「誰でもAmazonプラットフォーム」のBringgが、新たに1000万ドルを調達

より速く、より透明性の高い、オンデマンド配送の活用を目指すスタートアップのBringgが、シリーズBで追加の1000万ドルを調達したことを、今朝(米国時間3月14日)発表した。調達はAleph VCによって主導され、コカ・コーラや、前回も投資したPereg Venturesなども参加している。

2013年に設立され、シカゴに本社を置くBringgは、かつてMobileMaxを創業しCEOを務めたRaanan Cohen、そしてGett and Clarizen.comのCTOを務めたLior Sionによって創業された。基本アイデアは、各企業の配送業務に、AmazonやUberレベルの業務可視化を提供することで、そこには配送通知や、運転手の地図上での追跡、運転手から顧客への連絡、スター格付け、その他の機能が含まれている。

Bringgのソリューションを使用する企業は、リアルタイムにルートの最適化と優先度つけを行うことが可能で、配送をより効率的に行うことができるようになる。これにより、企業はAmazonなどのような企業と競うことができるようになる、とSionは説明している。

「AmazonやUberは、顧客の期待レベルを、これまで見たことがない程の高いレベルに押し上げました」とSion、「現在の消費者たちにとっては、もし何かを注文してそれが届くのに1週間もかかり、そして正確にいく届くかが分からないとしたら、とても奇妙な気がします。そうした経験はとても不快なものです」。

そしてUberやAmazonのような企業のオペレーションが、さらに強力で効率の良いものになるにつれて、Bringgの業績も更に伸びてきている。その扱う配送量は前四半期に比べて300パーセント多いものになっているのだ。

「小売店はアマゾンに敗れ、直接顧客との関係を持たないブランドたちは怯えています。彼らは消費者に直接販売し、直接届ける方法を探しているのです」とSion。「私たちは、Amazonが支配しようとしている、全体の配送体験の民主化を目指しているのです」と彼は付け加えた。

現在、Bringgは50以上の国に数百の顧客を抱えている。その中には完全な配送チェーン、小包配送サービス、食品配達サービス、さらには、例えば、ドライクリーニングサービスや、ケーブルTV修理会社、なども含まれている。利用企業は扱い量に応じた金額をBringgに対して支払う。

多くの顧客は、投資もしているコカ・コーラのような大企業であり、Bringgを様々な用途に用いている。例えば企業と最も近くの卸業者を結び在庫切れに対応するとか、修理業者のオペレーションを扱うとか、更には米国外における企業と消費者間の関係までも扱う。

Bringgは顧客名の開示は拒んだが、基本的に相手はスタートアップではないということを指摘した。単に車両をリアルタイムに管理する機能を用いるだけではなく、配送業務のコストを最適化する必要に迫られた企業が顧客となっているということだ。リアルタイムマップ、通知、サービス格付け、コミュニケーションなどを実現するAPIやSDKのセットをアプリやウェブサイトに統合する能力に加えて、コスト最小化に向けて、ルート、運転手、そして配送を最適化することが、Bringgの支援するサービスだ。

さらに同社は、様々な配送モードや配送業者を同時に扱うことができる、例えば社内車両とサードパーティの車両を混合運用したり、より忙しい時間(例えば休日)に、クラウドソーシングで一般ドライバーを使って運送力を拡大することなども実現可能にしている。

「Amazonは消費者がサイトに訪れた瞬間から、在庫、配送の最初そして最後の1マイルに至るまで、徹底した可視化経験を消費者に提供しています。そしてこれこそが、彼らが他の業者をことごとく打ち倒している理由なのです」とSion。「彼らは、その過程の全てを最適化していくことができます…私たちの目標は、同じ能力を私たちの顧客に提供することなのです。これこそが、唯一のAmazon対抗手段だと私たちは考えています」と彼は言う。

50人のチームで構成される彼らの会社は、現在テルアビブ、ニューヨーク、そしてシカゴにオフィスを持っていて、追加の資金により新しい市場、新しいセグメントへの進出を計画している。これにはR&Dチームと運用チーム(セールス、マーケティング、アカウント管理そしてサポートを意味する)の拡大が含まれる。

現在までに、Bringgは1900万ドルを調達している。

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(翻訳:Sako)

Amazon、15億ドルを投じて航空貨物ハブ建設へ

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Amazonは社内に世界最大級のロジスティクス・システムを持っている。このことにさらに証拠が必要なら、Amazonが新しい航空貨物基地の建設のために15億ドルを投資する事実をを指摘すればよいだろう。新しい航空貨物ハブはケンタッキーの州境に近いシンシナティの郊外に建設され、最終的に2000人の職を作り出すものとWall Street Journalが報じた。

次第に拡大して現在40機にもなっているAmazonの貨物機に基地を提供するのがこのプロジェクトの目的だ。Amazonは専用の塗装を施された貨物ジェットの披露にあたってリース元がAmazon Prime Airという子会社であることを明らかにした。リテール・ビジネスにおけるAmazonのシェアが拡大するにつれ運輸のニーズも増大している。Amazonの航空貨物能力の拡充はロジスティクスの面で同社の大きな助けとなることが期待されている。しかしこれは同時に現在物流でAmazonのパートナーとなっているFedExやUPSにとって脅威となり得る状況だ。

Amazonはこれまだ長い間、他の運送事業者と競合する分野に進出することはないという方針を掲げてきた。しかしAmazonは海上運送事業ではすでに港湾荷役から通関業務まで取り扱うフォワーダー〔乙仲〕の資格を取得している。これはFedExやUPSが提供しているサービスだ。WSJによれば、Amazonは自社の通販ビジネスの物流だけでなく、他社や消費者に対する物流サービスの提供事業にも進出する準備を進めているという。これは現在の物流パートナーと直接に衝突するコースだ。

そういう事態になれば影響するところは巨大だ。しかしAmazonはサードパーティーの運輸事業者と提携しているものの、クリスマス商戦などの繁忙期に需要をさばくための能力の不足に苦しんできた。そこで独自の物流システムが構築によるロジスティクス能力の拡大はそれ自身で十分追求に値する目的だ。運送事業に進出するかどうかは将来の課題となる。

〔日本版〕WSJの記事によればAmazonがハブを置くのはシンシナティ市街の南に位置するCincinnati/Northern Kentucky International Airport(CVG)だという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

テクノロジーは次の食糧不足を防ぐことができるのか?

