暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

TBA via Getty Images

セキュアなメッセージングアプリ「Signal」の創業者で暗号化技術のエキスパート、モクシー・マーリンスパイク氏が、表示するプラットフォームによって紐付けられた画像データの見え方が変わってしまうNFTをリリースしました。また、そのNFTは購入したのウォレットにウ〇コの絵文字( )を表示するとのこと。

NFTは、アート作品や貴重なメディアデータのオリジナル性と所有権を証明するためにブロックチェーン上に保存されるトークンのこと。デジタル鑑定書とでも言えばわかりやすいかもしれません。

しかし、マーリンスパイク氏がリリースしたNFT「At my whim, #1」は、他の誰かがそれを購入した際にデジタルウォレット内にウ〇コの絵文字が表示されます。さらにNFTプラットフォームのOpenSeaと、NFT販売所のRaribleそれぞれで、紐付けられたはずの画像の見え方が異なるとのこと。

マーリンスパイク氏はこのNFTを使った悪戯について、紐付けられたものの所有権を証明するはずのNFTが持つ脆弱性にスポットライトを当てることが目的だとしています。

NFTは技術的にはブロックチェーン上に保存されるユニークなデジタルトークンです。しかしほとんどの場合、実際にそこに保存されるのは記録だけで、アート作品などのデータは別のどこかに保管されることになります。

つまり、NFTに高額の代金を支払ってオリジナルデータとされる画像を購入したつもりでも、肝心のオリジナルデータはブロックチェーンとは異なるところにあり、保存先のなすがままに「いつでもNFTの画像を別のものに差し替えられる」可能性があるということです。

マーリンスパイク氏はOpenSeaおよびRaribleの説明書きに「あなたはこのファンクションコール」を所有しているかもしれませんが、私はファンクションそのものを所有しています」と記しています。

(Source:Moxie Marlinspike(Twitter)Engadget日本版より転載)

ViacomCBSがNFTスタートアップRecurとの提携でNFTに参入、普通のカードでも購入可

メディアコングロマリットのViacomCBS(バイアコムCBS)がNFTに参入する。NFT(非代替性トークン)はブロックチェーン上に保存された所有権にリンクしたデジタル資産だが、デジタルアートやコレクターズアイテムの売買によく使われており、その潜在的な市場が注目されている。ViacomCBSは、NFT企業であるRecur提携し、2022年から同社の象徴的なIPやフランチャイズをデジタルコレクターズアイテムの世界に導入することを発表した。これには、CBS、MTV、Showtime(ショウタイム)、Paramount Pictures(パラマウント・ピクチャーズ)、BET、Nickelodeon(ニコロデオン)、Comedy Central(コメディ・セントラル)といったViacomCBSのトップブランドの番組や映画の商品やコレクターズアイテムが含まれる。

このプロジェクトの詳細については同社は多くを明らかにしていないが、ファンが同社のポートフォリオに含まれるNFTを購入、収集、取引できる場所を作ることになると述べている。また、このプラットフォームは「ピア・ツー・ピアのエンゲージメントを促進し、ユーザーが新しい体験をするための革新的な方法を促進する」とも述べており、マーケットプレイスの側面だけでなく、新しい体験にはソーシャルな要素があることを示唆している。

最近、5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズAを調達し、ローンチ前の評価額を3億3300万ドル(約377億円)に高めたRecurは、現在、NFTU.comというNFTプラットフォームの構築に取り組んでいる。このプラットフォームは、デジタルライセンシング企業であるVeritone(ベリト―ン)と共同で構築しており、Pac-12 Networksの大学スポーツビデオコンテンツ(スポーツハイライトなど)を使ったNFTを提供する。

このプロジェクトから、ViacomCBSが自社のNFT計画で何を考えているのか垣間見ることができる。

すでに多くのNFTマーケットプレイスが存在しているが、Recurの計画は、あらゆる暗号資産で鋳造される定期的なロイヤルティを標準化する技術を開発することだ。この決定は、NFTが「チェーンアグノスティック(非依存)」になることを意味し、より多くの潜在的なファンを暗号資産エコシステムに引き入れることになる。ブランドパートナーやIP保有者にとっては、NFTが自分のプラットフォームを離れて他の場所で再販された場合、元の権利者はその販売や再販から継続的なロイヤルティを無期限に受け取ることができるということだ。

これは、デジタルコレクターズアイテムとなりうるIPを大量に保有するメディア企業にとって、魅力的なことだ。例えば、Spongebob Squarepants(スポンジ・ボブ)、South Park(サウスパーク)、Star Trek(スタートレック)などのグッズを考えてみて欲しい(ただし、ViacomCBSは、最初のディストリビューションにどの番組を含めるかを発表していない。また、そのような決定を下す前に、IPに関連するクリエイターや俳優などと、より複雑な権利関係の話し合いが必要になる可能性もある)。

また、Recurのチェーンにとらわれないアプローチにより、NFTの購入には、暗号資産だけでなく、米国のクレジットカードやデビットカードも使用できるようになる。これは、暗号技術のアーリーアダプター以外の、より多くの人々にリーチしたい企業にとっても魅力的なことだ。

この新しいプラットフォーム(基本的にはRecurが提供するホワイトラベルのマーケットプレイス)は、2022年春にローンチするとViacomCBSは述べている。

NFTを導入するメディア企業は、ViacomCBSが初めてではない。メディア業界の著名人に加え、CNN、The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)、Time(タイム)、Playboy(プレイボーイ)、Lionsgate(ライオンズゲート)、Media CentralGannett(ガネット、USAトゥデイなどの親会社)、Fox(フォックス)などがNFTを採用したり、独自の調査や実験を始めている。

ViacomCBSのコンシューマープロダクツ担当プレジデントであるPam Kaufman(パム・カウフマン)氏は、声明でこう述べている。「愛されているキャラクターや多世代に渡って愛されているアイコニックな作品に後押しされ、当社のコンシューマープロダクツのプレゼンスを、成長を続けるメタバースに向けてさらに加速させることができ、大変うれしく思っています。Recurと協力し、ViacomCBSのIPに特化したNFTプラットフォームを構築することで、熱心なコレクターも、初めてNFTを購入する方も、お気に入りのシリーズの一部を所有するユニークな機会を得ることができます」。

また、ViacomCBSは、NFTの販売による収益化には当面注力せず、このプラットフォームをコミュニティ構築やファンのエンゲージメントのために活用したいと考えているとのこと。

画像クレジット:ViacomCBS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

オンライン決済の巨人「Stripe」が暗号資産市場に再参入

決済大手のStripe(ストライプ)は「Web3決済の未来」をつくるために新たな暗号資産チームを結成すると発表した。米国時間10月12日にTwitter(ツイッター)に投稿された公開声明による。Stripeは、Bitcoin(ビットコイン)決済を最初にサポートした会社の1つだが、数年前に市場を撤退した後、復帰のタイミングを見計らっていた。しかし今回の計画がどう展開するのかはほとんどわかっていない。

コメントを求められたStripeは、その戦略の見解や詳細について語ることはなく、新たな公開声明と以前のブログ記事を示しただけだった。

2018年1月、StripeはBitcoin決済のサポートを4月に終了することを発表し、さまざまな理由により暗号資産が支払いが以前ほど有用ではなくなったと語った。

当時同社は、取引確認にかかる時間が長くなり失敗率が高くなっていることや手数料が大幅に増大したことを指摘した。しかし、Stripeは暗号資産全体についてはまだ「非常に楽観的」であり、Lightningなどの高速決済が可能なプロジェクトには特に期待しているとも語っていた。他にも同社はOmiseGOなどの出現にも言及し、Ethereumベースの高い可能性をもつプロジェクトがいくつか進行中であることも語った。

そして、待つこと数年、Stripeは暗号化分野に再入場する。

Stripeのユーザー対応チームのEdwin Wee(エドウィン・ウィー)氏の投稿によると、StripeはWeb3の技術者とデザイナーを雇って新しい暗号資産チームを強化しようとしている。Stripeは自社のビジョンについて説明しようとしなかったが、ウィー氏の投稿は会社が現在の市場をどう見ているかの見解を少しだけ明らかにした。

「暗号資産は決済を高速かつ安価にする可能性をもっています、特に未開拓市場では」と彼は書いた。

「2018年に当社は、Stripeは『将来暗号資産をサポートして顧客の役に立つ機会を伺っている』と言いました。今がその時です」とウィー氏は語った。

新しいチームはStripeのエンジニアリング責任者Guillaume Poncin(ギヨーム・ポンシン)氏が率い、同氏も求人に関する投稿をしている。現在提示されている暗号化エンジニア職はニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、およびリモートの計4名だが、全部で何人雇用するつもりかは発表されていない。

950億ドル(約10兆7850億円)企業が再び暗号化に手を出すことに問題はないが、Stripeの幅広い企業戦略にとってこの発表がどれほどの位置を占めるのかは現時点でわかっていない。

関連記事:決済サービスStripeが評価額10兆円超で約655億円調達、欧州事業の拡大に注力

しかし、暗号決済の市場はStripeが2018年に撤退して以来激化している。数々の暗号決済スタートアップがこの分野に進出し、大型ブランドや小売業で広く受け入れられているだけでなく、最近では決済の巨人であるPayPal(ペイパル)も暗号資産活用に本格的に乗り出している。

2020年11月、PayPalは米国の全ユーザーが同プラットフォーム上で暗号資産の購入、保有および売却が可能になったことを発表した。最近同社は海外市場へも拡大し、決済アプリのVenmo(ベンモ)でも利用できるようにした。さらに重要なのは、米国消費者がどこのPayPal対応店舗でも暗号資産を使ってチェックアウトできる機能を公開したことで、オンライン決済で暗号資産を使う可能性を著しく拡大した。

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他にも、暗号資産交換所のBinance(バイナンス)が、Eコマースの巨人Shopify(ショッピファイ)と暗号決済で提携し、Coinbase(コインベース)は、消費者の利用の伸びを受け、PayPal(ペイパル)やApple PayおよびGoogle Payの統合を通じて、暗号資産の購入や消費を使いやすくした。

ちなみに「恵まれない」市場における暗号資産の可能性を考えているのはStripeだけではない。2021年夏、Square(スクエア)は、投資する1億ドル(約113億6000万円)のうち2500万ドル(約28億4000万円)を少数コミュニティや恵まれないコミュニティに割当て、500万ドル(約5億7000万円)をSquare、Inc Bitcoin Endowmentに寄付することを発表した。

「信用履歴がないために銀行口座を開けない人々や銀行の利用が難しい地域に住む人々、歴史的に差別を受けてきた人々のために、Bitcoinは公平な場を作り、より包括的な未来を生み出す力になります」とSquareは語っていた。おそらくStripeも同じ意見だろう。

