間決済システムなどとの「相互運用性」を確保していることや、将来の民間決済サービスの高度化などに適応するために柔軟な構造となっていることも重要であるとした。

今後の取り組み方針

日銀は、CBDCに対する今後の取り組み方針として、実証実験を行っていくことも明らかにした。

日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する方針を発表

今後は、これまでのリサーチ中心の検討ではなく、実証実験を実施し、具体的・実務的な検討を行っていくとした。まずは、「概念実証」(PoC。Proof of Concept)のプロセスを通じて、CBDCの基本的な機能などについて技術的に実現可能かどうかを検証する。PoCの結果、必要であればパイロット実験の要否についても検討するという。

PoCは段階的に行っていく予定で、システム的な実験環境を構築し、決済手段としてのCBDCの中核をなす、発行・流通(送金)・還収の基本機能に関する検証を行う「概念実証フェーズ1」については、2021年度の早い時期に開始することを目指す。

「概念実証フェーズ2」では、フェーズ1で構築した実験環境にCBDCの周辺機能を付加して、その実現可能性などを検証する。

PoCを経て、さらに必要と判断されれば、民間事業者や消費者が実地に参加する形での「パイロット実験」を行うことも視野に入れて検討していくとした。

制度設計面の検討

日銀はPoCと並行して、「中央銀行と民間事業者の協調・役割分担のあり方」「CBDCの発行額・保有額制限や付利に関する考え方」「プライバシーの確保と利用者情報の取扱い」「デジタル通貨に関連する情報技術の標準化のあり方」など、制度設計面の検討も順次行っていくという。

こられCBDCについて日銀は、引き続き、他の中央銀行と連携しながら、CBDCの基本的な特性や実務面に及ぼす影響について理解を深め、自らの検討に活かしていく。

また、CBDCの導入については広範かつ大規模な取り組みが必要となることから、銀行やノンバンク決済事業者、ITや法律の専門家、関係当局など、内外関係者と協力し、様々な知見を今後の検討に活かすことを重視していくとした。

なお、各項目の詳細については「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」の全文がPDFにて公開されているので、そちらを参照いただきたい。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NTTコミュニケーションズNTTセキュアプラットフォーム研究所国際決済銀行(BIS)セキュリティ中央銀行デジタル通貨(CBDC)日本銀行フィンテック

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Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)は10月1日、暗号資産取引所Bitcoin.comとの間でAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)の公開販売(IEO。Initial Exchange Offering)および販売完了後の上場に向けた契約の合意を発表した

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

IEOの開始は、2020年11月上旬を予定。暗号資産取引所Bitcoin.comを介して、ジブラルタル拠点のAtariグループ子会社Atari Chainが実施する。Atari Tokenは販売期間中、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の主要暗号資産でのみ購入可能となる。

今回のIEOとその後の上場は、Atariのブロックチェーンプロジェクトにとって重要なマイルストーンという。Atari Token保有者に流動性を提供し、同プロジェクトが計画をするAtariブロックチェーンエコシステムの発展への道を切り開く第1歩としている。

Atari Tokenのユースケース

またAtari Tokenのユースケースは、現在、Atariグループが活動をしている分野を予定。それぞれ関係各所とパートナーシップ契約を締結しており、平行していくつかのプロジェクトが進んでいる。最初は、暗号資産を使用したAtari CASINO、PCゲーム配信プラットフォームUltraでのAtariゲームの配信、今秋発売予定の新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」などで利用される予定になっている。パートナーシップに関しては、順次atarichain.comで発表されるという。

最終目的は、決済手段はじめ、スマートコントラクトの促進、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで

Atari Tokenは、イーサリアムのERC-20準拠のトークンとして発行された暗号資産。主たる目的は、ビデオゲームなどインタラクティブエンターテインメント業界内での決済手段として利用するものの、トークンはさまざまな業界にも有益であるとAtariグループは考えているという。

最終的な目標は、Atari Tokenが世界中で利用可能になること。決済手段のみならず、スマートコントラクトの促進から、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで、多くの用途を想定しているそうだ。また、安全かつ信頼性が高く、普遍的で、流動性のある使いやすいトークンの作成を目指している。

Atari TokenはIEOおよび上場を機に、Atariのパートナーを含むさまざまなAtari商品やサービスとの交換手段として、まもなくAtariのネットワーク内で利用できるようになる。

Atari Token誕生までの経緯

Atari Tokenを開発するチームは、現在、Atariグループとドイツを拠点とするインターネット銀行ICICBによるメンバーで構成されている。

Atari Tokenは2018年の発表当初、AtariグループがInfinity Networks Limited(INL)とパートナーシップを結び独占契約を締結、INLにAtariブランドを付与し、ブロックチェーンプロジェクトとして立ち上がった経緯がある。プロジェクトでは、暗号資産の作成やAtariブランドを使ったブロックチェーンゲームや映画、音楽などあらゆるデジタルエンターテインメントにアクセスできるプラットフォームの構築を目指していた。

しかし、INLによるブロックチェーンプロジェクトは、Atariが期待する速度で開発は進まなかったようだ。AtariとINLは、どちらの側にもペナルティを発生させることなく、円満かつ即時にこのライセンスを終了させ、すべての権利をAtariグループ側に回復させることで合意し、INLとのパートナーシップを解消した。

その後、Atariグループはブロックチェーンプロジェクトをふたつに分離し、Atari Tokenについては、2020年3月にICICBグループと提携した。

グループは、Atari Tokenのユースケースの最大化を考慮し、開発の速度を上げるために、現時点において最も実現性の高いプロジェクトを優先しパートナーシップを締結している。それらが、Pariplayと契約をしたAtari CASINOであり、Ultraを始めとするその他のパートナーシップでということになる。Atari CASINOはまもなく開始を予定しており、IEOの前にAtari Tokenのプレセールを実施している。

ウォレットなどの開発も進行

Atari Tokenは、IEOおよび上場の計画の他にも、現在、ウォレットなどの開発が進んでいることも明らかにしている。ウォレットはすでにAndroid版のテストが最終段階であり、監査が完了し、安全性が確認でき次第発表するとした。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン版「mijin Catapult(2.0)」を提供するテックビューロホールディングス(テックビューロHD)は9月30日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が世界190ヵ国で提供する「AWS Marketplace」において、初の日本法人パートナー企業のうちの1社として登録されたと発表した。同日より、mijin Catapult(2.0)の提供を開始した。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始
AWS Marketplaceは、同社クラウドサービス向けのオンラインソフトウェアストアである。ITビジネスを構築・運営するために必要なサードパーティーのソフトウェア・データ・サービスを検索・購入・デプロイ・管理するために使用できるデジタルカタログとなる。

今回のAWS Marketplace登録により、販路として世界190ヵ国のAWSの顧客に対しグローバルなサービス提供をできるようになったほか、月間29万人を超えるアクティブな顧客に対して同社サービスをアピール可能となった。

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン「mijin」

テックビューロHDが提供するプライベートチェーン「mijin」は、NEM(ネム)コアの開発者が同社に合流し開発したNEMブロックチェーンのプライベートチェーン版。「mijin Catapult (2.0)は、エンタープライズで利用可能なプライベートブロックチェーン環境を構築する「mijin v.1」をバージョンアップした製品。

またmijin Catapult (2.0)は、NEMの次期バージョン「Symbol」にあたる存在でもある。mijin Catapult (2.0)は2018年6月にオープンソース化され、Symbol公開に先行し2019年6月より製品版として公開されている。

mijin Catapult (2.0)は、300社以上への提供実績を持つmijin v.1の性能を向上させるために仕様全体を一新し、機能・性能・仕様のすべての面においてバージョンアップを実施。異なるブロックチェーン間でのトークン交換や複数トランザクションの一括処理を可能にするなど、前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面で大幅なグレードアップを実現している。

具体的には、mijin v.1と同様、ひとつのブロックチェーン上に複数のアセット(トークン)を同時に発行し流通・管理を行える機能「マルチアセット」、複数人の合意によって取引・コントラクトを実行する「マルチシグネチャー」機能が最大3階層まで設定が可能になった。

追加の機能として、第3者を介さず異なるブロックチェーン間でのトークン交換(クロスチェーン・トランザクション)や、複数トランザクションの一括処理(アグリゲート・トランザクション)が可能となっている。前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面での大幅なグレードアップも実現した。

今回のAWS Marketplaceにおける提供では、ブロックチェーンの導入促進を目的に設計・開発イメージをより多くのAWSユーザーに体験してもらえるよう、機能を制限した無料トライアル版が提供されている。

無料トライアル版の概要は、以下の通り。

  • ノード: 1台のみ(DUALモード/APIノードにHarvestを有効)
  • デプロイ: およそ15分程度で下記構成が完成
  • ライセンス費: 無料
  • インフラ費: AWS使用料として、Amazon EC2、Amazon EBS、Amazon Route53、パラメータストアの費用は発生
  • リージョン: 世界16リージョンに提供

制限事項として、公開ネットワークのみ(IPアドレス制限は可能)の配置、基軸通貨発行数は2000cat.curency限定、手数料が必要、提供されるバージョンは、「mijin Catapult (2.0)(0.9.6.4)」に固定としている。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

テックビューロHDでは、2020年12月に予定されているSymbol正式版のリリースに合わせて、有料エンタープライズ版の追加公開を予定。またmijin Catapult (v.2) Free Trial版については、2021年1月末日をもってAWS Marketplaceから削除する予定で、2021年4月1日以降は問い合わせも受付終了予定としている。

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクション

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクションでは、「Atomic Swap」という方法でプライベートチェーンとパブリックチェーン両者のメリットを使い分けて利用できるようになる。それにより、Symbolとmijin Catapult(2.0)や、管理者の違うmijin Catapult(2.0)間でお互いのモザイク(トークン)の交換が可能になる。パブリックチェーンを使いつつ、大事なものはプライベートで取引をするといったサービスが提供可能になる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は9月30日、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(LINE Blockchain White paper v2.1)基盤を導入した外部企業のサービスを発表した

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表LINEは、LINE Blockchainを基盤としたブロックチェーンサービス(DApps)を簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」を展開している。企業は、LINE Blockchain Developersを導入することにより、既存サービスにブロックチェーン技術を組み込むことができ、独自のトークンエコノミーの構築も可能になる。

また、LINE Blockchain Developersで構築した各サービス内で発行されるトークンを、LINE IDと紐づくデジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」にて管理・連携させることもできる。企業は、それによりLINEのユーザー基盤を活かしたサービスの構築が可能になる。

2020年8月26日にLINE Blockchain Developersの提供開始を発表後、6日目にして申込数が100件を突破したという。

今回の発表では8社が紹介され、そのうちの2社はすでにサービスを開始している。導入企業の詳細は、以下の通り。

モバイルRPGゲーム「ナイトストーリー」

ブロックチェーンゲームを開発するBiscuitlabsは、9月30日よりモバイルRPGゲーム「Knight Story」の日本版を提供開始した。プレイヤーはナイトとなり、ペットとともにバトルをしながら素材を収集し、素材を組み合わせて装備アイテムを作成し強化していく。ゲーム内アイテムはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)のため、プレイヤーはアイテムの保有権を持ち、交換・売買ができる。

電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)

リーガルテック企業のComakeは、AI・ブロックチェーンベースの電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)の提供を9月30日より開始。契約書の作成、内容の検討、署名、締結などと契約行為を始まりから終わりまで完結できるオールインワンプラットフォームとなっており、顧客は様々な契約書テンプレートから契約書を作成できる。また、すべての契約プロセスをリアルタイムで確認可能。ブロックチェーンにより、契約文書の偽造・変造を防止する。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルメディア「aFan」

Common Computerの「aFan」は、クリエイターとファンをつなぐブロックチェーンベースのソーシャルメディア。ファンは、写真家、イラストレーターなどのクリエイターに直接寄付・応援することで、クリエイターのコンテンツ制作や活動をサポートできる。ファンとクリエイターは、トークン「ファンコ」を通じて、従来の「いいね」やコメント以上の相互交流が可能となる。サービス開始は、10月上旬予定。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」

ブロックチェーンゲーム開発会社NOD Gamesは、MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム」の日本版「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」を10月末より提供開始予定。王国同士、連盟や戦争を通じで領土を広げていく、大陸の覇権を争うゲーム。プレイヤーは、ゲーム内で保有する資産をブロックチェーンアイテムトークンに転換することで完全に保有し、取引できる。ブロックチェーン技術をさらに活用し、プレイヤーがゲームの方向性決定に参加できる仕組みも将来計画している。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

コインプッシュゲーム「CryptoDozer」

ブロックチェーンゲーム開発会社のPlayDappは、コインプッシュゲームをモチーフにした「CryptoDozer」を2020年内に日本向けに提供開始予定。30種類以上のDozerドールを入手できるコインゲーム。ファンシードールを獲得するためにDozerドールを調合することもできる。ドール強化でゲームプレイをさらに活性化することが可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」

Emel Venturesは、ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」を2020年内に日本向けに提供開始予定。いつでもどこでも高音質のカラオケを楽しむことができる。全世界の友達とデュエットすることも可能。ブロックチェーン技術を応用した世界初のカラオケアプリであり、独自のリワードシステムによりユーザーは自分が歌った歌に対して公正な報酬を受け取ることがきる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ビデオ・ストリーミング・プラットフォーム「Theta.tv」

