内視鏡AIでがんの兆候をチェックするAIメディカルサービスが約46億円調達

胃がんの発見を支援するAIベースのソフトウェアを開発する東京拠点のAIメディカルサービスは10月4日、シリーズBラウンドで4290万ドル(約46億円)を調達したことを発表した。主な投資家には、グロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL(World Innovation Lab)、ソニーイノベーションファンド(Innovation Growth Ventures)がいる。調達した資金により、内視鏡の動画からリアルタイムでがんの兆候を発見するソフトウェアの臨床試験、製品開発、海外展開を進める。

2017年に創業のAIメディカルサービスは、これまでに5700万ドル(約62億円)を調達。2018年8月の前回ラウンドではインキュベイトファンドから900万ドル(約10億円)を調達した。同社のソフトウェアは食道、胃、腸といった消化器のがんの兆候を対象とする。医師などの医療専門家が画像をチェックする時間を削減することが狙いだ。同社は現在、約80の医療機関と共同で製品の薬事承認に向けた研究を行っている。

AIメディカルサービスのCEOである多田智裕医師はTechCrunchにメールで、内視鏡の世界市場は毎年10%成長しており、日本のメーカーは約70%の市場シェアを占めていると語った。 多田氏は成長戦略について、最初は胃がんの発生率が高いシンガポール、タイ、インドネシアなどのアジア諸国に、その後米国とカナダに注力すると述べた。

内視鏡検査では病変の約15〜30%が見逃されるという調査結果もある。AIメディカルサービスの目標は画像診断の精度を高めること。CNN(画像認識に使われるニューラルネットワークの1つ)によって医療画像を分析する同社最初の製品は、まもなく薬事審査における承認申請に入る。

AIベースの内視鏡検査技術に取り組む企業にはai4gi、オリンパス、Shanghai Wision AIなどがあるが、多田氏はAIメディカルサービスの競争相手とはみていないと言う。ai4giやWision AIは大腸内視鏡検査用のソフトウェアを開発しているが、AIメディカルサービスはAIによる胃がんの発見に注力しているからだ。

Globis Capital Partnersの福島智史ディレクターは声明で「近い将来、医師がAIと力をあわせてガンを診断するようになる。その流れは元には戻らないとみている。世界をリードする医療機関と専門家に支えられて、AIメディカルサービスの経験豊富な経営陣が開発を進める内視鏡AIは、世界中の内視鏡医と患者を支援する大きな可能性を秘めている」と述べた。

画像クレジット:Hispanolistic / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Disrupt SF 2019のStartup BattlefieldはRenderが優勝

選抜された20社のスタートアップが2日間の熾烈な戦いを繰り広げ、今年の勝者が決まった。

Startup Battlefieldは競争の激しいピッチコンテストなので、参加を申し込んだ時点ですでにふるいにかけられる。そして選ばれた20社が複数のVCグループとテクノロジー業界のリーダーたちの前でプレゼンテーションを行い、10万ドルの賞金と優勝カップを争った。

審査員たちは何時間も評議し、その後TechCrunchが彼らのメモを集めて検討し、5社に絞り込んだ。決勝に進んだのは、OmniVisOrbit FabRenderStrattyX、そしてTrapticだ。

これら5社のスタートアップが、新しい審査員団の前で決勝のデモを披露した。審査員は、Kleiner PerkinsのMamoon Hamid(マムーン・ハミッド)氏、Sound VenturesのAshton Kutcher(アシュトン・クッチャー)氏、SequoiaのAlfred Lin(アルフレッド・リン)氏、Lumi LabsのMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏、Floodgate VenturesのAnn Miura-Ko(アン・ミウラ-コー)氏、そしてTechCrunch編集長のMatthew Panzarino(マシュー・パンツァリーノ)だ。

優勝:Render

Renderは、マネージドクラウドのプラットホームを開発。同社は、AWSやAzure、GCPなど従来のクラウドプロバイダーとは異なるサービスを目指し、特にデプロイの自動化やHerokuを思わせるアプリケーション管理の抽象化などによる、より管理の容易なインフラストラクチャを提供している。

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準優勝:OmniVis

OmniVisは、コレラなどの病原体の検出を妊娠検査のように迅速かつ簡単、そして安価にチェックできる。スマートフォン上での検査なので、大量の人命を救えると期待されている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DeNA子会社などが子宮頸がん検診の受診率向上を目指す「Blue Star Project」を発足

ロシュ・ダイアグノスティックスとディー・エヌ・エー(DeNA)子会社のDeSCヘルスケアは10月3日、子宮頸がん検診の受診率向上を目指す「Blue Star Project」(ブルースタープロジェクト)を共同で発足させた。子宮頸がんは、女性のがん罹患統計では5位に入り、国内の年間罹患数は約1万900例、年間死亡者数は約2900名と言われている。しかし、全世代の検診受診率は欧米諸国の70%~80%に対し、日本では42%程度と低いことから、同プロジェクトが立ち上がった。

ロシュは、臨床検査用の診断薬・機器を開発している企業。子宮頸がんについては、その原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)検査による早期発見の重要性を訴求するとともに、子宮頸がん予防のためのさまざまな啓発活動に取り組んでいるそうだ。

DeNAは、ゲームやスポーツなどの事業で培ったノウハウを生かして、楽しみながら健康を維持し、社会全体の健康寿命延伸につながることを目指した、さまざまなヘルスケアサービスの提供や研究活動を進めている。DeSCヘルスケアは、DeNAと住友商事の合弁会社で、健康組合向け保険サービスなどを提供している。

Blue Star Projectでは特設サイトを開設し、子宮頸がん検診への理解を促進することを目的としたコンテンツを配信。具体的施策の第1弾としては、神奈川県横浜市をモデル地区とした啓発活動を開始し、同サイトに横浜市子宮頸がん検診実施医療機関一覧を掲載。横浜市での子宮頸がんの検診受診率を令和4年までに現在の46.1%から50%に引き上げることを目標とする。

さらにこれらの情報は、DeSCヘルスケアが提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」(iOS版Android版)とも連動し、同アプリの利用者向けにも各種情報などを提供する。なおkencomは、DeSCヘルスケアと契約している健康保険組合様の加入者のみが利用できるアプリだ。

10月31日までは「#ブルースタープロジェクト投稿キャンペーン」を実施しており、以下の手順でインスタグラムに投稿することで、5000円ぶんのQUOカードなどが当たる。

  1. インスタグラムでブルースタープロジェクトの公式アカウント(@blstrpj)をフォロー
  2. 投稿テーマ「あなたが大事にしている“青い”もの」の写真を撮る
  3. ハッシュタグ「#ブルースタープロジェクト」をつけてインスタグラムに投稿

わずか数滴の母乳で健康診断が可能な検査キット「MyMilk Labs」

赤ちゃんを母乳で育てることは誰にでもできると言われるが、でもそれは実際には不安やわからないことの多い体験だ。特に生後の数週間が難しい。赤ちゃんの栄養は足りてるか、母乳の量は十分かなどと親の悩みは尽きない。そこでMyMilk Labsが開発したセンサー器具「Mylee」は、わずか数滴の母乳をスキャンしてその組成に関する情報を同社のモバイルアプリに渡す。本日米国時間10月2日にDisrupt Battlefieldでプレゼンした同社は、Startup Alleyで選ばれた2つのワイルドカード企業のひとつだ。

DisruptでローンチしたMyleeは、予約価格が249ドル、小売定価は349ドルだ。イスラエルに本社を置くMyMilk Labsは、2014年にRavid Schecter(ラヴィド・シェクター)氏とSharon Haramati(シャロン・ハラマーティ)氏の両氏が創業した。2人はワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)で神経免疫学と神経生物学の博士課程にいたときに出会った。