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

Coinbase(コインベース)は、OpenSea(オープンシー)など既存の主要プレイヤーに対抗するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの起ち上げを準備しており、年内に予定しているローンチに向け、早期アクセス用順番待ちリストへの登録が可能になったことを、米国時間10月12日に発表した。

Coinbaseは、近日中に提供を始めるこのプラットフォームについて、現時点では詳細を明らかにしていないものの、ブログ記事の中では、ソーシャルメディア機能をより深くプラットフォームに統合したいと述べている。「Coinbase NFTは、NFTの創作、購入、展示、発見をこれまで以上に簡単にします。複雑な仕組みは舞台裏に隠した直感的なインターフェースを構築することで、NFTをよりアクセスしやすいものにします。また、交流や発見のための新たな道を開くソーシャル機能を追加します」と、同社は書いている。

Bitcoin(ビットコイン)が、Coinbaseの直接上場時に記録した史上最高値に迫っているにもかかわらず、Coinbaseの株価は、この分野で最も人気のある暗号資産(暗号資産)の成長回復に追いつけず、4月の直接上場以来約27%の下落となっている。この暗号資産取引所は、同時に規制当局からも睨まれており、最近ではSEC(米国証券取引委員会)が「Lend(レンド)」という融資商品に関して同社を提訴すると圧力をかけ、発売を中止したこともあった。また、Robinhood(ロビンフッド)のような取引アプリが暗号資産への対応を強化したこともあり、Coinbaseはますます激しさを増す暗号資産売買業界の競争に対処を迫られている。

画像クレジット:Coinbase

NFTが高額なデジタルコレクションやアートを求める投資家の関心を集め続ければ、Coinbase NFTは上場会社となったCoinbaseに大きな収益源をもたらす可能性がある。2021年初めに急騰し、8月に再び盛り上がったNFT市場は、多くの人が予想していたよりも回復力を見せているが、すでに大きく変動している暗号資産の値段よりも、依然としてさらに激しい変動が見られる。OpenSeaは、8月に34億ドル(約3860億円)もの取引量を記録した。

CoinbaseはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのサポートを開始しており、そこでNFTの展開を始めるということはそれほど意外ではないが、Coinbase NFTの開始時には、レイヤー2のスケーリングネットワークとの統合は行わないとしている。つまり、Coinbase NFTのユーザーは、高額なガス代を支払い、Ethereumメインネットのスケーラビリティ問題の多くに対処しなければならない可能性があるということだ。

Coinbaseはブログで、いずれ「マルチチェーン」サポートを導入する予定と書いているが、Coinbase NFTのローンチ時にはEthereum標準のERC-721とERC-1155規格のみをサポートする。競合のOpenSeaは最近、Polygon(ポリゴン)ネットワークを活用した大幅に低コストな取引のサポートを開始している。

OpenSeaはこの分野で強大な勢力を持つが、Coinbaseが競合しなければならない唯一のプレイヤーというわけではない。ライバルであるBinance(バイナンス)やFTXも、最近NFT市場エコシステムへの参入を発表している。多くの暗号資産投資家がNFTの可能性はまだ表面に現れてきたばかりと見ているものの、Coinbaseは間もなく競合する他社よりも、かなり遅れて参入しようとしている。とはいえ、コンシューマー・クリプトの世界におけるCoinbaseの知名度を考えると、その参入は大きなものになりそうだ。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】暗号資産による送金は世界で最も弱い立場にある人々の生命線

アフガニスタンからの米国の突然の撤退により、Western Union(ウエスタンユニオン)が一時的に業務を停止し、国内の銀行も引き出しを厳しく制限するなか、暗号資産(仮想通貨)による送金がアフガニスタンの人々の生命線となっている。

米国や英国などの送金側の規制当局は暗号資産に目を向けている。彼らは、世界で最も弱い立場にある人々にとって、暗号資産がどれほど欠かせないものであるかを忘れてはならない。

アフガニスタンだけでなく他のどの国であっても、現地通貨が入手困難になり、価値の貯蔵手段としての信頼性が低下すると、暗号資産はますます不可欠なものとなる。紛争はインフレを招き、通貨の価値を下げ、時には無価値にしてしまう。

もし、国内の暗号資産タカ派をなだめるために暗号資産の送金を規制したら、この資産クラスを最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々やその他多くの人々に(再び)背を向けることになる危険性がある。

タリバン占領後、アフガニスタンの金融システムも凍結されてしまった。世界銀行によると、アフガニスタンのGDPの約4割を占める海外からの援助が止まった。同様に、アフガニスタン中央銀行の外貨準備も凍結された。その額は約90億ドル(約1兆円)

さらに、タリバンによる占領と欧米諸国による対外援助停止を受け、Western UnionやMoneyGram(マネーグラム)などの国際送金会社がサービスを停止した(今のところ再開しているケースもある)。そのため、一般のアフガニスタン人は世界の金融システムにアクセスできず、そしてここが重要だが、海外の親族からの送金を受け取れなくなった。

送金とは、豊かな国から「母国」にお金を送ることで、アフガニスタンのGDPの約4%を占める。現金に大きく依存する経済において、現地の金融インフラが突然崩壊することは、多くのアフガニスタン人にとって生死を分けることになり得る。

送金が生命線であり続けるためには、迅速でなければならない。お金が必要なときは、すぐに必要になることが多い。例えば、国内で避難生活を送る人々は、資金が決済されるまで3~5日も待つことはできない。彼らは今すぐにでも食料、燃料、医薬品を必要としている。

ビットコイン「過激主義者」は、暗号資産が世界の経済システムをいかに変えるかについて、目を輝かせて主張する。彼らを信じるかどうかは別にして、私たちの前で、暗号資産は不安定で紛争が絶えない場所での送金に、すでに革命を起こしている。アフガニスタンは、破綻した国家における暗号資産の教科書的な使用例を示している。

時として、切迫する必要性が新技術導入の強力な論拠となる。アフガニスタンは、ブロックチェーンのデータプラットフォームであるChainalysisのGlobal Crypto Adoption Indexで、154カ国中20位に位置している。ピア・ツー・ピアの取引(送金を含む)を加味すると7位だ。2020年には、アフガニスタンはリストにすら入っていなかった。

アフガニスタンだけではない。レバノン、トルコ、ベネズエラでは最近、暗号資産の使用率が急増した。人々は一攫千金を狙っているわけではない。海外の親族から資金を受け取り、高インフレ時に資産消滅を防ごうとしているだけだ。

ベネズエラを拠点とする暗号資産コンサルタントのJhonnatan Morales(ジョナタン・モラレス)氏は「多くの人々は、モノを手に入れるためではなく、ハイパーインフレから身を守るために暗号資産を採掘したり取引したりしています」と見ている

インフレ率が世界で最も高いベネズエラ(3000%に向かっている)では、経済が不安定になるにつれ、暗号資産の導入が進む。

レバノンもその一例だ。リラがその価値の80%を失う中、例えばビットコインウォレット「BlueWallet」のレバノン人によるダウンロード数は、2020年に前年比1781%増加した

だがアフガニスタンは、グローバルサウス(南半球の発展途上国)が暗号資産を必要とする理由を示す、最も緊急かつ悲劇的なケースかもしれない。現金が不足し、物価が高騰し、タリバンがこれまで頼りにしていた外国からの援助を失うと、すでに崩壊しているアフガニスタンの通貨はさらに弱くなる。アフガニスタンの人々が自らの富をビットコインで受け取り、保管し、使うことができるようになれば、破綻国家の最悪の影響から自分たちを守ることができるかもしれない。

そしてこれこそが、欧米で暗号資産を規制する際に忘れてはならないことだ。規制は投機家に影響を与えるだけでなく「母国」に送金したい人にも打撃を与える。最も失うものが大きいのは送金を受け取る人々だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長が、暗号資産規制の次の段階に関する報告書を発表する際には、暗号資産を最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々や、彼らのような世界中の何百万もの人々のことを忘れないで欲しいと思う。

欧米はアフガニスタンの人々に背を向けたのかもしれないが、私たちは自国の法律が彼らを暗闇に置き去りにしたままにすることがないようにしなければならない。暗号資産の規制は、重要な金融の生命線が失われないようにしなければならない。さもなければ、暗号資産を最も必要とする人々の希望の扉をまた1つ閉じてしまうことになる。

編集部注:本稿の執筆者Joshua Jahani(ジョシュア・ジャハニ)氏は、コーネル大学およびニューヨーク大学の講師であり、中東・アフリカを専門とする投資銀行Jahani and Associates(ジャハニ・アンド・アソシエイツ)のボードアドバイザー。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKY/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Joshua Jahani、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】暗号資産の流動性はクロスボーダー決済というランチを食べる準備ができている

伝統的な金融機関が暗号化戦略の策定を急ぐのを日常的に目にするが、その理由は明白だ。暗号は主流意識の転換点を過ぎており、クロスボーダー決済のようなユースケースは、サンドボックスの段階の域を確実に脱している。

クロスボーダー決済は、明らかな理由から、暗号資産の最も初期のユースケースの1つと言える。公的なブロックチェーンとそのネイティブな暗号資産は、本質的にグローバルであり、安全で検閲に強く、安価に取引できるように構築されている(トークンにもよるが)。そして(おそらく最も重要な点として)24時間365日即時決済が可能だ。

しかし、送金関連企業や大手銀行などの既存企業が独占してきた年間130兆ドル(約1京4430兆円)規模のこの業界で、暗号資産が大きな影響力を発揮するまでには数年を要した。例を挙げると、Western Union(ウエスタンユニオン)の収益の大部分は、クロスボーダー決済による個人取引手数料から来ている。

結局のところ、フィアット(法定通貨)やすぐに利用可能なオン / オフランプ(法定通貨との交換サービスを提供する場)と同じかそれ以上のレベルの世界的な流動性を、暗号資産が持つことが決め手となる。朗報として、どちらのラインもポジティブなトレンドを示している。

大手銀行を優遇する時代遅れのシステム

伝統的な外国為替(FX)の世界は何年もの間、かなり停滞している。決済は通常の銀行取引時間内にしか行われず、メッセージはSWIFT経由で送信されるが、実際には数日後まで決済されない。

この時代遅れのコルレス銀行システムでは、少なくとも2つの異なる段階を経なければならない。誰もが痛感しているように、取引は遅く、間違いを起こしやすく、コストがかかり、非効率的である。米国やメキシコなどの回廊ではより大きな決済の流れがあるが、消費者へのコストは依然として存在している。

G20以外の通貨に移行する際には、ある国から次の国へいつ送金されるかは誰にもわからないし、5%から10%の手数料を支払うことになる。このシステムは、長年にわたり数兆ドル(数百兆円)規模で流動性へのアクセスを独占してきたビッグマネー中心の銀行に、長らく貢献してきた。