ビデオ配信サービスを提供するTheta Labs(Theta Network)は、eスポーツ専門のビデオストリーミングプラットフォーム「Theta.tv」を2020年内に日本向けに提供開始予定。ユーザーは、コンテンツを視聴し、帯域幅を別の視聴者たちに共有することでリワードを受け取れる。ユーザーは特定のクリエイターを購読し寄付することも可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

スポーツゲーム「Crypto Sports」(仮称)

アクセルマークオルトプラスの100%子会社OneSportsは共同で、プロスポーツライセンスを使用したゲームの開発を進めている。2021年以降にローンチ予定。ユーザーは試合に参加して選手を育成し、その選手達を取引できる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: Atari TokensAWSEthereumLINELINE BlockchainLINE Blockchain Developersmijin CatapultNEMSymbolUltraテックビューロ

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Coinbaseからデビットカード出金が可能に、手数料は米国で最低0.55ドル、EUなどで最低0.52ユーロ

暗号通貨取引所のCoinbase(コインベース)が、Coinbaseアカウントから資金を引き出す方法を追加した。互換性のあるデビットカードを口座に追加しておけば、ほぼ瞬時にUSD、EUR、GBPを銀行口座に送金することができるようになる。

主な欠点は手数料がかかること。米国では1.5%、少額の取引であれば最低0.55ドルを差し引く。英国とヨーロッパでは、それぞれ2%の手数料、または最低でも0.45ポンド/0.52ユーロを差し引く。

そのほか、互換性のあるデビットカードを持っている必要があり、すべてのデビットカードが送金に対応しているわけではない。英国とヨーロッパではでは、Visa Fast Fundsに対応したVisaカードが必要で、米国ではそれに加えてMastercard Sendに対応したMastercardカードも利用できる。

利用している銀行やカード発行会社がこれらの機能をサポートしているかどうかを知るのは難しいので、とりあえずCoinbaseにカードを追加して、使えるかどうかをチェックするのは手っ取り早いだろう。

Coinbaseはほかの出金方法を制限しているわけではない。例えば、ヨーロッパでより安く資金を引き出す方法を探している場合、SEPAの銀行送金は1回の送金につき0.15ユーロだ。ユーザーが口座を持っている銀行が対応していれば、即時のSEPA送金をサポートしている。

また、PayPalアカウントとCoinbaseアカウントをリンクさせることもできる。数秒以内にPayPal口座に送金が完了し、Coinbase側の手数料は一切かからない。

このように銀行口座からCoinbase口座への資金移動にはさまざまな方法が用意されている。その中には、他の方法に比べて時間がかかるものもあれば、費用がかかるものもある。暗号通貨と暗号通貨の取引は、トークンを送るのに必要なのは受取人のウォレットアドレスだけなので、それに比べれば少しシンプルだ。

画像クレジット:Coinbase

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.20~9.26)

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月20日~9月26日の情報をまとめた。

Ultraがアタリと提携、新型ゲーム機「Atari VCS」にブロックチェーンゲーム関連機能を搭載予定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)とブロックチェーン活用のゲーム配信プラットフォームを提供するUltraは9月24日、パートナーシップ契約の締結を発表した。アタリが今秋発売を予定している新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」が、UltraのPCゲーム配信プラットフォームにアクセスできる機能を搭載することを明らかにした。

Ultraがアタリと提携、新型ゲーム機「Atari VCS」にブロックチェーンゲーム関連機能を搭載予定

UltraのPCゲーム配信プラットフォーム

Ultraは、ゲームを総合的に楽しめるエンターテインメントプラットフォームの提供を目指しており、PCゲームの購入はじめ、ブロックチェーンゲームのアイテム交換・売買、配信ゲームの中古販売、収益があげられるゲーム、トーナメントプラットフォームを通じたライブストリーミングへのアクセス、eスポーツのようなゲーム大会の開催、コミュニティなどが可能という。

Ultraでの取引には、仮想通貨EOSからフォークしたUltraブロックチェーンを基盤とするトークンUOSが使用される。また、UOSトークンはステーキングを行うことで、「Ultra Power」と呼ばれるゲーム内のリソースを得られるなど、ブロックチェーンを活用したさまざまな機能が用意されている。これらはゲーム開発者にも提供され、Ultraをベースにゲームを配信する企業や開発者は、ブロックチェーンゲームの開発が容易になるうえに、他の配信サービスよりも多く収入が得られる仕組みが提供されるとしている。すでにUbisoftAMDといったゲームメーカーおよびハードウェアの大手企業とも提携をしているそうだ。

また、今回の提携によりUltraユーザーもその恩恵を受けることができる。ユーザーはAtariの専用コミュニティに参加することで、Atariの往年の名作ゲーム「アステロイド」「センチピード」「ミサイルコマンド」「PONG」「ローラーコースタータイクーン」をプレイ可能になる。

Windows 10、Ubuntuをインストールできる「PCモード」も搭載の家庭用ゲーム機「Atari VCS」

Atariが今秋発売を予定している家庭用ゲーム機「Atari VCS」(旧名:Ataribox)は、2018年に発表され、たびたび発売延期を繰り返してきたもの。本体発売と同時に2000本以上のゲームが遊べるサブスクリプションサービスの提供も発表されており、懐かしの名作ゲームが多数遊べる製品となっている。

Atari VCSは、1977年に発売されたAtariの往年のゲーム機「Atari 2600 Video Computer System」をリスペクトし開発されたもので、CPUとしては、組み込み向けの「AMD Ryzen Embedded R1606G with Radeon Vega 3 Graphics」を採用。またメモリーは32GBで、ストレージは256GB M.2 SSDとなっており、ゲームに特化した小型PCといったおもむきだ。OSとしてはDebian GNU/Linuxベースに開発した「Atari OS」を利用。「PCモード」では、このAtari OSとは別途、Windows 10、Ubuntu、Steam OS、Chrome OSなどをインストールし利用できるという。

Windows 10、Ubuntuをインストールできる「PCモード」も搭載の家庭用ゲーム機「Atari VCS」

Atari VCSでは、UOSトークン、またAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)を使用しUltraでもゲームなどが購入可能になる。また、AtariはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)フレームワークをはじめとするUltraの技術を利用して、同社の人気ゲームタイトルの多くをアップデートし、名作ゲームのNFT化を試みる予定も明らかにしている。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

會澤高圧コンクリートは9月23日、3Dプリンターを用いて外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型の公衆トイレを建設し、インドでのトイレ普及を目指すSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みについて発表した。インドではスマートフォンが広く普及していることに着目し、トイレの鍵にはブロックチェーンを活用したスマートロックを採用する。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

国連サミットで採択されたSDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するための17のゴールが設けられた国際目標。同社は、SDGsの17のうち6番目の目標となる「安全な水とトイレを世界中に」に取り組んでいる。

同社は、新棟を建設中の深川工場(北海道深川市)敷地内に、ロボットアーム式のコンクリート3Dプリンターを用いて積層造形した国内初の小規模建築物となる公衆トイレを2基建設し、9月16日に一般公開した。2基のうちの1基がインド向けのプロトタイプという。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできる

建設された2基の公衆トイレは、他社との技術コラボレーションで実現しているという。インド向けに採用されるスマートロックは、メディアスケッチと共同開発している。トイレの鍵の開閉をスマホで行えるだけでなく、ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできるという。その仕組みにより「次の人のためにトイレをきれいに使う習慣」を定着させることにつなげる狙いがある。

3Dプリンターを用いて速乾性の特殊モルタルを抽出・印刷し、複雑な構造物を造形可能

「安全な水とトイレを世界中に」を目標とした同社は、女性スタッフを中心とする開発チームをインドに派遣し、現地のニーズや課題などを調査した。調査結果によると、インドでは野外排泄による水質汚染が深刻な社会問題という。トイレそのものが不浄なものとして、家に設置しないこともある。また公衆トイレで襲われるなど治安が確保されないケースもあるという。また、下水道などのインフラは、都市部以外は未整備で、水洗式を全土に普及させるには膨大なコストと時間がかかることがわかったという。

こうしたインドでの課題を解決するには、上下水道不要の自己完結型公衆トイレ(オフグリッド・トイレ)の普及が必要と判断。同社は、バイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業などと協業し、3Dプリンターで積層造形した自己完結型のハイテクトイレを試作した。

同社の3Dプリンターは速乾性の特殊モルタルをロボットアームのノズルから抽出し印刷する。従来のモルタルやコンクリートを流す際に使用する型枠は使わずに、複雑な構造物を造形できる。しかし、国内においてはコンクリートが建築基準法上の指定建築材料であることから、特殊モルタルなどの使用には大臣認定などの性能評価が必要となる。そのため今回は、プリントした中空状の外装を型枠代わりに使用し、その中にコンクリートを充填して配筋を施し、鉄筋コンクリート造の構造体としたという。

上下水道が不要になるバイオトイレのモジュール

上下水道が不要になるバイオトイレのモジュールは、正和電工が開発したおがくずを使用するタイプを採用。同モジュールは、スクリュー付きタンクにおがくずを充填しておくと、おがくずが排泄物によって保水される。保水後、タンクに設置されている約50度のヒーターでおがくずを加熱し、スクリューでかき混ぜることにより排泄物の90%の成分である水は蒸発する。残った約10%の固形分は、微生物が分解し発散させるという。

排泄物自身に含まれる腸内細菌と自然界に生息する微生物の働きで、排泄物は水と二酸化炭素に分解処理されるが、蒸発も分解もされない最後に残った無機成分は、粉状態でおがくずに吸着し、肥料として使用できるという。

空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備

また、アクアムホールディングスが開発した、空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備する。空気中の湿気を強力ファンで取り込み、コンデンサーによって冷却し強制的に結露を起こし、水を生成する。水は活性炭、ミネラル、ROフィルターなどでろ過することで安全な飲料水となる。今回は、手洗いとウォシュレット用に使用する。さらに、手洗い水を節約するため、沐羽科技の低圧霧化技術を導入。特殊なノズルとコンプレッサーで、通常の蛇口に比べて約90%の水を節水できる。

LasTrustとサートプロが「資格のDX」を目指し実証事業、ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠で資格書をデジタル化

LasTrust(ラストラスト)とサートプロは9月25日、「資格のDX」を目指し、サートプロが運営管理する各種団体の資格証明書を、LasTrustのブロックチェーンを活用した証明書発行サービス「CloudCerts」(クラウドサーツ)でデジタル化する実証事業の開始を発表した

LasTrustの提供しているサービスCloudCertsは、あらゆる「証明」をセキュアにデジタル化できるブロックチェーン証明SaaS(オープンソースのブロックチェーン証明書規格Blockcertsに準拠)。今回のデジタル化実証実験では、サートプロが紙で発行・運用を行っていた資格の数々をデジタル化。合格証を合格者に渡すまでのリードタイムや発行・管理コストの改善、有資格者側の利便性向上を目指し、実証実験を行う。

LasTrustとサートプロが「資格のDX」を目指し実証事業、ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠で資格書をデジタル化

実証実験により、ペーパーレスの実現、環境面への配慮とサスティナビリティ(持続可能性)の確保を行う。また、有資格証明のスマホ管理、デジタル有資格証明書のURL送付、SNSへの連携など、デジタル化による有資格者の利便性の向上を図る。有資格者の実績をブロックチェーンに記録し、個人の実績を永続的かつセキュアに保存していく。それにより、紙代・印刷費・郵送費といった間接費を削減し、削減できた経費を、付加価値を生む業務へ分配することを目標とするとした。

ブロックチェーン技術、またブロックチェーン証明書規格Blockcertsを活用する理由

証明書をデジタル化するだけであれば、JPGやPDFといった画像データでも可能なものの、それだけでは誰でも簡単に改ざんできてしまうため、汎用的な画像データを証明書の原本として使用することには問題があった。

一方ブロックチェーンは、一度書き込んだ情報を変更できないという耐改ざん性を備えている。またブロックチェーン上に分散管理しておくことで、資格提供団体の状態に関わらず半永久的に実績の記録が残る。資格証明書の有効性をゼロコストで検証できるという利点があり、証明書のデジタル化には必須の技術であると判断したという。さらにCloudCertsでは、コア部分において、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究機関Media LabとLearning Machineとが共同開発したブロックチェーン証明書のオープンスタンダード規格Blockcerts(ブロックサーツ)を利用しており、第三者機関による証明書発行システムの信頼性・透明性検証などにも耐えうるものとしている。

実証事業は、10月には証明書デジタル化の予備提供開始と市場調査を行う。その後、資格証明書デジタル化の検証を経て、12月には本格運用を目指すという。

実証事業においてデジタル化の対象とする資格・試験は、IoT検定(IoT検定制度委員会)となる。IoT検定は、IoTに関わるすべての人を対象に、技術的な視点のほかに、マーケティングやサービスの提供、ユーザーの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件などを網羅し、それぞれの立場でIoTを企画・開発・利用するために必要な知識があることを認定する検定試験。