Mylee device

Battlefieldのプレゼンテーションでシェクター氏は、このデバイスは母親や授乳相談員などに母乳に関する客観的な情報を提供することが目的だと語った。

母乳は生後数日から数週間の間に初乳から成乳へと変わっていく。Myleeは乳の電気化学的な特性をスキャンしてそれらを同社の研究結果と対照し、変化の過程のどのあたりかを計算する。そしてその分析結果に応じて母親には、乳の実際の日齢や週齢と対比して変化が遅いか早いかを告げる。

デバイスの最初のバージョンは目下パイロット中のベータで、テストに参加した授乳相談員たちがこれまで500名の母親からの乳の標本をスキャンした。

MyMilk Labsにはすでに消費者向けの母乳検査キットがあり、母親は自宅で乳の少量の標本を採取してMyMilk Labsに送って分析してもらう。結果はアプリの画面のパネルに表示され、栄養パネルでは乳のビタミンB6、B12、Aのレベル、カロリー、脂肪のパーセンテージなどが表示される。また、母親の食生活のアドバイスもある。もうひとつのパネルでは、母乳保育で一番の悩みである乳房痛の対策が表示される。細菌などによる感染症が疑われたら菌種などにより最適の抗生剤が推奨される。

母乳で育児をしている母親のほとんどにとって検査キットなんか要らないと主張する医師もいるが、母乳による子育てに関しては母親の知識不足の不安もあるため、すでに複数の企業が母乳検査キットを発売している。それらは、Lactation Labs、Everly Well、Happy Vitalsなどだ。ハラマーティ氏はDisrupt Battlefieldのステージで、将来は検査の一部をMylee自身ができるようにしたいと述べた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マクドナルドが植物由来肉のハンバーガーをカナダで試験販売

マクドナルドの北米初となる植物ベースのパティの販売が現地時間9月30日にカナダで始まった。

Beyond Meatのパティを使った「P.L.T.」(Plant、Lettuce、Tomato)ハンバーガーが、カナダのいくつかの店舗で展開されている。マクドナルドが今年新たにベジタリアンハンバーガーを展開するのはこれが初めてではない。4月、同社はドイツのフランチャイズ店でビーガンハンバーガーを発売した。

マクドナルドはここ数年、ベジタリアンとビーガンのハンバーガーを単発的に国際展開メニューに載せてきた。2年前、McVegan(マックビーガン)バーガーをフィンランドとスウェーデンで発売するにあたり、Orklaというノルウェーの食品企業と提携を結んだ。

そして今回の北米での展開では、米国店舗メニューへのベジタリアン・ハンバーガー追加に向けて歩を進めたことになる。世界最大のファーストフードレストランとして、マクドナルドがBeyond Meatの植物ベースのタンパク質を含んだプロダクトを導入する動きは、同社にとって大きな後押しとなりそうだ。

今や世界最大の食品会社が自前の肉代替プロダクトを立ち上げようとしている。マクドナルドのドイツでのビーガン・バーガーの展開にあたってパートナーとなったNestle(ネッスル)はSweet Earth Foodsのチームが手がけたプロダクトを使用している。

Nestleは、植物由来肉マーケットに参入しようとカリフォルニア拠点のMoss Landing(モス・ランディング)を2017年に買収した。当時、Moss Landingは植物ベースのパティに取り組み始めたところだった。

Tyson(タイソン)のような大手食品企業はすでにタンパク質ベースの肉代替品を展開しているが、その一方でMcCain Foods(マケイン・フーズ)のような加工調理済み食品の企業はNuggs(ナッグス)に投資してきた。

マクドナルドがBeyond Meatの製品での北米デビューを決断したという事実は、最大のレストランチェーンへのサプライヤーマーケットはいまだに競争が展開されているということを示している。

実際、メジャーなファーストフード・バーガーチェーンは肉代替パティ供給が懸念されるためにベンダーと地域を限定した戦略を取り始めているようだ。

たとえば、Burger King(バーガーキング)はImpossible Whopper(インポッシブル・ワッパー)にImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)のパティを使用しているが、情報筋によるとバーガーキングは南米で植物ベースのプロダクト用の地域サプライヤーを探しているようだ。

そして、こうしたパイロットテストが展開されても、ファーストフードチェーンが植物ベースのプロダクトをメニューに載せ続けることにはならないというのは重要な点だ。Beyond Meatは、カナダ28店舗でのマクドナルドのパイロットを勝ち取った一方で、カナダの大手ファーストフードチェーンTim Hortons(ティム・ホートンズ)のメニューから外された。

Beyond Meatは最も競い合っているライバルのImpossible Foodsよりも幅広い植物ベースプロダクトを提供していて、牛ひき肉の代替品に引き続き専念している。カリフォルニア拠点のEl Segundo(エル・セグンド)は植物ベースのチキンナゲットでKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)のパイロットの提携を結んだ。またDunkin(ダンキン)のようなその他多くのファーストフードチェーンがEl Segundo(セグンド)のブレックファーストソーセージを販売している。

こうした競争は、ファーストフード以外にも広がっている。Sodexo(ソデクソ)や企業やカレッジ、大学にケータリングしている企業のような食品サービスベンダー大手も、タンパク質代替品のサプライヤーを取り込もうとしている。

一方で、プロテイン代替品の需要はうなぎ登りだ。この手のプロダクトのマーケットが今後10年間で従来の肉産業のかなりの割合を取り込む、と金融アナリストは予想している。

バークレイズ銀行のアナリストはタンパク質代替品のマーケットは2029年までに1400億ドル(約15兆円)に達する、と予測する。

「今回のテストで、P.L.Tのどんなところがいいのか、フィードバックを聞くのが楽しみだ。これは、顧客にとって何が一番いいのか、グローバルマーケットをより理解するのに役立つ」とマクドナルドのグローバルメニュー戦略担当副社長のAnn Wahlgren(アン・ヴァールグレーン)氏は話した。「顧客の需要、そしてレストラン運営へのインパクトなど、実社会におけるP.L.T提供がどのようなことになるのかを今回のテストでより深く知ることになる」。

イメージクレジット: McDonald’s

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(翻訳:Mizoguchi)

GoodRxが尿路感染症や避妊、勃起不全などを相談できるオンライン診療サービスに進出

オンライン診療サービスのHeyDoctor(ヘイドクター)の買収から数カ月経ち、GoodRx(グッドアールエックス)は買収をテコに新サービスのGoodRx Care(グッドアールエックス・ケア)を立ち上げた。Hims、Hers、Nurx、Roなどのオンライン診療サービスに正面から挑む。

処方薬の薬局間コスト比較および薬の割引クーポンの世界ではすでに10億ドル(約1100億円)の巨人であり、すでに1000万人以上のユーザーがGoodRxのサービスを利用している。

一方GoodRx Careはオンライン診療サービスで、顧客は医師への相談のほか、治療、処方箋、臨床検査を受けることができる。サービスは多岐にわたり、尿路感染症や避妊、勃起不全、植毛に至るまで必要な症状や病気をカバーする。Ro、Hims、Hers、Nurxなどのオンライン診療サービスが提供するサービスと同様だ。

GoodRxの共同CEO兼共同創業者であるDoug Hirsch(ダグ・ハーシュ)氏は「長年にわたり、何百万人もの米国人が手頃な価格の処方薬を手に入れるのを支援する中で、簡単に医者にかかれない人が多いことがわかってきた。GoodRx Careの立ち上げにより医療に対する要望と現状のギャップを埋めるため、米国人の医療へのアクセス、処方の順守、診療価格の点で改善を目指す」と説明する。