2017年以前の数年間は、暗号資産の流動性はひと握りの取引所に限られており、全資産の取引高は数百万ドル(数億円)だった。それがここ数年で大きな変貌を遂げている。

画像クレジット:Asheesh Birla

Ripple(リップル)は早くから次のような主張に焦点を当てていた。1. 暗号資産が世界中で量的に成長し(取引所の流動性のレベルで測定)、2.それを使ってより多くの決済が可能になれば(オーダーブックのサイズで測定)、伝統的な法定通貨よりも暗号資産を使ったクロスボーダー決済のための流動性を調達する方が安くなる。2015年に崇高なビジョンであったものが、今では現実となっている。

暗号資産の流動性へのアクセスに必要なオンランプとオフランプ

クロスボーダー決済に暗号資産を使用するために必要なキーファクターは、法定通貨から暗号資産への移行とその逆の移行を提供し、暗号資産の流動性へのアクセスが得られる、スムーズなオンランプとオフランプだ。筆者はかつて、利用可能な方法を片手に数えることができたが、今日では、ステーブルコインや取引所など、暗号資産の出し入れを行うさまざまな場所が急速に拡大している。主要な送金会社やカードネットワークからグローバルな暗号資産取引所まで、あらゆる組織がトークン化を利用してこの最初のハードルに対処している。

法定通貨の裏づけのあるステーブルコインは、最もポピュラーなオン / オフランプの1つとして台頭してきた。決済の際の法定通貨への即時の換金を必要とせずに暗号資産へのアクセスを得る比較的簡単な方法を確保し、変換税の問題や暗号資産の高いボラティリティを排除するものとなっている。

このことは、ステーブルコインの時価総額が増加していることにも表れており、2019年の40億ドル(約4440億円)から2021年7月には1000億ドル(約11兆円)を大きく上回った。ステーブルコインは、暗号資産取引所、分散型金融プラットフォーム、流動性の低いフィアット・ツー・フィアットの回廊へのアクセスと流動性を提供しており、トークン化された資産ができることの力を示している。世界があらゆる種類の価値(フィアット、暗号資産、アイデンティティ、ローン、NFTなど)をトークン化しつつある中、1つの資産から次の資産への移行をサポートするシステム内の流動性が高まっている。

データを見る

ここで定量的な理由に目を向けると、暗号資産から流動性を調達する方が、時間の経過とともに費用対効果が高くなることがデータで示されている。根本的な疑問は、暗号資産からの調達が伝統的なフィアット外国為替(FX)よりも一貫して安くなるデータポイントはどこかという点だ。

下のグラフを見ると、より大規模な暗号資産市場のプロキシとなるBitstamp上の時価総額上位5つの暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ)を使用することで、流動性の指標である暗号資産のボリュームが過去5年間でどのように増加したかが確認できる。これらの資産の組み合わせは、2016年から2021年まで一貫してすべての暗号資産ボリューム(ステーブルコイン以外)の約85%を占めている。

画像クレジット:Asheesh Birla

具体的には、2016年4月から2021年6月までのUSDとEURのスポットとインプライドのFXレートの平均差、およびUSDとEURのオーダーブックのサイズと比較した、5つのトークンのUSDとEURの月次ボリュームが示されている。スポットレートは、その特定の時点における即時為替レートを示し、インプライドレートは、仲介者(暗号資産をブリッジとして使用するなど)を使用して、送信通貨から宛先通貨へのブリッジから達成されたFXレートを表す。

年数が経つにつれて、スポットレートとインプライドレートの差はゼロに近くなり、平均的なトレンドラインから明らかなように、暗号資産を介して決済の流れを行う方が、法定通貨を使用した場合よりも同等または安くなっている。

トレンドラインをさらに推定すると、今後2年間でトレンドラインが0を超えて負の差になることを予測できる(現在のレートで暗号ボリュームが2倍になり続ける場合)。PayPal(ペイパル)やWestern Unionのような決済プロバイダーは、法定通貨取引ごとに手数料を請求する(0.2%から1%のマージン)など、他のファクターが作用していることも注目に値する。

画像クレジット:Asheesh Birla

同じ期間で、上のグラフはオーダーブックのサイズが急速に増加していることを示している。つまり、2021年にこれら5つの暗号資産で合計400万ドル(約4億円)もの決済をサポートするのに十分な流動性があるということだ。

伝統的な取引ベースの決済収益は廃れていく

FX取引手数料から収益の大部分を得ているすべての送金関連企業にとって、このデータは警鐘を鳴らすものになるだろう。

企業がクロスボーダー決済に暗号資産を利用しようとしている理由はここにある。もはやブロックチェーンと暗号の特性だけではなく、グローバルな流動性が本当の意味で大規模な決済を支えている。消費者がより多くの選択肢を利用できるようになれば、従来型の企業は市場シェアを維持するために取引手数料を引き下げなければならなくなる。これにより問題はある程度は緩和されるだろう。

これまでPayPalなどを利用してクロスボーダー決済を行ってきたすべての消費者に向けて問いかけたい。暗号資産を利用することが、より安く、より迅速で、より安全ではないにしても、同等であるなら、それにこだわる必要があるだろうか?

これらの企業は、現在取引手数料に大きく依存している収益モデルを変更するか、さもなければ時代遅れになるリスクを負うことになる。一部は反対方向に向かっているが(例えば、PayPalはすでに欧州でのクロスボーダーのマーチャント決済の取引手数料を引き上げており、Western Unionは競合他社を回避するためにデジタル決済にさらに力を入れている)、この周知の波はすでに崩壊しつつある。これらの企業が提供する他のサービス(コンプライアンス、アドレッシングなど)は、いずれも企業を救うことにはつながらないだろう。多くの暗号資産企業はすでに、強力なマネーロンダリング対策を実装しており、顧客(AML/KYC)を把握している。

少数の回廊におけるBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)使用のデータは、市場全体のプロキシではあるが、トレンドラインは方向的に明らかである。今日の暗号資産の時価総額は2兆ドル(約220兆円)を超えている。5兆ドル(約550兆円)から10兆ドル(約1100兆円)になれば何が可能になるか想像して欲しい。

暗号流動性は、ゲームを変えつつある。「もしも」の段階を過ぎ、今や「いつ」の領域に入っている。

編集部注:本稿の執筆者Asheesh Birla(アッシュ・バーラ)氏は、RippleでRippleNetのGMを務める。

画像クレジット:Jonathan Knowles / Getty Images

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(文:Asheesh Birla、翻訳:Dragonfly)

【コラム】ウクライナの暗号資産法は正しい方向への第一歩である

現地時間9月8日にウクライナ議会が可決した法案にVolodymyr Zelensky(ウォロディミル・ゼレンスキー)大統領が署名することで、暗号資産がまもなくウクライナで合法的に使用されるようになる見通しだ。

この法律は仮想資産の所有者や取引のためのプラットフォームを詐欺から保護するためのものであり、ウクライナが完全デジタル化経済への移行に向け、ビットコインを法定通貨とみなす準備を進めているという噂が飛び交っている。この法律からウクライナがどのように今後暗号資産市場を規制しようとしているかを判断することができる。またこの法律によりウクライナでビットコイン事業を行うことが正式に許可される。

2009年にBitcoin(ビットコイン)が作られた当初、暗号資産は取るに足らないものという扱いであり、ほとんど注目されることのないテクノロジーであったが、現在では富を生み出す金融商品として人々を刺激し、グルーバル経済の変革に大きな役割を担うまでに成長した。暗号資産経済は次なる1兆ドル産業と目されているが、そのイノベーションは始まったばかりの段階である。

ウクライナ政府、またはそれ以上にウクライナ国民はこのことを理解しており、この法律により、経済成長に参加するために必要な措置を講じられるよう社会の進歩を促している。ウクライナの代表者たちは、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にした後、その導入の詳細を知るため同国の担当官に会いに赴いたとされている

暗号資産はデジタルワールド内でのみ取引される通貨の形態で、本来政府からは完全に切り離された存在だ。ユーザーはブロックチェーン(分散型の公的台帳の役割を果たすリストのことで、記録は増え続け、変更することができない)で取引を監視したり承認したりすることが可能である。オンライン上で公開された台帳があることから、取引に銀行などの金融機関の介在を必要としない。

暗号資産経済が活況を呈しているのはウクライナ国民の民意を反映したもので、暗号資産を支持する法律の起草は、この産業にとって重要なステップである。暗号資産はウクライナ国内で人気があり、支払いプラットフォームTriple Aによると、総人口の12.7%にあたる550万人強が現在何らかの形で暗号資産を所持していると推定されている。  ブロックチェーンデータ会社Chainalysisは、2020年9月にウクライナを世界で最も暗号資産の受け入れに積極的な国の1つとするランク付け を行った。

ウクライナでは、電力の半分近くが15基の原子炉によって発電されているのだが、暗号資産のマイニングスペースはウクライナのエネルギー業界に興味深い影響を及ぼしている。ウクライナのエネルギー相は「暗号資産マイニングは余剰エネルギーを消費するための現代的で効率のよい方法だ」と述べた。エネルギー相はこれまでエネルギー浪費の問題を解決し、効率を改善するための革新的な解決策を探し求めてきた。

ビットコインマイニング業界は、余剰電力を引き取り、それを暗号資産マイニングに使用することで原子炉からの余剰電力を利用する理想的なパートナーになっている。これは、エネルギー生産要件を維持しながら、ウクライナの原子力発電所への新しい投資資金を引き付けるのに役立つはずだ。

これにより、ウクライナ政府はマイニングネットワーク全体の強力なサポートノードとなっている。このことは、クリーンで持続可能なビットコインマイニングを提供し、同時にエネルギー部門の非効率性に対し自由市場的解決策を提供するのに役立つだろう。

経済的影響は非常に大きい。ウクライナの原子力発電所の運営にあたっている国営企業NAEC Energoatomは、2020年、1億7000万米ドル(約189億円)を超える損失を計上した。これがウクライナのエネルギー部門がブラックホールから浮上する契機となった。Energoatomが「電力をBitfuryの暗号マイニング部門のマイニングオペレーターに供給する契約に合意した」ことにより、そのプロジェクトがすでに始まっている。ウクライナ政府はビットコインをマイニングし、それを手元に保管しておくことも、マイニングされたビットコインを市民の口座に振り込むことも、または国民総生産を高めるためにビットコインを売却することもできる。

さらに、ウクライナは2019年7月から2020年6月までに80億ドル以上(約8886億円)の暗号資産を受信した。ウクライナはWeld Money、Hacken、Propyなど、暗号資産スタートアップの発祥地であり、また堅牢な暗号資産やブロックチェーン業界も有している。ウクライナには暗号資産分野にすでに100を優に超す数の企業が存在しているのだ。

ウクライナは2020年ビットコインへの投資から約4億ドル(約444億円)を稼ぎ、ウクライナの暗号資産投資家は世界でも有数の金持ちになっている。ウクライナの暗号資産は、市民の間だけではなく、公務員や政府の広い範囲で流行している。2021年初頭、ウクライナの公務員全体で26億ドル(約2888億円)を超えるビットコインを所有していると公表し、その報告書の中で「これまでで最大数の暗号資産所有者が市議会、国防省、国家警察で働いている」と述べた。