実証事業後は、サートプロが管理・運営を行うAndroid技術者認定試験制度、XMLマスター、アジャイル検定、E検定にも順次対応していく予定も明らかにした。

また、資格のデジタル化には留まらず、有資格者のスキルを可視化するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを強化し、「資格」という社会的資産の価値の底上げに寄与することを目指すという。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産

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グルメSNS「シンクロライフ」と川崎フロンターレが提案する「スタジアム飲食と地域活性化をDXで実現」プロジェクトを神奈川県が支援

トークンエコノミー型グルメSNS「シンクロライフ」を運営するGINKAN(ギンカン)は9月14日、Jリーグ川崎フロンターレと共同で提案する「スタジアム飲食と地域活性化をデジタルトランスフォーメーションで実現」プロジェクトが、神奈川県の「ビジネス・アクセラレーター・かながわ」(BAK)に採択されたことを発表した

神奈川県は、スタートアップ企業に対する支援策として「ビジネス・アクセラレーター・かながわ」を実施。新型コロナウイルスの感染拡大によって生じている社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業などによる新しいプロジェクトを募集した。今回45件の提案から、有識者らによる審査の結果、県が支援を行う6プロジェクトが決定。GINKANと川崎フロンターレの提案が採択され、両社は今後、同プロジェクトを進めていく。

GINKANと川崎フロンターレの提案するプロジェクト「スタジアム飲食と地域活性化をデジタルトランスフォーメーションで実現」は、グルメSNS「シンクロライフ」のスマホアプリ(Android版iOS版)によるモバイルオーダーと、ブロックチェーン活用の暗号資産ポイントシステム(トークンエコノミー)を通して、川崎フロンターレの本拠地スタジアム内の飲食店と、川崎地域の地元飲食店のマーケティング領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく。

グルメSNS「シンクロライフ」と川崎フロンターレが提案する「スタジアム飲食と地域活性化をDXで実現」プロジェクトを神奈川県が支援

具体的には、モバイルオーダーによる混雑回避、キャッシュレス推進、試合結果に応じた、来店インセンティブ付与による地元飲食店集客への寄与を目指すという。安心・安全なスタジアム運営と、地域経済の活性化の実現を目標としている。

グルメSNS「シンクロライフ」は世界で展開中

GINKANが提供するグルメSNS「シンクロライフ」は、飲食のレビューや加盟店の利用を通して独自のポイント(シンクロポイント)を受け取れるグルメSNS。AI活用のレコメンドシステムを搭載し、独自アルゴリズムによる分析・機械学習により、自分好みの飲食店を見つけることもでき、ユーザーは「口コミへの不審感」と「検索の煩雑さ」から解放される仕組みが特徴。現在、シンクロライフは155ヵ国4言語(日本語・英語・韓国語・中国語)にて展開しており、23万件の食レビューと10万件以上の飲食店が掲載されている。

「シンクロライフ」は、サービスの基盤にブロックチェーンを活用しており、シンクロポイントをイーサリアムのERC-20準拠トークンとして発行する暗号資産シンクロコイン(SYC)へ変換できる(「SynchroCoin」ホワイトペーパー)。加盟店で飲食することで食事代金の1%以上のトークン還元を受けることも可能(法律の関係上、日本ではポイントの付与)。シンクロコイン(SYC)またはポイントは、店舗から提供されたQRコードを読み取ることで、アプリ内のウォレットに付与される。

シンクロライフは、ギフティが提供する法人向けサービス「giftee for Business」と連携し、シンクロポイントでファストフード店、コンビニやマッサージ施設などで利用できる「eギフト」の購入が可能。購入したeギフトは、店舗で利用が可能なほかプレゼントも行える。eギフトは順次ブランドを追加予定となっている。また、将来的には加盟店にてシンクロポイントによる電子決済を行うことも可能になるという。

シンクロコイン(SYC)は、GINKANの子会社SynchroLife Limitedが発行する海外の暗号資産取引所LATOKENにて上場する暗号資産。アプリ内に表示される「SYC活用ガイド」によると、将来的には、シンクロポイントはシンクロコイン(SYC)に1対1で交換可能になるという。シンクロコイン(SYC)は、現時点では国内において他の暗号資産や法定通貨との交換はできない。

損保協会とNECは、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する実証検証を実施

一般社団法人日本損害保険協会(損保協会)日本電気(NEC)は9月17日、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する共同検証の実施を発表した。共同保険の事務効率化に向け、ブロックチェーン技術の有効性や課題の洗い出しを行う。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、with/afterコロナの「新しい生活様式」への対応が求められている中、損害保険業界においても新しいテクノロジーを積極的に導入し、業務効率化を図っていくことが重要になっている。そこで、損保協会はNECの協力のもと、共同保険の書面・押印・対面での手続きを見直すなど、ブロックチェーン技術の活用による手続きの事務効率化の効果を測るべく、共同検証を実施する。

共同保険は、複数の保険会社が共同で保険を引き受ける方式の共同保険契約による保険証券。一保険会社では引き受けることが難しい巨大なリスクを分散するなど、各保険会社が自ら抱えるリスクを多様化・平準化するために共同保険とするもの。共同保険は、現在は年間数10万件におよぶ契約情報を、引受保険会社間で書面により交換し、各保険会社で契約計上業務を行っているという。

今回の共同検証には、損保協会の会員保険会社8社が参加し、ブロックチェーン技術を活用することで、書面を使わずに契約情報の交換を行う実証実験を開始する。実証実験により、迅速性、正確性、効率性を共同で検証する予定という。それにより、年間数10万件におよぶ契約情報の交換をペーパーレス化する。書面での情報交換をデータによる情報交換にするだけでも、各保険会社での契約計上業務が大幅に効率化されることが期待できるとしている。

損保協会とNECは、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する実証検証を実施

損保協会では実証実験を通じて、今後、業界横断での業務の共通化・標準化・共同化を通じて、社会インフラとして損害保険が持つ機能・役割をより発揮すべく、新しい技術による変革に努めていく。また、NECはブロックチェーン・AIなどの先進技術を活用するなど、デジタルを活用した金融サービスや金融業務の変革を支援する「Digital Finance」の取り組みを推進していくという。

Digital Financeでは、金融取引に特有のセキュリティや本人確認に対応した上で、デジタル技術を活用した新たな顧客体験・顧客理解を可能にするサービスや金融機関が有するサービスをオープンAPIでセキュアに連携可能とするサービスを提供していく。さらには、金融サービスのデジタル変革として、デジタルを活用した新たな業務プロセスや、セキュアなワークプレイス、新サービスを短期間で可能とする金融サービスのAPI群などを提供する。複雑化する金融業務におけるリスク対策や規制対応に対して、デジタル技術の活用を推進していく。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

暗号資産取引所bitFlyerを運営するbitFlyerは9月17日、Tポイントをビットコインに交換できる同取引所のサービス「Tポイントプログラム」における月間交換利用者数が、8月に過去最高を記録したことを発表した。

2020年8月のTポイントプログラムの利用状況は、ビットコインの価格高騰を受け、Tポイントのビットコインへの交換数量が前月比1.8倍に、月間交換利用者数は前月比1.9倍を記録した。月間交換利用者数は昨年8月のサービスリリース以来、過去最高となった。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

bitFlyerとTポイントジャパンは2019年8月に業務提携し、Tポイントとビットコインが交換できるサービス「Tポイントプログラム」の提供を開始した。同取引所のアカウントにTカードを連携することで、Tポイント100ptにつき85円相当のビットコインと交換できる。また、対象加盟店でbitFlyerウォレットを用いてビットコイン決済を行うと、500円ごとにTポイント1ptが付与されるサービスとなっている。Tポイントの会員数は現在、2020年7月時点で7066万人とされており、国内大手の共通ポイントサービスのひとつである。

Tポイントプログラムの連携者数推移は、8月は前月比3.8倍となり、月間連携者数はサービスリリース以来、過去2番目に多い月となった。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

ビットコインの高騰が影響

2020年7月末にビットコインの価格が高騰し、90万円台から110万円台となった。8月に入ってからも価格上昇し、8月17日には約1年ぶりに130万円台を記録、bitFlyerのビットコインの取引量・取引者数が増加したという。ビットコインのみならず、イーサリアムも、2万5000円台から一時期4万円台まで変動している。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

これを受けて、同社のマーケットアナリストを兼任する金光碧トレジャリー部部長は、「ビットコインの価格上昇については、コロナショックを受けて世界的な金融緩和が進んでおり、個人が投機的に買う投資対象からインフレヘッジとして機関投資家も買う資産へと見方が変わってきていることが影響しているのではないでしょうか」と分析。

「また、イーサリアムの価格上昇については、分散型金融(DeFi)で注目を集めていることが影響しています」という。「Tポイントプログラム利用者数増加の背景も同様に、ビットコインの価格上昇に伴いニーズが伸びているのだと思います」と指摘した。

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ZMPが日本初の物流分野での配送ロボット活用に向けた公道走行実証実験に無人宅配ロボ「デリロ」提供

ZMPが日本初の物流分野での配送ロボット活用に向けた公道走行実証実験に無人宅配ロボ「デリロ」提供

ZMPは9月17日、日本郵便が日本で初めて実施する、物流分野での配送ロボット活用に向けた公道走行実証実験に対して、無人宅配ロボ「デリロ」を提供すると発表した。期間は必要な手続きが完了次第、2020年10月末まで。場所は東京都内。

  • 期間: 必要な手続きが完了次第、2020年10月末まで
  • 場所: 東京都内
  • 概要: 全国で初めて公道(歩道)において、配送ロボットによる輸配送実証実験を行うことで、ラストワンマイル配送における配送ロボットの可能性を検証し、省人化配送の実現を推進。ラストワンマイルは、物流分野における配送拠点からお客様の手元に荷物が届くまでの区間を指す

ZMPは、2017年より日本郵便主催による自動配送ロボットの実証実験に参画し、実際の配送環境や道路環境に近い私有地を実験フィールドとし実証実験を重ねてきた。また、オフィスビル、商業施設、大学キャンパス、マンション群からなる私有地などでの実証実験を経て、日本初となる公道での実証実験に参画することとなった。

デリロは、複数のカメラやレーザーセンサーを利用して周囲の通行人を検出し、自動で回避したり障害物手前で安全に停止する機能を採用。声で存在を知らせたり道を譲ってもらうお願いをするなどにより、周囲の人が心地よく共生でき、安全に走行するロボットという。自動配送サービスを実現するため、自律移動可能なロボット、ユーザー用・店舗用アプリ、ロボット遠隔管理システム「ROBO-HI」(ロボハイ)をパッケージ化して提供している。

またデリロの管理には、ZMP子会社のAIDELIが開発しベータ版としてリリースしている、ブロックチェーン技術を採用。自律走行する宅配ロボットの配達サービスにおける、注文完了・商品積込完了・配送完了・受取完了といった各ステップにおいて、その事実をブロックチェーンに順次記録し、可視化している。

この時、強力な暗号化を行いブロックチェーンに記録してゆくことで、記録内容の改変は不可能としている。また、荷物の配送が適切な状態でなされたかどうかを示すことにより、配達サービスにおける信頼性・透明性向上へ寄与すると考えているという。

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いまこそ暗号通貨活用のとき、投票用紙や小切手を4000年前と同じ方法で郵送する必要ない

生活給付金の小切手や選挙の投票用紙が、受領者にタイムリーに届くようにすることの緊急性が高まっている。経済回復と私たちの民主主義の未来がそれにかかっているのだ。にもかかわらず、私たちは今だに、4000年以上前の古代エジプト人によって発明され、後に中国の周王朝とペルシャのキュロス大王によって完成された技術を使用している。現代的な郵便システムの整備は、1775年の第二次大陸会議によって下された重要な決定の1つだった。しかしながら、このデジタル時代に、小切手や投票用紙を、医薬品や靴のような有形商品であるかのように郵送することは理にかなっているだろうか?

郵便システムの主な利点は、人口全体をカバーできる可能性があるということだ。対照的に、誰もがスマートフォンや信頼できるWi-Fi接続を誰もが持っているわけではなく、ストレスなく使いこなせるわけでもない。そして、ここ数カ月の間に、米国の金融および選挙のインフラが現代化していないことが、はっきりと示されてきた。 米国議会によれば、CARES法が制定されてから2ヶ月以上経った今でも、3000万〜3500万枚の給付金小切手(全体の約20%)が、意図した受領者の手に届けられていない(米政府配布資料)。一方で、ニューヨーク、ニュージャージー、ケンタッキー、ジョージアなどの各州では、郵便投票による処理能力オーバーが発生し、いくつかの予備選挙の結果が数日または数週間遅れることになった。

これらの難問の多くに対する解決策が、暗号通貨の世界、またはより正確には、それらの基礎となるテクノロジーからもたらされる可能性がある。それらの採用を進める動きは、米国や各国の政府高官、金融当局、および銀行家たちによって妨害されてきた。彼らは迅速に法定通貨の救済に動き、もし暗号通貨が広く採用されたなら、不景気と経済的破綻が招かれることになるだろうと予言したのだ。ビットコインの試練や苦難、ならびにFacebookが主導するコンソーシアムであるLibra(リブラ)に対する反応を見ていると、暗号通貨は、単なる通貨の代用以上のものにならない限り、広く使用されるようにはならないだろう。

これまでのところ、暗号通貨は、各トランザクションが暗号化を利用して送信者の認証を受ける、電子キャッシュの形で利用されてきた。支払いと残高はブロックチェーンテクノロジーを使用して記録される。これにより、スムーズなトランザクション速度、透明性、セキュリティが実現する。ちなみにビットコインのキーを破ることは、ロトに9回連続で当選する確率に等しいと推定されている。それでも、政府高官や銀行家たちは、それらが必要であるとも有用であるとさえも考えていない。

しかし、暗号通貨を現金の形よりもはるかに大きな利用価値を持つ、多目的デジタルトークンに変えたらどうなるだろうか?伝統的なお金には交換価値はあるものの使用価値はない(問題点をはっきりさせるためにカール・マルクスの用語を用いたことをお許し願いたい)。支払いだけでなく選挙にも役立つように、私たちが完全にお金を再発明したらどうなるだろう?