ハーシュ氏とGoodRxにとってオンライン診療への進出は、サービス拡大の通過点として当然だった。「GoodRxに来る人の3分の1が再びGoodRxに来る。処方箋がないのに来る人もいる。処方箋が必要なことを知らないからだ。弊社のサービスには処方箋が必要だと長い間説明してきた。遠隔診療という選択肢があることにも言及してきた」とハーシュ氏は述べる。

これからは自社で遠隔診療サービスを行うため、そういった顧客を取り込めるようになる。

テクノロジー企業もヘルスケア業界へ進出しようとしている。Amazonは従業員専用のヘルスケアサービスを始めた。遠隔診療と対面診療の両方を提供する。アップルにも従業員向けの独自の医療サービスがある。

Best Buyでさえヘルスケア業界に大きなチャンスがあるとみている。医療サービスが自社の利益に与えるインパクトはますます大きくなると予想する。高齢化、遠隔診療、乳児と育児のケアに対応するテクノロジーの開発がハードとソフトの両面で進んでいるからだ。

ヘルスケアサービスのコストが上昇し、価値が低下する現状で、ヘルスケアの新しい選択肢に対する需要は増える一方だ。

GoodRxが指摘するように、プライマリケア(かかりつけ医のような初期的・総合的なヘルスケアサービス)を行う医師に簡単にかかることができない米国人がほとんどだ。医師の診察が3週間待ちというのも珍しくない。米国ではこの先15年で最大12万人の医師が不足する見通しもある。2750万人以上の米国人が健康保険に加入しておらず、低コスト診療への需要があるのは明らかだ。

一方、米国人が必要としているのが、抜け毛や勃起不全、にきびの治療、まつげの成長または肥満診断を行う医師へのアクセスなのかどうかはそれほど明白ではない。

ハーシュ氏は、今後数カ月でさらに多くのサービスを提供すると述べる。「我々の遠隔診療はまだ始まったばかりだ」「手頃な価格で受けられる安全なプライマリケアへの進出を続けたいと考えている」と同氏。

当面は価格の引き下げと、顧客が望むサービスに正しく誘導する仕組みの構築に注力する。ハーシュ氏は「我々のサービスの多くは遠隔診療によるものだ。ほかなら相談や処方箋に数百ドル(数万円)かかることもある」「我々のサービスでは1回の診療で20ドル(約2200円)。今日にでも申し込める。価格の選択肢もある。医者に診てもらうことができる。見たければここに価格とクーポンのリストがある」と説明する。

ハーシュ氏によると、HeyDoctorは2017年の立ち上げ以来10万件以上の相談を受け、GoodRxともすでに連携していた。買収条件は公表されていない。

HeyDoctorの買収は戦略的な賭けだ。CNBCのレポートによると以前約28億ドル(約3000億円)のバリュエーションでプライベートエクイティファンドであるSilverlakeから資金調達しており、それ以来の重要な決断となる。

「医療システムがますます細分化され混乱するなか、我々の目標は基本的な医療ニーズに1カ所で応えられるワンストップショップとしてサービスを提供することだ」とハーシュ氏は述べた。

画像クレジット:Robert Kneschke / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi)

クレディセゾングループが認知症の進行度をセルフチェックする脳活性度定期検査のサービスを開始

写真に向かって左から、クレディセゾン代表取締役会長CEOの林野 宏氏、俳優の高橋克典さん、脳活性総合研究所で代表取締役を務める太田芳徳氏

脳活性総合研究所は9月26日、「脳活性度定期検査」の提供を開始した。同社はクレディセゾングループに属する2019年2月設立の子会社。

脳活性度定期検査は、三重大学医学部附属病菌認知症センター長の佐藤正之氏が監修した、記憶力、空間認知力、情報処理力、課題遂行力などを計測する約30分のテスト。同年代の基準値との比較によって算出した脳年齢と結果の推移観察が可能になる。

テストの一例

検査費用は有料で半年6980円。期間中は何度でもテストを受けられる。テスト結果として得られるのは、同年代内の偏差値、経年変化、老化による認知機能低下予測値、脳活性度年齢、認知機能低下時のお勧め対策など。なお、あくまでも現在の脳年齢は推し量るもので、テストを何度も受けることで認知症の症状が改善するわけではない。

5項目で脳年齢とチェックする

テスト結果は履歴として残り、新しく実施したテストと比較できる

同社によると、認知症を予防する対策として医学的に効果があると言われているのは有酸素運動と栄養管理で、これらの活動と脳活性度定期検査のテスト結果を組み合わせることで、病気を未然に防いだり、認知機能を改善させたりする対策が立てられるとしている。

クレディセゾンでは、子会社の脳活性総合研究所が提供するこの脳活性度定期検査をフックとして、シニア向けのフィットネスや宅食・サプリ、旅行企画などの商品・サービスの提供を考えているとのこと。

フィットネスのPelotonがIPO公募価格を29ドルに設定

エクササイズバイクとトレッドミルのPeloton(ペロトン)がIPO公募価格を29ドルに設定した。IPOでPelotonは4000万株のクラスA普通株式をマーケットに放出する。

1株当たり26〜29ドルが予想されていたため、この公募価格はレンジの最大価格となる。4000万株のクラスA普通株式の販売でPelotonは11億6000万ドル(約1250億円)を調達してバリュエーションを80億ドル(約8600億円)超とすることが見込まれている。

Pelotonは8月にIPO目論見書を提出し、そこには2019年6月30日までの1年間の売上高は9億1500万ドル(約985億円)と記載されていた。この数字は前年比110%増だった。今回のIPOに先駆けてPelotonはプライベートマーケットで9億9400万ドル(約1070億円)を調達し、これによりバリュエーションは41億5000万ドル(約4470億円)となっていた。

PTON株はナスダックで明日から取引される。

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(翻訳:Mizoguchi)

心房細動や心疾患、心不全を発見する電子聴診器開発のスタートアップが約22億円を調達

最近では、個人の心拍モニター分野でApple Watchやスマホのアプリに敵うものはない。しかし、心拍リズムをモニターするための電子聴診器で知られるスタートアップであるEkoはさらなる研究と開発で、この電子聴診器を心疾患に取り組むリーダー的存在の臨床用デバイスにしたいと考えている。

この目標を達成するために、同社はこのほどArtis Ventures主導のシリーズBで2000万ドル(約22億円)を調達した。このラウンドの新規、そして既存投資家には、DigiTx PartnersNTT Venture Capital (NTTVC)3M VenturesMayo ClinicSeraph Group、そしてXTX Venturesが含まれる。

さらにEkoは、Ekoデバイスを使ってデータポイントをつなげ、患者のスクリーニングをするために、Mayo Clinic(メイヨー・クリニック)やNorthwestern Medicine(ノースウェスタン・メディシン)、Sutter Health(サターヘルス)といった米国の有名な機関と提携した。

過去10年間、テクノロジーが心臓のケアに大きく貢献してきたことは疑う余地はない。今日では我々は多くのデバイスで不整脈のようなものをものの数秒で検知できる。しかし、そのケアの方法を選ぶのは重要だ。結論に飛びつく前に、経験を積んだ専門家から正しい情報を得る必要がある。

電子聴診器では心拍を測定する以上のことができる、とEkoの共同創業者でCOOのJason Bellet(ジェイソン・ベレ)氏はTechCrunchに語った。「Ekoは心房細動をチェックできるが、我々は構造的な心疾患や心不全の発見にもフォーカスしている。これはAppleが手がけていないことだ」と彼は話した。「Ekoは心音とEKG(心電図)の両方を同時にとらえ、医師に患者の全身の健康状態についてや、より良い診断をくだすために必要な情報を提供する」。