Field of corn growing in Kentucky USA.

【編集部注】著者のBen Dicksonは、ソフトウェアエンジニアかつTechTalksの創業者である。

もし海軍解析センター(CNA)によるシミュレーションが正しいとすれば、人類は食糧不足が暴動や戦争を引き起こす恐ろしい未来に向かって踏み込みつつある。それは少し誇張されているのかもしれないが、この先の食糧不足の危機は深刻であり、連邦政府が資金を提供する研究開発センターのCNAは、将来の食糧生産は永久に不足するようになると考えている。

国連は2050年までに養う必要のある口が20から30億増えると推定している。そして気候変動が10年あたり2%の作物生産を損なうと見積もっていて、時間的に危機を回避できる見込みは悲観的なものである。一方、生活の都市化や都市に移動する人口の増加に伴い、農場での労働力不足が起こる

私たち人類が飢饉や食糧不足に向き合うのは初めてのことではない。私たちはこれまでの歴史を通してずっと戦い続けてきたのだ。これまでの時代では、肥料や機械化された農業などの発明が、私たちのニーズに対応するために、より多くの資源を活用し、より多くの食料を生産する方法を見つけるのを助けてきた。

しかし現在では、リソースがさらに希少化しているため、既存のものをより効率的に使用するためのブレークスルーが私たちには必要なのだ。

科学者たちによれば、その答は、デジタル技術による新しい時代の中に発見されるのかもしれない。既にさまざまな分野で価値が証明され、農業と食品生産を変え、成長する人口の消費ニーズを満たす可能性を秘めたそれらの技術の中に。望むらくは私たちがゴキブリを食べざるを得なくなる前に — あるいは更に悪く、お互いを食糧にする前に。

精密農業で点と点をつなぐ

伝統的な農業は、所定のスケジュールに基づき、植え付けや収穫などの特定の作業を実行することにより行われている。このモデルでは、損傷や廃棄に対処する最低限のコントロールを行っている。

しかし、近年の技術の進歩は、リアルタイムにデータを収集し、それぞれの場所で任意の時点で正確に何ができるかの洞察を得ることを可能にする「精密農業(precision farming)」の構築への長い道のりを歩んでいる。

IBMのグローバルサプライチェーンエキスパートであるPaul Changは「精密農業は食品産業をより効率的で、低コスト、そしてより持続可能なものに変えることができできます」と語っている。IoTプラットフォームを利用してさまざまなセンサデータを収集し、予測分析と統合することで、業界は生産を最大限に引き上げ、損失を最小限に抑え、持続可能な実践を続けるためのアクションが可能になるのです」。

技術のデジタル進歩は、農業をより生産的にして、作物をより安定化させることができます」と語るのはSAPのデジタル未来研究ディレクターのKai Goerlichだ。「センサーとリアルタイムの分析を、食料品の植え付け、栽培、収穫、輸送を最適化するために使用することができます」。

そのようなプラットフォームの1つが、農業従事者、農業メーカー、サプライヤーを結ぶ、SAPのDigital Farmingだ。「農場全体の重要なデータが、現在、単一のクラウドプラットフォームによって収集され、分析されていて、農業をより効率的かつ持続可能にしています」とGoerlichは語る。

「現在、大規模でローカルな農場では、IoTを活用して、土壌の水分や作物の成長と家畜の飼料レベルを検出したりするセンサーを遠隔監視したり、灌漑設備の遠隔管理と制御を行ったり、そして第3者情報と操業データの統合を行ったりすることが可能です」と語るのは IoTセンサーのメーカーであるSenetのビジネス開発担当副社長であるWill Yappだ。

私たち人類が飢饉や食糧不足に向き合うのは初めてのことではない

Yappは、これらの組み合わせが、経験的データを使用して運用計画と意思決定を改善する新しい方法を提供すると語っている。

Senetのセンサーは、LPWAN(Low Power, Wide Area Networks:低電力広域ネットワーク)上で動作し、広大な場所での導入および接続のコストを削減する。 「(LPWANセンサーは)農業生産の質、量、持続可能性、コスト効率を高めるために設計されたIoTアプリケーションをサポートするために、ローカルな農業および環境条件に関するデータを収集するのには理想的です」とYappは語る。

これらのセンサーによって生成されたデータは、必要でない場所へ水を撒くのではなく、土壌の水分が減少している場所に水を正確に撒くといった形で、精密農業を改善するために使用することが可能だ、とYappは説明している。「IoTで管理された給水システムによって、消費量を大幅に削減すると同時に収量を増やすことができるのです」と彼は言う。

IBMのChangは、新技術が精密農業のパワーを解放する手助けをするシナリオを提示している、例えばビデオキャプチャドローンと作物の現状を示すことができるクラウドベースの分析ソフトウェアの組み合わせで、農家が作物の成長曲線に影響のある行動をとる手助けをするといったことだ。

天気予報データの活用

天気予報を農業プロセスに統合できることも、精密農業の重要な要素だ。 「この先の気象状況を正確に監視することで、水が必要なときにのみ使用されるようにすることができます」とChang。

「すべての農作物の損失の90%は天候によるものです」とIBMのThe Weather Companyの農業責任者であるCarrie Gillespieが付け加えた。気候変動が世界中のさまざまな地域で農作物や農業に影響を及ぼし始めているため、これは特に重要である。「天気予報モデルを作物の植え付けと収穫作業に組みわせることによって、事前により良い決定を下すことができます」とGillespieは言う。

The Weather Companyは、クラウド中にある予測モデリングのための微気象データを活用することで、農家が農場でより効率的に利益を上げられるように支援を行う。

天気予報を農業プロセスに統合できることも、精密農業の重要な要素だ

天気と土壌データを正確に使用することで、灌漑の時期と方法、農薬や肥料の使用を減らしながら収量を増やす方法についての洞察が得られると、Gillespieは説明してる。

分析と機械学習技術の使用は、病気や害虫の予測を可能にし、耕作者が作物の喪失を防ぎ、化学物質の使用を調整するのに役立つ。

これらは、ケンタッキー州カディスのSeven Springs Farmでトウモロコシの収量を改善するために、トラクターメーカーのJohn Deereが運営するクラウドベースのソフトウェアシステムを使用して実践されている。 「この農場では、天気予報に基づいて肥料の購入を調整し、不良品を減らすためのアプリを使用しています」と、同社の戦略に携わっているSAPのGoerlichは述べている。 「また私たちは、安全に消費できる作物の収穫を増大させる天候予測アプリを導入する農業法人が増加していることも知っています」。