毎日、数十億のトランザクションがグローバル市場経済の中で行われている。それぞれのトランザクションには、少なくとも2つの取引相手がいる。たとえば買い手と売り手、保険者と被保険者、または借り手と貸し手などだ。より広義には、人間は誰でも、結婚、離婚、誰かが亡くなった後に財産を分配する遺言などの法的合意を含む、当事者と相手方が存在するあらゆる種類のトランザクションに関係しているのだ。デジタルトークンを使用することで、こうしたプロセス全体を簡単かつ安価にできる可能性がある。

それだけでは終わらない。株式、商品、借金、不動産、芸術、出生、事実婚契約、卒業証書、投票など、実質上すべてをトークンに変えることができる。データでさえトークンになり、GoogleやFacebookのようなものを破壊する可能性がある。

ブロックチェーンの素晴らしさは、本来の意図された目的から、あらゆる方向への水平展開を行えることだ。1つの可能性は、デジタル通貨を、スマート契約、デジタル記録管理、および分散型自律組織と組み合わせることだ。これらすべてのアイデアは、5年前に提案された、いわゆるブロックチェーン2.0によって実現することができる(Wired記事)。また、ブロックチェーンに記録されたすべてのトランザクションから、政府の取りぶんを自動的に差し引くことにより、徴税をより簡単にすることができる。一般的に、企業のサプライチェーンの管理は、契約の履行、記録の保持、追跡、支払いの回収、補充などのメカニズムを組み合わせることによって簡素化され加速される。

デジタルトークンの別の水平展開アプリケーションは、政府と市民、政党と有権者、あるいは企業と株主の間の相互作用に関係するものだ。たとえば、世界中の選挙は、いまでも紙の投票用紙や非常に初歩的な投票機を使って行われている。ブロックチェーン対応の電子投票により、投票所が不要になり、投票がしやすくなる。投票を行う市民に対して、それぞれの候補者または課題ごとに、一意のデジタルトークンが与えられる。

市民は個人キーを使用して認証を行ったあと、投票する権利を行使することができる。関心と投票率は増加する可能性があるものの、各人のデジタルアクセシビリティ(デジタル手段へのアクセス可能性)が不平等を拡大する懸念事項として浮上する。実際、ブロックチェーンテクノロジーを使うことで、すでに高い参加率を持つ、より教育を受け、より洗練された個人のグループの間での投票率が、さらに高いものになるかもしれない。国政選挙ではそのリスクはさらに高い。欧州議会が発表した研究(欧州議会サイト)では「単に結果が公正かつ有効であるだけでは十分ではない」と主張されている。「有権者全体が、たとえ結果に失望したとしても、プロセスが合法的で信頼できるものであったということを受け入れなければならない。従って、実際のセキュリティと正確さを提供するだけでなく、電子投票は信頼と信頼を触発する必要がある」。

さらに別の方向の展開も考えたらどうなるだろうか?デジタルトークンとブロックチェーンテクノロジーを使用して、政府関係者に対して特定の事前合意された条件下で、選挙公約に自動的に対応するように強制した場合はどうなるだろう?納税者は説明責任と引き換えに暗号通貨を利用する。例えば、ある選挙の後に、特定の予算カテゴリーに割り当てられた拘束力のあるスマート契約またはお金を通じて、特定の政策を施行することができる。また、市民は政府がどれだけ支出しているか、そして政府が約束を果たしているかどうかを追跡することができる。

スマート契約は、政府の政策決定の局面だけでなく、経済全体で使用することができる。これらには、特定の条件が満たされた場合に自動的に実行される、トランザクションの当事者たちによって合意された、一連の指示が含まれる。すぐに考えられる簡単な例はローン契約だ、この場合市場金利が下がった場合に、住宅ローンの保険料が引き下げられる。 英国政府Chief Scientific Advisor(主任科学顧問)にでは、ブロックチェーンテクノロジーとデジタルトークンの利用を通して、コストを削減し、コンプライアンスを支援し、説明責任を向上させることで、政府サービスを改善することを提案し(英国政府の2016年のレポート)ている。また、税金の徴収、給付金の支払い、市民とのやり取りをよりスムーズにすることにも役立つ。

デジタルトークンの潜在的な可能性のいくつかを、すでに認識している国家も存在している。エストニアは、世界で最も先進的な電子政府の本拠地となっていて、e-エストニアとして世界に知られている。人口130万人のこの小さな国の市民は、オンラインで給付を申請し、処方箋を入手し、自身の事業を登録し、投票し、その他約3000の政府のデジタルサービスにアクセスすることができる。Wiredは2016年にエストニアを「世界で最も先進的なデジタル社会」と名付けている。

ガーナやケニアなどの一部のアフリカ諸国は、テクノロジーを通じて政府を国民に近づけるための、世界的な取り組みの最前線にいる。 世界銀行によれば、「eGhana(eガーナ)プロジェクトは、多くのアフリカ諸国で模倣されつつあるICTプロジェクトの先駆的デザインを代表している」(世界銀行データ)という。また、ある独立研究チームがケニアの取り組みを評価し、ケニアは「電子政府の実現に適した、政治的、法的、ビジネス的な環境を作り出している」と述べ、「公務員の削減、24時間体制のサービス、高速で便利なトランザクション、透明性と説明責任の向上、スタッフの生産性の向上、情報の容易な流通」といった利便性がもたされたと結論付けている。

多目的デジタルトークンの可能性は本当に無限だ。私たちの時代の重要な地政学的問題の1つは、著作権の侵害だ。体系的な知的財産の窃盗の結果、多くの貿易戦争が引き起こされてきた、これには現在米国と中国の間で進行中の騒動も含まれている。著作権所有者は、ロイヤルティの支払いに対してデジタルキャッシュを受け入れ、企業や個人にデジタルキャッシュを利用することによる割引を提供すれば、はるかに簡単に権利を行使することができる。テクノロジーに支えられた世界経済は、旧来の官僚的な規制や、知的財産使用の許認可を行う場所ではない。これは特に、自動車やコンピューターなどの複雑な製品、およびソフトウェア、音楽、動画などの無形のコンテンツによく当てはまる。

デジタルトークンは、人々や企業に対して、環境保護行動のインセンティブを与えることもできる。おそらく重要な提案としては、企業や個人がカーボンクレジットをデジタルトークンに変換できるようにして、取引所で取引したり暗号通貨に変換したりすることを可能にすることや、住宅所有者が地元の電力会社との間の煩わしい書類手続きなしに、過剰な太陽光電力を販売できるようにすることが挙げられる。

スタートアップのEnergiMine(エナジマイン)は、公共交通機関を利用したり、古い電気器具を効率の良い電気器具に交換したり、家の断熱を強化したりして二酸化炭素排出量を削減した人たちに対して、報奨としてトークンの形で「金の星」を提供するために、ブロックチェーンを使用している。得られたトークンは公共料金の支払いに使用したり、割引で暗号通貨と交換したりすることができる。同様のシステムは、食品、飲料、衣料品、パーソナルケア製品など、大きな二酸化炭素排出量がある特定のカテゴリの消費財にも設定することができる。こうすることで、消費者は購入による環境への影響を測定することができる。

だが地球を救うために情報技術を使用することには明らかなマイナス面がある。それは情報技術そのものが気候変動へ影響を与えている大きな要因であることが判明したことだ。 Nature(ネイチャー)のレポートによれば、2030年までには20%を超える電力が、情報ならびに通信インフラストラクチャを稼働させるために利用されると予測されている。

「データセンターは炭素排出量全体の約0.3%を占めているが、情報通信技術(ICT)エコシステム全体(個人のデジタルデバイス、携帯電話ネットワーク、テレビを包括したもの)では、全体排出量の2%以上を占めている。このことから、ICTのカーボンフットプリントは、航空業界の燃料からの排出量と同等のものになる」。これは、莫大なエネルギーを消費する暗号通貨取引の、この先予想される増加を考慮に入れていない。「私たちは非常にデータを大量に消費する社会であり、ますます大量のデータを使用し、それらすべてが、ますます多くのエネルギーを使用していくだろう」。デジタルトークンは、データセンターを運営する企業に、再生可能エネルギー源の使用を奨励するためにも使用することができる。

市民サービス、知的財産、気候変動への取り組みに加えて、使用価値と交換価値の両方を持つデジタルトークンは、他の多くのアプリケーションの中でも、銃の追跡、絶滅危惧種の保護、ダイヤモンドの起源の証明のためのシステムなどを提供できる。暗号通貨は、ユーザー(および規制当局)の想像力を引きつけ続ける、それは私たちがお金について考えたり使ったりする方法を変えてしまうのだろうか、またそれはビジネスや個人のファイナンスを管理するためだけでなく、私たちの生活を改善するための新しい視野と可能性を開くものなのだろうか。もしデジタル通貨が単に現金に取って代わるだけのものなら、私たちはがっかりするかもしれない。

しかし、個人に対して資源を保護したり、二酸化炭素排出量を減らしたりするインセンティブを提供すると同時に、現金を受け渡すという高いコストを排除できたなら、私たちは金融の世界に構造的な変化が起こることを目撃し、同時により良い未来を生み出すことになるだろう。

最終的には、デジタルトークンは、社会に役立つ個人やグループの行動を奨励することに対しては、強力なツールだ。デジタルトークンが広く使用されるようにするには、社会のすべての人にとっての長期的なメリット(たとえば二酸化炭素排出量の削減)だけでなく、即効性のメリット(使いやすさやトランザクションあたりのコストの削減など)も必要である。たとえば、デジタルプラットフォームで共有することによって、食料や衣服に関する無駄な行動を減らした場合には、保有する暗号通貨に対する利息を高く出来るはずだ。暗号通貨は、起業家たちがより多くの利用法を統合する方法を見つけた範囲の中でのみ成功する。

今回の給付金の給付や選挙投票用紙の配布に、デジタルトークンを利用しようとしても、明らかに手遅れだ。しかし、その次の選挙や、次の大きな危機に備えるために、より良く、より信頼性が高く、より公正なシステムを設計し始めるのには決して早すぎることはない。

【編集部注】著者のMauro Guillen(マウロ・ギレン)氏はウォートンスクールの国際経営学教授であり、「2030: How the Biggest Trends Today will Collide and Shape the Future of Everything」(2030:現在の最大のトレンドたちが、どのようにぶつかりあって、すべての未来を形作るのか)の著者である。今回のエッセイはこの著書からの引用である。

画像クレジット: Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(翻訳:sako)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月6日~9月12日の情報をまとめた。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

ブロックチェーン企業のcoinbookは9月11日、新しいデジタルトレーディングカードプラットフォーム「NFTトレカ」サービスの開始を発表した。同社は、NFTトレカ第1弾となる、アイドルグループ「SKE48」の大型配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の撮りおろし画像を収録した「いきなりNFTトレカ」を、10月3日より販売開始する。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

NFTトレカは、その名が示す通りイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン基盤を用いたERC-721準拠のNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)として発行される。NFTは、代替不可能性を備え、発行するトークンそれぞれに固有の性質や希少性を持たせることができるため、技術的には世界に1枚しかないカードも表現できる。

NFTトレカは、発行時にアーティスト名・公演名・発行枚数・購入者(氏名など個人を特定するものではない)などのデータをブロックチェーン上に記録するため、データの改ざんができないことから複製も不可能となる。

また、ユーザー間でトレード(売買)を行った場合は、新しい購入者情報が記録される。これらの履歴は、すべてウェブ上で誰でも確認できるためカードの真贋性・希少性がブロックチェーンによって担保されるため、NFTトレカはデジタルトレーディングカードでありながら、既存トレーディングカードのようにコレクションとして楽しめる。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

NFTトレカの第1弾は、SKE48とのコラボレーショントレカ「いきなりNFTトレカ」。10月3日~5日の3日間にわたって開催される配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の全12公演からの撮りおろし画像を収録したNFTトレカとなる。1パック5枚入りで税別価格1000円で販売される。NFTトレカの購入には、スマホ向け専用アプリケーション「NFTトレカ」(スマートアプリ提供)が必要になる(iOS・Android版、9月末リリース予定)。なお、ライブの状況によっては、販売開始時間が遅延する場合がある。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