今日マーケットには多くの心拍モニターデバイスがありEkoは競争に直面しているが、単なる心拍測定アプリ以上のものを求めている人の需要をとらえているようだ。アプリ以上のものとは、患者が必要とすることを特定して伝えることができる医師やスペシャリストを通した、心臓の健康状態の把握だ。

「Ekoは、我々が知っている心臓のケアを変えつつある」とArtis VenturesのパートナーであるVasudev Bailey(ヴァスデヴ・ベイリー)氏は発表文で語った。「データセットを活用する機械学習がいかに患者にポジティブな影響をもたらし、ケアの質を改善するか。Ekoは完璧な見本となる。これは、病気をスクリーニングするのに音が役立つ他の多くのケースにおいて、救命にかなり使えるかもしれないという可能性を示している」。

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(翻訳:Mizoguchi)

大豆主原料の完全食にもミントチョコの波、Soylentのドリンクとスナックに加わる

それだけで人間の食事を構成しうる完全食を作っているSoylent Nutrition(ソイレント・ニュートリション)が、そのドリンクとスナックにミントチョコ味を加えた。

新製品の発表声明でSoylentのブランドマーケティング担当副社長を務めるAndrew Thomas(アンドリュー・トーマス)氏は「ファンの皆さまからの要望の多かったミントチョコレートドリンクは、人間の複雑な味覚を満足させることができるでしょう」と述べた。

新製品発表に併せて同社は、その製品の環境フットプリントの評価をリリースした。

発表したのは報告書の全文ではなく、同社のパッケージングとロジスティクスの工程が最大の炭素排出要因という部分だ。肝心の製品製造工程は軽微だと言いたいのだが、同社はその理由として主な原料に米やそのほかの野菜や穀物でなく大豆を使っているため環境フットプリントが低く抑えられていると発表している。

製品開発担当副社長であるJulie Daoust(ジュリー・ダースト)博士は同社の声明で「世界の人口の増加とともに、生物の利用に適した持続可能な栄養源へのニーズも増している。持続可能性を口にする企業は多いが、実際にそのことをデータで実証できる製品に投資している企業はほとんどない」とコメントしている。

ミントチョコ味の新製品は同社のウェブサイトで買えるほか、10月からはAmazonでも発売される。

画像クレジット: Soylent

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WhatsAppで薬の配送サービスを提供するインドのDigi-Prex

インドのスタートアップがWhatsAppのユーザー数を利用したビジネスを開発している。WhatsAppはインドで最も人気があるアプリで、国内に4億人以上のユーザーを抱える。

創業7カ月のDigi-Prex(ディジ・プレックス)はハイデラバードで慢性疾患患者向けのオンライン処方薬局を開いた。患者は処方箋をWhatsAppでDigi-Prexに送信し、Digi-Prexは定期的に薬を患者に送付する。

Digi-Prexのサービスは配達だけではない。薬が必要となる時期を患者自身が管理しやすくしたり、薬による改善が見られるかどうかをDigi-Prexがチェックする。ハイデラバードでこれまで数千人の顧客を集めたと、Digi-Prexの創業者であるSamarth Sindhi(サマース・シンディ)氏はインタビューでTechCrunchに語った。

Digi-Prexは有力ベンチャーキャピタル数社が参加したシードラウンドをクローズした。インドのスタートアップにとって最大のシードラウンドの1つとなった。

Khosla Ventures、Vedanta Capital、Y Combinator、Quiet Capital、SV Angelから550万ドル(約5億9000万円)を調達した。Tinderの創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏もラウンドに参加した、とシンディ氏は述べた。

「オンラインで顧客を獲得するのではなく、医師や薬局と協力して顧客にサービスを提供している」とシンディ氏は言う。彼は米ブラウン大学の卒業生であり、インドに戻る前に米国の医療会社で働いたことがある。Digi-Prexは医師や薬局と利益を一部シェアするが、より重要なのは医師や薬局と組むことにより遠隔地の顧客にサービスを提供できるため、顧客の居住地を問わず全ての患者が潜在的な顧客になる点であるという。

Digi-Prexは医薬品販売業者と直接提携しているため低コストで配達できる。一方店頭では割引価格で顧客に薬を販売する。

シードラウンドの資金でインドの10都市に事業を拡大し、患者にとってより使いやすいビジネスモデルを模索するとシンディ氏は説明する。患者が優れた医師へアクセスしたり病気に関するより多くの情報を得られるようなサービスにも取り組んでいる。

Digi-PrexがWhatsAppを配送プラットフォームとして使用していることに驚きはない。「インドに戻ったとき、テキストメッセージを誰も使っていないことに感動した。みんなWhatsAppを使っていた」と彼は言う。

インドで最も人気のあるWhatsAppは、国内で次々にビジネスに利用されている。例えばY Combinatorが支援するVahan(バハン)は、WhatsAppで労働者が物流会社の仕事を見つける支援をしている

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

神戸大学発スタートアップIGSが無痛で被爆しないマイクロ波マンモグラフィーを開発

IGS(Integral Geometry Science)は9月13日、マイクロ波を使ったマンモグラフィー(乳がん検査機器)のプロトタイプの開発に成功したことを発表した。IGSは、神戸大学の数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授が2012年4月に設立し、現在CSO(Chief Strategic Officer)を務める神戸大学発のスタートアップ。

このマイクロ波を使ったマンモグラフィーは2013年に試作機が完成し、2015年に日本医療研究開発機構(AMED)の事業に採択されたことで原型機の開発に取り組むことになった。すでに日米欧中の9カ国で基本特許を取得済みとのこと。

乳がんを早期発見するため使われる検査機器であるX線マンモグラフィーは、X線を照射する手法のため被爆は避けられない。しかも乳房を挟み込んで検査するため、女性の場合は痛みも伴う。乳房にX線を照射すると乳腺とがん細胞が白く見えるのだが、乳腺の密度が高い、いわゆる高濃度乳腺の女性の場合は乳腺とがん細胞を区別しづらいという問題もあった。

アジア人では50歳未満の女性の79%が高濃度乳腺というデータもあり、特に若年層の乳がんを発見するのは非常に難しい。また、若い女性は乳房を形成するクーパー靭帯(コラーゲンを主成分とした硬い結合組織)が発達しており、これがX線検査の障害物にもなる。クーパー靭帯は年齢を重ねるごとに減少していくため、一般的に高齢者のほうがマンモグラフィーで乳がんを見つけやすくなる。

この問題を補うための検査方法としては超音波診断がある。超音波の場合はもちろん被爆しないのだが、乳房の大部分を占める脂肪は超音波を減衰させるため、検査時には可能なかぎり乳房を押し潰す必要ある。柔らかい物体より固い物体のほうが超音波が奥まで届くためだ。こちらも乳房の体積が多い女性ほど、病変を発見しづらい。

さらにX線マンモグラフィーや超音波の場合、担当する検査技師によって乳房を挟む強度や角度が異なるケースも多く、同じ部位を同じ角度、同じ状態で経過をチェックするのが難しい。経験の浅い技師の場合、患者の強い要望で強度をあまりかけられず、十分に検査できないこともあるそうだ。さらに、医師はこれらの検査で得られた造影画像を読影したうえで触診するため、医師の経験値によって発見が遅れる場合もある。

なお、乳がんを検査する方法としては、MRI(核磁気共鳴画像法)やPET(ポジロトン断層法)などの方法も知られている。MRIはガドリニウムを造影剤に使うため、稀とはいえ副作用で重篤や死亡に至るケースがある。PETはガンマ線を使うので被爆は避けられず、これから出産を控える女性が使うのは危険だ。つまり、いずれの方法も1年おき、半年おきに何度も実施する健診での利用は回避される傾向がある。