「『最先端の農業』は、農家がデータと予測分析を使って最善の意思決定を行うことができる『農業の科学』によって増強されるべきです」とCahngは語る。 「開発途上国の人々を含め世界の誰もが、最新技術へのアクセスを行うことができるので、最先端の農業技術が、モバイルデバイスを活用することで、個人が簡単に利用することができるようになりました」。

流通を改善し、サプライチェーンを最適化する

天気予報を農業のプロセスに統合することは、収穫と輸送に関する物流を改善するのにも役立つ。気象および土壌の分析によって、農場が収獲機械の重みに一番影響されないのはいつか、どの農場に働き手を送り込むべきかを予測し特定することができる。また特に、道路が未整備で豪雨によってトラックが泥で立ち往生するような国で、どの流通経路が雨やこの先の天候の影響を受けるのかを予測することを助けることができる。

「 流通時に多くの食品損傷が起きるので、食品を適切な温度で輸送し、必要以上に保管しないことが重要です」とGillespieは言う。

製品リコールも損傷や廃棄に寄与する。しかもそれは多発する。研究が示唆するように、多くの場合、リコールされた食品の最大50パーセント程度は汚染されていない、これによってコストが上昇し、多くの良い食品が無駄にされている。こうなる理由は、サプライチェーンに十分な可視性がないからだ。連邦規則では、企業はサプライチェーン全体を貫いて、トレーサビリティを個々のステップで確保するように規定しているが、チェーン内で非常に迅速に動く、食品や傷みやすい製品には十分ではない。

「リコールでは、汚染の発生源とその範囲の理解によって、汚染されていない製品が不必要に廃棄されることを防ぐことが大切です」と語るのは、トレーサビリティと持続可能性を通じて食品の安全性向上を支援するソフトウェア会社FoodLogiQのCEO、Dean Wiltseである。

リソースがさらに希少化しているため、既存のものをより効率的に使用するためのブレークスルーが私たちには必要なのだ

FoodLogiQは、伝統的な手作業とスプレッドシートによる管理ではなく、移動の各段階でデータを取り込んで保管し、顧客に製品をスキャンしてそのサプライチェーン上の履歴に素早くアクセスさせることを可能にするインターフェイスを提供して、サプライチェーン全体の可視性を向上することを狙っている。

「エンドツーエンドのトレーサビリティは、企業が効率を実現し、サプライチェーン全体の可視性を上げることを助け、製品リコール時の食品廃棄を最小限に抑えます」とWiltseは語る。「そしてエンドツーエンドのトレーサビリティは、発生の原因を特定し、サプライチェーンの各ステップを、農場、バッチ、コンテナのレベルまで正確に追跡するのに役立ちます」。

合理化されたサプライチェーン管理は、汚染されていない食品の廃棄を回避し、食品品質に影響を及ぼす可能性のある遅延を防止すると、Wiltseは信じている。

オンデマンド食品プリント

近い将来、私たちは食べ物をまったく違った形で作り出しているかもしれないと、3D食品プリントのスタートアップBeeHexのCMOであるJordan Frenchが語っている。 「3D印刷技術は、サプライチェーンにおける食料腐敗を大幅に削減し、消費者の欲求や必要に合わせてパーソナライズする能力を強化することで、食品市場全体の非効率性を排除する完璧な機会を提供します」と彼は言う。

食品プリントは贅沢で無駄な技術と見なされることが多いが、Frenchは費用と労働力を削減することのできる興味深いユースケースがあると説明する。 「未来を見つめてみれば、3Dプリント技術は、食品市場に対して、生産から消費に至るまでの直接的な橋渡しを提供するでしょう」と彼は語る。

例えば、果実は収穫後、最終的に食料品店に到着する前に、貯蔵ユニット、包装施設および長い流通経路を通って移動する。 「このプロセスは、製品を新鮮な状態に保つために膨大なエネルギーを費やしています」とフレンチは言う。「それにもかかわらず、フルーツと野菜の約16パーセントは夕食のテーブルに載せられる前に失われてしまうのです」。

革新的なサプライチェーンでは、果物は収穫直後に粉末状の微量栄養素に変換され、完全に水分を保ったままの果実に課された劣化のリスクを心配することなく、輸送を行うことができるようになる、とFrenchは説明する。

「ここから消費者は3Dプリンタを使用して、元の美味しいものへと再加工します — こうしてエネルギー消費も少なく、途中のロスも減らすことができるのです」と彼は結論付ける。

緑の惑星を支配しつつある変化は、今後数十年間に食糧の生産、流通、消費に新たな秩序をもたらすだろう。もし過去が何らかの参考になるのなら、新興技術は人類が過去のサイクルで行ったように食糧不足を克服することを助けるだろう。真の問題は、危機が発生するのを防ぐためにそれが間に合うかどうかなのだ。

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(翻訳:Sako)

写真提供: UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

フリートマネジメントのAutomileが750万ドルを調達

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 Nylander

フリートマネジメントのAutomileは現地時間23日、シリーズAで750万ドルを調達したと発表した。本調達ラウンドでリード投資家を務めたのはSaaStrで、その他にもSalesforce Ventures、Niklas Zennstrom、Dawn Capital、Point Nine Capitalなどが参加している。

Automileは車両のダッシュボードの中に取り付け可能な四角いデバイスを提供しており、ユーザーはそれを取り付けることで車両の走行距離やルートのトラッキングをすることが可能になる。このデバイス自体は無料で提供されるが、車両1台につき月額5.90ドルから19ドルのサービス利用料が発生する。

最上位のプランでは、走行距離のロギング、各種統計の表示、費用のマネジメントツール、リアルタイムのロケーション・トラッキング、事故が発生したことを知らせるアラート、リスク軽減ツール、メンテナンスが必要になる時期の予測機能などを利用できる。Automileはこれまでに6000社のユーザーを獲得しており、SamsungやNestléなども同社のサービスを利用している。しかし、主要顧客は配管工事、清掃、石油、農業、コンクリート工事の分野に属する企業だという。