またNFTトレカは、同コラボを記念し「SKE48 Valentine’s Day Live 2020 ~CHOCOLATE in 静岡エコパアリーナ」 のライブ未公開写真を使った「限定シークレットNFTトレカ」をプレゼントするキャンペーンを行っている。対象は、キャンペーンページにおいてメールアドレスを登録した事前登録者全員。キャンペーン期間は、9月11日よりサービス開始まで(9月末予定)。特典の付与は10月上旬を予定、受け取りにはNFTトレカアプリのダウンロートが必要となる。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施

茨城県つくば市は9月10日、マイナンバーカードとデジタルIDアプリ「xID」(クロスID。iOS版Android版)およびブロックチェーン技術を活用したインターネット投票を9月18日~25日に実施すると発表した。同市が募集する「令和2年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にインターネット投票を活用する。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施
つくば市は、2018年および2019年の「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にて、同インターネット投票を用いた実証実験を行ってきた。2018年の実証実験では、インターネット投票にブロックチェーン技術を活用することで、投票内容の改ざん防止や秘匿性の確保を検証。2019年は、顔認証技術による本人確認や遠隔投票について検証をしてきた。

3回目の実証実験となる2020年は、GovTech領域に取り組むxID(旧社名blockhive)が提供するスマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」を使い本人認証を行うインターネット投票を実施する。xIDは、ブロックチェーンを活用しマイナンバーカードと連携させることができる最新の身分証アプリ。

「Society 5.0」の社会実装に向けたトライアルとは

つくば市は、平成29年度(2017年度)から「Society 5.0」の実現を目指し、革新的な技術やアイデアで社会課題を解決する、Society 5.0の社会実装に向けたトライアル(実証実験)事業案を全国から公募し、採択事業を支援している。

Society 5.0とは、IoT・ロボット・AI・ビッグデータなどの新技術を取り入れ、イノベーションを創出し社会的課題を解決する新たな社会のこと。令和2年度は、「With/Afterコロナの生活スタイル」をテーマに企画を募集したところ、21件のエントリーがあったという。

エントリー案から一次審査を通過し、最終審査に進んだ提案を採択する最終審査会については、9月25日にオンライン開催および生配信を行う(YouTubeチャンネルで公開予定。9月14日時点では準備中)。審査は、市長・有識者による評価に加え、一般からインターネット投票の結果も加味される。投票期間は9月18日から25日まで。

また、一般の投票に先駆け、市長によるネット事前投票のデモンストレーションを9月16日に市役所にて実施される予定。ちなみに、提案者のプレゼンテーションは事前にネットにて公開される予定だが、こちらも20209月14日時点では調整中という。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」

スマホアプリxIDは、マイナンバーカードと連携することで、本人認証を行えるデジタル身分証アプリ。xIDは、最初の設定でマイナンバーカードの基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)をスマホのNFC(近距離無線通信)を経由して読み取り、マイナンバーカードとxIDアプリをひも付ける。

ひも付け以降、xIDと連携したサービスでは、個人情報の入力や身分証を使用することなく、本人確認・電子認証・電子署名が可能となり、個人情報を何度も入力する手間を軽減できる。また、事業者もxIDに対応することでマイナンバーカードに紐づく本人確認情報を取得可能となるため、従来の本人確認業務やコストを削減できる。

また、マイナンバーカードから取得した個人情報は暗号化されてデータベースに記録されるため、xID運営者側も確認することはできない。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」今回のインターネット投票では、xIDを設定しておくことで投票時のマイナンバーカード認証は不要となる。

投票は、市ホームページの特設ページにアクセスし、xIDによる本人認証後、投票画面において一番良いと考える提案を選択して投票する。投票対象は、一次審査を通過した9件の提案。すべての投票を対象に集計し、得票数1位を表彰する(ネット投票の1位として)。ただし、同投票で選ばれた案が最終決定案とは限らない。投票結果のうち、マイナンバーカードを利用した投票を対象に、最終審査にポイントとして加点されるという。

ちなみにインターネット投票は、アプリのダウンロードができないスマホは不可、マイナンバーカードの利用はNFC対応の機種のみに限定される。

なお、投票システムの開発・構築には、同実証実験に2018年から参加しているVOTE FORらが協力している。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

暗号資産取引所「Coincheck」を運営するコインチェックは9月9日、ゲームとブロックチェーンのエコシステム構築を目指すシンガポールのEnjinとNFTマーケットプレイス事業において連携を開始したと発表した

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

コインチェックは2020年8月27日、NFTを暗号資産と交換ができるNFTマーケットプレイスの事業化検討を発表。2020年度内のサービス提供開始を目指し、NFTマーケットプレイスへの参加企業の募集をすでに開始している。

このNFTマーケットプレイスにおいて同社は、Enjinのブロックチェーン資産発行プラットフォーム「Enjin Platform」を通じ発行された、世界的人気ゲーム「Minecraft」(マインクラフト)で利用可能なNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を取り扱うことを目指すという。

コインチェックはは、暗号資産取引所Coincheck上にNFTマーケットプレイスを展開することで、ユーザーに対して、従来マーケットプレイスよりも手軽にかつ安全に取引できる環境を提供できるとしている。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

Enjin提供のEnjin Platform

Enjin提供のEnjin Platformは、イーサリアムベースのERC-1155準拠トークンをサポートしており、既存ゲーム(あるいは開発中のゲーム)のブロックチェーン化を支援する開発ツールとしても利用可能。ゲーム開発者はEnjin Platformを導入することで、単一のスマートコントラクトでNFTを発行できる(ERC-1155の競合として、Loom Networkが提案した規格ERC-721xがある)。

またEnjinは、Enjin PlatformとしてJava用の開発キット「Enjin SDK for Java」を提供する。同SDKは、Javaで構築されたサービスとブロックチェーンを連携できる。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

Enjinは同時に、ブロックチェーン技術を導入したオープンソースのプラグインツール「EnjinCraft」を開発した。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

プラグインツールは、マインクラフトサーバーの所有者であれば、誰でも導入できるという。EnjinCraftをマインクラフトのサーバーに導入することで、ブロックチェーンとの連携が可能になる。またプレイヤーは、Enjin Platformによって発行されたNFTを、マインクラフト内での使用だけでなく、資産の一部として管理し、マーケットプレイスを通じてNFTの取引が行える。

月間プレイヤー数1億2000万人、累計販売本数2億本を超える人気ゲームマインクラフトにおいて、ゲーム上でNFTが発行可能となることで、NFTマーケット市場の活性化が期待できるという。

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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.23~8.29)

カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.30~9.5)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月30日~9月5日の情報をまとめた。

日本セキュリティトークン協会(JSTA)が、セキュリティトークン活用の新マーケット開拓アイデアを募集

一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)は9月2日、セキュリティトークンを活用したイノベーションの追求を目的に、ビジネスアイデアコンテスト「セキュリティトークンで新たなマーケットを拓け!」の開催を発表した。セキュリティトークンならではの特色を活かした新しいビジネスのアイデアを広く募集する。最優秀賞には賞金50万円と事業化支援金50万円、優秀賞とアイデア賞にはそれぞれ賞金20万円が授与される。募集期間は10月30日まで。

日本セキュリティトークン協会(JSTA)が、セキュリティトークン活用の新マーケット開拓アイデアを募集

同コンテストは、日本国内におけるセキュリティトークンマーケットの裾野を広げることを目的に、セキュリティトークンを活用した新しいビジネスアイデアを募集する。アイデアには、ビジョン・解決したい課題、新規性が必須項目として求められる。「新しいマーケットを拓く」という観点から、システム・法規制・税制面での実現可能性よりも、創造性を重視して審査される。

セキュリティトークンとは、ブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンのうち、有価証券その他の資産や価値の裏付けを有するものを指す。2020年5月1日に暗号資産についての新たな法規制である改正資金決済法および改正金融商品取引法(金商法)が施行されて、「電子記録移転権利」という考え方が新設。基本的にブロックチェーンなどで電子的に権利が移転できるものは、第一項有価証券という扱いになったことから、株式などと同じ類型となり、金商法によって規制される対象となった(例外もあり)。

ちなみにJSTAでは、金商法の適用のない資産などに対する権利をトークン化したもの、および当該権利を表示するトークンもまた、広くセキュリティトークンの定義に含むという。

セキュリティトークンは、既存の証券化ビジネスを変革するのみならず、新たな金融商品を生み出す可能性があることから、同コンテストでは、広く一般からアイデアを募集し、そこを狙う。コンテスト入賞者には賞金のほか、JSTA会員との協業検討の機会が提供される予定になっている。

コンテストの応募資格は、同コンテストのコンセプトに共感できれば、個人・法人・グループを問わず、誰でも応募が可能。応募の形式は自由。募集期間は10月30日まで。11月13日に書類審査による一次審査の結果発表が行われ、11月27日に二次審査となる非公開によるピッチ会が開催され、同日結果発表となる。

  • 募集期間: 10月30日まで
  • 応募資格: コンテストのコンセプトに共感いただける方。個人・法人・グループでの応募可、応募形式は自由
  • 必須項目: ビジョン・解決したい課題、アイデアの新規性、セキュリティトークンならではの特色
  • 賞金・入賞特典: 最優秀賞(賞金50万円+事業化支援金50万円)、優秀賞(20万円)、アイデア賞(20万円)、協賛企業賞

JSTAは、セキュリティトークンの知見を集約し、セキュリティトークンエコシステムの健全な発展を推進する非営利団体。セキュリティトークンの技術、制度、ビジネスに関して、調査、研究、普及・啓発活動などを通じて、セキュリティトークンの品質向上を図るなど、日本経済の健全な発展に貢献することを目的に活動をする。

協会加盟企業には、不動産会社から有名コンサルティングファーム、会計ファーム、ブロックチェーン企業、フィンテック企業まで、幅広い分野からの参加が特徴である。

国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)が「オンライン学修歴証明ネットワーク」を開始

一般社団法人国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)は9月3日、アイルランドに拠点を置くDigitaryと業務提携し、「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスの提供開始を発表した

RECSIEは、日本の大学などの教育機関が卒業証明書などの学修歴証明書をデジタル化し、オンライン上で発行するために、Digitaryと共同でデジタル学修歴証明書の実証実験を9月より開始。2021年の本格運用を目指す。

Digitaryは、学修歴証明書の認証、共有、検証のためのオンラインプラットフォームサービスを提供する。アイルランド、イギリス、イタリア、オーストラリア、インド、カナダにオフィスを構えるDigitaryのプラットフォームは、現在135カ国以上の組織で利用され、何百万人もの学習者に検証可能なデジタル認証証明書として利用されているという。

RECSIEの「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスでは、就職活動や海外留学などで必要とされる大学卒業証明などの学修歴証明書をオンライン取得できるようになる。証明書および検証のためのリンクURLを提出先に送付可能にするデジタルソリューションプラットフォームを提供する。

国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)が「オンライン学修歴証明ネットワーク」を開始同サービスの運用により、世界中のどこからでもPCやタブレット端末、スマートフォンを使用し、オンラインでデジタル認証された卒業証明書や成績証明書にアクセス可能になる。日本国内のみならず海外の留学先や就職先にも、検証可能な公式証明書としてデジタル学修歴証明書を送付できるようになる。また、日本の高等教育機関はセキュアなグローバルネットワークを通じて、国内外の学生からの証明書発行依頼を自動化処理することが可能になる。

現在、「世界市民のための電子学生データ・エコシステム」を目的とし、世界30ヵ国が加盟する国際機関フローニンゲン宣言ネットワークが設立され、世界的に学修歴証明書のネットワークを相互接続するなどの国際協調が活発化している。RECSIEは、2020年初頭にフローニンゲン宣言ネットワークに参加、日本の高等教育機関の証明書類のデジタル化に取り組んでいる。「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスの構築は、その一環となる。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに

暗号資産取引所「bitFlyer」は、同取引所の日本国内顧客を対象にアンケート調査を実施。2020年上半期に同社にて口座開設した顧客は20代が最も多くを占めていたなど、暗号資産(仮想通貨)にまつわるアンケート調査の結果を公開した。調査期間は2020年8月7日~8月24日。調査対象は2020年1月~6月に口座開設を行った顧客(日本国内)539名。調査方法はウェブアンケート調査。

2020年上半期に口座開設した顧客のうち、20代が全体の36%を占める

bitFlyerグループが事業を展開する米国・欧州連合では20代の口座開設者が最も多くなっており、今回の日本国内アンケート調査でも同様な結果となった。2020年上半期に口座開設した顧客は、20代が全体の36%を占め最も多く、30代が26%と続き、20代・30代だけで62%と過半数を超す結果になっている。

また、同社は2018年上半期と2020年上半期を比較。2018年上半期は30代(32%)・40代(28%)がメインだったが、2020年上半期には30代(26%)・40代(20%)と推移。

一方2020年上半期の20代の顧客割合は、2018年上半期の18%から、2倍以上の36%に増加した。これは日本に限らず、欧米の地域すべてに共通する傾向であるという。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに「将来性がありそうだから」「長中期的な運用に向いていそうだから」との回答が多い傾向に