マイクロ波マンモグラフィーによる乳がん検査

今回発表されたマイクロ波による乳がん検査装置は、これまでの検査方法の問題を解決するものとして注目されている。マイクロ波は、乳房の90%以上を占める脂肪はそのまま通過するが、血管や細胞が密集するがん細胞は当たると拡散する性質のため、その有効性は以前から知られていたそうだ。

参考資料:マイクロ波マンモグラフィの実用化に大きく前進厚生労働省 先駆け審査指定制度対象品目に指定 

左上がX線による造影画像。左下と右上はマイクロ波による拡散を分析して3D画像化したもの

しかし、木村教授によると「応用数学上の未解決問題である『波動拡散の逆問題』が高い壁となっていた」とのこと。マイクロ波ががん細胞にあたると四方八方に拡散するため、これまでは有効なデータとして取得することは難しかった。この問題を木村教授が、多次元空間における散乱場の基礎方程式の導出によってに解析的に解いたことで、マイクロ波によるマンモグラフィーを開発できるようになったという。X線や超音波の造影画像とは異なり、3D画像で視覚的に判別しやすいのもメリットだろう。

ちなみにIGSではこのマイクロ波を使った解析技術を、トンネルやビル、ダムなどの補修前検査、リチウムイオンなどの充電池の出荷前検査などに応用して実用化済みだ。

現在、IGSが開発したマイクロ波によるマンモグラフィーのプロトタイプはすでに、神鋼記念病院、兵庫県立がんセンター、神戸大学付属病院、岡本クリニックなどの協力病院で約350人に対して臨床試験を実施。高濃度乳腺の乳房に対して、X線マンモグラフィーや超音波による検査よりも高い有効性を示したそうだ。今後は東京でも、慶應義塾大学病院やKRD日本橋で臨床が始まる予定とのこと。

なお、プロトタイプは医療機器メーカーから部品を調達して、IGSのエンジニアの手で組み立てられているとのこと。外注しない理由について木村教授は「20GHzという高出力のマイクロ波をコントロールできる人材は少なく、これをきちんとキャリブレーションして出荷するにはどうしても熟練したスタッフが必要」とのこと。

これまで、汗を分析する、患者を風呂に入れて超音波で計測するなど、X線マンモグラフィに代わるさまざまな方法が考案されてきた乳がん検査。いずれも精度や検査方法の煩雑さなどで普及せず、結局はX線マンモグラフィと超音波を併用する検査方法が定着してきたそうだ。マイクロ波による乳がん検査は、果たしてこの壁を壊せるのだろうか。

歯列矯正のスマイルダイレクトクラブがNasdaq上場

SmileDirectClub(スマイルダイレクトクラブ)は米国時間9月12日に上場し、公開企業として初取引が行われた。歯列矯正のこの会社はNasdaqでティッカーシンボル「SDC」で取引されている。

記事執筆時点で、すでに株価は11%下落し20.36ドルとなっている

SmileDirectClubはこのIPOで、売出価格を1株あたり23ドルとして13億ドルを調達し、時価総額100億ドルほどになることを見込んでいた。同社はもともと株価を19〜22ドルで設定する意向だった。

「我々は、12、24、36カ月後、そしてそれ以降と長期的株主価値に照準を当てている」とSmileDirectClubのCFOであるKyle Wailes(カイル・ワイレス)氏はTechCrunchへの文書で述べた。「今日のIPOでプロダクトのイノベーション、プロセス、国際的な成長、カスタマーエクスペリエンスに再投資できる。我々は今まさにスタートしようとしているところで、我々の使命や5500人超のチームメンバー、顧客、そして株主に対するコミットメントはかつてなく強いものになっている」。

SmileDirectClubはIPOで調達した資金を海外展開と新たなデンタルプロダクトの開発に使う計画だ。同社は全国歯科協会が懸念を示している最中の8月に上場書類を提出した。

これに先立ち、SmileDirectClubは昨年10月の3億8000万ドルもの資金調達でバリュエーションは32億ドルに達していた。Clayton、Dubilier & Riceの投資家がこのラウンドをリードし、Kleiner PerkinsとSpark Capitalも参加した。この資金調達は、インビザライン(矯正用マウスピース)メーカーのAlign Technologyが2016年に投資した4670万ドル、そして2017年にSmileDirectClubの株式の19%を取得するのに投資した1280万ドルを超えるものとなった。

2018年のSmileDirectClubの売上高は4億3220万ドルで、これは前年の1億4700万ドルから大幅に増えた。

SmileDirectClubは目立たない歯列矯正マウスピースを顧客に届け、歯科専門医(歯科矯正医または普通の歯科医)に患者の様子をリモートでモニターする仕組みをとっている。マウスピースは、患者が自宅で型を取ってSmileDirectClubに送るか、同社のSmileShopsで直接スキャンしてもらうかして製造されたのちに発送される。

SmileDirectClubは、4〜14カ月かかる他の歯列矯正治療に比べ、同社の手法の費用は60%安いとしている。費用は1895ドルで治療の平均期間は6カ月だ。

しかし、米国歯科矯正医協会のメンバーは、直接の診察とレントゲンをスキップするSmileDirectClubのやり方は違法で医学的なリスクを伴うため、SmileDirectClubは法に反していると主張し、意見が対立している。同協会はまた、歯科治療について定める法規やルールに反しているとして、SmileDirectClubに対し36州で苦情を申し立てた。苦情は歯科業務を監督する当局と各州の司法長官に提出された。

SmileDirectClubはこの件について、S-1書類の中で考えられるリスク要因としてはっきりと触れている。以下、主な当該部分だ。

多くの歯科医、歯科矯正医が歯列矯正マウスピースはごく一部の患者のみに適していると考えている。全国、そして州の歯科医協会は遠隔歯科医療プラットフォーム使用を控えるよう呼びかける文書を出した。我々の歯列矯正マウスピースを使ったリモート治療を社会が今後も受け入れるかどうかは、部分的には歯科医・歯科矯正医と協会の推薦、そして効果や安全性、使いやすさ、信頼性、美意識、競合プロダクトと比べた価格といった他の要因に寄るところがある。

さらに、各州で事業を展開する我々の能力は部分的に特定の州のリモートヘルスケア治療や、歯科治療に関する州ごとの規則に左右され、州ごとの規則は政治や当局、その他の要因で変わりうる。州当局が、我々の医師との契約関係が法や規則に反していると判断するリスクもある。2つの州の歯科医事当局は新たなルールを設けたり、我々が現在とっている事業形態を制限する趣旨で既存ルールを解釈したりしている。

加えて、S-1で記されているように、全国歯科協会はこのほど米国食品医薬品局に、SmileDirectClubのマウスピース製造は「処方だけ」という条件に反しているとの陳述書を提出した。これまでにSmileDirectClubに影響を及ぼすような規則や法律は出てきていないが、同社の基幹ビジネスに大きな影響を及ぼすようなことが起こるのはあり得る。

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(翻訳:Mizoguchi)

任天堂Switchにエクササイズゲーム「リングフィット・アドベンチャー」が来た

任天堂がゲームとフィットネッスが重なる領域に進出を始めたのはPower Pad(ファミリートレーナー)をファミコン向けにサポートしたのが最初だろう。これは1986年のことだったからだいぶ歴史がある。今回、任天堂はSwitchプラットフォームでエクササイズゲームを仕掛けてきた。リングフィット・アドベンチャーは実際相当面白そうだ!