世界銀行によると、ウクライナのGDPの10%近くがウクライナへ送られた個人送金によるものだ。多くのウクライナ人は他国へ移民した後もウクライナに残してきた家族に送金するのだが、従来の銀行を通した送金に法外な料金を支払い続けてきた。しかし暗号資産がすべてを変えた。暗号資産により、ウクライナの人々は銀行や金融サービス業者が介在しない形で迅速で安く国際送金することが可能になったのだ。

ビットコイン以前、銀行や金融サービス業者はお金を変換し、受取人の国にそれを送金し、さらに現地通貨に変換し直すということをしていた。しかし、世界銀行の調査によると、平均の送金料は送金額の約6.38%にのぼるという。

この送金料よりさらに悪いのが、ウクライナ国民は深刻な汚職のため銀行システムをほとんど信用していないことである。いくつかの大手銀行が崩壊し、ウクライナ政府は90以上の銀行が破産したことを宣言した。また多くの人が打ち続く銀行スキャンダルによりお金を失った。2016年、ウクライナの銀行部門の20%を占めるPrivatBankの元帳から50億ドル以上(約5554億ドル)が紛失したことが明らかになり、政府が介入してPrivatBankを国営化する事態となった。銀行部門は機能しておらず、腐敗した財閥に支配されていると多くの人が信じている。

2014年にロシアがウクライナに侵攻して以降、ウクライナ経済は急激に落ち込み、ウクライナの通貨であるフリヴニャのドルに対する価値は70%下落した。これが国民の貯金能力や購買能力をさらに弱体化させた。蓄えが少額の人の場合、家にお金を隠す事が多く、敢えて銀行に預け入れることはない。

ソ連崩壊以後ウクライナの銀行業界は、不埒な習慣が横行するようになる以前でさえ、西側諸国と同じようには発展することができなかった。送金プロセスはインフラの不備のため問題が多く、そのためバウチャーや両替といった金融商品を通し悪辣な方法が開発され、大規模なマネーロンダリングや胡乱な商習慣の素地となった。

政府、企業、銀行部門に深く根付いた腐敗、悪徳政治家に摂取された不法な資産、ウクライナのいくつかの著名な銀行の崩壊のため、分散化された性質を持ったビットコインが国民に受け入れられたのはうなづける。ウクライナ人は自らの資産を守るために暗号資産を受け入れ、若く革新的な世代の人々は将来に熱心に目を向け、崩壊したスキャンダルにまみれたシステムとおさらばしようとしている。ウクライナ人が変化を望む気持ちは大きく、彼らが暗号資産に寄せる期待は大きい。

暗号資産の受容率は高まるばかりであり、政府がサポートする枠組みにより、この領域で成長する企業が増え、国家に税金を納め、さらなるイノベーションを促進することが可能になるだろう。暗号資産の受容率が高いという事実や、国が推進する暗号資産に有利な法律の存在を通し、ウクライナは暗号資産の世界的中心地の1つになるチャンスを手にしているのであり、この機会を無駄にしてはならないのである。

編集部注:本稿の執筆者David Kirichenko(デビッド・キリチェンコ)氏はEuromaidan Pressの編集者。サイバースペース、デジタル通貨、経済、テクノロジーについて執筆している。

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(文:David Kirichenko、翻訳:Dragonfly)

DeFiにおけるプライバシー確保のために、Sienna Networkが自動マーケットメーカーSiennaSwapを導入

DeFi(分散型金融)に未来があるならば、プライバシーを重視した金融ブロックチェーンプロジェクトの台頭は、非常に重要な意味を持つことになるだろう。人々は「通常の」金融生活においてプライバシーを期待するようになっている。ブロックチェーンや暗号資産の世界でも、それを期待するようになるのは当然だ。

そんな動きが始まっている気配を、我々が感じたのは2021年5月のこと。プライバシーを重視したスマートコントラクトプラットフォームであるSecret Network(シークレットネットワーク)ブロックチェーンが、Arrington Capital(アーリントン・キャピタル)とBlocktower Capital(ブロックタワー・キャピタル)から投資を受けたのだ。さらに同時期に、分散型金融企業のSienna Network(シエナ・ネットワーク)が、機関投資家や一般の支援者から1120万ドル(約12億5000万円)を調達したことも明らかになった。

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Siennaが前述のSecret Network上に構築されていることは偶然ではない。そして米国時間10月7日、Siennaはそのプラットフォーム上で動作する自動マーケットメーカー(Automated Market Maker)の「SiennaSwap(シエナスワップ)」を導入した。これによって、Siennaトークンの保有者は、トークンをプライベートな等価物に変換し、それを交換したり、流動性プールに預け入れたりして、利回りを得ることができるようになった。

これは、ユーザーが何をしているかを他人に見られてしまう取引所のプライバシーの欠如や、現在の暗号取引の重大な弱点である「フロントランニング」によるさや取りを、ユーザーが回避できるようになるということを意味する。

このプライバシーという点においては、Uniswap(ユニスワップ)やPancakeSwap(パンケーキスワップ)などのDEX(分散型取引所)も、暗号エコシステム上で効果を発揮している。しかし、SiennaSwapが差別化を謳っているのは、そのプライバシー保護機能で、フロントランニングの問題に対応していると、Siennaでは主張している。同社はCøsmos Ecosystemの一員でもあり、そこではほぼ毎日のように多くの新しいプロジェクトが立ち上がっており、多様性がさらに高まっている。

SiennaによるSiennaSwapの発表は、5月に行われた1120万ドルのトークンの非公開および公開セールに続くものだ。非公開セールでは、Magnus NGC(マグナスNGC)、Inclusion Capital(インクルージョン・キャピタル)、Lotus Capital(ロータス・キャピタル)、FBG、SkyVision Capital(スカイビジョン・キャピタル)などの投資家から1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。

Sienna Networkが、カーボンフレンドリーなPoS(Proof-of-Stake、プルーフ・オブ・ステーク)ブロックチェーンであり、マイニングに大量の電力を必要とするビットコインのようなPOW(Proof-Of-Work、プルーフ・オブ・ワーク)ブロックチェーンよりも、はるかに少ないエネルギーしか必要としないことも、おそらく注目に値するだろう。

Secret Foundation(シークレット・ファンデーション)の創設者であるTor Bair(トー・ベア)氏は次のように述べている。「Siennaの発表は、SecretのDeFiエコシステムにとっても、DeFi全般にとっても、大きな転換点となります。デザインされたプライバシーをユーザーに提供することは、これらの新しい金融プラットフォームの安全性と拡張性を確保するために不可欠であり、つまりこれは、Siennaが新しい爆発的な成長を生み出す素地を作っていることを意味します」。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】NFT、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力と高まる関心における間違い

ゲームが普及するスピードは、そのエコシステムにあふれる新しいバズワードのペースに並び他に類を見ない。マーケターやディシジョンメーカーは、ゲーム業界でのビジネスチャンスについて、すでにFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)に陥っており、常にキャッチアップしているだけでは事足りず、ゲームにおけるブロックチェーンの活用や「メタバース(インターネット上の仮想世界)」などの話題性のあるトレンドに食いつき、さらに先取りをしようとしている。

ブロックチェーン、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力は明らかだ。ゲームは常にデジタル所有権(ゲームプラットフォームであるSteamの功績により、ゲームや、おそらく映画などの他のメディアにおけるこの概念が標準化されたといえる)の最前線にある。また、メタバースのビジョンが、分散化されたデジタル所有権を有するゲームに共通する仮想環境に依存していることも多くが認めるところだ。

デジタル所有権とメタバースのそれぞれをどう見るかはさておき、筆者はこの2つがゲームの未来に相互作用を発揮すると考えている。しかし、この流行りの話題が成功するかどうかは、現時点では見過ごされている重要なステップにかかっている。

まず、ブロックチェーン、もっと具体的にはNFT(非代替トークン)の例を見てみよう。多くのゲームでは、希少性が高く、多くの場合あちこちに隠された、さまざまなアイテムを集めることで、モンスターを倒し、強力な武器を手に入れ、さらに強いモンスターを倒し、もっと強力な武器を手に入れたりといった中核となる「ループ」が形成されている。また「スキン」(ゲームキャラクターのさまざまな衣装やアバターアイテム)を集めることは、ゲームにおけるマイクロトランザクションの定番の1つだ。

現在、NFTは、不変で追跡可能でありオープンな価値を持つさまざまなレアアイテムと自然に調和するものとして位置づけられている。最近発売された「Loot(for Adventurers)」では、NFTをファンタジーを呼び起こすための仕かけと簡単に説明し、他のクリエイターが世界を構築するためのツールとして提供するという斬新なアプローチをとっている。Lootのように、NFTアイテムを中心としたゲームが開発されることは想像に難くない。

関連記事:NFTを使った新プロジェクト、まだルールも存在しないが価値を生み出す「Loot」に熱中するのか?

同様のことは以前にも行われたことがある。上記のような「Loot式のループ」を持つゲームの開発者は、ゲームの利用規約に反しゲーム通貨やアイテムを取得して他のプレイヤーにリアルマネーで販売する「ゴールドファーマー」の問題を長年抱えてきた。そして、その解決策として、ゲーム内に「オークションハウス」を導入することで、プレイヤー同士がリアルマネーでアイテムを購入できるようにしたのだ。

ところが、これには望ましくない副作用があった。著名なゲーム心理学者であるJamie Madigan(ジェイミー・マディガン)氏によると、人の脳は、思いがけない有益な報酬に特別な注意を払うように進化しているという。ゲームの楽しさの多くは、予想外の報酬をランダムに獲得できることにあるが、あけすけな報酬がリアルマネーで簡単に手に入ることになると、ゲームのそういった楽しさが奪われてしまうことになる。

ゲームに関連して、現在議論されているNFTの用法は、ゲームの核となるループを経済的な近道によって潰してしまうといった罠に陥る危険性が高いといえる。この現象の最も極端な例では、ゲームにおける最大の罪を犯している。つまり「Pay to Win(金を払って勝つ)」という類のゲームでは、大きな資金を持つプレイヤーが、対戦ゲームの用具における優位性を獲得できるのだ。

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)のようなブロックチェーンゲームは「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」というコンセプトのもとで急速に熱を帯びている。これはブロックチェーンゲームの環境でトークン化したリソースやキャラクターを獲得し、それを売却することで、プレイヤーが収益を得られるというものだ。これが「金を払って勝つ」とほとんど同じシナリオじゃないかといわれれば、それはその通りだろう。