2020年1月~6月に口座開設を行った顧客は、「暗号資産を始めようと思った理由・目的」として、半数近くが「将来性がありそうだから」と回答しており、これが最も多かったという。複数回答が可能な同質問では、「少額から始められる」「勉強・経験になるから」が2位、3位の回答であることも興味深い。

さらには「短期的な利益が得られそうだから」よりも「長中期的な運用に向いていそうだから」の回答の方が上回っていることから、若い世代は暗号資産を短期の投資・投機というよりも将来的な可能性に期待する投資対象と見ているとともに、勉強・経験しておくべきものとして暗号資産を捉えているのも面白い。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインにその傾向は、「最も期待している暗号資産は?」の質問にも見て取れる。顧客の6割はビットコイン(BTC)を選択。続いては、DeFi(分散型金融)の流行を背景に注目されるイーサリアム(ETH)が2位となった。また、同取引所が2019年12月より取り扱っているXRP(Ripple)、8月より取り扱いを開始したNEM(XEM)、ベーシックアテンショントーク(BAT)がランキング上位に続く。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに

暗号資産・ブロックチェーンを取り巻く社会の変化が、取引所における顧客の傾向にも影響することがわかるアンケート調査結果になったのではないか。今後も、その変化には注目していきたい。

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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.23~8.29)
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.16~8.22)

カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産(用語)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.23~8.29)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月23日~8月29日の情報をまとめた。

LayerX Labsと東京工業大学 首藤研究室は、パブリックブロックチェーンの合意形成アルゴリズムに関する共同研究を開始

すべての経済活動のデジタル化を推進するLayerXの研究開発組織LayerX Labsと東京工業大学は8月28日、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関する共同研究の開始を発表した。

LayerX Labsと東京工業大学 首藤研究室は、パブリックブロックチェーンの合意形成アルゴリズムに関する共同研究を開始

ブロックチェーンの社会実装に向けた課題に関する研究に取り組むLayerX Labsは、研究テーマのひとつであるパブリックチェーンの研究をさらに加速するため、分散システムの専門家である東京工業大学 情報理工学院首藤研究室の首藤一幸准教授と共同研究を開始することを明らかにした。

共同研究では、首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレーター「SimBlock」を活用し、「イーサリアム 2.0」(Ethereum 2.0)に実装予定のPoS向けプロトコル「Casper」を始めとするコンセンサスアルゴリズムの安全性や性能の分析を行う。

イーサリアムは、金融を始めさまざまな分野向けにアプリケーションを実現できるパブリックブロックチェーンであり、イーサリアム 2.0は、イーサリアムのセキュリティとスケーラビリティを改善することを目的に開発される、期待のアップデートプロジェクト。イーサリアム財団(Ethereum Foundation)を中心に、10社以上の企業が協力し開発を進めている。

イーサリアム 2.0とLayerX Labs 中村龍矢氏

イーサリアム 2.0のPoS(Proof of Stake)プロトコル「Casper」は、「Casper Correct By Construction」(CBC Casper)と「Casper the Friendly Finality Gadget」 (FFG)の2種類が提案されており、現在双方の検証が進められている。

CBC Casperに関する研究を進めるLayerX Labsのリードリサーチャー中村龍矢氏は、その研究が評価されイーサリアム財団が運営する助成金プログラム「Ethereum Foundation Grants Program」にも選定されている

また、中村氏はPoSに関する研究で、Casper FFGとフォーク選択ルールのLMD GHOSTを分析。その結果、プロトコルの仕様に一部悪用される可能性があることを指摘し、その解決策を提案した。中村氏が提案する「デコイフリップフロップ攻撃」と「バウンス攻撃」への対策は、いずれもイーサリアム 2.0フェーズ0の正式仕様として採用されている

首藤准教授ら研究グループと情報理工学院サイバーセキュリティ研究センターが開発の「SimBlock」

一方の首藤准教授ら研究グループと情報理工学院サイバーセキュリティ研究センターは、PC上でブロックチェーンネットワークをシミュレートし性能や安全性を検証できるパブリックブロックチェーンシミュレーター「SimBlock」を開発。2019年6月、オープンソースソフトウェアとしてGitHub上で公開した

SimBlockは、一般的なPCで1万台相当のノード群について、インターネット上での振る舞いをシミュレートできる。SimBlockを用いることで、既存ブロックチェーンの改良をはじめ、自ら考案したブロックチェーンをPC上で試すことが可能。悪意あるノードを模擬し、攻撃の成功率を調査できるほか、攻撃への対策を検討したりなど、その安全性の効果を調べられるという。同研究チームは、SimBlockを活用してブロックチェーンの性能を向上させる研究を行っている。

首藤准教授は、多数のコンピューターからなる大規模分散システムを専門とし、ブロックチェーンについてネットワークの側面から取り組む数少ない研究者。2008年12月から東京工業大学 准教授として研究・教育に取り組む一方、2009年より独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の未踏事業にて25歳未満の突出したITクリエーターを選出・育成するプロジェクトマネージャも務めている。

LayerX Labsは、今後も学術界でのブロックチェーン研究の発展に貢献すべく、国内外の大学との共同研究を一層強化していくことを明らかにしている。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

アステリア(旧インフォテリア)は8月26日、オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」(全6回)の開催を発表した。9月10日より全6回の予定で行われる。

参加希望者は、第1回参加登録サイトで事前登録することで誰でも無料で受講できる。締め切りは9月10日12時まで(席に限りあり)。全講義は、Zoomのウェビナーにて配信されるため、事前にZoomアプリのインストールが必要になる。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

初心者向けに開講される同セミナーは、ブロックチェーン技術の仕組み、種類や活用事例を解説。技術の用途を正しく理解し、受講者が「ブロックチェーンを活用したビジネススキームを考えられるようになる」ことを目指す。講師は、アステリアにてブロックチェーンエバンジェリストを務める奥達男氏。奥氏は、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)においてトークンエコノミー部会部会長も務めている。

全6回の講義は、基礎編(全3回)、実践編(全3回)にわかれている。各講義は1時間。すべての講義に参加することが望ましいものの、各回に単発で参加することも可能。対象となる受講者は、ブロックチェーンという言葉は聞いたことがあるが、ブロックチェーンと暗号資産の関係は分からないといった人、またブロックチェーンビジネスに興味がある、自分の会社や事業に新しい仕組みを導入したいと考えている人など。ブロックチェーンの存在は知っているがその内容には詳しくないという人に向いている講義となる。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

アステリアは、ソフトウェア開発者だけではなく、通常業務に携わる社員も使用できるノーコード環境で各種データ連携が可能になるミドルウェア「ASTERIA Warp」を主力製品に、企業内の多種多様なコンピューターやデバイス間を接続するソフトウェアやサービスを開発、販売。ここ数年はAIやIoT、ブロックチェーン技術など、新たな技術にも積極的に取り組んでいる。代表取締役社長の平野洋一郎氏は、BCCC代表理事を務めている。

シンガポールの暗号資産取引所BitrueがCeFiとDeFiを統合し、ハイブリッド取引所に

シンガポールを拠点に暗号資産取引所を運営するBitrueは8月25日、CeFiとDeFiを統合したハイブリッド取引所として、従来サービスをアップグレートしていくことを発表した。既存の中央集権型ファイナンスCeFi(Centralized Finance)に分散型ファイナンスDeFi(Decentralized Finance)の利点を活かしたデジタル金融サービスプラットフォームを展開し、新たにDeFiサービスを開始する。

シンガポールの暗号資産取引所BitrueがCeFiとDeFiを統合し、ハイブリッド取引所に

Bitrueは、XRP(Ripple)を取引プラットフォームの基軸通貨として採用していることでも知られる取引所。2018年7月にはXRPをベースペアに追加し、現在、顧客はXRPと50以上のペアによる暗号資産取引を行えるという。同社サイトの報告によると、XRP全取引量の10%以上がBitrueからのものとしている。

Bitrue初のDeFiサービスは、2021年の第1四半期に開始される予定。サービス内容は、借り手と貸し手を接続するP2Pマッチングサービスによる暗号資産のレンディングで、流動性プールに追加した暗号資産の利息を自動で受け取れるようになるという。

またBitrueは、新たなトークンとしてBitrue Finance Token(BFT)を発行すると明らかにした。Bitrueの一連のサービスをサポートするBFTは、間もなく顧客に配布され、同取引所にて9月中旬に上場する予定。

Bitrueの分析によると、DeFiサービスは、2020年になって大きな成長を遂げたことで、暗号資産業界の明確な未来像を表したという。しかしDeFiの初期段階では、サービスがイーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンに集中しており、XRPを含むその他の暗号資産の70%が除外されている状況にあると指摘。Bitrueの新ハイブリッドモデルでは、主要なブロックチェーン・暗号資産のクロスチェーン取引を段階的に促進し、それによってすべての暗号資産のワンストップ取引を、顧客にDeFiにて提供していく予定であることも明らかにしている。

またBitrueは、DeFiの思想に沿って既存のローンサービスをアップグレードする予定だという。まずは、担保となる資金を含むウォレットを一般公開し、顧客に対して透明性の向上を図っていく。

DeFiの本質的な公平性は、顧客が常に100%満足する公正な取引を受けられることを意味すると、Bitrueはいう。少数の富裕層や大規模な機関投資家のみならず、一般の投資家も含め、すべての人に公平な機会をもたらす金融サービスの提供をしていきたい思いでBitrueは事業を立ち上げており、DeFiの機能はそれに合致するとうたっている。

BitrueのCEOを務めるCuris Wang(クリス・ワン)氏は「このハイブリッドモデルの結果として提供できる新しい機能は、これらの幅広いニーズを満たすことができるでしょう」と語っている。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産(用語)

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」提供開始

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」公開

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は8月26日、ブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」、デジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」の提供開始を発表した。

LINEは、ブロックチェーンは非常に大きな可能性を秘めた新技術ではあるものの、構築と展開に伴うコストと複雑さなどが障壁となり、まだまだ実用化・一般化には至っていないと考えているという。これまでLINEが培ってきたブロックチェーン技術を外部に展開しブロックチェーンの普及を目指すべく、LINE Blockchain DevelopersとBITMAX Walletを提供するとしている。

LINE Blockchain Developersは、「LINE Blockchain」を基盤にブロックチェーンサービスを簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム。既存サービスに手軽にブロックチェーン技術を導入可能で、独自のトークンエコノミーを構築できるという。

BITMAX Walletは、ブロックチェーンサービス内のトークンやアイテムなどのデジタルアセットをまとめて管理可能で、ユーザーはひとつのウォレットで様々なブロックチェーンサービスを利用できる。またBITMAX Walletは、LINE IDさえ持っていればすぐに作成可能。LINE IDに紐づいており、ユーザーはLINEの友だちと手軽にデジタルアセットを送り合ったり、交換することも可能。

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」公開

LINE Blockchainの開発環境としては、LINEの開発者向けポータルサイト「LINE Developers」を通じたウェブベースの開発者用コンソールを採用。これにより企業および開発者は、ブロックチェーンやセキュリティなどの技術的な問題ではなく、UXの向上などに集中できるためサービスの品質向上が期待できるとしている。

企業は、LINE Blockchain Developersの主な機能を活用することで、独自トークン発行、キャラクター・アイテムおよび通貨などゲーム内資産のトークン化、取引履歴の透明性、データの収益化などを実現できる。LINE Blockchain Developersで開発したサービス内のトークンやアイテムのトランザクションは、「LINE Blockchain Explorer」(旧名:LINK SCAN)で確認可能。

  • 「LINE Blockchain Developers」コンソールを利用し、独自のトークンエコノミーを構築可能。サービスイン前に、テストネットでトークン発行しテストすることも可能
  • 有形無形を問わず、様々な物や権利をトークン化し、ブロックチェーンサービスで管理可能(各種法令を遵守する必要がある)
  • プライベートキーを使用することで、ブロックチェーン資産を各サービスで安全に管理可能
  • スマートコントラクトに関する知識がなくとも、各サービスをブロックチェーンと連携可能なRESTful APIを提供
  • 「LINE Blockchain Developers」で構築したネットワークは、各ノードを個別に管理する必要はない。オープンAPIを利用して、ネットワーク全体を管理できる
  • 「LINE Blockchain Developers」で構築した各サービス内で発行したトークンは、LINE IDと紐づく「BITMAX Wallet」で管理・連携させることで、LINEユーザー基盤を活かしたサービスの構築や一部導入も可能

LINEは、2018年4月に「LINE Blockchain Lab」を設立。ブロックチェーン技術を応用したdApp(ブロックチェーンアプリ)の開発や、P2Pネットワークによる分散システムや暗号化技術の研究を行ってきた。

独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(旧名:LINK Chain)を開発。これを基盤とする独自暗号資産「LINK」の発行や、暗号資産取引サービス「BITMAX」「BITFRONT」の運営、またLINE Blockchain基盤のエコシステムを構築し、サービス提供者とユーザーの共創関係の構築を目指すトークンエコノミー構想「LINEトークンエコノミー」など、グループ全体で様々なブロックチェーン関連の事業を進めているという。