ユーザーは自分のキャラクターを進化させるためにジョギングしたりジャンプしたり、さまざまな運動をしなければならない。バーチャルな障害を避けたり飛び越えたりして目的地に近づき、敵に遭遇すればパンチを食わす。敵は平和で健康な世界をおびやかす「悪のボディービルディング・ドラゴン」だそうだ。なるほど。

ゲームにはフィジカルなアクセサリーが2種類ついてくる。。ひとつはリングでひとつは足に巻くストラップだ。どちらもSwitchのジョイコン部分を取り付けて使用する。Switchは2つのコントローラーからの情報を総合してユーザーの動作を把握する。つまりスクワットをするときに手を体の前にかまえているか、レッグレイズをするときにずるをしていないかなどがわかる。

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ゲームのタイトルにもなっているリングは弾力がある合成素材の輪でユーザーがどれくらいの力で潰したりひっぱったりしているか判定する。もちろんユーザーの体力レベルに合わせてキャリブレーションされるので安心していい。

面白いことにコントローラーのトップのボタンは心拍計として使われるらしい。私はこのようなハードウェアに新しく興味深い機能を持たせる任天堂の考え方が好きだ。

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ゲームで必要とされる動作は無数のバリエーションがある。上半身、下半身、体幹、全身運動、ヨガからヒントを得たポーズなど多様だ。ゲームデザインの巧妙なところは出くわす敵の「弱み」がそれぞれ違うところで、ユーザーは敵に合わせて異なる動作をしなけれならない。ユーザーは知らず知らずのうちに全身を均等に使う運動をすることになる。

シナリオをクリアしてレベルがアップするとさらに強い敵が現れ、運動も高度になる。単なるスクワットではなく素早く足を踏み出すランジの動作が必要になったりする。あるいは脚の動作に腕の動作がプラスされる。

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リングフィットでは本格的なシナリオのRPGの他にも手軽なミニゲームとワークアウトが選択できる。時間がないときなど便利だ。

フィットネスをゲーム化するというのは昔から行われきた手法で、Wii Fitのように大きくヒットしたタイトルもある。しかし任天堂のリングフィットはフィットネスの面からみてこれまでで一番本格的なゲームだ。ゲームデザインとしてもシンプルで我々ナマケモノにも取り付きやすいし、ユーザーの体力にあわせてマイペースで運動できる。

下のムービーでとんなゲームなのかよくわかる。1分20秒あたりで悪のドラゴンが登場し、ゲームキャラクターのエクササイズが始まる。

リングフィット・アドベンチャーは10月18日リリースということでまだ価格はまだ発表されていないが、現行Switchゲームをやや上回る程度だろう(日本でのリリースも10月18日、希望小売価格は税別7980円)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フィットネスのPelotonがナスダックIPOで約1290億円調達を計画

先月IPOの目論見書を発表したPeloton(ペロトン)が、Nasdaq上場の想定価格を1株当たり最大29ドルに設定した。

米国時間9月10日午後にリリースされた修正S-1で、インターネットに接続するフィットネスバイクとトレッドミルの開発企業であるPelotonは、1株当たり26〜29ドルとする想定価格を発表し、2019年の株式公開で最大12億ドル(約1290億円)の調達を見込む。

想定価格の上限では、Pelotonのバリュエーションは80億ドル(約8620億円)を超える。ブルームバーグによると、同社はIPOに向け9月11日にロードショー(機関投資家への説明)を開始する予定。

ニューヨーク拠点のPelotonは、ティッカーシンボルPTONで取引される。ゴールドマンサックスとJPモルガン証券がIPOの主幹事を務める。

2012年創業のPelotonは、ベンチャーキャピタル投資で昨年5億5000万ドル(約593億円)を調達し、バリュエーションは41億5000万ドル(約4470億円)だった。PitchBookによると、Pelotonはこれまでにベンチャーキャピタル投資で9億9400万ドル(約1070億円)を集めた。S-1には、主要株主または同社の持分を少なくとも5%保有する投資家として、プライベートエクイティファンドのCattertonの関連会社であるCP Interactive Fitness(IPO前で5.4%の持分)、TCV(6.7%)、Tiger Global(19.8%)、True Ventures(12%)、Fidelity Investments(6.8%)の名がある。

Pelotonは、2019年6月30日に終了する事業年度(2019年度)に総売上高9億1500万ドル(約986億円)を計上し、2018年度の4億3500万ドル(約469億円)から110%増加した。2017年度は2億1860万ドル(約236億円)だった。一方純損失は、2019年度は2億4570万ドル(約265億円)となり、前年度の4790万ドル(約52億円)から大幅に増えた。

同社のIPOによってマーケットに放出される浮動株は今年最大の規模になると見込まれる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Impossible Foodsの開発者が共同創業した植物性ミルク製品企業のKite Hillも注目を集めそうだ

植物ベースのバーガー会社のImpossible Foods(インポッシブルフーズ)を創業したPatrick Brown(パトリック・ブラウン)氏は、創業以前の25年をスタンフォード大学の生化学の教授として過ごしていた。その彼はカリフォルニア州ヘイワードを拠点とする食品会社であるKite Hill(カイトヒル)も共同創業していた。同社は、通常のものよりもより健康的で持続可能な多くのナッツミルクとチーズ製品を開発してきた。

投資家たちは納得しているようだ。新たなSECへの申請によると、現在10年目の同社は、さらに1500万ドル(約16億円)の資金調達を行おうとしている(そして少なくとも1000万ドルの新規資本が確定している)。同社は昨年秋に、General Mills、CAVU Venture Partners、New Crop Capitalなどからの資金調達ラウンドを完了しており、Crunchbaseによれば今回の資金調達によって同社の調達総額は約8000万ドル(約86億円)になるはずだ。

この分野に対する彼らの熱意を、より広く理解するのは簡単だ。ニールセンのデータによると、ビーガンチーズ市場は過去数年間、2桁の成長を遂げている。最近の調査では、植物性チーズの売上は、従来の乳製品チーズの横ばいの売上と比較すると、2018年8月までに41%増加したことが判明した。アーモンド、大豆、エンバク、その他の植物由来のミルクの売上も急増している。ニールセンのデータによれば、2018年6月までの1年間の植物ベースのミルク飲料の売上は、その前年の3%増に対して、9%増だった。一方、従来の牛乳の売り上げは、同期間に6%減少している。

Kite Hillは、アーモンドミルクヨーグルト、ギリシャヨーグルト、クリームチーズ、リコッタ、パスタ、ディップ、キッズチューブ(子供向け栄養補助チューブ)を製造しており、Safeway、Whole Foods、Amazonなどの小売店で販売されている。ブラウン氏とともに、共同創業を行ったのは、ボストンのル・コルドン・ブルーの元インストラクターであるMonte Casino(モンテ・カジノ)氏と、ロサンゼルスのビーガンレストランCrossroads Kitchen.のシェフ兼創業者であるTal Ronnen(タル・ロンネン)氏である。

それは、商売を行うには混み合った市場である。例えば、非牛乳製品のミルクやヨーグルトなどを製造するCalifia Farms(カリフィアファームス)は、同じ年にカリフォルニア州ベーカーズフィールドで設立され、これまでにStripes Groupを含む投資家たちから1億1500万ドル(約123億円)を調達している。カリフォルニア州エメリービルにある6年目のRipple Foods(ルップルフーズ)は同様に、資金調達という点ではKite Hillをしのぎ、これまでにその非牛乳製品に対して1億2000万ドル(約128億円)を調達している。

Kite Hillは、顧客の好みが変化しても顧客との関係を保ちたい大企業とも競合している。中でもダノンは、非牛乳飲料やヨーグルト製品を含む植物ベースのビジネスの規模を2025年までに3倍にする計画を明らかにした。