それが今の状況下で重要であるかどうかは、あまりはっきりしていない。NFTの潜在的な市場価値やプレイによる収入の可能性ではなく、ゲームのコアそのものに関心を持つ人はいるのだろうか。より本質的にいえば、実世界での収益がポイントである場合、それは本当にゲームなのだろうか、それとも、上記のような「ゴールドファーミング」が不正な行為ではなく、むしろゲームの中核的メカニズムであるような、ゲーム化されたミクロ経済に過ぎないのだろうか。

ブロックチェーンを中心とするテクノロジーや文化は、ごく少数の人が関心を持つような非常に難しい問題を解決する力を高めてきた。テクノロジーにおける多くの問題と同様、そのソリューションには、より人道的なアプローチからの再評価が必要だ。ゲームの場合、これらのテクノロジーが主流の推進力になる前に、根本的なゲームの楽しさやゲーム心理の問題に取り組む必要がある。

これに関連する例として、メタバースに目を向けてみよう。ゲームに興味がない人でも、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebook(フェイスブック)の将来を賭けたこのコンセプトについては、耳にした人もいるだろう。しかし、盛り上がってはいるものの、根本的な問題は、それが単に存在しないということだ。最も近いものとしては、「Fortnite(フォートナイト)」のような巨大なデジタルゲーム空間かRoblox(ロブロックス)のようなサンドボックスだ。また、多くのブランドやマーケターは、ゲームを理解することに取り組まずに、いつまで経っても実現しない可能性のあるチャンスをつかもうと近道を探している。

ゲームは、メタバースの補助輪と見ることができる。仮想空間についてのコミュニケーション、ナビゲート、思考の方法は、すべてゲームを基盤とするメカニズムやシステムに基づいている。極言すれば「メタバース」を最初に実現するのは、こうしたスキルに磨きをかけ、バーチャルな環境に身を寄せることを楽しんでいるゲーマーたちかもしれない。

そろそろパターンが見えてきたのではないだろうか。ゲームの「今」という視点をあまり持たずに、ゲームの「未来」のアプリケーションに対する関心が高まっている。社会学から医学に至る広い分野でゲームが思考に与える影響について認識されたため、学術の世界では2000年代初頭からゲームの研究が急速に盛んになったが、ビジネスの世界では最近まであまり感心が持たれていなかった。

その結果、マーケターやディシジョンメーカーは、なぜそのようなものが重要なのか、そのようなものを手に入れたときに何をすべきなのかといった当たり前の背景を知らずに、新しい大きな話題を追いかけることに全力を尽くしているのだ。ゲームの発展は大きな可能性を生み出しているが、その可能性をめぐる議論は、関心の方向性が間違っていることもあって、まだ十分に洗練されていない。

この死角から抜け出すためには「金を払って勝つ」のような近道はない。勝つためには労力を惜しんではならない。

編集部注:Jonathan Stringfield(ジョナサン・ストリングフィールド)博士は、Activision Blizzard Media and Esportsのビジネスマーケティング、計測、インサイト部門のVP兼グローバルヘッド。

画像クレジット:Gunes Ozcan / Getty Images

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(文:Jonathan Stringfield、翻訳:Dragonfly)

NFTスタートアップのDapper Labsが有名バーチャルインフルエンサーを生み出したBrudを買収

「NBA Top Shot(NBAトップショット)」を開発したNFT(非代替性トークン)スタートアップ企業で、最近75億ドル(約8350億円)以上の評価を受けたDapper Labs(ダッパー・ラブズ)は、米国時間10月4日、興味深い買収を行った。暗号資産関連メディアのDecrypt(デクリプト)によると、Dapper Labsはバーチャルインフルエンサーを手がけるスタートアップ企業Brud(ブラッド)を買収し、32人の従業員全員を雇用するという。

Brudは、デジタルレンダリングされたソーシャルメディアのインフルエンサーキャラクターでよく知られており、特にLil Miquela(リル・ミケーラ)というキャラクターが有名だ。同社が2018年に投資家の注目を集めた際には、追従する他のプレイヤーをいくつか出現させたものの、バーチャルインフルエンサーという分野が爆発的な関心を集めることはなく、長年にわたり非常にニッチな領域に留まっている。Brudが作り出したキャラクターたちは、 Instagram(インスタグラム)上で架空の生活を送ってフォロワーを増やし、同社の評価額は1億2500万ドル(約139億4000万円)に達している。Dapperは買収額を明らかにしていない。

rev rはエンジニアを募集中! DMください

Twitter友達のみなさん、私は今日、BrudがDapper Labsに買収されたと発表できることにとても興奮しています。

私たちは、Flow Blockchain上でDAOによる分散化され、集団で所有するメディアとソーシャルの未来を一緒に作っていきます。

ここで最も適切な質問は、DapperのようなNFTスタートアップが、リル・ミケーラ(現在は単にミケーラ)に何を求めているのかということだ。

まあひと言でいえば「それほど多くは求めていない」ということになるだろうか。Brudの創業者であるTrevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏は、暗号資産の世界に深く入り込んでおり、自分が設立した会社の焦点を、DAO(自律分散型組織)による集団的意思決定に移しつつある。Dapperの中心的な関心はそこにあるようだ。マクフェドリーズ氏はすでに、最も人気の高いDAOの1つである「Friends With Benefits(フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)」を共同設立している。DAOは、ユーザーがチームを組んで集団で投資判断を行うために役立つ。暗号資産界の開発者たちが、この分野で大胆なプロジェクトを作り始めたことから、この1年ほどで人気が高まっている。

マクフェドリース氏は、Miquelaの開発は継続するとしながらも、今後はDapper Labs内に新設されるDapper Collectives(ダッパー・コレクティブズ)という部門を率いて、同社の「Flow」(フロー)」ブロックチェーンを活用しながら、DAOをより使いやすく、新世代の暗号ウェブユーザーが利用しやすいものにすることに注力していくという。

画像クレジット:Brud

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

国境を越えて存在、爆発的に増えるDAO(自律分散型組織)のための運用システムを構築するUtopia Labs

最近、DAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)というものが流行している。トークンやスマートコントラクトを基盤に会社を作る試みが、爆発的に増えている。そして、新しいタイプの組織が誕生すると、インフラストラクチャの必要性も高まる。

Utopia Labs(ユートピア・ラボ)を創設した4人は、数カ月前にDiscord(ディスコード)とTwitter(ツイッター)で出会ったという。ブロックチェーン技術によって、すべてが信じられないほど速く動いているWeb3.0の世界では、そんな話を耳にすることもますます増えている。

CEOのKaito Cunningham(カイト・カニンガム)氏は、最近まで暗号資産企業のM31で働いており、On Deck(オン・デック)のCatalyst(キャタリスト)プログラムに参加している。共同設立者であるPryce Adade Yebesi(プライス・アダデ・イェベシ)氏、Alexander Wu(アレクサンダー・ウー)氏、Jason Chong(ジェイソン・チョン)氏も、FacebookのインターンシップやLunchClub(ランチクラブ)、Microsoft(マイクロソフト)などで、各々が技術系の仕事に携わっていた。しかし、DAOへの関心が彼らを引き寄せることになる。チャットで交流を始めた彼らは、最終的にこの分野のための開発を行うことになった。

DAOの爆発的な流行についてよく知らない人のために簡単に説明しておくと、DAOとは、従来であれば合同会社とか株式会社といった構造を必要とする、1つの命題の元に人々が集まってコミュニティを運営するに当たり、それらに代わってブロックチェーンソリューションを取り入れた組織形態のことだ。要するに、レガシーな法的構造ではなく、スマートコントラクトによって管理される会社構造である。最近の報告によれば、上位20のDAOが保有する暗号資産は、2021年初めの10億ドル(約1110億円)から60億ドル(約6660億円)以上に増えていると推定されている

曲線に描いてみると、その成長の可能性が莫大であることがわかるだろう。そして、DAOの大部分は国際的な境界線を越えてグローバルな規模で活動しているため、契約が終了した後に引き継がれるインフラ(給与、経費、トークンの配布、人事管理など)の構築には大きなニーズがある。

Utopia Labsは、そんなDAOのためのさまざまなインフラツールのスタックを構築しており、まずは支払いの分野から始めているところだ。そのために同社は、投資家グループから150万ドル(約1億6700万円)を調達し、フルスタックエンジニアとフロントエンドエンジニアの雇用を開始した。

この投資ラウンドは、Zora(ゾラ)やBitski(ビツキ)のような最先端の暗号プラットフォームに投資してきたKindred Ventures(キンドレッド・ベンチャーズ)が主導し、Syndica DAO(シンディカDAO)、4th Revolution Capital(フォース・レボリューション・キャピタル)、Ascend Venture Capital(アセンド・ベンチャー・キャピタル)の他、Brud(ブラッド)のTrevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏、これも大手DAOであるFriends With Benefits(フレンズ・ウィズ・ベネフィット)のAlex Zhang(アレックス・チャン)氏、ZoraのTyson Battistella(タイソン・バッティステラ)氏、On DeckのAnirudh Pai(アニルーダ・パイ)氏、Binance(バイナンス)のColin Goltra(コリン・ゴルトラ)氏、YGGのGabby Dizon(ガビー・ディゾン)氏、Spartan Fund(スパルタン・ファンド)のJason Choi(ジェイソン・チェ)氏、Stripe(ストライプ)のJeff Weinstein(ジェフ・ワインスタイン)氏、Junaid Hassan(ジュナイド・ハッサン)氏などのエンジェル投資家が参加している。

関連記事:暗号通貨によるマーケットプレイスZoraが、クリエーターのための持続可能なエコノミーを構築するため200万ドルを調達

信じがたいほど先進的に聞こえるかもしれないが、確かにその通り。チームがこの会社を設立したのは9月のこと。そう、まだ1月も経っていないのだ。彼らはWeb3.0の世界に活気を与えるこの分野でチャンスを見つけ、飛び込んだのだ。

多くのDAOでは、メンバーへの支払いを独自のトークンで行い、組織の所有権を高めることで、メンバーに将来的に大きな報酬を得る機会や、すぐに換金能力を得る機会を提供している。Utopiaは、ほとんどのDAOの財務基盤であるGnosis SAFE(グノーシス・セーフ)の上に構築されている。そのV1製品は、メンバーの支払いと請求書のワークフローに焦点を当てたものだ。

大多数のDAOは、データの未加工ダンプに基づいてトークンの配布や支払いを運用している。諺にもあるように、CSVを見ればビジネスチャンスがあるのだ。

Utopiaのチームは、DAOが請求書や償還請求を受け取り、支払い、管理できるように、請求書や償還請求のワークフローを構築したという。また、DAOが複数の人やコインにまたがる支払いを1つのトランザクションにまとめることができる、オールインワンのトランザクションも構築した。

次のステップは財務分析と会計だ。Etherscan(イーサスキャン)のダンプを使って手作業による会計処理を避けるために、支払いにラベルとメタデータを付与する。

将来を見据えたロードマップには、従来のフィアット通貨サービス、クロスチェーンDAO、現実世界のコンプライアンスワークフロー、DAOエコシステムのパートナーシップが含まれている。