「マーケットで動き回るものすべてが私たちの事業領域です」と話すのはAutomile CEOのJens Nylanderだ。

企業向け(特に修理業者、工事業者、農業分野向け)のロジスティクスビジネスは、テクノロジーがまだ浸透しきっていない分野である。Berg Insightの調べでは、米国にある商業車両のほとんど(約80%)には、まだフリートマネジメント・ツールが搭載されていない。

Nylanderによれば、Verizonが今年8月に買収したFleetmaticsなどを除き、企業向けのロジスティクス分野に注力するスタートアップは、ほとんどいないという(ディスクロージャー:VerizonはTechCrunchの親会社)。Nylanderによれば、AutomileとFleetmaticとの違いはデバイス取り付けの難易度だ。Fleetmaticが提供するデバイスの取り付けは専門のスタッフが行う必要がある一方で、Automileのデバイスはユーザー自身が簡単に取り付けることができる。

Automileが予想する今年度の収益は300万ドルで、これは昨年の80万ドルから上昇している。同社は今回調達した資金を利用してヨーロッパ地域へのさらなる拡大を目指すとともに、Palo Altoのエンジニアリングチームを強化していく予定だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

小規模ビジネス向け配送サービスのWeengsがLocalGlobeなどから270万ドルを調達

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小規模の小売店やオンラインショップ向けの配送サービスを展開するイギリスのWeengsが220万イギリスポンド(米ドル換算で約270万ドル)を調達した。同社のサービスを利用すれば手間のかかる商品の配送を一手に引き受けてくれる。ロンドンでサービスを展開する同社は、今回調達した資金を利用して他のヨーロッパ諸国への事業拡大を目指す。

今回のシードラウンドにはRobin KlevinとSaul Klevinが率いるLocalGlobe、Seedcamp、ドイツのCherry Ventureなどが参加している。その他にも、匿名のエンジェル投資家が数名と、ギリシャを拠点とするVCであるVentureFriendsも本ラウンドに参加した。2015年7月創業のWeengsは、これまでにエンジェル投資家などから1万7500イギリスポンド(約2万1300ドル)を調達している。

Eコマースの商品配送という点にフォーカスし、それにかかる手間と時間をできるだけ省くことを目指すWeengsは、スマートフォン・アプリを通じてパッケージングおよび配送サービスを提供している。アプリの利用はとてもシンプルで、商品の写真を撮り、配送先の住所を入力し、最後にピックアップを頼むだけでいい。

すると、1時間も経たないうちにWeengsの「エンジェル」たちが商品を受け取りにやってくる。「エンジェル投資家」と間違えそうな名前だが、投資家である彼らがこのように自分の手を汚すことなどないだろう。商品を受け取ったエンジェルは、Weengsが所有する商品管理用の倉庫にその商品を届け、そこで専門のスタッフが商品を梱包する。梱包に使われるのはカスタマイズされたパッケージだ。

パッケージ済みの商品は最終的にWeengsと提携するRoyal Mail、DHL、DPDなどの配送業者によって配送される。Weengsの利用料は1回のピックアップにつき5ポンド(約6ドル)で、それに配送料が加わる。

Weengsの共同創業者であるGreg Zontanosは、「小規模の小売店やオンラインショップが頭を抱える問題は商品のパッケージングと配送です。彼らには大企業のようにハイクオリティな配送サービスを展開できるだけのリソースや経験がなく、そのせいで商品の到着が遅れたり、梱包が不十分で商品が傷ついてしまったりといった問題が発生してしまいます。だからこそ、私たちは大規模な配送サービスを手ごろな料金で提供しているのです」と話す。

「まだ梱包されていない状態の商品をユーザーの店舗や自宅まで取りに行き、専門のスタッフが自社製のパッケージで商品を梱包し、信頼のおける配送業者が格安な料金で商品を配送します。これにより、当日配達が可能になるだけでなく、丁寧に梱包された商品を傷ひとつない状態で顧客に届けることができます。そしてユーザーは時間とお金を節約できるのです。また、Weengsは国際配送にも対応しており、カスタマイズされたパッケージングと配送サービスを低いコストで提供し、面倒な税関手続きを代行することで、ユーザーはより大きな市場にもアプローチができるようになるのです」。

Weengsの収益モデルは優れたものになる可能性がある。同社の収益となるのは配送する荷物の数に大きく左右される利用料金と配送料だけではない。大量発注によって価格が下がった配送コストと、実際にユーザーから受け取る配送料金との差額もWeengsが得るマージンとなるのだ。もちろん、このビジネスモデルを機能させるためには事業規模を拡大していくことが最も重要となるだろう。

そのため、Ebayで何度も商品を販売する人や、Trouvaに掲載されているようなブティック洋品店などがWeengsの典型的なユーザーだ。「このようなショップを運営しているのは1人か2人の個人であり、彼らが8時間以内などというように制限された時間のなかで、商品を梱包するパッケージを探したり、実際に梱包したり、パッケージに貼るラベルを購入したり、郵便局に並んだり、在庫を調整したりといった作業をこなすのは難しいのです。Weengsを使えば、彼に必要なのは写真を撮り、配送先の住所を入力し、ピックアップを要請するのに必要な時間だけなのです」とZontanosは語る。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Amazon、配送ビジネス化ならライバルに大脅威―AWSの運送事業版はあり得る

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今日(米国時間8/31)のBloombergの長文記事はAmazonの配送事業の拡大ぶりを詳しく描写している。eコマースの巨人は配送処理の中心となる基地、大口航空輸送、「最後の1マイル」の配送手段まであらゆる要素を統合して、史上最大かつもっとも効率的なグローバル運輸ネットワークを完成させようとしている。

「現在でも表面的にはAmazonはFedExやUPSなどの輸送事業者の大口顧客だが、最終的にはロジスティクスのインフラをビジネスに転換するのではないか」とBloombergは推測している。

当初Amazonが自社のeコマース事業のために開発したしたコンピューティングのインフラをAmazon Web Servicesとしてビジネスに転換したのと同じようなことが起こるかもしれない。AWSは今やオンデマンドのコンピューティング市場の大きな部分を占めるビッグ・ビジネスに成長しただけでになくAmazonの事業においても稼ぎ頭となっている。

UPSやFedExなどの運送会社はAmazonのeコマースの急成長から大きな利益を得てきた。しかしその間、輸送能力拡充のために巨大な投資をせざるを得なかったし、Aamazonからの強い値下げ圧力にさらされてきた。一方でAmazon自身も配送の迅速化を求めるプライム・サービスの会員からの圧力を受けている。これはAmazonに配送過程のすべてを独自化させる力となって働いている。