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マネックスグループ傘下の暗号資産取引所コインチェックと、ブロックチェーンを活用したコンテンツ産業のデジタル化を目指すHashpaletteは8月25日、独自トークンによる資金調達を行える日本初のIEO(Initial Exchange Offering。イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)の実現に向け、共同プロジェクトを発足したと発表した。日本のコンテンツのさらなるグローバル化とともに、投機対象としての暗号資産ではなく、社会的意義を有する暗号資産の創造に取り組むとしている。

Hashpaletteは、合計1000万MAUのマンガアプリ群を運営するLink-Uと、ブロックチェーン領域の事業立案・製品開発を支援するHashPortとによる合弁会社。

今回の共同プロジェクトでは、Hashpaletteがユーティリティ性を有するトークン「パレットトークン」(PaletteToken、PLT)をイーサリアム(Ethereum)上で発行し、コインチェックがPLTを販売する予定。PLTは、マンガ・アニメ、スポーツ、音楽などコンテンツのためのブロックチェーンプラットフォーム「パレット」(Palette)において利用される。

パレットは、コンソーシアム型(プライベート型)ブロックチェーン「パレットチェーン」(Palette Chain)を基盤とし、一定条件を満たす複数のコンテンツ企業がコンセンサスノードとしてコンソーシアムを運営する。コンソーシアム参加企業については現在複数社と協議中で、今後順次発表する予定としている。PLTは、クロスチェーン技術により「パレットチェーン」とイーサリアム上を自由に行き来可能という。

またHashpaletteは、これら詳細をまとめたホワイトペーパー公開時にPLTの発行総額および販売による資金調達額を公表する予定。ホワイトペーパーの公開時期は明らかにしていない。

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IEOは、企業・プロジェクトが発行した電子的なトークンを、委託を受けた暗号資産取引所が販売する形で資金を調達するという仕組み。スマートコントラクト利用などの体裁で、発行体自身が投資家への販売も手がけるICO(Initial Coin Offering)との違いは、販売をになう暗号資産取引所が主体的な管理・支援を行う点にある。

ICOは、従来の新規株式公開(IPO)に比べ、スタートアップなど企業が資金を手軽に調達できる手法として一時注目されたものの詐欺を含め信頼性の低い案件が数多く存在したことから、2017年には日本の金融庁も消費者・事業者に向けた注意喚起を発するなどを行った。また現在では、販売するトークンが改正資金決済法における暗号資産に該当する場合は、金融庁に対して「暗号資産交換業」の登録を行う必要がある。

IEOでは、暗号資産取引所が、発行体およびトークンについて健全性の調査・審査を行った上販売する形態となる。海外の例では、ゲーム開発会社Animoca Brands(アニモカブランド)が、暗号資産取引所Binance提供のIEOプラットフォームを通じて、ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」のSANDユーティリティトークン300万ドル(約3億1700万円)相当を販売すると発表したものがある。

先に触れたパレットは、ファンコミュニティにおいてコンテンツを活用したデジタルアイテムを発行・管理・流通させるためのプラットフォーム。デジタルアイテムは、ノン ファンジブル トークン (Non Fungible Token。NFT)として発行される。様々なコンテンツをNFTとしてデジタル化することで、誰でも簡単に所有・売買可能になると考えているという。将来的には、「マンガの限定読切閲覧権」や「限定コンサート参加権」などの体験をクリエイターやアーティストがユーザーに提供できるエコシステムを構築できるとしている。

PLTは、パレットチェーンにおけるコンセンサスノード運営報酬の支払い、スマートコントラクトの発行手数料(GAS)、NFT売買の決済などの用途で使用される。

NFTの決済にPLTを用いることで、NFTの送付と金銭の受け渡しを同時に実施可能となり、中間者にあたるエスクローサービスを介することなく、安全な2次流通市場を構築可能としている。またPLTは、パレットチェーンの維持・運営におけるインセンティブ設計においても重要な役割を占めるとしている。

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米ハワイ州、デジタル通貨の規制サンドボックス制度にbitFlyer USA、Geminiら12社を採択

米国ハワイ州は8月18日、暗号資産関連企業向けとなるデジタル通貨の規制サンドボックス制度の採択企業12社を発表した。ハワイ州商務・消費者省事務局の財政部門(DFI)ハワイ技術開発公社(HTDC)が共同で取り組む「デジタル通貨イノベーションラボ」が、3月より参加企業を募集していたパイロットプログラムがスタートする。

米ハワイ州、デジタル通貨の規制サンドボックス制度にbitFlyer USA、Geminiら12社を採択

同プログラムに採択されたデジタル通貨発行企業12社は、規制のサンドボックス制度を利用することで、向こう2年間、ハワイ州のデジタル通貨関連の送金者ライセンスを取得することなく、ハワイ州でデジタル通貨関連ビジネスを行える。規制のサンドボックス制度とは、地域・期間・参加者など限定のもと現行法・現行規制を一時的に適用させず技術実証などを行えるようにする取り組み。

これまでハワイ州では、暗号資産取引に関する連邦法の規制に加えて、暗号資産取引所に対し顧客から預かる暗号資産と同等の法定通貨を保有する必要があるという、消費者保護に関する厳しい規制をDFIが2017年から課していた。それによりハワイにおいて暗号資産取引所を運営していたCoinbaseを始めとする企業は、事業撤退を余儀なくされた経緯がある

パイロットプログラムでは、各企業はDFIと協力し合い、暗号資産(デジタル通貨)の早期導入を通じてハワイの経済的機会を創出することを目的に活動する。期間は、2022年6月30日を持って終了。期間終了後は、明示的な承認が与えられない限り、参加企業はすべての暗号資産取引を完了する必要がある。参加協定に従い、削減計画と出口戦略を実行することになっている。DFIは、企業が事業を継続するに価すると判断した場合は、適切なライセンスを決定することもあるとした。

なおハワイ州は、プログラムを通して得られた知見を、将来同州における暗号資産に関する法規制を決定する際の指針として活用する狙い。

LayerXらが4社共同で事故発生の自動検出と保険金支払業務自動化の実証実験開始、MaaS領域におけるブロックチェーン活用実証へ

すべての経済活動のデジタル化を推進するLayerXは8月18日、ブロックチェーン技術を活用したMaaS(マース。Mobility as a Service)領域における実証実験を開始したSOMPOホールディングス損害保険ジャパンナビタイムジャパンの3社と共同で実施するもので、保険事故発生の自動検出と保険金支払い業務を自動化する技術を実証していく。

MaaSとは、ICT(情報通信技術)を活用して、電車・バスといった公共交通機関を始め、タクシー・レンタカー・カーシェアリング・レンタサイクルなど交通手段をひとつのサービスとして捉え、モビリティ情報をクラウドで一元化し、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念。顧客の利便性を第一に考え、時刻表・経路検索・運行状況・運賃情報から支払いなど、運営会社を問わず情報を一括管理できる仕組みを目指すというもの。

MaaS社会では、保険においてもデジタル技術を活用した自動化・効率化による利便性の向上を図ることが求められると考えられる。実証実験では、MaaS社会の到来を見据え、保険の新たな顧客体験の可能性を検証する。

今回は、ナビタイムジャパンが提供する経路検索アプリケーション「NAVITIME」および「乗換NAVITIME」の利用者からテストモニターを募集。LayerXのブロックチェーン技術を活用した、保険事故発生の自動検出と保険金支払業務自動化の技術検証を主目的に、4社共同で実証実験を実施する。

具体的には、保険事故発生に「電車の運行遅延」を保険金請求事由として見立て、ブロックチェーン上でプログラムを自動的に実行できるスマートコントラクトの仕組みを活用し、保険金支払業務を自動化する。

LayerXらが4社共同で事故発生の自動検出と保険金支払業務自動化の実証実験開始、MaaS領域におけるブロックチェーン活用実証へ

今回の実験では、JR宇都宮線・高崎線・埼京線の遅延情報を自動検知し、位置情報をもとに、テストモニターのうち遅延の影響を受けたと判定された者に対して保険金に見立てたデジタルクーポン(NewDaysで使える200円クーポン)を即時に自動発行、配付する。こういったサービスが、利用者にとって受容されるサービスとなり得るかなどを検証するという。

実証実験は、SOMPOホールディングスが全体を統括し、実証実験モニターのニーズ調査を損害保険ジャパンが、モニター募集・API提供をナビタイムジャパンが、システム企画・開発をLayerXがそれぞれ担当する。

実施期間は8月18日から9月30日まで。モニター参加条件は、JR宇都宮線・高崎線・埼京線を日常的に利用し、スマートフォンで「NAVITIME」アプリからの通知を受け取れ、同実験に関する簡単なアンケートに協力できる者。応募方法は、実証実験モニター募集ページ(iPhone版Android版)にアクセスし、モニター登録手続きを行う。先着100名がテストモニターに選ばれる。なお、モニター登録数の上限に達した場合には登録は終了となる。

MaaSの現状

Maasの概念は、2016年のフィンランドで、MaaS Globalによる MaaSアプリ「Whim」のサービスから始まった。現在は、欧州からアジア・環太平洋地域(日本、韓国、米国、オーストラリア)に渡る地域においてMaaS AllianceとしてMaaS構築に向けた共通基盤を作り出す公民連携団体が活動している。MaaS Allianceには、日本からも東日本旅客鉄道(JR東日本)や日立、ソニーらが参画している。

MaaSでは、ICTにより交通機関などの経路、時刻表などのデータを検索し組み合わせ、利用者のニーズに合うサービスが提案される。このためMaaS社会においては、交通機関の運行情報や、駅の地理的情報などのデータが自由に利用できる必要があり、欧米ではオープンデータとして整備されている。日本では、2015年9月に公共交通オープンデータ協議会が設立され、「公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会」が検討を進めている。

さにら、国土交通省は2018年10月にMaaSなどの新たなモビリティサービスの全国展開を目指し、都市・地方が抱える交通サービスの諸課題を解決することを目標に、第1回「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会」を開催。2019年をMaaS元年とし、日本版MaaSの展開に向けて地域モデル構築を推進していくことを決定・選定するなど、日本においてもMaaS社会の実現に向けて、さまざまな研究開発・実証実験が行われている。

ビットコインのハッシュレートが史上最高値を記録、8月16日129.075EH/sに

ビットコインのハッシュレートが史上最高値を記録、8月16日129.075EH/sに

Blockchain.comによると、ビットコイン(BTC)のマイニングにおけるハッシュレートが8月16日、129.075EH/s(エクサハッシュ)を記録し、過去最高値を更新した。先週より軒並み125EH/sを超えており、先月末から立て続けにハッシュレートが上昇している。

ハッシュレートとは、ビットコインのマイニングにおいて1秒間に行う演算回数であり、採掘速度を示す数値となる。E(エクサ)は、K(キロ)、M(メガ)、G (ギガ)、T(テラ)、P(ペタ)と続く単位のひとつ上の単位で、1EH/sは1秒間に100京回のハッシュ計算を行えるを意味し、100EH/sは、1万京回となる。

  • KH/s: 毎秒キロハッシュ。1秒間に1000回ハッシュ計算
  • MH/s: 毎秒メガハッシュ。1秒間に100万回ハッシュ計算
  • GH/s: 毎秒ギガハッシュ。1秒間に10億回ハッシュ計算
  • TH/s: 毎秒テラハッシュ。1秒間に1兆回ハッシュ計算
  • PH/s: 毎秒ペタハッシュ。1秒間に1000兆回ハッシュ計算
  • EH/s: 毎秒エクサハッシュ。1秒間に100京回ハッシュ計算

ハッシュレートは、その平均値の高さにより、マイナーが収益性を重視していることを示しており、ビットコイン価格との相関性を検討する者もいる。ビットコインの価格は、2020年8月に入って120万円を超えており、先週は一時期130万円をも超え、2020年8月下旬時点で120万円台を推移していることから、ハッシュレートの上昇は、ビットコインの価格上昇の影響と見られている。

また、ビットコインはハッシュレートが上昇することで、マイニング難易度(Difficulty)も調整するようマイニングアルゴリズムが設計されており、先月中旬にマイニング難易度も過去最高の数値を示した。その後は、調整され少しずつ難易度が下がりつつあるものの、現在も最高水準の難易度をキープしている。ビットコインは、2週間に1回(2016ブロックに1回)の頻度で、その難易度を自動調整する仕組みを備える。

ビットコインのハッシュレートが史上最高値を記録、8月16日129.075EH/sに

ハッシュレートの上昇は、PoW(Proof of Work。プルーフ・オブ・ワーク)に参加するマイナーが増加していることを意味するため、ビットコインネットワークのセキュリティ向上につながる。一方、上昇しすぎるとマイニングの際の消費電力量が上昇し、マイナーの収益性が低下することにもなる。

難易度が上がるということは、マイニングにおいて個人マイナーには不利となり、有力マイニングプールが有利になることから、中央集権的な状況になる恐れもあるため、注視していきたい。

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ブロックチェーンを活用した国際送金の「リップル」、日本市場では急増する移民送金ニーズに対応

ブロックチェーンを活用する国際送金のリップルが事業戦略説明会を開催

ブロックチェーンを活用した国際送金ソリューションを提供する米Ripple(リップル)は8月18日、オンラインによる事業戦略説明会を開催した。Rippleの国際事業部門シニアディレクター吉川絵美氏が登壇し、改めてメディア向けにRippleの概要を紹介。日本市場における戦略など今後の展開についてプレゼンテーションを行った。