DAOの世界は現在、非常に勢いがあり成功が見込める数十の組織があるが、それらを本当に効率的なものにするためのインフラはほとんどない。2016年にThe DAOがEthereum(イーサリアム)を脱線させそうになって以来、実に興味深く多様な状況が長く続いている。今日の多くのDAOは、ネットワーク規模よりも企業規模だが、動きが速くてお金の入れ物よりもクールなものを作っている。

Friends with Benefitsの共同設立者であり、DAOの探求者でもあるCooper Turley(クーパー・ターリー)氏は「オンチェーン・ペイロールは、DAOを真にクリプト・ネイティブなものにします」と語っている。「世界の隅々から何十人ものメンバーが貢献している世界では、給与、インセンティブ、バウンティを自動化することが、DAOを拡大させる唯一の方法です」。

Utopia Labsが行っていることに加えて、Multisafe(マルチセーフ)、Commonwealth(コモンウェルス)、Parcel(パーセル)、Colony(コロニー)は、DAOインフラストラクチャーの分野で注目すべき名前である。

画像クレジット:Yorke Rhodes

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TikTokがNFT市場に参入、トップクリエイターの作品を販売

2021年、NFT(非代替性トークン)の分野はかなりの盛況を呈している。数千億円規模の暗号化投機を、潜在的なインフラの変化から切り離すことは難しいかもしれないが、多くの主だったテック系企業がこの分野に足を踏み入れ、今後の関心を示している。

そして今度はTikTok(ティックトック)の番だ。全世界の月間ユーザー数が10億人を突破した急成長中のソーシャルメディアプラットフォームは、Lil Nas X(リル・ナズ・X)氏、Grimes(グリムズ)氏、Bella Poarch(ベラ・ポールチ)氏、Rudy Willingham(ルディ・ウィリンガム)氏、Gary Vaynerchuk(ゲイリー・ヴェイナチャック)氏などのトップクリエイターのコンテンツを活用し、独自のNFT作品を用意している。

今回の唯一限定のNFTのリリースは、アプリ内のユーザーにNFTを提供することが目的というよりも、既存のNFTコミュニティに話題を提供することに重点を置いているように思われる。

TikTokは、ブロックチェーンのエネルギー問題を回避するために、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションであるImmutable X(イミュータブル・エックス)を活用した専用サイトにNFTを置き、このサイトを利用して取引されたNFTは「100%カーボンニュートラル」であると述べている。NFTの公開は、10月6日にLil Nas Xのコレクションから始まり、月末まで続く予定だ。

そもそも、なぜTikTokはNFTの世界に参入するのだろうか?それについては、TikTokのドロップサイトにかなり的確な答えが書かれている。

TikTokのクリエイターコミュニティの創造性と革新性に触発され、TikTokは新たなクリエイターを力づけるツールとしてのNFTの世界を模索しています。NFTは、クリエイターがコンテンツを評価され、報酬を得るための新しい方法であり、ファンはTikTokにおいて文化的に重要な瞬間を所有することができます。

TikTokで生まれる創造は、文化を牽引し、社会に影響を与えるトレンドの発生を後押しします。TikTokは、このような文化的に重要な瞬間をキュレーションし、著名なNFTアーティストと組み合わせることで、NFTの世界に格別で画期的なものをもたらします。

これまでTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)のようなレベルのNFTに対する関心を示してこなかったTikTokにとって、これは明らかにニッチな初期の試みではあるものの、同社がNFTは注目に値する分野であると考えていることを表すものでもある。

関連記事:ツイッター「ビットコインのチップ」「NFTの認証」「スペースの録音」、クリエイター向けファンド」など新機能ラッシュ再開

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「Guardian」のオーナー企業がサブスクやメンバーシップ用に設計されたNFTプロトコルUnlockに投資

クリエイター経済における収益化は大きな課題であると同時にチャンスでもある。だがクリエイターがその価値を実体化するためには、Patreon(パトレオン)のようなプラットフォームに閉じこもるしかないのが現状だ。だがもっと良い方法は、複数のプラットフォームにまたがるクリエイターのための会員制システムを作ることだ。

このたび、GMG Ventures(「The Guardian」の親会社)が、コミュニティのメンバーシップを収益化・管理するために設計された、イーサリアムベースのオープンソースプロトコルの開発者であるUnlock(アンロック)に投資を行った。

今回の400万ドル(約4億4500万円)の資金調達ラウンドは、Betaworks、Cygni Labs、GMG Ventures、Metacartel Ventures ChinaなどのVC企業が主導し、初期投資家たちも参加している。

Unlockによれば、そのメンバーシップ / マネタイズソリューションは、アーティスト、ミュージシャン、ゲーム開発者(Decentralandも含まれている)、ライター、Discordコミュニティなどに利用されているという。また、同社のプロトコルを採用している大手メディアブランドとの提携も予定している。

UnlockのCEOであるJulien Genestoux(ジュリアン・ジェネストゥ)氏は「これまでに調達した資金で、Unlockは目標を達成するために、最も完全なオープンソースのプラットフォームになるための成長を続けます」と語る。

ジェネストゥ氏は、Medium(メディウム)が買収したRSSフィードAPIであるSuperfeedr(スーパーフィーダー)を開発した経験を持つ。

2018年に設立されたUnlockは、イーサリアムのブロックチェーンにすべての取引を記録するNFTベースのプロトコルだ。考えられる利用例としては、たとえばWordPressのプラグインを使うことで開発者が会員制 / 購読制のオプションを追加することができたり、コミュニティが作成したShopifyのプラグインを使えば小売業者は自分のウェブサイトにUnlockを利用した購入オプションを追加することができたりする。

Cherry VenturesのThomas Lueke(トーマス・ルーケ)氏は「Unlockが開発するクリエイターコミュニティメンバーシップためのオープンソースプロトコルは、今後数年間でクリエイターがファンと交流し、成長していく方法を再定義するものとなるでしょう」という。「私たちは、この分野での活躍を続けるUnlockの成長を祝えることを楽しみにしていますし、同社に投資できたことをうれしく思っています」。

画像クレジット:Julien Genestoux, Unlock Protocol

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

Gaudiyがアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」でNFTや分散型ID活用のコミュニティサービス提供

Gaudiyがアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」でNFTや分散型ID活用コミュニティサービス提供

ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開するGaudiyは9月28日、フジテレビが主宰する世界最大級のアイドル・フェスティバル「TOKYO IDOL FESTIVAL」(TIF。ティフ)において、アイドルとファンをつなぐ参加型コミュニティサービスや、NFTを活用した多様なエンタメ体験を提供すると発表した。

TIFは、2010年の第1回開催から、アイドル文化の熱の高まりとともに年々参加者を増やし、2019年には約9万人の来場を記録したという。2020年はコロナ禍により初のオンライン開催を実施、2021年は10月1日からの3日間にわたり、お台場会場とオンライン双方での開催を予定している。その中でGaudiyは、ソニー・ミュージックエンタテインメントと協業し、TIFに集うアイドルとファンをつなぐ参加型コミュニティサービス「TIFコミュニティ」を提供する。Gaudiyがアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」でNFTや分散型ID活用コミュニティサービス提供

TIFコミュニティでは、オンラインチケットの購入や高品質なライブ配信視聴に加え、イベントの情報収集、企画の発信や参加、アイドルグループごとのファンコミュニティの構築などが可能。ファン活動の幅を広げ、ファン同士の交流を活性化することで、TIFにおいて「3日間の祭典で終わらせない」熱量の高いファンエコノミーの形成をサポートする。

TIFコミュニティで提供する新しいエンタメ体験

  • NFTオンラインチケット:オンライン配信チケットをNFTで提供。唯一無二のNFTチケットには、オンライン配信の閲覧権だけでなく、のちに特典などの様々な価値を付加する
  • オンラインLIVEでのNFTサイン会:TIFオンラインチケット所有者は、配信特典「通りすがりチャンネル」で参加できる、オンラインLIVEサイン会「TIF NFT LIVEサイン!」を開催。このサイン会では、TIFの会場を映す定点カメラの前を通りがかったアイドルがサインを書くその時に、定点チャンネルを試聴している者だけが限定サインを入手できる
  • ファンが共創するTIF投票:TIFコミュニティ内の誰でも参加できる、アイドル応援の投票企画。ファンが、皆に知ってほしいアイドルや名シーンを投票すると、その票をもとに複数のアワードが決定、各賞ごとに記念NFTが配られる。このNFTは、TIFコミュニティにおけるファン共創のガバナンス(投票権)としても活用される
  • ファン活動のあらゆる情報を個人に紐付ける「TIF ID」:ファンが使用するプラットフォームやサイトの垣根なく、あらゆるファン活動を記録する分散型ID(DID。Decentralized-Identity)「TIF ID」を提供。ひとつのIDに情報を共通化することで、ファン活動の思い出や記録を保存し、来年のTIFにもつなげられるという

Gaudiyは「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに、エンターテインメント産業の課題を解決するため、ファンエコノミーの構築を推進するスタートアップ。大手IPホルダーと協業し、漫画、アニメ、ゲーム、スポーツ、音楽などの総合エンタメ領域で、IPコンテンツとファンを直接つなぐコミュニティサービスなどを展開している。ブロックチェーン技術などの先端テクノロジーを強みに、日本が誇るIPコンテンツから世界規模のビジネス展開を目指す。

既存のエンタメ産業では、AmazonやYouTube、Spotifyといった外部プラットフォームを介してコンテンツを届ける構造になっていることから、表現できるエンタメ体験の幅に限界がある、顧客基盤を自社に形成できない、といった課題がある。さらに、ファンの熱量を維持・向上することが昨今の課題となっているものの、複数のプラットフォームにユーザー情報や活動データが分散することで、最適なアプローチを行うことが困難になっている。

そこでGaudiyでは、ファンの熱量から成り立つ「ファンエコノミー」を構築することが、このようなエンタメ産業の課題を解決すると考えているという。Gaudiyがアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」でNFTや分散型ID活用コミュニティサービス提供

暗号資産取引所Coinbaseの口座への給与振込が可能に、まずは米国で展開

暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)はいくつかの新機能を発表した。同社は米ドルをさまざまな暗号資産に変えられる取引サービスでよく知られているが、ユーザーがこれまで以上に多くの金融サービスで同プラットフォームを活用できるようにするために消費者サービスを拡大する。

まず、間もなく米国で口座振替の機能を立ち上げる。この機能ではユーザーは支払われる給与の一部をCoinbaseに預け入れることができる。Coinbaseアプリのユーザーは現在給与を支払っている会社あるいは雇用主をアプリで見つけて、そこから給与の分配を更新できる。最も積極的なユーザーは給与全額をCoinbaseの口座に入れることを選ぶのではないだろうか。