Amazonはこの8月、航空貨物部門としてPrime Airを正式にスタートさせた。40機の機材はAtlas AirとATSG〔Air Transport Services Group〕から2年契約でリースを受けたものだ。 それだけはなく、Amazonは独自の貨物運送用トレーラー開発やFlexと呼ばれるプログラムを推進している。Flexは誰であれ一般のドライバーを「最後の1マイル」の配送に参加させるのが目的だ。

長期的にみると、現在はAmazonのパートナーである運送事業者にはさらに大きな懸念がある。Amazonがドローン配送の実現に向けて力を入れていることは有名だが、自動運転車にも強い関心を寄せており、フィアット・クライスラーその他のメーカーと提携している。

Amazonは巨額の投資を行った事業については、自社内で利用するだけでなく急速に外販に進む。Amazonのビジネス化の能力を軽視するのは危険だ。Amazonは配送に関してますます社内の能力を重視するようになっている。

これは科学的な調査とはいえないだろうが個人的な経験をお話しておこう。Amazonの通販を日頃利用しているが、この数週間、2日以内に無料配送という条件のAmazonプライムで注文した製品はすべてAmazon独自の配送要員が届けてきた。以前はこうした配送はUPSやCanada Postが担当するのが普通だった。

画像: Amazon

〔日本版〕Etheringtonはカナダ中部のウィンザー在住。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Verizonが車両管理のFleetmaticsを24億ドルで買収

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Verizonは7月25日にYahooを48億ドルで買収した。続けざまに、米国時間8月1日にアイルランドのダブリンに拠点を置く車両管理のテレマティクス企業Fleetmatics24億ドルの現金払いで買収すると発表した。これによりVerizonは物流や社外で働く従業員を管理する分野の企業向け製品の拡充を狙う。

この買収でFleetmaticsを車両管理、モバイルワーク(社外で働く従業員)のためのソリューションやIoTを事業とするVerizon子会社Verizon Telematicsに吸収することとなる。Verizonは6月21日にTelogisの買収を発表しており(買収額は公開されていない)、今回の買収は事業拡大のために行っている一連の買収に続くものだ。

一般的な観点から見て、VerizonによるFleetmaticsの買収は既存の電話サービス事業の失速を相殺するため、新興分野への投資に資金を充てるようバランスシートの資産配分を調整していることを示す。市場がよりコモディティ化し、ユーザーの関心は従来の音声サービスから遠のき、デジタルなコミュニケーションの方に向いている。その中で、Verizonはマージンを保ち収益を伸ばすためにも、土管化(通信のインフラしか取り扱っていない状況)から抜け出すべく新興分野への投資に意欲を持っている。

AOLの買収(そして今回のYahooの買収)がVerizonのメディア、広告、コンテンツの運用事業の拡充を後押しするのに対し、Fleetmaticsの買収は企業向けサービス、とりわけエンタープライズ・モビリティー(社外で働く従業員を管理する)分野におけるVerizonの野望を示している。

このような市場を俯瞰して見えてくる背景は興味深いものだ。

trucks一方、Fleetmaticsのサービスの既存顧客は、企業の広範な業務の一環に車両を常時運転する従業員を雇用している企業だ(Fleetmaticsの既存顧客にはTime Warner Cable 、DirecTVがいる)。

スマートフォンサービス、エンタープライズ・モビリティーの流行によって、既存顧客は自分たちの仕事を改善する幅広いツールを手に入れることができた。顧客がそれらのツールを購入する際に頼りにできる企業になることをVerizonは目指している。

その一方で、新たな成長市場が存在する。Uberのような企業は単なる人々の交通手段におさまらない物流事業を構築するために多くの投資を行ってきた。多くのスタートアップ(そして、Amazonのような大きな企業も)がA地点からB地点に物を運ぶ既存のプロバイダーの変革を目指している。Verizonも同様に顧客企業からの収益を増加させる手段としてそれらのサービスに利用されているテクノロジーを買収している。単なる通信ネットワーク接続事業におさまらないように。

Fleetmaticsは移動する従業員を抱える企業、車両に対してGPSやサービスを提供するSaaS型の事業を展開するプロバイダーだ。3万7000社の顧客、73万7000台の登録車両、1200人の従業員を持つ。Fleetmaticsのサービスは位置特定サービス、ドライバー、車のセキュリティーサービス、燃料の計測、派遣、発注や請求管理も含む。

2012年より株式の公開をしており、株式は一株60ドルの現金に相当する。Fleetmaticsの株式が未公開だった時にIVPなどの出資者から9300万ドルを資金調達している。

VerizonTelematicsのCEOであるAndres Irlando氏は今回の買収は中小企業向けのテレマティクス事業を強化するためだと語った。

「Fleetmaticsは北米のマーケット首位の企業です。また、国際的にもシェアを伸ばしつつあります。中小企業向けに多くの魅力的なSaaS型の製品とソリューションを開発してきました」とAndres Irlando氏は声明で語った。今後も引き続き同様の買収の予定があるかAndres Irlando氏に対して聞いていく予定だ。

「SaaS型の車両管理のソリューション市場は巨大でグローバル、ソリューションはわずかだけ浸透しており、細分化しており統合されていない状況です。VerizonとFleetmaticsはその市場において業界最高の製品、最大の流通チャネルで一緒になって勝負していくビジョンを共有しています」とFleetmaticsの代表取締役会長兼CEOのJim Travers氏は声明で語った。

Verizon TelematicsはAOL(TechCrunchも所有)も所有しているVerizonの子会社だ。ソフトウェア、ハードウェアのソリューションを40カ国以上の市場で展開している。

買収は2016年の第4四半期に完了する予定だ。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

運送業向けサービス開発のhacobuが業務・運行管理クラウドを提供——7月にはデジタコも販売

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「コネクテッドカー」なんてキーワードがこの1、2年で広がったが、内蔵するセンサーや外付けのIoT機器で車のデータを取得し、そのデータをクラウド上にアップするなどしてさまざまな用途に利用するという動きが進んできている。コンシューマー向けの動きであれば、以前に紹介したSmartDriveの車両診断デバイスだってその1つの事例だろう。