「価値のインターネット」(Internet of Value)

米国サンフランシスコに本社を置き世界各地9都市に拠点を構えるRippleは、金融、テクノロジー、規制の3セクターからの人材を確保し、グローバルなソフトウェアペイメントに関する取り組みを行っている。現在、従業員は450人を超え、半数以上が技術者という。Rippleが提供する国際送金ソリューションは、世界の300以上の金融機関が採用している。

2012年創業のRippleは、2019年末にシリーズCラウンドの資金調達を行い、評価額100億ドル(約1兆円)の企業となった。両社はユニコーン企業から、未上場・創業10年以内・テック企業・評価額100億ドル以上という4条件を満たし、デカコーン企業となった。

Rippleは、「価値のインターネット」(Internet of Value)をビジョンに掲げ、ブロックチェーン技術を活用するB2Bソフトウェア開発企業。インターネットによって世の中は自由に情報やデータのやり取りが行えるようになったように、Rippleはブロックチェーンの活用によってお金や価値を自由にやり取りできる世界を目指す。

説明会冒頭に吉川氏は、世間で混同されているRippleとXRPの違いについ解説を行った。XRPは暗号資産で、よくRipple(XRP)と表記あるいは呼称されるが、正しくはXRPが暗号資産の正式名となっている。Rippleは暗号資産XRPおよび分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)を活用した国際送金ソリューションを開発する企業名およびシステムの呼称とした。

ちなみに、暗号資産XRPとその分散型台帳技術であるXRP Ledgerは、オープンソースソフトウェアプロジェクトであり、Rippleは開発者コミュニティの一員として参加している立場という。

RippleとXRPの違い

国際送金の現状と問題

人の動きやビジネスのグローバル化が加速する現在、世界は移民人口の年間成長率が9%に及ぶという。また、先進国の1/3の中小企業が海外との取引を行っており、それによりレミッタンス、いわゆる小口送金が急増し、年間の国際送金の総金額が6000億円を超える規模に成長。個人や中小企業の国際送金は爆発的に増加しており、総金額は過去30年で13倍になったと、Rippleは説明する。

個人や中小企業の国際送金は爆発的に増加

そんな市場規模でありながら、既存国際送金の現状は決済に数日かかりかつ遅延は日常で、送金に関わる金融機関が複雑な上に非効率な処理システムにより高コスト、また地域によっては信頼性が低く、高いエラー率と不確実性が潜んでいるという。ある統計では国際送金の約6%がエラーで返ってくるというデータもある。

これらは、海外から送られてくる仕送りなどに頼って生活をする途上国の移民の家族にとっては、非常に深刻な問題となる。たとえば、200ドルを国際送金で送ると平均14ドル程度の手数料(7%)が発生する。これらコストの総額は、年間300億円にもなる。

ちなみに、2015年の国連サミットでは、この国際送金のコストを2030年までに3%未満に引き下げるという目標が掲げられたものの、現状はまったく目標に及んでいない。日本は世界的に見て、特に国際送金コストが高い国のひとつとなる。現在、国際送金は銀行経由と送金専門事業者経由の2通りの方法があるが、銀行経由による国際送金コストは南アフリカに次いで世界で2番目に高い国という(14%~11%程度)。

その理由は明らかで、現在、国際送金に使われるシステムが古く、数十年前に作られた非効率な方法をいまだに利用していることが課題として挙っている。

簡単に説明すると、国際送金における既存の仕組みで海外の銀行に送金をする場合、送受金先の国に中継地点(コルレス銀行と呼ばれる中継銀行)を経由しなければならない。また、コルレス銀行に口座(ノストロ口座)を開設する必要がある。ノストロ口座には、送金先の法定通貨を入金する必要もある。

コルレス銀行に口座を開設せずに、取引先銀行に立て替えてもらう決済方法もあるものの、いずれも国際送金の実現にはさまざまな準備と資金を必要とする。送金先によっては銀行をいくつも中継させる必要もあり、都度、手数料の発生や為替の影響を受ける。

国際送金における既存の仕組みで海外の銀行に送金をする場合、送受金先の国に中継地点(コルレス銀行と呼ばれる中継銀行)を経由しなければならない

さらに、これら銀行間のやり取りはSWIFT(国際銀行間通信協会)という送金メッセージングシステムで指示をしている。SWIFTは一方向のバケツリレーによる伝言ゲームのようなもので、相互運用に難がある。どこかでリレーが止まった場合は、その都度伝言リレーをたどり調べることになる。また、各地で経由する金融機関の営業時間にも左右されることから、送金には時間が掛かり遅延も発生しやすい。この仕組みからは、送金元は、いつ着金したのかもわからないという不透明さも抱えている。

これらが、既存の国際送金の手数料が高額であり時間が掛かる理由になっている。

このような問題をブロックチェーンの仕組みを活用して解決するのが、Rippleの国際送金ネットワークソリューションRippleNetになる。

RippleNetでは、送受金する銀行間をダイレクトにつなぐため、コルレス銀行等中継地点を不要にし、シングルステップかつリアルタイム取引が可能になる。これまで数日かかっていた国際送金が数秒で完了する。また、双方向メッセージング機能により一方向のバケツリレーの問題を解決。これにより、国際送金のスピード・決済リスクの最小化・透明性を確保し、銀行間の相互運用を実現する。

RippleNetによる国際送金取引

Rippleは2015年に、異なる台帳または送金ネットワーク間で通貨など価値の移動を行うためのプロトコル「インターレジャー・プロトコル(Interledger Protocol。ILP)を提唱した。その後ILPは、オープンソースソフトウェアとして公開されており、現在W3C(World Wide Web Consortium)によって国際標準化が進められている。

IPLをベースとするRippleNetは、共通APIを提供することで銀行間を統合できる。RippleNetに接続された銀行は、標準化された送金ネットワークにより統合された送金経験が得られ、国際送金向けに合理化されたリアルタイムでの低コスト送金の実現が可能になる。

RippleNetによる国際送金取引では、銀行は双方向メッセージング機能により、送金情報について直接やり取りが可能になる。いうなれば既存のSWIFTによるメッセージングは手紙の郵送だとすると、RippleNetはLINEのようなものだと吉川氏は語る。

この双方向メッセージング機能により、送金に関する個人情報や取引情報がリアルタイムでやり取りが行われ、互いに確認が取れた段階で、サブレジャー間で一元的な即時決済が実行され、わずか数秒で送金が完了する。RippleNetでは、この即時決済の部分にIPLを使っているという。

オンデマンド流動性(ODL)と暗号資産XRPの役割

さらにRippleは、送金の最適化のために暗号資産XRPを使ったオンデマンド流動性(ODL。On-Demand Liquidity、旧xRapid)という仕組みも提供している。

送金の最適化のために暗号資産XRPを使ったオンデマンド流動性(ODL。On-Demand Liquidity、旧xRapid)という仕組みも提供

ODLによる国際送金では、中間で媒介通貨(ブリッジ通貨)として暗号資産XRPを使用する。ODLでは送金する国側でいったん法定通貨が暗号資産取引所でXRPに交換され、また受け取り側の取引所でXRPを現地の法定通貨に交換されるという手段をとる。それにより、各金融機関が現地の法定通貨を事前に調達する必要がなく手数料を最小限に抑えることができ、取引の承認も数秒で完了することから迅速かつ効率的に決済できる。送金は瞬時に行われるため、暗号資産のボラティリティの影響を受けることも少ないという。

ちなみにODLによる国際送金は、すでに欧米からフィリピンやメキシコなどへの送金経路に導入されており、今後、順次ODLを拡大していく計画であると吉川氏は説明する。

また、吉川氏はXRPが送金に適した暗号資産であることをビットコイン(BTC)と比較する。XRPは、決済にかかる時間がわすが3秒程度、取引手数料も圧倒的に低く、1秒間に1500件の取引が処理できる圧倒的なスケーラビリティの優位性を説いた。それが、国際送金にXRPを利用する理由という。

XRPが送金に適した暗号資産であることをビットコイン(BTC)と比較

Rippleの事業戦略と、日本市場で急増する移民送金ニーズへの対応

国際送金の市場にはさまざまなタイプの送金があるが、Rippleは事業戦略としてその中でも低額・高頻度の送金にフォーカスを当てていくという。従来の国際送金は大企業の高額送金がメインプレイヤーだったが、Rippleは個人や中小企業の海外送金、国境を越えたEコマースやマーケットプレイスに注目している。この分野は摩擦も多く課題も大きいが、最も成長拡大している。Rippleの国際送金ソリューションがこれらの課題解決に貢献できると見ている。

低額・高頻度の送金にフォーカス

また、Rippleはこれまでの送金プロバイダーに取って代わり事業を行うのではなく、あくまでも送金をより効率良くするために国際送金ソリューションを提供し、インフラパートナーとして金融機関を支援していくという。そのために、RippleはODLの普及に注力していくことを明らかにしている。

日本市場においてRippleは、急増する移民送金ニーズに対応していく。

日本市場においてRippleは、急増する移民送金ニーズに対応

日本における国際送金ニーズは、少子高齢化による労働不足から外国人労働者が増加しており、労働者が母国へ送金する件数が急増している。また、海外への業務アウトソーシングも増加し、コロナ禍によりその増加は加速しているという。Rippleは、これらに対応するために、現在、日本市場へのODLローンチに取り組んでいる。日本からベトナムやフィリピンなど、主要送金国への接続にフォーカスを当てているという。

RippleはSBIグループとの合弁会社SBI Ripple Asiaを設立し、日本およびアジアにおける「価値のインターネット」の実現を目指しているが、吉川氏はSBIグループのSBIレミットがすでに国際送金サービスにRippleNetを活用している導入事例を紹介した。SBIレミットは、タイのサイアム商業銀行およびベトナムのTPBankと協業で、RippleNetを活用したタイおよびベトナムへの国際送金サービスを提供しているという。

SBIレミットは、タイのサイアム商業銀行およびベトナムのTPBankと協業で、RippleNetを活用したタイおよびベトナムへの国際送金サービスを提供

日本の国内送金・決済インフラ

吉川氏は、さらに日本の国内送金・決済インフラの問題についても言及する。日本は、公正取引委員会が「全銀システム」や「CAFIS」など金融インフラシステムにおける非競争的慣行を問題視していることを挙げた。従来の高コストかつ低い利便性、中央集権型の仕組の金融インフラが、フィンテックのイノベーション等を阻んでいる現状があることから、これらを見直さなければならい時期が来ているという。

日本の国内送金・決済インフラの問題

Rippleは日本市場に対する戦略として、RippleNetの技術を活用した送金の仕組みにより、国内送金においても飛躍的かつ効率化・低コスト化を図る。また同様のインフラによって国内外の送金の一元化を目指すという。国内外においてもRippleNetが有効であることを強調した。

国内外の送金の一元化については、内外為替一元化送金プラットフォーム「Money Tap」を紹介。Money Tapは、SBIホールディングスの子会社であるマネータップ(およびSBI Ripple Asia)が開発するスマートフォン向けチャージ不要の銀行送金アプリ。24時間365日のリアルタイム送金を実現している。Money Tapを金融インフラとして連携することで、全銀ネットワークなど既存インフラと比べて安い手数料を実現し、金融機関の接続負担を軽減できるという。Money Tapには、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、三井住友銀行ほか、30社を超える銀行・金融機関が出資している。

内外為替一元化送金プラットフォーム「Money Tap」

また、PayPay、LINE Payとも業務提携を行っている。両社は、スマホ決済サービスのチャージにおいて、Money Tapを金融インフラとして連携する。(対応する)銀行口座からチャージをする際にMoney Tapを経由することで、リアルタイムチャージが可能になり、ここでも既存インフラと比べ安い手数料を実現する。

オープンソースのユニバーサルな送金ID「PayID」

2020年6月に発表されたRippleの新しい取り組み「PayID」についても説明があった。

オープンソースのユニバーサルな送金ID「PayID」

PayIDは、単一の規格で従来の金融関連サービスと新しいフィンテックを融合させ、あらゆる業界の企業を支援する、オープンソースのユニバーサルな送金ID。GoPay、Blockchain.com、BitPay、Brave、Flutterwave、Mercy Corpsなどの業界のリーダー企業らとグローバルアライアンス「Open Payments Coalition」を結成し、協業によるPayID開発を行っていく。米FinCEN(金融犯罪捜査網)の要件とFATF(金融活動作業部会)勧告の両方を満たすため、包括的なトラベルルールに準拠するソリューションも提供するという。

またPayIDは、銀行口座、銀行支店コード、クレジットカード番号などよりも認識しやすいIDを使用し、あらゆる送金ネットワークでの送受金を可能にするという。PayIDにより、利用するプロバイダーを問わず、メールアドレスで家族や友人にメールを送るのと同じように、「user$domain.com」といった形式のPayIDにより、簡単に送金が可能になる。

Rippleはこれらの技術を活用し、ビジョンに掲げている「価値のインターネット」の実現に向けて、着実に前進していることがわかった。日本においても、いよいよ低価格かつ迅速な送金サービスの実現が見えてきたのではないだろうか。

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