Coinbaseの口座に入金されると、ユーザーはCoinbaseに米ドルをどのように扱わせるかを決められる。単に全額を米ドルのままにしておくこともできるし、全額を暗号資産に変えることもできる。

ユーザーはCoinbaseで利用できる暗号資産から選べる。この機能は、もしあなたがいちいち考える必要もない繰り返しの購入を設定したい場合に特に便利だ。

口座振替は、CoinbaseがMarqetaの手を借りて、Apple PayとGoogle Payで使える自前のVisa(ビザ)デビットカードを提供していることを考えると理に適っている。つまり、Coinbase口座での入出金ができることになる。

Coinbaseアプリから、ユーザーはカード決済のためのソースウォレットを選ぶことができる。カードを使うたびに、Coinbaseがユーザーの暗号資産を米ドルに2.49%の決済手数料で替える。

カード決済ではまたリワードも受けられる。現在、リワードにはDAI、ETH、DOGE、BTCでの1%還元、GRT、XLM、AMP、RLYでの4%還元がある。なので決済手数料でお金を使い、リワードで少し稼げる。

ユーザーはまた直接米ドルを使うこともできるようになっている。その場合、カード決済での手数料は発生しない。CoinbaseはここしばらくCoinbase Cardをテストしていて、2021年10月から誰でも使えるようになる見込みだ。

Coinbaseはすでに米国の何百万人という人にとって重要な金融アプリだ。そうした顧客を抱える同社が使用を増やすために新しいサービスを追加するのは何ら不思議ではない。Coinbaseはモバイルアプリに新たに「アセット」「取引」「支払い」「あなたのために」の4つのタブを加える。そしておそらく一部のユーザーはCoinbaseのアプリをこれまでよりも少し頻繁に使うことになり、銀行アプリの使用が少し減ることになる。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTを使った新プロジェクト、まだルールも存在しないが価値を生み出す「Loot」に熱中するのか?

米国時間8月27日、Dom Hofmann(ドム・ホフマン)はNFTというレンズを通してゲームを見たり、ゲームを作成したりする新たなプロジェクトの1つ、Loot(ルート)の立ち上げについてツイートした。

「NFT」「ガス代」「ミンティング」という言葉が聞き慣れないなら、手短に説明する。このプロジェクトは、ユーザーがお金を出して、暗号資産や一般的には絵(または懐疑論者が喜んで使うJPEG)など他のデジタル収集品の保存に使用しているものと同じウォレット(Rainbowなどのアプリ)に保存できる、ユニークなアイテムリストを作成するものである。

もう一度いう。ユニークなアイテムリストである。芸術作品や、品質比較のための統計、そのような統計の情報源となるゲームルールなどではない。

人々はそういったユニークなリストを得るためにお金を出した。何千ドル(何十万円も)も。NFTでそうであるように、市場はこのユニークなリストを中心として形成された。「底」つまりLootの「バッグ」を買う最低価格は、何千ドル分のイーサリアムにまで高騰した。このようなリストの中でも特定の種類のアイテムはクールな印象があるが、セット全体を分析すると結果レアであることがわかり、それらが入ったバッグの価値はうなぎ上りになった。

そして人々は芸術のような欠落した要素を補い始めた。基本のリストを根本的に変えるのではなく、特定のリストのアイテムを明らかに参考にした新たな作品を創造しているのである。

そしてそのリストそのもののように、人々はアートを生み出すためにアルゴリズム的アプローチを取り入れ始めた。

8月31日までに、次のような人々のコミュニティを識別できた。

  • 特定の種類のアイテムが入ったバッグに投資する
  • Lootのアイテムを可視化し、このニッチな市場の価格変動を監視するためのツールを作成する
  • Lootのバッグの中にある探検用の道具を持った理論派のエクスプローラーのためのレルムを作り出すなど、新しく派生したプロジェクトに取り組む

それ以外に、これらのアイテムにはまだゲームルールが存在しない。それを装備したキャラクターを持つことが何を意味するかも含めて。

おい、あれは何だ?   そうか、統計も作成できたのか!

このツイートはまさにこの現象全体の核心を突いている。

1週間足らずで、コミュニティはただの文字のリストから、そのアイテムの無数のイラストレーションへ、そのアイテムが存在しキャラクターが権力を持つ世界へと進化した。すべてがシンプルなプリミティブを選び、それに価値をもたらす文脈を生み出しているのだ。

魔法のような話である。しかし創造の発起に投機的な見方があったとして、これらのバッグが最低1万ドル(約110万円)もしたら、どれほどの人が参加するだろうか?一方、ゲームの作成を単なる娯楽と捉えるなら、バッグとアイテムはすべてイーサリアムのネットワーク上で生きているのだから、組み込むものを無料で作成できるのである(現在イーサリアムの使用に関連する手痛い手数料は含まない)。

そしてもしこれらのユニークな物を自身のウォレットに入れておくことであなたが本当に参加できることが真に重要なら、人々はそこにおもしろい道筋をも見出しているだろう。

隠語を使い過ぎてしまったなら、もう一度要約しよう。増加傾向のLootを組み込める相互互換のアプリやゲームで遊ぶことを目的として、これらのアイテムを「持つ」ことを無料にするための実現可能な道筋がある。大金を稼げるレアアイテムの入った本格的なバッグだけではない。

ああ、あなたがLootのバッグの中にあるアイテムの一部が好きで、しかしあなたのエクスプローラーが落っことした多数の物の中から他のアイテムと色々組み合わせることを望んだらどうなるか?

1週間しないうちに、すでにアンバンドリングにより中断している!

悪いけど、なぜおもしろいの?

Marvel Cinematic Universe(マーベル・シネマティック・ユニバース)はMarvel Comics(マーベル・コミック)とともに、そのアイコニックなスーパーヒーローのキャラクターに基づく初の映画4本に出資するため、10億ドル(約1100億円)のローンを組んだ。これらのキャラクターの認知の種は、コミックやテレビへの何十年間もの露出により大衆の心にまかれ、大ヒット映画における初登場につながった。人々が読みたくなるような、次の巻も読みたくなるほど心奪われるような、そのキャラクターのためのすばらしい物語を作成するためにおそらく何百人ものライターとアーティストが何十年も報酬を受け取ってきた。人々は自身とおかしな出自のキャラクター(放射能を浴びた蜘蛛に噛まれLootか!)を緊密に結び付けているのである。

これはすべて、トップダウン、企業、量産型の文脈で起きたことである。マーベルの一部のクリエイティブは影響力の強い仕事をフリーランスや社内勤務ベースで行い、プリンタはトンレベルの印刷物を刷り上げ、サプライチェーンは国中の漫画販売店や安い雑貨店に発行物を流通させた。ドミノのように、Stan Lee(スタン・リー)は50年後の新たなスーパーヒーロー(設定、この日とはヒッピーではなく、武器製造の実業家!)のことを考えている。「アベンジャーズ/エンドゲーム」とブラックパンサーが大ヒット作の定義を永遠にねじ曲げる。

しかし、誰かがディズニーと大接戦する代わりにコミュニティとしてのMCUの競合他社を作りたいと考えていたらどうか?

先週のLootから推定……。

あなたはスーパーヒーローの名前と関連付く力を生み出すための契約を解放するだろう。それらのヒーローを鋳造し、彼らは自由市場で取引を始める。人々はどの力がレアか(特にかっこよく聞こえるもの)判断するツールを作るだろう(「飛行」は非常に簡単)。

彼らはそのヒーローを想像し、自らイラストを描き、かっこよく見えるようなアーティストに委託するだろう。最終的にはコミュニティの技術系の人々がキャラクターのアートを一般的なスタイルで生み出すことができる、またはカギとなる一部のパラメータによりカスタマイズ可能なツールの組み合わる大変な部分を担うことになるだろう。

最終的に、人々はさまざまな層を引き付けるアートを委託したら、共有されたストーリーラインまであと一歩である(1つ依頼された作品で複数のキャラクターの価値が上昇!)。

DAO、すなわち暗号資産空間で新たなプロジェクトを作る、またはともに投資「だけ」するために集まる人々の分散的なグループが、ヒーローの名前+力を含む基礎アイテム、およびそれらがインスピレーションを与えた人気の芸術作品の価値を高めることを目的として、もっと人気のキャラクターを買い占め、より精巧なビジュアルストーリーを発注するかもしれない。

そして、プロジェクトの創作者はLootの時代精神の方向性に合わせて進むと仮定すると、このすべてが誰でも再利用しリミックスできるIPになるだろう。おかしな話に聞こえるかもしれないが、それを所有するということ、所有するということは、それがどうやって使用されるか管理することではないだろうか?

それがディズニーの現状である。Lootのようなプロジェクトの世界で、あなたは所有するNFTの価値、そしてNFTの名声と評判を反映する価値を強化したいと考える。「すべての記事は良い生地」という言い回しを繰り返そう。どのリミックスも良いリミックス。参照されるということは、今も文化的に妥当ということだ。クモ人間を説明するNFTを所有しているのであれば、多くの人が可能であれば「クモ人間」を作品に登場させたいと考える環境に貢献したいと思うだろう。そうすればクモ人間No.1は所有するに値するようになる。

Dylan Field(ディラン・フィールド)について詳しくお話ししよう。

そしてJohn Palmer(ジョン・パーマー)は特別なことを強調している。「『No』と言える人がいない。人々はいかにLootをクールにするか見つけようとするのだから」。

編集部注:Kyle Russell(カイル・ラッセル)はユーザーが自身のスマホでゲームを作成できるようにするスタートアップ企業、Playbyte(プレイバイト)の創設者。

画像クレジット:Loot

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(文:Kyle Russell、翻訳:Dragonfly)

中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

中国人民銀行(中央銀行)は現地時間9月24日、国家安全保障と「国民の資産の安全」に関する懸念を理由に、すべての暗号資産(仮想通貨)関連の取引は国内では違法であり、全面的に禁止すると発表した。また、世界一の人口を抱える同国は、海外の取引所が国内のユーザーにサービスを提供することも禁止すると表明した。

中国の10の政府機関は、共同声明の中で、国内での暗号資産の取引を「高圧的に」取り締まるために緊密に協力する意向を表明。また人民銀は、インターネット企業、金融企業、決済企業に対し別途、自社プラットフォーム上で暗号通貨取引を促進しないよう命じた。

人民銀は、Bitcoin(ビットコイン)やTether(テザー)を含む暗号資産は不換紙幣ではないため、市場に流通させることはできないとしている。暗号資産の利用が急増したことで、「経済・金融秩序」が乱れ、「マネーロンダリング、違法な資金調達、詐欺、ネズミ講、その他の違法・犯罪行為」が急増しているという。

違反者は「法律に基づいて刑事責任を追及される」と人民銀は警告している。

中国政府は「国民の財産を保護し、経済・金融・社会の秩序を維持するために、仮想通貨の投機、および関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」と人民銀は声明で述べた。