ではビジネス向けの動きはどうだろうかというと、運送業向けのクラウドサービスやIoT機器を開発するHacobuがおもしろいプロダクトを手がけている。同社は4月14日、運送業支援向けのクラウドシステム「MOVO クラウド」およびスマートフォンアプリ「MOVO App」の提供を開始した。

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MOVO クラウドは、運送業(ここで指すのは事業用貨物自動車、つまり緑色地に白文字のナンバープレートを付けた事業用自動車による運送業務)向けの業務・運行管理システムをクラウド化したもの。利用は無料。運送業の多くは、案件ごとに「どこからどこまで、何時間で運送したか」「何時間で何キロ走ったか」などをドライバーが紙で申請し、管理者が100万円近い業務パッケージを利用して入力・運賃などを計算する…というのがまだ主流だそう。MOVO クラウドは案件の入力から請求書発行まで、つまり紙と業務パッケージで行っていた機能をクラウドサービスで提供することで、手入力の作業を大幅に削減するという。

hacobu代表取締役の佐々木太郎氏

hacobu代表取締役の佐々木太郎氏

またMOVO Appでは、スマートフォンのGPSなどを活用し、リアルタイムな位置情報や走行状況を取得。さらに荷積み・荷下ろしといったステータスの管理などを行う。アプリとクラウドサービスは連携しており、アプリのログをもとにして、クラウド上にドライバーの日報が自動生成される。アプリは月額960円だが、当面は無料で提供する。

さらにhacobuでは、7月をめどにしてクラウドサービスと連携するデジタルタコグラフ(デジタコ:車載の運行記録計。走行の速度や時間を記録し、外部メモリに保存する)「MOVO Hub」を提供する予定だ。

国土交通省は交通事故削減の観点から事業用貨物自動車へのデジタコ導入を進めており、2015年4月以降、総重量7トン以上の新車に対しての導入が義務化された(以前は総重量8トン以上)。また2017年4月以降、対象範囲はさらに広がる予定だ。

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MOVO Hub

このデジタコ導入、運送業者にとっては悩みの種になっているのだという。まず端末自体が、オプションや取り付け費用込みで10万〜20万円代(端末が5〜6万円でも、解析用のソフトが数十万円なんてことになるものもある)と高価なこと、また一部の端末はMOVOシリーズのようにクラウド対応しているものの、多くの端末はSDカードなど外部メモリにデータを保存しており、手動で業務システムに連携する必要があることなどがあり、導入のハードルは高い。これに対してMOVO Hubは3万円程度の価格で提供する予定だという。さらに、安価かつ通信機能のついた温度センサーも将来的に提供していく予定だという。

hacobuは2015年6月の設立。代表取締役の佐々木太郎氏は外資系コンサルなどを経て、サブスクリプションECの「GLOSSYBOX(現:BLOOMBOX by @cosme)」を手がけるビューティー・トレンド・ジャパンの代表に就任。同社は2014年7月にアイスタイルが買収。佐々木氏はその後hacobuを立ち上げた。現在チームは嘱託のスタッフを含めて7人で、大手メーカーでカーナビの開発統括部長を経験したメンバーもいるという。また同社は2015年10月にベンチャーユナイテッドおよびYJキャピタル、オージス総研から合計数千万円の資金を調達している。

AmazonがBoeing 767輸送機を20機リースして配送をスピードアップ

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Amazonのロジスティクスが、でっかい一歩で前進。北米地区の配送用にBoeing 767の一群をリースしたのだ。航空貨物輸送企業のAir Transport Services Group (ATSG)によると、Amazonは同社の航空機20機を5〜7年リースすることに合意した。

この発表は、Amazonが自社の輸送機を運用したがっている、という昨年晩くの報道を確認する。それによりフルフィルメント業務をFedEx, USPS, UPSなどのサードパーティのロジスティクスプロバイダから自己のコントロール下へ移して、経費を節約し、さらに可能性としては配送の大幅な遅れを防ぐ

ATSGによると、合意の詳細はSECに提出する文書で公表する。Seattle Timesの12月の記事によると、専用輸送機Boeing 767Fの月額リース料金は約60〜70万ドル、旅客機を改装した機では30万ドル強だ。Amazonの配送コストは2014年に87億ドル、2013年から31%増加しているが、航空機を自前で持てばかなりの節約が期待される。

Viceの記事によると、AmazonはすでにATSGとパイロット事業を行っている。それは、航空貨物を、ATSGの本社のあるオハイオ州ウィルミントンから、ペンシルベニア州アレンタウンやフロリダ州タンパ、カリフォルニア州オークランド、およびカナダのオンタリオの空港へ運ぶ、という内容だった。

合衆国におけるAmazonのロジスティクス自前化努力としてはほかにも、自社保有トレーラートラックの隊列ドローンによる配送の実験などがある。

Amazonも今や、ほかのeコマース企業や、Instacartのようなオンデマンド企業との競争圧力が大きいから、Amazon PrimeやAmazon Freshなどのサービスを通じて、お客さんに極端に早い配送を約束することが必須の要件になっている。

同社は、国際的ロジスティクスでも忙しい。1月には同社の中国の子会社が、他企業のための海上貨物輸送の免許を獲得した。これで、同社のプラットホームを利用している中国の商業者が合衆国へパッケージを送るのが、容易になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Urban.usの$10Mのファンドは、環境浄化など、より良い都市生活を作り出すスタートアップを育てる

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ベンチャーファンドのUrban.usが今年新たに、1000万ドルのファンドを立ち上げて、今年いっぱい、われわれの都市生活の向上に貢献しようとするスタートアップたちに投資していくことになった。テーマは、都市内移動(mobility, 交通ほか)、ロジスティクス(logistics, 総合物流管理)、環境、ユーティリティ(電気、ガス、上下水道、など)、地方行政など、何でもよい。

今年いっぱいといっても、すでに一部の資金は、スマート(電脳)灌漑のRachioや、電気スケボーOneWheel(上図)のFutureMotion、IoTの冷暖房システムFlairなどに投じられている。

このほか、最初のファンド130万ドルは20社にほぼ同額が割り当てられる。今Urban.usのポートフォリオの中にはHandUpBRCKdashRevivnSkycatchなどがいる。投資対象企業は、シード前の段階からシリーズAまでの層だ。そして二度目のファンドは、それまでに成長した企業や、目に見えて公益に貢献した企業への追加投資になる。