実際、Kite Hillなどのほとんどのブランドの戦略は、ベンチャー部門を設立した巨大食品会社からの資金を受け入れることで、彼らを排除しようとさせるのではなく、むしろ彼ら若いブランドの成長を支援させようとすることだ。

現在、小さなライバルたちに資金を提供している巨人たちとしては、General Mills 301 INC)、Campbell Soup(Acre Venture Partners)、Tyson Foods(Tyson Ventures)、そしてKelloggs(1894 Capital)などの名が挙げられる。

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(翻訳:sako)

農作物への化学物質の影響を低減するバイオ農薬開発のTerrameraが48億円超を調達

農業から化学物質の使用を減らすためにバイオ農薬(生物由来の農薬)や種子処理剤を開発・販売しているカナダのTerramera(テラメラ)がこのほど、4500万ドル(約48億円)の資金を調達した。

この投資ラウンドをリードしたのは戦略的投資家Ospraie Ag Science(オスプライAgサイエンス)、Terrameraのこれまでの投資家であるSeed2Growth Venturesだ。

モンサントの役員だったCarl Casale(カール・カサーレ)氏が率いるOspraie Ag Scienceは、生物農薬や有機農法のための製品のメーカー企業を支援している。Terrameraのほかには、Marrone BioInnovations(マッローネ・バイオイノベーションズ)やAgrospheres(アグロスフェレス)なども同社の支援企業だ。

バンクーバーに本社を置くTerrameraは最初、植物のニーム(Neem、インドセンダン)を使用する農薬を大手スーパーマーケットのTargetなど北米の小売企業で売って注目を浴びた。その製品は、トコジラミやダニなど家庭の害虫やカビがターゲットだ。

同社は今、新製品のActigate(アクティゲート)に注力している。そして今回の資金で研究開発と営業マーケティングの能力を上げたいとしている。

同社の創業者でCEOのKarn Manhas(カーン・マンハス)は声明で「弊社は、世界中の農業における合成化学物質の使用量を、Actigateによって2030年までに80%減らしたいと考えている」と述べている。

同社によるとActigateは、生物農薬と従来からの化学農薬の両方の効果を上げるので農業における化学物質の使用を減らせるという。

Ospraie Agのカサーレ氏は「TerrameraのActigateプラットホームはパラダイムシフトを起こし、生物的殺虫剤の効果を上げて化学製剤に対する競争力を高める。その新しい価値を作り出す機会はとても大きく、またコストと無駄と環境被害を減らしながら従来的なやり方に大きなインパクトを与える」と語る。

この投資の数カ月前にTerrameraは、種子処理剤の技術で多くの特許を持つExosect(エグゾセクト)を買収した

Exosectのパテントポートフォリオには、有機的および化学的な種子処理剤のデリバリを改善するための合成物質が多く含まれており、これがTerrameraの技術開発に大きく進歩させるものと思われる。

買収時にマンハス氏は「この知財を獲得したことによって新たな機会が開け、Terrameraの特許であるActigateの目標性能技術(Targeted Performance technology、特定の害虫だけにしか害を与えないこと)が補完される。その知財ポートフォリオは、安全でより効果的な植物保護製品の開発力を高め、世界の誰にでも入手可能で汚染のない食品を作るというわが社のビジョンを実現可能にする」と語る。

関連記事:Cooks Venture picks up $12 million to rethink agriculture from the ground up[再生可能農業の普及に取り組むCooks Venture、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Elevate Labsの瞑想アプリBalanceは人間のコーチより効果的?

すでに瞑想関連のスタートアップに多額の小切手を書いている投資家は多い。しかし、メンタルフィットネスのスタートアップElevate Labs(エレベートラボ)の創立者兼CEOのJesse Pickard(ジェシー・ピカード)氏によれば、既存の瞑想アプリは、人間のコーチの指導による体験に取って代わることのできるようなものはないという。

「あなたが誰かと出会うという体験は、世に出回っているどんなデジタル製品よりはるかに優れているのです」とピカード氏は言う。「問題は、地球上の99%の人にとって、それが手軽な出費ではないことです」。

そこでElevate Labsは米国時間の9月4日、Balanceという新しいモバイルアプリをリリースした。人間の瞑想コーチとの作業体験を再現するように設計されたものだ。

「瞑想は、だんだんと一般的なものになってきてはいますが、それを習慣として続けるのには、なかなか難しいものがあります」と、ピカード氏は説明する。「私たちのアプリは、その優柔不断な状態を取り除き、ユーザーごとに違ったやり方を示します。人々の生活は、それぞれあらゆる面で異なっています。ストレスを気にかけている人、睡眠が気になる人、集中力を身に付けたいと思っている人など、さまざまです。しかし、そういった違う目的を持った人も、他のメジャーなアプリでは、まったく同じように扱われてしまうのです」。

Balanceの場合、あらかじめ用意されたコンテンツから、単にどれかを選ぶわけではない。その代わり、アプリがユーザーに、目標とするところ、これまでの瞑想体験などについて尋ねることから始める。その後、よく見る感じの初歩的な瞑想がいくつか示される。しかし、ピカード氏によれば、それぞれの瞑想は、実際には「数十種ものクリップを組み合わせたもので、各ユーザー向けにパーソナライズしています」という。

たとえば、私はすでに瞑想の経験があり、最も優先順位の高い目標は、集中力を養うことだと、アプリに告げてみた。すると、私に示された最初の瞑想は、初歩的な説明がほとんど省略され、主なエクササイズは、自分自身の呼吸の音に集中できるようにするというものだった。

またピカード氏によると、このアプリは後になっても、ユーザーの体験について質問し続けるため、さらにパーソナライズが進んだものとなるという。瞑想のナレーションは、コンテンツの作成にも参加しているコーチのLeah Santa Cruz(リア・サンタ・クルツ)氏が吹き込んだもの。Balanceのチームには、他にも瞑想の専門家が加わっている。

アプリは、最初の10日間のコースは無料で使える。その後、続きの瞑想にアクセスするには、月額11.99ドル(約1280円)、年払いなら49.99ドル(約5330円)、生涯有効なサブスクリプションなら199.99ドル(約2万1320円)を支払う必要がある。Balanceには、瞑想に加えて、睡眠を補助するように設計されたガイド付きアクティビティも含まれている。

新しいアプリのリリースだけでなく、Elevate Labsは、Keesing Media Groupが率いるシリーズBの資金、710万ドル(約7億5700万円)を調達したことも発表した。この出資には、Oakhouse Partnersも参加している。

Elevate Labsは、以前はMindSnacksという名前で活動し、言語学習ゲームを開発していた。これは、いわゆる脳トレアプリで、おそらく2500万回ほどダウンロードされ、2014年には、Apple(アップル)のApp of the Year Awardを受賞している。実はピカード氏と私は、Craigslistの不思議な引合せによって、私がTechCrunchの仕事を始めてから、ほぼ1年間ルームメイトだった。同氏によれば、ユーザーの心の状態を改善するとして販売されている他のほとんどのアプリとは異なり、Elevateは読むこと、書くこと、数学といった訓練可能なスキルにも注力しているという。それは、たとえば、単に記憶力を増進するというようなものではない。

「私たちは、訓練することができないようなスキルに深入りしないよう、細心の注意を払っています。たとえば、集中力の持続時間のようなものは、教えることができると証明されてはいないのです」と、彼は言う。