この動きは、すでに一部の暗号資産トレーダーの間でパニックを引き起こし始めており、Bitcoinをはじめとするいくつかの通貨の価格を下落させている。Bitcoinは記事公開時点で5.5%下落していた。

世界最大級の暗号マイニングサービスが複数ある中国は、それらのビジネスも追いかけていく。国家発展改革委員会は、暗号資産マイニングの全国的な一掃に着手すると表明し、これは「必須」の作業だとしている。

中国が暗号資産関連の活動の取り締まりを宣言したのは今回が初めてではないが、これまでは多くの政府機関がこのような取り組みに協力姿勢を示していなかった。

中国の規制当局は、数年前から暗号マイニングの禁止を検討してきた。しかし、最近の四半期では、いくつかの地元企業が暗号資産を採用し始めている。中国のアプリメーカーであるMeitu(メイツ、美图)は、3月に4000万ドル(約44億3000万円)相当のBitcoinとEthereum(イーサリアム)を購入した。

楽観的な意見もある。シンガポールの暗号資産取引所Luno(ルノ)でアジア太平洋地域の事業責任者を務めるVijay Ayyar(ビジェイ・アイヤー)氏は、こうツイートしている。「中国はこれまで数え切れないほど、暗号資産の禁止を叫んできた」。

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画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

レアル・マドリードやリヴァプールなどと提携するファンタジーサッカーNFTゲーム仏Sorareがソフトバンク主導で約743億円調達

フランスのスタートアップ企業であるSorareは、重要な資金調達ラウンドを実施したと発表した。SoftBank Vision Fund 2(SVF2)が6億8000万ドル(約743億円)のシリーズBラウンドを主導し、同社の評価額は43億ドル(約4700億円)に達した。

Sorareは、NFT(非代替トークン)をベースにしたファンタジーフットボール(サッカー)のプラットフォームを構築している。各デジタルカードは、イーサリアムのブロックチェーン上に固有のトークンとして登録されており、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することができ、取引はすべてイーサリアムブロックチェーンに記録される。

Sorareの特徴は、レアル・マドリード、リヴァプール、ユヴェントスなど、欧州で最も有名なクラブを含む180のサッカー組織と提携していることだ。これは同業他社にとって参入障壁となる。

今回の資金調達により、同社は新たなスポーツ分野への進出、米国でのオフィス開設、人材採用、マーケティングキャンペーンへの投資などを計画している。今後、他のプロスポーツ団体とのパートナーシップ発表も期待できる。

今回のラウンドには、SoftBank Vision Fundのチームに加え、Atomico、Bessemer Ventures、D1 Capital、Eurazeo、IVP、Liontreeも参加した。また、Benchmark、Accel、Headline、さまざまなビジネスエンジェルを含む、既存投資家からも再び出資を受けている。

Sorareは、プラットフォーム上で新しいカードを発行することで収益を得ている。プレイヤーはそれらの新発行カードを購入し、自分のコレクションに加えることができる。また、プレイヤーはチームを管理し、実際のパフォーマンスに応じてポイントを獲得することもできる。

時間の経過とともに、カードの価値は上がったり下がったりする。そのため、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することが多く、オークションを追跡するためのサードパーティウェブサイトも存在する。このプラットフォームでは、1月以降、1億5000万ドル(約163億9000万円)相当のカードが取引されている。Sorareは今のところ、プレイヤー間の取引からは利益を得ていない。

取引量はかなり多いものの、ユーザー増加の可能性はまだまだある。現在、60万人の登録ユーザーがおり、毎月15万人のユーザーがカードを購入したり、(ファンタジー)チームを編成しているという。2020年の第2四半期から2021年の第2四半期にかけて、同社の売上は51倍に伸びている。

Sorareの共同創業者兼CEOのNicolas Julia(ニコラス・ジュリア)氏はこう述べている。
「当社は、ブロックチェーンとNFTがもたらす計り知れない可能性が、サッカークラブ、サッカー選手、そしてそのファンが互いにより深いつながりを体験するための新しい方法を解き放つと考えました。これまでの成功に感激していますが、これは始まりに過ぎません。次のスポーツエンタテインメントの巨人を生み出し、より多くのサッカーファンや組織にSorareを提供し、世界中の他のスポーツやスポーツファンに同じ実証済みのモデルを紹介する大きなチャンスだと考えています」。

関連記事:NFTトレカゲーム「NBA Top Shot」のDapper Labsはマイケル・ジョーダンやハリウッドに支援され評価額2879億円に

SorareのシリーズBは、特にフランスのスタートアップにとっては巨大な資金調達ラウンドだ。ファンタジースポーツゲームは、新しい人々にNFTの世界に触れてもらう最良の方法の1つだ。NBA Top ShotがNBAファンに絶大な人気を誇るのもそのためだろう。

そして、これらのプラットフォームは、暗号資産取引を始めるためのすばらしいオンランプになっている。今後、Sorareでプレイする人が増えてきて、規制が厳しくなるかどうかが注目される。

画像クレジット:Sorare

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

米証券取引委員会(SEC)に対し強硬手段に出ようとしたCoinbase(コインベース)の試みは、長くは続かなかった。暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する同社は、暗号資産による融資商品の立ち上げ計画を巡り、規制当局であるSECの怒りを買った。SECは、CoinbaseがLendと呼ばれる暗号資産融資商品を立ち上げた場合にCoinbaseを提訴することを事前に通達する「ウェルズ通知」を同社に送付した。

SECがLendの件で私たちを訴えたいと言ってきました。理由はわかりませんが」と題した反抗的なブログ記事を発表してから2週間足らずで、同社は先週末、結局Lendを立ち上げないことを静かに発表した。

関連記事:米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

同社は米国時間9月17日、Lendの立ち上げ関する投稿を更新する情報を静かに追加し、その一部を詳しく説明した。

当社は、暗号資産業界全体に対する規制を明確化する取り組みを続けるなか、以下に発表するとおり、USDC APYプログラム(米ドルコインによる融資プログラム)を開始しないという難しい決定を下しました。また、このプログラムのキャンセル待ちも中止し、次の展開に向けて取り組んでいきます。

Lendは、暗号資産取引所の世界では例外的とはいえないものだ。投資家にとっては、Geminiなどのプラットフォームで同様の仕組みがある。Geminiでは、ユーザーが保有する暗号資産を取引所に貸し出し、従来の普通預金よりもはるかに高い金利を得ることができる。Coinbaseは、安定したコインであるUSDC(米ドルコイン)をユーザーが貸し出し、年利4%(開始時のレート)が得られるというLendの立ち上げを計画していた。

SECは、同組織内で利用可能なリソースが限られていることに不満を持っており、これまでも限られた範囲で暗号化商品に対する訴訟を行ってきた。ユーザーがCoinbaseとそのパートナーに対し、自らのコインの保管権を実質的に放棄するという点に納得がいかなかったようだ。また、Coinbaseに対して、Lendには確かに証券としての性質があると指摘している。監督機関との緊密な連携をブランドの一部としているCoinbaseは、Lendが証券ではないという考えにこだわりながら、ゆっくりと事を進めようとしていた。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えているといいますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした。しかし、またしてもSECからの説明はありませんでした。それどころか、彼らは正式な調査を開始しました」と、最近のCoinbaseのブログに書かれていた。

大きな問いは、これが他の暗号資産取引所にとってどのような意味を持つのか、また、この行為は、チーフのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が率いるSECが、暗号資産の世界、特にDeFiの仕組みに関して、より積極的な活動を開始するシグナルなのかどうかだ。

Coinbaseの株価は9月20日月曜日の日中取引で下落した。ビットコインやその他の暗号資産の価格も大幅に引き下げた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「閲覧のみで売買はできない」アプリを発表

「分散型インターネットのAmazon(アマゾン)」といわれるOpenSea(オープンシー)にとって、米国時間9月17日は大きな意味のある日になった。同社がiOSAndroid用のアプリを発表したのだ。ほとんどの企業にとって、モバイルアプリを用意することは、15億ドル(約1650億円)の評価額を達成する前に到達するマイルストーンである。しかしNFT(非代替性トークン)アートであってもなくても、実際の店舗で販売するときと同様に、アプリストアでの取引には、AndroidでもiOSでも、高額な手数料を取られる。おそらくそのためだろう、OpenSeaから華々しく登場したこの新しいアプリは、NFTを閲覧するためだけのものであり、売買するためのものではない。ちなみにOpenSeaは、8月に200万件の売買を記録しており、その取引総額は34億ドル(3738億円)に上る。Apple(アップル)とGoogle(グーグル)はアプリ内取引の30%を徴収するため、もしこれらの取引がアプリ内で行われたとしたら……34億ドルの30%、つまり10億2000万ドル(約1122億円)が両社の懐に入っていたことになる。

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もっとも、より大きな障害となっているのは、おそらくアプリ内での支払いを暗号資産で行う方法がまだないことだろう。OpenSeaが売買に対応するためには、米ドルで支払うためのインフラを構築し、より多くのユーザーをそちらに誘導する必要がある。しかし、OpenSeaの魅力の1つは、主としてEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンに依存した暗号資産ネイティブなプラットフォームであり、NFTがいつ鋳造されたか、誰が鋳造したか、どのように取引されたかなどの情報に人々が容易にアクセスできることだ。同社がそのプラットフォームを、よりドル寄りの方向に推し進めれば、既存のユーザーのエコシステムを混乱させる可能性がある。

このOpenSeaのアプリでは、ユーザーは自分のプロフィールに接続し、NFTの閲覧、NFTのお気に入り登録、NFTの検索とフィルタリング、コレクションとアイテムの統計情報の閲覧ができる。アプリ内でNFTを閲覧すると、そのNFTをアプリ外で共有するためのボタンが表示される。同じくNFTのマーケットプレイスであるRarible(ラリブル)は、1カ月ほど前にモバイルアプリをリリースしている。OpenSeaのアプリと同様、RaribleのアプリもNFTの閲覧のみが可能で、売買やトレードはできない。

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画像クレジット:OpenSea

そのうちアプリでNFTを売買できるようになるのかなど、OpenSeaのアプリに関する同社の計画についてTechCrunchは質問したが、回答は得られていない。もっとも、アプリで暗号資産の取引を行うものが、今までなかったというわけではない。PayPal(ペイパル)でも今や暗号資産による支払いが可能になっている。むしろ、OpenSeaのアプリは、ウォレットやブロックチェーンなどについて何も知らない人でも、簡単にNFTアートを閲覧できるユーザーフレンドリーな方法を提供することで、新しいユーザーをNFTの世界に呼び込かもしれない。

なお、このアプリが発表されたのは、OpenSeaの幹部がインサイダー情報に基づいてNFTを取引したとして告発されてから数日後のことだった。同社は米国時間9月15日にブログで、この従業員がその後、辞職したことを明らかにしている。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)