Urban.usの協同ファウンダStonly Baptisteはこう語る: “気候変動への対応がこれからの社会の最大の課題になる。中でも、都市の構造や機構を効果的に変えていくことが重要だ。スタートアップはそれに貢献できる”。

つまり世界の都市は現在、国連の都市開発事業United Nations-Habitatによれば、温室効果ガスの約70%を排出している。2050年には都市の人口が今の倍になっていると予想されるので、都市の排ガス量も増える。そこでUrban.usは、5年以内に約100の都市の状況を急速かつ大規模に変えうると思われる技術に、投資しようとしている。

“世界を良くしよう、というこのファンドの方向性はあまりにも対象範囲が広いが、成否は犠牲の大きさにかかっている”、とBaptisteは述べる。“個人レベルでの考え方も、‘そのために自分は何を犠牲にできるか’になるからね”。

BaptisteがとくにOneWheelを気に入っているのも、自然にそれとなく公益に貢献しているからだ(例: 大きな4人乗り自動車に1人で乗らない)。OneWheelのメインの特長は楽しくて便利なことだが、結果的に公益に貢献する。多くの人が一人での都市内移動に、自動車に代えてこれを使えば、都市内の自動車交通量が減る。そして究極的には、都市のCO2排出量を減らす、とBaptisteは説く。

“従来の一般的な概念では、善行と利益追求は一致せず、社会的役割を担うことと人生を楽しむことは一致しない。この考え方を変えて、両者が一致することを人びとが理解できたら、それが最高だ”、と彼は語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Starbucksがエンパイアステートビルで「グリーンエプロンの配達サービス」の検証を開始

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Starbucksは自社の配達サービスのパイロット検証を今日から開始する。StarbucksはGreen Apron Deliver Service(グリーンエプロンの配達サービス)をニューヨークのエンパイアステートビルで始め、食事や飲み物を同ビルに勤務する1万2000人以上の人に30分以内に届けることを約束している。今回の検証では特に分量のある注文やビル内の配達先までの注文配達にどのように対応すべきかを学んでいくとStarbucksは伝えている。

これが上手く機能するようになれば、将来的に「グリーンエプロンの配達サービス」は、他のビルや人口が密集している都市部にも展開することにになるかもしれない。将来の計画についてStarbucksはまだ何も言及していないが、Starbucksは大きな目標を示唆するようなテクノロジーに投資をしている。

例えば、Green Apronのカスタマーは、食事や飲み物を専用のウェブサイトから注文することができ、バリスタにどこに届けてほしいかを伝えることができる。それは受付デスクや更にはビル内のミーティング場所なども指定できる。

注文の商品はビル内の専用キッチンで準備する。このキッチンは他のカスタマーの注文やビルを訪れる観光客の注文を受け付けることはできない。つまり、そこは配達サービス専用の本部なのだ。他のカスタマーはビルのロビーにあるエキスプレス店舗や34番ストリートロビーにあるカフェを利用できるとStarbucksは伝えている。

StarbucksはエンパイアステートビルをGreen Apronサービスの最初の検証場所として採用した理由について、ビルには多くのテナントが入居していて「活気ある仕事環境」だからと説明する。Green Apronはビルの150のテナントと75のオフィスフロアの注文に対応する。

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Starbucksはこの他にも商品配達の方法を検討している。 Starbucksは以前、配達サービスを提供するPostmatesとパートナーシップを組み、カスタマーに商品の配達を提供すると発表した。年内にもシアトルで配達のパイロット検証を始める予定だ。この場合、カスタマーはStarbucksカードを使用して通常と同じように特典を貯めつつ、商品をモバイルアプリから注文し、Postmatesのドライバーに配達を依頼することができる。

Starbucksはこれまでも様々な店舗形態を検証してきた。例えば、少量生産のコーヒーを特集した特別店舗移動トラック店舗エキスプレス店舗電車内の店舗などだ。

しかしStarbucksにとって配達サービスは、これまでとは違う新しい試みだ。Starbucksはモバイルで注文して決済を行うプラットフォームの開発に注力してきた。それは現在、アメリカ全土ロンドンで利用できる

このアプリは配達サービスを構築するための最初の一歩だと捉えることができるだろう。フラグシップとなる機能を統合したモバイルアプリにカスタマーから注文を受けて、商品を用意するプロセスは同じだ。 これからStarbucksは熱々の飲み物と食事を届けるためのロジスティクスを整えることに注力しなければならないだろう。大量の注文を受けたり、熱々のまま食事を届けたり、必ず30分以内に届けたりする方法なども検討する必要がある。

Starbucksはにも商品配達を提供することに対して前向きに考えていると話していたが、モバイルから注文する仕組みとは違い、より多くの時間がかかると認めている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

物流アウトソーシングのオープンロジが海外発送に対応、手続きは国内発送同様の手軽さで

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物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。

3月に資金調達を発表した際にも、月次売上400%増という数字を聞いたりもしたのだけれど(といっても母数は非公開で、規模もまだこれからだとは思うが)、早速次の一手を打ってきた。同社は4月20日より、EMS(国際スピード郵便)を利用した海外発送に対応する。

オープンロジは、中小および個人EC事業者向けの物流アウトソーシングサービス。ECで取り扱う商品をオープンロジのサイト上で登録し、同社が提携する物流会社の倉庫に送付すれば、倉庫にて商品サイズや重量を計測した上で入庫。オンラインでの入出庫管理が可能になる。出庫時には倉庫のスタッフが梱包の上、配送までを行う。

今回の海外発送対応も、EC事業者はあらかじめ商品を登録・入庫した上で、オンラインで出庫処理をするだけ。もちろん出庫処理の際、国名や住所などの入力は必要になるが。ちなみに国ごとに禁制品(輸出入を禁止している商品)があるが、管理画面で国を選択した際に確認できるようになっているそうだ。料金はEMSの料金に準じるが、1個口500円の作業料が加算される。複数商品を同梱する場合はさらに追加料金がかかる。配送可能な国は120カ国(こちらもEMSに準じる)。

「EMSを利用する場合、インボイス(伝票)を3枚、4枚と英文で書き、強度を考えた梱包をした上で郵便局に商品を持ち込んだり、集荷をしたりする必要があった。だがオープンロジではそういう手間がなくなるので、海外発送のハードルが下がると思う」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。