同社が、外部から資金を調達してから、何年かが経過している。MindSnacksが、SequoiaからのシリーズAの資金調達を発表してから7年が経った。ピカード氏によると、同社は2015年に別のブリッジラウンドを調達したので、「数年間は仕事に打ち込んで、実際に持続可能なビジネスを、どうしても構築する必要があった」のだという。

どうやら、その努力は報われたようだ。彼は、Elevate Labsの昨年のキャッシュフローは黒字だったと明かした。これまでに受けた資金提供は、合計で1710万ドル(約18億2300万円)に達する。現状の計画は、Elevate Labsの成長を確かなものとし、Balanceを立ち上げるだけでなく、関連する他のさまざまなアプリの開発にも注力すること。

「メンタルフィットネスに関しては、構築すべき非常に大きなブランドがあると考えています」と、ピカード氏は締めくくった。

画像クレジット:Elevate Labs

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

オンデマンドウェルネスプラットフォームのUrbanがメニューに理学療法を追加

Urban(アーバン)は、マッサージ、オステオパシー、そしてさまざまな美容トリートメントなどへの広がりをみせる「ウェルネス」サービスへの予約を、オンデマンドで行えるロンドン拠点の企業だ。そのUrbanが身体的健康の「ワンストップショップ」になるために、理学療法をサービスメニューに取り入れようとしている。

この新しい従量課金制理学療法サービスでは、UrbanアプリまたはウェブサイトからHCPC登録済みの理学療法士を予約して、自宅で施術を受けることができる。NHS(英国健康保険)を使うサービスでは、理学療法を受けるのに数カ月とは言わないまでも、数週間の待ちが発生するのが普通だ。継続治療や新たに受けた負傷の迅速な評価が必要な(そしてそのためには「自費での」支払いを厭わない)人のためのニーズが、市場にあることを発見したのだ。

Urbanの創業者であるJack Tang(ジャック・タン)氏ならびに、同社の身体健康ジェネラルマネージャーのJoe Jarman(ジョー・ジャーマン)氏との電話によれば、新しいサービスは週7日利用することができ、最短2時間でプライベートな理学療法士へのアクセスを可能にすることが目的だと言う。当初は、特に需要(そしておそらくは支払い能力)が最も高いロンドン中心部に焦点を当てて、ロンドンでの利用が始まり、その後マンチェスターとバーミンガムが続く。

とはいえ、価格設定は一般に私立医院で提供される理学療法に比べて競争力があるもので、私立医院からの訪問を手配するものに比べると、かなり安価である。ジャーマン氏によれば、そうできる理由は、Urbanは1日に可能なセッション数を最大化するために、そのアプリを使って近隣の予約をグルーピングし、移動時間を節約することができるからだと言う。これはUrbanや他の健康サービスがすでに行っているやり方と同様である。もちろん、同様に実店舗を維持するコストも不要だ。

ジャーマン氏によれば、Urbanの理学療法士の多くは、日中はNHSで働いているが、夕刻以降や週末に追加の収入を得たいと考えていたり、個人診療に移行したいと考えていたりする。

Urbanのようなサービスが事業を伸ばすことで、NHSにさらなる圧力をかけることになるのかと質問されると、彼はこの産業全体が成長していると答えた。2015年以降、理学療法士の数は22%増加している。さらに、ジャーマン氏は、総合診療医(GP、英国でのホームドクター制度の中核を構成する開業医)が診る症例の3件に1件がMSK(Musculoskeletal、筋骨格系)に関わるものであることから、Urbanの理学療法士に早い段階でアクセスすることでこれを減らすことができると語る。

いずれにせよ、現在の資金状況と組織構造の中では、NHSがMSKに関わる迅速な助言と治療を提供できるような、適切な位置にはないことは確かだ。理学療法はまた、Urbanによる既存のオステオパシーとスポーツマッサージ治療の自然な延長線上にある。

「私たちは、良好な身体的健康を達成するための完全なパッケージを提供するためには、理学療法が最終的に重要な要素だと考えています」とジャーマン氏は声明の中で付け加えている。「もしご自分の体に問題が生じた方がいたら、私たちはその方が正しい治療プランに出会えるようにします。 そして時間と場所を選ぶことができるようにも」。

一方、タン氏は、今回身体健康のためのセットメニューを完成させたUrbanは、次はより新しいやり方の美容とシェイプアップカテゴリーを展開するために「倍掛け」する予定だと語った。

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(翻訳:sako)

在宅血液検査のスタートアップBazeがNature’s Wayから6億円調達

セラノスの詐欺事件後)ベンチャーの世界は、ほんの数滴の血液から健康データを提供するとうたう血液検査のスタートアップを警戒するようになってしまった。しかし、スイスに拠点を置くパーソナル・ニュートリション(個人向け栄養管理)のスタートアップであるBazeは、個人が自宅で血液検査できる便利なサービスを提供している。同社がFDA規制に準拠しているというMIT製のデバイスを使用して、各ユーザーからごくわずかな血液を収集している。

血液サンプルを介して、健康に必要なのに体に不足しているビタミンを見つけ出す、というのがその構想だ。医者に行った後に検査のために別途最も近いラボに向かう、といったようなことを望まない人々に訴えるサービスのようだ。

医療専門家のほとんどが、個人が適切な量の栄養を摂取しているかどうかを知ることが重要である、ということに賛成するだろう。ビタミンD欠乏症は世界中でみられる症状で、カルシウム吸収、ホルモン調節、代謝、筋力低下に影響を及ぼす。 米国人口の推定74%が、毎日必要なレベルのビタミンDを摂取していない。

「さまざまな欠乏症は人口全体に分布している」とBazeのCEOで創業者のPhilipp Schulte(フィリップ・シュルト)氏は語る。「血液検査によって、サプリメント業界で初めて、そうした欠乏症に解決策を提供できることがわかった」。

これまでにどれくらいの人がBazeを試用したのかまだ正確にはわからないが、シュルト氏によると同社の新規加入者は毎月40%増加している。

サプリメント会社のNature’s Wayがこれに注目した。Nature’s WayはBazeと提携し、600万ドル(約6億円)を注入してBazeの米国におけるマーケティング活動を支援する。

私は検査を試す機会があった。とても簡単だった。洋ナシ型の小さなデバイスを開き、腕に当ててから押して、血液を採取し始める。完了したら付属の医療用パッケージに入れて、Bazeの契約ラボに発送する。

自分で小さなデバイスを腕に当てる方が確かに便利だと思うが、腕から血が吸い出されている小さな泡が見えるので、そういうのを見るのが嫌な人にとっては煩わしいかもしれず、ラボに行って誰かにやってもらう方が簡単かもしれない。

Quest DiagnosticsやLabCorpなどのラボは検査するビタミンの種類によって価格が異なるものの、Bazeはそういったラボに比べて価格面でも魅力的だ。Bazeは1回あたりわずか100ドルである。検査結果が得られたら、サプリメントを毎月定期購入できる。最初の月はサプリメントがキットに無料でついてくる。

検査結果はBazeのウェブサイトに約12日以内に表示される(ただし、シュルト氏はTechCrunchに、結果をもっと早く得られるよう取り組んでいると話した)。検査結果には検査されたビタミンの種類とスコアが表示される。

私は100点中の74点のスコアで必要な栄養素を摂取していると言われた。しかし、私はすでに高品質のビタミンをよく摂取している。突出していたのは亜鉛レベルだけで、検査を2回実行した後、チャートからかなり外れたと言われた。私は亜鉛中毒の症状を示していないので、これはおそらく、試験開始前に亜鉛ベースの日焼け止めを十分に拭き取らなかった結果だと思われる。

自宅で自分の検査を行うことに興味があり、キッチンにあるようなもので腕を刺すことが怖くなければ、Bazeにサインアップしてはどうだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)