海外発送に加えて、オープンロジではAPI公開を進めている。すでに一部EC事業者に限定してAPIを公開しており、今後その範囲を拡大していくという。

メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


月次売上400%増の物流アウトソーシング「オープンロジ」、IVPとコロプラ千葉氏から6000万円を調達

オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏

2014年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2014」のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれたオープンロジ。これまで自己資本でサービスを展開してきた同社だが、3月4日にインフィニティ・ベンチャーズLLP (IVP)およびコロプラ取締役副社長の千葉功太郎氏(個人投資家として)を引受先とする総額6000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

今回の増資に伴い、IVPの小林雅氏が社外取締役に就任するほか、元アエリア取締役で弁護士ドットコムやクラウドワークスの監査役を務める須田仁之氏が監査役に、不動産会社のスター・マイカ代表取締役会長の水永政志氏が経営顧問にそれぞれ就任する。

オープンロジは2013年12月の設立。代表取締役社長の伊藤秀嗣氏は雑誌のオンライン販売を手がける富士山マガジンサービスの出身で、創業期から同社のロジスティクス(物流)網の構築に携わってきた人物。2014年10月に物流のアウトソーシングサービスの「オープンロジ」を開始した。

このサービスは、ECを手がける中小企業や個人事業主をターゲットにしたもの。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上で登録し、提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、オンラインで商品の入出庫といった管理が可能になる。出庫時には倉庫にて梱包の上、配送までを行ってくれる。

大手ECサイトでは独自にロジスティクスのシステムを持ったり、物流事業者と個別に契約したりするが、中小規模のECサイトではそういったことをするのは難しい。オープンロジは物流事業者と独自に提携。そのスペースを商品数の少ない中小規模ECサイトが利用できるようにしている。シンプルな操作で入出庫できるウェブと、通常の宅配サービスと比較して安価な価格設定が強みとなっている。

ニーズにぴったりはまった—売上は1カ月で400%増に

サービス開始から5カ月程度だが、伊藤氏いわく「ターゲットとして想定していた中小規模のEC事業者や副業でECを手がけるような個人事業主のニーズにぴったりとはまっている」とのこと。ベースの金額はまだまだ小さいとは言え、2015年1月から2月で比較すると売上高は400%増加している。「黒字化にはまだ時間がかかるが順調なペースだ。切実なビジネス課題があったところをうまくとらえられたのではないか」(伊藤氏)

オープンロジでは今回の資金調達をもとに、人材採用や経営基盤の強化を進める。伊藤氏いわくサービスは好調だが、まだまだ運用上の課題も多く、その改善にも注力するという。「物流の業務は複雑で、実際に人が動くので、ピッキング、パッキング、配送などそれぞれの過程でいろいろなトラブルが発生する。(さまざまなECサイトが利用することもあって)商品も画一化されていないため、ある程度想定して動いていても、実際に運用しないと気付かない課題も多い。今まさに運用改善の最中だ」(伊藤氏)

同社では今春をめどに、海外発送にも対応する予定。またその後はAPIを公開して、ECサイトの構築サービスなど、各種の企業と連携していくとしている。また年内にも億単位の資金調達を検討。IVPも「事業の進捗を見て数億円の追加投資を行う予定」としている。


Amazon、ニューヨークにて1時間ないし2時間で商品を配送するPrime Nowをスタート

米Amazonが1時間で商品を配送するPrime Nowを発表した。NYC在住のPrimeメンバーに向けたサービスだ。まずはマンハッタンで開始し、2015年に他地域にも展開していきたい考えだ。ペーパータオル、電池、おもちゃや本など、Amazonが言うところの「エッセンシャル」なプロダクトなプロダクトを対象とする。

短時間配送サービスにはUberなども含めていろいろな業者が次々に参入してきている。Amazonとしても対抗上対応せざるを得なくなったというのが、サービス実施に至ったひとつの理由なのだろう。NYCなどのようなハブ地域では、地元配送業者がAmazonの配送価格を下回る価格での日用品配送に参入してきていたりもする。

Amazonの新サービスはマンハッタンの中でも特定の場所を対象に開始されることとなっている。利用にあたって、iOSおよびAndroid用にPrime Nowという専用のアプリケーションが用意されている。また、アプリケーションをインストールしておけば、自分の地域でPrime Nowが利用可能となった際に通知を受け取ることもできるようになっている。配送する時間帯は午前6時から深夜までで、週7日休みなく運用されるとのこと。1時間配送の価格はアイテム毎に7.99ドルとなっている。ただし、2時間配送は無料で提供されるそうだ(Prime会員であることが条件ではある)。

Amazonは今年の頭にPrimeメンバーの会費を上げたが、それにともなってサービスの充実化も心がけているようだ。たとえばストリーミング音楽にアクセスできたり、写真を無制限で保存できたり、あるいは4Kインスタントビデオのストリーミングも行える。2015年に向けては、サービスのさらなる魅力向上を実現していく心づもりであるようだ。

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(翻訳:Maeda, H


棚卸用ドローンシステムが間もなく登場。見えない場所でドローンを有効活用

Amazonでは商品棚をまるごと移動させるカニのような形のロボットが活躍している。こうした在庫・配送管理システムにはまだまだ発展の余地があるようで、倉庫内を「飛行」して在庫状況を確認するロボットがまもなく登場してくる予定らしい。

開発しているのはドイツのFraunhofer Institute for Material Flow and Logisticsで、倉庫内を動きまわりながらRFIDタグやバーコードを読み取ることができる。InventAIRyと呼ぶ仕組みで、単数もしくは複数の自律型ドローンによって在庫情報を短時間で収集することができる。

本プロジェクトの目標は自律的にルート設定して情報を収集する飛行ロボットを開発することです。室内でも屋外でも利用できるように考えています。バーコードやRFIDタグを使って、商品の所在を確認するわけです。ロボットを飛行させることで、床の状況に関係なく動きまわることができるようになります。また高いところにあって地上からはアクセスしにくい場所にも簡単に接近することができるわけです。

こうした自律型ロボット自体は新しいアイデアとはいえない。ただ、これまではドローンをビールなどのデリバリーに使ったり、そしてその結果事故を起こしたりもしていた。ドローンをひと目につかないところで活躍させようというのが、むしろ面白い観点だといえようか。周囲の状況などについては自動で把握するようになっているそうで、複雑なビーコンシステムや屋内GPSシステムを導入する必要もないようだ。

倉庫内でのドローン活用はなかなか面白いアイデアだと思うが如何だろうか。

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(翻訳:Maeda, H